○石橋通宏君 立憲民主党・民友会の石橋通宏です。
ただいま
議題となりました
出入国管理及び
難民認定法等一部
改正案に対し、会派を代表して質問いたします。
初めに、
我が国の未来に重大な影響を及ぼすこの重要
法案が、
衆議院において、僅か十数時間で審議が打ち切られ、昨夜、
採決が強行されたことに対し、強い怒りを込めて抗議します。加えて、今日のこの参議院本
会議、何でこんな時間に開会するんですか。今朝になって突然与党から提案がなされ、我々の強い
反対にもかかわらず、議運
委員長が職権で
委員会採決を行って開会を強行するという、参議院の先例も何も全く無視した、まさに前代未聞の暴挙です。与党は一体何をやっているのか分かっているんですか。
大体、なぜこの短い臨時
国会の会期中に総理大臣が何度も外遊に出かけるんでしょうか。なぜその総理の外遊
日程に合わせて重要
法案の審議
日程が決められるんでしょうか。与党議員の皆さん、この良識の府参議院までもが、一体いつまで官邸の言うがままの追認・下請
機関に成り下がり、立法府としての責任放棄を続けるんでしょうか。
既に本格的な人口減少社会を迎えている
我が国において、
国民生活の安心と安全を守っていくための担い手や支え手をどう
確保していくのか、その中で、
外国人労働者の
受入れをいかなる制度や環境の下にどれだけの
規模で行っていくのかを検討することは、国の在り方を左右する重要な政策論議であり、慎重かつ丁寧な
国民的議論が求められるはずです。
それなのに
政府は、僅か数か月の、まさにやっつけ仕事で本
法案を
国会に出してきました。案の定、中身はすかすか、制度設計は生煮えどころか生そのもので、到底まともに審議できる代物ではありません。そんなふざけた
法案を数の力でごり押しして成立させようとすることは、
我が国の将来に大きな禍根を残す暴挙であり、断じて容認できません。
熟議の府参議院だからこそ、議論を尽くす責任を与野党挙げて全力で全うしていくべきことを強く申し上げ、以下、
法案について具体的に質問していきます。
第一に、いまだにはっきりしない本
法案の立法事実について質問します。
まず、安倍総理、総理の言う深刻な
人手不足の定義を、いま一度、
国民の皆さんによく分かる説明で教えてください。
その上で、その定義に照らして、今現在、
我が国でいかなる
分野や職種においてその深刻な
人手不足が生じているのか、そして、それはいかなる判断基準と指標をもって証明されているのかを具体的にお示しください。
さらに、本
法案は、その
人手不足を
外国人により
確保を図るべきと
規定しているわけですが、
外国人でなければ
人手不足が埋められないというのは一体いかなる根拠に基づいて認定されているのか、総理、明確に御説明ください。
そもそも、
外国人でなければ充足ができないような深刻な
人手不足は、むしろ試験で判定されるような特別な
技能を必要としない職種や
分野、いわゆる単純
一般労働においてこそ生じていて、現状、
外国人技能実習生や留学生にその穴埋めをしてもらっているのが
我が国の実態なのではないでしょうか。安倍総理、是非認識をお示しください。
第二に、移民政策との関係について質問します。
安倍総理は、この間、一貫して本
法案は移民政策ではないと強調しています。まず、誰のため、何のためにそのことを殊更に強調しているのか、是非教えてください。
一般的に、移民政策には大きく二つの類型があります。一つは、入国時から積極的に永住権を付与するような典型的な移民国家の類型で、もう一つは、
一定の在留期間の後、
一定の条件を満たした
外国人に永住権を認める類型です。
今回の
特定技能や高度専門職ビザなど、安倍政権の
外国人政策は、まさにこの後者の移民政策そのものだと思いますが、総理の見解をお示しください。
移民政策なのに移民政策ではないとごまかしを続け、
国民の理解や覚悟がないままに、なし崩しで
外国人の
受入れ拡大や在留の長期化を進めることが、かえって移民問題を深刻化させて、社会の中で対立や分断、差別や偏見を生み出してしまうことは、ヨーロッパの経験からも明らかなはずです。
安倍総理、その教訓から学ぶのであれば、今こそ正面から日本版移民政策の在り方を検討していくことを
国民に提案すべきなのではないでしょうか。答弁を願います。
第三に、
特定技能労働者の
受入れ上限と
外国人労働者全体の総数について質問します。
安倍総理、一体、
特定技能には
受入れ人数の上限があるんですか、ないんですか。上限設定がないままに、なし崩し的に
受入れを拡大すれば、現場は大混乱に陥り、みんなが不幸になります。
法律上の上限規制を設けるべきだと考えますが、まず明確に御説明ください。
ただ、問題は、
特定技能の数だけではありません。
技能実習生も規制緩和で三十万人を超える勢いで
増加し、留学生就労の数も増えています。
特定技能や実習生、留学生や日系人などを含め、今後の五年、十年で一体どれだけの
外国人労働者の
受入れを拡大する方針なのか、是非、総理、将来ビジョンを示してください。
第四に、
外国人技能実習制度と
特定技能の関係について質問します。
まず、昨年失踪した
技能実習生に対する
調査の集計結果に大きな誤りがあった問題について、私にはどう見ても意図的な改ざんとしか思えないのですが、山下法務大臣、なぜあのような集計を出したのか、説明を求めます。
立法府で原因究明するためにも、個票を
国会に出すべきです。私も個票の書き写しをやりましたが、最低賃金以下、百万円以上の保証金、暴力や差別、ひどい内容ばかりです。
技能実習生の失踪は今年上半期で過去最多になっていますが、なぜ実習生が失踪するのか、原因は何なのか、法務大臣にお聞きします。
私たちは、
政府が国際貢献策などと言ってごまかしを続けながら、労働者なのに労働者ではない実習生や留学生として
受入れをなし崩し的に拡大し、安い労働力として都合よく利用してきたことにこそ、現場で深刻な人権侵害や労働法令違反、差別やハラスメントを蔓延させ、過労死や自殺者まで出して、失踪や不法在留者を
増加させた原因があると考えています。安倍総理、是非見解をお示しください。
本
法案の最大の欠陥は、その構造的な問題がある
技能実習制度を温存させるばかりか、二号、三号から
特定技能一号へ試験免除で移行可能として、両制度を制度的に接続させていることです。これでは、
技能実習制度で発生している問題が更に深刻化し、長期化します。安倍総理、断じてこの
技能実習制度との接続はやめるべきです。答弁を願います。
山下法務大臣は、今回の
国会審議で、なぜ拙速に来年四月一日施行なのかという質問に対し、早くしないと多くの
外国人が帰国してしまうからだと答弁しています。これはまさに本
法案が
技能実習生を便利な労働力として使い続けるための策であることを認める答弁ですが、安倍総理も同じ見解なのか、是非、なぜ拙速に来年四月一日施行なのか、御説明ください。
結局、安倍総理、あなた方の狙いは、単純労働の
受入れではないとごまかしを続けるために、今後も、
技能実習生や留学生を
外国人の単純
一般労働の受皿、入口として利用し、経営者のために安い労働力を
確保しながら、ただ在留期間を長期化させるためだけに新たな
特定技能を追加する、そういうことなのではないでしょうか。安倍総理、是非明確に御説明ください。
その上で、
技能実習生の試験等が免除されるのは、当該実習生が実際に実習を受けた職種や作業に限定されるのか、試験等免除の対象には過去に
技能実習二号を修了して帰国している
外国人も含まれるのか、また、
技能実習生が
特定技能一号での就労を希望した場合、就労先となる事業主や勤務地は自由に選べるのか、法務大臣、それぞれ明確な確認答弁をお願いします。
第五に、
特定技能の基本的制度設計について確認します。
まず、
特定技能の要件となる
技能の水準は試験に合格する等で確認するとしていますが、一号、二号、それぞれどんな試験を課すのでしょうか。この試験による
技能水準の確認は、従事する職種ごとなのか、それとも
分野ごとなのか、試験の方法と確認主体は誰になるのか、法務大臣、全て明確にお答えください。
特定技能一号は、在留期間が通算で上限五年で、短期契約も可能とのことです。そうすると、繁忙期だけ、例えば年間に三か月だけという季節労働契約も可能なのでしょうか。可能だとすれば、上限の六十か月に達するまで、何と二十年もの間、
外国人を都合よく使い続けることが可能になりますが、そんな契約も認めるのか、安倍総理、お答えください。
また、
特定技能一号について、家族帯同を認めないとしています。五年間だけでも国際基準から見て問題なのに、
技能実習制度から移行すれば最長十年もの間、家族帯同が認められないことになり、深刻な権利侵害に問われると思いますが、安倍総理の見解をお願いします。
ところで、
特定技能では入国が認められた
分野での転職が可能になると理解しますが、これはつまり、
分野内であれば職種の変更は自由で、地域の移動も自由だという理解でよろしいのでしょうか。これは人権保護の観点から大事な点ですので、法務大臣、是非明確な確認をお願いします。
なお、安倍総理は、
特定技能労働者の
報酬について、日本人と同等の賃金を保障すると何度も
国会答弁していますが、本
法案には、差別的取扱禁止は
規定されていますが、
技能実習法には存在する日本人労働者との同等
報酬は
規定がありません。なぜ
法律に明記がないのか、差別的取扱いとは何を基準に誰が判断するのか、総理の説明を求めます。
第六に、
特定技能所属
機関と登録
支援機関について質問します。
まず、
特定技能所属
機関は、許可制でも登録制でもなく、届出さえすれば誰でもなれるし、登録
支援機関も、登録だけでよくて、許可でも認可でもないというのは事実なんでしょうか。法務大臣、確認願います。
事実とすれば、こんな緩い規制でどうやって労働者の人権を守り、悪い事業者を排除できるのでしょうか。しかも、
法案には、
特定技能所属
機関に対する指導や助言、改善命令は
規定されていますが、
受入れ停止処分は見
当たりません。所属
機関は、人権侵害や法令違反をしてもなお
外国人の
受入れを続けることができるということなんでしょうか。法務大臣、説明を求めます。
ところで、
特定技能所属
機関は一体どうやって
外国人労働者に求人し、採用するのでしょうか。逆に、
外国人労働者の側はどうやって求職活動を行うのでしょうか。応募してきた
外国人が
特定技能の要件に合致しているのかどうかを誰がどう判定し認定するのかも併せて、法務大臣、明確にお答えください。
その上で、一体、登録
支援機関とは何か、一体、誰がなるのかを是非教えてください。もし
技能実習制度の監理団体や労働者派遣事業者がなるのであれば、彼らが中間マージンを得ながら
外国人労働者を制度に縛り付け、囲い込むことが容易に想定されます。こんなみすみす民間ブローカーの介在を許すような制度は絶対にやめるべきだと思いますが、安倍総理、説明を願います。
最後に、所管
省庁の在り方について質問します。
本
法案は、新たに
法務省の外局として
出入国在留管理庁を設置することを提案していますが、
法務省が労働法令遵守の徹底や現場の監督指導、生活
支援や教育
支援まで所管することなど不可能です。今こそ、多文化共生社会に向けた環境
整備を地方自治体と連携して最優先で進めていくために、
省庁横断的な体制の下に新たな所管官庁を創設すべきだと考えますが、総理、御答弁ください。
以上、
政府案の主な問題点を中心に質問しました。
なお、答弁が不十分な場合には再質問いたします。
我が国に労働者として来日し就労する
外国人については、きちんと労働者としての在留を認めて国内労働者と同じ法的な権利を保障すると同時に、地域社会における生活者として安心して暮らしを営むことのできる体制や環境の
整備をまず優先して行うべきです。
私たち立憲民主党は、国籍や民族の異なる人々が、互いに文化的、社会的背景等の違いを認め合い、相互理解と協調を基本に社会の対等な構成員としてお互いさまに支え合い、共に生きる多文化共生社会の実現を目指し、
国民の皆様と共にその制度化に向けた議論を進め、未来を構想していく決意であることを申し上げ、私の代表質問といたします。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕