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串田委員 今の回答というのが、ちょっと、いろいろ難しい問題がありまして、今回こういう
質問をさせていただいたのは、数日前に朝の報道番組で、屋根が吹き飛んでしまったという家屋が非常に多かったということで、屋根の修理業者に依頼した場合、一年後になるんだというようなことで、
自衛隊がブルーシートをかぶせるというようなこともあったんですが、それについての
専門家が登場しまして、ブルーシートではなくて、そのときにはアシスト瓦というのを使っていたんですが、これを使うと二年ぐらい何とかなるんだというようなことで、
現場で
自衛隊にそれを伝授していた。そのときに、その大工の方が言うには、
自衛隊員は大工道具を持っていないというようなことから、一から何か教えているような感じの報道だったんです。
今そういったようなノウハウがないのでこれからというようなことであったんですが、一方で、
自衛隊というのは、国防を担っているという非常に重要な役目がある。本来は、民間の家屋が破損した場合には、保険に入っているとか業者に頼んだりとかいうようなことがあるんですけれども、一年後だということもあってそういう番組がつくられたんだと思うんですが、こういう番組を見ますと、
国民としては、家が破損した場合には
自衛隊が修理をしてくれるんだ、今までノウハウはないけれども、それについては
自衛隊は十分にノウハウを身につけてやってくれるんだというような
理解をしてしまうんじゃないかなと。その
理解が正しいのであればいいんですけれども、そんなことになってしまうと、これは何か、
災害が起きたときには
自衛隊が修理をしてくれるんだというようなことにもなりかねない。
そこで、どこかに線引きをしなければいけないんじゃないか。その線引きについて、条文上どういうような規定があるのかというようなことが今回の
質問の趣旨でございます。
ちなみに、
自衛隊法の第八十三条には、他の条文とちょっと規定の仕方が異なった書き方になっておりまして、天災のことが書いてあるんですけれども、都道府県知事とその他政令で定める者は、天災地変のその他の
災害で、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、
部隊等の派遣を
防衛大臣又はその指定する者に
要請することができる、こうなっているんです。
ここは非常に重要なところでありまして、「人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、」というのは、認める人は誰かというと、都道府県知事なんですよ。あるいは、その他政令で定める者。それで、相手方は誰かというと、
防衛大臣又はその指定する者に
要請することができると。そして、では
防衛大臣は何をするかというと、「前項の
要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、
部隊等を救援のため派遣することができる。」と書いてあるんです。
この八十三条の前の七十七条の四には、一項は、「
国民の保護のための措置を
実施するため、
部隊等を派遣することができる。」二項は、「緊急対処保護措置を
実施するため、
部隊等を派遣することができる。」
これは、違いは何かといいますと、七十七条の四等は、何をすることのために派遣することができると書いてあるんです。何をするためと書いてある。ところが、この天災地変の場合は、何をするためというのは書いていなくて、都道府県知事が必要があると認める場合には
要請することができて、その
要請があると、緊急、事態やむを得ないときには派遣することができると書いてあるだけで、
自衛隊が何をすることのために派遣するのかということが、ほかの条文と違って書かれていないんです。
何が言いたいかといいますと、財産を保護するためというときに、屋根の破損をした場合、ブルーシートよりもアシスト瓦の方がいいんですよと大工さんが言っている。そのノウハウを学ぶんだみたいなことの回答がある。とするならば、一見すると、
自衛隊はそういう家屋の破損したものまで直さなきゃいけないということを条文上読み取ってしまっていいのかどうか。切りがなくなってしまうということもあると思うんですけれども、これは、条文上、どのように解釈したらいいでしょうか。