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2019-11-19 第200回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年十一月十九日(火曜日)    午前十時七分開会     ─────────────    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      宮沢 由佳君     芝  博一君  十一月十四日     辞任         補欠選任      芝  博一君     宮沢 由佳君  十一月十八日     辞任         補欠選任      岩井 茂樹君     加田 裕之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         江島  潔君     理 事                 高野光二郎君                 堂故  茂君                 舞立 昇治君                 徳永 エリ君                 宮沢 由佳君     委 員                 加田 裕之君                 野村 哲郎君                 藤木 眞也君                 宮崎 雅夫君                 山田 修路君                 山田 俊男君                 石垣のりこ君                 打越さく良君                 郡司  彰君                 森 ゆうこ君                 河野 義博君                 塩田 博昭君                 谷合 正明君                 石井 苗子君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   江藤  拓君    副大臣        内閣府副大臣   大塚  拓君        農林水産大臣  加藤 寛治君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       藤木 眞也君    事務局側        常任委員会専門        員        大川 昭隆君    政府参考人        外務省大臣官房        参事官      曽根 健孝君        農林水産省大臣        官房総括審議官  浅川 京子君        農林水産省大臣        官房総括審議官  光吉  一君        農林水産省消費        ・安全局長    新井ゆたか君        農林水産省食料        産業局長     塩川 白良君        農林水産省経営        局長       横山  紳君        農林水産省農村        振興局長     牧元 幸司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産物及び食品輸出促進に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 江島潔

    委員長江島潔君) ただいまから農林水産委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日までに、岩井茂樹君が委員辞任され、その補欠として加田裕之君が選任されました。     ─────────────
  3. 江島潔

    委員長江島潔君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江島潔

    委員長江島潔君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事宮沢由佳君を指名をいたします。     ─────────────
  5. 江島潔

    委員長江島潔君) この際、藤木農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。藤木農林水産大臣政務官
  6. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) 改めまして発言の機会をいただきましたことに、まず最初にお礼を申し上げたいと思います。  先般の去る十一月十二日の委員会におきまして、徳永委員質問の際に、CSF、またASFというこれまでの呼び名と違った呼び名を突然使ったということに対する御指摘がございました。皆さん方に対する配慮がないままにそのような答弁を行ったということに対しまして、深くおわびを申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした。  元々、豚コレラという病名は、一八〇〇年代に米国で初めて発生が確認された際に、同地域において人のコレラが流行していたことからホッグコレラと命名されたことに由来しており、我が国では、これを直訳した豚コレラという名称が使われてきておりました。そして、今般、豚コレラアフリカ豚コレラという名称が人の疫病であるコレラを想起させるという意見がございました。  農林水産省では、消費者皆様にできる限り不要な不安や不信を招かないようにするためにも、より適切な名称がないか、牛豚等疾病小委員会委員長から見解も得つつ検討をし、豚コレラについてはCSFアフリカ豚コレラについてはASF名称変更することといたしました。CSFASFも国際的に使われている名称であり、CSFについては、ホッグコレラと命名した米国においても既にホッグコレラは用いられておらず、CSFが使われております。  そのような観点の中から、委員会での答弁においても、風評被害発生を防ぐため、十一月十二日の質疑からCSFASFとの用語を用いたところでございますが、この際、委員先生方事前説明を差し上げることなく答弁用語変更したことについて、改めておわびを申し上げます。  今後このようなことがないように徹底してまいりますので、今後とも先生方の御指導をよろしくお願いいたします。申し訳ございませんでした。     ─────────────
  7. 江島潔

    委員長江島潔君) 続きまして、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務省大臣官房参事官曽根健孝君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 江島潔

    委員長江島潔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 江島潔

    委員長江島潔君) 農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 堂故茂

    ○堂故茂君 自民党の堂故茂です。  委員会に一年以上所属させていただいているんですが、質問は初めてでございます。毎回質問いただいている先生方に心から敬意を表しながら質問させていただきます。  先ほど藤木政務官から、豚コレラアフリカ豚コレラという名前CSFASF変更するとの説明がございました。本件については、昨年の九月から発生以来、農林水産委員会で、そして本会議予算委員会で継続して取り上げられる大変大切な問題となっていました。  にもかかわらず、先週のこの本委員会で、全く説明が行われないまま、委員会に対して説明が行われないまま答弁の中で順次使われていきました。ちょっと唖然とした感がしたわけでありますが、国会での議論を軽視していると言わざるを得ないと思います。以降このようなことがないよう、厳重に注意させていただきたいと思います。  その上で、改めて今回の名称変更の意図、目的を簡潔に説明願います。
  11. 加藤寛治

    ○副大臣加藤寛治君) 堂故委員の御質問にお答えをいたします。  先ほど藤木大臣政務官からもおわび申し上げましたけれども、委員方々事前説明を行うことなく答弁用語変更したことにつきましては、おわびを申し上げますとともに、今後はこのようなことがないように徹底してまいりたいと思います。  これまで使用してきた豚コレラアフリカ豚コレラという名称は、人の疫病であるコレラを想起させるとの意見がこれまで寄せられていたところでございます。  十一月十五日からCSFワクチン接種豚の出荷が始まることを踏まえて、消費者皆様にでき得る限り不要な不安や不信を招かないようにするという観点から、より適切な名称がないかと検討をした結果、牛豚等疾病小委員会委員長からの見解も得つつ、国際的に使われている、豚コレラについてはCSFアフリカ豚コレラについてはASF名称変更することにいたしました。  改めて委員皆様方おわびを申し上げますとともに、名称変更について御理解をいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
  12. 堂故茂

    ○堂故茂君 一方では、この名称変更によって関係者皆さん緊張感あるいは警戒心が失われないようにしっかりと対応していってもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本題に入りたいと思います。  日本人口減少社会に入っていく一方、世界人口は増え続けています。現在の七十七億人から、二〇五〇年には百億人にもと推計されています。また、世界飲食料市場規模は、二〇一五年の八百九十兆から、二〇三〇年には千三百六十兆円にも増加するとも見込まれています。そのような中にあって、農林水産物食品輸出政府を挙げて取り組み、農水省がその司令塔の役割を果たすという覚悟を示した本法案ではないかと評価したいと思います。  二〇一八年には輸出額が九千六十八億円となりましたが、足踏みともお聞きしています。一兆円目標進捗状況はどうなっているのか、また、目標の実現に向けた課題について大臣からお伺いしたいと思います。
  13. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) まず冒頭に、副大臣政務官からおわびを申し上げましたが、答弁した本人は私でございますので、私も大変反省いたしております。今後このようなことがないように努めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  状況でございますが、二〇一九年の輸出目標一兆円ですけれども、単年で一〇・三%を超える増加をやらないと一兆円には到達できないということでありまして、二〇一九年の一月から九月の輸出額は前年度比一・六%の増加にとどまっております。ということでありますから、極めて目標達成は厳しいと言わざるを得ない状況にあります。  その目標に向けてどのような課題を考えているかということは、今までそれぞれの役所が一生懸命取り組んできたとは思いますが、やはり手続が煩雑であったり、輸出をやりたい方々がいろんなところを、農水に行ったり厚労に行ったり、いろいろ煩雑であったり手続が面倒であったということが多分にあったと思います。  ですから、縦割りをまず排して農林水産省がリーダーシップを取るということ、本部を設けるということですね。それから、マッチングもいま一つやはりうまくいっていなかったというのもあると思います。そういった諸課題トータル農林水産省が責任を持って対応していくということを考えて、この法案の御審議をお願いしているところでございます。
  14. 堂故茂

    ○堂故茂君 日本潜在力というのはすごくあると思うんですね、この食料品に対して、農林水産物の。やっぱり余りにも輸入輸出のバランスが先進国の中では悪過ぎると思うんですね。やっぱりこの法案成立ということを契機に、もうどんどん進めてもらいたい。そして、一兆円が目標ではなくて、もう二兆、三兆、もっと大きな額となるよう、農林省、国挙げて取り組んでもらいたいなと、そんな激励をさせていただきたいと思います。  それで、原発事故に伴い諸外国で講じられた輸入規制に対して、これまでも政府一体となった働きかけを行ってこられたと承知しています。最近では、EU放射性物質輸入規制緩和を行うなど、新たな撤廃緩和動きも出てきているとお聞きしています。  各国の放射性物質輸入規制について今後どのように対応していくのか、お伺いしたいと思います。
  15. 加藤寛治

    ○副大臣加藤寛治君) お答えいたします。  福島第一原発事故の後、五十四の国・地域輸入規制を導入しましたけれども、緩和撤廃に向けた働きかけ等の結果、これまでに三十二か国・地域規制撤廃いたしました。現在、二十二の国・地域での輸入規制が残っておるわけでございます。最近も、幾つかの国・地域規制緩和等を行ったところでございます。  具体的には、一つには、マカオが十月二十四日から九都県産の野菜、果物及び乳製品の輸入停止を解除いたしました。次に、EUが十一月十四日から福島県産の大豆等について放射性物質検査証明書の添付を不要としたところでございますし、また、ブルネイ国王が十月の二十三日に、福島県産食品に対して残る輸入規制措置撤廃することを決定したと表明をしたところでございます。もう一つには、シンガポールのリー首相が十一月四日に、福島県産食品に対して残る輸入停止措置を、食品輸出検査を行うことを条件として解除すると表明をしたところでございます。  そこで、本法案に基づき設置をされる農林水産物食品輸出本部の下で、政府一体となって輸入規制緩和撤廃に向けて粘り強く働きかけを行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  16. 堂故茂

    ○堂故茂君 被災地風評被害、大変苦しんでおられます。そういった被災地農林水産業の復活のためにも、是非努力を続けてもらいたいと思います。  それから、TPP協定日EUEPA協定、また現在審議されている日米貿易協定により、輸出先国農林水産物食品の関税が下がっていくわけであります。そうした中、輸出促進のためには、相手国食品安全等規制対応していくことが非常に重要だと考えられます。  本法案ではそういった方向についてどう対応していこうとしているのか、伺いたいと思います。
  17. 加藤寛治

    ○副大臣加藤寛治君) お答えいたします。  経済連携協定によるアクセスの改善と本法案に基づく輸出先国規制への対応を一体的に進めることで、今後更なる輸出拡大を図ることができると考えておるところでございます。  輸出先国規制への対応については、これまで、担当省庁複数にまたがることによりまして輸出先国との協議証明書発行施設認定に時間を要し、民間事業者の負担となっておりました。  このため、本法案によりまして、農林水産大臣本部長を務める農林水産物食品輸出本部におきまして、輸出を戦略的かつ効率的に促進するため、基本方針実行計画、いわゆる工程表策定をして進捗管理を行うとともに、この本部の下で関係大臣等が一丸となって輸出先国に対する輸入規制等緩和撤廃に向けた協議を行い、次に、輸出証明書発行施設認定等輸出を円滑化するための環境整備を整えて、輸出に取り組む事業者支援を実施をして輸出を加速をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  18. 堂故茂

    ○堂故茂君 本法案においては、農林水産物食品輸出本部において、今説明がありましたが、輸出促進に関する実行計画を作成することとされています。この実行計画に基づき、国別品目別に具体的に規制に戦略的に対応していくということが非常に重要なのではないかなと思います。  この実行計画は具体的にどのような内容になるのか、またその効果についてお伺いしたいと思いますが、例えば、中東向けには果物、あるいは台湾には和牛、米国には日本酒、あるいはフードフェスティバルを開いたり商談会を開いたり、戦略的、そして総合的にこの実行計画を組み立てていくことが大事ではないかなと思うんですが、その辺りも併せてお伺いしたいと思います。
  19. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 先生おっしゃるように、いろんな施策を総合的にトータルパッケージ効果の発現を狙っていかなければならないというふうに思っております。この工程表につきましては、本年の六月に最初策定をいたしまして、百一項目ということでありますが、更に六項目を追加して、今、百七項目ということになってございます。  具体的には、例えば牛肉とか豚肉のHACCP対応についてどうするかとか、そういうものについてしっかり計画を立てる、ホタテとか岩ガキとかですね。それから、対象国規制はどうなっているのか、それに対するアプローチをどうするのかについても、しっかりその計画を立てるということでございます。  この法律一つの論点としてあるのは、この工程表法律に基づいて作られたものでありますから、これがとても大事なことであって、これが実行計画どおりにいっていないということであれば、本部長としてしっかりそれを検証する。どうしてうまくいっていないんだということをちゃんと指摘をし、検証して、この計画じゃ駄目だということであれば、途中で計画の立て直しということも果断にやっていこうというふうに思っております。  ですから、計画を立て、検証し、見直しも含めてやるということによってスピード感も、それから実効性も上がってくるのではないかというふうに考えております。
  20. 堂故茂

    ○堂故茂君 輸出額を増やすときは、やっぱりヒット商品をこの実行計画の中に幾つも盛り込んでいかなきゃいけないんではないかなと思うんですね。  私は、水を海外からペットボトル輸入しているのを見て、日本ほど水が優れている国はないのに、どれだけ輸出されているのかなと。  ちょっと自慢話になりますけれども、富山の水道水は、蛇口をひねってそのままのペットボトルがモンドセレクションの金賞を八年連続取っているんですね。ですから、全国の水の名所をうまく集めて国のパワーにすれば相当な水輸出大国になれるんじゃないかなと、しかも、最近ちょっと研究が進んでいるペットボトル、海水に溶けるタイプのペットボトルを使っていく、これで日本国のポイントゲッターの一つになるんではないかなと思うんですが、突然言いましたが、大臣、何か御感想ありますか。
  21. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 環境問題は今とてもホットな話題でもありますので、とてもいい観点だと思いますし、エビアンとかだけじゃなくて、やたらに高い水があるんですよね。私は名前までは知りませんが、何か若い女性とか、年齢に関係なく女性が飲まれる水なら、一本三百円とか、何かあるらしいですよ、ハワイ何とかとかいう、よく知りませんが。ですから、そういうことも、原価は安いので、安いものを高く売るというのは商売の基本だと思いますので。  私は商売人ではありませんので、いろんな食品メーカー方々が来られたら、そういうのも取り組んでみたらいかがですかというふうにお話はしてみたいと思います。
  22. 堂故茂

    ○堂故茂君 本法案は、都道府県それぞれ知恵を凝らして頑張っていると思うんですね、都道府県農林水産物輸出を後押しするものでもあると思いますが。一方、都道府県の熱心な取組は輸出拡大にとって大切である一方、過剰な競争も、競争というより競合も起こっているのではないかと心配されます。  農産物の産地間競争の問題についてどう取り組んでいくのか、この問題解決に向けてどう支援していくのか、お伺いしたいと思います。
  23. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  複数産地が同じ国で同じ品目をそれぞれ販売することは、不要な価格競争を招きまして望ましいことではないというふうに考えております。このため、国が行います販売促進、これを支援する場合には、複数産地連携をいたしまして、オールジャパンで実施することとしております。  また、輸出先国のニーズや規制対応した産地形成を進めていくグローバル産地づくり推進事業におきましても、輸出先国における他産地の情報を共有するなど、産地間連携を進めることとしております。  本法案により、輸出事業計画認定を受けた事業者に対しましても、このグローバル産地づくり推進事業を活用して産地間連携をしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。
  24. 堂故茂

    ○堂故茂君 徳永筆頭紙先生の北海道は、もうそこだけで戦えるぐらいのボリュームもあると思うんですが、委員長は下関のフグですね。私は氷見の寒ブリというのをブランド化して売り込みにあちこち行きましたけれども、やっぱり量が足りない。量もなければ、質は大事ですけれども、量もなければ戦えないわけですね。やっぱりオールジャパンでしっかりと戦略を持ってその地域に臨んでいくということが大事なのではないかなと。都道府県やそれぞれの自治体の努力をバックアップし、まとめていく、取りまとめていく、そして大きな動きにしていく、そんなことに是非サポートしていただきたいなと思います。  それから、やっぱりこの輸出に関して大きなエネルギーを生んでいくのは、生産者事業者の熱意、活動しやすい状況をつくっていくということではないかなと思うんです。民間認証への対応など個々の事業者にとって煩わしい事務的なことを含めて、事業者が進めようとしていることに対してこの法案ではどのようにサポートしていくのか、伺いたいと思います。
  25. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  GAPHACCP等認証取得は、輸出先国での販売に有利に働くため、輸出拡大に寄与するものと、こういうふうに考えております。  このため、本法案に基づく輸出事業計画認定を受けた場合には、農林水産物食品を取り扱う施設整備費用施設整備とともに行います民間認証等取得する際のコンサルティングの費用、これが日本政策金融公庫による長期低利融資対象となることとしております。また、予算措置におきまして、GAP認証取得、それから輸出先国HACCP基準対応するための施設改修につきましても支援をすることとしております。
  26. 堂故茂

    ○堂故茂君 今度の法案の中で農水省本部体制を置くというのは、非常に僕は大事な視点だなと思って聞いています。  やっぱり事業者生産者がなかなか自分たち活動範囲内ではできないようなことを、例えば、これは輸出に向くのかどうか、そういう認定をしてもらうとか、ワンストップでしっかりと物事をちょっと聞いてあげて判断してあげるとか、あるいはそのレールに乗せてあげる機能を持つということは非常に大きな動きになっていくのではないかなと期待したいと思いますが、その辺り、お聞きしたいと思います。
  27. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 委員のおっしゃるように、やはり地方にはいろんなすばらしいものがあるんだけれども、その価値に気付いていない方もおられます。価値に気付いているけれども、どういうルートに乗せたら海外市場に打って出ることができるのかが分からないという方も多数おられます。  ですから、そういった方々ができるだけ混乱することなく、農林水産省本部を設けることによって、農林水産省に相談すればそういう活路が開けるんだという窓口の一本化、ワンストップ化ができれば、そういった方々も、今まで輸出は考えていなかったけれども、もしかしてこれいけるんじゃないというような人たちもたくさん出てきて、決して定量を、同じ数量を定期的に輸出するということも輸出の一義的な要件ではありますけれども、そうじゃなくても、量が少なくてもニッチな商品で売れるものは必ずあると思いますので、そういうものを含めて相談に乗っていきたいと考えております。
  28. 堂故茂

    ○堂故茂君 本法案成立を機に日本農林水産物食品輸出一つの大きな転機になるということを期待して、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  29. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 立憲国民新緑風会社民石垣のりこでございます。  まずは冒頭申し上げておきますが、我々の会派、立憲民主国民新緑風会社民は、この度の日米貿易協定と称する日米FTA反対でございます。よろしいでしょうか。我々は、日米貿易協定日米FTAなる売国協定には反対でございます。大切なことは三回繰り返して申し上げます。我々は、日米FTAなる売国協定反対です。  しかしながら、既に総理はこの協定にサインしていらっしゃいます。国会審議は、三分の二の議席を持っていらっしゃる与党の皆さんの強行採決で突破されるでしょう。我々がこの売国協定にいかに反対しようとも、通ってしまいます。  勘違いされている有権者の方も多いので、この場をお借りして解説しておきますと、自民党、公明党の連立政権が今強引に通そうとしている日米貿易協定と称する日米FTAは、条約の一種ですので、憲法の規定上、衆院の議決が自動的に優先されてしまいます。予算と条約は、憲法の規定から、国会での取扱いが一般の法案とは異なります。ですから、一般の法案であった特定秘密保護法ですとか戦争法案のときの先例は何の役にも立ちません。  我々は、少ないながらも議席を有しております。この議席に座る者として、常に責任ある行動を取らねばなりません。本来であれば、このような売国条約、審議拒否をしても阻止したいところでございます。しかし、憲法の規定上、審議拒否しても止められません。院外で騒いで、審議拒否だ、徹底抗戦だと叫んで留飲を下げても仕方ございません。何だったら、野党議員全員が官邸前で座り込んでもいいわけですよね。しかし、条約だけは違うと。審議拒否が何の意味も持たないことは言うまでもございません。ですから、せめて今野党ができることとしまして、こうして反対意見を議事録に反映することをさせていただきたいと思います。  有権者の皆様にはここで深くこうべを垂れまして、我々野党の議席が少ないためにこんな異常な国会運営をせざるを得ないことを深くおわび申し上げるとともに、来るべき衆議院選挙では、下劣な安倍政権に一矢報いまして、国会正常化のためにも議席を一つでも増やすお約束を申し上げたいと思います。  どんなに偉そうなことを院外で叫んでみても、やはり政治家は議席がなければ意味がございません。院内にいなければ意味がない。私は、この立場に立ちまして、改めて議席の重さ、有権者の選択の厳粛さを深く受け止めております。  さて、私の地元宮城を回っておりますと、二〇一九年の今年でも、うそをつかない、TPP断固反対と書かれた自民党のポスターを見かけることがございます。あの頃の自民党は、TPP反対に実に熱心でいらっしゃいました。御存じのように、江藤農林水産大臣は、自民党が野党時代、TPPに反対していらっしゃいましたよね。TPP参加の即時撤回を求める会の会長もなさっていらっしゃいました。TPP反対の急先鋒のお一人だったと言っても過言ではございません。  当たり前だと思います。TPPも、日米貿易協定と並ぶ売国政策、民主党政権であれ自民党政権であれ、こんな国富を売り渡す行為に賛成するのは売国政権と言っても過言ではないのではないでしょうか。農業の現場を知っている方なら、いいえ、江藤大臣ほど地元の一次産業従事者の方の声に耳を傾ける農政のプロであるからこそ、反対するに決まっていると思います。しかし、お立場はお立場です。今、大臣は、この売国協定を守らなければならないお立場にいらっしゃいます。その御苦労いかばかりかと、心中お察し申し上げます。  安倍政権は適材適所といいますが、実際、江藤農林水産大臣、農政のプロでいらっしゃいますので農林水産大臣として適材適所であろうと、これは何の他意もなく虚心に申し上げる次第です。江藤さんを農林水産大臣に据えるだけの人物眼を安倍首相がお持ちでいらっしゃるにもかかわらず、桜を見る会にいかがわしい人物を招いたり下手な記者会見で墓穴を掘るなど、本当に不思議でなりません。  では、日米FTA反対という立場から、まずは日本の農業生産物の輸出入に関する件から質問をさせていただきます。  まずは、日米貿易協定において米というのは本当に交渉から除外されているのでしょうか。江藤大臣に伺います。
  30. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 大変厳しい交渉の中で、最終合意という言葉が使われております。その中には、再協議協定とか、ほかの協定にもみんなそれは入っていることでありますから一般的なものではありますけれども、これはいろいろな委員会で議論されましたが、例えば、米はもう除外するんだということが条文に書いてあるのかというような御質問もほかの委員会ではいただきました。そういう書き方をするというのはないので、将来の交渉について何もかも完全に否定するということではありませんが、国内のことを若干申し上げると、毎年十万トンずつ国内の消費が減っていくという国内の事情もあります。そして、農家の方々は、戦略作物も含めて農地を有効に使う努力をされておられます。  そんな中で、私は、農水大臣として、七万トンといえども日本が受け入れられるような状況には決してないので、そのようなことを追加的にアメリカが要求してきたとしても断固拒否するという覚悟でございます。
  31. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 江藤大臣から、断固拒否するという、一政治家としての、そして農林水産大臣としてのお言葉もいただきましたが、とはいえ、今の段階で、まだお米が今後の交渉において対象農林水産物として上がる可能性を全て否定されたわけではないと存じますが、この場で、今後も交渉の対象にはならないというふうにお答えいただくことはできますでしょうか。
  32. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 将来において特恵的な状況を追求していくんだ、ちょっと正確じゃないかもしれませんけれども、日本語にするとそういう文が入っています。それは一般の条約にも全て入っていることでありまして、それが入っているから米が議題になるんだということには決してなりません。  茂木大臣も、私は委員会行っていないので議事録しか見ておりませんけれども、茂木大臣も全く米が議題になることは想定していないという答弁もされていらっしゃいますし、私も、もしそのような話があったとしても、私も閣内の一員ですから、それは駄目ですと、これはもう決着済みですということで、今委員がおっしゃったように、政治家としても農林水産大臣としても今答弁をさせていただいておりますので、職責を懸けてやらせていただいているつもりでございます。
  33. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 職責を懸けて断固お米を守っていくという力強いお言葉をいただきましたが、とはいえ、条約は既に結ばれていて、その先の交渉があると。どこまで断固阻止を貫いていけるのか、この辺は非常に、覚悟ももちろんですし、交渉の手腕というのも問われていくのかとは思いますけれども、更なる交渉、これはいつから始まるんでしょうか。
  34. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 発効から四か月でございます。
  35. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 その交渉においても米を除外していただく、その姿勢を貫いていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  現段階でもまだその交渉の内容というのは不明な点がたくさんありますので、その段階でもうこの条約を了承しろというような本当に時期尚早なことが進められているわけですから、この段階で米が今後の交渉に上がらないという力強いお言葉をいただいたとしても、それを全てうのみにして信じるわけにはいかないというのは正直なところではございますが、今後の、その大臣のお言葉に期待させていただきたいと思います。
  36. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) それは、アメリカが言ってこないということは、それは相手様のことですから、それは否定はできないじゃないですか。  でも、それは、我々が受け入れるかどうかということがこの場では問題になるのであって、そのようなことは私は言ってこないだろうとは思っておりますけれども、言ってきたとしても、それは駄目ですよということでございます。
  37. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 言ってこないであろうというのはかなり甘い推測なのではないかと思いますが、その際にも、確実に、やはり日本の食の根幹であります米の農家を守るという点でも私たちの食文化を守るという点でも、しっかりとお米の交渉は断固として拒否していただきたいと、そのように思いますし、ここで私が守るというふうに、しっかりと大臣からの御発言も、先ほどの発言がそのようなものであったと私は捉えておりますが、しっかりと交渉していただきたいと思います。  続きまして、八月の二十五日ですが、日米首脳会談後に、害虫被害に伴う供給不安対策としまして、飼料用のトウモロコシをアメリカから前倒しで、民間企業ということはございますが、三か月分買うという話が茂木大臣から出ているトウモロコシ問題でございますが、これ、政府としての公式な約束というのはなされていないということでよろしいでしょうか。大臣、お願いします。
  38. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 私、畜産畑でずっとやってきましたので、畜産農家にとって、粗飼料とか配合飼料がなくなるということは、これはどえらい問題なんですよ。  八月の八日だったと記憶しておりますが、それが出たときにどれぐらいの範囲で広がるかは、これはもう病害虫ですから予想が付かなかった。もしかしたら、農家の方々からも、これはどえらいことになるんじゃないかというお話が現場から上がってきました。ですから、これは、もう例えば今売ってちょうだいねと言ったってすぐは届きませんから、今のうちに対策を考えておかないと、これが大きく広がったときに国内の畜産業が混乱してしまうということでこの仕組みはつくったものでございまして、アメリカのトランプ大統領がたくさん買ってくれると発言されたようでありますけれども、それは、総理がこれだけ買いますと、数量を明示的に言ってこれだけ買いますと。ただ、日本という国は、年間に一千百万トン外国からトウモロコシを買っているという実際の現状ありますので、その大きな部分をアメリカから買っているという過去実績、長い実績がありますので、ですから、必要があれば買うということであって、現在、国内の配合飼料メーカーも今のところ購入したというところはありませんので、もし約束していれば無理無理でも配合飼料メーカーに日本政府が買わせるとかやっているかもしれませんが、そういうことを一切していませんので、あくまで民間の判断で買うかどうかは決めることでありますので、約束はないということでございます。
  39. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 念を押しますけれども、繰り返し伺いますが、それでは、トウモロコシに関しては、この間の問題としてありました発言の中身に関してですけれども、追加でこちらが義務的に買う必要は全くないということでよろしかったでしょうか。
  40. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 若干答弁の修正をまずさせていただきたいと思います。  発生したのが七月の三日で、対策を発表したのが八月の八日でした。病気が発生したのは七月の三日で、トウモロコシ対策を政府として発表したのが八月の八日でした。若干間違えていました。  これは、繰り返しになりますけれども、義務を負っているというものでは決してありませんので、必要になれば、それは国内の畜産農家を守るために、あくまでも、買うということはありますが、そのときには緊急的に配合飼料メーカーさんには対応していただかなきゃならないので、その追加的な費用について一部国として負担をするという仕組みでございます。
  41. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 現時点で被害の届出はございますか。
  42. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) これはちょっと読ませていただきますが、十一月十五日現在、九州、沖縄から東北まで二十一府県、百十三の市町村に発生地域が現在拡大いたしております。  今、一生懸命、これ広がるのを止めるのが一番の一義的な我々の仕事ですから、今のところでまだ被害総額を見通すことはできませんけれども、なかなか止まらないなという印象でございます。
  43. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 実際にトウモロコシを購入しなければならないというところまでの被害というのは出ているんでしょうか。
  44. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 配合飼料メーカーが買っていないということは、そこまで達していないということだと思います。
  45. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 被害が広がっているという話もありましたけれども、実際、トウモロコシの飼料を追加に購入しなければならない、前倒しで購入しなければならないというところまでは被害が広がっていないということで、安心をいたしました。  少し前倒しの、早く対応されること自体が悪いことではございませんが、余りにも被害状況を把握し切れないうちに時期尚早の結論を出したのではないかというのは、この辺の、今手を挙げている農家さんたちがいらっしゃらないというところから推測いたしますが、このまま被害自体は終息することを私も願っております。  続きまして、農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案について伺います。  我が国の食料自給率、先般申し上げましたけれども、昨年、カロリーベースでは三七%、生産額ベースで六六%でございます。つまり日本国内で生産した分だけでは国内の消費は足りないということになりますが、その上で、今回のこの輸出促進法を提出する背景として、人口減少下で国内の食品市場規模は縮小する見込みだと、一方、世界の食料需要は、人口も増えるし経済成長もするので、二〇〇五年から二〇三〇年の十五年間に一・五倍ぐらいには増加する見込みであると、我が国の農林水産業が発展するためには更なる輸出拡大が不可欠ということが述べられております、これは関係閣僚会議における政府説明、有識者意見の概要でございますが。  これ、輸出だけ見ますと、需要がある市場に売り出していけば、それで売れればもちろんもうかりますし、農林水産業としては、生産量としては増えていくかもしれません。しかし、自給率の面から考えますと、今の日本の食料自給率で輸出促進していくというのは、自給率の数字だけは上がるかもしれないけれども、実際に地産地消という観点からの自給率は下がる要因になるのではないでしょうか。  言ってみますと、数字上の自給率は上がるけれども私たちが日常口にするのは外国産が増えていくという、実態と数値の中身が乖離してしまうということが起きるのではないかと思いますが、そのように考えますが、江藤大臣、いかがでしょうか。
  46. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) ちょっと統計部に聞かなきゃ分かりませんが、多分、地産地消という観点というのの自給率というものは出ていないことはない、例えば宮崎県は一〇〇超えていますので、北海道も一〇〇を超えていますし。  ですから、地産地消の自給率がじゃそれで下がるかというと、私は余りそうは思っていなくて、この法律のまず目的を、まず法律は目的が大事ですから。この目的には、農林水産業及び食品産業の持続的な発展に寄与することを目的とすると、これが目的なんですよ。決して外国にばかばか売ってもうけようもうけようと、二兆円を目指すんだ三兆円目指すんだ、数字を目標にしているんだというんじゃなくて、あくまでも国内の農林水産業を発展させよう、それから食品産業を発展させようというのが目的でありますから。  ですから、地域のものが外国に例えば出ていった、そうなると、地域でもしかしたら品薄になるかもしれない、そうなると、地域で数が少なければ引きが強くなって単価が一割でも上がるかもしれない、そうすると、農家の方の所得も増えるかもしれない、そうなると、農業が面白くなって、もっと農業をやろうかなという人も出てくるかもしれない。  ですから、あくまでも、外に出していくことがいいということじゃなくて、加えて申し上げると、外から今入ってきているものも、日本で作れるものはたくさんあるわけですよ。そういった外国から取られているマーケットを取り返す、そして外にも出ていく、そして国内の生産基盤を強くする、食品産業にも御努力いただく、そういう趣旨でございますので、御理解いただければと思います。
  47. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 構想としては、そのような流れというのは非常に美しいとは思いますけれども、実際のところ、輸出促進していくその方向性を見てみますと、あくまでも輸出が幾らを目標ということを掲げていらっしゃるかと思います。二〇二〇年に一兆円を目標にということで、これ前倒しになりましたけれども、金額ベースで考えられていると、その辺は今の大臣発言と矛盾するところがあるのではないかと思います。  その上で、地域の産業基盤を促進していくという目的があるというお話ではございましたが、この促進法が輸出を増やしていくことで地域の生産力を上げていくということに寄与していくためには、やはり一次産物、野菜、果物、そのほか土若しくは水産品でもいいとは思うんですが、林業から得られた木でもいいとは思うんですけれども、そういうものがダイレクトに輸出品目として掲げられていく、増えていくのであれば生産者の直接の利益につながっていくとは思いますが、実際のところ、目標値として、その一兆円なら一兆円の中の半分が加工食品で占められている、そういう目標が掲げられています。  これ、加工食品の割合、輸出量の五割にという目標値になっていますけれども、これは加工品に重きを置く政策だというふうに捉えてもいいんでしょうか。
  48. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 加工食品は大体三割ぐらいでありますけれども、加工食品であっても、例えば、みそ、しょうゆなんかは外国から輸入した大豆なんかを原料にして造って輸出していますから、余り国内の農業、もちろん、戦略作物ですから大豆も一生懸命作ってほしいんですけど、なかなか単価が合わないので作っていただけないし、排水暗渠を入れなきゃ作ってもらえない、いろいろあって作ってもらえませんが。  しかし、加工品の中には日本で生産された原材料を使っているものは多くありますので、そういう加工品メーカーが原材料を買って加工して出すということは、ストレートではありませんけれども、調達してくれたものが結局製品となって外国へ出ていくわけですから、これはやはり農林水産業の現場にも寄与するものだというふうに考えております。
  49. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 輸出されている加工品の中で原材料として国産品が占められている割合というのはどのくらいになるんでしょうか。
  50. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 何か心配そうにしていますけど。  加工原材料の調達率は大体七割というふうに承知しております。
  51. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 これは、商品によって様々だとは思うんですけれども、およそ七割。  ちょっとこれ、一つ確認なんですけれども、今回の法律における食品の定義なんですが、これは、国産の原材料を使用していることというのは必須なんでしょうか。
  52. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 日本で生産されたものということでありますから、それは必須ではございません。
  53. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 必須ではないということですよね。  ということは、いわゆる外国から入ってきた材料、原料を加工して海外輸出するということも含めての輸出促進法の食品ということになりますよね。それは、国産の食料を作っている産業の振興には寄与するかもしれませんが、一次産業に携わっている皆さんの振興策には寄与すると言えますか。
  54. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) いや、先ほど申し上げさせてちょっといただいたんですけど、みそ、しょうゆなんかは、ほぼほぼ輸入された大豆で造られている。しかし、しょうゆは日本の伝統文化ですよね、だしとかしょうゆとかみそとか。しかし、できればその原材料も国産に入れ替えるように努力をさせていただきたいと思っています、そのための政策はいろいろ政策メニューとして用意されていますので。  じゃ、しょうゆを輸出することが意味がないのかというと、決してそんなことはなくて、中には、しょうゆメーカーって実は、御存じかもしれませんが、とんでもないメーカーがいっぱいあるんですよ、国内には。メーカー名、キッコーマンだけではなくて、何とかマンというだけで物すごい数が実はおしょうゆメーカーはありまして、そういうニッチなものについては、多分に地元の原材料を使って造っているしょうゆメーカーもあります。そういうところが増えていくように応援していきたいと思います。
  55. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 個々の中小企業も含めて、そういうところを応援していくというのはもちろん大切なことだとは思いますけれども、やはり輸出促進していくという、こういう法律を作って政策として支援していくという点では、大きな企業、輸出を主に扱っている企業の支援というところがやはり大きなポイントになってくるのではないかと思います。  そういう点で、加工品、この食品というのは国産の材料を含まなくてもよいというのは、TPPもそうですし今回の日米貿易協定日米FTAと言っても過言ではないこの日米貿易協定輸入されてくるものを日本で加工して、それを外国へ輸出するという、そういう目的も含めて推進される、促進される法案というふうに捉えてよろしいでしょうか。
  56. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) とにかく、食品輸出するということは、日本の伝統とか文化とか日本のありようのようなものも併せて理解していただくことだと私は思っているんですね。ただ単に商売として日本のものを売るというんじゃなくて、日本ってこんな国なんだということを分かってもらう一つのツールでもあると思っています。  ですから、先生がおっしゃることはよく分かりますよ。外国に出す品物については、もっと日本の原材料の調達率を上げたらもうちょっと手厚く支援するよとか、そういう工夫がもしかしたらあるのかもしれませんけど、今は、そういう仕組みは我々は持ち合わせておりません。  ただ、水田フル活用政策の中で、やはり米については、申し上げましたように、毎年十万トンずつ消費量が減っていってしまう、そういう中にあって、日本に足りなくて、そして海外からの輸入に頼っているものをなるべく作っていただきたい。その中の戦略作物の一つが大豆ですから、そういった政策についてはこれから手厚くする方向で考えていきたいと思っています。
  57. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 そろそろ時間ですのでまとめさせていただきますけれども。  今回、先ほど大臣の御発言にもございましたが、もちろん、日本のものを輸出していく、それを促進していくというのは、単なる物を海外に届けていくというだけではなくて、日本の食文化、それをきっかけに一応日本のことを知っていただくような、そういう機会にもなるということは十分存じております。ただ、ただですね、肝腎要のやっぱり国内農業、私たちのあと食の安全を守る上で、この法案が妨げになってはいけないと感じます。ましてや、TPP、日米貿易協定によって受け入れざるを得ない農林水産品を加工して輸出することを主な目的とするだけの法律に成り下がってはいけないと、そのように考えております。  法案の第一に、農林水産業及び食品産業の持続的な発展に寄与することを目的とございます。発展の中身が単なる数字で何兆円ということではなくて、あくまでも日本農林水産業に携わる方々が誇りを持って安心して生産していただけること、ひいては消費者も安心してその恩恵にあずかることができること、そのような法案として機能していっていただきたいと、そのことを強く願いまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  58. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 新会派の森ゆうこでございます。  まず、先週の質問の宿題から返していただきたいと思うんですけれども。  皆様に資料をお配りしておりますけれども、その最初の一、二、これは国家戦略特区ワーキンググループの委員に支払われた支出負担行為即支出決定決議書というものでありまして、これは、隠蔽、改ざんの得意な安倍内閣であっても、この民間の委員に対する謝金の支払、これは会計検査院の検査を必ず受けなければならないもので、保存期限は五年でございます。  五か月前から私はこの支出負担行為即支出決定決議書について全てを出していただけるようにお願いしてまいりましたけれども、本日ここに至っても、平成二十七年十月の分しか出てきておりません。この平成二十七年十月分だけ出てきましたが、大体、公開されている会議がありましたけれども、平成二十七年十月二十三日の支払に対応する会議の記録がございません。  この平成二十七年十月二十三日、国家戦略特区ワーキンググループ関係省庁等からのヒアリング、これに出席した委員は原英史座長代理一人でございます。この日、何が議題となり、どこの府省を呼んで話し合われたんでしょうか。
  59. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) 御指摘の平成二十七年十月二十三日は、これは、既に実現をしている国家戦略特区の規制改革メニューである公設民営学校に関わる特例に関して、公設学校の一部のみに適用できるかどうかについて文部科学省から個別にお話を伺ったものと聞いております。
  60. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ものと聞いていますというふうに言ったんですけれども、これ、この謝礼の支払のあった日の会議の記録、一体どの役所が来たのか、議題は何だったのか、内閣府には記録がないんですよね。記録がない、そして誰も記憶がない、確認できない、繰り返しこの答弁いただいておりますけど、大塚副大臣、それでよろしいですか。
  61. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) この特区のワーキンググループは、基本的に政策決定、政策立案等に影響を及ぼすような事象については記録を残すということにしておりまして、通常の正規のヒアリングのプロセスなどは、これはきっちり議事録が残っております。  ただ、今回の御指摘の十月二十三日についてはそうした正規のヒアリングのプロセスではなく、謝金の支払があるのは、これは原さんを拘束をしているということに対して支払をしているものでありますけれども、当日行われた話というのは、要は、公設の高等学校の後に二年間の専門学校的なプロセスのみを民営化の対象にするということが現在の規定でできるのかどうか、これができないということになれば特区ワーキンググループでのヒアリングのプロセスなどに進んで規制改革のメニューとして進めていこうということはあったのかもしれませんけれども、文部科学省とそのときの規制について確認をした結果、これはその時点での規制によって実現できるものであると、要するに特例をわざわざ設ける必要がないものであるということが確認をできたので正規のヒアリングのプロセスに進まなかった、しかし、原さんのお時間は拘束をしているので謝金をお支払いしているという、こういうものでございます。
  62. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、税金で謝金を支払っているんですよ。  想像で物を言わないでください。何の記録もないんですよ。内閣府には何も記録がないんですよ。あったんですか。会議の記録があったんですか。今、想像で物を言っているでしょう。それは原さんから聞いた話なんですか。記録を出していただきたいと言っているんです。
  63. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) 今、先生、想像で物をおっしゃっているというふうにおっしゃられましたけれども、想像で答弁などするわけないわけでありまして……(発言する者あり)先ほど、先生、記録も記憶もないとおっしゃいましたけれども、関係者に記憶がございましたので、それをお伺いをして、その結果、このように聞いておりますということでお話をしております。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 記憶が戻った方というのは内閣府ですか、それとも文科省ですか。内閣府に何度聞いても、この半年間、記録がない、記憶がない、確認できないだったんですよ。突然記憶が戻ったのは内閣府ですか。
  65. 江島潔

    委員長江島潔君) 委員答弁者に申し上げます。  指名を受けてから御発言をお願いいたします。
  66. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) 森先生がどの内閣府の職員に聞いた結果、何の記憶がないとおっしゃったのか、私ちょっと定かではありませんので、そこについては、もしこの二十七年当時にいなかった内閣府の職員に対してお聞きになったのであれば記憶がないということになるんじゃないかと思いますけれども。
  67. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これ、誰が記憶が戻ったのか、誰の記憶に基づいて今答弁しているのか、後で報告してください。後で結構です。  それで、この支出負担行為即支出決定決議書、民間の委員に払った謝金の記録でございますけれども、六月から要求しているんですけれども、いまだに内閣府は出しません。情報公開請求があった場合のこの標準処理期間ですけれども、僅か一か月です。一か月の標準処理期間の、これ確実に残っている、内閣府の会計課にも伺いました。既に内閣府地方創生推進事務局にこの書類は行っていると、この数年間のこの支払を示すもの。黒塗りして出してもらう。五か月待っても出てこない。  なぜ出さないんですか。これ出すと何か不都合があるんですか。よほど隠したい事実があって出さないんですか。いつ出してくれるんですか。なぜ今まで出さないんですか。
  68. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) まず、先ほどの誰の記憶に基づいたのかというお話でありますけれども、これは、原さん御自身が明らかにしているところと、文科省の関係者にお話を聞いた結果、こうだということで答弁を申し上げております。  それから、今の資料の提出要求のことについてでありますけれども、これは、議員から御依頼いただいた資料の提出については、限られた人員の中で優先的に対応しているというふうに報告を聞いております。  しかしながら、御依頼いただいている支出負担行為即支出決定決議書は、一件の文書で原座長代理も含めて複数の者への支出が処理をされており、複数名の個人情報を含んでいるものであります。このことから、提出のためにはより慎重を期して精査を行う必要があり、記載されている個人情報について、ワーキンググループの各委員やそれ以外の有識者等に対して直接の確認等を行っており、お返事をいただくことに時間を要する場合も多いと聞いております。  また、膨大な紙ファイル、これ紙で保存しているファイルでございまして、この膨大な紙ファイルの中から該当する文書を捜索、特定し、その中で不開示情報に該当する事項を過不足なく処理することなど煩雑な事務作業も多く、これらの作業に時間を要していると承知をしております。  加えて申し上げれば、可能な限り優先的に議員からの依頼に努めてはいるものの、国会対応業務や情報開示請求など他律的な業務への対応に追われているのが現状であり、限られた人員で通常業務にも従事しながら作業を行う中でお時間を頂戴しているという状況でございます。  引き続き、個人情報の取扱いについては、これは個人情報をうっかり見過ごして出してしまったということでは済まない場合もございますので、十分な確認、精査をさせていただきつつ、できるだけ早く作業を行い、速やかに提出できるよう努めてまいりたいと存じます。  なお、一か月分についてはほぼ作業が完了しているというふうに聞いておりますので、速やかに提出したいと思いますし、その他の部分につきましても可及的速やかに作業を完了して提出できるようにしていきたいと、このように思っております。(発言する者あり)
  69. 江島潔

    委員長江島潔君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  70. 江島潔

    委員長江島潔君) では、速記を起こしてください。
  71. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) 速記録止まっている間のいろいろ御発言もあったわけでありますけれども、基本的に、原本が手元に来ているからすぐ出せるというものではないということは先ほど申し上げたとおりであります。様々な作業が必要だということを申し上げたわけでありますが、四月分につきましては一両日中にも御提出させていただきたいと、このように思っております。  それから、更に数か月分について鋭意作業を進めておりまして、これは、委員からの御指摘もありますので、私の方からも作業を急ぐように事務方には指示を出しております。数週間以内に更に数か月分を提出できるように全力を尽くしてみたいと思っております。  ただ、これは、先ほど他律的というふうに言いましたけれども、事務方の事情だけで差配できない様々な仕事、これ、情報公開請求含めあるというのも事実でございますので、その中で全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  72. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 あと数週間ですか。半年掛かっても出せないってどういうことなんですか。来年の通常国会でもやらせていただきますので、早く出していただきたい。よほど都合が悪いことがあるんじゃないかなというふうに思います。  それで、法案審議に入る前にもう一点確認をさせていただきたい。  資料を配らせていただいておりますけれども、先ほど石垣議員からも御指摘のあった日米貿易協定の話でございます。  本当にウイン・ウインなんですか。緒方林太郎前衆議院議員がブログに書いていますけど、私もそう思いました。これ、外形的に見てください。これが日本米国に許した譲許表です、百四十四ページ、英文で。そして、こちらが米国側の譲許表、二十四ページ。  大臣、これ、日本語に訳していません、こちらは日本語に訳されていますけど。ページ数見ただけでも、この附属書、量からしたって、どう考えてもウイン・ウインとは言えないじゃないですか。不平等じゃないんですか。そう思いませんか。  続けて質問しますけれども、外形的にも不平等であると。それから、資料二に先ほどのいろんな質疑まとめてありますけれども、日本車は、関税撤廃、部品の関税撤廃について約束されていません。  茂木大臣は、ウイズ・リスペクト・ツーというフレーズがあって、これは特別な意味を持つんだと、だから関税撤廃が条件なのであるということを盛んに言われておりますけれども、ウイズ・リスペクト・ツー、このフレーズ、何か所かに使われておりますが、単に何々に関してという訳が正しいのであって、このウイズ・リスペクト・ツーに特別な意味はありません。ですので、これがあるからといって関税を撤廃が約束されたという論拠にはなりません。  一方、これは日本語訳、附則書のⅠ、日本側の譲許表が詳しく書いてある、日本語訳ですけれども。  大臣でもいいですし事務方でもいいですけれども、この一番下の、日米貿易協定サイドレターと書いてありますけれども、これ附属書です、のⅠ、このウイズ・リスペクト・ツーについてどのように訳してここに載せていますか。
  73. 光吉一

    政府参考人(光吉一君) 委員今御指摘いただいたのは、附属書のアメリカ合衆国はというところだと思います。  その英文に関しましては、アメリカ合衆国は、将来の交渉において農産品に関する特恵的な待遇を追求するというふうに訳しております。
  74. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 茂木大臣が自動車の関税の撤廃が条件とされているといって盛んに使っていたこのウイズ・リスペクト・ツーというフレーズの訳は、日本国自身が日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定ということで日本語訳にしたときに、一番下の部分、イン・フューチャー・ネゴシエーションズ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・ウイル・ビー・シーキング・プリファレンシャル・トリートメント・ウイズ・リスペクト・ツー・アグリカルチュラル・グッズ、ここの部分、農産物に関するというふうに翻訳しているんです。  つまり、ウイズ・リスペクト・ツーに何か特別な意味があったんですか。ありませんよね。それだけ確認させてください。この日本語訳では農産品に関するという訳でございますけれども、特別な意味あったんですか。
  75. 光吉一

    政府参考人(光吉一君) 農業に関しましては、今、訳文について申し上げたとおりで整理をしております。  ちょっと自動車等の関係については、外務省なり内閣官房にお尋ねいただきたいと思います。
  76. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ウイズ・リスペクト・ツーに特別の意味なんてないんですよ。もし特別な意味があったら大変でしょう。江藤大臣大臣、大変ですよ、ウイズ・リスペクト・ツーに特別な意味があったら。  私は予算委員会でこれ質問しようと思っていて、時間がなくてできなかったんですが、米は交渉から完全に除外されたのかと、先ほどの質問にもありました。更なる交渉においてアメリカは、農産物に対して、ウイズ・リスペクト・ツーに特別な意味があるのであれば、これはもう大変な要求をされるということを日本が自ら認めていることになるわけですから、この訳語一つ取ってみても、政府答弁は破綻していると。  こういう中で、我が国の農業に対する影響試算もきちんとないまま、それに対する対策もきちんと示されないまま、今日、これから衆議院で条約、条約ですよ、我々参議院、悔しいけど、三十日ルールで、我々が審議しなくたってもう通っちゃうんですよ。本当にこれでいいんですか。大変なことになるんじゃないんですか。何にもウイン・ウインじゃないんですよ。大臣、何とかしてください。
  77. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) なかなか、茂木大臣的な答弁をしなきゃいけないのかなと思いますが。  まず、不平等ではないかということについて私の感想を申し上げたいと思います。  確かに、譲許表のページ数だけで厚みを見れば、日本に対して、日本がオープンにしても全く影響のないものもラインとして載っていますから厚みはあるかもしれませんが。ただ、TPPのときに八二%の自由化率、今回は三七%、そして六万五千五トン、長い話は飽きられますからもうしませんけど、取れるものを取った。四十二品目については関税削減又は撤廃も取っておりますので、農林水産については、米も除外しましたしワイド枠についても全部はじき飛ばしましたし、私は、決して負けたような内容ではないというふうに思っております。  それから、英文のこのリスペクトにつきましては、このリスペクトだけに何かフォーカスオンされていますけど、そのアグリカルチュラル・グッズのところはシーキングという言葉が、ウイル・ビー・シーキングですから、シークは探し求めるという意味なので、何が何でも取ってやるぞという強い単語ではまずない。動詞が一番私は重要だと思うんですよ。何が何でも取るということであればシーキングという言葉は多分使っていないんじゃないかなと。  それから、そのカスタム・デューティーズのところは、リスペクト・ツー・ザ・エリミネーションという、削減という言葉がはっきり入っておりますので、撤廃か、このエリミネーションという単語がしっかり入っておりますので茂木大臣もそのような御答弁をされたのだろうというふうに思っております。
  78. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いいかげんな翻訳をしたりしないでいただきたいというふうに思います。  この資料の一番上の方にも書いてありますけれども、書いてあることが全てなんですよ。この間の安倍総理始め政府の認識はそうじゃないですか。条約ですから、中でどんなに話し合ってきたとか関係ないんですよ。お互いにそういう認識であろうなんということは関係ないんですよ。書いてあることが全てなんです。書いてあることが全てで、自動車の関税なんて約束されていない。もしウイズ・リスペクト・ツーでそういうのが約束されているということになったら、逆に言うと、農業の方も更に、もうアーリーハーベストで差し出しちゃって、ないんですよ、カードは。今度は米ですか。そういうことを言っているので、本当に売国的条約、私もそう言わざるを得ません。  それで、今回、この法案輸入が増えるから今度は輸出、もうとにかく攻めの農業だ、輸出だということで、この法案自体は当然あるべき法案で、農林水産大臣本部長になって各府省に協力を求めるという、そういう体制ができることは、それはむしろ今までなかった方がおかしいのかなというふうに思いますけれども。  いろいろあるんですが、しかし、大臣、オランダのアールスメーア市場に行かれたことありますか。オランダは、御存じのとおり、毎日二千万本花卉を、もうヨーロッパのみならず全世界輸出している。私は、もう古い話になるんですけれども、二十年前に訪問したことがありまして、空港の中に、中にあるという言い方は言い過ぎですが、もう直結しているわけですね。巨大な、そして更に進んでいます。農水省でも研究しているようですけれども、大臣、行かれたことありますか。
  79. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 私も、一度、朝早く、四時頃だったと思いますけれども、視察に行かせていただいたことがあります。
  80. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 特にヨーロッパ向けにおいて、サプライチェーンがきちっと確立している、コールドチェーンがきちっと確立している。受発注に関するAIというかITも活用して、これは農水省の報告ですよ、オランダの花だから買うということではなくて、必然的に非常に買いやすい、安定して供給される、そして受発注非常にスムーズに行われている、そういうことで、必然的に特にヨーロッパにおいてはオランダの花が選ばれていると、これは農水省の報告書に書いてありました。二十年前もすばらしい状況だったと思いますけれども。  この法案ができて、農水大臣本部長になって各省庁にいろいろ協力を求める、指示をすることができるということですから、コールドチェーンがまず確立されるのか。農林水産物輸出しようというんですから、コールドチェーンがきちっと確立されないと、生鮮品ですからね、届かないですよ。そういうのが確立しなければ、誰も日本の農産物買ってくれません。  それから、港湾等のインフラが老朽化している。港湾だけじゃないですよ、もちろん空港もありますけれども。特に、農水産物大量に輸出するときには、港湾、ソフトの部分が極めて脆弱なんですよ。だから、生鮮品を輸出したいと思っても、そもそもそれぞれの港に冷蔵施設もない、そのしょっぱなのスタートラインからコールドチェーンがもうないんですよ。  だから、きちんとコールドチェーン、サプライチェーンを確立をして、本当に生鮮品、農林水産物がきちんと輸出が拡大できるように、これを是非やっていただけるかどうか。それについて、現状の御認識と今後どのようにされていくのか、伺いたいと思います。
  81. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 本部長をやらせていただくということでありますから、しっかり取り組ませていただきたいと思っております。  アフリカから大量のバラの花が日本輸出をされています。何でアフリカから来るのかを調べたら、非常にコールドチェーンがしっかりしていて、全くもう、ほぼほぼ集出荷場から外気に触れることもなく成田空港まで届くと。そして、港も見に行きました。港に行ったら、そのときはたしかホウレンソウか何かだったと思いますけれども、コンテナ自体に加湿装置と温度管理装置が完全に付いていて、コンテナ自体が、もうそのまま輸送すれば鮮度が落ちない。港に着いた時点でたしか四日目ぐらいのホウレンソウでしたけれども、しゃきしゃきだったんです。もうびっくりしました。  ですから、そのコールドチェーンの重要性というのは非常に大事だと思います。農家の方々が一生懸命作っても、それが途中で外気に触れたり、それから保管庫がしっかりされていない、それからコンテナの電源も整備されていないようなことで管理できないということであったら大変申し訳ないことでありますから。  そういう、国交省辺りともきちっと横の連絡を取って体制の方を整えていきたいと考えております。
  82. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 輸出拡大、何と言ったらいいんですか、横ばいじゃなくて足踏み状態と先ほど堂故先生おっしゃいましたけど、もうしようがないんですよ。そういうコールドチェーン、サプライチェーンを確立しなければ物は動かないんです。  だから、掛け声だけでは駄目で、せっかく本部長になるわけですから、各府省にきちっと指示を出して、そして、これは民間にもしっかりとやってもらわなければコールドチェーン、サプライチェーンは確立できません。もう二十年以上遅れているなというふうに思いますが、それでも、この法律ができて、そういうことできちっと行われるように、もう加速度的に対応できるということであれば、いろんなそれこそビジネスチャンス、そして農家の皆さんの成長する産業として本当に後押しすることができるんじゃないかというふうに思います。  もう一つ、サービスとソフトの部分で、何でこういうことを言うかというと、うちも仕事の関係で貿易のところをちょっとやっていたことがありまして、実際に輸出しよう、輸入しようとすると、今言ったコールドチェーン、サプライチェーンが確立していない、さらには検疫官の問題なんですよ。検疫官が極めて少ない、輸出入の検疫官。  これが、それでも今回資料を出していただきました。一番最後のページを皆様御覧ください。植物検疫官、家畜防疫官、これが本当に少なくて、新潟県内でも、港は幾つかあるんですけれども、一つのところにしかいなくて、わざわざお迎えに行って、検疫してもらうためにおいでいただくというような体制だった時期もありまして、若干増えているようですけれども、表にあるとおりでございます。  この法律ができるということは、この植物防疫官、家畜防疫官、これないと物の出し入れできませんから、輸出入。この人数、この法律に基づいてやはり相当増やしていただかなきゃいけないと思いますけれども、その準備はできていますか。概算要求どうなっていますか。定員はどうなるんでしょうか。
  83. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) 家畜防疫官、それから植物防疫官は、輸出輸入の区別なく貨物、携行品の検査を行っておりまして、全体の業務の中で人員の配置、調整を行っているところでございます。  近年、貨物の輸出入の総数全体としては微増でございますけれども、小口でいろいろ混載をされております輸出の検疫というのが増えております。それから水際の携行品検査もということで、業務が増大をしております。  先生御指摘いただきましたとおり、この五年間、農水省は、非常に定員が厳しい中、家畜防疫官、それから植物防疫官共に増員をしてまいりました。令和二年度の定員要求におきましては、家畜防疫官を二十九名、植物防疫官を二十七名増員する要求を行っているところでございます。  引き続き体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
  84. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ちょっと少ないですね。そんなのじゃ、この法律できたって進みませんよという御認識を是非大臣に持っていただきたいと思いますし、それから、貿易が更に盛んになる。  先ほど、豚コレラの話がございました。改めて私の方からも抗議したいと思います。  勝手に名前変えないでください。豚コレラ、家伝法では豚コレラですよ。法律に出てくる名前なのに、何の説明もなく名前CSFASF、何ですか、これは。おかしいでしょう。物事を決めるプロセスがもう極めておかしいんですよ、安倍内閣は。しかも、豚コレラが大変な状況に入ったということでワクチンを接種する、もう危機的状況ですよ。タイミング悪過ぎますよ。これじゃ、これからひょっとしてパンデミックになるかもしれないということで、豚コレラ豚コレラ豚コレラと毎日マスコミに出ると困るから、CSFとかASFという名前にして分からなくしちゃったんじゃないかと勘ぐりたくもなります。  それで、アフリカ豚コレラを水際で止めなければいけませんので、衆議院の篠原孝先生がかねてから提案をしております。日本国内に入るときの旅行者携帯品申告書が極めて緩い。ほかの国では、みんな、三十日間に農場や湖、それから草地、そういうところへ行ったことがあるか、動物と接触したことがあるか、肉類何かを持っているかどうか、イエスかノーでチェックする、そういう入国カードになっております。お金掛かりません、そんなに。  ちょっと財務省と法務省と、これ連携してもらわないとできないんですが、大臣、せっかくこの法律通すんですから、両省に働きかけてこれ変えてもらってください。そうしないと簡単に持ち込めますよ、アフリカ豚コレラ
  85. 江島潔

    委員長江島潔君) 申合せの時間が来ております。
  86. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 はい。  ということで、一言だけ御答弁いただきたい。
  87. 江島潔

    委員長江島潔君) 簡潔に答弁お願いします。
  88. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 関係省庁と連携して、先生の御意見を取り入れて検討しようと考えております。やろうと考えております。
  89. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。終わります。
  90. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。  私からは、本日の議題であります農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案につきまして、本法案を推進する立場から、何点か確認をしながら質問をさせていただきたいと思います。  まず、本法律案の目的規定第一条には、農林水産物及び食品輸出促進を図るため、措置を講ずることにより農林水産業及び食品産業の持続的な発展に寄与するとあります。この目的の達成、すなわち農林水産業の持続的な発展を図るためには、農地、農業用水、農業の担い手、その他の生産資源など、生産基盤が確保されていることが大前提となります。そこで、輸出促進と生産基盤の確保の関連性について伺いたいと思います。  平成三十年の農林水産物食品輸出額は、前年に比べて一二・四%、九百九十七億円増加をし、六年連続で過去最高額を更新をしています。農産物、林産物、水産物の輸出額は、合わせて九千六十八億円でございます。改めて、生産者を始め関係省庁、関係各位の御努力に対して敬意を表したいと思います。その一方で、私がここで指摘をするまでもなく、各農林水産物を生み出すために一番大切な担い手や農地面積など、生産基盤に関する数値は減少しています。先日お会いした酪農関係者は、全国で毎年四%やめている、離農していると、この傾向は止まりそうもないとため息をついておりました。  この六年間で輸出額増加する一方で生産基盤に関係する数値は減少しているとのことについて農林水産省はどのように分析をしておられるのか、まず見解をお伺いしたいと思います。
  91. 横山紳

    政府参考人(横山紳君) 御説明申し上げます。  担い手や農地面積などの生産基盤の数値が減少しているのではないかという御指摘でございます。  まず、人の面から申し上げますと、我が国の基幹的農業従事者につきましては、二十年間で約八十万人減少してございます。これは、我が国の農業生産を中心的に担ってきた昭和一桁世代の方、これ、二十年前は六十代だったわけですが、平成二十七年に八十代ということになります。こうした方々がリタイアしたことによるものと、このように考えているところでございます。他方で、近年は、四十九歳以下の新規就農者数が年間二万人程度で推移するなど、明るい兆しも見られているところでございます。  また、もう一点の農地面積でございます。これも、この二十年間の数字を見ますと約五十二万ヘクタール減少してございます。その要因といたしましては、荒廃農地から再生等による増加はあったものの、宅地等への転用ですとか農地の荒廃による減少、こういうことがあったためということでございます。  今後とも生産基盤の強化を推進していく必要がございます。まず、人の面では、世代間のバランスの取れた農業構造を目指しまして、例えば新規就農の促進といったことにしっかり取り組んでまいりたいと思います。また、農地の面では、農地中間管理事業による担い手への農地の集積、集約化、これを加速いたしますとともに、日本型の直接支払や基盤整備など各種の施策を動員いたしまして、荒廃農地の発生防止、再生利用、これを進めてまいりたいと考えております。
  92. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 次に、本法律案によって推進しようとする輸出促進が我が国の農林水産業の持続的な発展にどのように結び付いていくのか、伺いたいと思います。  私の単純な発想からいたしますと、日本国内のマーケットは少子高齢化の影響によりまして今後も縮小する見込みと思われます。だから海外に目を転じて輸出に打って出る、アジアを始め今後伸びると思われる有望なマーケットがある、世界的な日本食ブームの広がりもある、ここまでは分かります。しかし、先ほど触れましたが、世界で売れるものを生み出すためには、その生産基盤が必要ですよね。国内の生産基盤がどんどん縮小している中で、果たしてどうやって世界で売るために増産に転じるのでしょうか。  輸出促進が国内の生産基盤の縮小傾向にストップを掛け、さらに、それがやがて農林水産業の持続的発展につながるということがどのように結び付いていくのか、農林水産省見解を伺いたいと思います。    〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕
  93. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えをいたします。  先生先ほどおっしゃられたように、大枠としては同じような方向性なのかなというふうに思いますが。  我が国の農林水産業は、人口減少に伴う国内マーケットの縮小や農林漁業者の減少、高齢化の進行など、厳しい状況に直面しているところでございます。このような中、この法案により輸出促進されれば、農林漁業者のマーケットが海外に広がり、農林漁業者の所得の向上や地域特産品のブランド化につながることとなり、結果として、国内の生産が維持拡大され、農林水産業の持続的発展に資するものと考えております。
  94. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 続きまして、これも生産基盤強化に関連すると思いますが、輸出の拡大が農林水産業の持続的な発展に結び付くような生産基盤の強化につながるためには、輸出によって何よりも農林漁業者の所得が具体的に向上することが最重要であると思います。江藤大臣も、本委員会冒頭の御発言の中で、若者が夢と希望を持てる産業としていくとともに、その生産基盤を次の世代に確実に継承していかなければなりませんと、生産基盤の強化の必要性を述べられました。  しかし、ある酪農関係団体の調査に、牛を増やせ、牛乳を増産せよなどと言われても、六三%の酪農家は現状維持が精いっぱいという答えがありました。この現状維持の意味するところは、決して前向きな意欲が欠如して現状に甘んじているとかではないと思います。酪農に誇りを持って日々努力を重ねている酪農家の方々の実感なのではないでしょうか。休みも取れない、収入が増える見込みはない、それでも酪農はやめない。しかし、もう限界だとの声もある中で、現状維持が精いっぱいと踏ん張っている方々の声であります。  酪農に限らず、農林水産業に従事されている全ての方々にとって、本法律案によって推進しようとする輸出促進で本当にもうかるようになるのか、輸出の拡大が本当に所得の向上につながるのか、ひいてはその地域経済の活性化にまでつながるのかということを、大臣、分かりやすい丁寧な御説明をお伺いしたいと思います。    〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕
  95. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) まさに委員がおっしゃるように、そうならなければならない、もう法律の目的にそう書いてあるわけですから、この目的を完遂するためにあらゆる知恵を絞らなければならないと思っております。  六三%の方々が維持というお話でありましたけれども、これちょっと余計なことかもしれませんが、これからの農政は、何かというと規模拡大とか増頭とか、そういうことにちょっと偏り過ぎていたんじゃないかなと私は思っております。やはり維持をすることについてもしかるべき評価をする時代が来たのではないかと思っておりますので、また検討させていただきたいと思います。  具体的な例としては、私の宮崎の例で恐縮ですけれども、アメリカ向けにブリを今一生懸命やっています。相当高い値段で引き取って、引き取ってというか買っていただけて、生産者は非常に元気がいいです。それから、芋も結構宮崎は作っているんですけれども、ちっちゃいやつは国内では売れないんですけど、海外に出すとちっちゃいやつの方が何か人気があるらしくて、それを売ることによってこの四年間で輸出は二十倍に伸びて、本当に立派な家が建ったという話も聞いております、今ちょっと病気が出ていて大変なんですけれども。  輸出をすれば必ずということではありませんが、夢のある世界だというふうに思っております。
  96. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 大臣からも非常に具体的な前向きなお話もいただきまして、ありがとうございます。  今後十年程度を見通した農政の中長期的なビジョンを示す次の食料・農業・農村基本計画においては、輸出促進について、生産基盤の強化、所得の向上との関係性をより分かりやすく明記すべきだと考えますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  次に、本法律案によって輸出本部が創設されることや加工施設認定等の業務が法律上に位置付けられることなどによって、輸出に取り組む事業者にとってどのような負担が軽減をされ、どのようなメリットが生じるのか、お尋ねをしたいと思います。  法律提出に至るまでの関係閣僚会議の中で、事業者からのヒアリングで明らかになった課題に、国の施設認定等のスピードが遅い、申請側だけでは技術的に対応が困難であって輸入規制対応に時間が掛かる、輸出に際しての施設への補助や認定などの諸手続について、複数の省庁に相談や手続を行わなければならず民間の負担になっているなどがございました。  事業者だけでなく、地方自治体も含めて輸出先国輸入規制に迅速かつ戦略的に対応するためには、政府だけではなく、地方の体制、事業者への支援検討すべきと考えますが、本法律成立によって具体的にどのような負担が軽減をされ、どのようなメリットが生じるのか、お伺いしたいと思います。
  97. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えいたします。  これまで、輸出先国規制等の対応について、担当省庁複数にまたがることにより、輸出先国協議証明書発行、また施設認定に時間を要し、輸出に取り組む事業者の負担となっておりました。  本法案によって、農林水産大臣本部長を務める農林水産物食品輸出本部において、輸出を戦略的かつ効率的に促進するための基本方針実行計画策定し、担当省庁や地方自治体の役割分担を明確にした上で進捗管理を行い、迅速に対応することとしております。本年六月に作成した工程表につきましてはこの実行計画に位置付けることとしておりますが、現在のところ、百七の項目がございますが、二十一項目について対応済みでございます。  これらにより、輸出本部の下で事業者の負担を軽減することで輸出を加速していきたいと考えております。
  98. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 ありがとうございます。  次に、海外食品安全規制などについての相談窓口の一元化と輸出証明書の発行について質問をいたします。  輸出証明書の申請、発行を始め、生産区域の指定、加工施設認定の業務などにおいて、地方自治体が果たす役割は大きいと思います。しかしながら、これも関係閣僚会議において輸出事業者から、輸出政府の課す規制をクリアするための基準の解釈において国と地方自治体とで統一されていないために不利益を被ったという話もございます。さらに、都道府県や保健所等の人手不足などが原因で手続に時間が掛かるとの指摘もあります。  地方自治体や加工施設認定業務を行う機関と適切な情報共有を行い、政府とこれらの機関との間で基準等の解釈を統一させるなど、連携を強化していくことが必要であると考えますが、相談窓口の一元化など、どのような体制で推進するのか、見解をお伺いしたいと思います。
  99. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  本法案によりまして輸出本部を設置する農林水産省では、事業者からの相談や問合せに対応する一元的な窓口を整備するほか、ジェトロと連携いたしまして、必要な情報がウエブサイト上で容易に入手できるようにする方針でございます。また、輸出先国規制の解釈に疑問がある場合には、輸出本部におきまして関係省庁の統一解釈を作成いたしまして、国、地方自治体、登録認定機関が一貫した対応ができるようにしたいというふうに考えております。
  100. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 ありがとうございます。  次に、輸出証明書の発行について伺います。  輸出証明書の申請、発行については早急にワンストップ化が求められるところでありますが、来年度の予算概算要求を見ますと、輸出証明書の申請、発行のワンストップ化のためのシステム構築の項目があります。  十月九日付け水産経済新聞に、法整備により予算処置もしやすくなるため、三年程度でオンライン体制の構築などをし、ワンストップ輸出証明書の申請、書類の受取ができる体制を整えたいと展望を示すとの記事がございました。  ワンストップ化は早急な実現が求められますが、具体的な構想とサービス実施の開始時期のめどはいつ頃でありましょうか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
  101. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  これまで農林水産省や厚生労働省等で別々に申請を受け付けておりました輸出証明書につきまして、ワンストップ化のためのシステムの構築によりまして、インターネット上での一括申請を受け付け、最寄りの農林水産省の県域拠点で一括交付できる仕組みを今検討しているところでございます。  このワンストップ化につきましては、来年四月以降できるものから、今考えているのは、自由販売証明書につきましても早い段階からというふうに思っております。それから、来年度中には各種証明書につきまして実現できるように今進めているところでございます。
  102. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 今、来年度中から、早い段階からスタートしたいということで、是非早急なワンストップ化をお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、農林水産物食品輸出本部の所掌と役割についてお伺いいたします。  この法律案によって、農林水産大臣本部長とし関係閣僚を本部員とする農林水産物食品輸出本部農林水産省に恒久的に設置をされ、基本方針を定め、実行計画を作成し、進捗を管理されるとのことですが、この輸出本部の所掌と役割を確認したいと思います。  政府は、本法案提出の目的の一つに、農林水産物食品輸出促進政府が一体となって戦略的に取り組むための体制を整備するためと説明されています。それでは、具体的に輸出本部は何をどこまで所掌するのか、さらに、輸出本部長たる農林水産大臣をトップとする司令塔組織が農林水産省に恒久的に設置されることでどのようなメリット、また効果が期待されるのか、農林水産物食品輸出本部の役割についてお伺いいたします。
  103. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えをいたします。  農林水産物食品輸出本部は、輸出促進に関する基本的な政策の企画立案、推進と、輸出に関する関係行政機関の事務の調整を所掌することとしております。輸出本部は、この所掌に基づき、輸出を戦略的かつ効率的に推進するための基本方針実行計画策定進捗管理を行うとともに、関係大臣が一丸となって、輸出規制等の緩和撤廃に向けた協議輸出証明書の発行や施設認定輸出に取り組む事業者への支援を行う役割を担うものと考えております。  このように、輸出本部の下で政府一体となって輸出先国規制に迅速に対応することにより、更に輸出拡大が図られると考えております。
  104. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 最後に、本法律案の第十一条に、「国は、農林水産物及び食品輸出促進に関する施策を総合的かつ一体的に推進する責務を有する。」との責務規定があります。そこで、この責務を果たすため、輸出本部が司令塔組織としての機能を十分に果たせるよう、本部長たる農林水産大臣にはリーダーシップを存分に発揮されることを大いに期待をいたします。  最後に、大臣の力強い御決意をお伺いしたいと思います。
  105. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 今委員から御指摘ありましたように、十一条には責務規定がはっきり書いてありますので、この責務を果たすように全力で頑張ってまいります。  各省にもしっかり協力を仰いでいきたいと思いますし、いろんな計画策定、それから進捗状況、それについてもしっかり見ていきたいと。一生懸命頑張らせていただきます。
  106. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  107. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。よろしくお願いします。  もう既に同じ質問がたくさん出てきてしまった感じがあるんですけれども、重ならないように努力してみます。  日本維新の会はこの貿易の輸出促進に関しては賛成の立場を取っておりますが、本法案成立によって大切なことというのは、農林水産品の輸出が製造業者、つまり農家などの所得の向上につながっていくということが大切だと思うんです。つまり、農業が面白くなって担い手を確保することにつながるということですね。将来の日本の第一次産業の力を付けていくためには、これまでにないヒントとこれまでにないデータが必要になってくると思っております。  ちょっと質問に入る前に、私の好奇心なんですけれども、申し訳ないんですけれども。  第七条、これ維新が疑問に、最初委員会で出たんですけれども、規定にあります農林水産物食品輸出本部長が農水大臣、そのほか六大臣から構成させる本部、これについての質問先ほどから出ておりますが、こういう組織が構成されることで果たして事業者の利便性が増すことにつながるのだろうかという疑問がありました。  今御説明聞いていると、それはつながっていくんだということが分かったんですけれども、この六大臣、どの大臣を任命されるおつもりでしょうか。もしお分かりでしたら教えてください。六大臣、農水大臣が申し出て総理が任命するとなっていますが、どの大臣を任命する御予定か、分からないんだったら分からないで結構です。
  108. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) 済みません、第七条の、今、六大臣とおっしゃった、総務大臣、外務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、国土交通大臣につきましては、もう既に法律本部員に位置付けられております。  先生おっしゃった、第七号に「前各号に掲げるもののほか、本部長以外の国務大臣のうちから、農林水産大臣の申出により、内閣総理大臣が任命する者」と、これをおっしゃっているんじゃないかと思います。  それにつきましては、どういう大臣かというのはまだ具体的に決定をしているわけじゃないんですが、例えば、輸出に関する特命を受けた内閣府の担当大臣だとか、新たに対応すべき輸出先国規制等が発生した場合にその関係大臣だとか、あるいは東日本大震災の被災地復興の観点から復興大臣、こういう方々が申出があれば追加できるようにしているところでございます。
  109. 石井苗子

    ○石井苗子君 農水大臣が申し出てと書いてあります。そこまで考えていらっしゃらないというお答えでしょうか。
  110. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) まずはこの法案皆様方に御議論いただいて、そして御可決いただくということからまず始めさせていただいて、私が本部長になれば第一回目の会議が開かれると思います。その議論の中で、ああ、やっぱりあの大臣にも協力してもらった方がいいよねという意見は当然出てくると思うんです。そのときに、本部員の皆様方の御意見も賜りながら、総理とも相談して、追加が必要であれば追加を過不足なくしていきたいと思っております。
  111. 石井苗子

    ○石井苗子君 是非、ヒントとかデータとか統計とか、そういうことにも明るい方を申し出ていただきたいと思います。非常に大事だと思います、今、過渡期に来ているので。  私は、この法案について、十七条に非常に興味があります。適合施設認定する登録認定機関、この認定機関、これ、今どのくらいありますか。そして、今後どのくらい増えていくとお考えですか。
  112. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) これにつきましては、当然、法律が施行後、登録の申請があってから具体的に登録が進むんですが、想定しておりますのは、間違えました、登録の適合施設の方でございますね。申し訳ございません、ちょっと間違えました。  今、見込みでございますが、水産関係でいきますと現在二百六十二の施設でございますが、これが、ああ、間違えました。四百二十七対米がございまして、対EUで六十六あります。これが畜産関係でいきますと、令和二年度中に十五、EU向けで九ぐらい増えるんじゃないかという想定をしているところであります。
  113. 石井苗子

    ○石井苗子君 違います。通告しているので、答え、ちゃんとお願いいたします。  今幾らあって、これからどのくらい、今のをどのくらい増やすというお答えですか。
  114. 江島潔

    委員長江島潔君) 答弁慎重にしてくださいね。
  115. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) もう一回申し上げますと、米国向けの牛肉施設は現在十三、これが二増えて十五に、令和二年度中に十五に増やしたいと思っております。また、EU向けにつきましては、七あるのが二増やして九になるという見込みでございます。
  116. 石井苗子

    ○石井苗子君 これ、手続の円滑化を進めるためには登録認定機関を増やす必要あると思います。同時に、登録認定機関の認定を受け入れる、つまり登録認定機関でもいいですよと言ってくれる輸出先国を増やさなければならないんですよね。そうですよね。そうなりますと、認定を受け入れてくれる輸出先国を増やす交渉というのをしなきゃいけないんですけれども、ここをどう進めるおつもりですか。
  117. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  まさに先生がおっしゃったとおり、国や都道府県の公的機関だけではなくて、専門的な能力を有する民間機関、この活用をしていくことがこれから施設認定を増やすために大事だというふうに思っております。このため、多くの民間機関に登録してもらいたいと考えておりまして、法律の施行までに登録基準などを公表するなど、円滑な申請に向けて準備を進めてまいりたいと思います。  また、先生がおっしゃいましたように、これ、我が国の判断だけでできるものじゃなくて、相手国が民間の機関でもいいよということを了解を得なくちゃいけないものですから、これは、まさに農林水産大臣本部長を務めます輸出本部におきまして、関係省庁と連携をしまして、しっかり相手国協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  118. 石井苗子

    ○石井苗子君 どのように交渉していくのですかと質問しております。  つまり、厚労省が所管するべきところがあったりする、そうですよね。そうすると、本部でできるようにして進めていくということは、これ、認定が前は省庁にわたっていたのが本部でできるようになったということですから、これは個別に交渉していくということでしょうか。
  119. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) 本部長である農林水産大臣の指示の下で、厚労省、それから農林水産省連携をしてやっていきます。  衛生関係につきましては、農林水産省だけが必ずしも知識があるわけではなくて、厚生労働省の知見も借りなくちゃいけないものですから、言わばタッグを組んで相手国に必要性を訴えて、相手国から民間の登録機関でもオーケーということをしっかり勝ち取っていくということだというふうに考えております。
  120. 石井苗子

    ○石井苗子君 先ほど私が申し上げたように、煩雑になってはしようがないわけですから、これは、スピードを増して更に利便性が増していかなければならない、個別に説得していかなければならないということで、この民間の登録認定機関を増やす必要があるということをお認めになったんですから、増えなかったら何がいけないのかということを見直して、増えなかったら法律も変えていくというようなお考えを持って頑張っていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕  次に、十六条について質問させていただきます。  主務大臣が、農林水産物食品の生産等について、輸出先国が定める条件に適応する区域を定めることができるようになると書いてあります。  実際に輸出国には国が生産区域を指定してほしいというニーズがあるのか、これが一つ質問です。次に、この法律によって今後国が区域を指定することが求められるという、これ、今後増えるんでしょうか、この区域を指定すること。この二点についてお聞きいたします。
  121. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えをいたします。  相手国から指定があるのかということに関しては、今現在、存在をしてございます。あります。北海道であったり青森であったりという地域が指定をされているということであります。  生産区域の指定に関して、例えばEU向けのホタテなど二枚貝の輸出に当たっては、微生物や化学物質などの基準に適合する海域で生産されていることが求められており、EUとの協議の結果、現在、北海道と青森がEU向けのホタテの生産海域の指定を行っております。  本法案において主務大臣が生産区域を指定できる旨を規定することにより、輸出先国が国による指定を求める場合、また、都道府県が迅速に指定を行えない場合に農林水産大臣が指定できるようになるものと考えております。
  122. 石井苗子

    ○石井苗子君 これ、片方でいいことがあると思うんですが、片方でもう慎重にならなければいけないなと思うんですね。  今後増えていくとしたら、例えば、カナダとかアメリカとかEUがこれこれの条件に合ったところでできた何々が欲しいと、こう言ってくるわけです。これこれの条件というのが何々県ですよとか、今、北海道とか青森とかありましたけれども、そうなると、そこでできたものは輸出できるということになるんですね。    〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕  これ、前、県がやっていて、いろいろと時間もスピードも合わなくてマッチングというような問題はあったんですが、それが、県が定めていたことが国でもできるようになるというのが本法律の改正なんですが、新たな輸出ができる区域を生み出すというのではなくて、手続が国がやってほしいと言っているだけで、手続のスピードが速くなるし相手国のニーズを把握するので輸出促進になる、それはよく分かるんです。これメリットですけれども、どんどん便利になりますというふうに聞こえるようですが、これ、差別につながりませんか。  客観的なデータが示せるのかどうかなんですね。例えばカドミウムがどうのとかというような、具体的なデータというのはそういうことをいうんですが、行政判断となりますと、向こうが区域がこういうものが欲しいということになりますと、何でうちは駄目なんだというような、そういう苦情が出てくる危険性はございませんか。
  123. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 生産区域指定につきましては、先ほど政務官から御答弁させていただきましたけど、二枚貝だけ想定しておりまして、例えば、農産品とか畜産品について、それは宮崎じゃなきゃ駄目とか、そういうような指定が起こるということは全く想定はされておりませんし、起こり得ないということだろうというふうに思っております。  しかし、こちらは買ってもらう立場なので、県でいいよと言われれば県でやってもらうのが一番いいんですけど、どうしても国としてのしっかりとしたワランティーのようなものがないと駄目だという国があれば、国がそこは出ていって迅速に指定をするということをさせていただくということでございます。
  124. 石井苗子

    ○石井苗子君 トレーサビリティーとか、ここをよく読みますと、この十六条、輸出先国が定める要件に適合する区域を定めることができるようになると、主務大臣ができるようになるということで、こうなってきますと、これからアメリカやカナダがこれこれの条件に合ったようなところでというようなことがなると、何をやっても行政の裁量というのは必要なんですが、客観的な条件に基づいて公平にやっていただき、何年かたってみておかしいところが出てきたとなると、これは相手国と交渉して是正してくれるのでしょうか。これは国会もチェックしていかなきゃならないと思うんですが、いかがでしょう。
  125. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 委員指摘のように、客観的に見て、どうもこれは国際的なスタンダードに照らし合わせて余りにもおかしいのではないかということについては、省庁横断でしっかり私の、私が本部長になりますが、本部長の下で検討をして、そして、相手の国に対してはこうではありませんかということをしっかり言わせていただくような体制を取ろうということになっております。
  126. 石井苗子

    ○石井苗子君 大臣、よろしくお願いを申し上げます。  お約束していただけたので、ちょっと視点を変えた質問をさせていただきます。食料安全保障の見地から質問をいたします。  これはむしろ私の関心事なんですけれども、輸出向けの農作物の生産農地を非常事態時のときに国内向けの生産農地、例えば穀物なんかそうなんですけれども、そうした輸出以外の生産農地に振り向けるというか、そういうことを考えていらっしゃいますでしょうか。ちょっと大きな質問ですけど。  非常事態のときに、国内向けの生産農地、そうした輸出以外の生産農地に非常事態のときに振り向けるというようなことを考えていらっしゃいますか。
  127. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 輸出対応でGFPとかそういうものをつくって、やっぱり向こうのニーズに応えるものを作る努力も必要だという視点はもちろん持っておりますが、肝腎なことは、農地が健全な形で維持され、次の世代に継承されていくことだというふうに考えております。  農地と、それからそこで働くいわゆる農業従事者というものが一番大事な農業における生産資源でありますから、農地を維持するという観点であれば、それが外国向けであるとか国内向けであるとかは関係なくて、もう先生おっしゃるように、もし本当に日本人が食べるのに困るようなことがあれば、もちろん輸出向けに作っていたところに芋を植えるとかいうことも、それは、汎用性があるのが農地ですから、それは可能性としては当然あるというふうに考えております。
  128. 石井苗子

    ○石井苗子君 もちろん、農業生産者に対して命令するなんということはできないんでしょうけれども、やはり食料安全保障の見地からも、そういうことを全体的に考えていってほしいと思います。  最後の質問になりますが、先ほどから出ております中にもありましたけれども、やはり農家の所得向上につながる、これに私すごく固執しているんですけれども、所得向上につながらないと面白くないと思うんですね。そこに集中したいんですが、農水省として輸出増加をどのように所得向上につなげていくのかということについて、改めてお聞きしたいと思います。
  129. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 当委員会質疑の中でも、国内のマーケットはだんだん、人口減少を止めなきゃなりませんけれども、少子化も高齢化も進んでいきますので、食料の需要、いわゆる消費に対するマーケットは残念ながらシュリンクしていくという現実がありますが、しかし、国内の生産基盤は守っていかなければなりません。生産基盤ががっちり守られ、更に生産が強化されて生産性が上がり産出するものが増えていった反面、国内マーケットが小さくなったことを考えると、下手すると供給過剰になって価格が暴落してしまうかもしれません。そういうことを考えると、やはりいかなるときも出口をどこに設けるのかというのがとても大事で、私は、輸出は出口戦略の一つだと思っています。  ですから、国内であろうが国外だろうが実は関係なくて、農家がしっかりとした所得が取れるところに売るのが正しい、海外に二倍の値段で売れても、手数料とか手間とかで全部消えてしまうようなら意味がありませんし。ですから、農家の方々にとって、この法案最初の目的のところに書いてあるように、その目的が達成できるようにやっていくのが本部長たる私の責任になっていくんだろうというふうに考えております。
  130. 石井苗子

    ○石井苗子君 工夫の知恵と、それからデータの取り方の改善と私最初に言ったんですが、実は、昔、アメリカの漁獲割当ての通訳をやっていたときに思ったんですが、オヒョウという魚があるんです、ハリバットというんですけれども。日本人はそのオヒョウは小さいものが好きなんですが、アメリカは畳一畳みたいなのが欲しいというんですね。そこで価格交渉だったり漁業割当ての交渉が変わってくる。  これは、もう先ほどお芋の話がございましたけれども、大臣が。輸出するときには、輸出する向こうの相手国の好みというのもちゃんと調べてデータを取っていただきたいと思います。それが、今御懸念があった日本の中の一次産業も伸ばすことと相手国の趣味、そういうものも、これはヒントと工夫とデータが必要だと思います。  先ほど石垣議員からも質問がありましたけれども、例えば加工食品の原材料のうち何%ぐらいが国産の農産物なんですかという質問もありましたけれども、後で統計があるかどうか聞きたいんですが、こういうことなんですね。米を直接輸出したら所得につながりますよ。しかし、加工したものを輸出したときの農家の所得増加につながっているかどうかというのは見えないんです。見えにくいですね。例えば、農家としてお米を国内のお煎餅屋さんに売って、そのお煎餅屋さんが輸出したときに農家がどれだけもうかったのかなんというのは見えません。  だから、こういうこともやっぱりデータを取っていかなきゃならない。農産品の輸出額というのは約五千六百億円です。そのうち加工品が三千十一億円ということであれば、加工品の輸出が農家の所得につながっているのかが見えなければならない、こういうデータを取らなきゃならないんですが、最後だけ確認させてください。原材料のうち何%が国産の農産物ですか。
  131. 江島潔

    委員長江島潔君) 時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
  132. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) 輸出の加工食品の原材料に国産がどのぐらい使われているかというデータはないんですが、国内の食品製造業が国産農産物を使っている割合は七割でございますので、輸出についても一定割合で使われているというふうに考えております。
  133. 石井苗子

    ○石井苗子君 時間が来ましたので。  是非、農家の所得につながらなければ担い手の獲得につながらないということを考えてデータを取って、統計家を雇ってでもデータを取っていただきたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  134. 江島潔

    委員長江島潔君) 先ほどの石垣のりこ君の発言中に不穏当な言辞があるとの御指摘がありました。  委員長としましては、後刻速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  十一月十二日に日米貿易協定案を私取り上げました。私が、日米貿易協定附属書Ⅰにアメリカ合衆国は将来の交渉において農産物に関する特恵的な待遇を追求するという規定があるが、こういう言葉を使っているのはほかの協定にあるのかと聞きましたところ、江藤大臣は、私が知っている範囲では、日EUの中にもこのような同様の表現が入っていると言われました。私は、じゃ資料をいただきたいというふうに要求しましたら、後ほど資料をいただいて説明を受けました。  そこで、外務省にお聞きするんですけれども、ほかの経済連携協定の再協議規定において農産物に関する特恵的な待遇を追求するという表現、言葉を使った協定はありますか。あるかないかをお答えください。
  136. 曽根健孝

    政府参考人曽根健孝君) お答えいたします。  御指摘の規定でございますけれども、将来の交渉において農産品に関する特恵的な待遇を追求するという意図が米国にあるということを単に記載したものでございます。  その上で申し上げますと、我が国がこれまで署名、締結した経済連携協定の中で、農産品の再協議という趣旨で追求するという表現を用いた規定はございません。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 ないということであります。  それで、江藤大臣日EUの中にもこのような同様な表現が入っていると言われた答弁は、これは誤解を招くと、正確じゃないというふうに思います。それはお認めになりますよね。
  138. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) シークという単語がそのまま使ってあるということではなくて、再協議一般について、ですから、言葉そのものについては委員の御指摘が正しいと思います。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 認めていただきました。  そこでお聞きするんですけれども、ほかの経済連携協定の再協議規定、これはあるわけですよ。再協議規定というのはあると。  例えば、TPPは、効力を生じる日の後七年を経過する日以降に協議する、協議するとなっているんですね。TPP11も協議するなんですよ。日EU・EPAは、効力発生の日の属する年の後五年目の年に見直しの対象になるというふうになっているわけです。  ところが、日米貿易協定は、協議ではなくて、アメリカは農産物について特恵的な待遇を追求するというふうになっているわけです。これ、アメリカに対してやっぱりTPP水準を超えた権利を与えた規定だと思われませんか。
  140. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) いや、余り私はそのようには受け止めておりません。  先ほども、シークという単語をどのように訳すかでちょっと議論がかみ合いませんでしたけれども、探し求めるということは、探さなきゃいけないんですから結構不確実性の高いものではないかと私は英文からは直接読み取っている。私の都合のいいように読んでいるんじゃないかと言われるかもしれませんけれども、単語は単語として読み解かせていただいているところでございます。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 解釈を聞いたわけじゃないんですよね。実際にTPP水準を超えたというふうには思わないということなんですか。
  142. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 先ほども申し上げましたけれども、自由化率も低く抑え、米も抑え、その他の部分についても、SGについては御議論があるかもしれませんが、全体を見て、私はTPPの水準の枠の中に収まったと、そう評価しております。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 このTPP、TPP11もさっき紹介しましたけど、実際の言葉は、効力を生じる日の後七年を経過する日以降に協議すると、それから、TPP11も協議するというふうに今まで言っていたものですから、それをやっぱり超えるものになっているというふうに私は思うんですよ。  これは、私はやっぱりアメリカに対しては特別な権利を与える非常に異常な、そういう協定になっているというふうに思うわけでありまして、やっぱり農水大臣なんですから、閣内の中でも最も農家の人たち、そういう現場の実情を分かって、その立場で発言しなきゃならない農水大臣ですから、そこは、もう余りにも理解が早過ぎると、すぐ受け入れるんじゃなくて、しっかりとそういう農家の立場に立って発言をする大臣であってほしいということを改めて申し上げておきたいと思います。  それで、次なんですが、輸出促進法の質疑に入りたいと思います。  我が党は、輸出反対するものではありません。私の出身地の北海道においても、ホタテやナマコなどを輸出して生活を支えて、地域経済の循環にも役立っているというのもあります。それから、東日本大震災で被災した漁業、水産加工業者は販路を断たれてしまったと、そういう中で新たな販路の先を探して輸出にも取り組んでいる人もいると。米を輸出している農家もいます。それでも、やっぱり今回の輸出促進法に対して厳しい意見も聞くわけです。  そこで、法案について確認したいんですけれども、安倍政権は、日本再興戦略二〇一四で、二〇二〇年に農林水産物食品輸出額一兆円を目標に掲げました。そして、安倍総理が本部長を務める農林水産業地域の活力創造本部、これは、農林水産業地域の活力創造プランを決定をしました。提出されているいわゆるこの輸出促進法は、この方針に沿った立法化ということになるんでしょうか。
  144. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 日本再興戦略には一兆円、それから活力創造プランには更に三〇年の目標まで書き込まれておることは重々承知をいたしております。  しかし、私もずっと自民党の中におりまして、官邸にいた時期もありますけれども、総理に申し上げているのは、数字ではありませんと、結局は日本の農業の生産基盤をいかに強くするか、農業の魅力を増して担い手をいかに確保するかが一番の眼目ですということをずっと言い続けてきたつもりであります。  この法案を提出するに当たって、この二つのものに、言っていることの内容を実現するために出した法律ではこれはありません。もう何度も申し上げましたけど、目的のところに、農林水産業及び食品産業の持続的な発展に寄与することを目的とすると、これを目的としてやっているわけであって、何兆円を目的とするとか、そういうことではございません。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 これ、実際上は、安倍政権が本部長を務めている地域活力の創造本部、それから農林水産業地域の活力創造プランという、そういう全体の中で出されている、その政策をやっていく上で輸出も含めて出されているものなんじゃないんですか。それを進めるための具体的なものとして出されている法律じゃないんですか。
  146. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) いや、別に総理とけんかするつもりはないんですけれども、プランを進めるためとかいうことではなくて、この中にも輸出促進は書いてあります。先ほどから答弁させていただいているように、出口戦略の一つとして外にマーケットを求めていかなければならない。先生からも御指摘ありましたけど、もう二〇三〇年には海外食品のマーケットというのはとてつもない規模で拡大をしていく、そこに向かって我々が何ができるのか、そして農家の所得向上にどうやってつなげていくのかということを考えた上でこれは提出した法案でございまして。  かぶっている部分はあるかもしれません。だけど、これを総理大臣本部長で作ったから、じゃ、それを我々が下請のように、総理の御意向に従って、じゃこういう法案をお出ししましょうと、そういうようなものではありません。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 大分ちょっと、あらかじめいろいろやり取りしたのと違う答弁だなと思っているんですけれども。  安倍政権は、生産対策においては担い手に政策を集中し、これまで、農協法や農業委員会法や農地法や従来の制度を岩盤だというふうに言って次々改悪をしてきたわけです。その農政の柱に輸出が入っていると、今までも。ですから、法律案には、農林水産物食品輸出本部をつくって、本部は政策の企画立案、事務を行う、言わば国家プロジェクトとして輸出を進めるというものだというふうに理解しているわけです。  それで、農林漁業者や自治体の自主的な取組を支援するものになるのかというふうに疑問も思うんですが、今年四月、菅官房長官の下に、これは輸出拡大のための関係閣僚会議が設置されました。六月の会議で菅官房長官は、農産品輸出を一元的かつ戦略的に推進するための司令塔組織を設置するというふうに言ったわけです。またしても、これ官邸の主導の農政が進められるのかと。司令塔ですから、これ、指令する側と指令を受ける側があることになるわけで、じゃ、指令を受けるのは誰になるんでしょうか。
  148. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃったように、農林水産物食品輸出促進を担う司令塔組織を創設すべきということが関係閣僚会議で提言をされまして、それを受けまして、この法案によりまして本部を設置することとしてございます。  一方で、御懸念の方は、きっと、都道府県が責務があって、この司令塔組織があたかもその都道府県に何か新しい仕事を指示するような形でなるのではないかということでございますが、都道府県等につきましては、まさに生産者の要望あるいは地域の特産物に通じていまして、地域の実情に応じて輸出促進を図ることができるということで、この法案におきまして、輸出を円滑化する手続の整備等の施策を講ずる責務を有するというふうに定めたところでございます。  なお、国は、地方自治法に基づきまして自治体の自主性、自立性を尊重するということになっておりまして、輸出本部が本法案に基づきまして都道府県等に何ら指示を出すというものではないというふうに考えております。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 閣僚会議で菅官房長官はこういうふうにも言っているわけですね。法案では、農林水産省本部をつくり、実行計画を作り、都道府県は速やかに実施する体制を構築すると、つまり、都道府県に速やかに実施するように求めているということですね。法案には都道府県等の責務の規定があるわけですけれども、この都道府県は、政府の指令を出すことになるということになるんじゃないですか。
  150. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) 今申し上げましたように、司令塔組織が何か都道府県に命令するというわけでなくて、この司令塔組織というのは、どちらかというと、先ほど、各省縦割りとか、いろいろな手続が各省でばらばらにやっているのでいろいろな手続に時間が掛かっているとかということがありましたものですから、農林水産大臣本部長とするその司令塔組織をつくるわけでございますが、そこは、都道府県に指示をするということじゃなくて、都道府県のちゃんと意見も聞きながら、しっかり地域の実情に応じて様々な、例えば輸出証明書だとか認定だとか、そういうことをしっかりやっていくということでございます。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 二〇一六年十月に農林水産省は、食育活動及び国産農林水産物食品に関する意識・意向調査というのを公表していますよね。ここで、農林水産物食品、飲料について国産かどうかの重視度合いアンケートというのをやっている、とても重視する、重視するを合わせると六七・五%、国産農林水産物が多く使用されている加工食品、総菜と外食の飲料等を利用すると答えた人は八六%と。  自治体では、国産品を使用することで地産地消とか食育を進めています。そこに輸出促進法で国から輸出の指令が出ると、県を挙げて地産地消に取り組んでいるときに、例えば輸出促進するということで国が命令をすると、指令をすると。そうなったら、地産地消とやっていたのが、この輸出を優先するということが迫られるということが出てくるんじゃないかと思いますけれども、局長、いかがですか。
  152. 塩川白良

    政府参考人塩川白良君) お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、地域農業の振興のためには、輸出促進のみならず、やはり食育だとか地産地消、こういう取組も当然重要でございまして、都道府県等におきましてもしっかり推進をしていただきたいというふうに考えているところでございます。一方で、大臣からも御答弁されましたように、まさに輸出促進というのも、当然、地域の農業の振興、持続的な発展のためには必要なものでございますので、これも都道府県にはしっかり担っていただきたいというふうに思っております。  ただ、事務負担が増えるんじゃないかという御懸念だと思いますので、農林水産省としても、なるべくその事務負担が増えないように、例えば輸出証明書の申請等の手続をシステム化する、そして簡単に事務を行える環境を整備するだとか、あるいは都道府県の体制整備にしっかり支援をしていくということでやっていきたいというふうに考えております。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと次に質問しようと思っていたところも答えてしまったので。  要するに、輸出証明書を発行するために省庁の枠を超えて調整するというのと、輸出目標を達成するように指令するというのは違うと思うんですよね。司令塔でないというのであれば各省庁の調整だけでいいのではないかというふうに思うわけでありまして。  それで、今ちょっと紹介あったけれども、都道府県の責務規定があって、これは、輸出証明書の発行、それから生産区域の指定、加工施設認定などは専門性が問われると聞いています。法令や運用上の解釈が整理されていなければ混乱も生じるかもしれないということでは、運用上整理、業務量の増加に合わせて都道府県支援を是非していただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。  昨年、西日本豪雨で被災した愛媛県のミカン農家の方がこう言っているんですね。輸出の前に、押し付けられた輸入をまずやめるべきだと、私たち過疎地の現状からいえば輸出促進法はかなり懸け離れている気がすると、これは一九九〇年のオレンジの輸入自由化で大変な苦労をされた農家の声です。  これが多くの生産者の思いではないかというふうに思うんですけれども、大臣の認識、いかがでしょうか。
  154. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 知識が足りなくて間違った答弁をするかもしれませんが。  もちろん、そういう気持ちは私の気持ちの中にはあります。やはり牛肉・オレンジ自由化から長い歴史の中で、日本がこの自由貿易圏の中で生きていく中で、交渉すると、どうしても我々が交渉の場面で差し出さなきゃならないのは農林水産であったというのはもう歴史的な事実だと思います。  それから、MA米とかにしても、いろんな御意見があります。日本がこれだけ米の生産が過剰になってくる時代において、いつまでMAを入れるんだという御意見もごもっともな御指摘だと思います。しかし、それを、じゃ、なしということにするにはどれだけの外交努力が要るのか。私の記憶が正しければ、そのときに合意をした全てのWTO加盟国、一国残らず合意を得なければ、たしか、それをほごにするというか元に、白紙に戻せないというルールはあったというふうに記憶をしております。  ですから、そういう気持ちは強く持っております。ですから、先ほどから申し上げているように、それができないにしても、輸入品によって日本のマーケットが取られている部分を国産品で取り返す努力をすることを一生懸命やらせていただければというふうに考えております。
  155. 江島潔

    委員長江島潔君) 質問をおまとめください。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  今、大臣、自分の中にもあるということを率直におっしゃったと思います。  それで、農林水産省には今食育を進める本部があるというふうに聞きました。本部をつくって政府を挙げて農業の振興に取り組むということであれば、是非、食料自給率が戦後最低になったわけですから、省庁の枠を超えてこの食料自給率を向上させるための本部をつくって、あるいは地産地消を推進するための本部をつくって、あるいは家族農業を支援すると、こういう本部をつくってやることこそが必要ではないかということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  157. 江島潔

    委員長江島潔君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案に対する反対討論を行います。  まず初めに申し上げますが、我が党は輸出反対するものではありません。北海道では、ホタテやナマコ等を輸出して生活を支え、地域経済も支えています。東日本大震災で被災した漁業、水産加工業者は、販路をなくしたために、新たな販売先を探して輸出に取り組んでいる人もいます。米を輸出している農家もいます。こうした努力を国が支援するのは当然です。それでもなぜ本案に反対するのかを述べます。  それは、農林水産物輸出が、安倍政権が進める成長戦略、アベノミクスの中心的な柱に位置付けられ、輸出を国家プロジェクトに位置付けているからです。日本再興戦略二〇一四年は、二〇二〇年に農林水産物食品輸出額一兆円を目標に掲げ、前倒しするといいます。菅官房長官は、輸出拡大のための関係閣僚会議において、農産品輸出を一元的かつ戦略的に推進するための司令塔組織を設置する、農林水産省本部をつくり、実行計画を作り、都道府県は速やかに実施する体制を構築する、都道府県に速やかに実施するよう求めるといいます。またしても、成長戦略を達成するために、官邸が主導して農政が進められようとしています。こうした政策や手法にくみすることはできません。  日本の農林漁業は、相次ぐ輸入自由化によって離農が進み、農地が減少するなど、生産基盤の弱体化を招きました。輸出促進策で農家や地域の疲弊が解消されるものではありません。政府を挙げて農業の振興に取り組むというのであれば、戦後最低になった食料自給率を、省庁の枠を超えて取り組む食料自給率を向上させるための本部、あるいは地産地消を推進するための本部、国連家族農業年が提起されている下で家族農業を支援するための本部などこそが必要ではないでしょうか。国内需要を満たす農業政策を拡大することこそ必要です。  以上を申し上げて、反対討論といたします。
  159. 江島潔

    委員長江島潔君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 江島潔

    委員長江島潔君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。
  161. 徳永エリ

    徳永エリ君 私は、ただいま可決されました農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲国民新緑風会社民、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林水産物及び食品輸出促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   我が国では、人口減少や高齢化を背景に、今後国内の食市場は縮小する一方、世界に目を転じると、アジアを中心とした新興国では経済成長、人口増加が進んでおり、世界全体の食市場は大きく拡大するものと見込まれている。また、我が国の農林水産物食品は、安全でおいしいと諸外国から高い評価を受けており、農林水産物食品輸出額は昨年まで六年連続で過去最高を更新している。こうした中、世界の食市場の更なる獲得に向けては、成長著しいアジア諸国のみならず、富裕層を擁する欧米の大市場も重視した、一層、戦略的・積極的な取組が必要である。   しかしながら、輸出先国政府による食品安全、動植物検疫上の規制が我が国の農林水産物食品輸出拡大の障害となる事例があることに加え、一部の国・地域が平成二十三年の原発事故に伴う輸入規制措置を依然として実施しているなど、厳しい課題にも直面している。   よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 農林水産物食品輸出本部輸出促進を担う司令塔組織として十分に機能するよう、実効ある組織体制を整備すること。  二 農林水産物食品輸出に必要な輸出証明書の申請及び発行その他の手続並びに相談についてワンストップサービスを早期に構築するなど、輸出に取り組む事業者の負担軽減措置の実現に早急に取り組むこと。    また、農林水産物食品輸出に取り組む農林漁業者が、自らの輸出産品及び輸出先国地域に適した地域商社・海外バイヤー等とのマッチングが適切に実現するよう、十分に支援すること。  三 輸出証明書の発行、生産区域の指定、加工施設認定等を行う地方自治体及び加工施設認定等を行う登録認定機関がその業務を適切かつ円滑に行うことができるよう、輸入規制の基準等の解釈その他の情報を適時適切に共有するとともに、これら関係機関との連携強化に努めること。  四 流通の広域化や国際化が進む中で、日本農林水産物食品のブランド力を維持・向上し、競争力を強化していくため、GAP認証等、世界の食市場において通用する認証取得しようとする取組を更に推進すること。  五 食品農林水産物等の輸入条件としてHACCPの取組を求める動き世界的に広がっている現状を踏まえ、HACCPの導入等に取り組む事業者に対し、その事業規模に即したきめ細かな支援措置を実施すること。  六 我が国の地理的表示や地名の海外における不正使用や、第三者による商標登録、植物新品種の海外流出が行われないよう、適切に対応すること。また、農林水産業輸出力強化に向け、知的財産の戦略的活用に取り組むこと。  七 和牛は関係者が長い年月をかけて改良してきた我が国固有の貴重な財産であり、不正に外国に持ち出されたり、使用されたりすることのないよう、流通管理の在り方や知的財産としての遺伝資源の保護の在り方について、法整備も含めた検討を加速すること。  八 原発事故に伴う輸入規制措置緩和撤廃に向けて、政府間交渉に必要な情報・科学データの収集・分析等を十分に行い、諸外国・地域に正確な情報を提供した上で、科学的根拠に立った対応を引き続き強く要請すること。  九 昨年九月に国内において二十六年ぶりに発生したCSF豚コレラ)について、その発生及び感染拡大の原因を徹底的に究明・分析した上で、あらゆる手段を行使し、将来の輸出拡大も見据え、一刻も早い事態の終息に努めること。  十 農林水産物食品輸出促進に取り組むに当たっては、農林漁業者の経営の安定と所得の向上、農山漁村の活性化に資するよう、十分留意すること。  十一 輸出促進にあわせて、我が国農林水産業の生産基盤の強化と生産の拡大を図り、国産農林水産物を原材料とする高付加価値商品等の研究開発及び成果利用の促進に対する支援を拡充すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  162. 江島潔

    委員長江島潔君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 江島潔

    委員長江島潔君) 多数と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、江藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。江藤大臣
  164. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
  165. 江島潔

    委員長江島潔君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 江島潔

    委員長江島潔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十三分散会