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2020-05-26 第201回国会 参議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月二十六日(火曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      宮崎 雅夫君     山崎 正昭君  五月十一日     辞任         補欠選任      安江 伸夫君     山口那津男君  五月十二日     辞任         補欠選任      山口那津男君     安江 伸夫君  五月十三日     辞任         補欠選任      磯崎 仁彦君     森屋  宏君  五月十四日     辞任         補欠選任      小野田紀美君     末松 信介君      森屋  宏君     磯崎 仁彦君  五月十五日     辞任         補欠選任      末松 信介君     小野田紀美君  五月十九日     辞任         補欠選任      小野田紀美君     石井 準一君  五月二十日     辞任         補欠選任      石井 準一君     小野田紀美君      櫻井  充君     川合 孝典君  五月二十五日     辞任         補欠選任      磯崎 仁彦君     高階恵美子君      山崎 正昭君     宮崎 雅夫君  五月二十六日     辞任         補欠選任      高階恵美子君     磯崎 仁彦君      柴田  巧君     鈴木 宗男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹谷とし子君     理 事                 高橋 克法君                 元榮太一郎君                 有田 芳生君                 矢倉 克夫君     委 員                 磯崎 仁彦君                 小野田紀美君                 中川 雅治君                 福岡 資麿君                 宮崎 雅夫君                 山下 雄平君                 渡辺 猛之君                 川合 孝典君                 真山 勇一君                 安江 伸夫君                 鈴木 宗男君                 山添  拓君                 高良 鉄美君                 嘉田由紀子君    国務大臣        法務大臣     森 まさこ君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    政府参考人        人事院事務総局        職員福祉局長   合田 秀樹君        国家公務員倫理        審査会事務局長  佐々木雅之君        警察庁長官官房        審議官      小柳 誠二君        警察庁長官官房        審議官      太刀川浩一君        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     竹村 晃一君        法務省大臣官房        長        伊藤 栄二君        法務省大臣官房        政策立案総括審        議官       西山 卓爾君        法務省民事局長  小出 邦夫君        法務省刑事局長  川原 隆司君        法務省保護局長  今福 章二君        法務省人権擁護        局長       菊池  浩君        出入国在留管理        庁次長      高嶋 智光君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (東京高等検察庁検事長処分に関する件)  (検察庁法改正に関する件)  (技能実習生等雇用維持支援に関する件)  (協議離婚制度に関する件)     ─────────────
  2. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として川合孝典君が選任されました。  また、本日、柴田巧君が委員辞任され、その補欠として鈴木宗男君が選任されました。     ─────────────
  3. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎です。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。  先週二十一日に週刊文春で黒川東京高検検事長賭けマージャン疑惑が報じられ、同日夕方に黒川氏の訓告処分が発表され、翌二十二日には同氏の依願退官についての閣議決定がされました。  そこで、法務省にお伺いしますが、二十二日の森法務大臣の会見によれば、法務省による調査の結果、黒川氏は、緊急事態宣言下の五月一日と十三日の計二日、新聞記者ら三人と賭けマージャンを行ったこと、帰宅の際には費用を負担せずにハイヤーに乗ったことを認めているそうですが、その後、賭けマージャンはこの二回以外にもあったとの報道もされています。  現時点において、本件に関して法務省として把握している事実を改めてお聞かせください。
  7. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  まず、報道機関関係者との関係については、記事にある三名は黒川氏を取材対象として担当するなどしていた者であり、黒川氏とは旧知間柄であった者でございます。  黒川氏は、緊急事態宣言下の本年五月一日頃の勤務時間外に、東京都内報道機関関係者A方において、同人、同B及び同Cとともに飲酒したほか、金銭を賭けてマージャンを行っていたものであります。このマージャンは、千点を百円換算とするいわゆる点ピンと呼ばれるレートで行われていたものであり、参加した者の間で一万円から二万円程度現金やり取りが、現金やり取りがなされていたものでございます。  黒川氏は、五月一日頃、報道機関関係者A方マージャンを行った後、同Bの手配したハイヤーに同乗して帰宅しておりますが、当該ハイヤー料金を支払っておりません。なお、この点については、黒川個人のために手配されたハイヤーを利用したものではなく、報道機関関係者Bが帰宅するハイヤーに同乗したものであったものでございます。  また、黒川氏は、同月十三日頃の勤務時間外に、報道機関関係者A方において、同人及び同Bらと金銭を賭けてマージャンを行っていたものでございます。この日もいわゆる点ピンと呼ばれるレートで行われており、参加した者の間で一万円から二万円程度現金やり取りがなされていたものでございます。  また、黒川氏は、報道機関関係者A方マージャンを行った後、同Bの手配したハイヤーに同乗して帰宅したこと及び当該ハイヤー料金を支払っていないところ、黒川個人のために手配されたハイヤーを利用したものではなく、報道機関関係者Bが帰宅するハイヤーに同乗したものであったという事実が認められました。  以上のほか、本件措置を行うに当たり、約三年前から月一、二回程度金銭を賭けたマージャンを行っていたことを認定したものでございます。
  8. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 今回の黒川氏に対する処分については、法務省がきちんと調査をした上で適正に処分を執行したのかという点について国民に理解してもらうことが非常に重要だと思っております。  そこで、人事院にまずお伺いしますけれども、一般的に職員非違行為等発覚した場合、懲戒処分等処分を行うに際してはどのような手続を経る必要があるのでしょうか。発覚から処分告知まで順を追って御説明ください。
  9. 合田秀樹

    政府参考人合田秀樹君) お答えいたします。  職員非違行為があった場合、任命権者が必要な調査を行い、調査によって把握した事実関係に基づき懲戒処分等必要な措置を行うこととなります。  また、懲戒処分を行うときは、国家公務員法第八十九条及び人事院規則一二―〇に基づき、懲戒処分書及び処分説明書職員に交付することとされておるところでございます。
  10. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 では、続いて法務省にお伺いしますが、今回の黒川氏の賭けマージャンの件については、発覚から処分告知までいつどのような手順で行ったのか、順を追って御説明をいただきたいと思います。
  11. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  黒川氏の件につきましては、報道を踏まえ、本年五月十九日、法務省調査を開始したものでございます。黒川氏の処分については、法務省としては、今月二十一日、法務省が行った調査結果を踏まえ、監督上の措置として最も重い訓告が相当であると考えました。そこで、同日、検事長に対する監督権者である検事総長に対し、調査結果とともに、法務省としては訓告が相当である旨伝えたところ、検事総長においても、法務省が行った調査の結果を踏まえ、訓告が相当であると判断したものでございます。そして、同日、任命権者である内閣に報告したところ、法務省としての決定に異論はない旨の回答を得たものでございます。その上で、検事総長から黒川氏に対し、監督上の措置として訓告を行ったものでございます。
  12. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 次に、人事院にお伺いします。  検察官に関しては、検察庁法二十五条において身分保障がされている一方で、同条のただし書においては、懲戒処分による場合はこの限りではないということで、検察官一般国家公務員と同様に懲戒処分対象となることが規定されております。  人事院では、懲戒処分指針についてという文書を人事院事務総長が出しており、これは、任命権者懲戒処分に付すべきと判断した場合の参考指針として示しているものです。具体的には、代表的な事例における標準的な懲戒処分種類を掲げるとともに、一定の事由が認められる場合には、標準的な処分種類よりも重く処分をしたり、また軽く処分したりすることも考えるなどと書かれています。  そこで、人事院にお伺いしますが、黒川氏のように賭けマージャンを行った場合、指針ではどのような処分とすることとされているのでしょうか。常習性が認められる場合とそうでない場合とそれぞれ御説明いただくとともに、また、標準例よりも軽く処分することが相当と認められるというのは例えばどのような場合でしょうか。御説明ください。
  13. 合田秀樹

    政府参考人合田秀樹君) お答えいたします。  人事院は、任命権者処分量定決定するに当たっての参考に供することを目的として懲戒処分指針を作成しております。  当該指針においては、賭博をした職員減給又は戒告とする、常習として賭博をした職員停職する、停職とすると示しているところでございます。  また、懲戒処分指針におきましては、標準例に掲げる処分種類より軽いものとすることが考えられる場合として、例えば、職員が自らの非違行為発覚する前に自主的に申し出たときなどと示しているところでございます。
  14. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 人事院からの答弁に関して、停職減給戒告という三つの懲戒処分というのが挙げられましたけれども、今回の黒川氏への処分は、それらと異なる訓告処分ということであります。  そこで、法務省に伺いますが、法務省において、職員非違行為等発覚し、調査等を行った結果、処分を行うとした場合、こととした場合に、懲戒処分法務省内で定められている処分を含めてどのような処分があるのか。この処分程度の重い順に御説明をいただきたいと思います。
  15. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  重いものから順にということでございますが、まず、国家公務員法第八十二条の懲戒処分として、重い順に、免職、停職減給戒告がございます。  また、監督上の措置というものがございまして、監督上の措置とは、職員の服務の厳正を保持し、又は職員職務の履行に関して改善、向上を図るため必要があると認められるときに当該職員への指揮監督権限を有する上級の職員が行うことができる措置でありまして、内規に基づき、重い順に、訓告厳重注意注意がございます。
  16. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 懲戒処分が四段階法務省内で定められている監督上の措置として三段階の計七段階処分ということです。  黒川氏については、懲戒処分一つ下の、監督上の措置としては重い、最も重い訓告処分ということでありますけれども、これまでの森大臣川原刑事局長の御答弁では、これまでの先例等も総合的に考慮して訓告処分としたというふうに答弁されています。  そこで、法務省に伺いますが、これまで法務省内において賭けマージャン等によって処分された先例について、どのような行為がどのような処分とされたのか、御説明をお願いします。
  17. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  法務省における先例といたしましては、サッカー、野球賭博事案で複数回にわたって賭博し、合計百数十万円の利益を得た者で減給一月、百分の二十、また、野球賭博事案で三回にわたって賭博し、合計十数万円の利益を得た者で戒告、また、金銭を賭けたマージャン事案で二回にわたって職場の仲間内でマージャン大会を実施し、任意に千点当たり五十円のレート賭博した者で厳重注意注意又は不問などの事案が確認されたところでございます。
  18. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 これまで幾つか先例があったということで御紹介をいただきました。  減給戒告懲戒処分というものもあれば、厳重注意不問となった事案もあるということでありますけれども、それでは、今回、違法行為になり得る賭けマージャンをしたことを認めているこの黒川氏、人事院指針に基づく懲戒処分ではなくて、監督上の措置である訓告処分とした理由をお聞かせください。
  19. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  人事院処分指針はそれぞれにおける標準的な懲戒処分の態様を掲げたものでありまして、必ずしも記載された処分量定どおりにしなければならないわけでなく、賭博の場合であれば、賭博種類賭け金の額、どのような環境で行われたか等を考慮して決することとなると考えております。  その上で、法務省調査では、黒川氏については、報道関係者三名と金銭を賭けたマージャンを行っていたことが認められましたが、これらの行為旧知間柄の者との間で必ずしも高額とまでは言えないレートで行われたものであること、黒川氏は事実を認め、認めて深く反省していること等の理由から、検事総長において、懲戒処分ではなく、監督上の措置として最も重い訓告としたものと承知しており、適正な処分がなされたものと考えております。
  20. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 ありがとうございます。  いずれにしましても、この賭けマージャン等によって処分された先例については、減給戒告などなど、その他の重い処分もございますので、しっかりと説明していくということをこれからもお願いしたいなというふうに思います。  続きまして、マスコミ関係者との交流について人事院に伺います。  今回、黒川氏は検事長という立場新聞記者らと賭けマージャンをし、そして費用を負担せずにハイヤーを利用したということでありますけれども、国家公務員新聞記者などのマスコミ関係者と個別に交流することについて、人事院ではいわゆるマスコミ関係者との交流についてガイドラインのようなものは作成されているのでしょうか。
  21. 合田秀樹

    政府参考人合田秀樹君) お答えいたします。  国家公務員マスコミ関係者との関係につきましては、各府省において必要に応じて規律することになりますが、人事院ガイドラインのものを作成しているということはございません。
  22. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 マスコミ関係者との交流について、今、人事院からは、公務員国家公務員全体に対するそのようなガイドラインというものはないという御答弁でありましたけれども、そこで法務省にお伺いしますが、法務省検察庁において、検察官マスコミ関係者との交流を行うことに関し何らかのガイドライン等を定めたりはしているのでしょうか。
  23. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  お尋ねは、検察において報道機関を含む第三者との接し方に関する統一的なガイドライン等があるかという点にあると思われますが、そのようなものがあるとは承知しておりません。
  24. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 マスコミ関係者国家公務員との交流というのは、マスコミ関係者の方々からすれば、国民の知る権利を担保する報道の自由の観点からこれは重要な情報源だという、そのような一つと位置付けられていると思います。  しかし一方で、国家公務員刑事罰付き守秘義務が課せられているということでございますから、国家機密等情報漏えい等が懸念されるということであれば、それはそれで重要な問題であるというふうに考えています。  黒川氏は一般国家公務員であるとともに、あわせて準司法官的性格を有する検察官ということでありまして、この検察官というのは、司法権のように憲法上の独立というものは定められているわけではありませんけれども、我が国のように検察官起訴権を独占しているような、こういうような場合には、検察官行使が、立法権や他の行政権から不当な干渉によりその起訴権行使が左右されるとすれば、それは司法独立がひいては侵されるということで非常に重要な位置付けであると思います。このような重責を負う検察官でありますけれども、マスコミ関係者との交流に際しては、一般国家公務員と同等か、更にそれ以上の慎重な行動が求められるのではないかなというふうに考えております。  そこで、改めて法務省に伺いますけれども、検察官に関して、マスコミ関係者との交流について原則として認めない、こういうような厳しいガイドラインもこの件を機会に定めてもいいのではないかと思いますけれども、法務省の御見解をお聞かせください。
  25. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  検察権行使が厳正公平、不偏不党を旨として行われていることについて、国民皆様から疑念を持たれることがないよう、報道機関に対し節度を持って対応するべきであることは御指摘のとおりでございます。  報道機関側の具体的な取材方法を含め、その場面は、御指摘のとおりでございますが、しかしながら、報道機関側の具体的な取材方法を含め、その場面は様々であると考えられることから、統一的なガイドラインを定めることは困難であると思料いたします。  いずれにしろ、検察官には国家公務員法上の守秘義務が課せられているほか、検察当局においては従来から捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものと承知しており、今後ともそのような配慮がなされるものと承知しております。
  26. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 李下に冠を正さずということわざもございますけれども、強大な権力を有する検察官でございますので、そのような行為疑念を持たれるような行動は慎むべきだというふうに思います。  広範な捜査権を有する検察官においては、捜査上の秘密に関してこれまでも十分な配慮がなされてきたと期待しておりますけれども、今後も国民から信頼される検察であるためにも、不断の検討を行っていただくことを強く強く御期待をしたいと思います。  少し話は変わりますけれども、一月の黒川氏の勤務延長理由について、森法務大臣は、東京高検管内の重大かつ複雑困難事件捜査、公判に対応するには、黒川氏による継続的な指揮監督が必要不可欠だったと、こういう旨の説明をされてきました。今回のことで、報道等では勤務延長判断を疑問視するような声も実際上がっております。  そこで、法務省にお伺いいたしますが、黒川氏の今回の賭けマージャン行為をもって、一月の勤務延長閣議決定段階での判断が誤っていたとお考えでしょうか。法務省の御見解を教えてください。
  27. 西山卓爾

    政府参考人西山卓爾君) 黒川氏の辞職につきましては、先ほど刑事局長から答弁ありましたとおり、職務時間外の行動契機となって生じたものでございます。  他方で、令和二年一月末当時、黒川氏を勤務延長させるに当たりましては、黒川氏の職務上の能力、すなわち検察官としての豊富な経験、知識等を基に勤務延長をさせる判断をしたものでございまして、この勤務延長自体に問題はなかったものと考えております。
  28. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 職務時間外の行動契機となって生じたということで問題はなかったということでございます。分かりました。  そこで、最後に森大臣にお伺いしていきますけれども、先ほども触れましたけれども、検察官原則として行政官とされていますけれども、広範な捜査権を持って刑事司法における起訴権を独占しており、強大な権限を持っております。準司法的、準司法官的性格を有するものとされていますが、検察官起訴国民の刑罰に科すかどうかの端緒になるわけですから、その権限国民信頼に支えられていることが不可欠であると。今回、その検察官、しかも検察庁のナンバーツーである東京高検検事長違法行為にもなり得る賭けマージャンに手を染めてしまったということは、国民信頼期待を裏切る行為にほかなりません。  稲田検事総長は、検察基盤である国民信頼を揺るがしかねない深刻な事態で、国民皆様におわびしますと、このようなコメントを出されたと聞いていますが、既に国民信頼を揺るがせている問題とも言えると思います。その意味で、国民信頼回復に向けて、検察庁は総力を挙げて最大限の取組をしなければいけないものと考えております。  そこで、検察庁を含めた法務行政トップとして、森大臣国民信頼回復への御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) この度の件については、検察信頼を損なう不適切な行為であり、誠に遺憾でございます。  黒川氏は、東京高等検察庁トップとして、公私を問わず自らを律し、国民から疑念を持たれないよう格段に意を注ぐべき立場にあったにもかかわらず、賭けマージャンをしたこと、そして緊急事態宣言下行為であったこと等々により、国民皆様に強い憤り、そして大きな不安を与え、社会的に重大な影響をもたらしております。国民皆様に大変な御迷惑をお掛けし、法務大臣としても責任を痛感をしており、おわびを申し上げます。  その上で、委員から御指摘がありましたとおり、法務検察が適正にその役割を果たしていくためには国民皆様信頼が不可欠でございます。総理からも、法務検察信頼回復のために力を尽くすよう指示を受けました。そこで、今般、法務省内に法務検察行政刷新会議を設置し、これからの法務検察行政に関する必要な検討を開始することといたしました。法務検察信頼回復のため、法務大臣としての務めを果たしてまいります。  また、先ほどの刑事局長答弁に付言をいたしますが、マスコミとの関係でございますが、ガイドラインというものではありませんが、東京高等検察庁非違行為等防止対策地域委員会の「品位と誇りを胸に」という冊子の十一ページになりますけれども、法務省職員倫理規程第三条関係利害関係とみなす者の記載の中に、報道関係者が、利害関係者には当たりませんが、職務の公正さを疑われるような接触は厳に慎むべき相手として記載がされております。
  30. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 大臣、ありがとうございます。  今の最後の御紹介に関してですけれども、やはり、更にガイドライン化という形も含めて広く法務省そして検察庁内に周知をするべく、よりもっと規範性を高めたルールに昇華させるべきかと思いますけど、その点はいかがでしょうか。
  31. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 検察信頼確保については、稲田検事総長と力を合わせて当たってまいります。  また、先ほどの、新しく立ち上げます法務検察行政刷新会議の中で、委員の御意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。
  32. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 ありがとうございます。  まさに私も法曹の一人として、この検察に対する信頼というのは、ひいては司法に対する信頼となり、そしてまたこの日本の国家の国際的な地位、信頼感につながる、三権の一翼を担うまさに準司法的な位置付けの検察に対する信頼というのは非常に大事なものかと思っておりますので、先ほどお話しいたしましたが、李下に冠を正さずというこの言葉は、私ども国会議員ももちろん大切に胸に刻むべきことでもあると思うんですが、まさに検察官もそれは強く強く求められていることかと思いますので、今回のこの法務検察行政刷新会議、これは私も今朝聞いたところでありますけれども、この会議の実効的な議論と、そして改善の推進に大いに大いに期待したいところなんですけど、最後に最後に、森大臣、一言、この会議の意気込みというものをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  33. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 今般の不祥事、そしてこの間の法務検察行政に対して国民皆様から様々な御意見が寄せられておりますので、国民の感覚から離れることなく、適正な法務検察行政が行われるように、この刷新会議の中で検討を進めてまいりたいと思います。
  34. 元榮太一郎

    元榮太一郎君 ありがとうございます。  この刷新会議というような会議の中で、やはりいろいろな外部からの意見も含めて取り組んで、この検察行政の透明性というのを確保していただきたいなと思っております。  私個人としては、やはりマスコミ関係者の皆様方の報道の自由、この国民の知る権利を支えるために大事な大事な自由でありますので、マスコミの方々が一人でも多くの方々に有益な情報を届ける、こういうような環境については非常に大事であり、これは国民全員で、官民、そして公職、それ以外の方も含めて、問わず取り組んでいくことだなというふうに思っておりますが、一方で、やはり国家公務員としての守秘義務というものもございますので、そういうような守秘義務を守る、さらには、何らかのそこに漏えいがあるのではないかという疑念一つたりとも生じないような清廉性というものも非常に大事だというふうに思っております。  そういった意味で、今回の件については、やはり賭けマージャンという、検察官そして東京高検検事長という重責の立場に置かれながら、このような法律違反、刑事罰の疑いも生じかねないような行為についてはやはり大いな問題だと思っています。そちらについても是正に向けてしっかりと取り組んでいただくとともに、やはりマスコミの皆さんとの関係性についても、これは司法全体で、検事問わず裁判官もそうですし、取り組んでいかなければならないのかなというふうに思っております。  コロナの感染拡大という中で、百年に一度、このような未曽有な状況の中で起きているこの事件でありますけれども、アフターコロナという、コロナの感染拡大を抑えた上での次なる時代をどうするのかということが今全世界が注目していることではございますけれども、私としては、ひとつこれをいい機会に切り替えて、スイッチを切り替えて更なるこの検察行政の進化につなげていただきたい、このようなことを強くお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  35. 有田芳生

    ○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。  黒川弘務前東京高検検事長に代わって、後任として林眞琴名古屋高検検事長が決まりました。  法相にお尋ねします。  これまで何度も何度も黒川さんしかいないんだと、野党の言葉で言えば余人をもって代え難いと言われていた黒川東京高検検事長ですけれども、すぐ後任いるじゃないですか。黒川さんだけじゃなくて、ほかに立派な人がいた。そのこれまでの答弁と矛盾する、合理的な理由をまずお話しください。
  36. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 一月に、黒川検事長について勤務延長閣議決定を行い、私の方でその閣議の請議を行いました。その閣議請議の理由書に書かせていただきましたが、東京高検管内の複雑困難な事件、その処理を継続するために黒川検事長のこれまでの指揮監督能力、経験、識見が必要不可欠であるという理由勤務延長をしたものでございます。その当時の判断は適切であったと考えております。  しかし、今般の黒川検事長の不適切行為、不祥事については決して許されるものではございません。私自身も非常に遺憾であります。  黒川検事長がそのことをもって今般辞任をいたしました。そのことにより、東京高検検事長の席が空席となってしまいました。先ほど申し上げましたとおり、大変重要なポストでございます。そのポストをいつまでも空席にしておくわけにはいきません。なるべく速やかに適切な者を後任に選任をしていきたいと思い、この三日間選任に当たってまいりました。林眞琴名古屋高検検事長を後任になっていただきまして、業務遂行上支障が生じたこの空白期間を埋めていただき、東京高検圏内の職務に当たっていただきたいと期待をしているところでございます。
  37. 有田芳生

    ○有田芳生君 法の解釈まで変えて黒川さんを、定年延長を合法化するために法律まで変えようとしていて、それが今度の問題で黒川さんが辞めざるを得なくなったらすぐに林さんが出てくる。これまでの説明なんというのは全く意味を成していないんですよ、御都合主義なんですよ。  そのことをまず御指摘をいたしまして、黒川弘務前東京高検検事長に対する調査について、これは法務大臣のイニシアチブで始められたんでしょうか。誰が発議をして、どんなメンバーで、いつからいつまで、どこで、何時間、どういう調査をされたんですか。
  38. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 黒川検事長、前検事長に対する調査令和二年五月十九日から法務省大臣官房及び刑事局において実施を行いました。黒川氏の聴取については法務事務次官が行いました。
  39. 有田芳生

    ○有田芳生君 その調査を行ったメンバーについて決めたのは誰ですか。
  40. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 十九日の夕方に私が情報に接しをいたしました。事務方から報告がありました。その時点ですぐ調査に当たるように事務次官に指示を行いました。そして、事務次官の方で、法務省が行うか、検察庁が行うか、またそのメンバーについて選定をしたところでございます。
  41. 有田芳生

    ○有田芳生君 五月十九日の夜に情報に接したと大臣は記者会見で記者に語っておられますけれども、五月十九日の夜、何時ぐらいですか。自分のことでしょう。
  42. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 自分のことなんでございますが、正確にと思いまして。  秘書官から私にメールが来たものですから、夕方というふうに記憶しておりますが。失礼いたします。
  43. 有田芳生

    ○有田芳生君 秘書官からメールが来たと今おっしゃいました。どういうメールが来たんですか。
  44. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 雑誌の記事が出たという、そういうメールでございます。(発言する者あり)
  45. 有田芳生

    ○有田芳生君 何ですか。後ろが何言っているの。ちょっと何言っているのか分からないよ。大臣が答弁できないじゃない。どんなメールが来たんですか。
  46. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 雑誌の記事が出るというようなメールでございました。
  47. 有田芳生

    ○有田芳生君 雑誌の記事が出るだけでびっくりしたんですか。どういう記事が出るとメールにあったんですか。そこには記事はなかったんですか。
  48. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 記事はございませんでした。
  49. 有田芳生

    ○有田芳生君 どういう内容のメールが来たんですか。具体的に教えてください。
  50. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 事前の詳しい御通告がございませんでしたので……(発言する者あり)はい、そのことについては伺っております。  十九日の夕方に秘書官から来たメールについては、黒川検事長について雑誌に何らかの記事が載るという情報がありますということでございました。
  51. 有田芳生

    ○有田芳生君 そのメールには、賭けマージャン黒川さんがやったと明記してあったわけでしょう。
  52. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 秘書官のそのメールには余り詳しいことは書いてなかった記憶ですが、私は、それから事務次官に電話をいたしまして、そこで何らかの不祥事について載るらしいという情報に接しましたので、それはすぐに本人に当たって調査をしてくださいということで申し渡しました。
  53. 有田芳生

    ○有田芳生君 調査は、十九日から二十一日、何回、何時間、どこで行われたんですか。
  54. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 今すぐにその詳細は持ち合わせておりませんけれども、随時電話をしたり面談をしたりして調査をしていたものでございます。
  55. 有田芳生

    ○有田芳生君 随時電話と面談というのは何ですか、これだけ大事なことを。誰が電話をしたんですか。どこで面談したんですか。
  56. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 黒川氏本人に対して、法務事務次官が電話又は面談によって聴取を行いました。
  57. 有田芳生

    ○有田芳生君 これだけ大事なスキャンダル、不祥事を電話で聴取するんですか、検察というのは。
  58. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 黒川氏に対する聴取でございますが、大臣が答弁申し上げましたように、法務事務次官において行っております。面談もしておりますが、面談以外に電話による聴取も行っているというところでございます。
  59. 有田芳生

    ○有田芳生君 捜査じゃない、調査だけれども、検察がこれまでいろんな事件に関わってきて、たった一人で電話して聞く、たった一人で面談するんですか、そんな調査ですか。  黒川さんが言ったことが正しいかどうか、反面調査されましたか。
  60. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  反面調査というのは、賭けマージャンの相手方であった報道機関関係者に対する調査であろうと思いますが、私ども調査に当たりまして、黒川氏からの聴取のほか、調査時点において報道機関が公表するなどしていた内容を参考にいたしました。  その上で、同席したとされます報道機関関係者三名につきましては、彼らから見てこれが取材行為に当たり得る可能性があったことから、取材行為に対する調査は差し控えるべきと考えましたので、報道機関関係者に対する調査は行っておりません。
  61. 有田芳生

    ○有田芳生君 だったら、千点百円かどうか分かんないじゃないですか、黒川さん一人が言っていること。  天下の検察が、具体的に賭けマージャンが行われたマンションに、例えば事務官なんかが確認されていますね、ここでやったというのは。当然、検察ですからそういう調査もやっていらっしゃいますね。
  62. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  まず、今回の調査は、刑事事件の捜査と異なりまして、私ども法務省という行政機関が行政機関としての調査を行ったものでございますので、まず一つは、いわゆる捜査権限があるものではございませんので、捜査権限として認められている権限行使がないものでございます。  それから、事実の特定という意味でも、処分に必要な事実を特定すれば足りるものでございますから、例えば刑事裁判における立証のように、当該場所の様子その他などを写真で撮ってくるなどといったような捜査のような活動までは行っておりません。
  63. 有田芳生

    ○有田芳生君 先ほど森大臣は、五月十九日の夜、秘書官からメールが来て情報に接して、事実確認の調査が始まったということは今明らかになりました。  私は物すごく腑に落ちないことがあるんですよ。それを今聞きたいのは、黒川東京高検検事長が週刊文春の取材を受けたのは十七日日曜日の朝十時過ぎ、犬の散歩に行ったときなんですよ。そのとき、取材には何にもお答えにならなかった。そして翌十八日月曜日、週刊文春の記者は二回黒川検事長に当たった、それでもお答えにならないから、更に東京高検に週刊文春は詳細な質問状を出そうとしたけれども、受け取りもしない。これが今の東京高検の取材対応の現実ですよ。おかしな話ですよ。質問さえ受け取らないんですよ。  私がおかしいと言うのは、法務大臣あるいは刑事局長、どちらでもいいんですけれども、黒川さんほどの方ならば、十七日の朝十時にそういう賭けマージャンについての具体的な取材が来れば、法務省あるいは官邸に連絡するでしょう。それ確認しましたか。
  64. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  私ども承知しておりますのは、先ほどおっしゃられたように、東京高検の方に十八日の時点でその質問状が来てということでございます。その後、少なくとも私どもとして、先ほども申し上げたように大臣に御報告したのは十九日の夜でございまして、その事態、ということでございます。  で、少なくとも黒川検事長において官邸に報告したという事実は私ども承知しておりません。今、大臣に秘書官を経由して事務当局から報告しておりますので、大臣に報告するより前に黒川検事長から法務省に対してこういった取材を受けているという内容の報告があったことは事実でございます。
  65. 有田芳生

    ○有田芳生君 報告は受けていない。受けた。それはいつですか。
  66. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 大臣に法務省事務当局、先ほど大臣は最終的に事務次官と話をされたと言っておりますので、その報告前にきちんと黒川氏からそういった取材を受けているといったような報告が法務省にあったことは事実でございます。
  67. 有田芳生

    ○有田芳生君 もう一回確認します。それはいつですか。十七日、八日、何時ですか。
  68. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 済みません、私として黒川氏からいつの時点でその報告が入ったかという事実までは承知しておりません。
  69. 有田芳生

    ○有田芳生君 これは基本的なことでしょう。十七日の朝に取材を受けた、十八日も、二回取材を受けた、東京高検には質問状も出そうとしたけれども受け取りもしない。  さすが黒川さんのような立場の方ならば、十七日に取材を受けたならば、法務省あるいは官邸に連絡するでしょう。法務省にいつ連絡したんですか。それを明らかにしてくださいよ。
  70. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 済みません、繰り返し申し上げますが、大臣に報告する前に報告があったということは私承知しておりますが、黒川氏からどの時点で報告があったのかというその具体的な時間まで手元の資料でちょっと把握してございません。
  71. 有田芳生

    ○有田芳生君 そういう基本的なところを調査するのが調査なんじゃないんですか、天下の検察が。そのことを抜きに、大臣は、丸三日空白あるんですよ、黒川さんが取材を受けて、十七日の朝十時から十九日の夜まで何も知らなかったんですか。おかしいじゃないですか。  官邸で黒川さんが聴取受けていたんじゃないんですか。確認してください。
  72. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  これははっきりと申し上げられますが、私どもの調査以前に黒川氏が官邸からの調査を受けていたという事実はございません。調査法務省が行っております。
  73. 有田芳生

    ○有田芳生君 電話だけで次官が元同僚と話をする、それで調査なんですか。客観的に国民がそんなものを納得できますか。何で電話の調査なんですか。確かにコロナの状況はあるけれども、三密でずっとマージャンやっていたじゃないですか。総理大臣だって離れたところで記者会見やるじゃないですか。  対面で調査をしたんですね。あるいは、電話だというならばズームでやりましたね。あるいは、その記録は残っていますか。
  74. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 黒川氏からの聴取でございますが、面談による聴取を行っております。その上で電話による聴取も行っているということでございまして、専ら電話のみによる聴取というものではございません。
  75. 有田芳生

    ○有田芳生君 専ら電話のみの聴取なんじゃないんですか。電話又は面談により断続的に事情聴取を行った。電話による聴取が多く、書いてあるじゃないですか、法務省の報告書に。その回数や時間を特定するのは難しい。難しいんですか。これだけ大事なことを記録するでしょう、普通は。
  76. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  面談による聴取を行っております。電話による聴取につきましては回数が多いということで、その回数や時間を特定することが難しいということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  77. 有田芳生

    ○有田芳生君 電話で聴取が多いならば、来ていただいて、あるいは出かけていって、そこで対面で調査を何でしなかったんですか。おかしいですよ。身内を守っているんじゃないですか。
  78. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) まず、身内を守っているんじゃないかということでございますが、これは御理解賜りたいのですが、こういった人事上の処分に関する調査でありますと、調査をする側と調査対象者が基本的には同じ職場の同僚ということになりますので、そういう意味で面識がある者が調査をせざるを得ないということは御理解を賜りたいと思います。  その上で、面談による聴取を行い、更に電話による聴取を行ったわけでございますが、その電話による聴取が何らか身内に甘く行ったというものではなく、その時々の必要に応じて、その時々の必要に応じて必要なといいますか、その聴取方法を取ったものでございます。
  79. 有田芳生

    ○有田芳生君 黒川さんが法務省に連絡をする前に官邸に連絡をしていないということは調査の中で確認されましたか。
  80. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 私どもの調査処分をする上で必要な事実に関する調査でございますので、その取材を受けた後どういう行為をしたかという調査まではしておりませんが、私どもとしてこの本件の、法務省として本件の情報に接したのは黒川氏からの報告でございます。したがいまして、私どもとしては、事実は確認しておりませんが、黒川氏が官邸に報告をした形跡には接しておりません。
  81. 有田芳生

    ○有田芳生君 大臣に伺います。  五月二十一日の朝の記者に対する、質問に対して、賭けマージャンであれば賭博罪に当たる、今日の夕方には結果を公表し処分を発表したい。確かに処分を発表されたんですけれども、このときの大臣の認識だと、賭けマージャン賭博罪に当たる、懲戒処分という判断されていたんじゃないですか。
  82. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 私がインタビューに答えて、事実とすれば賭博罪に当たるおそれと述べた発言でございますけれども、犯罪の成否については捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございますので、個別事件の成否について述べたものではなく、あくまでも一般論を述べたものでございます。  以上です。
  83. 有田芳生

    ○有田芳生君 法務省調査によっても、約三年前から月一、二回程度金銭を賭けたマージャンを行っていた……(発言する者あり)
  84. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御静粛にお願いします。
  85. 有田芳生

    ○有田芳生君 こういうふうに結論が出ているじゃないですか。  だけど、さっき刑事局長がおっしゃったサッカー、野球について……(発言する者あり)静かにしてください。サッカー、野球について、二回ぐらいで、二回ぐらいで処分を受けているじゃないですか。(発言する者あり)
  86. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 議事の妨げになりますので、発言者以外の方は御静粛に願います。
  87. 有田芳生

    ○有田芳生君 懲戒処分を受けているじゃないですか。違いますか。  どうして、黒川さんの場合は三年間に普通に計算しても百回近くの賭け賭博をやっていて、賭けマージャンをやっていて、どうしてこんな甘い処分なんですか。
  88. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  先ほども御答弁申し上げたところでございますが、法務省調査では、黒川氏につきまして報道機関三名者と金銭を賭けたマージャンを行っていたことは認められたところでございますが、これらの行為旧知間柄の者との間で必ずしも高額とまでは言えないレートで行われたマージャンであること、黒川氏は事実を認めて深く反省していること等の理由や、先例を考慮して今回の訓告という処分にしたものでございます。
  89. 有田芳生

    ○有田芳生君 先ほど一万円から二万円だからというお話がありましたけれども、これまで、例えば現行犯逮捕されたある漫画家の方なんかは九千円もうかっていたところで現行犯逮捕ですよ。だけど、黒川さんの場合は何年にもわたってやっていたって、これ常習じゃないですか。  法務省人事院のこれまでの規定にしたって、常習賭博ではないんですか、常習ではないとなぜ言えるんですか。
  90. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  まず、刑罰としての常習賭博罪の成否につきましては、捜査機関が収集した証拠によって判断するところでございますので、法務省としては答弁を差し控えたいと思います。  その上で、処分をするに当たりまして、この金銭を賭けたマージャン行為常習性がなかったのかというところのお尋ねだと思います。  人事院の解釈指針にある常習賭博というものにつきまして、その常習性というものをどのように解釈するかという基準が必ずしも明らかではございませんが、この場合はやはり刑法の解釈が参考になるんだろうと考えております。  刑法における常習性につきましては、最高裁判所の判例によりますと、現に行われた賭博種類賭け金の多寡、賭博の行われた期間、度数、前科の有無等諸般の事情を総合的にしんしゃくして判断されるということでございまして、裁判実務を見ましても、今申し上げた要素に加え、さらに、営業性、賭博の相手方であるとか、営業性であるとか、そういった諸般の事情を総合的にしんしゃくして判断されるべきであるとされております。  その上で、今申し上げたように必ずしも回数のみで判断するものでないというところで、今言ったような事情を総合的に考慮して判断するということであるならば、本件は、旧知間柄の者との間でマージャンを行ったものである上、賭け金も必ずしも高額と言えず、また営業性を帯びているというようなこともございませんので、常習性までは認めることができないという判断に至ったものでございます。
  91. 有田芳生

    ○有田芳生君 三年以上ずうっと毎月毎月賭けマージャンをやっていて常習性がないなんていうのは、これ、本当におかしなことですよ。  もう時間来たからやめますけれども、法務省職員訓告等に関する訓令によると、これ、処分じゃなくて措置じゃないですか。措置処分じゃないんですよ。こんなことは許されない。  そして、六月に入れば河井克行前法相の政策秘書の裁判が始まります。さらには、六月十七日、国会が終われば更に大きな動きがありますから、法務大臣、本当に法務省検察の権威をきっちり守ってもらうために、このままではいけないということを主張しまして、時間が来ましたので終わります。
  92. 川合孝典

    川合孝典君 国民民主党の川合です。共同会派を代表して質問させていただきたいと思います。  故あって本日から法務委員会の方の配属になりましたので、竹谷委員長を始め法務委員皆様には、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  私からもなんですが、この委員会本件を外からずっと見ておりまして、非常に論点が曖昧になってきていると、何が一体問題なのかということが見えにくくなってきていると思っておりますので、改めてちょっと素人くさい目線かもしれませんけれども、原点に立ち返って幾つか確認をさせていただきたいと思います。  先週の衆議院の質疑の中で、川原刑事局長は、先ほど有田理事の質問にもありましたとおり、常習性の問題について、直ちに常習性を認めるかどうかについては問題があろうかと考えておりますという答弁をなさっているわけでありますが、この常習性に疑義がある理由が一体何なのかということをちょっと分かりやすく説明していただけないでしょうか。
  93. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  先ほども申し上げたところでございますが、まず今回の問題となっているのは、常習賭博罪という犯罪の成否ではなくて、その処分、人事上の処分等の関係常習性でございます。ただ、これにつきまして、人事院処分指針では、常習賭博常習性という言葉はありますが、この解釈、これそのものの解釈基準は必ずしも明らかでございませんので、繰り返し申し上げますように、刑法の常習賭博罪の常習性の認定の基準を私ども参考にして考えました。  これも先ほど申し上げたところでございますが、最高裁の判例によりますと、常習賭博罪における常習性は、現に行われた賭博種類、すなわち賭博というのはいろんな種類がございますので、その種類が何かということ、あるいは賭け金の多寡、賭博の行われた期間、度数、前科の有無等諸般の事情を総合的にしんしゃくして判断するとなっておりまして、実務上は、犯人の役割であるとか、賭博の相手方であるとか、それから営業性であるとか、そういったことも考慮して判断されているところでございます。  ちょっと分かりにくいといけませんので、賭博種類で申し上げますと、今回はいわゆるマージャン賭博でございますが、過去の裁判例で常習賭博を認めた裁判例、いわゆる賽本引き賭博というさいころを使う賭博でございますが、これについて常習性を認めた場合の裁判の裁判書の判示、すなわち判決でどんなことを言っていたかといいますと、本件賭博が賽本引きという玄人筋の賭博である、あるいは娯楽性の乏しい賭博であるというようなことなど、まず、マージャン賭博種類というのはこんなことも判断するということでございます。  そういった事情を全体的に判断いたしまして、先ほども申し上げましたように、旧知間柄の者との間でマージャンを行ったものである上、賭け金も必ずしも高額と言えず、また営業性を帯びているとも言えないことから、常習として賭博をしたものとは認めなかったものでございます。
  94. 川合孝典

    川合孝典君 お聞きのとおり、何を言っているか全然分からない。もっと言ってしまいますと、刑事罰として審査したわけではないと冒頭におっしゃいましたけれども、行政罰としてやる場合にはこれは常習性がないということを言いたいのかもしれませんが、刑事上の罰としては、こうした行為を行うことは常習性のある賭博行為には当たらないんですか。
  95. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 川原局長答弁は簡潔に願います。
  96. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 犯罪行為の成否につきましては、捜査機関が収集した証拠によって判断されるべき事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
  97. 川合孝典

    川合孝典君 であるならば、本件につきましては引き続き捜査を行うという理解をさせていただいてよろしいでしょうか。
  98. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お尋ねは具体的事件における捜査機関の活動内容に関わる事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
  99. 川合孝典

    川合孝典君 改めて確認をさせていただきたいんですが、今回の黒川東京高検検事長訓告でしたっけ、訓告処分というのは何を対象にして訓告処分になったのか、その訓告処分対象の範囲を教えてください。
  100. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  対象の事実は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の自粛要請期間中である本年五月一日頃及び十三日頃の二回にわたり、東京都内に所在する、東京都内において報道関係者ら三名とともに金銭を賭けてマージャンを行ったという行為でございます。
  101. 川合孝典

    川合孝典君 つまり、そういうことなんですよ。要は、常習賭博ということではなく、自粛期間内に不謹慎な行為を、二度賭けマージャンを自粛期間内に行ったということに対しての処分ということであって、実は過去三年間の間に百回やっているとか、週一、二度から二、三度という曖昧な数字が飛び交っておりますけれど、過去の賭博マージャン賭博行為賭けマージャンについてはこの処分の中に含まれていないということがつまり今の答弁で明らかになったということなので、この点まず確認させていただきたいと思います。  お手元に資料をお配りさせていただきましたので、資料に基づいて少し質問させていただきたいと思います。  今回のいわゆる訓告処分の合理性についての、ちょっと検察庁さん、法務省さんの考え方について確認させていただきますが、お手元に「品位と誇りを胸に」第三訂版という、東京高等検察庁非違行為等防止対策地域委員会というところが出している、実は検察の皆さんの行動指針に関わる資料ということであって、実はこれ、過去に様々な検察に関わる不正、不祥事が生じたときに、そうした行為を再発防止するためにということで、検察庁の中でそうした行動規範をお作りになっているということであります。  この中に服務規律というものがありまして、その服務規律の中に信用失墜行為の禁止というのが明確に規定されておりまして、職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならないということが明記されております。  それに基づいて、実はるる書かれておるんですが、お手元の資料一枚めくっていただきますと、五ページと書かれているところでございますけれども、そこに、信用失墜行為については、刑事罰の対象となる事案が多く、そのほとんどは刑事罰に加え免職などの懲戒処分を受けることになりますと明記を実はされております。  そして、この信用失墜行為について幾つかの類型がありますが、職務に直接関連するもの、関連しないもの、その後に、職務と関連しないものというところの中に明記されているのが、勤務時間外の交通違反・事故、マージャン等の常習賭博、わいせつ行為等の犯罪行為等、わざわざ特出しでマージャン等の常習賭博というものが明記されているということであります。  なぜマージャン等の常習賭博というものがここに明記をされているのか、そのことの意味について御説明をいただきたいと思います。
  102. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  まさにこの資料は非違行為等を防止するためにその職員に向けて作られた資料でございまして、具体的にこういった行為懲戒処分になり得る行為としてきちんと明示することによってそれぞれの職員非違行為の防止に役立てると、そういう趣旨だと思います。
  103. 川合孝典

    川合孝典君 それ以上答えられないと思いますが、マージャン等の常習賭博というものがそういう行為に当たるということの懸念があったがゆえにここに明記されているということだと常識的には理解できるわけであります。  その隣のところに、ページのところに、利害関係者とみなす者、さっき質問の中でも少し触れられていましたが、マスコミ関係者というのが直接の利害関係者には当たらないということが書かれて、明記されておりますが、しかしながら、職務の公正さを疑われるような接触は厳に慎むべきであるとされていますという者の中にマスコミ関係者の方もここに入っているということでありまして、そういう意味では、直接の利害関係者じゃないということを答弁の中でもこれまでおっしゃっていましたけれども、利害関係者に準ずる者として注意しなければいけない要は職種の方々であるということについてここに規定されているということを改めてここで確認しておきたいと思います。  その上でなんですけど、時間がないのでちょっと飛ばして、もう一ページめくっていただきますと、懲戒処分というのがございます。この懲戒処分の具体的な標準例一覧というものが実はございましたので、これも載せさせていただいておりますが、この中に公務外非行関係という分類がありまして、ここに賭博というものが規定されております。賭博常習賭博というのがここには記載されておりますが、この検察官行動指針によりますと、賭博行為を行うと、懲戒処分のうち減給から戒告であると、そして、常習賭博を行った方は停職であるというのが、これが基準になっているわけです。基準なんです。これに基づいて、このルールに基づいて検察官の方々は行動を律していらっしゃるということでありまして、このルールと照らし合わせたときに、今回の黒川さんの訓告処分というのが合理的な判断である理由が一体何なのかを教えてください。
  104. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  委員が御指摘になったこの例は、まさに人事院懲戒処分指針でございます。ただ、この指針は、その指針自身において記載しておりますが、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の資料を掲げたものであると、具体的な処分の量定に当たっては、いろんな事情を総合的に考慮して判断するものとするんだとされております。  その上で、今回の事案につきましては、先ほど来申し上げておりますが、黒川氏が報道関係者三名と金銭を賭けたマージャンを行っていたという事実が認められますが、これらの行為は、旧知間柄の者との間で必ずしも高額とまでは言えないレートで行われたマージャンであること、黒川氏は事実を深く認めて反省していること等の理由や、先例等を考慮した上で訓告という処分となったものでございます。
  105. 川合孝典

    川合孝典君 今の説明を聞いて、ちょっと聞き方変えましょうか。じゃ、旧知の方と日常的に賭けマージャン行為を何年もにわたって一般の方が行った場合、それは常習賭博ではないというのが法務省の皆さんの公式な見解ということでよろしいですか。
  106. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 常習性、あくまでも処分をするに当たっての常習性の認定ということでお答えいたしますが、常習性の認定は個別事案の事実関係によって総合的に判断するところでございますので、その抽象化された事例でこれはどうかというのは一概にお答えし難いところでございます。
  107. 川合孝典

    川合孝典君 常習性の認定できるほどの調査していないから常習性の認定ができていないということなんですよ。刑事罰として要は判断していないということについても、元々どこの判断かは分かりませんけれども、刑事犯として罰するつもりなく処分をとっとと済まそうとするからこういうことになってしまう。  確認させていただきたいんですけど、今回のこの、先ほどおっしゃったとおり、今回の黒川さんの訓告処分というのは、自粛期間内の五月の一日と十三日の日にお金を賭けてマージャンをやられたということに対して、そのことが明確に把握されているがゆえに今回のこういう処分が出たということですよね。であるならば、それ以外の過去のいわゆる賭けマージャン行為だとか、そういうことについて新たな事実関係が認定されればこの判断は変わるという理解でよろしいですね。
  108. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  私が先ほど申し上げた五月一日頃及び十三日頃のマージャン行為というのはまさに処分対象事実ということでございます。一方、その処分に至るまでの調査におきまして、黒川氏が約三年前から月一、二回程度、今回のメンバーでマージャン金銭を賭けたマージャン行為を行っております。  したがいまして、今回の処分対象事実は、事実としてはそういう事実でございますが、それの持つ情状、事情といたしましては、そのような今申し上げたような形で繰り返し行われてきたマージャン行為の中の事実ということでございますので、そういった事情も含めて、今回の措置処分となっているものでございます。  したがいまして、その一日及び十三日のみのマージャン行為のみ把握して、それのみに着眼して今回の訓告という処分にしたということではございません。
  109. 川合孝典

    川合孝典君 ということは、過去のマージャン行為に対しても既に事実認定ができたという理解でよろしいですか、今の説明だと。
  110. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 具体的な日時を特定してまでの事実の認定には至っておりませんが、私が今御答弁申し上げたような、の範囲内、範囲で事実は認定されたということでございます。
  111. 川合孝典

    川合孝典君 一般の感覚に照らし合わせて、もう一度確認しますよ。  例えばですよ、今回マスコミの方と、二社の方と一緒にその方の御自宅でマージャンをやられたと。もちろんマージャンやること自体が悪い話じゃないですからね。そのこと自体が問題ということではなく、その行為を行ったということが、きちんといつやったか分からないけど過去やっていたということは、日時が分からないということは、つまり、やっていたけれどもいつやったかは分からないといったような非常に曖昧な要は情報に基づいて判断しているということになるわけですよね。  今回対象になっているのは、このマスコミの方お二方と、あっ、三方ですか、お三方と一緒にやったということになりますけれども、マージャン好きの方だったら、ほかのマージャンのメンバーだっていらっしゃるかもしれないですよね。そういう方々とのいわゆるマージャンというものがどういうふうになっていたのかといったようなことも含めて、常習性についての確認を行うということであればその辺りのところも確認していかないと、本当の意味での今回の黒川さんの行為常習性があるのかどうなのか、明らかに賭博行為であるのかどうなのかということが判断できなくなってしまうと思うんですけど、その辺りのところについてはきちっと調査する必要があると思うんですけど、いかがですか。
  112. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) まず、今回の処分の前提ということでございますが、日時は明らかでないものの、月一、二回程度マージャンを行っていたという中で今回のマージャンを行ったという事実を認定して、処分対象事実としては五月一日及び十三日頃の事実であり、そういった中で行っていたということは、処分を決めるに当たっての事情としては当然考慮しているものでございます。  また、常習性関係でございますが、先ほど来お答えを申し上げておりますが、必ずしも賭博をした回数、頻度のみによって決まるものではございませんので、私どもの判断として、それが黒川氏が述べて調査結果で認定したところよりも増えることがあったとしても、本件においては、その他常習性を認める際に考慮すべき要素を考えますと、常習性が認められないという事実認定には変わりはないものと考えて、最終的に常習性の認定していないものでございます。
  113. 川合孝典

    川合孝典君 しつこいようですけど、改めて確認しますが、わざわざ検察官行動指針まで作って、そこにマージャン等の常習賭博といったようなことを例示的に挙げているわけですよ。マージャンを行うという行為自体が問題があるということが分かっているがゆえにここに書いていらっしゃるわけでしょう。  常習性の問題があるか若しくは単なる賭博なのかという、そこについての量刑についての判断はもちろんおありになるでしょう。しかしながら、そのいずれの判断にしても、今回の訓告という処分というのは、法務省の内規に照らしても、このルールに照らしてもおかしいということだけ事実として今回申し上げさせていただきまして、残りの質問につきましてはまた別の機会にやらせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  114. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。  今回の黒川東京高検検事長行為、これはもう決して許されるものでは当然ない、情状酌量の余地もないというふうに思っております。私、個人的にも怒りを覚えております。ふだんはまさに法を守る立場から取調べをしている人が法を犯すような行為をこれは行っている。それに加えて、しかも緊急事態宣言下、多くの国民の一体感を何とか維持しようというこの中にあって、これをぶち壊すような所業とも言ってもいいかというふうに思います。  あわせて、検事長というのは、これ天皇陛下に認証していただく認証官。認証官であれば当然、認証官であればというわけでもないですけど、その職責に合った行動倫理というものがあるわけですけど、あろうことか賭けマージャンというのは、これは言語道断であると思います。  その辺り言いまして、私も今回改めて、今回は前例との比較ということで、いろいろな処分訓告という形を取られたというふうにも先ほど来より説明いただいていますけど、これは比較する前例すらやはりないぐらいの大事な、大きな大きな問題かというふうに思いまして、これ、対応を誤れば、検察という機関そのものの存在、これを意義すら疑いかねないような、そういう事態であるかというふうに思います。  大臣にお伺いしたいんですが、信なくば立たず、こういう思いに立って、この問題、この事態をいかに重く受け止められているか、大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。
  115. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) この度の件については、検察行政信頼を損なう不適切な行為であり、誠に遺憾でございます。  黒川氏については、御指摘のとおり、東京高等検察庁トップとして、公私問わず自らを律し、国民から疑念を抱かれないように格段に意を注ぐべき立場であったわけでございます。また、委員指摘のとおり、捜査を行う検察官でもあり、また、東京高等管内の検察指揮監督する立場でもありました。  それが緊急事態宣言下に、前日に総理が、四月三十日に国民に広くゴールデンウイーク前に改めて呼びかけをした、その翌日でございます。また、私も、ゴールデンウイークに入る前に、法務幹部を集め、法務省新型コロナウイルス対策基本方針を基にしっかりとゴールデンウイーク中の感染拡大に、防止に向けて律するようにという指示を出した直後でもございました。  私も、一報を耳にしたときには耳を疑いました。大きな憤りを感じたことも事実でございます。賭けマージャンをしたことにより、自粛、外出自粛期間中に賭けマージャンをしたことにより、国民皆様に大きな憤り、治安に対する不安、様々な御迷惑をお掛けしたことを、検察庁を所管する法務大臣として大きな責任を感じております。深くおわびを申し上げます。  黒川氏については、法務省において、その処分に当たり必要な調査を行いました。事務方が持ってきた訓告という案について、私も、事案説明を受けるとともに、人事院指針の内容や、また先例先例の中でも同じような地位にある者の先例も含め様々説明を受けて、議論を行いました。その議論の過程では様々な意見もありました。処分を行うときのその者の地位、そしてこの事案の社会的影響の大きさ、そして事案の内容等を当てはめて、今回の監督上の措置として最も重い訓告としたものでございます。
  116. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 大臣、国民の怒りというお言葉をおっしゃっていただいた。まさに、怒り、この重い意義を是非受け止めていただいて、改めて大臣に信頼回復に向けての御覚悟をお伺いしたいと思うんですが、やはりイバラの道だと思います。これは、法務省もしかり、検察もしかり。これ、どうやって信頼回復していくのか。  私は、改めてですけど、所信に対する質疑のときにも少し申し上げましたけど、大臣の御使命というのは、大臣、選挙で選ばれた政治家のお一人として省に乗り込んでいらっしゃるわけであります。やはり行政というのは独善に陥りがちなところがある中にあって、民意の反映をした大臣のお姿でこの民意を反映させることが御使命であるかというふうに思っておりますが、特に、今行政というのは肥大化がどんどん進んでいるわけでありますけど、我々でも知り得ないような情報を行政は持っていらっしゃって、時折ブラックボックス化してしまう。これは、時には公文書の改ざんまであった、こういうこともあったわけであります。  法務省がそういうことの、外れているというようなことは、保証は全くないわけでありまして、そういう危険性を認識するとともに、更に言うと、法務大臣というのはほかの大臣とはこれ全然違う、更なる重責を持っていらっしゃる。検察を、そういう点では一般的な指揮権限を持っているという形があります。検察というと、もう最高の権力の一部であるというふうに、言葉はちょっと語弊あるかもしれませんけど、起訴権を独占しているわけですから、一存でこう人の一生を左右できるような、こういう大きな権力を持っている検察に対しての影響力を、そういう意味で、法務大臣というのは二つの民主的な防波堤、行政に対して、そしてまた検察に対してというような深い重責を持っていらっしゃることゆえだというふうに思います。  こういうお立場更に自覚していただいた上で、改めて、法務大臣としてこの信頼回復に向けてどう具体的に動かれるのか、改めて大臣からお伺いをしたいと思います。
  117. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 今回の黒川氏の問題により、法務検察行政は大きく信頼を損なうこととなりました。折しも、国会において、検察についての規定がある検察庁法についての御審議をお願いしていた時期でもございました。その中で、国民皆様からの様々な御指摘や御批判、御疑念をいただきながら、それをいかに真摯に説明していくかということに心を砕いていた時期でございました。そのような中でのこのような不祥事について、私としても本当に遺憾でございます。その失われた信頼を回復していくことは容易なことではないと感じております。  私自身、黒川氏の閣議決定に向けての閣議請議を提出した立場として、責任を取るために総理に進退伺を出しましたが、失われた検察また法務行政信頼を回復するためにどうしても継続してほしいという指示をいただき、委員指摘のとおりイバラの道だと思いましたが、全力で当たっていく覚悟をしたところでございます。  そして、まずは、空いている空席の後任を速やかに見付けるということで、この三日間選任に当たってまいりまして、林さんが今日のゼロ時から東京高検検事長に就任をしていただいたところでございます。  さらには、今朝発表させていただきましたが、法務省内に法務検察行政刷新会議を設置し、これまでの失われた信頼の回復に努めてまいりたいと思っております。
  118. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 改めて、いろいろな経緯を受けた上でイバラの道をしっかりと歩むという思いでいかれるということであります。是非それを実行で移していただきたいなというふうに思います。  私、前にも所信で申し上げた、法務大臣の資質というのは、大臣もまさにおっしゃっていたジャスティス、それを体現する存在でもあろうかというところで、それが今求められているところかと思います。  一連いろいろ御批判あるのは、政権、政府に対する御批判、それは与党である私たちも当然責めを負わなければいけないところではあります。その認識の上で、大臣に改めて御期待申し上げたいのは、やっぱり民意を受けた一人の政治家として、この、時にはこう、内閣の一員というこの立場も超えて、法と良心にしっかりとこれは基づいて行動して、国民疑念に思うようなことはしっかり説明いただきたいと思います。  先ほど刷新会議の話もされました。処分に必要な事項というのもそうですけど、信頼回復、そういうものに対しての必要な事項というのをしっかりとその会議の場で明らかにしていって、国民信頼に応えるという、今大臣がるる強くおっしゃっていただいたその決意の下で是非進めていただきたいというふうに思います。  そういう意味でも、国民を見た行動、これまた改めてになりますけど、大臣から一言でいいので、こういうふうにしていくということをおっしゃっていただければと思います。
  119. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 委員指摘のとおり、私、大臣になりまして、法務省内で仕事をさせていただいて、これまでの慣例、また実務について、なかなか説明が難しいなと思うこともございました。そういったことに対して時間を取って国民皆様に御説明し、もっとこういうふうにしたらいいのではないかということを一緒に考えていけるように、それを透明な形で実現するような刷新会議にしてまいりたいと思います。
  120. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 是非、国民の方から見たら分かりにくい、省の中では当然のものだったかもしれないけど、やっぱり一般の感覚から分かりにくいようなもの、そういうようなものを大臣のリーダーシップで是非えぐり出して明らかにしていくことがまた信頼回復に必要かというふうに思います。  あわせて、もう一点だけ。  やはり、あとは検察庁法についても多くいろいろ御意見いただいたところであります。今国会の採決は見送ったわけでありますけど、やはり特に民意からいただいている御課題というものは基準の明確性であるというふうに思います。役降り特例やまた定年延長、それに際してのこの基準の明確というのはこれ肝だと思いますし、そうならない限り国民の不安は払拭できない。  それに対する御所見と、今後どのように進めるか、大臣からいただければと思います。
  121. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 検察庁法改正案における勤務延長、役降り特例の要件である内閣が定める事由については、法務省において、私の指示において、なるべく早く具体的にお示しできるように検討に着手しているところでございます。  これについては、国家公務員人事院の規則に準ずる形にして、第三者である人事院が定めた客観的な基準に準ずる形にしたいと思っておりますので、あわせて、人事院にもいち早くお示しいただけるように要請をしているところでございます。
  122. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 基準を明確にというのは、不信感の表れの一つであるかというふうに思います。それを払拭する意味でも、大臣のリーダーシップを、こういう点では国民から安心していただけるというところを是非引き続きお願いをしたいというふうに思います。一連のことについては、私たちも与党としてもしっかり責任を感じながら、国民皆様に安心していただけるように更なる説明責任を果たしていきたいということを、また私の立場からもお伝えをさせていただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  この状況下、まさに昨日、緊急事態宣言解除という形になりました。コロナの状況をどうやって乗り越えていくのか、こういう状況下は引き続きこれ変わらないわけであります。そういう中にあって、私も地元の埼玉で、例えば農業者の方から、技能実習生の方が来れなくなって、これまで技能を教えながら一緒になっていいものを作っていった、そういう取組ができなくなったというお話もよくお伺いしました。  その中にあって、今日は資料もお配りもさせていただいておりますが、出入国在留管理庁の資料で、技能実習生等による雇用維持支援についての一枚紙であります。これについて、まず出入国在留管理庁から説明をいただければと思います。
  123. 高嶋智光

    政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。  法務省では、四月の二十日から、特例措置として、今の御紹介のありましたスキームを実施しているところでございます。  内容を御説明いたしますと、新型コロナウイルスの影響、感染拡大の影響によりまして、御指摘のとおり、一部では農業等の分野で人手不足が生じております。他方で、宿泊業等の分野等におきまして実習が継続困難となった技能実習生がいたり、あるいは就労継続が困難となった特定技能の在留資格を有する外国人、あるいは技人国と呼んでおります技術・人文知識・国際業務の在留資格で在留している、就労している外国人、そのほか、技能という在留資格で就労しております外国人等、在留資格を、これらの就労資格を有する外国人労働者がおります。また、就労予定であったものの、内定取消しとなった留学生に対する対処も必要となっております。  そのためのスキームが今御指摘のありましたペーパーでございまして、具体的には、自力で再就職先を探すことが困難な方のために、出入国在留管理庁が、本邦での就労を希望する技能実習生などの情報につきまして、就労支援が可能な特定産業分野の関係機関にその情報を提供する、本人の同意を得て提供する、そして迅速なマッチングを実施するというものでございます。また、その際、在留資格が問題になりますので、新たな在留資格上の措置として、一定の要件の下、最大一年間の特定活動の在留資格を許可することにしているところでございます。  このようにして、特定産業分野における雇用維持をパッケージとして支援しているところでございます。
  124. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。  自分で再就職先を探せない方等を念頭に、その方々の、在留する外国人全般ですね、これ、技能実習生だけに限らず、そういう方の雇用維持を図る制度であるということも今確認させていただきましたし、特定活動、これ、普通は留学し終わった方がそのままそのステータスを更に、その後に働くための特定活動のステータスであったり、いろいろな類型があるんですけど、それに新しい類型を加えて一年という形で認められたというふうに今理解させていただきました。  であるから、技能実習という制度とはまた別の枠でこの在留一年間という形になるかというふうに思います。これについて四月二十日から実施とこの書面には書いてありますけど、これまでの実績数ですとか、あとは、希望する方、そういう形で技能実習で来られて解雇等で働けなくなった方、どういうふうに申し込めばいいのか。  あわせて、今のお話ですと、出入国在留管理庁としては情報提供するということ、積極的なマッチングをするという形の役回りはなかなかしづらいところがあるかなと思っています、あっせんをするという形では。ですので、これは当事者双方がこういう制度があるということをしっかり理解した上で、積極的、能動的にこの制度に関わるというその姿勢がやはり重要であり、裏を返せば、周知の徹底が重要かと思うんですが、この辺りについてもどのようにされるのか、改めてお伺いしたいと思います。
  125. 高嶋智光

    政府参考人(高嶋智光君) 御指摘のとおり、マッチングが非常に大事といいますか、我々出入国在留管理庁にとりましてもこのような業務というのは初めてのことでございますので、なかなか慣れなくてうまくいっていない部分もございますので、オンゴーイングで改めながらやっているところでございますが、現在考えている仕組みというのは、具体的に申し上げますと、出入国在留管理庁におきまして、例えば、農業分野で就職を希望する場合には農水、農林水産省を通じて全国農業協同組合中央会等に対して、また、介護分野で就職を希望する場合には都道府県福祉人材センターへ、本人の同意書に記載された外国人情報を提供いたしまして、当該関係機関において職業紹介が行われることになります。具体的には、例えば農林水産省から各都道府県の農協等に対して情報が提供されるということと承知しております。  ただ、五月十八日の時点、少し古い情報になりますが、確認できている数字は、この本特例措置により特定活動の在留資格の許可まで行っている者はまだ二十五名でございます。これが全ての、全て、二十五名は全て農業分野で再就職したというふうに承知しております。  御指摘のとおり、本件特例措置が更に活用されるためには、求職者と求人者双方にこういう制度があるんだということを周知することがすごく大事でございまして、法務省としては、制度内容について分かりやすく記載したリーフレットをまた新たに作成しまして、外国人技能実習機構や地方公共団体における一元相談窓口等、関係機関を通じて幅広く周知しようとしている、周知を行って、またこれからもやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  126. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 もう何人かの農業者の方とお話をして、技能実習の方々が来れなくなって、本来の収穫がもう何割、何割もう激減していると、そういう方にこういう制度があるというふうにお話をしたら、全然知らない、ほとんどの方が知らないという状態でありました。  私、さっき農水大臣にちょっと別件でお会いしたときにも、農水省としてもこれをしっかりと広げていっていただきたいというような話も私からも直接させていただいたんですが、是非、関係官庁ともしっかり連携をして、やはりこれは利用する方がよく理解しなきゃいけないので、今おっしゃっていただいた、それを更に加速して、是非進めていただきたいというふうに思います。  もう一点、これはまた現場のお声なんですが、今と絡むような話なんですけど、今月半ばに、例えば、ある、これはまた農業以外の製造業の方なんですけど、社員さんの中に技能実習生いらっしゃって、その方がすぐに満期で帰る予定であったんですけど、規制が掛かったためにこれ入国できなかったと。じゃ、その方々を今後、帰国することができず困っていらっしゃると。九十日間延長は認められたが、それ以上の延長滞在は可能でしょうかというような質問がありました。  これについては今どのような対応をされていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  127. 高嶋智光

    政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。  帰国困難になっている技能実習生等につきましては、帰国環境が整うまでの間、本邦での在留を認める措置をとっているところでございます。具体的には、従前と同一の業務に従事することを希望し、その受入れ企業におきましてもそれを希望しているという場合には同一場所で就労を続けることが可能というふうな措置をとっております。  この場合、つい先日までは在留資格を特定活動三か月にしておったんですが、今月二十一日から特定活動は六か月を許可するということにしております。また、帰国できない事情が継続しているというような場合にはこの在留期間の更新許可を受けることも可能でございます。  これらの取扱いにつきましては、外国人技能実習機構を通じるなどしまして監理団体等に対する周知を図っているところでございますが、今後とも、個々の外国人の置かれた状況に十分配慮しながら柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。
  128. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 今、特定活動という在留資格、このお渡ししている紙とはまた別の類型の特定活動だと思いますけど、三か月を六か月に延長されて、また更新も可能だということでありました。今同じような状況に置かれている方いらっしゃると思います。今の答弁聞いて安心されている方も多くいるかというふうに思いますが、私たちも周知をしっかり図っていきたいと思います。  最後、まさにこのコロナの状況下、昨日総理も、世界で一体となって乗り越えなければいけないということもおっしゃったわけであります。そういう中にあって、この人の往来を、世界との人の往来をどのように考えていくのか。  これは方向性だけお伺いしたいんですけど、今現在、新型コロナに関する入国規制の根拠は、入管法の五条一項十四号、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足る相当な理由がある者であります。  これ、どう判断されるのかというふうに思うのと、あわせて、今後、経済活動を再開するに当たって、海外からのビジネス客など、そういう方々へも、慎重な判断の下、個別具体的に特例を認めていく、そういうような議論も今後は考えていくのかどうかというところだけお伺いをしたいというふうに思います。
  129. 高嶋智光

    政府参考人(高嶋智光君) まず、一つ目の御質問であります十四号の具体的な認定方法でございますが、新型コロナウイルス感染症が無症状でありましても感染しているということが確認されておりまして、感染が深刻な地域における滞在歴があればそれだけで、患者であることが確認できない場合であっても既に感染している可能性が否定できないという認識の下に、そのような国・地域から来た外国人が上陸しましたら、様々な行為により感染の拡大を招くおそれがあります。  そこで、このような外国人につきましては入管法五条一項十四号に該当するという、該当し得るというふうに考えておったところでございますけれども、これまで感染状況が一定の高いレベルにあるというふうに政府として判断しました百の国・地域を対象として、そこに滞在歴がある外国人に、一定の滞在歴がある外国人につきましては特段の事情がない限り上陸を拒否するという、こういう判断をしたものでございます。  この百の国というのは、明日……
  130. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 答弁、簡潔にお願いいたします。
  131. 高嶋智光

    政府参考人(高嶋智光君) はい。失礼します。失礼しました。  他方、上陸拒否の対象となる前に再入国の許可を得て当該地域に出国した永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、又は定住者の在留資格を有する外国人につきましては、我が国と一定の関係があることを配慮しまして、PCR検査を受けることを条件に、原則として特段の事情があるものとして上陸を認めることとしております。  今後のことでございますけれども、ビジネス客などを含めた上陸拒否の緩和の措置措置の緩和につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況が世界各国、地域でそれぞれ様々でございまして、またそれも時々刻々と変化する中で、今後、政府全体としての様々な情報や知見に基づいてなされる検討がまず必要だと思いまして、それを踏まえて法務省としましても必要な措置を講じていきたいと考えております。
  132. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 終わります。
  133. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 森法務大臣、今、委員会質疑等を聞きながらも、官僚の不作為であなたが矢面に立っている、私は森大臣に同情するものであります。  本来、あなたが謝るべき話でない。認証官というのは重いポストです。その者の不作為であなたが答弁に立っている。私自身、同情はしながらも、ここは、森大臣、あなたは進退伺出しても、安倍総理は慰留された、そのことをしっかり胸に刻んで、自信を持って職務を全うしていただきたい、こう考えております。  決意をいただきたいと思います。
  134. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) この度の黒川検事長の不適切な行為、不祥事において国民皆様に多大な迷惑を掛けたこと、閣議請議をいたした法務大臣として深くおわびを申し上げます。  総理からは、失われた検察法務行政を立て直すようにという指示をいただきましたので、全力を懸けて業務に当たってまいりたいと思います。
  135. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 決意を持ってこの難局を乗り切っていただきたいと、こう思います。  ここ二、三日報道で大きく出ているのが、このSNSでの誹謗中傷で木村花さんという人が亡くなっております。私、今日、家を出るとき、めったに政治の話題をしない家内が、お父さん、と。あなたは顔の準備もできていないからたたかれやすい、しかし、一般の人が全くありもしないようなことで、あるいは間違った認識で誹謗中傷して、死に至らしめられたと、これはあってはならないことじゃないでしょうかと。ついては、今日法務委員会で質問するならば、法務大臣に、法務省が中心になって、警察庁だとか、電波の方は総務省であります。私は、教育にも関係すると思います。子供たちに小さいときから、このネットの時代、どうするかという教えもする必要があると思います。法務省が是非とも中心となってこの協議会でもつくって、かわいそうな事案をなくす、その努力をすべきでないか、是非ともこれ、森大臣が核となってやるべきでないか、新たなルール作りだとか法整備等をですね、そう私は考えているんですが、いかがでしょうか。
  136. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 木村花さんの御冥福をお祈りするものでございます。  SNS上の誹謗中傷の書き込みは、同様の書き込みを次々と誘発し、重大な人権侵害につながるものであって、失われた命は決して戻るものではございません。  法務省の人権擁護機関では、こういったインターネット上の人権侵害について啓発を様々しており、ホームページ上でもしております。また、こういったことに対して、被害を受けている皆様が人権擁護局の方に相談をするようなことができます。電話でもメールでも郵送でもできるようになっております。  委員の御提案でございますので、インターネットの担当である総務省と相談して、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  137. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 是非ともこのスピード感を持ってやっていただきたいと、こう思っております。  四月の二十七日、私は、参議院の本会議代表質問で安倍総理に、刑事施設でもコロナ感染者が出ました、まさにあそこは密の組織、施設であります、その上で、特に高齢者に対しては人道的配慮が必要でないか、例えば、凶悪犯は別であります、経済事犯でもう既に弁償しているとか、あるいは相手方も納得しているだとか、年齢は八十歳を超えているだとか、しかも日常の施設での生活が良好であるとか、そういった人に関しては人道的な配慮があっていいんでないかという質問をさせていただきました。  法務省の中でその後どういった検討がなされているか、お知らせをいただきたいと思います。
  138. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 拘置所においてコロナウイルスが出ました。それについてタスクフォースを立ち上げ、ガイドラインを作り、全国に徹底をしたところでございます。その結果と皆様の御努力により、ゴールデンウイーク中は刑事施設、矯正施設において一人のコロナウイルス感染症患者が発生をいたしませんでした。今後も万全を期してまいります。  また、委員指摘の高齢受刑者の皆様の処遇でございますが、受刑者の改善更生を促進するなど、仮釈放は刑事政策上極めて重要な制度であります。高齢の受刑者を含め、悔悟の情、改善更生の意欲、再犯のおそれ、保護観察に付することの相当性、社会感情を考慮して、地方更生保護委員会において適切に判断するよう、私からもなお指示をしてまいります。
  139. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 これ、大臣、是非とも、高齢者に対する人道的な見地からも、更につかさつかさの皆さん方に声を掛けていただきたいと、こうお願いをするものであります。  大臣、これ共同通信さんが記事として配信され、新聞にもこれ一面に載ったり、大きく取り上げている記事がありました。それは、黒川東京高検検事長処分について、法務省国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく訓告となったことが分かった、複数の法務検察関係者が共同通信の取材に証言した、こう報道されております。  これは、大臣、確認はしておりますでしょうか。この報道を承知しておりますか。
  140. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 報道を承知しておりますが、事実とは違います。
  141. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 そこで、大臣、複数の法務検察関係者が共同通信の取材に証言したとなっております。これ、決め打ちで書いております。私は、メディアが誰に当たるかは、大体どの程度のレベルの人か分かりますね。ここまで言われて、しかも事実でないと今大臣言われました。  これは、誰かがしゃべったのか、誰がこういうことを言ったのか、国民に真実を知らせる上でも調査すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  142. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) まず、この国会の場できちんと御説明をしてまいりたいと思います。そのことで国民皆様にお知らせをしていきたいと思います。  黒川氏の処分については、法務省として、調査結果を踏まえ、監督上の措置として最も重い訓告が相当であると考えました。私のいる大臣室に事務次官が訓告という案を持ってきて、皆で協議をして決めたわけでございます。そこで、検事長監督者である検事総長に対し、法務省が行った調査結果を伝えました。それとともに、法務省としての意見として訓告が相当で考える、相当と考える旨を伝えました。その結果、検事総長から今度私に対し、検事総長としても訓告が相当であると判断するという連絡がございました。  したがって、この経過を見てもお分かりのとおり、黒川氏の訓告処分内容を決定したのは、あくまで法務省検事総長でございます。そして、任命権者である内閣に報告したところ、法務省としての決定に異論がない旨、回答を得たところでございます。
  143. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 ということは、大臣、複数の法務検察関係者がこの取材に証言したというのは事実でないし、うそというか、でたらめというか、そういうことでよろしいですね。
  144. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 真実については、私が今御説明したとおりでございます。
  145. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 大臣、私は、こういったある種大臣の足を引っ張る勢力もいれば、あるいは官僚というのは出世主義であります。私自身、取調べを受けたときも、お互い副部長同士で争ってまで、いつかこの委員会でまた赤裸々に私は事実関係しゃべりますけど、こういって官邸なりあるいは大臣の足を引っ張ろうとする勢力も中にいて不思議でないんです。  これ、今大臣が言ったとおり、全くこれは事実でない、このことをここにいる与党野党含めて私は共通認識としてしっかり持っていただきたいと、こう思っております。  そこで、大臣、大臣は進退伺出しました。稲田検事総長から、自分の責任について何がしかの意思表示はあったでしょうか。
  146. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 今ちょっと手元に持っておりませんが、稲田総長からはコメントが出されまして、今回の黒川氏の件について、今後は綱紀を粛正し、信頼を回復していく旨のコメントが出されたと承知しております。
  147. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 大臣、そのコメントは私も承知しているし、読んでおります。検察基盤である国民信頼を揺るがしかねない深刻な事態であり、国民皆様におわび申し上げると謝罪するコメントを出した。  これ、与野党の委員の先生方、自分が直属の上司ですよ。こんな人ごとみたいな無責任なコメントで済むんですか。本来ならば、記者会見でもして、国民におわびするのが筋じゃないですか。  委員長、ちょっとこれ、私は看過できない問題だと思っているんですよ。  稲田大臣、ここはですね……(発言する者あり)あっ、失礼、森大臣、この稲田検事総長、極めてこれ人間的でない。その責任はしっかり、大臣ですね、あなたはどう考えているか、ただすべきではないでしょうか。
  148. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 検事総長任命権者は内閣でございます。私は、検察庁を所管する法務大臣として、今回失われた検察信頼回復稲田検事総長と力を合わせてやってまいりたいと考えております。
  149. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 森大臣、今の森大臣立場ではそう言うしかないと思うんですよ。しかし、今回の黒川問題にしたって、いろいろ稲田検事総長の言動等が言われている。自分の人事について、いつ辞めるかどうかについても。そこにいる法務省の連中もみんな知っているはずだ、様々な動きがあったということを。  私は、それを踏まえて森大臣に今尋ねているんですが、時間がありませんから触れないけれども、是非とも大臣、検事総長の上にいるのがあなたなんですから、あなたが検事総長に、私は進退伺出しました、あなたはどんな責任を取るつもりですか、これぐらいは聞いてもよろしいんじゃないんでしょうか。どうでしょう。
  150. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) いえ、私は、自分の進退伺は出しましたけれども、それ以外についてはお答えしかねます。
  151. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 森大臣を私は責めるつもりはありませんからね、まあ、このぐらいでやめておくけれども。  私は、本当に、この稲田検事総長が、検察信頼回復しようとするならば自分も責任を取る、このぐらいが私は人の道であるし、検察官としての矜持だと私は考えておりますが、委員の先生方、いかがでしょうか。この点、是非とも、これ皆さん、しっかり、本人の姿勢の問題です、これは。全く人ごとみたいなこんなコメントを出しているのは、私は極めて人間的でない、こう思っております。  刑事局長刑事局長答弁聞いていると、一、二万円の賭けマージャンであって高額ではないという話であります。私は賭けマージャン賭博だと思っておりますが、刑事局長は、賭けマージャン賭博という認識はないんでしょうか。
  152. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  先生のおっしゃる、委員のおっしゃるその賭博というのは、賭博罪かと、刑法上の賭博罪かということになりますと、刑法上の賭博罪に当たるかということになりますと、これは捜査機関が収集した証拠によって認定すべきことでありますのでお答えは差し控えさせていただきますが、私、五月二十二日の衆議院法務委員会で、委員が御指摘のような答弁を申し上げましたが、この答弁は、今回の処分を決めた理由としてそういったレートも事情の一つとして考慮したという答弁を申し上げ、その際には、賭けマージャンは許されるものではございませんがという形で、これが許されない、すなわち処分対象行為であることを前提と申し上げているものでございます。
  153. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 刑事局長、二〇〇六年十二月八日、私は質問主意書を出しているんです。賭けマージャン賭博に該当するか。賭けルーレットは賭博に該当するか。内閣の答弁は、財物を賭けてマージャン又はいわゆるルーレットゲームを行い、その得喪を争うときは、刑法の賭博罪が成立し得るものと考えられる。これが政府の閣議決定での答弁であります。  法務大臣、この政府の閣議決定をもってなした答弁書は、今も生きているという認識でよろしゅうございますか。
  154. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) はい、それでよろしいかと思います。
  155. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 委員長、これも是非ともまた理事会等でも協議してもらいたいと思いますけれども、今の閣議決定が今も生きているとするならば、刑事局長答弁との整合性はどうなんでしょうか。  これ、委員の皆さん方、一万円泥棒したって捕まりますよ。何回もやれば実刑判決ですよ。それを三年間も、月二回から三回やっている。そうしたら、七十、八十回の回数ですよ。これは常習者と認定してもいい話じゃないですか。泥棒が半年間一回、それが二回、三回やっても実刑ですよ、懲役刑ですよ。  それを、そういった例をすれば、刑事局長、あなたの説明は、社会的な認識、観点から当たっていますか。
  156. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  まず、一般論としては、賭博罪の成否ということで申し上げますと……(発言する者あり)
  157. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 鈴木宗男君、挙手の上御発言ください。(発言する者あり)  鈴木宗男君。
  158. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 その流れの中で私は質問しているわけだから、一般論も何も要らぬから、私の聞いていることにストレートに答えてくれよ。賭博かどうかということをきちっと答えなさいよ。
  159. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 川原局長、簡潔に答弁してください。
  160. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) はい。  一時の娯楽に供するものを賭けた場合を除き、財物を賭けてマージャン、いわゆる、又はいわゆるルーレット賭博ゲームを行い、その得喪を争うときは、刑法の賭博罪が成立し得るということは全くそのとおりでございます。  あと、個別の事案が当たるかにつきましては、その捜査当局による個別の事案判断でございます。
  161. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 刑事局長、最後確認しますけれども、黒川さんが行った行為は、刑法は別にして、賭博であることは、じゃ認めますね。
  162. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 川原刑事局長答弁は簡潔に願います。
  163. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 財物を賭けてその得喪を争ったのは……(発言する者あり)はい。私どもが行った認定、すなわち人事上の処分としては賭博に当たると考えております。
  164. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 鈴木宗男君、申合せの時間を過ぎております。
  165. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 また私は次の機会いただいて、この点も含めて検察の在り方について意見をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  166. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  東京高検黒川検事長への処分について伺います。  法務省は、二十一日に訓告措置をとることを発表しています。調査報道機関の公表内容の確認と黒川検事長本人からの事情聴取とされています。例えば、週刊誌の記事にはなかったレートが点ピンだったとか三年前から月一、二回と、こういった事実については黒川氏からの聞き取りのみによって把握したということになろうかと思います。  大臣に伺いたいんですけれども、なぜ客観的な証拠に、ほかの様々な証拠に当たろうとせずに、こんなに急いで処分を決めたのですか。
  167. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 黒川氏の不適切な行為については、社会的な影響が大きなものであることから、速やかに処分を行うため、必要な調査を行いました。  報道機関皆様に対する調査については、その性質上、控えたところでございますが、その報道機関の記者の皆様の所属する社の発表した事実に基づいて調査をしたところでございます。
  168. 山添拓

    ○山添拓君 影響が大きいからこそ公正な処分となるように適切な調査が行われるべきなんだと思います。  三人の記者への確認されていないと今答弁もありました。記者が所属する新聞社の調査、発表も踏まえてということがありましたけれども、例えば、産経新聞が二十二日付けの朝刊で報じたのが、緊急事態宣言発令後も五回程度行われたというものですし、朝日新聞も同日付けで、社員は宣言発令後の四、五月に計四回黒川検事長らと賭けマージャンをしたと認めたと報じております。これは訓告の後の報道です。  少なくとも、四、五月のこうした事実を踏まえれば、処分は変わり得るんじゃないですか。
  169. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 法務省調査結果においては、黒川氏の金銭を賭けたマージャン行為において、五月以外に約三年前から月一、二回程度行っていたことを認定し、この事情をも考慮した上で本件措置を相当としたものでございます。そのため、訓告処分後の御指摘の発表にあるような、四月に二回等のマージャンを行ったこともあり得ることも考慮に入っているものでございます。
  170. 山添拓

    ○山添拓君 資料の四ページを御覧ください。  訓告は二十一日に行われたわけですが、それがその際、これがその際の文書です。ここには、先ほど川合委員の質問にも答弁ありましたけれども、五月一日頃及び同月十三日頃の二回にわたり、報道関係者ら三名とともに金銭を賭けてマージャンを行ったものであるとあるのみです。ここにはレートの記載はありませんし、三年前から月一、二回とも書かれておりません。これはなぜですか。
  171. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 三ページの方に三年前から月一、二回程度金銭を賭けたマージャンを行っていたことが認められるという記載がございます。
  172. 山添拓

    ○山添拓君 いや、訓告書に書かれていないのはなぜかと伺っているんです。
  173. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  この訓告においては、どういう事実をまず対象として訓告をするかということを明らかにするためにこの事実を記載してございます。で、この訓告書はその情状事実を記載するものではございませんので、委員がこのような事実が記載されてないじゃないかということは、処分の量定に当たった言わば情状、事情、事実でございますので、ここに記載のないものでございます。
  174. 山添拓

    ○山添拓君 つまり、訓告対象事実でないと、過去のいろんな、過去の賭けマージャンをしていた事実については、あるかもしれないと思ったけれども事実認定はしなかったと、ですから訓告対象としなかったんだと。  三年前から月一、二回などというのは、私は、これ、二十一日の時点では判明していなかったんじゃないかと思うんですね。これ、いかに焦っていたかをうかがわせる、焦って結論を出したかをうかがわせる文書だと思うんです。  この訓告でよいという判断は、内閣の意向によるものなのか、それとも法務検察によるのか。昨日の決算委員会でも質問いたしましたが、官房長官は、法務省検事総長決定したことだと、まあ人ごとのように言いました。法務大臣は内閣と様々協議したと答弁されました。矛盾はないとおっしゃいますけれども、矛盾しています。  そこで大臣の認識について伺います。  資料の一ページに大臣の二十二日の記者会見の文言を載せております。法務省内、任命権者であります内閣と様々協議を行いました、その過程でいろいろな意見も出ましたが、最終的には任命権者である内閣において決定がなされたと述べています。  様々協議、いろいろな意見、これは何ですか。
  175. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) まず、私の記者会見で赤線を引いていただいているところでございますが、法務省内、こちらでも協議を行いました。また、任命権者であります内閣とも様々協議を行いました。法務省内で協議を行ったときにはいろいろな意見も出ました……(発言する者あり)はい。内閣との間については、協議を行いましたが、内閣との協議は、法務省において処分決定するまでの過程において、法務省調査の計画の報告をしたり、先例調査を示したりなどしたところでございます。
  176. 山添拓

    ○山添拓君 いろいろな意見とは何ですか。
  177. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 法務省内の協議の過程でございますので具体的にお示しすることはできませんが、いろいろな意見というのは、法務省内の協議において出た意見でございます。
  178. 山添拓

    ○山添拓君 いや、内閣との間での協議を、様々協議を行ったと、その過程でいろいろな意見も出ましたとあるんですよ。懲戒にすべきかどうかということも内閣との協議の中で出たわけですね。
  179. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) いいえ、出ておりません。私のこの記者会見を見ていただければ分かりますとおり、法務省の中でまず協議が行われました。また、これも断続的に協議を行ったので一回だけではございませんけれども、それとは別に、任命権者であります内閣の方に事務方から様々な調査の結果又は先例を断続的に報告、連絡、お示しをしてきたところでございます。その過程でいろいろな意見が出たというのは、法務省内の協議においてですね、特に処分の案についての意見については出たところでございます。
  180. 山添拓

    ○山添拓君 では、大臣、内閣との様々な協議の中では、懲戒に付すべきかどうかという意見についていろいろな意見は出なかったということなんですか。
  181. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 私の方では認識しておりません。
  182. 山添拓

    ○山添拓君 懲戒処分を行うことができるのは内閣であって、法務省ではありませんね。
  183. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 懲戒処分を行う場合には、その主体は任命権者である内閣であると承知しております。
  184. 山添拓

    ○山添拓君 だからこそ、大臣は、最終的には任命権者である内閣において決定がなされたと、懲戒には付さない、こういう決定をなされたと述べているんだと思うんです。  昨日、大臣は、黒川検事長調査結果等について協議をするのは当然、事務的に調査の経過について途中経過も報告し、協議をしていたと答弁されました。この中で懲戒処分を行うべきかどうか判断を求めて、そして、内閣の判断としては訓告でよかろうということだったと、こういうことじゃないんですか。
  185. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 二十二日の記者会見における私の、内閣において決定がなされたという発言でございますけれども、法務省及び検事総長訓告が相当と決定した後、内閣に報告したところ、その決定に異論がない旨の回答を得たことを申し上げたものでございます。
  186. 山添拓

    ○山添拓君 では、ここで言われたことは間違いだということになるんですか。  大臣は、様々なことを総合考慮した上で、内閣で決定したものを検事総長に伝えたと、検事総長から訓告処分にすることを知らせを受けたと、こう述べられていますけれども、そして私はそのとおりだと思いますけれども、それを、自らの言葉を否定されるということなんですか。
  187. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 様々な調査結果、先例等について、また人事院指針等の条項について内閣の方にお示しをし、報告をしております。  また、総務省の中においては、法務省内の先例処分案等を検討しながら、いろいろとみんなで協議をいたしました。その結果、元々事務方が持ってきた訓告という案に落ち着き、それを内閣に私が持っていったわけでございます。そして内閣ではそれを了承したという意味で、様々なことを総合考慮した上で、内閣で決定したというふうに述べました。
  188. 山添拓

    ○山添拓君 大臣いろいろおっしゃるけれども、二十二日の会見が間違いだとはおっしゃらない、このとおりだからだと思うんです。  法務省の資料にもちゃんと書いてあるんですね。資料の三ページを御覧ください。下から二行目ですけれども、これらを総合的に考慮し、先例も踏まえると、黒川検事長に対しては、国家公務員法上の懲戒処分に付すべきとまでは認められないものの、監督上の措置として最も重い訓告とするのが相当だと。これは任命権者である内閣でないと懲戒処分に付すべきでないという結論出せませんから、内閣において懲戒にはしないという判断があったから書いているんですね。
  189. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 内閣の一員である法務大臣、そして内閣が任命するに際する閣議の請議を出した法務大臣として、様々なことを検討をいたしました。そして、訓告が相当とするとしたのは、懲戒処分に付すべきとは認められないものの、その監督上の措置の最も重いものが相当という意味でございますので、そのような意味で記載をいたしたところでございます。
  190. 山添拓

    ○山添拓君 では、ここで、懲戒処分に付すべきとまでは認められないと、これは法務省判断だということですか。
  191. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 先ほど申し上げたとおり、法務省の方で意見をまとめまして、それを総理に報告し、了承されたということでございます。
  192. 山添拓

    ○山添拓君 懲戒処分に付すべきではないと法務省判断した、その理由は何ですか。
  193. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 様々な総合考慮でございますので、調査結果の中に書いてございますけれども、賭博に当たるかどうか、又はその地位でありますとか先例の内容でありますとかレートでありますとか様々なことを考慮して、懲戒処分とは言えないものの、監督上の措置の最も重い訓告というふうに判断をいたしました。
  194. 山添拓

    ○山添拓君 いや、懲戒処分に付すべきかどうかというのは任命権者しか判断できないんですよ。そんなことないという与党側からの声が上がっております。これは法律に反する行為を認めるような発言です。  大臣、もう一度伺いますけれども、任命権者である内閣において、懲戒に付すべきかどうか、その判断はなされていないということなんですね。
  195. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 先ほど申し上げましたとおり、まず、内閣の一員である私、法務大臣、そして検察庁を所管をしておる私、法務大臣の方で、懲戒処分を含めた処分、どのような処分が相当かということを法務省調査結果に基づき検討をしたものでございます。そして、その検討した結果の意見を内閣の方にお持ちをして了承をしていただいたということでございますので、内閣の御判断をいただいたというふうに考えております。
  196. 山添拓

    ○山添拓君 森大臣は今日午前中の記者会見で、処分が決まるまでの過程において、内閣に調査の経過報告、先例説明処分を考える上で参考となる事情の報告などを行ったと述べておられます。これは事実ですね。
  197. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) はい、事務方において行いました。
  198. 山添拓

    ○山添拓君 そうして、内閣に調査の経過報告や先例説明、様々な事情の報告などを行ったけれども、内閣としては、これ処分の前の話ですから、懲戒までは至らない、こういうことを言ってきたと、そういうことですね。
  199. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 処分の……(発言する者あり)失礼いたしました。処分の内容までは伺っておりません。
  200. 山添拓

    ○山添拓君 懲戒処分が必要かどうかについて内閣の意見が伝えられたのかと聞いています。
  201. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 伝えられておりません。
  202. 山添拓

    ○山添拓君 ということは、内閣において、黒川検事長について懲戒処分をするべきかしないべきか、この検討は一切されていないということになるわけです。これ、任命権者としての責任を放棄するものと言わなければならないと思います。  委員長にお諮りしますが、先ほど大臣がおっしゃった調査の経過報告や先例説明処分を考える上で参考となる事情の報告、内閣に上げたという資料について、委員会に提出するようお取り計らいいただきたいと思います。
  203. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 後刻理事会で協議いたします。
  204. 山添拓

    ○山添拓君 安倍首相は、今年一月に黒川氏の勤務延長を認めた閣議決定について、法務省が人事案を持ってきたと述べています。もちろん形式的には法務大臣が閣議請議したものでありましょう。しかし、実際には官邸の意向を受けたものではないかが問題とされてきました。過去に一度もない勤務延長だからであります。  黒川氏の人事案を閣議にかけた際、この人事は過去に一度もやったことのない異例の人事だと、過去の国会でできないと答弁しているので解釈変更が必要なものだ、それでも黒川氏でなければならない、大臣はこのように説明されていましたか。
  205. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 質問の趣旨が必ずしも明確ではなかったのですが、過去の答弁についてのお尋ねでございましょうか。(発言する者あり)はい。
  206. 山添拓

    ○山添拓君 黒川氏の人事案を閣議にかけた際に、こういう人事は過去に例のないものだと、過去国会ではできないと答弁していたものを解釈変えなくちゃいけないんだと、それでも黒川氏でなくちゃいけない、こういう異例の人事だということを説明されたのかと伺っています。
  207. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 人事のプロセスですので詳細は控えますが、過去の国会答弁で、ダイレクトにできないというような答弁は見当たらなかったものと承知しております。
  208. 山添拓

    ○山添拓君 いや、過去は、検察庁法では勤務延長はできないという答弁はあるわけです。そのことを説明されなかったということですか。法解釈を変える必要がある、それは検察独立性に関わるのだと、こういうことを閣議請議する際におっしゃらなかったんですか。
  209. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 失礼いたします。  過去の答弁について、定年制についての答弁はあったと思いますけれども、勤務延長についてはダイレクトな答弁はなかなか見当たらなかったものと承知しておりますが、閣議請議のときのその詳細なプロセスについては差し控えさせていただきたいと思います。
  210. 山添拓

    ○山添拓君 法解釈を変えてまでやらなくちゃいけない人事だという自覚はそのときおありだったのかと、そのことを閣議に諮ったのかと聞いています。個別の人事じゃないです。制度の問題です。
  211. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 解釈変更については、個別の人事の前に適正なプロセスを経て行われたものであります。それとまた個別の人事は別の地点の話でございます。
  212. 山添拓

    ○山添拓君 解釈変更しているからこういう人事も可能です、そうして閣議にかけたわけですか。
  213. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 閣議の内容の詳細については差し控えさせていただきたいと思います。
  214. 山添拓

    ○山添拓君 検察独立性に関わって、これだけ大問題になるような法解釈の変更なんです。そのことを閣議に諮らずに黒川氏の人事をかけたとしたら、それ自体が、私は、問題意識のかけらも持たなかったのだとすれば、法務大臣としての資質を問われる問題だと思います。  森大臣は、六十三歳以降検事長が続投しなければならない具体例は黒川氏の人事しかなかったと述べています。そして、法務省説明では、その直前に解釈変更をしたことになっております。要するに、黒川氏を勤務延長させる必要が生じたので解釈変更をしたと、こういうことですね。
  215. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 違います。  まず、解釈変更については、従来からこれは論点であったことも山下元大臣も国会の中で述べておられましたが、年末ぐらいから時間があった中で法案の内容を再度検討したときに、解釈変更の論点についても事務方において検討を始めたものでございます。  また、その個別の人事については解釈変更がなされた後に行ったものでございまして、その後の具体例が幾つあるかというと、まだ今のところ一つしかないわけでございます。
  216. 山添拓

    ○山添拓君 従来、解釈変更の必要性など議論されていなかったんですよ。  時間が来ましたので終わりますけれども、今の大臣の説明は、たまたま時間ができて解釈変更をしたら、たまたまその直後に適用事例が出てきたと。これ、にわかに信じられないお話であります。  短い期間で既に違法な勤務延長、悪質な非違行為への処分、いずれも恣意的な人事が繰り返されております。このことを厳しく指摘をしまして、質問を終わります。
  217. 高良鉄美

    高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。  新型コロナウイルス感染防止対策に全力を傾けるときに、政権が混乱に乗じて検察庁法改正を行おうとしたことが今批判にさらされ、メディアも連日大きく報じました。  一方、本土では大きく報じられていませんが、沖縄県では、辺野古沿岸部に軟弱地盤が広がっている問題で、政府は、四月二十一日、埋立ての設計変更を沖縄県に申請しました。沖縄県は、その前日の二十日、感染急増を受けて、県独自の緊急事態宣言を出したばかりでした。県を挙げてこの感染防止対策に当たろうというときに、政府がこのような負担増を強いるような暴挙をしたということを強く抗議して、質問に入ります。  三月二十四日、もう二か月になりますが、法務委員会で、法の支配と検事長の定年延長について伺いました。森法務大臣に、ミニスター・オブ・ジャスティスということで、ジャスティスをどのように理解されているかということを伺ったところ、法務行政を通じて正義が保たれる公正な社会の実現に向けて真摯に取り組むと、そういう答弁をされました。残念ながら、検察庁法改正案は、今この正義や公正さが問われ、成立断念に追い込まれたと言わざるを得ません。  そこで、この問題について伺います。  検察庁法二十二条は、検事総長六十五歳、その他の検事長は六十三歳で退官することを、一九四七年、これは憲法が施行された年ですけれども、そのときの立法時にそういうふうに決めました。それは、強い捜査権限があり、公訴権を持つ唯一の存在だからこそです。検察庁法四条では、検察官を公益の代表者として、強大な存在がその職に居座り続けないように定年を設け、自動的に退職する仕組みにしました。これが権力分立やその他の司法権独立との関連が、整合性が取れるわけです。  ところが、安倍内閣は、黒川氏本人の定年延長のためにと言っていいと思いますが、検察官には定年延長は適用されないとする政府解釈を、政府見解を発しただけで、その変更を強行しました。この法解釈の変更は、単なる法の運用ではなく、政治権力を法で拘束するという立憲主義自体を骨抜きにするもので、違憲、違法の、法的、法運用だと言わざるを得ません。  検察は行政に属する組織ではありますが、検察官の職責について、森大臣の御認識をお聞かせください。
  218. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) そもそも、検察官も行政組織に属しております。ただ、唯一の公訴提起機関であり、その職務執行の公正が直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼしますので、検察独立性が保障されているわけでございます。  その検察官独立性とは、一般行政官と異なり、裁判官に準ずる身分の保障及び待遇を与えられているものでございます。検察庁法三十二条の二は、検察官職務と責任の特殊性に基づいて国公法の特例を定めたものと規定をしております。この特殊性は国公法施行後も変わらないことから、検察庁法中、検察官の任免に関する規定を国公法の特例としたものでございます。
  219. 高良鉄美

    高良鉄美君 今ありましたけれども、国公法の特例というだけじゃなくて、検察の職責あるいはその在り方、あらゆる司法権との関係ということがありました。  まさに、今回、公正あるいは公平、その検察官の職責ということで、法と証拠に基づいて正義を実現するということなので、まさに今、このことが問われているんじゃないかと思います。  中谷防衛大臣は、元防衛大臣は、五月十八日のインターネット番組で、黒川検事長の定年延長を法解釈で決めた閣議決定について、与党に相談なく突然決まったということを明らかにしています。与党、政府の手続に瑕疵があったのではないでしょうか。  手続が適正に行われていたと言えるのか、あるいは適正に行われたと誰もが判断できる答弁を大臣に求めます。
  220. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 国家公務員一般の定年の引上げに関する検討の一環として検察官についても検討を進める過程で、検察庁法を所管する法務省において必要な検討を行った上で、令和二年一月十七日から同月二十四日にかけて関係省庁との協議を行い、異論はないとの回答を得て解釈を改めたものでございまして、有権解釈として、一義的に所管省庁である法務省において行ったものでございます。  このように、適正なプロセスを経たものである上、経たものでありますので、瑕疵はないと考えます。
  221. 高良鉄美

    高良鉄美君 今、適正という言葉が何度か使われましたけれども、適正の内容を聞いているわけですけれども。  適正に行われたというふうに、今国民が聞いて、ああ、そう、適正にやりましたですねと思うという問題が今まさに問われておるわけです。そういった点で少し、じゃ、その適正に行われたこの法案あるいは解釈の問題が、今廃案と、もう取り下げるといったところになっているわけですから、この辺の問題も是非考えていただきたいと思います。  時間の関係でどんどん進めていきますが、森大臣は、余人をもって代え難いとして黒川検事長の定年延長を行いました。先ほどから何度か出ておりますけれども、危機管理として、余人をもって代え難いということがあってはならないのが公務員、特に検察官に言えると思います。病気や事故で職務遂行ができなくなることがあるため、余人に代えても職務に支障を来すことがないようにするのが当然だと思いますけれども、政府参考人にお伺いします。
  222. 西山卓爾

    政府参考人西山卓爾君) 当時の黒川検事長につきましては、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させることとしたものでございます。  委員指摘のとおり、組織として緊急時の危機管理としての体制づくりは当然必要であると考えられますが、他方で、特定の職員について定年後も引き続きその職務を担当させることが公務遂行上必要な場合に、定年制度の趣旨を損なわない範囲で定年を超えて勤務の延長を認めるとの勤務延長制度の趣旨は検察官にもひとしく及ぶと考えられることなどから、国家公務員法第八十一条の三及び人事院規則一一―八第七条に基づいて検察官勤務延長を行うことは現行法上認められるものと考えております。
  223. 高良鉄美

    高良鉄美君 今、法の解釈ということでありましたけれども、そういう場合が全くゼロではないかと思いますけれども、その司法権も含めてですね、公正さという場合には、外から見ておかしなことが少なくともないように見えるということは、少なくとも外見的にも大事なことなんです。どうしてこの場合だけ、あるいはこれまでやったことがないようなことが起こってくるのかということになると、この余人をもって代え難いということに対してですね、今国民の声というのはそういうことがあるんじゃないかと思います。  それでは、次ですけれども、当時の判断のお話をしたいと思います。  五月二十二日の衆議院法務委員会で、森大臣が当時の判断は正しかったと答弁されていますけれども、百歩譲って仮に正しかったとしても、法律家も過ちを犯します。今回のように不適切な行動を見抜くことができなかったのですから、今後も同じことはあり得るのではないでしょうか。有能であり、余人をもって代え難いと人に委ねて、特定の人にですね、制度を変えるというのも危うさが露呈をしたと言わざるを得ませんが、今後、検察官の役職定年制はどうあるべきだと考えるのでしょうか。検事でもある政府参考人に伺いたいと思います。
  224. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お尋ねの役降りの特例は、国家公務員法の改正案に一般公務員について役職定年制が新設されたのに併せて検察庁に新設するものでございます。これは、検察官について勤務延長制度の適用があるのであれば、検察官の役降りについてもその特例を設ける必要があると考えられたものでございます。  こういった今回の改正法案の内容は黒川氏の人事とは関係ないものでございますが、この法案が成立した暁には、その運用については当然適切に行われるべき必要があるものと考えております。
  225. 高良鉄美

    高良鉄美君 一番最初の質問で、司法との関係、あるいはその憲法との関係、権力分立の関係、そういったことから一般国家公務員ではないと、大きく広げれば公務員かもしれませんが、そういった特別な憲法上の権力関係があるわけですね。だから憲法の施行と同時にこういう法律が作られて、自動的にこの権限の大きさに比較してこういった規定があるわけです。そういったのを一般国家公務員と同じように考えて、ああ、この際にはこうしましょうというのが果たして通るのかどうかという問題です。  ですから、先ほどから賭博罪とかいろいろ出てきています。これも本当に非常に大きな問題で、あるべき問題じゃない、本当に非難されるべき問題ですけれども、その前にも大きな問題というのがあるわけです。  この関連でいいますと、五月十五日、元検事総長検察OBが、森大臣検察庁法改正案の撤回を求める意見書を提出しました。提出後の記者会見で、東京高検元検事の清水氏は、定年延長の閣議決定について、このときにはまだ賭博の問題とかそういうものは出ていません、本来は法改正を経て行うべきことで、閣議で決めたことを立法権の侵害に、閣議で決めたことは立法権の侵害に該当する、三権分立という近代政治の基本原則に違反するおそれがある、明らかに憲法違反だと厳しく指摘しました。これ、元検察OBです。元検事総長です。これ、出してきたわけですね。  元検事総長らのこういった指摘を大臣はどういうふうに受け取っていらっしゃるでしょうか。
  226. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) まず、余人をもって代え難いというような御指摘についての私の正確な言葉としては、当時、東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件捜査、公判に対応するためには、同高等検察庁検事長黒川弘務の検察官としての豊富な経験、知識に基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、同人には、当分の間、引き続き同検事長職務を遂行させる必要があると述べておりましたので、確認をさせていただきたいと思います。  また、今の御質問でございますが、法令の解釈は、当該、高良委員も御存じだと思いますが、当該法令の規定の文言、趣旨に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであるが、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられております。  社会経済情勢の多様化、複雑化に伴い、犯罪の性質も複雑困難化する状況下において、検察官への勤務延長制度の適用について改めて検討したところ、同制度の導入当時の検討の過程や検察官について適用除外とした理由等について現時点で必ずしも明らかにされていないこと、また、検察庁法検察官について勤務延長を認めない旨の特例は定められていないこと、検察庁法で定められる検察官の定年による退職の特例は定年年齢と退職時期の二点であり、定年により退職するという規範は一般法たる国家公務員法によっているというべきであること、勤務延長制度の趣旨は検察官にもひとしく及ぶべきということであることなどからして、検察官勤務延長について、一般法である国家公務員法の規定が適用されると解釈されました。  また、個別の事案については先ほども申し上げましたけど、勤務延長の解釈変更とは別でございます。
  227. 高良鉄美

    高良鉄美君 これまでもいろんな形でこの問題というのは出てきたと思いますけれども、今、国民の中での問題、あるいはいろんな御意見ありますけれども、この検察庁のOBあるいは元検事総長、こういったことがなぜああいう声明を出したのかですね、そういったことを考えると、多くの側面において、憲法違反の問題あるいは立法権の侵害の問題、そして一緒に固めてやるべきなのかどうかという問題も含めて、そこが問われていると私は思っております。  私は、何度も、所信の質疑のときにもそうでしたけれども、森大臣に法の支配について、権力を法で拘束することによって国民の権利、自由を擁護することを目的としているので、ここでいう法は形式的な法律ではなく、様々な基本的人権や基本的価値を含む内容が合理的な法を指すと答弁されました。私は、これ、非常に感銘を受けました。しかし、国民は、今回の定年延長の問題を法の支配から外れた人の支配じゃないのかと、先ほどからずっと答弁の中ではいろいろおっしゃっていますけれども、こういう疑念を持たれているわけです。  そして、検察庁のOBは、フランス絶対王政時代のルイ十四世の朕は国家なりという言葉を出したり、あるいは、ジョン・ロックの「統治二論」に記されている法が終わるところ、暴政が始まると、こういったような引用もして警鐘を鳴らしましたけれども、検察トップであったOBさえもこのような受け止めをしているということについて、政府参考人は先輩の懸念をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
  228. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えを申し上げます。  解釈変更が許されることにつきましては、今大臣が答弁されたとおりでございます。  その上で、いろいろな方がいろんな御意見を持っているんだということを改めて認識いたしまして、各方面の意見に真摯に耳を傾けながら、私どもの考え方について丁寧に説明していく必要があると改めて考えたところでございます。
  229. 高良鉄美

    高良鉄美君 是非こういうところも含めて真摯に考えていただきたいと思います。  今回、検察庁法改正案の成立は見送られましたけれども、仮に国民の理解が得られないまま法改正が行われていたとすれば、検察官が公正に職務遂行したとしても、政治権力に絡む捜査で証拠不十分とかで不起訴にすれば、もう国民は公正に行われたとは思わないんじゃないかと、政権にそんたくしたんじゃないか、多くの国民が疑うんじゃないかと思います。検察職務を全うするために最も重要なことは、政治権力から独立していることです。  今回の定年延長は司法独立をも脅かすのではないかという批判がありますけれども、この辺りはどういうふうにお考えでしょうか。
  230. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答え申し上げます。  今般の検察庁法改正法案は、一般職の国家公務員の定年の引上げに合わせて検察官についても定年を六十五歳まで段階的に引き上げるとともに、役職定年制及びその特例として、特例と同様の制度を導入するなどするものでございまして、本来的に検察権行使に圧力を加えるものでなく、検察官独立性を害さず、三権分立にも反するものではないと考えております。
  231. 高良鉄美

    高良鉄美君 これは権力分立にも反するんじゃないかということを含めますと立法権の侵害にもなるんじゃないかという指摘をしましたけれども、検察庁法の所管はどちらでしょうか。法務省でしょうか。
  232. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 法務省です。
  233. 高良鉄美

    高良鉄美君 ですから、委員会の中で、一般職の公務員はここでやりますといってこの公務員法と検察庁法を同じところに持ってきて、法務省の問題についてはなぜここでやらなかったのかという問題も出てくるわけですね。  そういった面から考えますと、最後に、私の、質問したいんですけれども、今回、黒川氏が辞任をしたということで、さらに訓告処分が行われましたけれども、二十二日の委員会では、森大臣は今後は調査しないというふうに答弁されましたけれども、これまで法律ができないという解釈をずっとされてきたことを、まあ途中で変えましたけれども、法律そのものは変えないでやろうというふうにしました。法改正を経て行うべきことを閣議で決めたというのは、立法権の侵害とも言えます。国会をこれだけ、つまり、上程されて、趣旨説明をして、審議をして、それをまた取り下げるというようなことまでして混乱させて、国会議員はもちろん、多くの国民がこの問題で納得しているというふうには思えません。また、一連の問題が明らかになったというのもまだ言えないと思います。  今後、こういった事態を招かないためにもしっかりとした検証が必要だと思いますけれども、大臣の意向、この検証の問題としてですね、今後どうするのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  234. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) まず、検察庁法の国会での審議の在り方について御質問がございましたが、国会の審議の在り方は国会で決めることでございますので、私どもがお答えをすることはできかねます。  また、解釈の変更については、検察庁法の所管が法務省でございますので、有権解釈の第一義的な機関である法務省において解釈を変更したものでございます。
  235. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 高良鉄美君、お時間が過ぎております。
  236. 高良鉄美

    高良鉄美君 はい。  ありがとうございました。  やっぱり、今後どうするかということも含めまして、先ほど法務検察行政刷新会議のお話もありましたけれども、それを考えると、この大きな問題をどういうふうに検討していくかということに是非力を注いでいただきたいと要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  237. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にもお時間をいただきまして、ありがとうございます。  私、今日は大きく二点取り上げさせていただきます。  一点目は、言うまでもなく、この黒川検事長の問題でございます。これまで既に元榮議員からただいまの高良議員まで七名の方がそれぞれ緻密な議論をしていただきましたが、できるだけかぶらないようにさせていただきたいと思います。  今回のこの黒川東京高検検事長問題ですが、私自身は、広く国民の皆さんの意見を聞かせてもらおうと思いまして、もちろん新聞などでの世論調査というのはあるんですけれども、より質的な意見を聞きたいと思いまして、私がフェイスブックを対話的に進めております五千人のメンバーの皆様に、土曜日、二十三日に二点の質問をさせていただきました。  一点は、黒川氏の処分訓告とされたが、この処分内容は妥当と思うか、国民として納得できるか、その理由はと。もう一点は、安倍総理の責任、法務大臣の責任、どちらが重いか、その理由はと。かなり単純に分かりやすく、二点質問させていただきました。  そして、今日の十三時までに、具体的に四百六十七名の方が反応していただき、そしてコメントは百六十六名、その全てを読ませていただきまして、まとめていきますと、まず一点目、訓告を妥当と思うかという方は百六十六名のうち二人しかおられませんでした。つまり、九九%以上は妥当だと思っていないと。もちろん、それぞれにニュースなどを聞いていろんな御意見をお持ちなんですが、大きく分けて二つでした。  一つは、今回、鈴木宗男議員お越しいただいていますけれども、例えば二〇〇六年の安倍政権のときの閣議決定、こういうところとバランスが取れないじゃないかと、これまでのいろいろな処分と比べて。やはりバランス、公平性というのが大事だろうと。もう国民の皆さん、皆、今、特にネットでいろいろ調べられますから、過去のことがよく分かります。それが一点目です。  それから二点目は、まさにこの新型コロナで皆さんが自粛しているときにこんなことがあっていいのかという、その道義的、倫理的な問題です。ただ、一部マスコミ関係者の方からは、賭けマージャンマスコミでは当たり前だと、これができないと取材ができないという、そういう御意見もございました。そういう意見があったということです。私がそこにどうこう思うことではございません。  それから、その中で、二点目ですが、森法務大臣に具体的にお伺いしたいことなんですけれども、先ほど来、山添議員も質問していらっしゃいますけれども、五月二十二日の記者会見でですね、こうおっしゃっておられます。様々なことを総合考慮した上で、内閣で決定したものを、私が検事総長にこういった処分が相当であるのではないかと申し上げて、監督者である検事総長から訓告処分にするという知らせを受けたと。ただ、一方で、ここでも既に議論になっていますけれども、五月二十五日の東京新聞、また共同通信では、法務検察内には懲戒処分が相当との意見が強かったが官邸の判断訓告となった。もちろん任命権者は官邸ですから、総理大臣ですから、それは手続的に防衛できる話だろうとは思いますが、ここでちょっと、細かいことですが、三点、森大臣に聞かせてください。  まず一点目ですけど、先ほど引用した二十二日の記者会見、法務大臣が言われたこういった処分というのは、内閣で決定した訓告処分を意味しておっしゃったのか、それとも法務省検察内で意見の強かったと言われる懲戒処分を意味していたのか、どちらでしょうか。
  238. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) まず、その報道を引用なさいましたけれども、事実としては、法務省内では訓告という処分を相当としておりました。  私どもは、法務省としてまず調査をいたしまして、その調査結果を踏まえて事務方においてまず案を作り、私のところに持ってきた事務方の案が訓告でございました。それを基に、政務三役そして幹部において法務省内で協議を行いました。様々な意見も出ましたが、その中で先例検討したり、先ほど委員がおっしゃったような処分の公平性という点から様々な先例検討いたしました。その結果、訓告が相当と考え、その意見を内閣の方にお示しし、それの了承をいただいたところでございます。  そして、訓告というのは、その訓告処分をする主体は検事総長でございますので、私の方から検事総長に対して訓告が相当であるということをお伝えし、検事総長からも訓告が相当であると判断するというようなお知らせが来ました。  内閣において了承をされた後、検事総長から黒川氏に対し正式にその訓告措置というのがなされたものでございます。
  239. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 ありがとうございます。  結論的には、検事総長森法務大臣、そして内閣、まあ閣議の責任者である安倍総理大臣の間に判断のそごはなかったということでよろしいんでしょうか。確認をさせてください。
  240. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) はい、ございませんでした。
  241. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 この件はまたこの後いろいろあるとは思いますけれども、私がフェイスブックで質問を出した大きな二つ目、今回のこの一連の問題、安倍総理の責任、森法務大臣の責任、どちらが重いかと聞かせていただきましたところ、圧倒的に、ほぼ一〇〇%の方が当然安倍総理だという御判断でした。理由としては、そもそも黒川検事長がモリカケ問題など抱える安倍政権の守護神として内閣を守る役割をしてきた、今後は刑事罰に及ぶかもしれない桜問題などで追及されるかもしれない、そのおそれから黒川検事長を総長として実現したかった、そういう中で、安倍総理大臣が、国民自身が安倍総理の意図を見ていたということだろうと思います。  そういう中で、森法務大臣、この国の主権者は誰でしょうか。改めてお願いします。
  242. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) 国民です。
  243. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 当然国民です。憲法の前書きにもあります。  その主権者である国民の大多数が、今回訓告では納得できないと言っております。ただ、同時に、最大の責任者は安倍総理であり、森法務大臣は安倍総理がこれまで様々私物化してきた政権運営の盾になっているというふうに多くの方が解釈をしております。そういうことが、私の中に意見を言っていただいております。  これ以上質問はいたしません。ただ、多くの生の声の中にこういう書き込みがありました。森大臣は安倍さんの盾になり、そして、安倍氏は女性活躍社会と言いながら女性大臣をある意味では保身のために使っているのではないのかと。あるいは、官僚に対して人事権を盾にそんたくを強いる、責任は首相にあります、森大臣はつらい立場です、心から語りかけてくださいという意見がありました。  実は、最近、四月三十日に、女性議員飛躍の会が「女性議員が永田町の壁を砕く!」という本を出版なさいました。女性政治家として大変期待をして読ませていただいたんですけど、その中に森大臣の子供時代から今までの人生が語られておられました。大変御苦労なさって、特に悪質な借金業者に追い立てられてなかなか学校にも行けないというような問題。だから、言わば弁護士になって、この消費者行政を進めたいんだという一連の物語に私も大変感動いたしました。そして、その章のタイトルが、人々の善意が私を育てたとございました。主権者である国民、まさに国民の善意が、森大臣法務大臣としての本来の役割を果たしてほしいと期待をしている、それが私のフェイスブックに載せられておりました。  そういうことで、これ以上質問いたしませんけれども、この後、このまま黒川問題はほっておけないというのが多くの皆さんの意見です。  特に、訓告というのは二つの問題があると思います。一つは、訓告は、人事院の規則の中にも、その職に残しておいて将来における指導をすると。黒川さんはもう辞めるんですから、訓告という処分そのものの意味がない。それから二つ目ですが、安倍総理がその後、訓告の場合に退職金が減らされるという、そういうような発言をしているんですけれども、これは人事院などに尋ねてみましても、訓告の場合には懲戒の部類には入らないので退職金は減らされないというようなことでございますので。  つまり、最後にお願いをしたいのは、この後、まだまだ不明瞭なことが多いので、この件に関しては黒川さんが辞めたから終わりではないと、首相出席の集中審議を国会としても進めていく必要があるのではないのかとお願いをしておきます。  大分時間がたってしまったんですけれども、もう一つ、私自身、森大臣の子供時代の話を聞かせていただいて、私たちも、本当に苦しかった昭和二十年代、三十年代、そういう時代を見ながら、子供さんが幸せになれる社会づくり、これはずっと今まで話をしてまいりました。  そういう中で、今回、法務省の民事局が特に父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果をまとめていただいて、二十四か国の結果を公表されました。その中で特に私どもが気にしているのは、夫と妻、当事者だけで離婚が決められる協議離婚を認めている国はほとんどないということが分かったわけです。特に未成年の子供がいる場合といない場合にかかわらず、離婚には裁判など法的過程が関わっている国が多いということです。  ここでもずっと問題になってまいりました養育費、面会交流なども含めて共同養育計画のような方針がなく、裁判所などでの容認もなく簡単に離婚が認められる。これは、市町村窓口で形式的に届け用紙が記入されていたらそれで離婚が認められるという国、日本は今そうなんですけれども、そういう国がこの二十四か国の中にありましたら教えていただきたいんですけれども、法務省さん、お願いいたします。
  244. 小出邦夫

    政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。  今回、法務省が外務省に依頼して二十四か国を対象に実施した海外法制調査の結果によりますと、未成年の子供がいる夫婦について協議離婚を認めている国といたしまして、例えばインド、タイ、中国、サウジアラビアが挙げられております。また、フランスは弁護士が連署するなどの法律家の関与の下で協議離婚を認めております。  これらの国々のうち、インド、タイ、中国では、養育費又は面会交流について取決めをすることが義務付けられており、フランスでは義務付けられていないということでございます。また、サウジアラビアにつきましては、この点について明確な回答が得られなかったところでございます。
  245. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 ありがとうございます。  日本では実は離婚の九割が協議離婚です。そして、意外と、日本のこの離婚制度、判こ一つで市町村が受けてくれたら離婚が成立するというのは世界的に見ても極めて異例だということ、日本人自身が余り自覚してない、知りません。それが今回の調査で分かったわけでございます。  私が常々、もう去年からずっと気にしておりますのは、親の離婚の後、毎年二十一万人余りの子供が暮らしと福祉、放置されてしまいます。最新データでは、子供は毎年、八十六万人、九十万人生まれていないんです。そのうち四人に一人の子供が片親ロスの離婚を経験させられる。こんなに子供の生活、子供の福祉、子供の未来を無視した離婚制度は世界的に見ても例がないということが今の答弁でも判明したのではないでしょうか。  実は、世界の子供の幸せ度調査というのがあります。残念ながら、日本の子供の幸せ度は、特に先進国の中ではいつも最下位に近いんです。その背景が言わば子供の貧困の問題、七人に一人、あるいは虐待の問題、そして様々放置される。今回でもコロナ問題で学校に行けずに虐待が増えております。一人親家庭で本当に食べるものもないというような声もたくさん聞いております。  日本のように夫と妻の都合だけで子供の養育計画もなしに離婚ができる国は極めて異例だということでございます。そういう中で、じゃ、具体的にどうするかですけれども、一番重要なのは、共同養育計画をまずは離婚に向けて作り、そしてそれを公正証書化をして、そして公正証書化作るときのサポートとして、例えばADR、裁判外紛争解決手法などの支援が必要だろうと思っております。  実は今日、皆さんにかなり資料をたくさんお配りしましたけれども、資料一は、明石市が出しております「親の離婚とこどもの気持ち」、資料二は、「お子さんの健やかな成長のために 養育費と面会交流」、資料三は、面会交流の後の様々な交流ノート、そして資料四は、ある弁護士さんたちが取り組んでおりますADRなどの共同養育計画を作るサポートの仕組みでございます。  そういうところで、今日もう時間が十分ないんですけれども、是非、森大臣にお伺いしたいのは、この地方自治体の取組を今こそ全国で拡大すべきではないでしょうか。自治体の協力を仰ぎ、未成年の子供を有する夫婦が協議離婚する場合には、共同養育計画を作って、そして公正証書化することを、離婚届とともに添付すること、これを法的に義務付ける、こういう方向をいろいろ考えられないか。  困難はあると思います。実はこの協議離婚は、明治民法で決められているもう百年以上の伝統、判こ一つで離婚できる。それに対していろんな困難があると思いますが、法務大臣の御意見を聞かせていただけたらと思います。
  246. 森まさこ

    国務大臣森まさこ君) いつも嘉田先生、この問題御質問なさって、とても熱心にお取り組みなさっていること、敬意を表します。  義務化について困難があるというふうに嘉田先生もおっしゃっている、私も同感でございますが、未成年の子がいる父母が離婚する場合に、養育費や面会交流といった子供の養育に関する事項について必要な取決めがなされることは、子供の利益の観点から重要であるとは思います。  法務省でも、三月、離婚を考えている方々が考えておくべき事項を整理したホームページを開設いたしました。夫婦間で離婚時に必要な取決めをすることの重要性について周知、広報に取り組んでまいります。  また、現在、商事法務研究会が主催する家族法研究会において、未成年の子がいる父母が協議離婚する場合に、養育費や面会交流の取決めを含む養育計画の作成を義務化すること、その際、公正証書によることなどの当否が検討課題の一つとして議論されております。  この課題については、今おっしゃったとおりですね、DV被害がある場合の取扱いとか、公正証書の作成義務付けた場合の費用負担どうするかなど、様々なやはり困難と申しますか、課題がございまして、慎重に検討する必要があるという意見もございます。  かねて私、毎回申し上げておりますが、父母の離婚後の子供の養育の在り方は、子供のため、子供の健やかな成長のために大変重要な課題と考えておりますので、委員の御指摘も踏まえて引き続きしっかりと検討させてまいります。
  247. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。  必要があり、そして弱い立場の子供たちが放置されている。できるかできないかではない、やるかやらないかだ、それが政治に任された、また法務大臣の大きな役割だろうと思います。期待をしております。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  248. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時八分散会