○岸本
委員 国民民主党の岸本周平でございます。
本日、
質問の機会を与えていただきましたことをお礼を申し上げたいと思います。
これまでも、同僚議員の皆さんから、
コロナ対策で個別の御
質問がありました。これまでの
金融危機というのは、
金融システムが破綻をして、その結果として実体
経済が傷む、そのための対策をしていく。まさにリーマン・ショックのときはそうでありましたし、その前、幾つかの
金融危機があったわけでありますけれ
ども。
今回は非常に特殊な例でありまして、人や物の移動が完全にストップしてしまった、そういう
状況の中で、特に消費の需要が抑えられ、結果として実体
経済が傷む中で、ひょっとすると、後で御
質問したいと思いますけれ
ども、
金融システムにも影響を与えかねないような、二段構えのような、二段底といいますか、そういう危機なのではないか。
しかし、少なくとも、今私たちがやるべきことは、政府も努力をされておりますし、与野党の政策の協議会でも我々も提案しておりますけれ
ども、今本当に困っている
方々を救う。事業が終わってしまう、
企業が倒産してしまったら、回復してもどうしようもないわけです。元も子もないというわけです。しかも、これまでの
質問の中にもありましたけれ
ども、本当に困っている弱者、社会的弱者の方の命を守るということを我々、政府としてはやっていかなければいけない。
幸い、
日本政府というのは、あるいは
日本国の
経済の
状況というのは、それを許すだけの力があるということだろうと思います。そういう中で、まずは、今困っている
方々、事業を守り、
企業を守り、弱者の命を守る、そのために最大限の努力をしていくということだろうと思います。
しかし、それは、例えば一人当たり十万円一律に配付する、去年だったら考えられないようなことですよね。これは、考え方によっては、所得制限なしに配るということで、壮大な実験をしているわけであります。
さらには、相当な規模のマネーを出していく。それは、
金融の場面で出していくと同時に、
財政でも、大盤振る舞いと言うと言い過ぎですけれ
ども、大変なマネーを
経済に注入をしていくということであります。
それは、できる限りやるべきであろうと思いますけれ
ども、少し
コロナの後のことを考えていった場合に、どこまで我々はそれが許されるのだろうかということもある
程度考えていかなければならないのではないかと思います。
皆様御承知のとおり、今、MMTというような議論もありました。この
委員会でも御議論がありましたけれ
ども、
経済学者の方が言っているわけなので、全く乱暴なことでもないような気がします。私も少し勉強しましたけれ
ども、おっしゃっていることの幾つかはなるほどなと思うようなことがあります。
少し違和感があるのもあるんですけれ
ども、例えば、自国通貨で借金する分には幾らやっても大丈夫なんだということでありまして、その限りにおいてはそうなんですね。でも、それをやり過ぎていくと何が起きるかというと、インフレになるんですよね。そうすると、MMTの
方々は、いやいや、インフレになりそうになれば増税しますから、そこで大丈夫なんです、こういう立論をされる方もいますけれ
ども、そう簡単に増税できないので困っているわけでありまして、インフレになりそうだといって増税できるんだったら、そんな苦労はしないとかあるんですけれ
ども。
難しいことは別にしても、常識というのがあると思うんですね、我々の常識というのが。未来永劫、政府がお札を刷ってそれで賄えるということであれば、それが正しければ、恐らく過去にやっていたはずだと思うんですね。ローマ帝国でも大英帝国でもやっていたはずなんです。当時の人と今の人と、頭がいいか、賢いかはそんなに差がないはずですから。二千年前も今も、我々そんな、大体賢さは一緒ですし、あほさも一緒なんですね。
そうすると、誰かやっていたはずなので、やっていないというのはどうもおかしいし、
経済学で習う初歩の初歩はフリーランチはないということなので、そういう常識から考えると、いつまでも続くわけにはいかぬと。
ただ、今、
日本の状態は、見方を変えればまさにMMTの実験をしているようなところもあります。これも、簡単に言えば、
民間の貯蓄残高の増加分、本当は家計だけなんですけれ
ども、今、これはまだ
経済学の教科書に載っていないんですけれ
ども、
企業法人部門も貯蓄がふえていますので、
民間部門の貯蓄の残高の増加額の範囲内に国債の残高の増加額がおさまっているのが今の
日本の
状況です。
そうだとすると、日銀が買おうが買うまいが、担保は預金ですから、
民間の預金が担保ですから、絶対にインフレにならないんですね、
金利も上がらないんです。明らかですよね、
民間の貯蓄の残高の増加額より国債の残高の増加額がおさまっているわけですから。だから、その限りにおいては続けられるんだろうと思います、何年先かわかりませんけれ
ども。
今回のように、さあ、二十兆だ三十兆だ五十兆だというような緊急対策をして、それを全部
赤字国債でやらざるを得ません、それはしようがないと思います。そういったときに、今の
状況がいつまで続くのかという問題意識は持たないといけないと思っております。
さて、そこで
大臣にお聞きしたいのは、ともかくそれをやりましょう、ともかく人を救う、
企業を救う、命を救う、いろいろな政策をやっていって、一旦収束をしていく。二波が来るかもしれませんけれ
ども、どこかの段階で収束をしていく。そのときには、やはりその段階からの
財政再建計画というのは必要なんだろうと思います。
そのときに、ぜひ
お願いしたいのは、これは
大臣とも何度か御議論させていただいているんですけれ
ども、従来、
日本では財務省があって、
経済再建計画をつくります、あるいは中期の
財政計画をつくります。その前提としての
経済の指標、
経済の見込みは内閣府がつくります。その内閣府でそういう
数字をつくっているのは財務省からの出向者です。一味なんですね、グループなんです。
そうして、甘い
経済見通しを前提にして、いかにも
財政再建がすぐできるような、プライマリーバランスが黒字になるような絵は描くんですけれ
ども、めちゃくちゃ甘い
経済の前提を置いているんです。毎年の政府見通しそのものがそうですから。上振れているんですね、大体約一%、平均すると上振れているんです。
だから、第三者機関、第三者的な
財政機関を、独立のものをつくって、そこに
経済見通しをつくらせる、あるいはさらには中期的な
財政計画をつくらせる。しかも、中期的な
財政計画、今、
日本がつくっているものは全く拘束性がありません。ニュージーランドとかカナダとか、ほかのいろいろな、スウェーデンも含めて、いろいろな国、イギリスもそうです、中期
財政計画は拘束性を持たせています。
そういう意味で、第三者的な
財政機関、そして拘束力を持つ中期
財政計画のようなものをつくっていくべきだと思いますが、
大臣の御所見をお伺いしたいと思います。