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内閣総理大臣(
安倍晋三君) 井上英孝
議員にお答えをいたします。
新型コロナウイルス感染症対策に関する
政府の意思決定プロセスについて
お尋ねがありました。
御
指摘の専門家
会議については、行政文書の管理に関するガイドライン上の政策決定又は了解を行わない
会議等に該当するものであり、第一回
会議において、自由かつ率直に御
議論をいただくため、
発言者が特定されない形の議事概要を作成して公表するとの
方針を構成員の
皆様に御理解をいただき、以後、その
方針のもと、適切に記録を作成しております。
その上で、五月二十九日の専門家
会議の場で、議事概要の
あり方について御
意見があったことを踏まえ、改めて構成員の
皆様の御
意見、御意向を
確認した結果、引き続き、従来と同様の形で速記録等に基づき議事概要を作成、公表することとしつつ、今後開かれる
会議の議事概要については、
発言者名を明記することで御了解が得られたと承知しております。
加えて、速記録についても、適切に保存し、保存期間満了後は、国立公文書館に移管の上、原則公表扱いになるものと承知しております。
このほか、
新型コロナウイルス感染症に関する政策の決定又は了解を行う場である
新型コロナウイルス感染症対策本部の
会議については、対策本部長である私が、決定事項を
確認するとともに、閣僚への指示や
国民への呼びかけ等を行う部分についてはメディアに公開しています。その
発言内容と動画については、官邸のホームページで公開しているほか、対策本部での配付資料や決定
内容についても、対策本部の開催後、速やかにホームページで公表しており、議事概要についても、作成次第公表しております。
今後も、ガイドラインを踏まえつつ、
新型コロナウイルス感染症についての
政府の
方針等を
国民の
皆様に丁寧にお伝えし、御理解を得ていきたいと
考えております。
公文書管理について
お尋ねがありました。
政府としては、一連の公文書に関する問題を踏まえ、平成三十年七月に、職員一人一人のコンプライアンス意識向上のための研修の充実
強化、独立公文書管理監を中心とした各府省の公文書監理官による実効性のあるチェック、悪質な事案に対する免職を含む重い懲戒処分の明確化など、公文書管理の適正化に係る総合的な施策を決定したところです。決定した全ての施策については着実に実行に移しているところであり、引き続き、適正な公文書管理の徹底に万全を期してまいる所存です。
御党
提出の法案については、文書管理の電子化の
推進など、
政府におけるこれまでの
取組と方向性を同じくする部分もありますが、公文書の管理については、あくまで所管業務に知見と
責任を負う立場にある個々の行政機関が行うことが適当と
考えております。
いずれにしても、法案の取扱いについては、
国会及び各会派において御
議論をいただくべきものであると
考えております。
緊急事態宣言の効果の検証について
お尋ねがありました。
議員が御
指摘になったデータは、五月二十九日に開催された専門家
会議の提言において示されたものですが、同提言は、
緊急事態宣言により、人と人との接触機会が低い状態を維持できたこと、クラスターが発生しやすい場所、施設の利用機会が
外出自粛要請や施設の
使用制限等との組合せにより実効的に抑制できたこと、域外への
外出自粛により大都市圏から地方都市への
感染拡大に歯どめがかかったこと、国と連携して、
全国の都道府県知事のもと、一体となった対策の
推進が図れたことにより、新規感染の抑制に貢献した
可能性が高いと評価されているところです。
政府としては、こうした専門家による科学的な検証を踏まえながら、次の
事態に備えて対策を講じていくとともに、今般の感染が収束した後には、これまでの
政府の
対応を含め、しっかりと検証を行ってまいります。
新型インフルエンザ等特別
措置法の再改正について
お尋ねがありました。
休業要請に伴う
影響は
事業者によって千差万別であり、
事業者ごとの
休業損失が幾らかを算定し、それを全額補償するといった
考え方の
給付を行っている国は存在していないと
考えています。
その上で、要請に基づいて
休業した方のみならず、多くの
事業者の
皆さんが極めて厳しい
状況にあると認識しており、第二次
補正予算においても、こうした
方々を徹底的に下支えしていくためのさまざまな
支援策を盛り込んでいるところであり、
全力で
事業と
雇用を守り抜いてまいります。
減税と
国会議員の歳費削減について
お尋ねがありました。
税制については、緊急
経済対策に基づき、前例のない延滞金なしの納税猶予
制度を
創設しており、また、地方の基幹税である固定資産税について、思い切った減税
措置を講じております。
また、我々政治家は、政策を実現するため、真摯に努力を続け、
国民の負託に応えていかなければなりません。さらに、常にみずからを省みる必要があることは当然です。
日本維新の会が、そうした
観点から率先垂範して身を切る改革を続けてこられていることについては、敬意を表したいと思います。
その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や
議員活動の
あり方、すなわち民主主義の根幹にかかわる重要な課題であることから、
国会において
国民の代表たる
国会議員が真摯な
議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると
考えています。
保育士等への
支援について
お尋ねがありました。
今般の
新型コロナウイルス感染症の中にあっても、現場で業務を続けてくださっている保育所の
皆さんに対しては、人員
体制確保のための
経費をしっかりと
支援するとともに、今般の第二次
補正予算においても、感染
防止対策などについてさまざまな形で
支援を行うこととしているところであります。
その上で、
予備費の取扱いについては、
財政演説において
財務大臣より御説明をさせていただいたところでありますが、その
考え方に沿って適切に
使用してまいります。
学びの保障と九月入学について
お尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症の拡大
防止のため、今後、学校の臨時
休業を行わざるを得ない場合があっても、子供たちの学びに著しいおくれが生じないようにすることは極めて重要です。
このため、
政府としては、学校における感染症対策を徹底した上で、学習活動の重点化を含めた教育課程編成の
考え方を示すとともに、オンライン学習を確立するため、四年間で実施予定であった一人一台のIT端末整備をこの一年間に前倒しするなど、学びの保障に向けた総合的な対策を講じているところです。
特に、最終学年の子供たちには、夏休みなどの長期
休業や土曜日などを活用し、学習のおくれをしっかりカバーするとともに、大学入試の日程や出題
内容等については、現在、
全国の高等学校を
対象に生徒等の意向を調査しており、その結果を踏まえ、高校、大学の関係者等とも十分相談の上、今月中に
方針を示してまいります。
御
指摘の九月入学への移行については、与党においても提言がまとめられたところであり、それらも踏まえ、社会全体への
影響を見きわめつつ、検討を継続してまいります。
マイナンバーに係る法案について
お尋ねがありました。
マイナンバー制度は、より公平公正な社会保障
制度や税制の基盤となるものであるとともに、デジタル社会のインフラとして、
国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものです。
御
指摘の法案においては、災害や感染症の発生等の緊急時において、
給付を行う際の
マイナンバーの利用等が盛り込まれているものと承知しております。
御
指摘の法案については、
議員立法に関するものであることから、
国会及び各会派において御
議論をいただくべきものと
考えています。
ICUの整備及び地方創生
交付金の配分について
お尋ねがありました。
ICU等については、適切な国際比較によれば、既に欧州の主要国を上回る整備水準となっているところでありますが、さらに、都道府県ごとに新型コロナ重症患者に
対応できるICU等の重症者向け病床の
確保について調整を行った結果、六月三日時点で、二千五百床を超える重症者病床について既に
医療機関と個別の割当てを終えています。
政府としては、次なる
流行の波に備え、感染者の増大に十分
対応できる
医療提供体制を
確保するため、
コロナ対応を行う
医療機関に対しては、ICU等における重症者治療への診療報酬のさらなる
引上げとともに、今般の第二次
補正予算においては、一兆六千億円を計上し、専用病棟を設定する
医療機関や設備整備に対する
支援の
拡充などを行うことにより、さらなる
支援を行ってまいります。
また、
地方創生臨時交付金については、
医療提供体制の整備に関し、その他の、国の施策ではカバーすることができない地方
自治体の独自の
取組に活用することができます。
地方
自治体への配分に当たっては、
家賃支援を含む
事業継続や
雇用維持などへの
対応、新しい
生活様式を踏まえた地域
経済の活性化への
対応など、さまざまな地域や対策の特性に応じた配分となるよう検討を進めてまいります。(
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