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2021-04-20 第204回国会 参議院 国土交通委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      岩本 剛人君     清水 真人君      中西 祐介君     岡田  広君      舞立 昇治君     馬場 成志君      三浦  靖君     島村  大君      高橋 光男君     西田 実仁君  四月十六日     辞任         補欠選任      島村  大君     岩本 剛人君  四月十九日     辞任         補欠選任      西田 実仁君     安江 伸夫君  四月二十日     辞任         補欠選任      竹内 真二君     高瀬 弘美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         江崎  孝君     理 事                 足立 敏之君                 大野 泰正君                 青木  愛君                 杉  久武君                 浜口  誠君     委 員                 朝日健太郎君                 岩井 茂樹君                 岩本 剛人君                 岡田  広君                 金子原二郎君                 清水 真人君                 鶴保 庸介君                 馬場 成志君                 牧野たかお君                 増子 輝彦君                 熊谷 裕人君                 野田 国義君                 森屋  隆君                 高瀬 弘美君                 竹内 真二君                 安江 伸夫君                 室井 邦彦君                 榛葉賀津也君                 武田 良介君                 木村 英子君    事務局側        常任委員会専門        員        林  浩之君    参考人        国立研究開発法        人土木研究所水        災害リスクマ        ネジメント国際        センター長        東京大学名誉教        授        小池 俊雄君        株式会社社会安        全研究所所長   首藤 由紀君        水源開発問題全        国連絡会共同代        表        嶋津 暉之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 江崎孝

    委員長江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、高橋光男君、三浦靖君、中西祐介君及び舞立昇治君が委員辞任され、その補欠として清水真人君、岡田広君、馬場成志君安江伸夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、国立研究開発法人土木研究所水災害リスクマネジメント国際センター長東京大学名誉教授小池俊雄君、株式会社社会安全研究所所長首藤由紀君及び水源開発問題全国連絡会共同代表嶋津暉之君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、そしてコロナ禍の大変な状況の中で御出席いただきましたことに、誠に感謝申し上げます。ありがとうございます。  皆様からの忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、小池参考人首藤参考人嶋津参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度私の許可を得ることとなっておりますので、どうぞ御承知おきをお願い申し上げます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず小池参考人からお願いいたします。小池参考人
  4. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) お願いいたします。  土木研究所水災害リスクマネジメント国際センター小池と申します。略称ICHARMと言っておりますが、センター長をしております。  本日は、気候変化の下でいかに水災害リスクを軽減し、持続可能な開発を進め、質の高い成長を目指すかについて意見を申し上げたいと思います。  お手元資料があるかと思いますが、二ページ目を御覧ください。  これは、近年の水害の概要でございます。伊豆大島、広島での土砂災害に続きまして、平成二十七年に関東の鬼怒川が決壊いたしました。真昼の災害でありましたが、逃げ遅れで千三百名余りの方がヘリで救助されるという事態になりました。  翌平成二十八年には、台風幾つ北海道、東北を襲い、高齢者グループホームでの被災を始め、地域経済に大きな打撃が与えられました。  平成二十九年には九州北部豪雨が発生いたしまして、写真にありますように、谷間の平地部が、地形が一変するような様相となってしまいました。  翌平成三十年、さらに令和元年には、いわゆる西日本水害東日本台風災害が起こりました。この図にございますように、それぞれ西日本東日本、約一割のアメダスの観測地点で過去最大を記録しました。その結果、無数とも言える土砂災害、それから、百四十二か所での堤防決壊に続きまして、昭和五十七年の長崎豪雨以来、二百名を超える被災者が出るという事態にもなりました。  さらに、昨年は、熊本県の球磨川で、梅雨前線豪雨によって大きな災害が起きました。圧倒的な水量で都市が冠水し、土砂災害が起こり、橋がなくなりました。ここでも、グループホーム被災して、十七人の高齢者の方が亡くなりました。非常に痛恨の極みでございます。  これらの豪雨によって、洪水パターン変化してきております。三ページを御覧ください。  まず、①、バックウオーターというのは、一般には、河川が合流するときに最初支川洪水が流れ、本川洪水が流れるのですが、豪雨が長期化しておりますと、本川洪水を迎えたときに支川が依然としてまだ水位が高いという状態で、支川氾濫するということでございます。平成三十年の真備町での災害はこのパターンでございますし、その後、それに前後して多くの災害が起こっております。  ②は土砂洪水氾濫というものです。強い雨で上流で土砂災害が起きますと、その土砂豪雨による洪水で流れてきて、勾配が緩くなったところで川にたまります。そうすると、川を埋め尽くしますので、洪水流は、行き場を失って平地いっぱいに流れます。この図にカーブミラーとありますが、これは、県道の上に立っているカーブミラーがこのように土砂で埋まってしまう事態になってしまっております。  ③は異常洪水防災操作ということで、降雨が長時間継続いたしますと、大容量によって、これは、ダムというのは貯留施設でございますので、その貯留量を超える事態が発生し、流れてきた水をそのまま出さざるを得ないという操作になってしまいます。これは、ダム水位が上昇する速度と競争で放流量を増やさないといけないというような規定になっておりますので、こういう異常洪水防災操作がこの昨今増えてきております。  この三ページの下は社会変化でございます。  ④は、数字が書いてございますが、高齢者一人当たりの、十五歳から六十四歳のいわゆる生産者数というものが、二〇〇〇年の三・九人から二〇一五年二・三人、二〇六五年には一・四人に下がるというふうになっておりまして、支援ができる人が減って支援を要する人が増えるということになります。  ⑤は、この図が、階段のような図がございますが、このオレンジ色と赤色の線は、昨年までのマニュアルに記されております。これだけの浸水深があるとどれだけ事業日数が止まるか、事業活動が止まるかということを記したマニュアルでございますが、実際には、それよりもはるかに多くの日数事業復活までに掛かっております。そういうことを受けて、昨年、この数字がほぼ倍に改訂されました。日本の経済は持続的な発展性を失いつつあります。  コロナの影響も顕著に出ておりまして、⑥で見ますと、この青色のところはコロナの感染の方が自然災害リスクよりも多いと考えている人で、それは四二%にも達しております。その一方で、自然災害の方が大きいと言われる人は二二%で、倍ほどの人の方がコロナの方が怖いと思っているわけです。こういう中で災害に対する避難活動を確実に行わないといけない事態です。  一方、少し明るい兆しもございます。⑦は、特に都市圏の若い人たち地方移住への興味を、関心を高めていることです。この図にございますように、東京二十三区の二十歳から三十代の方々地方移住関心が高いというのは三五%にも達しているということでございます。  このような変化を受けまして、社会資本整備審議会から国土交通大臣に、新たな治水政策が提言されました。四ページを御覧ください。  基本的な観点として三つ設定されています。  まず第一に、甚大な被害を回避し、早期復旧復興までを見据えて事前に備える強靱性というものです。英語でレジリエンスと言います。それから、右側に行きまして、将来にわたり継続的に社会経済を発展させる持続可能性、サステナビリティーと言います。さらに、これらを進めるために全ての主体協力して取り組む包摂性、これが真ん中に置いてありますが、この三つを基本的な考え方といたしまして、新たに二つの取組を行うことを提言しております。  一つは、気候変動を踏まえた河川計画の見直しであります。それから、これがピンク色ですが、ブルーのところが、流域全体のあらゆる関係者協力して流域全体で取り組む治水計画として位置付けられる流域治水へ転換することです。これ、英語では、リバー・ベースン・ディザスター・レジリエンス・アンド・サステナビリティー・バイ・オールと言います。要するに、全ての関係者皆さん協力を得てこれを進めるということです。  下に、ピンク色のところに河川計画の変更が記されておりますが、治水計画に用います計画の雨量は、従来は観測値を基にして、それを百年に一度というような確率的に評価して使っておりましたが、このほど、気候変動予測モデルによって推定される現在と将来の変化倍率をこれに乗じるとしております。二度上昇ということを対象といたしまして、この変化倍率は、北海道では一・一五倍、その他の地域では一・一倍になります。計画降雨で一・一倍というのは、洪水ピーク流量で一・二倍になります。百年に一度の水害が二度起こる、被害が倍に増えるということを意味しております。  こういうことを受けて、流域治水への転換として、①、②、③と書いてありますが、赤字で小さく書いてありますが、氾濫をできるだけ防ぐ、②として、被害対象を減少させる、③として、被害の軽減や早期復旧復興を行うということを柱としております。これらは河川だけでなくて様々な主体によって初めて実現できるものでありますから、今回御審議いただいております流域治水関連法案改正というのは、このガバナンス構築制度設計が目的と私自身は考えております。  この後、まず、このガバナンス制度設計について述べさせていただきまして、その後、今後の方策として、科学技術経済評価人材育成について述べさせていただきます。  五ページを御覧ください。  この五ページ右下のところに図が出ておりますが、この座標軸のところに黒い四角で書いてあるところがこれまでの施策でございます。主として河川区域横軸を見ていただきますと、そこに河川区域とありますが、主として河川区域対象としており、一部、都市化が進展した鶴見川などで、そういうところでは集水域にまで出て流出抑制をすると。それから、氾濫域においては、これまで、主として住民等主体的な避難ということを進める、そういう施策水防災意識社会の再構築というような政策の下で進めてきました。これを、この黒く囲ってある四角をそれぞれの矢印方向に広げ、点線のところまで延ばすというのが流域治水の枠組みでございます。  ここで、縦軸のところに赤で書いてありますが、あらゆる関係者が協働して行う、これを赤字で、それから集水域のところで、全国流出抑制対策を実施、これをピンクで、それから氾濫のところで書いてありますが、住民等主体的な避難推進、これを青で、それから氾濫右側のところに書いてありますが、よりリスクが低い地域へ誘導、住まい方の工夫推進というのを緑で書きますと、この五ページにございます九つの法案のそれぞれの項目がこの色で表せるような構造として改正を今回御審議いただいているということがお分かりいただけると思います。こういうことによって、各部局、あるいは国、都道府県、市町村、さらには民間住民皆さんと相互に連携できるガバナンスをつくる制度がこの法案の改定で提示されていると考えております。  これによって関係者、全ての関係者皆さんがいわゆるバイ・オールの体制を目指すわけでございますが、この横軸で、この河川区域から氾濫域に、特に緑の部分ですね、②被害対象を減少するというところがございますが、そこまで踏み込んで浸水被害防止区域というものを設定したことに大きな意義があると考えております。  次に、これから進めるべき方向性について述べます。  まずは、この図の③の、黄色の利水者への協力依頼と②の浸水範囲の限定についてですが、資料六を御覧ください。  簡単に述べますが、緑色で描いているものは、電力会社との協力で進めています洪水の制御と電力発電量を増やす同時最適化研究事例でございまして、①、②のピンクで記されているように、オレンジ色の実際のダムからの放流量制限六百トン以内に確実に一〇〇%カットし、かつ発電量を増やすというような最適化操作が確立しております。  ピンク色のところは、伝統的な河川技術野越しといいますけれども、これは佐賀県で残っているものですが、これを近年実際に破堤氾濫したところに仮想的に適用して、どれだけ浸水面積最大浸水深、排水日数が減るかということを試算したものでございます。非常に大きな効果があるということが分かっておりまして、こういうことを実行するためには経済評価が必要です。  この一番下には、台風二十一号の関空が沈んだ絵が描いてありますが、このとき、実際には過去の最大潮位を三十センチ以上上回っておりましたが、浸水面積浸水戸数はゼロでした。このときの投資効果は十七兆円と試算されておりまして、こういうような経済効果を併せて行い、合意を図っていくことが必要と考えます。  最後に、人材育成でございますが、七ページを御覧ください。  この真ん中の方の図の左側にピンクで三角形が描いてありますが、平常時から、発災して社会の機能が低下し、それが戻っていくところ、この面積災害リスクでございますが、それを、避難応急措置復旧復興で、真ん中の図にあります紫色のように減らすことができますし、さらに、より良い復興事前対応をいたしますと、更にリスクを軽減できます。  こういうようなことを、いろいろな情報提供だとか、上に描いてございますが、仮想現実訓練システムで高めることと同時に幾つかの施策を連携させるということが必要ですが、そういうことを特に市町村レベルでリードしていく人材育成が必要と考えております。  最後に、もう一度四ページを戻っていただきますと、今申し上げましたように、こういうガバナンス構築制度設計、それから革新的な科学技術と定量的な経済評価による官民の投資の促進、さらには社会行動の変容と政策の連携を促進する人材育成を通して、強靱性包摂性持続可能性を兼ね備えた成長戦略としての質の高い成長を目指す、こういうような施策推進を是非お願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  5. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 小池参考人、ありがとうございました。  次に、首藤参考人にお願いいたします。首藤参考人
  6. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 社会安全研究所首藤と申します。本日は、このような場で意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  早速ですが、お手元に配っていただいております資料に基づいて、簡単に御説明させていただきたいと思います。  最初ページの下半分に、簡単な自己紹介ということを載せさせていただきました。私は、大学時代心理学を勉強いたしまして、それ以来ずっと事故災害時の人の心理行動ですとか、あるいは事故災害をもたらす人のエラーの問題について調査研究をしてまいりました。災害心理学ですとかヒューマンファクターズというような、どちらかというと社会科学とか人間科学というソフトな領域を専門としております。  また、私自身は決して研究者ではございませんで、ずっと民間のコンサルタントとして様々なお手伝いをさせていただいております。基本的には、災害対策の中でもソフト対策、例えば計画作りですとかマニュアル作りですとか、あるいは教育訓練ですとか啓発、さらには、近年では、災害時の人々あるいは市町村役場などの行政機関対応を検証してその教訓を生かすというような、そのようなお仕事もさせていただいております。  めくっていただきまして、スライド三枚目ですけれども、そういった私のソフト対策を中心としてお手伝いをさせていただいている立場で、前提となる考え方というのをスライド三枚目に書かせていただきました。  人の心理行動を研究してそれを生かすという立場ではございますが、その中でよく分かっていることは、人の行動というのは決して簡単には変えられないということでございます。人は、同じ条件下であっても常に同じ行動を取るわけではありません。あるときには適切に行動ができますけれども、違うときにはうっかりしたり、あるいは思い掛けないことで適切な行動が取れないということもございます。また、ある人が適切に行動ができても、ほかの人も同じようにできるというわけではございません。人の考え方行動は多種多様でございまして、同じ対策も人によって効果が違うということが分かっております。  ということから、人間に対する対策というのは、これを一つやっておけば万全だというものはございません。様々な対策をたくさん重ねることで、何とか人々がうまく行動できるように、命を守れるようにする、それが安全対策防災対策の基本だというふうに考えております。  その下のページに参りまして、そういった考え方から見まして、今回の改正法案、私の目から見たポイントを三点挙げさせていただきました。  一点目は、リスクに関する情報がすごく増えて多様になるという点でございます。  例えば中小河川ハザードマップ、これまで、なかなか作られてきませんでした。それを作って公表するということで、どこが危ないのかということが情報として人々に伝わることになります。また、浸水被害防止区域ということを指定されて、そこに制限を掛けるということで、極めて危ないところがどこなのかということが人々にメッセージとして伝わるというふうに思っております。また、下水道計画目標降雨を設定するという記述も拝見いたしました。これも、この地域下水道はここまでしか対応できないんだというような意味で、リスクに関する情報一つになるというふうに考えられます。  ほかにも様々あると思いますが、こういったリスクに関する情報が増えることで、人々が適切に判断して、例えば避難行動を取るですとか危険なところに家を建てないというような行動に役立つのではないかというふうに考えられます。  それから二点目は、要配慮者利用施設に対して市町村助言勧告をするということが明記されるという点です。  これによって、要配慮者利用施設避難計画を作って訓練をするということが、より実効性が高まるのではないかということが期待されます。  それから三点目ですが、浸水被害防止区域開発制限が掛けられるということも拝見して理解いたしました。  これは、非常に直接的に危険な場所に住む人が減らせるのではないか、特に要配慮の方などがそこの地域にお住まいになることを減らせるのではないかというふうに考えることができます。  そういった意味で非常に大きな期待がある法案ではあると思いますけれども、私の目から見ても、それほど簡単ではないという意味で、課題もあるなというふうに感じました。次のページを御覧ください。  上の、スライドの五枚目が、まずポイント一つ目リスク情報が増えることについての課題でございます。  大きく二点ございまして、一つは、非常に似たような名前情報がたくさんあって、素人には全くもって分かりにくいということでございます。  そこに楕円形でお書きしているのが、今回いただいた資料で関連する様々な区域の名称でございます。専門的にはそれぞれの意味は違いますし、法律等では厳密に区別する意味でこういった形で様々な名前を付けることはやむを得ないとは理解しておりますけれども、このままでは、恐らく一般方々には全く伝わらないというふうに思います。ですので、呼び方の工夫など、実際に多くの方に理解していただくために様々な工夫が必要であるというふうに考えます。  それから二点目は、作った情報は、あるだけでは多くの人には行き渡らないというものでございます。  例えばハザードマップでございますが、近年様々なものが作られて、重ねるハザードマップという形で、一つのサイトを見るといろいろなハザードマップ情報が見られるというところまでようやく最近来てまいりました。しかしながら、そういったものも、見に行く人が見られる情報でございまして、元々関心がない方々が得られる情報にはなっておりません。我々災害情報の世界ではプッシュ型情報と申しますが、見に行く人が得るのではなくて、待っている人に押し付ける形で情報を与える、そのような工夫が様々される必要があると思います。  これは実際には実現可能かどうか分かりませんが、例えば、スマートフォンで地図を見るときに、必ずそこにハザードが重なっているですとか、そういった形で、多くの人が意識的に見に行かなくてもその情報が目に入る、耳に入る、そういった情報提供の仕方を工夫していく必要があると思います。  それから二点目の、市町村による助言勧告についての課題でございます。  こちらに、市町村による対策ステップというふうにお書きしました。現在、こういった形で要配慮者利用施設を指定して避難計画を作っていただいて訓練をするというのは、今回の法改正対象である水防法土砂法以外にも、例えば活火山法でも実施されております。基本的には、まず最初に、市町村法律に基づいて施設の指定をして地域防災計画に記載する、記載された要配慮者施設所有者管理者避難確保計画を作って市町村に報告する、次いで三番目のステップとして、その施設計画に基づく訓練を実施する、ここで市町村へ報告するということと、その次の四番目の段階、市町村が必要な助言勧告を行う、この赤字のところが今回の法改正水防法土砂法で追加になった、このような部分でございます。  しかしながら、私自身は、水防法土砂法の方には詳しくないんですが、活火山法の方で実際のこの要配慮者施設の指定ですとか避難確保計画の作成などをお手伝いしているんですけれども、現実には、市町村施設を指定すること自体が決して容易ではございません。施設の方に避難確保計画の作成を義務化して訓練を義務化する、そういった大きな負担を掛けることから、市町村の現場では、施設の方に十分に説明をして、よく理解をしていただいた上で施設の指定をしております。そのため、決して今の現時点で必要な施設指定は一〇〇%は進んでいない、もちろん、努力をされることによって徐々には進んできておりますけれども、決して第一ステップですら容易ではないということでございます。  ましてや、避難確保計画の報告を受けて、それが適切であるかですとか、訓練の報告を受けて、その訓練で本当に実効性が上がるのか、そういったことまで市町村の限られた人数の、決して専門家でない職員がきちんとできるのかというと、それは容易ではないということを是非皆様に御理解いただきたいと思っております。市町村への専門的な支援ですとか人的支援が不可欠だというふうに私は考えます。  最後ページを御覧ください。三点目の、開発制限に関する課題でございます。  これは、ちょっと課題というのは言い過ぎかもしれませんけれども、私がこれまでいろいろと調査研究をする中で拝見したり伺ったりした人々の暮らし方として、リスクを理解して、それを受容した暮らし方もあるというふうに考えております。  例えば、三陸地方の沿岸で、東日本大震災の津波より以前に伺ったところで、海岸堤防より海側におうちを構えていらっしゃる方々がいらっしゃいました。その方にお話を伺うと、津波が来ることは分かっているので、もう車に最低限のものを積んでいて、地震があったらすぐ車で逃げるようにしていると、家はもし津波が来たら壊れても仕方がないけれども、命だけは助かるようにしているというふうにおっしゃっている方がいらっしゃいました。また、洪水常襲地域で軒先に小舟を用意して住まわれている方もいるということも伺っております。  もちろん、危険な地域に住まないということは対策一つではありますけれども、このように、リスクを理解して受け入れながら、それでもあるメリットを享受して上手に住むということもあると思います。ですので、住まないようにするという法律制限を掛けると同時に、もしお住まいになるのであればこのようにしてほしい、このようにしませんかという形で、上手な住まい方の提案も併せて推進していただければというふうに考えております。  最後ページは、今申し上げたことのまとめでございます。  この法律改正によって、浸水被害の防止や軽減はより一層進むというふうに期待されております。ただ、推進に当たっては少し工夫を考えていただきたいということで、三点の視点が重要だというふうに申し上げました。一つ目は、人々が本来持っている心理的傾向ですとか行動特性に配慮して、うまく情報提供をしていただきたいということ、それから二点目は、市町村や要配慮者利用施設などの現場の実情に応じて適切な支援を行っていただきたいということ、そして三点目が、リスクと共生する災害文化を醸成するということも併せて推進していただきたいということでございます。  以上で私の意見を終わります。ありがとうございました。
  7. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 首藤参考人、ありがとうございました。  次に、嶋津参考人にお願いいたします。嶋津参考人
  8. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 水源開発問題全国連絡会の嶋津と申します。今日は、意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。  今日、私の方の資料で二種類ございます。ワードで書いた四ページ物と、それからもう一つスライドを二つ並べたものですね。済みません、ちょっと資料が多過ぎるんですけれども。このワードの方は後でお読みいただくとしまして、今日は、このスライド形式のもの、こちらを御覧いただいて私の話を聞いていただければと思います。  今回この法案が提出されたわけですが、その前に、今日お話しする内容は、十五分しかありませんけれども、この目次に書いてある内容をざっとお話をさせていただきたいと思っております。  とにかく、今回のこの特定都市河川浸水被害対策法等改正案は、非常に内容は多岐にわたっております。まず、この特定都市河川浸水被害対策法の改正の中でもいろいろなことが書いてありまして、流域水害対策計画の策定、雨水貯留浸透施設の整備計画の認定、貯留機能保全区域の指定、それから浸水被害防止地域の指定と建築物の規制と、いろんな内容が入っております。そのほかにほかの法律改正するよということで、主なものを取り上げると、河川法の改正、利水ダム事前放流の拡大ということですね。こういうように非常に盛りだくさんの改正法案であります。  まず、次の三枚目スライド、二枚目を御覧いただきたいと思います。  まず、この利水ダム事前放流ですね。今回のこの河川法の改正でこれが入れるということですが、これは、実は内容的には既に始まっておりまして、二〇二〇年度、昨年度から、国交省の通達でこれが既に始まっております。四月二十二日に事前放流のガイドラインの策定というのが、国交省が作りまして、これは、菅首相が官房長官時代に非常にこれに取り組まれまして、それで、当時の官房長官の指示の下にこのガイドラインが作られたわけであります。これを今回法制化するということですね。  ただ、この事前放流、どこまでこれは有効なものかということを少し考えてみたいと思います。  先ほど小池先生からお話があったこの球磨川水害、昨年七月、熊本県の球磨川が大氾濫しまして、大変な被害をもたらしました。ここで、今、川辺川ダムの是非をめぐって議論がされているわけでありますが、既設のダムがあります。一番大きいのは国交省の市房ダムであります。  では、この場合、事前放流どうだったかということですが、次の五つ目のスライドは、これは被害の状況ということで、本当にすさまじい被害でありました。新聞等とかいろいろなニュースでお読みになって知っておられると思いますけれども。当然、これはもうガイドラインができた後です、先ほどの事前放流の。だから、当然、この市房ダム等もこのガイドラインに沿って事前放流をしなきゃいけないわけですね。  ところが、この場合、この下の新聞記事、六枚目のスライドです。  この雨の降り方が急であったために、事前放流、間に合わなかったんですよ。だから、六つのダム、いずれも事前放流ができなかったということです。事前放流はこういうものであって、急な雨には対応できないものだということを知っておかなきゃいけないと思います。次の七枚目のスライドを御覧ください。  最近は大きな本当に洪水があって、本当に氾濫がすさまじいんですけれども、今から三年前、西日本豪雨西日本の各地で大雨が降って大変な被害をもたらしました。愛媛県、肱川という川があります。ここも大氾濫しました。ここには国交省のダムが二つあります、野村ダムと、それから鹿野川ダムであります。これが緊急放流しましてもうダムがいっぱいになって、それによって下流が大氾濫しました。鹿野川ダムでも四人の方が死亡し、大変なことになりました。  では、このダム、まだこれはガイドラインできる前ですけれども、事前放流はどうだったかということです。それを見たのが九ページ目であります。九枚目のスライドでございます、済みません。  これは、鹿野川ダムを例に取って、このダムの貯水量の変化を見たものです。この場合、事前放流はそれなりにやっているんですよ。だけれども、雨の降り方がすさまじくて、この鹿野川ダムも野村ダムもそうなんですけれども、事前放流でとても対応できるものでなかったということですね。だから、事前放流をすればかなり対応できると、必ずしもそうではないケースが多いと、あるいは事前放流ができないケースもあるんだということを御承知いただきたいと思います。  それから、ちょっと事前放流の話と離れますけれども、ダムがどこまで治水対策の役に立っているのかということで、少し例を見ておきたいと思います。  今から六年前、鬼怒川で大水害がありました。利根川の支流の鬼怒川であります。この関連死を含めると十四人の方が亡くなっているわけであります。こういう形でヘリコプターで人が救助されるという、そういう事態でありました。  次の十一枚目のスライドを御覧いただきたいんですが、ここは、鬼怒川というのは、これは上流に国交省の大きなの四つもあります。五十里、川俣、川治、湯西川です。このダムの集水面積は、この鬼怒川全体の三分の一もあります。だから、ここはもうダム洪水をためれば十分大丈夫と思われた河川でありました。しかし、そうではなかったんですね。下流で大氾濫しました。  なぜそうなったかということですね。それが十二枚目のスライド。  ちょっと分かりにくいですけれども、赤い方がダム地点の流入と放流を示しております。白抜きの方が流入量、塗ってある方が放流量ですけど、ダム地点では毎秒二千トン以上のカットをしました。ダムはきちんとこのぐらい働いておりました。ところが、そのダム効果というのは、下流の水海道、そちらに行きますと僅か二百トンぐらいになっちゃうんですね、この国交省の数字から計算しますと、十分の一に落ち込んでしまうと。ダム効果というのはこういうもので、ダムの直下では効果があったとしても、その効果というのは下流に行くとかなり減衰してしまうんだということです。  なぜそうなるかというのは、ちょっと説明を今日はする時間がありませんけれども、十三枚目スライドに少し書きましたけれども。洪水というのは、上流から下流に流れていくにつれて、河道の割合勾配の緩いところ、そこで貯留されます。それによって洪水のピークが落ち込んでいきます。ということで、上流やダムでそのピークをカットしても、その効果というのは下流の方ではかなり小さくなってしまうということですね。そのほかの要因もあります。  ということで、鬼怒川に関しては、上流に大きなダム四つあって、そこできちんと洪水調節したけれども下流の氾濫を防ぐことはできなかったということです。それを踏まえてやっぱりこれからの河川事業を進めるべきじゃないかと思うわけであります。  今、このダム事業はどれぐらいの予算が使われているかと見たのが十四枚目のスライドです。  最近三年間、ダム建設以外のお金も入っておりますけれども、ダム関係の予算としては、年間で二千五百億円前後ということですね、この三年間を見ますと。一方、河川事業の予算はどうかというと、次のスライド十五を御覧ください。大体、これにまた三千億から四千百億円ということで、ダム事業のウエートは結構高いということですね。  今でもダム事業にかなりの予算が使われていると、こういう状況でよいのかということを問題提起したいと思います。やはり河川事業の方に、河川の予算をより多く回すようにすべきじゃないかということが私の考えであります。  ということで、この十六、一つのまとめですけれども、限られた治水効果しか持たず、あるいは、時には緊急放流で災害を引き起こす、先ほどの肱川ですね、野村ダム、それから鹿野川ダム、そういうことがあるダム事業の予算を少しやっぱり縮小すべきじゃないかと、極力ですね、私の考えでは。河川改修、河川維持の予算に回すべきじゃないかと思うわけであります。  それから、ちょっと話が横にずれますけれども、今、低コストで堤防を強化できる耐越水堤防強化工法というのがあります、これはもう随分前に開発されているんですけれども。これは、ずっと封印されてきたんですけれども、二〇一九年の水害で決壊した千曲川の決壊地点、穂保にようやく昨年導入されました。二十年ぶりの復活であります。この技術を是非全国に広めてほしいと思います。  あと、それから、この河川管理も、河川のこの河床、河川というのは河床がどんどん上昇していきます、通常ですね。それによって氾濫しやすい状態がつくられていきます。ですから、河川の河床のしゅんせつが非常に大事であります。その費用につきましては、地方管理河川に限られますけれども、昨年度から総務省の方で、緊急浚渫推進事業費における四千九百億円、これを付けて、今、各河川で行われております。これを是非国管理河川でもやるように、是非その辺もこれから進めるべきだと思います。  次のスライドで、この上の十七は今申し上げた耐越水堤防工法の話で、ちょっとこれは省略させていただきます。  今回、この流域治水推進ということで法制化されていくわけですね。非常に大事なことであります。これについては、先進的な事例があるということですね。御承知かと思いますけれども、滋賀県の流域治水推進に関する条例であります。  これは、二〇一四年三月、ですから今からもう七年前ですかに作られたものであります。当時の知事は、今参議院議員をしておられる嘉田由紀子さんでありました。これはかなりよくできた条例であります。これを参考にして、今後、この流域治水推進法が今度できますので、その実施に当たっては、この滋賀県のやり方を十分に取り入れて進めるべきじゃないかと私は考えております。その内容を少し紹介したいと思います。  まず、十九枚目の十九のスライドですね。浸水警戒区域というのを設定します。今回の法案では浸水被害防止区域、ちょっと名称が違いますけど、そういうことを、そういう場所を指定して、そして、近くに避難所とか、地盤のかさ上げをしない場合は原則として新しい家は駄目だということですね。そういう浸水区域の指定が行われてきているわけであります。  ここで、滋賀県の場合の特徴なんですけれども、二百年に一回の雨を想定していると、非常に大きな大雨を想定してこの浸水警戒区域が設定される、これが今回の法案との違い、大きな一つの重要な違いじゃないかと私は思っております。  ちょっと二十のスライドは飛ばしまして、次の二十一のスライドは、それを、今お話ししたようなことが図示されております。要するに、そういう浸水警戒区域においては二階建てにして、それか三メーターの高さを持たなきゃ駄目だという、そういう規制が行われているわけですね。  それから、もう一つ重要なことは、既設の住宅は当然かさ上げが必要です。その場合に費用を補助しようという、そういう制度を作っているんですよ。これは二〇一七年にできたものですけれども、水害に強い安全安心なまちづくり推進事業費補助金交付要綱というので、四百万円を上限として、かさ上げなどの費用の二分の一を県が補助するという画期的なものです。  次の二十三のスライドは、それを図で分かりやすく説明したものです。  是非、今回の法案ができた場合、これは成立するんですけれども、こういう補助制度を是非これも考えていただきたいと思います。  それからもう一つ、この滋賀県で非常に重要なところは、地先の安全度マップということです。  ちょっと分かりにくいですけど、これは、十分の一、十年に一回の雨、それから百年に一回、二百年に一回の雨でそれぞれ地先の安全度マップが作られているんですけれども、そのうちの二百分の一の雨が、二百分の一の地先の安全度マップが先ほどの浸水警戒区域の指定対象になります。ここの地先の安全度マップの作り方が非常に特徴的で、非常に重要であります。次の二十五のスライドを御覧ください。  まず、普通の氾濫といいますと、一つ河川氾濫しか考えませんよね。国の場合は大体そうなんですよ。ところが、こちらの場合は複数の河川の同時氾濫を考慮すると。それは、ある地域に近い河川幾つもあるわけですね。それを一つ河川ごとに考えるんではなくて、複数の河川の同時氾濫を考慮する、それから内水氾濫、降った雨が、川からの越流ではなくて、降ったのがそこであふれてしまう内水氾濫がありますね、これも考慮すると、さらに未完成堤防の破堤条件も厳しく考慮するということで、そういう形で地先の安全度マップを作り、そして先ほどの浸水警戒区域を設定するという、非常にユニークな方法を取っております。  今の地先の安全度マップの作り方を図示したのがこの二十六のスライドであります。  最後スライドの二十七を御覧いただきたいんですけれども、滋賀県の流域治水とそれから今回の流域治水関連法案を比較いたしますと、今の三点で整理いたしますと、まず、浸水警戒区域法律の方は浸水被害防止区域という名前ですけれども、まず滋賀県の方は、二百年確率の降雨による浸水を考えている、非常に大きな雨を考えるということですね。一方、今回の法案は、何年と書いておりませんけれども、国交省に聞いたところ、数十年に一回ぐらいかなということを言っておりました。ということで、今回の流域治水関連法案でこの浸水被害防止区域を設定しても、やや大きな降雨には対応できないことがあるんじゃないかということを心配せざるを得ません。  それから、浸水警戒区域内での既存住宅の建て替えの補助制度ですね。これは、先ほどお話ししたように、滋賀県では四百万を上限としてかさ上げなどの費用の二分の一を補助すると、この補助制度は今回の法案では書いてないように思うんですよね。是非、これからこの法案を進めていくに当たってはこの補助制度を同時にお考えいただきたいと思います。  それからもう一つ氾濫域の設定の仕方も、滋賀県の場合は複数の河川の同時氾濫、内水氾濫を総合的に考慮すると、今回の法案はどうもそれが書いてありませんけれども、今までのやり方を見ますと、各河川氾濫を個別に考え、それから内水氾濫を別々に想定をするというもので、もっと総合的に考慮することが必要ではないかと思います。  ということで、この今回の流域治水関連法案はできるわけですけれども、法案ができるわけですけれども、この流域治水の先進的な取組事例である滋賀県、その条例とその取り組み方を大いに参考にして今後充実をしていただきたいと思います。  以上で私の話を終わります。御清聴ありがとうございました。
  9. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 嶋津参考人、ありがとうございました。  以上で参考人意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 足立敏之

    ○足立敏之君 参議院議員、自由民主党の足立敏之でございます。  本日は、三名の参考人の先生方に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。また、貴重な御意見をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。  まず、小池先生にお聞きしたいと思いますけれども、私は、国交省、建設省の出身で、ずっとダムを造ってきた人間でございまして、小池先生には、地球温暖化に関する審議会や委員会、そういった場で大変御指導をいただきまして、ありがとうございました。  小池先生は、IPCCといいまして、気候変動に関する政府間パネル、気候変動の予測をしたりする分野でも御貢献をされた、そういう経験がありますので、先生にまずお聞きしたいのは、地球温暖化に伴いまして気候変化が激しくなっている、これについては先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、資料で説明ありましたけれども、これまで災害が頻発しているのはそういう状況なのか、あるいは今後どんなふうに災害変化していくのか、その辺りについて先生の受け止めをお教えいただければというふうに思います。
  11. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 簡潔に述べたいと思いますが。  二〇〇七年のIPCCの第四次評価報告で、地球が温暖化していることは間違いないという合意をいたし、第五次、二〇一四年の第五次評価報告でも全く同じ文章が使われました。科学的な見地からは、地球が温暖化しているということは間違いないと。  その中で、水循環が激しくなって豪雨が起きやすくなる、しかも、その豪雨が比較的狭いところに集中して起きやすくなるという科学的知見も積み重なっております。こういう科学的な知見と昨今のいろいろな現象に鑑みまして、平成三十年の西日本水害のときには、気象庁が初めて、これは温暖化の影響の現れであるということを公式に発表しております。そういうような時代になっているということを是非御認識いただければと思います。
  12. 足立敏之

    ○足立敏之君 ありがとうございます。  温暖化対策では、いわゆる緩和策といいまして、CO2発生を抑えるという方策と、適応策といいまして、発生している事態、例えば水害が増えているとかそういった事態を抑えるための対策、この二つが重要な方策だというふうに言われています。その中でも、どうしても緩和策の方に目が行きがちで、環境省を中心にそういったところが議論されているのがとても私としては心配なところもありまして、小池先生のお力を借りて、適応策、水害対策だとか土砂災害対策、そういったことを議論してきたんですけれども。  この後お二人にお聞きしたいと思いますけれども、今お話がありましたように、気候変化、地球温暖化に伴って大きく変化してきているあるいは今後も変化していくかもしれない、そういったことについて、首藤参考人はお父様が津波の大家でありまして、東北大学でずっとやっていらっしゃいまして、東日本大震災のときも大変お世話になりました。その首藤参考人と、それから、まあ私の対極にあると言ったら言い方が失礼かもしれませんけれども、嶋津参考人の方からも地球温暖化についての受け止めについてお聞きしたいというふうに思います。
  13. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 決して地球温暖化そのものについては専門ではございませんけれども、一市民としてお答えさせていただきます。  地球温暖化が実際に進んでおり、それによって災害が増えているということは、我々、常に災害、防災や安全対策を考える者として実感しているところでございます。  ただ、人は柔軟にそれに対応する能力があるというふうに私は信じております。地球温暖化に伴う災害の激化について人々が理解をし、それに応じた暮らし方をしていくということが大切ではないかというふうに考えております。もちろん危険な場所に住まないことも大切ですけれども、いざというときにはきちんと避難をしようですとか、そういったことを人々が暮らしの中に取り入れていくということが大切なのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  14. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 地球温暖化で雨の降り方が激しくなってきているというのは事実ですよね。最近を見ても、先ほどお話しした二〇一五年の鬼怒川水害、それから二〇一八年の西日本豪雨、それから二〇一九年の台風十九号でしたか、それから二〇二〇年の球磨川水害ですね。すさまじい状況です。本当に最近なかったような雨の降り方ですよね。だから、今までの治水対策を根本から考え直さなきゃいけないと思うんですよ。  どちらかというと、今のやり方といいますのは、ちょっとお考えが違うと思いますけれども、ダムで調節してやるというやり方が基本的で、それであとを河川対応しようというのが今の、今までの国交省のやり方ではなかったかと思うんですけれども、そのやり方でいいのかということですね。  ダムというのはやっぱり限界がありまして、先ほど、緊急放流する事態になったという例もお話ししました。ですから、やはりダムに頼らないで急激な雨の降り方に対応できる方法をどう考えていくかだと思うんですよね。それは、やはり先ほども少し述べましたけれども、この流域治水の目的でもありますけれども、ある程度氾濫させて、そこでこの大洪水対応するということ。それから、やっぱり河床の掘削をもっとすべきですよ。  今までのやり方を根本から考えて、考え直して、そしてこの雨の急激な降り方にどう対応するか。また繰り返しになりますけど、ダムプラスこの河川対策でよいのかどうかということのやり方を改めて考え直していただけないかという私のお願いでございます。
  15. 足立敏之

    ○足立敏之君 おっしゃるとおりダムは万能ではないと思いますけれども、ここ、ダムの議論をする場ではないのであれですけど。  今おっしゃられたように、あらゆる政策を今回総動員して、流域関係者みんなで対応するというのが国交省から出てきた流域治水だと私は理解しているんですけれども、そういうことを踏まえて、この流域治水に対してどのような評価をしていただいているのかというのを、まず小池先生にお聞きしたいと思います。
  16. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 先ほど御紹介いたしましたが、五ページ資料で、今回、従来の河川の管理から非常に大きく踏み出したのが、この右下にあります図の緑色の部分であると思います。被害対象を減少するというのは、川以外のところのいわゆる土地政策になるわけです。これを流域治水としての一環として捉える、これは、当然のことながら、河川を管理する部門だけでなく、都市であるとか住宅であるとかあるいは農地であるとか、いろいろな部局と連携しないといけないわけで、そういうところへ踏み出したということが一つ非常に大きな一歩であると思います。  それに対応して、この法改正の中で、分かりにくいという御指摘がございましたが、浸水被害防止区域というものが指定されるということは、非常に大きくこれまでの河川政策を変える一歩になっているというふうに私は理解しております。
  17. 足立敏之

    ○足立敏之君 ありがとうございます。  今お話のありました浸水被害防止区域嶋津参考人も言及されましたけれども、今回この流域治水法案の中にこういう区域が設定されて、開発規制だとか建築の規制が行われるというのは大変大きなことだというふうに思っています。  実は私が国交省にいた頃もやりたかったことなんですけれども、残念ながら私の力ではできなかったことが今回実現されておるんですけれども、その辺について、首藤参考人の方から何か御意見ございますでしょうか。
  18. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) ありがとうございます。  私自身も、やはり危ないところをはっきりと明確にして、そこは特に配慮の必要な方ですとかそういった方は住みにくくするということは大切ではないかというふうに思います。  先ほど、そこでも住まう在り方もというふうに申し上げはしましたけれども、やはり人の行動を動かすためには、やってほしい方向へ進めていく、やってほしくないことはやりにくくするということはどんな対策でも非常に重要だと思っておりますので、危険な場所に住みにくくするということ自体は賛成でございます。  以上でございます。
  19. 足立敏之

    ○足立敏之君 ありがとうございます。非常に分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。  もう一点、小池先生にお聞きしたいんですけれども、資料の方に、気候変動を踏まえた計画手法改訂というのを唱えておられます。私も、以前から、河川整備基本方針という大きな、何というんですかね、流域のビジョンですね、哲学というか憲法というか、そういったものなんですけれども、これをもう見直すべきタイミングに来ているんじゃないかというふうに感じているんですけれども、その辺について先生の御意見をいただければと思います。
  20. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 議員おっしゃったとおりであると思います。  ここの資料の、私の資料の四ページの左側に書いております、オレンジとか黄色で書かれている数字ですね、一・一倍とか一・一五倍は、まさに基本方針の計画雨量にこれを乗じるということでございます。  これは、昨今、例えば昨年の球磨川とか二〇一一年に深層大崩壊等を起こした新宮川とか、基本計画を立てた以上の洪水に見舞われたところからまず基本方針の変更というものをこの方式に従ってやっていく必要があると思います。
  21. 足立敏之

    ○足立敏之君 ありがとうございます。私も、是非そういう方向になってほしいなというふうに思っております。  首藤先生に一つお聞きしたいんですけれども、国土交通省では、平成二十八年、先ほど嶋津参考人からお話のあった鬼怒川の決壊を踏まえまして、その復旧復興を図る中で、あの地域でマイタイムラインという取組が始まりました。私自身はあれすばらしい取組だなというふうに思っておりますし、今回、委員会の中でまた御紹介する機会があればお話をしたいと思っていますけれども。  首藤参考人は、ソフト対策とかそういった面、非常にお詳しいんですけれども、マイタイムラインについてどのように評価していただいているのか、お聞きをさせていただければと思います。
  22. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 私自身も、マイタイムライン作り自体は非常に効果的な対策であるというふうに考えております。人々が自分自身のこととして、何が起こったらどんな経過を取るのかということを考えて、それを自分はそのときどう行動しようかというふうに結び付けていくという流れでございますので、非常に効果的な対策だと思います。  ただ、ああいったタイムラインを作ることが有効な災害とそうでない災害がございまして、やはり大きな川の洪水ですとか台風のようにあらかじめ分かっていることについてはマイタイムライン作りは有効ですが、突発の災害に対してはなかなか難しいという限界もあるかなというふうに考えております。  以上でございます。
  23. 足立敏之

    ○足立敏之君 嶋津参考人も、何かマイタイムラインについての御意見ございますでしょうか。
  24. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 嶋津参考人、挙手をお願い申し上げます。
  25. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 済みません。  マイタイムラインというのは、それは重要なことだと思いますけど、ちょっとそれについての余り知識がないもので、お話しすることはちょっと難しいと思います。
  26. 足立敏之

    ○足立敏之君 大体もう時間も参りましたが。  今申しましたマイタイムラインというのは、ハザードマップ事前にちゃんと見るという意味で大きいと思いますし、それから、いろんなこれから起こるであろう災害を自分たちでイメージアップしておくという意味で非常に重要だと思うんです。  先ほど首藤参考人からお話ありましたけれども、プッシュ型でという話がありましたが、マイタイムラインを、できたらAIを組み合わせてプッシュ型でその人たちに教えてもらえるようなシステムができればいいなと思っていますので、その辺でも首藤参考人の御支援をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  27. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷でございます。  今日は、三名の参考人皆さん意見陳述ありがとうございました。  それぞれ、最初に三名の方に一つずつ御質問させていただいて、その後また重ねて質問させていただきたいと思います。  まず、小池参考人なんですが、この資料、ありがとうございました。国交省の資料より分かりやすい資料だなと思って、副大臣と政務官いらっしゃいますけれど、本当に分かりやすいのを作っていただきまして、ありがとうございました。  その中で、先ほど足立議員の質問の中で、五ページのところの右下の図の中で緑の部分が非常に大切であるというようなお話がございました。災害リスクを減らすためによりリスクの低い区域への誘導をしていくために、今回の幾つかの法案、束ねてありますけれど、それだけでは対応できない部分もあるんではないのかなというふうに考えておりまして、まずは国交省の中で連携をしなければいけない、例えばまちづくりの部門ですとかあると思うんですが、そういうところとの連携をどのように今後考えていけばいいのか。  それから、国交省以外に、治山の関係でしたり環境の関係でしたりというところで、幾つか連携してくる他省庁との連携の部分があると思うんですが、そういったところについて、小池参考人、どのような思いを持たれているか、お聞かせいただければと思います。
  28. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 大変重要な御指摘だと思います。  この五ページの図にございますが、法案のこの改定につきましても、①の部分、これは河川の部分でございますし、③、⑥は建築や住宅やあるいは都市計画の分野でございます。こういうふうに国土交通省の中でも複数の部局が協力してこういう法案が提案されたことに、私は非常に大きな意義を感じております。昨年の六月には都市計画法律が改定されましたし、宅建法の重要事項説明の中で、この水害についても触れることが決まりました。こういう部局内での連携というのが着実に進んでいるなということに大変感心しております。  さらには、これは、ここで見ております集水域の管理と氾濫域の管理が必要でございますので、議員おっしゃったように、山林、農地、こういうところを所管しております農林水産省等との連携がこれからますます強くなっていくというふうに思っております。そういうものを是非進めていただきたいと思います。
  29. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。私も、その辺問題意識を大変持っておりまして、今後の質疑の中で確認をしていきたいなというふうに思っております。  国の方はそういう連携ができたとしても、実際この法律を運用していく県だとか市町村というところにいかにこの国の思いというのか今回の法改正の思いを伝えていって、そして実効ある流域治水にしていくかというところもまた一つ課題になってくるんではないのかなというふうに思っておるんですが、その点について、参考人は御意見いかがでしょうか。
  30. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) これも大変重要なところだと思います。  先ほど首藤参考人の方からお話がありましたが、私は、基礎自治体である市町村のこの支援というものが物すごく重要になってきていると思います。ある市町村内である区画がこの浸水被害等防止区域に設定されますと、それ以外のところの土地の人と協力してその地域を発展させる枠組みをつくっていかないといけないわけです。それにはその市町村内のいろいろな部局が連携して立ち向かわなきゃいけなくて、これは、その市町村河川あるいは防災の部局だけでできる話ではないわけです。  そういう意味で、市町村、都道府県の部局内での連携、それから都道府県と市との連携、複数の市にまたがる場合もありますのでそういうところの強化が必要で、そういうところをいかに支援していくかということがこれからの課題であると思います。
  31. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  続いて、首藤参考人に御質問させていただきたいと思います。  大変ソフト対策にこれまで取り組んできた実績がおありということを事前に入手いたしました資料で拝見させていただいております。その中で、訓練というところに重きを置いておられるのかなというふうに思っておりまして、防災訓練だったり防災教育、そして、一番興味があったのは学校防災のところで、クロスロードを使って教員に対しての訓練というか教育をやっているところがすごく興味がありました。  それから、災害対策本部の訓練なんかもやられているというところで、こういった訓練ソフト対策で、今、小池参考人からも各自治体のどういう連携をするんだとかというところが大切だというところを御答弁いただきましたけれど、そこに物すごく私はこの訓練というのが役立っていくんではないかなというふうに思っておりますが、その点について首藤参考人の御所見をお聞かせいただければと思います。
  32. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 御質問ありがとうございます。  訓練自体はいろいろなやり方がございますけれども、私どもがお勧めしておりますのは、単に体を動かして例えば避難行動を取るというような訓練ではなくて、いろいろな情報を基に考えるという訓練をお勧めしております。  やり方として、例えば、いろいろな部局の方が集まって災害対策本部を模擬する形でディスカッションをするですとか、そういった形で訓練をすることによって、いざというときにどんな情報が出てきたら何を考えなければいけないのか、そしてどうやって意思決定をしなければいけないのかというような、そういうような訓練をすることをお勧めしています。  また、先ほど御紹介いただきましたクロスロードですけれども、こちらはクロスロードという防災ゲームの手法を使いまして、こちらの方は、一筋縄ではいかないということを学ぶといいますか、災害時に十分な情報がなくて、どちらが正しい選択肢か分からないという状況をあえてつくって、どちらを選ぶかというような二者択一の検討をしていただく訓練手法でございます。それによって、災害時、十分でない情報の中でいかに人々がコミュニケーションを取って、できるだけ議論をしながら意思決定をしていくかということを学ぶ訓練手法でございまして、こういった訓練手法を重ねることで、いざというときの人々の判断がうまくできるのではないかと思います。  加えまして、いろいろな立場の方によって違う意見があるということもクロスロードで学ぶことができますので、先ほどおっしゃられた部局間の連携ですとかそういったものにも役に立つのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  33. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  もう一問だけ首藤参考人に。  今の参考意見を聞かせていただいて、私も地方議会の議員出身なんですが、この訓練というか、自分自身行動に置き換えるというところで、特に地方議会の議員さんがどのように行動をしていった方がいいのか。今は国会議員の立場でございますので若干地方議会と成り立ちが違いますが、我々国会議員も含めて、多分訓練、図上訓練をしたことがない議員がほとんどだと思いますので、自分がそのときどのような行動をしていった方がいいのかというようなところ、議会人に対して何かアドバイスがありましたらお聞かせいただければと思います。
  34. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 大変難しい御質問でございます。  私どもも、市町村お手伝いをしている中で、災害時に議会との関係をどうしたらいいかということは時折御質問を受けることがございます。  災害時、議会が何をやるべきかということは、私が存じ上げる範囲では、必ずしも明確に決まっているわけではございません。  ただ一方で、こう申し上げたらなんですが、行政の職員の方の立場からすると、災害対応で忙しい中で議員さんの面倒までなかなか見れないというのも本音でございまして、私どもがお勧めしておりますのは、議会としての災害対応マニュアルをお作りくださいということをお願いしております。いざというときにどんなことを議員がやって、どうするのかと。市町村によっては、災害対策本部会議の中に議員の方もオブザーバーとして入るということをその結果として決められた市町村も存じ上げております。  議員さんの災害時の役割、まだ明確でないところもありますけれども、行政と御相談いただいていろいろ考えていただければ必ずいい役割があるのではないか、重要な役割があるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  35. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  そうなんです。どこの災害を受けたところの自治体に行ってお話聞くと、やっぱり議員が一番面倒くさいんだという本音の話を聞きますので。国会もそういった対応をきちんと、成り立ちが違いますので国会は別なのかもしれませんが、しっかり議員の方も自覚をしながら災害対応をしていかなければいけないのかなというふうに思っております。ありがとうございます。  続いて、嶋津参考人にお伺いしたいんですが、嶋津参考人には、治水河川対策のところで耐越水堤防の重要性を説かれておりまして、先ほども言及がございました。  私も、地元で、東日本台風で越水破堤をした堤防の現場を見に行きまして、やはり堤防の重要性というのを再認識をしたところなんですが、今まで封印をされていたのがやっと千曲川でというようなお話もございました。改めて、この耐越水堤防の重要性について御認識をお聞かせをいただければと思います。
  36. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  先ほども触れましたけれども、この耐越水堤防、これは比較的簡単な技術であります。旧建設省土木研究所が一九八五年頃に開発したものなんですね。実際に八河川で実施されました。その成果に基づいて、二〇〇〇年の四月だったかな、まだ国交省に変わる直前ですけれども、建設省は通達を出して、この耐越水堤防を進めようという通達を出したんですね。ところが、その二年後にその通達が撤回されてしまうんですよ。それから約二十年間眠ってしまっているんですね。  その間何があったかということなんですけれども、想像の域になりますけれども、ちょうど川辺川ダムの是非が二〇〇〇年に議論されまして、どうもこの耐越水堤防を導入すると川辺川ダムが造りにくくなるんじゃないかという話で撤回されたんじゃないかと思うんですね。  今回ようやくこれが日の目を見たものですから、是非この耐越水堤防を普及するようにお力をいただければと思っております。
  37. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  それでは、もう一問、小池参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  ハザードマップについて、近年の災害を受けて整備が進んで、様々なハザードマップができ、それを重ねるところまで今来ているんですけれど、やはり何というんでしょう、紙ベースのハザードマップを見ても分かりにくい、それから、ホームページなんかにある動画系というかシミュレーションの関係のハザードマップを見ても、操作できるというか、それが実際どう動いてというところがアクセスできる人が少なかったりという、あるのは知っているけどなかなか内容が理解できないという方がたくさんいらっしゃるというのが私は現実だと思っておりまして、情報も、たくさんあるとどう整理したらいいのかなというところに行き着いてくるんだと思うんですが。  被害者になり得る人たちがそれをどういうふうに自分事としてすんなりと認識できるのか、何か、小池参考人の中で、被災者になり得る方がすっと入っていくようなハザードマップというか、自分事と考えられるような手法があればお聞かせいただければと思います。
  38. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 今議員からお話のあったことは非常に重要で、七ページございますけれども、私どももそういう研究を重ねております。  まず第一は、我が事感、先ほど首藤参考人からもお話ししましたが、これを持っていただくことで、自分の土地の情報で感じられるようなものをいかに昨今のITの技術を使って相互にお伝えするか、対話していくかというような科学技術が今どんどんつくられつつあります。私自身は、ここにあります③というところに、一番上の③というところに、これはある中山間地での事例ですけれども、避難勧告が出てすぐとそうでないとき、自分が避難所まで行くとき、どんな風景の違いがあるのかというようなことを自分で体験してみるというようなものをつくり始めて、いろいろな方の御意見を聞きながら、これをいかに全国に広めていくかということを研究しております。  そういうような中で、一つ大事なのは、こういう科学的な情報地域人たちに分かりやすくお伝えする、これは対話を通して、それは、私どものような大学の教員ではなくて、もっと地域に根差した方々がこういう科学的な情報を対話を通して分かりやすく日頃からお伝えしておくと、そういう人たちが今いないんですね。そういう人材育成というのが私は非常に大事であると思っています。  先ほど市町村のお話もございましたが、やっぱり市町村の部局間の連携にも、ある非常に優れた市町村のところにはそういう方が、ぱっと光るような人がたまに、たまにと言うと変ですが、少しいらっしゃるんですけれども、でも、なかなかそういう人材が十分でないというのが大きな問題であるというふうに思っております。  そういう意味で七番に人材育成というのを書かせていただきましたが、今議員から御指摘のあったことも、科学技術サイドで進めることと、それをつなぐ役割の人材育成というものにやはり私どもは力を加えていくべきだと思っております。
  39. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございました。終わります。     ─────────────
  40. 江崎孝

    委員長江崎孝君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、竹内真二君が委員辞任され、その補欠として高瀬弘美君が選任されました。     ─────────────
  41. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は、小池参考人首藤参考人嶋津参考人、お忙しい中貴重な御意見を賜りましたこと、心より感謝と御礼を申し上げます。  私自身、昨年、この参議院の災害対策特別委員長を一年間させていただきました。様々な災害現場に理事の先生方と一緒に、災害が落ち着いてからですけれども、現場の方も幾つも見させていただきました。  やっぱり正直、この最近の災害の状況を考えると、やはり水災害が非常に多かったです。ただ、この水害というのは、当然、地震とは違って、やっぱりある程度準備はできるものだというように思っておりまして、そういった意味では、今回の法改正によりまして総動員で、特定の手段というよりかはあらゆる手段を講じてこの災害を防止をしていく、もう非常に大事な法案だというように思っております。今日いただいた御意見も踏まえて、しっかり法案審議も進めてまいりたいというふうに思います。  その中で、まず小池参考人にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  先週、この国土交通委員会の理事会メンバーで視察をさせていただきました。鶴見川の遊水地、治水緑地ですかね、拝見させていただいて、やはりこういった事前の準備、いざというときにやっぱり対策を取れる施設があるということは非常に重要だということを痛感をしたところであるんですけれども、ただ、これが整備される経緯をお伺いしておりますと、やはり相当時間が掛けて取り組んできたことで、何十年も掛けて整備が進んでいくということで、なかなか、この遊水地というのは非常に大事なんですけれども、やっぱり供用に至るまでというのは非常に長い時間が掛かってしまうものなんだなということを実感をしたところでありますけれども。  ただ、災害の激甚化というのはそれ以上のペースで進んでいるんではないかというように思いますので、こういったハードをしっかりと造っていくために、やはりこれまでのペースだと私は遅いんではないかなというふうに思うんですけれども、その辺り、ハード整備に向けた、何ですかね、スピードアップできる何か工夫等ですかね、逆に言えばどういった課題を乗り越えていかなきゃいけないのか、そういった点について御所見があれば是非お伺いできればと思います。
  42. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 大変重要な視点、二点の側面からお答えしたいと思います。  一点は、この中で、私の資料の五ページの下の図になりますが、①の氾濫をできるだけ防ぐというところがございます。ここに今回いろいろな、赤からピンク色で書いてあるところが今回御審議いただいている各法案の項目に関連するところですが、こういうハードの整備と、それから、それを実施していくときに、先ほども御議論いただきましたが、部局の連携を進めながら相互に接続していく、例えば、河川と下水の間にある樋門をどういうふうにうまく運用していくかと、こういうようなこの接続部の審議というもの、それは都道府県管理の河川と国管理の河川の接続部、土砂河川の接続部、こういうところをきちっと整えていくということが第一点としてございます。  それから第二点は、先ほど議員が日産スタジアムのことをお話しいただいて、鶴見川の歴史を見ていただいたこと、大変有り難いと思います。非常に長い時間を掛けて流域全体で取り組んできた、この名前は総合治水と言っておりましたが、日本のこういう都市河川に対する大きな歴史的な私は偉業だと思っています。ただし時間が掛かると。そのときに、あの日産スタジアムを地域の人が見てどう思うかということですが、やっぱりあそこでラグビーが、試合が行われ、世界に広まり、やっぱり誇りになっているんですね。要するに、地域の誇りになる、あるいは地域の魅力になるような土地の利用の仕方とこの治水政策をうまく連携させていく。  治水といいますと、防災・減災という負のものをゼロにすることが重要なわけですが、更にそれをプラスにしていくような開発環境を、先ほども、最後はちょっと時間がなくて駆け足で申しましたが、七ページの一番下にあります、現在パブリックコメントが行われております第五次の社会資本整備重点計画の中では、それぞれの重点計画の連携を考えていくと、それは、防災と例えばグリーンインフラであるとかコンパクトシティーとか、プラスを生み出すものと連携していくということで、こういう発想を、国はもちろんですが、都道府県、市町村までお持ちいただくような政策推進というのが重要になってくるんではないかと思います。  以上です。
  43. 杉久武

    ○杉久武君 大変貴重な御意見いただきまして、本当にありがとうございます。  私の地元は、私は大阪が地元になりますけれども、やはり大阪も、寝屋川流域というのは内水氾濫が過去からずっと続いている地域でありまして、私の地元にも治水緑地公園というのが、大規模なものがありますけれども、そこもやっぱり日頃はいろいろな催物とか市民の憩いの場となっておりまして、非常に市民の理解が得られているのではないかなというふうに思いますので、今いただいた御意見参考に、しっかり推進できればというふうに思います。  続いて、首藤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  ソフト面の対策という中で私も非常に大切だなと思ったのが、リスク情報に関するコミュニケーションのところだというふうに思います。先ほどおっしゃっていただいたように、やはりプッシュ型でしっかりと伝えていく、取りに行くのではなくて、ある意味強引にでもしっかり情報を与えていくということが非常に大切なのではないかなというように思っておりますけれども、それに関連して、二つの角度で御質問をしたいというふうに思います。  一つは、やっぱりデジタルに弱い方々に対して、先ほどスマートフォン等でというお話がありましたけれども、やはりなかなかそういうデジタル機器を使いこなせない方々、こういう方々は、例えば、そういう方々の中には、逆に避難のときに一番配慮が必要な方かもしれませんので、そういった方にどうコミュニケーションをしていくのがよいのかという角度と、あとは、当然、自分の住み慣れた地域リスクに、災害リスクに遭遇をすることもありますけれども、移動先で災害リスクに遭遇することもあります。そういったときに情報を受け取る仕組みが必要だと思うんですけど、その辺りについて御所見をいただければというふうに思います。
  44. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 御質問ありがとうございます。  まず、一点目のデジタル機器に弱い方への情報提供ということでございますけれども、もちろんデジタル機器が使えればそれにこしたことはありませんが、そのほかにも様々な方法があるかと思います。  私が存じ上げている範囲では、例えば、三陸地方の沿岸、古い時代に大きな津波を何度も経験しておりますので、町の商店街の軒のところに、何年の例えばチリ地震津波はこの高さまで来ましたというところがあちこちに掲示があったりというようなことを拝見しておりました。そのような形で、日々の暮らしの中で人の目に付くところにいろいろな掲示をする、そのような形でここにこんなリスクがあるということをお知らせすることはできるかなというふうに思います。  加えまして、そういった方々であればこそ、いざというときの支援が必要な方ということでございますので、御存じだと思いますが、そういった避難行動支援者に対して個別の避難計画を作ってお手伝いする方を設定するという動きも、徐々にではありますけれども進んでおります。そういった隣近所ですとか地域の中でお手伝いくださる方の力をうまく活用して必要な情報を届けていくということが一つの手段かなというふうに考えます。  それから、二点目の移動先、例えば御旅行先ですとかそういったところでの情報でございますけれども、その点については大分状況が進んできているなというふうに私自身は思います。  今は皆さん携帯電話をお持ちですので、例えば、その地域に特化した形で全ての携帯電話に情報が行くような緊急のメールのシステムもございますし、今多分実用化されつつあると思いますが、その地域災害情報を、そのアプリを入れたスマートフォンをお持ちですと行ったときに教えてくれるような仕組みも開発されてきております。そういった形で、慣れない場所でもいろいろな情報を得られたり、あるいは避難場所はどこかということも分かるような仕組みができつつありますので、それをいかに普及させて皆さんが使えるようにしていくかということも大事ではないかというふうに考えます。  以上でございます。
  45. 杉久武

    ○杉久武君 貴重な御意見ありがとうございます。  ちょっと今お話しいただいた中に関連して、個別避難計画のお話いただきました。ちょっとこの法案とは離れますけれども、今まさに参議院で審議しております災害対策基本法の中で、今般、この個別避難計画市町村の努力義務化ということになります。私も、先月の予算委員会でこの件の質問を大臣にいたしまして、対象者が二百五十万人ぐらいいらっしゃるんですかね、相当な数のこの個別避難計画対象者がいると思います。これを実効たらしめるにはいろんな、いろいろ予算も含めて考えなきゃいけないところはあるんですけれども、首藤参考人の御経験の中で、やっぱりこの個別避難計画を一日でも早く整備するために何か御助言等ございましたら御意見いただければと思います。
  46. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) ありがとうございます。  個別避難計画は非常に大事なものではあるんですけれども、実際に作成をなさっている市町村の現場ではすごく苦労されています。やはり市町村の防災部局と福祉部局がまず連携しなければいけないということ、それから、具体的に要は支援をされる方を決めていく必要がありまして、それをどなたにするのかということが御苦労されているところでございます。  残念ですけれども、それにこうすればいいという万能策はございませんで、地域の実情に応じて丁寧に議論しながら作っていくしかないと思っております。それに対してできることといえば、やはり市町村の職員の負担が非常に大きくなってしまいますので、そこに専門的知見ですとかマンパワーを少し掛けられるような支援があればいいのではないかというふうに考えます。  以上でございます。
  47. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  最後に、嶋津参考人にお伺いをさせていただければというように思います。  ダムは万能ではないということで、今日お話がございました。確かに、ダムだけで治水が当然できる、対策が全てできるわけでは私も決してないというふうに思っております。  先ほど、私の地元は大阪とお話ししましたけれども、今大阪でも進めているのが地下河川の整備であります。やはり水の逃げ道をつくっていかないと、これなかなか、すぐ内水氾濫が起きるという中で、私も立て坑を下りて工事現場等もこれまで何度も見てまいりましたけれども、もし地下河川について何か御所見がありましたら教えていただければというふうに思います。
  48. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  地下河川、そんなに詳しくないですけれども、あくまで大都市に限られる話ですよね。大変お金が掛かります。もう普通の河川なんかの改修なんかに比べれば、千億とか二千億、それくらい掛かりますからね。そうどこでもできるものではないということで、だから、東京とか大阪とか、ほんの一部の都市のところに限られるということですね。  だから、そこはもうやむを得ず、ほかに手段がないから降水をためられる地下河川を造るということで、もう何千億という金を使っているところがありますよね。それは必要なことなんですけれども、どこでもできるものではないということで、ほかのところで地下河川に頼らない方法をやっぱり考えるべきじゃないかと思います。  以上でございます。
  49. 杉久武

    ○杉久武君 貴重な御意見ありがとうございました。  時間になりましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございます。
  50. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 室井委員の質問の前なんですけれども、先ほど、杉委員から鶴見川の総合治水の話が出ました。そして、小池参考人から日産スタジアムのお話が出ました。  先週、理事会でこの鶴見川の視察に行ってまいりました。あの地域は、洪水時には自動的に越水、あえて越水をさせて一定程度の面積に水をためるという総合治水ができ上がっていまして、それに合わせて日産スタジアムは、事前にかさ上げした柱で、無数の柱でかさ上げして事前に造られているという状況を見させていただきましたので、委員皆さん参考になるかもしれませんので、理事会しか行っていませんので、そういう話が今出たということでございますので、お含みおきをいただきたいと存じます。  それでは、質問に入らせていただきます。
  51. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 参考人の先生方には、大変御多忙中のところお時間をいただきまして、本当に心から感謝と御礼を申し上げます。よろしくお願いを申し上げます。  私の方は、三名の参考人の先生方に同じ質問をさせていただいて、それぞれの先生方の御意見を御拝聴したいなというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  粗筋、私の質問は、治水対策における合意形成の進め方と政治判断の在り方について触れさせていただきたいと思います。  先ほどから球磨川流域のこの豪雨の話が出ておりますが、私も同じ部分を触れさせていただきますが。  この球磨川流域において未曽有の災害となって、この球磨村の特別養護老人ホームにおいて十四名の尊い命が奪われたということでありまして、熊本県の蒲島知事は、御承知のとおり、二〇〇八年に川辺川ダムの建設を白紙撤回をされたと。ダム以外での治水安全度の向上、いわゆる環境安全を強く意識をした緑の流域治水の実現に取り組んできたと承知をしておりますけれども、豪雨災害を受け、一転してダム推進に方向転換をされたというふうにお聞きをしております。  そこで、この豪雨に対する治水対策、もう繰り返し想定外の被害がもたらされておる中で、想定外の災害に備えるため、防災・減災対策の合意形成、この進め方と先ほど申し上げた政治判断の在り方について、それぞれ参考人の先生方がどのように感じ、受け止めておられるのか、お聞かせいただけないでしょうか。  小池参考人からお願い申し上げます。
  52. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) 私は、学識経験者としていろいろな施策の選択、合意形成に関わらせていただきましたが、手短に一点御紹介いたします。  新潟県のある川で、氾濫が非常に起きているところで放水路を掘るという案が出されました。ところが、放水路を掘る先は全く水害と関係のない古くからの集落があるところで、そこを百メートルの放水路が分断するんです。そこで、その地元から反対が起こりました。それに関して、私はたまたまそこの流域委員会の委員長を務めておりましたので、その合意形成を進めるという努力をしました。  結局は何かというと、地域、その地域だけじゃなくて流域全体の皆さんが、被害を受けるところ、分断されてお困りになるところ、そのところの状況をよく理解していただいて、地域全体で物を考えていくという体制をつくることを私はサポートさせていただいて、流域全体どうあるべきという基本文書ができて、それに従って方策を、その具体の方策を皆さんで考えていただくということを進めました。それによって地域はこの放水路を受け入れるということをお決めいただいて、それには長い時間が掛かりました。それが私が学識経験者として進めたことでございます。  政策的に、あるいは政治的にというところは、なかなか私自身がそういう立場にないものですから御提言することはできませんが、学識経験者としては、そういう手法をもって合意形成を進める、そういう蓄積はございますので、是非政策をお決めになる方々と御一緒に、球磨川の件に関しても考えていければと思っております。  以上です。
  53. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 御質問ありがとうございます。  私自身は、そういった大きな公共施設の合意形成の場に直接関わったことはございませんので、私の専門の分野に近いリスクコミュニケーションの領域で何と言われているかを中心にお答えしたいと思います。  恐らく、リスクコミュニケーションという言葉、多分ここ十年、十五年、随分はやってきておりますけれども、そこで一番言われている重要なことは、コミュニケーションなので、一方的な情報提供ではなくてお互いに双方向で情報提供し合うこと、そして、一方が意見を変えるのではなくてお互いに意見を変えていくということが大事だということです。ですので、いろいろな形で合意形成をしていく中で、お話合いをする中で、関係者だからこそ別な視点があって違う知恵が出てくるということもあるのではないかと思います。  実際に私が身近に拝見した例では、ちょっと分野は違いますが、雲仙・普賢岳の噴火災害で、土石流が流れてくるために警戒区域が設定された地域がありまして、そこはもう恐らく砂防の世界からするととても住めない土地だったのですけれども、住民方々がどうしてもそこの土地に戻られたいということで、いろいろな工夫を重ねて、土石流が流れてきた川の流れてきた土砂を捨てていただく形で盛土を造って、そこに住まいを建てられる土地をかさ上げして造ったという事例がございました。それも、行政の方々、砂防の工事をされる方々住民が話し合う中でそのような知恵が生まれてできたというふうに伺っておりますので、やはりいろいろな施策を進めたいと考えられる側、そしてそれに抵抗感のおありのある方がよく理解をし合って、互いに知恵を出していくという形でいい案をつくっていくような、そんなような進め方がいいのではないかと思います。  以上でございます。
  54. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  この合意形成といいますか、これから流域治水を進めるに当たって非常に重要であります。  本来、この河川法が一九九七年に改正されて、そこで河川行政の進め方は、これは流域住民意見を十分に反映することになったはずなんですね。当初は結構これが行われたところもありました。その一つが先ほどお話があった川辺川ダムですね。川辺川ダムの是非をめぐって住民討論集会が開かれました。国交省も入って住民側も入って、知事主導で進められたわけですね。徹底した議論をした結果、どうも川辺川ダムは要らないんじゃないかということのそういう意向を受けて、蒲島知事は、二〇〇八年でしたか、中止宣言をしたわけであります。ところが、今回の豪雨を受けて、急に変わってしまったんですね。非常に残念ですね、私としては。それも、短期間で意見は一応聞いたんだけれども、聞いただけで議論をする場がないんですね、本当に。ここではそこら辺で。川辺川ダムが本当に必要かというと、かなり私は疑わしいと思っております。  ちょっと話が行きますけど、横へ行ってしまいますけれども、今回の球磨川の氾濫は支流の氾濫であって、川辺川ダムがあってもこれは防ぎ得ないものだと私は思っています。そういうことの議論をちゃんとしなきゃいけないんだけれども、そういう場もないんですね。ということで、蒲島知事がもう短期間で、もう数か月もたたないうちに川辺川ダム推進という方向になってしまったんですけれども。  やはりこの今回の流域治水推進するに当たっても、流域住民意見どう反映させるか、議論する場がちゃんとつくらなきゃいかぬということですよ、徹底した議論の。そういう場を設けるよう、是非この委員会でもそれを図っていただければと思っております。  以上でございます。
  55. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  それでは、続いて小池参考人にお聞きをしたいと思います。  治水対策に対する科学、また技術の貢献度、貢献についてということなんですが、大規模自然災害からの避難行動住民は常日頃から科学的知見を平易に説明する対話機能を持ち、科学技術に対する住民の信頼感を醸成する必要があると、大変示唆に富む御意見だと思っております。  そのようなお考えの中で、この今回の災害レジリエンスですね、レジリエンスと持続可能な開発の実現のためには科学者コミュニティーと社会の間の触媒的存在が必要と先生は、参考人は説かれておられるわけでありますが、流域治水対策を実現していく上で、今後社会全体でどう取り組んでいくべきなのか、どう取り組んでいけばいいのか、その点を是非御指導をして、お聞かせいただければと思います。
  56. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) ありがとうございます。  私の過去に書きました文献も読んでいただきまして、非常に重要な視点を御指摘いただきまして、本当に有り難く思います。  先ほども申しましたが、近年の科学技術の発展、これは一つは、これまでと違うところは、いろいろな分野が連携して統合的な科学の知をつくり上げていくという枠組みが随分推進できてきております。分野を超えて科学の知がITの力を使いながら統合されていく、こういう科学の知をどうやって住民人たち効果的に使う枠組みをつくるかということが大事で、防災の場合にはそれが不可欠だと思っております。  先ほど来議論がありますように、地震はなかなか予知ができない、水災害は予測ができます。そうしますと、それだけ前もって行動できるわけです。それをいかに、そのメリットをいかに使っていくかというのはやはり科学技術の知見で、この資料の六ページにも書いておりますが、そういうものを効果的に使いますと、ちょっと言い方が難しいかもしれませんが、この緑色のは夢のようなダム操作です。洪水を止めて、発電でもうかることができる、もうけることができるというようなものですし、六ページピンク色のところに書いてあります野越しという伝統的な科学技術ですが、今の科学技術を使ってこういうような制御ができるようになると。そうすると、これは、それを地域方々がどういうふうに使っていけるかというところを、先ほど来御指摘いただいている触媒的な存在の人材育成というものが不可欠になってきます。  これは、実はその参考文献にも書いておりますが、日本学術会議の中で、この防災全般に対して、こういう統合的な科学の知をつくることと、それを市民の皆さんと分かち合いながら、コミュニケーションを通して分かち合いながら使っていただける形にする、これはファシリテーターという名前で呼んでおりますけれども、この二つが大事であるという提言を昨年の九月に出させていただきました。それを基に先ほどの文献もこの資料も書かせていただいておりまして、人材育成というものが、特に市町村、基礎自治体における支援人材育成が私は不可欠だと思っております。  以上です。
  57. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  それでは、首藤参考人に、もう時間がございませんので、自然災害の検証の在り方についてお聞きしたいんですが。  この自然災害による被害事故調査型検証の必要性を説かれておられるわけでありまして、内閣府の中央防災会議においても、この大規模自然災害に対する原因調査、また再度災害の防止に向けた検討が行われているということは聞いておりますが、今後この災害対策の強化のための検証、どう取り組んでいくことが大切なのであるのかどうか、御所見をお聞かせをください。
  58. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 御質問ありがとうございます。  自然災害対応についての検証はまだまだ緒に就いたばかりでございまして、決して幅広く行われているわけではございません。ただ、私は、元々、事故調査という形で事故の際の分析、原因分析と再発防止対策についても関わってまいりまして、そういった分野でよく言われていることは、事故調査ですとか検証の場合には、関わった方々の責任追及ではなく、再発防止を目的とする必要があるということは強く言われています。  事故災害に関わったときに人々は、ごくまれにとは言えませんね、よく判断を間違ったりですとか行動を間違ったりいたします。それを責任を追及するという姿勢で検証いたしますと、なかなか本当のことが言えなかったり、やはり責任追及につながってしまうのであれば詳しいことは言えないというふうな形になってしまいまして、何があったのかということがはっきり分からなくなってしまいます。そうではなくて、この目的は、何が起こったのかを明らかにして、どこに問題があったのか、誰がではなくて何が問題だったのかを明らかにして、今後どうしたらいいのか、それが防げるのかということを求めていくものだという、そういうような位置付けで検証を行うということが非常に大事ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  59. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 嶋津先生に準備していたんですけれども、私の質問、五十一分ということで、申し訳ございません、また今度の機会に、既設ダムについてお聞きしたかったんですけれども、機会をまた見付けてお聞きしたいと思います。失礼いたしました。  終わります。
  60. 浜口誠

    ○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。  今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。大変貴重なお話をいただきまして、今後の質疑にしっかりつなげていきたいと思います。本当にありがとうございます。  まず最初に、小池参考人にお伺いしたいと思います。  まさに今回の流域治水、全員野球で、流域に関係する皆さん治水を図っていくということだと思います。そのためには、国も都道府県も市町村も企業も住民皆さんも連携取りながらやっていくということが大変重要だと思いますし、また、流域治水は、あえてあふれさせる場所をつくって流域全体で水を受け止めていくと、こういう考え方に立っているんじゃないかなというふうに私自身は理解しているんですけれども、そういう中で、上流域とか中流域で例えば水田とか農地で水を受け止めたときに、その農地の農作物等に被害が生じる場合も、これケースによってはあるんではないかなというふうに考えております。そのような場合に、その被害を受けた農地、農作物に対しての補償の考え方について小池参考人としてどのような御所見があるのか、お伺いをしたいと思います。
  61. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) まず第一点目、二点ちょっと申し上げたいと思います。  一点目、先ほど私が資料の六を使って、計画を超えるような流量が来たときにこぼしながら洪水をやり過ごすということを申し上げましたので、これは一つ研究事例として申し上げましたが、あふれさせることが前提かのように誤解を与えるといけないと思いまして、これは一つ研究事例であるということで、いろんな施策を総動員し、その中から地域で受け入れられる案を作っていくということが重要であることをまず申し上げさせていただきます。  その中で、農地ということになった場合に、農地の場合は、被害が出る水深と被害が出る期間、排水までに要する日数ですね、これが鍵になります。それをどういうふうに私どもが制御できるかということを念頭に置きながら、農地の方でどうやって制御ができるか。要するに、氾濫させるのではなくて、農地に水をためて出さなくする手法というものが今田んぼダムという形でできてきておりますので、そういうものをまず活用させていただくということが第一だと思います。  先ほどのこの六ページにあります野越しというような、要するに、切り欠きを作って、計画の水よりも高いところがある、特定のところへ落とすというようなものが仮に選択された場合には、そこは、その地域に対しては、そういうことを地域で合意するという前提の下に、地域対応策を、いろいろな補償も含めて考えていくことになると思います。  そこを農地のまま使うのか、あるいは先ほどのグリーンインフラとの関係でいわゆるエコロジカルな場に戻していくのか、いろんな施策が考えられると思いますが、農地のまま残すということになれば、そこに関わる被害については、地域全体でどうやってそれを補償していくかを考えていく必要があると思っております。
  62. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  まさに参考人言われたように、地域全体でしっかりと合意形成を図っていくというのが非常に大事だなというふうに改めて認識をいたしましたので、また、委員会の中でもそういった観点での質疑も深めてまいりたいというふうに思っております。  もう一点、小池参考人にお伺いしますけれども、今回ハザードマップを作る河川、従来は全国で約二千河川ということですが、今回の法改正で、中小河川も含めて一万七千河川まで広げていくということになっておりますけれども、一方で、我々の懸念は、自治体側がその一万七千河川ハザードマップをしっかり作れるだけの人的な対応ができるのかどうか、その辺が結構課題になってくるんではないかなというふうに認識をしております。  そんな中で、国等の支援として具体的にどのような支援策が効果的なのかという点に関して御所見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  63. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) ハザードマップを作るためには、雨の解析と、それから、水が流れてくる、流出モデルといいますが、それが氾濫していくプロセスまで含めた解析が必要で、自治体の方々がすぐできるようなものではございません。ですから技術的なサポートが必要ですが、こういうものをパッケージにして多くの皆さんが使える形にもう既になっておりますので、比較的それほど多くの、多額のコストを掛けずとも、ある一定の領域のハザードマップは作ることが、の原型は作ることができます。  ただし、最後のプロセスといいますか、地元の方々がそれを地元のハザードマップとして認定するためには、単に計算しただけではなくて、それを地元の地図の中にちゃんと落とさないといけないわけで、そういう作業のところを昨今のGIS等の技術を使ってサポートすることは十分に可能であると思います。  もう一方で考えますと、このハザードマップ、雨の解析からそういう浸水域の、氾濫域の分布まで出すものを作ると、この一万七千に関して、洪水水位の周知、あるいは洪水の予測もこれから考えていくことになります。そうしますと、そういう基盤がありますと、氾濫の予測という段階までまた進めることができます。中小河川の場合は、先ほどの気候変動のところで申し上げましたが、狭いところに強い雨が降りやすくなりますので、中小河川氾濫というのはこれからますます増えていくと思いますので、こういうところの対策の強化というものは、科学技術も総動員しながら、地域方々と一緒にやっていく必要があると思います。  以上です。
  64. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。  続きまして、首藤参考人にお伺いしたいと思います。  参考人の方から、人の行動は簡単に変えられないと、まさにそのとおりだなというふうに、自分に置き換えても感じるところはあるんですけれども、その一方で、やはり我々住民側も災害ですとかリスクに対する意識、感度というのをやっぱり高めていかないといけないなというふうに思っているんですけれども。  今回の流域治水は、まさに住民側にも、行政任せではなくて、自分の住んでいる地域がどういうリスクがあるのか、水害に対してですね、どんなエリアなのかということを自らがやっぱり調べるぐらいの行動を示さないといけないのかなというふうに思っているんですけれども、そういった住民側の意識、感度を変えていくためにやっぱりこういうことが大事なんだというような御所見がありましたら是非お聞かせいただきたいと思います。
  65. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 御質問ありがとうございます。  なかなか難しいということを最初に申し上げてしまったんですけれども、私自身も、住民側の意識が変わっていく、意識や行動が変わっていくことは非常に大切だと思っております。  一筋縄ではまいりませんで、先ほど申し上げたように、いろいろな場面でそういった情報に触れる機会をできるだけ多く持たせるということ、加えまして、先ほども別な御質問の中で出ておりましたけれども、今まで、防災訓練ですとかそういったものは防災のための訓練しかしてこなかったんですが、そうすると、なかなか人々関心を持たずに集まりが悪いということが課題になっておりまして、最近ですと、何か楽しいイベントと一緒に合わせて訓練をするということを徐々に始まっております。  例えば、私がごく最近聞いた話では、十一月に津波の日がありますけれども、その津波の避難訓練に合わせて芋煮会をやると、避難していった集会所の先で芋煮をやるから一緒にやりませんかというふうな計画を立てていらっしゃる市町村があります。  そういった形で、地域のお祭りですとか楽しめるイベントと合わせながら防災について、安全について考える機会をつくるということも有効なのではないかというふうに考えます。  以上でございます。
  66. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  まさにいろんなイベントと組み合わせて参加率を上げるというのも意識を変えていただくための第一歩かなというふうには感じますので、ありがとうございました。  では、続きまして、嶋津参考人にお伺いしたいと思います。  今日は、滋賀県の条例を基にいろいろお話もいただきました。その中で、地先の安全度マップについて、降雨量の規模に応じて、滋賀県、三種類のマップを作っておられるということですけれども、この降雨量の規模に応じて作ることのやはりメリットというか利点について改めてお伺いしたいなというふうに思います。  一方で、やっぱりその三つのマップを作るというのは、それだけ工数が掛かるというか時間も掛かるんではないかなというふうに感じるんですけれども、その点に対して何か御所見なり御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  67. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  こういう地先の安全度マップで三段階、滋賀県は作っているわけですけれども、それはもう、一つのこのモデルを作ってしまえば、降水量のデータの大きいの、小さいのを入れていくわけですから、そう手間なことではないと思います。ですから、三種類の地先の安全度マップを作ること自体はそれほど大変なことではないと思います。  ですから、ほかのところでも、是非、滋賀県に限らずほかのところでも、これはそういうプログラムさえあればすぐにできるものですから、是非こういうのを作って、こんなふうになるんだということを住民皆様に示してほしいと私は思っております。
  68. 浜口誠

    ○浜口誠君 では、続きまして、嶋津参考人に併せてお伺いしますけれども。  ダムは万能ではないというのはそのとおりですし、事前放流ですね、ダム事前放流できなかったケースもあるんだというお話、今日もしていただきましたけれども、このダム事前放流を、もっとこの実効性を高めるために、もう一歩踏み込んでこういうことができればこのダム事前放流のメリットは生かせるんだというような点で、もうダム事前放流自体が全く駄目だというスタンスなのか、もう一歩実効性を高めるためにここまでやったらどうかというような御提案みたいなのがありましたら是非お聞かせいただきたいと思います。
  69. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  どこまでやるか、なかなか難しいですけれども、事前放流でどこまでやるかというのは、それぞれ今回、その前に、先ほど申し上げましたように、国交省の指針によって動いていますよね。これを今回法制化したということで、既に、各ダムにおいてここまで事前放流をしますということは既にもう決まっております。その時点で、だからどの程度考えたか分かりませんけど、恐らく、その後の雨の降り方も考えて、ここまでやっても大丈夫じゃないかということでそれぞれを検討して、各ダムについて事前放流の仕組みは既にでき上がっております。  ですから、これを今回法制化したということで、それを実行していくということで、それ以上やるとなると、やはりその雨の降り方によって、事前放流したけれども雨が降らないと困るということもあり得ますので、その辺は、今のこの各ダムで検討した結果を取りあえずは尊重して、今後のまた実際にやってみた結果を見てまた変えていくべきことではないかと思います。
  70. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  では、続きまして、首藤参考人にもう一点伺いたいと思います。  リスクと共生する災害文化の醸成というのも大事じゃないかというお話もありました、今日も事例を交えて御説明いただきましたけれども。一方で、その災害リスクの高いエリアに住んでいると、人命は助かったとしても、家だとか財産がもうなくなってしまうというリスクと必ず向き合わなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういったときに、やはり家が流失したりすると、そこで生活している皆さんに対しての影響は甚大なものがあるというふうに思いますので、より安全な地域にやっぱり住んでいただくというのが長い目で見れば必要になってくるのではないかなというふうに感じるんですけれども、その辺に関して何か御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  71. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) ありがとうございます。  御指摘のとおりでして、危険な場所に住むということは、何らかうまく避難をすることで命は守ることができても、住宅ですとかそういったものは失うということを覚悟するということだというふうに思います。ですので、それを避けるためには、やはり移転していただくというやり方が一つの手段というふうに思います。今回、防災集団移転についてもやりやすくなるようにというふうに改正法案の方に含めていただきましたので、それが少しやりやすい方向で進むのではないかというふうに考えております。  ただ、防災集団移転事業というのはあくまでも一つの手法だというふうに伺っておりまして、ほかにも区画整理事業ですとかその他いろいろな手法が現在あって、それをいかにうまく使っていくかということが課題だというふうに伺っております。  いろいろな手法のメリット、デメリットがございますので、それをうまく、どのような場面ではどういうふうに使っていくと住民方々が納得できるような形で移転が進むのかということを是非専門家の力を借りて検討していただいて、地域に合わせた形で進めていただければというふうに考えております。  以上でございます。
  72. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。終わります。
  73. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。よろしくお願いいたします。  今日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございました。  まず、今回の法案で、各例えば河川管理者とかだけではなくて、いろんな関係者皆さんが一緒に流域治水について考えていくということが一つポイントだろうというふうに思います。その意味で、住民皆さんとともに議論をしていく、理解を深めていく、流域治水というものを、概念的なものですが進めていくことが大事だというふうに思っております。  これまでも、例えば河川整備計画などの策定をする際にも、この住民意見をしっかり聞いていきましょうということは強調されてきたと思うんですけれども、私、地元長野県でありますが、台風十九号の災害が発生をいたしまして、大変な被害が出ました。そういう経験からしても、必ずしも十分ではなかったのではないかと、その住民の理解、共に計画を策定していくということが、問題意識を持っております。  今回の関連法においても、例えば遊水地をどこに設けるのか、上流、中流、下流それぞれ事情もあるでしょうし、それぞれ土地の所有者の方ですとかそういった方も含め、いろんな思いがあるかと。ちょっとそんなことを念頭にしながら、この住民の理解をどう考えたらいいのかということについて、まず小池参考人嶋津参考人に伺いたいというふうに思います。
  74. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) ある計画を科学的な根拠を持って作り、それを実行しようとしたときに、その理解をどう進めるかというところ、理解というのは、正しい、賛成反対ではなくて、その仕組みがどうなっていて、どういうふうな効果があるかとか、どういうふうな逆にデメリットもあるかとかというようなことを御理解いただくというプロセスが不可欠であると。そのときに、私、先ほど来申し上げておりますけれども、その橋渡し役のような役割を担う方が現代社会の中にはなかなか十分いない、特に地方、市町村レベルになっていくと難しいというのを私は感じております。  そういう人材、具体的には、例えば地方大学の教員、研究者方々と一緒になってそういう役割を担う人材を増やしていくとか幾つか方策はございますが、あるいは市町村の職員の方でも、そういう意識のある方々と御一緒にそういう能力を高めていくような教育プログラムを作るとかそういうことをしないと、なかなか橋渡し的な、要するに科学的な、合理的な議論というところへ一歩進めない、感情的な議論に陥ってしまう可能性が高くなるのではないかと思っております。  以上です。
  75. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  本当に、この流域治水をどう進めていくかということは、これやっぱり流域住民の理解、協力、これが必要であります。ですから、今回、やはりこの河川法改正の、一九九七年に河川法改正されて、河川行政を行政機関が進めるんじゃなくて流域住民で進めるということになった、一応それが、そういうことが必要だということでこの河川法が改正されたわけです。河川整備計画の策定に当たっては、そういう意見を言う場がつくられるようになったわけですね。公聴会が開かれ、あるいはパブリックコメントが行われるということで、そういう制度的には住民意見を聞くようになったんですが、実際は、当初は結構各河川で議論がきちんと行われていたんですけど、今はもうかなり形骸化しまして、公聴会、パブリックコメント、形だけ行われるようになってしまったんですよ。それが本当に私はゆゆしき問題だと思っております。  今回、流域治水を進めるに当たっては、やはり河川法改正の原点に立ち返って、住民意見をきちんと聞く、例えば、協議会なんかつくって、そこで議論をきちんと行うと、意見を十分に言えるようにするということ。さらに、それだけじゃなくて、その協議会の議論が流域治水の在り方に反映されたかどうかということ、それをやっぱりチェックする、そういう機関も必要だと思うんですね。  ですから、是非、今回の流域治水推進に当たっては、単に流域治水で進めるということではなくて、流域住民意見をどう反映させるか、そういうシステムを同時に考えて法案化していければと思っております。
  76. 武田良介

    ○武田良介君 住民やあるいは関係する皆さんの理解という点で、首藤参考人にも一つお伺いをしたいというふうに思います。  先ほどの意見陳述の中でも、例えば活火山法なんかでも同様に避難計画を作っていかなければいけない、施設に対してまずその指定をするというところからうまくいかないというのが現実なんだというお話がありました。お話の中でも、その施設の側からすれば、そういった計画を策定するですとか、あるいは周辺の環境なども含めて理解を得ることが必要なんだというお話だったんだと思うんですけれども、自治体の側からすれば、先ほどもありましたような専門性をどう培うかという問題、あるいは人員体制がなかなか十分ではないという話があったかというふうに思います。  私も、最大の問題意識そういうところにありまして、そもそも、そういったものを指定していくというその最初の段階からうまくできない。現場の声といいましょうか、実態、具体的な例というところでもう一歩踏み込んで御紹介いただけると大変助かるかというふうに思うんですが、お願いします。
  77. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) ありがとうございます。  現場の声に耳を傾けていただいて、大変有り難く思っております。  市町村が例えば、避難促進施設活火山法の方では言いますが、そういった要配慮者利用施設をうまく指定できない理由として、様々なものがあります。  元々そういった施設関係者の方が決して火山防災とか火山災害関心がないということもあるでしょうし、あるいは、指定をされると観光施設なので非常にダメージが大きいという抵抗感があるということもお伺いします。また、市町村の側でもうまく説明がしにくいというところがありまして、やはり専門的な知見があるわけでもなく、一般の行政職員でございますので火山について詳しく説明ができないですとか、あるいは火山現象について詳しく様々な現象を御紹介できないですとか、そういったところがあるかというふうに思っております。  恐らく、洪水の場面でも、いろいろな洪水に関する現象があったりですとか、あるいはハザードマップ一つ取っても、これはある特定の、例えば仮にここが破堤したとした場合のハザードマップですとか、そういったハザードマップ意味を説明するのも非常に難しいですので、そういった形で、まず、どんなリスクがあるということが説明するところから難しいことになっているのかなというふうに思います。  その上で、それを理解していただいて、やるべきことをやるということを理解していただいて実際に実行に移していただくという場面では、やはり施設の方も、避難計画を作ると言われてもどう作ったらいいのか分からないですとかそういったことがございますので、今、国土交通省さんですとか、内閣府の方ですかね、モデル事業のような形で実際に避難確保計画を作るお手伝いをするような事業もありますので、そういったところで知見を積み重ねて、避難確保計画の作り方ですとか訓練のやり方を知見として広めていく必要があるかと思います。  加えまして、先ほど来コーディネーターというようなお話がいろいろと出ておりますけれども、コーディネーターを一番うまく育成して社会に根付かせていくためには、それが一つのお仕事として成り立つという仕組みが必要だと思います。  実際に、私の専門の分野では、心理学でカウンセラーというものがございますけれども、昔は、カウンセリング、心理カウンセリングに対して報酬というものが認められておりませんでした。それが診療報酬の中で位置付けられるようになってカウンセラーというものが普及したという事実がございますので、コーディネーターについても、きちんとそれが報酬のあるお仕事として位置付けていくことが大事ではないかというふうに思います。  以上でございます。
  78. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございます。大変参考になるお話いただいたかなというふうに思っております。  ちょっと重ねてもう一つ首藤参考人にお伺いしたいと思うんですが、私こういう問題意識持っているのは、例えば、しばらく前ですけれども、共同通信の方が自治体アンケートというのを取りまして、専任の、災害対応する専任の方が全くいないですとかあるいは一人というようなところが回答された市町村のうち三四%ぐらいだったかと承知しておるんですけれども、そういう体制がなかなか取れないということが報道されていたことも一つあります。  もう一方で、専門性を培っていくというときに、もちろん国の方も様々研修を行ったりですとかされているわけですけれども、これは以前からずっとやってきているけれども、なかなか、今おっしゃったような、理解を得るためにうまく説明ができないとか、なかなかそういった課題というのは解決してきていないのかなというふうに思うんです。  ですから、ここから例えば専門性を培うときに、人の配置というのはまたちょっとあれかもしれませんけれども、専門性を培っていくというときに、今やっている研修ということで本当にいいのだろうか、もう一歩何か踏み込む方策というんでしょうか、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  79. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) ありがとうございます。  行政の職員を対象とした研修の場合、やはり専門職としてまでを育てるというのは難しいと思います。行政の職員の方には異動がございますので、例えば防災担当になっても、数年でまた違う部署に異動されるということになると思います。ただ、もちろんそれは、そういった方々への研修も無駄ではございませんで、全体としてのスキルやノウハウの底上げをするという意味では重要ですし、実際に、とある都道府県ですとか市町村の中には、過去に防災担当になった経験職員はいざとなったら災害対応の中核を担うんだという形で、経験職員にそのような意識付けをしているところもございます。  望むべくはですが、それに加えて、やはり各市町村あるいは各都道府県に一つか二つの枠を設けて、防災専門職のような形でそういった職員を位置付けるようなことができればなというふうに思っております。これは、行政だけではなくて例えば学校現場でも、学校で安全対策をすることは昨今非常に重要になっておりますけれども、一般の教職員にそれを兼務のような形でやっていただくのは難しいと考えておりまして、防災や安全担当の方を一つ、お一方ずつでもいいので席を設けていただくというようなことが大事なのではないかというふうに思います。  以上でございます。
  80. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございます。参考にさせていただきたいというふうに思います。  嶋津参考人にもお伺いをしたいと思います。  こういう関係者の理解を得ていく、非常に大事だと思うんですが、先ほども、滋賀県の条例についてお話をいただきました。その滋賀県の条例を作っていく中で住民の理解がどう深まっていったのかというんでしょうか、どのように住民の議論がなされてきたのか、私たちはこの滋賀県の条例の策定からどういったことを学んでいったらいいのか、改めてお伺いをしたいというふうに思います。
  81. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 嶋津参考人、挙手をお願いします。
  82. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) ごめんなさい。  御質問ありがとうございます。  ちょっとこれは、できたのが、条例ができたのが二〇一四年ですよね。その頃は、随分滋賀県の中で議論が行われました、この流域治水どうやって進めていくかということ。それを踏まえてこの条例ができたわけです。条例ができた後もしばらくの間は、それをどうやって動かしていくかということで、随分各地域で、各流域ごとにそういう委員会をつくって議論が行われてきました。  ただ、ちょっと今、最近ちょっと情報がこちらへ入ってこないかもしれませんけれども、少しその辺の議論がしなくなってきているという危惧を持っております。それは、やっぱり知事も替わったからかなんて、そんなことを言っちゃいけませんけれども、そういう面もあるかと思っておりまして、流域、そこの治水対策というのは随分頑張っているというのを電話でお聞きするんだけれども、随分頑張っているんだけれども、なかなか限界があるようですね。  ですから、やはりトップダウンで流域住民意見をきちんと聞いていかなきゃいかぬという方向性を打ち出すことがやっぱり大事でありまして、今回の流域治水推進に当たっても、上からちゃんと聞かなきゃ駄目だという方向で持っていくように、この委員会でもその辺をですから働きかけをしていただければと思っております。
  83. 武田良介

    ○武田良介君 最後になると思いますが、嶋津参考人にもう一点お伺いしたいと思います。  そういう住民の声という意味で、私は長野県の、先ほど御紹介いただきました耐越水堤防というのが、十八年ぶりという形になるんでしょうか、造られるというふうになりました。やはり地域住民皆さんは、粘り強い堤防、決壊しにくい堤防、そういったものを求める声がありましたけれども、なかなかこれが広がってこなかった。これから更に広がっていくことを期待するというんでしょうか、決壊には至らなかったけれどもあと一歩というような堤防も同じ長野市内にありまして、そういったところも含めて、要望する声というのはずっとあったわけなんですけれども。  今後こういったものを広げていくことは私重要だと思っておりますけれども、広げていく上でどんなことが重要になっていくのか、御所見があればお伺いをしたいというふうに思います。
  84. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  これは、本当にもう国交省の姿勢いかんということなんですよね。既に技術的にも開発されて、実施例もあるということ、ただ、これが十八年間眠っていたわけですね。ようやく千曲川の決壊地点に導入されたということです。  完璧な工法ではありませんよ。それは、物すごく大きな洪水のときにこれが耐えられるかというと、それは分からない面もあります。しかし、かなり耐えられるということ、これは非常に重要であります。ですから、その耐越水堤防工法を用いて各堤防を強化していくことが是非とも必要なんですね。お金もそんなに掛かりません。  ですから是非これを進めていただきたいんですが、ようやくこの千曲川で十八年ぶりにできましたので、何とかこの耐越水堤防がもっと広がるように、是非働きかけをお願いしたいと思います。
  85. 武田良介

    ○武田良介君 時間が参りましたので、終わりにさせていただきたいと思います。  今日は、参考人皆さん、ありがとうございました。
  86. 木村英子

    ○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。  本日は、参考人の先生方のお話をお聞きする機会をいただきまして、ありがとうございます。  それでは、質問させていただきます。  今回の法改正では、今までハザードマップ対象となっていなかった中小河川においても対象となり、ハザードマップの作成が義務付けられることとなっておりますが、昨今の温暖化による豪雨などの水害が頻発している中で、ハザードマップの作成は災害に備えるための最も重要なツールだと考えています。  しかし、障害者や高齢者などの要支援者にとっては、様々な障害によって防災情報の取得が難しく、そのため、ハザードマップに対する認知や理解が進んでいない状況です。例えば、ハザードマップの周知については、NPO法人兵庫障害者センターが二〇一七年に県内の障害者に向けて行ったアンケート調査で、知的障害者と精神障害者の七割弱、視覚障害者の五割弱がそもそも災害ハザードマップを知らないと回答しています。実際に災害が起こったときには、障害者や高齢者などの災害弱者が犠牲になる可能性が高いのが現状です。  そのような状況に備えるためにもハザードマップの周知が必要だと思いますが、そのためにはどのような取組が必要なのか、先生方の御意見をお聞きしたいと思います。  また、災害においては誰もが命を守るための備えが必要ですが、ハザードマップが障害を持っている人たちにも分かりやすいものになっていません。特に、誰かの支援がなければ避難できない障害者や高齢者にとって、一人一人の障害の特性を考慮した点字や音声、手話、漢字のルビなどの合理的な配慮を尽くした分かりやすいハザードマップの作成が必要だと思います。  障害者が分かりやすいハザードマップの作成の方法や取組などについて、先生方のお考えをお聞きしたいと思います。  以上の二点について、小池参考人の方から順番にお願いしたいと思います。
  87. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) どうもありがとうございます。  今回の法案対象にはなっておりませんけれども、先ほど議論のあった個別計画、これは内閣の防災の方で考えていただいていると思いますが、これがまずは枠組みとしてはあるのではないかと思います。  あわせて、今議員から御指摘のありました障害者、視覚障害であるとか、特に、マップでありますので見るということを通して情報が伝わりますので、それを補う手だてというものは、今委員から御指摘をいただきまして、私自身、はっとするところがございます。  大変恐縮ですが、今答えを私は持ち合わせておりませんので、今日の議員の御指摘を踏まえて是非考えていきたいと思います。  ありがとうございました。
  88. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) 御質問ありがとうございます。  私も、小池参考人と同様に、今すぐにお答えできる力は持ち合わせておりません。  御指摘のとおり、障害をお持ちの方ですとかそういった方々ハザードマップを周知する方法というのは、実際には、なかなか研究例も拝見したことは私自身はございませんし、ましてや、実践例を具体的に存じ上げているということもございません。ただ、一言言えるとすれば、やはり個別に丁寧にお伝えするということが唯一の手段ではないかというふうに考えております。  その意味で、先ほどもありました個別支援、個別避難計画ですね、そちらも作る中で、ハザード全体をお知らせする必要はなくて、その方固有のハザードリスクをお伝えすればいいと思いますので、その方がお住まいの近くにはどんなリスクがあるのか、いざというときにどこに避難したらいいのか、避難の手段や支援を受ける方はどのように体制をつくるのか、そういったことを個別避難計画の中で細かく検討していく必要があるのかなというふうに考えております。  以上でございます。
  89. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  私も今の御質問に答える知識がなくて申し訳ないんですけれども、確かに、おっしゃるとおり、災害弱者に対してこのハザードマップの周知をどうすればいいかということ、それから、もう一つ御指摘のあった災害弱者に分かりやすいハザードマップをどう作っていくかと、これ重要な課題だと思いますね。今までのこの災害対策の抜けているものだと、重要な部分が、それが落ちていると思いますので、是非、それを今後、国交省を始め各地方自治体も含めて、その辺の内容を具体化するようお願いしたいと思います。  以上でございます。
  90. 木村英子

    ○木村英子君 ありがとうございました。  次に、国交省が推奨しているマイタイムラインや要支援者のための個別避難計画について、各先生にお尋ねしたいと思います。  首藤先生が委員として参加されている令和元年台風第十九号等による災害からの避難に関するワーキンググループにおいて、住民一人一人が自らを守るために、防災行動を時系列に整理して災害に備えるためのマイタイムラインの作成を推奨されていますが、マイタイムラインの存在は世間には余りまだ知られていないというところです。災害が頻発している中で、このマイタイムラインはとても重要なツールだと考えています。  どうすればその周知が進められていくのかをお聞かせ願いたいことと、また、支援が必要な障害者にとっては、一人一人の実情に合わせた個別避難計画が立てられることになっています。しかし、実際には、障害者に対しての個別避難計画が作成されているのは全自治体の僅か一二%程度にすぎません。差別解消法が施行され、合理的配慮が進められている今日においても、まだまだ障害者に対する理解は少なく、個別避難計画に携わってくれる支援者がとても不足している状況です。  このような中で、災害時において障害者が支援者とともに安全に避難していくためにはこの個別計画はとても重要だと思いますが、この計画をもっと広めていくためにはどのような取組が必要なのかをお聞かせ願いたいです。  また、個別避難計画を作るに当たって、不足している支援者を増やしていくためにはどのような対策が必要かもお答えをお願いしたいです。  以上の三点について、小池先生から順番にお答えをお願いしたいと思います。
  91. 小池俊雄

    参考人小池俊雄君) まず、マイタイムラインの作り方につきましては、最近、いろいろなツールができてきております。地域情報、先ほど私の方から、七ページ資料、一番上の資料で、日本全国千七百四十二の市町村にいろいろ情報が伝わるように、リアルタイムで伝わるようになっておりまして、そういう情報とリンクさせる形でマイタイムラインを作るツールというものが私の知っている限りでも二、三か所で始まっておりますので、そういうものがこれを広げるための一つステップかとも思います。  十分な今知見を、議員にお答えできるだけの十分な知見を持ち合わせておりませんが、今私が理解しているところはそういうところです。  それから、個別避難計画に対して、不足する支援者を増やす方法、それからその計画の作り方の支援につきましては、これも私自身が十分把握できているところではございませんので、勉強を深めたいと思います。  お答えできなくて大変申し訳ございません。
  92. 首藤由紀

    参考人首藤由紀君) いずれも大変難しい御質問をいただいたというふうに認識しております。  マイタイムラインについては、御指摘のとおり非常に有効な手段ですけれども、まだまだ多くの国民の方が御存じになるという状況にはなっていないというのは御指摘のとおりです。  今御紹介あったようにツールもできているようですけれども、加えまして、私が存じ上げている範囲では、学校現場で子供さんたちと一緒にマイタイムラインを作る、御家庭に帰って保護者の方と一緒に考えてみるという取組も徐々に進んでいるというふうに伺っております。  そういった形で、草の根的といいますか、いろいろな場面でマイタイムライン作りを地道に進めていくという以外になかなか方策はないのではというふうに思っておりますし、そういった面で、私もお力添えをできることがあればやってみたいというふうに考えております。  それから、個別避難計画についても、御指摘のとおり、まだまだ作れているところが非常に少ないということが現状であることは私もよく認識しておりまして、それには、市町村方々も非常にお忙しい中でなかなか手が回らないですとか、御指摘のように、支援者がなかなか見付からないということが一つの大きな課題となってなかなか進まないということはおっしゃるとおりでございます。  どうしたらいいかについても、こうすればいいですというお答えを申し訳ないんですけれども私持ち合わせておりませんが、一つ思いますことは、支援者の方というのは、やはり個別避難計画のためにその支援を要する方とつながるのではなくて、ふだんの生活の中でそういった方々とお近づきになって交流のある方がやはり支援者になってくださるというふうに考えております。  その意味で、障害をお持ちの方ですとか御高齢の方がいかに地域コミュニティーの中にしっかりと溶け込んでいくかということがすごく大切だと思っておりますので、そういった福祉の面の活動と併せて、防災対策としての個別避難計画作り、支援者の確保もやっていただければいいのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  93. 嶋津暉之

    参考人嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  重要な御指摘をされておられると思うんですよね。ですから、そういう災害弱者に対する支援者をどうやって増やしていくかという、本当に重要な問題ですよね。  どうやったらそういうことができるかというシステムづくりそのものから始めていかなきゃいけないと思うので、ちょっとその辺の知識、私、本当に持っておりませんのでお答えすることはできないんですけれども、重要な御指摘をされていると思いますので、是非この委員会でもそのことを取り上げて、実際の行政に生かせるよう、その制度を考えていただきたいと思います。
  94. 木村英子

    ○木村英子君 先生方、ありがとうございました。  質問は以上です。
  95. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございます。私ども、大変参考になりました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会