運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2019-03-28 第198回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十一年三月二十八日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 高木  毅君    理事 伊藤 忠彦君 理事 斎藤 洋明君    理事 津島  淳君 理事 細田 健一君    理事 吉野 正芳君 理事 阿部 知子君    理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君       井林 辰憲君    石崎  徹君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       上杉謙太郎君    北村 誠吾君       高村 正大君    佐々木 紀君       齋藤  健君    西田 昭二君       野中  厚君    百武 公親君       福山  守君    古田 圭一君       星野 剛士君    堀井  学君       松本 剛明君    三ッ林裕巳君       三原 朝彦君    宮内 秀樹君       宮澤 博行君    宮路 拓馬君       宗清 皇一君    八木 哲也君       簗  和生君    山際志郎君       生方 幸夫君    菅  直人君       田嶋  要君    宮川  伸君       牧  義夫君    佐藤 茂樹君       中野 洋昌君    藤野 保史君       足立 康史君    井出 庸生君     …………………………………    文部科学大臣      永岡 桂子君    衆議院委員部長      矢尾板丈明君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           岡村 直子君    政府参考人    (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (原子力規制庁次長)   荻野  徹君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 片山  啓君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          片岡  洋君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)           守谷 誠二君    参考人    (国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事)  伊藤  肇君    参考人    (原子力委員会委員長)  岡  芳明君    衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      関  武志君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   野中  厚君     百武 公親君   福山  守君     三ッ林裕巳君   松本 剛明君     宮内 秀樹君   宗清 皇一君     宮路 拓馬君   簗  和生君     上杉謙太郎君   山際志郎君     石崎  徹君 同日  辞任         補欠選任   石崎  徹君     山際志郎君   上杉謙太郎君     簗  和生君   百武 公親君     野中  厚君   三ッ林裕巳君     福山  守君   宮内 秀樹君     高村 正大君   宮路 拓馬君     宗清 皇一君 同日  辞任         補欠選任   高村 正大君     八木 哲也君 同日  辞任         補欠選任   八木 哲也君     松本 剛明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  原子力問題に関する件      ————◇—————
  2. 高木毅

    高木委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告いたします。  第百九十三回国会原子力問題調査特別委員会理事会決定により、本委員会活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。  本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。  以上、御報告申し上げます。      ————◇—————
  3. 高木毅

    高木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力問題に関する件の調査のため、本会期中、アドバイザリー・ボード会員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高木毅

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  5. 高木毅

    高木委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。  この際、原子力規制委員会活動状況について説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長
  6. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長更田豊志でございます。  衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会業務について御説明申し上げます。  原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、さまざまな課題に取り組んでおります。  まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。  東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ制定した新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つ事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。  これまでに、九州電力川内原子力発電所号炉及び二号炉玄海原子力発電所号炉及び四号炉関西電力高浜発電所号炉、二号炉、三号炉及び四号炉美浜発電所号炉大飯発電所号炉及び四号炉四国電力伊方発電所号炉東京電力柏崎刈羽原子力発電所号炉及び七号炉並び日本原子力発電東海第二発電所の計十五基に対して設置変更許可を行いました。  また、関西電力高浜発電所号炉及び二号炉美浜発電所号炉並び日本原子力発電東海第二発電所について運転期間延長認可を行いました。  このほか、九州電力玄海原子力発電所号炉日本原子力発電敦賀発電所号炉関西電力美浜発電所号炉及び二号炉中国電力島根原子力発電所号炉並び四国電力伊方発電所号炉の計六基について、廃止措置計画認可を行いました。  核燃料物質加工施設については、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、日本原燃濃縮埋設事業所三菱原子燃料並び原子燃料工業東海事業所及び熊取事業所加工事業変更許可を行い、廃棄物管理施設については、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構大洗研究所廃棄物管理事業変更許可を行いました。  試験研究炉については、国立大学法人京都大学複合原子力科学研究所臨界実験装置及び研究用原子炉設置変更承認近畿大学原子力研究所原子炉設置変更許可並びに国立研究開発法人日本原子力研究開発機構定常臨界実験装置原子炉安全性研究炉及びJRR3の設置変更許可を行いました。  また、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構JRR4、過渡臨界実験装置及び高速増殖原型炉「もんじゅ」について、廃止措置計画認可を行いました。  以上のとおり、原子力施設等に関する審査検査を順次進めております。  規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査実績等を踏まえて、有毒ガスからの防護、高エネルギーアーク損傷対策降下火砕物対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。  第二に、東京電力福島第一原子力発電所廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。  原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉汚染水対策実施に向け、規制当局としての立場から、積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画審査などに当たっております。  引き続き、安全上の観点からの優先順位を明確にした中期的リスク低減目標マップ廃炉作業の進捗に応じて改定し、完了した措置と引き続き監視が必要な措置を明示するなどして、処理した水の処分使用済み燃料プールからの燃料の取り出しなどの対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。  第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリング充実並びに保障措置について申し上げます。  原子力規制委員会では、最新国際的知見を積極的に取り入れるなど、防災計画の立案に使用する判断基準等が常に適正なものになるよう原子力災害対策指針充実を図るとともに、原子力災害拠点病院指定促進の支援など、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めております。  放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員配置等により、緊急時モニタリング体制充実強化を図っております。また、総合モニタリング計画に基づき、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、関係自治体その他の国内外への情報発信にも努めています。  また、国際約束に基づく国内原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質平和的活動にとどまっているとの評価を、継続して国際原子力機関IAEAより得ております。  最後に、原子力利用における安全対策の一層の強化のための制度見直しについて申し上げます。  第百九十三回国会において、IAEA総合規制評価サービスIRRSミッションによる勧告等を踏まえた原子力事業者等に対する検査制度見直し放射性同位元素防護措置義務化等を内容とする関係法律改正が成立しました。原子力規制委員会としては、法改正の趣旨を実現すべく、順次、関係政令規則等整備や新たな検査制度の試運用などを行ってきたところです。来年四月の全面施行に向け、透明性を確保しつつさまざまな関係者意見等を踏まえて関係政令規則等整備するとともに、さらなる組織体制強化人材育成に取り組むことにより、新たな制度の運用が円滑に進むよう、万全を期してまいります。  以上、原子力規制委員会業務について御説明いたしました。  我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  7. 高木毅

    高木委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  8. 高木毅

  9. 高木毅

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  10. 高木毅

    高木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。
  11. 宮澤博行

    宮澤委員 皆さん、おはようございます。自民党の宮澤博行でございます。  本日は、こうして質疑の機会をお与えいただきましたことに、まずもって感謝を申し上げたいと思います。  早速ではございますが、質疑に入らせていただきます。  本日私が取り上げさせていただくのは、原子力発電をめぐる廃棄物についてでございます。  廃棄物といってもさまざまあるわけでございますが、低レベル放射性廃棄物あり、高レベル放射性廃棄物あり、そして福島汚染水あり。そして、この高レベル放射性廃棄物に関して言うと、使用済み燃料中間貯蔵も問題としてあるわけであって、それを考えると、では再処理はどうするんだ、こういう問題もいっぱい出てくるわけなんですね。  そういう中において、きょうは、全てを扱うことはできませんので、二点に絞って質疑をさせていただきたいと思います。  一つ福島汚染水について、もう一つは高レベル放射性廃棄物について、この二点について質問をさせていただきたいと思います。  まずは、福島第一原発汚染水についてであります。  ことしの一月十日に、多核種除去設備等処理水取扱いに関する小委員会、これが報告書を出してくださいました。一月十日、発表されたんですね。一月十日は私の誕生日なんですけれども、(発言する者あり)ありがとうございます。この資料に基づいて質疑させていただきたいんですが、まずは、この汚染水毎日裏山の方から地下水が三百トン流れてくる、そして、汚染水が、増加量が、当初一日に五百四十立米だったものが、現在は百八十立米となっている。そして、処理済みの水が百十一万立米。ですけれども、今後のタンク建設計画は百三十七万立米となっております。  この報告書にも、「タンクを建設するために適した用地は、限界を迎えつつある。」というふうに書いてあります。用地限界と書いてありますけれども、むしろこの汚染水問題がもうリミットが近づいているというふうに解釈してもいい問題だと思うんですね。だからこそ、これはもう先送りすることができない重要な問題だというふうに考えております。  では、どういうふうにこれを処理していくのかについては、実はもう案が出ているんですね。  これが、汚染水処理対策委員会の中のトリチウム水タスクフォースという方々が平成二十八年六月に発表したトリチウム水タスクフォース報告書というものがあって、この中で幾つか書かれているわけです。一つは、地層注入地層に注入してしまう。又は、海洋放出する、海洋放出。それで、大気放出というのもあるんですが、これは水蒸気として出してしまうというものと、水素ガスとして出してしまうもの、これが二つに分かれているんですね。そしてもう一つは、地下埋設。この地下埋設も、固化したもの、ゲル状化したもの、若しくは高濃度・少量にしたものというこの二つのものが挙げられているわけでございます。  これらについて今後どのように決断していくのかというのは、これは政府にとっても大きな問題だと思うんですが、その前に聞いておきたいんです。  これに関して公聴会を開いているというふうにこの報告書には書いてあるんです。八月三十日には富岡町、三十一日には郡山市と東京で説明公聴会が開かれている。この説明会国民皆さんの御意見については、ここに簡単に書かれているんですけれども、余りにも簡単に書かれ過ぎているんです。ですので、ここのところをまず説明をしていただきたい、そのように思います。
  12. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理した水につきましては、その取扱い決定に向けて、風評被害など社会的な観点も含め、国の小委員会で総合的に議論をしているところでございます。  昨年八月には、処分方法処分した際の県民、国民の皆様の御懸念を把握し、今後の小委員会での検討を深めるために、説明公聴会実施をしております。  その説明公聴会におきましては、処理水トリチウム以外の核種が含まれることによる安全性に対する不安、トリチウム危険性について、風評被害懸念があるので海洋放出反対トリチウムモニタリングの難しさ、処理水長期保管検討すべき、国民への丁寧な情報発信が必要などのさまざまな御意見をいただいたところでございます。  まずは、説明公聴会でいただいた論点について議論を尽くすことが重要であると考えております。  これまでの小委員会において、トリチウム以外の核種取扱いトリチウム健康影響などについても議論を行ってきましたが、引き続き、その他の論点についても国の小委員会で丁寧に議論を進めていく所存でございます。
  13. 宮澤博行

    宮澤委員 簡単に御説明をありがとうございました。  もう少し説明していただきたいんです。特に、このトリチウム生物に与える影響、この三に書いてあります「トリチウム生物影響について」、本当に、これはどのように答えたのか。どのような意見があったのかではなく、どう説明したのかについて答えていただけますか。  それから、「合意形成の在り方について」、これについても御意見があったようですが、どう答えたのか、それについても補足して説明していただきたいと思います。
  14. 新川達也

    新川政府参考人 トリチウム生物影響に関しましては、トリチウムはDNAを破壊し、風評ではなく実被害が出る危険物質であるというような御指摘をいただいております。それに関しましては、専門家委員の方から、トリチウム危険性について、トリチウム放出の際に濃度をしっかりと薄めることによって安全性が確保できるというような御説明をしていただいたところでございます。  また、国民合意形成に関しましては、このような説明公聴会若しくは国民意見を聞く場というのを更に設けてほしいという御意見をいただいておりまして、それにつきましては、更に、国民合意形成のあり方について国の小委員会で総合的に議論して、しっかりと対策をとってまいりたいというふうに考えております。
  15. 宮澤博行

    宮澤委員 そのトリチウムについてですけれども、トリチウム自体は害のあるものではあるけれども、希釈等によって生物影響のない形で技術的に放出することができる、そういうふうに私も捉えました。なるほどというふうに思ったんですけれども。  では、この公聴会意見の中で、出された意見をこの報告書の中で書いているときに、風評被害懸念されるため海洋放出には反対と、ここが特別に出されているわけであります。  それと、この報告書をめくっていくと、次には、十二ページですけれども、六、「環境放出する際の放射性物質管理モニタリング等)の考え方について」と書いてあるんですね。  つまり、環境放出というのも十分これは検討されているような、そんな雰囲気が感じられます。そして、それについてはちゃんとモニタリングしていくんだ、まあ、セットでしょうけれども、こういうふうなことも考えられている。  ということは、海洋放出それから大気放出選択肢として十分考えられるし、考えているということなんでしょうけれども、先ほどおっしゃったとおり、希釈モニタリング、それは本当に技術上可能なのか、どの程度まで希釈すれば本当に安全と言えるのかどうか、それについてどういうふうに説明されるんですか。お願いします。
  16. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  トリチウムを含みますALPS処理水処理方針につきましては、現在、その取扱い決定に向けて国の小委員会で総合的に議論をさせていただいているところでございまして、その何らか処分方法について現時点で方針を出しているものではございません。  ただ、処分を仮に行うとした場合には、処分時の規制基準を満足しているかという処分安全性を確認すること、また、周辺環境濃度が十分低い水準を保っているかという周辺環境安全性を確認すること、そして、その測定結果を活用し、処分に関する不安を払拭し、安心を追求するという、いずれも重要であるというふうに考えております。  以上でございます。
  17. 宮澤博行

    宮澤委員 それではやはりわからないんですよ、聞いている方が。  トリチウムはこれだけ希釈すれば大体どこどこのこれこれと同じとか、ふだん吸っている空気と同じとか、何か例えがないとわかりにくいと思うんですね。  モニタリングについては、きちんと測定器をたくさん設置するしかないと思うんですけれども、ぜひちょっと説明の仕方を工夫していただかないと、不安が残る、そんな感じがいたしますので、ぜひお願いいたします。  それで、この報告書の中に非常に興味深いものがございまして、この処理方法について、五ページなんですけれども、前例あり、海洋放出の例、前例あり、水蒸気放出の例、前例あり。これはどこかの国の前例なんでしょうかね。それをちょっと説明してください、前例説明。そして、それに対して、その国の国民皆さん評価、そして合意形成、どういうふうになされたのか、ぜひ答えていただきたいと思います。
  18. 新川達也

    新川政府参考人 今御指摘ありました点につきましては、ALPS委員会のもとにありますトリチウム水タスクフォース検討させていただいております。  その中で、海洋放出大気放出も、いずれの処分方法であっても、環境中に放出する際の規制基準を満足する形の処分が可能であるという評価を得ておりますし、また、規制成立性、それから前例があるということについても説明をされているところでございます。  トリチウムを含む放射性液体廃棄物につきまして、まず、国内外原子力施設においては、各国の定める規制基準を満足する形で海洋放出大気放出が行われております。  例えば、スリーマイル島の原発事故の際には、トリチウムを含む放射性液体廃棄物について、アメリカ合衆国原子力規制委員会が、河川への放出大気放出といった九つ選択肢について、影響が非常に小さいと評価をしまして、この中から、事業者ステークホルダーへの説明等を経て、大気放出を行うなど、環境中への処分を行っております。  いずれにせよ、処理水取扱いにつきましては、風評被害など社会的な観点も含めて総合的な検討を行う必要がございまして、まずは小委員会議論を尽くすことが重要と考えております。  引き続き、予断を持たずに小委員会で丁寧に検討を進めてまいります。
  19. 宮澤博行

    宮澤委員 スリーマイル島の事例が出されました。スリーマイル島でいろいろ選択肢検討されたけれども、最終的に大気放出になったということですね。  だとすると、海洋放出事例はどうなんでしょうか。
  20. 新川達也

    新川政府参考人 海洋放出につきましては、国内のさまざまな原子力施設におきまして、各国の定める規制基準を満たす形で海洋への放出が行われております。
  21. 宮澤博行

    宮澤委員 各国でもなされているということなんでしょうか。(新川政府参考人「はい」と呼ぶ)そういうことですか。  だとすると、一つ質問を戻しますけれども、その国々でどれだけの基準希釈すれば大丈夫なのかということが数値として出されるわけでありますから、そこのところを事例をちゃんと国民皆さんにわかりやすいような用意をしておいていただきたいと思います。  この件についてはこの辺にしておきます。  もう一点、地層注入地下埋設ということも書いてあるんですけれども、これ、どうなんですかね、これをやろうとすると適地選定ということが非常に重要になってくるんですが、これについての可能性、見通し、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。
  22. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  地層注入につきましては、技術的に実施は可能でございますが、適切な地層を見つけ出すことができない場合には処分を開始することができない、地下埋設につきましても、技術的に実施は可能だが、新たな規制基準の策定が必要になる可能性があると、トリチウム水タスクフォースにおきまして評価をされておるところでございます。
  23. 宮澤博行

    宮澤委員 大体、趣ということはわかりました。わかりやすい説明を今後ともぜひよろしくお願いいたします。  総合的に判断してどうなのかということを、最後の最後、聞きたいんですけれども、今の御答弁、やりとりを見ていて、何となく感じとしてわかりました。なかなかお答えにくい問題かもしれませんが、では、総合的にどうするかについては、今時点で答えられる問題なんでしょうか、どうでしょうか。
  24. 新川達也

    新川政府参考人 御指摘の点につきまして、現在、国の小委員会におきましてまさに総合的に議論しているところでございます。  昨年八月に実施しました説明公聴会で出ました論点につきましても、小委員会で予断を持たずに検討しているところでございます。スケジュールありき、結論ありきで進めるものではなく、小委員会議論を尽くすことがまずは重要と考えておりまして、引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。
  25. 宮澤博行

    宮澤委員 ありがとうございました。  では、大きい二点目の、高レベル放射性廃棄物について質問をさせていただきたいと思います。  私が他で所属している経済産業委員会においても、この高レベル放射性廃棄物の問題については、与党、野党問わず、多くの方が御質問されておりました。  原子力発電に賛成であっても反対であっても、この問題は非常に重要です。いつかやらなくちゃいけない。他国に押しつけるということがあってはならないと思います。自分たちで使った原子力燃料ですから、自分たちでちゃんと処分する、そういう責任が必要だと思いますし、それは政府皆さんも御苦労されていると思いますが、我々国会議員一人一人も、では地元はどうなんだろう、そういう視点でこの問題に取り組んでいくことが私は非常に重要だと思うんです。  日本としては、現在、この高レベル放射性廃棄物使用済み燃料を再処理して、濃縮して、高レベル放射性廃棄物地層処分するという方針なんですね。  それで、この冊子があるんです、「諸外国における高レベル放射性廃棄物処分について」。これは結構量も多いんですけれども、もうじき新しいものができるというふうに聞いたんですが、二〇一八年版、拝見したんですが、これはなかなかわかりやすくまとめられているなというふうに思いました。  これに沿って質問をさせていただきたいんですが、その前に、この高レベル放射性廃棄物について、政府の方で全国で説明会をなさっているということなんですね。その御努力にも感謝を申し上げますけれども、どんな御意見が出されているんでしょうか。まずはお願いします。
  26. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、高レベル放射性廃棄物の最終処分は現世代の責任として解決すべき重要な課題であるという問題認識に立ちまして、国が前面に立って取り組むこととし、二〇一七年に科学的特性マップを公表したことをきっかけに、現在、全国で対話活動に取り組んでいるところでございます。  そうした中で、ガラス固化体から放射性物質地下水に溶け出さないのかといった懸念ですとか、地震や火山の多い日本で本当に地層処分ができるのかといったような意見もいただいているところでございます。  他方で、社会全体で解決すべき問題であり、電気を使ってきた一人一人がこの問題に向き合わなければいけないといったような意見もいただいているところでございます。  また、処分事業の実現に向けた今後の具体的なプロセスはどのようになるのか、また、受け入れた地域の将来にとってどのようなメリットがあるのか、より詳しい説明が聞きたいといったような御意見もいただいているところでございます。  現在、このような声も踏まえまして、我が国で地層処分が可能であることを科学的に示すマップの説明だけでなく、処分地選定に向けた今後の進め方ですとか、処分事業が地域の雇用や生活に及ぼし得る影響などにつきまして、海外の事例なども交えながら、先ほど委員から御指摘いただいた資料なども使いながら、より具体的な説明や情報を行うべく取組を進めているところでございます。
  27. 宮澤博行

    宮澤委員 ありがとうございました。  一点目のガラス固化体の地下水の問題、それから二点目の地震、地殻変動の問題。地殻変動の問題は学者さんのお知恵をかりないといけないかもしれませんが、ガラス固化体と地下水の問題については、これは聞かれるでしょう、やはり。どう答えるんですか。  これは技術的に安全ですよ、安全ですよ安全ですよと言ったって、国民皆さんは不安になるわけでありますから、ここをどう説明するかというのは非常に大事なところだと思います。どう説明をされているんでしょうか。
  28. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、科学的、客観的な事実をしっかりお示しすること、政府がどう考えているかということではなく、事実をしっかりと正確にお示しすることが重要だと考えてございます。  ガラス固化体は、再処理の過程から出てきた廃液を、科学的に安定していて放射性物質を閉じ込めるのにすぐれた性格を持っているガラス原料と溶かし合わせまして、ステンレス容器にこれを入れて固化したガラス固化体を地層処分することにしているところでございます。  ただ、これだけではなく、処分に当たっては、ガラス固化体をそのまま地中に埋めるのではなく、オーバーパックという厚さ二十センチ程度の分厚い鋼鉄製の容器に封入いたしまして、さらに、ベントナイトという水を容易には通さない粘土物質で更に覆うことにして、このオーバーパックと粘土材で一メーター程度の厚さの人工バリアを形成することで放射性物質地下水から隔離をいたしまして、しっかりと閉じ込められるように対策をした上で、三百メーターより深い地下の安定した岩盤に埋設するということとしているところでございます。  こういった対策を施すことによって客観的な評価、科学的な評価を得まして、将来にわたって人間の生活環境には悪影響を及ぼさないという科学的な評価を得られているところでございます。  こうした長期の安全性をより確かなものにするために、NUMOなどによるさらなる技術開発を進めるとともに、先ほど申し上げたように、客観的な事実をしっかりと正確に透明性を持って国民にお示しをし、説明を丁寧にさせていただくことによって御理解を賜ってまいりたいということで取り組んでいるところでございます。
  29. 宮澤博行

    宮澤委員 これについては、もうちょっとわかりやすい方がいいのかなという感じがしますけれども、ぜひまたブラッシュアップをしていただきたいと思います。  そして、先ほどの説明会の御意見の中にもありましたが、地域として何がメリットという言葉ではないでしょうけれども、将来の地域のことについても言及がありました。  やはり、この冊子にも、どの国にも地域振興方策について言及されているわけですね。これは日本においてはどういうふうに考えられているんでしょうか。  例えば、スウェーデンでは、付加価値事業としての投資、教育、ビジネス開発、インフラ、フィンランドでは固定資産税の優遇、フランスでは、公益事業共同体を設置して、地層処分場の設置、操業のみならず、周辺区域の国土開発や経済開発事業を推進すると書いてあるんですが、日本としては、やはり、そろそろこの地域振興方策も策定しながら、想定しながら説明会に臨んでいく時期なのではないかと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。
  30. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、我が国でも、まずは、処分事業の実施に伴う税収増などの効果があるのはもちろんなわけでございますけれども、処分事業に協力いただける地域に対しての敬意や感謝の念を持って、社会として適切に当該地域の発展に貢献していく必要があるという認識に基づきまして、政府といたしまして、例えばでございますけれども、文献調査段階では年間十億円、概要調査段階では年間二十億円、毎年交付できる交付金制度などの政策措置を準備をしているところでございます。  また、これにとどまらず、地域におきまして、選定調査段階から設置されることになっております対話の場というものを設置をいたしまして、この対話の場を通じてさまざまなコミュニケーションを重ねまして、その中から出てくる地域の声に対応する政策対応をするという方針としているところでございまして、こういった、地域のニーズに寄り添った振興策を総合的に展開してまいりたいと考えてございます。
  31. 宮澤博行

    宮澤委員 最後に、やはりこれは地元が受け入れてくれないと話にならないです。  この冊子を拝見していると、フィンランドにしてもスウェーデンにしてもフランスにしても、地元が関心を示しているとか、応募に対して申請しているとか、そういう地元からの手挙げがあるんですね。なぜこれができるんでしょうか。日本ではなかなか想像がつかないんです。だから、地域振興方策が功を奏しているのか、それとも、何か国民皆さんの使命感というものがあるのか、そこのところをどう分析されているのか。ぜひそれを日本の参考にしていただきたい。  そして、もう一つ、最後に、この決定時期についてはどのように目算していらっしゃるのか、お願いいたします。
  32. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、このような先進国、スウェーデンとかフランスにおきましては、将来世代に負担を残すわけにはいかない、こういった使命感のもとで、地域が主体的に受入れを理解をしていただいているところでございます。  スウェーデンのエストハンマル市におきましては、市長は、これをごみ捨場ではなくてハイテク技術が集まる工業団地にしていくんだ、すぐれた人材が集まる地域にしていくんだ、地域の雇用や生活を向上させるために、そのために我々はこれを受け入れるんだといったようなことを、前向きな理解を地域住民と共有できた、このことが非常に重要であったというふうに述べられております。  こういった地域主体の御理解が進むように政府が丁寧な説明をするということが必要であると思いますし、その際、海外のこういう成功事例、先進事例をしっかりと勉強して対応していくことが重要であると考えてございます。  スケジュールにつきましては、先ほど委員から御指摘いただいておりますとおり、既に相当量の使用済み燃料が存在しておりますので、次の世代には決して先送りしてはいけないということで、速やかに対応を進めてまいりたいと考えてございます。
  33. 宮澤博行

    宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  34. 高木毅

    高木委員長 次に、富田茂之君。
  35. 富田茂之

    ○富田委員 公明党の富田茂之でございます。  きょうは、この特別委員会で初めて質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  今、宮澤委員質問村瀬さんが答えられていましたけれども、私もオンカロに行ったんですが、地域が主体的にというよりは、原発の誘致の段階から、かなり丁寧な地域への説明をし、その中で本当に地域との信頼関係ができてきた。余り優遇措置とかそういう問題ではなくて、何かあったときにきちんとした情報を開示されるということに対して地域の住民の皆さんが信頼を築いていたということですね。  ちょっとなかなか日本ではそこのところを同じようにやるのは難しいかなと思いますが、ぜひ最終処分場問題は、先ほど宮澤委員が言われたように与野党関係なしに取り組むべき問題だと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいというふうに思います。  まず最初に、原発支援へ補助制度を経産省が考えているんだという報道が先週ありました。  三月二十三日付の朝日新聞朝刊にこんなふうに書いてありました。  経済産業省が、原発で発電する電力会社に対する補助制度の創設を検討していることがわかった、温室効果ガス対策を名目に、原発でつくった電気を買う電力小売事業者に費用を負担させる仕組みを想定しており、実現すれば消費者や企業が払う電力料金に原発を支える費用が上乗せされることになるというふうな見出しで、鈴木達治郎長崎大学核兵器廃絶研究センター長、当委員会アドバイザリー・ボードのメンバーでもありますが、この方のコメントがこんなふうに書いてありました。「経済産業省は今でも数値を示して、原発は競争力があると言っている。原発に競争力があるなら政府の支援はいらないはず。二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減するために支援の必要性を示すなら、長期目標を達成する明確な道筋を示してからだ。」というふうに言われていました。  経産省の方で実際、こういう補助制度検討をされているんでしょうか。
  36. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  今委員から御指摘の報道につきましては、一言で申し上げれば、そのような事実は全くないわけでございまして、誤報ということでございます。  先日、世耕大臣の記者会見においても質問があり、大臣からお答えをいただいておりますけれども、その際、原子力については、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組んで、原発依存度を可能な限り低減するということが政府の一貫した方針であること、また、原子力の経済性につきましても、コスト計算等についても、今何か変化があるわけではなく、その上で、経済産業省が原子力を補助する制度検討しているといった朝日新聞の報道については、そのようなことを検討している事実はないということに尽きるというふうに御回答されているところでございます。
  37. 富田茂之

    ○富田委員 この記事は一面に載っていて、その後の方に解説記事までついていまして、ちょっとそれを読んでびっくりしたんですが、いかにもこういう制度を考えているんだというふうに思わせるような記事でした。  ニューヨーク州が導入しているゼロエミッションクレジットとか英国の制度等を取り上げて、こういうのを見習おうとしているんじゃないかというふうに書かれた上で、最後、ちょっと記事を読んでいておかしいなと思ったんですが、「通常、新たな制度を創設するには、有識者でつくる審議会で議論することになる。」と、確かにそのとおりだと思うんですが、「議論のテーブルに載せれば、世論の反発は必至だ。」というふうに記事を最後まとめているんですね。  こういうことを考えていないのに、何かこの記者さんが自分でこういう制度をつくろうとしているのかなというふうにちょっと思いました。国民は不安に思うと思いますので、大臣が記者会見で答弁していただいたのは結構だと思いますし、余りにも根拠のない記事でしたら、きちんと抗議をするなりしていただきたいというふうに思います。  この問題は以上で終わります。  きょうは、メーンのテーマは、きょう東京電力の副社長さんに来ていただいておりますが、二〇一九年、ことしの二月十三日に、福島第一原子力発電所二号機の原子炉格納容器内内部調査がされました。この件についてさまざま報道等されますので、このことについてお伺いをしたいというふうに思います。  この調査の概要、どういう目的でやられたんでしょうか。
  38. 守谷誠二

    守谷参考人 東京電力ホールディングスの守谷でございます。  お答え申し上げます。  まず、福島第一の廃炉に向けまして燃料デブリの取り出しというのは非常に重要なことだという認識のもと、燃料デブリにつきましては、中長期ロードマップに基づき、二〇一九年度に初号機の燃料デブリの取り出しの方法の確定、それからその後、二〇二一年内に初号機の燃料デブリ取り出しの開始、これに向けて現在、原子炉格納容器内の内部調査を進めているところでございます。  その中で、今回調査いたしました二号機についてでございますが、昨年一月になりますが、ここで実施した調査において、格納容器の底部、一番底のところでございますね、その底部全体に小石状のものあるいは粘土状に見える堆積物というものを確認いたしました。  それから、格納容器の底部から上に約三メートルぐらいのところに作業用の架台というものがございます。これはプラットホームというふうに呼んでおりますが、そこの上にも付着物があるということを前回調査で確認しております。  それから、格納容器の底部のところに燃料集合体の一部が落下しているということも確認しております。その周辺に確認された堆積物というのは、燃料デブリではないかということを推測しております。  今までこういう調査、そういうことで、今後デブリをどうやって取り出していくのかということが一番の課題でございますが、この取り出しに向けましては、まずは、燃料デブリをしっかりとつかむということが可能かどうか、それから、場合によってはカットする、切削等による燃料デブリの加工が必要かというような、そういう実態をしっかりと踏まえて見通しを立てるということが必要だと考えております。  そうした中で、今回の調査の目的でございますが、この燃料デブリの可能性が高い格納容器底部の堆積物の固着状況、実際どういう状況にあるのかということを把握することが大変重要と考えました。  そこで今回、この二号機について、前回調査で、実際にロボット、調査装置をつくったんですが、これに改良を加えまして、トング、挟むものですね、その機器を先端につけた調査機器を初めて二号機の格納容器の底部、それから、先ほど申し上げました架台の、プラットホーム上、そこの堆積物に実際に触れ、接触させて、その固着状況というのを確認するというものを、委員御指摘のとおり二月の十三日に行ったということでございます。  実際、その調査では、底部のところの六カ所のものについて接触し、プラットホーム上のものを四カ所確認した、こういう調査を行ったということでございます。  以上でございます。
  39. 富田茂之

    ○富田委員 去年も同じように調査して、去年は底部まで接触できなかった。今回は、今言われたように、つかめる機材を先につけたということで、底を、三十センチぐらい下げていって、実際につかんだというふうに聞いていますけれども、その結果新たにわかったことというのは何かあるんでしょうか。
  40. 守谷誠二

    守谷参考人 お答え申し上げます。  まず、今回の調査で、このつかむというところでございますが、トングの開きぐあいというのが最大八センチでございますので、この八センチより小さいもの、具体的には、約一センチから八センチ程度の小石状のものについては、実際につかんで、これは動かせるということがわかりました。  それから、一方、つかめないもの、要するに、もう固着して、それがつかむことができないというようなものもあったということもわかりました。  それから、前回の調査で粘土状というふうに見えた堆積物でございますが、これについては、カメラ等で確認をして実際にさわってみたんですが、装置と具体的に接触したという跡も確認できなかったというようなことから、かたい、ある岩状の堆積物の可能性があるのではないかというようなことがわかりました。  それから、今回、実際につかんでみるということのほかに、実際に格納容器の中に入れましたので、線量とか温度、この状態がどうかということも確認いたしました。それで、まず、温度については、幾つかのポイントで測定いたしましたが、おおむね二十二度、三度ということで、非常に安定した温度管理の状態であるということ、それから、線量については、やはり底部に行くに従って線量が高くなるというようなことも今回確認できたということでございます。  以上でございます。
  41. 富田茂之

    ○富田委員 今、線量について、底に向かっていくほど高くなったというふうに言われましたが、実は、去年の調査の後、いろいろ報道されていたものを見たんですが、ちょっと逆みたいなことの報道もありました。  例えば、去年の二〇一八年二月二日付の朝日新聞によりますと、東京電力などによると、「線量は格納容器の底から高さ一・二〜三・五メートルの四カ所で七〜八グレイ。温度はいずれも二十一度だった。一方、格納容器の入り口に近い場所では最大で四十二グレイだった。」と。デブリ近くの線量の方が入り口付近よりも低いことについて、東京電力の方では、「注水で放射性物質が洗い流されたか、デブリが圧力容器に多く残って見た目より少ないのかもしれない」というふうな答弁をされていたというふうに報道されています。  また、去年の三月七日付の朝日新聞ですが、「一連の調査で、内部の壊れ方が深刻だとわかったほか、例えば二号機でデブリの近くより遠くの線量が高いといった新たな謎も出てきた。」というような指摘がありました。  今、副社長のお話では、底部の方が線量が高かったということですが、きょう、ちょっと資料として、一部机上に配らせていただいています。これは東京電力の調査結果の中に入っていたんですが、この資料を見ますと、底部は、やはり、去年とことしのが両方入っていますが、六・四グレイとか七グレイになっているんですが、その手前の、入っていく際のところでは四十二とか四十三という、ちょっと信じられないぐらいの差がある。底部のデブリより遠いところの方が逆に線量が高いというのは一体何なんだろうなと。  去年の調査とことしの調査を見て、私、この図を見て本当にびっくりしたんですが、このあたりは東京電力としてはどんなふうに考えられているんでしょうか。
  42. 守谷誠二

    守谷参考人 お答えいたします。  まず、先ほど私が申し上げた、委員御配付の資料でいきますと、一番右下に六・四グレイという、シーベルトとほぼ同様と考えていただいて結構なんでございますが、ここと、この下にちょっと線が入っている、これがプラットホームということで、底部と申し上げているのは、この図からちょっと下に行ったところに燃料デブリと思われるものが堆積しているんですが、ここの六・四と、それから更に下に行くに従って高くなるということで、これは上下関係でございます。  それで、今委員御指摘のものは、これから横に行っているものが十八とか十三とか非常に高いという、これは実は前回の調査でもわかっておりまして、今回の調査でもそういう結果が得られた。これがどうしてかということについては、今回の調査でその解明がされたというわけではないんですが、事実としてこれは、ここの中よりかは外の周辺の方が高いと。  これは、先ほど御指摘あった水の関係とか、いろいろなことが考えられますが、今後の調査の中でここはしっかりと解明して対応していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  43. 富田茂之

    ○富田委員 私がこの疑問を持ったのは、実は、ことしの三月十六日にNHKで、NHKスペシャル「廃炉への道二〇一九 核燃料デブリとの闘いが始まった」という番組がありました。副題として、デブリを初めてさわった意外な正体というふうに出ていたので、興味を持って番組を見たんですが、その中で、やはり幾つか疑問点が出てきたということで、指摘がありました。  本来、二号機のデブリは、原子炉内に四十二トン、格納容器の底に百九十五トン、これだけ存在するんだというふうに今まで推定されていたというふうにずっと言われてきました。ロボットを使って格納容器を調査して、格納容器の床からデブリを取り出すための技術開発を今まで進めてきていると。しかし、一番底のデブリが本丸じゃないんじゃないかという指摘が専門家から出てきたというふうに、このNHKスペシャルでは特集されていました。  まず、日本原子力開発機構の倉田さんという方が番組に出てこられて、ビデオを見て、制御棒の破片か、ひっくり返すと厚さが二ミリぐらいだ、これは、燃料棒は、中心にウランで、チャンネルボックスが乗っかっている、このすき間に制御棒がある、今回の調査でつかんだのはチャンネルボックスと制御棒ではないのか、床の表面はデブリというより金属中心なんじゃないかというふうな疑問を呈されていました。  この点については、東電としてはどんな認識でいらっしゃるんでしょうか。
  44. 守谷誠二

    守谷参考人 お答え申し上げます。  まず、格納容器の底にあるものが金属中心なのではないかという御質問でございますが、この点につきましては、前回の調査、二〇一八年一月でございますが、このときにも格納容器内部の調査というものをしております。  それを受けまして、国が中心となって進めております廃炉汚染水対策事業というのがございますが、弊社も参加しておりますが、この中で、昨年の調査でございますが、二号機の格納容器底部にある燃料デブリは金属を多く含む可能性があるということを、昨年の時点でそういう結果報告がされておりまして、昨年の三月時点でそういうことがまとめられております。  東京電力といたしましても、二号機格納容器の底部にある燃料デブリは金属を多く含む可能性がある、こういうふうに推定しておりまして、今回、二月の調査を踏まえましても、この認識には変わりはないということでございます。  いずれにいたしましても、この堆積物については、今後、サンプル等を入手して成分分析を実施するというようなことで対応することが重要だというふうに考えております。  以上でございます。
  45. 富田茂之

    ○富田委員 今、東電の認識はわかりましたが、この番組では、もう一つ、東工大の小林先生がこんなふうに言われていました。金属は千五百度C、核燃料は二千数百度で溶ける、溶け出す温度が違う、千度C近く両方に間隔があるので金属部分が早く溶け落ちる、それが流れ込んで格納容器内にとどまったのではないかというふうに言われていました。堆積物周辺の放射線量は近づいても急上昇はしなかった、放射性物質はそんなにないのかもと。デブリの本丸は、格納容器の床ではなくて、原子炉にある可能性がわかったという御指摘もされていました。  東電としてもそういう認識でいらっしゃるんだと思うんですが、ここは今後、そうすると、今度、原子炉内の調査をどうやってやっていくんだと。今までは、格納容器の底からデブリを取り出すための技術開発が中心だったと思うんですが、やはり、上から入っていかない限り、原子炉内にもしデブリが残っているのであれば、なかなか取り出したりすることができないんだと思うんですね。ですので、やはり原子炉内をきちんと処理する必要があると。この番組でも、廃炉全体のスケジュールに影響を及ぼしかねない、上から入っていく方法を考えないとというふうに言われていました。  原子炉内部にカメラを入れるルートは、東電さんの方でも多分まだ確立されていないと思うので、今後ここをどうやってやっていくかが問題になると思うんですが、この番組の中で、その際に、原子炉の一番上の方、そちらの線量もすごく高いので、なかなかここにストレートに入っていくというのは難しいんじゃないかという指摘をされていました。  そこの部分の、今後の原子炉に投入していくというような技術開発というのはどんなふうに進めていかれようとしているんでしょうか。
  46. 守谷誠二

    守谷参考人 お答えいたします。  私どもの認識といたしましては、格納容器の底部にもある、それから上の、容器の中にもまだあるという、それが実際に、どの程度、どういう状況で、どのぐらいの量で、どういう形で取り出せるのかというのは、まさにこれから実態調査を進めていく中で検討してその方法を確立していくというふうに認識しております。  特に、上部のものについては、委員御指摘のとおり、まだ現時点でこういう形がいいというものはないんですが、これは国のプロジェクト等も含めて、これから技術開発を含めて検討していくということでございます。  もう一方、底部のところについては、今回の調査でも、横の穴からある程度入り込んでつかむことができるというようなこともわかりましたので、ある意味こちらの方が方法論的にもある程度詰められることができるということがございますので、その辺の順番も含めて、最終的に、二〇一九年度内に、どういう形で、どういうスケジュールで今後やっていくのかというのを確認しながら進めていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  47. 富田茂之

    ○富田委員 東電さんの方で一生懸命やられているというのは、今副社長の御説明でよくわかりましたので、ぜひ、格納容器の上から入るルートの開発も含めて、今後、経産省と一体となって進めていっていただきたいというふうに思います。  あと、もう時間が最後になりましたので、先ほど宮澤委員質問していた汚染水対策について、私も質問したいと思って質問通告しておいたんですが、丁寧に委員会議論を進めることが大事だというふうに先ほど言われていましたけれども、去年の公聴会の際に、県漁連会長の野崎さんが、漁業に致命的な打撃を与える、まさに築城十年、落城一日だというふうに発言されたというふうに報道されていました。先ほど御紹介したNHKスペシャルの中でも、吉野先生いらっしゃいますが、本来、イイダコ、三種類から始めたのが、今、魚が二百種類ぐらいとれるようになってきた、ただ、漁獲量は事故発生前のまだ二割程度だ、ここまで一生懸命風評被害を避けるために努力してきたのに、汚染水トリチウムは大丈夫だといって流されると、一挙にまただめになってしまうということを漁民の方が切々と訴えられていました。  ここをどう乗り越えていくかというのは本当に大変だと思うんですね。トリチウムは、ほかの日本国内原子炉施設ではちゃんと希釈して外に放出している。更田委員長もそれが一番の方法だというふうにさまざまな場所で言われています。そういうことも理解していますが、やはりこの漁民の皆さんの努力、これまでの努力が無にならない形で解決していくというのは大変難しいと思うんですけれども、そのあたり、野崎会長を始め漁民の方たちが言われていることに対して、経産省としてどういう配慮をしていくのかを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  48. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理した水につきましては、その取扱い決定に向けて、風評被害などの社会的な観点も含めて、国の小委員会で総合的に議論をしているところでございます。説明公聴会も開催させていただきまして、その際にも県漁連の野崎会長から御発言もいただいたところでございます。  私どもとしましては、この問題、技術的な課題だけではなくて、社会的な観点も含めて総合的に検討していくことが必要であるというふうに考えておりますし、その中には、風評被害への対策をどのようにとっていくのかということもしっかりと検討して対応をとっていきたいと考えております。  以上でございます。
  49. 富田茂之

    ○富田委員 終わります。ありがとうございました。
  50. 高木毅

    高木委員長 次に、宮川伸君。
  51. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸でございます。  きょうは、東海第二原発の問題に関しまして、安全性の問題を技術的な視点から質問させていただきたいと思います。  質問を始める前に、まず四点、四つの点に関してちょっとコメントできればというように思います。  安全性を考えていく上で、まず一点目が、日本というのは地震列島であって、非常に地震が多い国である。アメリカやヨーロッパの原発のことも話によく出ますが、やはり日本というのは地震列島だということを忘れてはいけないというのがまず一点目。  二点目でありますが、福島第一原発事故がありまして、そして、その事故の教訓、経験から、国民の皆様の声も聞いて、そして、古い原発はもう使わないようにしよう、四十年以上の原発に関しては基本的にもう廃炉にしようという四十年廃炉ルールがつくられたわけでありますけれども、これが近年、きちんとした説明がなく、再稼働、延長が行われてきているということであります。  東海第二原発に関しては昨年の十一月の終わりに二十年の延長が決まったわけでありますが、これも私の感覚でいうと、なぜ四十年廃炉ルールがあるのに規制庁の方もこれをいいんだと言うのかというのが、余り納得できていないというようなところが二点目。  そして三点目が、東海第二発電所は東日本大震災の被災原発であるというのも忘れてはならないことだと思います。  そして、第四点目になりますが、昨年の十二月の七日の日に、本委員会アドバイザリー・ボードの先生方から御意見をいただきました。その中で石橋先生がおっしゃっていましたが、「事故の再発防止には、透明性の確保と公開性の担保が不可欠であり、かつ有効です。」というふうにおっしゃっていました。透明性や公開性に関して本委員会でもしっかりと議論していく必要があるのではないか。  これが四点目として、この四つの点も踏まえて、きょうの、東海第二原発技術的な安全性の部分に関して御議論ができればというように思います。  まず、一点目の技術的な部分でありますが、原子炉圧力容器の傷に関して少し、ちょっと細かい話にもなりますが、お伺いをしていきたいというように思います。  まず、二十年延長が決まったわけですけれども、東海第二原発、この原子炉の圧力容器が、四十年もたっているのに、あと二十年延ばしてもこれは壊れないのかどうかというのがやはり一つ大きなポイントだったというように思います。  この検査原子炉圧力容器に傷がないのか、壊れかけていないのかというのを調べるために、エコーの検査をして、それでエコーで見ながら、どこかに傷がないかということを調べてきたわけでありますが、この検査が大丈夫だったということも踏まえて二十年延長が許可されたというように私は理解をしています。  そういった中で、じゃ、本当に大丈夫かなというのをデータをいろいろ見てきたんですけれども、きょうお配りの一番最初の紙をぜひちょっと見ていただきたいんですが、こういう黒っぽいのがたくさんある紙があります。これがエコー検査の結果の一部だと思うんですが、まとめられた表になっています。  それで、これは黒いのがたくさんあるんですけれども、実は、本当の報告書の方では、資料の方ではこれは白抜きになっていたんですが、白抜きだとわかりにくいので、ちょっとそこを黒く私の方で塗らせていただいたということでありますが、黒がいっぱいあるなというのがまず第一印象だというように思います。  そういった中で、見えている部分だけで見ていくと、この真ん中辺に「欠陥高さ」という欄があります。欠陥がどのぐらいあったのかということですが、私は、いろいろ最初のころ質問をしていると、安全だ、安全だというような回答が返ってきていたので、素人ながらに、傷というものはほとんどない、全然大丈夫だというようなイメージだったわけですけれども、これを見ていくと、真ん中辺のところ、検出されず、検出されず、検出されずというのが幾つもあると思うんですが、その中で、六・二とか六・三というような数字が入っています。これは、要記録エコー一覧というものです。  それで、この六・二とか六・三というのはミリメートルで、六・二とか六・三の傷が見つかっているというような記載だというように私は理解をしているわけでありますが、じゃ、これは傷があるんじゃないかというように、実は私は驚いたわけですね。  では、この傷が本当に問題ないのかどうかというところを素人ながらに考えた場合、この傷がもともと入っている傷であって、大きくなっていないのであれば、それは問題ないと思うんです。だけれども、もしこの傷が大きくなっているような傷だとしたら、本当は四十年で廃炉にしなきゃいけないのに、二十年延長するわけですから、じゃ、この二十年の延長の中で、この傷がもっと大きくなっていって致命的にならないのかという不安を感じたわけです。  例えば、上から七番目のもの、この一番左のナンバーというところに一、二、三、四、五、六と書いてありますが、この七番目というところを例として見てみます。  この七番目は、C6#3という圧力容器の場所をエコーで見た結果なわけですが、黒塗りを飛ばしてずっと右の方に行くと、六・三ミリの傷がありました、今回の検査でありましたということが書いてあるわけですね。じゃ、これは前回の調査でどうなっているのかなというのを皆さんも知りたくなると思うんです。  もうちょっと右に行きますと黒いところがありますが、これが製造時の検査の結果なんですね。これをもうちょっと右の方に行くと横棒があるのは、検査をしていない。ずっと行って、二〇〇八年というところにまた黒いところがありますが、これは、二〇〇八年に検査をしているんです。  ですから、以前に二回検査が少なくともされているんだけれども、これは黒塗りなんですよ。見られないんです。何で黒塗りなのか、普通の方も、傷があったなら、大きくなっているのかどうか知りたい、じゃ、前のデータはどうなのかって普通知りたいと思うんですね。  何で黒塗りで許されているのか、更田委員長、お答えいただけますでしょうか。
  52. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  まず、原子力規制に当たり透明性の確保が重要であることは十分に認識をしておりまして、原子力規制委員会においては、規制にかかわる情報、審査ですとか検査にかかわる情報に関して開示に努めているところであります。  これは事業者に対しても同じことでありまして、規制委員会に提出する資料については原則公開の方針を示しており、対応を求めております。審査会合や面談の場で事業者から提出される資料においてマスキング箇所がある場合には、これは、規制庁職員が事業者に対して、その範囲が妥当なものになるように必要に応じて指摘を行っているところであります。  一方、事業者から提出される資料は膨大な量になりますので、全てのマスキング箇所を規制庁が精査することは困難でありまして、一定程度、事業者の裁量によるところが大きいのが現状であります。  引き続き、規制に関係する情報は原則公開するとの方針に基づき、事業者の対応を促してまいりたいと考えております。
  53. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 今、資料が膨大なのでなかなか全部は見切れないという話だったんですが、実は、ここの黒のところをあけてくださいというのは、私、半年くらい前から申し入れているんです。ですけれども、あけられないという、正式というか、きちんとそういう回答を私いただいているんです。何であけられないんでしょうか。
  54. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  このマスキング箇所については、当初、事業者側が商業機密に当たるとしてマスキングをしてきたものであります。御要求をいただいて、それを開示していない、詳細についてのやりとりについては私、承知しているわけではありませんけれども、マスキングが解けないということは商業機密に当たるという判断をしているものと考えられます。
  55. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 今の御回答だと、私としてはちょっと納得がいかないということだと思う。また、この国会事故調の報告等も踏まえて、今後この委員会で、そういうふうに事業所が言ってきたらば、じゃ、それでいいですよと、規制庁の方で、それでいいですよということで済ましていいのかどうか。そういうことをさせちゃいけないためにこの委員会があるというふうに私は思いますので、それはしっかりとこの委員会でやっていく必要があるというように思います。  それで、ちょっと今、ここは答えにくいということでありますが、今のC6#3というところの黒のところですが、実際に、これ、傷は進展しているんでしょうか、いないんでしょうか。お答えください。
  56. 山田知穂

    山田政府参考人 御指摘の資料については、個別のエコーのデータはマスキングされておりますけれども、当該マスキング部分に欠陥高さは記載されておらず、御指摘の質問に対するデータは持ち合わせてございません。
  57. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 改めて、私も素人なわけで、これだけ黒塗りで何が書いてあるかよくわからないわけですね。それで、国民の皆様も、ここは心配を持っているわけです。ですから、もう少し丁寧に、わかりやすい説明をしていただかないとあれなわけですけれども。  では、欠陥高さじゃなくても構いません。ここの傷は大きくなっているのか、なっていないのか、どういう根拠で判断されているんでしょうか。
  58. 山田知穂

    山田政府参考人 御指摘のエコーにつきましては、その指示位置が原子炉圧力容器の内表面ではないことから、製造時より内在していたものと考えられ、今回検出された理由は、探傷方法の違いや試験データの表示方法の改善等の試験装置の性能向上によるものであると確認をしておりますので、内面にあるものなので進展をしていないというふうに考えてございます。
  59. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 私の質問は、この傷は進展しているのか、していないのかということを聞いているんですが、この傷は進展しているのか、していないのか、どっちなんでしょうか。
  60. 山田知穂

    山田政府参考人 先ほどお答えをさせていただきましたとおり、具体的な大きさのデータについては我々は承知をしていませんので、具体的な数字として大きくなっているかどうかということについてはお答えできませんけれども、傷の場所が内面であるということで、内面にある傷については進展をしないだろうというふうに判断をしているということでございます。
  61. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 もう一回戻ります。  さっき、七番のところで、今回こういう傷が見えた、だけれども、前に二回、製造時と二〇〇八年に測定をしているわけでありますが、普通の人は、傷が出たのならば、この傷は大きくなっている傷なのか、もともとあった傷なのか、これは普通、どっちかなと誰でも思うんじゃないでしょうか。  ちょっともう一度お答えいただけますか。これは大きくなっている傷なんですか、傷じゃないんですか。何で、大きくなっているか、なっていないかを確認しないんですか。
  62. 山田知穂

    山田政府参考人 先ほどお答えをいたしましたとおり、今回新たに検出された理由については、探傷方法の違いや試験データの表示方法の改善、画像処理などの試験装置の性能向上によるものというふうに考えてございます。したがいまして、傷の場所からして進展はしないというふうに判断をしたということでございます。
  63. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 ちょっとこれ以上聞いてもここはあれなので、もう一個、別の例をちょっと聞いてみます。  これを裏面にしていただきたいんですが、黒塗りなんですけれども、よく見ていくと何かいろいろあって、左のナンバーから六番目の三十二というところを見ていただければと思います。  H3#23という場所なんですけれども、これは、五・二ミリの欠陥高さがあったというように書いてあるわけです。ですけれども、製造時を見てみると、これは黒塗りになっていないんですね、今回、製造時は。製造時は検出されずとなっています。そして、その後、測定は全然していないんですね。  ですから、今まで検出されていなかったものが今回五・二で検出されたという結果になっているわけですが、これは進展性の、大きくなっている傷ではないんですか。
  64. 山田知穂

    山田政府参考人 先ほどお答えをさせていただきました内容の繰り返しになりますけれども、ここで検出されておりますのは、探傷方法の違いですとか試験データの表示方法の改善等の試験装置の性能向上によるものであるというふうに判断をしているところでございます。
  65. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 東海第二原発安全性にかかわる極めて重要な圧力容器の安全性の結果なんです。そして、四十年廃炉ルールがあって、四十年で廃炉が原則であるのに、二十年延長しているわけです。そのときの傷のデータ、これがもし二十年延長して傷が大きくなったら、壊れるかもしれない。圧力容器という非常に重要なものなわけです。その傷が大きくなっているのか、大きくなっていないのかということを私が質問したことに対して、今、前と測定方法が違うからわかりませんという趣旨のことをお答えされているんじゃないかと思いますが、そういう理解でよろしいんですか。わからないと、前と測定方法が変わっちゃっているから大きくなっているかどうかわかりませんという答えをされているんですか。
  66. 山田知穂

    山田政府参考人 測定方法の違いによって結果が変わっているということなので、大きくなっていないというふうに判断をしているところでございます。
  67. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 ちょっともう一度。測定方法が変わっているんですよね。普通、こういう検査をする場合、測定方法が変わる場合には、測定方法が変わっても、ちゃんとつなぎで判断できるようにつなぎの実験等をして、ちゃんと比較できるように普通はするものなんですよ。  では、この製造時の検出されなかったというものが、これは検出されていないわけですから、じゃ、今の話だと、これ、大きくなっているんじゃないんですか。製造時は検出されていなくて今回は検出されているんだから、これは傷が大きくなっているんじゃないんですか、ちゃんと測定ができているのであれば。
  68. 山田知穂

    山田政府参考人 今のデータは、超音波探傷試験によって得られたものでございます。  この超音波探傷試験によって得られた記録でありますエコーについては、亀裂などを示すエコーの波形などではないこと、それからエコーの指示位置が原子炉圧力容器の内表面付近にないこと、過去の超音波探傷試験でも同様のエコーが確認されたりすることがあることなどから、御指摘のような亀裂、損傷ではなく、また進展性もないものというふうに判断をしてございます。
  69. 宮川伸

    ○宮川(伸)委員 私は、今の説明では理解ができません。やはり、前のものと比べて大きくなっているか大きくなっていないか、シンプルに前の測定と比べて大きくなっているかなっていないか、これが示せないで、ほかの傍証から、いや、多分大丈夫でしょうという答えをされているだけなわけです。シンプルに、前の結果と比較して大丈夫かどうかを国民にわかりやすく説明すればいいだけではないでしょうか。  では、もう一個。もう一回前のページに戻っていただいて、これは、十番目のところ、もう時間がなくなってきてしまったんですが、十番目のところで、今回、検出されていないんですね。これがずっと右の方に行くと、一九九六年でしょうか、二〇〇五年と二〇一一年、三回黒塗りがあるわけです。これだけ見ると、過去三回は何かが検出されているのに今回は検出されていないという結果になっていまして、私、これ、きちんと測定できているのかというように疑わざるを得ないんです。圧力容器で非常に重要なものであって、きちんと測定できているかできていないかもわからないような状況で、これ、二十年延長の認可を出しているんでしょうか。  ちょっと時間がないので言いますと、もう一度、最初四点私は申してまいりましたが、アドバイザリー・ボードの先生方がおっしゃっているわけです。事故の再発防止には、透明性の確保と公開性の担保が不可欠ですよということ。そして、事故調のこれを持ってきたんですけれども、規制当局のところで書いてあるんですが、「規制当局原子力の安全に対する監視・監督機能を果たせなかった。専門性の欠如等の理由から規制当局事業者の虜となり、規制の先送りや事業者の自主対応を許すことで、事業者の利益を図り、同時に自らは直接的責任を回避してきた。」こういう反省がここに書かれていて、これがこの委員会でやることだと思います。  きょう、本当は、シュラウドサポートだとか、ほかのスタビライザーだとか、ほかにも同じようなケースが幾つかあって質問する予定だったんですが、ちょっと時間がなくなったのでこれで終わりにいたしますけれども、改めてこの委員会で、今の議論でおわかりだと思うんですけれども、やはりまだ、公開性だとか不十分なところがたくさんあります。しっかりと今後もやっていきたいと思います。  ありがとうございました。
  70. 高木毅

    高木委員長 次に、阿部知子君。
  71. 阿部知子

    ○阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。  本日は、更田委員長原子力規制に対する基本姿勢を伺いましたので、私の質問も主にその点に関して行わせていただきたいと思います。  まず、きょうの委員長の御発言でございますが、原子力規制委員会のミッションとして、人と環境を守るという使命を果たすというふうにお述べであります。そのための活動原則ということでは、委員長はどんなふうにお考えでしょう。
  72. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  原子力規制委員会は、平成二十五年一月に原子力規制委員会の組織理念というものを定めております。  その中で、まず、原子力規制委員会の使命として、先ほども申し上げました、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ることを掲げております。そして、その使命を果たすための活動原則として五つございます。一つ、独立した意思決定二つ目が実効ある行動、三つ目が透明で開かれた組織、四つ目が向上心と責任感、五つ目、最後ですが、緊急時即応を定めております。  原子力規制委員会は、これらの活動原則に沿って職務を遂行しようとしているところでございます。
  73. 阿部知子

    ○阿部委員 先ほどの宮川委員の御質疑も、主に透明性観点でお尋ねであったかと思います。委員長には、しっかりと今言われた五つの活動原則を実践していただければと思います。  そして、私は、きょう、実は、安井原子力規制長官が三月七日から十五日まで海外出張をなさいまして、その中で、国際社会に向けて発出された幾つかの日本の取組の御紹介がありました。  お手元の資料をあけていただきますと、二枚目というか裏面になりますが、ここでは、今、更田委員長がおっしゃったように、原子力規制委員会が二〇一二年に設立をされて、これは事故の一年後になるわけですが、国会事故調の報告等々にのっとって、福島第一原発事故は、政府規制、東電のなれ合いとガバナンスの欠如の結果であった、プラス規制当局の独立性の欠如、いわゆる規制のとりこということが非常に害をなした、また、規制と推進の分離を真剣に追求すると。  これはいずれも英文でございましたので訳させていただきましたが、これは当然と思いますが、改めて更田委員長に確認をさせていただきます。
  74. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  安井長官が出張してまいりました会議と申しますのは、米国の原子力規制委員会が主催をしましたRICと称する会議でございます。当初、米国原子力規制委員会から私の出席を求められましたけれども、会期中ということもありまして、長官が出席をして、参加をしてまいりました。その内容は私も承知をしているところです。  この講演で強調しましたのは、まさに先生御指摘になりましたように、規制当局事業者によってとりこにされていたという反省を踏まえて設置された組織であることから、何よりも大事なのは独立性を確保するということがその主張の背骨であります。一方で、独立と孤立とは異なるという観点から、事業者であるとか一般公衆、それから専門家の方々との間のコミュニケーションをとりつつ、その中でもなお独立性を担保するということが最も大事であるというのが長官の講演における主張の背骨となっているところだというふうに承知をしております。
  75. 阿部知子

    ○阿部委員 今の委員長の御発言は、私の資料にも下段に出させていただきましたけれども、事業者国民あるいは専門家としっかりしたコミュニケーションをとりながら、しかし独立性を損なわずということも、これも改めて確認をされたところと思います。  きょうは、現状、進行しつつある具体的な事案について少しお伺いをしたいと思います。  いわゆる原子力施設における火災のリスクということでございますが、実は、ことしの二月十三日に、火災についての原子力規制のあり方の見直しが行われました。後ほど少し御紹介させていただきますが、まず冒頭、更田委員長には、原子力施設にとっての火災のリスクということをどのように御認識でしょう。お願いいたします。
  76. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  まず、火災ですけれども、これが仮に発生した場合には、一つ施設に対する脅威となるだけでなく、複数の設備にわたって一度に同時に故障させる要因、いわゆる共通要因故障の要因となりますので、安全性影響を及ぼすということは十分に考えられます。適切に対策を講じることが必要であると思っております。平たく申し上げれば、原子力発電所における脅威の一つとして重要なものであるというふうに認識をしております。  この考え方に基づいておりますので、いわゆる新規制基準では、原子炉施設は、火災によりその安全性が損なわれることがないように、火災の発生防止、感知及び消火並びに火災の影響軽減対策を求めているところであります。
  77. 阿部知子

    ○阿部委員 今の委員長の御発言のとおり、また、私たちが経験いたしましたところでも、例えば、スリーマイルアイランドの事故もそうでございましたし、我が国においては中越沖地震の柏崎刈羽の火災もそうでございましたが、消火までに二時間を要する。スリーマイルの場合はもっと深刻な事態になりましたし、火災というのは、脅威の一つだとおっしゃいましたが、複数の施設影響するという重要なことで、この火災のリスクに対する安全の取組のさらなる深化ということは大変重要と思います。  そこで、このことに関して、日本において、過去十年間、これは原子力規制庁ができる前からなんですが、原発火災は一体何件起きていると把握しておられるか。これは実務者サイドでも結構ですが、いいですか、委員長で。お願いします。
  78. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  過去十年間ですが、原子力発電所に関しましては、火災に関する原子炉規制法に基づく事故報告は行われておりません。ゼロ件でございます。  一方、原子炉規制法に基づく報告ではありませんが、本年度、これまでに三件の原子力発電所における火災について報告を受けております。
  79. 阿部知子

    ○阿部委員 ありがとうございます。  今の御答弁のとおりなのですが、私が国会図書館でいろいろ調査をしていただきますと、十年間で報道された火災のケースというのが五十五件ございます。例えば、一番目立ったものは、きょうお手元の資料にもつけさせていただきましたが、二〇一〇年の一月、原発の火災で作業員が亡くなった。これは七人が重軽傷、死亡事故も含めて、負われたりということで、原子力規制委員会に、極めて高リスクなものとして、法令に基づく火災として把握されてはいなくても、現状、さまざまな火災関連の出来事が起きている。  そして、法令に基づく火災として把握していないものでも、一応報告を受けたものが三件ということですが、これらが文書保存が一年だということで、実は私は、ここに、国民の受ける火災についてのさまざまな報道と実際に原子力規制庁がまとめておられるところとの大きなそもそものずれがちょっとあるように思って、ここは、委員長が冒頭おっしゃいました、原子力規制のもともとの一番の根っこは信頼性ということで、国民の感覚とのずれをなるべく少なくしていくことだと思いますので、今の御答弁は御答弁として受けとめますが、現状では、火災の報道というのは多く、また、極めて重大事故に結びつきやすいという認識を国民が持っておるということでございます。  そこで、例えばですが、いわゆる事業者が、法令に違反したかどうかだけでなくて、事業者が自分たちの組織の中で保安規定をつくっていて、保安規定に違反したような場合に、事業者事業者でそれを自己修復していくわけですが、この保安規定違反が放置された事案が、過去三年で三十三件、中には火災の事案もございます。  法令上、原子力規制委員会として把握していないものは、原子力事業者に任されて、そこから保安規定になるわけですが、保安規定違反というもので、本来は事業者処理されるべきものが処理されていないという事態については、委員長はどのようにお考えでしょう。
  80. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  今先生の御質問にありました過去三年間で三十三件ですが、本件は、保安規定における予防措置の規定に違反して手続が実施されていなかったものであります。  そのため、追加的な調査の結果に基づいて、原子力安全への影響の程度に応じて違反区分を決定をしてまいります。その決定を踏まえて、さらに、保安検査等において、事業者の再発防止対策等の取組状況を確認してまいります。  ちなみに、今後導入される新検査制度においては、事業者がみずから行う改善措置活動、いわゆるCAPというものですが、これが重要となってまいります。本件は、改善措置活動の一部が実施されていない場合に相当するものであり、大きな関心を持って臨む必要があると考えております。
  81. 阿部知子

    ○阿部委員 おっしゃったように、CAP、事業者自身がちゃんと管理していかないといけないものがなされていないという現実は、これは非常に私は大問題だと思いますので、引き続いてよろしく御指導のほどお願いを申し上げます。  きょうの具体的事案は、先ほど申しました、二月十三日に決定されました、これまで原子力事業者が火災防護審査基準というものを設けて火災防御に備えてきたことと、私どもが一般的に消防法で規定されたところの火災防御の間に、少しずれとそご、少しのずれかもしれませんが、重大なずれになることもあるということがあって、このことに関して、九月十二日から十二月十二日まで、原子力規制委員会の中でいろいろな御論議あるいは事業者とのやりとりがあったかと思います。  十二月十二日に出された結論だけ申し上げますと、いわゆる火災感知器は一原子力施設当たり千二百個つけるというものなのですが、これに五年の経過措置、バックフィットということをいたしました。  私は、事業者がちゃんと先ほどの保安規定もやれていない中で、五年間、果たして大丈夫だろうかと正直言って思うものですが、この会議の中で更田委員長が、極めて見識あることだと思いますが、おっしゃっていることが、まず現場を見ていらっしゃいと。現状でどのように火災の感知器がつけられているか、それは現状の基準がどう守られているか、その上で次の基準の要件があるということなのですが、残念ながら、この九月の十二日から十二月十二日までは現地視察がなされず、更田委員長が九月の十二日におっしゃった御意見が実行されたのは、年を明けて一月、すなわち発令された後でありました。  私は、せっかく委員長がいいことをおっしゃって、これはもうやはり現場を見てみなきゃどうなっているのかわからないんじゃないのというのが原点なんだと思うんですね。  実は、原子力規制委員会ができるとき、私と、それから、当時野党であった塩崎先生と御一緒にNRCに行かせていただきました。NRCでは、インスペクター、現地を見て、そこをきちんと、マンツーマンというか、一つ施設に張りつきでインスペクターがいるというような話を伺って、それは、ペーパー上の言われていることだけじゃなくて、現場がどうなっているんだということが大事なんだということなんだと思うんです。  この案件に関して、現場に行ってみてわかったこと、これは委員長も把握しておられると思いますので、少し御紹介をしていただいて、では、今後本当に五年の経過措置で大丈夫だろうかということをどのようにお考えか、教えてください。
  82. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  まず、ちょっと発端からお話をさせていただきますけれども、原子力規制庁には消防庁からの出向職員がおりまして、火災防護対策専門家が、被規制者による火災報知機の設置状況のばらつきというものを確認したことを発端としてこの議論を始めました。  今回の改正というのは、感知器の設置基準を明確化するものであります。現場を見に行って、その過程において、御指摘がありましたけれども、その議論の過程において事業者との意見を聞くというのは、これは事業者は現場を知っておりますので、事業者意見の聴取というものを行いました。そこで、その事業者意見の聴取が必ずしも明確ではない部分があったので、やはり自分の目で見てきてはどうかというのが私の発言の趣旨で、この消防庁からの出向職員を含む職員が現地を見てまいりました。必ずしもその事業者説明は明確ではなく、またその説明どおりとも受け取りにくい部分があったのは事実でございます。  そこで、この改正、感知器の設置基準を明確化して、これをいわゆるバックフィットをかけることを決定をしております。  猶予期間といいますか、その設置に係る期間に関しましては、これは、現場は非常にふくそうをしておりますし、火災感知器というのは配線等々も必要になることから、これは設置に係る期間というものを考慮して、その設置に至るいわゆる猶予の期間を設定したものであります。
  83. 阿部知子

    ○阿部委員 原子力規制委員会事業者との意見のやりとりを資料の三枚目につけてございますが、私が思うに、とても危険だと思うのは、事業者の危険認識とそれから規制庁の指摘との間ではやはりずれがありまして、原子力事業者の方は必ずしも、今の安全基準でやっているんだから現状の安全上の問題はないという基本認識がまだ残っておって、プラス、実際に定期検診のときしか作業ができないから、一回五十日の定期検診のときで三百個つけていくので五年間とおっしゃっているんですけれども、これに対して規制庁は、いかに何でも、安全機能を有する系統は、A系統とかB系統、いずれかを優先してやったりすればもっと短くなるでしょうというふうに指摘をされております。  私は、これらを見てでも、結果五年となったことは、ある意味事業者の要請どおりで、それはちょっとやはり逸脱をしておるかなと思います。  次のページ、裏をあけていただきますと、ここには、これも安井さんがアメリカでの講演の中で使われた資料を和訳をして、これは省庁から出していただきましたが、バックフィットの運用に係る経験ということで、二段目に書いてございますが、安全性の重要性が第一で、対策を猶予することのリスクがありますよ、二番目は、被規制者がその対策実施するために必要となる期間もあるでしょうと。でも、一が第一で、一が最も重要であり、二は補完的位置づけなんだとなっておるわけです。  私は、ここでずっと委員長とやりとりしていて、火災はもちろん一刻も早く感知して未然防止、すなわち、私は医者なのですが、私どもの業界でいうとヒヤリ・ハットというんですけれども、何か危険なことがあったら、それは未然に感知して、重大事故につながらない未然の措置が一番大事なんだという分野で、というのは、一度重大事故になると、委員長もおっしゃったように、大事故、もう脅威の事故になるのでということであります。  そうすると、この五年間を、私は必ずしも、消防庁が行ってもちゃんとしていないんじゃないかと言われるようなところの事業者のあり方において、経過を見るというのは、国民感情としてもちょっと不安が強過ぎると思うんですね。  委員長が具体的にどう改善されるか。私は、期間は、最後につけましたが、この五年というのは一番長い部類に入ります。バックフィット期間五年というと、特定重大事故等の処理に係る規則等はバックフィット五年となっておりますが、ほかは、施行日から一年とか長くて四年とか、とにかくここの、何でこの火災感知器だけ施行日から五年。最初、事業者は、施行日じゃなくて工事計画認可時から五年とおっしゃっていまして、それはまた長いと。  先延ばし先延ばししないで、これはもっと短縮する、あるいは、監督、指導、巡回、これを頻回にすることによって信頼を高めるなどの方法があろうかと思いますが、いかがでしょう。
  84. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  まず一般論ですけれども、バックフィットをかけようとする要求というのは安全性の向上のためのものでありますから、それに対して猶予期間を設けるということは、理屈からしてリスク増をもたらします。リスク上看過できないもの、すぐに措置をとる必要があるものであれば、当然のことながら、この猶予期間というものは設けない、ないしは非常に短くしてまいります。したがって、リスクに応じてということになります。  まず、全ての火災が重大な事故に結びつくというものではないということは御理解をいただいていると思います。  ここからが本論でありますけれども、規制で一番難しいということと、もう一つは、かつての規制における非常に厳しい反省は、重要でないところに対してさまざまな理由で、例えばシュラウドのひび割れなどもそうですけれども、ある種、原子力発電事業が円滑に行われることの手助けを規制当局がしてしまっているような問題の扱い方をしていたという反省があります。全ての細かいことに関して注力をしてしまうと、もっと大きな、大事なものを見逃してしまう。  原子力規制委員会は、全ての細かいところに目配りをする、ないしは発電がちゃんと行われるというようなところまで指導者を指導する気は毛頭ありませんで、むしろ、めり張りが大事なんですけれども、大きなものを逃さないようにしたいというふうに考えております。  そういった観点で、この火災感知器については、一つの原理による火災感知器は全域をカバーをしております。もう一つの原理による、これは熱感知と煙感知ですけれども、二つの原理で全域をカバーするようにというのが今回のバックフィットの内容ですので、これは、猶予期間と、それから先ほど申し上げたリスク増とのバランスを考えてこの期間を設定したものであります。
  85. 阿部知子

    ○阿部委員 国民に広く知られた消防法令、正直言って、それを満たしていない。それは、二つの感知機能がある、あるいは幾つかの感知機能を原子力施設ではやっている。でも、消防法上の要求を満たしていないということは、やはり私は、これは国民との対話において非常に問題が大きいと思うんですね。  結局、この五年のバックフィット決定をされるときにパブコメをとっておられるんですけれども、ほとんど現地視察の前ですし、パブコメも十一件とか大変少ないわけです。専門家が答えているだけなんですね。これをもってパブコメとは言わないだろうなと思うんです。冒頭御紹介申し上げた、事業者と、そして国民と、プラス専門家、この三つを、きちんと意見を伺いながら、インディペンデンシー、独立性を保ってやっていただくということで。  ちなみに、この案件は専門家にも聞いておられないように思いますけれども、この点は、私がヒアリングした中では聞いておりませんということでしたがいかがかということと、それから、広く国民の意識ともう一度すり合わせていただきたいという二点、お願いいたします。
  86. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  一つ目の専門家というのは、外部の専門家を交えていないということだと思います。これは、先ほど申し上げましたように、消防庁の方からの出向を求めて、専門性を有する職員がいるので、本件につきましては外部専門家をおいでいただいてという形でのことは行っていないということであります。  もう一つは、これは、広くさまざまな、例えば事業者であるとか御地元の方々であるとかというもののコミュニケーション、これは、独立性を保つということは非常に重要である一方で、孤立に陥らないという観点からはこういったコミュニケーションは重要であると考えております。御地元との意見交換の機会なども、なかなかこれは調整が整わない面はございますけれども、鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 阿部知子

    ○阿部委員 専門家による火災のリスク評価というのは、私はやはり別途あると思いますので、この点については、また委員長と時間を重ねて御質疑したいと思います。  ありがとうございます。
  88. 高木毅

    高木委員長 次に、浅野哲君。
  89. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願いいたします。  本日三月二十八日というのは、四十年前にアメリカのスリーマイル島の原子力発電所事故が起きてから、ちょうど四十年という節目の日であります。  きのう質問通告が終わりましてから報道を見たので通告はできておりませんが、今回、この四十年という節目に当たりまして、更田委員長の受けとめ、また今後に向けた決意等ありましたら、ぜひ最初に一言よろしくお願いいたします。
  90. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  本日三月二十八日、先生御指摘のように、TMI、スリーマイルアイランドの二号機における事故から四十年に当たります。このTMI事故は、炉心が著しく損傷する事故として、原子力の世界だけでなく、広く衝撃を与える事故でありました。  今ここに立って思いますのは、その衝撃を与えた過酷な事故から私たちはこれまでに十分学ぶことができたのかという思いでおります。  原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故からの反省、教訓に基づいて設置された組織ではありますけれども、東京電力福島第一原子力発電所事故以前にも、今の御指摘のTMI事故、チェルノブイリ事故、それから、我が国国内においてジェー・シー・オー事故を経験しております。それから、先ほど火災の御質問をいただきましたけれども、ブラウンズフェリーという、これは相当昔の事故ですけれども、海外で大きな事故が起きております。  これらの事故から真摯に学ぶことをしていたら果たして事故が起きたのかどうかという思いは非常に強く持っておりまして、学ぶことができなかったんではないかというふうにみずからに問いかける気持ちでおります。  原子力規制委員会としては、東京電力福島第一原子力発電所事故はもちろんのこと、ブラウンズフェリー、TMI、チェルノブイリ、ジェー・シー・オーですとかアスファルト事故等々、あらゆる事故から教訓を抽出して学ぶことを続けたいと思いますし、それに対しては基本的には謙虚な姿勢というものが重要なんであろうというふうに考えております。
  91. 浅野哲

    ○浅野委員 委員長、ありがとうございました。  本日は、今委員長からもございましたように、過去の教訓をしっかりと今後に生かしていかなければいけない、こういう思いで質問させていただきたいと思いますが、まず最初に取り上げたいのは、日本原子力研究開発機構の東海事業所プルトニウム燃料第二開発室における管理区域内汚染の事象についてであります。  これは最近起きたものでございますけれども、まず、この概要と現段階でのわかっている原因、そして対策について簡単に解説していただけますでしょうか。
  92. 片岡洋

    片岡政府参考人 お答えいたします。  本件は、一月三十日に、原子力機構の核燃料サイクル工学研究所プルトニウム燃料第二開発室におきまして、核燃料物質を貯蔵しております貯蔵容器を包んでおるビニールバッグ、これを交換する作業をやっている最中にビニールバッグに穴があきまして、そこから汚染が管理区域内で出たというものでございます。  環境への影響や作業員の被曝といった影響はございませんでしたけれども、そういった汚染事象が起こったということで、原因としては、ビニールバッグに穴があいていたということ、それから、手順のところでいろいろ不適切なことがあったということでこういったことが起こっているということをこれまでに聞いております。  原子力規制委員会では、これまでに東海再処理施設等安全監視チームという会合で二回ほど聞いておりますけれども、原子力機構に対しまして、本来行われるべき作業手順を遵守していなかったこと、それから、汚染発生から管理区域の退出までの行動については、初動対応体制や汚染検査実施方法等の一部の行動に不十分な点があったことから、これを見直すことを指摘しているところでございます。  また、二年前に、原子力機構の大洗研究所におきまして、燃料研究棟でプルトニウムの被曝事故がございましたが、その教訓を踏まえて対策を行っていたにもかかわらず今回機能しなかったことから、実効的、実践的な教育訓練を行うこと、また、管理者や作業員の力量を見直すことなどを指摘しているところでございます。
  93. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  きょう皆様にお配りをさせていただきました配付資料の一をごらんいただきたいんですけれども、こちらは、ちょうどきのう、原子力研究開発機構の方から原子力規制庁の方に報告をした内容の、今後とるべき対策を整理した部分になります。  これは、(一)から(七)まで七つの対策、項目が示されておりますが、今規制庁の方から回答をいただきましたように、(一)から(五)まではほとんどが、意識の改善、作業手順の見直し、また教育訓練の充実といった内容になっておりまして、一般的に言えばソフト対策と言われるものになっています。  そして、(六)、(七)については、これは設備の改善、ハード対策になるわけでございますけれども、(六)のリスクの低減ということをごらんいただきたいんですが、これは、樹脂製の袋で包んで貯蔵している容器を減らすことが直接的なリスクの低減につながるということで、ハード面の改修を行うということが示されていますけれども、きょう議論したいのは、六月末までに計画を作成とありますが、過去に、原子力研究開発機構と規制委員会、そして文科省も入って、先ほど言われていた東海再処理施設等安全監視チームの会合の中で議論された中身、議事録を見ますと、この(六)の作業をするのに約三年ほど見込んでいるという発言がございました。  先ほど阿部知子委員質疑の中で、火災報知機の設置に丸五年かかるという議論もございましたけれども、やはり、放射性物質が汚染したという事象の対策に三年を要するというのは、遅過ぎるのではないかというのが私が感じているところでございます。  また、これに加えて、実は、よくよく見てみますと、トラブルが発生したということを早期に発見するための対策というのが余り含まれていないんですね。ですので、早期感知という部分の対策も行わなければいけないんですけれども、これも少し不足しているのかなという声も聞かれております。  まず、三年を要するという部分について、規制庁、規制委員会、あるいは文科省でも構いませんけれども、どう認識されているのか、御意見をいただけますでしょうか。
  94. 片岡洋

    片岡政府参考人 お答えいたします。  御指摘の三年というものは、二月二十六日の東海再処理施設等安全監視チームで原子力機構から言及があった点でございます。  これは、今回の汚染がある前から計画されている作業なんでございますが、核燃料サイクル工学研究所の中で何カ所かに分散して保管されておりますプルトニウムをプルトニウム燃料第三開発室というところに集約保管をしようという計画でございまして、そのために、保管スペースをあけるために、プルトニウムを燃料集合体と同様の形態に加工する作業を行うという計画がございました。  今回の事故対策実施されるものではございませんけれども、この作業が実施されますと、今回汚染があったプルトニウム第二開発室のプルトニウムについても第三開発室の方で保管、密封管理ができるということで、結果的に今回の対策としても有効であるというふうに考えております。  対策実施までの期間でございますが、燃料集合体と同様の形態に加工するという作業に先立ちまして実施されます設備整備等に約二年半かかるということでございます。実際の加工は更に約五年半必要というふうに聞いておるところでございます。
  95. 浅野哲

    ○浅野委員 設備整備に二年半、加工に五年半、計八年ですか、かなり長期を要するということなんですが、いろいろな要因はあると思います。  私がいろいろ省庁の方から、あるいは現場の方から聞いたところ、その一つの要因は、機構の予算構成にあるという声が聞かれてまいりました。  そこで、きょうは永岡副大臣にもお越しになっていただいておりますけれども、今の原子力研究開発機構の予算構成を少し見てみますと、全体予算が約一千五百億円ということなんですが、固定費と変動費という分け方で見ますと、目的を柔軟に変えられる、いわゆる変動費の構成が全体の約二割弱ということなんだそうであります。この二割弱の中で、研究開発行為や廃止措置、そして安全対策や訓練等も行っていくということなんですけれども、やはり十分な予算が確保できていないことが安全対策の遅延につながっているのではないか、そんな懸念を持っております。  そこで、最初の話、スリーマイルアイランドの事故の話がありましたけれども、スリーマイルアイランドの事故でも、ここから得た教訓の一つには、初動対応というのをしっかりとしていく必要があった、あるいはやるべき安全対策をしっかりやらなければいけなかった、こういうことが教訓としてあるわけでありますし、福島事故についても、国会事故調の結論は、あれは人災であった、なぜ人災なのかといえば、やるべきこと、そしてできることを十分にやらなかったからである、そういう結論が出されているわけであります。  そのあたりを考えると、安全対策については、予算がない、お金がないで済ませてはいけないと思います。  そこで、副大臣にぜひ伺いたいんですけれども、この安全対策の予算、今の状況を考えれば、県民の安全を守る、そしてしっかりと職場、現場の安全環境を守るという観点からも、より柔軟な予算のあり方というのが必要なのではないかと思うんですけれども、そのあたりの御答弁を願います。
  96. 永岡桂子

    ○永岡副大臣 浅野委員にお答えいたします。  ことし一月末に、日本原子力研究開発機構がプルトニウム燃料の第二開発室、これの管理区域内で発生させました汚染については、極めて遺憾であると思います。  本件につきましては、私自身をチーム長といたしまして、原子力機構特命チームを計三回開催いたしました。そして、原子力機構の理事長より原因及び再発防止について直接聴取するなど、安全対策の徹底について指導を行っているところでございます。  本件に関する対応も含めまして、委員の御質問のとおり、原子力機構の安全対策に係る予算の確保というのは大変重要でございます。  文部科学省としては、二〇一八年度の二次補正予算におきまして、高経年化対策又は安全対策の工事などの緊急対策のために約三十億円の措置をしているところでございます。また、二〇一九年度の予算におきましても、施設の安全確保対策のために前年度約二十億円増の百二十七億円を措置しているところでございます。  今後も、原子力機構において適切な高経年化そして安全対策実施されますように、監督官庁として、引き続きまして必要な対策を講じてまいります。
  97. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  ぜひ、安全は全てに優先するというのはいろいろな産業の現場でも共通語になっておりますし、特に、この原子力分野、一つ事故がその事業所で働いている方々の安全のみならず地域の安全に直結する分野でございますので、しっかり予算措置の面でも安全最優先でやっていっていただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。  これに関連して、今度は規制委員会の方にも質問させていただきますが、そもそも安全対策に対して、規制委員会からさまざまな具体的な指摘というのがこれまでもされてきていると思いますが、その制度そのものが少し、最近、これから変わっていくそうだという話を聞いております。  検査制度改正が行われるということで、昨年の十月から試験的に行ってきたということでありますが、今度の十月から本格的な運用がスタートするというふうに聞いております。この何が変わるのかというのを、ぜひわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  98. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  御質問にありましたいわゆる新検査制度ですけれども、これは先般国会でお認めいただいて、法改正に基づいて我が国の原子力に係る検査制度を大きく変えようとするものであります。  従来の検査制度というのは、対象ごとに細切れになっておりまして、また、一番のポイントは、あらかじめ決められたことのみを確認するという、いわゆるチェックリスト型の運用にとどまるという傾向を強く持っておりました。  そこで、お認めいただいた法改正によって、事業者の安全確保に関する活動全体に網をかけて、特に、懸念事項を重点的に確認するなどめり張りを持った検査、それから、先ほど阿部先生からの御質問の中にありましたけれども、この制度は米国の原子力規制委員会制度に倣ったものでありますけれども、いわゆるレジデントインスペクターという検査官が、例えば原子力発電所に常駐をして、さらにフリーアクセスをという形でどこへでも入っていけるという形での検査を年間を通じて行うというような形に改めてまいります。  具体的な機器一つ一つのチェックは事業者がみずから行って、その事業者が行うプロセスを私たちが監視してまいります。また、安全への影響の大きな事項については、追加的な検査を行うことなどによって安全の確保につなげていく。  実質的な安全性の向上に、より効果のある検査制度となるよう、現在は、いわゆる試行中、練習ですね、今、事業者とともに、特定のサイトでもって、新検査制度に基づく検査の試行的な運用を行っておりまして、これをもうあと一年、来年度を続けて、再来年度から本格施行に入る予定でおります。
  99. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  本日の資料の二というのをごらんいただければと思うんですが、今御説明いただいた内容を、改正前のものと改正後のものを比較表の形で規制委員会が出したものが、こちらの表になります。  私、きょうは、ぜひ委員長に留意いただきたいことを二点申し上げたいと思うんです。  まず、一番から四番まで縦に項目が並んでおりますけれども、一番の項目の改正後のところをごらんいただきたいんですが、今委員長がおっしゃっていただいたように、まずは事業者みずからが検査義務を課される、そして「規制機関の役割は事業者の取り組みを確認するものへ。」というふうに書いてあります。  これは、見方によっては、安全を守るという行為を事業者に丸投げしているのではないかというような表現ともとれるわけであります。規制機関の役割は取組を確認するものへと、確認するだけなのか。それだけでは、やはり私は不十分だと思います。  ですから、そうではない、丸投げではない、しっかりと、先ほど委員長規制委員会の独立性というのが大事だという話をされておりましたけれども、独立性だけでなく、それに加えて、規制に関して主導的立場をとる、これをしっかりと出していっていただきたいと思います。  そして、二点目ですが、ページの下に、欄外に書いてあるところをごらんいただきたいんですけれども、規制機関の検査の際には、事業者の弱点や懸念点などに注視して監督を行うというふうに書いてございます。  先ほどの日本原子力研究開発機構の場合は、弱点を挙げるとすれば、やはり、先ほど申し上げた予算の裁量性というのは一つ弱点と言えるのではないかと思いますが、こういう部分についても、限られた予算でできることではなく、そういうものにかかわらず、やるべきこと、やらなければいけないことをしっかり規制委員会としては指摘をしていく、監督をしていく、これを徹底していただきたいと思います。  これについて、委員長、もしあればよろしくお願いします。     〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
  100. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  まず、一つ目の点ですけれども、決してこれは安全確保の検査にかかわる責任を事業者に丸投げしようとしているわけではありません。  ただし、新制度の趣旨というのは、事業者が本来持っている責任を私たちが肩がわりするものではない、彼ら自身が運用し、保全する設備ですので、その検査事業者の責任においてきちんとやられるべきものだと思っています。一方で、私たちはそれを、プロセスがきちんとなされているかどうかは、これはしっかりと監視してまいりたいと思います。  二つ目、これは、安全上必要なことであれば、その経費や必要となる予算にかかわらず、私たちはしっかりと、指導、また必要な場合は事業者に対して要求をしてまいりたいというふうに考えております。
  101. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  この質問は以上になります。副大臣もありがとうございました。  では、二つ目のテーマに移りたいと思いますが、二つ目のテーマは、今後の原子力分野。  今、再稼働の問題や、いろいろな原子力発電所を動かす、動かさないの議論はございますし、まだその結論が出ていない状況にはありますが、いずれにしても、廃炉そして使用した燃料処分の問題というのは、必ず行わなければならない問題であります。これを担う人材の育成というのは極めて長期的な課題でございまして、これはしっかり今から議論していかなければなりません。  まず、現状認識を伺いますが、原子力にかかわる仕事を志望する学生の状況、そして、これは次の質問もあわせて聞きますけれども、日本の原子力技術の国際的な水準、立ち位置等、その現状について説明をいただけますでしょうか。
  102. 増子宏

    増子政府参考人 お答え申し上げます。  まず、学生の状況でございますが、我が国の大学及び大学院の原子力関連の学科等への学生の入学者数につきましては、学校基本統計のデータによりますと、東京電力福島第一原子力発電所事故以降に減少しております。直近の平成三十年度の入学者数が二百六十二人でございますが、いまだ震災直前の三百十七人の水準には戻っていないという状況でございます。  また、学生の原子力関連企業の志望の状況につきましても、一般社団法人日本原子力産業協会のデータによりますと、この協会が関西原子力懇談会と共催する原子力関連企業の合同企業説明会というのがございますが、この学生の参加数につきまして、原子力、エネルギー系分野の参加学生数は震災以降も横ばいで推移しているものでございますが、一方、電気、電子系、これは震災前は四百人を超えていたんですが、現状では百人を切っているという状況でございます。また、機械系につきましては、三百人を超えていたんですが、現状では五十人を下回っているということでございます。  この二つの分野というのは原子力産業を支える非常に重要な分野でございますが、参加数は、今申したとおり、減少したままになっているところでございます。  また、先生御指摘の原子力技術の国際的な状況ということでございますが、原子力研究開発に関する国際的な研究開発の動向調査、これにつきましては、データベースを活用しまして、文部科学省が昨年十二月に集計したデータがございます。  これに基づきますと、原子力研究の主要な分野でございます核物理そして原子力工学の論文数につきましては、アメリカ、中国といった国々が近年大きく数字を伸ばしているという状況の中、我が国の論文数については横ばいという状況でございまして、相対的に地位が低下しているということが言えるのではないかというふうに考えてございます。  一方、論文の質を示唆いたしますトップ一〇%論文数の割合につきましては、日本、アメリカ、中国の三カ国で比較してみたところ、直近の状況といたしましては、核物理の分野では、我が国は、わずかではございますが、アメリカ、中国を上回っているという状況でございます。一方、原子力工学の分野につきまして、我が国は、アメリカには及ばないものの、中国を上回っているという状況でございます。  このように、原子力が抱える多様な課題解決のためには原子力分野の研究開発の推進が重要でございますので、引き続き、文部科学省といたしましても、原子力分野の研究開発に係ります取組をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  103. 浅野哲

    ○浅野委員 今回答いただいた部分については、私の手元の資料の四あるいは五にも同じようなデータをつけさせていただいておりますが、資料五の方に今御回答いただいた論文数の推移というのがございます。相対的に日本の位置が低下しているという表現を使われておりましたけれども、相当差がついています。こういう状況に我々は危機感を持たなければいけないんじゃないか。論文の数が全てではありませんけれども、そのくらい国内に知見が蓄積されているということの一つの指標ではありますので、若い人たちをしっかりと育成、確保していく取組というのが非常に重要になってくると思います。  そこで、次の質問に行きたいと思いますが、現在政府が主導的に行っている人材育成の取組状況、どういう取組をやっているのか、簡単に御紹介いただけますでしょうか。
  104. 増子宏

    増子政府参考人 お答え申し上げます。  文部科学省の原子力分野におきましては、東電福島第一原子力発電所の廃止を始め、長期にわたる課題解決に必要な人材育成が重要であると当然考えているところでございます。  このため、文部科学省では、英知を結集した原子力科学技術人材育成事業というものを行っておりますが、この事業を通じまして、大学や高等専門学校におきまして、多様な分野の知見を結集した廃炉に資する遠隔技術あるいは分析技術などの基礎研究を推進するとともに、産学連携講座あるいはワークショップの開催などの教育プログラムを実施しているところでございます。  例えば、福島高専では、廃炉創造ロボコンというものを開催いたしまして、ロボット製作などを通じて、学生に廃炉に関する興味を持たせるとともに、学生の創造性の涵養を目指した取組を進めているところでございます。  また、もう一つの事業がございまして、国際原子力人材育成イニシアティブ事業というのがございます。この事業では、大学や高等専門学校などにおける原子力関連教育のカリキュラムあるいは講座の高度化あるいは国際化の取組を支援するということで、原子力人材の育成、確保を進めているところでございます。  具体的には、遠隔テレビ講義の導入あるいはEラーニング教材の開発といった、原子力に関する高等専門学校における教育の高度化などを支援しているということでございます。  文部科学省といたしましては、引き続き、原子力基盤の安全を支える幅広い分野における人材育成をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。     〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  学生を対象とした取組は各種行っていただいていることがよくわかりました。  翻って、では、それを教える人がこれからもちゃんと確保できるのかという部分についても議論をしたいと思うんですけれども、資料の三をごらんいただくと、ことしの二月八日の日経産業新聞の記事で、人材が維持できるのかという懸念の記事が出ておりますが、線を引いたところの二列目の左側、大学の原子力離れがとまらない、そして、その一段下の中ほどになりますが、教員の数も、二〇〇四年時点で四百三十八人いたが、定年などにより一三年度までに二割以上減少していると。教える人がどんどん減っているんだというような記事が出ておりました。  ぜひこういう部分についても、これは質問ではなくお願いですけれども、教員の確保、これは若い人たちを育てるとはまた別のアプローチが必要になることも考えられますので、持続性を高める意味ではそういった面も配慮をいただきたいと思います。  残り時間もわずかになりましたので、最後になりますが、今度は規制委員会の中での人材育成について伺います。  原子力安全分野における人材を育成するためには、規制する側の人材も育てていかなければいけません。これについて、今の取組状況等についてお答え願います。
  106. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  科学的、技術観点から原子力規制、厳正な規制を進めるためには、専門性を有する人材の確保、育成が非常に重要である、また大きな課題であるというふうに考えております。  そのため、まず、平成二十六年三月に、原子力規制委員会のもとに、原子力規制庁とは別に、職員研修に専念する組織として原子力安全人材育成センターというものを設置しております。  特に、二〇二〇年度から開始される新たな検査制度に対応するためには、米国の原子力規制委員会に倣って、検査官の教育訓練課程及び資格認定の仕組みを創設し、平成三十年度より二年間の教育訓練課程を開始いたしました。  また、原子力安全人材育成センターでは、発電炉を模擬したシミュレーター、プラントシミュレーターを使った研修等を鋭意進めているところでありますし、また、ごく最近ではありますが、日本原子力研究開発機構との間で研究職職員の育成に係る協定を取り交わすこととしまして、共同研究にそういった研究職職員を参画させることでもって人材育成を図ろうとしております。
  107. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。引き続き議論させていただきます。  きょうは終わります。
  108. 高木毅

    高木委員長 次に、藤野保史君。
  109. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  早速質疑に入りたいと思いますが、二月二十七日の予算委員会第六分科会で、私の質問に対して更田委員長が答弁をいただきました。  その質問というのは、関西電力が、福井県若狭湾の三原発、美浜、高浜、大飯について、鳥取県の大山からの火山灰の厚さが最大で十センチであることを前提に再稼働を申請し、規制委員会も十センチを前提に許可を出したというものなんですが、その後、規制委員会が新しい知見として、京都市の越畑地点で大山の火山灰が二十五センチという新知見を確認された。規制委員会は、これに基づいて、今、報告徴収命令を出して、関西電力に再調査をさせております。そうであれば、私の質問としては、この再調査の結果が出ないと許可の前提が整わないわけでありますから、三原発の運転をとめるべきだ、これが私の質問だったわけですが、それに対して委員長が答弁をされた。  配付資料の一を見ていただきますと、「越畑地点は、大山に対して、相対的な位置から考えて三発電所よりも近い地点にあります」という答弁でありました。  委員長に確認したいんですが、大山と越畑、あるいは大山と三原発の距離というのはそれぞれ何キロなんでしょうか。
  110. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  大山火山と関西電力の三発電所及び越畑地点の距離につきまして、これは大変申しわけございませんけれども、先般、私の答弁の中で、これは誤った認識をしておりました。  まず、距離についてお答えをいたしますけれども、大山火山と高浜発電所との間が百八十キロメートル、大飯発電所との距離が百九十、美浜発電所との距離が二百二十、これに対して、京都府越畑地点との距離が百九十でございました。  先日の衆議院予算委員会第六分科会、あの二月二十七日の答弁のうち、越畑地点は大山に対して相対的な位置から考えて三発電所よりも近い位置にある旨の答弁をいたしましたけれども、これは、先ほど申し上げましたように、事実関係を誤認しておりまして、誤った答弁であったために、当該部分の発言は撤回させていただき、おわびを申し上げたいと思います。
  111. 藤野保史

    ○藤野委員 そもそも私は余り距離のことは聞いていなかったわけでありまして、といいますのも、やはり風の向きだとか風の強さによって灰がどこまで飛ぶかというのはわからないわけであります。  確かなことは、規制委員会が三つの原発に許可を与えた前提が変わるおそれが出てきたわけですね、十センチから二十五センチ。だから再調査規制委員会自身が命令をされている段階であります。  ですから、規制委員長にお聞きしたいんですが、この再調査と再評価が終わるまでは、前提が整わないわけでありますから、この三つの原発、これはやはり運転をとめるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  112. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  京都府越畑地点での新知見に基づいては、関西電力の三発電所原子炉設置変更許可の際の前提条件に有意な変更を生ずる可能性があると考えられるために、同社に対して、敷地における降下火砕物、いわゆる火山灰の最大層厚等について、今月末までに報告をするように指示をしているところであります。  事業者からの報告内容は、速やかに公開の会合で審議し、遅くとも四月中をめどに、原子力規制委員会として、これに基づく規制上の対応の要否及びその内容について判断することといたしております。  大山火山は活火山ではなく、噴火が差し迫った状況にあるものではないことを踏まえ、原子力規制委員会の判断が確定するまでの間は、原子炉の停止は求めないこととしております。
  113. 藤野保史

    ○藤野委員 噴火のおそれとか可能性の話は、私が今質問したのは、二十五センチが仮に新知見としてこれが事実だとしますと、先日も予算委員会で指摘しましたが、関電も、建物自体が重さに耐えられないというふうに言っているわけであります。ですから、この二十五センチということが問題であって、それがまだ決まっていないもとで、許可を出された前提が、今おっしゃられたように、有意な変更があり得るわけですね。  ですから、そこが問題なのであって、だからこそ徴収命令という罰則つきの重い命令を出されているわけで、それが、何か噴火のおそれが少ないからとめないという結論が先にあるかのようなお話をしているというのは、私は、委員会、要するに、原発安全性審査する、その審査の前提である十センチが変わり得るという、その審査の問題として、規制委員会の責任がこれでは果たせないじゃないかということなんですね。ですから、何のための徴収命令か、みずから出されているわけですが、そういうことにもなりかねない問題だということは指摘したい、強く指摘したいと思います。  その上で、きょうはプルトニウムの問題についてお聞きをしたいと思っております。  配付資料の二を見ていただければ、これは皆さんも御存じだと思うんですけれども、原子力委員会が、我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方、七月三十一日に改めて出されました。利用目的のないプルトニウムは持たない、プルトニウム保有量を減少させるということ、現在の水準を超えることはないというちょっと表現はあるんですが、プルトニウム量を減少させるということでございます。ところが、実際はどうかということなんですね。  福井県の敦賀市にある原子力研究開発機構、いわゆるJAEAは、新型転換炉「ふげん」について、既に二〇〇三年三月に運転を停止し、廃止措置作業を進めています。  配付資料の三を見ていただきますと、JAEAは、現在までに、使用済み燃料千四百五十四体のうち、上の部分、上の方ですけれども、七百二十三体については再処理を行ってプルトニウムを取り出しております。問題は、残る七百三十一体、下の部分なんですね。  JAEAにお聞きしたいんですが、昨年十月、フランスのオラノサイクル社との間で、この残る七百三十一体の使用済み燃料を搬出する契約を結んだと思いますが、間違いありませんか。
  114. 伊藤肇

    伊藤参考人 先生の御質問にお答えいたします。  原子力機構は、「ふげん」の使用済み燃料の搬出に関します技術検討を進めてまいりまして、昨年十月、搬出に向けました詳細工程の検討等を行うための準備契約をフランス・オラノサイクル社と締結したところでございます。
  115. 藤野保史

    ○藤野委員 七月三十一日に新たな、新たなといいますか、方針を出された三カ月後にこの契約が結ばれております。  この契約に先立って、二〇一八年三月十三日に、JAEAは原子力規制委員会に対して設置変更許可申請書の補正書を提出しております。  JAEAにお聞きしますが、変更内容はどのようなものでしょうか。
  116. 伊藤肇

    伊藤参考人 「ふげん」につきましては、原子炉設置変更許可中の使用済み燃料処分の方法におけます記載を、「使用済燃料は、国内又は我が国と原子力の平和利用に関する協力のための協定を締結している国の再処理事業者において全量再処理を行う。」と変更したところでございます。
  117. 藤野保史

    ○藤野委員 配付資料の四を見ていただければと思うんですが、変更前は、一番左でありまして、「使用済燃料は、当事業団再処理施設にて再処理を行なう。」要するに、当事業団ですから国内ですよね。それが、補正前という真ん中のやつ、これは、真ん中のやつで、補正前で、「全量を譲り渡す。」という表現になっておりまして、これは、規制委員会の中で、譲り渡すというのは要するに再処理のことなんだろう、再処理であればそのように明記すべきだという指摘を受けて、今御答弁があったように、国外、国内又は、要するに原子力協定を結んでいる国を加えて、かつ、最後の部分で「全量再処理を行う。」と記載の明確化が行われたわけであります。  ここで記載された、外国、国内以外の再処理はどこかということなんですが、二〇一八年の十一月十四日に、イギリスのセラフィールドの再処理施設、商業用再処理施設THORPが操業を終了いたしました。  経産省にお聞きしますが、このもとで、我が国と原子力協定を結んでいる国で、かつ商業用の再処理工場はフランスのラ・アーグにある施設のみだと思うんですが、いかがでしょうか。
  118. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  我が国の電気事業者使用済み燃料につきましては、過去、イギリスの現NDA及びフランスの現オラノ社に対して再処理を委託しておりましたが、現在、イギリスのNDAは使用済み燃料の再処理実施していない一方で、フランスのオラノ社は、他国の使用済み燃料についても再処理実施しているものと承知してございます。
  119. 藤野保史

    ○藤野委員 私も二〇一六年にこのラ・アーグの再処理工場を視察させていただきましたが、まあ、事実上ここだけだということであります。  JAEAにお聞きしたいんですが、搬出する契約を結んだ、搬出するということなんですが、搬出した後は、結局このラ・アーグで再処理するということなんでしょうか。
  120. 伊藤肇

    伊藤参考人 お答えいたします。  「ふげん」の使用済み燃料の搬出に関する技術検討を進めておりましたが、搬出に向けました詳細の工程等の検討を行うために準備契約をオラノサイクル社と締結したものでございまして、オラノサイクル社におけます再処理決定したものではございません。
  121. 藤野保史

    ○藤野委員 ここが極めて不自然なんです。明言されないんですね、事前のレクなどでも。  ただ、JAEA自身が方針を変えて、国内だけで処理すると言っていたものを国外でもできますよというふうにわざわざ方針を変えたわけですね。そして、その十月にはフランスのオラノ社と搬出準備契約を結んだわけです。フランスには世界で唯一の再処理工場がある。  こうなりますと、どこから見ても、このフランスのラ・アーグで再処理するとしか考えられないわけですが、しかし明言はされないんです。ここがやはり、されないんですよ、不思議なことに。  ちょっと逆に、確認させてもらいますけれども、JAEAに。先ほど言った、「ふげん」の使用済み燃料を再処理することで、どれぐらいプルトニウムが出てくるんでしょうか。
  122. 伊藤肇

    伊藤参考人 お答えいたします。  「ふげん」の使用済み燃料に含まれますプルトニウムの量は、原子力機構の計量管理値で約一・三トンでございます。  なお、この数値につきましては、実際に再処理をいたしました場合には数値は異なる可能性がございます。
  123. 藤野保史

    ○藤野委員 いわゆる再処理のいかんで多少の変化はあるとしても、一・三トン前後のプルトニウムが出てくるわけであります。結局ふえるわけですね、端的に言いますと、再処理を行うと。  文科省にお聞きしたいんですが、配付資料二にあるプルトニウム利用の基本的な考え方、原子力委員会にも後でお聞きしますが、これは結局、減らす、減少させるという方針なんですけれども、しかし、この「ふげん」の再処理が行われれば、今言ったように一・三トン前後のプルトニウムがふえるわけですね。こうなってしまいますと、この政府方針に反するんじゃないですか。
  124. 増子宏

    増子政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど原子力機構からも御説明ございましたが、「ふげん」の使用済み燃料の再処理につきましては、現時点では再処理先あるいは時期等は決まっておりませんので、具体的な利用方針についてはお答えすることができませんが、いずれにしましても、日本は、プルトニウムに関して、平和利用を大前提に、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を堅持しておりますので、また、昨年の七月三十一日に改定されました我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方の方針では、我が国のプルトニウム保有量は、この考え方に記載される措置の実現に基づきまして、現在の水準を超えることはないというふうになっております。  「ふげん」の使用済み燃料に係る取扱いについても、こうした原則を守りながら、原子力委員会決定と整合するよう対応することになろうかというふうに考えているところでございます。
  125. 藤野保史

    ○藤野委員 いやいや、もう契約が、準備契約が結ばれて、フランスの会社と、搬出をするわけですよね。既にもう半分はしちゃっているわけですから。ですので、残りの半分をするということは決まっていて、しかし明言はされないんですね、その再処理が、先が決まっていないとか、時期が決まっていないとかいろいろおっしゃいますが。おっしゃるんですが、しかし、これはもうどう考えても一・三トンふえるわけであります。政府が減少させるという方針に反するわけですね。  利用方法が決まってからとかおっしゃるんですが、配付資料の先ほどの四で、JAEA自身が方針を変えて、全量処理すると書いているんですね。もともとの方針処理するという文言だったのが、全量処理するというふうにわざわざ、新しい方針では全量という言葉まで加えられている。だから、この残りの七百三十一体も処理するわけですよ。そうしたら、今言ったように、プルトニウムが出てくる。  これは原子力委員長にお聞きしたいんですが、原子力委員長から見ても、これは方針に反するんじゃないですか。いかがですか。
  126. 岡芳明

    ○岡参考人 お答えいたします。  原子力委員会では、我が国の保障措置活動を通じて、国内の全ての核物質が平和利用に、平和的活動にとどまっているとの結論を国際原子力機関から得ております。  使用済み燃料については、国内又は我が国と原子力の平和利用に関する協力のための協定を締結している国において再処理をするということを確認いたしました。  これを踏まえて、発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないものと認められるとする原子力規制委員会の判断を妥当としたものでございます。
  127. 藤野保史

    ○藤野委員 ちょっと全くお答えになっていないんですけれども、平和的かどうかなんか私は聞いていないんです。  要するに、「ふげん」の残りの七百三十一体が処理されれば、ふえますよね、プルトニウム、一・三トン前後。これは方針に反するんじゃないのかという質問なんです。ちょっともう一回お願いします。
  128. 岡芳明

    ○岡参考人 我が国の原子力利用は、原子力基本法にのっとり、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を堅持しております。「ふげん」の使用済み燃料の再処理についても、この考え方に基づいて行われるものと理解をしております。
  129. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、それもお答えになっていないんです。  ふえますよねということであって、これは減少させるという原子力委員会方針に反しますよねという質問なんですが。ちょっと重ねてで恐縮ですけれども、この点についてお答えいただけますか。
  130. 岡芳明

    ○岡参考人 プルトニウム利用の基本的な考え方を昨年の七月三十一日に出してございます。  今の資料にございますが、その四に、「研究開発に利用されるプルトニウム」、「ふげん」のプルトニウムはこれに該当いたしますが、「情勢の変化によって機動的に対応することとしつつ、当面の使用方針が明確でない場合には、その利用又は処分等の在り方について全てのオプションを検討する。」これは「ふげん」には限りませんけれども、研究開発にかかわるプルトニウムについての私どもの考え方でございます。
  131. 藤野保史

    ○藤野委員 これも、ふえるかどうかという質問に答えていないんですが、要するに答えられないということなんだと思います。これについては、また別途の機会でやりたいと思います。  きょうは経産省も来ていただいているので、最後、経産省にも確認したいんですが、エネルギー基本計画にも、プルトニウムを減らすと書いてあるんです。このプルトニウムの減少に取り組むという文言に続いて、例えばプルサーマルを進めるとか、新たな、いろいろやると書いてあるんですね、プルトニウム保有量の削減について。  ただ、国内の推移を見てみますと、プルサーマルの発電は計画どおりには全く進んでおりません。また、日本原燃の六ケ所再処理施設やMOX燃料工場の竣工や稼働もめどが立っていない。さらに、仮にそれが、あるいは例えばプルサーマルが進んでも、MOX燃料処分法が決まらない限り、今度はMOX燃料がたまっていくということになっておりまして、まさに八方塞がりという状況で、つまり、国内ではプルトニウムが減る見込みというのは全くないわけですね。  他方、海外では、逆に、減るどころか、前半見ましたように、ふえてしまう。減らないで、ふえるということなんですが、これはエネルギー基本計画に反するんじゃないですか。
  132. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 エネルギー基本計画にも書いてございますとおり、電気事業者が保管するプルトニウムにつきましては、プルサーマルを一層推進してこれを減らしていくということにしているわけでございまして、現在、プルサーマルを行う計画を有する原発のうち、既に、高浜原発三、四号機、玄海原発三号機、伊方原発三号機の四基が再稼働しておりまして、プルサーマルを実際に実施しているところでございます。さらに、六基の原子力規制委員会審査を受けているという状況もございます。  こういった取組を進めまして、しっかりとプルサーマルを通じたプルトニウムの量の削減ということを、エネルギー基本計画、それから政府方針に沿ってしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。
  133. 藤野保史

    ○藤野委員 もう終わりますけれども、四基ですよね。二〇二五年、何年か前には十六基とおっしゃっておりました。そういう意味では、もう破綻したエネルギー基本計画そのものをやはり見直すべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。
  134. 高木毅

    高木委員長 次に、足立康史君。
  135. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうは、久しぶりの原子力問題調査特別委員会ということで、ちょっとふだんから問題意識を持っている点を二点ほどやりたいと思います。  この後、井出庸生委員が、この原子力特委の果たすべき役割みたいなことに焦点を当てていろいろな議論をされるので、大変関心を持ってこの後も拝見をしたいと思っていますが、私も同じように、規制委員会更田委員長、お越しをいただいて、こうしてやっているこの委員会の役割というのがあって、例えば経産委でもできること、これは経産委でも、私も経済産業委員会も兼務しておりますので、いろいろあると思うんですが、更田委員長としっかりやりたいのは、やはり、規制委員会規制行政って何かということですね。  ちょっと順番を変えて、きょうは二つのテーマ、熊本地震の話とそれから処理水の話をやりますが、ちょっとごめんなさい、順番を変えて、先に処理水の話を議論させていただきたいと思います。  従来から、例えば前の規制委員長の田中委員長は、再三早く放出しろということをおっしゃって、私もこの委員会で、田中委員長、そのとおりだ、田中委員長おっしゃっているとおりだ、早く、何で放出しないんだということを申し上げていました。  だから、規制委員会として一定のそういう御見識を披露される、僕はありだと思うんですけれども、一方で、きょう、自民党の宮澤博行委員質疑でもありました。経産省がボールを持っているんですね、今。新川審議官、お世話になります。これは、細かいことはいいです。とにかく、ALPS小委とかいろいろなところで、先ほどもあった風評対策とか議論されていますよね。  結局、この処理水の問題の関係者というのは、経産省のそういう検討会、小委員会をやっている、それから、東電が当事者、規制委員長がさまざまな発言をされてきた、この三者あるんですけれども、今、ボールは新川さんのところで持っているということでいいですか。
  136. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  現在、多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理した水の取扱いにつきましては、経済産業省で行っております小委員会で総合的な議論をさせていただいております。
  137. 足立康史

    ○足立委員 すると、私は、本来ボールは東電が持っていて、当たり前ですよね、これはもともと東電の仕事ですから。きょうは東電、仕事をちゃんとやってもらった方がいいので呼んでいませんが、本当は東電がボールを持っているんです。それに対して、科学的な、科学的でもないかな、規制委員長としてさまざまにそれを促す発言をしてきた。でも、今伺うと、実はボールは経産省が持っているんですよね。  私は、処理水放出を早くした方がいいというのをずっと言っていきますが、経産省がとめているということでいいですね。
  138. 新川達也

    新川政府参考人 先ほど申し上げましたALPS処理水取扱いにつきまして、国の小委員会で総合的な議論をさせていただいております。  いかなる処理方法になるのかということにつきまして、科学的見地だけでなく、社会科学的な見地も含めまして御議論させていただいているということでございます。
  139. 足立康史

    ○足立委員 だから、だって、検討しているんだったら、検討が終わるまで東電は動けないですよね。  規制委員長も、かつて田中委員長は、私、ごめんなさい、最近ちょっと地元の選挙で忙しくて、なかなか更田委員長の発言、昔はよく規制委員会の記者会見を全部見ていたんですけれども、ちょっと足元で見れていませんが、更田委員長は、この処理水を早く放出しろと田中委員長がおっしゃっていたようなことは言っておられるんですか、言っておられないんですか、いつも。
  140. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  いわゆる処理済み水の、処理を済んだ水の、トリチウムだけが残っているわけですけれども、これを希釈して海洋放出するということに関しましては、先生御指摘のように、田中委員長時代から、規制委員五名全員一致の判断で、海洋放出というのを手段として、見解として申し上げてきました。また、田中委員長もさまざまな機会にこれを促す発言をされております。  また、私が田中委員長の後任として着任したときに申し上げたのは、処理済み水の処分方法としては実行可能な唯一の選択肢という旨を会見で申し上げております。これは、田中委員長時代と、規制委員会の見解は何ら変わるものではありません。  しかしながら、一方で、影響をこうむる方々がおられることも事実で、また、こういったものに関しては、共通理解を持つまでのプロセスに時間がかかることは理解をしなければなりませんので、早期にということを特に強調しているわけではありませんけれども、廃炉作業が円滑に進むためには、判断が早くなされることが有益であろうというふうには考えております。
  141. 足立康史

    ○足立委員 だから、結局、原子力行政の最大の問題は、内閣と、内閣からまた、まあ内閣の傘下にあるわけですけれども、規制委員会と、規制行政と、原子力政策、原子力行政全体を、例えば再稼働の問題は、エネルギー基本計画で、私はこれは問題だと思っていますけれどもきょうはやりませんが、内閣はエネルギー基本計画で規制委員会に丸投げして、再稼働のボタンは規制委員会が押すことになっているんだけれども、規制委員会は、いや、僕たちは別に、規制基準に照らしてどうこう言っているだけで、判断は政府だといって、政府は、いや、規制委員会にボールを預けてボタンを押してもらう。でも、規制委員会は、いや、それは政府の問題だと。こういうのが続いているんですね。  きょうはそれはやりません。やりませんが、例えば処理水一つとっても、当事者である東電と、今御紹介があったような立場をとる規制委員会と、そしてボールを持っているように見える経産省。はっきりしてほしいんですよ。  要すれば、だから、はっきりしてくれたらもう東電に言わないから、僕は。東電に早くしろと言っても仕方ないでしょう、経産省がボールを持っているんだから。だって、経産省が対策検討している間に東電は動けないじゃないですか、当たり前でしょう。規制委員会が幾ら委員皆さんで一致したといっても、政府がボールを持っているんだから、私は、だから、規制委員長が何と言おうと、東電が何と言おうと、経産省の検討がしっかりと調うまで放出はできないという、要は、ボールは経産省にあるんだ、ザッツオールということでいいですね。それは大事な問題だからね。
  142. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  この検討につきましては、これまで小委員会を合計十二回開催しまして、風評被害のメカニズムや福島での実態を専門家や当事者の皆様からお聞きするとともに、社会的影響の考え方について議論を深めてきました。  まずは小委員会議論を尽くすことが重要であると考えておりまして、引き続き、スケジュールありきではなく、丁寧に検討を進めていく所存でございます。
  143. 足立康史

    ○足立委員 いやいや、だから、要は、三者の中で今ボールは経産省にあるんだ、だからあとの二者は動けないんだということにしか見えないんだけれども、それはそうですか。違うならどう違うのか。ちゃんと答えてもらわないとこれは終わらないですね。
  144. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  現時点におきまして、経済産業省のALPS委員会におきましてこの問題を検討させていただいております。
  145. 足立康史

    ○足立委員 まあ、いいけれども。ちょっと、じゃ、経産大臣とまた経産委でやりますけれども、しっかりこれはちゃんと準備してきてよ、ちゃんと通告しているんだから。要は、ボールを持っているんだったら、私が幾らこの委員会規制委員長にもっと言えって言ったって仕方ないわけですよ。だって、経産省がボールを持っているんだから。  そういう、内閣の方針規制行政と東電、この三つの無責任体制が最大の問題なんですよ。だから、私たち日本維新の会は、原発再稼働責任法案という法案をつくって、今ちょっとリバイズしていますが、責任を明確にすることが全ての出発点なんです。この委員会だって、この委員会で何をやるんだって責任がはっきりしていなかったら、この委員会で何をやっているかよくわからないじゃないですか。ということを問題提起。  だから、もう一つ申し上げると、維新以外の野党がつくっている原発ゼロ法案というのはできが悪いですから。だからしっかり、そういうできの悪い法案じゃなくて、私たちの日本維新の会の原発再稼働責任法案、ここ、今、更にブラッシュアップしていますけれども、これはぜひ自民党の先生方も、細田先生も、ぜひ、また一回うちの事務所、あ、先生の事務所に伺いますので、またゆっくり御相談に乗っていただけたらと思います。  さて、あともう一点ですね。  熊本地震がございました。熊本地震を受けて、基準地震動の見直し議論された時期があったというか、新聞をにぎわしたことがありました。僕は、早くこれは反映をさせていくべきだと思います。  当時、二、三年前に新聞をにぎわした纐纈先生という方がいらっしゃって、纐纈先生が二〇一六年の秋に、まさにこの〇六年のレシピ、レシピというのは、何かあるんです、そういうのが。文科省の地震調査委員会で、〇六年のレシピと〇九年のレシピというのがあって、まあいろいろあるんです、議論が。これは検索したらいろいろ新聞記事が出てきますよ。もうみんな忘れていますけれども、忘れたらだめですよ。そういうことを忘れずに、追っかけるためにこの原子力問題調査特別委員会があるわけですから。  規制委員長、これは、熊本地震を受けて、いろいろな議論があります。これは、規制基準にしっかり反映が終わったということでよろしいですか。質問が悪いですか。
  146. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  熊本地震の後、先生のおっしゃるように、報道等があったこと、それから纐纈先生のレシピに対する御指摘等々があったことは承知をしております。  ただ、熊本地震は、十分に現行の地震に関する規制の中で考慮されているという認識を既に持っております。
  147. 足立康史

    ○足立委員 事務的にいろいろな議論をしてきています、私も。規制庁の職員の皆さん議論をしてきていますが、端的に言うと、まだ反映はちゃんとできていないんだけれども、もともと安全率がかかっているから。  安全率というのは、保守性の考慮という言葉がよく記者会見とかでも出てきます。いろいろな段階で、地震を分析する、これは、文科省の傘下でいろいろなものが議論されています。地震調査研究推進本部地震調査委員会、もういいです、きょうは文科省もいらっしゃっているかもしれませんが、もう時間ありませんが。それから、それを受けて、規制委員会で、規制庁でさまざまな、それは地震、地盤、建物、いろいろなレイヤーがあるそうでありますが、そこでさまざまな保守性の考慮ということがされている。要は、安全サイドで全部基準をつくっているから。  そう言うんだけれども、委員長、これ、保守性の考慮をしているから大丈夫ですと言われたら、僕たち国会議員あるいは国民は、要するに、結局それはブラックボックスじゃないですか。そうでしょう、委員長。言っていることわかりますか。私は、それはブラックボックスですと言われたら、話にならないというか、もう国会をやっている意味がないですよ、こんな。  そうじゃなくて、熊本地震の纐纈先生のような議論は、実際に纐纈先生は学会でもう発表されているわけです、文科省はそれをオーソライズしていなくても。傾聴に値する指摘があるわけです。それを規制委員会はもっと重く受けとめて、だって、熊本地震から何年たっているんですか。熊本地震で我々は驚いたわけです、こんな地震が起こるのかと。今まで経験をしたことがないような地震が起こったわけです。  じゃ、熊本地震の知見を、経験を、科学的な分析を経ながら、あるいは科学というのはなかなかオーソライズしません、文科省はオーソライズするまでに時間がかかります。でも、それを待っている、文科省がオーソライズするのを待っているだけじゃないんでしょう、規制庁は、規制委員会は。学会の論文、そうしたものを全部レビューしながら、私は、委員長、これ、ちょっとサボっているんじゃないかなと。熊本地震に係るさまざまな研究をもっと迅速に反映させないといかぬのではないかと思いますが、いかがですか。
  148. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  熊本地震に限りませんけれども、新たな自然災害が起きた場合、それから新たな研究成果があらわれた場合、これを規制に取り込んでいくということは大変重要なことですし、必要な場合には、バックフィットとして要求に重ねていくということも重要であろうというふうに考えております。  一方で、科学技術の世界というのはさまざまな議論、さまざまな意見、さまざまな見解が出てまいりますので、一定程度それが定説となって、規制に取り込むべきかどうかの判断というのが一番最も肝要で、難しいところであります。新説が一つあらわれたからすぐにそれを取り込んでということであると、言いかえると、規制委員会としての、みずからの責任のもとでの判断というものを失うことになりますので、さまざまになされる科学的な指摘に対しては、これを十分に注視して、規制に取り込むべきかどうかというのは一つ一つ判断していく必要があると思っております。  先生の御指摘の中に具体的に出てくるものもその中の一つであるというふうに認識をしております。
  149. 足立康史

    ○足立委員 そういう御答弁になると思いますが、しかし、国民はみんな知っていますよ。熊本地震でびっくりした、みんな。委員長だって、いや、みんなそうでしょう。熊本地震が今までの地震とはちょっと違ったんですよ、あれは。それは委員長も多分御存じでしょう。御存じでしょうと言われても、はいと言えないか。  熊本地震というのは今までの想定外の地震だったんですよ。そうであれば、迅速に、いや、それはもともと安全率がかかっているからそこで吸収されて大丈夫ですとかいうブラックボックスの議論じゃなくて、熊本地震を経て、いや、まだ科学的ないろいろな意見が安定というか決着していないという、それは、決着するのを待っていたらこれはアウトですよ。国民原子力規制行政に対する信頼は絶対に維持できませんよ。  私は……ちょっと事務方、もっとちゃんと、それ、もう隣に座ってもいいですから。
  150. 高木毅

    高木委員長 足立君、質問してください。
  151. 足立康史

    ○足立委員 済みません。  だから、もう終わりますが、委員長、私は、やはり熊本地震を経て、あれだけ新聞もにぎわした。でも、にぎわしただけで終わっている。普通の人は忘れているかもしれませんが、我々原子力問題調査特別委員会委員だけは忘れちゃいけません、これは。  何か追加で、もうちょっと国民を安心させる、あるいは、そこはそうだから、これからやはり何かちゃんとやらなあかんと思われるのか、いやいや、全然やはり大丈夫だ、ブラックボックスでいいんだと。お願いします。
  152. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  一つは、技術レベルの成熟度にもよりますけれども、何かをこうなるであろうかと推測するときに二つの手段があって、一つの手段は、最も確からしくこうなるという点を定めてやって、それに最後に安全率というか、裕度を乗せてやるというやり方をするのが一番わかりやすいです。こうなるのが最も確からしいから、それに対して余分をこれだけとってありますと。  ところが、地震もそうですけれども、なかなか難しい問題に関して言うと、震源を確定させるときに余裕を乗せて、それから、それが伝わってくるところに余裕を乗せて、さらに、それをこうむる建物の耐震性にも余裕を乗せて。そうすると、それはブラックボックスではありませんけれども、各段で余裕が積まれていると、最終的にどれだけの余裕が生まれているのかということを説明するのはなかなか難しいですし、また、これは、説明するのが難しいというだけでなくて、これで納得しろというふうに言うのも難しいだろうと思っています。  地震に関しては、今申し上げたように、多段の余裕が積まれているがために、全体でどれだけの余裕があるかということをなかなか示し切れていないことは事実だと思っています。  熊本地震に関して重ねてお問いかけですけれども、これは、その積まれている余裕の中で吸収をしているというのは事実関係としてあると思っていますし、また、先ほど先生がおっしゃったレシピを用いて震源断層モデルを設定する際には、十分な地質調査を行って、震源断層が過小な評価にならないようにしている。  こういった調査ということは、二年という期間が短いと捉えるか長いと捉えるかは、これは視点にもよりますけれども、十分な調査を重ねて、今後とも、地震動評価に関しては正確また安全を期してまいりたいというふうに考えております。
  153. 足立康史

    ○足立委員 時間が来ましたので、以上で終わります。  ありがとうございました。
  154. 高木毅

    高木委員長 次に、井出庸生君。
  155. 井出庸生

    ○井出委員 信州長野の井出庸生です。  私も、当委員会、初めてきょう質問をさせていただきますので、きょうは、当委員会のこれまで六年余の取組と、それから今後の展望について少し議論をしたいと思います。  お配りしております資料の一枚目、二枚目をごらんいただきたいと思います。  これは、この六年余り、当委員会であった質疑を幾つか並べております。そして、その右側は、規制委員会がとった対応、措置を書いております。その関連性としては、当委員会でこういう質疑があった、それから、時系列を経て、その後、それに関連する、規制委員会としてこういう対応があったということを並べております。  例えば、一ページ一番上ですが、平成二十五年百八十三回国会で、独法原子力安全基盤機構の規制庁への統合についての質問があった。この問題は、同年百八十五国会で安全基盤機構の解散に関する法律が成立をしたことによって、右側にありますが、二十六年三月、統合が実現して、規制庁の人員はたしか千人に倍増になったり、人材の育成センターも設立をされたと聞いております。これは、当委員会質疑もそうですが、他の委員会審議された法案の成立によるところであったのではないか。  それから、一枚目の一番下に、二十六年百八十六国会原発のテロ対策、核セキュリティー対策についても質問が出ている。その対応は右側なんですが、例えば、実用炉で働く従業員等の身元調査、これを二十八年九月から、規制委員会規則などを変えて実施。それからその下、実用炉以外の施設でも内部脅威対策を、規制委員会の規則、運用の改正によってことしの三月から少し実施をされている。テロ対策、セキュリティー対策というものは、当委員会での指摘も当然たくさんございますし、ほかでもあったことではないかと思います。  そうした例を幾つか、二ページにわたって紹介をしておりますが、きのう、この紙を通告の段階でもお渡しをしておりますが、幾つか事例を挙げさせていただいた中で、委員長に簡潔に伺いたいんですが、当委員会質問があったからこの問題に対応ができた、当委員会での質問がされなければなかなか措置するということは難しかったんじゃないか、まさにこれは当委員会の成果である、そういったものというのは、何か思い当たるものがあれば教えてください。
  156. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  なかなか、極めて正確な答弁を差し上げることは難しいようにも思いますけれども、今、このおまとめいただいた資料の中で申しますと、規制委員会がもともと実施したいと考えてはいたものを後押ししていただいたものは幾つもあるように思っております。テロ対策であるとか核セキュリティー対策の重要性。それから、これは一般論に、もっとずっと広がりの大きいものではありますけれども、人材の確保であるとか育成に関して。更に言えば、国会におきまして、検査制度の改革というのは、これは法改正を必要としましたので国会で御議論をいただいたもので、この法改正の際には、当委員会においても御質問いただいて、その議論が十分に新法に反映されたものというふうに理解をしております。
  157. 井出庸生

    ○井出委員 今、後押しという話があったんですが、まさに当委員会質疑が発端というところは、なかなか正確なところが難しいのかなと思います。  資料を一枚めくっていただきまして、今後の主な課題というものを挙げさせていただいております。皆さんもう御存じのものばかりなんですが、ここに挙げたのは、規制委が少し主体的に取り組まれるべき、それから、規制委が何らかの意見表明を、既にされているものもありますが、規制委が多少なりともやはりかかわっていくべきもので、重立ったものを幾つかピックアップをしました。  例えば、その一番上、原発の立地地域の意見を聞く。これも、意見といってもさまざまありまして、再稼働に向けたコミュニケーションであってほしいというものもあれば、避難計画をもっとしっかりやってほしいというような御意見もあろうかと思います。  ただ、そうした議論はこの委員会でもたくさん出てきておりますが、特に、では、地域の声を規制委がどう取り込んでいくかというところは、やはり規制委が主体性を持って一定の対応をするべきものではないかなと思いますが、この件に関しては、例えば、何かスケジュール感を持ってこうしよう、ああしようみたいなお考えは今ありますか。
  158. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  立地地域、立地自治体の首長さんを始めとする方々との御意見を聞く機会というのは大変重要であるというふうに考えております。これまでに、佐賀県、玄海原子力発電所の御地元、それから、私が参加したという意味では、福井県との間でもあります。それから、委員が参加したといったケースでは、川内原子力発電所に係るものがございます。  これは、私たちは、実情を申し上げますと、盛んに自治体の方にこういった意見交換の機会を地元で持たせていただけないかというお願いはしておりますけれども、なかなか調整が整わないのが実情であります。  具体的に申し上げますと、県の代表の方と各市町村の代表の方と私を含めた委員が一堂に会して意見を伺うという機会を持っておりますけれども、この仕組みが必ずしも皆さんの御了解といいますか御了承をいただけない事実がございますので、今後とも働きかけといいますかお願いは続けてまいりたいと思いますし、ただ、現時点において、いつまでにという調整が整ったものというのはございません。
  159. 井出庸生

    ○井出委員 ここに挙げているものは全て、いろいろな立場からの御主張がこの委員会でも重ねられているんです。その地域の意見の取組方もそうなんですが。  ただ、当委員会は、何か法律を採決したり、付託されたものを、それから、何か調査報告とか提言を出すというようなことは今までやってきておらなくて、さまざまな意見規制委にお伝えしている。これはこの委員会のあり方にもかかわってくるんですが、この委員会が何か委員会として、調査報告や提言、また、法案に関して言っても、議員立法をやる力はあると、現状もあると思うんですが、委員会の何か一つの結論として、当委員会規制委員会に、こうした問題の、いろいろ問題ある中で、規制委員会に問題提起をされた場合、今のように、それぞれの問題についてそれぞれの委員規制委に見解を問いただす、意見を申し上げる、そういうものと比べて、その効力というか、そういうものを受けた場合、その取組、スケジュール感というものは、やはり変わってくるものでしょうか。
  160. 荻野徹

    荻野政府参考人 若干法律的なことにもなりますので、事務方からお答えをさせていただきたいと思います。  国会での御議論、それから各先生方からの御指摘というのは、それぞれ真摯に受けとめるべきものかと思います。  その上で、院の御意思としてどういったものになるかといいますのは、できるならば院の方で、あるいは委員会の方でこういった形ということを御判断いただくべきものでありまして、私どもの方であらかじめこれはこうというふうに申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  161. 井出庸生

    ○井出委員 まあ、そのとおりであろうかと思いますが、真摯に聞いていただくと。  きょう、資料の四枚目に、当委員会の設立の経緯を少しまとめさせていただいたものがあるんですが、震災があって、二十四年の七月に事故調の報告書があって、もう余りにも有名ですが、七つの提言があり、その提言の一をもとに当委員会が設立に至る。それは、規制当局監視する目的で、専門家から成る諮問機関を設けよと。それが二十四年の八月、これは議運での話合いが具体的に始まった段階です。大臣出席は要求せず弾力的な運用をしよう、調査、行政監視に特化しよう、アドバイザリー・ボードを設置しようと。その後、解散・総選挙、政権交代がございますが、最後、それを形として、二十五年一月二十四日の議運で、当委員会の名前、人数等を決め、その上で、法案の付託、審査は行わない、それから、請願等も扱わない、アドバイザリー・ボードを設けると、今の原型ができているんですが。  当委員会は、大臣は来ないけれども弾力的に運用する、法案の付託、審査はしないけれども調査に特化すると。衆議院に今現在九つの特別委員会がございますが、大臣を呼ばない、それからまた、付託された法案の審議をしない、こういう特別委員会は現在ございますか。委員部長、答えてください。
  162. 矢尾板丈明

    ○矢尾板参事 お答えいたします。  現在、衆議院におきましては九つの特別委員会が設置されております。ここの原子力特以外の委員会におきましては、大臣を呼ばないですとか、それから、付託された法律案を審議しないとか、そういった特別委員会はないものと承知いたしております。
  163. 井出庸生

    ○井出委員 今お話があったとおり、大臣を呼ばない、付託された法案を審議しないというのは当委員会だけであり、それは、法案の審議をしないから調査に特化する、大臣を呼ばないけれども日程等を含めて弾力的にやっていこうということでございます。  高木委員長に少し伺いたいのですが、この委員会は、六年余で、常会に限っていいますと七十時間五十分の質疑をしているんですね。そして、調査に特化をする。視察も過去に四回行っていると伺っているんですが、私は、この委員会は、他の特別委員会と同じ国会法四十五条で定められた特別委員会の中でも、今もお話をしたように、弾力的な運用それから調査に特化をする、この点においては特別委員会の中でも特別な委員会ではないかと思います。そうした特徴を与えられているからには、そうした点に基づいてきちっとその成果をこれから上げていかなければいけないのではないのかなというふうに思いますが、ここはひとつ委員長にその思いを聞いておきたいと思います。
  164. 高木毅

    高木委員長 お答え申し上げます。  今後の委員会の運営のあり方につきましては、今、井出委員からのお話もお聞かせいただきましたので、委員長として受けとめて、理事会等で協議もしていきたいというふうに思います。
  165. 井出庸生

    ○井出委員 理事会協議というお言葉は、よく他の委員会でも、特別でなく、あることでございます。  私が最後に申し上げたいのは、規制委員会の方は真摯に聞いてくださる、そういう中で調査に特化をする、大臣は呼ばないけれども弾力的にやると。もう一つ言えば、アドバイザリー・ボードも今いらっしゃるんですけれども、当初やると言っていた委員会以外の勉強会、これは開催実績はございません。参考人に来たときに日当と交通費をお支払いする。このアドバイザリー・ボードも我が委員会独自の仕組みでございます。せっかく、規制委員会始め政府の各省庁も来ますが、そうした方々が真摯に話を聞く、横断的な議論もできるという利点もあろうかと思いますが、今申し上げた、調査に特化、弾力的に運用、そしてアドバイザリー・ボードがただの参考人じゃなくて本当に助言機関になってもらわなければいけない。  このあたりの議論を、きょうは最初の質疑ということで、あえてここでさせていただきましたし、これからも理事会、理事懇等で、この委員会の方向性、どのように成果を出していくかというところを議論させていただきたいと思いますので、そのことについて委員長におかれましても正面から向き合っていただきたいと思いますが、もう一言お願いいたします。
  166. 高木毅

    高木委員長 委員意見を踏まえて、正面から受けとめさせていただきます。
  167. 井出庸生

    ○井出委員 どうもありがとうございました。  終わります。     —————————————
  168. 高木毅

    高木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力問題に関する件の調査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 高木毅

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会