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2014-07-15 第186回国会 参議院 予算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年七月十五日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  七月十四日     辞任         補欠選任      中西 祐介君     酒井 庸行君     三原じゅん子君     豊田 俊郎君      渡辺 猛之君     島尻安伊子君      若松 謙維君     西田 実仁君      福島みずほ君     吉田 忠智君      平野 達男君     荒井 広幸君  七月十五日     辞任         補欠選任      酒井 庸行君     北村 経夫君      西田 実仁君     若松 謙維君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  力君     理 事                 青木 一彦君                 大家 敏志君                 片山さつき君                北川イッセイ君                 大塚 耕平君                 那谷屋正義君                 秋野 公造君                 小野 次郎君                 中西 健治君     委 員                 石井 正弘君                 猪口 邦子君                 宇都 隆史君                 大野 泰正君                 北村 経夫君                 古賀友一郎君                 佐藤 正久君                 佐藤ゆかり君                 酒井 庸行君                 島尻安伊子君                 豊田 俊郎君                 二之湯 智君                 堀井  巌君                 丸川 珠代君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 山下 雄平君                 山田 俊男君                 石上 俊雄君                 石橋 通宏君                 大野 元裕君                 金子 洋一君                 田中 直紀君                 福山 哲郎君                 牧山ひろえ君                 安井美沙子君                佐々木さやか君                 新妻 秀規君                 西田 実仁君                 若松 謙維君                 片山虎之助君                 松沢 成文君                 松田 公太君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 吉田 忠智君                 荒井 広幸君    委員以外の議員        議員       主濱  了君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        麻生 太郎君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣   下村 博文君        国土交通大臣   太田 昭宏君        防衛大臣     小野寺五典君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君    副大臣        財務大臣        復興副大臣    愛知 治郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 亮治君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房内閣審        議官       北村 博文君        内閣官房内閣審        議官        兼内閣国際平        和協力本部事務        局長       高橋礼一郎君        内閣法制局長官  横畠 裕介君        外務大臣官房審        議官       福島  章君        外務省総合外交        政策局長     平松 賢司君        外務省北米局長  冨田 浩司君        文部科学省研究        開発局長     田中  敏君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問  題に関する件)     ─────────────
  2. 山崎力

    委員長山崎力君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、閉会中必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎力

    委員長山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 山崎力

    委員長山崎力君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問題に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十九分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党百四分、民主党・新緑風会百九分、公明党四十六分、日本維新の会・結いの党三十五分、みんなの党四十五分、日本共産党三十五分、社会民主党・護憲連合二十分、新党改革・無所属の会二十分、本委員会委員割当てのない生活の党五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 山崎力

    委員長山崎力君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問題に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。佐藤正久君。
  6. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は、自由民主党、元自衛官佐藤正久です。  総理、私は、外務省職員としてカンボジアPKOに関与し、自衛官としてシリア・ゴラン高原PKO初代隊長、そしてイラク派遣先遣隊長を務めました。そこには、一国平和主義では平和も国民も守れない厳しい現実がありました。一国平和主義から脱却をして、積極的平和主義に基づいて国家国民を守るためには、グレーゾーン対処も駆け付け警護も限定的な集団的自衛権行使も必要不可欠です。  日米同盟も勘違いしている方がいます。日米が共同して一緒に日本を守るのであって、基地を提供しているからといって米国の兵士にだけ汗をかけと言っても通じるはずもありません。  私は、今回の閣議決定は、日本を取り巻くますます厳しさを増す安全保障環境の中で、抑止力を高め、国家国民を守る上で極めて重要な閣議決定であり、国のトップとしてその責任を果たすべく決断をし、リーダーシップを発揮された総理覚悟に敬意を申し上げます。他国のリーダーも同じです。この厳しい国際環境の中で、国家国民を守り幸せにするためにはいろんなことをやらないといけません。  総理は先週までニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアを訪問をされましたが、諸外国は今回の閣議決定をどのように評価し、そしてどのように認識されているというふうに総理はお考えでしょうか。
  7. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先般、ニュージーランド豪州、そしてパプアニューギニアに出張してきたところでございますが、私から閣議決定について説明をいたしまして、各国から歓迎と支持を得たところであります。  例えばアボット豪州首相からは、日本は戦後、模範的な国際市民であった、今回の閣議決定に対して明確な支持を表明していただいたところでもあります。日本は七十年前の姿で評価されるべきではなく、現在の日本の姿で評価されるべきであると、こう明確に述べていただいたところでございますし、また、私も、ASEAN全ての国々米国等を始め三十九か国近くを訪問し、そして首脳会談自体も、百回以上首脳会談をやっておりますが、その際、必ず、この集団的自衛権行使を含む今回の閣議決定、あるいは安保法制懇議論されていること等について文書でもって説明をしてきたところでございますが、おおむね支持理解をいただいていると、このように思うところでございます。  同時に、日本平和国家としての根幹は不変である、今回の閣議決定国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのものであるということをしっかりと説明をしてきているところでございます。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  多くの国々が、やっぱり一国のトップとして国家国民を守るために決断をしたと、これを評価をしていると。私も当然だと思います。このようにほかの国の理解を得る、これは非常に大事ですので、引き続き安倍内閣を挙げて説明をしていただきたいと思います。  我々政治家にとって、自衛隊が危険な任務に就くことがないように、自衛隊自衛のための武力行使をしなくても済む国際環境をつくるための外交努力を行う、これは本当に大事なことですが、ただ、我が国主権侵害され、国民の命が危険にさらされている、そういうような場合においてはやっぱり決断をしないといけない。個別的自衛権と読みたくても読むことが難しい、国際法上、集団的自衛権と読まざるを得ないというときにもやっぱり自衛隊出動を命じなくてもいいのか、あるいはこのまま放置をしていたら本当に国民犠牲が出てしまうんではないかという議論を、今回の与党協議の場でもぎりぎりの部分議論いたしました。  今から四十二年前に出された政府見解当時と比べて、ミサイル射程も延びました。国際環境も変わった。日本侵害を受けていない、侵略をされていないという場合でも、そのまま放置をしていたら我が国主権侵害される、あるいは国民権利根底から覆されるという場合には、国のトップとして決断をし、そして国民を守り抜くんだと、これが総理としての責任だと思いますが、総理はいかがでしょうか。
  9. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の三要件にあるように、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危機があるというときであります。そして、当然、外交手段等を尽くした後の話でございます。  その段階において、まさに国が危うくなり、国民の命が危険だというときに、そのときこそまさに自衛隊の皆さんに任務を全うしていただかなければならない。もちろんそれは危険が伴う任務でありますが、そのときはしっかりと任務を全うしていただく、そのお願いをしなければならない私には責任があるんだろうと、このように思います。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、やっぱり、総理の、行政府の長として、憲法に認められている国民の生存やあるいは自由、幸福追求権権利を守る責任総理にはあると思います。  例えて言うと、自分の家が火事になる前に隣の火事日米連携して消さないと国民の命が守れない場合があるんではないか、あるいは国民犠牲が出るまで何もしなくてもいいということでは私もないというふうに思います。そういうときに限って限定的に集団的自衛権を認めようというのが今回の閣議決定の趣旨だと思います。  自衛隊は、いざというときに、政治命令によって国家国民を守るために行動します。すなわち、そこには、一部マスコミが騒いでいるような、戦争に巻き込まれるかもしれないとか自衛隊の命が危ないとか、そんな観念的な論理は現場には存在しません。自衛隊は、国民を守るために、国家のために宣誓をします、入隊時に。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」と。何かあったら国家国民のために危険な任務もいとわないという宣誓をし、署名捺印をします。そのために、日頃から厳しい訓練というものをまさにいざに備えて徹底的にやっている、これが現場です。  イラク派遣当時、私も先遣隊長でしたけれども、多くのマスコミは、自衛隊が初めて危ないところに行く、今度は間違いなく被害が出るということでかなりあおりました。でも、派遣前には、実際には本当に世論も反対の方が多かった。でも、政府から、これは、中東の安定、イラクの安定が日本の国益、これにつながるんだという説明を受け、多くの隊員は納得し、希望いたしました。実際に、派遣前には、派遣の枠よりも希望者が多くて、それを残ってくれと説得することにも力を入れました。これが現実です。実際に派遣された後は、我々の活動を映像を見て、国民世論が今度は賛成に変わった。これが現実でした。  さらに、東日本大震災のときに、原発が一号機から四号機、ぼんぼんぼんぼん爆発をしました。これ以上、爆発を止めないと日本は大変なことになってしまう、時の政府から自衛隊に、ヘリコプターで上から放水をしろという命令が下りました。横は壁があります。天井が飛んでしまいました。一番放射能が強いのが上空です。そこをヘリで飛べというのが今回の命令でした。当時のヘリコプター隊長隊員を集めて、君たちにも家庭でいろんなことがあるだろうから、君たちの中から、希望者の中から今回の派遣部隊を編成すると言ったところ、全員が手を挙げました。これがやっぱり自衛隊現場なんです。やっぱり宣誓をして、国家国民のために、そこには本当に、政府から命令が出たら、これが国家国民のためであれば汗を流す、これが現場です。指揮官はその思いを分かった上で隊員に時には危険な任務を命じ、政治はそういうことも全部分かった上で決断をしないといけないと、私はそう思います。  ただ、今回、自衛隊を認めていないとか、自衛隊PKO派遣を反対していた政党までが自衛隊隊員の命が危ないということを今回絡めるのは私はなかなか理解し難いし、また、当時、隊員に厳しい訓練を命じていた元防衛庁長官までが、隊員の大方は覚悟ができていないということを、自衛隊を蔑むようなそういう発言は非常に嘆かわしいというふうに思います。  政治国防組織を信じ、そして国防組織政治を信頼しなければいけません。我々自衛隊イラク派遣のときも、何かあったら日本政府が、防衛庁が、陸海空、統合幕僚監部が守ってくれるということを信じて我々は汗をかきました。これがやっぱり現場なんです。  ただ、今回、個別的自衛権であれ集団的自衛権、限定的で、そこが、政府から命令あれば行きますが、やっぱりその部分の限定的な集団的自衛権という部分が、国民にも、やっぱり隊員の方にも、家族の方にも、何が限定的なんだというのがまだ伝わっていない、これが納得したらみんな行きますよ、私はそう思っています。  それでは、集団的自衛権の中身について若干議論をしたいと思います。  個別的自衛権というのは、攻められたら自分がはね返す権利集団的自衛権というのは、例えば、恐縮ですが、安倍総理と私が密接な関係にある、総理がやられたら私が助けに行く、私がやられたら総理助けに来る、こういうことができる、これがいわゆる集団的自衛権です。  今回閣議決定された集団的自衛権、やっぱり、これは米国有事米国防衛の目的のために例えばアメリカ本土まで行くということまでは想定しておりません。今回は自衛のための、自国防衛のための集団的自衛権的な側面が強い、そういう特徴があります。  資料一を見てください。(資料提示)これは朝鮮半島有事をポンチ絵にしたものです。まだ日本には攻撃がされていないという状況です。その際、日本近海ミサイル防衛のためにアメリカイージス艦が展開している例です。  法制局長官、お伺いします。北朝鮮から日本への攻撃がなされていない、かつ日本への攻撃意図も明言されていないこの状況で、米国の艦船を守るために憲法九条で許される個別的自衛権の発動が可能でしょうか。
  11. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 特定の国名を挙げてのお尋ねに直接お答えすることは差し控えますが、一般論として、我が国に対する武力攻撃が発生していない以上、個別的自衛権行使することはできません。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさにこの状況では防衛出動個別的自衛権を発動できない。  では、外務大臣にお伺いします。北朝鮮から日本への攻撃がなされていない、かつ日本への攻撃意図も明言されていないこの状況下で、自衛隊戦闘機護衛艦アメリカイージス艦を守るために武力行使を行う、この場合は、国際法上、集団的自衛権行使と読まざるを得ないと思いますし、また、集団的自衛権のそういう定義国際法上決まっている定義日本が勝手に変えることはできないと思いますが、いかがでしょうか。
  13. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、ただいま法制局長官からありましたように、一般に、この武力攻撃への着手を含めて、我が国に対する急迫不正の侵害が発生していない状況では、我が国はこの個別的自衛権行使することはできません。そして、国際法上、我が国が直接攻撃されていない中で米国に対する武力攻撃の一環としての米艦に対する攻撃があった場合、これを我が国武力行使によって阻止することは、武力行使を容認する国連安保理決議がない限りは、これは集団的自衛権行使する場合のみ正当化され得ると考えております。  そして、この国際法上の定義日本が勝手に変えることができるかという御質問もいただきました。  集団的自衛権とは、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化されている権利と解されております。もとより、こうした法的概念我が国独自の考え方に基づき変更することはできないと考えております。  一般論として申し上げるならば、我が国に対する武力攻撃がないにもかかわらず、これを我が国に対する武力攻撃であると拡大解釈して、個別的自衛権行使として武力行使を正当化すること、これは国際法上できないと考えております。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに朝鮮半島有事、このような状況においては、アメリカイージス艦ミサイル防衛イージス艦自衛隊が守るためには、これは集団的自衛権と読まざるを得ない、こういう例の一つということが明らかになっています。  自衛隊は、個別的自衛権、これが使えない状況下であっても、万が一日本ミサイルが落ちてはいけないということで、自衛隊法八十二条の三でミサイル破壊措置命令という形でイージス艦を展開します。でも、その場合においても、集団的自衛権が使えない以上、日本日本アメリカアメリカ、それぞれ別個に対応しないといけない。ミサイル対処をお互いに連携をしながら、実際守り合いながらという形にはできない。これが現状だと思います。  抑止力とは、やったらやられる、やっても意味がないということを相手に思わさなければ、それは効果が発揮しません。日本ミサイルが着弾する前から日米連携してミサイル対処をやった方が抑止力あるいは対処力観点からも効果的な場合があるというふうに思いますし、また国民の命を守るという観点からも非常に大事だと思います。  では、続いて、北朝鮮の、それでは弾道ミサイル能力、これはどのぐらいか、これについて議論をします。  資料二、これを見てください。  これは、アメリカが発表した北朝鮮弾道ミサイル能力です。これまで日本を三度横断したのはテポドンミサイルですが、一年半前の十二月十二日、テポドン2と見られるミサイルが沖縄を通過してフィリピンの東沖に到達しました。アメリカ防衛当局の分析では、既に一万キロを飛ぶ能力があると。例えば、東京からアメリカ本土の中部まで届く能力があると。そこまで技術が進んだということを公表しておりますし、防衛省も確認しています。あとは、場合によっては核弾頭をいかに小型化するか、ミサイルに載っけるという段階です。  防衛省局長にお伺いします。これまで北朝鮮は何回核実験を行ったと見られていますか。
  15. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答えを申し上げます。  防衛省といたしましては、過去の北朝鮮による実施の発表、それから核実験によって発生した可能性があります地震波を探知したこと、こうした情報によりまして、北朝鮮は、二〇〇六年の十月の九日、それから二〇〇九年の五月の二十五日、それから二〇一三年二月の十二日、合計三回の核実験を行ったものと考えておるところでございます。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 今まで三回やっていると。一般、普通の国によれば、核実験を四回ないし五回やればその小型化に成功すると言われています。あと一回か二回やればその小型化が成功するというような状況ということが予想されます。  さらに、日本にとって更に喫緊の課題は、日本射程に入れるスカッドあるいはノドンミサイル対応ということも言われています。スカッドCは北九州の辺りあるいは中国地方の一部というものを射程に入れて、またノドンはほぼ日本全土射程に入れる弾道ミサイルです。その数は、アメリカは数百発、ジェーン年鑑ではノドンだけで二百ないし三百発あると言われています。  資料三、これを御覧ください。  ここの載っている写真、これはスカッドCミサイルですが、ノドンミサイルも同じく車載の発射機ミサイルが一発載っています。これと、ミサイル二本、二発を搭載した輸送車両、これが二両、計大体五発が一つ射撃単位というのが通常というふうに言われています。さらに、この資料三の赤い点々、日本を囲っておりますが、これが元山に発射機を置いた場合のノドン射程、ほぼ日本全土射程に入れています。  今年の三月と六月と七月に、スカッドあるいはノドンと見られるミサイル日本海に向け発射しました。三月三日は東海岸から約五百キロ、三月二十六日は、今度、北朝鮮の西部、西側の方から東へ約六百キロ、共に成功しました。ここで注目は三月二十六日です。初めて北朝鮮自分の領空の上空を通過させた。今までは、東から東か、西から南だったんです。初めて自分上空を通過しました。で、成功。自信を深めているように思います。さらに、この七月八日、そして七月十三日にもこの西側から自分上空を通過して日本海の方に射撃しています。まさに、どんどん自分自信を深めている、今まではやっていなかった、これが今の状況です。  防衛省局長にお伺いします。北朝鮮日本射程に入れているノドンとかスカッド、このミサイル弾頭、これにはどのような種類があるか、簡潔にお答えください。
  17. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  弾頭についての御質問でございますけれども、ノドン、これについて申し上げますと、高性能爆薬を使用した通常爆弾に加えまして、北朝鮮が一定の生産基盤を有していると見られる生物化学兵器も搭載することが可能と見られているところでございます。  それから、北朝鮮核兵器弾道ミサイルに搭載するための努力を継続しておるところでございます。北朝鮮核兵器小型化弾頭化の実現に至っている可能性といったものも排除できないものと考えられております。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は自衛官時代化学科隊員でした。まさに核、化学生物専門でした。やっぱり、生物とか化学兵器というのは貧者の核と言われるぐらい、低い、ある程度の技術でもそれが弾頭化できるというものです。やはり、貧者の核と言われるそういう化学弾頭生物弾頭日本に着弾する前に何とかする、これは当たり前の話だと思います。ミサイルが発射された後ではなくて、発射される前にその発射機をたたけばいいんではないかという議論があろうかと思います。  防衛省局長にお伺いします。山岳地帯や森林もある北朝鮮で車載式のノドンスカッドミサイル発射機を発射前に、すなわち事前にその位置を特定することは容易でしょうか。
  19. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  北朝鮮は極めて閉鎖的な体制でございます。したがいまして、北朝鮮の軍事活動の意図といったものをそもそも確認することが極めて困難でございます。  それから、全土にわたって軍事関連の地下施設が存在すると見られておるところでございます。さらに、スカッドあるいはノドンといったような弾道ミサイル、これは発射台付きの車両、すなわちTELに搭載をされて、移動して運用されると考えられますので、その詳細な発射位置に関する個別具体的な兆候を事前に把握するということは極めて困難であると考えております。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 すなわち、テポドンのように発射台に備え付けて撃つものであれば衛星で発見することが容易ですが、車両で動く、車が入るところはどこでも撃てると、これが日本射程に入れているノドンとかスカッドミサイルの現状です。  続いて、防衛省局長にお伺いします。じゃ、そのスカッドノドンミサイルは、ミサイルの発射の前に、日本に到達するのか、あるいはそのほかの隣国とかあるいは日本海の方に到達するのか、これを判明することは可能でしょうか。
  21. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 弾道ミサイルの着弾地点ということでございますけれども、これはどういうふうに把握するかということでございますけれども、弾道ミサイルがブースト段階、すなわち燃焼段階が終了した段階で、自衛隊の場合ですと地上配備型のレーダーあるいはイージス艦のレーダーによりまして、弾道ミサイルの飛んだ方角それから高度あるいは速度、こうしたような航跡情報を得まして、これらを基に解析をして推定をいたすところでございます。  すなわち、弾道ミサイル発射前の段階におきましては、北朝鮮が仮に事前に攻撃対象を個別具体的に明示するといったような他の関連情報がない限り、これは着弾地点を推定するということは不可能でございます。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 つまり、北朝鮮には日本に到達するミサイルが数百発ある可能性があり、その弾頭には化学弾頭も含まれている、しかも、その発射位置は事前に特定することは非常に難しく、その弾着地点も発射されないとそれがどこに行くか分からない、そういう中でやっぱりミサイル防衛体制をしっかり構築しないといけないというのが我々の立場です。  これらの脅威から日本国民を守らないといけないんですが、自衛隊イージス艦ミサイル対応を持っているのが四隻です。そのうち、整備の間ドックに入っているのが大体一ないし二隻。アメリカの第七艦隊のイージス艦、五隻あります。それも同じようにドックに入る。四と五合わせて九隻、でも大体約三隻前後が整備に入りますから六隻で対応しないといけない。しかも、アメリカイージス艦は韓国も当然そのときは守らないといけない、範囲が違います。  今のミサイルの体制だと、日本、北海道から沖縄まで全部カバーするためには最低三隻のイージス艦がないといけない。これが数百発のものに対して対応する。決して、そのイージス艦の盾が強い、厚いというふうにはなかなか言いにくいという状況です。  しかも、弾道ミサイルというのは、ピストルの弾をピストルの弾で撃ち落とすというのが原理です。まさに発射された後、その弾道計算をしてミサイルをぶち当てる、迎撃する。そのためには、よく総理が言われるように、イージス艦、このレーダーを絞ってその弾道に、弾に当てないと弾道計算ができません。それをしないと当たりません。でも、絞ってしまうと横が見えなくなってしまう。そういうときに、今までもミサイル対応をやっていた日本イージス艦北朝鮮戦闘機が近づいてきているんです。でも、今、集団的自衛権が使えないと、日本を守ってくれる可能性があるイージス艦のそのレーダー絞っているときに守ることができない、これが今の状況です。  であれば、まさに、今回総理決断した集団的自衛権の限定的な行使によって、日頃からお互いに、日本日本アメリカアメリカではなく、まさにお互いに守り合うという体制を取ることが、私は、抑止上も対処上も、国民の命を守る上でも非常に重要だと思いますが、小野防衛大臣、いかがでしょうか。
  23. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 委員が大変専門的な御説明をしていただきました。イージスシステムでの防御、それからPACシステムで、二重の防御を日本ミサイル防衛をしております。  今お話がありましたように、今回のこの集団的自衛権行使するということに関しては、これは当然、我が国抑止力として大変重要なことになると思います。また、先般の防衛相会談の中でも、米側はリバランスについては明確なメッセージを出しておりまして、日本に新たにあと二隻のイージス艦を今後追加したいという意向もございます。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今回は隙間を埋める議論、まさにこれが隙間なんです。今、個別的自衛権が発動されない場合はあくまでも警察権の破壊措置命令、これでは守れない、この隙間を埋めないと国民の命が守れない場合がある、こういうことをぎりぎり公明党さんと今回議論しました。もうアメリカ本土までアメリカ防衛の目的の自衛隊が行くということを今回想定しているわけではなくて、まさにこのまま放置をしていたら日本国民の命が守れない場合があるということに限定をして今回真剣な議論をしたということだと思います。  まさに、アメリカイージス艦を守るということによって、その反射的効果として日本国民の命を守ることができる場合もある、これが今回の趣旨だと思いますが、ただ、このような任務がどんどん増えると、限定的な集団的自衛権行使が可能となれば、自衛隊任務が恐らく増えます。自衛隊は、閣議決定に基づく法整備がなされたらすぐ動けるわけではありません。自衛隊の主力は若者です。高校生、大学生といった若者です。彼らが一人前になるためには訓練をしないといけない。そのためには、しっかりとした訓練のやり方や、あるいは多国間訓練を含めて体制整備も必要になります。  今回の閣議決定あるいはこれに基づく法整備の結果、あるいは今年の末に策定される日米防衛協力の指針の見直し、その結果などを次の防衛計画の大綱あるいは防衛力中期整備計画の見直しにも反映すべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
  25. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今般の閣議決定で示された基本方針の下に、具体的な法整備を行うため法案作成チームを立ち上げ、作業を開始をいたしました。関係省庁で現在連携して作業を進めていくことにしております。また、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの見直し作業についても、本年末までという日米で合意されたスケジュールの下、今般の閣議決定を踏まえて作業を進めていく考えであります。  今後、自衛隊に新たに求められる具体的な任務や役割については、こうした法整備あるいはまたガイドラインの見直しの作業の中で検討をしていくことになります。具体的にどのように行動していくか、そのためにどういう訓練が必要か等々についてはまさにその中で検討していくことになるわけでありますが、現時点では自衛隊の体制や防衛費の見直しを行う必要はないものと考えております。このため、現行の防衛大綱及び中期防を見直すことは考えてはおりません。  また、次期防衛大綱及び中期防の見直しについては、現時点ではその具体的な方針は未定でありますが、いずれにせよ、自衛隊が与えられた任務を十全に果たせるよう教育訓練の在り方などについては不断の検討を行っていく必要があると考えております。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、今回、任務が増えれば訓練が変わります。まして、今までと違って、お互いに守り合うことができるという部分、切れ目ない、これまさに大きな、訓練が変わりますので、その点もしっかり体制を整備することが必要だと思います。  次に、日米防衛協力のガイドラインの見直しについて伺います。  九月発表予定の見直しの中間報告、これには今回の閣議決定の方向性を入れ込むべきだと考えます。それに基づいて、年末策定の日米防衛協力の指針の見直しには、抑止力対処力向上の観点から、日米共同の警戒監視、あるいは周辺事態における共同での弾道ミサイル対処、現に戦闘が行われていない公海上での後方支援、強制的な船舶検査、邦人含む避難民支援などを盛り込むべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
  27. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今委員が御指摘ありましたように、今回の日米の防衛協力のガイドラインにつきましては、先週ヘーゲル国防長官と会談をしまして、その中間報告を行うことにしております。これは、やはり透明性を高めて、周辺国を含めてしっかり説明することも必要だということでそのような方針を取らせていただいております。  なお、今委員から御指摘がありましたが、政府が一定の方針を出しましたので、今後、ガイドラインの協議も十分この内容を入れ込むことが必要だと思っております。今日から実は事務レベルでまた日米の協議がございますので、その中でもこのことについては米側にしっかり説明をしながら、意見交換をして反映できるように、また、委員が今御指摘されましたそれぞれの個別のことにつきましても、私どもとして検討していきたいと思っております。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、今回のガイドラインにどういうことを入れ込むかというのは、これがまさに抑止力上極めて大事なんです。大きなメッセージ性になりますから、ここはしっかりやっていただきたいというふうに思います。  続いて、集団安全保障について少し触れたいと思います。資料四を見てください。  これは、政府が示した十五事例の一つで、多国間で行う機雷除去の例です。遺棄機雷であれば危険物の処理ということで公共秩序の維持の一環で機雷除去ができますが、停戦前の敷設機雷の掃海は国際法武力行使とみなされます。  ただ、武力行使の新しい新三要件に照らして掃海が必要とされ、掃海を実施中に国連決議がなされ、国連からの機雷掃海の要請が加わり集団安全保障の世界に入ったとしても、これは継続するという答弁が昨日ありましたけれども、法制局長官憲法九条の関係でもこれは問題ない、継続は可能ということでよろしいでしょうか。
  29. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 新三要件の下、憲法上一定の武力行使が容認されますが、その根拠は、これまでどおり、昭和四十七年の政府見解で示された基本的な考え方を踏襲したものであり、国際法上合法であるとの理由によるものではございません。すなわち、憲法武力行使が許容される根拠は、その行使の際に必要とされる国際法上の違法性阻却事由とは別の事柄でございます。  そのような法理上の整理に従えば、我が国が、新三要件を満たす武力行使であって、国際法上は個別的自衛権あるいは集団的自衛権行使として違法性が阻却されるものを行っている場合に、その国際法上の違法性阻却の根拠が国連安保理決議となったとしても、我が国が新三要件を満たすその武力行使をやめなければならないということではございません。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、長官の方から、憲法九条の関係でも継続は問題ないという明確な答弁がございました。  世論調査の結果を見れば、集団的自衛権の限定的な行使は反対という方も、この個別的な事例、例えばホルムズ海峡の機雷掃海ということで設問をすると、賛成が七割を超えるという場合も今出ています。まさに、みんな変わってくるんです。要は、ホルムズ海峡が日本にとってどれだけ大事かということは国民は結構理解している方が多いというふうに思います。あの東日本大震災のときも、油がないことによりどれだけ我々の生活がいろいろ逼迫したか、みんな分かっていると思います。  資料五、これを見てください。  このペルシャ湾と日本を結ぶ赤い線、これが日本の油の道、オイルシーレーンです。エネルギー安全保障上、油の道が一本というのは本来は望ましくなくて、二本、三本と持っておくのが非常に大事なんですが、日本の場合、このホルムズ海峡を通るこの一本が止まったら大きな影響が出ます。この最狭部が三十三キロのホルムズ海峡、ここに日本関係の船舶が年間三千六百から約四千隻、これが通過しています。これは世界ナンバーワンです。日本の油の八割以上がここを通過しています。ペルシャ湾と日本を結ぶこの赤い線上に約九十隻のタンカーが浮いている、これが現状です。  さらに、そのタンカーに乗っている日本人の船員はほとんどおりません。ほとんどが外国の方です。このホルムズ海峡の封鎖された場合、株価が一番下がるのは日本だという指摘もあります。さらに、備蓄が半年あるといっても、備蓄を仮に放出したら株価はもっと下がるということが言われています。今、原発が止まっている、あるいは火力発電所は今動いていますけれども、これは油が足りなくなったら物すごく影響が出る、みんな分かっていますから。まさに今回のこのホルムズ海峡というのは、総理が何回も言われるように、日本の本当に国益上大きな影響を与えるという例だと思います。  このときに、やっぱり本当に日本が高い掃海能力を持っているのに、日本が一番恩恵を被っているのに、本当に何もやらなくていいのか。これは外国との信頼関係上も、あるいは日本に油を運んでくれている外国船員についても、多分信頼関係上、なかなか私は認められないこともあろうかと思います。  実際に私が派遣されたイラク、二〇〇四年の四月にこのペルシャ湾で日本のタンカー高鈴が武装集団の襲撃を受けました。それを守ってくれたのはアメリカの海兵隊とコーストガード、結果的に三名の若者が命を落としました。彼らにも、奥さんも小さな子供もいました。でも、そのときにアメリカ日本政府に言ってくれたことは、同じ活動をやっている仲間を助けるのは当たり前だと。当時は海上自衛隊がインド洋で給油活動をしていました。だから、同じ仲間と言ってくれました。  ところが、選挙で参議院の方は負けて衆参のねじれが起きて、野党の方からこのインド洋の給油活動は憲法違反だという指摘がなされて、給油活動を中断しました。そうしたら、現場ではいろんな批判がほかから来ました。なぜアメリカの若者が日本の油を守るためにこんな危険な任務に遭わないといけないんだと。イギリスのフィナンシャル・タイムズは一面で、これは武士道ではない、臆病者だと。がらっと変わりました。やっぱりこれが現実の世界だというふうに思います。  衆議院の方では三分の二の可決を使って、そして給油が再開されたときに、横須賀から出港した海上自衛隊の司令官は、政治家マスコミやいろんな一般の人がいる前でこういう挨拶をしていきました。憲法違反と言われた我々にも意地と誇りがあります、日本の国益のためにしっかり汗を流してまいりますと。普通、なかなか自衛官、ここまで言いません。やっぱりそのぐらいの覚悟を持ってやっている。そのぐらいこの油の道というのは極めて大事だとみんな分かっているんです。ほかの国も分かっている。これが実際だと思います。そういうときに、やっぱりみんなで守り合う、一国だけでは守れない、まさに一国平和主義は通用しないという例だと思います。  まさに、ホルムズ海峡での機雷掃海は、武力行使の新三要件に当たる場合もあると思います。こういう面から考えたら、総理積極的平和主義関係からも、日本のためにもこのホルムズ海峡での機雷掃海、日本は高い能力を持っていて一番恩恵を被っている。やっぱり私は、そういう場合においては総理決断をしないといけないときがあると思いますが、いかがでしょうか。
  31. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに現場を知っている佐藤委員から真実の声を伺うことができたと、このように思います。  かつてカンボジアにPKOを派遣するときも、日本が戦争に参加すると言われたあのとき、自衛隊に機関銃を一丁持たせるか二丁持たせるか、これが大きな議論になったんです。今から思えば大変ばかばかしい議論ですよ。二丁であれば完全に百八十度守ることができるけれども、まるで二丁あれば自衛隊が暴走するかの議論が事実なされていました。しかし、今まさにカンボジアの人々は、先般も回りましたけれども、日本のそうした自衛隊の汗があって初めて今日があると感謝をしていただいていると思います。  このホルムズ海峡については、今委員が指摘されたように、原油の八割、ガスの二割が入ってくるわけであります。例えば、イラン情勢が少し政治的に不安定になるだけでも、油価、原油価格は大きく変動するのは御承知のとおりでありますが、そこに機雷が敷設されて、完全にこれは封鎖された状況になれば、半年間備蓄があったとしても、その段階から経済的な危機に日本は見舞われるわけでありまして、これは日本だけではないと考えていいんだろうと、このように思います。  そして、その機雷を除去しなければ危機は去らないわけであります。誰かが除去しなければ、それは、その危機は去らない。では、その八割が来ている日本が何もしない中において誰かがやってくれるのかと、こういうことになるわけであります。我が国国民生活にはこれはもう死活的な影響が出てくると、こう考えてもいいのではないか。もちろん、三要件に当てはまるという判断をする中において可能性というのは当然あるんだろうなと、このように思うわけであります。  そして、シーレーンにおける機雷掃海は国際法上は武力行使に分類されるわけでありますが、その活動の実態は、国際法に違反して敷設された船舶の安全を損なう水中の危険物を除去するもので、実態としてはそういうものであります。戦闘の当事者にはなり得ない我が国国民外国の民間船舶を機雷や外国からの攻撃の脅威から防護し、そして安全な航行を確保する目的で行うものであり、これは受動的かつ限定的な行為となるわけでございます。  そして、今までも、この機雷掃海を行っていることから戦闘行為に発展したという事例はないわけでございます。事実、日本の掃海船も、木でできていたりあるいは強化プラスチックのものでありまして、非常にこれは脆弱性を持っておりますから、戦闘行為が行われているところに掃海活動に行くということはないわけでありまして、先般も母船と給油船しか行っていなかったわけでありまして、当然護衛艦が行ったんだろうという誤解を野党はしていたようでありますが、それは違うということは申し上げておきたいと思いますし、実際非常にデリケートな作業になります。  私の地元に掃海部隊の基地がありまして、その掃海訓練を拝見させていただきましたが、時にはフロッグマンが潜っていきながらこの機雷を荒れる波の中で除去をしていくという作業をするわけでありまして、作業自体が実は大変危険な作業であるということも我々は認識しなければならないわけでありますが、そうした掃海によって再び我々の生命線をつなぐことができるのではないかと、このように思います。
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさにそのとおりで、これは非常に大事だと多くの国民理解していると。結果として、世論調査をやるとあのような数字が出るというふうに思います。  防衛大臣にお伺いします。  一方で、ホルムズ海峡の機雷掃海が非現実的という批判もあるかと思います。確かに、機雷がまかれた、その敵の沿岸部に敵砲兵等が展開していて、その射程下にあるときはなかなかそれはやりにくいと、それは当然です。ただし、ある程度沿岸部が制圧をされて、機雷掃海する場所が敵の砲迫の射程外になった場合、たとえ内陸の方で一部戦闘が継続して停戦の前であったとしても、能力上は自衛隊の掃海部隊が機雷を掃海することができると私は思いますが、いかがでしょうか。
  33. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 機雷の除去については、日本自衛隊は世界最先端の技術を持っております。その中で、今御指摘ありました新三要件を満たすと客観的、合理的に判断される場合には憲法上許されるということになります。そして、そうなりますと、実際に部隊として十分に作業が行えるような環境であれば、それは停戦合意が行われていなくても、例えばそこに戦闘が及んでこないということが明確に私ども判断できれば、当然その作業は可能だということだと思います。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今回、先ほどの政府の事例ありましたように、これは非常に大事だと、武力行使の新三要件に合致をすれば、これはアメリカの要請であれ、途中で国連決議が加わったとしてもやっぱり継続することができるし、能力的にも自衛隊の方もある条件があればできるということが明確になりました。  ただ、この集団的自衛権議論はかなり進んだんですが、集団安全保障については議論はまだまだこれからという部分もあります。集団安全保障が全部が何でもいいというわけではなくて、今の憲法九条下においては、やっぱりそこは限界があると思います。  ただ、一方で朝鮮戦争は終わっていません。終戦ではなくて休戦状態です。朝鮮戦争の国連軍が展開しており、そしてまた横田にもその朝鮮戦争の国連軍の後方司令部があって、我が日本政府も国連軍との地位協定も結んでおります。場合によっては、日本の米軍基地から、米軍が国連のキャップというものをかぶって、そして朝鮮半島に赴くという場合もあるかもしれません。いろんなケースがやっぱりあると思います、集団安全保障というのは。  これはまさに集団安全保障については、私はこれまでの答弁で、この新三要件である程度歯止めはできているというふうに思いますが、やはりまだまだこの集団安全保障については議論をもっとしないといけない、今後の宿題だと考えますが、総理、いかがでしょうか。
  35. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま委員から御指摘がありましたように、国連の安全保障措置、様々なケースが存在いたします。しかし、我が国において憲法上この武力行使が許容されるのは、あくまでも今回の新三要件を満たす場合、このように限定をされております。それが、国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合であっても、また国連安保理決議が採択されてその根拠が集団的安全保障となる場合であっても、これは全く変わらないと考えております。
  36. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の答弁で明確になったように、要は、集団安全保障といえども今回の新三要件にある程度縛られると、全然白地ではないということが今答弁で明確になりました。  続いて、南西諸島防衛、領域警備について議論をいたします。資料六を見てください。  南西諸島、とりわけ与那国島等には、警察官の駐在官が少なくて、また離島ゆえに交通手段や気象の影響から警察官の応援にも制約が出る場合があります。与那国島は、人口約千六百人弱、警察官、二丁、石垣の警察署から約百二十キロ離れています。今後、自衛隊が約百五十人規模の部隊が配備される予定でありますが、小銃等で武装した集団が雨風の悪天候下に、しかも夜陰に紛れて上陸してきた場合、およそ百二十キロ離れた石垣島からの増援は夜間や気象条件により困難であることは明白です。その場合、与那国島の二人の警察官と拳銃二丁では絶対対処できません。  そこで、初動対処で島民の無用な犠牲を避けるためにも、警察に代わって与那国島に駐屯する自衛隊が武装集団などに迅速に対処できる枠組みが急務であると考えます。  資料七を御覧ください。これが現在の法的な枠組みの表です。  現行の治安出動においては、治安出動を命じて対応しようと思っても、そのためには閣議決定と国会承認が必要です。しかし、このような緊急事態においては、とても閣議決定とか国会承認、そういう手続では間に合わない、運用改善というレベルでは対応できない場合もあろうかと思います。ところが、今回はなかなか政府内での意見の集約もできずに、この問題は先送りとされました。  また、現行法制下で南西諸島や離島防衛、厳しいのは領空侵犯対処も同じです。島嶼ゆえに、その領空というのは島から十二海里、非常に小さな領空が島の上を点在しているという状況です。ただ、表にあるように、領空侵犯対処の場合は、そこで必要な措置ができるのは相手の対象機が我が国領空に入ってきた場合のみです。領空の外から我が国戦闘機攻撃をされる、あるいは外から我が国の島の施設の方に攻撃をされるというときはなかなか現行法制下では対処しづらい、武器等防護でも限界があるというのが現状です。  よって、まさにこのようなグレーゾーン対処というのは南西諸島防衛ではまだまだ課題があると考えます。このグレーゾーン法制というものについて、やっぱり南西諸島防衛という観点からも、今後、私は整備すべき課題と考えますが、総理、いかがでしょうか。
  37. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 大変、今、佐藤委員から重要な指摘をいただいたと、このように思っております。  我が国は実力行使を行う組織として、海上保安庁そして警察、さらには防衛省自衛隊があるわけでございます。その行為の中で警察権として自衛隊も含めて行動するわけでありますが、適切な対処、言わば相手に応じた適切な国家支援を振り向けていくことが極めて重要、かつ迅速に振り向けていくことが大変重要なんだろうなと、このように思います。  政府としては、武力攻撃に至らない侵害として想定される様々な不法行為に対処するため、治安出動や海上警備行動の発令手続を迅速化することを含め各般の分野において必要な具体的措置を講ずるなど、一層の取組の強化が必要と考えております。  私も、かつて官房副長官当時、北朝鮮の工作船が入ってまいりまして、そして海保の船と事実上の銃撃戦になったのでありますが、相手側は、後に分かったことでありますが、ロケットを肩に担いで発射する、そうしたものを武装していたわけでありまして、それが当たれば、海保の船はそういう攻撃に弱いですから一発で撃沈される。しかし、海自の船であればそうした防護能力があるわけでありまして、どこかの段階で情報をしっかりと取って対処できる体制を同じ警察権の中でも取っていく必要が当然あるんだろうなと。そういうことも含めて、今までの経験も含めてしっかりと対応していくことが必要だと思います。  ただし、領空侵犯対処に関しては、あらゆる国の航空機は公海上空を自由に飛行することが認められていることから、航空侵犯が発生するおそれがある場合には、自衛隊機が公海上空において警告、誘導、又は武器の使用等の措置をとることについては、国際法との整合性を考慮し慎重な検討が必要であります。  現時点において、領空侵犯対処について新たな法整備を行う必要があるとの認識には至っておりませんが、他方、今般閣議決定された政府方針を踏まえ検討を行った結果、政府として法整備が必要であるという認識に至れば与党において改めて議論をしていただきたいと、このように思います。
  38. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  大事なことは、いかに南西諸島、島、あそこ点在していますから、そこにいる国民を守り切るかと、ここに尽きると私は思います。  それでは、国際協力について質問をいたします。  今回、駆け付け警護や任務遂行の武器使用というものが認められるという形になりました。しかも、かつ、戦闘地域、非戦闘地域という概念ではなくて、後方支援においても現に戦闘が行われていない現場においてできると。私もイラクの方に行ったときに、当時、小泉総理が、自衛隊がいるところが非戦闘地域であるということを受けて現場で聞かれました。でも、実際は無理でした、ここからが戦闘地域、ここからは非戦闘地域と。まさに今回はそういうことじゃなくて、現場に即したネガティブリスト的な、現に戦闘が行われていない現場においてできると。  これは極めてこれから活動しやすくなると思っておりますし、駆け付け警護は、今までできないがゆえに、自分の部下隊員が離れたところで作業をしている、そういうときに、何らかでも襲われたといっても武器の使用を前提として助けに行くことができない。自分の部下を助けに行くことができない。しかも、あるいは近くで日本人がレストランを経営している、その方が暴動に巻き込まれた、助けてほしい。今までもありました。でも、今までは武器の使用を前提として助けに行くことができなかった。どうやったかと。外に出る隊員を迎えに行くという形で、その余席で乗っけたと。こんな現場に無理をさせています。あるいは、任務遂行の武器使用ができないから、日本にとって大事な国連の通信施設がそばにあってもそれを守ることができない。いろんなことがありました。それは今回でかなり改善される。  今までは、任務と権限との乖離、これに非常に苦しんできました。本来、政治は、現場の方にそういう無理を強いたり、応用を求めてはいけないはずで、やっぱり現場隊員がしっかり動けるようになる。まさに今回の決定というのは、防衛大臣隊員の命を守る、あるいは任務遂行の上でも極めて大きな進歩だと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 委員が御指摘されているように、実は私も先般、南スーダンのジュバに行きまして、実際そこで、今、南スーダンの復興支援を行っている隊長を含め隊員から様々な意見を聞いてまいりました。その中で、やはりこのような現場指揮官が直面し得る難しい問題、これが政治の場、国会の場で議論をしていくこと、これは大変意義があると私も実感をしております。  現場で国際貢献のために汗をかいている隊員がしっかりとした任務が遂行できるように、また、そのためには今回様々な法整備も必要でありますが、それと同時に、装備やあるいは十分な訓練、こういうことも併せて万全な体制が必要かと思っております。
  40. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  ただ、総理、今回、法整備において、この後方、多国籍軍に対する、イラクやインド洋や、ああいう多国籍に対する後方支援というのを行う場合には、やっぱり特措法を作らないと今はできないという状況になっています。今回、この閣議決定を受けて法整備やるときに、我々自民党が野党時代に出したような一般法という形でやるのか、あるいはそのときにまた応じて特措法でやるのか、二つの選択肢があると思います。でも、特措法の場合はやっぱり時間が掛かります。速やかに対応するということは困難で、後へ行けば行くほど、日本の得意な分野、得意な地域というところが選択肢として取れないという場合もあります。私は一般法という形で整備すべきだと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  41. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今後の国内法の整備の在り方につきましては、今回の閣議決定で示された基本方針の下、政府として十分な検討を行い、準備ができ次第国会に法案を提出をして、国会における御議論をいただくことを考えております。  準備に当たっては、グレーゾーンから武力行使に関するものまで幅広い法整備を一括して行っていく方針でありまして、具体的な進め方については、一般法か特措法かといった法律の形態も含めて今後よく検討していくことが、膨大な作業になるため少し時間が掛かってきますが、検討を行っていかなければならない、与党においても御議論をいただきたいと、このように思います。  省庁間で連携をし、精力的に作業を進めていきたい。繰り返しになりますが、その際、与党とも十分に協議、連携させていただきたいと、このように思います。
  42. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党は野党時代にやっぱりここの議論をいたしまして、やっぱりいろんなものにまさにシームレスに、時間的な隙間、ああいうものを含めながら、これに対応するためには、やはり駆け付け警護や任務遂行の武器使用も含めた一般法が望ましいという形で法案を国会に提出させていただきました。その法案なんかも参考にしていただきながら、しっかり総理が言われる積極的平和主義というものを実践できるよう、現場隊員が困ることがないよう、そういう法整備をしっかりやっていただきたいということを重ねてお願いいたします。  次に、今回、米軍部隊の武器等を防護するための武器使用、これが可能となりました。  防衛大臣にお伺いします。今回、自衛隊の武器等防護と同じように米軍部隊の武器等を防護するための武器使用ということが可能となりましたが、これは、南西諸島防衛警備というもの一つ取っても非常に私は効果的だと思いますが、防衛大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  43. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指摘によりますように、今、グレーゾーンの事態が多数発生するということを様々想定して議論をしております。  自衛隊と連携して我が国の防衛に資するために活動している米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合に、自衛隊法九十五条による武器等防護の考え方を参考にしつつ新たな考え方をつくっていくということ、これは日米の緊密な関係、特に先ほど来委員が事例を出していただいておりますが、日本防護で、例えばミサイル防衛にしても、日米は大変密接に関係しております。このことに関しては、大変日本にとって資することだと思っております。
  44. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  まさに今回の閣議決定は今までとかなり違って、非常に現場にとっては有り難い部分も結構あると思います。これはまさに、この部分というのはなかなか国民に伝わっておりませんので、またいろんな場で、防衛省の方も、今回の米軍との武器等防護というものがどういう効果があるかと、また具体的な例で国民の方に説明をしていただきたいと思います。  最後に、総理自衛隊への思いという観点質問をさせていただきます。  総理は、政府の代表者として、また自衛隊の最高指揮官として、国を守り国民を守るために、現場指揮官隊員の思いを十分踏まえた上で、有事には自衛隊犠牲をも覚悟して出動を命ずる決断をしないといけない、そういう場合があろうかと思います。  ただ、一般に、殉職した際の自衛隊員の補償というのは警察官と比べると低いという現実があります。さらに、国民の命と平和な暮らしを守るための過酷な訓練中に命を落とされたり、あるいは国民の命を守るための災害派遣のさなかに力尽きた自衛隊の殉職隊員の数は、これまでに千八百人を数えます。一方、警察の殉職隊員は約五百人であります。ところが、退官後の危険業務従事者叙勲、この受章数を見ると、自衛隊員は警察の半分という現状にあります。これは、警察の定年時の階級が警部補から警視正、この対象者はほぼ全員がもらえます。  一方、それと同じ階級、自衛隊は准尉と三佐の対象者、この叙勲の対象はいわゆるC幹部と言われている人だけで、最初に幹部になったB幹部と言われる人間は対象外です。これによって半分になってしまう。もう初めになった、頑張った者が報われないという今現状があります。時には危険な任務を命じる、これがやっぱり政府であれば、これは原点に返って、現場隊員がしっかりとそういうときに名誉と誇り、そういうものを持って動ける体制をつくるためにも、この辺りの処遇というのが私は大事だと思います。  かつて、自衛官は日陰者である方が日本のためになるんだという吉田総理の訓示もあったかと思いますが、今や自衛隊は第一線で日本国民のために命を張っています。彼らのやっぱり名誉や誇り、彼らにも権利や自由はあります。それを乗り越える義務と責任を彼らは果たすんだという覚悟でやっておりますので、この辺りの自衛隊の名誉と尊厳、処遇について総理からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  45. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに佐藤委員が指摘された点は極めて大切なことだと思います。自衛隊の諸君が高い士気と誇りを持って任務を遂行できるようにしなければならないと思います。  昨年末に策定した新防衛大綱及び新中期防において、「栄典・礼遇に関する施策を推進する。」と明記をいたしました。本年四月には、私は指示をいたしまして、元統合幕僚会議議長に対して、その職責を踏まえ瑞宝大綬章が授与されたわけでございまして、叙勲に関しましても適切な運用に努めてきたと、このように思います。  また、安心して職務に従事するためにも、また御家族の皆様にとっても、安心して隊員が職務に従事する上においても、処遇に係る施策は重要であります。これまでも、万が一隊員が死亡した際の災害補償や賞じゅつ金などの制度を充実をしてきたところでありますが、今後とも、自衛隊員に対しその任務にふさわしい名誉や処遇が与えられるよう、不断に検討していく考えであります。
  46. 佐藤正久

    佐藤正久君 終わります。
  47. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で佐藤正久君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  48. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、島尻安伊子君の質疑を行います。島尻安伊子君。
  49. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 自由民主党島尻安伊子でございます。  私の選挙区は沖縄でございます。本日、安保法制に関する質疑をさせていただくわけでありますけれども、沖縄県民、もう常日頃から安全保障は県民自らの現実の問題として敏感に感じているということから、できるだけ県民の皆様に御理解をいただけるように、また県民の皆様方の不安を払拭できるような、そんな質問を進めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  県民が安全保障には敏感だということは、沖縄の歴史から至極当然だと言っていいと思います。沖縄県平和祈念資料館のホームページにこんなくだりがございました。  一九四五年三月末、史上まれに見る激烈な戦火がこの島々に襲ってきました。沖縄戦は日本における唯一の県民を総動員した地上戦であり、アジア太平洋戦争で最大規模の戦闘でありました。沖縄戦の何よりの特徴は、軍人よりも一般住民の戦死者がはるかに上回っていることにあります。県民は、想像を絶する極限状態の中で戦争の不条理と残酷さを身をもって体験しましたというくだりでございますが、この部分だけでも、なぜ沖縄県民が戦争を嫌う思いが一層強いかということがお分かりいただけるんだというふうに思います。  沖縄戦で亡くなった人の数は二十万六百五十六人、そのうち日本人は十八万八千百三十六人、アメリカ人は一万二千五百二十人、日本人戦死者のうち沖縄県民は十二万二千二百二十八人、これは実に県民の四人に一人が亡くなっているということになります。他都道府県出身兵も六万五千九百八人もお亡くなりになっております。  そして、御承知のとおり、沖縄県は戦後米施政権下に置かれまして、日本復帰後の今なお在日米軍専用施設の七四%が集中しておりまして、日米同盟あるいは日本の国防は沖縄が背負っている、しょっていると言っても過言でない事実がございます。  そこで質問に入らせていただきますが、冒頭も申し上げたとおり、このような背景を持つ沖縄は、安全保障を自らの現実の問題としてとても敏感に感じております。今回の閣議決定についても、地方議会の意見書や地元メディアで、沖縄の基地が真っ先に標的になるとか沖縄が再び戦争の島になるとか、多くの不安の声が出ているというのが現状であります。  総理は、七月一日の記者会見において、平和国家としての日本の歩みはこれからも決して変わらない、むしろその歩みを更に強いものとする、そのための決断こそが今回の閣議決定ですと述べられました。また一方で、総理は、不戦の誓いという言葉も度々発しておられます。  沖縄県民の不安や誤解を払拭すべく、いま一度、総理日本の平和主義の堅持、不戦の誓い、今回の閣議決定憲法九条の規範が変わるものではないということを述べていただきたいと思います。
  50. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに沖縄は、日本で唯一の地上戦を戦った地域でありまして、県民の皆さんが大変な苦しみの中で多くの犠牲者を出してきたわけでございます。  日本は、さきの大戦の結果を受けて、その痛切な反省の上に今日まで平和国家としての歩みを歩んできたわけであります。その中で、自由で民主的で、基本的人権そして法を尊ぶ国をつくってきたところでありまして、戦後六十九年にわたり平和国家として歩んできたこの道のりが今後もいささかも変わることはないわけでありまして、二度と戦争の惨禍において沖縄の県民もそして日本国民も苦しむことのない時代をつくっていくことは私たちの大きな責任であります。その中で、不戦の誓いを立てた日本、世界の恒久平和を願い続ける国でこれからもあり続けると、このように考えておりますし、そうでなければならないと、こう思います。  今回の閣議決定でお示しをした新三要件、昭和四十七年の政府見解の基本的な論理の下で導き出されたものでありまして、具体的には、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があること、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことという新三要件は憲法上の明確な歯止めであり、国際的に見ても例のない極めて厳しい基準であると言ってもいいと思います。  また、今回の閣議決定は、集団的自衛権行使に当たる武力行使ができるようになるわけではありません。国内法の整備が必要であり、改めて国会の御審議をいただくことになるわけでありまして、実際の行使に当たっても、これまでと同様、国会承認を求める考えでありまして、そのことは閣議決定に書き込まれております。  民主主義国家である我が国としては、慎重の上にも慎重を期して判断をすることは当然のことでありますが、今回の決定は、繰り返しになりますが、憲法の規範をそのまま受け継ぐものでございます。
  51. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  総理も御出席いただいております毎年六月二十三日の沖縄の慰霊の日でありますけれども、この日は、朝から遺族会の主催で全国戦没者慰霊平和行進が行われておりまして、もう全国から戦没者の御家族が、朝たしか九時出発だったと思いますけれども、二時間以上掛けて慰霊の日の式典会場まで歩いていかれます。私も、一緒に参加して皆さんのお話をお聞きしながら、やはり戦争が起こった歴史を見詰めて、多くの御霊の尊い犠牲を常に忘れないということが大事だというふうに思っております。  さて、今回の閣議決定に至るまでには与党協議が十一回も重ねられてまいりました。座長の高村自民党副総裁と座長代理を務められた北側公明党副代表の御発言からも、本当に真摯な慎重な協議が重ねられたということが分かります。  責任ある連立与党の協議について、特に今回の閣議決定までの過程を総理御覧になって、与党協議の意義、また両党の果たす役割についてどのようにお考えか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  52. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 五月十五日の安保法制懇の結論を受けまして、報告を受けまして、与党の協議がスタートしたところでございます。  自民党、公明党の連立与党は、我々は与党を形成することによって、私たちが連立与党を形成することによって政局を安定させ、しっかりと政策を前に進め、日本を成長させ、そして国民生活を豊かにする、こうした実績を残していったと、このように思っています。そしてまた、その政局を安定させていくことによって結果を出していくことができるという責任感こそ自民党、公明党の連立の紐帯、きずなではないかと思います。もう連立政権をつくってから何年か経過をしているわけでありますが、風雪に耐えた連立政権と言えるだろうと思います。  今回ももちろん意見の相違はありました。しかし、当然それは党が違うわけでありますから、意見の相違がある中において連立政権を組んでいるという重みをしっかりとかみしめながら、最後は決めるべきものは決めていく。そして、ただ一点でありまして、国民の命と幸せな生活を守っていく上において今までのままでいいのかということでありまして、グレーゾーンから武力行使に至るまでの法整備をしっかりと進めていく、そのための閣議決定に至ったところでございます。  高村副総裁、そして北側副代表を始めワーキングチームの皆さんには十一回に及ぶ議論を積み重ねていただきました。もちろん、それだけではなくて、高村さんと北側さんの間では毎日のようなやり取りもあったと承知をしております。相当激しい議論もございましたが、最終的には公明党の皆様の御意見も十分に承りながら、後世の批判に堪え得る閣議決定を行うことができたと、このように思います。
  53. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今後、閣議決定に基づく法整備が進められていきますけれども、その過程においても両党の連携がますます重要になっていくというふうに思っております。責任ある連立与党に対する国民の期待に我々は応えていく必要があるというふうに思っております。  それでは、次の質問に移ってまいります。グレーゾーンについての質問をさせていただきます。  先ほど佐藤委員からも、これは、島嶼防衛というのは大変大事だという質問がございましたけれども、私も同じ立場、同じ考えでの質問をしたいというふうに思います。尖閣諸島をめぐる動きもございますし、また東シナ海での安全保障はまさに現在進行形の問題だということからすると、いわゆるグレーゾーンの扱いは極めて重要だと思っております。まず、パネルを御覧いただきまして、尖閣諸島周辺等の現状を見ていただきたいと思います。(資料提示)  資料の一でありますけれども、これは航空自衛隊のスクランブルの回数を示しております。平成二十五年度は、全国の合計八百十回のうち沖縄や奄美群島を担う南西航空混成団の対処が約半数の四百二回でありました。これは、一年間毎日緊急発進しなければならない状況が起こっているということでございます。先日ありました中国の戦闘機が我が方航空自衛隊機に異常接近したという報道もまだ耳に新しいと思います。三十メートルまで接近したということで、大体戦闘機の縦の長さが三十メートルだというふうにお聞きしましたけど、それを考えると、あのスピードで三十メートルとはまさに挑発行為、異常事態だということだというふうに思います。  次のパネルを御覧ください。  これは領海侵入に関してのパネルでございますけれども、尖閣諸島周辺では、二〇〇八年、平成二十年に中国公船が我が国領海内に初めて侵入をいたしまして、その後、平成二十四年九月の尖閣諸島国有化以降、御覧のように接続水域や領海内への侵入が急増しておりまして、昨年一年間では延べ百八十八隻にも上っておりまして、現在、毎月五隻以上が領海内に侵入しているという状況を聞いております。もうこのグラフはまさに一目瞭然だというふうに思っております。  また、次のパネルをお願いいたします。  過去に実際起こった事例を中国大陸から見た日本の地図に置き換えてみました。日本列島が大陸を覆うような格好ですから、中国にとっては目の上のたんこぶかもしれませんけれども、例えばこれ、五島列島、長崎の五島列島に中国の漁船百六隻が台風からの避難を理由に押し寄せたとか、あるいは鹿児島の下甑島に中国人の密航者二十人が上陸をし、このときは航空自衛隊員も捜索に加わったとか、あるいは、ここには明記しておりませんけれども、尖閣諸島には昭和五十三年、百隻、二百隻という大量の中国漁船が現れて、一部は領海に侵入したと、中には武器を携えている者もいたと、こういう事例があるわけであります。  先ほど総理の方からもいろいろな事例が御披露されたわけでありますけれども、日本には六千八百五十二もの島がございます。この島に武装集団が、領海侵入ばかりか、突如上陸をして、退去せずに居座り続けるようなことが決して起こらないということは言えません。  総理に御質問申し上げますけれども、今回の閣議決定でもグレーゾーンに関する内容が含まれております。離島周辺での領海侵入また不法上陸といったいわゆるグレーゾーンの扱いについて、改めてお聞きをしたいと思います。
  54. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 安全保障においては、我が国に対する脅威というのはあらゆる形を取って行われるわけでありまして、改めてこういう形態ということを特定するのは大変困難でありますし、そうしたあるこちら側の思い込みで特定をしても、特定すれば相手はそれを裏をかいてくるわけでありますから、そこにおいては柔軟な態勢も必要であろうし、しっかりと切れ目のない、シームレスな備えが必要なんだろうと思います。その意味におきましては、グレーゾーン、極めて大切だと思います。  我が国を取り巻く安全保障環境、今、島尻委員が御指摘になったように一層厳しさを増しているわけでありまして、それを考慮すれば、純然たる平時でもまた有事でもない事態、平時でも有事でもないという事態が生じやすいわけでありまして、これにより更に重大な事態に至りかねないリスクを有しているところであります。  我が国は、御指摘のように六千を超える島々で構成をされておりまして、沖縄にも多くの離島が存在をしています。現在、警察、海上保安庁、そして自衛隊がしっかりと領土、領空、領海の警戒監視、治安維持に当たっておりますが、安全保障を考える際には、常に最悪の事態に備えながら万全を期すために不断に努力をしていくことが大切であります。  こうした武力攻撃に至らない侵害に際し、警察機関と自衛隊を含む関係機関が基本的な役割分担を前提として、より緊密に協力し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するための態勢を整備することが一層重要な課題と考えております。
  55. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今回の閣議決定には、例えば早期の下令や手続の迅速化といった運用改善策について具体的に検討するという旨が書かれておりますけれども、やはり領海警備についての法整備というものは盛り込まれませんでした。与党協議の結果、この分野での法整備が必要との結論に至らなかったということではございますけれども、私は、今総理がむしろおっしゃられたように、シームレスな安全を確保するということが必要だというふうに思っておりまして、ここをきちんとやるべきではないかと考えております。  島の守りが国の守りでございますから、法的な隙間を埋めるとか、あるいは領域警備の現場が、今お話があったような警察、海上保安庁、自衛隊がそれぞれの役割を認識して即行動できる環境になければ意味がないというふうに思っております。様々なシミュレーションをして問題を洗い直す必要があると思います。  政府として、引き続き十分に検討すべきだというふうに思いますけれども、改めてこの点についての総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  56. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府としては、武力攻撃に至らない侵害として想定される様々な不法行為に対処するため、治安出動や海上警備行動の発令手続を迅速化させることを含めて、各般の分野において必要な具体的措置を講ずるなど、一層の取組の強化が必要であると考えております。  領土、領海の治安の維持については、警察や海上保安庁が第一義的な責任を負うことになります、第一義的な責任を有しております。自衛隊は、これら警察機関では対応が不可能又は著しく困難である場合に、治安出動や海上警備行動の発令を受け、警察機関と連携しつつ対処をすることになります。  このような基本的な役割分担を前提とすれば、近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対応できない場合の対応について、現時点において法整備を行う必要があるとの認識には至っておらず、治安出動や海上警備行動の発令手続を経ている間に不法行為による被害が拡大することがないよう、状況に応じた発令手続の迅速化といった運用の改善を検討することとしております。  私も、先ほどお話をさせていただいたんですが、私の数少ない経験ではありますが、北朝鮮の工作船が侵入した際、これは海上保安庁が対応し、最後は撃沈をしたわけでありますが、相手側はモバイル型のロケット砲を持っておりました。事実、それは二発発射をしたのでありますが、たまたま波が大きくうねって、その発射したロケットは海保の艦艇の上を飛び越えた、二回とも飛び越えたわけでありますが、それがもし命中した場合は、海保の船は高速で走ることが求められておりますのでアルミ製でございますから、当たれば、これは一発で燃えて撃沈ということになるわけでございます。かなりの、それ以外にも機関銃等、重武装がなされていたわけでございます。そうした情報を収集する、あるいは情報を一元的に管理する必要があって、そのときどちらがいいかということを判断する必要はあるんだろうと。  これは、法整備を新たにしなくても、情報をしっかりと一元管理、司令塔的な一元管理ができて、これは言わば国の持っている資源として、実力組織として、海保がいいのか、あるいは自衛艦がいいのか、海上保安庁の艦艇がいいのかということを早く瞬時に判断をする必要があるんだろうと。そういう態勢をつくることが大切であって、幾ら法整備をしたところで、そのとき判断を誤ったり、あるいはなかなか判断を下さなければ、結果は悲惨な結果になるということになるのではないかということでございますから、そうした経験も生かしながら、迅速に正しく、相手の力によって対応できる自衛隊、あるいは海上保安庁、警察、こういう対応ができるような態勢をつくっていきたいと、このように思っております。  他方、今般閣議決定された政府方針を踏まえ検討を行った結果、政府として法整備が必要であるという認識に至れば、与党において改めて御議論をしていただくことになります。
  57. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  特に沖縄にとって、尖閣諸島で今何が起きるか分からないような中にございます。もう毎日、自衛隊始め海上保安庁の皆様が緊張の中の緊張でやっていただいているということも耳にしておりますし、やはり有事を想定して万全の対策を打っていくということが大事、しかも、今まさに総理がおっしゃったような現場が即応できるような態勢を、環境を整えていくということが大事だということ、また、その環境を整えるのは我々でもあり、あるいは政府責任でもあるというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。  それでは、次の質問に移ります。  日米ガイドラインの見直しと、抑止力強化と沖縄の関係についての御質問をさせていただきます。  総理は、記者会見で、万全の備えをすること自体が抑止力である、今回の閣議決定によって日本が戦争に巻き込まれるおそれは一層なくなっていくというふうに述べられました。閣議決定文にも、日米同盟抑止力向上により、武力紛争を未然に回避し、我が国に脅威が及ぶことを未然に防止することが必要不可欠であると書かれております。さらに、昨年末に閣議決定されました国家安全保障戦略の中でも、我が国自身の抑止力の向上というものはもとより、日米同盟抑止力により自国の安全を確保しているというふうにございます。  平和は待っていてもやってきませんし、戦略的に平和を勝ち取っていかなければならない。私は、まさに総理のおっしゃる積極的平和主義に賛同するものであります。今回の閣議決定日米同盟抑止力がどう維持強化されていくのか、また、そのための日米ガイドラインの見直しがどう進むのかということに関して総理にお伺いをしたいと思います。
  58. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) まず冒頭でございますが、前回の台風八号での沖縄の被害について、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。また、自衛隊、電力の復旧のための輸送、あるいはマンゴーの輸送を省庁間協力で今回させていただきました。  今御指摘がございましたが、日米の、今回の様々な安全保障法制の検討の中で、当然、今後、日米の防衛協力のガイドラインの中にこれをしっかり反映させていきたいと思っております。今日から、今日もまたそうですが、事務レベルでの日米の協議が東京で行われますので、その中でも今回の政府の方針をしっかり反映させる中で、我が国の防衛、安全保障に大変資する形でのガイドラインが今後作っていけるというふうに思っております。  また、そのガイドラインについては、これやはり周辺国を含めて透明性を確保することが大切と思っておりますので、中間報告等でより説明を丁寧にしながら、この日米のガイドラインの役割というのは、基本的にはやはり日本の安全保障の問題、そしてそれが抑止力につながる、そのような丁寧な対応をしていきたいと思っております。
  59. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  今防衛大臣おっしゃったように、今回の台風によって大変な被害があったわけでありますけれども、常にそういったときには自衛隊出動によって大変県民助かっておりますし、お話にもありました、今回は台風の前にたしか、ちょうどマンゴーの収穫期でございまして、もうマンゴーといえば沖縄で大事な農作物でございまして、その輸送に関しても何と自衛隊の皆様に御協力をいただいたということ、このことについても御礼を申し上げたいと思います。  今、日米ガイドライン、あるいは日米同盟抑止力というお話をさせていただきましたけれども、このことは、一方で沖縄側から見ますと、日米同盟の強化、抑止力の強化と聞くと、すぐにイコール軍備の強化というようなイメージに陥りやすいということはこれ確かなことでございます。ただ、私は、日米同盟の強化ということで抑止力を更に強めるということを考えるときに、軍事的なことだけではないというふうに考えております。いわゆるソフトパワーを軸に同盟を強化するということが新しい抑止力を生み出すのではないかというふうに考えております。  ここで、ちょっと興味深い調査結果があるので御披露させていただきます。  沖縄県の知事公室が行いました県民の意識調査で、米中のどちらに親近感を感じるかという問いに対しまして、米国と答えた人が五九・一%、中国と答えた人が三・五%と大変大きな開きがございます。米国への好印象は前年度比五・二%アップしているという状況でございます。さらに、中国に対して、良くない、あるいはどちらかといえば良くないという印象を持っている人は八九・四%というデータがございまして、この数字から分かるのは、沖縄県民は米国に対しては大変好意的だということがこの数字から分かるんだというふうに思います。  日米同盟の強化を進める上で沖縄での日米ソフトパワーアライアンス、例えば人的交流とか医療だとか教育だとかそういったものの連携というのは、これは成功の鍵になるのではないかと思っておりまして、これらも踏まえて、総理から、日米同盟の強化イコール沖縄の基地負担増ではないということを明確にお話しいただきたいというふうに思います。  じゃ、まず防衛大臣からいただきます。
  60. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 日米の協力の中で、実は、例えば米軍施設の跡地利用、これについても今様々な前向きな検討が出ております。委員が前から御指摘をいただいておりますように、例えば西普天間の住宅地区につきまして、この跡地についての利用については今沖縄県が国際医療拠点の整備ということで、それを目指していただいております。  それに併せて、例えば一日も早くこの返還に向けた作業をするために、掘削に伴う埋蔵文化財調査などの返還の前の立入調査、こういうことも日米間で合意するなど、これはもう外務省、今最前線に立って、米側と協議をしながらこういう返還の後の様々な利用についても協力をする、そのような動きが出てきております。
  61. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 沖縄の負担軽減を進めていく上においても、これは日米間の信頼関係がなければできないと、このように思います。だからこそ、我々が政権に復帰をして、日米同盟のきずながしっかりとしたものになりました。その結果、先ほど小野大臣から説明をいたしましたように、嘉手納より南の施設の返還が実現されたわけでございます。それを発表したときにはそんなことは本当に進んでいくのかと言われたわけでありますが、順調に今進んでいるわけでございます。  そしてまた、さらに普天間飛行場の五年以内の運用停止、早期返還、これは知事から御要望をいただいているわけでございますが、この件についても、四月に来日をしたオバマ大統領に対して私から話をしているわけでございますが、信頼関係を高めていく中において、日本もしっかりと役割は担っていく中において、その信頼できる日本からの要望に対してはしっかりと自分たちもそれは対応しなければいけないということになってくるんだろうと、このように思います。  我々もしっかりと負担軽減について目に見える形で結果を出していく考えでありますし、沖縄の御要望、全て対応していくという考え方の下に全力を尽くしていきたいと、このように思っております。
  62. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 この基地負担の軽減というのは大変大事なところでございます。日米同盟は沖縄県民の理解の上に成り立つものだということを何度も申し上げておりますけれども、特に地位協定の存在はいまだに暗い影を落としておりまして、ここのところは更なる改善を進めていただかなければならないと思っております。  ただ、他方、日米政府もこれまで改善に向けて努力をされていることは確かなことだというふうに思います。ただ、なかなかこれ県民や国民に伝わっていないというふうに私は考えておりまして、今日、パネルを用意させていただきました。これを見ていただいてもお分かりだと思いますけれども、運用の改善のみならず、実質改正というふうにも言っていい内容も私はあるというふうに思っております。  ここのところを是非外務大臣に、過去どのような改善策があったのかということを改めて御説明をいただければというふうに思います。
  63. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日米地位協定ですが、協定そのものに加えまして、数多くの日米合意を含んだ大きな法体系です。政府としましては、手当てすべき事項に応じて、日米合同委員会を通じた取組などによりまして、この協定の実施を実質的に改善する多くの日米合意を達成してきております。  パネルで過去の実績についてお示しをいただいていると存じますが、例えば昨年、刑事分野におきまして、米軍人等が起こした事件について、米側での処分結果を漏れなく把握し、被害者側にお知らせする新たな日米合意を発表いたしました。これまでは裁判の最終結果のみが日本側に通報されるという仕組みでありましたが、この合意によりまして、裁判によらない場合についても米側から通報を受けて被害者側にお知らせすることが可能になりました。実際、この合意に基づいて、既に懲戒処分が下された事案について米側から報告を受けているという状況にあります。  それ以外にも、このお示しいただきました資料の中で、一九九五年十月の起訴前の拘禁の移転といった刑事裁判手続の改善、これも大きな改善でありますが、これらも含めて過去二十年で約三十件の改善を行っているところでございます。  政府としましては、今後とも、地元の皆様の気持ちに寄り添いながら、事件あるいは事故、さらには騒音、こういった問題を解決すべく最大限努力をしていきたいと考えております。
  64. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  もう二十年で約三十件ということでございまして、一つ一つ運用の改善ということには御努力いただいていることに感謝を申し上げたいと思っております。  いずれにいたしましても、先ほど総理からもあったように、これは日米の信頼関係の上にこういった交渉が行われるんだということは、それは我々としても理解をしていかなければならないというふうに思っております。これからいろいろな、もっと更に突っ込んで、例えば刑事事件の今まで問題になっていた取調べの可視化の下にもう少し進めるのではないかというような地位協定の運用の改善ということもございますので、これは大変高いハードルかもしれませんけれども、でも、沖縄県民の気持ちとしては、やはりここに果敢に取り組んでいくということをこれから私自身もさせていただきたいというふうに思いますし、また、一歩も二歩も踏み込んでいかなければならないんだというふうに思います。  さらに、先ほど防衛大臣からもございました跡地利用を遅滞なく進めるために、やはりある意味、地位協定がハードルになっているところもございます。ここに対する地位協定の改善に向けて、特に環境分野の改善に向けての進捗状況といいますか、これを外務大臣にお聞きをしたいと思います。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 環境分野への取組について御質問いただきましたが、まず、沖縄の負担軽減につきましては日本政府としてできることは全て行う、これが安倍政権の基本姿勢であります。  こうした基本姿勢の下において、この日米地位協定につきましては、昨年十二月に日米間で共同発表を発出し、日米地位協定を環境面で補足する新たな政府間協定を作成するための日米協議を開始する、こういったことについて合意をいたしました。これは、地位協定発効後五十数年経て初めて行う取組であります。  本件については、早期妥結に向けて日米間で協力をしていく、こういったことについて両国の閣僚間で一致をしているところであり、これまで既に四回交渉を行ってきております。今月十七日に第五回交渉会合を予定しております。地元の皆様方の要望等もしっかり踏まえながら、できるだけ早く成果を上げられるよう全力を尽くしていきたいと考えております。
  66. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  環境分野での地位協定の改善に向けて大変に県民の期待も高まっているところでございますので、是非しっかりとお取り組みをいただきますように、改めてお願いを申し上げます。  基地負担の軽減ということに関しては、昨年末、沖縄県知事の要請、四項目があったことでございます。  今日は何度も総理には御答弁をいただいておりますけれども、年末にあったこの沖縄県知事の基地負担の軽減に関しての四項目に対して、改めて、簡単で結構でありますけれども、総理からお願いしたいと思います。
  67. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 知事からの四項目の要望、普天間飛行場の五年以内の運用停止、早期返還、そしてキャンプ・キンザーの七年以内の全面返還、日米地位協定の条項の追加等、改定、そしてオスプレイ十二機程度を県外の拠点に配備。具体的には、地元の皆様の目に見える形で基地負担を軽減することが重要であると、このように考えているわけであります。今まさに、いただいた要望、できることは全てやっていくという考え方の下に全力を尽くしていきたいと、このように思います。そのためには、沖縄県外におけるそれに向けた努力を十分に、十二分に行うべきだと、こう考えております。  例えば、普天間飛行場所属のKC130空中給油機部隊の山口県の岩国飛行場への移駐については、ちょうど今日の十時前にKC130の一機目が岩国に向けて飛び立ったところでありまして、まさに今日からスタートしたところでございます。これによって固定翼機が多数その拠点を沖縄県外に移すことになるわけでありまして、長い間御要望をいただいていたものがやっと今日からその移駐が始まるということになるわけでありまして、引き続き全力を挙げていきたい。  そして、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄県の、五年以内の運用停止も極めて重要な点であります。確かに、先ほど申し上げましたように、米国との交渉が大切でありますが、しっかりと対応していきたいと、このように思うところでございます。  また、政府としては負担軽減の決意を目に見える形にするべく、まずはオスプレイについてはその訓練等の約半分を県外で行うとともに、牧港、キャンプ・キンザーについて返還までの期間を最大限短縮することを目指し、普天間飛行場負担軽減推進会議を設置し、精力的に推進をしているところであります。
  68. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  負担軽減について、また引き続き政府の御努力をお願いを申し上げます。  時間が迫ってまいりました。  文科大臣にお越しをいただいております。  今回の閣議決定、特に集団的自衛権について、学校現場で間違った、あるいは子供たちが誤解をする表現で授業が行われているという情報が入ってきております。学校の教師の主観的な言動は慎むべきだというふうに思っておりますけれども、文科大臣の御見解を伺いたいと思います。
  69. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおりであります。  各学校においては、学習指導要領等に基づいて、地域や学校の実態、児童生徒の発達段階等を十分考慮して教育を行う必要があります。  特に授業で社会的事象を扱う場合には、それら、捉える観点によって恣意的な考察や判断に陥ることがないように、様々な資料を適切に用いて多面的、多角的に考察することが求められるものでありまして、その旨、学習指導要領解説にも明記をしております。  御指摘の沖縄の中学校における教員の発言については、詳細が分からないため、現時点で具体的な判断は差し控えさせていただきますが、仮に個人的な考え方や一方的な主義主張による不適切な事案であれば、設置者において適切に学校を指導することはもちろん、文部科学省としても、必要に応じて教育委員会等を通じて指導し、学習指導要領等に基づく適切な教育が行われるよう取り組んでまいります。
  70. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。──じゃ、お願いします。
  71. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほどの島尻委員質問に対するお答えの中で、私が官房副長官当時、北朝鮮の工作船を海保の船が撃沈したというふうに申し上げたんですが、最終的には自沈でございましたので、訂正させていただきます。
  72. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で島尻安伊子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  73. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、大塚耕平君の質疑を行います。大塚耕平君。
  74. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  今総理が最後に訂正されたので私もほっといたしましたが、先ほど、元官邸にいらっしゃった御経験もある小野理事からも、言い間違いでいらっしゃるので是非訂正をというお申出がありましたので、ありがとうございました。  さて、今日は、集団的自衛権及び安全保障政策について議論をさせていただきたいと思いますが、先ほど佐藤正久委員から、自衛隊現場の皆さんは観念的な議論をしている余裕というか、そういう状況にはなく、大変な緊張の下に置かれているというお話がありました。全くそのとおりだと思います。自衛隊現場を担っていただいている皆さんには心から敬意を表しつつ、さりながら、国会はその観念的な議論が必要な場所でもございますので、是非今日はかみ合った議論をさせていただきたいと思っております。とりわけ、私どもは、その観念的な議論などを通じて国民の皆さんがより大きな災禍に見舞われる危険性を少しでも低減させていく、それが国会の役割でございますので、是非具体的な議論にお付き合いをいただきたいと思います。  また、今日は、質問項目、昨日の午前中に提出をさせていただいたのですが、その後の衆議院の議論も全部拝聴させていただきましたので、衆議院の議論で明らかになった部分も踏まえつつ、この後、質問をさせていただきます。  また、私が通告させていただいた質問の中で、やはり佐藤委員が、例えばイラク特措法とかテロ特措法のような個別の事態に対処した法律では間に合わないのではないかというような御質問一般法で対応するべきではないかという御質問がありました。私も全く同じ質問を九番に入れておりますので、そのことに対する御答弁はもう先ほど聞かせていただきましたので、そういう点は割愛しながら質問を進めさせていただきたいと思います。  それでは、まず最初にパネルをちょっと御覧いただきたいんですが、(資料提示)多分、この部屋にいらっしゃる各党各会派の国会議員の皆さん、あるいは全国会議員の皆さん、国民の皆さんの安全を守る、このことに反対の人は一人もおりませんので、私どもも安全保障政策に万全を期するというこの目的については安倍総理と同じであるということを申し上げておきたいと思います。  ただし、国民の皆さんも今何が議論になっているのかということが中には十分に御理解いただけないケースもあろうかと思いますので、少し簡単に表現をしてみました。目的については、全国会議員、当然私も同じ気持ちで、国民の皆さんを守るということに万全を尽くしたいと思っております。しかし、それではどのように、どうやってお守りするのかというその政策の組立て方、考え方に関しては、これは今、安倍総理がお進めになろうとしておられる考え方と私どもと一緒ではありませんので、ここは三角であります。私どもは、従来からの個別的自衛権現実的に拡張していくという方策を歴代の総理がお取りになってきたので、やはりそういう道を徹底的に模索をしてみるまだ可能性もあるのではないかということを申し上げておりますので、ここは三角であります。  しかし、どのように決めるか、決め方に関しては、残念ながら今回の閣議決定による決め方というのは、私どもはなかなか承服し難いということで、大きく分ければ、目的は青信号、考え方は黄色信号、そして決め方に関しては赤信号という前提であるということを申し上げて議論に入らせていただきたいと思います。  それじゃ、二枚目のパネルを。  まず、今回の閣議決定でございますが、総理、これは要するに集団的自衛権行使を認めるという閣議決定だというふうに理解してよろしいでしょうか。もう一度御説明をいただきたいと思います。
  75. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の閣議決定により憲法上許容されると判断するに至った集団的自衛権は、新三要件を満たす場合に限定されているわけでありますが、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置に限られるということでありまして、これは、新三要件は、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があること、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、そして必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、これが三要件でありますが、この下、満たす場合において集団的自衛権行使を認める閣議決定でございます。  他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権行使を認めるものではないわけでありまして、それは今申し上げた、お示しをしたこの三要件から自明の理なんだろうと思いますが、なお今回の閣議決定で直ちに集団的自衛権行使ができるようになるわけでないことは御承知のとおりでありまして、国内法の整備が必要であり、改めて国会の御議論をいただくことになります。これに加えまして、実際の行使に当たっても、これまでと同様、国会承認を求める考えでありまして、そのことは閣議決定にも明記されているわけでありますが、民主主義国家である我が国としては、慎重の上にも慎重に判断していくことは当然のことであります。
  76. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 閣議決定の文書、ここにございますが、総理も熟読しておられると思いますけれども、集団的自衛権という文言が出てくるのは実は随分後の方になってからなんですね。御承知のとおり、三、憲法九条下の下で許容される自衛の措置の(四)になって初めて出てまいります。我が国による武力行使国際法を遵守して行われることは当然であるが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある、こういう前提で今の総理の御説明も成り立っておられます。  そうすると、防衛大臣にお伺いしたいんですが、いや、これは外務大臣かもしれません。集団的自衛権という概念の中に、自国のための集団的自衛権自国のためでない集団的自衛権という区別があるんでしょうか。
  77. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国際法上の議論として、そういう区別の議論があるということは承知はしておりません。
  78. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それで結構だと思うんです。国際法上はそういう概念はないんですが、今回、いや、総理、先ほど、私は総理のことを全面否定していませんので、丸印、目的は共有しているんです。しかし、その方法論においては、その考え方、これは様々でありますので、今回、国際法的には余りというか、全く用いられていない手法を用いられたわけです。自国のための集団的自衛権自国のためでない集団的自衛権という概念を導入されたわけで、この是非は別ですよ、是非は別ですが、ああ、なるほどなと思って聞かせていただきました。  そこで、しかし、集団的自衛権というものをそういうふうに区別して、他国がそれを認めてくれるかどうかというところが一つのポイントです。したがって、集団的自衛権という広義の概念は全部は認めないけど、我が国自国のための集団的自衛権は今回閣議決定行使できるようにしました。そして、それは新三要件で明白な危険があるときという。  しかし、この定義は、昨日、我が党の岡田委員や海江田代表も議論させていただきましたが、ちょっと曖昧じゃないかという御指摘もありましたが、昨日、法制局長官の答弁を聞いておりましたら、そこは一つ明らかになって、五つの基準というものが明確になったわけですね。一つは、明白な危険を判断する五基準として、攻撃国の意思、能力、二番目、発生場所、三番目、事態の規模、態様、推移、四番目、日本に戦禍が及ぶ蓋然性、五番目、日本国民の被害の深刻さ、重大さ。どこまで行っても言葉というのは曖昧ですから、これでも曖昧だという方もいらっしゃると思いますが、明白な危険という一言よりは大分具体的になったことは理解できます。  そこで、これ昨日、午後聞かせていただいた、答弁で聞いた基準ですので、改めて総理に確認させていただきたいんですが、この四番目、日本に戦禍が及ぶ蓋然性、五番目、日本国民の被害の深刻さ、重大さ、このときに、この日本国民には自衛隊員の被害も想定しておられるんでしょうか。
  79. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど、その前に、お答えをする前に、国際法の概念と憲法上の概念、これは、憲法との関係においてはこれは別の考え方でありまして、集団的自衛権という概念においては、これは国際法上の概念でありまして、国際法上は、国家は、集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力行使を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされる、これが国際法上の集団的自衛権の概念であります。  そこで、我々が丸々それを認めることができるかどうかということについては、それはそうではないということでありまして、他国を防衛することを目的として武力行使することはしないということでありまして、その中におきましてあの三要件で明確になっているわけでありまして、自国の存立が脅かされ、生命あるいは自由、そして幸福を追求する権利根底から脅かされる明白な危険という中において我々はこの集団的自衛権行使をするということでございますから、これは関係は違う。国際社会においては憲法九条二項があるわけではありませんから、そういう解釈ではなくて、多くの国がフルにそれは行使できるということであります。今日は丁寧に議論をさせていただきたいと思っておりますので、詳細にお話をさせていただいたところでございます。  その上において申し上げますと、これはまさに国の存立が脅かされるという状況の中で、国民権利根底から覆される明白なおそれにおいて、自衛隊の諸君は武力行使を行うということになるわけであります。
  80. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、今二つのことをお答えいただきました。  一点目は、先ほどの集団的自衛権に、自国のための集団的自衛権自国のためでない集団的自衛権という区別があるかないかという私と外務大臣のやり取りに対して御見解を述べられましたが、これはないんです、そういう区別は。したがって、今回総理が御判断されたこの判断がどういう結果を招く蓋然性が高いかという議論については後ほどまたさせていただきます。  そして、今私がお伺いしたのは、昨日明らかになった五基準のうち五番目、日本国民の被害の深刻さ、重大さも勘案して明白な危険を判断するということに関して、その日本国民には自衛隊員も入っているのかということをお伺いしたんです。自衛隊の皆さんみんな聞いていますよ。是非お願いします。
  81. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは当然、国民国民全般でありますから自衛隊員も入るわけでありますが、しかし、その中において自衛隊の役割としては、我が国を守るために自衛隊は存在し、実力組織としてまさに自衛隊の皆さんは、事に臨んで危険を顧みず、身をもって任務を完遂するよう務め、もって国民の信頼に応えていくと、こう宣言をするわけであります。そういう宣言をする組織としてはまさに自衛隊のみと言ってもいいんだろうと。  つまり、それが自衛隊の役割でありまして、我が国が、例えばこれは個別的自衛権のときもそうです、我が国攻撃されて、誰も守るために身をもってこの任務を完遂するよう務めなければ、まさに日本が存立が危ぶまれ、それは根底から我々の権利は覆されるわけであるという認識の上に当然議論をしていく必要があるんだろうなと、このように思います。
  82. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 自衛隊の皆さんがそういう職責を担って任務に就いておられるのは理解をしておりますので、したがって、冒頭申し上げたように、もう心から現場の皆さんには敬意を表すわけであります。  さりながら、昨日明らかになった五基準の中に、日本国民の被害の深刻さ、重大さには自衛隊員の皆さんも当然入ってお考えいただいているということは、これまた明らかになりましたので、一歩前進です。  もう一つ確認をしておきたいです。日本に戦禍が及ぶ蓋然性、これが四番目の基準ですよね。そして、日本国民の被害の深刻さ、重大さ、これが五番目。要するに、ニカラグア事件の国際司法裁判所でまだ明確になっていない、集団的自衛権発動のためにはその国の実体的利益の侵害が必要かどうかということについて、つまり総理は、この四番目と五番目を入れたことによって実体的利益の侵害が必要だというお立場なんですか。(発言する者あり)我が国総理です。
  83. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) だから、我が国に対する攻撃が発生していれば、これは個別的自衛権で対応できるわけでありますが、我が国に対する攻撃は発生していないわけでありまして、その中において、我が国と密接に関係ある国が、それは三要件に書いてあるとおりでございまして、我が国に対するこれは武力攻撃が発生をしてはいませんが、この三要件にあるように、我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃が発生し、それによって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があることということでありまして、これを排除するために、我が国の存立を全うし、国民を守るために適当な他に手段がないと、もちろん外交手段を尽くした上において、今言った国の存立が危うくなるという状況において、これは集団的自衛権における武力行使が可能であると、こういうことであります。
  84. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、繰り返しになりますが、是々非々で私は議論させていただいておりますので、目的は一致しています。考え方でアプローチが違うところがあるので、今確認させていただいて、今五基準のうちの五番目の基準について更にまた明らかになりました。  そして、次の明らかにしたいこととして、実体的利益の侵害が必要かどうかということをお伺いしたんですが、今総理がお答えになったのは、新三要件の一番目の冒頭の部分なんですよ。我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、だからこのときはまさしく実体的利益が侵害されているから、おっしゃるように個別的自衛権でもできるわけです。  問題は、今回新たに加わった、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある場合、この明白な危険については、昨日の五基準、そして今の五基準のブレークダウンで一部は明らかになりました。  そこで、じゃ、これを更に確認をさせていただきたい点が一つあって、今申し上げた我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃のこの武力攻撃は、これは防衛大臣にお伺いします、武力攻撃事態法における武力攻撃と同じですか。
  85. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) まず、議論が分かりやすいことにするために一つ事例をお話をさせていただきます。ミサイル防衛をするに当たって、当然私どもは米国と緊密な関係を取っており、我が国イージス艦だけでは数が足りない場合、米国も同様にここに出る場合があります。その際、ある国が我が国攻撃する前に米国イージス艦攻撃した場合、これは現在の個別的自衛権の範囲では対応できないということで、これを守ることはできない。  実は、委員、こういうことで、一つ一つの事例の中でどうやってこの国を守るんだということの議論をすることが、恐らくテレビを通じて見ている多くの皆様が分かる話であって、そういう前向きな話で是非お話を詰めさせていただきたい。今の事例で、じゃ、議論していく中で、先ほどの、今言った……(発言する者あり)
  86. 山崎力

    委員長山崎力君) 御静粛に願います。
  87. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 明白な問題というのが分かりやすくなるんではないでしょうか。
  88. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、ここは小野寺さんらしくない。立場が逆のときから、極めて現実的で具体的な関係の下で私も過去にも協力させていただいたし、私が何か抽象的な議論を吹っかけているわけではないということは御理解いただけているはずなので、もう一回聞きますよ。もう一回聞きますよ。  武力攻撃事態法第二条、ここには明白な危険という言葉も出てくるんですね。だから、この明白な危険というのが一つキーワードにはなっているんですが、これは大分明らかになりました。しかし、武力攻撃事態法、同じその第二条の中には、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態というものがあるんですよ。だから、今回新要件として決められた、この新たに付加された部分我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃は、これは武力攻撃事態法における武力攻撃と同じでいいんですねというふうにお伺いしているんです。つまり、武力攻撃事態、第二条の第二号と一緒でいいですねということをお伺いしているんです。  いやいや、これは防衛大臣。(発言する者あり)防衛大臣、これ、防衛大臣ですよ。防衛大臣
  89. 山崎力

    委員長山崎力君) ちょっと御協議ください。
  90. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 じゃ、どうぞ。  じゃ、総理、どうぞ。    〔国務大臣小野寺五典君「一般的には武力攻撃と同じものであります」と述ぶ〕
  91. 山崎力

    委員長山崎力君) ちょっとお待ちください。ちょっとお待ちください。まだ指名していなかったので、申し訳ないんですが。
  92. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、今もうお答えになりました。
  93. 山崎力

    委員長山崎力君) それでは、安倍内閣総理大臣
  94. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この武力攻撃事態の第二条における武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態、言わば切迫事態と、このように呼んでおりますが、とは、その時点における国際情勢や相手国の明示された意図、軍事的行動などから判断して、我が国への武力、これは我が国への武力攻撃でありますから、我が国への武力攻撃が発生する明白な危険が差し迫っていることが客観的に認められる事態であります。  一方、これ、言わば武力攻撃事態というのは我が国事態でありますから、今閣議決定をして今議論をしておりますのはそうではないわけでありますが、これから説明いたしますが、一方、今回の閣議決定における……(発言する者あり)よろしいですか。一方、今回の閣議決定における我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があると、ここで使われている明白な危険でありますが、とは……(発言する者あり)よろしいですか。
  95. 山崎力

    委員長山崎力君) 御静粛に願います。
  96. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) やじはやめていただけますか。  他国に対する武力攻撃が発生した場合においては、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民に対して我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが客観的に明らかである場合であります。  このように、我が国に対して武力攻撃事態が発生する前の事態を想定したものである武力攻撃事態法に言ういわゆる切迫事態と、他国に対する武力攻撃の発生を前提とする新三要件に言う明白な危険がある場合とは、その前提を異にしているというのは御理解をいただけたんではないかと思います。  また、今後、しかし、この法整備の段階において、当然、武力攻撃事態対処法との関係においては整理する必要があるものと考えております。
  97. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理の、総理自身が御発言になられた内容としては理解できましたが、防衛大臣が先ほどさっとおっしゃっていただいたこととは必ずしも一致していないということと同時に、なぜ私がここを質問しているかといったら、ここ重要だから当然御質問しているんです。法制局長官もよく聞いておいてくださいよ。これから個別法を作るとおっしゃっておられるんで、ここはなぜ大事かということを、じゃ、解説申し上げます。  二条の第三号には、武力攻撃予測事態、定義されています、「武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう。」と。だから、これは日本の法律で定められているから、日本においてはこうなんです。今私がお伺いしているのは、新要件の中に、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生しという前提付いているんですよ。だから、これを我が国武力攻撃事態法の二条の第三号まで入れられたら、多くの国民の皆さんが心配している懸念が現実化する可能性があるんです。  どういうことかと申し上げると、昨日、衆議院の議論総理は、日米同盟に関わる事態は対象となる可能性が大だと、しかし、米国以外の国が対象になるのは相当限定されると、総理だったのか法制局長官か正確に記憶しておりませんが、総理ですか、これは分かります。だから、例の密接な関係にある国というのも、米国であれば、これは日米同盟がありますからそれは我々も理解できるんです。しかし、密接な関係にある国というのは米国以外も入るというので大分心配していたんですが、昨日、ここで濃淡が付いたので一歩前進です。  しかし、そこで、新要件の第一に、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生しと付いているので、この武力攻撃は、我が国の法律で言う武力攻撃ではなくて、現実武力攻撃が発生しているということならまだ理解できるんですけれども、我が国の法律の概念を導入されて、武力攻撃予測事態、つまり、武力攻撃が予測されるに至った事態も含まれちゃうと、その密接な関係にある国が武力攻撃が起きるかもしれないということを予測したら武力攻撃が発生したこととみなされちゃうという蓋然性があるんです。(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってください。いや、違うかどうかは、だからまさしく国会の議論で明らかにさせていただきたいわけですよ。違うということなら私は理解できます。現実武力攻撃が発生しているなら理解できます。  さらに、本当に大事なところなので、私たちも国民の皆さんも考え方は分かれています。私たちと同じような考え方の国民の皆さんもいらっしゃるので、その皆さんを代弁して今お伺いしているんですから。  今の部分定義を明確にしていただかないと、例えば米国が、米国の権益に対して侵害が及ぶ、武力攻撃が及ぶかもしれないという予測に基づいて明白な危険が生じたというふうに判断して行動すると、これは外形上は先制攻撃になるんですよ。その先制攻撃日本が参加するようなことになる可能性もあるんじゃないかといった心配をしている人たちがいるので、そうじゃないなら後でそうおっしゃってください。  じゃ、あと一個だけ、総理、言わせてくださいよ。  米国が先制攻撃を行ったことによって対抗的な武力攻撃米国に対してなされれば、その段階でもう武力攻撃が発生したということになっちゃうので、だから、この新要件の第一項に言っておられる密接な国に対する武力攻撃が発生しというのは、現実武力攻撃が発生したということを言っておられるのか、それとも日本武力攻撃事態法における武力攻撃予測事態的なことまで想定しておられるのか。後者でないことを祈ります。答弁を伺います。
  98. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは明確にさせたいと思いますが、まず、武力攻撃事態対処法において、この第二条でありますが、そもそもこれは我が国事態でありまして、これは基本的に個別的自衛権の世界の話、我が国武力攻撃を受ける、あるいは武力攻撃事態、あるいは予測される事態になるということでありまして、これは言わば武力攻撃を受けたという事態、これは我が国に対する外部からの武力攻撃をいうわけでありますが、今、その次に、これ委員がおっしゃったかどうか分からないんですが、武力攻撃事態というのがありますが、この武力攻撃事態は、武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいうわけでありまして、これは武力攻撃ではないんです。これは武力攻撃事態であります。そして、さらには武力攻撃予測事態、武力攻撃事態には至っていないが、事態が切迫して武力攻撃が予測されるに至った事態をいうわけでございます。これは我が国に対する攻撃でありますから、そういう状況が醸成される中において、我々は情報収集等々を行いながらこうした事態の状況を判断をしていくわけでございます。  そして、他方、今議論をしておりますのは、我が国と密接に関係のある他国に対する武力攻撃が発生した場合であります。これは、武力攻撃がまずなければ駄目ですから、事態とか予測事態は入らない。武力攻撃、ここでは武力攻撃ということを使っているわけでありますから、それは当然のことであります。  いずれにいたしましても、議員から指摘されたように、この武力攻撃事態法と、これから作るあるいは新法、あるいはこの武力攻撃事態法の改正かもしれませんが、そうしたことを進めていく上においては当然そうしたことは整理されていくことになると、このように考えております。
  99. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。一歩前進したと思います。  私は、この二条の第一号、武力攻撃のこの定義はまさしく言葉の定義だけをしていて、第二号、第三号でその状況を区別しているものかと思ったら、総理はさらに今安全な発言をしてくれました。第一号の武力攻撃、まさしく現実武力攻撃が発生していることをもってこの新要件の第一の密接な国に対する武力攻撃ということを念頭に置いているということをおっしゃったので、第二号、武力攻撃事態も、第三号、武力攻撃予測事態も該当しないという趣旨のことをおっしゃったので、これは一歩前進です。一歩前進です。  その上で、それでは外務大臣にお伺いしますが、密接な関係にある国の定義をもう一回きちっと御答弁ください。
  100. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 密接な関係にある国、新三要件における密接な関係にある国ということかと思いますのでお答えいたしますが、一般に、外部からの武力攻撃に対し共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国、これを指すものだと理解をしております。具体的にどのような国がこれに当たるかについては、あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において個別具体的な状況に即して判断されるものであると理解をしております。  先ほど米国について御指摘がありましたが、我が国の平和と安全を維持する上で日米同盟の存在及びこれに基づく米軍の活動は死活的に重要であり、同盟国である米国は基本的にこれに当たるであろうと考えております。そして、他方、それ以外の国についても先ほど御指摘があったとおりであります。相当限定されるというふうに考えているところであります。
  101. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これも、この予算委員会や他の委員会議論を通じて今一歩前進したんですよ。外務大臣が一番よくお分かりだと思いますけれども、ついこの間までは、この密接な関係にある国というのは日米安保条約のようなこういう条約が必要じゃないかと我々が申し上げていたのに対して、特定の条約関係は必ずしも必要ないという文言が最後に付いていたんですよ。それを外務省に何度か聞いたら、これはニカラグア事件の国際司法裁判所でそういう判断が示されているからそう書いたという、最初はそういう説明だったんですが、その後明らかになったことは、ICJの判決にはそんなことは一言も書いてなかったんですよ。だから、今まで答弁していた、必ずしも条約関係は必要とされないというのは、国際法のコンセンサス、つまりICJの示した判断だったという答弁は間違いだったということが、ようやくここで外務大臣も認めていただいて今の答弁になっているから、それはそれでいいです。いやいや、一歩前進なんですよ。  そこで、次にお伺いしたいのは、もう一度パネルの二枚目を出していただけますでしょうか。  この資料総理、どうぞ二枚目御覧ください。これは閣議決定の文章と記者会見で総理がおっしゃったことでありまして、何も都合のいいところだけ抜粋しているつもりはありませんので、文脈上誤解の受けないように抜粋してあります。  そして、この青い字、この基本的な論理は憲法九条の下では今後とも維持されなければならない。この基本的な論理というのは、今まで説明してきた憲法上の集団的自衛権や安全保障上の概念ということをおっしゃった上でこう言っておられるんですね。そして、赤いところ、記者会見、現行の憲法解釈の基本的考え方は今回の閣議決定においても何ら変わることはありませんと、こう言っておられるんですね。  だから、国内に対しては、まさしくもう何度も昨日から答弁しておられるように、憲法上の解釈と国際法上の考え方は違うという手法を導入されて、国内の憲法上は昭和四十七年の政府解釈の枠内で、その論理の下でやっていますから、記者会見のときのように、現行の憲法解釈の基本的考え方は何ら変わることはありません、閣議決定でもそれに類することは青いところでおっしゃっているんですが、一方、国際的にはこの黒いところが重要になってくるんです。脅威が世界のどの地域において発生しても我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている。今後、他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。  そして、この後ろの黒いところですね、この武力攻撃が第一要件の第一項に入ってきたのでさっき確認させていただいたところ、例えば米国日本武力攻撃事態法における二条二号の武力攻撃事態や二条三号の武力攻撃予測事態というようなものを想定して、もし明白な危険が切迫しているといっても、それは応じないということが今明らかになったので、これは一つ、一歩前進です。  その次は、もう一つ明らかにしたいのは、その上の段の直接的な影響なんです。この直接的な影響ということは、やっぱり実体的利益の侵害があるということを想起させるんですね。先ほど、昨日明らかになった五基準の四番目、明白な危険を判断する五基準の四、日本に戦禍が及ぶ蓋然性、五、日本国民の被害の深刻さ、重大さ、これを、言葉ではまあここが限界だと思いますけれども、要するに、実体的利益の侵害があるということを言っておられるんですねとお伺いしたところ、ちょっとそこはまだ不透明だったんですね。  だから、もう一回総理にお伺いします。この直接的な影響と言っておられるこの直接的な影響というのは、実体的利益、日本国及び日本国民の実体的利益が侵害されるということを言っておられるわけですね。
  102. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この直接的な影響というのは、この直接的な影響によって、言わばこの三要件に戻るわけでありますが、この三要件の中にあるように、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があることと、そういう状況になっていく可能性が出てきている、高い可能性が、明白な可能性が出てきているということであります。
  103. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、これから個別法を詰めると言っておられるので、総理がやや少し自信なげな御答弁をされることは、これは正直で結構だと思うんです。これから詰めなきゃいけないんです、ここは。詰めなきゃいけない。  これは、今までの答弁を昨日からずっと聞いていると、素直に受け止めれば、我が国の安全保障に直接的、間接的に重大な影響を及ぼし得るというふうになっているんだったら何か言わんとすることは分かるなと思うんですが、直接的なというと、やっぱり現実の実質的利益の侵害がなければならない。その現実的な利益の侵害が、例えばさっきのホルムズ海峡の話ですね、ホルムズ海峡の話、機雷除去に関連して原油価格が上がるということがこの直接的な影響に該当し、そして実質的利益の侵害が既に発生したと見るかどうか。発生するかもしれないから行動するということと、発生したから行動するということも、これは別の事象であるということは御理解いただけると思いますが。  だから、僕はここで総理を批判しているわけでは、何でもないですよ。この直接的な影響というものの定義をもうちょっと明確にしてもらわないといけない。そして、我が国は、憲法九条という世界に類を見ない、国民の一部の皆様からは世界遺産だという声もあるこの九条を持った国として、どういうふうに我が国の安全保障体制を構築していくかということが今問われているわけなので、考え方は総理のお考え方もあるでしょうが、私どもは私どもなりの考え方がある。  そこで、この後、閣議決定を撤回していただきたいと言ってもそうはならないでしょうから、個別法を作るときに今日幾つか申し上げた論点をきちっと整理していただかないと、法案審議の場でまた根本的な議論をせざるを得なくなると、こういうことを申し上げているんです。岸田さん、うなずいていただいているので、御理解いただけると思うんですが。  そこで、長官、今から申し上げることは、必要があれば紙でもお渡ししますので、今後の個別法の策定、そして国会への提出、我々は本当は閣議決定撤回してもう一回きちっと国会で議論させてくださいという立場ですよ。だけど、はい、分かりましたということにはならないと思いますので、我々が何を懸念しているかということを申し上げます。  一、密接な関係にある国の定義が曖昧であり、条約関係のない、つまり米国以外も対象にしているという前提に立っているのではないか。でも、これは少し緩和されました。  二、日本の実質的利益の侵害を前提としないことから、日本に直接的な影響が及ばない場合も対象にしているのではないか。ここはまだ不明確なので、是非今後の議論を詰めさせてください。  三、新三要件は抽象的な表現にとどまっており、自衛隊出動するケースが恣意的に弾力化される危険性をはらんでいるのではないか。これは、少し明らかになりました。  そして、先ほどの新三要件の、密接な関係にある国に対する武力攻撃現実武力攻撃だということが明らかになったので少し緩和されましたが、まだ完全じゃありません。  そして、その結果として、つまり明らかでない部分をもうちょっと明らかにしていただかないと、その結果として他国の先制攻撃を支援するために自衛隊出動する危険性があり、専守防衛の範囲を逸脱するのではないかという懸念があること。これは、そうじゃないということは何度も答弁しておられますが、さっきの武力攻撃定義のところをきちっと明確にすることで、より国民の皆さんが安心できる組立てをしていただかないといけないと思います。  そして、六、今回の閣議決定は、国内向けには従来の憲法解釈の基本的考え方を変えるものではないと説明する一方、国際的には集団的自衛権が根拠となる場合もあると説明しており、国民と諸外国に対して異なる説明をしていること。それ、別に否定しているんじゃないんですよ。否定していないです、総理、僕は。つまり、そういう考え方で今回政策を打ち出しておられるというのは理解できましたから整理しているんです、今。  七、そうした複雑な法理を用いたことにより、今回の閣議決定は、いわゆる集団的自衛権自国のための集団的自衛権自国のためではない集団的自衛権という二つに分類する結果となっている。政府はあくまで、このうち前者の自国のための集団的自衛権を認めたにすぎないという論理を駆使しているが、こうした分類は国際法的には存在していない。諸外国からは、集団的自衛権を認めたということは自国のためではない自衛権、つまり他国のための集団的自衛権行使を求められる危険性があるのではないかと心配しているということです。  八、政府がホルムズ海峡等における機雷除去に関して行っている説明では、国際司法裁判所が明らかにした集団的自衛権行使要件である他国への武力攻撃の事実、支援の要請の二つを満たせない事態が生じることも想定され、集団的自衛権では説明できないケースが発生する可能性がある。  以上の矛盾に対して、より整合的な法理としては、自国のための集団的自衛権という国際法的には存在しない概念を用いるよりは、集団的自衛権的な要素を含んだ個別的自衛権という概念を用いることも頭の体操としてはあり得ると。従来の憲法解釈との整合性及び諸外国に誤解を与え他国のための集団的自衛権行使を求められる危険性を排除する観点から、あくまで個別的自衛権の対応範囲、考え方を弾力化するという選択をする方が相対的に論理性が高く、歴代の政府が選択してきた対応との継続性も担保されるという意見もあるということです。  以上申し上げたことは、今後も議論させていただきますが、法制局長官は、法案審査で法制局に法案が上がってきたときにはきちっとそういう点を詰めていただきたいということを要望しておきます。  その上で、最初のパネルを出していただけますでしょうか。  残された時間で、どのように決めるか、この決め方、ここは私たちは議論の余地がないと思っているんですね、残念ながら。閣議決定でこの憲法の根幹、我が国のこれまでの運営の根幹を変えるような決定をするということは論理的におかしいと私は思っております。  法制局長官にお伺いしますが、内閣法第一条で、閣議は何をしていいことになっていますでしょうか。(発言する者あり)
  104. 山崎力

    委員長山崎力君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  105. 山崎力

    委員長山崎力君) 速記を起こしてください。
  106. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 失礼いたしました。  お尋ねの内閣法第一条でございますが、「内閣は、国民主権の理念にのつとり、日本憲法第七十三条その他日本憲法に定める職権を行う。」、第二項、「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う。」と定めております。
  107. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日の最後の質問として申し上げているのは、繰り返しになりますが、集団的自衛権行使を認めるという国家の根幹に関わる極めて重要な事案を閣議決定で決めるのは問題ではないかと、こういう御質問なんですよ。  そこで、今、法制局長官が読み上げてくれましたが、内閣は、内閣法第一条において、日本憲法第七十三条やその他の日本憲法に定める職権を行うと、こう書いてあるんですね。法制局長官、ここは憲法の番人ですからね、この内閣法は、憲法で授権された法律であります。内閣法第一条に言うところの日本憲法に定める職権、閣議が行っていい日本憲法に定める職権の中に、憲法解釈の変更ということはどこに書かれているでしょうか。
  108. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 憲法第六十五条には、「行政権は、内閣に属する。」と規定されております。すなわち、行政権の行使について最終的な権限と責任を負うのは内閣でございます。そして、その行政権を行うためには、憲法を適正、適切に解釈するということが必要であります。なぜならば、そうでなければ憲法に違反するような行政行為に及ぶおそれがあるからでございます。その意味で、内閣憲法を適正に解釈する権限と責任があるということで理解しております。
  109. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、ここは多分哲学論争になるところなんですよ。それは我々も理解しています。しかし、今、法制局長官は、行政権が内閣に属するという憲法六十五条を引用して、まあそう言わざるを得ないと思いますよ、それしか根拠にしようがないですから。しかし、さっきも申し上げました、憲法の根幹、日本国の根幹に関わるような大方針を転換することが行政権の一部であるというふうに論理的に証明できますか、長官
  110. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) この度の、今般のその閣議決定で示されております憲法第九条に関する解釈につきましては、重ねて詳しくは申し上げませんが、これまでの憲法九条をめぐる様々な議論の積み重ね、そのようなものに十分配慮した上で、論理的な整合性を保つことのできる範囲のものとして明らかにしているものでありまして、御指摘のような憲法改正でなければ行い得ないようなことを閣議決定あるいは解釈で行うという、そのような性質のものではないと考えております。
  111. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと最後のところ、もう一回言ってください。閣議決定で行えるような性質のものではないというのはどこに係っているんですか。
  112. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 憲法改正で行う、憲法改正により行わなければならないような事柄を憲法解釈の変更で行うということではないと申し上げたところでございます。
  113. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 憲法改正で行わなければならないようなことを憲法解釈の変更で行えるということではないということを今おっしゃったわけですね。分かります、分かります。  ということは、もう一回聞きますけれども、この閣議決定でこの憲法の根幹に関わるようなこと、これを変更したことに私たちはバッテンなんですよ。ここは承服できない。なぜかというと、憲法があり、内閣法があり、その内閣法の第一条に定められて閣議があるわけですよね。その閣議が憲法の根幹に関わることを変えるということは、閣議がこの上に来ちゃうわけですよ。そこは哲学論争かもしれませんが、総理、私たちはその点だけはバッテンです。決め方に関しては赤信号。  なぜならば、もう一つ理由を申し上げれば、これは、会派、党派関係なく、国権の最高機関は国会というふうに決められているんです、憲法で。国会で十分に議論させていただいた上で、我々の意見も十分に申し上げた上で、総理が全部、それは賛成意見もあれば反対意見もあるでしょう、しかし、そんたくをして最終的に閣議決定をされるというプロセスを、もうちょっと組立てを変えてやっていただければ、こういう状況には多分なってなかったと思います。それは、総理は異論があるかもしれませんが、私たちと同じ立場に立つ国民全体の何割かの方々はやっぱり僕らと同じ思いですから。  したがって、総理に賛成の方々への説明はいいです、みんな賛成しているんですから。総理の今回の御判断や手法に疑義を感じていらっしゃる国民の皆さん向けに、残り時間使い切っていただいても結構ですから、きちっと説明をしてください。
  114. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国会は国権の最高機関であります。他方、法制局長官からお答えをしたように、憲法六十五条において、行政権は内閣に属するわけであります。政府に属するわけであります。そして、日々の行政において、我々は憲法尊重擁護義務がございますから、当然、その中において憲法を適切に解釈しながら行政を行っていくところであります。適切に行う上においては、解釈を行っていくということであります。  そして、安全保障についてのこの憲法解釈でありますが、憲法の中に明示的に自衛権あるいは自衛隊の存在が書き込まれていないわけでございます。それによって、我々は、現在の安保政策の根幹の解釈については、言わば解釈の積み重ね、それは多くは国会答弁によってなされてきているわけでございます。  そして、例えば先ほど例として挙げられました武力攻撃事態対処法ですね、あの中における自衛隊の対応、これは昭和二十九年に、自衛隊はまさに六十年前にでき上がったのでございますが、この自衛権の行使について、政府としての基本的な見解というのは、一九七二年、昭和四十七年にできた見解でありまして、それがずっと続いてきたわけでございますが、この見解そのものは政府の、決算委員会ですか、に参考資料として出されたものでございまして、これ、もちろん与党の議論も行っておりませんし、閣議決定すら行っていないものであります。それが、実は、ずっと四十年以上これ縛ってきたわけでありますが、これを行ってからもう四十年たつ中において、国際状況は大きく変わったわけでありますから、その中において私たちは、国民の命と幸せな暮らしを守るという大きな義務の中において、これ守り抜かなければなりません。  ですから、その中で、今までのままでいいのかという中において、いわゆる安保法制懇において足掛け七年、実質二年半議論を行い、その上において報告書を出してもらい、与党において十分な議論を行い、これについては、四十七年の政府の見解とは違って、我々は閣議決定を行ったところでございます。
  115. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 我々の立場は明確にさせていただいたつもりですので、更なる十分な審議、委員会の開催を委員長に求めて、終わりにさせていただきます。
  116. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で大塚耕平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  117. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、福山哲郎君の質疑を行います。福山哲郎君。
  118. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。  私、午前中の時間、実はあともう十三分しかございませんので、午前中、頭出しの質疑をさせていただいて、そして午後からの審議にまた譲りたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  ちょっと一枚目、パネルを御覧ください。(資料提示)これは、七月の一日の総理の記者会見でございます。  私、実は、昨日の衆議院の審議をお伺いをいたしまして、随分この集団的自衛権行使容認について明確になるものかと思いきや、実は全く逆でございました。  これ、総理の会見、御覧ください。真ん中です。現行の憲法解釈の基本的考え方は、今回の閣議決定において何ら変わることがありませんと言われていますが、現実には、これまで集団的自衛権行使は認められなかったのに、限定とはいえ行使が認められることになりますから、これは変わっていますし、昨日の答弁でも、総理は明確に解釈を一部変えたとおっしゃっておりました。  海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりませんと言われますが、昨日から随分前のめりになっておっしゃっておられる掃海艇の派遣は、これは海外派兵です。特に遺棄機雷ではない状況で紛争中に掃海艇を派遣をすることは武力行使です。ですから、これは海外派兵だと私は思っていますから、全く変わりませんというのもよく分かりません。  それから、自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありません、集団安全保障のことを言われているんだと思いますが、昨日、法制局長官は、新三要件において、法理上、三要件を満たせば集団安全保障にも参加可能だということを明言されました。  ところが、総理は、五月の十五日の会見でいうと、国連の集団安全保障措置は、私は憲法がこうした活動の全てを許しているとは考えませんと、自衛隊武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありませんと、同じようなことを言われているんですけれども、でも、掃海艇の派遣武力行使です。ですから、ここもちょっとよく分かりません。  それから、これから質問に移ります。外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解があります、しかしそのようなこともあり得ないということも言われていますが、これも、実は戦争に巻き込まれる論というのはもちろん日本にこれまでずっとありました。しかし、二枚目の紙を、パネルを御覧ください。日本の専守防衛というのは、あくまで何らかの形で日本攻撃があった場合、それに対して、必要最小限度、均衡原則によって武力行使ができるというのが日本の今までの考え方です。これが個別的自衛権の考え方です。  ところが、先ほど我が党の大塚委員との議論にもありましたけど、集団的自衛権行使というのは、三枚目、御覧いただけますでしょうか、国民の皆さんにも御覧をいただければと思いますが、C国から日本攻撃はありません。C国からB国に攻撃があったときに、これ総理が言われていることだけわざと私書きました。強制的な臨検や機雷掃海や米艦防護、これは武力行使です、武力行使をすると。これ全然違うわけです、さっきの図と。これは限定だとか限定でないとかは別にして、国際法上、集団的自衛権行使をするということはまさにこういうことです。  戦争に巻き込まれるとか巻き込まれないではありません。私、前の外交防衛委員会総理に聞いたときにははっきり御答弁いただけなかったのでお答えを求めますが、こういった状況でB国とC国は紛争しておりますので、この状況武力行使をするということは、日本は巻き込まれるのではなくて戦争に参加することなんじゃないんですか。
  119. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の閣議決定に対しては、盛んに、巻き込まれる、戦争をする国になると、こんなふうに批判をされているわけでありますが、これはまさに日米安保条約を改定した際にも反対論の中心的な議論であったと、このように思うわけであります。  そこで、今回の閣議決定の目的はただ一つでありまして、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために万全の備えをつくること、こうした備えこそが万が一の事態の発生を防ぐ大きな力になるわけであります。  新三要件にあります、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるとは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民に対して我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるときということをいうものであると、こう考えているわけであります。  そして、海外派兵については、一貫して申し上げておりますが、一般に許されないという従来の原則も全くこれは変わっていないわけでありまして、自衛隊武力行使を目的として……(発言する者あり)やじられると、なかなか答え……(発言する者あり)大事なところだから、ちょっと黙って聞いていただきたいと思います。  自衛隊武力行使を目的としてかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、新三要件にある必要最小限の範囲を超えるものであり、これからも決してないということであります。また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権行使を認めるものではないわけでありまして、外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるというのは誤解でありまして、ということでありまして、今回は、様々な誤解があるわけでありますので明確に申し上げておきたいと思いますし、委員も冒頭、巻き込まれる、あるいは参加ということを言われたわけでありますが、この三要件に適する中において、我々は集団的自衛権の一部が行使をできる、つまり武力行使ができると、武力行使はそういう三要件の中においてのみできると、こういう考え方であります。
  120. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 総理、私の質問に明確にお答えください。  要は、先ほど申し上げたように、個別的自衛権の場合は、日本攻撃をされたときだけその分に合わせて攻撃できるんです。それは国民の生命、財産、この国を守るために必要だからです。この図を見ていただければ、我が国攻撃がないのに、B国とC国は紛争中です、そこに対して武力行使をするということは、戦争に参加をすることですねと聞いているんです。私の質問にお答えをいただきたいと思います。  それからもう一点、先ほど、イラクや湾岸戦争はされないというときに、総理は、非常に微妙に、新三要件に合致をしないから行かないとおっしゃいました。ということは、ドイツは、初めて集団安全保障に参加をしてNATOから域外に出ることを決めたアフガンのときには、実は戦闘には参加しておりません。治安部隊と復興支援部隊にドイツは出ました。ということは、新三要件に先ほど総理が言われたように合致すれば、戦闘行為ではない状況なら行かれる可能性があるということですね。  まず、戦争に参加することかどうかを明確にお答えください。そうではないと国民は誤解をします。なぜなら、総理我が国憲法第九条の一項は、国際紛争の解決の手段として武力行使をそもそも禁止しています。このB国とC国は国際紛争をしています。そこに手段として我が国武力行使をしていくことになります、限定であろうが何であろうが。そのことに対して、私は憲法上疑義もあると思っていますし、だからこそ、我が国は今まで集団的自衛権行使できないと、これは自民党政権がずっと決めてこられたことです。  ですから、そのことと、いいですか、戦争に参加をすることだということについて、どうかお認めをいただきたいと思います。
  121. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 明確にお答えをさせていただきたいと思いますが、私が申し上げてきていることは一貫しているわけでございまして、今回なぜ根幹を変えていないかといえば、自衛権の発動については、憲法の前文、国家としての平和生存権、そして十三条における国民の命、そして自由、幸福追求権利を守るためには自衛権を発動することができるということであります。その論理の中において、しかし、それは、とはいえ、それは必要最小限度にとどまらなければならないという、これが四十七年見解の根幹であります。  しかし、その中において、いわゆる集団的自衛権行使できないという結論になっておりますが、そこを当てはめにおいて、我々は、状況が変わる中においては集団的自衛権について一部限定的に容認することができるということでありまして……(発言する者あり)今答えて、丁寧に答えているんですからね。前提を少し説明をしないと……(発言する者あり)イエスかノーかで答えられるような単純な問題ではないんですよ。だから、少しは忍耐力を持って……(発言する者あり)つまり、この中にも書いてあるように、そこで言わば武力行使を目的としてイラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加をすることはないと、こう申し上げてきたわけでありますし、一般に海外派兵はできない。  ただ、その間、私もずっと申し上げておりますように、機雷の掃海につきましては、これは国際法的には武力行使として扱われますが、しかし、機雷の掃海については、まさに国際海峡に対して違法に国際海峡を機雷で封鎖するものであって、この危険物を除去する上において、武力行使と捉えられますが、しかし、これは放っておけば日本のまさに安全に重大な影響が及ぼすという三要件の中に合致すれば、合致すれば機雷の掃海を行うということであります。しかし、これは限定的、受動的なものであるということは言わざるを得ないということでございまして、おのずから、いわゆる海外における武力行使とは、武力行使と言わば国際法的には整理されますが、これは差別されなければ、整理されなければならないと、このように思います。
  122. 山崎力

    委員長山崎力君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  123. 山崎力

    委員長山崎力君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問題に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き質疑を行います。福山哲郎君。
  124. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 午前中に引き続きまして、よろしくお願い申し上げます。  午前中、集団的自衛権行使というのは、C国からB国に攻撃があって日本には攻撃がないのに武力行使をすることですから、これは、いわゆる、BとCは紛争をしているわけですから、紛争の解決する手段としての憲法が禁じている武力行使にならないのかということもお話をしましたし、実はこれは戦争に巻き込まれるのではなくて参加をすることではないのかとお伺いをしましたが、総理は一切お答えをいただけませんでした。非常に残念だと思っております。  総理が常に武力行使で言われている、例えばこの臨検でございます。臨検は、旗国の同意がなく強制的にすることは、国際法上、武力行使です。朝鮮半島に有事があったときに、私は一般的には米国が海上封鎖をしていると思っていますので北朝鮮に向かってどこかの船が何か物資を運ぶというのはなかなか考えにくいとは思っておりますが、しかし総理がこだわられるので仮にそういったことがあったとして、例えば武力行使として強制的に臨検をするとなれば、相手の船にどんな武装集団が乗っているかも分からない、どんな武器を持って待機しているかも分からない、待ち構えているかも分からない、そこで臨検をするわけです。これは、周辺事態法による周辺事態における船舶検査法に基づく船舶検査とは全く異なります。  昨日、我が党の岡田委員質問に、いわゆる武力行使の一体化のときにも総理は言明をいただけませんでしたが、この強制的な臨検というのは、当然、自衛隊員にとってのリスクは高まるということは、危険が非常に高い業務だということは、総理、これはお認めをいただけますね。
  125. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) このいわゆる臨検でありますが、今委員が指摘をされたように、船舶検査法に基づく措置は安保理決議に基づく場合又は旗国の同意を得て検査を行うものであり、また乗船しての検査については船長の承諾を得ることとなっています。これらは、あくまでも強制的な措置に至らない範囲で行うものであり、武力による威嚇又は武力行使に当たるものであってはならないとされております。  その中で、政府が、我が国にも武力攻撃が行われていないという状況下の中において、今後我が国への攻撃に使われ、国民の生命が犠牲になるかもしれない武器等を積んでいる疑いのある船舶が航行しているのに、我が国として強制的な検査ができないのでよいのかという問題意識の下で検討を行ってきたものであります。  そして、今回の閣議決定はあくまでも国民の命と平和な暮らしを守ることを目的としたものでありまして、憲法第九条の下で許容される武力行使は、我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものでありまして、このような従来の憲法解釈の基本的な考え方は何ら変わるところがないわけでありますが、その中において自衛隊員は、これは個別自衛権においてもそうでありますが、まさに、事に臨んで危険を顧みず、身をもって職務を全うすると、こうした任務を果たしていくことになるわけであります。
  126. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先ほどの質疑の中でもそうなんですけど、質問にお答えをいただきたいと思います。そして、私が説明をしたことをもう一度総理説明をいただく必要はありません。  それで、私は、自衛隊員は個別的自衛権のときには、それは我が国のために宣誓をしていただいているんだから、命を張って本当に御苦労いただいているのは私も分かっております。しかし、日本攻撃がない時点で臨検をしに行くということは強制措置ですから、その船から見れば。いかにリスクの高い業務を自衛官にさせるかということで、昨日も岡田委員質問に、自衛隊のリスクは高まるかという質問に全くお答えをいただけなかったのは、私非常に残念です。  総理覚悟を持って言われるなら、集団的自衛権行使は戦争に参加することです、そして、臨検は強制的ですから、自衛官の皆さんのリスクは高まるとなぜ言えないんですか。それを正直に言っていただかないと、国民は、この集団的自衛権行使が本当に国民が納得できるのかどうか。自衛官は御家族もいらっしゃいます。そして、自衛官は、そもそも集団的自衛権行使ができないという前提で、しないという前提で自衛隊に入っていただいています。私は、そのことを総理が言明をいただけないことが非常に残念です。  例えば、もう一個、昨日からずっと申し上げている機雷の掃海について申し上げます。  戦闘行為をしている最中に掃海艇を派遣することは、先ほども申し上げたように海外派兵です。総理は海外派兵はしないとおっしゃっていますが、武力行使、いわゆる掃海をする目的で武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、これは海外派兵です。  昨日、防衛大臣は、遺棄機雷のときには護衛艦を連れていかなかったとおっしゃっています。それは、ある意味、停戦状態になって穏やかになったから遺棄機雷を除去しに行って、それについて自衛隊員は非常に優秀な業務をしていただいたと私は思っています。それが国際評価も高かったことも私は存じ上げています。  しかし、戦闘行為が実際に行われるところに機雷を、掃海艇を出すということになれば、これは私、防衛省に確認をいたしました。戦闘行為が行われているところに出すとなれば、これは護衛艦も付けなければいけないし、状況によっては航空支援部隊まで付けなければやっぱり危険な状況だということは、これは当たり前だというふうに思います。これも遺棄機雷の掃海とは全く違う、これも自衛官にとってはリスクが高まるものです。  このことについても、総理自衛官のリスクが高まるということは、危険が高まるということはお認めをいただけますでしょうか。
  127. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 自衛隊員のことでありますので、私の方からちょっとお答えさせていただきます。  まず、先ほど来、福山委員から御質問がありますが、今回の新要件、これは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険、こういう大変危険な状況にあるということが前提の中で、例えば先ほど臨検のことについてお話がありましたが、その臨検の場合、当然、船舶に積んである様々な武器その他が、これは日本に直接今後攻撃に使われる可能性が十分考えられる、恐らくそういうことを想定しての臨検ということになります。そうすると、この時点で未然にそれを防ぐ方が、後々相手側にしっかり渡って日本攻撃に使われるよりは、むしろ私ども全体の安全保障としてこれはプラスになるんではないかと、そういう思いも考えの中では是非あるということをお考えいただければと思っております。  それからもう一つ、今、機雷の除去についてのお話がございました。今お話がありますように、当然、停戦が行われて遺棄している機雷に関しては、これはある面で能力を高く機雷の除去ができると思います。ただ、もう一つ、もし実際戦闘が本当に行われているエリアで、そこで例えば護衛艦の護衛なりを伴って機雷の掃海をするということは実は現実なかなか難しくて、例えば護衛艦というのは金属でできております。機雷には、例えば金属に反応して爆発するものもありますので、木製とかプラスチックとか、そういうものが掃海艇です。ですから、掃海艇だけで行くということが、逆に基本的にはまず機雷の除去ということになるんだと思っています。  ただ、いずれにしても、仮に、先ほど午前中に佐藤委員の御質問にもお答えさせていただきましたが、仮に停戦合意がなくても安全にその場所で機雷の掃海の任務が行えるような環境であれば、これは私ども任務を遂行できるというふうに思っております。
  128. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、だから、じゃ、臨検で、その貨物で北朝鮮に行くときに、それは未然に防ぐというのは、それは分かります。しかし、それはイコール自衛隊員にとってはリスクが高まることは間違いないですよね。  そして、もう一点。先ほどの掃海の話も正直に言われたんです、戦闘行為の最中は出すのは厳しいと。おっしゃられたんですけど、出す出すとおっしゃるから私はそうじゃないかと申し上げたんです。なおかつ、もし遺棄機雷を、戦闘行為が、もう安全の状況を確保できるというんだったら、何でそこで、それは戦闘行為なんですか。何でそこで集団安全保障で行かなきゃいけないんですか。集団的自衛権行使して行かなきゃいけないんですか。だって、遺棄機雷で安全なんだったら、それは今までだって自衛隊行っているじゃないですか。
  129. 山崎力

  130. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、総理、答えてください。
  131. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) まず、これは個別的自衛権においても集団的自衛権においても、やはり我が国に危険が及ぶということ、我が国国民が危険に及ぶことに関しては、自衛隊員は危険を顧みず対応することに、それはしっかり守ってくれると思います。また、そのためには十分な訓練と十分な装備も含めて準備が必要だということ、これはもう委員も同じ気持ちだと思います。隊員の命も大事だということがあります。  もう一つ、機雷の問題がございました。先ほど来のお話の中で、例えば停戦合意が行われていない中で、その海峡を掃海できる、機雷を除去できるという、そういうことができる場合においても、まだ停戦合意が行われていないので、そこで安全に機雷を除去できたとしても、一応国際法上はこれは武力行使に当たるということになるので、そういう意味合いで今この集団的自衛権議論の中で様々な議論が行われていると思っています。  ですから、憲法の中の議論のお話と、現実に部隊を派遣してどのように現実にできるかというところ、そこを私どもしっかり検討してこれからの法整備に対応していくことが重要だと思っております。
  132. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 新しい前提をいろいろ付けないでください。十五事例を出してきて、それはいつの間にかうやむやになって、具体的にそのことに聞くと、こんな状況だから行けます、行けませんなんていったら、幾らでも後で状況認識はできるじゃないですか。  少なくとも、集団的自衛権行使をして機雷を掃海をし臨検をするというのは、私は自衛隊員の皆さんにとっては命に関わるリスクは高まると思っています。そのことを総理が、最高指揮官である総理が認めていただけないというのは非常に私は残念でありますが、先ほど戦争に参加するということも逃げられた。今回のことも逃げられた。もう昨日の岡田委員との質問にも、私はそこを逃げられたことは非常に残念に思っています。  ただ、時間がないので次へ行きます。  総理がこだわっておられる、いわゆる朝鮮半島有事のときの米艦防護でございます。  実は、今日は小さい文字だったのでパネルにはできませんでしたが、委員の皆さんには資料をお届けをしています。総理が何度も何度もアメリカの艦船を防護しないでいいのかと、日本人やその他の民間人が助けられているときにいいのかということを、赤ちゃんやお母さんの絵を付けて国民説明をされました。  これはアメリカの国務省の領事部のホームページです。アメリカ自国国民ですら、国務省が、ある国へ旅行注意情報を出し、出国を勧告しているからといって、その国にいるアメリカ市民の救出をアメリカ軍が支援してくれると期待してはなりませんと、これはアメリカの国務省の領事部のホームページです。その下でございます。アメリカ軍のヘリコプター米国政府の輸送機が護衛付きで救出してくれると期待するのは、ハリウッドのシナリオに影響され過ぎていて現実的ではありません。これ、アメリカが言っているんです。そして、最後、我々は米国市民の支援を最優先します。米国市民でない友人や親戚を米国政府のチャーター機や民間以外の輸送手段に乗せられると期待しないでくださいと、こう書いてあるわけです。  我々がこの議論を前回の外交防衛委員会でもしたときに、アメリカが民間人を輸送艦に乗せることはないと、そんなことは余り現実的ではないと申し上げたときに、総理は私に、それはアメリカにお任せということですかと反論されました。アメリカにお任せではありません。アメリカはこういったことを米国の国務省のホームページで言っています。  そして、更に申し上げれば、お名前は申し上げませんが、自民党のある議員が平成十一年三月、最終的に、ガイドラインにも米軍による邦人の救出を入れて、米国が実施する項目ということでお願いをしておったんですが、最終的にはアメリカから断られましたと、これ自民党の議員がおっしゃっています。(発言する者あり)いや、いいんです。  結果として、総理が……(発言する者あり)総理が席でやじを言わないでください。結果として……(発言する者あり)私はこういったものが出ていることも含めて、国民に対して記者会見で何度も何度も米艦を防護しないでいいのかと言うのは、国民に私は誤解を与えると思います。  そして、次に行きます。(発言する者あり)いや、結構です。もう答弁長いのでいいです。余計なこと言われると困るので。いや、いいです。次に行きます。次に……(発言する者あり)  じゃ、答えられますか。いやいや、総理、答えてください。
  133. 山崎力

    委員長山崎力君) どちら。総理
  134. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 短くしてください。
  135. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) はい、短くしますが、そもそもこれは、一般国民が勝手にいろんなところに行って、常に米軍の資産によってこうして安全な場所に移動させられるということを期待して行かれても困るということでありますが、一方、朝鮮半島については、これはガイドラインに書いてあります。模擬的な訓練もしています。(発言する者あり)しています。いやいや、していますと私は政府を代表して言っているんであるから、間違い……(発言する者あり)いやいや、もういいとか、今、福山さんは困ることを言われたからそう言っておられるんでしょうけど、これは模擬訓練も……
  136. 山崎力

    委員長山崎力君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  137. 山崎力

    委員長山崎力君) それじゃ、速記を起こしてください。  じゃ、総理、答弁をお願いします。
  138. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) よろしいですか。  これははっきり政府を代表して申し上げておきますが、ガイドラインの中に書いてあります。つまり、半島有事の際には、そこにいる米国人を含め民間人、これは大量の民間人になるわけでありますが、それを言わばエバキュエーション、これ、避難をさせるというのは大きな任務一つになっているわけでありますが、そこにおいて、言わば模擬的な訓練ということも行っているのも事実であります。ということは申し上げておきたい。  これは言わば勝手にどんどん行かれても困るということでありますから、それと先ほどの自民党の、名前を出さないからこれ分かりませんけれども、そういう人がいるのかどうかもですね。しかし、それは全く事実とは違うということははっきりと申し上げておきたいと思います。
  139. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は日米によってコブラゴールドという在外邦人輸送に関する訓練をしているのも知っていますが、これの実情もよく知っていますけれども、そのやり取りをしても仕方がないので今日はしません。  ただ、これは我が党の辻元委員のお手伝いを随分いただきましたが、ついこの間の審議の中で、加藤内閣官房副長官アメリカ側の方針というのはそのとおりだと思いますと言っておられます。もうこれ以上水掛け論になっても仕方ないので次に行きますが、これが、実際にこういうものがあるということだけはお伝えをしておきたいと思います。  じゃ、次、パネル出してください。これ実は約十年前の、当時、安倍総理が自民党幹事長をされていたときの国会でのやり取りでございます。  これは有名なやり取りなので国民の皆さんも御存じだと思いますが、安倍幹事長は、当時、予算委員会で次のように質問されました。我が国を防衛するに対して必要最小限度の範囲にとどまるものである、これは自衛権です、こういうふうにありますが、範囲にとどまるべきというのは、論理的にはこの範囲の中に入る集団的自衛権行使というものが考えられるかどうか、つまり、自衛権の中に部分的に集団的自衛権を必要最小限に入れていいのかどうかという質問をされました。これは基本的に今の議論の流れと同じ議論です。  それに対して、当時の秋山内閣法制局長官は、いろいろ言われているんですけど、数量的な概念ではないので限定的な集団的自衛権行使できないということをはっきりとこのときに答弁をされています。これ、当時、安倍総理が与党の幹事長の時代です。  この質問をされた四日後、次のパネルをお願いします、四日後に総理は、ある書物というか、「この国を守る決意」という書物を出版されていまして、新たな責任というのは、この日米安保条約を堂々たる双務性にしていくということです、言うまでもなく、軍事同盟というのは血の同盟です、しかし、今の憲法解釈の下では、日本自衛隊は少なくともアメリカ攻撃されたときに血を流すことはできないわけです、完全なイコールパートナーと言えるでしょうかという発言を著書にされています。まさにこれ十年前に総理が言われたことでございます。つまり、今の憲法解釈の変更の議論はこの文脈になっています。  法制局長官にお伺いをしたいと思います。  十年前、当時与党の幹事長で、量的な概念ではないとはっきりと否定をした内閣法制局が、なぜ、同じ安倍当時幹事長が総理になって、そして横畠長官は私に対して、この三か月ぐらいの質疑の中でも、何度も集団的自衛権は数量的概念ではないと御答弁をされました。量的概念ではないと御答弁をされました。なぜ、同じ人物が同じ文脈でやろうとしていることを、十年前の法制局はきっぱりと否定をしたのに、今回は認められるんですか。
  140. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) お答えいたします。  御指摘の秋山内閣法制局長官の答弁は、数量的な概念として申し上げているものではないという意味は、自衛行使の第一要件、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないということを指して答弁しているものでございます。  その意味で、この場合における数量的概念というものでございますけれども、この当時におきましては、いわゆる数量的、つまり任意の量で線が引ける、任意のところで線が引けると、そういうものではない、つまり性質、性格上、線が引けなければいけない、その意味で、我が国に対する武力攻撃の発生という定性的な線が引けているというところで違うのだという趣旨でお答えしているはずでございます。  今般、新たな新三要件を御覧いただければお分かりと存じますが、任意の数量的な線をこの第一要件で引いているわけではございませんで、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるという定性的な基準を新たに設定したということでございまして、単に数量的な概念で今回膨らませたということではございません。その意味で一貫していると考えております。
  141. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 だって、第一要件って、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないんでしょう。今回の三要件だって、我が国に対して武力は発生していないでしょう、他国に攻撃をされているだけで。それを定性的に膨らましているとか、数量的に膨らましているって、だって集団的自衛権行使自身が非常に定性的なものじゃないですか。それを部分的に、ここまではいいんだとか、ここまではいけないんだという意味合いが数量的な意味合いだという概念だと私は考えていますが、それは、横畠さん、いかがですか。
  142. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) この点は、今般の閣議決定において示された見解は、昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持したものであると説明させていただいております。  その根幹となるところは、簡単に言いますと、我が国及び国民に深刻、重大な害が及ぶ、その危険が現実にあるというときに、さすがの憲法第九条においても武力行使を認めると、さすがの憲法武力行使を禁じているということまでは解されないということで一貫しているということでございます。
  143. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 横畠さん、長官、この秋山内閣法制局長官の言っている第一要件は今回あるんですか、ないんですか。満たしているのか、満たしていないのか、お答えください。ここの秋山法制局長官の言われる第一要件は満たしているのか、満たしていないのか、お答えください。
  144. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 今般の閣議決定は、憲法第九条の下でも例外的に自衛のための武力行使が許される場合があるとする昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持し、その考え方を前提としております。これに当てはまる極限的な場合は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当たるとしたものであり、その限りにおいて結論の一部が変わるものでございますけれども、論理的整合性は保たれておると考えております。(発言する者あり)
  145. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今やじにありましたように、私、読解力ありません。分からないんです。だって、相手国に攻撃があって我が国攻撃がないんですから、この第一要件なんです、まさに。それで、量的に、限定的には集団的自衛権行使できないと言っているんです。今のお話、私の質問に答えてない、全く、横畠さん。  例えば、じゃ、横畠さん、もう一個聞きます。  今回の閣議決定は、日本政府は正式に憲法の解釈を変更したというのは、文民条項のとき一回きりだということになっています。これは、今回は二回目ですか。今回の憲法解釈の変更は二回目なのかどうか、お答えください。
  146. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 法令の解釈と申しますのは、いわゆる当てはめの問題でございますけれども、その意味で変更があったのかということであるならば、一部変更したということでございます。
  147. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 一部変更って分かりません。憲法解釈として、今回は戦後二度目の憲法の解釈を変更したという位置付けかどうかと聞いているんです。
  148. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) そのような位置付けであることは否定いたしません。
  149. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ非常に大きいですよ。二度目の変更なんですよ、解釈の。これは解釈の変更ですからね。これは大きい私は発言だと思います。  じゃ、横畠長官、今回の閣議決定について、内閣法制局は、一般的に言えばいわゆる意見事務が具申されるはずですが、この憲法の解釈変更の閣議決定について内閣官房から意見具申があったのはいつですか。
  150. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) この問題につきましては、長いというか一定の経緯がございます。  昨年二月に、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が再開されました。それ以後、内閣法制局におきましては、内閣法制次長、まあ私でございましたが、オブザーバーとして出席するとともに、適宜内閣官房から議論状況等について説明を受け、また部内におきましても憲法第九条に関する過去の国会答弁や質問主意書、答弁書等の政府見解を精査するなどしていたところでございます。  本年五月二十日、安全保障法制整備に関する与党協議会の議論が開始され、その後は内閣官房から政府与党協議会に提出する資料について事前又は事後に送付を受け、必要に応じて説明を受けるとともに、担当者間で意見交換をするなどし、また部内においてもこれらの資料によって検討を行っていたところでございます。与党協議会の終盤に政府から提出した閣議決定の概要等につきましても、送付を受け、検討を加えていたところでございます。  六月三十日、内閣官房からそれまでの与党協議会の議論を踏まえた閣議決定の案文が正式に送付され、意見を求められたことから最終的な検討を行い、翌七月一日、意見はない旨の回答をしたところでございます。
  151. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今、幾つか問題なことを言われたんです。ずっと、実は安保法制懇議論をしているときには、国会で何を聞いても、安保法制懇議論が決まるまでは答えられませんの一点張りでした。そして、安保法制懇の報告書が出たら、今度は与党協議をやっているから答えられませんと、これは総理外務大臣防衛大臣もずっと国会でそう答えておられました。  内閣府の説明では七十人以上の国会議員質問をしていると書いてありますが、みんな決めていないので答えられませんと言っていました。今の話でいえば、法制局は中に入っている。安保法制懇議論のときも、あくまでも政府側というのは専門家に任せているんだとずっと主張していたじゃないですか。だから自分らは答えられないと言っていたじゃないですか。  結果として、内閣法制局に官房から具申が来たのは六月の三十日、閣議決定は七月の一日、つまり一日しか審査をしていない。そして、審査に対して、法制局長官、さりげなく言われましたけど、どういう回答されたか、もう一回お答えください。
  152. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 意見はない旨の回答をしたところでございます。
  153. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いいですか。国民の命と安全に関わり、四十年以上も長い安定性を持ち、規範性を持ってきた憲法の解釈を変更しようとしている状況で、ずっと法制局集団的自衛権行使はできないと言ってきた。言ってきたものを変えるときに、具申にかかったのが一日、それに対する法制局の回答が意見なし。これはやっぱりどう考えてもまずいんじゃないですか、法治国家として。いや、総理、これまずいと思いますよ。  横畠長官、僕はあなたはお気の毒だと思っています。あなたはずっと法制局の次長で本当に頑張ってこられた。実はこの解釈も、ずっとあなたはこの安倍政権が無理やりやる解釈以外はちゃんとした答弁をされてきた。最後の最後、あなたは小松長官が残念ながら亡くなられて長官になられて、本当に嫌な役をやられていると思う。だって、歴代の法制局長官はみんな反対しているんだから。でも、やっぱりこういう意思決定の仕方は僕まずいと思いますよ。  横畠長官、この憲法解釈を変更する閣議決定に対して、立法事実は確認されましたか。
  154. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) なぜこのような解釈というか当てはめですけれども変更をするのかということにつきましては、まさに我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合におきましても、それによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険が生ずる場合、そのような場合があり得るということの説明を受けております。
  155. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そんな抽象的な議論は結構です。具体的な事例の立法事実はあったのかと、確認をしたのかと聞いているんです。確認したのかと聞いているんです。  つまり、我々は、憲法の下位である法律を改正するときにしても、常に法制局は、立法事実は何だ、なぜ変える必要があるんだということをぎりぎり詰めて我々はこの法治国家としての仕組みをつくってきたんですよ。イの一番に審査するのが法制局の役割です。立法事実を確認したのかと聞いているんです。今政府が言っている、閣議決定に書いてあるいわゆる三要件みたいな話を説明しろと言っているのではない。立法事実を、想定事実を確認したのかと聞いている。あるかないかでいい、確認したのかないかでいい、教えてください。
  156. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 私どもは安全保障環境の変化その他軍事的な問題等々についての専門家ではございません。あくまでも法制上の所管を持っているのみでございます。その意味で、先ほどお答えしたような場合があるかないかということにつきまして自ら政策的に判断するということはございませんで、そのような事実があり得るという説明を前提として、法的な論理について検討をしたということでございます。
  157. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 あり得るというのを前提としてということは、これから出てくるということですか。総理、これから今の具体的な立法事実は出てくるんですか、国民説明していただけるんですか。短くお答えください、時間ないので。
  158. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 手短にお答えいたしますが、従来の政府見解が示された昭和四十七年、これは政府の基本的な考え方になっておりますが、この昭和四十七年の政府の基本的な考え方は閣議決定を経ていないものでございますし、また、もちろん与党の協議も経ていないわけでありますが、その当時と、昭和四十七年当時と比べて我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容しているのは事実でありまして、例えば大量破壊兵器や弾道ミサイル等の軍事技術の高度化や拡散の下で北朝鮮日本の大部分ノドンミサイル射程に入れているわけであります。一方、このノドンミサイルに対抗するためのミサイル防衛の技術もできていると、このような状況になっているわけでありまして、最近も弾道ミサイルの発射を繰り返しているわけでありますし、核兵器の開発も行っているわけでございます。  そして、このようなミサイル防衛を行う上においても、日本だけではこれミサイル防衛が行えないわけでありまして、まさに日米の連携の下にこのミサイル防衛を行うということになっていくわけでありますが、さらに、グローバルなパワーバランスが変化をしている、国際テロなどの脅威、海洋やサイバー空間へのアクセスを妨げるリスクも深刻化しているのは事実でありまして、このように大きな変化がある中においてはもはやどの国も一国のみで平和を守ることができないという中においては、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、まさに憲法の前文の平和生存権、そして十三条における国民の命や自由やそして幸福追求権という権利をしっかりと守る上においては、こうした切れ目のない対応をしていく法整備が必要であると、こう考えたところでございます。
  159. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 非常に重要なことを幾つか言われたんですね。これは戦後二回目の憲法解釈の変更だとはっきり言われた。そうしたら、基本的に解釈、最初に申し上げたように、総理の記者会見の国民への説明とは若干どころかかなり違う状況になりました。  私は、今の法制局長官議論を聞いていて、日本を代表する保守論客である山本七平先生の、皆さんも御案内の「「空気」の研究」というものを今日紹介したいと思います。この山本七平先生は、日華事変や太平洋戦争の対処の仕方について空気での決定というのを論じている方です。  以前から私はこの空気という言葉が少々気になってきた。そして、気になり出すと、この言葉は一つの絶対の権威のごとくに至る所に顔を出して、驚くべき力を振るっているのに気付く。ああいう決定になったことに非難はあるが、当時の会議の空気では、その場の空気も知らずに偉そうなことを言うな、その場の空気は私が予想したものと全く違っていた等々、至る所で人々は、何かの最終的決定者は人でなく空気であると言っているわけです。  これは非常に、山本七平先生というのは本当に保守の論客で、私は大変尊敬を申し上げているんですけど、そして、その中で山本先生はこうおっしゃっています。水を差すことの重要性を訴えられています。人々を現実に引き戻す水が重要ですということだと思います。  法制局長官が長年ずっと保ってきた矜持をかなぐり捨てて行使容認を憲法解釈を変更してやろうとしている。自民党の中では村上誠一郎先生以外は声が上がらない。私は、実はこの審議で、山本七平先生の本を読んで水を差すつもりで立っていますが、私よりももっと大きく水を差していただいたのが滋賀の知事選だと思っています。国民の皆さんは、やはりこの集団的自衛権の解釈変更のある種の強引さについてやはり不安に思っているし、その結果、大きく水を差す思いとして滋賀の知事選に臨んでいただいたんだというふうに思っております。  重要なことをお伺いします。  必要最小限でございますが、必要最小限の武力行使というのは、我々、我が国武力攻撃を受けた場合には均衡の原則でできます。しかしながら、C国からB国に攻撃がある状況の中で我々が武力行使するときの必要最小限はどういった形で考えるのか、また、先ほどから何回も出ている三要件でございますが、三要件に当てはまるかの基準は一体誰がどのような基準で判断をするのか、総理、お答えください。二つです。短くて結構です。
  160. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この新三要件に言う必要最小限度とは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される原因をつくり出している、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度を意味するわけであります。  なお、国際法の用語で言えば、武力行使の態様が相手の武力攻撃の態様と均衡が取れたものでなければならないという均衡性を意味するものであります。  仮に、我が国に対する武力攻撃が発生していなくとも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が客観的に存在している以上、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度についての具体的な限度は武力攻撃の規模、態様に応じて判断することができると、このように考えているわけであります。  こうした三要件にのっとって政府として判断をしていくわけでありますが、今後、立法において、自衛隊が実際に活動する上においては国会の承認も必要となるわけでありまして、政府そして国会において三要件に当てはまるかどうかということがしっかりとこれは議論されるということであります。  そして、先ほど法制局との関係において議論をされておられるわけでありますが、民主党政権において仙谷当時の官房長官法制局長官の答弁を禁止をしたわけでありますが、その際、憲法解釈は政治性を帯びざるを得ないと、その時点の内閣責任を持った憲法解釈を国民や国会に提示するのが最も妥当であるというふうに、御参考でありますが、仙谷当時の官房長官が述べておられるわけでありまして、これを鳩山当時の総理大臣は、政府によって、憲法解釈についても内閣責任を持って行うと、こういうことでございます。(発言する者あり)  皆さんの都合が悪いことはやめろということだと思いますので、引っ込めさせていただきます。(拍手)
  161. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そんなことで拍手しないの。  今、安倍総理は非常に重要なことを言いました。必要最小限をということは、他国に対する攻撃があって、その武力攻撃を排除するためのとおっしゃいました。つまり、総理の会見も、公明党も、皆さんも、自国のための集団的自衛権行使はするけど他国を守るための集団的自衛権行使はしないとおっしゃっていたんですけど、今は、必要最小限は武力行使を排除するためのとおっしゃいました。排除はどう考えたって他国を守るためのことでして、この問題についても非常に疑問を持ちます。  それから、先ほど総理は国会承認を言われました。実は、昨日の議事録調べたら、総理は国会承認の中で、国会の承認を必要とすると最初言ったら、その次は、原則として事前に国会の承認を求めることとすると言いました。そして、その後は、政府が判断した後に国会の判断をいただいてと言って、国会の承認についても事後なのか事前なのかも含めて非常に答弁が混同しております。  総理がいろいろ言われましたので、私は予定をしていた時間が全くできませんでした。非常に遺憾に思っています。  是非お願いをしたい。
  162. 山崎力

    委員長山崎力君) そろそろおまとめください。
  163. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 まず、新要件に合致し、当てはまるかどうかの判断基準を政府統一見解として明示していただきたい。憲法解釈を変更した根拠、言わば立法事実を、これも政府統一見解として出していただきたい。  是非、そういったことも含めてまだまだこの問題は議論の余地があると思っておりますので、そのことを申し上げ、国民はこれでは全く納得できないということを申し上げ、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  164. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  165. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、西田仁君質疑を行います。西田仁君
  166. 西田実仁

    西田仁君 公明党の西田実仁でございます。  今般の閣議決定をめぐりましては、集団的自衛権のことが大変に熱心に報道はされておりますけれども、その題名は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」というものでございます。  そのために、まずこの閣議決定において強調されておりますのが力強い外交の推進ということであります。これは公明党もかねてより強く主張してきたところでございまして、紛争の平和的な解決を目指していくという、こういうことがまず書かれているわけであります。そして、日本を取り巻く安全保障環境が根本的に変容している、そういう中に対応していかなきゃならないという事態に、やはり日米同盟抑止力を向上させなきゃならないと。紛争を未然に回避する、つまりこの力強い外交の推進ということと抑止力の向上という、これを車の両輪として、国の存立を全うし、そして国民を守るための法整備はいかにあるべきかということをこの閣議決定で決めたところでございます。  そして、この閣議決定冒頭で強調されておりますのは、戦後一貫して日本憲法の下で平和国家として歩んできたということでございまして、具体的には、専守防衛に徹する、軍事大国にはならない、そして非核三原則は守る、こういう基本方針というものが強調されているわけでございますし、また、こうした平和国家としての歩みをより確固たるものにしなければならない、このようにも宣言をしているわけでございます。  総理にまずお聞きしたいと思いますが、ここに平和国家としての歩みたる専守防衛、軍事大国にはならない、そして非核三原則を貫く、これについては今後も変わらないということでしょうか。
  167. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の閣議決定の目的はただ一つでありまして、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくということであります。  今委員がおっしゃったように、我が国平和国家としての歩みは今後も変わることはありません、また変えてはならないと、こう固く信じているところでございます。引き続き、専守防衛に徹し、軍事大国とはならず、そして非核三原則を堅持をしてまいります。
  168. 西田実仁

    西田仁君 今般の閣議決定によって次のような懸念も表明されています。すなわち、限定的であれ集団的自衛権というものが容認されれば、日本の防衛には不必要でも、遠方の同盟国の防衛のために必要な兵器を持つようになるのではないか、それは周辺諸国との際限のない軍拡競争につながるのではないか、こういう懸念も一部でございます。しかし、昨日もまた本日も、ただいま総理からは専守防衛には徹していくというお話がございました。  そこで、今般の閣議決定によりまして自衛隊の役割が変わるのかどうか、専守防衛が維持されるということであれば、自衛隊が持つ個々の兵器についても、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的な兵器、これを持つことはいかなる場合も許されないということなのかどうか、総理に確認したいと思います。
  169. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今回の閣議決定において憲法第九条の下で許容されるのは、あくまでも国民の命と平和な暮らしを守るための必要最小限度の自衛の措置としての武力行使のみであります。したがって、我が国又は我が国と密接な関係がある他国への武力攻撃の発生が大前提でありまして、また他国を防衛すること自体を目的とするものではありません。ですから、自衛隊の役割はあくまでも我が国の防衛であり、これが変わることはありません。  このように、引き続き憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢であることに変わりはなく、政府として、我が国の防衛の基本方針はあくまでも専守防衛、これを維持してまいります。  また、自衛隊としまして、従来から、性能上専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためのみに用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなります。例えば、大陸間弾道ミサイル、ICBMや長距離戦略爆撃機、攻撃型空母などの保有はいかなる場合も許されないと考えておりますので、このような考え方も一切変更はございません。
  170. 西田実仁

    西田仁君 今般の閣議決定につきましても、様々な御批判ある中の一つが解釈改憲ではないかというものがございます。ここで法制局長官にお聞きしたいと思いますけれども、今般の閣議決定は解釈改憲なんでしょうか。
  171. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 今般の閣議決定は、憲法第九条の下でも一定の例外的な場合に自衛のための武力行使が許されるという昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持し、この考え方を前提として、これに当てはまる極限的な場合は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当たるとしたものであり、これまでの憲法第九条をめぐる議論と整合する合理的な解釈の範囲内のものであると考えております。  したがいまして、今般の閣議決定は、憲法改正によらなければできないことを解釈の変更で行うという意味での、いわゆる解釈改憲には当たらないものでございます。
  172. 西田実仁

    西田仁君 今、明確にお答えいただきましたが、憲法の規範性、歯止めというものは一切変えていないと、こういうことで解釈改憲には当たらないんだ、憲法改正によらなければできないことを解釈の変更で行う解釈改憲ではないと、こういう明確な御答弁をいただきました。  そもそも集団的自衛権とは何かということについてお聞きしたいと思います。  国連憲章第五十一条には、個別的又は集団的自衛権の固有の権利としか書かれていないわけでございまして、例えば、国際法の権威として知られます高野雄一氏は、その著書の中で、集団的自衛権も本質的に自衛権であり、それが条約上、集団的に拡張されたものであると述べておられます。また、自衛権の本来的な意味からいえば、他者を守るという含意はあり得ないわけであり、集団的という言葉自体に無理があることは否定できないと指摘する識者もおられます。  したがって、集団的自衛権行使憲法上許されないとした従来の政府解釈について、その意味をいま一度考え直すということも、今回私どももさせていただいたわけでございます。  そこで、パネルを用意させていただきました。(資料提示)七月の一日の記者会見の冒頭発言で総理がなされたところでございます。日本憲法が許すのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置だけです、外国の防衛それ自体を目的とする武力行使は今後とも行いませんと述べられておられます。  ここで総理が言われておられます外国の防衛それ自体を目的とする武力行使というのは、今般の閣議決定でもその基本的論理が維持されております一九七二年、昭和四十七年の政府統一見解でいうところのいわゆる集団的自衛権行使であり、それは今後とも認めないんだというふうに理解すればよろしいでしょうか。
  173. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 一九七二年の政府見解、昭和四十七年の見解でありますが、いわゆる集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対して武力攻撃が発生した場合に各国に行使が認められるのと同様の集団的自衛権を指しているわけでありまして、今回の閣議決定により憲法上許容されると判断するに至ったものは、いわゆる新三要件、これは厳しい要件でありますが、この新三要件を満たす場合に限定されており、あくまで我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置としての必要最小限度のものに限られるわけでありまして、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権行使を認めるものではありません。
  174. 西田実仁

    西田仁君 この憲法九条の下で許される自衛の措置ということについて次にお聞きしたいと思います。  憲法九条の下で許される自衛権、自衛の措置ということにつきまして、従来の三要件、そして新たな新三要件というものをそれぞれ比較対照してここに載せさせていただきました。  従来の三要件は、我が国に対する急迫不正の侵害がある、これを排除するために他の適当な手段がない、必要最小限度の実力行使にとどまるというものでございます。  新三要件は、この我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならずというところが、次が新しく加わったところでありますけれども、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福を追求する権利根底から覆される明白な危険がある場合、これが第一要件です。第二要件は、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときというところでございます。三番目は同じ、必要最小限度の実力を行使するというものでございます。  そして、こうした旧三要件から新三要件になったことについて、総理は七月一日の記者会見でこのように述べられておられます。今回の新三要件も、今までの三要件と基本的な考え方はほとんど同じと言っていいと思いますと、憲法の規範性を何ら変更するものではなく、新三要件は憲法上の明確な歯止めとなっていますと、このようにお答えになっておられます。  そこで、総理が言われますこの新三要件の憲法上の歯止めにつきましてお聞きをさせていただきたいと思います。  昨日の衆議院、そして本日も参議院におきまして、様々もう既に総理からもお答えいただいている点もございますけれども、大事なところでありますので、あえて確認をさせていただきたいというふうに思います。  まず、次のパネルをお願いいたします。第一要件のところでございます。  第一要件につきましては、根底から覆される明白な危険があるというのがどういう事態なのか、どんな状況なのか。  昨日の法制局長官の答弁は、一番上にございますように、他国に対する武力攻撃が発生した場合においてという後に続くのがこの箇所であります。そのままでは、そのままというのはすなわちその状況の下、国家としてのまさに究極の手段である武力を用いた対処をしなければ、何もしなければ、国民に、我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であることと、こういうふうにされているわけであります。  まず、この根底から覆される明白な危険というのはどういう状況なのか、改めて総理からも御答弁いただきたいと思います。
  175. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この明白な危険とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合に、いかなる事態が、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある場合に該当するかは、現実に発生した事態の個別的状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになりますが、そのような判断に当たっては、主に攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮をしまして、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから新三要件を満たすか否かを判断することになります。  いずれにいたしましても、個別具体的な状況に即して判断されるものでありますが、政府としては、明白な危険とは、その危険が明白であること、すなわち単なる主観的な判断や推測などではなく、客観的かつ合理的に疑いなく認められるものであるということであると考えております。
  176. 西田実仁

    西田仁君 それは次に聞くことでありまして、今お聞きしたかったのは、この明白な危険があるというのの最初のところですね。つまり、国民我が国武力攻撃を受けた場合と同様な、もう既に武力攻撃を受けたときと同様な、つまり、この我が国攻撃を受けるというのは個別的自衛権で反撃できるわけでありますけれども、そういう状況と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるというふうに昨日、長官から答弁されました。これについてはそのような認識でよろしいでしょうか。
  177. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 最初の質問でそれをちょっと挙げられたものですからそれは飛ばさせていただきましたが、まさに、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるとは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわちその状況の下、武力を用いて対処をしなければ、国民に対して我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということをいうものであると考えているわけでありまして、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合にいかなる事態がこのような場合に該当するかは、現実に発生した事態の個別的な状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになります。
  178. 西田実仁

    西田仁君 そうだとしますと、我が国に対する攻撃とほぼ同様な状況ということをこの明白な危険、危険がある事態というふうに認定をすることになるわけでございます。  先ほど質問でございました武力攻撃事態対処法、これは我が国に対する、我が国有事の話でありますから、その前提が違うということはよく分かった上であえてお聞きをしたいというふうに思いますけれども、この武力攻撃が予測される予測事態、そして切迫しているという切迫事態、そして既にもう我が国攻撃を受けている事態。  こういう、危険度がより高くなっていく順番に並べますと、じゃ、この明白な危険がある事態というのはどういう事態なのかというと、ここで言うように、既に攻撃を受けたのと同様な深刻な重大な被害が及ぶということが明らかな事態でありますから、当然、予測とかあるいは切迫しているとか、もう危険があるということですからね。切迫しているというのは、これは迫りつつあるということですけれども、危険があるというのは、もう目の前にあるという事態であります。したがって、予測とか切迫よりも更に緊迫度が、緊急度が高い事態、我が国の、攻撃を受けたのとほぼ同じ、同様なというのはまさにそういう意味だと思います。  まさにそういう事態であるという、もちろん法律が違いますから法令用語はそれぞれの個別の法律ごとに定義付けられていくわけでありますけれども、しかし、この武力攻撃事態対処法は、我が国有事、今回も自国防衛を目的としたものでありますから目的そのものは非常に似ているわけでありましょうから、というか同じでありましょうから、そこの用語の使い方もそごがあってはならないわけでありまして、今私が認識をしたような、また総理から答弁がありました状況であるということであれば、そういうことでよろしいでしょうか。
  179. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 午前中に大塚委員との質疑の中でも紹介をさせていただいた次第でございますが、武力攻撃事態対処法の中で、今委員が例として挙げられましたように、これは逆から行きますと、予測される予測事態と、そして武力攻撃事態、切迫事態と言ってもいいんですか、それと武力攻撃があったとき。  これは、武力行使できるのは、まさに武力攻撃がなければ武力行使はできませんが、武力攻撃事態になれば防衛出動が下令できるという法律の立て付けになっているわけでございまして、武力行使については、今申し上げましたように、そのように非常に高いハードルがあり、しかしそれは、いきなり武力行使はできませんから、防衛出動をあらかじめ下令しておく状況の中はどういう状況かといえば、これは切迫した事態においては行っていくということでありますが、この三要件が求めているのは、まさに三要件の中で集団的自衛権行使において武力行使するということでありますから、これは相当高いハードルであるということは事実であろうと。  今後、これは法整備をしていく中において、この武力攻撃事態とのこれは整理等々、この用語の整理等々も必要であろうと私は思います。それは、まさにこれから法律を作っていく中においてしっかりと整備をしていかなければならないと、このように考えているわけでありますが、実際に今委員が御指摘になった考え方で法律を作っていくということに、また御党ともよく協議をしながら作っていきたいと、こう考えているところでございます。
  180. 西田実仁

    西田仁君 次に、この明白な危険があるのをどう判断するか。先ほど総理からも一部御答弁をいただいたわけでございますが、昨日の法制局長官の答弁では、事態の個別具体的な状況に即して、主に攻撃国の意思、能力、それから事態の発生場所、どこで発生しているのか、さらにその規模、態様、推移などの要素、これを総合的に考慮して、そのことが、この三つの要素が、判断要素が、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることになる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断をするというふうになっているわけであります。  攻撃国の意思とか能力というのは、例えば言動を含めて、そういう、日本攻撃してやるぞというような言動が、例えばですけれども、あることが意思ということでありましょうし、また、攻撃をするための多数の艦船や航空機が、集結をさせていくといった規模や態様というものが必要でしょう。さらには、我が国民が深刻かつ重大な犠牲を被りかねないわけでありますから、事態の発生場所というのも、これはもうはるか遠くにあって、そんなに日本国民に、その権利根底から覆すような事態にすぐさまなるというのは普通、常識的には考えにくいわけでありまして、こういうことをしっかりと判断要素として持っていくと。  その下、丸を見ていただきますと、この明白な危険ということについては、更に長官はこのように答弁されました。一番下ですね、明白な危険というのは、単なる主観的な判断や推移等ではなく、客観的かつ合理的に疑いなく認められるというもの、大変に厳しい条件でございますが、ここで言う客観的かつ合理的に疑いなく認められるというのは、様々な事象の存在を主観を交えることなく合理的に判断をして明白な危険があると認められるという趣旨であろうと思います。当然、対処基本方針等には、この明白な危険があると認定するに当たっては、認定の根拠となった事実、客観的な事実、これに限って具体的に記載をしていくことになるんだろうというふうに思うわけであります。  そこで、総理にお聞きしたいと思いますが、この明白な危険があるとは、今申し上げたような客観的かつ合理的に疑いなく認められるものであり、そこには政権の恣意的な判断というのは加わらないと考えます。もちろん、その後の最終的な判断というのは、当然これは裁量、政策的な、政治的な決断、判断というのがあるわけでありますけれども、その前の認定ということについて言えば、あくまでも客観的かつ合理的に疑いなく認められるという認定、これしかあり得ないというふうに思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
  181. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これ、まさに三要件において、これは国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険でありまして、この判断については、先ほどちょっと先に答弁させていただいたんですが、攻撃国の意思や能力、そして、これは今委員が指摘されたように、どういう場所で起こったか、我が国との関係においては場所というのも当然重要な要素だろうと、このように思います。  そしてまた、規模や態様や推移を考慮して、我が国に戦禍が及んでくる蓋然性がどれぐらいあるのかということも重要であります。国民が被る犠牲の重大性、そして深刻性などから三要件を満たすかどうか、そして、それは恣意的な判断ではなくて、まさに客観的な、客観的かつ合理的な、合理的に疑いなく認められるものであるということであると考えております。
  182. 西田実仁

    西田仁君 次に、第二要件についてお聞きしたいと思います。  旧三要件に加えまして今回新たに加わりましたのは、我が国の存立を全うし、国民を守るための他に適当な手段がないということにいたしましたのは以下のような理由だと、昨日、法制局長官からも答弁、説明がございました。それは、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置に限られ、当該他国に対する武力攻撃の排除それ自体を目的とするものではないということを明らかにしているという説明でございました。  確かに、第二要件というのは、旧三要件とは異なりまして、他国に対する武力攻撃の発生を契機とするものが加わっております。したがって、より自国防衛であるということを強調する、その必要があったというふうに理解をいたしますけれども、総理の御所見をお伺いします。
  183. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この第二要件に、我が国の存立を全うし、国民を守るためにという文言が入った意味ということは大変大きかったと、このように思うわけでございますが、今回の閣議決定により、憲法上許容されると判断するに至ったものは、あくまで我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置に限られるわけでありまして、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権行使を認めるものではありません。  お尋ねのこの第二要件においては、第一要件で他国に対する武力攻撃の発生を契機とするものが加わったことから、これまでの、これを排除するために他の適当な手段がないこととの表現を改めまして、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこととしたところでありまして、これは、他国に対する武力攻撃の発生を契機とする武力行使についても、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置に限られ、当該他国に対する武力攻撃の排除、排除それ自体を目的とするものではないことを明らかにしているものであります。
  184. 西田実仁

    西田仁君 それでは、その上で新三要件にもう一度戻らせていただきまして、その第一要件にあります、他国に対する武力攻撃が発生した場合における我が国の存立が脅かされということと、その後に続きます、そこが読点ですけれども、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある、この両者の関係について内閣法制局長官にお聞きしたいと思います。  我が国の存立が脅かされということと、それから、権利根底から覆される明白な危険があるというこの両者の関係、お聞きしたいと思います。
  185. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 新三要件の第一要件にございます、我が国の存立が脅かされと、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるとは表裏一体の関係にあり、ここに言う我が国の存立が脅かされということについて、その実質を、国民に着目して、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるということであるということを記述しているものと理解しております。すなわち、両者一体で一つの事柄を表しているということでございます。
  186. 西田実仁

    西田仁君 そうしますと、今の御説明にありますように、例えば我が国の存立が脅かされる明白な危険があるときに新三要件の第一要件が満たされる、つまり選択要件としては見ないということでよろしいんでしょうか。
  187. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) そもそも、その根底から覆るという言葉自体、相当抽象的でございます。すなわち、やはり個々の国民犠牲になる、被害を受けるということではございませんで、やはり当初から我が国の存立が脅かされるということと言わば裏腹のその状況を表しているものでございまして、いずれかを満たせばいいという意味での選択要件ではございませんし、また加重要件ということでもございません。
  188. 西田実仁

    西田仁君 つまり、単に我が国の存立が脅かされというのみではその裾野が大変に広いと。ですから、そういうおそれがありますので、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるという実質、まあ裏打ちというんでしょうか、それをしたものに限られるということを明らかにしたという理解でよろしいか、長官にお聞きします。
  189. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) ここに言う我が国の存立が脅かされということの実質が、すなわち、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるということであるということを言い表しているものでございます。  ちょっと分かりにくいかもしれませんが、身近な例で申し上げますと、例えばですが、「貧困に陥り、一日一ドル以下で生活する人々」というのと同様の構文であると理解しており、表裏一体であり、全部で一定の事柄を表しているということであろうかと思います。
  190. 西田実仁

    西田仁君 そうしますと、日本から遠くの公海で例えば米軍艦が攻撃されましたと、それを放置していきますと日米の信頼関係が崩れますと、我が国の存立に関わりかねないといってこの新三要件が何か発動されていくというようなことにはなり得ないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  191. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 具体の当てはめにつきましてはなかなか答弁が難しいと思いますが、あらゆる状況を判断して客観的に、合理的に判断するということであろうかと思います。
  192. 西田実仁

    西田仁君 つまり、表裏一体と言われましたので、我が国の存立が脅かされという、あるいはそういうことだけでこの要件が満たされるということではない、実質も伴わなければ駄目だということを確認したい質問でありました。いかがでしょうか、長官
  193. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) ここに言います我が国の存立が脅かされということの意味そのものが、例えば我が国の威信が傷つけられるとか、我が国の名誉が傷つけられるとか、そういうことは当たり得ないということは明らかであろうかと思います。
  194. 西田実仁

    西田仁君 この今の御答弁、ということは、つまり、一九七二年の政府見解における基本論理の枠の中でなされているというふうに理解すればよろしいか、長官にお聞きしたいと思います。
  195. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) まさにその昭和四十七年の政府見解の基本論理との整合性が保てるものとしてこの新三要件は定められているものと理解しております。
  196. 西田実仁

    西田仁君 もう一つ、第一要件にあります我が国と密接な関係にある他国についてお聞きしたいと思います。  この我が国と密接な関係にある他国というのはどのような国なのか。先ほど質問もございましたが、私が特に着目をしておりますのは、この後に続く要件ですね。つまり、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりという言葉でつないでいって、我が国国民権利根底から覆される。その他国というのは、そこの他国に対する攻撃が、すなわち、これによって我が国国民権利根底から覆されるような、そういう他国でなければこの要件は満たしていないということになるんだろうと思います。  そこで、長官にお聞きしますけれども、この第一要件にあります我が国と密接な関係にある他国というのは、やはり後に続く要件との関係から当然制約を受けるものであるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  197. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) この我が国と密接な関係にある他国とは、一般に、外部からの武力攻撃に対し共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する他国をいうものと考えております。  一般に、集団的自衛権一般的な意味でのいわゆる集団的自衛権行使の要件として、自国と密接な関係がある他国に対する攻撃自国に対する攻撃とみなして武力で対処することができるという言い方がされる場合がございますけれども、そのような考え方ではなく、この新三要件におきましては、それに加えて、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がそれによって生じているという、その危険の存在を要件としたものと理解しております。
  198. 西田実仁

    西田仁君 この我が国と密接な関係にある他国というのは、一般に、外部からの武力攻撃に対して共通の危険として対処しようという共通の関心を持っている、そういう国であるというふうに思うわけでありますけれども、この後の要件からいたしますと、この他国に対する攻撃により我が国の存立が脅かされ、国民権利根底から覆されるような他国。その他国に対する攻撃がそうなる、そういう他国でありますので、やはりここは、現に日本を防衛する活動をしている、他国ではありますけれども、現に活動をしている他国の部隊。つまり、現に活動もしていない、どこか日本と全然関係ないところで、どんなにふだん密接な関係があっても、日本を現に防衛しようとしている、活動をしている、そういう他国の部隊というふうに厳密に言えばなるんじゃないでしょうか。
  199. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) ちょっと誤解を受けたかもしれませんが、ここに、新三要件の第一要件であります我が国と密接な関係にある他国といいますのは、先ほどお答えしたとおりのものでございます。その要件自体と、その後に出てきます、その他国に対する武力攻撃によって我が国に危険が生ずる、生じているということとは別の事柄で、この要件上いずれも満たす必要があるという意味で別の事柄であろうと考えております。
  200. 西田実仁

    西田仁君 この新三要件、いずれにいたしても、今、様々細かいことも含めてお聞きをいたしましたけれども、非常に、総理が会見でも言われたように、憲法上の歯止めになっていると言われる、そのなぜ歯止めになっているのかということに対して、やはり国民の皆様によく御理解をいただけるように、より議論をしていかなければならないというふうに思うわけでございます。  そこで、武力行使との一体化論について今度はお聞きしたいと思います。パネルを替えていただけますでしょうか。  今日、我が国を取り巻く安全保障環境は大きく変化をしてきております。安保法制懇から与党協議まで、実にいろいろな意見が出されてまいりました。そこで、改めて我が国の安全保障政策の原理原則ということに立ち戻らなければならないというふうに思います。言うまでもなく、この憲法とそして国連憲章、憲法第九条におきましては戦争の放棄、そして戦力不保持、交戦権を認めないということが書かれておるわけでありますけれども、特に線を引かせていただきましたのは、「武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と、このように憲法第九条では述べられております。  そして、国連憲章の第一条、目的の第一項のところには、「国際の平和及び安全を維持する」、「集団的措置をとる」、そのところを線を引かせていただきました。国連憲章は、国連加盟国がどのような軍事的協力を行うか、加盟国がそれぞれ憲法上の制約の下で自主的に決定できるとされているわけでございます。日本憲法上、「武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という徹底した平和主義の制約がございますので、国際の平和及び安全を維持するための集団的措置の場合でもこの武力行使はできないというふうに今までされてきたわけでございます。  今般の閣議決定におきまして、いわゆる武力行使との一体化論それ自体は前提とした上でというふうに大前提を置いて論を展開されておられます。今回の決定において、他国の武力行使との一体化はしないという考え方は維持されているんでしょうか。総理にお聞きしたいと思います。
  201. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今おっしゃったとおり、今回の閣議決定は、いわゆる武力行使との一体化論それ自体は従来どおり前提として考えています。その上において、議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでに自衛隊が実際に行ってきた活動の経験、国連の集団安全保障措置の実態等を勘案すれば、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の武力行使と一体化するものではないと判断するに至ったものであります。
  202. 西田実仁

    西田仁君 そうした武力行使とは一体化しないという中で、現に戦闘行為を行っているところではやらない、現場では行わないと、こういう整理をされたわけであります。  元々の大きな課題として是非分かりやすく御説明いただきたいんですけれども、こういう後方支援あるいはPKOなど国際社会の平和と安定への一層の貢献が、閣議決定の文言によりますと、日本の平和及び安全の確保の観点からも極めて重要であると、このようにされております。後方支援とかPKOといった国際社会の平和と安定への貢献することが何ゆえに日本の平和及び安全の確保の観点から重要なのか、なぜそこにつながるのかということについて、改めて総理から御説明賜ればと思います。  現地の武装勢力と逆に敵対することで在外の日本人全般が攻撃対象になるんじゃないか、そういうおそれが生じるんじゃないかというような論も一部にあるようでございますので、この点をお聞きしたいと思います。
  203. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 憲法の施行から六十七年の間に我が国を取り巻く安全保障環境は根本的に変容し、近年、一層厳しさを増しています。  例えば、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の軍事技術の高度化、拡散の下で、北朝鮮日本の大部分ノドンミサイル射程に入れており、最近も弾道ミサイルの発射を繰り返しています。また、核兵器の開発も続けている。さらに、グローバルなパワーバランスの変化、国際テロの脅威、海洋やサイバー空間へのアクセスを妨げるリスクも深刻化しているわけでありまして、脅威は容易に国境を越えてくるわけでありまして、もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできません。  国民の命と平和な暮らしを守るためには、地域や国際社会の平和と安定を確保していくことが必要でありまして、これに対して今まで以上に積極的に貢献していくことを通じて我が国の平和と安全を一層確かなものにしていくことができると考えています。  政府としては、このような認識の下、国連PKO等の国際的な平和協力活動に一層取り組んでいく考えであります。  今委員が指摘をされたような、現地の武装勢力と敵対すればかえって在外の日本一般攻撃対象になるということを御指摘でございますが、国連PKO等が行われている現地で国際機関やNGOの職員として活動する日本人の安全を確保する上で重要な視点だと私も思います。  その上で申し上げると、国連PKO等においては、日本人を始めとするNGO職員や国連PKO要員等を緊急時に守るために取ることができる対応が現行法のままでよいのかということが度々指摘されているのも事実でありまして、政府としては、今般の閣議決定で示された基本方針の下、国連PKO等の国際的な平和協力活動における駆け付け警護に伴う武器使用及び任務遂行のための武器使用ができるよう法整備を進めていく。このことによって、現地で日本のために汗をかいているNGOの人たちも守ることができますし、一緒に活動している国のPKO部隊との連携も深まっていく。  この説明を今まで各国でもしてまいりましたが、そもそも日本が駆け付け警護ができないということを意外と認識していない各国の首脳は大変多いわけでありまして、そのこと自体に割と驚く方もおられるわけでありますが、しかし、日本もそういう貢献もやっていくと申し上げますと、しっかりと、まさに日本とともに自国の部隊も活動することによって、活動することがより安全になるという認識を示していただいているのも事実でございます。
  204. 西田実仁

    西田仁君 この後方支援につきましては、今般の変更について先ほど御説明ございましたが、いわゆる後方地域とかあるいは非戦闘地域という線引き、これは形式的な線引きは取らずに、紛争解決のために武力行使しないということを実質的に確保しようと、こういう変更だというふうに思います。  そうなりますと、従来以上に常時厳格な判断というものが要求をされてくるんだろうというふうに思うわけでございまして、今後、実施計画等を立てる際には、こうしたこれまでの形式的なものから実質的なものに変わっていく中で常時厳格な判断を求められる。これをどう反映させていくのか、総理にそのお考えをお聞きしたいと思います。
  205. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今後我が国が行う支援活動については、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないことで武力行使の一体化の問題は生じないと考えております。仮に状況が変化すれば、我が国が支援活動を実施している場所が現に戦闘を行っている現場となる場合には、直ちに休止し、中断するといった考え方を基本として法整備を進めていく考えであります。  これはPKO活動においてもそうした法律の立て付けになっていると思うわけでありますが、現に戦闘行為を行っている現場とは、戦闘行為、すなわち、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている場所のことであります。そのような現場であるか否かの判断の前提となる事実関係については、自衛隊の部隊が活動する現場でそのような、人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われているか否かという明らかな事実関係により客観的に認識できるものと考えています。  このような判断については、御指摘のとおり常時厳格に行っていく必要があるものと考えられ、現場の部隊で判断する事柄、事項と、政府として判断する事項の整理を進め、支援活動の実施に関する具体的な手続については法整備作業の中で十分検討していきたいと考えています。
  206. 西田実仁

    西田仁君 駆け付け警護と領域国の同意に基づく邦人救出についてお聞きしたいと思います。  これも憲法上可能かどうかずっと議論をしてきたところでございまして、今回の閣議決定では、我が国として、国家又は国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないということをきちんと確保して、その上で、駆け付け警護や任務遂行のための武器使用のほか、領域国の同意に基づく邦人救出などの武力行使を伴わない警察的な活動ができるよう法整備を進めていくということに決定したところでございます。  要するに、PKO等については、国家安全保障会議が総合的に判断した場合には、もう国や国に準ずる組織は存在しないんだというふうにするということだろうと思いますが、日本政府の認定はもちろんそうした形なんでしょうが、あわせて、国連当該PKO司令部等で、いわゆるスポイラーと言われる任務を妨害する勢力、民兵とか犯罪分子、これはもう存在しないという、こういう国連における認定も必要ではないか、当然そういうことを踏まえて日本政府としての認定になるのかどうか、ここを総理にお聞きしたいと思います。
  207. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今般の閣議決定のとおり、国連PKO活動等については、いわゆるPKO参加五原則の枠組みの下で、当該活動が行われる地域の属する国の同意及び紛争当事者の当該活動が行われることについての同意が必要とされており、受入れ同意をしている紛争当事者以外の国家に準ずる組織が敵対するものとして登場することは基本的に考えられるわけでありまして、このことは過去二十年以上にわたる我が国の国連PKO活動等の経験からも裏付けられるわけであります。あっ、済みません、これ基本的にないと考えられるわけでありまして、これが経験から裏付けられるわけでございます。  また、領域国の同意に基づく邦人救出などの活動については、領域国政府の同意が及ぶ範囲、すなわち、その領域において権力が維持されている範囲で活動することから、その範囲においては国家に準ずる組織は存在しないと考えられます。  受入れ同意が安定的に維持されているか、また領域国政府の同意が及ぶ範囲等については、国家安全保障会議における審議等に基づき、内閣として判断いたします。  判断に当たっては、例えば、領域国政府の支配に服することを実力をもって拒否し、領域国政府と別個に国際的な武力紛争の主体たり得るような勢力の有無や、紛争当事者によるPKO活動に対する妨害の有無及び対応を総合的に考慮することとなると考えています。その際には、今委員が御指摘になったように、国連等との連携が必要であると考えられますが、判断そのものはあくまでも我が国自身が主体的に行うべきものであると考えております。
  208. 西田実仁

    西田仁君 終わります。
  209. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で西田仁君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  210. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、片山虎之助君の質疑を行います。片山虎之助君。
  211. 片山虎之助

    片山虎之助君 日本維新の会・結いの党の片山虎之助でございます。  それでは、これから順次質問させていただきますが、まず最初に、この問題、この新しい自衛の措置に対します我が党の立場を明らかにしておきたいと思います。我が党は賛成であります。  ただ、賛成でございますけれども、やっぱりこれは新しいスタイルといいますか、集団的自衛権の一部容認とも言えまして、個別的自衛権の拡大というのか変形とも言えますし、その辺は国際を含めて大変な議論があるんで、私は、この機会に、やっぱり自衛権なり、自衛権の再定義、あるいは自衛権の再整理を是非政府の方でお願いいたしたいと思います。  この問題は長年の懸案ですよね、総理はよく御存じでしょうけれども。それから、いろんな意見がある。だからこれだけ抵抗があるんですよ、総理。これだけ抵抗がある。場合によったら支持率下がりますよね、総理。いや、本当に。下がっているのかもしれませんが。しかし、やらなきゃいかぬのですよね。そういう問題にあえて取り組まれる、私は総理には敬意を表したいと、その勇気、と思いますよ。是非、そういう意味では初心を貫いていただきたいと思いますけれども。  この問題につきましては、私の意見ですよ、私の意見では、私は、日米同盟の強化になるし、抑止力の向上になると思いますし、それから、国際的に見て、私から見れば非常識みたいな、例えば駆け付け介護はできないとか、駆け付け警護はできぬ、介護じゃありません、警護はできないとか、あるいは職務執行の武器使用がどうだとか、あるいは、私は、後方支援と武力一体化論というのも、ある意味では大変おかしいと思うんですよね。後方支援というのはそういうことなんですよ。武力行使をサポートする。だから、武力行使そのものがいいか悪いかの議論はあってもいいんだけど、できるだけそれを切って、一体化と切ってやろうというのも、私から見ればやや非常識、国際的に通用するのかなという、こう思っておりますから、そういうものが是正されたという意味では私は評価したいと思いますが、総理、その自衛権の再定義、再整理と併せて御答弁ください。
  212. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この議論につきましては、国際法上の議論、解釈の問題、そしてまた憲法との関係議論の整理、そしてまた防衛政策論があるわけでありますが、今回の閣議決定により憲法上許容されると判断するに至った集団的自衛権は新三要件を満たす場合に限定されており、あくまで我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置に限られるわけでありまして、この自衛の措置に限られる三要件を満たせば、これは個別的自衛権と同様に集団的自衛権行使できると。しかし、それは、この三要件を満たすという関係において、憲法との関係において国際法行使できるものが相当限定されていくということになるわけでありまして、しかし、この自衛権それ自体は憲法上の概念ではなく国際法上の概念であり、その定義我が国が簡単にこれを変更することはできないということでありまして、我が国による武力行使については、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がありますが、憲法論としては、憲法第九条の下、どのような要件で武力行使が許容されるかという点に尽きると考えております。
  213. 片山虎之助

    片山虎之助君 この問題は後でもう一度触れさせていただきたいと思いますが。  しかし、総理、私どもは賛成なんだけれども、この問題の国民理解は進んでおりませんよ。分かってないとは言いませんが、正しい理解、あるいはないのかもしれませんし、どのメディアの調査を見ても反対が多いんですよ。反対が大体五割、六割ですね。賛成が三割、四割。  それで、申し訳ないけど、もっと悪いのは進め方なんですよ。もう皆さんも昨日から今日、わあわあ、わいわいと言ってはいけませんが、いろいろ取り上げられておりますように、やっぱり与党だけの協議、密室とは言いません、密室とは言わないけれども、与党だけの協議で、閣議決定じゃね。  私は、憲法問題は、憲法の改正や解釈は、第一義的には国会マターだと思っているんですよ。国会は国権の最高機関だし、国会は憲法改正の発議権があるんですよ。しかも、基本的には立憲主義の建前ですからね。まず、私は、国会で議論をする、まとまらないかもしれませんよ、いろんな意見があるから。大きな方向や方針は国会が決めると。その後なんですよ、内閣は。あるいは、憲法の解釈は法制局じゃないんですよ。司法なんですよ。最高裁なんですよ。まあ最高裁嫌がりますけれどもね、統治行為なんかに口を出すのは。だから、それは内閣法制局がやるというのは、あるいは仕事ですからやむを得ませんけれども。そういう意味では、内閣は行政権ありますよ、行政権行使の上で憲法の解釈や運用をやるというのはいいけれども、しかしやっぱり国会を立てないと。私はこれが基本だと思いますけれども、どうですか。
  214. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国会は国権の最高機関、まさに委員のおっしゃるとおりであろうと思います。同時に、憲法六十五条によって行政権を我々は持っているわけでありますが、その中において、行政を行う上において、憲法を尊重し、擁護する義務の中において、正しく解釈をしていくのは私たちの責務でもあるわけであります。  いずれにいたしましても、今回の変更については、今まで安全保障に係る解釈については、言わば国会における答弁等で積み重ねてきたわけでありますし、四十七年の、四十年以上縛ってきた基本的な考え方自体も、これは閣議決定も行っておらず、言わば参考資料として出したものが今日まで来ている。これ、四十数年たって環境が随分変わりましたから今回解釈について一部変更をするわけでありますが、しかし、その重大性に鑑みて今回は閣議決定を行ったわけでございますし、国会の求めに応じまして集中審議にも応じてきているところでございます。  そして、もちろん国権の最高機関としての国会の審議を経なければ自衛隊自体は活動することはできない、言わば行使自体はできないわけでございますので、国会の審議に堪え得る法案を作っていきたいと、このように考えているところでございます。
  215. 片山虎之助

    片山虎之助君 総理、閉会中審査でお茶を濁すとは言いませんが、それはいけませんよ。七十人質問したと。それはしますよ。そんなんじゃ駄目なんですよ。やっぱり集中的に、憲法審査会もあるんだから、そういうものを使わないと駄目ですよ。そこは閉中審査を昨日と今日だけで終えちゃ駄目ですよ。それはもっと徹底的に議論するように、まあこれは国会が決めることかもしれませんよ。だから、そういう私は配慮が要ると思うんです。憲法改正が国民の認識が高まらないのは国会での議論がないからですよ。もっと国会で議論させたら、憲法改正について国民は分かるんですよ。これは、憲法改正は総理の望みでしょう、大きい。是非、それに持っていくためには、そういうことを手間を惜しんじゃ私はいかぬと思うな。  今回のことでも急がば回れなんですよ。あれだけ急いで急いでといって、何でそんなに急ぐんですか。来年の四月以降でしょう、法案の審議は。それから、方針は内閣が決める、与党で決める、あとはおまえらは下請で法案の審議だけやれというのは、私は国会をばかにした意見だと思うんですよ。まず国会で議論して、それで、それに従って内閣も動いてもらう、最高裁は最高裁でやってもらう。最高裁に私は憲法裁判所の役割を担ってもらいたいし、場合によっては、最高裁に憲法部というのは我が党がかねてから言っていることなんですよ。これはすぐ簡単にはいきません、憲法裁判所なんかは憲法改正も要りますしね。それから、憲法部といってもこれもなかなか大変、いかないと思いますけれども、総理、それについてはどういう御所見をお持ちですか。
  216. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 委員から御提案のございました最高裁判所に憲法部を設けるべきといった課題は、これは非常に大きな問題でございまして、これは各党各会派において広く御議論をいただいた上で国民的な議論を深めていく必要があると考えております。
  217. 片山虎之助

    片山虎之助君 せめて、こういう憲法の大きい解釈変更は、私は国民の七、八割の賛成が要ると思いますよ、憲法改正と同じぐらい。そのためには徹底的に国会で議論していただいて、国民の意向を吸い上げていただいて、場合によってはいろんな調査もやっていただく、参考人の意見も聞く、あるいはもういろんなことをやるということがこの際必要じゃないかと思いますし、自衛隊の命を懸けられる皆さんも、国民の圧倒的支持の上に我々は仕事をやるんだというのが大きい私は誇りになると思いますよ。是非それをよろしくお願いいたします。  そこで、総理、何で延ばすんですか。こんなにばたばたばたばた、最初はゆっくりという話だった、今回の方針といいますか新たな自衛隊の措置。それが、通常国会中じゃなきゃいかぬ、通常国会中って何でだろうと思って、しかしそれは公明党さんの都合もあって七月一日の閣議決定になりましたよね。私は、ガイドラインが年内だから、その前に方針を決め、法案を通して、ガイドラインに臨むんだろうと思っておった。そうしたら、そうじゃないんですね。そうじゃない、来年の通常国会以降に送るという。  これは何だといったら、メディアは悪く書きますよ、それは選挙対策だと。秋に福島県か沖縄県か知事選もあるし、来年は統一地方選もあるし、どうもこの問題ややこしいんで、先送りして来年の四月以降の統一地方選の後にしようじゃないかと。これはいけませんわね、もしそういうことなら。それは私は勘ぐりだと思うけれども、臨時国会どうするんですか。だから、臨時国会どうするんだろうといったら、いやいや、これは地方創生をやるんだと。結構ですよ、是非やってもらいたい。女性対策やるんだ。結構ですよ、是非やってもらいたい。しかし、憲法をこれで、一段落で休んでしまうのは、私はおかしいと思いますよ。  それから、ついでに言いますけれども、地方創生だとか安保も専任大臣をつくるのは結構ですよ。大臣をつくれば仕事ができるわけじゃないんですよ。むしろ、一つの役所をつくったり大臣をつくることでややこしくなるんですよ、余分なものが一つ増えるんで、悪いですけれども。全部権限が集中できますか。そんなこと日本の役所でできっこないんで、みんなばらばらの上にもう一つできるんですよ、専任の役所が。まあ、復興庁は復興庁なりに今私は機能していると思うけれども、そこは軽々に、まあ総理の専権ですからいいですけれどもね。  話を元に返します。臨時国会で憲法論議をされるおつもりはありませんか。
  218. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国会においては常に求めに応じて議論をしていきたいと、出席をし、議論に応じていきたいと考えております。  他方、この法案の審議、法案の提出でございますが、まだチームを作成し、作業を始めたばかりでございますが、かつて武力攻撃事態対処法を出したときには、これ全体像を示せと、こう言われたわけでありまして、でき上がったものから出していくという手法は分かりにくいと、こういう御議論もいただいた。  私も、そのときは政府に官房副長官でいたのでございますが、それも一つの論点だなと、こう思ってきておりまして、今、議論を進めているわけで、集団的自衛権も含めまして議論を進めているわけでありますが、これは憲法解釈との関係あるいは国際法との関係という中での議論でございますので、どうしてもこれ、概念論、これは大切なんですが、極めて、しかしそれは概念論でございますからなかなか具体的には分かりにくいわけでございますが、個別的な法律にしていきますと、どういう活動を自衛隊は行うのか、どういうときに武力行使をするのか、そしてそれにはどういう歯止めが掛かっているのか、あるいは国会の承認とはどういう関係になるのかということも含めて、かちっかちっと決まったものを具体的に皆様に御審議いただくことになるわけでありまして、そうした具体的なものを提供するためには、まずは解釈を変えないと、これは憲法とのそごが出てしまいますので閣議決定を行ったということでございますが、全体を作って、しかし全体を作るには時間が掛かります。  しかし、今から私はいついつということを申し上げるつもりはありませんし、一生懸命この夏も汗をかきながら作っていただきたいと思うわけでありますが、提出にはしばらく時間が掛かるというのが事務方の考え方でございます。
  219. 片山虎之助

    片山虎之助君 総理の言われるとおり、全体像を示すというのは必要だと思いますよ、基本をしっかりね。それじゃ、基本法を出されたらいいじゃないですか、臨時国会に。個別法は来年の四月ですから、まだそれは、臨時国会はいつ召集されるか分かりませんけれども大分時間がある。基本法という話もあったんですよ。基本法の作り方もいろいろありますよ。私は、基本法でなくても全体像の示し方はあるので、それで、それを休むというのはどうだろうかと思いますし、ガイドラインは九月に中間報告らしい、年末に改定というけれども。  ガイドラインはいいんですね、ガイドラインの方が先に個別の法案より決まっていくということは。防衛大臣、どうですか。
  220. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指摘のガイドラインでありますが、このガイドラインにつきましては、今回、今議論をしていただいております集団的自衛権を含めた内容についての部分は内容を反映することが必要ということになります。そして、この見直し作業、ガイドラインの見直し作業と安全保障法制の検討の両方の作業を十分に整合させる観点から、ガイドラインに関する米国との協議を加速していくということであります。  また、ガイドラインが実際できた後、その後様々な法案が策定されても、その前後という問題で特に何かそごがあるというふうには私どもは考えておりません。政府としての一定の方針が出て、そして今、日米でガイドラインの大枠の協議をするということ、その中で様々な作業が進めていけるものと思っております。
  221. 片山虎之助

    片山虎之助君 その後先はいいんですね。私は、法案、ガイドラインと思ったけれども、ガイドライン、法案でも。まあ、それは並行というのもあるし、連携はもちろん取れますよね。
  222. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 現在のガイドラインができました十七年前におきましても、同じく、ガイドラインの一定の方向が決まった中で国内法整備が行われたということもありますので、そこは特にそごはないと思います。
  223. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、先ほどの話なんですが、集団的自衛権個別的自衛権にまたがる今回の措置ですね、限定承認といいますかね。普通は、もう釈迦に説法ですけれども、自国攻撃されて自国防衛が当たり前ですよ、個別的自衛権、他国攻撃、他国防衛が集団的自衛権。ところが、今度は他国攻撃自国防衛なんですよね。だから、これはかなりクロスしていますから、グレーゾーンとは言わないけれども、大変その仕組みとしては自衛権の中では私は新型、新種だろうと、こういうふうに思うんですよね。  しかし、それは国際的な安全保障環境が変わったんだから、そういうことはあり得ますよ。国民の皆さんは、私は納得しているけれども、分かりにくい。公明党さんや公明新聞を見ますと、何にも変わってないんだと、もうほとんど一緒なんだと。公明党代表の言を借りれば、個別的自衛権に匹敵する集団的自衛権をちょっと認めただけだと、まあちょっととは言っていませんけれどもね。  それはそういう理解なんですか。私は、そういう意味ではダブルスタンダードになるんじゃないか。国内では個別的自衛権をちょっとなんだ、国際的には集団的自衛権へ踏み出しましたよと、我々は新しい世界に入ったんだと、皆さん大いに期待してくださいと。恐らく私は、オセアニアやASEANの諸国は期待していると思いますよ、多くの国は。  総理、そこはどうなんですか。ダブルスタンダードじゃないんですね。
  224. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、なぜこの基本的な規範、四十七年の論理を変えていないかということにつきましては、憲法九条においては、同条においていわゆる戦争を放棄している云々と、こうありまして、その後、我が国自らの存立を全うし国民の平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をすることを禁じているとは到底解されないということであります。  その上において、外国武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態に対処するためにやむを得ない措置として初めて容認されるものである、だから、その結果、その措置は右の事態を排除するためにとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきというのが論理でありまして、この論理、基本論理は変えていないわけでありまして、その後について、我が憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権行使憲法上許されないと、こう言ってきたわけでございます。  ここのところを、言わば時代の変化において、それを、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険になったときには、言わばこれは、他国に対する武力攻撃があったとしても、密接な関係にある他国に対してあったとしても、武力行使は許されるという当てはめを行ったものであるというのが我々の考え方であります。  そして、他国、外国に対しての説明においては、我々、必ず簡単なペーパーではありますがペーパーを作りまして、統一された文面を作りまして、私は百回以上首脳会談をやっておりますが、その際、必ず相手国の首脳及び同行している人々に対してそれをお渡しをして、これが我々の考えている積極的平和主義であり、今、憲法との関係議論をしていることでありますという説明をしております。  ASEANの国々には、特に我々が考えている集団的自衛権行使とはどういうことであるかということも含めて説明をしてきているところであります。そして、密接な関係にある同盟国である米国に対しましては、岸田外務大臣あるいは小野防衛大臣が参りまして、実際に私たちができる限度について十分によく説明をしているところでございます。
  225. 片山虎之助

    片山虎之助君 四十七年の政府見解は全部一緒なんですよ。結論だけ違うんですよ。できないというのができるになるんですよ。いやまあこれも大胆といえば大胆ですけれどもね。  そこで、じゃ、ちょっと総理、この第一の要件の中に他国とあるのは、我が国と密接な関係にある他国になるでしょう。これはまあアメリカ米国が入るというのは誰も異議ありませんわね。あとはどこまで入るんですか。東南アジアの国々はいかがですか。
  226. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 新三要件の第一要件に言う我が国と密接な関係にある他国については、一般に、外部からの武力攻撃に対し共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、そして我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものであります。具体的にどのような国がこれに当たるかについてはあらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において、個別具体的な状況に即して判断されるものであります。  もちろん、我が国の平和と安全を維持する上で、日米同盟の存在及びこれに基づく米軍の活動は死活的に重要であります。もうこれは委員も同じ考えであろうと、このように思うわけでありますが、同盟国である米国は基本的にこれに当たるであろうと考えています。実際、これまで政府が示してきたいずれの事例におきましても、米国をその具体例として示してきたところでございます。  他方、米国以外の外国がこれに該当する可能性現実には相当限定されると考えられますが、いずれにいたしましても、個々の国についてあらかじめ特定されるものではなく、個別具体的な状況に即して判断されることになるわけでありまして、いずれにいたしましても、三要件が、二番目の要件、先ほども申し上げましたように、国家の存在が脅かされ、国の存在が脅かされ、生命、そして自由、幸福追求権利根底から覆される明白な危険になったという判断がなされなければ、これは武力行使はしないということになるわけであります。
  227. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、あれですか、武力攻撃が実際その国に起こらないと、あなたは我が国と密接な国よという指定はないんですか。国際法によれば、申出が要るんでしょう、それぞれの被攻撃国からの。そのどこかというのは、武力攻撃が起こらないと、普通のときにおまえだという、あなたの国よという指定はないんですね。それはどうなんですか。
  228. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 当然、武力攻撃が起こらなければ、他国に対する武力攻撃が起こらなければ、我々、この三要件を当てはめる条件として、武力攻撃が当然発生したという段階においてそれは考えるわけでございます。
  229. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうすると、武力攻撃の程度や規模や態様、いろいろありますよね、そういうことで決めていくんですか。私は、そうじゃなくて、日頃のいろんな状況から見て、これは密接な国なので、そういう意味では集団的自衛権の対象にすると、こういうことになるのかと思っておったんですよ。そういう意味では、ただ、どこが、それじゃ、その限界かが大変難しい。場合によったら、国際連合加盟国全部になっちゃう。韓国はどうするんですか、中国はどうするんですか、こうなりますよね。そうすると、それは事が起こらなければ密接な国はないんですね。総理、もう一度答えてください。
  230. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 最初申し上げましたように、我が国とともに共同で対応をするかと、そういう意思、考えということになれば、まず今の段階で申し上げられるのは、同盟国である米国であります。それ以外については、先ほど申し上げましたように、これは相当限定される。相当限定されるということを言っているわけでありますから、まさにこれは限定されていくわけでありますし、実際、自衛隊を動かして武力行使をさせるというのは、これ大変な政治決断ですから、そんな簡単にそれは行うものではないということは申し上げておきたいと思うわけでありますし、何といってもこの三要件があるわけでありますから、国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、そして幸福を追求する権利根底から覆される明白な危険というのは、これは相当高いものであります。  それに相当する状況、事態になっていれば、言わばそういう対象になっていく、かつ、そういう意味で、最初に申し上げました密接な関係はどういう関係かということを申し上げているわけでありますが、そういうものが全てそろった段階で対応していくということになるわけでございます。
  231. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、総理、第一、第二、第三の要件は大変厳重に大仰な言葉で書いていますよね。ああいう表現が大仰なところは中身がないんですよ。  最終的には政府の判断ですよ。私は政府の判断だと思う。それから、状況は変わるし、判断をもう一遍国会がチェックしますけれども、あの要件というのは、私は、大変客観的な、きちっとした定量的なそういう要件じゃありませんよ。これは、ある意味で判断でどうにもなるようなあれで、大変私は、それが国民の皆さん不安じゃないかと、こういうふうに思っているんですよ、どういうことになるかちょっと分からないなと。こういう感じがあるので、そういうお考えをお持ちになっていませんか、総理は。
  232. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この三要件、新三要件の前には旧三要件もあるわけでございます。旧三要件については、これは、自国ということになるわけでありますが、この四十七年見解の中身をこの三要件と、旧三要件と併せて考えれば、この現新三要件はそれほど変わりがないんだろうと、こう思うわけでございますが、今回もこの新三要件をつくるに当たっては、与党においては相当突っ込んだ議論が、かなり激論が交わされたわけでございまして、それぞれの、明白な危険を入れるべきかどうかと、それによってどれぐらいの範囲に狭まっていく可能性があるのかどうかということも相当緻密にかなりの時間を掛けて議論をしたことも私は承知をしているわけでございます。  そういう議論の中において今回の三要件が、新三要件がつくられたものでありまして、言わば集団的自衛権を例えば縛るものとしての三要件としては世界で最も厳しい私は条件だと、このように考えております。
  233. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、よく昨日も今日も問題になったホルムズ海峡の機雷の掃海の問題ですよね。あれは、総理が経済的な理由を、エネルギーの不足だとか高騰だとか、そういうことを挙げられたことが大変私は違和感があるんですよ。それから、昨日の法制局長官の答弁か何かに、いろんなその根底から覆る明白な危険の中に、戦禍が及ぶ蓋然性だとか被害の程度、深刻さだとか、あるいは地域というか距離、こういうものを挙げられましたよね。  そういうことからいうと、私は総理の気持ちは分かりますよ、日本の掃海技術は是非生かしたい、それは国際的にも大きな意味が私はあると思うけれども、それは、読めないものはやれませんよね。  そこで、法制局長官、もう一度言ってください。ホルムズ海峡の機雷の掃海は、これはその要件に該当するんですね。
  234. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) いわゆるホルムズ海峡における機雷の敷設ということで議論がなされますが、実際にどういう状況でどういう規模で、あるいはどういう国がどういう国に対してと、実際に起こる事象というのはまさに大小様々であろうかと思います。  今回の三要件について申し上げれば、いわゆるホルムズ海峡に機雷が敷設された、それだけでこの三要件に当たるということを誰も申し上げていることではないかと思います。しかしながら、距離が遠いということはありますけれども、やはりシーレーンの確保ということの重要性、それが我が国及び国民に与える影響というようなことを考えれば、若干遠い場所でございますけれども、そういうところでの武力攻撃というものがこの新三要件に該当する場合というのもあり得るだろうと、そういう前提での議論であろうかと思います。その意味で、この新三要件に該当すれば該当し、該当しなければできないということであろうかと思います。
  235. 片山虎之助

    片山虎之助君 問題は、歯止めになるかならないかなんですよ。それは、だんだんだんだんこれが広がっていくというのかな、例えば機雷の掃海だけじゃなくて、機雷を流しているところをやろうとか、あるいは造っているところをやろうとか、持ってきたところをやろうとか、そこの歯止めがないんですよね。そして、決めるのは政府と、次は国会なんだから、あるいは訴訟が起こるのなら最高裁かもしれぬけれども、そんなのは現実的じゃありませんわね。  そこで、もう時間がないからあれですが、総理、これでこの難しい問題が進んでいきますよ。法案を作っていろんな議論を闘わせていかにゃいかぬと思いますけれども、憲法改正はこれで一休みなんですか。本来は憲法改正なんですよ、堂々と。国民投票法もできたんだから、国民に訴えて、堂々と、この程度の集団的自衛権ならもっと行けますよと、まあフルサイズまでやるのかハーフにするのか何か分かりませんよ。しかし、そういうことが私は本来の筋なんで、憲法改正を国民に訴えるということが必要だと思いますよ。高村さんも次は憲法改正だと言われている、これ以上は。いかがですか。
  236. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 高村副総裁は、これ以上は憲法改正というふうにおっしゃったわけでありまして、ここまでは解釈でできると、こういうことでございますが、憲法の規範、そして今までの政府の見解との論理的整合性、法的安定性を維持した上における解釈の変更は行い得ると考え、私たちは国民の命と平和な生活を守るために判断したところでございまして、今後、言わば法整備を進めていく上において、国会でも大いに議論をいただくわけでありますが、具体的に果たしてどういう行動を取っていくか、それにはどういう制約が掛かっていくか、国会との関係はどうなっていくかということについてしっかりと御議論をいただけるんだろうと思います。  また、歯止めと機雷との関係においてでありますが、機雷掃海は言わば、我々は派兵は一般には禁止されていると、例えば武力行使を目的としたイラク戦争やアフガン戦争のようなああいう戦闘には参加しないということは、これはもう明確に申し上げているわけでありますが、しかし、機雷の掃海自体がこれは武力行使国際法上は当たるわけでありますが、ただ、言わばかなり例外的にこれがそうだと言っていて、これからどんどん広がるということはないということは申し上げておきたいと、こう思うわけでありますが、あくまでも三要件と関わりがある、そして機雷の掃海についても限定的、受動的であるということは申し上げておきたいと思います。
  237. 片山虎之助

    片山虎之助君 憲法の九条二項はいい規定ですよ、一項、二項ね。しかし、二項がずっと残る以上、もうこういう難しさ、ややこしさというのは私はずっと残ると思うんですよね。戦力認めていないんだから、でしょう。交戦権認めていないんだから、でしょう。そういうことの中でいろんなことをやっていくというのは私は限界があるんで、国民に堂々と憲法改正を訴えて、国民の私は判断を仰ぐべきだと思いますよ。  もう時間がありませんが、ちょっと待ってください。  それから、中国、韓国との関係改善、私は必要だと思うんですが、総理は昨日、今日、中国とは今度のAPECの首脳会談で首脳会議ができるみたいなことを、したいか、したいと言うけれども、大分蓋然性があるんですか、可能性ですか。いかがですか。
  238. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 残念ながら、まだその可能性が高いということは言うことはできない状況ではありますが、日中関係、最も重要な二国間関係一つでありますから、首脳会談ができないという状況は異常な状況なんだろうなと私は考えております。日本側は対話のドアは常にオープンにしておりますので、中国側にも同じ対応を取っていただきたい、その中においてAPECにおいて首脳会談ができるようになればいいと、こう期待をしているところでございます。
  239. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっと一言だけ言わせてください。  中国との関係で、やっぱり偶発的に大事件になる、まだ戦争と言いませんけど、大ごとになるおそれはあるんですよね。やっぱり危機回避の、衝突回避の何らかのシステムを私は早急につくるべきだと思っているんです。ホットラインでも何でもいいです、自衛隊と向こうの軍と。そういうことの御努力はされていますか。
  240. 山崎力

    委員長山崎力君) もう時間ですから、答弁簡潔に願います。
  241. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 第一次安倍政権で合意になりました海上連絡メカニズム、これはホットラインであります、まさしく。それを私どもとしては累次中国側にこれをしっかりと結ぶことを今要請をしておりますし、私も直接何度か要請をしております。まだ至ってはおりませんが、今後とも努力をしてまいります。
  242. 片山虎之助

    片山虎之助君 終わります。
  243. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で片山虎之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  244. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、中西健治君の質疑を行います。中西健治君。
  245. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  みんなの党は、集団的自衛権行使容認の必要性は認識しておりますけれども、では、実際に必要最小限度とするための歯止めをどのように掛けていくのか。また、閣議決定前の国会では、私も何度も質問に立ちましたけれども、政府の見解を幾らただしても、五月十五日の安保法制懇の報告書が出るまでは現在安保法制懇議論中という答えですとか、その後は現在与党間で協議中という答えばかりで、政府自身の見解が国会でほとんど示されないままに閣議決定に至ったことこそが、今なお多くの国民集団的自衛権、集団安全保障が理解されていない大きな要因なのではないかというふうに考えており、閣議決定、またそれに至る協議における不明確な点について、今日は時間の許す限りお聞きしていきたいというふうに考えております。  まず、閣議決定そのものについてでありますけれども、八ページにわたる文書の中で、集団的自衛権という言葉は一回しか使われておりません。これだけ大きな議論の的となっているのに、かなり控えめに出てきているなということかなというふうに思います。  昨日来、何回も取り上げられておりますけれども、これ、憲法集団的自衛権行使を容認したものなのかどうか、非常に重要なポイントでありますので、我々としても確認せざるを得ないというふうに考えています。  まず、総理にお伺いしたいと思います。  今回の閣議決定は、憲法集団的自衛権行使は容認されるとしたということでよろしいでしょうか。
  246. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の閣議決定により、新三要件を満たす場合に限り集団的自衛権行使憲法上容認されると判断するに至りました。これはあくまで我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない必要最小限度の措置に限られるわけであります。他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権行使を認めるものではありません。
  247. 中西健治

    中西健治君 閣議決定はそのように書かれているかなというふうに思いますけれども、憲法集団的自衛権行使を容認したというふうにストレートに書いているのであれば大変分かりやすいということなんだろうというふうに思いますが、閣議決定の論旨というのは、国際法憲法解釈というのは区別して考える必要がある、こういうふうに書かれておりますし、あと憲法解釈上許容される最小限度、最低限度の武力行使について定めたものであるけれども、考え方を示したものであるけれども、それが国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があると、こんなふうに書かれております。  少し持って回ったような言い方になっているというふうに思いますが、どうしてこのようなえんきょく的な表現になっているのか、お答えいただきたいというふうに思います。
  248. 山崎力

    委員長山崎力君) 総理からでよろしいですか。
  249. 中西健治

    中西健治君 はい、総理にお願いします。
  250. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 表現がえんきょくであるという御印象だと思いますが、しかし、この言わば閣議決定の目的はただ一つでありまして、国民の命と平和な生活を守り抜かなければならないと。そういう中において、今までの憲法解釈のままでよいのかという課題、問題意識の中で検討を進めたところでございますが、日本の場合は、憲法の九条そして二項がある中において、そして憲法自衛隊が明文規定されていない、自衛権が、交戦権ももちろんですが、自衛権が明文規定されていない中において解釈を積み上げてきた。その解釈の積み上げの中で自衛隊が存在をし、そして自衛権を行使をするわけでございますが、そこで、例えば近隣国で紛争が起こったときに逃れようとする邦人を輸送している米艦を守ることをできるかと。  今のままでは、集団的自衛権に当たるとこれは国際法的には見られるわけでありまして、そして、それを国内の憲法との関係においてできるかできないかというのはまた別の議論でありますが、国際法的にこれは集団的自衛権に属するとなると、いわゆる集団的自衛権は全部駄目だというのが四十七年の見解の、最後の見解でありましたから、そこの基本的な論理は維持しつつ、最後の当てはめにおいて、言わばそこを、三要件を作り、変えたということでありまして、三要件の中に我が国に対する武力攻撃我が国と密接に関係のある他国に対する攻撃が発生しということが書き込まれ、まさにそここそ、これは集団的自衛権の制限的に三要件の中に入る、一部が可能性としてこれは認められ得ると、こう考えたところでございます。
  251. 中西健治

    中西健治君 何でこんなような質問をするかと申しますと、国際法上と憲法解釈上を分けて考える、理解する必要があると、こういうふうに書かれているわけですが、個別的自衛権との対比で私の頭の中では考えています。  個別的自衛権もやはり国際法上の概念であるということは異論がないというふうに思います。集団的自衛権とその点では同じということになります。そして、これまでも個別的自衛権についても三要件というものに当てはまるものについてのみ行使できるというのが政府解釈であったというふうに思いますので、その点においても限定的ということなんじゃないかと思います。  そういう意味では、集団的自衛権個別的自衛権、考え方を異にするということにはならないんじゃないかというふうに思います。そもそも、これまで政府個別的自衛権憲法上解釈されるとストレートに言ってきたんじゃないでしょうか。
  252. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 個別的自衛権集団的自衛権、そして自衛権そのものがこれは国際法上の概念でありますが、憲法上、四十七年の見解におきまして、憲法自衛権そのものを禁じているかどうかというこれは政府の考え方を示したものでありますが、そこで、言わば必要最小限度の自衛のための武力行使を行うことができると。それは、憲法の前文の平和的生存権と、そして国民の生命、そして自由、幸福追求権を守るために、憲法十三条と憲法の前文を根拠として自衛権は必要最小限度の自衛権を認められているということでありまして、その中において、国際法における自衛権全てということではなくて、今申し上げました中において、三要件、旧三要件ですね、自衛権との関係においては、個別自衛権との関係においては認められるのではないかと、こういうことであります。
  253. 中西健治

    中西健治君 ですから私の質問なんです。  今回の集団的自衛権閣議決定集団的自衛権のように、憲法解釈を変更する閣議決定というのは、国際法上と憲法解釈上を分けて考え、理解する必要があると殊更に言っているわけですけれども、これまで個別的自衛権についてはそのようなことをおっしゃっていなかったんじゃないですかというのが私の質問ですが、それはいかがなんでしょうか。    〔委員長退席、理事北川イッセイ君着席〕
  254. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この委員会とか国会の委員会において、三月だったと思いますが、岡田委員との衆議院でのやり取りにおいて、言わば制限されるかどうかという議論をしたときに、個別的自衛権においても、今申し上げましたように、四十七年の見解で制限をされているという中においては、集団的自衛権においても当然制限されていくと考えると。当時はまだ政府として閣議決定を行っておりませんから、私としては制限されるという、そういう考え方を述べたわけでございまして、ですから、個別的自衛権にもこの九条との関係で制限があるとこれは考えられるわけでありまして、言わばそれが四十七年の見解の中において述べられているわけであります。  そして、その中において、例えば攻撃的な空母も持てないということに憲法上なっているわけでありまして、一般的に多くの国はこれは自衛権で持てるというふうに考えているところもある。自衛権で、個別的自衛権で持てるわけでありますが、我が国においてはそういう制限が掛かっていると、こういうことであります。
  255. 中西健治

    中西健治君 となりますと、多分、個別的自衛権について今閣議決定をするというようなことになると同じような立て付けになるだろうと、こういうことを示唆されているのかなというふうに思いましたが、太田国交大臣にお越しいただいております。  今回の閣議決定は、憲法上、集団的自衛権行使は容認されるとしたということでよろしいでしょうか。
  256. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 既に総理が今御答弁していただきましたように、今回の閣議決定によって、新三要件を満たす場合に限り集団的自衛権行使憲法上許されることになると、こういうふうに承知をしています。  これは、あくまで我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置としての必要最小限度の措置に限られると。他国の防衛それ自体を目的とするいわゆる、いわゆるですね、いわゆる集団的自衛権行使を認めるものではないということでございます。
  257. 中西健治

    中西健治君 外務大臣にお伺いしたいと思います。  これまで、自国攻撃されていない、すなわち他国への攻撃しかされていない段階で、個別的自衛権行使と主張した例が世界中で過去にあるのでしょうか。
  258. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) そもそも、国際法上、一般に、個別的自衛権とは自国に対する急迫不正の侵害を実力をもって阻止する権利とされています。よって、御指摘のような自国に対する侵害が発生していないにもかかわらず他国に対する武力攻撃への対応に当たって個別的自衛権行使が援用された実例、そういったものはないと承知しております。
  259. 中西健治

    中西健治君 そうなんだろうというふうに思います。  ということは、国際法上は、自国攻撃されていない段階での自衛権の行使は、個別的自衛権なのか集団的自衛権なのかは自明であるということなんではないでしょうか。
  260. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) おっしゃるように、国際法上、個別的自衛権とそして集団的自衛権定義の違いは、自国に対する攻撃があるかないか、この違いであると認識をしております。
  261. 中西健治

    中西健治君 そこで、総理に確認したいと思います。  国際法上、集団的自衛権とみなされることが今自明であるというようなものについて個別的自衛権の拡張で説明しようということは、自国の領土や領海、これを拡張して解釈するという危険をはらんでいて、かなり大きな危険をはらむ議論であるということを、総理のお考えを確認したいと思います。
  262. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 様々な事態に対して、これ国際法的に集団的自衛権なのか個別自衛権なのか、あるいは個別自衛権をもう少し拡張すればこの事態が解決できるのかどうか、これは相当議論をしてまいりました。  七年前に、私、官房長官のときから亡くなった小松さんと議論をスタートしたところでございますが、憲法との関係においてはこれは個別的自衛権で処理した方が、憲法との関係においてはこれはやりやすいわけでありますが、しかし、国際法上はそれは違法になるわけでありまして、公海も言わば領海になってしまうということでありまして、他国の船も我が国の船と、こういう認識をするのと同じことになる。極めてこれは非常識なことになっていくんだろうと、このように思います。
  263. 中西健治

    中西健治君 そこのところはきっちり議論を整理しなきゃいけないだろうというふうに思っております。  集団安全保障をめぐる議論についてお伺いしたいと思います。  与党協議において、政府は、武力行使との一体化とならない後方支援を実施する要件として、まず初めに、六月三日にこれまでの基準に代わる四要件というのを提出されました。そして、与党の中でうまくまとまらない、特に公明党さんからの反発を受けて、僅か四日後の六月七日にはその四要件を撤回して新たな三要件を提示いたしたようであります。最終的には、七月一日の閣議決定では更にその三要件のうちの一つが抜けて、二つの条件というふうになったわけでありますけれども。  今般の閣議決定においてこういうくだりがあるんです。これまでの自衛隊の活動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案してこの武力行使の一体化になるかならないかという条件を決めたということが書かれているわけですが、このくだりというのは、これまでの何十年もの蓄積があって、そしてこの結論にたどり着いたんですよということを言いたいんだろうと思いますが、僅か三日、四日で要件ががらっと変わる、そして一か月後の閣議決定においてはまたそれが一つ抜ける。どこまで考え尽くされたのかということについて大いに疑問が湧くということなんですが、そもそも、この集団安全保障の武力行使の一体化とみなされない後方支援については、政府内で議論が熟していないまま出してきているんじゃないでしょうか。総理にお伺いしたいと思います。
  264. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 武力行使と一体化するかどうか、一体化論というのは随分長い間議論されてきたところでございますが、政府としては、従来、我が国の活動が他国の武力行使と一体化するかどうかについては、他国の活動現況、我が国の活動の具体的内容、そして他国が戦闘行為を行う地域と我が国の活動場所との地理的関係、そして両者の関係の密接性等の事情を総合的に勘案して、事態に即して個々具体的に判断すべきものとしてきたところであります。その上で、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において非戦闘地域や後方地域といった仕組みを採用してきたところであります。  しかし、これらの概念については、これはもう様々な議論があったのは委員御承知のとおりだろうと思いますが、政府としては、具体的に何が武力行使と一体化する行為なのかを明確にし、そのような後方支援が可能であるか、与党協議における議論を踏まえつつ検討を行ってまいりました。  与党協議における議論の詳細については、今委員から御紹介いただきましたが、政府として申し上げることは控えさせていただきますが、その結果、いわゆる後方支援と言われる支援活動については、武力行使との一体化論それ自体は前提とした上で、その議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでに自衛隊が実際に行ってきた活動の経験、国連の集団安全保障措置の実態等を勘案すれば、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の武力行使と一体化するものではないとの判断に至ったものであります。
  265. 中西健治

    中西健治君 長い期間の議論があってということでありますけれども、それにしては四日間で四要件から三要件、しかも中身が随分変わっているんです。そうしたことになるのは、随分どたばたしているなというふうに思わざるを得ないというふうに思います。  太田国交大臣にお伺いしたいと思います。  僅か四日で四要件から三要件に変更したわけでありますけれども、そしてまた三要件が二要件に変わっているわけでありますが、閣議決定の文書に署名を行う際、この問題についてはどのような整理を行って署名を行ったのでしょうか。
  266. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 今総理が答弁をいたしましたように、これは何日間か、そのことについて私は協議に加わっておりませんので承知しておりません。  しかし、この後方支援というものの在り方ということについては、この国会でも長い間の論議というものが積み重ねられた中において、今回状況等を判断しながら決定をしたと、合意を形成したんだというふうに思っております。
  267. 中西健治

    中西健治君 続きまして、自衛の措置としての武力行使の新三要件、これまで何度も議論されております。何度も昨日、今日取り上げられていますけれども、内閣法制局長官にお伺いいたします。    〔理事北川イッセイ君退席、委員長着席〕  外交防衛委員会で、私は、これまで政府が示してきた旧三要件が自衛隊法に明記されているかという問いを長官に投げかけました。それに対して、対応する規定は存在していますよと。自衛隊法七十六条や八十八条を読み上げていただいたわけでありますけれども、しかし、この三要件、政府の言っている旧三要件の中の他に適当な手段がないという部分は、自衛隊法では「我が国を防衛するため必要があると認める場合」と置き換わっています。そして、必要最小限度の実力行使にとどまるべきという要件に関しては、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」とやはり置き換わっております。なぜ政府の見解である三要件の文言と自衛隊法上の文言がここまで異なっているのでしょうか。
  268. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 御指摘のように、自衛隊法の規定の文言とこれまでの自衛権発動の三要件の文言とが異なっております。これは、同法が自衛隊任務、組織、行動及び権限等を定めるものであることから、憲法上の三要件をその前提とはしておりますけれども、条文上は武力行使の要件そのものを規定するのではなく、第七十六条の防衛出動下令の要件及び第八十八条の防衛出動時の自衛隊の権限等の規定の中でその事柄を規定していることによるものと考えております。
  269. 中西健治

    中西健治君 ということは、今後、新三要件を法律に盛り込んでいくときにも、これまでと同様に文言が置き換わってくる可能性が高いということでしょうか。
  270. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 法案の準備作業はこれからでございますが、新三要件の実質を過不足なく関係法律の中に書き込むことが必要であろうかと思います。その文言についてはこれからの検討でございます。
  271. 中西健治

    中西健治君 国民権利根底から覆される明白な危険という文言は、法律上の文言として書けるというふうにお考えでしょうか。
  272. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 具体的な検討はこれからでございますけれども、今回の新三要件の極めて重要なフレーズでございますので、それを損なわないような形でしっかりと規定することが必要かと考えております。
  273. 中西健治

    中西健治君 総理にお伺いしたいと思うんです。  この閣議決定の後に政府は一問一答というものを発表されておりますけれども、その中でも新三要件が憲法上の明確な歯止めとなっていますと書かれていますけれども、個別法で別の表現になってしまうのであれば、この新三要件にどれほどの意味があり得るのかということをお伺いしたいと思います。
  274. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この新三要件については、まさに閣議決定をしたものであります。そして、法律用語としてこの適切性についてはまさに法制局として議論をするわけでありますが、言わば閣議決定をしたこの三要件というのは極めて重いわけでありますから、この文言どおり、政府としては基本的には判断においてはこれを判断していくわけでございます。個別法においてこれはどのようにこの三要件を入れ込んでいくかということは、また立法作業の中で検討していくことになろうと。  その上において、どちらにしろ、法案を国会に提出をしていただき、御議論をいただき、また我々も答弁させていただくということになるんだろうと思います。
  275. 中西健治

    中西健治君 集団的自衛権武力行使に当たっては、実際に武力攻撃を受けている他国の要請又は同意を得るということが当然であろうというふうに考えていますが、今回の閣議決定ではそこのところが触れられておりません。同意、要請についてなぜ触れていないんでしょうか。
  276. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国際法上、集団的自衛権行使に当たりましては、武力攻撃を受けた国の要請、同意が求められる、これは国際法上そのように定義をされています。そして、今回の閣議決定におきましても、国際法に従い我が国の対応を考えていく、この閣議決定の中に明記をされています。国際法上の対応に従っていく、これはもう大前提であります。  そういったことから、あえてそれに上乗せすることは行われなかった、このように認識をしております。
  277. 中西健治

    中西健治君 当然の前提だからというお答えだと思いますが、私がお聞きしたいのは、ほかの箇所で、武力攻撃に至らない侵害への対処という箇所では、米軍部隊に対する武力攻撃に至らない侵害が発生した場合の対応ということで、米国の要請又は同意があることを前提にとわざわざ明記されているんです。なぜ集団的自衛権行使については記載しなかったのか、そこを教えていただけますでしょうか。
  278. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の七月一日のこの閣議決定の中に、わざわざ、我が国による武力行使国際法を遵守して行われることは当然であると規定をしてあります。そして、その後に、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある、憲法上許容される上記の武力行使は、国際法上は集団的自衛権の根拠となる場合がある、このように明記をしております。  こういったことから、国際法における当然の要素であります要請、同意、これは当然の前提としてこの閣議決定ができ上がっていると理解しております。
  279. 中西健治

    中西健治君 では、防衛大臣にお伺いしたいと思います。  今般の閣議決定後においても専守防衛というものは堅持されるという御答弁をされていますけれども、今回の決定によって自衛隊の活動範囲というのは減ることはない、当然増える方向であるということだろうというふうに思います。そうしたときに、自衛隊の本来業務である我が国の領土防衛ということがいささかもおろそかにならないということにしなければいけないというふうに思いますが、そこのところの歯止めはどのように考えているんでしょうか。
  280. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今回の議論の前提も、我が国の防衛ということ、これがまず前提で議論をいただいていると思っております。ですから、従前から言っておりますように、例えば海外派兵とかそういうことを行わないということは繰り返し総理もお話をされております。  ですから、あくまでも基本的にはもう我が国の国内でしっかり我が国の防衛を行うということが前提でありますので、そこが過不足なくできるような体制をこれからもしっかり維持していきたいと思っております。
  281. 中西健治

    中西健治君 過不足なく対応できる体制ということでありますが、そもそも、今自衛隊の人員が余っている、余剰であるという認識ではないと思うんです。けれども、これから自衛隊の領域外に行く機会は増えるということになりますと、今後、自衛隊の人員を増やしていく、そうしたお考えなんでしょうか。
  282. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) あくまでも、今想定していただいている議論集団的自衛権議論もそうでありますが、これは、我が国に対しての武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、財産、幸福追求権利根底から覆される明白な危険ということですので、あくまでも我が国が主体でありますので、そのときに防衛するための体制をつくっております。  それが今後、様々な対応の中で活動するわけですが、それにおいても現在と何か大きく変更するというわけではなくて、あくまでも我が国防衛の延長だというふうに理解をしていただければと思っております。
  283. 中西健治

    中西健治君 ということは、今の自衛隊の定員というのは、防衛省設置法においては法律上の定員というのがあって、それは二十四万七千人で、実際の人員というのはそれより一万八千人少ないということになっていますけれども、実際の人員を増やす予定はないと、法律上のことじゃなくて実際の人員を増やす予定はないと、そういうことでよろしいんでしょうか。
  284. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) これは、定員の管理というのは国としてしっかり管理をしていくことが大変重要だと思っておりますし、また予算との関係というのもございます。さらに、今様々な装備というのは高度化していく中で、それぞれ、例えば従来の戦車が四人で一つのクルーをつくっていた中で、今後はかなり自動化を図る上で三人で行動ができるようなそういう新しいものもできておりますので、いずれにしても、我が国の防衛力を維持することは大切であります。また、その中で、装備を新しくする中で、従来よりも少ない人員で更に安全保障上しっかりした体制ができることもあります。そのバランスを今後とも考えていきたいと思います。
  285. 中西健治

    中西健治君 総理にお伺いしたいと思うんです。  我が国と密接な関係にある国、これはアメリカは蓋然性が高いということでありましたけれども、その他の国に関しては現実的に相当限定されるという御答弁もあったわけですが、抑止力を高めるという観点からは、ある程度こうした国々が対象となるというようなことが分かっていなければ、他国にも分かっていなければ、抑止力の向上というのには資さないということになるんじゃないかというふうに思います。  そこでお聞きしたいんですが、例えば同盟国の同盟国、韓国やフィリピンやオーストラリアあります。それから物品役務相互提供協定、ACSAですね、これを締結している国々、これはアメリカやオーストラリアということになるかと思います。そして、締結しようとしている国、これはイギリスということになりますが、そうした国々はより蓋然性が、優先度が高いというふうにお考えになっているかどうか、お伺いしたいと思います。
  286. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この議論で再三申し上げてまいりましたが、米国は言わば密接な関係にある国ということでございます。そして、それ以外については相当限定されるというふうに考えているわけでありますが、基本的には個別具体的な状況に即して判断されるわけであります。  抑止力が高まるというのは、まさに日米関係において、米国は五条において日本の有事に対して共同対処する国でありまして、共同対処する際にしっかりとこのきずなが強い中における共同対処が行われると、第三国が見れば当然チャレンジすることはやめておこうということになるわけでございます。そういう意味において、これはまさに抑止力が一番高まっていく上においては、これは同盟関係である米国なんだろうと思います。  したがって、米国の同盟国であること、あるいは日本がACSAを締結済みであることのみをもって当該国が我が国と密接な関係にある国であるか否かを一概に判断することは困難と言えます。  いずれにせよ、憲法武力行使が許容されるか否かは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことによってのみ判断されるものではなく、更に新三要件を満たすか否かによって判断するということになります。
  287. 中西健治

    中西健治君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。ありがとうございました。
  288. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で中西健治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  289. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、松沢成文君の質疑を行います。松沢成文君。
  290. 松沢成文

    ○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。  これまで、憲法国際法の中で今回の集団的自衛権の解釈の変更がどういうことなのかということで議論が進んできたんですが、私は十五分という短い時間なので、極めて具体的な事例、それも、政府は八事例とか十五事例というのを出しました。でも、あれは想定であって、今ある危機じゃないんですね。こういうことが起こり得りますよ、起きたときにはこういう対処が集団的自衛権でできますよと、こういう説明だったので、国民の皆さんにはちょっとまだ距離があって分かりにくかった。  そこで、私は、今現実世界で日本の近隣で起きているこの危機に対して今回の集団的自衛権の解釈変更で日本はどういう方針を取るのか、これを具体的な事例で具体的に聞きますので、総理もできるだけ、ケース・バイ・ケースで総合的に判断するの連呼ではなくて、具体的に聞きますから、できる限りその方針を具体的に答えていただきたいと思います。  まず第一です。南シナ海です。  南シナ海は、西沙諸島、南沙諸島、中沙、東沙というのもあるらしいんですが、こういう島嶼の領土、領海、あるいは地下の資源をめぐって、簡単に言えば中国と近隣の諸国が争いを演じています。その中で、特に西沙についてはほとんどがもう中国に実効支配されてしまっていて、石油の採掘施設がどんどん進んでしまって、漁船同士が衝突していますし、また飛行場もできちゃっています。実は、南沙においても中国は飛行場を造ろうとして、今その工事を進めているわけですね。あるいは、南沙と中沙の間にあるスカボロー礁なんかはフィリピンと中国がいがみ合っています。  現在でもこういう危機がある中で、この危機は今後エスカレートする可能性があります。というのは、もう中国はどんどんどんどん飛行場を造り始めて工事もやっているわけですからね。それに対してフィリピンやマレーシアが、おかしいじゃないか、待ったと抗議の行動を取ると、そこで紛争になる可能性も私はかなりあるんじゃないかと思っています。  さあ、そこで、例えばフィリピンがアメリカ助けを求める。アメリカとフィリピンは新しい防衛協定を結びましたので、アメリカはフィリピンと共同行動を取って中国にそれをやらせない阻止の行動をする可能性があると思います。私は、オーストラリアも、アメリカに是非とも我々と一緒に行動してくれとなった場合に、オーストラリアというのは非常に積極的に平和構築の国で、多国籍軍やあるいはPKOにもどんどん参加していますね。これ、オーストラリアも一緒に行動する可能性があるわけです。  さあ、そういう状況になって、フィリピン、これは当事国です、それからリバランスでアジア太平洋をしっかりと守っていくというアメリカ、そして同盟国オーストラリア、この三国が、日本集団的自衛権を認めたんだから是非とも我々と共同行動して参加をしてくれと言ってくる可能性は私は高いと思っています。もしそうなった場合に総理はどう判断するでしょうか。自衛隊を送りますか。
  291. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま、極めて個別具体的な国の名前を挙げて質問をされました。  個別具体的な例についての仮定の質問にお答えすることは、外交上も問題がありますので控えさせていただきたいと思いますが、この個別具体的な状況につきましては、さきのシャングリラ会合におきまして、主張するときには、これは国際法にのっとって主張すべきだ、そしてまた、武力の威嚇あるいは力による現状変更は行ってはいけない、そしてさらには、問題を解決をする際には平和的に国際法にのっとって解決をするということを私が三原則として提案をし、多くの国々から支持を得た、もちろんフィリピンもベトナムもそうでありますが、ASEANの国々から得たわけでありますが、こうした形でしっかりと国際法を尊ぶという認識を国際認識としてしっかりとつくり、力による現状変更は駄目だと、それは、国際社会においてそういう国はなかなか言わば平和的に発展していく上において大きな不利になるという認識をつくっていくことこそ、これは地域をより平和で安定した地域にしていくんだろうという努力はしていかなければならないと思うわけであります。  そして、この言わば武力行使については、あくまでも新三要件にのっとって、そのときの個別の事案について総合的に判断をしていくということになります。
  292. 松沢成文

    ○松沢成文君 なぜ私が南沙の問題を出したかというと、この南沙での島嶼部分の領土の紛争というのは、まさしくこの新三要件の一番目であります。一つは、我が国と密接な関係にある他国。私は、アメリカも、ひょっとしたらオーストラリアも、そしてフィリピンも、これは同盟国であり、私はオーストラリアなんかはもう今準同盟国になっていると思いますが、こうした非常に日本と近い関係で、日本と同じような考え方を持って同じ利害を抱えている国だというふうに思うということと、後段の国民権利根底から覆される明確な危機がある。まさしく南シナ海というのは、日本にとってそういう明確な危機がある地域だと思ったから聞いているんですね。  その一つは、シーレーン防衛と総理はよく言われます。日本の死活的利益。そのときにはホルムズ海峡で機雷の掃海も必要でしょうと、ここの例をよく出されるんですね。ただ、シーレーンというのは、中東からずっとホルムズ海峡を通って、インド洋を通って、それからマラッカ海峡を通って、南シナ海を通って日本に来るわけですね。ですから、ここもシーレーンなんです。確かに、南シナ海を通らずに、もうボルネオかニューギニアの東側を通ってずっと上がってこいというのもありますが、距離がすごく掛かりますから、南シナ海というのはシーレーンとして非常に大事です。  やはりシーレーンでいざこざがある、あるいはシーレーンを通りにくくなれば、これは日本の石油の輸入というのが滞る可能性もあるわけでありまして、これはもう電気料が跳ね返って国民生活が破壊する可能性もある。ですから、シーレーン防衛という意味でも非常に大事だということと、もう一つは、島の防衛を、中国のやりたいままにして、きちっとした抑止力を持って対応ができていないと、これは南シナ海の島だけではなくて東シナ海の島にも将来影響を与えるんです。  我が沖縄県の尖閣諸島、我が国の領土、この島を南シナ海の島嶼部分の防衛で、いいかげんな形で、いいかげんというのは失礼ですけれども、そこできちっと対応できていないと当然侵略する方は、ああ、こんなものかと、よし、じゃ、次に東シナ海もやってやろうかとなりますよね。逆に、南シナ海でアメリカと組んで、あるいはオーストラリアやフィリピンとも共同戦線を組んで、中国が何か手を出してきたらばしっとはね返す、その強い姿勢を見せることが逆に言えば尖閣の抑止力にもつながってくるじゃないですか。  私は、そういう意味で国民権利根底から覆るような明確な危機がこの南シナ海の島嶼部分の防衛には懸かっているんだと思って聞いているんですが、その御認識はいかがですか。
  293. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今現在、直ちにこの三要件の対象になるということは考えておりません。  いずれにいたしましても、今個別具体的な例においてお答えをすることは、予見を持ってお答えすることは、仮定の質問にお答えすることは控えさせていただきたいと思いますが、あくまでも我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、そして幸福追求権利根底から覆される明白な危険という中において、必要最小限というものも含めて判断をしていくわけであります。  ですから、今特定の地域についてお話をされたわけでありますが、今、南シナ海においても東シナ海においても求められていることは、全ての国がしっかりと国際法を尊び、そして力による現状変更の試みはしないということでありまして、それによってそれぞれの国が国際的な信用を高めていく中において繁栄していく道をしっかりとつかんでいくことにつながっていくという、この当たり前の考え方をしっかりと全ての国が持つように努力をしていきたいと考えております。
  294. 松沢成文

    ○松沢成文君 個別具体的な国の名前を挙げたりすることはできないということは私も分からなくはないんですが、ただ、国民がこの集団的自衛権の限定的容認の議論で分かりにくいのは、こういう具体的な場合にこれからは政府はこういう行動ができるんですよと、それがこのような抑止力につながって日本の平和は保たれるんですよという具体的な理由できちっと説明しないから国民はぴんとこないんですよ。それはそのときのケース・バイ・ケースで総合的に政府が判断して決めますと、全部これで逃げていたら、私は、総理国民理解というのは進んでいかないと思いますよ。  もう一つ具体的な例を挙げます。朝鮮半島、この朝鮮半島有事こそが、日本集団的自衛権を認めていかないと日本にも危機が及ぶというふうにこれまで語られてきました。朝鮮半島は、今、北朝鮮、もう弾道ミサイルからスカッドミサイルまでばんばん撃って日本海なんかにも飛ばしています。それから、これまで、ここ数年の間にも韓国と軍事境界線を越えて砲撃してきたり、あるいは船を沈めたり、もう戦争の直前まで、一触即発のところまで行っているんですよ。  これから数年の間に朝鮮半島でそういう有事が起きて、そのときにアメリカから、実は一九九三年の朝鮮半島危機のときもアメリカは、北朝鮮がNPTを抜ける、それから核査察を拒むということで、核施設をたたくということでアメリカは計画を立てた。そのときに、日本に協力を求めたけれども、日本集団的自衛権があるからできませんと断った。あるんですね。  今回は、集団的自衛権部分的に認めるわけですね。朝鮮半島有事というのは明らかに日本に影響を与えます。今回、これから先に、近未来に朝鮮半島で有事が起きてアメリカから協力を求められたときに、日本はきちっと対応するんですか。いかがでしょうか。
  295. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 既に答弁させていただいておりますように、武力行使を目的としたアフガンのケース、例えばベトナムのケースもそうですが、ああした様々な戦闘には参加はしないということは明白にさせていただいております。  そして、近隣国で有事があった際にそこから逃れてくる邦人を輸送する米艦、これは日本人だけではなくて米国人も含まれるわけでありますし、様々な民間人が含まれる。この退避については、基本的には米国はまず日本に退避をしてそこから帰っていくという考え方になるわけでございますが、そこにおいて警備、その船を自衛隊が警備することは、これは可能としなければならないという今回の問題意識があったわけでございまして、そういう意味においては、より国民の命を守ることにつながっていく選択肢ができたと、このように思います。
  296. 松沢成文

    ○松沢成文君 朝鮮半島有事になって、アメリカは韓国と一緒に北朝鮮と対峙して、必要であれば軍事的な行動も取るんでしょう。そのときにアメリカは、当然米軍基地は日本にありまして、日本から様々なアメリカの戦力が朝鮮半島に向かうわけですね。ですから、当然日本にも、集団的自衛権を認めたんだから、おたくの国にとってこれは大変な事態なんだから、影響があるんだから協力してくれと来ると思います。  ただ、問題は韓国なんです。今、韓国は、様々な報道であるように、日本集団的自衛権を認めたことを実はもう韓国の大統領も否定的、非難をしているんですね。朴大統領に言わせれば、歴史修正主義を取るような国に集団的自衛権を認める資格はないと、私もよく訳分からないんですが、こんなことも言っていますよね。それから、韓国の国会は日本集団的自衛権なんか絶対に使わせないという糾弾決議まで行っちゃっているんですね。  それから、韓国は、領土、領空、領海だけじゃなくて、連合軍と、何とか戦闘何とか地域という軍が活動する地域、この中にも自衛隊が入ることはまかり通らぬと、ここまで言っちゃっているんです。これじゃ、朝鮮半島有事日本が協力してどうにか収めようと思っても、これ、アメリカは出てきてくれ、韓国は日本なんて来なくていいと……
  297. 山崎力

    委員長山崎力君) そろそろ質問をおまとめください。
  298. 松沢成文

    ○松沢成文君 これだったら、何にも日本、行動できないじゃないですか。韓国に対してはどのようにこれから集団的自衛権の必要性を説明していくんでしょうか。
  299. 山崎力

    委員長山崎力君) 時間ですので、短くお願いします。
  300. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 集団的自衛権行使をしない国というのはスイスを始め極めて少数でございまして、そのほとんどは行使が可能という国でありまして、日本はそうした国々よりも極めて制限的に行使を今回認めることになったのでございますが、そうしたことも含めて、これは韓国にとってどういうことなのかということもしっかりと韓国に理解していただけるようにしたいと思いますし、そもそもそうした事態において、救援に来援する米国の海兵隊は日本から出ていくわけでありまして、当然これは事前協議の対象になるわけでありますから、日本が行くことを了解しなければ韓国に救援に駆け付けることはできないわけでありまして、その上においても、本来、日米韓の緊密な連携は必要だと、こういうことも含めて理解を求めていきたいと、このように考えております。
  301. 松沢成文

    ○松沢成文君 以上です。ありがとうございました。
  302. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で松沢成文君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  303. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  304. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  憲法九条は集団的自衛権行使を認めておりません。日本は海外での武力行使は行いません。この従来の政府見解を大転換する閣議決定が行われたわけであります。(資料提示)  今お示しをしておりますのが武力行使の新三要件なるものですが、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使する。  まずお聞きしますけれども、総理、「これを排除し、」というこの「これ」は何ですか。  余計なことを言わないでくださいよ。ちょっと時間。簡潔に。
  305. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) はい。  お答えいたします。  新三要件の第二要件に言う「これを排除し、」の「これ」というのは排除の対象でございます。すなわち、一つが、我が国に対する武力攻撃それ自体、もう一つが、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険をつくり出している他国に対する武力攻撃のことでございます。
  306. 小池晃

    ○小池晃君 他国に対する武力攻撃を排除するまで武力行使するというふうになれば、これは必要最小限度にとどまることはあり得ないと。他国に対する武力攻撃の排除そのものを目的とするものではないというふうにおっしゃいますけれども、一旦武力行使に踏み切れば、これは相手からの反撃を招きます。際限のない戦争の泥沼に陥ることは避けられないと思うんです。今なお解決できないイラクやアフガンの事態を見ればこれは明らかだ。しかも、昨日からホルムズ海峡での機雷掃海という話もあるわけですから、これはもう地理的限定などどこにもないということになるわけです。  さらに、今回の閣議決定では、国際社会の平和と安定への一層の貢献という名目で、これまでアフガニスタン戦争、イラク戦争の際に自衛隊派遣する特措法に書き込んだ戦闘地域に行かないという歯止めを外しました。そして、新たに戦闘現場なる概念を持ち出しました。  そこで聞きますけれども、今回新たに閣議決定した自衛隊の支援活動を行わないとする戦闘現場、これと、今までの法律で自衛隊の活動を行わないとしてきた戦闘地域、これはどこがどう違うんですか。
  307. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) これまでのいわゆる非戦闘地域とは、現に戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し又は物を破壊する行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域をいいます。現在は周辺事態法における後方地域として定義されております。一方、今回の閣議決定に言う現に戦闘行為を行っている現場とは、戦闘行為が現に行われている場所、平たく言えば戦場のことでございます。  この二つの要件といいますか、二つの考え方の違いでございますけれども……
  308. 小池晃

    ○小池晃君 もういいです。法制局長官には私、通告してないんです。  今それぞれの定義言ったんで、それが違いだということだと思うんですね。要するに、今までは戦闘地域には行かないと言っていた。しかし、これからは、今まで戦闘地域と呼んでいた地域であっても、つまり活動期間中に戦闘行為が始まる可能性がある場所であっても、その瞬間に戦闘行為が行われていなければ、これは行くことになるわけであります。  そして、総理は昨日の我が党の笠井亮衆議院議員質問に対して、自衛隊の活動場所が、そこが戦闘行為の現場になる可能性はあるとお認めになりました。さらに、笠井議員が、自衛隊が支援活動をしている場所が戦闘現場になったときに相手から攻撃されたときどうするのかとただしたのに対して、防衛大臣は、速やかに引き揚げると、そう答弁されました。さらに、笠井議員が、そんなことになれば自衛隊が集中的に攻撃をされて、結局、攻撃に対して応戦し戦闘に参加することになっていくのではないかと、こう指摘したのに対して、防衛大臣は、そのような想定は考え過ぎだとお答えになりました。  何が考え過ぎなんですか。自衛隊員の生命、安全を考えれば、これ当然出てくる疑問ではありませんか。自衛隊員に出動を命じる立場でありながら、そういう事態について考え過ぎだというのは、私は無責任過ぎるというふうに思いますよ。  総理に聞きます。あなたはいいです。総理に聞きます。  総理は昨日認められました。自衛隊が今まで戦闘地域とされていた場所まで行くようになれば、そこが戦闘行為の現場になる可能性があると総理おっしゃったんですよ。そして、兵たん支援が一番狙われるというのは、これ軍事的な常識なわけであります。自衛隊員が攻撃をされても速やかに引き揚げるだけだというのであれば、これは日本自衛隊は格好の攻撃対象になってしまいますよ。攻撃が集中することになってしまうじゃないですか。総理、あなたは自衛隊の最高指揮官です。自衛隊員に対して戦闘が起こる可能性のある場所まで行けと今回言っているわけですよ。そう言いながら、攻撃されても応戦するなと言うんですか。  昨日は、総理はPKOの例を挙げて、今も引き揚げるということはやっていると言っていましたけれども、しかし、これはPKOの話じゃないです。米軍などの武力行使している場合の後方支援の話ですから、これきちんと答えていただきたい。昨日の答弁に関連してですから、防衛大臣、結構です、総理答えてください。防衛大臣、結構。
  309. 山崎力

    委員長山崎力君) まず、先にそれじゃ、総理、おっしゃってから。防衛大臣からですか。どちらでもいいんですけど。
  310. 小池晃

    ○小池晃君 簡潔に。じゃ、簡潔に。
  311. 山崎力

    委員長山崎力君) じゃ、簡潔に、小野防衛大臣
  312. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 済みません、先に。  委員は大分いろんなお話をかなり仮定で作られているような印象があります。あくまでも、戦闘が行われていない地域において自衛隊が活動している、そして様々なことが急変して、何かこれは活動が十分できないような状況になりましたら、これは活動を停止し中断する、あるいはそれから引き揚げるということ、これは現在のPKOでも同じような形になっていますので、PKOの活動において、今先ほどお話しされたような仮定の、何か物々しいようなことが起きていることはございません。  あくまでも、私ども先ほどからお話ししているように、もし何か事前に問題があって、そして本来安全なところが問題が起きるような状況があれば、それは活動を中止し、そして場合によっては引き揚げるという、そういうことであります。
  313. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほどちょっと中断してしまいましたので、この違いのポイントは、非戦闘地域ではない地域は、現に戦闘行為を行っている現場と比較して、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないとは認められない地域が含まれる点が、これが現場ではなく地域という表現の違いもありますが、ポイントは今言った点の違いであります。  これは、憲法上の整理において、およそ一体化しないという大きな範囲の中でこうした規定にしたわけでございますが、今までの自衛隊の経験、そしてまた様々な国際的な国際安全保障措置の中の実態を見る中において、こうした絞り込みを行っても一体化しないということであります。  他方、それは、実態として自衛隊が戦闘に巻き込まれるかどうかということ、概念とは別でありまして、あくまでも憲法との関係において、一体化との関係においてそう判断したところでございまして、実際に戦闘が行われている場所に行くわけではなくて、もし戦闘が行われたら、戦闘現場となれば直ちにこれは引き揚げるわけでありまして、自衛隊だけが行くのではなくて、それは戦闘を行うような、ほかの部隊もいるわけでございまして、我が国には、そういう規定の中で行くということは十分に理解を得ながら、そうなったら直ちに帰ってくると、こういうことになるわけでございます。
  314. 小池晃

    ○小池晃君 無責任だと思うんですよ。物々しい話とかとおっしゃるけど、物々しいことを提起しているのは皆さんじゃないですか。今まで行かないと言っていた戦闘地域まで行こうということを言っているわけですよ。戦闘地域と言われていた部分ですよ。戦闘地域と言われていた部分であっても、そこが現に戦闘が起こっていなければ、活動の期間を通じて戦闘行為が起こるという場所には今までは行かないと言っていたのに、その期間の中で起こり得る場所にも行くということになれば、それは一歩先に、前に進むということになることは間違いないじゃないですか。だから、総理だって、昨日、そこで戦闘が起こる可能性は認めたわけでしょう。  そういったところに行って自衛隊に活動させるといいながら、ただ帰ってくる、逃げてくると、そんなことやったら一番狙われてしまうじゃないですか。そういうときに武器は絶対使用しないと、あなた、総理は最高指揮官としてそうおっしゃるんですか、お答えいただきたい。総理です。
  315. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 当然、身を守るために、また任務を遂行するための武器の使用はあり得ます。  これは武力行使とは違いますが、武器の使用はするわけでございますが、基本的に物資の補給をする、これ兵たんは確かに委員のおっしゃるとおりで大変重要でありますから、十分に兵たん路は確保されている中において自衛隊はそれを持っていく。それはまさに戦闘現場ではなくて、言わばまず間違いなく後方的な地域において持っていくわけでございますが、それはそうした物資が取られないということが担保されているということも大変大切でありますから、そうしたものを集結する場所に持っていくということになります。そして、そこが戦闘現場になれば直ちに撤収をするということが原則でございます。
  316. 小池晃

    ○小池晃君 今総理は、戦闘現場に、自衛隊が行っている場所が戦闘現場になれば武器使用することを認めたわけですよ。そうなれば、結局、自衛隊がこれは戦闘に参加していくことになってしまうわけですね。  具体的に聞きたいと思います。  二〇〇四年のイラクへの自衛隊派兵は、戦争状態が続いている他国に重火器で武装した自衛隊を派兵するという戦後初めての道に踏み込むものでありました。陸海空合わせて一万人近い自衛隊員がイラクでの活動を経験いたしました。陸上自衛隊は、サマワの宿営地を高さ三メートルの土塁で囲み、宿泊施設をコンクリート壁と鉄板で固めるなど、要塞化しました。  それでも、ここに示しましたように、二年半の派遣期間にこれだけの攻撃があったことを防衛省は認めております。攻撃回数十四回に及びます。迫撃砲弾やロケット弾など二十三発に上ります。うち四回、四発のロケット弾は宿営地の敷地内に落下をして、コンテナを貫通したこともございます。宿営地外でも、移動中の陸上自衛隊の車両が遠隔操作爆弾で襲撃され車両が破損したこともあります。こうした中で、私は、自衛隊員に人的被害が出なかったことはまさに奇跡的だということだったんではないだろうか。  当時、陸上自衛隊トップを務めてきた先崎一元統合幕僚長は、NHKテレビの「イラク派遣 十年の真実」でこう語っています。政治的には非戦闘地域と言われたが、対テロ戦が実際に行われている地域への派遣で、何が起こってもおかしくないと。忘れもしない、先遣隊、業務支援隊が約十個近くひつぎを準備して持っていって、クウェートとサマワに置いた。自分が経験した中では一番ハードルの高い、有事に近い体験をしたイラク派遣だったと。  航空自衛隊だって、米兵を始めとする多国籍軍の兵士を空輸し、米軍の掃討作戦を支援したわけですが、この活動も危険と隣り合わせでした。当時の国会では、久間章生防衛大臣、こう述べています。バグダッド空港については、一応アメリカ軍が多国籍軍として安全を確保しておる、その中ではありますけれど、やはりロケット砲等がよそから撃たれる、迫撃砲等が場合によっては狙われることもある、そういう緊張の中で仕事をしているというのは大変なことだと。よく、イラクで活躍している航空自衛隊がさも安全であるというような、そういうことばかり強調されていて、私たちも、そうじゃないということを絶えず隊員の皆さんから聞いている。一歩間違うと本当に人命に影響するような、そういう状況の中で活躍している。やいばの上で仕事をしているようなものだと、注意を払わないと大変なことになるという、そういう認識を持っていると。非戦闘地域で活動すると言っていたときですら、いつ何どき生命の危険があるか分からないと。久間大臣は、やいばの上で仕事をしているようなものだと言っているわけですよ。  ところが、今度は、これまで戦闘地域とされていたそういう地域も活動の対象になるわけですよ。そうすれば、自衛隊の活動はこの二〇〇四年のイラク派兵のときに比べれば一層危険なものになることは間違いないじゃありませんか。総理、このことははっきり、私、認めていただきたい。自衛隊員が攻撃される危険性は、これは今までの派兵よりもより高まることは間違いないのではないですか。率直に認めていただきたい。総理にお答えいただきたい。
  317. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 言わば、今、小池委員が言われたように、それは、サマワにおいてはこれは復興支援活動でありまして、言わば後方支援とは別の活動ではありますが、その中においても自衛隊の皆さんはそうした危険の中に身を置きながら日本国を代表して立派に仕事を完遂していただいたと、このように思っております。それは自衛隊員にしかできない仕事であると言ってもいいんだろうと、このように思うわけでございます。  その中におきまして、今までの概念として、任務を通じて非戦闘地域であると、戦闘地域にならない地域を非戦闘地域と言うという、この概念については、これは小池委員もおっしゃったように、それは言わば概念として果たして成り立つのかという議論も随分あったわけでございますが、これはまさに憲法との関係で一体化にはおよそ当たらないという考え方の下にそうした考え方を取ってきたところでございますが、今までの活動の現実に合わせまして、それは私は安全だと言っているわけではないわけでございますが、戦闘地域ではないところに自衛隊は行くと、戦闘現場ではないところに自衛隊は補給等で行くわけでございますが、その間、もちろんできる限り、言わば完全な安全な場所ではないけれども、自衛隊員の安全を確保することは当然でございますから、情報収集等も含めてできる限りのことを行っていくのは当然のことであろうと。  しかし、その中において、我々は、まさにこの後方支援という、一体化という考え方は生かしつつ、今回、今までの経験と照らし合わせて、一体化することはないという判断に至ったところでございます。
  318. 小池晃

    ○小池晃君 名古屋高裁のイラク派兵違憲判決に対する政府答弁書は、このように自衛隊の活動について述べています。現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限って実施することとするなど、我が国の活動が他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みだと。  他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みであった非戦闘地域という枠組みを取り払えば、先ほどから総理はこれは憲法上の整理なんだというふうにおっしゃいます。しかし、そこにとどまらないんじゃないですか。これ、国際的に見れば、紛れもなく自衛隊が支援する他国の武力行使と不可分の軍事行動になりますよ、これは国際社会から見ればですね。そうすれば、攻撃対象になる危険は高まらざるを得ない。  今総理は、完全に安全なところではないと認めました。私は、それどころか今までよりもより一層危険なところになるのではないかと。これ当然の疑問ですよ。こういうことで活動地域を広げれば、当然これ今までより危険になるということになるじゃないですか。そのことを率直に認めていただきたいんですよ。いかがですか、総理
  319. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今申し上げましたように、憲法の一体化との関係において非戦闘地域という概念をつくったのでございますが、今までのこの経験からいって、こうした概念ではなくて、新しい戦闘現場という概念において、これは具体的に一体化していないという判断ができるということに至ったわけでございまして、自衛隊員の安全を確保するということについてはこれはまた別の次元の問題でありまして、この非戦闘地域という概念の中でも自衛隊員の安全の確保に全力を尽くすわけでございますし、この戦闘現場という概念の中においても自衛隊員の安全確保に全力を尽くすのは当然のことであろうと思っております。
  320. 小池晃

    ○小池晃君 信濃毎日新聞の社説は、首相の説明に欠けているのは、集団的自衛権行使によって自衛隊員や国民が被るリスクだ、最悪の場合、戦後初の戦死者を出すことになるかもしれない、集団的自衛権を命の重さの観点から深く掘り下げなければならない。  命というのはかけがえのないものなんですよ。それを実際に戦闘行為が起こる可能性がある場所まで行くと、そこまで踏み込んだんですよ。だったらば、それを率直に、今のこの質疑だって多くの国民見ているでしょう。自衛隊員の、あるいは自衛隊員の家族の皆さんも見ているでしょう。私は率直に……(発言する者あり)政争の具にしているんじゃないよ、何言っているんですか、命の問題じゃないですか。そのことを堂々と語るべきじゃないですかと私は言っているんですよ。  総理、これ逃げちゃいけませんよ。率直に語るべきですよ。それでなければ、国民はこれ、私が言っていることは当然の疑問ですよ。このぐらいのことに答えられない、そんな無責任議論じゃ駄目ですよ。はっきり答えていただきたい。総理ですよ、総理
  321. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今この議論集団的自衛権行使とは別の議論でありまして、集団安全保障措置に関わる後方支援でございますから集団的自衛権行使とは別だということはまず申し上げておきたいと、このように思います。  そして、集団的自衛権行使についても、まさに国民の生命、自由及び幸福を追求する権利根底から覆されると、まさにこれ国民の命に関わることであるから、まさに事に臨んで危険を顧みず、身をもって任務を完遂するという宣誓をしてくれている自衛隊の皆さんにその任務を果たしていただくことをお願いする。  これはもちろん非常に重い判断でありますよ。私も責任者としてめったにそういう判断というのはしないわけでありますし、そういうことが起こらないのが、そういう判断をしなくてもいい状況をつくっていくことに外交的に全力を尽くしていくことは当然のことでございますが、その中において、国際社会が平和を構築しようという努力をする中において日本が何をできるかという中において、武力行使と一体化することはできないという根本的な憲法との関係における議論は残して、憲法との関係における考え方、理論は残しつつ、現実に合わせ、今まで経験したことに合わせ、今回は概念を整理し、戦闘現場ではない地域という概念にしたところでございます。
  322. 小池晃

    ○小池晃君 総理、答えてないですよ。やっぱり国民は、これで一体どうなるんだと。今、自衛隊員の家族から私どもの方にも、このままだと本当に危険なことになるんじゃないかと……(発言する者あり)うそじゃないですよ、そういう声が今来ているんですよ。そういう中で、総理、私は、率直にやっぱり国民に対してリスクがあるんだということを語らなければこんな、真面目な議論にならないじゃないですか。逃げちゃいけないと思うんですよ。結局、非戦闘地域だというときにもやいばの上でと言っているんですよ、久間さんは。そうしたらますます危険なことになっていくではないかと。こんな素直な、素朴な疑問にも答えられないで、私は国民の疑問に答えることはできないというふうに思うんです。  武力行使を目的とする戦闘には参加しないと言うけれども、新三要件を満たせば海外で武力行使もする、今まで行かないと言っていた戦闘地域まで行って武器弾薬の補給もする、そんなことをすれば自衛隊員が攻撃され、それに応戦する形で他国の人を殺傷する、殺し殺される、そんな危険が高まるではありませんか。そのことを何で率直に認めないのか。  六十年間自衛隊は一人の他国の人も殺しませんでした。一人の戦死者も出しませんでした。それは、憲法九条があったから、自衛隊を世界有数の軍事組織に拡大したけれども、でも、海外での武力行使はしてはいけないという、その歯止めが働いていたからであります。  元自民党幹事長の古賀誠さんは、雑誌「世界」でこう言っています。人間の生命が戦争によって失われては絶対にいけない、さきの大戦の愚かさを我が国は二度と繰り返してはいけない、これが歴代政権が踏襲してきた政府解釈の本質だ、過去の戦争への反省もなく、深みのある議論もなく、先人や先達が積み重ねてきた選択への敬意もなく、また、それによってもたらされることへの責任覚悟もないままにこの解釈改憲を実行するならば、将来に重大な禍根を残すであろうと。総理はこうした重い指摘にどう答えられますか。
  323. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この私たちが今行っている議論は、まさに国の存立が脅かされ、そして国民の生命や自由や幸福を追求する権利根底から覆される状況において自衛隊武力行使する。これは、自衛権の行使、個別あるいは集団的自衛権いかんに問わず、そういう要件の中において、そういう要件に備えて日々自衛隊の諸君は鍛錬をしているわけであって、精強性を保っているわけでございます。  言わばこれは、一般の公務員とは違う、先ほど申し上げましたように、宣誓を行って、国民の命を守るために身をもって任務を完遂するわけでありまして、それは、個別的自衛権において彼らに防衛出動を下令する際にもそういう覚悟が必要なんですよ、日本のために命を懸けるわけですからね。  そういう意味において、今の事例としては、これは、集団安全保障措置の中のこれは警察権的な形における武器の使用ということになるわけでありますが、これは、任務を遂行するためとするかどうかということについても、これは法整備について議論を行っていくわけでございますが、身を守るためにおいては、今までもPKO活動において武器の使用ができるわけでございます。つまり、基本的に武器を携行しなければならない地域で活動していることは事実でありますから、当然、そういうリスクの中で仕事をしていただいているということについては感謝を申し上げるわけでありますし、久間議員が、久間章生さんがかつて述べられたことも、これも私はそのとおりだと思いますよ。そういう中で仕事をしていただいているということだろうと、このように思います。
  324. 小池晃

    ○小池晃君 今まで、自国攻撃されないときに武力行使することなかったわけですよ。それを自国攻撃されてなくても、広げたわけじゃないですか。命を懸けると、そういうことを国民に、自衛隊員に求めている。それを、そんな重大な、人の命に関わる、国の進路に関わる重大な決定を、憲法を変える手続すら踏まずに一片の閣議決定で進めることなど断じて許されないと私申し上げたい。  しかも、憲法上の歯止めを外して日本が行おうとしている海外での武力行使というのは一体どういうものですか。総理は、自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありませんと言っています。しかし、集団的自衛権行使を可能にし、非戦闘地域で活動するという歯止めもなくせば、アメリカは、これは最前線での支援も求めてくるでしょう、武力行使も求めてくるでしょう。  実際に、イラク戦争当時、アメリカ・パウエル国務長官の首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏、これはテレビ朝日のインタビューで、もし日本イラク戦争当時に集団的自衛権行使ができたら、米国日本政府に参戦するよう要請したかと問われて、イエス、要請したと思う、実際、我々は政治的支援か軍隊の派遣を求める戦略をまとめていた、もし日本が軍隊をどこにでも派遣できる準備が整っていたら、私は日本から部隊を二つ送るとその戦略に書いたでしょうと言っています。  昨日の衆議院での質疑では、日米同盟に深刻な影響が及ぶ場合は武力行使の新三要件に該当するのかという質問に対して、当てはまる可能性が高いという答弁もありました。  日米同盟に影響が及ぶ場合に日本武力行使可能になるなどとしたらば、これは総理アメリカからこういう要求、実際にはアメリカは要求すると言っているわけですよ、こういう事態になれば。そうなれば、この派兵要請を断ることなど到底できなくなるんじゃありませんか。総理、これは断れると言えるんですか。
  325. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、小池委員は意図的に、集団安全保障措置における後方支援において一体化しない非戦闘地域と今度の戦闘現場という概念整理と、集団的自衛権における同盟国である米軍に……(発言する者あり)いや、ですから、意図的にそれを分かっていながら混乱させようとして同じように使っておられるというふうに申し上げているわけでありますが、これはもう小池委員がよく御存じのように、これは別の事柄でございまして、そして、集団的自衛権においても集団安全保障においても、海外に一般に派兵することはできないという今までの考え方は変わりはないわけでありますし、武力行使を目的としてイラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加することはこれからもないわけでありますから、それを要請されてもそれはできないと答えるのは当たり前のことであろうと思いますし、それはかつての政権の幹部がそういう話をされたかもしれませんが、それは今回の我々の閣議決定の中身、政府の考え方を十分に承知をしておられないんだろうと思うわけでありますが、今の段階においては、小野防衛大臣も先般、ヘーゲル国防長官と話をしながら十分な説明をしているところでございますし、今後とも法案整備における中におきましても米国と政策対話をしていくことは当然のことだろうと、このように思っております。
  326. 小池晃

    ○小池晃君 アメリカからの要請があっても断ることはできるんだというふうにおっしゃいますが、一九九七年十月七日の衆議院予算委員会で、我が党の志位和夫書記局長、当時、質問に対して、当時の橋本龍太郎首相はこういうふうに答えております。「第二次世界大戦後、我が国が国連に加盟いたしまして以来、我が国が、米国による武力行使に対し、国際法上違法な武力行使であるとして反対の意を表明したことはございません。」と、総理、こう橋本龍太郎首相は答えている。  この答弁以降、日本アメリカ武力行使に反対した、そういう事実はありますか。総理、お答えいただきたい。
  327. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 様々な武力行使米国は行っておりますが、その時々、それに対する支持であったり理解であったり、いろいろあるのかな。今突然の御質問でありますから、一概に答える……(発言する者あり)あっ、通告、通告してある。外務大臣がそれに答えますが、しかし、それと、賛成する、支持するとはまた別に、自衛隊を送って武力行使するというのは全く別の次元だということは申し上げておいた上で、詳細については外務大臣から答弁させていただきたいと思います。
  328. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 過去に米国武力行使に際しまして我が国が遺憾の意を表明した、こういった実例は存在いたします。一九八三年グラナダ派兵の際、そして一九八九年パナマ軍事介入の際、我が国はこの遺憾の意、これを公に表明しております。
  329. 小池晃

    ○小池晃君 私は、一九九七年の橋本首相の答弁を引いて、違法な武力行使だとして反対の意を表明したことはないという答弁があったわけですよ。グレナダ侵攻八三年、パナマ侵攻八九年じゃないですか。その後の九七年に橋本首相はアメリカ武力行使に反対したことは一度もなかったと言っているんですよ。あなた、外務大臣がこんなでたらめな答弁しちゃ駄目ですよ。しかも、実際にグレナダではアメリカの侵攻を批判する国連決議に日本は棄権している、パナマでは反対しているんですよ。ごまかしちゃいけないですよ。一度も反対してないんですよ。  歴代の自民党政権は、アメリカ武力行使に遺憾の意を表明したと言うけど、遺憾の意を表明したその表明の最後に何と言っているか、それぞれ理解するとちゃんと言っているんですよ、遺憾だけど理解すると言っているんですよ。そういったことばっかりやってきたんですよ。結局、過去のアメリカ武力行使、ベトナム戦争、パナマ、グレナダ、アフガン、イラク戦争、いずれも無法な軍事介入や侵略戦争なんですよ。このままでは日本の若者が無法な侵略戦争で血を流すことになってしまう。  総理、あなた、日本が侵略戦争に加担することなど絶対ないと、総理、あなた言い切れるんですか。お答えいただきたい。
  330. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど、恐らくこれ、外務大臣が答弁させていただいたことが事実であって、もしかしたら橋本総理も、橋本……(発言する者あり)申し訳ないけれども橋本総理が、失礼というか、外務大臣は調べて答弁をさせていただいておりますので、橋本総理はこれはちょっと間違えられたんだろうと、このように思うわけであります。  その上において、その上において加担というものを何をもって加担と言うか、言わば自衛隊派遣してその武力攻撃に加担ということにおいては、それは侵略戦争に我が国が加担するということはこれからもこれは絶対ない、今までもなかったようにこれからもないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
  331. 小池晃

    ○小池晃君 あのね、あなたは、侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていないと、国と国との関係でどちらから見るかで違うと言ったじゃないですか。そんなあなたが侵略戦争に参加しない、そんなこと言って誰が信用するんですか。何が侵略戦争かも分からない人が日本は侵略戦争に加担をしませんと言ったって、それは誰も信用できないですよ。私、このままでは無法な侵略戦争に加担をして日本の若者の血が流される、そして他国の人の命も奪うことになる、侵略戦争で殺し殺される国になる、こんなことは断じて許されないと思います。  時の政権が国家の存立が脅かされる明白な危険があると、そう判断したらば、地理的な限定もなく、海外での武力行使がどこまでも広がっていく、結局限定するなんというのは全くまやかしだと、必要最小限度と言うけれども、一旦海外での武力行使に踏み切れば、これどんどんどんどん広がっていく、これが歴史の教訓だ。  しかも、新潟県の加茂市長さんはおっしゃっている。そんなことになったら、もはやアメリカからアメリカ並みの派兵要求を断ることができなくなる、その結果、やがて自衛隊は世界の熾烈な戦場でおびただしい戦死者を出すことになり、自衛隊に入る人は極めて少なくなる、しかし、防衛力は維持しなければならないので、徴兵制をしかざるを得なくなり、日本国民は徴兵制の下で招集され世界の熾烈な戦場で血を流し続けることになる、元防衛庁教育訓練局長ですよ、新潟県加茂市長の小池清彦さん、こうおっしゃっているんですよ。実際、石破幹事長は徴兵制は奴隷的な苦役とは言えないというふうに言っているじゃないですか。  私は、日本の道を根本的に誤る集団的自衛権行使を認めた閣議決定は断固撤回すべきだというふうに思います。  そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  332. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  333. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田忠智君。
  334. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合吉田忠智でございます。  今般の集団的自衛権容認の閣議決定は、日本の平和主義を破壊するものでありまして、断じて容認できない、そのことをまず申し上げたいと思います。そして、この憲法九条の下で集団的自衛権行使はできない、この解釈は長年にわたる国会でも我が党の日本社会党以来の先輩方も議論を重ねてまいりましたけれども、国会における議論、そして国民的な議論、また司法の判断、学問的な研究、それらを重ねて積み上げてきた憲法解釈でございます。そして、国民国家権力を縛る、この立憲主義を根本から否定する暴挙であると言わざるを得ません。麻生副総理はナチスの手口を学ぶと言われましたけれども、私はナチスの手法に近いのではないか、そのように思っています。  安倍総理もこれまでの著書の中で、アメリカ攻撃されたときに我が国も血を流すと強調されてきました。昨日から今日まで私もずっと議論を聞かせていただきましたけれども、新三要件、歯止めがありませんよ、申し訳ないが。結局は、米国の戦争に自衛隊が参加をして血を流すことになるのではないか。(資料提示)  このパネルにありますように、自衛官が海外で敵の兵士を殺傷するだけではなくて、自衛官が戦死をして帰郷するということにもなり得ます。数十、数百名の自衛官が戦死して、帰還した自衛官アメリカの軍人のようにPTSDに苦しむ。自衛隊には戦死という制度、概念はありません。自衛官の確保が今以上に困難になれば、総理も昨日ちらっと言われておられましたけれども、徴兵制の議論も出てくるでしょう、それは。敵国からはテロの標的とされ、国内の安全も失われます。  まず、総理にその覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  335. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、今回の集団的自衛権につきましては、まさに新しい三要件を新たに設置をしたところでございまして、自衛の措置としての武力行使の新三要件でございますが、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、存立が脅かされるんですよ、そして、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があることと。  こういう状況の中において、自衛隊の諸君が、まさに事に臨んで危険を顧みず、身をもって職務を完遂することに務め、国民の信頼を獲得していくわけでありますから、当然そういう職務を完遂をしていただけると。こういう状況に当てはまらなければ、まさに集団的自衛権、またこれは個別的自衛権においてもそうですが、これは武力行使を行わないということであります。  ですから、それは行うなというのは、これは国民の生命やあるいは自由、幸福の追求の権利根底から覆されても構わないと考えるのであればそうかもしれませんが、私は構わないとは思わないわけでございます。  そしてまた、例えば近隣諸国で紛争があって、そこから逃れようとする邦人を乗せている米艦が襲われたときに、能力があっても自衛艦がそれを防御できなくていいのかという課題にこれは正面からちゃんと向き合っていく私は必要があるんだろうと、このように思うわけでございまして、今回は、平和国家としての基本的な理念、そして憲法の規範性は維持しつつ、閣議決定によって、国民の命と平和な暮らしを守るために今回の閣議決定を行い、そして今後法整備を行っていきたいと考えているところでございます。
  336. 吉田忠智

    吉田忠智君 いや、閣議決定の内容、新三要件の内容についてはもう何回も聞きましたからいいんですよ。先ほども答えませんでしたけど、リスク、国民の皆さん見ていますよ、リスクを正面から答えてくださいよ。国民の皆さんに説明してくださいよ。それを聞いているんですよ。
  337. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今なぜ三要件ということを申し上げたかといえば、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される、これに勝るリスクがあるんですか。これを放っておくというリスクがあるんですか。国民の命を守っていく、そして幸せな暮らしを守る責任が私にはあるんですよ。それをそのままにしていい、これこそ私はおかしいんだろうと、このように思うわけでありまして、ですから、そのときこそ、そのときこそしっかりと国民の命を守るために行動する必要があると、こう考えているわけでございます。
  338. 吉田忠智

    吉田忠智君 じゃ、自衛隊が海外に出ていくリスクを答えてください。
  339. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 先ほど来総理がお答えになっておりますように、あくまでも我が国国民、その生命、財産をしっかり守っていくのが防衛省自衛隊の役目であります。そして、日本の国、国民を守ることが前提でありますので、何か委員は、海外にどんどん出ていって、日本国民を守ることと別なことをするようなイメージをもしお持ちであれば、そういうことではないということを是非理解していただきたい。それから、今でもPKO含めて様々な活動をしておりますが、その際には、当然そのような事態に陥らないように、しっかりとした私どもは準備とそれから隊員訓練も行っております。  いずれにしても、任務を完遂するということは自衛隊員も無事に任務ができるということ、それを常々私どもは想定しながら、これからもしっかりとした備えをしていきたいと思っております。
  340. 吉田忠智

    吉田忠智君 一番重要なリスクに答えていただいていないと思います。  そして、今後考えられる問題点として、昨日、今日、議論されておりませんけれども、徴兵制の問題について議論をしたいと思います。  憲法十八条の意に反する苦役に当たるわけでありまして、これは認められないというふうに政府は一貫して説明をいただいております。総理も全く考えていないと言われているのは私も承知をしています。もちろん我が党も徴兵制導入には、絶対あってはならないことだと思っております。  しかし、従来、憲法上許されないとされてきた集団的自衛権、これを可能であるというふうに解釈変更を今回されたわけですよね。  法制局長官にお伺いをしますが、将来、今回のように徴兵制が意に反する苦役に当たらないとの憲法解釈の見直し、解釈変更の閣議決定があれば、徴兵制も可能になる、そのような危惧はあるんじゃありませんか。
  341. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 徴兵制は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし、当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役と言われる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨から見て許容されるものでないことは明らかであって、御指摘のような解釈変更の余地はないと考えております。環境の変化によって、意に反する苦役であるかどうかということが変化することはあり得ないということでございます。
  342. 吉田忠智

    吉田忠智君 今法制局長官が答弁をされたことは、政府の見解としては承知をしているわけでありますけれども、集団的自衛権行使の解釈変更では、法制局が答弁をしておりますように、従前の解釈を変更することが妥当であるとの結論が得られた場合には、変更することがおよそ許されないものではないと答弁されてきました。  再度長官に伺いますが、今回のように、将来、安倍政権ではないかもしれませんけれども、安倍総理はやらないと言っているんですから安倍総理は多分やらないと思いますけれども、時の政権が徴兵制は意に反する苦役には当たらないとする憲法解釈変更の閣議決定を行う意思を持てば、現憲法下でも徴兵制の可能性は排除できないんじゃありませんか。いかがですか。
  343. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) まさに憲法の解釈は合理的、論理的に行うべきものでございます。御指摘のような解釈というのが合理的、論理的に行われるとは思われず、恣意的な解釈ということであるならば別でございますけれども、そのようなことが起こるとは考えられません。
  344. 吉田忠智

    吉田忠智君 是非、法制局としては、解釈ではあり得ない、そのことを是非堅持をして、今後とも、時の政権の意向に左右されないように、しっかり矜持を持って職務を全うしていただきたいと思います。  総理、徴兵制について何か御意見ありますか。
  345. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) もう既に私、昨年ですか、自民党の憲法草案との関係でお答えをさせていただいておりますが、現憲法下においてこれは憲法違反であるということは明確に述べているわけでございまして、政策的選択肢としてはあり得ない、そもそもあり得ないわけであります。  また、世界の潮流としても、徴兵制に進んでいるという国はないわけでありまして、全く逆になっている。そして、集団的自衛権行使と徴兵制は全く関係がないわけでありまして、例えば集団的自衛権行使はほとんどの国ができるわけでありますが、アメリカもこれは志願制であります。一方、スイスは、集団的自衛権行使はしませんが、これは国民皆兵になっているということでございまして、集団的自衛権行使ともそもそも関係ないということは申し上げておきたい。そして、徴兵制を導入することは憲法上あり得ないということであります。
  346. 吉田忠智

    吉田忠智君 私も全国を回って、やっぱり徴兵制のことを言われるんですね。実際、防衛官僚で実務を担っておられた、先ほどお話が出ました新潟県の加茂市長小池さん、ああいう実務を担っておられた方がやっぱり危惧をされておられる、そのことは申し上げたいと思います。  次の質問に移りますが、日米の協力をより強固にして中国に抑制を求めるということであれば、中国との対話、信頼醸成措置を講じつつ、今まで以上に日米そして韓国の信頼関係を強化していかなければなりません。このことについては総理も異存ないと思います。  にもかかわらず、A級戦犯を合祀をする靖国神社を昨年末参拝をされて、韓国、中国のみならず、米国も失望させました。あるいは、従軍慰安婦をめぐる河野談話の検証によって韓国の反日感情に火を付けて、韓国、中国を歴史認識問題での協調に追いやっているという状況もあります。安全保障環境を悪化させているのは私は総理御自身ではないかというふうに思うんです。  安全保障環境の改善のために、在任中はもう二度と靖国神社は参拝しないと総理が明言すべきではありませんか。改めてお聞きします。
  347. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 安全保障環境、例えば東シナ海での出来事あるいは南シナ海で起こっていることについて、私は、さきのシャングリラ会合において、主張する場合は国際法にのっとって主張すること、そして、武力による威圧やあるいは力による現状変更は許さないこと、そして、何か紛争が起こればそれは平和的に国際法にのっとって解決をしていく、これを原則にしようと主張しているところであります。残念ながらこれに反対する国があることは事実でございますが、多くの国々は私のこの主張に賛同していただき、シャングリラの演説においても多くの拍手をいただいたところでございます。  そして、ですから、その意味におきまして、安全保障環境を私が、あるいは日本がそれを厳しくさせている、悪化させているというのは全く当たらないと、このように思うわけでありまして、安全保障環境とは何かといえば、まさに力による現状変更をしようとする行為とか、軍事費をむやみに拡大していく中においてパワーバランスを変えていく状況、あるいはミサイルを発射したり核を新たに開発をしたりするということではないかと、このように思うところでございます。
  348. 吉田忠智

    吉田忠智君 私も六月二十三日から二十五日まで訪中をいたしました。で、要人の皆さんと会談をいたしました。要人の方々が言われているのが、もうやっぱり安倍総理決断に懸かっていると言うんですよね、中国の方は。安倍総理はドアをオープンに開いていますと、そのように言われましたけれども。  そして、お話が出るのがやっぱり二つの紳士協定。一つは後藤田談話。後藤田官房長官のときに、中曽根総理が公式参拝する前の日に、今後は総理外務大臣、官房長官、三大臣は参らないことにします、これが一つの紳士協定。もう一つが日中国交回復のときの尖閣の棚上げの議論。これはもうお聞きされているとおりですが。  ただ、私は、今の日中関係の現状認識や今後を、是非十一月に、APECのときに習近平主席と安倍総理の会談を是非実現するべく努力してくださいと、そういう話もしました。あるいは、偶発的に衝突が起こらないように危機管理メカニズム、これもしっかりやってもらいたい、これも強く申し上げました。  私は、しかし、中国の方に言ったんですよ、ゼロか一〇〇かではないと、その間も十一月までに何とか打開するようにお互い話し合ってくださいと。ゼロか一〇〇かではないということは、総理もどこかで譲歩しなきゃいけないんです、そこは。何らかのメッセージを総理から発しなきゃいけないんですよ。ドアをオープンに開いていると言うだけではどうにもならないと思いますが、いかがですか。
  349. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 吉田委員が日中会談に向けて御努力をしていただいたことについては感謝申し上げたいと、このように思います。  その上で申し上げれば、例えばこの尖閣の問題につきましては、我々は歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土であるという立場は不変であり、棚上げというものは認めるわけにはいかないわけでございます。  また、靖国参拝について、日本のために戦い倒れた、命を犠牲にされた方々に対して手を合わせ、尊崇の念を表し、御霊安かれなれと御冥福をお祈りをする、この姿勢は世界各国のリーダーに共通するものだと、このように思うわけでございまして、他国に対して行かないとか行くとか約束するべきものではないと、このように考えているわけであります。  いずれにいたしましても、日中関係というのは大切な二国間関係一つでございますから当然私は改善させていきたいと考えているわけでございますが、これは両国が両国の友好な関係から利益を得るわけでございますから、まさに、前提条件を付けたりせずにこれは会談をするべきだろうと、こう考えているところでございますが、APECの会合において会談ができることを期待をしているところでございます。
  350. 吉田忠智

    吉田忠智君 それで、集団的自衛権行使の今回の閣議決定の話に戻りますけれども、私も昨日から今日までずっと議論を聞いておりまして、新三要件、私は極めて曖昧だという印象を持っています。また、専守防衛、私はこれは事実上放棄している、そして他国の戦争に参加する道を開くことになるのではないかと。  これから、総理、今日議論がありましたように、来年の春以降に通常国会でこの今回の閣議決定に基づいて法改正をするのなら、こんなように慌てて閣議決定することはなかったと思いますけれども、いずれにしても、全国を私回って一番心配されるのは、海外で武力行使、これをしないように歯止めをしっかり掛けてくださいよと、そのことを言われるんですよ。  総理は、海外で、イランやアフガニスタンのようなことはしないと言われていますけど、これから法改正に向けてそれをしっかりやるという、総理の口から明言してください、その歯止めを掛けると。
  351. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この三要件がございますから、これが歯止めと言っていいんだろうと思います。と同時に、個別法を作っていく上において国会の同意を必要とする、国会の議決を必要とするということを書き込んでいくことを既に閣議決定をしている中の文書に書き込んであるわけでございます。また、既に再三申し上げておりますように、武力行使を目的としてアフガン戦争あるいはイラク戦争そして湾岸戦争のような戦闘に参加することはないということは明らかにしているわけでありますし、一般に海外派兵を行うことはないということは申し上げているとおりでございます。
  352. 吉田忠智

    吉田忠智君 最後。
  353. 山崎力

    委員長山崎力君) 吉田忠智君、時間ですので、よろしくお願いします。
  354. 吉田忠智

    吉田忠智君 閣議決定の撤回と国会における徹底的な審議を求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  355. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で吉田忠智君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  356. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
  357. 荒井広幸

    荒井広幸君 このような歌が最近発見されたそうです。  秋風やいくさ初まり港なるたゞの船さへ見て悲しけれ  君死にたまふことなかれ、与謝野晶子さんが日中戦争が始まるその頃に、七月七日が盧溝橋でございましたけれども、その頃に歌った短歌でございます。  誰も戦争を望みませんし、紛争を起こしたいとも思いません。平和憲法を持つ、そして不幸な歴史を持つ我が国こそ、安倍総理を中心に改めてそういう気持ちを、不戦の誓いをしていきたいというふうに思いますし、どうぞ総理始め閣僚の皆さんも、国民の意見、ここにいると外のデモの意見もほとんど聞こえないです。どうぞ国民の意見に耳を傾け、各党の意見にじっくりと耳を傾けて、時間を掛けて審議をして進めていきたいと思うものです。  私は福島ですから、安全神話に陥って原発事故が起きました。自然災害と、そして安全を甘く見た人災によってこれは起きた複合災害です。ですから、私は、安倍総理の問いかけは痛いほど分かります。本当にこのままで日本の命、皆さんの命、人権は守れるのかと、何か抜けていることはないかといって研究し、万一に備えて準備をしておくということも一つでしょう。それはよく私は分かります。しかし、まずは、総理も言っておられるように、安全外交を尽くして尽くして尽くして、そして、その安全外交の抑止力とともに今度の自衛権の一つ行使容認ということも併せて、ダブルの抑止力で私は日本国民を守っていくべきだと思います。  自民、公明のこの協議によって、私は一つ進んだなと思うことがありました。それは人権を入れたことです。今まで、ややもすると我々保守政党は国家を言います。しかし、守るべきものは、憲法十三条を代表して引いておりますが、自由や、そして幅広い、血を流してきた人類の歴史のこの人権を守るということを訴えているということを私は高く評価をします。  どうぞ総理には、国民にこの問題意識を問うているんだ、自分だけが分かっていて正しいんだと、そういう考えをどうぞ閣僚の皆様は持たないでいただきたい。国民理解支持なくして抑止力や平和はあり得ないということなんです。どうぞ、その点をお互いかみしめておきたいというふうに思います。  我々は歴史に学ばなければなりません。今日は、アイゼンハワー大統領が退任演説で一九六一年一月に最後の辞める直前に演説をしましたのを皆様に、国民の皆様にもお伝えしたいと思います。  政治を進めるに当たって、我々は、軍産業複合体が、自ら求めてであれ、そうでないものであれ、不当な影響力を手に入れることがないよう厳戒しなければならない。権力が誤った場所に置かれ、恐るべき形で高まっていく潜在的な危険性は現にあるし、今後とも根強く存在し続けることであろう。我々は、この結び付きの圧力のために我々の自由や民主的手続が危険にさらされるのを決して許してはならない。我々は、何事も当然のことと受け取ってはならない。警戒心があり、知力のある市民だけが、巨大な防衛産業、軍事機構と我々の平和的方法、目的とを適切にかみ合わせることができるのであり、また、その結果、安全保障と自由とは共に繁栄することであろう。  この演説をケネディ大統領に渡したと、こういうことになるんだろうと思います。回想録、その中でアイゼンハワー大統領は、この文章を引用したその次の行で、ホワイトハウス時代の終わりに際して、この演説は、私がこの国の人々に最も強く問いかけたメッセージであったと記しています。  これは、今この議論をしている我々にも問われていることだろうと思います。平和を守り、自由を守る世界の警察と言われているこのアメリカでさえ、軍とそして軍需産業が結び付いて非常に難しい問題をつくっていくんだということを言っているんです。私は、総理、これは他人事ではない、我が国の問題でもあろうと思うので、この観点から申し上げたいと思います。  総理国家安全保障会議、NSCを設置し、特定秘密保護法案も作りました。そして、NSCを中心に国家安全保障戦略の策定もいたしました。武器輸出三原則等の見直しも、これも行っています。そして今度の、いわゆる国民の命と人権を守るこの自衛権の問題、あるいは集団安全保障の問題、こういったものに今議論が進んでいるんです。また、外務省の、外務大臣有識者懇談会、ODA大綱見直しの報告では、ODAを外国の防衛分野にも一部適用できるんではないかと、こういう検討もされている。  こうなってきますと、私は臆病なんでしょうか、あるいは妄想症なんでしょうか、次のような心配をするんです。それでなくても官僚主導の国家と言われた我が国です、安倍総理になってからは変わりましたが。官僚主導、このおそれはいっぱいあるわけです。マックス・ウェーバーは、職務上の知恵を職務上の秘密という御存じの概念によって秘密知識に帰することで官僚層が最も重要な権力手段として手に入れていく、その手段になっていると言っています。  NSC等を含めて特定秘密を共有することによって官僚の影響力が強まることはないんだろうか。二年、三年、五年、へなちょこな総理大臣が出てきたら、官僚はもしかしたら情報操作をするかもしれません。政府の中の政府が生まれて、我々国民の手から遠く離れる危険性は本当にないのか。  そして、従来は国土防衛用に限定されてきた自衛隊の装備に加え、先ほど来からも議論がありますが、例えば小野防衛大臣も七月の訪米の際、この間も、上陸用艦、最新戦闘機の追加購入等々の意欲とも取られるような発言をしています。今以上の設備をすること、要求をどんどんするようにならないか。また、ポストも必要になってくるでしょう。  また、厄介なのは経済成長です。経済成長の美名の下に、景気や雇用拡大の貢献のためには防衛装備や武器の海外輸出だ、民間の技術等を軍事に転用だ、こういう形でどんどん、言ってみれば、輸出、歯止めが本当に掛かるんだろうか、調達も歯止めが掛かるんだろうか。  今調達の契約は、言うまでもなく、総理、六百五十六社に及んでいるんです。もっと、その部品までいったら、もっと多額に上っていきます。中央調達契約相手は、今でも六百五十六社、二十五年の調査です。更に増えていく可能性はないんだろうか。防衛産業が肥大化し、ITや今ロボットまで裾野はどんどん広がっていきます。政治への影響力が格段に強まるものと私は考えています。  防衛省を含む官僚がこうした防衛・軍事企業と結び付いていく、これがアイゼンハワーが警告をしているんです。今でも天下りは二百七十数名ですね、五年間の調査をいたしますと。いわゆる将校クラスです。幹部クラスは二百七十名が五年で大体これは天下りをしている。もっと違う、将校以下だったら一桁違っています。  そして、防衛秘密ですから、市場原理が働かず高値の調達費用になりませんでしょうか。財政が厳しい中で、財務大臣もいらっしゃいますが、果たして、福祉や医療に回す、そういうときにぶつかりはしないでしょうか。こういったことを私は恐る恐る考えてみるんです。  命を懸けて国民を守っていただく自衛隊の皆さんに敬意と感謝をします。しかし、そういう意識が先鋭化して、拡大主義に前のめりにならないということはないんであろうか。安全保障に関わる官僚、企業、そして防衛省の結び付きによる、私からいえば、アイゼンハワーが言った軍産プラス官僚、軍産官、日本型の複合体ができて、これが潜在的脅威になりはしないかと私は懸念をいたします。  どなたかが空気の話をされましたけれども、物が言えなくなる空気が今からも出ていたのでは仕方ないわけです。アイゼンハワーは、そういう中で軍産複合体ということを我々に大きな警鐘を鳴らしていると私は考えています。目的を間違え、利権まみれの軍拡にならないように、国民の皆さんの監視が一番重要だと、そうも考えております。また、戦争体験者の先輩方の意見を聞くという、そういう我々にも謙虚な姿勢が必要だと思います。  また、ガルブレイスですね、経済で有名な。アメリカ、ガルブレイスも、実は「悪意なき欺瞞」、悪意はないんだけれどもおかしい方向に行ってしまう、だますようになってしまう、こういうことを二〇〇四年の著書で、「悪意なき欺瞞」として軍産複合体に対して同じように警鐘を鳴らしているんです。  悪意なくして、一人一人は悪意はないんだけれども、新しい権力中枢ができ上がって民主主義に不当な影響を与えないよう、我々は十分議論をしていく必要があるだろうというふうに考えております。  どうぞ、この点、私の言っていることが妄想であるのか、総理、はたまたこういう軍産官、こうした新たな権力に民主主義や自由が侵されることのないように注意を払うべきだという強い考えを持っているのか、総理の御認識を伺います。
  358. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま荒井委員が紹介をされたのはアイゼンハワーの退任の際の演説ということでありますが、アイゼンハワーの時代は、まさに米ソ冷戦の一番熾烈な時期であったと言ってもいいと思います。米ソ共に核軍拡を進めていた時代であるわけでございます。  軍事費がどんどん膨張していく中において、つまり、その中において軍事力を増強していくということは軍需産業が拡大をしていく、利益が上がっていく。また、利益を求めて言わば脅威をつくっていくということがあってはならないということでもあるわけで、利益を求めて言わばそうした紛争を求めてはならないという戒めでもあろうと、こう思うわけであります。  しかし、日本の場合は、まさにこの軍事力の透明性をしっかりと確保しているわけでございますし、中期防においても五年間で毎年〇・八%ずつ五年間増やしていくということであります。それは、増えていくんではなくて二〇〇二年に戻るだけであります。十一年間ずっと連続で防衛費は減少しているわけでございます。一方、アジアをめぐる安全保障環境は、相当これは厳しさを増しているのは委員ももう御承知のとおりであろうと、こう思うわけであります。  そこで、防衛産業との関係におきましては、我が国の安全保障の確保のためには政府と防衛産業の適切な連携が必要であることは言うまでもありません。しかし、その中におきまして、我が国は戦後一貫して平和国家としての道を歩んでまいりましたし、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本方針に沿って、文民統制を確保し、非核三原則を守るとの方針を堅持してきたわけでありまして、このような意味が今後とも変わることはないということを申し上げておきたいと思いますし、防衛装備移転三原則を新たに作りましたのは、まさに、日本を守るための防衛装備については、今国際開発を共同で行うというのが主流であります。今までの対応では、なかなかこの主流の中において、日本が参加をし、安く安定的に防衛装備の供給を受けることも難しくなるわけでありますし、また、今までの例外として官房長官談話を出してきたという対応ではなくて、きっちりと、むしろ原則を明確にする中において新たな防衛装備の移転の原則を作ったと、こういうことでありますから、むしろ私たちがどんどん武器を輸出していくという考え方は毛頭ないということは申し上げておきたいというふうに思います。
  359. 荒井広幸

    荒井広幸君 官房長官にお尋ねします。  防衛省は、五月に東大に武器研究開発への協力要請をしましたが、東大は東大自らの判断によって、軍事関係の協力はできない、これ、次期主力輸送機C2についての不具合についての研究でありましたが、東大がこれを断りました、防衛省からの要請を。  これについて官房長官が記者会見等々で求められておりますが、まさに学問の独立なんです。大学の自治なんです。それについてもしも政治が圧力を加えるようであれば、圧力と受け止められるようなことをするということであれば、総理が守るべき自由を逆に束縛していくということになっていくおそれを私は、このときの記者会見で私は直感的に考えているから、こういうふうに申し上げているんです。官房長官、自由を守るための今度の自衛権の問題ではなかったんでしょうか。本末転倒になるおそれをアイゼンハワーも、そして日本の戦争を経験した皆さんもそれを言っているんです。  官房長官にお尋ねします。この東大自らの東大の検討、方針によって軍事に関わるものは御協力できないということ、尊重すべきだと思いますが、いかがでしょう。
  360. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 防衛装備品の研究開発においては、研究機関や大学等との連携を深めて、防衛装備品にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努めることというのは、ここは極めて重要であるというふうに考えています。  こうした研究機関や大学との連携は、今委員から御指摘がありましたとおり、政治的な圧力や威圧を掛けるようなことがあってはならず、大学の自治を尊重し、自発的な意思に基づいて行われるべきものであると、このように考えておりますので、今後とも適切に対応していきたいと思います。
  361. 荒井広幸

    荒井広幸君 結構です。  最後になりますが、まさにその自由、人権そのものです。福島県の方々に今その人権はあるでしょうか。三月二十日に浪江町一万五千人のADR和解案が提出されましたが、東電はこれを拒否しました。六月二十六日です。被害の実態と国とか東電が受け止めている認識の差が、国がつくったADRセンター、和解をするためのセンターが、おかしいよ、実態を把握していませんよ、間違っていますよと言いました。どうぞ、この自衛権の問題を言うときには、総理、どうか人権が侵されている福島県民のその人権も足下の問題として解決していただくようにお願いしたい。それなくしてこの自衛権の議論も私はなかなか具体的なものとして理解していただけないんじゃないかと思うんです。  官房長官にお尋ねします。人権を尊重し、原発事故被害者の実態を真正面から受け止め、必要な様々な施策や対策の見直しを講じる、そのための原賠審、半年やっていません、賠償審査会。この浪江の和解案をベースに原賠審の中間指針を見直すよう早期に原賠審を開いていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  362. 田中敏

    政府参考人田中敏君) 先生今御指摘の浪江町の住民の方々からの申立てにつきましては、本年三月二十日、ADRセンターから申立人と東京電力に対して和解案が提示されたところでございます。それを受け、五月二十六日、申立人から和解案を受諾、申立人というのは浪江町の住民の方々でありますけれども、申立人から和解案を受諾するという旨の回答がございました。六月二十五日、東京電力がADRセンターの和解案の一部を受諾し、その余は受諾できないとする回答がなされ、現在ADRセンターにおいて今後の対応ということについて検討を行っているところでございます。  御指摘の件につきましては、現状において、ADRセンターで和解、仲介の手続が進められているという段階でございますものですから、東京電力が個別の事情を丁寧に把握した上で対応していくということが重要であろうというふうに考えて、我々としてはその動向を注視してまいりたいというふうに思っているところでございます。  また、原子力損害賠償紛争審査会の指針につきましては、類型化が可能かつ一律に賠償すべき損害の範囲、あるいは損害項目の目安……
  363. 山崎力

    委員長山崎力君) 時間が過ぎておりますので、答弁をおまとめください。
  364. 田中敏

    政府参考人田中敏君) はい、分かりました。  新たな状況が発生した場合に見直されると承知しておりまして、本件を受け、直ちに見直しの議論が行われるということとは認識しておりませんけれども、状況を把握する上で、その開催については今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  365. 荒井広幸

    荒井広幸君 これでは人権は守れません。総理、もう一回指導力を発揮してください。  終わります。
  366. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  367. 山崎力

    委員長山崎力君) この際、お諮りいたします。  委員議員主濱了君から、集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問題についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  368. 山崎力

    委員長山崎力君) 御異議ないものと認めます。  それでは、主濱了君に発言を許します。主濱了君。
  369. 主濱了

    委員以外の議員(主濱了君) 生活の党の主濱了であります。  まずもって、山崎委員長を始め各派の皆様には、委員外発言をお認めいただきまして、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。  早速質問に入ります。  生活の党は、憲法第九条の解釈は、戦後から現在までの長年にわたる国会審議において、言わば国会と政府の共同作業によって築き上げられてきたものであります。国会審議を経ることなく一内閣閣議決定によって軽々に変更が許されるものではないと、このように考えているのでございます。  さて、質問通告しておりますけれども、二つ飛ばしたいと思います。実は、大塚委員の方から質問がありました。一つは明白な危険について、もう一つ閣議決定のその実力を行使することと先制攻撃についての問題であります。  このことも踏まえまして、七月一日の総理の会見について中心にお伺いをいたしたいと思います。これは福山委員の方からもう既にお話があったわけですが、重ねて質問をさせていただきます。  七月一日の会見で安倍総理は、外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解があるが、あり得ないと、このように強調をされております。しかし、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、閣議決定の文書では、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならずとありますけれども、実力をもって阻止する権利であると、このように解されているところであります。  とすれば、日本と密接に関係ある外国攻撃をされれば、日本は密接な関係にある外国攻撃した国、相手国に対して実力行使攻撃をせざるを得なくなる、攻撃をすることができることになるわけであります。日本から攻撃を受けた相手国は、その日本攻撃に対して、個別的自衛権に基づいて防衛のため日本に対して武力行使をすることになると、こういうことになるわけであります。この時点で日本はまさに武力による報復攻撃応酬の当事国になると考えられます。すなわち、国民は戦争に巻き込まれることになります。  以上申し上げたとおり、安倍総理のお言葉とは全く逆に、集団的自衛権行使は、日本が紛争の当事国になり、自衛隊はもとより国民武力行使する紛争に巻き込むことになると、こう考えられると、このように思います。  このことについて、改めて安倍総理の御所見を伺いたいと思います。
  370. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回のこの閣議決定の目的はただ一つでありまして、国民の命と幸せな生活を守るため、守り抜くためでありまして、万全の備えをつくっていく、こうした備えこそ万が一の事態の発生を防ぐ大きな力となると、このように思っております。  今委員がおっしゃった点でございますが、我が国と密接な関係にある他国、これは条件の中に入っておりますが、三要件の中に入っておりますが、しかしこれは、国の存立が脅かされ、国民の命、生命、そして自由、幸福を追求する権利根底から脅かされるという明白な危険がない限り、これは対応することにはならないわけでありまして、今委員がおっしゃった例は、まさにいわゆる集団的自衛権行使、これをフルで認めたときはそうなるわけでありますが、それではないわけでありまして、他国を守るために武力行使することはないわけであります。他国を守ることを目的に武力行使することはないわけでありまして、海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりません。  そして、自衛隊が、武力行使を目的としてかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからもないわけでございまして、よって、外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるというのは、これは誤解であるということは申し上げておきたいと思います。
  371. 主濱了

    委員以外の議員(主濱了君) その点については何回もお聞きしたところでありますが、いずれ、大きな違いは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、なくても行うと、ここが大きな私は分かれ目だというふうに思っております。ですから、これは本当に今までの流れとは全く違う流れであると、こういうふうに思っているところでございます。  平和主義というのは日本憲法の原則の一つであります。武力行使は国際紛争を解決する手段としては永久に放棄するなどの明文の規定がはっきりあるわけであります。この憲法の明文の規定に反するいかなる法律も、もちろん閣議決定も含めてでありますけれども……
  372. 山崎力

    委員長山崎力君) そろそろおまとめください。
  373. 主濱了

    委員以外の議員(主濱了君) この憲法の明文の規定に反するいかなる法律も閣議決定も違憲であり、私は無効であると、このように考えるものであります。  したがって、たとえ数の力によって関係法律が成立したとしても、そもそも違憲でありますから、憲法八十一条、司法あるいは裁判所によって無効が確認されると、このように考えるものであります。
  374. 山崎力

    委員長山崎力君) 質疑をおまとめください。
  375. 主濱了

    委員以外の議員(主濱了君) 以上申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございます。
  376. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で主濱了君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問題に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会