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2021-02-22 第204回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年二月二十二日(月曜日)     午前八時五十六分開議  出席委員    委員長 金田 勝年君    理事 後藤 茂之君 理事 齋藤  健君    理事 橋本  岳君 理事 藤原  崇君    理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君    理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君    理事 浜地 雅一君       青山 周平君    秋葉 賢也君       秋本 真利君    伊藤 達也君       石破  茂君    今村 雅弘君       岩屋  毅君   うえの賢一郎君       上杉謙太郎君    上野 宏史君       江藤  拓君    衛藤征士郎君       小倉 將信君    神山 佐市君       河村 建夫君    北村 誠吾君       佐々木 紀君    佐藤 明男君       菅原 一秀君    鈴木 馨祐君       鈴木 憲和君    田中 和徳君       武村 展英君    冨樫 博之君       額賀福志郎君    根本  匠君       野田  毅君    原田 義昭君       福田 達夫君    古屋 圭司君       村井 英樹君    山下 貴司君       山本 幸三君    山本 有二君       渡辺 博道君    伊藤 俊輔君       池田 真紀君    石川 香織君       今井 雅人君    尾辻かな子君       大串 博志君    大西 健介君       逢坂 誠二君    岡田 克也君       岡本 充功君    神谷  裕君       川内 博史君    菅  直人君       玄葉光一郎君    後藤 祐一君       櫻井  周君    重徳 和彦君       中谷 一馬君    長尾 秀樹君       広田  一君    本多 平直君       松尾 明弘君    松田  功君       森田 俊和君    森山 浩行君       山川百合子君    山崎  誠君       早稲田夕季君    太田 昌孝君       斉藤 鉄夫君    濱村  進君       桝屋 敬悟君    高橋千鶴子君       藤野 保史君    宮本  徹君       杉本 和巳君    藤田 文武君       西岡 秀子君    古川 元久君     …………………………………    内閣総理大臣       菅  義偉君    財務大臣         麻生 太郎君    総務大臣         武田 良太君    外務大臣         茂木 敏充君    厚生労働大臣       田村 憲久君    農林水産大臣       野上浩太郎君    経済産業大臣       梶山 弘志君    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    環境大臣         小泉進次郎君    防衛大臣         岸  信夫君    国務大臣    (復興大臣)       平沢 勝栄君    国務大臣    (国家公安委員会委員長)    (防災担当)       小此木八郎君    国務大臣         坂本 哲志君    国務大臣    (経済財政政策担当)   西村 康稔君    国務大臣         平井 卓也君    国務大臣         丸川 珠代君    財務副大臣        伊藤  渉君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  松田 浩樹君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  松本 裕之君    政府参考人    (内閣官房領土主権対策企画調整室土地調査検討室長)           中尾  睦君    政府参考人    (国家公務員倫理審査会事務局長)         荒井 仁志君    政府参考人    (警察庁生活安全局長)  小田部耕治君    政府参考人    (総務省大臣官房長)   原  邦彰君    政府参考人    (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       小野 啓一君    政府参考人    (外務省アジア大洋局長)            船越 健裕君    政府参考人    (外務省国際法局長)   岡野 正敬君    政府参考人    (文部科学省総合教育政策局長)          義本 博司君    政府参考人    (厚生労働省健康局長)  正林 督章君    政府参考人    (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君    政府参考人    (厚生労働省社会援護局長)           橋本 泰宏君    政府参考人    (農林水産省大臣官房長) 横山  紳君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         青山 豊久君    政府参考人    (農林水産省大臣官房審議官)           伏見 啓二君    政府参考人    (農林水産省食料産業局長)            太田 豊彦君    政府参考人    (農林水産省生産局長)  水田 正和君    政府参考人    (農林水産省経営局長)  光吉  一君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君    政府参考人    (農林水産技術会議事務局長)           菱沼 義久君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           萩原 崇弘君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局長)        井上 智夫君    政府参考人    (海上保安庁長官)    奥島 高弘君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    政府参考人    (防衛省統合幕僚監部総括官)           加野 幸司君    参考人    (総務審議官)      谷脇 康彦君    参考人    (総務審議官)      吉田 眞人君    参考人    (総務省大臣官房付)   秋本 芳徳君    参考人    (総務省大臣官房付)   湯本 博信君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            小早川智明君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   秋本 真利君     青山 周平君   石破  茂君     冨樫 博之君   岩屋  毅君     鈴木 馨祐君   うえの賢一郎君    武村 展英君   北村 誠吾君     上杉謙太郎君   佐々木 紀君     額賀福志郎君   根本  匠君     鈴木 憲和君   村井 英樹君     佐藤 明男君   山本 有二君     山下 貴司君   大西 健介君     重徳 和彦君   逢坂 誠二君     山崎  誠君   岡田 克也君     大串 博志君   岡本 充功君     長尾 秀樹君   川内 博史君     菅  直人君   玄葉光一郎君     松尾 明弘君   本多 平直君     櫻井  周君   森山 浩行君     広田  一君   太田 昌孝君     桝屋 敬悟君   濱村  進君     斉藤 鉄夫君   宮本  徹君     高橋千鶴子君   藤田 文武君     杉本 和巳君   西岡 秀子君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   青山 周平君     秋本 真利君   上杉謙太郎君     北村 誠吾君   佐藤 明男君     福田 達夫君   鈴木 馨祐君     岩屋  毅君   鈴木 憲和君     根本  匠君   武村 展英君     うえの賢一郎君   冨樫 博之君     石破  茂君   額賀福志郎君     上野 宏史君   山下 貴司君     山本 有二君   大串 博志君     岡田 克也君   菅  直人君     川内 博史君   櫻井  周君     本多 平直君   重徳 和彦君     大西 健介君   長尾 秀樹君     山川百合子君   広田  一君     森山 浩行君   松尾 明弘君     中谷 一馬君   山崎  誠君     逢坂 誠二君   斉藤 鉄夫君     濱村  進君   桝屋 敬悟君     太田 昌孝君   高橋千鶴子君     宮本  徹君   杉本 和巳君     藤田 文武君   古川 元久君     西岡 秀子君 同日  辞任         補欠選任   上野 宏史君     佐々木 紀君   福田 達夫君     村井 英樹君   中谷 一馬君     伊藤 俊輔君   山川百合子君     松田  功君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 俊輔君     早稲田夕季君   松田  功君     石川 香織君 同日  辞任         補欠選任   石川 香織君     神谷  裕君   早稲田夕季君     尾辻かな子君 同日  辞任         補欠選任   尾辻かな子君     池田 真紀君   神谷  裕君     森田 俊和君 同日  辞任         補欠選任   池田 真紀君     玄葉光一郎君   森田 俊和君     岡本 充功君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件  分科会における政府参考人出頭要求に関する件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 金田勝年

    金田委員長 これより会議を開きます。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算令和三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。  令和三年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所会計検査院内閣内閣府、復興庁防衛省所管及び他の分科会所管以外の事項  第二分科会は、総務省所管  第三分科会は、法務省、外務省財務省所管  第四分科会は、文部科学省所管  第五分科会は、厚生労働省所管  第六分科会は、農林水産省環境省所管  第七分科会は、経済産業省所管  第八分科会は、国土交通省所管 以上のとおりとし、来る二月二十五日及び二十六日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、分科会分科員の配置及び主査選任、また、委員異動に伴う分科員補欠選任並びに主査辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明要求がありました場合は、これを承認することとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 金田勝年

    金田委員長 次に、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、参考人として総務審議官谷脇康彦君、総務審議官吉田眞人君、総務省大臣官房付秋本芳徳君、総務省大臣官房付湯本博信君、東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長小早川智明君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官松田浩樹君、内閣官房内閣審議官松本裕之君、内閣官房領土主権対策企画調整室土地調査検討室長中尾睦君、国家公務員倫理審査会事務局長荒井仁志君、警察庁生活安全局長小田部耕治君、総務省大臣官房長原邦彰君、外務省大臣官房地球規模課題審議官小野啓一君、外務省アジア大洋局長船越健裕君、外務省国際法局長岡野正敬君、文部科学省総合教育政策局長義本博司君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省社会援護局長橋本泰宏君、農林水産省大臣官房長横山紳君、農林水産省大臣官房総括審議官青山豊久君、農林水産省大臣官房審議官伏見啓二君、農林水産省食料産業局長太田豊彦君、農林水産省生産局長水田正和君、農林水産省経営局長光吉一君、農林水産省農村振興局長牧幸司君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、経済産業省大臣官房審議官萩原崇弘君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、資源エネルギー庁長官保坂伸君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、国土交通省水管理国土保全局長井上智夫君、海上保安庁長官奥高弘君、防衛省防衛政策局長岡真臣君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛省統合幕僚監部総括官加野幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  9. 金田勝年

    金田委員長 本日は、経済情勢グリーン社会実現等内外の諸課題についての集中審議を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。
  10. 額賀福志郎

    額賀委員 おはようございます。  御紹介をいただきました自民党の額賀福志郎でございます。  まず、コロナ感染でお亡くなりになられました皆さん方に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、罹患された全ての方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。  先週からワクチン接種がスタートいたしました。私たちは、今後、政府与党一体となって、菅首相を先頭に、コロナ対策に一層の奮闘をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  それではまず、質疑に入らせていただきます。  二十世紀の終わり頃に、アメリカ政治学者サミュエル・ハンチントンが、日本は、キリスト教文明でもない、イスラム文明でもない、中華文明でもない、日本はどの文明にも属さない日本文明であると喝破したことがありました。私は、この日本文明論の底流には、日本人にとって、人間と自然というものは常に無限の相互依存関係にあって、その延長線上に人間と自然の共生思想がある、それが日本人日常生活日本人の心に息づいているのだ、そういう見方をしていると思っております。  今、地球温暖化対策が、世界中のどの国もカーボンニュートラル実現しなければならないと思っているときに、私たちは、この自然との共生思想、こういうものをもっと大声で世界に発信してもいいのではないかと思っております。これが世界に広まっていけば、カーボンニュートラル地球環境は守られていくのではないだろうか、そう思っております。  私は、今、自由民主党の総合エネルギー戦略調査会の会長を仰せつかっておりますけれども、昨年の四月頃から、世界の流れもありまして、エネルギー基本計画につきまして、ゼロからやり直すというスタンスで勉強してまいりました。菅総理カーボンニュートラル宣言をしたとき、本当のことを言ってびっくりしたんです。しかし、私たちも、国民の圧倒的な多数の皆さん方が、菅総理の決断をよしとして高い評価をしております。国際的にも、グテーレス国連事務総長とかイギリスのジョンソン首相など世界のリーダーが菅総理の発言を支持し、そして感謝のメッセージを送ってくれています。  ここで、菅総理に、カーボンニュートラル宣言の狙いとその意義、実現に向けた決意につきまして、その思いと覚悟を持って国民皆さん方に発していただきたいと思います。よろしくお願いします。
  11. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 地球温暖化問題というのは、元々は、産業革命以降、化石燃料消費をして経済成長を遂げてきた、そうした結果の表れではないかというふうに思っています。  近年、世界各地で、これまでになかったような豪雨、記録的な猛暑、こうしたものが頻繁に発生をし、洪水や山火事など被害の増加、こうしたものが懸念をされております。このため、国際社会温暖化対策に取り組み、脱炭素、こうしたことを進めるという機運が高まっている中、こうした状況の中で、これまで我が国カーボンニュートラルに踏み切ることができませんでした。  しかし、私は、我が国経済成長が、経済が再び成長していく大きな柱の一つがグリーンであり、環境対策というのは経済の制約ではなくて次の成長の原動力になる、こういう考え方から、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言しました。これによって、産業界も革新的なイノベーションに向けて果敢に挑戦していただけるのではないかと考えています。  この挑戦の目標を示すのがグリーン成長戦略であり、洋上風力だとか水素、こうしたものなど十四の重要分野実行計画を取りまとめ、そして二兆円の基金や税制、規制改革、新技術を普及させるための標準化国際連携など、まさにあらゆる施策を総動員をして民間企業の大胆な投資とイノベーションを促していく、産業構造の転換と力強い成長を生み出していきたいというふうに思います。  先般のG7のテレビの首脳会談の中でも、最初にこの問題が、日本含めて全ての加盟国カーボンニュートラルになった、そこからスタートもいたしました。  さらに、民間企業地域社会における様々なこれからプロジェクトを立ち上げて、まさに我が国の強みである先端技術分野など、国際社会をリードする、そうした脱炭素社会実現全力で取り組んでいきたい、このように思っています。
  12. 額賀福志郎

    額賀委員 総理、ありがとうございます。  これは画期的なことでありますから、日本の将来を左右するものでありますので、お互いに全力投球で頑張っていきたいと思います。  アメリカバイデン大統領は、気候変動問題を政権の最重要課題と位置づけて、今度、気候変動サミットを四月に開くことになっております。  カーボンニュートラルは、世界各国共通課題であります。先進国では、それぞれ、様々な思いを込めていろいろな発信をしておりますけれども、それぞれの事情があるとしても、カーボンニュートラル実現のためには、具体的な時間軸、プロセスにおいて十分協議して、共通の認識を求めていかなければならないと思います。我が国が孤立するようなことがあってはならない。対応が困難な地域においても、資金協力とか技術協力などによって、共に進んでいく合意点を見つけなければならないんだろうと思います。  一方で、我が国は、アメリカ、オーストラリア、インドなどと協調して、自由で開かれたインド太平洋構想に基づいて、安全保障を視野に入れた戦略的外交を展開しております。  気候変動対策インド太平洋構想の大きな二つの外交目標に向かって、今後、どういう関連の下に戦略的に展開していくのか。まず、外務大臣に見解をお聞きし、その上で、総理大臣に、気候サミットに参加するその姿勢として、所見をお伺いしたいと思います。
  13. 茂木敏充

    茂木国務大臣 額賀委員、冒頭でサミュエル・ハンチントン博士の言葉を引かれたわけでありますが、建築家黒川紀章氏も、日本の宗教について、共生と書いてトモイキと、まさに人間とその他の動植物、これが、そして自然が相互依存しつつ共に生きていく、これが日本の姿なんだろう、こんなふうに言っておられまして、まさに私もそのとおりだと思っております。  本年行われますCOP26に向けて、御指摘のように、米国が四月に開催する気候サミット、六月に英国G7サミットなど、気候変動対策に向けた国際的な機運が高まりを見せております。  気候変動分野での国際的な貢献は、我が国外交にとっても最重要課題となっているわけでありまして、私自身も、ブリンケン米国務長官を含みます各国外務大臣とこの気候変動問題について協議、協力を進めておりまして、御指摘のように、先週も、日米豪印、QUADと呼んでおりますが、この外相会談で、気候対策を始めとするグローバルな課題に関する四か国の協力、さらには国際的な協力について意見交換を行ったところであります。  パリ協定が目指します脱炭素社会実現するためには、先端技術分野研究開発であったりとか国際的なルール策定など、G7を始めとする先進国気候変動分野において連携して国際社会を主導すると同時に、なかなかそういった取組がやはり進みにくい、そういった途上国の脱炭素移行経済発展の両立を後押しすることが肝要だと考えております。  日本が主導します自由で開かれたインド太平洋実現においても、法の支配であったり、航行の自由、自由貿易といった国際社会の基本的な価値、これを普及、定着していくのと同時に、地域での連結性強化を始めとした経済繁栄を追求をしているところでありまして、こうした取組の中で、インド太平洋地域の脱炭素移行のための協力もしっかり進めてまいりたいと考えております。     〔委員長退席山際委員長代理着席
  14. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 御承知のとおり、我が国は、多国間主義を重視しており、グリーン社会実現を始めとした国際社会が直面する課題の解決に積極的に貢献をし、ポストコロナ国際秩序づくりを戦略的に主導していく考えであります。  先ほど申し上げましたけれども、先般の米国大統領ジョンソン英国首相電話会談、また各国首脳との会談においても、気候変動協力というのは確認をいたしております。諸般の事情が許せば、本年四月に開催される予定の気候変動サミットにも参加をする方向で検討をしているところです。  引き続き、関係国との連携を深めながら、世界の脱炭素化、ここを進めていきたい、このように思います。
  15. 額賀福志郎

    額賀委員 恐らく、先進国でも、あるいは世界各国でも、国益がぶつかり合うこともあると思いますので、しっかりと自分たちスタンスを踏まえながら頑張っていっていただきたいというふうに思っております。  それでは、次に、足下の電力需給逼迫問題について、梶山大臣にお伺いをいたします。  御承知のとおり、エネルギー政策の要は、スリーEプラスS。Sは安全であります。三つのEのうちの最も重要なことは、エネルギーセキュリティー安全保障であり安定供給であります。  昨年末から一月にかけて電力需給が逼迫をし、一方で、同じ時期に電力卸市場では、これまでの二十倍もの高値で電力取引が行われる事態が起こりました。電力関係者あるいは消費者の間にも大きな混乱が生じました。現在の電力取引市場の在り方が問われていると思います。  健全な電力市場をつくっていくために、制度的にどう改善をしていくのか、あるいは、事業者とか消費者皆さん方にはどう対応していくのか、大臣の対応策を聞かせてください。
  16. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回、この冬の電力需給逼迫に伴う卸電力市場の価格高騰を受けまして、経済産業省としましては、まず、当面の措置として、消費者向けの窓口設置や注意喚起に加えて、市場連動型メニューを提供する新電力に対して支払いに関する柔軟な対応を要請するとともに、支払いの分割や猶予など消費者の負担を軽減する措置を行い、その旨を周知している新電力に対し、送配電事業者に支払う一月分の精算金を五か月に分割して支払いができる措置を講じたところであります。  電力市場につきましては、小売自由化が始まって五年が経過をしたということで、委員指摘のとおり、改善すべき点もあるという認識であります。今回の市場価格高騰を教訓に包括的な検証を実施をし、今後、電力安定供給市場制度のあるべき姿の検討を進めてまいりたいと考えております。  また、今回の需給逼迫を通じて、資源が乏しく周囲を海で囲まれた我が国における電力の、議員が先ほど御指摘をいただきました、安定供給の重要性が改めて浮き彫りになったと認識をしております。現在行われているエネルギー基本計画の見直しやカーボンニュートラル実現に向けた議論においても、電力安定供給確保の重要性を踏まえた検討も含めて進めてまいりたいと考えております。
  17. 額賀福志郎

    額賀委員 しっかりと、やはり消費者、それから、新電力を含めて市場に対する対応も責任が取れるような形を是非取っていただきたい、こう思っております。  また、今回の電力需給逼迫は火力発電所でフル稼働をして何とか急場をしのいだわけでありますが、化石燃料に頼らない形で安定供給を図っていくことも大事だ、こう思っております。  日本の容量市場では、四年先の一年限りで担保しているところがあるんですけれども、イギリスでは、新設電源を落札した場合、十五年間、長期契約が可能となっていると聞いております。  その意味で、そういうことを参考にしながら、脱炭素電源を対象にして、事業者が長期的な新規投資ができるように、仕組みを早期に導入したらどうですか。大臣の御見解を聞きます。     〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
  18. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今般の電力需給逼迫におきましては火力発電所等が活躍したものの、発電所の設備年齢は高経年化をしているというのが現実であります。新規投資も停滞をしており、持続的な電力安定供給を確保しつつ、二〇五〇年カーボンニュートラル実現していくためには、老朽電源に依存し続けることは困難であることから、委員指摘のように、脱炭素電源の新規投資を促進していく必要があります。  電力自由化前は、料金規制の下、安定的に料金の回収が可能であったため、巨額の設備投資を行うに足るだけの長期的な予見可能性が確保されていましたが、電力市場が自由化された中では、発電事業者にとって長期的な予見可能性が低下をしてきている、そして、電源投資が進まない可能性があるということであります。  委員の御指摘をしっかりと受け止めて、英国の容量市場の事例も参考にしつつ、近く開催する審議会において、脱炭素電源の投資促進に向けて、投資を行う事業者に長期的な予見可能性を付与する制度の在り方について、スピード感を持って検討してまいりたいと思っております。  容量市場につきましても、やはり改善点、かなりあると思いますので、しっかりとした検討を進めてまいりたいと思っております。
  19. 額賀福志郎

    額賀委員 電力市場をきちっとしていくためにも、スピードを持って、しっかりと具体的に改革案を提示していただきたいというふうに思います。  次に、再生エネルギーの問題についてお話をいたします。  政府は、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて電力構成をどうするかについて、このパネルに書いてあるように、複数のシナリオで考えていきたいということであります。参考値として、ここには書いてありませんが、再エネ、大体五〇から六〇%、水素一〇%、CCUS、化石火力、これはCO2を回収することを前提にした火力発電所ということであります、それに原子力という形になっておりますけれども、この割合をきちっとして、政府が提案したのは二〇五〇年が最終目標になっているわけでございます。  まず、再生可能エネルギーから始めたいと思いますけれども、多くの様々な意見があるんですけれども、再生可能エネルギー一〇〇%で大丈夫だと言う人もいるし、いや、とても現実的には一〇〇%は無理だと言う人もあるわけでございます。  そこで、私は、政府の方針である再エネを最大限導入するということは賛成であります。最大限導入するに当たっていろいろな課題があると思いますが、その課題と、それから、具体的に再生エネルギーを拡大していく方策について、梶山大臣の御意見をいただきたいと思います。
  20. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な低炭素の国産エネルギー源であり、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた鍵であると思っております。再生エネにつきましては、国民負担を抑制しつつ、最大限導入し、主力電源化していくことが政府の基本方針であります。  しかし、これを実現するためには、太陽光や風力の出力変動に対応するために必要な調整力をどのように確保していくか、電源脱落等の緊急時にブラックアウトを回避するために必要となる慣性力をどのように確保するか、地形、風況、日射量等の我が国の自然条件を踏まえつつ、どのように適地を確保していくかといった様々な課題があるわけであります。こうした課題の克服に向けて、揚水発電の活用や蓄電池の導入拡大等による調整力の確保、再エネ導入に徹底的に取り組んでまいりたいと考えております。  一方で、二〇五〇年に向けた再エネの技術開発やコスト低減の見通しには不確実性があることは、現実であります。こうした不確実性を考慮せずに再エネだけでカーボンニュートラルを目指す政策を選択することは、我が国エネルギー政策としては適当ではないと考えております。  いろいろな御意見の方のお話を伺いました。そして、非常に再生エネルギーの導入比率が高い方たちも、やはり、調整力とそして慣性力の課題がありますねということはお話しになっているということでありまして、克服しなければならない課題であるということであります。  その上で、再エネの更なる導入に向けては、あらゆる政策手段を導入し、洋上風力発電の強靱な国内サプライチェーン形成に向けた投資喚起、既存の太陽電池では設置困難な場所に設置可能な次世代太陽電池の実用化等にスピード感を持って取り組んでまいりたいと思っております。  また、将来カーボンフリー電源として期待される水素発電やCCUS、カーボンリサイクルを活用した火力発電については、今後、実用化に向けては一定の時間を要しますが、水素を安定的に燃焼させるための技術開発やCO2分離回収技術の低コスト化に取り組んでまいります。これらにつきましては、技術的にはある程度確立されてきているということであります。  こうした二〇五〇年に向けた具体的な道筋については、再エネの将来像を含め、様々な御意見を伺いながら、議論を深めてまいりたいと考えております。
  21. 額賀福志郎

    額賀委員 ありがとうございます。  茂木外務大臣、私はもういいですから、今日はありがとうございました、退室して結構です。遅れまして済みません。  今御発言がありましたように、再生可能エネルギーは、今おっしゃるようにバックアップ電源とか系統接続の制約など様々な課題があるということでありますが、これをしっかりと解決しながら最大限の努力をしていっていただきたいと思っておりますが、再エネ一〇〇%というのはなかなか難しいというふうに受け取った次第であります。  次に、洋上風力発電ですが、私も五年前にイギリスに、バーロー洋上風力発電を見学しましたけれども、日本においても、北海道、それから菅総理の秋田県沖とか、私の地元の鹿島港を中心としたその銚子沖合とか、立地条件が優れたところがあると思いますので、しっかりと対応していっていただきたい。  それから、次世代の太陽光パネルにつきましては、かつての太陽光パネルも技術は立派だったけれども、結果的には中国の物量作戦の前についえ去ったわけでございますから、私どもは、政府がきちっと支援した形で次世代の太陽光パネルを成功させていただいて、アジアとかに輸出するぐらいの気概で是非やっていただきたいというふうに思っております。  あと質疑時間五分ということですから、簡単に申し上げますが、次に、水素、アンモニア、CCUS、化石火力についてなんですけれども、水素、アンモニアは、電力部門だけではなくて、産業とか運輸面、自動車産業とか、有効なキーテクノロジーだと言われております。水素、アンモニアの広がり、可能性、そして実用化に向けて、どういうリードタイムで考えているのか。  それから、もう一つ、CCUS、化石火力についても、これをどんな時間軸でCCUSの技術革新が展開されていくのか、教えていただきたいと思います。
  22. 梶山弘志

    梶山国務大臣 水素、アンモニアにつきましては、まず製造、そして輸送、運搬ですね、そして利活用ということで技術開発を進めているところであります。まだコストが追いつかないということもありますけれども、例えば、石炭火発にアンモニアを混焼する、またLNG火発に水素を混焼するという形で実証実験をやっておりますし、いずれ専焼の形で、それだけの発電の形で進めてまいりたいと思っておりますので、これは、官民を挙げてしっかり、その製造、運搬、利活用のところでしっかりと対応をしているところであります。  CCUSにつきましては、適地があるかどうかということもありますけれども、北海道苫小牧で今実証実験をしているところであります。海外のCCUSを参考にしながらしっかりと進めていきたいということでありますが、現実には、カーボンリサイクルということで、本当は近いところで、その排出する近いところでそれらの利活用ができれば一番だということでありまして、カーボンリサイクルという中で、CO2を分離回収をしましてコンクリートやプラスチックに変えていく、こういった技術も含めて、今、官民も挙げた研究開発をしているところでありまして、時間軸をしっかりと捉えた上で対応をしてまいりたいと考えております。
  23. 額賀福志郎

    額賀委員 今大臣がおっしゃるように、この水素、アンモニアとCCUS、化石火力の技術革新というのは、これからいろいろと研究、実証、そして実装に向かっていくわけだけれども、相当、かなり時間がかかるのではないかとも言われております。二〇三〇年代半ば以降、ようやくいろいろ、CO2を減らしていく、あるいは水素の実用化のめどが立っていく、そんな感じなのかなという印象も持っておりますけれども、しかし、カーボンニュートラル実現するためには絶対不可欠な電源でありますから、国を挙げて取り組んでいってもらいたいというふうに思っているところでございます。  さて、順番を変えて、残り二、三分でありますが、原子力についてお話を伺いたいというふうに思っております。  原子力については、今、水素、アンモニアとか、CO2削減の話が出てきましたけれども、こういう水素とか、あるいはCO2を除去した火力発電所ができない間は全体の電力供給のバランスをどうしていくのかということを考えたときに、私は、海外との電線網を持っていない日本としては、やはり原子力を活用して安定的な供給を図っていかなければならないのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。  その意味で、政府は現在、原子力規制委員会の承認を得た上で、安全を確保して、原発の再稼働とか四十年を超える原子炉の運転延長について長期的な利用を進めていますけれども、これもしっかりと対応していっていただきたいというふうに思っております。  そのことも含めて、もう一つは、先ほど菅総理が、カーボンニュートラルでデジタル化とか、様々な成長戦略をやっているということでございます。したがって、産業界のリーダーは、中長期的に目標ができたので、ようやく本気を出して前向きに投資をしようとしている、そういう形ができつつあるわけであります。原子力分野においても、事業者がリスクを背負って前に向いていく、そして技術の安全と人員を確保する、そういう形の基盤づくりをしていかなければならないんじゃないか、そういう時期が来ているんじゃないかとも思っているんですけれども、梶山大臣の見解を聞きたいと思います。
  24. 梶山弘志

    梶山国務大臣 日本カーボンニュートラルを目指す上で、これからの方策というのは大変高いハードルであると思っております。原子力も含めて使えるものは最大限活用するという方針の下で、あらゆる選択肢を追求していかなければならないと思っております。  今委員がおっしゃったように、震災後の、事故後にできた規制委員会、そしてそこで作られた新規制基準に基づいて、そこで適合したものについてはしっかりと再稼働をしていくという方針で行っておりますけれども、中長期的な政策の方向性についても議論をしていく必要があると思っております。  まずは、原子力に対する国民からの信頼回復に努め、再稼働を進めつつ、額賀先生から頂戴した指摘も踏まえて結論を出していきたいと思っております。資源のない国ですから、やはり、エネルギーミックスをどう考えていくかという中で、ある技術を最大限使うということは大変重要な課題であると思っております。
  25. 金田勝年

    金田委員長 額賀福志郎君、時間が参りました。
  26. 額賀福志郎

    額賀委員 ありがとうございます。  日本はやはり一本足打法ではエネルギー問題は解決できない、やはり複数のシナリオで、しっかりと日本安全保障の根幹であるエネルギーの安定供給を考えていかなければならないと思っております。  自由民主党においても、エネルギー基本計画の見直しについては対案を出させていただいて、そして政府与党一体となってこの問題の解決に当たっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 金田勝年

    金田委員長 この際、山際志郎君から関連質疑の申出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山際志郎君。
  28. 山際大志郎

    山際委員 おはようございます。自由民主党の山際志郎です。  今ほど、自由民主党の中でエネルギーの政策を議論して、そして党の意思決定をしていく総合エネルギー戦略調査会の額賀会長からエネルギー全般についてのお話がございました。私は、そのエネルギー戦略調査会の事務局長を務めている関係もございまして、エネルギーの話を少し深めてまいりたいと思ってございます。  総理カーボンニュートラルを宣言をされました。私は、もう三〇〇%ぐらいこれに同意をいたしますし、何としても実現したいという思いでございます。  しかし、実際、現実はそんなに甘くないということもエネルギーの分野で汗をかいてきた人間として分かっておりまして、これまでの環境政策、そしてこれまでの産業政策、どうしてもぶつかる側面があった、これは否みようのない事実だと思います。  そこで、環境政策と産業政策を一致させてカーボンニュートラルをつくっていく、実現させていくということにおいて、まずは、今まで行われてきた環境政策、これを、環境面で見たら評価される点というのはいっぱいあると思いますよ、しかし、これを産業面から見たときにどう評価できるか、やはり検証した上で、これからそれを一本化していくということが必要になると思うんです。  一例を挙げるならば、我々の日本の地名が書いてある京都議定書というものが、環境の分野においては非常にこれは有名なものとして、世界的に有名なものとしてございますけれども、これは環境面においては相当大事な政策であったと思いますけれども、一方で、日本の国富が海外に流出してしまう、そういう側面もあったというふうに思います。  こういった事例も含めて、これまでの環境政策をあえて産業政策として切ったときに何が課題であって、これからどうしようとされるか、まずは経済産業大臣に聞きたいと思います。
  29. 梶山弘志

    梶山国務大臣 山際議員御指摘のとおり、我が国は、京都議定書下における温室効果ガスの排出削減目標の達成のために、京都メカニズムを通じて他国から排出枠を購入をいたしました。こうした取組に関し、京都メカニズムでは自国の技術の海外展開と結びつかないなど、単に排出削減義務の達成に必要なクレジットを海外から購入したという批判があることも承知をしております。  他方、温暖化対策はもはや経済の制約ではない、これは誰もが言っていることでありますけれども、成長を生み出すその鍵となるものであります。  こうした反省も踏まえて、エネルギーマネジメントシステム等、我が国の優れた低炭素技術を通じてクレジット化することで、排出削減に貢献する事業を行っているところであります。  また、水素は、将来のエネルギー資源として世界各地で国家戦略が策定をされ、そして日本の優れた水素発電技術や水素輸送技術世界市場を開拓できる可能性がありますし、もう現実に海外との連携もしているということであります。  従来の発想を転換をし、二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦を経済成長にしっかりとつなげていくこと、これが重要な点であると思っております。  昨年末、このために、産業政策をグリーン成長戦略として取りまとめさせていただきました。予算、税、規制改革標準化国際連携などの政策を総動員して戦略を実行し、経済と環境の好循環をつくり出してまいりたいと考えております。
  30. 山際大志郎

    山際委員 ありがとうございます。  是非、リーダーシップに期待したいと思います。  今、グリーン成長戦略のお話が出ました。その中にも国際連携という言葉が出てまいりましたが、言葉を選ばずに、少し耳の痛いことかもしれませんが聞いていただきたいと思いますけれども、私たち日本という国は、どうしても国際社会に出たときに、イニシアティブを取りづらい国、なかなかリーダーシップを、日本が言い出しっぺで、日本が形を作って、そして世界をよい方向に導いていくということがやりづらい国、このように評価されていると私は正直思います。  例えば、国際連合においてSDGsというのがあります。このSDGs、十七の目標があるというふうになっていて、一つ一つ見れば、どれも否定するべきことは一つもないんですよね。その上、この一つ一つのことは、我々日本は今まで何もやってこなかったことなのかと。中身を見たら、世界に先駆けて日本がやってきたことがいっぱいそのSDGsのゴール、目標、目的の中に入っているわけですよ。しかし、枠組みは、SDGs、横文字ですよ。やはり我々は、もう少し、日本発のルール形成というものが行われている、こう認識されているようなものでなければいけないと思うんですね。  特に、このカーボンニュートラルというのは非常に難しいですよ。そして、カーボンニュートラル各国、各極と言ってもいいかもしれませんね、EUあたりも含めて、自分の国の産業あるいは自分の地域の産業が今の段階では弱い、これをカーボンニュートラルという新しい概念を持ち出すことによって一打逆転を狙おう、こういうゲームチェンジをしかけてきている、そういうことが透けて見えるような、そういう事例もいっぱいあるじゃないですか。  我々は、このカーボンニュートラル、最初に申し上げたように、私はもう三〇〇%全力でこれを何とか実現するために努力をしたいと思っておりますけれども、しかし、この戦略を練っていく上で、ルールを作っていくという上で、やはり私たちはもう少し主導権を握ってこのルール形成に主体的に取り組んでいかなきゃいけないと思いますが、この点についての梶山大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  31. 梶山弘志

    梶山国務大臣 実際のイノベーションと併せて、国際間のルール作りというのはこれから大変大きな課題になってくると思っております。  世界では、政府や企業がカーボンニュートラルの旗を掲げて脱炭素技術の大競争を行う時代に突入をしているということであります。カーボンニュートラル実現を、気候変動という人類共通課題への対応という視点だけじゃなくて、委員がおっしゃるように、政府や企業が、カーボンニュートラル実現の鍵となる革新的技術に大きな投資や市場創出を行って、現在形成されている市場の奪還を狙っている向きがあるという視点があることも事実であります。  こうした中、我が国としても、内外一体の産業政策の視点を持ち、戦略的に取り組んでいくことが重要であります。例えば、革新的技術研究開発、社会実装を進める上では、国内市場のみならず新興国等の海外市場を獲得し、スケールメリットを生かしたコスト削減を実現することで、国際競争の強化につなげることが重要であります。そして、その中で、エネルギー、環境技術に強みを有する我が国として、自国の産業力強化の視点から、国際的なルール形成にも積極的に参加していく必要があります。  例えば、CCUSやカーボンリサイクルなどの化石燃料の脱炭素化に関する技術について、アジア等新興国を巻き込んだ国際的な会議等の開催により国際的な議論や協力をリードしていかなければならないと思っておりますし、今、現実に進めているところであります。  欧米を中心にタクソノミー、分類というものがありますし、ただ、一気にそこに行くのか、それとも、移行期間、どういう形で移行をしていくのかということも含めて、途上国、新興国とEU、米国との考えの違いもあると思いますし、そういったものの意見の一致を見るための努力というものはこれから汗をかいていかなければならないと思っております。  世界全体で約三千兆円と言われるESG資金の活用、また、日本企業が競争力のある技術に民間資金を呼び込む視点も重要でありまして、欧州が主導するグリーンな活動か否かを厳格に決めて民間資金を誘導するルールは、欧州が競争力を持つ分野に有利な側面もあるということであります。我が国企業が競争力を持つ地道な省エネ技術など、着実な低炭素移行取組が排除されることなく評価されることが必要であり、日本企業に民間資金が流れ込むように国際的なルール作りや国際連携を進めてまいりたいと思います。  例えば、自動車の業界でも、排出規制ということで、もうかなりのきつい規制がEU等で行われております。そして、それを守らなければ罰則がある、そして、それを進めているところには奨励金があるという中で、域内での取組というものが企業や産業の生き残りということでされているのも現実であります。  スタートが少し遅くなりましたけれども、そういったところ、行き着くところは同じだという中で、少し景色が違いますけれども、そういった点も含めて、国際連携をしっかりとしてまいりたいと思っております。
  32. 山際大志郎

    山際委員 ありがとうございました。  今、大臣の御答弁の中で多くのキーワードが出てきたように思います。その中の一番大きいのは産業競争力をどう強化させるかということだと思いますが、もう一つは、途上国という話が出ましたね。実は、世界の中における二酸化炭素、主に二酸化炭素ということですが、この温暖化ガスの排出量というのをパーセンテージで見ると、日本は、残念ながらと言うのか分かりませんけれども、もう三%というレベルまで来てしまっているわけですね。  ですから、当然、日本国内においてカーボンニュートラルを二〇五〇年に実現していくということ、これはもう絶対に必要なことだとみんなで頑張らなくてはいけないんですが、日本だけが頑張っても、あとの九七%の人たちは知らぬ顔という話であれば、これは余り効果はないですね。  地球全体における気候変動というものを止める、こういう視点からいったときには、どれだけ国際ルールの形成に我が国が寄与していけるか、これはもう本当に肝だと思いますので、是非、大臣始め皆さんのリーダーシップを期待したいと思います。  そしてもう一つ、国内に目を転じたときに、やはりカーボンニュートラルという話になったら、これは相当ショッキングなんですよ。特に、化石燃料を直接扱っているビジネスの方々からすると、本当に、我々のビジネス、どうなるんだろうか。  例えば、ガソリンスタンドの業界なんというのは、今でもハイブリッドカーが普通になってきて、ガソリンやあるいは軽油の消費量というのはどんと下がっているのに、カーボンニュートラルということは、もう石油を扱わなくなるのかという話になるわけですね。  ですから、やはり、世界の中でのルールをしっかり主導権を握って作っていくということと同時に、国内の皆さんに対して、どうちゃんと説明をし切っていくかということも重要なので、そこも併せてお願いをしたいと思います。  そして、もう一つ、国内産業だけではありませんけれども、私が心配しているのは、カーボンプライシングという言葉です。これは、テレビを御覧の皆様はなかなか分かりづらいかもしれないので、簡単に言うと、二酸化炭素に値段をつけるという話ですね。二酸化炭素をたくさん出す人はその分だけお金を払わなきゃいけない、簡単に言うとそういうことだと思うんです。  これは、産業競争力というキーワードが出てまいりました。この視点から見たときに、炭素税のような、言ってみれば懲罰的なそういう対策を、政策を行ってしまうと、産業競争力にマイナスになることは、これはもう火を見るより明らかだと思います。  一方で、EUを中心に、今、国境で、このCO2のやり取りに関して調整措置を行っていこう、あるいは、先ほどタクソノミーなんて話もありましたけれども、国際関係の中でこのCO2をどう扱うかという話も出てきている。まさにこれはリーダーシップを発揮して、日本が主としてこのカーボンプライシング、ルールというものを決めていかなきゃいけないと思うんです。そのときに日本の産業が弱体化するというようなことがあっては絶対いけないと思いますが、その点について梶山大臣はどうお考えでしょうか。
  33. 梶山弘志

    梶山国務大臣 カーボンプライシングにつきましては、総理から指示がありました。そして、私と小泉環境大臣が呼ばれて、成長戦略に資するものという前提でしっかりと考えてくれ、そして結論を出していってくれということを総理から指示をいただいております。  カーボンプライシングについて、成長戦略に資するかどうかというのは、今委員がおっしゃったように、国際競争力をそがない、そして二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けてのスピードを落とさない、そういった中で決めていくことだと思っております。  産業政策を所管する経済産業省として、結論ありきではなくて、排出量取引制度、炭素税等やクレジット取引のみならず、国境調整措置も含めて、幅広く議論を行っているところでもあります。CO2の排出削減を進めるために利用可能な技術が存在しない場合、炭素税などの負担を重くするだけでは、成長せずに、CO2も減らないと考えております。代替技術を利用可能な企業が排出削減に向けた投資にメリットを感じて具体的な投資を行うような制度を検討する必要があると思っております。  また、欧州では、温暖化対策が不十分な国からの輸入品に対して国境調整措置を課すことが検討されております。関税を賦課するなどの方法も考えられ、ルールによっては我が国の企業の国際競争力を損なうおそれもあります。例えば産業プロセスにおけるCO2の排出量の計測手法など、国際的なルール作りで諸外国との連携を含め、対応をしっかりと検討してまいりたいと思います。  冒頭、お話がありましたけれども、京都議定書のときのルール決め、キャップを決める、排出量の限度を決めるということも、なかなかやはり難しい作業であったと思っております。そういったもの、公平性、透明性がないと、なかなかこういう取引というものは難しいのかなと思っております。  それらも含めて、総理の指示を踏まえて、小泉環境大臣とともに、折に触れて意思疎通を図っておりまして、環境省とも連携して結論を出してまいりたいと思います。それぞれにその審議会、委員会を持っておりますけれども、重複する議員がかなりいますので、それぞれの考え方をいずれ収束をさせて、しっかりとした結論に導いてまいりたいと思っております。
  34. 山際大志郎

    山際委員 是非、連携してやっていただきたいと思うんですが、日本産業構造というのをやはり踏まえた上で国際的な議論をしていかないと本当にまずいと思うんですね。もちろん、日本のGDPを見れば国内の消費というものが一番大きいわけですけれども、そうはいいながらも、物づくり産業は強いものとしてそこにあります。そして、これは二十一世紀も、我が国国際社会の中における強みとして維持強化をしていきたいというのが我々全体の思いだと思います。  当然、CO2という話になりますと、材料を買ってきて、それを加工して、そして輸出をするわけですから、加工するときに、どうしたってエネルギーを使わなきゃ加工できませんので、その分だけCO2がカウントとしてはたまっていくというのは当たり前ですね。ですから、物づくりの場を持っている国というのは、そこでCO2に対して値段をつけていくという単にそれだけの競争にさらされたときには、これは絶対に損しますよ。  ですから、そうならないようにするための工夫、これは本当に国際社会の中でリーダーシップを持って交渉していただかなきゃいけないと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  そしてもう一つ、額賀会長の方から先ほど、エネルギー基本計画を、今年、改定の作業に入らなきゃいけないという話がございました。  エネルギー基本計画は、二〇三〇年のエネルギーの絵姿というものを現実的なものとして見せなくてはいけないですね。二〇五〇年のカーボンニュートラルに関しては先ほどシナリオが幾つも出ておりましたけれども、いろいろなシナリオがまだ考え得ると思いますし、また、今はまだ社会実装できない技術でも、二〇三〇年にはあるいは二〇四〇年には社会実装ができる可能性が高い、こういう技術もあろうと思います。それにプラスして、我々、産業競争力という先ほどのキーワードが入ってきますから、当然、エネルギー基本計画、二〇三〇年を考えるときには、我が国の産業にとってそれがどれだけ寄与するかということもしっかり考えた上で計画は立てていかなきゃいけないと思うんです。  そこで、まず、足下、再生可能エネルギー、風力、太陽光あたりが一番だと思いますけれども、それの国産比率、そして原子力、これの国産比率、今ファクトとしてどういう状況になっているかということを、事務方、教えていただけますか。
  35. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  各電源の国産比率につきましては、一律に比較することは難しいところでございますけれども、例えば、直近の国内市場における太陽光パネルの国内生産比率は一七%、風力発電につきましては、直近の新規導入量に占める日本企業のシェアは一四%、原子力発電設備の国産化率は九割程度となっているところでございます。
  36. 山際大志郎

    山際委員 今お話あったように、足下、私は、再生可能エネルギーを導入できる分はとにかく最大限導入した方がいいという論者ですけれども、しかし、足下を見たときに、国内の産業に対しての寄与度というのは一七とか一四とかという数字が出ていますから、それほど高くない。原子力は九割を超えているわけですね。ですから、二〇三〇年に向けてエネルギー基本計画をもう一度見直しをするというときには、この国内産業に対する寄与度、これもしっかり見ていかなければいけないと思います。  先ほど、原子力産業に対しての姿勢というものに関して額賀会長が質問されたことに対して、梶山大臣がお答えになられていました。私は、あえてもう一度、原子力というものをしっかり二〇三〇年に向けて使い倒していくんだ、このことについて御発言をいただきたいと思います。
  37. 梶山弘志

    梶山国務大臣 二〇一一年の三月十一日の東電の福島原子力発電所の事故以来、全部が止まった時期もありました。その後にできた規制委員会、そしてそこで作られた新規制基準に基づいてもう一度審査が行われているわけであります。追加の施設も必要になるという中で行われているわけでありますが、その基準を通ったものに関しましては、国民の信頼、また地域住民の信頼を得た上で再稼働をしていくというのが国の方針であります。今、その信頼を回復する途上であると思っております。  ただ、技術としては、安全性に資するもの、また、新しい素材や新しい材料に資するものということで研究開発というものは行われておりますし、今の既存の原子力発電所にも応用できるものも数多くあると思っております。  イノベーションというのは、研究を進めていかなければなかなかそういう新しい技術というのは入ってまいりませんので、中長期の視野に立った計画、考え方が必要であると思っております。
  38. 山際大志郎

    山際委員 このエネルギー基本計画の見直しに向けては、先ほど額賀会長からもお話ありましたように、自民党内でもしっかり議論をさせていただきます。  私は、原子力はもう少し前向きに利活用しなくてはいけない、そうでないとカーボンニュートラル実現できないという現実的な考えを持っている人間ですけれども、しかし、無条件でという話ではないと思うんですね。ですから、しっかり議論をさせていただきたいと思います。  そして、第三次補正予算で二兆円の基金というものがエネルギーの分野に関してつきました。これも、今の足下の数字で太陽光発電や風力発電の国産比率が十数%しかないということからすると、これを上げていくための手段として使っていくんだろうなというふうに予想はつきますけれども、実際にどのように今政府内で議論が進んでいて、この二兆円の基金を十年間にわたって社会実装までつなげるんだという話ですから、どのような形で使おうとされているか、これもお答えいただけますか。
  39. 梶山弘志

    梶山国務大臣 御指摘グリーンイノベーション基金は、昨年策定したグリーン成長戦略実行計画を踏まえて、カーボンニュートラル実現の鍵となる革新的技術について具体的な目標へのコミットメントを示す企業等に対して、十年間、その研究開発、実証から社会実装までを継続して支援するものであります。  五年区切りで実証実験とか実証のものを今もやっておりますけれども、その隙間で、研究員であるとか技術者というものが海外に流出をされたり引き抜きをされたりという現実があります。ですから、十年間しっかり続けた上で、今度は実装、そして実用に向けていくという中で、その段階でしっかりとまた製造の設備投資等にも国が支援をしていくという考え方の中で、この基金を設置をさせていただきました。  長期的開発が必要な革新的技術の例としては、電化社会に必要な次世代の蓄電池の技術、熱・電力分野等を脱炭素化するための水素の大量供給、利用技術、CO2を素材の原料や燃料等として生かすカーボンリサイクル技術等が挙げられるわけであります。  基金が対象とする技術開発というのは、革新的なものばかりで、社会実装まで見据えると長期にわたる粘り強い取組が不可欠であると考えております。このため、支援に当たっては、企業の経営者に経営課題として取り組むことへの強いコミットメントを求めたいと考えております。その際、国等に対して表明した経営者のコミットメントに関する具体的な取組を継続的に確認し、不十分であるなどの場合には委託費の一部返還を求めることも考えてまいりたいと思います。目標の達成度に応じて国がより多く負担をする仕組みを設けて、成果報酬のようなインセンティブ措置を設けることの仕組みも検討中であります。  現在、基金事業の支援対象や仕組みの詳細につきましては検討しているところでありますが、この基金を効果的に活用し、日本の将来の所得、雇用の創出につなげてまいりたいと考えております。
  40. 山際大志郎

    山際委員 ありがとうございました。  この基金が利活用されることによって、二〇三〇年以降、カーボンニュートラルが実際のものとして視野に入ってきたときに日本の産業の国産比率が飛躍的に高まっている、そういう状況を夢見ながらこれをフォローしてまいりたいと思います。  あっという間に時間が過ぎまして、最後に、カーボンニュートラルについて、私は皆さんとこの意義について共有を深めたいと思ってございます。  冒頭にもお話ありましたように、カーボンニュートラルというのは、環境政策と経済政策とを一致させるものであるという説明の仕方もありました。これは、単なる環境政策ではないし、単なる経済政策でもないということは、菅総理を始め皆さんがそうおっしゃっているとおりだと思うんですね。  もう一つの視点でいうと、安全保障という視点からいったときにも、このカーボンニュートラルというのは、今までの私たち日本の置かれている安全保障上の状況を一変させる、今までにない、本当に画期的な政策だと私は思います。  安全保障の問題は、当然、国防と言われる伝統的な安全保障の問題から今日扱ってきたエネルギーの問題まで幅広くありますけれども、しかし、それぞれの分野でそれぞれの専門家たちが一生懸命この安全保障をこれまで考えてきたわけですね。  しかし、最近、経済安全保障ということを言われるようになってきて、全ての分野において安全保障の視点を入れていかなきゃいけない。もとより、エネルギーの問題に関しては安全保障そのものですから、これまでもずっと見てきたわけですけれども、しかし、これを、全体を横串を刺すように、全体を俯瞰して安全保障というものを見なきゃいけなくなってきたわけですね。  日本は、御案内のように、産業革命以降、エネルギーがなければ産業ができない、そういう社会になってから、エネルギーがないがゆえに、世界の中で確固たる地位を築きながらも、最大の弱点としてエネルギーをずっと持ち続けてきたわけですね。  しかし、これが、このくびきがカーボンニュートラルによって解かれる、この意義は計り知れないと思います。私たち政治家が後世に対して責任を果たしていく上においても、これが私は最も大きな責任の果たし方なのではないか、このようにも思っております。  この安全保障上の意義というものを皆さんと共有させていただいた上で、だからこそ、障害も大きい、その障害をどうやって乗り越えていくか、菅総理の強いリーダーシップなしにはこの障害を乗り越えていくことはできないと思うんです。先ほど言った原子力の問題もそうですが、これも使い倒さなければカーボンニュートラルはできない、障害はたくさんあると思います。  そういうことも含めて、総理の御決意をもう一たび聞かせていただいて、質問を終えたいと思います。
  41. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、三〇〇%御支持をいただきましてありがとうございます。是非御支援をお願いします。  今、様々な御指摘がありました。そのとおりに、私自身が宣言した二〇五〇年カーボンニュートラルは、経済社会の構造を大きく変革させていくものであり、これによって資源の乏しい日本にとってエネルギー自給率の向上にもつながる、そういう観点からもエネルギー安全保障に資するものである、このように考えています。  例えば、グリーン成長戦略において、洋上風力や水素、安全性に優れた次世代の原子力など、脱炭素実現しつつ自給率を向上させるものについて、具体的な目標を定めております。これによって民間の投資を促し、イノベーションを加速させていく上で、我が国の強みを生かした低廉で多様なエネルギーを生み出していきたい、こういうふうに思います。  今後、十一月のCOP26までに、エネルギー政策の在り方についてあらゆる選択肢を追求して議論を深めて、エネルギー安全保障の面も十分配慮しながら結論を出していきたいと思います。
  42. 山際大志郎

    山際委員 ありがとうございます。  終わります。
  43. 金田勝年

    金田委員長 この際、福田達夫君から関連質疑の申出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。福田達夫君。
  44. 福田達夫

    福田(達)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党・無所属の会の福田達夫でございます。  本日は、予算委員会の質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。  本日は、経済情勢及びグリーン社会実現などの内外の諸課題ということでございます。私の方からは、景気の現状そして経済対策、その辺につきまして御質問させていただきたいと思います。  その前に、一つ総理にお尋ねしたいと思います。  実は、ある方から尋ねられました。ワクチンの接種でございます。ワクチンの接種、いよいよ日本の中でもプロセスが始まるわけでありますけれども、まずは医療機関、医療でしっかりと国民の安心を支えていただく皆さん、そこから始まるということでありますが、なぜ総理が一番じゃないのかという話をその方からされました。  菅総理御本人、個人としましては、確かに、御本人もおっしゃっています御高齢という範疇に入るのかもしれません。しかし、総理という存在は、一億二千五百万人の中の唯一の存在であります。この方が、医療機関、この皆様方、責任を負っていらっしゃる方々と同等か若しくはそれ以上に責任を負わなければいけない。全ての国民の命と生命、これを背負っている総理としては、まず一番に接種をしてほしい、そういう話を伺いました。  私も、これは全くそのとおりだと思います。どうも菅総理、これが、菅さんという個人と総理大臣というものがごっちゃになってしまっている。その中で、最近、特権階級という言葉も出ていますけれども、しかし、これは責任として総理が率先して接種されるべきではないか、そして、国民の安心をつくるために邁進していただくべきじゃないか、そういうふうに思っておりますし、私もそう思います。  総理の御所見をいただければと思います。
  45. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私自身は、順番が来たら率先して接種をしたい、このように申し上げています。この順番については、専門家の委員の先生方との様々な御相談の中で全体の接種が決められております。私も、その中で順番が来たらと思っています。  また、ワクチンは感染対策の決め手となるものであるというふうに考えています。国民の皆さんが自らの判断で接種をしていただけるように、副反応や効果を含め、科学的知見に基づいて、ワクチンに関する正しい情報を国民の皆さんに分かりやすくお伝えをしてまいりたいというふうに思います。  順番は何番であっても、コロナ収束に向けて内閣総理大臣として全力で取り組んでまいります。
  46. 福田達夫

    福田(達)委員 ありがとうございます。  私としましては、やはり、総理を始め、若しくは総理の代理をやられる方々、この順序の順で是非打っていただいて、この国の政治を止めない、それが国民の安心につながるようにしていただきたい、そういうふうに思っております。  続きまして、では、本論でございます景気若しくは経済対策等について聞いてまいりたいと思います。  先週金曜日に二月の月例経済報告が発表になりました。その中で、国内景気の現状について、「持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。」というふうに表記されています。大分、久しぶりに弱い感じになってまいりましたが、これは緊急事態宣言下におきます人出を減らすという政策効果によるものだというふうには思いますけれども、今の経済の足腰そのもの、そして景気全体の傾向、また今後の見通しについて、西村大臣からお聞かせください。
  47. 西村康稔

    ○西村国務大臣 お答え申し上げます。  まず、その前に公表しました十―十二月期のGDPの一次速報でありますけれども、実質GDP成長率前期比プラス三・〇%、年率換算プラス一二・七%と、これは二期連続のプラス成長でありまして、日本経済の潜在的な回復力、これを感じさせる結果となっております。ただ、コロナ前の水準をまだ下回っておりますので、回復は道半ばということであります。  その上で、先般公表しました月例経済報告、二月でありますけれども、御指摘のように、足下では、緊急事態宣言を発出しておりますので個人消費、特にサービスで一部弱い動きが見られるということで、やはり六割近いウェートを占める消費がそういう状況ですので若干の下方修正をしたということでありますが、一方で、輸出が増加をしておりまして、その下で設備投資も持ち直しに転じるなど、景気全体としては持ち直し基調が続いております。足下の感染拡大による下振れリスク、内外の状況による下振れリスクには注意が必要ですけれども、回復力の強さはあるものというふうに見ております。  その上で、今回の緊急事態宣言も、昨年春、夏以降の経験を踏まえて、幅広く止めるのではなくて、データに基づいて、今日の御議論の一つだと思いますけれども、飲食の皆さんには大変厳しい状況に置かれておられますけれども、かなり焦点を絞った対策ということで、昨年春ほどの落ち込みはないものというふうに見ております。その上で、もちろん、厳しい状況にある皆さん方にはしっかりと支援をしていくということであります。  こうした中で、三次補正の中でも、更にその先を見据えた、今日のテーマでもありますグリーンとかデジタルとか、こういった分野への投資を民間から引き出していくということも今回の予算、税で対応して、早期に民需主導の持続的な成長軌道に戻していくということであります。  こうした取組の下で、今後の見通しとしては、二〇二一年度はまさにこうした対策の結果として四・〇%の実質成長率を見込んでおりまして、二一年度中にはコロナ前の経済水準を回復するということを見込んでおりますので、これを実現できるように引き続き全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  48. 福田達夫

    福田(達)委員 ありがとうございます。  基本的に足腰はそれほど弱くなっていない、そして、それを政策によってしっかりと下支えすることによって、来年度に向けた明るい展望、正直、四%成長というのは、なかなか日本成長率の中ではこれまでなかったような高い成長率でありますので、そこに向けて明るい兆しが見えているというのがお話だったと思います。  実は、私自身は、前職、商社の調査部というところで仕事をしておりまして、景気を見る仕事をやっておりました。その目から見ていましても、また、私は、地方創生若しくは中小企業、これを自分の本務と考えている人間でございますが、地元をくまなく回りまして、また全国の中小企業の仲間たちとかに話を聞いていますと、どうも今回の景気について、像が結べない感じがしています。  一方で、製造業とか公共事業、主に言うと、地域の外からお金を稼ぐ、また対面型ではない産業については、正直、随分と景気は悪くないという印象を僕は受けています。場合によってはフル操業している、そういうところもあるという状況だというふうに思っています。また、在宅時間を豊かにするような消費財、家電でありますとか、地元でも高級家具を作っている会社なんかは非常にもうかっています。また、サービス関連も、これまで以上に忙しくしている産業もある、そういうふうな認識をしております。  一方で、地域内だけでお金を稼いでいる会社若しくは対面型のサービス業、ここについてはやはり厳しい。依然として社会のあちらこちらに救いを求める声が聞かれる、これも事実であると思いますし、この予算委員会におきましても、与野党共に追加の対策を求める声が聞こえたというふうに思っております。  同一地域でも同一産業でも、景気がよい悪いと言えない、そういう複雑なモザイク模様となっているというのが今のこの国の現状なのではないかなというふうに思います。鳥瞰的に見ると割と悪くないというふうに見えるんですけれども、きめ細やかに入っていくと、これが細かく細かく分かれているというのが今次の景気後退の特徴なのかなというふうに思っております。  このような状況の中で、政府がどのような考え方でもって対策を打つか、これは先ほどお話が少しありましたけれども、これについてお聞きしたいと思います。  そのときに、ちょっと今日、資料をお配りしておりますけれども、一ページ目に、IMFによる経済見通しの推移というグラフをお配りをしております。これは、時々刻々変わる状況に基づいて、IMFが各国経済成長をどういうふうに修正してきたかというのが見えるグラフでございますが、上のグラフが二〇二〇年の予測であります。もう過去のこととなってはおりますけれども、二〇二〇年一月から二〇二一年の一月までの間、例えばアメリカについては、感染者が増えることによって成長率が下がった、しかし、経済対策によって、一番底のときにはマイナス八%予測だったのが、二一年一月にはマイナス三・四%になっている。ドイツも同様で、よくなっています。しかし、日本については、マイナス五%程度でもって余り変わっていないという状況になっています。  人為的に人の流れを止めて経済を止めるという非常に難しい中において、需要不足を全て埋めるというのはこれは不可能に近いと思っています。なので、各国政府、不合理な損害が生じているんじゃないか、そういうところについて手当てをするということで腐心をしてきていると思います。  こういう、日本国においてはなかなか国際評価を伴わなかったということについても含めて、国際的に見劣りがするという批判もちょっとありましたが、これも踏まえて経済対策についてどのような考えをお持ちであるか、お聞かせください。
  49. 西村康稔

    ○西村国務大臣 お答え申し上げます。  経済対策につきましては、昨年四月以降、累次にわたる対策そして補正予算、これで事業規模総額二百九十三兆円、GDP比で五割超ということで、国際的に見ても最大級の規模の対策となっております。  そして、御指摘のように、IMFも、二〇二一年の日本の実質成長率の見通しを昨年十月時点よりも〇・八ポイント上方修正、上方改定しておりまして、三・一%と見込んでいるところであります。暦年と年度の違いがありますけれども、まさに二〇一九年末の水準を、二〇二一年の下半期にはそれを回復する姿となっておりますので、その意味で、まさに私どもの見通しとおおむね整合的であるというふうに言えます。  そして、御指摘のように、マクロで見ると持ち直しの基調が続いておりますけれども、モザイク模様とおっしゃいましたけれども、まさにサービス関連の事業者を始め厳しい状況におられますので、引き続き、二・七兆円の予備費の活用も含めて、機動的に必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。  その上で、一点だけ御指摘申し上げますと、二〇二一年はそれなりに回復をするんですが、その後、二二年以降の日本成長率の見通しは、欧米の国々に比べると低めのものとなっています。ここがまさに中期的な成長力引上げが必要だというところでありまして、今日のテーマでもありますグリーンとかあるいはデジタル、そして人材への投資、私、ヒューマンと呼んでおりますけれども、こういったところにしっかりと政府も支出をしながら、それによって民間の投資あるいは創意工夫を引き出していく、このことが何より重要だというふうに考えております。  いずれにしましても、経済の状況をしっかりと見ながら、必要な対策を機動的に講じていきたいというふうに考えております。
  50. 福田達夫

    福田(達)委員 ありがとうございます。  これまでの対策は、本当に僕は、正直に申し上げまして相当以上の効果があったというふうに思っています。非常に厳しい御批判も受けているところでありますけれども、しかし、相当多くの方が助かった。  ここにちょっとファイルがございますけれども、これは何かと申しますと、全国の中小企業の仲間たち若しくはその伴走者の人たちに集めていただいた、実際、中小企業政策、雇用政策において助かった方々の声であります。  私、昨年本当に心を痛めていましたのは、持続化給付金等々でもって、中小企業庁の方々、本当に死ぬ気でもって働いていました。医療崩壊と言われる中、行政崩壊だってあり得た中でもって本当にやっていただいた中において、そのおかげでもって助かった人たちがいらっしゃいます。会社ではないんです。会社で働く方々の生活が、そして人生がこれで助かった。このことは是非国民の皆様には分かっていただきたい、本当にそう思っております。  ただ一方で、いまだに救いを求める声が絶えない。  配付資料の二ページ目、御覧いただければ、これは十九日の日経新聞でありますが、宿泊業の八五%が今回配られます一時支援金でも減収を補えない、そういう試算をしております。  また、都内で日額数十万円を売り上げます私の友人、これは飲食店をやっているんですけれども、より小規模の方に回していただきたいということで、これまで政府の政策は一切受けていらっしゃいません。また、新しい仕組みだとか、若しくは銀行からの融資、これで、自分たちの力でもってしっかり耐え抜くというふうにやってきたのでありますけれども、一年たってやはりその体力が尽きてきた。従業員も一切解雇しなかったのが、なかなか厳しい局面になってきたというふうな声も聞こえています。  実は、こういう少し大きな事業者というのは、昨年対策を打つときには横に置いてありました。というのは、やはり体力がない、地方の町の真ん中にいる小規模事業者、これをまずしっかりと手当てをしようという考え方の中で、体力のあるところはしっかりゼロゼロ融資などで頑張ってもらおうということを考えておりました。  しかし、こういうちょっと大きめなところというのは、雇用をつくっています。野党の皆さんからもよく御指摘がございますが、アルバイトで学費を捻出する学生さん若しくはパートで働く女性の生活、この基盤をつくっているのがこういう少し大きめの事業者であられます。  この事業者の特徴は、特定の団体に属していない結果として、政治がなかなか声を拾えないというところがあります。また、一年がたって、小さいところには結構手が入った、しかし、この中規模のところに実は手が行っていないんだが、時間の経過とともにこういうところに傷が及び始めたということがあるんだというふうに思います。  どうしても政府というのはマクロで見るものであります。全体観での議論、そして需要不足を補填するという考えになりがちでありますけれども、景気悪化の流れがどのように影響を及ぼしてくるのか、このことをしっかりときめ細やかに捉えていくということが必要なんじゃないかというふうに思っております。  配付資料では四ページ目になりますが、フリップの二の方をよろしくお願いします。  実は、政府においても、既にこういうことをやるそういう技術は持っているというふうに思います。  この資料四は、RESASというサービスを内閣府は提供しています。地域経済分析システム、地域のデータというものを一覧にしまして、それが見える化できる。これはもう誰でも見られます。地方自治体の方も見られるし、一般国民の方も見られます。そこに更に、一週間レベルの頻度の高いデータというものを入れたのがV―RESAS、バイタルサインRESASといいまして、人の脈拍だとかそういうものを意味するわけでありますが、まさに社会の脈拍というものを示すということで提供しているものでありますけれども、このV―RESASに搭載されています数十万のビッグデータを、AIを活用しまして、実は私、私的研究会を一つ持っておりますけれども、そこのメンバーが経済活動や社会活動ごとに整理したものであります。  この一つ一つの青い折れ線グラフが社会活動、経済活動でありまして、この左端から右端までが、左端が二〇二〇年一月の一週目であります。一番右側が十二月の最終週でございます。一年間のそれぞれの社会活動が上に出ているか、下に出ているか。上に出ていれば一般的に社会にとってプラスである、下に出ていれば一般的にマイナスというふうに読み取るわけでありますけれども、これを見ていただきますと、それぞれの社会活動、経済活動というもののマイナスに出る影響というものが活動によって違うということが分かります。  下から斜め上に線を引いておりますけれども、ある程度の相関関係を持って、社会活動というのは遅れて影響が出てくるということを示すものであります。また、右の方に黄色い網かけがかかっておりますけれども、これは何かというと、GoToトラベルをやった時期であります。GoToトラベルをやった時期に、それぞれ、グラフが乱れているところと乱れていないところがございます。こういう形でもって、今現在でも我々は社会の脈拍というのをしっかりと見ることができる。  更に言いますと、どうしても経済政策をつくるときというのは経済指標だけを見てしまいますが、ここの指標の中にはコロナの陽性率若しくは入院患者数なども入っていますし、また最近は、ツイッターだとか若しくはSNSへの書き込み、このテキストデータも全てデータとして取ることができます。若しくは画像データまでも、これは国民の気持ちの表れとして全て取ることができる。こういうことを組み合わせることによって、社会のきめ細やかな動きというものを捉えることができる。そこまできめ細やかに社会を捉えた上で、どういう対策をつくるのかということを、我々は既にやることができる。  今、平井大臣の下でデジタル庁をつくっておりますけれども、このことをしっかりと我々は武器としてつくって、更に言うと、国民にも提示し、また地方自治体の皆さんにも提供することができれば、常に社会の脈拍を確認しながら最適なタイミングで政策を実行し、一週間単位でその効果を検証する。また、過去の蓄積がありますれば、これをしっかりと蓄積することでもって、研究することによって将来の予測もできるんじゃないかということを考えています。  DXを掲げる菅政権の政治的なリーダーシップで、官民あちらこちらに散らばっているデータを集めて、リアルタイム社会診断システムの構築をしていただきたい、そういうふうに強く願っておりますが、大臣から一言お願いいたします。
  51. 西村康稔

    ○西村国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。  私どもも、データ分析を行って、それに基づいた政策立案、いわゆるEBPM、そして検証も含めて行ってきているところであります。  一例を申し上げれば、昨年の緊急事態宣言のときは、学校も全て休校にして、そして映画館や遊園地や、全て止めたわけですけれども、今回は、学校から何か地域に感染が広がるということは認められないというデータに基づいて、専門家の意見も踏まえて学校は休みにしておりませんし、映画館でも感染が広がらない、スポーツ施設、野球場やサッカーの観客席からも広がらないということで、もちろん人の流れを止めなきゃいけませんので、五千人、五〇%ということをやっておりますけれども、昨年のように全て止めるようなことはやらずに、データの分析、そしてスーパーコンピューターを使った解析なども踏まえてそうした対応を取らせていただいております。  そして、やはり飲食が中心、感染拡大の起点だということで、八時までの時短をお願いしたということで、これによって、結果としてはもう七割、八割の感染者減につながっておりますので、やはりデータに基づくこうした政策立案、重要だというふうに改めて認識をしているところであります。  さらに、今御指摘がありましたように、今後再拡大しないように、モニタリング検査をやりながら、そして御指摘のSNSのデータなども分析をして、飲み会が増えているとか熱が出ている人が多くなっているとか、様々なデータを更に解析して今後の再拡大防止につなげていきたいというふうに考えております。  その上で、このデータが、二つの視点から、今申し上げたマクロの視点で、いわば鳥の目でどういうふうな政策をつくっていくかという視点、御説明申し上げました。もう一つ大事な点がミクロの視点で、むしろ虫の目で見て、一人一人、あるいはそれぞれの事業者の状況を踏まえて対応するということも課題かというふうに認識しております。その上で、まさに厳しい状況にある事業者の皆さんをより細かく捉まえて、その方々に必要な支援を打っていく、対策を講じていく、この重要性、改めて認識をしております。  そういった意味で、御指摘いただいたデータの収集、分析、これを更に進めて、マクロの視点とミクロの視点で、必要な方にしっかりと支援が行くように、御指摘の点を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。
  52. 福田達夫

    福田(達)委員 ありがとうございます。  まさに今大臣がおっしゃったとおり、マクロとミクロの視点という違った視点が一つに語れるということが一番大事だというふうに思います。  どうしても我々議員側というのは、目につきがちな、視野に入ってくる困っている人、事業者について、どうしてもそこに注力しがちであります。また、これを一般化してしまって、これが全てだというふうに思いがちで、例えば、一律な手当てをしなければいけないということ、例えば持続化給付金などは、私は、あれは正直、一緒につくらせていただいたという自負を持っておりますが、今の事態には合わないと思っています。やはり個別に個別にしっかりと中を見ていかないと、本当に効くお金の使い方ができないというふうに思っております。  また、大事なことは、ミクロとマクロだけではなく、経済指標とコロナ感染症のデータを同じテーブルにのっける、若しくは、もう一つ重要なことは、国民感情というものがこれで測れるということです。国民が強い気持ちでいれば、多少厳しいことをお願いしてもできるかもしれない。しかし、弱っているときは、やはり政治としては柔らかなメッセージを出す。こういうこともしっかりと捉えた上でもって政策を打っていかないと、なかなかこれが効くことではないんじゃないかというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  時間がもうなくなってまいりました。もう少し幾つか言いたかったんですが、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、二二年度以降、しっかりと稼げる形をつくっていかなければいけないという話をされていました。  私は、先ほど申し上げましたとおり、中小企業政策というものをやらせていただいています。それは何かと申しますと、中小企業はこの国の家計の七割を支えている、そういう豊かさの基盤であります。また、この国は課題先進国と言われています。日本中のあちこちに課題がある。その課題に対してきめ細かに答えをつくってくる、これも各地域に分散した中小企業だというふうに私は信じています。そういう意味におきまして、この中小企業が稼げるようになるということがとてもこの国にとっては大事だというふうに思っています。  今、中小企業庁におきましても、このことについて抜本的な改革をしようというふうに聞いております。大臣の方から一言お願いいたします。
  53. 梶山弘志

    梶山国務大臣 就任に当たりまして、菅総理から、中小企業政策、とにかく活躍できるような基盤を強化をしていってくれというお話を一言いただきました。  その上で、中小企業、小規模事業者が新しい価値を生み出す源泉として活躍できるようにするためには、まず足腰を強化をしていくことということで、そういった視点での政策をつくらせていただいております。  まず、海外での競争を目指す中小企業による中堅企業への成長を支援をしていく。そして、具体的には、金融支援等について、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群を支援対象に追加することで、規模拡大を後押ししていく。規模拡大ということは、雇用も増やすということでもあります。今国会には、そのための法案も提出をさせていただいております。  また、中小企業にはそれぞれの役割がありまして、それぞれの地域地域課題の解決という形で社会貢献をしている企業もたくさんあります。それがしっかりと今度はビジネスになって、稼ぐ力というものをつけるような形にすることも我々の仕事であると思っております。  地域課題をしっかりと見つけた企業に対しまして、そして課題解決のための行動をしている企業に対しましてしっかり支援をしていって、そのモデルケースを全国に広げていくということが重要なことだと思っております。  ものづくり補助金、IT導入補助金等、さらにまた、先ほど申しましたけれども、今回の法案等でも関わりがありますけれども、事業再構築補助金等によってしっかりとした中小企業群をつくっていく、そして、それぞれの地域でしっかりとした雇用を維持をしていくということは非常に大切なことであり、そういった点に眼目を置いて取り組んでまいりたいと思います。
  54. 福田達夫

    福田(達)委員 ありがとうございます。  しっかりと稼げる中小企業群をつくることが、この国に豊かさをつくります。最低賃金の議論が最近出てきておりますけれども、やはり原因としての中小企業が稼げるというところからあって、結果としての賃金がつながってまいります。スピード感を持って、しかし、余り結果に飛びつくことなく進めていただきたいと思います。  もう一つ、農政についてお伺いしたいと思います。  どうしても、先ほど山際先生も御指摘になっていました、日本という国は、なかなか国際ルールを作るということには不得手ではないかというふうに思っておりますが、しかも、農政の世界、食料政策の世界というものは、どうしても国際化の流れに押されてしまって、守りになってしまっているような感じがいたします。  しかし、現在、農水省の中におきまして大転換をしているというふうな私は受け止めをしていますが、これは何かというと、みどりの食料システム戦略というものをつくっていただいているというふうに伺っています。これは、ある意味、日本が非常に大事にしてきた地域との関わりとしての農業、若しくは社会をつくる基本としての農業というものをつくっていただいていく、そして、それを世界に向かって発信するものだというふうに理解をしておりますけれども、このことにつきまして、野上大臣の方から一言お願いします。
  55. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 近年の食料、農林水産業を取り巻く環境というのは、やはり生産者が減少する、高齢化をしてくるなど生産基盤も弱体化をしてきておりますし、地球温暖化が進んでおりますので、農産物の品質が低下をする、あるいは災害も激甚化をいたしております。新型コロナの影響も大変大きなものがあるわけであります。  こうした中で、様々な産業でSDGsですとか環境への対応が重視されるようになってきておりますので、我が国の食料、農林水産業においてもこれは的確に対応していかなければならないと考えております。  今御指摘があったように、国際的な議論の中で、やはり我が国としても、アジア・モンスーンの地域の立場から新しい食料システムを提案していく必要があることから、持続可能な食料システムの構築が急務と考えております。このため、今お話のありましたみどりの食料システム戦略、昨年十月に私から検討指示をしております。  本戦略では、二〇五〇年に目指す姿としまして、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現ですとか、あるいは化学肥料や化学農薬の使用量の削減、有機農業の取組面積の拡大、そして持続可能性に配慮した輸入原料の実現等々を掲げることとしております。この実現によって、調達から生産、加工、流通あるいは消費における革新的な技術の開発や、その後の社会実装をしっかりと進めていきたいと思います。  今、生産者から幅広い食品事業者の方々まで意見交換を行っておりまして、三月には中間報告を取りまとめて、五月には策定をしてまいりたいと考えております。
  56. 金田勝年

    金田委員長 福田達夫君、時間が参りました。
  57. 福田達夫

    福田(達)委員 はい。  持ち時間が参りましたので終わりますけれども、今回のこの戦略は、日本が初めて、アジア・モンスーン地域も従えて、しっかり世界にルールを作っていく、打ち出していくというものだと思っています。大変に期待しております。  こういう中小企業だとか農業、地域に根差したものが強くなっていくということが、総理が掲げている自助、共助、公助、これを支えるものだと思います。なぜか自助だけが取り上げられて、なぜか自由主義的なとか競争主義的なということが出されていますけれども、私は、ほかの力を強くすることによって、力ある方は力ない方を助ける、共助、公助をこの日本社会全体でつくっていくのが菅政権の新しい取組だと思っております。  そのことをしっかり我々としても支えていくことをお誓い申し上げまして、私の質問といたします。ありがとうございました。
  58. 金田勝年

    金田委員長 これにて額賀君、山際君、福田君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  59. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。  この四月一日、新年度から、防災・減災、国土強靱化のための加速化五か年計画が始まります。この計画の柱の一つが土砂災害、山崩れからいかに人命を守っていくかだと認識しております。  七年前、広島で大きな土砂災害がございました。七十七名の方が犠牲になられました。このとき、私もプロジェクトチームのリーダーとして、地元の住民の方、また国、県の担当者と、なぜこれだけ大きな被害になったのか、議論をいたしました。その結果、まず、警戒区域、レッドゾーンそのものに指定されていなかった、そういうところが多かった、したがって避難体制が十分でなかったということが分かりました。  この警戒区域の設定には二段階あります。まず第一段階目は、科学的な基礎調査を行う。その調査の結果に基づいて、住民の皆さんの御納得をいただいて警戒区域に指定するという二段階でございます。そこで、当時、国会としては、各与野党の皆さんと議論をいたしまして、まずこの調査、基礎調査を加速する、そして、それに伴って得られた結果で警戒区域の指定を加速するという土砂災害防止法の改正を行ったわけでございます。  あれから六年間、基礎調査の加速、警戒地域指定の加速、行っていただきました。その結果、全国で約六十七万か所、危険な箇所があるということが分かりました。このうち、九四%の六十三万か所で警戒区域の指定が終わっております。まだ、しかし四万か所残っている。国土交通大臣、このことについてどのようにお考えでしょうか。
  60. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 近年、全国各地で激甚災害が頻発する状況の中で、国民の皆様の命と暮らしを守るためには防災、減災を主流とする社会をつくらなければいけない、こう考えております。  そのためには、住まれている地域がいかに危険度があるのか、そして、そのための対策を平素から取るということは大事でありまして、その大前提として、今、斉藤議員言われたような土砂災害警戒区域の指定が重要であるというふうに私たちも認識をしております。  ただ、この七年前の広島市内を襲いました土砂災害の時点まででは、この指定が大変遅れておりまして、全国で約三十五万か所。これも実は、斉藤議員が座長となった公明党のプロジェクトチームが総点検を実施していただき、その結果としてこうした遅れが明らかとなりまして、土砂災害の法改正につながったわけでございます。  この法改正では、都道府県が、まず基礎調査の実施と公開を義務づける、そして二つ目には、それを基にして住民の皆さんに説明をし、首長の意見聴取を経て土砂災害警戒区域の指定を促進するということでございます。  この法改正以後、実質五年間で、基礎調査が六十七万か所、約倍に増えました。が、残念ながら、この指定、六十三万か所、残り四万か所が指定できていないのは御指摘のとおりでございます。  この主な原因は、住民の皆様への説明会の開催、結構これが調整に手間取っておりまして、今後、こうした指摘を受けて、従来のやり方に加えて、関係世帯へ資料を送り、県に専用ダイヤルを設けまして問合せに応対する方法をするということで加速を促してまいりたいと思います。  こうした中で、残りの四万か所につきましては、来年度中に全都道府県で完了できる見通しとなっております。しっかり行っていきたいと思います。
  61. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 それで、次の問題は、警戒区域に指定されたというところがあるんですけれども、今、毎年のように土砂災害が起こっておりますが、警戒区域に指定されていないところで被害が多発しているという問題です。  一例ですけれども、例えば、広島市の土砂災害があった安佐南区の、ある大きな団地ですけれども、この団地では七年前も災害があった。その後、毎年のように大雨が降るたびに土砂が団地の中に流れ込んできている。しかし、地形が谷とみなされなかったがために、基礎調査の対象にはなったんですが、警戒区域、危険箇所とはみなされなかった。こういう事例が起きております。  我々も地元自治会から要望を受けまして、国、県に再調査ということをお願いしましたところ、詳しく調べたら谷とみなされる部分があったということで、昨年十二月に危険区域に指定されました。  今回、次の二巡目の基礎調査、これは全国で行われます。この二巡目の基礎調査では、より詳細な地形データを用いて危険箇所を指摘していくということも人命を守るために重要ではないかと思いますが、国土交通大臣、どのようにお考えでしょうか。
  62. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 今お話ございました広島の祇園団地の裏山につきましては、一巡目の県の調査では二万五千分の一の地図を使った結果、谷として確認ができなかった。斉藤議員からの御要請があって、再度、県として、今度は二千五百分の一の精度の高い地図で再調査をした結果、谷の存在が初めて明らかになった。その結果、昨年十二月に土砂災害警戒区域に指定することができました。  これは全国各地であることが予想されておりますので、土砂災害防止対策基本方針を変更いたしまして、この基礎調査においては、より詳細な地形データを用いることをルール化するということにいたしました。  国交省といたしましては、都道府県独自でそうしたデータが用意できない場合は、国交省が取得した高精度な地形データを提出することによって技術面の支援をしっかり進めてまいりたい、こう考えております。
  63. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その二巡目の調査に期待しております。  七年前の土砂災害の緊急対策として、昨年八月に、この地域では九十九か所の砂防、治山ダムが完成しました。国土交通大臣には完成式に来ていただきました。そして、この間、毎年のように実は土砂災害があって、しかし、まだ完成していないものであっても、流れ来る土石流をしっかり受け止めた、大きく被害を軽減しているという実績、効果が顕著になってきております。  しかしながら、全国六十七万か所の中の九十九か所、ほんの一部でございます。そして、先ほど挙げたような例も、団地の例もあるということで、未整備のところをどう対応していくかということも大切だと思います。  全てに堰堤を造るわけにはいかない、避難計画をどのように作っていくかということも含めて、また、国土交通大臣、この週末には常磐道の山崩れの現場を見られたと言われておりますけれども、高速道路ののり面対策も非常に安全、安心のために重要でございます。  政府が決定いたしました総額十五兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化計画、これをどのように使って、また命を守るための砂防ダムの建設等を進めていくのか、そのお考えを国土交通大臣にお聞きいたします。
  64. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 頻発する激甚災害、特に土砂災害が大変多く発生しております。今お話ございました、私も昨日、常磐道の相馬インターチェンジから新地インターチェンジの間ののり面の崩落現場を視察してまいりましたが、改めて、こののり面対策、そしてあと、先ほどお話ありました砂防ダムの整備、これも、九十九か所の砂防ダムの結果、平成三十年の西日本豪雨災害ですとか昨年七月の豪雨災害でしっかりと効果が表れたということからも明らかだというふうに思っております。  のり面対策につきましては、この二月十五日、今回の福島の地震を受けて、全国の高規格道路と直轄国道を対象に、被災現場と同様の形状ののり面を抽出して、変わりがないかという、変状等の有無を確認を進めているところでございます。  また、災害が起こったときに、やはり道路ネットワークが、しっかり保持するということは非常に重要でございますので、緊急輸送道路ののり面、盛土の土砂災害防止対策を改めて進めながら、暫定二車線区間をしっかりと四車線区間に取組を進めていく。昨日の地域も四車線区間であれば途絶することなく緊急車両の通行はできたというふうに思っておりますので、現場で四車線化をするということも報告をしたところでございます。  こうしたことをできるのは、実は、防災・減災の五か年の加速化対策の予算が今回計上できたことだというふうに思って、大変感謝をしながら、せっかくのこうした大きな予算でございますので、五か年にわたった中長期計画を、全国の県、市町村の防災対策をしっかりヒアリングしながら対策をしていきたい、こう考えております。  祇園団地の裏山につきまして、新たな砂防ダムの整備の要請も斉藤議員から、公明党からも受けておりますので、地域の住民の皆様の御理解をいただきながら、必要な調査もしっかりと実施をしていきたい、こう考えております。
  65. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 これは本当に国民の安全、命を守るために重要な事業だと思いますので、しっかり対応をお願いしたいと思います。  次に、核軍縮、核廃絶についてお伺いしたいと思います。  核兵器禁止条約が発効して一か月がたちました。この核兵器禁止条約は、私も被爆者の問題に長年取り組んでまいりましたけれども、被爆者の重い決意が結晶した条約だ、このように思っております。また、我が国の国是である非核三原則、持たない、造らない、持ち込ませない、この非核三原則にも相通ずる精神を持った条約だと思っております。  また一方、アメリカバイデン大統領は、オバマ大統領の核なき世界の理念を継承する、このように表明しました。また、いわゆる新START、新戦略兵器削減条約も、この月末に切れる予定でしたけれども、これが延長するということが決まりました。  このように、今、核軍縮、核廃絶に向けて世界機運が変わってきている、このように思います。今重要なのは、そういう機運をつくり上げるための国際協調、その枠組みを日本が先頭に立ってつくっていくことではないかと思いますが、菅総理に、今の世界の状況についてどのように御認識か、お伺いをいたします。
  66. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 核軍縮の進め方をめぐっては、核兵器国と非核兵器国の間のみならず、核兵器の脅威にさらされている非核兵器国と、そうでない非核兵器国の間においても立場の違いが見られています。核兵器のない世界実現するためには、現に核兵器を保有している国を巻き込んで核軍縮を進めていく、このことが不可欠だと思います。  我が国としては、引き続き、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、立場の異なる国々の橋渡し、ここを努めて、核軍縮の進展に向けた国際的な議論に積極的に貢献をしていきたい、このように考えております。
  67. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 日本政府としては、現状ではアメリカの核抑止に頼らざるを得ない状況でありまして、条約に署名はしないという立場については分からないわけではないと私は思っておりますが、しかし、そういう中であっても、政府のそういう立場の中であっても、政府はこれまで、先ほど何もしていないじゃないかという不規則発言もありましたが、しかし、そうではないと思うんですね。  核軍縮の実質的な進展のための賢人会議日本政府が立ち上げました。この賢人会議は、保有国も、非保有国、両方出て議論をするものです。その議長レポートの中で、画期的なことが書かれております。核抑止について、「特定の環境における安定性を強化するかもしれないが、世界安全保障にとって危険な基盤であり、全ての国は、より良い、長期的な解決を追求すべき」、このように議長レポート、日本政府が主宰し、保有国の代表も入ったこの賢人会議でこのような結論が出ているというのはすごいことだと私は思います。  そういう中で、核抑止に代わる新しい考え方、安全保障の基盤を考えるということを日本がリードしていってもいいのではないか、このように考えます。  NPTとこの核禁条約、両輪になると思います。NPTの運用検討会議、一年延期になって、この八月に行われます。この八月に行われますので、ちょうど広島、長崎の原爆の日とも重なっております。そういうことも併せて、茂木大臣日本が、このNPT運用会議の成功に向けてリーダーシップを取るべきではないか、先ほどの賢人会議の結論も踏まえて、リーダーシップを取るべきではないかと思いますが、大臣の御認識を伺います。
  68. 茂木敏充

    茂木国務大臣 委員指摘のとおり、NPT、これは国際的な核軍縮・不拡散体制の基礎でありまして、その第六条において、核兵器国の核軍縮に向けた誠実交渉義務を定めております。ただ、交渉はするんですけれども、実際にどう進めるかという段になりますと、核軍縮を進めるための方策については依然として国際社会における意見の相違、これが大きいのが現実であります。  現実の安全保障上の脅威にどういう形で対応していくか、極めて重要な問題指摘だと思っておりまして、安定的な形で核に頼らずそういうことができるというのが望ましいと思っておりまして、そういった検討は進めなければいけないと思っております。  ただ、こういった状況が続く中で、八月、まさに広島、長崎で原爆の日が開催される月、その本年の八月に開催が見込まれます第十回のNPT運用検討会議に向けた機運を高めて、意義ある成果を収めることが重要だと考えておりまして、日本としては、これまでも、国連総会における核兵器廃絶決議で、共通の基礎、基盤、これを構築する、こういう議論の基礎を提供してきたわけであります。  これに加えて、我が国として、核軍縮・不拡散イニシアティブなどの取組を通じて、NPTに基づく核兵器の核軍縮が進展するよう、国際的な議論にも積極的に貢献をしていきたい、このように考えております。
  69. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 外務大臣のその御奮闘、是非お願いしたいと思います。  先ほどの核兵器禁止条約ですが、発効しました、締約国会議が行われます。日本はこれに署名しないということではございますが、我が公明党としては、少なくともオブザーバー参加はするべきだ、このように主張しております。それは、核兵器禁止条約締約国会議で、被害者の定義、その救援の方法、そして環境の回復の方法など、具体的に話し合われるからです。これこそ、唯一の戦争被爆国である日本の、被爆者の体験もございます、そういうものを役立てることこそが国際貢献につながるのではないか、私はこのように思っているところです。  核兵器禁止条約に入るか入らないか、単に二者択一という話ではなく、そういう話合い、議論の場には日本は参加する、そういう中にあって、最終的にはこの核兵器禁止条約に日本が署名をする、そういう環境、土壌をつくっていくということが大事ではないかと私は思います。  締約国会合の広島、長崎への招致、それから締約国の三分の一の賛同で開催できる特別会合を、例えば八月六日、八月九日、広島、長崎には世界から有識者が集まります、そういう場で会合を開くなど、日本政府が積極的に取り組んでもいいのではないかと思います。  核兵器の問題は、世界平和の根幹に関わるだけではなくて、地球規模問題とも密接に、環境問題等ですね、絡んでまいります。この世界課題に取り組むSDGs、二〇三〇年をゴールとするこのSDGsの進捗と歩調を合わせ、いわば核兵器とSDGsという考え方の下で、全ての国が核兵器のない世界実現に向けて議論をしていくべきではないか、このように思います。  菅総理の核兵器廃絶に向けての御決意をお伺いしたいと思います。
  70. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界実現に向けた国際社会取組をリードする、そういう使命を有しておるというふうに思います。これは我が国の確固たる方針であります。  国際社会では、核兵器のない世界実現との目標は、これは広く共有されておりますが、SDGsのように達成の時期は定められておりません。  政府としては、引き続き、核軍縮の進展に向け、国連総会への核兵器廃絶決議の提出や、広島、長崎における被爆の実相を伝える取組を通じて、立場の異なる国々の橋渡し役に努めていく決意であります。
  71. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 総理、しっかりお願いをしたいと思います。  次に、非正規雇用で働く女性への支援について質問をいたします。  昨年十二月の労働力調査によれば、非正規雇用で働く方、一年前と比べて、男性は二十七万人の減少なんですが、女性については五十九万人減少している。このコロナ禍の影響が特に強いのが非正規雇用で働く女性だ、このようにコメントしてございます。  また、野村総研の調査によれば、パート、アルバイトで働く女性のうち、コロナ前と比べて勤務時間や勤務日数、いわゆるシフトですね、シフトが五割以上減少し、休業手当も受け取っていない実質的失業者が約九十万人いる、このような報告がなされております。  また、この調査によれば、いわゆるシフトが減少したパート、アルバイトの女性のうち、シフトの減少、一日単位の休業だけでなく、時間が少し減った等の、いわゆる短時間休業であっても休業手当がもらえるということを知らない人が六割。この休業手当というのは事業主が申請しなきゃいけないんですが、事業主が申請してくれなくて休業手当がもらえない場合は労働者本人が申請することができる、これが休業支援金ですけれども、この休業支援金のことも知らないという人が六割いらっしゃるということが分かりました。  是非、労働者、事業者双方に効果的な広報が必要なのではないかと私は思います。  そして一方、この同じ野村総研の調査ですが、コロナ禍でシフトが減少した、先ほどの実質的失業者、そういう方が、二人に一人は新しい仕事を探したい、そのうち八割は今と異なる仕事でもいい、このように答えております。  新年度予算案には、在籍型出向、つまり今の会社に籍を置いたまま別の会社で働く、この在籍型出向を支援する産業雇用安定助成金、それから、未経験の職業に就く方のトライアル雇用など、今と違う仕事、異業種への活躍を後押しする施策が計上されておりますが、これは正社員だけです。非正規労働で働く、例えば、本当に今困っていらっしゃる、そういう女性の方等も活用できるようにすべきではないか、このように思います。  非正規雇用で働く女性への支援について、厚労大臣、お伺いします。
  72. 田村憲久

    ○田村国務大臣 前段、休業支援金のお話がございました。  本来、雇調金なんですけれども、特例の特例という形で、御本人の申請をいただいた上で、基本的には、その雇主の方が、シフトならシフトで、今、日数を減らしているということを御了解いただかなきゃならぬのですが、そこも、現状のことを、説明をこちらからさせていただいて、異論がなければ支給をさせていただくというような、そういう特例的対応をさせていただいております。  これに関しましても、私、再三今までも記者会見等々で申し上げてきているんですが、なかなか伝わらない。関係省庁から業界団体にもお願いをさせていただいておりますし、大学、それから困窮者支援の窓口、こういうところ、生活困窮者の支援の窓口でもこういうものを置かせていただいて周知を図っております。  今までホームページでありますとかツイッターを使ってきたんですが、この二月の十二日からですかね、フェイスブックでありますとかLINE、こういうものでもしっかりと周知をさせていただいております。しっかりとこの休業支援金を御利用いただきたいというふうに思っております。  あわせて、女性の非正規の方、女性だけじゃないのかも分かりませんが、こういう方々に対して、おっしゃられますとおり、一つは、産業雇用安定助成金という形の下で、在籍出向も含めていろいろな対応をさせていただいておりますが、この在籍出向に関しましては、二十時間以上の方に関しては非正規であってもこれは対象になるわけでございまして、こういうものをお使いをいただきながら、在籍出向で同じ職種で働いていただく。  一方で、職業を替えるという方がおられると思います。今まで経験、就労したことのない、そういうような職業に就かれる方、これはトライアル雇用を特例的に広げまして、これも二十時間以上の方々は対応ということになります。  あわせて、ちょうど、新たな雇用・訓練パッケージというものをお示しをさせていただいたんですが、コロナ対応のステップアップ相談窓口というものをつくりました。これは個別、伴走型であります。  例えば、働きながらも訓練をしてスキルアップしていきたい、こういうような方に関して、そういうような、今訓練もいろいろと、働きながらやれるように、時間等々、期間等々を緩和しておりますので、そういうもので訓練を受けていただきながら、それで身につけた能力で今度は職業支援をしていく、こういう窓口もつくっております。  様々なメニューをつくりながら今応援をさせていただいておりますので、まずはアクセスしてもらわないと、それもつながっていきませんので、周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  73. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 コロナ禍で、今の、女性の方が大変、特に非正規雇用の方が苦しんでいらっしゃるというようなことも関係しているのかもしれません、自殺が大変増えております。  ずっと減少傾向だったんですが、昨年増えました。リーマン・ショックのときは男性が増えたんですが、今回、男性は増えていませんが、女性が大きく増えている。先ほどのような問題があるのかもしれません。  それから、児童生徒の自殺者数が昨年は一昨年から四一・三%増加したということで、女性、子供の自殺が増加している原因についてどのように把握しているのか。  また、孤立・孤独担当大臣、坂本大臣が担当になられました。これらの問題と絡め合わせて、孤立、孤独の問題にどのように対応して、自殺等、なぜ女性、子供が増えているのか、それに対してしっかりとした対策が必要なのではないかということを、坂本担当大臣と、それから自殺担当の小此木大臣にお伺いしたいと思います。
  74. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 先週金曜日に孤独・孤立対策担当室を設けさせていただきました。常駐で六人、そして専従体制で十人、兼務も合わせますと三十一人の世帯でございます。  この対策室が一種の司令塔になって、これから、各それぞれの省庁で行われております自殺対策あるいは孤独対策、こういったものに対して、総合的に対策を進めるための政策をつくって推し進めてまいりたいと思っております。  その上で、まず今週に、それぞれの現場で支援をしていただいておりますNPOを中心とする方々にお集まりいただきまして、緊急フォーラムを開催をいたします。そして、様々な意見がそこで出てまいりますので、それを基に、実態の把握、そういったものをして問題点を洗い出してまいりたいというふうに思っております。その中に自殺対策も含まれてくるというふうに思います。  それから、一つ難しい問題は、定義の問題がございます。孤独の定義の問題というのがあります。これは、余り厳格に決め過ぎると、それからこぼれ落ちる方々にどういうふうに対応していくかというような問題も出てまいりますので、そこは御党の方でも対策本部を設置されたというふうに聞いておりますので、御党の御意見も聞きながらこれから進めてまいりたいと思っております。そして、関係省庁、それぞれ連絡を取ってまいりたいと思います。  これまで長年言われてきた孤独、孤立の問題ですけれども、このコロナ禍で顕在化をしてまいりました。これから、長期的な社会的な課題として捉えながら、総合的に進めてまいりたいというふうに思っております。
  75. 小此木八郎

    ○小此木国務大臣 委員指摘のように、一昨年の自殺者の数が昨年になりましてから九百人以上増えているということでありますから、大変に重く受け止めております。  今答弁された坂本大臣やあるいは田村厚生労働大臣とも連携を図りながら、自殺の動向をより的確に把握できるように、自殺の統計原票、これの改正を警察としてはしてまいりたいと思っています。先生の御指摘委員の御指摘はもういろいろなところにあるというふうに考えますけれども、雇用形態や同居人、家族等の構成、こういったものを詳細に把握できるようにするために、先ほど申し上げた自殺統計原票の見直しを進めてまいりたいと存じます。
  76. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 これらの問題は一連の問題だと思います。よく政府で、各省庁間で連携をして対応をして改善を図っていかなければいけないと思います。  最後に、田村厚労大臣に、ワクチン接種について質問をいたします。  医療従事者、高齢者、それから六十五歳未満の基礎疾患を持っていらっしゃる方という順番で接種が行われます。ここで問題は、基礎疾患を持っている人という、これは非常に曖昧です。問題は、自治体もそれを把握していない、本人も自分が基礎疾患保持者なのかどうか分からない、こういう状況の中で、今、いろいろな、ワクチンの提供状況について、少し遅れるのではないかというようなニュースも流れております。また、接種希望者が増えてきている、このような状況もありまして、基礎疾患保持者への対応が始まったときに、多くの人が押し寄せてきて大混乱するのではないか、こういう心配がございます。  この基礎疾患保持者を特定するために、田村大臣もよく御存じです、広島県呉市等でやっている医療ビッグデータ、保険レセプトを用いた分析によって、基礎疾患を持っている人を特定できるという技術がございます。これらを使ってしっかり指名してあげて来ていただいた方が混乱が少ないのではないか、このように思うんですが、この基礎疾患保持者をどう対応するか、お伺いします。
  77. 田村憲久

    ○田村国務大臣 今、もう委員承知のとおり、基礎疾患の場合は、予診票等々、その質問事項等で確認をさせていただいて、これはやはり御本人の負担でありますとか現場の負担がございますので、その確認の下で自己申告で対応させていただくというふうに考えております。  呉方式は、もう私も、よく委員も御承知だと思いますけれども、データ等々、レセプト等々を利用しながら、言うなれば、悪くなる前に積極的に勧奨し、保健指導のような形を含めて対応して、特に糖尿病等々を悪化させないと、大成功されております。  ノウハウがあられて、今全国展開しているんですけれども、やはりそのノウハウもしっかりと、今、研修会等々で広げていただいておるようであります。  問題は、これはデータがまず匿名化されている場合が多いと。例えば、今みたいに、健康に対しての、保健に対しての勧奨には使えるんでしょうけれども、こういうワクチンに使えるかどうかというのは、これは条例で様々だと思います。ここも確認しなきゃいけないんですが。  あわせて、被用者保険。国民健康保険はいいんですが、被用者保険は、企業でありますとか協会けんぽが持っておりますので、ここのデータは市町村は持っていないということがございまして、そういう意味では、なかなかこのワクチンの接種にこれを基礎疾患として使うというのは難しいかなと思っておりますが、いずれにいたしましても、分かりづらいというお話がございますので、分かりやすく、それぞれの方々に、基礎疾患を持っておられる方々に接種いただけるように、我々も努力をさせていただきたい、市町村としっかりと協力をしてまいりたいというふうに思っております。
  78. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。
  79. 金田勝年

    金田委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。  次に、菅直人君。
  80. 菅直人

    ○菅(直)委員 菅総理とのこういう場での質疑は初めてかと思います。  表記が漢字でいうと菅さんと私は同じなものですから、かつては時折混同もされていましたが、今では菅総理総理として活躍されているので、そういうことも少なくなっております。  先週の十二日ですか、夜かなり遅く、大きな地震がありまして、福島沖ということで、私も改めて十年前のことを思い出しました。  あのときに、東日本大震災、さらには津波、さらにはそれに伴って生じた東電の第一の事故、それによって亡くなられた方、あるいは被災をされた方に、改めてこの場でお見舞いを申し上げたいと思います。  私も、そのときの総理として、これらの問題には、政治家であり続ける限りといいましょうか、私が生きている限りこの問題には最後までしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っているところであります。  そこで、このコロナという問題と原発事故という問題は、性格は非常に違います。しかし、危機管理とか緊急事態という面で見ると、共通の面もあると思うんですね。  私は、あの福島原発事故が起きたときに最初に頭に浮かんだのは、「日本沈没」という本の状況でした。日本中から人々が逃げ出さねばならなくなる、それが頭に浮かびました。  その後、当時の原子力委員長の近藤駿介さんに政府関係者からお願いをして、最悪の状況でどういうことが予想されるのか、このことを提案といいましょうか提言をしていただきました。このパネルがその提言の内容を図にしたものであります。  提言には、かなり詳しく、線量の評価結果ということで、それぞれ、こういう場合には七十キロ圏、こういう場合には百十キロ圏、こういう場合には百七十キロ圏、更にこういう場合には二百五十キロ圏に、それ以上に避難をお願いすることもあり得る、こういうことが提示されました。  私が想定していたこととある意味で一致をしていただけに、何とかそうならないためにどうするかということを考えて、いろいろな対応をしたつもりであります。  まず菅総理にお聞きしたいんですが、今回のコロナ、もう官房長官時代から大変御苦労されていると思うんですが、そして総理になられて、どういう最悪の場合を想定され、そしてそれに対してどうするか、まずその基本的な総理の考え方をお聞かせください。総理
  81. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、最悪を想定するというのは危機管理の要諦だと思っています。一国の総理として、そのような事態も含め様々なことを想定をして対策を検討する、ここは当然だというふうに思っています。  議員も、未曽有の震災の中で、総理として、国民の命を救うために大変御苦労をされたことだと思います。私も、この新型コロナとの戦いが始まって約一年、初めての感染症への対応などで手探りの部分はありましたが、常に国民の皆さんの命と暮らしを守るという強い決意の下に最前線で取り組んできました。  その中で、先のことも見据え、専門家の皆さんの御意見も伺いながら、緊急事態の発出などの、私自身で判断を行い、必要な対策を講じてきたものであります。引き続き、先頭に立って対策を推進し、一日も早い感染の収束に努めて、国民の皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻してまいりたいというふうに思います。  また、最悪の事態、様々なことが考えられるというふうに思います。例えば変異種の問題など様々な問題の中で、そうした最悪のケースを含めて事態を想定した上で検討していることも事実であります。
  82. 菅直人

    ○菅(直)委員 一般論としては分かるんですが、この間のいろいろな対応を見ていると、例えばGoToイートとかGoToキャンペーンとか、そういうことは、どちらかといえば、経済対策ではあるけれども、感染症そのものを抑制するという対策ではちょっと違うと思うんです。そういう意味で、コロナ危機に対して最悪の状況をどう考えていたのか、経済対策ではなくて。  そのことについて、もうちょっと明確な何か、当時からお持ちの考え方があれば、あるいは今お持ちの考え方があれば。最悪の状況をどう想定されているのかということが、おっしゃることができるのならおっしゃってください。
  83. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 コロナ対策の中で最悪の状況というのは、今、私、一例として申し上げましたけれども、変異株の問題だとか、そうしたものにワクチンが効かなくなるだとか、いろいろなことが当然想定をされますけれども、そこについては、様々な対応をすることができるように、全力を挙げて、そうした情報収集なりいろいろなことを行っているということであります。そして、万全の対策で臨んでいきたいというふうに思います。  海外においては、ロックダウン、これをずっとやっている国が多いわけです。そうしたことでも大変な状況にあるということも事実じゃないでしょうか。  そういう意味で、やはり最悪というのは、想定をしない、そうした変異株とか、それに対してのワクチンが効かないとか、いろいろなことだというふうに思います。今はそうしたことがないわけですけれども、いろいろなことを想定して対策を取るというのは、これは総理大臣としての責務だと思います。
  84. 菅直人

    ○菅(直)委員 繰り返しませんが、それは変異株とか、ある意味で新しい現象が出てきていることに対して対応されようとするのは、それは当然必要なことだと思います。しかし、過去にはスペイン風邪とかいろいろな歴史もありまして、そういう中で、約一年前あるいはもう少し前からこのコロナが世界的に蔓延して、そして、日本でも、船がやってきて、その皆さんをそのまま普通の電車で帰すということをやられたりいたしました。  つまり、私から見ると、先ほどの原発事故の問題でいえば、最悪の場合にはその範囲から逃げ出さなければならなくなる。それには、こういう事態が起きたときにはそこまで拡大するかもしれない、そういうことを近藤駿介当時の原子力委員長に専門的な立場で提案をしていただいたわけです。  そういう全体を見通した最悪のシナリオというのを、私はこの間の菅総理の行動、発言を見ていると、部分的なことは分かりますよ、全体としてどういうことを思っておられるのか、もしそれについて御意見があるなら聞かせてください。
  85. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、コロナが収束するために何が最も可能性が高いのか、そして、国民の皆さんの影響をできるだけ少なくして、そうした有効な対応策等を取っていくというのが、これがまさに私の基本であります。  そして、最悪の場合につきましては、今申し上げましたけれども、今私どもが想定をできないようなそうした事案がまた新たに発生をした場合、それに対して、様々な専門家の皆さんの意見を参考にしながら、また各国意見、行動を参考にしながら対応策を取っていくという、ここが自然なことだと思います。
  86. 菅直人

    ○菅(直)委員 もう繰り返しませんけれども、今の総理の発想は、新たに何か起きたときのことをいろいろ言われていますけれども、もう一年間、いろいろな国でいろいろなことが起きて、日本でも起きているわけで、そういう中で、ここまでのことが起きる可能性があるけれども、それに対してはこうするんだ、そういう意味での最悪のシナリオが、私は、残念ながら今の菅政権あるいは菅総理には見えない、そこが非常に大きな問題だと思っております。  そこで、もう一点だけ。  我が党の今代表をやっている枝野さんとかは、原発事故当時も官房長官としていろいろな経験をいたしております。私は、菅総理になって、野党のそういう代表的な人と、やはり話を聞く、そういうことをやられた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  87. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まさにこの新型コロナという国難を乗り越えていくためには、与野党の垣根を越えて取り組んでいくということは大事なことだというふうには思います。そういう中で、野党の皆さんの提案でも真摯に受け止めさせていただく考えであります。  そうした中で、国会の中には政府・与野党連絡協議会というものを設置をさせていただいて、定期的に開催して意見交換を行っているというふうに承知しています。また、特措法については、与野党の皆さんの御議論を踏まえ、修正を行った上で可決をさせていただきました。また、こうした国会等も、この予算委員会等も通じて、様々な御提案もいただいています。そうしたものについては謙虚に受け止めさせていただいて、大事なものについてはしっかり対応させていただきたいというふうに思います。  その上で、私に今一番求められているのは、やはり一日も早く感染を収束させ、安心して暮らせる日常を取り戻すことであるというふうに思っています。まさに、この緊急事態を宣言してから二か月になろうとしておりますけれども、飲食という部分を中心に対策を講じた中で、感染者の皆さんが八割近く発令前と比較をして減少してきていることも、これは事実だというふうに思っています。こうしたことを徹底をして行って、一日も早く収束に近づくように取り組んでいきたいと思います。
  88. 菅直人

    ○菅(直)委員 私が、十年前のときには、たしか事故発生から数日の間に、当時の谷垣総裁ですか、他の野党の党首にもお話を伺いました。今の答弁の中で、私が聞いていることにお答えください、そういう、野党の党首とさしで、あるいは、もちろん何人かでもいいですよ、総理自身が話を聞かれるというつもりがあるのかないのか、今の答弁にはそれが入っていません。はっきり言ってください。
  89. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今申し上げましたけれども、御協力いただいているように、政府・与野党協議会、そうした場を十分に活用させていただきながら、このコロナ対策に御協力いただき、また、私どももお願いをさせていただいて、与野党の垣根を越えて取り組んでいきたい、このように思います。
  90. 菅直人

    ○菅(直)委員 もう一度だけ。党首会談をやられるつもりはあるんですか、ないんですか。イエスかノーかで答えてください。
  91. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 必要であれば、それは当然お願いすることはあり得ると思います。
  92. 菅直人

    ○菅(直)委員 今まさに必要なときだと思うから提案をしているので、必要があればとおっしゃったので、是非その必要性を考えていただきたいと思います。  そこで、少し、今日のグリーンエネルギーの問題も述べていきたいと思います。  菅総理が所信表明演説で、二〇五〇年までにいわゆるカーボン、炭酸ガスをゼロにするという、私も大賛成であります。ただ、気をつけないと、これを口実に原発を再稼働なりあるいは新設しようという動きが、残念ながら、自民党の一部やいわゆる原子力村では行われております。  私は、この十年間を見ていて、もう原発ゼロに関しては勝負がついている。新規に原発を造ろうと思えば原発事故前の三倍ぐらいかかりますし、それから、再生可能エネルギーはどんどん値段が下がっております。  そういう意味で、経産大臣に、まず、福島原発事故以降の電源構成、つまりは、原発が何%で、再エネが何%で、それ以外が何%、それを簡単にお示しいただけますか。
  93. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、原発の関係は勝負がついているというお話をされていましたけれども、私どもは安定供給という点で見ておりまして、勝負どうこうの話じゃなくて、やはり、二〇三〇年、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中で、いかに安定供給をしていくかという中でエネルギーミックスというものを考えているというところであります。  こうした中で、直近二〇一九年の原子力比率は六%ということであります。  二〇三〇年のエネルギーミックスでいえば二〇から二二ということでありますけれども、その実現に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。原子力規制委員会の審査を経て既存の原発を再稼働し、震災前の平均七割のところを、例えば八割程度まで設備利用率を向上させ、一部の炉については法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行うことによって、達成可能な水準と考えております。  再生可能エネルギーにつきましては、今の時点では一八%ということであります。  それらも含めて、残りが火力ということになるわけでありますけれども、二〇三〇年のエネルギーミックスを目指して、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  94. 菅直人

    ○菅(直)委員 今経産大臣がお答えになったのは二〇一九年、それはそのとおりです。二〇一九年は、原発が全電力のたしか六%、そして再エネが一八%。私のお示ししているこの表は、二〇一一年から一九年、これは年度です、年度でいいますと、再エネが一四%、原子力は三%ですよ、三%なんです。  先ほど私が申し上げたのは、この三%がどんどん増えていくかというと、私が見通す限りは、コストも上がっている、いろいろな状況を考えますと、私はそういう方向へ行かないだろうと思っています。  そこで、一つだけ、これはちょっとパネルにする余裕はなかったんですが、二月二十日の、つい先日ですね、毎日新聞がこんな大きな記事を出しました。これは、「中国 再エネ急拡大」、ここまでは私も普通に読んだんですが、何と、一年で原発百二十基分を再エネで整備しているという表示です。私も、どちらかといえば、原発は各国で減っている中では、中国はやや増えているという認識だったんですが、それどころか、原発百二十基分を一年間でやると。これを読んでいただければ分かりますが、再エネだけでほぼ七〇から八〇という数字を出して、現実に走っているんです。  それに対して日本は、再エネ、太陽光はかなり増えてはきておりますが、残念ながら、風力は期待していたほどは伸びていません。これも、私は、経産省が送電網の扱い方をそういうものに対してもっと積極的に使えるようにしたら、もっと増えたと思うんですが。  そういう意味で、今申し上げたことです、つまりは、もっと再エネを増やすことが可能だし、それによって全ての電力を再エネで供給することは、後ほど述べますが、私は可能だと思いますが、経産大臣は全ての日本電力を再エネで供給することは可能だと思いますか、無理だと思いますか。
  95. 梶山弘志

    梶山国務大臣 現時点での技術ではなかなか難しいと思っております。調整力、慣性力といった形で、ブラックアウトにならないような形のをどう対応していくかということも必要でありますし、再生可能エネルギーの比率を高く言っている団体の方々も、課題としては、慣性力、調整力をいかにするかだという検討課題、これからの克服すべき課題をおっしゃっているということであります。
  96. 菅直人

    ○菅(直)委員 農林大臣に今日はお出ましをいただいています。  私は、この質問は、昨年の暮れ、質問主意書でも実は行っているんですね。つまりは、営農型太陽光発電、これは後ほど農林大臣にお聞きしたいと思いますが、このやり方を活用すれば日本電力は全てそれで賄えるのではないかという質問をいたしました。これに対する答弁は、必ずしも否定ではなくて、農地をそういうふうに使えるかどうかは分からないという答弁でした。  そこで、農林水産大臣にお聞きします。  これは農林省の資料ですから、是非農林大臣の口から国民の皆さんに説明いただきたいんですが、営農型太陽光発電、一般の方はまだよく分かっていません、どういうものかを御説明いただけますか。
  97. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 お答え申し上げます。  今お話のありました営農型太陽発電でありますが、これは農地に支柱を立てて、その上部空間に太陽光パネルを設置をして、営農を適切に継続しながら発電を行うという取組であります。  営農型太陽発電は、再生可能エネルギーの導入だけではなくて、農業収入に加えまして売電収入も得るということによって農業所得の向上が図られる、こういうメリットもありまして、地域農業の活性化にも資する取組であると考えております。  農林水産省では、例えば、設置に当たって必要となる農地の一時転用許可期間につきましては、担い手が営農する場合には三年以内から十年以内に延長いたしましたり、あるいは、今そこにありますガイドブック等々を策定をしまして、取組事例や必要な手続、支援制度などを紹介しておりますし、地方農政局に相談窓口を設置して様々な相談にもお答えをしているところであります。営農型太陽光発電の導入を今推進をしているというところでございます。
  98. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の農林大臣の御答弁、是非経産大臣にも総理大臣にもよくお聞きをいただきたいんです。  つまり、太陽光発電というのはかなり面積が必要なんですね。ですから、私も、オーストラリアみたいなところであれば面積があるから大丈夫だけれども、日本はなかなか難しいだろうと思っていました。そうしたら、この営農型太陽光発電、これは最初はソーラーシェアリングという表現で発明された方がありまして、今も農林大臣が言われているように、下で農業をやるんですよ。農業収入と売電収入が両方入ってくる、そういうやり方を農林省としても進めてこられているわけですね。  私の計算、これは農林大臣にもしお答えいただければありがたいんですが、日本では四百万ヘクタールの農地があります。一ヘクタール当たり、大体、専門家の話を聞くと、五百キロワットのソーラーパネルを、ソーラーシェアリングの、今農林大臣が言われたような、間隔を置いて農地の上に並べて、五百キロワットのパネルを設置することができます。大体、年間千時間の日照時間で、それを四百万ヘクタールで計算しますと、二兆キロワットアワー、これは今日本が使っている電気の二倍です。どうでしょう、農林水産大臣、この計算、事務方には確認をしてもらっているんですが、間違っていますか、計算上は合っていますか。農林水産大臣
  99. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 今委員の御提案につきましては、全国の農地の四割で安定的に営農型太陽光発電が行われる前提ということになっておりますが、実際には、電力網への接続が可能かどうかですとか、あるいは天候不順による、発電量が減少して電力需給が不安定になることはないかといった様々な課題をクリアする必要がありまして、実現可能性については慎重な検証が必要ではないかと考えております。
  100. 菅直人

    ○菅(直)委員 今農水大臣は、私が提出した質問主意書、これでは、大体一〇〇%になるには農地の、四、四、十六だから、四〇%を今言ったソーラーシェアリングに当てはめればいいんじゃないかということを、菅内閣、これは菅総理からの返事なんですよね、それに対して菅総理の返事も今農林大臣が言っていますが、つまりは、農地をそういうふうに活用できるかどうかということがまだはっきりしないと。  ですから、私、農水大臣に申し上げたいんですよ。農水大臣自身が先ほど答弁いただいたように、今、全体に農業は高齢化しています。全体に、農業から、どちらかというと耕作放棄地が増えています。このやり方を取れば、私もいろいろなところを見てきました、いろいろな現場を見てきました。あるところでは、農業をやってもらう人に多少支援金を払ってでも農業を続けてもらいながら、そして、上では電気を発生するということもやっています。ですから、そういう意味では、私は、工夫をすれば、この農地を耕作物と同時にエネルギーの供給にも使う。  考えてみてください。農林大臣に是非申し上げたいのは、今から二百年前を考えてみてください。エネルギーはどこから供給していたでしょうか。大体、まきと炭ですよ。これはバイオマスですから、燃やせば確かにCO2は出るけれども、しかし、木が成長していけばCO2は吸収するから、だから二百年前はCO2が増えるという問題はなかった。そのまきや炭が石炭に代わり、石油に代わり、原発に代わったんです。ですから、逆に、私は、農水省はこれからもう一度、再生可能エネルギーの太陽光あるいはバイオマス、そういう再生可能エネルギーを農業とともに進めていくというのは決して過去の例から見ておかしくない。  できれば、農水大臣、私は農林水産省という名前を是非変えていただきたい。農林水産再エネ省にしてもらいたいと思うんですが、見解だけお聞かせください。
  101. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 再生エネルギーの導入につきましては、重要な課題だと考えております。  先ほど来お話のあった営農型太陽光発電導入に当たりましては、これはやはり発電と営農が継続できるかという点が非常に重要でありまして、日照ですとか、土壌ですとか、作物の適切な組合せということもありますし、売電のための電力網への接続が容易であるということも必要だと思います。あるいはまた、地域住民の理解醸成を図るということも必要であるというふうに思います。  こうした観点を十分に踏まえながら、地域活性化に資する形で再生エネルギー導入をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  102. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の農水大臣の答弁、私は非常に前向きに伺いました。つまりは、農業を活発にしていくことと共存するのであれば大変いいんじゃないかということをおっしゃったわけですよね。  ですから、それに対してあえて経産大臣にお聞きするとすれば、経産大臣はいろいろバックグラウンドが、原発にいろいろと関連が多いとかそういう問題は抜きにして、先ほどのこの表もお示ししましたけれども、結局はすごいウェートのいわゆる化石燃料をどうやって減していくかというのが今まさに世界中が考えているわけですよ。  そして、先ほど中国の例もお示ししましたが、中国は、これを読んでいただければ分かりますが、そういうものを、私も原発をどんどん造ることによって化石燃料の量を減していくのかと思ったら、原発どころではなくて、原発より圧倒的に再エネの分野を拡大しているんです、現実に。  ですから、そういう意味で、両方ではなくて、つまりは原発は、もうお分かりのように、私も大分やりました。いろいろ見ました。さらには最終的な処分地のオンカロも行きました。結局、最終処分地の問題は日本では全くめどがついていません。  ですから、これは余り経産大臣に聞くといい返事が来ないのであれですが、是非、もう少し幅広く、余り原発原発にこだわり過ぎない、幅広く、再生可能エネルギーの方が現実に、先ほど示されたように、現実に今年だって六パーに対して再エネは一八パーと言われたんですから、その方向で進むべき、あるいはそれを邪魔しないでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  103. 梶山弘志

    梶山国務大臣 菅総理が昨年の臨時国会で二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言をいたしました。この方針に変わりはないということでありまして、再生可能エネルギーを最大限導入していくという方針の下に、接続に関しましても、ノンファーム接続とかそういう形で、できる限り再生可能エネルギーの接続もしてまいりたいと思っております。  あらゆる手段を尽くして、あらゆる技術を駆使してカーボンニュートラルをしっかりと実現をさせていくということだと思いますし、しっかり我々も農業と再生可能エネルギーの両立ということはお手伝いをさせていただきたいと思いますし、阻害していることはございません。
  104. 菅直人

    ○菅(直)委員 NEDOが福島で太陽光発電をした電力を使って水素を作っていますよね。私は是非見たいと思っていたんですが、コロナでちょっと行けていないんですけれども、水素もキーワードだと思うんです。先ほど申し上げたように、少なくとも、机の上の計算ではありますけれども、四百万ヘクタールを使えば、二兆キロワットというのは今日本で使われている電力の倍ですから、余るわけですね。もちろん昼、夜もあります。  ですから、私は今、ある本を書いて、もうすぐ出版しますが、その中では、再エネ水素社会だと。水素は、お分かりのように、CO2に関しては、単に電気の分野だけではなくて製鉄の分野、製鉄ではカーバイドを使いますから、物すごくCO2が出てきます。それが多分日本のCO2の排出の二割から二割ちょっとかかっているんですね。これがH2、水素を使えば、酸素を抜くのに水素を使えば、H2O、つまり水が出るだけでCO2は出ません。  そういう意味では、再エネから水素に向かう、私はこれこそ実は、農林省にももちろん頑張っていただきたいけれども、本来は経産省もそういう方向で頑張っていただきたいと思いますが、是非一言、今度はちょっと、前向きのお返事をお願いします。
  105. 梶山弘志

    梶山国務大臣 水素の製造、運搬、活用も含めて最大限の取組をしてまいりたいと思いますし、菅委員おっしゃるように、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指してしっかりとやっていくということですが、カーボンニュートラルというのは排出と吸収をプラマイ・ゼロにするということですから、再生可能エネルギー一〇〇%とおっしゃる部分も分かりますけれども、まずは、カーボンを出さない、大気中に出さないという取組も含めて、イノベーション等に取り組んでまいりたいと思っております。
  106. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっと的外れですよね、先ほどの話から。  今、再生可能エネルギーだけではなくて、先ほど御本人が言われたように、たしか八〇%近くは化石燃料なんですよ、現在。問題は、化石燃料をいかに減らすかということが第一であって、そのために、今申し上げたように、電気だけ、発電だけではなくて、製鉄から出てくるCO2を、つまり、電気から水素を作るのは比較的簡単ですよ、中学生でも知っています。つまり、電気分解、片方から水素が出るんですから、それを使えば、そういう分野もカーボン、CO2を出さないでいい。  そういう意味で、再生可能エネルギーから電気を起こし、水素を起こし、そして、いわゆる化石燃料を使わないでCO2をゼロにする、こういう道筋がいいと思うので、最後に、少しぐらい前向きなお話をしてください。
  107. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今技術の芽があるものに関しては全力で取り組んでまいりますし、今菅委員がおっしゃったように、水素の還元技術ということで製鉄技術というものも、これは重要技術十四分野にも入っておりますので、しっかり取り組ませていただきます。
  108. 菅直人

    ○菅(直)委員 では、これで終わります。
  109. 金田勝年

    金田委員長 この際、重徳和彦君から関連質疑の申出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。重徳和彦君。
  110. 重徳和彦

    重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。  久しぶりに、この予算委員会、テレビ入りに立たせていただきます。誠にありがとうございます。  昨年九月、野党が合流して、新党立憲民主党を結成をしました。私も三年間無所属でありましたけれども、参画をいたしまして、現在、野党第一党の副幹事長、そして安全保障部会長を拝命いたしております。  まず初めに、コロナウイルスでお亡くなりになりました皆様方に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、感染された皆様方の一日も早い御回復を心からお祈りを申し上げます。  先週、いよいよコロナワクチンも接種が始まりました。様々な困難はあると思いますけれども、何とかこの接種が広まって、一日も早いコロナ収束へと向かうことを望んでいるところであります。  さて、本日、私は、農政について、第二次安倍内閣以来八年余りにわたります自民党政権の農業政策に関する質問をさせていただきます。  農政全般については午後質問させていただきますが、午前中は、昨年来、農政全体への不信につながりかねない鶏卵業界大手アキタフーズ前代表と吉川貴盛元農林水産大臣との贈収賄事件に関連した質疑をさせていただきたいと思います。  この事件そのものは司直の手に委ねられておりますが、時の大臣が一部業者の金で大事な農業政策の決定に影響を及ぼしたことが事実なのであれば、これは言語道断、許されるべきことではありません。  私がこの問題を取り上げますのは、これはただのスキャンダルというだけじゃなくて、コロナ禍において、二つの点で国民生活に影響を及ぼしかねない重大な問題であるからであります。  一つは、コロナで今政治の役割が大きく期待される中で、政策が金で動いているんじゃないか、こんな国民の疑惑を招いてしまっていること。そしてもう一つは、卵という、これは誰もが安い値段で手に入れることのできる、庶民の貴重な栄養源であります。この食材について、日本が国益を大きく損ねてしまっているということでございます。  そして、追及する以上は、きちんとした再発防止のルールをつくることが国会の役割だと考えております。  まず、菅総理に菅内閣の基本姿勢を確認いたします。これはもう当たり前のことですけれども、確認をいたします。  菅内閣は、声が大きくて資金力のある業界の一部業者と、声なき声の一般大衆国民との、どちらの声を重視する内閣なのでありましょうか。
  111. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は、かねてから、様々な方からお話を伺い、国民目線で何が当たり前かということを見極めた上で判断をし、大胆に実行に移してきました。その信念は変わらないと思っています。  また、これからも、私の内閣国民のために働く内閣として、広く国民皆様方から様々な御意見を伺いながら、農政を始め様々な分野においてしっかり実行していきたい、このように考えています。
  112. 重徳和彦

    重徳委員 当然のことを確認をさせていただいたつもりなんですけれども、しかし、そうであれば、その内閣の姿勢をルールで示すべきではないでしょうか。  具体的に提案をいたします。  平成十三年、閣議決定で定められましたいわゆる大臣規範というものがあります。これは、大臣だけじゃなくて副大臣、政務官が、清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するための規範である。しかし、現行の大臣規範には、関係業界との政治と金についてはほとんど書かれていない。ですから、大臣であっても、企業・団体献金、これはやはり権力との癒着の温床になっているとかねて言われている問題であります、企業・団体献金、これは受取自由なんですよね。  農林水産政策、特に私たち地方出身の、選出の国会議員は、特に大切にしている政策分野です。議員として現場に飛び込んで、農家の方々の声なき声まで聞いて、それを時の政策決定者であります農林水産省ならば農林水産大臣に声を届けて、御理解をいただいて一つ一つ形にしていくのが政治であります。その際、時の大臣は政策決定責任者ですよね。単なる有力議員ではありません。法律上、政策を決定する権限がある別格の存在であります。その大臣が、まかり間違っても金をもらって動いているというふうに見られること自体が、国民の信頼を損ねることだと思います。  李下に冠を正さずという言葉があります。総理、本件、本贈収賄事件を受けて、企業・団体献金の受取を大臣は、任期中だけでもいいです、任期中は自粛するというルールに変更するべく、大臣規範を見直してはいかがでしょうか。
  113. 金田勝年

    金田委員長 内閣総理大臣……。総理、お待ちください。  手を挙げているんですか。(発言する者あり)  その後、総理に指名します。(発言する者あり)静かにしてください。  順番は、まずあなたが答えて、簡単に。その後、総理に発言していただきます。
  114. 松田浩樹

    松田政府参考人 失礼いたします。  ただいま御指摘がございましたいわゆる大臣規範、正確には国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範でございますが、これは、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の皆さんの信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として閣議決定により定められたものでございます。  ただいまお尋ねがございました政治活動に対する献金の在り方についてでございますが、これは、民主主義の費用をどのように国民が負担していくか、こういう問題でございますので、大臣等規範の範疇で議論するのではなく、まさに各党各会派において十分御議論いただく、そういう問題ではないかというふうに考えております。
  115. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 政治活動に対する献金の在り方については、長年の議論を経て様々な改革が行われてきた結果として、企業・団体献金は政党などに対するものにこれで限定されるようになりました。そういう中で、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められた大臣等規範を改正する必要はないというふうに考えています。  いずれにせよ、政治活動に対する献金の在り方については、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点から、やはり各党会派で十分御議論をいただくものだというふうに思います。
  116. 重徳和彦

    重徳委員 今のは問題のすり替えであります。  私は、企業・団体献金そのものがいいとか悪いとか、その在り方を問うているのではなくて、そしてもっと言えば、企業、団体側から献金を申し入れることも、そこまではあっていいのだろうと思っています。ただ、時の権力者、権限を持っている大臣がそれをあえて自粛をします、こういうルールにしてはどうか、そういう判断をされてはどうかということなので、各党各会派で決める話じゃなくて、内閣、もっと言うと内閣総理大臣お一人がやるんだと言えばそれで決まるはずの話であります。よろしくお願いします。
  117. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたけれども、政治活動に対する献金の在り方については、やはり、民主主義の費用をどのように国民が負担していただくかという観点からも、各党各会派で十分に議論して決めるべきことだというふうに思います。
  118. 重徳和彦

    重徳委員 各党会派の話じゃなくて、内閣としてどう判断するかということをお聞きしているのであります。率直にお答えいただきたいと思います。(発言する者あり)
  119. 金田勝年

    金田委員長 静かにしてください。
  120. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、国務大臣などが自ら律すべき規範として定められた大臣規範というのは、改正する必要はないというふうに考えています。
  121. 重徳和彦

    重徳委員 結論だけおっしゃっていますけれども、理由がよく分かりません。その理由をお答えいただきたいと思います。
  122. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、政治活動に対する献金の在り方については、長年にわたる議論を踏まえて様々な改革が行われてきました。その結果として、企業・団体献金は政党に対するものに限定されました。そういう中にあって、国務大臣が自ら律すべき規範として定められた大臣規範を改正する必要はないというふうに考えております。  いずれにしても、政治活動に関する献金の在り方については、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点から、各党会派が十分御議論をいただくものだというふうに思っています。
  123. 重徳和彦

    重徳委員 時間に限りもありますので、今の問題意識を提起させていただいたつもりですので、しっかり受け止めていただきたいと思います。  今回の贈収賄事件というのは、実は卵という食材をめぐる問題でありまして、国際社会日本は国益を大きく損ねたと考えております。  卵というのは、物価の優等生とまで言われて、非常に、今でもスーパーで十個入りで安いのは百五十円ぐらい、百五十円から二百円ぐらいで売っていて、本当に誰にでも手頃に手に入る、そういう、多くの国民にとって欠かせない食材であります。今回の事件は、その卵を産む鶏の飼育条件をめぐる政策上の国際的な対立が背景にあったというものであります。  総理は、アニマルウェルフェア、日本語で動物福祉、という言葉を御存じでしょうか。アニマルウェルフェアについて、総理、どのように考えていらっしゃるか、お答えください。
  124. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 動物を丁寧に扱おうというんですかね、そういう趣旨だというふうに思っています。
  125. 重徳和彦

    重徳委員 ざくっと言えばそういうことなんですけれども。  民法、刑法上、動物というのは元々物扱いなんですね。人じゃないので、かわいいペットであっても、殺傷してもそれは器物損壊罪ぐらいにしか当たらないという扱いでありましたが、時代も変わりました。特に犬猫といったペットに関しては、動物愛護法も改正が続いて、かなりその取扱いが改善されてきたというふうに感じております。私も力を入れている政策分野の一つなんですが。  でも、ペットじゃなくて、ここは家畜ですね、鶏の動物福祉をどう考えるかというのはかなり難しい問題でありまして、実際、日本の鶏卵は、九割以上は太陽光の入らない建物の中で、金網でできた狭いケージ、おりで多数の鶏を飼育するものですから、生産コストは非常に安い。ですから、卵も安い。そして、卵かけ御飯のような、生で食べる習慣が日本人はありますので、衛生管理もされている。長年の鶏卵農家の皆さんの御尽力のたまものだと私は思います。  これに対しまして、ヨーロッパを中心に動物福祉の考え方がかなり進んでいまして、総理は丁寧に扱うということをおっしゃいましたけれども、動物本来の生き方を重視する。鶏であっても、広いスペースを取って、止まり木、巣箱、砂浴びができる、そういう環境を整えようということなんですが、やはりここにはコストもかかりますので、業界としてはどうしても反対だ、こういうスタンスであります。  ですが、問題は、業界が反対するところまでは理解できるんですが、その業界から時の大臣がお金をもらって、そして大臣がそちらにくみしていたというふうに見受けられる、ここが問題なんですね。こういう、大臣が最初から態度をはっきりしていたら、アニマルウェルフェア、動物福祉を進めたいと言っている側の意見なんて通るわけないじゃないですか。  その点について、総理はどのようにお考えでしょうか。
  126. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 たしか、幅広い分野からいろいろな御意見を伺っていると思いますので、詳細は大臣から答えさせたいと思います。
  127. 重徳和彦

    重徳委員 問題は国際的な問題であるというのは、確かに国内外、両論ある問題ではあります。そして、現実、前に進めようと思ったら、相当なことが動いていきます。消費者にとっても卵の値段が上がりかねないということで、決してきれいごとではありません。  しかし、そういった日本の考え方というのは、それはそれで一つの考え方で、そうであるのならば堂々と国際社会で言えばいいと思うんですが、要するに、アニマルウェルフェア、動物福祉にヨーロッパから見れば後ろ向きであるというふうに見られる日本が、それだけじゃなくて、結局、そういう意思決定を政府がしているのはお金でそうなっている、そういう印象がヨーロッパ、そして、今度は東京オリンピックでも選手団は動物福祉に配慮した食材を求めている、こういう状況の中で、国際的に、日本の立ち位置、つまり、アニマルウェルフェアに消極的というだけじゃなくて、日本はまだ賄賂文化なのか、こう見られることなのでありますよ。  こういうちょっと全体的な、動物福祉という分野に限らず、そういう遅れた文化と見られることについて、総理はどのようにお考えでしょうか。
  128. 金田勝年

    金田委員長 農林水産大臣野上浩太郎君から答え、その後、総理からにいたします。
  129. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 先ほど来お話のありますアニマルウェルフェアについてでありますが、これはやはり、家畜を快適な環境の下で飼育するということ、家畜のストレスや疾病を減らす取組でありまして、その推進は極めて重要であると考えております。  先ほど来お話があるとおり、例えば採卵鶏のOIE協議会でのコードの話などもあるんですけれども、これは、生産者ですとかあるいは消費者の方も入ったOIE協議会という場、これはオープンな場でありまして、公開の場で行っている協議会でありますが、そのような中でそれらの意見を十分に聞いて決めているところであります。  こうした協議会メンバーの様々な意見を伺うとともに、科学的な知見に基づいて確認をして、やはり多様な飼養形態が認められるべきとのコメントをOIEに提出したものでありまして、その判断は妥当なものだというふうに思っております。  一方では、アニマルウェルフェアを実現をしていくためにはやはり総合的な取組が必要であるということもありますし、生産者による設備投資等の努力のみならず、畜産物の販売価格への影響ということも含めて消費者の理解も必要なことから、このアニマルウェルフェアの取組を推進する重要性やメリットを示しつつ、生産者や消費者の理解を得ながら取組を拡大していくということが重要であると考えております。
  130. 重徳和彦

    重徳委員 今回の事件について、この事件に関する農水省の中の第三者検討委員会、これの進捗状況が理事会で紙三枚ほどで報告があったようですが、それについて詳細を大臣から御報告いただきたいと思います。
  131. 金田勝年

    金田委員長 時間が来ておりますから、簡単に答えてくださいね。
  132. 青山豊久

    青山政府参考人 お答え申し上げます。  吉川元大臣等が贈収賄容疑で起訴されたことを受けまして、農林水産省として、国民に疑念を持たれることがないよう、公判等への影響にも配慮しつつ、養鶏、鶏卵行政の公正性について検証いただくため、養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会を設置したところでございます。二月三日に第一回委員会を開催し、幅広く十分に検証いただいているところであり、今後、委員会でしっかりと検証いただいて、その検証結果を公表したいと考えております。  具体的には、養鶏、鶏卵行政の公正性について検証するものでございまして、アニマルウェルフェアの国際基準策定プロセス、日本公庫の養鶏業者への融資方針の決定プロセス、鶏卵生産者経営安定事業その他養鶏、鶏卵行政に関し必要な事項について、職員への聴取などにより調査、検証を行って、その結果を取りまとめていただくことになっております。  これは、委員会の座長の下で職員に対して厳格な調査を行うということで、今後の調査に影響があり得ること等から、第三者委員会として検証の途中経過については公表しないことと決定しておりますけれども、本日の理事会において、可能な範囲で検証委員会の状況を報告させていただいたところでございます。
  133. 重徳和彦

    重徳委員 じゃ、午前中は終わります。ありがとうございました。
  134. 金田勝年

    金田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  135. 金田勝年

    金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。重徳和彦君。
  136. 重徳和彦

    重徳委員 重徳和彦です。  お昼の理事会で、今問題となっております総務省職員と利害関係者との会食について新たな報告がありました。国家公務員倫理規程に違反する疑いがある会食が、これまで国会報告済みは四人、延べ十三件でしたが、十二人、延べ三十八件という報告がありました。先ほど大臣には、大臣規範を厳格化すべきだと申し上げましたが、国家公務員についてもきっちりと対処をしていただきたいということを申し上げたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきます。  午後は、我が党の農政の考え方をお示ししていきたいと思います。そして、大きな話ですので、是非菅総理に御答弁いただきたいと思います。  第二次安倍内閣以来八年余り、農業政策は、規制改革会議を司令塔として、ひたすら市場原理、大規模化、輸出拡大、効率化が進められてまいりました。しかし、そもそも日本の国土の三分の二は山林や中山間地域なんです。この山国日本では、日本の隅々にわたる農村集落こそが豊かな農業を支えてきたんです。農業は、産業でもありますけれども、国土の保全、環境の保全、地域コミュニティー、地方創生の肝でもあります。この価値は忘れてはならないと思います。  そこで、昨年、当時の野党共同会派におきまして、不肖私が座長をさせていただきました、安倍農政、今は菅農政ですが、検証をするワーキングチームをつくりまして、九月に報告書を取りまとめました。そのポイントはパネルのとおりです。今の農政の欠点、行き過ぎた経済重視、それから、農地コミュニティーという視点が欠落しているといったところであります。  我々は、小さな家族農業の価値を全面的に応援をして、JA、農協の協力なども得まして地域、学校で食農教育を進めて、食料自給率を高めて地域政策を一体的に推進する農政を目指しておりまして、その基軸となる概念が国土と食の安全保障でございます。  グラフが一つあります。一九八五年、一番左端は一九八五年、高度成長も終わった後ですけれども、そこから二〇二〇年までの三十五年間の間に、農業人口は、特に基幹的農業従事者ですけれども、四十九歳以下に限れば百万人以上減って、そして残るは十五万人。このままでは農業がなくなってしまうんじゃないか、こういう危機感を抱きます。  いつも申し上げますが、農業、林業が廃れると、国土の三分の二を占める山林、中山間地域は荒れ果てて、豪雨が降ったときには水をためる機能も衰えて、雨水は一気に平野に流れ込んで、都市部に大きな水害をもたらします。山国日本では、中山間地域と都市部というのは一体で考えなきゃいけないことなんだと思います。  この国で国土と食の安全保障を担ってくれているのは、中山間を含めた地域で農業を営んでいる小規模家族農業です。もちろん、法人とか企業にも農業を営んでいただくのはいいことなんですけれども、じゃ、企業が耕作条件の悪い中山間地域で展開するかというと、なかなかそうもいかないでしょう。  農家御出身の菅総理にお尋ねいたします。  市場原理に余りに偏った農政は転換して、小規模家族農業の持つ多面的な価値、これを正面から認めて、政府が十分な対価を支払って小さな農業もしっかりと守っていく必要があると我々は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 委員から御指摘いただきましたように、中山間地域の農業は、我が国農業産出額の約四割を占めるとともに、国土の保全や景観の維持においても重要な役割を担っている、このことは認識しております。こうした中山間地域の農業を維持発展させるために、条件不利農地への直接支払いだとか、あるいは高収益作物の生産支援など、小規模家族農業の所得向上を図っているところであります。  それと同時に、やはり地方の消費を増やすことが日本にとって今極めて大事だと思います。そういう意味合いにおいて、やはり農林水産業を中心とする所得を引き上げることが極めて大事だというふうに私自身思っています。  そして、安倍政権の中で、農協法、六十年ぶりの改正、漁業法、森林法、七十年ぶりの改正を行って、所得を少しでも引き上げる方向にこの農林水産業を持っていきたい、そういう思いの中で私どもも取り組んでいることも是非御理解をいただきたいと思います。
  138. 重徳和彦

    重徳委員 もう我々の危機感はそういうレベルを超えておりまして、先ほどの農業人口激減のグラフを御覧いただきますように、一九八五年、私は中学生ぐらいでしたけれども、その段階で三十五年後の今をどのぐらい見通すことができただろうかというふうに思います。  今のペースで日本の農業人口が更に減ったら、三十年後は、我々の子供たち世代は輸入で食っていくことが果たしてできるんだろうか。今の国際情勢で輸入に頼り切るということは非常にリスクがあると思います。災害だってもっとひどくなるんじゃないかと思います。  私たちは、さっきの一枚目のパネルで、国立農業公社という構想を打ち出しております。この構想は、農業をやりたい人たちを一括採用して技術を指導して、中山間地域を含む田畑のマッチングを行って、安定した所得を国が保証する。こういうことで、農業を将来を見通せる職業に変えていかないといけない。農業をやりたい人はいっぱいいると思うんです、潜在的には。だけれども、ためらってしまう人も、その不安も分かります。そういう不安を解消していかなきゃいけない、これが国の役割だと思います。  これは農業分野だけの話じゃなくて、今まさにコロナ禍で、働く先を失う方が増えて、若い人たちは先行きが見通せない。都市部ではテレワークも進んでいますので、都市から地方、農村へ回帰する傾向も見られます。  この国土と食の安全保障を担ってもらうのは農家でありますので、新規就農者確保には国立農業公社ぐらいの大胆なプランが必要じゃないかと私は思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  139. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、若者に自らの将来を託せる職業として農業を選択してもらう、そのためには、農業をしっかりと稼げる成長産業にしていかなきゃならないと思います。輸出の拡大、高収益作物への転作の支援など、成長産業になるための改革は進めていかなきゃならないと思っています。  また、国が自ら農業公社を立ち上げて人材を採用していくという御提案でありましたが、そもそも農業は、自らの創意工夫で作物を選択をし、経営意欲を持って取り組んでいただくことで所得を上げていく、これが基本だと思っています。そうした取組を後押しするために、新規就農者の所得の下支えや研修の支援を行っており、こうした施策を通じて、政権交代後、最近では、初めて四年連続で五十歳未満の若手の新規就農者が二万人を超えているところであります。  こうしたことを機会に、しっかりと農業というものを育てていきたい、こういうふうに思います。
  140. 重徳和彦

    重徳委員 御見解は分かりましたが、時間も限られておりますので、最後の質問です。  最後に、日本の国土、領土を守るための重要施策、これもどうしても総理にお聞きしたいことがあります。  二年前、本会議で、私、防衛施設や国境離島、農地、水源地が外国資本や外国人に買収されている、これは安全保障上大きな問題がある、法整備が必要だということを主張させていただきまして、安倍総理の当時の答弁をきっかけとして、今国会、ついに法案が提出される運びとなりました。関係者の御尽力に感謝と敬意を申し上げたいと思います。  この法案は、防衛施設の周辺の土地の所有、利用状況を調査して、権利移転の際には事前届出制を導入する、土地の不適切利用に対しては勧告、命令、罰則が出せるということになります。ここまではいいと思います。  ただ、先日、小此木大臣にも聞いたんですけれども、農地とか森林、水源地は対象外、調査対象としないということでありました。一応、理由としては、農地法とか森林法という別の枠組みがあるからということでありましたが、日本人にとっては、先ほどからのように、農地、森林というのははっきり言って二束三文に今なりつつある。だけれども、食料生産、水源地という意味では十分な価値があって、外国の方から見れば喉から手が出るほど欲しい資産であろう。こう見れば、今回の法案に、注視区域、その対象に農地、森林を含めるということが、私どもも申し上げております国土と食の安全保障にも資するんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  141. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、安全保障上重要な土地などの所有や利用の実態については、調査や規制を行うための新法をこの通常国会に提出をさせていただく予定であります。政府としては、新法において、防衛施設等の周辺や国境離島等を対象にし、農地や森林は対象とはしない方向で検討を進めております。  農地や森林については、小此木大臣の話がありましたように、農地法や森林法において、食料の安定供給や国土の保全などを目的として、取得の際の許可や届出という措置が講じられているものというふうに承知しています。
  142. 重徳和彦

    重徳委員 是非、安全保障という観点からこの問題も捉えていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  143. 金田勝年

    金田委員長 この際、奥野総一郎君から関連質疑の申出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥野総一郎君。
  144. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。  今日は、総務省の問題一本に絞って議論をしてまいりたいと思いますので、武田大臣総理以外の閣僚の皆様、お仕事ある方は外していただいて結構でございます。  それでは、まず、今日の昼の理事会で新たな調査が出てまいりました。報告を受けましたけれども、従来は四人の方が延べ十三件の接待を受けていたという報告でございましたが、これが人数が十二人に増えて、全体も延べ三十八件ということになりました。そして、四人の方は、これまでの十三件に加え、新たに六件増えて十九件ということになりました。  そして、このメンバーを見ますと、ここを御覧いただきたいんですが、東北新社が4Kの放送の事業者に認定されると。これ、4K、8Kですね、オリンピックに向けて4Kを放送していこうということで新たに事業者が認定されたんですが、これは二〇一七月一月二十四日なんですが。  この報告を見ると、その前から、その前の人事、平成二十八年の人事になるかと思いますが、平成二十八年の人事以降の全ての情報流通行政局長、これ、お辞めになられた方もおりますから、現職の方ということになりますが、お辞めになられた方については今回名前は出ておりません。そして、山田真貴子内閣広報官については、お辞めになられたということでありますが、こちらの要求に応じて名前が出ておりますけれども、それ以外のお辞めになられた方は出ていませんが、歴代の情報流通行政局長、そして放送担当の官房審議官、放送政策課長、そして衛星・地域放送課長が、皆さんこういう形で接待をされている。  こういう報告だと思いますが、大臣、それで間違いないでしょうか。大臣、聞いていましたか。大臣。ちょっと時間止めてください。
  145. 原邦彰

    ○原政府参考人 先ほど理事会で御報告したとおりでございます。
  146. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 いや、今伺ったのは、二十八年の人事以降の、要するに、このBS4Kの認定直前の人事から始まって、歴代の情流局長、審議官、放送政策課長、地域衛星通信放送課長が対象になっている、ほぼほぼ対象になっているということでよろしいですねという問いです。
  147. 原邦彰

    ○原政府参考人 大変失礼いたしました。  調査対象としております。
  148. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 ということなんですよ。ずぶずぶなんですよね。ラインが全部なんですよ。局長から始まって、審議官、担当課長、全部が接待対象になっていた。しかも、この調査によれば、始まりが、この免許、認定、BS4Kが始まる認定に合わせたことで始まっているわけですよ。  大臣、これでも行政がゆがんでいない、放送行政がゆがんでいないと言い切れますか。
  149. 武田良太

    ○武田国務大臣 この度、本当に多くの疑念を招くことに至りましたこと、まずおわびを申し上げたいと存じます。  放送行政をゆがめたことに関しては、当然、この調査に入った段階から、双方の当事者、皆さんの方にいろいろなヒアリングを含めて調査を行いました。その段階で、行政がゆがめられたという事実というものは確認をされておりません。
  150. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 それで大臣、これ、処分はされるんですか。いつになるんですか、処分は。
  151. 武田良太

    ○武田国務大臣 この処分につきましては、我々だけではなくて、倫理審査会の了承というものをいただかなくてはなりません。今この場で私がいつと申し上げるわけにはまいりません。
  152. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 公表されたということは、大臣としては、これ、処分をすべきだと腹をくくったということでよろしいですよね。
  153. 武田良太

    ○武田国務大臣 倫理法そして倫理規程、倫理法令に反する疑念がかけられた段階でこれは徹底して調査し、そして倫理審査会の指導も受けながら適切に対処していきたいと考えています。
  154. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 これは、総務大臣のまず監督責任があると思うんですよね。これを御覧になったことございますか。人事院が作っている、国家公務員倫理月間、これは十二月ですよ。去年、接待が大々的に行われていた十二月が、この強化月間だったんですね。「「これぐらい」 思う気持ちに 距・離・を・取・れ」こう書いているわけですね。こういうポスターですよね。監督責任、大臣、あるんじゃないんですか、部下の。  それから、国会の答弁で言い切っておられましたよね。ゆがみはないと言い切っておられました。これ、ちゃんと適切に部下から、部下の情報をうのみにして、調査をきちんと指示されなかったんじゃないですか。  大臣の責任になってきますよね。監督責任もあれば、この予算委員会、この大事なコロナ禍の、私だってこんなことを今やりたくないんですよ、コロナの問題をきっちりやりたいんだけれども、審議を停滞させた責任というのは、大臣、免れないんじゃないですか。部下の言葉をうのみにして、これまで調査を怠ってきたわけですから。どうですか。
  155. 武田良太

    ○武田国務大臣 調査に対しては誠心誠意に当たらせていただいてきたものと思っております。  また、そのときそのとき、調査に基づいて上がってくるそうした情報を基に我々は説明し、また発言をしているわけでありまして、その時点においては、全ての当事者の方からヒアリングも通じた調査を行ったところ、行政をゆがめたという事実については確認されておりません。
  156. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 それは何をおっしゃっているかというと、部下のおっしゃっている言葉をうのみにしたということじゃないですか。これだけ多くの、四人の方に限っても、頻繁に会食をしていて、仕事の話が一切出なかった、所管の話が一切出なかったというのはそもそもおかしいじゃないですか。普通の人間なら、普通の政治家なら、そこはきちんと指示をして、おかしい、調べ直せと言うんじゃないですか。  監督責任、そして今の調査への責任ですよね、きちんと部下を指導しなかった責任があるんじゃないですか、大臣
  157. 武田良太

    ○武田国務大臣 本事案当事者については、決して包み隠すことのないよう、真実をしっかりと、調査に協力するよう申し伝えましたし、また、次官を、監督官として、始めとする調査チーム、この中には、私の部下だけではなくて、弁護士の方も含まれております。その方が自分たちの能力を遺憾なく発揮して、できる限りの調査をしてもらったことと私は信じておるところであります。
  158. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 だまされたという声も上がっていますが、しかし、責任を取るのは大臣なんですよ、これは。部下のせいじゃないでしょう。官房長がちゃんと調べなかったからといって、あなたが責任を逃れられるわけじゃないじゃないですか。しっかり調べていただきたいし、しかるべき責任を取っていただきたいと思います。  そして、この会食の参加者を見ると、ほとんど全てに木田氏が入っている、それから、菅正剛氏も大体三分の二ぐらいが加わっている、こういう形なんですよ。  私も役所にいましたけれども、昔、ノーパンしゃぶしゃぶ事件というのがございましたね。あれを境に、ぱたっとこういった会食はなくなっていたんですよ。霞が関からはなくなったと私も思っていたんですが、まさかいまだにこういうことが起こっているとは、本当に驚愕いたしました。私の古巣でありますし、本当に今日は悲しいし、憤っているところであります。  なぜこういうふうになってしまったかということなんですが、総理菅総理の菅正剛氏がいらっしゃる、だから断れなかったというのは一つあると思うんですよ、後ほどこれは言っていきますけれどもね。菅正剛氏がわざわざ会食に加わっているということを木田氏が言ったりしているわけですね。わざわざ菅正剛氏の存在を名前に出している、だから行かざるを得ないんだというのは一つあると思います。  それからもう一つは、菅さんが黙認しているんだから行っても大丈夫だろう、息子さんが来ているんだから俺たち大丈夫だよね、こういう緩みにつながったんじゃないですか。御子息が総務省と利害関係者の地位にあることが、これは総理がそうさせたかどうかというのはともかく、後で聞きますけれども、そうした空気をつくった原因じゃないですか。  どうですか、総理総理にやはりこれは原因があるんじゃないですか。
  159. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は、長男と会社の話は一切していませんでした。報告も受けておりませんでした。そういう状況であります。  いずれにしろ、私の長男が関係して、結果として公務員が倫理法に違反する行為をすることになった、このことについては心からおわびを申し上げ、大変申し訳なく思います。
  160. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 おわびをされたということですが、これは、御子息がそういうことに絡んでいたということでおわびということでよろしいんですね。
  161. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私の長男が関係して、結果として公務員の方が倫理法に違反する行為をすることになったことについて、大変申し訳なく、おわびを申し上げたいというふうに思います。  いずれにしろ、総務省において、事実関係を明らかにするために徹底して調査が行われているんだろうというふうに思っています。そういう中で、しっかりと包み隠すことなく事実関係を明らかにしてもらう、このことが大事だと思っています。
  162. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 結果としてという御答弁だったと思うんですが、そういう結果になる遠因というか、原因をつくったのは、そもそも、私は、総理大臣秘書官を御子息が務めておられたところにあるんじゃないかと思うんですね。(発言する者あり)失礼、総務大臣総務大臣秘書官ですね。  四人の方、答弁されたり伺ったりしていますが、たしか吉田総務審議官は、総務大臣秘書官当時に知り合った、こういうふうに述べておられます。それから湯本元審議官も、総務大臣秘書官当時に知り合ったというふうに述べております。それから秋本局長は、そのときではないけれども、同じ官房の秘書官室にいた同士としてと、こういう言い方をされているわけであります。  ということで、総務大臣秘書官だったからこそ皆さん面識がある、あるいはその名前を知っている。政務の秘書官の名前は、役人はみんな知っていますからね。それが私は一つ原因だったんじゃないかと思うんですが、総理、まず伺いたいんですが、なぜ秘書官にされたんでしょうか。政務の秘書官というのは事務の秘書官の上に立つ大事な役目なんですね。総理総理秘書官の方をこの間替えられましたけれども、政務の秘書官が機能しないとなかなか回らないわけですよ。それにもかかわらず、それにもかかわらずと言うと失礼ですけれども、役所の経験のない、当時二十五歳と週刊誌に出ておりましたけれども、方をなぜ政務の秘書官に持ってこられたんでしょうか。
  163. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 これは二〇〇六年だったと思います。私自身、第一次安倍政権で総務大臣に就任をしました。実は、就任するとは全く思っていなかったんです、当選四回でしたから。私の事務所において秘書の割り振りというのも終わった後でありました。そういうときに、選挙を手伝ってくれた長男ですね、地元の連絡だとかあるいは国会回りだとか、政務秘書官としての仕事、語学も、それなりに語学力というのもありましたので、そういう意味において、事務処理をスムーズに行うために政務秘書官として採用したということであります。
  164. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 評価については、それはいろいろあると思います。本当にスムーズにいったかどうかということもあるかと思いますが。結果としてそこで多くの総務省の役人が菅正剛氏を知ったということは間違いないと思うんですよ。まさか人脈を築くためにそこにはめたとは思いませんが、結果的にそうなっているんですよね。  そして、その次に東北新社にお勤めになられました。これは通告してありますが、この経緯についてお話しいただけませんでしょうか。
  165. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 当時、東北新社の創業者、秋田の私と同じところの出身でありまして、懇意にしていました。そういう中で創業者と長男が会って、そこで就職というんですかね、決まった後から私が報告を受けました。
  166. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 それは、御子息正剛氏が政務の大臣秘書官をやられていたことからそういうつながりができたんじゃないですか。あるいは、お父様から何らかの紹介、それ以前にお二方は知り合いだったんでしょうか。お父様の関係でお知り合いだったんでしょうか。
  167. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私が、植村さんという、お亡くなりになった方なんですけれども、その方とお会いするときに一緒についてきたり、そういうことをしました。そういう中で、政務秘書官になったわけでありますから、そういう中で関係が深くなったということもこれは事実で、その創業者の人が私の長男に様々な話を教えてくれたり、そしてまた長男も非常に慕っていましたので、そういう中で二人で話を決めた後に私に報告があったということです。  私、子供三人いますけれども、就職について、私、自分の、紹介するとか、そうしたことは一切やっていません。
  168. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 ただ、今の話は、ちょっとひっかかるのは、政務の秘書官というのは総理が任命されたわけですよね。やはり総理がおっしゃる自助とはちょっと遠いと思うんですよ。大臣秘書官という肩書は非常に重いものですし、後々プラスになると思うんですね。そういう、言葉は悪いですが、箔をつけたという面はあるんじゃないでしょうか。そして、今明らかになったのは、やはり総理人間関係の中で御子息と植村伴次郎さんですか、がお知り合いになったということも明らかになりました。  総理の言うとおりだとして、そこから自力で頼みに行ったということをおっしゃっておられるようですが、総理、それを止めようとは思われなかったんですか。これは天下りと一緒じゃないですか。総務省の幹部から関連の会社に天下っていく。  天下りはなぜするかというと、これは、役所とのパイプをつくるために役人がこれまでやってきたことであります。これは事実上の天下りであって、いずれこういう事態に陥るということは予見できたはずなんですよ。総理、なぜ止められなかったんでしょうか。
  169. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、私は、そんな相談をしたり、お互いに会ったりしていることさえ知りませんでした。先ほど申し上げましたように、結果が出てから私に報告があったということです。  委員も総務省にお勤めだったでしょうから、大臣というのは大体今まで一年で替わっていました。ですから、それで、また、私は長男を一年未満で、途中で替えています。それは、地元の秘書の体制ができたので替えたわけでありますけれども。それがどうして天下りにつながるんでしょう。それは、本人にそれぞれの意思というのはあるんじゃないでしょうか。
  170. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 いや、だけれども、これはだって、利害関係者の地位になるんですね。それは総理、やはり政治家として止めなきゃいけないんじゃなかったですか、そういうことを。(発言する者あり)いや、だって、こうやって総理になられるわけだから、結果としてここに来て……(発言する者あり)いや、でも、総務大臣の地位というのは重いんですよ、重いんですよ。  私は止めるべきだったと思いますが、どうですか、総理。ここでおわびをするぐらいなら、そのとき止めておいた方がよかったんじゃないですか。
  171. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は先ほども申し上げましたけれども、男の子三人おりまして、三人の就職については皆それぞれが探してきています。長男も、そういう中で、私が知らないところで会って決めたということで、事後に報告を受けました。私は、そこで止めるべきではないと思います。それはもう私、任せておりましたから。
  172. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 いや、でもね、そこは李下に冠を正さずですよ。少なくとも、総務省所管の業界に勤めちゃ駄目じゃないですか。それは止めるべきだったんじゃないですか。もし、総理、自分に任せるというんだったら、秘書官にしちゃ駄目だったんですよ。秘書官にして、そして業界に就職したからこういうことになったんじゃないですか。秘書官にしないか、あるいは業界に勤めるのを止めるか、どっちかだったんですよ、総理
  173. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 それについて、私、先ほども申し上げましたけれども、全く、総務大臣になることさえ当時考えてもいなかったんです、当選四回でしたから。そういう中で、どたばたの中で秘書官にして、それで対応してもらったということもこれは事実であります。  ですから、その先のことについて、私が紹介するとかしないとか、そういうことでは私はないというふうに思っています。
  174. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 ちょっと後でもう一回。ほかに今日、谷脇吉田総務審議官にお越しいただいておりますので、少し話を移してまいりたいと思います。  私は、先ほど来出ていますが、二〇〇五年に総務省を退官しました。それまでは、平成元年に郵政省に就職をして、十七年間そこで働いていました。今日お見えの四人には、皆さん、よく存じ上げている方です。しかし、こういう質問をしなければならないのは、私は本当に残念です。できることなら、こういうことはしたくなかった。でも、まさにこういう状況ですから、心を鬼にして、しっかり質問してまいりたいというふうに思います。  それで、まず秋本局長なんですが、ちょっとこの紙を見たら、新たに会食がつけ加わっています、新たに二件ですか。そして、会食の回数も、十万円を超えて、十万円を超しているのは谷脇総審と秋本局長だけなんですけれども、突出して多いんですよ。  なぜこれが新たに出てきたのかという話と、それから、先日の国会答弁では、相手方が負担したのは今回限りだ、それ以前は御自分が払っていたんだ、こうおっしゃっていますが、それは虚偽だ、うそだったということなんでしょうか。この紙との整合性はどうなんですか。
  175. 秋本芳徳

    秋本参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、今日時点で確認できた範囲での事実関係で申しますと、菅正剛さんが出席した東北新社との過去の会食数五回、菅正剛さんがおられなかった会合も含めますと七回となっております。追加されたのは、平成二十九年五月二十六日と平成二年七月三十日の会合でございます。(発言する者あり)済みません、申し訳ありません、令和二年七月三十日でございます。  なぜ漏れが出たかというお尋ねがございました。私、自分の行動履歴、行ったお店で記録をしておりまして、東北新社様との会合は和食の会合が多かったということから記憶をたどって、これまで五回と総務省の大臣官房に回答しておりましたところ、先方から、東北新社様から、あと二回あるという点について指摘がございまして、記憶をたどりましたところ、確かにこの二回があるということでございます。  それから、当日の負担額についてもお尋ねをいただきました。私といたしますれば、当日、何がなし、会計の際にあるいは退席する際に額をお支払いしたのが、七回のうちの六回まで。直近の、昨年、令和二年十二月十日は事後払いになったということでございます。  ただ、私が過去六回の会合でお支払いした額については、なお先方との間で精査中でございまして、合計金額が奥野委員指摘の金額ということでございまして、御指摘のあった金額丸ごと先方に御負担いただいたということではございません。
  176. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 要するに、回数が多過ぎて覚えていなかったというお話と、それから、負担については、これ以外は一切御自分で負担したとおっしゃっていましたが、そうではなくて、なおこれから調整して後払いしようとするものがあると。この間の答弁はうそだった、こういうことになるんでしょうか。
  177. 秋本芳徳

    秋本参考人 お答えいたします。  先日の答弁がうそだと申し上げるつもりはございません。先方との間で、額、負担額については精査中ということでございます。
  178. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 いや、でも、はっきり、これはたしか、過去三回同席をさせていただいたとき、会食当日には負担額をお伺いし、その場で現金でお支払いをしております、こういう答弁をされているんですよ。間違いないですよね。
  179. 秋本芳徳

    秋本参考人 お答えいたします。  奥野委員指摘のとおり、昨年、令和二年十二月十日の会合を除いては、先方の申出額をその日のうちに現金で負担しました。その額がきちんとした額であったかどうかという点につきまして、大臣官房と先方、東北新社様との間で精査中ということでございます。
  180. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 結局、一部払って、全部は払っていなかったということだと思います。これはしっかり精査していただきたいと思います。  今日は、谷脇総務審議官にもお見えいただいておりますが、谷脇総務審議官は次官級と。総務省は、総務庁と郵政省と自治省が三つ合わさってできた省庁でありまして、それぞれ次官級がいらっしゃるわけですが、郵政系のトップということだと思います。  郵政系のトップとして、この事態、これだけ多くの会食が露見した、明らかになったということについて、責任は感じておられるでしょうか。
  181. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  今回の一連の事案につきまして、国民の皆様に疑念を抱かせるそういった事態を招いたということについてはおわびをしたいと思いますし、私自身、責任を感じているところでございます。
  182. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 疑念とおっしゃっていますが、少しずつ詰めていきます。  谷脇総審自身に伺いますが、会食が、谷脇総務審議官も一回増えていますよね、四回ということになっています。なぜ四回に増えたのかという話。それから、会食の御案内はいつも誰から来ていたか。そして、誰が同席しているかということは確認されているんでしょうか。とりわけ、木田氏や菅正剛氏が来ることは事前にちゃんと確認されていたんでしょうか。
  183. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、私の会食は四回ということでございまして、一回追加になってございます。  その背景でございますけれども、私どもの方で記憶が曖昧なところがございまして、その部分について先方に大臣官房から確認を取りまして、その結果として、平成三十年十月九日ということで、事実関係として一件追加をさせていただいたということでございます。  それから、先方との会合を持つ前に出席者というものが分かっていたのか、確定していたのかということでございますけれども、一回目については記録がございませんが、二回目あるいは三回目につきましては、事前に案内状をいただいておりましたので、その中で会食の先方の出席者について記載がございましたので、私も承知をしておりました。  また、令和二年十月七日、報道された会食でございますけれども、これは、事前に東北新社様からメールで日程調整の御案内が参りました。その際に先方の出席予定者についても記載がございましたので、こちらにつきましても、事前に先方の出席者については承知をしていたということでございます。
  184. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 メールは秘書さんから秘書さんへということなんでしょうか。あるいは、誰か、この出席者の方から直接来られたんでしょうか。
  185. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  四回ともでございますけれども、直接東北新社様と私がやり取りをしたということではございませんで、私のところにも受付、秘書がおりますので、その者と先方の御担当の間で日程の調整をしたということでございます。  ちなみに、四回目、令和二年十月七日につきましては、先方からメールを私どもの担当者にいただき、それに対して応諾をしたということでございます。
  186. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 公務ということでよろしいのかという話と、それで、今、メンバーをあらかじめ知っていたとおっしゃいましたが、菅正剛氏は将棋チャンネルの役員だった、これは気がつかなかったというのは成り立つのかもしれませんが、木田さんですよね、木田さんは東北新社メディアサービスの社長、まさに認定事業者そのものの社長なわけですよ。  認定は当初東北新社が受けていて、分社化をしてこの東北新社メディアサービスが引き継ぎ、当初から木田氏が社長をされているわけです。そのことを吉田総審も知らなかったとは思えないんですよ、この業界を所管をしていて、認定事業者である社の社長、木田さんが社長であるということを。まさに利害関係者そのものですからね、認定先の社長が同席しているということで、知らなかったとは言えないと思うんです。  ということは、利害関係者同席ということを知って、このコロナ禍、出かけたということになりますが、そうなんでしょうか。
  187. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  私、先ほど申し上げましたように、四回の会合ということでございますけれども、平成三十年十月、令和元年六月、三回目の令和元年十月、ここまでは総合通信基盤局長でございまして、通信を担当しておりました。四回目の令和二年十月七日、こちらについては総務審議官でございますので、当然、放送行政にも関わっているということでございます。  利害関係者であるということを承知していなかったのかという御指摘でございますけれども、正直申し上げまして、私、会食の時点では、この会食の出席者の中に利害関係者がいるという認識はございませんでした。また、御案内状にも東北新社での役職というもののみが記載をされておりました。  ただ、私自身、放送行政の実務経験が余りないということはございますけれども、私自身の認識に甘さがあったという点については深く反省をしております。本当に申し訳ございません。
  188. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 公務かどうか、もう一度お答えください。役所で日程調整したということでよろしいんですね。
  189. 谷脇康彦

    谷脇参考人 失礼しました。  日程調整は、役所において私の担当者が行いました。
  190. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 公務として行かれたということですね、そうしたら。
  191. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  懇親の場に出るという行為が公務に当たるのかどうかというのは、ちょっと私、にわかにお答えは持ち合わせておりません。
  192. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 そもそもこれは、出かける、東北新社自体が総務省所管の団体だ、認定事業者だし、子会社にそういうところを抱えているわけですから、これは逃れることはできないと思うんですよ。それを知らなかったというのは、行政のトップとしては考えられないと思うんですよ。とても信じられない。それを行ってしまうこと自体、不注意のそしりを免れないし、本当だとしたらですよ、到底私はそれは信じることはできないと思います。利害関係者と知らずに行ったというのは、事実だとすれば、本当にトップとしてあるまじきことではないでしょうか。  そして、もう一点だけ。なぜ、これ、出席したんでしょうかね。コロナ禍の昨年、ほかの事業者とは会食されていないわけですよね。わざわざ出かけたと。
  193. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  会食に出向いた理由でございますけれども、もちろん、コロナ禍でございますので、会食はなるべく控えるというのが当然であろうというふうに思います。  私、これ、報道されたのが四回目の会食でございましたけれども、過去も情報通信関係の意見交換を行っておりましたので。私どもは放送の方は余り詳しくないということもあります。私は、東北新社というのは、映像制作、放送関連でございますけれども、がメインの会社だという認識でおりましたので、知見を得るという観点から伺わせていただいたということでございました。
  194. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 いや、でも、トップとして、私は、この時期に出かけていくというのはあるまじき行為だというふうに思います。先ほど反省はされていましたけれども、トップがそういう不注意だから、こういうことが起こるんじゃないでしょうか。  あえて言わせていただければ、菅さんの息子がいらっしゃる、そして菅さんの親しい会社だから安心だという空気が省内にできてしまったんだと思うんですよ。総審も行っておられるから大丈夫だとみんな思ったんじゃないですか。そこを反省していただきたいんですが、どうでしょうか。
  195. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  事実関係として、私が会食をする相手先について、うちの、私のいる部屋以外の者に知らせるという、あるいは情報を共有するということはございませんでした。それは事後においても同じでございます。  ただ、もちろん、こうした事態を招いておりますことの責任というものは、私としても痛感をしております。
  196. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 これは、よく分からないですけれども、東北新社側が、谷脇総審もお見えですよとか、吉田総審もお見えですよと言っているかもしれないですね。そこも、結局、東北新社が何を言っているか分からないから、これは分からないんですけれどもね。  これは、必ず、木田氏、菅正剛氏始め東北新社側の調査結果を聞かなきゃいけないし、国会にも来ていただかなきゃいけないんですが、改めてそこは招致を求めます。理事会に、招致を求めます。
  197. 金田勝年

    金田委員長 ただいまの件は、理事会で協議をさせていただきます。
  198. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 それから次、吉田総審に伺いたいと思いますが、吉田総審も新たに追加に、吉田総審はあらかじめ、二回よりほかにあるというふうに答弁が出ていましたけれども、今日新たに三回追加になりました。  気になるのは、二十八年の八月、そして二十八年の十二月、これは、当時、職務権限がある情流局の大臣官房審議官だったと思いますが、この時期、まさにBS4Kの認定、二十九年の一月の認定を控えた時期だったわけです。このときに、こうした、平成二十八年、二十九年、挟んでですけれども、BS、CSの話は出たんでしょうか。
  199. 吉田眞人

    吉田参考人 お答えを申し上げます。  まず冒頭に、私自身の国家公務員倫理法令への抵触に関する報道を契機といたしまして、今このような事態になっておることにつきまして、心よりおわびを申し上げたいと思います。  今、委員お尋ねの件でございますけれども、会合の中でそういうBS4K等の話題が出ていたのかということでございますが、正直申し上げまして、相当以前でございますので、会合の中身の、どんな会話をしたのかということを、明確な記憶があるわけではございません。  ただ、この種の会合の性格といたしまして、当然、私、そのとき放送担当の仕事をしておりましたので、私の業務に関連した、例えば放送一般の意見交換といったような話題が、多分、一般的なそういう、社交的会話にプラスしてなされたということも、それは当然考えられようかと思います。そういう会話がなされたとしても不自然ではないと思いますが、ただ、個別具体的に、例えば許認可に関連するような会話をするとか、あるいはまさに不適切な働きかけといった、そういうものがあったということは全く記憶にはございません。
  200. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 全く否定もされなかったわけですよね。この接待の記録を見ると、まさにこの頃から、放送のライン、必要な課長、審議官、局長全部が接待攻勢を受けているわけですよ。非常に疑念を招く行為だと思いますが。  もう一点だけ。先ほど、谷脇総務審議官は放送に疎いから木田氏が利害関係者だとは知らなかったとおっしゃっていますが、吉田総審は、これは当然御存じだったわけですよね。
  201. 吉田眞人

    吉田参考人 委員指摘のとおり、私、放送行政につきましては、例えば過去五年間でも、二年間は放送の審議官をしておりました。また、昨年の夏までは、一年間担当局長をしておりました。  そういう中で、今回の会合、一応、木田氏と菅氏との会合でございますけれども、これは本当に恥ずかしながら、まず、東北新社の役員及び社員であられるという認識はございました。ただ、先ほど、木田氏、東北新社メディアサービスの社長ということでございましたけれども、これは本当に恥ずかしながらですけれども、そういう認識がございませんでした。  今にして思えば、長年、放送担当をしておりますので、少し気をつけて何か規制を調べておれば気づいたことかもしれないんですが、まさにその怠慢は恥じ入るばかりでございます。ただ、これは本当に、この時点におきましては、私は利害関係者という認識を持っておりませんでした。ただ、それが、今申し上げましたように、自らの経歴等に照らしまして、非常に怠慢ではないかといったような御批判をいただけば、それはもう恥じ入るばかりでございます。申し訳ございません。
  202. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 情報流通行政局長として木田氏、菅氏に会っているわけですよ、令和二年の一月。これは明らかにアウトですよね。利害関係者そのものじゃないですか。しかも、放送のプロであられる吉田総審が知らないなんて、これは到底信じられませんよ。  ここで、もう時間もないのでほかの委員に譲りますけれども、ちょっともう一点伺いたいのは、週刊文春の中で、木田氏が「「吉田さんがなんかうちの岡本さんの面倒をみてもらっているみたいで……」」と。「秋本氏「あぁ」 木田氏「すみません、本当にすみません」」。菅氏が「「あんないい仕事」 秋本氏「いえいえ」」という記事が出ています。  これは、秋本氏は記憶にないと昨日答弁しているのでもう聞きませんが、この記事によれば、岡本さん、これは今、衛星放送協会の専務理事をやられているんですね、囲碁将棋チャンネルの社長をされた後、まさに衛星放送協会の専務理事をやられているんですが、この岡本氏とは面識があるのでしょうか。そして、会食したことはあるのでしょうか。そして、何らかの便宜を最近図ったことはあるのでしょうか。
  203. 吉田眞人

    吉田参考人 その記事に触れられておられます岡本氏は業務等を通じて面識はございます。ただ、会食をした記憶はございません。  また、その記事に書かれております便宜云々といったようなことについては、全く思い当たることはございません。
  204. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 これは先週金曜日の朝日新聞の記事なんですけれども、衛星放送協会が総務省のワーキンググループ、衛星放送の未来に関するワーキンググループでプレゼンをした、衛星料金の負担軽減の必要性を主張したというんですが、この専務理事が今名前を挙げた岡本氏、元東北新社の役員の岡本氏であるということが記事になっています。  それで、実は、このワーキンググループ、衛星放送の未来に関するワーキンググループは、二〇一八年の五月に一旦打ち切られているんですよ。小林政務官主導で報告書がまとめられて、一旦打ち切られている。ところが、この一月の会食の後、二〇二〇年の四月から急にまた、二年置いて検討が始まったわけですよ。  その中でのプレゼン。岡本専務理事、元東北新社ですが、主張したのは、ここにあるように、ちょっと分かりにくいんですが、衛星放送の電波って、右巻き、左巻き、右旋、左旋とあるんですね。我々がいつも見ているのは右旋の、右巻きにらせんを巻く電波で見ているんです。左旋と右旋は混信しないんです、反対側に回っているから同じ周波数を使っても混信しないんです。ということで、左旋の電波が空いているので、国の方針としては、二〇一八年の報告書では、左旋を4K、8Kに充てるということになっていて、東北新社が左旋に免許を得ているということなんですよ。右旋は既存の地上波局が4K、8Kをやるということになっていて、基本は、左旋で4K、8Kをやるということが決まっていると。  ところが、明らかになったのは、左旋の電波を受信できるというのは百二十万世帯しかないんですね。これは宅内、建物の中の配線の関係があって百二十万世帯しかない。右旋は、一方、三千万世帯が視聴できるんです。圧倒的に不利なんですよ。  それで、こういうことになりまして、まず、衛星の通信料金はまけてくれと。今もまけているんですね。まけてくれというのは、要望がありました。  そして、その下で、岡本専務理事が言ったのは、右旋を空けてくれ、政府の方針を変えてくれということを言ったわけであります。これが、もう時間がないからはしょって言うと、二〇二〇年の十二月十五日、この連続した会食の後の、ちょうど十二月十五日の日に政府の方針が変わったんですよ。それまでは左旋でいきなさいと言っていたのが、それまでは左旋を基本と言っていたのが、吉田情流局長の下でやり直した研究会、そして秋本局長の下でまとめた答申では、右旋帯域において一定帯域が確保できた場合は4Kに割り当てるということで、政府の方針が変わっているんですよね。  これはなぜ変わったんでしょうか。行政のゆがみじゃないでしょうか。
  205. 吉田眞人

    吉田参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘の点でございますが、これは、御指摘どおり、現行の放送普及基本計画では、いわゆる右旋が2K、それから一部BS4K入れていますけれども、新しい新4K、8Kは左旋というふうな方針が決められております。  実は、これは、放送普及基本計画、こういうのを作るときに、私、当時審議官をしておりまして、それには関与しております。  ただ、その後、技術等の進歩において、今委員も御指摘ありましたように、従来は、4K、8Kは帯域が大きく使うので、右旋はいっぱいなので、新しくは左旋というふうな感じで、そういう放送普及基本計画を作ったんですけれども、技術の進歩等によりまして、右旋でも使えるようなものも出てくるというふうなことがございまして、これは、私の、放送を担当した行政官として、問題意識として、やはり少しこの右旋、左旋の切り分けは見直していく必要があるんじゃないかと、これは従来も思っておりました。  それで、今言われましたように、検討会、休止していたものを新しくスタートして、それを一つの中核として、ただ、それ以外にも衛星放送に関する様々な議論をしていただくというふうなことで立ち上げたものでございます。
  206. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 ちょっと時間を使ってしまったんですが、結局こういう答えになるんですよ。何が話し合われたかが分からないからこうなるし、いつまでたっても行政がゆがめられたんじゃないかという疑念が続くわけですよ。  総理、この本の中で、官僚を動かせと言っていますが、間違った方向に官僚が動いているんじゃないですか。総理の御子息の陰に総理がいらっしゃるから、役人が間違った方向に動くんじゃないですか。是非、御子息、そして東北新社の方に国会に来ていただいて答弁いただけるように、総理、働きかけていただけませんか。これは政府の信頼の問題です。
  207. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は行政の長でありますから、そういう中で、総務省で今徹底して調査をして、まさに法と証拠に基づいた中で判断をされるんだろうと思います。
  208. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 以上です。残りの委員に譲りたいと思います。
  209. 金田勝年

    金田委員長 この際、大串博志君から関連質疑の申出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。
  210. 大串博志

    大串(博)委員 立憲民主党・無所属の大串博志でございます。  早速、質疑に入らせていただきます。  今、国政の最大の重要事は、間違いなく新型コロナウイルス、これを乗り越えていくことですね、菅総理。私もそう思います。亡くなられた方も多くいらっしゃる。大変お悔やみ申し上げます。かつ、まだ罹患されている方もいらっしゃって、お見舞いを申し上げなきゃならない。さらには、医療従事者の方々の必死の努力もあります。  それに向けて、早く収束するために、今、菅総理も一生懸命やられていると思います。外出自粛をしてくれ、時短に協力してくれ、いろいろな要請を政府からもされている。一番重要なのは、私、政府として、この新型コロナウイルスに国民一体となって頑張ろうという総理のメッセージが国民の胸にしっかり響くかということだと思うんです。  この響くかどうかというときに、行政に対するいささかの曇りあるいは疑念のある場合には、言葉が届かない可能性が私はあると思う。こういうふうになっていただきたくないという思いの中で、菅総理には、いろいろな、今、残念ながら、今し方話のあったような、総務省の接待の話も含めて、疑念の声があります。これに対して、是非、総理には真摯にかつ正直に答えていただきたいと私は切に願うものですから、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、今し方話のありました総務省のこの接待の問題ですけれども、今日のお昼に調査結果が、私たちいただきました。今回、東北新社関連の皆さんから、いわゆる公務員の倫理規程に違反する疑いがあるとして行われた会食が、十二人、延べ三十八件。大変な回数です。金額にして数十万円を優に超えるような全体額。  当然のことながら、行政がゆがめられたのではないかという声が出てきます。かつ、この接待をした相手方には菅総理の御長男が社にいらっしゃる、こういう状況でありますので、当然、多くの皆さん、疑念の目を向けられます。  総理、率直に、この十二人の人たち、役人さんですね、三十八回に及ぶ会食、倫理規程違反疑い、率直な御感想をお聞かせください。どうですか。
  211. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私の長男が関係をし、結果として公務員の方が倫理法に違反する行為をすることになったことに対して、大変申し訳なく思っており、国民の皆さんにおわびを申し上げる次第でございます。
  212. 大串博志

    大串(博)委員 御子息の問題もしかりです。かつ、役所側の問題もしかりです。三十八件という会食、大変多い。  今、どういうことが起こったのか。論点は、私、大きく二つだと思うんですね。すなわち、行政がこの結果ゆがめられたのではないかという、このこと。そして、もう一つが、菅総理の御子息、御長男が東北新社側、会社側にいらっしゃったから特別な扱いを受けたのではないか。  これまで、安倍政権の中においても、森友学園等々、政権に近い関係を持つ一部が利益を得るのではないかという国民の疑念の声がありました。これも含めたこの二点をきちんと明らかにしていくことが今大事だと私、思うんですね。  その際、一番大切なことは、調査が本当にきちんと行われているかです。  なぜなら、これまで、調査はきっかり行ってきていると言われていましたが、先週、御案内のように、秋本局長、放送行政に関わることが話題に上ったこと、これは記憶にないとおっしゃっていたんですが、これが文春オンラインの公開音声をもってして変わりました。そういう話題は上りました、話題に上りましたというふうに変わった。調査が本当にしっかり行われていたのか、これに疑問が残ります。  同じことは菅総理の御子息にも言えます。  先週、菅総理の御子息との関係で、こういうことがありました。原官房長、秋本局長が個別の事案、放送行政に関して話に上ったことがないというような答弁をしていることに関して、二月十六日、衆議院の総務委員会の審議において、私たち櫻井周議員からの質問に対して、総務省の原官房長は、相手からもこの点について確認したところ、先ほど申し上げたとおり、通常の意見交換あるいは親睦であったと承知してございますというふうに答弁しています。すなわち、具体的な放送行政に関わる話はなかったというふうに菅総理の御子息は総務省の調査に対して回答されているんですね。  ところが、二月十九日、文春オンラインの音声公開を受けた総務省の再調査に対しては、こう答えていらっしゃいます。今回、文春オンラインで公開された音声データを関係者に確認させたところ、結果は次のとおりであります、木田氏、菅正剛氏においては、お二方共に、声が自分のものだと思う、自分だと思うとのことでございました。後から認められているんですね。  すなわち、菅正剛氏も、調査に対して、最初は、具体的な放送行政に関する話題は上らせていないと言いながら、後から、実はあれは自分が話題にしていたんだということを認められた、こういうことがあります。  菅総理には、先週金曜日に、この経緯に関して、さきの週末に御子息、正剛さんと連絡を取っていただいて、なぜこのような調査に対してしっかりとした答えがならなかったのか、ここの経緯を調べてください、確認ください、そしてこの場でお答えくださいということを紙でお願いしております。  菅総理に事実関係をお答えいただきたいと思います。菅正剛氏は、総務省からの調査に対して、放送行政に関する具体的な内容は話題に上らなかったと答えていたんでしょうか。
  213. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 総務省において、事実関係を明らかにするように徹底して調査を行っている中で、私が長男から聞き取りを行い、ここでその内容を答弁することは、行政府の長としてここは避けるべきだ、そう判断をいたしています。  いずれにしろ、総務省において事実関係、徹底した調査を行っていますので、そこの調査が正しいというふうに思っています。
  214. 大串博志

    大串(博)委員 いいですか、総理。  一方の秋本局長は、答弁の内容を変えたことで先週更迭されているんですよ。答弁の内容を変えたことを彼自身認め、この場で、それが結果として、役職を外され、更迭されているんですよ。そうやって物事は、こういった物事は、調査をして明らかにするときは進んでいかざるを得ないものだと私は思います。  一方の相手方は、菅正剛氏です。菅正剛氏に関しても、きちんとした答弁、報告が総務省になされているか、これは確認をしていかなければ、あさって処分が出るというふうに言われています、報告書が出ると言われている。それが本当に信頼のなるものか、私たち、本当に自信を持って受け止めることができません。  今、行政府の長として答えるべきでないと極めて紋切り型な答弁をされました。この紋切り型な答弁が、私、総理、申し上げるに、国民に正直に響かないんだと思うんです。字面に書かれた答弁書を読み上げる上では、それはいいかもしれない。しかし、国民の皆さんに、菅総理が真摯に答えているという心の胸は打たないと私は思います。  もう一度お尋ねします。菅正剛氏に、この経緯、まず質問、確認はしていただきましたか。
  215. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりであります。  総務省で、事実関係を明らかにするために徹底をして調査を行っています。そうした中で、私が個人的に長男から聞き取りを行い、ここでその内容を答弁することは、行政府の長として避けるべきだというふうに思っています。  いずれにしろ、総務省からの聞き取りが、徹底して調査を行う、そのことが必要だというふうに思っています。  私自身、ふだんから息子とは仕事の話は一切していませんでした。
  216. 大串博志

    大串(博)委員 別人格ということをこの間おっしゃいました。今日も、一切仕事の話はしていませんということで説明をされようとされています。しかし、それで国民の疑念が晴れるわけではないし、むしろ言い訳をされているような気がします。  その疑念を排していくためにも、菅総理にはきちんと答えていただきたい。何せ、先週金曜日から私、きちんと紙で、先ほど申し上げた確認事項は菅総理にもお届けしていた。御存じですよね、菅総理、紙で行っているのは。  このことだけでもお答えください。菅正剛氏に、この聞いたような内容、尋ねていただいたんですか。それだけでもお答えください。
  217. 金田勝年

    金田委員長 官房長。(大串(博)委員「官房長なんて関係ない。総理です。官房長なんて関係ない」と呼ぶ)官房長、それでは、元へ。質問が総理だから、戻って。(発言する者あり)だから、戻ってと今指示しています。(発言する者あり)静かにしてください。  内閣総理大臣菅義偉君。
  218. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 総務省において、事実関係を明らかにするために今徹底して調査を行っているときに、私が長男に対して聞き取りを行い、ここでその内容を答弁することは、行政府の長としては、ここは絶対に避けるべきだと思いますよ。
  219. 金田勝年

    金田委員長 大臣が手を挙げていますよ。いいですか。(大串(博)委員「はい、結構です」と呼ぶ)
  220. 大串博志

    大串(博)委員 私、先週金曜日に、菅総理におかれては、菅正剛氏に以下のことを確認いただき、その結果を二月二十二日の衆議院予算委員会において答弁をいただきたいということをきちんとお願いしているんです。  それはなぜかというと、総務省の答弁からも分かるように、菅正剛氏の先週までの総務省への報告が事実と違っていることが明らかになったから、何でそんなことが起こっているんですかということを答えていただく。とすると、菅正剛氏にこの場に来ていただくか、あるいは総理が直接聞き取っていただくか、その二つしかないじゃないですか。  しかも、総理、最初申し上げたように、総理がいかに正直に真摯に行政に臨んでいるか、これは国民が今見ているんですよ。新型コロナを乗り越えるためにも、総理の姿勢をみんな見ているんです。  菅正剛氏に確認したかどうか、その一言ぐらい言えないんですか。どうですか、総理
  221. 金田勝年

    金田委員長 総務大臣、さっきから手が挙がっています。一言答えて。(大串(博)委員総務大臣、関係ないでしょう。委員長、関係ないじゃないですか。私の質問時間、関係ない人に答弁させないでくださいよ」と呼ぶ)いや、さっきから手を挙げていますから指名しました。(大串(博)委員総理だもの。関係ないじゃないですか。関係ないですよ」と呼ぶ)それは、総理は何回も答弁しているから、ここで、まず、武田大臣
  222. 武田良太

    ○武田国務大臣 正しい内容は、直接菅正剛氏への聴取を行った、それは官房長なんです。ですから、官房長の方から説明をさせていただきたい、このように考えています。(大串(博)委員「じゃ、官房長の答弁、短く許します」と呼ぶ)
  223. 金田勝年

    金田委員長 総務省官房長原邦彰君、要領よく答えてね。
  224. 原邦彰

    ○原政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、当初、私ども、倫理規程違反の調査で、具体的にどんな話がありましたか、それから個別の利害の話がありましたかとお尋ねしたところ、菅正剛氏から、通常の意見交換だというお答えがありました。また、個別の利害に関する話題はなかったというふうに報告を受けました。  それで、文春の報道を受けまして、またこの土日、私ども弁護士、それから向こうも弁護士立会いで、またヒアリングを行いました。この点についても、どうして最初はこういう話があったのを報告してくれなかったんですかというふうにお尋ねをいたしました。そうしましたら、菅正剛氏からは、今回の週刊誌報道等を受け、改めてよく当時の記憶を思い返したところ、BS、CSなど放送業界全体の実情に関する話はあったのだと思う、また業界全体の実情を話す中でグループ会社の話題が出たのだと思う、しかし不適切な働きかけや行政をゆがめる行為は行っていないとの報告を受けております。
  225. 大串博志

    大串(博)委員 菅総理にお尋ねします。  今のような話を菅正剛氏から菅総理もお聞きになっていらっしゃいますか。(発言する者あり)
  226. 金田勝年

    金田委員長 静かに。
  227. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど申し上げているとおりです。
  228. 大串博志

    大串(博)委員 なぜこの点をお聞きしているかというと、今回の調査、私、非常に心配しているのが、本当に、あさって出てきたときに、ああ、これならそういうことだったのかと国民みんなが納得するような調査になっているかというのが非常に疑問だからなんです。  どうも、先ほどからの谷脇審議官や吉田総務審議官、あるいは先ほど出た資料の中で、総理のお膝元にいらっしゃる内閣広報官の山田内閣広報官も総務省総務審議官時代に東北新社関係者から接待を受けていらっしゃいますね。何と、飲食単価七万四千二百三円、一回の食事でこの金額です。  このような非常なる接待を行われていらっしゃる中で、山田広報官からの会食時の会話という報告が、放送業界全体の実情に関する話はあったかもしれない、また業界全体の実情を話す中でグループ会社の話題が出たかもしれない、しかし行政をゆがめるような不適切な働きかけはなかった、こういう紙が出てきているんですね。  今、武田大臣が答弁として読まれたものと全く同じですね。あるいは、谷脇さん、吉田さんが先ほど答弁でおっしゃったことと全く同じですね。関係者が判で押したように同じ答弁、すなわち、放送業界全体の実情に関する話はあった、業界全体の実情を話す中でグループ会社の話題は出たかもしれない、しかし行政をゆがめるような不適切な話し方はなかった。こういう、言葉尻を全員合わせて、何とか、ぎりぎり何人かを処分するだけで乗り越えていこうという姿がありありと見えるものですから、非常に私は心配しているんです。  だから、本当に内実がどうかということを私は調べたくて、知りたくて菅総理に聞いてきたというのが私の実情なんです。  先ほど、菅総理、話がありましたけれども、今回、菅総理は、息子さんと仕事の話は一切していなかったというふうに言われますけれども、結果としてこのような接待事案になったということに関しては大変申し訳ないというふうなことをおっしゃいました。  これらに関して、あさってですか、調査報告が出たときに、菅総理はいま一度、調査報告が出た段階で、何がしかのメッセージを国民の皆さんに発していこうということは考えていらっしゃいますか。
  229. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私自身がそうした全体の中でメッセージを出すということは控えたいというふうに思います。  ただ、そういう中で、報告書、具体的に事実関係がどうかということを、明らかになった上でなければ、今、この場で申し上げることは控えるべきだと思います。
  230. 大串博志

    大串(博)委員 武田大臣にお尋ねします。  今回、非常に大きな事案ですね。延べ三十八件の会食。大きいなあと私は思って、これは元々、国家公務員倫理法というのができ上がったのは、いわゆる平成七年、八年、大蔵省接待不祥事を受けてのことでした。あの不祥事の中で大蔵省は解体、さらには、当時の三塚大蔵大臣、辞められました。日銀総裁も辞められました。そういった大きな問題に匹敵するほどの規模ではないかと私は思うんです。  よって、きちんとした調査がなされる必要が私はあると思うんですけれども、武田大臣にお尋ねしますが、論点は二つだと思うんですよ。先ほど申し上げましたように、行政がゆがめられたかどうか、ここだと思うんです。行政がゆがめられたかどうか。  ここに関しては、何をもって調査、判断するんですか。関係者から聞き取りをしただけでは到底、私、本当にゆがめられたのか、ゆがめられていないのか、分からないと思います。弁護士の方が入っていらっしゃるといっても、元々総務省に何かあったときに総務省がお尋ねしていた、ある意味、ふだんから関係のある弁護士の方ですね。ですので、行政がゆがめられたかということを関係者に聞き取りするだけでは、到底、今のように口裏合わせで終わってしまうんじゃないかという危惧があります。  どうやって、ゆがめられたか否か、調べ、判断するんですか。どうですか。
  231. 武田良太

    ○武田国務大臣 国民の疑念を抱かせる事態を招いた、このことについては事実であり、本当におわびを申し上げたいと思います。  信頼回復のために我々も精いっぱい励んでいかなくてはならない、このように考えておりまして、また、今後とも、いろいろな情報等が我々の元に入れば、それを基に、コンプライアンスの見直しを含め、適切に対処してまいりたい、このように考えています。
  232. 大串博志

    大串(博)委員 もう一回答弁してください。  関係者から話を聞く以外に、行政がゆがめられていたかどうか、どうやって判断を、調査をするんですか。お答えください。
  233. 武田良太

    ○武田国務大臣 今回の事案、倫理法令に違反するか否かの調査と併せて、先ほども答弁しましたけれども、双方の当事者全てにヒアリングを行いました。行政をゆがめるようなことが、事実があったのかどうかということを問いました。全ての方々が、そうしたことは一切なかった、こういうふうに記憶しているということが報告に上がりました。
  234. 大串博志

    大串(博)委員 双方に聞いたら双方同じことを答えるに決まっているじゃないですか。両方とも、行政をゆがめるなんてありませんと言うに決まっているじゃないですか。それが証拠に、先週、双方とも、放送業界に関する話は出したことはありませんと虚偽の説明をしていたじゃないですか。そのような答弁をまた聞くんですか。その上で、ゆがめられていないとそれだけで判断するんですか。私は、あさっての調査報告書がしっかりとしたものになるとはとても思えません。  もう一つ、武田大臣にお尋ねします。武田大臣の責任は、極めて、私、今回の事案、大きいと思うんですよ、きちんと立て直せるかどうか。もう一つ、お尋ねします。  国民の皆さんの大いなる疑念の一つは、菅正剛氏の存在が総務省にとって、これは断れないな、これはつき合わざるを得ないなというような特別扱いのよすがになっていなかったか。この点に関しては、調査報告書の中にはしっかりとその原因を書かれるんでしょうね。いかがですか。
  235. 原邦彰

    ○原政府参考人 お答えいたします。  その点も、私ども総務省側の職員にみんな確認しております。特に菅正剛氏だからという影響はなかったというふうに回答を得ております。
  236. 大串博志

    大串(博)委員 菅総理、今の原官房長の発言を聞いて、どう思われますか。私は、年齢も近い、原さん、かわいそうだなと思いますよ。菅総理の前で、どうして総務省の官房長が、菅正剛氏の、仮にですよ、仮に影響があったときに、影響があったという報告書、そこもきちんと書きますとなかなか言いにくいんじゃないかな。菅総理の前だから、特別な関係はなかったというふうに言わざるを得なくなっちゃっているんじゃないか、そこに忖度が生まれているんじゃないかなと私は思うんです。私だけじゃない、多分国民の多くの皆さんが思っていらっしゃると思う。  この疑念を、菅総理、どうやって払拭していかれるつもりですか。
  237. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますけれども、総務省としては、事実関係をしっかり明らかにして、徹底した調査を行ってほしい、これが私の思いであります。  そして、私の長男が関係して、結果として公務員が倫理法に違反する行為をすることになったことについては、大変申し訳なく思っておりまして、心からおわびを申し上げたいと思います。
  238. 大串博志

    大串(博)委員 菅総理、それはよく分かったんです。それはもう、この委員質疑の冒頭のところで総理にお尋ねしたことだったので、私、よく分かっているんです。  ただ、今までの一連の流れを聞いていただいて、行政にゆがみがなかったか、菅正剛さんからの菅総理を背景とした特別な圧力みたいなものを総務省の皆さんが感じることがなかったか、これに関する調査がどうも行き届かないんじゃないかというおそれがある。恐らく国民の皆さんも、そこに相当疑念を持っていらっしゃる、その状況がまだ続いているんだと思うんですよ。この状況を総理としてどういうふうに払拭されるんですかということなんです。  申し訳なかったというのは分かりました。しかし、もう一段、総理には乗り越えなければならない国民の疑念があるんです。それはどうやって乗り越えられるつもりなんですか。
  239. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 武田大臣の下で徹底して調査、事実関係を明らかにしてほしい、このように思っています。
  240. 大串博志

    大串(博)委員 徹底して事実解明をしてほしいというのであれば、私は、菅総理にこの場で、菅正剛氏から今週末聞いてきたこと、かくかくしかじかであったということを生の声で述べてほしかったと思います。そういう総理御自身の努力があれば、国民も、ああ、総理も努力されているな、疑念を払拭するために努力されているな、この総理の下でコロナ対策、頑張ろうという気持ちになるかもしれない。しかし、その態度が見えないから、総理、プロンプターを使うとか、あるいは紙を読まないようにするとか、そういう形の問題じゃないですよ。本当に真摯に、ああ、総理がここまでやったのかというようなことをやってくださるかどうかですよ。私は、非常に今日の答弁は残念です。  そして、あさって、報告書が出ると言われている、その内容、先ほど話しました、行政がゆがめられていないか、そして、菅正剛氏、御長男の影響力がなかったのか。この点に対するきっちりとした報告になっているかどうか、私たち、見届けさせていただきたいと思います。  さて、次の話題に移らせていただきたいと思います。  新型コロナでございますけれども、ちょっと通告の順番を変えさせていただきまして、河野大臣にワクチンのことをお尋ねさせていただきたいと思うんです。河野大臣はいらっしゃらない。じゃ、ワクチンのことでありますので、田村大臣で結構でございます。あっ、私、総理に通告をしていました。ごめんなさい、勘違いした。総理に通告しておりました。  ワクチンに関して、昨日、河野大臣は、一昨日、テレビ出演されて、こうおっしゃっています。二月、三月、四月までのワクチンの供給が非常に少ない、よって、今週にも大きなスケジュールに関して決断をしなければならないというふうにおっしゃっています。  この大きなスケジュール、の変更ということでしょうね、に関して決断をしなければならないということは、話の流れからすると、四月と言われた高齢者の皆さんの接種を遅れさせざるを得ない、そういうことでよろしいですか。
  241. 田村憲久

    ○田村国務大臣 高齢者の接種でありますけれども、四月、四月のいつからかということはおっしゃっておられないと思いますが、四月にはスタートをするということを河野大臣はおっしゃっておられて、我々もそれを承知をいたしておりますので、それに向かった厚生労働省としても準備をいたしております。
  242. 大串博志

    大串(博)委員 総理も、河野大臣の報道でのしゃべりぶりを聞かれていらっしゃると思うんですよ。四月はテスト的に始めるんだそうですね、試行的に始める。極めて少ない数で、場所によっては、年齢百歳以上、あるいは非常に高齢の方から、少なく始めて、うまく全体が流れるかどうかテストするんだというふうなことをおっしゃっていたんですね。  ということは、四月の高齢者三千六百万人の方々に接種というのは、ほとんど形だけということではないでしょうか。いかがですか。
  243. 田村憲久

    ○田村国務大臣 四月中に全ての高齢者を接種するとは河野大臣はおっしゃっておられません。四月には高齢者の接種を始める、こういうふうにおっしゃっておられて、我々もそう承っておりますので、委員がどういう意味合いでおっしゃっておられるのかちょっと私も理解できないところがあるんですが、決して全員という意味ではないということは御理解いただきたいと思います。
  244. 大串博志

    大串(博)委員 そうすると、総理、本格的に高齢者の皆さんが接種を始めるのは五月になるという理解でよろしいですか。
  245. 田村憲久

    ○田村国務大臣 これも、今ワクチンを、ヨーロッパ、いろいろな形で、EU、それからまた加盟国の承認をいただかないとなかなか輸出できないというような現状があるのは事実でありますけれども、ワクチンの供給をしっかりと確保していく中で接種をしていくということでございますから、そのワクチン量をしっかりと我々は確保をしてまいるということであります。
  246. 大串博志

    大串(博)委員 いや、きちんと、これは全国の自治体の皆さんが固唾をのんでこの情報を待っていらっしゃるんですよ。四月と思っていたら、いつの間にか、二週間ほど前に、四月はなかなか難しそうだという声が聞こえてきて、本当に四月に供給が始まって接種を始めるのかということを、非常に自治体の皆さんは心配に思っていらっしゃるところなんですね。それが、なぜかこの土日の間に、河野大臣から、四月はどうも難しそうだ、四月は難しそうで、少しずつしか始められない、テスト的にしか始められない、こういうふうな発言があったんです。  菅総理は、河野大臣のこのような方針は聞かれていらっしゃいましたか。
  247. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、このワクチン接種ですけれども、約四万人の医療従事者を対象にした先行接種を二月十七日から開始をし、今後医療従事者の優先接種を順次進めていく、そういう中で、高齢者の接種については、これまで説明しているとおり、四月から開始すべく準備を進めています。  いつ、具体的なということは、それは当然、河野大臣から地方自治体に、準備をする中でそれは大事なことでありますから、時期が来たら、当然、いつからという日程は地方自治体に前もってお知らせすることは当然のことだと思います。
  248. 大串博志

    大串(博)委員 確認ですけれども、河野大臣から、今週末前に、四月の高齢者の皆さんへの接種はテスト的になる、極めて数が少ない、よって、本格的には五月以降になるということは総理はお聞きになっていらっしゃいましたか。
  249. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 四月から進めていく、そういう状況は報告を受けていました。
  250. 大串博志

    大串(博)委員 テスト的にしか始められないというのはお聞きになっていらっしゃいましたか。
  251. 田村憲久

    ○田村国務大臣 テスト的にとおっしゃったかどうかちょっと私はつぶさに昨日聞いていなかったんですけれども、いずれにいたしましても、四月から接種を始める、それは、当然のごとく、世界で今ワクチンが取り合いになっていますので、そこを折衝して確保をしながら、その見込みがある程度つけば各自治体にそれは御連絡をさせていただいて、それぞれの自治体が困らないような対応はさせていただくという話でございます。  なかなか、こういう状況で御迷惑をおかけいたしておることに関しましては、自治体の皆様方にはおわびを申し上げたいというふうに思います。
  252. 大串博志

    大串(博)委員 総理、今お聞きになったと思いますので。  四月はテスト的な高齢者の皆さんへの接種で、五月からしか本格的にならないというのは、河野大臣からお聞きになっていらっしゃいましたか。
  253. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は、テスト的にという話は聞いていませんでした。四月から進めていくという中で、河野大臣の中で、準備を進めて、そこが随時明らかになり次第、地方自治体には準備のために報告をして、混乱のないような形で進めていく、こういうふうに理解しています。
  254. 大串博志

    大串(博)委員 ワクチンに関しては、事ほどさように、政府の中からの発信が、やはり、非常に重要なものでも混乱しているケースが多々あるんです。  昨日、おととい、そして昨日の河野大臣のテレビでの発言、私も非常にはっとしました。今日も自治体の長の皆さんから、そうなるんですかという問合せを受けました。そのことを総理が知らない、知らない、この現実を、私は非常にこの政権の中で危惧を感じるんです。  政権の中のワクチンに関する連絡体制、総理、本当に大丈夫ですか。
  255. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 昨日の河野大臣の記者会見の発言内容ですけれども、高齢者の接種については、これまで御説明しているとおり、四月から開始する方向で準備を進めている、基本的な進め方として、高齢者の接種対象者数は規模が大きいことも踏まえ、まずは自治体の御協力をいただきながら、試行的に限られた数量のワクチンをお配りをし、配送やシステム、会場における接種の体制や流れなどを確認していただきたい、このように発言をしています。  要するに、五月からということは何も発言していないんじゃないでしょうか。
  256. 大串博志

    大串(博)委員 試行的に、テスト的に四月から、四月は試行的にということは言われた。  総理、おっしゃったように、総理自身がテスト的にというふうに河野大臣が言われ……(発言する者あり)ちょっと、細田さん、やじがうるさいので、ちょっと委員長、注意してもらえますか。  テスト的に、試行的にと今読まれましたからね、試行的にというふうに言われたことを総理が知らない、この現状が私は非常に心配なんです。  いま一つお尋ねしますが、田村さんにお尋ねしてもいいんですけれどもね、そのテスト的にとかはいいので。これはなぜこうなるかというと、供給スケジュールを、我が国、我が政府はきちんとコントロールできているのかということなんです。すなわち、契約がどうなっているのか。  契約をされたのは、厚生労働省において契約されていますね。今年中にファイザー社とは一億四千。一億四千、こういうことですよね、今年中にと。これは、いつまでに供給してもらうということまで含めて契約内容には書かれているんですか、書かれていないんですか。
  257. 田村憲久

    ○田村国務大臣 これは今年中に一億四千四百万回という形なんですが、いつまでにというのを約束しているのか、していないのか、約束している場合はどれぐらいなのかということも含めて、契約上これは申し上げられないことになっておりますので、それはお許しをいただきたいと思います。  その上で、河野大臣が試行的にというのは私は聞いております。それは、決して四月中試行的というわけではなくて、初め届いたものをある程度、初めの頃はいきなり何千万人来ませんから、そういうものを試行的に、何といいますか、体制がちゃんと整えられるかどうかということも含めて、各自治体に配らさせていただいて、その対応を見ながら改善をしていくというような意味合いであろうというふうに承っております。
  258. 大串博志

    大串(博)委員 契約の内容は、いついつまでにどれだけの量をということを言えないような契約の内容になっていると。これは、なぜ言えないような契約の内容になっているんですか。
  259. 田村憲久

    ○田村国務大臣 まず、守秘義務といいますか、言っちゃいけないという契約であって、それは、それぞれの、例えばワクチン会社ならワクチン会社の競争上の問題でありますとか、それを明かすことによって今度は我が国がしっかりと供給できないおそれがあるだとか、いろいろな理由があるからこれは申し上げられないと言っております。
  260. 大串博志

    大串(博)委員 今まで、こういう守秘義務契約があるから供給時期、供給量は言えないんだという答弁でずっと来られました。しかし、今起こっているのは、供給量がいついつまでにどれだけの量というのが言えないから問題が生じているんじゃないんです。供給が遅れているんですよ。  昨日、河野さんが言われたのは、ファイザー社が今増産のために設備を変えているので、四月中までは供給が細る、五月から新しい供給体制が立ち上がってくるので、そこから供給が増える、こういうことだったんですね。だから、今おっしゃった、いついつまでに供給をこれだけできるという契約内容を言えないから問題が生じているんじゃないんです。全体が遅れているんですよ。  丸川大臣、ちょっとお尋ねしたいと思います。よろしいですか。オリンピックとの関係です。  こうやって、四月から当初始めると言われていた高齢者への接種、今お尋ねしたように、四月は試行的に始めるということです。河野大臣によると、五月からしか本格的にファイザー社のワクチンは入ってこないということなんです。これは、オリンピックの準備作業に私は大きな影響を与えるのではないかと思うんですけれども、いかがですか。
  261. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 御質問ありがとうございます。  まず、御承知かと思いますけれども、選手がそれぞれの国でどういう順位でワクチンを受けるかというのは、国によって異なります。また、当然その国民の皆様もそれぞれそうでありまして、そうしたことを考えますと、また、ワクチンが、どのワクチンがどの国で接種されるかということもそれぞれ異なりますので、そうしたことを前提に、まず、アスリートトラックを決めるときから、ワクチンを打たなくても安全、安心の大会が開けるように、入国前からの健康チェック、行動の把握、それから入国前の検査、入国時の検査、それから入国してからの行動を全て規制をさせていただく、把握をさせていただく等の対応を取っております。  ですので、観客の皆様をどうするかということについては、この春にどうするかということを決めるわけでございますけれども、そのアスリートトラックと同じような……
  262. 金田勝年

    金田委員長 丸川大臣、時間が来ています。
  263. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 分かりました。  工夫ができるかどうかということによります。
  264. 金田勝年

    金田委員長 大串君、質問を、足りないのであれば、もう一回言ってください。
  265. 大串博志

    大串(博)委員 よく理解して答えてください。  日本の国内で、高齢者三千六百万人という非常に大きな数の方々の接種の開始が四月だったのが、五月以降にずれそうだ、これはオリンピック・パラリンピックの準備に影響を与えませんか、こういうことなんです。お答えください。
  266. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 委員指摘のワクチンにつきましては、接種を前提としなくても安全、安心な大会を開催できるように、総合的な感染症対策の検討を進めておるところでありまして、バッハ会長も、ワクチンは義務はしないとの旨の発言をされております。
  267. 大串博志

    大串(博)委員 今のことは、ワクチン接種を競技に参加する、参加しないの条件にするか等々の話だと思います。  ちょっと、丸川大臣には、大きな変更が今週、ワクチンスケジュール政策に関しては行われようとしているんですよ。このことを是非御認識いただき、そして、総理にも、先ほどお話のあった、四月には試行的という話を御存じなかったという話、私、非常に愕然としましたけれども、是非、政府の中のワクチン政策に関する意思の疎通をしっかり図っていただきますようにお願いして、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  268. 金田勝年

    金田委員長 この際、本多平直君から関連質疑の申出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本多平直君。
  269. 本多平直

    本多委員 立憲民主党の本多平直です。  私からも総務省の接待問題について質問をさせていただきたいと思います。  官僚だけ悪者にして政治家が何か責任を取らない、それは嫌だなと思っていたので、政治に焦点を当てて質問しようと思いましたが、今日の昼休みに官僚の接待の状況を報告いただきまして、余りにひどいので愕然としたので、官僚の方にも厳しく質問をしたいと思います。  まず、谷脇審議官、あなた、去年の十月に人形町で単価四万七千円の何をごちそうになったんですか。
  270. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  和食であったと記憶しております。
  271. 本多平直

    本多委員 単価四万七千円というのは、どれだけ飲んだのか、どれだけ高級な店なのか分かりませんけれども、そのこと自体大問題だと思いますけれども、谷脇審議官は、衛星放送をやっている業界が、空に浮かんでいる衛星の使用料が高い、だからなかなかもうけが出ないな、これが悩みだということは知っていますか。
  272. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  最近そういったことが報道されておりますので、承知しております。
  273. 本多平直

    本多委員 報道される前に、郵政分野、放送分野を担当の審議官のあなたが、こんな衛星業界が一番求めている要求を知らないんですか。
  274. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  把握しておりませんでした。
  275. 本多平直

    本多委員 では、十二月に出たワーキンググループの報告書で、衛星の料金を低くしてほしいという衛星業界からの要請を受け入れて、総務省もその引下げに積極的に関与をしていくという報告書が出ているのも知らないんですか。
  276. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  詳細にわたっては、私、承知しておりませんでした。
  277. 本多平直

    本多委員 こんな大事な政策について御存じないというのは本当なんですか。きちんと答えてください。  詳細にじゃなくて、方向性ぐらいは報告を受けているでしょう。今までは、浮かんでいる衛星の使用料というのは別な会社なんですよ、東北新社とかと。そして、それを安くするという話に、その民間の話にあなたたちが絡むという大きな方針転換なんですよ。そんなことをあなたが知らないで通っているんですか。
  278. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  大きな方向性については話をすることはございましたけれども、ワーキンググループの報告書そのものについては、私、詳細は承知しておりませんでした。
  279. 本多平直

    本多委員 こんなところで逃げるということが怪しいんですよ。  あなた、この四万七千円の会食で二つの話題が出ていませんか。空に浮かんでいる衛星の使用料が高過ぎて困っているんだという話と、それから、先ほど奥野委員指摘をした、右巻きの電波と左巻きの電波の使い方、これを話していませんか。
  280. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  昨年の十月の会合におきまして、放送市場の動向ですとか課題でありますだとか、それから、当然、東北新社の事業等について話題が出た可能性が当然あるというふうに思っております。しかしながら、今委員から御指摘の衛星料金低減の要望についてお話があったという記憶はございません。
  281. 本多平直

    本多委員 いろいろな放送の話をしていて、衛星放送の会社、東北新社を始め、一番関心のあることが話題に出なかったというのは本当なんですか。
  282. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  繰り返しになりますが、衛星料金低減の要望についてお話があったという記憶はございません。
  283. 本多平直

    本多委員 これから、本当にもう、私、残念ながら接待疑惑というよりも、あなた、分かっていますよね、これは贈収賄にも関係してくるような話になってきているんじゃないかと思います。  それから、秋本さん。さんざんぱら、今日、大臣の尽力でかなりのことが明らかになりましたけれども、先週、だから国民の皆さんにはいろいろなことが明らかになったかもしれません。さっきの昼休みに、やっと私ももらいました。しかし、あなた、先週の私たちには、この予算委員会の私たちには何回もうそをついていますよね。そのことをきちんと、結果としてか何か知りませんけれども、この国会で問題になって、何度も調べろと言って、この二つの会食、今日明らかにやっとなった。おかしいなと思ったんですよ、特定の人と一年おきにやっていたのに、二年も空いたりしていて。常識では、こんなところに空いているのがおかしいと思ったんですけれども、きちんと謝ってもらえませんか、まず、委員会に。
  284. 秋本芳徳

    秋本参考人 お答えいたします。  意図して過去の会合を落としたものではございません。私の記憶漏れがあったということでございます。  それから、虚偽答弁という御指摘をいただきました。私としては、これまでのこの委員会での質疑に際しまして、記憶に残っていなかったことをそのまま申し上げた次第でございます。先週開示された音声データによりまして、BSについて、あるいはグループ企業について言及があったということを今更ながらに知った次第でございます。
  285. 本多平直

    本多委員 ちょっと謝っていただけないのはびっくりしました。結果としてでもいいんですけれども。  まず、秋本局長、あなたはスケジュール管理を、例えばグーグルカレンダーのようなものでしているのか、紙の手帳でしているのか、どちらなんですか。
  286. 秋本芳徳

    秋本参考人 紙の手帳でしております。
  287. 本多平直

    本多委員 だから、何年か前の記憶なんて、私だってそんなことを覚えていませんよ、何年か前の会合の記憶なんて。紙を見れば分かるんでしょう。紙に書いてあるのを見落としたんですか、紙の手帳に。紙の手帳を捨てているんですか。何なんですか。
  288. 秋本芳徳

    秋本参考人 お答えいたします。  私、スケジュール管理に際しましては、行く場所、行く店について記載はしております。他方で、どなたに会うかということは余り記載しておりません。場所、店をたどっていく際に、東北新社様との過去の会食は和食の店が多かったものですから、それを頼りにたどっていったという次第でございます。結果として、洋食の店が漏れてしまったということでございます。
  289. 本多平直

    本多委員 秋本局長、あなた、何回もここで答弁するときにくすっと笑ったりしていますけれども、本当にそういう場合なんですかね。  じゃ、聞きます。あなたは、衛星放送業界が、空に浮かんでいる衛星の使用料を下げてほしいというのが強い要望だったこと、御存じですか。
  290. 秋本芳徳

    秋本参考人 お答えいたします。  衛星放送の未来像に関するワーキンググループの議論が昨年の四月からなされておりまして、昨年の十二月十五日にワーキンググループとしての報告書案を公表しております。  議論を重ねる過程で、衛星放送事業者にとりまして衛星のインフラの使用料が高いという点は業界共通の要望事項でございましたので、このワーキンググループでも審議をいただいたということでございます。
  291. 本多平直

    本多委員 局長、あなたの会食の一週間後に出た報告書で、空に浮かんでいる衛星の使用料を下げるために、総務省も積極的に、いやいや、何か勝手に、済みません、自分のところでやっている商売の値段を下げられる方も突然決まって迷惑だと思いますけれども、そういうふうに業界の要求どおり決まったということでよろしいですね。
  292. 秋本芳徳

    秋本参考人 衛星放送の未来像に関するワーキンググループにつきましては、公開の場で御議論を重ねていただいてまいりまして、衛星放送事業者からの要望の強い衛星のインフラ料金の使用料の引下げについて御審議がなされてまいりました。  他方、私が会食をさせていただいた十二月の十日でございます。音声データに示されましたとおり、BSあるいはグループ会社について言及がなされてはおりました。しかし、御指摘の衛星のインフラ料金の低減について、具体的な要望のお話があった記憶はございません。
  293. 本多平直

    本多委員 一番の要望事項の、いや、そもそも会食自体が駄目なんですけれども、その報告書の案がまとまる一週間前に酒を飲んでいてそんな話題が出なかったというのは、にわかに、済みません、信じられません。これからもしっかりとこれは追及しなきゃいけないんですけれども。  吉田さん、あなた、同じ質問ですけれども、先週この委員会に総務省を通じて答えていたのと、今日、違いますよね、出てきたの。新しく会合が増えていますよね。きちんと、結果として、手帳を捨てたのか何なのか分からないですけれども、まず、この委員会にしかるべきコメントをしてもらえませんか。
  294. 吉田眞人

    吉田参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、最初、令和二年一月二十四日、令和二年十二月二十日、具体的にはこの二件報告し、ただ、そのときも、正確な日時等は明らかではございませんでしたけれども、記憶はありましたもので、省の調査チームの方には、その時点で、それ以前にも木田由紀夫氏と複数回会食し、毎回ではないが、その場に菅正剛氏が同席することもあったという申告はしておりまして、その旨、原官房長の方からも言及があったというふうに記憶をしております。  その後、省から東北新社の方に多分照会がなされたのだと思いますけれども、その示された数字等を日時等と突き合わせまして、今回新たに三回の会合、これは私も確かに会合を持ったと確認したものですから、追加をさせていただきました。  当初は記憶が不分明でもって、最初からこういう五回というふうな数字がお示しできなかったことは申し訳なかったと思っております。
  295. 本多平直

    本多委員 確かにそういうふうに言われていたんですけれども、逆に怪しいから今日聞こうと思っていたんですけれども、明らかになったということです。  秋本さんにもう一回確認したいんですけれども、さっき言われた手帳を理事会に提出していただけますか、該当部分。いかがでしょうか。
  296. 秋本芳徳

    秋本参考人 他の予定も入っておりますので、できれば控えさせていただければと思っております。
  297. 本多平直

    本多委員 今、辻元筆頭からも指示が飛びましたけれども、他の部分は黒塗りで結構ですので、該当部分だけ御提出いただけませんか。
  298. 秋本芳徳

    秋本参考人 過去数年にわたる東北新社様との会食については、私ではなく総務省の大臣官房の服務、倫理担当と、先方東北新社様のコンプライアンス担当との間で突合がなされまして、これだけの会合が私秋本と東北新社様との間で重ねられているということで確認がし合われておりますので、手帳の提出は、できれば勘弁いただきたいと思います。
  299. 本多平直

    本多委員 委員長理事会で協議していただけますか。
  300. 金田勝年

    金田委員長 ただいまの点、理事会で協議をさせていただきます。
  301. 本多平直

    本多委員 本当に、総務省の皆さんにも私は、特に秋本さんは、国会で全く事実と違うことを、音声が出て、答えて違うことを言い、そしてまた今日新たに違うという、二度も三度もうそをつかれているんですよ、僕たちは。それでも一言も申し訳なかったとも言っていただけないので、これからも厳しく追及したいと思います。  さて、総務省以外で、総理、これは総理しか上司がいないので、総理に聞かざるを得ないので、お許しください。  総理が時々記者会見をされているときに、司会をされている女性がいらっしゃいます。山田真貴子さんです。その内閣広報官をされる前は、まさに秋本さんの職種、放送行政を所管をする流通行政局長でありました。この方、二〇一九年十一月六日、虎ノ門で、総理、聞いてくださいね、今、総理しかこの方の上司はいないので。単価七万四千円の接待を受けていらっしゃるんですけれども、これは、何度も済みません、何を食べるとこういう金額になるんですか。
  302. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 総務省における調査が行われており、その結果を参考にしているということだと思います。詳細について、私、承知していませんので、その方向を、総務省の調査が行われているところであり、そうしたことも踏まえてと思っています。
  303. 本多平直

    本多委員 総理、山田さんから、どういう食事だったのか、ちょっと金額が常軌を逸していると思うので、推理をすると、高いワインを飲んだんじゃないかなという気はしますけれども、調べてみていただけますか。
  304. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 詳細については聞いてみたいと思います。
  305. 本多平直

    本多委員 後刻、理事会に御報告をよろしくお願いします。  この方、私はこれ、今の時点ではとか小刻みにしているんですよ、また。これは総務審議官でも大問題だと思います、総務省のナンバーツー。総務省の場合は、御存じのとおり、事実上のトップというときもありますから。  しかし、もっと具体的に行政に絡んでいる秋本さんと同じ情報流通行政局長のときも、こんな七万円の接待を平気で受けるような人が一回限りというのは、正直何か、なかなかにわかに承知できないので、これは総理からしか調べられないので、きちんと、総務省の官僚が全部明らかになったとおり、総理大臣国民に向けての記者会見を司会している方です、あの方がこれ以外に接待がないか、もう一度確認をしていただくことをお願いできませんか。
  306. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、詳細については確認してみます。
  307. 本多平直

    本多委員 非常に残念なんですけれども、この方も、まさに直接、後藤祐一さんなんかが調べていた電波の割当て。加計学園のときと一緒なんですよ、これ。何かちょっといいことをしてあげるというんだったらいいんですよ。一つ会社が落ちているんですよ。加計学園のときも、加計学園を獣医学部に認定するために、京都産業大学さんが残念ながら落選をしているわけですよ。今回も、二〇一八年当時の電波の枠が決まっていて、そこに総理の息子さんの会社、画質が悪いのにもかかわらず、なぜか画質のいい会社より優先されて選ばれているんですね。こういう疑念が生じるので、そのときの局長は彼女なんですね。ですから、しっかりと調べていただかなきゃいけないと思っています。  それで、この山田内閣広報官に関しては、もう一つ、総理に大切なことを聞かなきゃいけません。  去年、総理就任して間近の頃、学術会議の問題が大問題になっていたときに、NHKの九時の「ニュースウオッチ9」に総理、出演をされましたよね。よろしいですよね、総理
  308. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 山田広報官が電話したという話ですよね。(本多委員「はい」と呼ぶ)  本人に確認したところ、NHKにクレームの電話をしたという報道は事実じゃないという報告を受けています。
  309. 本多平直

    本多委員 よろしいですか、正確に聞きますから。  総理にキャスターが当たり前の質問をしたんですよ、現状を改革していくというときには説明が欲しいという国民の声もあるように思うんですがと。全然当たり前の質問ですよね。でも、総理はちょっと気色ばんで、説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうかと、私も見ましたけれども、そういうふうに答えられているんですね。  言っておきますけれども、総理が指示したとかなんとか言っているわけじゃありませんから。勝手に気を回してこの人が電話したんじゃないかと私は疑っているんですよ。  総理、クレームの電話はしていないと言っていますけれども、電話はしたんですか。
  310. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 広報官に確認したところ、NHKにクレームの電話をしたという報道は事実ではないという報告を受けています。
  311. 本多平直

    本多委員 いや、だから、電話はしたのかと、私はちゃんと総理に。クレームの電話はしていないと言うと、あれはクレームじゃないと言われたら終わりですからね。  でも、いいですか、総理官邸からNHKの報道に電話を入れるというのはどういう意味か分かりますよね。もし本当にやっていたら、とんでもないことだと思いませんか。
  312. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今申し上げた以上のものは承知をしていません。先ほど申し上げたとおりです。
  313. 本多平直

    本多委員 総理秘書官、きちんと伝えていますか。私はわざわざ、別な委員会で、抗議の電話はしていないという答弁はしているんですよ、官房長官か誰かが。だから、抗議の電話じゃなくて、電話をしたのかと。NHKの担当者に何らかの電話をしたのかきちんと調べて、山田さんから聞いて答弁してくれとお願いしていますよ。  電話しているんですか、NHKに翌日。
  314. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私が承知しているのは、NHKにクレームの電話をしたという事実はないという報告を受けているということだけです。
  315. 本多平直

    本多委員 何らかの電話をした疑いが高まっているわけです、クレームじゃないですからね。でも、報道によると、総理、怒っていますよ、あんなに突っ込むなんて事前の打合せと違う、どうかと思いますよと。  総理が指示したとか言っていませんからね。気を回して、忖度を周りでして、報道に介入しているかという疑惑なんですよ。これがクレームじゃないなら、クレームどころじゃなくて、おじけづくじゃないですか。  実際、都市伝説として、キャスターが異動になるたびに、官邸が関与しているんじゃないかとありますよね。  この質問をした有馬キャスター、三月で降板されるそうですよね。それから、NHKでは、十時からやっているクローズアップ現代の武田キャスターも、二階さんに対して、コロナの政府の対策は十分なのか、更に手を打つことがあるとすれば何が必要かという当たり前の武田キャスターの質問に、二階幹事長、一々そんなけちをつけるもんじゃないですよ、こう二階幹事長は答えられているんですね。こういうやり取りの後に、今年三月で御降板されるわけです。  こんなことに、私は証拠はないですよ、何も、官邸がしていると。総理が辞めさせる指示を出しているとか、そんなことを言うほどばかじゃないですよ、私も。だけれども、NHKの中でいろいろなことが起こる可能性がある。  そして、山田真貴子さんが電話したのは、どうやら事実じゃないですか。抗議の電話はしていない、クレームの電話はしていないと、逃げ道なんですよ。  まず、何らかの電話をしたのかどうかは確認をしてください。総理、お願いします。
  316. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私が承知しているのは、先ほど来申し上げたとおりです。ですから、電話はしていないんじゃないかなというふうに私は思いますけれども、確認したらそういうことだと言っていました。
  317. 本多平直

    本多委員 じゃ、私のそちらへの、あれだけしっかり、抗議の電話じゃなくて、電話をしたかどうかという、こんな、総理に恥をかかせないでくださいよ、秘書官。きちんと通告しているんだから。  だから、調べてください。もし今日分かっていないんだったら、お願いします。これは報道に官邸が介入しているかどうかの、総理じゃないですよ、官邸が介入しているかどうかの大切な事件なので、確認していただけませんか。
  318. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 いずれにしろ、事実関係は確認しました。
  319. 本多平直

    本多委員 じゃ、電話はしていないということでよろしいんですね、NHKに。
  320. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私が聞いた報告ではそうなっていました。そういうふうに承知しています。
  321. 本多平直

    本多委員 これもしっかりと、本当に電話したのかどうか、引き続き調べていただきたいと思いますよ。抗議の電話はしていないと言うけれども、言い方で、抗議かどうかなんて分からないわけですから。  それで、官僚の方に厳しく言いましたけれども、本当に官僚だけが悪いのかという話を今日させていただきたいと思います。  息子さんにだけ焦点が当たっているんですけれども、菅正剛さん。こういう構図を、総理、先ほど、本当かなと常識的に、この世の中にたくさん、植村さんとの、総理、元からの支援者だという関係、献金五百万円というのも先週我が党の委員の質問でお認めになりました。植村さん親子から菅総理には、五百万というのはなかなか大きいと思うんですよ。そして、そういう縁で菅正剛さんが就職をされて、この会社で若くして部長だ、子会社の取締役だになっていて、そして総務省に、元大臣秘書官という縁で官僚の接待をしていたということなんですね。  ちょっと何でぐるなびが出ているのかよく分からないと思うんですけれども、このぐるなび、滝さんのことは取りあえず置いておいて、この構図なので、総理、何かさっきから息子が息子がと言っているけれども、本当に総理がこの話を全く知らなかったのかどうかということについて質問をさせていただきたいと思うんですね。  総理、まず、二月十五日、近藤和也議員の質問に、東北新社がどういう仕事をしている会社か知っていますかと言ったときに、詳細については承知していません、映像とかそういう仕事をやっている会社であるということはそれなりに漠然と分かっていますというふうにおっしゃったんですね。  でも、総理、ちょっと、三つも縁があるんですよ。まず、東北新社は、五百万円も献金を下さる大支持者ですよ。そして、息子が就職している。一つだけでも、知っている、私、こんな献金をもらったら、その会社のことをしっかり知っているはずだと思いますよ。息子がもし就職したら、その会社のことも調べますよ、どんな会社か。そして、おまけに総理は、総務大臣という、この東北新社にとっては電波の割当てとか、電波というのは限られているから、ほかの業界と違うんですよ。補助金を多くすれば喜ぶとかじゃなくて、一個電波を上げれば一個泣きを見る会社が出る。そういう厳しい中で仕事をされたわけですよ、総務大臣のとき。  息子が就職していて、五百万円献金をもらっていて、総務大臣、総務副大臣をされていて、本当に東北新社の仕事を漠然としか知らなかったんですか。
  322. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 映像とかコマーシャルだとか、あるいは酒造りだとか、いろいろなことをやっていらっしゃる会社なんです。ですから、どこが主かというのはよく理解しませんでした。
  323. 本多平直

    本多委員 そういう観点じゃなくて、私も昔から、今回勉強するまで、放送業界に総務省が圧力をかけるといったって、突然テレビ朝日とかTBSとか大きな会社の免許を取り上げたら日本中大騒ぎになるから、そんなことはなかなかできないんじゃないかなと漠然と、済みません、素人で、思っていたんですよ。ところが、衛星とかには小さなチャンネルがたくさんあって、本当にチャンネルを取り合っていたりしているわけです。そこの親会社には有名なテレビ朝日さんがいたりTBSさんがいたりフジテレビさんがいたりして、つまり、そういうところの電波の取り合いで本当に圧力をかけていける立場なんですよ。  ですから、逆に、総理がこれで便宜を図ったという意味でこの図をしているわけじゃないですよ。そんな露骨なことはしていないと思うんだけれども、逆に注意しなきゃいけないんですよ、総務大臣をやっていて、官房長官を長くやって力を持たれていたら。危なくてしようがないじゃないですか。何かちらっとでも言ったら、安倍政権みたいに何か便宜を図られて、忖度されて東北新社に有利なことをされたら困るから、東北新社の事業を知っていないと駄目なんじゃないですか、酒造りがどうとかじゃなくて。  電波を取り合っている微妙な会社なんだということは認識されていましたね。
  324. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 電波を取り合っている微妙な会社だという、そういう意識は全くありませんでした。
  325. 本多平直

    本多委員 本当にそれは、総務大臣と副大臣をされていなかったら別ですよ、官房長官とか。総務省は一番強い役所じゃないですか。そこで、放送会社が、みんな普通に見ている地上波じゃなくて、衛星とかそういうところで電波の枠を取り合ってせめぎ合っているということぐらい知っていただかないと、危なくて、五百万円の献金、もらっていられないんじゃないかと私は思います。  そして、ついでに、実は秋にやろうとして、時間がなくなってできなかったので、滝久雄さんには大変申し訳ないんですけれども、民間人の方をこういうところに出すのはちょっと心苦しいんだけれども、ただ、疑念ですよ、これは。本当に滝さんには申し訳ない。しかし、総理、長いおつき合いで支援してもらって、献金も二百八十万円ある。菅総理になってからの去年の秋、私、準備していて、時間がなくて質問できなかったんだけれども、この滝さんにとってはすごくいいことが二つあったんですよ。  なぜかというと、GoToイートという、コロナ対策で飲食店に安く行けるというキャンペーンをしたんですけれども、何とこのぐるなびには、でも総理、笑わないで聞いてください、僕、総理が直接指示したとか一言も言っていないです。そんなことをする方だとは全く思っていません。ただ、近い方には忖度とかが働いたら嫌だなと思っているんですよ、安倍政権をさんざん経験してきたので。  それで、十億円というのは、いいですか、事業費だけなんですよ。たった二か月で、困っている飲食店のためにやる事業だよと私は説明を受けていたんだけれども、ずっと詰めていったら、たくさんの予算のうち、ぐるなび一社に十億円。  実は、いろいろな会社があって、この十億円をゼロでいいよという会社もあるらしいんですよ、宣伝になるから。この際初めてネットで会社を予約してもらって今後使ってもらったらいいからと、ただでやっているような仕事を、二か月で何に使ったら僕は十億円はけるのか、分からないんですよ。これも今農水省に聞いているんだけれども、積算はまだだ、予算が十億円だと言っている。  もう一つびっくりしたのが、吉永小百合さんとか王貞治さんとか、文化功労者という、本当に誰でも知っているそういう方がもらっているものを、突然滝久雄さんが受章されたんですよ。これは、年間三百五十万円、死ぬまでもらえるというすごいものなんですね。  総理、こんなことが首相の周りで起こると、僕は、GoToイートのことだけ調べていたら、途中で文化功労者のニュースが飛び込んできてびっくりしたんですよ。挙げ句の果てに、この文化功労者の選び方のところに、菅さんが頼っている杉田副長官が、いろいろ人選、差し替えたりしているんですよ。  こういう、本当に何か近い人にだけやるということを、総理がしていなくても周りがやるということをきちんと監視してもらわないと困るんですけれども、どう思いますか、こういう状況。
  326. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、滝さんが文化功労者を受章前まで、私は全く承知していませんでした。  それと、例えば、東北新社から私は献金五百万いただいています。これは二〇一二年から、私の衆議院の選挙三回、それも個人献金でいただいていまして、それで届出をしっかりしていますので、何か、この五百万というのは、あたかもそうみたいな、十八年ぐらい、十数年にかけてでありますから、そうしたことも是非御理解をいただきたいというふうに思っています。  いずれにしろ、今回の総務省の案件の中で、やはり長男が関係をし、結果的には皆さんに御迷惑をおかけするようになりました。そういう中で、私、もう一度しっかりと足下を見直す中で取り組んでいきたい、このように今考えております。
  327. 本多平直

    本多委員 こういう何か疑いだけで本当に民間人の名前も出して申し訳なかったんですけれども、安倍政権で、近い人だけに何かやっているんじゃないかと、森友、加計。森友は家族も絡んでいるということでは、今回似ているんですよ。実は、安倍昭恵さんが何か悪いことをしたわけじゃないんですよ。一生懸命、森友学園のことをやっていたら、官僚が忖度した、それでねじ曲げられる、こういうことが起こって、自殺者まで出したんですよ。  だから、総理には、今回、息子さん、別人格ですよ、たまたまでこんなふうに取り上げられてかわいそうな面も息子さんはあるけれども、安倍昭恵さんだってそうだけれども、やはり総理の近親者にはそういうものが求められているということなんです。  それで、また本当に質疑時間がなくなったので、一言言うだけですけれども、野上農水大臣。総務省は今日、これだけの血を流して、官僚の方が接待の疑惑も明らかにしました。今日、農水省の官僚も、吉川大臣に誘われて行ったから、私、情状酌量かなと思っていたんだけれども、野上大臣の対応が余りに遅くて、第三者委員会もいつ開いているのかも私に教えてくれないんですよ。何をやっているんです。  それで、これは農水省の予算に関連しているので、当然、いいかげんなものでもこの衆議院の予算委員会の間に何か出てくると思ったら、全然出す気配がないんですよ。(発言する者あり)じゃ、予算を通さなくていいんですね。(発言する者あり)じゃ、予算をしっかり待ちましょうよ。  農水省の報告書が出てくるまで、私、予算の採決に応じられないんですけれども、いかがですか。
  328. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 吉川元大臣と秋田元代表が贈収賄で起訴されたことを受けまして、農林水産省としても、国民に疑惑が持たれないように、今お話のありました検証委員会、これは公判等への影響にも配慮しつつ、養鶏、鶏卵行政の公正性について検証いただくものでありますが、これを設置をいたしました。二月三日には第一回委員会を開催をしまして、今検証いただいておるところでありまして、その結果は公表したいと考えておりますが、今後の調査に影響があり得ることから、途中経過は第三者委員会において公表しないということとされておりましたが、本日の理事会におきまして、可能な範囲で検証委員会の状況を報告させていただいたところでございます。  なお、養鶏、鶏卵行政に係る個々の政策の妥当性につきましては、しっかりと御説明をさせていただきたいと思っております。
  329. 本多平直

    本多委員 終わります。
  330. 金田勝年

    金田委員長 この際、広田一君から関連質疑の申出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。広田一君。
  331. 広田一

    広田委員 立憲民主・無所属の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  本日は、安全保障政策を中心に菅総理と議論をしたいというふうに思っておりますけれども、ただ、その前に、私からも総務省の接待問題についてお伺いをいたします。  今日初めて御出席をしていただきました谷脇審議官そして吉田審議官の方にお伺いをしたいと思うんですけれども、午前中に、今回の調査結果の方が、調査結果というか接待の会食の回数についての御報告がございましたけれども、両審議官、東北新社と同じ放送業者又は他の同業者の皆さんと会食をしたことはございますか。
  332. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  今回の事案につきましては、公務員倫理法に抵触するおそれがある事案でございますけれども、過去において放送事業者と同様のことをしたということはございません。
  333. 吉田眞人

    吉田参考人 委員お尋ねの東北新社と同様のという御趣旨でございますけれども、衛星放送事業関係の事業者と同様の会食をした記憶はございません。
  334. 広田一

    広田委員 確かに、もしあればこの調査、やり直しにしなければならないんですけれども。  それではお伺いしますが、どうして東北新社とだけ会食したんでしょうか。
  335. 谷脇康彦

    谷脇参考人 お答え申し上げます。  当初の認識、報道がなされる直前までは、私は、東北新社が放送事業者ではないというふうに考えておりまして、当然、幅広く事業者以外の方と意見交換を行うあるいは会食をするということはございますので、そういった意味で、東北新社との会食には応じたということでございます。
  336. 吉田眞人

    吉田参考人 お答え申し上げます。  実は、私、こういう会食につきまして、東北新社様に限らず、自分からはちょっと、人を誘って会食というのは基本的にはやりません。ただ、お声が何かかかった場合にできるだけ、そういう意見交換、また有意義なものとなると思われる場合は応じることとしておりまして、そういう意味でいいますと、東北新社様からお声がかかったので応じておった、そういうことでございます。
  337. 広田一

    広田委員 そうしたら、吉田審議官、ほかの放送業者からもお声がかかったら会食した、そういう理解でよろしいんですか。
  338. 吉田眞人

    吉田参考人 それはその時々の判断ということになろうかと思いますけれども、それはそういう場合も可能性としてはあり得ると思っております。
  339. 広田一

    広田委員 可能性としてあると言ったら、自ら公務員倫理法の違反、それを犯しても構わないというふうな認識だったんですか。
  340. 吉田眞人

    吉田参考人 お答え申し上げます。  今回の事案につきましては、今、公務員倫理法抵触のおそれということでこういう事態に立ち至っておりまして、これは大変申し訳ないと思っておりますけれども、当然のことながら、公務員倫理法をきっちりと遵守をして行うことになろうかと思います。
  341. 広田一

    広田委員 今回の調査、本当にやり直してもらわないといけないんじゃないでしょうか。  だって、会食する、同業者と、放送業者だけで、会食する可能性があるということを認めちゃっているんですよね。非常にこれは甘い調査だというふうに言わざるを得ないんじゃないでしょうか。総務省の幹部がそういった感覚で調査をしたこういう結果なんて、信用できないじゃないですか。  総理、この点についてどうお感じになられますか。
  342. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 武田大臣の下で、総務省として、徹底してそうした調査を行い、以後こうしたことがないようにしっかり指導してもらいたい、こういうふうに思います。
  343. 広田一

    広田委員 総理、今の御答弁を聞いてびっくりしませんでしたか。これだけ世間の注目を浴びて、そして徹底した調査、今もお話ございましたけれども、やる中で、しかし、審議官の認識がこの程度なわけでございます。これは、このまま、これを認めたまま調査を進めても真実は出てこないんじゃないかな、こう思うんです。  やはり、これはもう一回やり直した方がいいんじゃないですか、総理の御指導で。いかがですか。
  344. 金田勝年

    金田委員長 しっかり答えて。
  345. 原邦彰

    ○原政府参考人 お答え申し上げます。  調査につきましては、まずこれは、国家公務員倫理規程違反の調査という前提で入っております。  それで、私ども、職員に調査、ヒアリングする前に、まず冒頭、宣誓書みたいなのを私の方で読み上げます。この調査にもし虚偽の申告あるいは偽りがあれば、そのこと自身が倫理規程違反になりますよということでかなり厳かな形で始めて、弁護士立会いの下に調査を行っております。それから、東北新社に行く場合は、向こうも弁護士立会いの下であります。  さらに、私どもの調査、国家公務員倫理審査会、これは国会の同意人事で御同意いただきました裁判官の方、経済界の方、ジャーナリストの方が入った、そこにチェックを受けて、それで最終的な処分を行っていく、こういう仕組みになってございます。
  346. 広田一

    広田委員 ですから、弁護士も入って幾重にもやっているというふうなことなんですけれども、しかし、こういう状態になってしまうと、もうこれがやはり説得力がなくなってきているわけでありますので、これはやはり、総理、第三者委員会を設置して、この調査をやり直した方がいいんじゃないでしょうか。総理、いかがでしょうか。
  347. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 倫理審査会の指導をいただきながら、これはしっかり調査しているというふうに報告を受けています。
  348. 広田一

    広田委員 いや、それはそれでやっていただいても結構です。しかし、説得力がないと思います。そうであるとすれば、やはり第三者委員会等をつくられて、そしてしっかりと調査すること、これも強く求めていきたいと思います。  その中で、両審議官の方から、どうして東北新社とだけ会食をするのかというふうなことについての御答弁があったわけでございますけれども、吉田さんに至っては非常に疑問を呈する御答弁でもありましたし、谷脇審議官も説得力もございませんでした。そういった中で、やはり、総理の御長男がいらっしゃるからこういうことになったんじゃないか、こういった疑念はどうしても晴れないわけでございます。  自分のような、私ごときが言うのもなんなんですけれども、政治家に必要な資質というのは先見性と想像力だというふうに思います。菅総理は、政局観も含めて、この能力が非常に高い政治家だと思います。だから総理の座を射止められたんだというふうに思うわけでありますけれども、そうだとすると、御長男が東北新社という総務省と非常に密接な関わりのある会社に就職をされる、総理自身も総務省に絶大な影響力を持たれている、そういうふうなことを考えて、そして、御長男自身も総務省担となれば、いい意味でも悪い意味でも、東北新社から見れば重宝がられるわけですよね。  親の七光りかどうか、また御本人自身もそれを本意とするかどうかは分かりませんけれども、こういったことを踏まえたときに、やはり、この総理の御長男の存在というのが、今日御出席の総務官僚の皆さんも、どうしても考慮に入れなければならなかった。だからこそ、こんな三十八回もの、特定の東北新社と会食を重ねたことになってしまったんじゃないか。想像力のある、そして先見性のある総理だったら、そのようにお感じになりませんか。
  349. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は、長男が東北新社に入社するとき、総務省との関係については距離を置いてつき合うように、こう私は、当時、最初に言ったことを記憶、覚えております。そして、会社も、当時違う部分だったというふうに思っています。総務省と関係のないような部署だったというふうに思います。
  350. 広田一

    広田委員 総理、御長男にあえてくぎを刺したということは、まさしく、総務省と東北新社という会社が非常に密接な関係のある会社だということを御本人自身が御認識をしたという証拠じゃないですか、それは。そういう認識を総理自身が持たれていたんじゃないですか。いかがですか。
  351. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 当時から私は言っています、何回か申し上げています。映像とかコマーシャルだとか、そういう方向とか、いろいろな事業を展開しているところであって、本人は総務大臣の政務秘書官を務めましたので、そうしたことは気をつけるようにという話は長男にはしておりました。
  352. 広田一

    広田委員 総理、どうして気をつけろというふうに御長男におっしゃったんですか。利害関係があるというふうな御認識を当時から持っていらっしゃったんですか。
  353. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 総務省の秘書官をやっていますから、総務省関係についてはやはり気をつけてほしいというのは、これはある意味で当然のことを私、申し上げたんじゃないでしょうか。
  354. 広田一

    広田委員 まあ、総理、御長男とは仕事の話は一切されていないということなんですが、就職をされるときにはそういったくぎを刺されたということであります。  そうすると、今回、三十八回の東北新社との会食が明らかになり、そして御長男がそのうち二十回同席をされました。くぎを刺したにもかかわらず、これほどの回数、御長男が総務官僚の方々と会食を重ねるということについては、びっくりされましたか。驚きましたか。それとも、別人格ですから、何も感じられませんでしたか。いかがですか。
  355. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 ええ、驚きました。
  356. 広田一

    広田委員 驚いたのであれば、先ほど大串議員が、この問題について総理自身がしっかりと御長男とお話をされて、この事実関係を明らかにする、そういうことをむしろ総理自身が積極的にやるべきではないんでしょうか。なぜそれをしなかったんですか。
  357. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 これについては、総務省でしっかり調査をしていることじゃないでしょうか。私が同じ行政の長として個人的に話を聞いて、そこに報告するというのは、ここは逆にいろいろな問題が生じてくるんじゃないでしょうか。
  358. 広田一

    広田委員 どんな問題が生じるんですか。行政の長だからこそ、御長男が関わって、御本人も心配したとおりになってしまったわけじゃないですか。そうであれば、しっかりと行政の長として、親以上に行政の長としてただすことが総理自身の責任じゃないでしょうか。
  359. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、総務省において徹底した調査を行っており、その中で事実関係を明らかにすべきだというふうに思います。  仮に私が長男から聞き取りを行い、ここでその内容を答弁するならば、総務省における事実確認作業に影響を与えかねず、調査の公正性までに懸念を生じさせるおそれがあります。そうしたことは控えるべきだということであります。
  360. 広田一

    広田委員 是非、総理、先ほどの両審議官のこの調査に対する対応等を踏まえていただいて、もう一度、総務省の方に、まさしく行政の長として、しっかりとした調査をするように御指示をしていただきたいと思いますし、そして、必要とあれば、やはり第三者委員会を立ち上げて、この問題について明らかにしていただきたいというふうに思います。  それでは、残された時間で安全保障について御質問したいというふうに思います。  中国の海警法についてでありますけれども、菅総理のこの海警法に対する評価というのは、一言で申し上げれば甘いんじゃないか、曖昧ではないかな、このように思うわけであります。  つまり、中国に対して弱腰にどうしても見えてしまいます。冷静に、毅然とというふうにおっしゃっていますけれども、少なくとも毅然というふうには感じないわけです。  といいますのも、こちらの方に中国海警法についての菅総理大臣の発言を抜き出させていただいていますが、この2の、国際法に反する形で運用されることがあってはならない、このように、菅総理、この予算委員会でも答弁されておりますけれども、この考え方には変わりはございませんか。
  361. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 当然、変わりありません。
  362. 広田一

    広田委員 そうすると、この海警法が二月一日に施行されましたけれども、その後も中国海警は、昨日もそうですけれども、尖閣周辺で領海侵入をしているわけでありますけれども、そして日本の漁船を追い回しているわけです。そのことを踏まえたときに、菅総理自身、この事態が、海警法が国際法に反する形で運用されているというふうにお考えでしようか。
  363. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先般の委員会でも申し上げていますけれども、中国海警法については、曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含むと考えています。そうした中で、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと考えており、こうした我が国の強い懸念を中国側に対し引き続きしっかり伝えていきたいというふうに思います。  我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜く、その決意の下に、今後とも、しっかりと、まさに冷静に、毅然に対応していきたい、こう思います。
  364. 広田一

    広田委員 いや、その答弁を繰り返されていることは承知をしているわけでありますが、今私が聞いたことは具体的なことでありまして、この中国海警法が二月一日に施行され、そして昨日も中国の海警の船が尖閣内の領海内に侵入している、こういう事態については、海警法が国際法に反する形で運用されている、こういうふうに総理は御認識されているんでしょうか。
  365. 岡野正敬

    岡野政府参考人 尖閣諸島周辺の我が国の領域で独自の主張をする海警船舶の活動はそもそも国際法違反であり、これまで中国側に厳重に抗議しているところであります。  また、海警法であろうと他の法律であろうと、我が国の主権を有する海域で中国が国内法に基づき管轄権を行使しようとすることは、日本の主権を侵害するものであります。  二月一日の海警法の施行以降も中国海警船が法執行と称して領海侵入を行う事案が発生しており、日本政府として厳重に抗議してきております。  中国は海警法の管轄海域の範囲を明らかにしておりませんが、中国が海警法を尖閣諸島周辺水域に適用しようとしているのであれば、それは日本の主権侵害に当たるところであります。  その上で申し上げると、海警法一般でございますけれども、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれてあるということは、これは繰り返し答弁しているところであります。
  366. 広田一

    広田委員 外務省自身は、要するに、中国海警による領海侵入は国際法違反だというふうに言っているわけでありますけれども、菅総理も同じような考え方ですか。
  367. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 それは当然です。
  368. 広田一

    広田委員 では、そうすると、この海警法の尖閣内の領海侵入というのは国際法に反する形で運用されている、そういうふうに総理も認められるわけですね。
  369. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 当然です。
  370. 広田一

    広田委員 こういった中で、岸防衛大臣の方にお聞きをしたいんですけれども、そもそも、岸防衛大臣は、この海警法については断じて受け入れることができないというふうな答弁をされております。ということは、この海警法自身が国際法違反である、そういうふうな御認識を持たれているんでしょうか。
  371. 岸信夫

    ○岸国務大臣 今ほど総理大臣また外務省からも答弁があったとおりでございますが、私が申しましたのは、国際法違反のような動きをしている海警船舶、そういったものに対して、それを裏づけるような海警法の施行ということでございます。そうした疑念がある限り、現場を預かる、防衛省・自衛隊を預かる者としては断じてこのような疑念のあるものを受け入れることはできない、こういう私の思いをお伝えしたところでございます。
  372. 広田一

    広田委員 海警法については、本当に国際法上いろいろな問題があり、私は逸脱しているというふうに考えているところでございます。  いずれにしても、尖閣周辺の緊張感は高まっております。今、与党、野党でも、これらのことを踏まえて、いわゆる領域警備、これについて自衛隊の部隊にその権限を付与すべきじゃないか、そういった議論があるわけでございますけれども、領域警備法の必要性について、総理はどのような御認識を持たれているでしょうか。
  373. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するために、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、必要な法制の下に、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、関係機関の対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組、ここを推進してきております。  政府としては、切れ目のない十分な対応を行うために、引き続き、警察、自衛隊の体制強化と能力向上を図り、国民の命、財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く、その方針の下に対応していきたいというふうに思います。
  374. 金田勝年

    金田委員長 広田君、時間が参りました。
  375. 広田一

    広田委員 はい。  最後、総理が答弁されたように、日本の領土、領海、領空、これを断固として守るということについて与党、野党は関係ありません。今後とも、領域警備の必要性も含めて、しっかりと議論をしていきたいと思います。  以上で質問を終了します。ありがとうございました。
  376. 金田勝年

    金田委員長 これにて菅君、重徳君、奥野君、大串君、本多君、広田君の質疑は終了いたしました。  次に、高橋千鶴子君。
  377. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  冒頭、委員長要求します。  今回の総務省接待疑惑について、総務省が本日報告した会食の資料は、総務審議官を始め情報流通行政局の幹部職員が軒並み、利害関係者である衛星放送関連会社から接待を受けていたものが分かり、九〇年代の銀行による大蔵省接待汚職にも匹敵するものであります。  重大なのは、接待した側が菅総理を応援してきた企業であり、その子会社の取締役として、菅総理総務大臣を務めていたときの大臣秘書官であった長男の正剛氏が関わっていることです。  接待攻勢によって放送行政がゆがめられていたのではないかという重大な疑惑を解明するため、接待した側の、東北新社の二宮、三上、木田、そして菅正剛氏の各氏の国会招致を求めたいと思います。
  378. 金田勝年

    金田委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をしてまいります。
  379. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今月十三日深夜、最大震度六強の福島沖地震が発生しました。  一週間たって、今分かっている分で、住家被害は二千八百八十五戸、負傷者百六十四名、被害額百五十四億円といいます。まだ途中だと思いますが、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。  総理に、全容の把握に努めるとともに、被災地は大震災、原発事故からの復興途上であり、二年前の台風被害、コロナ禍、そして豪雪などと続いています。被害が重なっていることを考慮した国の支援策を求めたいと思いますが、どうでしょうか。
  380. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 十三日に発生した福島県沖を震源とする地震に関し、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げます。  今回の地震は、東日本大震災の発生から十年の節目を迎えようとしている被災地を襲いました。被災地では、令和元年東日本台風でも甚大な被害を受け、さらに現下の新型コロナウイルスの影響で経済状況が悪化するなど厳しい状況にあり、心が折れそうだという声も届いております。  今回の地震により、被災地の方々の復興に向けた希望が失われるようなことがあってはならないと思っています。一刻も早く、被災者に寄り添った支援を政府として行っていきたいと考えます。  十九日の閣僚懇談会では、小此木防災大臣を中心に、まずは早急に被害状況を把握するとともに、支援策を速やかに取りまとめるよう指示したところです。  被災地の皆様が希望を持って再建に取り組めるように、スピード感を持って行っていきたいと思います。
  381. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございます。言葉どおりの対応を是非お願いしたいと思います。  例えば、屋根瓦が落ちたとか天井が抜けたなどの住家被害は一部損壊と評価されることが多いです。しかし、被災者生活支援制度や住宅の応急修理の対象とならなくても、一昨年の山形県沖地震では自治体がつくる屋根瓦のリフォーム支援制度に国交省の防災・安全交付金で応援する、また翌年の千葉の台風被害でもこれが応用されました。こうした柔軟な対応で、救済されない方がないように知恵を出していただきたい、このように思います。  私は、十四日の日曜日、参議院の岩渕友議員とともに高速道路から福島入りをしました。二本松市の岳温泉、磐梯朝日国立公園、日本百名山の一つ安達太良山の麓にある温泉です。  最初にお話を聞いたおかみさんは、東日本大震災のときよりも大きかったとおっしゃいました。建物全体にひびが入り、大判の窓ガラスが割れ、コロナ休業中に張り替えたばかりの床も隆起しておりました。次に伺った旅館は、ジョイント部分がことごとく壊れ、厚い防火扉がばたんと倒れました。県内、市内のお客様が数十名どちらも宿泊しておったんですが、私たちが尋ねた翌日十五日からは県民割が始まるという中での被害に、悔しさは言葉にならないと思いました。  そこで、まず経産大臣に伺います。  コロナ対応による融資の返済が二か月後に迫っております。再建への思いをくじかないよう、返済猶予をすべきですが、伺います。  また、融資ではない新たなグループ補助金や、台風十九号のときに活用された自治体連携型補助金など、中小企業支援策をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  382. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先般の福島県沖を震源とする地震により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。  新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小・小規模事業者の資金繰りを支援するために、実質無利子無担保かつ最大五年間元本据置きの融資を実施しているところであります。  影響の長期化を踏まえて、政府系、民間金融機関等に対して、麻生大臣とともに、返済期間、据置期間が到来する既往債務の条件変更について最大限柔軟に対応すること、そして追加融資も含めた新規融資の積極的な実施、活用について最大限の配慮を行うこと等を累次にわたり要請をしているところであります。  各金融機関においてしっかりと対応をいただいていると認識をしておりまして、まずはお近くの支店に御相談をいただきたいと思いますし、今回の地震においても更にまた、もう一度そういう対応をできるようにということで文書を発出したいと思っております。  また、十九日に、先ほど総理からもお話ありましたけれども、防災大臣を中心に早急に被害状況を把握せよという指示がありました。そして、支援策を速やかに取りまとめるように指示がありました。この指示を踏まえて、被災地の方々の復興に向けた希望が失われることのないように、被害状況を把握するとともに、取り得る支援策について全力検討してまいりたいと思っております。
  383. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今紹介したところだけではなく、被害に遭われた皆さんに届くようにと思って質問をさせていただきました。  もう一つ、旅館は、コロナ特例で雇用調整助成金を使ってきました。やはり雇用の維持、絶対必要なんです。今、再建に向けても、従業員の皆さんに活躍してもらいたいと思っている、その続きをやってもらいたいということでは、雇用調整助成金、コロナ特例と同じ水準のものが是非、あるいは延長かという形で対応していただきたい、雇用の維持のために使わせていただきたいと思いますが、厚労大臣に伺います。
  384. 田村憲久

    ○田村国務大臣 御承知のとおり、この雇用調整助成金、今特例という形で、一日上限一万五千円ということで、助成率十分の十でありますが、これは今現状ですと四月末まで、五月からは段階的に今の制度を本則に戻していくということで、いきなり戻しませんけれども、そういう中において、例えば非常に業績の悪い企業、これは、前年、前々年と比べて、三か月平均が三割以上売上げが下がっているような企業、それから、まだ感染が拡大している地域、こういうところには、特例を下げるというよりかは、今までのことを勘案しながらのもう少し手厚い特例という形になっています。  今回、今委員おっしゃられた、福島等々の災害を受けた地域ですが、コロナということであればこれが受けられる、今も受けられるわけでありますけれども、自然災害ということになりますと、自然災害特例という形になりまして、例えば激甚災害でありますとか、その他要件、この条件をクリアすれば、その自然災害の特例が受けられる。もちろん、コロナに関わっておればコロナ特例が受けられるということであります。
  385. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 御承知のようにとおっしゃいましたが、御承知で聞きました。  といいますのは、激甚災が必ずしも対象にならないのではないかと、防災大臣のコメントもございましたし、そうでなくても、最初に総理に確認をしましたように、災害が続いているところの被災地の現状に合わせた特例をお願いしたいということをお話をしましたので、今日はこれ以上は申しませんので、是非お願いをしたいと思っております。  次に進みます。  十三日の地震で三・一一のことを思い出した方は多かったと思います。間もなく東日本大震災と原発事故から十年です。総理は復興の総仕上げとよく言いますが、被災者は十年で区切りをつけることはできないのです。  共同通信アンケートによれば、つらいと感じることが日常的にある人が三割に上ります。震災直後はやることがたくさんあって押し殺していたが、今になって感情があふれると、陸前高田の六十代の女性。この先どうなるのか、ふるさとに戻れるのかと思い、眠れないことがある、こうした、毎日新聞に記事がございました。  しかし、私自身も、昨年の秋に岩手県山田町の災害公営住宅でお目にかかった女性は、にこにこしながらお話をしてくれたんですが、独り暮らしでこの先どうなるか心配で、髪の毛が全部抜けてしまったと打ち明けられたことが忘れられません。  総理に伺いますが、心のケアをきめ細かくとおっしゃるわけですが、被災者の現状をどのように捉えていらっしゃるか、この十年間で震災関連死がどのくらいいたのか、そこにどんな特徴があると思うのか、御認識を伺います。
  386. 平沢勝栄

    ○平沢国務大臣 数字の方ですので、まず私の方から答弁させていただきたいと思います。  震災、この十年間の関連死の数ですけれども、お亡くなりになられた方は、令和二年九月三十日時点で三千七百六十七人でございます。被災三県別で見ますと、岩手県が四百六十九人、宮城県が九百二十九人、福島県が二千三百十三人でございます。それから、孤独死について被災三県で見てみますと、令和元年十二月末時点で、応急仮設住宅において孤独死でお亡くなりになられた方は二百四十三人、それから、災害公営住宅においてお亡くなりになられた方が二百五十五人でございます。また、震災関連の自殺につきましては二百四十人でございまして、そのうち福島県が約半数の百十八人を数えております。  いずれにしましても、大変深刻でございますので、今、生活の再建の後押し、それから自治会形成などのコミュニティーの再構築、それから人と人とのつながり、生きがいづくりや心の復興、それから生活支援相談員による見守り、心のケアセンターによる相談支援、こういったいろいろな施策を講じまして、何とかこういったことを防ごうということで取り組んでいるところでございます。  いずれにしましても、これからも被災者に寄り添ったきめ細やかな支援に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
  387. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 特徴が何かということを伺ったわけです。深刻という言葉がありました、それは当然です。  これだけいらっしゃるということで、パネルを見ていただきたいんですが、突出しているのは福島の関連死が多いということです。長引く避難生活、しかも、何度も避難先を変えたことによる影響は明らかだと思います。  また、仮設住宅での三県の孤独死に比べて、災害公営住宅に移ればそれで終わりではない、むしろ多くなっている、このことの深刻さをやはり受け止めていただきたいと思うんです。仮設住宅のときは縁側に腰かけて声をかけ合ったりしていた、そういうときの方が独りではないと思えてよかったこともあったんだ、そういう中で今を迎えているということを分かっていただきたいと思います。  被災三県では飲酒量が増加し、飲酒相談が増えています。宮城では二・六倍、福島は一・七倍、ストレスからアルコール依存も増えているとの報道もありました。毎日の二月十一日付です。  昨年の春、仙台市のある公営住宅で、自治会の皆さんからお話を伺ったときに、無職になった青年がアルコール依存となり、当番に来ないと思って訪ねてみたらもう孤独死していたと自治会の方が述べていました。自治会の役員も被災者ですから、この現実に直面するのは本当に酷過ぎるということなんですね。  実は、宮城県が五年間続けてきた被災者の健康調査を今年度限りで終了するといいます。この調査の目的はこう書いています。仮設住宅から災害公営住宅に入居するに伴って様々な健康問題の発生が懸念されることから、入居者の健康状況を把握し、要フォロー者を必要な健康支援事業に結びつけるとともに、施策展開の基礎資料とすることとあります。項目を見ますと、病気だとか要介護状態、それは当然聞いていますが、そのほかに、災害を思い出して気持ちが動揺することがある、眠れない、朝又は昼から飲酒、お酒を飲むことがある、相談相手がいないなど、まさに兆候を捉えているんですよね。  今こそケアが必要な人を見つけ、今必要な対策につなげなければなりません。改めて、災害公営住宅の入居者や、あるいは高台移転を果たした人も、あるいは解除されて戻った方も、被災者の健康実態調査、国として行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
  388. 平沢勝栄

    ○平沢国務大臣 被災者の心のケアにつきましては、当然これは大変大事なことでございまして、今、被災三県では、心のケアセンターというのを設置しておりまして、その運営について国としても全面的に支援しているところでございます。  その相談活動の中で、被災者一人一人の心の問題それから背景を把握しながら、被災者にきめ細かく助言や支援を行ってきているところでございますけれども、こうした活動により把握された被災者の心の問題の実態について、国においても集約、調査分析を進めているところでございます。  今後とも、居住環境の変化などに伴いまして、被災者がいろいろと抱える様々な心の問題の実態把握に取り組みながら、被災者に寄り添った支援を引き続きしっかり取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  389. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 心のケアセンター、これを三県でやっているのはよく承知しています。頑張ってくださっているのも分かります。でも、待っているだけじゃ駄目なんですよ。相談件数でいうと、下がっているわけ、当然。だけれども、私が言っているのは、見つけてくださいということを言っているんです。福島では、十三市町村の避難区域に指定されたところに、国として、こころの健康度・生活習慣に関する調査をやっておって、県立医大と協力して、回答を見て電話をかける、こういうことをやっています。だから、待っているだけじゃ駄目なんだということを真剣に考えていただきたい。  私が重要と思うのは、これ以上最悪の事態を避けたいと思うからなんです。災害公営住宅の入居者のうち、特別家賃軽減対象になる、つまり月収八万円未満の方は約七割です。単身世帯は約三割です。高齢化とともに増えています。今後年金が増える見通しもないのに、家賃だけは補助がだんだん縮小されるので上がっていくんですね。災害公営住宅から出ていかなければならないのかと不安を抱えていることを御存じでしょうか。心を病む背景には経済的な不安も大きいんです。  私はいつも、被災者が主役の復興と言ってきました。それは、道路や住宅、防潮堤などハードが立派に整備されても、人々の暮らしやなりわいが再建できなければ本当の復興とは言えないと思うからです。  総理も同じ認識でしょうか。同じ認識に立って十年目以降の復興に取り組んでいただきたい。お答えをお願いします。
  390. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 被災地の復興に当たっては、防災や産業、生活の基盤としてのハードを整備した上で、被災者支援や産業、なりわいの再生のためのソフト施策も同時に進めてきたところです。  今後は、特に地域コミュニティーの再生や事業者の販路開拓等の支援などソフト施策、こうしたものを注力して、きめ細かな対応を行っていきたいと思います。これにより、被災者の方々に安心して暮らしていただけるよう、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
  391. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ハードと違ってソフトというのはなかなか目で見えない、結果がよく見えないですから、なので、私が何度もお話ししているように、調査を国として是非取り組んでいただいて、それに応えた施策を、やはり今経済支援が必要な人が多いんだよと見えてきますので、是非お願いしたい。時間的にもかなり厳しい状態になっていると思いますので、重ねてお願いをしたいと思います。  次に、今日は東電の小早川社長に御出席をいただいています。  東電福島第一原発事故からも十年であります。十三日の地震の影響で、原子炉格納容器の圧力低下ということが報じられています。長く続く廃炉のプロセスの中で、こうした災害時にも備えながら進めていくということは本当に厳しい環境だと思いますが、だからこそ、その都度きちんと説明してほしいということを求めたいと思うんです。  今日は、廃炉のプロセスについて伺います。  国が定めた中長期ロードマップには、廃止措置終了まで三十から四十年間とあります。もう十年過ぎているわけです。そもそも、一から四号機については廃止措置計画自体がまだ提出されておりません。それを確認したいのと、一体何をもって廃止措置だとおっしゃるのか、考えていらっしゃるのか。  それからもう一つ、ロードマップでは、今年中に、二〇二一年十二月と書いていますよね、今年中に燃料デブリの取り出しを開始とあるんですね。でも、取り出しするためには、この資機材を置く施設だとか訓練施設だとか様々な施設を造らなくちゃいけなくて、一つ一つ規制委員会の認可が必要なんですよ。これ、全部、今年中に、年内開始は無理ですよね。
  392. 小早川智明

    ○小早川参考人 東京電力ホールディングス社長の小早川でございます。  まず、当社福島第一原子力発電所の事故から間もなく十年が経過いたしますが、今なお福島県の皆様、広く社会の皆様には多大なる御負担と御心配をおかけしておりますことにつきまして、改めて深くおわびを申し上げます。  福島第一原子力発電所の廃炉作業は、世界でも前例のない取組だと認識しております。その上で、当社といたしましては、中長期ロードマップで示された三十年から四十年後の廃止措置終了というものを目指し、復興と廃炉の両立により福島の復興が進められるよう、廃炉作業を安全かつ着実に、計画的に進めてまいっているところでございます。  また、先生からの御質問にありました福島第一原子力発電所の廃止措置の終了時の状態につきましてですが、廃炉作業の進捗を踏まえながら、地元の方々を始めとする多くの関係者の皆様や国などの関係機関の方々としっかり相談させていただきながら検討を進めていくことになると考えております。  また、廃炉の工程につきまして御質問がございました。  当社は、中長期ロードマップを達成するため、今後十年間の廃炉全体の主要な作業プロセスにつきまして、二〇二〇年三月に、廃炉中長期実行プランとしてお示しをさせていただいております。これを着実に実行することが当社の責任だと考えております。  そうした中で、燃料デブリの取り出し等の進捗や、シールドプラグの高濃度汚染の状況の程度が判明するなど新たな情報も出てきておりますが、こうしたものもしっかりと反映し、今後、更なる調査研究を進めながら、ステップ・バイ・ステップで必要に応じて柔軟に見直していきながら、安全かつ着実に計画を進めてまいる所存でございます。  私からは以上でございます。
  393. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 結局、最終的な姿がよく分からないのと、関係機関と着実に進めたいという今の答弁は、昨年五月に私が復興特で小早川社長に質問したときと同じ答弁なんですね。本当に残念に思います。  ロードマップが今注目されているきっかけは、今少しお話ありましたように、先月の二十六日、原子力規制委員会が調査報告書案をまとめた中に、原子炉格納容器の上蓋に高濃度の放射性セシウムが付着していることが判明したと書いたことなんですね。二号機の蓋の内側に約二京から四京ベクレル。この京というのは兆の一万倍ということです。途方もない線量で、毎時十シーベルト、一時間で亡くなってしまう、人が亡くなるレベルといいます。  しかし、燃料デブリというのは、その十倍以上の濃度があって、近づくことも測ることもできない、大変なものなわけですよね。なので、規制委員会の更田委員長は、そのデブリ、下にあると思っていたデブリが上に上がってきた、これは、五階のフロアで、人間があそこで、東電の人たちがいたんですからね、大変なことなんです、そのことを捉えて、廃炉にとって極めてインパクトの強い情報だと述べました。  上蓋もデブリも高レベル放射性廃棄物です。取り出すとしたら一体どこに置くのか。処分方法はもちろん決まっていません。  梶山大臣は、十日の本委員会で、立憲民主党の阿部知子委員に聞かれて、困難はあるが柔軟に取り組み、四十年の期限は変えないと繰り返し答弁しました。柔軟って何ですか。おかしくありませんか。  社長、政府が期限を区切ったから、東電はできないものはできないと言えないんでしょうか。これは本当に後で困りますよ。率直に、無理なら無理と国民説明すべきではありませんか。
  394. 小早川智明

    ○小早川参考人 先ほどからの繰り返しになりますが、シールドプラグなど高濃度汚染の状況の程度が判明するなど新たな情報が出てきておりますが、こうした情報も含めて、今後、更なる調査研究を進めながら、ステップ・バイ・ステップでしっかりと対応してまいりたいと思います。  中長期ロードマップで示された三十年から四十年の廃止措置終了というのは、私どもとすれば、地域の復興と廃炉を両立するという大きな目標値として認識しております。こうした中で、東京電力グループ一丸となって、廃炉を安全かつ着実に計画的に進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  395. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 なぜ言えないんでしょうか。これまでも、本当に、誠実に言わないできたからこそ、大変な思いをみんながしているんじゃないでしょうか。  簡単なことを聞きますよ。  この燃料デブリの取り出し、今年中にと言っていますけれども、もしかして、これらの施設、さっき言ったように、規制委員会の認可が必要なんですよ。じゃ、訓練施設とありますけれども、訓練施設が建ってから訓練を始めるわけでしょう。一体何をもって開始と言うんですか。建物がちょっとでも建ち始めたら開始と言うつもりですか。
  396. 小早川智明

    ○小早川参考人 質問にお答えいたします。  先ほど御説明しましたとおり、廃炉中長期実行プランに基づきまして、燃料デブリの取り出しなどは、今年度、計画させていただいておりましたが、これは既に公表済みの情報ですが、コロナの影響で二号機の試験的取り出しは二〇二二年度、一年遅れというふうになっております。その他の本格取り出しに向けても現在準備作業を進めているところでございます。
  397. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 コロナの影響でというのはイギリスのロボットアームの遅れのことを指しているんだと思いますが、それを含めてもあと一年でこれを全部やると。やはり私が聞いたことにはちゃんと答えていないと思いますよね。少しでも建ったら開始になるのかということになると思います。それをやはり私は欺瞞だと思うんです。できないこともちゃんと国民に話して、だから国民が、どうしていいかとみんなが悩んでいるわけでしょう。汚染水だけの問題じゃないんですよ。高レベルなんですよ。このことを重ねて指摘をしたいと思います。  こうした中で原発訴訟が続いているわけですが、十九日、東電福島第一原発事故避難者の集団訴訟、いわゆる千葉訴訟に対する東京高裁判決が出されて、国の責任を認めました。二〇〇二年に国の地震調査研究推進本部が公表した長期評価によれば、マグニチュード八クラスの大地震が起こり得ると予想ができたこと、国が事業者に対策を求めていれば津波による全電源喪失というこれほどの重大な事故を防ぐことができたと明言をされました。国はこの判決を重く受け止めるべきです。  問題は、どの訴訟においても国の姿勢が幾重にも原告を傷つけてきたということです。  このパネルを見てください。  これは群馬訴訟で国が出した準備書面の抜粋です。この枠で囲んでいる太字のところを読みます。自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない。これは言わんとすることは、避難する必要もないくせにその区域から避難した人たちによって、残った避難しない住民が心情を害した、それどころか国土に対する不当な評価だと言っているんですよね。驚く言いぐさではありませんか。これが政府共通認識ですか。事故を防げなかっただけでなく廃炉の見通しも示せない国が、被災者を非難する権利がどこにありますか。総理に伺います。
  398. 平沢勝栄

    ○平沢国務大臣 この問題については訴訟の担当省庁から、御指摘の準備書面は、この賠償の在り方をめぐって国と東京電力に対して起こされた訴訟において、福島第一原発事故を原因として損害が発生したと法的に認められるかどうかという因果関係の観点から、国として提出したものであるというふうに聞いています。  いずれにしましても、帰還や生活再建の円滑な推進に関して、復興庁としても被災者に寄り添った対応をこれからもしっかり行っていきたいと考えております。
  399. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 総理、お願いします。
  400. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今回の事故により生じる原子力損害に関しては、東京電力、適切な賠償が行われることとなっております。  御指摘の準備書面は、この賠償の在り方をめぐって国と東京電力に対して起こされた訴訟において、福島第一原発事故を原因として損害が発生したと法的に認められるかどうかという因果関係の観点から、国として提出をしたものであります。  一方、被災地から避難せざるを得なかった方々の生活が長期化する中で、そういった皆さんに寄り添った支援が重要であると考えます。公平かつ適正な賠償とともに、帰還や生活再建を円滑に進めることができるよう、関係機関が連携して引き続き必要な支援に取り組んでまいりたいと思います。
  401. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 この言葉は原告だけに向けられた言葉じゃないんですよ。帰れないと思っている全ての被災者に向けられた言葉です。そのことを本当に受け止めてください。  終わります。
  402. 金田勝年

    金田委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。  次に、杉本和巳君。
  403. 杉本和巳

    杉本委員 日本維新の会、維新の杉本和巳であります。  まず、二十日の日に、航空自衛隊の隊員がアメリカにおいて訓練中、二等空尉、殉職されました。誠に残念の極みでありますが、ここに敬意を表し、殉職された隊員の御冥福をお祈り申し上げたく存じます。  また、今日は、ニュージーランド地震から十年、そして、一週間余り前、二月十三日に東北の地震が、今も高橋さんが質疑されていましたけれども、地震があって、三月十一日、間もなく迎えようとしております。そういった二月二十二日という日にちは、また竹島の日でもあります。  そういった意味で、今日は二点、緊急事態というか災害というか、そういった観点のやはりコロナの問題、そしてもう一点は、やはり我が国の領土、領海、領空を徹底的に守るという防衛、積極防衛、そういうような観点から質疑をさせていただきます。  それで、まず、ちょっと今日のところは、やはり総務省、農水省、幹部、OBの接待問題、これが起きております。特段答弁は求めませんけれども、私ども維新としては、やはり綱紀粛正、そして厳正厳格な処分をされることを強く求めておきます。  さて、冒頭、私ども維新の基本姿勢をまた改めてちょっと申し上げさせていただきたいと思っておりますが、私ども維新は、身を切る改革ということで、このコロナの問題に対しても、衆議院、参議院、十名、十六名、二十六名おりますが、この冬のボーナスも三割カットして、そして医療機関に寄附をさせていただくという形で、国民の皆様に寄り添う政党として存立させていただいております。  また、御案内かと思いますが、テレビを御覧の方は御存じないかもしれないのでまた申し上げるんですが、毎月の給料、ボーナスは六十万でしたが、毎月の給料は二十万近く、正確には十八万円、これをもう七年間、毎月毎月、これは衆参全員ですね、まとめて、そして小切手の形にして、地震のあった被災地あるいは豪雨のあったところに小切手の形でお持ちして、義援金として、国民の皆さんに寄り添う政党として活動しているということで、この点も御理解いただきたいと思います。  そしてもう一点、ちょっと今日は、私ども維新は、最近、新所得倍増計画というタイトルで、馬場幹事長始め、この藤田さんも説明させていただいていますが、ちょっとベースの部分を改めて皆さんに知っておいていただきたいんですが、社会保障、税、そして成長戦略という三本柱ではあるものの、そこのベースには、私ども言っておりませんけれども、教育、教育の無償化、そして日本成長戦略の本質は、一に教育、二に教育、三に教育だ、人材だ、こう思っているわけでございます。  そういった意味で、大阪の府立と市立を一緒にした新大学では、大学の授業料無償化、実質無償化、収入五百九十万円以下の御家庭に対しては実質無償化を実行しています。  そしてまた、これも大阪市の事例ですが、塾代の補助という形で、塾に限らず子供たちがサッカーでも習い事でも結構なんですが、月一万円、年間十二万円の助成をして、将来を担う子供たちの教育をベースにこの成長戦略、新所得倍増計画を考えているということを冒頭申し上げさせていただきたく存じます。  次に、コロナについて伺わせていただきたいんですが、総理は施政方針演説で、命と健康を守り抜く、こう強い言葉をおっしゃいました。本当に大事な言葉であると心から思っております。  そういった意味で、衆議院の任期との話で質問させていただきたいんですが、この秋、十月二十一日に衆議院は任期満了を迎えます。しかし、ここに書きましたとおり、今の予定、今週末までに、河野さんが、また日程をちょっと修正しなきゃいけないというようなことを昨日おっしゃいました。また、ここの数字で見ると、医療関係の数が、昨日の河野さんの発表で三百七十万人が四百七十万人に百万人増えちゃったというようなことがあって、内部の事情もいろいろ変わる。  そして、相手があることです。ファイザーが供給側であって、そのファイザーが輸出するに当たってはEU側の承認が要る。こういう、相手がある話なので、私は、余り国民の皆さんにワクチン、ワクチンということで期待していただくと、また、遅いじゃないか、こういう話になってしまって意味がないと。  本当に、このワクチンの接種というものを、大事だ、国民の命と健康を守るんだ、こういう総理の姿勢が求められていると思うんですけれども、ちょっと、私、衆議院議員を三期目をやらせていただいていますが、いつも厳しい選挙なんです。緊張しておりますけれども、そういった意味で、ここにいらっしゃる自民党の皆さんも、最近いろいろなことが起きて困っていると思いますが……(発言する者あり)古屋先生でさえ同じだとおっしゃいますが、ここで、やはりワクチンの接種は重要だ、ただし、そんなに皆さん焦らないでほしい、着実にやっていくからと。  解散も、優先順位がどうのということは、総理、答弁しにくいと思いますけれども、まずはワクチンなんだと。解散ということは、まあ、ないと言っては、そんな権利は私にはありませんし、解散権は総理にあることも十分分かっていますし、ちょっとここのところ解散が多過ぎたとも思いますが、任期満了近くまで、とにかくワクチンをしっかりやっていく。  そして、オリンピックだって、担当大臣が替わり、そして、進めていくという覚悟はお持ちだと思うので、このワクチン接種と衆議院の解散について、総理のお答えをいただければありがたいです。お願いします。     〔委員長退席山際委員長代理着席
  404. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、新型コロナのワクチンについては、国際的には、発症予防、重症化予防の効果が期待されており、感染対策の決め手になる、このように考えています。  国民の皆さんが自らの判断でワクチン接種をいただけるように、意義についてしっかりとお伝えするとともに、一日も早く国民の皆さんに安全で有効なワクチンをお届けできるよう、全力で取り組んでいるところであります。  他方、選挙は民主主義の根幹を成す重要なものであります。いずれにせよ、この秋までのどこかで衆議院選挙を行う必要があり、よく考えて決めたいと思います。
  405. 杉本和巳

    杉本委員 よく考えて決めるということなんですが、私の方からは、あくまでもワクチンの接種は大事なんだということは、十分肝に銘じていらっしゃると思いますが、お願いをしておきたいと思います。  さて、そこで、昨日のNHKスペシャルを見ました。大臣も御覧になったかもしれないですが、自宅療養者あるいはホテル等の宿泊施設療養者が、先月の数字で、警察庁発表だと思いますが、百三十二名、残念ながらいらっしゃったということで、もう一人も出さないんだというような答弁もあったかと思うんですが、やはりそれには、ワクチン接種も大事ですけれども、今ワクチンに注目が行ってしまっていますけれども、やはりアビガンの処方ということをちょっと考えていただく必要が私はあると思っております。  ワクチンじゃなくてアビガンの方の処方については、現行のことは、運用体制で、国立国際医療研究センターや藤田医科大学が中心に手続、書類を受け取って、提携医療機関に、観察研究、難しいですね、観察研究というたてつけで処方をするということで、現実には、その提携の病院のようなところでしか処方されていないという認識を持っているんですが、一方で、昨日のNHKスペシャルでもありましたけれども、開業医の先生が頑張ってくださり始めたと。兵庫の先生がかなり頑張っているのを知っていますが、昨日は、新宿の先生が手を挙げて、一人で、一人でということはないな、率先してやってくださっている方がいらっしゃる。  こういう方々と、まあ、幕府と旗本じゃないですけれども、直轄で、元締めは厚労省なのか藤田医科大学なのか分かりませんけれども、そこから、往診をした開業医の先生がアビガンを処方できるという形を、観察研究なのは分かっています。それで、また治験をもう一回やり直すというニュースも最近出ていました。富士フイルムさんがそういうことをやるんだということも、それは分かっているんです。  その上で、やはり、自宅で亡くなってしまう、あるいは病院に入れないで宿泊施設に行かざるを得ない方々が一日でも早く快方に向かうためには、アビガンの処方。建前は何でもいいんですよ、観察研究という言葉だろうが何だろうが。だけれども、実際にそれを処方してあげることが大事であると思います。  大臣はやりたくても厚労省がなかなかうんと言わないということもあるかもしれませんが、そんなところも含めて、やはり前向きに取り組む意義が本当に困っている方々にあると思いますが、いかがでしょうか。
  406. 田村憲久

    ○田村国務大臣 アビガンですけれども、委員も御承知だと思いますが、催奇形性、子供に奇形が生じる毒性、それから肝機能障害などの副作用があるというふうになっておりまして、これはなかなか、服薬管理だとか残薬管理をしっかりやっていただかないと、副作用が出るといけないということでありますので、そういう意味では、入院等々に対しての対応という形になっております。  言われるとおり観察研究でありますが、ここは、今も委員も言われましたが、本来は倫理委員会をつくらなきゃいけないんですけれども、これは中央審査というような形で、藤田医科大学でありますとかNCGM、国立国際医療研究センター等々でこれを集中的にやっていただく、こういう方法もあります。  やはり在宅の方にはそういう意味ではなかなか難しいんですが、一方で、イベルメクチンという薬があります。これはノーベル賞を取られた大村先生が作られた薬でありますが、これは世界で使われている、寄生虫なんかに使う薬でありますけれども、年間、多分、三億人ぐらい使われているんだと思いますが、そういう意味では一定の安全性も認められている薬であります。これを、例えば、医師主導治験という形もありますが、診療の手引きの中で、これは適応外使用という形で在宅に使えるというふうになっておりますので、こういうイベルメクチンのような薬を使っていただきながらというのは一つの方法であろうというふうに思います。
  407. 杉本和巳

    杉本委員 御答弁ありがとうございます。  ちょっと、我が党、時間が少ないので、次に、積極防衛ということで。  もう端的に、我が国は、領土、領海、領空を守るには、積極外交、積極防衛が必要だ。今日、茂木大臣はいらっしゃいませんけれども、岸大臣、お見えでございます。  そんな中で、ちょっと済みません、総理には、官房長官と総理のというのは、ちょっと時間がないのでこの質問の中で交ぜて伺えればと思いますが、総理、在任二千八百二十二日の官房長官を終わられて、今、最高責任者の総理大臣になっておられる。その大変さというのは、官房長官のときも大変でいらっしゃったと思いますが、全く違うのか似ているのか分かりませんが、大変な重さでいらっしゃる。麻生元総理も十分分かっていらっしゃると思います。  その重さを拝察しつつ、やはり、今、今日も質疑がありましたけれども、尖閣周辺の、八日連続なのか九日連続なのかもう分かりません、もう毎日です、領海侵犯なり接続水域に来たとか、そういうことになっています。  これはちょっと一方的に聞いていただきたいですが、さっき教育、教育、教育と言ったんですけれども、皆さん、この地図は、中国側から見た地図ですが、どこから持ってきたかというと、中学校の地理ですよ。中学校の地理の帝国書院の百二十一ページから持ってきました。これをよく見ていただくと、台湾に一番近いところに国境の線が引いてあるけれども、一番台湾に近いのが与那国島。そして、ちょっと、東シナ海の海と書いてあるところに近いのが尖閣諸島です。  これを見ていただいて、一方的に言いますが、与那国島には二〇一六年に陸上自衛隊が配備されました。与那国、駐屯しています。答えは求めないんですよ、あえて。だから、こっそり、さっとやってほしいんですけれども、尖閣に百五十人ではなくて三百人ぐらい上げておかないと、準備できないんじゃないかな、対処できないんじゃないかと思っているんです。  私が想定するような事案というのは、いろいろなケースが考えられますが、いろいろ緊張がある中で、海警局が近くに来ていて海保が一生懸命対応している。しかし、そこの横で武装した漁民が千人とか、ぐうっと、実は武装しているんですよ、そういう人が上陸してきてしまったときに対処できるのかなという懸念があるので、今ちょっと突発的というか唐突に申し上げましたけれども、陸自の配備というのはやはり本当に考えなきゃいけないのではないかというふうに思っています。  それで、日米の訓練をきちっと共同でやっていますというのは、去年からやっています、去年もやっています、知っております。しかし、その頻度とかレベル感とかいったのは大丈夫なのか。そして、アメリカ軍と海上自衛隊が一緒に訓練しているんだけれども、それに、海上保安庁は一緒に訓練しているんですか。あるいは、沖縄県警、警察は一緒に訓練しているんですか。  国内同士で、海上自衛隊と海保は一緒にやっています、こういう答えは大体知っております。そういった意味で、私が危惧するのは、実は、防衛大臣の指揮下において海自、海保が演習をしたことがあるかどうかという懸念も持っています。要は、岸大臣がリーダーで、そして海保まで動かしているのかという訓練が実はまだできていないと私は聞いております。  そういった意味で、本当のそこにある危機、これに対する共同訓練というのができているのか、できていないのか。あるいは、今私が指摘したことはぐっとのみ込んで、きちっと近々やっていただくということで御答弁いただければと思いますが、この現状、岸大臣、教えていただければと思います。
  408. 岸信夫

    ○岸国務大臣 委員もよく御承知のことだと思いますが、自衛隊は、戦術技量の向上、また米軍との、あるいは外国軍隊との連携強化のために、平素から様々な共同訓練を行っているところでございます。特に、同盟国の米国とは精力的に共同訓練を実施しております。日米の抑止力、対処力の強化を着実に図っているところでございますが、多国間でも様々な共同訓練を行っています。  警察機関との間でも、例えば治安出動命令あるいは海上警備行動が発令される事態を想定した、警察や海保との共同訓練を積み重ねております。警察を始めとした関係機関と自衛隊の連携は、これまでと比較して格段に向上しているところでございます。  このような共同訓練を実施するに当たりましては、相手方との間で、訓練の目的、内容、実施の時期、場所、規模、こういったことについてしっかりと検討あるいは調整する必要がございます。御指摘については、海上保安庁や警察といった関係省庁とよく連携するとともに、国内の関係機関の間の訓練の充実にも努めてまいりたいと考えております。
  409. 杉本和巳

    杉本委員 もう一つ、ちょっと中学公民の教科書を持ってきました。これは領土、領海、領空が書いてあるんですけれども、日本はこの領土、領海、領空を徹底的に守ろうとしているんですが、海警法では、よその国の領域なのか公海なのか分かりませんが、要は、地域がはっきりしなくて武器を使うかもしれないという懸念が中国側にはあります。  そして、この間、前原元外務大臣が質問されていましたけれども、日米安保条約五条、「施政の下にある領域」というのは一体どうなのかというと、アメリカが、多くの学者とは言えないですが、何人かの学者さんというか専門家というかOBというかは、「施政の下にある領域」ということでいくと、尖閣は「施政の下にある」という定義に乗らないと。要は、尖閣は人がいないじゃないか、建物とか、ちゃんとないじゃないかと。  だから、日本が、日米安保条約で五条をやってくれる、アメリカを信じています、こう言ったって、アメリカの法律立てでいけば施政の下にないかもしれない。だから、やはり自分たちで守らないといけない。  ということでいくと、ちょっと次の紙で、二〇一五年七月、当時の私ども維新の関係の党と言っておきますが、と、当時の民主党さんと共同で提出した法案、その後、随時、我々維新は、国境法とかいう名前にしたりして提案、対案を出させていただく中で、領海警備の法案を、さっきも広田さんが言っていました、与野党を超えてこの日本国を守らなきゃいけない。だから、そういった意味で、この領域警備法の設定が必要ではないかという思いがあります。  ちょっと、余り難しいことを言うと役人さんが出てきちゃうので、そこは外しますけれども、例えば、この法律でいくと、区域外での活動がやりにくくなっちゃうんだよ、逆に自衛隊としてはと、そんな見解も言われておるので、こういった点も含めて、法整備の必要性、先ほど広田さんに答弁されているので、大体お答えは同じになってしまうとは思うんですが、総理の胸のうちに是非秘めておいていただきたいという思い。  それともう一点。  ケネディ大統領、キューバ危機、そしてチャーチル首相、対ドイツ戦、相当な判断と強い鉄の決意で臨まれて、アメリカを、そしてイギリスを、そして自由主義社会を守ってくださったと思っています。  そういった意味で、私は、今書いてありましたけれども、いわゆる海上警備行動発令、下令と受ける側は言いますが、あるいは治安出動、そしてまた、その先に、我々は防衛ですから、攻めるんじゃないんですよ、戦いなんかしたくないんです。ただ、守らなきゃいけないから、防衛出動。こういったものを想定したシミュレーション、ケーススタディーを総理は是非しておいていただきたいということなんです。  いや、やっていますよと言っても、いや、もっとぴりっとした厳しいケースということをきちっと防衛省に出してもらって、そして、判断の誤りがあってはならないので、総理を信頼申し上げますが、やはりこの国は、先ほど申し上げた官房長官と総理の違いみたいなところで、総理の肩にかかっていると私は思っているので、そのシミュレーションをしておいていただく、その下令をするときのですね。  そういうことを、まさかに備えて、いや、もうまさかじゃない状況まで近づいているのかもしれないので、そんな意味で、このシミュレーションをするんだ、あるいはしているぞ、あるいはもっとやっていくぞ、こういった御決意を伺って、もう時間となっていますので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  総理、答弁をお願いします。     〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
  410. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 事柄の性質上、詳細に申し上げることは控えますけれども、政府全体として、平素より、武力攻撃に至らない侵害や武力攻撃事態を含む様々な事態への対応を想定をし、各種の訓練等は実施しております。  また、事態発生時でありますけれども、時間的制約がある中で的確に判断を行うことがやはり政府として果たすべき責任であり、今後とも、不断の検討を行い、対処に万全を期していきたい、このように思っています。
  411. 杉本和巳

    杉本委員 是非、本当にシミュレーションして備えていただきたい。お願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  412. 金田勝年

    金田委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。  次に、古川元久君。
  413. 古川元久

    古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。  今日は、基本的なことを総理に伺いますので、ほかの大臣の皆様方、もう退席していただいて結構でございますので。ありがとうございます。  時間が短いので、早速質問に入りたいと思います。  まず最初に、気候変動問題についてお伺いしたいと思います。  私は、総理が二〇五〇年までにカーボンニュートラル実現すると宣言したことは、これは大変よかったと大いに評価をしております。  私も、昨年二月、国会で気候非常事態宣言決議を実現しようと超党派の議連を各党の呼びかけ人と一緒に立ち上げまして、昨年十一月に、衆参両院で全党全会派が賛成して気候非常事態宣言決議を採択いたしました。これにより、全国民の代表たる国会は、もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っているとの認識を共有しております。  総理の御認識はいかがですか。国会同様、もはや今は気候危機だ、そういう認識はありますか。
  414. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、近年、世界各地で、これまでもなかった極端な降雨だとか、あるいは記録的な猛暑、頻繁に発生していますし、洪水や山火事、こうした被害の増加など懸念されております。  このために、国際社会温暖化対策に取り組んで脱炭素化を進めるというのは、まさに近々の極めて重要な課題だという認識であります。さらに、環境対策というのは、もう経済の制約ではなくて、次の成長の原動力にもなる、そういう判断もあります。  そういう中で、私は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現を目指すことを宣言をしました。衆参両院の御決議の趣旨を十分に尊重しながら、社会経済を大きく変革し、産業構造の大転換と力強い成長を生み出し、カーボンニュートラルを何としても実現をしたい。  また、先般、G7首脳会談、テレビの首脳会談がありましたけれども、全ての国、地域が、二〇五〇年、まさにゼロを宣言している国ばかりでありました。
  415. 古川元久

    古川(元)委員 私が聞いているのは、総理が、今の温暖化問題は、既にもう気候変動のレベルを超えて気候危機という状況まで至っているという、国会と認識を共有しているかどうかということなんです。  既に小泉大臣は、環境大臣としては、去年、気候非常事態宣言をしたということを環境白書をまとめるときに発表されましたよね。総理の認識はどうですかとお伺いしているんです。
  416. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私、申し上げたつもりだったんですけれども、近年の気候、異常気候とかそうしたものを考えたとき、国際社会温暖化対策に取り組んで脱炭素化を進めるというのは、まさに喫緊の課題であって、避けて通れない、今すぐやらなきゃならない、そういう問題という認識であります。そういう意味においては、国会決議と同じようではないでしょうか。
  417. 古川元久

    古川(元)委員 これは大事で、やはり、危機だという認識の下に立てば、相当思い切って、かつスピードを速くやらなきゃいけないんだと思うんですね。そういった意味では、脱炭素社会実現のためには、私たちの価値観やライフスタイルを始め、あらゆる面でこれまでとは異なる取組を早急に行っていかなければいけないわけでありますが、総理がやろうとしておられるカーボンプライシング、この取組はその一つとして大変重要だと思います。  その導入の検討が行われていることはいいことなんですけれども、これまで検討が行われてきた環境省のカーボンプライシングのあり方に関する検討会に加えて、先日、経産省にカーボンプライシングに関する研究会が立ち上がっています。  どうして二つの省庁で同じようなことを別々に検討するのか。これは、総理の下でしっかり一元的な検討体制で検討して、早急に具体的な内容を詰めて導入すべきではないかと思うんですけれども、どうですか、総理
  418. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、御指摘のカーボンプライシングについては、従来、経産省と環境省というのは別々だったと思います。そういう中で、私は両大臣を呼びまして、成長につながるカーボンプライシング、まさに地球環境を考えた中で、連携して検討するように指示をしました。そして、現在は、両大臣は、国際的な動向や我が国の産業の国際競争力への影響などを踏まえ、専門的な検討を深めて、大臣同士で直接意見交換を行っているというふうに思います。  ただ、最終的に方向性を出す、それについては私が内閣の下で決定をしたいと思います。そういう意味において、まさに全体を統括する、そうしたものが、二〇五〇年カーボンニュートラル、それを実現するためには必要だと思っています。
  419. 古川元久

    古川(元)委員 それだと従来のいろいろな政策の決めと変わらないんですよね。大体、カーボンプライシングについて、環境省は前向きですよ。でも、経産省は基本的に後ろ向きですよね。だから、これで別々に検討したら、幾ら調整しても、やはりどうも違ったものが出てくる。そこをまた調整するということをやったら時間もかかるんです。それが分かっているんですから、やはりここは、一元的にちゃんと総理の下で決める体制に、ここを今この時点で見直すべきじゃないですか。どうですか。
  420. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私、申し上げましたけれども、もう既に二〇五〇年カーボンニュートラルは宣言をしているわけでありますから、それに基づいて必要なことを、やはり強力な政府の一体となった中で進めていくというのは、これは当然のことだというふうに思っています。そうした様々なことを考えながら今進めています。
  421. 古川元久

    古川(元)委員 縦割りの打破を総理は言われながら、これを省庁それぞれで検討したら、また結局余計な時間と手間がかかるんです。ワクチン接種で河野大臣を任命されたように、やはりこの問題は、誰かに責任を持たせて、ちゃんとまとめさせる。そういうことをやっていかないと、幾ら二〇五〇年の目標を定めてもそこにちっとも近づいていかない、そういうことになりかねないということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  次に、新型コロナウイルスについて伺いたいと思います。  さて、新型コロナウイルスの感染拡大から約一年が経過いたしました。この間、国民生活には様々な制約がされ、誰もが一日も早いコロナの収束を待ち望んでいます。ただ、この収束という言葉を使う場合に、具体的にどういう状況になったら収束と言えるのかについては、これは人それぞれどうもイメージが違うんじゃないかなと思うんですね。  総理は、どのような状況になったらコロナは収束したと言えると考えているのか。例えば、国民のほとんど全員がワクチンを打ち終わったら収束したというふうに言えると考えているのか、あるいは集団免疫ができたときなのか。総理が考える収束の具体的な状況について教えていただきたいと思います。
  422. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先月、緊急事態宣言を発出をして、専門家が急所と指摘する飲食の場を中心とした強力な対策を講じているところであり、国民の皆さんの御協力もいただいて、新規感染者数は約八割減少するなど、はっきりとした効果が見え始めていると思います。この減少傾向を確かなものとするために、先日、宣言延長の判断を行いました。  収束の定義というのは、国内外における感染状況や病原体の性質、社会情勢等の具体的な状況に即して判断すべきものであり、一概に定義することは困難であると思います。  先般接種を開始したワクチンについては、国際的に発症予防、重症化予防の効果が期待されており、感染対策の決め手になると考えております。今後、四月には高齢者への接種を開始したいと考えておりますが、一日も早く国民の皆さんに安全で有効なワクチンをお届けできるように全力で取り組んでおります。  あわせて、国民の皆さんが安心して暮らせる日常を一日も早く取り戻すために、日々の状況を注意深く見極め、専門家の意見も伺いながら、これからの対応については判断を行っていきたいというふうに思います。
  423. 古川元久

    古川(元)委員 そういう一概に言えない、もちろんそれは、言えない、一般的に言えばそうかもしれません。しかし、政府として、こういう状況が収束だというめどとか、そういう目標といいますか、それが分からないと、多分国民皆さん方、やはり不安は、一体これがいつまで続くのか、じゃ、どういう状況になったら収束して普通の暮らしに戻っていくのか、やはりそこが見えないところがますます不安を拡大させているんだと思いますね。  じゃ、今のお話を聞くと、総理政府として収束宣言みたいなものは、状況になっても出さないんですか。そこは、収束したというところは、どこかではっきり分かるんでしょうか。
  424. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今、政府としては、例えば緊急事態宣言はステージ4とか、それが3になって、3を過ぎれば宣言を解除する議論に入るとか、いろいろな数字は掲げていますけれども、現実問題として、このような状況になったら収束という宣言をすることは、ここはなかなか難しいと思います。  ただ、これは、ワクチンを打って世界は極めて有効のようですから、そういう中の期待がありますけれども、ただ、宣言をするかどうかということはなかなか難しいと思います。ただ、そうしたことについても、専門家の委員の皆さんのお話を伺いながら進めていきたい、こういうふうに思います。
  425. 古川元久

    古川(元)委員 総理、今のお話を聞いている国民皆さん方からすると、一体いつまでこういう状況、やはりそこが、少なくとも、じゃ、ここまでにこういう状況を目指すんですという目標も何も見えない。目の前のところを減らす、それはもちろん大事です。しかし、長期的な戦略といいますか、どういうところまで目指していくとか、やはりそういうのが見えないとなかなか頑張れないと思うんですよね。しかも、緊急事態宣言も、一か月で抑えると言いながら一か月延期された、ワクチンも、四月からと思ったら、またいつになるか分からないとか、こんなことが繰り返されていることが、もう心が折れちゃうんですよ。  だから、ある程度収束ということは、一般的にはいろいろな状況はあるかもしれませんけれども、政府としてはこういう状況が収束だ、そういう状況をいつまでにやるように目指すんだと、やはりそういうものを掲げないと、国民皆さん方は、これはいつまでたっても不安ばかりが高まるんじゃないかということ、是非そこのことを考えていただきたいということを申し上げたいと思います。お願いしたいと思います。
  426. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今、ワクチンがいつになるか分からないような表現がありましたけれども、四月から始めることは、今もう始まっていますし、四月から高齢者の皆さん方に、量は別にして接種できる状況というのが事実であります。
  427. 古川元久

    古川(元)委員 いや、私が言っているのは、当初の予定がだんだんだんだんずれて、結局、ずるずるずるずるといっている状況が不安が高まっているということを言っているんです。やはり、そういった意味で、長期的なちゃんと目標とか視点というものを示すことが大事じゃないか。  質問を少し変えますけれども、私は、収束がどういう状況か定義できないと言われましたけれども、コロナが収束したという状況と、そして、国民の生活や暮らしがコロナ以前に戻るのとは、よりまだ先にもう少し時間がかかるんじゃないかと思うんですね。  例えば、インバウンドが元に戻ってくる、そのためには、日本が収まっても世界全体が戻らないといけない。そうすると、これは相当更に時間がかかるんだと思うんです。じゃ、どれくらいかかるのか。これも、やはりそれなりのめどというものは総理として示す必要があるんじゃないか。  第一次石油ショックの後に、当時の大蔵大臣になった福田総理は、日本経済は全治三年という有名な言葉を残されました。お隣に座っている麻生副総理も、リーマン・ショックの後、同じ言葉を使われましたよね。  菅総理は、今のこの状況が元に戻るまで大体何年ぐらいかかる、そういうのをどう見ていらっしゃるんですか。
  428. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まずは現在の感染の減少傾向を続けて、緊急事態宣言を早期に解除する、ここがまず最優先です。さらに、ワクチンが行き渡れば、発症、重症化のリスクが減少し、この感染症そのもののリスクが小さくなります。こうした中で、インバウンドを含めて、各国との人の往来等については、内外の感染状況、それを見極めつつ慎重に判断していくべきだというふうに考えます。  いずれにしろ、国民の皆さんが安心して暮らせる日常を一日も早く取り戻す、このことに全力を尽くしております。  いつまでにこうなるという目標というのは、なかなか、正直、難しいことじゃないでしょうか。まずは感染拡大を防止をして縮小させていく、今のようなやり方。いろいろ御批判もありますけれども、少なくとも、当時、緊急宣言を発したときと今日、八割減少していることは事実じゃないでしょうか。こうしたことをしっかり進めて、国民の皆さんに、できる限り安心して生活できる日を一日も早く取り戻すように、政府を挙げて取り組んでいるところです。
  429. 古川元久

    古川(元)委員 難しいことは分かるんですけれども、目の前のことだけ、政府もそれだけだと、やはり一般の人たちから見ると、ある程度、ここまでやるんだという政府としての目標とかそういうものが見えれば、そこを踏まえて、じゃ、どういうことをやっていかなきゃいけないとか、そういう予見可能性もあるんですよね。今の状況だと、とにかく目先だけしかという状況です。やはりこういう状況は非常に経済にとっても私はよくないということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。  次に、コロナ禍で進む格差の問題について御質問します。  実体経済がこれだけ傷んでいるにもかかわらず、株価はバブル後最高値を記録するなど、このコロナ禍で、持てる人と持たざる人との格差が急速に拡大しています。  総理は、今の日本社会の格差の現状についてどのように考えていますか。日本は格差社会だというふうに思いますか。(発言する者あり)
  430. 金田勝年

    金田委員長 静かにしてください。
  431. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 我が国の所得格差については、例えば、かつては相対的貧困率が長期的に上昇傾向にありましたが、雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で、直近の二〇一八年に至るまでは低下が続いています。  その上で、格差については、それが固定化されず、人の許容の範囲を超えたものではないこと、このことが重要だと思います。そのため、最低賃金の引上げ、同一労働同一賃金など、様々な政策を講じているところであります。
  432. 古川元久

    古川(元)委員 それだとよく分からないんですけれども、総理の認識ということでお聞きしているんですから、ほかの大臣じゃなくて総理の認識を聞きたいんです。  総理は、今このコロナ禍で格差が進んでいるというふうに思っていますか、どうですか。
  433. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、先ほども申し上げたとおりですけれども、所得格差については、かつては相対的貧困率は長期的に上昇傾向にあったが、雇用が大きく増加するなど経済が好転するにつれて、二〇一八年に至るまで低下が続いています。  その上で、格差について、それが固定化されず、人々の許容の範囲を超えたものではない、このことが重要だと思います。そのために、最低賃金、あるいは同一労働同一賃金、様々な政策を政府は講じているところであります。
  434. 古川元久

    古川(元)委員 繰り返しになりますけれども、私が聞いているのは、今このコロナ禍で格差が拡大しているとよく言われているんですけれども、総理の認識も、やはり同じように、格差は拡大している、そういう認識はありますかと聞いているんです。どうですか、総理
  435. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 いろいろな意味で、今度のコロナの問題で影響を受けられた方とそうでない人の、まあ、これは業界もそうですけれども、そういうふうに分かれてきていることは事実じゃないかなというふうに思います。
  436. 古川元久

    古川(元)委員 じゃ、格差が広がっているという認識があるというふうに受け止めます。  じゃ、その格差が広がっていること、これは総理は問題だと思いますか。あるいは、これは仕方がないというふうに思っているか。どういうふうに考えていますか、総理
  437. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 さっき言いましたけれども、固定化することは絶対に避けなきゃならないということです。そのために、今、政府も様々な対策をこのコロナ対策の中で行ってきているのではないでしょうか。
  438. 古川元久

    古川(元)委員 私は、格差の是正というのは、これからの政治課題として非常に最重要の問題になってきているというふうに思うんです。  格差是正策として、私、一つ提案があります。  非常に所得が高い人は、その多くが、その主な所得は株の配当や譲渡益なんですね。これらは今、給与所得などの他の所得とは合算されず、どれだけもうけても二〇%の分離課税になっています。これがやはり格差拡大の一因だと思うんですね。  そこで、株の配当や譲渡益は、分離課税をやめて、ほかの所得と合算して課税することにしてはいかがでしょうか。そうすると、株の配当や譲渡益を得ているといっても、非常に、他の所得と合わせても、少額の人は所得税率一〇%でむしろ負担は減る一方で、所得の多い人は二〇%以上の高い税率がかかってきて負担増になりますから、これは格差是正につながります。  どうですか、総理、こうした格差是正策を検討しては。
  439. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今の格差の話ですけれども、これは格差是正のためにいろいろ今対策を打たれているのは御存じの上で聞いておられるんだと思いますけれども、その上で、今、分離課税の話等々がありましたけれども、おられましたので、この種の話はお詳しいんだと思いますが、少なくとも、総合課税であれば、間違いなく納税者が申告手続を行わなきゃいかぬことになりますものね。結構これは大変だと思いますよ。  現在の分離課税の下では、特定口座制度によって納税者自身が申告を行わなくていいわけですから、そういった意味では、いろいろなもの、簡便な仕組みになっているんだと思いますが、いずれにしても、この種のものにつきましては、過日、一〇%だった分離課税を二〇%に上げたというのは、過日上げておりますので、そういった意味では、今後これをどうやっていくか、更に上げるべきかどうかというのは今後の検討課題の一つだとは思います。
  440. 古川元久

    古川(元)委員 申告が面倒かどうかで格差が是認されるものじゃないんだと思うんです。  しかも、株の配当や、本来私は、マイナンバー、預金口座も、我が党は預金口座も全てひもづけして総合課税にできるようにというふうに思っていますけれども、しかし、今は銀行はついていない。しかし、株や配当はまさにマイナンバーとひもづけされていますから、ここはまとめられるわけですよね。でしたら、やはり少しでも格差是正につながるそうした税制改革というものは考えていかなきゃいけないんじゃないですか。  どうですか、総理総理の御見解を伺います。総理総理に最後お願いします。
  441. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 基本的には、税制というものは常にいろいろな形で不断の研究をされて、検討をされてしかるべきだ、これは当たり前の話なのであって、時代時代によって課税を上げたり下げたりするというのはこれまでもあったことだと思いますので、そういったものも常に検討しておかねばならぬ問題の一つだと思います。
  442. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 経済国民への生活の影響などを考えながら対応させたいというふうに思います。
  443. 古川元久

    古川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、やはり格差是正はますますこのコロナ禍で大変重要な問題になっているということを最後に指摘して、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  444. 金田勝年

    金田委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十四日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会