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白眞勲君
立憲民主党・
民友会・
希望の会の
白眞勲です。
ただいま
議題となりました
安倍総理に対する
問責決議案について、賛成の
立場から
討論をさせていただきます。
まず初めに申し上げたいことがあるんですけれども、六月七日の
防衛大綱が
議題になった
総理出席の本
会議において、私が再
質疑を行ったことは
総理も御記憶かと思います。そのとき、新たな
質問だとして、それについては
お答えしようがないと
総理は実質的に
答弁を
拒否したことについて述べたいと思います。
そもそも再
質疑とは、ある項目の
質問があったとして、その目的を達し得ない場合にすることが認められている
議員の当然の権利であります。したがって、
総理のおっしゃる基本的に
質問通告されたものについて
お答えをするというのは間違いです。
総理が
お答えになった
内容の
意味が不明だったから私が再
質問したのであって、
総理はいつも丁寧に説明するとおっしゃっているわけですから、こういう点を踏まえて
総理の
猛省を促したいと思います。
それでは、以下、
安倍内閣総理大臣問責決議案について賛成する
理由を申し述べます。
今
国会の
召集日、
安倍総理は、
施政方針演説において、
経済・財政、
社会保障、
外交・
安全保障にわたり総花的な
方針を示されました。しかし、どれだけ実現
できたのでしょうか。また、
公文書管理問題等により生じた
行政に対する
国民の
不信感に対し、誠実に
信頼回復に努める
おつもりはあったのでしょうか。
昨年に引き続き、閣僚や
中央省庁が
国民の
信頼を失墜させる事態が多発しております。しかしながら、この半年で
大臣、副
大臣が辞任はしているものの、その
内容は
自分の
失言がもとで、
省庁の不祥事で辞めた
大臣は一人もいません。誰も
責任を取ろうとしようとしないではありませんか。
政治の
責任を取ろうとしないのではないんでしょうか。だから、我々は
総理問責に賛成するのであります。
では、一体どんな問題、
課題があるのか列挙してみますと、
森友、加計問題、
厚労省の毎月
勤労統計調査の
不適切調査の問題、
沖縄の民意を酌んでいない辺野古問題、
日米貿易交渉密約疑惑、拉致問題、
日ロ交渉における
北方領土問題、
イラン訪問中の
タンカー被害、
韓国軍のレーダー照射問題、
予算委員会開催拒否、
アベノミクスの失敗、
景気動向悪化、
消費税増税、F35爆買い問題、「いずも」
型護衛艦の
実質空母化、
防衛省の
イージス・アショア配備をめぐる
調査の不手際、それに加え、またぞろ、
年金二千万不足問題での
財務大臣の
金融審議会報告書の
受取拒否の
正当化などなど、挙げれば切りがありません。私が
幾ら早口だとしても、これだけの問題を話し出したら、とてもじゃないけど持ち時間十二分では済みません。
安倍政権は、
国民の
政治や
行政への
不信感や将来への
不安感など、どこまで増大させる
おつもりなんでしょうか。この
安倍政権において起きた様々な
問題点は、まさに
長期政権のおごりや緩みから露呈したものと言わざるを得ません。そこに本質的な問題があるのではないでしょうか。
では、なぜこのような問題が
安倍政権ではぞろぞろ雨後のタケノコのように出てくるのでしょうか。私も不思議でしようがない。最近になって、そうか、なるほどという出来事がありました。
それは、先日の党首
討論の際です。
総理は、
金融庁は大ばか者と激怒したとの報道を問われ、私はめったに激怒しない人間として、
自民党では大体こう理解されていると述べられました。めったに激怒しないということは、ごくたまに激怒するということではないですか。その方が怖いんですよ。だから、怒られる前に役
人たちは
そんたくするんじゃありませんか。
ちなみに、このとき、大ばか者と言ったかどうかは直接答えていないじゃありませんか。ということは、やはりこれは事実なのかと思ってしまうんですけれども。
そもそも、人間というのはいつも激怒されていると慣れてきてしまうものなのです。ところが、めったに激怒しない
総理が激怒したら、あるいは、
総理は別に怒っていなくても、そばにいる部下から
総理は怒っているぞと言われたら、これは、役人はもちろん
自民党議員も相当びびるんじゃないですか。
総理、今日、この議場に入られたときに、
自民党席から万雷の
拍手で迎えられましたよね。私たちは違和感を感じました。
総理は御存じないかもしれませんけれども、ほかの
大臣では
与党の
皆さん、そこまで
拍手しません。ぱちぱちぱちです。さらに、やじも明らかに、
総理がいらっしゃるときは、私に対するやじというよりも、むしろ
総理に対してアピールするために大声でやじを飛ばしているんじゃありませんか。
これら全て、
総理や官邸からにらまれたらすごく怖い、役人も
与党議員も蛇ににらまれたカエル状態。だからこそ、一生懸命せっせとよいしょをする。そして、今の政権に少しでも不利だと思ったことは隠す、ごまかす、なかったことにしてしまう。
予算委員会は
規則に書いてあったってシカトして開かない、仮に開かれたとしても出ないなどとしれっと言ってのける。
森友問題では、法律に違反してまで
文書の
改ざんをしてしまう。
さらには、
内閣における法の番人と言われている法制局長官までもが、外務省出身者に替わった後、
憲法解釈を変更し、集団的自衛権が
できる方向にしてしまい、さらに次の法制局長官もそれに追随し、昭和四十七年の
政府見解を
自分たちの
都合のいいようにひっくり返す
答弁を平然と繰り返してしまう。歴代の法制局長官と違うと言っても聞く耳を持たない上に、
野党議員の
質問に際してもやゆした
発言をするというとんでもない暴挙までしでかす。
自民党の伊吹元衆議院
議長も、
姿勢や態度を批判するなんてことはあり得ない、少し思い上がっているのではないかと批判しているのであります。
まさに、みんなで寄ってたかって、わっしょいわっしょい、
そんたくそんたくしてしまう。それこそが安倍
長期政権の本質的な弊害と言えるのではないでしょうか。
あと、
憲法について、
総理は
参議院憲法審査会の審議時間が三分だと指摘したとのことでありますけれども、違いますよ、
総理。三分ではありません。二分です。大げさに言わないでもらいたい。
総理は、
議論すらしないのはどうかとされていますが、
議論しないのは
与党の方ですよ。こちらが衆参合わせてこのテーマで行こうと提案したって、
拒否したのは
与党です。
自分たちの意に沿わないことをやらないという点では、
予算委員会開催しないのと一緒であります。
安倍総理の通算在任日数は、伊藤博文を抜いて歴代三位となったとのことです。これ自体はすごいことでしょう。しかし、宮澤喜一元
総理は、一つの党が
余りにも長く政権を掌握することは人心がうむ原因となりますと述べています。まさに今の取り巻く
状況がそのようになっているのではないかと私は危惧しております。
私は、かつて子供の頃から、この
日本という国は、
政治はだらしないけど霞が関の官僚がしっかりしているのだと言われておりました。でも、現状はどうでしょうか。公正中立に仕事をしなければならない霞が関の官僚が、
森友問題のように公正中立が疑われるような事態、
国会に呼ばれても、まともに答えず、明らかにはぐらかす
答弁、つまりは、政権の方を向いて
国民に背中を向けている状態です。このような明らかにうそをついている者が出世をしてしまう。彼らは強い政権
与党に守られている。まさに、世界に冠たる官僚機構が今音を立てて崩れ、その組織を変貌させてしまったのであります。
逆に、
自分の良心をもって政権
与党の意に沿わない
発言をすると、冷遇されてしまうのではないでしょうか。去年二月の文科省前事務次官の前川喜平氏が授業の一環で講演したことをめぐり、文科省が市教育委員会に対し、前川氏を呼んだ狙いや講演の
内容を問い合わせ、挙げ句に録音データの提供まで求めていたことが発覚したのがその典型的な例です。
このような
状況を
日本国の
未来を担う子供たちはどのように見ているのでしょうか。ああ、うそをついてもいいんだと、まねするのが心配です。さらに、先生が出した大切な書類も、僕の考え方と違うと
受取拒否、あり得ないでしょう。
もちろん、
与党議員や官僚がみんなごますり状態ではありません。例えば、
自民党のある
参議院議員の方が毎日新聞のインターネットに、「
日本はデフレ
消費増税凍結しなければ危機」というインタビューを載せています。それを見ますと、
麻生太郎副
総理兼
財務大臣は、
経済のファンダメンタルはしっかりしている、雇用はしっかりしていると言うが、これも解釈が違っている、失業率は確かに下がっているが、問題は中身だと述べておられる。なかなか、この空気の中でよくここまでおっしゃったと、私は賛美を送りたいと思います。
逆に、
自民党内で、今この段階で何を言うか、おまえはKYだと言われてしまうのが心配です。中国の漢の
時代、劉向が編さんした説苑という故事集に逆命利君という
言葉があり、要は、上の命令に唯々諾々と従っているのは本当の忠義の士ではない、むしろ言うべきことは言う人が忠義の士であるという
意味だそうで、まさにそれを思い出しました。
かつて、
自民党の
議員からは
民主党はばらばらだと言われましたが、私からは、
自民党だって実はばらばらじゃないかということを言って反論したことがあります。そうしたら、その
自民党議員は何とおっしゃったと思いますか。うちはばらばらじゃないんだ、多様な意見があるんだと言うわけです。その多様な意見が、今、外に出すと怖いから、みんな心の中に収めているのではないか。かつての
自民党はもっとにぎやかでしたよ。この同僚
議員のように、はっきりと
自分の信念を出したらどうでしょうか。
安倍総理は、
国会答弁において、特に
経済や
社会保障において、
民主党時代に比べてこんなに良くなった、あんなに変わったと数字を並べて胸を張っておられます。
私が言うのもなんですけど、
余り生産的ではないのではないでしょうか。時の為政者は、いい数字だけを見るのではなくて、
問題点がないのか真摯な態度でチェックして、
国民には、このようにいい数字もありますが、逆にこの部分が問題だから、我々はこの
問題点を速やかに解消すべく努力をしていきたいという謙虚さが必要だったと思いますが、いかがでしょうか。
このように、
与党議員も官僚も、そしてマスコミまでも上ばっかり見ているヒラメ状態、うなずくだけのイエスマンにさせてしまったのは、我々
野党の力不足も原因かもしれません。こういう状態、つまり
長期政権を許してしまったことに対して、私どもは
国民の
皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
逆に言えば、
選挙で決着を付けようじゃありませんか。
緊張感のある
政治をしていこうじゃありませんか。様々な
課題について
議論を深めていこうじゃありませんか。
我が党は、
立憲主義に基づく民主
政治と、多様性を認め合い、困ったことに寄り添い、お互いさまに支え合う
社会を実現する政党です。そして、全ての人に居場所と出番のある
社会を目指すことをモットーとしております。
以上、
安倍総理に対する
問責決議案に対し、賛成の
討論をいたしました。
与党の諸君におかれましては、
安倍総理がお辞めになっても御心配なさらず、安心して
問責決議案に賛成の票を入れていただくことをお願い申し上げて、私の
討論を終わります。(
拍手)