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2021-01-18 第204回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
令和
三年一月十八日(月曜日) ――
―――――――――――
議事日程
第一号
令和
三年一月十八日 正午
開議
第一
議席
の
指定
………………………………… 一
国務大臣
の
演説
――
―――――――――――
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
災害対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
、
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うため
委員
四十人よりなる
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
特別委員会
、
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のため
委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
、
北朝鮮
による
拉致等
に関する諸問題を
調査
し、その
対策樹立
に資するため
委員
二十五人よりなる
北朝鮮
による
拉致問題等
に関する
特別委員会
、
消費者
の
利益
の
擁護
及び
増進等
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
消費者
問題に関する
特別委員会
、
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
科学技術
・
イノベーション推進特別委員会
、
東日本大震災
からの
復興
に当たり、その
総合的対策
を樹立するため
委員
四十五人よりなる
東日本大震災復興特別委員会
及び
原子力
に関する諸問題を
調査
するため
委員
四十人よりなる
原子力問題調査特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
地方創生
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
地方創生
に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
菅内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
茂木外務大臣
の
外交
に関する
演説
麻生財務大臣
の
財政
に関する
演説
西村国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後零時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君)
諸君
、第二百四回
国会
は本日召集されました。 これより
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
日程
第一
議席
の
指定
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君)
日程
第一、
議席
の
指定
を行います。
衆議院規則
第十四条によりまして、
諸君
の
議席
は、
議長
において、ただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。 ――
――◇―――――
特別委員会設置
の件
大島理森
3
○
議長
(
大島理森
君)
特別委員会
の
設置
につきお諮りいたします。
災害対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うため
委員
四十人よりなる
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
特別委員会
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のため
委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
北朝鮮
による
拉致等
に関する諸問題を
調査
し、その
対策樹立
に資するため
委員
二十五人よりなる
北朝鮮
による
拉致問題等
に関する
特別委員会
消費者
の
利益
の
擁護
及び
増進等
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
消費者
問題に関する
特別委員会
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
科学技術
・
イノベーション推進特別委員会
東日本大震災
からの
復興
に当たり、その
総合的対策
を樹立するため
委員
四十五人よりなる
東日本大震災復興特別委員会
及び
原子力
に関する諸問題を
調査
するため
委員
四十人よりなる
原子力問題調査特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
4
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、そのとおり決まりました。 次に、
地方創生
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
地方創生
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
5
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、そのとおり決まりました。 ただいま議決されました九
特別委員会
の
委員
は追って指名いたします。 ――
――◇―――――
大島理森
6
○
議長
(
大島理森
君) この際、暫時
休憩
いたします。 午後零時五分
休憩
――
――◇―――――
午後二時二分
開議
大島理森
7
○
議長
(
大島理森
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
国務大臣
の
演説
大島理森
8
○
議長
(
大島理森
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
財務大臣
から
財政
に関する
演説
、
西村国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣菅義
偉君。 〔
内閣総理大臣菅義
偉君登壇〕
菅義偉
9
○
内閣総理大臣
(
菅義
偉君)
内閣総理大臣
に就任をして、政権を担って四か月、直面する困難に立ち向かい、この国を前に進めるために、
全力
で駆け抜けてまいりました。 そうした中で、私が一貫して追い求めてきたものは、
国民
の
皆さん
の
安心
そして
希望
です。
国民
の命と健康を守り抜く。まずは
安心
を取り戻すため、
世界
で猛威をふるい、
我が国
でも深刻な
状況
にある
新型コロナウイルス感染症
を一日も早く収束させます。 目の前の
患者
を何とか救うため力を尽くす
医療従事者
の
皆様
、
感染拡大
の防止に奔走する
保健所
の
皆様
、細心の注意を払い
高齢者
と向き合う
介護関係者
の
皆様
。全ての
関係者
の
方々
に、厚く御礼を申し上げます。 また、
国民
の
皆様
には、
生活
や
仕事
に御
負担
、御苦労をおかけする中で、多大な御
協力
をいただきました。しかし、今回、再び
制約
のある
生活
をお願いせざるを得ず、大変申し訳なく思います。 今一度、
国民
の
皆様
の御
協力
をいただきながら、私
自身
もこの
闘い
の最前線に立ち、
都道府県知事
をはじめ
自治体関係者
とも連携しながら、難局を乗り越えていく決意であります。 今回、
緊急事態宣言
を発出しました。これまで一年近くの
闘い
の
経験
に基づき、効果的な
対象
に徹底的な
対策
を行っております。 私
自身
、連日、
状況
を聞き、
専門家
とも
議論
を重ねておりますが、
東京
都で六割を占める
感染
経路不明の多くが、
飲食
と見られています。 特に、三十代以下の
若者
の
感染者
が増えています。多くの方は無症状や軽症ですが、
若者
の
外出
や
飲食
により、知らず知らずのうちに
感染
を広げている現実があります。
飲食
での
感染
を抑え込むことが極めて重要であり、
飲食店
については、
協力金
を百八十万円まで引き上げ、二十時までの営業時間の短縮を徹底します。 それ以外にも、
テレワーク
の七割実施、
不要不急
の
外出
・移動の自粛、特に二十時以降の
不要不急
の
外出自粛
、さらに、
イベント
の
人数制限
をあわせて実施いたします。 こうした
対策
により、
感染
を抑え込み、
減少傾向
に転じさせます。
専門家
が
緊急事態宣言
の
レベル
とする、いわゆるステージ4を早急に脱却いたします。 さらに、
新型インフルエンザ特別措置法
を
改正
し、罰則や
支援
に関して規定し、
飲食店
の時間短縮の
実効性
を高めます。
議論
を急ぎ、
早期
に
国会
に提出をいたします。 その上で、
感染対策
の決め手となるワクチンについては、
安全性
、
有効性
の審査を行った上で、
自治体
と連携して万全な
接種体制
を確保し、できる限り二月下旬までには接種を開始できるよう準備いたします。私も、率先して接種します。 大事なのは、必要な方に必要な
医療
をしっかりと提供していくことです。あらゆる方策を尽くし、
医療体制
の確保を強力に進めていきます。 先月には、
新型コロナ対応
を行っている
医療機関
に派遣される医師や
看護師
への
支援額
を倍増いたしました。新たに
新型コロナ患者用
の病床を確保するため、一床
当たり最大
で千九百五十万円を
助成
します。年明け以降、
東京
都では、千を超える病床の確保について、最終的な調整を行っております。現場の
負担
となっている
清掃業務
などの
委託経費
を
支援
いたします。
保健所
の
負担
を減らすために、
応援派遣
を千二百名から三千名に増員します。 知事の要請があれば、自衛隊の
医療チーム
などをいつでも投入できるように、万全の
体制
を整えています。 何としても事業を継続していただき、
暮らし
と
雇用
を守っていく。それが、
政治
の責務です。
所得
が低い
ひとり親世帯
に追加で五万円、更に二人目以降の
子ども
について三万円ずつの支給を、昨年中に行いました。
手元資金
にお困りの
方々
への
緊急小口資金
は、昨年以来、五千億円が利用されています。
返済
を免除する
特例
も、三月末まで延長いたします。
雇用調整助成金
について、これまで
対象
とされていなかったパートや非常勤の
方々
に日額一万五千円を支給する
特例
を来月末まで延長します。
緊急事態宣言
に伴い、大
企業
にも
特例
を拡大します。
官民
の
金融機関
による無利子無
担保融資
に十分な
資金
を用意し、さらに、四千万円の
限度額
を六千万円に引き上げ、
手続
も簡素化いたします。
返済
にお困りの方には、公庫などが更に
一定期間
の
返済猶予
を行うなど、柔軟に
対応
し、
民間金融機関
に対しても同様の
対応
を要請いたします。 前年と比べ、
自殺者
が五か月連続で増加し、とりわけ
女性
が顕著な傾向にある
事態
を重く受け止め、
SNS
を通じた
相談窓口
などにより、不安に寄り添う
体制
を強化します。 過去最多となった
児童虐待
について、
児童相談所
の
児童福祉司
を五千名
体制
に強化し、学校、警察、弁護士と連携して、
早期発見
につなげます。 困窮する学生の修学を
支援
し、
新卒扱い
の
柔軟化
を要請します。
就職氷河期世代
の
就職
も引き続きサポートしてまいります。 三月十一日で、あの
東日本大震災
から十年となります。改めて、犠牲となられた多くの
方々
の御冥福をお祈りし、被災された全ての
方々
に心からお見舞いを申し上げます。 心のケアなどのきめ細かな
取組
を継続するとともに、
原発事故
で大きな被害を受けた福島においては、
創造的復興
の
中核拠点
となる
国際教育研究拠点
を設立します。
原災地域
十二市町村に魅力ある働く場をつくり、移住の
推進
を
支援
します。 福島の本格的な
復興再生
、そして
東北復興
の総仕上げに、
全力
を尽くしてまいります。 震災の
経験
も教訓とし、さらに、ここ数年の相次ぐ水害やこの冬の大雪、
災害
の
激甚化
の中で、
災害発生
時には、万全な
対応
を速やかに行います。防災・減災、
国土強靱化
についてもしっかりと進めます。五年
集中
で、
事業規模
十五兆円を目途に
対策
を実施します。
大雨予測
の
精緻化
、遊水地や
貯留施設
の整備、ダムの
事前放流
、
土地利用
の
見直し
など、ハードとソフトの
対策
により住民の命を守ります。
暮らし
の安全、
安心
を確保します。
ストーカー規制法
を
改正
し、
違反行為
をGPSによる
位置情報
の取得にも広げます。
銃刀法
を
改正
し、クロスボウの所持を禁止し、
許可制
とします。
ネット通販トラブル
の増加を踏まえ、
デジタルプラットフォーム企業
に対し、
違法商品
、
危険商品
の
出品停止
を求めます。
SNS
の
誹謗中傷
について、
発信者情報
の
開示命令
などの
裁判手続
を整備し、
被害者
の迅速な救済につなげます。
国民
の
皆さん
の
希望
を実現したい。そうした思いで、
我が国
の長年の
課題
に答えを出してまいります。
バブル崩壊
後、
我が国
が抱える問題について、長年にわたって次のように言われ続けてきました。
日本企業
のダイナミズムが失われた、
デジタル化
の
流れ
に乗り遅れ、新たな
成長
の
原動力
となる産業が見当たらない。 アベノミクスの三本の矢により、
日本経済
は
バブル期
以来の好調を取り戻しました。しかしながら、
ポストコロナ
の時代においても、
我が国経済
が再び
成長
し、
世界
をリードしていくためには、多くの壁が立ちはだかっています。
行政
の
縦割り
、
既得権益
、そして悪しき
前例主義
を打ち破り、
未来
を切り拓いていく。困難な
課題
にも答えを出していくのが、私の
内閣
であります。
地方
で、家族を育み、老いても
安心
して暮らせるよう、
地方
の
方々
の
所得
を引き上げる施策を追求してまいります。そうした動きを国全体の
活性化
につなげ、
我が国
が持続的に発展していくため、
成長志向
の
政策運営
を続けます。
高齢者
をはじめ、誰もが
安心
できる
社会保障制度
をつくり、
未来
を担う
子どもたち
や
若者
のための政策を進めます。 まずは、次の
成長
の
原動力
をつくり出します。それが、
グリーン
と
デジタル
です。 二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言しました。もはや
環境対策
は、
経済
の
制約
ではなく、
社会経済
を大きく変革し、投資を促し、
生産性
を向上させ、
産業構造
の大転換と力強い
成長
を生み出す、その鍵となるものです。まずは、
政府
が
環境投資
で大胆な一歩を踏み出します。 過去に例のない二兆円の基金を創設し、過去
最高水準
の
最大
一〇%の
税額控除
を行います。
次世代太陽光発電
、低コストの蓄電池、
カーボンリサイクル
など、野心的な
イノベーション
に挑戦する
企業
を腰を据えて
支援
することで、
最先端技術
の
開発
、
実用化
を加速させます。 水素や
洋上風力
など
再生可能エネルギー
を思い切って拡充し、
送電線
を増強します。
デジタル
技術により、ダムの発電を効率的に行います。安全最優先で
原子力政策
を進め、安定的な
エネルギー供給
を
確立
します。二〇三五年までに
新車販売
で
電動車
一〇〇%を実現いたします。
成長
につながるカーボンプライシングにも取り組んでまいります。先行的な脱
炭素地域
を創出するなど、脱炭素に向けたあらゆる主体の
取組
の裾野を広げていきます。CO2
吸収サイクル
の早い
森づくり
を進めます。
世界
的な
流れ
を力に、
民間企業
に眠る二百四十兆円の現預金、更には三千兆円とも言われる
海外
の
環境投資
を呼び込みます。そのための
金融市場
の枠組みもつくります。
グリーン成長戦略
を実現することで、二〇五〇年には年額百九十兆円の
経済効果
と大きな
雇用創出
が見込まれます。
世界
に先駆けて、脱
炭素社会
を実現してまいります。 この秋、
デジタル庁
が始動します。
デジタル庁
の創設は、
改革
の象徴であり、組織の
縦割り
を排し、強力な権能と初年度は三千億円の予算を持った司令塔として、国全体の
デジタル化
を主導します。一兆円
規模
の
緊急対策
として
改革
に着手し、
全国規模
の
クラウド移行
に向け、今後五年間で
自治体
の
システム
も統一、
標準化
を進め、
業務
の
効率化
と
住民サービス
の向上を徹底してまいります。 マイナンバーカードの普及のため、マイナポイントの期限も半年間延長します。この三月には
健康保険証
との
一体化
をスタートし、四年後には
運転免許証
との
一体化
を開始します。
行政機関
が保有する法人などの
登録データ
を
システム
上の、いわゆるベースレジストリーとして整備し、
デジタル社会
の形成に不可欠な
データ利活用
を進めてまいります。 組織の要は人です。
公務員
の
採用枠
に
デジタル職
の創設を検討し、高度なスキルを持つ
民間人材
を迎え、
自治体
、
民間
とも行き来させ、
官民
の
デジタル化
をダイナミックに進めます。
教育
の
デジタル化
も一挙に進めます。小中学生に一人一台の
IT端末
を揃え、九千人の
デジタル専門家
がサポートします。
子どもたち
の
希望
や
発達段階
に応じた
オンライン教育
を
早期
に実行してまいります。 あらゆる
手続
が役所に行かなくても
オンライン
でできる、引っ越した場合の
住所変更
が
ワンストップ
でできる、そうした
仕組み
をつくります。
高齢者
や
障害者
、
デジタルツール
に不慣れな
方々
もしっかりサポートし、誰もが
デジタル化
の恩恵を
最大
限に享受できる
社会
をつくり上げてまいります。
民間企業
においても、
社内ソフトウェア
から生産、流通、販売に至るまで、
企業
全体で取り組む
デジタル投資
を、税制によって
支援
します。
ポスト
5G、6Gを巡る
国際競争
が過熱する中、
官民
を挙げて
研究開発
を進め、
通信規格
の
国際ルールづくり
を主導し、
フロントランナー
を目指します。 さらに、身近な
情報通信
の
利用環境
を
国民目線
に立って変えていきます。
携帯電話料金
については、大手が相次いで従来の半額以下となる大
容量プラン
を発表し、本格的な競争に向けて、大きな節目を迎えました。
放送番組
と同じ内容をインターネットでも同時に視聴できるよう、
著作権法
を
改正
します。 NHKについては、
業務
の抜本的な
効率化
を進め、
国民負担
の軽減に向け
放送法
の
改正
をします。これにより、
事業規模
の一割に当たる七百億円を充て、月額で一割を超える思い切った
受信料
の引下げにつなげます。 「はやぶさ2」のカプセルの帰還に、
世界
が湧き立ちました。高い
技術力
により
世界初
の偉業の数々を成し遂げた、歴史的な
成果
です。
子ども
から大人まで夢や
希望
を与えてくれた、
津田先生
をはじめJAXAの
皆さん
に、心から敬意を表します。
科学技術立国日本
にとって、二十年近くも続く
研究力
の低迷は、国の将来を左右する深刻な
事態
です。
博士課程学生
の
支援
を拡大し、
未来
を担う
若手研究者
を育成します。 十兆円
規模
の
大学ファンド
により、
若手研究人材育成
などの
基盤整備
を行い、
世界トップレベル
の
成果
を上げる自律した
大学経営
を促します。 こうした
取組
により、今後五年間の
目標
として、
政府
の
研究開発予算
を三十兆円、
官民
の
研究開発費
の総額を百二十兆円とし、積極的に
イノベーション
を促してまいります。 二〇二五年大阪・
関西万博
では、
我が国
が誇る
先端技術
の粋を集め、「いのち輝く
未来社会
のデザイン」を
世界
に示し、
日本
が大きな飛躍を遂げるきっかけといたします。
我が国企業
が、過去の
成功体験
にとらわれず、未開拓の分野に進出し、次の
成長
の担い手として
中小企業
、
ベンチャー企業
が育っていく。こうした
環境
をつくり出すことも、長年の
課題
でした。
雇用
の七割を支える
中小企業
を取り巻く
状況
は非常に厳しく、
資金繰り支援
を続けます。
持続化補助金
や
手形払い
の慣行の
見直し
を通じて、
生産性
の底上げを図り、賃金の上昇へとつなげます。さらに、
中堅企業
への
成長
、
海外市場
への挑戦を後押ししてまいります。
最低賃金
は、
雇用
にも配慮しながら継続的な引上げを図り、
経済
の好循環につなげてまいります。 業種を超えた再
就職
や
在籍型出向
を
支援
し、
デジタル教育訓練
を強化し、新しい分野への移動を促します。
コーポレートガバナンス改革
を進め、
我が国企業
の価値を高めてまいります。
我が国
を代表する
企業
の役員の三分の一以上を
独立社外取締役
とし、
女性
、
外国人
、
中途採用者
の
管理職
への登用について
目標
の公表を求めることにします。
国際金融センター
をつくることも、長い間言われてきたことです。
日本
には、良好な治安と
生活環境
、千九百兆円の
個人金融資産
といった大きな
潜在性
があり、
金融
を突破口として
ビジネス
を行う場としても魅力的な国を目指します。 税制について、
外国人
の
国外財産
を
相続税
の
対象外
とし、
運用成果
に応じた収入にかかる
所得税
は、
主要先進国
と比べて遜色のない
水準
である二〇%の税率を一律に適用します。
海外
の
人材
が
ビジネス
を容易に開始できるよう、
在留資格
の
特例
も設けます。
東京
一極
集中
の是正、
地方
の
活性化
も長年叫ばれてきた
課題
です。
東京圏
と言われる一都三県の
消費額
は
全国
の三割に過ぎません。残りの七割の
消費
は
地方
なのです。
地方
の
所得
を引き上げ、その
消費
を
活性化
しなければ、
日本
全体が元気になりません。
我が国
の
農産品
はアジアを中心に諸外国で
大変人気
があり、
我が国
の農業には大きな
可能性
があります。昨年の
農産品
の
輸出額
は、
新型コロナ
の影響にも関わらず、過去最高となった二〇一九年に迫る
水準
となっています。 二〇二五年二兆円、二〇三〇年五兆円の
目標
を達成するため、
世界
に誇る牛肉やいちごをはじめ二十七の
重点品目
を選定し、国別に
目標金額
を定めて、産地を
支援
いたします。農業に対する
資金供給
の
仕組み
も変えていきます。 さらに、
主食用米
から高
収益作物
への転換、
森林バンク
、養殖の
推進
などにより、
農林水産業
を
地域
をリードする
成長産業
とすべく、
改革
を進めます。美しく豊かな
農山漁村
を守ります。
我が国
には、内外の
観光客
を惹きつける、自然、気候、
文化
、食が揃っており、
新型コロナ
を克服した上で、
世界
の
観光大国
を再び目指します。 先を見据え、
短期集中
で、ホテル、旅館、街の再生を進めます。
全国
百程度の
地域
で、街中に残る廃屋を撤去し、魅力ある施設へとリニューアルします。
皇室ゆかり
の三の丸尚蔵館は、
我が国
が誇るべき二千を超える国宝・
重要文化財級
の
美術品
を所蔵しています。それらを、
地方
に積極的に貸し出し、
文化観光
の核とします。
国立公園
などにおける自然の中での
宿泊体験
や、城や寺社、古民家での滞在など、
地域
に眠る
観光資源
を磨き上げ、
滞在型観光
やワーケーションを
推進
してまいります。
日本酒
、焼酎などの
文化資源
について、
ユネスコ無形文化遺産
への登録を目指します。 ウポポイが、昨年夏、開業しました。
アイヌ文化
の素晴らしさを体感できるよう、様々な
イベント
を充実させ、
観光
の
起爆剤
とします。
沖縄
では、
名護東道路
がこの夏に全面開通し、
美ら海水族館
や
世界遺産
の
今帰仁城跡
へのアクセスが大幅に改善をされます。
新型コロナ
を機に、改めて
地方
への関心が高まっています。二十三年間、
東京
都へは人の転入が超過していましたが、昨年の夏以降は、五か月連続で流出が続いています。 そうした機会をとらえ、
地方
にいても都会と同じ
仕事
、同じ
生活
ができる
環境
をつくり、都会から
地方
への大きな人の
流れ
を生み出してまいります。 来年度までに光ファイバーが離島を含めて整備され、
全国
的に
テレワーク
の
環境
が整います。
最大
百万円の
交付金
、
住宅購入
には
最大
百万円分の
ポイント付与
で、
地方
への移住を
希望
する
方々
を強力に後押しします。
行政
が求める押印のほとんどをなくし、
手続
を
オンライン
化します。
民間
の
手続
の
見直し
も進めます。
テレワーク
に必要となる
ルール
も改定し、多くの
企業
に活用されるよう、働きかけてまいります。
オンライン診療
・
服薬指導
について、初診の取扱いや
対象疾患
など、
恒久化
に向けて夏までに骨格を固め、実行に移してまいります。 大
企業
で
経験
を積んだ
方々
を、
政府
の
ファンド
を通じて
地域
の中堅・
中小企業
の
経営人材
として紹介する
取組
が始まりました。まずは銀行からスタートし、今後三年で
対象業種
を広げて一万名
規模
に拡大します。
地域
の
経済
の核となる
地域金融機関
の
経営基盤
を強化することとし、統合などの
支援
を
日本銀行
とも連携しつつ進めます。
ふるさと納税
は、今では年間約五千億円となり、活力ある
地域づくり
に大いに役立っています。
企業版ふるさと納税
も
控除額
を九割まで引き上げており、多くの
企業
に活用いただき、
地方
の
活性化
につなげていきたいと思います。
希望
と活力に満ちた
日本
を
未来
につなげていくためには、
世界
に冠たる
我が国
の
社会保障制度
を次の
世代
にしっかり引き継いでいかなければなりません。これが我々の
世代
の責任です。 給付は
高齢者中心
、
負担
は
現役世代中心
という構造を
見直し
、
未来
を担う
子ども
からお年寄りまで全ての人が
安心
できる
社会保障
への
改革
を進めていきます。 長年にわたり、
我が国
の
最大
の
課題
と言われてきたのが少子化の問題です。 結婚や出産、
子育て
を
希望
する
方々
の声に丁寧に耳を傾け、一つひとつの望みを実現していきます。 年間で五万七千人のお子さんが、
不妊治療
により生まれています。
子ども
が欲しいと願い
治療
を続ける
皆さん
に寄り添い、
不妊治療
の
保険適用
を、来年四月からスタートし、
男性
も
対象
にします。それまでの間は、現行の
助成制度
の
所得制限
を撤廃するとともに、二回目以降の
助成額
を倍にし、
予算成立
後、一月一日にさかのぼって実施します。
不妊治療
と
仕事
の両立に、後ろめたい思いをさせてはなりません。
不妊治療休暇
を導入する
中小企業
を
支援
し、
社会的機運
を高めます。 不育症に悩む方には
検査費用最大
五万円の
助成
、
若年者
への
がん治療
に伴う
不妊
への
支援拡充
など、きめ細やかに
対応
してまいります。 長年の懸案である待機児童問題については、
女性
の
就業率
の上昇も見込んだ上で、四年かけて十四万人分の保育の受け皿を整備し、最終的な解消を図ってまいります。そのため、幼稚園やベビーシッターの活用など、
地域
の
子育て資源
をフル活用します。 出産、育児の
負担
がこれまで
女性
に偏ってきた中で、
男性
の
育児参加
という当たり前のことを実現していきます。
男性国家公務員
には一か月以上の
育休取得
を求めています。全ての
企業
に対し、
男性
が
育休取得
しやすい
職場環境
を整備することを義務付けるとともに、
希望
に応じて一か月以上の休業を取得できるようにしていきます。
全国
の小学校について、現在の四十人学級を四十年ぶりに人数を引き下げ、三十五人学級へと改めます。現場で
子ども
の
状況
を把握し、一人ひとりにきめ細かい
教育
を実現します。
女性
の登用拡大や
女性
に対する暴力根絶など、基本計画で掲げられた
目標
の達成に向けて
全力
で取り組みます。
女性
と
男性
が互いに尊重し合い、全ての
女性
が輝く
令和
の
社会
をつくり上げてまいります。
若者
と
高齢者
で支え合い、若い
世代
の
負担
上昇を抑えることは、長年の
課題
であり、いよいよ待ったなしです。 七十五歳以上の
高齢者
のうち、単身者の場合、年収二百万円以上の
方々
の窓口
負担
割合を二割とし、急激な
負担
増とならないための経過措置を設けます。これにより、現役
世代
の保険料
負担
が七百二十億円減ることになりました。 薬価の改定を毎年行うことにより、医薬品の七割の品目を薬価引下げの
対象
とし、
医療
費で四千三百億円、国費で千億円、
国民
が
負担
の軽減を実感できるようにしました。 四月から介護報酬、障害福祉サービスなどの報酬を引き上げるとともに、
デジタル化
や介護ロボットの導入を
支援
します。現場で働く
皆さん
の処遇改善や
生産性
向上を通じて、安全、
安心
のサービスを提供してまいります。 重度
障害者
の
方々
が
企業
や自宅で働く場合の介助
支援
が始まりました。市町村への更なる活用を促し、必要な方が利用できるようにします。
民間企業
にも、障害のある
方々
への合理的配慮を求めます。障害や難病のある
方々
が個性を存分に発揮し、活躍できる
社会
をつくり上げてまいります。
経済
あっての
財政
との考え方の下、当面は
感染
症
対策
に
全力
を尽くし、
経済
再生に取り組むとともに、今後も
改革
を進めます。
我が国
は、多国間主義を重視し、国際
社会
が直面する
課題
に共に取り組む、団結した
世界
の実現を目指します。
ポストコロナ
の国際秩序づくりに指導力を発揮していく決意です。 COP26までに、意欲的な二〇三〇年
目標
を表明し、各国との連携を深めながら、
世界
の脱炭素化を前進させます。
デジタル
時代の信頼性のある自由なデータ流通のための
ルール
づくりを加速させるとともに、WTOの
改革
を
推進
します。 RCEPの進展や日英包括的
経済
連携協定の発効は、自由で公正な
経済
秩序の構築に貢献しました。TPPについても、本年の
議長
国として、その着実な実施と拡大に向けた
議論
を主導してまいります。 日米同盟は、
我が国
外交
、安全保障の基軸であり、インド太平洋
地域
、さらには国際
社会
の自由、平和、繁栄の基盤であります。バイデン次期大統領と早い時期にお会いをし、日米の結束を更に強固にします。そして、
新型コロナ
、気候変動などの共通
課題
で緊密に
協力
をしてまいります。 同時に、日米の抑止力を維持しつつ、
沖縄
の
皆さん
の心に寄り添い、基地
負担
軽減に引き続き取り組みます。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古沖への移設工事を進めます。
世界
の活力の中心であるインド太平洋
地域
では、法の支配に基づく自由で開かれた秩序の形成が極めて重要です。米国をはじめ、ASEAN、豪州、インド、欧州などとの
協力
を深化させつつ、より多くの国、
地域
と共に自由で開かれたインド太平洋の実現に取り組んでまいります。 厳しさを増す安全保障
環境
の中で、
我が国
の領土、領海、領空、そして
国民
の命と平和な
暮らし
を守り抜くことは、最も重い使命です。ミサイルの脅威に
対応
するため、イージス
システム
搭載艦を整備するとともに、抑止力の強化について、引き続き、
政府
内で検討を行います。
経済
安全保障の確保に、
政府
一丸となって取り組みます。安全保障上重要な防衛施設や国境離島を含め、国土の不適切な所有、利用を防ぐための新法を制定します。 政権の最重要
課題
である拉致問題については、私自らが先頭に立ち、米国を含む関係国と緊密に連携しつつ、
全力
を尽くします。金正恩
委員
長と条件を付けずに直接向き合う決意に変わりはなく、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。 安定した日中関係は、両国のみならず、
地域
、国際
社会
のためにも重要です。両国には様々な懸案が存在しますが、ハイ
レベル
の機会も活用しつつ、主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求めていきます。その上で、共通の諸
課題
の解決に向けて連携してまいります。 北方領土問題を次
世代
に先送りせず、終止符を打たねばなりません。二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りは引き継いでおり、これまでの両国間の諸合意を踏まえて交渉を進めます。平和条約締結を含む日露関係全体の発展を目指してまいります。 ASEANは、戦略的なパートナーであり、かけがえのない友人です。就任後の最初の訪問先をベトナムとインドネシアとしたのも、そうした考えからです。ASEANとの間で、今後とも、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた
協力
を更に進めてまいります。 韓国は重要な隣国です。現在、両国の関係は非常に厳しい
状況
にあります。健全な関係に戻すためにも、
我が国
の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な
対応
を強く求めていきます。 憲法は、国の礎であり、そのあるべき姿を最終的に決めるのは、主権者である
国民
の
皆様
です。
国民
から負託を受けた
政治
家がその責任に正面から向き合い、与野党の枠を超えて憲法審査会の場で
議論
を深め、
国民
的な
議論
につなげていくことを期待します。 安定的な皇位の継承などに関する
課題
については、衆参両院の
委員
会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し、
対応
してまいります。 夏の
東京
オリンピック・パラリンピックは、人類が
新型コロナ
ウイルスに打ち勝った証として、また、
東日本大震災
からの
復興
を
世界
に発信する機会としたいと思います。
感染対策
を万全なものとし、
世界
中に
希望
と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります。 まずは、一日も早く
感染
を収束させ、
皆さん
が
安心
して暮らせる日常、そして、にぎわいのある街角を取り戻すために、
全力
を尽くします。
未来
への
希望
を切り拓くため、長年の
課題
について、この四か月間で答えを出してきました。
皆さん
に
我が国
の将来の絵姿を具体的に示しながら、スピード感を持って実現してまいります。 一人ひとりが力を
最大
限発揮し、互いに支え、助け合える、
安心
と
希望
に満ちた
社会
を実現します。 こうした
社会
を実現するためには、
国民
の信託を受け、国政を預かる立場にある
政治
家にとって、何よりも
国民
の
皆さん
の信頼が不可欠であります。先の
国会
における桜を見る会前夜の夕食会に関する私の答弁の中に事実と異なるものがあったことについて、大変申し訳なく、改めてお詫びを申し上げます。 私は、四十七歳で初めて衆議院議員に当選をしたとき、かねてより御指導いただいていた当時の梶山静六
内閣
官房長官から二つのことを言われ、以来、それを私の信条としてきました。 一つは、今後は、右肩上がりの高度
経済
成長
時代と違って、少子高齢化と人口減少が進み、
経済
はデフレとなる。お前はそういう大変な時代に
政治
家になった。その中で
国民
に
負担
をお願いする政策も必要になる。その必要性を
国民
に説明し、理解してもらわなければならない。 もう一つは、
日本
は、戦後の荒廃から
国民
の努力と政策でここまで
経済
発展を遂げてきた。しかし、資源の乏しい
日本
にとって、これからがまさに正念場となる。
国民
の食い扶持をつくっていくのがお前の
仕事
だ。 これらの言葉を胸に、
国民
のために働く
内閣
として、
全力
を尽くしてまいります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ――
―――――――――――
大島理森
10
○
議長
(
大島理森
君)
外務大臣
茂木敏充君。 〔
国務大臣
茂木敏充君登壇〕
茂木敏充
11
○
国務大臣
(茂木敏充君) 第二百四回
国会
に当たり、
外交
政策
の所信を申し述べます。 国際
社会
は、今、三つの大きな変化、
課題
に直面しています。第一に、
新型コロナ
の
世界
的拡大がもたらす危機、そして、人間の安全保障への挑戦という厳しい
状況
をいかに乗り越えるかです。第二に、保護主義や一方的な現状変更の試みなど、これまで国際
社会
の平和と繁栄を支えてきた普遍的価値や国際秩序に対する挑戦。そして第三に、グローバル化、
デジタル化
の進展、気候変動といった国際
社会
が直面する共通の
課題
や、宇宙、サイバーといった新領域、
経済
安全保障など新たな
課題
の顕在化です。 このような時代を画する変化の中にあって、
ポストコロナ
の
世界
を見据え、多国間主義を尊重し、安全保障面でも
経済
面でも、自由で公正な秩序、
ルール
の構築に向け、
日本
がより一層主導的な役割を果たします。これこそが
日本
外交
の目指す確かな方向であると考えます。 まず、
新型コロナ
への
対応
について申し上げます。 これまで外務省としても、
新型コロナ
の
世界
的な拡大の
状況
を分析しつつ、様々な
対策
を講じてきました。
感染
症危険情報を始めとする関連情報のきめ細やかな発出や水際
対策
の強化、さらには、中国・武漢からの帰国オペレーションに始まり、
海外
からの出国、帰国が困難となっていた在外邦人への
支援
に
全力
で取り組んできました。これまでに、百一箇国、一万二千人を超える邦人の出国、帰国を実現しています。今後も在外邦人の安全
確保
及び
支援
に万全を期します。
新型コロナ
の
世界
的な
感染拡大
、人間の安全保障の危機に
対応
していくためには、国際的な連携
協力
が不可欠です。
新型コロナ
を一日も早く収束させ、次なる危機にも備えるため、国際保健
課題
を担うWHOの
改革
や機能強化、また、ASEAN
感染
症
対策
センターへの
支援
を始め、途上国の保健
医療
システム
の強化に積極的に貢献していきます。また、誰の健康も取り残さないとの考えの下、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを
推進
するため、途上国を含めたワクチンへの公平なアクセスの
確保
を全面的に
支援
します。 以上を申し上げた上で、今後、特に七つの
分野
に焦点を当て、包容力と力強さを兼ね備えた
外交
を更に前に推し進めていきます。 第一に、日米同盟の強化です。日米同盟は、
日本
外交
、安全保障の基軸であり、今やインド太平洋
地域
の平和と繁栄の礎でもあります。
地域
の安全保障
環境
が厳しさを増す中、明後日発足するバイデン新政権との間で、抑止力、対処力の強化も含め、日米同盟をより一層強化していきます。その中で、普天間飛行場の一日も早い辺野古移設を始め、地元の
負担
軽減に
全力
を尽くします。さらに、
新型コロナ
対策
、気候変動問題といった国際
社会
の
課題
についても、バイデン新政権と緊密に連携していきます。 第二に、自由で開かれたインド太平洋の実現です。
我が国
が
推進
する自由で開かれたインド太平洋は、法の支配に基づく自由で開かれた秩序を構築することにより、
地域
全体、ひいては
世界
の平和と繁栄を
確保
していくというビジョンであり、今、多くの国々がこの考えを共有しています。そして、
ポストコロナ
に向けて、このビジョンの意義、重要性はますます高まっています。二国間や日米豪印を含む様々な多国間対話の機会を捉え、考え方を共有する米国、豪州、インド、ASEAN、更には欧州、中東、アフリカの国々とも連携
協力
を進めていきます。 第三に、近隣諸国との
外交
に、明確な基本方針の下、積極的に取り組みます。 まず、中国への
対応
です。中国との安定した関係は、日中両国のみならず、
地域
及び国際
社会
の平和と繁栄のために極めて重要です。日中は
世界
第二位、第三位の
経済
大国として、
地域
及び国際
社会
の諸
課題
に取り組んでいく責務を共有しており、両国がその責任をしっかり果たしていくことが、国際
社会
の期待に応えることとなります。同時に、尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海における一方的な現状変更の試みは、断じて認められません。今後とも
日本
の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静に、かつ、毅然と
対応
していきます。南シナ海をめぐる問題についても、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対し、力や威圧によらず、国際法に基づき問題を平和的に解決することが重要であると改めて強調していきます。中国との間には様々な懸案が存在していますが、引き続き首脳会談や外相会談等のハイ
レベル
の機会を
活用
し、主張すべきはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決し、また中国側の責任ある行動を強く求めていきます。 次に、韓国。韓国は重要な隣国であり、
北朝鮮
への
対応
を始め、
地域
の安定には日韓、日米韓の連携が不可欠です。しかしながら、最近の日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などにより更に厳しい
状況
に陥っています。特に、今般の元慰安婦等による対日訴訟判決については、国際法上も、二国間関係上も、到底考えられない、異常な
事態
が発生したと極めて遺憾にとらえています。私から康京和韓国
外交
部長官に電話をし、強く抗議するとともに、韓国が国家として国際法違反を是正するための措置を早急に講じることを強く求めました。
政府
として、両国間の問題に関する
日本
の一貫した立場に基づき、今後とも韓国側に適切な
対応
を強く求めていきます。また、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も
日本
固有の領土であり、この基本的な立場に基づき、冷静に、かつ、毅然と
対応
していきます。 ロシアとは、平和条約締結問題を含む
政治
、
経済
、
文化
等、幅広い
分野
で日露関係全体を発展させていく考えです。
最大
の懸案である北方領土問題の解決のために、首脳間のみならず外相
レベル
でも緊密に対話を重ねることが必要です。二〇一八年のシンガポールでの首脳間のやり取りをしっかりと引き継いでおり、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、交渉責任者として粘り強く交渉に取り組んでいきます。また、北方四島における共同
経済
活動の更なる具体化に向けた
取組
や元島民の
方々
のための人道的措置も着実に進展させていきます。 第四に、
北朝鮮
との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すという基本方針に全く変わりはありません。今後とも、日米、日米韓で緊密に連携し、中国、ロシアを含む国際
社会
とも
協力
しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行の
確保
と朝鮮半島の非核化を目指します。また、政権の最重要
課題
である拉致問題の
早期
解決に
全力
で取り組みます。 第五に、中東情勢への
対応
です。中東
地域
においては、高い緊張状態が継続し、また、イスラエルと一部のアラブ諸国が国交を正常化するなど、情勢の変動が見られます。
世界
各国が様々な関係を持つ、この
地域
の平和と安定は、
我が国
を含む国際
社会
の平和と繁栄に不可欠です。
我が国
は原油輸入の約九割をこの
地域
に依存しており、中東
地域
の海域において、航行の安全を
確保
することは極めて重要です。引き続き、中東
地域
の緊張緩和と情勢の安定化のために、多方面に信頼関係を有する
日本
の立場も活かし、粘り強い
外交
努力を通じて貢献していきます。 第六として、新たな
ルール
作りに向けた国際的
取組
を主導します。
世界
で保護主義や内向き志向が強まる中、
日本
は、TPP11以来、日・EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEPなど、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してきました。引き続き、
日本
が
推進
してきた自由で公正な
経済
圏の拡大や、
ルール
に基づく多角的貿易
体制
の維持強化に取り組みます。また、本年開催が予定される第十二回WTO閣僚
会議
での具体的
成果
も含め、WTO
改革
を主導します。
ポストコロナ
で重要性が増す
デジタル
分野
においては、G20大阪サミットで
議長
国として立ち上げた大阪トラックを国際的に
推進
し、データ流通の共通
ルール
作りを主導するとともに、国連、WTO、OECD等の場においても、国際的な
ルール
作りの
中心
的な役割を果たします。また、質の高いインフラ
投資
に関するG20原則や大阪ブルー・オーシャン・ビジョンなど、
日本
がG20サミットで打ち出した原則、ビジョンの普及、具体化に向けて、引き続き国際的な指導力を発揮します。 以上に加え、
日本企業
の
海外
展開
支援
を始め、
官民
連携の強化に一層取り組みます。また、
東日本大震災
から十年を迎える本年、
海外
における風評
対策
と
日本
産食品に対する輸入規制措置の撤廃に向けた働きかけも一層強化します。 同時に、
日本
の
政策
、
取組
、立場に対する理解と支持を拡げるため、パブリックディプロマシーを一層力強く展開するとともに、先般訪問した中南米を始めとする
世界
各地の日系人
社会
との連携にも、これまで以上に取り組んでいきます。 第七に、地球
規模
課題
への
対応
です。 人間の安全保障の理念に立脚し、積極的かつ戦略的なODAの
活用
を通じ、SDGsの達成を始めとする地球
規模
課題
への
取組
を加速します。特に、現在、気候変動問題への
取組
は最も重要な
課題
です。二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする、カーボンニュートラルの実現に向け、パリ協定が目指す脱
炭素社会
を実現するため、本年のCOP26を含め、各国と連携しつつ、国際
社会
の
取組
をリードしていきます。また、海洋プラスチックごみ、人権、難民・避難民、
女性
の参画、防災など、SDGs達成に向けた諸
課題
にも積極的に取り組みます。 来年、二〇二二年にはアフリカで二回目の開催となる第八回アフリカ
開発
会議
、TICAD8のチュニジアでの開催が予定されています。
新型コロナ
の
感染拡大
でその重要性が更に高まっている保健
分野
を含む
開発
課題
に対し、
人材
育成を始め、アフリカ
自身
が主導する発展を引き続き力強く後押しします。
新型コロナ
の
世界
的な
感染拡大
により、今まで以上に国際協調が求められる中、
日本
はこれまでも国連を始めとする多国間の枠組みを重視してきました。この点、
日本
の常任理事国入りを含む安保理
改革
は待ったなしの
課題
であり、具体的交渉を開始すべく取り組むとともに、国際
社会
の平和と安定に一層貢献するため、来年、二〇二二年の安保理非常任理事国選挙での当選を目指します。また、国連PKOや三月に
日本
で開催をされる第十四回国連犯罪防止刑事司法
会議
、通称京都コングレス等を通じて、幅広い国際
課題
に積極的に貢献していきます。こうした多国間の枠組みを通じた貢献を一層進展すべく、より多くの有能な
日本
人が国際機関で活躍する機会を増やす
取組
を強化していきます。 さらに、八月に開催が見込まれる核兵器不拡散条約、NPT運用検討
会議
が意義ある
成果
を収められるよう、国際的な
議論
に積極的に貢献していきます。 厳しい
状況
を乗り越え、今年の夏は、特別な夏にしたいと
思い
ます。人類がウイルスに打ち勝った証として、安全、
安心
で感動を呼ぶ
東京
オリンピック・パラリンピック競技大会を開催できるよう、外務省としても
政府
全体の
取組
に貢献してまいります。また、今年は、第九回太平洋・島サミットや第十三回日・メコン首脳
会議
を始めとする国際
会議
も
日本
で開催予定であり、
日本
と各国との
協力
関係を新たな高みに引き上げていきます。 ここまで七つの
分野
について
政策
方針を申し上げてきましたが、これらの
政策
の
推進
、包容力と力強さを兼ね備えた
外交
の機動的な展開のために、在外公館の数と質両面の強化を含め、
外交
実施
体制
の強化に取り組みます。 二〇二一年、米国でバイデン新政権がスタートする中で、日米同盟を一層強化するとともに、今や
世界
に拡がりつつある自由で開かれたインド太平洋を一層
推進
していきます。そして、
我が国
として
ポストコロナ
の新たな秩序・
ルール
作りに向けた国際的な
取組
で主導力を発揮する中で、国際
社会
における存在感、プレゼンスを更に高める一年とすべく、責任感と使命感を持って
全力
で取り組む決意であります。 議員各位、そして
国民
の
皆様
の御理解と御
協力
を心からお願い申し上げます。(拍手) ――
―――――――――――
大島理森
12
○
議長
(
大島理森
君)
財務大臣
麻生太郎君。 〔
国務大臣
麻生太郎君登壇〕
麻生太郎
13
○
国務大臣
(麻生太郎君)
令和
二年度第三次補正
予算
及び
令和
三年度
予算
の御審議に当たり、
財政
政策
の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、
予算
の大要を御説明させていただきます。
日本経済
につきましては、
新型コロナウイルス感染症
の影響により、依然として厳しい
状況
にあります。
令和
二年度第一次補正
予算
及び第二次補正
予算
の
政策
効果等もあり、持ち直しの動きがみられますが、
新型コロナウイルス感染症
が内外
経済
を下振れさせるリスクは十分に注意する必要があります。 このような
状況
の下、昨年十二月八日に、
国民
の生命と
暮らし
を守る
安心
と
希望
のための総合
経済
対策
を閣議決定いたしました。総合
経済
対策
を通じて、
雇用
と
事業
を支えながら
新型コロナウイルス感染症
の拡大を防止するとともに、
ポストコロナ
に向けた
経済
構造
の
転換
、好循環の実現を図り、防災・
減災
、
国土強靱化
等の
推進
など安全、
安心
の
確保
を進めてまいります。 先般、
新型コロナウイルス感染症
に関する
緊急事態宣言
が発出されました。今後も
感染
状況
や
経済
、
国民
生活
への影響を注意深く見極め、引き続き、
新型コロナウイルス感染症
対策
予備費を含めた累次の補正
予算
、
令和
二年度第三次補正
予算
及び
令和
三年度
予算
の着実な執行により、適切に
対応
してまいりたいと考えております。
日本
の
財政
は、少子高齢化に伴う
構造
的な
課題
にも直面をいたしております。
経済
財政
運営と
改革
の基本方針二〇二〇等を踏まえ、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化
目標
等の達成に向けて、引き続き、これまでの歳出
改革
の
取組
を継続し、
経済
再生
と
財政
健全化の両立を図ってまいりたいと考えております。 次に、総合
経済
対策
の実行等のために今
国会
に提出をいたしました
令和
二年度第三次補正
予算
の大要について申し述べます。 一般会計につきましては、歳出面において、総合
経済
対策
に基づき、
新型コロナウイルス感染症
の拡大防止策に係る経費に約四兆三千六百億円、
ポストコロナ
に向けた
経済
構造
の
転換
、好循環の実現に係る経費に約十一兆六千八百億円、防災・
減災
、
国土強靱化
の
推進
など安全、
安心
の
確保
に係る経費に約三兆一千四百億円の合計十九兆一千八百億円を計上いたしております。 このほか、国税の減少に伴う
地方
交付税
交付金
原資の減額の補填等を行うとともに、既定経費の減額を行うことといたしております。 歳入面におきましては、租税等の収入について、最近までの収入実績や
企業
収益の動向等を勘案して約八兆三千九百億円の減収を見込んでおります。また、税外収入について、約七千三百億円の増収を見込むほか、前年度剰余金約六千九百億円を計上することといたしております。 以上によってなお不足する歳入について、公債を約二十二兆四千億円発行することとしております。 なお、剰余金の処理につきましては、別途、所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。 この結果、
令和
二年度一般会計第三次補正後
予算
の総額は、一般会計第二次補正後
予算
に対して歳入歳出ともに約十五兆四千三百億円増加し、約百七十五兆六千九百億円となります。 また、特別会計
予算
につきましても、所要の補正を行っております。
財政
投融資計画につきましては、総合
経済
対策
を踏まえ、現下の低金利
状況
を活かして、
生産性
向上や防災・
減災
、
国土強靱化
を加速するとともに、
ポストコロナ
時代の
社会経済
構造
変化に
対応
した
民間
投資
を促進するため、約一兆四千三百億円を追加いたしております。 続いて、
令和
三年度
予算
及び
税制
改正
の大要を御説明させていただきます。
令和
三年度
予算
は、
令和
二年度第三次補正
予算
と合わせて、
新型コロナウイルス感染症
の影響を受けている
国民
の命と
生活
を守るため、
感染拡大
防止に万全を期すとともに、将来を切り拓くために、中長期的な
課題
を見据えて着実に
対応
を進めていく
予算
といたしております。 具体的には、
感染
症危機管理
体制
や
保健所
体制
の
整備
等によって
感染拡大
防止に万全を期すとともに、予期せぬ
状況
変化への備えとして、五兆円の
新型コロナウイルス感染症
対策
予備費を措置することとしております。また、
デジタル社会
、
グリーン
社会
の実現や、全
世代
型
社会保障
の構築など、中長期的な
課題
にもしっかり
対応
するものといたしております。 同時に、歳出全般にわたり
見直し
を行い、一般歳出等について、新
経済
・
財政
再生
計画の目安を達成するなど、歳出
改革
の
取組
を継続いたしております。 一般歳出につきましては約六十六兆九千億円であり、これに
地方
交付税
交付金
等約十五兆九千五百億円及び国債費約二十三兆七千六百億円を加えた一般会計総額は、約百六兆六千百億円となっております。 一方、歳入につきましては、租税等の収入は約五十七兆四千五百億円、その他収入は約五兆五千六百億円を見込んでおります。また、公債金は約四十三兆六千億円となっております。 なお、
特例
公債の発行につきましては、別途、所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。 次に、主要な経費について申し述べます。
社会保障
関係費につきましては、職員の処遇改善にも配慮した介護報酬改定、障害福祉サービス等報酬改定の実施に必要な経費を
確保
しつつ、毎年薬価改定の実現等、様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるという方針を達成いたしております。 文教及び科学振興費につきましては、小学校三十五人以下学級の実施に向けて必要な教職員定数の措置及び合理化等を図るほか、大学
改革
、安全、
安心
な学校の
施設
整備
等を
推進
するとともに、
科学技術
基盤を充実し、
イノベーション
を促進することといたしております。
地方
財政
につきましては、国税及び
地方
税の税収の落ち込みに対し、
地方
の一般財源総額を適切に
確保
し、
地方
に
最大
限配慮することといたしております。 防衛関係費につきましては、安全保障
環境
の変化に
対応
するため、中期防衛力
整備
計画に基づき、調達の
効率化
を徹底しつつ、宇宙やサイバーといった新領域を含め防衛力を着実に強化することといたしております。 公共
事業
関係費につきましては、ハード、ソフトが一体となった防災・
減災
対策
と維持更新コストの増加抑制の観点を踏まえつつ、
国土強靱化
の
取組
への重点化を図るほか、
生産性
向上のためインフラ
整備
等を
推進
することといたしております。
経済
協力
費につきましては、
新型コロナウイルス感染症
の国際的な収束に向け、保健
分野
での途上国
支援
を強化しつつ、ODAは
予算
、
事業
量ともに必要な額を
確保
することといたしております。
中小企業
対策
費につきましては、
生産性
向上を促進するための設備
投資
や、
事業
再生
、
事業
承継に対する
支援
を充実するほか、
資金
繰り
対策
にも万全を期すことといたしております。 エネルギー
対策
費につきましては、
再生可能エネルギー
の主力電源化や
カーボンリサイクル
の
推進
など、
イノベーション
による脱
炭素
化を
推進
するほか、
災害
時に強い
エネルギー供給
網の
整備
に取り組むことといたしております。 農林水産関係
予算
につきましては、農林水産物・食品の輸出拡大、
農業
経営の
生産性
向上を進めるほか、
グリーン
社会
実現に向けた森林資源管理や、
改正
漁業法を踏まえた適切な水産資源管理に取り組むことといたしております。
東日本大震災
からの
復興
につきましては、第二期
復興
・創生期間の初年度において
復興
のステージに応じたきめ細やかな
取組
を着実に実施するため、
令和
三年度
東日本大震災
復興
特別会計の総額を約九千三百億円といたしております。
令和
三年度
財政
投融資計画につきましては、
新型コロナウイルス感染症
の影響を受けた
企業
、
事業
者及び
地方
公共団体への強力な
支援
、
イノベーション
の大胆な加速と
事業
再生
、
構造
転換
、低金利を利用した
生産性
向上や防災・
減災
、
国土強靱化
等につながるインフラ
整備
の加速のため、総額約四十兆九千百億円といたしております。 国債管理
政策
につきましては、借換債を含みます国債発行総額が約二百三十六兆円と、過去に類を見ない
規模
になる中で、引き続き市場との緊密な対話に基づき安定的な国債発行に努めてまいります。
令和
三年度
税制
改正
につきましては、
ポストコロナ
に向けた
経済
構造
の
転換
、好循環の実現を図るための
企業
の
デジタル
トランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた
投資
を促進する措置を
創設
いたすとともに、こうした
投資
等を行う
企業
に対する繰越欠損金の控除上限の
特例
を設けることといたしております。また、
中小企業
の経営資源の集約化による
事業
再構築等を促す措置を
創設
することといたしております。さらに、家計の
暮らし
と民需を下支えするため、住宅ローン控除の
特例
の延長等も行うことといたしております。 このほか、
日本
の
金融
資本市場を
国際金融センター
の一つとして発展させ、
海外
から
金融
事業
者、高度
人材
を呼び込むことは、重要な
課題
と存じます。
政府
一体となってこの
課題
に取り組み、所要の
税制
上の措置を講ずることといたしております。 以上、
財政
政策
の基本的な考え方と、
令和
二年度第三次補正
予算
及び
令和
三年度
予算
の大要について御説明させていただきました。 次の
世代
に
未来
をつないでいくためには、今回の危機を乗り越えるとともに、
構造
的な
課題
に着実に取り組むことで、
経済
再生
と
財政
健全化の両立を進めていく必要があります。そのため、これらの
予算
及び関連法案の一刻も早い成立が必要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、
財政
政策
につきまして、
国民
の
皆様
及び議員各位の御理解と御
協力
を切にお願い申し上げます。(拍手) ――
―――――――――――
大島理森
14
○
議長
(
大島理森
君)
国務大臣
西村康稔君。 〔
国務大臣
西村康稔君登壇〕
西村康稔
15
○
国務大臣
(西村康稔君)
経済
財政
政策
担当大臣として、
我が国経済
の現状と
課題
、
政策運営
の基本的考え方について所信を申し述べます。 二〇二〇年の
日本経済
は、
新型コロナウイルス感染症
の影響により、大変厳しい
状況
となりました。四、五月には、
緊急事態宣言
の下、
経済
を広く人為的に止めたことで戦後
最大
の落ち込みを
経験
しました。その後は、各種
政策
の効果や
海外
経済
の改善もあり、持ち直しの動きが続いていますが、
経済
は依然としてコロナ前の
水準
を下回っており、回復は道半ばです。 特に、最近の
感染拡大
による
経済
の下振れリスクに十分な注意が必要です。
政府
は、今月、十一都府県を
対象
とする
緊急事態宣言
を発出したところですが、今回の
緊急事態宣言
においては、これまでの
経験
、知見や
専門家
の分析を踏まえ、
感染
リスクの高い場面に効果的な
対策
を徹底します。あわせて、昨年春の
経験
も踏まえ、いわゆるエッセンシャルワーカーの
方々
には配慮しつつ、
テレワーク
により出勤者数の七割削減、
不要不急
の
外出自粛
など、
国民
の
皆様
に御
協力
をお願いして、何としても
感染拡大
を抑えることを最優先に
対応
してまいります。 この難局を
国民
一体となって乗り越えるため、これらの措置によって厳しい影響を受ける
方々
には、
協力金
の拡充など予備費の
活用
も含めた
支援
策を講じてまいります。また、
対策
の
実効性
を高めるため、新型インフルエンザ等
対策
特別措置法など関連法
改正
について、幅広い
関係者
の意見を聴きながら
早期
に
国会
に提出します。 引き続き、
国民
の
皆様
の御理解、共感をいただけるよう適切な情報発信をしながら、
感染対策
に
全力
で取り組みます。
政府
は、昨年十二月、決してデフレには戻さないとの強い決意で、
財政
支出四十・〇兆円程度、
事業規模
七十三・六兆円程度の、
国民
の命と
暮らし
を守る
安心
と
希望
のための総合
経済
対策
を閣議決定しました。
医療
提供
体制
の更なる強化やワクチン
接種体制
の
整備
など、
新型コロナウイルス感染症
の
感染拡大
防止に
全力
を挙げるとともに、
感染
症の厳しい影響に対し、
雇用
と
生活
をしっかり守ること、同時に、
成長
分野
への
民間
投資
を呼び込みながら、民需主導の
成長
軌道の実現につなげることという二つの視点の下、
予算
、規制、
税制
といったあらゆる
政策
手段を総動員し、防災・
減災
、
国土強靱化
の
推進
も盛り込んだ総合的な
対策
としています。本
対策
の裏付けとなる
令和
二年度第三次補正
予算
を
令和
三年度当初
予算
と一体的に、十五カ月
予算
として切れ目ない
経済
財政
運営を行ってまいります。 これらにより、
緊急事態宣言
による厳しい
状況
を乗り越え、来年度の
経済
成長
率は、実質四・〇%、名目四・四%程度、GDPは来年度中にはコロナ前の
水準
を回復することを見込んでおります。その実現に向けて、デフレ脱却、
経済
再生
に
全力
で取り組んでまいります。 また、
経済
再生
なくして
財政
健全化なしとの基本方針の下、民需主導の
成長
軌道に戻すことに万全を期すとともに、新
経済
・
財政
再生
計画
改革
工程表の着実な実行やデータに基づく
政策
立案により
政策
効果の高い歳出への
転換
を徹底し、
財政
健全化につなげてまいります。 今回のコロナ危機は大変厳しい試練ではありますが、その一方で、これまで困難と思われてきた
課題
への
対応
も、やればできるということがわかりました。 就業者の三割以上、
東京
二十三区では六割近くが
テレワーク
を
経験
し、
地方
移住
への関心も高まっています。
内閣
府の意識
調査
では、今では
東京圏
在住の三割が
地方
移住
に関心を持ち、二十代の
若者
に限定すれば、その割合は四割に上るとの結果となっています。これは長年の
課題
であった
東京
一極
集中
是正に向けたチャンスでもあり、二
地域
居住やスマートシティーの実現、ワーケーションを始めとする新たな働き方など、
未来
に向けた芽が出始めています。 こうした動きを後戻りさせず、新たな日常を定着させ、更に拡大してまいります。このことが、
感染
防止と
経済
の
生産性
向上を両立させつつ、ウィズコロナ、
ポストコロナ
時代の新しい
成長
につながると考えます。 そのためには、まず、
デジタル化
の
推進
です。
デジタル
ガバメントの
確立
に向けた
取組
を抜本的に加速し、あわせて、5Gのその後も見据えた通信網の高度化、交通、物流
分野
等における
デジタル化
など、
デジタル
ニューディールを強力に
推進
し、
デジタル化
を通じた
民間企業
の経営革新を促してまいります。
グリーン
社会
の実現に向けた
取組
もカギとなります。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、
成長
が期待される十四の
産業
において、高い
目標
を設定し、あらゆる
政策
を総動員する戦略として、昨年末に
グリーン成長戦略
が策定されました。更なる深掘りを進め、今年の
成長
戦略に反映し、
民間
の大胆な
投資
や
イノベーション
に向けた
取組
を
グリーン
ニューディールで
全力
で後押ししてまいります。 また、
日本企業
の
組織
の硬直性を打破することが急務です。 定期的にシリコンバレーを訪問してきていますが、ある
ベンチャー企業
からは、
日本企業
はたくさん視察に来るが、いつも五十歳前後の
男性
ばかり。スーツ姿にネクタイだけ外して、毎回同じような質問ばかりして帰っていく。そして、その後何の連絡もない。なぜ、
日本企業
には
外国人
、
女性
、
若者
がいないのか。このように、
日本企業
の多様性の低さについて、目が覚めるような指摘を受けました。 今こそ、多様な
人材
の登用を促し、多様な発想で
未来
を切り拓くときです。
コーポレートガバナンス改革
を推し進め、
外国人
や
若者
、
女性
の活躍の機会を増やすことにより、
企業
の経営革新につなげ、GAFAのような
世界
を牽引する
企業
が
日本
からも創出されるような
事業
環境
を作ってまいります。大
企業
から
ベンチャー企業
まで、産学官オープン
イノベーション
の
推進
に取り組みます。また、
中堅
・
中小企業
に対しては、新たな
分野
への展開、業態
転換
等を
支援
するための
最大
一億円の
事業
再構築補助金を
創設
し、前向きな
取組
を後押ししてまいります。 そして、何より重要なのは人への
投資
であります。一人ひとりの
人材
能力を引き出し、新たな時代に適応した
イノベーション
を生む
人材
の育成に取り組みます。子供たちには、少人数学級とICT
活用
を両輪とした個別最適な学びの実現、
社会
人には、キャリアアップ
支援
やリカレント
教育
の強化、
テレワーク
や副業、兼業、フリーランス等の多様な働き方の
環境
整備
を進め、多様な
人材
の能力、発想が存分に発揮されるよう、人への
投資
、正にヒューマンニューディールを進めてまいります。
成長
戦略
会議
で取りまとめた実行計画において、
ポストコロナ
時代を見据えた主要
改革
の基本的方向性を具体化しました。今
国会
において、
産業
競争
力強化法の
改正
など所要の法案を提出するとともに、最終取りまとめに向けて、
成長
戦略の検討を更に進めてまいります。
イノベーション
の創出や
地方創生
のためには、
海外
から高度な
人材
、技術、豊富な
資金
を呼び込むことが重要です。対日直接
投資
の一層の促進に向け、法人設立
手続
きの
オンライン
化、英語化に加え、高度
人材
の受入れや新しい時代に向けた
デジタル投資
や
企業
再編を促進すべく、
税制
改革
を含めた
事業
環境
の
整備
を進めてまいります。本年春までに、次期達成
目標
設定を含めた中長期戦略を取りまとめてまいります。 また、
世界
で自国第一主義が広がる中、TPP11協定等を通じた自由貿易の重要性が改めて認識されています。本年のTPP
委員
会の
議長
国として、特に、
デジタル
の実装、サプライチェーンの強靱化といった
分野
での
議論
を更に深め、
協力
を
推進
していきます。その一環として、
デジタル
経済
に関してウェブ上の国際的なセミナーを開催したいと
思い
ます。 このハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の
ルール
を
世界
に広めていくため、引き続き署名国による協定の
早期
締結を促すとともに、TPP11協定の着実な実施、拡大に取り組んでまいります。その際、加入に関心を示しているエコノミーが協定の高い
レベル
を満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極めてまいります。
医療
や介護の現場の
方々
、
生活
に困っておられる方への
支援
に携わる
方々
など、年末年始も休まず最前線に立ち続けている
皆様
に心より感謝を申し上げます。 今回のコロナ危機はそれぞれの
社会
の脆弱なところを浮き彫りにしており、
我が国
においても非正規
雇用
の
方々
や
女性
など弱い立場にある
方々
が大変厳しい
状況
に直面しています。
生活
困窮者や
ひとり親世帯
への
支援
、再
就職
支援
やトライアル
雇用
に対する
賃金
助成
などを通じ、セーフティーネットを強化し、誰一人として取り残されない包摂的な
社会
の構築に取り組んでまいります。 また、
暮らし
と
雇用
を守りつつ、一人ひとりの能力を
最大
限に引き出しながら働きがいを持って
仕事
に取り組めるよう、働きながら更なる能力向上に取り組める
環境
整備
、新たな
分野
への円滑な労働
移動
の
支援
など、パッケージとして総合的に取り組みます。
就職氷河期世代
の
方々
についても、お一人お一人に寄り添いながら、それぞれの事情に応じたきめ細かな
支援
を行ってまいります。
成長
と分配の好循環を実現するためには、
雇用
の
確保
とともに、
最低賃金
を含めた賃上げの
流れ
を継続していくことが大切です。厳しい
状況
にある
企業
も多くあることは承知をしておりますが、
政府
として、
中小企業
を始めとする
生産性
向上に向けた
支援
、
雇用
増や賃上げなど
所得
拡大を促す
税制
措置を講じるなど、賃上げのモメンタムを維持できる
環境
整備
に
全力
で取り組んでまいります。 少子高齢化が急速に進む中、少しでも多くの方に、支えられる側から支える側として活躍いただけるよう、現役
世代
の
負担
上昇
を抑えながら、全ての
世代
の
方々
が
安心
できる
社会保障制度
を構築し、次の
世代
に引き継いでいくことが、我々の
世代
の責任です。昨年末閣議決定された全
世代
型
社会保障
改革
の方針に沿って、少子化
対策
の抜本的強化と
高齢者
医療
について
負担
の
仕組み
の
見直し
に取り組むことで、
改革
を更に前へ進めていきます。 本通常
国会
では、方針において示された後期
高齢者
の自己
負担
割合のあり方等、必要な法案の提出を図るとされた項目について、法案を提出し速やかに御審議いただけるよう万全を期してまいります。
新型コロナウイルス感染症
は、
我が国経済
が抱えてきた長年の
課題
を改めて浮き彫りにしました。
感染拡大
を
全力
で抑えながら、今こそ、こうした
課題
に正面から取り組むときです。
デジタル
、
グリーン
、ヒューマン、この三つのニューディールに
全力
で取り組み、
民間
の創意工夫、
投資
意欲を引き出すとともに、多様な
人材
の能力、発想が花開く
社会
にしていきたい。コロナ禍の中、今は大変厳しい
状況
にありますが、その中だからこそ、
未来
への扉を開いていこうではありませんか。三つのニューディールこそが
未来
の扉を開きます。そして、一人ひとりが扉の向こうに向けて新たな一歩を踏み出す、その勇気を
全力
で応援していきたいと
思い
ます。 本年二〇二一年が、
我が国経済
社会
の大きな変革のラストチャンスとの気概を持って、
日本
が新たな、そして大きな一歩を踏み出す一年となるよう
全力
を尽くしてまいります。
国民
の
皆様
、議員各位の御理解と御
協力
をよろしくお願い申し上げます。(拍手) ――
――◇―――――
武部新
16
○武部新君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二十日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
大島理森
17
○
議長
(
大島理森
君) 武部新君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大島理森
18
○
議長
(
大島理森
君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十三分散会 ――
――◇―――――
出席
国務大臣
内閣総理大臣
菅 義偉君
財務大臣
麻生 太郎君 総務大臣 武田 良太君 法務大臣 上川 陽子君
外務大臣
茂木 敏充君 文部科学大臣 萩生田光一君 厚生労働大臣 田村 憲久君 農林水産大臣 野上浩太郎君
経済
産業
大臣 梶山 弘志君 国土交通大臣 赤羽 一嘉君
環境
大臣 小泉進次郎君 防衛大臣 岸 信夫君
国務大臣
井上 信治君
国務大臣
小此木八郎君
国務大臣
加藤 勝信君
国務大臣
河野 太郎君
国務大臣
坂本 哲志君
国務大臣
西村 康稔君
国務大臣
橋本 聖子君
国務大臣
平井 卓也君
国務大臣
平沢 勝栄君 出席
内閣
官房副長官
内閣
官房副長官 坂井 学君