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国務大臣(加藤勝信君)
厚生労働委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げます。
国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すとともに、我が国の
経済社会の発展に寄与すべく、
厚生労働行政の諸課題に全力で取り組みます。
先般、台風第十五号や第十九号、先週末の記録的な大雨等による甚大な被害が全国各地で発生をいたしました。亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに、被災をされた方々に衷心よりお見舞い申し上げます。相次ぐ自然災害に対し、一日も早い復旧復興に向けて、
関係省庁とも連携しつつ、水道等のライフラインの確保や、被災者の方々の健康管理、生活再建、被災した病院、
福祉施設、
水道施設等の復旧に向けた支援などに、被災地の状況変化を踏まえ、
スピード感を持って先手先手で全力で取り組みます。
東日本大震災の発生から八年半が経過しました。かねてより被災地の復興に取り組んでまいりましたが、引き続き、私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、被災者の心のケア、医療・
介護提供体制の整備、
雇用対策などに全力で取り組みます。
本年十月の消費税の引上げ及びそれに伴う
社会保障の充実によって、二〇二五年を念頭に進められてきた
社会保障・
税一体改革が一区切りとなります。今後は、
団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年頃を見据え、国民誰もがより長く元気に活躍できるよう、高齢者を始めとした多様な就労、
社会参加の促進、その前提となる
健康寿命の延伸、労働力の制約が強まる中での医療・
福祉サービス改革による生産性の向上などに取り組んでまいります。
先月、全
世代型社会保障検討会議での議論がスタートいたしました。全
世代型社会保障改革担当大臣と協力し、将来を見据え、お年寄りも若者も全ての世代が安心できる
社会保障制度の在り方を検討してまいります。
少子高齢化が進展し、人生百年時代を迎える中で、働く意欲がある方が年齢に関わりなく活躍できる社会を実現することが重要です。そのために、七十歳までの就業機会の確保など、高齢者の活躍の場の整備について検討を進めるとともに、高齢者が安心して安全に働けるよう、
労働安全衛生対策を講じてまいります。あわせて、中途採用に関する環境整備を総合的に促進してまいります。
いわゆる
就職氷河期世代の中には、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている方、長期間無業の状態にある方、また、
社会参加に向けた支援を必要とする方など、様々な課題に直面している方々がおられます。こうした方々に対してお一人お一人の状況に応じた支援を行うことにより、同世代の
正規雇用者を三年間で三十万人増やすことを始めとして、働くことや
社会参加を支援します。
健康寿命の延伸のためには、予防、
健康づくりを推進していくことが重要です。第二次健康日本21に基づき、健康無関心層を含めた疾病の発症予防や
重症化予防に向けた取組を進めるとともに、保険者による特定健診・保健指導や糖尿病の
重病化予防などの取組について、インセンティブを活用しながら進めます。
また、
生産年齢人口が減少する中で、医療・福祉分野においても、労働力を確保することについて困難さが増していることから、専門人材が能力を最大限発揮することができるよう、人材の確保や研修制度の推進にも取り組みつつ、業務分担の見直しや効率的な配置の推進、AI、ロボット、ICT等のテクノロジーの徹底活用や
組織マネジメント改革等を進めます。
あわせて、
ゲノム医療、AI等の
最先端技術の活用など、
データヘルス改革を戦略的、一体的に推進します。特に、本年五月に成立した
健康保険法等の改正法に基づき、
医療保険の
オンライン資格確認の導入、医療と介護の
レセプト情報等のデータベースの連結等の円滑な施行を進めてまいります。さらに、令和二年度に予定されている
診療報酬改定に向けて、
関係審議会で議論を進めてまいります。
年金制度については、本年八月に公表した財政検証結果を踏まえ、
被用者保険の更なる適用拡大や受給開始時期の選択肢の拡大、
在職老齢年金制度の見直しなど、
社会経済が変化し、就労期間がより長く、就労が多様な形となる中で、その変化に対応した
年金制度を構築するべく検討を進めてまいります。
年金事業運営については、引き続き事務の適切な実施に努めるとともに、本年十月より施行された
年金生活者支援給付金制度の着実な実施により、所得が一定以下の
年金受給者の方の生活を支援してまいります。
質が高く効率的な
介護サービス提供体制の整備や
自立支援、
重度化防止に資する
サービスの実現など、国民一人一人に必要な
サービスが提供され、地域で安心して暮らすことができるよう、
地域包括ケアシステムの構築を目指し、
次期制度改正に向けた検討を進めてまいります。
また、介護の受皿五十万人分の整備を進めるとともに、他の産業との賃金格差をなくしていくための介護職員の更なる処遇改善のほか、
アクティブシニア等の参入促進、介護の魅力の全国的な発信など、介護人材の確保に総合的に取り組み、二〇二〇年代初頭までに介護離職ゼロを目指します。
さらに、人口減少、
地域社会の変容が進む中で、
地域社会とのつながりを失い孤立するケースや、介護と育児の
ダブルケアなど、一つの家庭の中で複合的な生活課題を抱えるケースが生じています。これらに対応するため、包括的な
支援体制や、地域住民を始めとする多様な主体が支え合い、地域を共につくっていく
地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。
認知症施策については、本年六月に
関係閣僚会議において取りまとめられた
認知症施策推進大綱の下、
関係省庁と連携し、
厚生労働省が
中心的役割を果たしながら、共生と予防を車の両輪として取組を推進します。
地域の
医療提供体制の整備に向け、
地域医療構想、
医師偏在対策、医師の働き方改革を三位一体として進めていきます。具体的には、二〇二五年を見据えた
地域医療構想の実現に向け、公立・
公的医療機関等の対応方針の再検証を求めるとともに、
重点支援区域の設定を通じ、国としても各地域での取組を支援してまいります。また、都道府県が策定する
医師確保計画が達成されるよう、医学部における地域枠の設置等を通じて、
医師偏在対策を講じます。さらに、医師の働き方改革を進めるため、医師の長時間労働の是正と
地域医療の確保の両立を目指し、必要な
制度的対応の課題について議論を進めます。
医薬品、
医療機器産業については、革新的な
医薬品等の開発を促進する環境の整備に取り組むとともに、
後発医薬品の使用促進や
ベンチャー企業への支援を実施します。また、
医薬品等の安全性を十分に確保した上で、国民のニーズに応える優れた
医薬品等がより迅速かつ効率的に提供されるようにするため、
先駆け審査指定制度、
条件付早期承認制度の法制化が必要です。あわせて、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができる環境を整備するため、薬剤師による
継続的服薬指導の実施の義務化などの取組を進める必要があります。継続審議になっている
医薬品医療機器法等改正法案の早期の成立をお願いいたします。
一億総
活躍社会の実現に向けて、昨年六月に成立した働き方
改革関連法の円滑な施行に努めてまいります。特に、来年四月からは、大企業において、同一労働同一賃金に関するルールが施行されます。また、
中小企業においては、同じく来年四月から時間外労働の上限規制が施行されるほか、令和三年四月から、同一労働同一賃金に関するルールが施行されます。このため、
制度改正に関する丁寧な周知に加え、
生産性向上に取り組む
中小企業に対する支援、働き方
改革推進支援センターにおける
相談事業、
各種支援策についてのきめ細かい全国的な周知、広報等を行ってまいります。なお、長時間労働が疑われる事業場については、監督指導の徹底等をしてまいります。
最低賃金については、今年度は
全国加重平均で二十七円引上げの九百一円となり、昭和五十三年度に目安制度が始まって以降、最大の上げ幅となりました。今後も、
関係省庁と連携し、
中小企業・
小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するとともに、
地域間格差にも配慮をしながら、最低賃金がより早期に
全国加重平均千円となることを目指してまいります。
また、全ての方がその能力を十分に発揮できる社会や個々人の主体的な
キャリア形成が可能となる社会を実現するため、
リカレント教育を始めとした人材育成の強化、女性、若者、高齢者、
障害者等の
就労支援等を実施します。
女性を始めとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、さきの通常国会で成立した
女性活躍推進法等の改正法の円滑な施行に取り組みます。
昨年明らかになった公務部門における
障害者雇用に係る事態を重く受け止め、
障害者活躍推進計画の作成等を義務付けた
改正障害者雇用促進法の円滑な施行に取り組むとともに、障害者の採用後の職場定着を推進し、政府一体となって、障害のある方が希望や能力に応じて生き生きと活躍できる社会の実現を目指します。
我が国で就労する
外国人労働者が増加する中で、適正な
労働条件と雇用管理の確保、
労働安全衛生対策の実施、適切な
社会保険の適用促進などに取り組み、その能力を有効に発揮できる環境を整備してまいります。また、
技能実習制度については、悪質な送り出し機関の排除等に取り組むとともに、悪質な事案に対する行政処分の実施や、
外国人技能実習機構等の
実地検査能力の強化により、運用の適正化に努めてまいります。
待機児童の解消に向けて、
子育て安心プランに基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を整備し、保育人材の確保や
処遇改善等を行うとともに、市町村の特性に応じた支援の重点化、強化を行ってまいります。
放課後児童対策についても、
待機児童の解消に向けて、新・
放課後子ども総合プランに基づき、二〇二三年度末までに三十万人分の受皿を整備します。
幼児教育、保育の無償化について、
関係省庁とも緊密に連携し、円滑な実施に努めるとともに、保育の質の確保、向上についても一層取り組んでまいります。
妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する
子育て世代包括支援センターの全国展開、産婦健診や産後ケアの充実、不妊治療への支援等にも取り組みます。
児童虐待の防止については、子供の命を守ることを最優先に、全力を尽くしてまいります。具体的には、本年六月に成立した
児童福祉法等の改正法や、本年三月に決定された
児童虐待防止対策の
抜本的強化について等に基づき、
保護者等による体罰の禁止、
児童福祉司等の増員や
児童相談所の設置基準の策定などの
児童相談所の
体制強化、設置促進、転居時の情報提供やDV対策との連携といった関係機関の連携強化などに取り組みます。
虐待などの事情により親元で暮らせない子供たちも、温かい家庭的な環境で育まれるようにする必要があります。里親のなり手を増やすため、里親制度の広報啓発や里親家庭に対する
相談援助体制の充実に努めます。また、
児童養護施設等の小規模・
地域分散化や
職員配置基準の強化などを推進してまいります。
子供の
貧困対策については、子供の
貧困対策に関する大綱等に基づき、特に厳しい経済状況にある一人親家庭等の支援を充実します。
障害のある方々が生き生きと地域生活を営むことができるよう、日常生活の支援、グループホームの整備、
文化芸術活動や視覚障害のある方々等の読書環境の整備の推進などに取り組むとともに、
労働施策と福祉施策で連携して障害者の
就労支援の強化を図ります。また、精神障害のある方々が地域の一員として自分らしい暮らしができるよう、包括的な支援を受けられる
仕組みづくりを進めます。さらに、
障害福祉人材の処遇改善を着実に進めてまいります。
アルコール健康障害対策を始めとする
依存症対策については、
医療相談体制の整備や民間団体の
活動支援等に取り組みます。特に、
ギャンブル等依存症対策は、基本法及び基本計画を踏まえ、
関係省庁とともに必要な取組を進めます。
生活困窮者自立支援制度及び
生活保護制度については、それぞれの改正法に基づき、就労、家計、住まい等に関する包括的な
支援体制の強化に向けた取組等を着実に進めます。
自殺総合対策大綱等に基づき、SNS等を活用した相談対応や、自治体における
地域自殺対策計画の円滑な実施の支援を行うとともに、
自殺対策を支える調査研究のための
体制整備等に関する法律を着実に実施し、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた取組を推進します。
また、
成年後見制度利用促進基本計画を踏まえ、全国どの地域においても、
成年後見制度を必要とする人が制度を利用できるような
体制整備を進めるとともに、成年被後見人等に係る欠格条項の
適正化等を図る法律を着実に実施します。
受動喫煙対策については、来年四月の
改正健康増進法の施行が円滑に行われるよう、国民や事業者への周知啓発や、設備の整備に対する支援等に取り組みます。
がん対策については、第三期
がん対策推進基本計画に基づき、
がんゲノム医療の
体制整備、治療と仕事の
両立支援等を推進します。また、
循環器病対策基本法の施行に向けて準備を着実に進めます。さらに、難病等の検討規定に基づき、今後の難病対策の在り方について議論を進めてまいります。
感染症対策については、昨年十二月に取りまとめた風疹の
追加的対策による抗体検査及び予防接種を着実に実施するため、企業への働きかけや国民の皆様に向けた広報の強化に取り組みます。
国際保健の分野においても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進のほか、
薬剤耐性菌を含む
感染症対策等のグローバルな課題に的確に対応します。
また、
改正食品衛生法に基づき、広域的な
食中毒事案への
体制強化等に取り組みます。
本年十月に施行された
改正水道法に基づき、広域連携、
水道事業者の適切な資産管理、多様な官民連携の推進により、
水道事業の基盤強化に取り組みます。
ハンセン病の元患者等の御家族の皆様については、かつて取られた
施設入所政策の下で極めて厳しい偏見、差別が存在した事実を深刻に受け止め、家族の方々が強いられてきた苦痛と苦難に対し、深く反省し、心からのおわびの気持ちを持って、御家族への補償や偏見、差別の解消に向けて取り組んでまいります。
援護施策については、
戦没者遺骨の
DNA鑑定人会議において日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、適切な対応が行われてこなかったこと、それによって
遺骨収集事業への信頼性を問われていることについて真摯に反省し、改善に努めてまいります。専門家や御遺族等の御意見等を伺いながら、先般公表した今後の確認・検証作業の進め方に基づき、作業を進めてまいります。
今後、
遺骨収集事業においては、御遺族のお気持ちを常に尊重し、
スピード感を持ちながら、国の責務として、適正な手続により、可能な限り多くの御遺骨を収容し、御遺族に引き渡すことができるよう、しっかりと取り組みます。
また、慰霊事業を着実に行うとともに、戦傷病者や
戦没者遺族に対する年金等の支給、
中国残留邦人等に対する支援策について、引き続ききめ細かく実施します。
本年、我が国はG20議長国となっています。九月には愛媛県松山市でG20
労働雇用大臣会合を開催し、十月には岡山県岡山市でG20
保健大臣会合を開催しました。今回の成果を生かしながら、引き続き国際社会に貢献してまいります。
毎月
勤労統計等に関する事案により、政府の行う統計に対する信頼が損なわれ、
雇用保険等の受給者の方に追加給付が必要な事態を招いたこと等への反省に立ち、
厚生労働省統計改革ビジョン二〇一九に基づき、統計業務の改善やリテラシーの向上に着実に取り組みます。
また、
厚生労働省に対する国民の期待に応えることができるよう、
ガバナンス強化や業務改革など、
厚生労働省改革に全力で取り組んでまいります。
委員長を始め、委員の皆さん、国民の皆さんに一層の御理解と協力を賜りますようお願いをいたします。