○菊池
公述人 皆さん、こんにちは。菊池英博でございます。
どうも皆さん、大変お疲れのところ恐縮でございますが、私が
公述人八人目、
最後かと思いますので、あと二十分
程度御清聴いただけたら幸いでございます。
私の
資料は、実はちょっと欲張りまして、お
手元に、こういうふうにクリップでとめてあります。出していただきますと、八枚ございます。時間の
関係で、細かく書きましたけれ
ども、重立ったところを御説明申し上げます。それからあとは、後の御質問等に備えまして、幾つかの関連の
経済的なデータと、そのほか皆様方にお目通しいただけたらというような
資料も用意させていただきました。お目通しいただければ幸いでございます。
それでは、この公述メモに基づきましてお話を申し上げます。
まず、「はじめに、」というところから申し上げます。
私は、二年前の二〇一二年三月二日のこの
予算委員会で、要旨、次のように公述をさせていただきました。
日本のデフレは一九九八年に始まり、既に十五年目を迎え、昭和恐慌、一九二五年から三三年の九年間と、アメリカ大恐慌、一九二九年の十月から三三年の三月、三年六カ月をしのぐ最長のデフレである。既に昭和恐慌に匹敵する
平成恐慌状態に陥っているので、
デフレ脱却政策を最優先すべきである。
ところが、現在の政府、これは当時の野田民主政権です、にある危険な考えは、
日本はデフレではない、低位安定で
成長は期待できない、だから
消費税増税しか財源がないという
意見である。しかし、これは、まさにデフレを肯定して
成長を放棄する危険な敗北者精神であり、国家の破滅につながる重大な誤りである。
日本のデフレは恐慌型デフレである。それは、民間投資も政府社会資本投資も、これは公共投資ですね、新規の投資が不足して、回収超過です。
金融緩和ではこの種の本格的なデフレは解消できない。さらに、小泉構造改革と緊縮
財政で、デフレが法制化され長期化されている。これらの諸要因を全面的に見直して、デフレ
政策から
成長政策に転換することが必要である。
そのためには、まず第一に、首相が
経済政策のレジーム、基本方針です、これを転換することを宣言する。つまり、デフレ解消から
経済成長路線に転換する。
第二には、
日本のデフレは恐慌型であるから、
財政主導、
金融フォローでないと解消の道はありません。そのためには、緊急
補正予算二十兆円、五年間実行を組成し、民間には、国内
設備投資と正規社員増加を条件として投資減税を行うということを申し上げました。
これに対して、実は最も耳を傾けてくださいましたのが自由民主党さんでございました。そして、二〇一二年十二月の衆議院選挙で、デフレ解消優先、十年二百兆の政府投資を
中心とする国土強靱化、デフレを促進するTPP反対をスローガンに掲げて、政権に復帰されたのです。公明党さんは、既にこの
段階で十年百兆円の防災、減災
政策を樹立されておられました。
次に、安倍総理、麻生副総理のレジームチェンジの宣言。
こうして、二〇一二年十二月二十六日、就任された安倍総理と麻生副総理は、十五年継続したデフレを解消しよう、
成長こそ最大の
財政再建であるという名言を発せられたのです。この瞬間、これはまさに歴史的なレジームチェンジの宣言でありました。これは、アメリカ大恐慌、一九三三年のルーズベルト大統領とか、一九三一年十二月の高橋是清の昭和恐慌のデフレ解消宣言と同じです。実は、この安倍総理の発言があったとき、私は、テレビの前で拍手したんですよ。このぐらい、これは歴史的に意義があったと思います。
ところが、三本の矢で構成されたアベノミクスのユーフォリア、熱狂的な陶酔感は終えんしており、このままでは、二〇一四年度の
経済成長はマイナスになる懸念が強い。さらに、新たな利権確保のための規制緩和や雇用体系の破壊など、新自由主義的なデフレ促進
政策が多く見られる。これらの
政策はデフレ解消に反する
政策です。安倍総理の
政策と反しています。いかにデフレから脱却して
成長路線に戻すか、そういう原点に立って、きょうお話を申し上げたいと思います。
次のページをごらんください。
まず第一、現下の
経済情勢です。これは、このまま参りますとマイナス
成長になる懸念が非常に強いです。データは細かく書いてあるのですが、時間の
関係がありますから、
ポイントだけ申し上げます。
まず第一に、昨年度といい、それから現時点、二〇一三年度といい、二〇一四年度といい、これは大体十五カ月
予算なんですね、実質的に。ですから、二〇一三年度
予算というのは、二〇一二年の補正として昨年二月に補正がありました。それが十三兆。それから本
予算で九十二・六兆ですから、現在の二〇一三年度
予算というのは、十五カ月で見ますと、百五・六兆
予算です。同じ視点で二〇一四年度
予算というのを見ますと、二〇一三年度
補正予算が五・五兆ありまして、それから本
予算が九十五・八ですから、百一・三兆円です。これだけを見ましても、実を言いますと、
財政支出は四・三兆円のマイナスです。
問題はこの中身なんですね。実は、現在の
日本経済というのは、まさに公共投資でプラスになっているんですよ。公共投資だけを見ますと、同じようにしますと、これは五・三兆円減っています。
どうして公共投資で見なきゃいけないかというと、その下に、二〇一三年七—九のGDP速報から見た
景気後退要因というのが書いてありますね。そこに書いてあるとおり、これは先生方御案内のとおりで、昨年の四—六の実績が非常によかったということで、安倍総理は増税を決断されました。ところが、七—九からどんどん落ちまして、十—十二まで、まさにじり貧状態です。
この七—九を見ますと、実は、この上に書きましたとおり、実質
成長が一・一%プラス、名目一・〇です。ところが、この一・一、つまり、実質
成長に寄与した中身も見ますと、公共投資が一・二なんです。つまり、公共投資一・二があったから、結果、一・一プラスになった。民間投資はマイナスです。
ですから、結論的に言いますと、このままの流れでいって、
消費税増税なしでも、来年度、二〇一四年度はマイナス
成長になる懸念が非常に強いです。
一方、
消費税を上げたらどうなるかというのが、その後の政府
見通しになっておりますね。
この政府
見通しも、実を言いますとなかなか甘い
見通しでございまして、民間
設備投資はプラス四・四ふえる。全体では、実質
成長がプラス一・四、二〇一三年度に比べて一・二%減るという
見通しですが、その中身として、プラスになる要因、
消費税を上げてもプラスになる要素というのは、民間
設備投資がプラス四・四になる。そうすると、二〇一三年度に比べてプラス〇・四、ふえるということです。
それから、実質
輸出もプラス五・四になる。ところが、
輸出は、現在のところずっと落ちてきていますから、果たしてこんなにいくかどうか。
それから、輸入実質を見ますと、プラス三・五にとどまるということです。現在はこれ以上ふえています。
そういうことから見ますと、非常に、この
見通し、現時点から見る限りは、二〇一四年度はこのように、政府
見通しのようにはいかないのではないかと私は思います。もし、二〇一三年度並みで二〇一四年が推移するとすれば、完全にマイナス
成長になります。
せっかくここまで安倍総理が宣言されたんです。これは歴史的な意義があるんですよ。デフレを解消しましょう、
成長こそ
財政再建ですと。これは本当に、今までの総理の中で、麻生総理は一時おっしゃったことがありますけれ
ども、それ以外の方はみんな、冷酷な、デフレ宣言のような顔をしてばっかりの首相であられたように私は記憶しています。それに対しては、非常に明るいムードを出された。
しかし、それが今、ユーフォリアが消えつつありますから、これをもとへ戻すためには、第二次の
補正予算が必要だと思います。
ここに書きましたとおり、国土強靱化の
加速のための政府投資、それから、減災、防災からの
地域開発、教育施設の拡充など、それから、金額では、真水で二十兆、最低規模
予算二十五兆、このぐらいしませんと、このまま落ち込んでしまいます。せっかく上がりかけたんです。ムードも消えます。
そういうことを考えて、ぜひとも、こういった
現状をしっかりと直視して、二次
補正予算が必要だということを私は申し上げておきたいと思います。
その次のページに行ってください。その次のページでは、超
金融緩和が果たしてどういう
状況なのかということです。
これも既に皆さん、いろいろな
数字で御案内だと思いますけれ
ども、この異次元の
金融緩和というのは、現在ではむしろマイナス効果の方が大きいです。
黒田総裁とか、それから浜田宏一さん、岩田規久男さんの理論というのは、そこの真ん中辺の右のちょっと上に書いてありますけれ
ども、マネタリーベースの
資金をふやせば、マネーサプライがふえるし、
景気がよくなるし、物価が上がってデフレが解消するというんですね。
そのメカニズムは左に図解しましたとおりで、
日本銀行にありますマネタリーベース、これは、社会に出回っている現金と
金融機関の当座預金です。これが、二〇一二年末が百三十八兆。これを二百七十兆に倍増しようと。
しかし、中身を見ますと、実際には、
金融機関にある当座預金を、三・七倍ぐらい、四倍ぐらいにするということになるんですね。大変な
数字なんです。
ところが、去年の四月から十二月までのこの流れを見てみますと、その右に書いておきました。確かに、マネタリーベースは六十七兆ふえました。しかし、マネーストックというか、一般に回ったお金は三十三兆です。しかし、これも、住宅関連で駆け込みがありましたから、これは恐らく、このままいきますと、
消費税が上がると、落ちると思います。
この差額三十四兆というのは、どこへ行ったか。これは全部、
日本からアメリカへ回って、アメリカのヘッジファンドが使って、そのヘッジファンドが実は
日本の株を動かしているんです。さっきから、外資が株を動かしているとありましたが、ベースは日銀マネーです。
ですから、結果的には、こういう形をして、円の切り下げ、結果的に百円を超しましたけれ
ども、かえって貿易収支は赤字になりましたし、特に切り下げ効果というのがほとんどないんですね。
輸出は余りふえていません。輸入はというと、減らないんですよ。普通なら減らなきゃいけない。減らないんです。
ですから、結局、私は、個人的
意見ですけれ
ども、円というのは、九十円ぐらいが一番いいと思っています。今のままでは、そういうヘッジファンドなんかにかき回されていますから、投機的な動きが非常に強いと思います。
〔
委員長退席、上杉
委員長代理着席〕
アメリカでも、実を言いますと、バーナンキがやめましたけれ
ども、その背後には、こういうことがあるんですよ。
二〇〇八年の九月を一〇〇にしまして、ちょうどリーマン・ショックの後ですね。マネタリーベースというのは大幅にふやしました。法定準備率の十六、七倍ということで、物すごくふやしたのです。ところが、マネーサプライ、マネーストックというのは、逆に、減っています。
つまり、超
金融緩和というのは実体
経済にはプラスにはなっていないということは、アメリカで既に証明されています。
では、アメリカはどうしてデフレにならないかというと、アメリカというのは膨大な軍事費がありますね。あれは公共投資です。これで需要を抱えているわけですね。
そこで、
最後のところに書きました。やはり
日本でも、しっかり
財政主導、
金融フォローで有効需要を喚起する。
仕事をつくらなきゃいけないんですよ、仕事を。今足らないのは仕事です。お金がないんじゃないんです。それには、マネタリーベースの増加がしっかりとマネーサプライ、マネーストックに直結するようにしなきゃいけない。
そういう方法があります。その次をごらんください。これがまさに国土強靱化、それに関する計画です。まず、そこを読みます。
経済の好
循環と競争力強化対策としては国土強靱化が最適である。安倍総理の
経済界への賃上げ要請は評価できます。しかし、好
循環が
経済的に生じるような
政策の仕組みと長期的期待感が必要であり、それは、
輸出立国から内需主体の立国、そういう理念に基づいて、長期的な国内需要の喚起
政策が必要なんです。
これをやらないから、国内でも、
経営者も賃上げをしようと思わないんです。まだデフレが続いています。
数字の上では、デフレは一段と進むと思います。
では、今までどういう好
循環があったかというと、その下に図表があります。これでお読みいただきたいと思います。真ん中から上の方ですね。
一番上が、
財政の歳出額です。これは、一九七三年、石油危機から以降、ずっと四十年間とってみました。ずっと上に行っているのがその
数字ですね。
それから、その下の、丸いのが税収です。これが、バブル崩壊後、特に橋本
財政改革後、大きく開き、一時戻ったんです、小渕総理のときに。ところが、その後、小泉総理になったら、デフレ
政策で一挙にワニの口のように開いてしまったということです。
その下、黒い点線でずっと上がっていますね。これは名目GDPの増加率です。つまり、一九七三年からずっと名目GDPは上がってきたんですよ。
これはどういうことかといいますと、その下に書きました。
日本は、一九七〇年代の石油危機を省エネ機器の
輸出で克服し、国民の預貯金が増加した。そこで、余剰の預貯金は
日本の民間投資だけでは使い切れないために、政府が建設国債を発行して吸収し、それを社会的インフラ部分へ投資することによって、民間投資を誘発し、官民一体となって、
日本経済を安定
成長させてきた。
日本の
経済成長は、官民ベストミックスと言われるように、政府投資が民間投資を補完する
経済体質なんです。
その下です。
ところが、バブル崩壊後、不良債権処理が一段落した一九九五年—九六年に公共投資の効果が出てきて
景気が好転しているときに、九七年に橋本
財政改革で増税と緊縮
財政で一挙に
経済成長がマイナスに転じて、その後、小渕総理の
景気対策で持ち返したのに、二〇〇一年からの小泉構造改革、二〇〇二年からの特に基礎的
財政収支均衡策というデフレの
財政規律をとったことが大きなマイナスだったんです。それで、こういう惨たんたる
状況になってしまった。
それで、グラフの下の真ん中にちょっと小さく描いてありますね。これは、GDPに占める公共投資の比率です。ピークでは一〇%に行きましたし、一九九五年ぐらいは九%だったんですね。それがもう半減しています。ですから、お金が回らないんです。
つまり、好
循環というのは、中央にある、政府にある、都会にあるお金を
地方に回さないといけない。回すためには、実はもう
財政しかないんです。
財政は、公共投資と
地方交付税交付金です。ですから、公共投資をしっかり、生活に密着した公共投資、それをしない限り、もう好
循環は生まれません。
安倍総理が、好
循環に期待している、これはもっともです。私はサポートしています。しかし、それには、しっかりした
政策が必要です。
その次のページをごらんください。
日本はなぜこんなに低
成長かといいますと、投資が足らないんですよ、投資が。グラフをごらんください。二つ描いてありますね。
左側は、これは民間投資です。
これで純投資という言葉を使っていまして、余り聞きなれないかもしれませんが、純投資というのは、
設備投資の増加額から減価償却投資の回収を引いたネットの
数字です。これがプラスなら、
経済成長にプラスになります。マイナスなら、マイナスの足を引っ張ります。これで見ていけば、はっきりわかります。
左の方は民間ですね。これは、バブルで左の方が上がっていったのは、やはり投資があったんですね。それから、その後、マイナスが始まったのが、小泉総理になってからのデフレ
政策です。それから、その後、民主党政権になって、またデフレを強化しました。だから、結果的には、もう、じり貧になっている。
一方、その
右側は公共投資です。
左の上から下の方へ落ちているのが、公共投資の増加額です。
それから、左の下から右に上がっている、細く上がっているのが、減耗額、回収額です。二〇〇七年から、公共投資は回収額なんです。だから、笹子トンネルを初めいろいろなところで、もう既にみんな回収投資、必要な投資もしていないんですよ。それが大きな原因なんですね。
ですから、こういうことをしっかり考えて、やはりこれは
財政支出をきちっと立てて、毎年二十兆、五年で百兆、自民党さんの十年で二百兆、これを私はサポートしています。
では、
財政、金はどこにあるのか。実は、いっぱいあるんです。
財政認識というものを見ていただきたい。
その下を見てください。まず、この
予算委員会でもちょっと話題になっていましたけれ
ども、
日本の債務というものをどう考えるかですね。
左のグラフを見てください。粗債務とありますね。粗債務というのは、政府の総借り入れです。これは中央政府だけとっています。それから、その
右側は
金融資産。これも政府が持っています。
それで、粗債務は財務省が出しているんです。それから、
金融資産は内閣府の国民
経済計算に出ています。両方を合わせますと、こういう形になります。これは両方を合わせた政府の
数字です。はったりは何もありません。根拠はそこです。
こういうふうに見ていきますと、左の方の粗債務、これは一般会計と特別会計に分けて考えないといけないんですね。これを混乱しているから混乱するんです、実は。ですから、ちょうどこれに九百九十七兆とありますね、しかし、一般会計は六百九十九兆、ざっと約七百兆、その下のざっと三百兆は特別会計なんです。
その下に書きましたが、特別会計というのは、端的に言うと、政府が銀行をやっているんですよ。それで、ざっと三百兆とすれば、その二百兆は
財政投融資で使って、そしてそれを政府系
金融機関で貸している。だから、返してくれるというのは、その借入人の人が返してくれる。国民の負担ではありません。
それから、残りの政府短期証券、前は百兆ぐらいだったんですが、今はもう百三十一兆となっていまして、さらにことしもふえそうですけれ
ども、来年度
予算でもふえそうですが、これはほとんどアメリカの国債を買っているんです。だから、これは、アメリカがそれこそ破綻すれば返ってきませんけれ
ども、そうでない限りは、この特別会計というのは国民の負担にはならないんです。
ですから、ここで私はこの
予算委員会の先生方にお願いしたいことは、政府債務を一般会計と特別会計に分離して国民に出していただきたい。そうすれば、混乱がなくなるんです。
それから、特別会計は国民の負担にはならないんだという
認識を持っていただく。それが純債務の考えですね。そうすると、その上に書きました粗債務というのは九百九十七兆あるんですが、純債務で見ると、これは四百九十九兆。要するに、まさに半分です。
これは
予算委員会でもちょっと声がありましたけれ
ども、この辺のところはしっかりと、これはやはり、
予算委員会といいますか、政治家の先生方が財務省にきちっとお願いしていただきたいと思います。
その次のページをごらんになってください。
私はかねがね、五年百兆の政府投資の
経済効果ということを申し上げておきました。これは、毎年二十兆の政府投資を継続していきますと、
経済成長で税収による増加があります。三年目には、実は税収増加がほぼ二十兆円近くになりますので、収支はとんとんになります。五年目でほぼ均衡いたします。そういたしますから、これで十年二百兆というもののベースも、最初の五年で十分ベースができてくる。だから、
財政負担は特に生じないんです、税収が上がりますから。
それで、なぜこういうことがなかなか、政府筋の方でやや否定的な
意見があるかというと、そこにグラフがありますね、これは、五兆円の公共投資を継続的に増加させたときの
経済効果です。
これは、最初五兆円出して、二年、三年後どうなのかということで、いろいろなモデルを使って、乗数効果というのがございますね、投資をする、次々に波及する。これはアメリカなんかでもやっています。これで見ますと、乗数効果といいますか、大体、二から二・五ぐらいふえるんです。
ところが、下に、内閣府のモデルだけクエスチョンマークがついています。これだけがマイナスにおっこっちゃうんですよ。国際的に、これは全く比較もできない。
非常にいい証拠がありまして、その右のところに書きましたけれ
ども、内閣府の狂った羅針盤、内閣府のモデルだけが異常に低い。アメリカの議会
予算局が、三年で当初
予算の二から二・五倍の
経済効果が出るということを報告しています。これは、
予算局が出している報告書、二〇一三年二月で、インターネットで検索できます。ですから、そういうことを考えれば、投資効果は十分あるんです。
あとは、その下に書きまして、細かく計算しておりますが、これからこういうモデルをきちっとやる。問題は、継続してやることと、それから、きちっと効果を見ながら有効なところに投資をしていく、生活に密着したような投資、そこからきちっと始めて展開させていく。減災、防災、これなんかは一番
ポイントです。
そうしていけば、たとえ
消費税が上がっても、マイナス効果を埋めることが可能になります。そういうことによって、
消費税に頼らないで、実質
成長をプラスにすることによる税収増加を図っていくべきだと私は考えているんです。
その次のページをごらんください。
デフレ型の
財政規律を廃止して、
成長型の
財政規律にすべきであるということを申し上げたいと思います。
安倍総理がデフレを解消しようというのであれば、いろいろな指標も、ちゃんとデフレを解消する視点に立ったものをつくらなきゃいけないんです。ところが、デフレ型の
財政規律の典型的なものが基礎的
財政収支均衡策です。
なぜならば、そこに簡単な図式がありますね。
財政規律の指標というのは、これは
世界どこでもそうなんですが、分母は名目GDPです。分子は純債務です。あるいは、粗債務をとっているから粗債務でもいいんですが、純債務でとるのが一番正しい。これが数年かけて下がっていけばいいんです。
ところが、この基礎的
財政収支均衡策をとるということは、分子だけを抑えよう、抑えようとするんですよ。そうですね、今。特に、
経済財政諮問会議なんかは、いつもこればかり出ますね。
そうではなくて、いかにして名目GDPを上げるか、これが
成長なんです。
経済成長があって、それが初めて
財政再建につながるというのは、この式から言える。
だから、二番目に書いたとおり、名目GDP
成長率が純債務の増加率を上回る、こういうところが一番の
ポイントです。国土強靱化を継続していけば、二年、三年で、三年目ぐらいからずっとこの効果は出てきます。
それで、基礎的
財政収支を使ったのは、
世界じゅうでアルゼンチンと
日本だけなんです。
アルゼンチンは、一九九〇年代でしたか、アメリカの指導でこれをやったんですね。ところが、二〇〇一年に、基礎的
財政収支均衡ですから、均衡しました。均衡したときに国家破綻です。対外債務も不履行にされた。
つまり、デフレ型ですから、
日本でもこれをどんどんやっていけば、まさにアルゼンチンの二の舞ということもあります。
それから五番目、産業競争力、
成長戦略という毒矢と書きました。確かに、
成長戦略、いろいろ必要です。しかし、ここには、
成長戦略として、供給サイド強化、つまり、これは大企業優先です。
この
経済学は、デフレ
政策で
経済成長を阻害し、グローバル化と規制緩和はデフレを助長します。これは、新自由主義とか市場原理主義という、まさに悪魔の
経済学なんです。
実は、もう既に自民党さんは、小泉内閣はこれをとってこられたんです。それで政権を失われたんですよ。だから、一旦民主党に行ったけれ
ども、どうも民主党も余り期待に応えられなかった。さあ自民党さん、また頼むよというんですけれ
ども、同じこれをやってもらっちゃ、ちょっと困るんですよね。
もちろん、自民党さんが全てこの考えだとは申し上げません、いろいろと御
議論されていると思いますから。ですから、そういう視点に立って、やはり需要を喚起していくことが必要だということをよくお考えいただいて、タクトをとっていただきたい。
それから、岩盤はといって、岩盤にドリルで穴をあける、安倍総理もいろいろ語感がいいですけれ
ども、この中には国民のセーフティーネットがあるわけですから、セーフティーネットまで破壊されては困ります、雇用の合理化とか。
それから、規制緩和ですね。これもやはり、レントシーキングといいますか、この規制緩和を新たな利権にしようという動きが非常にあるわけです。これは小泉構造改革のときにもありましたね。はっきり言って、竹中さんのことについていろいろ書かれた論文というか、あります。でも、私は、そういう個々のことを申し上げるよりは、本当に国民のためになるような規制緩和というのをもっと厳選してやるべきだということです。
それから次、六番目には、戦略的
経済特区というのがあります。
実は、なぜこんなものをこの
世界第三位の大国の
日本でやらなきゃいけないのかと思います。これはアメリカからの指示ですよね。特に、二〇〇三年でしたか、アメリカから対日年次要望書で、こういうのをつくれということを言ってきたんです。それを結局、また蒸し返しになってきたんだと思います。
しかし、これで私が非常に気になりますのは、特区については担当大臣の行政権しか及ばないということを安倍総理もおっしゃいました。そうなると、これは憲法違反であり、こんなことが許されるんでしょうか。しかも、そんなにして外資を呼ばなきゃいけないのか。
日本は、
世界一の金持ち国なんです。
日本のために
日本人が金を使おうとしないからいけない。それは、デフレ
政策をとっているからです。だから、外資を呼ぶ必要はないんです、はっきり言って。
私は、これについてもぜひ、自民党さん、まあ現在はそうですが、慎重に、しっかりと、国益にかなうように御配慮を賜りたいと思います。
時間がもう参りますから、
最後のページ、
日本型資本主義を確立すべきである。これは私の考えです。安倍総理は、瑞穂の国の資本主義があるということをおっしゃいました。いいことおっしゃるなと思ったけれ
ども、最近、何かその声も余り聞きませんね。
私は前から、
日本型資本主義ということをいろいろなところに書いたりしていました。八つ書きましたけれ
ども、ちょっと時間の
関係で、重立ったところを四つ言います。
新自由主義とか市場原理主義から決別すべきです。あれは悪魔の思想なんです。
それから、
輸出立国から内需
中心の福祉型国家に転換すべきです。
それから、株主の利益よりも国民の雇用を重視する、そういうことをしっかり考えるべき。
それから
最後、農業は、株式会社組織ではなくて組合組織でやるべきです。組合組織というのは、利益を分かち合うんです。株式会社というのは、株主が利益をまず持っていっちゃうんですね。
それから次に、法人税の引き下げ。
これは私は、必要ないと思います。むしろ、
景気対策をしっかりとったら、法人税は
引き上げるんです。
実は、クリントンがこれで成功しています、一九九三年。これは添付
資料に細かく書いてありますし、ここにも書きましたけれ
ども、クリントンは公共投資をずっと継続したんですよ、八年間。だから、
財政の赤字が五年で解消して、八年目には三千億ドルの黒字になった。そのときには、八年継続して、同時に、最高税率を
引き上げています。
そのことも考えますと、今、法人税の引き下げの
議論がありますけれ
ども、私はこれは全く必要ないと思いますし、後ほど御質問があれば、具体的にお答えいたします。
最後に、
経済財政諮問会議に関しまして
一言申し上げたいと思います。
実は、現在、安倍総理も一生懸命頑張っているし、デフレ解消ということを皆さん期待しているんですね。ところが、
経済財政諮問会議から出てくる
意見は、足を引っ張るようなことばかりです。何か貧乏神というか、これは死神かなという
意見が非常に強い。
例えば、私、この前、海外に行って驚いたことがあるんです。
日本は、死体ですよ、デッドボディー、死体とか遺体に
消費税をかけるんですかと本当に言われたんですよ、海外に行ったときに。えっと驚きました。
経済財政諮問会議のある方は、そういう提案をされておられます。
しかし、これは余りにも冷酷ですし、国内でも言われていますが、やはり人間性といいますか、ある
意味では、市場原理主義的な考えが徹底してきますと、非常に冷酷になっているんですよ、人間が。
ですから、そういうことを考えまして、こういう国際的にもいかがなものかというような発言が出るようなことはぜひとも回避していただきたい。
ある
意味では、
経済財政諮問会議の方々は全部デフレ型です。これを総入れかえさせて、
インフレ型で、もっと建設的な方に入れかえられたらいかがでしょうか。これをちょっとお願いして、公述を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)