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山岡(達)
分科員 ありがとうございます。
北海道の農業政策の先輩でございます仲野先生に御答弁いただきまして本当に恐縮でございますけれども、本当に、おっしゃっていただいたとおり、夏の暑さによる乳量の減少が一年では回復していないという現状で、乳量が少なくなりますと、単位当たりの相対コストは上がっているわけでございます。
北海道の事情でいえば、今後の見込みではあるんですけれども、大雨の影響で飼料作物のできが大変悪いという中で栄養分が低くなる傾向が予想される。そうしますと、ことしはさらに輸入の作物にも頼らなきゃいけないというような
状況になっていく見込みでもあります。
震災の影響で、都府県に飲用乳を送り出す量もふえて、プール乳価が上がって利益が出るのかと思いきや、北海道から都府県へ運送する代金は平均二十一円程度かかるということで、コストが利益を相殺しているというような
状況も生まれているわけです。
その中にあって、先ほど仲野政務官からおっしゃっていただいた、餌の国際価格は高どまりしているという
状況でございます。為替介入をきっかけに、今、円安に振れ始めているわけですけれども、貿易収支が三十一年ぶりに赤字になったというような報道もあります。
これは私の個人的な見解ですけれども、この円安傾向は一時的なものにならないんではないかなというふうにも思っておるところでございます。単に
震災の影響というだけじゃなくて、原発にかわるエネルギーの資源の輸入というのがますます見込まれるという中で、恒常的に貿易に関しては赤字の方向に振れていくのではないかなというような勝手な予想もしている中で、そうしますと、輸入飼料のコストというのはさらに重くのしかかるという見込みがあると思っております。
こうしたことを踏まえていただいて、ぜひとも、農家の方が経営を続けられるというような納得のいく決定をしていただきたいと思っております。
乳用種の子牛の育成の話にちょっと移るんですけれども、全体的に経営状態が悪い状態がやはりこちらも続いています。こちらは、
平成十六年から十七年にかけて、乳用種だけ保証
基準価格を二万円近く引き下げたということがありましたが、この影響が出ているんだと私は思っております。
このときの過去の議論を読みましたけれども、要は、
基準価格を下げるために、かかるコストの算定
基準を変えて、いきなりどんと下げた。ほかの畜種は変えていないんですけれども、乳用種だけ二万円ぐらい下げたという経過が十六年から十七年にございました。
その当時は、いわゆるBSEの牛肉の輸入
規制等々が入った時期でもあって、国内の販売価格がぐっと上がったものですから、いわゆる
基準価格を下げても、その
基準価格を超える価格で販売できていたという経過もあったので、その影響は余り見られなかったというか、影響は余りわからなかったところもあったんですけれども、今、価格がまた平常に戻ってきて、さらに下がるという中で、この保証価格が下がったということが一気に経営悪化に響いているんだというふうに私は
考えております。
こうした中、民主党の北海道選出国
会議員会、もちろん仲野先生も北海道議員会に所属されておられるんですけれども、お立場は今
政府だということで、今我々は党の方の立場として、十五人で構成されているこの議員会の中で、先ほどおっしゃっていただいた、補給金の単価は
現行以上に、そしてまた限度数量も適切に決定していただきたい、そして、肉用子牛の乳用種の保証
基準価格も
現行以上ということで要請させていただくことを決めております。このことを、また幹事長室などを通じて正式にお渡ししたいと思っておりますので、また御
対応いただければ、御
検討いただければと思っております。
この乳用種の肉牛の育成農家に関してなんですけれども、過去には仕入れ価格と販売価格が逆転するとか、一種のモラルハザードに近い状態もあったという
指摘もあって、これが前段に申し上げた、十六年の算定の
見直しのきっかけになっているというふうにも理解しておるんですけれども、しかしながら、いきなり二万円近く下げたというのは、私は乱暴だと思っております。
そんな方法ではなくて、前向きに経営を変えていくように政策誘導していくという、今民主党の農政にさまざま導入されている、緩やかに誘導する手法を取り入れることが大切なんじゃないかなというふうに思います。
育成農家の特徴は、酪農農家さんから、生まれた雄の子牛を買い取って、半年ほど育てて、そしてまた肥育農家に販売するという形態なんですけれども、その半年の間に仕入れコストと販売のコスト、これが大きく変動するものですから、経営が大変不安定になるという現状がございます。
この経営を安定するためには、もっと長期にわたって育てる体制、つまり、育成で六カ月育てて肥育農家さんに売るんではなくて、育成農家も肥育に乗り出して一貫経営を進めていくということが経営の安定ということで非常に重要だと思いますし、育成農家さんの将来の姿として、やはり私たちは目指していくべきではないかなというふうに思います。
平成二十二年の畜産統計では、北海道で育成のみの農家は二百三十一戸に対して、一貫経営は三十六戸。二百三十一に対して三十六戸しか一貫経営はないという
状況でございます。
必要な技術も違いますし、リスクも大きくなりますから、農家さんにしてみれば大変足を踏み出しにくいところではあるんですけれども、例えば、これまでの民主党の農政を振り返りましても、戸別所得補償には、農家さんの自主性の中で緩やかに規模拡大を促すという仕組みが入っておりますし、ことしの目玉の青年就農給付金も、新規就農のリスクを減らしてあげるというようなことを念頭にそういった給付をするという仕組みになっています。
土地改良関連の農業体質強化基盤
整備促進
事業に関しても、これも新規ですけれども、こちらも、定額で支払いを行うことによって、大変大きくなりがちな土地改良のコストの削減を、定額で入るものですから、残りの分のコストの削減というのを農家さん自身に
考えていただく、将来的に見れば土地改良にかかる
予算をどんどんどんどん減らしていく、そういう自主性に任せつつ、メリット
措置で誘導していくという大きな特徴があると思っております。
育成農家に対しての、肥育と一貫経営に進出するというビジョンの中で、強制ではなく緩やかに進めていく政策というのが、今現時点で何か具体的なアイデアということではないんですけれども、この観点ということで必要性があるんではないかなと思いますけれども、ぜひともその御見解をお伺いしたいと思います。