○前原
委員 よくわかりました。
MMTの危険性というのは、ハイパーインフレーションを起こす可能性がある、自国通貨建て、自国通貨の通貨発行権があってもそれはデフォルトする可能性があるんだということの中で、そして、そういうものが起きれば中央銀行としては非常に難しい
対応をしなくてはいけないということを、原則が物価の安定、内的な要因と外的な要因に分けて今御説明をいただいたわけでありますが。
加えて、私が申し上げますと、このMMTの怖いところは、当然ながら、
金融機関も、金利が上昇するということは国債価格が下落しますので売りますよね。そうすると、更に下落をする。
金融機関の損が確定をしたりしますし、また、当然ながら、今まではほぼゼロ金利でお金を借りて経営をしていた企業が、今、
日本の場合はほとんどですから、そういったところが、少しでも金利が上がったら、もうとてもじゃないけれども経営ができないということになる。そうなると、
金融機関もあるいは企業も経営が行き詰まるという、言ってみれば連鎖的なシステミックリスクを起こす可能性が極めて高い、こういうことだと思いますし、
日本の場合は外準がどれぐらいあるかというと、一兆ドルぐらいですか、今一兆ドルぐらいですから、これを抑えるにしても限界があるということでありまして、自民党の中でMMTを殊さら声高におっしゃっている方はおられますけれども、私は極めて、これについては
日本を破綻に導く考え方だということは申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、この政策が出てきている背景は、
日本がモデルだと言っているわけです。ここはちょっと
黒田総裁とは違う立場で
議論をさせていただきますが、今までの
委員会等々で、いや、全然違うんだということをおっしゃっているわけでありますが、ただ、
日本をモデルにしているという点では、それはいろいろな方々が、これだけ
日本は、千百兆ですか、今、国の借金が。だけれども、金利も低いし、そして、円も為替も極めて安定的に推移をしている。しかも、
日本は、債務残高は、名目対GDP比でいうと世界最悪の水準ですよね。それでも大丈夫じゃないかと。
先ほど七で見ていただいたように、デフォルトを起こした
日本が、終戦直後よりもひどい
状況になっているのに大丈夫なんですね。そこは、先ほどまさに麻生
大臣がお答えになったように、外国の保有割合が一〇%程度ですね、国債。約九割が国内で持たれている。そして、その半分が日銀ですよね。今、四四%ぐらいじゃないですか、四四%ぐらい持っている。
確かに、これも何度も
黒田総裁とは
議論させていただいているように、イールドカーブコントロールに変更されて、そして、国債のネット増加率は鈍化をして、また、国債の保有残高も、ふえ方がこれも鈍化しているということで、これについて、私は、うまく切りかえられたということは従来から申し上げているとおりなんですけれども、しかし、裏返せば、今のままの
金融政策を当面続けるとおっしゃっているわけですよ。続けるとおっしゃっているということは、言ってみれば、どこかで円に対する信認が失われる可能性がなきにしもあらずですよね。それは、そういうものを注意しながら運営するんだということをおっしゃいますけれども。
ここにおられる同僚議員の方々の支持者の、例えば経営者や資産を持っている方々に
お話を聞かれた方々も多いと思うんですけれども、少なくとも私の支持者の方々の中では、やはり将来を見据えて、資産を、例えば外貨建ての運用に変えたりとか、あるいは現物資産にかえている方々がおられますよ。これだけ借金していて
日本は大丈夫かということの中で、そういう方々がいる。ということは、逆に言うと、一部でも、資産を持っている方々が、将来、
日本の
財政というのは持続可能ではないんじゃないかということの中で、今でもキャピタルフライトというものがある程度起きているわけですね。つまりは、外貨建てにする、円やあるいは自国内での資産運用はしない、こういうようなことですね。
さてそこで、少し建設的な意見として
議論させていただきたいんですが、うまく運用しますよということなんだろうと思いますけれども、
日本はうまく安定的にちゃんとマネジメントしていきますよということの何らかの定性的あるいは定量的な、日銀として、ここをごらんください、ここをごらんいただければ大丈夫ですよ、こういうようなものが、日銀総裁、何かないですかね。
つまりは、私は建設的な提案で申し上げております。このまま千百兆円の借金があって、そして、人口が減っていく、働きが減っていく。それは、AIとかロボットとかで生産性が急に上がればいい話ですよ。いい話ではありますけれども、生産年齢人口が減っていく。そして、二〇二五年問題、つまりは団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者になって医療や介護にかかわる費用が非常にふえていくということですよね。
六ページをごらんいただきたいと思いますが、これは
財務省からいただいた厚生労働省の資料でございますけれども、当然ながら人間というのは年をとるとどこか悪くなっていきますから、そういう
意味では医療費あるいは介護にかかわる費用というのはふえていくし、やはり七十五歳以上になると急激にここは伸びていくわけですね。そして、当然ながら公費負担も大きくなっていくということになったときに、果たして
日本の
財政というものは持続可能なのか。
それがまさに通貨の信認にもつながってくるということでありますが、何らかの定量的、定数的指標。これは
黒田総裁で変えられましたけれども、日銀として前は銀行券ルールというのがありましたよね。何かそういうものですよ、イメージとしては。何かそういう定数的、定量的な指標の中で、これさえ守っていれば大丈夫なんです、だから皆様方、通貨の信認については安心してください、こういうものがあればお答えをいただきたいと思います。
〔越智
委員長代理退席、
委員長着席〕