○武田良介君
日本共産党の武田良介です。
日本共産党を代表して、
航空法等改正案について質問します。
法案に入る前に、新型
コロナ対策における中小事業者への
支援についてお聞きします。
私の事務所に、ホテル業の方からの訴えが届きました。
コロナ禍でキャンセルが相次ぎ、いつ倒産してもおかしくない状態です、ホテル業にも
支援をしてほしいという声です。
GoToトラベルキャンペーンは、昨年度、一次補正と三次補正合わせて給付金ベースで約二・二兆円の予算が
確保されましたが、約九千億円が積み残されています。GoToキャンペーンは展開できる
状況ではありません。今やるべきことは、この予算を目の前で苦境にあえぐ宿泊業を始め観光関連事業者に対する減収補填に回すことではありませんか。
タクシー
業界からも、
存続の危機だとの声が上がっています。緊急事態宣言が出されても、エッセンシャルワーカーとして、感染
リスクと隣り合わせの
状況にありながら、高齢者の通院、買物など地域の足を担ってきたのがタクシー事業者です。タクシー会社の廃業は地域生活に
影響を及ぼし、とりわけ、高齢者や障害者など交通弱者にしわ寄せされてしまいます。国は、事業者の減収補填や運転手の直接
支援に踏み出すべきではありませんか。
もう一点、羽田新ルートについてもお聞きします。
昨年三月から、住宅と都市機能が密集する都心部の
上空を超低空で
飛行する新
飛行ルートの本格運航が始まりました。家の中で窓を閉めていても響く轟音で心が休まらない、お庭で遊んでいた園児が騒音におびえて泣き出した、落下物が不安など、怒りと不安の声が広がっています。
そもそも、羽田新ルートは
インバウンドを当て込んだ国際線増便のためと説明されてきましたが、
新型コロナの
影響で、増便どころか減便しているのが実態です。羽田新ルートは撤回すべきではありませんか。以上、国交
大臣に答弁を求めます。
米軍ヘリの都心低空
飛行が問題になっています。この間、米軍ヘリが都心部を低空で飛ぶ背景として、羽田新ルートで低空
飛行する
旅客機との接触を避けるために、それよりも低い高度で飛ぶことが要因との指摘があります。防衛
大臣、この指摘は事実ですか。
国交
大臣は、米軍ヘリの低空
飛行訓練は羽田新ルートの低空
飛行によるものと
認識しているのですか。答弁を求めます。
日本の
航空法では、住宅密集地では三百メートル以上、非密集地では百五十メートル以上の
上空を
飛行することを
義務付けていますが、米軍機は、日米地位
協定によって
航空法の適用を除外されています。
しかも、横田基地所属ヘリのトレーニングエリア、訓練空域が明らかになりました。そもそも、米軍が勝手に訓練空域を設定していること自体が異常であるという
認識はありますか。米軍ヘリの低空
飛行の実態を徹底調査するとともに、直ちに中止するよう米軍に強く求めるべきではありませんか。防衛
大臣の答弁を求めます。
以下、法案について国交
大臣に質問します。
昨年末、
政府は、
コロナ時代の
航空・
空港の
経営基盤強化に向けた
支援施策パッケージを発表し、今年度予算にその
支援策を盛り込みました。本法案はその施策の遂行に
法的根拠を与えることが目的です。
新型コロナ感染拡大による
航空業界の苦境から、
航空ネットワークを
維持確保するために国が乗り出すことは必要なことです。しかし、これまで
政府が過去二回にわたって行ってきた
支援策は、
航空業界の
支援の前提条件として、
航空会社に徹底した
合理化、人件費、コスト削減が指導され、
安全規制の緩和まで行うものでした。
安全運航を支えるため、
人材の
雇用維持は極めて重要です。今回の
航空会社への
支援に際しても、
雇用の
維持と安全対策の確立は大前提ではありませんか。本法案は、
航空会社に対し、コスト削減を含めた
基盤強化計画を国に提出することを求めるものですが、これを根拠に
雇用、人員削減、リストラが強要されるようなことはありませんか。
本法案には、
雇用を
維持確保する施策の
規定がありません。衆議院の審議では、国の
基盤強化方針に
雇用を守りつつ
支援していく
方針を記載する、
航空会社の
計画に
雇用に関する記載をいただくと答弁していますが、法案の条文に明記されてこそ、
雇用を
維持確保する施策の
実効性が担保されるのではありませんか。
二〇〇九年のリーマン・ショック後のJALの
経営破綻では、国の
支援と引換えに一万六千人の人員削減が
実施され、二〇一〇年末には百六十五名もの整理解雇が強行されました。ILOから四次にわたる勧告を受け、不当労働行為が最高裁で確定していますが、いまだに
解決に至っていません。争議を
解決するのは
経営者の
責任です。JALに対して争議の
早期解決に向けた指導をすべきではありませんか。
支援施策パッケージには、訪日旅行者二〇三〇年六千万人の
政府目標の達成など、
ポストコロナの
成長戦略に向け主要
空港の
インフラ整備、成田
空港の新滑走路建設などの大
規模事業の
推進が盛り込まれています。
V字回復など安易な見通しのまま大
規模事業を続けることは許されません。中止を含め
見直しを
検討すべきではありませんか。
本法案で、
航空保安検査を法的に位置付けることは重要です。
保安検査員の
労働環境、労働条件がひどいという根本問題を国として
認識しながら、法案ではこれを改善するための
実効性のある
支援策がありません。
現在、全国九十七
空港のうち
保安検査員の人件費を国が二分の一負担しているのは、国管理
空港の十九
空港だけです。
アメリカでは、二〇〇一年の同時多発
テロ以降、それまで
民間に任せていた
航空保安検査を国の機関である運輸保安庁、
国家公務員が担っており、
ドイツ、カナダなども国が担っています。
航空会社、
空港管理会社の
経営状況や
経営形態によって
保安検査の
体制が左右されることがあってはなりません。国の
責任を明確にし、
保安検査員は国が公務として直接担うべきではないですか。当面、処遇改善を急ぐためにも、
保安検査員の人件費を全て国が負担すべきではありませんか。
無人航空機、ド
ローンについてお聞きします。
災害対応、取材、報道、
インフラ維持管理、離島、山間部への
荷物配送など、無人地帯を中心にした
活用と
技術開発は必要です。しかし、本法案は、これまで飛べなかった第三者
上空、
有人地帯での
補助者なし
目視外飛行を、物流などの分野で二〇二二年度から
実施しようとするものです。
有人地帯上空の
飛行は、
国民の命と安全に関わる問題であり、
国民的合意が前提でなければなりません。
第三者
上空の合意なしの
飛行は、民法に基づく土地所有権の侵害に当たることが指摘されていますが、この問題を国としてどう整理しているのですか。
現状では、二〇二二年度からの第三者
上空、
有人地帯での
補助者なし
目視外飛行については厳格な
安全性が担保されておらず、
国民的合意が不十分という面からも、これを解禁することは時期尚早ではないですか。
以上、国交
大臣の答弁を求め、質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣赤羽一嘉君
登壇、
拍手〕