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2021-04-23 第204回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十三日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あべ 俊子君    理事 伊藤信太郎君 理事 鈴木 貴子君    理事 鈴木 憲和君 理事 辻  清人君    理事 中根 一幸君 理事 阿久津幸彦君    理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君       池田 佳隆君    小田原 潔君       尾身 朝子君    城内  実君       黄川田仁志君    國場幸之助君       新藤 義孝君    鈴木 隼人君       薗浦健太郎君    田畑 裕明君       中曽根康隆君    中谷 真一君       藤原  崇君    松島みどり君       簗  和生君    青山 大人君       岡田 克也君    重徳 和彦君       緑川 貴士君    山川百合子君       渡辺  周君    竹内  譲君       穀田 恵二君    浦野 靖人君       山尾志桜里君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    外務大臣        鷲尾英一郎君    防衛大臣        中山 泰秀君    外務大臣政務官      國場幸之助君    外務大臣政務官      鈴木 隼人君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    政府参考人    (内閣大臣官房長)   大塚 幸寛君    政府参考人    (内閣沖縄振興局長)  原  宏彰君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 加瀬 徳幸君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 池松 英浩君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 大鶴 哲也君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 徳田 修一君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君    政府参考人    (外務省アジア大洋局南部アジア部長)      小林 賢一君    政府参考人    (外務省欧州局長)    宇山 秀樹君    政府参考人    (外務省国際協力局長)  植野 篤志君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君    政府参考人    (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君    政府参考人    (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 野口  泰君    政府参考人    (防衛装備庁装備政策部長)            青柳  肇君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   小田原 潔君     池田 佳隆君   中谷 真一君     田畑 裕明君   簗  和生君     藤原  崇君   山川百合子君     重徳 和彦君 同日  辞任         補欠選任   池田 佳隆君     小田原 潔君   田畑 裕明君     中谷 真一君   藤原  崇君     簗  和生君   重徳 和彦君     山川百合子君     ――――――――――――― 四月二十二日  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国セルビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第五号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジョージアとの間の条約締結について承認を求めるの件(条約第六号)  投資自由化促進及び保護に関する日本国ジョージアとの間の協定締結について承認を求めるの件(条約第七号)  日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定規定適用範囲に関する交換公文を改正する交換公文締結について承認を求めるの件(条約第一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  日本国自衛隊インド軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第三号)  民間航空の安全に関する日本国欧州連合との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第四号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国セルビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第五号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジョージアとの間の条約締結について承認を求めるの件(条約第六号)  投資自由化促進及び保護に関する日本国ジョージアとの間の協定締結について承認を求めるの件(条約第七号)  日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定規定適用範囲に関する交換公文を改正する交換公文締結について承認を求めるの件(条約第一一号)      ――――◇―――――
  2. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより会議を開きます。  日本国自衛隊インド軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び民間航空の安全に関する日本国欧州連合との間の協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両件審査のため、本日、政府参考人として内閣大臣官房長大塚幸寛君、沖縄振興局長原宏彰君、総務省大臣官房審議官加瀬徳幸君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、外務省大臣官房審議官池松英浩君、大臣官房参事官大鶴哲也君、大臣官房参事官遠藤和也君、大臣官房参事官有馬裕君、大臣官房参事官徳田修一君、大臣官房参事官巫智洋君、アジア大洋局南部アジア部長小林賢一君、欧州局長宇山秀樹君、国際協力局長植野篤志君、厚生労働省大臣官房審議官岩井勝弘君、農林水産省大臣官房審議官道野英司君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君、大臣官房審議官町田一仁君、防衛政策局次長野口泰君、防衛装備庁装備政策部長青柳肇君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. あべ俊子

    ○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がございますので、順次これを許します。尾身朝子君。
  5. 尾身朝子

    尾身委員 おはようございます。自由民主党、群馬一区の尾身朝子です。  本日は、質問機会をいただき、ありがとうございます。  日・EU航空安全協定及び日印物品役務相互提供協定、いわゆる日印ACSAについて質問させていただきます。  まず、日・EU航空安全協定について伺います。  今回、日・EU間で航空安全協定締結される運びとなりました。以前は、EUとの間で当局間の取決めを結んでおり、主に欧州から我が国への航空製品輸入に際して検査等重複が取り除かれてきたと承知しております。そして、今回、日・EU航空安全協定締結により、日・EU双方のバランスの取れた形で検査等重複を取り除くことが可能となります。  EUとの航空機関連輸出入においては、主なものとして、エアバス社からの航空機輸入が挙げられます。近年では、二〇一六年に、全日空がエアバスA380を導入したことが広く知られています。また、国内のLCCでも何機か導入されています。他方、日本からは、昨年度、約三百三十億円程度の規模各種航空機材EUに輸出されています。  日本航空関連産業には先端技術が集積しており、それぞれの規模は大きくないものの、特化した技術が幾つも見受けられます。また、言うまでもなく、航空関連産業維持我が国安全保障側面からも非常に重要です。国内での民間航空機開発が決して順調に進んでいるとは言えない現在、販路を海外に求めて技術維持することは喫緊の課題です。その点からも、本条約締結は重要な意義があるものと確信しています。  今回の締結においては、二〇一六年の交渉開始から七度にも及ぶ正式交渉を経て、二〇一九年に実質合意に至り、二〇二〇年六月にブリュッセルのEU代表部にて署名に至るなど、五か年を要したと聞いております。その御苦労に敬意を表するとともに、改めてお尋ねいたします。  今回、日・EU航空安全協定締結することにより、主に日本航空関連産業にどのような影響があるのでしょうか。お答えください。
  6. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  日・EU航空安全協定は、日本EUとの間で輸出入される民間航空製品に課される検査等重複を取り除いて、こういった製品の流通を容易にすることを目的としております。  日本企業は、EUに向けて、エンジン関連部品航空機用タイヤ航空機内の座席、厨房設備等を輸出しております。従来、こういった製品輸出入に際しましては、輸出側輸入側それぞれの航空当局安全性確認等のための検査実施しておりまして、製造者等の負担となっておりました。  今回の航空安全協定締結されますと、輸出側当局の交付する証明書等輸入側当局が受け入れることが可能となりますので、我が国民間航空製品に対するEU側における検査等重複が取り除かれ、日本航空製品製造者EU市場への新規参入を含めまして、大きな経済効果、そして更なる航空産業の発展に資することが期待されるところでございます。  また、EUは、航空産業を持つほかの主要国米国、カナダ、ブラジル、中国との間で既に協定締結しております。日・EU航空安全協定締結は、我が国航空産業民間航空製品競争条件EU市場においてこういった国々と同等なものにするという意味でも重要でございます。
  7. 尾身朝子

    尾身委員 ありがとうございました。  引き続きお伺いします。  民間航空製品輸出入に際して相互検査等重複を省略することは、効率の面から考えれば重要なことです。  しかしながら、その部品などが人の命を預かる航空機に使用される以上、安全性の確保に不安を与えるようなことは断じて許容できません。  そこで、お尋ねいたします。  日・EU航空安全協定によって、相互検査や監督の簡略化が図られることになりますが、民間航空製品安全性確認は十分でしょうか。この点について御説明ください。
  8. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  日本EUは、この日・EU航空安全協定締結に向けたプロセスにおきまして、双方民間航空製品安全性に関する基準、審査体制等が同等の水準を十分に確保しているということについて、書面のみならず、現地調査実施して厳格に確認しております。その上で、輸出入に際する双方における検査等重複輸入側において省略できるというふうにするものでございます。  したがいまして、本協定締結によって、民間航空製品安全性確認水準が低下することはございません。
  9. 尾身朝子

    尾身委員 ありがとうございました。この協定によりまして、日・EU航空関連産業が一層発展することを願ってやみません。  次に、日印物品役務相互提供協定日印ACSAについてお伺いします。  ACSAに関しては、二〇一七年に、平和安全法制の成立を受け、以前の日米ACSAに代わる協定として発効した現行の日米ACSAを皮切りに、同じく二〇一七年に日豪日英、二〇一九年に日加、そして日仏と、これまで五か国とACSA締結しています。そして、今回の、六か国目として、またアジアで初めて、インドとの間でACSA締結しようとしています。  インドとの間では、二〇一八年のモディ首相安倍総理大臣の日印首脳会談の際にACSA交渉開始合意に達し、新型コロナウイルス影響で延期になったものの、二〇二〇年九月九日に、鈴木インド大使クマール・インド国防次官との間で署名に至ったと聞いております。  私は、四月二日の外務委員会で、自由で開かれたインド太平洋構想について、その意義実現への思い茂木大臣にお尋ねしました。大臣からは、このビジョンを力強く推進するとの心強い御回答をいただいております。  二〇一六年に安倍総理がTICAD6で提唱したビジョンがこれほどまでに国際社会に浸透したことは、今までなかったことです。自由で開かれたインド太平洋構想実現のため、先日、初めて日米豪印首脳会談クアッドが開催され、その場で四か国は、自由で開かれたインド太平洋のための共通のビジョンの下で結束しているとの決意表明しています。そして、さらに、米国との2プラス2、先週の日米首脳会談においても、このビジョンを深めたものと認識しています。  インドは、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを共有し、我が国と中東、アフリカを結ぶシーレーンのほぼ中央という、戦略的及び地政学的に重要な位置に存在しています。  また、日印両国は、安全保障面において、陸海空三自衛隊全てがインド軍との二か国間共同訓練を行っているほか、自衛隊インド軍とともに多国間共同訓練参加するなど、近年、協力関係深化、拡大させています。  こうした現状を踏まえ、今回の日印ACSA締結は、安全保障側面から自由で開かれたインド太平洋構想強化するための一歩であると確信しております。  そこで、茂木大臣にお伺いします。  改めて、日印ACSA締結する意義とその御決意についてお聞かせください。
  10. 茂木敏充

    茂木国務大臣 尾身委員おっしゃるように、日印両国、これは、普遍的価値さらには戦略的利益を共有しますアジア主要国家、また民主主義国家でもありまして、御指摘の自由で開かれたインド太平洋実現する上でも、安全保障防衛協力を含め、様々な協力をこれまでも推進しているところであります。  また、ACSAは、自衛隊相手国軍隊共同訓練であったりPKO、さらには国際救援などの活動を行うに際しまして、両者の間において、決済の方法を始めとする物品役務提供、受領の際の手続を定めるものであります。  ACSA締結することによりまして、自衛隊インド軍隊との間の物品役務提供を円滑かつ迅速に行うことが可能になるわけであります。そして、日印ACSA締結によりまして、自衛隊インド軍隊との間の緊密な協力促進される、これは、我が国安全保障に資するのみならず、日印両国国際社会の平和と安全により積極的に寄与することにつながるものと考えております。  我が国安全保障を強固なものとし、自由で開かれたインド太平洋実現していくために、今回の日印ACSAを通じて、安全保障防衛協力深化を含め、引き続き様々な分野インドとの協力を更に推進していきたいと考えております。
  11. 尾身朝子

    尾身委員 大臣、ありがとうございました。  次に、ACSAを実際に運用される防衛省にお伺いいたします。  インドは、世界民主主義国家の中で最大規模軍隊を保持しています。陸軍約百二十三万人、海軍約六万人、空軍約十三万人と言われています。  また、世界第二の兵器輸入国です。東西を問わず様々な国の装備品を使用しており、特に陸軍は、編成は英国、戦術は米国を模して、主要装備ロシア製を中心にしていると言われています。多様な装備品を鮮やかに使いこなす柔軟性を持った軍隊です。モディ首相国産化政策以降、陸軍各種ミサイルなどの装備品国産化も進んでいるようです。  また、日本との間では、二〇一五年に日印防衛装備品技術移転協定及び秘密軍事情報保護協定締結されています。インド軍自衛隊の間では、陸軍とは二〇一八年からダルマ・ガーディアンを、海軍とは二〇一二年に初めての二国間共同訓練実施され、二〇〇七年からは多国間訓練マラバール参加しています。また、空軍とは二〇一八年からシンユウ・マイトゥリ、親友、友達訓練実施されています。  三自衛隊共に、様々な機会を捉えて実績を積み重ねています。そして、今回のACSA締結に至りました。今後は、両国防衛協力はより強固なものとなることを期待しております。  そこで、伺います。防衛省から見た日印ACSA締結意義について御説明ください。
  12. 大西宏幸

    大西大臣政務官 尾身委員にお答えをさせていただきます。  ACSAは、締約国それぞれの国内法令規定に基づき実施される物品役務提供に際し、その実施に必要となる決済手続等枠組みを定めるものです。ACSA締結及び関連規定の整備により、無償で物品付け等が可能となり、手続もより簡素化されます。  仮にACSAがなければ、相手国に対し物品提供、貸付けを行うことができず、その場合には、物品を融通する訓練等の個別の場面に応じ、物品提供に関わる貸付料等の適正な価格について相手方と都度交渉した上で徴収する必要が生じることとなります。また、相手国から提供された物品決済手段として物品提供することができないこととなります。  このように、ACSA締結されていない場合、共同訓練等の様々な場面において必要な物品提供を円滑に行うことが困難となります。  ACSA締結することにより、自衛隊相手国軍の間の物品役務相互提供に適用される決済手続等枠組みが定められることとなり、両者の間で物品役務提供を円滑かつ迅速に行うことが可能となります。  自由で開かれたインド太平洋維持強化に向けた取組を推進する上で、インド洋に面する大国であり、我が国同盟国である米国豪州などとともに安全保障上の協力関係を構築しているインドとの協力連携は欠かせません。  実際には、日印間で、二国間共同訓練のほか、昨年十一月の日米印豪によるマラバールや本年四月の日仏米豪印によるラ・ペルーズなど、米国欧州豪州を含む多国間共同訓練も活発に実施をしてきており、日印ACSA締結は、こうした共同訓練を含む日印間の防衛協力交流の更なる進展に寄与するものと考えています。  防衛省自衛隊としましては、今後、日印ACSAも活用しつつ、両国間で共同訓練を含む実践的な協力交流を一層強化し、自由で開かれたインド太平洋維持強化を図り、地域国際社会の平和と安定に引き続き積極的に貢献していく考えでございます。  以上でございます。
  13. 尾身朝子

    尾身委員 ありがとうございました。具体的に御説明いただき、大変よく分かりました。  日印ACSA締結後、実際にどのような場面で運用されるものと考えられるのか、防衛省に改めて伺います。可能な範囲で具体的にお答えください。
  14. 野口泰

    野口政府参考人 お答え申し上げます。  日印ACSAが適用される活動場面について申し上げれば、これまでも日印間においては二国間及び多国間の共同訓練を活発に実施してきておりますが、まずはこうした共同訓練における物品役務提供に際して日印ACSAが適用されることが考えられます。  これに加えまして、自衛隊インド軍隊PKOへの参加や第三国における大規模災害への対処の経験を共有しているほか、親善訪問、寄港、寄航部隊間交流を含む活発な防衛協力交流実施されており、これらの場でACSAが適用されることが考えられます。
  15. 尾身朝子

    尾身委員 ありがとうございました。今回の日印ACSA締結の持つ意義というものは、大変重要なものだというふうに改めて感じております。  インドは、日本にとって安全保障上欠くべからざる存在となっております。  ここで、改めて茂木大臣にお伺いしたいというふうに思います。日印ACSAにとどまらず、日印関係重要性についてどのようにお考えでしょうか。大臣よりお願いいたします。
  16. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日本にとってインドは、古くは仏教伝来のルーツの地域でもあります。そして、二〇一四年、安倍首相インド訪問時に、日印戦略的グローバルパートナーシップ強化に向けて合意をし、その後、モディ首相の訪日であったり、毎年のように相互のトップの往来というのが続いてきているわけであります。そういった我が国特別戦略的グローバルパートナーシップ関係にあるインド我が国にとって、先ほども申し上げましたが、自由で開かれたインド太平洋実現する上で重要なパートナーであります。  また、インドは、先ほど来議論に出ておりますように、インド太平洋地域の要衝に位置をする。自由で開かれたインド太平洋そのものは地理的な概念ではありませんが、地域ということでいえばその真ん中ぐらいに位置をするわけでありますし、同時に、様々な昔からの良好な港を持っているとか、そういうマドラスであったりとかムンバイ、昔のボンベイですね、いろいろなところもあるところでありまして、また新型コロナでいってみますと、ワクチンでは世界最大生産地、こういうことにもなっております。  インドとの間では、三月の首脳電話会談においても、二国間またクアッド枠組みでの協力、これをしていくことを確認したところでありますし、安全保障防衛協力、デジタルを含む経済関係協力など、様々なレベルで今後も日印特別戦略的グローバルパートナーシップ強化に努めていきたいと思っております。  私も、カウンターパートでありますジャイシャンカル外相、ジェイと呼んでいるんですけれども、彼とは対面で四回、電話で一回会談を行いまして、また、日米豪印外相会談であったりとかG20、こういった国際的な枠組みの中でも連携を取っているところであります。特に、来年、日・インド外交関係樹立七十周年という節目の年でありまして、人的交流文化交流分野を含めて、幅広い分野で二国間関係強化していく契機にしたい、こんなふうに考えております。
  17. 尾身朝子

    尾身委員 大臣、本当にありがとうございました。大臣がまさにおっしゃったとおり、日本インドというのは大変重要な友好関係にあるパートナーであるというふうに考えております。私も四回訪問させていただきましたけれども、その都度、本当にすばらしい国だなという思いを実感しております。私も、これからもインド日本の更なる関係強化のために全力で取り組んでいきたいというふうに思います。  また、今回質問させていただきました二つ協定が、これからの相互関係強化深化について更に資することを期待いたしまして、質問を終わります。  本日はありがとうございました。
  18. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、佐藤茂樹君。
  19. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。  質問機会をいただきまして、大変にありがとうございます。  まず、二つ協定案に入ります前に、先週の日米首脳会談に続いて、昨日、大きな外交行事がございました。気候変動サミットにおきまして、菅総理は、二〇三〇年度の温室効果ガスの新たな削減目標として、従来の二六%という目標を大幅に上回ります四六%削減する、そういう新たな削減目標国際社会の中で表明をされました。  まず、外務大臣に、その表明の受け止めと、また所見があれば、お伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  20. 茂木敏充

    茂木国務大臣 菅総理日本時間でいいますと昨晩九時から始まりました気候サミット参加をいたしまして、二〇三〇年度におきまして、委員指摘のように、温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指すと。これは従来の目標からいいますと七割積み増し、こういったことになるんですが、これを目指すこと、さらに、五〇%の高みに向け挑戦を続けていくことを表明いたしました。  この表明には、冒頭発言をしたグテーレス国連事務総長であったり、主催をした米国を始め各国から歓迎の意が表明されておりまして、日本が気候変動分野においても国際社会をリードしていく姿勢が評価されたと認識をしております。  日本の取組もそうでありますけれども、それだけではなくて、地球規模でこの温暖化対策、気候変動に取り組むためには、途上国に対する支援であったりとか先進国間で研究開発協力、まさに先日の日米気候パートナーシップ、こういった枠組み等も重要でありまして、そこでも日本がスキームづくり、さらには協力枠組みづくり、途上国支援、こういったことでもイニシアティブを発揮したい、リーダーシップを発揮したい、こういう姿勢は世界に向けて発信をされたのではないかなと思っております。  この後、G7のサミット、六月に予定されております。さらにCOP26、そしてその先も見据えて、各国や国際機関と協力しながら、パリ協定目標であります脱炭素社会の実現のために取組を加速していきたい、こんなふうに思っております。
  21. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 済みません、通告していなかったにもかかわりませず、丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございます。  本会議でも私、質問で申し上げたんですけれども、やはり日米がこの脱炭素で国際社会をリードしていくんだと。具体的に、やはり最初の気候サミットでアメリカとともに高い目標をしっかりと国際社会に提示されたというのは、非常に意欲的な姿勢を示されたのではないか、そのように評価をしているところでございます。  それで、二協定に入っていきたいと思うんですが、最初、質問で用意していたことは、もう尾身委員がしっかりと質問されましたので、日印ACSA意義については、もう言うまでもなく、民主主義と法の支配などの基本的価値や戦略的利益を共有している、また地政学的にも極めて大事なインドと、最近、関係が非常に強化されている、その中でのACSA締結というのは非常に私は意義があるものだろうというように思うわけです。  ただ、最初にそれで外務大臣へお聞きしたいことはもう割愛をさせていただきまして、今回の日印ACSAについては、今までの五か国との協定で一番の違いの特徴というのは、提供される物品に弾薬が含まれていない、そういう対象外ということになっているんですが、この理由というものはどういうものなのか、外務省の方から御答弁をいただきたいと思います。
  22. 小林賢一

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  日印ACSAにおきましては、弾薬を提供の対象外とする点におきまして、日本がこれまでに締結しておりますアメリカ、豪州、英国、カナダ、そしてフランスとの間の五本のACSAとは異なりますが、武器を提供の対象外とする点におきましては、これまでのACSAと同じでございます。  委員指摘の弾薬につきましてですが、日本インドとのこの協定の交渉過程の中におきまして、インド側から、インドが他国と作成しました同様の文書の対象に弾薬を含めたことがないこと、また、そもそもインドにとって弾薬の提供又は受領のニーズがないということからACSAの対象外としたいという要望がございましたことを受けまして、弾薬は提供の対象外とすることにしたということでございます。
  23. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 まず、基本的なことをお聞きをいたしました。  その上で、先ほど防衛省からの答弁でもあったんですけれども、今月の五日から七日まで、インド東方のベンガル湾で多国間の海上共同訓練ラ・ペルーズが行われました。フランス語だと思うんですが。フランス海軍が主導して、日本の海上自衛隊とアメリカ、オーストラリアのほか、初めてインド海軍がこの共同訓練参加をしております。  この海上共同訓練の目的や内容と、フランスとクアッド日米豪印四か国が行った意義について、防衛省、どのように受け止めておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  24. 野口泰

    野口政府参考人 お答え申し上げます。  海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」は、四月五日から七日までの間、自由で開かれたインド太平洋維持強化に資するべく、ベンガル湾において日仏米豪印共同訓練ラ・ペルーズに参加いたしました。  本訓練は、海上自衛隊の戦術技量や参加海軍との相互運用性の強化を目的とするものであり、五か国の海軍種の艦艇などが、対空戦訓練、対水上戦訓練、洋上補給訓練などを演練しました。  ベンガル湾はインド太平洋の主要海域であり、防衛省自衛隊としましては、本訓練を通じ、自由で開かれたインド太平洋維持強化を進めていくという我が国の意思が具現化されたものと考えております。また同時に、民主主義や法の支配といった基本的価値を共有する日仏米豪印五か国の連携、結束を内外にしっかり示すこともできたと考えております。
  25. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、このACSAとの関連なんですけれども、御存じのとおり、今回、ラ・ペルーズの海上共同訓練参加した国で、日本は、アメリカ、オーストラリア、フランスとは既にACSA締結しております。しかし、インドはまだACSA締結しておりませんでした。また、昨年十一月にも、今回の共同訓練とは違うんですが、マラバール二〇二〇で、日米豪印の四か国の共同訓練実施しております。  このような多国間の共同訓練の際に、日本から見て、ACSA締結している国と締結していない国との間で、共同訓練の運用上、どういう不都合や格差が生じてくることが想定されるのか、今までそういう共同訓練をされてきた中で、ACSA締結していないことによって運用上の問題が起きた事例があるのか、伺いたいと思います。
  26. 青柳肇

    青柳政府参考人 委員指摘のとおり、自衛隊はこれまで、昨年実施された日米印豪共同訓練マラバール二〇二〇や今年四月に実施された日仏米豪印共同訓練ラ・ペルーズ二一など、ACSA締結している国と締結していない国双方参加する多国間共同訓練参加してまいりました。  過去、このような多国間の共同訓練におきましては日印ACSAがないことを前提に訓練を行っていたところでございますので、当該訓練において具体的な支障が生じたという事例が発生した事実があったとは承知しておりませんが、日印ACSA締結により、様々な共同訓練において、必要な物品役務相互提供をより円滑かつ迅速に行うことが可能となるものと考えております。
  27. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、今までにはそういうことをもう既に、締結していない国とは締結していないという前提での運用をされてきたんだろうと思うんですけれども、ただ、一般論として、共同訓練など様々な場面におきまして、ACSAが仮にないと、必要な物品提供を円滑に行うのが非常に困難になると言われております。  というのも、例えば、ACSA締結していない国の軍隊に対して物品提供を行う場合に、無償貸付けというのができませんので、適正な対価については、その都度交渉したり、また徴収する必要が出てくる。さらに、例えば相互に燃料、これのケースは多いと思うんですが、燃料を提供してこれを相殺するというような、そういう、相手国から提供された物品決済手段としてこちらから提供した物品を用いるということもACSA締結していなければできない、そのように思います。  共同訓練などにおいて、具体的に、ACSA締結国に対する物品提供の困難さについて、防衛省としてどう認識されているのか、御答弁いただきたいと思います。
  28. 青柳肇

    青柳政府参考人 お答え申し上げます。  ACSAは、自衛隊締結相手国軍隊活動を行うに際し、両者の間の物品役務相互提供に適用される決済手続等枠組みを定めるものでございます。  仮に、ACSAがなければ、自衛隊相手国軍隊に物品提供する場合、物品管理法及び財政法の規定に基づく物品の貸付けになりますが、貸し付けても国の事務事業に支障を及ぼさないと認められるものについてのみ認められ、また、有償での提供となります。  加えて、貸付料等の適正な対価について、相手方とその都度交渉した上で徴収する必要が生じるほか、自衛隊物品提供を受けた場合に、同種、同等及び同量の物品提供することなどにより決済することもできないという状況になってございます。  この点、ACSA締結によりまして、無償での物品の貸付けが可能となり、手続もより簡素化されることになり、自衛隊締結軍隊の間における物品役務相互提供をより円滑に、かつ迅速に行うことが可能になると考えております。
  29. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、今回のインドに関連するんですけれども、冒頭申し上げましたように、インドとの関係というのは非常にやはり信頼関係も深まってきているなという、その一つの証左として、インド洋の戦略的要衝とされますインド領のアンダマン・ニコバル諸島というのがございます。このアンダマン・ニコバル諸島というのは、マラッカ海峡からインド洋に至る玄関口となる要衝でございまして、これまでインド政府は、外国人の同諸島への入域を一部地域に制限して、外国による支援も認めてきませんでした。  ところが、そこで外国の開発援助として初めて日本が参画することが決まったということでございます。JICAが無償資金協力して事業を進める、そういう報道もありますけれども、この外国の開発援助として初めて日本が参画するということ自体も、インド政府と日本との深い信頼の表れではないか、そのように私自身は思っております。  このインド領のアンダマン・ニコバル諸島に日本開発援助をするに至る経緯及び支援の内容、さらに日印関係における意義につきまして、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  30. 茂木敏充

    茂木国務大臣 このアンダマン・ニコバル諸島、ここにおけます支援、これは、委員指摘のように、マラッカ海峡を抜けてインド洋に出ていく、こういう戦略的要衝にありまして、インドも非常に重視をしている場所であります。  ここに対しまして、インド政府からの要請を受けて、無償資金協力によりまして、まさに、冒頭気候変動のお話をいただきましたが、今回実施いたしますのは、太陽光発電を有効活用するための蓄電池及び関連設備を整備するものでありまして、この支援によりまして、再生可能エネルギーを活用した電力供給の安定化につながることが期待をされるところであります。  このアンダマン・ニコバル諸島、そして、それを中心にしまして、この地域の発展を重視するインド政府の取組を後押しすることは、日印関係、この強化にもつながっていくと思いますし、それを超えて、自由で開かれたインド太平洋実現に向けた取組としても極めて重要である、このように考えております。
  31. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ありがとうございます。  この三月から具体的に始まるというようにもお聞きしておりますので、もう始まっているんですが、しっかりとこの事業を進めていただきたいな、そのように思うわけでございます。  もう一本の日・EU航空安全協定、これにつきまして、最後、お聞きをしておきたいと思います。  日・EU航空安全協定意義について、昨年までは、政府は国会答弁等において、従来、我が国初の国産ジェット旅客機スペースジェットの運航開始及びその後の輸出に支障を及ぼすことがないように、航空安全協定締結を積極的に推進する意向というものを示してこられました。  しかし、昨年十月にスペースジェットの開発が、新型コロナウイルスの感染拡大による航空旅客需要の縮小を受けまして開発事業の凍結が発表されたことによりまして、我が国から国産ジェット旅客機の輸出の見通しが立たない中で、航空安全協定締結する意義が低減したのではないか、そういう論調また報道もございます。  しかし、私は、現在、日本企業EUに向けて、航空エンジンの開発部品航空機用タイヤ航空機内の座席、厨房設備、洗面所等の多くの民間航空部品を輸出しておりまして、その額が大体三百三十億円、そういうように伺っております。  また、EUから見ても、本協定締結によってのメリットは当然あると思います。本協定によって、やはり、協定の内容によりますと、輸出者にとって負担となっていた民間航空機製品に課せられる検査等重複を取り除いてこれらの製品輸出入を容易にすることによって、EUから見ても本協定締結によってのメリットは当然あると思うんです。  スペースジェットの開発事業の凍結を経てもなお日・EU航空安全協定締結することに、日本側、EU側にとって具体的にどれほどの意義とメリットがあると認識されているのか、政府の見解を伺いたいと思います。
  32. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  日・EU航空安全協定は、特定の民間航空機輸出入を対象とする法的枠組みを定めるものではなく、航空機用の装備品部品を含む民間航空製品輸出入全般に適用されるものでございます。  委員指摘のとおり、日本企業EUに向けて様々な民間航空製品エンジン関連部品であったり、航空機用のタイヤであったり、座席、厨房設備、そういったものを輸出しております。こういった製品に対するEU側における検査等重複が取り除かれることによりまして、輸出が促進され、日本航空産業の更なる発展に資することが期待されるところでございます。  また、EUは、航空産業を持つほかの主要国、特に米国、カナダ、ブラジル、中国との間で既に協定締結しておりますので、日本EUの間で航空安全協定締結することは、日本航空産業民間航空製品競争条件EU市場においてこういった国々と同等なものとするという意味においても重要性がございます。  EU側の製造者にとりましても、日本から民間航空製品を円滑かつ迅速に調達できることになりますので、EU側においても、製造プロセスの迅速化、効率化といった観点からメリットが大きいものと考えております。
  33. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 最後になりましたけれども、日・EU航空安全協定そして日印ACSA、特に日印ACSAについては、クアッド、この枠組み自体も実は第一次安倍政権で提唱された枠組みでございまして、そして段階を踏んで、二〇一七年から例えばクアッドについても局長級、そして二〇一九年から外相級で、何回か今外務大臣の会合を重ねられてきて、そして仕組みを定着させて、先月の三月十二日の日米豪印の初の首脳会合と、段階を踏んでされてきたように、日本インド関係も年々年々、こういう段階を踏んで、非常に関係が深まってきている。そういう中で、この日印ACSAも結ばれていく。  大事な協定だと思っておりますので、早期に国会で承認をしていくことを決意いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  34. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、青山大人君。
  35. 青山大人

    ○青山(大)委員 立憲民主党の青山大人です。  RCEPの合意内容に関して、中国、韓国の日本産の農林水産品の輸入規制への日本政府の今後の取組について、まずはお伺いします。  先日、当委員会でも議論となったRCEPですが、日本が当初から参加しておくことに大変意義があるということで、我々も党内で議論した上で賛成したわけでございますけれども、私も、前回、中国、韓国が日本産の農林水産品に対して東日本大震災の原発事故の影響による輸入規制を設けていることについて質問し、その答弁の中で、RCEPが発効する際には、またRCEPも活用しながら、輸入規制の撤廃に向けて働きかけを強化してまいりたいと考えておりますといった答弁がございました。  ただ、東日本大震災の原発事故と関係なく、現在も、農林水産省の公開資料「RCEP 農林水産品輸出関連の主な合意内容」によれば、中国に対して日本側が輸出関税撤廃を獲得した主な農林水産品、三十八品目が例に挙がっていますが、その半数以上が、現在、検疫等の理由で輸出できない品目という注意書きがつけられております。  私が懸念するのは、中国と韓国が、日本産食品、農産物を輸入はしないが、自国産品を輸出するためにRCEPを活用し、輸入規制の解除については、経済的な観点からも恣意的にタイミングを計るという便利なツールとして使われてしまわないかといった懸念です。  日本が獲得した関税撤廃が絵に描いた餅にならないように、RCEPが実際に発効していく今後において具体的にどういった対策をしていくのか、まず政府の見解をお伺いします。
  36. 道野英司

    道野政府参考人 お答えいたします。  日本を除くRCEP参加国の十四か国のうち、原発事故後、十二か国が輸入規制を講じました。これまでの交渉の結果、八か国が規制を撤廃しましたが、依然、中国や韓国は輸入制限措置を維持しております。  委員指摘の、発効後十一年目の関税撤廃等を獲得したものの、現在、放射性物質等の理由により輸入停止措置が講じられており、我が国から輸出できない状況にある品目例として、中国向けの乳製品、リンゴ、梨等であります。また、韓国向けのブリやホタテガイの一部については、発効後十五年目の関税撤廃等を獲得したものの、委員の御地元の茨城県を含めた八県のものについては依然として輸入停止措置が講じられています。  原発事故による我が国の食品に対する輸入規制の撤廃は、これまで、政府の最重要課題の一つとして、政府一体となって働きかけを行っております。世界的な新型コロナ拡大の状況にあっても、相手国の事情に応じて、在外公館を通じ、またテレビや電話による会議等を活用しながら、様々なレベルでの規制撤廃に向けた働きかけを行っております。  RCEP協定では、衛生植物検疫措置、いわゆるSPS措置に関する手続の透明性確保に係る義務等を規定されているほか、自国と他国の締約国との間の貿易に影響を及ぼしていると認める場合には技術的協議を要請することができ、同要請が行われた場合には、原則として三十日以内に協議を行う義務を定めております。本協定が発効すれば、放射性物質に関する食品の輸入規制などSPS措置に関する協議について、本協定に基づく協議の場を活用することができるようになります。  今後とも、政府の農林水産物・食品輸出本部の下、こうした協議の場も活用しつつ、あらゆる機会を捉えてSPS措置に関する協議を進めることにより、更なる農林水産物、食品の輸出拡大を図ってまいります。
  37. 青山大人

    ○青山(大)委員 茨城県、本県も全国有数の農林水産県でございまして、みんな、そこがやはり一番懸念しているところでございます。相手国があることですけれども、本当に、これまでの委員会の答弁を聞いた上で我々は判断したわけです、そこはしっかり外務省も含めて連携しながら、責任を持ってしっかり輸出できるようにしてほしいということを改めて念押しさせていただきます。  次の質問に移ります。コロナ禍で来場者が減っている沖縄県の対馬丸記念館への支援と記念館の周知について伺います。  全国に戦争資料館、幾つもございますが、昨年はコロナの影響で入館者数が激減し、沖縄の対馬丸記念館も例外ではありません。令和二年度の入館者数は、その前年度と比べて三分の一以下とのことです。  私は以前、対馬丸記念館を訪れたことがありますが、正直、私、記念館に行くまでは対馬丸のことについて余り知りませんでした。改めて記念館で様々な資料ですとか話を聞いて、その内容の悲惨さに思わず涙を流した次第でございます。私も今、三歳、一歳の子供がいるので、本当にそう思いました。  なぜこの質問をするかというと、RCEP協定が結ばれて、もちろん経済的な、日韓、東南アジア含めてこれからつながる中で、今はコロナ禍でなかなか人の往来はできませんけれども、今後更にアジアとの人的な交流も増えると思います。そういった中で、近隣のアジア諸国から沖縄を訪れる海外の客の増加も予想されます。  そこで、まずちょっと大臣にお伺いします。大臣、対馬丸記念館にこれまで訪れたことはありますでしょうか。また、対馬丸事件についてどのような思いを抱かれているか、率直な御感想を頂戴できれば幸いです。
  38. 茂木敏充

    茂木国務大臣 第二次世界大戦中に沖縄から長崎に向かった学童疎開船対馬丸が米潜水艦に撃沈をされまして、多くの学童を含みます千五百人余りが犠牲となった対馬丸事件、本年、発生から七十七年を迎えるわけであります。御遺族のお気持ちを思いますと言葉もありません。多くの貴い命が失われました。  我々には、このことを胸に深く刻みながら、二度と戦争の惨禍において、沖縄の県民も、そして若い世代も含め、日本国民も苦しむことのない時代をつくっていく大きな責任があると考えております。  青山議員の方から質問の通告を受けましたので、記念館の資料等々、私も拝見をさせていただきました。まだ私自身は訪問したことはありませんが、機会があれば是非訪問したい、このように考えております。
  39. 青山大人

    ○青山(大)委員 今はこういったコロナ禍ですからなかなか行けませんけれども、落ち着いたら、是非大臣、一度御自身の目で、対馬丸記念館に行ってもらえればというふうに思います。  このような施設の存在は、平和の意義を痛感する上で非常に大切なものでございます。コロナの影響で存続の危機に追いやっては決してならないと思います。対馬丸記念館への財政支援について、政府の見解をお伺いします。  そして、先ほど言いましたように、コロナが収束した後には、RCEP等も締結されたことですし、再び近隣アジア諸国から沖縄へ訪れる海外客の増加が予想されます。そういった周辺諸国へも、戦争の愚かさ、平和の大切さを伝える意味で、対馬丸記念館の広報、周知、これまで以上に是非力を入れていただく。広報や周知の対応について、改めてお伺いします。
  40. 原宏彰

    ○原政府参考人 お答えいたします。  先ほど大臣からございましたように、対馬丸事件の犠牲者の鎮魂と、子供たちに平和と命の貴さを教え、事件を正しく後世へ伝えるために、平成十六年八月に開館をいたしたところでございます。  内閣府では、その運営に資する助成といたしまして、生存者等による体験の語り伝え、対馬丸等の関連資料を収集、展示する特別展の実施、学校等と連携して行う平和学習の推進につきまして、平成十四年から沖縄県を通じて補助を実施しています。令和三年度は、約二千万の予算を計上しているところでございます。  先ほど御指摘ありましたように、現在、入館者、入館収入とも減少している状況ではございますが、オンラインによる語り伝えの実施などに取り組んでいるところでございます。  この館の収支状況を見ながら、沖縄県と協力して、対馬丸記念館の事業が円滑に進むよう努力してまいりたいと思っております。  また、広報活動につきましても、現在、内閣府ホームページに対馬丸記念館のホームページのリンクを張るなどの広報活動を行っているところでございますが、今後、沖縄県とまた連携をいたしまして、広く周知できるよう努力してまいります。
  41. 青山大人

    ○青山(大)委員 もちろん、沖縄県民の方たちに訪れてもらうのも大事ですけれども、やはり、沖縄県以外の、我々、これは日本の国民みんなとして、こういったことがあったんだよというのをしっかり私はこれからも後世に伝えていくのが大事だと思います。  是非、沖縄以外、いろいろな、子供たちに限らず大人も含めて、対馬丸事件、こういうことがあった、そしてこういう記念館があると。  あの記念館、私も行ったときに、鈴木貴子委員もいますけれども、お父様の宗男さんが非常に御尽力をされたということもお伺いしました。ああ、やはり政治家というのはこうあるべきだな、そういうふうに思いました。なので、是非、今後もよろしくお願いいたします。  ちょっと戦争に関してまた質問しますけれども、私、たまたまある広報誌で、全国樺太連盟が今年の三月末で解散する、そういったお知らせを目にしました。終戦まで日本が統治した南樺太の出身者たちの皆様でつくっている一般社団法人全国樺太連盟、高齢化に伴い解散を決定されたとのことでございます。  実は、私の祖父も南樺太の敷香町で終戦まで過ごし、その後、シベリアへ抑留されました。先ほど質問した沖縄もさきの大戦で多くの犠牲者を出しましたが、実は樺太でも多くの犠牲者が出ており、ただし、樺太がたどった歴史というのは余り知られることがなく、時代とともに風化してきております。  現在、全国樺太連盟は残務処理の段階にあるとのことで、保有している貴重な資料の今後の保存について大変御苦労されているというふうに伺っています。保有する約一万点を超える資料のうち、約八千二百点の資料は既に札幌の北海道博物館や稚内の樺太記念館、又は北海道庁の樺太関係資料館のあった赤れんが倉庫へ寄贈したとのことでございますが、いまだ連盟の東京本部には行き先の決まっていない貴重な資料、約三千点が置かれております。  これらには、当時の写真はもちろんのこと、現在の住宅地図のように一軒一軒お名前が書かれている樺太の町の地図、これは戦後、本当に、引揚者さんたちに聞いて、町のここは誰さんが住んでいましたかと一人一人聞いて町の地図を再現されたそうです、そういった地図、樺太庁名義の資料なども含まれています。これらの資料を保管するには、たった三十平米の間取りがあれば十分とのことです。  今後、高齢化に伴う団体の解散などで同様のケースはますます生じますし、既に、シベリア抑留者支援センターや、近年、歴史学者の方たちも資料の保管場所探しに大変苦労していると伺っています。  一方、貴重な資料が韓国やロシアなどの海外に流れているとも伺っています。終戦前後に樺太から脱出する際にソ連側に家族写真が没収され、その写真が現在ロシアで公開されているという事例もあると樺太連盟の方から直接伺いました。  今月、四月十八日は、シベリア抑留死亡者の埋葬地保存や遺骨収集等について、一九九一年、ゴルバチョフ当時のソ連大統領が来日した際に締結した日ソ共同声明、そして捕虜収容所に収容されていた者に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定からちょうど三十年でもございました。  戦後七十五年を経て、民間で収集されたさきの大戦に係る貴重な資料の保存、活用が、歴史的にも学術的にも国際的にも我が国のために重要であることは言うまでもありません。団体の高齢化に伴う解散で歴史的資料が散逸していくのは大変もったいないことであり、資料の保存について国がもっと関与すべきではないでしょうか。私としては、東京にも樺太引揚げの貴重な資料を見られる場所が必要であると思います。  樺太については、戦後北海道に居住された方が多いため、北海道内での資料展示の機会もありましたが、都内には資料館がなく、北方領土問題を身近に考える上でも、当時周辺の地域に居住していた日本人がたどった歴史に触れる場を身近に設けておくことは有用と考えます。  そこで、提案します。  内閣府が永田町の合同庁舎に設けている沖縄戦関係資料室のように、シベリア抑留、樺太、北方領土引揚げをテーマにした日ソ戦関係資料室を設けることはできないでしょうか。また、新宿住友ビルにある総務省委託の平和祈念展示室の一部を資料の保管場所に活用できないでしょうか。また、九段下にある昭和館の展示室の一部を使うことはできないでしょうか。  政府の見解を伺います。
  42. 大塚幸寛

    大塚政府参考人 お答えをいたします。  内閣府でございます。  今委員お尋ねの、樺太地域やシベリアに関する戦争関係の資料についてでございますが、内閣府、そもそも、こうした樺太地域やシベリアに関する事務そのものを所掌してございません。  先ほど、委員、沖縄の件がございました。こちらは元々、内閣府の前身の沖縄開発庁のときから収集しておった公文書等を閲覧をしたというのが契機でございまして、そうしたことからも、そういった事務を所掌していない内閣府といたしまして、今委員お話しの件につきまして対応することは難しいと考えております。
  43. 加瀬徳幸

    加瀬政府参考人 お答え申し上げます。  平和祈念展示資料館、こちらは、独立行政法人平和祈念事業特別基金、私ども、いわゆる、略して平和基金というふうに申し上げておりますけれども、その基金におきまして平成十二年に開設されたということでございます。そして、その基金が解散するということになりましたので、それが総務省に引き継がれ、資料を受け継いだという経緯になっておるものでございます。  平和祈念展示資料館につきましては、平和基金による開館の当時から、さきの大戦におきます、いわゆる恩給欠格者、これは兵士を含みますけれども、あとは戦後強制抑留者そして引揚者の労苦に関する貴重な所蔵資料を後の世代に確実に引き継いでいくことを目的といたしまして、所蔵資料の適切な保存、管理、それとともに、関係者の労苦について国民の理解を深める機会提供するということで展示等を行っているということでございます。  このような、平和基金から引き継いだ資料の保存、管理など、そういったものを行っていくという平和祈念展示資料館の役割というものに鑑みますと、委員指摘の樺太関連の資料などを平和祈念展示資料館で保管し、新たに展示しますことについては、なかなか、スペースその他も含めて慎重に考えざるを得ないというところでございます。  以上でございます。
  44. 岩井勝弘

    岩井政府参考人 お答え申し上げます。  昭和館につきましては、戦没者遺族に対する慰謝を行う事業として検討され、国民の生活面から見た戦中戦後を通しての国民生活上の労苦を後世代に伝えるとの目的から、戦没者遺族に対する援護施策の一環として設立された施設であります。  こうした設立目的に即して、我が国の社会経済情勢の変化に応じた、戦中戦後から復興期に至るまでの一般的な国民の生活状況の変遷を分かりやすく展示し、国民生活上の労苦を次世代に伝えるための事業を実施しております。  こうした昭和館の設立趣旨や事業内容を踏まえますと、御指摘の樺太等に関する資料については、昭和館が収集、保存、展示する対象には基本的に当たらないと考えております。
  45. 青山大人

    ○青山(大)委員 今、内閣府、総務省、厚労省の参考人の方にお伺いいたしました。  別に皆さんたちを責めるわけではないです。それぞれ皆さん所管があるのは分かっています。ただ、これは国民の皆様から見れば、いわゆる行政の縦割りの面もあると思うんですよね。やはり、これを解消していくには政治的なリーダーシップが必要だと思うんです。  茂木大臣、樺太関係の資料の公的保存について、どうでしょう。
  46. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、青山委員のおじい様、シベリアの抑留生活を送られたと。山崎豊子さんの「不毛地帯」を見ても、相当大変な生活をされたんじゃないかな、こんなふうに思います。  樺太からの引揚げの皆さんも大変な思いをされる中で、そういった引揚者、そしてまたその子孫の方々の相互扶助事業として行い、さらには貴重な資料を残す、こういう事業をやってきたわけでありまして、こういった歴史的な記録というものは、二度とあの戦争の惨禍を繰り返してはいけないという意味からも、きちんと保存していく必要があると思っております。  保存し、同時に、場所的にもそうなんですが、ネットのアーカイブであったり様々な形で、多くの方がそれに触れる機会を増やしていく必要があると思っております。  内閣府、総務省、厚労省、それぞれの立場で答弁をされたんだと思いますけれども、決してそれが、何か、ロシアンルーレットみたいだとか消極的権限争いだみたいに言うつもりはありませんが、少なくとも、こんなことは、こんなことというのは失礼ですけれども、どこかが決めればいいんですよ。決めて、場所を決めてやればいい話でありまして、恐らくそんなに予算がかかる話でもないと思いますので、こういったことについては、政府全体としてよく検討すべきだと思っています。
  47. 青山大人

    ○青山(大)委員 本当に、大臣、非常に前向きな御答弁をありがとうございます。  本当に、立派な建物を造るとかではないんですよ。今ある資料、私も実はそこの現地へ行って、東京に残っている、もう三十平米ぐらいあれば保管できるようなものだと思うんです。もちろん、それが全て歴史的な価値があるものかどうか私も分かりません。でも、やはりその多くは、我々、今生きている我々がしっかりと受け継がなきゃいけないものもたくさんあると思います。  せっかくですので、本当に、私も祖父から聞いたこともあったんですけれども、ちょっと一つ、参考に、昭和五十五年、樺太警友会北海道支部が「遙かなり樺太」という冊子をまとめられました。ちょっと長いんですけれども、「現在の心境」ということで、青山三重郎という者が書いたんですけれども。昭和五十五年。  テレビニュースの映像で、ベトナム漂流民の姿やカンボジア難民の国境脱出の悲惨な情景を見るたびに想起されるのは、かつて、我が樺太在留島民にも同じような光景が展開されていたことである。  深夜に密航を企て、樺太から内地、北海道に向けて海上脱出を図り、あるいは、しけのため漂流されて海底の藻くずと消え去っていった人も少なくなかったと思う。  運悪くソ連に抑留された者は、異郷の地で飢えと極寒のために、あるいは収容所で、あるいはラーゲル内で栄養失調のため骨と皮ばかりに痩せ細り、働く元気どころか歩行さえ困難となり、足下に転がっている直径五寸ほどの原木をまたぐことさえできずに、両足を引きずりながら丸太を避けて通ったものだ。両目はもうろうとして語ることさえできず、物を考える気力を失って、精神的には死者同様の植物人間みたいな数年間を体験したものである。  私は白ロシア共和国刑法第五十八条で懲役刑二十五年の判決を受けた。豊原刑務所に放り込まれ、翌日の夜、雑房で過労と睡眠不足がたたって卒倒し、医務室に運ばれて応急手当てを受け、意識が回復すると、元の雑房に連れ戻されたが、その時点で既に運命は三百六十度の回転を余儀なくされていた。  それからの数年はバイカルの周辺に点在するラーゲルを転々とし、渡り鳥のように着のみ着のままで引きずり回されて苦難の極限でもあった。地獄絵巻に出てくる百鬼夜行に日夜さいなまれた日々の連続。その生活は、とても正常の常識では判断できない弱肉強食、ボス横行の世界であった。いわゆる、石が流れて木の葉が沈む世界としか形容のできない世界に翻弄され呻吟したものだ。  いかなる風の吹き回しか、こうした酷使と虐待と陵虐とのラーゲル内の生活に一縷の光が差し込んできたのが昭和二十八年の早春の頃だった。突然、本国との通信が許され、厳重なる検閲を経て、まがいもなく本国の妻子からの返信に接した。そのときの、有頂天に舞い、鬼の首でも取ったようにしてラーゲル内を飛び回ったことが鮮烈に記憶の中にある。  国際情勢は変転していた。ソ連抑留者の釈放問題が国際社会の中に大きくクローズアップされていたのだ。かくして、時の氏神に助けられて、日ソ間の外交交渉が実り、日ソの共同宣言という形で昭和三十一年の暮れに帰国を許され、念願の舞鶴埠頭に上陸することができたのである。  もちろん、日本国民一丸となっての釈放運動のおかげである。長い長い凶夢から覚めて、さんさんと光り輝く太陽の光線の中で更生した自分の姿を見出すことができたときの歓喜はまたひとしおで、何事にも代えようもなく、日本人としての幸福を痛烈に五体で感得した。それから二十数年間、妻子とともに平穏な日々を送ることができた私は果報者である。  過日、この舞鶴市高台の一角に、異郷の地で抑留中に他界した人々や敗戦のとき朔北の海辺で犠牲者となられた方々の霊を慰めるべく、シベリア帰還者の団体である朔北会の有志が発起人となって望郷慰霊の碑が建立された。誠に感激である。  抑留により戦争の悲惨さ、無念さ、無益さを嫌というほど味わわされた。半面、自らの体験で、ソ連共産主義の有名無実のスローガンを知り、恐ろしい魔手と陰謀と罪悪の数々を目撃した。矛盾だらけの諸悪の根源を突き止めることが自分なりにできたことはせめてもの収穫だったと自らを慰め、満足をしている。  中東でもインドシナ半島でも、昨今では、イラン、パキスタン、隣国の韓国にまで戦争、紛争の火柱がくすぶっている。赤い国ソ連の魔手に二度とかからないように用心することが第一である。  という手記がございました。  大臣、樺太連盟が三月に解散して、今ある東京の事務所、七月ぐらいで引き払ってしまうそうです。今現在も、この貴重な資料をどこに保管すべきか、皆さん悩んでいます。大臣、是非、保存先の件、前向きに御検討をよろしくお願い申し上げます。  この質問は以上で終わりにします。  次に、条約について伺います。  今回、日本インドACSAが結ばれようとしていますが、ACSA相手国であるインドは、自由や民主主義、法の支配、基本的人権の尊重などの基本的な価値を重んずる国であり、我が国とも価値観を共有しているが、我が国安全保障上、同盟関係にないインドACSA締結する意義について、改めてお伺いします。
  48. 小林賢一

    小林政府参考人 お答えいたします。  ACSAは、自衛隊相手国軍隊活動を行うに際しまして、両者の間において、決済の方法を始めとする物品役務提供、受領の際の手続を定めるものでございます。  インドとの間でACSA締結することによりまして、自衛隊インド軍隊との間の物品役務提供を円滑かつ迅速に行うということが可能になることから、両者の間の緊密な協力促進されることが期待され、また、我が国安全保障に資するのみならず、日印両国国際社会の平和及び安全により積極的に寄与することにつながるものと考えてございます。
  49. 青山大人

    ○青山(大)委員 ありがとうございます。  今回の日印ACSAの末文には、「二千二十年九月九日にニューデリーで、英語により本書二通を作成した。」との記述がございます。日本語による正文が作成されていないことが読み取れますが、二国間条約の場合、各締約国の公用語を正文とすることが多く、これまでのACSAでも、全て日本語と相手国の公用語が正文とされているところでございますけれども、なぜ日印ACSAでは英語のみを正文としたのか。交渉において我が国からインド側に対して日本語を正文とするよう主張したのかも含めて、交渉の経過をお伺いします。
  50. 小林賢一

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  日印ACSAは、ほかの日印間の国会承認条約の言語も踏まえまして、インド側との交渉を行った結果として、正文は英語のみとすることで双方が一致したものでございます。  直近の十年間に発効いたしました日印間の国会承認条約におきましては、例えば、二〇一七年の日・インド原子力協定、二〇一六年の日・インド社会保障協定、二〇一一年の日・インド包括的経済連携協定など、いずれも英文のみが正文となっておりまして、これまでにも日本インドの間での協定日本語が正文とならないこともございました。
  51. 青山大人

    ○青山(大)委員 承知しました。  次に、日本EU航空安全協定について伺いますけれども、これまで我が国がアメリカ等と結んだ航空安全に関する取決めは、行政協定あるいは航空当局間取決めという扱いだったというふうに思いますけれども、今回、あえて国会承認条約の扱いとなった理由はいかなるものでしょうか。
  52. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  EUにおきましては、航空安全の分野、これはEUEU構成国が権限を共有する分野となっております。そのため、この日・EU航空安全協定につきましては、EU締結する国際約束として欧州議会の同意を得ることによって、EUの諸機関及びEU構成国を法的に拘束するものとして作成すべき事情があったということでございます。  そのため、この協定につきましては、日本側の国内法においては新たな立法措置は必要ございませんけれども、いわゆる法令維持義務を伴うものとなりました。  したがいまして、いわゆる法律事項を含む国際約束として国会の御承認を求めるべきものに該当するということでございます。
  53. 青山大人

    ○青山(大)委員 分かりました。  ごめんなさい、ちょっと最後に一問だけ。  先日、当委員会で、在外公館関連法の一部を改正する質疑が行われました。私からは、それぞれの国の公館でみんな頑張っている、ただ、不祥事が出ると国民からの信頼を大きく損ねてしまうのでしっかり取り組んでほしい旨の質問をし、大臣からも同じ思いの答弁があったというふうに記憶をしています。  そんな中、先日、タイのバンコクに駐在している私の友人から、とても残念なメールや連絡を複数いただきました。駐タイ日本大使がコロナに感染したと。どんなに注意してもコロナに感染することはあります、そのことを批判するわけではありません。その駐タイ日本大使がナイトクラブで夜遊びをして、そのクラブではクラスターも発生した、日本人としてとても肩身が狭い思いをしている、トンローではクラスターの発生も日本人のせいにされ、大使のせいで日本人差別、日本人コロナなどというふうに言われている。  大臣、大使のこういった振る舞いについて今後どのように対応されるのか、伺います。
  54. 茂木敏充

    茂木国務大臣 四月の四日の朝に、タイに駐在しております梨田大使、コロナの陽性が確認をされました。  当時、タイの感染状況は比較的落ち着いておりまして、大使が参加した会食は現地のルール上問題なかったと承知しておりますが、一方で、感染防止対策が十分でなかったこと、これは遺憾に思っておりまして、また、現地でもそういった話が出ているということも承知をいたしております。  秋葉次官から梨田大使に対しまして、感染防止対策を改めて徹底するように注意をしたところであります。
  55. 青山大人

    ○青山(大)委員 これ以上はこの件については述べません。  先ほどの樺太の件、是非大臣、よろしくお願いいたします。  以上です。ありがとうございました。
  56. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、重徳和彦君。
  57. 重徳和彦

    重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。  阿久津筆頭、また同僚の先輩の議員の皆さんの御理解をいただきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。  今日は、日印ACSAをテーマにまず質問をさせていただきたいと思います。  まず、本来、あした、日本インドの2プラス2が行われる予定でしたけれども、インド外務大臣防衛大臣は来日が、コロナのせいで来られなくなってしまった。それから、ゴールデンウィーク中には菅総理インド訪問というのも中止になってしまったということなんですけれども、このACSAに関連して、2プラス2がもし行われておりましたら、あるいはこれから行われることになるでしょう、その場でどのような議論を、会談を行うおつもりなのか、お知らせください。
  58. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日印の2プラス2につきましては、第一回の会合、おととし、二〇一九年の十一月にデリーで開催いたしまして、私も参加をいたしましたが、その際に、二回目、次回の会合を東京で開催することで一致をしておりました。  この第二回の会合日程につきましては、これまでもインド側と調整をしてきておりまして、こういう外交日程というのは、様々な形でいろいろな状況を見ながら最終的に確定をさせるものでありまして、完全に固まったものを延期したということではなくて調整中のものでありましたが、いずれにしても、新型コロナの状況を見ながら、早期の開催に向けて引き続きインド側と調整をしていきたいと思っております。  先ほど来申し上げておりますが、日印両国、これは、普遍的な価値そして戦略的利益を共有するアジア主要国、民主主義国でありまして、自由で開かれたインド太平洋実現に向けて、これまでも安全保障防衛協力を含め幅広い協力を進めてきたところであります。  次回、ちょっと時期については今後調整するということでありますが、次回の2プラス2では、厳しさを増しております安全保障環境、これを念頭に置いた地域国際社会情勢のほか、日米豪印といった多国間の協力の推進、さらには日印ACSA、これを通じた安全保障防衛協力深化を含め率直な議論を行いたい、こんなふうに思っております。
  59. 重徳和彦

    重徳委員 日印ACSAについては、一昨日、四月二十一日に成立しました自衛隊法改正、タイトルは防衛省設置法改正ですけれども、と相まって物品役務提供における決済手続を定めるものであると。法理上、違憲部分を含む安保法制に規定する自衛隊の行動、例えば存立危機事態を想定した訓練を行う際にも物品役務提供が可能となる仕組みであるということをもって、我が党としては、これまでのACSA同様、反対というスタンスなんです。しかし一方で、結論に至る党内議論では、現実の国際情勢を見ればインドとの関係強化が不可欠だ、ACSA締結の趣旨に賛成という意見も実際に多かったです。  この観点から、二点質問をさせていただきます。  一つ目は、この二年間の動向。なぜ二年間かというと、ACSA締結インドで六か国目ということなんですけれども、二〇一九年は、フランス、カナダとACSA締結しました。そのときも野党各党は反対だったんですが、それ以降、この二年間だけ見ても、安全保障環境はすごいスピードで変化していると思っております。  特に、中国の動向は世界中から警戒されている。ルールと法の支配を重視する国際社会として、中国に責任ある大国としての振る舞いを求める必要がある。そのためにも、インドを含む各国と協力関係強化の方向がこれまで進んできたというふうに認識をしております。  そこで、日印ACSA締結の背景について、この二年間の具体的な国際的動向を踏まえて、詳しく説明を事務方の方からしていただきたいと思います。
  60. 小林賢一

    小林政府参考人 委員指摘の二〇一九年の日仏日加ACSAの発効以降も、東シナ海や南シナ海、北朝鮮情勢など、国際情勢は変化してきております。特に、力や威圧を背景とした一方的な現状変更の試みも継続また強化されておりまして、地域安全保障環境は一層厳しいものとなっております。  こうした中、我が国は、法の支配、自由、開放性といった原則や価値に根差した秩序を構築してこそ、将来にわたるインド太平洋の平和と繁栄が確保されるとの考えの下、普遍的価値戦略的利益を共有するインドとの間で緊密な協力強化してきてございます。これは二国間協力にとどまらず、共同訓練マラバールを含む日印米豪といった多国間の協力に広がってきております。  我が国安全保障を強固なものとし、自由で開かれたインド太平洋実現していくためにも、日印ACSAを通じた安全保障防衛協力を始め、インドとの関係を一層強化していくことの意義は大きいと考えてございます。
  61. 重徳和彦

    重徳委員 もうちょっといろいろとネタがあるのかなと思ったんですけれども。多少物足りない感じもしますが。  では、大臣にもう一点お聞きしたいと思います。我が国インドとの二国間関係についてであります。  特に安全保障関連でいうと、現状で、ACSA、そのほかにも様々な協定がありますが、防衛装備品技術移転協定、あとはGSOMIAのような情報保護協定、この三つとも締結している国というのは、今のところ、イギリス、フランス、オーストラリア、アメリカはちょっと別格として、という国だと承知しております。  そういう意味では、このACSA防衛装備品技術移転協定、それからGSOMIA、この三つがそろうのは、インドで四か国目、アメリカを入れると五か国目ということになります。そういう意味でも、そういうふうに見れば、その重要性というものが見て取れるんじゃないかなと思います。  ただ一方で、先ほど青山委員からも質問がありましたけれども、インドは伝統的に非同盟ということで、等距離外交というふうに言われることがあるんですけれども、もちろん日本との関係同盟国ではないわけですが、この二国間で今までどんな積み重ねがあって、これからこの二国間をどういうふうに、特に、今回はどうしても中国を念頭に置いたような、クアッドにしても、様々な国際的な連携強化されているということですから、そういう観点から見ても、日印関係をどのように見ておられるかということについて、大臣の御答弁をお願いします。
  62. 茂木敏充

    茂木国務大臣 インドは、独立の経緯、そしてガンジーの時代以来、非同盟、こういったことで、様々な問題についてもインド独自の立場を取って、物事を一つに決めない、こういったことで様々な外交を進めてきたのは事実でありますが、やはり二〇一〇年代になってかなり状況も変わってきていると思っておりまして、日本との関係では、今や、特別戦略的グローバルパートナーシップ、こういう関係に今インドはあるわけでありまして、さらに、自由で開かれたインド太平洋日本が提唱した考え方でありますが、これを実現する上でも重要なパートナーだと考えております。  そして、自衛隊インド軍隊、これは各種の共同訓練を活発に今実施をしてきておりまして、二〇一九年十一月に開催した日印の2プラス2においても、今後、共同訓練を一層拡充していくことで一致をしておりまして、昨年十一月には、日米豪印による共同訓練マラバール、これも実施したところであります。  さらに、日印両国は、寄港を含みます活発な防衛協力実施しているほか、PKO活動に共に参加をしたり、同じ国での災害救援活動に従事しているところであります。  日本インド、共通の価値観、こういうものを共有する中で、インドの元々持っていた外交的な方針はあるにしても、こういったクアッドであったりとか様々な多国間の枠組みの中でもインドとして役割を果たしていきたい、こういう立場を取っている、このように考えております。
  63. 重徳和彦

    重徳委員 インドは、中国との間で軍事的に緊張関係にあると思うんですが、今回のACSA締結は、そうした中印関係も考慮に入れていると考えてよろしいですか。というか、どのようにインドは立っていると見ているか。
  64. 茂木敏充

    茂木国務大臣 当然、いろいろな外交関係というのは幾つかの側面というのを持っているんだと思います。  御指摘インドと中国にしましても、世界第一位、第二位の人口を擁するアジアの大国でありまして、インドにとって中国は最大の貿易相手国であります。また、首脳レベルを含みます要人の往来に加えて、上海協力機構であったりとかBRICSを含みます様々な協力枠組みというのがあるわけであります。  その一方で、両国はカシミール地方などにおいて国境問題を抱えているわけでありまして、私も、インドジャイシャンカル外相と会うたびにこの話が出ます、どういう状況なのかと。また、インド側の主張であったりとかそういうのも聞くところでありまして、日本政府としては、インドそして中国の国境地域における両国軍の対峙や衝突というのが、当事者間の対話によって平和的に解決されていくことを期待いたしたいと思っております。  この問題についてはそういうスタンスを日本として取っておりますが、一方で、大きな、自由で開かれたインド太平洋ということにつきましては、まさにインドと価値観であったりとか考え方、さらには具体的な協力も進めているところでありまして、そういった面におきましては、しっかりと今後も連携をしていきたいと思います。
  65. 重徳和彦

    重徳委員 我が党の中でも当然様々な議論があるわけですが、今大臣のおっしゃったような考え方というのは共有できるという議員も多数、現にいます。  今回のACSAについては、先ほどの理由から反対という、結論はそういう結論を取ることになっておりますけれども、アジア最大の民主主義国家でありますインドと緊密な二国間関係をつくっていこう、こういう強い認識を持った真剣な議論が我が党内でも精力的に行われたということをここで申し上げておきたいというふうに思います。  さて、次のテーマで、日米首脳会談について質問させていただきます。  隣の緑川委員が、この間、本会議場では、基本的な確認事項についてはかなり網羅的に質問をしていただいたわけですけれども、今日は少し絞って質問をしてみたいと思います。  まず、資料を配付しておりますが、日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」という文書が四月十六日に発表されました。この中で、この紙でいうと下の方に、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。」という文言が盛り込まれたことが非常に大きな話題になっております。もちろん、「中国との率直な対話」や「直接懸念を伝達していく意図」といったことも書かれております。  日中間では平和条約締結されておりますから、友好協力の約束というものもありますし、経済的にも、自動車産業など、中国との関係は非常に重要なものがあると思っております。  安全保障というのは、基本的には外交努力の積み重ね、地域の安定の確立というものが本来の目的だというふうに考えております。しかし一方で、やはり、このように共同声明に台湾海峡という文言を半世紀ぶりに盛り込む判断に踏み切った以上は、特に中国との関係において、あらゆる想定をして備えをしておく必要があると考えます。これは武力攻撃、あるいはサイバー、最近はハイブリッドと言われますけれども、ハイブリッド戦を、やはりこれは危機管理、安全保障上は想定をしながら対話を促していくということも一方で進めるという姿勢が重要なのではないかと思います。  現に政府も、南西諸島海域の警戒態勢を強化しております。先日、岸防衛大臣が与那国島の視察をされました。これはもう言うまでもなく台湾の最前線の島でありまして、陸上自衛隊の沿岸監視隊が配備されています。近くでは、宮古島とか石垣島とかいう配備体制を整えつつあるということであります。  そこで、今日は中山防衛大臣にお越しいただいております。まず、この与那国島の沿岸監視隊なんですけれども、台湾と与那国島の間というのは百十キロぐらいということですが、ここを航行する中国の艦船についてもしっかり警戒監視をしているということでよろしいでしょうか。  それから、この沿岸監視隊が異常を覚知するようなことがあったら、これはあくまで陸上自衛隊に所属しておりますので、沿岸監視隊は、海上保安庁とか海上自衛隊とどのように連携して対処する方針になっているのか、お答えください。
  66. 中山泰秀

    ○中山副大臣 重徳先生、ありがとうございます。  平成二十八年三月に開設されました陸上自衛隊与那国駐屯地は、全長が約千二百キロメートルに及ぶ広大な南西地域防衛体制強化のために非常に重要な役割を果たしております。同駐屯地に所在する与那国沿岸監視隊は、我が国の領海、領空の境界に近い地域において、付近を航行、飛行する艦船や航空機を沿岸部から監視し、各種兆候を早期に察知することを任務といたしております。  また、重徳先生から先ほど御指摘のあったとおり、今月、令和三年四月の十七日でございますけれども、岸防衛大臣が同駐屯地を視察し、士気高く任務に精励している隊員たちに激励を行っているということでございます。  また、中国艦艇の動向などのことでございますけれども、防衛省自衛隊としては、平素から中国の軍事行動について強い関心を持って情報収集に努めております。個々の具体的な動向について明らかにすることは我が方の情報収集能力を明らかにするおそれがあるため、直接的にお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。  その上で、一般論として申し上げれば、中国は最近、台湾周辺の海空域におきまして軍事活動を非常に活発化させております。例えば、これまでも空母遼寧などを含む中国軍艦艇が台湾周辺海域において訓練を実施しており、中国軍は、今後も演習を定期的に行っていく旨の方針を発表していると承知をいたしております。  防衛省といたしましては、中国軍の動向につきまして引き続き注視するとともに、我が国周辺海空域における情報収集、警戒監視に万全を期してまいりたいというふうに思います。  また、連携の部分に対する御指摘でございますけれども、繰り返しになる部分もありますが、お許しいただきたいと思いますが、防衛省自衛隊は、我が国周辺海域を航行する船舶等の状況を毎日監視をするとともに、必要に応じて護衛艦、航空機等を柔軟に運用し、警戒監視、情報収集を実施しております。  与那国のいわゆる沿岸監視隊は、他の部隊と連携をしながら、付近を航行、飛行する艦船、航空機、沿岸部から常時監視、各種兆候の早期察知に努めている。同監視隊が入手した情報は、関係する自衛隊の部隊に共有をするとともに、必要に応じて、海上における治安の維持に第一義的な対応の責任を有する海上保安庁にも提供をされております。  いずれにしましても、防衛省自衛隊として我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く方針の下、海上保安庁等の関係機関と密接に連携しつつ、警戒監視、情報収集に万全を期してまいりたい、かように考えます。  ありがとうございます。
  67. 重徳和彦

    重徳委員 ありがとうございます。  尖閣防衛においても、海上保安庁と海上自衛隊との連携というのは強化すべきだということをよく言われますが、更に加えると陸上自衛隊の部隊もありますので、そこの連携もしっかり強化していく必要があるというふうに思っております。  今のはいわゆる艦船、リアルな武力攻撃あるいは軍事行動についての話だったんですが、最近はサイバー攻撃、それも大規模なものが行われてきております。最近も、これは二〇一六年から一七年のことだということでありますが、日本国内の二百か所ぐらいの事業所で大規模なサイバー攻撃を受けたと報道されております。そして、これは中国人民解放軍が関与しているということも報道ベースでは言われているわけであります。  サイバー攻撃は、もう既に行われてからも、そもそも主体がどうなのかも分からない、その意図も分からない、こういう状態が続きますので、その被害を受けた状況、情報をしっかり、これは場合によっては国境を越えて共有する必要もあるのではないかと考えます。  そこで、今回は、台湾海峡を重視する、平和と安定の重要性が強調されたわけでありますが、仮に台湾と日本が同時に国境関係なく何かしらのサイバー攻撃が行われるなどと、仮にですよ、これは例え話ですけれども、そのように国境を越えて台湾と日本が何かしら同じような状況になっているぞというような状況になったときに、まさにその主体とか意図を特定するのは大変なわけなんですけれども、その際に、やはり台湾と日本との間で緊密な情報共有、連携というものが必要な場面もあり得るんじゃないか。  こういう備えをしておかなきゃならないんじゃないかと思いますが、現状、このようなことが起きたとき、どのような連携体制が取られるのでしょうか。外務省、防衛省双方からお答えください。
  68. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  安全保障上の問題という事柄の性質上、仮定の質問についてお答えすることは差し控えさせていただければと存じますけれども、いずれにせよ、政府といたしましては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの従来の立場を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えておるという次第でございます。
  69. 野口泰

    野口政府参考人 お答え申し上げます。  サイバー攻撃等、攻撃主体や意図が不明な事態が日本と台湾で相次いで起こった場合といった、御指摘のような事態を前提とした仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。  その上で、我が国の台湾に対する基本的な立場は、一九七二年の日中共同声明のとおり、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫しており、台湾との関係については、防衛省自衛隊としまして、こうした立場に基づき適切に対応していく考えでございます。
  70. 重徳和彦

    重徳委員 ちなみに、アメリカの場合には台湾関係法という法律があって、様々、台湾への関与も日本以上にしていると思うんですが、要するに、今は政府間のいわば公式な窓口というのはなく、非政府間の実務的なやり取り、窓口で対応するという答弁だったと思うんですが、アメリカの場合にはどのような体制になっているかということを把握しておりましたら、お答えください。外務省かな。
  71. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  アメリカにおきましても、AIT、米国在台湾協会というものがございまして、そちらの方も通じつつ、台湾との間のやり取りを様々行ってきておるということと存じますけれども、同時に、委員指摘のとおり、アメリカにつきましては、武器供与等も含めて、台湾との間でも様々、安全保障面を含めてのやり取りがあるものと認識しております。  一方で、我が国当事者ということのやり取りではございませんので、詳細は控えさせていただければと思います。
  72. 重徳和彦

    重徳委員 ちょっと茂木大臣に今の話を踏まえて聞いてみたいんですが、あくまで非政府間の実務関係ということでありますが、事、安全保障防衛ということになると、やはり政府が大いに関わっていかなければならない場面が多いと思います。  サイバー攻撃があるかどうか、それはあくまで仮の話でありますが、このような日米首脳共同声明を発表した以上は、あらゆることを想定して、台湾との間の関係も、何かしら、窓口だけの問題ではないんですが、情報共有の体制をしっかり整えていくべきではないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  73. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、ちょっと日米から入りたいと思うんですけれども、今回の日米の首脳共同声明、それから共同記者会見の中でも、サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力深化させること、また、両国間のサイバーセキュリティー及び情報保全強化並びに両国技術的優位を守ることの重要性を強調した、こういう形になっております。  それで、日本に対しますサイバーアタックがある、サイバーセキュリティー上深刻な問題が出てきた、こういった場合は、まずはそのアタックを防ぐ。そして、そういった問題が再発しないように、どう体制を取っていくかとか、どう更に防御能力を高めていくかということは考えなきゃなりません。  それは、例えば米国との関係においてできること、ほかの国とか地域との関係においてできること、できる範囲において最大限のことをすることによって我が国のサイバーセキュリティー対策を万全のものにしていきたい。  当然、こういった事柄の問題でありますから、この国との間とか、この地域との間はこんなことができます、こんなことはできませんということは控えさせていただきたいと思います。
  74. 重徳和彦

    重徳委員 では、次の質問に入ります。  この共同声明のペーパーでいうと上の方にあります、「自らの防衛力を強化する」、この言葉も大変注目されているわけでありますけれども、この自らの防衛力を強化するというのはどういう意味かということは、それこそ、緑川委員からも本会議でもお尋ねし、それは中山副大臣からの御答弁があったので、今日は御答弁は不要といたしますけれども。  私は、今の防衛大綱の多元的統合防衛力に基づいて抜本的な体制強化をしていくというのは、これはもう既に規定防衛大綱をなぞっただけの答弁だと思いますので、今回新たに、自らの防衛力を強化すると言った以上は、ここに対応した具体的な何らかの措置、あるいは今のところ腹づもりと言ってもいいかもしれませんが、何かしらあってしかるべきなのではないかと。それは全てつまびらかにできないことかもしれませんが、ちょっと茂木大臣にお尋ねしたいと思うんです。  というのも、先般、安全保障委員会における大臣の所信への質問でも、私、アメリカのバイデン政権の暫定指針において、シェアレスポンシビリティーという言葉についてどう解釈されているかという質問をさせていただきました。そのときには、大臣は、日米がいかなる役割と任務を分担していくかということをまず考えていくんだという若干抽象的なお答えでしたが、今回の自らの防衛力を強化するという言葉は、先般の日米の2プラス2のときの言葉よりも少し、一歩踏み込んだように受け止められます。英語の文書を読んでも、エンハンスという言葉がなくなって、ボルスター・イッツ・オウン・ナショナル・ディフェンス・ケーパビリティーズというふうに、割とストレートな言い方になっているんじゃないかな、そういう意味なんじゃないかなというふうに受け止めておりますが、茂木大臣にこの意味を少しひもといていただけないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  75. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力いただきます。
  76. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今の英語のニュアンスを聞いたら、ほとんど変わらないなと、私の語学の理解力ではそのように感じましたが、いずれにしても、今の日米同盟というのは、アメリカから何かを要求されて日本がそれに応えるというよりも、日本日本として主体的にどういうことをやっていくか、それによってどう日米同盟を強化していくか、こういう関係になっている、このように理解をいたしております。
  77. 重徳和彦

    重徳委員 時間が来たので、ここまでといたします。  以上です。ありがとうございました。
  78. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、穀田恵二君。
  79. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。  初めに、本日の議題となっている、自衛隊インド軍との間で物品役務相互提供を可能とする日印ACSAについて茂木大臣に聞きます。  ACSAをめぐっては、これまで日本は、米国、オーストラリア、英国、カナダ、フランスと協定締結しており、本協定は六か国目の協定となります。  日本は、インドとの特別戦略的グローバルパートナーシップで、両国間の軍事協力の拡大、深化位置づけていますけれども、今回の日印ACSAはまさにその一環ということでしょうか。
  80. 茂木敏充

    茂木国務大臣 私は、安全保障防衛を含む様々な分野協力を推進している、このように申し上げているかと思いますが、今般の日印ACSA締結によりまして、自衛隊インド軍隊との間で物品役務相互提供が円滑かつ迅速になる。  また、我が国は、日米、日豪印を含みます関係国との間でACSAを有することになりまして、これで、昨年十一月の日米豪印によるマラバールであったり、本年四月の日仏米豪印によりますラ・ペルーズなど、米豪印を含む多国間の共同訓練の実績も踏まえながら、今後、関係国との間で様々な形で共に活動する場面が想定をされることから、関係国部隊の間の緊密な協力促進されることが期待をされます。  基本的には、共同訓練をやる、さらにはPKOに共に参加をする、また、同じ国で行っております救援活動であったりとか防災に関する活動であったり、そこでの自衛隊インド軍隊との間の連携を更に円滑化する、こういう種類のものだと思っております。
  81. 穀田恵二

    ○穀田委員 自衛隊インド軍参加する共同、多国間訓練は、過去十年間で四十二回行われています。新型コロナの感染拡大により延期した初の戦闘機訓練についても、事態の収束後、速やかに両国間で調整を再開し、具体化していくことが決まっています。  こうした中で、日印ACSA自衛隊インド軍との軍事協力強化を図るもので、自衛隊の海外活動を一層拡大していくものだということ、そのことだけ指摘しておきたいと思います。  次に、前回の質問に続いて、台湾海峡をめぐる問題について聞きます。  前回、私は、中国に対抗し、米軍が沖縄からフィリピンを結ぶ第一列島線に精密打撃ネットワークを備えた統合部隊を展開するなどの構想を掲げていることを指摘しました。  実際に、米軍はインド太平洋地域の拠点を集中から分散とする方向を打ち出して、とりわけ海兵隊が分散を進めている状況にあります。  米海兵隊のトップであるバーガー総司令官が昨年三月の会見で、中国に対抗するために、二〇二七年までに対艦ミサイルなどを装備した海兵沿岸連隊を三隊創設し、沖縄とグアムとハワイに配置する考え方を明らかにしています。さらに、昨年の七月、沖縄地元紙は、バーガー氏が日本政府と協議を開始したということを明らかにしたと報道しています。  中山副大臣、このことは事実でしょうか。     〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
  82. 中山泰秀

    ○中山副大臣 穀田先生、ありがとうございます。  日米間では平素から意思疎通を行っておりますが、海兵沿岸連隊の沖縄への配備を打診されているという事実はございません。  なお、海兵沿岸連隊というのは、穀田先生の御指摘にもありましたように、二〇二〇年三月に公表された米海兵隊の戦力構想である戦力デザイン二〇三〇で言及がなされているものでありますが、同構想の内容につきましては、今後、米国防省内で検討されていくものであると理解をいたしております。米政府として正式に決定した立場ではないというふうに承知をいたしております。  いずれにしましても、防衛省といたしましては、日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄を含む地元の負担を軽減するため、引き続き、日米で緊密に協力しながら、日米両政府が合意した在日米軍再編を着実に実施していくという考えに変わりはないということでございます。
  83. 穀田恵二

    ○穀田委員 結論から言えば、打診されている事実はないということを述べた。  そこで、そうしますと、海兵隊のトップは日本政府と協議を開始したということを明らかにしたと。ということは、話が違う。つまり、海兵隊のトップの総司令官であるバーガー氏は虚偽を述べているということになりますけれども、それでいいんですね。  茂木大臣を例に出すつもりはないんですけれども、茂木大臣も菅総理大臣も昨年十一月十八日にバーガー氏の表敬訪問を受けているわけですよね。海兵隊のトップがそういう形でうそをついているということになるわけですね。それでいいんですね。
  84. 中山泰秀

    ○中山副大臣 いろいろな報道が行われているというのは承知はいたしておりますけれども、私ども防衛省自衛隊としての理解といたしましては、先ほど御答弁申し上げたとおりであります。
  85. 穀田恵二

    ○穀田委員 報道は承知している、事実はないということ、ということは、あっちがうそをついたということを述べたと確認していいですね。
  86. 中山泰秀

    ○中山副大臣 地元で、例えば二紙、私の手元に報道の、当時の新聞のコピーがございますけれども、こういった報道がいろいろと行われているというのは存じ上げてはおりますけれども、私ども防衛省自衛隊としての認識は、先ほどから申し上げているとおり、日米間では平素から意思疎通は行っておりますけれども、この海兵沿岸連隊の沖縄への配備を打診されているという事実はないということであります。  そしてまた、いわゆる戦力デザイン二〇三〇で言及がなされているものだというふうに、委員の御指摘については認識をいたしております。また同時に、米国防省内で検討されているものであって、米政府として正式に決定した立場にはない、そういうふうに承知をしているということでございます。
  87. 穀田恵二

    ○穀田委員 新しい事実ははっきりしていない、検討している事実はお認めになった、要するに、米国ではそういうことをやっていると。それで、簡単に言うと、それは事実でないと。しかし、バーガー氏がメディアに語っているわけですよね。この発言というのは極めて重要だと思います。これは、なぜかといいますと、新たに沖縄、グアム、ハワイに配備するとしている海兵沿岸連隊は何を装備する部隊なのかという問題なんですよね。  このバーガー氏は、アメリカの上院軍事委員会で、これに関して看過できない発言を行っています。昨年三月四日、上院軍事委員会での公聴会、これですけれども、地対艦攻撃型のトマホーク巡航ミサイル四十八基を調達すると述べています。これですよね、さっき言いましたけれども。  海兵沿岸連隊の主な装備としているのが、長距離対艦ミサイル、NSM、地対艦ミサイルと、トマホーク巡航ミサイルですよね。  中山副大臣、海兵隊がトマホーク四十八基を調達し、それを主な装備とする新たな部隊を沖縄などに配備する計画を持っているということになる、そこは承知しているんですか。
  88. 中山泰秀

    ○中山副大臣 先ほど来申し上げておりますように、この海兵沿岸連隊というのは、二〇二〇年三月に公表された米海兵隊の戦力構想である戦力デザイン二〇三〇、フォースデザインイニシアティブ、これを発表しているということは承知をいたしております。  同構想の内容については、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、今後、ペンタゴンの方で検討をされていくものという理解であります。  アメリカの政府として正式に決定した立場ではないと、先ほど来繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、私たちとしては、いずれにしましても、日米同盟の抑止力、これをしっかりと維持する、そして沖縄を含む地元の負担を軽減すること、そして、日米で緊密に連携をし、協力をするということ、こういった日米の両政府が合意をした在日米軍再編、これを我が国のためにしっかりと実施するという考えには全く変わりはないということでございます。
  89. 穀田恵二

    ○穀田委員 今お話あったように、正式に決まっているわけじゃないということは、そういう話をいろいろお話合いをしているということをうかがわせますよね。知っているということは、正式でないということを確認しているわけでしょう。正式でないということでこっちが言う、あっちはこうだと言っているという話じゃないから、そういう話ができるわけでしょう。論理の筋道からそうなりますわな。  バーガー氏は、沖縄では既存の部隊を整理統合して新部隊を新設すると、具体的な計画まで明らかにしているんですね。さらに、同氏は、上院軍事委員会の公聴会で、今後の海兵隊にとっての基準となる脅威は何か、それは、中国がもたらす圧倒的な海洋の脅威だとする方針を打ち出しています。そのためにも長距離精密射撃が必要なのだと言っています。これを持つことによって、対中国を念頭に、海兵隊による制海、海上拒否に対する貢献を可能にすると発言をしています。  そうした目的を持った部隊が今後沖縄に配備されるということになりますと、極めて重大と言わなければなりません。しかも、インド太平洋軍司令官が、六年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があるなどと危機をあおり、第一列島線に精密打撃ネットワークを備えた統合部隊を展開する構想を打ち出しているわけですよね。  そうすると、バーガー氏が沖縄に配備するとしている部隊は、まさに台湾有事のための新たな部隊配置ということになるのではないですかね。そういう話合いをしているということですよね。     〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 中山泰秀

    ○中山副大臣 これは、アメリカの国防省内ですら、今現在検討されている最中であるということだと理解をいたしております。  アメリカの国防省内で検討されている、アメリカ政府として正式に決定した立場では今現在はないということですけれども、日米同盟の抑止力というのは重要であるということ、それから沖縄を含むこの地域の地元の負担を軽減するということ、これも引き続き、やはり、日本米国で緊密に協力連携をするというのが、我々政府、これは合意した全く重要な観点だということでございます。  我々としては、沖縄、とにかく、今国内でも在日米軍の基地に対する御負担を、ある意味本当に頑張っていただいているということでありますので、こういった米軍の再編の作業を着実に実施していくという考えには変わりがありませんし、先ほど来申し上げている戦力デザイン二〇三〇というのは、アメリカ政府側の御発表であるということでございますので、我々の理解としては、まだこれは、先ほど来繰り返していますけれども、ペンタゴンの中で現在検討中のものであるという理解には変わりません。
  91. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、そういう一連の議論の下で何が今起こっているかということを見てみます。  日本は、既に、第一列島線にある南西諸島に陸上自衛隊のミサイル部隊の配備が進められています。これまで、奄美大島と宮古島に地対艦、地対空ミサイル部隊が既に配備され、石垣島にもミサイル両部隊を配置しようとしています。  それでは、沖縄本島はどうなのか。  それを示す資料があります。皆さんのところには、二枚あるんですけれども、一枚物にして配らせていただいています。  この資料は、陸上幕僚監部の防衛部が二〇一五年九月二十八日に作成した陸幕施策等説明と題する資料で、南西地域における平素からの部隊配置の推進として、新たに陸上自衛隊の部隊を配備する計画が書かれています。  そこで、聞きますけれども、中山副大臣、沖縄本島を指すこの黒塗りの部分というのは、どういう部隊を配置するんですか。
  92. 中山泰秀

    ○中山副大臣 当該資料につきましては、南西地域への自衛隊の配備に関しまして、平成二十七年時点で陸上幕僚監部において検討をしていた内容を記載しているものということでありますが、当時の検討段階の内容の逐一についてはお答えを差し控えさせていただいておりまして、このことは現時点においても変わらないため、同じ不開示部分とともに提出をさせていただいているということでございます。  いずれにしましても、防衛省として公にできる情報の範囲内で御説明をさせていただいているということに御理解を賜りたい、かように考えてございます。
  93. 穀田恵二

    ○穀田委員 これは、今お話あったわけですけれども、当時の検討の段階の内容だということになるわけです。資料を作成したのは確かに二〇一五年ということなんですけれども、この黒塗りの部分は、平成でいうと三十年、三十一年ということで、二〇一九年以降の計画となっているわけですね、計画を作っているわけですよね、見ていただいたら分かりますが。そうすると、この黒塗りの部分は、結局、だからこそ外せないんじゃないのかと思うんですね。  問題は、この沖縄本島の黒塗り部分、ここに何を配備しようとしているのかということであります。  二〇一八年の二月に、沖縄本島へのミサイル部隊の配備と題して、各紙が一斉に報道を行いました。これですね。これは、見ますと、政府は、陸上自衛隊が運用する一二式地対艦誘導弾の新たな部隊を沖縄本島に配備する方向で本格的な検討に入った、防衛省関係者は、沖縄に配備される可能性は高いと沖縄配備を有力視しているなどと書かれています。つまり、この資料の黒塗りには、そうした沖縄本島へのミサイル部隊の配備計画が書かれているのではありませんか。
  94. 中山泰秀

    ○中山副大臣 当該資料に関しましては、南西地域への自衛隊の配備に関して、平成二十七年時点で陸上幕僚監部において検討していた内容を記載しているものでありますが、当時の検討段階の内容の逐一については、先ほども申し上げたとおり、お答えを差し控えさせていただいております。  いずれにいたしましても、既に対外的に御説明しているもの以外の令和四年度以降の陸自の体制につきましては現在検討中でございまして、具体的には決定はしておりません。
  95. 穀田恵二

    ○穀田委員 検討中、決定していないということになりますね。そこで、はっきりしているのは、いずれにしても、こういう方向は議論しているということだけは確かだ、検討しているということはお認めになった。  そこで、何らかの部隊を平素から沖縄本島に配備するという計画が書かれているということについては間違いないということになりますよね。
  96. 中山泰秀

    ○中山副大臣 先生から頂戴をいたしておりますこの配付資料、これを見ていただきましたら、ちょうど黒塗りの隣の二十八年、二十九年辺り、これは、造成・隊庁舎新設等と開示されている部分がございます。  通常、自衛隊のこういった駐屯地を開設するため施設を整備するに当たりましては、例えば、用地取得とか基本検討などを実施した後、施設を建設するための造成工事を経た上で、当該敷地上に、例えば隊庁舎等の施設を建設することとなるところ、例えば、この隊庁舎新設という記述は、あくまでも、かかる一般的な施設整備の流れを記述をさせていただいているものであって、不開示情報とすべき特定の防衛力整備に関わる計画とは言えないことから、このように開示をさせていただいているということになります。  一方で、当該資料の不開示のこの黒い部分に関しましては、平成二十七年時点で陸上幕僚監部において検討していた内容を記載しているものですが、これらは、防衛省自衛隊防衛力の整備等に関する計画等に関する情報ということになります。これを例えば公にすることによって、我が国防衛体制、あと、防衛力の現状等が推察をされたり、あとは防衛省自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を及ぼしかねない、ひいては我が国の国家の安全を害するおそれがあることから、不開示という意味で黒塗りにさせていただいているわけでございます。  したがいまして、こういった開示、不開示の判断というのは、先日来も御説明を申し上げておりますとおり、これ以上具体的な詳細について、例えばその違いを説明するなどということが起こり得ると、いささか問題が生じるのではないか、そういった考え方から、不開示情報の内容を明らかにすることは差し控えるということが現時点での私どもの考え方ということになります。
  97. 穀田恵二

    ○穀田委員 結局のところ、この間の不開示論を述べただけなんですよ。それでは、それこそ先ほど沖縄の負担軽減とかなんとかいって理屈をいろいろ述べていることに全く当てはまらないし、何の理解も得られないということを事実としては示すんだろうと思います。  問題は、この資料の沖縄本島の黒塗り部分に書かれている何らかの部隊の配備先が、見たら分かりますように、キャンプ・シュワブの辺野古付近を指しているんじゃないか。  昨年の三月二十三日付の朝日新聞デジタル記事には、防衛省幹部が、一二式地対艦誘導弾を将来沖縄本島にも配備し、宮古島と併せて両側から中国艦艇を牽制すると話していると書かれています。その記事の中で、防衛省幹部は、さらに、米軍だけでなく日本も中距離ミサイルを持つべきだとまで言っています。それがキャンプ・シュワブだということになれば重大問題だと思うんですが、それはどうですか。
  98. 中山泰秀

    ○中山副大臣 例えばですけれども、陸上自衛隊の水陸機動団、こういったものは、島嶼防衛において万が一我が国の島嶼を占拠された場合に、速やかに上陸、奪還、それから確保することを任務としております。そのために、例えば、上陸部隊である水陸機動連隊とか、水陸両用車を運用する戦闘上陸大隊、迫撃砲等を運用する特科大隊を基幹とする約二千三百八十名、こういった人数規模で編成をしております。  一方で、例えば、強襲上陸、対テロ作戦、それから人質の奪還等の特殊作戦など、世界各地の広範な任務に常時即応することを任務としている米海兵隊は、その任務を実施するための部隊として、上陸部隊のみならず、FA18戦闘機、それからKC130空中給油機などの航空部隊、それから施設整備や補給等を担う後方支援部隊も有しており、我が国の島嶼防衛を任務とする水陸機動団と強襲上陸なども任務とする米海兵隊とでは、部隊の構成、それから保有する装備品などが異なります。  その上で、例えば先ほど来申し上げている水陸機動団については、沖縄県内への配備は今は考えておりませんが、いずれにせよ、御指摘の部分、この平成二十七年時点での例えば当時の検討段階の内容を含めて、こういった部隊をどのように展開するかということについては、現時点で申し上げるということは非常に手のうちを明かすことにもなりかねませんので、現在は、先ほど来申し上げているとおりでございます、不開示ということでございます。
  99. 穀田恵二

    ○穀田委員 部隊配備の一連のこの間の国の方針と実行をあれこれ説明しているだけなんですよ。  私はこの質問をしているのは、これはそうちゃうのかと、キャンプ・シュワブにミサイルが配備されるのと違うのかって端的に聞いているんですよ。そういう問題についてずらっと話をして時間を取っただけで、駄目ですよ、そんなことをやっていたんじゃ。  それで、しかも、言わせていただくと、この資料は沖縄本島だけじゃなくて石垣島への配備計画も書かれていて、それも黒塗りのままになっている。だから、市民からは、一連の日米の軍事一体化の動きは沖縄を戦場にするものだとの懸念の声が上がっているわけですよ。  石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会の共同代表は、日本側があおっているとしか思えない、国防のためには住民の命を危険にさらして犠牲になっても構わないと言うのか、領土だけが国で住民は無視するのか、火の気のあるところに火薬を置くようなことはしないでほしいと訴えているじゃないですか。  こういった声に、しかも一連の報道は、この問題について、ミサイル部隊を置く、まさに基地の要塞化であるという話をして、何が実際に負担軽減になるのかという声まで出ているわけですよね。だから、事実は、シュワブにミサイル基地を置くのかということについて、それはどうなのかということを聞いているわけじゃないですか。
  100. 中山泰秀

    ○中山副大臣 在日米軍及び自衛隊による施設・区域の共同使用の検討に当たりましては、特定の地域を排除することなく、沖縄を含む日本全国の施設・区域について幅広く様々な可能性を検討してきておりますが、キャンプ・シュワブ及びキャンプ・ハンセンを始めとする在沖米軍基地への自衛隊の配備について、現時点において何ら具体的に決まった計画があるわけではないということでございます。  これは、在日米軍及び自衛隊による施設・区域の共同使用ということで、特定の地域を排除することがないということでございますけれども、沖縄を含む日本全国の施設・区域について幅広く様々な可能性を検討してきているという、先ほど来ずっと申し上げていることでございます。  それからもう一点ですけれども、沖縄県の陸自駐屯地への陸自部隊の配備の今後の計画に関しては、これは、現在沖縄県内は、南西地域における事態生起時、隷下の普通科部隊を中心に、沖縄本島周辺の広域に所在する重要施設等を確実に防護する役割を担う陸自第十五旅団等が配備されておりまして、令和三年度においては、現中期防に基づいて日本全国に小規模な電子戦部隊を分散して配備する計画であるところ、那覇駐屯地などにおいても小規模な電子戦部隊を配備することなどを計画しているということでございます。
  101. 穀田恵二

    ○穀田委員 この間の一連の経過を述べて、そして肝腎の話ははぐらかしちゃ駄目ですよ。  私どもは今何を言っているか、こういう形で軍事力を強化するやり方はおかしいのと違うか、ミサイルを配備する、アメリカはそういうことを言っている、そういうことについて現地で関係防衛省の幹部も発言している、これは大変なことじゃないか、こう言っているわけですよね。  そうなりますと、私は、陸上自衛隊による沖縄本島や石垣島への新たな部隊の配備、米国による中距離ミサイル配備計画、これをずっと我々は指摘しているわけですよ。これらが国民や国会に知らされることなく進められるということは到底許し難いと思います。  オースティン米国防長官は、三月一日の講演で、部隊を少数の基地に集中させると中国による精密ミサイル攻撃の標的になりやすいとして、米軍基地は中国の標的になると認めています。軍事衝突が起これば、こうした沖縄に配備される部隊が標的になる可能性があって、まさに軍事衝突の最前線に沖縄が立たされることになります。こんなこと断じて憲法上も許されないと思っています。  それで、先ほど私述べましたけれども、二〇一八年の二月二十八日の地元紙を始め、各紙持ってきましたけれども、沖縄本島に地対艦ミサイルと報じているわけですよ。そして、沖縄の負担軽減を目的としたSACO合意、あなたがおっしゃっていましたやん、をかけ離れた軍事要塞化が進んでいる、政府は地対艦誘導弾の部隊を……
  102. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
  103. 穀田恵二

    ○穀田委員 沖縄本島に配備する方向で本格的な検討に入った、こういうことを述べています。  そして、最後に結論として、軍事に軍事で対抗することは愚かとしか言いようがない、こう述べているわけですね。私はその危険性を指摘しているわけですよね。そんなことがあっていいのか。憲法上許されない。今、軍事対軍事というやり方は間違っている。
  104. あべ俊子

    ○あべ委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
  105. 穀田恵二

    ○穀田委員 中国に対する厳しい批判と同時に、そういう問題について、憲法九条を持つ日本としての対処が求められている、そういうやり方は間違っているということを改めて述べて、終わります。
  106. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、浦野靖人君。
  107. 浦野靖人

    ○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。  日印ACSAについて質問をさせていただきます。  この協定は、締結国の軍隊間における物品役務相互提供に関する決済手続等枠組みや基本的条件を定める国際約束を指すとあります。同盟国などの部隊が共に活動している場合などに、現地において必要な物品役務相互に融通することができれば、部隊運用の弾力性、柔軟性を向上させることが可能となるということだと思います。  まずは、なぜこのタイミングで日印ACSA締結させるのか、また、準同盟国インド協定を結ぶ意義と必要性を説明いただきたいと思います。また、本協定締結されていない場合、行動にどのような支障があるのかも具体的に説明をいただきたいと思います。
  108. 茂木敏充

    茂木国務大臣 インドとの間で、準同盟国ということではありませんが、日印両国は、普遍的な価値そして戦略的利益を共有するアジアの二大民主主義国でありまして、自由で開かれたインド太平洋実現に向けて、安全保障防衛協力含め様々な分野協力を進めております。  また、ACSA自体は、自衛隊相手国軍隊共同訓練であったりPKO国際救援等の活動を行うに際しまして、両者の間において、決済の方法を始めとする物品役務提供、受領の際の手続を定めるものでありまして、今回、インドとの間でACSA締結することによりまして、自衛隊インド軍隊との間の物品役務提供を円滑かつ迅速に行うことが可能になります。  さらに、こういった形で自衛隊インド軍隊との間の緊密な協力促進されるということは、我が国安全保障に資するのみならず、日印両国がこのインド太平洋地域、さらには国際社会の平和、安全により積極的に寄与することにつながる、このように考えておりまして、これまでは日本としてACSAは五つの国との間で結んできておりますが、最近の例えば日米豪印協力であったりとか様々なことを考えますと、この六番目といいますか、ここでインドACSA締結国になる、我が国との間になるというのは、極めて適切なタイミングである、こんなふうに考えております。
  109. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  尖閣周辺地域における中国との緊張関係は今続いています。その中で、本協定が中国や北朝鮮などを刺激することはないのかということを考えていますけれども、いかがでしょうか。
  110. 小林賢一

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  日印両国は、普遍的価値戦略的利益を共有するアジアの二大民主主義国として、自由で開かれたインド太平洋実現に向けて、これまでも安全保障防衛協力を推進してきておりまして、日印ACSAは特定の国や地域を念頭に置いたものではございません。  インドとのACSA締結によりまして、日印両国で、国際社会の平和及び安定により積極的に寄与していくものと考えてございます。
  111. 浦野靖人

    ○浦野委員 特定のそういうところを想定していないということですけれども、ちょっと心配にはなります。  ACSAが未締結の国の軍隊自衛隊物品提供する場合には、相手国に対して物品の無償貸付けを行うことができないということですけれども、同盟国及び準同盟国、ちょっと準同盟国がどういうところなのかというのはレクチャーのときも話題になりましたけれども、ここでは準同盟国という形にしておきますけれども、そういった国においてACSA締結していない国はありますか。  また、今後、どのような国と、どのような内容のACSA考えていますか。
  112. 大鶴哲也

    大鶴政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど大臣から答弁申し上げましたとおり、我が国がこれまでACSA締結している国は五か国でございまして、具体的には、米国、オーストラリア、英国、カナダ、フランスとなっておりまして、今回お認めいただきますと、日・インドACSAは六本目ということになります。  現時点におきまして、これに続く次のACSA交渉開始を検討している国はございません。  自衛隊が諸外国の軍隊協力して活動する際に物品役務相互に円滑に提供できることは重要な意義を有しますことから、政府といたしましては、各国との安全保障防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係ですとか、自衛隊相手国軍隊との協力の実績、具体的ニーズなども踏まえながら、必要なACSA締結等に取り組んでまいりたいと考えております。
  113. 浦野靖人

    ○浦野委員 これから様々な場面で各国と協力をしていくことがまた増えてくるんじゃないかなと思っていますので、今検討していないということですけれども、是非そういったことを前向きに、前向きに検討するというのもちょっとおかしなことかもしれませんけれども、現実的にそういった場面が出てきそうな場合はしっかりと議論をしていただきたいと思います。  役務の区分に輸送というのがありますけれども、輸送されるものについて、どのようなものが想定されているのか。極論を言えば、各国の核兵器のようなものも、必要があれば、依頼があれば輸送するのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
  114. 野口泰

    野口政府参考人 お答え申し上げます。  日印ACSAの付表において、日印ACSAの下で提供される輸送については、「人又は物の輸送、輸送用資材及びこれらに類するもの」と規定をしています。  輸送の具体的な対象につきましては、活動場面によっても異なりますが、例えば、各種活動参加する人員や、活動に必要となる水や食料、燃料といった物品の輸送が想定をされます。  その上で、核兵器等の輸送について申し上げれば、我が国は、非核三原則を堅持するとともに、核兵器不拡散条約などを批准し、大量破壊兵器の拡散の防止にも積極的に取り組んできており、核兵器を始めとする大量破壊兵器を自衛隊が輸送することはあり得ません。
  115. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。核兵器は運ばないということを確認いたしました。ありがとうございます。  自衛隊法による相手国軍隊への物品役務提供実施するに当たっては、我が国国内法で認められた範囲内、我が国の主体的な判断により実施するということになっていますけれども、重要影響事態等における活動がその他の活動として包括的に規定されることによって、今後、自衛隊による物品役務提供範囲が無制限に広がるのではないかという心配もされていますが、いかがでしょうか。
  116. 小林賢一

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  ACSAは、自衛隊による外国軍隊への物品役務提供や受領そのものを法的に可能とするものではなく、あくまで締約国それぞれの国内法令規定に基づき実施される物品役務協定に適用される決済手続などの枠組みを定めるものでございます。  委員指摘規定は、第一条1のe、すなわち、「それぞれの国の法令により物品又は役務提供が認められるその他の活動」であり、自衛隊は、国内法令で認められた範囲内においてのみ物品役務協定実施することができるものでございます。  したがいまして、ACSA締結により、自衛隊による物品役務提供範囲が無制限に拡大するということはないというふうに考えてございます。
  117. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  日印ACSAから少し離れますけれども、機会ですので質問させていただきます。在日米軍と自衛隊の基地についてなんですけれども、自衛隊とアメリカ軍の間でも、先ほど来からお話がありましたように、ACSA協定締結されています。提供される物品役務の区分の中に、保管業務、施設の利用というのもあります。  そこで、在日米軍と自衛隊の基地統合について質問をしますけれども、ACSA協定により現地では倉庫や施設の共有が認められておりますが、日本国においては在日米軍と自衛隊の基地統合は行われておりません。  在日米軍と自衛隊の基地統合は、相互運用性や継戦能力の向上に大きく資するものと思いますけれども、米軍サイドからも、三沢、横田、横須賀、岩国などのような形で、沖縄本島における米軍と自衛隊の基地統合の推進を求める声も出ているということです。  米軍基地が集中する沖縄は、紛れもなく、例えば台湾有事があった場合は、台湾有事の対処とか、南西諸島の防衛のための要衝になります。具体的に、米軍嘉手納飛行場の弾薬庫を、弾薬庫の設置規定などにより、訓練や有事の際に必要な弾薬の確保、保持に腐心する自衛隊の弾薬庫として共用することや、配備が計画されている陸自の、先ほどもお話が出ていましたけれども、水陸機動団第三連隊を米軍キャンプ・ハンセンなどに置くことは検討に値すると考えます。先ほどの穀田委員とは全く逆の質問ですけれども。  沖縄での米軍と自衛隊の基地統合、相互一体化について、米国側とともに前に進める考えがあるのかどうか、お伺いをいたします。
  118. 野口泰

    野口政府参考人 お答え申し上げます。  在日米軍と自衛隊の施設・区域の共同使用につきましては、運用に係るより緊密な日米間の調整、相互運用性の拡大、地元とのより堅固な関係の構築といった種々の観点から、充実させるべき日米協力分野の一つと考えております。  この認識の下で、日米の間ではこれまで様々な取組を進めてきております。例えば、訓練のための陸上自衛隊による沖縄のキャンプ・ハンセンの共同使用や、日米双方の司令部機能をお互いに近い場所に置くことでより緊密に連携する観点から、航空自衛隊の航空総隊司令部を米軍の横田基地に移転するといった取組を行ってきているところでございます。  共同使用に係る日米間の具体的なやり取りや検討状況につきましては、相手方との関係などもあり、お答えを差し控えさせていただきますが、沖縄を含む全国の施設・区域における共同使用の可能性について、引き続き幅広く検討を進めてまいります。
  119. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  沖縄県の負担を減らしたいというのは、この部分に関しては我が党も全く同意見ですし、そのために、過去には具体的におおさかから提案をしたこともありました。  ただ、軍事戦略上、そういうわけにはいかない。もちろん、アメリカ軍がこの地域で軍を展開するに当たって一番有効な配置をしているわけでありますから、沖縄がどうしても負担をたくさん負ってしまうという現実というのは、これはもう避けられないと私たちも思います。ただ、その中で、少しでも沖縄の軽減負担になるようなことがあれば、具体的な提案も含めてこれからもしていきたいなと思っています。  軍隊を配備することによって戦場になるというのはそのとおりですけれども、事実上軍が展開されている以上、有事が起きた場合に必ず狙われることになる場所については、防衛体制や軍備を逆にしっかりしないといけないんじゃないかと思っております。  続いて、次は、EUとの民間航空の安全に関する協定についての質問に移ります。  本協定は、高い水準民間航空の安全等についての協力促進するため、双方航空当局による民間航空製品に対する重複した検査等を可能な限り省略することにより、航空機製造業者等の負担を軽減することを主たる目的としておりますけれども、本協定締結により、民間航空製品検査における欠陥の見落とし等による航空機安全性の低下につながるおそれがないか、お聞きします。
  120. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答えを申し上げます。  日本EUは、この日・EU航空安全協定締結に向けた過程におきまして、双方民間航空製品安全性に関する基準、審査体制等が同等の水準を十分に確保していることについて、書面のみならず、現地調査実施して厳格に確認しておりまして、その上で、輸出入に際する双方における検査等重複輸入側において省略できるようにするというものでございます。  したがいまして、この協定締結によって、民間航空製品安全性確認水準が低下することはないと考えております。
  121. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  政府は、国会において、これは平成三十一年の参議院の国土委員会ですけれども、三菱重工が開発する我が国初の国産ジェット旅客機、スペースジェットの運航開始及びその後の輸出に支障を及ぼすことがないよう、航空安全協定締結を積極的に推進すると答弁しています。  スペースジェットについては、二〇二〇年の半ばの初号機納入が目指されていましたけれども、新型コロナ影響ももちろんあったとは思いますけれども、航空旅客需要の縮小はまさにコロナの影響ですけれども、二〇二〇年十月に開発事業の凍結が発表されております。  非常に、私はこれは進めるべきだと思っているんですけれども、国産ジェット旅客機の輸出の見通しが立たない中で、政府は今後もこの安全協定締結を進めていくのかどうか。
  122. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答えを申し上げます。  EU以外では、現在のところ、日本にとりまして民間航空製品の主要な輸出入先となっております米国、カナダ、ブラジル、英国など主要国との間では、行政取決め、あるいは航空当局間の実施取決めによりまして、類似の枠組みが整備されております。  今後新たに国会承認を必要とするような条約締結する予定は、今のところございません。
  123. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  本協定で、協定に基づく範囲に含めることができる分野として耐空性分野及び整備分野と定め、個別の附属書を作成することとしていますけれども、協定署名と同時に作成されたのは、耐空性分野に関する附属書のみです。整備分野の附属書というのはなぜ作成されなかったのか、理由をお聞かせください。
  124. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  今回国会に提出させていただきましたこの日・EU航空安全協定の附属書の内容につきましては、民間航空製品輸出入における重要な協力分野を確保すること、迅速な交渉を実現すること、さらに、将来的な協力分野の拡大の可能性など、様々な要素を考慮して確定したものでございます。  今後の協力分野の拡大につきましては、この日・EU航空安全協定締結後の状況を見ながら、附属書の追加に関する検討を行っていく考えでございます。  委員から御指摘いただきました整備分野、整備機関の証明書につきましては、今後、附属書を追加する場合の新たな協力分野の一つとして考えられるものでございます。今後、日・EU航空当局間で更なる信頼醸成を行って、同等の水準安全性が十分あると判断される場合に、この整備分野につきましても、新たな附属書に関する政府間交渉の可能性、これを検討したいと考えております。
  125. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございました。  我が党は両条約については賛成の立場ですので、今聞かせていただいた質問で今日用意した質問は全て終わりました。  少し早いですけれども、質問を終わります。
  126. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、山尾志桜里君。
  127. 山尾志桜里

    ○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。  日印ACSAから始めたいと思います。ジェノサイド条約はその後にしたいと思います。  今話を聞いていますと、ACSAによってインドの国軍と自衛隊との連携領域が法的に広がるわけではない、ただ、ACSAによる円滑な連携は結果としてインド太平洋地域における日印安全保障上の連携強化するということにつながるというふうに理解をしております。  茂木大臣に伺います。  インド太平洋地域と重なるいわゆる中国の一帯一路構想に関して、一昨日、中国外交部の汪文斌報道官は、一帯一路は決して債務のわなではないと発言をしたと報じられています。  基本的なことなので、茂木大臣に伺います。いわゆる債務のわなという問題あるいは懸念、これは存在するという認識でしょうか。
  128. 茂木敏充

    茂木国務大臣 気候の問題にしても、生物多様性についても、さらには債務についても、サステーナビリティー、これは極めて重要だと思っております。  債務の持続可能性がない、それによって本来その国が求めていない結果になっていく、こういうことがあってはならないと考えております。
  129. 山尾志桜里

    ○山尾委員 改めて、今、ちょっと間接的な説明かなと思いますけれども、二〇一九年の五月五日には、当時、河野太郎外務大臣でしたけれども、会見でこのように言っています。国際社会の中で中国の途上国向けの融資が債務のわなを巻き起こしているという懸念があるというのは事実であると。  私は、ここの認識まではやはり外務省、日本政府として維持すべきだと思うので、改めて聞きます。国際社会の中で中国の途上国向けの融資が債務のわなを巻き起こしているという懸念があるというのは事実でしょうか。
  130. 茂木敏充

    茂木国務大臣 河野大臣と私の答弁の仕方は若干違うと思います。エレガントに答弁させていただいたと思っております。
  131. 山尾志桜里

    ○山尾委員 エレガントにというよりは、これは一昨日、こういった中国の広報官による債務のわなではないという発言があったわけです。遡ること二〇一九年五月に日本政府の河野大臣は、債務のわなという懸念があるというのは事実だと言っています。同じ年の九月二十七日、当時の安倍総理は、欧州連結性フォーラムで、質の高いインフラを提供し、債務のわなに陥らない支援をすると発言をしています。  ということを考えたときに、日本政府として、債務のわなという問題あるいは懸念の存在を総理外務大臣が認めていたにもかかわらず認識を変えるのは、やはり大臣が替わろうともよくないと思うんですね。ましてや一昨日、中国の広報官が債務のわなではないという発言があったことを考えると、ここでその認識を変えると、あるいは変えたというふうに取られると、中国のこの否定的な発言に日本影響を受けて、そういった認識を曖昧にした、あるいは変えたというふうにも取られかねないので、私は今日、やはり債務のわなという問題、懸念は国際社会には存在しますよということを改めて日本政府として明確にしていただきたいと思って質問しております。どうぞ。
  132. 茂木敏充

    茂木国務大臣 質の高いインフラの整備、これは、自由で開かれたインド太平洋の様々な協力の中でも極めて重要だと思っております。  そして、特定の案件について、どれが債務のわなに当たるか、これについては議論はあると思いますが、債務のわな、こういったものについては、冒頭私が申し上げたように、大きな懸念を持っております。
  133. 山尾志桜里

    ○山尾委員 誰がわなを仕掛けているのか、どこがかかろうとしているのか、そういうことを外務大臣が今言う必要は私もないと思っています。今の答弁をいただいて、一定程度明確になったので、私としては、この質疑、よかったなと思っています。  この債務のわななんですけれども、皆さん御案内のとおり、象徴例がハンバントタ港というスリランカの港で、御存じのとおり、インフラ建設のために中国から受けた巨額の融資が返せなくなった肩代わりとして、二〇一七年七月から九十九年間、中国国有企業にリースされることになったということです。そのほか、中国が運営権などを取得した港を見ると、オーストラリアのダーウィン、スリランカの今の港、パキスタンのグワダル、アラブのハリファ、そしてギリシャのピレウスと、これはシーレーンの要衝を戦略的に押さえているわけで、そう考えていくと、経済的な合理性よりも政治的な戦略性を強く感じるというのは自然なことだと思います。  改めて、今、茂木大臣からも、質の高いインフラ投資原則というのが大事という話がありました。これは大阪サミットで承認された原則で、透明性、開放性、債務の持続可能性、こういった原則を中国も含めてみんなで承認したというものだと思いますので、そこをしっかりと承認国が守っているのかどうかをチェックをしていただきたいと思うんですね。  やはり、返済の体力がない人にあえて体力を超える融資をして、そしていざ返済不能になったらおうちを取り上げるみたいな、サブプライムローンみたいなことを国家が国家に対してやっちゃ駄目だということで、しっかりチェックをしていただきたいんですけれども、そのチェック状況、もし御答弁できたら、それは役所でも結構です、いかがでしょうか。
  134. 植野篤志

    植野政府参考人 お答え申し上げます。  今山尾委員から御指摘ありましたとおり、途上国が、債権国がどこであれ、特定の国からの債務がその国の財政の中で非常に大きな割合を占めるというのは、必ずしも健全な状況ではないと理解しております。  手元にある数字だけで申し上げると、例えば大洋州のトンガについては、これは中国でございますけれども、中国からの債務が債務残高の全体で五四%と半数以上になっているという状況でありまして、そういう状況に対しては、我が国としても、例えば財政の専門家を派遣する等の形で、その国が健全な財政を運営できるようにということでお手伝いをしたいというふうに考えておりまして、トンガに限らず、ほかの幾つかの国にも専門家を派遣しております。  また、OECDのDAC等の国際的な場においても、特定の途上国がいわゆる債務のわな、先ほどから御指摘あります債務のわなに陥らないように、債務国に対する支援を行うとともに、債権国の側でも、なるべくそういう貸付過剰みたいなことにならないようにという議論を行っているところでございます。
  135. 茂木敏充

    茂木国務大臣 この議論というのは二つ側面があると思うんですけれども、今、一つが、植野経済協力局長の方からあったように、その借りている国が自主的な再建ができないとか、その国にとっての問題と同時に、地域の平和や安定にとってその場所というのがどれだけ重要であるか。  例えば大航海の時代、ポルトガルという国はかなり戦略的に世界の海を考えたわけでありまして、例えば、スペインが金を直接狙ったのに対して、サンパウロという南米で一番いい港をポルトガルは取るわけです。そして、東洋におきましては、スリランカ、輝く島ですね、スリ・ランカですから。このコロンボ港というのを取ることによって、このインド洋におけるポルトガルの覇権といいますか力というのを強固にする、こういう戦略を取ったわけでありますけれども。  まさに現代においても、こういった航路上の要衝であったりとかそういう地域、これはその国のものでもありますけれども、同時に地域の公共財的な意味合いを持つ。それがどこかに独占をされてしまう、また特定の目的で使われてしまう、こういったことについては十分な警戒というのが必要だと思っております。
  136. 山尾志桜里

    ○山尾委員 この問題、当事国の国益の問題であると同時に地域の公共財の問題だというお話でありましたし、そのとおりだと思います。  その上で、やはりこのシーレーン上で特定の国への依存が強まり過ぎることのないように、日本としてはしっかりと、一点、やはり今言っていただいた経済面でのサポート、要するに、依存するなといったって、ほかになければ依存せざるを得ないという状況を解消するための経済面のサポートの多角化、強化ということが一点。  もう一つは、やはり安全保障面で、シーレーンの要衝を踏まえた、価値を同じくする国との連携強化するということが必要で、後者については、この日印ACSAがやはり直接間接に関わってくるんだろうと思います。  その上で、一点、もうちょっと具体的に、先ほど島嶼国への財政専門家派遣というお話がありました。経済面でのサポートですね、具体的な。それは一体今どういう進捗状況になっているか、もう少し具体的に教えてください。
  137. 植野篤志

    植野政府参考人 お答え申し上げます。  一部繰り返しになりますけれども、太平洋の島嶼国への財政専門家の派遣という観点からは、先ほど申し上げたとおり、現在、トンガへの派遣について人選を進めているところでございます。  これは、実はおととし、こういう話があって、昨年、派遣を実際にしようということで具体的な方を念頭に手続を進めていたんですけれども、新型コロナの感染拡大によって渡航が難しくなって、それで時期がずれたことによって、その候補者だった方の御事情でちょっと行けなくなってしまったということで、今改めてトンガに行ってくださる方を探しているところなんですけれども。  いずれにしろ、財政の専門家を派遣することによって、トンガにおける債務管理に必要な知識、業務の定着、そういうことをお手伝いするとともに、トンガ自身の債務管理能力の向上というのを図って、それによってトンガの財政健全化を図るということを目的にしております。  現状は、太平洋の島嶼国においては、トンガ以外からはまだ具体的な要請はないんですけれども、そういう要請があればできるだけお応えしていきたいと思いますし、太平洋ではありませんけれども、島国という意味では、ほかにもそういうようなお話があれば検討していきたい、モルディブに、済みません、今思い出しました、専門家を派遣している例がございます。  以上でございます。
  138. 山尾志桜里

    ○山尾委員 コロナあるいは人材の問題など、課題はあるんでしょうけれども、是非そこは積極的に、スピード感を持って進めていただきたいというふうに思います。  やはり、先ほど茂木大臣からも、スペインの金山を狙った例、縮めていいか分からないけれども、あったように、今の問題でいうと、現在の問題としては、ザンビアについては、中国からの債務の猶予や免除の見返りに銅の鉱山を差し出すことが検討されているというような報道もあり、これはまだ事実がどこまでかというのは多分政府としてもはっきりしていないのかもしれませんけれども、そういう状況が現に起きているということを踏まえていただきたいと思います。  その上で、安全保障面での連携強化ということで日印ACSAが出てくるわけですが、先ほど、アンダマン・ニコバルの話は、地政学的な重要性、そして開発援助への外国資本としての初参加、この話はもう先ほど佐藤委員質問にありましたので、簡単なフレームワークで結構です、地政学的な重要性開発援助について御答弁をいただきたいと思います。
  139. 植野篤志

    植野政府参考人 先ほどの佐藤委員からの御質問に対する大臣の答弁と重なるところはありますけれども、アンダマン・ニコバル諸島というのは、地政学的、地理学的にインド洋の戦略的な要衝を占める場所にありまして、この地域の発展に向けたインド政府の取組を後押しするということが、日・インドの二国間関係強化のみならず、我が国が提唱している、そしてインドも賛同してくださっている自由で開かれたインド太平洋実現に向けた取組においても非常に重要な意義がある、そういうことで、この度、インド政府からの要請を受けて、アンダマン・ニコバル諸島における発電所の蓄電池及び関連設備の整備を無償資金協力によりお手伝いする、そういうことを決めたということでございます。
  140. 山尾志桜里

    ○山尾委員 この地での開発援助を通じて連携強化しながら、結果として、この地での安全保障面での連携の土壌がつくられていくことを期待したいというふうに思います。  その上で、あわせて、こうした日本の国益にも絡む重要な場所について、経済面での援助やサポート、連携を通じて価値の後退を防ぐという取組は大事だと思うんですけれども、ずっと私が提起していることですが、その土台として、ビジネスと人権に関して国際的な共通のルール作りを日本が主導するとともに、日本考え方や取組を、ポータルサイトや、英語、そして我々日本はこういう方針でビジネスしますということを中国の企業やビジネスパートナーに分かってもらうために中国語などで発信をする必要もあると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  141. 茂木敏充

    茂木国務大臣 目的といいますか、最終的にそうあるべきだといいますか、そういうことは非常にいいことだと思っております。  その上で、やはり、そういった発信をしていくためには、日本の企業が、やはり人権に対する意識、今、気候変動については相当意識が変わってきていると思うんですけれども、そういう意識を持つということが極めて重要だと思っておりまして、そういったものがない中で、こういう発信をしました、そのときに、ブーメランのように、そう言いながら、日本の企業は全然それに沿っていないじゃないか、こうなってもいけませんので、そういう準備をした上で、企業のガバナンスにおける人権の問題、こういったことは強化していくべきだと思っております。
  142. 山尾志桜里

    ○山尾委員 言葉のあやだと思いますけれども、日本企業は別に人権意識がないわけではなくて、今、萌芽が芽生えているときに、それをリードしていくのが政府の責任だと思っております。  その上で、残り少ないので冒頭だけになりますけれども、人権弾圧の最たるもの、ジェノサイドなんですが、カナダの議会、そしてオランダの議会に続いて、昨日、英国議会がウイグル人に対するジェノサイドを認定いたしました。  先日、価値の懐をどこまで深くすべきかという話を、岡田克也議員と茂木大臣、そして井上一徳議員と茂木大臣、ちょっと違った角度から議論をされておりまして、興味深く聞いていました。  私は、そういう基本的人権とか自由とか法の支配とか民主主義とか価値の体系があるわけですけれども、その中で、日本国として譲れない普遍的な核心部分の価値というのは何なのかということは、やはりこれはしっかり持つべきだと思うんですね。こういう核心部分なしに懐を深めると、結局、楽な価値相対主義に陥って、やはり国家としての存在感も品格も傷つけると思うんです。  質問なんですけれども、その上で、やはりジェノサイドは許さない、民族浄化は駄目だよ、この価値判断は核心部分だと思うので、私、ここは、この話については、懐深く妥協をして広げましょうという話とは違う話だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  143. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、企業の、人権について、私、意識が低いというよりも、ガバナンスとの関係でそういったものが組み込まれていない、こういう現状について申し上げたので、日本企業は全く人権意識がないというつもりではありませんので、是非そのように御理解いただければと思っております。  さらに、ジェノサイド、そして民族浄化、こういうものはあってはならないと思っております。  例えば、一九九四年のルワンダ、あの状況を見て、あれをよしとする、ツチ族とフツ族の、しかも、恐らく違う勢力の介入によって百万人が亡くなるという悲惨な状況、こういうことは絶対に許容できない、そんなふうに思っております。
  144. 山尾志桜里

    ○山尾委員 そうなんですね。ジェノサイド、これをよしとすることはないということでありますし、その一つの例として、ルワンダの例も本当にそのとおりだというふうに思います。  その上で、今の話だと、ジェノサイドの問題を価値の話として相対化してはならないというところは認識を共通にできたというふうに理解しますが、では、このジェノサイド条約について言うと、これは中国も北朝鮮もロシアも加わっているわけで、日本が入らないということで、何か、価値の懐深くして仲間を広げていくということとは全然関係ない話なんですよね。このことについては、ジェノサイド条約日本としては加盟すればいいことであって、私は障害はないと思うんですけれども、何か障害があるんでしょうか。
  145. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
  146. 茂木敏充

    茂木国務大臣 山尾委員とはこの議論を何回もさせていただいておりまして、時々説得されそうになって、どうにか踏ん張るところがあるわけでありますけれども。  一つ申し上げているのは、先日の井上議員との議論の中でも、やはりどれだけ国民の間でこういう意識というものが共有されるかということは極めて重要だと思っております。  また、だからいいということではありませんけれども、これまで日本が取ってきた人権外交、これがあるから絶対日本の人権外交は変えないんだと言うつもりはないんですけれども、やはりそれとの、少なくとも連続性、こういったものも必要だと思っておりますし、あとは、実務的な問題として国内法をどうするか、こういった問題も出てくる、このように考えております。
  147. 山尾志桜里

    ○山尾委員 条約加盟に向けた最後の一押しまでしっかり頑張りたいと思います。議論を続けたいと思います。  ありがとうございました。
  148. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  149. あべ俊子

    ○あべ委員長 ただいま議題となっております両件中、まず、日本国自衛隊インド軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
  150. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、日印物品役務相互提供協定に反対の立場から討論を行います。  ACSAは、元々、米国世界規模で展開する米軍の軍事作戦に不可欠な物資や役務を米軍が必要とするときにいつでも調達できる集団的軍事支援網を構築するため、一九七九年にNATO相互支援法を制定し、同盟国などと締結を進めてきたものであります。  日本は、既に米国、オーストラリア、英国、フランス、カナダとACSA締結しており、本協定は、これらのACSAと同様に、多国間の軍事協力の推進、強化を明記した日米ガイドラインの下で軍事体制を強めるものであり、安保法制に基づき、平時の活動から集団的自衛権の行使を可能とする存立危機事態に至るまで、日印間で相互に行う物品役務の支援を担保するものです。  これにより、政府が重要影響事態や国際平和共同対処事態と認定すれば、インド太平洋地域などに展開する相手国の艦船や発進準備中の戦闘機に対する給油も可能となります。  このように、本協定は、他国の武力行使と一体化した後方支援を担保するものであり、憲法九条に反するものであります。  以上を指摘して、反対の討論とします。
  151. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  152. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより採決に入ります。  日本国自衛隊インド軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  153. あべ俊子

    ○あべ委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、民間航空の安全に関する日本国欧州連合との間の協定締結について承認を求めるの件について議事を進めます。  これより本件に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  民間航空の安全に関する日本国欧州連合との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  154. あべ俊子

    ○あべ委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. あべ俊子

    ○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  156. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国セルビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジョージアとの間の条約締結について承認を求めるの件、投資自由化促進及び保護に関する日本国ジョージアとの間の協定締結について承認を求めるの件及び日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定規定適用範囲に関する交換公文を改正する交換公文締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣茂木敏充君。     ―――――――――――――  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国セルビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジョージアとの間の条約締結について承認を求めるの件  投資自由化促進及び保護に関する日本国ジョージアとの間の協定締結について承認を求めるの件  日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定規定適用範囲に関する交換公文を改正する交換公文締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  157. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ただいま議題となりました四件につきまして、提案理由を御説明いたします。  まず、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国セルビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件は、令和二年七月二十一日に条約署名が行われました。  この条約は、二重課税除去を目的として、セルビアとの間で課税権の調整を行うものであります。この条約締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジョージアとの間の条約締結について承認を求めるの件は、令和三年一月二十九日に条約署名が行われました。  この条約は、現行の租税条約の内容をジョージアとの間で改正するものであり、投資所得に対する源泉地国課税の一層の軽減のための規定等を盛り込んでおります。この条約締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、ジョージアとの間で課税権の調整がより効果的に行われることになり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、投資自由化促進及び保護に関する日本国ジョージアとの間の協定締結について承認を求めるの件は、令和三年一月二十九日に協定署名が行われました。  この協定は、投資に関する内国民待遇及び最恵国待遇等、投資自由化促進及び保護に関する法的枠組みについて定めています。この協定締結により、我が国ジョージアとの間の経済関係の一層の緊密化が図られるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定規定適用範囲に関する交換公文を改正する交換公文締結について承認を求めるの件は、令和三年二月十三日に交換公文署名が行われました。  この交換公文は、我が国がOECD及び職員等に対して新たに与える特権及び免除等について定めるものです。この交換公文締結により、OECD東京センターを始め、我が国におけるOECDの活動の円滑化及び強化に向けた環境整備につながり、OECDとの一層の関係強化が期待されます。  よって、ここに、この交換公文締結について御承認を求める次第であります。  以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  158. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会