○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
共同会派、立憲・国民.新緑風会・社民を代表して、
政府四演説に関連して
総理に質問させていただきます。
先週金曜日は阪神・淡路大震災から二十五年目でした。東
日本大震災から間もなく丸九年がたちます。昨年来の台風、洪水等も含め、多くの自然
災害で被害に遭われた皆様に改めてお見舞い申し上げます。
地球温暖化に起因する自然
災害抑止のために米国に
パリ協定復帰を促すことが、強固な日米関係を自負する
総理の責務であることを申し上げ、質問に入ります。
初めに、新型肺炎について伺います。
発症元である中国の状況、
日本を含むその他の国の状況、
感染拡大防止のための
対策について、できる限り詳しい情報の説明を求めます。
昨年、令和元年、二〇一九年は、メディア等において平成元年、一九八九年との比較で様々な回顧が行われました。以下、その対比と、現在の
課題を踏まえて質問いたします。
一九八九年の
世界の企業の株式時価総額ベストテンに占める
日本企業は七社でしたが、二〇一九年は皆無。二〇一九年のベストテンのうち五社は、一九八九年以降に創業した米中のIT企業です。
日本は重要な産業技術分野において競合国の後塵を拝するようになっていることを踏まえ、施政方針の成長戦略の項で、未来を担う
若手研究者に大胆に投資します、自由な発想で挑戦的な
研究に打ち込めるよう資金配分を若手に思い切って重点化しますと述べたことは、適切な方向性だと思います。
具体的に、どのように
若手研究者への配分を重点化し、どのぐらいの規模なのか、
総理に伺います。
施政方針における、第四次産業革命がもたらすインパクトはあらゆる分野に大きな影響を及ぼします、国家戦略としての
取組が必要ですとの認識も共有します。
その中でも、核となる技術及び素材は、通信、コンピューター、半導体です。この三つが融合し、様々な製品やサービスが生み出されています。
第一に、施政方針の中で、5G、ポスト5Gに言及しています。1Gから4Gまで、
日本は常に
アジアで最初に商用サービスを始めましたが、5Gは、昨年、中国、韓国が商用サービスを開始し、
日本は後塵を拝しました。
日本が5Gで後れを取った理由及びポスト5Gでの巻き返しに向けた戦略について、
総理の認識を伺います。
第二のコンピューターに関し、施政方針で量子技術に言及したのも当然のことと思います。昨年、グーグルが量子コンピューターの実証実験に成功し、
日本は実用化に向けて追う立場です。ところが、
日本企業は約二十年前に同様の実証実験に成功していました。
先行していた量子コンピューター開発が停滞した理由及び今後の巻き返しに向けた戦略について、
総理の認識を伺います。
第三の集積回路の素材である半導体については、施政方針で言及がありませんでしたので、昨年六月十日の決算委員会で
総理に申し上げた内容を再度お伝えします。
集積回路製造の上流工程であるウエハー、シリコンインゴット、多結晶シリコンの分野では、
日本は依然として
世界的に優位な立場を維持しています。
しかし、最上流のケイ石採掘、高純度シリコン精錬工程は、電力コストの安い中国等の寡占状態です。決算委員会では、最上流分野を
日本でも
構築するか、ケイ石、すなわちシリコンに代わる半導体材料を
日本が
世界に先駆けて実用化することの
重要性を訴えました。
代替素材として有力視されているのがカーボンナノチューブです。米中が開発を加速させていますが、約三十年前、カーボンナノチューブ実用化に向けた
研究に先鞭を着けたのは
日本の科学者です。当時はNECの技術者であった飯島澄男名城大学終身教授です。
先行していたカーボンナノチューブ
研究が停滞した理由及び今後の巻き返しに向けた戦略について、
総理の認識を伺います。
第五期
科学技術基本計画は来年度が最終年度です。再来年度からの第六期計画をにらみ、今国会での
科学技術基本法改正をどのような内容とするのか、伺います。
文科省の
科学技術・学術政策
研究所が公表している
科学技術指標において、
日本人の修士課程学生の博士課程への進学率低下、博士課程学生数及び博士号取得者の減少、米国における日米共同論文のシェア低下、米中共同論文の激増等、
日本を取り巻く
環境の深刻さがよく整理されています。
この状況をどう打開し、政策や予算の中でどのような工夫をしていくのか、伺います。
次に、
社会保障です。
一九八九年は、消費税が導入され、
少子高齢化が大きな
課題として立ちはだかっていました。三十年たち、事態は深刻化しています。
施政方針では、一億総活躍の項で、全ての
世代が安心できる全
世代型社会保障制度を目指し、本年、改革を実行してまいりますと述べています。今国会に提出される医療、介護、年金、雇用関連の法案に含まれている全ての
世代が安心できる改革の内容は何でしょうか、伺います。
以下、
総理が議長を務める全
世代型社会保障検討会議のことは検討会議と申し上げます。
検討会議
中間報告及び施政方針では、一定所得以上の後期
高齢者の医療費窓口負担を二割とすることが示されました。一定所得とはどの程度を想定しているのか、伺います。
また、三割
負担となる現役並み所得の水準見直しも検討していると聞きます。どのように見直すのか、伺います。
介護、看護離職者の数は依然高水準です。介護休業は、対象家族一人につき通算九十三日までですが、実際の平均介護期間は四年七か月です。実態に即して介護休業期間を延長すべきと考えますが、
総理の認識を伺います。
施政方針では、正規と非正規の壁がなくなる中で、パートの皆さんへの厚生年金の適用を更に広げてまいりますと述べていますが、検討会議
中間報告で示された適用拡大案は、企業規模要件の五十人超への引下げ、勤務期間要件の見直しにとどまっており、賃金や労働時間に関する要件は現状維持です。
五十人以下の企業の短時間労働者、週労働時間二十時間未満、月額賃金八・八万円未満である労働者については、厚生年金が適用されない非正規のままです。この点の見直しについて
総理の考えを伺います。
施政方針で、来年春までに
子育て世代包括
支援センターを全市町村に設置すると述べました。私は、フィンランドの
子育て支援組織であるネウボラを視察してきました。妊娠判明時から出産、育児を経て、子供が中学生になるまで、原則として同じ保健師、看護師等が
子育てを
支援する仕組みであり、同国建国以来、百年の歴史があります。
フィンランド等の事例を参考にしつつ、単に役所に窓口を設ける
支援センターではなく、
女性、子供及びその家族のアドバイザーの役割を果たせるよう、人的、予算的に十分な手当てを行うべきと考えます。
総理の認識を伺います。
社会保障制度の新たな
課題として浮上しているのが、外国人在留者、外国人労働者の急増です。施政方針ではこのことに全く触れていません。外国人急増が
社会保障制度に与える影響について、
総理の認識を伺います。
昨年、臨時国会の
代表質問で
社会保険加入者における外国人比率等をただしたところ、
総理は、在留外国人の加入者数及び全体に占める割合は把握していません、今後どのような年齢層の方がどのぐらいの期間在留するのか等が不透明なことから、
社会保険財政に対する今後の影響をお示しすることは困難ですと
答弁しました。
総理の問題意識の希薄さを映じてか、昨年十一月に外務省、入管庁に諸外国の外国人比率を質問したところ、把握していませんとの答えでした。
社会保険は、長期加入が前提です。医療の場合、平均的国民は数百万円から一千万円超の生涯負担超過になっており、言わばこの多額の掛け捨てがあってこそ成り立つ仕組みです。外国人が短期加入となり、
負担よりも給付が多くなれば制度維持にはマイナスです。公平で合理的な仕組み、
日本人も外国人も納得できる制度設計が必要です。
外国人労働者を重要なマンパワーとして国の運営を考える以上、他国の外国人比率、そこで起きている現象や問題等々により関心を払い、適切な対応を図るべきです。
年末に、外務省が在外公館を通じてG20諸国の外国人比率を調査してくれました。基準や定義が同一ではないため単純比較はできませんが、
日本は既にEU並みとの印象です。
日本と同様に医療財政が逼迫する英国では、外国人の医療に関してヘルスサーチャージ制度を導入しました。外国人に年間二百ポンド、約三万円の支払を義務付けています。外国人に起因する財政
負担等も、ブレグジットをめぐる英国世論に影響していると聞きます。
日本でも、今後の円滑な国の運営を考えれば、諸外国の外国人比率や
社会保障制度への影響に関心を持つべきです。
そこで、
総理に要請します。今国会中を目途に、諸外国の外国人比率、
社会保障制度に生じている影響、それへの対応等々に関し調査、取りまとめを行うことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
臨時国会で一点だけ
答弁があったのは、国保における外国人被保険者数が九十九万人、全体の三・四%というデータでした。
全国平均で三・四%ですから、都市部では一〇%を超えているでしょう。
国保被保険者の年齢別外国人比率は、六十五歳以上は〇・四%、四十歳から六十四歳は二・八%でしたが、ゼロ歳から十九歳は四・三%、外国人労働者の中心年齢層である二十歳から三十九歳は既に一一・八%に達しています。都市部の当該年齢層の外国人比率は二〇%近くになっているかもしれません。今後、在留外国人が増加、高齢化すれば、全体でも一割を超える
可能性があります。外国人急増に伴う
社会保障制度への影響予測と
対策が急務です。一例を挙げると、外国人が急増している葛飾区では、既に区発行保険証保有者の一割超が外国人と聞きます。
こうした中で、他人の保険証を使う成り済まし等の問題も起きています。顔写真のない現在の保険証は、成り済ましや不正使用を助長します。保険証を顔写真付きとしてはどうでしょうか。
不正防止のため、保険証と外国人在留カード等の記載方法統一も
課題です。漢字表記、ローマ字表記がまちまちであったり、スペリングが異なったり、是正を要する点が多々あります。
総理の所見を伺います。
施政方針では、マイナンバーカードの取得を促し、来年度中に健康保険証として利用を開始しますと述べていますが、こうした対応を外国人が
日本の
社会保障制度を適切に利用するための基盤として活用すべきです。
総理の所見を伺います。
年金も
課題を抱えています。
日本の年金受給資格発生加入期間は十年となりました。技能実習生や特定技能外国人が十年未満で帰国する場合は、保険料の払い損になります。
そこで、帰国外国人には資格喪失対価として脱退一時金を支給しますが、その金額の加算が検討されています。個人型確定拠出年金、iDeCoの引き出し可能年齢も、外国人に有利な見直しが行われるようです。
外国人にとって不当に不利益な制度の見直しは当然ですが、一方、
社会保険が内外無差別の扱いを原則とするならば、脱退ができない
日本人、iDeCoの引き出し年齢が外国人よりも遅くなる
日本人との公平性はどのように担保するのでしょうか。
今後の
社会保障制度における
日本人と外国人の公平性の考え方、現在把握している問題、
課題について、
総理の説明を求めます。
次に、経済です。
一九八九年は、消費税導入の年、バブルピークで年末に株価は過去最高値を付けました。翌一九九〇年には税収も過去最高の六十・一兆円となりました。バブル崩壊、不良債権処理、リーマン・ショックを経て税収は、二〇〇九年の三十八・七兆円まで減りましたが、以後は漸増。二〇二〇年度は六十三・五兆円を見込んでいますが、三十年前と比べると税収構造は激変しています。
消費税を除くベースで見ると、一九九〇年の五十五・五兆円に対して、来年度は四十一・八兆円にとどまり、十三・七兆円も減少しています。
来年度、主要税目の中で初めて消費税が最大となります。来年度の所得税は一九九〇年度比六・五兆円少ない十九・五兆円、法人税は六・三兆円少ない十二・一兆円です。
所得税や法人税が減少し、このような税収構造になった理由及び今後それをどのように改革していくのか、
総理の方針を伺います。
臨時国会の所信で足下の景気について言及がなかったのに続き、今回の施政方針でも言及がありません。驚きました。
景気ウオッチャー調査の現状判断DIは横ばいを示す五〇の水準を二十四か月連続で下回り、景気動向一致指数も昨年十一月は九五・一と低迷が続き、景気基調判断は四か月連続で悪化となりました。
厚労省毎勤統計によれば、二〇一二年に一〇四・五であった実質賃金指数は二〇一八年に一〇〇・八となり、今月発表された二〇一九年十一月の指数も前年比〇・九%低下しました。
補正予算案、本
予算案の前提となっている景気、賃金等の現状認識について伺います。
こうした景気情勢の下、昨年十月に行われた消費増税から四か月が経過しました。駆け込み消費の有無、その後の影響及び今後の影響について、事実関係と
総理の認識を伺います。
現在、確定申告準備の佳境ですが、
事業者、税理士の声は
総理に届いているでしょうか。軽減税率導入が確定申告事務の煩瑣を招くという懸念は現実のものとなり、
全国の税理士が苦労しています。
まずは、現場の
事業者、税理士の協力、苦労に対して、この場を通してコメントをいただきたいと思います。
旧税率と軽減税率は共に八%のため、税理士は旧税率と軽減税率の区別に苦労しています。同じ八%であっても、国税分と
地方税分の割合が異なるからです。
現場の事務の煩瑣を解消するための工夫、あるいは現場の
負担に対する配慮について今後どのように対応するのか、
総理の考えを伺います。
次に、通商外交です。
一九八九年の
世界貿易に占める
日本の割合は輸出九・四%、輸入七・一%でしたが、二〇一七年は輸出四%、輸入三・八%まで落ち込んでいます。
施政方針では、自由貿易の旗手として、二十一世紀の経済秩序を
世界へと広げてまいりますと述べていますが、輸出入ともシェア五%未満の現状において、
総理が考える自由貿易の旗手とはどういう意味でしょうか。また、二十一世紀の経済秩序とは何のことでしょうか、お伺いします。
総理の施政方針を聞いていると、三十年前の貿易立国、貿易大国という固定観念にとらわれているような気がします。今や
日本経済は内需を喚起しないと成長しない構造です。だからこそ、国民民主党は家計第一と主張しているのです。
総理は、
我が国にとって貿易、内需がそれぞれどのような意味を持ち、それをどうしようと考えているのか、伺います。
日米貿易協定附属文書において、自動車、自動車部品の関税について、更なる交渉で撤廃と書き込んだことをもって、
政府は関税撤廃は日米合意と強弁しています。昨年、臨時国会での
代表質問に際し、
総理は、
日本の自動車、自動車部品に対して、二百三十二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しましたと
答弁しました。
将来の関税撤廃が日米合意であること、その間に追加関税は課されないことを改めて
総理に明言を求めます。
なお、セカンドラウンド交渉前に米国が農産物や金融サービス分野等で更なるバーター条件を提示してくる
可能性がありますが、応じるべきではありません。
本年四月の習近平主席来日に際し、尖閣諸島周辺への公船侵入、南シナ海での覇権主義、香港、台湾、ウイグル自治区への対応等、これらの問題に関し、
総理はどのような主張をするつもりか、伺います。
中国に関してもう一点伺います。
東京五輪開催前にデジタル人民元が中国国内で使用開始されると聞きます。中国人観光客がデジタル人民元を
日本で使おうとする
可能性があり、
日本の
事業者がそれを受け入れ、受領したデジタル人民元を中国の銀行の東京支店等で円に交換すると、事実上、デジタル人民元が流通することになります。通貨主権という国家の根幹に関わる事態です。
これらに関して、どのような情報を把握しており、また、どのように対処しようとしているのか、伺います。
日本は外交青書から北方四島は
日本に帰属するという表現を削除しました。また、
総理は、北方四島を固有の領土と表現しなくなりました。
ロシアと何を約束したのか、なぜ固有の領土と言わなくなったのか、今後の北方領土返還交渉の方針とともに改めてお伺いします。
北朝鮮は短距離ミサイルを断続的に発射しています。ところが、同盟国米国のトランプ大統領は、ミサイルがICBM、大陸間弾道ミサイルではないこと、
核実験を行っていないことをもって、金正恩委員長は約束を守っていると発言しています。
北朝鮮ミサイル問題に対する米国の立場について、米国からどのような説明を受けているのか、お伺いします。
レーダー照射事件に始まり、慰安婦問題、徴用工問題、
東京五輪への対応等々、韓国の
日本に対する姿勢には憂慮すべきものがあります。今後の韓国との向き合い方について、
総理の考えを伺います。
日本は、輸出管理厳格化等の観点から、重要な半導体材料であるEUVレジスト、極端紫外線露光に用いる塗布液の輸出を留保しています。
日本の産業競争力、米中貿易戦争にも関係する重要な材料であることから、この扱いに関する
総理の今後の方針を伺います。
防衛省設置法における調査
研究業務の一環として、自衛隊の中東派遣が決定されました。制約された武器使用権限の下で自衛隊を中東に派遣することは、自衛官の安全確保等の面から適切な判断とは思えません。
総理の認識を伺います。
昨年十二月十八日、経済同友会主催の将来
世代の利益を考えるシンポジウムに自民党世耕弘成参議院幹事長共々招請され、参議院に経済予測等を行う独立財政機関設置を目指す経済同友会の提案について議論しました。
経済同友会の提案に賛同します。かつて、財政金融委員会の下に同様の趣旨の財政小委員会を設置しようとし、当時の与党筆頭理事であった愛知治郎議員との間ではほぼ合意に達したものの、与党国対又は官邸の了解が得られず、成就しなかったことがあります。
参議院に独立財政機関を設け、経済予測や財政見通し等を策定し、
政府はその予測や見通しを基に予算編成や年金財政計算を行うという考え方について、
総理の所見を伺います。
実現すれば、経済前提をめぐる不毛の議論はなくなります。
シンポジウムでも述べましたが、独立財政機関の信頼性を高めるために、過去の検証から始めるのが望ましいと思います。
一九六〇年から二〇一五年までの公的資本形成の対GDP比は、
日本の七・七%に対して、G7の他の先進六か国は三・九%にとどまっています。
日本が仮に他の先進国並みであったなら、実額で六百八十五兆円、割引現在価値で一千兆円超の予算が他の分野、例えば
科学技術や
教育に充てられたことになります。こうした検証は、今後の
日本の運営を検討する上で有意な材料になると思います。
シンポジウム直後の十二月二十七日、
日本経済新聞が一面トップで「人口減時代に居住地拡大 増加面積、十年で大阪府の規模 街の集約進まず」と報道しました。人口が減少しても、農地等を転用した郊外宅地開発が止まらず、
インフラ整備等の財政
負担が増していること、都心部や中心市街地の空き家増加等を憂慮した報道でした。
人口減少時代に対応し、市街地開発、宅地造成をめぐる規制等にどのように臨むのか、
総理の考えをお伺いします。
施政方針の
地方創生の項で、外国人観光客増加に対応して
世界に冠たる観光インフラを整えると述べ、官房長官も記者会見等で
世界レベルのホテルを五十か所程度新設する方針を示しました。既に財政投融資計画において予算化されており、今後の財政に影響を与えるでしょう。
世界に冠たる、
世界レベルのホテルの定義、五十か所程度が適切と考える根拠、及び建設主体として官民、外資等、どこを想定しているのか、お伺いします。
財政的見地から冷静な判断が必要なことは、防衛予算も例外ではありません。現下の
国際情勢を考えると、防衛力
強化の必要性については認識を共有します。だからといって、予算を無尽蔵に使えるわけでもありません。
令和二年度の防衛関係費は、米軍再編経費等も含め五兆三千百億円、過去最高です。米国からの武器等購入額は、二〇一二年度の千三百六十五億円から二〇一九年度の七千十三億円と五倍以上に膨らんでいます。
購入済み装備品の後年度負担も過去最高の五兆二千百六億円、防衛予算一年分に匹敵する規模です。また、米国の言い値で装備を購入するFMS、対外有償軍事援助への依存は、過度の財政
負担と防衛産業の脆弱化を招いています。
FMS依存を改革する意思、防衛装備を自主開発する意思があるか否か、
総理の考えをお伺いします。
最後に、政権の体質について付言します。
施政方針において、森友、加計学園、桜を見る会、閣僚辞任、IR事件等に一切触れなかったことには驚きました。数々の不祥事について、国民の皆様並びに国会に対して何か御発言があればお伺いします。
総理は、IRを経済活性化の目玉政策として
推進してきました。しかし、今回の事件を契機に、世論調査ではカジノ設置に反対する国民が増えています。
一昨年七月のIR法案採決に際し、国民民主党の矢田わか子議員が提案した三十一項目にわたる附帯決議の内容は、今日の事態を予見した、まさしく炯眼であったと思います。
七項で「国、都道府県等は、海外のカジノ
事業者が民間
事業者に選定されることを目指した働きかけに対し、収賄等の不正行為を防止し、選定の公正性・透明性を確保すること。」と記されたほか、二十八項ではカジノ管理委員会における審議の透明性確保、三十項で国会及び国民に対する
政府の説明責任に言及しています。
しかし、昨今の政権、霞が関の隠蔽体質を鑑みると、附帯決議二十八項と三十項の
実効性を確保することは極めて難しい状況です。だからこそ、野党が提出しているIR廃止法案を審議し、成立させるべきと考えますが、
総理の認識を伺います。
公文書や役所の資料が平気で隠蔽、改ざん、廃棄される不祥事が続発しており、こうした不正を強要、看過する今の政権には背筋が寒くなる思いです。
国民の知る権利を守り、公文書管理の適正、厳正化を図り、不正を防止するために、野党提出の公文書管理法改正案等を成立させるべきと考えますが、
総理の認識を伺います。
国民民主党は、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求しています。
日本の政治にその三つが足りないと実感しているゆえであります。
施政方針の冒頭、
総理は就任時に、
日本はもう成長できないという諦めの壁があったと述べました。私はそうは思いませんが、諦めの壁があるとすれば、それは
日本の民主主義や政権の現状に対する諦めの壁ではないでしょうか。
施政方針の最後で、
世界の真ん中で輝く
日本、希望にあふれ誇りある
日本をつくり上げる、この七年間、全力を尽くしてきました、夢を夢のままで終わらせてはいけないと述べた
総理ですが、ということは、
総理は、今の
日本は、
世界の真ん中で輝かず、希望にあふれず、誇りがないと認識しているということでしょうか。私はそうは思いませんが、もしそうだとすれば、それは正直な政治、偏らない政治、現実的な政治が行われていないからでしょう。
施政方針の最後のくだりを活用させていただいて、終わりの言葉とさせていただきます。
新しい時代の
日本をつくるために、今日、これから、まずは
総理自身が、正直で、偏らず、現実的な政治の
スタートを切ろうではありませんか。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕