○津村
委員 米国との調整をぜひやっていただきたいというのが私の質問の趣旨でございます。
委員の先生方には釈迦に説法でございますけれども、日米地位協定につきまして、二ページから七ページまで御
紹介をしております。これは全国知事会の資料そのものです。全国知事会のこの提言に添付された参考資料の中で、日米地位協定に関する記載をそのまま、大部になりますけれども、六ページにわたって御
紹介しているものでございます。
日米安保条約の六条に基づいて日米地位協定は結ばれているわけですけれども、日米地位協定自体は非常に簡単な条文でありまして、そのもとにある合意議事録、そしてそれを議論する日米合同
委員会という存在が、実はいろいろなことを決めている舞台であり、いろいろなことを決めているものでありますけれども、これが、国会の議論を経ずに、本当にさまざまな国民生活にかかわる決め事をしているんですね。
その合意議事録は、二〇〇〇年代になりまして外務省のホームページ等によって公表されているわけですけれども、逆に言えば、二〇〇〇年代に至るまで公表もされない、どういうことが合意されたかも公表されないまま、
日本の
航空行政はもちろん、環境問題であるとかさまざまな問題について決め事がされてきたわけであります。
少し先のページになりますけれども、十二ページにその日米合同
委員会の組織図を御
紹介しておりますが、
日本側の代表は外務省の北米局長ということで、
事務方の
会議体が相当さまざまなことを、本来であれば
法律で定めるような、あるいは国会でその妥当性を議論するような、条約に近いようなことをさまざま決めているということが私は問題の本質だというふうに思っております。
今
大臣が御言及をいただきましたのは
航空法の話で、本日は
航空法の議論ですけれども、九ページをごらんいただきますと、今
大臣が御
紹介になりました
航空法特例法について抜粋をさせていただきました。
航空法特例法は、この右側、四角に囲んだ三つの条文が全文でありまして、これが全てですけれども、非常に読みにくいですので、左側に書籍の
紹介をさせていただいております。
まず、第一条では、
飛行場や
航空保安施設の
設置に際し、
国土交通大臣の許可を受けなければならないという
義務は適用しない、つまり、米軍基地の
飛行場や米軍機の
飛行を援助する電波、灯光施設などを
設置するのに
日本政府の許可は要らないとなっているんですね。
これは非常に重要な条文でありまして、いわゆる北方領土問題において、二島返還、四島返還、いろいろな議論がありますけれども、そこに米軍、アメリカが基地を
設置するということが、この
航空法特例法においては、ある意味認められているわけです。
ちょっと私たちの肌感覚では、そんなことはしないだろう、あるいは、そんなことを言っていたら、とてもじゃない、北方領土問題は解決しないだろうというふうに思うわけですけれども、しかし、この条文上は否定されないわけですね。実際にそのことが、プーチン大統領と安倍総理の間での一つの議論のネックになっているという分析もあります。それは私にはわかりませんが、北方領土問題にもはね返るほどの、これは重要な条文であります。
第二条については、耐空証明のない
航空機の
飛行を禁止し、騒音
基準適合証明の
義務、有資格者以外の操縦教育禁止、外国
航空機が
日本国内で
飛行するための許可を得る
義務などは適用しない。つまり、外国
航空機が
日本国内で
飛行するための許可は要らないということなんですけれども。
さらに、第三条では、
航空法第六章の規定を適用しない。この第六章というのは、かなり細かいものになりますけれども、速度制限ですとか最低安全高度の
遵守、あるいは夜間
飛行での灯火
義務、
飛行禁止区域の
遵守、こういったものが定められているわけですけれども、一番最後の三行に飛んでいただきますと、「
航空法で定めた最低安全高度は、人口密集地では
航空機から水平距離六百メートルの
範囲内の最高障害物の上端から三百メートル、それ以外の所では地面や建築物や水面から百五十メートル」。この百五十メートルというのが、ド
ローンが飛んでいい百五十メートル以内の
世界と
飛行機が飛ぶ百五十メートル以上の
世界の境界線になっているわけですけれども、米軍機についてはこれは関係ないよということになっています。
ちょっと話が行ったり来たりして恐縮ですけれども、例えば、一ページ戻っていただいて、八ページ、これは全国でどれだけ米軍機の
飛行の苦情があったかというところなんですけれども、これは群馬県が突出しているんですが、群馬県ですとか島根県、広島県、鹿児島県、さまざまな地域で、これは、百五十メートルあるいは三百メートルの
飛行最低高度が守られていないから、小学校とかの真上を百五十メートルよりも近いところで飛んだりするからこういう苦情が起きているわけですけれども、そういうことが現に起きているということであります。
大臣に伺いますけれども、日米地位協定の立法趣旨につきましては先ほど少しお触れになりましたが、時代環境も変わっております、あるいは日米関係にもさまざまな変化がある中で、敗戦直後の日米地位協定あるいは
航空法特例法の見直しについて、議論はされていないんでしょうか。