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参考人(
中嶋哲彦君)
中嶋哲彦と申します。よろしくお願いします。
今日は、
発言の機会を与えてくださいましてありがとうございます。
資料として、A3の紙とそれから
パンフレットを用意しました。
パンフレットの方を詳しく申し上げていく時間はありませんので、A4の紙に従いながら、沿って
お話をさせていただきたいと
思います。
冒頭、私のちょっとした経歴とか
専門を書きましたけれ
ども、上の三行はどうでもよくて、次のところです。二〇〇〇年の十月から八年間、
犬山市の
教育委員を務めていました。
犬山市の
教育委員会は、当時、少
人数学級を
独自プランで
実施しておりまして、
予算を独自に、市独自で
予算を組んで
実施を始めたものです。これは、何というか、なかなか国の
改善が進まない中で
市町村教委として
取組ができるということで、それならばということで
市長と
お話をして、何億円かのお金を付けていただいて
実施することができました。ただ、そのときの私
たちの
考えは、永遠にこれを続けようとは思っていませんでした。
犬山市の
取組を先例としながら、そこでの成果を受けて国が国の
教員配置基準を
改善してくれること、それを求めるということを当時からもはっきりと
文科省にもお伝えしていました。そういうことをしたということが
一つです。
それから、二〇一八年から三年間、去年の三月までですが、
名古屋大学の附属の
校長も務めておりました。ちょうど
最後は
コロナにぶつかって大変だったんですけれ
ども、その
経験もありまして、要するに、
地方教育行政の
経験と、それから
学校経営の
経験ということをいろいろ踏まえて今日は
発言をしたいと、一々これはこうですという言い方はしませんけれ
ども、踏まえて
発言したいと思っています。
去年の七月に、この
パンフレットに関わるんですけれ
ども、
是非少
人数学級を実現してほしいということで、当初、チェンジオルグを使って署名活動を七月に始めました。十二人の
教育研究者と一緒に、この一番
最後に出てきますけれ
ども、始めました。始めてみると、いや、自分
たちはネット署名は不得意だけれ
ども、紙を用意してくれれば幾らでも集めますという市民がいっぱい現れてきたんですね。じゃ、用紙を用意するから、どうぞダウンロードして作ってください、集まったら私の
研究室宛てに送ってくれということで始めたところ、とんでもないことになりまして、最終的には二十五万筆が、どんどんどんどん自分の身長より高くなっていくんですね。中には、小さな封筒に一枚だけ入っている署名もありました。でも、お手紙が書いてあって、自分はたくさんの人から署名を集めることはできないけれ
ども、これは私の本当の気持ちだから何とか生かしてほしいというふうなことですね。
だから、何か大きな組織が動いたというよりは、本当に一人一人が動いてくださって署名を集めて、それが二十五万も集まったと。しかも三か月間です。しかも
コロナ禍ですよね、人が集まれない
状況です。結局チェンジオルグは二万五千しか集められなかったんですが、ほとんどのことは勝手連的に、勝手に集めてくださったのがそんなに集まったということはとっても重要なことで、どれほど多くの人
たちが望んでいるかということを表していると思っています。
それから、論文
二つ書きましたので、これ実は今日用意できれば持ってきたかったんですけれ
ども、まだ、多分今日辺り出ると
思います。御
参考にしていただければと
思います。
一の真ん中のところに、四十年ぶりの
改善ですね、これについては大変私は評価しています。ただし、不十分だと思っています。
最初に、この括弧一のところに書いてあるのはこの署名の趣旨ですね、こういう署名の趣旨を行いましたということを書きました。やはり
コロナの下で、このままではいけないということを書いたものです。ただ、それが多くの人
たちの共感を生んだんだろうなと
思います。
それから、二ページの方を見てください。政府やそれから地方自治体の
関係者の方々も大変御尽力をなさってくださったというふうに思っています。大変深く感謝しています。
しかし、やはり不十分だったというふうに
思います。
文科省もかつては、それから今回も三十人以下の
学級を目指すというふうに動いていらっしゃったと思うんです。それに期待していました。ただ、残念ながら三十五人にとどまった。しかも
中学校だけであった。
それから、先ほ
ども御
発言がありましたけれ
ども、特別支援
学校とか養護
学級については何ら手が着いていない。これもやはり何とかしてほしいなという、これは私
たちの希望として持っています。
それから、
高等学校も全然手が着いていません。
高等学校いいかというと、そんなことはありません。上の
学年になれば
人数が多くなっていいんだというようなことをおっしゃる方もいます。大学は百人以上で
授業やっているじゃないかというふうにおっしゃいます。でも、それは違います。それは全然違います。大学は、
授業の内容や、それから目的に応じて
クラスサイズが違います。それから、一斉
授業の講義は大きい
人数ですることもありますけれ
ども、ゼミはそんな四十人どころじゃありません。十数人です。大学院になれば数人です。個別の
対応もいっぱいやっています。
その意味では、学問的な学習が深まれば深まるほど
人数は小さくなっていかざるを得ないんです。だから、
高等学校は今まででいいということにはなりません。だから、そこもやはりお
考えいただかなくちゃいけないことだったと
思います。その意味では、とても良かったことだけれ
ども、やはり不十分だった。
それから、加配
定数を今回基礎
定数に振り替えるということも
予算案の方では出ているということを見ておりまして、これではやっぱり
学校を支える
教職員の数が、やっぱりボリュームが増えないんですね。
だから、
クラスのサイズは小さくなるかもしれないけれ
ども、
学校を支える先生
たちの数は変わらないんです、変わらないか減るぐらいなんです。これじゃ困るんですよ。
校長をやった
経験からすると、とてもできないです、やっぱり。
学級担任がいて、それにプラスアルファいるだけじゃ
学校は動かないんです。いざとなって、例えば
生徒が、いじめがあったとか、それから家庭で何かあったといったら、それはもう
教員飛んでいきます。夜中でも動いています。そのときのサポートする人
たちっていなくなっちゃうんです。だから、ぎりぎりでは
学校って動かないということですね。そこは
是非お
考えいただく必要があるんじゃないかなと思っています。
では、なぜ少
人数学級が必要なのかということを、二番のところです。
よくいろいろ
議論あるのは、
学力を向上させるためという
議論があるんですけれ
ども、私は、それだけで
議論するのは適切ではないと思っています。要するに、
クラスサイズというのはどういう
教育目的でどのような
教育方法で行うかということを
考えるべきなんですね。だから、じゃ、
学力を向上させるためなんだというんだったら、それで、それでいいならそのようなやり方はあるはずです。
だけど、私
たちの日本の
学校というのはそういうものなんでしょうかということなんです。それだけを目指していいのかと。それは、ここに書いたんですが、豊かな
学び、それから豊かな
学校生活、これを目指すと。下の方に、括弧三のところにありますが、
子供のウエルビーイングと言いましたが、
子供が、
子供って、高校生に
子供と言っちゃ悪いかもしれませんが、
子供や若者が日々の生活を楽しめる、自分はこの社会から大事にされている、それから、自分もほかの
子供たち、ほかの仲間のために何かできる、それが実感できる、例えば勉強を教えてあげることができるとか何か協力することができると、そういうことが人間を育てているんだと
思います。だから、そういう人間を育てる場所としての
クラスサイズはどういうふうにあるべきかと
考えるべきなんです。
ところが、この間の政策評価は
学力の向上だけで
考えているんです。そんな簡単なことじゃないです。そんなことのために
学校は、教師
たちは活動しているわけじゃないんですね。
子供がやっぱり幸せだと思わなければ、将来、しっかり働いて税金払ってこの国を支えようという人にはなれないです。自分がどれだけ我々のこの今の社会から大事にされたかということを実感できるということが大事だと
思います。
私、フィンランドも何回か行っていて、高校生とも話をしますが、彼らはそういうふうに言います。将来高い税金払うんでしょうけどどうと聞くと、僕
たちは大事にされてきました、だからこの後の人
たちにもそれをすることが大事なんだというふうに口そろえて言います。そういうことをやっぱり大事にして
考えると、やはり
学級サイズとか
子供に対するお金の使い方というのはそれなりの
考え方があるんじゃないのかなというふうに
思います。
私、
犬山で
教育委員をしているときに、
犬山では、今、ちょっと戻っちゃうんですが、二枚目の真ん中よりちょっと下のところに
クラスメートと
学び合い、育て合いと書きましたが、
クラスメートに教えてあげられる
子供を育てましょうということを言いました。だけど、現場からはこういう声も上がってきました。
クラスメートに教えてと言える
子供をつくりたいんだと、それが本当の協働の社会でしょうと。だから、教えてくださいとか、自分のために何かしてくれという声が上げられる人をつくるんだと。
そのためには
クラス経営ですね、
クラスを運営していくということがとっても大事で、そのためには
教員の一人当たりの
クラスサイズというのはそれなりにやっぱり小さくあるべきです。グループをつくるから大きいサイズでいいということになりません。例えば、
クラスを六つの班に分けるとしたら、一人一人を見ながら、かつグループも見ていないといけないんです。その意味では、やっぱり
教員の仕事
考えると三十人以下じゃないととてもできないことだなと
思います。
もう時間が来てしまいました。三ページのところを御覧ください。
課題と書きました。
私は、先生方に、
是非この際、私まだ不十分なところがあると思っていますので、この
委員会では附帯決議を
是非お願いしたいと思っています。それ下に、一番
最後に付けました。加配
定数を引き続き確保すること。それから、いわゆる定員崩しをしないように設置者に、任命権者に求めてほしいということ。それから、可及的速やかに、ここには特別支援
学校とか高校のこと書きませんでしたけれ
ども、これはこの法案がこれだったものですから限定してやっちゃったんですけれ
ども、ほかのところにも及ばす、及ぶように
文科省において検討を進めてほしいということを国会の意思として示していただくことで、
文科省さんが動きやすいようにしていただきたいと思っています。
以上です。