○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
私は、日本共産党を代表し、二〇一七
年度決算に関連して、
総理大臣に
質問します。
今、本
決算の前提を揺るがす大問題が起きています。毎月
勤労統計の不正、偽装。
政府の
政策立案の土台となるこの
基幹統計が長年にわたって誤った
調査方法で行われていた上、そのことが隠され続けていた。とんでもない話です。
統計法第一条は、「公的
統計が
国民にとって合理的な意思決定を行うための
基盤となる重要な
情報である」と明記しています。
総理、長年、
国民を欺いた上に、その
生活に多大な
影響を与えたことの重大性をどう
認識していますか、伺います。この問題の
全容解明を強く求めます。
何よりこの問題で許せないのは、雇用保険や労災保険などの手当が過少に
給付されていた。その
被害者の数が延べ二千万人にも上るという事実です。これは、職を失い、労働
災害に苦しむ人たちに国が追い打ちを掛けたことになります。さらに、仕事で愛する家族の命を奪われる地獄の苦しみを味わったという過労死遺族の皆さんに対する遺族
年金まで過少
給付されています。
余りにひどい仕打ちではありませんか。その
責任をどう
考えるのか、
総理、はっきりとお答えください。
過少
給付の
被害に遭った全ての人を一人残らず
政府の
責任で救済すると約束できますか、お答えください。
さらに、今回の
統計偽装が、誤った景気
判断、
政策判断に使われたことは重大です。
昨年七月の月例
経済報告は、賃金は緩やかに上昇していると
判断を上向きに改めました。しかし、その
判断は偽装された賃金
統計を基にしたものです。偽装を正確に補正した場合、二〇一八年一年間の実質賃金はほとんど伸びておらず、マイナスになる
可能性も
指摘されています。
総理は今世紀最高水準の賃上げなどと喧伝し、消費税増税を進めようとしていますが、その根拠が崩れた今、消費税一〇%への増税はやめるべきではありませんか。
総理の決断を求めます。
問題は毎月
勤労統計の不正にとどまりません。
それこそ、二〇一七
年度は、
安倍政権の下で、改ざん、隠蔽、虚偽答弁が繰り返されました。その根底には、森友、加計疑惑など、うそとごまかしを重ね、真相を隠し続けようとする
総理、あなたの姿勢が、今
国会に至るまで続いている不正や民主主義の形骸化という重大な
事態をつくり、
国民の政治不信を一層深刻にしていると思いませんか。答弁を求めます。
二〇一七
年度予算は、
国民生活に大きな
負担を押し付けるものでした。
まずは子供たち。待機児童が深刻になる中で、二〇一七年、
政府は、その
対策の目玉として、株式会社を一気に保育
事業に参入させる企業主導型保育に多額の
予算を付けました。
ところが、自治体が関与できない仕組みの下で定員充足率は六割にとどまり、保育士の急な退職や突然の営業停止など、各地で混乱と矛盾が噴出しています。
総理、このように保育の公的
責任を放棄する
政策はやめ、認可保育所の増設など、国と自治体の保育の
責任を明確にすべきではありませんか。
公的
責任の放棄はこれにとどまりません。
総理は、二〇一七年の総選挙で突然言い出した幼児教育無償化を今年実行するとおっしゃいます。しかし、昨年末発表された幼児教育無償化の制度の具体化に向けた
方針によると、公立保育園の無償化の財源は一〇〇%自治体
負担です。今でさえ、保護者や保育士の反対を押し切って、各自治体で公立保育園の廃止、民営化が進んでいますが、それを更に加速させるとの
認識はありますか。
総理の見解を求めます。
また、二〇一七
年度、
政府は
給付奨学金制度を創設しました。しかし、その
規模は一学年で僅か二万人。多くの学生は、貸与型、ローン型の奨学金制度を利用し、卒業生はその返済に追われています。
日本学生支援機構の
調査では、奨学金貸与者本人の自己破産件数が、二〇一六
年度、一七
年度、共に二千件を超えています。国の制度である奨学金で破産に追い込まれる。なぜか。高過ぎる学費、就職難、低賃金、国の
政策の破綻の結果だと思いませんか。
滞納していても、奨学金利用者は返還しようと努力をしています。むしろ、奨学金を返還できないくらい
経済的に追い込まれていても、それを考慮しない回収
強化により、ブラック企業でも辞めるに辞められず、過労死した若者もいます。こうした無慈悲な回収
強化はやめるべきではありませんか。何より、
経済的事情から返還が困難になった人々を自己破産する前に救済すべきです。
総理、いかがでしょう。お答えください。
来
年度、
政府は、非課税世帯の学生には学費を全額免除する、
給付奨学金を拡充するとしています。しかし、高等教育無償化を目指すなら、高過ぎる学費の値下げにこそ踏み出すべきです。我が党は、運営費交付金を千六百億円、私学助成を九千億円、それぞれ増額することで、全ての大学の学費を半額にする
政策を出しています。これこそ実現すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
総理は、こうした無償化の財源に消費税を充てると言いますが、そもそも、子供たちの
未来の懸かった教育
政策と消費税増税を引換えにするなどもってのほかです。消費税が導入されて三十年。その
税収増は、
社会保障の充実には回らずに、大企業、富裕層の減税や景気悪化による法人税や所得税の減収分の穴埋めに消えてしまいました。消費税増税ではなく、この間増やし続けた軍事費を減らし、もうかっている大企業や富裕層に応分の
負担を求める税制
改革こそ進めるべきです。
二〇一七
年度、私が忘れることができないのが、伊藤詩織さんの性暴力事件が発覚したことです。この事件がきっかけとなり、日本でもセクハラや性暴力をなくそうというミー・トゥー運動が広がりました。さらに、昨年の財務省セクハラ事件も契機となり、多くの人々が今、セクハラを始めとする暴力、ハラスメントをなくそうと立ち上がっていることは希望です。
こうした声を受け、私たち日本共産党も、昨年十二月十七日、厚労省に、職場におけるハラスメントをなくすための実効ある法
整備を求める申入れを行いました。
ハラスメントは、働く人の尊厳、人格を深く傷つける行為です。
被害者は心身を壊し、休職、退職にまで追い込まれています。
総理、ハラスメントが一人の人間の人生を狂わせる深刻な問題だという
認識をお持ちでしょうか。
昨年は、ILO総会でも、労働の世界における暴力、ハラスメントの除去に関する条約が
議題になりました。ところが、日本
政府はこのとき態度を保留したという。こうした人権問題に消極的な日本
政府の姿勢こそ、国内でのハラスメントを助長していると思いませんか。今年採択されるであろうこの条約には、必ず日本も批准するべきです。
総理の答弁を求めます。
何より重要なのは、セクハラやパワハラを明確に禁止する国内法の
整備です。日本が国際的にもハラスメント規制の後進国となっている
事態を打開するために、あらゆるハラスメントを禁止する禁止規定の法
整備を求めます。
最後に、施政
方針演説の中で、
総理は、世界から
信頼される日本をとおっしゃいました。しかし、国の信用に関わるデータは改ざんされ、隠蔽され、人権感覚は世界からはるか立ち遅れたまま。そんな
総理の下では、到底世界から
信頼されることはありません。
今年、このような
安倍政権を終わらせるため、日本共産党は市民と野党の皆さんと力を合わせて頑張り抜く決意を申し上げ、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕