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吉良委員 私もここ二年ぐらい結構北方領土を勉強してきたので、今おっしゃったように、ヤルタ会談で、ドイツ降伏後二カ月又は三カ月後に対日参戦する、ドイツ降伏が四五年五月八日ですから、それから三カ月後だったわけですよね。
当時のソ連としては、本当はヤルタ会談で、密約ではありますけれども、対日参戦のかわりに得たいものがある、今それはもう詳細には申し上げませんけれども、それを必ず手にするために、本当はドイツ降伏後二カ月後にやりたかった。だけれども、この東部戦線に参加するに当たっては、対独戦を戦った精鋭部隊をシベリア鉄道を使ってもう一度東部戦線に送り戻す必要があって、なかなか準備が整わず三カ月後になったというふうに
理解をしています。
今おっしゃったように、このヤルタ会談が一番大きい。そのヤルタ会談の、正式、密約合意する前にテヘラン
会議があり、モスクワ
会議等ありましたけれども、ヤルタで決めた、その決めた内容、決めたことをソ連は実行に移したということですね。
これまでの国会答弁で、ヤルタ会談はまさに密約であり、そして、
日本が署名もしていない、締約当事国でもないので、ヤルタ会談に縛られる必要は一切ない、この種の答弁がずっとなされています。私はそれでいいと思っています、一方。ただ、大事なことは、
国民に対して知らせるときには、
日本はヤルタ会談に縛られる必要は全くないんだけれども、交渉
相手国であるソ連はヤルタ会談をベースに今言った決断をし行動したという歴史的事実があるということは、
国民にきちっと知らせなければならないんだろうと私自身は思っています。
もう一点、昨日の各紙に出ていましたけれども、北方領土に対する
外交青書上の文言が、主権を有する島々というふうに、もう一回、主権を主張する内容に戻ったということが出ておりました。
私自身は、
日本の固有の領土である、主権を有する島々であるということを訴え続けることは何ら後ろめたいものではないと思っています。ただ、一方で、この固有の領土論というのが
世界で通用するものなのか。
もうちょっと時間がなくなったので自分の方から言いますけれども、お手元に配った資料をごらんいただきたいと思います。
これは、第二次大戦時同盟国であったドイツの第一次大戦前から東西統一後までの国境の変遷を描いたものです、あらわしたものです。
現代ドイツが、もともとは、一八七一年に、プロシアがオーストリアをというかハプスブルク帝国を排除して、ハプスブルク以外のドイツ
地域をプロイセンが中心になって統一した国である、こういうふうに考えますと、そこの第一次大戦前、今、一番左の上にはイーストプロシアと書かれていますけれども、これは第一次
世界大戦で負けてからも東プロイセンとして残っています。
この東プロイセンという
地域は、御承知のとおり、当時はケーニヒスベルクと言われ、第二次大戦でドイツが敗戦して以降はソ連領となり、カリーニングラードという位置づけでした。でも、これはプロシアにとっては、
日本で言う奈良の平城京みたいな町です。そして、その平城京に当たる
地域を、ドイツは、東西ドイツを統一する際に、ポーランドと国境
条約を結び、そして、当時のロシアといいますかソ連を含めたヨーロッパ諸国の了解を得て、今言った第一次
世界大戦後のドイツ共和国と言われたところから東西統一後の現在ドイツとなっているところ、一部がポーランドに永久割譲される形で、周辺諸国の、
関係諸国の了解を得て東西再統一をなした。
ソ連が戦ったのはドイツと
日本です。ドイツと
日本は同盟国でした。日ソ中立
条約がありますけれども、独ソ不可侵
条約がある中でドイツはソ連に攻め込みました。だから、ソ連が中立
条約を破って対日参戦したのは許されるんだ、そんなことは言っていませんよ、それはけしからぬことなんです。けれども、当時のソ連がどういう歴史的背景、ヤルタ会談を含めたどういう会談によって意思決定をし行動したのかということについては、それを
日本政府として認めるとかいうことではなくて、最終的に、さっき言った平和
条約を結ぶ、何らかの妥協をする、しない、いずれにしても
国民の
理解が必要だというふうに思っています。
そういう
意味で、
外務省がつくっています「われらの北方領土」、これは、ヤルタ会談も含めて、一部歴史、一部といいますか、かなり歴史は書いています。けれども、もう少し、ヤルタ会談の中身だったり、それから当時のヨーロッパ戦線の
状況、また、同盟国であったドイツが戦後どういう国境になっていったのか。固有の領土は間違いないんです。ただ、固有の領土論が
世界的に通用するのかということも含めて、私は、この北方領土の中に書き込む必要があると思っています。それは、最終的に
日本政府としてどういう結論を出そうとも、
国民の
理解を得るために必須、マストだというふうに思っています。
ちょっと私の一方的な話で長くなりましたけれども、この私の問題意識、見解に対する
茂木大臣の見解を求めます。