○倉林明子君
日本共産党の倉林明子です。
日本共産党を代表し、
児童虐待防止対策の
強化を図るための
児童福祉法等の一部を改正する
法律案について、
賛成の
討論を行います。
本
法案が
親権者による
体罰禁止を明文化したことは重要です。
子どもの
権利委員会は、
体罰を、どんなに軽いものであっても、有形力が用いられ、かつ、何らかの苦痛又は不快感、屈辱感を引き起こすことを意図した罰と
規定し、
子供をけなし、辱め、侮辱し、身代わりに仕立て上げ、脅迫し、怖がらせ、又は笑い物にすることを意図した罰が含まれるとしており、その水準での実施が求められます。
厚労省が今後示すガイドラインでは、あらゆる場面での
体罰、その他品位を傷つける
行為を
禁止することを明示するとともに、
懲戒権の
早期廃止を求めるものです。
同時に、
法改正の議論が進む中で、しつけとの区別に悩み、
子育ての新たなプレッシャーとなっているのも事実です。家族のみの問題にせず、
子育てを
社会が支えることが重要であり、たたかない、どならない
子育てができるよう、
情報提供や手厚いサポート
体制の
整備が必要です。
厚生労働委員会では、
参考人から、
児童虐待の
通報件数が増加を続ける中で、児相に負荷が掛かり、正常な業務ができなくなっているとの指摘がありました。重く受け止める必要があります。
この間、
児童福祉司の定数は徐々に増やされてきたものの、一人当たり百数十ケースを抱え、日々新たな相談や初期
対応、
政府から要請される緊急
対策に追われています。過酷な日々に疲弊しているとの現場の訴えに緊急の
対応が求められます。
児相職員が、一人一人の
子供、家族と十分な関わりを持ち、本来の相談
支援ができる
体制を保障することが急務になっています。個々の職員が適切なケース数を維持できるよう、国の責任で、必要な人員の
確保と計画的な人材育成を図ること、専門性にふさわしい処遇改善を早急に行うべきです。また、多様な
通報に対する安全確認の
在り方も含め、現場、
関係者の
意見を踏まえた
検討を求めるものです。
一時保護所について、この間、定数超過、在所日数の長期化、学習権の保障、混合処遇等、厚労省の
検討会や
国会審議などにおいて重ねて問題が指摘されてきました。厚労大臣も
検討を約束してきましたが、養護施設の基準を準用する施設、職員配置の基準等の見直しは手付かずのままに置かれています。
様々な背景を持ち、心身に傷を負った
子供たちに、一人一人に向き合った適切なケアができる施設、
環境面の
整備、人員
体制の
確保は喫緊の
課題です。
児童心理司、看護師、栄養士も含めた
専門職の配置、個室の
確保等、一時保護の特性に見合った基準を早急に
検討し、各地の施設が改善できる財政的保障を行うことを求めます。
市区町村の状況について、
参考人質疑では、非常勤の
家庭相談員さんが夜討ち朝駆けで献身的に活動しているが、
子供の命を守る仕事、人の一生に関わる仕事でありながら、月額十数万円の報酬、研修の機会もほとんどないと、深刻な実態が改めて示されました。
市町村には、
子供、家族を受け止め、支える役割が期待されています。しかし、
児童福祉司と同等の資格を持つ者の比率は少なく、非正規職員が多く占めています。他の相談業務との兼務も多いなど、
体制整備は依然多くの
課題が残されています。
専門職を
確保し、安定して働き続けられるよう処遇を抜本的に引き上げるために、財政
支援を拡充すべきです。
地方
自治体は、
政府の方針により、長年、公務員の削減を求められてきました。その中で、
子供や
家庭、女性に関わる相談員、保育士など、
専門職の非正規化が進んでいます。
自治体が
子供の安全、安心、命を守る仕事に責任を果たすために、公務員の削減の押し付けはやめるべきです。
職員削減率を用いた交付金算定により、
子育て支援に
努力する
自治体が不利になるような仕組みの見直しを強く求めるものです。
社会的養護を巣立った人
たちへの
支援の
強化が必要です。
施設を退所した方
たちの多くは、その日から自ら働き、収入を得なければ、日々の生活を維持できません。
厚生労働委員会では、アフターケアを担う事業所の代表から、若い彼ら、彼女
たちは、失敗することも立ち止まることもできない緊張状態の中で暮らしていかなければならないと指摘し、今困っている、今苦しいという事情を抱えた当事者の人
たちの問題解決の
支援が一番求められていると訴えがありました。これらの声に応えるべきです。
児童福祉法に、
社会的養護等を巣立った人
たちのアフターケアが国、地方
自治体の責務であると明記すること、高い専門性が求められる現場にふさわしい人員配置に見直し、適切な
予算化を求めるものです。
子供たちを守るためには、女性が守られなければなりません。
法案は、
子供への
虐待を防ぐために、配暴センターとの
連携強化、
婦人相談所や婦人相談員への
早期発見の
努力義務を課すなどの改正を行いました。しかし、
DV被害者の相談
支援を最先端で担う婦人相談員は、市町村に必置義務はなく、配置している市区町村は二割にすぎず、
自治体間の格差も生じています。
DV被害者を始め、性
暴力被害、経済的困窮、
障害を抱えた女性など、様々な困難を抱える女性に対し、相談者の人権を尊重し、相談、問題解決に関わる総合的な
支援に当たる婦人相談員の役割は極めて重要であり、各
自治体への配置を
義務化すべきです。専門性が問われる業務であり、雇い止めをさせず、雇用の継続性を保障するとともに、
専門職にふさわしい処遇改善が行えるよう財政
措置を講ずるべきです。
DV法の抜本的見直しの
検討に早急に着手するとともに、
DV対策について民間
支援組織を含む関係団体から多くの
運用上の問題が指摘されており、早急な見直しが必要です。その際、民間
支援団体を重要な担い手として位置付け、財政
支援を抜本的に
強化する必要があります。
売春防止法を根拠とする婦人保護事業は早急に見直しが必要です。
DVを始め、貧困、居場所を失い孤立した女性、性的な搾取など、様々な困難を抱えた女性が、人権と自己決定が尊重され、必要とされる
支援が
切れ目なく受けられるよう、抜本的な見直しを求めるものです。
最後に、小さな
子供を育てる家族から、
子供が泣いただけで
虐待を疑われるのではという声を聞くようになりました。不安になったとき、相談したときに、疑われたり否定されたと感じれば、声を上げることはできません。
参考人質疑の中で、
支援を求めにくい状況について、監視
社会になっていくような
在り方がこの数年間かなり提案され過ぎているとの指摘がありました。その視点から、これまでの
対策を検証する必要があるのではないでしょうか。
子供への
虐待を個別の家族の問題としてのみ捉えるのではなく、
子供への
虐待の背景にある、
子育て世代の雇用不安、貧困、格差が広がり、安心して
子育てできず、孤立化を招く
社会の
在り方を変えなければなりません。
日本共産党は、正規雇用が当たり前で八時間働けば普通に暮らせる
社会、将来の心配も、お金の心配もなく
子育てできる
社会、誰もが尊厳を持って生きられる
社会を実現するために全力で奮闘する決意を申し上げて、
討論といたします。(
拍手)