○初鹿明博君
立憲民主党の初鹿明博です。
ただいま
議題となりました
障害者の
雇用の
促進等に関する
法律の一部を改正する
法律案について、
立憲民主党・
無所属フォーラムを代表して質問いたします。(
拍手)
日曜日に行われた衆議院補欠選挙において、自民党公認候補が、大阪十二区、沖縄三区双方とも敗北しました。総理、副総理の地元だからそんたくして予算をつけたという驚くべき発言をした塚田国土交通副大臣の辞任、たび重なる失言で大臣の資質が疑われながら安倍総理が守り続けた櫻田オリパラ大臣の遅きに失した辞任と、安倍政権のほころびが始まり、隠蔽、改ざん、虚偽
答弁、そんたく、暴言、失言という安倍政権の体質に対して有権者がノーを突きつけたのです。
とりわけ、沖縄においては、軟弱地盤が明らかになり、工期も総工費も決まらない中、県民投票の結果を無視して辺野古工事を強行している
姿勢は、県民に寄り添うどころか、沖縄にこれ以上基地は要らないという沖縄の民意を踏みにじる行為にほかならず、沖縄県民の安倍政権に対する怒りが頂点に達した結果ではないでしょうか。
政府は、今回の選挙結果を真摯に受けとめ、辺野古工事を即時中止すべきです。また、与党は、この選挙結果を受け、そんたく道路や消費増税の延期などについて安倍総理出席の
もとで審議するため、野党が要求している予算
委員会を審議拒否することなく早期に開催すべきです。
では、質問に入ります。
今回の法改正は、昨年八月に発覚した、中央省庁の
障害者雇用の
対象者を水増しし、
雇用率を
達成したかのようにごまかしていた、いわゆる
障害者雇用水増し問題に端を発し、
再発防止の徹底、
障害者雇用率の速やかな
達成、そして
中小企業における
障害者雇用の
取組等を進めるためのものであります。
それゆえに、まずは
障害者雇用水増し問題について触れないわけにはまいりません。
御承知のとおり、従業員が一定数以上の規模の
事業主は、従業員に占める身体
障害者、知的
障害者、精神
障害者の割合を
法定雇用率以上にする義務があります。国の
機関や地方自治体などの公的
機関は、
民間の
事業主に対し
障害者雇用を進めるよう促す
立場であり、率先して
障害者を
雇用する
責任があるので、
民間の二・二%よりも高い、二・五%の
法定雇用率となっています。
その
民間よりも
責任が重く、率先して
障害者を
雇用する
立場の中央省庁で、
障害者の数を水増し
計上し、
法定雇用率を
達成しているようにごまかしていたのですから、関係者の衝撃は大きなものがありました。不足分は三千八百人を超え、実際の
雇用率は、満たすべき
法定雇用率二・三%の半分、一・一七%であったことが判明したのです。
この水増しは四十二年にわたり各省庁で行われ、この事実を把握できずに続いたことは、行政の監視機能である国会がその役割を果たせていなかったものであり、また、多くの政党が与党を経験したことを考えると、与野党問わず、我々も大いに反省すべきだと考えます。
では、現在政権を担っている安倍政権がこの問題に真摯に向き合っているかというと、疑問を持たざるを得ません。統計不正を始め他の問題同様に、
事態を過小
評価し、実態解明に余りにも不熱心です。
その象徴が、実態解明のために立ち上がった
検証委員会がまとめた
報告書です。不適切
計上が長年にわたって継続的に行われてきたことは認めながらも、不適切
計上のあった国の
行政機関のいずれにおいても、意図的に不適切な
対応を行った例は把握していないと結論づけているのです。
与党の皆さん、この
報告書全文、お読みになりましたか。
多くの方がお読みになっていないと思いますので、どこがおかしいか、具体的に
指摘します。
報告書によると、国土交通省は、死亡退職者三名を含む、在職していない
職員八十一名を
計上していました。国交省では退職者の管理も把握もできないのでしょうか。退職者を
計上したのは、単に
雇用率を満たすために
数合わせをする意図があったのではないですか。これを意図的というのではありませんか。
農林水産省では、人事担当者の周囲にいる者のうち、眼鏡、しぐさ等から視力が悪そうな者から裸眼視力を聴取し、
計上していたとあります。数が足りないから、穴を埋めるために、裸眼視力が〇・一以下の人がいないか聞いて回ったということですよ。これを意図的でないというのですか。そもそも、眼鏡やしぐさで視力が悪そうだからと
障害者になるのであれば、この議場の多くの皆さんも
障害者になってしまいます。
最も驚いたのは外務省です。精神
障害者について、仕事に来られなくなっている人、仕事に来ているけれども仕事になっていない人を
計上していたと記載がありました。
外務大臣に伺います。
外務省には、仕事に来ているけれども仕事になっていない人がいるのですか。誰の判断で仕事になっていないと
認定するのですか。
障害者として
計上することを本人に告げていなかったようですが、明らかに不適切です。わざわざ
障害者に仕立て上げた、どう考えても
雇用率の算定に加える
対象でないとわかるはずですが、これでも意図的ではないというのですか。お答えください。
この
報告書については、
障害者団体から、今般の不適切な行為の原因として、厚生労働省の
障害者雇用の実態に対する関心の低さ、
対象障害者の
計上方法についての正しい理解の欠如、法の
理念に対する意識の低さが挙げられているが、なぜ
障害者雇用の実態に関心が薄かったのか、省庁横断的に
法律違反が行われ、しかも長期にわたって放置されてきたのか解明されていませんと
指摘され、再調査するよう求められています。
厚生労働大臣は、この
報告書の結論どおり、意図的でなかったと考えているのでしょうか。この問題で誰一人処分されていませんが、誰も
責任をとらないのでしょうか。
加えて、
障害者団体からも求められているとおり、統計不正問題のように、
障害当事者も加えて再調査する必要があると考えますが、見解を伺います。
民間事業主は、
法定雇用率を
達成していないと、未
達成の
障害者一人当たり月五万円の納付金の支払い義務があります。一方、中央省庁始め公的
機関は、
雇用率を
達成できなくても、国民から集めた税金から支払うことは国の納付義務を国民に転嫁する結果となり好ましくないとの理由で、納付金の支払い義務はありません。
雇用率未
達成だと納付金の支払い義務のある
民間とのバランスをとるため、
法定雇用率未達の各省庁について、次年度から庁費を削減するとのことですが、庁費も原資は税金であり、
民間企業と違い、各省の
職員の努力で稼いでいるものではありません。その点では、庁費を減らされたところで、
民間企業が感じる痛みを省庁の
職員が感じることはありません。
そこで、
職員も痛みを感じ、積極的に
雇用率
達成を図ることになるよう、
職員の手当等を引き下げるなど、痛みが伴うペナルティーを科すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
また、各省において削減された庁費が、
民間が納める納付金のように確実に
障害者雇用の
促進のために使われるように、基金をつくるなどして金額と使途が明確になるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
政府は、
雇用率未達の状態を解消すべく、新たな採用試験を設け、七百五十四名に常勤
職員としての採用内定を出しました。けさの朝日新聞では、非常勤含めて約二千七百名採用したと報じられています。
水増しの事実が発覚した直後は、
法定雇用率の未
達成状態を早期に解消するために、不足分の三千八百人を急いでかき集めようという動きもありましたが、
障害者団体から、
障害者を受け入れる体制ができていない中で数だけふやしても雇われた
障害者が不幸になる、そもそも、
民間でも採用したい
障害者はとり合いになっていて、そんなに簡単に集まらない、そんな中で強引に三千八百人の採用を行ったら、
民間から引き抜くことになるのではないのかと懸念の声がありました。
国に
障害者を引き抜かれた
民間事業主が、
雇用率を割ってしまい、納付金を支払わされることになったら、余りにも理不尽だと感じます。
雇用していた
障害者が国の
機関に採用され、退職し、
法定雇用率を割ってしまった
民間事業主については、一定期間、納付金の支払いを免除する
措置を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
民間からの引き抜きのような
事態が起こってしまうのは、国の採用が身体
障害者に偏っているからです。先ほど述べたとおり、知的なおくれのない身体
障害者は引く手あまたです。一方、知的
障害者や精神
障害者の
雇用はまだまだ不十分であります。今回採用された者の
障害種別を見ると、知的
障害者で内定が出た者はごくわずか三人、〇・四%にすぎません。
本来、官の役割は
民間でできないことを行うことであり、
民間ができることは
民間に任せ、官は民の補完に徹すべきです。この考えを
障害者雇用に当てはめれば、
民間で進んでいる身体
障害者の
雇用は
民間に任せ、
民間ではなかなか進まない知的
障害者、精神
障害者の
雇用を公的
機関が積極的に担うべきです。
七年前、米国で
障害者雇用についてヒアリングを行った際に、このような実例を伺いました。白衣を着て働きたいというダウン症の女の子の夢をかなえるために、ある病院が、看護師が行っていた手術前にメスなどの器具をそろえる
業務を切り出して彼女の
業務として採用したところ、看護師の負担が減り、患者と向き合う時間がふえ、仕事の効率が上がった。彼女は病院の戦力としてなくてはならない存在となり、このエピソードが全米に広がって、
障害者雇用が進んだとのことでした。
このとき強調されたのは、
障害の特性に応じ、タスク分けして
業務を切り出すことで、
障害者も企業の戦力になるということでした。
我が国でも、知的
障害者の一般就労がうまくいっている企業の多くは
障害者を戦力として
雇用している企業です。
国の
機関でも、知的
障害者の
雇用が進むように、
業務内容を精査し、知的
障害者が
活躍できる
業務の切り分けを行うなどの検討が必要だと思いますが、いかがでしょうか。その上で、知的
障害者の採用が進む試験の方法、採用方法を新たにつくり出す必要があると考えますが、いかがでしょうか。
本案では、国及び
地方公共団体は
障害者活躍推進計画の策定が義務づけられておりますが、策定された
計画の
実施状況に対する
評価方法が明示されていないことに懸念を感じます。
実施状況を具体的にどのように
評価するのか、
計画未
達成の場合にどのように改善させるのかが明確でなければ
計画の
実効性が上がりませんが、どのように考えているのでしょうか。また、
計画が未
達成の省庁に対するペナルティーは、庁費の削減以外にあるのでしょうか。
民間での
障害者雇用に関する改正点として、週二十時間未満の
障害者雇用に対する
特例給付金制度を設けるとのことであり、精神
障害者など、短時間の勤務なら働けるという方々の
雇用の場が広がり、一歩前進だと考えます。
短時間の勤務を試行的に行うことで、働く側も雇う側も一緒に働く人もなれていき、徐々に時間をふやし、いずれは常勤
雇用につながっていくことも期待されます。
このような効果を考えると、就労系の
障害福祉サービスの
利用者が、週の一日、二日を
民間企業の非常勤として働き、残りの三、四日を事業所に通うという形がとれると、一般就労への移行、移行後の定着が進んでいくのではないかと考えます。
しかし、
障害福祉サービスの
利用者は、通常の事業所に
雇用されることが困難な者、さらに、B型では、
雇用契約に基づく就労が困難である者とされているために、原則、アルバイトなどと福祉サービスを併用することは認められておりません。
今回、この
特例給付金を新設するに当たり、
障害福祉サービスの就労系の事業所の運用を見直して、通常の事業所で働くことと福祉サービスの事業所を併用することを積極的に進めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
国及び
地方公共団体は、
障害者である
職員を免職する場合に、ハローワークへの
届出が義務づけられます。届け出ることで、免職となった
障害者がハローワークにつながり、再就職支援を受けられるのは前進だと思います。
しかし、公的
機関の
障害者は非常勤で
雇用されることが多く、
契約が更新されなければ、そのまま路頭に迷うことになります。それも、
契約更新ができるか否かが決まるのが
契約満了ぎりぎりの場合が多くあり、失業期間なく次の仕事を見つけるのが非常に難しい状態にあります。
国及び
地方公共団体側の都合で非常勤の
障害者の
契約更新しなかった場合も、ハローワークへの
届出を義務づける必要があるのではないでしょうか。
そもそもの問題として、現在の
法定雇用率の算出方法、
対象となる
障害者の範囲が妥当かどうかを検証する必要があるでしょう。
諸外国の
法定雇用率は、ドイツで五%、フランスは六%、お隣韓国でも今年度から三・一%と、
我が国の二・二%は著しく低くなっています。
法定雇用率の
対象となる
障害者の範囲は、
障害者手帳の所持といった医学モデルに基づいており、
障害者権利条約に基づいて、
社会モデルとしての観点から見直す必要があると考えます。
雇用率算定の基礎となる、
障害者で失業している者の数も、実態に沿っていないとの
指摘もあります。
法定雇用率の設定について、
障害者の範囲の見直しなど、他国の
状況を加味して検討を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。
障害者の問題は、健常者にとっても他人事ではありません。誰しもが病気やけがで
障害者になり得るのです。与野党問わず、
障害者を弱者、少数者の問題と考えるのではなく、みずからもなり得る問題として取り組んでいただくようお願いいたします。
立憲民主党は、立憲主義に基づく民主政治と、多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う
社会を実現するために結党いたしました。この
理念の
もと、
障害のある人もない人もお互いさまに支え合いながら暮らしていくことのできる
社会の実現に全力を尽くしていくことをお約束して、
立憲民主党・
無所属フォーラムを代表しての質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣根本匠君
登壇〕