○宮沢由佳君
委員派遣について御報告いたします。
去る二月十八日及び十九日の二日間、大阪府、滋賀県及び岡山県の
環境及び
公害問題に関する実情を
調査し、もって本
委員会に付託を予定される
フロン類の使用の合理化及び
管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の審査に資するため、
那谷屋委員長、滝沢理事、片山理事、竹谷
委員、
武田委員及び私、宮沢の六名で
調査を行ってまいりました。
以下、
調査の
概要について御報告いたします。
一日目は、最初に、ダイキン工業株式会社淀川製作所を訪れ、フロン排出抑制法に関わる同社の
取組等について
説明を聴取するとともに、関連施設を視察いたしました。同社は、自社で空調機と冷媒ガスの
開発、生産が可能な
世界唯一のメーカーとのことであります。
まず、空調機器からのフロン
回収の現場を視察いたしました。
回収の作業は、同社が地元の大阪府や摂津市等とともに設立した株式会社ダイキンサンライズ摂津により、障害者の方を積極的に雇用して行われているとのことであります。基本的に手作業であり、機器からの抜取りには非常に手間と時間を要するとの
説明がありました。また、フロン
回収の際の温度と
回収効率との間には密接な
関係があるとのことであります。次いで、フロン破壊
処理施設を視察いたしました。同施設では、
回収したフロンが燃焼破壊温度千二百五十度で完全に分解され、一連の工程で生成される蛍石は再
利用されるとのことでありました。
派遣委員からは、使用中の冷凍空調機器からフロンが漏えいする要因、
開発途上国における冷媒の再生インフラ
構築事業の
状況、フロン
回収作業のオートメーション化の
可能性、
回収に要するコスト
負担の現状等について質疑が行われました。
今回の視察では、フロン
回収・破壊に係る広範な
課題について貴重な
知見を得るなど、有意義なものとなりましたが、これを踏まえ、ユーザーが機器を
廃棄する際の
回収率の
向上等について、
法案審査において議論を深めたいと考えます。
次に、滋賀県を訪問し、琵琶湖の
保全再生
施策等について滋賀県から
説明を聴取し、関連する現場等を視察いたしました。
まず、琵琶湖
環境科学研究センターを訪れ、滋賀県知事から、琵琶湖には、近畿
地方を中心に千四百五十万人の水源としての価値を始め、大きく七つの価値があるとの
説明を受けました。その一方で、近年の
課題として、侵略的外来水生植物であるオオバナミズキンバイ等の
対策、琵琶湖における
プラスチックごみ問題、新たな水質
管理指標の検討等に取り組んでいるとの
説明がありました。さらに、研究紹介として、同センターから、有機炭素を指標とする琵琶湖の新たな水質
管理について、また、センター内に所在する
国立環境研究所琵琶湖分室の特別研究員から、在来種のコイに小型ビデオカメラを取り付け、その生態を探るバイオロギングの
活用について、それぞれ
説明がありました。
次に、草津市の矢橋帰帆島中間水路に移動して、重機によるオオバナミズキンバイ引揚げの様子を視察いたしました。様々な手法により駆除を進め、
管理可能な状態を目指すとのことであります。
その後、琵琶湖博物館を視察いたしました。今回は、豊富で多様な展示のうち、
生物多様性や
環境保全に関連する展示の
説明を受けました。また、同博物館のリニューアルの一環として
整備された樹冠トレイルは、森を上から観察できるユニークな遊歩道でありました。
今回の視察を通して、
平成二十七年に議員立法により成立した琵琶湖
保全再生法などに基づき、滋賀県において困難な
課題に取り組まれていることを再認識いたしました。
二日目は、岡山県真庭市に移動し、同市における再生可能
エネルギー
活用の現状等について、真庭市から
説明を聴取するとともに、関連施設を視察いたしました。
真庭市は、
平成十七年に九町村が合併して誕生いたしました。まず、真庭市役所を訪れ、真庭市長からは、盛んな林業を背景に、
地域資源を
活用し、脱炭素
社会構築に戦略的に取り組んできた経緯や現状についての
説明がありました。その際、持続可能な
地域の発展に向けた継続的な
取組や、再生可能
エネルギー固定価格買取り
制度等の国の政策的な
支援が重要であるとの御
意見がありました。なお、市役所庁舎においても、
地域由来再生可能
エネルギーの
活用を図っているとのことであり、敷地内にある二基のバイオマスボイラーを視察いたしました。
派遣委員からは、森林資源の将来の見通し、次世代の林業従事者
育成方針、森林
環境税の税収見通し、CLT晴海プロジェクト建築施設の真庭市移築後の
活用方針、国産バイオマスボイラーの動向、燃料となる木材チップの調達
状況等について質疑がありました。
その後、銘建工業株式会社の
国内最大規模のCLT工場を視察いたしました。CLT、すなわち直交集成板とは、ひき板を繊維方向が直角に交わるように積み重ねて密着させたパネルであり、欧州では、一般住宅から中大規模施設等の建築材料に広く用いられているとのことであります。CLTは、断熱性の高さが
地球温暖化対策に資するだけでなく、耐火性が高い、施工が早い等の特性があるとの
説明がありました。
派遣委員からは、木材であるCLTの耐火性が高い理由、輸入材とのコスト比較、CLTの用途等について質疑が行われました。
最後に、真庭バイオマス発電株式会社の発電所を視察いたしました。同発電所は、
平成二十七年に稼働を開始し、発電出力は一万キロワットであり、これは一般家庭の約二万二千世帯分に相当し、燃料は、真庭
地域の未
利用材、製材端材等を用いているとの
説明でありました。現在、固定価格買取り
制度等を
活用しながら、
地域的な
取組の下、安定的な燃料供給が実現しており、高い稼働率が実現しているとのことであります。
以上が
調査の
概要であります。
最後に、今回の派遣に際し、お世話になった
関係者の方々に厚く御礼を申し上げまして、報告を終わります。
ありがとうございました。