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2021-05-26 第204回国会 参議院 憲法審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月二十六日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  五月十九日     辞任         補欠選任      和田 政宗君     山田  宏君  五月二十五日     辞任         補欠選任      安江 伸夫君     下野 六太君      山下 芳生君     井上 哲士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         林  芳正君     幹 事                 石井 準一君                 石井 正弘君                 西田 昌司君                 藤末 健三君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 西田 実仁君                 松沢 成文君                 矢田わか子君                 山添  拓君     委 員                 赤池 誠章君                 有村 治子君                 磯崎 仁彦君                 衛藤 晟一君                 岡田  広君                 片山さつき君                 古賀友一郎君                 上月 良祐君                 佐藤 正久君                 中川 雅治君                 中曽根弘文君                 古川 俊治君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山下 雄平君                 山田  宏君                 山谷えり子君                 石川 大我君                 打越さく良君                 江崎  孝君                 小西 洋之君                 杉尾 秀哉君                 福島みずほ君                 伊藤 孝江君                 下野 六太君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 浅田  均君                 東   徹君                 足立 信也君                 浜野 喜史君                 井上 哲士君                 吉良よし子君                 渡辺 喜美君    衆議院議員        発議者      逢沢 一郎君        発議者      中谷  元君        発議者      船田  元君        発議者      北側 一雄君        発議者      馬場 伸幸君        発議者      井上 一徳君        修正案提出者   奥野総一郎君        修正案提出者   山花 郁夫君    事務局側        憲法審査会事務        局長       岡崎 慎吾君    政府参考人        総務省自治行政        局選挙部長    森  源二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改  正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 林芳正

    会長林芳正君) ただいまから憲法審査会開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林芳正

    会長林芳正君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林芳正

    会長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 林芳正

    会長林芳正君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の審査会総務省自治行政局選挙部長森源二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 林芳正

    会長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 林芳正

    会長林芳正君) 日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  本案審査においては、起立して御発言願います。  なお、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦でございます。  国民投票法改正案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず、本法案平成三十年六月に提出されたものであり、八国会にわたりまして継続審議となっておりました。今般、衆議院憲法審査会改正案が可決され、こうして参議院憲法審査会におきまして質疑が行われますことにつきまして、御尽力された衆参会派関係者皆様方に心から敬意を表したいと思います。  まず、総務省質問をさせていただきます。  憲法改正国民投票は、国会発議から起算をして六十日以後百八十日以内で国会が議決した期日に実施されることになっております。国政選挙との関係で、どういった実施の可能性があるか、まずお伺いをしたいと思います。
  9. 森源二

    政府参考人森源二君) お答えいたします。  日本国憲法改正国民投票につきましては、日本国憲法第九十六条第一項後段におきまして、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票により行うこととされ、日本国憲法改正手続に関する法律第二条第一項において、国会憲法改正発議した日から起算して六十日以後百八十日以内において、国会が議決した期日に行うこととされております。  一方、国政選挙につきましては、任期満了による総選挙及び通常選挙は、公職選挙法第三十一条及び同法第三十二条の規定によりまして、原則議員任期満了を踏まえ、三十日以内に行い、この期間国会開会中又は閉会の日から二十三日以内に掛かる場合には、閉会日の日から二十四日以後三十日以内に行うこととされ、また、衆議院解散による総選挙は、日本国憲法第五十四条第一項及び公職選挙法第三十一条第三項の規定により、解散の日から四十日以内に行うこととされております。  それぞれの規定に基づいて行われるということでございます。
  10. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  それをかみ砕いて言えば、国民投票単独で行える場合がまずあると、そして国政選挙と同時に行える場合もある、そういうことではないかなというふうに思っております。  公職選挙法における国政選挙選挙運動について規定がございます。また、国民投票法による憲法改正に係る国民投票運動についても規定がございますけれども、この両者には大きな違いがあるというふうに認識しております。  ただ、投票環境につきましては、基本的にこの国政選挙国民投票、これに差を設けないことが妥当だというふうに考えますけれども、発議者のお考えをお伺いをしたいと思います。
  11. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 質疑者お答えを申し上げます。  衆議院における本法案質疑を通じまして、国民投票法には大きく分けまして二つ部分があるということが明確になったわけでございます。すなわち、国民投票法は、投票環境整備などの投開票に係る外形的事項と、国民投票運動に係るCM規制などに代表されます投票の質に関する部分から構成をされているということでございます。  御指摘のとおり、前者の投開票に係る外形的事項につきましては、国民投票法制定以来、公選法並びとすることが合理的と考えられてまいりました。本法案も、この考え方に従いまして、公選法に合わせて投票環境向上のためのアップデートを不断に重ねていく、そのように考え方を整理をいたしております。
  12. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  二つ部分があって、外形的なところについては基本的に両者が同じというか一致する、そういうお話がございました。  先ほど私が質問させていただきましたように、この国民投票については単独で行われる場合と国政選挙一緒に行われる場合があるということをお話をさせていただきました。単独で行われる場合にはそれ自体環境ということがあってもいいと思いますけれども、同時に行われる可能性も否定できないということになれば、やはりその点を配慮しなければいけないんだろうというふうに思っております。  この公選法改正におきましては、既に期日投票につきましては、天災又は悪天候により投票所に到達することが困難である、このことが追加をされておりますので、この場合には期日投票が可能となるということでございます。ただ、そうなると、国政投票期日投票に行っても、国政選挙投票はできても国民投票投票はできない、こういったことが生じてくるわけでございます。両者にやはり差がある場合には混乱が生じてくるのではないかなというふうに思っております。  その混乱が生じるのではないかということについて、発議者見解をお伺いをしたいと思います。
  13. 船田元

    衆議院議員船田元君) 御質問ありがとうございます。  国民投票法制定当時、平成十九年でございましたが、私もその一人として参画をさせていただきました。  そのときの考え方としては、原則として、国民投票国政選挙を同時に行うということは余り好ましいことではない、むしろ想定していないと申し上げた方がよかったと思います。言うまでもなく、これは衆参各院の三分の二以上の多数、すなわち主要政党が一致して国民憲法改正の賛否を問う国民投票、そして一方は、政権の奪還を目指し、あるいは政権を維持する、こういうことで政権を争う国政選挙、性格が全く違っておりますので、この二つを同時に行うということになりますと、運動する側もあるいは国民の側も混乱をするおそれがあるということで、両者を別個に行うことが適当である、これは私の私見でございます。  その上で、国会憲法改正発議を行った後に衆議院解散があった場合、あるいは地方選挙なども含めると、結果として国民投票国政選挙あるいは地方選挙が同時に実施されるということもあり得ないわけではございません。このようなときに両者投票環境に違いがありますと、御指摘のように混乱が生じることになってしまいますので、この混乱を少しでも解消するのであれば、投票環境整備など外的事項については横並びとするというのが合理的でございますので、そのように考えた次第であります。
  14. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  投票環境整備という視点で更に質問をさせていただきたいと思います。  今回の改正は、投票環境向上のための公職選挙法改正並び改正、これを七項目にわたって行うというものでございますけれども、公職選挙法につきましては、既に令和元年五月に更に先を行った改正が行われるということでございます。投票立会人要件緩和、さらには、安全で迅速な開票のため災害時に離島から国土への投票箱の移送を不要とする、こういった改正でございます。  このため、今回のこの改正が行われたとしても、依然として公職選挙法とのそごが残る、そういうことになるわけでございますが、この点について発議者はどのようにお考えでございましょうか。
  15. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 御指摘の二項目につきましては、改正法施行の後、令和元年七月の参議院議員通常選挙で円滑に実施されたものと承知しております。  したがいまして、この七項目案の成立後、各党の合意を踏まえまして、可及的速やかに国民投票法においても措置すべきだと考えております。
  16. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございます。  最高裁判所裁判官、これは憲法七十九条によりまして、任命後初めて行われる衆議院議員選挙の際、またその後十年を経過した後初めて行われる衆議院議員選挙の際に国民審査に付されるということになっております。  公職選挙法に基づく衆議院議員選挙投票環境最高裁判所裁判官国民審査法に基づく国民審査、これは投票環境においては基本的に変わることがないというふうに理解しておりますが、総務省見解をお伺いをいたします。
  17. 森源二

    政府参考人森源二君) お答えをいたします。  最高裁判所裁判官国民審査は、憲法第七十九条におきまして、任命後初めて行われる衆議院議員選挙の際国民審査に付し、その後十年を経過した後初めて行われる衆議院議員選挙の際更に審査に付し、その後も同様とすると規定されております。その上で、国民審査に係る投票手続については、最高裁判所裁判官国民審査法第二十六条におきまして、同法及び同法に基づく命令に規定するもののほか、投票に関しては、衆議院選挙選出議員選挙投票の例によることとされておりまして、選挙における投票環境に関するものは基本的に同様となっているものと承知をしております。  他方国民審査投票が、裁判官の氏名をあらかじめ印刷した投票用紙にバツの記号を記載する記号式投票制度を採用していること等に伴いまして、一部異なる取扱い方をされているものもあると承知をしております。
  18. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  これまではいろんな経緯があって、この公職選挙法国民投票法において投票環境に差異があるわけでございますけれども、今後、やはり社会の変化に応じて投票環境整備、これが行われていくことだろうというふうに思います。先ほど発議者からも、アップ・ツー・デートというか、そういうお話も出ました。  今国会においては、新型コロナウイルス感染症自宅療養あるいは宿泊療養をする者、外出自粛を要請された濃厚接触者に対して郵便投票が利用できるようにする議員立法検討されているというふうに聞きます。また、現在は、郵便投票対象とされる身体に重度の障害がある者は要介護五の方に限られているわけでございますけれども、要介護四、要介護三を対象にする議員立法検討されていたというふうに聞いております。投票権を行使しやすい環境を整えることは非常に重要なことだろうというふうに認識をしております。  投票環境向上については改めてお伺いをしますが、不断検討をしていくべきと考えますけれども、発議者のお考え伺いたいと思います。  また、もう一点、投票環境向上については、先ほど質問させていただきましたように、公職選挙法最高裁判所裁判官国民審査法国民投票法、やはり基本的には同じタイミングで同様の改正を行うことが妥当ではないかというふうに考えますが、発議者のお考えをお伺いしたいと思います。
  19. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 投票環境向上のような事項は、国民利便性向上観点から当然のことでありますけれども、不断検討そして見直しが図られていくべきものであろうかと思います。もちろんのこと、今回の七項目で終わりとするのではなくて、引き続き検討がなされるべきものであると提案者として考えております。  また、衆議院選挙と同時に実施されます最高裁判所裁判官国民審査につきましては、衆議院選挙選出議員選挙投票及び開票の例によるとされておりますところから、投票環境向上に関し公選法によって設置されました事項国民審査において自動的にアップデートされることになります。  他方国民投票につきましては、国民の権利的、失礼いたしました、国民主権的権利の発動に関わることに鑑み、公選法とは異なりまして、運動規制についてできるだけ自由にという制度設計がなされておるところでございます。したがいまして、全体として公選法とは別の法的枠組みが採用されております。したがいまして、公選法横並びの内容である投開票に関わる外形的部分につきましても、公選法と同様の規定が別途、国民投票法に設けられているところでございます。  いずれにいたしましても、投票環境向上に関わる規定につきましては公選法と同様であるべきことは当然でございますから、公選法改正された際には、国民投票法におきましても速やかに同様の措置が講ぜられるべきものと考えております。
  20. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  続きまして、修正案について質問をさせていただきたいと思います。  今回のこの修正でございますけれども、原案に法施行後三年を目途とした検討条項を加えるというものでございます。法施行後三年を目途ということの認識について、まず発議者に、できれば各会派発議者答弁をお願いできればというふうに思いますし、さらに、三年をめどとされた理由及びその意味について、修正案発議者にお伺いをしたいと思います。
  21. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 修正案におきまして三年という数字を設定された趣旨修正案提出者から御説明があると思いますが、施行後三年というのはあくまでも目途でありまして、与野党協議の上、可及的速やかに一定結論を出すことを求められているということでございます。
  22. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 今の中谷さんの答弁と全く同様でございます。  いずれにいたしましても、三年と書いてございますけれども、できるだけ早く国民投票法に関する課題については衆議院側でしっかりと論議を推し進めて結論を出していきたいと思います。
  23. 馬場伸幸

    衆議院議員馬場伸幸君) 我々日本維新の会は、この修正案自体衆議院憲法審査会では反対をさせていただいております。本会議においては、分離採決が認められずに一括採決でありましたので賛成ということになっておりますが、反対した理由二つです。  この三年という数字ですね。この三年という数字が何を根拠にしているのかよく分からないと。三年ということではなしに、本来ならば可及的速やかにというような法律用語を使うべきであるというふうに判断をいたしました。  もう一点は、この三年という数字を設定されたことによって、憲法本体議論がストップさせるための道具として使われるのではないかということを危惧した結果、我が党としてはこの修正案については反対をいたしておるということを申し上げたいと思います。
  24. 井上一徳

    衆議院議員井上一徳君) この施行後三年といいますのは、あくまで目途でありますので、投票環境向上、それからCM規制等については速やかに検討を行い、結論が得られたものについては順次措置していくべき性質のものと認識をしております。
  25. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 三年ということについての御質問でございます。  この点については、速やかにということは思いは一緒なんですけれども、ただ、コマーシャルと一言、一口に言っても、例えば憲法二十一条の観点から見たときには、放送、免許が必要な放送の世界と通信の分野、これでは憲法上の議論が違ってくると思いますし、また、その他多くの論点について今提起をされているところでございます。CMについては憲法審でも議論しようではないかという話があって、それからもう既に三年経過しているということもございますので、しっかりと慎重に審議をするという意味で、ある意味、あくまでも目途でございますので、現実的な期間ではないかと認識をいたしております。
  26. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  この検討条項に従いまして、私も、この国民投票法に関する議論、これは無論行っていかなければいけないというふうに考えますけれども、やはりこの国民投票法議論について、例えば結論が出ていない、こういうことが憲法自体議論を行えない理由にはならないんだろうというふうに思っております。つまり、附則に定める国民投票法検討憲法自体議論、これは同時並行で行うべきだというふうに考えております。これについては時間もございますので、答弁は結構でございます。  最後に、一点質問させていただきたいと思います。  この検討事項二つ目にございます国民投票の公平及び公正を確保するための事項についてでございます。  先ほど発議者の方から答弁ございましたように、選挙運動については、その選挙が財力あるいは威力、権力等によってゆがめられないように、時期とか主体とか方法等について細かく制限が加えられているわけでございます。他方国民投票においては、先ほど発議者答弁されましたように、国民が自由に意見を交わすことができる、その必要があるという考えの下で規制必要最小限にとどまっているというふうに認識をしております。  修正案提出者にお伺いをいたします。  この選挙運動国民投票運動の違いということについてどのようにお考えなのか、質問をさせていただきたいと思います。
  27. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) この国民投票法制定当時、当時、民主党が、ですけれども、国民投票運動国民主権と密接に結び付くものであるので、規制ゼロということをベースに制度設計をすべきではないかというアプローチを主張いたしまして、これに自民、公明両党の皆様方の御理解をいただきまして、与野党間で丁寧な協議がなされたところでございます。  その結果、現在の国民投票運動原則自由、その上で、国民投票の公平公正を確保する上で必要不可欠な規制のみを設けるという基本理念の下、制度設計が行われたと承知をいたしております。  このような制度設計の結果、厳格な規制が行われている選挙運動原則自由とされる国民投票運動は全く異なる制度となっております。これは、選挙等のケース、人を選ぶ、かつ一定期間それを負託するというのと違いまして、憲法というのは永続的に行われるものであるということと、非常に公職選挙法自体がパズルのような法律になっております、萎縮することができるだけないように自由な形で国民投票運動がなされることが望ましいということで制度設計をしたものでございます。  修正案における検討事項の一つに、国民投票の公平及び公正を確保するための事項が掲げられておりますけれども、これは制定時に掲げられた基本理念を堅持しつつも、自由な国民投票運動国民投票の公平公正、このバランスが崩れていないかどうかをいま一度チェックして、所要の措置を講ずることを求めるものでございます。
  28. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 時間ですので終わります。  ありがとうございました。
  29. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 立憲・社民の那谷屋正義でございます。  早速質問に入りたいと思いますが、衆議院における採決の際に、いわゆる投票環境向上に真に資するのかという、そうした課題もまだ残されたままであったわけですけれども、それが、そういった疑問をある程度払拭するということができるのではないかということで、我が党の修正案で今後の検討課題としてそれらを網羅する附則が加えられて、与党もこれを丸のみをされたというふうに理解をしております。  ところが、その附則の解釈に様々な隔たりのあることが分かり、国民に大きな混乱をもたらしているのは大変残念なことであります。  そこで、まず修正案発議者にお尋ねをいたします。附則意味するものについて、簡潔にお述べいただきたいと思います。
  30. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) 附則意味でありますけれども、憲法九十六条においては、憲法改正国会の提案に対して国民投票による国民の承認を得なければならないと規定していますが、その趣旨は、まさに憲法の言うところの国民主権原理に基づいて、主権者たる国民の意思による改正案の承認を求めたものであります。  そして、その手続としての国民投票法において投票環境整備され、公平及び公正な投票が確保されるということは、まさに明確な国民の意思を表明するという、しなければならないという憲法上の要請だというふうに我々は理解しているところでございます。  そして、現行の国民投票法については、我々は公平及び公正が確保されるという憲法上の要請が満たせなくなってきているんじゃないかというふうに判断をしています。  したがって、この附則検討を踏まえ、法制上の措置その他の措置が講じられるまでの間は、発議をし国民投票を実施することは発議者としての私としては許されないというふうに理解をしているところであります。  なお、憲法議論については、七項目案の成立によって、このCM規制を始めとする国民投票法に係る憲法上の要請が放置され、CM規制、公平公正を確保しなさいという国民投票法に係る憲法上の要請が放置され、憲法本体議論だけが進んでしまうんではないかということを我々危惧をしております。本体、憲法本体議論、何も書いてありません、この条文には書いてありませんが、実施するにしてもこの点に対してやっぱり留意が必要だと考えます。  なお、私としては議論を妨げるものではないと思いますが、しかし、まず政治的には、附則四条に定める措置をきちんと議論をして答えを出すべきだというふうに思っています。  議論については、いずれにせよ、憲法審査会の幹事会等で与野党円満な協議の中で決定されるべきものと考えますが、発議については、法の趣旨としてできないというふうに私としては理解しています。
  31. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、発議はできないというふうな見解であるということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、与党は採決に当たってこれを丸のみをされたと、当然発議者としても同じ思いでなければ国民混乱をするわけでありますけれども、それを受けて、発議者の方にお伺いをしたいと思います。  この修正案に対してどのような見解をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
  32. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) この検討条項につきましては、今おっしゃったように、投票環境向上に関する追加二項目、それからCM規制等に関することについて検討するというふうに書いてあるわけでございます。  私ども衆議院の方の審査では、我々提出者の側は、その法案審査、また自由討議におきましても、度々こうした問題についてもしっかり議論しましょうと、それはお約束をしますということを一貫して答弁をしてまいりました。したがって、こうした附則検討条項として設けることについては全く異論のないところでございます。  ただ、先ほど議論が出ておりますとおり、こうした国民投票法に係る論点について、しっかり積極的に、三年と言わず速やかに論議を進めていきたいと思いますし、また一方で、憲法論議本体についてもこれはしっかり当然憲法審査会として進めていくべきであると、そのように考えております。
  33. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 発議についてのお答えがありませんでしたけれども、この間のお話を聞いていまして、先ほどの三年以内の質疑もありましたけれども、三年以内にということが、もっと本当は、三年と言わずに可及的速やかにというふうなお話がございました。  憲法改正というのはそんなに可及的速やかに行うものなのかどうなのかということも議論が必要なのではないかなと私は思っているところでありまして、やはり、前に私、討論でさせていただきましたけれども、憲法については党派を超えてそれぞれの思いを語り、国民憲法についての興味、関心をしっかりと持っていただくことから始まるわけでありまして、ただただ改正ありきのみの議論というのではなくて、やはり本当に必要なのかどうなのか、あるいは今施行されている法律が本当に憲法に照らして大丈夫なのか、これは実は参議院憲法審査会において、平成二十六年の国民投票法改正の際に、歴代政府が国会答弁している法令解釈のルールというものを確認し、その遵守を求める附帯決議が参議院ではなされております。  これを踏まえ、CM規制等について必要な法改正がなされない限りは改憲発議は許されないとの附則規定趣旨について、規定の文言、立案者の意図、立案の背景、議論の積み重ねの整合性といった法令解釈のルールの要素の観点から説明し、それらの論理的に確定されたものであることを是非発議者の方に説明していただきたいと思います。
  34. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) 先ほど簡潔に申し述べましたけれども、それをもう少し詳しく敷衍して述べたいというふうに思います。  先ほど憲法上の要請、国民主権の発露であるからきちんと民意を反映するような手続でなければならないということは、憲法上のまさに要請するところであるというふうに申し上げました。これがよって来る一番根本のところであります。  法令解釈は、憲法上の要請であったり、それからその法律趣旨、目的、あるいは立法者の意思をきちんと酌んで厳格に解釈されなければならないと、これは我々法律を学んできた者にとっては常識であります。そういう意味で、まず憲法上の要請として、当たり前のことですけれども、民意がきちんと表れる公平公正な手続でなきゃいけないということがまず根本にあります。  さて、現行の国民投票法、できた当時は、そういうことが配慮されて当時はできていたというふうに理解をしていますが、ただ、そのときも、いわゆるテレビやラジオのスポットCM規制については議論がありました。その扇情的な影響力ですね、テレビというのは非常に、メディアは影響力ありますから、その影響力に鑑みて、スポットCMなども含めて量的な規制法律ですべきじゃないかという議論も当時もあったというふうに理解していますが、その当時は、なるべく報道の自由、表現の自由に配慮をして、民放連が自主規制をやるということで収まったというふうに私は聞いているところであります。  という意味で、この自主規制は、この現行の国民投票法の不可欠な要素ですね、構成する前提、不可欠な要素だというふうに立法者の意思としてあったんだというふうに思います。  ところが、民放連は、その後、自主規制憲法審でも民放連の方来ていただいて、私も、あれ二年前でしたかね、質問をしましたけれども、制定時の約束をほごにして、量的規制はやっぱり無理だと、ガイドラインは作れないんだというふうに、けつをまくったと、言葉は悪いですけど、まくってしまったということなんです。ということは、現行法の前提がもろくも崩れてしまったということがあります。これが一つですね。  それからもう一つ、制定後十年がたって、制定時に想定しなかったような事態が起こってきていると。それは、ネットで世界がつながると、グローバル化、ネット化の進展でありまして、ケンブリッジ・アナリティカという、あれ、玉木さんとかよく言うんですけれども、ネットフリックスでやっていましたね、私も見ましたけれども、御覧になると分かりますが、ブレグジットやそういう大統領選のところに、ビッグデータを使って直接フェイスブックなんかで有権者に働きかけをすると、資金量をもって働きかけをして、投票量に、投票行動に影響を与えると、こういうことが今や現実のものとなっているんですね。是非これ御覧いただければと思いますけれども、現実のものとなっています。  だから、こういったことについてどう考えるかということですね。資金量の多寡に応じて投票結果が左右されるんじゃないかと。もうちょっと言うと、外国政府が我が国の憲法改正結論に影響を与える可能性があるわけですよ。資金、外国政府が陰で資金を供給して、ネットのCMやあるいはテレビのCMを大量に打って、憲法改正の内容に影響を、結論に影響を与える可能性が出てきているわけですね。こうしたこともやっぱり現行法の制定時にはなかったことであります。  以上の代表的なこと二点をもって、我々は、現行の国民投票法については、制定時とは異なって、公平及び公正を確保しなさいと、投票の公平及び公正を確保しなさいという憲法上の要請を満たせなくなっているんではないかということで判断をして、七項目を始めとする投票環境向上に係る措置に限らないで、根本的にここは議論をしてはどうですかとずっと申し上げてきたんです。これをやらないと、発議してもちゃんとした結果が出ませんから。皆さん、そう思いませんか。だから、我々はこれをずっと主張してきました。  で、国民投票法の抜本改正案というのを原口さんと私と、あと源馬さんかな、旧国民民主党で二〇一九年五月二十一日に提案をして、以来ずっとこの七項目との並行審議を求めてきましたけれども、現在に至るまで、これは議論を据え置き、御審議をいただいていないわけであります。  そこで、この七項目の成立によって、国民投票法に係る憲法上の要請、我々が心配していることがそのまま放置されないかとすごい心配しているわけですよ。とにかく与党は四項目やりたくてしようがないとよく分かるんですが、でも、四項目、仮に無理やり発議しても、この手続がきちんとしていなければちゃんとした公正な結果は生まれませんから、だから、その四項目をやろうという方にもやっぱりここは御理解をいただきたいと思うんです。ですから、私はもちろん四項目反対ですけどね、与野党を超えて、だからこそ、こういったところを議論していただきたいと。で、法律のそれ自体の中に明文規定をもってこういう担保規定を設けたところであります。  趣旨、目的について言えば、最後ね、それについて言えば、先ほど申し上げたように、発議はなかなか、私の解釈では、法律上ですね、憲法の要請に応えていないから、この条項が制定されるをもって発議はできないということだと思います。  ちょっと長くなりましたけど、以上です。
  35. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 丁寧な解説ありがとうございました。  ちょっとこれ、直接的に与党の発議者の方への質問通告になっていなかったかもしれませんが、先ほど修正案見解の中で、今回、修正案の中に、今回の法案投票環境向上に資するものということでしたけれども、そこには直接触れておりませんが、附則の中で、公正公平な投票権を確保するということ、これはもう私は大前提だというふうに思うんですけれども、その辺については否定はされないということでよろしいでしょうか。与党の発議者の方、済みません。
  36. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 当然のことながら、国民投票においても公平公正を図っていくというのは当然のことでございます。そのための環境向上に向けてこれからもしっかり取り組んでいきたいし、だからこそ、この国民投票法改正案についても早く通していただきたいということをお願いをしてきたわけでございます。  CM規制についても同様でございます。早急に議論をして、しっかり結論を出していきたいと思っております。
  37. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございます。公正公平なというのは共通理解を得たというふうに思っております。  さて、公正公平な投票権の確保という部分においては、実は衆議院でたくさん議論をされたと思いますが、いわゆる原案の七項目のうちの二項目については依然として疑義が残ります。その部分については今日質問する時間がございませんけれども、是非こういったことをしっかりと今後も議論をしていきながら、国民混乱をしないような国民投票法案にしなければいけないというふうに私自身は思っているところでありまして、どうか衆議院の今後の憲法審査会においても、直ちに改正条項について云々じゃなくて、もうやはりこれを最優先にしてしっかりと議論をし、これならばしっかりとした、まあ船に例えるのがいいかどうか分かりませんけれども、例えば改正項目についていっぱい用意した、用意して国会発議はした、ところが、それを国民投票に付したところ、これは公正公平に反するということでひっくり返されるような、いわゆる欠陥だらけのものであっては絶対にならないと、立法府の責任においてそれはあっちゃいけないというふうに思いますので、そういうところからしっかりと議論をしていただきたいというふうに思いますけれども、最後に、修正案発議者山花さん、幹事でもいらっしゃると思いますので、見解をお願いしたいと思います。
  38. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 先ほど議論がございますが、今回、検討条項で、国民投票の公平及び公正を確保するためということで規定をいたしております。  今御指摘のとおりで、現行法の状態で、思考実験になりますけれども、仮に何か発議がされたとします、で、国民投票が行われたとしても、公平性、公平性が十分に担保されていない、確保されていない状態であると考えます。したがって、この措置が講じられないで国民投票が行われたとしても、投票の結果に対する納得感というものが非常に得られないおそれがございます。ちょっと、法的確信が揺らぐと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういった状態になるおそれがございますので。  先ほど来、与党の発議者の方からもございますが、憲法審査会憲法議論について行うこと自体は、特に審査会における調査権限を行使をしたからといってそれが直ちに発議という話にもなるわけでもございませんので、その限りにおいては、CM規制等との同時並行、それ自体はあり得ることかとは存じますけれども、御指摘のように、このルールの策定についてはできるだけ精力的に実施をしてまいりたいと思いますし、この点については、私自身は衆議院の側の幹事を務めております、しっかりと与野党の合意形成に努めてまいりたいと思っております。
  39. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございます。  国会法の百二条の六に定める憲法審査会の、憲法及びそれに密接に関連する基本法制の調査任務を全うすべく、こういうふうにあります。集団的自衛権の行使容認等の憲法問題を調査審議すべきとの、これは幹事会協議事項というふうに参議院の方ではなっております。こうしたことというのはまだ多々あるように思いますので、是非衆議院でもそういったことについてもしっかりと議論をし、憲法、仮にですよ、これは私が言っているんじゃなくて世論が言っている部分なんですが、憲法を守らない国会議員憲法改正発議をする権利があるのかと、こういうふうな指摘がありますから、そういったことにしっかりと応えていくべく議論衆議院の方でもお願いをしたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  40. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本改正案は、憲法改正国民投票投票人の投票しやすい環境を整えるということを目的として提出されています。改めて、今回の改正の必要性を基礎付ける立法事実とその意義について、発議者から説明を求めたいと思います。その際、七項目は民主主義の基盤に関わるとの昨年十一月の衆議院憲法審査会でございました。そうしたことの具体的な意義を踏まえながら御答弁をお願いしたいと思います。
  41. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 投票機会をできるだけ保障していく、また、投票利便性をできるだけ拡大をしていくということは、やはり有権者の方々、投票者の方々が投票しやすい、また投票できると、こういう環境、条件をしっかり整えていこうというのが今回の七項目のそれぞれの趣旨なんだというふうに理解をしております。  例えば、共通投票所制度投票日当日に大型の商業施設等々で投票ができる、投票しやすくなります。また、船員の方々、長期で海に行っていらっしゃる、そういう方々の投票権を保障していく、また拡大していくというのが今回の七項目のそれぞれの趣旨でございまして、そういう意味では民主主義の基盤に関わるものというふうに申し上げたところでございます。
  42. 西田実仁

    西田実仁君 次に、投票所に入場可能な子供の範囲の拡大の意義、そして若年層の投票率の向上についてお伺いいたします。  平成二十八年の公選法改正によりまして、投票所に入ることができる子供の範囲が、幼児から児童生徒その他の十八歳未満の者に拡大をされました。この改正は、選挙権年齢の満二十歳以上から満十八歳以上への引下げが実現し、また、各選挙を通じまして若年層の投票率が低くなる中で、選挙人である親が子供を投票所に連れていき、現実に投票している姿を見せることが将来の有権者への有効な啓発、すなわち主権者教育に資するという考えなどから提案されたものでありました。  今回の改正案によって、憲法改正国民投票法についても公選法と同様、投票所に入ることができる子供の範囲が拡大されます。国民投票という貴重な機会を将来の有権者となる子供たちに実際に見せることは、まさに大変効果的な主権者教育になり得ると考えますが、本改正項目趣旨について、主権者教育として持つ意義、効果という視点を含めながら、発議者見解伺いたいと思います。
  43. 船田元

    衆議院議員船田元君) 今、西田委員御指摘のとおり、投票人である親が子供を投票所に連れていって現実に投票している姿を子供に見せるということは、子供たちに早い段階から、社会の一員として、また将来の有権者としての自覚を持ってもらう、こういう意味で大変重要だというふうに思っております。私は、これを体験的主権者教育とか、あるいはリアルな主権者教育だというふうに位置付けております。  このような観点から、今回の改正案においては、投票人は十八歳未満の者であれば誰でも同伴することができるよう措置をするということでございまして、このことと併せて、主権者教育につきましても更に力を込めていかなければいけないと考えております。
  44. 西田実仁

    西田実仁君 若年層、十歳代の投票率を見てみますと、選挙権年齢が引き下がりました最初の国政選挙平成二十八年の参議院選挙でしたが、このときこそ四六・七八%であったものが、その後、平成二十九年の衆院選では四〇・四九%、令和元年の参院選では三二・二八%と、残念ながら低下傾向にございます。  昨今の国政選挙において若年層投票率が軒並み低下傾向にあることをどのように受け止めておられるでしょうか。また、今回の改正を一つの契機として、憲法改正国民投票に関する若年層への関心の喚起、ひいては選挙一般についての関心の喚起につなげていくことが重要ではないかと思いますが、発議者見解伺います。
  45. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 西田先生と全く同様の問題意識、また、ある意味で危機意識を持っているところでございます。  私は、ここ数年、自由民主党選挙制度調査会長として、投票環境整備、一人でも多くの皆さんに利便性を確保する中で選挙していただく、投票していただく、そのことに努力をしてまいりました。これからも多くの皆様と一緒に努力を続けていかなくてはならないと思っておりますが、しかし同時に、今御指摘のような現実を直視する、そのことも大切であろうかと考えております。  御指摘のように、例えば平成二十九年の衆議院選挙での二十代の投票率は約三〇%、三十代の投票率は約四〇%と報告をされております。この数字は、令和元年に行われました参議院選挙でもほぼ同様の水準であったと理解をいたしております。  全体として若年層の投票率が低くなっているという点についてしっかり認識をし、そのことに対応する努力を不断に重ねてまいりたいというふうに思います。若者の政治への関心を高め、投票率を向上させる、このことへの努力が非常に重要でございます。  また、憲法改正という国民の権利義務や国の将来の在り方という大きな問題につきましては、若年層への問題意識を持っていただくということは当然大切なことでありますが、若い世代と同時に、働き盛りの世代の皆さん、あるいは高齢者の皆様、国民挙げての議論が大事になってまいりますので、国民投票広報協議会による広報や、あるいは国民投票運動を促進をすることによりまして、若年層の関心、また国民の皆様全般に対する関心の高まり、そのことが実現できるように努力をしてまいりたいと思います。よろしくお願いをいたします。
  46. 西田実仁

    西田実仁君 ドメスティック・バイオレンス、ストーカー被害者に係る投票人名簿の閲覧許可の運用方針等についてお聞きしたいと思います。  平成二十八年の公選法改正のきっかけとなりました総務省投票環境向上方策等に関する研究会報告におきましては、近年、DV及びストーカー行為の認知件数が増加を続けていることを背景に、選挙人名簿の抄本の閲覧制度については更なる厳格な制度運用を求める声が強くなっている、また、DV及びストーカー行為等の被害者に係る選挙人名簿の抄本については、閲覧の申出がいずれの者からなされた場合にも、被害者に係る個人情報の閲覧を求めること自体が不当な目的があるものと疑われることから、原則として閲覧させないこととする方向で考えるべきと提言されています。  なお、この点につきましては、平成二十八年、当時の総務副大臣から、研究会の指摘があったことを踏まえ、本法案による改正に合わせ、その対応を検討してまいりたいという答弁もなされているところです。  そこで、まず総務省にお聞きしたいと思います。  DV、ストーカー被害者保護の観点から、選挙人名簿の抄本の閲覧について現状でどのような取扱い、運用がなされているのか、平成二十八年の総務省答弁を踏まえて、その後の対応状況をお聞かせください。
  47. 森源二

    政府参考人森源二君) お答えをいたします。  選挙人名簿の抄本の閲覧につきましては、公職選挙法上、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがあると認めるときは、市町村の選挙管理委員会は申出に係る閲覧を拒むことができることとされておりまして、こうした観点から、総務省では、DV及びストーカー被害者に係る閲覧について、これまで数度にわたり留意事項を通知してきたところでございます。  さらに、総務省において開催した、御指摘投票環境向上方策等に関する研究会報告において、被害者に係る選挙人名簿の閲覧については、申出がいずれの者からなされた場合でも、原則として閲覧させないこととする方向で考えるべきとされたことなどを踏まえまして、平成二十九年九月になりますけれども、加害者から被害者の選挙人名簿の抄本の閲覧の申出がなされた場合には、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがある申出として閲覧を拒否すること、第三者から申出がなされた場合であっても、申出に係る選挙人が支援対象者である場合には、その閲覧を拒むに足りる相当な理由があると認めるときとして閲覧を拒否することができるものであること、特段の申出がない場合には、被害者を除く申出であるとみなし、被害者に係る記載のある部分以外の部分に限って閲覧に供することを原則とすることを改めて通知したところでございます。  各市町村の選挙管理委員会におけるDV及びストーカー被害者に係る情報管理の具体のやり方について網羅的に把握しているわけではございませんが、例えば被害者が含まれない形で閲覧用名簿を打ち出す機能を選挙人名簿システムに実装するなど、総務省通知踏まえ適切に対応していただいているものと承知をしておりまして、引き続き対応について徹底してまいりたいと存じます。
  48. 西田実仁

    西田実仁君 その上で発議者にお聞きしたいと思います。  今回の改正案では、憲法改正国民投票投票人名簿にも抄本の閲覧制度が創設される場合には、上記の選挙人名簿で懸念されている課題投票人名簿にも当てはまることになります。  今後、仮に本改正案が可決、成立し、投票人名簿にも閲覧制度が創設された場合、DV、ストーカー被害者の保護を図る観点から、選挙人名簿と同様、厳格な制度運用が不可欠であると考えます。被害者保護の観点から、投票人名簿の抄本の閲覧許可についてはどのような運用がなされるべきとお考えか、発議者の御認識伺います。
  49. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) ただいま総務省の方から選挙人名簿の閲覧の運用に関する説明がございましたけれども、本改正によりまして、閲覧制度の導入の趣旨が改めて明確にされるべきと考えております。  選挙における閲覧制度と同様に、選挙人名簿の内容確認手段につきましては、個人情報保護の観点から、閲覧できる場合を投票人本人が投票人名簿における登録の確認をする場合に限定をさせていただいているところでございます。  このため、投票人名簿の閲覧制度が運用される際には、選挙人名簿の閲覧制度の運用と同様に、DV被害やストーカー被害の保護が図られるよう、不適切な申請を確実に排除する等の措置が講じられ、厳格な運用がなされるものと理解をいたしております。
  50. 西田実仁

    西田実仁君 次に、洋上投票対象の拡大についてお伺いしたいと思います。  二〇一六年、公職選挙法改正によりまして、日本国民である船員が二人以下の場合でも洋上投票は可能と、その対象が拡大されました。不在者投票管理人者、立会人を置かずに洋上投票が可能となったわけでありますけれども、この二重投票の防止など、国民投票における公正性をどのように担保するのか、発議者にお聞きしたいと思います。
  51. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 改めて、拡大洋上投票の手続につきまして確認をさせていただきたいと思います。  まず、出航前に船員が指定市町村の選管から投票送信用紙及び確認書の交付を受けます。次に、出航後、投票に先立ち、船員が指定市町村の選管にファクス、ファクシミリで確認書を送信し、指定市町村の選管が船員にそれを受信した旨を連絡をいたします。その上で、選挙期日の公示後、船員が投票の記載をして、ファクシミリで送信をし、投票記載部分を封筒に入れ、必要事項記載部分を封筒に貼り付けます。最後に、帰港後、戻った後ですね、帰港した後に船員が指定市町村の選管に封筒を送致し、さらに、選挙人名簿登録地市町村の選管に送致をする。以上のような手続となっております。  このように厳格な一連の手続を経ることで、またファクシミリの送信も選管の業務時間内に限るとさせていただいておりますが、二重投票の防止、つまり不正の入り込む余地を極力排除した、そういったシステムを採用することといたしております。
  52. 西田実仁

    西田実仁君 公選法並びということで申し上げますと、令和元年に成立した改正公選法の内容のいわゆる二項目、すなわち天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票開票を行うための開票立会人の選任に係る規定整備、また投票立会人の選任の要件の緩和につきましても、今後速やかに国民投票においても同様の措置がなされるべきではないかと考えますが、発議者の御所見を伺います。
  53. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 既に公選法措置をされております御指摘の二項目につきましては、改正法施行後、令和元年七月の参議院議員通常選挙で円滑に実施をされたと理解をいたしております。したがいまして、この七項目案の成立後、各党の合意を踏まえまして、可及的速やかに国民投票法におきましても措置をさせていただきたい、そのように考えております。  そもそも、投票環境向上のような事項につきましては、国民利便性向上観点から不断検討、見直しが図られなくてはなりません。当然のことでありますけれども、七項目で終わりということではなく、引き続き必要な検討がなされるべきものと承知をしております。
  54. 西田実仁

    西田実仁君 これ以外にも、選挙の際に投票所に足を運ぶことが困難な高齢者や障害をお持ちの方の投票機会を確保するための郵便投票の範囲の拡大などを内容とする公選法改正議論されていると承知しております。また、現在の新型コロナウイルス感染症に感染してホテルや自宅で療養される方にも選挙における郵便投票の利用を認める特例法の議論がなされていることも承知しております。  国民投票法におきましても、最大限投票の機会を確保する必要性があることに鑑みまして、有事の際も含めて郵便投票の機会を拡充する方向での改正が必要ではないかと考えますが、発議者の御所見を伺います。
  55. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) できるだけ多くの方に、できるだけ多くの有権者の方に投票の機会を確保していただくために、この郵便投票というツールを適切に生かしていく、大変重要な視点であろうかというふうに思います。公選法におきます選挙につきましても、また国民投票法につきましても、早急にそれらの議論がなされ、適切に導入が図られる、そのことが望ましいと考えております。  まず、現行の郵便投票対象範囲の拡大につきましては、例の介護保険制度におけます要介護度の方についてでございますが、現行では要介護度五の方に郵便投票の権利が与えられているわけでありますけれども、これを要介護度四及び三にまで対象範囲を拡大をする法案が与党において既に党内手続を終え、野党各党にも呼びかけを行わさせていただいている、そのような状況にあると理解をいたしております。  また、現在の新型コロナ禍の緊急事態におきまして外出自粛の要請を受けている有権者、選挙人の投票の機会を確保することも、参政権といった重要な憲法上の権利保障のために喫緊の課題であると考えております。このことにつきましては、まさに現在与野党におきまして特例的な郵便投票整備する方向で議論がなされております。  もっとも、この特例法は、新型コロナ禍という特殊事情を踏まえました特措法を用意をされていると理解をいたしておりますが、すぐにも想定される選挙を念頭に置いたものでございまして、これを国民投票に導入するかどうかにつきましては別途の議論がやはり必要になってこようかと、そのように理解をいたしております。
  56. 西田実仁

    西田実仁君 最後に、修正条項について北側議員にお聞きします。  三年は当該条項に限定列挙された手続事項のみを議論する、あるいはそれが一段落した後に本体の議論に入るとの解釈が前提となっているのかどうか。これにつきましてどのようにお考えか、御認識をお伺いしたいと思います。
  57. 北側一雄

    衆議院議員北側一雄君) 附則に書いてございます検討条項の中には、憲法改正発議、また憲法本体の論議に関する言及というのは一切ございません。  かつて国民投票法改正したとき、憲法改正発議については、かつては十八歳投票権の問題等々三つの宿題というのがありまして、それは国民投票法施行そのものとリンクをされておりました。したがって、そうした十八歳投票権の問題等について解決をしないと国民投票法そのものが動かないと、こういう状況だったわけです。しかしながら、この問題については、平成二十六年の改正によりましてこの三つの宿題を解決をいたしました。  したがって、今回はあくまでリンクはしていないわけでございまして、法制的には、これは憲法本体議論はもちろんのこと、憲法改正発議も法制的にはできるということでございます。  いずれにしましても、先ほど来述べておりますとおり、CM規制等の問題については非常に重要な問題でございますので、しっかりと各会派議論を積み重ねまして、できるだけ早く一定結論を出していきたいと考えております。
  58. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。
  59. 松沢成文

    ○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文です。  発議者の皆さん、提案者の皆さん、今日は御苦労さまです。  まず、衆議院憲法審査会において立憲民主党から提出され、原案に加えられた修正部分についてお伺いしたいと思います。  この附則第四条は、施行後三年をめどにCM規制や外国人寄附規制などについて必要な措置を求めるものでありますけれども、端的に聞きますからイエス、ノーで端的に答えてくださいね、この措置が講ぜられるまでの間、国会憲法改正原案の審議改正発議を行うことができるのかできないのか、自民党の中谷議員と立憲民主党の山花議員に端的にお答えいただきたいと思います。
  60. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 法律的には全く言及がされておりませんので、いずれも、二つとも可能であるというふうに認識をいたしております。  また、コマーシャルの議論につきましては、我々も大変重要なテーマだと認識しておりまして、この法律の成立後は議論を加速してできるだけ早く結論を得るべきだと思いますが、残念ながら、衆議院審査会の方はなかなか幹事懇や審査会が開催できないような状況になっておりますので、できるだけ精力的に議論ができるようにお願いしたいと思います。
  61. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 法制上の話につきましては、今、中谷発議者、また先ほど北側発議者からも、成立時のように、法制定時に停止条件が付いていたわけでは今回ございませんので、法制上の話としては今答弁があったとおりです。  ただ、こちらから求めているのは、その法制上の話と、政治的には、実際、先ほど申し上げたようにルールの公正性が担保されておりませんから、実際に発議をしたとしても、その結果に対する信頼性が極めて揺らぐだろうということで、それは政治的には難しいのではないかということで申し上げているところでございます。
  62. 松沢成文

    ○松沢成文君 山花議員、同じお隣に座っている立憲民主党の奥野委員とか、あるいは今井委員は、こうちゃんと衆議院審査会で答えているんですね。国民投票関係課題を解決しない限り国民投票発議はあってはならない、あるいは奥野委員は、国民投票において欠けている公正さを確保する措置がなされるまでは憲法改正発議できない、はっきり言っているんですね。  じゃ、山花さんの今の、政治的だとか法的だとか細かい議論がありましたが、審議発議はできるんですか、できないんですか、答えてください。
  63. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 法制上の話としては先ほど来申し上げているとおりで、これは共通の認識を持っております。  それと、ただ、先ほど来申し上げているように、政治的には結局、その結果に対する信頼性が失われてしまいますので、それは難しいのではないかということを申し上げているところです。
  64. 松沢成文

    ○松沢成文君 できるかできないか分からない答弁でしたが。  言うまでもなく、議員立法である本法案を提出する立法者、起草者の意思、あるいは修正部分の解釈が定まっていないということは大問題であります。これを参議院に送ってきて審議しろといっても、立法者の意思が分からないわけだから。どっちなのかね。  さあ、そこで、中谷議員にお尋ねしたいんですが、衆議院における我が党の足立委員の質疑に際して、提案者としては、中谷議員ははっきり言っているんですね。修正案が、先ほど中谷議員言ってくれましたが、憲法改正議論憲法改正発議を妨げるものではないと明確に答えています。私たちもそれ当然だと思います。しかし、その後、足立議員はこう聞いたんですね。自民党と立憲民主党の間でこの点の確認はできているのかと問いました、足立議員が。そうしたら、中谷議員は、憲法審査会の新藤筆頭幹事と山花幹事との間で議論をされているので、その中で確認していくものだと思っている、こう答えているんですね。新藤さんと山花さんで統一的な見解、確認しているんじゃないかと。  じゃ、そこで、山花議員にお尋ねしますが、この新藤筆頭幹事との間で確認されている内容についてお答えいただきたい。
  65. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 先ほど来申し上げているとおりのところになりますけれども、法制上の点については確認をというか、共通で、共同で今提案をしておりますので、その点については認識一緒でございます。  その上で、実際にどういう形で進めていくかということについては、まあ衆議院側ですけれども、幹事会等の合意を通じて実施をしていこうということと、また、先ほど来御答弁いただいておりますけれども、コマーシャル等の規制については真摯に受け止めていただいて、今回、条項にも入ってございますので、しっかりと進めていこうと、こういうことで合意をいたしております。
  66. 松沢成文

    ○松沢成文君 じゃ、まだ最終確認はされていないということでいいんですね。
  67. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) ごめんなさい、最終確認というのは、ごめんなさい、御質問もう一度お願いいたします。
  68. 松沢成文

    ○松沢成文君 新藤筆頭幹事との間で議論をされていると、その中で確認されていくものだと思っているというふうに中谷議員は我が党の質問に対して答えているんです。ですから、この問題についての統一的な確認、どういうふうにこの修正部分を判断するのか、同時並行審議ができるのか、それとも国民投票関係審議が、措置がとられるまで憲法の本体の審議とかあるいは発議ができないと考えるのか、どちらの方向で行くのか、その確認は取れていますか。
  69. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 済みません、ちょっとしゃくし定規な答えになっちゃうかもしれないですけど、御容赦いただきたいと思います。  私と新藤筆頭との間で協議をしてきたのは先ほどのところです。その上で、最終的には現場を離れて国対とか政党間での協議のところになりましたので、最終的な確認というお問い立てになると、ちょっと私としてはお答えするのがなかなか難しいということについては、ちょっとしゃくし定規で恐縮ですが、御容赦いただきたいと思いますけども、筆頭間での話については先ほど来申し上げているとおりです。
  70. 松沢成文

    ○松沢成文君 今、両党の発議者提案者意見を聞いてきましたが、自民党の中谷委員の方からは、両方並行で審議ができると、そして、もちろん国民投票法のこれからの在り方について早く結論を出すことは重要だけれども、憲法本体審議発議を妨げるものではないという考えです。  一方で、立憲民主党の山花議員は、法的とか政治的とか、少し分かりにくい議論もありましたが、いや、そこまではできないんじゃないかと、やっても政治的にこれは難しいんじゃないかと。あるいは、奥野委員も衆議院審査会で、それはできないとはっきり言っているんですね。  さあ、これ、やはり参議院法案がこれ合体して送られてきたんですから、立法の趣旨、あるいは修正部分の解釈が一本化されていないと参議院審議できませんよ、そこが分からないんだから。やっぱりこれ、二院制なんだからね。  さあ、そこで、会長、来週のこの審査会までに、衆議院憲法審査会として、この立法の趣旨修正部分の解釈について衆議院憲法審査会の統一見解を持ってきていただきたい。それを基に我々参議院では審議しないと、だって、立法の趣旨修正案の解釈が違うわけですから。この解釈の違いは今後の憲法審査会審議の在り方を決定付けるわけですよ。  ここは非常に重要なんで、会長、是非とも衆議院憲法審査会長に言って、統一的な見解を来週まで持ってきていただきたい、そのことをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
  71. 林芳正

    会長林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議をいたします。
  72. 松沢成文

    ○松沢成文君 それでは、国会法百二条の六条で定められているように、憲法審査会の目的というのは、憲法改正の原案審議、それから憲法改正発議、さらには国民投票に関する法律案審査、これが簡単に言えば三大目標みたいなものなんですね。この規定からすれば、とても国民投票法案の審議改正原案の審議発議に優先するとは、この国会法を見ても考えられません。また、先ほど議論ありました十八歳投票権などの三つの課題を解決した平成二十六年改正によって国民投票法に係る期限は撤廃されておりまして、既に国民投票を実施する環境は整っております。さらに、今回の法案修正部分である附則第四条の法文をどのように読んでも、国会自らを縛る要素は見出せません。  このように、関連法規や改正法自体のみならず、これまでの法改正の経緯などと全く整合性が取れない修正案提出者の一方的な解釈は、私はとんでもない身勝手な解釈であり、憲法審査会の目的を否定する暴挙であると言わざるを得ないと思います。この点について、発議者馬場議員のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  73. 馬場伸幸

    衆議院議員馬場伸幸君) 先ほど修正案の件でございますが、検討条項に、繰り返しになりますが、改正発議や本体論議の関係について一切の言及はないということを改めて申し上げておきたいと思います。したがって、改正発議や本体論議について一切の制約はないと理解をしておるところでございます。  また、今回、コロナ禍の中での私権制限と補償の問題、近隣諸国との最近の緊張状態の高まりなど、どの最近の世論調査を見ましても、憲法論議をしてくれという国民の多くが望んでいるという結果が出ているところであります。  しかし、この検討条項が挿入された結果、三年間は改正発議ができない、三年間は本体論議はできないと主張する向きがあることも、先ほどからの松沢議員の御指摘どおりであると思います。この検討条項は、そのような疑念を呼び、誤解を招きかねない規定であると言わざるを得ません。  そこで、日本維新の会は、そのような疑念を払拭すべく、検討条項に第二項を追加し、先ほどお手元に配られているようでございますが、前項の規定は、憲法審査会が同項の措置が講ぜられるまでの間に改正原案の審議発議を行うことを妨げるものではない旨を明記する修正案を用意しているところであると聞いています。  以上でございます。
  74. 松沢成文

    ○松沢成文君 この一体となった改正法案の提案者の中で、発議者提案者、解釈がこのように真っ向から対立して、法的安定性を大きく損なう、これ失礼な言い方ですけど荷崩れ法案のようなものです。これが今参議院に送られてきているんですね。このままでは必ず審査会の今後の運営方法をめぐって混乱します。再び機能不全に陥るのは火を見るよりも明らかであります。  これまでの三年間、いろんな政局が絡んでほとんど憲法審査会衆議院参議院審議行われませんでした。今後も、今回の修正案で、三年間はこちらの議論が優先ですよ、憲法の本体の議論には入れませんよと言う方がおられますので、そうなると、また今後三年間憲法の本体の議論に入れない。六年間憲法審査会が全く実質的な議論改正案の前向きな議論が行われずに終わってしまう可能性もあるわけですね。  こうした状況を打破するために、先ほど馬場議員からお話がありました、我々日本維新の会は修正案の提出考えています。是非とも皆さん参考資料見ていただきたい。配付資料ですね。  具体的には、この修正部分である附則第四条に二項を設けて、前項の規定は、国会が、同項に規定する措置が講ぜられるまでの間において、日本国憲法改正案の原案について審議し、日本国憲法改正発議をすることを妨げるものと解してはならない、こういう規定を追加するものであります。これはまさしく自民党や公明党や維新や、あるいは国民の皆さん、憲法審査も前向きにやっていきたい、これをきちっと担保するための条項であります。  さあ、この修正案の必要性について、自民党の発議者の皆さんの御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  75. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 日本維新の会の憲法改正に対する真摯な議論につきましては敬意を表したいと思います。  また、修正によって盛り込まれた検討条項は、衆議院憲法審査会で新藤筆頭幹事、また北側幹事らが度々述べてきたことを法案に盛り込んだものでありまして、その内容については全く異論がありません。すなわち、先ほどから述べているように、検討条項の中においては憲法改正発議、また憲法本体議論に関する言及は一切ないので、法的にはこれらに対する制約がないということは明らかでもあります。この原案の審議発議は、国会そして衆参憲法審査会の重大な所掌事務の一つでありまして、これを妨げるものと解してはならないという趣旨はもろ手を挙げて賛成するものでございます。  したがいまして、我々としましても、コマーシャルの規制に関する議論については大変大事なテーマであると認識しておりますので、早期に議論をして改正できますように議論を精力的に行うべきだと考えております。
  76. 松沢成文

    ○松沢成文君 是非とも自民党の皆さんも、こういう修正案がきちっと組み込まれれば、今後、憲法審査会議論は前向きに進みます。憲法本体議論も、あるいは国民投票法関連の議論も前向きに進みますので、是非とも我々の修正案に御賛同いただけるように、我々は来週出すつもりでありますので、よろしくお願いします。  最後、もう一点、違った視点からお伺いします。  憲法審査会における今後の審議を充実し、加速させるために、憲法審査会規程第七条にある小委員会制度、小委員会を設置し、今回の改正後の、国民投票法改正後の更なる審議はその小委員会に委任すべきであると考えます。  衆参両院では、これまで議院運営委員会など幾つかの委員会で小委員会制度をつくって適宜有効に運営されている例があって、この小委員会制度こそ、今憲法審査会に必要だと思っています。これによってCM規制などの国民投票法関係の今後の審議憲法審査会全体による憲法改正に向けての審議同時並行的に分業的に進められるんですね。私はこの知恵を使うべきだというふうに思います。  この小委員会制度を導入する、衆議院でも導入していただいて、参議院も導入する、これだけ四十五名の委員がいるわけですから、そうやって小委員会制度を導入してやる、こういうやり方を是非とも採用すべきだと考えますが、自民党と立憲民主党の、失礼、自民党の発議者と立憲民主党の修正案提案者に、こうしたやり方を進めるべきだという意見に対してはどうお考えでしょうか。
  77. 船田元

    衆議院議員船田元君) ただいま松沢議員から大変有意義な御指摘をいただきました。  確かに、衆議院におきましては、かつて憲法調査会時代に、平成十四年に、基本的人権の保障に関する調査小委員会など四つの小委員会を設置をいたしまして、それぞれ分担して憲法の全条、章についての詳細な調査を行ったことがありました。  また、平成十五年にはそれを少し修正をいたしまして、同じく四つの小委員会をつくりまして議論をした経緯がございました。私もその一員としてやってきたわけであります。そして、最後に、五十人の委員全員にそれぞれの議論の結果をフィードバックしていくという形で共有化し、そして平成十七年の憲法調査会最終報告書の取りまとめにまとまったと、このように記憶をしております。  こういった議論の進め方は、憲法審査会衆参両院においても大いに参考になるものと考えておりますが、いずれにしましても、衆議院参議院、それぞれ幹事懇等がございますので、そこで論点の整理を行い、そして審査会、本会のテーマを設定をして、より建設的な議論を進めていくということは大変重要だと思っておりますので、大賛成でございます。
  78. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 小委員会のお話がございました。  今、船田発議者の方から過去の御紹介がありましたが、私自身、衆議院憲法調査会時代の平成十六年に基本的人権の小委員会の小委員長を務めていたことがございます。状況についてはよく理解をいたしております。  ただ、今後のCM等の今回の進め方については、衆議院側では今幹事懇の中でもどういうやり方でやろうかという議論をしているところでございます。御意見は参考にした上で、今後、与野党でしっかりと詰めていきたいと思います。
  79. 松沢成文

    ○松沢成文君 もう時間ないので最後にしますが、小委員会、この国民投票法関係議論をするという小委員会も必要ですし、あるいは、憲法改正の中で今国民が一番議論してほしいなという緊急事態条項の在り方、これなんかも小委員会制度をつくって専門的に少し議論を詰めてもらって、審査会全体で議論していけば、これ分業がうまく機能して審議促進になるんじゃないかと思いまして、この点も提案をさせていただいて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  80. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党・新緑風会、矢田わか子と申します。よろしくお願いをいたします。  今回は、特に法改正趣旨である投票環境整備を中心にお伺いをしていきたいと思います。  先ほどの委員とも少し質問が重なりますので、質問の順番を変えまして、まず最初に最低投票率の論議経過と見解についてお伺いをしていきたいと思います。  最低投票率の問題は、平成十九年の五月の憲法改正手続法の制定時にも、また平成二十六年六月の改正案審議の際にも議論となりました。この参議院の特別委員会、そして審査会でも、検討結論を出すようにと附帯決議が付けられております。最低投票率に関して、この制度を導入している諸外国もありますけれども、学説にも賛否両論があるというふうに認識をしております。一般の議員選挙や首長選挙においても五〇%を下回る、そういう投票率が頻繁に見られています。  今日、資料二を皆さんにお配りをしておりますが、国政選挙においても低下傾向になっておりまして、前回の令和元年度七月の参議院選挙です、四八・八%と、五〇%を下回るような、そんな結果にもなっています。ちなみに、さきの日曜日、二十三日に行われましたさいたま市長選挙では、いろんな事情、コロナもあったし、いろんな事情があったとはいえ、二八・七%の投票率という、そういう結果でもありました。  憲法改正に関わる国民投票においては、やはり本当は、国民皆さんに関連することなので、多くの人にやっぱり何らかの形で行っていただく努力を私たち国会議員もやっていかなくちゃいけないと思いますが、想定するに、私もそうでしたが、国会議員になるまで、本当に申し訳ない、皆様には謝らなくちゃいけないほど憲法に関して正直なところ関心も薄く、一生懸命毎日働いてきたんですけれども、憲法まで考えるような余裕もないですし、学校のときに習ったことはあっても、深く考えたことって正直ありませんでした。だけれども、今回初めてもし本当に変えていくとするのであれば、しっかりと関心を高めていく、そんな努力が要るかと思います。  賛否の判断が難しい、あるいはまたボイコット運動が展開されるというふうな可能性もある中で、もし投票率が五〇%切るような事態想定していって、この国の基本法の改正であるこうしたことについて、一定のその国民の方の信任だけで本当に決めていいのかと、そういう疑問もあります。  最低投票率について、修正案にも取り上げられていなかったんですけれども、衆議院での論議経過、そして今回でも見送られた理由について、発議者そして修正案提案者から、それぞれから御意見をいただければと思います。
  81. 船田元

    衆議院議員船田元君) 御質問ありがとうございます。  参議院におきましては、平成十九年の国民投票法制定時及び平成二十六年の同法改正のとき、二回にわたりまして今御指摘の最低投票制度に関する附帯決議が付されていたということは承知をいたしております。  この点につきまして、実はその制定時、衆参とも活発な議論がなされたわけでありますが、当時法案制度設計しておりました、自民党は私、それから公明党が斉藤鉄夫議員、そして当時の民主党の枝野幸男議員、いずれにおきましても、この最低投票率に対してはやや否定的な考え方で対応してまいりました。  理由としては、今御指摘もあったと思いますけれども、憲法九十六条が許容する以上の加重要件となる疑義があること、それからボイコット運動を誘発するおそれがあること、民意のパラドックスが生じ得ること、さらには専門的、技術的な改正の場合には必ずしも高い投票率が期待できないこともあるのではないか、こういう観点から、採用しないということで決着が付いたと、このように記憶をしております。  ただ、この後、仮に国民投票が実際に行われ、そして、そこにおいて投票率の問題などで大きな問題点が指摘をされるということであれば、立法事実に変化があったということで検討対象になり得ることは、これはあり得ると思っております。しかし、現時点においては、その立法事実に特段の変化はないということで検討の必要はない、このように考えた次第でございます。
  82. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 過去の経緯については、今、船田発議者の方から御説明があったとおりでございます。  矢田委員問題意識の、投票率は本来高い方が望ましいということについては、制定時にもいろいろ議論がございました。その一つが、先ほど磯崎委員から御質問いただいた中にありましたが、選挙のときのように、例えば、これ憲法改正国民投票ですから、賛成派、反対派の人、いろんなところで、全国でいろんな動きをすると思います。例えば、駅前でティッシュ配る人が出てくるかもしれない、飲みに行った席でおごる人も出てくるかもしれない。だけれども、そんなので一々摘発されちゃうんじゃないかとか、そういうことで萎縮しちゃいけないということが、一つは投票率の関係でいうと、先ほど答弁申し上げましたけれども、選挙との違いで、原則規制ゼロにしようではないかと、こういう議論でございました。  今、船田発議者の話に二点ほど付け加えますと、ボイコット運動自体は、日本の場合、強制投票制ではありませんから、そのことが違法だということではないんですけれども、平成の大合併のときにやっぱり最低投票率を設けて住民投票をやった自治体がありました。あるところでは、やっぱり反対派がボイコット運動というのをやって、これの問題というのは、ボイコット運動そのものというよりも、反対派の人はそもそも投票に行かない運動していますから、投票所に行って、あいつ来たということになると裏切り者みたいな話になって、これは投票の秘密に関わる、違う憲法の価値に関わる問題だという、もう一個の対立利益が出てくるというところが一つです。  あとは、最低投票率についてなんですが、国民投票というのは、講学上、憲法制定権力の発現である、リーガルに、法的な発現であると表現されることがあります。フィクションかもしれませんが、憲法制定権力というのは我々国会に立法権を負託したにすぎません。憲法制定権力が司法権を裁判所に、行政権は内閣に負託しています。つまり、言わば生みの親が憲法制定権力だとすると、今回もし発議がされて、投票がされました、それは憲法制定権力がまさに発動したケースです。にもかかわらず、立法権を負託されたにすぎない国会が、その意思を投票率が低いという理由で無視することができるというのは、論理的に私は背理ではないかと思いますので、そういった意味からも、このことについては採用するのは難しいのではないかと考えております。
  83. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  いろいろな論議も経て今そういう結論を出していらっしゃるのかもしれませんが、一方で、やはりそういうことを導入している国もありますし、ボイコットするんじゃなくて反対なら反対という意思表示をしましょうということを私はやっぱり本来やるべきではないかというふうに思いますので、引き続き是非論議を深めていただけないかというふうに思います。  続いて、CM規制についてお伺いをしていきます。  憲法改正のこの国民運動、投票運動における賛否のキャンペーンにおいては、やはり資金の差によって世論に対する影響の差が出てくることは予測されます。テレビのスポットCM規制、運動資金の上限などを設定すべきという議論が高まり、令和元年五月に、私ども国民民主党の前身である旧国民民主党は、別紙三のとおり、二〇一六年のイギリスにおけるEU離脱に関する国民投票の際の投票運動規制を参考にしまして二つの提案をしております。一つ目には、政党等によるスポットCM、ネット広告の禁止、二つ目には、運動資金の規制として、収支の透明化、そして支出限度額五億円などについての考え方を提案したということであります。参考にしていただければと思って、今日はお配りをさせていただきました。  今回の法案では、国民投票運動における広告規制、資金規制について、衆議院修正案で提出されて、第四条二号に検討事項ということで表現されておりますが、修正案提出者として、このような具体的な規制の在り方についてはどのようにお考えなのか、お答えください。
  84. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) まず、平成十八年から十九年にかけての国民投票法制定時には、投票期日前の二週間は放送CMを禁止するとともに、国民投票広報協議会による広報などの規定を用意した結果、公平、公正性は確保されるというふうに考えていたところでありますが、ただ、これは、先ほども申し上げましたけれども、民放連が自主規制をすると、スポットCM等については自主規制をするというのが前提だったんですね。ですから、その前提が壊れたということもあります。  それから、時代の進歩は、環境の変化は予想以上に激しくて、ネット社会とかあるいはグローバル化はどんどん進んでいったということで、ケンブリッジ・アナリティカの話しましたけれども、そういう例えば資金の量に飽かせて外国政府が投票に干渉するというようなことも想定される時代になってきたということで、我々としては、ここはやっぱり、憲法の要請でもありますが、民意が正しく反映されるような形で抜本的に改正すべきじゃないかということで、せっかく資料を出していただいたんですが、これ実は国会にもう出されています。当時私が提出者で、原口さんと提出者で、この中身は国会に出ているんですね、まあそれは審議されていないんですけれども。  こういった資金面からの透明化を図ろうということも我々は提出をしていますし、今回、その他の措置ということで、検討事項としてこういったところも収支の透明化、支出額を一千万円超えるものについては透明化するとか、それから投票運動の支出額の上限を定めるとか、そういったものも国民、旧党国民の中には入っていますから、検討対象となるというふうに理解をしているところであります。  以上です。
  85. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  引き続き、大事な視点だと思いますので、奥野委員は、前ももちろん、考えたときからこの党等で発議者でもあったと思いますので、引き続き検討をお願いしたいというふうに思います。  続いて、電子投票の導入の促進についてお伺いをしていきます。  選挙において、今お話もあったとおり、やっぱりインターネット投票についても以前から論議をされてきたというふうに認識をしておりますが、国民投票においても、やはり利便性向上による投票率の向上、それから在外の日本人や、今単身赴任者も増えていますし、遠隔地に住む学生もいらっしゃる中で、もう少しやはり投票の便宜図っていきたいというふうに思います。加えて、迅速な集計や投票所の設置、運営コストの削減等も見込めると思いますので、やはり電子投票のメリットは大きいと見ています。  この電子投票について、電子政府の先進国のエストニアを始め幾つかの国でも既に実施をされております。一方、やはり集計が操作される可能性だとか、選挙人の成り済まし、それからシステムへのサイバー攻撃、投票者への脅迫、票の売買、流通など、不正行為を招くという問題点も指摘されていますが、これらは技術的には解決できるというふうに思っております。  今回の修正において、検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるというふうなまた項目に挙げられていますが、この国民投票に関するインターネット等の適切な利用の確保を図るための方策について、修正案提出者から見解を求めたいと思います。
  86. 山花郁夫

    衆議院議員山花郁夫君) 今回の修正案検討項目として明記されております国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策というのは、インターネットを通じたフェイクニュースであるとかフィルターバブルなどが社会問題化する中で、表現の自由の濫用といいましょうか、国民投票運動などの公正を害するような行為をいかに防止するかという趣旨でございまして、ちょっと御指摘のような形でのインターネット投票ということを特に念頭に置いてというものではございません。  ただ、その上でなんですけれども、今日も先ほど議論がございますように、投票運動については原則自由にということで、公選法とは違う立て付けにすべきだと考えておりますけれども、投票環境投票の方法などについては基本的には公選法に並ばせております。  もし、御指摘の点が、憲法改正国民投票に固有のことで、どうしても選挙以外でこれをやらなければいけないということであれば、まさにこの場で議論するのがふさわしいことかと存じますが、選挙のところで共通するような課題であるとすると、そちらの方でしっかりとした制度設計を御議論いただいて、それをまた投票法に移行させると、こういう段取りではなかろうかと考えます。
  87. 矢田わか子

    矢田わか子君 選挙全体でも私はやっぱりインターネット投票を進めていくべきだというふうに思いますが、ただ、国民投票においては、特に今回デジタル関連法案も可決したということもありまして、やっぱり共通投票所のことを挙げていただいているとおり、余り住んでいる地域とそれから住民票がある地域と連動しなくても、国民投票を日本全国どこで投票しても余りそごがないような投票なんだと思います。どうしても一般の投票でその地域の議員を選ぶということですので、そうではないということで考えれば、やはり国民投票でまずは考えるのが先決ではないのかなということの御提案であります。  続いて、したがって、遠隔地の居住者の便宜を図るという意味での質問に入りますけれども、今申し上げたとおり、選挙区など特定しない地域で、やっぱりどこでも、どこに住んでいても、要するに住民票がないところででも投票ができるというふうにしていくために何ができるのかということの検討を是非進めていただきたいという思いであります。  先ほど申し上げたとおり、単身赴任者増えておりますし、大学に通う大学生、首都圏地区に出てきて、もう住民票置いたままというふうな方も多い中で、そういうのがやっぱり、できる仕組みはあるんですけど、わざわざ面倒くさいので、不在者ということで取り寄せてまでやらないというふうなことを考えると、先ほど来から出ている投票率を上げるためにも、このデジタル関連法案が成立した今こそ、やはりマイナンバーにひも付けされた例えば全国共通の投票入場券配付することによって、どこでも投票することができるというような仕組みができないのかということであります。  マイナンバーで顔写真による本人確認さえできれば、全国どこでも投票できるシステムというのは組めるはずなんですね。例えば、現在運用されているワクチンの接種記録システム、VRSもそうですけれども、接種会場で接種券に記載された十八桁の数字ですよね、OCRラインをタブレットの端末のカメラと専用のアプリで読み取ることによって、接種したその回数とか場所、識別するということまでできるわけですから、同様のシステムでマイナンバーカードを活用すれば、どこの投票所に行っても投票ができるはずだと思います。  デジタル元年とも言われる年に入っていますので、是非こういった検討も進めるべきと考えますが、発議者総務省からの見解をいただきたいと思います。
  88. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 未来志向の大変重要な点について御指摘をいただいたと承知をいたしております。  憲法改正に対して賛成か反対かの国民投票にいたしましても、また公選法に基づきますいわゆる選挙につきましても、私たちは引き続き二つのことについて真摯に追求をしていかなければならないと思います。  一つは、投票選挙でありますので、やはり公正であること、不正が入り込む余地を許さない、このことは絶対の要件であろうかと思います。  同時に、今先生が御指摘のように、投票人、選挙人の利便の向上ですね、投票環境整備。究極の形は、ほとんどの国民の皆さんが持っていらっしゃるスマホあるいは携帯から投票ができる、しかも、それが正確であり、二重投票の入り込む余地もないし厳正である、そういった状況が確保できるということが最も望ましい。それに向かっての電子投票制度等々、様々な提案もございますし、また努力も重ねてきたところでございます。  学生の方が、あるいはサラリーマンの方が、全国どこにいても利便性を持って国民投票ができる、こういった状況が確保できるようにお互いに努力を重ねてまいりたいと思いますし、また、先ほど山花先生が、この外形的、ことについては、選挙公選法横並び、その原則を大事にするとすれば、まず、公選法においてこの利便性向上確保の観点から、いわゆるインターネット投票の状況をまずは確保して、そういった趣旨答弁がございましたけれども、そのこともしっかり踏まえながら、委員はかつてパナソニックで活躍をされたと承知をいたしておりますが、是非御支援と御協力もいただきながら国民の期待に応えてまいりたいと思います。  どうぞよろしくお願いいたします。
  89. 森源二

    政府参考人森源二君) お尋ねの遠隔地の方の投票についてでございますが、まず、マイナンバーそのものにつきましては、法律によりましてその利用分野が限定されておりますので、現行法上、投票事務には利用できないわけでございますけれども、デジタル化の推進に当たりまして、行政機関に対する申請等の手続について原則オンライン化を進めるというふうにされております。  滞在地での不在者投票における投票用紙等の請求手続につきまして、これは名簿登録地市町村が定めるところによるものではございますが、マイナンバーカードの公的個人認証サービス等を活用したオンライン請求によることも、これは選挙における場合と同様、国民投票においても可能となるものではございます。  他方、マイナンバーカードを利用してあらかじめ投票用紙等を請求することなく全国どこでも投票できるような仕組みにつきましては、いずれの市町村選管の投票所においても投票人が既に投票していないかをリアルタイムで確認できるようにするなどの二重投票防止をどういうふうに図るのかといった課題があるものと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、投票選挙事務についても、マイナンバーカードあるいはICT等の利活用、利便性、効率性の向上に資するものでございますので、これらの事務への活用について十分検討を進めてまいりたいと存じます。
  90. 矢田わか子

    矢田わか子君 御丁寧にありがとうございました。  日本中どこにいても、投票したいと思う人が利便性高めてすぐ投票できるような仕組みについても御検討をお願いし、質問とします。
  91. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  まず、自民党の発議者伺います。  自民党の下村博文政調会長は、五月三日、自民党改憲四項目の一つである緊急事態条項に触れて、感染症拡大をその対象に加えるべきだと述べました。また、その際、今回のコロナをピンチをチャンスとして捉えるべきだと、こう述べたとも報じられております。  発議者も同じ認識でしょうか。
  92. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) この発言が報道であったということは承知をいたしております。  コロナ禍によりまして、お亡くなりになったり、また職を失われたりするなど、様々に苦痛を抱えておられる方々がいらっしゃるということを踏まえますと、与党の政策責任者の言としてはやや配慮に欠けていたと言えるかもしれません。  ただ、この発言の真意は、政治はいついかなるときも国や社会のより良い姿を模索し続けなければならないところ、現在のコロナ禍にあっても緊急事態における国の在り方がどのようにあるべきか、真摯に議論を続ける重要性を説く点にあったんではないでしょうか。  現在、まさに平時じゃなくてコロナウイルスが蔓延中の緊急事態であります。国と地方の権限、国民の行動の制限と補償、PCRの検査や医療支援体制、特措法の在り方、そういった議論の中で、この法的根拠をしっかり議論をして、憲法における緊急事態の規定のことも含めた議論国会でしっかりと関与した形で行われることが大事ではないかと、そのようなことを訴えておられたのではないかと思います。
  93. 山添拓

    ○山添拓君 やや配慮に欠けるどころの話じゃないですよ。  そして、それは、政策責任者である下村氏と憲法審査会の現場で審議に臨んでおられる発議者の皆さんとでは、異なる認識で進めてきたということになるんでしょうか。  これ、やや配慮に欠けるどころではなくて、こういう発言は不謹慎だと、こう認めるべきじゃありませんか。
  94. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) まさに今コロナによっていろんな対応をされている中でありますが、我が党はもう既に憲法改正議論の中で緊急事態における国の在り方についてのイメージを党でまとめて発表しております。  まさに、どのような対応がしっかりできるかというのは、やっぱり政策責任者としては国民の中で問題提起をして議論をして当然のことじゃないかと思います。
  95. 山添拓

    ○山添拓君 コロナ対応が今うまくいっていないのは、憲法に緊急事態条項がないからではありません。やはりワクチンの大規模接種や大規模検査や、あるいは十分な補償や医療への支援や、あるいは東京オリンピックの中止、これ、やるべきことをやっていないということが最大の問題であります。  続けて、発議者伺いますが、日経新聞とテレビ東京が毎月行っている世論調査は、政権に期待する政策は何かを問うています。直近の調査で、優先的な政策課題として憲法改正を選んだのは八%でした。数年間遡っても、おおむねこの程度です。コロナの前も今もです。  改憲は政治の優先課題として求められていない、このことはお認めですか。
  96. 船田元

    衆議院議員船田元君) ただいまの山添議員の御質問でございますが、私どもは、国民世論がなかなか、憲法改正についてその必要性を認める、その順位がなかなか上がっていかないということは一つの大きな反省点だと思っております。  我々としては、やはり国会憲法に関する議論を活性化させて、そのことにより国民の皆様の憲法に対する関心を高めるという、こういう大きな役割を持っておりますが、まだ十分ではないということにじくじたる思いをしております。  また、やはり我々は、そういった国民世論はもちろん大事にしなければいけませんけれども、同時に、国会の責任として、やはり憲法について我々の国民としての意思をどのように表現するか、あるいは現行の憲法においてどういう点を直すべきなのか、また直さないべきなのか、こういうことについて国民の意思を測っていくという点では、憲法に対する民主主義を高める、こういう大変大事な役割を担っておりますので、我々は国民世論を高めると同時に、我々自身の憲法論議をしっかりと進めることが国会議員の責務であると、このように考えて従事しておる次第でございます。
  97. 山添拓

    ○山添拓君 今、反省すべきだとおっしゃいましたけれども、反省するべきは改憲ありきで議論を進めるというその姿勢だと思います。  例えば、朝日新聞の世論調査では、今指摘のあった緊急事態条項、これ、今の憲法を変えずに対応する、あるいは変える必要はない、合計六〇%です。読売新聞では、憲法改正して政府の責務や権限に関する規定を条文に明記すべきだというのが五九%を占めていますが、しかし、これについて読売新聞の評価は、政府のコロナ対策への不満が、現状の対応では限界があるとの認識につながっているようだとしています。  先ほど紹介した日経、テレ東の四月の調査では、優先してほしい政策課題としてコロナ対策を挙げた人が七割でした。当然だと思うんです。目の前の命と暮らしを守ることができていない、その状況の下で、ピンチをチャンスにと言って改憲論議を急ぐ、これは火事場泥棒と言われても仕方ないと言わなければなりません。  そもそも、安倍、菅政権の下では、改憲を論じる前提を欠くのではないかという点も指摘したいと思います。  二〇一四年六月、改憲手続法、今日も審議しております国民投票法改定が強行された際、参議院の附帯決議の第四項は、政府が自由に憲法解釈を変更できるものではないとしていました。にもかかわらず、安倍政権は、直後の翌七月、集団的自衛権の行使は認めないとしてきた憲法九条の解釈を百八十度転換する閣議決定を行い、翌二〇一五年、安保法制、戦争法を強行しました。  日本共産党は附帯決議にも反対しましたが、これ与党は賛成されたものです。附帯決議を踏まえずに政府が違憲の解釈変更を強行したことについて、発議者はどのような御認識でしょうか。
  98. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 憲法をいかに考えるかということでございますが、これにつきましては、国会衆参両方でもう百時間以上審議をして、法律議論をして成立に至ったということでございますので、政府が独走してその思いどおり解釈を変えてしまったということでなくて、国会議論をして、その合意の下に変更したということです。
  99. 山添拓

    ○山添拓君 閣議決定による解釈変更は、国会審議の前なんですよね。それを先にやったということで、安保法制の違憲訴訟では、元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏が証言しています。集団的自衛権の容認部分は、憲法九条との関係で両立しないものであって、それは一見明白に違憲という域に達していると述べています。これ、元内閣法制局長官の証言です。違憲の解釈変更であることは明らかです。  こうして解釈変更による、解釈改憲による九条の破壊が今や極限にまで達して、憲法との整合性をどうにも説明が付かなくなり、今度は明文改憲まで進めようとしているわけです。  続いて、自民党の発議者伺います。  菅首相は、五月三日、改憲派の集会にメッセージを寄せて、国民投票法改定案に言及し、憲法改正議論の最初の一歩として成立を目指さなければならないと述べました。  発議者はこの点で同じ認識でしょうか。
  100. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 第一歩というのは緊急事態のことですか。(発言する者あり)あっ、これは手続法でありますので、より厳正な国民投票の中で、この憲法改正がしっかりと国民の合意の下に行われるという、非常にこれはこの土台の部分で、これこそやっぱり憲法改正の一番大事な部分じゃないでしょうか。
  101. 山添拓

    ○山添拓君 この国民投票法改正案憲法改正議論の最初の一歩だというのが菅首相のメッセージですが、同じ認識ですか。
  102. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 衆議院審査会の現場におきましても、こういった憲法本体議論とこの国民投票議論と両方議論をしておりますが、その中でも、やはりこの大前提として、国民投票法における改正の手続、これをしっかりしたものにするべきだということで、こちらを優先して審議をしていったというのは事実でございます。
  103. 山添拓

    ○山添拓君 つまり、最初の一歩であり、この法案は改憲論議を進めるための呼び水であると、そういうことをお認めになるわけですか。元々、行政府の長である首相が国会に対して改憲論議をあおること自体憲法尊重擁護義務に反するやり方であったと思います。  安倍首相は退任時に、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと述べました。菅首相も訪米中のインタビューで、現状では非常に難しいと認めなければならないと、政権考えで簡単に変えられるようなものではないと認めるに至っています。  改憲そのものが求められていないと、それは歴代の首相が、まあ安倍首相、菅首相が認めていることですけれども、それでも改憲論議を進めようと思い、その最初の一歩としてこの法案発議した、提出したということなんですか。
  104. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) そうではありません。この憲法については様々な意見もあるし、課題もありますけど、それを行う前提として、きちんとした形で憲法改正が行われると。法案の方も与野党議論して、より多くの国民に参加をして、できるだけ幅広く合意が得られるような手続をということで、この憲法改正の手続法ですね、これを審議をしてきたということです。  それから、その第一歩とか言いますけど、様々な項目が今憲法議論しなきゃいけないことがあるんですね。その中で、緊急事態も、世界中見ても緊急事態のない国というのはほとんどありません。やっぱり平時じゃなくて緊急に対応しなきゃいけない場合に、まるで政府が独走するようなこと言われますけど、これ、ちゃんと国会が関与して、シビリアンコントロールではありませんが、政府を見張るわけです。その期間中にきちんと対応できるというようなことも必要でありますので、そういうことも是非改正課題の一つとしては捉えていくべきではないかと思います。たくさんそういった課題というのはあるということを申し上げたいと思います。
  105. 山添拓

    ○山添拓君 この総理の発言を引いて私は最初の一歩ということを述べたんですけれども、そうではないということを発議者今述べられました。総理の考えと自民党の現場で審議に臨んでいる方の考えが違う下で行われているということになるのかと、これも指摘しなければならないと思います。  国民投票法には、二〇〇七年の制定時に参議院で十八項目の附帯決議が付され、一四年の改定時には二十項目の附帯決議が付されました。公務員や教育者の国民投票運動の在り方や、最低投票率、CM規制など、改憲国民投票の根幹に関わる事項について検討を求める条項もありました。  先ほど最低投票率についてはお話がありましたが、それ以外にも検討を求める条項あったわけですね。これらは参議院が求めたものです。附帯決議の中で求めた内容です。  ところが、その多くが今度の法案では検討が加えられておりません。それはなぜでしょうか。
  106. 船田元

    衆議院議員船田元君) ただいま山添議員お話しになりました点でありますが、衆議院における本法案質疑を通じまして、国民投票法には大きく分けて二つ部分があるということが明確になりました。  すなわち、国民投票法は、投票環境整備など投開票に関わる外的事項外形的事項、それから国民投票運動に係るCM規制などに代表される投票の質に関する部分から構成されている。この今回の七項目改正案につきましては、投票環境向上という投開票に関わる外形的事項について公選法に合わせてアップデートするというものでございます。  これに対しまして、御指摘の公務員の国民投票運動、それから、先ほど議論ありましたが、最低投票率、それからCM規制、こういう項目については、投票の質に関わる、そういう部分でございますので、これは今後、大いに衆参両院の憲法審査会において議論すべき重要な課題であるということで取り組むべきものと思っております。
  107. 山添拓

    ○山添拓君 つまり、本院が附帯決議で求めた内容について投票の質に関わるものだという整理をされましたが、その点についての議論検討は後回しにし、これ避けて通れない議論のはずですが、後回しにした欠陥法案として出してきたということになります。  修正案の提出者に伺います。  衆議院における修正によって、附則の第四条を追加されました。そのことによって、今答弁があったような欠陥については解消されたのでしょうか。欠陥を抱えたままであることを確認したというのがこの修正意味なのでしょうか。  加えて、修正案附則第四条第二号は、国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項について、施行後三年を目途とする措置対象としています。  その他必要な事項とは何でしょうか。
  108. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) 先ほど来申していますが、国民主権ですから、憲法改正の場合はできるだけ多くの国民投票に参加をして、そしてその民意が公平公正に反映されるような手続でなきゃいけないということでありまして、制定時はそこも十分考えられていたと思いますが、先ほど来申し上げているように、民放連の自主規制ができなかったり、あるいはネット社会の発達とか様々な要素が加わってきて、今はそうした憲法の要請である民意が適切に反映されるかとか、より多くの人が参加できるかというところで、この国民投票法には問題があるというふうに認識をしていると。  ただし、更に我々が懸念をしているのは、七項目だけ終わって、先ほど来も皆さん四項目とか憲法議論に前のめりなんですが、憲法議論しちゃいかぬというわけじゃないんですが、それをやりたいがために、こうした根本的な問題ですよね、国民投票法の根本的な問題、民意が適切に反映されないというようなところをおろそかにして先に進んでしまうんじゃないかということを我々は懸念をしているので、こういう修正案を付してきちんと検討するように国会に、国に義務付けたというところであります。そういう意味で、こういった問題点があるということを認め、更にそれを解消しようということを義務付けているという条項であります。  じゃ、具体的に何を指すのかと、その他必要な事項というのは何を指すのかということでありますが、もちろん、その例示として挙がっているCM規制だったり資金規制だったりネットの適正利用というのが代表的な例でありますが、それにこだわるわけではなくて、ハウス、先ほど附帯決議の話もありましたが、ハウスの中でそういう議論があれば、それについても当然議論をしてより良い国民投票法にするということを求めている規定だということであります。
  109. 山添拓

    ○山添拓君 確認ですけれども、国民投票の公平公正の確保という点では、附則で明記されている公選法並びの二項目CM規制、運動資金の規制、ネット規制以外にも、二〇〇七年の制定時や一四年の改定時に附帯決議で求められていた公務員の国民投票運動の在り方や最低投票率についてもここでいう検討対象には含まれると、そういうことですか。
  110. 奥野総一郎

    衆議院議員奥野総一郎君) それぞれのハウスが考えられることですから、ここで全てそれは含まれるというわけではありませんが、あくまで例示ですから、必要だとハウスが判断すればそういう議論になるということだと思います。
  111. 山添拓

    ○山添拓君 こうして必要な議論がまだまだ積み残された状態のままだということを示した状態でこの法案参議院に送られてきました。  改めて発議者伺いますが、こうした検討が不可欠な課題を置き去りにして、今国会でどうしても成立を急ぐ理由は何ですか。
  112. 逢沢一郎

    衆議院議員逢沢一郎君) 御承知のように、衆議院憲法審査会質疑の段階で立憲民主党から修正案が提出をされ、修正議決の形で本法律案参議院に送付をされ、今現在、参議院憲法審査会質疑を行っていただいているところであります。  今日が実質的な質疑の初日でございます。林会長始め幹事の先生方が今後どのようにこの審査会の日程を考えられるか、また、そのことは十二分に議論をいただけるものというふうに承知をいたしております。  私自身は本法律案の提出者でございます。提出者の立場からいたしますと、衆議院の段階で修正議決、より多くの政党会派の皆様から賛成をいただく形で今まさに参議院でスタートを切ったわけでございます。十二分に審議をいただき、速やかに採決をしていただきたい、それが提出者の本意でございます。  どうぞ御理解を賜りますようによろしくお願いをいたします。
  113. 山添拓

    ○山添拓君 急ぐ理由については答弁がありませんでした。理由はありません。欠陥があるのなら出し直すのが筋であります。このまま押し通すのは断固反対だということを申し上げて、質問を終わります。
  114. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美であります。  提出者の皆様、また委員の皆様、大変お疲れさまでございます。五分以上席を立たれる方がどなたもいらっしゃらないという、大変すごい審査会だなと感激をいたしました。  さて、この修正案でありますが、三年前に国会に出されて、正直相当古くなってしまっていますね。この間、国会の不作為というのはありまして、この三年間、世の中は激動ですよ。平成から令和に変わり、そして、人類の歴史を変えるかもしれないゲームチェンジャーの新型コロナが現れ、日本では今インド株というのは大変少ないわけでありますが、いずれこれが第五波に参りますと、イギリス株よりも圧倒的多数になると、そういうことすら予想されるわけであります。  そうすると、世の中どういう動きになってくるかというと、リモートですね。国会は、御案内のとおり、大変密であります。しかし、日本も遅ればせながら、デジタルトランスフォーメーション、DX始めました。デジタル庁も今年にはスタートをいたしますね。  そうした中で、ネットというのは、今の若い人たちにとっては、小学生の頃からメディアリテラシー教育を受けている人たちも結構いるんですね、ネットがリアルである。つまり、バーチャルの世界ではなくてリアルの世界の中にネットがあるという体験を持っている若い人は結構いるんですよ。そういう人に、まあ大変御苦労されたこういう修正案、聞くと、何でこの中にネット投票というのがないんですか、必ず聞かれるんですよ。  まあ大変御苦労をされて今日まで来られたんだと思いますけど、この企画立案の過程で、あるいは三年間、国会の不作為の中でネット投票の解禁という議論はなかったんでしょうか。なかったんだとすれば、何が理由でなかったんでしょうか。また、ネット投票なんか解禁できないよというんであれば、どういう理由で解禁できないのでありましょうか。ネットに大変お詳しい船田先生にお聞きをしたいと思います。
  115. 船田元

    衆議院議員船田元君) 渡辺議員から大変適切な御質問いただき、ありがとうございました。  御指摘のネット投票につきましては、残念ながら今回の私どもの検討対象にはならなかったわけであります。  いろんな理由はございますけれども、私個人としては、ネット投票は、投票環境向上という観点からすれば、場所、時間を問わず投票ができるということでありますので、投票環境の飛躍的な向上が期待できる、これは御指摘のとおりだと思っております。  しかし一方で、ネット投票におきましては、セキュリティーの脆弱性、それから本人の確認あるいはまた成り済ましなど、投票の公平性あるいは公正性を確保するという点ではなかなかまだ課題が多い、このように思っております。  今後、私どもとしても、国民投票の公正確保、そして投票環境向上という点にバランスを取りながら、渡辺委員御指摘のような方向で慎重にかつ前向きに議論していくべきだと、こう思っております。
  116. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 大体、こういう非常事態にあるときというのは、次の未来を先取りするということがどの国でもどの時代でも行われているんですよ。まあこういうときに次の時代を先取りする、それ、国民投票をネット投票でやるなんというのはその最たるものだと思いますよ。マイナンバーもどんどんこれから普及していくでありましょうからね。  今、船田先生が御指摘になられた成り済ましとか公正さに欠けるとか、それから、何ですか、セキュリティーの問題ですか、そういうものはマイナンバーカードを使うことによって相当これは、そういう理由は成り立たないということが明らかになってくるんではないでしょうか。  これ、問題提起としてこれは真剣に考えていただきたいと思いますし、また、この委員会、頻繁に開くんであれば、こういうテーマも是非取り上げていただきたいなと思うのであります。  先ほど来、ケンブリッジ・アナリティカの話があります。私も、あのネトフリオリジナルドキュメンタリー、「グレート・ハック」、一時間五十分番組ですか、見ました。なかなか面白いですよ。ブリタニー・カイザーという元開発部長、この方は女性なんですけどね、を追った、ドキュメンタリーでよくこんな番組作れるなと思うぐらいに面白いものでありました。  実は、このブリタニー・カイザー女史が告発をする前の話がありましてね。それは、クリストファー・ワイラーという当時二十六歳のデータサイエンティストが、フェイスブック情報、作家の橘玲さんによると八千七百万人分ですか、そういうものをこのクリストファー・ワイラー氏が不正に持ち出して、それを新会社つくって、イギリスのEU離脱運動やっている人とかトランプ陣営に売り込みに入ったと。当然、それは法的紛争になり、この構想は潰れるわけですね。そこで、クリストファー・ワイラー氏がガーディアン紙にこの情報を持ち込むと、そこから始まっているんですよ。  フェイスブックの情報というのは、当時、お友達API、アプリケーション・プログラミング・インターフェース、これを使ってお友達の情報まで取れちゃうと、そういう状況だったんですね。フェイスブックは二〇一五年にこのことを禁止しております。したがって、その前の話であると、それ、ルールにのっとった話なんじゃないかという議論も出てきたりするんですね。  で、このケンブリッジ・アナリティカ、どういう手法で広告を打ったか。ターゲティング広告というやつですよ。要は、簡単に言えば、三十二通りぐらいの性格分類をつくると。もうこの人は協調性が高いとか、いろんなその性格分類を使って、そういうターゲットを狙って効果の高い広告を打っていくということなんですね。それが非常に効果的だったということをカイザー女史は言っているわけでありますが、これ、この効果については諸説あるところであります。  日本では、ではお尋ねいたしますけれども、個人情報保護法というのがあって、ネット広告において個人情報を違法に収集するなんてことは、これ法律違反になるわけですよ。そして、風説の流布、虚偽の風説を流布するといえば、これまた別の犯罪になっていくわけでありまして、国民投票の運動の広告の規制というのがまず最初にあるんではなくて、こういう個人情報保護法とかその他もろもろの規制がまずあってしかるべきだと思うんですね。  ですから、先ほど来御議論がありますように、国民運動というのはできる限り自由にやるべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。二の①です。
  117. 船田元

    衆議院議員船田元君) 大変、ネット広告あるいはネットの様々な先端的なお話をいただき、ありがとうございました。  基本的には、やはり我が国においては、個人情報保護法、あるいは場合によっては刑法などの現行法によって、このような個人情報の違法な収集あるいは虚偽風説の流布の問題などで対処できる部分もある、このように思っております。  ただ、私はやはり、今の先生御指摘のこのターゲティング広告であるとか、あるいは例のケンブリッジ・アナリティカ社の様々なブレグジットに与えた影響、あるいはトランプ大統領が選ばれるときの大統領選挙に与えた影響、そういったものを考えると、このようなネット社会において我々が知らないうちに自分自身の情報が提供され、また、それに適した広告やあるいは勧誘ということが行われて、我々が気が付かないうちに情報が操作される、あるいは世論が操作されるということもないことではない、このように思っております。  この点、私は衆議院審議会の中で申し上げたんですが、表現の自由という言葉はありますけれども、表現の自由は今まで国家の介入を排除するという国家からの自由という側面が強調されておりましたけれども、もう一つの側面として、多様な情報が流通することを国家が確保する義務が生じているんじゃないか。つまり、国家によるこの表現の自由という側面もあるのじゃないか、こう考えておりまして、その両方の側面において私は手当てをきちんとしていくということが大事だと思っております。  ただやはり、この我々の国民投票運動原則自由であると、こういうことからしますと、その最初に申し上げたような、ネット広告等において余り大きな規制を掛けるということは、これはやはり慎重に対応しなければいけない、このように思っております。
  118. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 今の御答弁はもうごもっともな話なんですが、まあ政治の世界で人を動かす原理というのは三つなんですよ。脅し、利益の供与、そしてシンボルの操作、象徴の操作というやつですね。例えば、脅しと象徴の操作、組み合わせるとどんな感じになるか。今、大量の国債を発行している。そうすると、これはいずれインフレになって、最悪の場合預金口座が封鎖され、強制的に預金が切り捨てられる、日本の財政は危機的な状況だ。まあ、こういう脅しとシンボルの操作というのはよく行われる。まあ私に言わせれば、こんなことはホラー小説みたいなものですよ。  そのために、限度、つまり国債発行の限度というのはどこにあるかというと、インフレターゲットなんですよ。インフレにならなくて困っているわけですから、一方、需要がなくて困っているわけですからね、国が国債を発行するのは当たり前の話なんです。  そういうその脅しとか利益の供与とかシンボルの操作ということが行われるこの世界で昔から言われていたのは、選挙というのはやりや鉄砲を使わない戦みたいなものだ。船田先生も政治家になって久しいですから、こんな話は何度も聞かされたと思うんですね。選挙は科学だということも聞かされてきた。そうすると、古き良き時代だったらいいが、今このネットのその手法が、非常にアルゴリズムや人工知能を使って精緻になってきたと。  先ほども若干言及されましたけれども、サイコグラフィックとかマイクロターゲティング広告というのは、これはその世界ではごく普通に今行われているんですね。それが政治の世界で政治運動に使われると、これは憲法で言う、その憲法効力の私人間の問題になってくるかとは思いますけれども、内心の自由を侵害することになるのか、あるいは情報を発信する側からの表現の自由というのは一体どうなんだ、その辺りはどう整理されるでしょうか。
  119. 船田元

    衆議院議員船田元君) ネットの社会が大変速いスピードで行っております。我々もなかなかそれに追い付くということができない。そして今、渡辺委員御指摘のような情報操作あるいは世論操作、こういったものもかなり容易にできるような、そういう状況にあります。一方で、表現の自由だとか思想の自由ということがあります。常に我々は、この表現の自由と、それからやはり公正さ、公平性、そういったものとのはざまにいるわけでありまして、そのどちらに焦点を当てるかという問題であるよりも、やはり両方のバランスを取っていくということが極めて重要であります。  ただ、バランスを取るといっても、その一方が非常に速いスピードで走っていってしまいますので、そういったものに何とか追い付くのには、やはり我々の様々な知見やあるいはその能力を高めておく必要があると、このように思っておりまして、こういう問題もCM規制と同様に、あるいはそれ以上に重要な課題として、これから我々憲法審議会でしっかり議論していくべきものだと思っておりますので、この御指摘、しっかりと踏まえて検討していきたいと思います。
  120. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 まあとにかく憲法改正国民運動というのはできる限り自由にやるべき、最初にこの国民投票法案を企画立案に携わった山花先生もそうおっしゃっていましたよね。私もそう思いますよ。  ですから、こういうマインドコントロールとか、知らず知らずのうちに操作されているとか、こういうことを回避をするためには、まず世の中が平穏であると。つまり、大変不安心理に襲われてしまうなどということになりますと、昔エーリッヒ・フロムが分析した「自由からの逃走」というやつですよ。ワイマール共和国から合法的に何でナチス政権ができたんだと、フロムは不安心理のなせる業という分析をしておりますが。  今、若い人にとってメディアというのは、ネットメディアというのはもうリアルの世界。だとすれば、このメディアリテラシー、ネットのメディアリテラシーを高めるということが非常に大事なことになってまいりますが、メディアリテラシーの高い船田先生はどうお考えになるでしょうか。
  121. 船田元

    衆議院議員船田元君) 先ほど来、私の能力について買いかぶったお話をいただきまして、ありがとうございました。  SNSの不適切な利用とかフェイクニュース、プロファイリング、こういったことが問題視をされております。こういうものに適切に対応していくためには、やはり利用者、国民のネットリテラシーの向上が何よりも重要だと思っています。  ただ、現在行われている教育あるいは研修の現場では、このリテラシー教育というと大体SNSのリスクとかあるいはセキュリティーに関するものが多くて、例えば、SNSやネットニュースをどのように扱っていくのか、その真贋の目を養うというようなこと、あるいはSNSの中でどう自分自身が振る舞っていくべきなのか、こういったことについてなかなか教えられる環境にないという状況にあります。  我々は、学校教育の現場も含めて本当の意味のリテラシー教育、それは、どううまくSNSを使っていくか、あるいはSNSなどによる情報の操作に巻き込まれないで自分自身の考え方をしっかりと持っていくのか、そういうことまで身に付けさせるということが大変重要でありますので、学校教育も含めてしっかりと対応すべきだと思っております。
  122. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 私自身も反省すべきなのは、例のプライバシーポリシーというのは、よく読んでから同意をするということが大事なことではないでしょうか。  以上、終わります。
  123. 林芳正

    会長林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十三分散会