○松平浩一君
立憲民主・
国民・社保・
無所属フォーラムの松平浩一です。
ただいま
議題となりました
国家戦略特別区域法の一部を改正する
法律案について、会派を代表して
質問いたします。(
拍手)
まず、冒頭、
新型コロナウイルス感染症で亡くなられた多くの方に心より哀悼の意を表するとともに、療養中の
皆様の一刻も早い御回復をお祈りいたします。
フランスの哲学者であり、ノーベル賞作家でもあるアルベール・カミュは、一九四七年に発表した小説「ペスト」の中でこう言っています。ペストに勝つ唯一の方法は、誠実さである。
国民生活に大変な
影響が出ている
新型コロナウイルスに対する
政府の
対応に、果たして誠実さはあるのでしょうか。
ダイヤモンド・プリンセス号では、約千名の乗船者を、船内での隔離が不十分なまま、公共交通機関を使って帰宅させてしまっています。
武漢のある中国湖北省からの入国制限を行ったのは、九十二万人が来日した春節の後でした。
国民に大きな混乱と不安をもたらした
全国一斉休校も、何の前ぶれもなく、突然
要請されました。
先月二十日に一斉休校の段階的解除を打ち出していますが、それは
政府専門家会議にて今後の爆発的
拡大が警告されているさなかのことでした。
そして、きのう、一世帯
当たりマスク二枚の配布。こちら、ネットでは、アベノマスクと呼ばれています。
まさに、思いつきの場
当たり的
対応のきわみです。カミュの言う誠実さはみじんも感じることができません。
経済対策も後手後手です。
経営者、労働者、フリーランス、学生、職種を問わず、
新型コロナウイルスの
影響を大きく受けています。経営は立ち行かず、労働者は雇いどめや失業、フリーランスは仕事がなくなっています。特に、困窮者の
生活は、もうのっぴきならない
状況になってしまっています。もし今後
ロックダウンとなれば、今以上に
外出制限や営業自粛が行われ、このままでは更に倒産や
経済的な困窮者がふえてくることは明らかです。
海外に目を転じれば、既に多くの国が、賃金補償や現金の給付など、大規模で具体的、かつ即効性のある
対策に乗り出しています。
米国では、先月二十七日、
日本円で二百二十兆円規模の
経済対策を決定しています。ドイツでも、総額九十兆円の
経済対策を行うことにしています。英国、フランス、スペインなどでも、大型の
経済対策を既に発表しています。
一方で、
我が国の
経済対策は、全く場
当たり的な、小さな
対策ばかりでした。
政府は補正予算を大型連休前までに示すと言っていますが、これでは余りにも遅過ぎます。人の
生活がまさにぎりぎり、瀬戸際となっているのに、
政府にはその
危機感はなく、そして、やはりこちらも誠実さは全く感じられません。
今、
国民が求めているのは、この災害に
対応できる規模の、大胆な、しっかりした補償とセットになった
経済対策です。今後、いつ、どのような
経済対策をするつもりなのか、西村大臣にお聞きします。
先日、みずから命を絶たれた近畿財務局の
赤木さんの手記が公表されました。全て佐川局長の指示ですとの言葉。財務省の
報告書とそごがある部分も多くあります。
共同通信社の世論
調査によると、この手記公表を受け、
公文書改ざんについて再
調査する必要があるというのは七三・四%に上っています。
赤木さんの奥さんが三月二十七日から進め始めたインターネット上の署名では、三日間で二十万人が署名しました。これは、ネット署名で
我が国最多の数であり、最短の期間で達しています。本日では、二十七万人に達しています。
この声を受けてもう一度
調査することが
国民の信頼に応える行政ではないでしょうか。麻生大臣は再
調査を否定されています。しかし、
国民の声を受けて考えを変えることは何ら恥ではありません。政治家として、むしろ当然のことだと思います。
再
調査する意向について、麻生大臣のお考えを伺います。
本法案の目玉は、丸ごと未来都市であるスーパーシティー構想の
実現であるとされています。法案によれば、このスーパーシティーは
国家戦略特区を活用することになっています。
国家戦略特区は、
実現すれば、提案者だけでなく、広く一般に適用される制度であり、その運用が真に正しくなされるなら、最終的に全
国民の利益となるはずです。
国家戦略特区は、二〇一三年十二月から始まって、現在までに三百五十四もの事業が認定されています。しかし、六年を経た現在でも、特区から
全国に広がった事業は八事業にしかすぎません。この数字からは、結局、特定の人や業者のために条件を
整備してあげただけの制度となってしまっていると思えます。
特区から
全国に広がった事業がなぜ少ないのか、
全国措置を
拡大するためにどのような
措置を講じる予定であるのか、北村大臣の御
見解を伺います。
政府が出した
日本再興戦略においては、二〇二〇年までに
世界銀行のビジネス環境ランキングにおいて
日本が
先進国三位以内に入るとの目標が掲げられています。しかし、昨年秋公表のランキングでは、OECD加盟国の中で、
日本はいまだ十八位です。
国家戦略特区はこの目標を達成する
手段のはずですが、三百五十四と事業認定の数だけは多いですが、この目標達成に結びついていません。
世界で一番ビジネスのしやすい環境を
整備し、
経済成長につなげるとの
国家戦略特区の理念はどこに行ったのか。今回のスーパーシティー構想がビジネス環境をどのように向上させ、どう三位以内というKPI
実現に結びつくのか、北村大臣の御
見解を具体的にお伺いします。
いまだ疑惑が解明されていない加計学園問題があったこともあり、
国家戦略特区は完全にブラックボックス化していると言われています。一般人から見て、選定の過程は全くわからない。加計学園問題、森友学園問題のように、権力者へのそんたく、利益誘導、そういったものが行われない保証はあるのでしょうか。特権や利益誘導が生じるのは問題外の話ですが、そもそもそういった疑いが生じること自体に制度的な問題があると言わざるを得ません。
国家戦略特区の選定に当たって、特定の人や業者への優遇、権力者へのそんたく、そういった不公正な事情が介在しないよう、選定のプロセスの公正と透明性の強化、私は、この点こそが本改正において必須だと
認識しています。
今回の制度において、
一体どのようにして公正と透明性を確保し、
国民の信頼を得ていくのか、北村大臣の御
見解を伺います。
地方創生の目的の一つは、
東京一極集中の是正です。しかし、去年の
都道府県別の転入超過数を見ると、転入超過となっているのはほとんどが
東京圏であり、それ以外の
地域はほぼ転出超過となっています。もはや
東京から地方への人の流れをつくることに失敗していると言わざるを得ません。
もちろん、地方都市の中には、子育て支援策を手厚くするなどの努力によって
人口増加を達成している都市もあります。しかし、
東京からの人の流れがつくられていない現在においては、地方都市の間による
人口の奪い合いとなっている側面があります。
実際、
人口増加に
成功した
自治体の近くの
自治体では、
人口減少が加速してしまっているところもあります。
現状でもそういったストロー現象が生じている中、この法案で地方の都市の幾つかがスーパーシティーとなってしまうと、それに乗りおくれた都市はどうなってしまうのか。
確かに、スーパーシティーは、住むに便利で快適で、多くの魅力的
企業も集まり、若者も集まってくるでしょう。しかし、乗りおくれた周辺の都市からは
人口が減り、
生活が不便になり、働く場所もなく、お金もなく、
地域経済が
崩壊する、そういうところがふえてしまうかもしれません。
したがって、スーパーシティー構想においては、都市間の格差が広がらないよう手当てが必要だと思いますが、そういったものがあるのでしょうか。ある場合、それはどのようなものなのか、どのように
地域の統一した発展を
実現していくのか、北村大臣の御
説明をお願いいたします。
スーパーシティー構想では、最先端の技術を使った便利な
生活を目指すかわりに、自分が住む
地域をその実験場とすること、そして
個人情報が取得されることなどを認めなければならないことになっています。
グーグルが進めるトロントでの都市計画では、
個人情報流出への懸念から、住民による反対運動が起こって計画が思うように進んでいないというのはよく知られています。それでも国策としてスーパーシティー構想を進めるとなれば、便利な面だけが強調され、多数派が主導して十分な
説明と議論がないまま小さな声が無視されてしまうことにならないか、住民合意をどのようにとっていくつもりなのか、北村大臣の明確な御
説明をお願いいたします。
二十一世紀の石油と言われるデータを有効活用する、その方向性自体は有意なものだと思います。しかし、今や
個人情報というのは、プロファイリングを行うことで
個人を丸裸にしてしまうものであり、差別やヘイト、犯罪にも利用される可能性が大変高まっています。
ネット上では既にさまざまな人権侵害や犯罪も起きていることを考えれば、データ
連携のシステムに
対応できる法的基盤や管理上の技術が不可欠です。
今回のデータ
連携基盤の
整備によって、
個人情報を不当な形で利用されないという保証はあるのでしょうか。どのような法的、技術的基盤によって
個人情報の適正利用を担保するのか、北村大臣、具体的にお答えください。
地方創生推進交付金は、本年度は一千億円です。では、地方に配られた地方創生交付金は最終的にどこに向かうのか。まち・ひと・しごと創生法では、総合戦略の策定が地方
自治体に指示されましたが、この総合戦略の策定について、
東京のコンサルに依頼した
自治体が非常に多いという
状況にあります。
地方自治総合研究所が実施したアンケートによれば、集計した千三百四十二
自治体のうち約八割がコンサルタントに依頼、そのうち、受注額と受注件数とも約五割は
東京に本社を置く機関が占めていたということです。
この数字から見えてくるもの、それは、国から各
自治体に配られたお金が
東京に戻ってきてしまっているという現実です。人の
東京一極集中だけでなく、お金も一極集中の
状況です。
スーパーシティーのデータ
連携基盤の標準モデル構築について、本年度の予算では三億円が
措置されています。こういったデータ
連携基盤のモデルや、実際に基盤をつくれる業者というのは、やはり多くは
東京に本社がある大きな会社です。また、データ
連携基盤を利用して、AIやデータを活用してサービスを
提供できる事業者も、
東京に本社があるテック
企業ばかりとなってしまうのではないかと予想されます。
そうなると、
政府の補助金も含めて結局お金が回るのは、
東京の事業者だけとなってしまってもおかしくありません。
また、必ずスーパーシティー構想が
成功すればいいのですが、もしうまくいかなかった場合、構想にかかったお金は
東京の事業者に落ちる一方で、地方にとってみると、
東京の事業者の実験場になっただけという結論もあり得ます。
地方にお金が落ちない政策では、地方創生はかないません。今回のスーパーシティー構想が、どう
経済面で地方創生につながるのか、北村大臣のお考えをお願いいたします。
本法案については、確かに、いいところだけを見ると夢のある話です。
質疑に取り上げたような、負の側面は何か、その
影響と
対策はなされているのかという点の十分かつ慎重な審議が
国会に求められます。
大臣の誠実な答弁を切にお願いするとともに、真の地方創生の
実現に向けた充実した審議がなされることを期待して、私の代表
質問とさせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣北村誠吾君
登壇〕