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国務大臣(
萩生田光一君) 山本議員にお答えします。
まず、私の辞任に関する見解について
お尋ねがありました。
十月二十四日のテレビ番組における発言の真意については、どのような環境下にいる受験生においても、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて、適切な機会を捉えて二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものです。
しかしながら、結果として、国民の皆様、特に受験生の皆さんに不安や誤解を与えることになってしまったと考えており、おわびをするとともに、十月二十八日、発言の撤回をしたところです。
私としては、入試における英語四技能評価を
充実し、経済的な
状況や居住地にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような仕組みを整備することが
文部科学大臣としての責務であると考えていることから、辞任は考えておりません。
その上で、私のもとに新しく
設置する
検討会議において、今回延期することを判断せざるを得なかった要因等を十分に検証した上で、受験生を第一とする立場に立ち、受験生が安心して受験できるような仕組みとするよう、私の責任において全力で取り組んでまいります。
次に、記述式問題の所感についての
お尋ねでありますが、平成二十九年十一月に実施した一回目の試行調査においては、国語の記述式問題の一問の正答率が〇・七%であったことは承知しておりますが、この要因は、解答に必要な条件設定について、どの
程度まで複雑とすることが可能かどうかの検証を行ったことによるものと承知をしております。
一方、二回目の試行調査においては、解答上の条件の整理等を行った結果、正答率が一五・一%となり学力の識別力が高く、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりするなどの思考力、判断力、表現力を評価できる問題が出題されていると考えています。
また、自己採点については、大学入試センターにおいて、正答の条件の意味や内容をわかりやすく整理して高等
学校へ周知するなど、必要な対策を講じてまいります。
次に、採点の
お尋ねでありますが、大学入学共通テストにおける記述式問題については、一定の条件を設定した上で、その条件への適合性を評価するものであり、多数の受験者の答案を短時間で正確に採点することが必要です。そのため、採点に当たっては、その
観点から、処理能力や信頼性、実績等を有する民間事業者を
活用することとしています。
大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、適正な試験等によって質の高い採点者を
確保すること、必要な研修プログラムを行うことなど、採点者の質を向上するための
取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合等には、採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行い、独立して採点した結果が一致するまで当該答案に対する採点作業を行うことなど、採点の正確性を
確保するための
取組を求めているところです。
採点者については、結果としてさまざまな属性の方が含まれ得ると承知しておりますが、多層的な組織体制と品質チェックの
充実により、採点の質は
確保されるものと考えております。
次に、研修等の
お尋ねでありますが、大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、採点者及び採点監督者に必要な研修プログラムとして、正答の条件等を踏まえた採点作業に関する研修、システム操作に関する研修、内容面、形式面に係る正答の条件等に関する研修、採点の演習等を採点開始日までに完了することや、守秘義務に関する事前研修も行うことを求めており、採点の質は
確保されるものと考えております。
採点
業務については、適正な試験等によって質の高い採点者を
確保することが求められているところ、御指摘の方が何名含まれることになるかを現時点で示すことは困難ですが、多層的な組織体制と品質チェックの
充実により、採点の質は
確保されるものと考えております。
次に、研修等の
お尋ねでありますが、大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、採点者及び採点監督者に必要な研修プログラム、正答の条件を踏まえた採点作業に関する研修、システム操作に関する研修、内容面、形式面に係る正答の条件等に関する研修、採点の演習を開始日までに完了すること、守秘義務に関する事前研修も行うことを求めております。
次に、署名を集めた高校生についての
お尋ねでありますが、昨日、四名の高校生が
文部科学省に来省し、大学入学共通テストの二〇二〇年度実施の中止を私宛てに求める旨の署名を提出したことについては承知をしております。
全ての高校生と面会することは時間的に困難ですが、私としても地元の高校生の意見を聞くなどしているところであり、今後の
検討に当たっても、さまざまな機会を通じて、高校生等の意見を聞きながら、受験生が安心して受験できるような仕組みとすることができるよう努めてまいりたいと思います。
次に、記述式問題の実施についての
お尋ねでありますが、記述式問題の採点につきましては、先ほども答弁をしましたとおり、大学入試センターにおいて、事業者に対し、採点者の質を向上するための
取組を求めるとともに、採点の正確性を
確保するための
取組を求めているところです。
引き続き、大学入試センターと協力しながら必要な
措置を講じ、円滑な実施に向けて万全を期してまいります。
次に、加計学園獣医学部新設の
お尋ねでありますが、獣医学部の新設に関して、あたかも私が働きかけをしたような個人メモ等が取り上げられましたが、これまで国会等で
説明しているとおり、私が総理から指示を受けたり、
文部科学省や内閣府に対して指示を出したりすることはありません。
さらに、私が民間人だったころ、千葉科学大学客員教授であったことは事実ですが、加計孝太郎氏とは特に個人的な交流はなく、親しくおつき合いをいただいているという事実や、加計学園の便宜を図るために調整や指示を行った事実はありません。
なお、二〇一〇年から千葉科学大学で教鞭をとっておりましたが、その間の報酬額については、民間人としての私的な
教育活動に関する話であり、また、同様のポストについている方がいらっしゃいますので、お答えは差し控えさせていただきます。
私としては、
令和という新しい時代を迎え、
子供たちが次代を担えるような
教育の実現に向け、
文部科学大臣としての職責をしっかりと全うし、皆さんの信頼を得ていくことが重要と考えております。
次に、
給特法改正法案による教員の
勤務時間の
縮減の
お尋ねでありますが、
学校における働き方
改革は、特効薬のない総力戦であり、
取組を総合的に進めてこそ
成果が上がるものであると認識をしております。
本
法律案は、こうした総合的な
取組の一環として提出しているものですが、今回の
改正により
策定することとなる
指針を
法律上位置づけることで、各
地方公共団体においても同様の
指針を
条例や
規則等に位置づけ、
業務の
適正化に向けた
取組が
促進されることにより、
教師の長時間
勤務の確実な
縮減に資するものと考えております。
一方、休日のまとめどりのための一年
単位の
変形労働時間制の
活用については、これを単に
導入すること自体が日々の
教師の
業務や
勤務時間を
縮減するものではありませんが、総合的な
取組により
勤務時間の
縮減を図った上で
導入すれば、
夏休み等において一定期間のまとまった休日の
確保が可能になるなど、
教職の魅力向上に資するものであると考えております。
なお、本年一月の
中央教育審議会の
答申においても、一年
単位の
変形労働時間制を
導入することで、学期中の
勤務が現在より更に長時間化しては本末転倒であると指摘されており、
導入に当たっては、まずは
業務の
削減を
前提とする必要があると考えております。
また、本
制度においてはさまざまな
労働日や
労働時間の定め方がありますが、
公立学校の
教師については、具体的に
導入に当たっての要件を
文部科学省令や
指針において
規定することで、一時間
単位の
勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりという
中央教育審議会の
答申の
趣旨を踏まえた適切な運用が各
教育委員会や
学校においてなされることが担保される
制度とすることとしております。
次に、一年
単位の
変形労働時間制に関するルールの
お尋ねでありますが、休日のまとめどりのための本
制度の
活用に当たっては、平日十日間を含む十六日間連続の
学校閉庁日を設けている岐阜市のように、長期休業期間において
業務を確実に減らすことが必要であると考えており、例えば、部
活動の大会の
日程を含めた
あり方の
見直しに関する関係団体への働きかけ、独立行政法人教
職員支援機構の夏季休業期間中の研修
日程の
見直しなどを行っているところです。
さらに、
改正法が成立した場合に新たに
制定することとなる
文部科学省令や
指針において、
指針における
在校等時間の
上限などの遵守、所定の
勤務時間を通常より延長した日に、延長を理由とした新たな
業務の付加はせず、所定の
勤務時間を通常より延長したとしても、
在校等時間が増加しないようにするなど、
規定をすることとしております。
また、各
地方公共団体における
制度の詳細は
条例において
策定されることとなりますが、
文部科学省としては、
条例のモデル案をしっかりとお示ししたいと考えております。
このような
取組により、本
制度を選択した
地方公共団体において、
在校等時間の確実な減少と休日のまとめどりが可能となるようにしてまいりたいと考えております。
次に、教員の過労死についての
お尋ねでありますが、
過労死等の公務災害の発生時期については集計を持っておりませんが、志ある
教師の
過労死等の事態は決してあってはならないものであり、
文部科学省としては、その根絶を目指して、
学校における働き方
改革の実現に向けた
取組を総合的に進める必要があると考えております。
また、今回の休日のまとめどりにおいて、
在校等時間の超過
勤務を少なくとも
上限ガイドラインで示した月四十五時間、年三百六十時間等の
上限以内とすることを
導入の大
前提としております。
ただし、その場合にあっても、
学校行事などで所定の
勤務時間である七時間四十五分におさまらない場合に、それを一時間
単位で積み上げ、長期休業中に休日のまとめどりをする仕組みです。
その際、現在の
学校の
運営の
状況を踏まえれば、
夏休みにおける休日のまとめどりも五日間
程度が限界であると考えられることから、際限のない
勤務時間の上乗せはできません。
したがって、この休日のまとめどりについては、
在校等時間が現在より確実に減少されることを
前提に、決して長時間化することはない
制度とし、その
制度のもとで確実に運用を行ってまいります。
次に、
指針に沿った
勤務時間
管理の責任の
お尋ねでありますが、今回の
法改正により
策定することになる
指針は、服務監督権者たる
教育委員会が講ずべき
措置を定めるものであり、
指針に沿った
勤務時間の
管理の責任は各
教育委員会が有することとなります。
指針を踏まえ、
在校等時間が
上限の
目安時間を超えている場合には、
学校の
管理運営に係る責任を有する校長や
教育委員会は
業務削減等の
取組を積極的に果たす必要があり、
文部科学省としても、
社会への明確なメッセージの発信、
学校の指導、事務体制の効果的な強化
充実や、効果的な事例の横展開などを通じ、
教育委員会や
学校をしっかり支えてまいります。
次に、
指針に関する
条例等の整備
状況の確認の
お尋ねでありますが、今回の
法改正により
策定することとなる
指針を参考にして、各
地方公共団体において、
教師の
勤務時間の
上限に関する
方針等を作成し、
条例や規則などで根拠づけることが重要であり、
文部科学省としても、
条例モデル案を作成し、各
地方公共団体にお示しの上、
条例や
規則等の
制定を促すこととしております。
なお、具体的な方法は今後
検討してまいりますが、各
地方公共団体における
条例や
規則等の
制定の
状況についても確認し、その結果を積極的に発信してまいりたいと考えております。
次に、今回の
法改正内容が働き方
改革に資するかどうかの
お尋ねでありますが、今回の
法改正の第七条第一項において、
教育職員の健康及び
福祉の
確保を図ることによる
学校教育の
水準の
維持向上のために、
文部科学大臣が
指針を定めると
規定されており、専門職である
教師が
教師でなければできないことに全力投球できる環境を確立し、
教育の質の向上を図ることが本
改正案の目的です。
そのために、今回の
法改正により
教師の
勤務時間に関する
上限ガイドラインを
指針として
法律上位置づけることにより、
業務の
適正化に向けた
取組が
促進され、
在校等時間の
縮減の
実効性が高まるものと考えております。
さらに、休日のまとめどりのための一年
単位の
変形労働時間制の
活用については、総合的な
取組により
勤務時間の
縮減を図った上で
導入すれば、
夏休み等において一定期間のまとまった休日の
確保が可能になるなど、
教職の魅力向上に資することとなり、能力のある質の高い方々が
教師を目指すことを後押しし、
子供たちに対して効果的な
教育を行うことができると考えております。
次に、
給特法の抜本的な
見直しの
お尋ねでありますが、
給特法は、
教師はどこまでが
業務であるのか切り分けがたいという
教師の
職務を踏まえ、時間外
勤務命令をいわゆる超勤四項目に限定した上で、時間
外勤務手当等は支給しないかわりに、
勤務時間の内外を問わず包括的に評価をして
教職調整額を支給する仕組みであり、所定の
勤務時間を超えて
学校で
教育活動を行っていたとしても、不払い
残業にはなりません。
一方、
給特法制定から半世紀を経た現在、
保護者や
地域の
意識の変化の中で、
子供に関することは何でも
学校や
教師の
仕事として
業務が大きく積み上がっている
状況です。また、働き方
改革推進の
観点から
労働法制も大きく転換しており、
給特法の
あり方についても
検討する必要があると考えておりますが、
見直しに当たっては、確かなデータと国民的な
議論が必要です。
そのため、今回の
法改正を踏まえ、まずは
教師でなければできないことに
教師が集中できるよう、働き方
改革の強力な
推進により
業務を
縮減し、その
成果を
社会に示しつつ、三年後に
教師の
勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、
教師に関する
勤務環境について、
給特法などの法制的な
枠組みを含め
検討を行う必要があると思っております。(
拍手)
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