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仁比聡平君 つまり、答えられないということなんですよ、
法務省は。
あなた方は、
提案者は、一義的に明確に行政も
理解すると言うけれども、
法案で、あれでしょう、どこかの
議論に、実態調査は
法務省が頑張るでしょうみたいな御
答弁もありましたけど、その
法務省が今のように述べているわけですよ。こうして
定義規定を置かずに解同綱領の部落民
定義と同様の
部落差別の核心部分についての発言をされながら出されている
法案は、結局、部落民以外は全て差別者だとして、被差別者が差別者の行った事実及びその差別性の有無を確定し、差別の本質を明らかにするという特異な解同の運動論によって行政の
主体性が奪われる危険が私はあると思うんです。
だって、何が差別かが
法律上確定されていないわけですから、皆さんも述べられないわけですから。この参議院に来て、この
審議になって、何にも明らかにできないわけでしょう。だったらば、これが差別じゃないかと、確認・糾弾路線まで行き着いた、あるいは八鹿高校事件にまで行き着いた確認・糾弾をてこにした圧力で迫られたら、国や
地方公共団体だって不公正、乱脈な同和行政に至った歴史の痛苦の教訓、これが再びよみがえるということだってあり得るじゃないですか。
現に厚労省も、隣保館の
事業、あの調査の
事業、これ、私たちオブザーバーですといって何がやられたってよく分かりませんという、そういうスタンスですよね。そんな実態調査を強く要望してきたのは部落解放同盟です。
この
事業が採択をされる半年以上も前に、
機関紙解放新聞の二〇一一年四月十八日号ですけれども、解同中央生活労働運動部の名前で、厚労省同和問題実態調査の意義と成功のポイントという大きな論文といいますか、方針が高々と掲げられているわけです。ここに何と書いてあるかと。二〇一一年ですから人権侵害救済法が問題になっていた頃ですが、人権侵害救済法制定
実現のための立法事実の収集にも大いに役立つことが期待できる、新しい運動や要求を組織できるし、同盟員の拡大にも役立てることができると述べられているわけです。だから、解同は当時、
政府や
地方公共団体にその実施を迫ってきました。これに対して高知県は、二〇一〇年の十二月、法の失効後は地域や人を特定せずに行政課題ごとに
施策を実施していく、したがって、
施策ニーズを把握するために調査が必要な場合には行政課題ごとに行うといって、この解同の要求を拒否しているんですね。私、立派な態度だと
思いますよ。これが、二〇〇二年に国の特別対策を終了したときに、当時の総務
大臣の談話があります。劣悪な生活環境が差別を再生産するような状況は今や大きく改善されたとの認識に立って、これからは一般
施策としてみんな行っていきましょうという努力をしているわけですね。
我々は何もやってこなかったんじゃないですよ。先ほど来から、時間がたてば解決するなんていう、そんな論があたかも強くあるような言い
ぶりをされるけれども、そうではないでしょう。
部落差別をなくし、その根絶をしていくために、なくしていくためにみんなが努力をしてきた、行政だっていろんな努力をしてきたわけですよ。ところが、この
法案の
提案に当たって、そうした自治体の全国の意見を
提案者は全く聞いておりません。ですから、岡山県は、最近の全国人権連との話合いにおいて、現在県内に同和地区とか同和関係者というのはいない、分からないとしか言いようがない、そう答えています。
だったら、こういう
定義さえ置かずに、実態調査の中身もよく分からない、
法律でどこに持っていかれるか分からない、
法律を足掛かりにしてどこに持っていかれるか分からないと、こういうような中身の
法案で自治体に責務を課そうというのは私はとんでもないと思うんですけれども、時間が来ましたから、この一問だけ今日は聞きたいと
思います。