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2021-06-09 第204回国会 参議院 憲法審査会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年六月九日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  六月二日     辞任         補欠選任      下野 六太君     安江 伸夫君      高橋 光男君     平木 大作君  六月三日     辞任         補欠選任      清水 真人君     衛藤 晟一君      徳茂 雅之君     古賀友一郎君  六月八日     辞任         補欠選任      福島みずほ君     森本 真治君      足立 信也君     舟山 康江君  六月九日     辞任         補欠選任      衛藤 晟一君     加田 裕之君      中川 雅治君     足立 敏之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         林  芳正君     幹 事                 石井 準一君                 石井 正弘君                 西田 昌司君                 藤末 健三君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 西田 実仁君                 松沢 成文君                 矢田わか子君                 山添  拓君     委 員                 足立 敏之君                 赤池 誠章君                 有村 治子君                 磯崎 仁彦君                 衛藤 晟一君                 岡田  広君                 加田 裕之君                 片山さつき君                 古賀友一郎君                 上月 良祐君                 佐藤 正久君                 中川 雅治君                 中曽根弘文君                 古川 俊治君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山下 雄平君                 山田  宏君                 山谷えり子君                 石川 大我君                 打越さく良君                 江崎  孝君                 小西 洋之君                 杉尾 秀哉君                 森本 真治君                 伊藤 孝江君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 安江 伸夫君                 浅田  均君                 東   徹君                 浜野 喜史君                 舟山 康江君                 吉良よし子君                 山下 芳生君                 渡辺 喜美君    衆議院議員        発議者      逢沢 一郎君        発議者      中谷  元君        発議者      船田  元君        発議者      北側 一雄君        発議者      馬場 伸幸君        発議者      井上 一徳君        修正案提出者   奥野総一郎君        修正案提出者   山花 郁夫君    国務大臣        総務大臣     武田 良太君    事務局側        憲法審査会事務        局長       岡崎 慎吾君    政府参考人        総務省自治行政        局選挙部長    森  源二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改  正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 林芳正

    会長林芳正君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の審査会総務省自治行政局選挙部長森源二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林芳正

    会長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 林芳正

    会長林芳正君) 日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  本案の審査においては、起立して御発言願います。  なお、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 石井正弘

    石井正弘君 自由民主党の石井正弘です。質問機会をいただきまして、感謝申し上げる次第でございます。  それでは、早速質問に入らさせていただきたいと思います。  私は、四月二十八日に当審査会におきまして会派代表して意見表明を行いましたが、その際、国民投票法改正案につきましては、速やかに質疑を行って採決に付すべきであると、このように意見を申し上げた次第でございます。その立場に立って質問を行いたいと思います。  当審査会は、先ほど申し上げた四月二十八日以後、五月十九日、二十六日、六月二日と審査会が開催をされまして、法案質疑自由討議を通じて各会派から様々な意見が表明されました。また、六月二日には四人の参考人意見陳述がありまして、これに対する質疑も行われてまいりました。  これまで発議者及び修正案提出者から丁寧かつ明快な答弁がなされてきたと承知しているところでありますが、本日の委員会質疑、これを通じまして質疑は相当深まってきていると、このように感じているところでございます。  それでは、早速具体的な質問に入ります。  まず、附則検討事項と並行した憲法論議についてであります。  衆議院修正によって追加されました附則検討条項意味、これにつきましては先日の審査会におきましても議論をされたところでありまして、与野党会派原案発議者修正案提出者答弁を改めて議事録を見て精査をさせていただきましたところ、おおむね共通理解がなされているものと、このように感じているところであります。  改めて、この点につきまして、原案発議者代表としてまずは与党のお二人、すなわち中谷議員北側議員伺いたいと思います。この附則検討条項に基づいてCM規制等について検討を行っている間に、同時並行的に憲法本体論議を行うことは可能か、この件につきまして御答弁をお願いします。
  6. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) この検討項目は、投票環境向上につきまして、七項目で終わりではなくて不断に見直しを行っていくということ、また、CM規制等につきましては引き続き検討をしていくということ、そういう衆議院審査会の場で与野党与党幹事が、与党幹事がお約束をした事項と全く同じ内容立憲民主党の求めに応じてそのまま規定をしたものでございます。  この検討条項には、憲法本体議論憲法改正発議に関する言及は一切ありません。法制的に憲法本体議論憲法改正発議も可能であると整理できます。  いずれにしましても、この検討条項に基づきまして、CM規制については議論加速化をして進めていき早急に結論を出していくとともに、与野党協力の下に憲法本体議論を粛々と進めてまいりたいと思います。
  7. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 今答弁があったとおりでございます。  この検討条項には、憲法本体論議、また憲法改正発議についての言及は一切ございません。したがって、国会法規定に基づきまして、法制的には憲法本体論議憲法改正発議も可能であるというふうに整理をしているところでございます。  いずれにいたしましても、この法案につきましては、提出以来いろいろ紆余曲折はございましたけれども、与野党協力の下で修正部分も含めて参議院の憲法審査会で今このように充実した審議がなされていること、大変感慨深いものがございます。本法案成立をしましたならば、静かな環境の下で憲法審査会において憲法論議を着実に進めてまいりたいと、そのように考えております。
  8. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。  それでは、同じく、改めまして、修正案提出者代表として山花議員伺いをさせていただきたいと思います。  この附則検討条項に基づいてCM規制等について検討を行っている間に、同時並行的に憲法本体論議を行うことは可能か、この点につきましての御答弁をお願いします。
  9. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 検討条項につきましては、CM規制等につき引き続き議論していくということを法制的に担保をしたものでございます。この検討条項の下でも憲法本体議論憲法改正発議条文上可能であるということについては、原案提出者である中谷先生や、今、北側先生から御答弁がございました、共通認識でございまして、異論はございません。特に、憲法本体論議につきまして、直ちに憲法改正発議という話にはならないとは思うんですけれども、与野党協力の下にCM規制議論と同時並行的に進めていくということはあり得ることだと思います。  いずれにせよ、CM規制議論憲法本体議論在り方については、今後、衆議院憲法審査会幹事会であるとかあるいは幹事懇談会与野党円満な協議の中で決定されていくべきものと考えております。
  10. 石井正弘

    石井正弘君 御答弁ありがとうございました。  先ほどの御答弁まとめますと、法制的には憲法本体論議憲法改正発議も可能であるという明確な御答弁をいただいたわけでありますが、この点につきましては原案発議者修正案提出者との間において全くそごがないということも明らかになったと思います。  原案発議者の御答弁にもございましたけれども、本法案成立の後は、静かな環境の下で憲法審査会において国民目線憲法論議をしっかり進めていくと、このようにしていきたいと存ずる次第でございます。  それでは、次の質問に入りたいと思います。  国民投票における投票環境整備についてお伺いをいたします。  今回の改正案は、平成二十八年に全会一致成立したと言える公職選挙法改正と同様の内容国民投票法に反映させようとするものでありまして、投開票手続に関する内容であります。この点、我が党の磯崎議員質疑の中でも触れられていたわけでありますけれども、国民投票公職選挙法による選挙が同時に実施されるということもあり得ないわけではないと、このことも考慮しなければならないと存じます。  質問でございますが、こういった投票環境整備に関わる投票上の、法制上の措置というものは公職選挙法選挙国民投票とでは基本的に相違はないと、このように考えるところでありますが、この後の質問にも関係いたしますので、与党発議者として逢沢議員基本認識を改めてお伺いをさせていただきます。
  11. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 石井議員にお答えを申し上げます。  衆議院におけます本法案質疑を通じまして、国民投票法は大きく分けて二つの部分があることが明確になりました。改めて触れておきたいと思いますが、すなわち国民投票法は、投票環境整備など投開票に関わる外形的事項と、国民投票運動に係る例えばCM規制などに代表されます投票の質に関する部分から構成をされていると整理ができます。  御指摘のとおり、前者の投開票に関わる外形的事項につきましては、国民投票法制定以来、公選法並びとすることが合理的と考えられてまいりました。本法案もこの考え方に従いまして、例えば公選法が改正されれば、この投票環境向上のためのアップデートを同時に国民投票法の方でも行う、そういう整理でよかろうかと思います。  また、投票環境向上のような事項は、国民利便性向上観点から不断に検討見直しが図られるべきでございます。既に公選法措置をされているいわゆる追加二項目につきましても、この七項目案成立後、速やかに国民投票法においても措置がなされるべきものと考えております。
  12. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。  まさに、私が先ほど質問で申し上げましたとおり、投票環境整備に関わる法制上の措置、これは公職選挙法とそれから国民投票、基本的に相違はないと、このような基本的な認識を頂戴したかと思うわけでございます。  先ほど申し上げた六月二日に参考人質疑を行ったわけでありますが、その際に示されました幾つかの論点についてお伺いをいたしたいと思います。既にこの当審査会でも議論があった点もありますけれども、確認意味を含めて幾つかお伺いいたしたいと思います。  まず、CM規制等についてであります。  これは上田参考人意見陳述にございましたが、国民投票運動表現の自由で保障される、すなわち自由が原則であるが、一方で、昔から指摘されているように資金力の差による言論空間のゆがみの問題がある、有料広告放送における議論に加え、近年はインターネットの発達に伴う諸課題が特に大きく取り上げられている、このような趣旨でございました。  質問は、国民投票運動等のための放送CMインターネットCM等規制在り方に関する上田参考人意見陳述につきまして、与党発議者の御見解伺いたいと思います。
  13. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) CM規制の問題につきましては、国民投票運動の自由、表現の自由、それと国民投票の公正さ、公平さとのバランスをどう取るかという重要な問題であります。これには様々な論点があり、また、憲法改正国民投票という国の最高法規に関わるものでありますので、できるだけ各政党間の幅広い合意を形成する必要があると考えます。今後、丁寧な議論を行っていくべきだと考えます。  また、CM規制在り方につきましては、まず、法的規制在り方、これは具体的には、強制的な法規制とするのか、訓示的な規定にとどめるのか、第二に、出し手の、広告主である政党側自主規制、第三に、受け手である事業者側の自主的な取組を推進しつつそのための法的措置を定める、第四に、憲法改正案について公的な広報活動を行う国民投票広報協議会、これの活動充実強化など、具体的な論点検討されるべきではないかと認識をしております。  いずれにしましても、今後の議論の進め方につきましては、衆議院憲法審査会では幹事懇メンバーを中心に論点整理をしていくという重要な提案がなされております。今後、このような方向論点整理を行いまして、そして、与野党一つ方向に向かって合意形成していくことが大変重要であると考えております。
  14. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。  それから、次の論点もあったんですけれども、期日投票投票時間の弾力的設定、それから繰延べ投票期日告示期限見直し、この二点に関してであります。  飯島参考人から、投票環境の悪化となるとの意見、あるいはできる限り多くの主権者意思表示が可能となるような制度設計にすべきとの意見が述べられたわけでございますが、この意見につきまして与党発議者の御見解をお伺いいたします。
  15. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) まず、期日投票投票時間の弾力化でございますけれども、期日投票所開始時刻を二時間繰り上げ、そして閉鎖時間を二時間繰り下げることができるようにいたしました。したがいまして、最大四時間の延長が可能となるわけでございます。これまで、複数箇所期日投票所を設ける場合には設置時間の短縮のみが認められていたことと比べますと、本改正案によって期日投票の時間が短縮される状況になることはないと御理解がいただけるものと理解をいたしております。  次に、繰延べ投票期日告示期限見直しでございますが、告示期間を短くすることにもちろん意義があるのではございません。選管において、その時々の事情、その時々の具体的な状況を踏まえて、より柔軟に繰延べ投票期日を設定できるようになった点にその意義があるということを改めて強調しておきたいと思います。  例えば、大きな災害が起きたような場合には繰延べ投票まで日数を要することになると考えられますし、また、選挙期日である日曜日だけがたまたま天災等投票を行うことができないというふうな事情の場合は日数を短くすることも可能でございます。  いずれにいたしましても、できる限り多くの有権者の方々が投票機会に恵まれるということ、その意思表示が可能になるということを前提に、各選管において適切に、また的確に投票日告示が行われる、そのことを想定をいたしております。  どうぞよろしくお願いいたします。
  16. 石井正弘

    石井正弘君 それぞれ明快かつ丁寧な御答弁をいただきまして、誠にありがとうございました。  少し時間が残っておりますけれども、私の質問はこれにて終わらせていただきます。ありがとうございました。
  17. 小西洋之

    小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。質疑機会をありがとうございます。  冒頭北側発議者質問させていただきます。  去る五月二十六日の那谷屋筆頭幹事質問に対し、北側発議者は、国民投票においても公平公正を図っていくということは当然のことでございますというふうに答弁をされております。  この北側発議者がおっしゃった公平公正、これは、日本国憲法国民主権からの当然の法的な要請として国民投票法には公平公正が必要、そのようにお考えでございますでしょうか。
  18. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 憲法改正国民投票は、まさしく国民主権の発露とも言える国民の権利でございます。このような主権行使に過度な制約を課すことのないようにという観点から、投票運動はなるべく自由にという要請が導かれるものと承知をしております。  ただ一方で、完全な自由放任としますと、一方で公平公正が害されるおそれもあることから、自由とそして公平公正バランス確保、これが非常に重要になってくると考えております。正確な、そして多様な情報を踏まえての主権行使確保するという意味で、共に国民主権原理から導かれる要請であると考えております。  国民投票運動における自由そして公正公平の確保、いずれも国民主権原理と密接に関係するものと理解をしております。
  19. 小西洋之

    小西洋之君 明確に、公平公正というものは国民主権原理から導かれ、また密接な関係があるというふうにおっしゃっていただきました。  といたしますと、今の配付資料一ページでございますが、北側発議者にお伺いしますが、今回の改正法附則の四条の第二号で、国民投票公平公正確保するため、これ必要な事項と書いてあるわけですね。国民投票公平公正確保するための必要な事項としてCM規制等が記載されているわけですけれども、ここの条文公平公正確保する、これも当然に日本国憲法国民主権からのこの要請に応えなければいけない、法的にしっかり応えなければいけないものであるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  20. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) この附則の第四条の冒頭に書いてございますとおり、「必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」というふうに記載をしてございます。当然、法的規制なども含まれると思いますけれども、法的規制に限らず、自主的な規制をしていくということも検討をしていかねばならない。  いずれにしても、大事なことは、国民投票公平公正確保するということでございまして、そのための一つ手段として法的規制もあるでしょう、又は自主的規制もあるでしょう、そうしたルールづくりをしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。
  21. 小西洋之

    小西洋之君 いや、今お答えいただいたのは、公平公正確保する手段のことをおっしゃっているんですが、それではなくて、ここに書いてあるこの条文考え方として、ここに書いてある公平公正というのは、先ほど御答弁いただいたように、当然、日本国憲法国民主権に基づく、国民主権にかなう、そうしたものでなければいけない、そういう理解でよろしいでしょうか。端的にお願いします。
  22. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) そのとおりでございます。
  23. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、次、山花提案者に伺わさせていただきます。  配付資料一ページの後段ですが、衆議院憲法審査会で、令和元年五月九日、立憲民主党代表枝野議員が以下のようなことを答弁をされています。  このCM規制が、立法時は、先生方御案内のとおり、民放連自主規制を約束したわけですが、それをやらないというふうに言いましたので、よって枝野代表は、現行法国民投票法現行法欠陥法だということにならざるを得ない。したがって、現行法のまま、国民投票法は施行できないということになります。法が欠陥だと当時の立法当事者の片方が言っているんですから、このままでは国民投票法は使えません。法律の方を、当時の民放連の御発言が真意と違っていたという受け止めをした中で法律が作られたということで、もう一度当時に戻って議論をし直さなければならないなどと述べておりますが、ここで言っている枝野議員のこの国民投票法についての見解、これは山花議員も何ら相違ないと、全く同じ見解であるということでよろしいでしょうか。
  24. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 国民投票法を制定するときに、特にスポットCMに関しては、自由な国民投票運動国民投票との公平公正バランスについて、まず一つは、投票日前二週間前の禁止ということ等々挙がったんですが、そのうち、今指摘があったように、民放連の方が自主規制に関しては当事者山田参考人から、自主規制はやりませんということではなくて、やります、やらなければいけないというふうに思っていますとの答弁がありました。  私も、衆議院側での答弁、話が違うではないかと思いまして、だからこそ、今回、一貫して法的な規制を再検討すべきであるということを主張してきたところでございます。
  25. 小西洋之

    小西洋之君 いや、山花提案者は聞いたことに答えていただきたいんですね。我らの代表のこれ陳述じゃないですか、よろしいですか、聞いたこと答えてくださいね。  枝野代表は、現行法のままでは国民投票法は、国民投票は施行できない、この国民投票法は使えません。よろしいですか、今私が言うことに答えてください。このままではこの国民投票法は使えませんと言っています。  この枝野代表見解は、山花提案者も全く同じ見解だということでよろしいですか。それだけ答えてください。
  26. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) これまで、私も政治的には難しいのではないかと申し上げてまいりました。ちょっとニュアンスのところがどこまでかというのはありますけれども、基本的に一緒だと思います。
  27. 小西洋之

    小西洋之君 政治的にとおっしゃられた。  ちょっと確認です。山花提案者は、野党の憲法審査会筆頭幹事ですから、当然、枝野代表がこの当日に、五月九日、令和元年、来る調整もなさっているわけですね。当然、枝野代表陳述の中身も調整されている、承知しているはずなんですが、もう一度伺います。  この枝野代表の、このままではこの国民投票法は使えませんというこの見解は、山花提案者においても何ら異存なく全くそのとおりだという理解でよろしいでしょうか。
  28. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) コマーシャルについて、私どもは、公正さが害されて、担保されていないと思っておりますので、そういう意味で同一の見解だと思います。
  29. 小西洋之

    小西洋之君 明確な見解をありがとうございました。  では、船田発議者にお伺いをさせていただきます。やっぱり憲法の議論国民の命懸かっていますからね。真剣勝負でやらざるを得ませんから。船田発議者伺います。  憲法審査会ですね、今年の四月二十二日で以下のように陳述をされています。民放連が、CM規制、当初の約束に反してやらないというふうにしたわけですが、船田発議者はそれに対して、当時の民放連自主規制というのを一つの条件、考え方というふうに受け止めていたと、そして、やらないということに驚いたという旨を述べられて、次おっしゃっています、CM規制在り方については、公党間で成案を得ていただきたいというふうにおっしゃっています。  ここでおっしゃっている成案というのは、当然、法改正を含むということでよろしいでしょうか。
  30. 船田元

    衆議院議員(船田元君) お答えいたします。  今、小西議員から指摘いただいたように、民放連の説明が過去におけるものと先日におけるものが違っていたという点については驚いたということは、私、申し上げた次第でございます。ただ、そのことによって国民投票そのものが欠陥であると、あるいは前提が崩れたとは考えておりません。  そして、私が公党間で成案を得ていただきたいと申し上げたのは、これは必ずしも法規制に限られるわけではなくて、いわゆるソフトロー、すなわち業界などによる自主的取組ということも有効であると、このように私は考えております。  いろいろなやり方があると思っておりまして、そこは公党間できちんと議論したいと思っております。
  31. 小西洋之

    小西洋之君 いや、そのお二人の発議者見解が、国民投票法を作った方が見解が異なるんだけれども、この国民投票法を審議する意味がないと思うんですね。本当、平成十九年に戻ってもう一回一から作り直すべきだというふうにはっきりと思うんです。  それぞれの、枝野発議者、当時のですね、船田発議者見解が違うというような今趣旨のことがありましたんですが、船田発議者に重ねて今伺いますが、ここの四月二十二日の議論というのは、民放連が、今、船田発議者がおっしゃったソフトロー、自主規制をやらないと、そのことに対して船田発議者も驚いたと、よって公党間で成案を得ていただきたいと言っているわけでございますから、CM規制は当然、言論報道の規制ですから、それをするためには、憲法の下の法律法律でなければ絶対できないわけでございますので、船田発議者がここでおっしゃっている公党間で成案を得ていただきたい、この成案というのは法改正そのものを意味するということでよろしいでしょうか。
  32. 船田元

    衆議院議員(船田元君) 先ほども申し上げましたけれども、この問題につきましては、確かに報道の自由であるとか表現の自由であるとかそういったものを部分的に制約をする、あるいは規制をするということではありますけれども、しかし同時に、このことについては、国民の皆様との様々なやり取り、あるいはその影響、そういったこともございますので、ここは法規制だけでやるということではなくて、先ほど申し上げたように、いわゆるその自主規制、あるいは、もう既に放送関係者の間で議論されておりますけれども、いわゆる、何というんでしょうか、番組の様々な基準とか、あるいは様々な内規というのがございます。そういったものを更に強化するというようなことで対応することでこのような事態を担保するということは私は可能である、こう思っております。  あるいは、広報協議会というのが発議後この国会に置かれますけれども、広報協議会が監視機関として有効に活動するということも一つの方法である、このように思いますので、幅広く検討したいと思っております。
  33. 小西洋之

    小西洋之君 いや、ですから、その民放連検討してきたというその自主規制が、先ほどの枝野議員質問のときだったんですが、民放連の人が自分たちが考えてきたというものを衆議院憲法審査会で発表されているんですが、それは事実上、量的な規制を全くやらないということだったわけですね。だから船田発議者始め関係の先生方も皆さん驚かれているわけでございますので、明確な答弁いただけなかったんですが、ただ、こういうことについて一つ一つ明確な答弁いただけないんでしたら、国民投票法議論というのは我々やっぱりできないんですね。やっぱり、どう考えても、だって、作ったときに法律でやる必要があるというふうに考えたんだけど、自主規制をやると言ったので自主規制に委ねた、ところが、自主規制をやらないというふうに言った以上は問題は残るわけですから、法改正、法律で手当てするしかないというふうに思うわけでございますけれども。  奥野提案者、よろしいでしょうか。奥野提案者はまさにこの附則の第四条を、条文を書いた本物の発議者でございます。奥野提案者に伺わせていただきますが、まず見解伺いますが、このCM規制、ネット規制も含め、ネットやテレビなどのCM規制、そして、奥野提案者が問題のこの永田町で一番の提起者でありましたけれども、外国資金を使った選挙国民投票運動、こうしたものを規制するには手段として法改正しかなくて、又は政策論としても法改正が必要だと、そういうお考えでしょうか。
  34. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) まず、寄附の上限規制とか透明化については、これ、法律で義務付けないとそうはならないですよね。法律に書かないと義務付けできませんから、寄附の上限とか、外国政府に寄附をしちゃいけないとか、そんなのはやっぱり当然の法律事項だとまず思います。  それから、CM規制についてなんですが、もちろん表現の自由、報道の自由との関わりが出てきます。だから、それを、その例外というか、を定める以上は当然法律事項じゃなきゃいけないと思いますし、もう一つ、量の問題と同時に放送法四条の話があるんですね。国民投票法の百四条の中で、放送法四条一項を引いているんですよ。だから、政治的な中立性、公平性を求められているんですね。国民投票運動においても、要するに、賛否同じ時間で放送しなさいという義務が課されているわけですよ。  これ、私、二年前、三年前か、民放連が来たときに衆議院憲法審査会質問したんですね。民放連も認めていますよ。だから、その例外をつくるんであれば、これも当然、法律事項じゃなきゃいけないと思います。間違いなくやるんであれば、自主規制じゃないんであれば、法律事項であることは間違いないと思っています。
  35. 小西洋之

    小西洋之君 奥野提案者、重ねて確認なんですが、法律事項であれば法改正が必要というふうに今おっしゃっていただいたんですが、現状に鑑みて、CM規制、ネットも含めてのCM規制、また資金の、外国資本を含めての資金の規制というのは、法律で政策論としてやらなければいけない、やる必要がある、でなければ公平公正は担保できないと、そういうお考えでしょうか。
  36. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) 当然そうでありまして、憲法からの要請でありますから、きちんと公平公正が担保できるように法律で定めるべき事項だと発案者として考えています。
  37. 小西洋之

    小西洋之君 五月二十六日のこの審査会で、まさに奥野提案者は、この附則公平公正というのは、先ほど北側発議者答弁いただきました、まさに国民主権要請である、憲法上の要請であると、そのように明確に答弁いただいているところでございます。  中谷発議者にお伺いしますが、よろしいですか。現状に鑑みて、現状に鑑みて、CM規制CM規制を法改正でやらなければ国民投票法発議はできないと、CM規制を法改正でやらなければ国民投票法発議できない、あるいは発議すべきではないと、そのようにお考えでしょうか。
  38. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 以前の議論では、国民投票の運動期間中は放送CMについては民放連が量的平等に関して自主規制を行うということが前提でありました。しかし、最近になって民放連は量的な自主規制はやらないとして制定当時の見解を覆した結果、国民投票運動の自由と公正公平のバランスは崩れてしまったと思います。  また、制定後十年を経まして、インターネット広告の激増、ビッグデータとAIなど、インターネットを取り巻く環境が大きく変化した関係で、自由と公正公平のバランスを考えるに当たって考慮しなければならない様々な新しい要素が発生しております。  そのため、法制定時の基本的な考えに立ち返って、自由と公平公正、このバランスを回復するために、これらの論点検討しまして所要の措置を講じることが必要であると、私としては個人的に法改正が必要ではないかと考えているところでございます。  そして、現時点におきまして、この問題につきましてはこれから検討するわけでございますので、現段階におきましては法改正が必要とも不要とも確定的には申し上げられませんけれども、まさしく附則四条二号の検討条項に基づいて、これからどのような規制が必要なのか、また適当なのか、政党間で真摯な議論を踏まえた上で幅広い合意を形成する必要があると考えているところであります。
  39. 小西洋之

    小西洋之君 個人的には法改正が必要であるというふうに明確におっしゃっていただいて、非常に重い答弁であるというふうに思います。  先ほど、石井先生の御質問で、この附則CM規制等検討している間で憲法論議発議はできるのかという議論がありましたが、これは前回自由討論の場で申し上げたように、もうこれは終わった議論です、終わった議論。  法律の、この二ページですね、配付資料の二ページを御覧いただきたいと思うんですけれども、平成二十六年に、中川先生が筆頭幹事で、自民、公明も賛成の下に成立した我が参議院憲法審査会の誇るべき附帯決議でございます。第四項を御覧いただけますでしょうか。法令解釈について考え方を書いているんですね。憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨などに即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものは全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものということでございます。  五月二十六日の奥野提案者、条文を書いた方です、作った方です、の答弁というのは、まさに今申し上げた規定の文言や趣旨、立案者の意図、立案の背景などについて具体的な一つ一つの当てはめをですね、例えば先ほどの話ですね、立法時には民放連自主規制がやるはずだったんだけれどもその前提が変わってしまった、その後にインターネットという大きなメディアが現れた、この背景などですね。そして、奥野提案者自ら、法改正が必要であるということで国民民主党として法改正案提出をなさっていた。そうしたことによって条文の解釈は確定するわけでございまして、先ほど中谷発議者北側発議者がおっしゃっていた、ここの条文発議してはいけないという言及がないからというのは、これ解釈じゃないんですね。それは願いというものであって、論理的な解釈ではないわけでございます。  では、中谷発議者に伺わさせていただきますが、この法令解釈のルールに基づいて、中谷発議者の、なぜ発議が、CM規制議論をしながらこの附則の下で発議が可能になるのか、中谷発議者の考えを論理的にこの法令解釈のルールに当てはめて答弁いただけますでしょうか。  中谷発議者は、国務大臣として要職を歴任された方で、まさにこの質問を私も委員会でさせていただいたことありますので、法令解釈のルールは御存じのはずですので、規定の文言、趣旨、立案者の意図や立案の背景、議論の積み重ね、全体の整合性、そして論理的になぜ発議できるというふうな結論になるのか、中谷発議者考え方をお願いいたします。
  40. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) その点につきましては、一般論としまして、この文言のみならず、立法の趣旨、意図、背景など社会情勢等を考慮して、目的論的な解釈をすること、また全体の整合性を保つことも留意して確定すべきことは小西議員の御指摘のとおりでございます。  それを踏まえた上でこの検討条項を読むと、衆議院における議論を踏まえて、国民投票の外形と質のそれぞれの分野において検討に値する事項を例示したものでありまして、憲法本体論議また憲法改正発議に関する言及も一切ないということから、この論議も、発議もですね、可能であると整理はできます。  また、この解釈は、検討条項には立法権者である国会の意思としての検討を義務付ける意味があるものの、法律を取り巻く状況を踏まえて必要な措置を講じることは当然の責務でありまして、特段の法律効果を持つというものではなくて入念に設けられるもの、これは「ワークブック法制執務」第二版二百九十八ページという、検討条項の一般の解釈の積み重ねによるものであるということを御理解いただきたいと思います。
  41. 小西洋之

    小西洋之君 そんな衆議院法制局が作った政府答弁みたいなものは結構なんですけど、今伺いましたけれども、規定の文言、趣旨など立案者の意図や立案の背景、議論の積み重ね、全体の整合性の当てはめは残念ながらなかったというふうに理解をさせていただきます。  ほかの発議者の方に御質問させていただいてもいいんですけれども、なので、政策論的に中谷発議者も法改正が必要だというふうに、個人としては必要だというふうにおっしゃっているわけですから、個人としても、当然CM規制の法改正がなければ発議するべきではないと、そういう理解でよろしいでしょうか。簡潔にお願いいたします。
  42. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 先ほども申し上げましたけれども、必要であるという考え方と必要でないという考え方、両方ございます。この時点につきましては不要とも確定的には申し上げられませんので、これは附則の四条二項に基づきまして、今後政党間で真摯な議論が必要だというふうに思います。
  43. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと、私も十一年間国会議員をやらせていただいて、解釈が、奥野提案者の解釈以外にあり得ないので、もう決着しているんですが、発議者によって解釈が異なる条文を審議するというのは国会議員十一年間やって初めてなんですけれども、大先輩の発議者先生方に非常に恐縮でございますが。正直、採決していいんですかね、この法案、この法案を。国会の在り方として、これを採決するということが許されるのかということを思わざるを得ないところでございます。  さらに、今のこの附則をめぐっては、憲法改正論議ですね、CM規制検討中に憲法改正論議ができるのかという議論もございました。  ちょっとこの関連で、中谷発議者にまた重ねての質問で恐縮なんですけれども、大きな四番の問いの二番でございます。先生方のお手元の資料六ページでございます。  中谷発議者は、衆議院憲法審査会、平成二十八年十一月十七日の自民党の会派代表意見の中でこのように述べていらっしゃいます。「そもそも、近代立憲主義とは、権力の分立により、また、基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方であり、自民党も全面的にこれを肯定するものであります。」。この考え方は、今も自民党そして中谷発議者も変わらないでしょうか。
  44. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) この見解は今も変わってございません。
  45. 小西洋之

    小西洋之君 問題はですね、あっ、済みません、失礼しました。四ページでございました。先生方、済みませんでした。四ページの真ん中です。  この中谷発議者と自民党の立憲主義の考え方は、憲法の教科書に書いてある立憲主義と違うんですね。中谷発議者はこうおっしゃっているんですね。近代立憲主義とは、権力の分立によって、また、基本的人権を保障すると。  立憲主義というのは、権力を制限することによって人権を保障する、これが近代立憲主義の考え方なんですね。現に、その下の、公明党の斉藤先生ですね、正しい立憲主義の考え方を述べていらっしゃいます。そして、この配付資料の二ページですね。先ほどの我らが附帯決議でございますけれども、第一項にやはり立憲主義の正しい考え方を書いております。  中谷発議者伺いますが、権力を分立する、衆議院法制局、衆議院法制局、ちょっとやめて、衆議院法制局。ちょっとこういう言い方私もしたくないんですが、国会議員で法制局の補佐を得ないと議論できないんだったら、憲法議論やめましょうよ。憲法しか国民守るものないんですよ。憲法の下で正しい国会、正しい内閣を守るために憲法があるんだから、憲法の議論するんだったら、国会議員同士本気でやりましょう。  中谷発議者、よろしいですか。  権力を分立するというのは、立憲主義の定義として正しいですか。
  46. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 自分の考え方を申し上げていますけれども、近代の立憲主義というのは、権力の分立によって、また、基本的人権を保障するという、この近代憲法の根本となる考えでありまして、これは自民党も全面的に肯定するとしたものでございます。
  47. 小西洋之

    小西洋之君 ですから、ここ、会派代表意見とおっしゃっているんですけど、間違っているんですが。近代立憲主義とは権力を制限することって書けば正しいんですけれども、この権力の分立という考え方を撤回されますか。
  48. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) いや、言ったとおり権力の分立でございます。
  49. 小西洋之

    小西洋之君 じゃ、権力の分立だったら、三権分立で国会、内閣は分立しているんですね。その分立している下で、国会、内閣が権力は制限されない、そういう憲法を持ったら、国民の自由と人権って守られないんじゃないんですか。権力の分立だけでは立憲主義の考え方にはならないんじゃないんですか。もう一度答弁ください。
  50. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 分立と制限というのは同じということでございます。
  51. 小西洋之

    小西洋之君 じゃ、公明党の北側発議者、下に公明党の斉藤先生が、公明党の会派代表意見、これ正しい考え方ですね、国家権力の行使の在り方を定めと書いていますが。  権力の、立憲主義をめぐる考え方の中で、権力の分立という考え方と権力の制限、これ同じに考えてよろしいんでしょうか。自民党の、自民党の立憲主義の定義は、公明党から見ても正しいとお考えですか。
  52. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 国家権力、国家の権力を制約することによって、そして基本的人権を保障していく、国家の権力の行使についてきちんと根拠を持ってやっていくという趣旨で、基本的人権を守るというのが最大の目的です。  ただ、三権分立というのも、そういう意味では、それぞれの権力を制約をしていく、コントロールをしていくという意味では、三権分立も同様の趣旨を持っているというふうに理解をしております。
  53. 小西洋之

    小西洋之君 憲法というのは、国民の、主権者のものですから、国民から見て権力を制限するから意味があるんですね。国民から見たら、権力同士を制約すると、これって立憲主義の本質じゃないわけでございますけれども。  委員長にお願いなんですが、これ、四月二十八日に採択いただいた本審査会幹事会協議事項にもしていただいているんですが、立憲主義の定義が、考え方が違うのに、憲法の議論ってする資格、私はないと思うんですね。  なので、ただ、我が審査会は林会長の下の良識の府でございますので、是非我が審査会で、自民党、公明党と始めとする、あと我々と始めとする各党各会派の立憲主義、そして国民主権、憲法のよって立つ大切な平和主義、そうした基本原理の考え方について議論整理することをお願いいたします。
  54. 林芳正

    会長林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議をいたします。
  55. 小西洋之

    小西洋之君 いや、笑っていらっしゃる方いらっしゃいますけれども、自民党の皆さん、自由発言の討議の中で、国会の立法権を制約する緊急政令を定めようって平気でおっしゃっていますけど、まさにこの発想なんですよ。権力を制限じゃなくて、権力の分立が立憲主義って考えているから、だから国会がいなくって内閣だけで法律決めていいっていう発想になってしまうんですね。  やっぱり、先ほどの議論に戻りますけれども、この附則の間に、改憲の議論を、正直申し上げます、衆議院審査会で改憲の議論をする資格があるというふうにお考えなんであれば、これ山花提案者伺いますが、山花提案者、よろしいですか。  衆議院憲法審査会で、まず立憲主義やあるいは平和主義といった基本原理についての考え方を、これ一回、そのときのまさに討議なんですが、もう一度しっかり討議する、それが改憲論議の前提であると、改憲論議の前提だというふうにお考えになりますでしょうか。
  56. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 衆議院の側の審査会についての御提案ということだと思います。  立憲主義という考え方について、非常に多義的ですし、近代のことを今指されていると思うんですが、現代立憲主義においては、むしろ立法機関による行政統制ということが主な論点だったりとかいたしますので、いずれにしても審査会幹事会等々を通じまして与野党合意の下で協議をして進めていくべきものと承知をいたしております。
  57. 小西洋之

    小西洋之君 済みません、奥野提案者に、では伺いますが、配付資料の五ページなんですけれども、配付資料の五ページ。  我が参議院の憲法審査会は、この憲法審査会在り方として、国会法に基づく憲法問題の調査、これを実はしっかりやってきているところでございます。憲法問題の調査といえば、当然、憲法違反の問題であります。奥野提案者、今、国会法条文を探してくださっているんだと思いますけれども、申し訳ございません、四ページの上の方に国会法条文書かせていただいているんですけれども、四ページの上。先ほどの憲法審査会幹事会協議事項は五ページでございます。  四ページの上、国会法百二条の六ですね、日本国憲法及び密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行う。我が参議院の憲法審査会はこの規定に基づき、また国会議員の憲法尊重擁護義務に基づき、五ページにありますような集団的自衛権の容認を始めとする様々な憲法違反問題について審査会でしっかりと議論しようじゃないかと。内閣法制局長官や官僚が来るんじゃなくて、国会議員同士でちゃんと本物の正しい合憲の憲法か議論しようじゃないかということをやっています。  こういう取組は、やはり衆議院憲法審査会でもしっかりやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  58. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) 国会法にあるように、何も憲法の発議だけが仕事ではなくて、きちんと日本国憲法に関連する基本法制について調査をするということでありますから、先ほど来おっしゃっているような基本的な理念の確認とか、基本的人権を侵しちゃいけないとか、改憲の制限があるとか、そういった部分、あるいは権力分立の在り方とかについてもきちんと共通認識を持った上で、様々な議論をまず前提としてやるべきだと思います。
  59. 小西洋之

    小西洋之君 本当に明確な答弁をありがとうございました。  ちょっと時間が迫られておりますので、私は採決してはいけないと思うんですが、この法案。ただ、しようがないので、法案の中身についても質問をさせていただきますが、逢沢発議者に、逢沢発議者、よろしいでしょうか、お願いしている大きな二番の問いの三番でございます。  この繰延べ投票告示期限を改正によって五日から二日に公選法並びで短縮しているんですが、そのことによって逢沢発議者は、衆議院では、場合によってはウイークデー、平日に繰延べの国民投票をすることもあり得るというふうにおっしゃられています。  私は、やっぱり一番大切なのは、国民主権に対して一番大切なのは、国民投票条件の平等でございます。ほとんどの国民は日曜日に投票したと、しかし、ある地域に台風が来たので繰り延べたと。ところが、そこが平日だと、日曜日に投票した国民と平日に投票した国民、全く投票条件が平等にはなりませんので、この平日に投票するということはまず絶対あり得ない、してはいけないということでよろしいでしょうか。
  60. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 繰延べ投票でございますけれども、様々なことが国民投票投票期日に起こるということもリスクとしてあり得るわけであります。一般的には災害というものが想定されるわけでありますけれども、非常に大きな災害に見舞われたとすれば、相当期間選挙期日をずらすということが当然誰が考えても必要となってくる。適切に当地の選管が判断をするということになろうかと思います。  ただ、軽微な災害等でございますと、それはたまたまその日曜日に投票ができなかった、しかし、全体を判断をして、そうですね、その地域の経済事情、あるいは地域の住民の皆様の移動のあるいは活動状況全体を判断をして、最終的に最も良い期日選管が判断をする。地域の事情に精通をしておられる地方自治体、その自治体の選管の裁量に委ねたいと、そのように私は答弁をいたしました。
  61. 小西洋之

    小西洋之君 いや、それはやっぱり、恐縮ですがおかしいと思うんですね。選管が一人一人の国民の生活の事情を分かるわけないわけですから、みんなが平日が日曜日と同じように条件が、投票条件が平等なんてことはあり得ないわけですので、やはり欠陥法だと思います。これは、公選法規定を全く違う制度である憲法改正国民投票に平行に持ってきたと。  もう一つ問題があるんですね。期日投票制度ですけれども、今までは朝から夜まで決まった時間ずっと開いている期日投票所があるんですけれども、それがなくなってしまうんですね。  これ、与党発議者に通告をさせていただいておりますけれども、期日投票制度の趣旨は、投票日である日曜日にどうしても行けない国民、それを救済する、すなわちこの国民投票権を確保するための制度でございますので、そうするとやはり、市役所なり町役場なり、朝から晩まで期間しっかり開いているというものが私は必要だと思うんですけれども、それをなくしてしまうというのは国民投票権について非常に大きな問題をもたらすことになるんではないでしょうか。簡潔にお願いいたします。
  62. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) これも、当地の選管が最も有権者、地域住民の方々の投票環境を良い方向確保するという観点で判断をいただければよろしいかというふうに思います。例えば、市町村の選管が必要と判断をしますと、市役所でありますとか、定められた、設置をされた一つ期日投票所を通しで開けておくということも可能でございます。  それぞれの選管の適切な判断を信頼をしてお任せをする、そのような構成になっているということを是非御理解をいただきたいと思います。
  63. 小西洋之

    小西洋之君 今おっしゃった、複数の場所で通しで開ける、それによって、全体としてその地域内の期日投票所の開設時間が短くなることが起こり得る、これ衆議院答弁されているんですね。私はこの問題を解決するために附帯決議のお願いをしたんですが、それを拒否されてしまったわけでございます。  憲法に基づく、そして立憲主義に基づく国会議論を守る、良識の府の在り方を守る、そのためにもこの法案の取扱いについては極めて重い判断を求めまして、質疑を終わります。  ありがとうございました。
  64. 平木大作

    平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私の方から、まず、総務省選挙部長の方に少し確認をさせていただきたいと思います。  今回のこの国民投票法改正案におきましては、在外選挙人登録期間の柔軟化を規定をしております。端的に言えば、公選法改正に伴いまして平成三十年六月一日より創設をされました在外選挙人名簿への出国時申請制度、これを国民投票においても実現をしようとするものでございます。  しかしながら、一昨年行われました令和元年の参議院通常選挙におきまして、この在外選挙人登録、登録率がおよそ七%、投票率は二一%程度ということで、なかなかこれ十分に権利行使をされていないように見受けられるわけでございます。  これ、やっぱり海外に出られる方ですね、いろいろこれ御事情があって登録も低いのかなというふうに思いますが、この出国時の申請制度に限って言えば、私自身は、自治体の窓口に転出届出すときに在外選挙人登録もセットで基本的には自動的にできるような、そんな在り方も考えてはどうだろうということを思うわけでありますが、まず改めて、この在外選挙人登録、また在外投票が進まない理由についてどのような御見解をお持ちか、確認させていただきたいと思います。
  65. 森源二

    政府参考人(森源二君) お答え申し上げます。  外務省の海外在留邦人人数調査統計によれば、十八歳以上の海外在留邦人は平成二十九年十月一日現在で約百八万、一方、在外選挙人名簿登録者数は令和二年九月登録日現在で約九万七千人にとどまっているということでございます。  この名簿登録申請につきましては、今ほど御指摘いただきましたとおり、平成三十年六月より出国時申請が可能となりまして、近年でございますと、在外公館申請が約六千件から九千件に対しまして、出国時申請は約二千件から三千件出てくるようになってきております。  委員の御指摘の点も含めまして、在外選挙における実態把握の観点から、総務省として、外務省の協力を得まして、令和元年度に在留邦人を対象に在外選挙制度に関するアンケート調査を実施をいたしました。その結果といたしまして、在外選挙人証を取得していない、すなわち在外選挙人名簿を登録していない主な理由として、申請が面倒だとか、申請方法を知らない、制度を知らないなどが挙げられておりますし、また、名簿登録者のうち令和元年度の参院選において投票したと回答した方、これ、名簿登録者の中でございますので高うございますけれども、投票したと回答された方が五七・三%、投票しなかったと回答された方が四二・七%でございますが、その投票しなかった主な理由として、多忙等で投票を忘れた、投票が面倒、選挙に関心がない、投票したい候補者等がいないなどが挙げられたところでございます。  そもそも名簿登録の申請方法や制度を知らないといった方につきましては、国内サイドの取組として、総務省において、出国時申請制度を含む在外選挙制度について説明したリーフレットを毎年作成いたしまして、また、各市町村のホームページへの掲載や住基部局の窓口への設置などをお願いしております。  また、出国時申請の円滑化のため、例えば住民基本台帳部局の職員と選管事務局の職員を併任させて、国外転出届出と併せて出国時申請書の受領を可能にするといった工夫などの助言も行っているところでございます。  また、在外における取組でございますが、在留邦人に名簿登録申請を促すため、外務省において、大使館のホームページにおける制度周知だとかメールマガジンの配信、あるいは日系団体等を訪問しての説明会の実施などの取組を実施いただいておりますし、また、国政選挙の際には投票に関して各種媒体による周知を図っていただいているところでございます。  引き続き、在外選挙人の負担軽減のために、関係省庁と連携を図って取り組んでまいりたいと存じます。
  66. 平木大作

    平木大作君 新しい制度になってからまだ国政選挙一回しかやっていませんので、まあ新制度の下で徐々に登録される方も増えてくるというところは見込めるんじゃないかと今お伺いをして思いましたが、一方で、やはりこれ相当な、今いろんな声は御紹介いただきましたけど、ハードルが高いんだろうと思っています。  私も、今から十四年前、二〇〇七年の参議院通常選挙は在外投票、経験をいたしました。当時住んでいましたスペインのバルセロナの領事館でやろうと最初思っていて、そこであればまあ行きやすいし、いいかなと思っていたんですが、いろんな条件重なって、結果的に選挙のときは中米コスタリカのど田舎にホームステイをしておりまして、行くべきか行かないべきか、ちょっと迷ったという経験がございます。  結果、なかなかできない経験だからと思いまして、路線バスを乗り継いで首都のサンホセまで何とかたどり着きまして、大使館の住所とツーリストマップ一枚しかなかったんですけれども、人に道を聞きながらどうにかサンホセの大使館にたどり着いて投票ができました。行ったときに、ドア開けたら日本の投票所と同じ光景が大使館の中に広がっていて、大変感動して、ただ、いらっしゃる方、誰も私以外いなくて、これ、どのくらいの人、一日来るんですかとか、日本に本当に届くんですかというような失礼な質問をして帰ってきた記憶があるんですが。  やはりこれ、一つの国の中で一か所とか、せいぜい数か所しか在外公館ってないわけですから、やはり相当海外に出られている皆さんにとって今度投票に行くということのハードルは高いんだろうというふうに思っております。今は郵便投票も選択できるようになっておりますけれども、それも事前に投票用紙を郵便で取り寄せたりとか、そんな様々な手続があるということで、私自身は、やはり投票環境、アクセスの悪さということが何よりも一番の障壁なんだろうというふうに思っております。  もう今御答弁まとめていただきましたので、在外公館職員の方が日系企業のオフィスにいろいろ回って歩いて投票を呼びかけてくださっているというような御努力も仄聞しているところでありますけれども、やはりこの投票環境向上というところ、ここを真剣に取り組む必要が私はあるんだろうと思っています。  そこで、発議者の皆さんにお伺いをしていきたいと思うんですが、この投票環境向上という観点から、本法案、改正公職選挙法並びの規定が盛り込まれた、先ほども答弁があったとおりであるわけですが、この当該公選法の改正というのは平成二十八年九月に発出をされました総務省の投票環境向上方策に関する研究会の報告書を受けてのものでございました。  この報告書、三つの柱がありまして、一つ目が在外選挙人名簿登録の利便性向上、二つ目が選挙人名簿の閲覧制度の改正、そして三つ目がICTを活用した投票環境向上と、こういうこの三つの柱があって、結果的に前述した二つについては盛り込まれたわけでありますが、三つ目は引き続きの検討というふうになっているわけです。いわゆるこのネット投票ということについて、この報告書の中でも、在外公館投票ですとかあるいは洋上投票、こういったところから段階的に導入していくことについて、もういいんじゃないかという意見も付されているわけであります。  ネット投票、長年の課題で、国会でも長年議論されてきているにもかかわらず、技術的な問題ですとか、あるいはサイバー攻撃にどう対応するのか、様々な課題が指摘されるために、結果的にいまだに実現のめども立っていないわけでありますが。  ある意味、通常の国政選挙よりも、より多くの国民の皆さんに御参加をいただかなければいけないこの国民投票において、実際のこれ投票率って、先ほど私も二〇%程度というふうに御紹介申し上げましたが、在留邦人の数で投票者数を割ると一・五%ぐらいなんですね。  本当にそういう意味でいくと、限られた方しか実は投票のアクセス環境がないという中にあって、このネット投票、全国一斉の導入というのはやっぱり難しくても、報告書にあるような段階的な投票というものを在外公館とか洋上投票からやっていく。これは別に公職選挙法並びにすることが合理的という結論に必ずしもならないんじゃないかなということを改めて指摘をさせていただきたいと思いますし、副次的な効果として、ある意味これから日本にとって初めての国民投票において、同じく初めてのネット投票がもし実現されるならば、それは若い世代の皆さんも含めて大変これは関心が高まるんだろうというふうに思っております。  改めて、通常の国政選挙に先んじて国民投票でネット投票を導入するという考え方もあったんじゃないかと思うんですが、御所見をいただきたいと思います。
  67. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) 御指摘のとおり、総務省の投票環境向上方策に関する研究会報告におきまして、在外投票に係るインターネット投票について、その実現性に向けた方向性に言及があったということは承知しております。  インターネット投票を導入すれば、委員指摘のとおりのように、いつでもどこでも投票ができる、それから投票率の向上が期待できる、投票事務に係るコストの低減が期待できるといった、飛躍的な利便性向上等の効果が見込めることは確かだというふうに思います。  他方で、この総務省の報告にも言及がされておりますけれども、選挙の公正と信頼を確保する上で、サイバー攻撃を始めとしたシステムのセキュリティー対策、それから確実な本人確認投票の秘密の保持、一斉アクセス時の安定稼働、成り済ましによる詐偽投票投票干渉の防止といった課題も挙げられているというふうに承知をしております。  国民投票であるか選挙であるか問わず、これらのメリットと課題の双方を考慮した上で、しっかりとした検討を進めていく必要があるというふうに考えております。
  68. 平木大作

    平木大作君 なかなか固い答弁になってしまいましたが、ちょっと時間の関係もありますので、続けたいと思います。  もう一つ、私ちょっと問題意識を持っておりますのが国民投票運動でございます。  通常の選挙運動とはそもそも全く異なるものでありまして、このことが世間に今のところ認知をされていないなという問題意識を持っております。例えばですけれども、一般の公務員の方も基本的にこれは運動に参加できる、外国人の方も意見表明できる、あるいは通常の選挙ですと禁止をされている戸別訪問、こういったこともできる。こういうことが、そもそも認識として国民の皆さんにはまだないわけであります。  広く国民の参加する運動を通じて、日本の民主主義を深化させるという意味でも、また、終わった後、投票結果に疑義を生じさせないためにも、この国民投票運動ってそもそもこういうものだという共通認識をやはり一人でも多くの皆さんに持っていただく、これが何より私、大事なんだろうというふうに思っております。  これ、いろんなこれまで国民投票運動ってどうあるべきかという議論がなされておりまして、私自身も基本は三つ大事な点があると思っています。一つは、公正中立で分かりやすく、十分な量の情報が提供されるということ。もう一つ、多くの国民意見表明し、議論を通じて考えを深められる機会が持てること。そして三つ目に、熟慮の末に納得感を持って選択できる静ひつな環境が用意できる。この三つは少なくとも満たさなければいけないんだろうというふうに思っております。  当然これ、最終的な投票の判断に大きな影響を与えるCM規制、これが重要なことは論をまたないわけでありますが、一方で、より大きな観点から、この国民投票運動在り方、あるべき国民投票運動とはどのようなものかということについて、是非御見解を御披露いただけたらと思っております。
  69. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) 今委員が挙げられた三つの点、私も全く大事な点だというふうに思いますので、賛同しております。  国民投票運動は、主権者である国民が直接的に国家の基本的な在り方に関する選択の意思表明をするものでありますから、憲法改正案について適切な情報提供を受けた上で、国民一人一人が萎縮することなく自由闊達な意見を闘わせることが大事だというふうに思っております。このため、国民投票運動は、選挙運動が多くの規制を伴うのは異なって、原則として自由にされているところであります。  また、国民投票法では、国民に対して丁寧に周知広報を行うこととされ、具体的には、国会で憲法改正発議がなされた際に設置される国民投票広報協議会憲法改正案について国民に正確で平等な情報の提供に努めるとともに、テレビ、新聞、ホームページなどを活用して憲法改正案に関する周知広報に努めることとされているところでございます。  以上です。
  70. 平木大作

    平木大作君 これは是非、国会の中での議論と併せて、この国民の皆様にそもそもどういう運動になるのかということ、お知らせをいただきたいというふうに思っていますし、我々もこれはしっかり発信をしていかなきゃいけないんだろうと思っています。  どうしても、国民投票、我々の認識でいくと、例えば最近行われたあのイギリスのEU離脱の国民投票とか、何か終わった後に、あの情報は偽物だったとか、こんなことをあの人が言っていたとか、後味の悪いものにやっぱりどうしてもなっているなという感じを得ております。その意味で、国民の皆さんに共通理解の下でやはり運動に参加していただく、その環境を整えていくことが我々国会議員にも求められているんだろうと思っております。  一点、ちょっと議論を変えまして、憲法改正の主要な論点として、緊急事態条項の創設ということがよく取り上げられております。  我々参議院にとってやはりこの緊急事態とどうしても関連するのが参議院の緊急集会を定めた憲法五十四条でありますので、この点、当院でもしっかり議論していかなきゃいけないなと思っております。  これまでの御見解を確かめたいんですが、その中で、これ憲法五十四条を読むと、緊急集会の要件って基本的には二つあるように読めまして、一つ衆議院が解散をされていること、もう一つが国に緊急の必要があること、この二つの要件を満たすかどうかというところがまず基準になると。これが実際に通説でありますし、運用上もそう解釈されているようでありますが、ただ、最近の憲法学界の見解等々によりますと、この衆議院が解散をされていることというところについては、あくまでも衆議院の存在がない例として解散の場合を定めたと解釈をして、衆議院の任期満了による総選挙の場合にも開催できるとする、こんな見解が実は有力になってきているという御指摘を最近お伺いしました。実際に、これ、昨年有斐閣から出版をされました「注釈日本国憲法(3)」、長谷部先生始め名立たる先生方が御執筆をされている最近の研究の中にもこの有力な説として御紹介をいただいているものであります。  こうした緊急事態に際して現行の日本国憲法というのはそもそも既にそれなりの手当てがしてあるとする見解についてどのようなお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  71. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 今おっしゃったように、憲法の条文上は衆議院が解散されているときというのが要件になっております、緊急集会開くためのね。しかしながら、今委員がおっしゃったように、衆議院が存在しないという意味では、解散に限らず任期満了での場合も同様でございまして、そのような学説、極めて有力な学説だと思いますけれども、あることも承知をしております。  そういう任期満了時において、緊急の場合に、必要がある場合に参議院の緊急集会が開けるかということについては、是非これは国会で、我々自律権があるわけでございますので、しっかり議論をさせていただいて解釈をしていけばいいんだろうというふうに私は考えております。  ただ、だからといって、緊急事態条項が要らないという結論に至るとは私は思いません。日本の憲法制度は議院内閣制でございます。我々国会が内閣を総理大臣始め選んでいくということになっておりますし、また憲法上唯一の立法機関でございますし、そういう意味では、そういう緊急事態のときに必要な法律をきちんと通していく、又は必要な予算を通していく、さらには政府に対して助言をする、場合によっては監視をする、こうした重要な国会の機能をどう維持していくのかという観点でもう少し広く検討すべきじゃないのかなというふうに考えております。
  72. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  この論点、本当に大きな広がりを持っておりまして、緊急集会も内閣が招集をすることにはなっているんですけれども、ここでもある意味私権の制限を大きくしたときに、自発的な例えば招集のようなことがないのかとか、様々な論点があると承知しております。この参議院においてもしっかり皆様と意見交換をして、議論を深めていきたいと思っております。  最後に一問、残りの時間でお伺いしておきたいと思います。  附則の第四条の中で、いわゆるCM規制について、施行後三年をめどに検討を行い、必要な法制上の措置を講ずるということが書かれているわけであります。ただ、やはりここで、この見直し規定というのはそもそも一般には制度の運用実績を見ながら検討をしていくものでありますから、まだ行われていない、かつ、その見通しもないCM規制について、その見直し規定を今置くことにどれほどの意味があるのか、また効果があるのかと。このことについて最後にお伺いして、終わりたいと思います。
  73. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 我々、法律を作るときに、よく検討条項というのを附則に入れます。それには二種類あるんだろうと思うんですね。一つは、先般成立しました少年法改正、これにも検討条項が入っておりました。この検討条項の中に、施行後の少年法の、改正少年法の運用状況、また民法そのものが変わっていますから、民法の施行状況等々というふうに、そういう状況を勘案してというふうに書いている文言もあれば、そうでないものもございます。こういう法律の施行状況等を勘案してという場合と、さらには、法案審査の中で積み残された課題について検討を加えて必要な措置を講ずると、こういう二つあるんだろうと思うんですね。  で、今回の附則四条については後者の、憲法本体論議を進めるに当たっても、今日議論が出ておりますとおり、CM規制というのは非常に大事な論点でございまして、これを取り残さないでしっかり議論していこうということでございまして、できるだけこのCM規制等議論については加速して議論をして、一定の結論を政党間で得れるようにしてまいりたいと思っております。
  74. 平木大作

    平木大作君 時間参りましたので、終わります。  ありがとうございました。
  75. 松沢成文

    ○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文です。  私も、この附則四条の効果というか解釈について伺いたいと思います。  前回の質疑でも、私は、この原案の修正部分である附則第四条は、施行後三年をめどにCM規制や外国人寄附規制などについての必要な措置を求めるものであるが、この措置が講ぜられるまでの間、国会は憲法の改正原案の審議と改正の発議を行うことができるかどうかということを、発議者にも提案者にも質問をいたしました。また、改めて、ほかの議員の皆さんからの答弁も含めて議事録確認いたしました。ただ、どうしても理解できないのは、修正案提案者の間でやっぱり見解の違いがあるようなんですね。  まず、奥野議員の解釈でありますが、憲法本体議論法律上妨げられない、妨げれないが、政治的に優先されないとおっしゃっていますね、という一方で、改正原案の発議法律上できないとはっきりおっしゃっているんです。  さあ、これに対して、山花議員の解釈でありますが、私の質問に対して、法律上は共通認識を持っているが、政治的には難しいとして、これ他の委員からの質問にはこう答えているんですね、憲法本体議論は直ちに発議という話にもなるわけではないので、CM規制等との同時並行の議論はあり得るというふうに答えています。ちょっと今日も議論ありまして、少し何かトーンダウンしているんじゃないかなと私心配しているんですけどね。  さあ、そこで、山花議員、これ分かりやすく、今日は傍聴の方もいます、分かりやすく、イエス、ノーぐらいで答えていただきたいんですが、附則第四条により、憲法本体議論と改正原案の発議を行うことは法律上妨げられるのか否か、イエス、ノーでお答えください。
  76. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) イエス、ノーでということでございますが、恐縮ですけど、先ほども答弁したとおりでございます。憲法本体論議あるいは憲法改正発議については、条文上、法律上という言い方していますけれども、可能であることについては、可能であることについては、先ほど中谷発議者北側発議者から御答弁ありましたけれども、共通認識であるということで、そこに異論はないということでお答え申し上げました。  その先の部分については、まさにこれから、運営に関することですので、議論とか発議とかというのは、そこは審査会幹事懇談会幹事会与野党円満な協議の中で進められていくべきものだと考えています。
  77. 松沢成文

    ○松沢成文君 はっきりいたしました、法律上できると。  さあ、奥野議員、山花議員法律上改正の発議までできるとはっきり言いましたが、それでよろしいですね。(発言する者あり)
  78. 林芳正

    会長林芳正君) 指名を待って御発言ください。
  79. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) 会長、済みません。  発言の機会をありがとうございました。  まず、議論ができる、並行して議論ができることは間違いないと思います。議論まで封ずるものではないと思います。  条文上は何も書いていないということをもってみれば、皆さん、法制上と言っているのは、条文上書いていませんねということを言っていると思うんですが、じゃ、果たして解釈としてどうなのかという話が出てくるわけですね。  私は、法律解釈というのは、合理的な正しい結論を導き出さなきゃいけないと思っているわけですね。今これだけCMの問題が出たり、例えばブレグジットとか大統領選とか見たときに、外国の事例があるわけですよ、先ほど事例がないとおっしゃったけれども、平木さんおっしゃったけれども、外国の事例を見れば、資金に飽かせて干渉している事態はいっぱいあるわけですよ。だから、そういったものに手を打たない形の国民投票法は、そのまま国民投票が実施できるのかと考えたときに、私は、憲法が要請している公平公正国民投票はできないと思っているんですね。だから、ちゃんとそれに措置をするように条文を書いたわけです。  だから、そういったことを考えたときに、全体として、解釈としては、常識的には発議できないんじゃないんですか。先にちゃんと手を打ってやるのが私は筋だと思っていて、別に言っていることは同じなんですよ。山花さんもすぐ発議しろとは言っていないわけだから、言っていることは同じです。
  80. 松沢成文

    ○松沢成文君 これ、修正案の提出者の中で、山花さんは法律上できる、奥野さんは法律上できないんじゃないか、提出者お二人の中でもう意見が、分からないんですね。これじゃ、ちょっと法律立法趣旨が分からないですよ。ちょっと、これ大問題だと思います。  次、行きます。  この点について、先日、参考人への質疑にありました。その参考人意見陳述で、やはり大学の浅野先生、こうおっしゃっていました。法案の審議の都合によって憲法改正の実質の審議が遅れる、あるいはそれが後回しになるということがあるとすれば、国会のその法案審議が立憲主義を阻んでいると言ってもいいくらいだとして、改正案の審議が憲法改正の実質的な審議に影響を与え、あたかも改正案の審議が優先され、それが終わってから憲法改正の審議をしなければならないとすれば、これは極めて国会の在り方として問題があるのではないかというふうに指摘をされています。  さあ、今度、発議者の皆さんにもこの質問をしましたら、自民党さんも公明党さんも、そして我々の日本維新の会の発議者の皆さんも、はっきりと、修正部分憲法本体議論や改正の発議を妨げるものではないと、発議者の方は皆さん統一して言っているんですね。  さあ、しかし、私は当然のことだと思います。できるんですよね、やらなきゃいけないんです。しかし、こうした解釈は修正案の提出者のものとも異なるということが今も明らかになりました。言うまでもなく、議員立法であるこの本法案提出する立法者、起草者の意思が定まっていないということは大問題だと私は思っています。  このままでは、必ず審査会の運営方法をめぐって混乱して、また再び機能不全に陥るのは火を見るよりも明らかであります。これまでの三年間も、全然、憲法審査会憲法本体の実質改正審議に入れませんでした。今後も三年間、合計六年間改正議論が行われないという、本当に最悪の状況を招くことになりかねないと私たちは危惧しております。  こうした状況を打破するために、日本維新の会は、この後、修正案を提出することを考えています。それについても皆さんにこの前説明しました。具体的には、修正部分である附則第四条に二項を設けて、こう入れるんですね。前項の規定は、国会が、同項に規定する措置が講ぜられるまでの間において、憲法、日本国憲法改正案の原案について審議し、日本国憲法の改正の発議をすることを妨げるものと解してはならない、これきちっと入れれば、明確に今後の憲法審査会議論が進んでいくと私たちは思っております。  さあ、この前回の質疑で、発議者の立場からこの修正案の必要性について自民党の中谷議員へ尋ねたところ、中谷議員覚えていらっしゃると思いますが、こうおっしゃったんですね。法改正原案の審議を妨げるものと解してはならないという趣旨はもろ手を挙げて賛成するものだと。ありがとうございます。大賛成だということですね。  今は衆議院からの法案提出者の、発議者の立場ですから、それを否定するわけにはいかないと思います。ただ、参議院で更にいい修正案が出てくるわけですから、自民党として、是非とも自民党参議院の皆さん、これはいい修正案だ、どうだと皆さん説得してください、是非とも。
  81. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 前回も答弁していますように、法律的には憲法本体論議も改正の発議も可能であると整理をしております。  そもそもこの憲法改正原案の審議、憲法改正発議、これは国会そして衆参の憲法審査会の重大な所掌事務の一つでありまして、これを妨げるものではないと、解してはならないという趣旨には賛成するものであります。現在の検討条項はそのように解釈されるべきことを与野党が一致して度々御答弁を申し上げておるところでございます。  我々としましても、またCMの規制に関する議論につきましても大変重要なテーマであると認識しておりまして、早期に結論を得られるように議論を精力的に行うべきだと考えております。
  82. 松沢成文

    ○松沢成文君 ちょっと説得はしていただけませんでしたけれども。  次に、これも私たちの、今後の審議の在り方提案であります。改めて伺います。小委員会の設置についてであります。  憲法審査会で改正原案をまとめるには、意見発表ではなく、議論の集約が求められる、これ言うまでもありません。しかしながら、これまで行われてきた自由討議、これもう衆議院も参議院も同じようなものだと思うんですが、もう各自の意見言いっ放しの単なる意見発表で終わっておりまして、このままでは改正に向けて議論を集約していくなんというのは夢のまた夢みたいな感じですよ。  憲法審査会規程の第七条にも、小委員会が設置できることになっています。そのメリットは、集中的あるいは継続的に特定の案件の審査又は調査を行うことにより、委員会全体の効率的、効果的運営が図れると。いいこと書いてありますね。私は、この国民投票法関係の議論というのはまさしくこの小委員会制度の効用にぴったりと当てはまると思うんですよ。いかがでしょうか。  前回の質疑で、自民党の船田先生から御紹介いただきました。衆議院での憲法調査会時代、四つの小委員会をつくって、最終報告書の取りまとめに向けて非常に有効に機能していたと評価している、こういう前例あるわけです。じゃ、私たちの参議院でも、平成十六年第百五十九国会において、参議院の当時の憲法調査会にもこういう小委員会があって、二院制と参議院の在り方に関する小委員会を設置、活用して成果を上げた前例もあります。  ほかの議運とか幾つかの委員会で小委員会制度というのはかなり活用されているんですね。小委員会を設置するということは、今後の憲法審査会の運営を滞らせることなく憲法本体の改正審議と国民投票法関係の審議を分業的に同時進行に進めていくという、極めて有効な手段だと思います。  さきの参考人質疑でもこういう意見をいただきました。憲法本体と関連法案の審議を同一の憲法審査会で行うのであれば、きちんと区別するように小委員会というような形で分離し、審議を進めることが望ましい。説得力があります。  さあ、そこで、改めて、これ衆参両院の憲法審査会において国民投票法関係の審議を委任するための小委員会設置について、自民党の発議者の方、立憲民主党提案者の方、日本維新の会の発議者の方に、この国民投票法関係の審議を小委員会で専門的に迅速にやって早く結論を出して、そして全体会でもう一回議論してしっかりとフィックスをしていく。この小委員会をつくることに対して賛成でしょうか、反対でしょうか、お聞かせください。
  83. 船田元

    衆議院議員(船田元君) お答えいたします。  前回もそのような趣旨の御質問がありましてお答えしましたが、過去におきまして、衆議院憲法調査会では、平成十四年に四つの小委員会、それから十五年、十六年におきましても、ちょっと内容は変わりましたけれども、同じく四つの委員会がありました。  松沢議員には、たしか政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会の委員として議論に加わっていただいたということを記憶しておるわけであります。また、参議院のこの憲法調査会におきましても、平成十六年から十七年にかけて、二院制と参議院の在り方に関する小委員会ということで活発な議論をやっていただいたと思っております。  このように、小委員会制度というのは、詳細な検討を行う、あるいは集中的に議論をする、さらには同時並行で幾つかのテーマを並行して議論できる、こういうメリットがある。これは私、大変いいことだと認めております。しかし同時に、デメリットというわけではありませんけれども、小委員会で議論したこと、あるいは取りまとめたことをやはり審査会全体で共有化する、この手続も大変重要でございまして、そういったものが整えば、この小委員会制度はよいことであると思っております。  具体的にどういうふうに小委員会の仕分をするか、どういうテーマを設定するかは今後の課題だと思っております。
  84. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 御質問いただいたということで、この前に少し船田先生とも昔の話をしておりまして、私も小委員長を務めていたことがございます。  メリットについては今お話があったとおりで、非常にいい側面もあるんですが、それを前提に置きます、何かデメリットばかり言っているように聞こえてもいけないので。  今お話があったことと、あと、幾つか小委員会を置いたときに、少数会派の方々、極力全部参加していただくようにということになると、なかなか御負担が多かったなというのを記憶をしております。あと、今さらっとおっしゃったんですけれども、取りまとめをするときの、もう一回作業というのがかなり時間が取られまして、そういったこともいろいろプラスの面、マイナスの面を勘案して、まさに衆参それぞれですけれども、幹事会などで御議論いただければと思います。
  85. 馬場伸幸

    衆議院議員(馬場伸幸君) 松沢委員からは非常に日本維新の会らしい建設的な提案をいただいたものというふうに考えております。  釈迦に説法ではございますが、この憲法改正は、最終的には国民お一人お一人が判断をして決めていただくということでございますが、なかなか現下の状況を見ますと、国民の皆さん方が憲法改正に対する理解がきっちりとできているか、また深まっているか、そういう観点から見ますと、なかなかそういう状況にはないというふうに思います。それは、やはり国会の方で憲法審査会が定例日に常に開会をされていろんな議論をしていないということも大きな要因の一つではないかというふうに考えております。  現状のこの憲法審査会の運営を考えた場合に、先ほどから危惧されておられますように、今後三年間きっちりと憲法本体議論、また憲法改正議論がなされるという確証はまだまだないというのが現実の姿だと思います。  そういったときに、議員提案のように、小委員会を設置するとか、例えば幹事会の中にそういったワーキングチームをつくるとか、そういうことを行って、どんどんどんどんと、どの憲法条項をなぜどのように改正するのかということを議論するのが我々の使命であると思いますし、あわせて、国民の皆様方にこの憲法に対する考え方を深めていただくという絶好の機会だと思いますので、私も衆議院憲法審査会の方では同じような提案をこれからも行っていきたいと思います。
  86. 松沢成文

    ○松沢成文君 最後にいたしますけれども、この小委員会、私、もう一つつくったらどうかと考えているのがあるんです。それは緊急事態条項と憲法の在り方についての小委員会。というのは、今世論調査やっても、やっぱり緊急事態について心配だと、東北大震災でも私権の制限でなかなか施策が打てなかったことがあった、あるいは今回のコロナ対策でも様々うまくいかないのは憲法に緊急事態条項がないからだという意見も多々あって、国民の皆さんも実はこれすごく関心持っていて、この前の質疑でも、自民党の多くの皆さんもこの点取り上げていました。  例えば、憲法本体議論でも、今一番緊急性があって国民が望んでいる緊急事態の法制について徹底的に議論していく小委員会をつくったら、私は動くと思うんですね。  これ、お二人、自民党の発議者と維新の会の発議者の皆さん、この緊急事態法制の小委員会をつくっていくということに対してはどうお考えでしょうか。
  87. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 非常にいい提案だと思います。やっぱり、緊急事態に政府が対応するにしても、しっかりと法律整備すると同時に、その根拠となる憲法にやっぱりその根拠が必要だと思います。  例えば、今コロナ対策やっていますけど、国がやるのか地方がやるのか、そして休業の権限があるのか、それから補償はどうだとか、こういうところは、法律議論していますけど、詰め切れないんですね。やっぱりこの根拠が必要でありまして、その中で必要なのは、国会のコントロールも必要なんです。  やっぱり政府が対応するので、ノーズロじゃなくて、国会でそれ監視するという役割も必要でありますので、やっぱりこういった事態を受けまして、国会でそのような小委員会を設置して議論していただくということは非常に有意義なことだと私は思います。
  88. 馬場伸幸

    衆議院議員(馬場伸幸君) 私は、数年前に衆議院法制局に対して、緊急事態が起こった際に整備をしておかなければならないことを教えてほしいということで、法制局と議論したことを覚えています。当時は、衆議院法制局の方も、いろんな法律整備されているので、これ以上の法律は必要ないんじゃないでしょうかというようなことでございました。しかし、想定外のことが起これば、まさしく今回のコロナ禍がその一つになると思いますけれども、想定外のことが起こればどうなりますかと。そうしましたら、法制局は、想定外だから分かりませんというお答えでございました。  万全の体制を国会や行政が取っておく、想定外のことが起こったときに対応できる仕組みをつくっておくというのは非常に大事だと思いますので、この件についても集中的に深掘りをして議論をする場をつくっていきたいと、そういうふうに思います。
  89. 松沢成文

    ○松沢成文君 ありがとうございました。時間ですので。
  90. 舟山康江

    舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。  私も、政策を選ぶ憲法改正国民投票も、人を選ぶ普通の選挙も、共に投票環境整備投票の質の向上を図っていく必要があると考えています。この点に関して異論のある方はおられないと考えています。その意味で、大きな方向性としては、投票環境向上を図ろうとする今回の改正は必要と考えています。  その上で、公選法改正の確認、要は公選法並びで今回改正を図るわけですから、その基となる公選法改正内容確認も含めて、疑問点、懸念点について質問をさせていただきます。  まず、投票所に子供を同伴させる年齢の引上げに伴う問題について質問いたします。  投票所に入ることができる子供の範囲拡大に関しては、平成二十八年の公選法改正の経緯を配付資料にまとめました。  改正前の平成二十七年三月の総務省の投票環境向上方策等に関する研究会の中間報告で、基本的にはこの研究会報告に基づいて様々な対応が講じられているということですけれども、この中間報告では、子供の範囲拡大に関しては、その他の議論として、両論併記の形で肯定的な意見と否定的な意見を紹介するにとどまっております。ほかの項目に関してはやるべきだというような積極的な提言なんですけれども、これに関しては両論併記なんですね。  分かりやすく、青で肯定的な意見、赤で否定的な意見を書かせていただきました。肯定的な意見とすると、積極的に現実の投票というものを子供に見せることができれば、将来の有権者への有効な啓発になるという、こういった前向きな意見があった一方で、否定的な意見、元々は、放置できない幼児等の同伴を認める、要は置いていけないから投票に行けないという人たちに対してその同伴を認めるということだったので、大きな子供、十八歳未満ですから中高生を同伴することによって様々な混乱が起きるんじゃないか、また、現在でも一部の親が子供に投票を記載させるような事例もあるので注意が必要であるなど、管理執行上の支障を懸念する意見もあったということで、両論併記、つまり結論が出ておりません。その段階で、半ば見切り発車的に、この下にありますけれども、まだしかも中間報告ですね、見切り発車的に翌年、二十八年の二月十二日に、公選法改正によりまして十八歳未満の子供の同伴が認められるということになりました。  ここで書かれている、赤字で書いた懸念のほかにも、例えば、投票人とどういう関係かを確認しないと、例えば特定の政治団体などに所属する十八歳未満の高校生などが投票用紙記入のぎりぎりまで投票人に寄り添って投票行動に圧力を掛けるという状況、まさに投票干渉罪など不正行為という状況も想定されなくはないと考えています。  改正当時、私、国会にいなかったんですけれども、公正な選挙は民主主義の根幹であり、公正な選挙を損なうことがないかの検討が不十分なまま、つまり両論併記で結論が出ないままに、この公選法改正に十八歳未満の子供の同伴を認める改正が提起されたという状況です。補足しますと、この改正の後、最終的な報告が出ているんです、その年の九月に出ていますけれども、この中でも依然として両論併記のままだという状況なんですね。  そういう中で、まず総務省に伺いますけれども、結論が出る前にこの改正に踏み切った理由、経緯含めて理由は何なのか、目的は何なのか、ほかの代替措置がなかったのかというところについてお聞きしたいと思います。
  91. 森源二

    政府参考人(森源二君) お答えいたします。  若い世代への選挙啓発につきましては、従来から、国や社会の問題を自分の問題として捉えて、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成するための主権者教育、これが非常に重要であるということで、選管などが実施する選挙出前授業の取組についての教材の提供などの支援や、主権者教育優良事業の横展開などの実施にも取り組んできたところでございます。  こうした従来からの取組や、学校教育における主権者教育という手段も引き続きこれはあるわけでございますが、これらの手段に加えまして、子供同伴のいわゆる子連れ投票に関しては、平成二十七年当時に各党各会派において選挙権年齢の十八歳以上への引下げに向けた議論が進められる中で、総務省の先ほど御指摘のございました研究会においても、やはり積極的に現実の投票というものを子供に見せることができれば将来の有権者への有効な啓発になるなどの議論が行われたことを踏まえまして、平成二十八年の公職選挙法改正に盛り込んだものでございます。  なお、同伴者たる子供につきましても、これは一般の選挙人と同様の投票所内の秩序維持のルールに従う必要がございますので、投票所において投票に関し協議又は勧誘をするなどというようなことはしてはなりませんので、仮にそのような行為をした場合には、投票管理者は、これを制止し、命に従わないときは投票所外に退出することができることとされております。これらは公選法の五十八条にも規定されているところでございます。
  92. 舟山康江

    舟山康江君 重ねて質問しますけれども、今私申し上げましたような、例えば不正投票の可能性とか、さらに、ここの研究会報告で言われているような懸念について、それが払拭できるような対応を取られているのか、その後検証されたのか。確かにQアンドAですか、そういった質疑応答集なども作っていますけれども、そういった懸念が果たして払拭できるのか。  いずれにしても、検証が必要と思いますけれども、そういった作業はその後されているんでしょうか。
  93. 森源二

    政府参考人(森源二君) 御指摘のその質疑応答集を作成をいたしまして、国政選挙及び統一地方選挙に際しても周知をしておるところでございます。  同伴者たる子供がその選挙人の投票に干渉するなどとして問題になったというような事例については特に選管の方からも聞いておりませんし、承知もしておらぬところでございまして、ただ、いずれにしても、引き続き選挙管理委員会に対しまして、投票所の秩序保持の徹底については周知を図ってまいりたいと存じます。
  94. 舟山康江

    舟山康江君 この投票環境向上方策等に関する研究会はその後も随時開催されていると承知しておりますけれども、その後のこの研究会の中でこの件は議論されているんですか。
  95. 森源二

    政府参考人(森源二君) 投票環境向上研究会につきましては、その後、郵便投票の関係だとかインターネット投票といった辺りの、ついての議論はございましたけれども、今、特に、休止と申しますか停止と申しますか、この開催については特段していない状況でございます。
  96. 舟山康江

    舟山康江君 是非これ、もう既に行われていることでありますし、この十八歳未満の子の同伴に関する様々な懸念、実際にこの研究会報告でも出されているわけですから、そういったことを引き続き検討いただきたいと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  97. 森源二

    政府参考人(森源二君) 繰り返しになりますけれども、問題事例などについては今のところ聞いてはいないところでございますけれども、引き続き、選管などからもよく状況事情などについては聴取をいたしまして、投票所の秩序保持が徹底が図られますように取り組んでまいりたいと存じます。
  98. 舟山康江

    舟山康江君 続いて発議者にお聞きしますけれども、今申し上げましたようなこの十八歳未満の子の同伴に関しては、若干懸念も出されている中で公選法の中で定められましたけれども、今回、国民投票法においても同じような措置がとられるということに対して、まさに不正行為が起きる懸念というのは完全に払拭し切れないのかなと思っています。  その際に、こういった懸念に対する見解と防止に対する対応策等に関して見解を御説明いただきたいと思います。
  99. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) 幾つかありますけれども、まず同伴者の範囲、これについては基本的には制限されるものではないと考えておりまして、ただし、大人数で連れ立って来場するような場合には、他の投票人の投票に心理的な圧迫が加えられ投票所の秩序を保持できなくなるおそれがあるとして、投票管理者の判断で投票所への入場を断ることができるものとされております。  また、身分の証明については、一見して明らかに十八歳未満に見えない者でない限り、個別に年齢確認をすることは想定されていないというふうに承知をしております。他方で、一見して明らかに十八歳以上に見える者については、個人番号カードや健康保険証等の年齢を証明するものの提示を求めることが想定されるというふうに承知をしております。  投票所内での行動制限につきましては、投票所において厳粛な雰囲気の下に投票人が自由な意思によって投票できるよう各人が一定のルールに従ってもらう必要がありますので、例えば投票所内で投票について相談したり大声で騒いだり他の投票人の投票をのぞき見したりしてはなりませんけれども、仮に同伴者がそのような行為をした場合には、投票管理人は投票人に対して注意を促し、又は同伴者に自ら注意し、その上で状況が改善されない場合には、制止したり投票から退出させることができるものというふうに承知をしております。
  100. 舟山康江

    舟山康江君 投票で騒ぐとか混乱させるということに加えて、先ほど指摘をさせていただきましたとおり、投票干渉のようなことが起きないとも限らないという懸念については、やはりしっかりと認識をしていかなければいけないと思います。この点、何度も申し上げていますけれども、総務省の方でもしっかりとこういった懸念について払拭できるような対応を考えていただきたい。改めてお願い申し上げます。  続きまして、これも何度も、衆議院、参議院共にこの憲法審査会議論になっておりますけれども、期日投票所投票時間の弾力的設定について、私からもお聞きをいたします。  弾力化というのは、利便性向上という面と、逆に、低下するんではないか、むしろトータルの時間が短くなるんではないか、こんな懸念も指摘されているところであります。  そういう中で、公選法においては、附則九条において、しっかりと検討条項ですね、「検討が加えられ、」という検討条項が置かれておりますけれども、今回の改正案では公選法に置かれたような検討条項が置かれておりません。この理由についてお聞きします。
  101. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 委員にお答えを申し上げたいと思います。  期日投票所投票時間の弾力化でございますけれども、これも何度も答弁をさせていただきました。まさに地域の実情に精通をしておられる各市町村の選管の判断、これを尊重しようという考え方でございます。  例えば、通勤通学の時間に合わせて開始時刻を早めたり、また、期日投票所が設置をされる、例えばショッピングセンターなんかも想定されるわけでありますけれども、閉店時間に合わせて終了時刻を遅くしたりする、そういったことを弾力的に設定することが可能となっております。これは、選挙人、投票される方々の利便の向上をとにかく最大限求めよう、そういった判断でございます。  このことを是非、舟山議員にも御理解をいただきたいと、改めてお願いを申し上げたいと思います。
  102. 舟山康江

    舟山康江君 それはよく分かっているんです。  ただ、公選法の際には、やはりそういった様々な懸念がある中で検討条項が設けられているんですよ。状況を勘案して検討が加えられということがある中で、やはりこの国民投票法に関しても、状況によってはやっぱり少し見直しという弾力的な運用、まさに検討条項を置かれるべきだったんではないのかと、そんな問題意識でありますけれども、そこに対してはなぜこれが置かれなかったのか。その質問です。
  103. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) お答えいたします。  平成二十八年の改正公選法では、期日投票所の開会時刻について二時間の繰上げを可能としたところではありますけれども、これをさらに、三時間の繰上げを可能とするということを想定した検討条項が、今御指摘のあった検討条項が設けられたことは承知しております。  仮に公選法においてこのような措置が講ぜられることになりますと、国民投票法においても外形的事項公選法並びとの基本的な考え方が取られておりますので、同様に措置するものというふうに考えております。
  104. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございます。  そうしますと、総務省にお聞きしますけれども、この検討、この附則に基づく検討というのは既に行われているのか、その状況についてお聞きします。
  105. 森源二

    政府参考人(森源二君) お答えいたします。  期日投票所投票時間の弾力的な設定の改正に係る実施状況でございます。  期日投票の実施状況を勘案して検討が加えられということでございますので、まずその実施状況についてお答えをさせていただきたいと思いますけれども。  令和元年の参議院通常選挙において、期日投票開始時刻の繰上げの実施が六団体八か所、閉鎖時刻の繰下げの実施が二十四団体五十九か所、開始時刻の繰上げ、閉鎖時刻の繰下げの双方の実施が二団体二か所で行われまして、開始時刻を繰り上げた時間帯には三百六十一人、閉鎖時刻を繰り下げた時間帯には一万二千二十一人が投票を行いました。  改正前の平成二十五年参議院選挙から比較しますと、期日投票所数が四千八百一から五千七百二十に九百か所以上増加、期日投票所の総開設日数が二千六十日増加ということでございますし、また、選挙人の利便性向上に関しては、駅やショッピングセンターなどの利便性の高い場所への期日投票所の設置、複数の地域を移動する移動期日投票所の設置などの工夫によりまして様々取り組んでいただいておるところでございます。このショッピングセンターに設置した期日投票所数が二百五十か所以上増加、あるいは新たな取組である移動期日投票所が三十三か所設置されたというところでございます。そして、令和元年の参議院通常選挙における期日投票者数が四百十一万人増加ということでございます。  この施行後における期日前の実施状況の把握ということがただいま申し上げたとおりでございまして、期日投票利便性が大きく向上しているものというふうに認識をしております。また、期日投票所を開く時刻の繰上げに係る選管からの要望については特段伺っていないところというところでございますので、直ちに対応しなければならない課題というところは特段ないのではないかというふうには考えているところでございますが、選挙人の利便性向上について、引き続き不断の努力を重ねてまいりたいというところでございます。
  106. 舟山康江

    舟山康江君 これまでの議論の中で、弾力化が今向上に結び付いているというお話でしたけれども、むしろ後退につながるのではないかという懸念が出されているのもこれ事実ですので、そうならないように、この趣旨はあくまでも利便性向上ということですから、そこに逆行することがないようにという対応はしっかりこれからもやっていただきたいと思いますし、憲法改正のこの国民投票に関しても、あくまでも向上のためだということを念頭に運用していかなければいけないということなのかなと考えております。  続いてですけれども、附則の四条についてお聞きしたいと思います。  これについては、もう既に何度かの質問の中で、大体一致点が見えたなというふうに思っています。憲法、この附則議論と並行して、法的にですね、並行して、憲法改正議論、また発議ができるということではありますけれども、私は、そういう意味では見解は基本的には一致していると考えておりますので、更に修正を掛けたり統一見解を示すという必要はないのかなということを感じております。  ただ、法的効果は、それこそ議論とか発議を止める法的効果はないとはいっても、検討事項とされている問題を解決せずに、もうとにかく発議をするんだという姿勢というのは、やっぱりそれは違うのかなと考えています。必要に基づいて改正発議議論をするにしても、やっぱりCM規制とかの問題をきちっと解決するというのが政治のあるべき姿だと私は考えています。  ただ一方で、これ参議院の憲法審査会においても、特に上田参考人が表明されておられました。発議原案の前の調査を丁寧に、現行憲法の問題点、そして原因、改善すべきポイント等々を情報収集しながら、専門家の知見も生かしながら熟議を行えるように、といったことが必要だと考えております。まさに私たち国民民主党も、昨年十二月にまとめた憲法改正に向けた論点整理においても同様の提案をしております。  やっぱり、今何が問題なのか、まあ憲法の解釈変更がありますけれども、何でこんなことになったのか、そういった議論をしてから、その問題点を明らかにして、じゃ、どうすればそれがなくなるのか、どうすればもっといい憲法になるのか、やはりこういった議論は不断に進めていく必要があると思っていますので、是非この憲法審査会で、その結論ありきで原案出すんだ出すんだではなくて、その前の調査を丁寧にやるということを念頭に取り組んでいただきたいと思っています。  その上で、速やかにかつ十分にCMや運動資金規制検討していかなければならないと思いますけれども、この点、これ前回の質問でも矢田議員から提示がありましたけれども、旧国民民主党が既にたたき台の法案提出しております。テレビやネットの広告規制、さらにインターネット上の投票運動規制、外国人に対する資金規制など、おおむねこの投票法における投票の質の確保について現状の論点はカバーしているのかなと考えています。  実質的な議論をこの後していくわけですけれども、より良い修正を前提に、たたき台として是非この法案を使っていただくことは合理的だと考えていますけれども、この点いかがでしょうか。
  107. 林芳正

    会長林芳正君) 簡潔にお願いいたします。
  108. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) はい。  国民投票運動に係るCM規制、これに代表される投票の質に関する議論については、幹事懇メンバーなどを中心として論点整理を進めていくことが望ましいのではないかというふうに考えておりまして、その際には各メンバーがアイデアを持ち寄って、それを基に論点整理を進めるべきではないかというふうに考えておりまして、その際に旧国民民主党案は重要なたたき台の一つになるというふうに考えております。
  109. 舟山康江

    舟山康江君 終わります。  ありがとうございました。
  110. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  六月二日の参考人質疑で、現行憲法は国民が憲法議論に参加していない、評価もしていないのではないかという質問が出されました。これに対して、四人の参考人はいずれも、国民は現行憲法を受け入れているとの意見でありました。上田参考人、結果として国民が認めてきている、黙示のうちに承認してきて七十年たっているのではないか。飯島参考人、こんな憲法じゃやってられぬという国民の声が上がってきたという感じではないんではないか。浅野参考人、今の国民は今の憲法を受け入れているんだろうと基本的には思います。福田参考人、戦後七十五年、日本国憲法が改正なしに現在に至っているということは、評価として国民が基本的にそれを受容してきているといった意見でありました。    〔会長退席、会長代理那谷屋正義君着席〕  四人の参考人の評価は一致しておりました。発議者はどのような御認識でしょうか。
  111. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 御指摘の発言につきましては、浅野参考人の御発言の趣旨は、憲法の合憲性が日常生活に問題となる程度に憲法で詳細に規定することは望ましくないという点に、一方、福田参考人の御発言は、平和主義を定める九条などが日常的に議論の焦点になるような状況は望ましくないですというふうに思っております。  非常に大事な憲法の議論だと思っております。
  112. 山添拓

    ○山添拓君 失礼しました。それは通告では一問目で問うていた質問でありまして、二問目の方を答えていただきたいと思います。
  113. 船田元

    衆議院議員(船田元君) 大変失礼いたしました。  現行憲法、七十五年にわたり受け入れてきているという趣旨が述べられております。これは、言うまでもなく基本的人権の尊重、国民主権、平和主義という基本原理がまさに重要なことでありまして、国民の間で十分にこれを認識し、また実行していると、このように評価をしております。しかし一方で、一度も改正していない現行憲法では、内外の社会環境とか価値観が大きく変化する中で、内容的に現代の社会にそぐわない部分が生じているということも事実であります。    〔会長代理那谷屋正義君退席、会長着席〕  日本の憲法は、非常に規律密度という点でいうと少し粗い状況になっております。したがって、柔軟に解釈できるという点は、これは非常に良いことではありますけれども、しかし、それが高じてしまいますと、いわゆる解釈改憲が横行するということにもなりかねない、このように思っております。  我々としては、このような変化に適切に対応する、そのために憲法改正をするということも大変重要な役割である、国会の役割であると考えておりますので、このような考え方を基に今後とも議論を進めていっていただきたいと思っております。
  114. 山添拓

    ○山添拓君 憲法違反の憲法解釈の変更をされたのは安倍内閣ですね。とりわけ集団的自衛権の行使容認を強行したのは政府の側であります。  今、船田議員がお話しになった前半ですね、国民は現行憲法を七十五年にわたって受け入れてきた、それ、動かし難い事実だと思うんです。船田議員は、五月二十六日の当審査会で、国民世論がなかなか、憲法改正についてその必要性を認める順位がなかなか上がっていかないということは一つの大きな反省点だと思っていると答弁をされました。安倍前首相は、退陣に当たって、改憲については国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと述べ、菅首相も訪米中のインタビューでは、現状では非常に難しいと認めなければならないと述べています。  世論が改憲を求めていないということは、こうして皆さんお認めなんですよね。それはつまり、今の憲法がそれだけ国民に根付いている、そのあかしではないかと思うんですけれども、船田議員、いかがでしょうか。
  115. 船田元

    衆議院議員(船田元君) 一方で、世論調査、各新聞社の世論調査におきましては、憲法改正が必要であるというのは七割あるいは七割五分というところもございます。これは一つのやはり憲法改正に対する国民の声であると思っておりますので、そのこともしっかり踏まえながら、憲法改正については是非前向きに議論していただきたいと思っております。
  116. 山添拓

    ○山添拓君 それは多くの国民の求めていること、あるいは受け止めとは相入れないものだと言わなければなりません。憲法は国民のものであります。国民が求めていない、望んでいない改憲のための議論を進める必要はどこにもありません。  しかも、この間、安倍前首相も菅首相も、行政府の長でありながら、国会に改憲論議をあおってきました。これこそ越権行為だと思うんですよね。  参考人質疑では、また、改憲手続法に引き続き検討すべき重大な課題があることも共通認識として示されました。  上田参考人は、広告規制インターネット規制について、専門家の意見も参考にされて議論を進めていただければと思いますと述べ、飯島参考人は、最低投票率やCM規制、公務員の国民投票運動など、いろいろ議論をしていくと、やっぱり三年でも足りるのかどうかと懸念を示しました。浅野参考人は、国民の意思が的確に、また適正にきちんと表れること、ねじ曲げられることなく表れること、これがまず一番の基本だとし、そのための制度が今後ずっと継続して検討されているべきだと指摘しました。福田参考人からは、財力のある側が広告放送をたくさん打ち、ない側はそれができない、そのことは大阪の住民投票の例でもはっきり出ているとして、十分に公正公平な投票ができるためのシステムづくりを先行させるべきだと述べました。  衆議院における修正で追加された附則四条二項に記された項目について、更なる検討が必要だということを四人の参考人がいずれもお認めになったということになります。この点について、発議者はどのように御認識でしょうか。
  117. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) お答えいたします。  附則四条二項で規定されましたのは、まさに国民投票投票の質に関する部分であります。この投票の質に関する部分に関しては、国民投票運動の自由と、それから国民投票公平公正とのバランスをどう取るかというのが非常に重要な問題であるというふうに認識しております。  現行法でも、制定時には放送CMについての投票日前十四日間の禁止、それから民放連による自主規制国民投票広報協議会による賛否平等の広報活動などによって、全体として自由な国民投票運動をという基本理念と国民投票の公正、公正のバランスが保たれているものと考えられていたところではありますけれども、しかし、メディアが多様化する中で、インターネットの利用に関し新たな問題提起がされている状況にあります。  こういう状況も踏まえて、附則四条二号の検討条項に沿って、できる限り各政党間の幅広い合意を形成する必要があり、今後丁寧に議論を行っていきたいというふうに思っております。
  118. 山添拓

    ○山添拓君 今、井上議員に答弁をいただきましたけれども、答弁されたCM規制インターネット規制などについては、井上議員としてもこれは法改正が必要な項目だとお考えでしょうか。
  119. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) まず、法改正の前に、これについてはもう審査会の中でも重要な論点として挙がっておりますので、まずはしっかり議論をしていくべきだというふうに思っております。
  120. 山添拓

    ○山添拓君 議論を踏まえて、法改正も含めて検討が必要だと、こういうことでしょうか。
  121. 井上一徳

    衆議院議員(井上一徳君) まさにそこは議論した上での判断だと思います。
  122. 山添拓

    ○山添拓君 つまり、そのぐらい検討し、判断し、決めていくべきことについて、まだ議論が十分されていないということをお認めになったということでありますが、先ほど中谷議員が、個人的には法改正が必要ではないかという答弁をされておりましたけれども、単に今後の検討に委ねればよいというものではないと思うんですね。  福田参考人は、公平公正国民投票を実施する不可欠の条件として二点を挙げました。  一つは、改憲案について、主権者国民の間で情報が共有され、意見表明機会の実質的平等が確保されること、それはすなわちインターネットを含む有料広告の規制と、併せて公費による国民投票運動の制度的保障のための措置が必要だというものでありました。表現の自由を、国民投票運動における自由を行使するために、公費による制度的保障が必要ではないかという意見です。  もう一つは、将来に禍根を残さないだけの憲法改正の正当性根拠、多数国民の賛成が制度的に保障されるために、最低投票率制度の導入が求められるというものでありました。  その上で、このまま国民投票が実施されれば、憲法十四条、九十六条違反だという意見が示されました。憲法制定権力である主権者国民の意思表明であるべき国民投票の手続として、根本的な欠陥があるという批判であります。  この点について、発議者及び修正案提出者の御認識伺います。
  123. 馬場伸幸

    衆議院議員(馬場伸幸君) 現状、国民投票法が重大な欠陥を抱えているのではないかという御指摘についてお答えを申し上げます。  まず、賛成、反対運動の機会平等について、国民投票法は、国民投票運動についてできる限り自由にと、そういった思想で制度設計がなされています。その上で、国民投票運動の自由と国民投票公平公正バランスを保つため、投票日前二週間はテレビやラジオでのCMを禁止することとしています。また、憲法改正発議された際に国会に設けられることとされている国民投票広報協議会においては、賛成、反対意見を公正かつ平等に扱うこととなっており、国民に対する正確かつ公平な情報提供機関として大きな役割を担うこととなっています。  なお、制定当時は量的自主規制を行うことが想定されていた民放連による放送CM自主規制については、量に特化した賛否平等の規制は困難としながらも、新たな考査ガイドラインに基づいて、意見表明CMも投票期日前十四日間は取り扱わないこと、CMに広告主名などの明示を求めること、特定の広告主のCMが一部の時間帯に集中しないよう特に留意することといったような取組を行うことを表明しており、一定の評価ができるものと考えております。もちろん、インターネットの進展の下における新たな検討課題はあるものの、現行法の下においても国民投票運動の自由と国民投票公平公正バランスは保たれているものと考えています。  また、福田参考人指摘の最低投票率制度の導入については、これまでも繰り返し答弁しているとおり、制定時に活発かつ慎重な検討がなされた、そういった経緯がありますが、様々な課題があることから採用しないということで決着が付いたものと理解をいたしております。  なお、最低投票率を設けないとしても、もちろん投票率が低くてよいというわけではなく、国民投票広報協議会による広報を始めとして投票率を上げる努力はなされなければならないことは当然であると考えています。
  124. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 修正案の提出者としてお答えいたします。  御指摘の点、幾つかあったかと思いますが、特にインターネットを含めての有料広告規制という言い方をされておりまして、恐らくスポットCMのこととネットの話と両方入っているんだと思います。  しっかりとこれは検討していかなければいけないと思いますが、スポットCMのように放送の世界ですと放送法という枠がありますので、こちらのルールのつくり方が一つ論点になると思いますけれども、他方、ネットの世界というのは、これ免許が必要な世界ではなくて、いわゆる表現の自由に対する規制になるのではないかという疑義がございます。そこについての制度設計というのはまた別途しっかりと議論をしていかなければいけないと思っております。  もう一点、最低投票率については今御説明がございました。これがいい制度だという趣旨で多分言われているんだと思います。  これは、いろんな議論があった中で、先ほどあったように、例えばボイコット運動を誘発するのではないかとか、民意のパラドックス等々あって、あのときの議論では政策判断としてこれは入れないということになったんですけれども、当時、私も与党の先生からそういうお話があったことを記憶しているんですが、選挙のときは、ちょっと我々が言うのはいいのかどうかってあるかもしれないですけど、誰がやったって一緒じゃないかとか、選ぶところがないんだという人たちがいるかもしれないけれども、およそこれから自分の国どうするんだという憲法について余りにも投票率が低いというのは情けないじゃないかと、そういうふうな話を与党の方もされておりまして、そういう中で、例えば今あったような国民投票広報協議会をつくろうじゃないかとか、あるいは、できるだけ自由な形で運動して、何というのかしら、制限のないような形でというような形で、できるだけ投票率については上げていこうという仕組みはそのときの議論の中で今の形になっていると私は考えております。
  125. 山添拓

    ○山添拓君 今のお話の中でも、インターネットを含む有料広告の規制などについては少なくとも議論が必要だという認識が示されておりました。  また、最低投票率制度について、それ課題があって採用しないと決着が付いたと、そうおっしゃるんですけれども、しかし、その後の各国での様々な動きを見る中で、やはりこうして多数の国民の意思がきちんと表明されなければならないという現実があることも分かってきていることだと思うんです。  ですから、この法案の下でも改憲発議ができると考えるのは、それは私は改憲手続、ひいては憲法そのものを余りにも軽んじる発言だと思うんですね。ましてや、今国民は改憲を求めていない。修正案の提出者が、政治的には発議できない、難しいとおっしゃっておりますが、そのように述べられたのは、その限りでは私そのとおりだと思います。このままできるようなものではない。やはり、根本的に検討すべき点について検討を怠った、欠陥を抱えていると言わなければならないと思います。  その下で、この法案を今国会で通さなければならないその理由は何なのか。逢沢議員は、五月二十六日の質疑の際、十二分に審議し、速やかに採決をとおっしゃいましたけれども、今国会で成立を急ぐ理由についてはお答えいただけませんでした。  改めて伺いたいのですが、発議者逢沢議員に、急ぐ理由は何か、お答えいただきたいと思います。
  126. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 本法律案衆議院提出されてからもうかなりの時間がたっております。衆議院で審議を行っていただき、そして今まさに参議院でこうして質疑をお願いをいたしております。  また、衆議院の段階で与野党の修正合意が成り立ちました。それぞれの、与党の、また野党の認識についても細部にわたり質問をいただき、基本の部分では与党考え方、また野党の考え方にも全くそごがないということを改めて本委員会で本日確認もいただいたところでございます。  私は法案提出者の代表者でございます。こうして審議をいただいていることを大変感謝の気持ちでいっぱいでございます。提出者として、審議を行っていただき、審議が尽くされれば、是非、委員会としての、審査会としての結論を出していただきたく、改めて心よりお願いを申し上げます。
  127. 山添拓

    ○山添拓君 それでもなお、与党が推薦された参考人から、この法案審議は熟議になっていないという批判が出されております。急ぐ必要はありませんし、また急いではならないものだと指摘しなければなりません。  本法案は、投票環境向上を目的に、公選法並びの改定を加えようとするものであります。では、その公選法の運用は現状どうなっているのかと。  総務省に伺います。この間の参議院選挙で、投票所の数、そして閉鎖時刻を繰り上げた投票所の数、その推移をお示しいただき、なぜそのように変化しているのか、御説明ください。
  128. 森源二

    政府参考人(森源二君) お答えいたします。  平成十年七月の参議院議員通常選挙、これは投票時間が二時間延長されて初めての国政選挙でございましたが、投票所総数は五万三千四百十七か所、このうち閉鎖時刻を繰り上げた投票所の数が二千九百六十六か所でございました。  令和元年七月の参議院議員通常選挙における投票所総数は四万七千三十三か所で、このうち閉鎖時刻を繰り上げた投票所の数は一万六千六百二十六か所であったわけでございますが、投票所数につきましては、過疎化による選挙人数の減少や市町村合併などを契機とした投票区の見直しなどで減少してきているものと承知をしております。  また、繰上げなどは地域の実情によるものでございますが、特に山間部を抱える県などにおいて、高齢者が多く、大半の有権者が早めに投票を済ませていることなどを理由に閉鎖時刻を繰り上げることがあると承知をしておりますが、総務省では、国政選挙や統一地方選挙の都度、投票所閉鎖時刻の繰上げへの厳正な対応や投票所の設置についての積極的な措置を各選管要請しておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
  129. 山添拓

    ○山添拓君 投票所は一割以上も減って、閉鎖時刻の繰上げも少なくありません。共通投票所を設置することが各地の投票所の集約を更に加速するという事態も既に指摘をされております。  投票所の減少や投票時間の短縮、これは端的に言って投票機会の減少であります。ですから、これが選管の判断の下で行われて歯止めが掛からない、こういう現状をそのままにしておくということであれば、ますます投票機会は減少することになりかねません。国民投票もその公選法状況と並びでよしとするのは、民意を十分に酌み取る姿勢とは言い難いと思います。  急ぐ必要がなく、また根本的な欠陥を置き去りにして法案を押し通そうとするのは断固反対だということを申し上げて、質問といたします。
  130. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美であります。  提出者の皆様、御苦労さまでございます。三年数か月のブランクの後に与野党の合意による修正が行われた、心から敬意を表する次第であります。  今、参議院改革協議会というのが週一ペースで行われておりまして、我々少数会派にも発言の機会がございます。先週、事務局の経緯を聞いて驚いたんでありますが、昭和四十年代、河野謙三議長の時代でありますが、何と党議拘束の緩和について議論がなされていたというわけであります。  私の記憶では、その後、党議拘束が壊れちゃったり、あるいは外したりしたことが二つありますね。一つは、昭和五十年代、四十日抗争というのがありまして、自民党から何と二人の首班指名が争われたという事件でありました。これはもう党議拘束そのものが壊れてしまったというわけですよ。その頃、派閥の前に党がある、党の前に国家国民があると言い放った人がいましてね、まあうちのおやじだったんですけれども、その頃を直接御経験されているのは船田先生ぐらいでしょうかね。  その後、もう一つ、これはあえて党議拘束を外したという事例があります。中山太郎先生が中心になって進められた臓器移植法案というやつですね。いや、これは正直私も悩みましたよ。でも、例えば、人がいつから人になるかと。刑法では御案内のとおり一部露出なんですね、民法では全部露出だという違いがあるわけです、まあ法律によって保護すべき法的な利益が違う。だったら、臓器移植促進のために、人がいつから亡くなるかと。心臓動いていても、脳幹がもう不可逆的にこれ死の状態だという場合には、もう臓器移植認めていいじゃないかという法案に賛成した記憶がございます。そのときは、まさに党議拘束をあえて掛けないということが行われたわけですね。  憲法四十三条第一項では、国会は、「全国民代表する選挙された議員でこれを組織する。」という規定がございます。これは言うまでもなく、命令委任は禁止されている、国会議員というのは誰の代理人でもないですよ、全国民代表なんですというまあ古き良き時代の理念ですよ。しかし、今どこの国でも、政権を争う国政選挙というのは政党国家デモクラシー、人民投票デモクラシーなどともいいますけれども、次の総理は一体誰なんだ、どこの政党の党首が総理大臣になるんだ、あるいは大統領選でもそうですね、そういう争いが行われている。  では、誰の代理人でもない、自分の良心のみに拘束される全国民代表たる国会議員と、政党の党議拘束でがちがちにされている国会議員との関係はどう考えたらいいんでしょうか。四十日抗争を御経験された船田先生、いかがでしょうか。
  131. 船田元

    衆議院議員(船田元君) 渡辺議員にお答えいたします。  今お話しになりました四十日抗争、それから渡辺美智雄先生のお言葉、大変懐かしく聞かせていただきました。  確かに、憲法四十三条におきましては、全国民代表たる国会議員ということで規定をされております。この意味するところは、今御指摘のように、特定の階級とかあるいは職能の利益を代表するものではないとともに、特定の選挙区から選ばれるとしても、一旦選ばれた以上は、その選挙区の代表というのではなくて、全国民の立場に立って政治を遂行すべきであると、こういうことをうたっているんだろうというふうに思っております。そういう意味からすると、政党という団体に国会議員の政治活動がある意味で縛られるというのは矛盾をしているのかなと、そういう疑問も私は率直に持つところであります。  しかしながら、現実の政治の動きを見ておりますと、やはり現代政治の下におきましては、国会議員は全国民代表であると同時に多様な民意を反映すべき社会学的代表、ちょっと難しいんですが、そういうふうに理解するのが一般的であると思っています。この民意を反映するという、民意との媒介機関ということで政党が存在しているというのは、これは否めない事実でありまして、その政党の下で国会議員が一定の制約を受ける、あるいは同じ行動を取るということは、これは合理的なやり方であると、このように考えております。
  132. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 全国民代表という理念は、私の理解では、国会議員に課せられた政治道義上の至上命令であると思うんですね。安岡正篤先生風に言えば義命であるということかと思います。  船田先生は、いわゆる政治改革にも関与された御経験をお持ちですね。日本では、こうした国民代表原理と政党の党議拘束に縛られる国会議員との間の矛盾相克、こういうことを全く議論しないで政党中心主義の選挙制度をつくり、政党助成金をつくり、やっちまった、そういう経緯がございます。  しかし、この憲法審査会で度々議論されますように、憲法改正やその憲法改正周りのいろいろな整備、今やっている国民投票法制もそうでありますけれども、こういうことは通常の政治ルールと違って当然じゃないかという議論は、先ほど来議論のあります、この前の参考人質疑でも出てきた議論なんですね。  私が思うに、やはりこの憲法改正が進まない理由の一つに、非常に党派的な対立というものが深刻になってきている。この際、憲法原案の提出というのは、これはもうどの憲法の教科書を見ても、各議員、議員個人にあるんだと、こういう話ですよ。だったら、原案提出というのは党議拘束外したっていいんじゃないんでしょうか。いかがでしょう。
  133. 船田元

    衆議院議員(船田元君) 今のお話はうなずけるところも多くございますが、やはり今の政治の状況を考え、あるいは国会の運営ということを考えますと、やはり個人個人の意見は、議員個人個人の意見は重視をしなければいけませんけれども、物事を決めるとき、採決をするとき、法案提出をするときには、やはり民意の反映ということを合理的に、またあるときには迅速にやらなければいけないということが生じてくると思います。そのときには、やはり政党という存在、この政党という道具を使って民意を反映をしていくということは大変今の政治の中で重要な手段である、大切な手段であるとも思っておりますので、私はそのことをまず考えたいと思います。  しかし、例えば憲法改正などにおいても、個人の価値観に関すること、あるいは倫理観とか死生観、そういったものについて議論をするというときには、やっぱり憲法改正議論をする上においても党議拘束が外れるということも場合によってはいいこともあるのではないかと、このように思っております。  しかし、どのような場合にそれが、党議拘束を外すべきなのかということについては相当慎重に議論しなければいけないと思っておりまして、私としては、やはり政党政治の下での憲法改正、このやり方を当面踏襲していくべきだろうというふうに思っております。
  134. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 とにかく憲法改正というのは、最終的に国民が決めるんですね。そこのところはもう選挙とか法律とかいうレベルと全然違うんですよ。そういう意味においても、原案提出発議、これには党議拘束を掛けないという理念が正しいし、また、戦略論的に見ても、その方が憲法改正を先に進めることが可能になると私は考えるのであります。  ありがとうございました。
  135. 林芳正

    会長林芳正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  暫時休憩いたします。    午後三時二十六分休憩      ─────・─────    午後三時三十九分開会
  136. 林芳正

    会長林芳正君) ただいまから憲法審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の修正について松沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。松沢成文君。
  137. 松沢成文

    ○松沢成文君 私は、日本維新の会を代表し、日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。  今回のいわゆる国民投票法に関する改正案は、投票利便性向上させるために平成二十八年に改正された公職選挙法の七項目と整合を取るためのものです。そこには全く異論はありません。しかし、問題は、衆議院審査会の最終段階で、立憲民主党から提出され、原案に加えられた修正部分検討条項にあります。  この附則第四条は、施行後三年後をめどにCM規制や外国人寄附規制などについての必要な措置を求めるものですが、この措置が講ぜられるまでの間に国会が憲法の改正原案の審議と改正の発議を行うことの可否について、法案発議者と修正案提案者の間で異なる解釈が示され、解決に至っていません。  自民党、公明党、日本維新の会の三党の発議者は、当該措置が講ぜられるまでの間においても憲法改正原案の審議を含む憲法本体議論と改正の発議はできるとする一方で、修正案提出者である日本維新の党の、済みません、立憲民主党の議員の一人は、少なくとも発議はできないことを明確にしています。この点について、五月二十六日の質疑衆議院憲法審査会会長の統一見解を求めましたが、残念ながら回答をいただくことはできませんでした。  一つ法案の立案者の中で解釈がこのように真っ向から対立し、法的安定性を大きく損なう法案には問題があります。  国会法百二条の六で定められているように、憲法審査会の目的は「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する」ことであります。この規定からすれば、とても国民投票法改正案の審議が改正原案の審議や発議に優先すると解することはできません。  また、今回の法案修正部分である附則第四条の法文をどのように読んでも、国会を自ら縛る要素は見出せないことに加え、十八歳投票権など三つの課題に対応した平成二十六年改正により国民投票法に係る期限は撤廃されており、既に国民投票を実施する環境が整っていることは明らかであります。  先週に参考人として意見陳述された大東文化大学の浅野教授も、法案の審議の都合によって憲法改正の実質の審議が遅れる、あるいはそれが後回しになるということがあるとすれば、国会のその法案審議が立憲主義を拒んでいると言ってもいいくらいだとし、阻んでいると言ってもいいくらいだとし、改正案の審議が憲法改正の実質的な審議に影響を与え、あたかも改正案の審議が優先されて、それが終わってから憲法改正の審議をしなければならないとすれば、これは極めて国会の在り方として問題があるのではないかと述べています。  このような相反する解釈を残したままでは、今後も必ず審査会の運営方法をめぐって混乱し、再び機能不全に陥るのは火を見るよりも明らかであります。  そこで、こうした事態を避けるために、附則第四条により憲法改正原案の審議及び憲法改正発議が制限されないことを明確にする必要があることから、ここに日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。  内容は、同条の二項として、「前項の規定は、国会が、同項に規定する措置が講ぜられるまでの間において、日本国憲法改正案の原案について審議し、日本国憲法の改正の発議をすることを妨げるものと解してはならない。」とする規定を加えるものであります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げ、修正案の趣旨説明とさせていただきます。
  138. 林芳正

    会長林芳正君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  139. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党を代表し、改憲手続法改定案及び日本維新の会提出の修正案にいずれも反対の討論を行います。  第一に、本法案は、安倍前首相が二〇二〇年改憲を主張して国会に改憲論議をあおり、憲法審査会を開く呼び水として提出されたものだからです。  安倍氏が、二〇一七年五月三日以来、九条に自衛隊を明記する改憲を強引に進めようとする中、自民党は改憲四項目をまとめ、憲法審査会に示し、改憲原案のすり合わせに向かうことを狙ってきました。憲法審査会を何が何でも動かしたいという意図で提出されたのが本法案です。  しかし、安保法制、戦争法の強行を始め、憲法破壊を繰り返す安倍政権の下で、安倍改憲に反対する世論が大きく広がり、安倍氏の思惑どおりには進みませんでした。にもかかわらず、菅首相が本法案について改憲論議を進める最初の一歩と述べ、安倍改憲を引き続き進めようとしていることは重大です。  改憲は、政治の優先課題として求められていません。それは、安倍氏が退陣に当たって、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと述べたことに端的に表れています。国民が改憲を求めていないのは、当審査会出席した四人の参考人が口をそろえて述べたように、七十五年にわたって憲法が国民に受け入れられてきたからにほかなりません。  長期化するコロナ禍で、国民の命と健康、暮らしが脅かされる今、政治はコロナ対策に集中するべきです。ましてや、ピンチをチャンスになどと言い、コロナに乗じて改憲論議を進めようとするなど言語道断であります。  第二に、本法案は、現行法が抱える根本的な欠陥を置き去りにしたものだからです。  資金力の多寡により広告料が左右される問題、多数国民の賛成を制度的に保障すべき最低投票率の問題、公務員の国民投票運動などは、当審査会の二〇〇七年及び二〇一四年の附帯決議で検討を求めた事項であるにもかかわらず、脇に置かれたままとなっています。  当審査会出席した四人の参考人からも、国民の意思がねじ曲げられることなく表れるようにすることが基本であるなど、更なる検討の必要性が口々に語られました。福田参考人が述べたように、これらを欠いた改憲手続は、主権者国民の意思表明であるべき国民投票手続として根本的な欠陥を持つものと言わなければなりません。  発議者から、本法案の下でも改憲発議は可能だなどという答弁もされましたが、改憲手続や憲法そのものを余りにも軽んじています。また、この問題は、衆議院の修正で追加された附則四条によっても解消されません。発議者自身、更なる法改正が必要であることを認めながら、これらの根本問題に向き合わず、今国会での成立を急ぐ理由も語ることができない下で、七項目のみの本法案を採決することは許されません。  また、飯島参考人指摘したように、改憲国民投票は、一度行えば一生できないかもしれないものです。投票できる機会はなるべく多くすべきであり、現在、公選法の下で投票機会が減少していることへの法的な歯止めこそ求められます。公選法並びを当然の前提とするのではなく、いかに国民の意思を幅広く正確に反映する制度とするのか、公選法を含めて抜本的に見直すべきです。  なお、日本維新の会による修正案は、既に指摘した根本的な欠陥を放置したまま改憲原案の審議や改憲発議まで行えることを恥ずかしげもなく書き込もうとするものであり、到底認められません。  与党が推薦した参考人からも、本法案の審議は熟議になっていないとの批判が述べられました。会期末の国会日程をにらみ、成立をと言わんばかりに拙速な審議で採決すべきではありません。ましてや、これを機に自民党改憲四項目を始めとした改憲論議を進めることは断じて許されません。  安倍、菅政権による改憲策動に終止符を打ち、立憲主義と民主主義を回復し、憲法を生かした政治へ転換する決意を述べ、討論といたします。
  140. 打越さく良

    打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。  国民投票法改正案には賛成、日本維新の会提案の修正案には反対の立場から討論を行います。  修正案提出者奥野総一郎衆議院議員が述べたとおり、制定時の前提が損なわれたことや、あるいは制定時には予想もしなかったネット化等を背景に、有料広告の制限やインターネット等の適正な利用の確保を図る方策、そのほか、投票の公平及び公正を確保する必要がなおあります。奥野提出者が答弁されたとおり、それは国民主権からの要請です。附則は、国民投票法の根本的な問題、民意が適切に反映されないというようなところをおろそかにして先に進んでしまうという懸念に対して、国会に検討を義務付けている条項です。  また、公職選挙法に単純に横並びにすればいいものではないとの飯島滋明参考人の御指摘も重要です。飯島参考人指摘された期日投票の弾力的運用や繰延べ投票期間の告示期間の短縮など、今回の改正でかえって投票環境を悪化させる可能性もあり、検討を重ねる必要があります。  飯島参考人指摘された在外邦人の投票、洋上投票、不在者投票の問題なども放置しては、憲法違反を問われかねません。憲法改正権力の発現として、意思形成ができるための公平公正な条件づくりは国会の責任であるとの福田護参考人答弁も踏まえ、私たちは重い責任を課されていることを自覚しなければなりません。  感染症禍において、公衆衛生を維持する責務と人々の自由を保障する責務との緊張関係に私たち国会議員は直面しています。しかし、どちらも憲法に基づく責務です。憲法に立脚した政治が求められています。  五月三日、菅総理は、改憲派の集会にメッセージを寄せて、憲法改正議論の最初の一歩として国民投票法改正案成立を目指さなければならないと述べました。行政のトップである総理から私たち国会議員が改憲論議をせかされることなどあってはなりません。この点、提出者の中谷元衆議院議員は明確に、最初の一歩ではありませんと答弁なさいました。あくまでも手続法の改正だということで、憲法本体議論とは別の次元の話であることは、上田健介参考人指摘なさったところです。  この機に乗じて改憲に前のめりになることのない、熟議の参議院憲法審査会であり続けましょう。熟議の上、問題点を解消し、真に公平公正な手続としなければ発議できないことが附則によって担保されたと考え、討論を終わります。
  141. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会の東徹です。私は、日本維新の会提出の動議による修正案に賛成、原案にも賛成の立場で討論をいたします。  参議院憲法審査会は三年以上にわたりまして実質的な議論がされず、ようやく今国会で議論されることになりました。我々は、再三再四、参議院議長、憲法審査会会長に審議の申入れを行ってまいりました。これは、政治の怠慢、国会の怠慢と国民から批判されても仕方がありません。  この度の衆議院送付の改正原案の大部分は、平成二十八年に改正された公職選挙法の七項目と整合を取るものであり、国民投票においても投票機会の拡大を図るもので、そこには全く異論もなく、本来であればもっと早く結論を得るべきでありました。  今般、衆議院審査会の最終段階で立憲民主党から提出されました修正案、これに自民党が了解して加えられた検討条項は、今後また不毛な議論につながりかねません。  この修正案は、施行後三年をめどにCM規制や外国人寄附規制などについての検討を求めるものですが、それを審査会でどのように審議するかの解釈について、法制度的にも政治的にも各党との間で大きなそごがあってはなりません。つまり、国民投票法関係の審議と同時に、憲法本体の改正審議や改正発議ができるという明確な文言でなくてはなりません。  共同提案された議案に対して、共同提案した政党から、会派から質疑答弁が異なる状況は、今後の審査会運営に混乱をもたらし、再び機能不全に陥ることがあってはなりません。  これまでの三年間に加え、今後三年間も憲法改正議論が全く進まない最悪な事態を招くおそれがあります。不毛な議論や対立、混乱がなく、真摯な憲法改正審議を促進するために提出されたのが日本維新の会の再修正案であります。憲法改正の審議、発議は、国民投票法関係の審議と同時並行して行うことができることを明確に保障したもので、この解釈は自民党の皆さんにもさきの質疑でも賛同いただいております。  最近のメディア各社の世論調査結果を見ても、全ての調査で憲法改正議論を進めるべきだという意見が多数派となっています。主権者である国民の期待に応え、憲法審査会憲法改正審議を推進することは国会の使命であり、国会議員の責務であります。  日本維新の会は、改正原案として、教育の無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置を公表しています。自民党を始め他の政党の皆さんも、是非具体的に改正原案を提示していただき、憲法改正に向けて本格的な議論を開始していかなくてはなりません。そして、三分の二の合意を得た改正条文発議し、主権者である国民の皆様に、国民投票によって最終判断を仰ぐべきであります。  私たち日本維新の会は、その先頭に立って努力していくことを表明して、討論といたします。
  142. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。  会派代表し、原案に賛成、維新提出の修正案に反対する立場から意見を述べます。  新型コロナウイルス感染が国民生活や経済に深刻な影響を与える中で、感染防止対策における私権の制限の問題、あるいは経営困難、生活困難に陥った国民への保障の在り方など、憲法に関連するテーマについて国民の皆さんの関心も高まりつつあります。そのほか、安全保障に関わる国際情勢の変化や、デジタル技術や生命科学の発展による人権をめぐる新たな問題の対応も迫られています。  こうした中で、世論調査でも、憲法を改正した方がよいとする意見が改正しなくてもよいを上回ってきており、憲法改正国民議論を起こす機は熟しつつあると言えます。  一方で、各党が提案している憲法改正内容については、国論を二分するものもありますので、憲法改正発議の機能を有する国会としては、従前よりも更に憲法に関する様々な議論を積み重ね、国民の分断を招かないような対応が求められていると考えます。  本日の質疑を通じて、附則による検討に基づいた措置がなされるまで憲法改正発議はできないということは、という法的な規制はないと明確になりましたが、だからといって、拙速に改正発議を行ってよいということではないと思います。  あわせて、国民投票が公正に実施されるよう、投票における利便性確保、また国民投票運動の公平性の確保に関して万全の準備をすべきであり、この意味で、今回の法案については一定の評価ができるものと判断します。  ただし、衆議院で修正された検討事項であるスポットCM、ネット広告の禁止や運動資金の規制とともに、最低投票率の課題も残っており、今後ともこれらの課題について期限を決めて結論を出していく必要があると考えます。  あわせて、投票年齢の引下げに対応するため、憲法に関する学校教育も重要な課題であり、こうした政策への対応も求め、本法案への賛成意見といたします。
  143. 林芳正

    会長林芳正君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、松沢君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 林芳正

    会長林芳正君) 少数と認めます。よって、松沢君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 林芳正

    会長林芳正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 林芳正

    会長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会