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2019-03-14 第198回国会 衆議院 総務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十一年三月十四日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 江田 康幸君    理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君    理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君    理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君    理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君       井林 辰憲君    池田 道孝君       大西 英男君    金子万寿夫君       川崎 二郎君    木村 次郎君       佐藤 明男君    田野瀬太道君       冨樫 博之君    中山 展宏君       長坂 康正君    鳩山 二郎君       福田 達夫君    穂坂  泰君       三浦  靖君    宮路 拓馬君       務台 俊介君    宗清 皇一君       山口 泰明君    伊藤 俊輔君       小川 淳也君    岡島 一正君       中谷 一馬君    長尾 秀樹君       山花 郁夫君    稲富 修二君       日吉 雄太君    國重  徹君       本村 伸子君    足立 康史君       吉川  元君    井上 一徳君     …………………………………    総務大臣         石田 真敏君    総務大臣        佐藤ゆかり君    総務大臣政務官      大西 英男君    総務大臣政務官      國重  徹君    政府参考人    (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君    参考人    (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君    参考人    (日本放送協会会長)   上田 良一君    参考人    (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君    参考人    (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君    参考人    (日本放送協会理事)   松原 洋一君    参考人    (日本放送協会理事)   黄木 紀之君    参考人    (日本放送協会理事)   鈴木 郁子君    参考人    (日本放送協会理事)   松坂 千尋君    総務委員会専門員     近藤 博人君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   福田 達夫君     宮路 拓馬君   山口 俊一君     中山 展宏君 同日  辞任         補欠選任   中山 展宏君     山口 俊一君   宮路 拓馬君     福田 達夫君     ————————————— 三月十三日  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 江田康幸

    江田委員長 これより会議を開きます。  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査中、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江田康幸

    江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長山田真貴子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江田康幸

    江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 江田康幸

    江田委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。石田総務大臣。     —————————————  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 石田真敏

    石田国務大臣 おはようございます。  日本放送協会平成三十一年度の収支予算事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入が七千二百四十七億円、事業支出が七千二百七十七億円となっており、事業収支における不足三十億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入が一千六十三億円、資本支出が一千三十三億円となっております。  次に、事業計画につきましては、国民視聴者信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送充実経済成長牽引力として期待される4K、8Kの推進等に取り組むこととなっております。  総務大臣といたしましては、この収支予算等につきまして、受信料還元策実施を考慮するとやむを得ない面があるとした上で、今後も受信料公平負担徹底により増収確保するとともに、聖域なく徹底的に経費節減に取り組むことを強く求めるほか、既存業務全体の見直し受信料額の適正な水準を含めた受信料あり方について、引き続き検討を行うことを求めております。  また、協会職員委託先による不祥事再発防止に向け、ガバナンス強化コンプライアンス徹底組織を挙げて全力で取り組むこと、子会社改革を着実かつ徹底的に進めること等が必要であるとする意見を付しております。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  7. 江田康幸

    江田委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長上田良一君。
  8. 上田良一

    上田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成三十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  平成三十一年度の事業運営に当たりましては、自主自律を堅持し、放送を太い幹としつつインターネットも活用して、正確で公平公正な情報を伝え、より安全、安心な暮らしを実現する報道全力で取り組むとともに、多彩で魅力的なコンテンツ充実を図ります。また、国際発信力を更に強化して世界各国との相互理解を進めるとともに、地域の魅力や課題を広く発信して多様な地域社会に貢献してまいります。  さらに、昨年十二月に本放送を開始した4K・8Kスーパーハイビジョン放送充実、普及を推進するとともに、人にやさしい放送サービスの拡充に取り組みます。  受信料については、公平負担徹底に向け、受信料制度理解促進営業改革をより一層推進し、支払い率向上に努めるとともに、負担軽減策実施いたします。さらに、ことし十月に予定されております消費税率引上げに際して、受信料額の改定を行わないこととします。  関連団体を含めたNHKグループ一体となり効率的で透明性の高い組織運営推進するとともに、おととし十二月に公表した「NHKグループ 働き方改革宣言」の実現に向けた取組を進めます。  次に、建設計画においては、緊急報道設備や4K・8Kスーパーハイビジョン設備を整備するとともに、いかなる災害時等にも安定的に放送サービスを継続するための設備整備等実施いたします。また、東京渋谷放送センター建てかえを引き続き推進してまいります。  以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定事業収支におきまして、受信料などの収入七千二百四十七億円、国内放送費などの支出七千二百七十七億円を計上しております。事業収支における不足三十億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。  また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額千六十三億円を計上し、支出には建設費など千三十三億円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。  以上、平成三十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。事業計画一つ一つの施策を着実に実行し、公共放送として視聴者皆様期待に応えてまいりたいと存じます。  委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  9. 江田康幸

    江田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  10. 江田康幸

    江田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。長尾秀樹君。
  11. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 おはようございます。立憲民主党無所属フォーラム長尾秀樹でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  ただいま御説明のございましたNHKの二〇一九年度予算についてお伺いをしたいと思います。  御説明では、事業収入は七千二百四十七億円、前年度から七十九億円の増収事業支出は七千二百七十七億円、前年度比百四十九億円の増加収支差額が三十億円マイナスということで、平成二十二年度以来、九年ぶりの赤字予算ということでございます。不足の三十億円は、財政安定のための繰越金の一部を取り崩すということとしております。  赤字予算ということですので、余り印象がよくない、イメージがよくないというふうに思います。なぜ赤字予算を組まなければならないのか。一方で受信料実質上の値下げも行う、予算赤字である、そういう報道だけを見ますと、一般国民の方は、大丈夫だろうかと不安が募るかもわかりません。  将来的には受信料支払い率増加が見込まれる、組織改革などで効率化を図るという方針のようでございますけれども、職員の皆さんやあるいはNHK契約者に対して説明は十分なされているんでしょうか。とりわけ視聴者契約者に対してはもっと丁寧かつわかりやすい言葉での説明が必要と考えますが、いかがでしょうか。
  12. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  平成三十一年度の事業収入につきましては、公平負担徹底を進め、受信料収入確保に努めますが、中長期的な見通しを踏まえ、十月から受信料実質値下げ実施いたします。  一方、事業支出の面では、業務全般にわたる経費削減徹底しつつ、本放送が始まりました4K、8K番組制作強化や、防災減災報道充実国際放送のさらなる充実等に取り組むことで、前年度に対しまして百四十九億円の増加となっております。  これらの理由によりまして、事業収支差金マイナスとなります。  今後の収支見通しにつきましては、世帯数減少や若者のテレビ離れなど、環境は厳しさを増しますが、受信料公平負担徹底に一層努めて、収入確保してまいりたいと考えております。  一方で、支出につきましては、業務改革を一層推進することなどによりまして、一定の適正な規模におさめ、厳正に管理してまいります。  事業収支差金は、二〇二二年度までの間はマイナスが続く見込みでありますが、二〇二三年度には黒字に転換する見通しであります。  以上です。
  13. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 二〇二三年度には黒字に転換する見込みということなんですけれども、さらにその先の展望がどうなるのかということが問題ではないかと思います。  これまでは、NHKさんは、受信料増収ということを前提に、いろいろな視聴者へのサービスを多様化させてこられたと思います。来年度の予算基本方針でも、新たな時代の公共メディアを目指す、放送と通信の融合ということで、視聴者信頼を得るように挑戦と改革を進める、あるいは、多彩で質の高い番組を追求するという方針を掲げておられます。さらに、それに加えて、今も会長からございましたように、働き方改革も進めていかなければならないということになりますと、適正な規模事業運営ということ、中長期的な経営の安定ということが必要というふうに思います。  今後の長期的な展望についてどう考えておられるか、お聞きをいたします。
  14. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今回、受信料値下げ、また一部還元を決断いたしましたのは、中長期的な収支見通しをしっかり踏まえた上で、収支相償という公共放送公共メディアとしての本来の立場に立脚して、予算等を見た上で決断いたしました。  一時的に大きな支出が見込める4K、8K、それから東京オリンピック・パラリンピック、一応めどが立ちましたので、オリンピック後は、ある一定水準事業運営できるよう、しっかりと業務改革推進しながら取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 そこで、受信料の問題でございます。  平成二十九年十二月の最高裁判決以降、受信料支払い率が上がっている。三十年度には一%上がって八二%ということでございます。来年度については八三%を見込んでおられる。  一方で、十月に消費税値上げされたとしても受信料値上げは見送る。これで実質二%の値下げ、百三十五億円。さらに、来年十月からは地上契約衛星契約を二・五%の値下げを行う、百九十三億円。合計で三百二十八億円の収入減少が見込まれる。これは昨年度の受信料収入見込み合計四・五%に当たるということになります。  受信契約増加ということが今後永遠に続くとは考えられません。人口減少社会という中で、世帯数は減っていきます。テレビ保有率も減っていくということになります。受信料長期的な見通しは減るというふうに判断せざるを得ないと思います。  そこでお聞きをいたしますが、受信料支払い率が引き続き増加をしていくと見込まれる根拠について、まずお聞きをしたいと思います。  また、来年平成三十一年度の実質値下げ、それから三十二年度の値上げ、それ以降は受信料についてどう考えていくのか。さらなる値下げとかそういうことも考えているのか、それとも今回限りということなのか、お聞きをしたいと思います。
  16. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今回の受信料値下げは、NHKが果たすべき公共役割、中長期的な事業計画収支見通しをきちんと精査した上で、現時点で実施できる最大限の内容であると考えております。  公共放送公共メディアとして取り組んでいかなければならない事業は数多くありますけれども、豊かでよい放送番組をお届けすることはもとより、4K、8Kのコンテンツ強化インターネット活用業務充実国際放送充実情報セキュリティー強化などの重点項目に必要な予算はしっかりと確保しつつ、既存業務見直し徹底してまいりたいと考えております。  世帯数減少テレビ保有率低下などによって将来の経営環境が厳しさを増すことが避けられない中で、受信料値下げ改革の好機と捉えて、NHKグループ一体で着手しています。抜本的な業務改革を加速させ、効率的で持続可能な業務体制を築く必要があると考えております。  そうした改革を進めるに当たりましても、一人一人が、公共放送公共メディア職員として、やりがいを持って安心して役割を果たし続けることができる組織にしてまいりたいと考えております。
  17. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 今、今後の受信料値下げの点はお答えがございませんでしたが。もう一度お願いします。
  18. 上田良一

    上田参考人 基本的には、公共放送公共メディアとして、収支相償というのが大原則でありますけれども、収支相償というのは、中長期的な収支見通しを踏まえた上で収支相償というのを達成していきたいと考えておりまして、今回、受信料値下げ還元に踏み切りましたけれども、将来的にも、また中長期的な見通しを立てながら、しっかりと原則収支相償というのを踏まえて対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  19. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 今おっしゃったその見通しが、もちろん遠い先のことはわからないと言われればそれまでですけれども、いずれにしても、将来を見通し経営の変革が前提でなければならないと思います。旧態依然のままでは、結局、職員にしわ寄せが行く、雇用や処遇が危機に陥るんではないかということを危惧いたしております。また、視聴者に対するサービス低下をさせずに業務効率化をどう図っていくかということが問われているんだと思います。  いずれにしても、右肩上がりでない環境の中で、どう組織の活力を維持していこうと考えておられますか、この点をお聞きをいたします。
  20. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  先生今御指摘されましたように、将来的な環境を考えましても、必ずしも予断を許さない、非常に厳しい環境が待ち受けているということは私も理解しております。  その上で、業務改革を進めると同時に、私は、会長就任以来、一つ経営の目標として申し上げていますのは、職員のやる気の総和の極大化経営だということを申し上げているんですが、職員皆がやりがいのある形で仕事に取り組み、視聴者国民にとって御満足いただける最高水準サービスが提供できるよう、今後も引き続き努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  21. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 それでは、次に、放送センター建てかえについてお聞きします。  建設積立資産について、平成二十八年度末で建物工事費相当分一千七百億円は確保済みということで、来年度予算で十三億円を取り崩すということになっております。  平成二十八年八月に決められた基本計画では、着工予定が二〇二〇年秋、竣工予定が二〇三六年ということになっております。実に十六年間にわたる長期工事であります。その原因というか理由は、現地建てかえ方式になったということが原因だと思います。  この長期にわたる工事業務への支障はないのか、その点、お聞きをいたします。
  22. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  新放送センター建設につきましては、二〇一五年、平成二十七年に現在地での建てかえを決定いたしました。八万三千平米という広い敷地面積があるため、引き続き一体整備が可能でありまして、災害発生時などにNHKNHK関連団体の総力が結集しやすいこと、強固な地盤であること、新たな用地取得費が発生していないなどの理由現地での建てかえを決めた理由であります。  現在地での建てかえでは、防災減災報道強化などに向けて、まず、報道機能が集積いたします情報棟から建設し、その後、順次、既存建物を解体し、新しい建物建設して整備していくため、全体が完成するのは着工から十六年後となります。長期間の工事となりますが、全体を分割発注することで、将来の放送サービス技術革新に柔軟に対応できるほか、競争原理がより働きやすく、その時々の効率的な方法を取り入れることができると考えております。  建設コストにつきましては、建てかえ基本計画で公表いたしました千七百億円でおさめてまいりたいと考えております。  以上です。
  23. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 今、千七百億円でおさめてまいりたいという御答弁でしたが、過去の経緯を見ますと、工事見積額が二転三転をいたしております。一千五百億円とか三千四百億円とか言われていて、今現在は千七百億円ということになっておりますが、おさめていきたいという答弁ですが、重ねてお聞きいたします。  今後、この建設費がふえる可能性はないんでしょうか。十六年という長期工事になりますので、そのリスクは十分あると思いますが、いかがでしょうか。
  24. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  新放送センター整備に関しましては、多額の資金が必要になることが想定されていましたために、二〇一二年、平成二十四年になりますけれども、建設積立資産の積立てを開始いたしました。  二〇一四年、平成二十六年の予算でお示ししました想定建設費三千四百億円の内訳は、建物費、それから設計監理料電源設備費が千九百億円、放送設備費が千五百億円でありました。これは、その時点で建設用地がまだ決まっていなかったため、別の場所に一度建物設備を整備する場合を想定したものでありまして、在京民放新社屋建設コスト等参考に試算したものであります。  現在地建てかえに決定後の二〇一六年、平成二十八年の建てかえ基本計画では、建物費、それから設計監理料電源設備費等で千七百億円を公表いたしております。  放送設備長期にわたって整備するため、従来の設備投資と同様に、減価償却費などの範囲で対応いたしたいというふうに考えております。
  25. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 総務大臣意見の中でも、この建てかえの「「基本計画」の合理性妥当性等国民視聴者理解が得られるよう、説明を尽くすこと。」と述べられております。しっかり引き続き説明責任を果たしていただきたいと思います。まだ着工前ですので、もう一度、これが適正な建てかえ計画かどうかも、更に洗い直すべき点があれば洗い直していただきたいというふうに思います。  以上、予算案について上田会長にお聞きをしてまいりました。  このNHK予算に対する総務大臣意見には、受信料公平負担徹底に向けた取組推進増収確保聖域なく徹底的に経費削減に取り組む、早期黒字確保既存業務全体の見直し国内放送充実などなど、多岐にわたっております。  そこで、総務大臣にお聞きをいたしますが、この大臣意見の最大のポイントは何なんでしょうか。これからのNHK総務省として何を期待をしているのか、お聞きをしたいと思います。
  26. 石田真敏

    石田国務大臣 お答えをさせていただきます。  NHK平成三十一年度収支予算等について、NHK期待することとして、総務大臣意見では、まず一つ目として、受信料公平負担徹底業務効率化に取り組むとともに、受信料額の適正な水準を含めた受信料あり方について引き続き検討を行っていただきたいこと、二つ目には、相次いだ不祥事再発防止に向けまして、ガバナンス強化コンプライアンス徹底全力で取り組んでいただきたいこと、そして三つ目には、佐戸未和さんが過労で亡くなられたことを重く受けとめて、二度と働き過ぎによってとうとい命が失われることがないよう徹底して取り組むこと等の指摘を行っているところでございます。  総務省としては、NHKが、今後とも放送法趣旨に照らして、公共の福祉のため、地域放送充実を含め、豊かで、かつ、よい放送番組放送するなど、公共放送としての社会的使命を果たし続けていくことを期待をいたしております。
  27. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 ありがとうございました。  それでは、最後に、二月二十六日の総務委員会でもお聞きをいたしましたけれども、NHK制作局組織再編についてお聞きをいたします。  NHKのあるべき姿は公共放送としての持続可能なNHK、そのためには、現場のモチベーションの維持向上が大事である、最も重要であるというふうに思っております。  前回、この組織再編について、木田専務理事から、私が、番組多様性を維持する、公共放送としての役割を維持していただくことが大事という質問に対して、大変重要なことだと受けとめておる、公共放送社会的使命を達成すべく、さまざまな公共的価値多様性を持って追求していこうというふうに思っておりますと御答弁をいただきました。  本日は上田会長に御出席いただいておりますので、改めてこの点についてお聞きをしたいと思います。
  28. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  総局長木田から答弁させていただいたとおりでありますけれども、今、制作局は、二つセンターと八つの部を廃止して、ジャンルごとグループ構成にする業務体制再編検討しておりまして、経営資源に限りがある中で、職員一人一人の専門能力を発揮してもらいながら、より効果的な業務実施体制を工夫して、視聴者皆様最高水準放送サービスを継続的にお届けしていくことがこの改編の目的であります。  こうした組織改正の狙いを職員の皆に十分理解してもらうためには、やはり現場での丁寧な説明が必要だと考えておりまして、この丁寧な説明を今後ともしっかり現場でもやってくれているというふうに承知いたしております。
  29. 長尾秀樹

    長尾(秀)委員 現場に対する十分な説明、丁寧な取組という御答弁がありました。それが言葉だけに終わらないように、私が聞いているところでは、意思決定のプロセスに現場の声が反映されていないんじゃないかという声をお聞きをいたしております。  最大の問題は、組織改正によって番組の質が低下をするということがあってはならないということであります。また、視聴者受信料を払っていただいているお一人お一人がスポンサーであるという意識に立って、たとえ内部の組織改正の問題であっても、広くそのプロセスと結果を、視聴者受信料を払っている皆さんにも明らかにしていく必要があるのではないかというふうに思っております。  今、会長からそういう御答弁をいただきましたので、ぜひそれに向けてしっかりと取り組んでいただくということを要望して、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  30. 江田康幸

    江田委員長 次に、高井崇志君。
  31. 高井崇志

    ○高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。  早速質問させていただきます。  今回のNHK予算というのは、私は本当に重要な、NHKにとっての大きな転換点となる予算だと思っています。  一つは、受信料収入が必ずしも不透明な状況の中で値下げに踏み切ったということ、それからもう一つは、やはりインターネット放送インターネットの融合というのが言われて久しいわけですが、ようやくこれを実現する方向に向かっているということでございます。  ただ、私の郵政省時代の元上司で、師匠でもあります慶応大学の中村伊知哉教授が指摘していますけれども、日本でインターネット常時同時配信がいまだに実施されていないという状況自体が不思議だ、海外でイギリスの公共放送BBCは二〇〇八年に常時同時配信を開始しています、日本国内でも二〇一〇年にはラジオ番組インターネット配信もやっている、それらを踏まえると、きょうまで長い時間がかかったという印象だ。私も全く同感であります。  そういう意味で、私は、ネットでの配信、大いに、そもそも、テレビの視聴は、若い人はもうテレビを見ない、ネットにどんどん移行している中で、いつまでも放送だけでとどまるということはあり得ない判断だと思います。  ただ、一方で、今回、インターネットの活用業務というのは、受信料収入の二・五%でおさめるというのがこれまでのNHKの判断であったわけでありますけれども、今後もこれは維持されるんでしょうか。
  32. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHK受信料によって放送実施する目的で運営されていることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る経費に上限を設けて適正に運用するという視点は重要だと認識いたしております。  NHKとしては、インターネット活用業務の費用については、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、昨年十一月の諸課題検討会の場で総務省から説明のありました区分経理など、会計上の透明性確保の新たな考え方に従って、十分な説明を尽くしてまいりたいと考えております。  放送法の改正が行われた場合には、それを踏まえてNHKインターネット実施基準を新たに作成し、総務大臣の認可を得ることになります。その中で適正に実施してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、二〇一九年度に関しましては、仮に放送法が改正され常時同時配信が可能になった場合でも、新年度予算事業計画の範囲内で実施してまいります。  二〇二〇年度以降に関しましては、その年度の予算を策定する過程で精査、検討してまいりたいと考えております。その際には、会計上の透明性確保についての新たな考え方を踏まえて、事業費の内訳など、何にどれくらいの費用がかかるかをよりわかりやすく説明し、適切に対応してまいりたいと考えております。
  33. 高井崇志

    ○高井委員 民放さんが大変心配をしているNHKの肥大化につながるという指摘は、それは一つわかります。ただ、より大事にしていただきたいのは視聴者です。やはり、国民視聴者が何を望んでいるかということを考えれば、いつまでも放送に閉じこもるということを望んでいるとは到底思えませんので、ぜひそこはしっかり判断をしていただきたい。  そういう意味では、もう一つ同じような、視聴者の視点に立ってぜひと考えているのは、私はかねてから、もう何年も前からこの委員会でもお願いをしてまいりましたけれども、ローカル局、地方局の番組をなぜ東京で見れないんだろう。私は岡山ですけれども、岡山放送局がつくっている大変いい番組をぜひ東京にいても見たいわけですね。ところが、それが見れずに、地球の裏側のことはアルジャジーラでいつでも見れる。これはおかしいじゃないかとずっと何年も指摘していますけれども、インターネット常時配信になるんですから、ローカル局の番組は流していただけるんでしょうか。
  34. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  地域情報を広くお伝えしていくことは重要であると考えておりまして、経営計画に多様な地域社会への貢献という重点方針を掲げ、積極的に取り組んでまいっております。  二〇一九年度の総合テレビでは、地域放送局が制作した番組を全国に発信する時間帯を強化いたします。地域放送局が制作した番組が総合テレビとEテレで全国放送される際には、同時にインターネットでも配信し、全国の視聴者にごらんいただきたいと考えております。  各地域内で放送している番組の配信につきましては、コストや運営体制の面から全国で一斉に整備していくことは難しいと考えておりますが、段階的に拡充していく方針であります。  以上です。
  35. 高井崇志

    ○高井委員 本当にそうか、簡単にできると思うんですね。システム的な問題よりも、私は、恐らくこれも、民放の皆さんに、特に民放ローカル局からは反対が多いということが当然一つの要素だろうと思います。  ですが、私は、二元体制、民放に対して肥大化はしないということであれば、もっと別な方法じゃないかと思うことがあります。それは、今のNHK番組を見ていると、非常に視聴率を気にする番組がどんどんふえている。なぜそこまで視聴率を気にするんだろうか。  例えば、去年の平昌オリンピックで、羽生選手が金メダルをとった土曜日の午後の一番いい時間帯、これはNHK放送していました。つい先日だと、大坂なおみ選手の全豪オープン、これも夜七時半からのゴールデンタイム、何でNHKがやるんだろうか。そういうのは民放に譲ってあげれば、民放のそういう不満もなくなるんじゃないか。あるいは、紅白歌合戦、なぜ視聴率をとることに必死になって、番組宣伝の番組をあんなに事前に流す。大河ドラマだってそうです。あるいは、バラエティーとかお笑いとか、そういう番組もどんどんふえている。  私は、こういった面を改善して、よりNHKならではの、公共放送ならではの番組を視聴率を気にせずつくるということこそが、この二元体制の健全なあり方につながっていくというふうに考えますが、これは通告していませんけれども、会長、ちょっとお考えをお聞かせください。
  36. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHK番組につきましては、視聴率のほか、視聴者の反響、番組審議委員会での意見NHKが独自に開発した質的な評価指標などにより見られ方を把握しておりまして、視聴率はあくまで指標の一つとして考えております。  いずれにいたしましても、NHKといたしましては、放送で培われました民放との二元体制を維持しながら、放送、通信の融合時代に相互にメリットをもたらす連携策の実施に向けて、さまざまな具体的な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  37. 高井崇志

    ○高井委員 もう三年か四年同じ答えなんですけれども、もうちょっと細かく具体的に聞きたいんですが、きょうは時間がありませんので、通告もしていませんから、またの機会に譲りたいと思いますが、ぜひ、今のような一般論ではなくて、もう私はこれは何年も申し上げていますから、NHKのあるべき姿ということで、会長、よくお考えいただきたいと思います。  それともう一つ、民放の懸念を払拭する方策としては、私は、インターネットの配信をNHKと民放さんが共同でやればいいんじゃないか。これは、先ほど私が申し上げた中村伊知哉慶応教授も、そういったメディアの共通の基金を民放とNHKでつくるというアイデアもあるんじゃないかと。あるいは、これは毎日新聞の記事ですけれども、総務省の幹部が、将来的にはNHKと民放が協力し、同時配信も含めたオール・ジャパンで共通の配信プラットフォームなどに発展できるかが重要というふうな見解も示されているようですが、NHKとしてそういった考えはありますか。
  38. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  民放とのインターネットに関連する二元体制、どういうふうに取り組んでいくかということでありますが、例えば、民放との公式テレビポータル、TVerにつきましては、NHKも新年度に参加できるよう、具体的な調整を進めております。  それから、放送番組の同時配信につきましては、民間放送それぞれのお考え方があると思いますので、私からは具体的なことは言及を避けたいと思いますが、引き続き民放との間で連携、協調できるところがあると考えておりまして、そのあたりは積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 高井崇志

    ○高井委員 TVerは常時同時送信ということではありませんので、ぜひ、民放さんがどこまで望むかということもありますけれども、総務省も含めてそういった枠組みを考えて、二・五%であくまでも抑制するというのは本当に国民視聴者のことを思っていないなと私は思いますので、国民視聴者のことを思う方策をぜひ民放と共同して考えていただきたいというふうに思います。  それでは、今回の値下げのことについて質問いたしますけれども、先ほど、受信契約の伸び率や収支見通しの質問も長尾委員からもあったと思いますけれども、受信料の契約数ですね。  私も、かつて学生時代にNHK受信料の集金のアルバイトをしていて、本当に収納するのは大変だなと。当時は七〇%台だったと思うんですけれども、今、最高裁の判決もあって、八二、三ですかね、しかも毎年一%ずつ伸びている。  しかし、本当にこのまま伸び続けていくんだろうか。私の今まで働いていた感覚からすると、もう九割に近づくというのは相当驚異的なことなんですけれども、NHKとしては、今後の受信料の契約の見通し、そしてそれに伴った収支見通しはどのように分析されておりますか。
  40. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  受信料支払い率は、公平負担徹底に取り組んだことに加えまして、最高裁判所判決以降、受信契約が堅調にふえていることなどによりまして、今年度末で支払い率八二%を見込んでおります。二〇二〇年度末における支払い率は八四%と見込んでおりまして、これを着実に達成するとともに、引き続き支払い率向上に努力してまいる所存です。  収入については、トータルで四・五%の受信料値下げ負担軽減策が通年で影響いたします二〇二一年度まで減収となりますが、その後、公平負担徹底などにより、増収確保が望めると考えております。  一方、事業支出は、二〇二〇年度までは東京オリンピック・パラリンピックや4K、8K放送などの実施によりふえますが、一層の業務改革推進などにより経費の削減を行い、一定の適正な水準におさめるよう厳正に管理してまいりたいと考えております。  これによりまして、事業収支差金は、二〇二二年度までの間はマイナスが続く見込みでありますけれども、二〇二三年度には黒字に転換する見込みとなっております。
  41. 高井崇志

    ○高井委員 これは、会長、通告もしていますので、二〇二〇年度の数字じゃなくて、もっと先の数字、経営委員会の議事録を見たら、松原理事が最終的には二〇三〇年度には八七%ぐらいまで上がると発言していますけれども、事実ですか。
  42. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  中長期的な収支見通しを作成する前提として、現時点で想定される世帯数テレビ保有率減少等を踏まえて試算したシミュレーションが、今先生が引用なさいました二〇三〇年度には八七%まで上げていくというその数値であります。  二〇二一年度以降の目指すべき支払い率につきましては、その時点の社会経済状況や営業を取り巻く環境等を見極めた上で検討していくことになると考えております。
  43. 高井崇志

    ○高井委員 私も、さっき申し上げましたとおり、本当にそこまで伸びていくのかなというのは疑問です。  それと、二〇二三年度には世帯数がピークを迎えるんですね、五千百四十九万世帯で。となると、当然これから収入は減ってくるわけです。会長自身も一月七日の年頭会見で、近い将来、受信料収入減少に転じるとおっしゃっています。  そういう将来の収支見通しがない中で今回の値下げということに踏み切るわけですけれども、これも一月七日の年頭会見で会長は、グループ全体の業務見通して優先順位をつけると、つまり業務改革をやっていくんだということを強くおっしゃっています。あと、これは経営委員会の議事録ですけれども、小林委員が同じようなことを言っているわけです。収支のバランスがどうなっていくかわからない中で値下げをするということは、執行部としてそれなりの覚悟を持って今後のコスト見直しを常時行っていくということですねというふうに受けとめましたと言っているわけです。  ちょっと、その覚悟を受けとめたとおっしゃるんですけれども、その覚悟のことがこの議事録を見る限り余りわかりませんので、改めて会長のその覚悟というものを聞かせてください。
  44. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今回の受信料値下げ、加えて還元、これは全体で受信料収入の約六%ぐらいに相当するんですが、私が先ほども答弁させていただきましたように、中長期的な収支見通しを踏まえて、我々が努力すれば達成できる水準だというふうに考えておりまして、業務改革等、全局で今検討を加えております。  東京オリンピック・パラリンピック以降、ある一定水準経営をやっていくというのが、我々として、肥大化とか民業圧迫とか、こういったことを常日ごろいろいろ御指摘いただいていますけれども、やはり国民視聴者皆様に納得していただける水準じゃないかというふうに思っています。  その水準がしっかり達成できるように、私の方でもしっかりと業務改革を進めながら、二〇二三年、約束していますところまでにはちゃんと黒字になって、それ以降も一定の持続可能な形での経営ができるように、しっかりと取り組んでまいりたいという覚悟でおります。
  45. 高井崇志

    ○高井委員 冒頭申し上げましたとおり、公共放送から公共メディアに変わる元年だと思うんですね。そういった中で、収支見通しも立たない中、値下げもする。これは相当な改革。しかし、それは単なるコストカットということではなくて、優先順位をつける。それから、先ほど言ったように、民放との関係も、今までの枠ではなくて、もうちょっと新しい枠をつくっていく。私は、特に、公共放送として、公共メディアとして、やはり公共メディアにあるべき番組というものを追求するということだと思います。  例えば一例ですけれども、この総務委員会の議論だって深夜しか放送されませんよね。まあ、流していただくのはありがたいですけれども。あるいは、国会中継を見ても、総理が出席のところしか放送されない。こういう番組をもっともっとふやしていくということ、視聴率を気にせず大事なことを流していくということこそがNHKの使命だと思いますので、そこはぜひ、会長のまさに覚悟という中でそういったものも考えていただきたいと思います。  最後に、経営委員長にもお越しいただきましたので、ちょっと通告していないことを伺います。通告すると、恐らく事務方が紙をつくってつまらない答弁になりますので。  そろそろNHK会長を考えなきゃならない時期でありますけれども、これまで四代続けて民間経営者の方が続いてきました。しかし、その前は六代にわたってNHKの内部の方だったんですね。私は、そろそろ内部の方、生え抜きの方を会長にという時期に来ているんじゃないかと思いますけれども、経営委員長のお考えをお聞かせください。
  46. 石原進

    ○石原参考人 お答えいたします。  目下検討中ということでございまして、上田会長の任期があと一年弱ありますが、思いっきり今回の公共メディアのレールを引くことに集中していただきたいと思うわけでございます。  一般論として申し上げますと、やはりNHKの内部の方、たたき上げで、現場をよく知っていて、業務に対しても極めてお詳しい方が、また指導力のある方がNHK会長になるということは私も大変望むところでございます。  ただ、具体的な人選になれば、民間の方、すばらしい方がいらっしゃれば、その方でもいいでしょうし、その辺は総合的に勘案して、経営委員会の十二名の委員皆様方と議論しながら、きちっとした、本当にNHKをすばらしい組織に更にしていただける方を選んでいきたいと思っております。  以上でございます。
  47. 高井崇志

    ○高井委員 ありがとうございます。  会長にも聞きたかったんですけれども、時間がないので。  会長が就任したときに私は申し上げましたけれども、会長の大きな役割は、やはり後継者をつくること、NHK職員をしっかり、そういう人を育て、見つけ出すことだと思っていますので、引き続き努力をお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  48. 江田康幸

    江田委員長 次に、鳩山二郎君。
  49. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 皆様、おはようございます。自由民主党の鳩山二郎でございます。  きょうは、NHK予算審議ということで、質問の機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。  限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。  まずは、NHKの一連の不祥事について御質問をさせていただきます。  まことに残念ではありますが、NHKによる不祥事が相次いでおります。私自身も、私の地元で、NHKは本当に大丈夫なのか、そういった厳しい声もよく聞きますし、更に厳しい意見は、ずっとNHKを見てきて、NHKが本当に大好きだったけれども、もうこれじゃ受信料を払いたくない、そういった厳しい声まで聞こえてくるわけであります。  私が言うまでもありませんけれども、国民皆様方から信頼をしていただいているということが大前提であって、その大前提のもとで、国内唯一の公共放送として受信料をいただいているわけであります。ですから、やはりそういった国民皆様方の信頼を裏切るような不祥事は何としてでも断ち切らないといけない、私自身もそのように思っております。  また、私自身、上田会長の新聞各社のインタビューを拝見させていただいて、公共放送にとって最も必要なのは国民皆様方の信頼であって、その信頼の回復のためには我々が懸命に頑張らなければいけない、そのお言葉に私自身大いに期待をいたしておりますけれども、まず、会長に御決意をお伺いいただければと思いますが、国民信頼回復に向けてどのように取り組んでいくか、会長の決意を、御答弁をお願いいたします。
  50. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  立て続けに起きました不祥事は、視聴者国民皆様信頼を著しく損なう事態だと重く受けとめております。  公共放送の使命、責任を果たしていくために不可欠なのは、先生もおっしゃってくださいましたように、視聴者国民皆様からの信頼であることは間違いありません。これまで何度も、NHK職員に対しまして、築城三年、落城一日という言葉どおり、視聴者信頼を裏切るようなことがあれば、その回復は並大抵のことではないということを伝えてまいっております。  NHK職員は、公共放送に携わる者としての高い倫理観と自覚を持って、みずからを厳しく律していくことが必要であると考えております。あらゆる機会を通じてコンプライアンス意識の徹底を図るとともに、不祥事再発防止に取り組んでまいる覚悟であります。
  51. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 上田会長、御答弁ありがとうございました。  ぜひ、これからも、上田会長が先頭に立っていただいて、NHKで二度と不祥事が起こらないような、そのような組織づくり、体制づくりを強くお願いをいたします。  次に、視聴率についてお伺いをさせていただきますが、まずは直近十年間のNHKの視聴率の推移についてお答えをいただきます。
  52. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  NHKでは、毎年、放送文化研究所による全国個人視聴率調査を実施しております。  その最新の結果、これは二〇一八年十一月のものですが、それを踏まえると、NHK総合テレビを一週間に五分以上見た人の割合を示す週間接触者率というものがありますが、これは直近十年間で、二〇〇八年は六〇・八%でしたが、二〇一八年は五五・二%と減少傾向にございます。
  53. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 御答弁ありがとうございました。  接触率ということでございますが、十年間で年々下がってきているということでございます。もちろん、その接触率が下がってきているということにはさまざまな要因が考えられるわけでありますが、その要因の一つとして、NHKとしては一連の不祥事が関連しているというふうに思われているかどうか、答弁をお願いいたします。
  54. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  接触者率が長期減少傾向にある点については、視聴者情報を得る手段が多様化していることなど、さまざまな理由があるというふうに考えております。  このように、メディア環境が大きく変化していく中で、経営計画にも掲げております情報の社会的基盤の役割を果たし、視聴者皆様にこれからもNHKが必要だと思っていただくためには、公共放送としての信頼を確かなものにしていくことが必須であります。したがって、不祥事はあってはならないことというふうに考えております。  あらゆる機会を通じてコンプライアンスの徹底を図るとともに、全力再発防止に取り組んでまいりたいと思います。
  55. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。  接触率の低下は、私自身もさまざまな要因があるんだろうというふうに思っております。それは、ネットの普及によって、若い方々が最近はスマホで動画を見たりしているわけですから、若い方々のテレビ離れなど、さまざまな要因があろうかと思いますけれども、ただ、やはり一連の不祥事によって、NHKが大好きだった方々がNHKを見るのをやめたという方々もおられるかもしれませんので、ですから、やはり何としてでも不祥事を断ち切るような体質改善を心からお願いをしたいと思っております。  それでは、次の質問に入らせていただきますが、接触率が低下をしているということでありますが、これからどのようにして、視聴率といいますか、接触率を上げていこうとNHKとして思われているか、御答弁をお願いいたします。
  56. 木田幸紀

    木田参考人 メディア環境や生活の変化に伴い、録画などのタイムシフト視聴やモバイル視聴など、番組コンテンツの見られ方が多様化していることは認識しております。また、現役世代や若年層のニーズにしっかりと応えるコンテンツを開発していくことも重要だと考えております。  二〇一九年度国内放送番組編成計画の総合テレビの編集ポイントには、「幅広い世代から支持される魅力あふれる番組や現役世代・若年層に必要とされる多彩番組を編成」する、これを掲げました。  現在、多くの方から好評いただいている「チコちゃんに叱られる」に加えて、家族そろって楽しめる教養バラエティーや、人生の逆転劇をテーマにしたドキュメンタリーなどを新設し、現役世代の多様なニーズに応えることを目指しております。  また、EテレやBSの各チャンネルの特性を生かした番組編成、さらには、放送の補完として、番組の魅力や情報を凝縮したコンテンツインターネット向けに提供していくことも、放送と通信の融合時代の視聴者期待に応えていく上で重要だと考えております。  テレビを始めとする放送を太い幹としながらインターネットも活用して、多くの視聴者に多様なタッチポイントで番組コンテンツに触れていただくことが多くの視聴者信頼につながり、視聴者増加につながると考えております。
  57. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 御答弁ありがとうございました。  ぜひ、国民皆様方のNHKに対する信頼期待にこれからも応えていただいて、これからもよりよい良質なコンテンツを制作をしていただいて、その結果、視聴率といいますか、接触率が向上するような好循環をつくってくださいますように私からもお願いをさせていただきます。  次に、NHKインターネット活用業務について質問をさせていただきます。  今国会に提出予定であります放送法の一部を改正する法律案でありますが、この法律が成立をしますと、NHKによるインターネット常時同時配信が可能となるわけでありますが、有識者会議である放送を巡る諸課題に関する検討会は、インターネット常時同時配信の環境整備として、NHKに対して、他事業者、つまり民放との連携、協力等の確保について検討すべきであると答申の中でも触れられています。  その一方で、いわゆる連携、協力等の相手方である民放連は、受信料収入二・五%以内という上限の維持を強く要望をされております。  仮にこの改正案が成立をしますと、二〇年度からNHKによるインターネット常時同時配信が本格運用となるわけでありますが、NHK側は、インターネット事業費について二・五%を上限にするということを明言をされておりませんが、それはなぜでしょうか、御答弁願います。
  58. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHK受信料によって放送実施する目的で運営されていることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る経費に上限を設けて適正に運用するという視点は重要だと認識いたしております。  NHKとしては、インターネット活用業務の費用については、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、昨年十一月の諸課題検討会の場で総務省から説明のありました区分経理など、会計上の透明性確保の新たな考え方に従って、十分な説明を尽くしてまいりたいと考えております。  放送法の改正が行われました場合には、それを踏まえてNHKインターネット実施基準を新たに策定し、総務大臣の認可を得ることになります。その中で適切に実施してまいりたいと考えております。  お尋ねの件ですが、二〇二〇年度以降に関しましては、その年度の予算を策定する過程で精査、検討してまいりたいと考えておりまして、その際には、会計上の透明性確保についての新たな考え方も踏まえて、事業費の内訳など、何にどれぐらいの費用がかかるかをよりわかりやすく説明し、適切に対応してまいりたいと考えております。
  59. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 会長、御答弁ありがとうございました。  NHKの年間の受信料収入はおよそ七千億円という巨大資本でありますから、受信料収入の二・五%以内にしていただかなければ、これは必ず民業圧迫になるのではないか、そういった懸念の声が多々聞こえておりますけれども、このことについてNHKはどのように考えておられますか、御答弁をお願いいたします。
  60. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  インターネットの利用拡大や視聴者情報取得のあり方が変化する中で、NHKは、公共メディアとして、放送を太い幹としつつインターネットも活用して、信頼される情報の社会的基盤の役割を果たす必要があると考えております。  先ほど申し上げましたとおり、NHK受信料によって放送実施する目的で運営されていることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る費用につきましては、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、会計上の透明性確保の新たな考え方に従って十分な説明を尽くし、理解を得てまいりたいというふうに考えております。
  61. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 会長、御答弁ありがとうございます。ぜひ民業圧迫にならないようなインターネット活用業務になるよう、強く要望をさせていただきます。  次の質問に入らせていただきます。  次に、NHK国際放送について御質問をさせていただきます。  まず初めに、NHKワールドTVは世界各国でどの程度視聴をされているのか、視聴率のようなものがあればお教えをいただければと思います。
  62. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  テレビ国際放送NHKワールドJAPANは、平成三十一年一月末の時点で、およそ百六十の国と地域の約三億四千万世帯で視聴可能です。また、インターネット環境があれば、国内外を問わず、パソコンやスマートフォンでも視聴できるようになっております。  実際に視聴している人の数とかを把握するのは容易ではないんですが、各種の調査などで把握する努力をしております。  今、二〇一五年度、平成二十七年度からですが、NHKが重点地域実施している国際戦略調査というのがあるんですが、これによりますと、今年度第三・四半期では、例えばワシントンDCでは、前年同期に比べて二ポイント増の七・九%の方が三カ月以内に一度は接触していることがわかりました。また、アジアでは、インドネシアで五・六%増の三三・一%、タイでは四・四ポイント増の二二・〇%の接触があることがわかっております。
  63. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 御答弁ありがとうございました。  視聴可能世帯ということと、あとはアンケートということも今あったと思いますが、やはりこれではなかなか実態の把握は難しいのではないか、私はそのように思っております。実際、どの国の方々にどのような番組がより好まれるかということがわからないわけでありますから、大変難しいという話でありますが、やはり実態把握がよりできるような、そのような手法をぜひ考えていただければと思っております。  といいますのも、この国際放送予算の中には三十六億円という国費も計上されているわけでありますし、何よりも、海外の方々に日本に興味を持っていただく一番最初のきっかけにこの国際放送はなり得るわけですから、肝要なことは、一人でも多くの方々に視聴していただくということが一番大事なのだろうと思っておりますので、これからもよりしっかりとした実態把握に努めてくださいますようにお願いをしたいと思っております。  次の質問でありますが、NHKワールドTVを視聴していただく外国の方々を今後どのようにふやしていくのか、ぜひ御答弁をお願いいたします。
  64. 木田幸紀

    木田参考人 NHKワールドJAPANを知ってもらって視聴してもらうため、番組内容充実や視聴しやすい時間帯に番組編成を工夫するとともに、プロモーション活動も積極的に行っていこうと思っております。  例えば、海外で注目を集めそうな番組のショート動画を制作してSNS上で公開し、NHKワールドJAPANの視聴につなげるなどといった取組を展開しております。  また、英語圏以外の外国人に向けた取組強化しております。ビデオ・オン・デマンドで視聴可能な番組の多言語化を大幅に充実しているほか、ことし一月からは中国語のニュースや番組インターネットで配信するサービスを開始しました。  このほか、外務省と連携して、各国の在外公館などでNHKワールドJAPANの番組の上映会を年に三百回以上実施しております。  今後も、より多くの方々に見ていただくための取組を続けてまいりたいと考えております。
  65. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 御答弁ありがとうございました。  先ほども申し上げましたけれども、番組を通じて外国の方々にこの国のすばらしさを知っていただくまたとないチャンスであるわけでありますから、日本の魅力を余すことなくお伝えをいただく、そのようなNHKワールドTVとして、今後もよりよいコンテンツをつくっていただきますようにお願いをいたします。  次に、NHKの子会社であります日本国際放送について御質問をさせていただきます。  まずは、日本国際放送の現時点での収入と収益について御質問を、願います。
  66. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  日本国際放送は、平成二十年の創業以来、当初は損失を計上するような年もあったのですが、二十九年度は、売上げ八十一億四千万、営業利益三億八千万ということで、今までで最高の売上げを確保しております。
  67. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。  海外のメディアの例でありますが、BBCは国際放送の収益が一千億ということでありますが、今後どのようにして日本国際放送として収益を上げていくお考えか、御答弁をお願いいたします。
  68. 木田幸紀

    木田参考人 日本国際放送は、NHKテレビ国際放送を支える子会社として、NHKワールドJAPANの番組の受託制作のほか、独自番組の制作や調達、及び全世界向けの放送、そしてミャンマーなどアジア各国の地上波でのNHK番組コンテンツの配信等の事業に取り組んでおり、広告収入などで収益を得ております。  今後も、NHKから受託する業務と、それから独自業務をバランスよく実施しながら収益を確保していくとともに、日本のニュースや文化を世界に伝えるコンテンツの提供や支援を通じて、アジア各国の放送文化の充実にも貢献していくことを期待しております。
  69. 鳩山二郎

    ○鳩山委員 時間ですので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  70. 江田康幸

    江田委員長 次に、桝屋敬悟君。
  71. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。  早速でございますが、NHK三十一年度予算案審議でありますが、冒頭、まず会長に、通告しておりませんが、先ほどから会長のお姿を見ながら、ちょっとこれだけは言いたいなと思って、御発言を求めたいと思います。  会長がかわられてこの二カ年は、NHK予算は全会一致で通過しているというふうに理解しておりますが、私は全会一致にならなかったときの委員長でありまして、随分苦労した経験を覚えております。  私は、公共放送であるNHK予算というのは国会の承認を求めるということになっているスキームからしますと、国民の代表である各会各派、全会一致で承認をされるということがいいことだ、そうであってほしいと思いながら委員長席に座った経験があるんですが、残念ながら非常に難しかったわけであります。  会長、全会一致で承認を得るということを会長は常々おっしゃっておられるようでありますが、その意味するところ、どのように会長はお考えになっているのか、最初に御発言をいただきたいと思います。
  72. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  私は、公共放送公共メディアとしては、同じようなことを繰り返しておりますけれども、自主自律を堅持し、公平公正、不偏不党、こういう形でしっかりと経営していく必要がある。その基盤となる予算を御承認いただくのは、やはりこれは、国民の総意といいますか、それを代表する先生方の御賛同を得て、御承認を得てやるのが原則じゃないか。  したがいまして、全会一致で御承認いただけるように私は就任以来全力を尽くしてまいりましたし、今後も、今回も含めまして、全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  会長が二〇一七年一月二十五日に会長に就任なさって、そういう形が進んでいるわけであります。引き続きお取組をお願いしたいと思います。  最初に、受信料値下げについて伺いたいと思います。  同僚議員からもいろいろ御質問もありました。違う角度でも伺いたいなと思っているんですが、三十一年度の収支予算事業計画では、負担軽減策として、社会福祉施設への免除拡大、あるいは奨学金の支給を受けている学生の受信料支払い免除、我が党もずっと求めてきたことであります。さらに、十月に予定されている消費税引上げの際に受信料額を据え置く。実質的な受信料値下げを行うということでありますが、NHK予算においてどの程度の影響があるのか、まずは数字を、先ほど六%というお話もございましたが、金額と割合、パーセントで具体的にお示しをいただきたいと思います。
  74. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  まず、三十一年度の収支予算事業計画においてですが、既に一部実施いたしております四つの負担軽減策によりまして七十四億円、十月からの消費税率引下げに伴う受信料額改定を行わないことによりまして六十五億円、合わせて百三十九億円の視聴者還元を三十一年度の収支予算事業計画においては実施する予定をいたしております。  二〇二一年度以降、負担軽減策受信料値下げを全て、今申し上げている方針実施した場合には、年間で四百二十二億円規模還元となりまして、これが平成三十年度の受信料見込みに対しまして六%に当たるというふうに考えております。
  75. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  こうした視聴者への還元、先ほども言いましたけれども、我が党も求めてきたことでありますから結構なことなんですが、現経営計画では、受信料値下げは行わない、いろいろな説明がありましたけれども、行わないという方針であったと思いますが、昨年の十一月ですか、会長値下げについて発表されたわけでありますが、あの時期に会長が発表されたその心というのは一体どういうことなのか、国民に御説明をいただきたいと思います。
  76. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  ちょっと最初に訂正させていただかなきゃいけないんですが、先ほど、消費税率引下げに伴うと何か申し上げたようで、引上げに伴う受信料額改定を行わないことによって六十五億円ということで、大変申しわけありませんでした。訂正させていただきます。  その上で、今の御質問にお答えさせていただきたいと思いますが、収入につきましては、公平負担徹底にしっかりと取り組んできたことに加えまして、おととし平成二十九年十二月の最高裁判決以降、自主的に受信契約を申し出る方がふえたことなどによりまして、当初の計画を上回る形で受信料収入確保できる見通しになっております。  一方で、支出につきましては、以前は十分に見通せていなかった4K、8K放送への対応や東京オリンピック・パラリンピック対応など、大型の支出への備えに一定程度のめどが立ちました。  今後、世帯数減少テレビ保有率低下など、経営環境が厳しさを増すことを見据えつつ、NHKが果たすべき公共役割や、中長期的な事業計画収支見通しなどを真剣に検討し、収支相償原則にのっとり、受信料値下げ実施すべきだという判断に至ったわけであります。
  77. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 先ほどから同僚議員もこの議論をされておられますけれども、単年度で見ると赤字収支相償の観点から見るとどうかというような論点であったり、あるいは、世帯数は更に減っていく、それから若者のテレビ離れというようなこともあるわけで、本当に大丈夫ですかと。会長は、メディアでしょうか、どこかで、今のNHK経営状況というのは下りエスカレーターを上がっているような感じなんだ、こうおっしゃったわけであります。  先ほどから議論がありますように、次期三カ年経営計画、これは今後扱いも変わってくるようでありますけれども、この経営計画の中では、中期的に見るとプラスになるというお考えなのかなと。  先ほど、二千何年とおっしゃったんですか、二〇二三年には何とか黒というふうにおっしゃったんですが、してみると、下りのエスカレーターを駆け上がるわけでありますから、エスカレーターの速度と駆け上がる速度と、どの辺で分岐点が来るんですか。二〇二一年なのか二〇二二年なのか、あるいは全体として見てそういうことなのか。私は、いつNHKのスピードが速まるのか大変気になるわけでありますが、いかがでしょうか。
  78. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  先生が引用してくださいましたように、受信料に関しましては下りのエスカレーターを上っているようという例えをしているんですが、例えば、転勤されたりすると解約されるので、そういう解約が相当数に上ります。したがいまして、前年度に比較してプラスにするためには、それを凌駕するだけの受信料契約をとらなくちゃいけないわけで、これは大変な営業努力を必要とするわけです。  環境的には、最高裁の判決等もありまして、順調に受信料の契約締結をやっていただいていますので、これをベースに、三十一年度、三十億円の赤字ということを予算では立てておりますけれども、まず、三十一年度も含めまして、できるだけ早く、二〇二三年を待たずに、もちろん、平成は変わりますけれども、二〇二〇年、二〇二一年と還元額の金額が大きくなりますので、それだけ受信料収入に対する影響は大きくなるわけですが、何とか、そのあたりも加味しながら、二〇二三年度、できればその前に収支相償が達成できるように努力してまいりたいというふうに考えております。  いつ、どの時点でそれが越えられるかというのは、ちょっと私も、今後の努力に依存する、こういうふうに考えております。
  79. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひ会長の時代にその流れをつくっていただきたいと思います。  総務省としては、今回の値下げを含む還元策についてどういうふうに評価しておられるのか、確認をしたいと思います。
  80. 佐藤ゆかり

    佐藤(ゆ)副大臣 お答えを申し上げます。  先生御承知のとおり、NHK受信料につきましては、国民視聴者にとって納得感のあるものでなければならないという必要性がございます。こうしたことから、これまでもNHK予算に対しまして、総務大臣意見において受信料の引下げに関する検討を求めてきたというところでございます。  こうした総務省の求めを受けまして、今般、NHK受信料の引下げを含む還元策実施を決めていただいたということは、これは評価できるものというふうに考えているところでございます。  ただ、その一方で、NHK平成三十一年度予算に付しました総務大臣意見におきまして、繰越金の状況ですとか当面見込まれます事業収入増加等を踏まえまして、受信料額の適正な水準を含めた受信料あり方について引き続き検討を行うべき旨を指摘をさせていただいているところでございます。  引き続き、NHKにおかれましては、国民視聴者からの受信料によって支えられているということを十分に御認識をいただきました上で、受信料見直しにあわせて、徹底的な業務効率化業務ガバナンスの改革に今後とも努めていただきたいというふうに考えております。
  81. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そういう意味では、受信料の話から絡めて、インターネットの常時同時配信の話でありますが、これも先ほどから議論されております。  今まで、受信料の二・五%を上限にということで随分議論がありましたが、もう先ほどから議論が出ておりますから余り多くを言いませんが、三十一年度で百六十八億、二・四%という今の水準だろうと思いますが、では今後どうするのかという議論が先ほどありました。会長の御答弁は、二〇一九年度については今の水準でいく、抑制的にとおっしゃったんですが、二〇二〇年度以降は適切に対応すると。  この適切というのは非常に難しい言葉でありまして、先ほど高井委員の話を聞きながら、私も高井委員の御意見には非常に賛意を表したいと思っているのでありますが、ただ、今後、民放も含めて、公共メディアを目指すNHKが今後のネットの展開をどう取り組んでいくのかということもあるだろうと思います。  先ほどの適切に対応ということについて、いま少し国民に思いを語っていただきたいというふうに思います。
  82. 坂本忠宣

    ○坂本参考人 お答え申し上げます。  インターネットの利用拡大や視聴者情報取得のあり方が大きく変化する中で、NHKは、公共メディアとして、放送を太い幹としつつインターネットも活用して、何よりも信頼される情報の社会的基盤とその役割をきちんと果たしていきたいとまず考えているところです。  放送番組インターネットでの常時同時配信は、その役割を果たすため、視聴機会の拡大ということで、いつでもどこでも必要なコンテンツを得られるよう、放送の補完という形で実施を今目指しているところであります。  実施に当たりましては、NHK受信料によって放送実施する目的で運営されているということを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る費用に上限を設ける等、適正に運用するという視点は極めて重要だと認識しているところであります。  そのインターネット活用業務の費用につきましては、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、会計上の透明性確保の新たな考え方も示されておりますので、そういったところを十分な説明を尽くしていきたいというふうに考えているところです。  放送法の改正が行われた場合であります。それを踏まえてNHKインターネット実施基準を新たに策定するということになります。それを総務大臣の認可を得るということになりますので、そうした中で適切に実施してまいりたいと考えております。  いずれにしても、放送で培われてきました民放との二元体制、これにつきましてはきちんと維持しながら、連携、協調を進めてまいりたいというふうに考えているところです。
  83. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 この点については、また放送法の改正がこの委員会でどうせ議論がありますから、しっかり議論を深めたいと思います。  次に、働き方改革取組について確認をしたいと思います。  佐戸未和さんの過労死事案がありました。現在、NHKの働き方改革としてどういう取組をされているのか、あるいは、それによって具体的な成果はあらわれているのかどうか、これを確認したいと思います。
  84. 松坂千尋

    ○松坂参考人 お答えいたします。  佐戸未和さんの過労死は極めて重く受けとめております。  佐戸さんが亡くなったことをきっかけに、記者の勤務制度を抜本的に見直すなど、働き方改革を進めてまいりました。おととしの十二月には「NHKグループ 働き方改革宣言」を公表し、最優先の経営課題として取組を進めてまいりました。  例えば、放送現場では、スタジオ収録は原則二十二時に終了する取組を去年の四月から続けております。また、地域放送局の記者の泊まり業務を、緊急対応の整備を進めながら段階的に集約し、業務負担の軽減を図ってきております。  こうした取組などによりまして、二〇一七年度、平成二十九年度の一般職職員の年間総労働時間の平均ですけれども、前の年度に比べて二十三時間減少しております。記者の休みについては、二〇一七年度、平成二十九年度は、前の年度に比べまして年間でおよそ七日、休みがふえております。  四月には改正労働基準法が施行されます。改正法の趣旨を踏まえ、引き続き、長時間労働に頼らない組織の風土づくりを進めていくとともに、業務効率化やスクラップにも取り組んでまいりたいと考えております。
  85. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。一定の成果は上がっているようであります。  ただ一方で、職員の削減というのが相当な規模で行われているというふうに私は理解しておりまして、しかも、4K、8K放送実施、あるいは国際放送充実強化などで業務量がふえている。今後、オリパラもあります。  こうした状況下において、本当にNHKの働き方改革が実行できるのかどうか。ここは、この四月から改正法が施行されるわけであります、その辺の決意を改めて確認をしておきたいと思います。
  86. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  二〇一九年度の要員計画では、仕事と育児等の両立など、多様な働き方を推進するため、二〇一八年度に引き続きまして十五人の増員を行うなど、必要な要員を確保する予定であります。  また、4K、8K放送充実国際放送強化など、重点業務への体制を確保するため、既存業務改革やスクラップを一層推進し、効率的な業務体制を構築してまいります。  働き方改革では、放送現場での業務改革やモバイルワークの推進に向けたインフラ整備など、現場を支援する取組も更に進めてまいる所存です。  こうした取組を着実に進め、NHKで働く全ての人の健康を最優先にした組織運営を実現すべく努力してまいりたいと考えております。
  87. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 最後にもう一点だけ、字幕放送充実などについて確認をしておきたいと思います。  人にやさしい放送として、字幕放送、あるいは解説放送、手話放送などの取組が行われていると理解しておりますが、全ての人に必要な状況を届ける大変重要な手段だと考えておりまして、今後も一層力を入れていく必要があると考えております。今後の取組方針最後に確認したいと思います。
  88. 木田幸紀

    木田参考人 NHKは、障害のある人も積極的に参加、貢献できる共生社会への理解を深めるとともに、人種、国籍、性別などの違いを超えて多様な価値観を認め合う社会を目指した放送サービス充実していくことを公共放送の使命と捉え、三カ年経営計画の重点施策にも掲げております。  二〇一八年度から字幕放送、解説放送、手話番組の目標を示す国の指針が改められたことを受け、さらなる拡充を計画的に進めているところです。  字幕放送は、字幕付与を目指す対象時間が一日十七時間から十八時間に拡大したことを受け、二〇二二年度までに、新たな対象となる早朝や深夜の番組に字幕を付与する準備を進めています。  また、地域放送局の番組への字幕拡充は、専門の技術を持つスタッフの確保が難しいなどの課題がありますが、将来、AIによる字幕付与を行うことを視野に、二月から自動字幕付与装置の実験を開始しました。福島、静岡、熊本の夕方のニュース番組で自動音声認識技術により生成した字幕をインターネットで配信し、スマートフォンなどの携帯端末で表示しているものであります。  また、解説放送は、昨年度までの指針の目標値を二〇一四年度には達成しております。その後、自主的に上積みしてきました。二〇一七年度、総合テレビの対象番組の一四・一%、Eテレについては一九・二%に解説を付与しました。今後も解説放送の付与番組を着実にふやすよう努めていきたいと思います。  それから、手話番組は、「NHK手話ニュース」「こども手話ウイークリー」などのニュース番組のほか、「NHKみんなの手話」「ワンポイント手話」などをEテレで放送しております。総合テレビでも手話表現を取り入れたアニメを編成するなど、拡充に取り組んでおります。  平昌オリンピック・パラリンピックでは、ハイライトをお届けする番組で、字幕と音声解説に加え、手話も交えてユニバーサル放送としてお伝えしましたが、二〇二〇東京に向けても引き続き拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 我が党としても、一回NHKを視察して、どういう技術でどう取り組まれているのか、確認をしたいというふうに思っております。  各党各会派の賛同が得られて全会一致で通ることをお祈りをして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  90. 江田康幸

    江田委員長 次に、小川淳也君。
  91. 小川淳也

    ○小川委員 立憲民主党無所属フォーラムの小川淳也です。  まず、今般の予算でありますが、赤字予算である。それから、基金を取り崩して補う。さらに、そうまでして受信料を引き下げる。一連、私どもも理解をするところでございまして、党なり会派の決定に従って、私も賛成するつもりでおります。  その上で、きょうは、ちょっと編集方針等についてお尋ねをしたいと思っております。  ただ、特に政治報道に関する編集方針なんですが、その前に、先ほどのやりとりの中でもありましたが、例えばドラマとか、あるいはバラエティー番組、それから、特に教養番組やドキュメンタリー、これに関しては、私自身、NHK番組のクオリティーといいますか、これは圧巻だと思います。自分自身、すごく勉強になると思って、わざわざ録画して視聴している番組も複数ありますし、この点に対しては率直に敬意を表したいと思っております。  それで、問題は、政治報道についてであります。NHKの政治報道に対する信頼感なり期待感。  これはもうあえてちょっと申し上げます。大体、世の中、半分の方は政権支持層です。世の中のもう半分の方は政権不支持層です。両方とも受信料を払っています。という前提に立った上でお尋ねをしますので、その前提お答えをいただきたいわけです。  これで、私自身、ちょっと自分自身の発言にもかかわることなので、非常に申し上げにくいんですが、ちょっと看過できませんのでお尋ねします。  先般、三月一日の衆議院の本会議における根本厚生労働大臣の信任に関する議案についての報道です。  ある学識、有識者の方が、この大臣不信任決議案の趣旨弁明を、悪意ある切取り編集で辱めたNHKという形で投稿記事を投稿しておられます。これは、インターネット上ですからいろいろな意見があっていいわけですが、学識経験者が投稿したということですので、それなりの見識と覚悟を持っての記事だと私も受けとめています。  それから、インターネット上に、これは一般の方だと思うんですが、野党側が追及に用いたネット上の統計不正に関する皮肉の書き込み、野党側が追及に用いたのはそれである。冒頭わずか二分、全部で一時間四十九分、百九分の演説時間をいただいたわけですが、冒頭わずか二分余りの導入部分があたかも演説の本題であったかのような印象を与えるナレーションが付されていた。途中、何度も水を飲む姿と、時間稼ぎをしていた印象を与えるナレーションを加え、報道とは、政権与党に都合のいいことを言い、都合の悪いことを隠し、野党をさげすんで与党側の印象をよくすることなのか、恥を知ってくださいというような一連の批判がございます。  これについてNHKがどう受けとめているか、まずその点から会長の御見識をお聞きしたいと思います。
  92. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKといたしましては、放送法にのっとり、公平公正、不偏不党、自主自律を貫き、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えておりまして、これをしっかりと守って放送を行っていくことだというふうに認識いたしております。  国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持することは重要と考えておりまして、これからもこの認識を常に持ち、業務の執行に当たってまいりたいと考えております。  何をどのように伝えるかに関しましては、まさに編集権にかかわることでありまして、コメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、分掌された権限のもとで現場が自主的に判断していると認識いたしております。  政治的公平性につきましても、こうした自律的な取組の中できちんと確保していきたいと考えております。
  93. 小川淳也

    ○小川委員 まさに今会長がおっしゃったお題目がきちんと実践されていますか、チェック機能は働いていますかという趣旨でお尋ねをしています。  一部異論もあるようですが、最近NHKを退職された記者の方が出版された「官邸vs.NHK」という書籍です。特に森友問題に焦点が当たっています。初動段階において相当取材を尽くしたにもかかわらず、上層部の意向で十分それが報道できなかったというような一連の経緯がつづられています。もちろん異論も反論もあるでしょう。  ちょっと関連してお尋ねしたいんですが、この森友問題に対するNHK報道が不十分だという世の中からの苦情があったようですね。これがどうも、この本に沿って数字を申し上げると、百五十件だったそうです。  今般、ちょっとお尋ねします、この三月一日の本会議の取上げ方、夜九時台のニュースの話なんですが、をめぐって、いろいろと電話やお手紙、メール、そしてSNS、いろいろと苦情なり苦言があったと思いますが、それはどのぐらいあったんですか。
  94. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  三月一日から昨日までの電話、メール等の御意見は百七十件というふうに聞いております。
  95. 小川淳也

    ○小川委員 これは会長、今お聞きのとおりでして、森友問題に関する苦情が百五十件なんですね、この記者の方によると。この一週間、十日の間に百七十件の苦情が寄せられているということは、それなりに重く受けとめていただかなきゃいけないと私は思っています。  それで、もう一点、これは答えられないのかもしれませんが、この三月一日の九時台のニュースの当該部分、視聴率はどのぐらいですか。
  96. 木田幸紀

    木田参考人 視聴率については、私の方からお答えできないです。
  97. 小川淳也

    ○小川委員 何だかそういうルールがあるようなんですけれども、私の責任において推測で申し上げると、恐らく五%から一〇%ぐらいの間なのではないかと想像しています。そうすると、日本国民の五百万人から一千万人の視聴者、多くは、そのほとんどは受信料を払っている視聴者にこのNHKの切取り方が伝わった可能性があります。  一方、実際の、登壇した野党側の主張を直接ごらんになった方は、私もちょっとこれは分析が難しいんですが、動画の視聴者などから推測しますと、どんなに多く見積もっても数千人から数万人まで。そうすると、真意を受け取ったのが日本国内に数千人から数万人、このNHKの切取りを受け取った方が五百万人から一千万人。どれぐらい影響が大きいかということは、会長を始め、幹部、編集の現場もその影響力の大きさについてはよく自覚をいただいていると思うんです。  それでは、ちょっと事実に即して聞きます。  今まさに会長がおっしゃった放送法は、報道は事実を曲げない、それから、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、これは放送法の要請です。  同時に、NHKが自主的に、これは放送法に従ってだと思いますが、ガイドラインをつくっていますね。ガイドラインからも少し読み上げたいと思いますが、まさに会長が先ほど御答弁されたように、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝える、これはみずからお決めになっていることです。それから、報道は事実に即した表現に徹する、これもみずからお決めになっていることです。  その角度からお聞きします。  当時、野党側、私自身の発言であると同時に、野党五会派を代表しての発言でした。その骨子は何だったと受けとめたのか。その事実に即してお答えを求めたいと思います。
  98. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  根本厚生労働大臣の不信任決議案の提出理由は、統計不正問題は国の根幹を揺るがす大問題であり、決して看過することはできない、根本厚生労働大臣は、部下からの報告の事の重大性を全く認識できず、不正の重大さに真剣に向き合おうとせず、真相究明を妨げようとした責任は余りにも重いなどというものであったというふうに認識しております。
  99. 小川淳也

    ○小川委員 正確に捉えていただいていると思います。これは賛否両論あっていいんです。賛否両論あっていいんですが、少なくとも野党側の主張はそうだった。先ほど来申し上げているように、放送法なりみずからの基準に従えば、多角的にその意見を取り上げる責任がある。  その実際の報道、のっけからこれは取り上げていますので、ごらんになっていない方も、御存じない方もたくさんいらっしゃると思うんですが、結論から言うと、私が導入部分で用いたインターネットユーザーの川柳と、それから、あたかも時間を引き延ばすかのように水を飲んだ部分しか取り上げられていないんです、基本的に。  それで、今まさに正確に私の野党側を代表しての主張を捉まえているじゃないですか。確認すると、民放各局はここをまさに拾っているんですよ。なぜこの野党側の主張の骨子を報道の骨子として取り入れなかったのか、その理由を聞きます。
  100. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  NHKでは、この日、正午のニュースでは、野党六党派の国会対策委員長らが会談して、統計問題の審議が不十分で、新年度予算案の採決は認められないという認識で一致し、不信任決議案を共同で提出したという事実を報道しました。  この際、立憲民主党の辻元国会対策委員長の、うそはあるけれども隠蔽はないというような追加報告書の結論の中身をよしとするという大臣、これはリーダーシップがない、やめてもらわないと仕方がないですねというぶら下がりも放送しました。  さらに、「ニュース7」、夜七時のニュースですが、ここでは、正午ニュースの要素に加え、衆議院本会議立憲民主党の小川淳也議員が行った趣旨弁明のうち、一連の真相究明、甚だ不十分、不適切だったと言わざるを得ず、不信任案提出の根本的な理由でありますという部分を放送しました。  「ニュースウオッチ9」では、政府の新年度予算案の衆議院通過をめぐる与野党の攻防をお伝えする中で、不信任決議案についても放送しました。野党側が提出した不信任決議案については、統計問題の審議が不十分で、新年度予算案の採決は認められないとして、根本厚生労働大臣の不信任決議案を提出したというコメントとともに、立憲民主党の小川議員が衆議院本会議で行った趣旨弁明も放送いたしました。  趣旨弁明では、小川議員が、統計不正問題を批判し、問題の本質を見抜いている国民の力作だなどと指摘して衆議院本会議の演説で引用した川柳も放送で使用いたしました。統計不正問題の真相究明を求める野党側の姿勢を放送したものであります。
  101. 小川淳也

    ○小川委員 それは趣旨弁明の趣旨ですかと聞いているんですよ。ということなんです。  それから、十二時と七時でやったから九時はやらなくていいということにもならないんです。会長、そうでしょう。そういうことなんですよ。  それで、これだけの視聴者からのいろんな意見が出たことを軽んじるべきじゃないと思いますよ、この編集に関して言うと。会長、どうですか、この九時台のこの編集について。  もう一点、ちょっと聞きます。  私が当日、水を複数回飲ませていただいたことは事実なんです。それは、率直に申し上げて、いろいろと個人的な体調もありました。相当寝不足やあるいは疲労もたまっていたことも事実です。あのとき一番恐れたのは脱水と酸欠なんです。そういうことも含めて、それから、急いでもちろん原稿を全部行き切りたかったんですが、そういう状況なので行けなかった。それで、議長からの注意も真摯に受けとめています。が、限界を超えて早くは読めなかったという、正直にそういう状況があったんです。(発言する者あり)
  102. 江田康幸

    江田委員長 不規則発言は慎まれるようお願いします。
  103. 小川淳也

    ○小川委員 その上で、何度も水を飲む姿に議長が注意したというのも、これは事実と異なるでしょう。何度も水を飲む姿に議長が注意されたとは私は思いませんよ。もう少し早く読めないかとか、時間を短縮できないかという議長の思いがおありになったことは想像していますが、水を飲んだこと、これは時間にして何秒かでしょう、水を飲んだのは。  あたかも水を飲んだことに対して議長が注意したかのようなナレーションの付され方、報道のされ方は、まさに事実と異なると思いますが、いかがですか。
  104. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  趣旨弁明の演説については十分に吟味し、報道については自主的な編集判断に基づいて放送を行わせていただきました。
  105. 小川淳也

    ○小川委員 いや、質問に答えてください。水を飲んだことを議長が注意したというのは事実誤認じゃないですかと聞いています。
  106. 木田幸紀

    木田参考人 先ほども申しましたとおり、趣旨弁明の演説については十分に内容を吟味いたしまして、編集につきましては自主的な編集判断で行わせていただきました。
  107. 小川淳也

    ○小川委員 じゃ、議長が、水を飲んだことに注意したと受けとめているという理解でいいですね。
  108. 木田幸紀

    木田参考人 繰り返しになりますけれども、趣旨弁明の演説につきましては十分に吟味いたしまして、報道は自主的な編集判断で行わせていただきました。(発言する者あり)
  109. 江田康幸

    江田委員長 木田日本放送協会専務理事、もう一度質問に答えてください。
  110. 木田幸紀

    木田参考人 趣旨弁明の演説につきましては十分に内容を吟味させていただきまして、報道につきましては自主的な編集判断に基づいて行いました。(発言する者あり)
  111. 江田康幸

    江田委員長 小川君。(発言する者あり)  速記をとめます。     〔速記中止〕
  112. 江田康幸

    江田委員長 速記を起こしてください。  木田日本放送協会専務理事
  113. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  野党提出の根本厚生労働大臣の不信任決議案につきましては、先ほどもお答えしましたように、正午、「ニュース7」、それに「ニュースウオッチ9」でそれぞれお伝えしております。  その上で、立憲民主党の小川衆議院議員が趣旨弁明で、インターネットに投稿された川柳を読み上げ、統計不正問題に対する国民の不信感が根強いと訴えるとともに、水分補給の際に、衆議院議長から、少し早めて結論を導いてくださいと促されながらも、二時間近くにわたって追及を続けたという形でお伝えいたしました。
  114. 小川淳也

    ○小川委員 とにかく、水分補給の際にと、今、上手におっしゃいましたが、ナレーションは違いますからね。何度も水を飲む姿にですから。そういう言い方を変えられること自体、ちょっと適切だったかどうか内部でも議論があるということでしょう、これは。  とにかく賛否両論あっていいんですよ。だけれども、野党側の主張の骨子は伝えるべきでしょう。それから、議長が何に注意をしたのか、正確に事実に即して伝えるべきだ。五百万人、一千万人の視聴者を惑わした可能性がありますよ、この点。大いに反省を求めたい。  その上で、これはどういう過程で原稿がつくられているんですか。現場でつくられた原稿と最終的に承認された原稿とはどのような相違があるのか、ちょっと資料提出を求めます。もしここで答弁できるようならしてください。
  115. 木田幸紀

    木田参考人 多様な御意見があることは承知しておりまして、結果としてこのような御指摘をいただいたことを真摯に受けとめ、引き続き、正確、公平公正、不偏不党、自主自律を堅持して報道に当たってまいりたいとまず思います。  なお、原稿等々の御質問につきましては、編集権に属することですので、お答えは差し控えたいと思います。
  116. 小川淳也

    ○小川委員 まず、冒頭おっしゃったコメントは私も重く受けとめたいと思います。  これは私自身も大変わきまえながら質問しなきゃいけないことだということはよくわかっているつもりなんです。しかし、これだけの声がある以上、私も看過できないという心づもりで質問しています。  NHKさんは、やはり予算を毎年、政府・与党に握られています。それから、先ほども議論になりかかっていましたが、会長人事も事実上握られている。予算と人事を握られているという意味では、与党内、霞が関と同じなんですよね。なので、申し上げていることが、ある意味、酷かもしれないということも理解しているつもりです。したがって、これは、例えばBBCなんかはあれでしょう、十年に一回ですよね、政府の審査は。という、ちょっと距離を置く制度的なことも考えなきゃいけないかもしれない。  それから、繰り返しになるんですが、受信料についても結構やはりいろいろと、あくまでインターネット上ですよ、議論が出始めているんですよね。  きのう初めてNHKに抗議の電話をした、余りにもひどくて悔しかったので、果たしてどの程度伝わるものがあるのか不明ですが、最近、余りに偏った報道ばかりで、受信料を払うことに疑問があると伝えました、いいですね、どんどんやりましょう、受信料を払っている者の権利です、ひどいな、悪意しか感じない編集、受信料を返してほしい、皆さん、ぜひNHK受信料不払い運動を展開しましょうというような声も、一部とはいえ、起きかねない背景はあると思いますよ。  そのことを踏まえて、これはちょっと、この書籍とも関連するんですが、一度衆議院の総務委員会に小池報道局長参考人として招致したいので、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。
  117. 江田康幸

    江田委員長 理事会で協議します。
  118. 小川淳也

    ○小川委員 いろいろと、会長、重ねてになりますが、受信料を払っている視聴者の半分は政権支持層、そしてもう半分はこの政権に対して不満や不安、疑問を持っている不支持層です、約半分。そのことも改めて御認識をいただいた上で、大変出過ぎたことを申し上げた部分はよく自覚した上で質疑を終えたいと思いますが、今後の、特に政治報道、気骨のある、気概のある報道をぜひ求めて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  119. 江田康幸

    江田委員長 次に、伊藤俊輔君。
  120. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 立憲民主党無所属フォーラムの伊藤俊輔でございます。引き続き質問させていただきたいと思います。  まず冒頭、大河ドラマのことを一点だけ触れさせていただきたいと思っています。  以前、高井議員の御地元岡山でも、山田方谷という方が九十四万人の署名が集まっているとの話がありました。  私のゆかりのある、桜の三大名所でもありますが、高遠城のある長野県伊那市では、徳川将軍家に仕えた保科正之公のドラマ化が署名が約六十万人集まっております。平成十六年から毎年、NHKに関係者が訪問させていただいていると聞いております。羽村から四谷までの四十三キロという玉川上水を開削されたり、あるいは、高齢者の方に扶持米の給付、要は、備蓄をしてお米を給付した。初めての、社会保障の先駆けとも言われている大変立派な方であります。  多くの地域で大河の主人公にしたいという運動がされていると思いますが、状況を一言だけお聞かせを願いたいと思います。
  121. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  大河ドラマは、視聴者のニーズや時代の動きを酌み取り、毎年の時代設定も長期的な視点からバランスを配慮するなど、番組制作部門で十分に検討を重ねた上で企画を決定しております。  企画を決める際には、次のような点に強く意を用いております。  一つは、一年にわたって視聴者の興味を引きつけ続けることができる波乱に満ちた生涯を送った主人公が存在すること、それから、主人公の生き方を通じて時代に即したメッセージをお伝えすることができること、さらに、時代設定が特定の時代に偏らないようにすることであります。  さまざまな地域から大河ドラマへの御要望をいただいておりますが、今申し上げたような観点から、引き続き総合的に検討していきたいと思います。
  122. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  保科正之公は、長野県、あるいは会津、あるいは東京では新宿、八王子、多岐にわたる、幅広く関係のある方でもあります。ぜひ大河ドラマに実現を期待をし、また、地域の経済効果も大きい大河ドラマですので、より多くの地が注目をされる、そしてまた地域経済につながることを期待をしたいと思っております。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、常時同時配信について質問をさせていただきたいと思います。  NHK総合とEテレの全番組のネット常時同時配信を可能にするものでありますけれども、ITの活用やあるいはスマホの普及、テレビを持たない世帯の増加などを考えれば、ネットで情報を得るのが当たり前の時代ということに入っております。当然、NHKも日々その対応の是非が問われているんだ、そのように思っております。  オリンピック、パラリンピックなど国際的な大会、スポーツ、あるいはさまざまな報道災害時、そしてまた国民的な番組でいえば紅白など、生で情報を見る価値のあるものの提供に関しては、同時配信の意味は理解をするものであります。  しかし、民放でも、常時同時配信に関しては、コストがかかること、あるいはニーズも考えながら、厳しい現状だと思います。年間コストで五十億円とも算出をされる中で、受信料という安定財源を持つNHKにおいては、民放関係者への圧迫につながる可能性があるのではないかという観点も言われているところでもあります。  そもそも、現在も必要に応じて同時配信ができていると思いますけれども、大きなコストをかけてまで、今、更に常時配信をする具体的な必要性に関して御意見をいただきたいと思います。
  123. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKは、インターネットの利用拡大や視聴者情報取得のあり方の変化の中にあっても、放送を太い幹としつつインターネットも活用して、信頼される情報の社会的基盤の役割を果たそうと考えております。  放送インターネットへの常時同時配信は、その役割を果たすために、視聴機会の拡大を図り、いつでもどこでも必要なコンテンツを得られるように、放送を補完するものとして実施を目指しているところであります。とりわけ、災害時や緊急時に安全、安心にかかわる情報をきちんと得ていただくためにも、日ごろから常時同時配信を通じて情報を取得していただく必要があると考えております。  実施に当たっては、NHK受信料によって放送実施する目的で運営されることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る費用は上限を設けて適正に運用する視点は大変重要だと認識いたしております。  NHKといたしましては、インターネット活用業務の費用については、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、会計上の透明性確保の新たな考え方に従って、十分な説明を尽くしてまいります。  放送法の改正が行われた場合には、それを踏まえましてNHKインターネット実施基準を新たに策定し、総務大臣の認可を得ることになります。その中で適正に実施してまいりたいと考えております。     〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕
  124. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  コストの部分も非常に検討しなきゃいけないことだと思いますけれども、ネット配信をする上で著作権処理の問題も一部あろうかと思います。  これからの課題だと思いますけれども、海外は、本放送とネットあるいは再放送など、一括して一回の権利でということに、そういうケースがありますけれども、日本においては本放送のみということで、再放送の際、あるいはネットの配信の際、その都度、著作権の処理にコストがかかるということも懸念されると思います。  審議会でも議論されていると思いますけれども、その現状についてお聞きをさせていただきたいと思います。
  125. 山田真貴子

    ○山田政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、常時同時配信の実施におきまして、著作権等の権利処理の迅速化、円滑化は重要なポイントの一つでございます。  総務省では、二十八年十月から三十年八月まで約二年間、情報通信審議会におきまして、ネット同時配信に関するさまざまな論点について議論を行ってまいりました。権利処理につきましては、権利者団体におきまして権利情報のデータベース化及び委任範囲の拡大に取り組む、また、放送事業者及び権利者団体等における今後の取組状況を踏まえ、継続的な検討を進めるべきであるといった御答申をいただいております。  これを受けまして、昨年十二月から、ネット同時配信に係る権利処理に係る勉強会を開催しております。円滑な権利処理の実現に向けまして、必要な対応策の検討等を進めているところでございます。  総務省といたしましては、NHKのみならず、民間放送事業者も含めて権利処理が円滑に進むように、具体的なサービス内容等も踏まえながら検討を進めてまいります。
  126. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 委員長、与党の人数が少ないようですけれども……(発言する者あり)
  127. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員長代理 退席されますか。
  128. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 委員長、速記をとめていただけますか。
  129. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員長代理 では、速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕
  130. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員長代理 では、議事を進行いたします。  定足数は足りております。  伊藤俊輔君、質問を続けてください。(発言する者あり)  委員出席が少なくなっております。理事皆様から委員への連絡をお願いをいたします。努力をいたします。  伊藤俊輔君、質問を続けてください。
  131. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 緊張感を持ってやっていただきたいと思っています。野党でもっているような定数だと思いますので、委員長、改めてお願いいたします。
  132. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員長代理 はい。今お願いをしました。
  133. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 また、先ほど、質問させていただきたいと思いますが、今、パソコンやスマホの保有者の負担というものは求めないという方針を聞いておりますけれども、過去にも、テレビを所有せずに、ワンセグ機能つきの携帯電話だけを所有することで、受信契約を結ぶ必要性があるか争われた裁判、最近でもNHKが勝訴された。きょうもネットに載っておりました。  さいたま地裁は、契約義務は発生をしないという判断。その後、水戸地裁、千葉地裁松戸支部、そして大阪地裁及び東京地裁においては、契約締結義務があるとの判断を示されております。つまり、ワンセグの機能つきの携帯電話を持っていたら受信料を払うように判断を下されたということです。これを見ても、今後、パソコンやスマートフォンに対しての受信料の負担が求められるのではないか、こういう懸念を持たれるのは当然のことと思います。  テレビのニーズからネットのニーズを考えれば、その第一歩の今回こういう流れだと思いますけれども、民放に対しての圧迫になるのか、あるいは、その懸念も含めて、将来的にネット利用者の負担を求める可能性が否定できないのではないか、そのような懸念はもちろん持たなければならないと思います。  やはり、受信料の負担の是非の検討、整理ができていない中において、いささか見切り発車だという意見もあります。この点について答弁いただきたいと思います。
  134. 佐藤ゆかり

    佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。  委員御指摘の件でございますが、放送のネット常時同時配信でございますけれども、まず、スマートフォンなどを用いてさまざまな場所においても放送番組を視聴したいという国民視聴者期待に応えるものと考えておりまして、こういう意味では、総務省といたしまして、NHKによります常時同時配信を可能とします放送法改正案を今国会に提出させていただいているところでございます。  委員御指摘のございました常時同時配信の実施に要するコストについてでございますが、NHKの目的や受信料制度趣旨に沿いまして、必要最低限かつ適正な費用のもとで適切に算出されることが必要であるというふうに考えているところでございます。  また、NHKといたしましても、常時同時配信を放送の補完として位置づけておりまして、受信契約者について追加負担なく利用できるようにするといった考えを示しております一方で、新たにスマホなどの所有者の方から受信料を取るといった考えは示していないというふうに承知をしているところでございます。  こうしたことから、今後の受信料制度につきましては、公共放送の果たすべき役割は何か、そしてまた、国民視聴者の十分な理解を得られる制度となるかどうかといった観点を踏まえまして、慎重な検討が求められると考えているところでございます。
  135. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 これは、テレビよりもネット、そういう時代に転換を求める、そういうものだろうと私自身は認識をしておりますけれども、それであればなおさら、将来的にはどこに最終的な負担を求めるのか、受信料の問題に関しては十分に検討してから進めていくべき問題だろう、そのように指摘をさせていただきたいと思います。  また、その前提に、NHKは、公共メディアとして政治的には公平であるべき、問われると思います。首相官邸の政治介入というものも多々懸念をされる、言われている。その中においても、これまで、籾井前会長の発言等々、靖国神社の参拝について、あるいは従軍慰安婦の問題について、あるいは原発について、多岐にわたる発言がありました。公共放送会長として個人的な見解を述べることは立場を軽んじたものと言わざるを得ない、私自身もそう思っております。  原発においては、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えてほしい、あるいは、いろいろある専門家の見解を伝えてもいたずらに不安をかき立てるなどと指示をしていたと、当時、朝日新聞でも報道されました。この発言は、事実上、原発に関する報道では、政府や原子力規制委員会の公式発表のみを伝える、原発の安全性に疑問を投げかける専門家の意見は取り上げない、部下にそういう指示をしているのと同じようなことだ、そういう批判も当時されたものであります。  言うまでもなく、NHKを含め報道機関は、独自の批判的な立場、視点から公式な発表を点検するという重要な使命があるということを改めてお伝えをした上で、その上で、特に、政府が右と言うことに左と言うわけにはいかないという前会長の発言に対して、改めて問題だと思いますが、現会長大臣に、この発言をお聞きになりどう思うのか、また、公共放送と政権との距離感、関係についても認識を問いたいと思います。     〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  前会長の就任会見の発言に対しましては、経営委員会が、会長というみずからの置かれた立場に対する理解が不十分であったとして、注意したと承知しております。当時、経営委員の立場にありました私もそのように考えております。  NHKのよって立つところは視聴者国民皆様信頼であり、これが何よりも重要と考えております。その信頼を得るために、報道機関として、自主自律、不偏不党の立場を守り、公平公正を貫くという姿勢を堅持することが必要だと考えております。  こうしたNHKの基本的な姿勢に疑念を抱かれることがないよう、公共放送のトップであるNHK会長として、みずからの言動を律していくことが大事だと考えておりますし、そのように行動したいと考えております。
  137. 石田真敏

    石田国務大臣 当時の放送機関のトップが行った個別の発言について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。  放送法は、放送事業者がみずからの責任において放送番組を編集する自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、NHKにおかれては、こうした枠組みのもとで、公共の福祉のため、豊かで、かつ、よい番組放送するなど、公共放送としての社会的使命を果たしていただきたいと考えております。
  138. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 会長にも、そしてまた大臣にも、お立場の発言、重みに対して政治的公平性を重んじていただきたいと改めて求めたいと思っております。  その上で、公共メディアNHKとして、運営が妥当かどうか、検証する仕組みがないということも懸念をされます。イギリスのように、第三者機関が専門的に調査する仕組みが必要ではないかと思います。また、監査委員会があるからといって、これは常任は一人ということですから、本当に適切にチェックができるのか、これも疑問に思うところであります。  改めて公共放送の政治的公平性や運営を求めたいと思いますが、今の現状をお聞きしたいと思います。
  139. 石原進

    ○石原参考人 お答え申し上げます。  監査委員会は、経営委員を含む役員の職務の執行を監査する権限を有しておりまして、現在三人の委員で構成されております。  監査委員会は、定期的に役員の職務の執行状況について報告を受けるとともに、必要があれば調査し、活動内容を報告していただいております。  経営委員会としては、今後も、監査委員会と連携しながら役員の職務の執行を監督してまいります。  第三者の意見を聞くことを妨げているわけではございませんで、必要に応じて外部の専門家にアドバイスを受けることもあります。  いずれにいたしましても、経営委員会としては、引き続きしっかりと役員の職務の執行を監督してまいります。
  140. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 組織的に十分なのかどうか、改めて見解を求めながら、前回の籾井前会長の発言に対しての指摘に関しても、罷免権を一度も使ったことがないということも組織上の問題もありますけれども、十分な議論をさせていただきたい、これからも求めたいと思います。  最後に、国際放送の現状についてお聞きをしたいと思います。  私も、留学で中国の北京大学に行き、北京で住んでいた時代もあります。海外ではNHKを常時見ておりました。海外にいる日本人にとって、NHK放送はありがたいものだと思います。  しかし、むしろ、海外の外国人に向けての日本の情報配信というものの充実が必要だと改めて思いますけれども、特に、日本語の普及ということに関しては、今、英語での配信は番組上あると聞いておりますが、より多くの国の言語で日本語の普及を努めていただきたい。  これは国家戦略としての基本中の基本だと思いますので、これは質問通告は幅広くしていますので答えられるかあれですけれども、ぜひ国際放送展望についてもお聞きをしたいと思います。
  141. 江田康幸

    江田委員長 木田日本放送協会専務理事、申合せの時間が既に経過しておりますので、御答弁も簡潔にお願いします。
  142. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  日本語の学習という点に絞ってお答えいたします。  増加する外国人観光客や在留外国人のニーズを踏まえて、日本語学習コンテンツ充実を今図っております。  ラジオ国際放送では、十七言語で、日本語初級講座である「やさしい日本語」を発信しております。また、この番組を映像化して、テレビ国際放送のミニ番組としてもスタートさせております。また、職場などで使える日本語に的を絞った「イージー・ジャパニーズ・フォー・ワーク」という番組テレビ国際放送でスタートしております。  いろいろな番組を使って日本語学習の充実を図りたいと思います。
  143. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  NHKとしての大事な役割だと思いますので、日本語の普及に関しては全力を尽くしていただきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  144. 江田康幸

    江田委員長 次に、日吉雄太君。
  145. 日吉雄太

    ○日吉委員 国民民主党・無所属クラブの日吉雄太でございます。  本日は質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。  本日はNHK予算についての質疑ということで、NHKテレビ中継が、録画でございますけれどもあるということでございます。  初めにお伺いさせていただきたいんですけれども、本日の審議を中継される趣旨、そして、この録画の放送が午後十一時五十分からということで、夜中になるということなんですけれども、差し支えなければ、その理由というものを教えていただけますでしょうか。
  146. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  NHKでは、新年度の予算事業計画について視聴者皆様理解を深めてもらうため、衆議院、参議院の総務委員会審議の模様を、総合テレビとラジオ第一で中継録画と録音でお伝えすることにしております。  NHK予算審議の模様をそのまま視聴者皆様にお伝えすることを最優先に放送時間を検討しました結果、深夜の時間帯に中継録画と録音でお伝えするということにしております。
  147. 日吉雄太

    ○日吉委員 ありがとうございます。  NHK予算理解に資するようにということでございますので、そういった視聴者皆様理解に資するような質問ができるように頑張りたいと思います。  それでは質疑させていただきたいと思いますが、NHKの影響力についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。  大河ドラマや朝ドラ、こういった番組に出演された方が、別のトーク番組の中で、それによって知名度が上がったとか、役柄での名前で呼ばれるようになったとか、こういった影響力が非常に大きいのかなというふうに思っております。また、大河ドラマをやりますと、そこの土地が観光地としても有名になり、観光振興にも資するというような、地域活性化につながっていく、こういった事実もございます。  また一方で、「いだてん」に出演されている役者さんが、先日、麻薬取締法違反の容疑で逮捕された、こういったこともございましたが、そういった方が今後の番組でどうなっていくのかなといった、こういったものも国民皆様の関心なのかなというふうに思っております。  こういった中で、NHKの影響力、これは大きいと思うんですけれども、影響力を大きいというふうに御認識されているのかどうかをちょっと確認させていただきたいのと、それにつきましての責任について見解をお願いいたします。
  148. 木田幸紀

    木田参考人 今お話しの大河ドラマの主人公には、視聴者の興味を引き続けることができるであるとか、その生き方を通じて時代に即したメッセージを伝えることができるなどが求められた結果、企画が選ばれ、キャスティングが行われております。そうした主人公の活躍を一年間にわたってごらんいただくことで、視聴者皆様に愛されるキャラクターに育てていただけるものと認識しております。  NHKの影響力ということもありますが、やはり視聴者皆様と向き合いながら、それぞれの番組であるとか報道であるとかにしっかりと向き合っていきたいというふうに考えております。
  149. 日吉雄太

    ○日吉委員 しっかりと向き合っていただくというお話がございましたが、その前提として、影響力が大きいという中でのことだというふうに理解をさせていただきました。  その中で、既にほかの委員の方から議論があったところではございますけれども、受信料制度につきまして改めて確認をさせていただきたいと思います。  最高裁の判決では、受信料制度の仕組みは、憲法の保障する表現の自由のもとで国民の知る権利を満たすために採用された制度で、その目的にかなう合理的なものと解釈されるとの考えを示し、公共放送の意義を認め、受信料制度は合憲であるとの判断を示したものであると思いますが、この判決で受信料制度に対する国民皆様理解がどのように変わったのか、どのように認識されているのか、教えてください。
  150. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今先生がおっしゃってくださいましたように、最高裁の判決では、受信料制度の仕組みは、憲法の保障する表現の自由のもとで国民の知る権利を満たすために採用された制度で、その目的にかなう合理的なものと解釈されるというふうな考えを示されました。また、最高裁が公共放送の意義を認め、受信料制度が合憲であるという判断を示したもので、判決以降、自主的に契約を申し出ていただける方が増加いたしております。  最高裁の判決を踏まえ、引き続き、受信料制度の意義を視聴者皆様に丁寧に説明し、公平負担徹底ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  151. 日吉雄太

    ○日吉委員 今お話がありましたが、そもそも放送法の目的の中に、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」ということが記載されていると思います。その中で、この受信料制度のもとで、民主主義の発達に資するような放送を行っていただきたいということを申し上げさせていただきます。  その上でお伺いをさせていただきますが、受信料支払い率といいますか、契約をされている方とされていない方という差があるわけでございますけれども、未契約の方と契約者との間で不公平感があるのではないかというふうなことが言われていると思います。  確かに、本来、契約してお金を払うということなんですけれども、ほかの方が契約をしないでお金も払わないのに一緒に見れているという、そういったことに対して不満を持たれる視聴者の方はいると思うんですけれども、この不公平感をどのように認識されておりますでしょうか。
  152. 松原洋一

    ○松原参考人 お答えいたします。  受信料で成り立つ公共放送として、先生御指摘の公平負担徹底は重要な責務であり、支払い率を更に向上させていくことが重要であるというふうに考えております。  このため、法人委託の拡大と安定的な運用、訪問によらない契約収納活動のさらなる促進など、営業改革を今後も継続して取り組んでいくことで支払い率を上げていきたいというふうに思います。  なお、何度も訪問を繰り返して受信料制度趣旨を御説明をして、誠心誠意、丁寧な対応に心がけた後、それでもなおかつ受信料をお支払いいただけないという方については、民事手続を実施するということをもう既にやっていまして、民事手続は受信料公平負担のために今後も引き続き取り組んでいきたいというふうに思っています。
  153. 日吉雄太

    ○日吉委員 ぜひ、そのあたりの公平感の確保といったことにも力を尽くしていただきたいなというふうに思います。  もう一つの公平性ということで、先ほど来お話がございましたけれども、放送に関する公正公平な放送ということでございます。  既にお話がありましたが、NHK経営委員会委員の方の任命というのは総理の任命が必要になってくるということで、仕組みとして政治的な介入が多少なりともあるというような、こういうような仕組みになっているのかなというふうに思っております。本日の総務委員会での質疑自体も、ある意味では介入になっていく面もあるのではないかというふうに思っております。  そういった中におきまして、放送の中立性を保つためには、やはり現場の方々一人一人が、中立性を守る、公正性を守るという、そういった心の中での精神的な独立性、こういったものをしっかりと持っていなければならないと思いますけれども、その精神的独立性を害するのが、外形的なこういった仕組みが、そもそも、個々人の公正公平な放送をしようという、そういった意思を阻害してしまうようなことにもなりかねないというふうに考えております。  ですので、この仕組み自体を、今の状況についてどのように考えられているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  154. 石田真敏

    石田国務大臣 経営委員会委員の任命につきましては、NHK事業の性質に鑑みまして、直接の利害関係者である国民の意思を委員の選任に反映させることが必要であることから、両議院の同意を必要としたものと理解をいたしております。  いずれにいたしましても、放送法は、放送番組の編集に当たって政治的公平であることなどを求め、放送事業者がみずからの責任において放送番組を編集する自主自律を基本とする枠組みとなっていると思っております。  したがって、NHKにおきましては、他の放送事業者と同様、自主的、自律的に放送法を遵守し、みずからの責任において放送番組を編集する中で、放送法に定める政治的公平などを確保していただくべきものと考えております。
  155. 日吉雄太

    ○日吉委員 みずからのそういった政治的公平性を確保していくという仕組みがあると思うんですけれども、大きな枠組みで結構ですので、その公平性を保つためにどのような仕組みがあってそれを保っていられるというふうに判断をされているのか、教えてください。
  156. 木田幸紀

    木田参考人 お答えいたします。  放送法は第一条で、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保することを、また、第四条で、国内放送番組の編集に当たり、政治的に公平であることや、報道は事実を曲げないですることなど、四つ挙げております。  この放送法規定を踏まえて、NHKでは国内番組基準を定めております。この中で、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保することを明記しております。  その上で、政治上の諸問題を扱う際には、NHK放送ガイドラインに沿って番組の編成や構成及び出演者の選定などを慎重に行うとともに、さまざまな角度から論点を明らかにし、いろいろな主張を紹介することによって視聴者の判断の材料を提供する姿勢を基本としております。  また、みずからの番組の質の向上、維持を図るために考査部門を設け、放送現場とは一線を画して番組考査を行っているほか、よりよい放送を実現するため、中央と地方の放送番組審議会を毎月開いて、さまざまな声に真摯に耳を傾けているところでございます。
  157. 日吉雄太

    ○日吉委員 そういったチェックをする中で、では、この放送はやめた方がいいなとか、放送の方向性を変えようとか、こういった事例というのはもちろんあるわけですね。
  158. 木田幸紀

    木田参考人 毎年、次年度の番組改定を考えております。そのときには、もちろん番組の評価もありますし、いろいろなそういった審議会等々の御意見参考にすることもありますし、もちろん視聴者皆様からの声を参考にする。いろいろな角度から総合的に検討して番組の編成も考えますし、一つ一つ番組内容についても不断に検討を重ねております。
  159. 日吉雄太

    ○日吉委員 そういった検討をされているということですが、一つ事例を出してお答えいただきたいんです。  例えば、刑事事件などで容疑になって起訴された、こういったことで、事件が発生し、その段階、一つ一つ丁寧な放送をされているのかなというふうに思っております。結局、裁判が行われ、その裁判の判決で無罪になりました。その無罪になったということも多分放送されることだと思うんですけれども、その無罪になるまでの容疑の段階からの放送の長さと、無罪になりましたという放送の長さというのは物すごく違うと思うんですね。  そういった意味で、実は冤罪だったというようなときに、その方の名誉を回復するのに十分な放送というのができているのかなというふうなことも若干懸念をするところなんですけれども、そのあたりのところというのはどのような配慮をされているものなんでしょうか。
  160. 木田幸紀

    木田参考人 容疑者として逮捕されるなどした際には、一旦報道したその人が、その後、罪に問われない結果になった場合は、ニュースで名誉回復を図ることにしております。  具体的には、逮捕を全国放送で報じた場合は、その後無罪になったことを同じように全国放送で伝えるなど、同等の扱いをするようにしております。  また、例えば、無罪の判決が言い渡されたら、呼称を、それまでの被告というのをやめて、何々さん若しくは肩書を使うことにしているほか、本人が記者会見を開いたりコメントを出したりした場合は、その内容をきちんと伝えることにしております。  NHKは、冤罪が明確になる以前の逮捕の段階から、犯人視はしないで、弁護士も含めて当事者側の反論をニュースの中であわせて報道することを原則としております。
  161. 日吉雄太

    ○日吉委員 対応としてはおっしゃるとおりなのかなと思うんですけれども、ただ、それに対するニュースとしての放送の長さというものが格段に違うのかなというふうに思っておりまして、そういった中で本当に名誉が回復できるのかなというところを疑問に思っているところでございますので、そういったことをちょっと申し上げさせていただきます。  続きまして、NHKのグループ間での取引についてお伺いをさせていただきます。  過去におきまして、子会社との取引におきまして架空の発注があったとかいうことが、そういった不祥事がございました。そういった中で、よくよく見ますと子会社を通した取引がかなりの割合を占めておりまして、また、契約の金額につきましても、慎重な検討が行われていなかったのではないのかなというような事例も散見されているところでございます。  今、グループ間の取引の公正性を確保するためにどのように取り組んでいるのか、教えてください。
  162. 黄木紀之

    ○黄木参考人 NHK関連団体は、番組制作を始め、放送設備の保守ですとかコールセンター業務など、公共放送役割を果たすために不可欠なさまざまな業務を担っております。  その際には、関連団体の社員を始め、NHKを退職して関連団体に再就職した者や外部のスタッフなどが協力いたしまして、NHKとの関係の中で培った知識経験、人脈を生かして、高品質で効率的に業務を担ってもらうということでありまして、これは経済的で合理的であると考えております。  こうした関連団体との取引につきましては、適正な見積りと査定を実施して契約額を決定いたしております。  また、三年前からは、業務実態や原価などを詳細に把握する見える化の取組を進めておりまして、毎年の取引内容と取引額を検証するなどのPDCAサイクルを回すことによりまして、取引額の一層の適正化を図っておりますところでございます。
  163. 日吉雄太

    ○日吉委員 ありがとうございます。  NHKを退職された方、こういった方が子会社に行かれたり、そういったところである意味効率的になる面はあるんですけれども、その一方で、なれ合い的なところもあるというふうに思います。そういう中で、架空の発注、こういったことが起こったり、適正な価格ではない取引価格で取引が行われているというようなことが起こってしまうことがございます。  そういった意味で、通常、グループ間の取引というのは、しっかりと、どのような取引が行われたのか、金額が妥当なのであるのか、その金額の決め方はどういうふうにしているのか、こういったものを公表しながら、国民皆様視聴者皆様からチェックを受けるというような体制が必要になってくる。そういった方向になっていくのだろうというふうには思っておりますけれども、グループ間取引の適正性を確保するために十分御注意をいただきたいなということを申し上げさせていただきます。  続きまして、予算の中身について一つお伺いをさせていただきます。  収入がふえる一方で、支出もふえてきているというのがここ数年の傾向であろうかと思います。  NHK公共性というところからしますと、収支の均衡というのが一つの目標になっているのかな。利益が上がり過ぎてもだめですし、赤字になり過ぎてもだめで、収支が均衡するような決算を目指していくというのがそもそもの理念の中にあるのかなという中におきまして、経費を節減しましょう、節約しましょうといった中で、実際に、受信料の金額を上げたり下げたりすることによって、上げることで経費の増加を賄うこともできてしまう。  こういった潜在的な仕組みの中において、経費削減をするというのはそもそも非常に難しいのかなと思うんですけれども、そういった環境の中で経費削減についてどのように努力をされているのか、教えてください。
  164. 松坂千尋

    ○松坂参考人 お答えいたします。  NHK受信料で成り立っておりますので、限られた財源の中で最大限の放送サービスを効率的に提供していく必要があります。毎年度の予算策定に当たりましては、重点事項など、公共放送として取り組むべき業務の優先順位を定めまして精査を行うとともに、業務全般にわたる経費の削減にも取り組んでおります。  来年度、三十一年度の予算では、番組制作費については、番組のマルチユースですとか4Kと2Kの一体化制作推進により経費を節減したり、営業活動においても、地域スタッフ体制の縮小など、効率的な営業体制の構築などを行っております。こうした取組によりまして、総額で百八十億円ぐらいの経費の削減を行っております。  少し先を見据えますと、東京オリンピック・パラリンピックの翌年の二〇二一年度以降、業務改革を一層推進することで、事業規模事業支出一定の適正な水準におさめることが非常に重要だと思っておりまして、支出の管理を厳正に行っていきたいと考えております。
  165. 日吉雄太

    ○日吉委員 今お話ありましたけれども、なかなか仕組みとして経費節減をするのが難しい仕組みになっておりますので、一層の御努力をお願いしたいなというところでございます。  時間もなくなってまいりましたが、災害時の放送あり方について一つ教えてください。  東日本大震災の経験は、一昨年の熊本震災や昨年の、東日本豪雨災害、北海道の胆振東部地震災害などにどのように生かされたのか、この点について教えてください。
  166. 木田幸紀

    木田参考人 東日本大震災を受けて、津波警報時の避難の呼びかけのアナウンスを変えました。具体的には、ふだんよりも強い口調で、視聴者に緊張感と危機感を持ってもらうように工夫しております。  また、去年の西日本豪雨を受けて、大雨や台風による被害が切迫した場合には、全国放送ではなくローカル放送で細かな地名や地域の気象情報を詳しく伝える地域発信の強化を実践するようにしております。  自分の身に危険が迫っていることがより伝わるように努めております。
  167. 日吉雄太

    ○日吉委員 ありがとうございました。  時間が参りましたので、終わります。
  168. 江田康幸

    江田委員長 次に、稲富修二君。
  169. 稲富修二

    ○稲富委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。国民民主党の稲富修二でございます。  同僚議員の受信料等についての質問が多々ございまして、重なる部分もありますが、質問をさせていただきます。  まず、受信料値下げについてでございます。この概要について改めて御説明願います。
  170. 松坂千尋

    ○松坂参考人 お答えいたします。  受信料値下げ関係ですけれども、ことしの十月に消費税率が上がった場合でも受信料額を改定しないことによって二%程度の実質値下げ、それから、来年の十月からは二・五%の値下げを予定しておりまして、合わせて四・五%。この値下げの影響ですけれども、二〇二一年度以降は年間三百二十八億円の減収影響があると見ております。
  171. 稲富修二

    ○稲富委員 個人としてはどれぐらいの値下げ効果があるんでしょうか。
  172. 松坂千尋

    ○松坂参考人 ことし十月の受信料額の据置きは、受信料額をそのまま据え置くということでございますが、来年の十月の二・五%の値下げでいいますと、今、口座、クレジット払いの振替で一カ月千二百六十円、受信料がありますが、地上契約の場合は、これが三十五円下がって千二百二十五円、それから衛星契約の場合は、二千三百三十円が六十円下がって二千百七十円というふうに見込んでおります。
  173. 稲富修二

    ○稲富委員 この値下げなんですけれども、先ほど来御議論がありましたが、当初の経営計画になかったことを、マイナス赤字になるとわかっていても実行するわけですが、なぜ値下げをするのか、値下げに踏み切ったのかということを改めてお伺いします。
  174. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  まず、収入につきましては、公平負担徹底にしっかりと取り組んできたことに加えまして、おととし平成二十九年十二月の最高裁判決以降、自主的に受信契約を申し出る方がふえたことなどによりまして、当初の計画を上回る形で受信料収入確保できる見通しになりました。  一方、支出につきましては、以前は十分に見通せていなかった4K、8K放送への対応や東京オリンピック・パラリンピック対応など、大型の支出への備えに一定程度のめどがつきました。  今後、世帯数減少テレビ保有率低下など、経営環境が厳しさを増すことを見据えつつ、NHKが果たすべき公共役割や、中長期事業計画収支見通しなどを真剣に検討し、収支相償原則にのっとり、受信料値下げ実施すべきだと判断し、今の三カ年経営計画の修正案を経営委員会に議決していただいた次第であります。
  175. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  先ほど、二〇一九年度に関しては、軽減額を含めるとマイナス百三十九億円、そして、フルで軽減がきく二〇二一年度以降は、軽減額、値下げと合わせてマイナス四百二十二億円という御答弁があったかと思います。しかし、これで本当に大丈夫なのかということを率直に思うわけです。  まず、マイナス四百二十二億円ということは六%に当たるという御答弁がありました。そして、他方で、この間、ずっと赤が続く間は、財政安定のための繰越金を崩しながら維持をして経営をしていくということですが、そのことで理解はよろしいか、伺います。
  176. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  財政安定のための繰越金というのが今一千億強あるんですが、当面これで収支差金がマイナスになった分は補填していきますけれども、できるだけ早く、先ほど来申し上げていますように、二〇二三年には黒字化し、かつ、一定水準受信料収入の一〇%強ぐらいの水準を予定いたしておりますが、財政安定化のための繰越金もしっかりと確保できるよう、そういう形で、健全な形にしっかりと戻していくべく、業務改革等を推進してしっかりやっていきたい、こういうふうに考えております。
  177. 稲富修二

    ○稲富委員 その繰越金なんですけれども、いただいた資料の収支計画の中でいうと、その一千億の繰越金が、二〇一九年度には八百七十八億、そして二〇二〇年度には六百二十二億ということになるということで、二〇二一年そして二二年も赤字計上で、二三年が黒になるということですけれども、その道行きについてなんですけれども、この間は果たしてどういうふうになるのか、繰越金、そして毎年の収支見通しについてお伺いをいたします。
  178. 松坂千尋

    ○松坂参考人 お答えいたします。  三カ年の経営計画を修正しましたものに記載しておりますけれども、来年度については予算を提出しておりますが、三十億円のマイナス、それから、二〇二〇年度については、修正した収支計画では二百十五億円のマイナスということを立てております。  その先の中期については、あくまでもシミュレーションですけれども想定をいたしまして、二〇二一年度、二二年度は赤字となりますけれども、二〇二三年度は、事業収入が七千七百七十二億で、事業支出が七千八十八億というふうな数字を想定いたしまして、二〇二三年度には八十億を超える黒字に転換するというようなシミュレーションを行いました。  今後につきましては、赤字については繰越金で対応していきますけれども、受信料収入増収を図るとともに、支出事業規模一定水準におさめるように厳正に管理していくということが重要になっていくと思っておりまして、繰越金についても適正な水準確保にできるだけ早く努めていきたいと思っております。
  179. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  二〇二一から二三年に関しては次の経営計画でということ、そういう御答弁だったと思いますが、かなり繰越金が二百億単位でどんどんと減っている姿を見ると、確保しながらということが果たして本当にいくのか、そういう懸念を申し上げたいと思います。  それと、もう一つ、今回、受信料がふえて、それを視聴者還元するという形で値下げをするわけでございますが、値下げをすることの方法以外にも、やはり視聴者への還元の仕方はあると思います。今回、視聴者への還元という意味で、値下げ以外、どのようなことがあったのか、お伝えをお願いします。
  180. 松坂千尋

    ○松坂参考人 お答えいたします。  値下げ以外に四つの負担軽減策というのを実施しております。  具体的には、去年の四月から、社会福祉施設への免除の拡大を行っております。また、ことし二月からは、奨学金を受給されて親元から離れて暮らしていらっしゃる学生の方への受信料免除というのを始めております。ことし四月からは、ホテルや会社などの事業所で多数の契約をいただいております、BS契約をいただいているところに対する割引の拡大。それから、ことしの十月からは、テレビを設置した月の無料化、受信料の設置月の無料化。このような四つの施策を、来年度については七十四億円、その次の年からは九十四億円規模でやることにしております。
  181. 稲富修二

    ○稲富委員 そこで、視聴者への還元の方法なんですけれども、受信料収入がふえた、それを、これは総務省にお伺いしたいんですけれども、例えばですけれども、インターネットNHKオンデマンド等、そういう有料の配信の部分について、そこを軽減するなど、そういった形でより広く、支払いのふえた部分のメリットを享受できるような方法がないのかと思うわけですけれども、総務省の見解を伺います。
  182. 佐藤ゆかり

    佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。  委員御指摘のNHKオンデマンドを含みますインターネット活用業務の財源についてでございますが、こちらの方は、放送法に基づきまして、NHK総務大臣の認可を得てみずから定めるインターネット活用業務実施基準において規定をするものでございます。  そして、インターネット活用業務といたしましては、まず、NHKの目的の達成に資するものであること、そしてまた、受信料制度趣旨に照らして不適切なものでないことなどが求められるものでございまして、委員御指摘の点につきましては、まずNHKにおいてこうした点を踏まえて検討をすべきものであると考えております。
  183. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  やはり、これから受信料がふえるといったときに、それを視聴者にどう還元するかということで、幅広くぜひ考えていただきたいなということを申し上げさせていただきます。  次に、受信料収入がふえている、それは受信料支払い率が非常によくなっているということでございますが、この間、最高裁の判決前から徐々に徐々によくなっているというわけでございますが、その原因をお伺いをいたします。
  184. 松原洋一

    ○松原参考人 お答えいたします。  近年における受信料収入の安定的な増加は、契約収納体制の整備、訪問によらない契約収納活動の促進、公共企業等との連携など、営業改革を着実に進めるとともに、全役職員挙げて受信料制度理解促進活動に取り組んできた成果だというふうに考えています。  平成三十年度における受信料収入増加は、今申し上げたこれまでのこうした取組に加えて、平成二十九年十二月の最高裁判決が大きく影響したと考えています。  引き続き、より効率的な体制、手法による契約収納活動など、営業改革を更に推進して、受信料収入確保に最大限努力していきたいというふうに思います。
  185. 稲富修二

    ○稲富委員 今回の経営計画、二〇一八から二〇二〇年の中で、二〇二〇年には八三%を目指すと。その先なんですけれども、先ほどもこの場で議論がありましたけれども、どこまで、何%ぐらいまで目指すのか、お伺いをいたします。
  186. 松原洋一

    ○松原参考人 お答えします。  今の経営計画では、二〇二〇年度末に八四%の支払い率を目指してやっていくということを決めておりますけれども、今後は、更に世帯数テレビ保有率減少、営業環境がますます厳しくなるという認識を持っています。  将来的な受信料支払い率については、その時点の社会経済状況とか営業を取り巻く環境等を見きわめた上で、適切に計画をしていきたいというふうに思います。
  187. 稲富修二

    ○稲富委員 そこでなんですけれども、先ほどの事業のこれからの収支のことにもかかわるんですけれども、フルで軽減がきいたときは約六%に当たるマイナス四百二十二億円の還元がある、八四%までは計画を立てているということですけれども、今、約八割とすれば、単純に言って八六%あるいは八七%ぐらいまでいかないとどうしてもマイナスにならざるを得ないということかと思うんですね。  ですので、これはまだ答えられないということなんですけれども、ただ、一方で、八割の徴収率というんでしょうか支払い率というのは、かなり私は、本当に営業努力で高くなったなという感じがします。さらに八十後半に差しかかるというのは、相当の努力になろうかと。そうでなければ、毎年赤字を計上せざるを得なく、あるいは繰越金を取り崩さざるを得なくなるということで、その点が非常に見えないところかなということを今回は指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、支払い率地域間で随分とこれは違います。地域間で違う格差と、それを解消するための取組についてお伺いをいたします。
  188. 松原洋一

    ○松原参考人 お答えいたします。  支払い率地域格差についてですが、受信料支払い率については大都市圏で低い傾向にあります。大都市圏では、世帯の移動が多いこと、単身世帯やオートロックマンションなどの集合住宅の割合が非常に高くて、面接自体が難しいことなどが影響しているというふうに考えています。  こうした大都市圏において支払い率向上させていくということは、NHKの重要課題の一つというふうに考えておりまして、公共企業との連携の強化とか、なかなかお会いできないので、専用資材を活用したポスティング対策、訪問によらないさまざまな契約収納活動の促進とか、法人委託の拡大等、契約収納活動の一層の充実を図って、受信料制度に対する理解を深めてもらうための広報活動なども含めて、総合的に対策を強化していきたいというふうに思います。
  189. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  都市部においては非常に支払い率が低くなる傾向にあるということ、非常にそうだなと思うわけです。  全国的に見ても都道府県によっては随分とその差があって、全国的には七九・七%の支払い率で、我が福岡はその若干下のところにあって、これは、今おっしゃっていただいたように、営業の形を随分と変えて御努力をされてきたということでございますので、先ほど申し上げた八十後半に向けてということになると、さらなる努力ということになりますが、この点のお取組も更に進めていただきたいと思います。  片方で、消費者センター受信料徴収に関する相談件数というのも毎年ふえているということなんですけれども、その実情と、そのふえている内容について、どのような相談がふえているのか、お伺いをいたします。
  190. 松原洋一

    ○松原参考人 お答えいたします。  消費者センターに寄せられている相談のうち多いのは、訪問員のマナーや説明内容に関するものと、あとは受信料制度とか支払い等に関するものというふうに承知をしています。  訪問要員に関する相談が多い主な理由としては、特に業務を開始して間もない訪問要員の業務知識の不足や対応マナーの未熟さがあるというふうに考えています。  このため、今、営業部門では、最優先の課題として、訪問要員に対して、訪問マナーやコンプライアンス意識の徹底を促す講習会とか研修、あるいは職員現地でお客様対応の指導を行うというような取組を行っています。  今後も、訪問員の教育指導を更に徹底をして、丁寧な説明、クレームの発生の抑止に努めていきたいというふうに思います。
  191. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  次に、新放送センター建てかえなんですけれども、先ほど二〇三六年からということがございましたが、この稼働はいつになるのか。分けての工期かと伺いましたが、いつから稼働するのかということを改めて伺います。
  192. 松坂千尋

    ○松坂参考人 お答えいたします。  渋谷の放送センター建てかえですけれども、東京オリンピック・パラリンピックが終わった後に工事を始めまして、最初に、第一期工事ですが、報道機能を中心とする情報棟というのを建設いたします。これの運用開始は二〇二五年度中を予定しております。  それ以降、第二期以降ですけれども、スタジオや事務部門の機能などが入る制作事務棟ですとか、公開機能を担う公開棟などを順次建設してまいります。それらの工期が終わるのは二〇三六年を予定しているというところでございますが、二〇二五年で情報棟の運用が始まって、二〇三〇年でかなりの部分の機能が担えるのではないかと考えております。
  193. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  時間が迫ってまいりましたので、最後上田会長に質問させていただきたいと思います。  日本社会そのものが成熟化し、人口が減って、先ほど来ありましたように、視聴者が減っていくということが当然予想されております。やはり全体としては、我が国は二〇四〇年に向けて、これから少子高齢化の社会のありようが大きく変わるということで、その二〇四〇年に向けて、いろいろな仕組みをもう一度考えようということをこの総務委員会でも議論をさせていただいているところです。  そういった意味でいうと、より中長期のところでいうと、今の七千億という大きな、この巨大な経営体をどういうふうにそこに向けて、ある意味、縮めていくかと言うと失礼かもしれませんが、どうやって経営を、ピークをどこに持っていくのかということなんですけれども、会長のお考えをお伺いします。
  194. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  世帯数減少とか、それからテレビ保有率低下など、今後の経営環境は厳しさを増すということは十分に認識いたしております。将来にわたって効率的、効果的で持続可能な業務体制を構築していくために、全役員で構成する業務改革推進会議改革のエンジンとして、NHKグループ一体業務改革に取り組んでおります。  最高水準放送サービスを実現する東京オリンピック・パラリンピックのあります二〇二〇年度をピークとして、それ以降の事業規模事業支出一定の適正な水準におさめるよう、厳正に管理してまいりたいというふうに考えております。
  195. 稲富修二

    ○稲富委員 もう一つお伺いします。  やはりNHKは民間とどう違うのかということなんですけれども、先ほど会長は、業務改革、そして職員やりがいを喚起することが非常に大事なんだということを別の方のところの答弁でおっしゃいました。同時に、やはり、どう視聴者の方に喜んでいただくかといいますか、お客様目線で考えると、それが必要だというふうに思うわけです。  そういったときに、NHK役割は民間放送と何が違うのかということと、もう一つは、先ほど来あったように、インターネット等の同時配信も始まるという中で、NHKのありよう、役割、そして民間放送との違いは一体何なのかということを、会長の基本的な考えをお伺いをいたします。
  196. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  現在の三カ年経営計画の中で、六つの公共的価値の実現を追求し、公共メディアへの進化を目指すことを明記いたしております。  これからの時代、世界や日本の課題を広く共有し、正確な情報で人と人をつなぐメディアの公共的な役割はますます重要になると考えておりまして、また、大規模災害時には、多様な伝送路を活用し、一人でも多くの人に命を守るための情報を届けることは、NHKの最も大事な公共的使命だというふうに考えております。  放送を太い幹としつつインターネットも活用して、信頼される情報の社会的基盤、こういった役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに考えております。
  197. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございました。  先ほど、防災報道充実ということ、ぜひこれは充実していただきたいのと、来年、オリンピック、パラリンピックがある、これも充実させるという中で、ぜひパラリンピックについてより充実した報道を御要望申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  198. 江田康幸

    江田委員長 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十分散会