○
岡本(三)
委員 今の御答弁の中で、拙速な
調査になっては
本末転倒というのはよく理解をいたします。その一方で、先ほど申し上げたように、
国民に
全容を明らかにするという
政府の決意を示す
意味からも、
委員会の
方々に強く、ある程度の時間内で
報告をしていただくことをお願いするという姿勢をぜひお持ちをいただきたいと思います。
今回の一連の不正を
転換点として、今後、
精度の高い
統計を算出できるように、私は、
統計の
手法を一から見直すプロセスを
政府にぜひお願いをしたいというふうに思っております。そして、将来、振り返ったときに、あの
統計不正があったからこそ
日本の
統計は
信頼できる、正確なものになったと
国内外に
評価をいただけるような
統計行政全体像に
転換をしていく必要があると思います。
そこで、きょうはぜひ、本来
統計とはこうあるべきだということにつきまして、
政府にこういう
観点から一体となって御検討いただきたいということを御提案申し上げたいと思います。
その際に、三つ、大切な
視点があります。
一つは、学術的にも、そして
調査手法の
効率化の
観点からも、現在の
統計手法が真に
精度が高いものとなっているかどうかという
観点。そして
二つ目には、他の
主要国と比べて
日本の
統計手法がどういう
状況かという
観点。そして最後には、これは重要なんですけれども、
調査対象者、
協力者の
皆様の
負担を極力軽減するということに配慮ができているかという
観点であります。
例えば、現在の
公的統計、全部で二百八十九あるんですが、これは本当に二百八十九必要なんでしょうか。歴史的に役割が終わったものはないんでしょうか。新たな
経済の
側面ができて、実は、これよりもふやさなければいけないということはないんでしょうか。前もやっていたから今も同じことをやっているということがないかということは、ぜひ
調査をしていただきたいと思います。
加えまして、その
調査対象においても、それぞれの
統計で
全数調査が本当に必要なのか、それとも、
統計の
手法を使えば、十分に分散をしていれば
抽出調査でもいいのか、そういう
議論も必要です。
また、訪問をして
調査をするというのが今の
時代、本当に必要なのか。今は
ルールですから、しなければいけませんが、郵送の方がいいのかもしれません。
電子メールでのやりとり、さらにはWEPを設定してそこに直接入れていただくようなこと、又はAIを活用した
まとめ方もあります。さまざまな
議論が必要です。
調査項目についても、実際に
調査票として送られているものをきょうは持ってきましたけれども、大変多くの
調査項目があります。これは本当に全部必要なんでしょうか。確かに必要といえば必要なんですが、
優先順位もあるはずです。
協力者の
方々の
負担を軽減するために、この
質問内容についても、いま一度見直すときが来ているのではないかというふうに私は思っております。
加えて、一旦集めた
データを
役所でどのように
分析しているんでしょうか。
私、
厚労省の方に、毎
勤統計を
分析する
プログラムを伺いました。あえてネームは挙げませんが、この
プログラムは、私が三十五年前、大学に入学したときに、一年生で
プログラム言語で習った
言語がこの
プログラムです。(発言する者あり)
COBOLです。いまだにそれを、
COBOLがいい悪いという
評価をしているわけではありません。あれ以来、さまざまな
ソフトウエアが開発されています。
厚労省の方に伺いました、なぜこの
言語をいまだに使っていらっしゃるんでしょうかと。
前任者が使っていたからだとおっしゃるんですね。ちょっと恥ずかしそうにおっしゃいました。
これがいい悪いではなくて、常に、
厚労省の方、又は
役所の方、
統計に携わる方の
効率化をしっかり図るためにも、
ソフトウエアについても
分析をして、より適切なものを使うべきではないかというふうに思います。
パネル1、資料一をごらんいただきたいんですけれども、
統計の
組織体制についても御検討いただきたいというふうに思っているんです。これは
主要国における
統計機関を比較したものでありますけれども、
日本と
アメリカは、それぞれの
役所が担当する
統計をそれぞれ算出をしておりますが、
フランス、ドイツ、
カナダは、
専門の
統計組織が一元的に
調査をしております。この表にはありませんけれども、イギリスも
国家統計局が一元的に行っております。私は、一元的に行ってほしいということではなくて、そういうことも含めて
議論をしていただきたいというふうに思っているんですね。
私、個人的には、少なくとも
基幹統計においては一元的にやっていくということに
意味があると思っているんです。それは、
専門家を育成するという
観点から、例えば、一元的に
総務省の中につくった
組織において
基幹統計をやって、そこに
学術界の
若手の
研究者を三十人、五十人の単位で採用していただき、
役人の方とともに
統計を行っていく。そうすれば、常に最新の
統計手法を
役人の方と共有することができ、
役所の中でも
専門性が深まってまいります。
実は、
日本は、
統計学並びに
労働経済の
分野におきましては、
世界最先端の
若手の
研究者がたくさんいるんですね。にもかかわらず、いわゆるポスドク、
博士号を取得した後にこの
方々が活躍できる場が余りにも少ないんです。もったいないです。ぜひ、この
方々が活躍していただけるような大きなフィールドを
政府につくっていただきたいというふうに思っています。
ただ、
専門性を持った一元的な
組織にするのか、今のままでいいのか、どちらがいいというふうに私は申し上げているわけではなくて、そういうことも含めて御検討いただくタイミングだと思います。
あと、この
職員の
人数をごらんになっていただきたいんですけれども、
人数自体は、それぞれの国で
経済規模の違いや
人口の違いもありますので、一概に多い少ないとは言えないんですが、仮に、
人口十万人当たりそれぞれの国で
統計に携わっている方が何人いらっしゃるかという
観点から見ると、
日本は、
アメリカや
フランスの約半分、そして
カナダの七分の一。やはり、正確な
統計をしっかりと確保していくことからも、この人材の大幅な拡充ということも御検討をいただきたいというふうに思います。
統計の全体像を見直すに当たって大切な
視点の
一つは、先ほど申し上げたように、
協力者、
情報提供者の
皆さんに最小限の
負担で、しっかりとした
統計の
精度を上げていくということであります。
大企業ならまだしも、中小、小規模の
皆さんが、あなたが
統計の
対象に選ばれましたというふうにいきなり言われて、この
統計の
内容につきまして全て回答するというのは大変な労力なんですね。ぜひ軽減していただきたいと思うんです。
この
統計の
ローデータというのは重要ですので、
統計法の中で、これに答えなかったり不正確な答えをすると
罰金が科されるようになっています。ですから、この
統計の
集計表の下にも
罰金が科されると書いてあるんですね。私、ちょっと、
質問をお願いしているのに、上から目線過ぎると思っているんですよ。はい、あなたが選ばれました、答えてください、もし答えなかったら五十万円請求しますと、ちょっと偉そうじゃないですか。
私は、もっと感謝してほしいんです。物すごい頑張っているんですよ。例えば、ちゃんと答えていただいた方には、
大臣から
お礼状の一通ぐらい送っていただきたいんですね。それぐらいの気持ちでこの
統計の
基礎をなす
データを示していただいている
方々と向き合っていただきたいというふうに思います。
ちなみに、私がここで
さまざま議論をしているようなことに関しましては、既に
政府の方で何回も何回も
議論をしていただいておりまして、このような、
公的統計の整備に関する基本的な計画としてまとめていただいております。
しかし、ここで目標としていらっしゃること、
期限もついていますけれども、はっきり言って余り進んでおりません。
議論をすることが目的になっているのではないかというふうに私は危惧しているんですね。実現することに魂が入っていないんじゃないかと思うんです。しっかりと
議論をして決める、
期限も決める、
進捗状況もチェックする、そういう
体制をいま一度
政府の中で見直していただきたいと思います。
もう
一つだけ重要な点、ぜひ
皆さんに御検討いただきたいんですけれども、では、どうやって今回失った
信頼を取り戻すかということであります。
諸
外国はどうしているかというと、
統計に不正がないことをしっかりと
民間と共有をするために、この
一つ一つの生の、
ローデータ、生の
基礎データを
民間と共有できる仕組みがあります。実は
日本もこれがあるんですね。ただ、どの会社の
データかということが余りにも推測されやすくなってはいけませんので、しっかりと
守秘義務を結んで提供できるようになっています。
特に、
学術者においては、この
基幹統計の
ローデータというのは宝の山だそうです。この
データを使うことによって、世界的なジャーナルにも多くの論文が出せるという
学術者の声も多くあります。けれども、諸
外国に比べて
日本は著しく活用されていないんですね。
なぜ活用されていないかということを
研究者の方に伺いました。
二つあるそうです。
一つは、
政府の
宣伝不足。活用できること
自体を御存じない
研究者が物すごく多い。もう
一つは、時間がかかることです。活用させてくださいと申し込んでから、長いものでは
データを入手するのに半年以上かかるそうです。
統計を
分析するにはタイムリーな
分析が必要なのに、半年前の
データをもらっても、もう世の中は変わっています。その点において、このような
信頼を回復するという
側面全体も含めて、ぜひ、
政府の、本来
統計はこうあるべきだという
観点の
議論をしていただきたいと思います。
その上で、
総理に
質問させていただきたいんですけれども、結局、どんな
ルールを決めても、それを守らなければ
意味がないんですね。結局、今回の問題も、私はガバナンスの問題だと思っています。しっかり、いろいろな方の
意見を反映して決めたことを守れるような
体制をつくり、
事後チェックもしっかりしていくということが何より重要だと思います。どんなにすばらしい
ルールをつくっても、それが守られなければ
意味がないからです。その
意味で、大胆なガバナンスの強化をして、しっかりと機能する、
日本の
統計行政機構全体を見直すというタイミングに来ているのではないかと思います。
事後チェックの仕組みが何より重要です。
総理、今回の
特別監察委員会の
報告書が出てきた後、この
日本の
統計行政全体のあり方を見直す、そういう再検討するときに来ていると思いますけれども、いかがでしょうか。