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2017-04-07 第193回国会 衆議院 国土交通委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月七日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 西銘恒三郎君    理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君    理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君    理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君    理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君       秋本 真利君    大塚 高司君       大西 英男君    鬼木  誠君       加藤 鮎子君    門  博文君       金子 恭之君    神谷  昇君       木内  均君    工藤 彰三君       小島 敏文君    古賀  篤君       佐田玄一郎君    鈴木 憲和君       瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君       津島  淳君    中谷 真一君       中村 裕之君    根本 幸典君       橋本 英教君    藤井比早之君       藤丸  敏君    古川  康君       堀井  学君    前田 一男君       務台 俊介君    望月 義夫君       荒井  聰君    大畠 章宏君       黒岩 宇洋君    小宮山泰子君       鈴木 義弘君    松原  仁君       水戸 将史君    村岡 敏英君       横山 博幸君    伊佐 進一君       北側 一雄君    中川 康洋君       清水 忠史君    本村 伸子君       椎木  保君    野間  健君     …………………………………    国土交通大臣       石井 啓一君    国土交通大臣      田中 良生君    国土交通大臣      末松 信介君    国土交通大臣政務官    藤井比早之君    国土交通大臣政務官    根本 幸典君    政府参考人    (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君    参考人    (東京大学大学院工学系研究科教授)        浅見 泰司君    参考人    (立教大学大学院特任准教授)           稲葉  剛君    参考人    (国民住まいを守る全国連絡会代表幹事)     坂庭 國晴君    国土交通委員会専門員   伊藤 和子君     ————————————— 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   木内  均君     門  博文君   工藤 彰三君     務台 俊介君   鈴木 憲和君     古賀  篤君   前田 一男君     鬼木  誠君   望月 義夫君     藤丸  敏君   荒井  聰君     大畠 章宏君   村岡 敏英君     鈴木 義弘君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     瀬戸 隆一君   門  博文君     木内  均君   古賀  篤君     鈴木 憲和君   藤丸  敏君     望月 義夫君   務台 俊介君     工藤 彰三君   大畠 章宏君     荒井  聰君   鈴木 義弘君     村岡 敏英君 同日  辞任         補欠選任   瀬戸 隆一君     前田 一男君     ————————————— 四月七日  都市緑地法等の一部を改正する法律案内閣提出第二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  都市緑地法等の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)      ————◇—————
  2. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学大学院工学系研究科教授浅見泰司君、立教大学大学院特任准教授稲葉剛君及び国民住まいを守る全国連絡会代表幹事坂庭國晴君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人方々一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、浅見参考人稲葉参考人坂庭参考人の順で、それぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため参考人方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。  それでは、まず浅見参考人にお願いいたします。
  3. 浅見泰司

    浅見参考人 ただいま御紹介いただきました東京大学浅見です。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、社会資本整備審議会住宅宅地分科会、新たな住宅セーフティネット検討小委員会にかかわっていたということもありまして、多分ここに呼ばれたのであろうというふうに思います。  本法律は、住宅確保配慮者ということで、これは非常に幅広いんですけれども、高齢者方々子育て世帯方々、それから低額所得者方々障害者方々被災者方々、こういった住宅確保に特に配慮を要する方々対象になります。  特に、高齢単身者は今後かなり増加するだろうというふうに言われておりますので、これに対するケアというのが政策的にも非常に重要であるというふうに考えております。  こういった方々に対するケアといいますか対策として、これまでは、どちらかというと直接供給ということで、賃貸住宅を低廉な家賃供給するなどして生活支援していくというようなことになってきたと思います。  最近の傾向としては、これが、むしろ民間の活力を使っていこうということで、直接供給から、間接的といいますか、民間賃貸住宅を使ってやっていこうということになります。そういったことで、もちろんURもございますけれども、賃貸住宅を使った特優賃などの仕組みもございます。  ただ、公営住宅に入っていて、例えば所得が高くなって出ていこうというときに、次の賃貸住宅はどこがあるかということになりますと、実は現在の仕組みではなかなか次がなくて、普通の民間賃貸住宅ということになります。そういたしますと、生活レベルも非常に落ちてしまう危険があるということなんですが、その段階の部分をうまくつくっていくというのがこの法律案の位置づけかなというふうに私は考えております。  民間賃貸住宅を使う場合には、民間賃貸住宅方々がそういった方々を受け入れていただく環境をつくる必要があるというふうに思います。そういった意味では、例えば高齢者世帯ですとか低額所得者などに入居拒否感というのが現実にはあるわけですけれども、こういったものを払拭することが必要になるというふうに思います。  実は、この法律案でもう一つ目をつけているのは、空き家が増加しているということで、以前は住宅が足りないというふうに言われていたんですが、それが最近ではかなり余ってきているという状況がございます。ですので、そういった余ったストックを有効利用して住宅確保配慮者供給したい、これが背景としてあるかなというふうに考えます。  民間賃貸住宅活用するためには、賃貸人がそういった方々を受け入れる仕組みに設計する必要があるというふうに考えます。  現在、そういう住宅確保配慮者に対して賃貸人がなぜ消極的なのかということを考えますと、賃貸人にある種の心配があるということになると思います。例えば、孤独死をしてしまうんではないかとか、場合によっては近隣に迷惑をかけてしまうんじゃないかとか、自立した生活が難しいのではないか、あるいは家賃滞納があるのではないか、こういったいろいろな心配がございます。  それを解消するためには、何らかの形でそれを支援していく、これは大家さんの負担でやるんではなくて、社会として支援していくということが必要であろうというふうに思います。  例えば、居住支援協議会による支援ということで、相談していただけるとか、見守りサービスを紹介していただけるようなところもございますし、家賃債務保証があるとか、生活保護受給者に関しては、住宅扶助費代理納付ということで、必ず家賃が入ってくるというようなこともあるでしょう。あるいは、家賃債務保証料だとか家賃の補助、こういったことがあると思います。  賃貸人に対しては、本制度では、住宅確保配慮者入居を拒まないような賃貸住宅として登録して、そして登録住宅改修費を場合によっては補助していただけるということですね。あるいは、共同住宅共同居住型の場合には、独自の基準を設けて、家族で住んでいるよりもプライバシーが非常に重要ですので、広目の住宅確保できるようにする、こういったようなことが必要になるわけですが、こういったものに対して制度化されたものが今回の制度であるというふうに考えております。  幾つか課題もあるのではないかというふうに考えております。  例えばなんですけれども、障害者ということで一言で言ってしまっても、実は非常に多様な方々がいらっしゃいます。例えば、足腰が不自由な方という場合には、やはりある程度バリアフリーということが必要なわけですが、民間賃貸住宅があまねくバリアフリーであるということはないわけです。そういった建築構造上の限界ですとか、それから、例えば、共同生活ということになりますと、隣人とうまくやっていく必要があるわけですけれども、共同生活が難しいような場合に、やはり大家さんとしては非常に問題になるということになると思います。  そういったことで考えますと、そういった方々に対する配慮をうまくできるような仕組みをつくっていく必要があるだろう。あるいは、障害者を受け入れるといっても、やはり一定の条件が必要になってくるのではないかというふうに思われます。こういったところは、今後検討しなきゃいけないのかなというふうに思っております。  また、空き家の多い地域住宅確保配慮者の多い地域ミスマッチがあるのではないかというふうに思います。  例えば、空き家が多いのは、どちらかというと地方部割合としては多いと思いますが、一方で、住宅確保配慮者が多いのは都市部ということになりますので、やはり都市部での活用がうまくできるということが鍵になるのかなというふうに思います。  また、冒頭で住宅確保配慮者範囲が非常に広いというふうに申し上げましたが、法律には記載されていないものとして、例えば犯罪被害者ですとか、あるいは矯正施設を退所した方とか、外国人、そういったいろいろな方がいらっしゃるわけで、どういった要件を満たす賃貸住宅にしていくべきかということを今後ぜひ検討していただければというふうに思います。  以上、私の意見を述べさせていただきました。  どうもありがとうございました。(拍手
  4. 西銘恒三郎

    西銘委員長 ありがとうございました。  次に、稲葉参考人、お願いいたします。
  5. 稲葉剛

    稲葉参考人 御紹介にあずかりました立教大学大学院特任准教授稲葉と申します。  私は、一九九〇年代半ばから、ホームレスの方や住まいを失った生活困窮者支援NPO立場で行ってまいりましたので、その経験からお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。  お手元にスライドを打ち出した資料がありますので、それに基づいてお話をさせていただきます。  私は、住まいを失った生活困窮者支援を行ってきたんですけれども、そこで感じてきた日本福祉政策住宅政策問題点について、まず簡単に御説明させていただきます。  ヨーロッパでは、福祉住宅に始まり住宅に終わるというふうに言われておりまして、居住福祉という視点で政策が行われているんですが、残念ながら、ここ日本では、厚生労働省が管轄する福祉政策国土交通省が管轄する住宅政策というのが全く別々に行われていて、相互の連携が余りなされてこなかったという経緯があります。  その結果、私たちNPOが、ホームレスの方やネットカフェ難民、あるいは派遣切りされた方など、住まいを失った人たち支援を行う際に、政策がばらばらに行われていることの弊害というのを常に感じてまいりました。福祉政策では生活保護制度がありますし、住宅政策では公営住宅があるわけでありますが、それらの政策等が連携していない。二〇〇七年に住宅セーフティーネット法ができましたけれども、これが、実際に生活困窮者支援の現場ではほとんど活用されていない、使い勝手が悪いという問題があったかというふうに思います。  私は、二〇〇九年に「ハウジングプア」という書籍を記しまして、その中で、住まい貧困が広がっているのではないかということを問題提起いたしました。  資料にありますように、逆三角形の図で説明しているんですけれども、貧困ゆえ居住権が侵害されやすい状態にある方が世代を超えて広がっている。いわゆるホームレス、狭い意味ホームレスと言われる路上生活者だけではなくて、屋根はあるけれども家がないネットカフェ難民などの方々、あるいは、家はあるけれども居住権が非常に侵害されやすい状態にあるという、例えば、二〇〇八年から二〇〇九年にかけて、派遣切り問題によって、派遣会社の寮に暮らしていた人たちが一斉に路頭に迷うという問題がありましたが、これもやはり住宅政策の問題としてあるのではないか。  そういった意味で、広い意味での住まい貧困状態にある人たちの全体像を調査した上で、それに対する総合的な対策というのが求められているのではないかということを提言してまいりました。  しかし、次なんですけれども、残念ながら、これまで、こうしたハウジングプア住まい貧困に対する本格的な調査というのは一度も行われていないという問題があります。  厚生労働省は二〇〇七年に、住居喪失不安定就労者、いわゆるネットカフェ難民と言われる人たちに対する調査を一度だけ行っております。これは、週三、四日以上ネットカフェに寝泊まりしている不安定就労者を調べたものでして、このときに全国で五千四百人という推計値を出しております。ところが、その後調査は継続して行われていませんので、現在の状況というのはわからない。しかも、これはネットカフェに暮らしている人たちだけを対象にしておりますので、カプセルホテルとかサウナとか、あるいは二十四時間営業のファストフード店などで寝泊まりしている人たちはカウントされていないというような限界があります。  そうした意味で、ぜひ、今回この住宅セーフティーネット法改正案審議に当たって、これをきっかけに、住まい貧困に対する実態調査、本格的な調査というのを行ってほしい。その際に、国土交通省だけではなくて、生活困窮者支援を管轄する厚生労働省と一緒になって本格的な調査を行ってほしい。それを定期的に繰り返すことによって、今回新たに始まる住宅セーフティーネット事業効果測定を行ってほしいということを要望したいというふうに思います。  政府によるこうした調査が行われない中で、私たち民間団体が独自に調査を行っておりまして、二〇一四年には、NPO法人ビッグイシュー基金というところが中心となって、「若者住宅問題」という調査を行っております。  これはインターネットで全てダウンロードできますので、ぜひごらんになっていただければと思うんですが、これは、首都圏関西圏に暮らす二十代、三十代の未婚で低所得若者千七百六十七人にインターネット調査をしたものです。そのうち、実に七七・四%、四分の三以上の方が親と同居している。経済的に苦しいので、親元から出られない状態にあるということがわかっております。  しかも、その千七百六十七人の方に、あなたはホームレスになったことがありますかということを質問項目の中に入れてあります。これは、広い意味でのホームレスということで、路上生活だけではなくて、ネットカフェでの生活であったり友人宅での居候も含めて、安定した住まいを失った経験がありますかということを質問しているんですけれども、実に六・六%、十六人に一人の割合で広い意味でのホームレス経験をしているというふうに回答しております。  さらに、これを、親と同居している四分の三の人と親と別居している四分の一の人たちに分けて考えてみますと、親と別居している、つまり自分でアパートとかマンションを確保して生活している人たちの間では、実に一三・五%がホームレス経験している。七人に一人の割合ホームレス経験ありというような状況になっておりまして、若年層の間で住居喪失ホームレス経験というのが非常に広がってきていることがわかるかというふうに思います。  次、ごらんになっていただければと思いますが、同じこの「若者住宅問題」の調査では、結婚に関する意向というのも調査しております。そうしたところ、「結婚したいと思わない」、「将来、結婚したいが、結婚できるかわからない」、「将来、結婚したいが、結婚できないと思う」という、結婚に対して消極的あるいは悲観的な人たちが全体の七割に至っておりまして、結婚に対して前向きな人は一割にも満たないというような結果になっております。  これは年収二百万未満若者対象にしているんですが、現在、年収二百万未満若者というのは全体の三割に至っておりまして、この低所得者層において、結婚に対して全く前向きになれない、経済的に自分生活もままならない、住まい確保もままならない中で、自分の将来について全く考えることができないような状況というのが生まれている。これは、社会持続可能性の危機というふうに言えるような状況が広がっているというふうに考えております。  先日、国立社会保障人口問題研究所で生涯未婚率に関する統計が発表されたのをごらんになっている方は多いかと思いますけれども、男性で二三・三七%、女性で一四・〇六%が生涯未婚だというような状況になっております。  欧米では、若者向け住宅政策というのは、家族政策少子化対策の一環として行われている側面がありまして、若い人たち早目に実家を出てもらう、若者に対して低家賃住宅供給することによって早目に家を出てもらって、それによって人生のサイクルを促していくということが行われているわけでありますが、日本でもこうした政策が求められているというふうに考えております。  そうした中で、厚生労働省の方では、二〇一五年度から生活困窮者自立支援制度というのが始まっておりまして、この中でも、住宅支援のプログラムというのは、メニューとして住居確保給付金というメニューが行われております。  しかし、実績をごらんになっていただければおわかりのように、緑のラインが住居確保給付金新規支給決定件数になりますけれども、残念ながら右下下がりになってしまっている。平成二十二年度には月平均で約三千件の支給があったんですけれども、平成二十七年度では月平均で五百五十一件しかないというような状況になっております。  これは、この住居確保給付金離職者のみが対象であって、働いている人、ワーキングプアと言われるような人たち、そして、収入が低いがゆえにネットカフェなどで暮らしている人たちが使えない仕組みになっているという、その使い勝手の悪さがあるというふうに考えております。  この背景には、厚生労働省が管轄している事業ということで、国土交通省がこの事業にかかわっていないということもやはり背景にあるのではないかというふうに考えております。  そうした状況の中で、今回、住宅セーフティーネット法改正案が国会に出されて、今後、ことしの秋から空き家活用型の住宅セーフティーネット事業が開始されるという状況に対して、私たちも非常に期待はしております。  ただ、最後に、幾つか私たちが懸念している点についてお話をさせていただこうというふうに思います。  登録制をつくって、空き家をいわゆる住宅確保配慮者と言われる人たちに貸し出す仕組みをつくるわけでありますけれども、私たちが求めているのは、やはり、貧困対策としての住宅政策が必要ではないか、生活困窮者支援に資する住宅政策が必要ではないかというふうに考えております。  そうしてくると、ただ単に空き家を貸し出すだけではなくて、家賃がある程度低く抑えられる、低家賃住宅供給されるということが重要になってくるわけでありますが、家賃低廉化措置という制度については、残念ながら、今回法案の中に盛り込まれなかった。ちょっと事情はよくわかりませんけれども、法案に盛り込まれず、予算措置にとどまっているという問題があるというふうに考えております。  二〇一七年度、十月からの半年間の予算ということになるわけですけれども、その中で三億円がこの家賃低廉化措置に使われるというふうに伺っております。計算すると、これで家賃が低くなる戸数というのが全国で大体二千五百戸程度にとどまってしまう、全体の登録住宅のうち一〇%程度にしか家賃が安くならないのではないかというふうに考えられておりまして、これでは住宅セーフティーネットと呼ぶには非常に心もとないのではないかというふうに考えております。  そうした意味で、家賃低廉化というのもできれば法案の中に盛り込んでいただきたいというふうに考えております。  そして、住宅確保配慮者というのが非常に範囲が広過ぎるということもありまして、高齢者障害者、一人親家庭住宅事情というのも非常に困難な状況にあるんですけれども、若年単身者への住宅支援がどこまで進むか疑問であるということであったりとか、いわゆる追い出し屋の問題、これについてもやはりきちんと配慮がなされるべきではないかということ。  そして、被災者対象になっているわけでありますけれども、被災者災害発生三年以内ということになっているのも問題ではないかなというふうに考えていて、これらの点について御検討いただければというふうに思っております。  よろしくお願いいたします。(拍手
  6. 西銘恒三郎

    西銘委員長 ありがとうございました。  次に、坂庭参考人にお願いいたします。
  7. 坂庭國晴

    坂庭参考人 御指名いただきました坂庭であります。  住宅のつくり手と住み手が参加する住宅運動団体で活動をしております。また、元UR職員でもありました。きょうは、こういう場をいただきまして、ありがとうございます。  お手元資料をお配りしておりますので、お手元資料に基づいて意見を述べさせていただきます。  まず第一点は、公営住宅を補完する全面的な新制度が保障されるような、そういう法改正をぜひお願いしたいということであります。  実は、浅見先生委員長をやっておられる検討委員会、二月十日に最終取りまとめが出されました。本来、浅見先生に触れていただきたいんですけれども、私の方で気づいている点を申し上げておきたいなと思います。  検討の基本的な方向性として、ここに書いてあることが明示をされておりまして、第一点は、新制度公営住宅を補完するもの。それから二点目は、公営住宅入居対象者も含め新制度を実施していくということであります。三つ目は、多様な住宅確保配慮者対象とする。この三つは大変大事な点だと思うんですよね。これらが実現する法改正、新制度というのが私は第一に意見として申し上げたい点であります。  そのほか、ここにありますように、浅見先生が取りまとめられた最終取りまとめは大変重要なことが盛り込まれておりまして、ぜひこれが新制度それから法改正に生かされるようにお願いをしたいなと思います。  中でも、これは1から5まで書き出したんですけれども、最後の、「不適切な管理等を行う賃貸人」、賃貸人は家主のことですけれども、「賃貸人に対して、都道府県等が指導監督できるようにすること。」それから、「生活保護受給世帯を住まわせて不当な利益を得ている「貧困ビジネス」につながることのないよう留意」する、これらは、今回のこの法改正と新制度を考える際に非常に重要な内容を持っていると思うんですよね。  御承知のように、今度の法改正なり新制度は、家賃債務保証会社に、最大ですけれども三万円の補助を国が直接行うという、ちょっと今までこういうことはなかったと思うんですけれども、それだけに、この家賃債務保証会社に対する必要なコントロール、規制を行う必要があるわけであります。  かつて、追い出し屋規制法というものが国会の中で議論をされたと思うんですけれども、結局廃案になって今日に至っているわけで、ぜひこの機会に、さまざまな問題を克服し解決する上でも、追い出し屋規制法を初めとした規制政策をとっていただきたいということが第一の点であります。  第二は、現行法にある公的賃貸住宅供給促進を重視すべきだ。これは、公営住宅UR賃貸住宅を初めとした公的賃貸住宅を重視すべきだということであります。  もともと、住宅セーフティーネット法は、公的賃貸住宅供給促進するということが柱だったと思うんですよね。現行では第五条に、一番初めの方に書かれているわけですね。ところが、今回の改定を見ると、五十三条という非常に奥まったところに公的賃貸住宅供給促進が据えられるという、これも私の目から見ても非常に疑問を感じている点なわけです。  本来は、セーフティーネット法に基づいて公的賃貸住宅がきちっと供給をされ、そして、ここに住む世帯の居住の安定が図られる必要があったんですけれども、ところが、この十年間の公的賃貸住宅の動向を見ますと、五万戸以上住宅が減っているということなんです。供給促進ではなくて、むしろ削減の促進と言えるのではないかということで、私なんかはこの問題を非常に危惧しているわけであります。  特にUR賃貸住宅の削減が非常に大きくて、この表にありますように、二万戸以上の削減がこの十年間で行われている。公営住宅が二万七千戸ですけれども、比率としてはUR賃貸住宅の削減は非常に大きなものになっていて、これも非常に、問題をどう捉え、改善していくのかという課題になっていると思います。  公営住宅の補完としては、現状でも公営住宅に応募する世帯が全国で六十五万世帯いるわけですね。これらの公営住宅に応募する世帯に対して直ちに新制度を適用するとともに、公営住宅の充実強化を図って応募者に対する対応を行うべきだということが求められている。  以上が第二点であります。  第三点は、新制度住宅確保配慮者対象世帯をどう見るかということですね。  これはいろいろな見方があるんですけれども、私の意見は、これは浅見先生がやっておられる検討委員会に出された資料なんですけれども、高家賃負担、最低居住面積水準未満の三百万世帯を対象とすべきではないかという意見であります。  ここに表がありますように、借家に居住するというのは、UR賃貸住宅、公社賃貸住宅に居住する世帯も含まれているわけであります。公営住宅入居階層、収入分位二五%以下ですけれども、それが七百二十七万世帯。これは国交省が出している数字ですね。約四四%の世帯が公営住宅入居対象者なわけですよね。そのうち、高家賃負担が二百四万世帯、それから最低居住面積水準未満が百万世帯、合計三百四万世帯なんです。  特に強調したいのは、高家賃負担の中で、これは民間賃貸住宅とともに、UR賃貸住宅と公社賃貸住宅の世帯も入っているわけですね。ですので、今回の制度とは別に、高家賃負担というのは、国交省の説明では三七%負担、これが高家賃負担なんですね。当然、公営住宅入居階層の人たちですけれども、これらの高家賃負担を余儀なくされている世帯に対して、これはUR賃貸住宅も含めてですけれども、家賃減額や家賃補助を行う必要があるのではないかということを強調しておきたいなと思います。  それから、先ほど稲葉さんの方からも出されたことですけれども、被災者の定義、それから、特に配慮を要する世帯のことですね。  私は、やはり第二条の定義に、生活保護受給者ホームレス、若年低所得世帯、これを明記すべきだと。これは最も住宅確保に対する支援が必要な人であります。  それから、被災者について、三年を経過していないものに限るというのも、本則で盛り込むというのはいかがなものかと。今、被災者をめぐって大変大きな社会問題になっておりますので、この点についても見直す必要があるのではないかと思います。  第四は、家賃低廉化の問題であります。  家賃低廉化法律は、先ほど浅見先生も触れられた特定優良賃貸住宅法律、これがあるわけです。今の地域優良賃貸住宅のもとになっているものであります。この第十五条で、家賃の減額に要する費用の補助が既に条文化されているわけです。ですので、今回の法律家賃低廉化の条文を入れないというのはいかにも整合性がとれないということなので、これについてはやはり条文に明記すべきであるということであります。  それから、家賃水準と適正家賃でありますけれども、従前は、公営住宅家賃負担率というのは大体一五%から一八%ぐらいで設定されているわけですね。ところが、今の家賃負担というのはこれを大きく上回る負担になっているわけでありまして、国民が居住する賃貸住宅の適正家賃の負担率について、審議を通じて明らかにすることを求めたいと思います。  最後ですけれども、今回の問題の背景空き家問題があるわけであります。  民間賃貸住宅空き家というのは、ここにありますように、全国空き家の半分以上、四百三十万戸に上っております。明らかに供給過剰の状況が一貫して続いているわけです。これは、最近の中央公論という月刊誌に「産官民がつくり出した「住宅過剰社会」の歪み」というのが示されていて、やはり今の我が国における住宅過剰社会からの転換を図ることが必要でありますので、民間賃貸住宅政策を含めて、ぜひその策定を強くお願いしたいということで、発言を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  8. 西銘恒三郎

    西銘委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。
  10. 岩田和親

    ○岩田委員 おはようございます。自由民主党の岩田和親でございます。  本日は、各参考人におかれましては、大変御多用の中、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひ有意義な形で議論ができますことを望みながら、質問に移らせていただきたい、そのように思っております。  まず最初に、浅見参考人に御質問を申し上げたいというふうに思います。  浅見参考人におかれましては、お話もありましたけれども、新たな住宅セーフティネット検討小委員会委員長としてこの政策立案にも関与されたということで、敬意を表したいというふうに思います。  そういう中で、幾つか御意見をいただいた中で触れられなかった点でございますが、この法案の一つの大事なポイントとして、居住支援協議会の機能が強化をされる、そしてまた、特に、より現場に近い形と申し上げるんでしょうか、市町村等でこういうふうなものがしっかりと機能していくものが求められるというふうになってくるんだと思っております。  この点に関して、そういうふうな制度設計にかかわられた立場からも、どういうふうな点を重要視して取り組むべきなのか、またはどういうふうな点に注意すべきなのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  11. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。  私は、確かに検討会にかかわらせていただきました。  特に、居住支援協議会、一般的には居住支援法人というような言い方をしておりますけれども、これは、特に大家さんがそういった方を受け入れていただく、あるいは生活を自立できるようにということで、非常に重要なものであるというふうに考えております。  実は、現在、居住支援協議会で行われているものというのは、組織によって若干いろいろなところがございます。まずは情報を束ねるということもございますし、実際に何らかの形で支援活動をしているということもございます。  そういった、それぞれの地域地域で、その地域に合った形での支援の仕方を工夫してやっていただく、それをさらに強化していただく、これが非常に重要ではないかということで、今回は、例えば住宅情報の提供ですとか相談の実施ですとか見守りサービスの紹介などがありますが、実は別にこれに限る必要はなくて、さらにいろいろな支援がもし可能な範囲でできるのであればやっていただきますし、場合によっては、いろいろな民間の会社だとかNPOだとか、そういったところとうまく連携してやっていただく、そういったことを議論したというふうに思っております。
  12. 岩田和親

    ○岩田委員 ありがとうございます。  同趣旨の質問を稲葉参考人にも伺いたいというふうに思っております。  居住支援協議会というふうなものがしっかりと機能を果たしていくためには、先ほど御意見でもおっしゃいましたが、縦割りではいけない、そういう部分があるのではないかというふうに思います。  都道府県レベルあるいは市町村レベルにおいても、住宅部局と福祉関係の部局、こういったものがしっかりと連携をすることが必要でありましょうし、さらには、最前線の部分で、今回、居住支援団体というふうなものであったり、あるいはNPOであったり、もしくは、既存の地域福祉を担ってこられたさまざまな地縁組織、あるいは民生委員、こういった皆さんがしっかり一丸となって、また細やかに対応していくことが必要だというふうに思います。  まさにその最前線でこういうふうな活動をされてこられたお立場から、どういった点が重要であるのか、あるいは、こういうところに気をつけるべきであるとか、そういった点の御指摘をいただけたらと思います。
  13. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  二〇一三年に、ここの国土交通委員会でも議論になったかと思いますが、違法貸しルーム、脱法ハウスという、窓のない建築基準法に違反する狭い空間を貸し出しているビジネスが広がっている、そういったところに、若い人たちを中心に、たくさんの方が暮らさざるを得ないような状況が大都市部に広がっているということが問題になったことがあります。  その際に、都内の脱法ハウスで暮らしている人たちの相談に乗ったことがあるんですけれども、その中のお一人が、東京都の千代田区で生活保護を受けていらっしゃる方だった。そして、千代田区は余り住宅がない地域民間賃貸住宅がない地域ですので、住むところがないということで福祉事務所の職員に相談したところ、脱法ハウスを紹介された。福祉事務所の職員に紹介されて、福祉事務所のケースワーカーが、そういう窓のない部屋に家庭訪問に行っていたということが明らかになりました。  これなどは、本当に福祉行政と住宅行政の縦割りから起こっている問題でして、その後、厚生労働省の方で、生活保護の運用上、そうしたところに住んでいれば、きちんと適切な場所に移すようにというような通知が出されておりますけれども、そうした問題というのは至るところにあるかというふうに思っております。  資料集の中の百三十六ページに、岡山県の居住支援協議会、そして豊島区の居住支援協議会の取り組みが紹介されております。私も、実際にかかわっていらっしゃる方々お話を伺ったことがありますが、一部の先進的な地域においては、福祉行政、住宅行政、そして私たちのようなNPOも一体となって、その地域住宅に困窮されている方々への支援が行われておりますので、こうした取り組みが進んでいけばというふうに願っております。  その意味でも、中央官庁において、厚生労働省国土交通省、昨年の十二月から、この二つの省の連絡協議会が開かれていて、その中でも住宅セーフティーネットについての議論がなされておりますが、この二つの省の連携というのが進んでいければなというふうに願っております。
  14. 岩田和親

    ○岩田委員 まさに現場での体験というふうなものを踏まえながら、縦割りがどのような弊害を生むのかというふうな事例を御紹介いただきまして、ありがとうございました。  まさに国レベルから、本当に最前線の現場レベルまで、しっかりと、縦割りのない、まさに同じ方向に向かってこれが機能していくというふうなことを望むところでありまして、これはまた後ほど法案質疑でも触れさせていただきたい、そのように思っております。  また浅見参考人に御質問をさせていただきます。  今回の法案は、いわゆる住宅確保配慮者をいかにして支援していくのかという側面の一方、今の日本住宅環境、特に空き家問題に対してどのように取り組むのか、そういうふうな視点もあるわけでございます。  二〇一六年に閣議決定されました住生活基本計画、これを具体化していく法案の一つであるというふうに位置づけられると思いますけれども、これ以外に、この法案より少し広いテーマになりますけれども、この空き家問題を中心とした住宅の問題で、どのようなほかの課題が優先的で、喫緊の課題として取り上げるべきなのか、この点について教えていただきたいと思います。
  15. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。  空き家というのは、現在、住宅・土地統計調査の中では四つのカテゴリーがございまして、売却待ちですとか賃貸待ちですとか別荘みたいなものがございますが、それからもう一つは、特に利用する予定がないということで、実際にはある種の廃屋的なものを含むような、そういったものというふうに考えております。  特に、一番最後のものについては、場合によっては近隣に非常に迷惑をかけるかもしれないということで、先日、特別措置法ができたわけですけれども、こういった空き家というのは、実際に行政が例えば代執行するなんというのは非常に大変なことでございますので、そうではない形で、不適切な住宅、居住には適さないような住宅はなくなっていただきたいですし、一方で、活用できるものはぜひ活用できるような、そういったことが必要だと思います。  今回はその活用策の一つだと思いますけれども、例えば、実際に居住には合わないようなものをより滅失を促進するというようなことも非常に大きな課題ではないか。あるいは、住宅をコンバージョンするというときに、実は、住宅の規制とそれ以外の規制が若干違いますので、そのコンバージョンの費用も結構かかったりすることがございます。こういった部分のバリアを外していくというのも非常に重要な課題かなと思っております。
  16. 岩田和親

    ○岩田委員 以上です。ありがとうございました。
  17. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、伊佐進一君。
  18. 伊佐進一

    ○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。  三名の参考人の方には、本当に、それぞれの立場から示唆に富んだお話をいただきまして、ありがとうございました。  時間の関係上、全員に質問できないかもしれませんが、御理解いただければと思います。  まず最初は、浅見参考人に質問させていただきます。  今回の法案で、空き家であったりとか、つまり、今まで住宅市場、賃貸市場に出ていなかった空き家、売れていなかったであるとか借りられていなかった、市場化されていないものに住んでいただくということになるわけですが、住んでいただくためには、市場化されていない、賃貸市場に出ていない分、居住環境を一定程度確保するために引き上げなきゃいけないというふうに思っております。その差を埋める必要があるわけですが、ここの部分を今回は公的に補助しようということになっているわけです。  では、どこまで埋めるのかという議論もあったのではないかというふうに思っております。公的な補助をするわけですから、では、どの程度まで引き上げるべきかという議論について、何かコメントをいただければと思います。
  19. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。  確かに、おっしゃるとおり非常に難しい部分がございます。というのは、例えばそれによって過度に華美なものになってしまうということは趣旨に合わないことですので、やはり、居住に適する、ある種、最低とは言いませんけれども、適切な水準にしなきゃいけない、これは非常に重要なことというふうに思っております。  それからもう一つは、住宅だけが存在していてもいけなくて、やはり、住まうためには、いろいろな、生活支援ですとか生活環境だとか、そういったものが必要ですので、そういったことも重要ではないかというような議論もあったというふうに考えております。
  20. 伊佐進一

    ○伊佐委員 この点、もう少し突っ込んでお話をお伺いしたいんです。  住宅確保配慮者といいましても、法案でもさまざまな立場方々が書かれております。例えば、単身の高齢者であったりとか、あるいは子育て世帯、低額の所得者であったり、被災者であったり、あるいは障害者であったりと。さっき申し上げた差を埋める、では、どこまで公的な資金を投入して整備をするのかということについても、それぞれ、立場立場によって多分ニーズが違うというふうに思っています。  冒頭の発言の中にも、参考人の方からも、障害者の中でも全部違うんですということをおっしゃっておられましたので、それぞれ違う中で、では、それぞれのニーズに合わせてどこまで整備するかを考えますと、例えば、介護サービスもセットじゃないと入れないという要配慮者の方もいらっしゃったりとか、あるいは福祉サービスが必要な方もいらっしゃるわけで、こうした観点を考えると、きめ細かに対応するためには、例えば地域の社協、社会福祉協議会であったりとか、いろいろな団体との横連携というのが非常に重要になってくるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  21. 浅見泰司

    浅見参考人 おっしゃるとおりだと思います。  一方で、現在の賃貸住宅で、バリアフリー化されていない、例えば廊下が非常に狭いということになりますと、かなり大きな改修が必要になるわけですね。そういったものまで全てバリアフリーにつくりかえるべきかどうか、これは非常に議論があるところだと思いますので、適切なものを適切なコストの範囲内で改修できるということが重要ではないかというふうに考えております。
  22. 伊佐進一

    ○伊佐委員 次に、稲葉参考人にお伺いしたいと思います。  本日配付していただいております資料の中で、住まいは人権だという言葉が書かれておりまして、まさしく大事な言葉だなというふうに思いました。  本日、主に若年貧困者の住まいについて触れていただきましたが、稲葉参考人は、ほかの資料を私も勉強させていただきますと、単身の高齢者方々支援ということで、部屋探しで一緒にいろいろと回られた経験がおありだということですので、そうした、特に七十歳以上で単身高齢者の方は部屋探しが非常に難しかったというエピソードを紹介していただければと思います。
  23. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  私もブログ等で紹介させていただいておりますけれども、単身高齢者の方のお部屋探しのお手伝いをすることがありまして、特に七十五歳以上の方、単身で身寄りがない方ですね、年金生活者であったり生活保護の利用者の方であったり、そうした方々が部屋を探すときに、民間の不動産屋さんを回られてもなかなか貸してくれない。不動産屋さんは理解を示してくれるんだけれども、大家さんに言うと、やはり、おひとり暮らしの方が入ると孤独死心配だからということで断られるというケースがありまして、私が運営しているシェルターがあるんですが、シェルターからアパートに入るときに、なかなか部屋が見つからないために移ることができないというような状況があります。  二〇一五年に川崎市で、簡易宿泊所、ドヤと言われる旅館での火災がありまして、十一名の方が亡くなられるという悲劇的な事件がありましたけれども、この背景にも、こうした民間賃貸住宅市場での高齢者に対する入居差別という問題があるというふうに考えておりますので、こうした点でも、今回の新しい制度によって改善が進めばというふうに願っております。
  24. 伊佐進一

    ○伊佐委員 差別という発言をされました。私も少し資料を勉強させていただきますと、高齢者入居に拒否感がある家主というのが七〇・二%いらっしゃる。二〇一〇年は五九・二%だったので、これはふえているという状況を勉強しました。また、障害者のいらっしゃる世帯の入居に拒否感があるという家主さんも七四・二%で、これも、五年前と比べて、五年前は五〇%だったのが二〇%ぐらいふえている状況にあるというふうに伺いました。  こうして、いろいろな制度はあるものの、差別といいますか、こうした状況に対してどういった取り組みが必要なのかという点についてもあわせて伺いたいと思います。
  25. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  おっしゃるように、高齢者障害者に対する入居選別、私は事実上の入居差別だというふうに考えておりますけれども、そうした方々入居に拒否感を示す、つまり、なるべくなら入ってほしくないと思っていらっしゃる大家さんの割合というのが上昇しているという問題があります。  ただ、こうした大家さんの懸念というのも理解できる部分もあるわけでして、今回、居住支援協議会の機能強化ということも図られるというふうに伺っておりますので、各自治体において、福祉行政、住宅行政、そして地元のNPOなどが連携をして、貸してくれる部屋の開拓であったり、あるいは、入居後の見守り支援などが強化されることによって、そうした方々が入りやすくなるような環境というのが出てくるのではないかなというふうに考えております。
  26. 伊佐進一

    ○伊佐委員 そういった意味では、見守りであったりとか、そういった居住支援協議会というところの強化をしっかりと行って支援していくことが大事じゃないかというふうに理解をいたしました。  本日さまざまいただいた御意見を参考にしながら、しっかりとした審議を進めてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、津村啓介君。
  28. 津村啓介

    ○津村委員 民進党の津村啓介と申します。  きょうは、参考人の皆さん、大変ショートノーティスなお声がけの中で御都合をつけていただきまして、こうした場にいろいろな資料も含め御用意いただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。  傍聴の方もいらっしゃいますし、国土交通委員会がまだ短い方もいらっしゃると思うんですが、こうした参考人質疑というのは、一年に一回あるかないか、前回は昨年秋のリニア中央新幹線の際に行いましたけれども、その前をさかのぼりますと、三年前の都市再生法、浅見先生にはそのときにもお越しいただいているわけですが、議員立法も含めると一年間に十本程度法律をここで審議するわけですけれども、そういう十本に一本あるかないかというような参考人質疑。これは、もともとは共産党さんからの御提案もあって、自民、公明、維新の皆さんの御理解あっての参考人質疑ということでもあるわけですが、この住宅セーフティーネット法を私たちが大変重要な法案だというふうに考えてお呼びさせていただいたということを最初にお伝えしたいというふうに思います。  日本住宅政策は欧米と比べて大変特徴があると思っておりまして、一つは、木造の比率が非常に高いということがバックボーンとして大きくあるのかなと。  昨年も、宅建法の改正の際に、中古住宅市場を育成していこうという住宅政策の一つの大きな方針について、それがどれほど現実的で、また一方で、新規の住宅着工に経済成長の大きな部分を依存してきた日本の経済モデルというものとの整合性みたいな話も両面からさせていただいたわけです。  昭和の時代というのは、戦後の復興であるとか、人口の急増であるとか、あるいは非常に安価で丈夫な木造建築の普及ということも含めて、一番大きなときには、GDPの六%とか一〇%近い、新規住宅着工が寄与するという時代が続いて、私も経済分析の仕事をしていた時期があるんですけれども、住宅担当というのは非常に花形のポストでもありました、私は違ったんですけれども。  そんな時代から、今は、人口がどちらかというと減少している、そして、マンション等も含めて、いわゆる一戸建て住宅の新築というのは、地域ではたくさんあるんですけれども、経済成長への寄与という意味では一時ほどの伸びはない。  経済成長のために住宅があるわけではありませんので、既にストックとしてある住宅をどう活用していくのかというのがこれからの日本住宅政策の大きな着眼点であるべきで、今国会でも、大きく膨らんだ中古住宅ストックをどう活用するかという観点から、一つは民泊、そして今回の住宅セーフティーネット法というのは、大きな底流として相通ずるものとして議論していかなければいけないのかなというふうに思っている次第でございます。  そうした中で、先ほどの意見表明を伺いながら質問を考えさせていただいたわけですけれども、まず、浅見参考人に伺わせていただきます。  住宅確保配慮者の多いのは都市部で、今回の政策がうまく回っていくかどうかは、都市部でそれが成功するかどうかが大きな鍵だということをおっしゃっていたと思いますけれども、都市部地域でどういった異なる取り組みが必要となっていくのか、地域差というものをどう捉えていけばいいのかということについて御所見を伺いたいと思います。
  29. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。  都市部地方部で非常に大きく違うかもしれないと思いますのは、一つは、住宅市場がどれだけ活性化しているかということだと思います。  都市部ですと、やはり市場としてかなり活性化しておりますので、例えば、大家さんが、こういった制度は別に使わなくてもいいやというふうにお考えになる方も多く出てくるのではないかというふうに思います。  一方で、数的にも非常に多い要配慮者方々を、こういった仕組みの中に、住んでいただくということになると、やはり大家さんにそういったものを供給していただかなきゃいけない。ですので、大家さんにこういった制度に乗ろうというふうに考えていただくような、そういった動機づけ、これが非常に重要ではないかというふうに思います。  そういった意味でいいますと、先ほどもおっしゃっていただきましたけれども、やはり拒否感みたいなものをなるべく減らして、大家さんが安心してそういった方を入居させるような、そういった制度環境が重要なのかなというふうに思います。  地方部は少し違いまして、例えば、特に人口減少がかなり著しいようなところでは、むしろ、場合によっては、自分が現在住んでおられるところから、もう少し便利で、徒歩圏で生活できるようなところにかわっていただくということが必要なんですが、そういったところで賃貸住宅があるとは限りませんし、また、その場合に、拒否されてしまっては元も子もないわけで、そういった方々をぜひ受け入れていただくような形にしたい。  ただ一方では、市場という意味では、都市部に比べればそういう競争性というのは少し弱いので、そういったところでうまく動機づけすればいけるのかということで、市場環境が大きく違うというところが都市部地方部の違いなのかなというふうに思います。
  30. 津村啓介

    ○津村委員 ありがとうございます。  続いて、稲葉さんに伺いたいと思いますけれども、先ほど、重要なパーツとして、居住支援協議会お話をるるいただきました。岡山そして豊島区をいわば先進事例として御紹介いただいたわけですけれども、他方で、なかなか課題が多いなという地域もあるんだと思います。今、浅見さんからもお話があったように、同じ居住支援協議会をつくっても、やはり都市部地域でやるべき取り組み、課題は違うと思うんですが、難しさといいますか、居住支援協議会というものを全国的にきちんと回していく際の課題について伺いたいと思います。
  31. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  まず、居住支援協議会ですけれども、都道府県レベルでは全て設置されているんですが、区市町村のレベルではまだまだ設置が進んでいないという問題があるかというふうに思っております。  しかも、設置されている自治体においても、関係者、福祉行政、住宅行政、そして地域の不動産関連団体、社会福祉協議会などが集まって協議はしているけれども、具体的な事業は実施していないという地域が多いというふうに伺っております。残念ながら、言葉は悪いですけれども、サロン化してしまっているというようなところもありますので、地域間の格差というのが広がっているというふうに考えております。  そして、一方で、二〇一五年から厚生労働省の方で生活困窮者自立支援制度が始まっておりまして、生活困窮者支援に関する窓口というのが、全ての自治体、福祉事務所設置自治体で相談窓口が設置されているわけでありますけれども、そうした生活困窮者支援の窓口と居住支援協議会の連携というのも、これも国土交通省厚生労働省が連名で通知を出しているんですが、残念ながら、現場レベルではまだそうした連携が進んでいっていない。  実際に生活困窮者の窓口に来られている方の中には、住まいを失っている方、部屋探しが必要な方がいるんですけれども、では、居住支援協議会がそれに協力しているかというと、そうした事例というのはまだまだ少ないというふうに思っておりますので、そのあたりが課題かというふうに考えております。
  32. 津村啓介

    ○津村委員 坂庭参考人にも伺いたいというふうに思います。  先ほど稲葉さんからも、被災者災害発生三年以内に限定するというのは不適当ではないかという御指摘があったかというふうに思います。どういった定義といいますか、くくりが適当と思われますか。
  33. 坂庭國晴

    坂庭参考人 ありがとうございます。  被災者を三年間に限定するというのは、公営住宅法にその旨が書き込まれているというか条文化されているということが根拠になっているわけですけれども、御存じのように、三年間で被災者住宅確保なり保障ができるのかといえば、東日本大震災や、あるいはその前の阪神大震災を見ても、やはり十年以上かかっているわけですね、住宅確保そのものが。  ですので、これは私の意見ですけれども、公営住宅法における災害公営住宅、この規定そのものをやはり再検討すべきではないかなと思うんですよね。特別立法で長くできるんだということが説明としてありますけれども、被災者に対する住宅保障、確保からいうと、やはり三年間という限定をするということは非常に大きな問題があると言わざるを得ないと思うんです。  以上です。
  34. 津村啓介

    ○津村委員 十分間の質問時間が終わりますのでこれで終わりたいと思いますけれども、国土交通省さん、住宅局長さんもおみえですが、きょうの三人の参考人の皆さんから大変有意義な意見表明をいただいたというふうに思っています。  家賃低廉化措置というものが予算としてもまだ極めて些少であるということ、これからしっかりと法律に基づいて行っていくべきという御提案もございましたし、また、住まい貧困に関する実態調査をぜひ行うべきだ、古いデータでこういう議論をするべきじゃないということはごもっともだと思います。また、居住支援協議会の持つ課題、地域の格差、また、今、復興大臣の御発言も注目されていますが、被災者の問題というのは、私たちはこれからも国土交通委員会として向き合っていかなければいけない課題でございます。  今回の参考人質疑をぜひ私たち法案審査にも有意義に活用していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。
  35. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、本村伸子君。
  36. 本村伸子

    本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。  きょうは、お忙しい中、三人の先生方には、貴重なお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。  貴重な時間ですので、早速伺いたいというふうに思います。  住宅セーフティーネットの根幹として、先ほど来お話がありましたように、公営住宅がありますけれども、公営住宅の倍率もかなり高くなっていると。私の地元の愛知県名古屋市の方でも、百倍というお部屋もあるということで、なかなか入れないという現状がございます。やはり、国が、あるいは自治体が責任を持って公営住宅確保をすることが大切だというふうに思います。これは前提の話としてお話をさせていただくわけですけれども。  公営住宅に本来入れる条件があるんだけれども民間賃貸住宅にお住まいの方が七百二十七万世帯ということは坂庭先生も言われましたけれども、こうした七百二十七万世帯の方々への支援はどうあるべきかという点を一点目にお伺いしたいのと、また、稲葉参考人からもお話がありましたように、今回の家賃補助というのは三億円しかつけられていない、初年度で二千五百世帯分しかないということですけれども、七百二十七万世帯と考えますと、対象が〇・〇三%分しかないということで、私どももこれは全く不十分だというふうに思います。  やはり、本来、公営住宅に入ることができる世帯の方々に対する本格的な家賃補助制度が必要だというふうに思います。この制度設計も含めて、それぞれ三人の方々家賃補助についての御意見をお伺いしたいというふうに思います。
  37. 坂庭國晴

    坂庭参考人 公営住宅入居階層が、お示ししたように七百二十七万世帯、本来、公営住宅入居することが可能といいますか、対象になっているわけでありまして、高家賃負担はその中で二百四万世帯。日本は、特に大都市部において非常に高家賃、これは、国土交通省が発表したものでもそういうふうになっているわけですけれども、先進国の中で家賃補助がないというのは日本ぐらいなわけですね。G20とかG7とかありますけれども、軒並み、特にヨーロッパ諸国は手厚い家賃補助制度が行われているわけです。これは、基本的に、公営住宅を建設して供給した、その後に住宅予算家賃補助に振り向ける、こういうことがずっと行われているわけですね。  私たちはかねてから、公営住宅入居階層であって、公営住宅に応募しても入居できない人に対しては、直ちに家賃補助を行うべきだと。これは当然のことだと思うんですよね。なかなかそれが進まないというのは、やはり住宅関係予算に対して国全体が真摯に向き合っていないといいますか、本当の意味住宅弱者に住宅を保障するために、この家賃補助というのは不可欠であるということは強調したいなと思うんですよね。  もう一つは、UR賃貸住宅の居住者に対しては、公営住宅入居階層の方々がいっぱいおられるわけですね。この世帯に対しては、これは居住者の方から要求されていると思うんですけれども、UR、都市再生機構法に基づく家賃減額措置を行うことが必要だというふうに思います。
  38. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  私は、一九九〇年代の半ばから、ホームレスの方や住まいを失った生活困窮者の相談支援を三千件以上行ってきたんですけれども、そうした方々生活再建ということをNPO立場で一緒に考えていく際に、活用できる施策の中に住宅政策というのが選択肢として出てこないという問題があります。現実的に住まいを失った人たち活用できる施策としては、生活保護であったり、あるいはホームレス自立支援法に基づく自立支援センターという、ほぼ二つぐらいしか選択肢がなくて、欧米では、ホームレス対策というのは、住宅政策住宅支援という観点から行われているんですけれども、日本においては、例えば公営住宅というのが、住まいを失った人たち支援としては全く機能していない。一旦生活保護を受けて民間住宅に入って、そして何年も公営住宅を申し込んで、ようやく当たるという状況にありますので、公営住宅の拡充というのは本当に求められているというふうに考えております。  同時に、公営住宅入居階層の人たちに対する家賃補助制度というのはやはり求めていきたいというふうに考えておりまして、今回の事業がその一歩になればというふうに考えております。
  39. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。  公営住宅といいますか、住宅に困窮する方々への施策のあり方ということなんですが、私は、ある制度だけに頼るのではなくて、いろいろな制度を用意すべきではないかというふうに考えます。  例えば、公営住宅においては、以前に高所得の方が入っていて結構問題になったことがございますけれども、そういった方々は出ていただくとしても、それ以外の方々で、明け渡し努力義務が課せられていてもなかなか出られないというのがございます。これは実は、次の段階が、先ほど冒頭に申し上げたんですけれども、民間賃貸住宅になってしまうということで、非常に生活レベルが落ちてしまうので、なかなかそういったことに踏み切れないというのがあるわけですね。  そういった意味でいきますと、階段状にといいますか、いろいろな制度があって、そして自分状況に合わせて適切に選択できるような仕組みがあるということが重要だと思います。  今回は、公営住宅とは異なる、だけれども民間賃貸住宅とも異なる、そういった中間的な階段のステップが一つできたわけですけれども、こういったことをすることによって、例えば、公営住宅に現在お住まいなんだけれども、場合によっては、こういったところに移った方が全体として見たときに社会的に適切だという方々に移っていただいて、むしろ、もっと本当に困っている方々公営住宅に入っていただく。こういったようなことをうまく進めていくことで、つまり、グラデーションを持った形の住宅政策、これが非常に重要ではないかというふうに思います。
  40. 本村伸子

    本村(伸)委員 ありがとうございます。  稲葉先生と坂庭先生にお伺いしたいんですけれども、家賃債務保証業者による家賃等の不当な請求や追い出し行為の実情をお聞かせいただいて、どういう規制をするべきかという点、お伺いしたいというふうに思います。
  41. 坂庭國晴

    坂庭参考人 件数としては少なくなってきているとは思うんですが、依然として、追い出し行為というのは、鍵をかえ、それから、住宅内にある居住者の荷物を全部撤去するという事例が出てきているわけですね、継続をしているわけです。  これは、なくならないんですよね。といいますのは、家賃債務保証会社は、家賃を代替して家主に払うわけですけれども、そのかわり、家賃を取り立てるわけですね。これが、やはり家賃債務保証会社は株式会社ですから、利益を得なければならない、そういう仕組みになっているわけで、どうしても行き過ぎた取り立て行為を行わざるを得ないといいますか、そういう業界の仕組みになっているわけですね。  これを規制するには、先ほど申し上げましたように、規制法、特別な法律ですね、これがやはりどうしても必要だ。それがないと、今の追い出し行為というのはなくならない。業界の規範だけでは自浄作用が十分ではありませんので、ぜひともそういう規制法をつくっていただきたいなと思います。
  42. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  私も、そもそもは、住宅確保配慮者と言われる人たちに対する公的な保証制度というのが必要だというふうに考えております。しかし、実際には、そうした公的な保証制度が存在しないという状況の中、家賃債務保証会社が非常に活用されるようになっている。  家賃保証会社は、もともと、身寄りがない方、家族に保証人を頼めない方のニーズに応えるためにあらわれてきたわけでありますが、最近では、不動産屋さん、大家さんの方で、この物件はこの保証会社を使うのが条件ですよという形で、家族に保証人がいても家賃債務保証会社を使ってくださいという形で、かなり広がってきているという状況があります。  そうした中で、今、坂庭さんからもお話がありましたように、借地借家法を無視したような居住権の侵害というのが蔓延している状況がありまして、裁判になっているケースだけでも三十件以上が報告されておりますが、実際には、私自身も、ホームレスの方の相談に乗る中で、家賃債務保証会社に荷物を撤去されて追い出された、ただ、そのときは裁判をする余裕もなく泣き寝入りせざるを得なかったということで、潜在的にはかなり被害が広がっているというふうに考えておりますので、やはり追い出しは規制法が必要になっているというふうに考えます。
  43. 本村伸子

    本村(伸)委員 貴重な御意見、本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げます。  ありがとうございました。
  44. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、椎木保君。
  45. 椎木保

    ○椎木委員 日本維新の会の椎木保でございます。  本日は、三人の参考人の皆様から、それぞれの立場におかれまして大変貴重な意見陳述をいただきまして、ありがとうございました。  早速質問に入らせていただきます。  まず初めに、これまで我が国が行ってきた住宅セーフティーネットの取り組みで、新たな制度が加わることになりますが、民間活力の活用という観点から新制度をどのように評価されているんでしょうか、三人の参考人にお伺いしたいと思います。
  46. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。  住宅政策を考えてみますと、まず、伝統的には、住宅の絶対数の不足ということで、直接供給ということで、例えば公営住宅ですとかUR賃貸住宅、こういったものが供給されてきたということだと思います。ただ、十分住宅がふえてきたということで、今後は民間賃貸住宅等を活用していける部分はそれを活用しようというふうに変わってきたと思います。  公的な賃貸住宅については、物を全て公共で整備しまして、建設費用ですとか運営費用を全て公共で持つということになるわけですが、民間の場合には、そういったものはそちらの方でやっていくということで、むしろ必要な整備を行うということだと思います。  こういったことに特化したのが今回の制度ではないかというふうに考えておりますので、そういった新たなセーフティーネットの一類型をつくったという意味では、高く評価しております。
  47. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  これまでの日本住宅政策というのが、ともすれば経済対策として行われてきた側面が強かった、居住福祉住まいは基本的な人権であるという観点が弱かったというふうに考えております。  そうした意味では、私自身も、空き家活用したシェルター事業民間立場で行ってきましたし、行政に対しても、これだけ空き家がふえている、全国で一三・五%、空き家がふえていて、その一方で住まいに困窮している人たちがいるという状況は、非常にもったいないのではないかと。そうした意味で、空き家活用した住宅セーフティーネットということを提言してきたこともありまして、今回の動きというのは歓迎しております。  ただ、それが本当に貧困対策生活困窮者支援ということに資する政策になるのかという点については、先ほども御指摘させていただいた家賃補助、家賃低廉化措置がどれだけ広がるかにかかっているというふうに思っておりますので、そうした点をぜひチェックしていただければというふうに思っております。
  48. 坂庭國晴

    坂庭参考人 評価ですけれども、私の意見では、一歩前進である、しかし、公的な住宅を二歩後退させてはならないというのが私の率直な受けとめなわけですね。  それで、冒頭にもお話ししましたように、今回の法改正なり制度は、公営住宅を補完するというふうに言っているわけですから、本当に公営住宅を補完するものになるのかどうか、これは、実際に実施してみないと法案だけではわからない部分があるんですけれども、いずれにしても、これを前進させるべきだと。  その際、今回の制度は、家主さんの理解と協力を抜きにはできないわけですよね。しかし、一般的には、住宅確保配慮者人たち入居をずっとお断りしていたわけですね。それを今回大きく切りかえるというわけですから、やはり家主さんの自主的な努力に委ねる部分が非常に大きいわけですね。そのためにいろいろなインセンティブがあるんですけれども、そのためにどういうふうに前進をさせていくのか、もっと突っ込んでいく必要があるというふうに思う次第であります。  あとは、問題点については述べたとおりですので、これらの克服をお願いしたいなというふうに思います。
  49. 椎木保

    ○椎木委員 ありがとうございます。  次に、東京や大阪といった都市部では、住宅セーフティーネットの課題として、高齢単身世帯の増加、希望出生率の実現などがありますが、新制度はそれらの課題に対して有効なものとなっているかどうか、三人の参考人の先生方にコンパクトにお答えいただければと思います。
  50. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問ありがとうございます。  御指摘のように、民間賃貸住宅に関しては、要配慮者入居拒否感ですとか、あるいは家賃水準が高いということで、低廉な家賃賃貸住宅確保が求められる、こういったさまざまなことがございます。あるいは、子育て世帯ということで、広さが必要だということもございます。  今回は、住宅市場において、家賃債務保証ですとか居住支援の充実、あるいは住宅扶助の代理納付ということで、大家さんの不安を払拭するようなさまざまな措置がございます。また、きょうは余り議論がなかったかもしれませんが、シェア居住の基準だとか、あるいは空き家活用家賃の低廉化の補助などもございますので、こういったことで、先ほどの課題の解決に役割を果たすのではないかというふうに考えております。
  51. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  先ほどから御議論になっているように、単身高齢者そして障害者の方への入居選別というのは非常に厳しい状況があります。  一昨年、国土交通省の方で安心居住政策審議会が開かれまして、その中の中間取りまとめにおいて、高齢者障害者への入居選別、拒否感を示す大家さんの割合というのを半減させるという数値目標が発表されました。当時、拒否感を示す大家さんが六割だったので、これを三割にまで減らすというような数値目標が出されたんですけれども、残念ながら、その数値目標というのが最終取りまとめから外されてしまった。その間に、実は、六割だった割合が七割までふえてしまったということがあります。  私たちとしては、きちんとこうした数値目標を掲げて、高齢者障害者方々が部屋に入れないという状況を改善していただければというふうに願っております。  そして、若年層の低所得者については、今回の制度の中でどれぐらいこの人たち対象になるかというのがどうも不明確ではないか。低額所得者というのが対象に入っておりますが、若年層と明記されていないということから、ともすれば、こうした人たちへの支援というのが後景化されないかという点を懸念しておりまして、こうした点についても、私たちも引き続き働きかけていきたいと思っておりますし、委員会の皆様におかれましても、今後の施策がどのように進んでいくかという点についてチェックしていただければというふうに願っております。
  52. 坂庭國晴

    坂庭参考人 今回の法改正と新制度を考える最大のポイントは、先ほどの大家さんのこともあるんですけれども、地方公共団体の役割が極めて大きいわけです。地方公共団体が全てのことを担わざるを得ないといいますか、担う仕組みになるわけですね。供給促進計画を実施したり賃貸住宅事業を実施するのは、都道府県と市区町村なわけですね。ところが、今の自治体の住宅部局を見ると、非常に体制が弱いわけですよね、いろいろな事情があるわけですけれども。  ですから、これを本当に推進するためには、地方自治体の住宅部局、福祉部局の抜本的な強化拡充、そしてまた予算の拡充というのが必要だということを強調しておきたいなと思います。
  53. 椎木保

    ○椎木委員 それでは、最後の質問にさせていただきます。  地方部における住宅セーフティーネットについてはどのような課題があると考えているか、また、それに対して新制度は有効なものになっているかどうか、これについて、ちょっと時間の関係がございますので、浅見参考人稲葉参考人にお答えいただければと思います。
  54. 浅見泰司

    浅見参考人 御質問ありがとうございます。  地方部では、今後、かなり人口が減少しまして、高齢化が進むというふうに考えられます。そういった中で、なかなか生活環境が確保できないということになりますと、例えば、より中心部に移るなんということも必要なわけですが、そのときに、特に高齢者方々に対して、拒否感という話がございましたけれども、入居できないような状況になるとこれは大変ですので、やはり今回の制度がそういった方々を受け入れるような賃貸住宅をふやすということになっておりますので、こういったところで大きな貢献があるのではないかというふうに考えております。
  55. 稲葉剛

    稲葉参考人 ありがとうございます。  地方での空き家問題というのも非常に深刻なわけでありますし、そうした地方に空き家を持っているオーナーさんが今回新設される登録住宅に登録されるということもふえていくかと思うんですけれども、ただ、例えば、地方都市の空き家というのは、坂の上にあって高齢者の方がそこに暮らせないというような状況もありますので、公共交通の問題等を含めて総合的に考えていく必要があるというふうに考えております。
  56. 椎木保

    ○椎木委員 ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただきました。本当にこの法案は重要ですので、お伺いしました御意見を踏まえまして、法案審議の方をしっかり進めてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人方々一言申し上げます。  本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  参考人の皆様は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  58. 西銘恒三郎

    西銘委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長由木文彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 西銘恒三郎

    西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  60. 西銘恒三郎

    西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。
  61. 岩田和親

    ○岩田委員 それでは、引き続きこの法案に対して質疑をしてまいりたいと思います。自由民主党の岩田和親でございます。  早速ですが、質問に入らせていただきます。  まず、住宅確保配慮者状況についてお伺いをしていきたいと思います。  この法案では、住宅確保配慮者を、高齢者子育て世帯低額所得者障害者被災者など、住宅確保に特に配慮を要する者と幅広く定義をされております。  この法案対象としているのはどういう方々なのか、私は、具体像を把握しようということで勉強いたしましたが、住宅確保配慮者の全容や実態を把握するということはなかなか難しい、そういう認識を今持っておるところでございます。  各種統計もありますが、例えば、低額所得で、かつ高齢者であるなどといった重複したケースをどれだけ正確に捉えられているのか。また、先ほどからの参考人の御意見にもありましたが、都市部の低所得者、若者層の住宅問題などは、実態を捉えづらいのではないかと考えております。ただし、政策である以上、対象者について、実態を把握して、できる限り明確にしておく必要があります。  そこで、配付した資料ごらんいただきたいと思います。これは、新たな住宅セーフティネット検討小委員会でも使われた試算であります。これを取り上げることで、具体像の理解を深める一助としたい、そのように考えております。  それでは、この資料に基づきまして、民間借家にお住まいの方で、低額所得であり、かつ高家賃負担であり、さらに最低居住面積水準を下回る住居に住んでおられる方はどのくらいいらっしゃるのか、お示しください。
  62. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  お示しいただきました資料は、平成二十五年の住宅・土地統計調査をもとに推計した資料でございます。公営住宅を除く借家に居住されておられます、まず、収入分位が二五%以下の世帯、これは月収にいたしますと約十五万八千円程度になりますが、及び収入分位二五%から五〇%、五〇%は月収で申しますと約三十一万三千円になります、その高齢者障害者子育て世帯で、最低居住水準未満の面積の住宅に高家賃負担で居住する世帯は、合わせて約二十八万世帯というふうに推計しているところでございます。
  63. 岩田和親

    ○岩田委員 二十八万世帯という答弁をいただきました。  念のために申し上げておきますが、ここで示されたのが住宅確保配慮者として対応すべき全ての人だと考えているわけではありません。これらの方々以外にも配慮が必要な方々がいらっしゃると認識しております。  ただ、この試算によりまして、低額所得を原因として住宅費が家計を圧迫し、厳しい住環境にあるという、これらの要素が重複して、より苦しい環境にある方々が把握できているわけであります。まずは、こういった方々にしっかり焦点を当てて、優先的に取り組みを進めていくべきではないかと考えております。  そういう中で、この全体像の、そして実態の把握という点に関して質問します。  全国的あるいは各地域住宅確保配慮者の実態をより丁寧に把握していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  64. 石井啓一

    ○石井国務大臣 世帯の所得家賃水準、居住面積等の住宅事情地域によって大きく異なります。住宅セーフティーネットの構築を進めるに当たりましては、各地域住宅確保配慮者の実態を丁寧に把握することが重要であると考えております。  本制度におきましては、都道府県及び市町村が賃貸住宅供給促進計画を自主的に作成し、供給の目標、登録時の住宅要件、要配慮者範囲等について定めることができることとしており、そのためには、当該地域の実態を十分に把握することが必要であると考えております。  また、今後は、特に地域レベルで、居住支援活動の活発化など住宅確保配慮者への支援を進めていく必要があり、そのためには、支援の実態や要配慮者状況など、地域状況についての実態把握が重要でございます。  国といたしましては、基本方針におきまして、こうした地域における要配慮者の実態把握の重要性について明らかにしたいと考えており、地方公共団体との連携のもとで、各地域の実態を踏まえた住宅セーフティーネットの取り組みを進めてまいりたいと存じます。
  65. 岩田和親

    ○岩田委員 先ほどからの参考人意見にもございましたように、なかなかその実態把握が難しいということは承知の上でありますけれども、しっかりと努力をしていただきたいとお願い申し上げます。  続きまして、空き家状況について質問をしてまいります。  空き家の現状というふうなものをどのように捉えておられるのか。特に、この法案登録住宅ということになると思われます民間借家の状況はどうなっているでしょうか。近年、金融緩和の影響で民間借家が供給過剰とのニュースもあるところでありますが、そういった点も踏まえてお聞かせください。
  66. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  平成二十五年の時点におきまして、住宅ストック総数は約六千六十三万戸でございますが、総世帯五千二百五十万戸に対しまして差がございまして、空き家の総数がこの時点で約八百二十万戸というふうになっております。これは、十年間で一・二四倍に増加しているものでございます。  このうち、お尋ねいただきました賃貸用の空き家については約四百二十九万戸となっておりまして、十年間の増加率は一・一七倍でございます。このうち、比較的活用しやすいものとして、耐震性が既に備わっていて、特に腐朽とか破損がなく、駅からも一キロメートル以内で、すぐに利用できそうなものが、約百三十七万戸あるというふうに推計しているところでございます。  一方で、新築の貸し家の着工戸数でございますけれども、これは、平成二十八年一年間で四十一万九千戸でございます。前年比で一〇・五%増ということで、平成二十年以来の高い水準でございます。  この増加は、平成二十七年一月の相続税の課税強化に伴う節税目的のものや、あるいは、低金利が続いておりますので、こういった低金利の影響によるものであるとの見方があるところでございます。  特に、最近、地域によっては、空室率の上昇や賃料の低下といった状況も見られておりますことから、今後、こうした市場の動向を注意深く見守っていく必要があるものというふうに考えております。
  67. 岩田和親

    ○岩田委員 もとより空き家が増加しているというふうなことは言われているわけでありますが、近年のそういういわゆる供給過剰というふうなことで、特に築年数が長い、そういうところにまたしわ寄せというのがあるんじゃないか、そういうふうに受けとめたところでございます。  次の質問に参りたいと思います。  住宅確保配慮者入居を拒まない賃貸住宅登録制度を新たに導入するわけでありますが、どういった賃貸住宅がこれに登録をしていくのか。さまざまな支援措置も設けられるところでありますが、これらは借家の家主に対してどのような動機づけとなっていくのか、また、登録に段階を設けたのはどういうふうな意味なのか、こういった点も踏まえて、登録住宅の具体的なイメージをお聞かせください。
  68. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  本制度におきましては、登録を推進する観点から、賃貸人の不安を払拭できるように、さまざまな支援措置を講じることといたしております。  先ほど参考人等の御質問の中でも出てまいりましたけれども、まず、家賃滞納への不安につきましては、適正に家賃債務保証を行う業者についての情報提供や、独立行政法人住宅金融支援機構の保険引き受けの対象の追加を行うこととしておりますほか、生活保護受給者住宅扶助費等について、賃貸人からの通知に基づいて代理納付の要否を判断するための手続を創設することとしております。  また、大家さんには、入居の方が孤独死などされるんじゃないかと不安もございます。こういった問題については、居住支援法人の指定や、あるいは居住支援協議会の助成等による入居者に対する居住支援の充実を図ってまいりたいと考えております。  また、入居に伴いまして、高齢者の方が中で事故を起こされるとか、あるいは子供の騒音等、そういった入居のトラブルに対する懸念も大家さんはお持ちになることがございます。こういった点につきましては、そういった点をできるだけ防げるような住宅の改修に対しまして助成をしたり、あるいは住宅金融支援機構によって改良費融資をしたり、そういうインセンティブを今回用意しております。  こうしたものを利用していただくことによりまして、賃貸人の方が入居拒否感を解消して、住宅の登録を促進していただきたいと思っておりますし、また、その動機づけになるものというふうに考えております。  また、お尋ねいただきました制度の中では、入居を広く受け入れる登録住宅のほかに、より積極的に要配慮者を受け入れていただくような専用住宅という制度も設けております。これは、住宅確保配慮者がより安心して自分の希望に合った住宅を選択することができる仕組みとして導入しているものでございまして、こういったものの登録の促進を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  69. 岩田和親

    ○岩田委員 この制度では、まずは民間借家が受け皿になるというふうに思われますが、既存の借家だけではなく、使わなくなった戸建て住宅などを借家に切りかえる、シェアハウスをつくるなど、住宅確保配慮者住居の受け皿の裾野を広げることも推進すべきだと考えます。このことで、例えば、庭つきの戸建て賃貸で子育てができる、高齢者共同生活をするシェアハウスが地域にできるなどの新たな暮らし方の提案にもつながることを期待するところです。  この点、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
  70. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  本法案におきます住宅確保配慮者入居を拒まない賃貸住宅として登録できる住宅は、アパートなどの民間借家だけではなくて、空き家となっております持ち家の戸建て住宅、こういったものも登録されることを想定いたしております。  全国空き家のうち、現在、活用可能と推計される戸建て空き家住宅、これは統計上はいわゆるその他空き家というふうに分類されるものの中の一部でございますけれども、これは約四十八万戸存在しているというふうに思っております。こうした住宅の、市場への積極的な活用を図っていきたいというふうに思っております。  また、御指摘のいわゆるシェアハウスにつきましては、今回初めて、このシェアハウスについての住宅の面積や設備等の登録基準を設けることとしたいと考えております。戸建て住宅などを改修いたしましてこうした基準に合致するシェアハウスとする場合に、改修工事が必要になりますが、この改修工事についても、予算による支援措置を講じるほか、住宅金融支援機構によります改修費の融資等を行うことといたしているところでございます。  御指摘いただきましたような、子育て向けの戸建て住宅や、あるいは例えば高齢者共同居住できるようなシェアハウスなど、住宅確保配慮者の受け皿となりますようなさまざまなタイプの住宅の登録が幅広くなされるよう、その促進に努めてまいりたいと考えております。
  71. 岩田和親

    ○岩田委員 この住宅セーフティーネットの拡充のために民間借家を活用するという考え方に、私も賛成をするところであります。一方で住宅確保支援が必要な方々がいる、一方で空き家に困っておられる方々がいる、これらのマッチングがうまくいって、双方よしとなるように、細やかな施策の対応を希望するところであります。  そしてまた、もう一点は、広い意味での空き家対策、こういったものがやはり必要であるということは論をまちません。今の日本住宅政策に関しては、まさにこの空き家問題を一つのきっかけとして、やはりこれからそのストックをいかに活用していくのか、こういうふうな取り組みが求められているところでもございます。今回のもその一つの方策であろうというふうに思いますし、さらなるさまざまな、より具体的な取り組みをまた要望しておきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  入居支援についてお聞きをしていきたいと思います。  家賃債務保証は、賃貸借契約の連帯保証人にかわるものとして、特に住宅確保配慮者にとって大事な役割を果たしていると認識しておりますが、その保証サービスを行う業者の実態にはさまざまな課題があると聞いております。  この課題をどのように把握しておられるのか、また、家賃債務保証の円滑化のためにどのように取り組んでいかれるのか、質問します。
  72. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  近年、例えば高齢者の方あるいは一人親の方を初めといたしまして、入居時の連帯保証人の確保が困難になっている等の理由によりまして、家賃債務保証会社による機関保証の利用が増加してまいっております。新規の賃貸借契約の約六割において利用される実態があるというふうに承知しております。  また、一方で、全国の消費生活センター等に寄せられました家賃債務保証に関する相談事例といたしましては、例えば、過大、不明瞭な請求がなされるとか、あるいは契約、説明に関するトラブルなどが報告をされておりまして、相談件数は高どまりしている状況であると承知しております。  こうした状況を踏まえまして、今般、新しい制度におきましては、適正な家賃債務保証業者についての国土交通大臣による登録制度、これは省令レベルで予定しておりますが、これを設けることといたしまして、情報提供を的確に行うことによりまして、適正な業者が選択されやすい環境を整えてまいりたいというふうに考えております。  また、高齢者世帯や一人親世帯などの住宅確保配慮者は、保証会社の審査が厳しくなる傾向がございます。したがいまして、登録を受けた適正な家賃債務保証業者につきましては、本法案に基づく住宅金融支援機構による保険引き受けを行っていただくことで家賃債務保証業者のリスクを下げることなどによって、住宅確保配慮者の保証を受けやすい環境を整備してまいりたいというふうに考えております。
  73. 岩田和親

    ○岩田委員 この家賃債務保証にかかわる業者に対しての規制というのは、この法案でもやはり大事なポイントの一つである、そのように認識をしております。これは、各党各会派問わずそういうふうな認識であると私も考えております。今日まで規制がなかったということがやはり問題だったわけでありまして、この大きな一歩をしっかり進めていただきたい、そのように思います。  次に、この法案によりまして、居住支援協議会の機能が強化されるわけであります。この居住支援協議会がさらに実効性を持って機能していくことを期待するわけでありますが、そのためには、国レベルでは国土交通省厚生労働省など関係部局の連携、自治体レベルでは住宅部局と福祉部局などとの連携が十分になされること、そして、最前線で活動する居住支援法人やNPO地域の実情をよく知る社会福祉協議会や民生委員などが一体となって機能することが必要だと考えております。  どのように取り組んでいかれるのか、お聞きします。
  74. 石井啓一

    ○石井国務大臣 委員御指摘のとおり、地域の実情を踏まえて適切な居住支援が行われるためには、国及び地方公共団体における住宅部局と福祉部局の連携や、居住支援を行うNPOなどの民間団体との連携など、さまざまなレベルで連携を進め、一体となって取り組むことが重要となります。  特に、市町村レベルでの取り組みが重要であることから、住宅部局、福祉部局が連携して居住支援に取り組む居住支援協議会につきまして、市町村レベルでの設立や参画を進めるとともに、NPO社会福祉協議会などの民間団体の居住支援協議会への参画を働きかけてまいります。  また、国レベルでの連携の観点からは、昨年、厚生労働省との間で局長級の連絡協議会を設置したところであります。こうした組織も活用し、福祉行政との連携を深めるとともに、居住支援協議会の活動に対する積極的な支援を行ってまいりたいと存じます。
  75. 岩田和親

    ○岩田委員 先ほどからの議論の中でも、この協議会の取り組みというのは地域差というものがあるのではないか、そういうふうな指摘もあっていたところでございます。場所によっては、まさに今回のこの法改正を機会として、新たにこういうふうな取り組みを進めていくという地域もひょっとしたらあるのかもしれません。  そういう中で、今まで高齢者を初めとする生活でお困りの皆さんの最前線に立っておられた、民生委員を初めとするこういうふうな方々活用というのは、やはり極めて大事なんだろう、そう思っております。私は、この民生委員制度、ことし百周年を迎えるわけでありますけれども、同僚議員らと一緒になってこの制度の勉強会を開きました。本当に細やかに地域福祉のために努力をしておられて、まさにこの経験と蓄積を活用しない手はない、そのように思っておるところであります。  この居住支援協議会が期待されている機能を発揮するかどうかというのはまさにこの法案の鍵を握る、私はそういう認識で見ております。特に、地域の実態をよく知る市町村がしっかりと取り組んでいくことがまさに大事でありますので、そういった取り組みを国として後押ししていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  76. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、佐藤英道君。
  77. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。  安全で安心な住まいの提供は住宅政策の柱であると考えております。住宅セーフティーネットの第一の目的、誰しもが経済的に困窮した場合でも低廉な家賃で安全な住宅に安心して住めることは、憲法で保障する健康で文化的な最低限の生活を守ることにつながると考えております。  住宅セーフティーネットの第一は公営住宅であると考えるわけでありますけれども、ただ、国の財政が逼迫する中で、セーフティーネットとしての住宅ストック全てを官が抱えていくというのは困難であり、民間の力を活用することも大切であります。このたびの住宅セーフティーネット法改正案は、こうした意味からも極めて意義があると考えているところでございます。  私は、この法案審議に当たりまして、去る四月四日に、住宅セーフティーネット改正法案で役割が強化される居住支援協議会に関しまして、この協議会で入居相談に先進的に取り組む東京都の調布市を訪れて、関係者の方々と懇談をしてまいりました。さらに、対面相談室も視察をさせていただいてきたところでございます。  調布市では、自力で住まい確保することが困難な高齢者方々対象に専門の相談室を設置しまして、円滑な入居に向けて、民間賃貸住宅の情報提供を初め、入居に伴う費用の助成や入居後の見守り支援も行っていたところでございます。きょうは、調布市の方々の生の声も踏まえながらお話をさせていただければと思っております。  まず、公営住宅民間賃貸住宅の現状についてお伺いいたしたいと思います。  公営住宅の応募倍率の現状はどうなっているのか、増加する全国空き家、空き室の現状はどうなっているのか、うち賃貸住宅割合はどうなっているのか、民間賃貸住宅入居しようとするときに入居を拒まれるケースはどのぐらいあるのか、また、拒まれるのはどのような理由によるものなのか、まずあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
  78. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  まず、公営住宅の応募倍率につきましては、平成二十六年度におきまして、全国平均では五・八倍となっております。地域別に見ると、東京都では二十二・八倍、大阪府では十・五倍など、大都市部で高くなっている一方で、地方部では一倍を下回っている地域もあるところでございます。  次に、空き家、空き室の状況でございます。  平成二十五年時点におきまして、住宅総数は、先ほど申し上げましたように約六千六十三万戸、総世帯数に対して充足している状況でございます。空き家の総数は、同時点で約八百二十万戸、十年間で一・二倍の増という数値でございます。  このうち、賃貸用の空き家につきましては四百二十九万戸で、空き家全体に占める割合は約五二%でございます。十年間で一・一七倍の増加ということでございます。  これらの空き家のうち、比較的活用しやすいものとして私どもが推計しておりますのが百三十七万戸ある。これは空き家全体では約一七%を占めるものでございますが、そのような推計もいたしているところでございます。  次に、民間賃貸住宅入居拒否についてでございますが、民間賃貸住宅の管理業者の団体が行っている調査によりますと、例えば、高齢者生活保護受給者入居に対して拒否感のある大家さんは約六割でございます。実際に入居制限しているものは約一割あるというふうに承知をいたしております。  また、その理由といたしましては、さまざま挙げられておりますけれども、割合として一番高いのは、やはり家賃の支払いに対する不安でございますとか、あるいは居室内での死亡事故等のさまざまなトラブルに対する不安が挙げられているところでございます。
  79. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 さまざまな実態が明らかになったわけでありますけれども、私は、北海道の札幌市に住んでおりまして、長らく北海道議会議員をさせていただいておりました。多くの相談の中で公営住宅にかかわる相談というのは非常に多かったわけでございますけれども、そんな中で、やはり一番多かったのは、申し込みをしてもなかなか入居できない、当せんできない、抽せんに当たらないという御相談でありました。  しかし、その一方、二年、三年、四年と何年も何年も抽せんに応募し続けてやっと当たったという喜びの御連絡をいただいたこともございました。がしかし、何日かたった後にすごく落胆した声で御連絡をいただいたことがありました。せっかく当せんはしたんだけれども、実は、入居の手続の際に保証人を求められた。どうしても自分は身寄りがない。親戚もいらっしゃるんだけれども、今さら保証人をお願いすることもできない。せっかく何年もかかって住宅入居する権利をいただいたにもかかわらず、手続の段階でできなくなってしまう。そういった御相談もいただきました。  また、ある方からはこんな御相談がありました。介護保険などを利用して、いわゆる手すりなどのバリアフリーの設置をしたわけだけれども、退去するときに、もとのとおりに原状回復していきなさいということを言われた、せっかくサービスを受けてそうしたバリアフリーをやったけれども、撤去の費用も新たにかかるというような話もございました。  そのときは、当該自治体におきましても、こうした実態については柔軟な運用をされたわけでありますけれども、全国ではどのようになっているのでしょうか。また、こうしたことについて、国交省としては、自治体に対して柔軟な対応方法等を紹介、周知するなど、何らか努力はされていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  80. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  まず、公営住宅入居の申し込みに当たっての連帯保証人の取り扱いについてでございますが、この点につきましては、公営住宅法令上は特段の規定は設けておりません。公営住宅を管理されておられます地方公共団体におきましては、条例等の規定に基づいて、一般的に連帯保証人を求める場合が多いというふうには認識をいたしております。  高齢者障害者あるいは被生活保護者の方などで、連帯保証人が確保できない場合に、これを免除している地方公共団体も現に存在するものというふうに承知をいたしているところでございます。  また一方で、二点目の御指摘をいただきました、公営住宅入居時にバリアフリーのための手すり等を設けた場合の撤去等の原状回復につきましては、北海道の道営住宅のように、入居者が設置したバリアフリー施設については退去時に撤去等の原状回復を求めないといった取り扱いをしているようなケースや、東京都の都営住宅のように、むしろ、入居者にかわって、要請を受けて、地方公共団体においてバリアフリー設備を設置するケースがあるものというふうに承知をいたしております。  こうした対応につきましては、それぞれの事業主体でございます地方公共団体が適切に御判断いただく必要があるものだというふうに思っておりますが、委員御指摘いただきましたように、柔軟な対応をしている事例について、広く横展開を図って紹介をしていくということは大変有益であるというふうに考えております。  これまでも折に触れて担当者会議等においていろいろな周知を図っておりますので、こういった御指摘をいただきました点についても、そうした担当者会議等の場におきまして広く周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
  81. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  次に、入居を拒否されたケースの理由などについてもいろいろとお話がございました。低所得であることや高齢であること、外国人であること、障害をお持ちなこと、中にはお子さんの足音がうるさいなどといった理由で入居を断られてしまうケースもあるということも伺っているところでございます。  こうしたいわゆる住宅確保配慮者を取り巻く状況、課題についてどのように認識し、今回の法案はどのような意義があると考えているのか、石井国土交通大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  82. 石井啓一

    ○石井国務大臣 まず、住宅セーフティーネットという意味では公営住宅がその根幹をなすものでありますが、今後加速化する人口減少や厳しい行財政事情のもと、大幅な増加は見込めない状況です。  一方で、今後十年で単身高齢者が百万人増加すると予測されるなど、住宅確保配慮者の増加が見込まれる中、高齢者低額所得者子育て世帯等の住宅確保配慮者については、孤独死家賃滞納、騒音等のリスクがあることから、賃貸人から入居を拒まれることがあります。  また、我が国における住宅ストックの現状を見ると、人口減少等を背景として、空き家、空き室は今後も増加が見込まれており、これらを有効に活用していくことも早急に取り組まなければならない課題であります。  今般の法改正は、こうした我が国の住宅セーフティーネットを取り巻く環境の変化の中で、複合的な課題を総合的に考慮した上で、住宅確保配慮者方々が安心して暮らすことができる社会を実現するため、重層的な住宅セーフティーネットの強化を図るものでございます。
  83. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ぜひ推進をお願いしたいと思います。  先ほど調布のお話をさせていただきましたけれども、私は、居住支援協議会というのはやはり非常に重要であると認識をしてきたところでございます。  ただ、住宅セーフティーネットをより幅広い問題に対応する強固なものにしていくためには、全国の自治体において着実に支援協議会を設置していかなければならないと考えておりますけれども、一方では、自治体によって財政力も違い、居住支援協議会を支える行政職員の数も全く違う状況でもある。  そうしたことを踏まえて、きめ細やかな対応を国交省にはお願いしたいと思いますけれども、自治体のこうした現場の実情に対応するため、国交省として具体的にどのような取り組みを行うのか、お伺いしたいと思います。
  84. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘いただきましたように、居住支援協議会については、市町村みずから設置していただくということをぜひ推進してまいりたいと思いますが、自治体の現場の実情を踏まえますと、政令市など比較的規模の大きい市においては、まさにみずからこうした協議会を設立していただける状況だというふうに思っておりますので、それを進めてまいりたいと思いますが、規模が小さい市町村など、みずから設立することがなかなか困難な場合には、都道府県の居住支援協議会にぜひ参画をしていただきたいというふうに考えているところでございます。そうした取り組みを進めてまいりたいというふうに思います。  また、事務局を公共団体が務める場合もございますけれども、例えば、社会福祉協議会などの公共団体以外の団体が居住支援協議会の事務局を務めている例も現に出てまいっております。国においては、こうした団体の活動への助成も行いますので、こうしたいろいろな工夫をした取り組みについてもぜひ御紹介をして、それぞれの実情に応じて取り組んでいただけるようにしてまいりたいというふうに思っております。  また、やはり、この新しい制度の円滑な運用のためには、多様な活動を行います居住支援団体の協力が不可欠でございます。そのためには、厚生労働省との連携が大変重要になってくるというふうに思っております。先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども、昨年の暮れに連絡協議会を厚生労働省との間で設立いたしました。こうした仕組みも通じまして、公共団体への支援に連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  85. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 調布の居住支援協議会の相談員の方が、もしこの協議会のことを知っていれば救えた方がもっとふえるんじゃないかと言われておりました。  今回の支援制度居住支援協議会の存在、また、自治体に相談窓口が設置された際には、より多くの方々に知っていただき活用していただくための周知策も重要と考えますが、いかがでしょうか。
  86. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  御指摘いただきましたとおり、居住支援協議会の行っております事業や相談窓口の周知につきまして、広く徹底を図っていくことは大変重要だと思っております。このため、居住支援協議会みずからが行う周知あるいは普及の取り組みについては、予算によって支援をしてまいりたいというふうに考えております。  また、実際に住宅確保配慮者の方が住まい確保等にお困りになった場合には、例えば、現にサポートを受けておられますような身近な福祉関係団体などに御相談をされることが多いというふうに想定いたしております。したがいまして、こういったような福祉関係の団体の方を通じてさまざまな周知を行うことも大変有効であるというふうに考えているところでございます。  この点につきましては、先ほどのお答えと一部重複をいたしますけれども、やはり厚生労働省との間での連携が不可欠だというふうに思っておりますので、例えば厚生労働省からもそうした福祉関係団体への周知徹底を働きかけていただくなど、連携を深めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 世帯の中に障害を持つ方がいらっしゃったり、相談者本人が障害を持っているケースでは、実際に紹介できる住宅を探しても、バリアフリーに対応した住宅がほとんどなく、うまくマッチングできないという実態もあるということも伺いました。  そこで、新たな住宅セーフティーネット制度について、もうちょっと細かくお伺いしたいんです。  一つは、二〇二〇年度までに十七万五千戸整備すると目標を定めている登録住宅をふやしていく中で、こうしたミスマッチを解消できるように、住宅の間取りや広さなどのニーズに見合った割合住宅を登録していく必要があると思います。これは事業開始後の途中途中で確認をしていく必要があると思いますけれども、どのように考えていらっしゃるのか。  また、登録住宅の戸数をふやすために、住宅確保配慮者を受け入れる家主に対する支援策として、登録住宅であればバリアフリー改修などを行う際に支援を受けられるとも聞いておりますけれども、登録住宅のうちどれぐらいバリアフリーをしていこうと考えているのか、その制度概要と見通しも伺います。  また、家賃補助や家賃保証支援もあると聞いておりますけれども、その制度概要と、転居に伴う一時的な負担に対し活用できる支援策があるのであれば、ぜひお伺いをしたいと思います。
  88. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  住宅確保配慮者に対しまして重層的な住宅セーフティーネットの強化を図ります観点から、御指摘いただきましたような要配慮者のさまざまなニーズに見合った住宅が普及をしていくということが必要でございますが、そのためには、まず何よりも多くの登録がなされることが重要であるというふうに考えております。  このため、本法案の成立の暁には、制度そのもののわかりやすいPR冊子等をつくりまして、広く配布をいたしまして周知に努めてまいりたいと考えておりますし、また、地方公共団体や居住支援協議会対象とした説明会等を実施する、それから、それぞれの地方公共団体や居住支援協議会等がみずからそれぞれの地域で実施をします説明会等の広報活動への支援を行うなどの取り組みによりまして、まずは積極的な普及啓発活動を図ってまいりたいと考えております。  御指摘いただきました、事業を開始した後にそうした状況を確認いたしまして、またさらなる普及策などの手当てが必要であれば、その点についても検討してまいりたいというふうに考えております。  また、バリアフリーについてでございます。  今回の制度は、賃貸人からの自主的な登録を促すものでございます。したがいまして、行政の側で、登録住宅の中でバリアフリー化した住宅をどの程度とするかといったような具体的な目標は持ち合わせておりませんけれども、登録住宅についてバリアフリー化を行う場合には、改修費に対する助成制度と、さらに、独立行政法人住宅金融支援機構によります改良費の融資といった支援策を講じることといたしているところでございます。  また、それ以外の支援策といたしまして、住宅確保配慮者専用の賃貸住宅賃貸人に対しまして地方公共団体が家賃低廉化の補助を行う場合には、国においても同額の支援を行うとともに、今回、新たに、地方公共団体が入居時の家賃債務保証料に対して支援を行う場合についても、国が同額の支援を行う助成制度を創設してまいりたいと考えております。
  89. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 神戸大学の早川和男名誉教授が著書「住宅貧乏物語」などで提唱する、居住は人権であるという理念、考え方は、住宅政策の根幹にも通ずると私は考えております。  現在豊かな人でも、いつ生活に困窮する状況に陥るかわからない。そうした苦境の中でも安心して健康で文化的な住居を確保できるということの心強さは、ひいては国や政治、社会への信頼に直結する。まさに、居住の安全、安心は政治の責務であると私は考えておりますけれども、最後に、本制度を実効的な制度としていくためには、何といっても住宅福祉の連携が極めて重要であると考えております。この点も踏まえて、制度の実施に向けた国土交通大臣の御決意を伺って、質問を終えたいと思います。
  90. 石井啓一

    ○石井国務大臣 空き家民間賃貸住宅活用した住宅セーフティーネット機能の強化につきましては、日本再興戦略や日本一億総活躍プランにおいて、政府全体の課題として閣議決定がされております。  この取り組みを実効ある形で進めていくためには、国及び地方公共団体において、住宅部局と福祉部局との連携のもとで施策を推進することが重要であると認識をしております。  国においては、昨年、関係局長級による福祉住宅行政の連携強化のための連絡協議会を設置し、住宅政策福祉政策のより一層の連携を進めているところであります。  地方におきましては、住宅部局や福祉部局、関係する民間団体等が構成員となる居住支援協議会の設立を促進するとともに、その活動を積極的に支援しているところであります。  こうした取り組みを一層積極的に推進することによりまして、住宅確保配慮者方々が安心して暮らすことができる社会を実現するため、住宅セーフティーネットの構築に向け、全力で取り組んでまいりたいと存じます。
  91. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ありがとうございました。  終わります。
  92. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、黒岩宇洋君。
  93. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 民進党の黒岩宇洋でございます。  本日は、住宅セーフティーネット法改正案について質問をさせていただきます。  まずは、賃貸住宅登録制度についてお聞きしたいんです。  住宅確保配慮者で、カテゴリーとして子育て世帯がありますけれども、これは入居の拒否率が約八%と非常にわずかなんですね。それ以外ですと、例えば生活保護受給者外国人は約六割と大変高いんですけれども、これらは法律に明記をされておりません。  子育て世帯法律に明記されていますけれども、生活保護受給者外国人法律に明記されていない、このアンバランスな理由はなぜなのか、この点についてお答えいただけますでしょうか。
  94. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  生活保護受給世帯につきましては、今回御提案申し上げております本法律案では、住宅確保配慮者として規定されている低額所得者に該当するために、当然ここで規定がなされているというふうに考えているところでございます。  また、外国人につきましては、住宅確保配慮者として国土交通省令で定めるという類型を設けることといたしておりますが、この省令の方で定めてまいりたいというふうに考えております。  法律外国人を書くか書かないかという点につきましては、法律に全ての対象者を明記することはなかなか難しいために、法律で明記いたしますのは、地域的にも、あるいは時代が変わっても、普遍的に住宅確保配慮者というふうに呼べるような、そういう世帯属性を法律上定義するという考え方で、今回法律案を用意させていただいているものでございます。
  95. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 それでは、基本方針に書かれているホームレスについて、入居の拒否感というのは何%ぐらいなんでしょうか。
  96. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  ホームレス入居に関して拒否感を有する大家割合については、国土交通省としては調査をしておりませんので、把握できておりません。
  97. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 ホームレスも当然入居の拒否感があるカテゴリーだと思うんですけれども、それについて調査していないというのは、私は非常に残念なことだと思っております。  このように、ホームレスは今後も住宅確保が大変なカテゴリーなんですけれども、これらについて実態を把握していかなければいけないと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
  98. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答え申し上げます。  まず、ホームレスも、先ほど申し上げました生活保護受給世帯と同様に低額所得者に該当して、当然、住宅確保配慮者に含まれるというふうに考えております。  御指摘いただいた住宅確保配慮者の拒否感に関する調査につきましては、少なくとも数十万世帯以上あるような典型的な世帯属性を持つ対象者について、これまで調査を行ってきているところでございます。  厚生労働省調査によりますと、ホームレス全国に六千二百三十五人、これは時点によってちょっと異なると思いますけれども、そういう数字のようでございます。これまで調査をしてまいったのは、そういう数十万単位で世帯属性があるものについての拒否感を調査してまいったということで、御理解を賜ればと思います。  ただ、今後、ホームレスに対する支援につきまして、その検討を行うために実態調査をする必要があるかどうかといったような点も含めまして、厚生労働省ともよく連携しながら、対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
  99. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 今の御答弁で、一定の理解を私も持ちましたけれども。  石井国土交通大臣にお聞きしたいんです。  このように、法定でカテゴリーとして明記されているものとされていないものの差があるんですけれども、これが実際の住宅確保に支障を来さないようにしていただきたいんですけれども、大臣の御所見をお聞かせください。
  100. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今、委員の御指摘では、子育て世帯配慮者に明記されているにもかかわらず、ホームレスあるいは生活保護者は明記されていないんじゃないかという御指摘だったかと存じますが、局長から答弁申し上げたとおり、生活保護者やホームレスについては、住宅確保配慮者の定義の中の低額所得者に該当するということでございます。  そして、子育て世帯入居する住宅と、生活保護受給者ホームレス入居するのは単身者が多いと思いますので、そういった住宅を比較した場合、住宅の規模等が異なりますので、子育て世帯住宅確保配慮者対象とすることが生活保護受給者ホームレス等の居住の安定に支障を及ぼすものではないと考えております。  住宅確保配慮者につきましては、それぞれの属性に応じまして、居住の安定を図るために、入居を拒まない住宅確保できるよう、まずは登録の促進に努めてまいりたいと存じます。
  101. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 大臣のその方向性でしっかりとした対応をしていただきたいと思います。  それでは、事業者が入居を受け入れることとするカテゴリーに該当しながら、事業者が受け入れを想定していない他のカテゴリーにも該当する場合、例えば、登録の範囲として高齢者を該当すると届け出た場合ですけれども、実際には高齢者かつ障害者だった、このような場合において、障害があることを理由に入居を断ることはできるのでしょうか、お答えください。
  102. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  お尋ねは、登録の際に、入居を受け入れることとする住宅確保配慮者範囲を定めて登録をすることができるという場合に、それをある一定定めた場合のことだというふうに認識をいたします。  登録住宅につきましては、例えば住宅の規模ですとかバリアフリー化の状況等の住宅の現況によりまして、受け入れることができる住宅確保配慮者範囲が限られる場合などがございます。そうした場合には、賃貸人は受け入れる住宅確保配慮者範囲を定めて登録することができるという趣旨から設けている規定でございます。  したがいまして、登録を受け入れる際の範囲を定めた場合につきまして、その定めた範囲内である理由をもって入居の拒否をしてはいけないという規定でございますので、それ以外の理由、つまり、賃貸人が受ける範囲に該当しないということを理由といたしまして入居を受け入れないというふうにすることは、制度的に可能だというふうに解しております。
  103. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 断ることが可能だということなので、ただ、ちょっとそれは酷な場合もありますので、運用上そういうことがないような、そのような指導もしていただきたいと思います。  次に、住宅確保配慮者の専用賃貸住宅への入居要件は、これは入居時のみにかかるのか、この点についてお聞かせいただけますか。
  104. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  今回創設する登録制度につきましては、住宅確保配慮者であることを理由に入居を拒否されることがない賃貸住宅供給により、その居住の安定を図ろうとするものでございます。  こうした制度趣旨から、入居者の資格を住宅確保配慮者に限る専用賃貸住宅につきましては、入居を希望する者が住宅確保配慮者であるか否かについて、入居時に賃貸人が判断する、そういうことといたしているところでございます。
  105. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 そうしますと、例えば、低額所得者が途中で収入がふえたりとか、または、子育て世帯が子供が大きくなった、大人になったとかいう場合には、追い出されたりということはない、そういうことでよろしいですね。
  106. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  今申し上げましたように、入居資格については、入居段階において要件を満たしていればよいということでございます。お尋ねにありましたような、例えば、入居時には低額所得者であった者が入居後に所得が上がって住宅確保配慮者に該当しなくなったとしても、そのことをもって入居資格が失われるということではございません。
  107. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 その点は徹底していただきたいと思います。  そうしましたら、登録事業者が入居拒否制限に違反した場合、すなわち、要配慮者であることを理由に入居を断った場合、この場合の罰則はどうなっているでしょうか。
  108. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  登録住宅賃貸人は、登録住宅入居を希望する住宅確保配慮者に対しまして、要配慮者であることを理由として入居を拒否してはならないということになっておりますが、入居を拒否した場合における罰則の規定はございません。
  109. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 ただ、都道府県知事が報告を求めることができる、こういう法律上の規定がありますけれども、この報告を求めることができるとはどのような場合を指すのか、その点をお聞かせいただけますでしょうか。
  110. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  登録の事務を担当いたします都道府県知事は、報告を求めたり、あるいは、必要に応じて是正のための必要な措置をとることを指示することができることになっております。  その一つの典型的な例としては、今委員が例として出されました、要配慮者であるということを理由として入居を拒否してはならないにもかかわらず、入居を仮に拒否されたというような場合には、まず、なぜそのようなことが行われたかというようなことについて、例えば報告を求め、その報告によって、やはりそれはおかしいということであれば、是正のために必要な措置をとるべきことを指示することができるという規定になっているところでございます。
  111. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 わかりました。  罰則自体がない。ただ、是正指示、そして是正指示に違反した場合には取り消し、こういう対応がありますので、このような対応によって入居拒否が横行されないようにしていただきたいが、いかがでしょうか。
  112. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答え申し上げます。  罰則につきましては、今回は、任意で、手を挙げていただいて登録をしていただくという制度でやっておりますので、罰則を科すということは、恐らく民法上は信義則違反という考え方になるのではないかというふうに思いますけれども、それであることを理由に罰則を科すというのは、なかなかなじまないものではないかなというふうに考えております。  一方で、御指摘いただきました、必要な指示とか、指示に従わない場合の登録の取り消しができるという形にしておりますので、この指導権を的確に都道府県知事に行使していただくことが、この制限を実効あらしめることにするためには必要だというふうに考えておりますので、その点については、国としても十分意を用いていきたいというふうに考えております。
  113. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 その点もよろしくお願いいたします。  それと、いわゆるおとり物件というようなもの、他の物件に比べると非常に安い、目玉物件のおとり物件、こういったものを排除していくには、正確な情報のアウトプットが必要だと思いますけれども、この点は担保されているんでしょうか。
  114. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  住宅確保配慮者に対しまして、登録住宅の例えば家賃でございますとか規模等について正確な情報を提供するということは、大変重要なことだというふうに考えております。  このため、登録に当たりましては、登録事項として、家賃住宅の規模、構造、設備等を申請書に記載するほか、間取りや各室の用途等についての添付書類も提出させることといたしております。  仮にこうした申請書や添付の書類に虚偽の記載があるということであれば、登録は拒否されるということになるわけでございます。また、その規模等が申請された内容と実際に異なるということが判明いたしました場合には、都道府県が、先ほど御説明いたしました条項を使いまして、登録事項を訂正するという指示をいたしまして、この指示に従わない場合には、登録を取り消すことといたしております。  こうした措置を的確に運用することによりまして、正確な情報が提供されるように努めてまいりたいと考えております。
  115. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 それでは、家賃低廉化についてお聞きしたいんです。  きょうの参考人からも御提言がありましたけれども、この家賃の低廉化が法律に明記されていない、すなわち予算措置であるということですけれども、これはなぜなんでしょうか。
  116. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  民間事業者に対します補助につきましては、さまざまな例がございます。  法定補助、法律に補助の規定を置く補助につきましては、住宅の場合には、公共団体がみずから整備を行う公営住宅が典型例としてございます。これのほかでは、補助にふさわしい対象を行政が計画認定等によって特定するという制度があるものが対象になっております。  一方で、一定の要件に該当するものを広く対象とするような制度の場合には、予算補助となっておりますのが通例でございます。  今般の制度におきましては、民間住宅ストックを活用して、住宅確保配慮者入居を拒まない賃貸住宅を広く供給して、市場においてマッチングが図られることを狙いとしております。また、登録住宅全てについて助成がなされるというわけでもございません。  このため、今回は、公的関与の度合いが強い認定などによるのではなく、一定の要件に該当するものは登録をするという制度に仕立てているところでございます。したがいまして、法律に助成措置を書き込むということではなくて、柔軟かつ機動的な支援が可能な予算補助として措置をしているということでございます。
  117. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 認定だと法定補助、そして登録だと予算補助だ、そういう説明ですけれども、ただ、これは単に通例ですから、こうしなければならないということではないわけですから、家賃の低廉化というのは住宅のセーフティーネットにおいて大変重要なことですから、今後、法定化ということを目指していくことはできませんか。
  118. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答え申し上げます。  今申し上げましたように、法律補助については、もちろん、みずから公共団体が整備を行うほかは、供給計画等を認定いたしまして、その対象の外縁が確定をされている、こういうものについて法律補助が置かれているということでございますので、今回の私どもが御提案申し上げておりますような登録制度の場合には、予算補助というのがなじむものと考えております。
  119. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 今後検討していただきたいと思います。  それでは、賃貸の登録住宅制度ですけれども、これは、何といっても、やはり多くの方に周知しなければ、せっかくの制度も熟知されないわけですので、この制度をどうやって一般の方も含めて周知していくのか、この点について、大臣、お答えいただけますでしょうか。
  120. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今般の制度を効果的に運用するためには、地方公共団体、不動産関係団体、福祉関係団体や住宅確保配慮者に対し、十分な周知を図ることが重要と考えております。  具体的には、法案成立の暁には、国土交通省において、わかりやすい制度のPR冊子等を作成して広く配布し、あわせてホームページに掲載するとともに、地方公共団体や居住支援団体等を対象とした説明会を実施するほか、地方公共団体や居住支援協議会がそれぞれの地域で実施する説明会等の広報活動への支援などの取り組みにより、周知活動を積極的に展開してまいります。  こういった取り組みを通じまして、幅広い関係者への制度の周知徹底を図り、今般の新たなセーフティーネット制度の効果的な運用につなげてまいりたいと考えております。
  121. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 大臣のその言葉どおり、しかと周知徹底をしていただきたいと心から願うところでございます。  そうしましたら、住宅金融支援機構による登録住宅の改修資金の融資の限度額はどのくらいになるか、この見込みを教えてください。
  122. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  登録住宅の改良資金につきましては、現在、住宅金融支援機構におきまして、工事費の八割以内を上限として、融資期間二十年以内、全期間固定金利にて融資を行う方向で検討いたしております。  さらに、融資の限度額を設けるかどうかについては、現時点では未定、現在検討中でございます。仮に設定するといたしましても、必要な改良が滞りなく行われるよう、検討してまいりたいというふうに考えております。
  123. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 今時点で限度額、すなわち絶対額が決まっていないというのはちょっと心もとないんですけれども、これは、今局長の言ったように、念押しでお尋ねしますけれども、十分な改修工事ができる額ということで検討いただけることでよろしいでしょうか。
  124. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えをいたします。  必要な改良が滞りなく行われることが大切だと思っておりますので、設定をするとしても、そのような形で、必要に応じ、設定をしてまいりたいというふうに考えております。
  125. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 続きまして、住宅金融支援機構が家賃債務保証保険契約を締結できる家賃債務保証業者の要件というものはどうなっていますでしょうか。
  126. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  適正な家賃債務保証業者が行う、登録住宅入居する住宅確保配慮者に対する家賃債務保証につきましては、新たに住宅金融支援機構が保険引き受けを行うことといたします。  この場合の適正な家賃債務保証業者の要件につきましては、今後、省令におきまして、一つは、新たに設けられる国土交通大臣による登録制度の登録を受けた家賃債務保証業者であること、または都道府県の指定を受けた居住支援法人であること、このいずれかということで定める予定にしているところでございます。
  127. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 わかりました。資金力のないNPOとかが排除されないように、その点も留意していただきたいと思います。  そうしましたら、今度は支援法人についてお伺いしたいんですけれども、現行の住宅確保配慮者の居住支援を行っている法人は今どれほどと把握しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  128. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  居住支援法人につきましては、今後新たに設けることを想定しております制度でございますので、現行、住宅に関し、居住支援法人として指定されているものはございませんので、それがどんなものがあるかというのは、ちょっと現時点ではお答えできかねるものでございます。
  129. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 まだ指定されていないことは存じ上げています。ただ、今、現時点で支援を実際に行っている法人というものがあるわけですから、それがどのくらいと把握しているのかということをお聞きしたんです。
  130. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  重ねてのお答えで恐縮でございますが、居住支援法人につきましては、今後、新しい制度に基づきまして、地域の実情に応じて都道府県知事がその必要性を判断して指定を行うということでございますので、今、この点について、私どもの方でちょっとお答えすることができないのでございますけれども、想定といたしましては、例えば、今、居住支援協議会に構成員として既にNPO法人社会福祉法人が加入されている例がございますので、典型的にはこういったようなところが候補になるのではないかというふうに考えております。
  131. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 わかりました。  では、これからの見込みとしても数を把握はしていないということなんですね。わかりました。  時間の都合上、これは最後の質問になりますけれども、住宅確保配慮者居住支援協議会についてなんですけれども、現行の支援協議会と改正後の支援協議会とでは、法律上、位置づけは変わるんでしょうか。
  132. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  ただいまのお尋ねは、現行のものと、それから、今回提案しておりますもので支援協議会の名称が変更になるものですから、そのお尋ねかと思われますが、今回は法律の名称を変更しただけでございまして、既に設立されている居住支援協議会と何ら位置づけが変わるものではございません。
  133. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 それでは、大臣にお聞きしますが、法律上、位置づけが変わらないということでありますけれども、この支援協議会、今時点で約四割の自治体が協議会に参画しておりますけれども、これを二〇二〇年までに約倍の八割にするということなんですが、これはなかなか目標としては高いと思うんですけれども、この目標達成に向けてどういった御所見をお持ちなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  134. 石井啓一

    ○石井国務大臣 居住支援協議会の活動におきましては、福祉部局とその関係団体の参画を促進することが極めて重要でございますので、昨年、厚生労働省との間で局長級の連絡協議会を設置したところでありまして、厚生労働省からも居住支援協議会の設置や参画について働きかけていただくこととしております。  また、みずから協議会を設立しようとする市区町村には、先駆的な取り組みの横展開などにより設立を促進し、規模が小さい市町村など、みずから設立することが困難な場合には、都道府県の居住支援協議会に参画するよう働きかけてまいります。  さらに、今後は、市区町村の協議会や、より多くの市区町村が参画する都道府県の協議会における効果的な取り組みにつきまして、国から重点的に支援をする予定でございます。  これらを通じまして、目標の実現に向けて取り組み、市区町村レベルにおける居住支援協議会の設立や参画を促進し、住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいりたいと考えております。
  135. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 ありがとうございました。  それでは、住宅セーフティーネットのさらなる強化を心から望みまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  136. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、小宮山泰子君。
  137. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  本日は、住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる住宅セーフティーネット法案についての質疑をさせていただきます。  日本は、戦前は、都市部住宅の多くは民営賃貸住宅で、持ち家は一部にとどまっておりましたし、戦後の経済成長の中で、終身雇用により仕事も収入も安定するとともに、厚い中間層を形成していき、結婚して子供を持ち、賃貸住宅から持ち家へと移っていく人が多く出てきました。  とはいえ、その間にも、公営住宅法が提出されて以降は日本住宅政策社会政策から経済政策となったと分析する先生もいらっしゃいます。居住の安定は経済政策の礎ともなりますので、持ち家政策を推進することで、経済政策としても大きな意味、また役割を果たしてきて、時代に即していたとは思います。  東洋大学建築学科の野沢千絵教授によると、日本は、近い将来、大量相続時代を迎える中で、居住者の老いが引き金となり、適切に維持管理がされずに放置された空き家問題が深刻化する可能性が高い、所有者の放置、放棄や不明により、空き家、空き地があるにもかかわらず誰も手が出せないデッドストック化の状況を解決するすべを持ち合わせていない、空き家対策特別措置法が一五年二月に施行され、地域の安全、衛生、生活環境などに悪影響を与えている空き家に公的な措置を講じることができるようになり、空き家問題への解決に向け一歩前進したが、財産権の壁もあり、荒廃した空き家に点でしか対応できていない、空き家問題は周辺に悪影響を及ぼす前に手を打つことが社会的コストを抑えることにつながるが、実効性のある予防策がほとんどないのが現状だと指摘されております。  総人口は平成二十二年をピークに減少に転じ、世帯数も平成三十二年には減少し出す見込みであるとあります。今後、空き家、空き室はさらに増加していくことが考えられます。今回の法改正により、公営住宅が減少している日本において、住宅政策社会政策として明確に位置づけられていくものになるのか。また、関係省庁、地方自治体、関係団体との連携により、社会的弱者をつくらない体制づくり、また体制づくりのための法整備や情報開示、共有が重要となると思っております。その整備をされていくのか。  限られた時間ではございますけれども、法案の内容について確認させていただくとともに、住宅政策等のあり方そのものについても議論をさせていただければと存じます。  まずは、居住支援協議会の設置促進と協議会等の活動支援についてお伺いします。  設置の協議会では、それぞれ独自に、協議会参加団体間の意見交換、情報交換、要配慮者向けの民間賃貸住宅等の情報発信、紹介、あっせん、住宅相談サービス、さらには家賃債務保証制度などの紹介、各種講演会開催などの事業を行っておるようであります。  住宅確保配慮者居住支援協議会について、地方公共団体、支援団体、宅地建物取引業者、賃貸住宅を管理する事業を行う者そのほかの住宅確保配慮者民間賃貸住宅への円滑な入居促進に資する活動を行う者が協議会を構成することができると法第五十一条に書かれております。  そこで、支援法人の対象活動範囲は都道府県の全域を対象としている必要があるのか、あるいは、「区域内において」との表現は都道府県内の一部の区域を示すものなのか、この点につきまして御説明をお願いいたします。
  138. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  居住支援法人の活動内容、範囲につきましては、必ずしも都道府県の全域を対象とする必要はございません。一部の区域においても活動することが可能でございます。  居住支援法人は、指定主体である都道府県知事の指導監督権限が及ぶ範囲内において活動する必要があるということをあらわすために、「都道府県の区域内において」というふうに規定をしたわけでございまして、活動範囲そのものは一部の区域で結構でございます。
  139. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 また、支援法人の業務について、同じく法第四十二条で四項目が示されております。家賃債務の保証をすること、入居促進に関する情報の提供、相談そのほかの援助を行うこと、生活の安定及び向上に関する情報の提供、相談そのほかの援助を行うこと、附帯する業務を行うことというのがございます。  既存の居住支援協議会に参加する、要配慮者への支援活動を行っているNPO団体や社会福祉法人など、必ずしも法第四十二条の一から四までに示される業務を網羅して取り組んでいるとは限りません。これまで地方自治体、宅建業者とともに活動に中心的に参加、協力して活動してきたNPO社会福祉法人が支援法人とはならず、取り組みの中心的役割から外れることも起こるのではないかと懸念しております。  このために支援への取り組みが後退するおそれはないのか、この点に関しての御見解をお聞かせください。
  140. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  居住支援法人が、法第四十二条に掲げる家賃債務保証住宅情報提供等の支援業務を行うかどうかにつきましては、地域の実情を踏まえて判断をされるべきものと考えており、全ての居住支援法人が必ずしも全ての業務を行わなければならないものではございません。  ただし、居住支援法人の指定に当たっては、必要が生じた場合にこれらの業務を適正かつ適確に行うことができる備えができていることについて都道府県知事において確認をし、指定をすることといたしているところでございます。
  141. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 法改正後、住宅確保配慮者居住支援協議会設置促進にいかにつなげていくか、きょうもさまざまな質疑の中でこの点の重要性は各委員から指摘がございました。  既設の六十六協議会は、都道府県で設けられた四十七協議会のほか、基礎自治体においては、規模の大きい政令市もあれば、一般市や町も見受けられます。計十九協議会が既に設置されております。やはり、比較的大規模の市なり地域に設置されることが想定されます。地方自治体はさまざまな協議会の設置で多忙であり、かつ、人員、事務費など予算も大変厳しいのが現実の対応の中では問題として起こっています。  そこで、設置促進に向けて、国土交通省として、どのような支援体制、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
  142. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  市区町村における居住支援活動につきましては、都道府県の居住支援協議会に参画をするか、または、みずから協議会を設立するものの全市区町村に占める割合を、現在の約四〇%から、平成三十二年度末までに八〇%まで高めるという目標を設定しております。  委員御指摘のとおり、地域の実情に応じた入居円滑化の支援を行うためには、政令市などの比較的規模の大きい市については、ぜひみずから協議会を設立していただきたいというふうに考えております。一方で、規模が小さい市町村など、みずから設立することが困難な場合には、都道府県の居住支援協議会に参画をしていただきたいというふうに考えております。  居住支援協議会の活動におきましては、やはり福祉部局とその関係団体の参画を促進するということがポイント、重要でございます。このため、昨年、厚生労働省との間で設置をいたしました連絡協議会の場なども活用いたしまして、厚生労働省からも、居住支援協議会の設置や参画について働きかけていただくこととしてまいります。  また、さらに、居住支援協議会の取り組みへの助成につきましては、今後、市区町村の協議会や、あるいは、より多くの市区町村が参画をする都道府県の協議会における効果的な取り組みについて、国から重点的に支援を行ってまいりたいと考えております。
  143. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 現場におきましては、例えば福祉部局と住宅課などは、今までは余り連携をしていなかったということもございます。この点に関しましても、ぜひ御支援をしていただきたいと思います。後押しというんでしょうか、フォローをしていただければ、現実的にもっとよく動くと思います。  民間賃貸物件について、住宅確保配慮者入居を拒まない賃貸住宅としての登録が進むことは、今回の法案で大前提となります。入居者を要配慮者本人と配偶者等に限ることを入居者の資格とすることができる項目が設けられているという、この意味についてお聞かせください。
  144. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  お尋ねは、今回の制度で設けております、入居者を広く受け入れる登録住宅のほかに、より積極的に住宅確保配慮者を受け入れていただく専用住宅制度を設けております、その入居者の点についてのお尋ねだと思います。  そもそも専用住宅制度を設けておりますのは、例えば、バリアフリーなど高齢者向けや障害者向けの改修を行った住宅や、防音性能が高く子育て世帯にふさわしい住宅など、要配慮者入居を前提に整備された住宅について、専用住宅として登録をしていただいて、その情報を開示することで、そうした特性を有する要配慮者の方がより安心して自分の希望に沿った住宅を選択できるようにすることを目的といたしております。  この場合において、入居者を限定しておりますのは、仮に要配慮者本人が亡くなられた場合などに、要配慮者入居に適した専用住宅をさらに市場において有効に活用する観点から、要配慮者以外で住み続けられることとなる同居者を親族までに限定するという趣旨で設けている規定でございます。  なお、賃貸人が新たな住宅セーフティーネット制度の登録に際して改修費支援を受ける場合や、家賃低廉化支援を受ける場合には、補助の政策目的を確保していくために、専用住宅として登録をしていただくということを要件としてまいりたいと考えております。
  145. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 つい先日、大阪で、子供の養子というんでしょうか、受けるのに、同性のカップルにも認めるというようなことが報道されておりました。今後、省令で配偶者等について決めていく際に、同性パートナーであったり、また高齢者同士のシェアハウス型など、今までにない形の同居者、また生活、ライフスタイル、こういった住まい方の新しいスタイルというものが生じてくるんだと思います。こういった方々においても受け入れができるような規定にすること、恐らく省令で今後検討されるんだと思いますので、この点も、ぜひ、前向きにというか、積極的に検討に入れていただくことを要望させていただきます。  さて、住宅確保配慮者居住支援協議会地域住宅協議会の連携についての規定はございますけれども、この協議会同士の連携について定める必要はないのでしょうか。この点について伺うとともに、協議会が設置された市区町村に居住する者が、都道府県の協議会のみが直接扱っている地域の者が受けられるサービスにより、逆にサービス低下を招かないかという懸念もございます。この点の逆転現象が起こらないか否かについてもお答えいただければと思います。
  146. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  今御指摘をいただきました地域住宅協議会は、公的賃貸住宅の整備という別の目的を持って規定をされております法律に基づく協議会でございます。一方、今回の私どもの改正案で提案をさせていただいております住宅確保配慮者支援協議会というのは、民間賃貸住宅への入居円滑化という目的を持って、この法律において設立をされるものでございます。こうした法律の目的を異にする組織の間でございますので、住宅確保配慮者の居住の安定のための連携を促進するという観点から、連携に関する規定を定めたということでございます。  一方で、今、居住支援協議会が全都道府県で設置をされて、今後、市区町村における設置を働きかけてまいりたいと思っておりますが、こうした居住支援協議会同士の問題につきましては、それぞれ、民間賃貸住宅への円滑な入居促進という同じ目的を持って組織されるものでございますので、当然に連携が図られるものというふうに認識をいたしております。  現在既に設置をされております居住支援協議会におきましては、例えば、市区町村の協議会がそのまま都道府県の協議会の構成メンバーとなっているようなケースとか、あるいは、共通の団体が双方の協議会に加入してメンバーとなっているようなケースなど、それぞれ工夫をしながら連携が図られているものというふうに承知をいたしているところでございます。  次に、都道府県の居住支援協議会と市区町村による居住支援協議会が設置をされた場合のサービスの点についてでございます。  この点、重複して設置をされます場合には、都道府県の協議会によるサービスに加えまして、より住宅確保配慮者に近いところで市区町村の協議会によるサービスが受けられるようになりますので、基本的には、住宅確保配慮者が受けられるサービスレベルは向上するものというふうに考えております。  また、例えば、住宅確保配慮者に対するサービスが重複をするような場合には、協議会同士で調整が行われることが一般的であるというふうに考えておりますが、そうした運用が的確に行われて相乗的な効果が生まれますように、今後、基本方針を改正してまいりたいというふうに考えておりますので、そうした基本方針におきまして、この相互間の調整の必要性について規定してまいりたいと考えております。
  147. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 丁寧な回答、ありがとうございます。  今回の法案検討される過程で、成立後に実施される内容などについて、与党議員へのインタビューをもとにした記事を読ませていただきました。そこには、低所得者には月四万円までの家賃補助や月六万円までの家賃債務保証料を公的に財政支援する、それで公営住宅民間賃貸の差を埋めることと明確に記されておりました。また、登録住宅を貸す側への財政支援策として、バリアフリーや耐震化など、一戸当たり最大二百万円の補助で改修できるほか、改修費住宅金融支援機構の融資の対象にすることも明確に記されております。  しかし、家賃補助や債務保証料支援、二百万までの改修費補助については、改正法文上には明記されず、本年度予算の中に関連した予算措置がとられております。  また、少し近い内容では、法第四章の最後、第六節に「雑則」として、また、法第三十八条「資金の確保等」、法第三十九条「賃貸住宅への円滑な入居のための援助」に短く数行記されております。  この点に関しましては、本日、参考人からも指摘がございましたが、やはり明確に法文上に記されれば、もっと多くの方が安心して、また、地方自治体も含めて使い続けられる、そういった法案の趣旨にかなったものになるのではないかというふうに私は考えます。  既に成立した本年度予算での家賃補助、家賃債務保証財政支援予算措置での対応可能総数など、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  148. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  新たな住宅セーフティーネットにおきます家賃低廉化及び家賃債務保証に対する補助につきましては、地域住宅事情や要配慮者状況に応じて、地方公共団体が行う一定の取り組みに対して国も支援するという趣旨で設けているものでございまして、平成二十九年度予算では、施行後のおおむね半年分というふうに見込みまして、家賃低廉化補助については、参考人の御意見では二千五百戸というようなお話がございましたけれども、これは多分、アッパーぎりぎりのものが全て行われるという試算になっておると思います。私どもは、一応試算上は、さすがにアッパー全部使われ切るということはないのではないかというふうに考えておりまして、半分程度、上限額二万円でございますけれども、一万円の補助がなされるのではないかというふうに試算をいたしまして、約五千戸程度家賃低廉化補助についてはなされるのではないかというふうに試算をしております。家賃債務保証料の補助についても、約五千戸程度ということで想定して、三億円の予算を計上しているところでございます。
  149. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 そうはいいましても、やはり対象者は、本当に支援の必要な方々に対する総数から考えれば非常に少ないと断言せざるを得ません。私自身は、以前から、例えばフランスのアロカシオンのような海外にある住宅補助制度、これをやはり成立させる方が今後必要なのではないかと思っております。今回の法案が、要配慮者の選別につながることなくしっかり拡充をされる、その方向に進むことを心から希望いたします。  それでは、時間も限られてきましたが、今回の住宅セーフティーネット法改正では、民間賃貸住宅から、要配慮者への賃貸について拒まない物件を登録してもらうことになっております。すなわち、要配慮者住宅供給する者は、国や地方自治体、それらに準ずる公を構成するもの、UR都市機構や各地の住宅供給公社などではなく、あくまで民間事業者や民間の個人というふうにも読み取れます。  私の地元の埼玉の公団自治協の皆様から、今回、住宅セーフティーネット法改正に当たり御意見を伺わせていただきました。  主な内容は、  低所得高齢者世帯子育て世帯の増加に伴い、住宅セーフティーネット機能の強化は差し迫った課題となっており、新たなセーフティーネット構築を目指して検討されてこられました。公営住宅等の大幅増は見込めないとの前提で、民間賃貸住宅、特に空き家、空き室の活用に重点を置く改正案になっております。けれども、住宅セーフティーネットの根幹が公営住宅であることに変わりはなく、次いで公団、公社住宅が必要な役割を担っております。  私たちは、セーフティーネット改正案の国会審議に当たって、住宅セーフティーネット強化の観点から、公団住宅の一〇%を超す空き家の早期解消と、大幅増の必要を政府も認める公共住宅としての有効活用を強く要請し、公団住宅の削減、売却には反対であることを申し述べます。  あわせて、公団住宅居住者の家賃のあり方についても、機構法二十五条四項とともに、住宅セーフティーネットの根幹を規定する公営住宅法の趣旨からも、公営住宅収入階層には家賃公営住宅並みにする制度の実現に御協力いただけますようお願いします。  こういう内容をいただいております。  私自身も、これまで公共住宅としてその機能を担ってきた公営住宅、また公団、UR賃貸の充実というのがまず先決なのではないかということは、同感をしているところでもあります。  今回の法内容は、直接はUR賃貸住宅そのものに関するものではありませんが、住宅政策住宅セーフティーネットについて考える際には、やはり外して捉えることはできません。  住宅セーフティーネットに対してUR賃貸住宅の担っている役割について、国交省の御見解をお聞かせください。
  150. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  少子高齢化が進展する中で、UR賃貸住宅は、高齢者子育て世帯など、民間市場では制約を受けがちな弱い立場の方の受け皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。  現行の住宅セーフティーネット法におきましても、UR賃貸住宅は、公営住宅等とともに公的賃貸住宅として、重層的かつ柔軟な住宅セーフティーネットにおける重要な役割を担っていると認識しており、低所得高齢者世帯等の居住の安定を図る観点から、既存の住宅の改修による高齢者向け優良賃貸住宅供給や、建てかえ時や家賃改定時における家賃減額措置などを講じてまいっているところでございます。  また、近年では、高齢者子育て世帯等が安心して住み続けられる環境の整備を図るため、医療福祉施設の誘致等によりまして、UR団地の地域における医療福祉拠点化も進めており、住生活基本計画で掲げられました、平成三十七年度までに百五十団地程度の目標の達成を図る、その目標の達成に向けまして、これまで八十六団地で着手するなど、着実に推進をしてまいっているところでございます。  今後とも、UR賃貸住宅住宅セーフティーネットの役割を果たせるよう、居住の安定に最大限配慮してまいります。
  151. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 最後になりますけれども、今回の改正を通じて、結果的に、要配慮者への住宅供給がより一層民間任せ、市場任せ、自助努力に向かうことになりはしないか、この点に関して大臣の見解を伺わせていただきます。  あわせて、過剰に開発される宅地、住宅、ふえ続ける空き家、空き室、住宅ストックは、数の上では十分あるはずなのに住宅確保配慮者が生じるなど、諸外国に比べて脆弱な公共住宅政策という現状を踏まえた上で、今後の住宅政策を充実させていくに当たっての大臣の所見を最後にお聞かせください。
  152. 石井啓一

    ○石井国務大臣 住宅確保配慮者の居住の安定を確保するために公営住宅UR賃貸住宅が果たしてきた住宅セーフティーネットとしての役割は、今回の法改正によってもいささかも変わるものではございません。  新たな制度は、こうした公的賃貸住宅の果たしてきた役割に加え、空き家等の民間賃貸住宅活用し、住宅確保配慮者入居を拒まない住宅登録制度や、居住支援法人による居住支援を行うことにより、さらに重層的な住宅セーフティーネット制度の構築を図るものでございます。  我が国が本格的な人口減少、少子高齢化を迎える中、住宅セーフティーネット機能の一層の強化を図りつつ、福祉分野等との連携を強化するとともに、住宅市場における既存住宅ストックの利活用促進するなど、今後とも、誰もが安心して暮らすことができる住生活の実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと存じます。
  153. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  154. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、本村伸子君。
  155. 本村伸子

    本村(伸)委員 日本共産党、本村伸子でございます。  住宅セーフティーネット法について伺います。  まず、住宅確保配慮者の定義についてお伺いをいたします。  災害被災者について、発災時から三年以内と限定した規定がございます。  東日本大震災では、発災から六年を超えても、ふるさとに戻りたくても戻れない、この四月から、避難をしていた住宅支援が打ち切られ、苦しんでいる被災者方々も多くいらっしゃいます。  大臣にお伺いします。  発災から三年を超えたからといって機械的に被災者を切り捨てるようなことは許されないと思いますけれども、御見解をお願いしたいと思います。
  156. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今般の改正案におきましては、被災者については、発災から三年までの期間については住宅確保配慮者としております。  この取り扱いにつきましては、公営住宅法及び被災市街地復興特別措置法のいずれにおきましても、通常の災害を念頭に、住宅不足が解消する発災後三年まで、公営住宅被災者住まい確保するための特例が措置されていることと整合しております。  一方、大規模災害につきましては、三年が経過しても、住宅不足が解消せず、住宅に困窮する場合があり、例えば東日本大震災においては、東日本大震災復興特別区域法において、被災者に関する特例を最長十年間としております。  今回の改正案におきましても、省令において、個別の災害状況に応じて丁寧かつきめ細かい対応をしていく予定でございます。
  157. 本村伸子

    本村(伸)委員 省令で、発災から三年を超えた被災者住宅確保配慮者に加えるということでよろしいでしょうか。
  158. 石井啓一

    ○石井国務大臣 これは災害の規模ということでございまして、東日本大震災の場合は、被災者については、この省令において、復興特区法に規定する年限、すなわち平成三十三年三月十一日までに合わせて手当てをする予定でございます。
  159. 本村伸子

    本村(伸)委員 その被災者方々状況に応じてしっかりと支援をしていただきたいというふうに思います。  新たな住宅セーフティーネット制度全体について伺いたいんですけれども、住宅確保配慮者の定義の中で、一号に当たりますけれども、「その収入が国土交通省令で定める金額を超えない者」とあります。この国土交通省令で定める金額というのは、収入分位の二五%、月収でいいますと十五万八千円を予定しているというふうに聞いておりますけれども、ここに当てはまります住宅確保配慮者は何人いるのかという点、そのうちで公営住宅入居していない民間賃貸住宅の居住者はどれくらいいるのかという点。  そして、もう一点お伺いをしたいんですけれども、先ほども参考人方々から、若者の低所得世帯への支援をするべきということを明確にするべきだというお話もございました。新たな住宅セーフティネット検討小委員会の最終とりまとめでも、非正規雇用の増加等を背景として、若者層の収入はピーク時と比較して約一割減少していると分析をしておりますし、また、総務省の全国消費実態調査でも、三十歳未満の単身勤労世帯で平均消費支出に占める居住費の割合が、七〇年代には五%程度だったものが、二〇一四年には二五%以上にも、高負担になっているという実態も明らかになっております。  また、大学生の皆さんの二人に一人が奨学金を借りなければいけない現状がありまして、卒業時には三百万とか五百万とか奨学金の借金を背負いまして、その返済も大変という状況でございます。給付制の奨学金ができたとしても、非課税世帯の学生さんの一割しか捕捉していない、まだ不十分な制度だというふうに思っております。  若者への支援というのは、社会に出る最初の段階から貧困を防ぐという点でもとても大切だというふうに思います。そういう意味でも、この住宅確保配慮者の中に、当然、若者の低所得の世帯の皆さんへの支援が入るということを確認させていただきたいと思います。
  160. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  まず、住宅配慮者の定義における低額所得者でございます。これは、委員御指摘いただきましたように、収入分位二五%以下、すなわち公営住宅入居階層を想定いたしております。これは世帯数の四分の一でございますので、全体で約千三百万世帯あるというふうに考えておりますが、そのうち、公営住宅を除く借家に居住するこの所得階層に該当いたします世帯は、約七百二十七万世帯あるというふうに推計をいたしているところでございます。  次に、若者低額所得者についてでございます。  住宅確保配慮者の定義には、今申し上げましたように、低額所得者という規定を置くことといたしておりまして、若者低額所得者は、当然、この概念に該当するものというふうに考えております。
  161. 本村伸子

    本村(伸)委員 確認をさせていただきました。  公営住宅の問題なんですけれども、公営住宅というのは、住宅セーフティーネットの根幹だというふうに思います。先ほども参考人の方から、減少傾向にある、二〇〇五年度から二〇一四年度を比べてみますと二万七千四十三減少している、UR賃貸住宅も二万一千百四十九減っている、公社賃貸も二千八百五十九減っているという状況が示されました。  先ほども、住宅配慮者の中でも困難を抱えている方々公営住宅支援をしていくというのが基本なんだというお話がありましたけれども、やはり政府が、借り上げ住宅空き家を借り上げ公営にするなどの施策も含めて、公営住宅供給確保に責任を持つべきだというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。
  162. 石井啓一

    ○石井国務大臣 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹をなすものであります。  地方公共団体においては、人口減少など地域の今後の人口動向や厳しい行財政事情を踏まえつつ、公営住宅のストックの状況等を勘案し、改修や建てかえを含めて適切に公営住宅の整備、管理を行っているものと考えております。  国といたしましても、地方公共団体が地域の実情を踏まえて必要な公営住宅を整備できるよう、引き続き、社会資本整備総合交付金等により支援を行ってまいりたいと存じます。
  163. 本村伸子

    本村(伸)委員 しっかりと国も責任を果たしていただきたいというふうに思うんですね。  時間がないので家賃補助制度についてに移りたいと思いますけれども、住宅セーフティーネットとして家賃補助を始める意義は大きいというふうに思います。  この間、家賃補助が月四万円というふうに報道されてきましたので、大変期待が大きかったわけです。しかし、法案には含まれていない。新たな住宅セーフティーネットで中心になる制度にもかかわらず、予算措置だけで、これでは、入居者の方々が、この予算措置がいつか終わってしまうのではないかと不安に思いながら生活しなければいけないということになってしまうと思います。これでは、居住の安定ということは実現しないわけでございます。  やはり恒久的な制度としてこの家賃補助制度を続けるべきだと思いますけれども、大臣、恒久的な制度として確保していただきたいと思います。
  164. 石井啓一

    ○石井国務大臣 新たな住宅セーフティーネット制度につきましては、増加している民間空き家、空き室を活用し、一定の要件に該当するものを広く登録していただく枠組みとしております。  公営住宅のように、地方公共団体が供給し、家賃低廉化を行う公的関与の度合いが強い制度においては、補助制度を法定補助として設けておりますが、サービスつき高齢者向け住宅や今回の登録住宅のように民間事業者が広く登録する住宅の場合には、必要に応じ、柔軟かつ機動的な支援を行う観点から、予算補助として制度化してきております。  本制度における家賃低廉化等につきましては、継続的な支援を行い、住宅確保配慮者の居住の安定を図る必要があります。  今後とも、地方公共団体における取り組み状況等を踏まえながら、必要な予算確保に努めてまいりたいと存じます。
  165. 本村伸子

    本村(伸)委員 先ほど来、同僚議員の皆さん方もおっしゃっていたように、ぜひ、法定化して、しっかりとした制度にしていただきたいということも要望させていただきたいと思います。  それで、今あるセーフティーネットがなくなってしまうのではないかという不安もございます。  今、例えば地域優良賃貸住宅という中で、高齢者型というものがありますけれども、これは家賃補助も国の支援で出ている制度でございます。  全国で四万一千百三十五戸の中で二万二千八十一戸が、UR住宅がその役割を担っているというふうに認識をしているわけですけれども、お話をお伺いしますと、順次この家賃補助制度がなくなっていくんだ、二〇二〇年から順次なくなっていくということで、高齢者方々が大変不安な思いをしているというお話でございました。  今、高齢者方々のセーフティーネットとして機能しているこの家賃補助をやめてしまったら、その高齢者方々の暮らしは確実に苦しくなりますし、住み続けることもできなくなってしまうかもしれません。こういう今あるセーフティーネットは、なくしてはいけないというふうに思います。  UR住宅も含めて、地域優良賃貸住宅家賃補助を継続して拡充するべきだと思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
  166. 石井啓一

    ○石井国務大臣 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、平成三十二年、二〇二〇年の二月から、管理期間が二十年を迎える住戸が生じ始めます。  UR高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、お住まいの方が安心して住み続けられること、平成三十年度に向けて、ストック再生・再編方針の見直しを行い、経営の効率化を図りつつ、住宅セーフティーネットの機能を果たしていくことといった観点を踏まえ、検討を進めてまいりたいと存じます。
  167. 本村伸子

    本村(伸)委員 ぜひ、高齢者の方も安心して住み続けられるように、家賃の減免措置も含めてやっていただきたいというふうに思っております。  今回の家賃補助というのは、大家さん、家主に対する給付なんですけれども、これでは、登録住宅に住めない住宅確保配慮者の多くの方が高い家賃で苦しまなければならないということになってしまいます。  国交省は、登録住宅は二〇二〇年までに十七・五万戸を目標とする、年間五万戸ふやすんだというふうに言っておりますけれども、目標が本当に少な過ぎるというふうに思います。登録住宅だけでは、住宅困窮者の救済が狭い範囲に終わりかねないということになってしまうというふうに思います。  家賃補助というのは、家主に対する給付ではなく、入居者に対する給付にするべきだというふうに思います。そうすれば、登録住宅以外の賃貸住宅に住む住宅確保配慮者方々も救済できるわけです。ぜひ入居者の方々に対する給付についてやっていただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
  168. 石井啓一

    ○石井国務大臣 住宅確保配慮者の居住の安定を図るためには、適切な規模や構造等を有する住宅供給されること、賃貸人から拒否されることなく安心して入居できることが重要であります。登録住宅に限らず、賃貸住宅入居者に対して広く家賃補助を行うことでは、こうした目的の達成にはつながらないと考えております。  なお、賃借人への家賃補助につきましては、これまでも国会等において議論されてきたところでありまして、財政負担が際限なく増大するのではないか、市場家賃の上昇を招く懸念はないか、適正な運営のための大規模な事務処理体制が必要ではないかなどの課題がありまして、慎重に検討すべきものと考えております。
  169. 本村伸子

    本村(伸)委員 ぜひやっていただきたいというふうに思いますけれども、住宅は、家賃の低廉化ということと同時に、質の確保がとても大事だというふうに思います。大震災があっても、低所得者の方々が家が潰れて亡くなってしまうということがないように、耐震化の確保、質の確保もしっかりとやっていただいて、憲法二十五条に基づく住宅政策を進めていただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  170. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、清水忠史君。
  171. 清水忠史

    ○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。  住宅セーフティーネット促進するための法律改正案について質問をさせていただきたいと思います。  格差と貧困が広がる現代社会におきまして、人間らしく生きる権利が損なわれるようなことがあってはなりません。良好な居住環境を確保し、安心して住み続けたい、これは、幸福追求権だとか生存権、まさしく憲法でも保障されている国民固有の権利だと言わなければなりません。  低所得者、高齢者障害者、あるいは路上生活を余儀なくされている皆さんに、例えば民間賃貸住宅において入居契約を拒まれる、そういう傾向にある方に対する住宅セーフティーネット機能の強化、これが重要であることは言うまでもありません。  私、何となく、この住宅確保配慮者という言い方がちょっと嫌で、やはり、入居契約に支援が必要な方というふうに呼称すべきではないかなというふうに思っているんです。  初めに、家賃債務保証について聞きます。  近年は、人間関係の希薄さから、なかなか入居契約時に保証人が見つからないということが多くて、債務保証業者に依頼することがふえているそうです。大体、全体の入居契約の六割近くが、今、家賃債務保証業者への保証人の依頼ということであります。おおむね保証料は家賃の半月分、例えば家賃が十万円であれば保証料は五万円、そして一年ごとの更新時に一万円の更新料をもらうというのが一般的だそうであります。  現在、政府が、国交省が把握している債務保証業者というのは何社ありますか。
  172. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  平成二十九年一月時点で、国交省が把握しております業者数、家賃債務保証業者は百四十七社でございます。
  173. 清水忠史

    ○清水委員 資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。  今述べられましたように、把握しているのが百四十七社、家賃債務保証業者があるということで、そのうち、例えば、家賃債務保証事業者協議会とか、あるいは賃貸保証機構などがあるわけですが、これらの業界団体に加盟しているのは百四十七社のうち五十五社ということで、それ以外は業界団体にも加盟していないということであります。  そこで、もう一度局長にお尋ねするんですが、今回の法改正で、いわゆる業界団体に加盟していない債務保証業者の債務保証行為というのは制限されるものなのでしょうか。
  174. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  今回、私どもが考えております家賃債務保証業者についての省令レベルでの登録制度についてのお尋ねかと思いますけれども、これにつきましては、個社、それぞれの債務保証業者一つ一つを登録することを考えておりまして、業界団体を登録することはそもそも考えておりませんし、業界団体に属している、属していないということによって保証業の営業が変わるというようなことがあるとは考えておりません。
  175. 清水忠史

    ○清水委員 つまり、業界団体に加盟しているかどうか、あるいは、今回、国に登録するかどうかにかかわらず、債務保証業というなりわいはできるということが今確認されたと思うんですね。  それでは、続いて聞くんですけれども、家賃債務保証をめぐる入居者と業者とのこの間のトラブル、このトラブル件数についてはどの程度把握されているでしょうか。
  176. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  全国の消費生活センター等に寄せられました家賃債務保証をめぐる消費者からの相談件数は、直近で集計ができております平成二十七年度では六百五十四件、過去五年間、平成二十三年度から二十七年度までの五年間の平均で六百六十七件というふうに把握をしております。
  177. 清水忠史

    ○清水委員 資料の二枚目をごらんください。  今局長に御答弁いただきましたように、平成二十七年、当時は六百五十四件、一日にしますと大体二件の相談が寄せられているということであります。  例えばどんな相談があるのかといいますと、更新手数料について説明を受けていないとか、あるいは、保証人がいないから保証会社に頼んだのに、その保証会社からさらに保証人をつけなさいということを迫られる、あるいは、保証会社から家賃滞納を理由に出ていけというようなことが相談の中身として記されている資料であります。  それで、先ほどの一の資料にも実は載っているんですけれども、業界団体、例えば、一般社団法人賃貸保証機構に加盟しているフォーシーズという会社なんですけれども、これは過去の消費者法ニュースなどにも家賃トラブルで取り上げられています。どういうことかというと、入居者と契約する際、家賃を一度でも滞納すると自動的に契約解除となり、更新料が自動更新として徴収されるという仕組みなんですよ。一年ごとの更新じゃなくて、一度でも滞ると自動更新ということで更新手数料が取られていたということなんですね。  契約書などを見ますと、家賃の引き落としが間に合わなかった場合にはオーナー様へお家賃を立てかえるサービスですとしかなく、一度でも滞れば更新手数料を取るということが十分入居者に知らされていなかった。不当な金銭要求等、退去の勧告が行われていたことが認められて、更新料、慰謝料など三十二万円余りが入居者に支払われる判決が出ております。  同じ会社、フォーシーズなんですけれども、別の事件も起こしておりまして、家賃を滞納した入居者を実家へ連れていって、夜中の三時まで母親に土下座させて家賃滞納分を無心させたというようなことも、これは裁判所で認定されまして、実に二十二万円、慰謝料と弁護士費用を支払えという判決が出ているんですね。  また、一枚目の資料にあります、これも業界団体に入っております日本セーフティーというところです。ここは家賃債務保証事業者協議会の副会長も務められておりまして、会社名の文字が赤のゴシックであらわされているのは、これは、二〇一四年の売上高が五十億円以上という、業界大手だということなんですが、この日本セーフティーは、入居者の玄関に督促状を張りつけ、二十万円の慰謝料の支払いが命じられている。  また、別の事件では、深夜、電話で催促したり、あるいは、ピンポン、ピンポンと呼び鈴を押して、家賃を払えという督促をしていたということが認定されまして、三十三万円の支払いが命じられているんですね。  それで、私、大臣にお伺いしたいんですが、業界団体に所属しているからといって、不当な取り立てというのが本当になくなるのかということなんですね。先ほど局長の答弁では、業界団体に登録していない業者も、なりわいとして債務保証業はこれからも続けていくということであります。やはり、違反行為をするような業者をしっかり指導監督、処分するような仕組みがないと、私は入居者の安心、安全は保たれないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  178. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今回検討しております家賃債務保証業の登録制度におきましては、業界団体の登録ではなく、個々の家賃債務保証業者について、一定の要件を満たしているかを確認して国に登録することとしております。その登録要件については、例えば、重要事項を説明する等の業務に関する基準や手順を規定した社内規則の整備、法令を遵守するための社内研修の実施、家賃債務保証に関する実務経験を有する者の従事などを想定しております。  こうした登録制度を通じて、住宅確保配慮者が適正な業者を利用できる環境を整備してまいりたいと考えております。
  179. 清水忠史

    ○清水委員 結局、取り締まるルールがないということだと思うんですね。  「業界団体における取組」という資料も私、読ませていただきましたが、結局、自主規制なんですよね。それだけでは本当に、高どまりしている債務保証業者と入居者のトラブルを減少させていくことにはならないと私は思うんですね。  その背景に何があるかといいますと、例えば、消費者金融、サラ金の場合は、自宅以外への訪問、督促は禁止されております。会社へ押しかけて、あるいは休日にどこかへ出かけているところへ押しかけて金を返せというのは、あるいは会社に電話をして金を払えという行為は、これは禁じられております。また、張り紙行為、これも消費者金融は許されておりません。金返せとか、ここの住人には借金がありますとか、こういう張り紙をしてはいけないんですね。  それから、先ほど母親に土下座させたという例も紹介しましたが、家族、友人、あるいは、別の金融機関からお金を借りさせて家賃滞納額を払えと強要することもできません。もちろん、追い出し屋と言われているような、裁判所の許可なしに家財道具や財産を勝手に差し押さえて処分することも許されておりませんし、鍵をかえるなんということは、とんでもないことだと言わなければなりません。  ちょっとこれは局長に確認なんですけれども、家賃債務保証業者に、貸金業法二十一条による取り立て行為の禁止は適用されていますか。
  180. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  突然のお尋ねでございますので、ちょっと確たる資料を持ってきておりませんが、されていないものというふうに認識いたしております。
  181. 清水忠史

    ○清水委員 いや、これは、突然の問い合わせというよりは、家賃債務保証業者が貸金業法に基づく違法な取り立て行為ができるのかできないのかということぐらいを認識して今回登録制度をつくっているというふうに私は思っていましたので、これはちょっと反省もしてもらわないといけないと思いますし、やはり指導監督を強めるということは、これは私、最低限必要ではないかというふうに思います。  やはり、先ほど坂庭参考人も述べておられましたが、国交省あるいは都道府県が責任を持って指導監督する。そして、違法行為をするような業者については排除していく。少なくとも、今回、国に登録しない未登録の債務保証業者についてはこれらの債務保証行為を認めるべきではないということを強く求めておきたいと思います。  次に、住宅セーフティーネット法改正案UR公団住宅にお住まいの皆さんとの関連についてお伺いしたいと思います。  本改正案によりますと、空き家、空き室、ここに登録された住居に、いわゆる入居契約に支援が必要な方があっせんされて入居される場合、低額所得方々の負担軽減のために支援措置が適用されます。先ほど来議論になっておりますが、家賃なら上限二万円、自治体二万円ですから、上限四万円。そして、家賃債務保証料、これも出るんですね、上限で三万円。自治体とそれぞれ補助をするということになっております。  今回、私、住宅局の方にお伺いしまして、いわゆる公団住宅UR住宅も、今回の住宅セーフティーネット法にかかわる空き家、空き室の登録の要件を満たすのか、できるのかというふうに確認しました。  今、UR住宅は、全国で募集戸数およそ四万戸です。平均募集家賃が七万三千円ですから、四万戸に七万三千円を掛けると、大体二十九億円、満室であれば毎月の家賃が入ってくるということなんですね。  ですから、こういうところに空き室、空き家を登録して、いわゆる支援が必要な方に入居してもらうということはできるのかと言ったら、それは排除されていないということでありました。ただ、家賃低廉化の措置としては考えられていないということなんですね。  資料の三をちょっと見ていただけますか。  調べましたら、今、URは物すごくいろいろキャンペーンをやっているんですよ。U35割ということで、契約者名義が三十五歳以下ならお得になります。それから、子育て割、「家賃を二〇%サポート!」「子育てファミリーにピッタリ! 最大九年間」。それから、そのママ割というのもあるんですね。十八歳未満のお子さんがいればお得になります、「家賃が三年間お得!」ということです。  配付資料の四番目を見てください。  地域ごとにキャンペーンもやっているんですよ。これは、LOVE得というふうになっている。九州ですね、これは。「ラブトクはじまる!」「愛で住まいが三年以上おトクになるなんて!」ということで、いわゆる入籍予定及び入籍後一年以内のカップルについては減額しますよということで、何と三年間で五十七万六千円家賃を値引きしますということで、こういうキャンペーンをやっているんですよね。  また、調べましたら、この夏から実はURが新しい制度を始めるということで、Pontaって知っていますか、Pontaカード。コンビニなんかで使えるPontaカード。UR家賃の一部をこのPontaカードにためることができて、コンビニなんかで使えるというんですよね。これをこの夏以降に導入しようとしているわけです。募集戸数を埋めるためにいろいろキャンペーンをやっているということなんですね。  やはり今、公団住宅は、私の地元もそうですけれども、高齢化しております。ですから、やはり若い人たちとか子育て世帯にどんどんUR入居してほしいという思いを実は皆さん持っておられるんですね。ですから、このキャンペーン自体が悪いということではないと思うんですね。  しかし、大事なことは、いわゆる高齢化が進み、低所得化が進んでいる、既存の、これまでにURにお住まいになられていた方々状況に即した家賃低廉策ということがやはりどうしても私は必要ではないかというふうに思うわけです。  都市機構法第二十五条の四項では、家賃設定を原則市場家賃としながらも、居住の安定を必要とする高齢者等で規定の家賃支払いが困難な者には家賃を減免する、こう明記されているんですが、これがなかなか実現しないということがございます。  資料の五をごらんいただけますでしょうか。  先ほど本村伸子議員もお尋ねしましたが、高齢者向け優良賃貸住宅ということで、月額最大二万五千円値引きされるということで、そのうち、UR住宅が二万二千百戸あるということで、先ほど石井大臣の答弁でも、二〇二〇年の二月以降、いわゆる改良後二十年が経過しますので、この制度そのものがなくなっていくということなんですね。ですから、そういう点では、我が党は、この二万二千百戸にお住まいの、高優賃にお住まい方々の願い、家賃減額がなくなるのではないか、こういう不安の声に応える必要があると思うんですね。  それで、先ほど本村議員への答弁で、これを継続するというふうにはちょっと確認できなかったんです。やはり、これまで、国が、国交省、財務省が協力して財政措置してきたわけですよ、二十年間の交付期間として。これを、そこにお住まいされている方々のために継続するということがやはり大事だと思うんですが、石井大臣の所見をお伺いできるでしょうか。
  182. 石井啓一

    ○石井国務大臣 UR高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、お住まいの方が安心して住み続けられること、平成三十年度に向けて、ストック再生・再編方針の見直しを行い、経営の効率化を図りつつ、住宅セーフティーネットの機能を果たしていくことといった観点を踏まえ、検討を進めてまいりたいと存じます。
  183. 清水忠史

    ○清水委員 検討を進めていくということだと思うんですね。私は、検討ではなく、これは必ず継続させていただきたいと思うんです。  一部、健康寿命サポート住宅、この隣に書いています、今の資料の。健康寿命サポート住宅への移行、例えばこれは、家賃減額は継続できるが、転居してくださいということになると、コミュニティーがやはり壊れますよ。  さらに言うと、高齢方々ですから、住みなれたところから転居するということもやはりままならないというふうに思いますし、URの方に確認しましたら、今の高優賃よりも、いわゆる健康寿命サポート住宅の減額幅は小さいんです。ですから、仮に転居したとしても家賃が上がる、その可能性が非常に高いということも確認させていただきました。  公的住宅は減少しております。国における家賃減額制度もありませんので、ぜひ、民間任せ、入居者の自己責任にとどめることなく、民間や、あるいは公的住宅UR住宅を含め、安心して住むことのできる法案整備を求めて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  184. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、椎木保君。
  185. 椎木保

    ○椎木委員 日本維新の会の椎木保です。  住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる住宅セーフティーネット法について質問いたします。  今回の法律改正は、急増する高齢者、低所得者、子育て世帯等の住宅確保配慮者への住宅セーフティーネット機能を早急に強化する必要があるとの思いから提案されたと理解しております。現在約六百一万世帯の高齢者世帯数が、十年後には七百一万世帯へと百万世帯も増加すると見込まれており、また、若年層の収入はピーク時と比較して一割以上落ち込んでいる、さらに、障害者外国人低額所得者に対する入居拒否等の背景があると聞いております。  そこで、国土交通省は、行政の効率化、民間活用地域の創意工夫といった観点から、新たな住宅セーフティーネット制度の意義についてどのように考えているんでしょうか、お尋ねいたします。
  186. 石井啓一

    ○石井国務大臣 住宅セーフティーネット施策につきましては、これまで地方公共団体による公営住宅供給をその根幹として進めておりますが、我が国の住宅ストック全体を見れば、民間空き家、空き室が増加をしておりまして、その有効活用が求められております。  こうした状況を踏まえまして、今般の新たな住宅セーフティーネット制度におきましては、行政の効率化、民間活用の観点から、民間空き家、空き室を活用した登録住宅供給促進、適正な家賃債務保証業者の活用や居住支援法人の創設など、民間主体の居住支援の強化を図るとともに、地域の創意工夫を生かす観点から、地方公共団体が自主的に賃貸住宅供給促進計画を作成することとするとともに、居住支援協議会の活動の支援等により、地域における主体的な取り組みが一層強化されるよう措置することとしております。  このように、今般の新たな住宅セーフティーネット制度は、民間地域の能力を十全に発揮していただく観点からも、大変意義の大きいものと認識をしております。
  187. 椎木保

    ○椎木委員 次に、今回の法律が施行された際、地方公共団体が行う登録基準については、住宅事情等はそれぞれの地域によって異なると思うのですが、地域の主体性を尊重する観点からも、住宅の登録基準については、地方公共団体が柔軟に設定することができるように配慮すべきと考えますが、いかがでしょうか。さらに、住宅確保配慮者範囲については、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じて定められるようにすべきと思うのですが、いかがでしょうか。あわせて答弁を求めます。
  188. 石井啓一

    ○石井国務大臣 新たな住宅セーフティーネット制度における登録住宅の基準につきましては、原則的な全国共通の基準として、耐震性能や一定の床面積を有すること等を定めることを予定しております。  しかしながら、御指摘のとおり、住宅事情等は地域によって異なることから、地方公共団体が供給促進計画を定める場合には、例えば床面積の基準を強化、緩和できるなど、地域の実情に応じて柔軟な運用ができるようにしてまいりたいと考えております。  また、本法案におきまして、住宅確保配慮者とは、低額所得者被災者高齢者障害者、子供を養育している者のほか、住宅確保に特に配慮を要するものとして省令で定める者と定義をしております。  この住宅確保に特に配慮を要するものとして省令で定める者につきましては、地方公共団体が作成する賃貸住宅供給促進計画において、地域住宅事情に応じて、要配慮者を追加できるよう規定する予定でございます。
  189. 椎木保

    ○椎木委員 ありがとうございます。  この法案は大変重要な法案だと我が党も認識しておりまして、党内でも党内手続を早い段階で進めてまいりました。そういった意味で、きょうは、石井大臣みずから、この新たな住宅セーフティーネットの意義について答弁を求めさせていただきました。  今の大臣の答弁を受けまして、我が党も、この法律、本日、質疑終局後、いち早く成立するよう、しっかり協力していきたいと思います。  次に、民間の活力を引き出し、賃貸人に今回の住宅セーフティーネット制度活用を促すためには、賃貸人が積極的に登録したいというインセンティブが必要だと思うのですが、国交省としてはどのような対応を考えているのでしょうか、お尋ねいたします。
  190. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  本制度が有効に機能いたしますためには、住宅確保配慮者入居を拒まない登録住宅をできるだけ多く確保することが最も重要な課題となるものでございます。  本制度におきましては、その登録を推進する観点から、賃貸人の方はいろいろ不安を持っておられますので、そうした不安を払拭できるようなインセンティブ、委員御指摘のインセンティブを与えるような措置をさまざま講じることといたしております。  まず、家賃滞納への不安につきましては、適正に家賃債務保証を行う業者についての情報提供や、独立行政法人住宅金融支援機構の保険引き受けの対象の追加措置、それから、生活保護受給者への住宅扶助費についての賃貸人からの通知に基づく代理納付の要否を判断するための手続の創設などを考えております。  また、孤独死などの不安に対する対策といたしましては、居住支援法人の指定や居住支援協議会への助成等による入居者に対する居住支援活動の充実、また、入居に伴う高齢者の事故や子供の騒音等のトラブルへの不安に対しましては、住宅の改修に対する助成や住宅金融支援機構による改良費の融資、こういったインセンティブ措置を措置しているところでございまして、こうしたインセンティブ措置を用いることによりまして、賃貸人入居拒否感の解消を図ることで住宅の登録を促進する、そういった動機づけにつなげてまいりたいというふうに考えております。
  191. 椎木保

    ○椎木委員 詳細にわたり明確な答弁、ありがとうございます。  次に、あってはならないことなんですが、今回の住宅セーフティーネット制度社会的弱者を利用した貧困ビジネスに悪用されることは考えられないのでしょうか、お尋ねいたします。
  192. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  今般の制度が、居室が著しく狭隘で設備が不十分な住宅に、例えば生活保護受給者等を住まわせて不当な利益を得るような、いわゆる貧困ビジネスにつながらないようにすることは重要な課題であるというふうに認識しております。  このため、今回の登録を受けられる住宅については、まず、安全性を確保するという観点から、耐震性を有することや消防法等に適合していることを要件としたいと考えております。  また、居住水準を確保する観点から、トイレ、台所等の設備が設置されていることや、最低居住面積以上であることを定めることとしたいと思っております。  さらに、不当な利益を得ることを防ぐ観点からは、近傍同種の賃貸住宅家賃の額と均衡を失しないことという点について審査を行うこととしたいと考えております。  また、都道府県知事等による登録を受けた住宅賃貸人に対する指導監督によりまして、今般の制度貧困ビジネスに悪用されることがないよう担保してまいりたいと考えております。
  193. 椎木保

    ○椎木委員 次に、賃貸人の側からすれば、高齢単身者に関しては孤独死等の不安が残ると思います。入居後の要配慮者の見守り等の必要があると思うのですが、この点についてはどのような対応を考えているんでしょうか。
  194. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  入居後の見守りにつきましては、入居者の孤独死等に対する大家さんの不安払拭という観点からも重要でございまして、今般の登録住宅については、福祉部局や福祉関係団体等との連携による見守り等のサポートが適切に行われることが必要になるというふうに考えております。  このため、現在でも、居住支援協議会が、高齢者の見守り等を行うNPO法人の紹介等を行っておりまして、国土交通省としては、こうした居住支援協議会の取り組みを支援しているところでございます。  こうした取り組みが今後も居住支援協議会において広く行われるよう、先導的あるいは効果的に取り組んでおられる先進的な事例について、まず周知を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、地域における高齢者の見守りの強化を担当されております地域福祉関係団体等に対して、さらに連携を深めた取り組みが進められますよう、厚生労働省との間に連絡協議会も組織をいたしましたので、そうした連絡協議会等の場も通じまして、厚生労働省と連携をした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
  195. 椎木保

    ○椎木委員 次に、賃貸人の不安払拭のためにも、特に市区町村レベルの居住支援協議会活動を促進する必要があると思うのですが、どのように取り組んでいこうと考えているのでしょうか、お尋ねいたします。
  196. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  市区町村における居住支援活動につきましては、都道府県の居住支援協議会に参画をしていただくか、あるいは、みずから協議会を設立していただきたいというふうに考えております。その点についての数値目標を、現在の四〇%から倍増させるという目標を設定しているところでございます。  地域の実情に応じた入居円滑化の支援を行うためには、政令市などの比較的規模の大きい市については、ぜひみずから居住支援協議会を設立していただきたいと考えております。一方、規模が小さい市町村など、みずから設立することが困難な場合には、都道府県の居住支援協議会に参画をしていただくということを求めてまいりたいと考えております。  居住支援協議会の活動におきましては、何と申しましても、福祉部局とその関係団体の参画を促進することが極めて重要かつ有効でございます。厚労省との連携を強化いたしまして、厚労省からも居住支援協議会の設置や参画について働きかけていただくこととしてまいりたいというふうに考えております。  また、居住支援協議会の取り組みの助成につきましては、今後、市区町村の協議会や、より多くの市区町村が参画をする都道府県の協議会における効果的な取り組みにつきまして、国から重点的に支援を行ってまいりたいと考えております。
  197. 椎木保

    ○椎木委員 次に、国レベルにおいても、縦割りを排して、住宅部局と福祉部局との連携を進めていくことが重要であると思うのですが、いかがでしょうか。あわせて、制度の運用に当たっては、国から地方公共団体に対して、どのような支援を行っていこうと考えているのでしょうか。あわせて答弁を求めます。
  198. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、国レベルにおきましても、率先して住宅部局と福祉部局の連携を進めていくことは極めて重要だと考えております。  これまでも、国交省と厚労省におきましては、課長級などの人事交流や、居住支援協議会全国会議を共同で開催する、あるいは、サービスつきの高齢者住宅につきましては共管で所管をするなどの連携を行ってまいっておりますが、何度か御答弁を申し上げておりますように、昨年の暮れに、厚労省との間で、関係局長級によります連絡協議会を設置いたしました。  本法案につきましては、この協議会での協議の成果なども踏まえて御提案を申し上げているところでございまして、こうした協議会の活動等も通じまして、さらなる連携を図ってまいりたいと考えております。  一方、地方公共団体の役割というのは、本制度の運用に当たっては極めて大きいものがございます。意欲的に取り組んでいただきたいと考えております。  このために、地方公共団体による登録事務や計画の策定、居住支援法人の指定等を支援するために技術的に助言をいたしますほか、職員等を対象とした説明会の実施、あるいは、地方公共団体みずからが説明会を実施します場合には、そこへの講師の派遣等の協力をしてまいりたいと思っております。また、今回は登録を行っていただくこととなりますので、登録事務に必要となるシステムを私どもの方で開発いたしまして、地方公共団体に提供することもしてまいりたいというふうに考えております。  こうした積極的な支援を行うとともに、地方公共団体と協力をしながら、本制度の円滑な運用に取り組んでまいりたいと考えております。
  199. 椎木保

    ○椎木委員 最後の質問になります。  今回の住宅セーフティーネット制度の実施に向けて、石井国土交通大臣の御決意を一言お願いいたします。
  200. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今般の法改正は、単身高齢者など住宅確保配慮者の増加や、人口減少等を背景とした空き家、空き室の増加といった課題を踏まえまして、住宅確保配慮者方々が安心して暮らすことができる社会を実現するため、重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図るものであります。  このため、まずは本法案の早期成立をお願いしますとともに、法案成立の暁には、国土交通省におきまして、速やかに基本方針や政省令の改正に取り組み、制度の円滑な実施を図ることといたします。  また、昨年末に厚生労働省との間に設置いたしました連絡協議会も活用いたしまして、住宅部局と福祉部局の密接な連携のもとに居住支援の取り組みを進めるとともに、地方における居住支援協議会の活動を積極的に支援し、地域の実情に応じた居住支援活動を強化するなど、本制度の実効性が十分に発揮されるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  201. 椎木保

    ○椎木委員 先ほども申し上げましたが、我が党は賛成の立場で本日質疑をさせていただきました。大臣初め住宅局長、大変詳細な答弁をいただけたと思います。  ありがとうございました。以上で終わります。
  202. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  203. 西銘恒三郎

    西銘委員長 この際、本案に対し、本村伸子君外一名から、日本共産党提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。清水忠史君。     —————————————  住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  204. 清水忠史

    ○清水委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び概要を説明申し上げます。  年金生活者や低所得者の労働者、一人親世帯等が増大するもとで、生活に困窮し、高い家賃負担などにより、住宅に困窮する方がふえています。  ふえ続ける空き家、空き室を民間賃貸住宅として活用することにより、住宅困窮者の入居促進する住宅セーフティーネット制度を充実させることは必要です。  安心して住むことのできる住居の確保のために、憲法二十五条の生存権の趣旨にのっとり、公営住宅供給政府等が責任を持って実施するべきであり、民間賃貸住宅活用するに当たっては、家賃負担が大きいことから、その低廉化など、経済的負担の軽減が求められています。  そのため、入居者に直接給付する家賃補助制度の導入などの家賃低廉化を初め、住宅困窮者の救済をより実効性のあるものにしなくてはなりません。  具体的な修正案は、第一に、入居者本人に対し直接給付する家賃補助を定めます。居住支援の推進を図るとともに、被災者の要件としている発災からの期限を設けないなど、住宅確保配慮者の定義を明確にします。  第二に、公的賃貸住宅の十分な供給確保されることは居住の安定の前提であることから、国及び地方公共団体は、責任を持ち必要な措置を講ずるものとします。  第三に、家賃債務保証業者の登録を義務づけ、不当な取り立てを禁止するなど、必要な法制上の措置を講ずることとします。  以上が、修正案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  205. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  206. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、本村伸子君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  207. 西銘恒三郎

    西銘委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 西銘恒三郎

    西銘委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  209. 西銘恒三郎

    西銘委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、西村明宏君外四名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。本村賢太郎君。
  210. 本村賢太郎

    本村(賢)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  趣旨の説明は案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。     住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。  一 本法による住宅セーフティネット機能の強化とあわせ、公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努めること。  二 低額所得者入居負担軽減を図るため、政府は必要な支援措置を講ずること。  三 高齢者低額所得者ホームレス子育て世帯等の住宅確保配慮者について、入居が拒まれている理由など各々の特性に十分配慮した対策を講ずること。  四 住宅確保配慮者が違法な取立て行為や追い出し行為等にあわないよう、政府は適正な家賃債務保証業者の利用に向けた措置を速やかに講ずること。  五 住宅セーフティネット機能の強化のためには、地方公共団体の住宅部局及び福祉部局の取組と連携の強化が不可欠であることから、政府はそのために必要な支援措置を講ずること。  六 災害が発生した日から起算して三年を経過した被災者についても、必要が認められるときには、住宅確保配慮者として支援措置を講ずること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手
  211. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  212. 西銘恒三郎

    西銘委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。
  213. 石井啓一

    ○石井国務大臣 住宅確保配慮者に対する賃貸住宅供給促進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を初め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。  まことにありがとうございました。     —————————————
  214. 西銘恒三郎

    西銘委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 西銘恒三郎

    西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  216. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、本日付託になりました内閣提出都市緑地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。     —————————————  都市緑地法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  217. 石井啓一

    ○石井国務大臣 ただいま議題となりました都市緑地法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  都市において、緑地、公園、農地等のオープンスペースは、景観、環境、防災、にぎわい等の多面的な機能を発揮するものであり、人口減少社会における潤いある豊かな都市空間の形成に向けて、民間の力も最大限に活用しながら、これを生み出し、守り育てることが重要な課題となっております。このためには、積極的な緑地創出の促進、都市農地の適正な保全といった量的側面とともに、都市公園の活性化、魅力向上や老朽化対策といった質的側面からも施策を総合的に講じる必要があります。  このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、都市内の緑地の保全、創出を図るため、市町村が定める緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画の記載事項に、都市公園の管理の方針や生産緑地地区内の緑地の保全に関する事項を追加することとしております。また、NPO等の民間主体が空き地等を緑化して住民に公開する市民緑地設置管理計画の認定制度を創設するとともに、市町村長が緑化推進の担い手としてまちづくり会社等を指定できることとする等の措置を講じることとしております。  第二に、都市公園の活性化、魅力向上を図るため、都市公園において保育所等の社会福祉施設の設置を可能とするとともに、公園内でカフェ、レストラン等の収益施設の設置とその周辺の広場の整備等を一体的に行う民間事業者を公募し、選定する制度の創設、当該制度に基づき民間事業者が行う施設整備に関する資金貸付制度の創設等を行うこととしております。  第三に、都市農地の適正な保全を図るため、生産緑地地区について面積要件を条例で緩和できることとするとともに、地区内に農産物直売所等を設置できることとする等の措置を講ずることとしております。また、農業の利便の増進を図りつつ、低層住宅に係る良好な環境を保護する用途地域を新たに創設することとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  218. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会