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2019-04-11 第198回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十一年四月十一日(木曜日)    午前十時十分開会     ─────────────    委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      小野田紀美君     山東 昭子君      自見はなこ君     有村 治子君  四月十日     辞任         補欠選任      有村 治子君     猪口 邦子君      石井 準一君     進藤金日子君      山東 昭子君     今井絵理子君      榛葉賀津也君     礒崎 哲史君  四月十一日     辞任         補欠選任      猪口 邦子君     藤末 健三君      進藤金日子君     佐藤  啓君      野上浩太郎君     森屋  宏君      礒崎 哲史君     古賀 之士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井 正弘君     理 事                 藤川 政人君                 和田 政宗君                 牧山ひろえ君                 矢田わか子君     委 員                 猪口 邦子君                 今井絵理子君                 岡田  広君                 佐藤  啓君                 進藤金日子君                 豊田 俊郎君                 野上浩太郎君                 藤末 健三君                 舞立 昇治君                三原じゅん子君                 森屋  宏君                 難波 奨二君                 礒崎 哲史君                 木戸口英司君                 古賀 之士君                 竹内 真二君                 西田 実仁君                 清水 貴之君                 田村 智子君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    山本 順三君    事務局側        常任委員会専門        員        宮崎 一徳君    政府参考人        内閣官房情報通        信技術IT)        総合戦略室次長  矢作 友良君        内閣大臣官房        審議官      松尾 浩道君        警察庁交通局長  北村 博文君        金融庁総合政策        局参事官     中村  修君        法務大臣官房審        議官       保坂 和人君        国土交通省自動        車局次長     島  雅之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  )     ─────────────
  2. 石井正弘

    委員長石井正弘君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、小野田紀美さん及び自見はなこさんが委員辞任され、その補欠として山東昭子さん及び有村治子さんが選任されました。  また、昨日、榛葉賀津也君山東昭子さん、有村治子さん及び石井準一君が委員辞任され、その補欠として礒崎哲史君、今井絵理子さん、猪口邦子さん及び進藤金日子君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  道路交通法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房情報通信技術IT総合戦略室次長矢作友良君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 おはようございます。自由民主党の豊田俊郎でございます。  道路交通法改正案に関する質問を何点かしたいというふうに思います。  国会議員になりまして、秘書を雇うというか、雇用をいたしまして、実は、私の家にマニュアルの車、いわゆるギアの付いた車があるんですけど、家で、秘書が来まして、その車ちょっとどかしてくれと、こう言ったんですけれども、いや、僕はこの車運転できませんで、運転できない、要するにノークラッチの車しか運転したことないんですね、ですからそのマニュアルの車が操作できないと。おまえ、じゃ、免許証は持っているのかと言ったら、いや、持っていますと言うんですけれども、時代はどんどん移り変わっていくんだなと。  今回のこの改正でございますけれども、まだ見たことのない状況下での法整備ということになるのかなと、大変空想世界議論をするような、そんなイメージすら覚えたわけでございますけれども、審議に入る前に、自動車をめぐる情勢について確認をしておきたいというふうに思います。  昨年の四月に日本自動車工業会が発表した二〇一七年度乗用車市場動向調査によると、車を保有していない十代から二十代の社会人などのうち、車を購入したくないと考える層が五割を超えたとのことでありました。若者の車離れが言われて久しい昨今ですが、近年における運転免許取得者数はどのように推移しているのでしょうか。警察庁にお伺いをいたします。
  7. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  運転免許を有していない者で新たに免許を取得した者の数は、過去五年間で、平成二十六年が百二十一万二千七百六十三人、平成二十七年が百二十一万五千九百二十六人、平成二十八年が百二十一万六千六百三十五人、平成二十九年が百二十一万五千六百六十二人、平成三十年が百十八万四千四百六十四人となってございまして、平成二十六年から平成二十九年までが百二十一万人台で推移し、昨年は約三万人少ない百十八万人台となってございます。
  8. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 今の数字を聞きますと、今後、我が国における若年層の人口は減少傾向にあるわけでありまして、加齢により免許を、運転をやめる方も増えることが予想されますが、人々生活において自動車は今後とも重要な役割を担っていると考えられます。  私は、昨年でございますけれども、建設機械メーカーのコマツという会社があるんですけど、油圧ショベルなどの建機農機遠隔操縦自動運転を行う実証実験を実際に見てまいりました。センサーによる地形計測やAIを用いた画像分析などの先進技術を使って無人運転を行う様子を間近に見せていただいたんですけど、非常に感銘を受けました。  産業界人手不足等も勘案すれば、こうした自動運転技術の導入は積極的に進めていくべきであり、政府高度自動運転システムに関わる走行環境整備を図るための法整備を進めようとしていることは誠に時宜にかなったものであると思われます。  そこで、今回の道路交通法改正案を提出された目的や意義について、大臣に改めて御説明を願います。
  9. 山本順三

    国務大臣山本順三君) お答えを申し上げます。  自動運転につきましては、その技術上の安全性が十分に確保されることにより、運転者のミスに起因する交通事故の削減や交通渋滞の緩和に資するものと考えられております。また、自動運転車による新たな移動サービスが国民の生活や物流の新しい足となることで、人々の暮らしの基盤を支えるものとなることも期待をされておるところでございます。  昨年六月に決定された官民ITS構想ロードマップ二〇一八では、自動運転に関する技術開発進展等を前提に、二〇二〇年を目途にいわゆるレベル3の自動運転システムについての走行環境整備を図る旨が示されているところでございます。  また、現在、実験施設全国各地の公道で自動運転技術実用化に向けた多くの実証実験が行われておりまして、国内外のメーカーにおいては二〇二〇年を目途に、いわゆるレベル3の自動運転システムを備えた自家用の自動運転車実用化する目標を掲げて技術開発が進められているところでもございます。  今回の道路交通法改正は、このような背景の下、道路運送車両法改正と相まって、いわゆるレベル3の自動運転車が安全に道路を走行することができるよう道路交通法規定整備するものでございます。
  10. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 実証実験各地で行われているということでございますけれども、実際私も映像でしか見たことがないんですけど、大臣は既に乗車なさったということも伺っておりますけれども、まさにまだまだ国民的な立場からすればなかなか想像の世界でしかないということだろうというふうに思います。  そんな中で、法案を読ませていただいたんですけど、その中で幾つかお聞きをしたいことがございますので、その件についてお聞きをしたいというふうに思います。  今回の改正案は、条件付運転自動化となる自動運転、今大臣おっしゃったレベル3の自動運転車対応するものであります。しかし、レベル3の車は、自らの意思運転の全操作を行う通常の車と違い、自動運転中に、自分の意思とは関係なく、自動運行装置からの要請に応じて直ちに運転者本人による運転に移行せざるを得ない場面があると承知をいたしておるところでございます。  このような場合ですけれども、円滑に運転操作を引き継ぐことができるよう、レベル3の車を利用する運転者に対しては、通常運転技能に加えて、自動運転システム特有操作や挙動における留意点などについて事前に何らかの形で十分な説明がなされる必要があると思いますが、どのような形で周知徹底を図ることを考えておるのか、伺いをしたいというふうに思います。
  11. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答えいたします。  二〇二〇年目途実用化が期待されております自動運転車は、いつでもどこでも制限なく安全な自動運転を行える技術水準にはまだないというふうに見込まれることから、安全性確保のためには、その性能に応じまして、速度でございますとかルートでございますとか天候、時間等の走行環境条件を設定し、使用される走行環境を制限することが重要だと考えてございます。  委員指摘のとおり、安全確保のためには自動車ユーザーが正しい理解に基づき適切に自動運転車使用することが重要でございまして、この観点から、走行環境条件内容や、条件内でのみ自動運行装置使用できることをユーザー周知することが必要だと認識してございます。  また、国土交通省におきましては、交通政策審議会の下に設置されました学識経験者等から構成されます自動運転等先進技術に係る制度整備小委員会が本年一月に取りまとめました報告書におきましても、使用者等走行環境条件や、その走行環境条件内にある場合のみ自動運転システム使用できることなどを確実に把握できる仕組みを検討すべきというふうにされたところでございます。  このため、国土交通省としましては、自動運転車使用者システム使用方法でございますとか走行環境条件の範囲でございますとか機能限界システムによる運転の継続が困難になった場合の運転引継ぎが必要になるといったことなどを理解ができますよう、自動車メーカー等に対しまして、販売店を通じました周知徹底でございますとかオーナーズマニュアルへの記載等について働きかけてまいりたいと思っております。
  12. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 いつでもどこでも誰でもということになりますと、これは相当時間を要するのかなと、そんな思いで今の答弁聞かせていただいたんですけど、自動運行装置使用条件を満たすか否かのその判断基準、ここのことについてお伺いをしたいというふうに思います。  自動運行装置使用して自動車運転する場合の運転者の義務についてでございますけれども、設置される第七十一条四の二では、自動運行装置使用条件を満たさない場合には当該自動車運転してはならないこととしております。第百十九条では、これに違反した場合、三か月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処することとされております。  自動運行装置使用条件については道路運送車両法に基づいて別途国土交通省が設定することとなりますが、国土交通省では、道路条件一般道路とか高速道路とか道路条件などのほか、気候条件、天気が雨なのか晴れなのか台風なのか、この気候条件などを設定することを想定していると伺っておるところでございます。  今回の改正案では、第百十九条第二項により、過失によって自動運行装置使用した場合の罰則も定められておりますが、特に天候などの気象条件や、渋滞中か否かなど、使用条件を満たしている状況の中、判断が難しい場合も考えられると思います。  警察庁では、運転者使用条件内か条件外かをどのように判断するものと想定しているのでしょうか。過失犯処罰規定も設けられた理由と併せてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  13. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  委員指摘のとおり、今回の道路交通法改正におきましては、自動運行装置を備えている自動車運転者は、その自動運行装置使用条件を満たさない場合にはそれを使用して自動車運転してはならないという規定を設けております。また、罰則についても御指摘のとおりでございます。  自動運行装置使用条件でございますけれども、これは装置種類ごと、要は車種ごと国土交通大臣が付するということになってまいりますが、委員指摘のとおり、例えば高速道路上という条件であれば自明というものもありますれば、渋滞あるいは天候といいましたように運転者にとりまして必ずしも判断が容易ではないという条件もあるところでございます。  いわゆるレベル3の自動運転におきましては、自動運行装置がこの使用条件の外となるという場合、また自動運行装置が故障したというような場合には、運転者に対しまして音声、光あるいは振動などによりまして引継ぎ要請するというシステムとなってございます。  今回の道路交通法改正におきましては、自動運行装置使用条件外使用を禁止しているところでございますが、その使用条件の内か外かということは自動運行装置からの引継ぎ要請を通じて運転者判断することができるということになると考えてございます。この場合におきまして、引継ぎ要請に気付いて使用条件外であるということを承知した上で、なお自動運行装置使用する場合、こちらを処罰対象としておりますが、それに加えまして、漫然と運転しているというような場合に、引継ぎ要請があったにもかかわらず、これに気付かないで結果的に使用条件外自動運行装置使用すると、してしまうという場合も考えられるということでございまして、それが御指摘過失犯処罰規定を設けました理由でございます。
  14. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 大変難しい判断になるんではないかなと、レベル3の車ということの中での対応。これがレベル4、またレベル5ということになってくると、またいろんな対応が必要になってくるんではないかなというふうに思います。  少し視点を変えまして、次に運転免許証自主返納運転経歴証明書についてお伺いをいたしたいと思います。  これまでの道路交通法改正により、身体機能低下などを自覚した場合に運転免許証自主返納できることとし、自主返納により身分証明書がなくなってしまうとの懸念対応するため、希望者運転経歴証明書交付する制度が導入されています。  高齢化が進んでいく中において、自動車運転を行うことが難しくなる方が増えていくことが想定されています。高齢ドライバーによる交通事故防止観点から、身体機能低下等により運転が難しくなった方については交通事故に至る前に免許自主返納していただくことが必要となる場合があり得る、起こると考えております。  平成二十九年に警察庁有識者会議において取りまとめられた高齢運転者交通事故防止対策に関する提言では、高齢運転者交通事故防止に向けて取り組むべき方策の一つとして自主返納促進が掲げられ、更なる広報啓発活動の強化、運転免許証がなくても高齢者が安心して暮らせる環境整備などを進めていくとされております。  そこで、現在の自主返納件数運転経歴証明書交付件数、また高齢者免許保有者に関わる返納率について、数字があれば御答弁を願いたいというふうに思います。加えて、今回措置される運転経歴証明書に関する規定整備により自主返納促進がどのような効果があるとお考えか、併せてお伺いをしたいと思います。
  15. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  まず、自主返納に関してお答えを申し上げます。  平成三十年中の運転免許証自主返納件数でございますが、四十二万一千百九十件でございました。このうち、七十五歳以上の高齢運転者の方の自主返納件数は二十九万二千八十九件でございました。平成二十九年末に七十五歳以上の運転免許保有者数、これで先ほどの数字を割り算をいたしますと、その比率は五・四%となってございますので、七十五歳以上の運転免許を持っていらっしゃる方のうち五・四%の方がこの一年間で免許証自主返納されたという形になります。  次に、運転経歴証明書につきましてお答えを申し上げます。  平成三十年中の運転経歴証明書交付件数は三十五万八千七百四十件でございました。このうち、七十五歳以上の方への交付件数でございますが、二十四万四千七百二十六件でございました。  次に、今回の運転経歴証明書に関する道路交通法改正に関連いたしましてお答えを申し上げます。  今回の道路交通法改正では、これまで自主的に免許証返納した自主返納者のみが運転経歴証明書を受けられるという現在の制度を改めまして、運転免許証を更新しなかった方についてもこの運転経歴証明書を受けることができるようにしているところでございます。自主返納という形を取らなくても、すなわちわざわざ自主返納をしなくても運転経歴証明書を受けられるようにするということになりますので、運転免許証を更新することなくそのまま失効させるという形で運転から離れるという選択を促す効果があるというように考えてございます。  また、今回の改正によりまして、運転経歴証明書交付申請先住所地公安委員会に変更いたしますので、このことは、自主返納した後で引っ越し、転居をしたという方が運転経歴証明書を入手するのに簡便になるという効果もあるものと考えてございます。
  16. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 七十五歳以上のうち五・四%の方がこの返納の手続ということですけど、まあ数字的にこれが多いのか少ないのかということは議論の余地がないというふうに思いますけれども、数字を見る限りは一定の人たちがこういう行動に出ていることがうかがえるわけでございますけれども。  実は、自治体では、免許自主返納し、運転経歴証明書交付を受けた方を対象優遇措置を設けております。例えば、私の住む千葉県でございますけれども、自治体公共交通機関の乗車時の運賃割引、また一部スーパーでの荷物配送サービス優遇措置などが利用可能となっております。自主返納に関して自治体で行われている優遇措置としてほかにどのようなものがあるのか、把握されているのであれば教えていただきたい。  また、自主返納促進のためには、自治体が行っている優遇措置について広報啓発を進め、高齢ドライバー公共交通機関が利用しやすくなるなどといったメリットを認識していただく必要があるのではないかと考えております。警察庁取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
  17. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  運転免許証返納しやすい環境整備を図るということは大変重要な課題であると認識いたしております。都道府県警察におきましては、このような自主返納者への支援措置、これは自治体が行っているものもございますし、民間事業者が行っているものもございますが、自治体、また民間事業者に対しまして、そうした支援措置が充実したものとなるように働きかけを行っているところでございます。  具体的な自主返納者への支援につきましては、都道府県警察都道府県市町村等自治体、また交通安全協会民間事業者、あるいはこれらが連携をするというような様々な形で行われているところでございまして、具体例を幾つか申し上げますと、委員指摘のバス、タクシーなどの交通機関割引反射材などの交通安全グッズの贈呈、商品購入時の割引施設入場料割引廃車費用優遇定期預金金利優遇など、官民で様々な支援が行われているところでございます。  また、委員指摘のとおり、これら支援について広報啓発を行うことも重要でございますので、警察におきましては、自治体民間事業者等支援内容をホームページに掲載しておりますほか、広報用パンフレットを作成するなどして地元の方々の周知に資するように努めているところでございます。  今後とも、自主返納者支援の拡充、また周知につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
  18. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 各自治体ではいろんな取組を行っていると。そうですか、定期預金金利優遇措置を講じている自治体もあるんですか。また詳しく教えていただければというふうに思います。  最後の質問になりますけれども、先ほど述べましたとおり、運転経歴証明書身分証明書がなくなってしまう懸念対応したものであります。運転免許証運転経歴証明書身分証明書としての利用が広く行われております。  一方では、現在、身分証明書として利用可能なマイナンバーカードが導入され、政府はその普及を進めていると承知をいたしておるところでございます。  マイナンバーカード普及を進める立場から運転免許証マイナンバーカードを統合するとの声も上がっているのかどうか。この辺は声もあるというふうに私自身は感じていますが、その検討状況、また課題について、あればお伺いをしたいというふうに思います。
  19. 北村博文

    政府参考人北村博文君) 運転免許証マイナンバーカードの統合という意見があるということは承知いたしております。  しかしながら、運転免許証には、マイナンバーカードに記載されております本人の氏名、住所、生年月日というような情報のほかにも、運転免許証交付年月日運転免許証有効期間運転免許種類運転免許条件などが表示されているところでございます。このような運転免許証記載事項を確認することができるということで、交通違反あるいは交通事故があったその現場におきまして、警察官は容易に交通取締り対象となった者あるいは交通事故を引き起こした者の運転免許の有無でありますとか運転免許条件というものを現場で確認することができるということになってございます。  運転免許証マイナンバーカードを統合するということになりますと、現在の運転免許証に記載されておりますそうした事項マイナンバーカードの券面に併せて表示するということができるかどうかという問題がございまして、なかなか容易ではないという部分がございます。  そうは申しましても、マイナンバーカード普及ということも必要でございまして、そうした観点から、警察におきましては、運転免許センターなどにおきまして、マイナンバーカード取得促進するような広報というようなことにつきまして、関係省庁とも連携して進めてまいりたいと考えているところでございます。
  20. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 昨日のニュースでブラックホールの映像が、我々の、実際に、画面を通してですけれども、空想の世界が現実味を帯びてきたというニュースも流れておりましたけど、まさにこの自動運転、私たちが子供の頃出て読んでいた漫画本の世界、こういう世界がだんだん具現化に近づいてきている今の日本、世界状況下だろうというふうに思います。  時代に即した法整備というものは欠かせない、不可欠な要因だというふうに思いますので、更なる研さんを積んだ中で法の整備をきちっとしていくことが大事だということを述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  21. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 立憲民主党・民友会・希望の会の牧山ひろえです。  本日は、道路交通法の一部を改正する法律案に対する質疑を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。  今回の改正案では、ドライバーが運転している際のスマホなどのながら運転、これを厳しくしています。電話が単なる通話のツールではなくて、アプリによってカーナビとしての機能、高いレベルで果たせるようになった現在ですけれども、自動車運転と携帯の使用に関しては、こういうことになりましたので、よりしっかりとしたルール付けが必要になります。  自動車運転と携帯の使用に関しまして、運転中の携帯電話等の使用禁止と一口で言いますけれども、何が違反で何が違反でないか、ドライバーにとって極めて分かりづらいという問題がございます。通話や画像注視が罰則対象となっていますけれども、処罰される注視は二秒以上というのが目安となっているそうです。また、手に持たなければ、携帯の画面を見ていても交通の危険を生じさせない限り罰則対象になっていないということですけれども、運転中の携帯電話の操作も単独では罰則対象となっていないのが現状でございます。  このような複雑な携帯電話に関するルールはどこまで周知されていると当局は認識されているでしょうか。
  22. 山本順三

    国務大臣山本順三君) お答えをいたしたいと思います。  道路交通法第七十一条第五号の五では、自動車等の走行中に、携帯電話などの無線通話装置を通話のために使用し、又はカーナビやスマートフォンなどの画像表示用装置に表示された画像を注視することが禁止されているということでございます。  自動車等の走行中の携帯電話使用等につきましては、これまでその危険性について警察庁のウエブサイトに掲載いたしましたり、あるいはまた関係事業者と連携して広報を実施するなど周知に努めてきたところでございます。  平成二十九年に内閣政府広報室が実施した運転中の携帯電話使用に関する世論調査によれば、あなたは運転中にスマートフォンなどの携帯電話を手に持って通話をしたり、その画面をじっと見たりすると処罰される可能性があることを知っていましたかというような、そういう問いに対しまして、八六・三%が知っていたというふうに回答をされたところでございます。  したがって、国民の多くは自動車等の走行中に携帯電話使用等が禁止されていることを知っているものと認識をしておりますけれども、こうしたことを踏まえまして、携帯電話を使用しながら運転する行為は重大な交通事故につながり得る危険な行為であるということについて、引き続き、積極的な広報啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。
  23. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 運転中の携帯禁止ということは多くの人は知っていると思うんですけれども、私が問題としているのは、禁止の中身、処罰される行為が具体的かつ正確に周知されているかどうかということなんですね。到底私は周知されているというふうには思えないです。  ルール違反を減少させるには、大前提としてルールの周知が必要ですし、先ほど警察庁のウエブサイトの件がありましたけれども、どれだけの方が警察庁のウエブサイトを見て自分で調べているかといったら、余りいないんじゃないかなと思います。例えば、免許取得時や免許更新の際の違反者講習などで、こういったルールにつきましてもう少し分かりやすく、かつ時間を掛けて説明する必要があると思いますし、そういった方法で改善が必要なのではないかなと思います。  ルール設定につきましては、取り締まる側にとっての分かりやすさ、これが重要となってくると思います。二秒の注視といっても判定が極めて微妙で、取り締まられる側にとっても納得のいきづらいものじゃないかなと思うんです。人によって解釈が異なる曖昧さは、私はルールとして適切ではないと思っております。  ここで質問ですが、運転中の携帯電話等の使用禁止という趣旨に近く、また簡素で分かりやすい基準が求められていますが、それにはやはり二秒間の注視などという分かりづらい時間を基準とする曖昧な動作ではなくて、現在は処罰要素となっていない携帯電話の操作そのものを基準の一つとして検討すべきではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  24. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 現在の道路交通法におきましては、画像表示用の装置について、装置を手で保持して、今おっしゃったように注視をすることが罰則対象となっているところでございます。自動車運転においては、運転者は前方や周囲の状況に注意を払ってハンドルやブレーキなどを確実に操作する必要がございます。この観点から、画像表示用装置を手で保持をして、表示された画像を注視することを禁止、処罰することは合理的であるというふうに我々考えておるところでございます。  画像表示用装置の注視に代えて、操作に限定して処罰することとした場合でございますけれども、そのときには、画像表示用装置操作はしないものの映像などを注視する行為が罰則対象外となってしまうおそれがあり、交通の危険が生じるものというふうにも考えているところでもございます。  なお、今回の罰則の引上げに伴いまして禁止処罰対象となる携帯電話使用等の内容につきましては、改めて周知に努めてまいりたいと、このように思っているところでございます。
  25. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 繰り返しになりますけれども、やっぱりルールは簡素でなくてはいけないと思いますし、二秒間の注視といっても非常に曖昧な部分がありますので、やっぱりこれは改善して、私の提案を前向きに聞いていただければと思います。  道路交通の安全ということに関連して、交通違反点数制度について次にお伺いしたいと思います。  点数の回復があったり、一定期間無事故無違反の場合の特典があるなど極めて複雑な仕組みとなっておりますが、運転者が、現在自分の違反点数が何点ぐらいなのか、何点なのか、今までの違反経歴やあるいは事故経歴がどのようなものなのか御自身で把握しようとしても、実は簡単ではないんですね、簡単にはできないんですね。  違反経歴を知るためには、例えば自動車安全運転センターにおいて運転記録証明書というものを発行してもらう必要があります。申請方法としましては、警察ですとか交番で申請書をもらって最寄りの郵便局から申込みを行うか、若しくは全国の自動車安全運転センターの受付で申込みをする必要があるんですね。時間と手間だけではなくて、これには手数料が掛かりますし、決して安くない手数料だというふうに聞いております。  自分の違反点数が現在何点なのか、今までの運転経歴の中で自分がどれぐらいの頻度で違反してどの程度の違反をしたかということをその運転者がちゃんと自覚して認識すること、これはやっぱりその方の安全意識の向上につながると思うので、いかがかなと思います。当局の認識を是非お伺いしたいと思います。
  26. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 委員指摘のとおりでございまして、運転者が自らの交通違反の点数の状況とかあるいはまた違反、事故の状況を自覚することは運転者の安全意識の向上に資するものであると、このように我々も考えているところでございます。  現在、運転免許の停止処分の直前の点数となった方に対しましては、書面により累積点数の通知が行われ、安全な運転を呼びかけているところでございまして、累積点数通知書というものが御本人に届くようになっております。  また、自らの違反、事故等の記録や累積点数につきましては、今ほどお話があったとおり、各都道府県自動車安全運転センターに申請することにより証明書が発行され、安全運転に活用されている運転記録証明書ということでございまして、それについて今ほどお話があったように、手数料が掛かる、あるいはまた手続が面倒である等々のお話があるということを今お伺いいたしましたけれども、我々としては、そういう制度がございますので、引き続き、警察関係機関においてこうした制度の活用と周知に努めるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  27. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 運転者各自の安全意識の向上というだけではなくて、国民が自らの記録に安易にアクセスできないという現状もやはり問題だと思います。  現在、運転免許はICカード化されており、マイナンバーの活用も進んできています。これらの技術も活用して、将来的には運転者一人一人が自らの交通違反点数記録に現在よりもより容易にアクセスできるように検討を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。国家公安委員長、是非お願いします。
  28. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 自動運転が具体的に我々の目の前で動き始めたという時代でありますから、今、牧山委員おっしゃるように、今後、いろんな時代に即応したいろんな対策を講じていく、その中ではより利便性を追求していくということも極めて重要であろうかとは思っております。このことについては、将来課題として勉強していきたいというふうに思っております。
  29. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。是非前向きに考えていただきたいと思います。  違反したときはもう二度とこういうことを繰り返さないというふうに固く決意するんですけれども、時とともに記憶そして決意は薄れてくるものだと思うので、点数履歴に容易にアクセスできるということは、やっぱり違反時の決意を持続させるためにも役に立てるんではないかなと思います。  去年の九月、福井県内で僧侶の衣服である僧衣姿で車を運転していた方が警察官に停止を求められていました。運転に支障を及ぼすおそれのある衣服の着用に当たるとして交通反則切符を切られたという、そういった事例、テレビ等で御覧いただいたと思いますが、この件につきましてはネット上でも賛否が飛び交って、僧侶は納得できないとして反則金の支払を拒否しています。結局、福井県警は、証拠不十分で違反事実が確認できなかったとしてこの件を送検しなかったんですね。  道路交通法第七十一条第六号では、都道府県公安委員会は必要に応じて運転者の厳守事項を定めることができる旨規定されており、福井県では道路交通法施行細則において、運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物又は衣服を着用して車両を運転することを禁止しているというふうに承知しております。しかし、この衣服についての規定を持つ都道府県というのは福井県合わせて全部で十五県しかないということが分かりまして、都道府県によって僧衣での運転の可否が異なるという可能性が出てくるわけです。  本来、道路交通法上の規制の対応につきましては、地域差が生じることは混乱を招きかねないと思うんです。警察庁は、この件について何らかの統一的な指針を示すべきではないかなと思います。県をまたがって同じ衣服でずっと運転し続ける方だっていらっしゃるし、ここでは大丈夫で、ここでは大丈夫じゃないからということが起きると、非常に混乱が起きると思いますので、是非見解をお願いしたいと思います。
  30. 山本順三

    国務大臣山本順三君) おっしゃるとおり、今回の福井県の事例につきましてはいろいろな反響がございまして、私もその様々な動画も見せていただきました。  その中で、まず押さえておかなければならないことは、道路交通法第七十一条の第一号から第五号の五までにおいては、運転者の遵守事項として、携帯電話を使用しないこととか、あるいはまた、通学通園バスの側方を通過するときには徐行して安全を確保するなどを定めておりまして、これに加えて、同条第六号において、各地域における道路上の危険を防止し、交通の安全を図るため、各都道府県公安委員会運転者の遵守事項を定めることができるというふうにされておるところでまずございます。  この規定を受けまして、一部の都道府県公安委員会規則では、運転者の遵守事項として、運転操作に支障を及ぼすおそれのある衣服を着用して車両を運転することを禁止する旨が規定されていると承知をしておりますけれども、このような行為を禁止するかどうか、禁止するとしてどのように規定するかということにつきましては、各都道府県警察においてそれぞれ適切に判断し、また対応すべきものであるというふうに考えております。  なお、衣服に関する運転者の遵守事項の定める規定を設けていた福井県警察では、この規定につきまして改善の余地がないかどうか検討した結果、これを削除したものと、このように伺っておりまして、福井県警察対応につきましては、本年三月、警察庁から同様の規定を有する他の県警察にも連絡して情報の共有ということに努めているところでございます。
  31. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 先ほど別の質問に対する御答弁の中で、時代の流れによっていろんなことを対応していかなきゃいけないという御答弁をいただきましたけれども、今や外国人労働者の流入やインバウンドの振興につれて、日本国内で自動車運転する外国人はますます増えていくと思うんですね。それらの方々がまとう衣装の問題にもつながる論点だと思いますので、今の段階でしっかりと統一した基準を決めていく、そのことが私は今や大事ではないかなと思います。  今回の改正には、自動車自動運転技術実用化対応するための規定整備も含まれています。自動運転の実現に向けた取組を進展させることは、我が国の自動車産業の国際競争力を維持するためにも必要であることを認識しています。  道路交通法は、運転中にスマホを操作したりすることを禁止しています。今回の改正案において、自動運転中の運転手には、第七十一条第五号の五に規定する携帯電話使用等の禁止規定を適用しないことが可能とされています。ただし、自動運転条件を満たさなくなった場合などにおいて、直ちに適切に対処することができる態勢でいるなどの場合に限るとのことなんですね。  スマホ操作に関して明らかにされていますけれども、自動運転時に許容される運転以外の行為にはいかなるものがあるのでしょうか。例えば、運転席での読書ですとか、あるいはパソコンの作業、あるいはお食事などといったように、こういったものについても認められ得るということでよろしいんでしょうか。
  32. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  自動運転のための自動運行装置、これを用いまして自動運転をしているときに運転操作以外にどのような行為が認められるかというお尋ねでございますが、このことにつきましては、自動運行装置ごとに、すなわち車種ごとということになりますが、国土交通大臣から付されます使用条件、またそれぞれの自動運行装置の性能によって異なるということになります。  どのような行為が自動運転中に許されるか、認められるかということにつきましては、一つには、自動運行装置がどの程度の猶予時間を持って運転操作を引き継ぐべき要請をするかということ、またもう一つには、自動運行装置引継ぎ要請が音、音声、光、振動などでございますが、それらをどのような状態の運転者であれば認知することができるのかというような、自動運行装置の性能に応じて異なるということでございます。  したがいまして、お尋ねにありましたような読書ができるのか、パソコン作業、食事はいかがかというように、ある特定の行為というものを類型化しまして、これを一律に許容される、あるいはされないと説明するということはかえって誤解を招くことにもなりますので、適当ではないと考えております。  しからば、どう判断するかということになりますけれども、今回の道路交通法改正におきまして対象としておりますレベル3の自動運転というものは、国土交通大臣が付しましたところの走行条件の外に出るときにはシステムから運転者が確実にこれを引き継がなければいけないというものでございますので、その引継ぎが確実にできるかどうかということが判断基準でございます。  具体的に申し上げますと、一つには、自動運行装置から発せられます運転操作引継ぎ要請、これに確実に気付くことができる状態であるのかどうか、もう一つには、それに気付いたという場合に、運転者が直ちにハンドル等を適切に操作することができる状態にあるかどうかということでございます。  行為の形態ではなく、今申し上げましたような確実に自動運行装置から引継ぎをできる状態にあるかどうかということをもって行為が許容されるかどうかの判断ができると考えているところでございます。
  33. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 システムによっては許容されることもあり得るということかと思いますけれども、自動運転システムごとにルールが異なってくるのではやっぱり混乱が生じると思うんですね。なので、自動車運転システムレベルを何段階かに分けて、段階ごとにルールを設定するなどの工夫が必要なんではないかなと思います。  こういった改正によって可能になる事項については、ドライバーが直ちに運転を引き継ぐことができる状況、具体的にはドライバーが直ちに適切に手動運転に対処できることが前提条件とされていますが、直ちに適切にとは具体的にどの程度のタイムラグを許容するんでしょうか。
  34. 北村博文

    政府参考人北村博文君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、いわゆるレベル3の自動運転におきましては、自動運行装置使用条件外となる場合、また自動運行装置が故障したというような場合には、運転者に対しまして音や光等によって引継ぎ要請するというものになってございます。運転者は、この引継ぎ要請を受けまして運転操作に戻り、使用条件外となったときには御指摘のとおり直ちに適切に対処できる状態でいることが必要となります。この場合におきまして、直ちにというのは、使用条件外となった時点以降、まさしく直ちにということでございますので、間髪を置かずにということを意味いたしております。  しからば、それを運転者が確実に行うことができるのかということが問題になるわけでございまして、それが確実に行うことができるように、自動運行装置からの引継ぎ要請につきましては十分な時間的余裕を持って行われることになるものと承知いたしております。現在、例えば何秒あれば十分な対応ができるのかという観点で、国際連合欧州経済委員会の部会においても議論がなされているというふうに承知いたしております。
  35. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 利用者の混乱を避けるためにも、具体的な指針を警察庁は示すべきだと思います。  改正案によると、自動運転中とそれ以外で運転手が行うことのできる行為が一部異なることになりますけれども、自動運転中なのか、それとも運転手自らが運転中なのか、車の外から確認できなければ道路交通法に違反しているかどうかというのは見極めることは困難だと思うんですけれども、これについても質問したかったんですけど、時間となりましたので、終わります。
  36. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  今回の道路交通法改正、これは大きく二つの柱、一つは自動運転への対応と、携帯電話使用罰則の強化ということが中に入っているかと思います。  今日は、中心としてこの自動運転に関わる部分で質問をさせていただこうと思っておりますけれども、今から十年前、二十年前に自動運転の車に乗れる時代が来るということをどれだけの人が頭の中で想定をしていたのかといえば、きっとまだ遠い将来の話ということだったんだろうと思います。でも、今や現実的に、今、目の前に自動運転の車というものが走るというのがだんだんだんだんイメージできる時代になってきたんだと思います。  でも、じゃ、その自動運転の車って実際にどんな車なんだろうというののイメージは皆さん一致しているのかというと、きっと一致しているようでまだまだそこには開きがあるのかなというふうにも思います。まさに、これから新しい時代になって、誰もが経験したことがない環境への対応に向けて今回の法改正がされているというふうに私は認識をしておりますので、やはり、何よりもその環境を、最終的にそういう環境になる、そうした環境の中で皆さんが正しい認識を持つということ、これが大変重要だと思います。  正しい認識を持たずに何か物事が動けば間違った感覚というものを持ってしまうかもしれませんし、最悪の状態としては、それこそ自動運転の車というのは実は危ないものなんじゃないかなんという認識が高まってしまえばこれはまた違うことになりますので、そうではなくて、やはり正しい認識をしっかりと皆さんが持って運用していく、あるいは活用していくということが私は大切だと思っておりますので、今日はこの法改正の中身について正しい認識を持てるように、そうしたやり取りを是非させていただければと思っております。  今回、道路交通法改正と併せまして車両側の道路運送車両法改正もされておりますので、まずはその二つの改正、今回別々に法案審議が進んでいくんですが、個人的にはこれ連合審査した方がよかったんじゃないかなと思うぐらい密接に関係してくる中身でもあります。そうはいってもそれぞれでやりますので、それぞれの場でしっかりと議論を深める必要があると思いますが、ちょっと大きな枠組み、その前提の認識をまずは確認するという意味で、国交省さんの方にも来ていただいておりますので、道交法、それから道路運送車両法、それぞれの改正の中身について最初にお伺いをしたいと思います。  お手元の方に資料をお配りをいたしておりますけれども、一枚目の資料は自動運転レベルの定義ということで、これはグローバルで既に確認がされている内容、当然日本もそれに準拠をした形でこのレベルのゼロから5というものが設定されているので、参考ということで改めてお手元の方に皆様にはお配りをさせていただきました。  あわせて、二枚目の資料でありますけれども、横軸に時間軸が記載をされているものです。これは、内閣官房、官民ITS構想ロードマップというものが既に発表されておりまして、その中から持ってきたものになります。政府が描いている完全自動運転実現化へのシナリオということでこうしたマップがありましたので、これも参考ということでお手元にお配りをいたしました。  で、最初の質問になるんですけれども、今のこの現実の、現実化に向けたシナリオの中の今どのフェーズにあって、法律としてはどの段階までを網羅している法律になっているのか、まずその点について、それぞれ国家公安委員長、それから国土交通省に確認をさせていただければと思います。どの段階、言ってみれば自動走行レベルとしてどこまでの対応が今回の法律でなされているのか、この点の確認をさせていただきたいと思います。
  37. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 今、我々の手元に配っていただきました自動運転レベルの定義という書類がございますけれども、我々、道路交通法改正におきましては、レベルでいきますと3のレベル、これがカバーできるような、そういう法案を今回提出しているというところでございます。
  38. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  政府では、先ほどの官民ITS構想ロードマップ二〇一八におきまして、二〇二〇年目途での高速道路におけます自家用車レベル3の自動運転、それから二〇二〇年までの限定地域でのレベル4の無人自動運転移動サービス実用化の目標を掲げてございます。この政府目標の実現に向けまして、今現在、自動車メーカーなどにおきまして技術開発が進められておりますほか、全国各地において様々な実証実験が行われているところでございます。  これらの動向を踏まえまして、今回の道路運送車両法改正案におけます装置として自動運行装置というものを設定させていただいて、レベル3とレベル4の装置対象としたものとしていきたいと思っておるところであります。  以上です。
  39. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ありがとうございます。  ということは、今回二つの法律、審議に入っていますけれども、かかっていますけれども、車両側という、技術動向ということでいけばレベル4、一部地域の走行ということにもなりますけれども、レベル4までを網羅したものということで、道交法についてはまだ、まだといいますかね、ちょっと失礼な言い方になりました、今回、基本、レベル3というのが対象になっているということで、若干そこには違いがあるということ、これは一つ認識として持っていきたいというふうに思います。  道路交通法について、今、基本、レベル3ということでお話をいただきました。先ほどの現実化のシナリオということでいきますと、レベル2までの対応、各種二〇二〇年代前半のところに書いてありますレベル2までの対応ということについては、それでいくと今回の法律で網羅をされているということで認識ができるんですけれども、その現実化シナリオの真ん中辺りになるんですが、物流サービスのところになるんですけれども、限定地域での無人自動運転配送サービスという記載があります。特にこれレベル4という記載はないんですけれども、無人自動運転ということでいくと、これやはり人が乗っていないということですから、レベル4への対応になるのかなというふうにも思うんですけれども。  そうしますと、今回の道交法の改正の中身でいきますと、こうした限定地域での無人自動運転の配送サービス、これへの対応というのはどのように認識をした上で今回の法改正につなげているのか、その点について確認をさせていただきたいと思います。
  40. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  委員お示しの資料、横長の資料、出典、官民ITS構想ロードマップ二〇一八の抜粋資料でございますが、一番左下の部分に公道実証という記載がございます。今現在、これがレベル4に相当しておるものを目指した実証実験でございますが、この公道実証実験につきましては、近い将来事業化が見込まれるレベル4の形態ということで、ここにも記載がありますが、遠隔型と書いてあります遠隔操作型のシステム使用いたしました無人自動運転移動サービス、これにつきまして、本年三月末現在で一都四県で道路使用許可、現行道路交通法上の許可制度を活用して実証実験が行われているところでございます。  ここで、その右側でございますが、二〇二〇年までとして、限定地域での無人自動運転移動サービスレベル4と記載ございますが、こちらにつきましても、政府におきましては、実用化の際に現在の実証実験の枠組みを用いるということで進んでおります。  したがいまして、道路使用許可という形で、現在の道路交通法の活用でこのレベル4の限定地域での無人自動運転移動サービスというものは可能であるということでございます。  警察庁におきましては、この限定地域での無人移動運転移動サービスのうち、遠隔型のものにつきましては許可の基準を作りましてこれを対外的にお示ししている、それに従って事業者の方々、これから取り組もうとされている方々が許可を受けやすいという形に努めているところでございます。  先ほど委員お尋ねのありました、その上の欄にあります限定地域での無人自動運転配送サービスにつきましては、この資料上には記載がございますけれども、いまだに実証実験等は行われておりません。これはいつ実用化されるのか、私の方では判然といたしませんが、実用化される前にはやはり実証実験というものを、つまり有人の形での実験でございますが、システム安全性を確認するための実証実験が必要になってくるだろうと思います。そういう話がございましたら、これもまた先ほど申し上げました道路使用許可の枠組みで対応する必要がございますが、これにつきましては、現在対外的にお示ししている許可の基準はございませんので、お話がありましたような無人配送サービスというものを実証実験したいということがありましたら、そのやりたいという形態をお伺いした上で、その業者だけ、あるいは研究者さんだけではなく、多くの方が参入できるような基準をつくって対外的にお示ししてまいりたいと考えてございます。
  41. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 そうしますと、先ほど私が指摘したところは今御回答いただいたとおりということで、これから必要性に応じて対応していただけるということです。  その前段のところで御説明をいただきました地域限定での無人自動運転移動サービスレベル4については、これはレベル4そのものを法律の中で規定するのではなくて、都度都度それに対応して中身については決めていくということで今お話をいただきました。  私も実際に実証実験やっている現場に行って、車に乗りました。ポイントポイントに全部警備員立っているんですよね。ほかの車が入ってこれないようにがっちりガードしているんです。事故が起きてはいけないですから。まあ実証実験中なので、それは確かにそのとおりなんですけれども。ただ、これ、実際に業者が自動のバスであったり、あるいは物流、物を運ぶ、そういうものを動かし始めたときに、引き続き安全性を確保するためにポイントポイントに人を置かなければならないというようなことになってしまっては、恐らくもう事業としては成り立たないんだというように思います。  そうしますと、より、今一つ一つを道路使用許可ですかね、道路使用許可で確認をしていくということで対応するということで、方策としてはあるということで確認はさせていただきましたが、実際にそれが現実的かどうか、手続含めて、内容含めてというところは今後しっかりと精査をいただきたいというふうに思いますし、あわせて、そういう手続の対応が大変時間掛かるということであれば、これはこれでやはり実用化に向けては足を引っ張る行為にもなってしまいますので、誰よりも望んでいるのは、なかなか交通が不便な地域の方たちだろうというふうに思います。是非とも、そういった地域の利便性が高まるように、警察庁の方でもいろいろと御検討をいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それで、次の質問なんですけれども、あわせて、今回のこの法改正におきまして、関係業者、自動車産業であったり、あるいは保険産業といったところがぱっと頭に思い浮かぶわけでありますけれども、そういった業界関係の方たちとの意見交換あるいは意見聴取というものが行われてきたのかどうか、行われている場合にはどういった意見が今回の法改正に向けてあったのか、その点について、これも国家公安委員長、それから国土交通省、それぞれからお伺いしたいと思います。
  42. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 今回の道路交通法改正に当たりましては、警察庁において、技術開発の方向性に即した自動運転の実現に向けた調査検討委員会、ちょっと長いのでありますけれども、そういう名称の有識者会議を開催いたしまして、自動運転に関する交通ルールの在り方について検討をしたところでございます。  この調査検討委員会では、自動車産業の方々にも委員として検討に加わっていただいたほかに、自動車メーカーや大学の研究者等、自動運転システム実証実験や研究開発に取り組んでいる様々な主体、これトータルで三十七主体でございますけれども、その方々に入っていただいて、その開発中の自動運転車の概要等について書面によりヒアリングを行い、二十四主体から回答を得たところでございます。  また、この調査検討委員会では、委員から、この検討は技術実用化の時期が近づいてからの議論であったため、開発側としては技術の実情に即したバランスの取れた検討ができたと考えている、今後も技術開発の動向を見ながら技術の完成度に応じた検討を行うことが適切であろうというような御意見をいただいておりまして、業界関係の意見、他にも手元に二つほど持っておりますけれども、また改めて必要ならば御報告をしたいというふうに思っております。
  43. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  国土交通省におきましては、昨年九月から、二〇二〇年目途の高度な自動運転の実現に向けまして、交通政策審議会の下に新たに小委員会を設置しまして、自動運転車安全確保に必要な制度の在り方について検討を行いまして、その検討結果を本年一月に報告書として取りまとめ、公表したところでございます。  この小委員会におきましては、自動車メーカー、部品メーカー自動車整備事業者など業界団体の出席のほか、その検討の過程におきまして、これらの業界団体でございますとか、実際に現在自動運転に係る公道実証実験を実施しておられる事業者からヒアリングを行ってございます。  このヒアリングにおきましては、レベル3以上の自動運転制度設計に当たりましては安全確保に必要となる新技術について基準を定めていく必要があるんではないかという御意見でございますとか、基準策定に当たりましては国際基準調和を図ることが必要ではないかという御意見、さらには、開発、実用化のスピードを落とさないようなある程度柔軟な運用がいいんではないかといったような御意見を頂戴しているところでございます。  以上でございます。
  44. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 今お話をいただきました。  それで、ちょっともう一つ国家公安委員長の方にお伺いしたいんですけれども、今、その業界からの要望、意見の中で、やはり技術の完成度に応じた検討というような、こうした言葉もありましたし、国交省からの中にも、その開発スピード、こうしたものをやはり大変意識された意見が出たということで認識をいたしたんですが、私もこれまで業界の方あるいはこうしたことを調べているジャーナリストの方、そうした方とも会ってお話をしますと、実はこの自動運転レベル2、3、4というのが、従来このステップを踏んでそこに到達をしていくんだという認識でいたところが、多分違うんじゃないかという意見が今どんどん出てきています。  3については、自動運転から手動、ドライバーが運転するところの領域、これをまたぐという、こうした行為が含まれるので、どのように認知をさせてどのように引き継ぐか、先ほどももう議論がされておりましたけれども、結構ここ難しいんだという話が出てきています。どのように安全に引き継がせるのかというのが、これがこのこと自体に結構技術的なハードルがある。そうしますと、走行ルートを固定することによって、実はもう完全自動運転レベル4の方が技術的には到達しやすいのではないかという意見も今出てきています。  そうすると、2、3、4というステップではなくて、2から3の一部はありつつも、同時に4の方に一気に飛ぶということが技術的には十分にあり得るというのが最近意見として出てきているところでもございますので、今まさに言われた技術の完成度に応じた議論であったり、やはりスピード感というものを大切にしていく過程においては、法の整備においても、やはり2、3、4というステップではなくて、今言った2から4に一気に飛んでいく、そういうステップもあり得るということを認識して進めていく必要があるのではないのかなというふうに私自身は感じているんですけれども、この点について国家公安委員長の御意見をいただきたいと思います。
  45. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 委員指摘のとおり、いわゆるレベル2の次はレベル4を目指すべきだというような御意見があるのも我々承知をしておるところでございます。他方、官民ITS構想ロードマップ二〇一八において示されておりますとおりですけれども、限定地域での無人自動運転移動サービスと並行しまして、高速道路上を限定領域とするレベル3が自家用自動車の市場化という形で進展していくというふうにも見込まれているところでもございます。  いわゆるレベル4の自動運転でありますけれども、使用条件が満たされる場合に自動運転システムが全ての運転操作を実施する点についてはこれはレベル3と同じでございますけれども、使用条件が満たされない場合や故障が生じた場合においても運転者運転操作を引き継ぐ必要がないもの、これをレベル4というふうに呼んでいるところでございます。  すなわち、レベル4の自動運転運転者の存在が前提とされない、そういうものでありますが、じゃ、実際にはどのような運行形態となるのか、あるいはまた車両等の安全基準はどのように定められるのか、それから安全性の確認方法はどのようにされるのか等、これ具体的にまだ定まっておりません。これらの点に関する国際基準策定の見通しも現段階では立ってないというような状況でございます。  このように、いわゆるレベル4の自動運転につきましてはどのようなものになるかまだ明らかではなく、また、安全性確保の方法が確立したとは認められないことから、現時点で交通ルールを法律で一律に規定することは残念ながら適当ではないというふうに我々は認識しているところでございます。
  46. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ありがとうございます。  今すぐというところではないと思いますが、技術のブレークスルーがあれば一気に物は進んでしまうということもあろうかと思います。当然、国際基準の審議もしっかりと見ていただいていると思いますし、その流れに遅れることのないように、国内の法整備についても目を光らせ、アンテナを高くしていただきたいということで要望させていただきたいと思います。  それでは、続きまして、別の観点での質問をさせていただきたいと思います。  今回、この法改正をするに当たって、運転という、この法律の中にあります、第二条の中に運転という言葉の定義があるんですが、その定義が変わりました。見てみますと、自動運行装置というものが新しい言葉としてはそこには加わっていることになるんですが、この定義をよく見てみますと、道路において車両又は路面電車をその本来の用い方に従って用いることが運転ということになっていまして、誰が運転するかということを特に規定しているものではありません。  当然、運転は人がするものというのがこれまでの常識だと思いますので、記載していなくても当たり前なのかなと思いますが、自動運行装置が加わるということは、自動運行装置が車を運転することになるのではないかという考え方もできると思いますので、いま一度、第二条の十七に書いてあります運転というこの言葉の定義の主語が何になるのか、その点について確認をさせてください。
  47. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  道路交通法第二条第一項第十七号におきましては、委員指摘のとおり、運転につきまして、道路において車両等をその本来の用い方に従って用いることと定義をいたしております。他方、その次の号、第十八号でございますが、こちらにおきまして車両等の運転をする者を運転者と定義をいたしております。  この度の道路交通法改正におきましては、自動運行装置使用することも先ほどの第十七号の運転に含まれることを条文上明らかにしておりますので、自動運行装置使用して運転する者が第十八号の規定によりましてやはり運転者であるということになります。この運転者というものが道路交通法上の各種の義務の主体、運転者の義務の主体でございますので、自動運行装置使用して、形で車両等を運転する者、すなわち運転者道路交通法上の運転者の義務を負うという形になります。  具体的に申し上げますと、例えば道路交通法第七十条には安全運転義務という規定ございますが、これに則して申し上げますと、運転者自動運行装置を含む各種装置を確実に操作し、道路、交通及び当該車両等の状況に応じて、他人に危害を及ぼさない方法で運転する義務を負うという形になってまいります。
  48. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ということで、機械が操作をしている状況であっても、引き続き現段階においては人が運転をしているということで法律としては今整っているということでありました。  そうすると、実際に自動運行装置が作動している最中に万が一事故があったとき、こうした場合に一体誰が責任を取るべきなのかなというのが率直な疑問として浮かんでまいりますので、この点について確認をさせていただきたいと思います。  お手元に、三枚目、資料をお配りをいたしました。非常に簡略化した図ではありますけれども、横軸には、運転者自動運転装置と、あとは対物でなくて対人ということであれば相手というものがありますので、そうした第三者。それから、実際に許可がされている状況で使っていたのかそうでないのか、つまりルールを守った上で使用していたのかどうかという切り分け方。さらには、ルール上は守っているんだけれども、装置がきちんと動いていた、あるいはきちんと動いていなかった。こうした場合分けがあろうかと思いますので、この升目の中でできるだけ整理が付くような形で、こうした事故が起きたときに誰が責任の所在を持つのか、この点についての御説明をいただければと思います。
  49. 保坂和人

    政府参考人(保坂和人君) 死傷事故があった場合の刑事責任についてのお尋ねでございますが、犯罪の成否と申しますのは、捜査機関により収集された証拠に基づきまして個別具体的に判断されるべき事柄でございますので、一概に申し上げることは困難であることをまず御理解いただいた上で、一般論として申し上げますと、自動運行装置使用して自動車運転中に死傷事故が起きましたという場合に、運転者につきましては、過失運転致死傷罪、これは法律で言いますと自動車運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第五条でございますが、その成否が運転者については問題となります。そして、自動運行装置の製造に関与した者につきましては、これは業務上過失致死傷罪、これは法律は刑法の二百十一条でございますが、その成否が問題となります。  そして、これら二つはいずれも過失犯ということでございまして、過失、すなわち注意義務違反が認められる場合に成立するということになりますけれども、その注意義務違反があったかなかったかといいますのは、個別の事案ごとに、その事故発生時の具体的状況ですとか、あるいは自動運行装置ということでいいますとその性能ですとか状態、そういったことが考慮されて個別具体的に判断されるということになろうかと思います。
  50. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ありがとうございます。  もう少しちょっと整理をしたいんですけれども、例えば、装置、法律上ちゃんと運転者も使っていました、それから装置もちゃんと動いていました、でも相手方が例えば飛び出してきたとか、すごいスピードで来ちゃってよけ切れなかったとかというので事故が起きたときの責任というのは、これはやはり運転者並びに製造責任者というところにもこれは掛かってくるんでしょうか。この点について、要はルール上は問題はなかった、装置もちゃんと作動していた、そのときに、事故が起きたときにこの運転者あるいは製造者側に何か責任というのは発生し得るのかどうか。
  51. 保坂和人

    政府参考人(保坂和人君) 前提で繰り返しで恐縮でございますが、個別具体的に判断されるべき事柄ですので一概に申し上げることは困難でございますが、御指摘のあったような、運転者あるいはその装置製造に関与した者以外の者、相手方とおっしゃいましたけれども、そこに過失がある場合という設定だろうと思われますけれども、一般論で申し上げますと、いわゆる交通事故、交通の死傷事故におきまして複数の方の過失が競合するということはあり得るところでございます。  例えば、相手方に過失があるという場合でございましても、例えば運転者あるいはその自動運行装置の製造に関与した者について過失があるのかないのか、これがまた先ほど申し上げました事故発生の具体的状況ですとかその自動運行装置の性能、状態等を考慮して判断されるということでございまして、道路交通法上のルールに乗っかっているその義務違反があるかどうかということと、先ほど申し上げました過失犯の、死傷事故の場合の過失犯の注意義務とは必ずしも連動しないということですので、結局、事故があった場合には個別具体的に判断するということになろうかと思います。
  52. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 そこの過失というところなんですよね。先ほどの説明の中で注意義務違反というような、そうした言葉もあったんですが、自動運転運転している最中にはもう携帯を見ることがオーケーになります。モニターを見ることもオーケーになります。つまり、ミラーを見るとか周囲に注意を払うということからドライバーは解放された状態ですよね。その状態において、もう法律上認められている状態において装置もちゃんと作動しているときに事故が起きたときに、果たして、じゃ、ドライバーに何が起きたんですかと聞いても、多分証言ってもう出てこない。いや、もうテレビ見ていました、よく分からないです、でもいきなりばあんとぶつかったんですという状況もあり得るわけですよね。そうしたときに一体この法律上どのように整理をしていくのかというのは、一つ言ってみれば問題提起だと思っています。  今この場でこれを明確にというのは個別の状況も違うと思いますので判断はできないのはもう重々承知なんですが、やはりそういうシチュエーションが今後明らかに起こってくる、まあ起こる可能性が高いということも踏まえて、こうした事故が起きたときの保険あるいは責任、こうしたことについても整理をしていく。それこそ完全自動運転に向けてこうした課題がやはりまだまだあるということを問題提起させていただいて、加えて、そこに向けてやはり議論をしっかりと進めていくことも併せてお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  53. 西田実仁

    ○西田実仁君 私の方からは、この第六十三条の法律にあります、警察官は、整備不良車両に該当すると認められる車両が運転されているときは、その車を停止させて、そして車検証等を出すと、ここまでは今までの法律と同じなんですけれども、今回は、そこに作動状態記録装置の記録提示を求めることができるということが加わっておるところが改正点でございます。  道交法でこうした新しい規定が加わったのは、言うまでもなく、自動運転車両とか次世代自動車実用化あるいは商用化ということが進む中でこういう規定が加わったわけですけれども、そういう新しい自動車が出てくる中で、警察官はどのように整備不良車両であるというふうに判断をするのか、その判断方法について国家公安委員長にお聞きしたいと思います。
  54. 山本順三

    国務大臣山本順三君) お答えをいたします。  整備不良車両とは、車両等の装置道路運送車両法第三章又はこれに基づく命令、道路運送車両の保安基準等の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等をいう、これは道路交通法第六十二条で規定されているところでございます。例えば、制動灯等がついていない状態の自動車警察官が発見した場合などには当該自動車整備不良車両に該当する、こういうふうに認めることに相なります。  自動運行装置につきましては、道路交通法令に従って安全に自動車を運行させるものである旨が技術基準として道路運送車両の保安基準等に規定されることが見込まれているところでございます。このため、自動運転中の自動車道路交通法令に反する動きをした場合には、その自動車自動運行装置は保安基準等に適合しないことになるわけであります。したがって、例えば、自動運行装置を備えた自動車が信号に従わない場合や最高速度を超える速度で進行する場合など、道路交通法令に反する動きをしたことを警察が発見した場合は、当該自動車整備不良車両に該当する、こういうふうに認め得ることに相なります。
  55. 西田実仁

    ○西田実仁君 今大臣がおっしゃっていただいた信号無視とか速度超過などは、これは目に見えますので、警察官もこれは整備不良車両であるというふうに判断して、車検証を求めたり作動状態記録装置の提示を求めるということは可能になると思います。しかし、そういう目で見える法令違反がない場合の整備不良車両、例えば、自動ブレーキが正常に作動するためにはセンサーというものが不可欠になってまいりますけれども、このセンサーが不具合であると、そしてこれは事故を起こしかねない自動車であるということについて警察官がこれを整備不良車両と判断することは可能なのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。
  56. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、信号に従わない場合でありますとか最高速度を超える速度で進行している等、自動運転車道路交通法令に反する動きが見られるという場合には整備不良車両であると認められるわけでございますが、このような道路交通法令に違反した動きがないという場合でも、例えば、自動運転車が不安定な走行をしているでありますとか、異常に大きな音を発しているというような場合にも整備不良車両であると認めることができることがあると考えております。  しかしながら、委員指摘のように、不安定な動作などの外部に現れる異常が見られないというような場合であって、実はセンサーに不具合があるという整備不良車両というものがありますれば、現場警察官によってこれを判断するということはなかなか困難だということもあるものと考えてございます。
  57. 西田実仁

    ○西田実仁君 昨年、国交省に寄せられました自動ブレーキに関する不具合という件数がどのぐらいになるのか、またその内容等について分かっていれば教えてください。
  58. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  国土交通省におきましては、リコール制度における適切かつ迅速な改善措置を実施するという観点から、自動車メーカーに対しまして不具合情報を四半期ごとに報告するよう指示をしているところでございますが、あわせて、私どもでは、同様の目的から、警察庁さん、消費者庁さん等の行政機関でございますとか一般の自動車ユーザーさんからも広く不具合情報というものを受け付けてございます。  これらに関しまして、平成二十九年に国土交通省に寄せられました不具合情報につきましては、必ずしも車両の今申し上げた故障でございますとか欠陥に当たらないものも含まれておりますが、計八千七百件、ちょうど八千七百件ございまして、このうち乗用車の自動ブレーキに関します不具合情報、これを抽出しました。  近年、自動車、特に乗用車の新車に自動ブレーキが搭載されるということから非常に搭載率高くなってございますので、そういった観点から抽出した結果、三百四十件がございました。この中で、運転者などが自動ブレーキが作動しなかったという申告がありました不具合情報は三百四十件のうちの八十八件でございまして、その八十八件のうちの七十二件が何らかの事故に関連したものとなっているというものとしてございます。
  59. 西田実仁

    ○西田実仁君 今詳細に御説明いただきましたように、七十二件は自動ブレーキの不具合等で事故につながっているんではないかというようなことです。その前に警察庁から御説明いただきましたように、整備不良車両が公道を走らないようにするという目的のためには警察官による取締りだけでは十分ではないと、実際にそういう自動ブレーキの不具合等もあり得るということです。  ここからは道路運送車両法に関わることですけれども、車両法には、やはりこの運転者自らの責任による車両整備というのは求められているわけです。ただし、このセンサーの不具合などは運転者にはなかなか分からないものが少なくありません。いわゆるエーミング調整と言われるような、センサーが正しく作動する状態にしておくには、やはり整備のプロによる整備というものが欠かせません。  今後、車両法が改正されれば、従来の分解整備というものから特定整備へと変わって、その対象にエーミング調整も入ると思われます。例えば、このセンサーは車のフロントガラスとかあるいはバンパー等に埋め込まれている、装着されているわけですけれども、そのバンパーの脱着をしました、あるいはフロントガラスを替えましたという場合でも、それによって、その後エーミング調整が行われていないとセンサーが正しく作動をせず、いわゆる整備不良車両になり、そして自動ブレーキ等が作動をせずに事故につながると、こういう可能性が今までの車とはまた違って出てくるわけであります。  このエーミング調整についてなんですけれども、まず現状、これメーカーによっても、また車種によってもその測定方法は相当の数で異なっておりまして、これは整備工場からすると正しく作動する整備のためのコスト増にも大変つながっているという声も聞きます。ある程度やはりこれは標準化をしていくという方向性が必要ではないかと思いますけれども、国交省、いかがでしょうか。
  60. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、自動ブレーキなどに用いられます周辺監視のためのカメラでございますとかレーダーにつきましては、修理でございますとか交換作業を行った際にはいわゆるエーミングと呼ばれる調整がどうしても必要となります。  自動ブレーキでございますとか自動運転技術といった先進技術につきましては、実用化当初は自動車メーカーさん各社がそれぞれに開発を進めるいわゆる競争領域に当たりますことから、現状では、このエーミング作業に含めまして、その修理でございますとか調整の方法につきましては自動車メーカー車種ごとに異なっているというものが委員指摘のとおり現状でございます。  一方で、整備工場の現場からは、自動車メーカーやその車種ごとに調整方法が異なるということはやはり負担が大きい、特にいろいろなメーカーの車種を扱っている整備工場さんにおいて専用のそれぞれの工具が必要となるというのは費用面でも負担が大きいといったような声も私ども承知してございます。  また、本年一月に取りまとめられました交通政策審議会自動運転等先進技術に係る制度整備小委員会、この報告書におきましても、中長期的な取組としまして、エーミングターゲットなどの整備用機器でございますが、整備用機器の共通化、こういったものを整備しやすい車の設計、開発がなされますよう環境整備を進めるということが望まれるということが記載されているところでございます。  このため、私ども国土交通省としましては、整備工場の意見でございますとかこの報告書内容を踏まえまして、また技術の汎用化でございますとか普及状況を見極めた上で、自動車メーカー各社に対しまして、エーミングの方法や工具につきまして可能な限り標準化を進めるよう指導を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
  61. 西田実仁

    ○西田実仁君 こうした次世代自動車について運転者が負っているその整備をきちんとしなきゃいけないという義務、これを全うするためのいろんな法整備、法令等がありますが、一つ、十二か月点検というのが、罰則はありませんけれども、義務化はされています。しかし、実際にいろんなところに聞きますと、はがきを出して、あるいは電話までして、十二か月点検ですよと、こう言っても、実際にある工場なんかに聞くと三割ぐらいしか受ける人がいないと、そういう話も聞きます。  確かに、これまではそんなに、正直ユーザーからすると整備しなくても故障もないということだったのかもしれませんけれども、しかし、事はこのセンサー等がそういう意味で今までとは違う形の車になっていく以上、果たしてこの車検等では、当然検査項目は拡大されていくと思いますけれども、その二年に一度の車検だけで本当に大丈夫なのかということは、やはりここは留意しなければならないというふうに思っております。  こういう次世代自動車ということでの整備不良車両が公道を走らないようにするためには、この十二か月点検というのももっと徹底をしていく必要があるのではないかと思いますけれども、国交省、いかがでしょうか。
  62. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、自動ブレーキや自動運転技術を搭載しました次世代自動車では、やはりカメラやセンサーの不具合が事故につながるおそれもありますことから、それらの調整も含めまして従来の自動車以上に保守管理が重要になるものというふうに考えてございます。このため、国土交通省では、二〇二四年からいわゆる車検におきまして自動車の電子装置まで踏み込んだ検査を導入するべく必要な準備を進めているところでございます。  また、自動車の保守管理のためには、車検のみならず、法定点検を含みますユーザーによる点検整備を通じた保守管理が重要だと思ってございます。法定点検につきましては、ユーザーに対して罰則をもってその実施を義務付けているものではございませんが、一般の乗用車では十二か月点検の実施率が約六割にとどまっているといいますことから、国土交通省としましてはその実施率を向上させるための施策を講じているところでございます。  具体的には、毎年、全国におきまして関係業界とともに自動車の点検整備推進運動を実施しまして、ユーザーに対しまして点検整備の重要性を周知啓発してございますし、また法定点検を行わないで車検を受検しましたいわゆる前検査と呼ばれるユーザーの方々に対しましては、法定点検の確実な実施を周知しますとともに、その報告を求める、先ほどにもありましたはがきの送付をさせていただいております。  さらに、今申し上げた定期点検整備を実施せずに劣化、摩耗等によるいわゆる基準の不適合箇所がある自動車ユーザーに対しまして行うこととなっております点検整備勧告という制度もございますが、これにつきましても、より発動しやすいようにその要件を見直しをさせていただくとともに、車検証にその点検整備勧告の履歴を記入するといったような取組を行っているところでございます。  私ども国土交通省といたしましては、引き続き、これらの取組を推進しながら、ユーザーに対しまして次世代自動車を含めた自動車の点検整備の実施を促してまいりたいと考えてございます。
  63. 西田実仁

    ○西田実仁君 ところで、自動ブレーキの作動に関しまして、輸入車メーカーにおいては、このエーミング調整の前にいわゆる四輪アライメント調整というものを行っております。それはなぜやらなきゃいけないかというと、車の直進性に不具合が発生すると、つまり車が真っすぐ走っていないと、センサーが幾ら正しくても間違ったものと認識してしまうという意味での四輪アライメント調整が必要になっているということであります。  こうしたこと、次世代自動車に特有の整備不良リスク、これに対応していくためには、こうした四輪アライメントに加えて、三次元測量機とかジグ修正機とか、そうしたこれまでにない機器の導入も必要になってくると聞いております。しかし、こうした高額な機器を購入し設備投資を施した整備工場も、従来からの工場も、事故を起こした車両の保険対応修理においては、そのいわゆる対応単価と言われるレーバーレートが同じなのはおかしいのではないかという問題提起がなされています。  今日、表をお配りをしました。このレーバーレートというのは工賃単価というふうに訳せば、工賃というのはこのレーバーレート掛ける指数によって単価が決まるわけですけれども、関東地方のこういう車体整備という、いわゆる事故を起こした車の修理を行っている工場のアンケート調査を自動車車体整備工場のこの協同組合が取られました。東京から山梨ほか関東を見ていただくと分かることは、実は県ごとに、損保会社は三大損保、四大損保とありますけれども、県ごとにその対応単価を調べたところ、下の数字があるように、損保会社三社以上の工賃単価が一致しているものはもう七五%を超えているとか、四社以上一致しているものはもう七五を超えているとか、三社以上一致している割合は八五%を超えているというふうな、つまり、県によってほとんど同じだということなんですよ。  この表を見て率直に金融庁とまた国交省から意見を聞きたいんですけれども、保険対応の修理単価、いわゆる対応単価については、本来、損保会社と整備工場との間の個別交渉によって、民民ですから、決めることであります。しかし、今表でお示しをしましたように、あたかも地域相場のようにほとんど同じになっているという現状、しかもこれ、単年度ではなくて、これは二十九年度のアンケート調査のようですけれども、過去においてもこのような実態があるというふうに聞いているわけであります。  次世代自動車に特有の整備不良リスクを踏まえて、この実態、表を見てどう率直に思われるのか、金融庁並びに国交省にお聞きしたいと思います。
  64. 中村修

    政府参考人(中村修君) お答えいたします。  車両の修理の際に保険会社から車体整備事業者に支払われます修理代金については、保険会社と車体整備事業者との間において個々の契約の下に設定されるものであるというふうに考えておりまして、御指摘の表でありますけれども、各地域において保険会社の対応単価というものの多くが一致しているという理由につきましては、地域における競争環境など様々な要因があると考えられ、一概に申し上げられないとは思いますが、対応単価というものについては各保険会社、それから各修理業者が個別に交渉、合意して設定していくということが適切であるというふうに考えております。  また、次世代自動車につきまして、これは高度な修理を実施するということですが、その際には高度な技能を有する整備要員の確保などが必要になると思われます。こうした点についても、個々の個別の交渉の中で適切に反映されることが重要ではないかというふうに考えておりまして、金融庁としては、新技術等の導入によるリスク実態も踏まえまして、適切な保険金支払が確保されるよう保険会社を監督してまいりたいというふうに考えております。
  65. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  今、金融庁から答弁あった、国土交通省としても同様のものと考えてございます。加えまして、対応単価につきましては、設備費でございますとか人件費でございますとか稼働率などを踏まえた適切な原価計算に基づいて算出されるべきものということから、次世代自動車につきまして高度な修理を実施する場合には、高度な技能を有する整備要員の確保でございますとか設備投資等に見合った対応単価が設定されるべきだというふうに考えてございます。
  66. 西田実仁

    ○西田実仁君 金融庁にお聞きしたいと思いますけれども、個別交渉の結果で各県でこんなに一致していることについてどう思いますか。
  67. 中村修

    政府参考人(中村修君) これにつきましては、先ほど答弁申し上げましたように、地域における競争環境など様々な要因があると思われまして、一概には申し上げられないということかと考えております。
  68. 西田実仁

    ○西田実仁君 レーバーレートというのは、今国交省が説明されたように、それぞれの個社の減価償却とか人件費とか、そういったことによって割り出してくるものなんですよ。ですから、個社ごとには、この個社は、我が社は対応単価が幾らですというのが割り出すことは、算出はできます。  損保会社はどうやって割り出すんですか。
  69. 中村修

    政府参考人(中村修君) お答え申し上げます。  対応単価につきましては、各社、個社ごとに決めておりまして様々でございますけれども、各社におきまして、物価を参考に見直しを行うですとか、修理費に関して作業時間や熟練度など様々な要素を勘案しながら定めているというふうに承知しております。
  70. 西田実仁

    ○西田実仁君 個別交渉ですから、その個社のそうした算出によるレーバーレートと損保会社が考えるレーバーレート、それぞれ突き合わせて交渉していくべきであります。マクロの数字というよりも、損保にそういう、それぞれの各社に応じた対応単価の突き合わせしないと、個社交渉にはならないんですね。そのことを指摘しておきたいと思います。  最後に、車検証の電子化についてでありますけれども、二〇二二年度、車検証のICチップ化が導入される際に、点検整備記録の書き込みもできると想定されていると聞いておりますが、加えて、この車体修理、板金修理の記録も記録すべきではないかと。車検証の電子化の際には、システムの作動状態を確認するとともに、整備不具合があるかないか、どの工場で整備をしたのかの、その整備のトレーサビリティーの確保の観点からもそうしたことが検討されてしかるべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
  71. 島雅之

    政府参考人島雅之君) お答え申し上げます。  自動車検査証、いわゆる車検証のICカード化につきましては、今国会に道路運送車両法の一部を改正する法律案を提出しまして、二〇二二年度の導入を目指しているところでございます。  このICカードに搭載するICチップには、車検証情報を記載する領域のほかに空き領域を設定させていただきまして、民間等の創意工夫による多様なサービスの創出に向けましてその利活用を視野に入れた検討を進めているところでございます。具体的な利活用方法、方策につきましては、有識者や関係団体等から成ります自動車検査証の電子化に関する検討会というものを設置しまして、今年度検討を行って、まさに行っているところでございます。  委員指摘自動車のトレーサビリティーの確保、これは自動車の安全、安心の確保の観点から極めて重要だというふうに考えておりまして、ICチップの空き領域の利活用の方策の検討に際しましては、自動車の点検整備情報でございますとか車体整備情報の利活用も含めて検討してまいりたいと思ってございます。
  72. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。     ─────────────
  73. 石井正弘

    委員長石井正弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、猪口邦子さん、礒崎哲史君、進藤金日子君及び野上浩太郎君が委員辞任され、その補欠として藤末健三君、古賀之士君、佐藤啓君及び森屋宏君が選任されました。     ─────────────
  74. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いします。  この自動運転の実現に向けて、今、様々なその実験が行われています。本当にいろいろ、省庁が主導してやっているものもあったり、自動車メーカーがやったり、大学が主導ということが行われています。省庁でいいますと、国土交通省主体のものもあったり、ラストマイル自動運転ということで経産省と国交省がこれ組んで一緒になってやっているものもあると。もちろん、内閣府が特区制度などを使ってやっているものもあるということですね。大学などの研究機関も今すごく力を入れていますし、もちろん自動車メーカーも率先してこの研究にいそしんでいるわけなんですが。  ただ、気になるのが、これだけ本当に様々なところで行われていると効率的な面でどうなのかなと。これをやっぱり誰かがハンドリングをしながら、しっかり連携を取りながら、主導しながらやっていかないと、ばらばらにやっていたのでは、同じようなことをそれぞれやっていても大変効率が悪いわけで、そういった意味で、ちゃんと主体的なその組織があって全体を網羅するような、そんなやり方が必要ではないかなというふうに思うんですが、これについてはいかがでしょうか。
  75. 矢作友良

    政府参考人矢作友良君) お答えいたします。  今、自動運転実用化に向けて、内閣官房とあるいはその関係各府省庁との連携についてお尋ねございました。  まず、自動運転の実現に向けましては、これは関係省庁、御指摘のとおりいろいろございますが、内閣官房IT総合戦略室におきまして、官民ITS構想ロードマップというものを取りまとめてございます。そして、このロードマップの中でこの自動運転の実現目標を定めておりまして、この実現目標に向けた取組といたしまして、一つは技術開発、いま一つは制度整備、これらを言わば車の両輪として進めているところでございます。  この目標の実現に向けましては、例えば、御指摘ありましたように、例えば警察庁であれば交通安全確保観点、あるいは国土交通省は車両の安全確保観点、あるいは道路のインフラの観点、そういった各府省庁がそれぞれの役割の下、お互いが緊密に連携を取りながら政府一体となって取組を行っていくということでございまして、内閣官房IT総合戦略室がこのロードマップを毎年改定していくという中で各府省庁の取組を取りまとめているというところでございます。
  76. 清水貴之

    ○清水貴之君 なぜ今の質問をさせていただいたかといいますと、やっぱり全世界的に大変力を入れてこの技術開発が進んでいる中で、やっぱりスピード感というのも必要ではないかなというふうに思っています。ですから、連携を取りながら日本がこの競争に負けないためにしっかりと官民挙げてやっていただきたいなというふうに思っているわけですが、全体的なロードマップを見ますと、二〇二〇年度をめどにレベル3ですね、自動パイロット。で、二〇二五年ぐらいで、これ自家用車の話ですが、レベル4という目標を持って進めているということなんですが、果たしてそのスピード感でいいのかなというふうに思わなくもありません。  おととしですけれども、カリフォルニアに行きまして、テスラの販売店にお邪魔をしました。テスラに実際に乗せてもらいまして、自動運転というのを体験をしてきました。そのとき、高速道路でテスラがその時点でできたことといったら、車間距離を保ちながら、ウインカーを出したら、後続の車との車間距離などを測りながら間をちゃんと測って車線変更をしてくれるというところでして、右折、左折とか、降りてどこどこの店まで行ってくれとか、まあそういうレベルではなかったので、まあまあ、まだここまでなのかなというふうに思ったのは正直なところなんですが、それでも二年前の話です。まだ日本ではできていなかったことがアメリカでは既に、しかも実験段階ではなくて販売している車でそれがされていたわけですから、ああ、やっぱり大分進んでいるんだなというのを実感をしたわけですね。  そういう開発の競争、スピードを見てみますと、アメリカなんかでしたらやっぱり自動車メーカーなんかが力入れて競争していくと。どうも日本は、やっぱり安全面に配慮というのは、これはもうもちろん大前提だと思いますので必要なことだというのは分かっているんですが、どちらかというとやっぱりルールとか環境整備から入って、それに合わせて実験ということで、どうしてもスピード感というのに海外などに比べてしまうと遅れが出るんじゃないかなというのも感じるわけですね。アメリカはもちろんですけど、中国なんかもこれに関しては大変力を入れて進めていますので、是非そういった意味でも日本が主導権を握れるぐらいのスピード感を持ってやっていただきたいと思います。  このスケジュール的な面での考え方などを聞かせていただけたらというふうに思います。
  77. 矢作友良

    政府参考人矢作友良君) お答えいたします。  制度整備に関しまして、昨年四月に自動運転に係る制度整備大綱というのをIT本部決定で決定してございます。同じく昨年六月、IT本部決定におきまして、先ほど申し上げました官民ITS構想ロードマップ、これは毎年改定してございますけれども、これを策定してございまして、もちろんその策定する過程では、今御指摘のあった事業者でありますとか、様々な方々と議論した上でこのロードマップの策定してございますけれども、このロードマップの中におきまして、二〇二〇年に自家用車による高速道路での自動運転、あるいは限定地域での自動運転移動サービスの実現を目指すということを取りまとめまして、この目標に向けて技術開発制度整備を進めているというところでございます。
  78. 清水貴之

    ○清水貴之君 その目標、それからその後のレベル4とかの話ですね。そうすると、二〇二五年というと、またそこから五年ぐらい先になってくるわけですね。この間の技術的な、レベル4といいますと本当に完全自動運転で、もう乗っていたら目的地まで運んでくれるという話ですから、相当差がある技術だというのは分かるんですけれども、ただ、目標ですから、達成できるできないは別にして、もうなるべくやっぱり高い目標を掲げて率先してというふうな思いを持っているんですけれども、その辺りについてはいかがですか。
  79. 矢作友良

    政府参考人矢作友良君) お答えいたします。  御指摘のとおり、まず、今回のそのロードマップ、先ほど申し上げましたような二〇二〇年の高速道路での自動運転、あるいは限定地域での自動運転移動サービスということをはっきりとした目標として定めてございますけれども、全体の実現のシナリオという意味では、その先のレベル4とかそういったものを目指して、例えば二〇二五年とか、どういう目標までにどこまでするかといったことも併せて議論をした上で、まずその目先、はっきりした目標としてこういったことを掲げさせていただいているということでございます。
  80. 清水貴之

    ○清水貴之君 その実験をするに当たって、様々な場所でのこの実用化後の話ですけれども、利用というのが想定できるわけですが、今、物流サービスでトラックなんかも人手が足りないということで、トラックの無人化などというのもこれも必要なことでしょうが、その一方で、やっぱり中山間地域での高齢者の方々の交通の足の確保、これが本当に今、大変重要な大切な課題になってきているというふうに思います。そういった意味で、この自動運転に対する期待というのも大きいと思うんですが。  そうなりますと、この実験、今いろんなところでやっていらっしゃる。その場所を見たら、本当に日本各地でやっているのは理解をしているんですが、ただ、日本、これだけ国土が地形なども様々な中で、本当にいろいろデータを収集して進めていかなければいけないというふうに思うんですよね。そういった中で、果たして今やっているこの実験で十分そういった知見とかデータが得られていくのかなと。  それで、今後これを実用化していくときに、しっかり本当に、ああ、走りました、よかったですじゃなくて、町の方が本当に使って、住んでいる方が使って、よかったなということにまで持っていかなければいけないので、そういった面での実用化を、動くだけじゃない、その後の便利さを考えたことまで考えた実験というのを進めていただきたいというふうに思っているんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  81. 矢作友良

    政府参考人矢作友良君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、官民ITS構想ロードマップ、これを毎年取りまとめておりまして、その中の実現目標ということで技術開発とか制度整備、定めておるわけでございますが、このうちの技術開発につきまして、先ほども御指摘のありましたように、例えば内閣府の自動運転バスの実証実験、あるいは国土交通省の道の駅等を拠点とした自動運転サービス、また、御指摘もございましたけれども、経済産業省と国交省でやっているラストマイル自動運転、これ様々な、必ずしも都市部に限ったわけでございませんで、多様なニーズに応えるための実証実験というのをそれこそ全国各地で進めているところでございます。  そうした実証実験の中でございますけれども、公共交通機関が減少しており、その移動手段の確保は困難になっているといった中山間地域での移動手段を確保すると、そういった目的での実証実験、あるいは高齢化したニュータウンでの移動手段をどう確保するかといった観点から行う実験など、地方部も含めた様々なニーズに応えるべく、いろんな実証実験を実施しているところでございます。
  82. 清水貴之

    ○清水貴之君 それを実用化するに当たり、これやっぱりデータの蓄積ってすごく大切だというふうに思うんですね。これは、別にこの車関係だけじゃなくて、日本はデータでいったら、アメリカのグーグルとかフェイスブックとかそういう大きな巨大なIT業界からしたら、日本というのはまだまだ立ち遅れているという話もある中で、本当にそういう自動運転にも生かせるようなそのデータの蓄積の面からいうと、これも海外との競争で十分間に合うのかなというふうに思ってしまうんです。これについてはいかがですか。
  83. 矢作友良

    政府参考人矢作友良君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、ロードマップ、これを作っていく上では、関係各府省とよく連携した上で、さらに、そういった事業者の方、これはメーカーもございますれば、新たにその事業を参入していきたいといった方々のいろんなその声も含めて、捉まえてやっておるわけでございます。その中に、御指摘のございましたデータの点、こういった点も議論をしながら、IT総合戦略室におきましてこのロードマップを取りまとめていく上でしっかり考慮しながら進めているところでございますし、今後とも是非心掛けていきたいというふうに考えてございます。
  84. 清水貴之

    ○清水貴之君 次に、携帯電話の使用の点についてお伺いをしたいと思います。  今、本当に携帯電話というのは、通話をする、メールのやり取りだけではなくて、もう様々な本当に情報端末というふうになっているわけでして、もちろん車を運転しながら手に持って電話をしている、これは論外だと思うんですが、今後、もう様々な用途、もちろんナビとして使っている人もいるでしょうし、コミュニケーションツールで持たずにもう様々なことが今度できるように、今でさえなっていますから、今後そういうことも進んでいくというふうに思うんですね。  そうすると、じゃ、これも質問これまでありましたけど、じゃ、線引きのところですよね。じゃ、どこまでどうしたら、携帯電話を使用していたらこれが違反になるのか。でも、本当に必要なところもあるわけですからここまでは認めなければいけないとか、こういうことが非常に、線引きというのが、今もそうですし、今後ますます難しくなってくる。  自動運転が進んでくると、本当に持たずにもう運転というのが勝手に車がやってくれる時代になったら、じゃ、何ができて何がという、非常にルール整備というのが大切になってくるんじゃないかなというふうに思いますけれども、これについての意見を聞かせていただけますか。
  85. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  道路交通法第七十一条第五号の五では、自動車等の走行中に携帯電話などの無線通話装置を通話のために使用すること、また、カーナビ、スマートフォンなどの画像表示用装置に表示された画像を注視することを禁止しております。  これに関する罰則につきましては、無線通話装置を手で保持して通話のために使用すること、また画像表示用装置を手で保持して注視することが処罰対象とされております。また、手で保持しないで注視したという場合につきましても、これを含めて結果として交通事故を引き起こすなど交通の危険が生じた場合には、画像表示用装置を手で保持しないで注視した場合にも罰則対象とされているところでございます。  お尋ねの線引きの問題でございますけれども、この度は、自動運転装置使用するという場合には、一律にその使用を禁止するということはしないとしたところでございますが、この携帯電話、スマホ等の使用の危険性ということで他方で罰則を強化しておりますけれども、御指摘のとおり、スマートフォンの普及、新たなデバイスの登場ということに対応して、また他方で、自動運転等の技術の進展にも対応して的確に対応していくことが必要ではあると考えてございます。
  86. 清水貴之

    ○清水貴之君 この自動車運転中のスマホと同時に、歩きスマホ、ながらスマホ、これも今本当に増えていて、危険じゃないかな、危険だなと思うことが多々あります。自転車もスマホを持ちながらということで、これは交通事故にまで発展し、死亡事故にまで発展してしまったことがありますので、この辺は厳しく見ていかなければいけないんじゃないかと思うんですけれども。  歩きながら、本当に今多いですよね。町中歩いていても、もう画面見ながら、メール打ちながら、何か動画見ながら、ゲームしながら歩いている方が多くて、本当に、わあっと、はっとするようなことも多々あるんですけれども。これについては、なかなかあれですかね、状況を把握できない、若しくは大きな事故につながらないからもうある程度仕方がないなというふうに考えるのか、それともやっぱり危険性があるからそういったことを事前に抑止するというふうに考え方として働いていくのか、これについて、これ公安委員長ですかね、お願いいたします。
  87. 山本順三

    国務大臣山本順三君) まず、自転車の方ですけれども、自転車乗用中、つまり乗っているときに携帯電話等を保持して通話することは、これは全ての都道府県において、道路交通法第七十一条第六号により、委任を受けた都道府県公安委員会規則にこれを禁止する規定が設けられておりますから、それ罰則は五万円以下の罰金というふうになっているところでございます。  それから、その自転車に乗っているときの携帯電話使用等による交通事故でありますけれども、平成三十年中に八十七件発生しておりますけれども、これは自動車等が第一当事者となる交通事故平成三十年中に二千七百九十件発生していることに比べると少ないのかなと。死亡事故も過去五年間で一件のみというふうになっております。こうした交通事故状況を踏まえれば、自転車に乗っているときの携帯電話使用等を禁止する規定を改めて道路交通法で設けることや、罰則を強化するまでの必要性は乏しいというふうに現段階では考えているところでございます。  一方、歩行者でありますけれども、歩行者の携帯電話使用等による交通事故平成三十年中に十八件発生しており、これも自動車等が第一当事者となる場合に比べると少ないところでありまして、歩行者の携帯電話使用等を禁止することについても慎重な検討が必要であるというふうに思っております。  ただ、十八件発生しておりますけど、どういうのを交通事故というかというと、携帯電話を掛けながら自動車に突っ込んでしまうという場合とか、踏切で携帯電話で列車が来るのが分からずに突っ込んでしまってというような、そんなパターンが多いわけであります。そこで、歩行者が他の歩行者に衝突して負傷するというようなこと、これ交通事故とは判断されないわけでございますけれども、ただし、歩きスマホに伴う事故や危険な状態はこれはかなりあるんだと、我々もそのことを体験したことは何回もあるわけでございますから、そういった状況であるというふうに思われます。  したがって、禁止や罰則対象であるかどうかにこれはかかわりなく、自転車に乗っている最中、あるいはまた歩行中にスマートフォンを使用することは極めて危険でございますから、これに起因する交通事故を防止するための広報啓発には努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  88. 清水貴之

    ○清水貴之君 確かに件数は少ないんですけれども、ただ、はっとすることは多分これすごく多いと思うんですね。ですから、そういったことの広報啓発は本当大事だと思います。  大臣、最後にお聞きしたいんですけれども、これだけ技術革新が進んでいて、やっぱり僕はなぜ減らせないのかなと思ってしまうのが高齢者の事故ですね。もうこれが減っていなくて、アクセルとブレーキ踏み間違えてお店に突っ込んでしまった、このニュースをもう本当によく聞きます。これだけ技術進んでいる。もうあれはある意味で仕方ないと思うんですね、やっぱり年齢とともにそういった判断力が鈍ってしまうということ、これは人間誰しもあることですから。ただ、これを技術面で、自動運転の話まで出ているわけですから何とか止められないかというふうに思うんですが、大臣、最後にお話聞かせてください。
  89. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 高齢者の事故が目立つことはもう御案内のとおりでございますけれども、これを何とか防がなければならない。  自動運転につきましては、その技術上の安全性が十分確保されることにより、運転者のミスに起因する交通事故の削減というものはその効果が認められると思いますし、また交通渋滞の緩和に資するものというふうにも考えております。  実際の高齢者交通事故防止に関しましては、自動運転車実用化が進むことによりまして、高齢運転者が利用することにより交通事故を引き起こす危険度が極めて低下していくということのほかに、横断中に交通事故に遭うリスク、これもかなり低減されるものというふうに思っておりまして、交通事故の抑止効果が期待されるところでございますので、是非そういった観点での自動運転に対する対応というものもこれ真剣に取り組んでいかなければならないというふうに思っているところでございます。
  90. 清水貴之

    ○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。
  91. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  現行の道路交通法は、あくまで運転者がハンドル、アクセル、ブレーキなどを操作して運転することが前提で、本法案は、初めてそれらの操作装置が行う自動運転について法律で規定し、自動運転に当たって運転者が遵守すべき事項を定めるものです。  その遵守事項というのは、一つに整備不良車両ではないこと、二つに車両が自動運行装置使用条件を満たしていること、そして三つ目に、車両がこの二つを満たさなくなった場合、直ちにそのことを認知し、自ら運転できる状態であることと、こういう三項目ですね。自動運転中におけるドライバーの義務は、つまりは緊急時などにすぐに自分が運転できる状態であることということなんです。  これ、具体的にどういう状態なのか、まずお聞きします。例えば、自動運転中に本を読む、スマホでゲームをする、テレビを見ている、後ろを向いておしゃべりをしている、これらは認められるんでしょうか。逆に言えば、どのような行為が禁じられるのか、お答えください。
  92. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  自動運行装置を用いて自動運転中に運転操作以外のどのような行為が認められるかということでございますけれども、これは自動運行装置ごと、すなわち車種ごと国土交通大臣から付される使用条件というものがございます。それによって異なりますし、また、それぞれの自動運行装置の性能によっても異なることとなります。  自動運行装置の性能によって異なるということにつきましてでございますが、例えばその一つには、自動運行装置がどの程度の猶予時間を持って条件外となるときに運転操作引継ぎ運転者要請するのかと、どの程度の時間的余裕があるのかということでありますとか、また、どういう方法、音声とか光とか振動によりましての引継ぎ要請、どういうような方法によって行うのか、それを受けて、それでは運転者はどのような状態であればそれを気付く、認知することができるのかというような自動運行装置のそれぞれの性能に応じて異なるということでございますので、先ほどお尋ねがありましたような本を読むのはどうか、スマホでゲームをするのはどうか、後ろの人とおしゃべりするのはどうかというような行為を類型化いたしまして、これを一律に、これはよろしい、これはいけませんというような形で説明をするということは誤っておりまして、誤解を招くことにもなりかねませんので適当ではないと考えております。  しからば、どのような場合に自動運転中に運転操作以外の行為が認められるのかという判断基準になりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、いわゆるレベル3の自動運転車と申しますのは、自動運行装置のそれぞれの使用条件を満たさなくなった場合に運転者が適切に運転操作を引き継ぐことができるかどうかというのが基準になります。  これをもう少し具体的に申し上げますれば、一つには、自動運行装置から発せられる運転操作引継ぎ要請にその運転者が確実に気付くことができるかどうか、二つには、これに気付いた場合にその運転者は直ちにハンドル等を適切に操作することができるような状態にあるかどうかということが基準になるところでございます。
  93. 田村智子

    ○田村智子君 今の説明ですと、つまりは、安全技術ガイドラインにも自動運転条件から逸脱した場合に警告音が鳴るなどの機能を自動運転運行装置に義務付けるというようなことを書かれていますので、それがどういうタイミングで鳴るかというのは機械上の問題です。  じゃ、運転者の方はどうかというと、そういう警告音に気付ける状態ならいいと。直ちに反応できる状態だと自認していればいいんですよ、自分が。自分が反応できるんだと自分が決められるんですよ。だから、私が先ほど言ったような行為は恐らく排除されないんです。  しかし、元々運転に集中していない状態で車に乗っていれば、これは眠気に襲われることはよくあることですよね。その状態で警告音が鳴ったときにすぐに本当に反応できるんだろうかと。パニックになる人も私はいるんじゃないだろうかと思いますね。  意識ははっきりしているけれども、読書やスマホのゲームに集中していて運転から全く切り離された状態でいる人が、警告音を受けてすぐに装置の不具合に対応できるんだろうかと非常に危惧するんですけど、大臣、いかがでしょうか。
  94. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 自動運転中に運転者が居眠りをしたり、あるいはまたシステムからの引継ぎ要請に応えられないほど読書やスマホに没頭している場合、これは適切に運転操作を引き継ぐことができないと、交通の危険を生じることになるということはそのとおりだろうと思います。このため、このような行為は安全運転義務に違反するということになって、道路交通法上禁止をされているところであります。  なお、自動運転装置からの引継ぎ要請運転者が適切に対応することができるように、自動車メーカー販売店関係機関等と連携して、自動運行装置種類ごと使用条件、それから性能や運転上の留意事項について、これからしっかりと啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。
  95. 田村智子

    ○田村智子君 そうすると、ゲームはしてもいいけど集中しては駄目だと。これまた非常に客観的な基準になり得るんだろうかというように思うわけですね。  今回の法改正では、運転中の携帯操作自動車等に取り付けられた画像表示用装置、つまりテレビやナビですね、これを注視して交通の危険を生じさせる行為について罰則を強化します。運転中のながらスマホ、携帯ゲームによって死亡事故まで起きたことを考えれば、こうした罰則強化は当然の措置だと思います。ドライバーが運転から注意をそらすことのないよう、注意喚起や取締りが一層求められると思うんですね。  ところが、自動運転の場合には、この安全運転義務の逸脱の典型であるながらスマホが禁止事項から外されるという規制緩和が行われるわけです。これ、私は大きな矛盾だと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  96. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 携帯電話使用等は交通事故防止観点から対処すべき重要な課題と認識しておりまして、この度の道交法改正でも罰則を強化しているところでございます。  他方、自動運行装置、これを適切に使用して自動車運転する場合には、運転者が常に前方や周囲の状況を確認しハンドル等の操作を行うことが不要になるために、携帯電話の使用やカーナビ等の画像の注視を一律には禁止しなくとも安全上の問題はないというふうに考えているところでございます。  したがって、同じ改正法案において罰則を強化する一方で携帯電話の使用等を許容することとしても、これ、それぞれの根拠に基づくものでございまして、その点については問題ないと思いますけれども、いずれにしても、我々は運転者が安全運転義務というのをしょっているということを自動運転下でもしっかりとそのことをアピールしていく、そのことが極めて重要であるというふうに思っております。
  97. 田村智子

    ○田村智子君 今回認めようというレベル3は、自分の運転自動運転を行ったり来たりするんですよ。それで、自動運転のときはスマホを使っていいというんですよね。  私は、運転中の携帯電話の通話禁止でさえ、今もってドライバーに徹底しているとはとても言い難い状況だと思うんですね。だからこそ罰則も強化される。ところが、同じ法案で、ながらスマホもゲームもテレビを見ることも集中しなければ許可する、これは到底私には理解ができません。  一定レベル自動運転、自動操縦を実用化しているのは航空業界です。飛行機の飛行ルートは道路のように狭い範囲ではありません。障害物もない広い空間です。また、管制官によって離発着時の飛行ルートが指示されます。自動操縦は自動車自動運転と比べても技術的難易度が格段に低く、だからこそ早くから実用化が進められてきたのだと思います。最新の航空機は、離陸から着陸まで全てオートパイロットで行うことができるともお聞きしています。  しかし、その航空機でも、自動操縦システムの不具合が原因と疑われる重大事故が相次ぎました。ボーイング社の最新鋭機B737MAXの墜落事故です。二〇一八年十月インドネシア、今年三月エチオピア、乗客乗員全員死亡という悲惨な事故により、日本を含む各国で運航停止、禁止の措置がとられています。この事故原因の調査は現在進行形ですけれども、以前から離陸直後にMCASという自動制御装置の不具合が何人ものパイロットから指摘をされていたといいます。このMCASが誤作動を起こした、しかしこれを遮断する操作、操縦を引き継ぐ手順をパイロットが理解していなかったことが事故の原因ではないのかと報道されているわけです。  自動車自動運転実用化した場合にも同じ問題が発生し得るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 北村博文

    政府参考人北村博文君) 航空機に起きて、発生した事故については詳細を承知いたしておりませんけれども、自動運行装置安全性というものは道路運送車両法に基づいて確認されることとなってございます。  具体的には、自動運行装置の保安上の技術基準として道路運送車両の保安基準が定められる、個々のシステムが保安基準に適合しているかどうかということにつきまして国土交通大臣が審査を行う、このことによりましてその安全性が確保されるということになってございます。  これも所管外でございますので、恐縮でございますが、この点につきましては、国土交通省自動車局が昨年九月に策定いたしました自動運転車の安全技術ガイドラインにおきまして、万が一自動運行装置が故障した場合であっても、一系統が停止しても他の系統で機能を維持する冗長性を確保すること、運転操作が引き継がれない場合には車両を自動で安全に停止させるミニマル・リスク・マヌーバーという機能が設定されることなどが自動運行装置にその安全性に必要な要件として記載されているところでございます。このように、適切に引き継がれない場合には安全に停止するという機械になっているということで安全を確保しようとしているのだと存じております。  なお、自動運行装置からの引継ぎ要請に現実に運転者が適切に対応するということはもちろん必要でございますので、この点につきましては、自動車メーカー販売店関係機関等と連携いたしまして、自動運行装置ごとの使用条件あるいは性能、運転上の留意事項などにつきましては、ドライバーの啓発に努めてまいりたいと考えております。
  99. 田村智子

    ○田村智子君 航空機だって、自動制御装置等々を含めて、それは法令上も絶対の安全というのを求めているはずなんです。それでもこういう事故が起きているわけです。  パイロットは航空機ごとに免許が違って、機種ごとに免許が違うわけですよ、航空機ごとに。個別の機種ごとにその特性を把握することを求められています。また、飛行機の故障という究極状態への対応も日常的に訓練しています。実際の飛行は、飛行経験を積んだ操縦士と副操縦士、やっぱり複数によって行われる。それでも、自動操縦装置からの引継ぎが適切に行えないという事態は決してレアケースではないわけですね。事故にまで至らないケースは幾つもあるとお聞きします。  訓練を受け経験を積んだパイロットでさえもうまくいかないのに、プロでもないドライバーが緊急時に引継ぎという適切な対応を行う保証があるのかどうか、これは大臣にお聞きします。
  100. 山本順三

    国務大臣山本順三君) 航空機のパイロットとの比較ということでございまして、我々もその航空機の技術的なレベルの中身については知る由もないわけでありますけれども、実際にあのような事故が起きているということだけは重く受け止めておかなければならないということを前提にして答弁させていただきたいと思いますけれども。  いわゆるレベル3の自動運転においては、故障等の不具合が発生した場合にはシステム運転者運転操作を引き継ぐことを要請することになります。この引継ぎ要請を発する具体的なタイミングでございますけれども、国交省におきましては国際基準を踏まえつつ検討されるものと承知しておりますけれども、一般的な運転技能を有する運転者であれば十分な時間的余裕を持って対応することができるようにシステムから引継ぎ要請がなされることになるというふうに理解をしておるところでございまして、これ、何秒あれば十分に対応できるかという観点では、先ほども交通局長からお答えいたしましたけれども、国際連合欧州経済委員会の部会においても議論されているというふうに承知をしているところでございます。
  101. 田村智子

    ○田村智子君 じゃ、確認しますが、レベル3というのは自動運転と手動運転の切替えが条件によって何度も行われることになるんですけれども、その特性を踏まえた自動車教習や免許制度の変更、見直し、これは行われるんですか。
  102. 北村博文

    政府参考人北村博文君) レベル3におきまして、自動運転と手動運転の切替えが何度も行われるのかどうか、頻繁に行われるかどうかということは、これは自動運行装置の性能等に応じて、それぞれの使用条件等に応じて異なるということでございますが、また、その自動運行装置使用して運転するに際しましては、自動運行装置使用条件を満たさなくなった場合に運転操作運転者が引き継ぐことが必要になるということは御指摘のとおりでございます。  ただ、実際にその引継ぎということでありますけれども、運転者は直ちに適切に対処できる状態にいるということが必要とされるのみでございますので、その後の運転行為は平素の運転操作と全く同じことでございますので、特に高度な技能等を必要とするものではないと考えておりますので、新たな運転免許でありますとか教習を創設する必要はないものと考えてございます。  なお、先ほど申し上げましたけれども、自動運行装置からの引継ぎ要請に適切に対応するということはやはり必要でございますので、自動車メーカー販売店関係機関等と連携して、自動運行装置種類ごと使用条件、性能や運転上の留意事項などにつきましては啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
  103. 田村智子

    ○田村智子君 私は、それは機械の安全性に対する過信になるんじゃないかと本当に危惧するんですよね。どういう警告音が鳴って、そのときにどう対応するのか、そういう教習さえもやらないんだろうかと、本当に疑問に思いますね。  次に、自動運転走行中に事故が起きた場合、事故の責任を誰が負うのか。これも先ほども質問ありました。  法案では、やはり運転者が自動操縦のボタン等々を押すこと自体も操縦なので、やっぱり運転者なんですよ。運転者に責任なんですよ。しかし、自動運転というのは、車体の操縦の主体は装置ですよ。ハンドルを操作するのも、ブレーキ、アクセルを操作し、そのいろんな判断をするのも全部機械なわけですよね。私は、製造者や自動運転装置メーカー、ここに対して安全に対する義務、これ求められると思いますが、この点、法案ではどう位置付いているんでしょうか。
  104. 北村博文

    政府参考人北村博文君) お答えをいたします。  この度の道路交通法改正におきましては、自動運行装置使用するということも道路交通法上の運転に含まれるということを条文上明らかにいたしておりますので、この自動運行装置使用して運転する者が道路交通法上の運転者であり、運転者としての義務、例えば道路交通法第七十条の安全運転義務を負うということになります。その結果、道路交通法第七十条に則して申し上げますれば、運転者自動運行装置を含む各種の装置を確実に操作して、他人に危害を及ぼさない方法で運転する必要があるということになります。  道路交通法におきまして、車両のメーカーについての義務を規定していることはございません。
  105. 田村智子

    ○田村智子君 昨年三月、アメリカでウーバー・テクノロジーズの自動運転システムを搭載したボルボ社の車が歩行者と衝突し、死亡させる事故が起きました。車両に装備された自動緊急ブレーキ機能は歩行者を認知し、ブレーキを掛ける判断をした。しかし、ウーバー社は、自社のシステムにも緊急ブレーキ機能があることから、車両の方の自動ブレーキ機能が働かないようにしていたと。で、運転者は前方を見ていなかったために歩行者との衝突直前にブレーキを踏んだけれども間に合わなかったと。現にこういう死亡事故が起きているわけですね。  過去、日本の自動車メーカー見ても、三菱自動車工業のトラックのリコール隠しをしたために、横浜市で母子三人を巻き込む死亡事故や、山口県でトラック運転手の死亡事故が相次ぐと。これ、部品の破損が相次いでいたのに、そのことを隠し、しかも、裁判で訴えられても企業側はユーザー整備不良を主張し続けたわけですよね。この間、自動車業界では検査データの偽装も相次いで発覚しています。リコールの件数も増加傾向にあるわけですよね。私は、やはり製造者に対する責任ということを道路交通法の中でも明記をすべきだというふうに思います。  時間が来たのでもう質問しませんけれども、やっぱりレベル3の自動運転を実現するためにとにかくイノベーションだと、世界のほかの企業と勝たなきゃいけないと、こうやって安全性を置き去りにして進めるようなことはあってはならないと、ここは大臣も恐らく同じことだと思いますけれども、そのことは求めて、質問を終わります。
  106. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について矢田さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。矢田わか子さん。
  107. 矢田わか子

    矢田わか子君 私は、道路交通法の一部を改正する法律案に対し、国民民主党・新緑風会を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。  これより、その趣旨について御説明いたします。  本法律案は、自動車運転の自動化レベルのうち、条件付運転自動化となるレベル3への対応にとどまっており、近い将来に実用化が想定されるレベル4以上への対応が図られておりません。  高度又は完全運転自動化となるレベル4以上の自動運転車においては、自動運転中、運転者が不要となります。このため、その実用化に際しては、運転免許を持つ者以外には運転を認めないという現行の道路交通法令の規定、体系を全面的に見直していかなくてはなりません。加えて、道路交通法第七十二条第一項に規定する交通事故の際の救護義務等に関しても、誰が責任を持って負傷者の救護を行うべきかなど、多くの検討課題が生じることとなります。自動運転をめぐる今日の急速な技術開発等を考慮すれば、そうした状況を十分意識した法整備が強く求められているものと考えます。  そこで、修正案においては、政府は、自動車自動運転等に係る技術の更なる高度化及びその実用化対応するため、自動車運転免許制度の在り方及び自動車による交通事故が発生した場合の負傷者の救護義務を含む自動車の運行に伴う交通安全の確保に関する義務の在り方を始め、自動車に係る道路交通に関する法制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする旨の規定を置くこととしております。  以上が修正案の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  108. 石井正弘

    委員長石井正弘君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  109. 田村智子

    ○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、道路交通法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本法案は、レベル自動運転にお墨付きを与え、開発、実用化促進するためのものです。そのため、初めて自動運転道路交通法規定し、自動運行装置を備えている自動車運転する際の遵守事項等を定めています。  しかし、その内容は、自動運転条件から外れた場合や装置、車両故障等の場合に、直ちに認知し運転を引き継ぐということにすぎません。運転者が緊急時に直ちに対応できると自認していれば、自動運転中に携帯電話の操作、スマートフォンなどでゲームをする、後ろを向いて話をすることも容認されます。運転から注意が外れている状態で緊急時に対応できるのか、特にシステムの不具合が生じた場合に自動運転を解除して運転を継続することができるのか、極めて疑問です。  法案が想定するレベル3の運転は、緊急時でなくとも、自動運転と人による運転の切替えが何度も行われることになりますが、その特性に応じた教習の受講や免許取得も義務付けていません。ハンドル、アクセル、ブレーキを運転手が操作しないという全く新しい運転概念を法制化するのに、自動運転装置メーカーに安全運行に対する義務を負わせることもしていません。  安倍政権は、二〇二〇年を目途レベル自動運転普及をと邁進する余り、安全性の確保を置き去りにしているのではと危惧せざるを得ません。  修正案についても、自動運転促進を求めるものであることから、反対です。  運転中の携帯電話操作等に対する罰則強化など、他の改正については賛成ですが、一方で、罰則化をしながら、厳罰化をしながら、自動運転中であれば携帯電話の操作禁止を解除する規制緩和を行うことは大きな矛盾だと言わなければなりません。  人為的ミスを防止し、運転安全性を高めるための技術開発は重要です。しかし、日本の自動車メーカーなどが海外との競争に打ち勝つために自動運転普及を急ぐことがあってはなりません。  このことを指摘し、討論を終わります。
  110. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより道路交通法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、矢田さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 少数と認めます。よって、矢田さん提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、矢田さんから発言を求められておりますので、これを許します。矢田わか子さん。
  113. 矢田わか子

    矢田わか子君 私は、ただいま可決されました道路交通法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会・希望の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。  一 自動運行装置使用して自動車運転する場合には、運転者に課せられる義務が一部異なること等に鑑み、自動運転中であること等が外形的に判別可能となるような、自動運転車の外観表示の要否や在り方等について速やかに検討すること。  二 自動運行装置使用して自動車運転する者が許容される運転操作以外の行為の判断の基準について、可能な限り明確化した上で周知徹底を図ること。  三 自動運行装置から運転者本人による運転に移行する必要が生じた場合に、円滑に運転操作を引き継ぐため、自動運転車運転する者に対し、自動運転車特有の操作や挙動における留意点等について事前に十分な説明がなされるよう万全の措置を講ずること。  四 自動運転車に関する交通ルールについては、自動運転車普及状況交通事故・違反等の発生状況技術開発の動向等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  114. 石井正弘

    委員長石井正弘君) ただいま矢田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 多数と認めます。よって、矢田さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山本国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本国家公安委員会委員長
  116. 山本順三

    国務大臣山本順三君) ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
  117. 石井正弘

    委員長石井正弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会