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2019-11-21 第200回国会 参議院 財政金融委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年十一月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      森 まさこ君     朝日健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中西 祐介君     理 事                 有村 治子君                 中西 健治君                 藤末 健三君                 那谷屋正義君                 熊野 正士君     委 員                 朝日健太郎君                 大家 敏志君                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 林  芳正君                 藤川 政人君                 宮沢 洋一君                 宮島 喜文君                 大塚 耕平君                 勝部 賢志君                 川合 孝典君                 熊谷 裕人君                 古賀 之士君                 杉  久武君                 音喜多 駿君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 浜田  聡君                 渡辺 喜美君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        財務大臣    藤川 政人君    事務局側        常任委員会専門        員        前山 秀夫君    政府参考人        金融庁企画市場        局長       中島 淳一君        財務省大臣官房        長        茶谷 栄治君        財務省理財局長  可部 哲生君        財務省国際局長  岡村 健司君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     飯田 陽一君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      村瀬 佳史君        国土交通省大臣        官房技術審議官  東川 直正君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 中西祐介

    委員長中西祐介君) ただいまから財政金融委員会開会をいたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省国際局長岡村健司君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  4. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 藤末健三

    ○藤末健三君 おはようございます。自民党・国民の声の藤末健三でございます。  本日は、この外為法改正質問させていただきます。  今回のこの外為法改正につきましては、安全保障上重要な影響がある日本企業の出資に対する規制を大幅に強化するというものでございます。  今お手元に配らせていただいた資料を御覧いただきますと、下の方の資料でございますが、今までは事前届出対象が一〇%以上のもの、会社の、出資したときに、その企業の一〇%以上の比率の株を持ったときに届出をするというものが、今回改正によりまして一%になると。それだけですと非常に大きな負担になりますので、事前届出免除制度というものをつくることになっております。  この背景にありますのは、上の方にございますように、私、実は五月にワシントンDCに伺ってきまして、この安全保障上の問題いろいろ伺ってきました。アメリカの方はどうなっているかと申しますと、昨年の八月に新しい法律を作りまして、基本的に事後でも、安全保障問題ある例えば企業への投資、インフラへの投資について、アメリカの対米外国投資委員会、これは例えば国防総省とか、あとエネルギー省あとアメリカ財務省などのメンバーから成る委員会でございますが、そちらが審査をし、事後でも規制を掛けれるという制度になっております。  また、今年三月におきましては、欧州においてもEU新規則ということでございまして、海外からの安全保障上の懸念がある投資については規制を行うという流れになっております。  それに即しまして、我が国においてもこの外為法改正が行われるということで、安全保障上の危機管理という意味では非常に意味があるということでございます。  しかしながら、一方、実際にもう海外新聞にも、今回の外為法改正外国投資家に対して非常にマイナスのイメージがあるのではないかという記事が出ているわけでございます。  今回のこの質疑で明確にさせていただきたいのは、自由で健全な投資、これを阻害することなく、一方で安全保障上の危機管理をきちんとしていくということにつきまして御質問申し上げたいと思います。  まず、大臣に御質問申し上げます。今回の法改正は、株主による健全かつ建設的な対話を推進するスチュワードシップ・コードというものがございますが、この精神に反して、これまでの安倍内閣コーポレートガバナンス改革路線の転換であるんじゃないかというような外国投資家懸念が書かれております。また、アクティビスト排除目的にしているのではないかという意見も聞かれるわけでございますが、麻生大臣認識を教えていただきたいと思います。お願いします。
  6. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 大変大事な指摘なんだと思いますが、今回の法改正のそもそもの目的は、これは従来どおり健全な海外からの投資等々を一層促進させつつ、傍ら、反面、日本のいわゆる国家の安全保障等に関わる情報技術流出とか、また事業活動喪失といった事態を事前に防止するということがそもそもの目的であります。株主権利行使を加えるという制限というのは、この法目的に照らしましても、これは必要最小限なものに限定をしております。  株主企業との間の対話というものに対する制限追加は行わないことにいたしております。今スチュワードシップの話も出ておりましたけれども、スチュワードシップを踏まえましたゆえで、株主による企業との健全かつ建設的な対話というもの、これはもういわゆるコーポレートガバナンスというものを強化して企業の価値を向上するという観点から、これは非常に重要であるという認識には全く変わりはありません。  今回の法改正につきましても、いわゆるコーポレートガバナンス改革路線というものの転機でも全くありませんし、アクティビスト排除でもないということは改めて強調させておいていただきたいと存じます。
  7. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、その認識外国投資家皆様にお伝えいただきたいと思います。  今、財務省の方で幅広くいろいろ説明会とかしていただいていることはもう聞いておりますので、より一層明確に、今日大臣のお声をいただきましたので、この声を多くの方々に伝えていただきたいと思います。  続きまして、御質問申し上げますのは、この事前届出免除制度が利用できない範囲というのがございます。これは政令告示によってこれから明確化されるというふうに伺っておりますけれど、現状ではその範囲が不明確であると、どうなるか分からないというような声がございます。それが海外投資家懸念につながっているという状況でございまして、この懸念を放置しますと、今国内株式市場売買の大体七割が外国投資家ということでございます。この外国投資家日本株離れをすると、非常に株式市場マイナス影響があるのではないかということを懸念しております。その点につきまして、麻生大臣見解を伺わさせていただきたいと思います。  また、事前届出免除制度を利用する外国投資家が国の安全保障に係る企業投資を行った場合に受ける制約行為、この今の段階におきましては三つございます、項目が。一つは、外国投資家自ら又はその密接関係者役員に就任することと、役員に就任することということでございます。そして、二つ目にございますのが、重要事業譲渡廃止株主総会に自ら提案すること、そして三つ目にありますのが、国の安全等に係る非公開技術情報アクセスしないと、その三項目に限定されているわけでございますけど、これが今後拡大されることはないという理解でいいかどうか、大臣見解を伺いたいと思います。
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 二問、基本的にいただいているんだと思うんですが、まず、事前届出のその免除制度を利用できない範囲というのにつきましては、現時点では、過去に外為法違反で処分を受けたという、そういった前科があるというか、そういった形の人、又は国有企業による等の投資であります。また、指定業種のうち国の安全等を損なうおそれが大きいものに対する投資を想定しておりますけれども、具体的には、今言われておりましたように、政令とか告示で定めることといたしておりますが、基本的には、武器製造とか原子力とか電力とか、そういった、通信等々、いずれもその範囲に入るだろうと思っております。  いずれにしても、健全な投資を一層促進させつつ、国の安全というものを損なうおそれがある投資への適切な対応というのがこの法改正目的でありまして、この目的に沿って、極力限定する考えで事を進めたいと思っております。  また、範囲を明確に提示するということによって、いわゆる投資家懸念、そういったものに制限されているのではないかという懸念を払拭するということが重要との藤末先生の御指摘ですけど、これはもう全く正しいので私も完全に同意するものでありますので、制度の導入に向けて早急に検討を進めるとともに、周知を努めることが大事でして、今言われましたように、国内株式市場におけます売買代金一千五百、一千六百兆円ぐらいのうち七一%ぐらいが今外国人によるものだと思っておりますので、こういったものが、それが損なわれるというのは非常に大きな影響が出ると思いますので、十分に注意してまいりたいと思っております。  事前届出免除を受ける外国投資家が守るべき基準というものについては、これは藤末先生指摘になりましたように、これは外国投資家自ら又は、若しくは密接な関係者役員に就任していないというのが条件、二つ目は、重要事業譲渡とか廃止とかいうものをいわゆる株主総会に自ら提案するということはしない、三番目として、国の安全等に係る非公開技術情報アクセスしない等々を限定させていただいて、これ以上の追加や拡大は基本的に行わない考えであります。
  9. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非投資家皆様に明確な基準というものを示していただきたいと思います。  実際に、お配りした資料下側にありますように、一〇%が、閾値が一〇%から一%に変わることによりまして届出範囲が大きくなると。そうしますと、この手間とかを考えた場合に、日本株は非常に手を出しにくくなるんではないかという声が出ています。  そのためにこの事前届出免除制度というのをつくっていただいたわけでございますけれど、この事前届出免除制度と、あと審査付事前届出をやらなきゃいけないところのライン、これを明確にして、かつ、できるだけその企業投資家の方に負担を掛けないようにしていただくことが非常に重要じゃないかと思っております。  次、三つ目質問を申し上げます。  今回、この法改正趣旨内容が、私は外国新聞などを読んでいますと、少し誤解が生じているところがあると思います。このままでありますと、海外投資家アクセスが制約される市場として、例えばインデックス市場株式インデックスにおける日本株投資ウエートが下げられるんではないかと。幾つかの、今、外国投資家インデックスファンドございますけれど、やはり日本株をどれだけ組み込むかというのが非常に大きゅうございまして、実際にこの主要なインデックスファンドにおきます日本株投資ウエートが引き下げられますと、パッシブ運用を行います投資家から恐らく数兆円単位の日本株が売られるということも生じかねないと思っております。  このような誤解を解消するためにどのような対策が必要か、またどのような対策をなされるのか、麻生大臣見解をお聞かせください。
  10. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは大事なところなので、今般の法改正内容という趣旨につきましては、これは、いわゆるマーケットに関係しておられる方々に正しく理解していただくというのは、これはもう度々申し上げますように極めて重要でして、財務省といたしましても周知とか説明に取り組んでいるところです。  具体的には、今言われましたように外国金融機関が占める比率、七割になっておりますんで、その所属する団体等に対して直接説明をこれまで行ってきておりますし、財務省のホームページにおいても、この資料につきましては、英語と日本語と両方で、これをきちんと関連資料とした取組を重点的に公表するということを行っているところです。  今、藤末先生指摘の、主要インデックス作成者として、既に事務レベルでもその対応を行っておりますけれども、例えば、今言われましたパッシブ運用をするにしても、そうですね、何でしょう、今、でかいところで、モルガン・スタンレー何とか言ったな、キャピタル・インターナショナルでしたっけな、MSCIだったか、ああいったようなものも間違いなくワールドインデックスというのにその元が提供されておりますから、そういったようなものでは、インデックス作成者についてもこれはきちんと説明をしておかないかぬというところが大事なところなんで、その人たちがきちんと新聞読んでるかどうかって当てにはなりませんから、今、読んでいない人の方が多いんですから、だから、そういった意味では、きちんとそういったところに行って、様々な機会を捉えて市場関係者と直接対話をしておいて、こういったもので主要インデックスの中に日本のパーセントが、まあ、今までだとJPだったら八%か九%入っていたはずですけど、それが落とされたということになると、それは七〇%に直接響いてきますんで、そういったようなことを考えた上でやっていかないかぬということだと思っておりますんで、正しい理解を求めるように引き続き努力をして、させていきたいと思っております。
  11. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣の答弁、本当にありがとうございます。  まさしく、きちんと投資家皆様お話をしていただくという、理解をしてもらうということと、また同時に、やっぱり、私、外国新聞読んでいますと、日本が、フォーリン・ダイレクト・インベストメント、直接の投資規制始めた、非常に使いにくい市場になるんではないかとか記事に書いてあるんですよ、もう。そういういろんな誤解も生じつつありますので、是非そういう重要な投資家方々とともに、やっぱり一般的に、新聞読む人少ないかもしれませんけれど、大臣おっしゃるとおり、ただ、やっぱりいろんなメディア、テレビやニュースペーパーとかいったメディアを通じて、日本のこの大臣がおっしゃったことを是非お伝えいただきたいと思っております。  次に、私、安全保障上の危機管理について御質問したいと思います。  今まで申し上げましたのは、どちらかと申しますと、投資家に対するマイナス影響がないように日本市場をきちんと自由で健全な市場であることを維持する、そして促進するということをお話をさせていただきましたが、一方で、やはりこの安全保障上の危機管理というのは非常に重要だと考えます。  日本企業への投資促進も重要でありますが、機微技術流出や、安全保障上重要な事業日本以外の国にコントロールされることがないように制度をしっかりと機能させることが重要だと考えます。  財務省が十月に公表した資料によりますと、外国証券会社外国運用会社等金融機関は、銘柄関係なく事前届出免除制度を利用可能であるとしております。  私たちが一般的に意識するような金融機関が業として行う行為が一般的なものであればいいとは思うんですけれど、やはり外国制度、もう日本金融制度と大分違うものがございまして、完全にコントロールされていないような金融機関外国では登録されているという状況だと私は考えております。  ですから、外形的に認可や登録を受けているから安全ですということは、私は一概に言えないと考えています。実際に、特定の国を申し上げるわけにはいきませんけれど、やっぱり、ある企業が自分の分散された影響力あるファンドを分散して使って投資を行うようなことも考え得るわけでございまして、是非、この免許制度を利用したものが届け出なければならない行為、守らなければならない基準株主総会のことは書いてあるわけでございますけど、それだけでは私はちょっと不十分ではないかと思います。  したがいまして、安全保障上の問題があれば、事後報告情報などを活用して株式売却命令などにより事後的に対処するようなことを考えるべきだと思いますが、そこにつきまして財務省見解をお聞かせください。
  12. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  外国金融機関につきまして、銘柄にかかわらず事前届出免除制度を利用可能としております。  その前提と申しますか理解は、その業務として行う株式取得は、国の安全等に係る技術情報の窃取でありますとか重要な事業喪失目的としておらず、類型的に国の安全等を損なうおそれがないと認められるという考えでございます。  他方、仮にその外国金融機関がその投資先に対して、国の安全等観点から重要な事業存続影響を及ぼす提案を行おうということであれば、この前提が崩れていることでございますので、それは、株主総会決議事項か否かにかかわらず、類型的に国の安全等を損なうおそれがないと認めることはできないわけでありますので、当該金融機関による当該投資免除制度対象とならないということで考えてございます。  したがいまして、こうした国の安全等観点から重要な事業存続を脅かすような投資につきましては株式取得時の事前届出が必要となるわけでございまして、仮に届出を行わず株式取得を行ったという場合には、無届け投資として、株式売却等措置命令といった事後的な対応対処となり得るというふうに考えてございます。
  13. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非財務省運用におきましてはこの事後的な対処をやっていただきたいと思います。  やはり投資家の自由な、健全な活動を阻害しないという意味では、この事前審査、私そんなに厳しくする必要はないと思いますが、事後審査を厳しくすることによって、逆にこの窓口を広く、そして逆に安全保障上の管理という意味では事後的にきちんと対応できるというのが私はいいんではないかと思っています。  実際にほかの国の事後介入制度を見ますと、先ほど申し上げましたように、アメリカはしていますし、あとイギリス、フランス、ドイツ、そしてカナダもやっぱり事後介入制度をつくっているという状況でございますので、その運用をきちんとやっていただきたいというふうに考えております。  続きまして、届出対象業種についてちょっと質問させていただきます。  この届出対象業種につきましては、銘柄リストを公表するということでございます。実際、今の上場企業、三千七百社ございますが、その銘柄を公表することによって上場企業負担になるようなことは避けるべきではないかと思います。  どのような情報に基づき作成するのかということが非常に重要でございまして、特に上場企業の中には多数の子会社を持っている企業があります。それ全てについて精査な調査をするのは難しいんではないかというふうに考えております。  そしてまた、企業というのは事業範囲がどんどん変わる。例えばMアンドAをすることによって一気に事業範囲が広がるわけでございますので、実際にリストを作るときの負担の問題、そしてまた、それをメンテナンスする、もう頻繁に事業は変わっていくわけでございますので、企業の、そこの点を考えまして、是非とも運用考えていただきたいと思います。  何が申し上げたいかと申しますと、このリストを常に最新にメンテナンスするのは非常に難しいんではないかと。  例えば、ある悪意がある企業外国投資家日本企業を買います、そして、それはリストに載っていない届出免除ができる企業を買う、そして、その後すぐにまた別の企業を買っていく、それは安全保障上の重要な技術などを持った企業を買いに行くということも想定されます。そして、その後に、いや、これはリストになかったので我々は買いましたと言いかねないということを考えております。  ですから、このように、財務省が公表するリストの悪用ということも考えられますので、本来であれば事前届出対象になるにもかかわらず、先ほど申し上げましたように、無届けのまま株式取得するケースも考えられます。その是正のための措置を講ずることができないか、教えていただきたいと思います。
  14. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  このリストの、銘柄リストの公表ということでございますが、上場企業負担にならないように、かつしっかり運用するようにという御指摘ごもっともだなと思って、心して取り組みたいと考えております。  その上ででございますが、このリスト外国投資家我が国に安心して投資できるように、その利便性の向上のために作成し公表するものでございます。したがいまして、藤末先生からの御指摘のようにリストを悪用するということに対しましては、つまり、事前届出対象であると知りながら無届け株式取得などを行うと、こういった場合につきましては、その是正のために必要な措置を講ずることができるというふうに考えてございます。
  15. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非運用をきちんとやっていただきたいと思います。  また、これは質問ではないんですけれど、この届出対象リストになったときに非常に投資家アクセスが難しくなるんじゃないかと、したがいまして、株価が落ちるので空売りをしようじゃないかというような声も実はもう聞いております。そのことの懸念がないように、是非きちんとした運用を行うことをここでお願いさせていただきます。  続きまして、事前届出免除制度が使えない業種として、武器製造原子力電力通信ということが限定列挙的に挙げられておりますけれど、例えば宇宙の分野や、あとサイバーセキュリティー、これ非常に貴重な重要な技術分野でございますが、そういう分野など、日本安全保障の未来を左右する技術を有する企業はほかにも多くあると思います。その中で実態に即した運用を行うべきではないかと考えますが、その点についてお答えください。
  16. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  財務省が公表しております資料で、事前届出免除対象外とする業種主要例ということで、御指摘の四業種挙げてございます。その考え方は、当該業種に係る投資につきましては、事前届出審査を確実に実施する必要が高い、国の安全等に直結することが明らかな業種、これについては事前届出免除対象外とするという考え方でございます。  今後、免除対象外業種を具体的に定めていくに当たりましては、健全な投資を促進する、萎縮効果があってはならないという政策目標を考慮しながら、一方で、守るべき技術のありようでありますとか、どこにあるかといったことなど、技術面での動きを踏まえながら、事業所管官庁等とともに慎重に検討を進めまして、実態に即した運用となるように努力してまいりたいと思います。
  17. 藤末健三

    ○藤末健三君 次は経済産業省にお聞きしたいと思いますが、この機微情報、エマージングテクノロジーの管理ということでございます。  私、実際、五月にアメリカに伺いまして、もうアメリカ安全保障上の技術管理というものについて大きくかじを切ったと感じたわけでございますけれど、例えば、冒頭で申し上げましたように、米国に対する、国内に対する直接投資管理制度、先ほども申し上げましたように、アメリカにおきましては、対米外国投資委員会というのがあって、そこで海外からの投資管理する、そして事後にでもきちんと介入をできるようになっているということでございます。  また、外国投資審査強化法というFIRRMAという法律がございまして、これで、何と申しますか、余り細かく限定しないでも、こういう重要な、安全保障上重要な技術に対しては管理ができるというふうになってございます。  このFIRRMAの話を、説明を聞きますと、クリティカルテクノロジー、重要な技術機微技術についてのアクセスが得られる投資であれば、全て安全保障レビューに対象になると。ですから、その技術にタッチができるというふうに判断された場合に、重要な技術にタッチができるというふうに判断された投資については審査対象になるというふうになっております。  このFIRRMAと外為法の対内直接投資管理、それぞれの機微情報範囲についてどのように関係があるかということを教えていただきたいと思います。アメリカと連携をする、その点について教えていただきたいと思います。
  18. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  ただいま御指摘のございました米国の外国投資リスク審査近代化法でございますけれども、ここでは、今御指摘のございましたクリティカルテクノロジーに即して対内直接投資規制を行うというふうにしております。  その範囲でございますけれども、四点ほど申し上げますけれども、一つは、アメリカにおいて国際合意なども踏まえまして輸出管理対象としております武器、あるいはそれらに転用可能な汎用品に関わる技術、これが一つでございます。これに加えまして、原子力の関連の技術、そして三つ目で、特定の化学剤、毒素ということで、これは、化学兵器などに使用され得るものとしてその関連の技術に着目した規制をするということでございます。四番目が、エマージング技術あるいは新興技術と基盤技術と言われるものでございまして、これらの技術を保有する米国企業に対する投資について規制をするということを明らかにしているところでございます。  ただし、今申し上げましたエマージング技術、基盤技術につきましては、現時点におきましては、これは輸出管理を担当する商務省などが中心となってどのような技術規制するのかということについてただいま検討中でございますので、今この項目については直接指定された技術はないというのが現状であるというふうに認識しております。  一方、我が国におきましては、外為法の対内直接投資管理におきまして、機微技術ということでの定義というものは形としてはないわけでございますけれども、実際に審査対象になっている業種を見ますと、武器の製造、原子力、航空、宇宙などという業種に加えまして、先ほどアメリカと同様に、国際的な合意に基づく貿易管理対象とされている技術を保有する製造業なども規制対象業種として指定されております。  このような観点から、両者の技術範囲につきましてはおおむね一致しているというふうに考えております。
  19. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、経済産業省の深い検討をしていただきたいと思います。  私、今回のこの外為法は、やっぱりほかの国を見ますと、もう新しい法律対応しているわけじゃないですか、重要な技術をいかに守るか、インフラを守るかということで。私は、この今回の外為法対応したことについては、時間的な問題もあり、早急に対応しなきゃいけないという観点からこうなったと思いますけど、是非、抜本的に安全保障観点から新しい法律を作り、やっぱり市場影響を与えないような形で設計をすることをしていただきたいと思いますし、また同時に、この法律は例えば鉄道とか旅客運送なども対象となりますが、それは国土交通省が管理する、あと水道については厚生労働省、そしてまた通信などの事業については総務省ということでございまして、私がちょっと懸念しますのは、そういう、まあ経済産業省は安全保障関係でココムなどの管理をやっていますので情報はあるとは思うんですけれど、そういう国交省とかあと厚生労働省みたいな業所管のところにもきちんと情報を行くように、これは財務省、経産省にお願いしたいと思っております。  特に私がアメリカで感じましたのは、セキュリティークリアランスという制度がございまして、それは何かと申しますと、アメリカが持っている重要な機微技術にタッチできる、アクセスできる人の個人的な資格制度がございます。その資格制度があれば、日本ですと例えばポジションで書きますけれど、アメリカの場合は個人にこの資格を与えると。その資格があった人間だけがそういう何が機微情報かということをチェックできるし提案ができるという制度がございますが、まだ日本にはそういう制度がない状況で、何を申し上げたいかというと、我が国はやはり諜報機関がございませんので、やっぱりアメリカが持っている情報にアプローチしなきゃいけない。しかし、今の制度でいうとそのアメリカなどの情報に我々はアプローチできないということもございますので、是非今そのような法制度の整備をやっていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  20. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 おはようございます。立憲・国民.新緑風会・社民の勝部賢志でございます。  今日は、初質問の機会を与えていただきました、諸先輩議員、同僚議員の皆様方に御礼申し上げます。  質問に先立ちまして、冒頭、今年の秋に相次いで起きました台風災害、お亡くなりになられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、いまだ二千八百名ほどいらっしゃる避難者の方々を始め多くの被災者の皆さんにお見舞いを申し上げます。私も、微力ながら一日も早い復旧復興に向けて全力を傾注してまいりたいと思っているところであります。  そこでまず、全国的な台風災害、復旧復興のための補正予算について大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、安倍総理からは、経済対策の取りまとめを全閣僚に指示されたということを聞いております。あわせて、十九日には、二階自民党幹事長から、この補正予算の規模は十兆円を下らないのではないかというような発言もございました。  自然災害の対応は、早急に、そして被災をされた方々が安心でき、将来に希望が持てるような、そういう補正予算をいち早く作っていただきたいという願いがあります。  しかしながら、どのように算出したらいいかよく分からないような世界経済の減退ですとか、あるいは東京五輪、そして消費税対策後の景気の落ち込みも見込んだ予算をということになると、非常に難しいのではないか。また、予算も跳ね上がっていき、またもやばらまき補正かと危惧せざるを得ない状況にございます。  麻生財務大臣におかれましては、政府の先頭に立って被災者、被災地に真に必要な補正予算を早急に組み立てていただきたいと思うところでありますけれども、所見をお伺いをいたします。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 台風いわゆる十五号、十九号等々の災害によりまして、これは広範囲にわたりまして被害が発生をしております、一部の県とかいうんじゃなくて一都十何県に影響が出ましたので。  そういった意味では、先般の十一月の八日に予備費一千三百十六億円を使わせていただきまして、被災者の生活、なりわいの再建を進めているところであります。  現在、今政府において検討を進めておりますのは、経済対策というものにおきましては、いわゆる災害からの復旧だけではなくて復興というものと、安全、安心の確保、これを第一の柱として考えております。今後、補正予算というものの話が出てきておりますので、切れ目のない対策を講じて、復旧復興の取組を更に加速していかねばならぬというところが重要なんだと考えております。  この補正予算の策定に当たりましては、これは今御指摘がありましたように、被災者とか被災地に必要な予算を盛り込んだものになるように、これは補正予算の中で、復興、また同時にこういったものも含めてしっかりと取り組んでいく必要があろうと、そのように私どもも考えております。
  22. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 今大臣から御答弁ありましたように、災害復旧と復興対策は誰もが望むところであり、国民こぞって賛成できるものだというふうに思いますので、是非早急な成立に向けて御努力をいただきたいというふうに思います。  さて、本題に入る前にもう一つお聞きしておかなければならないことがあります。是非麻生副総理という立場でお答えをいただけたらというふうに思うんですけれども、それは桜を見る会についてであります。  昨日、参議院の本会議で、安倍総理に直接、那谷屋議員から質問をさせていただきました。聞けば聞くほど疑問が湧き上がってくる、事実は一体どうなっているのかと。そのことをやっぱりしっかり解明するというのが今の国会の役割ではないかというふうに私は考えています。  それで、加えて、昨日の午前に行われました衆議院の内閣委員会で菅官房長官が、桜を見る会の招待者は約一万五千人と、そのうち各省庁が推薦をしたりした人で、功労者あるいは勲章の受章者など合わせると合計六千人程度、そして、残りの九千人は、安倍首相の推薦が約一千人、麻生副総理や菅官房長官、官房副長官の推薦が約一千人、自民党関係者の推薦が約六千人ということを質疑の中で御答弁なされました。  率直に伺わせていただきますけれども、麻生副総理には何人の割当てがおありになったのか、御地元の関係者など何人御招待されたのか、お伺いいたします。
  23. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御質問ですけれども、事務所に確認したところ、これは記録が残っておりませんので正確なところは分かりませんけれども、今年に関しては百人から二百人の間ぐらいではなかったかという話でありました。
  24. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 百人から二百人、まあ記録が残っていないということでありますが、しかし、これは予定をした人数ではなくて、菅官房長官が報告をされた人数は一千人、副総理と官房長官、副官房長官で一千人ということなものですから、麻生副総理のところから百人、二百人ということは、残りは官房長でやったのかなというふうになるんですけれど、その数、間違いないということでよろしいですか、その数確認させていただいて。
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私のところは私のところの分しか分かりませんので、その他のところは推計をされる以外に方法はないという、今の私の立場はそういうことになろうと存じます。
  26. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 そのときの名簿はおありでしょうか。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御答弁申し上げましたとおりなんですけれども、あの資料というものはそのとき残っていないというように聞いております。
  28. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 それが非常に私は不可解といいましょうか、昨日もそういうような質疑があったようでありますけれども、普通は、そういう行事があったり、案内した方々がどういう方々かということは記録上も残しておくのが、私ども特に選挙を受ける身の人間としては大事な資料なのではないかというふうに思うんですね。ですから、そういう資料が残っていないというのは、にわかにちょっと信じ難い状況ではありますけれども。  もう一つお聞きしたいのは、この予算が約一千七百万ぐらいの予算で、結果的に五千、三倍ぐらいに経費が掛かっていると。これがもう二〇一四年ぐらいからずっと続いているということなんですけれども、財政を所管する財務大臣として、このような三倍にも跳ね上がるこの桜を見る会の状況をどのようにお感じになっておられるか、見解を伺います。
  29. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 人数が増えたということに関してどのように感じているかという御質問ですか。
  30. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 いや、予算が増えたということであります。予算に併せて経費が三倍も掛かっているということであります。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 桜を見る会につきましては、これ従来からその準備、設営に必要となる経費を前提に予算を計上してきたところだと思いますけれども、この予算要求につきましては、総理の取りやめということになりましたので、これは取扱いを検討中だということになるんだという具合に理解をしておりますけれども。  今の御質問に関して言わせていただければ、人数が増えたことによって、それを、内容よりは私どもは言われたものに対して予算を編成するという立場にありますので、それが今言われましたように、急激に増えていっていることについてどうというふうに、私どもはその内容を細目ちょっとつかんでいるわけではありませんので、今急な御質問ですから、どう思われるかと言われれば、総理の御答弁にありましたように、運用に関しましては検討しなきゃいかぬということで、来年は取りやめるということになられたんだと理解しておりますが。
  32. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 今年の予算要求は確かに五千数百万ということで今までより跳ね上がっているんですけれども、結果として、去年、おととしの掛かった経費が、私が申し上げたのは予算よりも三倍ぐらいになっていましたという事実でありまして、そのことをどのように受け止めですかというふうにお聞きをしたんですけれども、明快な答弁はございませんでしたので、改めてそれはどこかの場面で聞かせていただくこととして、私は、やはり額の多寡ではなくて、そういった、執行上、やはり三倍になるということは、何か要因があるのか、それが必要なのか、そうではない経費なのかということをしっかり審議することは必要だというふうに思いますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。  もう一つ、一万五千人の参加者、先ほど菅官房長官が昨日答弁されたということなんですけれども、そのうちの約九千人がそれぞれの、総理や大臣、官房長官、副総理などからの推薦で、残り六千人が自民党関係者の推薦ということで、この数を見ると、やはり自民党あるいは一部の人たちの公金による公的な行事を私物化したと言われても私はこれ仕方がないのではないかなというふうに思うんですけど、このことを含めたいろんな問題について副総理の見解をお伺いしたいと思います。
  33. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 総理の一連の答弁の中で、基準が曖昧ではないかなどの御指摘を受けまして、様々な方々を招待する中で年を経るごとに招待人数が多くなってきたという点には反省をしておられるようでありますので、基準を見直すということを決定したと承知しておりますので、それに尽きるだろうと思っております。
  34. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 野党会派では、この桜を見る会についての追及本部を立ち上げて、現状をしっかり把握をし、事実を明らかにし、そして問題点をしっかり追及したいというふうに思っておりますので、引き続き機会あるごとに質疑をさせていただきたいというふうに思っています。  さて、本題に入らせていただきます。  外為法並びに外国貿易法の一部を改正する法律案ということで、私にとっては初学者ゆえに言わずもがなの問いもあろうかというふうに思いますけれども、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  我が国の為替管理、貿易政策の変遷を振り返ってみますと、戦前戦中期から戦後再建期には全面的な管理政策がしかれてきました。一九四九年には一ドル三百六十円の単一為替レート、そして本法の前身であります外国為替及び外国貿易管理法、外国為替特別会計法などが制定され、さらにIMF、世界銀行へ加盟をする、あるいは外為法予算が廃止され、そしてOECDに加盟していくという、いわゆる管理政策から原則自由化政策に転換されてきたわけであります。まさに我が国の戦後の復興と経済復帰の道を一歩一歩歩み進めた歴史の証人のような法改正の経緯と言えると思います。  しかし、あわせて同時に、そういった貿易やあるいは経済復帰の道を歩みながら、日米貿易摩擦というような事件も起きたり、アメリカの国会議員がラジオをハンマーでたたき割るというような、私もテレビで見てショッキングな出来事でしたですけれども、そういうようなことがありましたり、あるいはテロ対策、国家安全保障観点からの規制も相次ぐこととなっています。  そういう意味で、我が国と世界等をつなぐその今の流れの中にあって、特に物と金の膨大な流れを、自由を基本としながら、国益、公益の観点から適正な流れを推進、維持していくための法律と言えると思います。  しかし、先ほど藤末議員からもありましたように、健全な経済の発展と併せて、それが規制を受けることによって投資が冷えていくのではないかという心配もあり、なかなか難しさを抱えた運用だろうというふうに思っていますが、そしてあわせて、今の日本状況を見ますと、市場でどのようになっているかというと、アジア新興国等の経済成長に伴い市場は相対的に縮小して、国際的な活動拠点としての地位も喪失してきていると。政府はそのような状況を鑑みて、特に対日直接投資については倍増ということで、十七・五兆円から三十五兆円を目標に各関係省庁それぞれ取組を着実に進めてきていると承知をしています。  そのような経過や現状を踏まえて、以下、お聞きしたいというふうに思いますけれども、まずは、外為法に基づく事前事後を含めた全ての届出数と、審査処理数などはどの程度あるのか。また、記載の不備等ではなくて申請が却下された件数などはおありなのか。また、売却等措置命令が下された件数はどのようになっているのか。  あわせて、ちょっと時間がありませんので、併せてお伺いしますけれど、外国人あるいは外国法人の情報などをどのように入手、管理しておられるのか。本改正案でも、各国機関との協力の体制強化と、こう記されているんですけれども、他の国からの情報を得るというのもなかなか難しいところがあろうかと思いますけれども、どのような機関と連携をしていこうというふうに考えておられるのか、併せてお聞きしたいというふうに思います。
  35. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  まず、外為法に基づく足下の届出審査あるいは事後報告、こういった件数のお尋ねがございましたので申し上げますが、対内直接投資等に係ります事前届出、これが審査件数と同じ数になりますが、足下三年間で、二〇一六年度が六百六十五件、一七年度が六百十二件、一八年度が五百九十四件、約六百件程度という件数でございます。また、事後報告の件数でございますが、これは、二〇一六年度、二千五百七十八件、一七年度、三千四百十四件、一八年度、三千六百三十九件ということで、二千から三、四千という、そういったレベルでございます。  それから、申請を却下するという制度はございません。  それから、お尋ねがありました対応というか中止命令が行われた件、これは、御指摘がありましたが、イギリスのファンドに対する中止命令というもの一件だけでございまして、それから、中止命令に従わないというものについて事後的にその株式の売却を命ずるといった措置命令、これについては適用例はございません。適用例ゼロでございます。  これが足下のファクトについての話でございまして、その後、各国との情報をどういうふうに、審査を行っていくときに、情報、協力関係強化ということだが、どうやっていくのかというお尋ねでございます。  外国投資家投資行動でありますとかその支配関係についての情報収集、これは、個別審査の中での外国投資家からのヒアリングといった手法が現状中心でございます。  他方、これだけで十分なのかという点というのは、問題意識がございますので、今回の法改正で、国内外の関係機関との情報交換に関する規定の新設の御提案をさせていただいているというところでございます。この規定によって、国内外の関係機関との情報交換を密にして、外国投資家投資行動でありますとかその支配関係につきまして、関係機関から得られる情報を積極的に活用して審査に生かしていきたいというふうに考えております。  それで、外国の当局、どういったところが想定されるんだということでございますが、これは、一言で言えば私どものカウンターパートということになりますが、アメリカでありますと、例えば対米外国投資委員会、CFIUSの議長を務めておりますアメリカ財務省といったことになりますし、各国でその対内直接投資審査プロセスに携わる当局を想定しているところでございます。
  36. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 今御答弁をいただいたアメリカの対外調査委員会、その委員会は物すごく大勢の人たち対応されているというふうに聞いています。今の財務省の中で、今回のその申請に対する調査ですとか点検など、何名ぐらいの体制でやられることになっているんですか。
  37. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  対内直接投資審査に係る財務省の人員でございますが、これは、今回の法改正等に携わる人員も含めまして十五名でございます。これは私ども財務省の話で、各事業所管官庁にも審査ということであれば担当官がございますので、これはこの十五名の外数ということで、連携して審査を行っているということでございます。
  38. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 いずれにしても、しっかりとした対応が必要だというふうに思いますし、人員的には非常に厳しい中でおやりになっておられるというふうに受け止めておりますが、そういう意味では、体制の強化ということも必要でないかというふうに感じております。  それで、次にお伺いいたしますけれども、五月の二十七日に外為法に基づく対内直接投資に関する改正告示がなされ、事前届出が必要な対象業種が拡大され、国内の大半のベンチャー企業が関わるソフトウエア開発ですとかインターネットを用いた事業事前届出対象業種追加指定されたと、八月の三十一日から施行されているということなんですけれども、このことによって、特にスタートアップ企業、ベンチャー企業などは海外からの投資を期待をしている業種も多いのではないかというふうに思っていて、影響があるのではないかというふうに危惧をしているところなんですけれども、現状どのように推移しているのか、影響はないのか、お伺いしたいと思います。
  39. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  現場で具体的にどういう影響が出ているかということにつきましては、施行後まだ日が浅いものですから、それに直接のお答えではないのかもしれませんが、関連業界の方から具体的な要望を頂戴しておりますので、それが反応ということで私どもの認識していることのお答えになるのではないかと考えて御紹介申し上げます。  八月の指定業種にサイバーセキュリティー関連業種追加したということに関連いたしまして、ベンチャーキャピタルファンド関連の業界団体から、まず、現行制度では、スタートアップ企業投資する際にファンドの出資者の中に一部でも海外投資家がいれば、これは届出義務がファンドの出資者、個々の投資家に掛かっているものですから、外為法事前届出を行わないと投資ができないということになるので、これが制約になるという点でありますとか、あるいは外為法令の制度をこのまま放置しておくと国内のスタートアップ企業への投資が停滞するという点でありますとか、あるいはファンドへの規制会社と平仄の取れた形になるような法改正をお願いしたいというような要望がなされているところでございます。  そして、今般、こうした要望を踏まえまして、今般の法改正の御提案、お願いで、外国投資家が法人である場合とファンド、組合である場合と平仄を合わせまして、届出義務を個々の組合員ではなくてファンド自体だけに課すという制度改正、それから、投資判断を行います無限責任組合員、ゼネラルパートナー、GPが外国投資家でない場合であって、かつファンドの外資の出資比率が半分未満の場合には届出義務を課さない、国内法人との並びということで、その組合の届出義務を課さないといった法改正の提案を出させていただいているところでございます。  そして、この法改正に対しまして、業界団体から一日も早い法改正の成立と施行への期待が表明されているというのが現状でございます。
  40. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 要は、そういう政令によって対象業種が拡大されていくというようなことが行われるわけですけれども、今回、この外為法改正をこの委員会で議論をしているわけで、私はちょっと素朴な疑問として、そういうその対象業種を広げて、しかもいろいろ意見があったものに対処する法律改正ということであれば、やはりこの委員会で同時にそういうことを一緒に議論をすべきなのではないかなと、国会的な議論が軽視されることにならないんだろうかというふうに思えてなりません。  私、率直に、今回の法案も、この外側というんですか、枠組みは法律として今議論をしていますけれども、対象業種などはこの後政令で示すというふうになっているんです。ですから、先ほど来ちょっと御意見ありましたように、どこが対象になるのか、どういうふうな基準でやるのか、そこが分かりにくいので早く教えてほしいという声もあるということですよね。  それで、例えば過去を振り返ってみますと、本法が制定をされた昭和二十四年十一月の第六回の国会の審議では、今お話をした下位法令委譲部分などが非常にこの法律は多いと、しかも重要であるという観点から、政令案等については、準備できているもの及びその要綱等を提出をして、この国会、委員会で議論をすべきだと、そういうことで政府にその提出を求めたという経過があるようでございます。  ですから、本来的にそういう情報などをできるだけ早くこの委員会にも報告をいただきたいですし、あわせて、これから示そうとしているその対象業種あるいは審査基準、そういったものについて、私はできるだけ早くお示しすべきだというふうに思っていて、投資家が安心して届出の要否を容易に判断ができるような銘柄リストを作るというようなことも含めて、いつまでに、誰が、いかなる基準に基づいて、どれだけの企業銘柄リスト化を今しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  41. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  銘柄リストにつきましては、本法案通していただいた後でございますけれども、その施行のときまでにというのがタイムフレームでございますし、誰がということにつきましては、財務省事業所管官庁がということでございまして、どんな手法、基準でという点につきましては、各企業の定款ですとか有価証券報告書に記載されております事実関係事業内容といった事実に基づきまして、また、企業への調査、照会、意見交換、これは極力負担にならない形でということでございますが、実態を把握しながら行っていくということでございまして、対象はどれだけの企業にということで、対象でございますけれども、全上場企業対象として三分類を行うということを考えてございます。
  42. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 先ほど申し上げましたように、この委員会での議論にはその対象業種というのは間に合わないのかなというふうに、今の答弁ではですね。けれども、先ほど言いましたユーザーあるいはベンチャー企業の皆さん、そして投資家の皆さん方もその部分をはっきり知りたいということでありますので、一刻も早くそれに対応されるように申し上げておきたいというふうに思います。  そろそろ時間が来ますので、幾つかまだ聞きたいことあったんですけれども、最後の質問にさせていただきたいというふうに思いますけれども、そもそも本法の理念は、本法の第一条に、外国為替外国貿易その他の対外取引は自由に行われることが基本であると明示されています。そして、対外取引に対して必要最小限管理又は調整を行うことで、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期すと本法立法趣旨が規定されています。  先ほど重要な内容が下位法令に委譲されている問題について言及しましたが、ホワイト国から韓国を除外した政令改正も、これも私は同様だなというふうに思っています。重大事項が国会の関与なく政府の独断で進められているということに大変危惧しているところであります。しかも、政治的な意趣返しが国家安全保障を大義名分に行われているのではないかとの疑念は様々指摘されているとおりであります。国家安全保障があらゆる基本ルールの適用除外のオールマイティーカードとして使われているのではないかという危惧も私自身しているところであります。  また一方で、国家安全保障は、防衛、先端技術分野のみではなく、外国資本による、先ほどもちょっとお話がありましたか、水の源地、水源地の買収問題などについて、国民生活、安全保障問題として防衛策の必要性が問われているにもかかわらず、水道事業については外国資本も含む民間企業に門戸を開く水道法の改悪がこれ行われてきました。また、食の分野でいいますと、高級ブランドの和牛精子やあるいは果物の種子の海外持ち出しについての今規制が検討されているという一方で、食料安全保障の要である米の源となる種子は超巨大海外資本を含めた民間に開放してしまっています。これらに端的に示されている政府の姿勢に、私は矛盾を感じざるを得ません。  また、A国なら何でもオーケー、場合によってはB国やD国やF国でもオーケーと、しかしC国やK国は駄目だというダブルスタンダードの御都合主義も透けて見えてきているという状況でありまして、戦後日本の復興と発展を支えてきた自由貿易の基本に対し様々な懸念が広がる昨今、麻生大臣におかれましては、更なる本法の理念に基づいた透明かつ適正な執行を強く求めたいと思いますし、私ども引き続き議論をしてまいりたいと思います。  先ほどお話をした体制整備の必要性も含め、大臣の御所見をお伺いいたします。
  43. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、敗戦した後の日本とドイツ、これ大量の領土を失っておりますので、それにもかかわらずこれだけの大きな経済大国にのし上がれた最大の理由はこの自由貿易のおかげです。これ以外の何物でもないと思っておりますけれども。  最も自由主義経済と自由貿易の恩恵に浴した国の一つが日本であったというのは、もうこれは誰が何とおっしゃろうとそれが事実だと思っておりますので、自由とか公正とか無差別とか、いろんな表現がありますけれども、開かれた市場とかマーケットとか、こういった競争条件、自由貿易というものの基本原則というものにつきましては、これは今年の日本のG20の議長下でも明確にこれを確認をさせていただいておるというところだと思っております。  この外為法もいわゆる対外取引が自由に行われるということを原則としておるんですから、その意味においては、日本経済の発展とかいうものに、これら、これからの海外の健全な投資が一層促進されていくために、我々としては、御指摘のありましたように、法改正を行うに当たっては透明かつ適正というものに執行していくということが重要なのであって、私どもとしては、そうした運用というものを今度は心掛けていかねばならぬところだと思っております。
  44. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 終わります。
  45. 川合孝典

    ○川合孝典君 立憲・国民.新緑風会・社民の川合孝典でございます。  麻生大臣には、一年ぶりに財金に戻ってまいりました、またこれから一年間、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  大変重要な法律改正でありますが、審議の時間がほとんどないということで深掘りすることができないこともありますので、時間の関係もありますから早々に始めさせていただきたいと思います。  今回の外為法改正目的としてのいわゆる安全保障、国の国家安全保障観点からの規制強化ということの、その方向性については私、十二分に理解をいたしております。ただ、外形的に、今回の法律改正はどうしても米国主導の規制サロンにお付き合いをさせられている感があるということが、先ほどの藤末委員の、別の法律、立法体系でもってきちんと規制するべきじゃないのかという意見にもつながってくるんだろうというふうに思っておりまして、いわゆる安全保障を守るということと同時に、いわゆる対内直接投資投資をいかに拡大させていくのかというこの二律背反をどう同時並立させるのかという、非常にこれ難しい問題だなということを今回法律の中身を検証させていただく中で感じてまいりました。  その中で、やはり注意すべきは、規制は掛ければその場で何とか止めることができるわけですが、投資の部分というのは、マインドが冷え込んでしまいますと動きが取れなくなってしまう、一旦逃げたものはなかなか返ってこないということがありますので、実際にこの届出対象の見直し、規制強化ということによってどのような影響が生じるのかという、いわゆる実務的なことも含めて少し検証させていただきたいと思います。総論の部分は、先ほど藤末先生がやられましたので、もうやめることにいたします。  麻生大臣にまず冒頭御確認させていただきたいんですが、この今回の法律改正によって麻生大臣が守るべきであると思っていらっしゃるものは、ターゲットは何だと捉えていらっしゃるのかということをお教えいただけないでしょうか。
  46. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、この法律に書いてありますように、いわゆる、先ほど藤末先生の御質問にもありましたけれども、日本として守らなければならない産業とか、外国等我々の同盟国でもないところからいろいろな話もいっぱい出てくる可能性はあるわけですけれども、少なくとも、例えば武器関連とか原子力とか電力とか、そういったようなものに関しましては極めてセンシティブに対応せねばならぬというところだろうと思っております。
  47. 川合孝典

    ○川合孝典君 対象お話が出ましたので、この範囲をどう設定していくのかということについてちょっと細かい話をお聞かせいただきたいと思いますが、政府参考人の方で結構ですので、お答えいただきたいと思いますが。  例えば、外資系の企業であっても、本邦日本国内企業活動を行っていて、その利益を日本で留保している場合、その日本に留保している資金を使って買収等の行為を行うということになった場合、これは対象になるんでしょうか。
  48. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  資金の出所が何であるかということは外為法規制の考慮の要素ではございませんので、出所と申しますか、その源泉が何であるかということは対象ではございませんので、外国投資家国内で、つまりボーダーを越えて外国投資家投資をするという、株を購入するということであれば、それは対内直接投資等に該当するということでございます。
  49. 川合孝典

    ○川合孝典君 ということなんですよ。  ということで、いわゆる外国資本若しくは外国の意思がどう日本安全保障上のセンシティブな情報技術に対してアクセスするのかということについて、今回の法律立てで果たして本当にきちっと守れるのかというところについてはジレンマがあるという事実ですね。  このことを踏まえた上で、どうリスト化していくのかだとかどう規制するのかということの議論をしなければいけないわけですし、そういう観点からいくと、先ほど藤末先生おっしゃったように、事前規制もさることながら、事後にどういう形できちんと規制を掛けてそのことに対して速やかに対応していくのかということが問われるんだろうというふうに思っておりますので、まず、そのことを指摘させていただきたいと思います。  あと、もう一点なんですが、これは市場の現場でもよく指摘されている問題なんですけれども、この事前届出規制が行われる、届出を行うということによって審査少しでも早くということで、五日ぐらいで審査を完了させてといったようなことで御努力を現場ではいただいているという話も聞いておるんですけれども、キャッシュアウトぎりぎりの取引を展開していらっしゃるようないわゆるベンチャーキャピタルとかいわゆるスタートアップ企業、こういうところにとって、この五日機動的に投資できないということ自体が言わば命取りになるのではないのかという指摘が実はございます。  この点についてどう御認識されているのかということをお伺いしたいと思います。
  50. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 現行のいわゆる外為法では、このベンチャーファンドとかについては、これ、ファンドそのものではなくて、ファンドに出資する個々の外国投資機関、投資家がそれぞれに事前届けを行う必要があるというのが、これが現行法であり、御存じのとおりです。そのため、手続面では投資家負担となりますのは当然なんですが、スタートアップ企業の適時の資金調達というものに関しましては、これは支障が出る可能性があるとの御意見も、これよく頂戴しているところであります。  したがいまして、今回の改正では、外国投資家が法人である場合には、外国投資家が法人ということの場合を考えて、届出義務を個々の出資者ではなくてファンド自体、課すということにさせていただいております。これによりまして届出ファンドそのものに一本化されるということになりまして、その点はかなり簡素化されると思っております。  また、投資判断を行う出資者、いわゆるゼネラルパートナーズということになりましょうか、そういった出資者が、外国投資家ではなく、かつファンドの外資出資比率が半分未満、いわゆる五〇%以下というときに関しましては、届出義務自体というそのものを課さないということにいたしております。  こうした対応によりましてファンドによるいわゆる事前届出負担というのはかなり軽減されると思っておりますし、スタートアップ企業への投資が容易になる、一層促進されるという可能性が上がってくると考えております。
  51. 川合孝典

    ○川合孝典君 今大臣が御答弁いただいたことに付随して、更問いということなんですけど、そうしますと、日本のLPSに外国人投資家に今回該当するGPがいる場合には事前届出義務は生じるという理解でよろしいでしょうか。
  52. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  GPが外国投資家であれば届出義務が生じるということでございます。
  53. 川合孝典

    ○川合孝典君 日本のLPS、昔と違って今は、要はファンドをつくる場合に、最近はいわゆるLLPを組成して、このLLPが日本のLPSのGPになるという、こういうケースが頻繁に行われるという形になっております。したがって、LPとGPがはっきりと分離されていない状況の中で出資組合自体がGPになっているといったようなケースになった場合に、例えばですよ、例えば、その中に外国人投資家に該当する人が含まれている場合どうなるのかといったようなケースや、居住要件が、元々日本にいた方が海外に移住して出資を行っているといったような場合なんかは、これもやっぱり届け対象になるのだろうかということについていかがでしょうか。
  54. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  先生おっしゃられている点ということで、所有関係とかが錯綜するではないかということだと思いますが、そもそものその根本にありますのは、これまでであれば現行の制度では個々の組合員に届出義務が課されていたということを、これをファンドの方に一本化するということで、全体として大きな負担の軽減になっているという前提だと考えております。  その上で、個々の外国投資家が組合員であるところに課されていた、数で数えますと多くの届出義務が組合ということに一本化され、そして、その組合に届出義務が課されるかどうかという点の判断基準が、GPが外国投資家であるか、あるいは外国出資が五〇%という、そこだけで判断いたしますので、個々の組合員、GP、LPの届出義務というものはなくなるということで御理解賜ればと存じます。
  55. 川合孝典

    ○川合孝典君 要は、GPが外国投資家であるのか日本投資家であるのかというのが、LLPになった時点で集団として組合自体がGPになるということを意味するわけでありますので、そこをどう判断するのかというのが今の御説明だけだとカバーし切れるのかなというのが実は素朴な私の疑問なんですよ。この点はいかがでしょうか。
  56. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  57. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 速記を起こしてください。
  58. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  LLPがGPになる場合ということにつきましては、GPがその組合の外国投資家に該当するかどうか、外国投資家か否かどうかという基準につきましては詳細を政令で定めるということでございますので、そこで明確に定めるということと考えてございます。
  59. 川合孝典

    ○川合孝典君 そうなんです。つまりは、この実務上非常に重要な手続が物すごく煩雑になるかもしれない、時間が掛かることになるかもしれないような課題というのがまだ全く明確になっていないということが市場に不安感を与えているという事実でありまして、そのことの指摘をさせていただいたわけでありまして、結局、その仕切り方によって、例えば新たな投資案件が出るたびに、日本のいわゆるベンチャーキャピタルの例えばGPが、海外のLP、有限の責任組合員に対して届出協力を要請しなければいけなくなるのではないのかという、そういう懸念の声が上がっているということがあり、今回指摘させていただいたということであります。  この点について市場関係者方々に不安を与えることのないように、今後、いわゆる政令や細則等を決めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  ちょっと、時間があっという間になくなってきましたので幾つか準備した質問飛ばして、質問の二のところの、いわゆる技術、人材の部分について、これは経済産業省さんだと思いますが、質問させていただきたいと思います。  今回、いわゆる企業買収に対する規制をどう掛けるのかということにターゲットを当てた、株式のやり取りをどうするのかということの議論にある意味終始しておるわけでございますけれども、技術を守るために、技術海外流出しないようにするためにということに注目行き過ぎて、その技術をいわゆる構成する部品や技術を持っている中小企業ですとか、そういうところの技術を保全するということについての議論は全くないわけですよね。要は、親会社が作っているプロダクツ、最終製品を守るということとは別に、中小企業技術をどう守っていくおつもりなのかということ、このことが同時並行で行われないと基幹部品が何か海外に流れていくということにもなりかねないわけでありますので、この点、どのように御認識なのか、お聞かせください。
  60. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  ただいま中小企業が主として担うような部品や材料についてどのように技術管理していくのかという御指摘がございました。  私ども、安全保障貿易管理を一つの例として申し上げますと、安全保障貿易管理におきましては、いわゆる最終製品だけではなくて、それを製造するために必要な材料や部品でありましたり、あるいは製造装置といったようなものも管理対象にしております。その意味で、大企業か中小企業であるかということに着目するのではなくて、それが規制対象の品目であるかどうかに着目をして管理をしております。  したがいまして、これ、輸出管理でもそういった部品や材料を扱う中小企業が申請をされることもございますし、投資管理におきましても、先ほど申し上げましたとおり、輸出管理対象となっている技術を保有する製造業、あるいはその他の企業もこの投資管理対象になっておりますので、外為法という側面からもこういった中小企業技術管理する仕組みを用意しているということでございます。
  61. 川合孝典

    ○川合孝典君 心配しているのは、一見関係がないようで実は非常に重要なものであった、要は、その規制対象となっている企業の取引先が全て規制対象になるのであれば全部カバーできるわけですけれども、そうでない場合には要は抜け落ちが生じる懸念があるのではないかという素朴な疑問なんですよ。大丈夫だということでよろしいですか。
  62. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  御指摘の点、私どもも十分な問題意識、共有と言うと失礼な言い方かもしれませんが、同じような問題意識を持っております。  このため、中小企業に対しましては、まずはこの規制内容を十分に御理解いただく、要は、御自身が使っておられる部品や材料や装置というものが規制対象になっているということを十分に認識していただくことが大事だというふうに考えておりまして、そのような観点から、私ども、全国各地で説明会を実施をすることは当然のことといたしまして、社内の管理体制をこれから整備しようと、あるいはその運用を改善しようということを希望する中小企業に対しましては、個別にこの安全保障貿易管理の専門家をアドバイザーとしても派遣をしております。  加えまして、自分で意識するということだけを、企業の自助努力ということだけに済ませては技術は守れませんので、ちょっと言葉は適当かどうか分かりませんが、プッシュ型ということで、私どもとしても様々な技術、重要な技術を扱っている中小企業はどういう中小企業があるのかということを把握をする努力を続けていきたいというふうに思っておりまして、その結果、把握した企業に対してはこちら側からアプローチをして、注意喚起あるいは協力を要請していきたいというふうに考えております。
  63. 川合孝典

    ○川合孝典君 ありがとうございます。  もう一点、別の切り口なんですが、企業買収の問題とは別に、企業は守れても、これはあくまでも株式の話にとどまっているわけでありまして、そのいわゆる安全保障上重要な技術を開発したエンジニアにまで網が掛かっていないということでありまして、開発に携わってきた技術者自体、御自身が海外流出したのでは何の意味もないということがよく指摘されておるわけであります。  開発したもの自体の知的財産権だとか特許だとかというのはそれは一定部分防衛されているんだろうと思いますけれども、専門技術者というのは、その先どういう研究開発をそこから派生させて進めていくのかということは、そこからが可能性の話という意味でいくと、いかに人材を、次世代を切り開くエンジニアを日本国内で守っていくのかということの観点もこれ必要だと思うんですけれど、これ経済産業省さんとしての問題意識、おありでしょうか。
  64. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  今御指摘ございましたように、いわゆる人の移動に伴って技術流出するリスクがあるということにつきましては国際的な共通認識になっております。これに対してどのように対応していくかということで、二つの側面からお答えしたいと思います。  一つは、技術流出を防止するという観点、一つは、今委員から御指摘がありましたように、その活躍の場をしっかりと国内でつくっていくという二つの側面から対応していきたいと思っております。  技術流出防止対策につきましては、先ほど申し上げましたように、安全保障貿易管理の中でおきましても、その方が保有している技術というものが安全保障上の技術に当たる場合には、その海外への提供について外為法上の許可を取っていただくという制度を用意しております。  もう一つは、不正競争防止法の中で、企業がそれを重要技術として、営業秘密として管理している場合に、退職された方がそれを海外において、海外に対して流出させた場合については刑事罰の対象ということにしておりまして、平成二十七年の法改正におきまして、海外での使用を目的とした不正な行為というのを重罰化したところでございます。  これが、言わば守りという視点でございまして、これに加えまして、現在、政府におきましては統合イノベーション戦略ということで今後のイノベーション戦略の方向性を政府一体となって進めているところでございますが、その中で、我が国の科学技術全体を見回しまして、今後伸ばすべき分野や補うべき分野というものを明確にいたしまして、それらの分野に予算や人材を集中的に投入するということで、関係省庁一体となって取組を進めるということにしておりまして、こういう中でそういった技術を担う研究者あるいはエンジニアが活躍の場を得られるように政府としても取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  65. 川合孝典

    ○川合孝典君 是非頑張っていただきたいと思います。  実態として、実は、昨年でしたか、院の派遣で、自民党の西田先生も御一緒だったと思いますが、インダストリー四・〇の視察でヨーロッパの方にお伺いさせていただいた折に、優秀ないわゆる日本の研究者の方があちらで研究やっていらっしゃるんですよ。それで、なぜここにいるのかという話をしたときに、本当は日本でやりたいと、でも日本には環境もお金もないから、やりたい研究をやろうと思ったら、要はここに来るしかなかったんだと、こういうことをおっしゃっていて、胸が痛みました。  今あるもの、これは既に存在しているものをどう守るのかということの議論がどちらかというと今政府の議論には比重を置かれていると思うんですけど、次世代のイノベーションのために何をするべきなのかというのは、やっぱり人材の育成だとか、技術者が優秀だ、若しくは将来有望だと思われる技術者を今のうちからどう育てていくのかというところに尽きると思っているんですよ。  麻生大臣、もうこんなことは釈迦に説法のようなお話かもしれないんですけれども、御承知のとおり、この三十年間、日本の科学技術予算はほとんど変わっておりません。そうした状況の中、中国やアメリカは十倍と言わずに桁違いにやっぱり研究開発費が伸びが来ております。ノーベル賞が、まだ今の時点では日本人のノーベル賞受賞者が出ておりますけど、これはあくまでも二、三十年前の成果に対する賞という意味でいけば、今後のいわゆる日本の最先端イノベーションというものは、今何をやるのかが問われているということでありますので、是非、人を守るためのいわゆる予算、エンジニアを育成するための予算ということについて、大臣の御認識をちょっと、一言で結構ですから、突然ですけど、お聞かせいただきたいと思います。
  66. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは外為法とは全く関係ない話なんですね。まず最初にそれだけお断りを申し上げておきます。  その上で、今御指摘された、これはもう川合先生、これは誠に正しい、正しい指摘なんで、少なくとも大学を例に引きますと、国立大学と言われたものが独立大学法人というものに変わって、あのときは文教部会長ですか、二十数年前にこれ変えて、東大等々が独立大学法人に変わっていって、随分と変わらせていただいたおかげで、いろいろ、今人口がどんどんこれだけ減っているのに何で大学こんな増えるんだと、おかしいじゃないかというような意見は当時随分ありましたし、国立大学ばかりに金が偏り過ぎているじゃないか、私立にもっと金を回すべきじゃないかとか、まあ当時はいろいろな話がこれ与野党問わずいろいろ出てた時代だったと記憶をしています。  そういった中において、国立大学というものをやめて独立大学法人に変えさせていただいて、いわゆる海外におけるように、特にアメリカがそうですけれども、大学に対して、いわゆる企業、個人、もちろんですけれども、そういったものの寄附がどんどん集まって、その寄附が、ほとんどの大学の中における研究開発の金はそこから生み出されておるというのが現実ですけど、国立じゃそれができませんから、そういった意味でやられて、今大きく変わりつつあるのが多分東大だと思っております。  東大というのは卒業生の余り母校意識のない学校の一つだと、僕はそう思っていたんですけれども、最近はその点はちょっと変わってきておりまして、間違いなく企業の独立大学法人東京大学に対する寄附は他を、群を抜いておるという形になってきております。その成果は出てきておるんで、ノーベル賞なんていうのは、大体東大で取った人は佐藤栄作以外いませんから、ほとんどは京大です。あとは川端康成ぐらいですかね。ほとんどの方は、これまでは大体京大が圧倒的だったんだと記憶していますけれども、そこに東大もでき始めて、このところニュートリノ等々のものが出てくることになってきているというのは事実なんですけれども、いずれにいたしましても、そういったようなもので、国の金以外いろんなものがもっと入らせるようにするということに、寄附というものに関して、もうちょっといろんなものが入ってくることを考える。  例えば、企業で四百四十兆円の金が、何の金利も付かない金があそこに四百四十兆円、内部留保として残っておるわけですよね。四百四十兆ですよ。それが内部留保として残って、毎年二十兆だ、四十兆だ、去年は十八兆、ずうっと増えておりますんで、そういったようなものがこういうところに行くとか、いろんなことをちょっと全体で考えるということを考えないといかぬところだと思いますが、いずれにしても、こういった将来の科学技術等々に対して、研究開発という恐ろしく地味な話でありますけれども、ニュートリノって、ノーベル賞取ってこれは何の役に立つのかって、三十年ぐらい先の話をまた考えないかぬという話をしておられましたけれども、私どもとしては、そういったようなものを含めまして、基礎、いわゆる応用物理とかいうんではなくて基礎物理、そういったような科学というものにきちんとした対応ができるようなことを今後とも考えていかねばならぬということを、私ども基本的にはそのような考えを持っております。
  67. 川合孝典

    ○川合孝典君 丁寧に御答弁、急に振ったにもかかわらずしていただきまして、ありがとうございました。  直接外為法には確かに関係ないことではあるんですけれども、要は投資が、対内直接投資が増えるか増えないかというのは、投資すべき魅力的なものがあるかどうかがそもそも問われておるわけでありまして、そのための環境をどう整えるのかということは、これ、実は関係ないようでいて密接に関わっているということの問題意識があったので指摘させていただいたということです。  なお、京大だけとおっしゃいましたけど、名古屋大からも出ているよという声が出ておりますので申し添えさせていただきたいと思います。  時間なくなってまいりましたので、最後に、土地取引に関する件について指摘、ちょっと問題認識をたださせていただきたいと思うんですけれども。  御承知のとおり、近年、日本外国人が土地取得を行う事例が大変増えてきておるわけでございますが、日本のいわゆる土地の所有権というのは非常に強力な権利でありますので、一旦取得してしまいますと、まあ言い方が適切かどうかは分かりませんけれども、そこを治外法権的に権利が守られるということになるわけであります。そのことの結果として、水源や森林や鉱物資源といったもののいわゆる保全が損なわれているのではないのかということの指摘がここ近年なされているわけであります。  この点について、問題意識どのようにお持ちなのかということ、外為法で土地取引は取得届出をするということだけにとどまっているという点、これがございますので、これについての問題意識をお伺いしたいと思います。
  68. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 外国人によります土地取引等々の話になりますけれども、これは極めて重要な政策課題なんだと、私どもそう思っておりますが、これは、外為法でやるのは、そもそも日本の中に住んでいる外国人がその土地を買った場合、外為法対象は全く関係ありませんから。だから、この話は、少なくとも今の問題意識は全く正しいと思いますけど、これを外為法でやろうというのは無理があります。別の法律考えないといかぬということなんだと思いますので、そこが大事なところだと思います。これはほかの委員会がちゃんとやらなきゃいかぬのですよ、これは。私は本当にそう思いますね。この話は前から出ている話ですから、これは。我々は、外為法でやるのはおかしいと申し上げ続けてきたのは我々ですから。  しかし、とにかく外為法だけ、それでできる範囲のことは今回のこれでかなりステップ前に出させていただきましたけど、その他の面でこれは考えていただかないかぬところなんであって、新たな外資規制というものは、これは国際ルールでいろいろな問題を起こしますので、少なくとも私どもによる考えでは、土地取引、外国人による土地の取引、特に水源地とか、大きな港のすぐ真裏とか、万景峰号が着くところの真横とか、いろいろこれは例があるので、これまでも、そういった意味で、私どもは、これは本質的な課題についてだったと思いますので、これは政府全体として懸命に考えていかないかぬところだと思っております。
  69. 川合孝典

    ○川合孝典君 ありがとうございます。是非、それを強力に推進していただけるであろうと期待しているがゆえに問題提起をさせていただいているというわけでありますので、是非お取組をお願いしたいと思います。  時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、私自身のこの問題に関しての問題意識は、外国日本人が土地取得に関する権利が制限されている場合に、その当該外国人日本で土地の権利を自由に取得できるということを認める合理的理由があるのかどうかという、ここの部分なんですよ。  だから、そうした切り口から、外為法でなくても私はきちんと規制、整理することができるというふうに思っておりますし、今きちんとこのことを議論しないと将来に大きな禍根を残す可能性があるということを、最後、問題指摘させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  70. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  今回、外為法改正につきまして、通告にしたがって順次質問をしてまいりたいと思っております。  既に今日これまでの先生方から出た質問と一部重複する部分もあろうかと思いますが、いろいろと私自身もこの法律案について、特に安全保障観点からの必要性は十分にある中で、やはり外国投資家から、今回、やっぱり規制のやり方が大きく設計図が変わったという私も印象を受けておりまして、その運用について様々懸念の声も出ておりますので、そういった懸念の声を少しでも払拭できるような質疑をしてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  まず冒頭、大臣にお伺いをいたします。  改めてになりますけれども、今回、このタイミングでこの外為法改正するに至った背景、その改正の必要性について確認をさせていただきたいと思います。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる外国為替外為法の話ですけど、大前提は、これはもう何といったって投資の自由です。これが大前提としてで、いわゆる一定の対内投資日本に対する対内直接については、これは国の安全という点から、一部の業種、例えばやっぱり、先ほど出ましたように、原子力とかいろんな、一部の業種に限定して事前届出を求めるというルール、これが大前提になっております。  したがいまして、健全な日本に対する対内直接投資は、これは日本の経済に重要な役割を果たすという観点から、これは対内直接投資の残高を今三十兆円ぐらいのものを三十五兆円までに拡大するという目標を持って、その一層の推進を図っていく必要があろうと考えております。  他方、国の安全を損なうおそれのある投資につきましては、これは今、EU、まあ、アメリカはもっとそうですけれども、そういった主要先進国におきましては、これは制度改正して対応の強化というものの動きが非常にこの一、二年はっきり進んでおりますんで、日本としてもその対応を強化していかなければならぬという必要があるんだと思っております。  そういった意味では、各国、昨年二〇一八年、アメリカ改正しましたし、いろんな、EUも二〇一九年の、今年の三月に改正したと思いますが、今回の法案は、こういった状況を踏まえまして、我々の日本という国に対する健全な対内直接投資というものを促進するために、事前届出制度は免除します、安全なものであればということを導入する一方で、安全を損なうおそれがあるというようなものに関しまして投資があるというのであれば、事前届出というものの対象を見直すとの法の改正をさせていただいたというのが、全体の枠を大ざっぱに申し上げればそういうことになろうかと存じます。
  72. 杉久武

    ○杉久武君 今大臣から御答弁いただきました。自由な投資を促進をする中で、昨今の環境を踏まえた規制もしていかないといけないという、先ほどからいろいろお話ありますけど、この両立をどう図っていくかというのが非常に大きな課題だというふうに思っております。  そこで、財務省に確認をいたします。  外国投資家日本市場における重要性、これをどのように認識をされているのか、日本市場における外国投資家の保有割合、また売買代金割合はどの程度か、確認をしたいと思います。
  73. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  東京証券取引所が示しております統計情報によりますと、外国法人等の株式保有比率は二〇一八年度末の時点で二九・一%、海外投資家株式売買代金に占める割合でございますけれども、二〇一八年で全体の約七割となってございます。このように、外国投資家日本市場において大変重要な役割を果たしているという認識をしております。
  74. 杉久武

    ○杉久武君 今御答弁ありましたとおり、保有割合が二九・一%、そして売買代金の割合は約七割ということで、非常に日本市場においても重要な役割を担っていただいております。  しかしながら、残念ながら、今回外為法改正案が出た後に、やはり外国投資家から様々な懸念の声が出てしまいました。  それを受けて財務省は、先ほど川合議員からも配付していただいた資料にあるようなQアンドA、これが十月二十五日に公表され、これの英訳のものが十月三十一日に公表されるという、こういった対処を取られたわけなんですけれども、これはどういった懸念の声があって対処をされたのか、その概要についてお伺いをしたいと思います。
  75. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  今般の外為法改正案につきましては、市場関係者等と意見交換をしていく中で様々な御意見を頂戴いたしました。頂戴した御意見を総じてということで御報告申し上げますと、まず第一に、国の安全等を損なうおそれのある投資、これについては適切に対応する必要性は理解する、賛同するという点が第一点でございまして、第二点、新たに導入する事前届出免除制度の適用範囲の明確化それから投資家側の事務負担の軽減ということによって、健全な投資を萎縮させるという副作用、これを最小化すべきだという点が二点目でございます。三点目といたしまして、コーポレートガバナンス強化の観点、これを十分尊重して、企業との対話を阻害しないということはもちろん、株主権行使の制限は国の安全等観点からの必要最小限とすべきと、こういった三点に集約できるかと認識しております。  その上で、どんな対応をこれまでしてきているか、今後どう考えているのかという点でございますけれども、まず健全な投資を萎縮させないためという点につきましては、外国金融機関など類型的に国の安全等を損なうおそれがないと認められるものにつきましては、銘柄にかかわらず事前届出免除を利用可能とするとともに、事後報告につきましても現行よりも負担を加重しないことといたしました。  それから、コーポレートガバナンスの強化という点につきましては、今回の法改正に伴う株主の権利の制約が、国の安全等を損なうおそれ、この国の安全を損なうおそれにつながる行為に限定されて、それ以外の株主権の行使、あるいは一般に企業との対話について一切の制限を加えるものではないということを明確にお示しするといった対応を行ってきているところでございます。  今後、より具体的に政省令、告示において制度の詳細について定めていくわけでございますけれども、引き続き市場関係者と幅広く意見交換を行ってまいりたいと考えてございます。
  76. 杉久武

    ○杉久武君 今丁寧に御説明いただきましたが、懸念されている部分として、やはりこの適用範囲がなかなか分かりづらいという意見があるんだというふうに思っております。そういった観点で、今様々あった懸念の部分についても具体的に、今分かる範囲で、決めていただいていることを含めて、続けて質問をしていきたいというふうに思います。  まず、やはり今回の改正で言われているのが閾値が一〇%から一%へ大幅に下がったというところで、事前であれ事後であれ、やっぱり事務手続が増えるんではないか、こういった点で、やはり投資家の心理としては、じゃ、もうやめておこうかと、こういう抵抗感が出てきてしまっているのではないかなというふうに感じております。  その中で、まず一つ目、もう既に質疑、議論もあったところでありますけれども、事前届出対象業種リスト化のところについてお伺いをしたいと思います。  QアンドA、十月二十五日に公表されたFAQの中でも、事前届出対象業種となる上場企業、今、上場企業約三千六百社ございますけれども、それを三つに分類をすると、事前届出を要しない会社事前届出の免除が可能な会社事前届出免除対象から除かれる会社と、これにどこかに分類をされるわけでありますけれども、このリストはどういうふうに作成をされるのかということと、やはりグループ企業の中で、例えば孫会社、更にその下のレベルで少しだけでも指定業種をやっていればどうなるのか、いろんな懸念があります。  この三つの分類がどの程度の割合になるのか、今の段階でお答えできる範囲で御答弁いただければと思います。
  77. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) 御指摘いただきました上場会社の三分類の銘柄リストにつきましては、どういうふうにということでお尋ねございましたが、これ、事業所管官庁、私どもと事業所管官庁とともに、各企業の定款でありますとか有価証券報告書に記載されております事業内容に基づいて、そして企業への調査、照会、意見交換、これは余り負担をお掛けしないようにということではございますが、こういった調査、照会、あるいは意見交換を通じまして、その実態をしっかり把握しながら作成していく予定でございます。  それで、三分類に該当する企業数についてどんな見込みなんだというお尋ねでございますけれども、これはもちろん、あらかじめ枠でありますとか配分数と、配分比率といったようなものを設定するというものではございませんものですから、今の段階で確たることを申し上げることはちょっとできない状況でございます。
  78. 杉久武

    ○杉久武君 あわせて、今のこのリストについて、いずれにしても、リストが公表されてこの銘柄はどこに入るというのは分かると思うんですが、このリストに基づいて外国投資家投資をすることによって免責をされるのか、それともあくまで参考情報であって、最終的な責任は個別に判断をしなきゃいけないのか、ここ非常に重要な問題でありまして、やはり一%という閾値というのは、これまでの一〇%と比べると容易にこれ超えることが想定をされますので、その部分についてお考えをいただければと思います。
  79. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  このリストに従って行動した投資家の免責についてでございますけれども、そもそもこのリストを作成し公表する目的と申しますのは、外国投資家届出の要否を容易に判断できて、投資に阻害効果を与えない、そして我が国に安心して投資できるようにするという、それが目的でございます。したがって、この投資家への安心付与という趣旨を踏まえた運用とする所存でございます。  なお、仮に海外投資家が、先ほどのお尋ねで御答弁いたしましたように、リストを悪用するような意図があって、それで、意図というか、リストを悪用して事前届出対象と知りながら無届け株式取得等を行う場合、こういう場合については、その是正のための、悪用に対しては是正のために必要な措置を講ずることができると考えてございます。
  80. 杉久武

    ○杉久武君 続いて、投資主体についてのお話をしたいと思います。  今、対象銘柄ということで三つに分類をするというところでありましたけれども、今回、事前届出免除という角度からいいますと、対象銘柄にかかわらず免除をされる、こういった主体があります。それが外国証券会社が自己勘定で行う取引や外国銀行、外国保険会社及び外国運用会社が行う取引は、これは全て対象銘柄にかかわらずということで、このリスト、さっき言ったリストとは全く関係なく事前届けができるという、こういった設計になっておりまして、事後報告の閾値も一〇%を維持をするということでなっておりますけれども、こういったこの言われている対象の中に、今言ったものに限る話なのか。例えば、年金基金とかソブリン・ウエルス・ファンドとかヘッジファンド、HTF、こういったものは今申し上げた部分の定義の中に含まれることになるのかどうか、教えていただきたいと思います。
  81. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) 外国金融機関対象銘柄にかかわらず事前届出の免除の対象となりますのは、二つの要素、国内外の業法など法令に基づいて、そういう金融機関であれば当局がその存在とか活動をしっかりと把握できるということが一点、それから二点目として、その取引が国の安全等に係る技術情報の窃取でありますとか事業活動譲渡廃止、国の安全等に係る事業活動譲渡廃止と、こういうものを目的とする取引ではないというその二点から類型的に国の安全等を損なうおそれがないと認められるという考え方に基づいてございまして、具体的なこの制度の適用の可否ということもこの二つの観点から判断していくということになろうかと思います。  それで、いわゆるヘッジファンドにつきましては、外国運用会社に該当する形態のヘッジファンドとそうでないもの、様々な形態のものが含まれていると理解してございますが、ヘッジファンドがその銘柄にかかわらず免除対象となるか否かというのは、先ほど申し上げましたように二点、国内外の業法等の法令に基づき、当局がその存在や活動をしっかり把握できるか否か、それから、その取引が国の安全等に係る情報窃取であるとか、事業活動譲渡廃止目的としていないと言えるかどうかということから具体的な線引きをしていくということになろうかと思います。  それから、もう一点、高速取引行為、HFT業者についてのお尋ねございました。  これは、日本国内株式の取引をHFTで行う者はすべからく金融証券取引法に基づき登録を行っているところでございます。また、HFT業者は短時間のうちに高頻度の株式の取引を行っておりまして、議決権行使ということは行わないのが一般的でございますので、こうした取引につきましては対内直接投資等の届出を不要とする方向で検討中でございます。  それから最後に、ソブリン・ウエルス・ファンドや公的年金基金についてですが、これは投資家属性として、免除制度の利用の対象外となる国有企業等に一旦は分類されます。その上ででございますけれども、国の安全等を損なうおそれがないと認められるものにつきましては免除制度を利用可能とするわけでございますが、銘柄にかかわらず免除対象とするという銘柄にかかわらずということではなく、一般的な免除制度の利用の可能性ということでございます。
  82. 杉久武

    ○杉久武君 今様々御説明いただいて、やはりここ、判断が非常に個々で難しくなってくる面もありまして、投資する側からすると、やはりここが、より明確に分かりやすくというところが非常に大事になってまいりますので、是非とも明確な範囲指定、定義付けの説明をよろしくお願いをしたいと思います。  あわせて、この投資主体という意味で、こういった部分についてもどうなるんだという疑念がある点を一点指摘したいと思います。  外国投資家に該当しない国内運用会社や信託銀行が外国投資家を顧客に持つ場合、誰が届出の主体となるのか、この点についても確認をしたいと思います。
  83. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) 外為法における届出義務でございますけれども、取得する株式の所有権を有する者にその届出義務が課せられるというのが基本でございます。国内運用会社や信託銀行が外国投資家を顧客に持つ場合の届出対象についても、所有権をどこが持つかという点から判断をするということでございまして、外国投資家である顧客自身が所有権を持っている場合、それは、届出主体は当該外国投資家となります。  また、その国内の信託銀行や運用会社が所有権を取得する場合につきましては、これは国内金融機関でございますので、そもそも外為法規制のらち外ということになります。
  84. 杉久武

    ○杉久武君 続いて、事前届出免除制度を利用する外国投資家が守るべきこと、やってはいけないことということで、FAQの中で三つ挙げられております。海外投資家自ら又はその密接関係者役員に就任しないこと、二つ目重要事業譲渡廃止株主総会で自ら提案しないこと、三つ目が国の安全等に係る非公開技術情報アクセスしないことということがこのFAQの中で明記をされておりますけれども、この三つに限定をされているという理解でいいのか、それ以外の企業との対話という部分については規制対象ではないと、こういう理解でいいか、確認をしたいと思います。
  85. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) 事前届出免除を受ける外国投資家が守るべき基準につきましては、委員から御指摘のございました三点に限定し、これ以上の追加や拡大は行わないという考えでございます。  また、企業との対話につきましては、委員指摘のとおり、今回の外為法改正における規制対象ではございません。
  86. 杉久武

    ○杉久武君 この点については、やはりいろいろと、どこまで何をやってはいけないのかということが、今回この三つに限定をするということで明確な御答弁をいただきました。  今日の質疑の中でも既にありましたけれども、ただ、この様々な株主としての行為規制をするというところについては、やはり日本スチュワードシップ・コードで企業の持続的な成長を促す観点からは、幅広い機関投資家企業と建設的な対話を行って適切に受託責任を果たすこと、これが求められているわけでありまして、この日本版のスチュワードシップ・コードに反するのではないか、こういった意見もあるわけでございます。  この点については、スチュワードシップ・コードの担当省庁である金融庁の方に見解を伺いたいというふうに思います。
  87. 中島淳一

    政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、スチュワードシップ・コードは、投資家企業との建設的な対話により企業価値の向上や持続的成長を促すものであり、政府の成長戦略における最重要施策の一つであると、そういう認識に変わりはありません。  今回の外為法改正案におきましても、国の安全等を損なうおそれのある投資に適切に対応する一方で、健全な投資を一層促進するものと承知をいたしております。その施行に当たっては、投資家による企業の持続的な成長に向けたスチュワードシップ活動に悪影響を及ぼすことのないよう配慮することが必要であると考えております。  今後、制度の詳細を整備するに当たりましては、スチュワードシップ活動を行う機関投資家を含め、市場関係者とも幅広く意見交換を行っていくものと聞いており、金融庁といたしましても適切に協力してまいりたいと考えております。
  88. 杉久武

    ○杉久武君 続いて、今回の事後報告制度について伺いたいというふうに思っております。  今回、閾値が一〇%から一%へ引下げとなりまして、事前届出免除を仮に利用したとしても、原則として一%を超えた場合は事後報告が求められるということになりまして、事前を免除しても結局事後で報告をしないといけないというところについての煩雑さについて懸念の声もございます。  当然一%という閾値があるので、これを超えたタイミングではまず事後報告が必要だと思うんですけれども、その後の更なる報告というのはどの程度の頻度でやっていくのか。一%から一株増えた都度当然やっていては、これは当然実務にはなりませんので、これをどの程度、今お答えできる範囲限られているかもしれませんけれども、この頻度について、例えば一の次は三、五、一〇とか上がっていくのか、そういった部分について御説明をお願いしたいと思います。
  89. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  一%の次の事後報告の閾値と申しますか、考え方、それからその頻度がどのぐらいかというお尋ねでございますけれども、これについては、具体的にはこれから決めていくわけでございますけど、決めるということに当たっては、その頻度の設定ということに当たって考えなきゃいけないこととしては、一つには投資家方々負担をできる限り軽減するということでございます。一方で、国の安全等を損なうおそれのある投資を適切にモニターしていくという観点といかに調和していくかということで、それが基本的な考え方でございますが。  それで、現時点での想定について申し上げますと、もちろん買い増しの都度報告を求めるということが余りにも煩雑に過ぎるということは御指摘のとおりだと思っておりまして、その上で、例えば会社法で規定される株主の権利に着目すれば、一%の次は三%が節目でございます、株主総会の招集請求権がございますので。次の節目である三%の取得時に報告を求めるといった案が検討の俎上に上ってございます。  いずれにいたしましても、市場関係者の御意見よく聞いて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
  90. 杉久武

    ○杉久武君 ここも非常にやはり重要な私はポイントだというふうに思っておりまして、免除があってもやはり事後報告はこれはマストなところですので、これの頻度が過度にならないように是非市場関係者とも十分な対応をしていただいて設定をしていただきたいというふうに思います。  続いて、審査制度について伺います。  一%以上の株式を保有している外国投資家については、先ほど申し上げましたように、行為としてやってはいけないことというものが決められておりますけれども、先ほど三つ挙げたものがございますが、その中で、株主としての権利である役員に就任をするということと、重要事業譲渡廃止株主総会で自ら提案をするというこの行為は、当初行わないという前提でこれは事前免除になるわけでありますけれども、ただ、株主としての権利ですので、仮に意思が変わってこういった行為をやろうとなった場合は事前審査を受けるという手続になろうかというふうに思います。  ただ、これらの行為というのは株主としての行為ですから、当然これ、株主総会を目指してこの作業が、準備が行われるわけであります。そうしますと、日本の上場会社、多くは三月決算、六月末の株主総会というタイムテーブルが決まっている中で審査が一時期に重なるのではないかと、こういう懸念の声もありますけれども、財務省としてこの審査体制については十分対応できるという理解でよろしいでしょうか。
  91. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  今回の改正事前届出審査対象となります株式取得後の株主行為類型、今回の改正追加するものでございますので、どの程度の届出件数があるのかということを事前に予想することは困難でございますが、これが株主総会前の時期に、総会を目指してということでございますので、その時期に増加が見込まれるということは全く御指摘のとおりだと存じております。  その上で、財務省それから事業所管官庁、そういう意味で政府としては、審査を円滑に行っていくために、一つには、その審査体制の充実、必要だと考えておりますし、また、担当者の能力の向上でありますとかノウハウの蓄積といったことを進めていくといったことは当然のこととして努力を傾けていかなければならないと存じております。  それから、あわせて、今回の法改正で新たに設けていただきます国内外の当局との情報交換に関する規定、これに基づいて、こうした機関が保有する情報審査に活用していくということでございまして、こうしたその体制の充実、能力の向上と、それから、国内外機関との情報交換、保有情報の活用と、この二点、大変重要であると考えております。
  92. 杉久武

    ○杉久武君 様々局長の方に御説明いただいて、ありがとうございます。  様々今日議論してきたように、やはりこの投資主体から見ると、まず自分が銘柄指定なく投資できる主体なのかどうかというまず判断が必要でありますし、そうでない場合は投資指定も手続が要らない銘柄はどれかということをまず理解をしないといけないということもありますし、また、事後報告、一%という低い閾値の中で事後報告というのはどの程度やらなきゃいけないのか。いろいろやはり、実際投資行為を行うに当たって煩雑ではないかといういろいろ懸念がありますので、この詳細な部分についてはこれから政令告示で決められていくことになろうと思います。  日本市場を支えている外国投資家の過度な負担にならないように、法施行に向けて丁寧な説明是非ともお願いをしたいと思いますが、最後に大臣の御見解を伺いたいと思います。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今般のこの外為法改正につきましては、これはいろいろ御指摘になっておりますように、これは市場関係者方々に正しく理解していただくということが極めて重要なので、私どもとしても、この説明やら周知やらいろいろな話を取り組んでいるところですが、具体的には、外国金融機関とかその所属する団体に対して直接説明にということをやってきたほか、財務省のホームページ等々におきましても、これは法改正関連資料、これは日本語と英語と両方でやらせて公表させていただいているという取組を重点的に行わさせていただいているところでもあります。  余りこんなことを外国語でやったことなんかないんですけれども、きちんとこれは、外国投資が、先ほどの御指摘にありましたように、日本における株式の約七〇%近くが外国による投資という面も大きなところなので、そういったところで妙な誤解を生む、結果として投資規制されるような方向に日本が進んでいるのではないかというような御懸念もあるので、投資に対して、日本はそういったものに対して、全然安全保障等々に関してマーケットは全く統制が取れていなくてオープン過ぎて危ないという御意見というのはこれまた別のところからあるわけで、そういった意味で、EUが昨年、日本アメリカは今年、それぞれ法改正を行ってきておりますので、私どもとしてはこういった趣旨を十分に踏まえて今申し上げたようなことをやらせていただきますので、方向として決して間違ってはおりませんけれども、受け取られ方にいろんな方から誤解を生むというのを避けねばならぬというところで、丁寧に説明を続けてまいりたいと考えております。
  94. 杉久武

    ○杉久武君 是非とも丁寧な説明を尽くして法施行に向けて準備をしていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  95. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  96. 中西祐介

    委員長中西祐介君) ただいまから財政金融委員会を再開をいたします。  休憩前に引き続き、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  私からは、事前届出免除制度における手続、安全保障に関わる懸念、そして関連してコーポレートガバナンスについて質問させていただきます。  今回の外為法改正の中核の一つは対内直接投資規制であり、先進国と足並みをそろえて安全保障体制を構築するものと理解しております。そのため、御案内のとおり、今まで外国投資家に求めていた事前届出について、上場会社株式取得基準値を一〇%以上から一%以上に引き上げて、規制対象範囲を拡大されることになりました。  私は、政府の方針にもありますように、対内投資を充実させることに強く賛同しております。そして、投資の促進を充実させるやり方として、理想を言えば、事前規制については極力緩くし事後の取締りを厳しくすることで、多くの投資家にとって魅力的な市場と映り、多くの投資を呼び込めるのではないかと考えています。  しかしながら、現状、アメリカのCFIUSのような省庁をまたがる強力な組織を日本は有していないことから、事後の取締り強化は現実的には厳しく、安全保障上、現時点では本改正案のような規制も必要であろうと認識をしております。将来的には、投資促進を図るためにも、事後規制こそ強化するような抜本的な組織改革、方向性も視野に入れていただきたいと、まず冒頭に申し上げます。  さて、そこで、投資促進観点から事前届出免除制度における手続について幾つかお伺いさせていただきます。  今回、外為法改正においては、投資促進のため事前届出免除制度という負担軽減策が導入されています。海外からの投資を促進するのであれば、手続や仕組みの簡素化、効率化を図ることは必要不可欠です。そこで、この事前届出免除制度など外為法に係る規制に伴う手続を行うに当たって、外国人投資家向けにオンライン化がなされているか、また多言語対応がなされているか、現状についてお伺いをいたします。
  98. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  まず、オンライン化についてでございますけれども、事後報告につきましては、平成十七年一月以降、電子手続が可能となってございます。一方、届出についてでございますけれども、平成十七年七月に一度導入したわけでございますけれども、利用実績が低く、増加も見込まれなかったということから、オンラインでの事前届出につきましては平成二十五年末をもって廃止をしたところでございます。  それから、多言語化についてのお尋ねがございました。現在の制度では、外国人の方、居住者である代理人を通じて届出を提出するということになっておりまして、日本語以外での対応は行っていないというのが現状でございます。  多言語化につきましては、特に英語による届出につきましては、届出者の利便性の向上といったメリットがあるというふうに認識をしておりまして、一方、審査当局の側から見れば記載内容の確認に時間を要するというデメリットもあるかということで、今現在その検討をしているというところでございます。  以上でございます。
  99. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 現時点で、オンライン化は事後報告の手続のみ対応ということで、多言語化については、日本語のみということで、なされていないということでありました。外国からの投資促進を図る、負担軽減ということであれば、やはりこの手続におけるオンライン化、多言語化、これも一丁目一番地として取り組むべきではないかと考えます。  他の先進国を見れば、事前届出制度のないイギリスと我が国を除くG7全ての国、すなわちアメリカ、カナダ、イタリア、ドイツ、フランスでは事前手続についてオンライン化が対応済みということです。また、英語を母国語としない国を調べますと、フランスとドイツでは部分的に、イタリアでは手続の全てにおいて英語での提出も認められているということであります。  政府は、二〇一一年十二月十七・五兆円だった対日直接投資を二〇二〇年度には三十五兆円に倍増する目標を掲げています。その目標達成のためには、外国人投資家の利用しやすい手続にやはりもう一度変えていくことは必須と考えます。  今回の外為法改正を機に、また、まずは手続のオンライン化、多言語対応を図っていくべきと考えますが、麻生大臣見解をお伺いいたします。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 外国投資家方々に対します多言語化、多言語の定義も難しいところですけどね、エチオピア語なんて言われてもなかなかできる人おりませんし、多言語の定義も難しいところなんですけれども、まずは英語というところだとは思っているんですが、そういう、英語は国際語というようなわけでもありませんけれども、広く使われている言語という意味においては英語ということが一番身近なところかなとは思っておりますけれども。  いずれにしても、手続の利便性の向上という観点を踏まえて、この点については今後検討をさせていかないかぬだろうと思って、事実、我々の、財務省の出します、発信するものがかなり英語のものが増えてきているのが事実ですけれども、この問題は、向こうから質問をする方は楽なんですけれども、答える側の方の対応が一人だけで対応するわけではありませんので、その言葉ができるやつが何人も集まった上できちんと出していかないと公式文書としては大きな問題になりますので、そこの対応考えていかないかぬだろうと思っております。  電子化の件につきましては、先ほど、オカモトの方から答弁させていただいたとおりですけれども、前やっても全然利用者がなかったんですよね、全然とは言いませんけれども、まあ数%。何万件のうちぽっと一部という、なかった。結論、お金も掛かるしというのでもうやめたというのが経緯で、今やったらもっと増えるんじゃないかといって、またやってまた増えなかったら、ばかかということになりますので、これ、よくよく見ておかないかぬところだと思いますね、これは。  そういって、費用対効果の観点から、これは日本銀行ともいろいろ詰めにゃいかぬところだと思いますけれども、電子手続というものにつきましては、これは、流れとしてはその方向で行くだろうと思っているんですけれども、なかなか、今すぐと言われてもなかなかというところが今の現状だと理解をいただければと存じます。
  101. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 様々なハードルはあっても、前向きな御答弁であったというふうに受け止めさせていただきます。  オンライン化と多言語化、両方ができるようになれば、ワンストップで外国人の方も手続ができますので、相互、向上して増えていくのではないかという考えもできると思いますので、是非御検討をよろしくお願い申し上げます。  次に、安全保障に関する点について幾つか質問させていただきます。  事前届出の免除については、財務省が公表した資料によれば、外国運用会社には事前届出が免除されることとなっています。しかしながら、政府は、二〇〇八年、TCIというイギリスの投資ファンドがJパワー株を買い増すために外為法に基づいて行った届出に対して中止命令を出されています。このTCIというのは、先ほど申し上げた財務省資料に言う外国運用会社に当たることになると思うのですが、そうなると、今回の要件とそごが出てくるのではないかと危惧をしております。  そこで、まず、前回TCIについて中止命令を出された経緯を経産省にお伺いいたします。
  102. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  今御指摘のございましたザ・チルドレン・インベストメント・ファンド、いわゆるTCIでございますけれども、二〇〇八年の一月に、当時の電源開発株式会社株式を二〇%まで追加取得する旨の届出がございました。これに対して、公の秩序の維持を妨げるおそれがあるものと認められたため、同年四月にその中止勧告を行い、TCIがこれに応じなかったために、同年五月に中止命令を行ったところでございます。  これは、その背景といたしましては、当時、TCIは具体的な方法こそ示さなかったものの、ROE等の経営指標の改善、大幅な改善を要求しておりまして、これを実現した場合には、それが株主総会での議決事項であるか否かにかかわらず、発行会社の経営や送電線、原子力発電所を始めとする基幹設備に関する計画、運用、維持に影響を及ぼし、それを通じて、電力の安定供給や原子力、核燃料サイクルに関する我が国の政策に影響を与えるおそれがある、それを払拭できないということを財務大臣、経済産業大臣が認定をいたしまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがあるものとして中止命令を行ったものでございます。
  103. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 国の安全に関わることでありますから、適切に対応されたものと思います。  こうしたケースが過去にあったわけですから、外形的に外国運用会社であれば事前届出が免除されるという制度になりますと不安が残ります。事前届出免除の要件については、外国運用会社という外形的な基準だけではなく、運用実績や投資方針も要件として定める方が適切であると考えますが、財務省見解をお伺いいたします。
  104. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  外国証券会社等の金融機関につきまして、銘柄にかかわらず、事前届出免除を利用可能としておりますのは、外国金融機関がその業務として行う株式取得が、国の安全等に係る技術情報の窃取や事業活動譲渡廃止目的としておらず、類型的に国の安全等を損なうおそれがないと認められるとの考えに基づいているものでございます。  したがいまして、仮に外国金融機関がその投資先に対して、国の安全等観点から重要な事業存続影響を及ぼすといったような提案を行おうとするのであれば、これは外国金融機関がその業務として行っている取引ということの範疇、その前提が、類型的に国の安全を損なうおそれがないという前提が成り立たないということになりますので、それは株主総会決議事項か否かにかかわらず、類型的に国の安全等を損なうおそれがないと認めることができないので、当該金融機関による当該投資免除制度対象とならないというふうに考えております。  したがいまして、こうした国の安全等観点から重要な事業存続を脅かすような投資、これにつきましては、事後的な対応対象となり得ると考えておりまして、以前中止命令を行った案件とのそごは生じないというふうに考えてございます。
  105. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 是非、これは適切に御対応いただきたいというふうに思っております。  ちょっと時間がないので一問飛ばして、投資促進観点から、コーポレートガバナンスについてお伺いをいたしたいと思います。  私の問題意識を先に申し上げますと、海外投資家から見て、日本企業投資対効果が悪く、株主還元に積極的ではないと思われている側面があり、一方で内部留保が莫大に積み上がっています。その要因の一つが、日本独自の慣習である持ち合い株式であり、これを是正していく必要性を感じています。  先頃、持ち合い株式を含む政策保有株について、企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令が施行されました。これは、政策保有株の合理性を開示させ、長年日本投資活動の妨げとなっていたいわゆる持ち合い株を規制するものとして一定の評価ができると思います。  今回、この内閣府令が施行されて、実質的にいわゆる持ち合い株を減らす効果が表れたのかどうか、金融庁にお伺いをいたします。
  106. 中島淳一

    政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。  政策保有株式については、コーポレートガバナンス・コードにおいて、その縮減に関する方針、考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきとされており、議員御指摘のとおり、本年一月の内閣府令の改正により、より詳細な開示を求めることとし、本年三月期決算会社の有価証券報告書から適用されたところであります。  金融庁といたしましては、今回の改正に基づく政策保有株式の開示内容が、投資家企業との建設的な対話につながることが重要であると考えております。現在、投資家企業へのヒアリングなどの対応を進めているところであり、議員御質問の効果については、こうした取組を通じて見極めてまいりたいと考えております。
  107. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 ヒアリング中で調査中ということですが、現在、そもそも政策保有株の定義はどうなっているのか。例えば、持ち合い比率などで数量的に定義されているのかどうか、ここを確認で教えてください。
  108. 中島淳一

    政府参考人(中島淳一君) いわゆる政策保有株式の定義につきましては、企業内容等の開示に関する内閣府令において、数量的なものではなく、投資有価証券に該当する株式のうち、保有目的が純投資目的以外のもの、すなわち株式を保有する目的が株価の上昇や配当による利益を受ける以外のものとなっております。
  109. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 今、定義は幅広く取れる反面、これ、いわゆる曖昧で、数量的な基準はないということでありました。  私は、麻生大臣が以前から、そして今日も内部留保について問題意識を持たれているということに大変共感をしております。内部留保の額は過去最大を更新し続けて、二〇一八年度には四百六十三兆円に達したということであります。このうち、半分が現預金。こうした状況の原因の一つが、日本独自の慣習である株式持ち合いを含む政策保有株ではないかと、そして持ち合い株主の議決権行使、こうしたものは禁止した方がいいんじゃないかと、こうした施策を提案されている有識者の方もいらっしゃいます。  少なくとも、政策保有株については数量的な定義をするなど、政策保有株を縮減するよう、更なる実効性がある施策というのを今からもう検討すべきと考えますが、麻生大臣の御見解を最後にお伺いいたします。
  110. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは音喜多先生、いわゆる政策保有株式かどうかというのは、これは保有割合等々のいわゆる一般的な数値ではなかなか難しいので、保有の目的等々によって判断されるという部分が大きいんだと考えるので、一律に定量的に、定義というのかな、定義や基準等設けることはなかなか困難だなと思っているんですが。もっとも、金融商品取引法とかコーポレートガバナンス等々のコードで保有株式の開示の充実を今求めるようになりましたので、政策保有株式については投資家企業家の間でしっかりと対話が行われるということにならぬといかぬのだと思っているのですが。  いずれにしても、その意味について、内部留保の話を触れられましたけど、確かに今四百四十六、そのうちの半分、二百四十兆ぐらいが現預金ですかな、五〇%現金で金利が付かないから持っているなんというのはおよそ意味がないんだと私は前からそう申し上げてきているんですけれども、少なくともこれまで二十五、六兆だったものがおととし四十兆まで増えて、わんわん言って十八兆まで下がってというところまで来ていますけれども、それでも十八兆ですよ。ですから、そういった意味で、ある程度手元資金の活用というので、財務官僚、きちんとやらないかぬということを促していきたいなと思っているんですけれども。  いずれにしても、手元流動性が極めて高いものになってきていることは確かなので、企業の成長、企業としての成長に向けた投資の拡大、設備投資とかいろんなもの、また従業員の給与とか賃金等々含めまして、いろんなものを含めまして、やっぱり投資家としてきちんとしたものをということを、株主として、投資家として、企業との間のいわゆるコミュニケーションというかコーポレートガバナンスというか、いろんな表現あるんでしょうけど、そういったものの対話が建設的に行われるようなことをしないと、ただただ自己株消却だけに回ってみたり、何でしょうね、配当金だけに回ってみたりするのではちょっといかがなものかという感じがしますので、これが設備投資等々に回って、日本の経済が更に前向きに回っていくということに期待したいと思っております。
  111. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 終わります。
  112. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  本法案は、既に質疑がありましたように、基本的に必要な制度改正でありまして、賛成でございます。ただ、米中貿易戦争が激化する下で、今回のこの改正の背景あるいは関連事項あるいは今後の方向については、経済界やエコノミストの皆さんから懸念の声が上がっているのも事実でございます。  その点中心に今日は質問したいと思いますが、資料をお配りしていただいていますけれども、今回の改正の背景に、欧米、特にアメリカにおける規制強化の動きがあるわけでございますが、その点で、先ほど申し上げた経済界が何を懸念しているのかということを分かりやすく解説したリポートがございましたので、配付をさせていただきました。  これはニッセイ基礎研究所のリポートでございますが、「「機微技術」をめぐる米中攻防戦」と。機微技術というのは、もうあったとおり、武器あるいは軍用に転用できる可能性のある技術ということでございますけれども、このレポート、要するに何を言っているかといいますと、後で触れますが、アメリカで昨年の法改正がございまして、要するに、米中の覇権争いが激化していくと。中国を念頭に最先端技術流出を防ぐ措置アメリカでは強化されてきたと。その中で、日本もこの米中のハイテク覇権争いのあおりを受けるんじゃないかということ、あるいは安全保障か経済かという難しい選択を迫られるんではないか、もっと具体的に言えば、アメリカとの軍事同盟と拡大する中国との経済取引とどちらを優先するかとか、難しい判断を迫られていくのではないかと、そういう筋の懸念が全体として示されているリポートでございます。  具体的には、資料一のこの真ん中の辺りの下線を引いたところなんですけれども、経済界が懸念するのはこの点だと思うんですが、まだ本格的な実用化とか製品化に時間が掛かる、まだこれから先だと、製品化はと、そういう先端技術にも管理対象が拡大されて、従来の安全保障上の理由とか軍事転用の懸念ということで対象としていたものの解釈が拡大されるのではないか、そのことがそういう軍事転用とか安全保障上の問題がほとんどないものにまで規制が強化されていくのではないかと。  例えば、このリポートにも出ていますけど、日本と中国企業が合弁会社をつくってアメリカに少額の出資しようとすると、そのことに対してアメリカから厳重な審査を受けるということ、あるいはストップを掛けられるというようなことがあるのではないかということ。また、アメリカ企業日本企業アメリカ国内で共同研究をして、その研究成果を国外に持ち出すと、その研究成果を用いた製品を中国に輸出した場合、アメリカ政府の許可が必要になるのではないか。要するに、様々に自由な経済活動を阻害していくのではないかという懸念が示されているわけでございます。  さらに、このリポートの結びになっているのは、要するに、日本は、アメリカ、中国という二つの経済大国と相互には密接な関係にあるわけなんですけれども、安全保障ではアメリカとの関係が強い、しかし、経済は中国との取引がどんどん大きくなっていると。そのときに、アメリカから始まっております規制強化の流れ、つまりアメリカに踏み絵を踏まされるようなことにならないかというようなことのリポートでございます。  今の経済界、エコノミストの大体懸念がこのリポートが簡潔にまとめてくれているかと思って御紹介したわけですけれども、財務省の参考人で結構ですけれども、今回の外為法改正の背景にある、こういうアメリカの動きも含めて、こういう懸念について一応把握されているかどうか、いかがでしょうか。
  113. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  米国の動きということでの認識を申し上げますが、米国のFIRRMA、外国投資リスク審査現代化法につきましては、主な特徴としては、従来事後介入のみに限定されていたところを、事前届出審査制度を新たに導入しているという点、あと機微技術を有する米国企業投資する場合には株式取得割合に関して閾値なく審査をする、それから海外当局との間で審査に必要な情報交換を行うための規定を申請する、こういった動きがございますので、そういったものが国際的な潮流の中で認識しているということでございます。
  114. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうじゃなくて、それは後で法案のときに聞くんですけれど、こういう懸念があるということを把握されていますかということを聞いているんですけど。
  115. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) 大変失礼申し上げました。  こうした懸念がある、そういう懸念の御意見があるということは認識をいたしております。
  116. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日のニュースでもやっていましたけれど、昼のニュースでも、アメリカ議会が香港の人権・民主主義法案ですかね、可決したということがあって、また米中衝突というような流れが強まっているということが、そういう政治的な背景がこういう外為法にも影響してきているという流れだというふうに思います。  ちなみに、我が党も、今の中国のやり方については厳しく抗議の意見を直接中国政府に伝えているところでございまして、さきのこの参議院の十四日の外交防衛委員会では、自民党の佐藤正久議員が共産党の対応は立派だというふうに紹介をしていただいて、政府もちゃんと香港の問題では抗議を出せと、自民党部会でもやろうとしているというふうなことも取り上げてもらいましたけれども。  ただ、私たちは、中国の今のやり方は大変厳しく見ておりますし、堂々と物を言っているわけなんですけれども、現実的に中国との経済取引抜きに今の日本経済は成り立たないというところもございますので、はっきりおかしいところははっきり言うということと同時に、民間同士の経済関係は大事にすべきだというふうに思いますし、発展させるべきだと思います。  一方、アメリカのトランプさんも、これはまたわがまま、勝手な大統領でございまして、その軍事強化戦略ですかね、軍事戦略ですね、軍事戦略を強化していくというふうなことに、強硬路線に日本がただ従うとか引っ張られる必要はないというふうに思います。そういう立場で、ちょっと以下、具体的に質問したいと思うんですけど。  今回の改正の背景は、このレポートにもありますとおり、アメリカで昨年成立した外国投資リスク審査近代化法と、長いんですよね。FIRRMA、ですから、先ほどからファーマという呼び方でやられているものですけど、それともう一つは輸出管理改革法、この二つ、去年アメリカで成立二つした、この二つの法律がいろいろ背景になって影響しているわけなんですけれども。  まず、外国投資リスク審査近代化法、FIRRMAについて、先ほどちらっと説明しようとされましたが、概要を改めてちょっと説明してくれますか。
  117. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  米国のFIRRMAにつきまして、概要三点、御答弁させていただきます。  一点目は、従来、事後介入のみに限定されていた規制手法につきまして、事前届出、それから審査制度を新たに導入するという点が一点でございます。それから、二点目といたしまして、機微技術を有する米国企業投資する場合には、株式取得割合に関する閾値なく、つまり下限がなく審査をするという制度でございます。それから、三点目が、海外当局との間で審査に必要な情報交換を行うための規定を申請するといった、その三点が主な特徴となっている法律でございます。
  118. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう少しリアルに読み込みますと、このFIRRMAの特徴は、更にはっきり言えば、中国という特定の国をターゲットにしているということと、おっしゃいました規制対象とする重要技術について言えば、中国に対する米国の技術的優位性を維持又は強化するための技術という概念を新たに加えるということと、先端技術及び基盤的技術を新たに加えるというふうに対象を拡大したんですね。先端技術については、AI、人工知能、ロボティクスなど十四分野ということですね。もう一つは、同盟国、パートナー国との情報共有、行動の調和を図るということになっております。  あっ、もう一つ、そうですね、さっきもう一つ申し上げた輸出管理改革法についても簡単に説明してくれますか。
  119. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答え申し上げます。  輸出管理改革法につきましては、従来ございました法律が失効している中で様々な大統領令をベースに輸出規制を行っていたところを、今回、輸出管理改革法という米国の法律を新たに制定いたしまして、これに基づいて、従来の他法に基づく輸出管理ではなくて、このまさに武器あるいは軍事転用可能な技術あるいは貨物などについて、米国の安全保障それから外交政策の観点から輸出規制を行うということを決めた法律であるというふうに認識しております。
  120. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  つまり、FIRRMAと今紹介してもらった輸出管理改革法を併せて、投資と通商の両面において、特に中国を念頭に、安全保障上問題となる、これがちょっと広く拡大解釈等あるんですけれど、その技術流出を防止しようというものでございます。  実は、このFIRRMAなどの成立の背景になったものがあるんですけれど、それがアメリカの戦略の転換と言われております二〇一七年十二月のアメリカの国家安全保障戦略二〇一七というやつですね。この報告書ではどういうふうに認識を示しているかというと、国際社会が、アメリカと中国ですね、大国間競争、まあロシアもちょっと入れているかも分かりませんが、いずれにせよ、大国間競争に回帰しているという認識を示して、特に中国に対しては、従来はアメリカが中国に対しては対話と協調を基盤とした関与、関係する関与を重視する戦略だったけれども、今後は戦略的競争者として軍事的、経済的に対抗していくという方向を打ち出したのが二〇一七年十二月の国家安全保障戦略二〇一七でございました。全てはここから始まっていると。これが今回の外為法にもつながってきているということなんですね。  ですから、このFIRRMAについては、安全保障戦略に基づいておりますので、アメリカの有識者、アメリカのエコノミスト、経済界からも懸念と批判の声が上がっております。アメリカ国内では、このFIRRMAを運用する対米外国投資委員会というのがあるんですけれども、そこが権限強化されるわけですね。それについては、本来、対米外国投資委員会というのは安全保障上の懸念への対応をするところだったのに、この対象を拡大するものですから、自由な経済活動、イノベーションの停滞につながるんじゃないかということが、アメリカの経済界からも、この流れ、この方向については懸念が出されているわけでございます。  二枚目の資料に、全体像、一体どうなっているのかということで示させていただきまして、国際輸出管理レジームですね。まず経産省に説明していただいた方がいいかと思いますが、国際輸出管理レジームとは何なのか、簡潔にちょっと説明してください。
  121. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  今御指摘のございました国際輸出管理レジームでございますが、これは、大量破壊兵器等の拡散、あるいは通常兵器の地域における過剰な蓄積を防止するということを目的とした国際的な輸出管理の枠組みでございまして、現在、四つの輸出管理レジームがございます。一つは原子力供給国グループ、一つは生物・化学兵器関連の対応をしておりますオーストラリア・グループ、そしてそれらの運搬手段であるミサイル等を管理するミサイル技術管理レジーム、そして通常兵器関連のワッセナー・アレンジメント、この四つが今活動をしているところでございます。
  122. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  この国際的な取組の枠組みの下に日本対応があるわけなんですけれども、それが下段の方にあります安全保障貿易管理制度の全体像ということでございます。この中で、外為法規制対象とするのが、先ほどから申し上げております機微技術ですね。武器あるいは軍用に転用される可能性のある技術ですよね。  外為法の中ではこの機微技術はどのように規制されることになっているか、この図に基づいてで結構ですから、簡潔に説明してください。
  123. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  機微技術につきましては、配付いただいております資料にございますように、まず、外為法におきまして、通常兵器や大量破壊兵器及びそれらの開発等に使用される可能性のある貨物の設計、製造又は使用に係る技術を提供することを目的とする取引というものを規制をしております。これは国を限ったものではございませんで、全地域向けの規制ということで、経済産業大臣の許可に係らしめております。  その上で、こちらに政令とございますように、技術については外国為替令、貨物については輸出貿易管理令におきまして具体的な対象となる貨物など規制内容を定めまして、手続の詳細あるいは貨物の詳細な技術的なスペックにつきましては省令で規定しているところでございます。
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  そういう今規制管理の全体像になっている、それが今後どうなるのかということがみんな懸念をしている、特に懸念をしているところなんですけれども。簡単に言いますと、アメリカのそのいろんな制度改正を受けて、まさにこの機微技術の概念、機微技術範囲、これをどう変更するかがポイントになっておりまして、その点では、次の資料に、ちょっと細かい字で申し訳ありませんが、示した、産業構造審議会の中間報告というのがございます。これは十月八日に出まして、個々に、これが今後の方向を決める重要なものではないかということで配付をさせていただきました。  要するに、ちょっと膨大なあれなので全部を紹介できませんが、要するに何を言っているかといいますと、赤のラインを引かせてもらったところなんですけど、認識なんですけど、米中対立は、先ほど申し上げました、二〇一七年十二月のアメリカの国家安全保障戦略が示すとおり、まさにトランプさんの示すとおりと、単なる通商摩擦や経済力競争を超えて、グレート・パワー・コンペティションの下で覇権争いの様相を呈していると。何というか、もうトランプと同じ認識ですよね、を産構審が示して、その上で日本が進む方向として、安全保障と一体となった経済政策、まあ軍事と一緒になった経済政策ですね、そんなことまで言っているわけであります。価値観、理念を共有する有志の国との連携、もうこれアメリカと連携、アメリカに従ってということですよね。その上で我が国の経済的優位性どうするかというようなことが問われているということで、まさにアメリカが打ち出した方向に沿ってどうやっていくかということを言っているわけですね。  具体的には、アメリカが、先ほど申し上げました昨年の制度改正規制対象とした技術範囲、これは先ほど申し上げましたけど、対象を広げていくと。今まで該当しない技術まで管理対象としていったとか、具体的にはエマージング、つまり先端技術、基盤技術が新たに輸出管理対象追加されたということを認識をして、そして日本がどうするかという点でいきますと、ちょっと分かりにくい表現がありますけれど、要するにアメリカに同調する方向で対象考えるべきではないかと、見直すべきではないかというような提言をしているということであります。  ただ、この機微技術の概念の変更というのは、そう簡単に行ってもらうと通常の経済活動を阻害するわけでありまして、輸出とか、もちろん投資もそうなんですけど、いろんな技術管理の方針に何か転換をもたらしてしまうというようなものにもなりかねないわけでありますし、これ企業だけじゃなくて大学とか研究所、研究機関の技術管理規制にもつながるということで、大変大きな問題になるかと思うんですよね。  今の段階で結論が出ていないと思いますけれど、この機微技術、軍事関係に関する技術範囲を、この中間報告が求めるようにアメリカに同調して拡大していくというような方向で、日本もそういう方向で考えておられるのかどうか、現段階での経産省の考え方を聞きたいと思います。
  125. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  ただいま御指摘のありました産業構造審議会安全保障貿易管理委員会における議論でございますが、ここでは技術優位性の毀損あるいは技術の脆弱性の存在が安全保障上の懸念となり得るという考え方が、アメリカはもちろんでございますけれども、欧州を含めて国際的に広がる中で、その技術は必ずしも武器あるいは軍事転用可能な技術にとどまるものではないのではないかという認識の下で、小委員会の議論を経て、機微技術につきまして定義をして議論を進めたものでございます。したがいまして、中間報告での提言も、今私どもが担当しております外為法に基づく安全保障貿易管理にとどまらない広範な提言をいただいているところでございます。  安全保障貿易管理そのものにつきましても、その在り方についてこの中間報告の中で様々な論点を提示されておりまして、今御指摘のありました規制対象とする技術範囲も含めまして今後検討を行うことが必要であるというふうに考えております。したがって、この時点におきまして、安全保障貿易管理規制対象となります技術範囲について拡大するということを決定したものではございません。
  126. 大門実紀史

    大門実紀史君 今の現状ではそういうことだと思います。  今後、先ほどの国際輸出管理レジームの場でもこの機微技術をめぐる議論が行われて、アメリカは様々な提案をしてくることが予想されます。機微技術の概念の拡大というのは、もう先ほどから申し上げているように、大変軍事的というか政治的な配慮が優先されて、自由な経済活動、研究活動への阻害要因になるおそれがあるわけであります。同時に、この中間報告、膨大なもので全部紹介できませんけれど、この中には、アメリカのこの間の対中国戦略の方針の転換に沿って、中国に対して軍事と一体的に経済的優位を確保するため、軍事と一体的に経済的優位を確保するため同盟国で連携しようという方向が示されております。  経産省に聞きますけれど、通常、輸出管理機微技術管理、これ重要ですよね。ただ、それが本来の目的から離れて軍事技術競争、軍事競争につながっていくということは本来あっては、逆にあってはならないんじゃないかと思うんですけれど、経産省の認識はいかがですか。
  127. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  この報告の中におきまして、今後の研究開発の方向について、オープンイノベーションというような考え方の下で、様々な国際共同研究を進めていくという上で機微技術管理の重要性について指摘をいただいたものというふうに認識をしております。  先ほど来御議論ございますように、最近の技術の発展によりまして軍事と民生を分けるのが非常に難しい中で、その中にあっても軍事転用をされることがないように技術管理していこうというのが基本の方針でございまして、国際共同研究が、例えばそのものが直ちに軍事そのものだというような御指摘は当たらないのではないかというふうに思いますし、我々、外為法におきましては、機微技術あるいは軍事転用可能な技術流出防止のためにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  128. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、一点確認しますけど、中間報告の中に、機微技術に関する国際共同研究を促進しというのがあるわけなんですけれども、国際共同研究のパートナーとしてやっていく必要性が強調されているわけなんですが、この中間報告にあります機微技術に関する国際共同研究の中には、例の防衛装備移転三原則に基づく国際共同研究も含まれるんでしょうか。
  129. 飯田陽一

    政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。  外為法における輸出管理について、機微技術ということについて、そういう形として定義があるわけではございませんが、そこで規制対象としておりますのは、先ほども申し上げましたように、大量破壊兵器あるいは通常兵器といった武器そのものも規制対象にしているわけでございます。そういう事宜からいえば、機微技術に関する国際共同研究の中には、防衛装備移転三原則に言う武器技術も含まれ得るとは思いますけれども、それが直ちにそれを目的とした国際共同研究を推進するということではございません。
  130. 大門実紀史

    大門実紀史君 今の段階ではそういうことだと思います。  その方向での懸念があるからいろんな方々がこうやって発信をされているということでございまして、我が党は、武器輸出三原則を転換して、転換して強行された、例の今申し上げた防衛装備移転三原則に反対をしてきた立場でございますので、そこは厳格にしていただきたいなというふうに思うところでございます。  最後に、麻生大臣にお聞きしたいんですけれど、要するに、やっぱり経済というのは大事で、人々の暮らしのあれですから、しかし、もちろん安全保障のことも大事だと思いますが、何かちょっと特定の、アメリカのトランプさんみたいな、いつどうなるか分からないような人の、そういうちょっと特異な戦略に翻弄されて経済活動が阻害されるというふうなことはあってはならないというふうに思うわけでございまして、今回の外為法運用考えていく上でも、本当に日本経済が発展するように、企業活動が阻害されないように考えていっていただきたいと思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 頂戴しましたこの資料の中で、いろいろな、矢嶋先生ですかな、中村先生と両方の話で載っかっているんですけれども、なかなか、ここのところのセンテンスなんかなかなかよくできていますよね、これ、どういう人か全然知りませんけど。チーフエコノミストとしてこれ登場して書いてありますので、今読ませていただいたんですけれども。  いずれにしても、今回の外為法改正というものは、これは健全な日本に対する対内直接投資というものを一層促進するという一方で、国の安全というものを損なうおそれがあるような投資に関しては、これは我々としては適切な対応をするという観点から我々としてはやらせていただいているんであって、一定の国の戦略に従って行うものではないということははっきりしております。  こういった対応を行うに当たりましては、この日本の経済活動に悪影響を与えるようなことがないようにしておかないかぬという御懸念はこれ大事なところなんでして、今回の法改正においても、G7の諸国にはない事前届出免除制度というのを導入させていただいておりますけれども、日本の経済の健全な発展という点を考えて、こういった対内直接投資がよりしやすいように一層の促進を図っていくという点も併せて検討をさせていただいております。
  132. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。     ─────────────
  133. 中西祐介

    委員長中西祐介君) この際、委員の異動について御報告をいたします。  本日、森まさこ君が委員を辞任され、その補欠として朝日健太郎君が選任をされました。     ─────────────
  134. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 渡辺喜美であります。  今朝、新聞を見まして、自民党サイドから真水で十兆円という話が出てきたようでございます。一晩にして事業規模十兆円から真水で十兆円という大転換であります。問題は、こういうものが将来増税によって賄うんだというメッセージが出てしまうと、国民のお財布のひもはきついままということになりますよ。  どうも、報道ベースの話で恐縮ですが、財投債の、まあイコール国債でありますけれども、超長期の国債を発行して財投資金としてこういうものをつくろうというお考えのようでございますが、私は、かねて申し上げているように、マイナスに沈んでいる十年以下の、八年とか十年とかですね、そういう国債を組み合わせて資金調達をしたらどうかということを申し上げているわけでありますが、真水で十兆円、いかがでございますか、大臣
  135. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 新聞に書いてあったということは知っております。
  136. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 報道ベースでは、こうした大型補正をやって来年の一月冒頭解散、あるいは補正予算を掲げて、それを通した上で衆議院を解散するということのようでございますが、副総理、何か聞いておられますか。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 自民党を離れられて大分長くなっておられますので、雰囲気がよくお分かりいただけないのかと存じますが、自由民主党の中でその種の話というのはもういつでもありますので、それ一々聞いていたらとてもじゃありませんので、私どもは解散権というものに関しましては総理というところになっておるんだと理解しております。
  138. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 せっかく金利がマイナスに沈んでいると。この前も申し上げましたように、百円のものが百二円、百三円で売れちゃうわけですよ。償還するときは百円償還すればいいわけでして、二円なり三円なりが国の懐に入る。  だったら、財投資金というのは地方にも恩恵を及ぼしてあげたらいかがでしょうか。たしか、地方に対する貸付けが二・九兆ぐらい今年度予算でありますよね。財投ですから、これ弾力条項というのがあって、大臣が決断すれば一・五倍に増やせちゃうわけでしょう。そういうのを使って、地方にマイナス金利でお金流してあげたらいかがでしょうか。
  139. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 最近は、西田先生御推薦のモダン、MMF等々、いろいろ何となく私の理解を超えた話がよく飛び交っておりますけれども。  この種の財投融資資金というのは、いわゆる財投債というものや、国の特別会計から受け入れる預託金による有償の資金ですから、これ御存じのように、何とか資金法でしたね、これ財政投融資資金法の第一条において、確実かつ有利な運用となる融資を行うとしていると、これは、これは有利子での貸付けを行っておるというのは御存じのとおりです。  したがいまして、今マイナス金利になっておるんだから、貸付けを行っているということになりますと、民間の金融機関マイナス金利で融資しているという話を知りませんから、少なくともこれは著しく民間の資金を圧迫しますというか、それはどういう影響が出てくるだろうかといろんなことを考えないけませんと思いますので、安易なことを考えているわけではございません。
  140. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 預託制度というのは、今、財投改革を二十年くらい前にやりまして、自動的に年金とか郵貯が資金運用部という懐に流れ込んで、それが特殊法人に出ていくという制度は、今、入口、中間、出口が切り離されているわけですね。ですから、今は財投債というのはイコール国債ですよ。入口の郵貯も年金も自主運用というのが始まって久しいわけであります。  したがって、財投資金というのは昔から利ざやは取らないんだという答弁を繰り返し繰り返ししてきているわけじゃないですか。利ざや取らないのに、何で利ざや取って地方には貸付けするんですか。
  141. 可部哲生

    政府参考人(可部哲生君) 今大臣からお答えがございましたように、一般論として申し上げまして、民間金融機関マイナス金利による貸付けを行っていない中で、財政投融資の貸付金利をマイナスに設定するということですと、民業圧迫の懸念があるのではないかという点がございますことに加えまして、今利ざやをなぜ取るのかというお尋ねがございましたので、その点についてお答えをいたしますと、財投債以外に財政投融資の貸付原資といたしましては、特別会計等から受け入れる預託金というのもございます。この預託金につきましては、財政融資資金法施行令第一条におきまして〇・〇〇一%以上の金利が求められておりますので、そうした金利で調達をしている資金を併せて運用している財政投融資にとりまして、貸付金利をマイナスに設定いたしますと、その分逆ざやが財投特会の財務影響するという点がございます。  なお、財投特会におきましては、将来の金利変動リスクに備えて、利益を金利変動準備金として積み立てている状況にございまして、今御指摘のようなマイナス金利で発行した財投債の償還差益もこの積立てに回すことによって財務の健全性の確保に努めているということでございます。
  142. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 とにかく国だけがマイナス金利の恩恵で一円なり二円なり三円なりを発行するたびに懐に入れると。それで、その恩恵は地方には及ぼさないということを今宣言しているようなもので、自民党の皆さんは怒らないと駄目ですよ、こういうやり方はね。地方の皆さんも、国だけ何でマイナスの恩恵受けているんだと、我々にもマイナスの恩恵を受けさせてくれということを地方の首長さんや議員さんや地方の公務員の皆さんは声を上げるべきですよ。  この前の積み残しの話でありますが、公共事業評価の割引率が四%だと。十五、六年前の数字でありますが、最近の国債実質利回りで計算すると、この割引率はどれくらいになりますか。
  143. 東川直正

    政府参考人(東川直正君) お答え申し上げます。  国土交通省において、公共事業評価に関する国土交通省の統一的な取扱いを定めました公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針というものを平成十六年に策定しておりまして、社会的割引率につきましては、十年物の国債の実質利回りなどを参考に、全事業統一的に四%と設定しております。  その当時の議論において参考とした十年物の国債の実質利回りでございますけれども、平成五年から平成十四年までの十年間の平均値三・一〇%、また、昭和五十八年から平成十四年までの二十年間の平均値三・五二%などとなっております。現在の利回りを用いて最近の十年間、二十年間の数値を同じように試算いたしましたところ、平成二十年から平成二十九年度までの十年間の平均値〇・八七%、平成十年から平成二十九年までの二十年間の平均値一・八三%となっているところでございます。
  144. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 だったら、そういう簡単な計算で出るんだったら、この割引率変えたらいかがですか。
  145. 東川直正

    政府参考人(東川直正君) 議員御指摘のとおり、社会的割引率と実勢金利の間に乖離があるということは事実でございまして、社会的割引率を適宜見直すべきとの御意見もいただいているところ、考え方もあるというふうに承知しておりますけれども、公共事業事業期間、また、その社会資本の利用期間が非常に長いことを踏まえますと、変化の激しい金利の動向のみをもって社会的割引率を見直すのが適切なのかということにつきましては十分な検討が必要と考えております。  また、十六年に技術指針を策定した際の我々の設置しております有識者委員会の中での議論でございますけれども、理論的には、資本機会費用により設定する方法と社会的時間選好から算出する方法というものが議論されました。実務的に社会的時間選好から社会的割引率を算出することが困難であったため、課題はあるものの、資本機会費用により設定する考え方に基づきまして、国債の実質利回りなどを参考として四%を設定したところでございます。  いずれにいたしましても、様々な御意見のある中、社会的割引率の考え方を含む事業評価手法の在り方につきましては、国土交通省で設置いたしています学識経験者などで構成されている公共事業評価手法研究委員会などにおきまして、今後も引き続き議論してまいりたいと考えております。
  146. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 平成十四、五年当時、たしか私、国土交通部会長というのをやっていた記憶があるんですよ。その頃議論した数字がいまだに使われていると。この十五年間で何が起きたかというと、大震災が起きて、台風、大雨、もう明らかに日本の災害の環境が変わってきているんですね。だから、国土強靱化と言っているんでしょう。だったら、MMTも結構ですけど、この割引率変えさせるのが一番手っ取り早いですよ、国土強靱化やるんだったらね。自民党の皆さん、真剣に考えられたらいいですよ。  もう一つ、マイナス金利で使えそうなアイデア申し上げます。  例えば、今、この間の台風十五号ですか、シン・ゴジラ来襲みたいな形で、千葉県の送配電網がずたずたになりましたね。今、電力各社の送配電網、簿価ベースで恐らく十二・何兆円ぐらいじゃないでしょうかね。こういうものは、ヨーロッパのどこかでやったように、一度国有化をしてしまうんですね、国が引き取っちゃうと。その上で、マイナス金利活用でスマートグリッド投資、分散型のシステムをもう徹底して投資をしていく、それをまた分割、売却、あるいは再上場をすればちゃんと元も取れますよ。電力自由化が徹底して進んでいくんですね。  私に言わせれば、今の電力システムって昭和十五年頃できた仕組みですよ、麻生大臣がお生まれになった頃。当時は四百ぐらい電力会社があった。自由競争の世界だったんですね。それが、とにかく統制経済にするんだというので、地域独占の九電力体制、中央司令塔型の電力システムというのがつくられたわけであります。  ですから、これは逆転の発想で、原発は多分簿価ベースで三兆円もしませんよ。二・何兆円ですよ。原発ははっきり言ってこれはもうもうからない。民間がやるべき話ではないんです、原発というのはね。こういうものも国が引き取るんです、両方合わせて、送配電網と原発とね。で、日米原子力協定でもってプルトニウムの保有認められているのが今の日本でありますから、民間にもうからない原発を延々とやらせ続けるというのはもう間違っていますよ。  ですから、こういうことは合わせ技でやったらいかがですか。原発の方は質問通告していませんので、送配電網の方、いかがですか。
  147. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  電気事業法を始めといたします電気事業に係る現行制度におきましては、行政の肥大化を回避するとともに、能率的かつ効率的な事業運営を確保するという観点から、国を直接の事業主体にすることは想定しておりませず、電気事業法の規制に基づく国の監督の下で電気事業の運営自体は民間企業に担っていただく仕組みとなっているところでございます。かかる制度の下で、我が国電力会社の送配電事業は、株式会社である民間企業としてのガバナンスの下で運営されてきておりまして、電気事業法に基づく規制の下で停電への対応を含めた電力の安定供給等の責任を果たしてきているところでございます。  このような中で、御指摘あったような、民間、これは株式会社でございますが、所有する総資産の、今御指摘いただいたように、約十三兆円が送配電部門の簿価ベースの額になるわけでございますが、仮にこれを第三者に売却するようなことがあったとしても、簿価で売るかというと必ずしもそういうことではないというように考えますし、また、系統運用、制御や設備形成といった送配電事業に係る技術的、専門的知見を有する者を、これを継続的かつ効率的に国自身が確保して自ら運営していくといったようなことについては様々な課題があり、御指摘のような国有化というのは困難であるというふうに考えてございますが、一方で、御指摘いただきましたような電力グリッドのスマート化を進めていくようなことは極めて重要な課題だと認識してございます。  御指摘いただいたように、累次、電力システムの改革を進めてきておりまして、電気事業法の改正を通じた全面自由化といったような改革を進めておりますけれども、AI、IoTを使った新たな技術を使ったネットワークの高度化、次世代化を促進していくといったようなことは進めてまいりたいと考えてございまして、現在、審議会で具体的措置、検討を、議論をしているところでございますので、その議論も踏まえ、適切な制度措置も含めた政策対応を進めてまいりたいと考えてございます。
  148. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 スマートグリッド投資とかマイクログリッド投資とか、経済産業省の話聞きますとちょっとしょぼいんですよ、中身がね。それで、あえてこういう大風呂敷を申し上げているんです。この台風、大雨の被害で懲りているはずなんですよ。だったら、もうこういう金利環境の下で少し本腰入れてやってみたらどうなんですかということを申し上げているんです。  電力自由化、小売の自由化が始まって久しいけれども、相変わらず、託送料はどれくらい取っているんです、三〇%ぐらい取っているんじゃないんですか。結局、小売自由化といったって何にも消費者に恩恵が来ていない。スマートメーターは、もうあと一年、二年でほとんど一〇〇%普及しちゃうわけでしょう。だったら、もっと電力自由化を進められるような、そういう仕組みをつくったらいかがなんですか。どうですか。
  149. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、更に大胆な電力システムの改革を進めてまいりたいというふうに考えてございます。  今御指摘いただきましたスマートメーターにつきましては、二〇二〇年代の前半には全戸に導入を完了する予定でございます。さらには、ここで集まる情報を使って更なるビジネスモデルが実現できるような、そういった新たなライセンスの導入の検討なども今進めているところでございますけれども、今いただいたような御指摘も踏まえまして、さらにこの改革の果実が国民、消費者に還元されるような、そういった改革をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。
  150. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 とにかく、ちまちましたびほう策でやっていても、残念ながら、日本が輝ける成長国家に戻るというのは難しいんですよ。だから、これはもう大胆な発想の転換、これがもう絶対に必要になります。日本は成長しない国だなどという敗北主義に陥ってはいけないと私は考えております。  アメリカで香港人権法が成立いたしました。トランプ大統領がこれに署名するのかどうか分かりません。香港経済、ハンセン指数もかなり下がっておりますし、かなりの減速ですね。昨日も、おとといも申し上げたように、中国経済はもう六%を切ってきている状況。中国は、繰り返し申し上げますけれども、債務問題が爆発したときには大変なことになります。  大臣、中国経済についてどういう御所見お持ちでしょうか。
  151. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 財務大臣の立場をもって他国の財務内容を批判するというのを国会なんかでやっていたら危なくてしようがないので、うかつにその話に乗れるわけにはいかないんですけれども、別の場でしてもらいたいですね、本当に聞かれたいんだったら。  その上で申し上げますけれども、六%って本当ですかね。本当に六%も行っていますかねという点も考えないかぬところだと思いますよ、これ。この国の発表する話は、表でいう数字と実質の数字はかなり差があるだろうと、これはもう世界中の合意ですから。ですから、五%どころかもっと低いということを思っておいた上で、この種の話をせないかぬところなんだと思いますが。  少なくとも、地方銀行に対して人民銀行ではなくて中国財務局が、省でいって六省、七省ぐらいのところに直接資本の補助を出した。日本がやったのと同じことを、日本の銀行が具合悪かった九七年、八年でやったときと同じようなことを今、中国で今年になってから始めておりますから、かなり表に出ている数字より更に悪い数字だということを頭に入れておかないといかぬのだろうと思って、私どもはそう思って、慎重にこの国の発言等々をよく見ておかないかぬところだと思っております。
  152. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 大臣指摘のように、統計がいいかげんなので、恐らくマイナスになっている可能性が高いと私も思います。そうなると、なおさら、日本がかつて一九九七年に消費税上げた年に経験したように、これはとんでもないところに火が付いていく可能性があります。  今日の本題の外為法改正でありますが、では、いきなり聞きますけれども、中国のソブリンファンド、CICは、それなりの投資日本に対してしておりますけれども、CICの扱いはどうなさいますか。
  153. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  CICを含みますソブリン・ウエルス・ファンドは、投資家の属性として、今回導入いたします免除制度対象外となります国有企業等に分類されまして、原則として事前届出免除制度は利用できないということとしております。ただ、ソブリン・ウエルス・ファンドの中には国の安全等を損なうおそれがないと認められるものもございますので、そういったものにつきましては免除制度を利用可能とすることとしております。  しからば、それはどのような基準あるいは考えで線引きをするのかということでございますが、要素としては、その組織の設立目的でありますとか、あるいは日本への投資の実績と活動の履歴でありますとか、あるいはそのガバナンス構造、ガバナンス構造と申しますのは、投資判断が外国政府から独立して行われているかどうかといった点を基準にして、ソブリン・ウエルス・ファンド側に情報を求めて、提出された情報に基づいて国の安全等を損なうおそれがあるかどうかということを判断していくということを考えてございます。
  154. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 昨日かおとといの日経新聞だったかと思いますけれども、事前届出対象となる上場企業リストが公表されると空売りを仕掛けられるという話が出ておりましたが、確かにそういうおそれはあると思いますが、いかがですか。
  155. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) お答え申し上げます。  この銘柄を三つに分けるというリストにつきましては、基本的に定款や有価証券報告書などの公開情報に記載されている事業内容に基づいて、調査、それから相手方との調査や照会、それから意見交換などに基づいて行うものでございまして、結果も、その詳細をリストに記載すると、事業内容の詳細をリストに記載するということではなく、三分類の結果だけを示すということでございますので、臆測に基づく株式売買を惹起するような性質のものではないというふうに考えてございます。  ただ、先生指摘のように、リストに分類されたということをもって空売りの対象となるのではないかという見方がある、そういった懸念があるということは承知しておりまして、外国金融機関につきましては、こうした企業株式取得銘柄にかかわらず免除の対象となり得るということとしておりますほか、事前届出の場合の審査基準も、国の安全等観点から限定かつ明確化し、国の安全等を損なうおそれがなければ短期間の審査ですぐに取得を可能とするということ、そういう方針でございますので、極力負担が生じないようにしていくということでございます。  いずれにいたしましても、上場会社リストの作成、公表につきましては、様々な御意見を踏まえながら十分注意して進めてまいりたいと存じております。
  156. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 先ほど来御議論がございますように、これ実務が非常に厄介なんですよ。もう本当にこの実務のやり方間違えると、外人投資家にそっぽを向かれる、もうそれこそ不買運動が起きかねない、そういうリスクがございます。  今月号の「選択」という雑誌、十一月号でありますが、結構面白い記事が出ておりました。敏腕記者が恐らく匿名で書かれたものかと思いますが、当初、この外為法改正というのは中国資本への対抗が目的だったと。それはもう言わずと知れた公然の秘密みたいなものですよ、これはね。  今日、どこかのテレビでイアン・ブレマー氏が、これからアメリカ陣営と中国陣営、どっちに付くんだといって、世界が二分されていくと。股裂きになる人が日本では恐らくたくさん出てきますよ。  そういう中で外為法改正に踏み切ったというわけなんですけれども、いつの間にか、いつの間にか、安全保障の問題であったことが、いつの間にか、物言う株主対策にすり替わってしまったんじゃないかという指摘なんですよ。いわゆるアクティビストという人たちですね。  大体、日本上場企業の中で経団連系なんていう企業は、昭和十五年頃、今の骨格ができたと言っても過言ではない。当時の軍需産業であった日立、東芝、NEC、三菱重工、今どうなっているかというと、東芝六九・五%、外人持ち株比率、日立四三・二%、NEC三八・五六%、三菱重工三〇%、これが現実ですよ。  ですから、今、外人投資家を締め出すとか、あるいは、もうこれ以上、外人持ち株比率を増やさないなどということをやりますと、そういうメッセージにつながると、相当やばいですよ。早い話が、今、日本銀行のETFの増えた分、逆に言うと、外人の売り越しの分、日銀がETF買ってくれていると、そういう感じですよ。  アメリカはやるべきことをやっていますから、積極財政、金融緩和でやっていますから、だから、アメリカのダウは、ナスダックも含めて、三指数がそろって史上最高値圏にある。日本は、年初来高値とか喜んでいますけど、最高値って三万九千円でしょう、三十年前ですから、日本はね。六割ですよ。それで喜んでいちゃ駄目なんですよ。  アクティビスト排除法という批判にどうお答えになりますか。
  157. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回の改正の話は、もう先ほども説明し、申し上げましたように、これは国の健全な投資、国って、国内に対する健全な投資というものを一層促進しつつ、国の安全等に関わるものに関しましては技術流出とかそういったものも関係いたしますので、我々としては、事業活動喪失するといった事態を防止するというのが目的ということで、我々としては、今回のことに関して必要最小限のものに限定しておりますので、株主企業との間の対話制限等々、追加を行うつもりは全くありませんし、行わないことにいたしております。  また、株主によります企業との健全かつ建設的な対話というのは、これはもうコーポレートガバナンスというのをかなり強化をさせてきていただいておりますので、企業価値を向上させるという観点からは非常に重要であるという認識には変わりありませんので、今回のこの法改正アクティビスト排除法でないということはもう何回も申し上げてきているとおりですが、改めてお尋ねでありますので、改めて強調させていただきます。
  158. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 ところが、その免除規定にございますように、先ほど来の議論のとおり、役員に就任しないこと、事業譲渡廃止等を提案しないこと、こういう文言がくっついておるわけですよ。これって、アクティビスト、物言う株主排除そのものじゃありませんか。
  159. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 時間ですので、簡潔にお答えください。
  160. 岡村健司

    政府参考人岡村健司君) はい。  お答え申し上げます。  株主権の行使に対して制限を加えることを最小化しているというのは麻生大臣から答弁申し上げたとおりでございますが、今議員御指摘株主総会での提案あるいは役員への就任ということも、あくまでも国の安全等に関わる技術流出事業活動喪失といった事態を防止するということが目的でございますので、この観点から限定されるということで、一般的に国の安全に関係のない株主権の行使について制約を課すというものではございません。
  161. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 とにかく、買収対策目的であれば、別に一%に引き下げることに意味はないんですね。国がこの法改正を恣意的に運用すれば、これは気に食わないファンドを締め出す、そういうことにつながりかねない。そうすると、もうそれこそ日本株の不買運動というのが起きますから、その点はもう実務において注意してし過ぎることはありませんから、この点を十分に念頭に置いて、政令、省令、ルールの作成をやっていただきたいと思います。  終わります。
  162. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。
  164. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私は、ただいま可決されました外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲・国民.新緑風会・社民、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 世界の安全保障環境が厳しさを増している中、我が国の対内直接投資事前届出審査制度の改善を図る本改正が、経済の健全な発展に資する対内直接投資を一層促進しつつ、国の安全等に関わる技術流出事業喪失を防止し、我が国又は国際社会の平和及び安全の維持に資するよう、事前届出制度の適切な実施に努めること。  二 事前届出審査の実効性を高めるため、関係省庁において定員の確保、機構の充実その他審査体制の強化を図るとともに、本改正で設けられた情報交換規定を適切に活用し、関係省庁間及び外国政府等との連携の強化に努めること。  三 我が国の経済成長や企業コーポレートガバナンス強化、ベンチャー企業の発展に資する直接投資を一層促進するため、市場関係者に対し、事前届出免除制度内容及び趣旨を広く周知するとともに、必要に応じ更なる投資促進策の検討を行うこと。  四 我が国の中小企業が有する国の安全等に関わる重要な技術流出事業喪失を適切に防止できるよう、中小企業への配慮を行いつつ事前届出審査の適切な実施に努めること。  五 事前届出制度の詳細を政令等で定めるに当たっては、委員会審査を通じて確認された本改正の立法趣旨を十分に踏まえるとともに、企業市場関係者に分かりやすいものとなるよう、幅広く丁寧に意見を聴取し、その内容を明確化すること。  六 事前届出免除制度の適用については、投資家の外形的基準だけでなく、国の安全等に関わる技術流出事業喪失を防止するとの法目的についても十分考慮すること。  七 安全保障観点から対内直接投資に係る対応強化の流れが国際的に見られる中、我が国の安全を脅かす対内直接投資について、内外の情報収集に鋭意努めるとともに、実効的かつ機動的な対応を行えるよう、新法の規定について検討を更に加え、国益を踏まえた必要な措置を講じること。  八 本改正による影響を十分に検証するとともに、対内直接投資審査制度運用に当たっては、投資促進金融資本市場の活性化に反するものとならないよう配慮するほか、株主権利行使企業との対話を阻害することのないよう留意すること。  九 事前届出審査に当たっては、判断基準等を事前に公表するなど透明性の確保を図るとともに、ベンチャー企業等の資金調達に支障を来さないよう審査期間の更なる短縮化を検討すること。また、投資実施後のモニタリングを強化するなど規制の実効性を確保すること。  十 事後報告及び事前届出に係る手続については、外国投資家投資意欲や機動的な投資判断を阻害することのないよう、報告手法の簡易化や報告頻度の軽減など事務負担の軽減に十分配慮すること。  十一 外国資本による土地購入が急速に拡大している現状に鑑み、安全保障、水源、鉱物資源保全等の観点から速やかに検討を行い、必要な措置を講ずるよう取り組むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  165. 中西祐介

    委員長中西祐介君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  166. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 全会一致と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、麻生太郎財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生太郎財務大臣
  167. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
  168. 中西祐介

    委員長中西祐介君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 中西祐介

    委員長中西祐介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十八分散会