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2021-03-16 第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月十六日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 左藤  章君    理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君    理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君    理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君    理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君       安藤  裕君    石川 昭政君       上杉謙太郎君    尾身 朝子君       大串 正樹君    櫻田 義孝君       繁本  護君    柴山 昌彦君       谷川 弥一君    中村 裕之君       根本 幸典君    馳   浩君       福井  照君    船田  元君       古田 圭一君    三谷 英弘君       村井 英樹君   山本ともひろ君       吉良 州司君    下条 みつ君       寺田  学君    中川 正春君       谷田川 元君    山内 康一君       吉川  元君    笠  浩史君       古屋 範子君    鰐淵 洋子君       畑野 君枝君    藤田 文武君       白須賀貴樹君     …………………………………    文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君    文部科学大臣政務官    兼内閣大臣政務官    三谷 英弘君    参考人    (日本大学文理学部教育学科教授)         末冨  芳君    参考人    (日本教職員組合中央執行委員長)         清水 秀行君    参考人    (東京大学大学院教育学研究科教授)        本田 由紀君    文部科学委員会専門員   但野  智君     ――――――――――――― 三月十五日  教育費負担公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願岡本あき子紹介)(第一八四号)  同(村上史好君紹介)(第一八五号)  同(荒井聰紹介)(第一八七号)  同(逢坂誠二紹介)(第一八八号)  同(神谷裕紹介)(第一八九号)  同(木村次郎紹介)(第一九〇号)  同(佐々木隆博紹介)(第一九一号)  同(津島淳紹介)(第一九二号)  同(辻元清美君紹介)(第一九三号)  同(中谷元紹介)(第一九四号)  同(井上義久紹介)(第二〇九号)  同(平口洋紹介)(第二一〇号)  同(堀井学紹介)(第二一一号)  同(吉川元紹介)(第二一二号)  同(阿久津幸彦紹介)(第二四四号)  同(池田真紀紹介)(第二四五号)  同(奥野総一郎紹介)(第二四六号)  同(川内博史紹介)(第二四七号)  同(田嶋要紹介)(第二四八号)  同(武部新紹介)(第二四九号)  同(原口一博紹介)(第二五〇号)  同(福田昭夫紹介)(第二五一号)  同(谷田川元紹介)(第二五二号)  同(山本有二紹介)(第二五三号)  同(金子恵美紹介)(第二五七号)  同(武部新紹介)(第二五八号)  同(玉木雄一郎紹介)(第二五九号)  同(生方幸夫紹介)(第二八二号)  同(小川淳也紹介)(第二八三号)  同(白石洋一紹介)(第二八四号)  同(野田毅紹介)(第二八五号)  同(福井照紹介)(第二八六号)  同(山口泰明紹介)(第二八七号)  同(高井崇志紹介)(第二九六号)  同(前原誠司紹介)(第二九七号)  同(三原朝彦紹介)(第二九八号)  同(柚木道義紹介)(第二九九号)  同(山岡達丸紹介)(第三〇四号)  同(本村伸子紹介)(第三一二号)  同(山田賢司紹介)(第三一三号)  同(吉川元紹介)(第三一四号)  全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康が守られる教育条件を求めることに関する請願村上史好君紹介)(第一八六号)  国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増教育無償化教育条件改善に関する請願菊田真紀子紹介)(第一九五号)  同(池田佳隆紹介)(第二一三号)  同(佐藤公治紹介)(第二一四号)  同(重徳和彦紹介)(第二一五号)  同(古川元久紹介)(第二一六号)  同(牧義夫紹介)(第二一七号)  同(生方幸夫紹介)(第二八八号)  同(黒岩宇洋君紹介)(第二八九号)  同(近藤昭一紹介)(第二九〇号)  同(笠浩史紹介)(第二九一号)  同(稲富修二紹介)(第三〇〇号)  同(阿部知子紹介)(第三一五号)  同(岸本周平紹介)(第三一八号)  同(本村伸子紹介)(第三一九号)  同(山内康一紹介)(第三二〇号)  学校現業職民間委託推進するトップランナー方式の撤回、学校現業職員法的位置づけに関する請願務台俊介紹介)(第二九五号)  同(岡本あき子紹介)(第三〇五号)  同(下条みつ紹介)(第三一六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)      ――――◇―――――
  2. 左藤章

    左藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、日本大学文理学部教育学科教授末冨芳君、日本教職員組合中央執行委員長清水秀行君及び東京大学大学院教育学研究科教授本田由紀君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただければと思います。どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。  それでは、まず末冨参考人お願いいたします。
  3. 末冨芳

    末冨参考人 皆様、この度は、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案について真剣な御審議を賜り、大変ありがとうございます。  それでは、早速意見を申し述べさせていただきます。  私は、義務標準法を含む教育行財政研究専門家でございます。  本日は、義務標準法改正につきまして、学級編制の少人数化必要性、三十五人学級効果検証在り方について意見を述べさせていただきます。  資料の二ページ目に進ませていただきます。  学級編制の少人数化必要性につきましては、(1)から(4)の視点から、その必要性を申し述べさせていただきます。先生方が御案内の事項も多うございますので、少し駆け足説明するところもございます。  それでは、スライドの三にお進みください。  (1)パンデミック時代児童安全確保。  少人数学級は、全国知事会からの要望でも指摘されておりました、感染症対策としての重要性があります。  新型コロナウイルスパンデミックから日本政府が何を教訓として導くべきかといえば、それは、学校教育歴史もまた感染症対策歴史であったということです。  スライドの四に進ませていただきます。  スライド四のグラフは、学齢期児童において毎年死亡例や重症例の多いインフルエンザ脳症の昨年度発症数を示したものですが、七歳や十三歳という学齢期児童死亡例も確認できます。  新型コロナウイルスとの戦いが終わるとしても、感染症との戦いが終わるわけではございません。限りある財源は、日本の未来を担う子供たちの生命と安全の確保のためにしっかりと使われるべきであり、少人数学級推進急務です。  スライドの五番目に進ませていただきます。  (2)物理的な学習教育環境改善必要性について述べます。  児童一人一台のタブレットにより、教室や机が狭くなっています。写真を御覧いただくと、新JIS規格でも、タブレットを置けばテキストが落ちそうになっています。この問題を解決するために、机を広くする補助具も発売されておりますが、机を広くすれば、教員児童が動ける教室面積は狭くなります。  また、従来、学級人数が多いほどうるさいと児童が認識し、実は教員の声が聞こえていないのではないかという状況もございます。  スライドの六にお進みください。  既に教育再生実行会議でも指摘されていますが、GIGAスクール推進により、従来の六十三平米若しくは六十四平米に電子黒板タブレット保管庫等を収容すると、四十人の児童が十分なディスタンス確保する条件では収容し切れなくなります。また、先ほど述べた机の補助具をつければ、児童が座ることができる面積が更に減少いたします。中には収納ロッカーを撤去する学校もございます。  文部科学委員会の議員の皆様なら御了解いただけるはずですが、散らかった教室ではグループ活動などのアクティブラーニングに取り組みづらく、また、そもそも児童集中力も低下いたします。  次のスライドにお進みください。  実際に、国立教育政策研究所研究では、持ち物が収納できない教室ではアクティブラーニングに取り組みづらいと教員が認識し、特にそれは学級児童数が多いほど顕著であることが把握されています。  スライドの八にお進みください。  また、コロナの前から、児童数が多い学級ほどうるさい、別の言葉で言うと、児童教員の声を聞くために必要な音環境が保たれていないという問題が、建築学分野中心に指摘されてまいりました。  特に、聴覚障害を持つ児童聴覚過敏特性を持つ児童も同じ学級にいる中で、インクルーシブな教育環境のためにも、聞こえないという四十人学級、あるいはうるさいという四十人学級を放置することも許されないはずです。  スライドの九に進ませていただきます。  教育機会均等は、自治体間の教育条件均等化でもあります。これについては、今回の義務標準法改正の対象となります三十六人以上学級都市部に集中していることが既に把握されています。  皆様案内案件でございますので、教員確保策についてここでは意見を申し述べます。  教員確保に際しては、小学校高学年専科教員の導入が不可欠です。  また、多様な人材学校で活躍してもらうためには、現在は都道府県しか授与権のない特別免許状を、政令市移管あるいは市町村具申権の拡大が必要と考えます。特に、人口が集中する政令市は、採用権任命権が既に移譲されており、特別免許状授与権も早急に検討する必要があると考えます。  あわせて、教員免許更新講習見直し、また、教員が辞職や休職をする原因一つとなっている教職員間ハラスメント相談体制充実、経済的なインセンティブにつきましては、例えば日本学生支援機構奨学金減免措置等、前提としての働き方改革など、様々な手段が必要です。  加えて、多様な教員の受入れに際しては、教員性暴力対策等児童の安全を守る体制整備急務です。  スライドの十に進ませていただきます。  教育の質の改善への対応、少人数学級でのきめ細かな指導体制につきましては、教員負担を減らし、児童へのよりきめ細かい指導体制を可能にしなくてはなりません。  文部科学省推進する観点別評価は、子供一人一人を丁寧に評価する重要な手法ですが、それゆえに現職教員成績処理が大変という意識を持っており、実際に、文科省教員勤務実態調査では、多忙化の要因となることが実証されています。  そちらを示しましたのが、次のスライドの十一になります。  このスライドは、文部科学省勤務実態調査で、成績処理が、教員勤務時間差が大きく、この背景には学級サイズの違いというものがあると考えられておりますので、改善されるべき実態を示しています。  スライドの十二に進ませていただきます。  (4)アクティブラーニング、個別最適な学び協働的学びへの対応については、文部科学省リーフレットに示されておりますように、一斉指導個別指導協働学習と、学習集団が柔軟に運用されることになっています。  多忙な中でも、日本学校教員たちは、子供たちのために教員学びスキルを伸ばしたいという意欲を高めています。義務標準法改正により、人が増え、教員スキル向上のための時間確保をすることが、ICT教育トップ国への躍進の条件でもあるはずです。  ここまで、小学校での少人数学級推進が今こそ必要である理由について述べてまいりました。  本意見陳述では小学校について述べてきましたが、中学校でも同様の課題を有することを付記させていただきたいと存じます。中学校人数学級への投資も急がれます。  スライドの十三に進ませていただきます。  ここからは、三十五人学級効果検証在り方について申し上げておきます。  専門家として最初に指摘しておかなければならないのは、クラスサイズ効果検証は、クラスサイズパズルとも呼ばれる難題であり、少人数学級にしたからといってすぐにテストスコア改善するような簡単な問題ではないということです。  ただし、より小規模な学級と比較したときに、四十人学級児童教育により効果的というエビデンスはありません。しかしながら、より精緻な検証が必要であることも確かです。  これまでの国内研究では、少人数学級は、SES保護者社会経済的地位が相対的に低い学校に通う児童生徒において大きいことが分かっています。  スライドの十四に進ませていただきます。  国立教育政策研究所調査分析でも、習熟度別編成より少人数学級の方が効果があるが、学年学校規模等の影響もあるという結果になっております。  クラスサイズパズル解き方をどのように構想するかが教育の質を左右する重要な問題です。  スライドの十五に進ませていただきます。  三十五人学級効果検証に際しては、クラスサイズパズル解き方を間違えないということを強調しておきたいと思います。  この図の青の点線の矢印が、今まで教育経済学教育社会学で主流となってきた、学級規模テストスコアとの関係中心検証しようとする分析のモデルになります。財務省の皆様もここに注目しておられたはずです。  しかしながら、クラスサイズテストスコア関係だけに焦点化すると、教育質向上のための学習プロセス改善検証がおろそかにされる懸念がございます。  図の赤のくくりは、少人数学級という条件児童生徒テストスコアに結びつくまでのプロセス検証こそが、教育の質の更なる改善のために重要な分析であることを示しています。学校経営教室環境教師指導児童生徒学び、これらのプロセス検証改善こそが、我が国教育の質を高めるためになくてはならないクラスサイズパズルの解法なのです。  スライドの十六に進ませていただきます。  前のスライドに示しました、より適切なクラスサイズパズル解き方のためには、教育ビッグデータ整備運用による教育活動検証改善が必要となります。  重要なのは、学校現場児童生徒教職員実態を把握した上で、教育活動改善、必要なリソースの確保につながるエビデンスインフォームド検証改善体制構築になります。  そのためには、学校データベース教員データベース児童生徒データベース基盤とした検証、有効な学習方法等分析が必要になります。  日本研究者が長年待望してきた教育ビッグデータ分析は、これまでにない精度での検証を可能にします。だからこそ、データ分析現場支援につなげていく体制構築が重要なのです。  スライドの十七に進ませていただきます。  それでは、教育ビッグデータ構築される時代にあって、教育の質をどのように検証していくのか、このストラテジーこそ、少人数学級効果検証のみならず、我が国教育政策の成否を左右するコア政策だと言っても過言ではございません。  教育の質を検証する際には、式に示しましたように、教員の質、教育活動の質、児童生徒学習時間、家庭のSES等に着眼した分析が不可欠となります。  教育の質につきましては、(3)教育基本法教育振興基本計画に基づき、生きる力指標群(仮称)を通じた教育の質の改善検証が必要であると考えます。  テストスコアは重要な指標一つではありますが、その成長基盤ともなる非認知スキル教師効力感等、いじめなどの生徒指導関係指標等ストレス尺度などの心身の健康安全に関する指標など、総合的な指標の中で子供たち成長検証していくことが、変化の多い時代を生きる子供たちの資質、能力の育成のために欠くべからざることと言えましょう。この考え方は、教育基本法第一条に示される理念の実現の上でも重要なものです。これらの指標群検証のためには、研究者専門家活用戦略も必要となります。  次のスライドに進ませていただきます。  生きる力指標群の測定、検証は、教育ビッグデータ構築と、文部科学省全国学力学習状況調査問題行動・不登校調査等改善により可能です。  さらに、これらの検証結果を学校評価にフィードバックできる仕組みを導入することで、ともすれば教育委員会や校長の勘と経験に依存してきた我が国教育経営を、エビデンスの力もかりながら更にパワーアップできると考えます。  スライドの十九番にお進みください。  こちらは説明を省かせていただきますが、実際に生きる力指標群と類似の指標運用エビデンスインフォームド政策が足立区において推進されており、既に事例はございます。  スライドの二十にお進みください。  教育の質を改善するための教員の質、教育活動の質、学習時間については、既にここまでで触れた内容もございますので、特に強調すべき内容のみ申し上げさせていただきます。  教員の質の検証に際しては、適切な教員政策のために教員評価、処遇と連動させない客観的分析をする必要がございます。検証のない性急な教員政策の変更は、離職者増加や恣意的なデータ改ざん原因ともなりかねません。着実な検証改善のための必要条件となります。  また、優秀な人材確保の方策に際しての検証も必要となります。  そして、教育活動の質の検証に際しては、日本では、児童生徒学習者特性に着眼した検証が必要とされる状況にあります。  スライドの二十一にお進みください。  先ほど、教育活動の質の検証に際しては、児童生徒学習者特性に着眼した検証が必要だと申し上げました。  図の上の方、矢印がある方を御覧ください。これは、PISAテストで、社会経済階層下位五%に相当する生徒スコア矢印根本上位五%に相当する生徒スコア矢印の先となっています。日本は、下位五%のスコア上位五%のスコアも高くありません。それが、日本PISAスコア社会経済階層による格差先進国最小とされる理由です。  スーパーサイエンスハイスクール政策子供貧困対策の二つの政府政策委員として関わる研究者として指摘させていただくならば、日本エリート政策貧困政策も大きく成功はしておりません。PISAレベル5、レベル6の高学力層のボリュームは、中国、韓国、シンガポールなどのアジア諸国の中ではむしろ少ないとも言っていいぐらいです。  また、貧困層子供への対策も十分ではなく、食事すら満足に取れず、低学年から授業が分からない層が日本全国にいます。こうした子供たちに適切な支援があれば、より高い学力を保障され、社会で一層の活躍ができるようになるはずです。  スライドの二十二にお進みください。  こちらが最後のスライドとなりますが、イギリスの政府系独立行政法人であるエデュケーション・エンダウメント・ファウンデーションが作成した指導方法改善ツールキットとなります。日本でも、学級標準改正とともにこうした検証が行われることも重要です。  エデュケーション・エンダウメント・ファウンデーションは、困難校や困難な地域に対し、研究指定校制度により直接支援も実施しており、少人数学級GIGAスクール教育ビッグデータの新たな時代文科政策地方教育委員会支援機能の進化も期待されます。  参考文献は、スライドの二十三、二十四に示させていただいております。  駆け足説明で恐縮でございました。  以上で意見陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 左藤章

    左藤委員長 末冨参考人、ありがとうございました。  次に、清水参考人お願いいたします。
  5. 清水秀行

    清水参考人 おはようございます。参考人の、日本教職員組合中央執行委員長を務めております清水秀行です。よろしくお願いをいたします。  初めに、三十五人学級実現への学校現場の思いについて述べさせていただきます。  今回の義務標準法改正案は、子供たち教育充実教職員の働き方にも大きく関わる教育制度改正であり、日本教職員組合が長年求めてきた課題であることから、何点かの要望も含めて、賛成の立場意見を述べます。  三十五人学級実現は、学校現場が長らく渇望していた制度実現であり、本法案で措置される小学校六年生までの完成については、一年でも早くの実現を望むところです。  資料の二ページを御覧ください。  資料元号となっていますので、元号で述べてまいります。  昭和五十五年度からスタートした第五次定数改善によって、中学校三年までの四十五人学級を四十人学級に切り替えていきました。  私は、昭和五十八年度に千葉県の公立中学校に採用されました。そして、昭和六十二年までの五年間は四十五人学級で、担任も、国語の教科指導も行っていました。昭和六十二年度は一年四組の学級担任でしたが、生徒数は四十四人でした。その学年を持ち上がって二年七組の学級担任となりましたが、そのときの生徒数は四十人でした。学年全体も、六学級から七学級に一クラス増えました。まさに、昭和六十三年度は、私自身が四十五人学級から四十人学級への切替えを経験したわけでございます。  第五次定数改善計画平成三年度に終了しましたが、その後も、八年間の第六次定数改善がありました。そして、平成十三年度に四十人を下回る学級編制を可能とする法改正が行われて、五年間の第七次定数改善計画がスタートしました。  私が、委員各位十分御存じのこのような経過を述べさせていただいたのは、平成十七年度で定数改善計画が終わってしまい、せっかく国として進めてきた少人数学級推進の流れを止めてしまったということです。  次に、少人数学級のもたらす教育的効果について述べます。  第一に、何といっても目が行き届きます。  私は、中学校教員でしたから、その体験で、五人の規模縮小がいかに教育にとって意味があるかを述べてみたいと思います。  学級担任として、各教科担任授業での様子を聞き取ったり、あるいは朝の健康観察、昼の給食指導、一人一人をよく観察することができます。  朝の健康観察ですが、学活保健委員が行うことが一般的です。保健委員が、みんなに具合が悪い人がいないかを聞いて健康観察版にチェックし、担任サインをもらって保健室に届けます。  そのとき、私はちょっとした工夫をします。担任としても、当然、注意深く子供健康観察を行います。そして、保健委員サインをもらいに来たとき、何々さんと何々さんもちょっと気になるね、元気ないし、顔が少し赤いと思うけれども、どうと。保健委員は、その子たちのことも健康観察版に記入します。  担任として、私は、養護教員にそのことを伝えておきます。その子が保健室に来室したときには、養護教員から連絡が私のところに来ます。後日、保健委員が役割を十分に果たしていると、学級の時間などでみんなに伝えます。  学級担任は、こんな形で、一人一人の子供を見守ったり、自信を持たせたり、褒めたり、伸ばしたりしています。こういうことをする時間を、受持ちの子供の人数が五人少なくなると、その目は更に細かく子供たちに注がれます。  給食の時間は戦争です。  四時間目の残り二十分間、授業の空いている教員は、給食の食缶が上がってくるエレベーターホールに向かいます。喉が渇いていると、体育の授業の帰りに牛乳パックを一つ失敬したり、デザートのプリンを黙って持っていってしまったりする子がいるからです。  何とかみんなの給食を死守しても、その後の配膳が大変です。割烹着を着たり、マスクをしたり、手洗いに行ったり、子供たちも大変です。授業終了から配膳完了までの目標タイムは二十分、食事が十五分、片づけて配膳車が配送車に間に合うようにするのに十五分。  全員の配膳が終わったのを確認して、給食委員や日直がいただきますをします。勝手に食べてはいけないのです。それは、お行儀とか、一体感とか、感謝の気持ちだとかもいろいろありますが、一番の理由は、みんなに均等に食材が行き渡るためです。  食材をよそうのを黙って任せていたら、カレーなどの人気のメニューは食べられない子供が出てきてしまいます。足りなければ、多くよそった子供のおわんから少しずつ集めていきます。一度口にしたり、勝手にルーをパンにつけたりしたら、もう集めることはできません。一人なら教員の分を分け与えれば済むかもしれませんが、それでは子供たちは育ちません。給食当番をずるする人は食べることができないこと、誤ってこぼしてしまい、隣の学級から、あるいは給食室からもらえないときには学級で譲り合うことしか解決方法がないこと、相手のことを思いやれること、食べ物のありがたさを感じること、その上で、楽しく食べることがいかに大事な人としての営みか、そういうことを学ぶのが給食の時間です。  受持ちの子供の人数が四十人では、正直言って、給食は大変です。四十人は、トレーを持って歩くには窮屈過ぎます。四十人では配膳するだけが精いっぱいです。小学校一年生では、三十人だってかなりの困難を伴います。最初の二か月は、教員がもう一人ついて配膳ができるように指導しなければ、一年生の子供たちの給食は成り立ちません。五人少なくなると、担任はもっと、食べる様子からその子の食生活を推し量ることができます。人間模様をしっかりと見定めることができます。  私は、四十五人学級のときから、一人一人の子供にきちんと接しているか、平等に接しているか、時々、一週間名簿にチェックして、確認をしていました。声をかけた子供、話した子供、遊んだ子供、部活動の様子を見に行った子供、家庭訪問した子供など、とにかく自分から関わりを持った子供の名簿欄に正の字を入れていくのです。次の日には別の名簿で行います。一週間たったら名簿を突き合わせてみます。思った以上に偏りがありました。二十人くらいであればそんなことはないかもしれませんが、三十人を超えたら必要だと感じています。  私は、ずっと三十人以上の学級でしたので、二十人の経験はありませんが、これは大人の世界でも、会社でもそうではないでしょうか。同じフロアにいても一言もしゃべったことのない人は結構いるものです。  私は、学級通信にこだわって毎日出し続けたことがありますが、学級通信に名前の載った子供も一か月同じようにチェックをしてみました。結果は、驚くほど偏っていました。相当に意識しないと、一か月一回も名前が出てこない子供もいました。  第二に、教室が広く使えます。これは先ほど末冨先生からもお話があったとおりであります。  現在の教室には様々なものがありますが、耐震工事によって鉄筋コンクリートが張り出している教室が今は多いです。委員の皆さん方も学校を見に行っていただければ。そういうことでも、学校の七掛ける八などの教室は、十分に広さを保っていません。  第三に、授業充実が挙げられます。  発言回数は間違いなく増加します。体育や音楽、図工、美術、技術・家庭科では、実技、発表、展示、観賞、実習は充実します。反復練習や繰り返しの説明が必要な子供ばかりに目が行きがちですが、人数の少ないクラスであれば、理解の早い子供への対応充実することができます。  私は国語の教員でしたが、グループ学習をするのには三人が最適だということを、何回もいろいろなことをやって思いました。六人は非常に多いです。三人で話し合うと、いろいろなことが話し合えます。  しかし、三人のグループが話し合ったことをクラスで発表するには、三人で、十班以上になってしまうんですね。それではとても時間が足りません。八班ぐらい、三、八、二十四人ぐらいが授業で三人を組むには最適な人数かと思っています。二十一人ぐらいが一番いいですが、三人の八班、これはグループ学習がとても有効です。  クラス学級の場合には、逆に、六人の、あるいは五人の四班ぐらいが一番いいです。クラスの活動をするのも、四つの班が競い合ったり、その一つの班で、六人であれば男女で三人ずつ、あるいは三対二みたいな、そういった形で五人や六人の、クラスに四班ほどがあると、掃除であったり、先ほどの給食の時間であったり、様々なことが非常に効果的に行えます。そういった意味では、三十五人から更に三十人というのを希望したいというふうに思っています。  各自治体における先行的な少人数学級の実施について述べます。  資料の二ページを再び御覧ください。  第七次定数改善が進行中の平成十五年度に、文科省は、学級編制の一層の弾力化を奨励する通知を出しました。そして、平成十六年度に、少人数学級実施のための加配定数の活用を可能とする方針が決定されました。  それらを受けて、私の出身の千葉県では、平成十六年度に小学校一、二年生の三十八人学級が実施されました。また、平成十七年には中学校一年生で三十八人学級が実施されました。現在は、千葉県は、小学校一年生では三十五人学級小学校二、三年生と中学校一年生では三十五人学級が選択できるように、その制度が導入されています。  先ほど述べました少人数学級のもたらした様々な効果、そういったものをよいものとして少人数学級の進展を望む保護者教職員意見も踏まえて、各自治体は、加配の定数や独自の財源を使ってでも少人数学級による教育充実に努めてまいりました。  そして、平成二十二年度、二〇一〇年度からは、全ての都道府県で、国の基準四十人を下回る少人数学級が実施されています。  しかし、これができたのも、まさに、この間、与野党の皆さん方が、教育を大事にして定数改善計画を続けてきたからこそ、また、加配という形で四十人以下の学級の編制が可能になるような、そういった人たちを学校に送っていただいたからであります。  今回の義務標準法で、いわゆる加配定数をつけ替えて少人数学級を進行させるというお話でございますが、それは、クラスのサイズを小さくして、私が先ほど述べたようなきめ細かい指導のためには、人数が減ることはいいです。しかし、先ほど申し上げたように、小学校一年生には、給食の最初の二か月、もう一人の人が必要です。あるいは、授業で時間のかかる子供じゃない、伸ばしたい子供にも教員を一人つけることも大事です。現在行われているきめ細かな形での加配の人数、これについても引き続き定数として確保していただきたい、そういったことで是非お願いをしたいと思っています。  最後に、この法案を是非早期に成立をさせていただき、学校現場に一人でも多くの教職員が配置されること、そして、教職員が、一人一人の子供に毎日、朝から晩までしっかりと目を行き届かせることができる、充実した授業ができる、そんな定数改善が行われるよう切に希望いたしまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  6. 左藤章

    左藤委員長 清水参考人、ありがとうございました。  次に、本田参考人お願いいたします。
  7. 本田由紀

    本田参考人 おはようございます。東京大学の本田由紀と申します。  本日は、日本におけるクラスサイズの現状と課題というレジュメと、あとほかに二つ資料をつけてあります。これらを使って御説明していきたいと思います。  私は、御存じいただけている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ほかの十二名の教育研究者とともに、昨年の七月から、少人数学級化を求める署名キャンペーンというのを続けてまいりました。この署名キャンペーンでは、二月半ばまでに二十四万四千筆以上の署名が集まっております。今日つけてあります資料の二つ目は、こちらの署名キャンペーンで昨年の秋に作成し無償配付しているパンフレットです。このパンフレットには、私ども呼びかけ人の基本的な認識を分かりやすくまとめてありますので、まずはそちらを使いながら、どういうことを考え、主張してきたかということを御説明していきたいと思います。  まず、このパンフレットの二から三ページを見ていただきますと、なぜ少人数学級が必要であるかということについて、要点のみですけれども、まとめてあります。  それらは、今現在求められる学びの質が大きく変容しているということ、また、児童生徒の中にも、ケアが必要な子供を含め、非常に多様化が進んでいるということ、また、教員の労働環境がもう限界まで悪化しているということ、そして、一斉休校の後に学校が再開した際に、分散登校という形で、半分に学級を分ける形で学校が始められました、その際の経験を踏まえて、あれがとてもよかった、本当によかったという保護者児童生徒の、あるいは教員の声というものが非常に多いわけですね。それも踏まえまして、やはり少人数学級が必要だということを主張してまいりました。  パンフレット四から五ページに関しましては、少人数学級に関する近年の研究をまとめてあります。  これも御存じのことが多いかもしれませんけれども、少人数学級学力にも効果があります。特に家庭の社会経済的背景が不利な児童生徒効果があります。それだけでなくて、教師児童生徒関係であったり、児童生徒相互の関係であったり、あるいは個々の児童生徒の心理状態にもよい効果があるということは既に明らかになっています。  このように、研究の蓄積はありますけれども、まだまだ足りない点もありまして、例えば、近年の精緻な、計量的な検証においては、前年の学級規模が独立変数として使われることが多くて、個々の児童生徒がこれまで何年間にわたって少人数学級を経験してきたかというような長期的な効果に関しては、まだまだ検証が遅れているところです。  重要なことを申し上げておきたいんですけれども、日本の少人数学級効果ということに関して、学力ということが言われる場合が多いんですけれども、例えば、国際比較で見た場合に、日本児童生徒学力というのは、かなり高いところに、多少変動はあって一喜一憂されているところはありますけれども、総じて高いところに位置しています。  日本児童生徒が国際的に見て非常に大きな課題を持っているのは、そこに図一をつけてありますけれども、学力以外の、学びの意義の実感や、あるいは自由な思考を伸ばすような経験が明らかに不足している。これがこれから先の教育の変革に最も重要なことであって、こちらを従属変数として使った少人数学級検証ということが必要であるというふうに考えております。  次に、パンフレット六から七ページに関しましては、これまで、地方の努力によって、先ほど清水委員長からもお話がありましたけれども、加配や独自財源によっていろんな努力が続けられているわけですけれども、もうそれが限界に来ている、そのために非正規の教員が多数採用されて、不安定な中で担任を持ったりしている、そういう対応ではもう限界だということを、六から七ページでは述べてあります。  ここまでがパンフレットの主な内容になります。  もう一つ資料は、済みません、これは私が作ったものではないにもかかわらず、文科省が作成されたものなんですけれども、非常に重要な論点が多数含まれていると思いまして、今日、お配りしました。  これは、少人数学級は必要ないのだという、端的に言いまして、財政制度審議会財政制度分科会における財務省側の資料に対して、興味深いことに、翌日に、文科省が即座に、機敏に全部反論したという、これに関しては私はすごいなと思って見ておりまして、そこに多数の重要な点が含まれております。  レジュメの一ページの一番下に書いてありますけれども、私として注目したいのは、都道府県における学級規模のばらつきということ、そしてまた全国の一定の教育水準の均衡を図る環境整備が是非必要だということは、これはとても重要な論点だと思っております。これは、次の二の二で御説明します。  ページをめくっていただきまして、レジュメの二ページになりますけれども、一の五に書いてありますのは、大変恐縮ではありますけれども、昨年十二月に今回の法案に具体化されている方針が発表されたときに、この署名キャンペーンの呼びかけ人で記者会見をいたしまして、そこで、私を含む数名で、その方向性に対して申し上げたことです。恐縮ですけれども、削減幅は少な過ぎる、スピードが遅過ぎる、学校段階が限られ過ぎている、教員確保及び雇用労働環境改善のための方策が不十分過ぎる。  つまり、今回の法案は、四十年以上ぶりに法律改正に至ったという点で高く評価する方ももちろんいるのは存じ上げておりますけれども、目指すべき方向に照らしたときに、いかにも不十分である。これはもっとスピードアップして、もっと大幅にこの現状を改善していくということを、法案にも、例えば附帯決議だとかいう形で盛り込んでいただく必要がどうしてもあるというふうに私どもは考えております。  次の二のところは、パンフレットでは十分に展開できなかった追加的な論点について、新しいデータも含めてまとめてあります。  まず、二の一は国際比較を示してあります。これは、OECDのエデュケーション・アット・ア・グランス二〇二〇という一番新しい国際比較データを使いまして、小学校中学校の平均クラスサイズを示してあります。一目瞭然で、日本は左端にあります。  日本に関して目立つのは、オレンジ色の線で描かれている公立中学校に関して、国際標準と比べても極めて多いということなんですね。中ほどにOECDアベレージというのがありまして、これを見ると、中学校の平均クラスサイズは二十三人です。ところが、日本は三十二人という、中学校において、国際比較で見ると非常に大規模であるということにもっと注目していただく必要があると思います。  こうしたクラスサイズに関しましては、先ほど、研究が既にかなりあるというふうなことを申し上げましたけれども、諸外国では、もう七〇年代から、研究研究というか、どういう知見が蓄積されてきたかということに関するメタアナリシスという、これまでの研究で明らかになっていることを多数集めて分析するという形の研究が行われておりまして、有名なのがグラスとスミスによる研究ですけれども、それが次の、レジュメ三ページの図三につけてあります。  二十人ぐらいよりもクラスサイズが減ると、小学校もそうですけれども、特に、中学校、セカンダリースクールにおいて学力が非常に改善する、学力だけではなくて、メンタルの状態であるとかも改善するということは、もう七〇年代の末から明らかになっております。それに基づいて、世界各国では、特に先進国では、学級規模を小さくしていく努力を必死で進めてきているわけです。  ところが、日本は、図二にあるような、小学校はもちろん、中学校に関しては、ひどいと言っていいような状況にあります。これは、先ほど清水委員長からのお話にありましたように、これまで学級編制標準改善が四十年間にわたり停止してきてしまったということがあって、この間に国際動向から日本は完全に遅れてしまっております。この、特に中学校段階の問題ということに関して、是非関心を持っていただきたいと思います。  今のは国際比較ですけれども、国内比較を見ましても、先ほど、文科省資料の、都道府県間のばらつきということを改めて図にしてみたものなんですけれども、これは、中学校に関して三十人以上の学級が占める比率を棒グラフで表しまして、オレンジ色の点は通塾率です。この通塾率に関して、回帰直線を引いてあります。グレーの折れ線が学力ですね。  これを見ていただきますと、三十人以上学級の比率というものには都道府県間で非常に差があります。緩やかにですけれども、三十人以上学級が多い都道府県ほど通塾率が高いという右上がりの回帰直線になっています。つまり、学級規模が大き過ぎてきめ細かく手当てをしてもらえないものを、家庭が高額の費用を払って子供を塾に行かせて何とか補ってきたことによって、グレーの折れ線は、多少凸凹はありますけれども、そんなに都道府県間差が大きくないという結果になっております。  つまり、申し上げたいのは、大人数の学級が多い都道府県では、通塾によってぎりぎり補っている、その負担、負荷というのは全部家計に押しつけられている、塾に行けないような子供たちはこの中で放置されている、こういう都道府県間格差が存在するということを示しています。  次に、ページを繰っていただきまして、四ページの図五は、これは、学力だけではなくて、全国学力学習状況調査で分かる都道府県別の自己効力感スコアの平均点と、やはり三十人以上学級比率との関係を散布図で見たものです。これは都道府県単位ですし、いろんな要因をコントロールしていませんので、粗い分析ではありますけれども、やはり大人数の学級が多い都道府県ほど生徒の自己効力感は低いのです、下がっています。  粗い分析ではありますけれども、こういう既存のデータを生かした検証結果を見ても、やはり中学校に関しても、都道府県間のばらつきというか、むらをならす形で、より小さい規模の学級というものを実現していくことが必要であるというふうに考えています。  次の二の三は、これは新型コロナウイルス感染症対策の観点ですけれども、感染症対策分科会の資料には、かなり教育施設でもクラスターは出ている、特に高校であるとかあるいは中学校でクラスターや感染者が出ているということが既に指摘されています。  高校で部活動が原因とも言われたりしていますけれども、明らかになっている数だけ見ると、部活動によるものは四分の一にすぎません。つまり、高校に関して、四分の三は部活動以外の通常の学校活動の中で感染しているということが分かります。  つまり、申し上げたいのは、感染拡大、クラスター発生予防の観点からも、高校においても、あるいは高校に次いで感染が多いのは中学校ですので、こういう、体も大きくなり、活動も活発になり、教室が混み合う度合いが高くなるような中学校、高校における少人数学級化が喫緊の課題であるというふうに考えております。  二の四は、これは一月の中教審答申を示してありますけれども、このような方向で変革が必要だということが既に中教審答申という形で明らかになっております。  特に、この答申では、高校の普通科改革ということが言われております。普通科改革を本当に進めていくのであれば、普通科以外の学科やコースに関しては、よりきめ細かい教育在り方が必要になってきますので、これまでのような高校標準法を維持していては目指されている高校改革も実現できませんよということを申し上げたいと思って、触れておきました。実際に、図七では、ほかの多くの国においては、普通科の方が大きめの学級規模で何とか運営されているケースが多いです、ここには日本データはありませんけれども。  つまり、普通科以外の様々な学科やコースをこれからつくっていくのであれば、高校に関しても、より少人数化が必要であるということです。  次に、三に、これから求められる施策について、五点にわたってまとめてあります。  まず、最も強調しておきたいのは、三の一にありますように、学級規模の縮小幅、スピード、ほかの学校段階、つまり中高について、より踏み込んだ施策ということを是非急いで進めていただきたいというのが、私ども署名キャンペーンの呼びかけ人の総意です。  つまり、三十人学級、せめて三十人学級をこれから先どう実現していくかに関して、それをやっていきますという方針表明や、あるいは工程表を示していただきたいと考えています。  小学校に関しても、学年進行に伴い五年間ということが言われておりますけれども、先ほども清水委員長がおっしゃったように、一年でも早くという切実な思いが学校教育現場には充満しております。できるだけ早く、そのために、それが可能な自治体に対しては予算措置をするなどといったような施策が必要と思っています。  中高に関しても、早急な少人数学級を是非方針として表明していただきたい。既に首相が中学校の三十五人学級について口にされたということは大変ありがたいことではありますけれども、これを是非具体化していただきたいと思っています。  効果検証のために必要なことも幾つか並べて書いてありますけれども、これは末冨委員からもお話がありましたが、ちょっとかぶるところもありますけれども、もう時間もちょっとないんですけれども、まとめて申し上げますと、抽出調査にしていくということです。全国学力学習状況調査というのは悉皆ですけれども、これは物すごくコストがかかっている割に分析が十分にされていない、役立てられてもいないということ、これを抽出調査にしていく。  また、現在、過去にまだ一回しか実施されていないきめ細かい調査、保護者調査ですね、これをむしろ抽出調査に関して必ずやっていくようなことが必要です。教員調査も不可欠ですが、これは処遇に結びつかない形での教員調査が必要です。相対的な学力と絶対的な学力の基準ということを両方用いる必要がありますし、学級規模の経年把握や、あるいは多様な従属変数を使った検証が必要と思っています。  あと、三の三が教員確保策、三の四が校舎、教室確保策、三の五が教育方法の改善に関してですけれども、もう時間が過ぎておりますので、ここまでにしたいと思います。  駆け足で恐縮です。以上です。(拍手)
  8. 左藤章

    左藤委員長 本田参考人、ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 左藤章

    左藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
  10. 柴山昌彦

    ○柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。  参考人皆様、今日は貴重な御意見を本当にありがとうございます。  それでは、早速、末冨参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど、学力テストなどに表れない様々な教員やあるいは生徒さんたちのデータ、これについてしっかりと分析する必要性について御言及をされました。しかしながら、委員御自身お認めになるとおり、今、教員の働き方改革が大きく叫ばれている中で、このようなデータをどのように効果的なものについて集積をし、そして利活用していくのかということ。それから、今、ビッグデータというお話もございましたけれども、まだまだ、一般の方々の中には、生徒に係るデータのクラウド化、あるいはビッグデータとしての共有に懸念を示す声がかなりあるというふうに考えております。  こういったことに対する対応について、まずお伺いしたいと思います。
  11. 末冨芳

    末冨参考人 御質問ありがとうございます。  まず、テストに表れない児童生徒成長に関するデータをどのように集積するかということについては、現在、学校に行き渡りつつあります一人一台のタブレットPCに搭載されているスタディーログ等の仕組みが、民間の事業者によって大変よいものが開発されつつあります。  その上で、利活用に際してですけれども、確かに、ビッグデータにつきましては、個人情報の保護との兼ね合いで、それをどのように利用するかということがございます。これに関しましては、用途をいかに明記するか、そして保護者の同意を得ながら使うということを大切にしていただきたいと思います。  例えばですけれども、特に困難な状況にある児童生徒に対してのプッシュ型支援というものは、河野行革担当大臣も重要性を主張されておりますが、必要な支援を行政から子供たちに届けるためというような目的の下で、基礎自治体においては、同意書を取りながらデータベースを活用しているという事例がございます。  無制限な利用ということではなく、児童生徒学び支援のためという目的をいかに共有し、合意を形成していくかというポイントが大切になると思っております。  以上です。
  12. 柴山昌彦

    ○柴山委員 ありがとうございます。  次に、今回の法律について、中学校段階でも早期に実現をするべきだという御意見参考人先生方、一致して主張されておりました。  ただ、その一方で、発達段階に応じてクラスサイズというものは順次変わっていってもよいのではないかという意見もあります。  例えば、高校生とか、あとは大学生において、大教室授業なども当然実施をされているところなんですけれども、発達段階に応じてクラスサイズというものは異なるのではないかということについて、今後のこの少人数学級の進め方と併せて、御説明をいただきたいと思います。
  13. 末冨芳

    末冨参考人 中学校、高校のクラスサイズにつきましては、一律に少人数学級はいかがなものかという御意見もあることは承知しております。  ただし、根本的な必要性は先ほどお二人の参考人も御指摘されたとおりで、感染症対策ですとか、あるいは既にイノベーションが起きつつある学習技術に、現在の教室環境が追いついていないということになります。三十五人学級のコストと中高の建て替えのコストとがどちらが安いかという計算になりますが、恐らくは三十五人学級推進していくコストの方が安くなるというふうに私自身は推計しております。  ただし、学習集団をいかに効果的に運用するかということは、これこそが中学校や高校への実証事業としての投資が必要になると思われます。日本以外の先進国では、教科によってクラスサイズを分ける、あるいは単元によって、講義型の授業は大きなクラスサイズで、そしてスキルやパフォーマンスを評価していくタイプのアクティブラーニングのクラスをより少人数にというふうに、柔軟なクラスサイズ運用もされております。  だからこそ、中学校や高校の三十五人学級あるいはそれ以上の少人数学級推進に際しては、政府としての実証事業といったものにも是非お取り組みいただき、効果的な学習集団在り方について検証され、その上で望ましい在り方も提言されるべきであろうと考えます。  以上です。
  14. 柴山昌彦

    ○柴山委員 ありがとうございます。  次に、清水参考人にお伺いいたします。  先ほどの、御自身の体験に基づく現場実態ということについて、本当に感銘を受けております。その上で、子供のうちに集団行動を身につけさせる、例えば給食の時間等についてというお話、非常に感銘を受けております。  アメリカなどでは、義務教育のうち、あるいは幼児教育のうち、比較的早い段階でしつけあるいは集団行動の大切さというものを徹底的に教え込むというように伺ったことがあります。そして、長じて、自ら様々な学校についての運営などに関わっていく段階においては、自分の意見を例えば校則などに反映をさせていったり、意見を先生たちに具申したりというプロセスを大切にしていくというように聞いております。  対して、日本においては、子供のときにはむしろ伸び伸びと育てていく、余り自立に干渉しないということが言われ、そして、長じて中学、高校段階になると、むしろ厳しい校則で自主性をがんじがらめに縛っていくというような形で、逆の傾向が見られるということに疑問を感じております。  しかしながら、日本においては、先ほどお話があったとおり、集団的な規律ということについては、今回のコロナ対策において見られるように、一定の国際的な評価が確立していると思います。  この辺りの集団行動とそれから個別の自立性ということについて、少人数学級を踏まえて、清水参考人の御意見を是非お伺いしたいと思います。
  15. 清水秀行

    清水参考人 御質問ありがとうございます。お答えをいたします。  まず、少人数学級については、小学校中学校、高校、それぞれの段階において随時進めていく必要があると思います。  先ほど、集団行動あるいはしつけというお話がございましたが、小学校一、二年生などは、小さなクラス集団の中で一人一人にきめ細かく対応していく、その上で、一組と二組が一緒になって、運動であったり、あるいはグラウンドでの集団的な行動をしていく、そういったことは十分展開できるのではないかと思います。三、四年、五、六年、それぞれの立場に応じてということがあろうかと思います。  今、中教審でも、小学校学年のいわゆる教科担任制というお話がございますが、小学校の五、六年になると、そういった形での、別な形の教員指導を受けること、あるいは別な形でのクラスを二つ併せて授業を行うこと、そういったことが、あるいは習熟度に場合によっては分かれるということが効果的であろうというふうに思っております。  中学校につきましては、現在部活動等がありますが、クラスとは違う、授業とは違う形での集団的な部活動等あるいは社会貢献活動、地域との活動、そういったところで社会性を身につけるという発達的な活動ができるというふうに思っております。高校になれば、更に幅広く、地域を超えてということがございます。そういった形で十分対応していけるのかなというふうに思っております。  以上でございます。
  16. 柴山昌彦

    ○柴山委員 ありがとうございます。  それでは、次の質問ですけれども、同じく清水参考人にお伺いしたいと思います。  末冨参考人から、これからは教員についての質の確保ということを考えるためにも、教員データベース化ということについて陳述をいただきました。これについて清水参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  17. 清水秀行

    清水参考人 お答えをいたします。  私は、まず、教員免許制度でございますが、それぞれの自治体から、大学等で教員の免許を取得したところの発行になっておりますが、ある意味、それは全国的なデータベースに載せて、この人は、いつ、どういう形で、どんな免許を取り、また、教員になってからも新たな研修を受けて教員免許がプラスされたということを含めて、それはデータベース化をしていくことが重要であろうかというふうに思っております。  その上で、私は、そこに是非、初任研であるとか六年目研修だとか十年目研修、あるいは教員免許更新制なども含めて、研修を受けてきた記録も載せて、それに応じて、この人はきちっと研修を積み上げていくんだということで、処遇との関係も併せて一元的に見ていくような制度ができるといいかと思っております。
  18. 柴山昌彦

    ○柴山委員 ありがとうございます。大変参考になりました。  続いて、本田参考人にお伺いいたします。  本田参考人が、クラスサイズを少人数化していくことにこれまで御尽力をいただいたことに心から敬意を表します。  一方で、例えば都立大の木村草太先生が、クラスの少人数化よりも、むしろクラスにおいて教員を複数配置することを進めるべきではないかということを、意見としてとある新聞で述べておられたんですけれども、これについての本田先生の御見解をお願いします。
  19. 本田由紀

    本田参考人 御質問ありがとうございます。  木村草太さんの御発言については、大変迷惑というか困ったことだというふうに常々思っておりました。  時々、ああいう方がおります。都市に住んでいる高学歴で、私は十分にお子さんの学校などを把握しておりませんけれども、恐らくは私立などに行かせているのかもしれないと思いますけれども、そういう方は、学校外で、塾や家庭で十分に補助ができるので、むしろ学校では少人数でぎちぎち管理なんかしてほしくないとか、そんな必要はないというふうにおっしゃりがちなんですけれども、それがごく特定の層の、ある意味非常に限られた経験であるということについては御理解いただきたいと思います。  少人数学級が必要なのは、木村草太さんのような御家庭ではないのですね。そういう御家庭ではない、非常に学校が、社会とへその緒になっているような家庭とか子供たちにとって、スティグマを伴わずに十分に学習機会を確保するためにこそ少人数学級が必要であるということを主張しておりますので、木村草太さんのおっしゃることは余り真に受けないでいただきたいと思います。
  20. 柴山昌彦

    ○柴山委員 それについてはちょっとコメントを避けたいと思います。  それから、本田参考人に、済みません、もう時間がなくなってしまいましたので、最後の質問になるかと思いますが。  今、中教審で、教員の免許更新制をどのようにするかということについて見直しがされています。教員のなり手が非常に少ない中においてこの少人数学級を進めるには、どうしても教員の量それから質、両方とも確保しなければならない、こういう中にあって、免許制度あるいはその更新制度について、さっきちょっと時間がなくて飛ばしてしまわれたかと思うんですけれども、本田参考人の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 本田由紀

    本田参考人 御質問ありがとうございます。  その点につきましては、七ページの三の三の下から二つ目のところに書いてあるんですけれども、中教審に今回諮問がなされまして、教員免許更新講習について議論がなされるということですけれども、議論している場合かという気持ちでおります。  これに関しては、非常に様々な問題点が現場から上がってきております。必要であれば、改めてアンケート調査などしていただいて結構なんですけれども、それがいかに問題点を含んでいるかということを確認した上で、中教審の答申を待たずに、これは一刻も早く廃止すべきであるというふうに考えています。  更新講習によって失効している方にも教員になっていただけるように、あるいは特別免許に関しましても、余り安易な形ではない形で交付して、新たになっていただけるような形の、質の高い教員確保策ということに関して、急いで、ドラスチックに取り組んでいただきたいというふうに考えております。  以上です。
  22. 柴山昌彦

    ○柴山委員 ありがとうございます。  一方で、一度教員免許を取得しても、ICTあるいはプログラミングなど、新しく修得をしなければいけない、先生がそのキャリアステージにおいてずっと修得したり研修を続けていかなければいけないということもまた事実ですので、あるべき教員免許あるいはその更新制度について、今お話があったように、迅速に結論を出していただくことを強く祈念して、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  23. 左藤章

    左藤委員長 次に、菊田真紀子君。
  24. 菊田真紀子

    ○菊田委員 おはようございます。立憲民主党の菊田真紀子です。  本日は、御三名の参考人皆様に、御多忙のところ、このように御出席をいただきまして、貴重な御意見を伺わせていただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。  それでは、早速質問に移らせていただきます。  今回の義務標準法改正のきっかけとして、新型コロナウイルス感染防止への対応があったとも言われております。この長引くコロナ禍において、学校現場にどのような御苦労が生じているのか、現場をよく御存じの清水参考人にお伺いをいたします。
  25. 清水秀行

    清水参考人 それでは、お答えをしたいと思います。  いわゆる新型コロナウイルス感染症に関わって、学校はこの一年間大変混乱をいたしました。去年のことを思い出せば、卒業式ができないというような、どうするんだという、それからいえば、一年たって、まあ、この形が続いているとは誰も思わなかったんですが、今年についてはきちっと、何らかの形で卒業式が最初から計画されているということで、やっとほっとしているところでございます。  まず、三密を避けるということで、先ほどからもありましたが、非常に大きなクラスサイズの中では難しい。分散登校での有効性が先ほどもございましたが、そういったことが学校の中でよく分かりました。クラスの中で三密にならないようにするには十一人が限界かなということでございます。  ある県の国会議員の方は、文科省指導も含めて学校の統廃合をどんどん進めたけれども、新型コロナウイルスになったら、また集めたものを分散しなさいというのであれば、統廃合しなければよかったというようなことをおっしゃっていた方もいました。  様々な形で学校現場には影響がございましたが、学校が見直されたということも一つございました。きめ細かな指導が十分必要なんだということがこの新型コロナウイルス感染症の中でも再確認されたということが、一番の学校でのプラスの面でのことでございます。  細かいことは、この間の様々な、修学旅行のこととか、授業のこととか、行事のこととかというのは、御存じのところであろうかと思います。  以上でございます。
  26. 菊田真紀子

    ○菊田委員 具体的な事例をお示しをいただきまして、ありがとうございました。やはり大変な御苦労があったのだということを、改めて関係者の皆様に敬意を表したいと思います。  次に、今回は小学校までの三十五人以下学級となりましたが、中学校までの三十五人以下学級、さらに、小学校から高校までの三十人以下学級を目指すべきという意見もあり、私もそのように考えます。  今回の法改正から、更なる少人数学級実現に向け、どのような課題があると考えられるのか、中学校教員として実際に現場に立たれてこられました清水参考人にお伺いいたします。
  27. 清水秀行

    清水参考人 お答えいたします。ありがとうございます。  小学校については、やはりクラス担任制を取っていますので、先ほど申し上げたように、小学校四年ぐらいまでは、一クラスに一人あるいは二人で担任をやっていくというクラス担任制を推進していくことが必要であろうと思います。その意味では、少人数学級のこの義務標準法改正は有効であろうというふうに思っています。  中学校に関しては、人が増えていくということであれば、やはりクラスのサイズを小さくすることによって、授業のこまも増えますが、人が増えるということで。  例えば、前は大規模校や大きな学校が多かったので、十五の部活を二十人の教員で見ていました。なので、五人ぐらいは、今年はちょっと家のこともあって無理だとか、今年は体調のこともあるので副顧問で勘弁してというのができました。しかし、今は十五の部活を十五人の教員で、人数が減っていますので、そういう形になっています。そうすると、持てない人まで確実に持たなきゃいけない。  中学校では、社会活動や部活動など、幅広い地域との関係が出てきますので、そういった意味では、クラスサイズを小さくすることによって、教科の数が増えますけれども、教員の数は確実に増えますので、そういった形で様々な課題対応していく。そういった意味でも少人数学級は必要であろうと思っています。  高校については、もう体の大きさから含めて、小中高が同じ教室サイズで建築されていることを見れば、これは相当な無理があるということは、皆さんも、先ほど末冨先生からのお話の資料にも、見ていただければ分かると思います。高校は高校なりの、専門学科、普通学科の再編も含めて、それぞれの課題に応じた適切な人数を配置していくことが必要であろうと思っています。  以上です。
  28. 菊田真紀子

    ○菊田委員 ありがとうございました。  末冨委員にお伺いしますけれども、昨年の十一月二十七日の毎日新聞に先生の記事がありました。その中で、小学校学年で少人数学級というのは必要だけれども、中学校は慎重に検討すべきだ、子供を追い込むハラスメント的指導の撲滅なども併せて進めていかなければならない、このように述べられておりますが、この点について詳しく見解をお示しいただきたいと思います。
  29. 末冨芳

    末冨参考人 ただいまの御指摘について回答いたします。  日本教員集団は、小中高等学校でそれぞれ大きく指導スタイルが異なります。私自身は、中学校の少人数学級化は当然支持しておりますが、この際に、とりわけ現在の四十人学級を前提とした管理統制型の指導といったものをいかに改善していくかが、これからの時代に必要不可欠な能力やスキルを育てるために不可欠だというふうに考えております。  であればこそ、毎日新聞の取材に対しては、慎重な回答をいたしました。それは、三十五人学級は当然必要である、あるいはそれ以上の学習集団の少人数化も必要であるけれども、この際に、中学校教員のティーチングスキルあるいは評価のスキルといったものをより一層伸ばしていただきたいというふうに考えたためです。  以上です。
  30. 菊田真紀子

    ○菊田委員 大変参考になりました。ありがとうございます。  次に、少人数学級実現に向けて、教職員確保が必要となりますが、昨今、教職員がブラック職場ではないかというイメージが広がってしまっている懸念がございます。  教職員の処遇の現状と、処遇の改善に向け何が必要か、これは三人の参考人にそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  31. 末冨芳

    末冨参考人 処遇の改善に際しましては、学校現場教員の一番の願いは、実は時間外勤務手当をきちんと支給してほしいということです。  働きに見合った給与、手当が保障されることが何よりもやりがいの源であるということが、私自身が把握しております教員の偽らざる本音でございます。  以上です。
  32. 清水秀行

    清水参考人 給特法については、今、末冨先生もおっしゃったので、同じ思いの部分がございます。それについては言及を避けたいと思います。  今、ちょうど三月でございますが、私、自分自身が三十年前を思い出すと、三月の九日に電話がありました。まだ教員をやるつもりはありますか、新規採用の枠がありますが来ますかということで、是非お願いしますということで、三月の九日。  なぜかというと、十二月末から三月末にかけて約百日、人事異動の百日戦争と言われますが、まずは現職の教員を動かした後に、最終的に穴が空いているところに新採を入れていくわけですが、昨今、十二月の調査よりも多くの教員が、三月近くなって辞めますというのが出て、埋まり切れない。  あるいは、教育実習に行った人が、なぜ教育実習でいまだにメモを取りながら子供たちに話をするんですか、どうしてここにタブレットとかがないんですか、学校現場は何でこんなことを今でもやっているんですかと。多くの若い人たちが、今、大学も全部カードで決済ができるようになっている中で、余りにもアナログ的な学校現場を見て、こんなところではとてもじゃないけれどもやっていけないと。そんなことも含めて、教員の倍率がどんどん下がっています。  そういった意味で、人気がなくなってきている。ブラックということはもちろんありますけれども、もう一点、学校が魅力のない、学校社会に非常に遅れた形の、インフラの整備もできていない、GIGAスクールで一気に進めようとしているところはございますけれども、遅きに失しているというようなところ、こういったところが今の若い人たちに合わないところがあって、教員の数が足りなくなっているという現状がございます。  以上でございます。
  33. 本田由紀

    本田参考人 教員の労働環境の悪さに関しては、御存じのように、OECDの国際比較調査でも、日本小学校中学校教員の極めて長時間労働が明らかになっております。  授業時間数がすごく多いわけではなくて、授業時間外の事柄が非常に多くなっていまして、国内の文科省の調査を用いた検証結果ですと、何が負担が大きいかというと、やはり、成績の処理であったりとか、保護者への対応であったりとか、あるいは事務的な作業であったりということがとても重要になっていて、かつ、計量的な検証によりますと、担任している児童生徒数、学級の規模が勤務時間の多さにつながっている。これは当然なんですね。四十人の成績処理をするのと、三十五人、三十人の成績を処理する、あるいは、保護者からの対応も、随時来るものに対して、四十人ベースで応えるのとでは全然違うわけです。  ですから、そういう、ブラック労働というふうに言われてしまっていることの変革のためには、先ほど来御指摘のあった給特法はもちろん、そういう労働環境、つまり、教員一人当たりが責任を持たなければならない児童生徒数が多過ぎるということ、それに伴うもろもろの業務というものを全部教員が抱え込んでしまっているということ、そこを改善していく必要がある。  そのためにも、少人数化と労働条件改善ということが良循環になっていくように持っていかなければならないんですね。これが今、悪循環になってしまっていることを、どう良循環に、百八十度変えていくかということに関して、非常に大きな岐路に立っているというふうに考えております。  以上です。
  34. 菊田真紀子

    ○菊田委員 私の質問時間が十時十六分までですので、これが最後の質問になります。  今回の改正で、令和三年に必要となる人員について、加配定数を基礎定数に振り分けるという措置で対応されています。  この加配定数から基礎定数への振り分けによる対応をどのように評価するか。教育の水準の向上にはやはり教職員の純増が必要ではないかと私は考えますが、この点について、先ほど清水参考人は少し触れていただきましたが、三人の参考人にそれぞれお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
  35. 末冨芳

    末冨参考人 加配定数の切り崩しに関しては、深く憂慮しております。  とりわけ、現在行われている加配のうち児童生徒支援加配につきましては、学校現場からも全くもって不足しているという声が上がっております。これは、三十五人学級の中に、複数の不登校児童生徒、あるいは外国につながり日本指導が必要な児童生徒、あわせて、家庭の支援も含めて連携、協働が必要な児童生徒が大変多くなっているということで、元々足りていなかった加配を更に削られてしまっては、学校現場での十分な支援ができなくなる、非常に困っているという声をいただいております。  であればこそ、特に、児童生徒の多様化の実態を捉えた教員支援業務の検証、そして、それに見合った人員の配置というものも、学級サイズの少人数化と併せて検討が必要であり、早急に、政策として何人加配が必要であるのかという、実証に基づく人数の算定と予算措置が必要であるというふうに考えます。  以上です。
  36. 清水秀行

    清水参考人 全国に小中学校は約四万校ございますけれども、それを加配の形で、何とか一人一人にきめ細かな指導ができるように、現在も措置していただいています。それをつけ替える形で三十人以下学級をやる、これについては、やはり学校現場で、校長さん、教頭さん含めて、教職員も含めて一番気にしているところです。  現在来ている加配、少人数であったりTTであったり、そういったものが剥がされてしまって、クラスを増やすためだけに教員が増えたのでは、極めて、きめ細かな指導ができなくなる。これが一番懸念をしているところでございますので、私は、三千人の加配を振り分けるのではなくて、三千人の純増を是非していただく、そういった形での進行をお願いしたいなと思っております。  以上でございます。
  37. 本田由紀

    本田参考人 加配に関しましては、お配りしました資料の、文科省が作られた資料の一ページ、二ページにも資料がありますし、私のレジュメで、先ほど省きました七ページの三の三の二つ目のポイントにも書いてあります。教育上必要な加配定数を基礎定数に振り替えることにより、前者、すなわち教育上必要な措置ということが阻害されないよう、加配は別途維持してもらいたいと。  これをつけ替えることでは何ら改善にはならないということで、ほかの先生方にも同意するところです。  以上です。
  38. 菊田真紀子

    ○菊田委員 大変参考になりました。  私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  39. 左藤章

    左藤委員長 次に、古屋範子君。
  40. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。  本日は、三人の参考人皆様、お忙しい中、国会においでくださり、御意見を述べていただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。  私たち公明党も、遡りますと、一九九九年に党の基本政策に、少人数学級実現ということを主張いたしました。特に、コロナ禍を受けまして、昨年は、安倍総理始め文部科学大臣など、少人数学級実現に、強く働きかけてきたところでございます。本法律案の早期成立を期してまいりたいと考えております。  まず、末冨参考人にお伺いをしてまいります。  三十五人学級ということでありますけれども、少人数学級の規模はこれで十分かどうか。  主体的、対話的で深い学び実現しようとする学習指導要領、また、中央教育審議会「令和の日本学校教育」答申で、個別的な学び協働的学び実現など重要な方針が示されておりますけれども、今後の先生の展望についてお伺いしたいと思います。
  41. 末冨芳

    末冨参考人 御質問に回答させていただきます。  まず、三十五人学級といいますのは、少人数学級の一里塚としては大変重要でございます。ただし、特に困難な地域の学校中心に、一層の少人数化が可能なような運用も必要だと考えられます。  個別的な学び協働的学びは、私の資料の中でも説明させていただきましたが、学習集団の柔軟化ということです。様々な特性を持った子供たちが、とりわけ、協働的学びの中でお互いに成長し合うという学びが可能になりますが、特に困難な地域の学校、あるいは発達特性や障害を持った子供、そして時々学校に来る不登校の子供など、多様な子供がいる学級におきましては、丁寧なグループワークの寄り添いというものが必要になります。  であるとするならば、三十五人学級で十分かと言われれば、そうではございません。とりわけ、エビデンス日本でも示されている低SES子供たちあるいは困窮世帯の子供たちが多い学級学校に対しては、更なる少人数化を可能とするような方策が必要とされると考えております。  以上です。
  42. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 多様な学び実現していくために更なる少人数学級推進が必要である、このような御意見かと思います。  続けて末冨参考人にお伺いをしてまいります。  今回は小学校ということでありますけれども、中学校での三十五人学級必要性についてどう思われるか、また、これが今後も実現しなかった場合の、デメリットがあるのではないかということについてもお伺いしたいと思っております。  中学校で三十五人学級を導入する場合に、教育の質の向上をさせていかなければならないと思いますけれども、必要な条件は何か、この点についてお伺いをしたいと思います。
  43. 末冨芳

    末冨参考人 まず、中学校三十五人学級実現しなかった場合のデメリットにつきましては、私も東京都下の公立中学校にはしばしば参りますが、既に新学習指導要領の実現に際しての困難を来しております。  とりわけ、主体的、対話的で深い学びあるいは探求的な学びに取り組む学校においても、狭い教室の中で四十人の生徒がせめぎ合うような状況の中で、落ち着いてゆったりとした対話というものが一切不可能な状況になっています。これは、私の資料でも指摘した学級内の音環境という問題にも起因しております。つまり、物理的に、主体的、対話的で深い学び実現が困難になっている。デメリットが既にあるという状態になっております。  その上で、中学校での三十五人学級につきましては、私自身は、やはり教員が、ティーチングスキルそして評価スキルを伸ばしたいという気持ちを持っている方たちが非常に多いんですね、であればこそ、部活動の徹底した外部委託化というものをまず推進する必要があるというふうに考えております。そして、そこで生まれた時間で教員が自らのスキルをきちんと伸ばせるということを三十五人学級の前提としたいと思います。先ほど菊田先生からも御質問がありましたように、そのことが中学校指導スタイルをより一層よい方向に変えていく前提条件にもなるというふうに考えております。  以上です。
  44. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 末冨先生、資料の中でも、感染症対策のみならず、教師の声が聞こえにくい、人数が多いと聞こえにくいということを指摘していらっしゃいますけれども、中学においても更なる少人数学級推進が必要なのだ、こういう御意見を頂戴いたしました。  次に、清水参考人にお伺いをいたします。  実は、私は、一度も教師として教壇には立っておりませんが、大学時代教育学部に通いまして、教育課程を取得いたしました。  その中で感じたことといいますのは、特に積み上げの教科の場合に、つまずきの箇所というのがあるように思います。そこの、つまずきの箇所でつまずいてしまった場合に、その先なかなか学習を進めていくことが困難になる児童生徒がいるのではないかと思います。もちろん、学習塾などに通ってそういうものを解消していくこともできる御家庭もありますけれども、できない御家庭の場合に、そこから先、勉強していく上で分からなくなってしまうというようなことが起きるのではないかと思います。  この少人数学級実現と、そして、こうした学習のつまずきを解消していく、この辺について、教育現場に長く携わっていらっしゃいました清水参考人の御意見を伺いたいと思います。
  45. 清水秀行

    清水参考人 それでは、今御質問ございましたけれども、いわゆるつまずいてしまう子供について、まずは授業の中で十分にその子に対応できる時間の確保が必要であろうかと思います。  先ほど私は、三人のグループの二十四人というお話をいたしましたが、そのぐらいの人数であれば、いわゆる三十人学級にすると、三十人ぴったりの学級もありますが、やや下回る学級が多くできますので、そういった意味では二十四人ぐらい。そういったときには、そういう子たちにも授業の時間で十分に対応できます。  当然、そういう子たちについては、クラスの中での教え合いというのも非常に大きくて、先生、ここがつまずいているよというのは、子供たち同士が分かることもあるので、子供たち同士が教え合いをできるような、そういった時間の確保の上でも少人数が有効である。あとは、少人数にしたことによる、事務作業の時間が減ることによって、放課後などにまさに個別に指導をしていく、そういったものが可能になってくるのではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  46. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 やはり、一人一人の生徒に対してきめ細かな指導をしていくという上で少人数学級が大変有効なのだというふうに思います。  もう一度、末冨参考人にお伺いをしてまいりたいと思います。  先生の資料の九ページに、教員確保につきまして、教員確保に際しては、小学校高学年専科教員特別免許状授与権政令市移管市町村具申権の拡大、教育免許更新講習の見直し等々、このような御意見がここで述べられています。  特に、特別免許状の活用の在り方につきまして、どのような具体策があるのか、先生のお考えをお聞きしたいと思います。
  47. 末冨芳

    末冨参考人 まず、特別免許状につきましては、とりわけ都市部においてニーズが高い教員といたしましては、まず、英語が教えられるということもそうなんですが、英語に限らない外国語理解、あるいは外国文化理解が可能なキャリアを有する教員のニーズが非常に高くなっております。これは、特に都市部の住民構成が多様化しているということにニーズがございます。  あるいは、ICTの指導ですとかのプログラミングにアドバンテージを持つ教員のニーズも非常に高いです。  それとともに、地域で貧困、虐待等の支援に関わってきた団体からコーディネーター教員を是非登用したいという声もございます。こちらの方は、先ほどの加配の御質問とも重なりますけれども、加配の充実とともに、担任外で、家庭とそして子供両方の支援、あるいは学習の保障を行っていけるようなタイプの教員というものを社会人から登用したいというニーズもございます。  そのためには、都道府県しか免許授与権のない状況特別免許状の活用の壁になっているということを御理解いただきたいと思います。既に基礎自治体では、もしもこの免許が柔軟化されるのであればこうした方を登用したいという見通しが立っている自治体も多うございます。であればこそ、基礎自治体への権限移譲あるいは具申権の確立といったものを重視したいというふうに考えております。  以上です。
  48. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 ありがとうございました。  様々な意味で外部人材の活用というものは非常に必要であって、今後、制度を柔軟化しながら更に進めていく必要があるんだろうなというふうに思います。  もう一問、末冨参考人にお伺いをしてまいります。  先生の示されました資料の十七ページなんですけれども、ここに、生きる力指標群が示されております。教育のビッグデータ構築や既存の調査の改善に大変時間がかかるのではないかというふうに思いますけれども、これについて更に御意見があればお伺いをしたいと思います。
  49. 末冨芳

    末冨参考人 ありがとうございます。  確かに、全ての児童生徒教育ビッグデータ、あるいは全ての教員教育ビッグデータ構築するということは時間がかかります。であればこそ、モデル自治体でのデータベースの構築運用というものが急がれます。既に先進自治体においては運用事例もございますし、あるいは、これを機会に取り組みたいと手を挙げてくださる自治体の心当たりもございますので、モデル自治体の開発というものが重要になります。  あるいは、本田参考人もおっしゃられましたけれども、抽出調査において多様な自治体を選定して学級規模効果検証をしていく、あるいは、学習プロセス改善検証をしていくという戦略性があれば、統計的なクオリティーを確保しながら、例えばですけれども五年を目途としての検証も可能であるというふうに判断をしております。  以上です。
  50. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 末冨先生には、これまで子供貧困対策について様々御指導をいただいてまいりました。コロナ禍において、更に貧困家庭が困窮を極めて、教育格差が広がったのではないかというような調査結果もございます。  この子供の貧困の問題、それから、今回、少人数学級を進めていく、こうした学校教育との、子供貧困の中で少人数学級に求められるもの、また期待されるものについて、最後、お伺いをしたいと思います。
  51. 末冨芳

    末冨参考人 少人数学級実現が、とりわけ困難な世帯の子供たちに対して重要であるのは、学校が、安心して学べることができる、友達としゃべったり遊んだりすることができる、居場所であるということに尽きると思います。学校学級が安心した居場所であればこそ、子供たちが学ぶ意欲を持ち、そして自らの能力や資質を伸ばしていくことができる土壌となると考えております。  とりわけ困難な世帯の子供たちは、残念ながら、家が居場所ではございません。家こそが最も気を遣い、大変な場所であるという状況も少なくない中で、少人数学級で、教員がより丁寧に関わり、あるいは友達たちがより丁寧に関わる時間が長くなるという条件を保障することは、特に、この国で最も厳しい状況に置かれている子供たち成長のためには不可欠であるというふうに考えます。  大変重要な御質問、ありがとうございます。
  52. 古屋範子

    ○古屋(範)委員 貴重な意見、ありがとうございました。  大変困窮している家庭にとっても、学校が、少人数学級で安心して学べる、居場所があるということが重要なのだということを、今、御意見を伺うことができました。  今日、三人の参考人全員に質問できなかったこと、申し訳ございません。今日いただきました御意見を更に法律の審議に生かしてまいりたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  53. 左藤章

    左藤委員長 次に、畑野君枝君。
  54. 畑野君枝

    ○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  本日は、末冨参考人清水秀行参考人本田由紀参考人に貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。  公立義務標準法改正に当たりまして、幾つかの点について伺わせていただきます。まず、少人数学級必要性あるいは効果について、それぞれ伺いたいと思います。  まず最初に、現場をよく知っていらっしゃる清水参考人に伺いたいと思います。  先ほどから幾つかの点でお話をしていただいておりますけれども、四十一年ぶりに小学校の一律三十五人学級へと進まれた経緯を、御自身の体験を踏まえてお話しいただきました。  なぜ必要か。小学校で三十五人だけれども、その先、中学校あるいは高校、更に三十人学級、その必要性について現場からどのようにお考えになっているか、もう少しお話しいただけますか。
  55. 清水秀行

    清水参考人 まず、必要性については、効果ということは、私、先ほど意見を述べさせていただきましたが、学校現場の現状からいえば、まさに、様々なニーズあるいは様々な家庭、様々な教育課題、これを解決するには、やはり四十人のクラスサイズは大き過ぎます。もうここは限界に来ています。いわゆる教職員の働き方についても様々な議論がこの間行われていますが、やはりもう少し、五人、十人、生徒数を減らしていくことが豊かな学びを展開するためには必要だということで、必要性ということでは、もう一度強調をしておきたいというふうに思います。  以上でございます。
  56. 畑野君枝

    ○畑野委員 ありがとうございます。  本田由紀参考人からは、国際的な動向についてお話がございました。その点について、世界もこれに必死になって取り組んできたんだというお話がございました。その辺りの事情について、もう少し詳しく伺えますか。
  57. 本田由紀

    本田参考人 先ほど、レジュメに基づきながら申し上げましたけれども、ちょっと最初に申し上げておきたいのは、国際標準でいえば、四十人、論外です。三十五人ですら少人数とは言えません。三十人でようやくぎりぎり何とかという、そういう全世界的な、特に先進国における趨勢があると思います。それが図二とかに表れているわけですね。  このエデュケーション・アット・ア・グランスでは、今日は図二しか示しておりませんけれども、どれぐらい各国が努力をしてクラスサイズを減らしてきたのかという経年比較ですね、この国ではこれぐらい減りましたね、この国ではこれぐらい減りましたねというところで、そういうグラフも出ているんですけれども。ある意味、それだけのプレッシャーをかけながら、少なく、少なく、丁寧に、きめ細かい、大事にする授業をということを、OECDを始め国際機関も、あるいは各国独自に、それぞれが追求してきたわけです。  そういう動向に比較して、日本は、今回の法案は、一里塚という表現もありましたけれども、本当の僅かな前進でありますけれども、一体これまで何をしてきたのかというような、それほどガラパゴス的に立ち遅れた状況にあるというのが日本であるということは、これは銘記していただきたいというふうに考えております。
  58. 畑野君枝

    ○畑野委員 末冨参考人に伺いたいのですが、今後の検討に関わってなんですが、クラスサイズパズル解き方を間違えない、この点について、もう少し伺えますでしょうか。つまり、テストスコアだけでなく、それ以外の要素が必要だということをおっしゃっていらっしゃるのかと思いますけれども、新しい言葉ですので、教えていただけますか。
  59. 末冨芳

    末冨参考人 私の配付資料の十五ページ目に関わっての御質問だというふうに理解をしております。  クラスサイズパズル解き方を間違えないということにつきましては、一番気をつけなければならないのは、クラスサイズが小さくなれば、改善されれば、直ちにテストスコアが上がるというような発想を持つことには慎重であらねばならないということです。  幾つもの学力向上、いわゆるテストスコア向上の改善に成功した学校の実証研究をなさいました大阪大学の志水宏吉先生の研究でも明らかになっておりますように、クラスサイズ改善、すなわち、教員を増やすことも大事だけれども、それとともに、何よりも、学校経営を通じて教職員あるいは地域、保護者子供たちのためにお互いに力を出し合うというような協働的な雰囲気の育成、そしてその中での教職員の前向きなスキル向上、あるいは児童生徒一人一人への関わり方といった子供たちへの向き合い方、そして教え方の改善、校内研修の活発化ですとか、様々なプロセスがあって初めてテストスコアに結びつきます。  私自身も経験的によく聞きますけれども、テストスコアが上がるのは、例えばですけれども、百メートルの競争でいいますと、第四コーナーを曲がってからだというふうに経験的には言われます。  逆に言えば、その前の第一、第二、第三コーナーというのは、例えば虫歯の本数を減らすための生活習慣の改善、そのための保護者との連携、協働といったとても地道な努力によってまず実現され、その後に、先ほど申し上げたような学校内での取組が、教員がだんだんと地域との信頼関係を深めていくと元気になって、どんどん前向きに変化をしていく、やっと最後の第四コーナーを回ったところでテストスコアが上がるというメカニズムを理解した上で丁寧な検証を行わなければ、近視眼的に、何だ、効果が出ないじゃないかで終わってしまうということになります。  以上のようなことから、クラスサイズ解き方を間違えずに、教え方ですとかあるいは教職員の努力がちゃんとできているんだというようなことをきちんと丁寧に検証するような取組が必要であるというふうに考えます。  以上です。
  60. 畑野君枝

    ○畑野委員 そこで、清水秀行参考人に、先ほど御発言された加配のことで伺いたいんですけれども、指導方法工夫改善定数、これは現場ではどのように活用されているのか、分かりましたら伺えますか。
  61. 清水秀行

    清水参考人 お答えします。  その名前のとおり、指導、工夫、指導の工夫ですので、いわゆる学習の工夫であったり、生徒指導的な生活の指導であったり、各学校で必要な学年、必要なクラス、必要な子供に加配の対応をするというのが一般的に行われていることです。非常に幅広く各学校で活用することができるので、是非、この加配については、つけ替えでなくすことなく引き続き置いてほしいというのが各学校の思いであります。  これが、国からの分が十分でないところは県や市が単独で置いたりしているというような状況でございますので、指導改善加配、多岐にわたって使えるということでございます。  以上でございます。
  62. 畑野君枝

    ○畑野委員 そうしますと、清水参考人、三十五人学級が今後進んでいったとしてもこの加配は必要であるということで、クラスサイズが小さくなってもこの加配の支援は必要だということでよろしいですか。
  63. 清水秀行

    清水参考人 私が三十年前に教員になったときには、いわゆる学級担任と副担任などという形で、中学校は十分に対応できました。  現在は、百を超える教育と言われるものがあります。私のときには、お小遣いをどう使うか、お年玉をどう使うかという、お小遣い教育なんというものでしたが、今は、金融教育、カードをどうやって使うのか、十八歳はもう大人ですので、民法の改正もございますが、そういったことも全てやって、学校には百を超える何々教育というのがあります。  そういった意味では、そういう形に一つ一つ対応は、一人の学級担任、一人の教科担任では無理で、やはりそれをフォローするそれぞれの、例えばプログラミング加配であったり、デジタル加配であったり、私はそういうことでも学校に置いていただきたいというふうに思っています。  以上です。
  64. 畑野君枝

    ○畑野委員 よく分かりました。百の内容があるということでございました。  そこで、更に伺いたいのですが、先ほど清水参考人から統廃合の話がありました。統廃合しなければよかったというお話でございますが、その状況についてもう少し清水参考人に伺いたいと思います。この点については、本田参考人もレジュメに書かれていらっしゃいました。伺いたいと思います。併せて、末冨参考人からも、この統廃合の問題について伺いたいと思います。清水参考人からよろしくお願いします。
  65. 清水秀行

    清水参考人 統廃合につきまして、先ほどのお話は、新型コロナウイルス感染症の三密を回避するために、統廃合したのをしなければよかったという国会議員の先生のお話から出たことでございますが。  そもそも、私は、学校は地域のコミュニティーであると思っています。特に、小学校中学校は、やはりそれぞれの市町村に適正な数の学校があることが大事で、各学校の給食室、大きな給食センターの方法もありますが、私は、各学校に自校方式の給食があって、災害のときにはそこにやはりみんなが集まるので、そのときには自家発電もできて、温かいおみそ汁が作れる、そういった給食室、子供だけではなくて。また、介護であったり、高齢者の方の施設も横に造って、その方たちの給食も学校給食の調理場で作るというような、そういったことを、地域のコミュニティーということでは、統廃合については軽々に行うべきでないと。  もちろん、少子高齢化のことがございます、財源の問題がありますので、各自治体がそれぞれ検討委員会等を設けて、答申しながら、地域の皆さんの理解を得ながら進めることに反対はいたしませんが、地域のコミュニティーということを大事に、今まさに、新型コロナウイルス感染症の中で、学校が地域のコミュニティーだということが再確認されたというふうに思っております。  以上です。
  66. 本田由紀

    本田参考人 ありがとうございます。  私のレジュメの七ページの三の四の一つ目のところに書いてありますように、清水委員の繰り返しになりますけれども、学校統廃合をこれまで進めてきたわけですけれども、それで今に至って、少人数学級化する上で教室が足りないといったようなことを言っているのは非常に残念なことですので、今このときに至って、学校統廃合を推進するのではなく、それは一旦見直す、停止して再検討するということが是非必要だと思っていますし、最近統廃合されて、まだ十分に使えるような施設、校舎などがある場合には、そこを再活用するということも、これから先の教室確保の、それだけで何とかなるとは思いませんけれども、一つの重要な方策だというふうに考えております。  以上です。
  67. 末冨芳

    末冨参考人 学校統廃合の問題につきましては、教職員数が減少したり、あるいは地財措置上それほどの優遇がないということで、現実的な理由として、統廃合を選択されない自治体も多いです。  ただし、私自身は、学校の規模に注目して、例えばですけれども、教育課程特例校を、もう少し柔軟にし、増やすような形で、小規模な学校であり、かつ特徴のある教育活動を行えるような学校をより設置しやすくすることで、統廃合というものを無理にしなくていいようにするという政策もあるいは必要だろうというふうに考えております。  あわせて、日本には余りこの手の基準がないと思いますけれども、アメリカやニュージーランドでは、憲法に定める就学義務の保障上、これ以上学校を減らしてはいけないという基準を地理的に定めている地域もございます。  特に、小学校だけでなく、中高の統廃合にも関わって、これは是非我が国教育政策でも検討すべきであると考えているのは、人口減少時代にあって、これ以上学校を減らしてはいけないという、学びの保障の地理的な基準を国として検討すべきであろうというふうに考えております。  人が減ったから学校を減らしていいわけではない。それは清水参考人もおっしゃいましたように、学校というのは地域にとってなくなれば非常に困るインフラであるということにも起因しております。  以上のような考えを持っております。ありがとうございました。
  68. 畑野君枝

    ○畑野委員 最後に、免許更新制について伺いたいと思います。清水参考人本田参考人末冨参考人お願いします。
  69. 左藤章

    左藤委員長 時間がありませんので、手短にお願いします。
  70. 清水秀行

    清水参考人 免許の更新制につきましては、この間、参考人の皆さんも申し上げているとおりで、大きな見直しをしていく必要があるということでございます。  まず、学校現場のことでいいますと、五十五歳の方の、更新をせずに皆さん早期退職されてしまう、その最大の理由は、お聞きしますと、プライドだと言いました。十年目、二十年目のときに三十時間、その人たちと同じ。私はキャリアを積んできた、なのに、同じ三十時間、三万円を払って同じ講座を受けて、私のキャリアは何なんですかと。  そういった意味でいえば、十年、二十年、三十年で、三十時間、二十時間、十時間とかそういったこと、最後の五年間、六十五までもし続けるのであれば、そこのところは更新はしなくていい、自動的に認められるというようなことがあってしかるべきではないですかというのが学校現場教職員の声でございます。  以上です。
  71. 本田由紀

    本田参考人 教員免許更新講習については、形式的であるということであったり、時間や労力などが取られるだけで有効性に非常に欠ける、にもかかわらず、それを受けないと失効してしまうといったような問題点が、既に多々現場から指摘されております。  このような研修ではなくて、更新講習ではなくて、それこそICTであるとか、今現場に最も必要な、もっと実のある研修を行き渡らせることの方がどれだけ必要かという、そのためにも、失効を防ぐということと、その形式性の問題ということから、更新講習というのは、あるいは更新制そのものを撤廃すべきであるというふうに考えております。
  72. 末冨芳

    末冨参考人 今の本田参考人意見とほぼ同様でして、教員自身が積み重ねてきた研修ですとか研さんを記録化することにより、教員免許の保持を可能にするという工夫は必要であろうというふうに考えます。  以上です。
  73. 畑野君枝

    ○畑野委員 どうもありがとうございました。
  74. 左藤章

    左藤委員長 次に、藤田文武君。
  75. 藤田文武

    ○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。  本日は、三名の参考人皆様、本当にありがとうございます。  早速入りたいと思います。  いろいろ今日陳述いただきまして、各委員先生方からの質疑をお聞きしていまして、私も三名の皆様のお考えにおおむね賛同する立場でございます。  一つお聞きしたいのが、理想の人数というか、少人数学級で、三十五人じゃまだまだ足りないよという御意見がありました。実際に、これを三十五人にするにもかなりの時間がかかり、そして、ここからまた、一年ずつ一学年ずつ増えていくわけですね。そうすると、小学校完結するまでに五、六年かかって、中学校をその後どうするか、これは時間がかかる問題なんですが、実際にはいろんな制約があって、先ほどから出ている、人の量と質を確保していく、それから箱をどうするか、これが多分二大テーマだと思うんです。  その中で、人は時間がかかりますよね。人を育成していったりするのに時間がかかる。つまり、目指すべき方向性というのを僕はもっと早めに指し示して、そこに向かって制約をいろいろクリアしていくという手順を踏むべきじゃないかというふうに思うわけです。  その上で、諸外国の例も例示していただきましたが、理想の人数、ここぐらいを目指すべきじゃないかというところを、具体的な人数のイメージがあればお示しいただきたいと思います。三名それぞれに御意見をいただきたいと思います。
  76. 末冨芳

    末冨参考人 今年度、少人数学級の議論が、政治の世界だけではなく、社会の注目をこれだけ集めた一つ理由が分散登校にございます。  分散登校を経験した児童生徒が不登校から復帰して、今も学校に通い続けている例もございます。そのことは、子供保護者教員にとって大きな気づきを与えました。すなわち、分散登校時のクラスサイズである、目安として四十人の半分ですね、二十人という状態を一定期間経験したことにより、子供教員に変化が生まれたんですね。これだけ丁寧に関われるのか、あるいは、子供たちも、二十人であれば安心して学校に来てゆっくりと友達と過ごせるというような状況を生んだということで、この二十人という分散登校の条件実現したことの意味ということは捉えていただきたいなというふうに考えます。  以上です。
  77. 清水秀行

    清水参考人 私は、小学校一年から四年までについては、やはり二十人だと思っています。五、六年生から中学校、高校にかけては、先ほど申し上げたように、三十人とすることで、マックス三十ですので、そうすると、大体二十七、八ぐらい、あるいは二十五、六で収まったりすることが多いですので、その形が十分であろうかと思います。教科で授業するにしても、合唱するにしても、運動会でクラスで何かを競い合うにしても、三十人がまずは進める第一だと思っています。一から四年は二十人。  以上でございます。
  78. 本田由紀

    本田参考人 レジュメの図二や図三を見ていただいてもお分かりのように、二十人を切るとぐっと効果が上がるということであったり、実際にOECD平均でも二十名ちょっとぐらいを達成しているということからすれば、目指すべき人数というのは、理想的には二十人です。  ただ、それはすぐに実現できるとは思いませんが、三十五人という今回の法案がいかにそれから立ち遅れているかということについては御理解いただいた上で、では、できるだけ三十人、せめて三十人、理想は二十人といったようなことを共通理解にしていただきたいと期待します。  以上です。
  79. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  その上で、そうしたら、ほとんど教育的価値というのはコンセンサスが取れているんじゃないかなというふうに今日の議論を聞いていても思いますし、私もずっとそれに賛同してきたのでそう思っているんですけれども、何か、反対意見で論理的正当性があるというか、非常に納得できる反対意見というのは余り僕は聞いたことがないんですが、これは確かにそれを言われたら痛いなというような御意見というのは、先生方の中で認識されているものはありますでしょうか。三名の皆様にそれぞれお願いします。
  80. 末冨芳

    末冨参考人 やはり、急速な学級サイズの少人数化というものは、教員の質が追いつかない状況を引き起こします。中室牧子先生も御指摘されていましたが、少人数学級化の推進に当たってボトルネックとなるのは教員の質であるというふうに御指摘をなさっており、全くそのとおりであるというふうに考えます。  ただし、我が国には、潜在的な教員免許保有者は相当数おり、かつ、その中で、社会人として活躍しながらも、もしも勤務条件改善され、自分自身のスキルが伸ばせる職場になれば、学校で是非働きたいと願う人たちも少なくありません。少なくとも、私の教え子で、社会人への道、学校に就職しない道を選んだ者の中には複数そのような者がおりますので、できるだけ勤務条件改善することで、ある程度その問題には対応できると思っております。  ただし、やはり急速な教員人口の拡大というものは、当然のことながら教員の質とトレードオフを引き起こすというふうに考えております。  以上です。
  81. 清水秀行

    清水参考人 三十人学級にした場合に、三十一人だと十六人と十五人の学級ができてしまうではないか、そういったときには、十分な競い合いができなかったり、クラスとしての活動が不十分ではないかというふうな御意見をおっしゃる方がいます。その場合には、その学校や地域の状況で、三十一のままやる授業もあれば、二つに分ける授業もあるし、それについて教員はきちっと二人置く、そこはそれぞれの自治体の判断に任す。  そういった意味では、三十人学級は一律いって、教員はその分きちっと配当されるというような形がいいのではないかと思っています。  以上です。
  82. 本田由紀

    本田参考人 説得力があるというわけではないんですけれども、日本で非常に強くて、これまで少人数学級化を阻んできた認識というのは、財務省が中心的ですけれども、金がかかるということですね。  効果があるのは分かっているけれども、投入した金に見合ったものではないといったようなこと、一体何がどうなれば見合ったことになるのか分かりませんけれども、そういう金をかけたくない、教育に金をかけたくないという主張が、これまでこの動きを阻害してきたということは確かです。  ですが、これは非常に難しい問題ではありますけれども、ある種政治判断が必要になることだと思います。ほかのもろもろに、もしかしたら不合理にも見えるようなことに公財政からだぶだぶとお金を注ぐのか、絶対に大事で、絶対に日本の将来に影響してくるということが分かっている教育にある程度のお金をあえて決意によって注いでいくのか、ここは決意、判断の問題だというふうに考えております。
  83. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  やはり制約があるから、それを乗り越えましょうという話だと思うんですね。教育的価値は恐らく少人数学級に向かった方がいいんだろうということは、多分コンセンサスなんだろうなというふうに改めて感じました。  その上で、乗り越えないといけない制約は、やはり人のところが一番時間がかかるし、そこが一番大切な問題だなというふうに思います。教員の質、量のところですね。  その中で、免許更新制の話、これは私も、当委員会でも相当、何度も取り上げてきまして、私はもう廃止すべきだというふうな意見なんですけれども。  実は私も一年間ぐらい教員をやっていたことがありまして、免許を持っているんですけれども、もう失効しているんですね。元に戻ろうと思っても、三十時間受けるの面倒くさいなとか、登録してからそれを受けに行かなあかんとか、いろいろあって、ちょっとした心理的ブロックにもなっている。  これからの時代、他業種、社会人の方が一定、教職現場で力を発揮していただくということももちろん必要だし、いろんな人材の流動性を上げる上でもハードルになっているというふうに思うわけです。  多分、そういう意見の方が、先ほどいろんな先生方からおっしゃっていただいたように多いと私も認識しているんですが、これはなくならないとしたら、どの辺を落としどころとして、やってほしくないという立場なんですけれども、濁して残してほしくないんですけれども、要するに、議論の中で、この辺りまで改善したらいいかなという落としどころというのは想定されるものなんですかね。私は、もういっそ廃止した方がいいというふうに思っているわけですけれども。  その辺りの、免許更新制度在り方についての御見解、三名の皆様からいただけたらと思います。
  84. 末冨芳

    末冨参考人 もしも教員免許制度が廃止できなかったらという仮定に基づいてですけれども、現在も、実は教員免許更新講習のうち、専門的領域に関する選択講習は大変人気が高うございます。特に教員は、自身の専門ですとか、あるいは私の関与する分野ですと、子供貧困対策で有効な支援は何かといった実践的な分野については物すごく学びたいんですね。倍率がとても高いので、抽せんになってしまう講座が複数ございます。  ですから、例えばですが、大学が提供する講座を残しながら、特に教員のニーズが高いものといったものについては残す。  正直申し上げて、必修講習の部分は、オンライン等でも代替可能ではあるんですよね。もちろん、大事な知識のアップデートもございますが、相当なスリム化が可能であるというふうに判断しておりますので、教員学びたい気持ちやテーマに寄り添った選択講習の維持あるいは充実、若しくはオンライン等での受けやすい条件実現といったものが必要になろうかというふうに考えます。  以上です。
  85. 清水秀行

    清水参考人 教員免許制度を十年に一回、この形については、もう見直していく必要がある、まあ、なくしてもいいのかなというふうに思っています。  それよりも、やはり採用された後の全体の研修の制度ですね。例えば、十年間でこれだけのものを学ぶべきだという項目は文科省で決めて、各都道府県がそれに合った研修を設けて、いわゆるこれを受けたら判こを押していくではないですけれども、そういった形で、ここまでクリアしていれば十年目はいい、次の十年でこれだけやってください、いつその講習、研修を受けるかについては、それぞれ、三年の学級担任のときには研修とかには行けません、そういったことを含めて、いつのタイミングで受けるか、十年とか五年とかのスパンの中で定めていく、そういうような研修制度にしていくことで私は十分対応できるというふうに思っています。  以上です。
  86. 本田由紀

    本田参考人 今、参考人お二人がおっしゃったように、講習の中身をよいものにしていくとか、あるいはインターバルとか、期間を検討していくということも重要だと思うんですけれども、例えば一つ考えられるのは、更新講習を受けなかったことによる失効の後に、その回復のための措置を、これまでの経緯なども踏まえた上ではありますけれども、もちろん、わいせつとかそういう場合には容易に回復させてはいけませんけれども、更新講習を受け損ねたことによる失効については、それを取り戻すための措置ということをもっと容易にするということがあり得ると思います。  あと、これは私のレジュメの七ページの三の三のところの、先ほど十分に触れられなかった点なんですけれども、下から三つ目のところで、「就職氷河期世代の中で教員免許を有する者を、選考・研修を経た上で採用」と書いてあります。  これは何かというと、今は倍率が減っていますけれども、少し前にはもっと倍率がすごく高くて、教員になりたくて免許も持っているんだけれども、倍率が高過ぎて断念したような方々が、就職氷河期で、今、例えば地方の自治体の、市役所などが特別に年齢枠を設けて採用しているような、そういう世代に、教員に関しても、なりたかったけれどもなれなかった、今、免許を持っていたけれども失効しているような方がかなり含まれているというふうに考えられます。  であれば、公務員に関して、氷河期世代に関して特別の措置で採用がなされているようであれば、同様の措置で、教員に関しても、十分に見極めた上ではありますけれども、この世代に対して道を開くといったような、特例的に、ピンポイント的な対象に関して、この制度の不備を補っていくということもあり得るかと思います。  以上です。
  87. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  私も就職氷河期世代で、教育系の大学を出ていますので、何かすごく分かるなと思って、非常にいい御提案だなというふうにお聞きしていました。ありがとうございます。  ちょっと時間も最後一分ぐらいなので、最後に一つだけ。  部活動のことを少し末冨参考人が触れられました。私も、部活動は、諸外国のように、教育とある種密接ではあるけれども、運営は切り分けて完結させていくというふうに向かう方が、クラブチーム化していく方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、それは生徒側から見てもそう、そして教員の働き方改革についてもそうだと考えるんですけれども、先生の御見解、少しお聞きしたいと思います。部活動の在り方について、お願いします。
  88. 末冨芳

    末冨参考人 部活動につきましては、教育的な効果はある程度ありますが、教員の本務ではないと判断しております。  基本的に、中学校で、不登校も増え、学習内容の習得度も下がっていきます。だとすれば、教員が自身の限りある時間を振り向けるべきは、ティーチングスキルの向上と、そして、児童生徒との学びを通じた丁寧な関わりによって、まず、学ぶことを嫌いにさせない、学ぶとは楽しくて大事なことなんだということをしっかりと定着させていくということが重要であると思われます。  そのためには、現在の教員たちが命の危険にさらされるほどの部活動、土日もなくなっていますよね、といったものについては、外部委託を前提にする。ただし、部活動での活躍ですとか、あるいは生き生きした姿をどうしても知りたいという教員もおりますので、であればこそ、例えばですが、加配教員ですとか教員定数の基礎定数の増を活用しまして、やはり地域連携担当教員といったものも設置していくような工夫により、教員も、例えばですが、クラブチーム等での児童生徒の活躍を知り、かつ、無理のない範囲で応援したり、部分的に指導に関わるような体制も可能ではあろうと思います。  ただし、前提としては、部活動は教員の業務ではないということについての基本的な確認と、そして、教員勤務時間の改善のためにも、外部委託あるいは地域との連携による教員の職務外の規定に置いていくということが非常に重要になると思われます。  以上です。
  89. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  先生の意見、一〇〇%賛同します。引き続き勉強させてください。  今日はありがとうございました。
  90. 左藤章

    左藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げたいと思います。  参考人皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  次回は、明十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四分散会