○三宅
伸吾君 日本にございます特定同族会社、いわゆる非公開のオーナー企業でございますけれども、オーナーが自由に会社の経営も、それから
財務も支配できるわけでございますので、
自分のポケットに配当として持ってくるといろいろ課税されるわけでございますけれども、
自分のポケット代わりに会社の、
自分が例えば一〇〇%支配する会社のところにずっと置いておくと、こういうことを課税で防いでいるということではなかろうかと思います。
この日本の特定同族会社に対する留保金課税も、それから韓国で新たに創設された留保金課税も、これ、実は税法の
考え方から申しますと二重課税の問題が指摘されるわけでございます。法人税を支払った後の残りについて一定の条件を満たせば新たな課税をすると、こういう
意味でございまして、二重課税の
批判が絶えないわけでございまして、こういうこともありまして、韓国を除きますと、広く留保金に対して課税をしている国は
余りないというふうに私は
理解をしております。
私がこれから提案いたします留保金に着目をした法人課税というのは、今申し上げた二重課税の問題が生じる税制とは異なります。ちょっとこれから詳しく
説明をさせていただきます。
一言で申しますと、日本の法人実効税率、三割は切りましたけれども、まだまだ高いわけでございます。OECDの真ん中でいうとまあ二五パーぐらい、アジアの国々の平均値を取ると二割近くまでは下げないと、外観上、法人実効税率が公正な競争にならないということはもう
皆さん御承知だと思います。可能であればこれからも法人実効税率をもっともっと下げるべきでございますけれども、この
国会でも何度も言われておりますように、法人実効税率をこの数年で下げたけれども、ため込んでいるだけじゃないかという
批判があります。じゃ、どうすればいいんだというところで、私が
考えた案でございます。
一言で申しますと、今後、法人実効税率を下げた場合に、過剰な
内部留保を積み上げている企業に対しては現行の法人税率で据え置くと、こういうアイデアでございます。ですから、一生懸命稼いで、そして賃上げをする、設備投資をする、配当もすると、そういう社会に対して利益を還元している会社、適正な留保金の、利益剰余金の会社に対しては、二八、二七、二五と下げていった場合の法人実効税率を適用するけれども、過剰な
内部留保を抱えている企業に対しては今の実効税率のままに据え置くと、こういうアイデアでございます。
近年、コーポレートガバナンス原則とか、それから機関投資家に対しますスチュワードシップ・コードとか、企業経営に対する監視の仕組みが徐々にではございますけれども整いつつあります。もし、私が今御提案申し上げましたような過剰な
内部留保を蓄えている企業には今後の更なる実効税率の引下げのメリットを享受させないと、もしこういう制度ができますとどういうことになるかと。例えば、株主総会で、例えば五年後、法人実効税率が二五か二〇%になったときに、
自分の株主総会に出ていくと、どうもうちの会社はいまだに二九・何%の法人実効税率のまま適用されていると、こういうことが株主に知れ渡りますと、株主は株主総会において経営者を追及するわけであります。どうしてため込んだままなのかと、きっちりと投資し、それから企業価値を高めるために、従業員の給料を上げなさい、配当を出しなさい、設備投資もしっかりやれ、研究開発投資もしっかりやれというプレッシャーを企業経営者に対して与えることになります。
ですから、我が国産業の国際競争力は高めます、そのために実効税率は下げるけれども、稼ぐ力を国から高めるということで法人実効税率を下げてもらったにもかかわらず、稼ぐ力は付けたけれども、稼いだその成果は社会に還元しない企業に対しては、更なる法人実効税率の引下げのメリットは享受させない、享受させないということを株主総会の場、すなわち様々な決算書類等で株主の皆様に知ってもらって、株主が厳しくため込み
批判をする、経営者を追及すると、こういうような仕組みでございます。
日本企業が
内部留保が多い
理由、いろいろございます。国内市場が
余り伸びていないとかいろいろございますけれども、実は日本企業が現金をため込む
理由は、実は敵対的企業買収のときに、そのお金を使って
自分の会社を保身のためにディフェンスしようとか、こういう意図があります。もう
一つ理由がございまして、会社の経営状態が悪いときに安定配当するための原資を取っておこうと、こういう、まあ良からぬと申しますか、ちょっと
言葉をきつく申しますと、経営力のない保身に走る経営者が安定配当をするため、敵対的企業買収から
自分の地位を守るためにため込んでいるという側面が実は多いわけでございます。
こういうことは
経済団体は
余り口にしませんけれども、私はこの分野、十数年担当、日本
経済新聞編集
委員としてやってきましたので、よくよく知っております。だから、ため込みの半分ぐらいは保身のためのため込みだと私は確信をいたしております。ただ、当然それだけではありません。リーマン・ショックもございました。万が一のときには、やっぱりしっかり備えておこうという、稲作文化の中の日本的なため込み、貯蓄の精神もやっぱりあるわけでありますが、半分以上が保身のためのため込みでございます。
こういうことも鑑みまして、やっぱり保身のためにため込まれたら困るわけでございます。実効税率を引き下げたのは、どんどん稼いで
海外の企業に勝って、稼いだら税金も払いましょう、配当もしましょう、設備投資もしましょう、研究開発もどんどんやってくれと、こういうことで
安倍政権、
麻生大臣筆頭、そして元
経済産業
大臣の宮沢先生にも御尽力賜りまして下げてきたわけでございますので、今後もっともっと下げるべきなのは私は当然でありますけれども、下げた以上、そのメリットはきちんと企業経営の成果を社会に還元している企業に対してのみ享受させると、こういう……(発言する者あり)ありがとうございます、こういう税制がいいのではないかと拝察をいたしておりまして、是非
麻生大臣の御感想というか、いただけないかということでございます。