○高木(錬)
委員 立憲民主党・無所属フォーラムの
高木錬太郎です。
私は、会派を代表して、
政府提出の
所得税法等の一部を改正する
法律案に反対の立場から討論を行います。
反対の
理由、第一に、今回の
住宅ローン控除の拡充、そして車体課税の見直しが、ともに、既に複雑な税制を更に複雑化するものであり、簡素という税制の大原則を大きく外れた改正だからであります。
また、
住宅ローン控除拡充と車体課税見直しは、ことし十月に予定する
消費税率引上げに対する
駆け込み需要とその
反動への対策ということでありますが、
質疑でも明らかになったように、その効果は判然とせず、極めて限定的と言わざるを得ません。
あわせて、
消費税率引上げへの臨時特別の措置でいえば、天下の愚策キャッシュレス決済ポイント還元は、
質疑で聞けば聞くほど、中身が実にいいかげん、一部の特定の企業だけぼろもうけの疑いあり、こんなことに巨額の税金を本当に使っていいものか、多くの
委員の皆さんが問題意識を共有したところかと存じます。
そもそもでいえば、戦後最長の
景気拡大局面と
政府は言えども、その
恩恵のない、あるいは
実感が全く得られない
国民の日々の
暮らし、
消費、需要がともに
伸び悩むという現下の
日本経済全体、そして、中国
経済の動向始め、世界
経済の不確実性に伴う下振れリスク、更に言えば、統計不正によって明るみになりつつある、実は虚像であった
アベノミクスの実態を鑑みれば、本年十月に
消費税率を引き上げられる
景気環境には全くありません。
第二に、研究開発税制の見直しが真にベンチャー企業の
支援税制になるのか、非常に疑問であるからであります。
また、研究開発税制を始めとする租特全体については、毎年のように
指摘されているとおり、効果を科学的、定量的に分析、検証することが難しく、常に願望を述べるにとどまっている以上、むやみやたらに拡充することは一旦立ちどまり、むしろ、抜本的、根本的見直しを図らなければならない時期に来ていると考えます。
第三に、今回の改正には、またしても金融
所得課税の見直しが含まれなかったからであります。
我が国の喫緊の課題である格差是正のためにも、税による
所得の再分配機能強化に本腰を入れて着手しなければならないとこれまた毎年のように
指摘されているにもかかわらず、ことしもナシのつぶてであります。
以上申し上げましたように、本法案は、公平、中立、簡素、加えて、透明、納得という税制の大原則を無視した、継ぎはぎだらけ、その場しのぎの税制改正であり、
国民経済を混乱させることは必定であります。
個人事業者の事業承継税制創設など、一部に必要な改正が含まれていることも認めますが、以上、どうしても看過できない重大な問題を三点
指摘し、本法案に対する反対の討論とさせていただきます。(拍手)