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2020-05-22 第201回国会 衆議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月二十二日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 松島みどり君    理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君    理事 鬼木  誠君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君    理事 階   猛君 理事 浜地 雅一君       井出 庸生君    井野 俊郎君       奥野 信亮君    門山 宏哲君       神田  裕君    黄川田仁志君       国光あやの君    小林 茂樹君       出畑  実君    中曽根康隆君       藤井比早之君    古川  康君       宮崎 政久君    山下 貴司君       逢坂 誠二君    日吉 雄太君       松田  功君    松平 浩一君       山尾志桜里君    山川百合子君       竹内  譲君    藤野 保史君       串田 誠一君    高井 崇志君     …………………………………    法務大臣         森 まさこ君    法務大臣        義家 弘介君    法務大臣政務官      宮崎 政久君    政府参考人    (人事院事務総局給与局次長)           幸  清聡君    政府参考人    (総務省自治行政局選挙部長)           赤松 俊彦君    政府参考人    (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君    政府参考人    (法務省民事局長)    小出 邦夫君    政府参考人    (法務省刑事局長)    川原 隆司君    法務委員会専門員     藤井 宏治君     ――――――――――――― 五月二十一日  自動車運転により人を死傷させる行為等処罰に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  自動車運転により人を死傷させる行為等処罰に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)  裁判所司法行政法務行政及び検察行政国内治安人権擁護に関する件      ――――◇―――――
  2. 松島みどり

    松島委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政法務行政及び検察行政国内治安人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りします。  各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局次長幸清聡さん、総務省自治行政局選挙部長赤松俊彦さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾さん、法務省民事局長小出邦夫さん及び法務省刑事局長川原隆司さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松島みどり

    松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 松島みどり

    松島委員長 質疑申出がありますので、順次これを許可します。階猛さん。
  5. 階猛

    階委員 おはようございます。立国社階猛です。  まず、法務大臣にお尋ねしますが、けさの持ち回り閣議で、黒川検事長マージャン賭博を認めたということで辞職の願い出がある、これを了承する持ち回り閣議が行われているようなんですが、大臣はそれに署名をしたんでしょうか。
  6. 森まさこ

    森国務大臣 申しわけございません。持ち回り閣議の時間がまだ終了しておりませんで、まだ、その閣議が終了後、その持ち回りの書類が来て花押を押すということになっておりまして、まだでございますが、まだ閣議の時間が終了していませんで、言及することができず、申しわけございません。
  7. 階猛

    階委員 まだということなんですが、閣議請議を行ったのは法務大臣からということでよろしいですか。
  8. 森まさこ

    森国務大臣 はい。そのとおりでございます。
  9. 階猛

    階委員 後任はすぐ見つかる予定ですか。
  10. 森まさこ

    森国務大臣 後任は速やかに決めたいと思っております。
  11. 階猛

    階委員 速やかにと言いましたけれども、大臣は、答弁でかねがね、黒川氏の勤務延長理由について、黒川氏が退職すれば当該業務継続的遂行に重大な障害が生ずるということで、人事院規則の条文を引用して、黒川氏の勤務延長は正当だということを強調していらしたじゃないですか。やめてすぐ後任が見つかるんだったら業務継続的遂行に重大な支障はないし、障害は生じなかったし、そもそも勤務延長を認める必要はなかったということになりませんか。
  12. 森まさこ

    森国務大臣 このたびの黒川検事長の一件については、検察信頼を損なう不適切な行為であり、まことに遺憾でございます。黒川検事長は、東京高等検察庁のトップとしての立場にありながら、公私問わずにみずからを律し、国民から疑念を抱かれないように格段に意を注ぐべきであったにもかかわらず、かけマージャンという行為をしたということで世間に大きな反響をもたらし、また、国民の皆様に大きな御不安をおかけいたしました。法務大臣としておわびを申し上げます。  御質問でございますが、業務継続に重大な支障があるというふうに思っておりますので、速やかに後任を探したいと思っております。定年延長自体については、その当時の判断は間違いなかったと思っております。
  13. 階猛

    階委員 当時の判断を今聞いていません。黒川氏がやめたら検察庁業務継続的遂行に重大な障害が生ずるからということだったじゃないですか。黒川氏がやめても後任がすぐ見つかるんだったら定年延長を認める必要はなかったんじゃないですか。そこを答えてください、端的に。
  14. 森まさこ

    森国務大臣 定年延長については必要なことであったというふうに考えております。
  15. 階猛

    階委員 理由がないんですけれども。なぜですか。私の質問に答えてください。大臣が言っていた理由が当てはまらないじゃないですか、すぐ後任が見つかるんだったら。そのことについて説明してください。
  16. 森まさこ

    森国務大臣 黒川検事長勤務延長については、東京高検内の重大かつ複雑な案件に対処し、また、東京高検内の指揮監督をするために必要不可欠ということで決定をし、私の方で閣議請議をした、そして、内閣の方で決定をしたものでございますけれども、今般の不祥事案に当たりまして、業務継続に著しい支障が生じておりますので、そのような中においては後任を急ぎ探さなくてはならず、これについて速やかに決定したいというふうに思っております。
  17. 階猛

    階委員 つまり、黒川氏を勤務延長したことによってかえってこのような事態が生じて、業務継続に重大な支障が生じているということを言っているわけですね。ということは、当初、勤務延長した判断大臣、誤っていませんか。誤ったということになりませんか。当時のですよ、当時の判断が誤ったということを認めませんか。
  18. 森まさこ

    森国務大臣 当時においては、東京高検内の複雑困難な事案に対処するために必要であるという判断をしたものであり、それについては適切であったというふうに考えております。
  19. 階猛

    階委員 仮定の話をしますけれども、黒川氏がこのような習癖を持っているということを知っていれば、当然、勤務延長はされなかったということだと思いますが、それはお認めになりますよね。
  20. 森まさこ

    森国務大臣 当時そのような情報には接しておりませんし、職務上以外の事柄でありますので、当時、判断の中では、これまでの業績、そして指揮監督上の能力等において判断をしたものでございます。
  21. 階猛

    階委員 大臣、結果として、業務遂行に重大な支障が生じているわけですよ。その結果に対する責任は重いと思いますよ。  まず、大臣責任を問う前に、黒川氏の責任についてお尋ねします。  今回の処分なんですが、訓告処分ということで、懲戒処分にも当たらない、黒川氏には退職金給与、六月に支給予定だった賞与日割り計算分も支払われるという理解でよろしいですか。
  22. 森まさこ

    森国務大臣 退職手当につきましては、法令に基づいて処理されるものと承知しております。
  23. 階猛

    階委員 給料とか賞与についてはどうなっているのか、もしあれでしたら、事務方刑事局長、おわかりになりますか。じゃ、いいです。じゃ、後でそれは事務的に聞きます。  それで、さっき言ったように、黒川氏がもし勤務延長前からこういった行為を繰り返していたら、これは、そもそも勤務延長すべきではなかったということになります。  今回の皆さんが出している調査結果、きょう資料の一枚目に配っていますけれども、かけマージャンをしたこと、あるいは、ハイヤーに同乗し、その費用は支払っていないこと、これについては、調査の結果、認めておりますが、五月十三日と五月一日の二日以外、かけマージャンハイヤーの送迎の事実の認定には至らなかったということになっています。  本来、記事に出ている記者には接触していないということなんですが、そうした方々にも接触した上で、いつからいつまで、どれぐらいの頻度でやっていたのかという事実認定をした上で処分を決めるべきではなかったんですか。大臣、お答えください。
  24. 森まさこ

    森国務大臣 新聞記者の方については、報道機関でございますので、法務省としては、各社から公表された内容黒川本人に確認した結果を総合的に判断をし、事実を認めたものでございます。
  25. 階猛

    階委員 常習性があるかないか、この部分について、刑事局長、どのように認定したのか、教えてください。
  26. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  まず、調査結果でございます。  今、階先生資料でお示しになった部分でございますが、いま少し詳しく私どもの調査結果について申し上げますと……(階委員「それは、あるんだったら紙で出してください。時間がないので、質問にだけ答えてください」と呼ぶ)はい、わかりました。  常習性につきましては、今回の場合は人事院指針に言う常習性でございますので、必ずしも、刑法常習性と同一かどうかという点に問題はございますが、刑法考え方を参考にいたしまして、本件事案については、直ちに常習性を認めるかどうかについては問題があろうと考えております。
  27. 階猛

    階委員 この常習性があるかないかというのは、先ほど私が言ったとおり、そもそも、客観的に見て勤務延長が妥当だったのかどうかということにもかかわりますし、処分の重さにもかかわってくるんですね。  二ページ目に、人事院が作成した資料ですけれども、人事院から「懲戒処分指針について」ということで通知が出されております。単なる賭博の場合は減給又は戒告、常習として賭博をした場合は停職ということで、かなり差があるわけです。  この常習性認定するかどうかということは非常に重要なポイントで、この件について、けさの、黒川氏とマージャンをしたと言われている朝日新聞社員あるいは産経新聞記者、こうした方々調査結果というのがそれぞれの新聞に出ておりますけれども、例えば朝日新聞によりますと、この三年間で月二、三回。この三年間で月二、三回ということは、相当な回数、もう百回ぐらいやっているんじゃないですか。そして、緊急事態宣言が出た後、四回ですよ。信じがたいですよね。皆さんに自粛を呼びかけておきながら、法をつかさどる法務省そして検察庁、その要職を占めていた方が、みずから社会のルールを破って、しかもかけマージャンですよ。二重に社会規範を犯している。とんでもないことですよ。  私は常習性を認めるべきだと思っていますし、この常習性ありやなしやということをしっかり確定した上で処分をすべきではないですか。大臣、お答えください。
  28. 森まさこ

    森国務大臣 刑法上の常習参考といたしますと、常習としてとは、一般に、賭博を反復累行する習癖が存在することをいうところ、そのような事実は直ちには認定できなかったものでございます。  もっとも、黒川氏は複数回にわたって行っていたことから今回の処分となったものでございます。
  29. 階猛

    階委員 きょうの資料の一ページ目の最後に書いてあるとおり、記事に出ている記者に接触していないとあるわけですよ。接触していない記者から、さっき私が言ったような供述が出ているわけですね。これは、裏づけ調査をした上でじゃないと、常習性が直ちにないなんて言えないじゃないですか。再調査してください、大臣。お答えください。
  30. 森まさこ

    森国務大臣 当初の問題となった週刊誌記事内容もと本人に確認した結果、又は総合的に判断をした結果で事実を認めたものでございます。  なお、黒川氏は、月に一、二回程度マージャンを行っていた旨認めておりますが、五月一日と五月十三日の事実を認めたものでございますが、複数回行っていたということが認められたことから今回の処分となったものでございます。
  31. 階猛

    階委員 産経新聞によると、一カ月に数回のペースとか、緊急事態宣言が出された後も五回程度行われていますとか、微妙に朝日社員とも供述が異なっております。こうしたことと今の黒川氏の供述との食い違いとかをしっかり精査する必要がある。その再調査結果を踏まえた上で処分を行うべきである。たった一日ぐらいの中途半端な調査でこの処分を決めるべきではないと思いますけれども、大臣、再調査を行う考えも、処分の見直しを行う考えもないということでいいですか。
  32. 森まさこ

    森国務大臣 調査に関しては、黒川検事長に関する報道へ接した直後から着手をしておりまして、今般の処分を行うに必要な調査を行ったと認識しております。  黒川検事長記者三名とともに約三年前から月一、二回程度金銭をかけたマージャンを行っていたことは認められますが、その具体的な日付を特定しての事実の認定には至らなかったものでございます。
  33. 階猛

    階委員 ですから、黒川氏の供述だけではなくて、当事者である朝日とか産経の人たちとも、ちゃんと話を聞いて、その上で事実を認定して、処分を見直すべきではないかと言っているわけですよ。黒川氏の言い分だけで決めていいんですか。そんなの法務省としてあり得ないですよ。客観的証拠に基づいて法を適用するのが法務省でしょう。まず客観的な証拠も足りないし、事実認定、いいかげんですよ。これでは到底、検察信頼は得られません。  過去には、検察不祥事がありまして、検察在り方検討会議というのは、まさに黒川氏が事務方として参加していたんですよ。そのときも、処分もきっちり、人事上の処分もやり、刑事上の処分も行いましたよ、速やかに。そして、その上で、在り方検討会議というのも開いて再発防止についてもしっかり提言をまとめた、有識者の方に加わってもらって。ところが、今の大臣は再調査もしない。こんな簡単な紙だけで調査が完了したなんて、到底言えるわけないじゃないですか。再調査してください。そして、処分をやり直してください。過去のやり方と比べて極めてずさんですよ。  そして、事は勤務延長正当性にもかかわってくるんですよ。この間、国会でさんざん議論されてきたことが全く意味がなかったということにもつながりかねません。本当に重要な問題なんです。  こんな、皆さん、この一ページ目の紙だけで調査を終えたなんて、到底言えないですよ。これで調査を終えると、国民に胸を張って言えますか。大臣、答えてください。
  34. 森まさこ

    森国務大臣 証拠に法を適用して行う捜査については、また刑事処分については、行政処分とはまた別のフェーズであるというふうに認識をしておりますが、法務省として、また任命権者である内閣としての処分については、必要な処分がなされたというふうに承知をしております。  また、検察のあり方については、またそれとは別に検討されるものと考えております。
  35. 階猛

    階委員 再調査はあくまでしないという考えなんですか。おかしいですよ、これは。国民は納得しませんよ。再調査をきちっとやるということを約束してください。
  36. 森まさこ

    森国務大臣 現在のところ、処分に必要な調査を行ったと認識しております。
  37. 階猛

    階委員 もう一度聞きます。  そういう姿勢であると、我々も、この間の大臣のさまざまな答弁、全て、勤務延長を正当化することを繰り返してきたわけですが、それが根底から覆るような事態になっているわけですよ。ですから、その事実の真相をしっかり再調査して、黒川氏の責任をしっかり追及する必要がある。  それだけではなくて、法務大臣についても、黒川氏がこういう常習性がある賭博をしていた人物であったということを知っていなかったとしても、見過ごしたまま勤務延長閣議請議をし、そして今回、彼が、突然の辞職によって、そして業務継続に重大な支障を生ぜしめているわけですよ。大臣責任問題になりますよ。大臣みずから責任をとって辞任する考えはありませんか。
  38. 森まさこ

    森国務大臣 今回の事態を受けて、私自身責任を痛感しております。昨晩、総理進退伺を提出したところでございます。総理からは、強く慰留されました。検察信頼回復としての立て直しのために引き続き業務に当たってほしいと言われたところでございますが、私としては、つらい道ではございますが、検察信頼回復のために、できることをまずしてまいりたいと思います。
  39. 階猛

    階委員 信頼回復のためにという言葉は何度も聞きましたけれども、みずからも信頼を損なうような虚偽の発言を国会でし、そして今回、信頼を損なった黒川氏について、再調査もせず、こんな中途半端な調査結果をもとに、大変、極めて軽い処分でお茶を濁そうとをしている。信頼回復大臣ではできない。森大臣、やめてくださいということを申し上げ、次の質疑者質問を譲ります。
  40. 松島みどり

    松島委員長 次に、逢坂誠二さん。
  41. 逢坂誠二

    逢坂委員 森大臣進退伺ではなくて、辞表を出された方がいいんじゃないですか。大臣をおやめになった方がいいと思いますよ。  私は、大臣大臣遂行する能力があるかないかは、それは私はわかりません。わかりませんが、そもそも現時点では大臣大臣をする要件を欠いていると思いますよ。辞任されたらいいですよ。進退伺ではなくて、自分みずから、やめると言った方がいいですよ。いかがですか。
  42. 森まさこ

    森国務大臣 逢坂先生から私の進退について御意見をいただきましたが、私としては、進退について、昨晩、総理にお伺いを立てたところでございます。
  43. 逢坂誠二

    逢坂委員 今回、黒川検事長辞任をされた。東京高検検事長空席になっている。余人をもってかえがたいほど重大事件のある東京高検検事長の席ですから、早急に後任検事長を決めなきゃいけない。その検事長は、それじゃ大臣が決めるんですか。
  44. 森まさこ

    森国務大臣 これまで国会答弁してきましたとおり、検察人事につきましては、任命権者内閣又はその官によっては私、法務大臣というふうに法律で規定をされております。  ただ、その人事内容については、検察及び法務省から上がってきた人事について、私は全て了としております。速やかに検察そして法務省から人事が上がってくることを望み、そして、速やかに、任命権者、すなわち検事長の場合は内閣でございますので、そちらの方の閣議に私が請議を出したいと思っております。
  45. 逢坂誠二

    逢坂委員 意味がわかりません。  いろいろなところから上がってくる人事閣議請議をするのが単なる大臣役割なんですか。その任命責任はないんですか。責任を持った人事をするのがあなたの役割なんじゃないですか。
  46. 森まさこ

    森国務大臣 もちろんでございます。  人事の具体的な案は事務方から上がってくるものでございますが、それを内閣任命するに当たって、私が閣議請議をするという立場での責任がございます。
  47. 逢坂誠二

    逢坂委員 黒川さんの定年延長に関して、余人をもってかえがたいとあなたはあれほど言っていたんですよ。にもかかわらず、今回、今になったら、すぐ余人をもってかえがたい人事をやれると。その根拠はどこにあるんですか。
  48. 森まさこ

    森国務大臣 私はこれまで、業務継続に重大な支障が生じるというふうに国会で御答弁申し上げてきたわけでございますが、まさに今、業務遂行上、その継続に重大な支障がございますので、後任を速やかに決定をしたいというふうに思っているところでございます。
  49. 逢坂誠二

    逢坂委員 だから、何で、余人をもってかえがたいと言っていた職を、あなたが今速やかにその後任を探すことができるんですかと、その根拠を聞いているんですよ。  今もし余人をもってかえがたいポストを決められるんだったら、一月の時点でも、無理して定年延長しなくても誰かに相談をして決めりゃよかったじゃないんですか。何で、今回できて、前回できなかったんですか。根拠を明確にしてくださいよ。
  50. 森まさこ

    森国務大臣 勤務延長についての、任命権者である内閣閣議請議をした時点におきましては、業務遂行上、その継続に重大な支障があるということで閣議請議をいたしました。その当時の判断は適切であったというふうに考えております。  しかし、今となっては、黒川氏が辞任をした以上、東京高検検事長の席が空席になっており、その業務遂行、その継続に重大な支障が生じておりますので、後任を速やかに決定をしたいというふうに思っているところでございます。
  51. 逢坂誠二

    逢坂委員 理由が変わっているのなら、私は、今回は後任が選定できるという意味はわかりますよ。業務遂行上、重大な支障があるという事情は、一月の時点も、今だって何も変わっていないじゃないですか。今まさに答弁したじゃないですか。事情が変わっていないのに、なぜ、前回は余人をもってかえがたしで、今回は速やかに後任を選任できるんですか。合理的な説明をしてくださいよ。
  52. 森まさこ

    森国務大臣 黒川検事長勤務延長については、検察庁業務遂行上の必要性に基づいて、検察庁を所管する法務大臣、私から閣議請議を行い、閣議決定されたものでございます。  他方で、黒川検事長辞職については、先ほど申し上げましたように、黒川検事長緊急事態宣言のさなかに金銭をかけてマージャンを行っていた事実が判明したことを契機に、本人からの辞職申出を承認したものでございますので、勤務延長の、その当時の判断とは直接関係しないものでございますので、御指摘は当たらないものと考えます。(逢坂委員時計をとめてください。答えていない」と呼ぶ)
  53. 松島みどり

    松島委員長 じゃ、時計をとめます。     〔速記中止
  54. 松島みどり

    松島委員長 速記を起こしてください。  続行いたします。逢坂さん。
  55. 逢坂誠二

    逢坂委員 森大臣、私は、黒川さんがやめたから今回後任を選ばざるを得ない状況だということは理解するんですよ。だけれども、一月の時点で、余人をもってかえがたいと言っていた責任者であるあなたが、あの人以外には探せないんだ、だから定年延長するんだと言ったんですよ、平たく言えば。そのあなた自身が、今回、余人をもってかえがたいと言っていたあなた自身が、余人以外の人を探すことはあなたにはできないと私は言いたいんですよ。あなたにできますか。
  56. 森まさこ

    森国務大臣 また過去の一月末の段階の話でございますが、それについては、検察庁業務遂行上の必要性から勤務延長が必要だったというふうにお答えしているとおりでございます。今、黒川検事長辞任によりまさに業務継続的遂行支障が生じてしまっているわけでございますので、速やかに後任を選ぶ必要が生じております。  過去についてお尋ねでございますけれども、その時点においては適切な判断をしたというふうに考えております。今のタイミングとなってしまったからには、その後任について、空席になってしまった東京高検検事長後任を速やかに選任するよう努力をしているところでございます。
  57. 逢坂誠二

    逢坂委員 私が何度も何度も言っているのは、森大臣じゃ後任は選べないでしょうと言っているんです。  一月の時点と今、事情が変わっているのは、黒川さんがやめたということだけなんですよ。業務遂行に重大な支障があるという事情は何も変わっていないんです。そして、あのとき、余人をもってかえがたいと大臣は何度も何度も言った。だから、ほかの人を探せないから勤務延長したんですよ。その大臣が、いやいや違う、黒川さんがやめたからほかの人が探せると。だったら何で一月に探さなかったんですか。何で法の解釈を曲げてまで勤務延長したんですか。人事院うそまがいのことまで言わせて、法の解釈を無理やり変えて、何で一月に定年延長したんですか。そこまでしてやった余人をかえがたい人事が、なぜ今回あなたがその人にかわる人を速やかに探せるんですか。私は、あなた以外の大臣がそこにいて言うのならまだ理解できますよ。  もう一つ言いましょう。実は違うんだ、一月の人事も私が決めたことじゃないんだ、ほかの方々からいろいろアドバイスをもらって決めているから私には一月の人事責任はない、今回もいろいろな人から聞いてやるから私の責ではないんだ、私が決めることじゃないから、いろいろな知恵があるから余人が出てくるんだと言うのなら、それもまだ話はわかりますよ。  一体どっちなんですか。何で今回決められるんですか、大臣が。答えてください。
  58. 森まさこ

    森国務大臣 まず、人事院うそまがいのことまで言わせてということは、事実と違いますので、それは確認させていただきたいと思います。  また、私の閣議請議においての責任については、先ほど申し上げましたとおり、勤務延長について、任命権者である内閣閣議請議をしたのは私でございますので、その点については責任があると思っておりますし、責任を痛感しております。  また、一月末の勤務延長の段階の事柄と、今般の黒川氏が辞任した後の事柄については事情が違いますので、今般は、黒川氏が辞任した中で、検察庁業務遂行のためにその後任を、空席を生じさせているままではいけないということで、任命を急いでいきたいというふうに思っております。  また、人事をするプロセスにおいては、もちろん現場である検察そして法務省の意見を聞いた上で決定しているものでございますが、先ほど言ったように、任命権者である内閣閣議請議をするのは私でございますので、そこに私の責任があるということでございます。
  59. 逢坂誠二

    逢坂委員 まず、人事院のことについて言いますと、人事院は、ずっと解釈の変更はなかったと言っているわけですよ。そして、それを当時の局長が、つい言い間違えたと。あれは、私は、まるでうそまがいのように聞こえましたよ。あんな国会の重要な場で、しかも人事の専門家が、つい言い間違える、こんな答弁をせざるを得ないような状況。私は、だから、うそだとまでは言っていない。うそまがいというふうに言った。  そんなことまでさせて無理強いして、定年延長して選んだ黒川さん。その後任、何であなたに探せるんだと聞いているんですよ。そこを答えてくださいよ。  当時と事情が変わったのは黒川さんがやめたということだけなんですよ、事情が変わったのは。先ほど、交通事故だという例えを与党の筆頭理事がされたようですが、要するに、突然人がいなくなった、だから人はかえなきゃいけない、その事実はわかりますよ。でも、それ以外の事情は何も変わっていない。その状況の中で、何で、一月に余人をもってかえがたしと言っていたあなたが余人を探せるんだと私は聞いているんですよ。
  60. 森まさこ

    森国務大臣 人事院という他の機関の答弁については私の関与はないことは申し上げておきます。  また、人事については、先ほどから申し上げてきましたとおり、特に検察については、現場の意見そして法務省人事案に基づいて私が閣議請議をするという責任において決めておりますので、今般の黒川氏の辞任に伴う後任の選任についても速やかに決定していきたいと思っているところでございます。
  61. 逢坂誠二

    逢坂委員 大臣という職においては、私はそれは正しいと思いますよ。空席が出たから速やかに後任を選任するというのは正しいと思いますよ。ただ、それは森大臣にはできないと私は言っているんですよ。一月に、できないと言っていたんですから、この人以外の人事は。何で森大臣にできるんだと私、何度も何度も聞いているんですよ。この点、答えてください。森大臣ができる理由を教えてください。
  62. 森まさこ

    森国務大臣 一月の末の時点とはまた状況も変化をしており、今は、黒川検事長辞任をした段階においてその空席について後任を定めるため、事務方の意見を聞きながら決めていくということでございます。
  63. 逢坂誠二

    逢坂委員 それじゃ何で一月の時点事務方の意見を聞かなかったんですか。今回は事務方の意見を聞いて黒川さんの後任を決めるんだと。検察庁における重大事案があって大変な状況だという事情は変わっていないと。一月も今もその状況は一緒なんでしょう。だったら何で一月に事務方の意見を聞いて決めなかったんですか。余人をもってかえがたいなんということを言い続けたんですか。今回、事務方の意見を聞くんだったら、一月だって同じことはできたじゃないですか。どこが事情が違っているんですか。
  64. 森まさこ

    森国務大臣 今まで国会答弁しておりますが、一月末も事務方が持ってきた人事案でございます。
  65. 逢坂誠二

    逢坂委員 結局、それじゃ無責任ということじゃないですか。何か問題が起きたときは自分では責任はとらないし、事務方が持ってきた案だと。先ほど来、階さんも言っていましたよ、黒川さんの適格性をちゃんと調べていたのかどうか。十分調べていない。そして、今この時点に及んでも調査をしっかりしようとしていない。そういう責任者が、事務方が持ってきたものを単に閣議請議をやるための責任者だと。  責任はあるんじゃないですか、そういう人事になってしまった、こういう事態を引き起こしてしまった。ないんですか、そこは。
  66. 森まさこ

    森国務大臣 責任があるということは申し上げております。  また、事検察人事に当たっては、検察の現場そして法務省の意見を私は尊重しておりますので、その意見を聞いて、閣議請議責任を持った上で決定をしているということでございます。
  67. 逢坂誠二

    逢坂委員 それじゃ、一月の定年延長のときも、余人をもってかえがたいという判断をしたのは森大臣ではないということでよろしいですか。
  68. 森まさこ

    森国務大臣 判断については、閣議請議書に書いてありますけれども、業務継続に重大な支障を生じることがないようにという、東京高検内の重大、複雑な事案に対処するための指揮監督に必要である、そういう理由について、事務方の意見を踏まえて閣議請議判断をしたのは私でございます。
  69. 逢坂誠二

    逢坂委員 閣議請議判断をしたのは森大臣だということは形式上わかります。しかしながら、黒川さん以外に東京高検検事長がいないんだという原案を持ってきたのは事務方だということでよろしいですか。
  70. 森まさこ

    森国務大臣 いないとかは書いてございませんけれども、先ほど申し上げたことを正確に申し上げますと、閣議請議書に書かれてあるとおり、東京高検検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するためには、同高等検察庁検事長黒川弘務の検察官としての豊富な経験、知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、同人には、当分の間、引き続き同検事長の職務を遂行させる必要があるということを、事務方の持ってきた案に基づき、私が閣議請議決定したものでございます。
  71. 逢坂誠二

    逢坂委員 大臣、それじゃ、今回も、当分の間、引き続き検事長の職務を遂行させる必要があるという判断をした事務方に話を聞いて後任を決めるということですか。今度は、引き続きこの方にやらせなきゃだめなんだといって、余人をもってかえがたいと言ったのが、別の人がいるんだということは、事務方が上げてくるということですね。だったらなぜ一月同じことをやらなかったのかということをあわせて聞きます。
  72. 森まさこ

    森国務大臣 人事の具体的なプロセスについては詳しくお答えすることは差し控えさせていただきますが、先ほど御答弁したとおりでございまして、事検察人事に当たっては、現場の意見を尊重しております。今度の後任も速やかに決定をする必要がありますので、法務省事務方の意見を聞いて速やかに決定したいと思います。  また、一月についてのお尋ねでございますけれども、一月は、そのときは現在と事情が異なっておりました。現在は、黒川検事長辞職したということで、黒川検事長検事長の席に今いない、そこが空席になっているという状況の中で、辞職手続中でございました、済みません。失礼いたしました。辞職をしたということに、空席になれば、その後任を速やかに決定しなければならないという中で、事務方と相談をして、速やかに私が閣議請議判断をしたいと思っているところでございます。
  73. 逢坂誠二

    逢坂委員 ということは、今回のこの人事に関しては、大臣は事実上の責任はないんだと。形式上の責任はありますよ。閣議請議をやっている責任者ですから。でも、実際に決めているのは、全て私じゃないところで決めているんだから誰が大臣をやっても同じだというふうに、私には聞こえるんですよ。  あれほど歴史上初めて国家公務員法の解釈を変えて、そしてこれほど世間を騒がせた定年延長をやって、それがだめになった。その当の本人が、私は改めて新しい人を選任できるなんて思えないんですよ。何で今回また同じ失敗をやろうとしているんですか。  だから私は、森大臣能力、それは私はわかりません。でも、要件を欠いている。一度、定年延長において失敗をしているわけですよ。人選において失敗をしているわけですよ。それも、単なる小さな失敗ではない。そのあなたが、もう一回、余人をもってかえがたいなんというその人事を、余人を探すなんてことはやらない方がいい、やれるかやれないかではなくて、やらない方がいい、やめた方がいい、私はそう言っているんですよ。
  74. 森まさこ

    森国務大臣 形式上の責任と事実上の責任というふうにおっしゃいましたけれども、分けることはできず、私に閣議請議責任があるというふうに申し上げております。その上で、適切な人事を行いたいと思います。
  75. 逢坂誠二

    逢坂委員 どうして今度適切な人事が行えるということが言えるんですか。本来、節度ある立場だったら、大変なことになってしまった、歴史上ない法律解釈変更までしてしまった、その結果、断行したことがこんな結果になってしまった、だから私は今回大臣の職を辞す、それが当たり前のことなんじゃないですか。なぜ、もう一回人を選べるんですか。そこが私にはわからない。  私は、だから、さっき、形式上の責任はあるけれども事実上の責任大臣にはないんですねということを、ある種、譲って言ったつもりなんです。形式上の責任も事実上の責任もあるんだったら、前回の人事の失敗で責任をとらなきゃいけない。そうなんじゃないですか。
  76. 森まさこ

    森国務大臣 解釈変更と個別の人事は別であることをまず申し上げておきます。  また、この個別の人事については、その当時において、情報に基づいて適切な判断をしたものと思っております。  そして、今般の黒川氏の職務以外の個人的な時間の中での非違行為については処分をし、そして、後任を速やかに決めていきたいと思っております。
  77. 逢坂誠二

    逢坂委員 後任を速やかに決める必要は、私はあると思っています。それと、法の解釈変更と個別の人事は関係ないことは私も理解はしますけれども、ただ、理解はしますが、今回の法の解釈変更以降、このことが適用されたのは黒川さんの件だけです。法の解釈変更以前、こんなことをやろうといった案件もただの一件もありません。ただ黒川さんの一件だけなんですよ。だから、今回の法の解釈変更は、イコール黒川さんのための法の解釈変更というふうに言わざるを得ない、事実上。それじゃ、これからまた勤務延長定年延長をやるんですか。  それよりも何よりも、今回適切に人を選べるというその論拠を明確に言ってくださいよ。
  78. 森まさこ

    森国務大臣 将来の人事について仮定の御質問にお答えすることはできませんが、今後も人事は適切に、必要に従って行われていくものと考えております。  また、検察信頼回復のために、今空席になったこの東京高検検事長後任を速やかに選任するということで法務大臣の務めを果たしていくこととしたいと思います。
  79. 逢坂誠二

    逢坂委員 何度も繰り返します。速やかに選ぶ必要は、私はあると思っていますが、なぜ適切にあなたが選べるんですかと私は聞いているんです。同じ質問、繰り返しです。  そして、将来選べるかどうかはそれはわからないと言いましたけれども、これから選ぶことも将来のことですから。あす選ぶのか、きょうの午後選ぶのかわかりませんけれども、なぜそれをあなたが適切に選べるんですか。一月の人事で失敗しておいて。やるべきではないと私は思いますよ。
  80. 森まさこ

    森国務大臣 繰り返しになりますが、今回の事態を受けて、私は法務大臣として責任を感じたところから、総理に対し進退伺をしたところ、総理から強く慰留されたわけでございます。検察信頼回復と立て直しのために尽力をしてまいりたいと思います。その中で、この空席については適任者を選任してまいりたいと思います。
  81. 逢坂誠二

    逢坂委員 森大臣検察庁後任人事について適任者を選べるというその確証が全く得られなかった、私はきょうの答弁を感じてそう思います。そういう意味からも、森大臣には、進退伺ではなくて辞任を申し出るということを強く申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  82. 松島みどり

    松島委員長 次に、山尾志桜里さん。
  83. 山尾志桜里

    ○山尾委員 山尾志桜里です。  森大臣に伺います。  私は、この問題を取り上げ続けてきて、できるだけその間、黒川検事長という人的な要素には、やたらには触れないようにしてきました。それは、人に注目してさまざまな報道ベースで法務委員会で意見交換するよりは、やはり制度の話として、きちっといい制度を組み立てていきたいというふうにずっと思っていたからです。  きょうの質問に当たっても、そういった制度論を、検察の独立を維持しながらどうやって独裁を歯どめられるのか、そういう制度論を話したいと思って準備をしておりましたが、こういう状況になって、結局、そういう属人的な、報道に基づいた事実関係を法務大臣と意見交換する時間にこの委員会を使わなきゃいけないということの責任は、私は法務大臣にあると思っています。本当に抗議したいと思っています。  その上で、仕方ないので、最初にこの黒川検事長処分の問題を話しますけれども、森大臣、伺います。  今、個人的な時間においての非違行為とおっしゃっていましたけれども、このかけマージャンの時間帯が個人的な時間なのか、あるいは一定程度公務と評価すべき時間帯なのか、森大臣はどういう基準で、これを個人的な時間というふうにおっしゃったんですか。
  84. 森まさこ

    森国務大臣 職務行為の時間以外という意味でございます。
  85. 山尾志桜里

    ○山尾委員 新聞記事によりますと、かけマージャンの後のハイヤーの中が主な取材の時間であったというような記事も出ておりますし、森大臣、個人的な時間だというふうにおっしゃるのであれば、このかけマージャンをめぐる前後の時間帯も含めて、そういった、黒川検事長検事長という立場で取材に応じるようなことはなかったというような事実認定をされているんですか。
  86. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  私どもの調査結果におきまして、取材行為に応じたか否かという点については事実の認定をしておりません。
  87. 山尾志桜里

    ○山尾委員 事実の認定をしていないんだから、本当に個人的な時間の使い方だったのか、検事長としての取材を受けた、一定程度検事長としての公務の遂行にかかわる時間帯だったのか、森大臣、そこは判断できないんじゃないですか。  判断、もうされているんですか。個人的な時間だったと。それが森大臣の認識でよろしいですか。森大臣の認識です。
  88. 森まさこ

    森国務大臣 私は、検察庁に登庁している職務時間以外の行為であっても、東京高検検事長たるもの、公私を問わず国民から疑念を問われないように自分自身を律して行動していくものと思っておりますので、そういう意味で今回の処分もしたものでございます。
  89. 山尾志桜里

    ○山尾委員 要するに、今回のこの事実認定された中でのかけマージャンが行われた時間帯というのは、さっきおっしゃったように、これは個人的な時間だというのが法務大臣の認識ということでよろしいですか。
  90. 森まさこ

    森国務大臣 職務時間外という意味でございます。
  91. 山尾志桜里

    ○山尾委員 森大臣、本当に答弁が、申しわけないけれども、大事なところで言葉遣いが物すごく軽いので。これは個人的な時間なのかどうかというのは一つ大きなことでしょう。勤務時間外だという意味なら、勤務時間外だというふうにおっしゃればいい。  個人的な時間なのか、取材に応じて検事長としての立場、一定の公務の遂行が行われていたのかということは、これは、今、川原刑事局長によると、まだ事実認定していないということでした。(発言する者あり)そうなんですよ。再調査必要性がいろいろな面であるんですけれども、これ、再調査していただけますか。
  92. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  再調査につきましては、先ほど大臣答弁されたとおりでございますが、今回、処分をするに必要な調査は行ったものと認識しております。
  93. 山尾志桜里

    ○山尾委員 取材が行われていたかどうかは処分認定するのに不必要だという答弁でありました。  大臣、今回、訓告にされたわけですけれども、これは何をもって訓告にしたのかということを聞きたいんですけれども。一つ、違法にもなり得るかけマージャンをしたということ。二つ目、特定のメディアと不適切な癒着があったのではないかということ。三つ目、自粛中にいわゆる三密活動をしたということ。あるいはその他もあるかもしれないですけれども。何を訓告の対象としたんですか。
  94. 森まさこ

    森国務大臣 黒川検事長については、東京高等検察庁検事長という立場にありながら、緊急事態宣言下の令和二年五月一日と同月十三日の二回にわたり、報道機関関係者三名とマンションの一室で会合し、金銭をかけてマージャンを行っていたことが調査により判明をいたしました。  これらの事実関係が認められたことから、昨日、検事総長から、監督上の措置として訓告とされたものと承知をいたします。  それ以上の詳細については、事務方から説明させます。
  95. 山尾志桜里

    ○山尾委員 そうすると、このかけマージャンの話、そして三名の記者というふうに、やはり記者との関係の話、ここはやはり焦点になってくるわけですね。  そうすると、このかけマージャンの一定程度常習性の有無、あるいは特定のメディアとの不適切な癒着の固定化や常態化、やはり程度の問題が私は大変に大事だというふうに思うので、そこをしっかりと調査をしていただきたいんですけれども、この点、調査の手法についてですので刑事局長でも構いません、お伺いをいたします。  まず、今回の調査の中で、今、黒川さんへのヒアリングと各種報道というふうに大臣が言いましたけれども、黒川さんへのヒアリングは、いつ、何回されたんですか。
  96. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  今回の調査は今月十九日火曜日から開始をしておりまして、昨日調査結果を取りまとめるまでの間にわたりまして、事務次官が必要に応じて複数回にわたり聴取をしているところでございます。  以上でございます。
  97. 山尾志桜里

    ○山尾委員 何回聞き取りをされて、それは延べ何時間なんですか。
  98. 松島みどり

    松島委員長 川原局長、なお、済みません、マスクの下なので、言語明瞭になるように気をつけて発言してください。
  99. 川原隆司

    川原政府参考人 申し上げます。  私どもから申し上げる調査内容としては、複数回にわたり聞き取りをしているということでございます。(山尾委員「ちょっと時間とめてください。簡単な質問です」と呼ぶ)
  100. 松島みどり

    松島委員長 じゃ、とめてください。     〔速記中止
  101. 松島みどり

    松島委員長 復帰させてください。
  102. 川原隆司

    川原政府参考人 まず、今、私も承知している範囲でお答えできる範囲をお答え申し上げますが、黒川検事長からの聴取につきましては、面談、直接面談のほか、電話というのもございまして、その全てについて、その全てを含めて何回だというところまで私は事実に関する資料を持っているところではございません。ただ、必要に応じて電話や面談という形で聞き取りをしたということでございます。(発言する者あり)
  103. 松島みどり

    松島委員長 とめてください。     〔速記中止
  104. 松島みどり

    松島委員長 速記を起こしてください。  今の詳しい中身については、後刻理事会で協議して、質問要項を細かく詳しく出して、それに対してはきちっと答えられる態勢にしてください。
  105. 山尾志桜里

    ○山尾委員 それでは、その複数回というのは後で明らかになるということですけれども、手元に、これは産経新聞なんですが、これも刑事局長で結構です、この産経新聞の件を、ちゃんと黒川さんに、これは事実なのか、違うならどこなのかということをヒアリングしたのかどうかということを聞きたいんです。  このエッセンスは、この記者の二人が数年前からかけマージャンを続けていた、一カ月に数回のペースであり、宣言後も五回程度であり、いずれも金銭のやりとりがあり、そしてハイヤーを利用して、主にこの車内で取材を行っていたと。こういうことを、これは事実かどうかわかりませんよ、ただこの新聞社はその記者からの聞き取り内容と社内調査内容ということで上げているんですけれども、この事実については黒川さんに当てたんですか。当てたとしたら、それに対してはどういうお答えだったんですか。
  106. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  調査結果は昨日取りまとめたわけでございますが、その場での時点におきまして、朝日新聞あるいは産経新聞から、それぞれの社における調査の状況であるとか、この事案に対してどういうことかというようなコメントが出ておりますので、それを念頭に置いた聴取は当然にしているところでございます。
  107. 山尾志桜里

    ○山尾委員 じゃ、何という答えだったんですか。聞いたのなら、何という答えだったんですか。
  108. 松島みどり

    松島委員長 局長、その調査をしてどのような回答が得られたか、答えられますか。
  109. 川原隆司

    川原政府参考人 そのような聴取の結果、まず、先ほど大臣処分対象事実として答弁申し上げましたけれども、ことしの五月一日、それから十三日、これは日をまたいでいますので、ころと申し上げますが、それぞれ産経新聞記者らと黒川検事長がかけマージャンを行った事実、それから、帰宅の際にそのハイヤーに同乗した事実というのは認められております。  そのほか、黒川検事長にその余のマージャンハイヤー送迎の事実ということも当然確認をしたところでございますが、その結果、黒川検事長からは、今回の五月一日あるいは十三日のメンバーとされています記者三人と、約三年前から月一、二回程度、同様なかけマージャンをやっていたということ、あるいは、帰宅の際に、記者が帰宅するために乗車するハイヤーに同乗したというような聴取結果を受けておるところでございまして、そういう調査結果になってございます。
  110. 山尾志桜里

    ○山尾委員 そうすると、黒川さん自体、三年前から特定の記者と月一、二回程度かけマージャン継続しており、およそ、ハイヤーの接待も受けていたということは認めているという話だったんですけれども、森大臣、それなのに、なぜ懲戒ではなくて訓告なんですか。
  111. 森まさこ

    森国務大臣 事案内容と諸般の事情を総合的に考慮し、適正な処分を行ったものでございます。
  112. 山尾志桜里

    ○山尾委員 森大臣説明する意欲を今突然なくした答弁なわけですけれども、検察信頼を回復させるために、本当はやめたいけれども残るんでしょう。だったら、ちゃんと答弁してくださいよ。  階さんの資料にあるように、人事院指針は、賭博をしただけでも減給又は戒告、常習だったら停職。ちゃんと国公法上に位置づけられた、そういった処分が決められているわけですよね。ましてや、黒川さんは検察官ですよね、検事長ですよね。戦後初めて定年延長されて、余人をもってかえがたいと評価された検察ですよね。その人がこうやってみずから三年前からのかけ賭博を認めている状況が明らかになっていて、どうして国公法にも当たらない訓告で足りると考えたのか、実質的な理由をきちっと国民の前で説明してください。
  113. 森まさこ

    森国務大臣 丁寧に御答弁を申し上げてまいります。  事案内容と諸般の事情を総合的に考慮したというふうに申し上げましたけれども、前例でかけマージャンについて問題になった事案でありますとか、さまざまな事案参考に、今回の事案の諸般の事情を考慮し、例えばレートでありますとか本人の態度等を総合的に考慮し、処分したものでございます。
  114. 山尾志桜里

    ○山尾委員 じゃ、レートはどうだったんですか、態度はどう認定されたんですか。大臣でも刑事局長でも結構です。
  115. 川原隆司

    川原政府参考人 今大臣が今回の処分を決めた理由について概略は御答弁されましたが、私、もうちょっと詳しく御答弁をさせていただきたいと思います。  まず、マージャンの関係でございますが、今回の一連のマージャン行為、すなわち、先ほど申し上げました、ことしの五月の一日と十三日以外は、そういった状況でマージャンを行っていたということは認められるんですが、具体的な日付を特定して事実の認定をするには至っておりません。  ただ、そういった状況だったということを認定して、その中で、そういったことも考慮して処分を決めているわけですが、そういった中の処分対象事実のあった五月一日、十三日のマージャンというものにつきましては、これは旧知の間柄の間で、レートはいわゆる点ピン、これは具体的に申し上げますと、マージャンの点の千点を百円と換算するものでございまして、これは、もちろんかけマージャンは許されるものではございませんが、社会の実情を見ましたところ必ずしも高額とまでは言えないレートでやったということを考えたもの……(発言する者あり)ですから、許されるものではありませんがということで、それで処分をしているものでございますが、その処分の量定に当たっての評価でございます。  さらに、山尾委員ハイヤーの問題をおっしゃっておられますが、これにつきましては、五月一日あるいは十三日ころに、この記者の一人の家でマージャンを行った後に、その家に住んでいない記者が手配したハイヤーに同乗して帰宅しておりまして、またその料金は黒川検事長において払っていないものでございますが、このハイヤーは、黒川検事長個人のために手配をされたハイヤーを利用したというものではなく、記者が帰宅するハイヤーに同乗したものであったと認められることなどから、社会通念上相当と認められる程度を超えた財産上の利益の供与があったとまでは認められませんでしたので、こちらの方は処分の対象事実としておりません。  その上で、黒川検事長はこれまで懲戒処分等を受けたことがない、あるいはその余の先例、本件以外のこれまでの先例など、そういったものを総合的に考慮いたしまして、今回の訓告という処分にしたものでございます。
  116. 山尾志桜里

    ○山尾委員 まともな調査も尽くさずに、出てきた表面上の事実をピックアップして、そして人事院の基準よりもよほど軽い処分で終わらせて、それについての理由説明しないという状況で、法務大臣、どうやって森大臣自身検察信頼を回復するつもりなんですか。
  117. 森まさこ

    森国務大臣 人事院の基準については、それに当てはめる過去の先例等も調べた上で、法務省においては、かけマージャンについては、この賭博による減給又は戒告に当てはめられたことはないわけでございますけれども、懲戒処分以外の処分を受けている例等がございますが、そういったものも参考にしつつ、今回の、先ほど言ったレートでありますとかその他の事情を考慮して処分を決めたものでございます。
  118. 山尾志桜里

    ○山尾委員 法務大臣、確認したいんですけれども、今されている事実認定において、この黒川検事長のかけマージャンが、罰金五十万の賭博罪とか、あるいは懲役三年もあり得る常習賭博罪、こういった罪で可罰的違法性が存在する可能性はあると考えているんですか、ないと考えているんですか。
  119. 森まさこ

    森国務大臣 今委員より、刑法賭博罪の成否についての御質問があったと承知しますが、刑事処分については捜査機関が法と証拠に基づいて判断するものでございまして、法務省としてお答えをする立場にございません。
  120. 山尾志桜里

    ○山尾委員 私、まず、ちょっと一点お願いしたいのは、調査結果ということで一、二、三、四と出ているんですけれども、今、これの、書かれていない調査結果というものもそれぞれの答弁から出てきましたので、ちゃんとその調査結果を紙にまとめて提出していただけますか。
  121. 松島みどり

    松島委員長 後刻、理事会で協議します。
  122. 山尾志桜里

    ○山尾委員 制度論に入れませんでしたけれども、森大臣、最後にお尋ねをしたいと思います。  森大臣、今回、責任を痛感していると言っている。私も本当にそう思いますよ。検察官逃げたを始めとする森発言で、検察官の信頼を失墜させたのは森大臣だと思いますし、あるいは、森大臣自身の、戦後初めての定年延長人事は大失敗に終わっているわけです。しかも、その失敗を、その当時の判断としては正しかったというふうに、認めていないわけですから、これからも同様の失敗をされると思います。  そういう意味で、森大臣、御自身責任のとり方は、大臣をやめること以外にどういう責任のとり方があり得ると考えているんですか。最後にお答えください。教えてください。
  123. 森まさこ

    森国務大臣 私自身の職責について御質問をいただきましたが、私自身は、今般の事柄について大変遺憾であると考えておりまして、責任を痛感しております。  安倍総理に対して進退伺を出したところでございますが、今後の検察信頼を回復するように、また、後任を速やかに選ぶようにという御指示を受けて、つらい道ではございますが、職責に当たるということを決めたわけでございますので、信頼を回復するため、全力で努めてまいりたいと思います。
  124. 山尾志桜里

    ○山尾委員 みずから全うできる自信のない大臣法務大臣を続けさせるほど、やはり日本の社会はそんなに待っていられない状態だと思いますので、ぜひ考え直していただいて、御自身辞任をしていただきたいということを強く要求して、終わりたいと思います。
  125. 松島みどり

    松島委員長 次に、日吉雄太さん。
  126. 日吉雄太

    ○日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。  それでは、早速質問をさせていただきます。幾つか事実確認をさせていただきます。  黒川氏が辞表を提出されましたけれども、何が問題で黒川氏は辞表を提出されたんでしょうか。
  127. 森まさこ

    森国務大臣 辞任というのは本人判断に基づくものでございますので、私からお答えすることは差し控えますけれども、本人から辞表が出されたものでございますので、それを尊重して受け取ったということでございます。
  128. 日吉雄太

    ○日吉委員 その辞表、辞任理由というのは明らかにできないということなんですけれども、黒川本人の思いというのはわからないんですけれども、それを、大臣は慰留することなく認めたわけですけれども、大臣が認めた理由は何ですか。
  129. 森まさこ

    森国務大臣 黒川氏については、緊急事態宣言下におきましてかけマージャンをしていた等の行動は、東京高検検事長として、また一検察官としても、緊張感に欠け、軽率に過ぎるもので、まことに不適切であると考えております。  私としては甚だ遺憾なものと思っておりますので、辞職の願いを受けて辞表を受け取ったということでございますが、任命権者内閣でございますので、閣議において処理をされることになっております。
  130. 日吉雄太

    ○日吉委員 今大臣は、甚だ遺憾で、そして責任も痛感しているということなんですけれども、それで進退伺総理に提出した、それほどの重いことなんですけれども、それにもかかわらず、なぜ黒川氏には訓告なんですか。
  131. 森まさこ

    森国務大臣 黒川氏の処分につきましては、法務省における調査の結果を踏まえて、総理大臣に報告をし、内閣そして検事総長の方で決定したということでございます。
  132. 日吉雄太

    ○日吉委員 不適切な理由として、緊急事態宣言下の中でかけマージャンをして、そして記者との供応接待があった、こういうことを判断されているわけなんですけれども、その中で、先ほど来議論になっているところで、かけマージャン常習性というところが議論になっていますけれども、これは、常習性はあったとは今認めていないということでいいですか、もう一度確認です。
  133. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  今回の常習性というのは、人事院処分指針における常習性でございますので、必ずしも常習賭博罪の常習とは違う局面でございますが、その解釈参考になるということで、常習性についてどう考えるかということでございますが、一般に賭博を反復累行するような習癖が存在するというところでございますが、今回の調査結果では、そういった賭博を反復累行する習癖までは直ちに認定できなかったということでございます。  ただし、今回の処分に当たりましては、常習性という評価はともかくも、黒川検事長複数回にわたってかけマージャンを行っていたという事実は踏まえた上での処分でございます。
  134. 日吉雄太

    ○日吉委員 常習性は認められなかったけれども、じゃ、常習性はなかったと判断しているんですか、現時点で。
  135. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  認められなかったということでございますが、若干理屈のような答弁で申しわけございません、常習性というのは、その事実としてあるかないかということでございますが、手続においてあるかないかということは、結局は各種資料証拠からそのような事実認定ができるかということでございますので、私どもは、手続における認定として常習性認定していないということでございます。
  136. 日吉雄太

    ○日吉委員 常習性認定していないんですけれども、常習性がないとは断言、断定はしていないということでいいわけですよね。
  137. 川原隆司

    川原政府参考人 先ほどの御答弁を踏まえて申し上げますが、私ども調査の結果、常習性認定できないということは、その調査結果によれば常習性があったとは言えないということでございます。
  138. 日吉雄太

    ○日吉委員 ということは、もっと調査をすれば認定できるかもしれない、そういうことですよね。  ですので、委員長、お願いですけれども、再調査をして、理事会に提出していただき、そしてそれに基づいて、もう一度質疑をやっていただくよう検討いただけませんでしょうか。
  139. 松島みどり

    松島委員長 後刻、理事会で協議いたします。
  140. 日吉雄太

    ○日吉委員 そして、もう一つ。訓告なんですけれども、人事院の規則によれば、かけマージャンをしたという事実で、例として、懲戒処分指針においては、賭博をした職員は減給又は戒告とするとなっているんですけれども、総合的に判断をして訓告にしたと大臣はおっしゃいましたけれども、そういう例外的な、この規定に反する総合的な判断をしていいという、何か根拠はあるんですか。
  141. 川原隆司

    川原政府参考人 人事院が定めた指針の位置づけでございますけれども、私から御答弁させていただきますが、御指摘の人事院処分指針は、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものでありまして、必ずしも記載された処分どおりにしなければならないというわけではございません。賭博の場合であれば、かけ金の額、また、賭博の、どのような環境で行われたか等を考慮して決することになることでございますので、その指針と異なった処分というのは許されているところでございます。
  142. 日吉雄太

    ○日吉委員 ただ、今、常習性があるかないかというところが議論になっていて、賭博自体はやったということはもうわかっているわけなんですよね。それで、一般的な指針として、賭博をしたということになれば減給又は戒告であって、常習性があればそれは停職とするというふうになっているわけですよね。ハイレベルなところで議論がなされているにおいて、これが総合的に判断して訓告という、戒告よりも低い処分でいいというのは、どう考えても、常識的にも誰も納得しないと思うんですけれども、大臣、これはどう考えますか。
  143. 川原隆司

    川原政府参考人 委員の御質問は、まず、常習性があるのではないかというところからでございます。常習性がどういうものかというのは、先ほど、私、御答弁させていただきました。  さらに、繰り返しになりますが、刑事における考え方が参考になりますので、常習性をどのように認定するのかというところでございますが、刑事におきましては、常習性というのは、すなわち、慣行的に賭博行為をする習癖は、現に行われた賭博の種類、これは、賭博というのはいろいろな種類がありますので、その賭博の種類であるとか、かけ金の多寡、賭博が行われた期間、度数、前科の有無等、諸般の事情を総合的にしんしゃくして判断されるというものでございます。  賭博の中には、さいころを使ってやるものもあれば、今回のようなマージャンもありまして、賭博の種類というのはそういうのを言っているものでございますが、そういったものでやっておりますので、その結果、先ほど申し上げましたように、今回のものにつきましては常習性認定できない、すなわち、調査結果によれば常習性があったとは言えないということで、それを前提に判断をしております。  ただ、これも繰り返しになりますが、だからといって、処分対象事実にあるような、五月の一日あるいは十三日のたった二回だけしか黒川氏はかけマージャンをしていないという事実を前提にしておるのではなく、先ほど申し上げましたように、複数回、今回のメンバーとかけマージャンを行っていたという事実も踏まえまして、事案を、先ほど来大臣が御答弁されているような形で総合的に考慮して、今回の処分に至ったものでございます。
  144. 日吉雄太

    ○日吉委員 三年前から月に数回かけマージャンをやっていた、これも考慮した結果、訓告なんですか。
  145. 川原隆司

    川原政府参考人 繰り返し申し上げますが、今御指摘がありましたように、具体的な行為の日時の認定までは至りませんでしたが、黒川検事長供述などに基づいて認定した、約三年前から一カ月に一回か二回程度かけマージャンをやっていた、こういった事実関係は、今回の処分に当たって前提となっているものでございます。
  146. 日吉雄太

    ○日吉委員 調査はもっとしていただきたいということで、先ほどの、再調査をしていただくということで、もう一つお伺いいたします。  国家公務員倫理規程で供応接待を禁止していますけれども、倫理規程の違反があったということは、これは認定しているということでよろしいですか。
  147. 川原隆司

    川原政府参考人 委員のお尋ねはハイヤーの関係であろうと思いますので、その点について御説明申し上げますが、調査の結果、かけマージャンをしたとされる五月一日ころあるいは十三日ころに黒川検事長記者が帰宅するハイヤーに同乗して自宅に帰ったという事実、そしてこの料金は払っていないという事実はございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、このハイヤーというのは、黒川検事長のために手配をされたハイヤーを利用したというものではありませんで、記者の一人が帰宅するそのハイヤーに同乗したというものでございます。  したがいまして、その余の機会に同様にハイヤーに乗車した事実も認められるところでございますが、これらを総合した上で、記者は利害関係者ではございませんので、社会通念上相当と認められる程度を超えた財産上の利益の供与があったとまでは認められないということで、これは処分対象事実としてはおりません。
  148. 日吉雄太

    ○日吉委員 それは、最近のこの一回、二回についての調査を行った結果、処分の対象としていないということでよろしいですか。
  149. 川原隆司

    川原政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、まず、五月一日と十三日はそういうことであった。黒川検事長は、先ほど申し上げていますように、その余のかけマージャンの機会にも同様にハイヤーを利用したことがあったということでございます。そういった全体を見た上で、今申し上げた理由によって、倫理規程違反の事実はなかったものと考えております。
  150. 日吉雄太

    ○日吉委員 じゃ、三年前からハイヤーに乗っていました、このとき、黒川氏のためにハイヤーが用意された、こういう事実はあったんですか、なかったんですか。
  151. 川原隆司

    川原政府参考人 調査の結果認められる事実は、記者が帰宅するハイヤーに同乗したということであり、そのハイヤー黒川検事長個人のために手配されたものではなかったということでございます。
  152. 日吉雄太

    ○日吉委員 それは過去三年さかのぼってそういうふうに認められたものはなかったということでいいですか。期間について。
  153. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  五月一日、十三日以外の事実につきましては、まず、事実を特定して認定することは困難でございまして、しかも月一、二回ということで、トータルとして本当に何回になるのかというところは、全体として細かくわからないところでございますが、調査によりますと、黒川検事長がこのような形でハイヤーを利用したときは、先ほど来申し上げておりますように、黒川検事長個人のために手配したものではなく、記者が帰宅するハイヤーに同乗していたものであったと認定しているところでございます。
  154. 日吉雄太

    ○日吉委員 細かく日時がわからない中で正確に認定できるわけがないので、ここの部分についても再調査をお願いしたいと思います。  委員長、お願いします。
  155. 松島みどり

    松島委員長 後刻、理事会で。
  156. 日吉雄太

    ○日吉委員 大臣にお伺いします。  大臣責任を痛感していますということなんですけれども、何に対して責任を痛感しているのか。黒川氏に法令違反が幾つかあるかと思われますけれども、その大臣の痛感している責任、これが何なのかを明確にお答えください。
  157. 森まさこ

    森国務大臣 黒川氏においては、法務省の所管する検察庁の中の東京高検検事長という立場にございます。この東京高検検事長という職にありながら、金銭をかけたマージャンを行い、また、それが緊急事態宣言下、広く国民に対して外出自粛等が呼びかけられていた中でございました。また、法務省からも、法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針が発出され、法務検察職員においては、これらを踏まえた行動を、私、法務大臣から求めていた時期でございました。とりわけゴールデンウイーク直前には、私から、法務検察職員においてこれらの指示を徹底するように改めて指示をしていた時期でございまして、黒川検事長による行為はまことに不適切であり、甚だ遺憾でございます。  国民の皆様に不安を与え、検察及び行政に対する信頼を損ないました。法務大臣として、責任を痛感しております。
  158. 日吉雄太

    ○日吉委員 信頼を損なったということなんですけれども、黒川氏、結果として不適格だったということがわかったわけですけれども、この黒川氏を任命した、これに対して、適格性があったかないかだとか、そこの手続について問題があったのではないか、どうか。これについて、大臣責任は感じていないんですか。
  159. 森まさこ

    森国務大臣 任命権者内閣でございますが、私がその内閣に対して、閣議をしてくださいという閣議請議を行いました。その閣議請議責任を感じております。
  160. 日吉雄太

    ○日吉委員 閣議請議責任を感じていますと。  どういうふうにこの黒川氏の適格性を判断されたんですかね。どういう調査をして、黒川氏が適切な人だというふうに判断されたんですか。
  161. 森まさこ

    森国務大臣 人事の詳しいプロセスについては差し控えさせていただきますが、閣議請議資料に記載されておりますとおり、黒川検事長について、東京高検検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するために、同高等検察庁検事長黒川弘務の検察官としての豊富な経験、知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、同人には、当分の間、引き続き同検事長の職務を遂行させる必要があると認定したものでございます。
  162. 日吉雄太

    ○日吉委員 結局、資格がないということじゃないですか。  例えば、この黒川さんの評判を聞いたとか、これだけ問題があるかないかというような調査をしたとか、そういった、検事長になられる方ですから、清廉潔白な人なのかどうかとか、何かないのか、こういったことを通常調べるんじゃないんですかね。それはどうやって調べたんですか。
  163. 森まさこ

    森国務大臣 詳しい過程は差し控えますが、人事案を事務方トップである事務次官が私のところに持ってきた際に、必要な報告を受けたものでございます。
  164. 日吉雄太

    ○日吉委員 じゃ、必要な報告を受けたんですけれども、そこで問題ないと大臣はどうやって判断されたんですかね。
  165. 森まさこ

    森国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、事務方の方が持ってきた資料に基づき、必要な判断をしたものでございます。
  166. 日吉雄太

    ○日吉委員 じゃ、その判断が間違ったわけなんですけれども、どこが問題でその判断を間違ったんですか。
  167. 森まさこ

    森国務大臣 勤務延長につきましては、先ほど述べましたとおり、東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するためのものでございますので、そこに必要であるかどうかということを資料に基づき判断したものでございます。
  168. 日吉雄太

    ○日吉委員 委員長、答えていませんので、もう一回。  どこに問題があって判断を間違えたのか、その大臣判断を間違えた要因、原因は何か、これを聞いているんです。
  169. 松島みどり

    松島委員長 では、大臣、今の質問に答えてください。
  170. 森まさこ

    森国務大臣 判断を間違えたという御指摘でございますが、一月の勤務延長時点においては、必要な報告を受け、適切な判断をしたと考えております。
  171. 松島みどり

    松島委員長 もう一度、質問をお願いします。
  172. 日吉雄太

    ○日吉委員 ですから、大臣、その適切な報告が適切じゃなかったわけなんですよ。  だから、そこを、本来であれば、大臣が、任命する前に、その人事案が上がってこないように、問題がある人を任命するようなことがないようにチェックするのが大臣役割だと思うんですけれども、それができていなかったわけです。そこの責任はどう考えていますか。
  173. 森まさこ

    森国務大臣 私は、一月の時点勤務延長については、業務継続必要性という観点から、必要な範囲の報告を事務方から受け、その中において判断を適切にしたというふうに認識しております。
  174. 日吉雄太

    ○日吉委員 結果的に適格性判断を誤ったわけなんですね。そこに大きなやはり責任があると思うんです。先ほど、どこに責任を痛感しているかと言ったときに、大臣はこのことには触れていらっしゃらないんですよね。  大臣責任というのは、やはり、不適切な人を推薦してしまった、ここが一番問題なんじゃないかと思うわけですけれども、そこについての責任を感じて、辞任されないでしょうか。
  175. 森まさこ

    森国務大臣 一月においては、業務遂行継続遂行についての必要な報告を受け、適切に判断したと考えております。  五月一日及び十三日のかけマージャンを行った行為についてはまことに遺憾なことであるというふうに考えており、今回の処分に至ったものでございます。
  176. 日吉雄太

    ○日吉委員 もう一つ。  総理は慰留されたということなんですけれども、総理辞任をしなくてもいいと判断したのは何だったんですか。わかりますか。
  177. 森まさこ

    森国務大臣 総理の御判断でございますので、私からお答えする事柄ではないと考えます。
  178. 日吉雄太

    ○日吉委員 それは何か伝えられなかったんですか。大臣進退伺をしているわけですよね。それなのに慰留されたわけなので、それで納得しなければ、やはり辞任すればいいだけの話なんですけれども、何で辞任されないんですか。
  179. 森まさこ

    森国務大臣 進退判断総理がなされましたが、先ほども申し上げたことの繰り返しになりますが、後任を速やかに選ぶこと、そして、検察信頼を回復することにおいて、引き続き業務に当たってくれという言葉がございました。
  180. 松島みどり

    松島委員長 質疑時間が終了しております。
  181. 日吉雄太

    ○日吉委員 時間が来ましたので終わりますけれども、適切に選べなかった方が次の人を選ぶということはできないと思いますので、辞任をお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  182. 松島みどり

    松島委員長 次に、藤野保史さん。
  183. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  まず、黒川氏のかけマージャンについて、本日の審議を通じて、常習性の有無というまさに中心問題について、当然やるべき調査をやっていないということが明らかになりました。そういう意味では、これは委員長にお諮りしたいんですが、当然やるべき調査、例えば、記者の方への聴取とか、あるいは黒川氏とどういう調査をしたのかも含めてですが、必要な当たり前の調査をやった上で、来週にでも法務委員会をもう一度開いて審議すべきだというふうに思います。  委員長、お願いします。
  184. 松島みどり

    松島委員長 後刻、理事会の中で、質問項目を出した上できちっと理事会で協議いたしますので。後刻、理事会で協議して、今後の日程も含めてまた協議いたします。
  185. 藤野保史

    ○藤野委員 その上で、大臣にお聞きしますが、大臣進退伺総理に出された、そして、総理は強く慰留されたと答弁されました。二点お聞きしたいんですが、なぜ自分は大臣にあたわずと考えられたのか、この一点と、もう一つ、総理は何と言って慰留したのか。つまり、なぜ森大臣でなければならないと総理はおっしゃったのか。二点お答えください。
  186. 森まさこ

    森国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、黒川検事長の今般のかけマージャン等の行為につきましては、まことに不適切でございまして、甚だ遺憾でございます。検察行政信頼を損ねたということについて、法務大臣としての責任を感じております。  総理からの言葉について今お尋ねがございましたが、これも先ほどお答えしたとおりでございますが、速やかに後任を選任すること、そして、検察信頼を回復することについて業務に当たってほしいというふうに言われました。
  187. 藤野保史

    ○藤野委員 だから、検察信頼回復ということがなぜ森大臣でなければならないのか。  総理はなぜ、そこを森大臣にやらせようと言ったんですか。
  188. 森まさこ

    森国務大臣 総理の心の中のことでございますので、私からはお答えしかねます。
  189. 藤野保史

    ○藤野委員 これほどこの国会を揺るがしている問題で、恐らく、進退伺を出されたのも、大臣自身、重大な御決意だったと思うんですね。その重みと、そしてそれに対する総理の慰留、極めて重いし、どういう理由森大臣大臣を続けるのか、総理がそういう判断をしたのか、これは国民に示さないといけないんですよ、これほどの問題になっているわけですから。  そして、黒川氏というお話がありましたが、私は、そこで進退伺という話はちょっとピントがずれていると思うんですね。最大の問題は、今ここで憲法が踏みにじられているということだと思うんです。事実上、立法権が侵害され、そして、司法権もその独立が脅かされているというのが最大の問題なんです。  まず、立法権について言いますと、現行の検察庁法は、検事総長は六十五歳、その他の検察官は六十三歳になれば退官すると定めているんですね。キャリアの最後の出口のところで年齢以外の要素は一切考慮しない、これが現行法です。年齢以外の要素を考慮すると、そこに恣意的介入の余地が生まれるからであります。  検察官は、唯一の公訴提起機関で、準司法官と言われている。時には、総理大臣経験者をも逮捕してきた。巨悪を眠らさないという重い使命を持っているからこそ、どんな巨悪にも屈しない厳格な政治的中立性が求められる。だから、検察官の人事は、他の一般職公務員とは違って、入り口の任命だけに限定して、そして、活動中や出口の退任、退官のところでは一切介入の余地を設けていないわけです。つまり、現行法は検察官の定年延長を認めていないし、戦後一貫してそういう運用が行われてきました。したがって、黒川氏の定年をもし延長するのであれば、検察庁法を改正するしかなかったんですね。しかし、安倍政権はそれをやらなかった。  先日、検事総長OBなど検察幹部経験者の皆さんが意見書を出されました。この中でも冒頭で、冒頭でこう指摘されております。  検察官の定年を延長するのであれば検察庁法を改正するしかない。しかるに内閣は、同法改正の手続を経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長決定した。この閣議決定による黒川氏の定年延長検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任に法的根拠はない。  そして、検察OBだけでなく、日弁連会長以下、全国五十二全ての弁護士会の会長声明も、多くはこの点を指摘しております。  大臣、お聞きしますが、現行憲法上、国会は唯一の立法機関とされております。法律の改正というのは、全国民の代表である国会だけの権限なんです。その国会での法改正の手続を経ずに、内閣の勝手な解釈法律解釈、運用をねじ曲げた、これは立法権の侵害であり、これをそのままにしていたら、日本は法治国家でなくなります。法の支配ではなく、人の支配になる。今回の法案、その大もと閣議決定、これがあるわけです。大臣がもし責任を感じていると言うのであれば、立法権の侵害を行っているこの閣議決定、これの撤回を総理に働きかけるべきじゃないですか。
  190. 森まさこ

    森国務大臣 解釈変更については適正に行われたものと考えております。有権解釈として、第一義的に、所管省庁である法務省において解釈の変更を行ったものでございます。  法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮するなどして論理的に確定されるべきものであり、検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えております。
  191. 藤野保史

    ○藤野委員 現行憲法では、内閣国会で定められた法律に従って行政権を行使する、六十五条でこう書かれているわけですね。六十五条で定められております。法律に基づいた行政というのが内閣の仕事なんです。解釈もその範囲内です。ところが、安倍政権は、国会による法改正も行わず、単なる閣議で、正反対の法解釈、つまり現行法でも検察官の定年延長は可能だ、こういうことを行った。これは、まさに立法権の侵害であり、三権分立に反する違憲行為なんですよ。  大臣の認識を聞きたいんですが、これをこのままにしていたら、日本は法治国家ではなくなってしまいます。法の支配でなく、人の支配になる、こういう認識は大臣にはないんでしょうか。
  192. 森まさこ

    森国務大臣 法治国家のもと、有権解釈として、第一義的に、所管省庁である法務省検察法上の解釈を検討したところ、まず、検察庁法の上に勤務延長の規定はございません。また、その勤務延長制度が導入された当時の、検察官に適用されないと直接的に答弁した例は見当たりません。その上で、勤務延長制度の趣旨、また、検察庁法で定められる検察官の定年による退職の特例が定年年齢と退職時期の二点であり、定年により退職するという規範そのものは、検察官であっても一般法たる国家公務員法によっているというべきであること等を検討した結果、勤務延長について解釈変更をし、国家公務員法の規定が適用されると解釈したものでございます。
  193. 藤野保史

    ○藤野委員 全く、法律に書いていないから何とでも解釈できるんだと言わんばかりの今の答弁です。  先ほどの検察官OBの意見書は、こうも言っているんですね。  本来国会の権限である法律改正の手続を経ずに内閣による解釈だけで法律解釈、運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ十四世の言葉として伝えられる、朕は国家であるとの中世の亡霊のような言葉をほうふつとさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である権力分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。  私、そのとおりだと思うんですね。  もう一点お聞きします。司法権の侵害です。  戦前、司法権は天皇に属していました。戦後の日本国憲法は、司法権は裁判所にあるというふうに定めました。これは、国民主権、三権分立の観点であります。そして同時に、いかに重大な犯罪であっても、検察官が起訴しなければその司法権は発動されない、こういう制度にしているんです。だから、検察官の準司法官としての職責は、刑事司法において極めて重要な根幹をなす、そういう位置づけなんです。  その検察官が、定年時の、出口の人事を政府に握られたらどうなるか。そのことによって検察官の独立が害され、ひいては、司法権の独立、三権分立を侵害する。ここでも憲法を踏みにじっているわけです。  一月三十一日の閣議決定というのは、その危険性を残しております。法案を廃案にするというような報道もありますけれども、今の状態は、法案でも、閣議決定でも、この立法権の侵害と司法権の侵害、両方残っているんです。  巨悪を眠らせないという立場で頑張ってきた検察官、キャリアの最後で、この人はもう定年延長させないとか、この人はもう平検事に降格させるとか、そういうことが可能になるんですね。それを見た若い検察官、どうなるか。検察全体が萎縮していく。逆に、巨悪は安心して眠るようになるわけです。  大臣、お聞きしますが、この閣議決定、そして法案、定年の特例部分、これを撤回しなければ、そういう政権の意のままに動く組織に検察がなってしまう、こういう懸念は残り続けるんですね。ですから、この閣議決定、そして法案の特例部分、これは撤回すべきではありませんか。
  194. 森まさこ

    森国務大臣 そもそも、検察官については、その人事権者は内閣又は法務大臣でございます。これは、検察官は行政組織の一部であり、検察官の準司法官的性格、検察官の独立性を保持しつつも、国民主権の見地から、公務員である検察官に民主的な統制を及ぼすためのものでございます。  改正検察庁法の勤務延長及び役おり特例の制度についてお尋ねがございましたが、そもそも、任命権者である内閣等の判断により、改正法及び内閣で定める事由等の準則に基づき、公務の運営に著しい支障が生じると認められる場合に、引き続きその職務を遂行することを認めることであって、検察官は意に反してやめさせることはできないという強い身分保障を守りながら、身分上の不利益処分を行うことではございませんので、本来的に検察権行使に圧力を加えるものではなく、検察官の独立性を害さず、三権分立にも反しないというふうに考えます。  その上で、若い検察官というお話がございましたが、検察官は、権限の行使に際し、いかなる誘引や圧力にも左右されないよう、どのようなときにも厳正公平、不偏不党を旨とし、法と証拠に基づいて適切な事件処理に努めるものと承知しております。
  195. 藤野保史

    ○藤野委員 本当に、人事権者とおっしゃいましたが、現行法は、それを任命という入り口だけに限っているんです。ほかの一般職公務員は、入り口でも出口でも内閣が関与しますけれども、検察は、大臣おっしゃった準司法官という特別の重い責任を負っているから、政治的中立性を確保するために入り口だけに限って、出口では年齢以外の一切の要素を考慮していないんです。今回、それに特例を設けようというんです。ですから、政治的中立性が害される余地が生まれるということなんです。  先ほど、民主的統制とおっしゃいました。まさに巨悪と向き合い続けてきた検察OBの意見書は、こう書いております。  検事総長を例にとると、一年以内のサイクルで定年延長の要否を判断し、最長三年までの延長を可能とするもので、現在、通例二年程度の任期が五年程度になり得る大幅な制度変更と言えます。これは、民主的統制と検察の独立性、政治的中立性の確保のバランスを大きく変動させかねないものであり、検察権行使に政治的影響が及ぶことが強く懸念されます。  こう言っているんですね。  結局、今回の閣議決定、そして法案の特例部分というのは、立法権を侵害し、司法権を侵害する、まさに違憲、違法状態をつくり出しております。  この最大の責任は安倍総理にありますけれども、法の支配をつかさどるべき法務大臣がこのことを全く理解していない。全く法務大臣役割を果たしているとは思いません。
  196. 松島みどり

    松島委員長 質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
  197. 藤野保史

    ○藤野委員 私も辞任を強く求めて、質問を終わります。
  198. 松島みどり

    松島委員長 次に、串田誠一さん。
  199. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。  最後の質疑者でございますので、ずっと聞いておりました。国民も、検察庁という非常に重大な役柄の、立場の方の行為ということで注目をしているんだろうと思いますが、聞いていますと、マージャンのレートが低いとか、ハイヤーは一緒に乗っただけとか、一生懸命擁護しているように私は思えてなりません。検察官と内閣が近づくとこういう貸し借りが生まれるんだな、まさに、いみじくも証明しているように私は感じたわけでございます。  ところで、解釈変更によって黒川検事長が採用されたときに、当初、森法務大臣は、検察官が逃げたとか、理由もなく釈放したというような理由を挙げられておりました。しかし、これは撤回をされた。ならば理由は何だったんですか、こうお聞きをしましたところ、森法務大臣は、三月十八日、私の質問に対して、重大、困難な事件、特に挙げられたのはインターネット、サイバー犯罪、こう挙げられたわけです。私の知り得る限りでは、今回の解釈変更で具体的な犯罪例を挙げたのはこれだけなんじゃないかなと思うんですけれども。  そこでお聞きをしたいんですが、サイバーやインターネット犯罪が、捜査をするに当たって黒川検事長はかえがたい、余人にかえがたい、この捜査をするために余人にかえがたいんだ、こういうことであるとするならば、黒川検事長がやめられることによって国民はこのインターネットやサイバー犯罪にさらけ出されている、直面して、この犯罪にさらけ出されているということに私はなるんだろうと思います。  そこでお聞きしたいのは、今回、訓告ということで、やめなくてもいいことに対して、辞任を受け入れた。辞任を受け入れたということは、国民が犯罪に対して直面しても構わないという比較考量の中で、それでも構わないんだ、こういう判断を森法務大臣はされたということでよろしいでしょうか。
  200. 森まさこ

    森国務大臣 いいえ、そうではございません。
  201. 串田誠一

    ○串田委員 考え方として、訓告で、やめなくてもいい、あるいは、もっと厳しい処分をしても、あなたには自業自得なんだ、批判は甘んじて受けなさい、しかし、あなたにはまだ二カ月、このインターネットやサイバー犯罪、あなたしかできないから採用したんだ、これによって国民を守るために、恥を忍んでもこれはやりなさい、私、そういう選択肢もあったと思うんですよ。それをあっさりと、遺憾だからと、まるで他人事のように。あれほどサイバー犯罪と言って、国民を守ると言って、四十年間も解釈変更されていなかったのを口頭で解釈変更された。森法務大臣は何でこんなに簡単に国民を危険にさらすことができるんですか。理由を述べてください。
  202. 森まさこ

    森国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、検察官をやめさせるとかやめさせないとかいう判断法務大臣がする立場にございませんので、そこが検察官の独立性にかかわってきますので、本人が、辞任するかどうかは判断するところでございます。
  203. 串田誠一

    ○串田委員 何を言っているんですか。国民が今危険にさらされているんだから、森法務大臣は、あなたがやめたら、私はあなたを採用して、国民をサイバー攻撃、サイバー犯罪から守るためにあなたを採用したんだ、こういう説得をすることも考えないといけないんじゃないですか。そういうことを一切考えずに、遺憾だからあなたはいいですよ、国民が危険にさらされても構いませんよ、そういうことですか。
  204. 森まさこ

    森国務大臣 その点については、今ほど御答弁したとおりでございますが、国民を危険にさらしてもよいのかどうかという問いに対しては、黒川検事長による業務継続、これが辞任によりなくなったということで空席が生じておりますので、そこは業務継続性に著しい支障が生じておりますので、速やかに後任を選任したいと考えているところでございます。
  205. 串田誠一

    ○串田委員 運営に著しい支障というのは、国民に対するそういう犯罪を直面させているということでしょう。違うんですか。それが、運営に著しい支障なんでしょう。それでも構わないという判断をしたということでしょう。そして、それは内閣全体、安倍総理も含めて、国民に犯罪の直面をさせても構わないんだという判断をしたということでよろしいんですか。それを聞いているんですよ。
  206. 森まさこ

    森国務大臣 辞任判断については、本人の意向でございます。それを踏まえて、任命権者である内閣がこれを承認いたしました。そして、その結果、辞任すると東京高検業務に著しい支障が生じるわけでございますので、後任について速やかに適切に任命していきたいと思っております。
  207. 串田誠一

    ○串田委員 まさに国民が犯罪に直面しても構わないという判断になったとしか私には思えないですよ、理由を述べないんですから。  ところで、この解釈変更には基準があったんですか。
  208. 森まさこ

    森国務大臣 法令の勤務延長解釈変更についてのお尋ねというふうに理解してお答えをいたしますけれども、御答弁を申し上げましたとおり、勤務延長をすることによっての、国家公務員に対する人事院の規則等を参考に、業務継続をする必要性がある場合に勤務延長をするというふうに申し上げてきたところでございます。
  209. 串田誠一

    ○串田委員 この前の内閣委員会でも、森法務大臣は、基準がまだない、人事院規則に従って、それを参考にするとおっしゃっていたわけですから、今はないわけでしょう、基準が。そして、今回、内閣が見送ったのも、基準がないことによって国民の理解が得られないといって見送ったわけでしょう。そうしたら、解釈変更で基準がないんだったら、この解釈変更、撤回しなきゃいけないんじゃないですか。
  210. 森まさこ

    森国務大臣 お尋ねは、検察庁法改正案における内閣の定める事由等についてのお尋ねでございましょうか。そうであれば、その内閣の定める事由については、新しい人事院の規則に準じて作成するものでございますが、それを速やかに作成するように今準備中でございます。
  211. 串田誠一

    ○串田委員 だから、現在の解釈変更した際には基準がなかったわけでしょう。そして、今回の国家公務員法等改正案も基準がない。それに対して国民が非常に懸念を示している。国民の理解が得られないから見送ったというんだったら、解釈変更、基準がないんだったら、この解釈変更も国民が納得していないということになるじゃないですか。  ところで、五月十五日、内閣委員会で、森法務大臣は、人事院の例を挙げました。大型プロジェクトの主要な構成員であって、それが除かれれば公務の遂行支障を来す、こういうものを参考にするというお答えをされました。検察官にとって大型プロジェクトというのはどういうものを指すんでしょうか。
  212. 森まさこ

    森国務大臣 お尋ねは、検察庁法の改正案における内閣の定める事由の内容をどうしていくかという問いになるかと思いますけれども、それについて私が答弁をしたのは、人事院が今、現行法、改正法ではなくて現行法の中で定めている規則の中の、またそれに対する例というものを通知で出しているのでございますが、その中に、今ほど委員が挙げられた大型プロジェクトの例がございます。そういったものを参考にして、新しい今度の改正法の中の内閣が定める事由を定めていくということを申し上げたものでございますが、今現在、策定中でございますので、具体的にどのようになるかといったことは、今手元にはございません。
  213. 串田誠一

    ○串田委員 国家公務員そのものが、定年予定者が大型プロジェクトをなさっている。そのプロジェクトはどういうものであるのか。いろいろな科学や細胞だとかいろいろな研究かもしれないし、プラント研究かもしれない。そういうものをしっかりと吟味して、確かに、この定年予定者が抜けると困るなということで、情報をしっかりと収集して判断するというのはわからなくはないですよ。しかし、この例を挙げるということは、検察官にとっての大型プロジェクトというのは、場合によっては、ロッキード事件のように、まさに内閣総理に対する訴追行為も入るわけじゃないですか、大型プロジェクトというのは。そういうものを常日ごろから内閣検察庁から情報を収集するということを前提にしないと、基準をクリアできるかどうか判断できなくなるわけです。  森法務大臣、森法務大臣は、この例を挙げたことによって、内閣検察庁の捜査の内容までも収集するということをお認めになったということでよろしいですか。
  214. 宮崎政久

    宮崎大臣政務官 先ほど大臣も御答弁されましたけれども、大型研究プロジェクトチーム、その主要構成員であるというような、答弁の中で出たことは、これは、今質疑にありましたような、内閣で定める事由の具体的な内容についてどのような定めをしていくかというときに、現行法において、人事院規則があり、またそれを受けた形で人事院の事務総局の任用局企画課長発の昭和五十九年の「定年制度の実施等について」という通知がございます。こういったことも参考にしながら今後しっかりと定めていかないといけないという例の中で、現にそういう通知がありますので、その文言を引いて御説明をさせていただいたということでございますので、今委員御指摘のような形で、具体的な、内閣の中でいろいろなものを収集するとかそういうことを前提にお答えしたわけではないということは御理解いただきたいと思います。
  215. 串田誠一

    ○串田委員 理解も何もできないですよ。質疑はないんですから。束ねて内閣委員会で行われているんですからそういう質疑もできないし、本当にそうかどうかもわからないじゃないですか。恣意的な人事をしないと言っても、その人がずっと内閣にいるわけじゃないんです。制度がしっかりしていなければどういうふうに運用されるかわからないのが、まさに昭和五十六年の国家公務員法改正を、今回の解釈変更にしたわけじゃないですか。だから、ロッキード事件で捜査担当をしていた松尾邦弘元検事総長も、こんなことではロッキード事件のような事件を捜査することは金輪際できないんだ、そういう危機感でもって抗議しているわけでしょう。だって、情報を全部収集される。  今回だって、黒川検事長がなぜ解釈変更されたのか。いや、今、重大な事件と。じゃ、重大な事件というのが内閣に対する事件だったとした場合、そういうのも収集しているから延長できたわけでしょう。どこまで情報を収集できるのかというのは全く白紙の状況の中でこれを審議しろということ自体、そもそも無理じゃないですか。  少なくとも、基準を定めていないから見送りになったということを踏まえれば、今回の解釈変更、基準がないので撤回をすると、はっきりと明言をしていただきたいと思います。
  216. 森まさこ

    森国務大臣 内閣が定める事由は法律制定後に定めるスケジュールでございましたが、さまざまな御指摘を踏まえて、それをなるべく早い時点でお示しをすべく、現在準備中でございます。
  217. 串田誠一

    ○串田委員 これを廃案にするとかしないとか、今度、臨時国会で出すとか、いろいろ議論はありますけれども、この解釈変更だけは生きたまま今残っているということは事実ですが、ただ、今回の見送りによって、そして、国民の声が、基準がなければ認めないということを内閣が受け入れたということ、二度とこの解釈変更はしないということを次は明言していただきたいんですが、そう私は受けとめて、きょうは終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。      ――――◇―――――
  218. 松島みどり

    松島委員長 次に、内閣提出自動車運転により人を死傷させる行為等処罰に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。森まさこ法務大臣。     ―――――――――――――  自動車運転により人を死傷させる行為等処罰に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  219. 森まさこ

    森国務大臣 自動車運転により人を死傷させる行為等処罰に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  いわゆるあおり運転は、悪質、危険な行為であり、こうした運転行為による悲惨な死傷事犯等が少なからず発生しております。また、近時、あおり運転の厳罰化を求める国民の皆様の声も高まっているところです。  この種事犯に対しては、自動車運転により人を死傷させる行為等処罰に関する法律第二条第四号の危険運転致死傷罪が適用されることがありますが、同号に掲げる行為に該当するためには、加害者車両が重大な交通の危険を生じさせる速度で走行して被害者車両に著しく接近することが必要とされています。  しかしながら、近時の事案にも見られるように、加害者車両が被害者車両の前方で停止したような場合でも、被害者車両の走行速度や周囲の交通状況等によっては、重大な死傷事故につながる危険性が類型的に高く、現行の危険運転致死傷罪に規定される行為によって死傷した場合と同等の当罰性を有するものと考えられます。  そこで、この法律案は、自動車運転による死傷事犯の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、危険運転致死傷罪の対象となる行為の追加を行おうとするものです。  この法律案の要点を申し上げます。  第一に、車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車運転する行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処することとするものです。  第二に、高速自動車国道又は自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行をさせる行為を行い、よって、人を死傷させた場合も、同様とするものです。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  220. 松島みどり

    松島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  221. 松島みどり

    松島委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 松島みどり

    松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十二分散会