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2021-04-08 第204回国会 参議院 国土交通委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      下野 六太君     西田 実仁君  四月七日     辞任         補欠選任      馬場 成志君     高橋 克法君      西田 実仁君     下野 六太君  四月八日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     今井絵理子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         江崎  孝君     理 事                 足立 敏之君                 大野 泰正君                 青木  愛君                 杉  久武君                 浜口  誠君     委 員                 朝日健太郎君                 今井絵理子君                 岩井 茂樹君                 岩本 剛人君                 岡田  広君                 金子原二郎君                 清水 真人君                 高橋 克法君                 鶴保 庸介君                 牧野たかお君                 増子 輝彦君                 熊谷 裕人君                 野田 国義君                 森屋  隆君                 下野 六太君                 竹内 真二君                 室井 邦彦君                 榛葉賀津也君                 武田 良介君    国務大臣        国土交通大臣   赤羽 一嘉君    副大臣        国土交通大臣  岩井 茂樹君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       朝日健太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        林  浩之君    政府参考人        水産庁資源管理        部長       藤田 仁司君        国土交通省総合        政策局長     石田  優君        国土交通省海事        局長       大坪新一郎君        国土交通省港湾        局長       高田 昌行君        運輸安全委員会        事務局長     城福 健陽君        海上保安庁長官  奥島 高弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海上交通安全法等の一部を改正する法律案(内  閣提出)     ─────────────
  2. 江崎孝

    委員長江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、馬場成志君が委員辞任され、その補欠として高橋克法君が選任されました。     ─────────────
  3. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海上交通安全法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、海上保安庁長官奥高弘君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 海上交通安全法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岩本剛人

    岩本剛人君 おはようございます。自由民主党の岩本剛人でございます。  質問をする機会をいただきまして、委員長始め理事の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。  それでは、早速でありますけれども、海上交通安全法等の一部を改正する法律案につきまして質疑をさせていただきたいと思います。  まず初めに、海上交通安全法の基本的な趣旨についてお伺いをしたいと思います。  様々の資料を読ませていただきました。我が国では毎年二千隻前後の船舶事故発生をしていると承知をしております。このことを受けて、海上保安庁では、平成三十年四月に交通審議会から第四次交通ビジョンとして答申されました船舶交通安全をはじめとする海上安全の更なる向上のための取組に基づいて、同ビジョンで示されました二〇二二年までに海上船舶事故を千六百隻以下等にするような取組を、その他いろんな取組をされているというふうに、推進をされているというふうにお伺いをしております。  船舶衝突予防船舶交通安全等の一般的なルールとして海上衝突予防法船舶交通がふくそうする東京湾伊勢湾瀬戸内海には海上交通安全法、これは特別なルールだというふうに聞いております。また、港内においては船舶交通の安全と港内の整頓を目的とした港則法、こういう法律があるわけでありますけれども、また、この度の法改正におきまして、海上交通安全法等の一部ということでありますけれども、特別にこの三つ港湾、この特別に制定された海上交通安全法の基本的な趣旨と、制定に至った経緯、またさらに港則法について、まず初めにお伺いをしたいと思います。
  7. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  船舶交通規定する法律といたしましては、まず国際条約に基づき制定をいたしました海上交通安全法がございます。これは、全ての海域に適用する一般的なルールを定めたものでございます。  次に、船舶交通が特に混雑をする東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海三つ海域に適用されます海上交通安全法がございます。これにおきましては、十一の航路を設けることや、航路航行する義務を課すなどの特別の交通ルール規定しております。  この海上交通安全法は、昭和三十年代から四十年代の高度経済成長に伴う船舶交通量の増加、船舶大型化高速化、また衝突や乗り上げ海難の発生状況、そういったものを踏まえ、昭和四十七年に制定したものでございます。その後、全国七か所に海上交通センターを設置し、船舶交通がふくそうする航路管制を行っております。  また、港則法は、喫水の深い船舶が出入りする港又は外国船舶が常時出入りする港について、港内における船舶交通ルールを定めております。また、そうした港に港長を置き、港内交通管制を行ったり、停泊場所を指定するなど、特別な措置を講じているところでございます。  失礼いたしました。冒頭申し上げました国際条約に基づく法律の名称でございますが、海上衝突予防法でございます。失礼いたしました。
  8. 岩本剛人

    岩本剛人君 それでは次に、今回の法改正目的趣旨についてお伺いをしたいと思います。  平成三十年九月の台風二十一号においての災害で、大変厳しい天候だったわけでありますけれども、荒天を避けるために錨泊いかりを下ろしていたタンカーが、いかりが外れて走錨して関西国際空港連絡橋衝突した大変大きな事故が報道されまして、ニュースにおいても目を疑うような光景であったのは記憶に新しいところであります。また、この連絡橋においての事故影響は、船舶のみならず、空港へのアクセス、人流物流等にも大変甚大な被害を及ぼしたところであります。  これはお配りをしております資料一なんですけれども、平成三十年九月四日、台風二十一号ということで、このときの関空の最大瞬間風速は五十二・八メートルというような状況でありました。ちなみに、令和元年九月九日の台風十五号のときは、これちょうど横浜南本牧の道路の方にぶつかったときでありまして、これ横浜では最大瞬間風速は四十三・八メートル、木更津では四十九メーターというような大変大きな台風被害であったわけでありますけれども、こういった、これを契機に、平成三十年十月に再発防止、また海事関係者の中で有識者検討会が設置されて様々検討されたというふうに伺っております。  また、令和二年六月に、国土交通大臣から交通政策審議会に対して諮問がなされて、この間様々な検討をされていたというふうにお伺いをしております。また、この検討結果を踏まえて今回の法改正へつながったというふうに考えておりますけれども、この度の法改正目的と基本的な趣旨についてお伺いをしたいと思います。
  9. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  平成三十年九月の台風二十一号によります関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突など、大型台風などの異常気象などの頻発、激甚化に伴い、船舶交通がふくそうする海域において船舶の走錨による重大事故発生しているところでございます。  こうした状況を踏まえ、本法案では、異常気象時に船舶湾外避難するなどするよう勧告をし、さらには命令を掛ける制度創設海上空港等臨海部に立地する施設周辺海域において走錨事故防止を図るために、情報を提供し、聴取義務を掛けることや危険回避措置勧告する制度創設臨海部に立地する施設存在周辺海域船舶レーダー画面上に緊急的に表示させる制度創設といった措置を講ずることとしてございます。  これらの措置により、異常気象時における船舶の走錨に起因する重大事故発生防止することで、船舶交通の一層の安全の確保を図ることが可能になると考えているところでございます。
  10. 岩本剛人

    岩本剛人君 今御答弁であったんですけれども、この港外避難のときに勧告命令制度が導入されるという御答弁でありました。また、この制度勧告命令制度を設けることによってどのような効果が期待されるのか、さらには、湾外避難しろということになろうかと思うんですけれども、避難勧告が発出された場合に湾外での安全確保というのは確実に行えるのか、お伺いをしたいと思います。
  11. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  繰り返しになりますが、令和元年九月に台風十五号が東京湾を直撃した際に、走錨した船舶海上施設や他の船舶衝突する事故複数発生をいたしました。これを受け、翌十月の台風十九号の接近時には、東京湾の過密な錨泊状態を改善すべく、行政指導により湾外避難等を推奨いたしました。  しかしながら、行政指導による場合、外国船舶はなかなか従わない、あるいは荷主理解を得るには根拠として不十分との意見があるなど、多様な関係者が足並みをそろえることが困難であること、また、その重要性緊急性が十分に伝わらないことから、その実効性に欠けるという課題がございました。  こうした状況を踏まえ、今回の法改正により、海上交通安全法に基づき船舶に対し湾外への避難などを勧告し、さらには命令を掛ける制度法制化を新たに図ることで湾外避難等実効性確保し、台風等事故発生防止を図ることが可能となるものと考えてございます。  また、船舶湾外等の安全な海域避難させるための勧告につきましては船舶避難する際の安全性を十分に考慮することとしており、具体的には、勧告の発動時期につきましては、船舶台風影響が少ない他の海域避難する時間、これを考慮し、十分な時間的余裕を持って対象海域強風域が到達する二日ほど前とすること、対象船舶は、自動車運搬船コンテナ船などの風の影響を強く受ける船舶を主な対象とし、かつ外洋において悪天候でも安定して安全に運航できる性能を有する一定の大きさの船舶とすることを基本的な考え方としています。  さらに、東京湾伊勢湾大阪湾などの各海域勧告の具体的な基準や運用につきましては、各海域における官民の海域関係者から構成される協議会においてあらかじめ定めておくことで、予見可能性を持って避難行動を取っていただく考えでございます。  このように、船舶運航関係者皆様の御理解を得ながら、慎重かつ的確に法制度を運用することで、勧告による避難安全性を担保してまいります。
  12. 岩本剛人

    岩本剛人君 台風情報が五日前と。二日前に発動するということでありますので、避難勧告を出すということは、我々、しっかり政府として責任を持たなければならない状況になりますので、そこは港湾関係者含めてしっかり慎重に、また、緊急時、災害時でありますから、なかなかそういう発動されることはないとは思うんですけれども、その準備に対してもしっかり対応していただきたいというふうに思います。  次に、今回の法改正に関わる情報提供についてなんですが、今、勧告命令もそうなんです、協議会という話もあったんですが、今回の法改正によって、かなりの海運業者、多くの海運業者荷主港湾管理者等々、港湾関係に関わってくる方がたくさんいらっしゃるかと思います。そういった港湾を利用される方々に今回の法改正趣旨をしっかり伝えると、理解をしていただくと、それが大変重要なことではないかなというふうに考えております。  また、今回の法改正、一日も早い改正をしなければならないと考えますけれども、情報発信理解をしていただくことに対してどのような対応をされていくのか、さらには、今、先ほど答弁のあったように、外国船舶外国人が船員が乗船する外国船舶対応についてはどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  13. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  本制度は、船舶を利用する様々な企業や荷主皆様経済活動などにも大きな影響を与える可能性があるため、船舶運航者のみならず、荷主などの船舶を利用する方々からも御理解、御協力を十分に得ることが重要と考えてございます。  このため、本制度について説明したリーフレットの配布やホームページへの掲載などを通じて広く周知することに努め、制度の普及と定着を図ってまいります。特に外国船舶に対しては、海上保安官が入港した外国船舶を訪問する機会、これを活用して英語版リーフレットを配布して周知に努めるほか、外国船舶出入港に係る手続などを代行いたします船舶代理店などの海事関係者の御協力も得て、広く周知するよう努めてまいります。  また、実際に勧告を発出する際には、勧告の内容を法定協議会で定める連絡ルートにより周知をいたします。  さらに、船舶の安全な航行に必要な情報を提供するいわゆる海の安全情報でも周知を図るほか、航行警報AISメッセージでは、これらの情報英語でも提供し、外国船舶を含む関係者に広く周知することとしてございます。
  14. 岩本剛人

    岩本剛人君 もうこれでもかというぐらい是非やっていただきたいと思います。もうそれで、準備に余念を尽くすことはもう、そういった努力は尽くすことはないと思うので、是非しっかり対応していただきたいと思います。  そこで、今回、ちょっと今回の法案とは若干外れるんですけれども、私の地元北海道の話をちょっとさせていただきたいんですけれども。  自分が小さい頃は北海道台風なんてほとんど来なかったんですけれども、最近はもう大きな台風が直撃するような状況北海道も続いておりまして、その台風荒天時、天候の悪いときに、外国漁船湾外から緊急避難で港の入域時に漁船衝突したり、そのときに漁具被害、また漁業操業妨害等が実は発生しております。例えば、ちょっと古い数字なんですけれども、平成十一年から平成二十年までで北海道で百八十八件、被害総額で約一億五千万の漁具被害が出ているような状況であります。  ただ、この入域、緊急時の港に入域するというのは国際ルール上人道的な措置だというふうに承っているんですけれども、ただ、海上保安庁さんも、地元北海道庁、市町村、漁業関係者とその緊急入域の対応連絡システムで様々な努力をされているというのは聞いているんですけれども、ただ、事故は大分少なくなってきたとは聞いているんですけれども、まだまだ事故があるという状況であります。  この外国漁船等連絡システムを使って情報提供を行っているというふうに伺っているんですけれども、具体的にはどのような対応をされているのか。今回の改正で、後ほど航路標識質問をさせていただきますけれども、航路標識が損傷した場合には原因者負担責任を取らせるというような今回の法改正なんですけれども、この入域、緊急入域のときは、先ほどお話があった港の港長判断、海保の判断で入域をさせると聞いております。ただ、その漁具被害があった場合、外国船舶なので、補償負担で大変、民間同士の話合いになってかなり補償交渉に難航しているケースが多いわけでありますけれども、補償状況ですから国が間に入ってほしいとは言わないんですけれども、何とか民間同士で話を、外国、特に中国なんですけれども、国として何とか交渉を後押しするような制度みたいなものを検討してもらえないのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) 情報提供関係について御説明を申し上げます。  海上保安庁におきましては、沿岸域航行いたします船舶に対しまして、必要に応じて、航行影響を及ぼすことが想定されます漁具状況など、各種情報を提供しております。さらに、委員指摘海上悪天候等を回避するための緊急入域する船舶、これに対しましては、事前に錨地に適した海域など必要な情報を提供いたしますとともに、入域場所が他の船舶航行に支障を及ぼす、あるいは設置されている漁具被害を及ぼすといったようなおそれがあるなど適切でない場合には、ほかの水域に移動するよう指導しているところでございます。  引き続き、緊急入域する船舶に対しましては情報提供をしっかり行うなど、安全確保に努めてまいります。
  16. 藤田仁司

    政府参考人藤田仁司君) お答えいたします。  まず、民間交渉に関する部分でございますけれども、一般に、外国漁船荒天時に沿岸域避難するということなどによりまして我が国漁業者漁具被害が生じた場合につきましては、相手が特定されている場合、この場合には当事者間で交渉を行うということが、これを基本になります。  ただ、委員が今、先ほど申し上げられました中国漁船、これに関しましては、中国漁船による漁具被害に関しましては、我が国の大日本水産会中国側中国漁業協会との間で取決めがなされております。このため、当該取決めに基づきまして、代表する民間団体間で事故処理協議する枠組みが設けられております。水産庁としても、その円滑な協議のための支援を行ってきたということでございます。  委員指摘のように、ただ、その北海道周辺海域におきまして、緊急的な避難を行った外国漁船によりまして漁具被害が生じたものの、長期にわたりまして解決に至っていないという事案があることは承知してございます。  我が国といたしましては、緊急的な避難による被害につきましては二国間協議の場でも適切な対応を行うよう相手国に要請するとともに、緊急的な避難を行う際にはこの入域のルールをしっかり遵守していただくように周知徹底を要請をしてございます。  また、この当事者間による交渉が難航いたしまして解決に至っていないものにつきましては、個別に事情をお聞きして外交ルートによる働きかけを行うなど、関係省庁と連携して対応検討してまいりたいと考えてございます。
  17. 岩本剛人

    岩本剛人君 海上保安庁さんも水産庁さんの方も一生懸命対応してくれているのは十分分かっているんですけれども、なかなか相手相手なところなものですから難しい部分もありまして、是非何とか今後様々な部分支援できるようなことを検討していただきたいなというふうに、ちょっと大臣、頭の隅に置いておいていただければ有り難いと思います。  続きまして、航路標識管理体制についてお伺いをしたいと思います。  全国では五千百六十三基、航路標識があると。そのうち灯台が約三千近くある。資料の七と八なんですけれども、大変すばらしい灯台もあるんですけれども、ただ、過去五年間、平成二十七年から令和元年において船舶接触事故が二百六十二件発生したというふうに聞いております。また、その原因者がなかなか特定できないということもあって、対応が得られないような状況もあるというふうに聞いております。  今回の法改正において、この航路標識接触事故等に対してどういうことが対応可能となるのか、お伺いしたいと思います。
  18. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  御指摘平成二十七年から令和元年の五年間に衝突などによる被害を受けた航路標識二百六十二件につきましては、その大半が航路の位置や港の出入口、あるいは浅瀬の存在などを示すブイでございます。  現行制度におきましては、航路標識法賠償等に関する特段の規定がないことから、民法の不法行為として原因者現物賠償金銭賠償を求めているところでございますが、原因者が過失を認めない、あるいは負担額異議があるなどにより交渉が難航し、復旧に長時間を要するといったケースがございます。  このため、今回の法改正により、原因者に対して工事の施行を命ずる規定強制徴収手続を含む費用負担義務付けることにより、負担公平性確保するとともに、迅速かつ確実な航路標識復旧を図っていきたい、このように考えてございます。
  19. 岩本剛人

    岩本剛人君 続きまして、資料の九と十なんですけれども、一方、航路標識なんですけれども、非常に歴史的、文化的価値のある灯台、また地域のシンボル的な灯台もあると。恋する灯台というのがあるそうでありますけれども、そういった灯台について、民間団体から観光資源として活用したいというような話もあるというふうに伺っております。  実は、私の地元でも石狩灯台というのがありまして、昔映画で「君の名は」の舞台になった、ちょっと自分は分からないんですけど、見たことがないんですけれども、世代じゃないものですから、そういった灯台があると。  やっぱり、先ほども申し上げた、地域活性化として灯台是非活用したいということもお伺いをしております。また、このことを支えていくことは国としても大変大切な、重要なことだと思います。このことを積極的に是非支援をしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。
  20. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  全国灯台の中には、灯台地域のシンボルや観光資源として考え、敷地の清掃、草刈りなどの環境美化に取り組んでいただいたり、あるいは灯台に関する資料の収集、調査、保存、さらには灯台を活用した地域イベントの開催といったボランティア活動に取り組んでいただいている民間団体が多数ございます。これらの民間団体からは、地域活性化を図るため、灯台さび落とし塗装灯台内部の手すりや階段等の軽微な工事であれば、自らの費用負担によって行ってもよいとの意向が寄せられております。  しかしながら、これらの工事は、現行法では航路標識維持管理海上保安庁が行うこととされており、民間団体が自ら行うことが認められておりません。今般創設する航路標識協力団体制度及び承認工事制度は、このような団体活動法律上明確に位置付け、灯台さび落とし塗装といった軽微な工事維持に係る活動を可能とするものであります。  海上保安庁におきましては、航路標識団体が適正に活動できるよう、必要な情報を提供したり助言することにより、航路標識協力団体支援してまいります。  航路標識協力団体制度を活用いただくことにより、民間団体活動の幅も広がりますことから、その活動活性化することが期待されます。また、これらの活動航路標識維持管理に有益であり、航路標識管理体制の強化にも資するものと、このように考えてございます。
  21. 岩本剛人

    岩本剛人君 是非民間団体の方に、今回の法改正成りましたら、是非情報提供しっかりしてあげていただきたいと思います。  時間も余りなくなってまいりましたので、先ほど海上交通安全法の点についてお伺いをしたんですけれども、先ほど答弁で、特別なルールであります。  大変ふくそうする東京湾伊勢湾大阪湾瀬戸内海なんですけれども、その施設整備の状況なんですが、東京湾については、レーダー等がかなり設置が進んでいて、安全が確保がされてきているというふうにお伺いをしております。  ただ一方で、伊勢湾大阪湾を含む瀬戸内海施設整備状況についてはどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  22. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  東京湾伊勢湾大阪湾といったふくそう海域は、船舶交通が集中し、海難事故も数多く発生しております。また、大津波等の災害発生した場合には、避難船舶が著しく混雑をしたり、航路の閉鎖といった深刻な状況が想定されます。このため、これらの海域においては、航行管制を常時行うとともに、災害発生時には入湾の制限などを迅速に行えるよう、レーダーや監視カメラの設置を積極的に推進しているところでございます。  具体的には、東京湾では、平成二十八年の海上交通安全法等改正を踏まえ、京浜港などに置かれていた港内交通管制室を東京湾海上交通センターに統合するとともに、湾内全域まで探知できるようレーダーを増設することにより、ほぼ全ての船舶の動静を把握することができるようになりました。  一方、大阪湾では、明石海峡航路や阪神港にレーダーを設置しておりますが、今後は関西国際空港や神戸ポートアイランドに新たに設置し、令和四年度中の運用開始を目指しております。このほか、令和二年度までに、関西国際空港や神戸空港に監視カメラも設置したところでございます。  また、伊勢湾では、湾の入口部分や名古屋港にレーダーを設置しておりますが、令和元年度には中部国際空港に監視カメラを新たに設置したところです。  本年一月の交通政策審議会の答申においては、伊勢湾大阪湾などについても、平時における海難防止船舶の効率的な運航を実現するとともに、台風などの自然災害対応するため、海上交通サービスの拡充を検討する必要があるとされたことから、引き続き監視体制の強化を図っていくこととしております。
  23. 岩本剛人

    岩本剛人君 是非施設整備を早く進めていただきまして、緊急時だけではなくて平常時も、せっかくの施設ですから、安全航行に活用できるような対応検討していただきたいと思います。  それでは、最後に、様々の質問をさせていただいてきたんですけれども、四月の六日、当委員会で大野先生が、周辺海域安全確保の点について海保の皆さんの質疑があったわけでありますけれども、我々の北海道も北方領土海域で大変海上保安庁さんの方にはお世話になっております。  今回は安全確保という点の法改正であります。先般、大野先生の質疑でも海上保安庁の体制整備や人員の話があったんですけれども、様々お伺いをしておりますと、通常の業務以外、緊急時の安全確保するために、更なる施設整備や、また、さらには人員の確保も必要になってくるのではないかというふうに考えるところであります。  是非、最後に、海上保安庁のこれからの体制づくり、今回の法改正に向けて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  24. 赤羽一嘉

    ○国務大臣(赤羽一嘉君) 海上保安庁は、大変御理解いただいていると思いますが、領海警備に加えて、今おっしゃった災害時における海上交通の安全確保という大変業務的にも忙しい状況でございます。  そうした意味で、施設面につきましては、今長官からの御答弁があったように、海上交通センターの機能強化ですとかレーダーの監視体制の強化等々を行いながら、人員面につきましても、平成三十年に海上保安学校に管制官のための専門的な養成課程を設置するなど、高い技能を持った人材の育成も進めておるところでございます。  令和二年度第三次補正予算で、海上保安庁の測量船四隻に気象観測機器を設置して洋上での水蒸気観測を強化するなど、海上保安庁と気象庁の連携もしながら気象予測精度の向上も進めることとしておりまして、災害時に備えの一環として進めているところでございます。  こうした中で、大変厳しい業務でございますが、領海警備、また海上交通の安全を確保するために、人員面の育成また確保、また予算面の確保もしっかりと頑張ってまいりたいと思いますので、今後とも引き続き応援よろしくお願いいたします。
  25. 岩本剛人

    岩本剛人君 終わります。ありがとうございました。
  26. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人でございます。  今、岩本委員の方からも法案に対しての大きなところの質問がありましたので、私はちょっと気になるところを幾つか確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、海上交通安全法からでございます。  先ほど、法整備の定義や改正目的につきましては岩本議員の質問答弁ありましたので、私の方は、対象海域はこれまでの海上交通安全法の三地域になるんだと思っておりますが、その対象海域についての確認と、それ以外の重要施設周辺海域もたしか指定をされておるかと思います。その辺の確認をさせていただければと思います。
  27. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  改正法におけます新たな避難勧告対象海域は、委員指摘のとおり、海上交通安全法が適用される船舶のふくそう海域である東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海となります。  あと、臨海部施設への対応でございますが、海上保安庁では、平成三十年九月に関西国際空港連絡橋船舶衝突した事故を受け、海事関係者臨海部に立地する施設の管理者などとも協議の上、走錨事故防止の対策を重点的に行う施設を選定しております。これらの施設は、施設周辺の錨泊実態、走錨による衝突可能性衝突した場合の社会的影響などを総合的に勘案した上で選定をしたものでございます。選定された施設周辺海域におきましては、錨泊船の監視を強化したり錨泊の制限を実施しているところでございます。
  28. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 長官、済みません、この今御答弁あった重要施設は、今現在、これ全国で四十五施設指定をされているということでよろしいでしょうか。
  29. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  現在四十五か所、これを指定しているところでございます。
  30. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 済みません。この四十五か所の一覧を見ていると、なるほどなというところばかりでございますので、これから法改正をして、その周辺地域、大変重要な海域となっておりますので、しっかりと運用していただければと思っております。  次に、対象船舶について、先ほど岩本委員質疑にもありましたが、どのような船舶が指定、選定をされるのか。これは先ほどの議論でちょっと判明ができなかったのであれなんですが、これ、船籍の国内外問わず、形だとか大きさだとか、先ほどコンテナ船だったりとかという御答弁あったんですけれど、この選定についてどんな船が対象になるのか、対象の船についてお知らせいただければと思います。
  31. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  湾外避難対象船舶は、全ての船舶対象になるものではございません。大型船を主な対象とする予定でありますが、国籍は問わないと考えてございます。  具体的には、自動車運搬船コンテナ船などの風圧を受けやすい船型のため、走錨の危険性が高く、湾内で安全に錨泊することが困難であって、また悪天候でも外洋において安定して安全に運航できる性能を十分に持つと考えられる船舶、こうした船舶対象とする方向で検討しているところでございます。
  32. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  また、今御答弁いただいた点については、後ほどの質問でもう一度確認をさせていただくことになろうかと思いますが、勧告について、この危険回避湾外への避難措置についての勧告について、先ほど勧告から命令というような御答弁岩本議員の質疑の中でありましたが、強制措置とか罰則という形はどの段階でなされるのか、また、勧告命令に従わなくて、もしそこに居座って事故が起きた場合の責任はどこが負うようになるのか、御答弁いただければと思います。
  33. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  今般の法改正によりまして、船舶湾外避難させることの実効性確保するため勧告を行うことが可能となりますが、勧告を受けたにもかかわらずこれに従わない船舶があった場合は、船舶航行の制限、船舶停泊場所の指定、一定の海域からの退去などの命令を行い、船舶交通の危険を防止することとしております。  また、勧告に従わなかった場合の罰則はございませんが、先ほど申し上げた命令、これに従わなかった場合は、三か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金を科すこととしてございます。  なお、従わずに事故発生した場合の責任ということでございますが、個々具体のケースに応じてということになろうと思いますけれども、一般的には、船長は船舶の運航上の最終的な責任者であるということから、一般的には船長が責任を負うということになろうと思います。
  34. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  できればこの命令まで行かないように、勧告外国船籍の船も含めて従っていただけるように、十分な情報提供勧告に従っていただくようなサジェスチョンを海保の方でお願いしたいと思います。  続いて、先ほど、重要施設周辺海域、四十五施設あるというふうに御答弁いただきました。なるほど、大切なところばかりだなと思っているんですが、そのほかにもあるんではないのかなというふうに思っておりまして、この四十五施設以外に追加をされるようなことを御検討されているのか、現状をお尋ねしたいと思います。
  35. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  今現在四十五か所の指定をしてございますが、一方で、選定されていない施設、これにつきましても、現在、台風の進路に掛かる場合など、必要に応じて、海上交通センターなどが錨泊船の監視をしたり、あるいは巡視船艇がパトロールを行い注意を喚起するといったような対策を講じているところであります。  今後につきましては、施設の選定について、事故発生状況施設の新設、あるいは航行環境の変化、施設管理者の意見、こういったことを踏まえて随時見直しを行っていくことと考えてございます。
  36. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 あらかじめ台風は進路が予測されるようになってきましたけれど、近年、やっぱり大型化、それから強大化をしていますので、しっかりあらかじめそういったところを備えていただければと思っております。  それから次は、勧告に従って湾外避難をしました、先ほど岩本議員の質疑答弁にもありましたけれど、この安全を確保するのは船の方の責任となるんだと思うんですが、どこまで避難をすれば安全なのかという判断も船になるのか。その判断が、海保が、この辺のところが安全なのかと、そんなような判断があるのか、船の方なのか。  それから、最悪のことも考えなければいけないんではないのかなというふうに思っておりまして、以前、外洋でやはり大きな台風に遭遇したコンテナ船だとか自動車運搬船、荷崩れを起こしたというようなこともニュースで見た記憶がございます。そんな事故が起きた場合の責任がどうなっていくのか。これ、船の責任になるんだと思うんですけれど、御確認をさせていただければと思います。
  37. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  事故時の責任の件でございますけれども、繰り返しになりますが、船長は船舶の運航上の最終的な責任者であることから、船舶事故発生した場合には、一般的には船長が責任を負うということとなります。  そのため、万が一にも事故発生することがないよう、我々、湾外避難等勧告制度を運用するに当たりましては、運航者が十分な時間的余裕を持って安全な海域に無理なく避難できるよう、慎重かつ的確に運用をしたいと考えてございます。  具体的には、台風接近の二日ほど前から十分な時間を持って勧告することとしており、また、何らかの事由により避難の時機を失した船舶に対しては、無理な避難を求めず内湾等での台風避泊を認めるなど、船舶の安全を第一に慎重に運用してまいります。  また、湾外への避難勧告するに際しましては、官民の海域関係者から構成されます協議会、これを設置して、避難対象となる台風避難の時期や方法、対象船舶などあらかじめ決めておき、予見可能性を持って避難していただけるよう安全確保については十分配慮したい、このように考えてございます。
  38. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 続いて、今御答弁のありました協議会についての質問をさせていただきたいと思います。  この協議会は、平時からというか、常設をされる協議会になるのか。それから、今、十分に台風の進路だとか何か勘案して協議をしたいというふうに御答弁ありましたけれど、具体的に言うと、先ほど、二日前に湾外避難勧告をなされるので、それ以前に協議会、緊急時は招集をされるのかなと思うんですが、そういった場合の招集のタイミングはどれくらいのことになるのか。それから、決定事項、協議の内容の周知方法について、先ほど岩本議員の質疑の中でも若干御答弁あったと思うんですが、その点についてもう一度確認をさせていただきたいと思います。  それから、台風の進路、昨今すごく正確になってきたと思うんですけれど、船の方でも当然情報を個別に入れていると思うんですが、勧告をしていくのに、海保の方から正確な情報をやはりこの都度都度というか、刻一刻変わる進路だったり、強さだったりというのは変わると思うので、その情報提供をしっかりとしていただきたいなと思っておりますので、その情報提供のことも勘案して、どんなタイミングで協議会を設置をし、そしてどのように周知をしていくのかについてお尋ねをしたいと思います。
  39. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  まず、この海上法に基づく協議会でございますけれども、東京湾伊勢湾大阪湾などのそれぞれの海域に設置するということとしております。また、その構成員でございますが、委員からも御指摘がありましたように、気象情報、大変重要でございますので、気象庁などの関係省庁の地方出先機関、港湾管理者船舶運航事業者、水先関係者、タグボート関係者船舶代理店関係者、海事関係団体などとすることを考えてございます。  当然、平時からこれは設置しているものでございまして、平時における協議会は、こうした官民の海域関係者と、具体的には、避難対象となる台風避難の時期や対象船舶船舶避難する際に必要となる水先人やタグボートの利用、勧告発出時の連絡体制及び周知体制といったことについて事前に調整を図る役割を担うこととなります。  また、実際に台風が来襲する際などの非常時における協議会におきましては、台風の進路、強度などの状況を逐次共有した上で、湾外避難の必要性等について協議するということとしてございます。  さらに、勧告が発出されました場合には、その内容について協議会構成員に周知するほか、航行警報、海の安全情報AISメッセージなどを通じて、協議会構成員以外にも幅広く周知をいたします。  協議会の招集のタイミングということでございますが、一概に申し上げることはなかなか困難でございますけれども、二日前には勧告を出すということでございますので、五日から三日ぐらい前に集めるということが一般的な形になるのではないかと、このように思ってございます。
  40. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  この協議会以外の皆さんへのやはり情報提供だったり勧告の内容の伝達だったりというところが丁寧にしていかないといけないんではないのかなというふうに思っておりますので、その点、十分勘案をしていただきたいと思います。  先ほどの御答弁でも、外国の船には英語でという、メッセージをというような御答弁もありました。そういうところで遺漏のないように、できるだけ全ての船が勧告理解をして、避難をする際にも安全に湾内から出ていくことが整然とできるように情報提供に努めていただければと思います。よろしくお願いいたします。  続いて、港則法関係について質問をさせていただきたいと思います。  この港則法では、今の海上交通安全法地域が若干狭くなるのかなというふうに思っておりますが、情報提供とそれから聴取義務を課す区域の範囲はどんなところが想定をされているのか、教えていただければと思います。
  41. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  今回創設されます湾外避難勧告を行う場合には、港内船舶も含めて、時機を失することなく安全かつ迅速に避難させる必要がありますことから、湾内と港内を一体的に捉えて湾外避難勧告をまず実施するということになろうと思っております。  また、新たに異常気象時の情報提供を行う区域、これにつきましては、周辺に錨地として適切な海域が限られているなどのために錨泊を許容せざるを得ず、かつ相当数の錨泊船が予想され船舶交通安全確保が特に求められる区域、これを想定しており、その詳細は国土交通省令で定めるということを予定しております。
  42. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  情報提供、必要な情報を十分に提供していただいて、本当に事故がないようにしていただきたいなと思っているんですが、今のこの対象になっている船舶がきちんと聴取したかどうか、聴取義務があるんですけれど、聴取したかどうかの確認方法というのは何かあるんでしょうか。
  43. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  実績ベースで御説明を申し上げたいと思いますが、令和二年におきまして、全国海上交通センターからVHF無線電話などで情報提供勧告を実施した件数が約二万九千件ございます。このうち応答がなかったものは数件でありまして、現行法の下ではほぼ全ての船舶が確実に情報を聴取しているものと、このように認識をしてございます。  その上で、海上交通センターから、情報提供に対し応答がない場合には、船舶電話やAISのメッセージを使用して個別に注意喚起を行うとともに、必要な場合には巡視船艇等により指導するなどの対応をすることで重大な事故発生防止に取り組んでまいります。
  44. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  できれば、本当に一〇〇%聴取をしていただいて、理解をしていただいた上での行動がお願いしたいところですけれど、今長官おっしゃったように、様々な方法で周知、きちんと理解をしていただいてというところに、御苦労ですが、きちんと御対応いただければと思います。  それから、港と湾から一体的に捉えて避難勧告ということになる、そのために職権を海上保安庁長官に代行することが、スムースな避難計画が行われたり、綿密に行われる必要があるのでそういうことになっていると思いますが、接触事故等の、二日前から勧告が出て、二日間あれば十分に時間が取れるのかなというふうには思いますが、東京湾なんか考えると、多分航路が物すごく狭くなっているのではないのかなと思っておりまして、東京湾内にはたくさんの港があって、たくさんの船もいると思います。  そういったところで、長官が職権代行することによってスムースな避難ができるというふうに思ってはいますが、接触事故の懸念とか何かがあるんではないかとちょっと心配しておりまして、その点についての御対応を御答弁いただければと思います。
  45. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  湾外避難等勧告制度を運用するに当たりましては、運航者が十分な時間的余裕を持って安全な海域に無理なく避難できるよう、慎重かつ的確に運用をいたします。  気象庁から発表される五日先までの台風予報、これを踏まえ、例えば台風東京湾を通過する可能性が高まるなど湾外避難させることが必要であると判断した場合には、時間的余裕を持って二日ほど前から東京湾の外に出てより安全な海域避難すること、それから東京湾に入湾しないことなどを勧告することを想定しており、勧告が発出された場合には、海域関係者に対し幅広く周知をいたします。また、湾外避難は全ての船舶対象勧告するものではなく、大型船が主な対象となるという予定でございます。  御指摘の点につきましては、船舶が入湾しないことを勧告すること、十分な時間的余裕を持って勧告すること、勧告対象船舶を一定の大型の船舶とすること、以上のことから、湾外避難に当たって湾の入口が著しく混雑することがないと考えてございますが、その点については、引き続き十分に運用上も留意してまいりたいと、このように考えてございます。
  46. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 しっかりお願いしたいと思います。  ちょっとこれは港則法には直接関係ないことになるかもしれませんが、南本牧のはま道路が走錨船の衝突によって被害を受けたという話がありました。その件についてちょっと絡んでなんですけれど、重要港湾施設に対しての防衝工の整備等は、海保ではなくて、国交省全体として今どんな対策が行われているのか、お尋ねをしたいと思います。
  47. 高田昌行

    政府参考人(高田昌行君) お答えいたします。  御指摘南本牧はま道路の件でございますが、令和元年九月の台風十五号で、日本唯一の水深十八メーター岸壁を有する横浜南本牧コンテナターミナルに直結する橋梁、これを南本牧はま道路と呼んでおります。周辺に錨泊していた貨物船が流され、当該道路に衝突し、橋桁や橋脚に甚大な損傷を与えました。被災後、直ちに国土交通省が災害復旧に着手し、昨年五月、供用を再開したところであります。  当該事案を踏まえ、昨年六月、港湾施設の技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正し、船舶の走錨リスクを考慮し、必要に応じて橋桁の損傷を防止する防衝設備を設置する内容を新たに追加いたしました。改正した告示を踏まえ、再発防止の観点から、南本牧はま道路におきましても防衝設備の新たな設置を進めまして、昨年十二月に完了をしたところであります。  今後、海上保安庁が実施する様々なソフト対策とも連携しながら、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づき、避難水域の確保のための防波堤の整備や防衝設備の設置などのハード対策を行うなど、港湾における船舶の走錨事故対策を推進してまいります。
  48. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  今回の法改正で走錨事故が本当になくなれば、この防衝工の工事もしなくていいし、予算も投入しなくて済むので、この法律改正がうまく機能してもらいたいなというふうに思っております。それでも事故が起きないという保証はありませんので、しっかりと対策を打っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  続いて、航路標識法関係をちょっとお尋ねをしたいと思います。  先ほど岩本議員の議論にもありました。国内にたくさん灯台を含めて航路標識がございます。その老朽化対策が喫緊の課題にあるんだと思っておりますが、耐用年数がやはりあるんだと思っております。  この耐用年数に達した灯台等の航路標識の更新計画はどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  49. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  海上保安庁が管理する航路標識のうち、令和二年度末において老朽化対策が必要な箇所は、令和二年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これにおきまして、百、失礼しました、千百三十九か所を位置付けました。これらの箇所について、この対策におきましては、これらの箇所の老朽化対策の進捗率を昨年度の五五%から令和七年度までに七九%とすること、そして令和十二年度に対策を完了すること、これを達成目標としております。  引き続き、老朽化対策を着実に進めてまいりたいと考えてございます。
  50. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 多分、この百三十九か所というところのうち、いわゆる鉄筋コンクリートの灯台がたくさんあるんだと思っております。これから観光だったり地域活性化にそういうところが利用されるんではないのかなというふうに思っておりますし、しっかりと、地域の皆さんの希望があったり、それから灯台としての役割というものもしっかりあると思いますので、計画的に、できるだけ、この令和十二年度に完了予定と言っておりましたけれど、少しでも前倒しにしていただいて、海上交通の安全に資するようにしていただければというふうに思っております。  続いて、この航路標識が損傷した場合の原因者負担についてお尋ねをしたいと思います。  原因者の特定が先ほど答弁でも難しいという答弁があったかと思います。また、この負担原因者負担する額について不満で、なかなか復旧工事というか再設置に遅れが出ていたというのがこれまでのことだったんだと思っておりますが、ますます、船の大型化だったり、それから台風だったり天候が悪いときにこの航路標識の損傷ということが起きてくるんではないのかなというふうに思っておりますので、その原因者の特定を本当にしっかりできるのかというところをもう一度お尋ねをしたいのと、それから、額の不満でなかなかという御答弁がありました。例えばブイでも、新しいブイと、もう何年もたって古くなって、そろそろ更新なのかなというブイにぶつかってというところでその負担金の考え方が若干違うんじゃないのかなというふうに思っておりますが、原因者の特定の点とその負担金の考え方について御答弁いただければと思います。
  51. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  新たに創設をいたします制度を適正に運用するという観点から、そういった観点からも、原因者を把握するということは重要であるというふうに認識をしてございます。  この原因者の特定でございますが、原因者から申告があるという場合もございますが、これのほか、ブイの異常を感知するセンサーの発動状況、あるいはAISデータによる通航状況の分析、こういったことにより、さらには巡視船艇での最終確認といったことを通じて原因者の特定に努めてまいりたいと、このように考えてございます。  また、ブイの補償関係でございますけれども、ブイの賠償は、航路標識の機能、この機能の補償ということを目的としており、財産的価値による賠償といったものはなじまないというふうに考えてございます。したがいまして、改正法施行後も現物賠償を基本として対応してまいりたいと、このように考えてございます。
  52. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。現物賠償ということになると、新しかったり古かったりということは関係なくて、機能が回復されればいいという考え方で負担金を求めるということだと理解をいたしました。  続いて、これ灯台が主にだと思うんですが、承認工事制度についてお尋ねをしたいと思っております。  この承認工事制度について、法文等を読ませていただいて、小規模な維持行為が、まあ草刈りだったりというふうに書かれておるんですが、その辺の判断基準というものが明確になされているのかということと、それから、航路標識協力団体制度があって、そこに承認をしていろいろなことを任せていくということになろうかと思いますが、このような制度があることを地域活性化のために使いたいという地域の皆さんは知っていると思うんですが、こういう制度がありますよということを広報、周知したりして、できれば、じゃ、我が町にある灯台を観光だったり地域活性化のために使おうなんていうことに発想する自治体も出てくる、地域も出てくるんではないのかなというふうに思っておりますので、そのようなこういう制度がありますよということを広報する手段はどんなことを考えられているのかと、お尋ねをしたいと思います。
  53. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  小規模な維持行為ということにつきましてでございますが、改正法の規定に基づき、承認を必要としない小規模な維持行為としては、公物としての航路標識の構造に変更を及ぼさないものを想定しております。具体的な事例としては、ごみその他の廃物の除去、草刈りなどを想定しております。これ以外の航路標識に変更を加える行為につきましては、法律上の承認の対象となります。改正法の運用に当たりましては、このような解釈を海上保安庁のホームページに掲載し、周知を図るということとしてございます。  また、航路標識団体制度に関する周知についてでございます。  先ほども申し上げましたが、全国灯台の中には、灯台地域のシンボルや観光資源として考え、敷地の清掃、草刈りなどの環境美化や、灯台に関する資料の収集、調査、保存、灯台を活用した地域イベントの開催といったボランティア活動に取り組んでいる民間団体が多数ございます。こうした団体は、日頃から現場、地元海上保安部と連携しておりますことから、航路標識団体制度の活用につきましても、現場の海上保安部を通じて丁寧な説明を行うこととしております。あわせて、この制度海上保安庁のホームページ、リーフレットの作成、各種メディアなどを通じて国民の皆様に対して広く周知を行うこととしており、航路標識協力団体制度の活用を推進してまいりたいと考えてございます。
  54. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  私、海なし県の埼玉の生まれ育ちなので海に憧れがすごくありまして、やっぱり車の免許取ってすぐ犬吠埼灯台までドライブに行ったりとかということをちょっと思い出しました。  観光でやっぱり灯台地域活性化に使いたいというところはたくさんあろうかと思います。草刈りとか何か、まあ御協力、ボランティア団体にしていただくのもいいんですけれども、観光という視点からいうと、灯台の機能に手を加えるんじゃなくて周辺整備で、観光にもっと資するような周辺整備のところもボランティア団体地域の皆さんがやってくれるということであれば、地域にも、地域観光活性化にも資することであろうかと思いますので、承認すればいい話なんですが、その辺、地域団体とよく意見交換をしていただいて、できるだけ地域の要望に応えられるようにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。  もう一つ、バーチャルAIS航路標識についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  非常にこれ、天候が悪いときですとか異常気象のときには私はいいものだと思っておるんですが、このAIS信号機を受信できる船舶というのが今どれくらいあるんでしょうか。できるだけ多くの船舶が付けていただきたい。大きな船にはもちろん付いていると思うんですけれど、どれくらいの大きさというか、どんな種類の船まで今のところAIS信号受信機が付いているのか、分かったら教えていただければと思います。
  55. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  AISは、船名、船舶の位置、針路、速力などの安全に関する情報を自動的に送受信するシステムでございます。これ、法定で義務付けられている船舶がございます。具体的には、総トン数五百トン以上の船舶、それと、国際航海に従事する総トン数三百トン以上の船舶といったものでございます。こういった船舶には法定で義務付けられているということでございますが、これ以外にもやっぱり任意で付けている船舶といったものは一定数あるということは承知してございます。  海上保安庁におきましては、AISが衝突事故等を未然に防止する上で非常に有効な機能を持つということから、その普及には鋭意努力してまいりたいと、このように考えてございます。
  56. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 私も本当にいいものだと思っていますので、できるだけ多くの船舶に付けていただけるように努力をしていただければと思っております。  法案関係質問は大体こんなところなんですが、海に関連して幾つかちょっと質問させていただければと思っております。  一つ目が、先般のスエズ運河のコンテナ船事故についてでございます。いろいろと今、現地のスエズ運河庁等で事故原因等の調査が進められていると思いますが、この事故について国の方では何か調査をしたりとかしていることがあるのか、それから日本の法令がもし適用されるようなことがあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  57. 城福健陽

    政府参考人城福健陽君) お答え申し上げます。  船舶事故の調査につきましては、基本的に事故を起こした船舶の船籍国と事故が起こった領海などを領域とする沿岸国が行うこととなります。  今回のスエズ運河における事故の調査につきましては、船籍国であるパナマ共和国と沿岸国でございますエジプト・アラブ共和国が既に調査を行っているところと承知しております。  したがいまして、私ども運輸安全委員会といたしましては、調査実施国であるパナマ共和国、エジプト・アラブ共和国から要請があれば両国が行う調査に対して可能な協力を行ってまいりたいと、このように考えております。  また、国内の法令の適用という御質問に関しまして、私どもの運輸安全委員会に関しましてお答え申し上げますと、運輸安全委員会におきましては、日本国籍の船舶について発生した船舶事故我が国の領海内で発生した船舶事故などを対象として、運輸安全委員会設置法に基づきまして、事故再発防止のための事故原因の究明調査を実施しております。  今回の事故につきましては、他国の主権が及ぶ領域において発生し、かつ他国籍船によるものでありますことから、基本的には運輸安全委員会設置法に基づきます調査権限を行使することはできないものと考えております。
  58. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  私の情報は報道ベースの話なのであれなんですが、最終的に船主責任が求められることになるのではないのかというような報道もありまして、最終的には、国内の企業さんが船主だという、実質的にそうだというような報道もなされておりますが、この点については国交省としてどのように捉えているかというか、どのような情報、今御答弁で、船籍は外国なので国内法がという話もありました。国内の船主のところに責任が及ぶようなことがあるのかどうか、分かっている範囲で教えていただければと思います。
  59. 大坪新一郎

    政府参考人大坪新一郎君) 今回の座礁事案に関しましては、現時点では事故原因等の全貌が不明であるため、今回の事故責任を誰が負うことになるかについては、お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。  一般論としては、船舶事故に係る損害については、船長その他の船員に故意又は過失があるということが裁判所の判断により認められる場合には、船舶所有者が責任を負うこととなります。このような場合であっても、船舶所有者の責任国際条約に基づいて一定の限度額まで制限することが可能であり、また、船舶所有者が加入している保険により補償が行われると承知しています。  一方、通常予期できず、損害防止が期待できないほどの自然災害が原因であるなど、船長その他の船員に過失がないということが裁判所の判断により認められる場合には、船舶所有者が責任を負わないということもあり得ます。
  60. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 船の事故が起きると、船主は日本、運用会社は海外、船員さんも海外というような、船独特のリスク分散というんでしょうか、いろんなところがいろんな関わりを持っていて、何かあると最後は船主のところに来るというところをずっと見ておりますので、ちょっと心配になりました。  また、話、全然今のスエズ運河の事故とは関係なくなります、別の話になりますけれど、そういった観点から、経済安全保障という観点からいうと、何かあったときに、日本商船隊をきちんと維持して、日本船舶だったり日本人船員さんというのをきちんと経済安全保障の観点から養成をしておかなければいけないんじゃないかと思っておりまして、国交省さんの方も、日本船舶が四百五十隻、そして日本人船員は五千五百人ぐらい必要だというふうに試算をされているようですけれど、現在の取組はどうなっておりますでしょうか。
  61. 大坪新一郎

    政府参考人大坪新一郎君) 四面を海に囲まれた我が国においては、我が国の管轄権が及ぶ日本船舶、それから高度な船舶運航技術を有する外航の日本人船員というのは非常に重要な存在でありまして、経済安全保障の確立を図る観点から一定規模を確保することが必要と考えています。  このため、国土交通省としては、日本の外航の船社が計画的に日本船舶確保し、日本人船員を確保、育成できるように、トン数標準税制等の特例措置を行っています。また、外航船員を目指す若年者に対して、就職面談や座学研修、乗船研修を行って実務能力と経験を習得させ、中小外航船社への就業を支援しています。  さらに、ウエブサイトやSNSを活用して海や船に関する情報発信を行うとともに、小中学生への海洋教育を推進することによって若年層の海への関心を高め、船員志望者の裾野の拡大に努めています。  今後とも、このような施策の実施を通じて、日本船舶確保、それから外航日本人船員の確保、育成を進めて、我が国における安定的な国際海上輸送の確保を図ってまいります。
  62. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  続いて、北極海航路の活用についてちょっとお尋ねをしてみたいと思います。  国交省として、今現在、北極海航路の利用状況と利用に関する検討はどんなことが行われているんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。  今回のスエズ運河の事故もあって、喜望峰回りの南回りと、それからこの今言った北極海航路というのがあるんですけれど、これが俄然注目を受けておるので質問したいと思っております。現在の取組について御答弁いただければと思います。
  63. 石田優

    政府参考人(石田優君) お答えさせていただきます。  北極海航路につきましては、欧州―アジア間を結ぶ航路としての新たな選択肢となる可能性があるという認識をしております。その利活用に向けた環境整備を進めることが第三期の海洋基本計画にも位置付けられているところでございます。  ただ、現在は北極圏におけますLNGの開発に伴いますLNGの輸送などが中心となっておりまして、定期運航を要しますコンテナ輸送などに関しましては、海氷が減退する夏期の利用が主であることや、航路の特性上、通航可能な船舶に制約があるなどの課題から、今のところは利用が進んでいないという状況と認識してございます。  国交省におきましては、そうした状況も踏まえながら、北極海航路の利用動向や航行制度などに関します情報の収集を行いますとともに、海運企業などの民間事業者、研究機関、関係行政機関を構成員といたします北極海航路に関する産学官連携協議会を組織いたしまして、平成二十六年度以降毎年開催をし、北極海航路の利用に関します今申し上げました各種の情報の交換、共有を図りつつ、その利用に向けた環境整備に取り組んでいるところでございます。
  64. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  今の答弁にあったLNGについては実績があるようでございまして、調査会で先般も参考人から意見をいただいて、商船三井さんがLNGの砕氷能力を備えた船を使って実績を行っているようでございますし、ロシアの方からも、北極海航路、このLNGを出しているところのエネルギー企業からもそんな話があるようでございますので、今御答弁あった産官学の連携協議会において、この北極海航路の活用について積極的に議論をしていただければと思っております。  今の御答弁で、LNGだけ、LNG船だけというような御答弁あったと思うんですけれど、これから日本の海運業をもう少し強力化していくために、やっぱり北極海航路をしっかり使えるようにということで、コンテナ船やバルク船、それから自動車運搬船まで入れられるかどうか分かりませんけれど、砕氷能力を備えた貨物船の開発をしていかなければいけないなというふうに私自身は感じているんですが、国交省としてどんな取組を考えているのか、お聞かせいただければと思います。
  65. 大坪新一郎

    政府参考人大坪新一郎君) 現在は先ほど説明ありましたLNGの輸送にとどまっていまして、これからもLNGの輸送は増えてくると思っています。  では、LNG以外の輸送については、生産地と消費地のこの地理的関係からいえば、欧州とアジアで海上輸送量が大きいコンテナ輸送というのが想定されます。しかしながら、コンテナ輸送に関しては、先ほどもありましたように通年航行が難しいということに加えまして、同航路、北極海航路における海難救助の拠点、それから船舶修繕、それから燃料補給の拠点、これらが十分整備されていないので、いまだビジネス上の課題がたくさんあるということで、我が国海運会社においては現在具体的な検討が行われていないという状況にあります。  砕氷能力を備えている貨物船というのは日本の造船会社でも建造しておりますし、ニーズがあればそれはこれからも建造することができます。国交省としては、海運会社のニーズに基づいて、沿岸国ロシアの制度、それから資源開発の動向といった情報を収集、共有して、適切な輸送活動を円滑に行われるように環境を整備するよう努めてまいります。
  66. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。  最後の質問になりますが、この北極海航路の活用について、大臣、所見がありましたらお聞かせいただければと思います。
  67. 赤羽一嘉

    ○国務大臣(赤羽一嘉君) 今般のスエズ運河の座礁事故を踏まえて考えなければいけないのは、やっぱりリスクは分散させなければいけないということであります。そのうちの一つの選択肢として北極海航路というものがあると思いますが、私は、そこの、何というか、ビジネス上のメリットがどれだけあるかというのは、やはりまず船会社が認識をするものだというふうに思っております。まず、海事局から日本の船会社各社としっかりその辺議論するようにと、政府が出なければいけないステージがあるならばしっかり支援をしていくと。  また、あと、私個人的に言うと、そうはいうものの、冬の間は航行ができないというような制限もありますので、スエズ運河、座礁事故起きたところは、いわゆる複線、単線でいうと単線区間でありますから、恐らくエジプト政府としても、これは想像でありますけれども、そこの部分を拡張するとかということは多分、当然検討されるんではないかと。  そうしたことを様々な選択肢を増やしていくということが大事だという基本方針の中で、日本の海事会社、また物流関係のところともしっかりと議論を進めていくように指示をしているところでございます。
  68. 熊谷裕人

    ○熊谷裕人君 ありがとうございます。終わります。
  69. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武です。  本日は、海上交通安全法等の一部を改正する法律案に関しまして順次質問をしてまいりたいと思います。  まず、二〇一六年三月に策定されました第十次交通安全基本計画では、海上交通の安全についての目標を定めております。具体的には、二〇二〇年代中に我が国周辺で発生する船舶事故隻数を第九次計画期間の年平均である二千二百五十六隻から千二百隻以下にすることを目指すとした上で、少なくとも二〇二〇年までには船舶事故隻数を二千隻未満にすることを目標として、今日まで我が国海上交通の更なる安全確保を推進をしてまいりました。  そして、先月二十九日には政府の中央交通安全対策会議が持ち回りで開催され、二〇二一年度から二五年度を期間とする第十一次交通安全基本計画が決定されております。  そこで、海上保安庁質問いたしますが、第十次交通安全基本計画における船舶事故隻数の削減目標の達成状況について確認するとともに、先月末に決定されました第十一次交通安全基本計画における船舶事故隻数の削減目標の概要について確認をしたいと思います。
  70. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  委員から御指摘のございましたように、第十次交通安全基本計画、これにおきましては、船舶事故隻数を二千隻未満とするということを目標としておりました。この計画最終年であります令和二年における船舶事故隻数は千九百五十四隻であり、目標を達成したところでございます。  事故船舶の種別別の割合では、小型船舶が全体の約八割、特にプレジャーボートが全体の五割を占めており、これら小型船舶の安全対策として、訪船指導や海難防止講習会に加え、SNSの活用を通じた啓発活動を行うとともに、気象の現況や海域情報が容易に入手できるよう、スマートフォンを通じた海の安全情報の充実強化に取り組んできたところでございます。  また、今年度からの第十一次交通安全基本計画、これは令和三年から令和七年度までの五か年でございますが、この計画では船舶事故隻数を千五百隻未満とすることを目標に設定し、その達成に向けて取り組んでいるところでございます。さらに、これまでの安全対策に加え、悪天候時の走錨等に起因する事故防止対策を新たに盛り込んだところでございます。  これまで講じてきた対策に加え、本法律案における異常気象等の避難勧告等を適時適切に運用することにより、船舶交通の安全対策の更なる強化を図ってまいります。
  71. 杉久武

    ○杉久武君 目標は達成をできたということでありますが、船舶事故件数を減らすためにも、海上保安庁には引き続き御尽力いただきたいと思います。  他方、近年激甚化している台風などの異常気象船舶にもたらす影響も見過ごすことができませんので、こうした異常気象時における海上交通の安全確保は喫緊の課題でございます。  そこで、本法案改正に際して忘れてならないのが、二〇一八年九月に発生をいたしました台風二十一号による災害でございます。この台風二十一号では、私の地元大阪を直撃いたしまして、最大瞬間風速五十メートルを超える猛烈な風が観測をされまして、家屋の屋根が吹き飛び、電柱がなぎ倒されて、大阪全域でも大規模な停電が発生をいたしました。  中でも、リアルタイムで全国に報じられたのが、台風による強風の影響タンカーが押し流され、関西国際空港連絡橋に追突した事故でございます。このタンカーの追突によって橋は大きく破損し、当時関空にいた最大約八千人の方が孤立状態となったわけであります。  そこで、海上保安庁質問いたしますが、この追突事故をきっかけとして、大阪湾北部海域の監視体制強化を図るために、大阪湾海上交通センターの機能を再編し、事故防止対策の着実な推進を図っていただいておりますが、現在までの進捗状況について確認をしたいと思います。
  72. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  大阪湾海上交通センターにおきましては、明石海峡航路及びその周辺海域において、レーダーから得られる船舶動静の情報や、AISと呼んでおります船舶自動識別装置、これから送信される船名や位置などの情報を活用して、船舶航行管制事故防止のための情報提供を行っております。また、阪神港における港内交通管制室では、港に出入りする船舶航行管制を行っております。  しかし一方で、委員指摘のとおり、平成三十年九月、大阪湾海上交通センターによるレーダー監視ではカバーできていない関西国際空港連絡橋に走錨したタンカー衝突するという事故発生したところでございます。この事故を受け、関西国際空港を含む大阪湾北部海域の監視体制の強化、これを図るため、大阪湾海上交通センターの機能を拡充、再編し、走錨事故防止対策を推進することとしております。  具体的には、今後、関西国際空港や神戸ポートアイランドに新たにレーダーを設置することとしており、令和四年度中の運用開始を目指しております。また、令和二年度までに関西国際空港や神戸空港に監視カメラ、これを設置したところでございます。  これにより、大阪湾海上交通センターのレーダーによる監視海域が、明石海峡の周辺海域に加え、関西国際空港及び神戸空港周辺海域まで拡大することとなります。また、これらの海域船舶の動静を一体的に把握した上で、効果的、効率的に監視や情報提供を行うことが可能となり、大阪湾北部海域における船舶交通の一層の安全が確保されることになるというふうに認識をしてございます。
  73. 杉久武

    ○杉久武君 今回のこの事故では、台風タンカーが木の葉のように流され、橋に追突し食い込むさまはリアルタイムで全国に放送され、社会的にも大変大きな反響を呼びましたが、このとき図らずもこの報道である言葉が全国的に知られるようになりました。それが先ほどより登場しております走錨という言葉でございますが、この走錨によって船舶が橋や空港などの重要施設に追突することを防ぐため、今回の法改正では様々な措置を講じることとされております。  その中で、大型台風の接近時に船舶を早期に湾外へ退去させることができるよう示されておりますが、ここで一つ指摘をしておきたいのは、湾外に出ることによってかえって危険性が増す船舶の種類もあると思いますし、湾外避難したとしても、不慣れな場所に避難することで船舶に別の危険を生じさせるおそれもございます。また、湾外に出ること自体、時間的にも経済的にも余計なコストが掛かることになりますので、湾外避難そのものは必要な措置と考えますが、実際に湾外避難した場合の船舶に与える影響というものも十分に考慮する必要があるというふうに思います。  そこで、海上保安庁質問いたしますが、避難勧告を行う際の避難対象となる船舶のタイプや大きさ、規模についてはどのように決め、船舶運航関係者からどのように理解を得るのでしょうか。また、強制力を伴わない勧告によって避難実効性を担保することができるのか、海上保安庁の見解を伺います。
  74. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  船舶湾外等の安全な海域避難させるための勧告を発動する要件、これにつきましては、台風来襲時の船舶の走錨のリスクのみならず、委員指摘のとおり、船舶避難する際の安全性も十分に考慮し、また経済的な影響といったことも考慮して行うという基本的な考え方でございます。  これを具体的に申し上げますと、対象とする台風は、最大風速が毎秒四十メートル以上の暴風を伴うような特に勢力の大きい台風とすること、勧告の発動時期は、船舶台風影響が少ない他の海域避難する時間を考慮し、十分な時間的余裕を持って対象海域強風域が到達する二日ほど前とすること、対象船舶は、自動車運搬船コンテナ船などの風の影響を強く受ける船舶を主な対象とし、かつ外洋において悪天候でも安定して安全に運航できる性能を有する一定の大きさの船舶とすること、こういったことを発動要件の基本的な考え方としてございます。これらの基本的な考え方につきましては、海事関係者や学識経験者の御意見も賜りながら検討を行ったものでございます。  さらに、東京湾伊勢湾大阪湾などの各海域勧告の具体的な基準や運用、これにつきましては、各海域における官民の海域関係者から構成される協議会においてあらかじめ定めておくことで、予見可能性を持って避難行動を取っていただく考えでございます。  このように、船舶運航関係者皆様の御理解を得ながら、慎重かつ的確に法制度を運用することで、勧告による避難実効性を担保してまいりたい、このように考えてございます。
  75. 杉久武

    ○杉久武君 今御答弁いただいたとおり、実際に湾外避難を行わなければならない事態というものは相当な規模の異常気象によるものと思われますので、年に何回かあるかどうかだとは思いますが、こうした非常時に備え、湾外避難が適切かつ迅速に行われるよう、海上保安庁の尽力をお願いをしたいと思います。  次に、海上保安庁では、本年一月に昨年の海難事故の速報値を公表いたしましたが、この報告によりますと、先ほどの冒頭の御答弁にもありましたが、大型船の事故が一、二割減少した一方で、水上オートバイなどプレジャーボートの事故、これが百三十六隻増加し、千百五十四隻に上ったとございますが、こうした海難事故の中でも、特に船舶の追突防止に有効な船舶自動識別装置、AISというものがございます。このAISは、船舶の種類や位置、針路や走力、航行状態や安全に関する情報をVHF帯電波で自動的に送受信し、船舶同士や船舶海上交通センター等との間で情報交換を行うシステムでございまして、二〇〇二年に発効されたSOLAS条約を受け、我が国では、国際航海に従事する三百総トン以上の全ての船舶や、国際航海に従事する全ての旅客船、そして国際航海に従事しない五百総トン以上の全ての船舶に対してこのAISを搭載することを義務付けておられます。  今回の法改正では、このAISを利用して航海用のレーダーに電子的に航路標識を表示させるバーチャル航路標識の設置が示されておりますが、このバーチャル航路標識は、当然のことながらこのAISを搭載した船舶のみが認識できるため、例えば沿岸で漁業をする小型漁船やプレジャーボートなどはAISの搭載が義務付けられていないことから、AISを搭載していなければバーチャル航路標識を認識することが当然できないわけであります。  先ほど申し上げましたとおり、特にプレジャーボートの事故率が高いことから、本来であればAISを普及させることが望ましいわけでありますが、通常のAISの本体価格は百五十万円程度と、簡易型でも数十万円は必要なことから、普及という面から見ますと金額面で高いハードルがございます。  そこで、国土交通省に質問いたしますが、AISの取付け支援については、例えば漁船については水産庁などが支援を行っておりますが、プレジャーボートに関して、例えばスマートフォンのアプリを活用するなどしてAISに準じた海上交通の安全に資する活用ができるよう、これ是非支援すべきと思いますが、国土交通省の取組について伺いたいと思います。
  76. 大坪新一郎

    政府参考人大坪新一郎君) 委員指摘のとおり、プレジャーボート等の小型船舶については、AISを義務付けるのはユーザーの費用負担の面などから困難と考えています。他方、近年では、急速に普及が進むスマートフォンを活用し、他船の接近や浅瀬への乗り上げなどを警告する機能を有するスマートフォンアプリの開発が民間において進められております。  国土交通省では、平成二十八年度に船舶におけるスマートフォンアプリ活用のためのガイドラインを策定し、アプリに搭載する機能及び要件を整理、公表することで、アプリの開発、普及を推進しているところです。また、令和三年度において、現在公開されているスマートフォンアプリの実態調査を行いまして、更なる安全性の向上や普及促進に向けた課題を整理し、その後のアプリの開発、普及につなげていく所存です。  国土交通省としましては、このような取組を通じ、引き続き小型船舶安全性確保を図ってまいります。
  77. 杉久武

    ○杉久武君 事故率が最も高いこのプレジャーボートの事故を減らすことが海上交通安全の目標を達成する今後鍵になると思いますので、今御答弁いただいたように、スマートフォンを積極的に活用して、海上交通の安全強化が図られるよう、更なる検討是非お願いをしたいというふうに思います。  次に、航路標識復旧に係る原因者負担制度創設について伺います。  近年、台風を始めとする異常災害影響などにより航路標識事故が増加しており、二〇一五年から二〇一九年までの五年間における船舶接触が原因となった航路標識の損傷被害は二百六十二件発生したとの報告がございます。  そこで、海上保安庁質問いたしますが、過去五年間の二百六十二件の損害について、その被害額はどの程度あり、復旧はどの程度進んでいるのか、確認をしたいと思います。
  78. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  平成二十七年から令和元年までの五か年に航路標識船舶衝突により損傷を受けた事故が二百六十二件発生しており、これまでに二百二十九件が復旧を完了し、三十二件が本復旧に向けた作業に着手、一件が未復旧となっているところでございます。  航路標識の損害額について、標識の種類あるいは損傷の程度といった個別事案により異なりますため一概にお答えするというのは困難でございますが、一例を挙げますと、全損壊となったためブイごと交換し、復旧させた事例がございます。この事例におきましては、工事費込みで約三千万円を要したことがございます。未復旧の事案といたしましては、平成三十一年一月に室蘭港で発生をいたしましたもので、原因者との交渉が長期化したため、海上保安庁負担で仮復旧を行った上で、原因者との交渉を継続しているところでございます。  船舶交通の安全を確保するため、引き続き原因者に対し早期復旧を求めてまいりたいと考えてございます。
  79. 杉久武

    ○杉久武君 この航路標識が損壊をした場合、海上交通の安全に関わることでありますので迅速な復旧が不可欠なのでありますけれども、近年では、損害を起こした原因者からの賠償の合意が得られず、航路標識復旧に時間が掛かっているケース発生をしていると、今の御答弁の中でも、一件はまだ未復旧であるという、そういうお話もございました。  そこで、海上保安庁質問いたしますが、航路標識損傷の原因者に対して、請求の合意が得られないケース発生している原因は何か、また、合意が得られなかった場合、航路標識復旧はどうなるのか、確認をしたいと思います。
  80. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  航路標識が損傷を受けた場合、船舶交通の安全を確保するため迅速に復旧する必要があると考えてございます。現行の航路標識法には復旧についての規定がなく、民法の不法行為等の規定に基づいて原因者現物賠償金銭賠償を求めているといったところでございます。  しかしながら、原因者が自身の非を認めなかったり、あるいは金銭負担に応じないといった理由により交渉が難航し、復旧に長時間を要するケースがございます。また、これまで事例はございませんが、最終的には民事裁判による解決を目指すこととなると考えており、この場合、更に長期間を要するということが見込まれるところでございます。  このため、今回の法改正により、原因者に対して工事の施行を命ずる規定強制徴収手続を含む費用負担義務付ける規定を盛り込むことにより、負担公平性確保するとともに、迅速かつ確実な航路標識復旧を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  81. 杉久武

    ○杉久武君 損害を受けた航路標識復旧に時間が掛かれば船舶の安全航行に大きな支障となりかねませんし、そもそも原因者に対する賠償が得られないのであればモラルハザードにもつながりかねませんので、今回のこの法改正によって実効ある措置が適切に講じられるように、海上保安庁の尽力を強く望みたいと、このように思いますので、よろしくお願いいたします。  最後に、それでは大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  人事院では、先月十一日に、国民からの信頼を高めた国家公務員を表彰する第三十三回人事院総裁賞の個人受賞者として、海上保安庁那覇航空基地の機動救難士、上治悟さんが選出をされました。上治さんは、一九九七年の海上保安庁入庁以来、十八年にわたり機動救難士、救急救命士として救助活動に尽力され、これまでに百七十人以上の方を救助をされました。また、後輩の指導や育成にも精力的に取り組んでこられたことも受賞の背景となったとのことで、私も心から敬意を表したいと思いますが、その上治さんが所属をされているのが尖閣諸島も管轄区域となっております第十一管区海上保安本部でございまして、上治さんを始め多くの職員の方が、緊張状態が続く南の海で昼夜を分かたず職務に奨励をしていただいております。  こうした激務をしっかりと下支えするためにも優秀な人材と予算の確保は極めて重要であることは言うまでもございませんが、既に赤羽大臣の御尽力で海保予算の増額や職員の増員を順次進めていただいているものの、いかんせん、予算総額そのものが、海保に与えられた重責に対して私はまだまだ釣合いが取れていないように感じております。  具体的に申し上げれば、我が国の領海と排他的経済水域を合わせれば世界第六位という広大な面積を有し、国土の約十二倍もの面積を管轄しているにもかかわらず、その予算額は警察庁の三分の二にすぎませんし、更に言えば、海保の予算を全部つぎ込んでも、防衛省が現在検討中の新型イージス一隻の値段にも満たないわけでございます。  そんな予算の中で我が国の領海を守っていただいているのが現状であると思いますので、国土交通大臣にお伺いいたしますが、我が国の領海を確保し、命を救い、災害に備え、海上交通の安全を守る海上保安庁の体制強化に向けた大臣の御決意をお伺いできればと思います。
  82. 赤羽一嘉

    ○国務大臣(赤羽一嘉君) まず、杉委員から人事院の表彰について御紹介いただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。また、海上保安庁の現場の業務の大変さ、よく御理解をいただき、予算面、人員面の応援の御質問もありがとうございます。  まさに今おっしゃられるとおりで、年々、周辺領海警備の状況も厳しくなっている上に、激甚災害が頻発をしておりますので、救命、救難から、また予防的な対応等々、今回はその法改正をお願いしているわけでございます。  特に、先ほど地元大阪湾の関空の連絡橋が途絶した事案のお話もございましたが、私は、あれ、私も地元なものですから、まああれは明らかにやりようによっては避けることができたというふうに非常に残念に思っております。  そういう意味では、今回、こうした気象庁との連携の中での気象情報の予測の向上ですとか、事前のこうした走錨等々でリスクを回避するためのこと、それを民間の船会社にもしっかり徹底をすると、こうしたことをしながら、官民で協力を挙げて、安全、安心な領海、また海上交通の確保をしていかなければいけないというふうに思っております。  その中で、やはり核は人材の育成でございまして、今、かつては「海猿」という映画とかあれで非常に定員が増えておりますが、今まだ辛うじて頑張っているというところでございますけど、これはやはり人口減少していきますので、そうしたこともしっかり、人材育成についても力を入れていかなければいけないと。  海上保安学校、海上大学校、私も卒業式行かせていただきますが、やはり、よく聞くと沖縄出身とか北海道出身の皆さんが志望しているケースが多くて、長官も北海道御出身でございまして、やはり、領海に対する意識がある地域の人たちがやはりそうしたことを志望してくるということは、やはり逆に言うと、違う地域でもそうしたことを教育、啓蒙していくということも非常に重要だというふうに思っております。  そうしたことを、できることはしっかりやりながら、また皆様方からの御支援をいただいて、予算の確保に我々も一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、引き続き御指導、御支援よろしくお願いします。
  83. 杉久武

    ○杉久武君 我々もしっかりと海上保安庁の体制強化のために頑張ってまいりたいと思いますので、赤羽大臣の方におかれましても、今おっしゃっていただいた本当に思いで我々も一緒に取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  時間になりましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  84. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 維新の会の室井です。よろしくお願いいたします。  早速質問に入らせていただきます。先ほど来、各先生方の御質問がございます。重複いたしますけれども、お許しをいただきたいと思います。  スエズ運河庁の対応についてお尋ねをしたいと思います。  まず、このスエズ運河では、世界最大級のタンカーというのは数十万トン、三十万トン、また全長四百メートル近いこのような巨大なコンテナ船が座礁したという、そういうことでありますが、六日間にわたり運河の通航が遮断をされたと。よくテレビの画面でも出ておりますけれども、本当にすごいというか、どうして移動させるのかという、素人なりに非常に興味を持ったわけでありますけれども、心配もしておりました。  ようやくこの再開される見通しが付いたということでほっとしておるわけでありますが、その被害と申しますか、サプライチェーンの影響が深刻化するおそれが出てきておると。また、コンテナの所有者は、これ愛媛県の今治市の正栄汽船、このように聞いております。  スエズ運河の拡張工事が終わった二〇一五年以降、少なくとも八件の船舶事故があったということを聞いておりますが、安全対策が非常にそういう意味で課題になっておりますが、スエズ運河庁とも、当初、スエズ運河庁の発表は、砂嵐による視界不良と、強風が原因になっていたというような発表があったようでありますが、その後、人的要因の可能性を示しておると。こうなってくると、賠償の可能性も否定ができなくなってきた。  スエズ運河の今回の座礁についてどう分析されておられるのかまずお聞きをしたいことと、我が国のこの制度はどのようになっているのか、お聞かせいただけませんか。
  85. 大坪新一郎

    政府参考人大坪新一郎君) まず、スエズ運河通航時の航行ルールについて御説明させていただきますが、スエズ運河庁は、悪天候の際には運河通航の一時停止について検討することとなっています。また、船舶が運航、運河を通航する際には水先人を乗船させることが義務となっており、水先人が運河通航時の留意事項などについて船長など乗組員に助言をするということになっています。  今回の座礁事故の原因調査については、船舶の旗国であるパナマ共和国及び沿岸国であるエジプト・アラブ共和国により進められているものと承知しておりまして、我が国としては両国の調査の動向を注視してまいります。  また、今回の事案は、我が国で建造されて我が国の船主が実質的に保有する船舶の海難事故でありますので、両国から事故調査への協力を求められた場合には、我が国としても適切に対応してまいりたいと考えています。  船舶事故に係る損害については、船長その他の船員に故意又は過失があることが裁判所の判断により認められる場合、船舶の所有者が責任を負うこととなります。このような場合であっても、所有者の責任は条約に基づいて一定の限度額まで制限することが可能であり、また、船舶所有者が加入している保険により補償が行われると承知しています。  我が国制度ですが、船舶の総トン数に応じた限度額まで船主の責任を制限するという制度を条約に基づいて国内法に取り入れております。さらに、我が国へ入ってくる、入港する船舶に対しては、この責任限度額以上の船主責任保険に加入するということを義務付けているところです。  一方、通常予期できず、損害防止が期待できないほどの自然災害が原因であるなど、船長その他の船員に過失がないということが裁判所の判断により認められる場合には、船舶所有者は責任を負わないということもあり得ます。
  86. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 今のところ、じゃ、はっきりしていないということなんでしょうけれども。  通告はしていなかったんですけれども、お許しください。二〇一五年以降、少なくとも計八件の船舶事故があったと。これは日本船は絡んでおるんでしょうかね。
  87. 大坪新一郎

    政府参考人大坪新一郎君) 二〇一五年以降八件の船舶事故がという報道はありましたけれども、我々が把握している限り、また日本の業界団体が把握している限り、運河拡張以降、日本関係船舶がスエズ運河内で事故を起こしたということはありません。
  88. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  次の質問をさせていただきます。  この船舶事故防止対策についてでありますけれども、平成三十年の関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故のことでありますが、多くの先生方からも質問ございました。この令和また元年の横浜港の南本牧はま通りへの貨物船の接触事故を踏まえ、激甚化する風水害に対する海上交通における安全対策は非常に重要性を増しておると、このように認識をしておるところでありますが、この荒天時において、走錨というんですね、これ、走錨等に起因する事故防止に向け運用改善が図られ、実効性のある対策が実施されておると承知をしております。  今回の法改正によって、三大港湾等における湾外避難通告及び命令制度等が創設されたということでありますが、台風等の来襲時に甚大な被害をもたらすような事故を回避するため、現場での海上対応、また運航管理が重要となるのはもちろんのことでありますが、官民が一体となったこの事故防止取組は極めて重要であると思っております。  海上保安庁として、関係機関とのこの連携を更に今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お聞きをしたいと思います。
  89. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、今回の対策におきまして、官民の連携、極めて重要であると、このように考えてございます。  海上保安庁は、改正法に基づきまして、東京湾伊勢湾大阪湾などのそれぞれの海域に法定の協議会を設置をいたします。その構成員は、海域利用者間において密接に連携を図るため、気象庁などの関係省庁の地方出先機関、港湾管理者船舶運航事業者、水先関係者、タグボート関係者船舶代理店関係者、そして海事関係団体などとすることを考えているところでございます。  協議会は、こうした官民の海域関係者と、避難対象となる台風避難の時期や対象船舶船舶避難する際に必要となる水先人や曳船の利用、勧告発出時の連絡体制及び周知体制などにつきまして事前に調整を図る役割を担うこととなると考えてございます。  また、実際に台風が来襲する際には、気象庁の出先機関から最新の台風予報について協議会のメンバーに説明いただき、台風の進路、強度などの状況を共有した上で、湾外避難の必要性などについて協議をし、協議結果を周知する役割を担うこととなります。
  90. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  これはちょっと私の勉強不足だと思うんですが、今、三大港湾ということは、東京湾伊勢湾大阪湾という表現をされましたが、瀬戸内海は含まれているのかな。
  91. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) 恐縮でございます。ちょっと、やや舌足らずな物の言い方をいたしました。  東京湾伊勢湾大阪湾を含む瀬戸内海でございます。
  92. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 いや、細かいことをごめんなさい。  それでは、次の質問に入ります。  非常災害の発災時における安全対策であります。  特に、巨大津波がいつ来るか分からないという、こういうときの安全対策がどのようになっているのかお聞きしたいと思いますが、風水害等の場合、台風の接近、上陸などを予測し、タイムラインに沿って海難事故防止の対策を取ることが可能であります。そういう現状の中で、南海トラフ地震、首都直下地震の場合、今後三十年のうちに発災する、発生することは予測できていても、時系列を追って海難事故防止対策を講じることは、これは非常に難しいことであると思います。  そこで、この南海トラフや首都直下地震が発生し、しかも巨大津波が押し寄せてくる状況の中、特に、静岡県、和歌山県、三重県、高知県、徳島県への津波の到達時間は約十分以下と極めて短時間の予測が出されております。非常時においても海上交通管制センター等の機能が十分対応することが可能なのかどうか、この点をお聞きをしたいと思います。
  93. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  沿岸域において震度五弱以上の地震が発生した場合や津波注意報などが発表された場合、海上保安庁では、船舶運航者等に対し、航行警報や海の安全情報により地震発生情報提供を行うほか、海上交通センターなどから、船舶自動識別装置、AISメッセージによる情報提供を行うこととしております。  また、各海上交通センターにおきましては、建物について耐震化が図られ、設備については非常用電源装置の設置によるバックアップ体制を取り、管制データ処理装置等につきましては二重化を講じてございます。  このように、災害により被災した場合でも、必要な機能を維持するよう措置しているところでございます。
  94. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。よろしく御対応をお願い申し上げます。  最後の質問に入ります。  ふくそう海域における安全対策であります。  このふくそう海域等における船舶の交通安全対策として、船舶の動静把握や情報提供等の実施によって海難事故を半減させ、大きな効果を上げていると認識をしております。レーダー、AISを用いた船舶の動静や走錨等の監視が海上交通センター等で行われておりますが、このレーダーによる監視ができないエリアにおいて、AIS非搭載船の動静の把握や船名の確認ができないという課題が生じておると聞いておりますが、レーダー等による監視ができない海域船舶の交通安全対策について、海上保安庁としてはこの安全対策の向上に対してどう取り組んでおるのかと。  もう一点お聞かせいただきたいことは、船舶のAIS装置の導入拡大や海上保安庁以外の者が設置するAIS信号の設置の促進に係る取組海事関係者等の理解が鍵になってくると思っております。海上保安庁は、この海事関係者等の連携をどのように取組を進めていくのか、お聞かせをください。
  95. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  海上保安庁では、ふくそう海域のうち、航路及びその周辺を監視するためにレーダーを設置しております。レーダーによる監視を行うことができない海域につきましては、船舶自動識別装置、AISを活用し、事故防止のための情報提供や監視を行っているところでございます。  具体的には、海上交通センターの運用管制官から船舶に対し、気象情報や津波発生時の情報航行影響を及ぼす海難情報AISメッセージにより広く提供しております。また、浅瀬への接近や異常気象時の走錨の予兆といった重大な海難につながるおそれのある事象を検知した場合には、個別の船舶に対しVHF無線電話や船舶電話で呼びかけ、危険回避のための注意喚起を行っております。  このように、AISが衝突事故等を未然に防止する上で有効な機能を持ちますことから、鋭意その普及に努めているところでございます。  具体的には、係留している漁船を訪問して安全指導を行う際や、漁協に対し海難防止のための講習会を行う際などに、当省の海事局、水産庁、総務省の電波担当部局などの関係省庁とも連携して作成をいたしましたリーフレットも活用するなどにより、AISの導入について積極的に働きかけを実施しているところでございます。また、民間や自治体などが管理する施設におけるAIS信号所の活用促進につきましては、改正法においてAISの仕組みを活用した異常気象時におけるバーチャル航路標識の緊急表示制度創設することとしているところでございます。  いずれにせよ、航行の安全の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと、このように思っております。
  96. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。終わります。
  97. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  98. 江崎孝

    委員長江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、高橋克法君が委員辞任され、その補欠として今井絵理子君が選任されました。     ─────────────
  99. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 休憩前に引き続き、海上交通安全法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 浜口誠

    ○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。よろしくお願いします。  海上交通安全法等の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場でこれから質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、今回の法改正によりまして、湾外への避難ですとか、あるいは錨泊制限というものに対しての勧告命令制度が新たに創設されることになります。この法改正対応するために、海上保安庁としての体制の強化、人員増も含めて、どのような体制で今回の法改正対応していくのか、その準備状況も含めて、赤羽大臣にこの法改正対応についての海上保安庁の体制に関してお伺いしたいと思います。
  101. 赤羽一嘉

    ○国務大臣(赤羽一嘉君) 海上保安庁の、特にまず領海警備的な側面では、平成二十八年十二月の関係閣僚会議において決定していただきました海上保安体制強化に関する方針に基づいて体制の強化を進めているところでございますが、今回の法改正のきっかけとなりましたように、激甚災害の頻発化する中で海上交通の安全が脅かされないようにということで今回法改正をさせていただいたところでございます。  その中で、午前中もるる御質問いただいておりますが、臨海部に立地する施設周辺海域船舶に対する情報提供ですとか、異常気象時における安全な海域への移動、誘導等々で業務は増加しますので、まず人員面での体制の強化も必要ですし、同時に、海上交通センターの機能強化に加えまして、レーダーの監視体制等々充実させていく、その情報提供施設面での体制の強化もする中で、やはり人の増員というのは非常に重要だというふうに思っております。  これまでも、先ほど平成二十八年から令和三年の中で比べますと、当初予算でも千八百七十七億円から二千二百二十六億円に、また定員も一万三千五百二十二名から一万四千四百二十七名に増加をしている状況でございますし、冒頭、午前中ちょっと申し上げましたが、海上保安学校の学生採用試験の状況も、昨年度七千六百九十二名に対しまして、申込者がですね、今年度は八千二百六十八名と、五百七十六名増加をしている状況でございます。  これはもちろん、枠自体が五百名増やしておりますので、そうしたことの中で引き続き、少子高齢化でなかなか人員といっても簡単に増やせない状況でございますけれども、しっかり、広がる業務に対して人員的に追い付かないようなことがならないように、我々も気を引き締めながら、また予算を獲得をしっかりして、法改正をしたけれども実際の中身が追い付かないようなことがあってはならないと考えておりますので、対応を全力でして万全な体制を取っていきたいと、こう考えております。
  102. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  大臣の方からも万全な体制を取っていくということで大変力強い御答弁いただきましたので、是非海上保安庁の皆さん、本当に仕事の範囲が広いですし、領海警備始め非常に重要な仕事を担っていただいております。今回の海上交通安全法改正等につきましても、本当に重要な役割だというふうに我々も認識しておりますので、体制面での整備強化、しっかりと取り組んでいただくことを改めてお願い申し上げておきたいと思います。  では、続きまして、湾外避難をさせるときに、今日も午前中からも議論ありましたけれども、法定協議会というのが新たに設置をされます。この協議会のメンバー、具体的にどういった皆さんがメンバーに入っているのか。そして、午前中の議論聞いていて一つ思ったんですけれども、海外の船舶勧告命令になかなか従っていただけないというようなこれまでの経過もあったというような御答弁ありましたけれども、この協議会のメンバーの中にそういった海外船舶関係者の方も含まれるのかどうか、その辺も含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  103. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  海上保安庁におきましては、改正法に基づき、東京湾伊勢湾大阪湾を含みます瀬戸内海のそれぞれの海域法定協議会を設置をいたします。その構成員は、海域利用者間において密接に連携を図る必要があることから、気象庁などの関係省庁の地方出先機関、港湾管理者船舶運航事業者、水先関係者、タグボート関係者船舶代理店関係者、海事関係団体などと考えてございます。  このうち、例えば外国船舶協会ですとか、あるいはその代理店関係者もこれ外国船舶扱ってございますので、そういう意味で、外国船舶を直接管理あるいはその外国船舶をも管轄の中に含む団体と、そういったものも入るという予定としているところでございます。
  104. 浜口誠

    ○浜口誠君 分かりました。ありがとうございます。  協議会の中に外国船舶関係者も入るということなので、より円滑にそういった皆さんとの連携強化もこの協議会を通じて図っていただきたいというふうに思います。  では、続きまして、今回、湾外への避難ですとか錨泊の制限等をやるんですけれども、どのような基準で判断していくのか、その判断基準を教えていただきたいなというふうに思っております。  あわせて、避難勧告とか命令とか行う場合のこの勧告命令判断基準についても、どのような形で明確に行っていくのかというのも併せてお伺いしたいと思います。  三点目として、罰則について規定があるというのは午前中の答弁でもありましたけれども、この罰則は誰に対して科されるのか、船長なのか船会社なのか。実際、船長は避難したかったけど、船会社の方から、いやいや、避難するなということで避難しなかったようなケースが出た場合に、じゃ、誰に対してこの罰則を科すのかという辺りをお教えいただきたいと思います。
  105. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  船舶湾外等の安全な海域避難させるための勧告を発動いたします要件、これにつきましては、台風来襲時の船舶の走錨のリスクのみならず、船舶避難する際の安全性も十分に考慮し、基本的な考え方を整理しております。  具体的には、対象とする台風は、最大風速が毎秒四十メートル以上の暴風を伴うような特に勢力の大きい台風とすること、勧告の発動時期は、船舶台風影響が少ない他の海域避難する時間を考慮し、十分な時間的余裕を持って対象海域強風域が到達する二日程度前とすること、対象船舶は、自動車運搬船コンテナ船などの風の影響を強く受けるそういった船舶を主な対象とし、かつ外洋においても悪天候下でも安定して安全に運航できる性能を有する一定の大きさの船舶という発動要件の基本的な考え方としてございます。  東京湾伊勢湾大阪湾を含みます瀬戸内海の各海域勧告の具体的な基準や運用につきましては、各海域における官民の海域関係者から構成されます協議会、これにおいてあらかじめ定めておくことで、予見可能性を持って避難行動を取っていただく考えでございます。  さらに、勧告を受けたにもかかわらず、これに従わない、勧告に従わない、そういう船舶がある場合に、当該船舶に対して、船舶航行の制限、船舶停泊場所の指定、一定の海域からの退去、こういったことを命令することにより、船舶交通の危険を防止することができるようとなります。  なお、本命令の、この命令の違反に対する罰則としては、三か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金を規定してございます。法文では違反行為をした者ということになってございますので、一般的には船長ということになろうかと、このように思います。
  106. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。分かりました。  船長がやっぱり船の全責任を負うという観点からは、一般的には船長に対して罰則も掛かるということで理解をいたしました。  続きまして、湾外避難する、あるいは錨泊いかりを下ろして船がとどまる、それが制限されることによって、例えばですけれども、船会社が荷主との契約を守れないと、いついつまでにこの荷物をこの港のここに降ろしてほしいというような契約を結んで船会社は運航しているはずなんですけれども、今回のような、湾外に一度出てしまうとその日程が守れないというような経済的な損害、リスクを負う懸念も今回の対応で出てくるんではないかなというふうに思います。  国としても、こういった経済的な影響をやっぱり最小限にとどめるようなオペレーションをしっかりやっていく必要があるというふうに思いますけれども、この経済的な影響を最小限にするための対応としてどのようなことを今後行っていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  107. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、この湾外避難などによる経済的影響ということは必要最小限になるよう配慮すべきものと我々も考えてございます。  湾外避難等勧告が行われました場合、船舶の運航計画を変更することになりますが、この勧告ルールは、官民の海域関係者で構成される湾内協議会におきまして、避難の時期や方法、対象となる船舶などについて協議を行い、納得の上であらかじめ定められるという予定としてございます。このため、船舶運航者皆様予見可能性を持って避難行動を取っていただけるものと考えておりますし、また、荷主方々にも御理解いただけるものと、このように考えてございます。  また、湾外避難等勧告制度は、船舶が十分な時間的余裕を持って安全な海域に無理なく避難することができるよう、慎重かつ的確に運営、運用をいたします。  海上保安庁といたしましては、船舶の運航計画の変更に伴う影響が最小限となるよう努めつつ、異常気象時における船舶交通の安全の確保を図ってまいります。
  108. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  是非、いろんな影響が出ると思いますけれども、とりわけ経済的な影響は本当に最小限にとどめるというのが関係者協力を得るためにも非常に重要な観点だというふうに思っておりますので、その点、改めてお願いをしておきたいというふうに思います。  今回の法改正によって、バーチャル航路標識の緊急表示という制度が新たに創設されます。この緊急表示はどういった要件のときにこれ実施をしていくのかという点をまず確認をさせていただきたいと思います。さらに、今回、手続面においてもいろんな緩和を行っていくという点も法には織り込まれておりますけれども、具体的な緩和策としてどのような対応を行っていくのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  109. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  バーチャル航路標識とは、電波標識の一つでありますAIS航路標識、これが電波を発信する機能を活用し、当該AIS航路標識とは別の任意の場所にあたかも航路標識存在するかのように船舶レーダー画面などに表示させると、そういったものでございます。  バーチャル航路標識の緊急表示を認める状況、条件につきましては、異常気象時や災害時に臨海部施設船舶衝突する事故を未然に防止するためレーダー画面上に施設存在を表示するという本制度趣旨から、具体的には、異常気象時に走錨事故防止のための情報提供が行われた場合、港則法又は海上交通安全法に基づく非常災害発生周知措置がとられた場合、こういった場合などにバーチャル航路標識を緊急表示するということを認めることといたしております。  また、今回の改正におきましては、手続面におきましても、本来であればAIS航路標識の変更許可といったものを要しますが、これを事後届けに緩和をいたします。また、施設管理者の委託を受けて海上保安庁が代行表示をする制度も併せて設けることにより、バーチャル航路標識の活用を促進し、臨海部に立地する施設への船舶衝突防止に取り組んでまいります。
  110. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  続きまして、今回新たに創設される制度として、湾内で停泊している船、これを避難を一体的にやるという観点から、海上保安庁長官の承認を得て代行する制度というのが新たに今回創設されることになります。この代行制度を今回法改正創設するに至ったその理由、背景を確認させていただきたいと思います。また、具体的にこの代行制度を実施するケースとしてどのような場合が想定されるのか、具体的なケースについても併せて御紹介いただきたいと思います。
  111. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  海上交通に関する権限は、通常、港内港長であります海上保安部署長が、また湾内は海上保安庁長官が行使をしております。  本制度は、異常気象時等において港内と湾内を一体として湾外避難等を迅速、円滑に実施する必要から、湾外避難の権限を行使する海上保安庁長官港内避難の権限を持つ港長に代わりその権限を行使することを規定するものであります。  また、実際は、海上保安庁長官の権限は、港長権限の代行も含め、海上交通安全法の権限委任の規定に基づき、管区海上保安本部長が海上保安庁長官から委任を受けて行うということになります。  具体的なケースとして申し上げますと、例えば東京湾で申し上げますと、海上保安庁長官から委任を受けた第三管区海上保安本部長が、湾内に所在する京浜港を始めとする各港の港長に代わって港外に避難するよう勧告を行うとともに、湾外避難するよう勧告することを想定しているところでございます。
  112. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  では、続きまして、航路標識管理体制の強化についてお伺いしたいと思います。  航路標識というと、灯台とかは非常に我々も身近でイメージしやすいんですけれども、そのほかにどういった種類の航路標識が今あるのか、是非我々の理解を深めるという観点からも御説明をいただきたいと思います。
  113. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  航路標識は、その目的として、船舶航行の目印として船舶の位置を把握するためのものと、障害物の存在を示すために設置するものがございます。  また、その手段としましては、光を放つ光波標識と、電波を発信する電波標識に大別されるところでございます。光波標識は光り方や色、形状を利用した標識で、陸上の岬あるいは防波堤に設置されている灯台のほか、海上における障害物や航路を示すブイなどがございます。電波標識は電波を利用した標識で、船舶が搭載するレーダーの画面上にその位置を表示するAIS航路標識などがあるところでございます。
  114. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  先生方のお手元に資料を一枚配っております。今、海上保安庁長官が御説明いただいたこの航路標識の重立ったやつはこのペーパーに紹介されておりますので、また一度、時間がありましたら、こういうものが航路標識として今使われているということで御認識いただければというふうに思います。  続きまして、この航路標識が損傷をした場合、いろんな対応していかないといけないんですけれども、原因者の方に対して、航路標識を傷つけたり損害を与えた原因者に対して今現時点でどのような対応が求められているのかという点と、先ほどまでの議論の中でも、過去五年間でこの航路標識の損害、累計で二百六十二件の損害が発生しているという御答弁もいただいておりますけれども、この二百六十二件の損害を発生させた原因者というのはもう既に全て把握されているのかどうか。今の把握の実態について、併せて御答弁いただきたいと思います。
  115. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  御指摘平成二十七年から令和元年の五年間に衝突などにより被害を受けた航路標識は二百六十二件ございます。このうち、多くのものが原因者を特定してございますが、残念ながら一部特定できていないものもございます。  航路標識を損傷させた原因者を把握する方法といたしましては、通常は、原因者からの申告、あるいはブイの異常を感知するセンサーの発動などを端緒といたしまして、巡視船艇を現場に派遣した上で原因者を特定しております。このほか、通航船舶からの通報によりブイの異常を把握した場合には、船舶自動識別装置、データによる通航状況を分析するなどにより原因者を特定していくといったこともございます。  その後、現行法制におきましては、航路標識法に賠償に関する特段の規定がないことから、民法の不法行為として原因者現物賠償金銭賠償を求めているところでございますが、原因者が過失を認めない、あるいは負担額異議があるなどによりまして交渉が難航し、復旧に長時間を要するケースといったものもございます。  このため、今回の法改正により、原因者に対して工事の施行を命ずる規定強制徴収手続を含む費用負担義務付けることにより、負担公平性確保するとともに、迅速かつ確実な航路標識復旧を図ってまいりたい、このように考えてございます。
  116. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。  是非航路標識海上交通の安全を守るために大事な設備だというふうに思っておりますので、しっかりとした管理ができる体制を整えていただくことをお願いをして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  117. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  早速法案について質問させていただきたいと思いますけれども、近年、走錨した船舶による重大な事故発生をしているということであります。人命が危険にさらされるということはもちろんですし、また経済的な損失、あるいは海洋環境への影響なども懸念されるということも考えれば、今後の対応が迫られているということだというふうに思います。  まず、二〇一八年九月に関空の連絡橋タンカー宝運丸が衝突をした事故について、この教訓をどう生かしていくのかということで質問をさせていただきたいというふうに思います。  この事故を受けまして、二〇一九年の四月に運輸安全委員会船舶事故の調査報告書を発表いたしました。この調査報告書を見ますと、今後の事故防止に生かすことを目的にしておりまして、船長が取るべき対応、それから海上保安庁が取るべき対応も、それぞれ示しておられます。例えば、船長が取るべき対策の例としては、ケイチュウリョクとお読みしたらいいんでしょうか、いかりを下ろして安定させる力といいましょうか……(発言する者あり)ハチュウリュウ。
  118. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 後でよろしいですか、その話は。済みません、お願いします。
  119. 武田良介

    ○武田良介君 済みません、読み方ちょっと、申し訳ない。その確保ですとか、それから他船との十分な距離を取ることなど、船長に対応、対策を取ることとして掲げております。あるいは、海上保安庁が取るべき対策の例として、それぞれの海域を取り巻く環境に関する情報及び荒天時に実施される対策について事前に関係者周知徹底すること、こういうことが掲げられております。ですから、こういうことが事故当時どういうふうに行われてきたのかということが今大事なんだろうというふうに思います。  この関空ですけれども、大阪湾周辺でといいますか、関空島周辺で周知されるべき内容というのは、関空島のところから原則三マイル離したところに錨泊してくださいということを周知徹底すべきだったということを伺っております。その内容も、リーフレットを作成して周知をしてきたと。  そこで、海上保安庁にお伺いしますけれども、二〇一八年のこの関空の連絡橋事故発生する前の周知はどうだったのか、このリーフレットをどのように周知されてきたのかについてまず伺います。
  120. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  まず、委員指摘リーフレットでございますが、これは関西国際空港周辺海域において、走錨による船舶衝突事故平成十五年以降三件、また、平成二十二年には、事故には至らなかったものの船舶が二マイルにわたり走錨した事案が発生したことを受け、台風接近等の際には関西国際空港から三マイル離した場所で錨泊するよう指導するために作ったというものでございます。  このリーフレットにつきましては、関西空港海上保安航空基地、海上保安庁の出先機関でございますが、これのホームページへの掲載、この基地や近隣の保安部署の入港届などの受付窓口における配布、大阪府や兵庫県の船舶代理店関係団体へ送付するといったことにより周知を図ってまいりました。さらに、平成二十三年から平成三十年までの間、大阪地区の海事関係団体の代表者が一堂に会する大阪地区海難防止強調運動推進連絡会議、これにおきましても毎年周知を図っていたところでございます。
  121. 武田良介

    ○武田良介君 タンカーの所有者である日之出海運さんは、この三マイル離してくれということを十分承知していなかったというふうにおっしゃっているということもあるそうでありまして、日之出海運さんは福岡の会社というふうに私承知しておりますけれども、今お話にもありました大阪地区の海難防止強調運動推進連絡会議、これが大阪地区なので、また、そこに加わっている、この海運さんも加わっている連絡会議のところの支部も違うということもお聞きをしておりますので、そうすると、大阪湾ルールをそういった会社のところにも伝えていくという点で今後教訓にしなければいけないのではないかというふうに思っております。  今のは事前の周知の話なんですけれども、いざ荒天時にどういうふうに注意喚起の情報を伝えていくのかということも、また重要ではないかというふうに思います。  関空のこの事故の際はどうだったかということで、事前に説明も聞きましたけれども、VHFという無線ですかね、船舶の方で聞ける、それによって事前に注意を呼びかけた上で、空港島から三マイル以内にいた十三隻のうち走錨の可能性があるというふうに見た六隻に対しては個別に注意喚起を行ったというふうに伺いました。  この走錨の可能性ありというのを、AISによって大阪湾内のどこに船が錨泊しているのか把握できていたはずだと思うんですね、十三隻入っていたということが分かっているわけですから、事前にもっと分かっていたのではないか。  宝運丸に最初に個別の注意喚起したのは十三時ちょうどというふうに伺っておりまして、衝突したのが十三時四十分ですので、最初の連絡が四十分前。しかし、もっと早くに三マイル以内に入っていたのではないか、そういう段階でもっと早く注意喚起することはできなかったんだろうかというふうに率直に思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  122. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) 当時の状況について御説明を申し上げます。  関西国際空港周辺海域を管轄する関西空港海上保安航空基地におきましては、機会あるごとに、走錨防止取組として、関西国際空港の陸岸から原則として三マイル以上離れた場所で錨泊することを注意喚起をしておりました。  関西空港連絡橋タンカー衝突した同日、平成三十年九月四日、これにおきましても、台風接近に伴う走錨に注意するよう、当該タンカーを含む大阪湾内の錨泊船に対し、大阪湾海上交通センター及び第五管区海上保安本部からAISメッセージ及び無線により、全ての錨泊船を対象とした一斉通報により注意情報を発出しております。  さらに、大阪湾海上交通センターでは走錨の監視を強化し、当該タンカーを含みます多数の錨泊船に対して、個別に船舶電話等で走錨の可能性について注意喚起を行ったところでございます。当時、関西国際空港から三マイル以内につきましては、委員指摘のとおり、我々が把握している限り錨泊船が十三隻おりました。当該タンカーを含む六隻に対し、船舶電話等により注意喚起を実施してございます。  これらの対応にもかかわらず事故発生したことから、今般、新たに海上交通安全法第三十二条、湾外避難、湾内の錨泊制限等の勧告命令、こういったものを創設し、この規定に基づき、異常気象時に関西国際空港など臨海部施設周辺海域錨泊する船舶に対し、移動や退去等を勧告命令することができるようになります。今後、この新たな制度に基づき、より適切に対応することといたします。
  123. 武田良介

    ○武田良介君 事実関係はそのとおりだというふうに思いますが、私の問題意識、もう一歩踏み込んで言いますと、その三マイル離れたところに錨泊してほしいという話があり、注意喚起をするに当たっては、AISを確認して走錨の可能性ありと、その判断も難しいというふうに伺いましたけれども、走錨の可能性ありというところに注意喚起をするということもありますが、三マイル以内のところに入ってくる、入ってきたと、もうその段階で注意喚起するということもできたんじゃないだろうかと。  細かなことをしつこく聞くようですけれども、今回の法改正勧告命令をするというときにも、こういった教訓を掘り下げていくことも大事じゃないかなというふうに思っておりまして、その走錨の可能性ではなくて、三マイル以内に入ってくるとか、例えばそういった基準の持ち方ですね、先ほども少しありましたけれども、その点は今回の法案にどう生かされるんでしょうか。
  124. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  三マイル以内に入らないということにつきましては、行政指導というベースで我々の方からお願い、要請をしていたものでございますが、今般のこの法律により、法律に基づき、それを制限をし、あるいは禁止をし、あるいは移動を命令するということができるようになりますので、しっかりとした指導といったことができるようになると、このように考えてございます。
  125. 武田良介

    ○武田良介君 是非お願いをしたいというふうに思います。  次に、関空の事故の後ですけれども、海上保安庁がこの事故を受けて再発防止有識者検討会を設置をいたしました。そして、二〇一九年の三月に第一次となる報告書も発表された。さらには、二〇一九年の台風シーズンを前に、海上空港ですとか重要施設周辺海域を優先的な検証対象として各管区でその対応検討し、検討された対応を順次適用していくということでお知らせもされているというふうに承知をしております。  しかし、こうした中で、二〇一九年の九月、台風十五号による東京湾での走錨事故発生をしてしまいました。改めてでありますけれども、この台風十五号の走錨事故について御説明をいただけますでしょうか。
  126. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。  令和元年九月に台風十五号が東京湾に接近した際には、四件の走錨に起因する事故発生をいたしました。  そのうち、臨海部に立地する施設衝突したものとして、走錨した貨物船が南本牧はま道路に衝突した事故、走錨したケミカルタンカーが本牧海づり施設衝突した事故の二件がございます。また、船舶同士が衝突したものとして、横須賀港内において走錨した貨物船が錨泊をしておりました漁業実習船に衝突した事故、川崎沖におきまして走錨した貨物船が錨泊中の貨物船に衝突した事故の二件が発生しているところでございます。
  127. 武田良介

    ○武田良介君 経過でいうと、関空の事故があり、有識者検討会も立ち上げ、しかし、また事故発生してしまったということなわけなんですけれども、私が気になっているのは湾外避難なんです。十五号のときにはこういう事故発生してしまったわけですが、その一か月後に台風十九号がまた来て、このときには湾外避難を実行したというふうに伺っております。  そうすると、率直に、一か月後の十九号ではできて、やっているので、十五号のときにやらなかったんだろうかと。その一年前に関空の事故があって、十五号のときにはできなかったんだろうかとちょっと率直に思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  128. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) 御説明いたします。  関西国際空港連絡橋への衝突事故、これは平成三十年の九月でございますが、これを受けまして、海上保安庁では、荒天時の走錨等に起因する事故発生防止に係る有識者検討会、これを設置し、令和元年以降の台風シーズンに向けて対策を検討したところでございます。この有識者検討会における検討結果、これを踏まえまして、関西国際空港を始めとした海上空港や火力発電所など全国臨海部に立地する施設周辺海域におきまして、台風接近時等に船舶錨泊を制限するほか、監視を強化するといった対策を講じたところでございます。  しかしながら、令和元年九月に台風十五号が東京湾に接近した際に、走錨した船舶先ほど申し上げたように海上施設や他の船舶衝突するという事故複数発生したことから、同年十月の台風十九号の際には、東京湾のこの過密な錨泊状態を改善すべく、緊急的な対策として、行政指導により湾外避難等を推奨したところでございます。  これらの状況を受け、令和二年から交通政策審議会において湾外避難等制度化に向けた検討を行い、同審議会の答申に基づき、今般法案を提出することとしたものでございます。
  129. 武田良介

    ○武田良介君 直接お答えいただいていないように思うんだけれども。  重要だと思うんです。その有識者検討会をつくって、重要施設を位置付ける、海上空港ですとか、それも火力発電所ですとか石油の備蓄倉庫ですとか、こういうのが挙がっておりますので、そこを守るという非常に大事な議論をされているというふうに私も思っているんですが、十五号のときになぜやられなかったのかということを素直に私は思っているわけですね。どうですか。
  130. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  関空連絡橋への事故を受け、有識者検討会議を開催いたしました。この検討会の中には、そういった危険のある場所を指定して、海域の監視あるいは錨泊の制限といったことをすべしという答申をいただいたところでございます。ただ、その中に湾外避難といったところの対策は、その中の結論としてはございませんでした。  そういったこともありましたが、一方で、先ほど申し上げましたように、十五号の際には、東京湾の過密化、これを原因とする事故発生しているということで、まずは指導というベースで湾外避難等を行い、そして、今般、それを法制化するということでございます。
  131. 武田良介

    ○武田良介君 実際これから法改正がされて、勧告したり、あるいは命令をして湾外避難を行っていくということもあろうかというふうに思うんですけれども、確かに、今言われたように、先ほど答弁でも二日ぐらい前からという話もありましたかね、強風圏に入ってくる二日ぐらい前という話だったでしょうか、そういったタイミングですとか、あるいは実際に安全に湾外避難がされるかどうか、やはりそこのところはよく見なければいけない。そういうことを考えても、この間の走錨事故がどのように発生したのか、そのときに海上保安庁がどう対応してきたのか、改めて検証していくことも必要だというふうに思いますので、質問をさせていただきました。  質問を終わります。ありがとうございました。
  132. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海上交通安全法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  133. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 江崎孝

    委員長江崎孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時七分散会