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荒井広幸君 このような歌が最近発見されたそうです。
秋風やいくさ初まり港なるたゞの船さへ見て悲しけれ
君死にたまふことなかれ、与謝野晶子さんが日中戦争が始まるその頃に、七月七日が盧溝橋でございましたけれども、その頃に歌った短歌でございます。
誰も戦争を望みませんし、紛争を起こしたいとも思いません。平和
憲法を持つ、そして不幸な歴史を持つ
我が国こそ、
安倍総理を中心に改めてそういう気持ちを、不戦の誓いをしていきたいというふうに思いますし、どうぞ
総理始め閣僚の皆さんも、
国民の意見、ここにいると外のデモの意見もほとんど聞こえないです。どうぞ
国民の意見に耳を傾け、各党の意見にじっくりと耳を傾けて、時間を掛けて審議をして進めていきたいと思うものです。
私は
福島ですから、安全神話に陥って原発事故が起きました。自然災害と、そして安全を甘く見た人災によってこれは起きた複合災害です。ですから、私は、
安倍総理の問いかけは痛いほど分かります。本当にこのままで
日本の命、皆さんの命、人権は守れるのかと、何か抜けていることはないかといって研究し、万一に備えて準備をしておくということも
一つでしょう。それはよく私は分かります。しかし、まずは、
総理も言っておられるように、安全外交を尽くして尽くして尽くして、そして、その安全外交の
抑止力とともに今度の
自衛権の
一つの
行使容認ということも併せて、ダブルの
抑止力で私は
日本国民を守っていくべきだと思います。
自民、公明のこの協議によって、私は
一つ進んだなと思うことがありました。それは人権を入れたことです。今まで、ややもすると我々保守政党は
国家を言います。しかし、守るべきものは、
憲法十三条を代表して引いておりますが、自由や、そして幅広い、血を流してきた人類の歴史のこの人権を守るということを訴えているということを私は高く評価をします。
どうぞ
総理には、
国民にこの問題意識を問うているんだ、
自分だけが分かっていて正しいんだと、そういう考えをどうぞ閣僚の皆様は持たないでいただきたい。
国民の
理解と
支持なくして
抑止力や平和はあり得ないということなんです。どうぞ、その点をお互いかみしめておきたいというふうに思います。
我々は歴史に学ばなければなりません。今日は、アイゼンハワー大統領が退任演説で一九六一年一月に最後の辞める直前に演説をしましたのを皆様に、
国民の皆様にもお伝えしたいと思います。
政治を進めるに当たって、我々は、軍産業複合体が、自ら求めてであれ、そうでないものであれ、不当な影響力を手に入れることがないよう厳戒しなければならない。権力が誤った場所に置かれ、恐るべき形で高まっていく潜在的な危険性は現にあるし、今後とも根強く存在し続けることであろう。我々は、この結び付きの圧力のために我々の自由や民主的手続が危険にさらされるのを決して許してはならない。我々は、何事も当然のことと受け取ってはならない。警戒心があり、知力のある市民だけが、巨大な防衛産業、軍事機構と我々の平和的方法、目的とを適切にかみ合わせることができるのであり、また、その結果、安全保障と自由とは共に繁栄することであろう。
この演説をケネディ大統領に渡したと、こういうことになるんだろうと思います。回想録、その中でアイゼンハワー大統領は、この文章を引用したその次の行で、ホワイトハウス時代の終わりに際して、この演説は、私がこの国の人々に最も強く問いかけたメッセージであったと記しています。
これは、今この
議論をしている我々にも問われていることだろうと思います。平和を守り、自由を守る世界の警察と言われているこの
アメリカでさえ、軍とそして軍需産業が結び付いて非常に難しい問題をつくっていくんだということを言っているんです。私は、
総理、これは他人事ではない、
我が国の問題でもあろうと思うので、この
観点から申し上げたいと思います。
総理が
国家安全保障会議、NSCを設置し、特定秘密保護法案も作りました。そして、NSCを中心に
国家安全保障戦略の策定もいたしました。武器輸出三原則等の見直しも、これも行っています。そして今度の、いわゆる
国民の命と人権を守るこの
自衛権の問題、あるいは集団安全保障の問題、こういったものに今
議論が進んでいるんです。また、外務省の、
外務大臣有識者懇談会、ODA大綱見直しの報告では、ODAを
外国の防衛分野にも一部適用できるんではないかと、こういう検討もされている。
こうなってきますと、私は臆病なんでしょうか、あるいは妄想症なんでしょうか、次のような心配をするんです。それでなくても官僚主導の
国家と言われた
我が国です、
安倍総理になってからは変わりましたが。官僚主導、このおそれはいっぱいあるわけです。マックス・ウェーバーは、職務上の知恵を職務上の秘密という御存じの概念によって秘密知識に帰することで官僚層が最も重要な権力手段として手に入れていく、その手段になっていると言っています。
NSC等を含めて特定秘密を共有することによって官僚の影響力が強まることはないんだろうか。二年、三年、五年、へなちょこな
総理大臣が出てきたら、官僚はもしかしたら情報操作をするかもしれません。
政府の中の
政府が生まれて、我々
国民の手から遠く離れる危険性は本当にないのか。
そして、従来は国土防衛用に限定されてきた
自衛隊の装備に加え、先ほど来からも
議論がありますが、例えば
小野寺
防衛大臣も七月の訪米の際、この間も、上陸用艦、最新
戦闘機の追加購入等々の意欲とも取られるような発言をしています。今以上の設備をすること、要求をどんどんするようにならないか。また、ポストも必要になってくるでしょう。
また、厄介なのは経済成長です。経済成長の美名の下に、景気や雇用拡大の貢献のためには防衛装備や武器の海外輸出だ、民間の技術等を軍事に転用だ、こういう形でどんどん、言ってみれば、輸出、歯止めが本当に掛かるんだろうか、調達も歯止めが掛かるんだろうか。
今調達の契約は、言うまでもなく、
総理、六百五十六社に及んでいるんです。もっと、その部品までいったら、もっと多額に上っていきます。中央調達契約相手は、今でも六百五十六社、二十五年の
調査です。更に増えていく
可能性はないんだろうか。防衛産業が肥大化し、ITや今ロボットまで裾野はどんどん広がっていきます。
政治への影響力が格段に強まるものと私は考えています。
防衛省を含む官僚がこうした防衛・軍事企業と結び付いていく、これがアイゼンハワーが警告をしているんです。今でも天下りは二百七十数名ですね、五年間の
調査をいたしますと。いわゆる将校クラスです。幹部クラスは二百七十名が五年で大体これは天下りをしている。もっと違う、将校以下だったら一桁違っています。
そして、防衛秘密ですから、市場原理が働かず高値の調達費用になりませんでしょうか。財政が厳しい中で、
財務大臣もいらっしゃいますが、果たして、福祉や医療に回す、そういうときにぶつかりはしないでしょうか。こういったことを私は恐る恐る考えてみるんです。
命を懸けて
国民を守っていただく
自衛隊の皆さんに敬意と感謝をします。しかし、そういう意識が先鋭化して、拡大主義に前のめりにならないということはないんであろうか。安全保障に関わる官僚、企業、そして
防衛省の結び付きによる、私からいえば、アイゼンハワーが言った軍産プラス官僚、軍産官、
日本型の複合体ができて、これが潜在的脅威になりはしないかと私は懸念をいたします。
どなたかが空気の話をされましたけれども、物が言えなくなる空気が今からも出ていたのでは仕方ないわけです。アイゼンハワーは、そういう中で軍産複合体ということを我々に大きな警鐘を鳴らしていると私は考えています。目的を間違え、利権まみれの軍拡にならないように、
国民の皆さんの監視が一番重要だと、そうも考えております。また、戦争体験者の先輩方の意見を聞くという、そういう我々にも謙虚な姿勢が必要だと思います。
また、ガルブレイスですね、経済で有名な。
アメリカ、ガルブレイスも、実は「悪意なき欺瞞」、悪意はないんだけれどもおかしい方向に行ってしまう、だますようになってしまう、こういうことを二〇〇四年の著書で、「悪意なき欺瞞」として軍産複合体に対して同じように警鐘を鳴らしているんです。
悪意なくして、一人一人は悪意はないんだけれども、新しい権力中枢ができ上がって民主主義に不当な影響を与えないよう、我々は十分
議論をしていく必要があるだろうというふうに考えております。
どうぞ、この点、私の言っていることが妄想であるのか、
総理、はたまたこういう軍産官、こうした新たな権力に民主主義や自由が侵されることのないように注意を払うべきだという強い考えを持っているのか、
総理の御認識を伺います。