○馬場伸幸君
日本維新の会の馬場伸幸です。(
拍手)
まず初めに、
新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた
方々の御冥福をお祈りするとともに、現在、入院及び自宅でやむなく
治療、療養されている
方々に心よりお見舞いを申し上げます。そして、日夜最前線で
尽力くださっている
医療従事者の
皆様方に心から敬意と感謝を申し上げます。
私は、ちょうど一年前の通常国会冒頭の
代表質問において、
新型コロナウイルスの問題を最初に取り上げ、中国の春節を前に
国民が大きな不安を抱いていると指摘し、
水際対策など万全の防疫
体制をしくよう、
政府に強く要望しました。
そして、
日本維新の会として、昨年二月三日の第一弾から本年一月四日の第七弾まで、先手を取る七度の政策
提言を通じて、繰り返し
水際対策の
強化と新型インフルエンザ特措法の改正を求めてきました。しかし、
政府が重い腰を上げたのは、昨年十二月の下旬に入ってからでした。
私
たちが再三申し上げてきたように、夏の間に法改正をしていれば、
感染症対策のための新しい枠組みの下で冬の
感染拡大に
対応することができたと考えますが、
総理の
見解をお伺いいたします。
感染症対策の肝は、
医療提供体制の有事シフトです。いわゆるハンマー・アンド・ダンス戦略を取る際、その
体制に厚みがあればあるほど、
国民の命と
暮らしを守ることができます。
こうした観点から、私
たちは、今こそ特措法第三十一条を適用し、知事が
医療機関にコロナ病床の
拡充を法律に基づいて
要請、指示するとともに、コロナ
対応に伴う
医療機関の減収等を補償することが重要と考えますが、
政府は、現在の
状況は特措法三十一条の適用
対象に該当しないとし、ガイドラインを通じて知事の手足を縛っているのが
実態です。
総理にお尋ねします。
なぜ特措法三十一条を適用しないのですか。ガイドラインを見直せば今日からでも適用できるにもかかわらず、なぜわざわざ時間をかけて
感染症法を改正するのですか。特措法六十二条、六十三条の補償規定を使いたくないからというのが理由であれば、恣意的過ぎるし、法治国家とは言えません。明快な
答弁をお願いいたします。
一方、
現場で懸命に対処している知事
たちは、法改正を待っているわけにはいきません。
国民の命と健康を守るために、できることは何でもやる、そんな思いで、大阪府の吉村洋文知事は、一昨日、特措法二十四条一項に基づく医療
関係団体への
協力要請を正式に行いました。
問題となるのは、
医療機関に直接、
要請や指示を行う規定が特措法にも
感染症法にもないことです。それらの法律に規定されている医療
関係者には
医療機関の管理者も含まれるとのことですので、そう解釈すれば
医療機関のマネジメントもぎりぎり可能かもしれませんが、その旨を
関係者に周知する必要があります。改めて明確に
答弁いただくとともに、
現場への
周知徹底をお願いいたします。
今回の
政府案を見ると、
感染症法の十六条の二に勧告、公表規定を新たに盛り込むこととなっています。私
たちはこうした公表規定の濫用はネット
時代にはふさわしくないと考えていますが、そもそも、勧告の
対象は
医療機関の管理者であるのに、公表するのは
医療機関の名称というのでは、法律のたてつけがちぐはぐになってしまいますが、こんな条文が法制的に認められるのでしょうか。
内閣法制局長官に伺います。
SNSが広く
普及したネット
時代においては、公表規定の意味も変わらざるを得ないのではないですか。そうした
時代の変化を踏まえた上で、今般の特措法及び
感染症法の
政府案に多用されている公表規定の法制的な意味、役割について説明ください。そして、勧告と公表の
対象が一致しないような条文が、本当に法制的に認められるのですか。それなら正面から勧告の
対象に
医療機関を追加すべきではないでしょうか。法制的な観点からの
見解を求めます。
もう
一つ、深刻なのは、時短や休業を
要請する
飲食店等に対する補償の問題です。
日本維新の会は、立憲民主党や共産党が便乗してくる前の昨年三月から補償の必要性を訴え、特措法改正案の附帯決議に補償的な
措置に関する
検討規定を設けることで与党と合意していましたが、野党の反対で取り下げざるを得なかった経緯があります。
また、自民党の中にも、当該
要請は憲法が定める公共の福祉の範囲内の制約であって受忍限度の範囲内であるとの観点から、補償に否定的な意見もあると報道されています。
総理に伺います。
休業等の
要請に応じる
飲食店等に対する
措置が
支援にとどまり補償ではない理由は、いわゆる受忍論を採用しているからでしょうか。明確に御
答弁ください。
私
たち日本維新の会は、受忍論を取りません。戦後七十年余り、自民党は、戦争の被害や犠牲についても、
国民は甘んじて耐え忍ぶべきものだという立場を取ってきました。しかし、
世界の先進国では、戦争被害は補償の
対象とするのがスタンダードとなっており、戦争被害補償法制を持たないのは
日本ぐらいです。
感染症の蔓延という有事にあっても補償だけはしたくないという
政府のかたくなな姿勢には、戦後
日本政治の宿痾を感じざるを得ません。
総理、私
たちは、この補償をめぐる問題が、自民党の存立を脅かすくらい深刻なテーマであることをよく理解しています。だからこそ、昨年の早い段階から
検討を求めてきたわけです。
感染症の蔓延という有事を機に、補償の在り方について
政府内に
検討の場を設けるべきではないですか。
総理の真摯な
答弁を求めます。
コロナ禍を通じて、
日本の行政の
デジタル化の遅れを痛感させられました。国際競争力を高め、
経済成長につなげるためにも、
社会全体のデジタル変革を推し進めることは不可欠です。
そうした観点から私
たちは、マイナンバーこそ
日本社会をアップデートするセンターピンになり得ると考え、早くから党を挙げて国会で取り上げてきました。
過去の国会審議で野党がマイナンバーを取り上げた回数を調べたところ、昨年春の時点で、我が党の片山虎之助共同代表が十二回、足立康史衆議院議員に至っては三十七回。翻って、立憲民主党の枝野幸男代表と
国民民主党の玉木雄一郎代表はいずれも一回、共産党の志位委員長に至ってはゼロ回。逆さにつるされても、透明で公正公平なマイナンバーだけは認めたくないという強い意志を感じます。
日本維新の会は、マイナンバーと全ての預貯金口座とのひもつけを義務化し、
社会保障の抜本
改革の基盤とすべきと考えています。徴税や給付を含むあらゆる行政
施策にマイナンバーをフル
活用し、数兆円にも及ぶとの指摘もある税や
社会保険料の徴収漏れを防止し、お預かりできるところからしっかりお預かりする、そして、手を差し伸べるべき
方々に手を差し伸べ、しっかりと支えていく。そんな透明で公正公平な
社会を目指していきます。
残念なのは、デジタル庁やマイナンバーカードといった手段にばかり焦点が当たり、一番大事な行政内でのマイナンバー
連携に十分な目くばせがなされていないことです。
例えば、平井卓也デジタル担当大臣は、就任早々に、マイナンバーと預貯金口座のひもつけ義務化を断念するような発言をされています。
総理、マイナンバーと預貯金口座のひもつけを義務化しないということは、マイナンバーを
社会保障
改革に使わないということを意味します。それでは何のためのマイナンバーか分からなくなります。平井担当大臣に対し、再
検討するよう御指示いただきたいと存じますが、
総理の
見解をお示しください。
コロナ対策に戻りますが、河野太郎行革担当大臣が新たに
ワクチン担当大臣に指名されました。河野大臣自らが、ロジを担当するとおっしゃっています。
ロジといえば、本来、官僚機構の得意分野です。そうした中で、私
たちが河野
ワクチン担当大臣に最も
期待するのは、
ワクチン接種の管理にマイナンバーを
活用するという
政治判断を速やかに行うことです。
接種は大規模な上、
ワクチンは三種類。二回の
接種を行う間に転勤や引っ越しなどを挟むことになる
国民も少なくありません。
総理に伺います。
総理は、午前中の参議院本
会議で、
ワクチン接種の管理にマイナンバーを
活用することを含め
検討すると述べられましたが、私
たちは、マイナンバーの
活用なくして
ワクチン接種の
成功はない、河野大臣を担当大臣に指名されたのはそのためであると確信しています。改めて
総理のお考えをお聞かせください。
昨年末に
政府が決定した今年度の第三次
補正予算案については、
緊急事態宣言の再発令を想定したものではなく、GoToトラベル
事業の延長や
国土強靱化の
推進など不要不急の
事業が多数計上されています。
総理に伺います。
我が党は、独自の組替え動議を提出する
準備を進めていますが、国会審議を経て、
補正予算案の組替えに応じる考えはありませんか。あるいは、
予備費を積極的に
活用する
準備はありませんか。お答えください。
一昨年十月の消費税率引上げで後退した景気は、コロナの追い打ちで更に落ち込みました。景気浮揚の即効薬は、GDPの過半を占める個人消費の需要を喚起することです。
そこで、私
たちは、当面二年間を目安として、消費税率の五%への引下げを断行すべきと訴えてきました。消費減税は、貯蓄に回る余地が残る現金給付より消費拡大の
効果も大きく、
国民の
暮らしを公平に支える
経済対策だと考えます。
総理にお尋ねします。
コロナ禍から国の
経済と
国民の
生活を守るため、時限的に消費税率の引下げを
検討する選択肢はありませんか。
検討さえもしないのであれば、その理由をお示しください。
コロナ禍は、国権の最高機関であるはずの国会が、戦後、国家の最も大事な権能の
一つである有事
対応の本質から目をそらしてきた怠慢ぶりを浮き彫りにしました。
憲法九条、
緊急事態条項を取り上げるまでもなく、
国民投票の利便性を
向上させるための
国民投票法改正案でさえ、八国会にわたって
継続審議となってきました。当たり前の宿題を片づけられず、肝腎の憲法議論には一ミリも踏み込めないまま、時間と税金だけが浪費されてきました。
日本維新の会は、一刻も早くこの事態を打開するよう、与野党双方に訴えてきました。御託を並べて憲法審査会での審議を妨害し続ける一部野党と、結果的にそれに加担している与党の姿は、
国民の負託を裏切る責任放棄にほかなりません。
自民党総裁たる
総理に
答弁を求めます。
今国会で
国民投票法改正案を成立させること並びに憲法審査会での改正項目の議論を深めていくことに、指導力を発揮すると約束できますか。
緊急事態条項の創設について、自民党も党派を超えて積極的に議論をリードしていく覚悟はありますか。また、党総裁として憲法改正にちゅうちょせず取り組む
決意をお示しください。
日本維新の会は、宿弊がはびこる立法府の
改革断行も訴えてきました。最たる事案が特別委員会の問題です。
現行の九つの特別委員会を見ると、開催実績がほとんどない委員会もあれば、審議内容が他の委員会と重複する委員会もあり、健全に機能していません。特別委員会の構成は、
時代のニーズに応じて国会ごとに見直すのが筋です。私の地元、堺市議会を始め、多くの
地方議会では当たり前のように行われています。
我が党は長らく議運や国対の場でスクラップ・アンド・ビルドを
主張してきましたが、一向に改善されません。昨年の通常国会と臨時国会の二国会にわたり、今最も必要な
コロナ対策の特別委員会の設置を求めてきましたが、不要不急の委員会は残したまま、
コロナ対策の特別委員会設置が見送られました。何のための特別委員会の制度なのでしょうか。
多くの
国民が家計のやりくりに苦労されているとき、特別委員長には委員会の開催
状況にかかわらず一日六千円の手当が支払われ、委員長は、寝ていても月に約十八万円を手にする上、専用の公用車や部屋、職員も用意されています。
これを無駄と言わずして何と言うのでしょうか。特別委員長ポストは、与野党がなれ合い、甘い汁を吸うための利権と化していると断じざるを得ません。拉致や
震災等に関する特別委員会は必要ですが、我が党は、十八日の本
会議で、このゆゆしき事態をリセットするために、全特別委員会の設置に反対しました。
総理に伺います。
特別委員会の現状や委員長の待遇をどう受け止めますか。国会
改革も、与党が背を向けていては進みません。
総理は、あしき前例、慣例を打破するとおっしゃっておられますが、行
政府のみならず、立法府の
改革にも指導力を発揮すべきです。自民党総裁として
答弁をお願いします。
総理は、一月四日の年頭記者会見で、十月に任期満了を迎える衆議院の解散・総選挙の時期について、当面は
新型コロナウイルスの感染
対策を最優先に取り組む、時間の制約も前提に、よくよく考えて判断したいと述べられました。
総理に伺います。
全国においてコロナの
感染状況がどこまで落ち着けば、衆議院解散の条件が整うとお考えですか。
緊急事態宣言が発令されていたり、それに準ずる感染
地域がある場合に、解散できないといったお考えはあるのでしょうか。私
たちは、いつであっても正面から受けて立ちますが、現下の有事にあっては
国民から見た予見可能性も大事になりますので、お考えをお示しください。
迎えたうし年は、我慢や、発展への萌芽の年と言われています。
コロナ禍で、なおも耐え忍ぶ一年になるかもしれませんが、我慢だけで終わらせるわけにはいきません。
日本を新たな発展へとつなげる年、光り輝く
日本を取り戻す年にするための起点にしようではありませんか。
我が党は、引き続き先頭に立ち、明日の
日本のための
改革の
実現に身を捨てて
努力していくことをお誓い申し上げ、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅義偉君
登壇〕