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2012-03-05 第180回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成二十四年三月一日(木曜日)委員会において、設置することに決した。 三月二日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       近藤 和也君    佐々木隆博君       山岡 達丸君    小里 泰弘君       内山  晃君   松木けんこう君 三月二日  佐々木隆博君が委員長指名で、主査に選任された。 平成二十四年三月五日(月曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 佐々木隆博君       石山 敬貴君    岡本 英子君       近藤 和也君    高邑  勉君       宮崎 岳志君    山岡 達丸君       内山  晃君    石川 知裕君       松木けんこう君    兼務 柴橋 正直君 兼務 あべ 俊子君    兼務 井上 信治君 兼務 小野寺五典君    兼務 金田 勝年君 兼務 城内  実君    兼務 橘 慶一郎君 兼務 稲津  久君    兼務 高木美智代君 兼務 吉井 英勝君    兼務 中島 隆利君 兼務 柿澤 未途君     …………………………………    農林水産大臣       鹿野 道彦君    環境大臣         細野 豪志君    内閣府副大臣       石田 勝之君    財務副大臣        藤田 幸久君    農林水産大臣      筒井 信隆君    農林水産大臣      岩本  司君    経済産業大臣      牧野 聖修君    環境大臣        横光 克彦君    総務大臣政務官      福田 昭夫君    外務大臣政務官      中野  譲君    農林水産大臣政務官    仲野 博子君    国土交通大臣政務官    津島 恭一君    環境大臣政務官      高山 智司君    政府参考人    (内閣官房内閣参事官)  大杉 武博君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 一雄君    政府参考人    (農林水産省消費安全局長)           高橋  博君    政府参考人    (農林水産省生産局長)  今井  敏君    政府参考人    (林野庁長官)      皆川 芳嗣君    政府参考人    (水産庁長官)      佐藤 正典君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           宮本  聡君    政府参考人    (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      糟谷 敏秀君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局次長)       日原 洋文君    政府参考人    (環境省大臣官房廃棄物リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君    政府参考人    (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君    政府参考人    (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君    政府参考人    (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君    政府参考人    (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君    農林水産委員会専門員   栗田 郁美君    環境委員会専門員     高梨 金也君    予算委員会専門員     春日  昇君     ————————————— 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   山岡 達丸君     石山 敬貴君   小里 泰弘君     柴山 昌彦君   内山  晃君     斎藤やすのり君   松木けんこう君    石川 知裕君 同日  辞任         補欠選任   石山 敬貴君     岡本 英子君   柴山 昌彦君     小里 泰弘君   斎藤やすのり君    小林 正枝君   石川 知裕君     松木けんこう君 同日  辞任         補欠選任   岡本 英子君     高邑  勉君   小林 正枝君     渡辺浩一郎君 同日  辞任         補欠選任   高邑  勉君     宮崎 岳志君   渡辺浩一郎君     渡辺 義彦君 同日  辞任         補欠選任   宮崎 岳志君     山岡 達丸君   渡辺 義彦君     中後  淳君 同日  辞任         補欠選任   中後  淳君     石田 三示君 同日  辞任         補欠選任   石田 三示君     内山  晃君 同日  辞任         補欠選任   内山  晃君     豊田潤多郎君 同日  辞任         補欠選任   豊田潤多郎君     内山  晃君 同日  第二分科員中島隆利君、第三分科員あべ俊子君、井上信治君、金田勝年君、城内実君、第四分科員稲津久君、高木美智代君、第五分科員柴橋正直君、橘慶一郎君、第七分科員吉井英勝君、第八分科員小野寺五典君及び柿澤未途君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成二十四年度一般会計予算  平成二十四年度特別会計予算  平成二十四年度政府関係機関予算  (農林水産省及び環境省所管)      ————◇—————
  2. 佐々木隆博

    佐々木主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  平成二十四年度一般会計予算平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。細野環境大臣
  3. 細野豪志

    細野国務大臣 おはようございます。  平成二十四年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。  東日本大震災の発生以来、環境省は、災害廃棄物処理放射性物質による環境汚染への対応、ペットの保護など、震災対応に全力を尽くしてきました。このような取り組み平成二十三年度補正予算等により切れ目なく実施し、平成二十四年度の施策へとつなげていきます。  具体的な施策としては、被災地域復興の大前提である、災害廃棄物処理放射性物質により汚染された土壌等除染、アスベストを初めとする有害物質対策等を最優先で進めます。環境省がみずから災害廃棄物処理土壌除染等を実施するとともに、これらの取り組みを行う地方公共団体に対し、財政面技術面など、あらゆる面で最大限の支援を行います。  また、原子力安全行政に対する信頼回復とその機能向上を図るため、利用と規制の分離、原子力安全規制に係る関係業務の一元化の観点から、環境省原子力規制庁を設置します。あわせて、危機管理のための体制整備規制あり方関係制度見直しを行います。  被災地域復興に関しては、例えば、津波で甚大な被害をこうむった陸中海岸国立公園などの自然公園三陸復興国立公園として再編成するなど、観光資源としての整備を進めます。また、地域再生可能エネルギー等を利用した自立分散型エネルギーシステムの導入を支援することで、災害に強い環境先進地域を構築します。  震災からの復旧復興のほか、持続可能な社会づくりに向けたさまざまな課題の解決に向けて取り組みます。東日本大震災からの教訓等を十分に踏まえながら、低炭素社会の構築など持続可能な社会実現循環型社会実現生物多様性保全など自然共生社会実現及び安全、安心な生活の実現の四つのテーマを軸として、各種の施策を展開します。  また、平成二十四年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立ってまとめております。  一般会計予算では総額二千三百四十七億一千六百万円を計上しております。  次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計総額九百八億四千九百万円、東日本大震災復興特別会計に、復興庁所管予算を含めて総額八千三百二十億五千七百万円を計上しております。  なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算主要施策につきましては、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  4. 佐々木隆博

    佐々木主査 この際、お諮りいたします。  ただいま細野環境大臣から申し出がありました環境省関係予算主要施策説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐々木隆博

    佐々木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 佐々木隆博

    佐々木主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 佐々木隆博

    佐々木主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中島隆利君。
  8. 中島隆利

    中島(隆)分科員 おはようございます。社会民主党の中島でございます。  分科会の最初の質問の機会を与えていただきまして、心からまずお礼を申し上げたいと思います。  補正予算審議でも、短時間ではございましたが細野大臣質問をいたしました水俣病問題について、引き続き質問をさせていただきたいと思います。  まずは、二月二十七日に福岡高裁判決を下しました水俣病溝口訴訟についてお尋ねをいたします。  判決は、溝口チエさんに対する熊本県の棄却処分の取り消しを命じ、患者認定を義務づけました。  同時に、認定基準について一定合理性を認めつつも、判断基準を満たさない症状が水俣病であることを否定できるわけではない、それから、現行基準唯一基準とするのは不十分だとして、現行認定基準に強い疑問を投げかけたことは明白であります。  二〇〇四年の関西訴訟最高裁判決、さらには二〇一〇年の大阪地裁判決に続きまして、司法認定制度問題点指摘した重要な判決であると考えます。  大臣は、二月二十八日の閣議後の会見で、国の基準そのもの否定されたとは受けとめていないと述べられております。患者団体の認識やマスコミの論調ともかけ離れているというような感じがいたします。  そこで、大臣に、率直にこの判決をどう受けとめていらっしゃるのか、それから認定あり方について見直し検討をするのかどうか、あわせてお尋ねしたいと思います。
  9. 細野豪志

    細野国務大臣 溝口訴訟につきましては、申請をされてから大変時間が経過をし、そして原告溝口チエさんがお亡くなりになったという事例でございますので、この水俣病をめぐる行政対応についてさまざまな示唆を与えているものである、対応が果たして本当の意味でそういう被害者皆さん患者皆さんに温かいものだったのかということについてさまざまな反省が必要なのではないか、そのようには感じておるところでございます。  原告からこの訴訟を提起をされている被告熊本県でございますので、これにどう対応していくのかということについての一義的な責任熊本県が負っているというふうに思っておりますが、事務的な判決解釈についての相談は受けておるところでございます。  その中で、基本的な認定基準そのものについては、先ほど中島委員の方からもお話がございましたとおり、否定するものではないということだというふうに解釈をしているところでございます。  最終的に上告をどうするのかという判断については、これは熊本県が判断するものというふうに考えておりますので、熊本県に対する国としての解釈なり基準に対する考え方というのはお伝えをしている、そういう状況でございます。
  10. 中島隆利

    中島(隆)分科員 認定基準そのもの否定をされていないというような御回答でございますが、判決の中にはそのようなくだりがございます。  これは二〇〇四年の関西最高裁判決でも指摘をされているわけですが、二〇〇四年判決でも感覚障害だけで水俣病だということを認めています。それから、幅広く被害者救済すべきだということもこの最高裁では判決を下しておりますし、二〇一〇年の大阪地裁判決でも、感覚障害あるいは今の認定基準の組み合わせ、この認定については医学的な正当性を裏づける根拠がない、こういうことまで二〇一〇年の大阪地裁では判決を下しています。  そして、今回の判決です。今言われましたように、水俣病であることを見過ごした処分は違法である、これは明確に言っているわけです。だから、手続上のミスの有無を判断するまでもない、こういうふうに受け取れるわけです。  ということは、やはりこの三つの裁判判決をずっと見てみますと、今の認定基準そのもの判断することは問題である。やはりもっと幅広く、感覚障害だけでも救済をする、あるいは感覚障害だけで水俣病だということを認定しているわけですね。  ですから、今、環境大臣が答弁された、第一義的には熊本県の責任だと言われますけれども、公健法は国会で法律をつくって、それをやるのが環境省責任ですから、当然、国の責任においてこの判決を受けてどうするかというのが問われていると思うんですが、その点はどうお考えですか。
  11. 細野豪志

    細野国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、熊本県において対応方針について検討されておりまして、事務的な相談というのがございます。それには、国の考え方というのを丁寧に御説明をして、熊本県がしっかりと判断をしていただけるように、それをサポートするのが当然国の役割としてはあるというふうに承知をしております。
  12. 中島隆利

    中島(隆)分科員 それでは、今、まだ県の方との協議なり相談を受けて協議に入っておられるということではないんですか、そこのところをまず確認したいと思います。
  13. 細野豪志

    細野国務大臣 もう一度申し上げますと、事務的な相談を受けておりますので、それについて協議をしている、相談を受けたのに対して、国としても、これまでの基準に対する考え方であるとか、そういったことについてはお答えをしているという状況でございます。
  14. 中島隆利

    中島(隆)分科員 先ほどおっしゃった、相談を受けて事務的にはやっていると。これから、恐らく上告期限というのは限られていまして、十二日ですか、ですから、そういう期間の中で判断をされると思うんですが、今大臣がおっしゃった国の考え方を持って相談を受けるということですが、国はどういうふうな考えを今お持ちでしょうか。
  15. 細野豪志

    細野国務大臣 ですから、国の考え方としては、基準そのもの否定されたものではないという考え方であります。そのことは、事務的にお伝えをしているという状況です。  上告するかどうかの判断を国がするということの、これは原告被告という関係ではありませんので、国としてはそういう立場ではない、そこの判断自身熊本県が行うべきものというふうに考えております。
  16. 中島隆利

    中島(隆)分科員 それで、裁判判決の中で示しております、感覚障害だけで認定をする、唯一基準とするには十分ではないけれども、運用も適切と言いがたいということを明確に言っているわけですね。  ですから、今の認定基準では、否定はしていないけれども、今の基準では運用も適切と言いがたいということを明確に判決で言っているわけですね。これについてはどう受けとめておられますか。
  17. 細野豪志

    細野国務大臣 そのあたりは上告そのもの判断と密接にかかわりますので、厳密に私の方がここで解釈について申し上げるというのは控えたいというふうに思います。  申し上げられることは、基準そのもの否定されたということではないということ、その中で、その基準運用の仕方について裁判所がさまざまな所見を示されたことについて、最終的に上告するかどうかということの判断がなされるべきものというふうに考えております。
  18. 中島隆利

    中島(隆)分科員 特に、これまでの水俣病認定あるいは救済の歴史をたどってみますと、もう五十五年経過しているんですね。そして、ずっと裁判が起こって、二〇〇四年の最高裁、二〇一〇年の大阪地裁、そしてまた今回、全てが判決の中で、今の認定基準そのものがやはり患者を切り捨てているんじゃないか、マスコミも含めて、患者団体もそういう指摘をされています。  ですから、そこのことを見直さないと、特別措置法、二〇〇七年と今度の二〇一〇年、二回やっているんですが、一回目が一万一千人、今回は五万人、措置がされています。これも、七月には申請の打ち切りをやるということで今されています。  私が心配をするのは、感覚障害だけで患者認定される余地があるということを今度示したわけですから、特に民間の診断書等含めて今回の判決によって救済をされるということであれば、今の特別措置法救済申請した患者方々の中からも改めて認定を求める方向に切りかえられるのではないか、こういう可能性がある、否定できないというふうに私は思っています。ですから、このような司法判断が続けば、特措法による救済終了後も、水俣病は恐らく続くのではないか、こういう危惧をするわけです。  ですから、溝口訴訟を受けたこの判決を、第一義的には県だということではなくて、やはり国が、これも二〇〇四年の裁判で明らかになっています、これだけ水俣病を拡大して、患者を拡大して、そして救済を放置してきたのは国と県の責任もある、やはり国の責任も県の責任も合わせてこの水俣病全員救済をやるべきだということを示しているわけです。  ですから、私はこの認定基準見直した上で、特別措置法救済措置整合性を合わせて検討すべきではないかというふうに思うんですが、その点について、環境大臣、どうお思いでしょう。
  19. 細野豪志

    細野国務大臣 今回の判決は、公健法についての認定の是非が争われているわけですね。この認定そのものは県が行うという形になっておりますので、被告熊本県になっている、そういう位置づけでございます。  ですから、そこはそこで、私どもは基準そのもの否定をされるものではないという解釈をしておりますので、それに基づいて県が最終的にどのように判断をするか。確かに、限られたこの上告判断の日程でございますので、そこでしっかりと判断をできるようなサポートはしていかなければならないというふうに思っております。  一方で、特措法ですけれども、特措法は、公健法という枠にとらわれずに、幅広くあたう限りの救済をしようという趣旨でつくられた、そういう経緯がございます。この特措法救済自体はまた公健法とは離れた部分であるけれども、実質的には、なかなかこれまで救済をされてこなかった方をしっかり救済するという意味で大きな意義があるというふうに思っておるんです。  ですから、この特措法自体は七月ということで期限を区切らせてはいただきましたけれども、まだ、区切らせていただいたところから半年、今から五カ月弱の期間がありますので、その間でしっかりと告知をして、できる限り多くの皆さんに手を挙げていただきたい、そのように考えております。  この制度はこの制度で極めて重要な制度でございますので、しっかりと申請をしていただけるような努力を継続していきたいというふうに思っております。
  20. 中島隆利

    中島(隆)分科員 特措法についても明確にこの条文の中でうたわれています。当然、公健法判断条件を満たさない、救済を必要とする方々、この方々水俣病被害者として受けとめるということを明確に確認してあるわけですね。当然、今の特別措置法対象救済される方も水俣病患者だ、だからこそ、あたう限り救済をするということの方針ですので、これについては、後段で、健康部長特措法についての期限あるいは対応については質問いたします。  大臣に要望しておきますけれども、やはり第一義的に熊本県の責任だということではなくて、この水俣病というのはもう二〇〇四年の最高裁判決が出ているわけで、国も、県も、そしてチッソも、この原因者企業含めた三者が全ての患者救済するという使命があるわけです。  これだけ裁判で、違法性がある、あるいはこの認定基準見直しなさい、救済をしなさい、こういうことを示しているわけですから、ぜひ県との協議の中で、国が主体的に、この判決を受けて、救済するためどうすべきか、特別措置法とこの認定基準見直しあり方を総合的に検討していただきますように強くお願いをしておきたいと思います。  それでは次に、水俣病特別措置法救済申請について、フォローアップ事業についてお尋ねをいたします。  二月三日に環境省は、水俣病問題の解決に向けた当面の取り組みについて明らかにしております。その中で、健康不安者へのフォローアップ事業立ち上げがあります。特措法救済申請を行い、なおかつ、救済対象にならなかった方に限定をされています。  あくまでも特措法の関連の中での施策という趣旨は理解できるんですけれども、水俣病に対する健康不安を取り除くという点からすれば、特措法救済申請をしたか、あるいはしなかったかにかかわらず、なおかつ、地理的な対象範囲も拡大した中で検討するべきではないかと思いますが、この点について健康部長の方にお尋ねいたします。
  21. 佐藤敏信

    佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。  御質問のございました健康不安者のためのフォローアップ事業でございますが、特措法に基づく救済措置方針規定によるものでございまして、これは、一時金等申請をいただいた方のうち、一時金等対象者または療養費対象者のいずれにもならない方であって、一定の要件に沿う方で、健康不安を訴え、登録される方に対しまして、年に一回、健康診査を実施することとしております。  一方、水俣病総合対策事業の一環として、平成八年から、新潟県、熊本県、鹿児島県及び新潟市、関係県市が主体となって健康管理事業を実施しております。  具体的には、熊本県または鹿児島県にあっては昭和四十三年十二月三十一日以前、それから、新潟県にあっては昭和四十年の十二月三十一日以前に、関係県が定める地域に居住し、かつ、現在も居住している方のうち、希望者に対して、今申し上げました健康管理事業を実施するという形になっております。  引き続き、これらの事業を適切に運用することによりまして、健康不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
  22. 中島隆利

    中島(隆)分科員 申請締め切り、七月までということで、健康診断対象にならなかった、今度、特別措置法関係救済されなかった方を対象ということでありますが、先ほど指摘しましたように、期限が七月で切られる。そしてさらに、健康のフォローアップ事業をやる、しかも、申請をして対象にならなかった方々にだけだということであれば、健康診断をした中で、さらに診断をする中で感覚障害を認められたということであれば、その方の救済も恐らく当然出てくるだろうし、あるいは申請しなかった中にも、水俣病ではないかとして救済を求めることが出てくるかと思うんですが、この申請締め切り検討、新たにこういう方が出てきた場合にどういう対応をされるのか、その点をお尋ねいたします。
  23. 佐藤敏信

    佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。  ただいまもお答えいたしましたように、健康不安者のためのフォローアップ事業は、特措法に基づく救済措置方針規定によるものでございまして、これは、一時金等申請をいただいた方の中から、一時金等対象者または療養費対象者のいずれにもならない方のうち、一定の要件に沿う方で、健康不安を訴え、登録される方に対して、健康診査を行うことで不安を解消することを目的としております。  一方、水俣病総合対策事業の一環の中でも、一定の要件を満たす希望者に対しまして、健康管理事業を実施しているということでございます。  御質問の中では、救済対象と同等の症状が見られた場合、どのように対応するのかということですが、何しろ、将来新たに水俣病被害者が存在するかどうかという可能性、それからそれに対する対応ということにつきましては、今後、調査研究を進めることとしておりますので、その調査研究を着実に進めることでまた考えてまいりたいと考えております。  以上です。
  24. 中島隆利

    中島(隆)分科員 フォローアップ事業は、この特措法に基づいてということで、その対象外に絞っておられるわけですが、当然、この期限の問題、私は七月に絞るべきではない、やはり、認定申請したいけれどもできない方がもっとたくさんおられるということでありますし、今後も周知をして徹底をされるということでありますので、ぜひ、このフォローアップ事業、健康不安を抱える方々についてはあらゆる徹底した健康診断救済の手だてをやっていただきたいと思います。  それから、胎児性の患者の実態と調査の研究について、この調査研究事業には胎児性患者や胎児性世代は対象になっているのかどうか、これについてお尋ねをいたします。  特に、胎児性は大変に進行が早くて、障害が非常にひどく進行しているんです。こういう胎児性の方が入っているかどうか、お尋ねいたします。
  25. 佐藤敏信

    佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。  メチル水銀が胎児に及ぼす影響に関しましては、水俣病特措法救済措置方針に基づきまして、現在、胎児期のメチル水銀の低濃度暴露による健康影響に関する研究というものを行っているところでございます。今後もこの研究を継続して行っていきたいと考えております。  以上です。
  26. 中島隆利

    中島(隆)分科員 さらに調査研究の充実化、特に胎児性患者皆さんに対する対応をよろしくお願いしたいと思います。  次に、水俣病に関する健康調査と不知火海沿岸の一斉健康調査についてです。  これは細野大臣お尋ねいたしますが、この問題についてはもう何回も私は質問させていただいているんです。特に、調査研究の目的でも指摘をされているように、メチル水銀と水俣病関係についての全容把握の場合には、診断方法あるいは治療、こういう研究もされるわけですが、私は、何といっても、水俣病の全面解決に当たっては不知火海地域一斉の健康調査をやはりすべきではないかというふうに思っております。特に、当面、調査研究されるわけでありますけれども、その中で、一斉健康調査をやりながら、そしてこの健康調査をあわせてやろう、こういうことの考えはないかどうか、大臣お尋ねいたします。
  27. 佐藤敏信

    佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。  水俣病特措法にもあるとおり、メチル水銀と健康影響との関係を客観的に明らかにするということは大変重要だと考えておりまして、現在の症状が過去に暴露したメチル水銀によるものかどうかを判断するための客観的な手法の開発などの健康調査の手法開発を今進めているところでございます。こうした調査の結果によりまして、その後の対応についても考えてまいりたいと考えています。  以上でございます。
  28. 細野豪志

    細野国務大臣 お尋ねでございますので、私の方からも補足をさせていただきます。  特措法に基づく申請の前に、できる限り多くの皆さんのさまざまな状況について確認をすることが望ましいというふうには思っております。  そこで、健康診断あり方についても、病院に来てくださいというだけではなくて、例えば公民館などにおいて、病院という形ではなくて、いろいろな偏見があるというお話もありますので、健康診断をしていただけるような対応を今県と調整しているところでございます。  これは、水俣というだけではなくて、新潟県も含めてでございますけれども、できる限りの健康調査をして、そして、申請していただける方にはしっかりと手を挙げていただく、そういう方針で臨みたいと考えております。
  29. 中島隆利

    中島(隆)分科員 時間がありませんので、最後に、認定患者や胎児性の患者の福祉施設についてはもう質問いたしませんが、要望にかえさせていただきます。  これは、細野大臣も、胎児性患者の明水園、あるいは施設、視察をされたと思うんですが、胎児性患者皆さん、大変な苦労、それから、親御さんも八十歳近くなられて、後どう見るのかという心配があります。ぜひ、福祉施設の充実をよろしくお願いしておきたいと思います。  それでは最後に、埋立地、エコパーク水俣の安全性、それから八幡プールの安全性ですけれども、これは長期にわたって埋立事業をされたんです。封じ込められて、今、エコパークができています。あの中には五〇〇ppm以上の高水銀が埋まっているんです。  この鋼矢板のセル、三十五年ぐらいが寿命ではないか、もう既にそういう形になっているんですが、これについての検討と対策はどうされるのか。  八幡プールについての安全性、これは鋼矢板も全くありません。ここにはカーバイド残渣と水銀が含まれた埋め立てになっています。  この二つについての対策をどういうふうにされるのか、お尋ねいたします。
  30. 佐藤敏信

    佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。  まず最初の、水俣の埋立地のエコパーク水俣についてでございますが、水俣湾の環境状況を把握するとともに、埋立地の安全性を確認するために、熊本県が毎年定期的に、水質や底質、埋立地周辺地下水及び魚介類の調査を行っておりまして、その結果を見る限りは問題ないものということで承知をしております。  また、エコパーク水俣を所有し、管理する熊本県において、検討会が開催され、埋立地の護岸等の耐震性、老朽化の確認、それから今後の対応検討されていると承知しております。  二つ目の八幡プールでございますけれども、これも、毎年、熊本県が周辺の水域や八幡プール内の地下水、それからしみ出し水の検査を行っておりまして、その結果もこれまで問題ないものということで聞いております。  今後、環境に係る基準を超過するようなことがあれば、関係者によって適切な対応を図ってもらうことになりますけれども、環境省としても、先ほどの問題ともども必要な協力をしてまいりますし、また、関係者と連携をしてまいる所存でございます。
  31. 中島隆利

    中島(隆)分科員 地下水と浸出水については問題ないということでありますが、私が指摘しましたように、封じ込めている鋼矢板のセルの問題、それから、八幡プールはその仕切りがない、石垣だけですね。  それともう一つ、恐らく、工事したときの設計が浸水をどう防ぐかということが中心であって、地震対策は全く指針に入っていないんですね。これは東日本震災で起きましたように、全国、ここは川内断層があります、日奈久断層もあります、当然、地震の対策が必要だと思うんです。この鋼矢板の耐久性の問題と地震対策、恐らく液状化問題が起きたら大変なことになると思うんですが、これらについて、ぜひ熊本県と国が責任を持って、調査検討しながら、この対策を立てていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  その点について、再度御答弁をいただきたい、鋼矢板の問題それから地震対策の指針の取り扱いについて。
  32. 佐藤敏信

    佐藤(敏)政府参考人 お答えをいたします。  先ほどの答弁の中にもございましたように、エコパーク水俣を所有して管理する熊本県におきまして検討会が開催されておりますが、この検討会は水俣湾公害防止事業埋立地護岸等耐震及び老朽化対策検討委員会という名称でございまして、ここで、埋立地の護岸等の耐震性、老朽化の確認、それから今後の対応検討されているところでございまして、環境省としても、こうした県の取り組みを踏まえて、必要な協力があれば対応してまいりたいと思います。  以上でございます。
  33. 中島隆利

    中島(隆)分科員 耐震の問題、耐久問題、大変な問題、地元として心配されています。県の機関の設置もされました。ぜひ、国も強い関心を持って取り組んでいただきたいと思います。  それでは最後に、大臣お尋ねいたしますが、水俣条約と命名する際の前提条件です。  というのは、この水俣条約が、二十五年ですか、日本で採択をされるということでありますが、この水銀条約を命名するのであれば、水俣病の全容解明、全ての患者の補償、救済、これが日本の政府には求められていると思うんです。そうでなければ、世界に胸を張って水俣条約を制定するということは、非常に世界からも批判をされるのではないかというふうに思っています。  それともう一つは、現在、年間百万トン以上、途上国に水銀が輸出をされているんですね。ですから、こういう問題等の規制を徹底的にやらなければ、国内での水銀管理の情報の透明化等も含めて、この水俣条約という命名の前提になるのではないかというふうに私は思いますので、この水銀問題の対応、あるいは患者救済に向け、そしてまた水俣条約の制定に向けて、どういうふうに考え、また決意を持っておられるのか、大臣お尋ねしたいと思います。
  34. 細野豪志

    細野国務大臣 水銀条約につきましては、現在、政府間の交渉委員会において交渉そのものが進行中であるということでございまして、今御指摘がありました水銀の国際貿易や締約国における報告義務などについて、今後、詳細な議論が行われるものというふうに承知をしております。  我が国としても、水俣病の教訓というものをしっかりと踏まえていく必要があるというふうに思います。その前提としては、水俣病の問題に対する政府対応がきっちりしているということが前提になるというふうに思いますので、限られた期間でございますので、しっかりと取り組んだ上で、実際に水銀の国際貿易や製品等への使用の制限であるとかというものは可能な限り廃絶すべきという方針のもとで臨んでいく必要がある、我が国としてもその方針が極めて重要であるというふうに思っております。  御指摘のように、水俣条約と名づけるからには、日本の対応というのは世界から非常に厳しく見られている、そういう自覚を持って臨んでまいりたいと考えております。
  35. 中島隆利

    中島(隆)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、この判決を受けまして、水俣病の完全救済のために、ぜひひとつ、認定基準見直しの問題、特措法関係、十分県と協議をして対応していただきたいと思います。  以上で終わります。
  36. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて中島隆利君の質疑は終了いたしました。  次に、高木美智代さん。
  37. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。  おはようございます。大臣初め政務三役の皆様には、早朝からの御対応、大変にお疲れさまでございます。  三・一一から間もなく一年たとうとしております。私は、なかなか今まで取り上げられてこなかった、しかしながら関係者お一人お一人の心に深く影を落としている被災動物の救援につきまして、質問をさせていただきたいと思います。  これまでも、十一年前の三宅島の噴火、そしてまた七年前の新潟県中越地震等、日本獣医師会等関係団体の皆様は、余り知られてはいませんけれども、多くの活躍をしてくださり、支えてくださっておりました。  日本では、動物は人のパートナー、また家族という存在となっております。欧米では人間に従うべき縦の関係、日本では横の関係、そこに大きな特色があると私は思っておりますが、いずれにしても、こちらが愛情を注げばさらに深い愛情で返してくれる、そういうことから、震災後の心のケアにも動物という命の存在が、アニマルセラピーといって、我が党もずっと推進してまいりましたが、有効であるということが医学的にも言われております。  中でも、先日も、小学生が移動動物園でウサギなどと触れ合う光景が報道されておりました。震災からたしか二、三カ月たったくらいだったかと思いますが、子供らしい笑顔をそのときに初めて見たと私は思いました。どのようにそういう動物を遇していくかが、我が国の文化度が問われるとも思っております。  今回は原発事故による放射能被害というのがありましたので、そこにどのように対応するか、まさに大混乱であったわけでございます。官邸は当初、人が優先というふうに、何となくそのニュアンスが農水省にも環境省にも伝わっておりまして、動物の救援はどちらかというと腰が引けていた、そういう印象を持っております。私は、人も動物も、ましてや動物については支えるチームがもうでき上がっているわけですから、ここにどのように指示を出していくか、その指示一つで幾らでも動いたのではないか、そのような印象を持っております。  まず、農水省岩本副大臣にお伺いをしたいと思います。  家畜につきましては、またペットと少し目的を異にしておりまして、人間に命を供するという実に不思議な存在と思っております。  五月十二日に原子力災害対策本部長から指示が出されまして、所有者の同意を得て、国及び県において安楽死を行うという内容でございました。しかし、結局は安楽死処分というのがなかなかされておらず、放置され、そして餓死し、遺骸も放置されるという痛ましい事態になったわけです。生存する家畜も餓死を待つ状態であったということで、昨年八月二十六日、我が党は急遽、日本獣医師会とともに農水省に伺いまして、提言を申し入れいたしました。  その内容は、一つは、残った家畜を継続飼育し研究することにより、災害時、特に放射線被曝に関する貴重な科学データを集積することができる。その研究のための必要な経費も国が全額負担すべきではないか。また二つ目に、安楽死処分を迅速化し、動物の尊厳を守ってほしい。また三つ目に、遺骸の埋葬につきましても進め、また、さらにその際にデータを採取し、研究の用にすることなどを申し入れました。  十一月になってやっと研究用の動物の保護が決定されるという遅さであると思っておりまして、全く遺憾でございます。動物福祉や愛護の観点からも、最も生命の尊厳をないがしろにする行為であり、国際社会の非難は免れないという、そのような思いを持っておりました。  要するに、最期、人間にその命をささげるわけですから、せめて死ぬときぐらい、そのふんの中で、そしてまた餓死するというのではなくて、やはりある程度の環境整備する、それが大事ではないかと思っております。  そこで、お伺いいたしますが、警戒区域における家畜の安楽死処分等の現状がどのようになっているのか。また、独法の家畜改良センターには出動の要請はされましたけれども、獣医師会との要請はなかったと私は思っておりますが、その点につきましてお伺いいたします。
  38. 岩本司

    ○岩本副大臣 高木先生にお答えをいたします。御質問ありがとうございます。  警戒区域内の家畜につきましては、警戒区域の設定等により、給餌等の飼養管理を適正に行うことができずに放射性物質に汚染された水や飼料を摂取している可能性否定できないために、昨年の五月十二日に、原子力災害対策本部長である総理から福島県知事に対しまして警戒区域内の家畜の安楽死処分を指示したところであります。  福島県の推計によれば、震災前には警戒区域内に約三千五百頭の牛が飼養されており、このうち約千七百頭は畜舎内等で死亡したと見られているところであります。残りの約千八百頭が放れ畜となったと見られておりますけれども、これまで、空間線量の低い地域を中心に、約千三百頭について捕獲、安楽死処分を実施したところであります。  今後は、家財持ち出しのための一時帰宅が開始されたこと等を踏まえまして、危険防止の観点から、まずは残りの放れ畜の捕獲を優先して対応することが必要だと思っております。  このため、震災直後から、当省職員三名を福島県本庁舎に常駐させているほか、現在、当省職員及び家畜改良センター職員十六名を、捕獲業務の中心となる県の家畜保健衛生所二カ所に派遣し、県が行う捕獲等を支援しているところであります。  引き続き、当省職員及び家畜改良センター職員等の参加を得て、福島県、関係市町村と連携し、捕獲作業を加速するよう努力してまいる所存であります。
  39. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 恐らく、先ほど申し上げました日本獣医師会も、警戒区域であっても、さまざまな装備をして、百人に上るような方たちが、行って構わない、そういう決意をされ、既に恐らくその要請をされていたかと思います。そういった人材の活用、そこのところは、私はもっと早く進めていただきたかったという思いがございます。  また、こうした災害のときにどのように対応していくのか。ぜひとも農水省におきまして、恐らく、安楽死処分、これは放射能被害でしたのでそういう形かと思いますけれども、では、そのときも、例えば、どのような汚染状況であったのか、家畜に対する影響がどうだったのか。稲わらとかいろいろありましたから、それどころではなかったということもあるかもしれませんが、そのような研究というものも既にスタートしてもよかったのではないか、また、やるべきということを私どもは強く申しておりました。ぜひとも今後の対応に生かしていただきたいと思います。  また、あわせて、今回はそうした放射能被害、家畜に対する影響というデータは国際的にもほとんどないと聞いておりまして、実験はあったと思いますが、こうした現場でのデータというのは余りないと聞いております。この研究用の家畜の保護、また、その研究利用につきまして現状がどのようになっているのか、また、その成果につきまして、どのような効果が期待されると認識していらっしゃるのか、伺います。
  40. 岩本司

    ○岩本副大臣 警戒区域内の家畜につきまして、科学技術研究のために生かして活用していくべきとの意見があることは承知をいたしておりますし、私自身も、昨年、担当の部署との接触を図らせていただきまして、研究者の方々の意見を聞かせていただいて、生かしているところでございます。  警戒区域内の家畜の研究への利用につきましては、農水省においては、実用技術開発事業で公募を実施して、東北大学等の研究グループを採択し、一月の初めから屠畜前の肉用牛等の放射線量に関する研究を実施中であり、三十頭程度の使用を予定いたしております。このほか、東京大学や北里大学等、三つのグループが警戒区域内の家畜約百六十頭を研究に利用しております。  なお、研究機関の受け入れ体制には限界があることや、研究内容等によっては被曝量や生育状況が不明な警戒区域内の家畜を用いることができない場合もあることについては、御理解をいただきたいと思います。  今後も、研究機関等から要請があれば、福島県等と協議をして検討してまいる所存であります。  また、効果でございますけれども、東北大学等の研究グループが、屠畜前の牛の血液等から牛肉中の放射性セシウムを推定する技術の開発に取り組んでいるところであります。この研究によりまして、放射性物質濃度の高い牛の出荷を農家段階で事前にとめることが可能になることが期待をされているところであります。  また、この研究には独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターも参画しておりまして、被曝した牛の臓器や血液試料等の貴重な研究資源を冷凍等により安定的に保存する予定でございます。このような保存サンプルが放射線生物学等の研究に広く利用可能になり、この分野の研究の進展に貢献することも期待されているところであります。
  41. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 ありがとうございます。  実は、もう一つ、乳牛が被曝したときの牛乳への影響とか、そこのところも調査いただければありがたいと思っていたのですが、恐らく、今のお話では肉牛というところに限って、食肉に対する影響という、そういう話ではないかと思います。  もし、今後可能性があるようでしたら、そうした研究もあわせてお願いできればと思います。
  42. 岩本司

    ○岩本副大臣 先生御指摘の点に関しましては、前向きに、積極的に検討して、実行に移していきたいと思います。  ありがとうございます。
  43. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 副大臣への質問は以上でございますので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  それでは、環境大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。  被災動物の保護につきまして、私も政府に申し入れも行い、また物資も現地に送り、福島のシェルターにつきましても地元の議員の方たちと一緒に取り組んでまいりました。四月二十二日に環境大臣に提言の申し入れを実施させていただき、また、その保護の実施がスタートしましたのは五月十日、住民の一時立ち入りと連動して環境省と福島県が全面的に協力をしながら行われたと聞いております。随時、愛護団体等の協力も得ながら、ずっと続けていただいているところでございます。  そこで、昨年の提言の実施状況につきましてお伺いしたいのですが、まず、福島県の被災動物の保護状況につきまして御説明を求めます。
  44. 細野豪志

    細野国務大臣 ペットというのは、飼っている飼い主にとって本当に欠かすことのできない存在になっておりまして、そのペットを残したまま避難をされている方々のお気持ちというのも、私、避難所へ行きまして、直接訴えかける方がおられましたので、非常に心が痛む、何とかしなきゃならない問題であったというふうに承知をしております。  そういった意味で、公明党の方からもさまざま御提案をいただいてまいりましたけれども、この対応が十分できたのかどうか、さらに改善する余地が相当あるのではないかというふうにも思っておりまして、反省も踏まえ、そして今回の原発事故に対する対応も含めて、改善を随時していく必要があると思っております。  現状について御報告申し上げます。  警戒区域内に取り残されたペットについては、先ほども御指摘がありましたけれども、環境省と福島県が全面的に協力をいたしまして、緊急災害時動物救援本部であるとか各自治体と連携をいたしまして、住民の一時立ち入りと連動した保護活動をしたところでございます。  その結果といたしまして、放浪しております犬猫の保護、一月末までになされた頭数というのは、犬が四百七頭、猫が二百二十八頭ということになっております。  そして、昨年十二月に環境省及び福島県が、民間団体による被災ペットの保護を目的といたしまして、警戒区域内への立ち入り基準等を定めたガイドラインを作成いたしました。計十六の民間団体が、公益立ち入りの許可を得まして保護活動を行っていただきました。その活動によって保護された頭数というのが、犬三十四頭、猫二百九十八頭、そういう形になっております。
  45. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 この福島県の保護動物につきまして今後どのように対応していくかということですが、既にシェルターで長くケージの中で飼われている動物につきましては、専門家が扱おうとしても、咬傷事故であるとか、既に始まっていると聞いております。  確かに、福島県の場合は、東京都心部のようないわゆる座敷犬というような、家庭で飼う、そういうペットではなく、表で農家の番犬というような形で飼う動物、いわゆる中型犬、大型犬が大変多いという特色があります。したがって、そこで長い間ケージに飼われますと、もう約一年たちますので、恐らく、人にだんだん懐きにくくなる、野生に戻っていく、こうした傾向性もあるのではないかと思います。  これから譲渡をどのように推進していくのか。そしてまた、その譲渡が不可能な場合には終生飼養をしなければならないと考えます。福島県のシェルターでこうした終生飼養をするといいましても、運営であるとか、またさまざまな経費も必要ですし、また譲渡を推進するといいましても、そこまで訓練する専門人材の確保も必要かと思います。そうした今後の方向性とそれに伴う予算措置をどのようにお考えか、伺います。
  46. 細野豪志

    細野国務大臣 ペットの場合は、一番望ましいのは当然、もとの飼い主に戻すということでございまして、犬が百二十四頭、猫が百二十一頭はもとの飼い主のところに戻ることができた。  もとの飼い主のところに戻れない、そういう犬猫に関しては、やはり新しい飼い主の方が見つかるのが一番いいわけでありまして、新しい飼い主へ譲渡された数が百頭という形になっております。  問題は、今高木議員の方から御指摘をされました、それ以外の犬猫をどういうふうな形で保護していくのかということになるわけでありまして、これまでは、シェルターの運営管理費につきましては緊急災害時動物救援本部の義援金を充ててきたところでございます。  それに加えまして、平成二十四年度につきましては、環境省の被災ペット対策予算案として、警戒区域内に取り残されている犬及び猫の保護、保護した動物の適正な飼養管理及び飼い主への返還、譲渡を推進するための予算というのを計上しております。  具体的には、警戒区域内からの被災ペットの救出、被災ペットの一時収容施設の設置、一時収容施設の運営管理、被災ペットの内部被曝量調査などの予算を計上しているところでございます。  また、その際に運営管理を行う人材というのが極めて重要でございますので、その犬及び猫の飼育管理者であるとか獣医師を派遣する予算を、二十四年度に関しましては約一億円計上しているところでございます。
  47. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 恐らく、今後さらに長い支援が必要かと思います。最低十年ぐらいはこのシェルターの運営は必要ではないかと考えられております。  義援金といいましても限界がありますし、だんだん先細くなってきて、またこれからもし何か災害が起こった場合にはここから捻出することも考えなければいけませんので、やはり、この手当てをどのようにしていくのか。ここはお金がないからなかなか進められないというのではなく、国としてどのような支援があり得るのか、こうした予算措置をさらに強化していくことを求めたいと思います。  これは東電に求償できる内容なんでしょうか。環境省はこれを後に求償するおつもりがあるのかどうか、いかがでしょうか。
  48. 細野豪志

    細野国務大臣 現段階では、これは国の予算として計上しておりますが、広くとれば、当然これは原発の被害、動物も、もちろん、ある意味被害者でありますけれども、飼い主の皆さんはまさにその被害者でありますから、そういった考え方もあり得るというふうに思います。  ただ、東電に求償することを前提に、例えば審査会などの議論を経ておりますと時間がかかってしまいますので、まずは国がしっかり役割を果たして、最終的にそれが求償できるかどうかはこれから検討してまいりたいと考えております。
  49. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 よろしくお願いいたします。  あわせまして、ペットとの同行避難、また収容動物の居場所の確保、また物資の備蓄など、あらかじめこれは防災基本計画などの方針に明記すべきではないかと考えます。  また、日ごろからの防災訓練にも、私のマンションもそうなんですが、本当に家族同然に思っていらっしゃる御年配の方もいらっしゃいますので、そういう方は一緒に防災訓練に参加していただければ、地域の方も、ああ、あそこにはこういうペットがいるんだという、そこの一つのアピールにもなるのではないかと思います。このことにつきまして、お考えを伺います。
  50. 細野豪志

    細野国務大臣 高木議員、御指摘は非常に貴重な御指摘だというふうに思います。  具体的に、動物愛護管理法に基づく基本指針においては、災害時におけるペットの対応について示されております。  また、昨年十二月に改定をされました防災基本計画において、避難場所における家庭動物のためのスペースの確保及び応急仮設住宅における家庭動物の受け入れの配慮を位置づけたところでございます。昨年十二月ということでありますから、今回の一連の対応を受けて改定されたものであるということでございます。  これから防災訓練に動物を一緒に参加させるというようなあたりは、これはどちらかというと、自治体の、現場の判断ということになってまいりますので、自治体の計画にもそういったものが位置づけられるように促してまいりたいというふうに思っております。  また、動物愛護管理制度に関しましては、現在、議員立法による改正に向けて与野党で御検討いただいているというふうに承知をしております。その中では、これまで規定になかった災害時の被災動物の救援について法律に位置づけることも検討されているというようなことも伺っております。  そうした与野党の協議検討というものは非常に大事なものだというふうに思っておりますので、私どもは、その推移を見ながら、必要なことについてはしっかり対応していく、そういうスタンスで参ります。
  51. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 よろしくお願いいたします。  いずれにしても、防災基本計画とか、そうしたところにきちんと位置づけられませんと、なかなかそれが自治体に、横の段階で織り込んでいこうとしても織り込み切れない。いつまでたっても仮設住宅でペットを飼育できない。また、避難所に行っても、避難所の場合はやっと少し盛り込まれたところですが、やはり長期にわたって仮設住宅でもペット連れで入居できる、こうした配慮事項等につきましても、いつまでたっても災害のたびに騒がなければいけない。そういう形ではなく、やはりここは政府として明記に向けてまた努力をしていただきたいと思います。  あわせて、恐らくそこは、動物愛護管理法の中できちんと法的に盛り込まれれば、その動きも少し違うのではないかと思いますが、今、動愛法の改正につきまして、これは大臣が御承知いただければいいかと思うんですが、例えば昨年パブコメがありました。業者に関するもの、そしてまたさまざまな課題につきまして、政省令事項につきましてパブコメがありました。ちょっと私、順番が逆なのではないかなと思っておりまして、検討会に基づいてやるべきことをどんどんやるというのは、それはやぶさかではないのですが、本来は、法改正ですから、どこを法律事項に盛り込むのか、ここをまずきちんと位置づけた上で、その上でこの政省令事項につきまして、これでいいのか、またそのほかのものはどうしていくのかという考え方が大事なのではないかと思います。ちょっと一瞬、国会軽視ではないかな、そういうやり方の懸念を覚えるところがあります。  恐らくこれから、今、議員立法というお話が大臣からありましたので、私は、閣法でやるのかな、どっちでやるのかなという。そこのところもはっきりと、民主党さんから、議員立法ですよ、こういうお話もいただいておりませんので、我が党は我が党で準備はしておりますけれども、そこのところもまたスムーズにいきますように、ぜひとも政務三役の皆様初め、与党の中にも働きかけていただければと思います。  あともう一つ、そのパブコメに基づきまして施行規則を改正する省令におきまして、先般、犬猫の夜間展示規制につきまして、既にこれは政省令が公布されております。この中で、うちの地方議員のところに猫カフェ業者の方から問い合わせがありまして、細かい話のようなんですが、でも、やはりその規則というのはこういう影響もあるということをお考えいただければと思っております。それは、展示業者には猫カフェが規制対象になっているけれども、そもそも販売目的ではない業者は外すべきではないかと。  この方たちがおっしゃっていらっしゃいますのは、要するに、販売業者の子犬、子猫が対象になるのはわかるけれども、展示業者に猫カフェがなぜ対象になるのか。また、猫カフェの猫は大人の猫だ、猫は本来夜行性だ、なぜ一緒にしてしまうのか。また、動物愛護管理室の方は、夜は犬猫を休ませるべきという総論はあるが、多くの人が納得するはずだ、法律で規制をかける以上、個別の業種に例外規定を設けることは難しい、こういう話が、問いに対しまして管理室からはあったようですが、これはもう営業に係る話ですと。  ここは福生市でございまして、地域猫の避妊、去勢手術代を市としても助成をしながら、それでも足りずに、自費で業者の方たち、また獣医師会も協力しながら避妊、去勢をしたり、さまざま、餌やふんの始末までみんなでやっている、そういうところなんですね。  ですので、その地域柄からいきましても、猫を飼わなくても猫カフェに行けばというような、こういう流れを恐らくつくっていらっしゃるんだと思うんです。ですが、こういう業者の場合、例えば夜八時以降このお店をオープンしていると営業停止とか規制対象に当然なるかと思いますけれども、そこはどのように考えればよろしいんでしょうか。
  52. 細野豪志

    細野国務大臣 この夜間展示の話というのは双方から非常に多くの意見が寄せられているところでございまして、今高木議員御指摘のような悩ましい問題があるのは事実でございます。  一月に公布されました動物愛護管理法の施行規則におきましては、動物の販売業者、貸出業者、展示業者の区別なく、夜間の展示を禁止しております。  これは、夜間の展示による犬であるとか猫のストレスをできるだけ少なくしていく。その背景には、例えば夜、二十四時間体制で販売しているような業者もあって、そこが虐待ではないかという意見もあってこういった形になったということでございます。  現在は八時以降は禁止をされておりまして、これまで、夜間そういう猫カフェなんかをやってこられた、お客さんも八時以降に来られるというようなところに関しては、確かにそういった意見が出ているのは事実ということであります。  ただ、これまでそこの規制がなかったところを新たに規制を設けて、動物を大事に扱ってくださいということで設けた制度でございますので、まずはできればこれでやらせていただいて、その中でいろいろな御意見があるでしょうから、そこはしっかりと耳を傾けて、対応が必要であればさらに適切な対応をしていく、そんな方針でいきたいなというふうに思っておるところでございます。
  53. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 恐らくこの検討会でも、議事録等を拝見しますと、いろいろな意見があります。また、この報告、まとめの中でも、収束された議論の部分もあれば、まさに二論併記、三論併記になっているところもある。  本来であれば、検討会で議論を重ねていただいて、あなたが出したデータは違うでしょうとか、そういうふうに言いながら、修正しながら一つの方向に収束させていく。その場合、こういうことがあるから、ではここはこのような配慮をしていこうとか、本来そういう検討会のあり方であるべきと私は考えておりましたが、少し今回は、いろいろな意見の方たち、しかもそれぞれ皆様強い持論をお持ちですので、なかなかそうはいかないところもあったかと思います。  ただ、自治体の方からは、こういう規制を変える場合には、その根拠、そしてまたどういう規制にしていくのか、そこをはっきりと明示してほしいという強い要望も私どもいただいておりますので、また何かこういうさまざまな課題があります場合にはよく申し上げさせていただきながら、いずれにしても、国民にまた大きな影響のある内容でもございますので大事に取り扱ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  最後に、仮設住宅の考え方につきましては、先ほども少し申し上げましたが、やはり防災基本計画等に明記すべきではないかと考えますが、大臣のお考えを伺います。
  54. 細野豪志

    細野国務大臣 ペットは被災者の皆さんにとって家族そのものでありますので、御指摘のとおりだというふうに思っております。  仮設住宅におけるペットの飼育の状況につきましては、岩手県全域においてのほか、宮城県内、さらには福島県内でも、多くの市町村においてはペット連れの入居が可能になっているというふうに承知をしております。  ただ、悩ましいのは大型犬でございまして、鳴き声が非常に大きいわけですね、体が大きいですから。その結果として、ペットを連れて入ることを遠慮されている被災者も多いというふうに聞いております。  ここは仮設住宅のあり方そのものにもかかわるわけですけれども、基本的には仮設住宅においてもペットを飼うことができるようにという配慮を国としてもしっかりと求めてまいりたいというふうに思っております。
  55. 高木美智代

    ○高木(美)分科員 その方向で私どももしっかりと後押しをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  56. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて高木美智代さんの質疑は終了いたしました。  次に、柿澤未途君。
  57. 柿澤未途

    柿澤分科員 みんなの党の柿澤未途でございます。  細野大臣初め皆様、本当にお疲れさまでございます。  まず、ちょっと環境アセスのことについてお伺いをいたしたいと思います。  本来、火力発電所であれば、十五万キロワット以上の規模の発電所は環境アセスの対象になる。しかし、東京電力、東北電力が復旧計画に盛り込んだ火力発電所については、環境アセスを省略して建設を進めていい、こういうことになっております。  震災以来、電力需給が逼迫をしておりますので、五十二条二項の適用除外を初めて発動して、三年以上を要する環境アセスの期間を省略して火力発電所増設のスピードアップを図ろう、こういうことだというふうに思います。東京電力でいえば、復旧計画に、供給力確保に向けた緊急設置電源として、八カ所で緊急設置電源の建設計画が盛り込まれております。  しかし、なぜこれは東京電力、東北電力だけなんでしょうか。今や、原発の稼働停止による電力需給の逼迫は関東地方及び東北地方だけの問題とは言えないというふうに思います。五十四基のうち、動いているのはわずか二基、関西地方ではゼロ、こういうことになっているわけです。しかも、これは政府方針でそうなっているわけです。  そもそもこれは電力需給対策の一環としてとられた措置であるわけですから、ほかの電力会社、一般電気事業者も、アセスの適用除外、免除措置を同じように講ずるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  58. 細野豪志

    細野国務大臣 今お尋ねのありました東京電力及び東北電力に対する措置というのは、御指摘のように環境影響評価法の第五十二条二項に基づくものでありまして、これは災害対策基本法に基づく災害復旧の事業についての環境アセスメントの手続の適用を除外するものでございます。この法律に基づけば、東京電力、さらには東北電力の管内ということになるわけであります。  恐らく、柿澤委員の問題意識というのはエリアの問題もあるんだと思いますが、一方で、事業者として、電力会社だけではなくて、例えば自然エネルギーなどを導入する、そういった方々についてもアセスの省略をというような御意見だと思うんですが、そこは別の形で、できるだけスムーズにいくような努力をしていく必要があるというふうに思っております。  つまり、この第五十二条二項のアセスの省略ということに関しては、防災上の観点から緊急に原状回復等を行う必要があるものについて、適用除外を限定的に行うものであるということでございます。
  59. 柿澤未途

    柿澤分科員 しかしながら、このアセスの免除措置については、例えば官邸のホームページを見ると、どう書かれているか。「電力需給対策に関連する規制制度見直しの情報について」ということで、ほかの規制制度見直し等も一緒になって列挙されていたりするわけです。  つまりは、震災以降、原発事故もあって電力需給が逼迫をしているので、こういう例外措置を講じましたよ、その一つとして位置づけられているんです。しかも、中身は、壊れた発電所の復旧ではなくて、どちらかといえば、火力発電所を新設する、こういう中身になっている。災害復旧だから東電と東北電以外は関係ないという説明は、私は通用しないというふうに思うんです。  別の形で考慮する、こんなお話もありましたけれども、このような方向性の定まらない御答弁では、私としても、そうですかと言うわけにはいきませんし、また、ほかの事業者からすれば、今の現状でいえば、本当に震災の影響を広い意味で受けて電力需給が逼迫をしているというのは、東電、東北電に限らないんですよ。なぜ東北電力、東京電力のみにこの措置を講じているのか、もう一度御説明いただきたいと思います。
  60. 細野豪志

    細野国務大臣 そこは、法律に基づいて見た場合に、東京電力及び東北電力以外の地域については災害対策基本法に基づく災害復旧の事業には該当しないということがその根拠でございます。  なお、東京電力及び東北電力についても、この適用除外は、大震災発生から一年以内に定める復旧計画において三年以内に発電を開始する予定のものに限定をして認めているものでございます。  もう一つ申し上げると、今御質問として、火力発電所にもというお話がございました。  確かに火力発電所もその対象になっているんですが、それは、既存の発電施設の敷地内で基本的には原状回復を行うためのものということでございますので、例えば、これまで発電をしていた量を上回るような形で新しくできるというようなものではないんです。ですから、あくまで東京電力管内、東北電力管内で供給力を確保するために原状回復というのが目的となっているということをあわせて申し上げたいというふうに思います。
  61. 柿澤未途

    柿澤分科員 同様に需給が逼迫をしている他の一般電気事業者にこれをなぜ認めないのかということについては、私はやはり納得ができないというふうに思います。  PPSに関して、これも同様に扱うべきではないか、こうしたことを、昨年の五月に、参議院の予算委員会で水野賢一参議院議員が御質問させていただいております。そのときに、当時の菅総理は、原則的には公平に扱うべきだ、こういうふうにおっしゃられています。  それにのっとって言えば、私は、上記の一般電気事業者のみならず、発電事業をひとしく営むPPSに対しても、需給対策としての同様の環境アセスの免除措置、イコールフッティングとしては講じるべきではないかというように思います。これは水野参議院議員の質疑でも申し上げておりますけれども、逆に言えば、そうでないとすれば、同じ扱いを全ての事業者についてひとしく講じるべきではないかと思います。そうでなければ、それこそ公平性の観点で問題があるというふうに思います。  発電分野における規制改革の要望事項の第一に、この環境アセスの緩和等による発電所建設の促進も挙げられている中でありますので、こうした点について御見解をお尋ねしたいと思います。
  62. 細野豪志

    細野国務大臣 これからの日本の発電の状況考えれば、PPSがどんどん新しい発電施設をつくるというのは極めて重要であるというふうに思っております。  しかし、その一方で、災害対策という意味では、指定公共機関として位置づけられている事業者の責任というものもこれまで非常に重いものがあったというのも事実でございまして、そこについては、災害対策基本法上、発電義務が実質的に課されておりますので、その義務を果たすことができるように、原状回復のためのアセスの免除というのが認められているということでございます。  ですので、これは、二つは趣旨としては分けて考えるべきところで、それぞれ事業者の皆さんにとってはイコールフッティングがないではないかという御批判があるのは私も直接聞いておりますので承知をしておるんですが、それはまた別の制度としてしっかりと位置づけた上で、どうPPSの皆さんに発電施設をできるだけ迅速につくっていただけるか、そこは大いに検討する余地があるというふうに私は思っております。  確かに、これまでのアセスの手続ということを考えれば、三年程度かかる。短縮の方法も幾つかございますけれども、短縮できるといっても二百数十日短縮できるというぐらいでございますので、三年というのが大幅に減るという形には必ずしもなっていないんですね。そこについて、どういった形で短縮できるかということについては検討が必要であるというふうに思っております。
  63. 柿澤未途

    柿澤分科員 今後具体的な施策として考えていかれるということですから、その点については大変期待をしたいというふうにも思います。  しかし、これは極めてうがった見方をすれば、今の現状は、現実に事故で福島第一原発が使えなくなってしまった東電について、代替の火力発電所の建設を環境アセスの制度を乗り越えてすいすい進めさせて、一方で、ほかの電力事業者に関しては、原発再稼働をしなければ電力危機に陥るような状況にして、再稼働を早くさせてくださいとあちらから言い出すような状況を結果としてつくり出してしまっているのではないか、こういうふうにも思えてなりません。  先日、予算委員会の集中審議で、枝野大臣の発言の変化について取り上げさせていただきました。一月の二十七日には、原発稼働ゼロでも電力使用制限令を出さずに夏を乗り切れる、こう言っていたはずなんですけれども、二月の二十四日には、今度は、今の電力需給状況では稼働させていただく必要がある、わずか一カ月でどういう心境の変化があったんですか、こういうふうにお伺いしたんですけれども、何も変わってない、安全と安心が確認できたならば再稼働する必要があると従来から思っております、こういうふうに答弁をされました。  つまりは、枝野大臣は、当初から原発再稼働が必要だ、こういう立場に立ってきた、このように説明をされたわけであります。  私は、これまでの政府説明も、また個人的に私が受けてきた細野大臣のニュアンスも、この発言とはちょっと違うんじゃないか、こういうふうにも感じるんですけれども、細野大臣も枝野大臣と同じ立場に立っているのか、お伺いをしたいと思います。
  64. 細野豪志

    細野国務大臣 再稼働については、現在は、保安院においてストレステストの評価結果が出されまして、その妥当性について原子力安全委員会協議、議論が行われているという最中でございます。したがって、その判断が出された段階で、地元の理解の状況も含めて、政治レベルでの判断をしっかりとしていくという形になっております。  枝野大臣と私の考えがどうかということでございますけれども、現状においては、枝野大臣判断をする担当大臣でございまして、私がその大臣と異なる判断をするということはないということであります。  それでは、私の役割は何かと言われれば、それは、私は今環境大臣をしておりますし、四月からぜひ発足をさせていただきたいと思っております原子力規制庁においては安全を確保するというのが私の役割でございますので、全体として言えば、私の役割は何かと言えば、それはブレーキ役だというふうに承知をしています。  すなわち、電力の安定供給であるとか原子力政策の推進というところからは離れたところで、安全性がしっかり確保できているかどうかというのをしっかりと判断して、そして再稼働の是非を判断していく、そういう役割を果たさなければならないというふうには思っております。
  65. 柿澤未途

    柿澤分科員 きょうの報道で、細野大臣がメディアのインタビューに答えられて、まさに、安全と安心が確認されれば再稼働を進めていく必要がある、こういう趣旨の発言を初めて公式にされた、こういうことが報じられていますけれども、これは枝野大臣の国会での答弁と基本的に軌を一にするものなんですけれども、基本的に細野大臣もそのような認識に立っている、こういう理解でよろしいですか。
  66. 細野豪志

    細野国務大臣 去年から私は原発の担当をしておりまして、その前も、補佐官の時代から何度も記者会見でその種の質問は受けておりまして、基本的には同じ話をしております。したがって、けさの報道が、全く新しく私が発言をしたということではないということであります。  ストレステストをやることもそうですし、原子力規制そのものを順次しっかりと厳しくしていくということも含めてそうでありますけれども、なぜ厳しくする必要があるのかというと、稼働の是非について判断をするであるとか安全性について確認をするということでありますので、それは原子力発電所があるということが前提の議論ですね。  ですから、そこは、もう今の時点で原発そのものを完全に廃絶をするという判断以外の場合は、安全性が確保できればそれは稼働するということは、これはどなたも変わらないというふうに思いますし、私もそういう立場に立っているという趣旨で申し上げました。
  67. 柿澤未途

    柿澤分科員 ストレステストで厳しくチェックする、こういうふうにおっしゃられるわけですが、大飯、伊方に関しては一次評価で保安院の妥当という判断がもう出ている。近々それに対する安全委員会の見解も出てくるわけです。しかし、班目委員長は、一次評価は安全委員会が要求しているレベルに達していないというふうに平然と話しておられるわけですね。  これは、仮に安全委員会が保安院の妥当という判断を是とする、こういう判断をしたとしても、要するに、班目委員長の過去の発言をたどってみると、ストレステストと再稼働というのはそもそも関係がないというだけのことで、安全性に太鼓判を与えて再稼働はオーケーだということを安全委員会が言うのとは全く違う話だというふうに思うんです。  そういう中で、保安院の判断はあるでしょう。しかし、保安院の限界というのも今まで言われてきた。その判断を踏まえて、専門家でない関係三閣僚と野田総理が最終的に政治判断をする。これは、最後はえいや、こういうことなんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  68. 細野豪志

    細野国務大臣 それは、最後はえいやということではありません。むしろ、地元の理解も含めてどう判断をするかというのが問われているというふうなことであります。  原子力安全委員会の位置づけなんですけれども、これは、法律上、保安院が判断したものについて原子力安全委員会が評価をするという形になっておるんですね。原子力安全委員会自身が、例えば再稼働については、やるべきだとかやらないべきだとか、そういう判断をする形にはなっておりません。ですから、班目委員長の発言というのも、そういう原子力安全委員会の位置づけというものを意識した上で御発言をされているのではないかというふうに私は理解をしております。  もう一つ申し上げたいことなんですけれども、日本の原子力行政の最大の問題は安全神話というところにあったというふうに考えています。  つまり、こういう規制をして、こういう設備を設ければもう安全だというふうに説明をしてきたものですから、それ以上の事態が起こったときに本当にどうなのかという議論を実質的にはやってこなかった、そして現実的にそうなってしまったときにその対応ができなかった、これが痛恨の反省点なわけです。  ですから、ぜひこれは柿澤委員に御理解をいただきたいんですけれども、原子力規制や安全のあり方というのは常にレベルアップをしていかなければなりません。昨年も、まだ十分とはなかなか言いがたい面があったとは思いますけれども、例えば緊急安全対策を保安院が早い時期に実施した。それでは十分ではないので、ストレステストというのを新たに今度設けて、しっかりチェックをしていく。チェックのあり方も、保安院であるとか原子力安全委員会だけではなくて、IAEAにもチェックをしていただいて、さまざまな意見もいただいています。当然、それもできるだけ生かしていくべきでしょう。  その上で、これからどうするのかといえば、例えばバックフィット制度というのを導入して、常に最新の技術に基づいて過去のものについても検証していく。そして、満たないものについては、これは稼働させない、そういう考え方を導入するんですね。  つまり、何かやったら全て安全で、それ以上については何もしないという考え方ではなくて、随時その安全性を高めていって、そしてそれこそ不断の努力をしていく、これがこれからの原子力規制、安全の考え方でなければならないのではないかというふうに思っております。  そのプロセスの中で、その状況を見きわめて、現段階においてこの安全性の評価として再稼働が妥当かどうかという判断を常にしていかなければならないわけですね。そのことをぜひまず御理解をいただきたいと思います。  その上で、判断の一つの基準として、私自身もそれはもう目を皿のようにしてしっかりと見ていかなければならないと思っておりますのは、東京電力の福島第一原発を襲ったような地震や津波が仮に来た、そういうことがないと私は強く願うものでありますし、ないというふうに思っておりますが、それでも、そういったこれまでと同じような考え方に立つわけにいきませんから、そういったことが仮にあったとしても、今回の第一原発で起こったような炉心損傷には至らないということが確認されることが大前提でなければならない。  ここは、私自身ずっと、この事故の経緯については、恐らく政務ということでいうと一番深くかかわりましたので、そのことについては、私自身もこだわりを持ってしっかりと確認をしなければならないというふうには思っております。
  69. 柿澤未途

    柿澤分科員 今のは重要な論点だと思いますので、これから掘り下げていきたいと思います。  福島第一原発の事故の原因は津波である、津波さえ来なければ日本の原発は安全である、今回の震災は千年に一度の災害である、だから無意味な運転停止は避けて早く原発を再稼働させましょう、こういう発想でいるとしたら、原子力安全技術への取り組み姿勢のレベルの低さという点で背筋が寒くなる、私にそう書いてきた専門家がいます。  今御答弁いただきましたけれども、私は、千年に一度の災害、今回の東日本大震災、この地震と津波に耐え得る安全性で果たして十分というふうに言えるかどうか、この点を申し上げたいと思います。  ある安全性のふぐあいが発生をして、それによって原子炉が損傷する確率が千分の一を超えるような危険な状態は、これは著しく深刻なもの、重大予兆として関係者に受けとめられなければならない、これが世界の常識であります。つまり、原子力事故の世界では、千年に一度というのは、しょっちゅう起きるというふうに読まなくてはならない頻度なんです。  アメリカの原子炉監視制度では、NRCが、条件つき原子炉損傷頻度の増分、要するに、原子炉損傷に至るような確率論的な頻度がどれだけ増したか、CDFというわけですけれども、これをベースに発電所の検査を行って、百万年に一度の頻度を白、十万年に一度を黄色、一万年に一度を赤と色分けして、赤という一万年に一度の発生頻度が確認された場合は、高額な罰金を含む段階的な是正対応を電力事業者に求めているわけです。  東電は、この間、福島第一原発で炉心の再損傷が起こる、こういう確率について、五千年に一度だということを説明されております。しかし、五千年に一度というのが、仮に、東電として、めったに起こらない、こういう意味で言っているとすれば、私は、これは感覚が甘過ぎるというふうに思うんです。  こうしたアメリカのCDFをベースにした検査基準というのをこれからの原子炉規制において参考にしていくべきではないか。千年に一度などというこんな感覚でなくて、もっともっと、十万年、百万年に一度という確率論的な可能性も排除していく、そうした発想に立たなければいけないと思いますが、具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  70. 細野豪志

    細野国務大臣 御指摘の確率論的評価の手法については、確かに、アメリカがそうしたさまざまなシミュレーションにおいても世界の中でも一番先を行っているという状況でございまして、日本の原子炉規制に関しては、そこはおくれてきたというふうに思っております。  六月にIAEAに対して報告書を日本政府で出しておるんですが、その取りまとめの責任者を私自身がいたしました。その中でも、確率論的な評価手法に関しては、導入をして、何が起こり得るのかということについてしっかりと考えた上で、それに対しての対応策をやっていくべきだという考え方を既に提示しております。  ただ、それをやり切るのは、これは相当蓄積も必要でございますし、法律で全てやれるものではありません。むしろ、省令のレベルでそういったことについてどう落とし込むかという議論をこれからやっていかなければならないということなんです。  逆に言うと、確率論的な手法が全て確立をできないから全くだめなのかというと、それは違うんですね。つまり、例えば今回の東京電力の福島第一原発で起こった事象がどういったものなのかということについては、これはおおよそわかっているわけです。どういう津波が来て、どういう地震が来て、それに対してどこがだめだったのかということについておおよそわかっているわけですから、それについてどういった形で対応できるのかというのは、対策として打てるわけですね。  さらに言うならば、その結果として、例えばさまざまな機能がうまくて動かなくて、水が入らなくなったとか電源が落ちた、それがないようにしなければならないわけでありますけれども、例えば、そこも含めてさらに乗り越えるということがあったときに、シビアアクシデントを超えて、グレーブシビアアクシデントというのが起こった場合に、それでも炉心損傷に至らないための電源をどう確保しておくのか、水源をどう確保していくのか、それはできるわけです。  ですから、確率論的な評価という意味では、それは森羅万象、幾らでもあり得るわけでありまして、それについて全て今ここで述べよと言えば、それはまだ述べる準備は我々にはありません。しかし、少なくとも、今回の東京電力の福島第一原発で起こった事象についてどう対応できているのかというふうに問われれば、それに対してはこうですよということは、ちょっときょうはその準備を全てしておりませんけれども、しっかりと御説明をできるような状況でないと、それは再稼働ということにはならないということであります。
  71. 柿澤未途

    柿澤分科員 質問をちょっとかえていきたいと思います。  ベラルーシのラハマノフ大使、また放射線測定機器メーカーのATOMTEX社のコゼミヤキン社長と一月に会う機会がありました。ATOMTEXのコゼミヤキン社長は、私に対して金属の検査ということを何度も何度も強調されました。瓦れきの検査は日本でもよく言われるんですけれども、なぜ金属についてこんなに言うんですかというお話をしたところ、鉄くず、金属くずは溶解されてリサイクルをされて再利用されるからだ、放射性物質の付着した鉄くずが再利用されて大問題になった、これはベラルーシでもそういう経験があるから言っているんです、こういう話でした。  会ったのは一月十六日なんです。ちょうど同じ時期に、例の、浪江町の採石場から去年三月に採石した石を使って建てた新しいマンションから高い放射線が検出された、こういうことが報じられました。なおかつ、福島県は昨年五月、建材の使用基準を国に求めていたんですけれども、国はこの要望を放置していた、こういうことも報じられたところであります。  こういう建材の基準もベラルーシでは設けているということであります。また、例えば廃棄物処分場に震災瓦れきを入れる、全国で今受け入れがいろいろな悩みを抱えながら進んでいますけれども、廃棄物処分場では、搬入時のトラックの通過の際にセシウム137の放射線測定が瞬時でできるゲートというのを設置されているということです、ベラルーシでは。  日本も、アメリカのDOEが中心になってメガポートイニシアチブというのをやっていて、こういうゲートの試験導入が横浜港で行われている、こういうふうにも聞いておりますけれども、現状、廃棄物処分場にトラックが入るときに、瞬時に放射性物質のキログラム当たりの測定ができる、こういう体制にはなっていないわけです。  こういう過去のチェルノブイリ事故を経験したベラルーシの経験と知見からもっともっと学ぶべきことがあるんじゃないか。逆に言えば、詳細なヒアリングをベラルーシあるいはウクライナから行えば、もっともっと早い対応が建材の問題などを初めとしてとれたんじゃないか、こういうふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  72. 細野豪志

    細野国務大臣 砂利の問題について早い段階での対応が十分ではなくて、お住まいの皆さんや業者の皆さん、多くの方々に御迷惑をかけたということについては、政府の一人として本当におわびをしなければならないというふうに思っております。  砂利以外も、そういった放射性物質というものを含むものがあり得ないのかというのは、それこそさまざまな業界があり得ますので、政府全体で取り組もうということで確認作業をしておりますので、そういったことがない状況をつくらなければならないというふうに思っております。  一方で、災害廃棄物からの再利用の件なんですけれども、こちらにつきましては、現状においては、むしろ大変慎重、ちょっと言い方、表現を気をつけなければなりませんけれども、なかなかむしろリサイクルが進まないという状況にあるわけですね。福島県内のものについては、安易にリサイクルというのはあってはなりませんので、しっかり中で管理いたしますけれども、本来であれば、岩手県であるとか宮城県のものについては、基本的には汚染されていませんので、そこで再利用というのがあっていいんですが、なかなかそれが進まないという状況であります。  そこで、キログラム当たり百ベクレル以下と明確な基準がありますので、そこをしっかり確認をして、これなら大丈夫というものについて再利用を今お願いをしているという状況です。ですから、我が国において、再利用で安易にどんどん進んでしまって、それが流通をして回るというようなことは現状においてはないというふうに考えております。  ただ、御指摘はごもっともで、建材などでそういったものが使われた場合で、それが例えば人間の近くに存在をし続ける、高い放射能を発するというようなことになってしまうといろいろな悪影響が考えられますので、今御指摘のようなことがないように、どういった形のチェック体制がいいのかというのは、海外の例も参考にしながら、さらに現実的な対応をしてまいりたいというふうに思います。
  73. 柿澤未途

    柿澤分科員 最後にお伺いをいたします。  これから再稼働が行われるということであるとすれば、次なる過酷事故に対する備えを怠ることがあってはならないわけです。福島第一原発の事故の収束は重要ですけれども、それはゴールではないし、全ての終わりでもありません。野田総理は、予算委員会で、二度とあのような事故を起こさない、こういうふうに答弁をされていましたけれども、しかし、こういうある種の精神論ではだめなんだというふうに私は思うんです。  その観点から見ると、全国の原発における過酷事故への備えはお寒い限りなんですよ。そもそも、線量計が三週間も行き渡らないなんて信じられない、こんなふうにNRCの前委員長からも批判をされているわけです。  例えば、福島第一原発にあったけれども、現地本部機能を果たす免震重要棟もほとんどの原発ではつくられていない。さらには、ヘリコプターで地上の放射能汚染を測定できるアメリカのDOEの空中測定システム、AMSというのがありますけれども、これもない。高純度ゲルマニウムのついた核種分析機能のある計測器、ガンマ線スペクトロメトリーもない。その結果、毒性の高いストロンチウムやプルトニウムの分布状況は今もってわからない、こういう状況にもなっているわけです。  一つ一つ挙げていれば切りがないんですけれども、他の原発で同様の過酷事故が起きたときの備えということについては、これから原発を動かしていく可能性がある、これが政府方針であるとすれば、喫緊に本来取り組まなければいけない課題だというふうに思いますけれども、この点について考えをお伺いいたしたいと思います。
  74. 細野豪志

    細野国務大臣 今例を挙げて御指摘をされたのは、全て基本的には日本の体制がこれまで十分でなかった例示として適切な御提起をいただいたものというふうに思っております。  私も、特にヘリコプターでの測定システムというのは、日本と米国を比較した場合に、圧倒的にエネルギー省のものの方がすぐれていた。なぜ日本のシステムが使えないのかということについて、大変、本当に厳しい状況に直面をいたしました。  そのときに感じましたことは、例えば日本のシステムも、もともと決して悪いシステムではなかったんですけれども、載っけるヘリがこのヘリだけと決まっていて一機しかなかったり、実際にはかったときにどうそれを全体にマッピングしていくかというシステムがなかったりするんですね。これは、なぜそういうことになっているかというと、現実的に事故が起こったときに、それをどう運用するのかという具体性を欠いていたことに原因があります。  ですから、もう一度、今御指摘のヘリのシステムであるとか、重要免震棟などもそうですけれども、足りないところがどこなのか、この事故を前提として、起こったときにどう対応するのかという観点から見直していく必要は、これは非常に大きなものがある、その必要性については痛感をしておりますので、御指摘を踏まえてしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
  75. 柿澤未途

    柿澤分科員 過去の経験を持っているベラルーシ、ウクライナ、こういう国々の知見を十二分に生かしてほしい、再度申し上げて、時間も超過しておりますので、質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  76. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて柿澤未途君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  77. 佐々木隆博

    佐々木主査 農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。鹿野農林水産大臣
  78. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 平成二十四年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。  初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。  昨年来、東日本大震災を初め、集中豪雨や台風、大雪などの災害に見舞われ、農林水産業への被害が相次ぎました。大震災に伴う原子力発電所事故による被害もいまだに続いております。災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に改めて心よりお見舞い申し上げます。  本年は、東日本大震災からの本格的な復興、原発事故からの復旧復興を進めることが最大、最優先の課題です。これらの復旧復興に向けた取り組みを進めるため、昨年成立しました第三次補正予算に加え、平成二十四年度の当初予算案においても必要な予算額を確保することといたしております。  本年は、これらの予算を現地において着実に活用し、復旧復興に向けたつち音を確実に響かせなければならないと考えております。被災地の状況をしっかりと捉まえ、被災された皆様とともに、復旧復興に取り組んでまいります。  その際、津波の被害や原発事故によって、長年にわたって耕してきた農地、育んできた森林、培ってきた漁場などが使えなくなっている人たちの思いをしっかりと受けとめなければなりません。一日も早く農業、林業、水産業を再開でき、日常の暮らしを取り戻せるように取り組まなければならないとの思いを新たにいたしております。  大震災を契機に、食料を供給する農林水産業が国民生活にとっていかに重要であるかが再認識されました。政府としても重く受けとめており、農林水産行政を担当する閣僚として緊張感を新たにいたしております。食と農林漁業の再生を早急に実現し、活力に満ちた、魅力ある農林水産業をつくります。このことが我が国の新たな光を生み出すことにつながるものと確信いたします。  このような思いから、昨年十月には我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画を取りまとめ、必要な施策を五年間で集中展開することといたしました。  次に、平成二十四年度農林水産予算について御説明いたします。  平成二十四年度における農林水産予算総額は、関係府省計上分を含めて、二兆三千二百八十四億円となっております。  まず、東日本大震災からの復旧復興対策に係る予算として、千五百五十七億円を計上しております。  被災した拠点漁港の流通・防災機能強化、農地の復旧や農業水利施設の耐震性強化、農林漁業者の経営再開に向けた取り組みへの支援、海岸防災林の再生などの被災地の復旧復興対策、農地、森林等の除染技術の確立や農林水産物等に対する放射性物質の検査の実施及びその結果の消費者への適切な情報提供などの原子力災害対策について、万全を期すこととしております。  次に、基礎的財政収支対象経費に係る予算として、二兆一千七百二十七億円を計上しております。その内訳は、公共事業費が四千八百九十六億円、公共事業費以外の経費が一兆六千八百三十一億円となっております。  農林水産予算の編成に当たっては、既存予算の徹底した見直しを行うとともに、基本方針・行動計画に基づく施策予算の重点化を図ったところです。  以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  79. 佐々木隆博

    佐々木主査 この際、お諮りいたします。  ただいま鹿野農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 佐々木隆博

    佐々木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  81. 佐々木隆博

    佐々木主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  82. 佐々木隆博

    佐々木主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
  83. 小野寺五典

    小野寺分科員 自由民主党の小野寺五典です。  先般の予算委員会質疑で、福島原子力発電所事故の農林水産物に与える被害、風評被害について質問をさせていただきました。きょうもそのことを中心にお伺いをしたいと思います。  まず、二月の二十日の予算委員会で、この福島原子力発電所の事故による風評被害で牛肉の価格が低落をし、あるいは、一部、出荷制限でずっとできずにいて、この方への補償についてお伺いをさせていただきました。  その補償が、もう二週間たちましたので、どのように行われているか、まだ一回目の補償しか出ていないという前回の状況がございました。あのとき出席した東京電力の社長は、誠意を持って対応するというお話でしたが、その後どのような支払いが行われているか、お伺いしたいと思います。
  84. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 過般、御指摘いただきました、いわゆる宮城県の畜産産業に対する賠償金の支払い状況でございますけれども、三月一日の時点におきましては、一次請求、二次請求、三次請求が行われまして、十月までの請求につきましては支払いが行われております。その後、四次請求十二月に、五次請求一月に、六次請求が二月の二十四日と、三回にわたりまして請求が行われておりますが、いまだこの支払い額はゼロでございます。  そういう中で、今後、一刻も早く、この支払い請求に対しましてきちっと支払えるよう、農林水産省といたしましても、できるだけの後押しをしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  85. 小野寺五典

    小野寺分科員 けさも東京食肉市場に問い合わせましたら、やはり被災県の畜産、特に牛肉については、価格低迷が続いている、これでは農家は採算が合わないと。これは流通業者の方も大変心配をしておりました。  考えますと、十月までしか払われないというと、十一、十二、一、二、ここがまだ四カ月も支払いがされていない。そして、十一月にようやく、初めて出荷できた農家もいらっしゃいます。そうすると、まだ一銭も実はこういう方に補償が支払われていない。  私は、こういうことをやはり農水省がしっかり聞いていただいて、かわりに、むしろ東京電力にどんどん督促をしていただく、そういうことが大事だと思いますが、しっかり対応していただくことをもう一度確認したいと思います。
  86. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 数回にわたりまして連絡会を開きまして、この賠償の早期支払いについて、農林水産省といたしましても、東電の方に対しまして申し入れを行ってきたところでございますけれども、今、小野寺先生からの御指摘もございますので、さらに東京電力に対して、社長からも過般、小野寺議員の質疑に対しましても、誠意を持って応えてまいりたい、こういうふうな話でもございましたから、農林水産省といたしましても、重ねて、この賠償金の早期支払いについて強く後押しをしてまいりたいと思っております。
  87. 小野寺五典

    小野寺分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  それからまた、そのときにも質問をさせていただきましたが、ことしの四月一日から、食品に対する放射性セシウム基準値、この厳格化が行われることになります。となりますと、食品が厳しくなれば、例えば牛肉や牛乳やさまざまな農産物、このことに関しても、当然、同時に基準を厳しくしなきゃいけない、そういうことだと思っております。  二月の三日、このことについてさまざまな通達、通知を出したというふうにも伺っておりますが、例えば餌について、今後どのような厳格化を、現在も指示をしているのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  88. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 新基準値に基本的には適合する牛のみが屠畜されるように、関係者に対しまして、いろいろ指導をさせていただいているところでございます。  仮に屠畜後に百ベクレルを超過する牛肉が見つかった場合は、当該牛肉の出荷自粛を要請するとともに、実質買い上げて処分する事業措置してまいりたいと思っております。
  89. 小野寺五典

    小野寺分科員 今お伺いしたのは餌なんです。餌を当然厳しいものにしないと、牛肉に最終的に出てしまうから、餌についてはどのような基準を示したかを教えてください。
  90. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 二月の三日でございますけれども、牛の飼料の暫定許容値を改定する通知を出しました。今までは三百ベクレルということでございましたけれども、これが百ベクレル、こういうことになるわけでございます。  その通知を出しました後に、いわゆる新許容値を下回る粗飼料への速やかな切りかえ等がなされるように周知を徹底しておるところでございます。
  91. 小野寺五典

    小野寺分科員 三百ベクレルから百ベクレルに下がるということは、実は、草地は今まで三百ベクレルまで大丈夫だということで牧草を皆さん扱っておりました。この牧草が、今後使えませんから、当然農家にたくさん滞留するということになるんだと思います。  今、汚染稲わらも、例えば宮城では、八千ベクレルの問題で、約四万六千個、あの大きなロールが残っております。それに加えて、今回、牧草についても、恐らくこれはどこかで保管をする、どこかで処理をするということになると思うんですが、三百から百に下がったということは、三百から百の間の今用意している多くの牧草については、どのぐらいの量があって、今後どういう処理をする方向なのか、教えてください。
  92. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 いわゆる規制値の切りかえによりまして必要となります代替粗飼料の確保というふうなことがまず大変重要なことだと思っておりまして、これは輸入業者に協力を要請いたしておるところでございます。  それから、利用できなくなるところの今お話しの牧草につきましては、焼却なり、すき込み等なり、あるいは牧草への移行低減のための反転耕などをやっていただく、こういうふうなことで指導させていただいているところでございます。  どの程度の数字というふうなところは、今ちょっと具体的な数字は持ち合わせておりませんので、また後ほど私どもの方から御報告をさせていただきたいと思います。
  93. 小野寺五典

    小野寺分科員 三百から百に下がるということで、当然、餌が必要です。その餌の供給については、今大臣、しっかり対応するとおっしゃいました。  これは、農家の負担なしで供給していただける、そう理解しておりますが、例えば、今この餌の問題で困っているのは、当然、もう酪農の方は、既に牧草については、今回、基準値をかなり厳しいものに切りかえております。問題は、肥育農家が、今までも三百まで大丈夫ということで供給をしておりました。この人たちに十分な餌が与えられる、そのぐらいの量が本当にあるのか。そして、この餌の代金についてはちゃんと、東京電力の補償になるのか国が持つのかわかりませんが、全て農家の負担にならないということでよろしいんでしょうか。
  94. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 基本的には、相当緊急を要することでございますので、いわゆる輸入によっての粗飼料というものを確保しなきゃならないと思っております。その際には、当然のことながら、東京電力に対する、賠償というふうなことによって支払われていくように、私どももさらに後押しをしていきたいと思っております。
  95. 小野寺五典

    小野寺分科員 再度確認しますが、これが農家の負担にならないということ、それを大臣の言葉からしっかり言っていただきたいと思います。
  96. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 農業者、農家の方々の負担にならないように、私どももできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  97. 小野寺五典

    小野寺分科員 できるだけではなくて、負担にしませんと、もう一言つけ加えていただけないでしょうか。
  98. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 負担にならないように、東京電力に、しっかりと賠償するように私どもは取り組んでまいります。
  99. 小野寺五典

    小野寺分科員 大臣のお人柄を信じておりますので、よろしくお願いいたします。  それからもう一つ、実は餌が、当然、レベルが低いといっても、三百ベクレル以下の、百ベクレル以上のものが牧草として残ります。そして、私ども、以前もたしか、汚染稲わらの処理について、これは環境省基準によって燃やしてもいいし、すき込んでもいい、そういう指示があったんですが、結果としては、これはやはり、自治体、とても燃やせないし、すき込めないということで、いまだに四万六千個、宮城だけで残っているわけですよ。  そうすると、今大臣おっしゃったように、この餌について、燃やしていいよと指示を出して本当に燃やしてくれるかどうか、あるいは、すき込んでいいよといって本当にすき込んでくれるか。これは今後、畑や農地で生産するものの基準もさらに厳しくなりますので、例えば、すき込んでしまったら、これはやはり不安だと思います。  いずれにしても、餌についても牧草についても何らかの処理方針を出さなきゃいけないと思うんですが、燃やすとか、すき込むとかということで単純には処理できないと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 基本的な考え方を私ども発出させていただいているわけでありますけれども、今先生のおっしゃるとおりに、やはり地域方々のお考えというふうなものもございますので、今後、この基本的な取り組みにつきましては、当然のことながら、地域方々、自治体とも丁寧に説明をさせていただきながら取り組んでいかなきゃならないことだ、こんなふうに思っているところでございます。
  101. 小野寺五典

    小野寺分科員 これはぜひ環境省としっかり御相談していただきまして、どうも環境省というのは、常に自治体任せ。でも、今回の汚染稲わらの問題というのは農家ですから、農家がやはり直接いろいろな不満をぶつけるのは農水省、大臣になります。環境省責任を回避することによって、結局、農家や農林水産省がいろいろな面で直面するという問題は、私どもも本当に腹が立って仕方がありません。  ぜひ、もし環境省がこれを所管するのであれば、しっかり、環境大臣、人任せじゃなくて、あなたが出張って、きちっとこの牧草についても、対応について、自治体の皆さんに理解していただくような努力をやってくれと、むしろ大臣の方から環境省の方に伝えていただきたいんです。
  102. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 環境大臣に対しましても申し上げていきたい、こう思っておりますが、農林水産省といたしましても、大変重要な課題でございますので、ともに一体的な取り組みで、今後、関係自治体ともしっかりと、丁寧にお話し合いをさせていただいて、一歩でも二歩でも早く前進するようにしてまいりたいと思っております。
  103. 小野寺五典

    小野寺分科員 しっかりお願いします。  それから、後ろ向きの話ばかりしても仕方がないので、例えば、これからの牧草の確保ということに関しては、大臣もおっしゃるように、反転耕というのがどうしても必要になります。土を掘り返して、そして、表面に残った今回の放射性セシウムが、ある面では、循環、ミックスさせることによってその濃度が低くなるということで、ことしの秋以降の牧草が健全な形になっていく。それが私どもの目的だと思いますが、この反転をするのにも当然予算が必要になります。  これを農家に任せるのは大変だということで、実は、農家の方でこういう声が随分上がってきています。今回の反転耕について、この補助というのが、どうも国が半分しか出さないようだ、東京電力の被害の問題で、いわば除染のような問題なのに、どうしてこの費用が半分は農家負担になるのか。  私は、これは全て国が負担してやるということを明確にしていただくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 この点につきましては、十分の十の補助ということで行うことにいたしておりますので、このことは、これからも農業者の方々にも御理解いただくように丁寧に説明をしてまいりたいと思っております。
  105. 小野寺五典

    小野寺分科員 今、十分の十、全額これは国が負担をするということで伺いましたが、それに見合う予算というのは、今回、手当てされているんでしょうか。
  106. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今回の予算措置でございますけれども、食品衛生法に基づく基準値の見直しを見据えて、飼料の暫定許容値を見直すことによりまして、除染が必要となる百ベクレル以上の粗飼料が生産される農地は、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染重点地域とほぼ重なっております。そういう意味で、この汚染重点地域におきましては、市町村の除染計画に基づいて、環境省除染事業を行うということになります。  一方、汚染重点調査地域以外の地域におきまして、今後、二十四年産の牧草のモニタリング調査を行ってまいります。そして、除染が必要だというふうな面積を精査してまいります。そして、明らかになった場合は、きちっとそのところにつきましても除染、対処してまいりたい、こういうふうに思っております。  ゆえに、環境省予算はそこできちっと計上されておりますし、また、農林水産省予算といたしましても、東日本大震災農業生産対策交付金としてこれは計上させていただいておりますので、予算は、しっかりと、取り組む上において支障のないような形で計上されているものと思っております。
  107. 小野寺五典

    小野寺分科員 これは宮城県にちょっと確認した数字だったんですが、今回、宮城県の中で対象としているのは、草地は約一千六百ヘクタールというふうに伺いました。ところが、実際、農家の方、それからモニタリングを今しているんですが、そこのいろいろな状況を見ると、三百から百に下がるということで、かなりのところで、かなりの面積でもしかしたらこの反転耕が必要なことになる可能性がある。これは現実にそういう声が今農家から上がっております。そうすると、宮城県だけで約一万二千ヘクタールあるんですよ。大変な面積になります。  もしこれが、全てとは言いませんが、このかなりの部分が今回反転耕が必要なエリア、あるいは、もしかしたら、例えば、農家が自主的に、やはり今回基準は低いけれども、例えば八十ベクレル出ました、七十ベクレル出ました、そうしたら反転耕して安心したいんだ、こういうところ、自分たちがやりたいところまで本来は支援すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今の件につきましては、重ねて申し上げますけれども、除染が必要かどうかというふうなところにつきましては、そういう面積をしっかりと精査してまいりたいと思います。  そして、今、具体的な形での取り組み東日本大震災農業生産対策交付金を活用して、先行的に取り組みというものを進めるということでございますけれども、除染費用に対する東電の賠償がこれまた迅速に行われるように、そのスキームそのものも確立してまいりたい、こういうふうに思っております。
  109. 小野寺五典

    小野寺分科員 大臣にお伺いしますのは、反転耕という作業、これは、例えば、これだけあれば一万ヘクタールぐらい必要だとか、千六百でもそうですが、これは一体誰がやることになるんでしょうか。
  110. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 具体的に誰がというのは、いわゆる作業そのものでございますか。(小野寺分科員「作業です」と呼ぶ)それは、関係市町村とも連絡をとって、実際にどういうふうな形でやっていくのが一番望ましいかというようなこと等々は、当然、自治体の方々とも、関係者の方々とも打ち合わせをしていかなきゃならないと思っております。
  111. 小野寺五典

    小野寺分科員 多分、私が常識的に考えると、今これだけ震災被災で大変な状況になっていて、土木業者の方にこれをお願いしても、とても手が回らない。そうすると、最終的には、農地を持っている農家の方、この方がやって、そのことの作業代とか、あるいはかかった費用とか、こういうことを手当てするということが一般的なやり方ではないかと思うんです。  正直、きょう心配しているのは、具体的に誰がこれをやってくれるのか、そのことについて、もう少し詳しくお伺いしたいと思うんです。
  112. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 現場におきましては、生産者の方々なり、あるいは農業公社などと検討をさせていただいているところでございますけれども、さらに詰めさせていただきたいと思っております。
  113. 小野寺五典

    小野寺分科員 農業公社あるいは現場というお話がありましたが、これは現場の声で聞いていただきたいんです。  実は、自分たちが例えば反転耕をしていい、そして単当幾らという作業代も入る、だけれども道具がないんだと。実は、農家には、この反転耕をするプラウという、そういう機械を通常持っている方はそんなに多くないんですよ。そうすると、今後これをお願いするときには、例えばこのプラウという機械を、これは農家全部に上げる必要はないとは思うんですが、幾つかの農家、農協で幾つか用意して、トラクターを皆さん持っていますので、後ろにつければ、たしかこれは数十万とかそんな規模でできると伺っております。こういう手当てというのが実際にないと、これだけの面積を一気に私は反転耕できないと思うんですが、具体的なそういう手当てについて、もう少しお伺いしたいと思います。
  114. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 重ねて申させていただきますけれども、どの程度の除染の面積になるのかということは精査させていただくわけでありますけれども、今先生からの御指摘のとおりに、相当面積が大きいということになりますならば、当然、機械等々は他県からも借り入れをしていかなきゃなりませんし、また、場合によっては改めて購入もしなきゃならないというふうなこともあると思います。  また、農業者の方々が実際にそういう作業にかかわっていただけるかどうかというふうなことも、当然農家の人たちとも話し合わなきゃなりませんし、それは自治体の協力も必要でございますので、引き続いて、私どもといたしましては、生産者なり公社の方々とも話し合っていきたいと思っております。
  115. 小野寺五典

    小野寺分科員 ぜひ具体的に、農家の方がもし作業をする、恐らく土木関係の方が今手いっぱいですから、そうすると、何が必要か、それを早く調査していただかないと、恐らく、ことしの春、夏までに大体この作業をしないと秋の状況には間に合わなくなりますので、そういう時間を区切って、農家の現地の状況を詳しく調べて対応していただきたい。  そして、今、実は、被災県それぞれ、県の方も大変忙しい、市町村の方も大変忙しい。ですから、例えば調査に余りいろいろな負担がかからないように、むしろこちらが被災者に寄り添うような気持ちで対応していただくことが大切だと思いますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思っております。  また、今、予算も大丈夫というお話がありましたし、餌も大丈夫ということで一応安心はしているんですが、また現地で、いや、餌代が出ないぞとか、東電が渋っているぞとか、そういう声が聞こえないように、大臣にはしっかり対応していただきたいと思っております。  さて、今回、もう一つ心配なのは、肉の基準が厳しくなるということによって、今まで流通している業者も測定をしています。ですから、例えば食肉市場でも流通業者でも、それぞれ自前で簡易型の検査器というのを買って、そして検査をしている。  ところが、今回、基準が厳しくなると、今までのような例えばシンチレーションのような簡易型の検査器では測定するのに時間がかかる、あるいは、測定限界をこれから下げてしまうということになると、その能力には限界がある。言ってみれば、はかるのが大変だ、だったら、初めからこの被災地の牛肉については産地として扱わない、ほかの牛の肉を扱った方が手間もかからないし楽だ、こういうことが別な風評被害で今後出てくる可能性が大変実は高くなっています。そして、産地の市場もこのことを大変心配しております。どのような手当てを今後考えられているでしょうか。
  116. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今の小野寺先生からの御指摘の件につきましては、よく、農林水産省といたしましても、実態、実情というふうなものをしっかりと把握をするというふうなことが大事でございまして、今後、当然、各県のそういう現場におきましてお願いをさせていただくというふうなことになるわけでありますけれども、より状況というふうなものを捉まえる意味におきまして、各自治体の方にも迷惑がかからないような形で、積極的にこちらから足を運びながら、実情というふうなものとの適合した対応ができるようにしてまいりたいと思っております。
  117. 小野寺五典

    小野寺分科員 このような器材の充実とか、そういうこともとにかく大切だと思います。そして、既にそういう被災地の牛肉を避けるような、そういう動きがあったら、速やかに、敏感に、感度よく注意を促すような、そういう体制も必要だと思います。  そして、もう一つ心配なのは、今回の基準は、例えば牛肉に関しては五百ベクレルが百ベクレルになります。そして、この基準が出されるのは四月一日、だけれども、実際に適用されるのは十月一日ということになります。半年間の猶予がある。  ところが、消費者の方、扱う流通の方、四月一日から厳しくなる、だけれども法律的には十月一日から、その間について、いや、これは四百ベクレル、三百ベクレルだから大丈夫なんだよという形で流通するかというと、私はそんな甘いものじゃないと思いますよ。当然、基準値以下でも、出たら、その牛は多分値段がつかなくなる。  では、これが今回、東京電力の補償の対象になるのかどうか。法律の基準からいったら、基準値以下ですから大丈夫、だけれども、実際の流通では、基準が下がってこれはどうなの、この差額については補償の対象となるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  118. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今おっしゃられたとおりに、いわゆる法令的な、実質的な実施というものは十月ということでございますけれども、我々としては、やはりそういう新しい規制値になりますと、こういうふうなことを見据えて取り組んでいかなきゃなりませんので、当然のことながら、賠償につきましても、そういう場合は賠償の対象になる、こういうふうに認識をいたしながら、東電とも話し合っていかなきゃならないと思っております。
  119. 小野寺五典

    小野寺分科員 実は米にも同じようなことがありまして、今回五百ベクレルから百ベクレルに下がりました、作付してもいいですよと。五百から百の間については、全量検査すれば、とりあえず基準を見て生産できるかもしれない。そういういろいろな、片方では緩和みたいな話があるんですが、市場はそんな甘くはありません。少しでも数値が出れば、その数値を表示しなきゃいけない。百ベクレル以下でも、八十ベクレルだ、七十ベクレルだと、これは表示しなきゃいけない。表示をされると、消費者はその米は買いません。ほかの米を当然買う。値段はかなり下がる。そういう状況が今後続くんですよ。  ですから、基準値以下といっても、決して、基準値以下だから買ってくれるわけじゃない。では、この補償は誰がするんだ、その下がった差額は誰がするんだ、これは農水省がしっかり東京電力なりそういうところに請求をする、その後ろ盾になって、かわりに農家に払ってやるぐらいの気持ちでお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  120. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今私申し上げましたとおりに、そのケースの場合も、今先生からの御指摘のケースの場合も賠償の対象になるというような考え方を基本として、当然のことながら、東電ともしっかりと話し合いをしてまいりたいと思っております。
  121. 小野寺五典

    小野寺分科員 今回、基準が下がることによって、例えば牛肉の基準の測定、今までは五十ベクレルを最低値にしましたが、二十五ベクレルまで多分しなきゃいけないだろう、こういうことになると、簡易型の測定器では従来の三倍の時間がかかるらしいんですよ、検査するのに。二十四時間やっても、せいぜい五検体か六検体しか調べられない。そうすると、調べられないものがたくさん出てくる。  また、仮に二十五まで下げてしまうと、数値が出ます、五十ベクレルなり七十ベクレルなり。そうすれば、基準値以下であっても、数値が出るということは、当然価格が下がる。米だってそうなんです、野菜だってそうなんです、牛肉だってそうなんです。  ですから、今後考えなきゃいけないのは、基準値以下でも、数字が出たら、これは大変だ。そして、基準値以下のものであれば、東京電力は本当に賠償してくれるでしょうか。農家は、数値が出たら、多分市場は扱わない。これをどう対応されるおつもりですか。
  122. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 基準値以上のものについては、もちろん、問題なく損害賠償の対象である。そして、風評被害と言われるものは、基準値以下のものについて、やはり損害賠償の対象として考えなければならない。これは、審査会の方でその基準を既に出しているわけでございまして、今度の百ベクレルは新しい基準ですから、それ以上のものについては、もちろん、風評被害以上に強い意味で損害賠償の対象になると思います。  そして、その百ベクレル以下、今先生が言われた、数値がもっと低いもの、これもやはり放射性物質を原因として売れなくなった、通常そういうことはあり得るわけでございますから、これも損害賠償の対象として当然請求していくものだというふうに分類しております。
  123. 小野寺五典

    小野寺分科員 筒井副大臣にぜひお願いしたいのは、実は、今回の審査会では、福島と茨城は農林水産物という範囲でこの対象になっているんです。ところが、例えば宮城とか岩手については、牛肉については今回、風評についてのこういう賠償の対象になっていますが、例えば米とか、農産品に関しては風評の対象からまだ除外されているんですよ。  一次答申ということで、最終的に入っていないんですが、むしろ、こういう状況であれば、基準を厳しくするのであれば、逆に、この審査会の中に、当然予想される宮城とか岩手とか、そういうところも入れるようにお伝えしていただけないでしょうか。
  124. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 先生のおっしゃるとおりだと思います。ただし、審査会の出した基準というのは、これは別に、それに限定されるわけではない、これはもう明確に賠償の対象なんだということを明らかにしたものでございますから、あの基準に出ていないものも、もちろん損害賠償請求の対象になるわけでございます。  ただ、先生がおっしゃるように、審査会の方でそのことを具体的に指摘してくれた方が損害賠償はよりやりやすくなりますから、入れるように要請をしていく、そういう活動は必要だというふうに思っております。
  125. 小野寺五典

    小野寺分科員 厳しくなるということは、厚労省は消費者に向けて、確かにこれは大切なことでしょう。ですが、生産者は、それによってまたいろいろな厳しい状況になってきます。それを守るのが、味方するのが農林水産省、皆様のお仕事だと思いますので、ぜひそれをお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  126. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて小野寺五典君の質疑は終了いたしました。  次に、城内実君。
  127. 城内実

    城内分科員 自由民主党・無所属の会の城内実でございます。  本日は、TPP、そして林業の問題、さらには内水面の問題等について御質問させていただきたいと思います。  まず、私の地元、静岡県浜松市、湖西市というのは、農業生産高で日本有数のところなんですね。本当に日夜、先般も若手の農業者から、城内さん、何とかしてください、そういう声をしっかりと聞いてまいりました。  まず一つ、彼らが不安に思っているのは、TPPであります。  このTPPについてですけれども、もちろん、我々人間は、特に日本人は、野菜や果物だけでは生きてまいるわけにいきません。穀物、なかんずく米、そして肉、これを主食として生きているわけでありますが、私は、米のような戦略的に重要な品目には当然関税をかけて当たり前だという立場であります。  我が国の豊かな水田のこの風景を見るにつけ、これは、もちろん環境に対する貢献だけではなくて、まさに景観の維持もそうですし、極めて多目的な意味があるわけですから、これを守らずして何を守るんだという感じがいたします。  他方、米農家のみならず、その他の農業者の皆さんにつきましても、急激な市場開放は彼らをまさに窮乏のふち、どん底に落とす、そういう危険性があります。そういう不安をみんな、私の地元のみならず、それこそ北から南の日本国じゅうの農業者の皆さんが感じているのではないかと思います。  そもそも、日本と例えばアメリカやオーストラリアのような国と比べてみますと、耕地面積は恐らく一対五十とか一対百と言われておりまして、そういう条件の中で対等に競争するなんというのは無理であります。  中には、頑張って品質をよくすればいいんだ、こういうことをおっしゃる方がおります。確かに品質をよくして外国のいわゆる金持ちの人に買ってもらうということは、これはやる気のある農家の方にとっては本当に誇りでありますけれども、じゃ、全ての品目においてそんなことができるかというと、そんなこともありません。  例えば簡単な例を挙げると、じゃ、品質を三倍にした、三倍品質がよくなった、そういう農作物があって、でも、品質は悪いけれども価格が十分の一だというのがお互い競争できるかというと、まず価格が十分の一の方が売れるに決まっているわけですから、そういう抽象論、暴論がまかり通っていることを私は本当に許せないというふうに思っております。  さて、大臣にお伺いしますが、二月十四日の記者会見で、大臣は日豪EPAについて、米、小麦、乳製品、砂糖など重要品目の関税撤廃を認めないと明言されたと伺っております。私、これは、大臣よくやったなと評価しております。  他方で、多国間協定であるTPPについては、センシティブ品目について政府が事前協議の結果について報告しております。その報告によりますと、交渉参加の段階では関税撤廃からの例外や除外品目の提示を認めず、関税撤廃までの期間を長く設ける段階的撤廃を示しております。  交渉参加の段階で、ネガティブリストの提示を許さないとまさに言われているわけです、米国以外の国からも。それでも、それにもかかわらず交渉参加した場合、米あるいは肉のような重要な品目についても関税は段階的に撤廃されることになりますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。     〔主査退席、近藤(和)主査代理着席〕
  128. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 まず、日豪のEPAにつきましては、国会の決議というふうなものもございますので、そういう国会におけるところの決議というものをきちっと受けとめてやっていかなきゃならない、こういうふうな私自身の基本的な考え方を申し上げたところでございます。  それから、TPPにつきましては、先生からいろいろとお話をいただきました。本当に言うまでもなく、交渉参加に向けて今協議を行っておりますが、御承知のとおりに、今先生から御指摘されました米や牛肉等の重要品目についても、どの程度の関税撤廃が求められるかというようなことは、これからも話し合いを通して把握するというようなことになるわけでありますけれども、これまでの協議という中で相当厳しい考え方が示されておる、こういうふうなことも私自身も承知をいたしております。  そういう中で、アメリカ等々は、パブコメを受けて具体的に分析をして我が国に何を求めるかというようなことを提示していきたい、こういうふうなことでありますから、今後、関係各国はもちろんでありますけれども、そういう中でも、我が国に対する求め方というものをどう受けとめるかというようなこともしながら、国民の人にその情報を開示して、そして国民の人たちにも議論していただくというふうなことも大事なことだと思っておりますので、引き続いてこのTPPの問題については、緊張感を持って私どもは取り組んでいきたい、こう思っているところでございます。
  129. 城内実

    城内分科員 大臣、これは我が国の国益にかかわることですから、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、御承知のとおり、TPPというのは、農業とか事業者だけじゃなくて、まさに金融サービス、二十一分野にわたる大きな交渉事ですから、ここだけは絶対守るというのは守っていただかないと、本当に何のためにTPPに参加するかわかりません。  農業の、例えば米とか肉については、もしこれが我が国の方針と違うような動きになるのであれば、逆に、TPPは撤退しますと言っていただいて結構ではないかと私は思うんです。  次に、TPPについて、林業への影響をお伺いしたいと思いますが、TPPに参加すれば、木材輸入の関税も当然すぐに、あるいはよくても段階的に撤廃されるわけであります。我が国の木材、特に合板の輸入先ですが、その輸入先の国を見ると、中国を除いて、TPPの参加国ばかりなんですね。  合板や集成材につきましては、国産材の需要拡大をまさに農水省が中心となって進めているというふうに私は理解しておりますが、これは大変結構なことです。TPPに参加することによってこういった動きに水を差すことになるんではないですか。その点についての見解をお伺いします。
  130. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 現在、丸太等一部のものは既に関税ゼロになっておりますが、先生が今おっしゃった合板、集成材等は関税があるわけでございまして、それが万一ゼロになった場合に、当然影響が出てくるわけでございます。  農水省は、以前に、全世界を対象として、関税がゼロになった場合の林業への影響額はどのぐらいかという試算をいたしましたが、そのときに、先生御存じのとおり、五百億円生産が減少する、こういう影響額を試算しております。
  131. 城内実

    城内分科員 今の御答弁があったように、だからこそ、やはりこういう守るべきところ、特に林業もそうなんですけれども、TPPに参加することによって我が国の林業が衰退してしまうということにならないように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さらに、林業の関連の質問でありますけれども、民主党政権になりまして、森林・林業再生プランというものが発表されました。私も、一年生議員の当時、農林水産委員として積極的に林業の問題について携わってまいりました。そういう意味で、私は非常に高く評価しているんですね。  十年後の木材自給率五〇%、これを本当にぜひとも達成してほしいんですが、やはり現状での達成度というのはまだまだそこまでいっておりませんけれども、その点について御認識をお尋ねしたいと思います。
  132. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 まさに森林の公益的機能と木材の生産という大きな目的を達成したい。そのためには、今言われました自給率五〇%、何としてでも実現をしなければならないわけでございまして、そのための方策としては、資源管理直接支払い制度、これも導入をしたところでございますし、さらには、公共建築物等における木材活用推進法、これも成立して、今そのもとで進んでいるところでございますから、それらもやっていきたい。  そして、今度の補正予算の方では、間伐材等を利用した、あるいは被災地における木質系の瓦れきを活用したバイオマス活用、バイオマス発電や、あるいはセルロースによるエタノール燃料等の製造も含めてでございますが、それらの活用も推進していきたいというふうに、今、具体的に予算をつけて、その事業を進めているところでございます。
  133. 城内実

    城内分科員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  また、森林の集約化についてですけれども、本予算における関連予算額及び過去の執行額との増減について調べてみましたら、三百十三億円ということで、かなり積極的な予算措置であります。私は、こういったことは非常に評価しております。  とはいえ、集約化を進める上で、まさに生産効率ばかりが強調されるべきじゃないと私は考えるんです。地域によっていろいろ条件が違いますし、歴史や文化、環境条件、やはりこういったことをきめ細かく見きわめながら、つまり、何が言いたいかというと、各地域の地元の関係者の要望、意見、こういったものをしっかり聞いていただいた上で、きめ細かい対応を進めていただきたいというふうに思いますが、この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  134. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 集約化は効率化のために必要だと思っておりますが、もちろん、先生のおっしゃるとおり、それは森林所有者、地域皆さんの合意形成が前提となりますから、そのためのいろいろな調査やあるいは境界の画定や、それらの作業をしながら合意形成にまず努めていきたい、その上で集約化を図っていきたい、これが今の農水省の方針でございます。
  135. 城内実

    城内分科員 副大臣、ありがとうございます。  次の質問に移りたいと思いますけれども、私は、例えば間伐材の名刺を使ったり、あるいは、木育という観点から、子供たちが知育、体育、徳育、食育に次いで、木になれ親しんで木に対する理解をする。例えば、一部の人たちは、間伐材を使うと何か環境を破壊しているんだというふうに理解していますけれども、そうじゃないんですよ、間伐材を使うことによって循環型の社会ができて、それが森林にとってもプラスなんですよということをもうちょっと教え込まないと、誤解が余りにも広がっているんです。  この点について、今の木育の現状について御説明いただきたいと思います。
  136. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 基本計画で木育を進めるというのが今の農水省の方針でございますし、間伐材を活用した、先ほども申し上げましたバイオマス事業等々、これはもちろん間伐を進めることにつながりますし、それが森林整備につながるわけでございますから、環境を壊しているなんというのは全く逆の話だと私も考えております。  そして、先ほど申し上げました公共建築物における木材活用法、これが、例えば小学校とか幼稚園とかそういうところで木材を活用していく、そうすると、子供の心と体に非常にいい効果が出てきているという報告がいっぱい出てきているわけでございます。それもまさに実地における木育になっているというふうに思うわけでございますから、それを、今現在も進めておりますが、さらに拡充して進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  137. 城内実

    城内分科員 今副大臣から前向きな答弁がございましたが、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  私は、昨年十月二十六日の文部科学委員会におきましても、この問題を取り上げました。  その際、当時の中川文科大臣が、私の木造校舎の建築推進をという質問に対して、ぜひとも進めていきたい、こういう答弁をされましたので、関係省庁、農水省、文科省、協力し合ってやっていただきたいと思います。  現に文科省のアンケートでも、防火上の規制等が緩和されれば校舎の木造化に関心があると答えた方々は実に五六%もおりまして、関心は極めて高いというふうに私は思っております。  ぜひ農水省として、防火規制を所管する総務省とも協議していただいて、これから新しい校舎を建てるにはできるだけ国産材、地域材を使って、これは副大臣おっしゃったように、心と体、ストレス解消、これは物すごいいい効果があるということは科学的に証明されているんですよね。例えば、鉄の中に人がいるのとコンクリートと木の場合は、木が圧倒的にいいんですね。これは動物でもそうです。ですから、こういうことでぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  最後に、この林業の問題についてですけれども、私は、今の林業の再生を妨げている最大の要因というのは、人的な問題があると思います。いわゆる高齢化と後継者不足。そして、質的には間伐が十分になされていない。さらに、物的には予算及び法制度がもう時代に合わなくなっているというふうに私は考えておりますが、こうした状況にあって、先ほど述べたように、やはりTPPに参加するなんということになれば、まさに日本の林業は、繰り返しになりますけれども、衰退するんじゃないかなという感じがいたしました。  こうした現況に対しまして、抜本的な対策を講じていただきたいというふうに私は考えます。  例えば、国有林と民間林、こういう垣根があって、いろいろと整備保全する上で障害があるというふうに伺っておりますけれども、この点について何か改善策というのは行われたんでしょうか。
  138. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 今、国会に提出予定の改正法案で、国有林と民有林の一体的な整備を特にこれから進めていきたいということで、新しく、今までもある程度取り組んでいたんですが、それをさらに本格的に取り組むという方向での法改正をやろうとしているわけでございまして、ぜひ、この法律に関しましても、先生の御理解をいただきたいと思いますし、先生がおっしゃるような方向でやっていきたいと農水省は考えているわけでございます。  TPPのことも言われましたが、以前に丸太等が関税ゼロになった、あれによって森林、林業、山村が大分疲弊した大きな原因になっていると私は思うんです。だから、そのことを今後もやはり考えていかなければいけないというふうに思っております。  今、法案を提出する予定と言いましたが、国会に提出済みでございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  139. 城内実

    城内分科員 今副大臣が、丸太あるいは製材品だと思いますけれども、既にまさに自由化されてしまって大変な大打撃を受けられたという御認識、全くそのとおりでありますので、繰り返しになりますけれども、合板についてもしっかりとこれを守っていただかないと、日本の国産材というのはもう衰退の一途をたどってしまうというふうに思っております。  もう一点、森林の問題について質問させていただきたいと思うんですけれども、今、人工林が各地にあります。私の地元にもいわゆる天竜美林ということで、日本最大の人工林ですけれども、山があって、ただ、急峻なところまでいっぱいあって、そこから木を切って下まで持っていくだけでもコストが大変であります。  私、個人的にはやはりそういう急峻な高いところ、伐採が厳しいところ、環境が厳しいところはもう自然林、広葉樹に戻して、広葉樹に戻しますとドングリとかそういう木の実を鹿やイノシシが食べて、そこがまさに野生動物のサンクチュアリーとして存在して、そして、我々がアクセスしやすいところでいわゆる人工林として間伐をしっかり行って循環型でやっていくという、上の方と下の方ですみ分けをしていくべきだと思うんですね。  そういうことをしていないから、今、日本全国、私の地元も含めて起きていることは、動物が食べるものがないから、しようがないから里山までおりてきて、村の人たちが手塩にかけて育てた野菜とかジネンジョとかそういうものを全部食い荒らしているわけです。これが害獣ということで、かわいそうなことに駆除の対象になってしまうなんということが私はあっていいのかなと思うんです。  ですから、もう抜本的に、こういった今のまさに森林の現況に鑑みて、真ん中から上、真ん中から下は別の世界にして、分けて対応していくという措置をぜひやっていただきたいと思いますけれども、この点について御見解をお伺いします。
  140. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 真ん中から上、下という区別をちょっと別にすれば、全く先生のおっしゃるとおりでございまして、農水省もその考えに基づいて取り組んでおりますし、いきたい。  特に、先生もおっしゃいましたが、急傾斜のところは、これはやはり広葉樹をやる、それが、これも先生がおっしゃったとおりで、生物多様性にも合致するわけでございますし、つまり、これからは針広混交林、これを広げていくんだという方向でやっていきたいと思います。ほぼ全面的に賛成でございます。
  141. 城内実

    城内分科員 副大臣、ありがとうございます。  真ん中から上というのは、あくまでわかりやすく言ったことで、急峻な、急勾配のところのことを意味したわけでありまして、いわゆるそういう針広混交林というのをぜひ進めていただいて、まさに動物が住む環境と人間がアクセスして木材を利活用する地域あるいは区域を分けてやっていただきたいなというふうに思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思います。  次に、内水面の問題についてお伺いしたいと思います。  これは林業と関係するんですけれども、間伐を怠りますと、人工林から土砂が流れ出します。これはどうしてかというと、広葉樹に比べて針葉樹の方が根が浅いんですね。そして、かつ、私の地元では、例えば佐久間ダムというのがありますけれども、震災後、水力発電が活発化したことで河川の水がかき回されて、そうすると、当然水が濁って汚染が進むわけです。そうすると、アユやヤマメなどの川魚の生育環境は非常に厳しくなっていく。特にアユは、川の中の石についているコケを食べて成長するわけですけれども、そういう濁水が来ますと、そのコケがどこかへ行っちゃったり、あるいは埋まったり、食べられなくなって、去年のアユの量というのは本当にもうかつてないぐらい激減してしまいました。  地元の内水面漁協の組合の方々が一生懸命稚魚を放流して、そして細々と遊漁券を売って何とか頑張って地元の川の環境を守っているんですけれども、もうやめたいという声が出てきているんですね。では、やめてしまったら、もう川には魚はいないし、環境面、生物の多様性の観点からどうなっちゃうのかな、そういう感じがします。  戦後、氾濫防止という防災の観点から河川環境整備が進められてきました。これはしようがないと思います。これは仕方がないにしても、他方で、内水面漁業に対する対策というのは、私は、なおざりにされてきた印象が否めません。  内水面漁業振興に対する現在の政府の立場と、そして反省があれば率直に述べていただきたいと思います。どうでしょうか。
  142. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 ただいま先生の方から、内水面漁業について政府としてどのようにお考えをしているのかという御質問だと思います。  私のところも、選挙区、釧路管内、内水面漁業を営んでおりまして、昨今、非常に先細りをしてきておりまして、従事されている漁業者の方たちから、この先どうなるのだろうかという、本当に先生のおっしゃったとおりの懸念されている意見等も私自身もいただいているところでございます。  そこで、この内水面漁業というのは、そもそも、自然環境保全することがまず第一番でございます。遊漁などによる都市との交流の場の提供等、さまざまな役割を果たしているということも十分私自身も認識をいたしております。  このため、当省といたしましては、これまでも、内水面の漁業関係者が行う水産資源の育成環境を改善するための取り組みや、内水面の生態系を復元するためには、抜本的に環境保全にしっかり取り組むことをしていかなければならない、そういうことで、今まさに支援を行っているところでございます。  今後とも、本当に先生の御地元で御懸念されている方々に応えられるように、我々といたしましても、十分発揮できるように、関係県ともしっかり連携しつつ、必要な対策を、どこをとにかくやっていかなければならないかということを再度また協議を進めてまいりたいと思っておりますので、ぜひ先生、御理解をいただきたいと思います。
  143. 城内実

    城内分科員 極めて前向きな御答弁なので、私も感動しました。ぜひ、言葉だけじゃなくて、あるいは予算措置、そういった観点から積極的に対処していただきたいと思います。  私の地元、まさに、浜名湖、天竜川、内水面漁業が本当に盛んなんですね。それに従事されている方の痛切な声をきょう私が代弁させていただいたんですけれども、どうも、やはり内水面漁業というのは海水面漁業と比べると何となく後回しにされて、内水面漁業に携わっている方も何となくやる気をなくしているところなので、ここは一発、抜本的な環境保全という切り口から、彼らにスポットライトを当てて、まさに森林、河川の環境を守っている最先端に立っている方だということで抜本的強化策をお願いしたいというふうに思っております。  最後に、時間がなくなりましたが、基盤整備事業についてお伺いしたいというふうに思っております。  基盤整備事業は、もう言うまでもなく、農業の基盤を整備することによって農業者がしっかりと農業に取り組む、私はこれは本当に不可欠な事業だと思っておりますけれども、二十四年度本予算における基盤整備事業の位置づけについて、どういう状況なのか教えてください。
  144. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 今先生が御質問された農業の基盤整備というのは、私も、やはり自給率五〇%を目標としている当省といたしましても、まずは自給率アップのためにもこの基盤整備は必要不可欠な事業だ、そのように思っているわけでございます。  その観点から、二十四年度本予算におきましては、担い手への農地集積を促すための大区画化等の基盤づくり、そしてまた老朽化した農業水利施設の長寿命化対策などの整備、あるいはまた農業水利施設等の耐震等防災対策の強化に重点を置きまして、対前年度同額の二千百二十九億円を計上させていただきました。  また、関連事業復興枠を合わせた農業農村整備対策予算といたしましても、対前年度比一一二%の二千六百九十一億円を確保させていただいております。  これらの予算を最大限活用して農業農村整備を推進し、地域の要望や政策上の必要性に応えてまいりたいと思っているわけでございます。  御案内のように、二十二年度、こういった基盤整備の大幅削減をされまして、農家さん方、関係団体の皆さん方からは非常に心配等もいただいたわけでございますので、二十二年度以前のような予算にはならないかもしれませんけれども、我々といたしましてはその必要性を十分認識させていただいているので、本当に一歩ずつ、一歩、二歩向上するようにまたこれからも頑張っていく決意ですので、どうぞ御理解をお願いいたしたいと思います。
  145. 城内実

    城内分科員 今政務官から御答弁がありましたけれども、私の地元の本当にやる気のあるプロの若い農業者というのは、どんどんどんどん、まさに政務官がおっしゃったように、担い手への農地集積、これを進めていただきたい、そして休耕地、休耕田を活用させてほしい、農業者に戸別所得補償なんかもう必要ない、むしろそっちをやってほしいという声がプロのやる気のある方にやはり多いんですね。  ですから、そういった観点から、農業基盤整備事業をより一層拡大していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 我々といたしましても、やはりこれから農業をしっかり支えていくためには、若い方たちが将来に希望を持って、意欲を持って、農業、仕事をしていきたいという方も、私の地元からもそういった声が上がっておりますので、本当に、今先生がおっしゃられた戸別所得補償よりも基盤整備という御指摘でありますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、ハード面では基盤整備、そしてソフト面では農家さんの所得をどう確保するかということの大きな二本の柱でもって、また、先生の御意見等もいただきながら、しっかりと取り組んでいく決意でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  147. 城内実

    城内分科員 ありがとうございました。  時間がありませんのでこれで終わりますけれども、きょうは、大臣、副大臣、政務官から極めて前向きな御答弁をいただいたことを大変高く評価しますが、だからこそ、TPPについては本当に慎重に、場合によっては交渉から撤退するというようなことも含めて御検討いただきたいと思います。それが私は日本の国益に資する、農業者を守ることだと思っておりますので、申し上げて、今回の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  148. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 これにて城内実君の質疑は終了いたしました。  次に、山岡達丸君。
  149. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 私は、衆議院議員の山岡達丸と申します。  本日は、この分科会の中で質問の時間をいただきましたこと、ありがとうございます。  さて、先ほど城内議員からもお話ありましたけれども、冒頭、ちょっとTPPを絡めた話について御質問させていただければと思います。主には、現在進んでいる日豪EPAについて御質問をさせていただきたいと思うんです。  政府は、TPPについては、交渉に参加するかどうか、このことについてはまだ結論が出ていないというふうに理解しておるところでございます。  仮に交渉参加するというときに、各国からどんなことを求められるのかどうかということを情報収集するために協議を行っているというのが現状である。その中の是非に関しましては、党内の中ででもいろいろ議論する場もありますので、私は、その場をおかりして、またしっかりと私の意見を申し上げていきたいと思っております。  このTPPは、まさに行き先のわからないバスというような表現をされましたけれども、現在行われている協議というのは、まさにバスの開いた扉の、入り口の目の前に立って、運転手の方などに、行き先はどこなのかとか料金は幾らなのかとかそういったことを聞いている、そんなような状況だと理解しております。  一方で、この協議先の相手にはオーストラリアという国もあるわけで、日豪EPAに関しましては、この協議開始に当たって、平成十八年十二月になりますけれども、衆議院、参議院ともに国会の決議がされておるところでございます。この中で、重要品目として具体的に品目を挙げて、除外または再協議対象となるよう全力を挙げて交渉すること、交渉に当たっては、交渉期限を定めず、粘り強く交渉すること、重要品目については十分な配慮が得られないときには、交渉の継続についても中断を含め厳しい判断をもって臨むことというふうに書いてある。  その後の農林水産省の資料をいろいろインターネット上とかで調べてみても、日豪EPAに関しては、この決議こそがまさに基本方針であるというふうにも書かれているわけでございます。  その中にあって、政府はおととし、包括的経済連携の基本方針を定めました。この中にあって、一般的な交渉姿勢については、特に、政治的、経済的に重要で、我が国に特にメリットの大きいEPAや包括経済連携協定に関しては、センシティブ品目に配慮しながらという文言を入れて、交渉を行っていくんだということを決めておられます。  このセンシティブ品目への配慮と、さきに挙げられている国会決議は矛盾しているものではないと私は理解しておるところでございます。センシティブ品目に配慮を具体的に書いているのが国会決議なんだろうというふうに理解しているところなんです。  しかしながら、昨今、TPPのこの話が取り沙汰されるようになる中で、これは北海道の農家の方々からも多く寄せられているんですけれども、日豪EPAの交渉の基本方針がこれでねじ曲げられていくんじゃないかというような、大変心配する声も聞かれるようになりました。  この場をおかりして、大臣にせっかく御質問させていただく機会ですので、この日豪EPAの基本方針に関してどのような姿勢で臨まれていくのか、改めてお伺いしたいと思います。
  150. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 基本的には、二〇二〇年までにFTAAPを構築する、そういう中でいろいろなる道筋がありますね、こういうようなことの中で経済連携を進めていくということでありますけれども、御承知のとおりに、包括的経済連携を進めていく上での基本方針というふうなものにつきましては、今お話ありますとおりに、センシティブ品目に配慮しながら、より高いレベルの経済連携を進めていく、こういうふうなことでございます。  そういう意味で、私どもといたしましては、日豪のいわゆる経済連携についても話し合いがなされているわけでもございますし、また、日韓の交渉推進に向けても取り組みがなされておるわけでありますし、いろいろと、日中韓なり、あるいはASEANプラス3なり、ASEANプラス6なりというふうな広域的な経済連携というものも早期の交渉というふうなものを見据えて目指してまいりたい。  こういうようなことも取り組んでおるところでございますし、また、日本とEUのいわゆるEPAの早期開始なんというふうなことについても取り組んでおるところでございまして、基本的には、一昨年の十一月に決めました包括的経済連携というものの基本方針に沿って取り組みをさせていただいているところでございまして、今後とも、その考え方に基づいて推進をしていきたいと思っておるところでございます。
  151. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 済みません、日豪EPAに関しましては国会決議もあるわけですけれども、この国会決議との関係について、ちょっと大臣にもう一言お伺いします。
  152. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 日豪のEPAを推進する際におきましては、国会決議というふうなものがございます。  その国会決議というものは、私どもとしても、その考え方というものは十分頭に入れながら取り組んでいかなきゃならないことだと思っております。
  153. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 ありがとうございます。  外交交渉は大変駆け引きがある中で、相手国はあらゆることを利用して妥協も引き出してこようというようなことも考えるかもしれませんけれども、おっしゃっていただいたとおり、日豪EPAに関しては、国会決議もあって、それが交渉の方針であるという農水省の資料も過去にはつくっているということもありますので、こういったことも、国内からもいろいろな、ねじ曲げようみたいな声が上がったとしても、私も闘ってまいりますけれども、断固たるこの方針を維持して、大臣もまた交渉にこの日豪EPAに関しては臨んでいただければと思っております。  大臣はまた御公務があられるということで、私の大臣への質問は以上でございますので、席を離れていただければと思います。ありがとうございました。  さて次に、北海道の特に盛んな酪農、畜産の関係で、今回ちょっとこの場をおかりして、お伺いしたいと思います。  今月、加工原料乳の補給金単価や限度数量、さらには肉用子牛の保証基準価格などを政府が決める時期になります。加工原料乳の補給金単価に関しましては酪農経営の生産コストなどの変化が重要な要素で、限度数量は需給の状況などを見て算定するものと考えています。一方で、現場からは、経営状態について大変厳しい、将来についての希望が持てないなどといった声も寄せられているところでございます。  昨今の酪農における需給の状況やコスト、経営の状況についてどのような御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  154. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 山岡先生からは、いつもお会いするたびに、本当に北海道、私も北海道でありますが、御地元の酪農経営者の皆さん方の意見等をしっかり受けて、私のところにも、さまざまな場面を通じて日ごろ意見をいただいているわけでありますが、今御指摘のように、今、配合飼料価格の高どまりによって、生産コストの増加等により、北海道の酪農経営は非常に厳しい状況が続いているものと十分認識をいたしているわけでございます。  こうした中、二十三年度におきまして乳価は二円上がったものの、乳量については一昨年の猛暑の影響等による低下からいまだ回復していない状況にもあります。  平成二十四年度の加工原料乳生産者補給金単価及び限度数量については、生乳の生産費やあるいは需給事情、その他の経済事情を考慮しながらも、今月十四日に予定されております食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いた上で適切に決定してまいりたい、そのように思っているわけでございますので、山岡先生の、農家さんの思いをいつもお聞きして、非常にせつない気持ちになっているのも十分理解をいたしております。  いずれにいたしましても、審議会がございますので、そこでしっかり受けて、適切に決定をしてまいりたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  155. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 ありがとうございます。  北海道の農業政策の先輩でございます仲野先生に御答弁いただきまして本当に恐縮でございますけれども、本当に、おっしゃっていただいたとおり、夏の暑さによる乳量の減少が一年では回復していないという現状で、乳量が少なくなりますと、単位当たりの相対コストは上がっているわけでございます。  北海道の事情でいえば、今後の見込みではあるんですけれども、大雨の影響で飼料作物のできが大変悪いという中で栄養分が低くなる傾向が予想される。そうしますと、ことしはさらに輸入の作物にも頼らなきゃいけないというような状況になっていく見込みでもあります。震災の影響で、都府県に飲用乳を送り出す量もふえて、プール乳価が上がって利益が出るのかと思いきや、北海道から都府県へ運送する代金は平均二十一円程度かかるということで、コストが利益を相殺しているというような状況も生まれているわけです。  その中にあって、先ほど仲野政務官からおっしゃっていただいた、餌の国際価格は高どまりしているという状況でございます。為替介入をきっかけに、今、円安に振れ始めているわけですけれども、貿易収支が三十一年ぶりに赤字になったというような報道もあります。  これは私の個人的な見解ですけれども、この円安傾向は一時的なものにならないんではないかなというふうにも思っておるところでございます。単に震災の影響というだけじゃなくて、原発にかわるエネルギーの資源の輸入というのがますます見込まれるという中で、恒常的に貿易に関しては赤字の方向に振れていくのではないかなというような勝手な予想もしている中で、そうしますと、輸入飼料のコストというのはさらに重くのしかかるという見込みがあると思っております。  こうしたことを踏まえていただいて、ぜひとも、農家の方が経営を続けられるというような納得のいく決定をしていただきたいと思っております。  乳用種の子牛の育成の話にちょっと移るんですけれども、全体的に経営状態が悪い状態がやはりこちらも続いています。こちらは、平成十六年から十七年にかけて、乳用種だけ保証基準価格を二万円近く引き下げたということがありましたが、この影響が出ているんだと私は思っております。  このときの過去の議論を読みましたけれども、要は、基準価格を下げるために、かかるコストの算定基準を変えて、いきなりどんと下げた。ほかの畜種は変えていないんですけれども、乳用種だけ二万円ぐらい下げたという経過が十六年から十七年にございました。  その当時は、いわゆるBSEの牛肉の輸入規制等々が入った時期でもあって、国内の販売価格がぐっと上がったものですから、いわゆる基準価格を下げても、その基準価格を超える価格で販売できていたという経過もあったので、その影響は余り見られなかったというか、影響は余りわからなかったところもあったんですけれども、今、価格がまた平常に戻ってきて、さらに下がるという中で、この保証価格が下がったということが一気に経営悪化に響いているんだというふうに私は考えております。  こうした中、民主党の北海道選出国会議員会、もちろん仲野先生も北海道議員会に所属されておられるんですけれども、お立場は今政府だということで、今我々は党の方の立場として、十五人で構成されているこの議員会の中で、先ほどおっしゃっていただいた、補給金の単価は現行以上に、そしてまた限度数量も適切に決定していただきたい、そして、肉用子牛の乳用種の保証基準価格も現行以上ということで要請させていただくことを決めております。このことを、また幹事長室などを通じて正式にお渡ししたいと思っておりますので、また御対応いただければ、御検討いただければと思っております。  この乳用種の肉牛の育成農家に関してなんですけれども、過去には仕入れ価格と販売価格が逆転するとか、一種のモラルハザードに近い状態もあったという指摘もあって、これが前段に申し上げた、十六年の算定の見直しのきっかけになっているというふうにも理解しておるんですけれども、しかしながら、いきなり二万円近く下げたというのは、私は乱暴だと思っております。  そんな方法ではなくて、前向きに経営を変えていくように政策誘導していくという、今民主党の農政にさまざま導入されている、緩やかに誘導する手法を取り入れることが大切なんじゃないかなというふうに思います。  育成農家の特徴は、酪農農家さんから、生まれた雄の子牛を買い取って、半年ほど育てて、そしてまた肥育農家に販売するという形態なんですけれども、その半年の間に仕入れコストと販売のコスト、これが大きく変動するものですから、経営が大変不安定になるという現状がございます。  この経営を安定するためには、もっと長期にわたって育てる体制、つまり、育成で六カ月育てて肥育農家さんに売るんではなくて、育成農家も肥育に乗り出して一貫経営を進めていくということが経営の安定ということで非常に重要だと思いますし、育成農家さんの将来の姿として、やはり私たちは目指していくべきではないかなというふうに思います。  平成二十二年の畜産統計では、北海道で育成のみの農家は二百三十一戸に対して、一貫経営は三十六戸。二百三十一に対して三十六戸しか一貫経営はないという状況でございます。  必要な技術も違いますし、リスクも大きくなりますから、農家さんにしてみれば大変足を踏み出しにくいところではあるんですけれども、例えば、これまでの民主党の農政を振り返りましても、戸別所得補償には、農家さんの自主性の中で緩やかに規模拡大を促すという仕組みが入っておりますし、ことしの目玉の青年就農給付金も、新規就農のリスクを減らしてあげるというようなことを念頭にそういった給付をするという仕組みになっています。  土地改良関連の農業体質強化基盤整備促進事業に関しても、これも新規ですけれども、こちらも、定額で支払いを行うことによって、大変大きくなりがちな土地改良のコストの削減を、定額で入るものですから、残りの分のコストの削減というのを農家さん自身に考えていただく、将来的に見れば土地改良にかかる予算をどんどんどんどん減らしていく、そういう自主性に任せつつ、メリット措置で誘導していくという大きな特徴があると思っております。  育成農家に対しての、肥育と一貫経営に進出するというビジョンの中で、強制ではなく緩やかに進めていく政策というのが、今現時点で何か具体的なアイデアということではないんですけれども、この観点ということで必要性があるんではないかなと思いますけれども、ぜひともその御見解をお伺いしたいと思います。
  156. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 まず、乳用種については、先生がよく、いつもライフワークのようにいろいろと研究されているということを十分私も理解しているんですが、ぬれ子が酪農家から生産されることもありまして、酪農地帯では、ぬれ子を導入、育成し、肥育経営に対して子牛として供給するいわゆる育成経営体が多く存在をいたしております。  これに対し、ぬれ子を導入し、肥育まで一貫して飼養する一貫経営体もあり、これについては、子牛価格の変動に左右されず、また飼養管理の効率化も図られるといったメリットもあるところもあります。  他方、地域内で育成と肥育の一貫生産に取り組む場合は、一貫経営よりも飼養期間が短く、資金回収が早いというメリットもあります。  我が省といたしましても、今後とも、肉用子牛生産者補給金制度及び新マルキン事業により経営の安定を支援するとともに、新たな一貫経営の取り組みのための施設整備等に対しては、スーパーL資金等により支援を行っているところでありますので、いずれにいたしましても、それぞれのメリットがあるということで、先生の方からも、こういったこともありますよという意見等もあれば、またいろいろと研究させていただきたい、そういうふうに思っております。
  157. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 ありがとうございます。  今、二十四年度の予算審議の最中でございますから、予算にかかわるようなことはなかなかおっしゃっていただくわけにはいかないわけですけれども、将来的なことに関して、また引き続きいろいろ議論を続けさせていただければと思っております。  次に、ちょっと話は畑作のことについて移らせていただきたいと思います。  まず、平成二十二年の、直近の食料自給率が三九%に下がりました。このことについて、その原因はどのようにお考えでしょうか。
  158. 佐藤一雄

    佐藤(一)政府参考人 山岡先生の御質問お答えいたします。  今、先生の方からお話ございましたように、平成二十二年度の食料自給率、カロリーベースでございますが、これにつきましては四〇%から三九%ということで、一%落ちたわけでございます。  この原因といたしましては、二十二年の春先の低温あるいは夏場の猛暑、多雨、こういったような天候不順によりまして、北海道の小麦あるいはてん菜の生産量が大幅に減少したということ、これが大きな要因だというふうに考えているところでございます。
  159. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 ありがとうございます。  北海道のてん菜というのはいわゆるビートのことですけれども、北海道が、いわゆる畑作でよくとれるてん菜と小麦、これが大変落ち込んだというのが原因だということで、今おっしゃっていただきました。  これは、畑作に関しましては、所得補償制度導入前ですので、所得補償の効果によることはまたこれから検証していかなきゃいけないんですけれども、少なくとも所得補償制度導入の前に、この一%減少の原因が北海道であったということでございました。  このてん菜、いわゆるビートに関して、ちょっと質問を続けさせていただきたいと思うんです。  ビートというのは砂糖のもとですのでカロリーが大変多い、食料自給率に大変大きく貢献しているものだと理解しています。さらには、北海道の東部を中心に、水田地帯とは全く違う広大な畑作地帯において輪作を構成する、小麦、バレイショ、そして大豆、ビートであったり、あるいは小麦、バレイショ、ビートであったり、三輪作、四輪作の輪作を構成する大変重要な作物になっています。  ですけれども、昨今ではこの作付面積が大変落ち込んでいるという現象があります。一時期六万八千ヘクタールぐらいあったのが今、六万ぐらいまで落ち込んでいる。この五、六年で急激に落ち込んできています。この現象について、どう受けとめて、どのようなことが原因だとお考えか、お伺いしたいと思います。
  160. 今井敏

    ○今井政府参考人 お答えいたします。  北海道のてん菜、バレイショの作付面積についてのお尋ねですけれども、てん菜の作付面積につきましては平成十七年産から、バレイショの作付面積につきましては平成十五年産から減少傾向が続いているという実態にございます。  その要因といたしましては、てん菜やバレイショにつきましては、先生から御指摘ありましたように、輪作作物を構成しておりまして、その輪作作物を構成しております小麦等と比べた場合に、育苗ですとか定植、生産管理等に要する労働時間が長くて、生産者としては、省力化が進んでいる小麦等の作物を選択する傾向が強まったからではないかというふうに考えているところでございます。
  161. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 ありがとうございます。  おっしゃっていただいたとおり、いわゆる労働量、管理労働というのが大変重いというのがここに来てのしかかっているという現状があると思っております。  今の主流であるビートの育て方は、苗をハウスで一回育ててそして移植するという作業が主流でございます。これは北海道の道東のいわゆる畑作地帯で主流の方法ですけれども、これは、春先から一個一個の作業がほかの作物に比べて大変多いという中で、規模が大きくなってくると農家さんが大変厳しい労働力を求められるということがございました。  この中で、さらに、過去の制度なんですけれども、いわゆる品目横断、水田・畑作経営所得安定対策が平成十七年、十八年ごろに入ったんですけれども、この制度では、北海道の畑作地帯で、この交付金の支払いを、これまで数量に応じて払っていたのを七割を固定払いにする、つくってもつくらなくても、もうこれまでとれていた分の該当の交付金の七割を払ってしまうという制度に変えました。その結果、労働力も大変かかるし、つくってもつくらなくても七割の交付金がもらえる、だったらビートじゃないほかの作物にしようかというような流れが広まったものと私は理解しております。  でも、これはいわゆる努力が報われない制度だったということで、大変現場からも批判の声がありまして、今、民主党が新しく戸別所得補償制度を導入するときに、この制度はやはりもう一回変えまして、七割を固定払いするわけではなくて、一定程度以上の収量があればもう数量払いにする、つまり、作付することを奨励して数量をとることを奨励するという制度になったというのが今の現状だと思っています。さらには、御高配もあって、産地資金という新しい制度の中でこの畑作分を位置づけていただいて、政策支援が下がらないようにこれも配慮いただいたわけでございました。  にもかかわらず、作付面積が戻らなくて減少傾向に歯どめがかからないというような状況が続いています。これは、私たちの制度について、もう過去のように努力が報われないわけじゃなくて、つくることに意味がある制度なんですよということを、十分に広報が行き届いていないという反省もあると思います。  しかし一方、やはり地元の農家さんからはこういう声も聞くところなんです。一度ビートから、大変作業量が多いところから離れてしまうと、もう一回戻ると、ハウスで苗を育てて移植するという大変作業がかかる、そういうような制度に戻すのは難しいというような声も聞くところでございます。北海道は大変広いですから、百ヘクタールを超えるような農家もある中で、この作業を大変省力化するということをしていかないと、なかなか進んでいかないのかなというようなことも聞くところでございます。  その中にあって、ビートには、過去には直播、直まきというようなやり方も行われていました。この直まきというやり方は、苗を育てるわけじゃなくてじかに土に種を入れるわけですけれども、これは収量が安定しないというようなことで、大変、収量が上がってこないし災害にも弱いということで、皆さんは、その長い流れの中で移植というやり方に切りかわっていったわけでございます。  しかし今、工夫している農家さんの中には、この直播、いわゆる直まきに関してもいまだに行っている農家さんがおられるんですけれども、こういう農家さんの中には、収量が全く変わらなくて安定的にとれているよというような声もちらちらと聞かれるところでございます。  しかしながら、これは、農業地帯におけるいわゆる伝説みたいな部分、うわさ程度の話にとどまってしまっておりまして、どうやらあそこの農家さんはうまくやったらしいとか、あそこはどうもだめだったらしいとか、こうやるといいらしいけれどもみたいな話は幾らでもあるんですけれども、一年に一遍のこの作付に関して、リスクをとって、では挑戦してみようというような、リスクをとるような農家さんもなかなかあらわれてきませんし、情報だけは散在している。農協とか普及員とか、みんなそれぞれ、またばらばらにある。  やはり、この直播というのを見直すに当たって、こういった情報ももう一回整理して、どのようにしたらうまくやっているのかやっていないのか、そういうことを整理してこの導入を図っていくというようなことも必要ではないかと思うんですが、こういった体系的に整理するということに関して御見解をお伺いしたいと思います。
  162. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 直まきについては、先ほど先生が言われました産地資金、これが畑作にも二十三年度から活用できるようになりましたし、二十四年度も、そこで直まきの推進に活用されているというふうに聞いております。それと、所得補償そのものが、てん菜の生産者に生産費と販売価格との差額を支給されているものでございます。  今先生が言われました、これらについていろいろな整備対応、対策が必要であると。一定の深さに種を植えつけるということが必要なんだというふうに聞いておりますが、また、そのために高度な直播機というんですか、これも開発されております。それと、病虫害対策としては、種と一緒に殺虫剤もまくとか、さらには防虫の、要するに虫の被害に対して強い品種の開発、これもされているというふうに聞いておりまして、これらを全体として進めていくことが、今先生がおっしゃったようなことに対する対応策になるというふうに思っております。
  163. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 ありがとうございます。  ぜひとも、そういう体系立てて整理していただいて、きちんとまた示していただくようなことも進めていただければと思います。  今、いわゆる産地資金のお話がありましたけれども、地域のことに関しては地域解決するのが産地資金というような位置づけではあるんですけれども、こちらは、今の制度の中では直播か移植かというのを選んでいけるような制度ではなくて、まだまだ踏み出しにくいという制度になっています。  この産地資金は地域の課題であるんですけれども、例えば直播に切りかえていくということであれば、これは国策にかかわることだと思うんです。労働力が減ることによって、てん菜の作付がふえれば転作も維持されて、食料自給力という地力向上につながるわけですから、将来的な自給率の向上にもつながりますし、何よりも、今の政策支援が、まさに生産コストにかかわるところで政策支援をしているわけですから、将来的には、直播が安定していくことによって生産コストが下がって、国庫にも大変負担が優しくなるというようなこともあり得る、先の展望が見えるやり方だと思っております。  ただ、直播に関しては、農家さんに示し方を間違えると、過去にやってきて失敗したんだということで怒られてしまうので、かなりよく研究をしてからではないといけないんですけれども、ぜひとも、次の畑作のあり方、ビート作付が減っている中で、さまざまな施策の中で研究を続けていただければと思っております。  時間はまだ大丈夫ですか。
  164. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 あと一分。
  165. 山岡達丸

    山岡(達)分科員 あと一分程度ということですので、また引き続きさまざまな場所で議論をさせていただければと思いますので、本日は、ありがとうございました。
  166. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 これにて山岡達丸君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  167. 佐々木隆博

    佐々木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石山敬貴君
  168. 石山敬貴

    石山分科員 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。特に、この分科会におきましては、たっての私の希望で、鹿野大臣の出席をお願いさせていただいたといった経緯がございます。  本日、鹿野大臣には、基本計画及び戸別所得補償制度にかかわることを中心に質問をさせていただきます。  現在、私は、党の農林水産部門会議におきまして、戸別所得補償制度検討ワーキングチームの座長を務めております。戸別所得補償の法制化を目指し、今、党内議論の取りまとめを行っている最中でございます。同制度の法制化を行っていくためにも、鹿野大臣を初め農林水産省政務三役の皆さんと、考え方、または方向性といったことに関してベクトル合わせを行っていく必要もあると考えまして、この分科会質問の前段におきましては、そのための場としてもさせていただきたいと考えております。  ここに、一昨年の三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画がございます。まず、この基本計画に関しまして、鹿野農政におけます位置づけを聞かせていただきたい。それとともに、もう一つ、昨年十月に、これもまた閣議決定されました、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画がございます。この基本計画と基本方針・行動計画の両者の関係に関しまして、鹿野大臣、どのようにお考えか、御所見をお願いいたします。
  169. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 平成二十二年の三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画というものは、今後の十年間程度を見通しての基本的な考え方を打ち出したところでございます。戸別所得補償制度、そして食の安全、安心の確保、六次産業化によるところの農山漁村の再生、こういう三本柱として、農政の方向性を示したものでございます。  一方、昨年の十月に決めましたところの食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画というものは、今申し上げた基本計画を基礎といたしまして、農林の今後の振興、農業の体質強化、振興というものを図る上で、五年間という一つの限定した期間の中で集中展開すべき具体的な施策をまとめたものでございます。  今申し上げますとおりに、基本方針・行動計画というふうなものは、二十二年の三月に決定をいたしました基本計画に基づく新たな農政の方向性というものを具体的な形にしてというようなことでありますということを申させていただきたいと思います。
  170. 石山敬貴

    石山分科員 ありがとうございます。  大臣の申すこと、至極もっともなことでございまして、私も、大変僣越ながらも、鹿野農政にとりまして大切なことは、この基本計画と基本方針・行動計画の位置づけを明確にして、基本計画があっての基本方針・行動計画であるということを常に発信していただきたいというふうに御要望申し上げます。  それはなぜかといいますと、ちまたでは、基本計画を否定して基本方針というものをつくったのではないか、または、基本計画と基本方針・行動計画では矛盾するところがあるのではないかといったような指摘、批判というものが多々出てきているのも、また一方で、これが現状でございます。  しかしながら、今大臣仰せのとおり、本来はそうではなくて、基本計画に基づいて基本方針・行動計画があること、または基本計画を具体的に実行するために基本方針・行動計画を制定したとの御認識をお持ちいただいておるようでございますし、今のように強いお言葉で常にこれを繰り返していただくということが、現場の農政、または農家の方々に先行きに対しまして与える不安というものを払拭することにつながるのかなというふうに思っております。  この基本計画の策定に、今農林水産委員会等で活躍している多くの議員の皆さんが御協力くださいました。その中におきまして、私たちにとりまして、この基本計画というのは、いわゆる民主党農政の理念であり、もっと大げさな表現になるかもしれませんが、現農政の憲法であるというふうに認識しております。そして、この基本方針・行動計画が、その現農政の憲法の一部を実現するためのいわゆる運用要綱であるといったような認識でおります。  しかしながら、残念ながら、政府幹部の皆様の発言を聞いておりますと、たまに、ちょっと基本計画と基本方針・行動計画を取り違えているのではないかなと感じるときがございます。この取り違えは、逆を返せば、現場の農家の方々に不安を与えてしまう致命的なことになりかねないということもありますので、先ほどの繰り返しにはなりますが、この基本計画と基本方針・行動計画の位置づけというものを明確にしていただきたいと思っております。  その中におきまして、現場におきまして誤解を生んでいる一つのことを、ちょっと事例があるんですが、農業の担い手に関しての事柄がございます。  改めて、この基本計画の中で農業の担い手をどのように定義づけておるのかを、ぜひ鹿野大臣の方からお答えいただければと思います。
  171. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 農業の担い手の位置づけというお話でありますけれども、担い手ということにおいて、農家の人がどう思っておられるか。耕作面積が少ない人でも、自分たちはやはり農業の担い手なんだ、こういう意欲を持って取り組んでいただいておる、そういうような方もおられると思うんです。  そういう意味では、とにかく、国民生活に、食料の安定供給のために寄与していただいておるというようなことにおいて、それぞれ農業者の人たちが、自分が担い手なんだというふうに思っていそしんでいただいている人たちは、私は担い手というふうに位置づけさせていただいておる、こういう考え方でございます。
  172. 石山敬貴

    石山分科員 ありがとうございます。  基本計画の中におきましても、多様な担い手といったような言葉を使わせていただいております。つまり、「兼業農家や小規模経営を含む意欲あるすべての農業者が農業を継続できる環境整備する」といったことも記載されておりますし、また、「大規模効率化を目指す農業者も、規模が小さくても加工や販売に取り組むこと等により特色ある経営を展開する農業者も、各々の創意工夫を活かしながら営農の継続・発展を目指していくことができるよう、現場の主体的判断を尊重した多様な努力・取組を支援する施策を展開していくこととする。」というふうにこの基本計画の中では明示されております。  これは、前政権下におきまして、一部の農業者に施策を集中し、規模拡大を図ろうとするだけでは、農業所得の確保につながらなかっただけでなく、生産現場において意欲ある多様な農業者を幅広く確保することもできなかったという反省点を踏まえて、私たち民主党政権になってから、この担い手というのも、今大臣がおっしゃったように、意欲ある農業者ということを主軸に置いて定義づけさせていただいたことでございます。  しかしながら、この辺を明確にしていただきたい、次の部分を明確にしていただきたいんですが、基本方針・行動計画の中で大きな誤解を生んでおる点がございます。それは、予算委員会等でも何度も野党の先生方から質問になったかと思いますが、いわゆる基本方針・行動計画の中に、実質的な規模拡大を図り、平地で二十ヘクタールから三十ヘクタールの規模の経営体が大宗を占める構造を目指すという文言があります。今、この言葉だけが農業の現場をひとり歩きしている状況でもございます。  もちろん、基本方針・行動計画の中で、「一定規模を示して、それ以下を政策の対象から外すことを目的とするものではない。」といった注釈もあるわけなんですが、私たちはよくよく理解はしておりますけれども、これはあくまで平場の土地利用型の農業の理想形でしかありませんので、平場以外の農業現場では、民主党農政は変節した、または、中山間地域等の小規模の農家の切り捨てではないかといった不安を誤解とともに生んでいるといったような状況がございます。  私は、この基本方針・行動計画、今回のものは、先ほど、集中的にといったような大臣のお言葉もございましたとおり、まだまだ不完全なものではないかといったような認識に立っております。  例えば、それは、中山間地域の農業、小規模農家で、さらに創意工夫をし、六次産業化を行っていって経営を立てていくんだといった農業者または農家の方々、さらに、地域地域によっても、日本列島は南北に長いわけですから、さまざまな地域環境があって、その特性、特質性を生かしていくような施策も講じなくてはいけないと考えておりますし、またさらに、ほとんど触れられることのない都市近郊型農業というものをどうしていくんだといったような課題は、この基本方針・行動計画の中では全く触れられておりません。  ですから、ある程度時期を見て、この方針に足りない部分を今後補う必要があるのではないか、加筆すべきところは加筆していかなくてはならないのではないかと考えておりますが、その点に関しまして、御所見があれば、お願いしたいと思います。
  173. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 おっしゃるように、規模拡大だけで日本の農業が再生できるはずがない。そして、規模拡大の点でアメリカとか豪州と対抗できるはずがない。それは、自然条件の違いからはっきりしていることだと思います。  しかし、同時にまた、日本の自然条件の中でできる限り規模拡大の努力はするんだ、規模拡大の努力の目標として、平地においては二十から三十ヘクタールを大宗とするという目標を、基本方針・行動計画の戦略一のところで出しているわけでございまして、これは、だから、そういう趣旨で出しているもので、小規模の農家等を全く否定しているものではなくて、多様な農家、多様な農業という基本計画の趣旨を変えたものでも全くないということははっきりしているかと思います。  そして、たとえ小規模なものでも、六次産業化に取り組んで努力している農家は、先ほど大臣も言われましたように、立派な担い手でございまして、これらの担い手に対する支援も、きちんと支援制度もあるわけですし、所得補償自体がそういう担い手も対象にしているわけでございまして、それらについては、戦略二と三でその旨を強調している、こういう関係だというふうに思います。
  174. 石山敬貴

    石山分科員 ありがとうございます。副大臣の御答弁、これもさまざまな形で、やはり農水省、政府として強調していっていただき、そして、決して中山間地域または小規模農家の方々が切り捨てられたといったような感じを受けさせないようなアピール、広報というのも努めていただければと思っております。  引き続きまして、戸別所得補償制度に関する質問を、やはり基本計画にのっとってさせていただきたいと思います。  私自身も、この年末年始にかけまして、農家の皆さんと意見交換というものを何度もさせていただきました。その中において、農家の皆様から出された多くの意見、その多い順に、まず、一としては、継続性のある安定した農政を頼むといったこと、二つ目としましては、戸別所得補償制度の法制化というものを求める期待と要望でございました。  ここに、三月一日付の農業新聞がございます。この記事におきまして、二〇〇三年以来減少傾向にありました農家の所得が全体で一七%増に転じたといったことが報道されており、私自身も、戸別所得補償制度の一つの目的である農家の所得をふやすということはまずまず達成されつつあるのかなというふうに感じ、大変うれしく感じております。  まずは、今、党内におきましても、先ほど申したとおり、戸別所得補償制度の法制化に向けて議論を行っております。簡潔にでよろしいので、鹿野大臣の同制度の法制化に向けた意気込みを改めてお聞かせください。
  175. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 石山議員には民主党の所得補償制度チームの座長として取り組んでいただいておりまして、敬意を表させていただきたいと思います。  そういう中で、今お話しのとおりに、農業政策を進めるというふうな上においては、農業者の方々は、やはり政策の継続性というふうなものを求めておられる。それは非常に強いものがあると思います。見通しを立てる上においても、後継者を育成する上においても、きちっとした政策というものがこれからも続いていくんですよ、維持されていくんですよというようなことが強く求められていると思うわけであります。  そういう意味で、戸別所得補償制度という所得政策が初めて導入されたわけでありますけれども、これがまたどうなるかわからないというようなことになりますと農業者の人たちも非常に不安な気持ちに駆られるというようなことから、法制化を求めておられる。すなわち、食料の安定供給というふうなもの、経営の安定というふうなことを考えたときに、やはり農業者の人たちが、この法制化によってきちっと所得政策というものを位置づけしてほしいというような声だと思うわけであります。  そういう意味で、三党合意に基づいていろいろ協議も行われたわけでありますけれども、さらなる新たな枠組みの中で三党の間で話し合いがなされて、そして法制化に向かって進むことができるというようなことは大変重要なことであり、三党におけるところの話し合いというふうなものを心から期待させていただきたいと思っております。
  176. 石山敬貴

    石山分科員 一昨年になりますが、戸別所得補償制度の本格実施の前におきまして、党内でも本格実施に向けた議論をさまざまさせていただきました。そのときに、政府に対しまして、私たちも提言書をまとめて提出をさせていただきました。その中で、各戸のさまざまな加算措置とかの提言以上にこだわったもの、それは、この戸別所得補償制度の目的、なぜこの施策を実行するのかという目的にこだわらせていただきました。  そのときに、一つとして、食料自給率の向上、二つとして、多面的機能の維持、そして三つとしては、これら一と二を支えるのはやはり農家あってのものであり、農家の経営の安定化に資する制度でなくてはならないというふうに私どもも考えさせていただきました。  先ほど新聞記事で示させていただいたとおり、農家の所得の向上というものは見えてきたものがございますが、その一方で、食料自給率の問題、これが私たちにとりましても最大の目標でございますが、たびたび、食料自給率が戸別所得補償制度の導入に伴っても上がっていないんじゃないかといったような批判も受けております。  当時、私たちが党内で議論させていただいたことを少しお話しさせていただきますと、食料基本計画等にも食料自給率のことが、目標値としまして十年間で五〇%を目指すんだということが記載されておりますが、当時から自給率が直線的に伸びるとは想定しておりませんでした。  農業の現場に戸別所得補償制度や六次産業化など新しい制度がまず理解され、制度が定着するまでは、長ければ数年を要するんじゃないか、そして、この制度の理解や定着が進むにつれ、やっと食料自給率の向上へと反映されるのではないかというふうに予想もしておりました。  ですから、戸別所得補償の導入にもかかわらず食料自給率が上がらないとの指摘もありますが、私自身も、それは違うというふうに考えております。  ある程度の期間、食料自給率が足踏みすることは想定内でございますので、鹿野大臣にも、自給率の向上のためにも、逆に、安定した農政の達成、それすなわち戸別所得補償制度の法制化の必要性を堂々と説いていただきたいと思っております。党内におきましても全面的なバックアップをさせていただくことを、ここで申し伝えさせていただきます。  きょうは、わざわざ大臣にお越しいただきまして、まことにありがとうございました。またしっかりとした議論をさせていただきながら、その経過を大臣に報告させていただきたいと思っております。  それでは、これまでとは少し違う質問をさせていただきたいと思います。まず、震災被害、その復旧復興にかかわる質問を引き続きさせていただきたいと思います。  まず、今、宮城県におきましても、さまざまな形で原発の被害というものを受けておるわけでございます。今、東京電力の農産物被害に対します賠償の支払い状況について、簡潔にお話をいただければと思います。質問通告していましたよね。
  177. 糟谷敏秀

    ○糟谷政府参考人 宮城県の農畜産業について御通告いただいていたと思います。  十一月までに請求をいただきました二十二億円、これはJAの宮城県協議会から御請求があった分でございますが、このうち約二十億円を支払い済みでございます。残りの二億円については、ブランド牛への特別加算などの算定方法について現在協議中というふうに伺っております。  これと別に、昨年の十二月十五日以降に同協議会から計三十六億円の追加請求が行われておりますが、これについてはまだ支払いがなされておりません。  東京電力に対しましては、追加請求分を含めて、改めて請求者の御要望を丁寧にお伺いをし、御要望に応じて部分払いを行うなど、迅速かつ適正に賠償がなされるよう指導いたしますとともに、私どもとしましても、必要な働きかけを行ってまいりたいと思っております。
  178. 石山敬貴

    石山分科員 ありがとうございます。  まさに今お話しいただいたとおりでございまして、昨年の十一月に東京電力に申請を行った十月までの原発被害を受けた農産物の被害額に対しましては、その九割、今お話しいただきました二十億円といったものが支払われています。しかしながら、全くここ三カ月の間、賠償の支払いがなされていない状態が実は農家の間で続いているといったのが今の現状です。  この賠償が滞っているのも実は大きな問題なんですが、ここは質問通告していない部分なので、ぜひとも、要望という形で、副大臣、政務官にはお心にとどめ置いていただきたいんですが、その賠償の支払いがなされていない中におきまして、昨年、これは主に肥育農家に対しての措置だったわけでございますが、出荷制限などがかかりまして、そのつなぎ資金としまして、国の方から一頭当たり五万円のつなぎ資金が出されております。これは返済しなくてはならないお金です。しかしながら、この期間、そのような形で賠償もなされない、枝肉等の価格は低迷したままだといった赤字経営が続いている中で、今、肥育農家に対しまして返済請求が来ております。それは、三月三十一日までに払ってくれといったようなことでございます。  この補填である賠償金の支払いもないまま、以前の借入金に関しては払えというのは、余りにもこの原発の被害者である農家の現状を考えない仕儀ではないのかなというふうに思っております。これは通告しておりませんので、ぜひとも、政府におきましては、事情を精査の上、適切な対応を行っていただきたいと考えております。  次に、高山政務官の方に質問をさせていただきます。これと少し連続する話になるわけですが、今回、四月より、食品に含まれる放射能基準が厳しくなります。そして、それに対しまして、畜産農家に、与える飼料、例外なく、粗飼料に関しましては百ベクレル以上の粗飼料を与えることを自粛する旨の通達が出されております。  宮城県におきましては、昨年の七月以降、牛に対する粗飼料の給餌制限のため、セシウムに汚染された稲わらが四万ロール以上滞留しております。これまでの給餌制限の対象としましては、主として肥育農家に対するものでした。宮城県の肥育農家は全部で九百戸。しかし、今回の新たな基準のもとにおきましては、繁殖農家も主として対象になってまいります。宮城の繁殖農家は約七千戸ございます。  まず、汚染された牧草を中心とする粗飼料がどれだけあるかといったような正確な数字はいまだ出てきてはおりませんが、稲わらのときも、実は、大半の汚染された稲わら、仮置き場にしましても、焼却するといったことにしましても、環境省基準は私も理解しているんですが、住民感情的になかなかその選定が難しいといったような事情がございました。  ですから、今回、新たな基準のもとに保管しなきゃいけなくなる牧草の数というのは、例えば、農家当たり二十ロールの牧草だとしましたら、七千件繁殖農家があれば、単純に十四万ロールといった途方もない数値になってまいります。  地方自治体はもうお手上げかと思いますので、ぜひとも、環境省の方、国指導の方で、何とかその対策というものを講じていただきたいといった要望でございます。政務官、お願いいたします。
  179. 高山智司

    ○高山大臣政務官 石山議員から今御質問いただきましたけれども、稲わらの件でも、宮城県も含めて今大変御迷惑をかけていると思っておりますけれども、まず、放射性物質に汚染されました稲わらにつきましては、今、放射性物質特措法に基づきまして、一キロ当たり八千ベクレルを超えるものについては、指定廃棄物として環境大臣が指定を行い、国の責任において処理を行うことというふうになっております。  実際に、各県ごとの稲わら発生量、既存施設の処理能力、また活用可能性などなど状況が異なることから、今後、各県における処理方針の具体化に向けて、今、個別の検討や調整を行っております。  もちろん、これまでも環境省農林水産省とともに現地に出向きまして、県及び市と処理方針の打ち合わせを重ねているところでございますけれども、この稲わらに関しましても、引き続き関係者と十分に調整しながら、検討を進めてまいりたいと思っています。  そして、お尋ねの牧草の件でございますけれども、牧草に関しましては、まず、今、試験的にではございますが、岩手県の一関市におきまして、放射性物質を含む牧草と各家庭から排出される普通ごみを混焼しながら焼却処理をする実証事業を、環境省の委託事業としてことしの一月から開始をしております。  当該事業におきまして、牧草を焼却した際の排ガスの放射性セシウムのモニタリングデータなどの蓄積を図るとともに、焼却処理の安全性及び管理、運転のための最適な条件等の今検証を行っているところでございます。  ただ、委員御指摘のとおり、今後どれだけ膨大な量になるかということもございますので、これに関しましては、地元の県、市町村等の協力を得ながら、農林水産省との連携を初め、政府一体となって取り組んでまいりたいと思っております。
  180. 石山敬貴

    石山分科員 政務官、ぜひともその辺、よろしくお願いいたします。  時間になりましたが、最後の質問とさせていただきます。  これは、前々から私自身も何度か要望、お願い事としてさせていただいていたことでございますけれども、今回の津波被害または震災におきまして、宮城県内でも有数の漁港であります塩竈の漁港、その後背地にあります水産加工団地、ここの地盤沈下が非常に激しい状態となっております。一度緩んだ地盤のために、ちょっとした今回の継続する余震でも、さらにまた地盤沈下が進行しているといったような状況でございます。  水産庁と地元の加工団地も含めました水産関係方々と、その対処法をめぐり何度か意見交換がなされているともお聞きしておりますので、その進捗状況を最後にお伝えいただければと思います。
  181. 佐藤正典

    佐藤(正)政府参考人 御説明を申し上げます。  塩竈の漁港の水産加工団地の地盤沈下問題につきましては、現在、宮城県、塩竈市及び水産加工団地関係者との間で、どのような対応をするのか、検討が行われているところでございます。  また、このため、塩竈市では、地盤かさ上げによる対策の妥当性、実現性について評価するため、沈下した用地における地盤の軟弱性につきまして分析を行っているところでございます。  今後は、県、市、関係者とよく調整の上、水産加工団地の再開状況とか地盤の軟弱性を踏まえまして、効果的な対策を講じていく考えでございます。  なお、加工場用地を前面から守っております岸壁等の漁港施設につきましては、被災いたしました箇所の速やかな復旧とともに、必要に応じまして、かさ上げ、老朽化対策等を講じていく所存でございます。
  182. 石山敬貴

    石山分科員 ありがとうございます。  最後に一言だけ。  あの震災から一年近くがたっております。被災地の選出の議員としまして、この期間、きょう前においでの副大臣、政務官、本当に御尽力をいただいたことにも大変感謝申し上げるとともに、今一つの例として挙げさせていただきました原発のこと、または地盤沈下のことにしましても、実はその被害が終わっているわけではございません。引き続き私どもも現場の、被災地の声をお伝えさせていただくとともに、さまざまな面での引き続きの御支援のほどをお願いさせていただいて、きょうの私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  183. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて石山敬貴君質疑は終了いたしました。  次に、井上信治君。
  184. 井上信治

    井上(信)分科員 自由民主党の井上信治です。  きょうは、大臣に、私は、プラムポックスウイルス、いわゆる梅輪紋ウイルス、このことについていろいろと伺いたいと思います。  私の地元、東京の青梅市です。そして、青梅市を中心としたいわゆる西多摩地域という地域で全国で初めて梅へのプラムポックスウイルスの感染が判明して、そして今大変な大流行をしております。  青梅市というのは青い梅と書きます。読んで字のごとく、町の一番の特色、自慢は、美しい多くの梅の木でありまして、この梅の木を活用いたしまして、苗木を出荷したり、あるいは梅酒や梅干しといった農産品、これが特産になっております。また、市が運営している梅の公園、これを中心として梅郷地区という、これも梅の郷と書きますけれども、この地域では梅祭り、観梅祭りというのをやっておりまして、全国から大勢の観光客が訪れます。人口十四万人なんですけれども、この観光客の数だけで三十万人以上と、人口の二倍以上の数が訪れるような、そんな梅の地域なんですね。  ですから、二十一年の四月に判明をいたしまして、それからもう三年近くがたつんですけれども、なかなか対策が進まないということで、地域の方は大変な心配をしております。一体、いつになったら防除の措置が完了して、そしてプラムポックスウイルスを根絶することができるかということ、そして、これが確認されないと、いろいろと、新しい木を植えたりとか、今後の計画を立てることもできないと大変困っておりますので、大臣の方から、今後の見通しとして、一体いつまでにこのプラムポックスウイルスを根絶させることができるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  185. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今、井上先生からのお話のいわゆるプラムポックスウイルスにつきましては、青梅市で最初に確認されまして、自来、植物ウイルス学の専門家や東京都及び関係市町の意見を踏まえまして、平成二十三年度までに感染植物等の特定及び処分を行ってまいりました。そして、平成二十四年度から二十六年度まで根絶確認調査を行う計画でございまして、東京都とも連携をいたしまして、感染植物及び隣接植物の処分など、伐採等々でございますけれども、植物防疫法に基づく緊急防除を全額国費で平成二十二年の二月から開始をいたしております。  これまでに、一部の庭木等を除き、ほとんどの園地での調査を終了いたしまして、感染植物等の処分を順次実施中でございます。約二万五千本でございます。  ただし、プラムポックスのウイルスの潜伏期間は、長い場合は三年ということでございまして、緊急防除の開始前に感染した植物が今後も発症することが想定されるところでございます。  したがいまして、一部の地域では、現在予定しておりますところの平成二十六年度までに根絶を確認することがなかなか難しい状況だというようなことにもなってきているところでございます。そのような地域では、防除期間を延長することも含めて、根絶が確認されるまで緊急防除に引き続き取り組んでいきたいというのが基本的な取り組みでございます。
  186. 井上信治

    井上(信)分科員 これはぜひ迅速な対応をお願いしたいんです。  それで、今大臣がおっしゃった二十六年度末、これは、植物防疫法に基づいて告示や省令を既に発出をしていて、そこに防除期間として書いているわけですね。しかし、これはもう事実上不可能なんですね。ですから、当然のことながら、こういった省令や告示の改正ということもすぐにもやらなければいけません。  そういう意味で、今後のめどというのをきちんと教えていただけないでしょうか。
  187. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 これからも、御指摘をいただいておりますので、東京都とも連携を図りながら、さらに今後の見通し等々につきましても検討をしていかなきゃならない、こんなふうに思っておるところでございます。
  188. 井上信治

    井上(信)分科員 対応が遅いんじゃないかという声がすごく上がっているんですね。もう三年たって、調査ばかりやっていると。ですから、最も大事な処分、伐採など、これがなかなか進んでいないんです。  それで、地元の青梅の市議会からも、平成二十二年の十月五日に意見書が出ております。危機管理対応を早急に完了することを求める意見書ということで、これは総理あるいは農林大臣にも出ております。もう鹿野大臣、このときにも農林大臣だったわけですから、これをちゃんと受けとめてもらいたいんですね。この中では、国の予算の前倒し措置、あるいは植物防疫官の重点配置、こういったことをしてくれと言っているんです。  やはり、金とか人とか、こういったところがネックになって対応がおくれているということ、これは事実ですから、こういった金や人の対応などについても、もっとさらに充実をするんだということを、大臣、おっしゃってください。
  189. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 現場の実情というふうなものも、もう一度、農林水産省といたしましても確認をいたしてまいりたいと思います。そして、具体的に対処してまいりたいと思っております。
  190. 井上信治

    井上(信)分科員 この制度は、伐採を行って、行った後、毎年チェックをして、そして、三年間再発というものが認められない場合に、防除区域というのを解除することになっているんですね。  ということは、今すぐに伐採を仮に完了したとしても、三年たたないと区域の解除ができないんですよ。ということは、二十六年度末に防除期間が終了するということですから、これは逆算すると、二十三年度末までに伐採完了しないと事実上不可能になるんです。  二十三年度末というのは今月ですよ。ですから、少なくとも、来月になったらこの省令、告示を見直すとしていただけないですか。
  191. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今申し上げましたとおりに、もう一度、現状というふうなものを私ども確認いたしまして、そして、対処すべきところは対処してまいりたいと思っております。
  192. 井上信治

    井上(信)分科員 ぜひよろしくお願いをいたします。  それと、被害に遭った方には、植物防疫法に基づいて、損失補償ということで補償金が支払われます。それはそれでいいんですけれども、全国で、平成二十一年度に二千三百本、二十二年度に、これは苗木を中心としておりますけれども一万五千六百本、既に処分がされております。  今年度はまだ実績が出ておりませんけれども、少なくとも、今年度の調査によって、今年度、来年度、青梅市を中心に処分をすると言っておられるんですね。そして、今年度は梅郷という中心地区以外の五千本、そして来年度はその梅郷の五千五百本、これが伐採される予定となっています。  この梅郷地区というのは、そんなに広い地域じゃないんですよ。ですから、その地域の中に二万五千本ぐらいの梅が植わっています。このうちの五千五百本、二割以上ですよね、これが伐採されるということになると、大変な被害を受けるんです。  先ほど申し上げたように、梅の木の所有者に対しては損失補償していただけるんですよ。しかし、損失というのはそれだけじゃありません。これだけの量になりますと、例えば観光です。やはりこの梅の木を活用していろいろな観光事業を行っていますよ。飲食を初めとして、旅館であったりとか、あるいは土産物屋とか、そういった全体としての梅の産業なんですね。  例えば、この観光産業に対する補償というのは全くなされないんです、今の制度におきますと。しかし、二割が伐採される、もしかしたら、それは少なくともということですから、もっともっとふえるかもしれない、本当に蔓延していたら、全部切られて、全部更地になっちゃうかもしれない。当然、観光なんか成り立ちませんよ。  ですから、これは所有者だけじゃなくて、そういった観光産業に携わる方々への補償というものもちゃんとやっていただきたい。いかがですか。
  193. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今、お話、御指摘ありますとおりに、いわゆる伐採植物の所有者に対しましてはその損失を補償する、こういうふうなことで取り組んでいかなきゃならないわけでございますけれども、観光業にも影響がある、このようなことから、観光業者等の被害にも補償をやるべきだ、こういうお話でございますけれども、現時点におきましては、なかなか困難だな、こんな思いをいたしております。  基本的に、今の時点におきましては、やはり何といってもプラムポックスウイルスを早期に根絶する、こういうふうなことに全力を挙げて、そして梅等の植えつけ等を可能にすることが何よりも大事なことだ、こんなことで、防除対策につきましてこれからも万全を期していきたいというのが考え方でございます。
  194. 井上信治

    井上(信)分科員 確かに、まず防除、これはそのとおりだと思います。これをまず第一にやっていただきたい。しかし、これだけじゃないということですから。  これは例えが適切かどうかわかりませんけれども、福島第一原発の事故だって、やはり観光産業に対する補償というのをやるわけですよね。ですから、被害というものは、直接的被害、間接的被害、それぞれあるわけですから、私はやってもらわなければ困ると思っております。  ちょうど今、青梅市が、今月にも梅の里再生計画検討委員会というものをつくりまして、再生計画、これを来年度中につくろう、それに基づいて進めていこうとしております。しかし、これにも、観光産業に対して国がどういう対応をするかで全然変わってくるわけですよ。ですから、極端な話、本当に観光自体も壊滅的な打撃を受けるかもしれないわけです。ちょうど、この二月、三月ですよ、梅の時期。今、観梅祭りを地元でやっています。でも、ことしはちょっと気温が低くて開花がおくれているという事情もあるんですけれども、やはりかなり観光客は減っているんです。ですから心配をしているんですね。  きょうは観光を担当している国交省の津島政務官もいらっしゃいますけれども、ぜひ政府全体でこういったことについても少なくとも検討はしていただけるということを明言してもらえないですか。
  195. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生からもいろいろお話ございましたけれども、自治体の方々も、今どういうふうな状況になって、どう考えているかというふうなことも、私どもの方からもちょっと考え方も聞かせてもらいたい、こう思っております。
  196. 井上信治

    井上(信)分科員 ありがとうございます。大臣にそう言っていただけると大変ありがたいと思っております。  この質疑についても、地元の人たちも見ておりますから、大臣の方にちゃんと我々の意見というものを改めて地元の方からお届けして、そしてぜひ御検討をいただきたいというふうに思っております。  それと、今ちょっと申し上げました梅の木、その所有者本人に対する損失補償についてですけれども、これにつきましては、いろいろと樹種だとか樹齢だとか、あるいは使途をどうするか、そういったことによって補償金は違うようですけれども、大体平均一本六万円ぐらいというふうに聞いております。  地元の人たちも、これについては国や東京都といろいろ交渉、相談をしまして、そういう意味では、前向きに、積極的に協力をしているんです。やはり、感染が広がって本当に全てだめになってしまったら、一番困るのは地元の梅の所有者たちですから。ですから協力をしているんです。六万円、決して多いとは言えないけれども、仕方ないだろう、ほとんどの人がそういうふうに言っておりますよ。  しかし、その後、驚いたことには、この損失補償金について、これは通常どおり税金がかかるんだろうという話が後から出てきたものですから、そういう意味では、所有者の方々は大変驚いています。  この損失補償というのは、確かに、この梅の木をもし伐採しなければ、その後一体どれぐらいの生産をするのか、利益を得ることができるのか、こういったことを想定しての損失補償金だということですけれども、しかし、所有者の方々にしてみれば、別に、喜んで切って、そして補償金をもらおうというわけじゃないんですよ。これは本当に被害者なんです。意図せずに、大切な梅をいわば強制的に切られてしまう、その損失補償金ですからね。  公共事業なんかだって、例えば用地の買収をするときに、これはいわば強制的にとられるわけです。そうなると、五千万までの税金の控除とか、そういった制度がありますよね。ですから、私はそういったものと性質は一緒だと思う。免税も含めて、非課税も含めて、税の軽減措置というものを考えていただきたいんですが、いかがですか。
  197. 藤田幸久

    ○藤田副大臣 井上委員の質問お答えいたします。  私も水戸の出身でございまして、毎週、今特別に常磐線の駅が一つ増加でとまるぐらいのことでございますので、梅のことは非常に私も深刻に考えております。  お尋ね質問でございますけれども、金曜日以来、事務所の方にもお伺いしているんですが、この補償金の内容について詳しく存じ上げておりませんので、一般的なお答えになるんですけれども、いわゆる逸失利益の補償に関して受け取る補償金ということであるならば、もともとそれに関する所得があったという前提でございますので、課税の対象になるということになってしまいます。  ただ、今委員の方からお話ございましたように、この樹木としての梅が、将来、価値を評価して、さまざまな形で、この梅が強制的に伐採されていない場合には、さまざまな価値を生み出すという意味での固定資産に該当する対象であるという意味での損失の補償ということであるならば、これは固定資産に該当する補償になりますので、所得税の課税上は非課税というふうになります。  したがいまして、つまり、事業としての補償、逸失利益だったのか、それとも、その梅の樹木の価値を評価した固定資産に該当する対象樹に対する補償という場合には非課税になるという考え方でございます。
  198. 井上信治

    井上(信)分科員 ちょっと今の御答弁、私も初めて聞いたものですから、定かにわかりにくいんですけれども、それであればやはり、うちの事務所に確認されたとおっしゃいましたけれども、別にうちの事務所がこの損失補償の性格について答える権限も能力もありませんので、これは農水省なり、あるいは東京都が実際には携わっているんですか、ちょっとわかりませんが、そういった関係機関とよく調整をしていただいて、なるべく固定資産として評価をしていただいて、非課税になるようにぜひお願いしたいと思いますけれども、いかがですか。
  199. 藤田幸久

    ○藤田副大臣 多分、東京都の方から補償という形になっているんだろうと思いますので、その内容を精査していただきまして、つまり、固定資産に該当する対象樹に対する損失を補償するというものかどうかというもの等確認をさせていただきまして、どういう方法があるか検討させていただきたいというふうに思います。
  200. 井上信治

    井上(信)分科員 ぜひお願いしたいというふうに思っております。  あわせて申し上げると、さっき言ったその逸失利益ということになりますと、通常であれば、やはり梅干しなりなんなりの所得が毎年計上されますよね。ですから、当然のことながら、所得には、それぞれの年に合わせて税率が、低い税率でかかってくると思います。それが、逸失利益を通算して一度に損失補償をもらうということになりますと、その年の所得が物すごく高くなる。当然、税率も高くなるわけです。これが同じように同じ税率で課税されてしまったら、これまたおかしいんじゃないか、こういった問題意識も地元では言われておりますので、こちらの方もあわせて御検討いただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  201. 藤田幸久

    ○藤田副大臣 おっしゃいますとおりに、最初から、補償が出た段階からそういう対象になってしまうという時間的な要因もあると思いますので、その辺も研究をさせていただきまして、対応させていただきたいと思います。
  202. 井上信治

    井上(信)分科員 非常に前向きな御答弁を大変ありがとうございました。  次に、生産緑地の話について伺いたいと思います。  この梅農家ですけれども、生産緑地で生産している方がかなり多いんですね。しかし、このプラムポックスウイルスが見つかりますと、伐採をされる。そして、新たに植えるということは、禁止はしていないらしいんですが、当然、所有者の方は自粛をされておられるんですね。そうなってしまうと、この生産緑地が全く更地になってしまう。しかも、これも、その確認期間の三年も含めて、あるいは、再発になればもっとこれが延びてしまう。ずっと更地になってしまったら、生産緑地の指定を解除されたら困ると。当然、課税の税率が違いますよね。ですから、これを大変心配しております。  もし、更地になって、そして農地的な利用ができないとなった場合に、生産緑地を解除するということは、それはやはり私はおかしいと思うんですね、強制的に植えられないんですから。ですから、そういったことはあり得ないということをぜひ御答弁いただきたいと思います。
  203. 津島恭一

    ○津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。  今、井上議員から、除外されるんじゃないのかというお話もございました。そこで、生産緑地につきましては、市街化区域内の農地等で、農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるもの、こういったことが条件としてございますので、市町村が都市計画に定めるものであります。  そこで、制度上は、一時的に農林漁業の継続ができなくなったことのみをもって、直ちに生産緑地地区から除外しなければならないというふうにはなっておりません。なお、生産緑地地区からの除外などの具体的な運用につきましては、今後の土地利用などを踏まえまして市町村が決めていく、こういうことになっております。
  204. 井上信治

    井上(信)分科員 それでは、福田総務大臣政務官にも来ていただいておりますので。  ですから、そういう場合に、生産緑地、これはやはり解除すべきじゃないと私は思います。そういうときに、解除されなければ、当然、宅地並み課税ということはあり得ない、従来どおりの課税だということ、ここを確認しておきたいんですけれども、お答えをお願いします。
  205. 福田昭夫

    ○福田大臣政務官 お答えをいたします。  先生御案内のとおり、現在、生産緑地地区内の農地につきましては、一般農地としての評価及び課税がなされております。  御指摘の、病害虫により耕作が不能となった生産緑地地区内の農地につきましては、所有者が引き続き耕作する意思を持ち、生産緑地地区に指定されている限り、従前どおり一般農地として評価及び課税がなされる、そうなっておりますので、御理解をいただきたいと思っています。
  206. 井上信治

    井上(信)分科員 ありがとうございました。  これは実際には、地元の青梅市なり、自治体の方で都市計画で認定をするということになると思いますけれども、おかげさまで、津島政務官、福田政務官の明確な御答弁をいただいたので、これは大丈夫なんだろうというふうに理解をさせていただきたいと思っております。  それと、また農水省の方にお尋ねをしたいんですけれども、防除区域の解除についてであります。  防除区域について、先ほど申し上げたように、三年間連続してウイルスが確認されなかった場合には防除区域を解除する、除外するということになっておりますけれども、この除外が大体半径一キロメーター以内の地域だということで、いわゆる大字単位といいますか、こういったことを想定されていると聞いております。  しかし、大字単位となると、かなり場所によっては広いところもありまして、しかも、制度上、三年間にいわば一本でも感染が確認されたら、また全部この区域ということになってしまいまして、いつまでたっても梅の木を植えることができないということになってしまいますので、ここはやはり弾力的に運用をしていただいて、もっと、丁目単位とか、狭いエリアの中で、きめ細かい防除区域の解除をお願いしたいと思いますけれども、いかがですか。
  207. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 プラムポックスウイルスの緊急防除の区域につきましては、植物ウイルス学の専門家の意見を聞きまして、ウイルスを媒介するアブラムシの行動範囲を踏まえて、感染が認められた植物を起点として半径一キロメートルの範囲内に含まれる地域を、今お話しのとおりの大字単位で指定してまいりました。  また、防除区域の解除につきましても、現時点では大字単位で行うことと予定しておりますが、解除の段階における地域考え方につきましては、今後の緊急防除の実施状況及びその結果等を見きわめながら、具体的なことにつきましては、いろいろ今先生からもお話がありましたけれども、専門家の意見を踏まえて具体的に検討をしてまいりたい、このように考えております。
  208. 井上信治

    井上(信)分科員 ありがとうございます。  聞くところによると、ウイルスを媒介するアブラムシの行動範囲、これが六百メートルとか、ですから半径一キロだというふうに言っておられるんですね。ということは、アブラムシの防除はやはり引き続きやっていただきたいんですよ、再発すると困るから。しかし、それを継続してやっていくんだったら、何も、いつまでたっても防除区域を大字単位で全部かけて、そして、新しい植栽を自粛させる必要は私はないと思っているんです。  ですから、それも踏まえて御検討いただけるということですから、これをぜひお願いしたいと思います。  本当に、きょうは、非常にそれぞれ前向きな御答弁をいただきまして、大変有意義に感じております。  私は、プラムポックスウイルスについては本当に危機感を感じておりまして、いま一歩、世の中全体としてはやはりマイナーといえばマイナーですよ、これは区域も限られていますから。しかし、日本で初めて梅についての感染が確認されたわけですよ。  ですから、これは、藤田副大臣の水戸も含めて、いつ何どき、どんどんどんどんこれが拡大していく、そんなおそれがないとも言えませんよ。いわば緊急対応危機管理ですからね。それは、鳥インフルのときや口蹄疫と一緒で、危機管理ですから、やはり初動が大事だということ。被害者に対する徹底的な補償とあわせて、迅速で、かつ本当に徹底的な対応をしないと、これからかえって被害が拡大する、私はこれを一番恐れております。ですから、そうならないように、ぜひこれからなお一層の集中した対応をとっていただきたいと思います。  最後に、鹿野大臣の方から、今後についての御決意をお願いしたいと思います。
  209. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 やはり、今御指摘のとおりに、いかにして防除をするかというふうなことに万全を期していかなきゃなりませんので、市当局、東京都とも連携をとりながら、今後の対策について、できるだけのことに努めてまいりたいと思っております。
  210. 井上信治

    井上(信)分科員 どうもありがとうございました。地元、そして農家の方々ともいろいろな話をしながら、また適宜、御相談をさせてもらいたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  どうもありがとうございました。
  211. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて井上信治君の質疑は終了いたしました。  次に、岡本英子さん。
  212. 岡本英子

    岡本(英)分科員 民主党の岡本英子です。どうぞよろしくお願いをいたします。  ことしは動物愛護法の改正の年となります。そこで、よりよい法改正をしていくためにも、改めて、細部にわたりまして確認したい事項や、また大臣等々のお考えを伺いたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それでは、まず初めに、ジャパンケネルクラブについて伺わせていただきます。  ジャパンケネルクラブ、略称JKCは、純血種の犬の血統証書を発行している法人であります。このジャパンケネルクラブのホームページをあけてみますと、この事業内容についてというところで、JKCは、農林水産省認可の公益法人として、一九四九年から活動していると書かれております。  この犬籍登録や血統証書の発行、ドッグショーの開催といったような事業は、まさに愛好家のみを対象とした営利性の高い事業だと思いますけれども、なぜ公益法人として行っているのか。また、代々、農林水産省の官僚が理事や理事長に天下っているのはなぜなのか。その理由をお聞かせいただきたいのと、そしてもう一つは、どのような経緯で農林水産省の管轄となったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  213. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 これは大分昔にさかのぼりまして、戦後すぐの昭和二十四年に警備犬協会というのが設立されました。このときには、愛玩動物としてではなくて、使役、つまり番犬という観点からの犬の協会でございまして、家畜の改良という観点から農水省の対象になったわけでございまして、農水省は、だから、昭和二十四年の協会の設立を認可したわけでございます。  その後、昭和四十八年に動物愛護法が成立をいたしまして、愛護関係、愛玩動物としての業に関しては総理府の所管というふうになりましたが、しかし、団体そのものは農水省の設立認可法人だという状態は、その後も続いたわけでございます。そして、昭和五十一年に他の団体と合併して、ケネルクラブがそこで成立をいたしました。  そして、その後、平成十三年、つい最近でございますが、この愛玩動物としての業務に関しては環境省の所管になったわけでございまして、今、この協会のほとんどの業は、愛玩動物としての業がほとんどであるというふうに聞いているところでございます。  経緯としては、そういう経過でなりました。
  214. 岡本英子

    岡本(英)分科員 それでは、資料を配らせていただきましたので、お手元で見ていただきたいんですけれども、写真を添付させていただきました。  この写真は、二〇一〇年十一月に動物愛護団体が犬をレスキューした、埼玉県川口市内の繁殖直売店の様子です。店内は悪臭が立ち込め、汚れた狭いケージの中で、ぼろぼろになった繁殖用の小型犬が異常行動を起こしたりしておりました。  二枚目をめくっていただきますと、ちょうど認定書の写っている写真の上の写真になるかと思いますが、大きな乳腺腫瘍があるなど、病気の犬ばかりがこの中にいたようでございます。この病気の犬たちを、高齢の店主は、治療も施すことなく、そのままにしていたということです。  このような状態の店であっても、店内には、ここに写真で載せさせていただいたように、JKCの畜犬業者資格証と畜犬飼育管理者資格証が掲げられており、そして、店の外には社団法人ジャパンケネルクラブ中央畜犬事業組合推奨店の表示がありました。  このような中で、農林水産省はJKCの事業についての監督を行ってきているのか。すなわち、JKCの名称の入った推奨店の基準とは何か。また、現地の調査を行った上で推奨店とされているのか。JKCの資格を持つ者の繁殖場へ定期的な訪問調査や改善指導を行っておられるのかなど、業務実態を把握しているのか。また、この劣悪繁殖業者問題を解決していくために、JKCを所管する農水省としても取り組んでいることがあれば、お伺いをしたいと思います。
  215. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 この写真を見ますと確かにひどい状況で、動物愛護法上も大きな問題だと思います。動物愛護法を管理する環境省と協力をして、この団体に対しても適切な、必要な指導をやっていきたいというふうに思っております。
  216. 岡本英子

    岡本(英)分科員 先ほども御説明をいただきましたけれども、畜犬という言葉が使われております。先ほどのお店の紹介をさせていただいたときにも、ジャパンケネルクラブ中央畜犬事業組合推奨店というように、畜犬という言葉が使われておりますが、農水省では今でも犬は家畜という扱いで取り扱っているのか、改めて認識を伺いたいと思います。
  217. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 以前の番犬使役用の犬の場合にそういう取り扱いをしておりましたが、現在の愛玩動物、ペットに関しては、それとは違う概念で対象にしなければいけないというふうに考えておりますので、違ってまいりました。  このケネルクラブの現在の業務は、先ほど申し上げたように、ほとんど愛玩動物としての業務が主でございますから、動物愛護法の対象として管理をしなければならないというふうに思っております。
  218. 岡本英子

    岡本(英)分科員 そうしますと、所管が農林水産省で、今は動物愛護法は環境省の管轄になっております。この所管がえということはお考えになっているでしょうか。
  219. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 当然、今までの歴史的な経過でこうなっているわけでございますが、適切に現状に合わせた検討をしなければならないというふうに思います。
  220. 岡本英子

    岡本(英)分科員 現在のJKCの理事長は、農林水産省の畜産局から天下りをした方で、二〇〇四年に理事長に就任、その翌年の二〇〇五年には、このJKCは三億五千万円の脱税を国税当局に指摘をされました。  当時、農水省の監査が形骸化をしていたと指摘をされておりますが、その後はきちんと監査をしているのでしょうか。  また、農水省は、JKCに公益法人としてふさわしくない業務があると指摘をして、第三者委員会を設置して業務の改善をするように求めてきたと思いますが、これは実行されたのか、またどのような結果が出ているのか、教えていただきたいと思います。
  221. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 今おっしゃったような実態、早急に調べて、適切に、これは直さなきゃいかぬと思います。  税務調査がされたというふうなことでございますが、税務調査に限らず、今言われたことについてきちんとやっていかなければいけない、そもそも天下りそのものについては根本から考え直していかなければいけないというふうに思います。
  222. 岡本英子

    岡本(英)分科員 また、動物愛護法には、これらの繁殖業者に対して動物取扱業の登録を求めておりますが、同法を所管する環境省の中央環境審議会動物愛護部会の委員には、今お話をさせていただきましたJKC理事長が委嘱をされております。  環境省では、どのような利害関係を代表する者として委嘱をされたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  223. 横光克彦

    ○横光副大臣 業界団体の意見をまとめるという立場として、委員として入っていただいております。
  224. 岡本英子

    岡本(英)分科員 このJKCの会長、中央環境審議会で動物愛護部会の中の小委員会の中で発言している言葉を一つ例として御紹介をさせていただきたいと思います。  これは福島で残っている家畜に対しての発言なんですが、   やや誤解を招くかもしれませんけれども、私が申し上げたかったのは、例えば豚とか牛とか、いわゆる同行避難にはとてもなじまない大きな家畜がたくさんいるわけですね。こういう家畜については、およそ近い将来、救済できないという判断がその場でできれば、直ちに安楽死として銃殺を是非させてほしい。保定をして毒物で殺すなんていうのは、大変な労力と時間がかかるわけですから、ペットでも、とても今、人間と同行避難ができないというときは、何らかの特殊な人に銃を持たせて、どんどんどんどん銃殺をしていくと、安楽死という意味で。 望ましいのだと思うということを発言されております。  私個人としては、決して、こういう方が中央環境審議会の中の部会に望ましい方ではないのではないかと思いますけれども、個人の誹謗中傷は別といたしまして、しっかりと人を選んでいただくということをまずお願いをさせていただきたいと思います。  次に、畜産動物福祉の国際動向について伺っていきたいと思います。  家畜も劣悪な状況で飼育をしてよいわけではありません。畜産動物の福祉は国際的な潮流になっておりまして、FAOやOIE、またOECDなどが指針を出しています。また、EUでは法令で定めてもおります。これは、単に動物愛護の観点にのみならず、国際貿易などの経済的側面及び人や動物の感染症対策などの観点からも、国際的に標準的な指針を制定していく必要があると思いますし、推進されている側面があります。  日本では、これらの動向をきちんと情報収集し、国際的な動きにどのように対応しているのか、また、それらの情報を消費者、生産者に普及啓発しているのか、伺いたいと思います。
  225. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 今言われたのは、先ほど言われたような問題点がいろいろあるので、きちんとそれをやっていないのではないかという趣旨質問かと思います。  これは、今まで農水省としても、いろいろ血統証明書の発行だとか、それからコンクールなどを実施したりして趣旨に合ったものをやっていくという取り組みはしているわけでございますが、今話にあったことを含めて考えますと、極めてまだ不十分だと言わざるを得ないかと思いますので、きちんとそれら農水省の所管の範囲内でやって、そして環境省とも協力しながら努めていきたいというふうに思います。
  226. 岡本英子

    岡本(英)分科員 まだ国際的に標準的な指針を制定していく必要があると思いますので、ぜひそこの部分をよろしくお願いいたしたいと思います。また、国際的な動きにどのように対応しているのか、ぜひ今後具体的にあらわしていただければと思っております。  次に、日本では、畜産食品の食料自給率が極めて低いと思います。大半を海外から輸入しています。日本において家畜福祉基準を設けることで、海外から高品質の製品を輸入することが可能になると考えられますが、どのように考えているのか、もしできれば鹿野大臣から御回答いただければと思います。
  227. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 家畜の餌についても、海外からも輸入をしております。それが家畜の福祉に合った形でやらなければいけないというのはおっしゃるとおりでございますから、その点に関して、今までもある程度努力してやっているところでございますし、今度の大震災で家畜飼料が不足した際にも、備蓄の飼料を活用しただけではなくて、輸入に関しても取り組んだところでございます。  おっしゃる趣旨で、家畜の福祉に合う形での飼料の輸入もさらに強めていきたいというふうに思っております。
  228. 岡本英子

    岡本(英)分科員 農水省は、アニマルウエルフェアに対応した家畜の飼養保管指針を作成していると思います。この飼養保管指針が国際的な水準に達していると考えられているかどうか、まず伺いたいと思います。
  229. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 では、岡本先生の御質問お答えしてまいりたいと思います。  家畜のアニマルウエルフェアについては、産業動物の飼養及び保管に関する基準を踏まえまして、当省といたしまして、平成十九年度から平成二十二年度までに六つの畜種別にアニマルウエルフェアの考え方対応した家畜の飼養管理指針を策定しました。  当該指針は、研究者、生産者、消費者、もちろん動物愛護関係者など、広範な分野から参加を得て策定したものでありまして、我が国の家畜生産の実態を踏まえ、生産性の向上にも寄与し、家畜の快適性に配慮した飼養管理の方法を規定したものであります。  岡本先生の方から、また随時、いろいろな、さまざまな御提案、御提言等ありましたら、当省といたしましても、研究をしなければならないものもありますので、その辺は今後の研究課題にさせていただければな、そういうふうに思っております。
  230. 岡本英子

    岡本(英)分科員 環境省さんに伺いたいんですが、環境省は、動物愛護管理法に基づいて、産業動物の飼養保管基準を制定していると思います。二十五年以上も前に制定された古いもので、時代おくれになっていると思うのですが、国際動向に対応した指針に改定をされるおつもりはあるのかどうか、伺いたいと思います。
  231. 横光克彦

    ○横光副大臣 お答えをいたします。  産業動物の福祉については、我が国の取り組みは、昨年末に取りまとめた中環審の報告書においても、五つの自由という概念がございますね、これを、産業動物も含めて動物全体に対する理念として動物愛護管理法に明記することが望ましいとされました。  環境省といたしましても、海外の変化を踏まえつつ、対応すべき課題と認識しておりまして、これは動物愛護管理法の改正をしなければならないわけで、この報告書の内容を参考にしつつ、現在、議員立法による改正に向けて与野党が御検討いただいているわけでございますので、そういった状況を見ながら対応してまいりたいと思っております。  基準等の改正については、今先生お話しのように、相当時代に合わない面もあるわけでございますので、環境省としては、見直す必要がある、このような認識を持っております。
  232. 岡本英子

    岡本(英)分科員 それでは、次に、福島に置き去りのペットと家畜の問題について伺っていきたいと思います。  福島原発の事故によって住民が避難を余儀なくされましたが、飼育していたペットや家畜の多くは現地に取り残され、餓死や放浪など、さまざまな問題を引き起こすことになりました。  被災から一年たつこの三月に、環境省は、警戒区域内の犬及び猫の集中保護を実施するとのことですが、こういった対策は余りにも遅過ぎたのではないかと私は思っております。  最初の段階でペットの同行避難や家畜の取り扱いについての方針を決定していれば、これほど手おくれにならなかったのではないかと思いますが、今、どのように考えてこの時期の保護に至ったのか、教えていただきたいと思います。
  233. 横光克彦

    ○横光副大臣 今、対応が遅いではないかという御指摘を受けたわけでございますが、確かにそういった面も否めないと思っております。  しかし、この大震災以降、原発事故発生以降、警戒区域内で養育あるいは飼育されてきた犬猫の捕獲活動には一生懸命取り組んでまいりました。現在のところ、行政あるいは民間を含めて、合計して、犬が四百九十一頭、猫は五百二十六頭救出したわけでございます。  これからさらに、今お話がございましたように、この三月一日から約三週間かけて、生息状況調査を踏まえて、一斉の保護活動を実施いたし始めたところでございます。  一週目が終わろうとしているところでございますが、おりや、あるいはわななんかを大量に仕掛けて、捕獲、保護活動をしてまいりたい。こういったことは、二十四年度も当然同じような形で継続してまいりたいと思っております。
  234. 岡本英子

    岡本(英)分科員 今御答弁いただきましたけれども、当時、福島の警戒区域には六千頭の犬猫が登録をされていたわけですね。実際、一年たって、犬四百七頭、猫二百二十八頭というのは余りにも少ない数だと私は思っておりますし、なぜ一年たって遅いかといいますと、今、現地で、放浪していた犬たちが逆に繁殖をしてふえてしまっている、また、野犬化をして保護しにくい状態になっているという中で、やはり早期の対策が必要だったと思いますし、日本の中で災害が起きる可能性を最大に考えて、これからの教訓にぜひしていただきたいと思います。  次に、環境省は、災害時におけるペットの同行避難や、避難所におけるペットスペースの確保などをなぜ当時指示できなかったのか、改めて教えていただきたいと思います。
  235. 横光克彦

    ○横光副大臣 恐れ入ります、もう一回御質問を。
  236. 岡本英子

    岡本(英)分科員 今回の災害のときに、ペットの同行避難や、避難所におけるペットスペースの確保などをなぜ指示できなかったのか、その理由を教えていただきたいと思います。
  237. 横光克彦

    ○横光副大臣 まず最初に原発事故が起きて、ペットの保護活動に入ったわけですが、その後に、その保護したものをまず管理するところ、シェルターですね、こういったものをしっかりと対応していったわけでございますが、確かに、今おっしゃられましたように、ちょっと後手を踏んだなというところもあろうかと思っております。
  238. 岡本英子

    岡本(英)分科員 それでは、農水省さんは、家畜の取り扱いについてはどのような指示を当時出されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  239. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 岡本委員、もう一度いいですか。済みません。
  240. 岡本英子

    岡本(英)分科員 災害があった当時、家畜の取り扱いについて、農林水産省としてどのような指示を出されたのか、お聞きしたいと思います。
  241. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 原発事故発生時、警戒区域内に約三千五百頭の牛、家畜が飼養されておりました。このうち約千七百頭が津波や飢餓により死亡したということを報告を受けておりまして、約千八百頭が放れ畜となったと考えられるなど、家畜に甚大な被害が生じたところであります。  現在、これらについては、原則的に、所有者の同意を得て安楽死処分を実施しておりますが、一部の豚、馬については、文化、研究利用を目的とした移動を行ったところでございます。  そしてまた、一時帰宅が増加したことなどを踏まえて、まずは残りの放れ畜の捕獲を優先する必要があることから、当省の職員などが現地に赴いて捕獲作業の加速化に努めております。  また、東日本大震災復旧・復興予備費の一部として措置された百八億円を活用しながら、平成二十四年度も、警戒区域内に取り残された放れ畜対策を実施していく考えであります。  また、昨年四月以降、とにかく県と協力いたして、約九千三百頭の牛のほとんど全てを区域外へ今移動させているところでございます。
  242. 岡本英子

    岡本(英)分科員 ありがとうございます。  仲野政務官からお答えをいただいたように、今、安楽死の措置を講じているようでございます。  耳標未装着牛、耳の標示をつけていない牛に対して安楽死の措置を行っているようですけれども、安楽死を行わなければならない理由を伺いたいと思います。
  243. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 警戒区域内の耳標の取れた放れ牛について、所有者が特定できない一方で、野生化が進み、気の荒い雄牛などもあらわれてきているということで大変危険であるということと、このような中で、福島県としては、むやみに安楽死を行うのではなくて、まず、捕獲場所から所有者を推定できる牛や、または耳標がついた親牛と一緒にいる子牛については、その推定される所有者の意向を聞いて対処しているところでございます。  このような努力をしても所有者を推定できない牛については、安楽死措置が完了していない市町村の全畜産農家に対して、心当たりがあれば申し出を行うように依頼をしておりますし、それでも申し出がなく所有者が判明しない場合には、福島県において、弁護士に相談した結果を踏まえ、やむを得ない措置として安楽死を行うという考え方対応する方針であると承知をしております。  当省の考え方といたしましても、むやみに安楽死を行うのではなく、徹底してまずは放れている家畜について所有者を捜し求めて、その所有者の方としっかりお話をさせていただく、そういったことを県とも相談をしながら当省といたしまして対応しているという現状でありますので、先生におかれましては、御理解をいただければなと思っております。
  244. 岡本英子

    岡本(英)分科員 ありがとうございます。  今御答弁いただいたように、所有者がわかることが一番なんですが、わかったところで、今は所有者に安楽死を求めているのが現状だと思います。所有者も、安楽死を望んでいるわけではありませんが、これを保護する場所すらないという、ここを国の方で対処をしていない、また自治体の方で対処をしていないという状況の中で、どうしようもないから安楽死を選ばざるを得ないというのが今の現状だと思います。  そういった意味では、対処できるように、まず、国の方でも自治体の方に指示を出してあげる、また、そこのところは応援、協力ができるように対策をしていただきたいと思います。  もう一つは、この安楽死は、動物愛護法第二条の基本原則、時間があれば読ませていただきますが、「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」というふうに法律の方で書かれておりますが、これに違反するのではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  245. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 今先生が法律を読まれていただきましたけれども、この安楽死措置というのは、災害時における緊急的な措置であり、みだりに殺傷するということは、これについては当たらない、そのように理解をしております。
  246. 岡本英子

    岡本(英)分科員 もう時間となりましたので、最後に、できれば私としては、安楽死の処分ではなく、研究対策に使う、または、チェルノブイリのときには全頭移動をさせたという経緯もございます。この先進国日本の中でも、しっかりと家畜問題、また動物問題に取り組んでいっていただけるようにお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  247. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて岡本英子さんの質疑は終了いたしました。  次に、橘慶一郎君。
  248. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 それでは質問をさせていただくのですが、冒頭、万葉集を詠ませていただいて質問するということにしております。  きょうは、農業分野、水産分野の質問はするんですが、残念ながら林野分野の質問がございません。そこで、杉の枝にかすみがたなびいて春が来たのを感じるなという歌がありましたので、これを詠んで、林野の方はお許しをいただきたいと思います。  万葉集巻十、一千八百十四番。   いにしへの人の植えけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし  よろしくお願いいたします。考えてみたら、昔から植林ということがあったのかなとも思うわけであります。  まず、直接支払い交付金ということで、結構地域では評判のよろしい三つの交付金の予算状況について、その経緯と背景について順次お伺いをしてまいります。  まず、中山間地域直接支払い交付金でありますが、大変これは要望の強い、定着した制度であります。二十四年度予算案を見ますと、二百五十九億円ということで、十一億円の減額となっております。  これは、第三期対策が二十二年度から始まった際に、予算を多目に措置したけれども、実績がそこまではなかったということで、地域には迷惑はかからないんだ、こういう話も聞いているわけです。そのあたりの実情、そしてまた、それが当初の見込みまでいかないということについては、やはり地域の中山間地の厳しい状況をある意味では反映しているのかなとも思うのですけれども、見解をお伺いいたします。
  249. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 中山間地直接支払い制度、これは、非常に現地、現場で喜ばれている制度でございますから、さらに継続して、できたら恒久化していきたいというふうに思っている制度でございます。  そして、これに関しては、やはり中山間地の高齢化が急速に進んでおりますので、なかなかこれに対する取り組みがふえないといいますか、逆に減少傾向にある、そういう結果が出ていることは、残念なことでございますがあるわけでございます。  しかし、今度、離島に関しては、平地であっても対象になりますので、対象面積としては広がっているというふうに見込んでいるところでございます。  同時にまた、この運用の問題として、五年間継続してやらなければ、途中でやめた場合には返してもらうというふうな誤解が一部広がっている面もあって、皆さん、五年間継続してやっていくほど、自分は高齢者だから自信がない場合に、そもそも申請しないというふうな事例も結構起こっているようでございます。  それらの誤解をきちんと解いて、気が変わったから途中でやめたのならだめなんですが、病気あるいは体の関係で継続できない場合には、もちろん返済要求はしないわけでございますから、それらの誤解も解きながら、この制度の拡充を図っていきたいというふうに思っております。
  250. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 またその制度の大事な部分についてはPRをよろしくお願いして、ぜひ積極的にお願いいたします。  同じこの中山間地域で、もう一つ助かるなと言われるのは、鳥獣被害防止総合対策交付金であります。  これは、二十三年度に百億を超えるという形で大幅に増額をいただいて、言ってみれば、そういう野生動物が出てくる地域では大変喜ばれた予算であります。  ただ、二十四年度予算につきましては九十五億円ということで、十八億円の減なのであります。もちろん、被災地には別途また二十九億円措置されているということはあるんですが、せんだって、私ども予算委員会で地方公聴会に参りましたときにも、滋賀県の甲賀市長さんから、どうなんだ、どうしてだ、こういう御質問もあったわけでありまして、これはどうなのでしょうか。そしてまた、執行、対策上、問題はないのか、この点を確認させてください。
  251. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 鳥獣被害は農家にとって深刻でして、これで、あるいは離農まで考えざるを得ないという農家も出ているわけでございますから、これは、予算上も実際の対策上もきちんとやっていかなければいけないというふうに思っております。  今先生がおっしゃったように、被災地における別枠での対応が可能でございまして、それを合計すると決して減額になっていないという状況でございまして、これからもそういう姿勢でこれには取り組んでいきたいというふうに思っております。
  252. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 ぜひこれは実情を踏まえて、よろしくお願いしたいと思います。ちょっとこの永田町にいるとなかなか理解していただけない鳥獣被害でありますけれども、やはり地方では深刻でありますので、よろしくお願いしたいと思います。  そして、この農地・水保全管理支払い交付金でありますけれども、昨年度から、水路等施設の長寿命化等の、言ってみれば、ややハードの簡単なものみたいなところまで、自主的にそういったものを直そうという地域取り組みに対しては、向上活動支援交付金ということで措置をいただいて、非常にこれも喜ばれていると思います。全体の予算、これは二百四十七億円ということで、三十五億円の伸びであります。  この農業農村基盤の貴重な社会資本ストックを維持する上で、集落単位での長寿命化の取り組み、こういったことも大変有効であろうと思うのですけれども、省の見解をお伺いいたします。
  253. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 今先生から、農地・水保全管理支払い交付金についてのお尋ねでありますが、この事業というものが、地域共同による農地、農業用水等の資源の保全管理活動を支援するため、平成十九年度から実施してきているところでございまして、地域皆さん方から非常に喜ばれている事業であって、ぜひ継続をしていただきたいということで、我々といたしましても、これだけ評価をいただいている事業であるならばということで、今先生がおっしゃっていただいたように、二十四年度の予算においても二百四十七億円ということで、増額をさせていただきました。  うち、向上活動支援も六十二億円ということでありますので、本当に、二十三年度までとされていたものを平成二十八年度まで継続をさせていただき、そして、施設の長寿命化への支援である向上活動支援交付金を拡充して実施してまいりますし、また、貴重な社会資本ストックを低コストで維持していく上で有効なものと十分認識しております。  今後とも、また先生方の御意見等をいただきながら、しっかり地元の声を十分に受けとめさせていただきながら、当省といたしましても適切に進めてまいる所存でございますので、ぜひまた御理解をいただきたいと思います。
  254. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 農業基盤整備事業は、土地改良関係、いろいろなものがあるんですけれども、そういった大きなものにならないまでも、地域の、地元の中のあぜとかそういうところの小水路の管理ということが非常にやはり大事なわけで、そういうところには非常に有効な交付金だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うわけであります。  続きまして、第二項目め、米価格ほかということで、こちらに移らせていただきます。  昨年春から、米に関するマンスリーレポートということで、毎月の米の価格の状況、相場の状況等を公表していただいているということは大変いいことだと思っております。  直近の二月のマンスリーレポートを見ますと、二十三年産米の相対取引価格については、六十キログラム当たり一万五千二百三十三円、昨年を二千五百円程度上回って、今、堅調に推移をしているわけであります。  これは相場物ではありますけれども、ことしが去年より二千五百円堅調である要因についてどのように分析されているのか、伺います。
  255. 今井敏

    ○今井政府参考人 二十三年産米の相対取引価格について御説明いたします。  二十三年産米の二十三年十二月の相対取引価格につきましては、先生御指摘のとおり、六十キログラム当たり、全銘柄平均で一万五千二百三十三円となっております。  これにつきましては、二十二年産米について、前年産、それは二十一年産ということになるわけですけれども、前年産の二十二年六月末時点での民間在庫量が二百十六万トンということで、前年水準を大きく上回る水準で、これが原因で価格が低下したのに対しまして、二十三年産米につきましては、東日本大震災の影響により需要が増加し、二十三年六月末の民間在庫量が百八十一万トンということで、過去五年平均並みの水準に戻った、こういったことが価格が回復した原因ではないかと分析しているところでございます。
  256. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 ありがとうございます。  今、在庫量との兼ね合いでお話をいただいたわけでありますが、そんな意味では、また、大きな、国全体としての米の需給あるいはそのトレンドということを考えますと、農水省さんで昨年の十一月に発表された基本指針におきましても、高齢化、人口減少を反映いたしまして、国民全体としての米の需要については、二十三年から二十四年にかけてが八百五万トン、二十四年から二十五年にかけては七百九十七万トンと、やはり年間八万トンくらい減少していくトレンドが変わっていないわけであります。一方、二十三年産米の作柄は平年並み、一〇一だったわけであります。  そういうことを考えると、需要は落ちていく、供給はふえている。確かに、東日本大震災ということがあって、一時的に、ある意味で、お米がいつもなら業者さんの倉にあるものが御家庭の台所にあるという状況がどれだけ続くんだろうと素人考えでいうと、先行きが何となく心配になってしまうんですけれども、そういう懸念は、これもまた相場物で大変質問は恐縮なんですが、当たらないのか当たるのか、見通しを伺います。
  257. 今井敏

    ○今井政府参考人 お答え申し上げます。  米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針によりますと、平成二十三年七月から二十四年六月までの需要の見通しは八百五万トンに対しまして、生産量は御指摘のとおり八百十三万トンとなっております。一方で、先ほど申し上げましたように、二十三年六月末の民間在庫量につきましては百八十一万トンと、過去五年平均並みの水準に戻っているところでございまして、そのような状況を背景に、二十三年産米の相対取引価格については、対前年で二千五百円程度高い水準で推移しておりまして、今後とも価格の動向については注視してまいりたいと考えております。
  258. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 なかなかそれ以上の話にはならないかもしれませんが、今のお話でいけば、八百五万トンと八百十三万トンで、供給の方が八万トンぐらい上回っているという状況でありますので、またどこかでこの在庫というものが変動してくるかもしれない。これはなかなか誰にもわからない部分でありますが、またぜひ注視をいただきながらということを思うわけであります。  もう一つ、この項で質問させていただきたいのは、これは東日本大震災があって非常に不幸なことでありますが、被災地において昨年は作付がなかなかうまくいかないということがありまして、三月十一日の事案でありましたので、急遽、春の作付の前で県間調整ということになったわけであります。これが、被災地側からの希望が四万六千トン、全国で応じられたものが二万七千トンということで、これは非常に緊急的なことでなかなか大変であったと思います。  ことしは去年と違って、そこは時間的余裕もあるという状況でありますが、現状どのように推移しているか、確認だけさせていただきたいと思います。
  259. 今井敏

    ○今井政府参考人 米の県間調整につきまして御説明をさせていただきます。  県間調整につきましては、農家の作付の準備に支障を生じないようということで、例年、二月の中旬を目途に関係県での調整を進めているところでございます。  二十四年産米につきましても、一月下旬から各県の調整の希望を募りましたところ、期限の二月十五日までに生産数量目標の出し手希望の県がなかったということで、本年につきましては、国の仲介による県間調整は実施しない旨、既に各県に通知をしたところでございます。  なお、東日本大震災関係で二十三年産米の生産数量目標の出し手県となった宮城、福島におきましては、津波の被害や水利施設の被害の復旧が進んだこと、あるいは県内での調整を行う時間的余裕があること等から、県内での調整をすることとしたというふうに承知をしているところでございます。
  260. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 この点については確認をさせていただきまして、よくわかりました。今後とも、毎月のマンスリーレポートを見せていただきながら、私なりにもまたこの米価の動向についてはよく見ていきたい、このように思っております。  続きまして、三項目め、再生エネルギーと六次産業化ということで、特に、今年度の、どちらかというと新しい取り組みになる部分について幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、小水力等農村地域資源利活用事業ということで、これは六億九千二百万円、復興枠で六億二百万円ということで、農業水利施設の活用など、農村に新しい光を投げかけていく事業ではないかと思っているわけであります。  土地改良施設を使って小水力発電をする、そういうことによって施設のコストを下げるとか、あるいは、時には売電ということもあるかもしれません。こういったことに対しての支援措置ということでありますが、具体的な取り組みについてお伺いいたします。
  261. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 先生おっしゃるとおり、農業用水を使った小水力発電、これは農村に光を投げる、与える、そういう本当に期待の持てる事業だというふうに思っております。  農水省としては、基盤整備と同時にこの小水力発電を設置するというふうなことも今進めているわけでございますし、また、この小水力発電の調査等々に関する支援措置もつくったところでございます。  さらには、これは後で質問に出てくるのかもしれませんが、六次産業化全体に共通するものとしてのファンド、基金の設立、これによる支援も始めることにしているわけでございます。
  262. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 もう一つ、再生エネルギーの中でバイオ燃料の候補ということで、微細藻類が、休耕田に水を張って、そこに藻を生育させて、そしてそれがバイオ燃料になるということであれば、休耕田の活用にもなりますし、そのまま田んぼの形状で使えるということもあります。  これはなかなか期待できる農林水産分野のバイオ燃料の候補じゃないかと思うんですが、これまでわかっていること、そしてまた、二十四年度予算における石油代替燃料等の製造技術の開発研究という形で目標とされるところを伺います。
  263. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 今のところ、石油代替としては、エタノール、でん粉から、あるいはセルロースからの事業をやっているところでございますが、今まさに先生がおっしゃった藻からそういう石油代替燃料、それもジェット燃料等々ができる可能性がある。これは大きく期待が持てるものでございますから、これもまさに六次産業化の範疇に入るものでございますから、積極的にそれも検討して進めていきたいというふうに考えております。
  264. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 今、六次産業化ということで、ファンドの話がございます。それで、このファンドの話を二つほどお聞きしたいんです。  一つは、今回、こういう新しい会社をつくり、産投会計から三百億円も出資をされて、そしていろいろな地域の六次産業を応援するということでありますが、どんなプロジェクト、実施主体でありますとか内容とか、基本的にどういうものに対してのファンドということでお考えになっているのか、まず基本的なところを伺います。
  265. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 一次産業者がその事業に参加して、同時に二次、三次産業者も参加をする。それから、地域の金融機関も融資というふうな形で参加をしてもらう。それら三者の地域の新しい事業に対して、国のファンドから出資という形での支援をする、そういうイメージを考えているところでございます。だから、三百億円でございますが、百億円は劣後ローンという形での支援になるかと思います。  地域のそういう一次産業者、二次、三次産業者、さらには地域の金融機関、それら全体が協力し合って地域の資源を活用した新しい事業を起こす、そういうことをイメージしているものでございます。
  266. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 先ほどから少しお話が出ましたが、何か具体的な案件、余り具体に入ってはいけないんでしょうけれども、何か、こういうものだ、こういう製品だとかこういう取り組みだというところで、少し具体的なものは想定されているんでしょうか。
  267. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 今度、再生可能エネルギーに関する固定価格買い取り法ができましたから、さっきの、先生がおっしゃった小水力発電にしても、バイオマス発電にしても、それらの事業を、一次産業者と二次、三次産業者がそれぞれ参加をして、そして地域の金融機関からの融資を受けて、そしてその事業をやって利益を上げていただくというふうなこと、つまり、再生可能エネルギーというのを一つの大きな柱として考えているところでございます。
  268. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 一つのイメージは再生可能エネルギーということでありますが、今も副大臣の御答弁の中に、地域の金融機関とともにというお話もありました。  実は、地域の金融機関というのは、マクロ、大きな姿で見ますと、今、世の中、日本じゅうが言ってみれば預金に対して貸し出しがない。金余りで、金融機関の預貸率もどちらかというと下がる傾向にあって、なかなか貸出先がない、こんな状況もあったりするわけですね。  そういう中で、こういったファンドという形で、ある意味で、一面、手をとり合ってですが、一面、競合しかねないかな、そういう懸念もされるところだと思うんです。  そこは競合ではなくて、どのように、そしてまた、そのファンドがなくてもできることが、それじゃファンドをつくる意味がないわけでありまして、ファンドがあるからいつもならできないことができるということで初めて、言ってみれば、こういう、ある意味政府の関連機関としての意味が出てくるんだろう、こう思うわけですね。  その辺、どういうイメージでお考えになっているのか、どういうところでかゆいところに手が届くのか、この辺、基本的にどう思っておられるのか、お願いいたします。
  269. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 今の合計三百億の基金は、まさに出資金でございますから、これは余り強調しない方がいいのかもしれませんが、返済義務はないものでございまして、地域金融機関からは、融資ですから、これは返済義務があるものでございまして、その違いは結構大きいかと思います。  そして、十年、十五年でその事業体が利益を上げて、国からの出資金について、自己株式の取得等の形で買い取ることができるという段階になったら、それを買い取ってもらって、その結果としては国に戻ってくるわけでございますが、そういう仕組みでございますから、金融機関の融資とは全く競合しないし、共同し合って取り組んでいくべきものだというふうに思っております。  それと、先ほど、再生可能エネルギーを一つの柱として申し上げましたが、もちろん、それに限らず、農林水産物についての加工、流通業を同時にやるという事業、あるいは輸出業務、これらもそのファンドの対象事業として考えているところでございます。
  270. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 ここはまた法案の審議などもあるでしょうから、さらに深まっていくものと思いますが、基本的なところについては、今、お話は自分なりには理解をしたつもりであります。  では最後に、漁業対策、水産関係ということで、済みません、大臣にはずっとお待ちいただいたわけですが、まず最初に大臣にお伺いいたします。  今回、東日本大震災の被災地はやはり海沿いが多くて、漁港施設がかなり打撃を受けた。特に、津波ということがあって、背後の加工施設、例えば氷をつくっているとか倉庫とか、いろいろなものが複合的に被災されたということによりまして、非常にこの復旧というものが大きな課題になったかと思います。  そして、一年たちまして、また一つ一つ新しい出漁期に入ってきて、それぞれ旬の魚が出てくるというこの段階におきまして、復旧の状況がどうであるか、そして、ことしの出漁期には支障はないのか、お伺いをいたします。
  271. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今橘先生からお話しのとおりに、被災地においては、地域経済の核となっておったところの漁業と、それからその関連事業というふうなものの一体的な取り組み、水産加工業界のこの一体的な取り組みというものが、再生の重要なポイントになると思っております。  そういう意味で、まず、水産加工施設の復旧につきましては、三次にわたりまして補正予算を組んでまいりました。共同利用の水産加工施設の修繕なり、あるいは機器の整備なり、こういうようなことで支援をしてきたところでございますけれども、現時点におきまして、岩手、宮城、福島の三県におきまして被災した水産加工施設のうち、大体約五割が復旧をいたしておるところでございます。  さらに、市町村の復興計画、復興方針に沿って整備されるところの民間事業者の水産加工流通施設の整備につきましても、東日本大震災復興交付金の対象事業として支援をしていくというふうなことにいたしておるところでございます。  今後とも、これからの水揚げというふうなものがさらにふえていくように、水産加工施設の復旧等々につきまして、この漁業と水産加工業の一体化というふうなものの重要性を鑑みながら取り組んでいきたいと思っております。
  272. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 今回は、復旧復興の中で、特にその水産加工というところに非常に目を向けていただいて努力をいただいたことは、大変評価しているところであります。  今度は水産業全体の問題でありますが、やはり消費拡大ということがどうしても求められる、そういう状況だと思います。この二十四年度予算における品質、衛生管理あるいは六次産業化等、水産庁としての取り組みについてお伺いをいたします。
  273. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 まず、消費者に水産物をもっと食べていただくためには、消費者ニーズに合った商品開発あるいは販路開拓などの取り組みを積極的に進めることが重要であります。  このため、二十三年度から、強い水産業づくり交付金の中に、漁業の六次産業化などを目指す産地の活動や施設整備を支援する産地水産業強化支援事業を創設したところでございます。  この中で、本年度は、静岡市由比地区におけるサクラエビ、シラスなどの高度衛生管理に向けた取り組み、あるいは上天草市の大矢野地区における調理の難しいハモのすり身加工の取り組みなど、消費拡大に向けて、今積極的に取り組みを支援させていただいているところでございます。  本事業については、二十三年度第四次補正予算に加え、二十四年度予算においても引き続き強力に推進してまいるところでございますので、ぜひまたよろしくお願いしたいと思います。
  274. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 今お話のあるような一つ一つの魚種について、食べやすいものはいいんですけれども、なかなか調理が難しいものについてはそういういろいろな工夫が必要になったりいたしますし、質問を一つ飛ばしますけれども、産地ブランドの確立ということで、私どもの出身の地域でいえば氷見のブリ、あるいは関サバとか、そういったそれぞれの事例において、やはり地元の取り組みも非常に大事だ、こんなふうに思っております。  それで、時間の関係上、最後に農林水産大臣にお伺いをするわけですが、出し手側といいますか、魚をとってきて、卸をして、小売してと、そういった流通の側から攻めていくということも大事でありますが、一面、また最後は、最終消費者、最後は御家庭であります。そういうところで、きょうは魚を食べようよとか、魚食ということも非常に必要になってくるということを考えますと、やはり一つには、次の時代の子供たちにまた魚食ということをしていっていただくためには、学校給食での地元水産物の活用というようなことも非常に大事だと思っております。  ついつい、だんだん家庭が核家族化したり、あるいは皆さんお忙しかったり、いろいろな事情で、なかなかおうちでそういうことが経験できなかったりして、そのまま、どうもお魚は面倒かななんということになってくると、せっかく日本は周りじゅうを海に囲まれて水産資源も豊かなわけでありまして、そんなせっかくの魚が食べられないというのは非常に残念なことになるわけであります。  学校給食における地元水産物の活用など、そういう魚食普及に力を入れるべきだと思うんですが、鹿野大臣の見解を最後にお伺いいたします。
  275. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生おっしゃるとおりに、水産物の消費量というものが減少傾向にあるわけでございます。日本の食文化というものを守るというふうな観点からも、魚食普及というものは大変重要だ、こう思っております。  そして、お話のとおりに、子供たちに、地域の食文化というふうなものを支えている地元の魚をもっと食べてもらうというようなことも、大変有効なことだと思っております。  例えば、先生の地元の富山県の新湊漁業協同組合が、郷土の特産物であるベニズワイガニを地元の小学校の学校給食で一人一匹提供している、こういうようなお話も伺っておるわけでございまして、大変すばらしい取り組みもしていただいていると承知しております。  農林水産省といたしましても、水産関係の人たち、そして教育関係者、スーパー等の小売業界、消費者団体、幅広い関係者と連携をしながら、日本の食文化というふうなものをこれからも次の時代に引き継いでいくというようなことも含めて、魚食普及の推進に向けて取り組んでいきたいと思っております。
  276. 橘慶一郎

    ○橘(慶)分科員 最後はカニ給食の話も出していただいて、ありがとうございました。  ぜひ、そういうことも御認識いただいて、こういうことに対する施策についても一層の強化を特に要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  277. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、あべ俊子さん。
  278. あべ俊子

    ○あべ分科員 自由民主党、あべ俊子でございます。  きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。大臣に、TPPに関して、何度も聞かれて大変だと思いますが、質問したいというふうに思っております。  TPPが国益に資するかどうかという議論が何度もされておりますが、私は、どういう立場の方がどういう視点で言ってくるかによって、大きく異なってくるんだと思っております。ただ、農業がダメージを受けることだけは確かでございまして、そういう意味で、大臣、TPPに対してどうしていくかという観点から、この我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画を出されたということなんでしょうか。     〔主査退席、近藤(和)主査代理着席〕
  279. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 基本的には、もう全く別の視点から捉えさせていただいております。  昨年の十月に決定いたしましたところの食と農林漁業の再生に向けた基本方針なり行動計画というものは、今日の農業の実情、実態を踏まえて、限られた期間、五年間をいわゆる取り組み期間にさせていただきましたけれども、何とか再生を図っていきたい、こんな思いで基本方針・行動計画を打ち出させていただいたものでございまして、そういう中で、この五年間にわたって何とか一つの目標に向かって進んでまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。  TPPに関しましては、今日は、いろいろTPPの参加に向けて協議が行われているということでございます。そういう意味では、各国がどういうふうな考え方を求めてくるかということをしっかりと把握して、これを国民の皆さん方にきちっと提示していかなきゃならない、こんなふうに考えておるところでございます。
  280. あべ俊子

    ○あべ分科員 TPPに関しては反対議論もたくさん出ておりますが、国際社会の中で参加表明をしたからには、急に手をおろすということはできるのか、できないのか。大臣、このことに関しては、今、反対して、では、やめましょうということは、国際社会の中における日本は可能なんですか。
  281. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今の状況というのは、TPPの交渉参加に向けて協議を始めたということでございますから、まだ交渉参加するという判断には立っておりません。  そういう意味で、各国が、もし日本の国がTPPに交渉参加する場合は何を求めるかということが一つのポイントになってくるわけです、判断材料になるわけでありますから。そういうものを今いろいろと、各国からの情報を把握するべく協議を行っているというふうなことでございます。  そういう意味で、それを受けて、国民に提示しながら議論をしてもらって判断をしていく、こういうふうな認識を持たせていただいているところでございます。
  282. あべ俊子

    ○あべ分科員 では、今から交渉参加に関しての手を挙げたものをおろすという可能性もまだあるということでしょうか。
  283. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、交渉参加を決定したわけではございませんで、いわゆる交渉参加に向けて協議ということでありますから、いろいろと、関係国、九つの国が、日本が参加することを仮定した場合にどういうようなことを求めるのかということをできるだけ国民の人たちにも承知をしていただいて、そして判断材料にしなきゃならないわけでありますから、そういう意味では、今、その交渉参加する前の段階でいろいろと協議を行っている、こういうふうな認識に立たせていただいております。
  284. あべ俊子

    ○あべ分科員 そうすると、今、国民も、判断するには余りにも材料がなさ過ぎる、一体何が起きるかさっぱりわからないというのが現段階だと思います。私たちよりも鹿野大臣の方がいろいろ御存じなんだと思いますが、私たち以上に知っているけれども出していない情報というのが何かあるんでしょうか。
  285. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 基本的にはございません。  というのは、例えばアメリカ、九つの関係国の中で一番ポイントは、やはりアメリカだと思います。アメリカは、御承知のとおりに、パブリックコメントをかけまして、いろいろな考え方をまとめ上げた。しかし、その考え方、パブコメを受けて、国民の関係者の人たちの考え方をこれから分析をする。分析をして、そして日本の国に対してどういうふうなことの考え方を求めるかというふうなことを出していきたい、こういうことでありますから、まだ情報そのものも、確固たるものを私どもも受けとめておるというものではないというふうなことであるということも御理解をいただきたいと思います。
  286. あべ俊子

    ○あべ分科員 そうすると、さまざまな意見がもう既に出ているということは大臣御承知のとおりでございますし、また各団体の方も言っているわけでございますが、特にUSAのライス連合、アメリカ産米の輸入条件として、八百に上る化学物質の最大残留基準値検査を必要としているから、これは科学的根拠に基づく検査の導入で不必要な項目を減らすことができる、日本は二〇〇六年以降遺伝子組み換え米の混入検査を行っているが、これも科学的根拠に基づく検査の必要性は見られないみたいなことをおっしゃっているわけであります。  そうすると、この部分を本当にやったら検査体制を変えていかなきゃいけないかもしれないというところまで行くと思うんですが、やはり食の安全を考えたときに、これが通るか通らないか、整理の中に残るか残らないかは別として、言語道断だと思うんですが、大臣、いかがですか。
  287. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 日米の間において、いろいろと交渉事がなされてまいりました。そういうふうな中で、今、あべ先生がおっしゃられたようなことも話し合いがなされたと思っておるわけでございますが、今回のTPP交渉参加に向けて協議を始めますということの協議の中におきましては、先ほど申し上げますとおりに、牛肉なり、自動車なり、保険それから急送便なり、あるいは分野横断的事項、これは透明性を求めるというような考え方が含まれていると思うんですけれども、そういう四点の概略的な形での話を出したというようなことだけであって、具体的に、このパブコメを受けて、どういうふうなものを日本に求めるかということはまだ示されていない、こういうふうなことでございます。
  288. あべ俊子

    ○あべ分科員 まだ示されていないんですが、示されたら、大臣、どうされるんですか。
  289. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 安全の問題でございますから、国民に当然のことながら情報を提示して、こういうことを求めていますよということを提示しながら議論をし、そして判断をしていくというふうなことになるものと思っております。
  290. あべ俊子

    ○あべ分科員 では、そのような、食の安全の部分で守れるかどうかわからないような遺伝子組み換えのところの規制緩和が入ったときには、もう絶対ノーということではなく、それをまた検討して協議して判断をされるということで、大臣としては、食の安全を何が何でも守ってくださるという、守るべきものは守ると言ったことに対しては、これは協議をするから、守るべきものかどうかは判断して、守らないかもしれないということでいいんでしょうか。
  291. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、今、食の安全等々に遺伝子組み換えのこと等も含めて、どういうことを求めるかというふうなことはまだ定かでありません。そういう意味では、私自身が今予見を持っていろいろとお話を申し上げるというのは決して好ましいことでもございませんし、控えさせていただきたいと思いますが、当然のことながら、食の安全を守るということは、農林水産省行政を進める上におきまして大変重要な問題でありますから、そのことは十分頭の中に入れて今後取り組んでいかなきゃならないと思っております。
  292. あべ俊子

    ○あべ分科員 ですから、TPPの国民的議論と言われましても、余りにも材料がなさ過ぎて、前提条件としてそういう仮説も立てられないということを政府側の皆様、また与党の皆さんがおっしゃるものですから、全く国民的議論ができずに、相変わらず、全く違う立場で全く違うことを言って、賛成だの反対だの、一体何をもってして言っているのかもわからない状態で議論がされていることに対して、私は本当に、これはマイナスのエネルギーではないかと思っているわけであります。  いずれにしても、TPPの参加の表明の協議という段階にありまして、強い農業をつくっていくということで出されたものの中に、この食と農の再生の基本方針の中におきまして、強い農業という中の農地のことに対して、新規就農をふやし、二十から三十ヘクの土地利用型農業を目指すということが入っているわけでありますが、これは、農業を強くしていくという観点で出されたということでよろしいでしょうか。
  293. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 まさしく、日本の農業というものも強いものにしていかなきゃならない、そして安定的な形で継続をしていく、そういう農業の経営のあり方というものをやはり求めていかなきゃならない、そういうふうな認識に立って、そして二十から三十というふうな一つの形態を大宗にしたい、こういうふうな考え方に立たせていただいたところでございます。
  294. あべ俊子

    ○あべ分科員 では、農地の集積の推進をしていけば強い農業になると大臣はお考えですか。
  295. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 強い農業にというのはいろいろあると思いますが、まさしく、生産性の向上を図っていくというようなことは、強い農業というふうなものを目指す一つであるものと思っております。
  296. あべ俊子

    ○あべ分科員 私は岡山の県北でございますが、中山間地区であります。土地を幾ら集めても効率化はできません。なぜか。それは棚田であるからであります。ここの部分は、大臣、どのように整理をされますか。
  297. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 中山間地というのは、この集約化というものは大変難しゅうございますということは、まさしくそのとおりだと思います。  しかし、そういう中山間地域におきましても、その中山間地域方々としっかりと話し合って、できるだけ集約をして取り組んでいただくということにおいて進めていくというふうなことも大事なことでございますので、実態、実情に合った形で丁寧に、その集落、地域方々との話し合いというふうなものはさらに大事になってきているものと思っております。
  298. あべ俊子

    ○あべ分科員 岡山県の鏡野町、有名な山田養蜂という蜂蜜屋さんがあるところでございますが、そこの奥の方でも、実は、農地の集約化をしたところがございます。全然効率化にならず、のり面の草刈りが非常に大変で、また集約化した農地をお返しするということが起きています。  ですから、中山間地区であっても、農地の集約化をすることによって効率的な農業ができる、六次産業ができるというのは幻想ではないかと思いますが、大臣のお地元は、中山間地区はございますか。
  299. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 ございます。それだけに、私も、この中山間地の農業の取り組みというふうなものについて、実は、正直申し上げますと、二十数年前に、中山間地域に対する対策という予算を初めて私が農林水産大臣のときに盛り込ませていただいたということでございます。  それだけに、あべ先生と同じように、中山間地域におけるところの農業というものを継続的にやってもらうということはいかに難しいかということも、いささかなりとも承知をいたしております。  しかし、そういう中でも、やはり集落の人たちが心を一つにして、できるだけ集約に向かって進んでいっていただくということは、これからの農業というものを考えたときに必要があるんじゃないか、こんな思いをいたしておるわけでございまして、そういう意味で、私どもも、一つの目標というものを掲げさせていただきました。  ただ、実態としては、今、先生の御地元の地域においてなかなかうまくいかなかったというふうなことも、これもまさしく事実だと思います。  そういう意味では、簡単なことではないというふうなことは私どももしっかりと認識をして取り組んでいかなきゃならない、これが中山間地対策だと思っております。
  300. あべ俊子

    ○あべ分科員 のり面が非常に多くて、稲刈りのときも田植えのときにも機械が入らないんです。手でやらなきゃいけない。また、のり面は、本当に事故に遭うようなところを、私どもの中山間地区の奥に行けば、若い衆は七十代ですから、その方々が草刈り機を振り回して、時々、草刈り機と一緒に振り回され、けがをされる方も出てくるわけであります。  私は、平野における農業、強い農業づくりと中山間地区はしっかりと分けて、TPPの交渉参加の協議に入っているのであれば、整理をしていかなければいけないと思っています。  大臣は、自民党が出した多面的機能の法案の中山間地区に対する部分をお読みになりましたか。
  301. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 概略頭の中に、全部入っているわけじゃありませんけれども、おおよそのところを読ませていただきました。
  302. あべ俊子

    ○あべ分科員 私ども自民党は、やはり中山間地区における農業というのは、食料を守るという観点だけではなく、環境を守り、国土を守り、地域を守るという総合的な地域政策みたいなものだと思っています。六次産業にはならないけれども、しかしながら、農業政策としては、私は、別建ての政策が必要なのではないかと思うわけであります。  大臣、強い農業とその反面の中山間地区の農業政策、もっと違う形で御提案をいただけませんか。
  303. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生からのお触れのいわゆる多面的機能の維持、いかに機能を維持していくかというふうなことに対する評価というものは、当然のことながら、戸別所得補償制度の中にも基本としてあるわけでございまして、そういう中で、この中山間地域というふうなものを、今後どういうふうな形でしっかりと農業をやってもらうかというふうなことは、今先生触れられたとおりの点は確かに多うございます。  しかし、もう一つ、中山間地域でなければ付加価値のある食材は生産されないというようなところもあるわけでございますので、中山間地域におけるところの魅力を生かして生産体制を確立するというふうなことによって、それを地域の発展、六次産業化に結びつけていく、こういう可能性もあるわけでございます。  そういう意味では、当然、中山間地に対する施策というものはしっかりとそこに盛り込ませていただきながら、中山間地域においての農業というものをこれからも継続的にやっていただくということの考え方を取り入れた中での施策というふうなものは求められると思っております。
  304. あべ俊子

    ○あべ分科員 中山間地区において、中山間地区じゃなきゃできない農産物も確かにあるとは思います。  しかしながら、中山間地区に行くと実は鳥獣被害が大変でございまして、つくった先から食べられる。少子化何のその、年に六回ぐらいイノブタさんは出産をなさいまして、いろいろな対策を立てても穴を掘って出てきちゃうということでございまして、動物保護地区というのがございますが、人間も保護すべきじゃないかと思うぐらい、どんどん掘られているんですね。  そういう中で農業と闘っている方々に対して、大臣、今みたいなかけ声論じゃなくて、もっと具体的な政策を出していただきたいと私はお願いをしているわけでございます。
  305. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 ですから、先生御承知のとおりに、戸別所得補償制度を導入いたしておる中におきましても、中山間地域におきましては、いわゆる区分的ではございますけれども、加味させていただいておりまして、そして、中山間地においてもぜひ農業を継続していただきたい、こういう施策もとっておるわけでございます。  そういう意味では、先生のおっしゃった、これからの中山間地に対する別途の取り組みというものが必要じゃないかというようなことを私どもも具体的な形でやらせていただいているわけでございますが、しかし、それで足りるのかどうか、また、そういうふうなものを、現状のままでいいのかどうかというようなことは、これからいろいろと具体的な形で検討していかなきゃならない課題であるものと思っております。
  306. あべ俊子

    ○あべ分科員 農地の集約化と戸別所得補償というのは相矛盾する政策ではないか。特に、農地の集約化を私ども自公政権が与党であったときにどんどん進めていったものが、戸別所得補償によって貸し剥がしが起きているんですが、大臣、このことは聞いたことはございますか。
  307. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 この導入をする際に、集落営農というものをせっかく築いたのに、そこにいわゆる戸別的な形での施策が行われるところから、俺もうやめたというような形で集落営農から離れていく、そういう現象、状況が起きているというふうなことは私どもも承知させていただいておりました。
  308. あべ俊子

    ○あべ分科員 ですから、今回の強い農業ということに対しても、中山間地区への配慮ということに関しましても、やはり限られた財源の中でやっていくわけですから、めり張りをつけていくということが非常に重要ではないかと私は思います。  特に、今回は農業者の所得がふえたということもございますし、米の値段もやや上がっております。それは戸別所得補償の影響も一つありますが、もう一つは東日本大震災の影響もあるのではないかと思っております。  現在の戸別所得補償は、ずっと同じ金額を何年ぐらい続けられる予定ですか、大臣
  309. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 恒久的な今の赤字体質というものから脱却するまでというふうなことが一つの考え方になるものと思っております。
  310. あべ俊子

    ○あべ分科員 大体、米に対して補助金が出ると、足元を見られて、それと値段が連動するということは、大臣、お聞きになったことはございますか。
  311. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 それぞれ、その取り組みというふうな中でございますから、一概にそうだとも、こういうふうなことを申し上げることはできませんけれども、やはり、そういう動向、需給関係も含めた価格の動向というものについては、当然、農業者の方々が常に注視をされている、こういうふうに思っておるところでございます。
  312. あべ俊子

    ○あべ分科員 さらに、大臣、食料自給率五〇%達成が三十二年だということは、これは変わらないことでよろしいんですか。
  313. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 目標数値は変わっておりません。
  314. あべ俊子

    ○あべ分科員 そうしますと、平成二十四年には自給率何%ぐらいになっていますか。
  315. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今日は三九%でございます。
  316. あべ俊子

    ○あべ分科員 では、二十五年には自給率はどれぐらいになっていますか。
  317. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 このことにつきましては、予算委員会等々におきましても工程表を出したらどうか、こういうふうなお話もございました。そういう中で、なかなか、個別的な農作物というふうなもの等々もございますので、今日の状況におきましては、いわゆる年ごとにというふうなことはなかなか難しいわけでございますけれども、三十二年におきましては何とか五〇に持っていきたいというような考え方で取り組ませていただいているところでございます。
  318. あべ俊子

    ○あべ分科員 年ごとは難しいと思いますが、では、三十二年に五〇%だとすると、四五%は何年ごろですか。
  319. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 そうやって詰められると、ちょっとなかなか具体的に何年ごろかというふうなことは今この場で申し上げることはできないわけでありますけれども、何とか、そういう一つの大事な過程でございますので、四五%に持っていき、そして次の五〇%へ持っていく、こういうふうな段取りになるのではないかなと思っております。
  320. あべ俊子

    ○あべ分科員 大臣、そんな急に食料自給率は上がりませんので、大体、四五%が何年ぐらいまでに達成しないと五〇%が三十二年に達成できるかどうかなんということは考えればわかるわけでございまして、そうすると、真ん中とったところで四五%行くでしょうか、大臣
  321. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 この食料自給率について、一つの期間の中で、四五から五〇ということは、半分ずつでありますから、それを真ん中ごろにというふうな、そういう一つの考え方というものが当てはまるかどうかというふうなことになりますならば、なかなかそれはそう簡単に当てはまるものではないと思っておりますが、四五まで持っていくことによって、それが食料自給率の加速につながっていくという場合もあるわけでございましょうから、とにかく今、基本的には、一番、食料自給率ということを考えたときには、麦とか大豆というふうなものがより多く生産されていくということ、そして国内産の需要がふえていくということが一つのポイントにもなるわけでありますので、そのことを意識しながら取り組んでいかなきゃならないことだと思っております。
  322. あべ俊子

    ○あべ分科員 大臣もおつらい立場であると思います。非常に言語明瞭、意味不明でございまして、一体、達成できるのかどうか、全くわからないという感じでございます。  では、TPPに関連しまして、特に木材に関してでございますが、TPPの参加表明、参加をした場合において、木材業者に対してどういう影響があると大臣はお考えですか。
  323. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 先ほどもほかの先生にお答え申し上げましたが、今、丸太等については関税ゼロですが、合板や集成材については関税があるわけでございますから、もし、TPPに参加して関税がゼロになった場合には、それらに対する深刻な影響が出てくることが予測されるわけでございまして、農水省はこの前試算を出しましたら、世界的に関税をゼロにして何らの対策もとらなかった場合には、森林・林業の生産額が五百億円減少する、こういう試算を発表しております。
  324. あべ俊子

    ○あべ分科員 そうしますと、林業が多い地域の中山間地区において、特にその部分の影響があったときに、これに対してはどういう対策を立てるおつもりでいらっしゃいますか。
  325. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 先ほども申し上げましたが、何の対策もとらなかった場合には、まさにこの前の丸太の関税がゼロになったように、森林・林業が深刻な打撃を受けることは確実でございます。  しかし、今どういう対策をとるのかという質問でございますが、交渉参加も決めていない段階でございまして、その中で関税がゼロということももちろん決まっているものではありませんから、仮定の上で、こういう対策をとるんだという答弁はできかねます。
  326. あべ俊子

    ○あべ分科員 では、集成材に関しまして、もし参加が決まれば対応をするということでよろしいですか。
  327. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 それも、例えば韓国のように、先対策、後開放という方針もあるわけでございますから、決まった後に対策をとるんだということも今答えかねる、そういうふうに思っております。
  328. あべ俊子

    ○あべ分科員 国民的議論を喚起してと言うには、喚起できるほどの情報もお持ちにならない、全くその中身もよくわからないし、影響だけはわかっているけれどもどういう対策を立てるかわからないということは、私は大きな問題ではないかと思っておりますが、国内材が今実は動かなくなっております。  円高とユーロ安に関して、やはりヨーロッパの木材を使った方が安い、大手ハウスメーカーが、もう日本の国内材を使うよりは外材を使った方が安いということでシフトし始めているということに関しては、大臣、御存じですか。
  329. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 そういうような状況においてのお話は、私どもにも聞こえてきているところでございます。
  330. あべ俊子

    ○あべ分科員 これに関しまして、特に在来工法、住宅というのが私は木材を使うのに一番重要な産業であると思っておりますが、ところが、固定資産税が、国内のいい木を使えば使うほど高くなるという仕組みになっているわけでございます。  きょう総務省の方からその担当の方がいらしておりますので、何段階ぐらいに分かれていて、一番大きいときは何倍ぐらいの差があるかということを、木材使用に関して大まかにちょっと、簡単に教えていただけますか。
  331. 平嶋彰英

    ○平嶋政府参考人 今お尋ねありました固定資産税に関しまして、その使用資材においてどの程度の区分があるかということでございますけれども、物によるのでございますけれども、多分一番多い事例といたしますと、現在、木質の床仕上げですとか壁、それから天井に関しましては、特、上、中、並という四段階ほどになっているのが多うございます。また、ほかの部分では、上と並等の二つの段階になっているものも多うございます。  その場合の点数でございますけれども、木質系の床仕上げの場合で見ますと、並と特の場合で大体四倍近い差があるということになってございます。
  332. あべ俊子

    ○あべ分科員 このことに関しては、今、国内材を使っていくということは、私は、森林を守り、国土を守り、水源林を守りという観点から、非常に重要であると思います。  平成二十四年の見直しはもう終わったそうでございますが、次は平成二十七年と聞いております。  大臣、ぜひ、これの見直しをして国内材を動かしていくべく、総務省と農林水産の方と協議をしていただけないでしょうか。このことだけ最後に質問させていただきます。
  333. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 総務大臣とも話し合ってみたいと思います。
  334. あべ俊子

    ○あべ分科員 ありがとうございます。  大臣のお地元のように、中山間地区の日本をどのように守っていくか、日本の国土をどう守っていくか、都会だけで日本は成り立たない、地方があってこその日本でございますから、ここのところは、大臣地域政策としての農業政策がどのようにあるかが大きく影響しますので、これからもしっかりとよろしくお願いします。  時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  335. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 これにてあべ俊子さんの質疑は終了いたしました。  次に、稲津久君。
  336. 稲津久

    稲津分科員 公明党の稲津久でございます。  きょうは、大臣に、酪農の経営安定対策と、あわせて漁業資源管理についてということで、大要二点、お伺いをさせていただきたいと思います。  時間の関係、配分から、先に漁業資源の管理について、ここからお話をお伺いしたいと思います。  まず第一点目は、野生動物による漁業被害についてということです。  近年、北海道において、トド、アザラシ、オットセイなどのいわゆる海獣による漁業被害が深刻化をしております。その被害は、漁業経営そのものを脅かす、まさに甚大な被害である、このように受けとめております。  少し紹介をさせていただきますと、これはトドなどの海獣等における北海道の被害状況です。例えば、平成二十二年の資料ですけれども、トドの被害、約十六億、アザラシ三億、オットセイ四億、合計で二十三億円程度になっています。  どういう被害かというと、これはもう御承知かと思うんですけれども、ニシンとかホッケ、こういった刺し網の漁業で、トドによる網を破るような害ですとか、そういった直接的な漁具破損の被害だけでも六百八十万円。それから、これは大変深刻ですけれども、漁獲した漁獲物を食いちぎるというんですか、そういう商品価値をなくすような食害、これだけでも八百三十二万円。こういう状況です。このほかに、イカ、ホッケの定置、それからカレイ、ヒラメ、タラ、タコなどなど、枚挙にいとまがないわけでございます。  そういう状況の中で、さらに、サケの定置網の漁業では、漁網に入ったサケがアザラシによって食いちぎられるだけじゃなくて、追い散らしといいますけれども、要するに、入ったサケを次々アザラシが追っかけて、そしてこのサケを飛散させてしまう、そういう状況もあります。  一方で、トドを駆除しようということで、駆除の頭数はどういう状況かというと、これも御案内かと思いますが、平成二十一年の時点で、北海道で百二十二頭、二十二年、百十五頭、二十三年は、これは平成二十四年の二月末現在ということで、今九十四頭。トドを駆除していい捕獲の頭数というのは百九十七頭と理解していますけれども、だんだんこの駆除も非常に難しくなっている。トドの方も学習をして、駆除の状況になるとすぐに逃げてしまうとか、言ってみたら、まさにトドなどによる海獣被害というのは、繰り返しになりますけれども、漁業者の方々の経営そのものを脅かす状況になっております。  こういうことを今私が簡潔に示させていただいたんですけれども、このトドなどの野生動物による漁業被害をどのように認識されているか、この点について、まずお伺いしたいと思います。
  337. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生からお話の、北海道等におけるところの刺し網漁業などにおきまして、トドの被害というものが大変大きいものである。漁具の損壊、あるいはまた漁獲物の減少という被害が発生しているわけでありますけれども、私どもとしては、国といたしましても、重大な問題だ、こういうふうな認識に立たせていただいているところでございます。
  338. 稲津久

    稲津分科員 ぜひ、農水省として、北海道ともよく連携をとっていただいて、この海獣被害の実態というのをさらに御認識いただければなと思います。  その上で、次は、資源管理・漁業所得補償対策についてということでお伺いさせていただきたいと思います。  この事業は、今年度から、水産資源の管理、回復を図りつつ、漁業者が将来にわたって持続的に漁業経営を維持できるようにということで環境整備していく、こういうものであるというふうに承知をしております。  ただ、どのような仕組みになっているのかということを、きょうはこの分科会でまずお示しいただければなと思っていますけれども、特に対象としている漁業者はどういうものなのか、この点についてもお示しいただければと思います。
  339. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生から申されたように、このトドの被害等々につきましては、北海道とも、道庁ともしっかりと連携をとってこれからもやっていきたいと思いますが、現在は、駆除なり、あるいは追い払い手法の実証試験、あるいは出現調査等を実施しているということも申させていただきたいと思います。  そういう中で、平成二十三年度から実施いたしております資源管理・漁業所得補償対策におきましては、トドの被害によるところの生産金額の減少も補填されるというふうなことになりますので、何とか本対策への加入促進というふうなところに私どもも努めてまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  340. 稲津久

    稲津分科員 私が次に伺いたいなと思った質問についてもお話をされましたので、私は非常に期待をして、うれしく思っているんです。  このトド対策、海獣対策が、駆除のみならず、先ほど申し上げましたように、漁業者の経営を脅かしているという状況を踏まえると、まさに、この資源管理・漁業所得補償の対策事業というのは、トド対策にもぜひ使っていただきたいということなんです。  北海道の方の地元からもこういうことで要望が出ています。平成二十三年度から国で創設する資源管理・漁業所得補償制度にはトド被害に対する直接補償は現時点では見込まれていないために、これらに対して、トド被害に対する直接補償制度の創設に向けて、ぜひこれは要望していきたい、こういう御意見も出ているところでございます。  それで、重ねての質問になりますけれども、トド対策等をこの事業にしっかりと位置づけていくということでよろしいかどうか、再度お伺いします。
  341. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 先生からの御指摘の点につきましては、いわゆる資源管理・漁業所得補償対策というふうな中におきましては、トドの被害によりまして生産金額が減少するというふうな場合は、これも補填されるということになります。ゆえに、ぜひともこの資源管理・漁業所得補償対策につきまして加入をしていただきたい、このことの要請もさせていただきたい、こんなふうに思っているところでございます。
  342. 稲津久

    稲津分科員 ありがとうございました。  それでは、次に、酪農の経営安定対策ということで順次お伺いをさせていただきたいというふうに思っております。  最初は、TPPによる酪農への影響についてということですけれども、今、TPPの事前協議が進められている中で、私は、さまざまな問題が露呈をしてきている、このように思っております。例えばオーストラリア、ニュージーランドからは日本の参加の支持は得られていない、それからもう一つ、これが一番大事だと思うんですけれども、アメリカからは、御案内のとおり、全ての品目を自由化交渉の対象にする、これが日本の参加条件だ、こういうことを言われてきていますね。この事前協議が進められる中で、繰り返しですけれども、いろいろなことがわかってきた。  私は、もとより、この時点での拙速なTPPへの参加の表明、あるいはそこに向けての動きというのは、これは総理の政治姿勢も含めて反対をしてまいりました。特に、TPPが原則関税撤廃ということで、これが日本の農業等に対する影響は非常に大きい、このことを繰り返し私も各方面で言わせていただいて、また同様に、多くの方々がこのことについては、もう論をまたずに、参加表明というのは余りにも拙速だからそこは何とかやはり阻止しなくてはいけない、こういうような声が相次いでおります。  そこで、具体的に酪農経営ということに絞ってきょうはお伺いしたいと思うんです。  特に、酪農においては、オーストラリアやニュージーランドから、このTPP、関税撤廃になった時点で、安い乳製品が大量に入ってくるだろう、いわゆる甚大な被害になるだろうという認識に立っているんですけれども、農水省として、TPPが酪農に対してどのような影響を及ぼすんだろうか、この点についての御認識をお伺いしたいと思います。
  343. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生が言及されましたことにつきましては、牛乳・乳製品の関税が撤廃されまして、かつ、何ら追加対策を講じないというふうな場合でございますけれども、バター等の国産乳製品のほぼ全量が外国産に転換するのではないか、そして、北海道の乳製品向け生乳がいわゆる都府県の飲用向け生乳に転換することが想定される、こういうふうに考えておるところでございます。  そういう意味では、都府県のいわゆる生乳生産に大きな影響を来すということにつながるのではないか、こんな認識に立たせていただいております。
  344. 稲津久

    稲津分科員 全くそのとおりでして、これはもう本当に根本的に変わってしまう。安い乳製品、特に加工品、バター、チーズとか、全部それが外国産のものに置きかわっていく。そして、北海道がいわゆる飲む牛乳の方にどうしてもやはりシフトを移さなきゃならない。そうすると、府県の酪農に対しても大きな影響を与える。言ってみたら、壊滅的な状況になるというふうに置きかえても、私は、それほど違いはないかなと思っているんです。  新聞記事を一つ紹介させていただきたいと思いますが、北海道の遠別町という、稚内の少し南のところにある町ですけれども、ここで、百ヘクタールの牧草地で乳牛百二十頭、それから育成牛五十頭を飼育している農家の方ですけれども、これは地域の中でも比較的大きな規模の酪農経営をしていると思います。  本人と奥さんと御両親と、さらに二人の社員を雇っていらっしゃる。一日平均三トンの生乳を出荷している。収入は、生乳一キログラム当たりの乳価に出荷量を掛けた金額になりますけれども、ここで大事な問題は、配合飼料の価格が高騰してきている、こういうことがあって、非常に経営を圧迫している。  それと、こういう状況の中で、実は、もう少し規模拡大をしたらどうか、そして経営を安定化させたらどうかというアドバイスもいただいたりしているんですけれども、もう一方で、このTPPに日本が参加表明なんかした暁には、どういう酪農経営をしていいかわからない、不安でしようがないということで、大変な状況になってくるということが言えると思います。  その上で、私は一つお伺いしたいと思うんですけれども、今ほど話がありました、北海道に対する影響、それは、大臣がおっしゃったように、飲む方にどんどん変わってしまうだろうということですね。  ですから、そう考えていきますと、府県との争いになってしまいますけれども、状況として、もしそういうTPP、関税全部撤廃、なおかつ措置もとらないとなった場合、北海道の酪農というのはどうなると思いますか。もう一度重ねてお伺いします。
  345. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 どうなるのかというふうなことは、私から、この段階におきまして、仮定の話ということでございますけれども、今申し上げましたとおりに、何ら追加対策を行わないということを前提とした場合は、バター等の国産乳製品はほぼ全量が外国産に転換すると同時に、北海道のいわゆる乳製品向け生乳が都府県の飲用向けの生乳に転換するというふうなことも想定される、こういうようなことでございますので、当然、都府県の方にも大きな影響を及ぼすということで、北海道にも、また都府県のいわゆる生乳生産にも影響がなされる、こういうふうなことを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。  そういう意味では、北海道の関係の酪農家の方々が、国産の乳製品等々の生産等々のためにも、いろいろな形で大変寄与していただいているもの、こんなふうに考えておるところでございます。
  346. 稲津久

    稲津分科員 ありがとうございました。  北海道の生乳が全国に占める割合は、近年少し比率が上がってまいりまして、約五一%ぐらいと言われていますね。そのうち、用途別で考えたら、乳製品向けが八七%ですから、ほとんどが加工に回っているという現実。それが、要するに、府県の方との争いになるわけですから、大変なことになりますね。  私は、多分、そうなったときには、飲む牛乳の場合は各地域ごとで消費するような状況になってくる可能性が非常に高いですから、北海道は、府県と争っても、例えば牛乳を運ぶとかいうロスを考えたら、やはりそれはなかなかいかないだろう。そうすると、恐らく、北海道の酪農というのは、府県に比べると一番最初に壊滅的な打撃を受けるんだろうと思っております。  今私が申し上げました天塩町、それからその隣の遠別町という町がありますけれども、ここの主産業というのは、漁業もありますけれども、むしろ農業、特に酪農でございます。人口が大体三千人ぐらいの町ですから、ここで、農業経営体数というのは百八十前後というふうに言われています。そうなると、主産業は何ですかといったら、まさにイコール酪農という地域ですね。その酪農関連の事業所あるいは商店等々も含めたら、人口三千人の町で酪農経営体数が百八十でしたら、恐らく町そのものがもう存在しなくなるかもしれない。私は、それぐらい深刻な話だと思っているんですよ。  したがいまして、少し時間をとって、この辺について、質疑を通して状況について明らかにさせていただきましたけれども、そういうことがあるということをまず認識させていただいた上で、次の質問に入りたいと思います。  TPPに入る、入らないという問題の前に、そもそも、近年の酪農経営実態というのは非常に厳しいものがある、私はこのように認識をしております。  その原因が幾つか挙げられると思うんですけれども、その話に入ります前に、まず、近年の酪農の農家戸数の推移、その状況についてお伺いしたいと思います。
  347. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 稲津先生も北海道、私も北海道ということで、今非常に酪農経営に対するさまざまな御懸念をされているということも、私も、地元の農家を営む方々から切にお話しいただいて、十分認識をいたしているわけでございます。  今の、過去十年間の酪農家数の推移についてですが、平成二十三年二月一日現在の全国の乳用牛飼養戸数は二万一千戸で、平成十三年に比べて一万一千二百戸の減少となっております。とりわけ北海道については七千五百戸で、平成十三年に比べて二千百四十戸の減少となっているところでございます。
  348. 稲津久

    稲津分科員 そうなんですね。特に北海道のことを私も重ねて申し上げますけれども、北海道の酪農、大体毎年二百戸ぐらいが離農しています。それが、十年間ずっとそうです。毎年二百戸ずつ減って十年間ですから、十年間で二千戸減っているわけですね。今お話がありましたけれども、大体七千戸ぐらいで推移しているんですけれども、本当に厳しい状況だと思います。  では、なぜ離農するのかという問題点なんですけれども、これは酪農経営自体が非常に厳しいから、こういうことは当然なんですけれども、そこをもう少しひもといて、詳しく、質疑を通して、させていただきたいと思います。  私は、まず、この酪農経営を圧迫している問題点、特に一つ言えることは、生産費の高どまりというのが第一に挙げられるんじゃないだろうかな、こう思いますけれども、この点についてはどうお思いでしょうか。
  349. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 まさに先生の御指摘のとおり、近年、生産費については増加傾向にありまして、生乳百キログラム当たりで、平成十七年度に六千五百九十六円であったものが、平成二十二年度には七千二百六十三円。  これは、先生も御案内のように、世界的な穀物相場の高騰等を背景に、配合飼料価格が平成十八年以前は一トン当たり四万円から五万円だったものが、平成十九年以降は六万円以上の水準で推移しておりまして、これにより飼料費も高どまりになっていることが非常にこの経営圧迫をしている原因になっているのかな、そのように理解をしております。
  350. 稲津久

    稲津分科員 今、生乳百キロ当たりの物財費等についてのお示しがありました。特に、その中で非常にやはり困っているのが油の話です、軽油、重油。近年の原油高等が大きな影響を与えておりまして、例えば、今私の手元に北海道の状況がありますけれども、軽油で見ると、一リッター当たり百二十六円五十銭から百二十九円四十銭ぐらい、一月時点ですけれども、対前年同月比で約七%から九%ぐらい、これは石油情報センターからの資料ですけれども、上がっているわけですよ。灯油も同じような状況です。対前年同月比で大体九・五%から一六・六%ぐらい上がっている。  北海道の場合は、御案内のとおり積雪寒冷地ですから、いわゆる輸入飼料の高どまりですとか、あるいは資材の高騰もありますけれども、もっとダメージを受けているのは、軽油、灯油の上昇。特に今は円高ですからこの原油高も多少はセーブされるんですけれども、一転、これが円安方向に向かっていったら、恐らく、原油のこの高騰から比較すると、とんでもない金額になってくると思います。  その意味で、一つ再質問させていただきますけれども、加工乳生産の基地でもある北海道の酪農経営を支援するいわゆる加工原料乳生産者補給金の制度、これは本当に不可欠な制度だと思っておりますが、このことについてどう思うか。それから、今後これはまた議論されますけれども、単価それから限度数量について、私はやはり現行水準以上を維持すべきと考えますけれども、この点についてどうでしょうか。
  351. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 今先生の御指摘のように、経営を圧迫しているのは、配合飼料だけではなく、軽油等の高騰もあるでしょうということでありますけれども、農家さんの経営安定のためには、二十四年度の加工原料乳生産者補給金単価及び限度数量について、生乳の生産費や需給事情その他、今私が申し上げました配合飼料の高騰あるいは軽油等の高騰等さまざま鑑みながら考慮し、食料・農業・農村政策審議会が十四日ございますので、その意見を聞いた上で適切に決定をしてまいりたい、そのように思っております。
  352. 稲津久

    稲津分科員 このことは毎年毎年この時期に私ども質疑をさせていただいていますけれども、きょうはこの程度にさせていただいて、また改めて質疑をさせていただきたいと思っていますが、ぜひ大臣におかれても、この点については重く受けとめていただいて、さまざまな政策を講じていただきたい、このことを要望させていただきます。  次は、草地整備について伺いたいと思うんです。  酪農の経営安定化対策と同時に、もう一つ大事なのは、私は、酪農を取り巻くさまざまな問題点の中でも、環境をしっかり整備していくということが大事だろうというふうに思っております。  御案内のとおり、今の加工原料乳の生産者補給金ですとか、あるいはチーズの方の安定化事業対策ですとか、いろいろありますけれども、繰り返しになりますが、酪農を取り巻くさまざまな環境をしっかり整備する、その主たるものの一つとして、私は、草地整備というものがあると思うんです。  しかしながら、近年は、この草地整備、いわゆる草地更新というんですか、これが十分できていないという声を、地元の各地を歩きますと、農業者の方からたくさん聞かれます。草地更新したいんだけれども、なかなかそこまではいかないと。  きょうは、まず、草地整備状況と、予算がどのようになっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  353. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 これも先生の御指摘のとおり、まさに草地基盤整備は大変重要なことだ、私自身もそのように認識をいたしております。  この自給飼料の供給基盤として、酪農経営の安定のための対策には、まさにこの草地基盤整備や、しっかり更新することが必要である。  このため、今、大型機械化体系に対応した効率的な飼料基盤の整備を行う戸別所得補償実施円滑化基盤整備事業等に加えて、草地の整備を含む暗渠排水等の農用地の整備をきめ細かく実施する農業体質強化基盤整備促進事業のほか、飼料作物の優良品種の導入により生産性の向上を図る草地生産性向上対策事業を引き続き措置し、草地整備や草地更新を本当にしっかりと進めていきたい、そのように考えているところでございます。
  354. 稲津久

    稲津分科員 この草地更新というのは、通常でいうと、大体二十年から三十年に一回ぐらいというふうに地元では聞いています。しかし、現実にどういう状況になっているかというと、五十年に一回ぐらいの、それぐらいの期間になってしまっているという現実。これは、予算の拡充はもとよりですけれども、さまざまな諸制度についてもぜひ重点化を図っていただきたいな、こう思っておりまして、この点についても、また別途、機会があれば、質疑を深めさせていただきたいと思います。  最後に、担い手対策について、これも特に酪農ということでお伺いしたいと思うんです。  酪農家の方々と地元で懇談する中で、どの地域にあっても共通の話題となるのが、やはり担い手の問題です。これは酪農に限った話じゃないかもしれませんけれども、特に酪農については、近年のこの厳しい経営状況も踏まえて深刻化していると思います。  先ほども紹介させていただきましたように、北海道で酪農家の離農の状況というのが毎年二百世帯ぐらいということで、この十年間、ずっとそういうことで推移しています。一方で、では、新規就農の酪農家の方はどのくらいですかということを調べてみますと、毎年大体十世帯ぐらいです。二百減っていって、十新しくですから、これは数字に置きかえても、もう比べようもないんですけれども。  その上で、新規就農を促進する事業として、具体的な支援制度として農場リース乳用牛貸付事業というのがありますが、この制度の要点を簡潔に御紹介いただきたいと思います。
  355. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今先生から言われた農場リース事業というふうなものにおきましては、平成二十三年度の四次補正予算及び平成二十四年度の当初予算の中でも措置をさせていただいております。  そういう中で、今の状況というものも先生から言及されたわけでありますけれども、そういう農場のリース事業というふうなものによって新規就農者の初期投資の軽減というふうなものが図られるというふうなこともあるわけでございますので、そういう視点に立って、事業の実施に当たって、取り組んでいかなきゃならないと思っておりますが、北海道の道庁とも連携をいたしまして、どういう形が一番適合することになるのか、基本的には、負担軽減というふうなことが大事なところでございますので、そのようなことで取り組ませていただきたいと思っております。
  356. 稲津久

    稲津分科員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますけれども、この制度、支援事業についても、新規就農者のみということなんですけれども、ここに何か少しつけ加えていけないかなということも感じるのとともに、単価が非常に高い、実はそういう御意見もいただいております。  したがって、そもそも強い農業づくり交付金の予算がもう大幅に縮減されてしまっていますので、ここに大きな問題があるんですけれども、あわせて、ぜひ使い勝手のよさというところも研究いただければな、こう思っております。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  357. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。  次に、金田勝年君。
  358. 金田勝年

    金田分科員 限られた時間でありますので、申し上げたいことがたくさんありますので、ぜひ簡潔にお答えいただければありがたい、こう思っております。  まず初めに、TPPの質問に入ります前に、農林水産大臣に一言お願いがあるのであります。これは通告はしておりませんけれども、一言だけ、短く御答弁いただければありがたいです。  ことしの豪雪被害についてなんですけれども、自由民主党として、二月のしょっぱなに、谷垣総裁を本部長としまして、豪雪災害対策本部を立ち上げました。七日、八日に青森県、秋田県、そして新潟県で現地調査を行っております。  私も、秋田の現地調査に行きまして、除雪、排雪の経費あるいは空き家の対策、それに農林水産業への対応が急がれる現状というものがよくわかったわけであります。  特交で対応できる部分については、二月二十日に一部繰り上げで交付していただきましたし、私どもの内容については官房長官に要請申し上げたんですけれども、農林水産業についても、これから雪が解けてまいりますと、パイプハウス、農業用設備、そういったものの被害、あるいは果樹といった被害状況がはっきりしてきますので、市町村、都道府県の報告に速やかに対応していただいて、二十四年の農作業に影響のないように対応をよろしくお願いしたいと思います。  一言だけ、大臣からお言葉をいただければと思います。
  359. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今、金田先生からの豪雪対策につきましては、私も青森県に行ってまいりまして、現地を見てまいりました。パイプハウス等々の損壊の現状、そしてリンゴの木の枝折れ等々、こういうふうなことを直接この目で確かめさせていただきましたけれども、今御指摘のとおりに、非常に重要なことでございます。  我々といたしましては、これから雪解けによって初めて被害状況も把握できるということもございますので、よく市町村、関係県とも連携をとって、そして、来年度の作付に対して影響ない、こういうふうな形で、万全を期していくべく努力をしてまいりたいと思っております。
  360. 金田勝年

    金田分科員 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、TPPにつきましてですが、私は反対の立場から質問をいたします。したがいまして、そういう視点でお答えいただければありがたい、こういうふうに思っております。  まず、各都道府県で、今TPPの説明会を開いていらっしゃると思うんですが、どのような説明をしていらっしゃるか、内閣府の方から答弁いただきたいと思います。
  361. 石田勝之

    石田大臣 金田委員にお答えをいたします。  各都道府県の要望に応じまして、政府の職員、課長級、参事官でありますが、派遣いたしまして、TPPの参加に向けた関係国との協議状況等について、公表資料に基づき、説明を行っておるところでございます。  具体的には、高いレベルの経済連携の必要性、そして、FTAAP構想やTPP協定交渉の現状、TPP交渉参加へ向けた関係国との協議結果などについて、わかりやすく正確な情報提供に努めておるところでございます。
  362. 金田勝年

    金田分科員 私の地元の秋田でも、この前行って、御出席になっていたようですね。
  363. 石田勝之

    石田大臣 今の委員の御質問は、都道府県におけるTPPの説明会というふうなことでありましたので、私は、一週間前に秋田市で行われた共同通信社及び全国の地方新聞社が主催をいたしているシンポジウムに出てきたわけでございまして、これは政務三役が主に対応いたしております。
  364. 金田勝年

    金田分科員 そういうシンポジウムが行われた後、いろいろな方からその印象をお聞きしておりますと、具体性がなくて、とても抽象的である。したがって、抽象的な議論の結果だと思うんですが、国民生活あるいは経済、そして景気といった点にもたらす具体的なメリットというものもわからない。そんなものですから、問題点は自分たちも抱えている部分もある、それに対しても方向性が見えない。いずれにしても、シンポジウムがあるんだけれども、まあ、歯切れが悪いね、抽象的だねという指摘が非常に多いんですね。  これに対して、どういうふうに思われますか。
  365. 石田勝之

    石田大臣 TPPにおいては、まだ参加を決定したわけでもありませんので、恐らく委員がおっしゃっているのは、情報が説明不足であるという点であろうというふうに思っております。  そういう点は、確かに情報不足の点はあろうかというふうに思いますが、まだ我が国としては参加を正式に決定したわけではありませんので、情報収集においては、ある程度限界があるというふうに思っております。できる限り情報収集に努めて、そして国益の視点に立ってやっていきたいというふうに考えております。
  366. 金田勝年

    金田分科員 情報の開示が不足しているというふうな副大臣の答弁でもありましたけれども、参加九カ国の交渉が今の段階で一巡したわけでありますね。  ですから、現状でも情報が開示されない理由というのは何なんでしょうか。どなたに聞けばいいですかね、外務省ですかね。
  367. 中野譲

    ○中野大臣政務官 今、委員から、情報の開示が不足をしているというお話でございましたけれども、そこだけはちょっと丁寧に議論した方がいいと思うんですよね。  情報の開示が不足しているということは、裏を返せば、政府が持っている情報の中で出し惜しみをしている部分があるんじゃないのかなというふうな議論だと思うんですね。  ただ、私たちの立場としましては、当然のことながら、政府が持っている情報をでき得る限り出していくというのが共通しての、私たち、それは外務省に限らず、各省庁の共通しての認識だと思っております。  それで、情報が出ないのは、これはもう委員も外務副大臣をかつてやられていらっしゃったとお伺いをしておりますけれども、外交交渉の中で、例えば普通の二国間ですとかEPAでも構いませんけれども、全てのものがテーブルの上に出ていてやりとりをしているというのと、先ほど石田大臣から答弁がありましたけれども、今回のTPPについては、私たち日本はまだ交渉のテーブルにのっているわけではありません。  その中で、九カ国で具体的にいろいろな話はされておりますけれども、九カ国の中で話をしていることは、例えば交渉参加のための協議にという形で、日本も含めてカナダとかメキシコなんかも、そういうことで今話を進めておりますけれども、オブザーバーという形で参加ができることでもないし、またテキストの内容を私たちが見ることもできない状況で、今何をやっているかというと、各省庁でヒアリングをして、出席をされている国々の方々に、どういうふうな交渉になっていますかというのを二国間のいろいろな今までの良好な関係の中でお伺いをして、なるべく一つでも多く情報をとって、それをしっかりと国民の方にお伝えをしようということでやっているわけでございますね。  一つだけ、ちょっと例を挙げさせていただきますと、これは三月の一日に、「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果(米国以外八カ国)」ということで、皆様にもお配りをさせていただいております。  先ほどから繰り返しになりますけれども、委員も副大臣をやっていらっしゃってよくおわかりだと思いますけれども、この中にも、当然のことながら、どの国がどういうコメントを出したかというふうな国の特定というのは相手国もありますのでできませんが、例えば、「日本の交渉参加を支持することを決定した。」とか「日本の交渉参加を強く支持する。」とか「新規交渉参加を認めるための手続として、関係大臣を含む委員会の決定等が必要だが、特段の問題はない。」こういうことというのは、普通の外交交渉では余り外には出さない部分なんですね。  そういうところも、私たちは、今どのような流れになっているかということをなるべく少しでもお出しをさせていただいているということでございますので、まだまだ情報が国民にとっては足りないということであれば、それは私たちも努力をして、とった情報は皆様の方にお伝えする努力をまたさせていただきたいというふうに思っております。
  368. 金田勝年

    金田分科員 大体、政府側の答弁は常に、あくまで国益の視点に立って、TPPについての結論を得るという答弁が繰り返し繰り返し行われるんですよね。  国益の視点に立って、TPPについての結論を得る、これだけでは、何が得なのか、何がメリットで何がデメリットなのか、国民的な議論ができない。それから、国会での議論も進まない。  外交交渉は、言ってみれば、マル秘の世界で、決まるまではあっと驚かせるんだみたいな気持ちでやられたのでは、マイナスのデメリットを受ける方々からすると、あるいはその影響を考えたときに、国益というものを本当に考えているやり方なのかという考え方もできる。だから、野田政権が何を目指しているんだ、国民には全くわからないことになってしまう。  だから、そこのところを懸念と不安がひとり歩きしないように、きっちり解消していかなければいけないんだということがあると思うんですね。  そのときに、私は、政府のできる限りの情報開示、それから、国民に対する十分な説明、それから、誠心誠意いろいろなことに対する準備をしっかりする、この三つを対応していかない限り、いや、決まったら教えるよじゃ話にならないわけですから、これは今までも数を重ねて、総理自身もこういうスタンスは答えているんだけれども、何か具体的じゃない。これに対する不満というのは国民の間には非常に大きいと思うんです。  そこで、国益というものをどのように考えるかという点について、所管からいって、ぽんぽんぽんと簡単にお答えいただければありがたい、こういうふうに思います。
  369. 石田勝之

    石田大臣 国益とは何かということで御質問でありますが、これは総理も記者会見でお答えをいたしておりますが、まずは、世界に誇れる医療制度、そして日本の伝統文化、そして美しい農村、こういったものは断固守り抜く、そして、分厚い中間層によって支えられてきた安定した社会の構築を目指す、こういうことであります。  それと同時に、日本は貿易立国として栄えてまいりました。そして、今日までの繁栄、発展を築いてまいりました。しかし、御案内のとおり、二十年前にGDPの競争力が一位であったのが、今や二十六位に落ちてきております。人口も、今から五十年以上前の人口は八千六百万だったのが、今一億二千八百万ぐらいになっているというふうに思いますが、これが五十年もすると、また八千五、六百万に減少していく。  人口が減るということは経済力が落ちるということでありますから、そういう中で、現在の豊かさを次代に引き継ぎ、活力ある社会を発展させていくために、アジア地域の成長力を取り入れていくということであろうというふうに思っております。APEC加盟国が御案内のとおり三十億ありまして、GDPが今世界の五四%を占めております。そこの成長力を取り込んでいく、こういうことでございます。
  370. 金田勝年

    金田分科員 断固守り抜く、あるいは、貿易立国として成長を期待する。非常に言葉はいいんですが、抽象的であることは変わりありません。  今回、二十一分野がある。その中で、農業以外にも、今非常に、開国、鎖国、どっちがいいんだみたいな議論になっている。これは間違いでありまして、農業と非農業の分野、これも間違いであります。やはり農業以外にも、医師、看護師、越境サービス、ありますね。医療保険、介護保険、国民皆保険制度に関する保険、あるいは金融の問題もある。あるいは労働力や政府調達の問題もある。食品や医薬品の安全基準や表示の問題もある。  私は、こういうふうにいろいろある二十一分野、その中でも一番大事なのは、先ほどの断固守り抜くの中に入っているんだろうと思うんですけれども、ここで例を挙げれば、下着とワイシャツの関係、食料の自給率、食料の安全保障というのは私は下着だと思うんですよ。  いろいろな政策テーマがあるけれども、我が日本民族にとって、日本国民にとって一番大事なのは、自国の食料の自給率、あるいは食料をきっちり守る、それを確保する、これが政治の責任の一番の下着じゃないでしょうか。私は、ワイシャツの上に下着は着られないと思っております。下着の上にワイシャツを着るんだ。私は、下着が農業であり、食料の世界であり、そして、そのほかのいろいろな貿易分野というのは、きれいなワイシャツだったり、いろいろする。だから、その順番を間違えてはいけないと思うんです。  そこで、農林大臣にお聞きしたいんですけれども、幾つかお聞きしますので、とんとんとんと答えていただくとありがたいのであります。  要するに、二十二年三月、おととしの三月に、食料・農業・農村基本計画というのを出しましたね。その基本計画を閣議決定しました。自給率五〇%を目指しました。これに対して、農水省の試算というのは、その半年後に、TPP参加表明が出て、その試算が一三から一四という数字で出ました。これは大きな矛盾だと思うんですが、どう説明されますか。一言で。
  371. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 全世界を対象にして関税撤廃をした場合にどういう影響かということの試算を出させていただいたのが、いわゆる一四%に自給率はなります、こういうふうなことでございまして、あくまでも、何もしないというようなことを前提とした、仮定の話として試算をさせていただいたということでございます。
  372. 金田勝年

    金田分科員 何もしない場合の試算。しかし、私は、何もしないわけにはいかないんです。ですから、対策をしっかり講じようとした場合、本当に対策というものは成り立つのか、あるいは莫大な財源を伴うのではないか、だから全て先送りしているんではないか、こういう心配は、政治家の私としては持つのであります。  もう一つ例を挙げましょう。  今、日豪EPAというのをやっております。この日豪EPAというのは、TPPの事前協議ともいうべきものであると認識しております。それでいいですね。
  373. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 私自身は、そういう捉え方はいたしておりません。
  374. 金田勝年

    金田分科員 私は、TPP九カ国の中で、六カ国はもうEPAを結んでいる。残った三カ国、ニュージーランド、アメリカ、そしてオーストラリアの国とやっていますが、オーストラリアとは日豪EPAをやっている。この前、二月二十二日に、外務大臣、玄葉さんが、交渉参加への支持表明はまだないというふうに、逆にオーストラリアの態度を発表しているんですよね。ここにも大きな矛盾が出てくるなという感じがするんですよ。  要は、平成十八年の衆議院、参議院の農林水産委員会の、日豪EPA交渉に入る前の、開始に当たる決議というのがあるんですね。  まあ、御記憶だと思います、経歴の豊かな大臣ですから。米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を除外するとなっているんですね。これは御存じですね。
  375. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 国会決議は承知をいたしております。
  376. 金田勝年

    金田分科員 一方で、さきに申し上げた二十二年十一月の閣議決定で、TPPの基本方針というのは、センシティブ品目について配慮を行いつつ、全品目について交渉の対象とするということになっております。  これと、その十八年の衆参農林水産委員会での決議という内容は、やはり矛盾するのであります。
  377. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 私は矛盾することではないと思っております。  すなわち、TPPに対するということじゃなしに、包括的経済連携についての基本方針というものにおいては、いわゆる高いレベル、確かにそのとおりです。しかし、センシティブ品目に配慮をしながらというようなことで、国会決議というふうなものの趣旨を踏まえさせていただいているものと思っておるわけでございますので、矛盾するものではないものと思っております。
  378. 金田勝年

    金田分科員 そういうふうにお答えにならざるを得ないんだろうというふうに思いますけれども、農産品についてのオーストラリアの要求というのは、これに対しては困難をきわめることが予想されるというのは明らかですね。
  379. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 向こうの要求は、御承知のように、今先生から言及されたとおりに、我が国にとっては困難なことが要求されるのではないか、こんなふうなことはおのずと推測されるものと思っております。
  380. 金田勝年

    金田分科員 例えば、また申し上げれば、今、日本の農家の平均耕地面積が二ヘクタールである。アメリカは二百ヘクタールだ。ところが、オーストラリアは三千ヘクタールだということは御存じのとおりであります。こういう話もある。  それから、例えば、TPPには入らないけれどもFTAには入るよと言って、アメリカとFTAの交渉を進めた韓国、これは今まさに、保険や自動車といった分野もありますけれども、とにかく混乱の真っただ中にある。一回決めたのに、混乱、十二月には再交渉を求める国会決議も出ているといったような状況になっているんですね。  だから、そういういろいろな状況を加味したときに、では日本のTPPは、参加に向けての協議に入る。私は、さっき私が外務副大臣をやったことを指摘していただきましたので申し上げるわけじゃありませんが、関係国から見た場合に、参加に向けての協議に入るとは何事だと。  協議に入ったときに、周りに来た国々は、参加したいんだろう、ああ、参加するんだねという気持ちで受けとめているわけですね。それを乗り越えて、いや、参加の意思ではないんだ、まだこれから、白紙なんだ、協議なんだというふうにしてやっていること自体が私は非常に理解に苦しむんですけれども、それはそれとしても、やはり外交交渉である以上は、譲れないもの、譲っていいもの、そして、かち取るもの、かち取れないもの、そういうものを整理して、どこから譲れないのかという一線をこの国の国益に照らして決めるという作業はなぜなされないんでしょうか。私は非常にそこが不思議だと思っております。  農林大臣の御見解を教えていただきたい。
  381. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 先生のそういう見識、一つの考え方だと私は思いますが、外交交渉でありますから、まず一つは、九つの関係国が日本の国に何を求めるかということをできるだけ把握するというふうなことが大事だと思います、やはり判断をしていくわけですから。  そしてもう一つは、やはり外交交渉でございますので、全て日本の考え方を先に出すということが果たしてプラスになるのかマイナスになるのかということも考えていかなきゃならない、こういうふうなことではないでしょうか、そのくらい外交交渉というのは物すごく奥の深い、大変重要なことでございますので。  そういう意味で、私自身は、まず、関係国が日本の国に求める、そういうふうなものについてしっかりと把握するところから始まる、大事なことではないか、そして、そのことによって国民的な議論を得て判断をしていくということが大切なことではないかと思っております。
  382. 金田勝年

    金田分科員 だからこそ、まさにさっき申し上げた点に戻るのであります。  政府にとっては、誠心誠意準備をしなければいけない。外交交渉に当たっての準備をしなきゃいけない。そして、論点をはっきりさせて、情報を入手し、それを国民の議論に付す。そして、国民に対する説明も十分に行うという点がそろっていなければ、先行き非常に国民の側からすれば懸念と不安が生じるのであります。それに対して今のスタンスは十分ではないというふうに私は思うんですが、加えて申し上げます。  この交渉は、非常にハードルが高いはずであります。だから、参加したとはまだ言えない。党内事情もおありでしょう。政治的な意図で、真剣な議論を避けなければならない理由があるかもしれません。  これに加えて、私は三つ申し上げます。  一つは、来年度の予算に、この問題についての予算が全く取り込まれていない、これについて一言、簡単にお願いします。
  383. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 TPPについてでございましょうか。(金田分科員「TPPの準備やら何やら」と呼ぶ)  TPPについては、重ねて申し上げますけれども、まだ、具体的な形で交渉参加に向けて話し合いをしている段階でありますから、予算措置は講じておりません。  それから、それぞれの各経済連携の話し合いも進んでおるところでございますけれども、これは、各包括的経済連携というものを推進するにおきましては、それぞれ個別的に対策を行う、こういうふうなことが包括的経済連携の中に盛り込まれております。  しかし、まだ具体的に各国と交渉が合意したというふうな状況でもございませんので、そういう意味で、予算措置は行わさせていただいておりませんということを申させていただきたいと思います。
  384. 金田勝年

    金田分科員 決まっていないから対策を講じることができないというふうにおっしゃるかもしれません。  でも、要するに、日本の農業がそういう二十一分野の中でどういう状況に置かれるのかというのはわかっているわけですから、それに向けてしっかりと予算の中でも対応の芽を出しておかなければいけない、それをしながらやっていくというのが私は必要だと思います。  同時に、ことしの予算、二十三年度予算、三十六年前の農林水産予算額であります。三十六年前の水準であります。これは、私は大変なことだなと思います。  そこで、例えば戸別所得補償を政治の公約で導入するということになった場合には、一方で政治主導と言っていたのですから、なぜ政治主導で、いや、戸別所得補償は新たな概念の政策で、選挙でかち取ったものだ、だったら、政治主導で何で別枠で準備しなかったんですか。別枠でやるという手法もあったのではないか。  そして、そのかわりと言ってはなんだけれども、構造政策として非常に将来を見据えて大事な重要な政策である土地改良予算が三分の一に減らされてしまった。でも、その後、二十二年度、二十三年度、二十四年度と来るにしたがって、それをまた少しずつ戻そうとされている。しかし、今の水準は、土地改良については、いろいろなものを交付金からも持ってきていろいろ集めても、二十一年度のときの補正と合わせた予算に比べて八割にもまだ達していない、戻っていない。  だから、構造政策をきっちりやらないで日本の農業の強化というのはあるはずがないわけでありますから、そういうことも含めて、現政権として、失うものの大きさを考えたときには、やはり今回のTPP交渉というのは対応し切れないのではないのか。それを国民の皆さんが懸念し、不安に思っているわけですから、これに対して、いや、俺らは政権としてTPP交渉への参加の協議に入るからにはこうなんだというのがなければいけないと私は思いますが、その点は、今いろいろ申し上げたことに対して、農林大臣の御所見をお願いします。
  385. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 決して弁明、弁解ではございませんけれども、前回の衆議院選挙におきまして、戸別所得補償制度導入というものをマニフェストに掲げさせていただきました。しかし、残念なことに、政権交代になった時点におきましては、税収が御承知のとおりに九兆円減、こういうふうなことでありまして、そういう状況の中でどうするか。しかし、お約束をしたことでありますから、何とか戸別所得補償制度というものを導入したいということで、いわゆる農林水産省内で調整をして、そして予算措置を講じさせていただいたところであります。  そのことによって、確かに土地改良関係予算が削減されました。しかし、これは長寿命化等々というようなことで、具体的な形でまずそういう施策の転換も行いながら、しかし、土地改良政策というものは非常に重要だというようなことから、補正等々、あるいは予備費等々からも対応させていただいて、二十三年度におきましては前年比一一三%、そして二十四年度におきましては、前年比関連予算も含めて一一二%というふうな予算措置も講じさせていただいておるところでございまして、できるだけ、そういうことで土地基盤というふうなものも整備することの重要性もその中には盛り込ませていただいておりますということも、先生からも御理解をいただきたいと思います。
  386. 金田勝年

    金田分科員 頑張っているんだ、また、頑張るという大臣の答弁というふうに受けとめたいと思うんですが、私は、政治の求められていることは、非常に重要なことは、今の問題、デフレでこの国の経済が悪い、消費税の議論の前にはその議論もしっかりすべきだという議論は党内からも沸き起こっているわけですから、そういう問題が非常にあります。  加えて、地域間格差が増大している、これは何であるか。過密と過疎の格差が増大しているというこの現状、これを、大臣は山形です、私は秋田です、同じ思いをお持ちだと思います。  だから、地域間格差の増大、過疎過密の格差の増大に対して、政治としていかに対応していくのかということは、私は、一丁目一番地であり、下着とワイシャツでいえば、真っ先に着なければいけない下着である。その上に、この国の産業力、経済力、貿易、外交、そういうものを組み立てていくという順番を全国民に向かってしっかりと主張する農林大臣であってほしい、こういうふうに思っております。  以上です。いかがですか。
  387. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 非常に重要なテーマだと思います。地域におけるところの格差をいかになくしていくか、こういうふうなことだと思っております。  以前は、農業の価格維持制度と、公共事業によって格差を是正してきたんです。しかし、今日の状況は、国全体が非常に厳しい経済状況、そういう中で、戸別所得補償制度を導入したことによって、一七%農業者の所得がふえたというような現実の数字もあらわれているわけでありますから、これからもこの所得補償制度というものを継続して行っていくことも大切なことではないかな、求められているんじゃないかな、こんな思いをも一言申させていただきたいと思います。
  388. 金田勝年

    金田分科員 最後に一言だけ言わせてください。  何度も申し上げましたが、誠心誠意という言葉をお使いになる政権であります。であるならば、誠心誠意、情報の開示、それから、国民に対する説明、それから、準備を十分にということをくれぐれもお願い申し上げて、そして、地域間格差の解消に全力で当たるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。  以上です。
  389. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 これにて金田勝年君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  390. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 次に、環境省所管について、引き続き質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。
  391. 吉井英勝

    吉井分科員 日本共産党の吉井英勝です。  きょうは、原子力規制あり方にかかわって、幾つか伺っておきたいと思います。  まず最初に、政府参考人の方に伺いますが、これまで環境省が原発立地に当たって行ってきた環境アセスメント、どういう評価を行ってきたかということを伺いたいと思うんです。環境影響評価法に基づく原発に係る手続経緯によると、一九九九年以降で、何件、何基の原発の評価を行って、そのうち原発立地はノーだと答えたものがあるとすればそれはどの原発か、このことを最初に伺っておきます。
  392. 白石順一

    ○白石政府参考人 お答えいたします。  まず、幾つかの、ちょっと長くなりますけれども……(吉井分科員「短くていいです」と呼ぶ)そうですか。  原子力発電所は、発電所ということでアセスメントの対象でございますけれども、水環境、大気環境、動植物、生態系等の環境影響について審査を行っております。  件数で申し上げますと、法施行以来、経過措置のものも含めまして、八件の原子力発電事業につきまして、アセスメントに関しまして国の意見を申し述べております。基数というお尋ねでございますが、複数の場合もございますので、その八件で合計いたしますと、十二の発電所の基数でございます。  これらにつきまして、御案内のように、環境影響評価といいますのは、規模が大きくて環境影響の程度が著しいというものについてどのような環境影響があるか、また、それをどのような形で保全なり回避なりの措置をとるかというふうなことを評価するものでございますので、審査に当たりましては、実行可能な最大限の取り組みがあるか、国の計画との整合というふうなことを見ますので、事業の是非について言及をしたということはございません。
  393. 吉井英勝

    吉井分科員 要するに、伺いましたのは、原発建設ノーだと言ったのがあるのかと聞いたんです。あったならばどの原発かと聞いたんですが、ないということですから、それだけ伺ったら結構なんです。  これまで環境省が、原発設置に当たって事前に行われた環境アセスメントで、原発の環境アセスメントを発表したときに、環境大臣の記者会見の内容、三つについて、あらかじめ資料をいただきましたから、確認しておきたいと思うんです。  二〇〇九年十月一日、小沢鋭仁環境大臣の会見録では、温暖化対策に対しては原発は極めて有効な手段と述べ、その立場から、川内原発に関して意見を具申した、これは経産省に対してですね。それから、二〇〇〇年二月十八日には、当時の環境担当大臣は上関原発について、生態系への影響を及ぼさないよう、中国電力に十分対処していただけると思う、期待の言葉ですね。一九九九年八月八日の、当時の環境担当大臣は、大間原発に対して新アセス法の適用をお願いしたいと。  ですから、いずれも、原発立地を前提に記者会見をされたものと思いますが、こういう発言であったことは間違いないですね。事実だけ確認しておきます。
  394. 白石順一

    ○白石政府参考人 記者会見録を探してみまして、原発のときに御意見を申し上げたのは、先ほど御指摘の三件でございます。(吉井分科員「そのとおりなんですね」と呼ぶ)  かいつまんだ説明を申し上げますと、原子力に関しましては、その是非ということではなくて、環境影響に関しての意見ということでございますので、今申し上げましたようなことを申し上げたということでございます。
  395. 吉井英勝

    吉井分科員 小沢環境大臣のときには、温暖化対策に対しては極めて有効な手段、その立場から、川内原発に関して意見を具申したと。あなたのところから資料をもらったことを確認しただけなんです。  それで、それはそのとおりで間違いないなということを確認しておくことと、もう一つ確認しておきたいんですが、川内原発三号機増設計画に対する小沢環境大臣意見というのを、これは二〇〇九年九月二十八日に経産大臣に提出しておりますが、その中で、温室効果ガスの排出削減には、安全確保を大前提として、原発の着実な推進が必要である、本事業により整備される原発の最大限の活用を図ることを求めることを明記していると思うんですが、先ほどの点と今の点、二点、確認しておきます。
  396. 白石順一

    ○白石政府参考人 読み上げさせていただきますと……(吉井分科員「いや、もう今読み上げたから、それはいいんですよ。確認しているだけなんです」と呼ぶ)  基本的に言いますと、安全確保を大前提として、原子力発電所を最大限、事業者として温暖化効果ガス抑制のために活用を図るという趣旨のことを申し述べております。
  397. 吉井英勝

    吉井分科員 それは、みんなもらって言っているんだから、間違いありませんねと確認しただけなんですよ。だから、今も一応認められましたけれども、そういう立場できちんと記者会見をやっているわけです。意見書も出しているわけです。  環境省所管法案として二〇一〇年に国会へ提出し、衆議院で可決し、参議院選挙で廃案になって、再び国会へ提出してきているわけですが、それが地球温暖化対策基本法案です。その第十六条では、「特に原子力に係る施策については、安全の確保を旨として、国民の理解と信頼を得て、推進するものとする。」と、原発推進の立場を明確にしていると思うんですが、これは間違いないですね。
  398. 鈴木正規

    ○鈴木政府参考人 御提出している条文の規定はそのとおりでございますけれども、現在、震災等を踏まえまして、エネルギー・環境会議という政府の部内の組織を中心にしまして、エネルギー政策の白紙からの見直しが行われておりまして、これと表裏一体のものとして今後の地球温暖化対策の検討を行っているというのが現状でございます。
  399. 吉井英勝

    吉井分科員 ですから、三・一一以降、あの事態を受けて考え直しているということがあるにしても、しかし、別に温対法を引っ込めたわけじゃないんです。  ですから、環境省というのはこれまで、原発立地のアセスメントに関して言えば、原発建設ノーを言ったことは一度もないんです。環境大臣記者会見では、逆に、原発推進を明言してきたんです。国会提出の法案でも、原発推進を前提とした法案を出してきているわけなんです。  だから、こういう点では、環境省というのは原発推進官庁ということになってくるということを言っておかなきゃならないと思います。  次に、国際条約として原子力の安全に関する条約というのがありますが、その第八条ではどのように定めていますか。
  400. 白石順一

    ○白石政府参考人 八条でございますけれども、「締約国は、前条に定める法令上の枠組みを実施することを任務とする規制機関を設立し又は指定するものとし、当該機関に対し、その任務を遂行するための適当な権限、財源及び人的資源を与える。」という一条でございます。二項も読み上げますか。よろしいですか。(吉井分科員「二項もね」と呼ぶ)  二項は、「締約国は、規制機関の任務と原子力の利用又はその促進に関することをつかさどるその他の機関又は組織の任務との間の効果的な分離を確保するため、適当な措置をとる。」というのが原子力安全条約の八条の規定の日本語訳でございます。
  401. 吉井英勝

    吉井分科員 これは、大臣から資料をもらわはらぬでも、きのうあらかじめ、ちゃんと手元に準備しておくようにと言っておいた分です。  そこで、大臣に伺いたいんですけれども、政府は、原子力規制庁関連法案を閣議決定したわけですが、原子力規制庁環境大臣のもとに置くとしているわけですね。しかし、これまで経産省・資源エネルギー庁という原発推進官庁に置かれてきた原子力安全・保安院を、名前は原子力規制庁と変えるわけですが、所管する省庁も、これは原発推進官庁という性格を持っている環境省へ移すだけでは、推進と規制を分離することにならないんじゃないですか。
  402. 細野豪志

    細野国務大臣 まず、環境省の立ち位置なんですけれども、地球温暖化の問題が非常に深刻に取り上げられるようになりましてから、確かにある意味、原子力発電というものも、温暖化防止という観点から一つの有効な手段というふうに捉まえてきたという歴史はあります。  ただ、もともと環境省がどういうところからスタートしているかといえば、それは、例えば国立公園であるとか水俣病、そういう歴史も背負ってスタートをしておりまして、原発との親和性でいうならば、むしろ、再生可能エネルギー、自然エネルギーを推進する立場で政府の中では頑張ってきたという歴史はあるわけです。  ですから、そのことは忘れてはならないし、その中で温暖化とある種の整合性を原子力についてはとってきたという歴史があるということだと考えております。  そこで、今の環境省の立ち位置なんですけれども、一つ申し上げたいことは、今環境省では、除染の問題に正面から取り組んでおります。この除染というのは、日本の歴史上最も深刻な環境汚染ともいうべき放射性物質の拡散に対してしっかりと向き合っていくということです。ですので、今それに最大のエネルギーを費やしている環境省としては、二度とこういう事故を起こしてはならないという立ち位置である、ここは私は明確であるというふうに考えております。その環境省のもとに原子力規制庁をつくるということでございます。  人材についていろいろ御懸念を吉井委員の方からお示しでございますが……(吉井分科員「私、そこまで聞いていませんからね」と呼ぶ)わかりました。では、そこまででひとまず答弁をとめさせていただきます。大変失礼しました。
  403. 吉井英勝

    吉井分科員 除染の話は、これは、原発立地を認めるか認めないかの話とは全く別な話なんですよ。現に起こっている放射能汚染についてどのように取り組むかという話なんです。  私が問題にしていますのは、そもそもこれまで経済産業省・資源エネルギー庁というのは原発推進機関であったわけなんです。そのもとに原子力安全・保安院があったわけなんです。今度、では環境省は、これまでの立ち位置がどうだったかといったら、さっきも言ったように、原発立地ノーなんて一回もないんです。小沢環境大臣のときには、これは地球温暖化対策を考えても非常に有力な、強力なものであるということで、推進の立場を明確にして、経産大臣に意見具申しているわけなんですよ。  ですから、温対法もそうなんですが、立ち位置としては、現時点では環境省というのは原発推進官庁なんですよ。そこへ原子力の規制庁を持っていくということは、名前は変わっても同じ形じゃないか、これはおかしいんじゃないですかということを言っているんです。
  404. 細野豪志

    細野国務大臣 吉井委員はずっと原子力のことに取り組んできておられますし、問題点指摘をされているので、そういった意味で、御見識については、津波対策も含めて、最も厳しく指摘をされたという意味で、私も本当に尊敬をしております。  そうした委員のお言葉ではありますが、二つの観点から環境省は明確に経済産業省とは違うということを申し上げなければならないと思います。  一つは、やはり除染です。今、事故が起こった後の対応なので、それは原発そのものの是非とは違うんだというお話をされましたが、原発の是非の判断に加えて、これは、どうこれを規制していくのか、安全を確保していくのかという非常に大きな命題が今度与えられるわけですね。その失敗に一番今政府の中で正面から向き合って取り組んでいるのは、これは環境省です。ですから、同じ過ちを絶対に起こさないというところについて非常に高い意識を持っているのが環境省であるというのが一つ。  もう一つは、推進ということでおっしゃいましたが、経済産業省は、推進をさらに超えて、エネルギーの安定供給についての責任を負っております。したがいまして、ありていに言うならば、原発がとまると安定供給に支障を来すということになると困るわけですね。ですから、それが大目標としてある中で規制をやってきたのが経済産業省。  環境省の場合には、エネルギーの安定供給についての責任はありません。したがいまして、原子力規制という意味ではしっかりとブレーキ役をすることができます。したがいまして、アクセルを踏みながらブレーキをどう操作するかというこれまでの行政とは全く違う形で、ブレーキ役を環境省がしっかりと担い得るということを私はぜひ御理解いただきたいというふうに思うわけであります。
  405. 吉井英勝

    吉井分科員 原発立地をどう扱うか、つまり、規制するか推進するかという立場と、今起こっている、おっしゃった除染という話は、もともと原発立地を認めてしまったために出てきて、広がった放射能汚染をどうするかという話なんです。だから、全然違う次元の話なんです。  もともと環境省の仕事の中に、放射能汚染対策も含めて環境省の仕事となっておれば、それはそれで環境省の仕事ということになってくるんです。しかし、放射能分野は抜かれてきたわけですね。では、環境省は何をやってきたかといったら、原発推進ということで実際上は動いてきたわけです。  きょうの産経新聞でも、あなたもお読みになったと思うんですけれども、細野大臣のインタビューでは、原発再稼働は必要だということで、これはあなた御自身も、少なくとも、新しくつくる方は別にして、今できてしまってとまっているものについてどうするかについては再稼働という立場に立っておられるわけです。ですから、これは、何か除染をやるから構わないんだみたいな話ではやはりないと思うんですね。あなたの立ち位置が、今も環境大臣の立ち位置が再稼働は必要だという立場であれば、再稼働は必要だと言う人が同時に原子力規制庁を抱えるということは、これは非常に大きな矛盾なんですね。  覚えていらっしゃるか、忘れられたかは知りませんが、昨年八月九日に、科学技術・イノベーション委員会で、私、この問題を取り上げたんですよね、原子力安全条約の問題。このときに、あなたの答弁を読んでいますと、混然一体としてやってきたことを反省して、出直しが必要だとおっしゃったわけですよ。  まさに今、出直しをやらなきゃいけないときに、原発推進の立場の官庁なり大臣なりのもとで規制庁もそこへ置くということでは、これは規制はできないということになることは誰が考えてみても明確じゃないかと思うんです。これはどうですか。
  406. 細野豪志

    細野国務大臣 そこは吉井先生、ぜひレッテルを張らずに見ていただきたいと思うわけです。原発推進の立場から私が物を言っているということではありません。  一方で、今、ここの時点で存在する原発は全て再稼働させるべきではなくて全部廃炉に持っていくべきだという考え方でもないわけです。安全が確保できたものについては、これは再稼働ということになるというのを、繰り返し繰り返し問われた中でそういう答え方をしているということであって、見出しとしては確かに立っておりますけれども、ブレーキ役をしっかりやらなければならないという意識は私の中にずっとございます。  その上で、私が、混然一体としていたものをしっかりと出直すという意味は、まさに今回の規制庁の法案の中で組み込まれておりまして、これまで原発推進さらにはエネルギーの安定供給、そのためには動かさなければならない、そういう宿命を背負った経済産業省・資源エネルギー庁からは完全に引き離す形で環境省のもとに置くという意味は、私は、決して小さくないというふうに考えております。
  407. 吉井英勝

    吉井分科員 ことし二月一日の総合資源エネルギー調の基本問題委員会第十回委員会の議事録を読んでいましても、櫻田さんという副室長さんの答えなどを見ておりましても、やはり規制庁をなぜ環境省のもとへ持っていくかということについての話というのは、これは規制と推進の完全な分離という立場とは全く違うんですね。そういう立場で物事が進んでいる。  私は、改めて伺っておきたいのは、もともと、細野さんも野党にいらっしゃったときに、私も一緒に、野党四党で、公取型の三条委員会、独立行政委員会としての規制組織を立法提案したんですね。ここに持ってきておりますが、あなたのお名前もちゃんと入っているわけですよ。これですね。私も提案者なんですが、あなたも賛成者ということでちゃんと入っていたんです。  それは公取型なんです。どこかの省のもとに、つまり、経産省のもとの原子力安全・保安院とか、環境省のもとに置かれて、その環境省も、推進という立場に立っている省のもとでの規制庁というものじゃないんですよ。完全に独立したものということを考えてやってきたと思いますし、まさにそれは、国際条約にあるように、「権限、財源及び人的資源を与える。」とした国際条約にのっとった組織として一緒に提案したと思うんですが、これはどうなんですか。
  408. 細野豪志

    細野国務大臣 野党四党で提案をしているということですので、その時点での民主党のスタンスがそうであったというのは、御指摘のとおりだというふうに承知をしております。  その中で、今回、環境省の外局として規制庁という形で提案をしたのには二つ理由があります。  まず一つは、これだけ大きな事故を経験しましたので、危機管理がきちっとできる組織にしなければならないということです。  そこは、三条委員会、八条委員会、日本の内閣府にはかなりの数、そういう委員会はありますけれども、合議制の機関で危機管理をしっかりやり得るかというその問題がどうしても出てくるわけですね。大統領制の国であれば、そこは、大統領が直接任命した委員長というのは閣僚級ということで、場合によっては閣僚より格が高いということで力を持ち得ますけれども、日本の議院内閣制という制度の中において、果たして、独立した委員会委員長がどこまで危機管理をやり切れるだろうか。これについて、やはりむしろ原子力規制行政庁でやった方がいいだろうというふうに考えたのが一つです。  もう一つは、本当の意味経済産業省から新しい組織を引き離すときに、内閣府に置いた方がいいか環境省に置いた方がいいかという判断があったんです。  吉井委員も行政組織をよく御存じだと思いますけれども、内閣府に存在をする個別の組織の中で、完全に独立して運営をしているところは極めて少ないです。公正取引委員会というのは確かに独立はしていますが、これは何年も歴史をかけて独立をして、人も採用できているから人事もしっかり独立をできているわけですね。ほかの組織はそういう形になっていません。  したがいまして、内閣府のもとに新しい組織をつくった場合は、それは、しばらくの間は少なくとも親元があって、そこから人事上のさまざまな人を送ってもらったり、マネジメントをしたりとかをせざるを得ないんですね。それがある種の宿命として今の内閣府の中の組織では残ってしまっている、これがあるわけです。それは絶対にやるべきではない。  経済産業省からははっきり引き離して、エネルギーの安定供給をどこかの、頭の片隅に置きながらやるということではなくて、ブレーキ役、すなわち規制そのものをやれる組織にしなければならない。そのことを考えたときに、私は、人事上も独立性をはっきりと担保すべきだろうというふうに考えたわけです。  政府内でもそのことが共有をされまして、環境省という組織のマネジメントが少なくとも四十年にわたって行われてきたところでしっかりとやれる、もちろんその中はある程度の独立性は確保しなければなりませんけれども、人事上もそこで回していけるという仕組みを重視したということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
  409. 吉井英勝

    吉井分科員 時間をかけて公取もやってきたという話であれば、急がなきゃいけませんけれども、きちんとそういう体制を公取の経験も学んでやっていくことはできるわけです。  大事なことは、国際条約上も規制と推進は完全に分離する、この独立の原則というのはきちんと守らなきゃおかしいと思うんです。その点では規制に当たる人がやはり大事なんですが、人材の面でも、東電とか、原発メーカーとか、ゼネコンとか、実際にかかわってきた原発利益共同体というべきものからも、国の原発推進官庁からも独立性を持った機関にきちんとしないと規制ができない、その規制の独立性をどう担保していくのかということ。  もう一つは人材の面ですね。これは、やはり新しく募集して育てていくプロパーが大事なんですが、時間がかかります。しかし、重要なんです。とりあえずは経験者や専門家の力をどう引き出すかが非常に大事になってくることで、電力で原発運転の経験を積んだ人とか、メーカーで設計や試験に当たった人、官庁で審査に当たった経験を持つ人、一般職も含めて、幹部だけじゃないですよ、もとの職場には戻らない、戻れない、天下りなどできないという罰則も含めた完全なノーリターン原則というのがやはり必要だ。  同時に、日常的に原子力研究に当たる人たちの部門も持っておかないと、その人たちのモチベーションも高まるような組織をつくらないと、これは簡単にはいかないわけですから、人材の面で、また独立性の面でどのようにお考えかを伺っておきたいと思います。
  410. 細野豪志

    細野国務大臣 人材面での重要性は吉井委員御指摘のとおりだというふうに思います。  逆に、これから非常に危機感を持っておりますのは、原子力の規制の分野、場合によっては原子力そのものの運営もそういう面があるかもしれませんけれども、その分野に専門的な人材が果たして集まるだろうか。特に若い世代というのは、今回の事故を見て、原子力に対して非常にある種の距離を置く人がふえてくると思うわけですね。むしろそういう人たちに原子力規制にかかわってもらいたいと強く思いますが、専門分野として果たして優秀な学生が選ぶだろうか、そこからもって、これは極めて危うい状況になる可能性があるわけです。  ですから、とにかく優秀な人材を集めてこの規制機関を強化しなければならないというふうに思っております。当初は人材は経済産業省や文部科学省から求めなければならないというふうに思っておりますが、基本的には、入ってきた若い職員も含めて人材を中で育てていくというのをやっていかなければなりません。  それと同時に、専門的な知見を有しているメーカーであるとか電力会社の経験者は採用したいというふうに思いますが、入ってきた人間がまた民間に戻るということになってしまうと、それこそほとんどツーカーの関係でやるということにもなりかねませんので、それは私は、原則的にあってはならないと思います。  したがいまして、入ってきた人については、その企業に戻るということではなくて、そこの規制機関でしっかりとやり切るという人材を集めなければならないというふうに思っております。そのための準備を現在進めているということでございます。
  411. 吉井英勝

    吉井分科員 やはり、罰則を含めて、完全な、徹底したといいますか、ノーリターン原則をつくらないと、これはとてもじゃないが、規制という機関というのはまともに機能するものにはなっていかないということ。かつて原子力関係の、利害関係があった人であったとしても、やはり、移ったからには、もし戻るとすれば罰則を受けますよ、そういうぐらいの厳しいノーリターン原則がないと、そこは確立できないと思うんです。  同時に、原子力研究にかかわる人ですね、人材を養成という点では。この点では、元原子力研究所の人などを移して附属研究機関を持っていくということも、これは組織としては非常に大事な機能で、いわゆる附置研究機関ですね。  これが、動燃と一緒くたになってしまって、日本原子力研究開発機構ということになっておりますが、旧動燃は切り離す。これは、例えば文部科学省の研究開発局の一部局として、「もんじゅ」を廃止した後、廃炉措置までの管理だけを行うという部門にして、三条委員会の附属研究機関の人たちには、一万年、十万年、百万年先の長い将来を見通した廃炉技術、除染技術、高レベル放射性廃棄物の消滅処理技術とか、内部被曝を含めた医療など、原子力安全にかかわる研究に取り組むことで、やはり研究者としてのモチベーションが上がるような、高い技術力も身につくものを考えないと、長い将来にわたる原発廃炉への道筋をつけることはできないと思うんです。  だから、やはり人材確保が非常に大事なことで、最後に、時間が大分たってきたようですから、どのように人材確保にきちんと取り組むか、このことだけ伺って、質問を終わるようにしたいと思います。
  412. 細野豪志

    細野国務大臣 最後にまたもう一つ、貴重な御指摘をいただいたというふうに思っております。  原子力の規制の仕事自体は非常に重要ですし、そこに全てがかかっているというぐらいの役割なんですが、その仕事で常にレベルアップをして、それこそバックグラウンドを広げてやることができるかというと、なかなかそうはいかないわけですね。現場の作業ということになりますし、日常作業ということにもなりますから、その中で得られるスキルと、その中で得られないスキルとがあるというふうに考えております。  原子力の規制、さらには原子力全体に対するさまざまな知見や、場合によっては放射性物質の取り扱いも含めた幅広い知見という意味では、そことはまた別の形での研究機関の存在というのが極めて重要になるというふうに思っております。  今、原子力研究開発機構のことについて御発言がありましたが、我が国が持っている原子力の研究機関のあり方をこれからどのように考えていくのか。これは、JNESも含めて、これまで保安院のもとにあった独立行政法人も含めて、そこは私は見直しをしていかなければならない段階に来ているというふうに思っています。  その中で、常にモチベーションを持って、優秀な人材が、現場だけではなくて、そういう研究所の中でも立派にやって、そして国際的にも通用する。研修機関そのものもつくろうと思っておるんですが、そこも含めて修行をして、また現場に戻ることができる。そういう人材育成は極めて重要であるというふうに思っておりまして、ぜひそういう体制を、できるだけ早い段階で整えたいというふうに思っております。
  413. 吉井英勝

    吉井分科員 時間が参りましたので、終わります。
  414. 近藤和也

    近藤(和)主査代理 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次に、内山晃君。
  415. 内山晃

    内山分科員 新党きづなの内山晃でございます。  細野大臣には、長時間お疲れのところ、もう三十分おつき合いをいただきたいと思います。  私が民主党に所属をしておりましたときには、二輪車ユーザー議連の会長をしておりまして、今回、福島の警戒区域内に置かれておりますオートバイの所有者の気持ちは大変理解できますものですから、その損害賠償についてお尋ねを申し上げたいと思っております。  きょうは経産省の方がお見えになっていますね。まず、経産省の方に先にお尋ねをします。  先日、オートバイの雑誌で、警戒区域から御自分のオートバイを搬出されたという記事を見ましたけれども、私は、非常に大変な問題だろうと思っていまして、危険な行為だと思うんですね。  放射能に汚染されているバイクというのは、車と違って、体が接触する部分、部位が多いものですから、大丈夫なのかな、こんな思いでこの雑誌を見たんですけれども、そのオートバイが本当に使用にたえるのか、または危険なものなのかという基準がわかりませんので、こういったところを、放射能汚染された車両についてしっかりとした安全基準をつくって、だめな、危険な車両は流通しないような仕組みを迅速につくるべきだと思いますけれども、経産省の担当者、御答弁をお願いします。     〔近藤(和)主査代理退席、主査着席〕
  416. 宮本聡

    ○宮本政府参考人 お答えいたします。  まず、オートバイにつきましては、警戒区域からの持ち出しそのものにつきましては、これは四輪と違いまして、屋外に置いてあったものについては原則として持ち出し自体認めていないということでございます。一方、屋内に置いてあるバイクもございます。これについては、一定のスクリーニングをちゃんとした上で持ち出すということになってございます。  ちなみに、そうして持ち出せないものを含めまして、当然ながら、今後賠償という問題も出てくるかと思いますが、これについては、現在、早期に受け付けを開始すべく、東京電力の方でいろいろな準備を進めているというふうに伺っております。
  417. 内山晃

    内山分科員 今の御答弁で、警戒区域から持ち出されるときは線量をはかるという意味ですか。それで、線量が高いものは持ち出すことができない、そういうことでしょうか。
  418. 宮本聡

    ○宮本政府参考人 おっしゃるとおりでございます。  繰り返しになりますけれども、原則、屋外にあるものについては持ち出さないということになっています。ただ、いずれにしても、屋内を含めて、持ち出すものについてはスクリーニング、検査をしますので、そのときに一定基準を設定した上で、それを超えていないかどうかを確認するということでございます。
  419. 内山晃

    内山分科員 雑誌では、屋内に、車庫に置いてあったオートバイということで写真も載っておりましたけれども、そのスクリーニングの持ち出せる持ち出せない放射線レベルというのは、今お手元で数値がわかるようでしたら、御公表いただけますでしょうか。
  420. 宮本聡

    ○宮本政府参考人 お答えいたします。  これはオートバイに限った基準ではございませんが、一万三千cpmという基準がございまして、それを適用させていただいております。
  421. 内山晃

    内山分科員 このほかに、農業機械だとか建設機械というのもそのままになっておりまして、こういったものの補償、損害賠償は、いつから、どのように、誰が行うのか、御答弁をお願いします。
  422. 宮本聡

    ○宮本政府参考人 お答えいたします。  オートバイその他、建設重機等も含めまして、この賠償につきましては、東京電力の方で検討中でございまして、先ほども一部申し上げましたが、四輪については既に公表されているわけでございますが、こうしたオートバイ等につきましても、早急に受け付けの開始を目指しまして、現在、その賠償金額の算定を行う審査体制等、こうした準備を早急に東京電力の方で進めているというふうに聞いております。
  423. 内山晃

    内山分科員 オートバイも、自動車以上に高額なものもございます。その査定基準というのもしっかりとつくっていただけませんと、大変不利になります。オートバイだからぞんざいでいい、安くていいというわけにはいかないと思いますので、その辺もしっかりと、旧の持ち主に損害がないように補填をしていただきたいと思います。  それから、賠償の手続は、まだこれからのスキームかと思いますけれども、その辺おわかりになっていたら、ちょっと教えていただけますでしょうか。
  424. 宮本聡

    ○宮本政府参考人 お答えいたします。  スキームにつきましては、基本的に、東京電力のこうした賠償についての受け付けの窓口がございますが、ただ、そこで具体的に、まさに今先生がおっしゃったように、では、どういう算定の仕方で賠償の価格を決めるか、これを事前にしっかり検討しておかないと混乱しますので、今、それを早急に検討して、窓口においてそれが対応できるような形を検討している、詰めているというふうに伺っております。
  425. 内山晃

    内山分科員 警戒区域から持ち出す持ち出せないという基準というのが健康にどれだけ後々影響があるのかしっかりと確認をして、例えば、その網の目から逃れたオートバイ等が、一般に高汚染であるにもかかわらず流通するようなことが絶対ないように、しっかりと管理をしていただきたいな、こうお願いを申し上げたいと思います。  経済産業省の担当者の方は、以上でございますので、どうぞお帰りいただいて結構でございます。  続きまして、環境省細野大臣お尋ねを申し上げます。  高い放射性物質セシウムで汚染されましたごみ焼却場の焼却灰の対応でございますけれども、埋立基準一キログラム当たり八千ベクレルを超える放射性セシウムで汚染された焼却灰が、福島、茨城、千葉県などで三万五千トン余り処分できずに問題になっている、新聞でも報道されておりますけれども、国は、焼却灰をセメントで固めて埋立処分する方法を示しているようでありますけれども、埋立処分も、処分場を持たない自治体には何の意味もありませんし、さらに、セメント固化によって体積が増加して、処分場の寿命も短くなるという問題も指摘されております。  国としては、自治体に焼却灰の処理を押しつけるのではなく、責任を持って処理方法や工程表を示すべきと思いますけれども、御答弁をいただけますでしょうか。
  426. 細野豪志

    細野国務大臣 内山委員御指摘のとおり、キログラム当たり八千ベクレルを超える焼却灰というのが幾つかの県で蓄積をされておりまして、これが非常に大きな問題になっております。  八千ベクレルを超えるものにつきましては、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして、事故由来の放射性物質によるものというふうに考えられますので、指定廃棄物として環境大臣が指定を行い、国が処理をするということになっております。  ただ、その一方で、指定廃棄物の処理に当たっては、特措法に基づく基本方針を我々の方で示しておりまして、その中で、当該指定廃棄物が排出された都道府県内で行うこととされております。これは、やはりそれぞれの地域で出たものについてはそこで処理をするということにしないと、非常に移動が多くなるであるとか、場合によっては、発生をしていないところの方々がいろいろな形で不安に思うとかいうことがあってはなりませんので、こういう考え方をとったところでございます。  現在、環境省としては、関係をする都道府県ごとに、指定廃棄物の処理方針を具体化するため、関係地方公共団体やその他の関係者と調整を進めているところでございますが、いまだ八千ベクレル以上のものについて、完全なる処理ができたというところは存在をしておりませんので、そこまで至っていないというのが実情でございます。  御指摘のとおり、岩手県の一関市において、セメントを用いて焼却灰を固型化するモデル事業を実施しているところでございまして、こうした技術をしっかりと確立した上で、全国に普及させて、処理体制を構築してまいりたいというふうに考えているところでございます。  まさに御地元でございますので、もう少し率直に申し上げると、八千ベクレル以下のものもなかなか処理ができていないところがございまして、これは何とか自治体の皆さんに御理解をいただいて、その処理を安全にしていただけるように一緒にやっている。  一方で、八千ベクレル以上のものについては国がやらなければなりませんので、場所の選定についていろいろな自治体の皆さん協議をさせていただいているという状況です。国の責任ではあるんですが、国がどこかに直轄地を持っているわけではありませんので、あくまでそれは都道府県のいずれかの場所で処理をしなければならないということで、さまざまな話し合いをさせていただいているということでございます。
  427. 内山晃

    内山分科員 木の剪定枝、枝、葉っぱ等が、実は大量に燃やさずに今保管をされているんですね。これは、このままにしておきますと、いずれ発酵して自然発火したりするんじゃないかという危惧もあります。また、強風等でこういうものが飛散しますと、さらに二次汚染じゃありませんけれども。  ですから、これをいかに早く焼却処分して、かさを小さくして、その小さい中から放射性物質だけを取り除くというようなことがもう技術的にできる。私たちは、いろいろな業者、昨年から高山政務官のところにも、水質の浄化とか汚泥の浄化の件で、たまたまそういう業者に知り合いがたくさんいましたので、いろいろな情報が来るんですね。  今回も、放射能に汚染された汚染灰、とにかく、固型化するにしても、これは埋めていくとしたら大変な場所が必要です。さらには、高い濃度の放射線に汚染された灰を埋めて、その上にとかその近くに害がないのか、こう思うんです。  今までの方法、固型化、埋めるというよりも、実は、福島第一原発の汚染水を浄化するように、灰を除染したらいいんじゃないか、こう思うんですけれども、そういった技術が確立されている、私も今資料がございますけれども、そういう方法はいかがかどうか、大臣に答弁をいただきたいと思います。
  428. 細野豪志

    細野国務大臣 内山委員からはいろいろな技術的な御提案もいただいておりまして、いただいた提案については、どれが現実的に対応可能かということについて、一つ一つ検証させていただいております。  今御指摘のような、洗浄することによってセシウムを取り除く、そういう技術なども実は複数提案をされておりまして、それも実証して、実現可能なものについては可能性を探っております。  ただ、どういう方法をとるにしても、最終的にセシウムがなくなるということではなくて、いずれかの形で出てまいりますので、それを安全にやはり保管をする、処分をするということをやる場所が必要なわけですね。  ですから、やり方はいろいろ検討しながら、場所については自治体としっかり協議をさせていただいて、しかるべき場所を確保するということも並行してやっていく必要があると考えております。
  429. 内山晃

    内山分科員 専門外なんですけれども、私は、どういうわけか、この分野でずっと去年から研究をしておりまして、ごみ焼却場の例えば駐車場とかいうところを潰せば、建屋で、仮囲いをつくって、その中で除染するような機械を設置するということは全然問題ないんですね、スペース的にも。ですから、逆に言うと、自区内処理ができるんじゃないかなと。  さらには、例えば、ゼロにはなりませんけれども、百分の一ぐらいには体積が圧縮できて、そこに、高濃度なセシウムの塊だけは、これはもうどこか、コンクリートの中か何かで深く地中に埋めるとか、最終的には、国が決めるどこかの処分場か何かに持っていくという方法を考えればいいんじゃないかなと思うんです。  今、そもそも、焼却灰の保管場所そのものがもう満杯になっている、それの仮建屋を建てているような状況であるということでもありまして、まずは、大至急、その移動とかということを考えずに、固型とかと考えずに、ぜひともその自区内で除染をする。そのコスト、費用対コストはわかりませんけれども、しっかりと研究をしていただきたいな、こう思います。  御答弁は、もしありましたら、よろしくお願いします。検討していただけるかどうか。
  430. 細野豪志

    細野国務大臣 いろいろな御提案を内山委員からもいただいておりますし、また、全国からさまざまな提案が私のところに寄せられております。  その中では、取り除くことについてのいろいろな技術についてもありますので、もう一度、どれが実際に活用できるのかということについてしっかりと見きわめるように指示を出したいというふうに思います。  ですから、一つのやり方にこだわると、仮にそれがうまくいかなかった場合は、もう本当ににっちもさっちもいかなくなる可能性がありますから、違う方法も含めて、幾つかのオプションをしっかりと検討したいと考えております。
  431. 内山晃

    内山分科員 改めて資料等をお届けいたしますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  前回、予算委員会でも質問させていただきましたが、福島の山林がかなりセシウムで汚染されている。実は、ホットスポット地域の山林も汚染をされておりまして、この対策というのをどうするのか、非常に危惧をしているんですね。  私なんかが住んでいます。また、あえてここで固有名詞を言いますと風評被害になってしまいますから申し上げませんけれども、千葉県の東北部なんかは雑木林が結構多いんですよ。落葉広葉樹林があって、そこにかなり落ち葉に放射性セシウムが付着している。これも、このままにしておきますと飛散をしますし、また地中に入って土壌汚染にもなります。  できれば福島と同じように、今のうちに、枯れ葉のうちに回収して焼却すれば、かさが少なくなるでしょう。また、焼却したときに、焼却のごみ、焼却場から排ガスとして放射性物質が飛散しないのかどうか、それも非常に心配をしているんですね。  瓦れきの場合には、やはり放射性物質をはかりましたよね、レベルを。でも、明らかにこういう剪定枝や何かに付着して、高濃度のものが今灰にたまっているという現状ですから、燃やしたときに一緒に、再攪拌といいますか、再度地元にばらまいてしまうようなおそれはないのかというのもすごく心配していまして、ぜひそういうごみ焼却に関してもしっかりとお手伝いをしていただきたいな、こう思うんです。  そして、大臣、こういう事実を御存じかどうかお尋ねしたいんですけれども、雨どいの下に非常に高い放射線量を測定する地域がある。これは、実は二日前、私の住んでいる地域で数カ所はかったんですけれども、福島県や栃木県と同等以上のレベルが出ていました。  何でそんなに出るのかといいますと、屋根に飛散した放射性セシウムが雨とともに雨どいを伝わってくる。このまま側溝に直結しているパイプだったらいいんですけれども、芝生の上とか土とか砂利とか、そういう地面に落ちているところは、じょうごじゃありませんけれども、集約してしまうんですね。  これが物すごく高いんですよ。メーターが振り切れるようなところもありまして、これはシーベルトでいいますと、その場所の大気中の放射線レベルは〇・六マイクロシーベルト・パー・h、その雨どいの下の部分ではかりますと一・二マイクロシーベルト・パー・hだったんです。これは年間放射線量に計算しますと、ICRPで勧告している年間放射線量被曝の三倍になるんですね。これは私が住んでいる地域ですよ。福島のことじゃないんです。  しかも、要するにそこはコンクリートの駐車場に建物からそのまま雨どいを伝わって水が流れているところなんですね。では、そのコンクリートを剥がせと言っても、大変な工事になりますし、さらに、剥がしたそのコンクリートを持っていく先がないですよね。  だから、やはり何としても、福島の地域だけじゃなく、そういったホットスポット地域に対する除染に本当に力を入れていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  432. 細野豪志

    細野国務大臣 何度か福島県内の除染の現場に立ち会いまして、私も何時間か作業したことがあるんですが、その中で、雨どいの下というのは、まず初めにどこの家でもやるポイントでありました。やはりそこへ当ててみると、隣の場所よりも、例えば一メーター違うだけでも全然数値に差があって高くなっているというのは、それは水の挙動からいっても、そういう合理的な理由によるものだろうというふうに考えられます。  ですので、そういったところの重点的な除染ということについては、既に実際それぞれの家庭で除染をやっていただくときにも取り組んでおりますので、政府としても明確に意識をしながらやっておるということでございます。  それを福島県内だけではなくて全国でというお話でございました。  環境省としては、面的に年間の追加被曝線量が一ミリシーベルト以上の地域を含む市町村を重点調査地域として指定をしておりまして、具体的には、例えば内山委員の御地元の市町村は全て入っているというような状況でございます。  したがいまして、そういう市町村の中で除染が行われるような場合には、当然、財政的、技術的な措置に万全を期す、そういったところを重点的に除染をするということに恐らくなるでしょうから、それについては全面的にバックアップをして一緒にやっていく、そういう姿勢でおるところでございます。
  433. 内山晃

    内山分科員 これは民地の駐車場なんですけれども、それに対する除染の費用というのはどうなりますか。
  434. 細野豪志

    細野国務大臣 今申し上げた重点調査地域ということに関して言うと、そこの市町村内で、市がやる除染については、民地ということであるとか、これは道路か民地か、公的な場所かどうかということにかかわらず、費用については国がしっかりと負担をするという形になっております。
  435. 内山晃

    内山分科員 くどいようですけれども、これは全額、一〇〇%国の負担ということでよろしいんですか。
  436. 細野豪志

    細野国務大臣 そのやり方、市の方ともしっかり協議をしていただいて、そういった形でやっていただければ、やり方を市としっかり調整をしていただいた上で市がやるという形をとっていただければ、この負担については国がしっかりと後押しをするという形になっております。
  437. 内山晃

    内山分科員 数カ所はかりましたら、とんでもない数値が出ていまして、二メートルぐらい飛んでくるんですね。ですから、雨どいのところから屋内、家の中も、放射線が、ガイガーカウンターがピーピー鳴るぐらいのところがありまして、そこで生活をしているということを考えますと、相当体によくない、影響が出ているんじゃないか。私も非常に、そこを毎日通るようなところなものですから、通るたびに細胞が何か放射線でやられて傷つくんじゃないかと思って、健康被害をどうしてくれるんだと本当に声を大きくしたいんですけれども。  そういう地域はまだまだ、知らずに、ホットスポットエリア、これは何か忘れ去られがちなんですけれども、福島以上にそういう汚染されているところがあるということをぜひ御認識をしていただいて、これから大いに、しっかりと地域の汚染されているエリアというのをポイント的に調べていきたいと思いますので、御支援を今後いただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  438. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて内山晃君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  439. 佐々木隆博

    佐々木主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。高邑勉君。
  440. 高邑勉

    高邑分科員 民主党の高邑勉でございます。本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず、筒井副大臣、きょうはありがとうございます。あの震災発生以来、いろいろ連絡をとらせていただきながら、また現場の声もお聞きいただきまして、本当にありがとうございます。  まず、地元の要望から入らせていただきたいと思います。  強い農業づくり交付金ということで、今、耐用年数を超過した地域の農業生産施設、特に老朽化したものに関してでありますが、合併市町村においては、各町ごとにつくっていたものを集約化して、効率化しようという動きがあります。私の地元にも、山口市南部に、カントリーエレベーターを新規に、これは全面更新してつくるという事業が今進行中でありますし、また、来年以降は、山口市中部、そして旧阿東地域というところのライスセンターを統合するという計画がございます。  こういった地域の集約化、また合併に伴って効率化をしていかなきゃいけない中で、例えば、今まで使っていたものの用途変更であるとか、また廃止などにもいろいろな運用基準があろうかと思いますが、こういった動きについて、ぜひ承認申請等、また承認基準の緩和等について御配慮をいただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
  441. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 ただいまの高邑委員の質問お答えさせていただきたいと思います。  ライスセンターなどの共同乾燥調製施設の整備については、米の乾燥調製作業の省力化や高品質な米の供給体制の確立等を目的としており、当省といたしましては、産地の競争力を強化する観点から積極的に支援していきたいと思っているわけでございます。  委員御発言の施設の統合については、現段階で、国として具体的な計画などの相談を受けていない状況もありますので、一般論として申し上げれば、老朽化あるいは遊休化した既存施設を統合し、機能の高度化を図ることにより、乾燥調製の効率化や品質向上の取り組みを進めることは重要であると認識しているので御理解をいただきたい、そのように思っております。大変重要だと思っております。
  442. 高邑勉

    高邑分科員 ありがとうございます。これから申請があった際には、ぜひ御配慮をよろしくお願いしたいと思いますし、また、地域の力を強めていくためにも、強い農業づくりということで御配慮を賜れたらありがたいと思います。  続きまして、資料の一枚目を御用意させていただきました。きょうは、実は環境省さんにも関連でございますが、実は、瓦れきの処理について、先般、私、二月十六日の島田市の溶融炉燃焼実験に参加させていただいたんです。そのときに、大臣も最後までおられまして、住民の皆さんにも説明をしておられましたが、その中におられた慎重な立場をとられておる、反対しておられる方々から実は要望書をお預かりいたしまして、これは既に大臣にお渡しをさせていただいたんですが、その中に、実はバイオマスガス発電とかバイオエタノールの精製等で、こういった震災瓦れきを持ってくるんじゃなくて、全国に送るんじゃなくて、むしろ東北でそれをバイオマスで利用できないのかと。  技術的には、セシウムを揮発化させてフィルターで吸着して除去する技術はもう既に確立されているということでありますので、こういった観点から、現段階で、農水省さんの所管であろうかと思いますけれども、バイオマスガス発電もしくはバイオエタノールの活用について、午前中の城内議員の御質問でも少し討議があったようでありますが、今の時点でどんな内容のものがあるか、もし具体的にあればお示しいただけますでしょうか。
  443. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 まず、被災地の木質系の瓦れきの活用という点からいいますと、林野庁が、木質系の瓦れきから発電事業をする、そして同時に熱も供給する熱電併給の事業をほぼ百億の予算で予定しておりまして、それについてのプラントを今募集しているところでございまして、それを進めていきたい。その際に、今先生が言われました、放射性物質がある場合には、それはフィルターで取ることができるという状況でございます。  木質系の瓦れきからエタノールをつくる、これは、現在のところ、まだ技術的には研究、実証段階というふうに認識しております。しかし、そういう観点から取り組むことも必要かと思いますが、現在、農水省としては、四カ所でセルロースからエタノールをつくるという研究施設、実証施設をつくって、今その技術を開発している、こういう状況でございます。  いずれにしろ、今もう実用段階に入っているのが穀物等のでん粉からのものでございますが、これは食料と競合するわけでございますけれども、その場合の方がより容易に、技術的には可能なんですが、やはりコストの問題がありまして、セルロースからのエタノールの製造に関してはなおさらコストの問題がありまして、このコストの低減ということを実現することが実用化のために今大きな課題となっている、こういう状況でございます。
  444. 高邑勉

    高邑分科員 ありがとうございます。既にお取り組みをいただいているということであります。  一枚目の資料なんですけれども、その中の一つの提案だというふうに私も承知をしておるんですが、ある地区で、これは実はガス化発電プラント、木質バイオマスを使ったものなんですけれども、この資料は、実はこれは四十フィートコンテナですから、約十二メートルのコンテナの中にすっぽりおさまる可動式のものでありまして、これはどうもフィンランドの技術だというふうに聞いておるんですが、こういったものを被災地の震災瓦れきが置いてあるそばだとか、ある程度大きな規模の農家さんだとかに配備をして、震災瓦れきの処分が終わった後も引き続き地域の発電、エネルギーの供給として役立てていってはどうかという提案が既になされているようでございます。  この施設、こういった提案というのは多々あろうかと思いますが、副大臣、この資料をごらんになって、可動式であるということとか、非常にコンパクトであるということ、費用は数億かかるやに聞いておりますけれども、御感想といいますか、評価をもししていただけるようだったら、一言お願いいたします。
  445. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 極めて魅力的ですね。ただ、先ほど言いましたように、コストの点が心配でございまして、電気の場合に、今度の固定価格買い取り制で、バイオマス発電の場合には二十円か二十五円ということが想定されておりますが、それ以下でできればこの事業も利益が上がるということでございますから、非常に魅力的な感じはいたします。それらの点は検討させていただきたいなと。  特に、可動式というのは非常におもしろいというふうに感じました。
  446. 高邑勉

    高邑分科員 前向きな御答弁ありがとうございます。  一つの技術といいますか、当然もう検討されていると伺っておりますので、こういった可動式である、また、被災地に残したまま、それがまた、処分が終わったら取り壊されるということではなくて活用ができるという意味で、非常にこういった発想というのはおもしろいんじゃないかと思いますので、これは後ほど環境省の方にも、もし時間があれば回答していただきたいと思いますので、こういう技術を使っていくという観点から、ぜひお願いをしたいと思います。  二枚目の資料をお願いしたいと思います。  これが実は、今副大臣がおっしゃっておられましたバイオエタノールの生成について、新しい技術の説明がしてあるものなんですけれども、今、副大臣、コストのお話をされましたよね。確かに、バイオエタノールの大きな問題点としては、現行ではコストが非常にまだかかるということが指摘されております。  先般、京都大学の植田先生が開発されたアーミング酵母といって、これは右下にありますけれども、何か千手観音のように手がいっぱい酵母から出ている、こういう新たな酵母を発見されて、この酵母によって、実は非常に低コストで、従来よりも十分の一の原料で、原料ですよ、コストはまだまだかかるかもしれませんが、従来の十分の一の原材料でバイオエタノールの生成が可能になったということで、今、京都大学のみならず、神戸大学や企業を交えて、いろいろな研究が進んでおるというふうに私も聞いております。  実は、こういった技術を使うと、でん粉ではなくて、まさに麦わらとか稲わらとか、茎や根や、ススキとかアマランサスとかいろいろなものがありますが、実は海藻でもできるということで、海藻というのは本当に海の中でたくさん繁殖するものも発見されていますので、こういったセルロースを含む植物系の原料からまさにエネルギーが取り出せるということで、非常にこれは注目されている技術でありまして、実はNEDOの方で既に実証実験も最終段階に入っているやに聞いております。これは、年間十万キロリットルを生産できる設備になると、リッター四十円ぐらいでできるという試算が実は出ております。  しかし、ここで問題になってきますのは、バイオエタノールの出口ですよね。つくったバイオエタノールを一体何に使うんだということが一つと、もう一つは、それだけ大量のセルロースをどうやって集約する、回収するか、その仕組みをやはりつくっていかなくてはならないと思うんですが、まさにここは、農水省さんの得意な、これまでの行政経験を踏まえて、集約することに対してはいろいろなノウハウがあろうかと思います。  私は、経産省がやっている技術なので、経産省にこの技術は大変すばらしいんだけれどもこれからどうなるんですかと聞いたら、いや、国内で普及させるのはなかなか難しいから、まあ海外に売るんでしょうねという回答が来るんですよ。  しかし、ひょっとしたら、農家だけではなくて、これは漁業をやっておられる漁師の皆さん、海辺に住んでおられる方々、特に被災地の方もそうでありますが、こういった人たちの新たな仕事になり得る技術だと思うんですね。せっかく日本で実証して確立された技術を、海外で使うというのは余りにももったいないのではないか。  震災の被災地を復興支援していくという観点からも、また、国内で国産のエネルギーをつくり出していくんだという観点からも、私は、こういった技術を普及させていくことが農家の方々や漁師の皆さんの所得の安定につながっていくのではないかと思いますけれども、大臣、この資料をごらんになって、御所見をお聞かせ願えたらと思います。
  447. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 酵母を、新しいものを発見したということでございますが、酵母が一番コストが高い原因になっているものですから、本当にそういうものができるならば、全体のコストを大幅に下げることができるというふうに思います。  使途の方に関しましては、やはりガソリン等にまぜて車の燃料として使うのが一番大量に使うことになるかと思いますが、現在、日本はE3で、三%までが限度となっておりまして、これをE10、E20、あるいはブラジルのようにE100まで行くならば、非常に大量の使途ができてくるというふうに思っております。
  448. 高邑勉

    高邑分科員 使途の拡大ということは、これは、役所の壁を飛び越えて、まさに国を挙げてやらなくてはならない問題であろうかと思いますので、ぜひ、農水省としても、これは技術立証した上で、声を大にして普及に邁進していただけたらと思います。  あわせて、使途のところで一つ指摘されておりますのは、植田先生からお話を聞きましたら、この技術は、単にエタノールをつくるだけではなくて、組成を考えたらこれは同じことが言えるんですけれども、実は、セルロースから、エタノールだけではなくて、逆にエチレンができるということなんですね。  ということは、エチレンができれば、まさにこれは、石油製品はほとんどエチレンから生成してつくっていくわけでありますけれども、さかのぼっていって、エチレンができる技術が既にブラジルではもう企業化もされているということでありますので、まさに、輸入に頼っている原油からエチレンを今抽出しておりますけれども、むしろセルロースから石油をつくるんだというぐらいの技術になり得ると思います。使途も、バイオエタノールのガソリンだけに使うのではなくて、ガソリンに混入、E3、E10のみならず、非常に使途が広がっていく技術であるということを申し添えたいと思います。  非常に夢のある技術でありますから、ぜひ、日本国内で確立をし、普及をさせていきたいなというふうに私も思っております。  続きまして、次は環境省さんにも関係をしてくるんですが、動物についての質問をさせていただきたいと思います。  午後の質問でも、岡本英子議員から、警戒区域、原発事故が起きてから、半径二十キロ圏内、この立ち入りは禁止されたわけでありますが、そこに住んでいる、いまだに生息している動物たちへの対応について、質問、御指摘があったかと思います。  五月の十二日の、当時の菅総理の指示によって、そこに生息していた家畜については、所有者の同意を得た上で殺処分、安楽殺ということが指示として出されました。  しかし、その後、筒井さんにも現場からいろいろ御報告をさせていただいて、実は、南相馬の野馬追の馬については、搬出を例外的にお認めいただきましたし、あわせて、養豚場の種豚については、東京大学の方に研究用ということで搬送もお認めいただいたところであります。  予算委員会での城島議員の御質問でもありましたけれども、こういった研究の用に供するもの、もしくは学術のみならず伝統文化、こういったものに寄与する、公益に資する研究等については個別に対応するという当時の鹿野大臣の御答弁もありましたように、実際に一つ一つ御検討いただいてお取り組みをいただいたこと、これは本当にありがたいことだと思っております。  また一方で、南相馬になりますけれども、放れ牛を使った研究、これは放射性セシウムの被曝推定・体内動態解析研究ということで、既に大学の共同研究が始まっております。  こういった御配慮をいただいたことに改めて御礼を申し上げたいと思いますが、一方で、先ほど仲野政務官の答弁がありましたけれども、三千五百頭ぐらい飼われていた牛の大体半分が餓死もしくは何らかの死因で命を絶えてしまったと。しかし、残り半分はどういう状態になっているかといいますと、要は、野に放たれて生きている。そのうちの約七百頭を農林水産省の方で、またこれは県や市とも協力をして捕獲をし、飼育しておられるというふうに聞いております。まだ野に放たれたものがあと五百頭近く生存しておるようでありますけれども。  先ほど、安楽殺に同意をした農家の牛については処分ができるということでありましたけれども、しかし、約三百戸近い農家の方々の中で百十戸ぐらいの農家の方は、いまだに同意をしておられないんです。理由についてはいっぱいあろうかと思います。この同意をしておられない農家の皆さんに対して、皆さんが飼っておられる牛を、農水省としてこれからどういう対応を促していこうとお考えでしょうか。
  449. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 今、高邑委員からの御指摘のように、同意をどのように得ていくかということでありますけれども、まず捕獲をして、何とか同意を得られるようにしっかりと、丁寧に、農水省として、県とも協力しながら話をしていきたい、そのように思っております。
  450. 高邑勉

    高邑分科員 私も最初からお願いをしておりまして、農家の方が同意されないのにはいろいろな理由があるんですが、それは先ほど岡本議員も指摘をしておられました。私は、一歩踏み込んで、丁寧な対応をしていただきたいと思うんですね。本当に農家の方の心に沿う対応をしていただきたい。  その中で、研究で使ってくれという声には、今まで、南相馬の事例も含めて、対応を一部分してきた経緯があります。これは私も非常に評価をすべきだと思いますが、一方、いまだに同意されておられない多くの農家の皆さんは苦しんでおられるので、ここはぜひ農水省としても、もちろん、安楽殺を丁寧にお願いしていくというお立場にお変わりはないんでしょうけれども、はや一年が経過しようとしている、警戒区域になってもう十一カ月が経過しようとしている中で、ぜひちょっと発想を転換して、これはもう提案であります、できるかどうかではなくて提案なので、検討していただきたいんです。  私の地元の山口県では、二〇〇二年ぐらいから、レンタカウ制度といって、牛を農家の方にお貸しして、高齢で除草ができない、草取りができない農家さんにお貸しして、荒れ地、耕作放棄地とかで牛が舌草刈りをする。牛の舌で草を刈るので舌草刈りというんですけれども、そういう舌草刈りの牛をお貸しするというレンタカウ制度というのを導入して、農畜連携の中で非常に、これは一石三鳥、四鳥の効果を示しているという事例があります。  警戒区域の中ですから、なかなかそんな自由に農業に戻れるような環境でないことは私もよく承知をしております。例えば、ある一定の区域、しかも、線量が高いところだと、いろいろ土壌をまぜてしまうので、天地返しとか、いろいろな除染、表土剥離とかの除染に悪影響を与えてしまうという指摘もあります。  例えば、森林とか山地とか、そういうところの除染というのは今全く何の研究もなされていないわけですから、しばらく立ち入ることができないところを囲い込んで、牛にそこで自由に生息していただいて、ふんだけ回収する飼育システムをちゃんと導入して、ふんをちゃんと分離していく。そして、自然界からは、木や草や水からセシウムを体内に取り込んでいただいて、それを回収して、その地域全体がどれぐらい放射性物質が回収できるのかを研究していくという、壮大な自然保護区化ということを提案されておる教授もおられるんですね。  だから、私は、もう発想を変えて、農家の方がもしそれを望むならば、それを考慮する、聞いていくという発想も必要なのではないかと思います。また一方で、ある離島で観光牧場をやっておる方がおられて、その牛を引き取りますよという方も中にはおられるんです。  ですから、なるべく殺さずに、もちろん、畜産にこの牛たちを戻すことに対しては相当、風評の問題等ありますから、一筋縄でいかないことも承知をしておりますけれども、農家の方が望まれた場合は、その選択肢をぜひ用意していただきたいと思うんです。  そういった観点から、この安楽殺指示というのはやむを得なかったと私は思います。しかし、よりきめ細かく農家の方の復興を支援していくという観点から、その心をお支えしなくてはならないと思いますので、こういった残った牛を保護したり、または特定の環境下で飼育をしていくという活用策について、ぜひ一歩踏み込んで御検討いただけないでしょうか。
  451. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 まず、先ほど私が申し上げましたように、牛を、家畜を捕獲し、そして、その所有者である農家さんと丁寧に話をさせていただいて、ただ単に安楽死をさせるための話し合いを前提にするのではなくて、今先生から非常に前向きな御提言がありました、例えばレンタカウ制度だとか、あるいはまた、先生が本当に以前から言われていた、捕獲したそういった牛は研究等に使ってみるだとか、そういった方法をしっかり、そういった選択方法、これも所有者との話し合いが必要であります。  ただ、そういったこともこちらの方で話はしてみますけれども、一方では、受け入れ側の理解の必要があるということもそうなんですが、セシウムに汚染された家畜からの排せつ物が環境に負荷を与えることなどの課題があるということも、先生、またこれも御理解をいただきたいなと思っております。  いずれにいたしましても、我々といたしましては、全てが、全部安楽死というようなことではなくて、ここは少し時間をいただきながら、ちょっと研究をさせていただければなと思います。
  452. 高邑勉

    高邑分科員 大変過酷な環境であって、考えているほどうまくいかないということも、私も現場でずっと見てきましたので、おっしゃるとおりだと思います。  しかし、排せつ物の問題も、実は飼養管理をある程度しておけば、ほぼ半減化できる。その段階で移すということも、いろいろ考えられますので、状況は変わっているんだということをぜひ御理解いただいて、何ができるか考えていただけたらと思います。そのために私も提案をし続けたいというふうに考えております。  この警戒区域内の放れ畜に関連して、ここは環境省に、横光副大臣お尋ねをしたいと思います。  動物愛護管理法は、家畜も立派に保護対象の動物というふうに規定をしておるわけでありますが、東北大学の佐藤衆介先生という、これは動物福祉の専門でいらっしゃるんですが、その先生が、家畜福祉の観点から、集約畜産の中では明らかにできない、つまり、畜舎の中で大量に飼っていく体制では明らかに解明することができない家畜動物の本来動物として持っている正常な行動体系、動物行動学の観点、そういったものが、動物福祉を考える、家畜福祉を考える上で大前提になるんだと。しかし、野生種の牛というのは、残念ながら、今、イギリスのチリンガム公園牛というのと鹿児島のトカラ列島口之島牛だけでありまして、家畜が野生化したり、半野生化というんですか、野生化しつつある家畜というのは非常に貴重な存在だという御指摘をしておられます。  それで、先ほどちょっと言いかけましたが、原発周辺区域のどこかを野生動物保護区のような形にして、その環境を、放射能関係も含めて、除染ができるところは除染をしたらいいと思うんですが、森林とかはなかなか除染まで今は手が回らないわけでありますが、当面の間、自然保護区のようにして、動物たちに生息をしてもらって、その動物たちをしっかり研究するということが、いずれ回り回って家畜福祉にも役立っていくんだという御指摘がありますけれども、これについて、横光副大臣、どういったお考えがおありでしょうか。
  453. 横光克彦

    ○横光副大臣 今、御提案がありました。なかなかすばらしい御提案だとは思いますが、警戒区域内の家畜については、既に農水省や大学において放射線の影響の研究利用が進められていると聞いております。  この件で、動物愛護法のこともちょっと触れられましたけれども、これは今、与野党で、議員立法で法改正の論議をされておりますが、環境省も、中環審の検討委員会でも、動物の災害対応に対しましては、動愛法の中に基本的な事項として見直すべきである、こういうふうなまとめもありますから、そういったことも含めて、動愛法関連の改正にも盛り込むか否かについて今検討をしているところでございます。
  454. 高邑勉

    高邑分科員 改正の中では、被災動物への対応ということで盛り込みたいと私も思っておりますが、アメリカやヨーロッパの福祉が進んでいるところでは、被災動物を終生飼育するというのが半ば常識化していて、そういった施設も民間であったりするんですね。これはサンクチュアリーというそうでありますけれども。  そういった取り組みが、我が国においても、民間の方々が独自に、私が知っている範囲だけでも警戒区域の中に四カ所ほどありまして、少ないところでは二十頭、大きいところでは三百頭以上もの牛が生息している。その写真が三枚目の一番最初のところ、左上の図でありますが、こういった状況で、今もなお農家の方は通い続けて、牛を殺すのは忍びない、何とか役に立てないか、牛に生きた意味を与えてあげたいということで、日々、日夜奮闘されております。  その隣を見ていただけたらと思いますが、右の写真は、子牛がこうやって群れをなしているんです。耳標がついていない牛は殺処分しても構わないという、法解釈はそれでいいのかもしれない。しかし、これは命ある動物ですから、こういった動物を生かすのも、やはり人間の思い一つではないですか。私は、人間が、人間が起こした災害でこういった動物にこれ以上危害を加えてはならないと思いますので、せめて、こういった動物を保護していくという観点、これが必要なのではないかと思います。  また、次の左下の写真は、私が先週、富岡町に行ったときに撮影したものでありますけれども、イノシシとイノブタ、既にもともと飼われていたものもありますし、それが自然界に入っていって、恐らく、また交配してふえていると思われます。こういった動物も、研究者に言わせれば、非常に貴重な資源であるということなんですね。もちろん、ウイルスの蔓延等を防ぐためにも的確な管理が必要であると思いますが、殺処分一辺倒ではなくて、こういった動物たち、自然界から与えられた命を活用するというか、保護をして、必要な研究をしていくという姿勢が人間に求められているのではないかなと私は思います。  最後に、もう一枚の写真は、楢葉町で、これは農水省が設けた捕獲用の柵の写真です。皆さんのお手元にある最後の写真、右下の写真でありますが、こういう状況で牛を囲い込んでいただいています。  大変御苦労をいただいていることも、現場の状況を見たら、大変過酷ですから、苦労させているなと思う一方で、余りにもぬかるんでしまったり、牛が休めるところがない。これを飼っておられる方が見て、かわいそうだ、これだったら野に放っておいた方がいいとおっしゃっているので、ここを通りかかる方々が、決して、かわいそうだと柵をあけないようにするためにも、もうちょっと配慮した柵囲い、決して、殺処分を同意されない農家の方は、諦めていない方もおられるので、もう少しこういった柵をつくるときにも御配慮をいただけないかと思います。  こういった御指摘に対して、仲野政務官、御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。
  455. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 先生の御指摘の囲い柵の中の牛、今手元に写真がありますけれども、いずれにいたしましても、これから福島県あるいはまた関係団体、関係機関とも十分話をしながら、どの方法がいいのかということを、見てかわいそうな状況をつくらないような、そういったことを、きょうの先生の御指摘、意見を踏まえながら、少し考えていきたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  456. 高邑勉

    高邑分科員 ぜひ、農家の皆さんの心に寄り添う、そういう行政をお願いしたいと思います。また、環境省の方にも、動物愛護の取り組み、引き続きお願いを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  457. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて高邑勉君の質疑は終了いたしました。  次に、柴橋正直君。
  458. 柴橋正直

    柴橋分科員 民主党の柴橋正直でございます。本日は、分科会での質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  まず初めに、津波被害による岩手県、宮城県の災害廃棄物の受け入れについて、横光環境大臣質問をさせていただきたいと思います。  実は、この週末に、私ども民主党岐阜県連の常任幹事会で、岐阜県知事に対して、市町村に対する説明会の開催を要請するということを決定させていただきまして、本日の午後、岐阜県の古田肇知事に要請を具体的にさせていただきました。  岐阜市では、実は私は選挙区は岐阜市なんですけれども、昨年、安全性に対する不安から岐阜市議会で受け入れないという決定がなされておりまして、現在、環境省では、この安全性に対する体制が整ったというふうにお伺いをしているところであります。  そこで、御質問させていただきますけれども、岐阜県で説明会が開催される場合には、ぜひ環境省責任を持ってしっかりと岐阜県の皆さん、自治体の皆さんに御説明をしていただくということをお願いした上で、改めてこの場でも、この震災の廃棄物について、安全性がきちっと体制ができているということを御答弁いただきたいと思います。お願いします。
  459. 横光克彦

    ○横光副大臣 瓦れきの処理ですが、災害廃棄物が本当に膨大な量が発生しまして、これはもう被災地だけでは対応できないということで、今、広域処理をお願いしておるんですね。しかし、これがなかなか進まない。正直言って、進んでいないんです。  やはり、ここのところで一番大きな問題は、放射性物質の汚染に関して、皆さん懸念をお持ちなんですね。しかし、岐阜市でこういった要請をしていただきまして、ありがとうございます。  本当に、私たちは安全なものしかお願いしないわけですから、そこのところ、どうも、なかなか誤解が解けなくて非常に困惑しておるんですが、岩手、宮城県の大津波で発生した瓦れきでございまして、放射線の測定は、一次仮置き場、二次仮置き場から県外に搬出する場合、しっかりと計測をしておりまして、そういった観点から、二重にも三重にも安全性を確認したもののみが搬出されることになっておりますので、全く安全性では問題がないわけでございます。  しかし、まだいろいろな御懸念があるわけですから、住民説明というのはやはりやらなきゃいけませんし、先般、静岡県の島田市で市長さんが受け入れようという動きをしてくれまして、しかし、反発が非常に強かった。その中で、焼却実験をこの前やりましたし、そこまでやってまで安全性を確認して、それでも被災地の皆さん方のためにも受け入れようという動きをしてくれております。  ですから、受け入れ側の方でまた説明会があったら、環境省の方からも専門家や我々が直接お邪魔して、安全性をしっかり説明したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。     〔主査退席、近藤(和)主査代理着席〕
  460. 柴橋正直

    柴橋分科員 副大臣、ありがとうございます。  もうすぐ震災から一年がたつということで、まだ五%ぐらいしか震災の廃棄物が処理がされていないということをお聞きしております。  私も、岐阜市議会では受け入れないということは決まっておりますけれども、改めて、安全性の体制ができているという中で働きかけをさせていただきたい、このように思っておりますので、ぜひ、環境省も挙げて、岐阜県の説明会が開催されるときには御説明をよろしくお願いしたいと思います。  副大臣には以上でございますので、もしあれでしたら、御退席していただいても結構でございます。  続きまして、高速道路の開通によるものづくり産業の集積地整備と農地転用規制について、筒井副大臣質問をさせていただきたいと思います。  政権交代後、ミッシングリンクを解消するということで高速道路の開通をさせていく、それによって地域を活性化させていくという観点から、実は、私どもの岐阜県では、二〇二〇年までに東海環状西回りルートを開通するという決定をしていただきました。地元では、ようやく岐阜市にも高速道路が通って、初めてインターチェンジができるということで、大変期待が高まっております。  事前にお願いをしておきました資料、お手元にあるかと思いますが、このカラー刷りのA3の資料をぜひごらんになっていただきたいと思います。  右上に位置図というのがあるんですが、これは私どもの岐阜市の全体図でありまして、今回、この後少し質問でも取り上げさせていただくものづくり産業集積地というのは、この一番右上の三輪地区という赤丸のところであります。  これは、私ども東海地方は濃尾平野という大変豊かな平野がありまして、農地も多いわけですけれども、その一番まさに北の端っこ、この地図の上は、あとはすべて山でございます。  そういう一地域の話ということで、ここに白い点線がありますけれども、これは、東海環状西回りルートの開通予定地ということで、今決定がされているところであります。  こういう場所についての質問ということで御理解をいただきたいと思います。  岐阜市では、この東海環状西回りルートの開通に向けて、ものづくり産業集積地の整備事業というものを従前から進めてまいりました。地元からも、ぜひ私どもの地域、なかなか若い人の雇用ということも問題がありまして、企業誘致への期待というものは大変高いものがあります。そのため、岐阜市の行政も、また地元の三輪地区の地域皆さんも、一致協力をして、この整備事業というものを進めてまいりました。  この間、関係者の皆さんに大変熱心な取り組みをしていただきまして、岐阜市と東海農政局の間でも協議が進められてきたところでありますけれども、実は当初、東海農政局さんからは、この農振二十七号計画が策定されるなら農地転用は認めざるを得ない、こういう見解が一番最初のときに示されておりました。その後、農地法の改正がありまして、平成二十二年度に数回協議をさせていただいたんですけれども、この二十七号計画に基づく農地転用は許可相当とすることができないということで、文書での回答を頂戴しています。  その後、では、もっと規模を縮小したら認めてくれるのかということで協議をさせていただきましたけれども、やはり同じように、平成二十三年度にも、許可相当とすることはできないということで回答を頂戴しました。  なぜ許可できないのかというところの理由は、この二十七号計画というのは、農業振興策として具体性が求められるということで、例えば、どういう企業がやってくるんですか、具体的な企業名を教えてほしいとか、何人ぐらい雇用されるんですかということですとか、企業が立地されたときにどういう農業振興が興るんですか、こういったことを大変具体的に検証できるように説明してほしいということを言われまして、私、日ごろ経済産業政策を担当していますけれども、例えば企業の経営者の立場からすると、まだ具体的に工業団地もできていない、農地転用許可もおりていない段階で、どういう企業が何人ぐらい雇って、どういう時期にやるか、こういう具体的な数字を約束するというのは大変現実的な話ではないというふうに感じておりまして、実質、この農地法が改正をされた後、二十七号計画というのはもう使えない、こういうふうに言っているんじゃないかなというような認識を私どもは持っております。  その上で、ことしに入りまして、都市計画法に基づく地区計画を定めて、農地区分については、ここは今第一種農地ということになっているんですけれども、第二種農地として認めていただいて、農地転用を可能というふうにしていただけないだろうか、実は、こういう提案を二月の二十九日に正式に東海農政局にさせていただきました。  結果として、第一種農地なので、現段階では農地転用許可ができる理由はない、こういう回答をいただいたところであります。  今、一連の経過をるる申し上げたのも、農林水産行政を批判しているということではなくて、地域活性化のために、自治体の関係者の皆さんや、あるいは有志の地元の皆さんが大変熱意を持って取り組んでおられる、こういう事業があって、残念ながら今農地法による農地転用規制の壁に阻まれていて大変な苦労をしている、こういう実情を、農地法が変わったことによって実はこういう問題を抱えているんだという実情をしっかりとお届けさせていただきたいということと、私は岐阜市選出の衆議院議員でありますから、ぜひこの問題は、地域活性化という意味で大変重要な問題ということで、ネバーギブアップでこれからも取り上げていきたい、こういうふうにお伝えをさせていただきたいと思います。  その上で、ぜひ、農林水産省皆さんにも最大限の御協力をお願いしたいわけでありますけれども、まず一つ目の質問なんですが、こういった現在は第一種農地だという中で、例外的に農地転用を認めていただいて、ものづくり産業集積地の整備ができる、こういう方策は検討できないのかという点について質問をさせていただきたいと思います。
  461. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 先生がおっしゃるように、ちょうど法改正がされたんですよね。以前は、農振計画の中に記載があれば転用が可能ということでございましたが、法改正によって、農業振興に必要な施設でなければならないということに大きく変わったものでございまして、そして、その変わったのが、先生がおっしゃった時期、法改正がされた時期が平成二十一年の十二月なんですよね。  今、先生、その十二月の前に相談されたと言われましたが、こちらの方も、聞き取り等調べてみましたところ、その法改正の前には相談は受けていない、一番最初に受けているのが平成二十二年の九月。ですから、この時点では既に法改正がなされた後でございまして、その後、ことしの二月に至るまで、七回ほど相談協議を重ねてまいりましたが、いずれも、法改正がされて、農地転用の規制が強化されたその後についての相談でございまして、やはり、この改正された法律に基づいて、今のところ適切な処理を法的に要求されているということがございます。  ただ、先生がおっしゃるように、地域振興のために、先生の方の計画、造成の計画、これが地域全体にとって必要だということはよく理解できるわけでございますが、そういう規制があるということをぜひまた御理解いただきたいと思います。
  462. 柴橋正直

    柴橋分科員 私は、農林水産行政を批判するつもりは全然なくて、ぜひ協力いただきたいというスタンスで、きょうはポジティブな質問をさせていただく予定であります。  ただ、言った言わないの世界で、恐らく、事前に担当者同士で、うちはこんなのを考えているんだけれども、二十七号計画でどうだという投げかけがあって、それだったらいいんじゃないのというようなことは従前にあったやにお伺いをしていますが、文書でのやりとりというのはこの改正後ということで、こういう回答を正式にいただいていますので、そこはそこで行政として一つの対応だというふうに理解をしています。  その上で、農地法というのは、今度は平成二十六年でしょうか、また見直しの時期がやってきますけれども、今回、農地転用規制基準について伺いたいんですが、二十七号計画の協議でも、事業規模の妥当性について、明確に数値を出して、これぐらいだったらいいんだよとかというのがなくて、非常に定性的な判断の中で、それだったら農業振興に直接かかわりないよね、具体的な企業もないよねという中で、許可をされなかったという経緯がありました。  また、ことしに入っての第二種農地にしても、これは、第二種農地については、農地区分では、第三種農地に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地というふうにされているわけですけれども、岐阜市の側としては、では、市が農地を取得して、道路も上下水道もちゃんと敷設をして、そして分譲区画をきちっとつくり上げるので、相当数の街区をちゃんと形成する見込みがある、なので、これを第二種農地として解釈できるのではないですかということを二月の二十九日に東海農政局に提案をさせていただきました。  農政局としては、いや、この解釈というのは、既に相当数の街区があらわれている状態を指すんだということで、認められません、一種農地ですということで、回答をいただいたわけです。  この基準というのも、市街地化が見込まれる区域内、まさにこの見込まれるという非常に定性的な、幅のあるものになっていて、それについて、岐阜市の側と東海農政局の側では、お互いにその解釈が違うというようなことが起きているわけです。  したがって、ぜひ、ここは御提案なんですが、平成二十六年の農地法の見直しの時期に、やはり、こういったものは明確な基準をきちっと検討していただく、あるいは、平成二十六年というと少し先ですので、行政運用上、通知とかあるいはガイドラインというものを設けていただいて、この基準を、誰が見てもこうだなというふうにわかりやすいものにしていただくというのは、御対応は可能だというふうに思うんです。  済みません、これは通告していないんですけれども、副大臣、御答弁をよろしくお願いします。
  463. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 なるべく基準というのは裁量の範囲が狭い方がいいことがはっきりしておりますので、明確なルール化の方向で検討していくという方向性は必要なことだというふうに思っております。  それと同時に、また逆のことですが、農業振興に必要な施設について、やはり先生のこの場所も、農業が非常に盛んなところで、しかも、優良農地がいっぱいあって集団化されているという地域ですから、この団地の場合だって、農業振興に必要な施設、それの建設等を検討することも一つの前進になるのではないかというふうに考えますので、検討いただきたいなと思います。
  464. 柴橋正直

    柴橋分科員 副大臣、これはぜひ、この地図を先ほどお渡しさせていただいていますが、下の方のまとまった農地というなら我々も、地元としてもすごくよくわかるんです。ここをいきなり工業団地にしてもまずいなというふうに思うんですが、何せ、いかんせん、濃尾平野の北の端の端でありまして、ここが企業のものづくり産業の集積地になったからといって、この地域の農業に大きな支障が生じるとは、我々実際地域を見ながら感じていまして、またぜひ、農業の振興ということと同時に、やはりそこで働いておられるいろいろな方の勤め先等も含めた地域の活性化という視点も農地法のいろいろな基準の中で反映をしていただけないかなというふうに思っているところであります。  時間もありますので、次に、もう一点だけ副大臣に御質問させていただきます。  先ほど申し上げましたとおり、三輪地区のものづくり産業集積地の整備というのは、片や一方で、国土交通行政の中で、東海環状自動車道のミッシングリンクを解消して地域の活性化につなげていく、こういう政策が政権交代後に決定をしていただいたわけであります。なので、西回りルートがせっかく開通をするので、まさにこの社会資本というものを生かして、ものづくり産業の整備というものを我々岐阜市の活性化としてやっていきたいというのがこの事業であります。  片や、農林水産行政の中で、農地転用規制によってこの事業が進まなければ、地域としては、せっかく東海環状自動車道が開通をしても、その利点を最大限生かすことができずに、田んぼの中にインターチェンジができるだけで終わってしまうんじゃないか、こういうふうに私ども考えていまして、ぜひここを、国土交通行政とそして農林水産行政、同じ民主党政権で決めていることでありますので、この整合性というのはやはり問われるんじゃないかというふうに考えています。  ぜひ、この点について、副大臣の御所見をお願いいたします。     〔近藤(和)主査代理退席、主査着席〕
  465. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 国土交通省といろいろな話し合いをし、協力し合う、協議をする、それは必要なことだと思います。  この道路に関しましても、国土交通省との協議をやっておりまして、平成三年の十一月にその協議が終了をしております。  それから、さらに付加して申し上げれば、今度、被災地における地域特措法ですか、あれが成立する予定、あれを法制化する予定でございますが、ここで、農振法とか農地法とか都市計画法とか、いろいろなそういう省庁をまたがる地域開発の問題についてワンストップで手続を進めることができるという総合化のことを、あれは被災地に限定したものでございますが、そういう法律を成立させるというふうに考えているところでございます。
  466. 柴橋正直

    柴橋分科員 ぜひ、これは被災地のみならず、将来的には全国的に、非常にいいワンストップサービスだと思いますので、拡充をしていただきたいというふうに思います。  私どもの岐阜市は、実はこれまで、高速道路がない、新幹線の駅もないということで、本当に社会資本整備がおくれてきた地域であります。  今回、新幹線はもう何ともなりませんけれども、初めて高速道路が通って、岐阜市にインターチェンジができるというのは、これは岐阜市民にとっては長年の悲願でありまして、大変皆さん期待をしておられるところであります。  副大臣新潟の選挙区でありますので、まさに地方にとって社会資本というのは生活と非常に密接で、大事な認識だというのは共有をしていただけると思いますので、せっかくできるものが最大限生かせるように、ぜひお力をいただきたいというふうに思っております。  鹿野大臣にも一点だけ。御質問の機会をいただきまして、きょうはありがとうございます。  実は、昨年の分科会でも、私、この農林水産省環境省分科会を希望させていただきまして、鹿野大臣に笠松競馬の課題について一年前に質問をさせていただきました。  大臣には地方競馬の苦しい実情を大変御理解いただきまして、今回の通常国会に競馬法の一部を改正する法律案を御準備いただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。競馬監督課の皆さんにも大変お力をいただきましたので、こちらもあわせて感謝を申し上げます。  きょうは競馬の話ではなくて、こういった地方の実情をしっかりと受けとめていただいて、法改正にも結びつけていただく鹿野大臣でありますので、一点だけ、食料・農業・農村基本計画における農地面積と転用規制の厳格化について質問をさせていただきます。  この基本計画では、平成二十一年現在の農地面積が四百六十一万ヘクタールということで、平成三十二年時点においてもこの四百六十一万ヘクタールを確保するということになっています。そのために、優良農地の転用の抑制というものを五万ヘクタール行うことによってプラスをさせる、その一方で、どうしても農地転用というのはありますので、これは十四万ヘクタールマイナスになってくる、こういう中でトータルでは四百六十一万という農地面積を確保するという計画が出されています。  ここはぜひ鹿野大臣にお願いしたいんですが、そういう中でありますけれども、ものづくり産業集積地の整備と、地方の自治体が責任を持って事業をきちっと行う、こういう農地転用の場合については、地域の実情ですとか、自治体や住民の皆さんの思いを十分にお聞きいただいて、柔軟な対応をこれからもぜひしていただきたいというふうに思っておりますけれども、この点について鹿野大臣の御答弁をお願いいたします。
  467. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今日の食料事情をめぐるところの状況というのは、国際社会においても大変重要なところを迎えておるわけでありまして、いわば食料安全保障という問題を二十数年前に提起させていただいた私自身も、本当に具体的に今後は国民の人と一緒に考えていかなきゃならないときに来ているということを踏まえたとき、今先生から言われたとおりに、自給率という一つの目標を達成するという意味において、農地の総量というものをやはり確保する、四百六十一万ヘクタール、こういう数字も出していただきました。  そういうことで、今、毎年住宅等々のことも含めて二万ヘクタールくらい転用されているという状況でございまして、そのことを考えたときに、この転用というものもある程度抑制的に考えていかなきゃならないというのが二十一年度の農地法の改正時もいろいろ議論されたものと承知をいたしておるところでございます。  そういう意味で、一方においては、地域の振興、今先生が取り組んでおられるそういうふうな問題も非常に大事なことでございますので、基本的には、生産性の高い集団的な、ここに書かれておるような、載っておるような、そういう優良農地もやはり大事にしていかなきゃなりませんし、一面、そういう優良農地が損なわれることが果たしてどうなのかというふうなことも、これは問題として、当然、意識として持たなきゃならないことだと思っております。  もう一点は、無秩序な形の転用によって周辺の営農に支障を来すというようなこともあってはならないことでございまして、そういうようなことも基本的にしっかりと取り組む中で、やはり基本は、そういうことを考えたときに、優良農地というものは保全していくことが基本的な考え方になるのかなと思いつつも、地域の人たちが非常に、地域の生活というものもありますし、地域の経済の発展ということもありますから、そういう要請、要望にどう配慮していくかというようなことも取り組んでいかなきゃならない、その辺の調整を行いながらやっていかなきゃならない問題ではないかな、正直そう思っているところでございます。
  468. 柴橋正直

    柴橋分科員 鹿野大臣、ありがとうございます。  私は、昨年の競馬の話を本当に真剣に大臣に聞いていただきまして、それは大変うれしかったんです。  こうした形として法改正も実現をしていただいて、こういう地域の実情というのは、本当に今、日本の地方というのは大変でありますので、農地をきちっと守る、これは私も大変理解しています。同時に、地域の雇用とか経済の活性化、ここもやはり必要だという、この両方を、大臣、今調整をしていくということは大事だというふうに言っていただきましたので、これからもこの姿勢で取り組みを心からお願いをさせていただきます。  最後に、残り時間わずかですので、仲野政務官に、路網整備について質問をさせていただきます。  森林・林業再生プランで、路網の区分が林業専用道と森林作業道ということになりました。  実は、私の地元岐阜県は、県に林政部というものがあるぐらい、林業というものが大変盛んな地域でもございます。  地元の関係者の皆さんにいろいろお聞きをすると、岐阜の山というのは大変急峻な山が多いものですから、この林業専用道と森林作業道の間ぐらいのものが大変適しているんだ、こういう実情が実はあります。  国産材の自給率を五〇%以上にする、この林野庁の方針は私も賛同いたしますけれども、ここはぜひ地域の現場の声を少しでも反映できるような工夫を制度の中で凝らしていただきたいというふうに考えておりますけれども、この点について最後に御答弁をお願いします。
  469. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 まず、平成二十三年度の第三次補正予算措置した森林整備加速化・林業再生事業において、丈夫で簡易な道として、例えば、十トン積みトラックが走行できる林業専用道及び林業機械が走行する森林作業道の整備を支援していくということであります。  それと、支援対象となる林業専用道でありますが、原則として、農林水産省が定める指針に基づき県が定めた基準に基づくものであって、いずれにいたしましても、今先生から御指摘のありました、まずは地域の事情をしっかりと国としてお聞きしていかなければならないということであります。  それで、県が、林野庁長官協議の上、新たな基準を定めることが可能としているところでありますので、岐阜県から林業専用道の基準について正式に協議があれば、先ほど丈夫で簡易な道としてと私申し上げましたけれども、本当に、危険でなく作業がはかどるような道路を整備する上で、しっかり県と協議をしてまいりたいと思っておりますので、県の方から要請があれば、今すぐにでも、そういった対応等、国としてぜひしっかり耳を傾けていきたい、対応していきたいと思っておりますので、御理解をしていただきたいと思います。
  470. 柴橋正直

    柴橋分科員 政務官、ありがとうございます。ぜひ……(筒井副大臣「ちょっと訂正をお願いしていいですか」と呼ぶ)
  471. 佐々木隆博

    佐々木主査 筒井副大臣
  472. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 先ほど、総合的な土地法に関して、ワンストップのサービスといいますか、それができるというのを、その法案成立予定と言いましたが、成立しておりますので、その点だけ訂正させていただきたいと思います。
  473. 柴橋正直

    柴橋分科員 御丁寧な訂正をありがとうございました。  仲野政務官、岐阜県から協議がありましたら、ぜひ丁寧に御対応いただきますように、よろしくお願いをします。  こういった林業の話も、地域のものづくり集積地の農地転用についても、まさに地域によって本当にケース・バイ・ケースがあって、法律の一くくりの中では、どうしてもその谷間に落ち込んでしまう、せっかくの救済できる特例にも当てはまらない、こういうことが多々ありますので、我が政権は、地域に優しい、地域のことにしっかりと応えていく、国民を大事にする、こういう政権でありますので、ぜひこれからも一層の御支援をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  474. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて柴橋正直君の質疑は終了いたしました。  次に、石川知裕君。
  475. 石川知裕

    石川分科員 新党大地・真民主の石川でございます。  ちょうど、競馬のことについて質問しようと思ったら、競馬法の改正が、柴橋さんの力で鹿野大臣に要望が聞き届けられて改正になったというすばらしいお話を聞きました。  この間、某大臣が党首討論の前に競馬の情報サイトを携帯で見ていて注意を受けたということでしたけれども、あれが農林大臣だったらまた、法改正があったということで、多少言いわけが立ったかもしれないですけれども、そんなことで、大きく報道になっておりました。  大臣、ばんえい競馬というのは御存じでしょうか。北海道で昔は四市で開催されておりました。岩見沢市、旭川市、北見市、そして帯広市というところ、四市でばんえい競馬が開催されておりましたけれども、経営難から、今、帯広市というところで一市開催のみになってしまいました。非常に経営も厳しくて、今回も、馬券の販売を民間に委託していたんですが、そこのオッズパークというところが撤退をして、新たなところに移るということになっております。  厩務員ですとか、また馬主さんも厳しいです。毎月のばんえい競馬を育てるお金の方が、実は入ってくる賞金よりかかってくるなどという、そういう状況下において、恐らく先ほど柴橋先生が質問の中で触れておられた笠松競馬というところも、もうかなり厳しい状況下の中で運営されているんだろうと思います。  今回は地方競馬の活性化ということで、競馬法の改正を今般の国会の中で行うということでございました。  昨年の末には荒尾競馬というのが廃止になったということで、どこもやはり地方競馬は大変厳しいわけですけれども、まず、今回の法改正で地方競馬の活性化をどのように進めていくのか、また、今残っている十五の地方競馬をきちんと守っていけるのかどうかという点について、大臣お尋ねを申し上げたいと思います。
  476. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 法案を提出したということでありまして、まだ成立をいたしておりませんけれども、基本的には、私自身も、中央競馬、地方競馬、やはり両方これからもぜひ活力を生み出してもらいたいな、こんな思いをいたしております。  実は、私の地元で上山競馬というのがありまして、残念ながら廃止になりました。何とか持ちこたえて継続したいという思いが私自身もありまして、いろいろ努力を関係方々がなされたわけでありますけれども、しかし、残念ながら実質廃止ということでありました。  そういう中で、今ばんえい競馬の話も出されましたけれども、帯広市一カ所になりましたけれども、ばんえい競馬の関係者の人たちが、何としても残したい、こういうふうな気持ちで、いろいろな形で、厳しい環境下にある状況を乗り越えて今日までばんえい競馬を続けておられる。私は、そういう意味では、地域の文化を何としても守っていきたいというその思いに対して、心から敬意を表させていただいておるわけであります。  そういう中で、地方競馬そのものが、中央競馬でさえ売り上げが落ち込んでいるというふうな状況でありますから、何とか継続をするということから措置をしなきゃならないというふうなことで、地方競馬の要請、関係県の要望、要請というふうなものを受けながらやってきたわけであります。  基本的にこの地方競馬の、五年間延長ということでありますから、当然、中央競馬からの支援というものを受けることができる、中央競馬からの交付がなされるというふうなことでありますし、また、地方競馬協会への交付金の一部を還付できる措置というふうなものもその中には入っているわけであります。  そして同時に、勝馬投票券の魅力を高めて売り上げの向上を図るために、的中者に対する払戻金の算出方法を見直して、払い戻し率を、百分の七十以上農林水産大臣が定める率以下の範囲内で、競馬主催者が定めるものとする、こういうことでありますから、少し幅が出た。  そういう中で、どういう選択をするかというふうなことは、それぞれの地方競馬会におきましていろいろと検討されて、そして、その幅を活用して、よりファンの方のことも思わなきゃいけませんし、また、競馬、実質的な関係者の人たちの思いもあるでしょうから、いろいろと自主的に取り組んでいただくというようなことによって、地方競馬もまたさらなる活力というふうなものを生み出していただければよろしいんじゃないかな、こんな期待感を込めておるところでございます。
  477. 石川知裕

    石川分科員 ばんえい競馬のことを御存じでいただいて、ありがとうございました。  大変厳しい中でも、確かに努力してきました。映画になったものもありまして、「雪に願うこと」という映画が以前放映されました。今度は、三月の十三日と二十日にNHKでばんえい競馬の番組が、「大地のファンファーレ」というもので、全国放送をされるそうです。大臣はお忙しいと思いますが、ぜひごらんになってください。  そうしたマスメディアの戦略、こうしたことも非常に努力を行っているんですけれども、今お話あったとおり、中央競馬はピーク時で四兆六千億から七千億、今は大体二兆六千億から七千億まで落ちている。地方競馬も、ピーク時九千億あったものが、今三分の一ぐらいに落ちている。やはりどこも非常に厳しい経営状態にあるということは変わりありません。  そうした中で、今回競馬法の改正というものが行われるということで、今、今回の改正点について一部御説明がありました。閣法を出されたときに、ちょっとそうした点については御質問をしたいと思っていたんですけれども、一点だけ、今の払戻金の点についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  もともと、競馬と競輪でも、昔、競馬の方は払い戻しの、率が三五%、競輪は二五%だったということで、なかなかやはり売り上げが伸びていかない。どこに原因があるのかというのは、もちろん、かけている人の方にお金がたくさん来た方が当然皆さんかけに行くわけでありまして、今回の法改正の趣旨というのは、一つは射幸性をより高めるためにいろいろ工夫できるようにするということもあるんでしょうけれども、もう一方では、自治体にできるだけお金が入るようにということの配慮もあるのではないのかなと思っているんですけれども、今回の払戻金の改正というのは有効に機能すると思うかどうかという点について、もう一度大臣に、しつこいようですが、お尋ねをしたいと思います。
  478. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 いろいろな考え方があると思います。  ただ、ほかのいわゆる公設のレースとの比較等々も当然出てまいるのでしょうし、それから、私も直接いろいろと知事さんなり関係者の人たちの要請、要望をお聞きしますと、少し幅を持たせてくれと。そして、ある程度、ファンに対するサービスとか競馬そのものを運営する上での自治体の考え方というふうなものを取り入れさせてもらいたいというようなこと等々もありまして、そういうふうなことならば、ある程度の幅を持つということによって、新しい一つの魅力というふうなものも生み出すこともできるんではないか、また関係者の人にとっての意欲にもつながるんじゃないか。そんな思いは率直に、この競馬法改正法案を出していただく上において、私の中にはそういう気持ちはあったということを申し上げたいと思います。
  479. 石川知裕

    石川分科員 各自治体ができるだけ工夫できるようにということもあるんでしょうけれども、実際機能することを祈っておりますが、大臣御案内のとおり、もう地方競馬自体、どこも厳しい。  競馬法の第一条、趣旨にありますとおり、もともと競馬をやっていた地域と、そして著しく被災を受けた地域というのが競馬法の一条に書かれております。実際に、ばんえい競馬も帯広市に大きな貢献をしてきました。その売上金によって帯広市の財政に貢献してきましたし、それはもうほかの三市もばんえい競馬の場合はそうでしたし、過去はどの地方競馬も貢献をしてきました。  しかしながら、二〇〇〇年以降、上山競馬というのは、廃止は何年でしょうか。二〇〇〇年以降でしょうか、もっと前でしょうか。(鹿野国務大臣「そうですね、二〇〇〇年」と呼ぶ)二〇〇〇年ですか。(鹿野国務大臣「そこら辺じゃなかったですかな。もう十何年になるかなという感じです」と呼ぶ)それぐらいになりますか。私も、済みません、細かいことを試しているわけではありません。たしか大分の中津競馬以降、随分ばったばったと地方競馬が厳しくなっていく。上山競馬も、やはりかなり、たしか上山の場合は大学の馬術部に影響があったということも、済みません、少し記憶しているんです。  例えば、ばんえい以外に、北海道の場合は北海道競馬というのがあります。今、ずっとこれは累積赤字が二百数十億まで来て、そこで何とか去年から、単年度の収支でようやくプラス・マイナス・ゼロに来られたかというところで、これからどうしていこうかということになっていますが、ただ、北海道競馬の場合は、二歳の馬まで育った後、もうほかに行っちゃうんですね。だから、馬の供給源としては全国の競馬を支えているような状況になっております。  だから、北海道競馬の場合はちょっとほかの競馬と違って特殊なんですけれども、私は、ことしの十月からJRAで地方の馬券が売れるようになる、来年の四月から今度は地方の馬券場で中央競馬の馬券も売れるようになると。いいんですよね、事務方の皆さん。たしかそうですよね、聞いております。だから、相互でだんだん連携をしていくということは、方向性としてはこの法改正でも示されております。  ただ、今の北海道競馬はようやく収支がとんとんに。ちょっといろいろお金が入ったりして、本当に単年度収支はまだまだ厳しい状況ですけれども、こういう状況のときに、今はJRAが地方競馬をもう思い切って吸収した方がいいんじゃないか。これ以上自治体に負担をかけさせるよりも、もちろん事務方の方に聞いたら、成り立ちも違うし、いろいろな状況がある、それはもう十二分に承知しています。でも、これ以上、地方競馬が厳しい状況であるなら、もともと自治体の財政に資するために認めてきて運営してきたものが、今度は、それをなくしたら地方の経済に物すごい影響を及ぼしてしまうという実態があります。  だから、ここでもう思い切って抜本的な改革案を示して、JRAにもう地方競馬は徐々に吸収の方向で議論を進めていくべきではないのかなと考えておりますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  480. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 いろいろな考え方がありますけれども、今回、この改正案を出させていただいた一つとしては、延長して中央競馬会が地方競馬会に支援をしていくということでありますから。  そしてまた同時に、地方競馬の方々の話を聞きますと、やはり独自で自分たちはやっていきたい、そういう意も相当強いところもあるわけであります。  笠松競馬からは、オグリキャップという中央競馬でも大変活躍した馬が出て、話題にもなりました。そういうようなことで、地方競馬は地方競馬としての努力をされることによって、また一段と関心が持たれるときもあるんじゃないか、そういう期待感も一面あるわけであります。  そして、私もずっと競馬の状況を見てきますと、やはりバブル経済が崩壊したころから日本の経済がおかしくなってきた、個人のいろいろな所得にもだんだん影響してきたというようなところから売り上げも下がってきているというようなこともあります。  その辺のところから地方競馬もとりわけ厳しい状況になってきたということを考えますと、やはり、経済情勢をよくしていくということによってまた競馬ファンが、地方競馬においてももとに戻って競馬を楽しもうかなというようなことにもなってくるんじゃないか。  こんな思いを込めて、今回の法改正によって、新しい一つのいろいろなる取り組みによって地方競馬会が新たな活力を生み出していただきたい。そういう気持ちは、私にとっては、個人的でございますけれども、強いものがあります。
  481. 石川知裕

    石川分科員 次の質問に移ろうかと思ったんですけれども、今の大臣の御答弁を聞いて、もう一つ競馬について。ちょっと意見の相違がありますので。  もちろん、バブル経済は崩壊しましたが、四兆七千億から二兆七千億にJRAが下がるというのは、レジャーの多様化。私はパチンコをやらないのでわからないんですけれども、やはり相当パチンコに趣味として移っている人も多いでしょうし、かけごとに行くんじゃなくて、ほかのところに行っている。または、大臣おっしゃるように、景気が下がってきて、自分のかけごとに使う余剰資金がないというのもあるのかもしれません。  世界の状況を見ると、イギリスなんかは競馬の状況は上がっていますし、事務方の方に持ってきていただいたのを見ると、日本が異常に競馬の売り上げの落ち込みというのが大きいですから、やはりほかの国とはちょっと違った状況もあるのではないかと思います。  今、大臣は、地方競馬に人気が戻ってきて、少し上向くように期待してということでありました。私も期待はしますけれども、かなり厳しいと思います。もう一回答弁を求めるんですけれども、今の状況考えると、右肩上がりでまた地方競馬が伸びていくということは考えられますでしょうか。  私は、だから、今の、地方競馬独自でもやらせてもらいたいという御意見がありましたけれども、少なくとも私が聞いている限りは、一緒になって将来的にはやっていく。今は交流競走なんてありますよね。だから、一軍、二軍という形にしてもいいでしょうし、私もそこまで詳しいわけではありませんけれども、少なくとも先ほどの、上向くという認識を私は持っておりません。将来的にずっと右肩上がりに、いろいろな改革をしていけば戻っていくという感触を大臣は持っておられますでしょうか。
  482. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 私自身も、経済成長が右肩上がりというふうなことを前提としておりません。  ただし、やはり地方競馬は地方競馬の魅力があるわけですよね、積み上げてきた魅力があるんですよ。例えば、身近なところに実際自分が行って、そして競馬を楽しむことができる。場外馬券とはまた違います。また、中央競馬に行くには運賃をかけて行かなきゃならない。それよりも、やはり競馬、馬が好きなんだから、馬を実際に見たい、家族と一緒にやって楽しみたい、こういう人もたくさんいるわけですよね。  それからもう一つは、きょうは私の個人的な考え方を申し上げますけれども、馬主さんにとっては、やはり中央競馬というと、馬一頭当たり大変な金額。しかし、地方競馬というと非常に安い、中央競馬に比べると。俺、やはり馬主になってみたいなという人もいるわけであります。  そういう意味では、地方競馬は地方競馬でなきゃならない魅力があるわけでありますから、今回の法改正を、国会の衆参におきまして一刻も早く成立していただいて、そして、そういう内容を、今後の地方競馬の維持というんでしょうか、ファンに対するサービス、そして競馬文化というものを地域社会においても引き継いで根づかせていくというようなことにつなげていただければいいな、こういうふうな思いがあるということを申し上げたいと思います。
  483. 石川知裕

    石川分科員 その、近くに行く地方競馬を守るために一緒にした方がいいんじゃないかというのが私の意見なんですけれども、今の大臣のお話ですと、近くに行って馬を見に行きたいと。その地方競馬がこのままいくとなくなってしまうんじゃないかということで、私の方では質問をさせていただきました。また、確かに、価格の違いだとか制度の違いはあります。でも、そこは私は改正で乗り越えられる点はたくさんあると思うんですよね。今はもう時間も押してきましたので、済みません、また勉強して御質問をさせていただきたいと思います。  次に、TPPと砂糖について、副大臣が自給率の専門だということで聞いておりますので、筒井副大臣に御質問したいと思います。  先般、私、久米島というところに行ってきました。沖縄本島の近くにある島です。わかりやすく言いますと海洋深層水で有名な島でありまして、島の耕作面積のうちの八〇%をサトウキビ生産が占めるという島でありました。余計な情報ですが、あの市橋被告が潜んでいたオーハ島というのは、その久米島に隣接した島で、私もそこまで見に行きました。  ことしはサトウキビが大変大不作だったということで、復帰後では一番不作だったそうです。これからいろいろ、県または農水省の方でもそのための支援というのはお考えになられるんでしょうけれども、最近、TPPに関していろいろな報道がなされますので、砂糖生産者の方は大変不安に思っておられます。  国産の砂糖というのは、御案内のとおり、北海道と鹿児島、沖縄だけでつくられております。大体八十万トン。北海道で六十数万トン、南の方で十七、八万トンつくられています。日本の国内の砂糖の需要が大体二百数十万トンですから、三分の一を国産で賄っているというような状況です。  砂糖の歴史を見てみますと、戦後、本格的にてん菜糖の生産が盛んになってきました。戦前は、台湾でつくられたものを本土に持ってきましたから、百万トンぐらい生産をしていたので、実質、自給で賄うことができましたけれども、今現在は、甘味資源という意味でいえば、異性化糖やまたは加糖あんというものを含めると、日本の場合、一定程度、三百万トンぐらいの消費ということで推移をしております。砂糖自体は減ってはおりますけれども、実質、先ほどお話し申し上げましたとおり、今、国産が八十万、そして輸入が二百数十万という体制です。  そうした中で、一つ気にかかるのは、もともと日本も、砂糖をこれからつくっていこう、そして、生活水準が上がっていくという中で砂糖の消費がふえてきた。第一次世界大戦のときに、ヨーロッパが戦渦にあって、なかなか砂糖が入ってこなくなった。それで砂糖が急騰をして、これから北海道や国内でてん菜糖をつくっていこうという歴史があります。今回、それに匹敵するぐらい、このTPPによって砂糖の自給率がどうなるのか、生産がどうなるのかというぐらいの、TPPをもし締結したとすれば、衝撃があろうかと思います。  今後、政府として砂糖の自給率をどのように上げていくのかというお考えをお聞きしたいと思います。
  484. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 現時点での自給率、砂糖については二六%、先生の御存じのとおりでございますが、基本計画上は、平成三十二年に三六%の目標を掲げているところでございます。そして、これに関しては、先生の北海道のところでは、畑作の輪作上、やはりビート等の作付が必要である。南の方では、もう代替品目がない、どうしても砂糖が必要であるという状況でございますから、これは、今もいろいろな支援措置をとっているわけでございますが、これを完全に継続していきたいというふうに思っているところです。
  485. 石川知裕

    石川分科員 きちんと質問に対する答えだったかどうかちょっとわかりませんけれども、今副大臣がお話しされたとおり、北海道の場合は輪作体系に必要、今大体、北海道で六万ヘクタールぐらい。これは最大でやはり七万以上ありましたから、一万以上減っていますけれども、一つの作物をずっと同じ場所に植えておけないということですから、どうしても回して回して作物をかえていかなきゃいけない。  沖縄の方は、台風がありますからなかなか代替作物がない。もう一つは、やはり国防のことを考えると、離島振興という点ではサトウキビは欠かせない。もちろん、これからサトウキビにかわるものを考えていかなきゃいけないということは当然必要だと思いますので、ぜひそうしたところで、また予算を使って頑張ってもらいたいと思います。  時間がなくなってきたので、最後の質問に移りたいと思います。  農地集積協力金について、仲野政務官に御質問したいと思います。  仲野さん、きょうは服がばっちり決まっていますよね。議員会館の部屋で見て、うちの女性秘書が、すばらしい服だねと言っていました。  農地集積協力金の運営、二十四年度予算で出ておりますけれども、これは、農業をやめて、新しく営農をしてもらう人に機械だとかそれは全部手放しなさいよ、そのかわりお金を上げますよというものですけれども、戸別所得補償制度に加入している人ということになっております。  例えば、酪農業を離農する方、仲野先生は釧路ですから、あえてきょう政務官にお尋ねしたいのは、酪農家が持っている例えば牧草地なんというのは地力が結構あるわけですよね。だから、そこで離れるときに、畑作農家なんかも、酪農家が持っている牧草地帯を利用したいという方が結構多いんです。でも、今の決まりでいくと、戸別所得補償制度に加入していないとできないということなものですから、ここについて、今後こうした希望に対してはどのように対応していくのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  486. 仲野博子

    ○仲野大臣政務官 石川先生から、最初に洋服の、何かお言葉がありましたけれども、それはそれとして、最後に私に質問ですので、お答えさせていただきたいと思います。  この農地集積協力金の支援対象は、先生御案内のように、戸別所得補償制度対象とされている品目に限っているわけでございます。それで、酪農については、現実、農地の出し手側の問題よりも、逆に受け手、受け切れないという問題も結構聞いております。そのため、酪農家の牧草地を農地集積協力金の対象とすることは、現段階では困難であるということであります。  いずれにいたしましても、先生のきょうの御指摘を踏まえたわけでありますので、とりあえず、ちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、私なりに考えてみたいと思います。
  487. 石川知裕

    石川分科員 地域の意見をよくお聞きいただいて、畑作と酪農の混合地帯での意見をよく聞いていただいて、もう一回政府として、農水省として御判断をいただきたいと最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  488. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて石川知裕君の質疑は終了いたしました。  次に、宮崎岳志君。
  489. 宮崎岳志

    宮崎分科員 宮崎岳志でございます。  今回は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  きょうは、小水力発電について、一本に絞りまして、三十分間ということでお願いをしたいと思います。  私は、小水力発電というのは大変興味がありまして、この中でも、鹿野大臣を初め、筒井副大臣も長年取り組んでこられたというふうに伺っていますし、また、前副大臣でいらっしゃいました篠原孝さんも大変御興味があるというふうに伺っていまして、私、篠原さんに、今はどうなっているんですかみたいなことを質問させていただいたら、では、君が中心になってやればいいじゃないか、私や筒井さんがやったのもいろいろあるけれども、みんな忙しくなっているから、君、どうだ、ひとつやらないかなんという話もいただきまして、私も喜んで、全力で取り組んで、いつも私も何かというと反対、反対、いろいろ反対をしておりますが、前向きなこともやりたいというふうに思っている次第であります。  さて、温室効果ガス、地球温暖化、それから原発の事故、こういったこともあります。エネルギーの転換が大変急務になっているわけであります。その中で、小水力発電というのは非常に大きな可能性を秘めているというふうに私は思っております。  もう言わずもがなでありますが、温室効果ガスを出すこともない、原子力発電所のように放射性物質による危険等もない、また、大型のダムを新規に建設するというような自然破壊においても、非常に自然に優しい、クリーンなエネルギーであるというふうに把握をしております。  我が国は、年間の降水量というのが世界平均の二倍近い。インドネシアやブラジルやフィリピン等は我が国よりも雨が降りますが、それでも、世界百六十カ国前後の中で、世界で六位の降水量があるということであります。また、国土の七五%が山岳という、いわゆる山岳国家であります。  こういった地理的な条件を見れば、世界で最も小水力発電に適した国だと言っても過言ではありません。しかも、その小水力発電というものに適した地域というのは、水が豊富で高低差があるところということですから、平たく言えば、中山間地であります。こういったところは、農業が不振、あるいは人口が減少する、高齢化をする、産業がない、雇用がないということで大変苦しんでいる地域であります。そういった地域にとって、小水力発電というのは極めて大きな可能性を秘めているというふうに思っております。  まず、地域方々が払った電気料金というものが、そのまま地域に戻ってくるということが挙げられます。普通であれば、ほかの、東京の電力会社の本社とか、海辺沿いの、原発だったり火力発電所があったりするんでしょうけれども、そういった工業地帯とか、あるいは中東の産油国とかに地域方々が支払った電気代というのは流れていくわけですけれども、小水力発電で地元に発電所があれば、自分たちの払った電気代は最終的に自分たちの懐に戻ってくるということになります。  また、必要な工事や設備が小規模ですので、その建設とかメンテナンスは地元の地場の企業でも行えるということになります。いわば、地域方々が払った電気料金で地域方々の雇用が生まれるという形になります。こういったことの拡大、推進に全力を挙げて取り組むべきだというのが私の考えでございます。  そこで、まず、せっかく御出席をいただいております鹿野道彦農林水産大臣に、この小水力発電の普及推進に関しての意気込み、決意のほどをお伺いできればというふうに思います。
  490. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 今、宮崎先生から、小水力発電の普及をこれからもさらに進めていかなきゃならない、そういう思いを述べていただいたところでございますけれども、私自身も、宮崎議員と考え方を共有させていただいております。  やはり、これからの日本の国のエネルギー政策として分散型のエネルギーシステムをどう地域社会に定着させていくかということを考えたときに、この小水力発電というふうなものを地域地域に定着させていくということは非常に重要なことだと思っております。  そして、そのことは、農村地帯、とりわけ農山村地帯におけるところの、まだ利用されていない資源というものを生かすというようなことの意味でも、水が流れているわけでありますから、その流れている水を活用して電力を起こすというふうなことでありますので、環境に影響するわけでもございませんし、むしろ、まさしく利用されていない資源を生かすというふうなことでございますので、それが生かされて電力が供給されて、地域社会、集落にまた電気が供給されて、そして農林水産業の発展にそれがつながっていくというふうなことになりますならば、間違いなくこれは新たな地域社会の活力を生み出すことにつながるわけであります。  宮崎議員が議員としてこの小水力発電というふうなものの推進に取り組まれていただいておるというふうなことに私どもも本当に共鳴をさせていただきながら、農林水産省といたしましても、これからのエネルギーというふうなものにおいて、再生可能エネルギーをどう地域社会につくり上げていくかというふうなことが大事なポイントでありますので、いろいろと、ともに、議員のいろいろなお考えというものもお聞かせいただきながら、農林水産省としても、この小水力発電の推進に向かって懸命に努力をしてまいりたいと思っております。
  491. 宮崎岳志

    宮崎分科員 大変力強いお言葉、ありがとうございました。ぜひ、今のお言葉どおりに、この日本が小水力によって、特に地域、農村が発展するように御尽力をいただければというふうに思います。  大臣、お忙しいでしょうから、私も質問の番が最後でございますので、あしたに備えて準備をしていただければと思います。席を離れていただいても結構でございます。よろしくお願いします。  ここからは多少細かい話に入りますけれども、小水力発電もいろいろな省庁に多岐にわたってかかわっているということで、なかなか質問の的が絞りにくいところなんですが、今、再生可能エネルギー法で、三万キロワット未満というのが中小水力発電というふうに位置づけられているはずですけれども、今後、全国のポテンシャル、最大どれぐらいの発電が可能なのかということを伺いたいというふうに思っております。  川は日本じゅうにあるわけでありまして、その発電施設を全国の河川などの隅々まで整備したとすれば、その発電能力はどれほどになるのか。環境省あるいは経済産業省の方でそれぞれ御試算をいただいていると思います。その数字をお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。
  492. 鈴木正規

    ○鈴木政府参考人 環境省では、平成二十二年に再生可能エネルギーの導入ポテンシャル調査を行っておりまして、その中で、中小水力発電のポテンシャルを推計しております。  具体的には、全国の河川、農業用水路の流量や落差から、仮想的な発電所を設置するとして計算しております。他方で、傾斜の大きい地点あるいは法規制のあるところ、あるいは極端に発電単価の高いところなどは除いております。  結果として、ポテンシャルは、河川部で千四百万キロワット、農業用水路で三十万キロワットでございますが、これは既設の発電所も含んだ数字でございますので、それを除いた数字というのは今精査中でございますが、これから新たに設置可能な設備容量ということであれば、おおむね九百万キロワットが期待できるというところでございます。
  493. 新原浩朗

    ○新原政府参考人 資源エネルギー庁の試算値についてお答えを申し上げます。  平成二十一年度末時点で、河川における水力発電に適した地点について、包蔵水力調査という、私どもが取りまとめた調査を行ったところでございます。  河川において三万キロワット未満の中小水力発電の新規開発可能性のある地点は、全国で二千六百七十五地点、約一千七万キロワットというふうに推計されております。  また、同じく、平成二十年度末時点で、今度は、今の包蔵水力調査には含まれていない、例えば既存のダムとか水路を利用して未利用の落差を利用した場合という水力発電の可能性について調査をいたしましたが、これによると、既存のダムや水路における三万キロワット未満の中小水力発電の新規開発可能性ですが、全国で千三百八十八地点、約二十八万キロワットと推計されております。  以上を合計しますと、約四千地点、一千万キロワット超の今後発電可能な地点が全国に存在していると推計しております。  以上であります。
  494. 宮崎岳志

    宮崎分科員 ただいまお話をいただきましたところによりますと、環境省の調査では千四百万キロワット程度ということで、しかし、これは既設のものも含まれているので、そういうものを除くと九百万キロワットということであります。それから、経済産業省の試算では、おおむね一千万キロワット超ということになります。九百万と一千万ですから、ほぼ同様の数字かと思います。  そうすると、小水力発電の場合は、太陽光発電等に比べて稼働率が高い、こういう特徴がございます。というのは、いわゆる風力や太陽光に比べて変動が少ないものですから、大変エネルギーの変換の効率がいいというんでしょうか、大体、仮想いたしますと、原子力発電所でいえば、やはり九基分とか十基分、十一基分、その程度ですね。これは理論値でありますけれども、それぐらいのエネルギーがまだ日本の河川には残っているという理解だと思います。  これは大変大きな数字で、もちろん、日本全国津々浦々に張りめぐらすというのはそう簡単なことではありませんが、大変大きなものがあるということは言えると思います。  さて、地元のことで恐縮でございますが、私が生まれ育ちました群馬県というところは関東平野の北西の端でございまして、利根川の源流がございます。そして、赤城山や谷川岳といった数多くの山々を有するということで、水の国、山の国と言ってもいいかと思います。小水力発電に非常に適した地域というふうに考えておりまして、そういった意味でも、特に山間部の方々、農山村の方々にはこれに大変な期待があるわけです。何かといえば、やはり過疎化も進み、農業もこれから苦しいという中で、ここに希望の光を見出したいという思いが強いようでございます。  そこで、群馬県という観点から今のことを考えた場合、どれぐらい発電が可能なものなのかということを、先ほど全国のことについて伺いましたけれども、群馬県というくくりではいかがなものかということについて、環境省の方にお伺いできればというふうに思います。
  495. 鈴木正規

    ○鈴木政府参考人 先ほど申し上げました調査によりますと、群馬県内の中小水力発電のポテンシャルは約百万キロワットということで、全国第五位の水準でございます。  繰り返しになりますけれども、先ほどのものと同じく、既設のものがございますので、新設というふうにいたしますと、今精査中でございますが、おおむね半分程度の新たな開発が可能ではないかということでございます。
  496. 宮崎岳志

    宮崎分科員 先ほどお話をいただきました全国で千四百万キロワットという数字に対して、群馬県の場合はそのうちの百万キロワット内外だ、ただ、これは既存のものも含んでいるので、それを除くとその半分程度ではないか、全国で五位だということでございます。全国でもトップクラスの資源量が存在するということだと思います。  半分というと、大きな違いはありましょうけれども、五十万キロワットというようなことになります。群馬県の世帯数は七十七万世帯ということですので、どれぐらいかわかりませんが、十数%とか二〇%とか、もしかしたらそれぐらいの家々を賄えるような数字のものが秘められているということかなというふうに思います。  特に、中山間地というのは、世帯数が少なくて開発可能な地点が多いということでありますので、ある意味、そういう地域においては住民の方々が使う電気のほとんどは実は中小水力で賄えてしまう可能性も、これは将来的な可能性としてはあるのかなというふうに思います。  続いて、経済産業省の方に伺いたいんですけれども、経産省では具体的に地点まで挙げていろいろな実際の開発を想定した調査もされているというふうに存じております。どのような場所で新規開発の可能性があるということなのか。地点数は大変多いと思いますけれども、群馬県内で、例えばどんな川だとか、どんな地域だとかということが、もし地名や河川など、挙げられれば例示をしていただきたいというふうに思います。
  497. 新原浩朗

    ○新原政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました包蔵水力調査では、群馬県内で新規開発可能性のある地点が平成二十一年度末時点で七十カ所存在しておりまして、出力合計が三十七万キロワットと推計しております。  委員の直接のお地元に限定をして見てみますと、例えば利根川水系になりますが、片品川、湯桧曾川、薄根川、楢俣川などに存在をしております。また、未利用の落差の発電の包蔵水力調査によりますと、群馬県内に四十二カ所存在しまして、出力合計が四千六百キロワットというふうに推計をしているところでございます。
  498. 宮崎岳志

    宮崎分科員 ありがとうございます。  平成二十一年末で七十カ所、三十七万キロワット、先ほど環境省の調査では百万の半分ぐらいということでしたので、大きな違いはないかなというふうには思うんですが、いわゆる日本の原発が一基九十万キロワットというふうに言われておりますので、その半分程度ということかなというふうに思います。  今挙げていただきました河川の名前ですが、片品川、湯檜曾川、薄根川、楢俣川、大変いろいろな、いわゆる中山間地といいますか、山岳地帯といいますか、そういったところを含んでいるというふうに思います。  地域方々には、ぜひ、こういう非常に有望な資源が自分たちの地域に存在するんだということをまず知っていただいて、未来に対しての希望を持っていただきたいというのが私の大きな願いであります。  どうしても、経済環境も苦しい、高齢化も進む、人口も流出していくという中で、自分たちの地域には未来への可能性がないんじゃないかというような悲痛な気持ちになられる方も多いかと思うんですけれども、実は、こういった地域は未来への可能性を大きく秘めているんだということをそれぞれの地域の方に認識をしていただきまして、ますます、地域方々でも、自主的に小水力の推進に尽力をしていただくという形ができればいいと思いますし、また、それについても、国としても応援をしていくべきだというふうに思っております。  続きまして、ついては、小水力発電の推進に向けて各省庁がさまざまな取り組み、活動等を行っていると思います。  そこで、まず環境省、それから経済産業省、それから農林水産省、この三省に、予算でありますとか、税制でありますとか、制度改革、いろいろあると思うんですが、二十四年度予算が中心になると思いますけれども、どのような取り組みを行っていらっしゃるかということを教えていただければというふうに思います。
  499. 鈴木正規

    ○鈴木政府参考人 今先生御指摘のとおり、中小水力を初めとします再生可能エネルギーというのは、地球温暖化対策のみならず、地域の活性化や雇用、さらにはエネルギーセキュリティー等の確保から、非常に重要な観点ではないかというふうに思っております。  こうしたことから、平成二十四年度予算案におきましては、震災の教訓も踏まえまして、自立分散型エネルギーの導入を支援するために、グリーンニューディール基金という形で県等に基金を置きまして、防災拠点等におきます再生可能エネルギーの導入等を進めるということで、その対象として、中小水力発電も対象とさせていただいているところでございます。  また、地域の特性に応じて、山間部も含めまして、再生可能エネルギーの導入を図るためにこういうことをやってみようという活動に対しては、協議のための活動経費等を支援することとしておりますし、また、農林水産省のお力もかりまして、連携事業として、水資源が豊富な農山漁村におきます再生可能エネルギー導入に向けたモデル事業みたいな形での調査検討事業もやらせていただいているところでございます。  今後とも、可能な限り施策を動員いたしまして、中小水力を含めました再生可能エネルギーの導入を支援してまいりたいというふうに考えております。
  500. 新原浩朗

    ○新原政府参考人 経産省の施策について御説明させていただきます。  水力発電は、安定した出力を維持することのできる信頼性の高い電源と認識しておりまして、先ほどから御答弁申し上げているように、中小規模のものについては、まだ未開発地点が多く残されていると認識をしております。  この分野については、これまでは新規開発の際の補助金の交付による支援を行ってまいりましたが、これにかえて、いよいよことし七月一日から、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が我が国で導入されることになります。本制度が中小水力発電拡大の起爆剤となることを強く期待しております。  これに合わせて、事業環境整備も行っておりまして、まず、工事計画の届けが不要となる範囲を、出力十キロワット未満から二十キロワット未満等々に拡大をするという規制緩和措置を講じました。また、コスト低減に向けた技術改善を検証するためのモデル事業として、来年度予算に七億円を計上いたしておるということでございます。  さらには、税制措置としては、中小水力発電の設置に関して、固定資産税を三年間、三分の二に軽減する税制措置を現在、国会に提出させていただいているところでございます。  以上のように、固定価格買い取り制度事業環境整備を車の両輪として、総力を挙げて中小水力発電の導入拡大を進めてまいりたいと考えております。
  501. 筒井信隆

    ○筒井副大臣 農水省としても、これは何としてでも拡充、拡大をしていきたい事業だというふうに考えておりまして、ハード面、ソフト面、両面における支援の仕組みを打ち出しております。  ソフト面としては、その事業の調査設計等を含めた作業に対する支援でございます。例えば、河川水を使った農業用水の場合に、農業水利権を持っているんですが、これをそのまま発電に使うことができるわけではなくて、発電水利権もとらなければいけない、法定水利権にしても慣行水利権にしても、そういう手続が今のところ必要だというふうに聞いておりまして、そのためにいろいろな費用がかかるわけでございますが、その費用の全額を支援する、ソフト面に対する支援の一つの例ですが、それを出しております。  それから、ハード面においては、特に土地改良、基盤整備関係、この事業とともに小水力あるいは中小水力発電施設を整備する、これをやっていきたいというふうに思っているところでございまして、これがハード面に対する大きな支援でございます。  もう一つ、これは今後の検討課題だと思っておりますが、こういう地域資源を活用した新規事業を起こすということについては、六次産業化の一つの大きな柱として位置づけておりまして、六次産業化による事業に対しては、出資という形の支援、ファンドによる支援、これも検討しているところでございまして、現在、三百億の規模から始めるわけでございますが、この出資対象としての検討も可能かというふうに思っているところでございます。
  502. 宮崎岳志

    宮崎分科員 それぞれ、大変ありがとうございました。  さまざまな事業について御説明いただいたわけでありますけれども、筒井農水副大臣よりは、六次産業化ということに絡めて、ファンド、出資の支援という新たな可能性についても御提案をいただいたというふうに思っております。ぜひこういった施策を続けていただければというふうに思います。  時間も迫ってまいりました。  今のことにも関連をいたしますが、国土交通省でもいろいろな取り組みをやっているというふうに思っておりますので、御説明をいただきたいと思います。  特に、小水力発電は水利権というのが大変重要な要素になっておりまして、この水利権の扱いの難しさ、また制度の複雑さ、こういったところがボトルネックになって進展が阻害されているんじゃないかという声が現場の方々から上がっております。取り扱いの柔軟化とか、あるいは手続の簡素化等を求める声も多くございます。  国土交通省、この水利権の扱いも含めて、どのような取り組みを行っていらっしゃるか、教えていただければと思います。
  503. 日原洋文

    ○日原政府参考人 お答えいたします。  国土交通省といたしましても、再生可能エネルギーの普及拡大のために、小水力発電の導入促進は大変重要なことだというふうに考えておるところでございます。  これまでも、特に河川から取水した農業用水を活用した小水力発電というのが数多くございますので、そのための規制緩和として、平成十七年の三月に、従来、普通の発電でありますと、河川の流量でありますとか環境、あるいは発電の構造計算とか設計図とか、そういったさまざまな附属書類を求めておったわけでございますけれども、そういった農業用水を活用した小水力発電につきましては、これらの調査及び書類を不要とするというような緩和措置を講じたところでございます。  また、昨年三月には、従来、発電は大臣許可ということになっておりまして、もととなる農業用水が仮に知事許可であっても、発電そのものは大臣許可になっておったわけでございますけれども、これも、そもそもの農業用水が知事許可であれば、発電も知事が許可できるというふうにしたところでございます。  それから、昨年八月には総合特区法、それから十二月には東日本大震災復興特区法がそれぞれございまして、その中におきまして、農業用水等を活用した小水力発電を行う場合には、通常の許可手続に必要な国土交通大臣認可、あるいは経済産業大臣や都道府県知事の意見聴取などを不要としたところでございます。あわせまして、標準処理期間も大幅に短縮し、一カ月といたしたところでございます。  また、今後の予定といたしましては、減水区間が生じず、河川環境に与える影響が想定されないものにつきまして環境調査が不要であるということを近々通知したいというふうに思っておりますし、また、小水力発電につきまして、特に、堰などを活用した小水力発電がございますので、これにつきましては、今、試験的に設置して、治水上の課題がどうなるかということを把握しております。これにつきましての構造上の基準の原案というものを、これも早急に取りまとめまして、関係機関あるいは関係団体と意見交換を重ねた上で簡素化を図ってまいりたいというふうに思っております。  また、先ほどの総合特区法と同じような形の手続を、ことしの二月に、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案という形で国会に提出させていただいたところでございます。  これらの緩和措置がなかなか知れ渡っておらないで、水利権はすごく難しいんだということが広まっているものですから、既にガイドブックを作成したり、あるいはホームページにいろいろ掲載したりして周知に努めておるところでございますけれども、さらに加えて、本省内に相談窓口を設けて、一層の促進に努めてまいりたい、かように考えております。  よろしくお願いします。
  504. 宮崎岳志

    宮崎分科員 今、さまざまな取り組みについてお伺いをいたしました。また、今後の取り組みについてもお伺いをいたしました。  いずれにせよ、大変多くの御意見をこの水利権については伺っておりますし、周知が不足しているところもあるでしょうし、制度的にまだまだ改善の余地もあるかもしれないというふうに思っておりますが、この水利権が鍵を握っているというのは間違いないと思います。ぜひ、今後ますます、各省庁横断的に協力をしていただいて、一層の柔軟化、簡素化に取り組んでもらいたいというふうに思います。  最後に一つだけ、これまで話がありました固定価格買い取り制度、幾らで買うのか、何年買うのか、これが決まってくるということが事業化について最大のポイントであります。これは、どのようなスケジュールで今展開し、どうなっていきそうなのか、お願いを申し上げます。
  505. 新原浩朗

    ○新原政府参考人 お答えを申し上げます。  固定価格買い取り制度の買い取り価格については、国会の同意を得た委員から構成される調達価格等算定委員会の意見を聞いた上で、経済産業大臣がその意見を尊重して定めるというふうに法律上はなっております。同委員会の委員の国会同意については、先週三月一日に国会の同意をいただいたところでございます。  これを踏まえて、委員御指摘のとおり、可及的速やかに審議を進める必要があると考えておりまして、第一回を明日三月六日火曜日に開催することにいたしたいと思っております。  大変重要な事項でございますので、しっかり議論を積み重ねていただく必要があるわけでございますが、一方で、事業者の皆さんも、非常に事業の将来の見通しを早く立てたいというところも多くあると考えておりますので、しっかりとした議論と迅速な結論の両立を目指して、密に会合を開催して、早目に結論を得るように頑張ってまいりたいと思っております。
  506. 宮崎岳志

    宮崎分科員 ありがとうございました。  時間が参りましたので質問はこれで終わりにしたいと思いますが、最後に一点だけ要望を申し上げます。  小水力は、もちろん、火力や大型の水力に比べれば効率がよいというわけではありませんけれども、ほかのいわゆる再生可能エネルギー、太陽光とかバイオマスとか、そういったものに比べれば、かなり発電コストは安く、安定をしているということで、実は、一番実用化に近い再生可能エネルギーだというふうに思います。  ただ、規模によるコストの違いというのは否めませんで、大きいほど効率がいいし、小さいものは効率が悪いということなんですけれども、電力の自給自足、地産地消という観点から考えれば、小さいものも切り捨てるというわけにはいかないというふうに思っております。  買い取り価格の設定等につきましては、こういった規模の違いによるコストの違いについても勘案をしていただきまして、なるべく多くの方々、特に農山村の方々がこの恩恵にあずかれる、そういった制度にしていただきますよう、特段の配慮をお願い申し上げます。  これにて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  507. 佐々木隆博

    佐々木主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査は全て終了いたしました。  この際、一言御挨拶申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時三十分散会