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2018-11-27 第197回国会 参議院 国土交通委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年十一月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     武見 敬三君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      朝日健太郎君     宮沢 洋一君      小野田紀美君     林  芳正君      こやり隆史君     末松 信介君      武見 敬三君     高橋 克法君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      林  芳正君     足立 敏之君      宮沢 洋一君     朝日健太郎君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      吉田 博美君     柘植 芳文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 井上 義行君                 酒井 庸行君                 中泉 松司君                 三浦 信祐君                 舟山 康江君     委 員                 足立 敏之君                 阿達 雅志君                 朝日健太郎君                 金子原二郎君                 末松 信介君                 高橋 克法君                 柘植 芳文君                 塚田 一郎君                 中野 正志君                 牧野たかお君                 吉田 博美君                 魚住裕一郎君                 矢倉 克夫君                 野田 国義君                 増子 輝彦君                 山添  拓君                 室井 邦彦君                 青木  愛君                 行田 邦子君                 平山佐知子君    国務大臣        国土交通大臣   石井 啓一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣海洋政        策))      宮腰 光寛君    副大臣        内閣府副大臣   左藤  章君        経済産業大臣  関  芳弘君        国土交通大臣  塚田 一郎君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        安藤  裕君        国土交通大臣政        務官       阿達 雅志君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君    政府参考人        内閣官房水循環        政策本部事務局        長        佐藤 克英君        法務大臣官房審        議官       佐々木聖子君        厚生労働大臣官        房審議官     田畑 一雄君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       椎葉 茂樹君        厚生労働省職業        安定局雇用開発        部長       北條 憲一君        林野庁林政部長  渡邊  毅君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        南   亮君        国土交通大臣官        房長       藤井 直樹君        国土交通大臣官        房技術審議官   五道 仁実君        国土交通省総合        政策局長     栗田 卓也君        国土交通省土地        ・建設産業局長  野村 正史君        国土交通省都市        局長       青木 由行君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        塚原 浩一君        国土交通省道路        局長       池田 豊人君        国土交通省住宅        局長       石田  優君        国土交通省自動        車局長      奥田 哲也君        国土交通省海事        局長       水嶋  智君        国土交通省航空        局長       蝦名 邦晴君        観光庁長官    田端  浩君        海上保安庁長官  岩並 秀一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (防災減災国土強靱化のための緊急対策及  びインフラ老朽化対策に関する件)  (建設業における労働環境の改善及び人材確保  に向けた取組に関する件)  (治水対策充実強化に関する件)  (国土交通省関連業種における外国人の就労に  関する件)  (水循環基本法を踏まえた各種業法の規定見直  しに関する件)  (タクシー事業の在り方に関する件)  (国土交通省における障害者雇用に関する件)  (下水道の整備に関する件) ○海洋再生可能エネルギー発電設備整備に係る  海域の利用の促進に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、小野田紀美君及びこやり隆史君が委員辞任され、その補欠として末松信介君及び足立敏之君が選任されました。     ─────────────
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房水循環政策本部事務局長佐藤克英君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 中野正志

    中野正志君 おはようございます。自由民主党・国民の声の中野正志でございます。  近々、二つのうれしいニュースがありました。一つは第二次補正予算、そして、もう一つ消費税増税対応の五ポイント還元というニュースでありました。  私は、昔から、長引くデフレ個人消費低迷に対しては消費者のやっぱり意識の改革が必要だと、今節約志向ではありますけれども、消費者購買意欲を喚起するような制度が必要であるとずっと訴え続けてまいりました。私は、その名称を消費税マイレージ制度と、こう申し上げておりまして、別名消費税積立還付制度消費税をずっと政府が責任を持って積み立てて、六十五歳になったらどんと利息を付けて戻す、一般財源に手を付けなくても十分にその費用の中で賄うことができると、詳しくは私のホームページを御覧をいただければ幸いではございます。  この消費税マイレージ制度を実は参議院予算委員会安倍総理提案をいたしましたところ、安倍総理からは、消費を活性化するための建設的な提案だ、是非事務方にも勉強させたい、こういう答弁をいただいておりました。  今回の安倍総理発表がこの私の提案をもしかして一部でも理解をされながら発表されたものなのかな、こう思っておるところでありますけれども、今回の安倍総理発表が実現すればポイント還元がどの程度消費マインド影響を与えるのか、また、個人的にも、そういう意味では興味深い。もしこれがうまくいくのであれば、言ってみればデフレ脱却個人消費低迷打開のために大きなヒントになるのであろうと、こうも期待をいたしております。  またもう一つは、やっぱりこの補正予算で示されております災害に強い国土づくりのために政府が今後三年間で集中して国土強靱化対策を行うと、これは率直に評価をいたしたいと思います。ただ、想定される規模は三兆五千億から四兆円ということでありますけれども、消費税増税に対する景気浮揚の一翼を担うということを考えれば、私は、倍程度の思い切った予算をむしろ手だてをする方がいいのではないかと、個人的にはそう思っております。ちなみに、OECD理事会日本国はまだ財政余力があるという指摘をされておりますから、なおさらであります。  それはさておき、この二次補正で一兆円以上盛り込むということで、防災減災のためのインフラ整備を迅速に行う、その必要性については私も同じ思いであります。  災害に強い国土づくりのため、また、経済的にも重要施策として、大臣のこの国土強靱化緊急対策について御所見を、御決意もお伺いをいたしておきます。
  7. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 近年、地域に深刻な影響を与える大きな災害が続いております。政府といたしましては、安倍総理指示を受け、重要インフラ機能確保について緊急点検実施をいたしまして、本日、関係閣僚会議におきまして対応方策が取りまとめられたところであります。  国土交通省といたしましては、点検で明らかになった課題を踏まえまして、災害から命を守るために必要なリスク情報充実、旅客への情報提供体制強化などのソフト対策、さらに、バックウオーター現象等により堤防決壊が生じた場合に人命への危険性が高い箇所の堤防強化対策道路や鉄道に隣接する斜面等防災対策、ターミナルや電源設備の浸水、耐震対策などのハード対策を併せました対応方策を講じていく必要があると考えております。  本日の閣僚会議におきまして総理からは、この総点検の結果などを踏まえ、防災減災国土強靱化のための三か年緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するよう御指示があったところであります。  国土交通省といたしましても、国土強靱化加速化、進化するために、内閣官房国土強靱化推進室連携をいたしまして三か年緊急対策実効性のあるものとなるよう取り組むとともに、必要な公共事業予算確保しつつ、総力を挙げて防災減災対策に取り組んでまいりたいと存じます。
  8. 中野正志

    中野正志君 今年八月、イタリア北部ジェノバ高速道路の橋が崩落して、死者三十九人に上る大惨事になったことは本当に衝撃のニュースでありました。今でも、あのテレビで映された光景を思い出します。実は、この橋は建設から五十年以上経過いたしておったそうであります。  日本にも、高度成長期に架けられた橋、結構な数が多くあると思います。平成三十年三月、国交省発表しました調査結果によれば、全国で七十三万ある橋のうち築五十年の橋の割合は二五%、十年後にはその割合は五〇%に急増する、こう言われております。また、全体の三分の一に当たる二十三万橋は実は建設年度が不明だというから、ちょっと驚いております。  そこで、今後、ジェノバのような事故が発生しないためには、やっぱり築五十年を迎える橋梁の実質的な補修、改修が必要だと思っておりますが、どのような計画橋梁の安全を確保されていくのか、お伺いをいたします。
  9. 池田豊人

    政府参考人池田豊人君) 道路老朽化対策につきましては、平成二十六年七月より、地方公共団体の管理するものを含めまして、全国の橋やトンネルなどにつきまして、国が定める統一基準により五年に一度の頻度で、橋梁等に近接して目視を行う点検を義務化して行ってきているところでございます。  このうち橋梁につきましては、委員指摘のとおり、全国の約七十三万橋のうち、平成二十九年度までの四年間で、約八割に当たる約五十九万橋が点検を完了したところでございます。点検の完了した橋梁のうち約一〇%に当たります約五万八千橋において、できるだけ早期修繕などを行う必要があると判明をしております。  これら修繕の必要な橋梁対策の着手でございますけれども、地方公共団体の管理するものにつきましては平成二十九年度末の段階で一二%でございまして、今後、計画的に実施されますように指導をしていくとともに、補助金社会資本整備交付金などによって財政的支援技術的支援を行ってまいりたいと考えております。  国交省としても、今後とも老朽化対策にしっかりと取り組みまして、イタリアジェノバでの高架橋崩落事故と同様な惨事にならないように努めてまいります。
  10. 中野正志

    中野正志君 是非、頑張ってください。  安倍政権下では積極的にインバウンドの拡大に様々な施策が取られて、大変に成功しているということは誠に喜ばしいことであります。訪日観光客旅行客ですね、二〇一六年に年間二千二百万人を突破した、今年は既に三千万人を上回る予想、二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人を目標とする中で、海に囲まれた日本にお出かけをいただくためには、やっぱり航空路線充実拡大、これが喫緊の課題であります。  特に、将来のパイロット養成確保が極めて重要だと考えておりますけれども、今、日本現役パイロット約六千五百人と、こう言われております。大半は実は四十五歳以上で、二〇三〇年頃には大量退職者ということになります。  そこで、パイロット養成について、国交省では官民連携で取り組まれていると思いますけれども、二〇三〇年には現状の二倍の訪日客の足を確保するだけのパイロットの育成、養成ができているのだろうか、この点について国交省の考え方をお伺いいたします。
  11. 蝦名邦晴

    政府参考人蝦名邦晴君) お答え申し上げます。  明日の日本を支える観光ビジョンにおけます訪日外国人旅行者数政府目標の達成に向けまして、十分な数のエアライン操縦士確保していくことは極めて重要であると認識しております。  このため、国土交通省といたしましては、即戦力操縦士確保策として、エアライン操縦士年齢上限の引上げや外国人操縦士在留資格要件の緩和を実施してまいりました。また、若手操縦士供給拡大策として、本年度から、独立行政法人航空大学校入学定員を七十二名から百八名に拡大をするとともに、私立大学校等養成課程の高額な学費負担を軽減するための奨学金事業を開始するなどして養成拡大を図っているところでございます。  今後とも、ますます増大する航空需要対応するため操縦士を着実に養成確保できますよう、産官学から成ります連絡協議会なども活用いたしまして操縦士を目指す若者の裾野拡大を進めるなど、国土交通省としても積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。
  12. 中野正志

    中野正志君 訪日客増加対応するために、もちろんそういうことでパイロット確保是非全力を尽くしていただきたいと思いますが、同時に、年間羽田空港の発着回数、現在の六万回から九・九万回に増やす計画だというふうに聞いております。それには、当然、いわゆる羽田ルート、よく言われる横田空域を通過する必要があります。日本とアメリカ合衆国の空域問題について、今、微妙な難しい情勢だと承知をいたしておりますから、この場、質問はいたしませんけれども、是非、この発着枠拡大のために最善、最大の努力関係当局とともに頑張っていただきたいと檄を申し上げておきたいと思います。  次に、建設職人基本法制定後の建設災害状況とその対策についてお伺いをいたします。  この法制定後、国交省担当部局においては、関係団体を含めて積極的に実務者検討会が行われ、また、厚労省でも実効性のある施策にしていくために真摯に取り組んでおられる、このことは評価をいたしたいと思います。しかしながら、残念なことに、現場建設業における死傷災害、減るどころか、平成二十九年以降むしろ増加傾向にあるということは、この法制定に尽力した国会議員の一人として大変残念だなと、そう思っております。  参議院予算委員会における質疑の中で、足場の組立て時等における建設工事従事者墜落転落事故防止する手すり先行工法について、大臣より有効であると答弁が示されました。また、当委員会においても、国土交通省の発注する直轄工事ではこの工法平成十五年度から共通仕様書に明示されており、当該現場においては十年以上にわたり死亡事故がないという答弁国交省からありました。それにもかかわらず、民間工事においては、平成十五年以来いまだ推奨の域を出ず、あくまでも任意の工法とされております。  政府において、既に官民工事を合わせ四〇%を超える普及状況に至っている現在、この手すり先行工法のより実効ある取組を含めた建設現場墜落転落防止対策に向けて関係者合意を求める努力が必要だと思いますが、いかがでありましょうか。
  13. 椎葉茂樹

    政府参考人椎葉茂樹君) お答えさせていただきます。  委員お尋ね手すり先行工法につきましては、平成二十七年に改定いたしました足場からの墜落転落災害防止総合対策推進要綱におきまして、労働安全衛生規則の確実な実施に併せて実施することが望ましいより安全な措置一つということで位置付けておりまして、厚生労働省としても、手すり先行工法普及促進を図っているところでございます。  これまで、厚生労働省におきましては、数次にわたり労働安全衛生規則の改正を行いまして、足場からの墜落転落災害防止対策強化してきたところでございますが、本年五月から、建設業における墜落転落防止対策充実強化に関する実務者会合を開催いたしまして、幅広く関係者を参集の上、委員指摘手すり先行工法の取扱いも含めまして、建設業労働災害で最も多い墜落転落災害防止対策の更なる充実強化に向けた方策を鋭意検討しているところでございます。  この会合での御議論を踏まえまして、建設現場で働く労働者の方々の墜落転落災害防止を推進してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  14. 中野正志

    中野正志君 是非建設現場、この安全について、より深い、また強い御指導もいただきたいと思います。  日本排他的経済水域である大和堆、以前にも質問いたしましたけれども、イカやエビの好漁場で、近年、多くの北朝鮮漁船違法操業を繰り返しております。しかし、今度は北朝鮮ではなく韓国であります。  本当に問題でありまして、去る十一月二十日に、大和周辺操業していた日本イカ釣り漁船第八十五若潮丸に対して、韓国警備艦操業を中止し海域から移動するよう無線要求してきたという報道に大変驚きました。通報を受けた海上保安庁巡視船日本漁船に対する要求は認められない旨無線で申入れをし、韓国警備艦の接近を防止するために巡視船漁船を保護したということで、大変迅速で的確な対応だと、私は、率直にやっぱり日本海上保安庁は大したものだと、そう思います。  日頃から、そういう意味で、海保の皆様、こういう現場で精いっぱい頑張っていらっしゃるわけでありますけれども、こういう問題について、この問題について韓国側の意図するところは何なんだと、私たちは慎重に見極めなければいけないと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  15. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 十一月二十日の夜、大和周辺我が国EEZにおきまして、韓国海洋警察庁警備艦から、同海域操業していた日本漁船に対しまして操業を止めて海域を移動してくださいとの無線交信があったことを海上保安庁巡視船が確認をしております。  日本漁船操業しておりました海域は、日韓漁業協定上、日本漁船及び韓国漁船操業可能な水域であること、それぞれの国の法執行機関は他方の国の漁船に対して法執行できないことから、巡視船によりまして、韓国警備艦に対し日本漁船に対する要求は認められない旨申し入れております。  また、同警備艦日本漁船に接近していることを確認したことから、巡視船日本漁船と同警備艦との間に位置するなど適切に対応し、日本漁船を保護しております。  なお、外務省から外交ルートで抗議を行ったところ、韓国側からは、今般の対応は遺憾であった、今後再発防止に努める旨の回答があったと承知をしております。  引き続き、関係省庁と緊密に連携し、大和周辺海域操業いたします日本漁船安全確保に努めてまいりたいと存じます。
  16. 中野正志

    中野正志君 大和堆から、この頃は北海道沖、大変広い面で北朝鮮漁船、また、御存じをいただきますように、難破した船が相変わらず今まで以上に日本に揚がっているという現実もあるわけでありまして、是非海上保安庁を含めて頑張っていただきたいものだと思います。  韓国は隣国でありますけれども、大変残念ですけれども、民主的な手続や約束事を軽んじられる向きがあります。徴用工の最高裁の異常な判決しかり、また、最終的、不可逆的な解決を確認した二〇一五年の日韓合意に基づいて日本政府が十億円を支出した例の和解・癒やし財団、これを解散すると発表したり、国際社会の一員として、ぶっちゃまけて言えば、韓国は未熟であるなということを認識せざるを得ません。  もう一つ韓国ルール違反について申し上げます。  日本政府は、六日、韓国自国造船業界に過剰な補助金を支給しているのは国際的な貿易協定に違反しているとして、WTOへ提訴する手続を開始したと発表されました。  造船業界は、二〇〇八年のリーマンショック前の好況期に各社も設備投資をし、当然、よその国も大変な設備投資をして、世界的に供給過多となっているそうでありますが、こうした中で、韓国経営危機に陥った自国造船企業政府系金融機関を通じて巨額な資金援助を行えば、当然、市場の原理とは違う価格低下を生じさせてしまいます。  こういうことを一つ一つ国際的に提訴していくことは大切なことであると思いますが、提訴の準備状況と、今後日本造船産業へどのような影響があるのか、また、政府として、海洋国家日本、これはもうすごいブランドでありますから、この海洋国家日本、再浮揚させていくためにも、造船業界に対してどういう施策を講じていかれるのか、この機会にお伺いをいたします。
  17. 水嶋智

    政府参考人水嶋智君) お答え申し上げます。  世界の造船市場でございますが、先生御指摘のとおり、リーマンショック前の新造船大量発注とその後の需要低迷によりまして供給能力過剰の状態にあり、各国の造船業は厳しい状況にございます。  足下の業況といたしましては、二〇一八年に入りまして我が国造船業受注シェア回復傾向にはございますが、韓国では数年前から経営難に陥った自国造船所救済等公的助成が大々的に行われておりまして、結果、供給能力過剰問題の解決を遅らせるとともに、我が国造船業に大きな悪影響を及ぼしているところでございます。  これまで我が国は、OECD造船部会日韓課長級会議の場におきまして、韓国政府公的機関による自国造船業に対する過度な支援造船市場を歪曲するものであり、造船業の供給能力過剰問題の早期解決を阻害するものであると累次にわたり指摘してきたところでございます。また、先月には海事局韓国産業通商資源部との局長級協議実施いたしまして、韓国に対して我が国の懸念を改めて伝えるとともに、本問題の友好的かつ迅速な解決必要性を強く訴えましたが、措置の撤廃には至っておりません。  このため、関連業界の要望も踏まえまして、関係省庁協議の上、WTO協定に基づく紛争解決手続を用いて本問題の解決を図ることとし、十一月六日、韓国政府に対して当該手続に基づく二か国間協議を正式に要請したところでございます。その後、韓国政府より協議要請に応じる旨の回答がございまして、現在、外交ルートを通じて韓国政府協議日程等の調整を行っているところでございます。  当該手続を通じて韓国による市場歪曲的な措置が撤廃されることとなれば、造船市場における公正な競争環境の確保が図れることになり、供給能力過剰問題の早期解決、船価水準の回復等が期待されまして、我が国造船業の更なる発展につながるものと考えておるところでございます。  また、国土交通省におきましては、二〇二五年に世界新造船建造シェア三〇%を獲得することを目的として、技術開発の促進など海事生産性革命、i—Shippingと称する一連の施策を推進しているところでございまして、公正な競争環境の確保と併せまして、我が国造船業の競争力強化に向けた取組を総合的に推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  18. 中野正志

    中野正志君 海上保安庁長官に、アジア各国への技術支援、お伺いをしたかったんでありますけれども、時間となりましたのでお許しください。  終わります。ありがとうございます。
  19. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 おはようございます。公明党の矢倉克夫です。質問の機会を与えていただき、感謝申し上げます。  私からは、国土交通委員会では初めての質問ですので、幾つかの分野について総論的に質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、建設について二問、初めに、地域に根差した建設業の役割、重要性について大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  私も、先日、高橋先生がおっしゃっていただいたこともありますが、東日本大震災やまた様々な災害現場における建設業の貢献に感動をしている人間の一人であります。時に自衛隊よりも早く現地に赴きまして、いわゆるユンボですね、バックホーと言った方がいいのかもしれませんが、これを操って復旧活動をしている建設業の方々のお姿、これは、私もテレビとかマスコミとかももっと報道してもいいんじゃないかと思うぐらいに評価もしております。  それで、インフラ整備や地域防災等、国民の生命、身体を守るとともに社会を支える共助の観点から、建設業は地域に密着し続けて存在しなければいけない重要な存在である、大事な存在であるというふうに考えておりますが、まず、業を所管する大臣としてどのような思いを持っていらっしゃるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  20. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 地域の建設業は、社会資本整備の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担う地域の守り手として重要な存在と認識をしております。  こうした地域の建設業が持続的に活躍できる環境を整えるため、国土交通省におきましては、公共工事品質確保法に基づきまして、企業が適正な利潤を確保できるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策、適切な設計変更、施工時期の平準化等に取り組むこと、入札時の適切な地域要件の設定などにより地元建設企業の受注機会を確保することなどに取り組んでいるところであります。  今後とも、建設企業が将来にわたって地域の守り手としての役割を担えるよう、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
  21. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございました。  大臣から、地元に密着した、根差した建設業が大事だというお考えの前提の下で、具体的な施策まで今触れていただきました。適正な利潤をもうける、ちゃんと地元にお金が落ちるというような制度の設計の在り方は大事であるかなというふうに思います。  施工時期の平準化も、ゼロ国債であったりゼロ県債とかがどんどん広がっておりますので、そういった取組が自治体にもしっかりと広がるように、これはまた引き続き、引き続きしっかりと徹底をいただきたいというふうに思います。  何でこんなことを聞いたかというと、要するに、地域の建設業に人がなかなか来ない、人手が減少しているというのもあるんですけど、人が来ないという理由はあるかなというふうに思います。一時期の政治やマスコミがこの建設業に対してのマイナスのイメージをちょっと膨らませてしまったことがやはりあるかなと。その影響もあるわけでありますから、是非、これからも政治とか行政が主導をして、建設業というのは地域になくてはならない存在なんだということをより引き続き発信をいただきたいというふうに思います。  その上で、今、人手不足というふうに申し上げました。大臣からも地域に魅力ある建設業をつくるための施策は既に伺ったわけでありますが、その延長線上でもう一つ伺いをしたいのが適切な工期の設定についてであります。  大臣も、先日、新3Kのための働き方改革ということをおっしゃっておりました。とりわけ、週休二日を確保するということは、今、国交省としても統一的な指針でもあり、現場も一生懸命頑張っているわけでありますが、大変重要であるかなというふうに思います。ただ、それをしっかりと行う前提は、工期が適正でなければいけない、しかも、誰もが納得できるような工期の設定でなければいけないというのが大前提であります。  まず、この工期の問題ですけど、とりわけ下請について課題が多いところはあるかというふうに思いますが、例えば、天候によって工事不能というのがやはり起きてしまうのが現場です。そういう場合に、にもかかわらずに、天候不順だけではなかなか工期の再設定というのは現実に起き得ない部分もあるかなというふうに思います。そういうときも含めて、当初から、やはり工期を設定するときには工事の不能日程というのも配慮して考えなければいけない、これがまず一点目あるというふうに思います。  その上で、さらには、工事というのは、一次だったり二次だったり三次だったり四次だったり、そういう下請構造がピラミッド型請負であって、それぞれが要は利益を確保した上で、最後の下請業者に工期のしわ寄せがやはり来てしまうというふうに、構造的に要求されるような場合もあるかというふうに思います。多くの関係者が空間を共有しつつ時系列に沿って作業を進めている工事でもあり、工期の最後の方の業者がよりしわ寄せを受けるというような構造もやはり出てきてしまっている。だから、工期の後の方の業者とか下請がしわ寄せが受けないような工期の設定というのもやはり重要であります。  さらには、下請は工期の設定どれくらいか自分で決められるわけではありませんので、やはり発注者と元請が決める中でどうしても工期ダンピングというような話も出てくる可能性もあります。  今、三点ほど申し上げましたが、こういった要素をしっかり考慮しながら、先ほど申し上げた働き方改革をなす上での適切な工期の設定についてどのようになすべきか、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  22. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) さきの通常国会で成立いたしました働き方改革関連法によりまして労働基準法が改正をされまして、建設業につきましては、二〇二四年の四月一日より時間外労働の上限規制が適用されることとなりました。  建設業の働き方改革に向けましては、建設業者による自助努力と併せまして、発注者による適正な工期設定を図っていくことが不可欠であります。このため、国土交通省では、他の発注者の模範となるよう、国土交通省が自ら発注する工事におきまして、降雨や降雪などによる作業不能日数や、準備、後片付け期間の適正な設定、余裕期間制度の活用、工事工程の受発注者間での共有などを通じて、週休二日を確保できる工期の設定に取り組んでおります。  また、全ての地方公共団体が参画をいたします地域発注者協議会などの場におきまして、こうした取組の浸透を図っているところであります。  さらに、政府全体といたしましても、建設工事における適正な工期設定のためのガイドラインを策定をしているところであります。このガイドラインの中では、発注者は施工条件などをできるだけ明確化するとともに、元請業者は工期のダンピング受注を行わないことや、全体の工期のしわ寄せがないよう下請にも配慮することなどを定めており、民間発注者や建設業団体を始め、様々な関係機関に対しまして周知徹底を図っているところであります。  国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関と連携をし、建設業の働き方改革にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  23. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございました。  大臣から、発注者としてのお立場から、自ら率先垂範で動くというようなお言葉とともに、まさに国交省は民間も含めたルール作りのやはり指導者でもあるかなというふうに思います。そういう意味から、ガイドラインの今御紹介もいただいたところであります。ガイドラインで、今工期ダンピングの話などもあったわけでありますけど、そういった趣旨をしっかりと自治体とか、また民間にもしっかり反映できるような取組、率先垂範を是非これからも引き続き強化していただきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。  地域の建設業をしっかり支えるための質問はこれからまた機会を設けてさせていただきたいというふうに思います。  次に、また変わりまして、治水についてお伺いをしたいというふうに思います。  西日本豪雨のように、ああいう集中豪雨はもうもはや想定外ではなく、やはり想定した上でしっかり対応しなければいけないということであります。私の地元埼玉でも、思い出すのは、一昨年なんですけど、一昨年の八月の台風九号のときに、例えば不老川に、これは三時間で百九十六ミリ集中豪雨がありました。私も氾濫した後すぐに現場にお伺いをしたんですが、洪水が起きているかのような、非常に非常にきつい状況で、川幅が狭い中で、橋梁がそれを押し上げるような形で、地域が洪水を起こしているような状態がありました。  何とかしなければいけないということで、翌日、国土交通省の方にお話もし、国土交通省の方からも様々いろいろ検討をいただいた結果、六年間で八十三億の床上浸水対策特別緊急事業という形で計上実行をいただいていること、地元の方も非常に感謝をしております。改めて御礼を申し上げたいというふうに思います。  私、そのときに感じたことは上流対策の重要性であります。治水は、当然ですけど、下流から行わなければいけない。上流から例えば川底を掘っていってとかやると、水量が多くなって下流が被害が起きますから、下流から行うのはこれ当然なんですが、やはり最近の豪雨の激甚化傾向などを見ると、一時間百ミリ以上の年間発生件数が、一九七六年から一九八五年までの平均に比べて、二〇〇八年からの十年間で一・七倍、毎年二倍近く増えている、とんでもなく激甚化しているわけであります。  それに加えて、やはり上流部分といっても、かつては人がなかなか住まないというような地域もあったかもしれませんが、とりわけ埼玉などは、上流部分はもう非常に市街化もされていて、それを下流からの整備を待ってということをやっているとそこに住んでいる方が危険を生じてしまう、さらには、山間部というわけではないのでダムで治水をというようなこともなかなかしにくいような河川がとりわけ多いです。  そういう激甚化の集中豪雨、そういうのを配慮した上での上流対策ということについて国交省としてはどのようにお考えなのかをまずお伺いしたいというふうに思います。
  24. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。  河川の安全度の向上、いわゆる治水対策に当たりましては、各河川の特性や流域の状況に応じまして、河道の改修や遊水地の整備、あるいは流出抑制対策などを適切に組み合わせながら対策を進めております。  堤防の整備や河道の掘削等につきましては、改修により下流側に負担、負荷が及ぶことから、基本的には下流側から進める必要がございますけれども、委員指摘のように、特に不老川のような都市部を流れる河川の上流部での対策につきましては、例えば、中上流におけます調節池の整備、あるいは局所的に流れの阻害となっております橋梁の架け替え、あるいは流域での学校や公園等への雨水貯留浸透施設の設置など様々な工夫を行いまして、総合的に治水対策実施しているところでございます。  今後とも、河川全体にわたって安全度を向上させるように、着実に事前の防災対策を進めてまいりたいというふうに思っております。
  25. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいた調節池の整備とか橋梁など、これは、今お手元に、皆さんに資料をお配りしております一枚目の方の中でいえば、再度災害防止対策という、まさに不老川のときに発令いただいた床上浸水対策特別緊急事業の一部に含まれるものかなというふうに思います。  この図なんですけど、私の理解だと、これ、ホームページから拾ってきたものですけど、国土交通省の。河川事業のものというのは大体四つぐらいにカテゴリーされているかなと。この今申し上げた再度災害防止対策と事前の防災対策、ダム建設と、あと維持管理だと思います。  この中で御指摘したいのは、とりわけこの質問は大臣にお伺いしたいというふうに思っているんですけど、緊急床上浸水対策を含めたもの、この再度災害防止対策というものが非常に増えている、近年の災害が増えていることの傾向の表れでありますけど、平成二十三年が例えばここに書いてある三つの事業だけで主要なものが二百九億円だったのが、平成三十年は、三百七十二億円と二倍近くに増えているわけなんですね。それだけ災害に対する対応が必要になったということであります。しかも、これ河川だけですけど、砂防とか海岸とかダム事業とかもあるわけでありますが、傾向としては同じだと思います。  申し上げたいことは、例えば、それ以外のダムとか維持管理というのは、これは毎年一律にやはり事業としてはお金、予算計上されるものである、全体の予算が一定だとすると、災害対策のお金がぐっと増えていけば、当然、それに対しての、事前防災予算が圧迫される可能性もやはりあるということです。しかし、それではやはりいけない。災害対策もそうですし、事前防災というものもしっかりとこれ予算は取っていかなければいけないというふうに思います。  そういう上でも、ここの箇所についての予算は更に今後ますます増やしていって拡充を取る、別枠でも取るぐらいの覚悟でやはりやらなければいけない、計画的に治水対策を進めるためにも予算確保が必要であるかなというふうに思いますが、この点についての大臣の御所見をいただければと思います。
  26. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 平成三十年七月豪雨を始めといたしまして近年の豪雨、台風災害では、インフラが整備をされ、かつ維持管理されてきた箇所での被害は小さく、インフラが未整備又は整備途上の箇所では被害が大きかった事例が多数確認をされております。  こうしたことから、事前の予防的な対策が非常に重要と改めて認識をしておりまして、その効果といたしまして、第一に、被害を大きく軽減でき、特に人命を守ることにつながること、第二に、災害後の復旧や被災者の生活再建等に係る負担、社会経済活動への影響などの軽減につながることなどがあると考えております。  平成三十年七月豪雨等で大規模な被害を受けた地域におきましては再度災害防止のための事業を集中的に実施することとしておりますが、これらの事業を着実に進めるとともに、事前に行うべき予防的な対策が後手に回ることのないよう必要な予算確保に努め、本日、総理より年内に取りまとめるよう指示がありました防災減災国土強靱化のための三か年緊急対策も含めまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  27. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 是非、今大臣からも後手に回ることがないようにというふうにお話もありました。事前防災こそ、やはり未来の安全のための重要なその一部でもあるかというふうに思います。今御決意のとおり、是非予算確保に向けて、我々も協力しますので、お力をいただければというふうに思っております。  では、続きまして、住まいについてお伺いをしたいというふうに思います。  二点ですが、ちょっと順番を変えまして、先に空き家についてお伺いをいたします。空き家も様々ありますけど、念頭にあるのは利活用ができる空き家でございます。  今、私の手元に、これは埼玉のふじみ野市が宅建業協会と結んだ空き家バンクによる仲介に関する協定書なんですけど、これは昨年の三月に締結をされております。空き家を利活用するためにどうすればいいか、行政と民間との提携という形で、非常に先進的な取組をされております。  私、こういった行政と民間との提携が空き家対策には非常に重要だと思っています。空き家対策のキーである所有者情報、これを持っている行政、ただ、行政は、これについては例えば所有者に対してどういうふうに接していいか、話を持っていけばいいかというのがなかなか習熟していないところがあります。他方で、この空き家の利活用のための現場の知恵が豊富なこういう民間団体がありますけど、他方で、この民間団体は所有者情報というのはなかなか共有できていないと。  こういう中で、こういう両者をちゃんとマッチングしていくというような取組が不可欠であるなということを御指摘しようと思っていたら、もう既に住宅局がすばらしいガイドラインを作っていらっしゃいました。本当に、全国の優良事例をしっかりと取り上げられまして、それぞれについての法的問題、いろいろポイントとしてしっかりと取組をされた事例などもしっかりと書かれている内容であるかなというふうに思います。  空き家に関しては、例えば京都市のように、民間の宅建業を行っている方の中で一部は登録をして情報提供するというのもあれば、民間業界との関係で行政がしっかり連携をした上で情報を提供して取組を進めていく青梅市のような事例もあるかなというふうに思います。  こういうこのガイドラインの内容に沿ったすばらしい事例の横展開についてどのように取組をされるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  28. 石田優

    政府参考人(石田優君) お答えを申し上げます。  空き家の利活用を促進する上におきまして、宅建業者などの民間事業者との連携は極めて重要であると思っております。今御指摘いただきましたような先進事例を入れたガイドライン、これにつきまして、今年六月に公表させていただいたところでございます。  このガイドラインにつきましては、自治体のみならず宅建業者の全国団体の方に対しましても説明を行いますとともに、官民が連携したモデル的な取組に対しまして支援実施することなどによってその普及を図ってきております。  さらに、空き家対策に関する検討や情報共有を図るための全国組織として、昨年八月に全国空き家対策推進協議会が設置されております。ここにおきまして先進的な事例の横展開を図るなど、更なる推進に努めていきたいというふうに思っております。  こうした取組を続けまして、引き続き、官民が連携した空き家対策の推進に積極的に取り組んでまいります。
  29. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 是非、引き続きよろしくお願い申し上げます。  特に、宅地建物取引士とかそういう民間の方との行政と自治体の連携を更に進めることが空き家対策にとって重要だというこのメッセージを、強い国土交通省からのリーダーシップで発揮をして、いろんなところの自治体に、ノウハウの共有も含めて連絡をお願いをしたいというふうに思います。様々な協議の場をつくって、もっと現場に入っていく取組も必要かというふうに思いますので、その辺りは是非知恵を出していただいて、またお願いできたらと思います。  もう一つ、住まいに関してなんですけど、これは、明年の十月に予定されている消費増税の折についての影響緩和であります。  住宅について、特に、様々なところでもうお話もあるわけでありますが、その点、総理からも増税後も住宅についてはメリットが出るようにというようなお話が、十月十五日にお話もありました。大臣も、先日、この趣旨に沿ってお話もいただいたわけでありますが、やはりメリットと言う以上は、増税後に買った方が得だと思っていただくぐらいにインパクトのある施策でないとやはりいけないなというふうに思います。  今、図の方も、ちょっと資料にさせていただいたんですけど、二枚目の資料、これをお配りした趣旨は、これ図に描いてありますとおり、住宅に関しての建設費、これ上がっているんですね。上がっているんですけど、三十代の平均貯蓄というのはやはりどんどん減っていて、こういう中で住宅が、更に増税が起きたとき、それでもメリットが出るようにというような環境整備というのはよほど重要なものでないといけないということだけをお示しするために、まずは二枚目お配りをいたしました。  我が党も、十一月十六日に、住宅ローン減税の控除期間延長、拡充及びすまい給付金の延長、拡充、これを政府の方に提言申し上げたところであります。住宅ローン減税は、特に、上限額を上げるだけだと一部の方だけに偏ってしまいますから、やはり控除期間の延長というのは重要かなと、幅広い世代に対してという、年収、世代についても重要であるかなというふうに思っております。  その上で、三枚目見ていただきたいんですが、これイメージ図です、あくまで。あくまでイメージ図ですが、左の方ですと、やはりこれだけ消費税が増えると、そういう中で、例えば住宅ローンの控除期間の延長によりまして全ての年収階層にも利益というものが生まれて、メリット化に向けて一歩行くわけであります。  その上で、こちらにちょっと書きにくくて書いていないんですけど、七百万未満の世帯では、控除期間の延長だけですとなかなかメリットも生じ得ないので、このピンクのすまい給付金の拡充なども両方必要かなと、要は、税と予算一体となった取組というものが必要であるかなというふうに思います。  これについての御所見とともに、需要変動の平準化について十分な規模の措置が不可欠であることを申し上げましたが、やはり前広にアナウンスする意味でも、今申し上げましたこの控除の期間の具体的な期間については、私としては、過去最大の十五年も含めた大幅な拡充、これも含めて行うべきであるというふうに思いますが、国土交通省の見解をお願いいたします。
  30. 石田優

    政府参考人(石田優君) 住宅投資につきましては、内需の柱であって、消費税引上げによる駆け込みとか反動減が生じますと経済に与える影響は非常に大きいというふうに認識をしております。  本年十月十五日の閣議におきまして総理から、住宅についても来年十月一日以降の購入などについてメリットが出るよう施策を準備するというふうに発言がございました。  また、今御紹介ありましたように、先般、公明党及び自民党からそれぞれ消費税率の引上げに伴う対策が取りまとめられまして、住宅ローン減税の期間の延長やすまい給付金、それからあとポイント制度、こういったものについて提言を賜ったところでございます。  昨日の実は経済諮問会議におきましても中間整理案なるものが示されまして、与党からの提言を踏まえて、住宅に関して税制上の措置について検討を行うことや、一定の省エネ、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や、家事、介護負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームに対してポイントを付与することを検討するといったことが示されたと承知しております。  国土交通省におきましても、こうした予算、税制、全体を含めまして、与党等からの提言、それに今の諮問会議の中間取りまとめ、こういったもろもろを踏まえて、需要変動の平準化、景気変動の安定化のために必要となる対策の実現に向けて、年末の税制改正の大綱や予算の取りまとめに向けた具体的な検討に尽力をしてまいりたいというふうに思っております。
  31. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 是非、大胆な対策に向けて、財政当局との調整も我々もしっかりと後押ししますので、よろしくお願い申し上げます。  もう一問、地方のバスについてお伺いする予定でありましたが、時間も参りました。大変申し訳ありません。  いろいろ地域の足としても非常に重要でありますし、地域の業者さんからは、自動化であったり自動運転であったり電動化であったりデータの見える化など、いろいろな示唆もいただいたところであります。次回に回したいというふうに思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  32. 野田国義

    ○野田国義君 立憲・民友会の野田国義です。  今日は、私、前の回に続きまして、入管法、国土交通委員会に関わることについて質問をしていきたいと思います。  今日、衆議院の方ではまた強行採決がされるようでございますけれども、本当に慎重な審議が、急がずに、多くの問題があるということであります。  昨日ですか、おとといですか、埼玉の上田知事、今、知事会の会長をされておりますけれども、発言をされておりました、地方自治から準備が足らないというような声が寄せられているということ。当然、この入管法に関しましては、地方自治が大きく関わってくるということはもう明確であるわけでありますので、そういった論議が本当に足らない。だから、そういった狭い論議になってはいけないということだろうと思っているところでございまして、このこともひとつしっかりと頭に入れて今後やっていただきたいなと思っているところでございます。  そこで、私、この間から西日本新聞が指摘をしておりました、地元紙がよくこういうことを指摘したなと思いもあったわけでありますけれども、いわゆる外国人建設就労者受入事業に係る制度推進事業、それから外国人造船就労者受入制度推進事業に係る巡回等業務ということで、こういう、大臣は内部資料という表現をされておったようでございますけれども、調査報告書ができ上がっておる、それで、私の手元にも届けていただいたところでございます。  このことについては感謝を申し上げたいと思うところでありますけれども、こういう資料があるなら、私はもっと、もっともっと積極的に公開をしていく、そして、今、いわゆる失踪者の調査ですね、結果について、結局まだ、何ですか、手書きで書いてこなくちゃいけないような状況になっているということでございますので、私は、名前あるいは企業名辺りを伏せて公開すれば何ということはないんじゃなかろうかなと、そのように思っているところでございますので、もっともっとそういった資料を国会あるいは国民に公開をしながら論議をしていくということが求められているということを指摘をさせていただきたいと思っております。  この資料でございますけれども、この報告書でございますけれども、いわゆる外国人緊急雇用で四割が不適切であったと、いわゆる基準以下の賃金や過重労働があったということが指摘をされております。  しかし、この制度というのは、もう皆さんも御承知かと思いますけれども、御案内のとおり、今論議しているこの入管難民法案と非常に共通点が多いということなんですよね。日本人と同等の給与水準を保障することや技能実習生が移行するという点からしたら、非常にこれは共通する点でございますので、こういった資料を生かしていくということが私は大切だと思いますけれども、どのようにこのことについてお思いなのかをお聞きしたいと思います。
  33. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) お答え申し上げます。  ただいま委員から、平成二十九年度に私どもが委託をして行ったいわゆる制度推進事業というものの実施報告書、開示をしましたので、例えば、それは二十七年度のこの制度開始当初から当然委託をしておりますので、例えば二十七年度、二十八年度分も当然その報告書は存在いたしますので、ただ、その開示をするということに当たっては、その中に個人又は法人情報が含まれるということでございますので、内容を十分精査した上で開示できる部分については開示するという方針で対処してまいりたいと考えております。
  34. 野田国義

    ○野田国義君 せっかくこういう報告書を作られたということなので、これを参考にいろいろ改善点を見出していくということが大切であろうと思っております。  今触れられましたが、私がもらっているのは二十九年度だけしかもらっておりませんので、二十七、八ですか、これ、建設造船に係る資料を、委員長是非とも委員会の方に出していただきたいということを要求をさせていただきたいと思います。
  35. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 後刻理事会協議させていただきたいと思います。
  36. 野田国義

    ○野田国義君 よろしくお願いいたします。  それで、これらの報告書、幾らぐらいこの二つの報告書掛かっているのか、費用がですね。それから、これまでの事業の実施状況について、建設造船共に、特定監理団体数、認定数、取消し、停止件数、企業数、適正監理計画認定数はどのくらい出たのか、そしてまた、取消し、停止の理由とかそういうものはどういうことになっているのかということをお聞きしたいと思います。
  37. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) まず、建設業に関して申し上げたいと思います。  まず、どれぐらい掛かっているかということですが、もちろん、報告書の作成ということではなくて、まさに委託した業務そのものの全体、したがいまして、巡回指導であるとかあるいはホットラインの創設とか、そういったものをまさに業務として委託している、その委託の金額という御趣旨かと思いますのでその委託金額ということで申し上げますと、初年度平成二十七年度につきましては九千三百三十六万二千九十円、二十八年度につきましては四千六百四十九万四千四十九円、二十九年度におきましては四千七百九十九万八千八百六十円となっております。なお、初年度平成二十七年度につきましては、体制整備のための初期費用が含まれているため金額が多少大きくなっているということでございます。  それから、認定の数、取消しの数ということで、ちょっと各年度ということでよろしければ少し年度別に申し上げます。  まず、特定監理団体の各年度の認定件数及び取消し件数でございますけれども、平成二十七年度におきましては認定が百十一件、取消しが四件、二十八年度におきましては認定が三十八件、取消しが六件、二十九年度におきましては認定が二十一件、取消しが五件ということで、三か年の累計で百七十件が認定され、十五件が取り消されていることから、二十九年度末時点では百五十五団体が現に認定されている数値ということでございます。それで、特定監理団体の認定取消し理由の大宗は、実は技能実習における不正行為ということでございます。これが特定監理団体。  そして、受入れの企業に係る適正監理計画につきまして、これもちょっと長くなりますけど、各年度言いますと、二十七年度認定が二百十八件、取消しが四件、二十八年度認定が四百十一件、取消しが二件、二十九年度認定が六百四十一件、取消し三十六件ということで、これをやはりネットで差引きしますと、二十九年度末時点で千二百二十八件が認定されているということでございまして、この適正監理計画の認定取消し理由の大宗は、特定監理団体の認定取消しに伴い、当該特定監理団体に係る受入れ企業の適正監理計画の認定が取り消されたものでございます。
  38. 野田国義

    ○野田国義君 このように多額の費用を掛けてやっておられるわけですから、しっかりと生かしていくということでお願いをしておきたいと思っております。  そして、積極的に公開をしていただくと、これは本当に財産なんですよね。国会あるいは国民の財産と言っても過言ではないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、技能実習生の失踪の実態について、このことが今一番クローズアップされているかと思いますけれども、本当に私もびっくりいたしました、この失踪者が七千人からなると。今年は、もう御案内のとおり、半期で四千二百七十九人ですか、過去最高のペースで失踪者が出ているということでございます。  そして、この失踪者の中身を見ますと、本当に想像を超えるような数字が出てきているということでございまして、最低賃金を上回る待遇を払っていたところが何と一五%しかないと、逆に、八五%は低賃金で働かせていたというような実態が明らかになっているし、光熱費などを差し引いた後の平均時給が四百五十二円の方が平均だったというような実態、それから、ベトナム人においては時給九十四円で働かせていたというようなことが明らかになってきているというようなことでございまして、本当にこれ、みんな驚く実態が明らかになったんじゃなかろうかなと。  ですから、この資料こそ公開をしていかなくてはならないと思っております。先ほど私申し上げましたように、名前とか企業を伏せて公開すればこれ何も問題はならないということでしょう。ですから、私がいただいているこの資料、報告書ですか、も黒塗りが少しありますけど、そういうところを伏せてやれば何も問題はないということでございますので、この辺りのところをどうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  39. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) お答えいたします。  今御指摘をいただきました技能実習の、旧技能実習生の失踪者に係ります聴取票でございますけれども、これは、あくまでも入国管理局内での調査の範囲内で聞き取りを行っているものでございまして、元々、第三者に公開するということを前提として対象の皆様から了解を取っているものではございません。  例えば、聴取票のコピーあるいは書き写したものそれ自体が広く一般に公開されるということになりますと、聴取票に基づく調査において御自分が供述した内容が他人に知られるということが流布しまして、その後、入管に対する調査等への協力が得られなくなる可能性があるということを危惧しておりまして、今後の調査業務等に与える影響が甚大であり、これにつきまして公開をするということについては慎重に対応をしたいというのが入国管理局の考えでございます。
  40. 野田国義

    ○野田国義君 ですから、名前とか企業名はもう伏せていいですよと言っているんですから、できるでしょう。できないですかね。名前とか企業とか分からないようにしてしまえばいいじゃないですか、そういったプライバシーの問題は。できるはずですよ。私は、是非とも早く公開をしていただきたいと思っております。そうしますと全体が見えるじゃないですか。どういう問題があるかということ、今回の法律のまた改善点が見えるということでございますので、強く要求をしたいと思っております。  そして、全ての私は技能実習生についての調査などもする必要があるのじゃないかと。これだけの調査でこんな本当にひどい驚くような実態が浮かび上がってきているということでございますので、お願いをしたいと思っております。  それから、私が問題にしておりますのは、ちょっと二つ一緒にしますけれども、時間がございませんので。  実習生の二千八百七十人の調査をしたわけですよね。国の送り出し機関、母国の方ですか、そこに百万円以上百五十万円以下払って来た人が千百人、それから、二百九十三人が百五十万円以上も支払って来たということ、これも非常に大きな問題。私も、この間から地元のある農業者のところに行きましたら、このことが非常におかしいということをおっしゃっていたし、外国人日本で労働をする中でこれを返していかなくちゃいけないわけですよね。借金を負って日本に来ているということでございまして、この問題も大きいと思っております。  それから、一緒にちょっと質問をさせていただきますが、技能実習生でのいわゆる監理団体のような存在として新制度においてはどのようなあっせん団体が必要になるのか、どう変わるのかということをお聞きしたい。またここが結局天下り先になったとか、そんなことがあってはならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  41. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) まず、法外な保証金を取られているというような問題につきまして、本国の送り出し機関につきまして、昨年の十一月に施行されました技能実習の新法におきまして様々な監理体制を組んでいるところでございます。特に、実施取組といたしまして、送出国との間で送り出し機関の適正化を目的とした二国間取決めを作成することとしておりまして、現在、既に十か国との間で締結をしたところでございます。悪質な行為が確認されました送出機関、送り出し機関につきましては、送り出し国に通報して、その排除を行うということを取り組んでいこうとしているところでございます。  それから、新しい制度におきましてそのあっせん機関が入るのかということでございますが、これは、技能実習と異なりまして、本国におけますこの送り出し機関等の団体あるいは機関が前提とされているものではございません。加えまして、受入れ機関、これが雇用会社になるわけでございますけれども、この受入れ機関につきましても、様々な適格性を有するための基準というものを設けます。  あわせまして、登録支援機関というものを新設をいたしますが、これは、受入れ機関におきまして外国人材の皆様の適切な支援を行う、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行う、これは法定されている中身でございますけれども、この支援機関につきまして、その行うことについて、もしも受入れ機関本人ができないということになりますと、それを外注をする、その外注をする支援機関につきまして法務省において登録をする、適切な基準を満たしている支援機関について法務省が登録をすることによってここの支援機関は大丈夫ですよということが皆様方に分かるようにするという仕組み等々を盛り込む予定でございます。
  42. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 野田君、時間を超過しておりますので、質疑をおまとめください。
  43. 野田国義

    ○野田国義君 はい。  終わりますけれども、今日、また本当に衆議院で強行採決をされるということのようでございますけれども、断固反対して、継続して慎重審議を求めてまいりたいと思います。  終わります。
  44. 舟山康江

    ○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江でございます。前回に続きまして、また質問をさせていただきたいと思います。  今日は、まず、水循環基本法と採石法などの業法との関連性、ここについてお聞きしたいと思います。  平成二十六年に成立した水循環基本法は、水の重要性、とりわけ健全な水循環の維持又は回復のために国や地方公共団体の責務などを定めたものだと理解しております。一方で、採石法は、昭和二十五年に成立した岩石の採取の事業の健全な発展を目的として定められたものでありまして、現在、その認可は都道府県知事の自治事務と定められております。  実は、山形県におきまして、鳥海山の麓での採石業に関して業者から認可申請があったところ、県は水源、景観に影響を及ぼすおそれがあるということで不認可処分を行ったところ、現在、業者から公害等調整委員会に裁定の申出が出されていると、こんな状況であります。  公害等調整委員会は、採石法、こういった業法ですね、これと一般公益との調整を図るために総務省に置かれているものでありますけれども、実は、採石法の中には認可基準が定められております。この中には、まず一つ、他人に危害を及ぼす、そして二つ目、公共の用に供する施設を損傷する、三つ目、農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じる、こういった場合には認可できないということになっておりますけれども、ここの中に水資源とか景観、環境に配慮規定は入っておりません。恐らく、昭和二十五年ですから、この環境とか景観とか水資源、こういったものに対する関心というのは余りなかった時代なのかなと思っています。そういった時代背景もあって、この認可基準には入っていないということであります。  問題は、採石法の逐条解説等、こういうのが出ていますよね。こういったものを見ますと、今挙げた三つ、この事項以外を不認可理由にしてはならないと、こういう解説になっています。  ただ一方で、今の時代、水循環に配慮した規定がないというのはやはり少し今の時代としてはおかしいんじゃないかということであります。  そういう中で、今冒頭に御紹介させていただきましたとおり、水循環基本法では、まさに健全な水資源の維持、回復のために、いろいろと国、公共団体はやらなければいけないとなっています。  そういったことを考えるに当たって、この各種業法、やはり今、改めてこの時代において、採石法においてもやはりこういった水循環、景観、環境、こういったものを一つの条件として入れるべきではないかと、こういった声が起こっていると私は承知しておりますけれども。また、水循環基本法の中には、水循環施策に必要な調査実施とか関係行政機関が実施する施策の総合調整、ある意味では今の法律の問題点もきちんと総合調整しなければいけないと私は思いますけれども、まさにこういった現行法制の問題点などの調査研究を進めるべきではないかと考えておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  45. 佐藤克英

    政府参考人佐藤克英君) お答えいたします。  水循環基本法第二十三条によりまして、水循環政策本部の所掌事務は、水循環基本計画の案の作成、実施の推進に関すること、関係行政機関が水循環基本計画に基づいて実施する施策の総合調整に関すること、その他水循環に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整とされております。  各業法等の見直し、現行法制の問題点につきましては、まずは、水循環基本法の理念も踏まえまして、法律を所管している各省において検討されるものと考えております。  水循環政策本部におきましては、水循環基本法に基づいて実施する施策やその他水循環に関する施策で重要なものについては、引き続き総合調整を図ってまいります。
  46. 舟山康江

    ○舟山康江君 総合調整というのは、やっぱり何が今、水循環基本法の理念を実現するために何がネックなのか、何が問題なのか、こういったことを調査することも大きな仕事だと思っております。  確かに、法律そのものをいじるのは各所管の省庁だと思いますけれども、やはりそれぞれの省庁が抱えているものに対してこんな問題がある、こんな懸念がある、そういう指摘をするのも大きな仕事ではないかと思いますけれども、是非それを実現していただきたいと思います。  その上で、今もありました採石法に対して、やはり今の時代、環境とか景観とか、まさにこの水、命の水ですよ、命の水の循環に対してしっかり配慮するような、そういう規定をこの採石法の中にも盛り込むべきではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  47. 関芳弘

    ○副大臣(関芳弘君) 今委員の方から御意見を賜りましたこの採石法でございますが、採取計画の認可につきましてでございますけれども、先ほど委員からもございましたが、地方自治法に定める自治事務といたしまして、都道府県知事の権限により行うこととなっているところでございます。  このために、都道府県知事は、現在の規定でも、個別計画の認可に当たりましては環境や水資源、景観等に配慮を求める等の条件を付すことが可能となっているものでございまして、この規定に基づきまして、全国のそれぞれの自治体によりましては、個別個別の事案や地域の状況を踏まえまして、採取現場下流域の地下水への悪影響防止すること、また、採取後の森林再生に努めることとし、公害防止条例を遵守し、近隣住民の生活環境保全に万全を期すことなどの認可の条件を付している例もあるところでございます。  また、我々経済産業省といたしましては、本制度の運用に係ります理解を高めていきますように、今後とも、都道府県の担当者等への研修や、また、他の地域の執行事例の共有化などに取組をしていきまして、各地域の実情を踏まえた適切な法執行がなされるように努めてまいりたいと思います。
  48. 舟山康江

    ○舟山康江君 これ、地元の町も山形県も条例定めているんですよ。自然環境条例等を定めているんです。  その中で、やはり水循環とか景観にきちんと配慮するということが定められておりますけれども、大本の法律にこれがないということで不服の審査請求が出され、過去のそれぞれの、先ほど紹介いたしました公害等調整委員会の中では、自然環境とか景観を理由に認可をしないということは認められないと、こういった判断が多く示されているんですね。  ですから、元の法律にきちんと書き込まなければ、なかなかこれ実効性上がらないんですよ。自治事務だから現場に任せるといいながら、現場でやれば法律に書かれていないから不認可は難しいと、これおかしいじゃないですか。こういった矛盾を直していくのが、まさにこれは仕事じゃないんでしょうかね。  もう一度お答えいただきたいと思いますけど、こういった現状は御存じですか。
  49. 関芳弘

    ○副大臣(関芳弘君) ほかの県の事例を見ましても、例えば立ち木の伐採とか、景観条例等を定めておられましたり、また地域住民の生活環境を損なわないようにとか、そういうふうな文言をきちんと条例で書かれているところも多々ございます。そういうところがあって、また、県ごとに環境におけます状況、今委員の御意見は、いわゆる経済と環境という、また景観など、そういうようなことの両立という非常に奥深い項目も含まれた御質問だと思いますし、その点は、非常に両立させていくということは大事なことだと思います。  ですので、結局は、地域地域によってその状況が違うわけでございますので、その地域に根差した都道府県の知事がしっかりと判断が、一番地域に精通されました知事が権限によって認可が出せるということで今地方自治法に定めているところでございますので、是非その点を御理解いただきたいと思います。
  50. 舟山康江

    ○舟山康江君 いや、個別の事情は、それは現場で判断しますよ。だけど、大きな全体の方向として、さっき、だって、あの法律の中には幾つか認可してはいけないという条件が入っているわけですよ、農業とか林業とか、あとは施設を傷つけるとか。そこにやっぱり、今、環境とかこの水資源、まさに水資源を守りましょうというのが国全体の方針なわけですから、そういったものを今入れ込むべきじゃないかということであって、一々細かいところまで国が縛れという意味ではありません。大本のところにきちんとこの基本理念を入れていく、やっぱり環境に配慮する規定を入れていくべきじゃないかということを申し上げているわけであって、是非担当省庁として御検討いただきたいと思いますし、石井大臣は水循環政策担当大臣でもあります。  この水循環という観点からも、私、やっぱりこの業法、それぞれの業法が、ある意味では、場合によってはこの水循環に影響を及ぼすということも考えられますから、是非この立場からももう一度検討を促していただきたい、調査等をしてしっかりと対応いただきたいと思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  51. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 各種業法の見直しや現行法制の問題点につきましては、まずは、水循環基本法の理念も踏まえ、法律を所管をしている各府省において検討していただきたいと考えております。
  52. 舟山康江

    ○舟山康江君 総合調整の役割を水循環政策担当大臣はお持ちだと思っておりますので、是非そういった観点からの指導力も発揮していただきたいと思いますし、これは、是非、党派を超えて議員の皆様からも御賛同いただければと思っております。  続きまして、首都圏空港の機能強化、とりわけ羽田空港の増便計画についてお聞きしたいと思います。  今、羽田空港、成田空港、役割分担がされていると思いますけど、元々は、私の理解では、羽田は国内線、成田は国際線と、そういった役割分担だったと記憶しておりますけれども、最近、羽田空港の国際線がどんどん増えていると、こんな状況であります。  現在のところのこの役割分担の基本的な考え方をまずお聞かせください。
  53. 蝦名邦晴

    政府参考人蝦名邦晴君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、羽田空港につきましては国内線を、成田空港については国際線を中心に路線の拡大を進めてまいりましたが、平成二十二年に羽田空港のD滑走路の供用開始に伴いまして再び国際線定期便が就航するなど、羽田空港の国際線の拡大も進めております。  二〇二〇年に向けましては、急増する訪日外国人旅行者の受入れ、我が国の国際競争力の強化などのために、羽田、成田両空港の特性を最大限生かして、首都圏空港としての機能を更に高めていくことが重要であります。  具体的には、羽田空港は、国内線の基幹空港としての機能を持ちつつ、国際線につきましては、国内線、国際線の乗り継ぎを含みます日本発着の直行需要を中心に対応することとしております。また、成田空港につきましては、国際線の基幹空港としての機能を持ちつつ、北米—アジア間を中心とした国際線、国際線の乗り継ぎ需要を取り込んで、国際航空ネットワークの強化を図りながら、国際、国内のLCC需要、貨物需要にも対応することとしております。
  54. 舟山康江

    ○舟山康江君 何か途中でいろいろ理念が変わったのかなと思っておりますけれども。  それはそれとして、今、成田、羽田それぞれ、やはりオリンピックに向けて、また諸外国との交流の活性化、訪日外国人旅行者の増加等に対応するために増便も検討しているということでありますけれども、その議論のときに出てくるのが、先ほど中野委員からも少し触れられておりましたけれども、羽田空港の増便の議論を契機に横田空域という問題がにわかにクローズアップされてまいりました。  横田空域というのは、在日米軍が進入管制権、管制権を持つ空域ということで、恐らく、この議論を契機に初めて横田空域というものの存在、そして日本の領土内にあって日本が自由に管制権を持てないというものの存在、これが明らかになったのかなと思っております。  今回、やはりこの羽田の新経路、羽田空港の増便に当たっては、いわゆるアメリカが、米軍が管制権を持つ横田空域を通過する、通過しなければなかなか増便に対応できないと、こういうことの中でいろいろやり取りが続けられているということでありますけれども、この詳細はともかく、私、ある意味で、多くの皆さんがこの議論を契機に、ああ、こんなものがあったんだと。  これは日米地位協定の中で決められていて、少しずつではありますけれども、若干この空域の削減は進められてきていると、こういったことではありますけれども、でも、まだ厳然として存在していて、この空域を通るためにはアメリカの管制権の中に入らなければいけない、許可をもらわなければいけない、非常に不便なわけですよね。ですから少しいびつな空路を通らなければいけないということもあると思っております。  そういう中で、今この日米間の議論がどのように進んでいるのかに加えまして、もう一点、私は、改めてこの議論を契機として、やっぱりこの横田空域についても日本が一元的に管制を行うべきではないかと考えております。進入管制権限の全面返還ですね。こういった議論も含めてされているのかどうなのか、ここも含めてお答えいただきたいと思います。
  55. 蝦名邦晴

    政府参考人蝦名邦晴君) お答え申し上げます。  現在、都心上空を飛行する羽田新経路の運用に向けまして準備を進めているところでございまして、米側とも従来から必要な調整を行ってきているところでございます。  羽田の新経路の調整に合わせていわゆる横田空域の返還交渉というのは行っておりませんが、羽田の新経路とは別に、いわゆる横田空域の返還につきましては、我が国の空域を一元的に管制する観点から、関係省庁と協力しながら米側と調整してまいりたいと考えております。
  56. 舟山康江

    ○舟山康江君 やっぱりこの問題を契機に、ちょっと当たり前のように、何かタブー視のようにされていた、余りここに触れられてこなかったんですけれども、この問題を正面からきちんと議論していく必要があるんではないのかなと思っています。  何かアメリカ軍の問題というと沖縄沖縄となりますけれども、こんな都心のど真ん中にもいろんな問題があって様々な制約を受けているということ、やはり改めて私たち全ての国民がこの問題に向き合って、そして解決に向けて動いていかなければいけないと思っておりますけれども、担当の大臣石井大臣からもこの問題に対しての所感、所見をお伺いしたいと思います。
  57. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 羽田新経路の調整に合わせていわゆる横田空域の返還の交渉は行っておりません。  羽田新経路案は一部横田空域を通過する案となっておりますが、新経路の運用は、日数からいえば全体の四割である南風時であり、なおかつ一日のうち三時間程度であるということから、削減ではなく、運用上の対応によってこの経路案を実施することとしております。  一方、この羽田新経路とは別に、いわゆる横田空域の返還につきましては、我が国の空域を一元的に管制する観点から、関係省庁と協力をしながら米軍と調整をしてまいりたいと考えております。
  58. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございました。  改めて、担当大臣としてのみならず、まさに内閣の一員として石井大臣には、この問題を契機として、この横田空域の問題、全面的に議論いただきたいと、それを提起いただきたいと私はお願いを申し上げたいと思います。  何か在日米軍基地というと地面の問題だと思われていますけれども、実は、空までも支配というか権利が相当与えられているということに対しては、やっぱりいろいろと論点提起が私は必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、建築物への木材利用促進について、現状と課題についてお聞きしたいと思います。  公共建築物等木材利用促進法が平成二十二年にできまして、随分と建築物への木材利用が進んできたと一般的には思いますけれども、現状どのように認識されているのか、大臣から、まず全体、今の推進状況についてお聞きしたいと思います。
  59. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 木材需要拡大は、林業の成長産業化や地域の活性化といった観点から重要な課題と認識をしております。  建築物への木材利用の現状といたしましては、平成二十九年度の建築着工統計によりますと、新築建築物の床面積の五割弱が木造建築物となっております。また、国が整備いたします公共建築物につきましては、平成二十二年度に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されてから平成二十八年度までに、二百三十一棟を木造で整備をいたしました。  木造建築物の内訳を見ますと、低層住宅では約八割が木造である一方、非住宅分野や中高層分野では木造の割合は低く、木造の建築の拡大を図っていく上では、これらの分野における普及を図っていくことが特に重要と考えております。  このため、建築基準法に基づく構造、防火関係の基準について、個別の実験や検証等、安全性を確認した上で合理化を進めてまいりました。本年六月に改正をいたしました建築基準法におきましても防火関係の規制を合理化いたしまして、木材がそのまま見える現しで使いやすくすることなどによりまして、木の良さが実感できる形での木材利用の推進に向けた取組を進めているところであります。  さらに、公共建築物につきましても、自ら整備いたします公共建築物におきまして木造化、木質化を推進するとともに、国の木造建築物に関する技術基準類を整備をいたしまして、各省庁や地方公共団体への普及に努めるほか、地方公共団体や民間事業者が行う建築物の先導的な木造化を図るプロジェクトに対する支援等を行っているところであります。  今後とも、農林水産省を始めとする関係省庁連携をいたしまして、これらの施策を積極的に推進することによりまして木材需要拡大に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  60. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございます。  大臣の御答弁に林野庁とも連携というお話がありました。まさに今、山は伐期を迎えております。戦後の造林した杉材等が伐期を迎えていて、やはりこれを適切に利用することが循環した山の利用にもつながりますし、まさに川上から川下、いい木を作って、それを使ってまた再植林、再造林をしてというこの循環をつくっていくためには、やっぱり利用側、この川下側の利用推進というのが非常に大事だと思っております。今の御答弁の中でも、公共建築物に随分と木材が使われるようになったと、一方で、まだ民間の施設に関しては、私の調べたところ二七%程度と、非常にまだまだ木造化率が低いということが挙げられております。  この背景はいろいろありますけれども、一つは、随分国の方でも性能試験等を積極的に進めていただいたり一般化したりということはあると思いますけれども、まだまだ性能評価試験の受験に長時間を要する、今待っている状態だと、こういったことも聞いておりますので、是非この性能評価試験を迅速にということ、場合によっては、この試験のできる場所、こういったものを増やすことも検討いただきたいと思いますし、とにかく、耐火構造の柱やはりの普及に向けてしっかりと前向きに取り組んでいただきたいと思っています。  加えまして、是非これは林野庁からもお聞きしたいんですけれども、木材利用促進に向けて、国だけではなく地方自治体、そして民間、こういった取組促進するために様々後押しが必要だと思いますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  61. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  ただいま公共建築物における木材利用の地方公共団体取組について御質問がございました。  先ほど来お話が出ております平成二十二年に制定をされました公共建築物等木材利用促進法によりまして、地方公共団体、国の基本方針等に基づきまして公共建築物における木材の利用の促進に関する方針というものを作成することができると法律上なっておりまして、さらに、国の基本方針におきましては、各地方団体はこの方針を作成することを期待するということになっております。  このため、農林水産省では、これまでも地方公共団体に対し働きかけですとか指導などを行いまして、現在までに、全ての都道府県と全市区町村の約九割に相当する千五百七十三の市区町村で方針が策定をされておりまして、公共建築物の木造化、内装木質化に向けた施策が進められていると承知をしているところでございます。  今後とも、国土交通省など関係省庁地方公共団体関係団体とも連携をいたしまして、公共建築物の木造化、木質化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  62. 舟山康江

    ○舟山康江君 国、地方公共団体については分かりましたけれども、やはり先ほど少し数字を紹介させていただきましたが、民間施設についてはまだまだ木造化率が低いと、こういった状況であります。民間ですから強制することはできませんけれども、やはり民間に対しても後押しをいただきたいと思いますし、後押しのための、ある意味では建設費の一定割合を助成する等の制度の創設等も検討いただきたいと思っております。  加えまして、やはり国産材、地域材、こういったものを使った施設の整備に当たりましては、やはりこの木材、機械的にできるわけではありませんから調達に時間を要すると、こんな指摘もされております。  そういう中で、木材調達と本体工事を分けて行う分離発注、これも認めているということではありますけれども、分離すると、今度、木材調達については補助事業の対象外ということ、全額自前でということになると、これも大きなネックなんですよね。分離発注等を進める一方で、ここについても何らかの補助制度等の支援がないと、やっぱりどうしても、まだまだ木材利用をした建物というのは少し掛かり増し経費が掛かるということで、二の足を踏む部分があると思うんですよ。  ですから、分離発注を認める、進めるというのはいいですけれども、そこに対する支援等も是非検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  63. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  まず、木造建築物についての補助につきましては、林野庁の方でも毎年一定の補助を、木造にすることによる掛かり増し経費などを中心に補助をさせていただいております。また、大規模な木造建築物を整備する場合には、先生御指摘のとおりに、木材調達に長時間が掛かるということなので、発注者である地方公共団体が前年度までに木材調達を行う分離発注方式というものを導入すれば単年度で補助事業を活用できる場合があるということで、各都道府県に周知をしているところでございます。  ただ、複数年度にわたる事業につきましては、予算の単年度主義の原則もありまして、なかなかそういう予算を組み立てることは難しいんですけれども、様々な理由で工事が単年度で終わらない場合には翌年度に繰り越して予算を使用するということも可能になっておりますので、現行の制度の下で柔軟に対応してまいりたいと考えております。
  64. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございます。  是非、林野庁それから国交省、まさに川上、川下全て連携をして、木材住宅の推進、建築物の推進に向けて取組強化していただきたいと思っております。  木造住宅については、様々なメリットも指摘をされているところです。学校でいえば、非常に子供たちの精神の落ち着きにつながるとか、なかなか定量的な、定性的には出ていますけど、定量的なデータがあるかどうか私承知しておりませんけれども、そういった声が聞こえてきたりとか、インフルエンザの罹患率が下がるとか、こういった効能もあるわけですから、そういったことも含めて、更に連携をして推進をいただきますことを心からお願いを申し上げます。  続きまして、建設業ですね、建設業の人手不足。人手不足ということに対応するために今外国人労働者云々という議論もされておりますけれども、まず、外国人の前に、この今の建設業従事者の減少ということに対してもっと構造的な要因を分析して、ここに対する対応をすべきではないかと考えております。  お手元に資料を配付いたしましたので御覧いただきたいと思いますが、建設業就業者数及び全就業者数の推移ということで表にまとめさせていただき、グラフにまとめさせていただきました。  この棒グラフが実数ですね。もう大きく減少しております。これには公共事業の減少等いろんな要因があるにせよ、大きく減少しております。確かに、今、全体的に人手不足だと指摘をされておりますけれども、この上の折れ線の方が指数で表させていただきました。ネズミ色が全就業者数、実は若干増えているんですね。その一方で、建設業の就業者数というのは大きく減少しているということ。これは、つまり、全体的に今人手不足か否かということにも増して、まさにこの建設業が仕事として選ばれていないと。こういった問題はやはり何とかして解決していかなければ、じゃ、足りないから外国人を入れるということだけをしても構造的な、この建設業が敬遠されているという状況に、解決にはつながりませんので、ここにもっと目を向けていかなければいけないと思っています。特に、数値を見ておりますと、若者の入職の数が少ない、そして、逆に離職者は多いということが挙げられておりますけれども、このことに対して、担い手確保ですね。  何とかこの状況、それこそ、繰り返しになりますけれども、足りないから外から持ってこようではなくて、日本人がなぜ建設業に入ってこないのか、こういったことの構造分析と、そして担い手確保に向けた取組、何か行っているでしょうか。大臣、お願いします。
  65. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 建設業は、国土づくりの担い手であると同時に、地域の経済や雇用を支え、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担うなど、地域の守り手として国民生活や社会経済を支える役割を担っております。  一方で、景気低迷期の建設投資の減少等によりまして若者に対する十分な求人を確保できなかったことに加え、建設業を希望する若い入職者が現在も少ない水準にとどまっていること等の要因によりまして建設業は他産業を上回る高齢化が進んでおり、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれることから、将来の建設業を支える若年入職者の確保が喫緊の課題となっております。  このため、業界とも連携をしながら、適切な賃金水準の確保や社会保険への加入の徹底、技能者の就業履歴や保有資格を業界横断的に蓄積をし、適正な評価と処遇につなげる建設キャリアアップシステムの構築など、処遇改善につながる取組を推進をしております。また、将来の建設業を支える担い手の確保を図るためには特に若者の入職を促進することが不可欠であり、若者が働きやすく、やりがいを持って仕事ができるような労働環境整備するとともに、建設業の魅力を積極的に発信する取組を推進していくことが重要と考えております。  国土交通省といたしましては、これらの施策を通じまして、業界とも連携をしながら、建設業における担い手の確保に向けた対策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  66. 舟山康江

    ○舟山康江君 この担い手減少に関しては、随分声が与党席からも出ておりましたけれども、公共事業の減少ということもあるかもしれませんけれども、ただ一方で、やっぱり低賃金とか不安定雇用とか、ある意味では、それこそ建築基準法等の改正でたくみの技、職人が余り要らなくなってしまったということもあると思うんですよね。昔は、在来工法で、いろんな技術を必要とした建築物が主流でしたけれども、今や、もうパネルを組み立てるだけというような建築が主流になった、これは建築基準法の改正等で認められることになったわけですけれども。  こういった様々な背景の中で職人が大事にされなくなった、そして、これは、いろんな重層構造の中でダンピングがあったりとか、こういった問題の中でやはり重層構造の下請ですとか孫請、こういったところのもうけが少なくて、また、そういった状況の中で小さな会社が不安定になり、また、そこで働く人たちの賃金が不安定、雇用も不安定と、こういった様々な要因があると思うんですよ。  こういうことに対処するために、一つは、平成二十六年にいわゆる担い手三法というものが改正されました。ダンピングをなくそうとか、しっかりとした雇用を確保しようということでありましたけれども、これの成果、今四年がたとうとしておりますけれども、この成果、効果はどのようなものがあったのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  67. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) お答え申し上げます。  いわゆる担い手三法のうち、平成二十六年に改正された公共工事品質確保法では、発注者の責務として、企業が適正な利潤を確保できるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策、あるいは適切な設計変更、施工時期の平準化等に取り組むこととされております。  このため、国交省においては、同法に基づき直轄工事において率先して取組を進めるとともに、地方公共団体に対しても総務省と連名で要請を行うなど、取組の周知徹底を行っているところです。  その効果でございますけど、幾つかの例を申し上げれば、例えば、低入札価格調査基準又は最低制限価格のいずれも未導入の市町村が平成二十四年三月の二百三十二団体から平成三十年八月の百九団体に減少している、あるいは都道府県におきまして交付金事業において債務負担行為を活用する例が平成二十八年二月の二十六団体から平成三十年二月の四十四団体に増加するなど、地方公共団体を始めとして、一定の改善が見られるところでございます。  引き続き、公共工事品質確保法に基づく取組の周知徹底に努めることにより、建設業の担い手確保を推進してまいりたいと考えております。
  68. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございます。  本当に今は悪循環だと思うんですよね。結局、先ほど言いましたような様々な要因の中で、職人さん、熟練職人が今大分いなくなってしまったと、高齢化しているという状況の中で、その技を伝承しようにも、その伝承される側も、そしてする側ももう余裕がなくなっているということがあると思います。  今、この技を継承していく、そして職人の皆さんを大事にするような、そういった政策を打っていかないと、もう途切れてしまうわけですね。たくみの技というのは一朝一夕にできるものではありませんので、きちんとこの技が継承できるように、もっと現場の職人さんの仕事を評価できる、そういった仕組みを、ある意味では、設計労務単価を適切に見直していくとか、まさにダンピングを防止していくとか、こういったことを更に積極的に担当には進めていただきたいと思います。  もう一つ、在職者がしっかりと職業訓練、技能訓練、技能実習、こういったものを受けられるような、そういった環境も整えていかなければいけないと思っています。  聞くところによりますと、まさに仕事も忙しい、そして賃金が安い、会社側も大変だというところで、なかなか実習にまで手が回らない、昔はOJTということでいろんなことを中でやっていましたけれども、それができない状況の中でこういった技能訓練等を後押し、こういった仕組みは何かお持ちでしょうか。
  69. 田畑一雄

    政府参考人(田畑一雄君) 委員指摘のとおり、熟練工を養成するための企業への支援、重要な課題と認識しております。  このため、厚生労働省においては、事業主が労働安全衛生法に基づく教習や技能講習など熟練工を養成するための個々の労働者のキャリアに応じた実習を行った場合に、その費用の一部を助成する人材開発支援助成金、こういった制度を設け、事業主が行う在職者訓練の取組支援しております。  建設業、大変重要な役割を果たしている産業でございます。厚生労働省としても、引き続き建設業における人材育成に取り組んでまいります。
  70. 舟山康江

    ○舟山康江君 しっかりとよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、寒冷地における道路への負荷に対する対応についてお聞きしたいと思います。  前回の質問では、積雪地帯においての除雪等の支援をしっかり行っていただきたいということを申し上げました。除雪、これも大事でありますけれども、やはり大きな重たい除雪機が頻繁に動く、そして、寒かったり暖かかったり、凍ったり解けたりということを繰り返す中で、寒冷地の道路には非常に大きな負荷が掛かっていると私は考えております。  そういった道路、舗装面ですね、舗装面への負荷が大きいと思っておりますけれども、この現状に対する見解を同じ雪国であります塚田大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  71. 塚田一郎

    ○副大臣塚田一郎君) 寒冷地における道路への負担の代表的な事例として凍上現象がございます。この凍上現象は、気温の低下により道路の路面の下の地盤中の水分が凍結することによって地盤が隆起するものであり、道路舗装面に亀裂が生じるなどの現象であります。  このように、寒冷地においては、凍結、融解の繰り返しや除雪車の影響などによって舗装路面に負担が掛かり、温暖な地域とは異なる損傷が生じる場合があると認識をしております。
  72. 舟山康江

    ○舟山康江君 全くそのとおりなんですよね。加えて、凍結防止のために塩化カルシウムなんかもまかれておりますけれども、これも相当路面に対して大きなダメージになっていくと思うんですね。  だから、やっぱりこの寒冷地においては、こういった道路の負荷に対して特別な対応が私は求められると思っております。その一つに、凍上災というものがあります。  しかし、この凍上災、いろんな、凍結指数とか、うなずいていただいていますけれども、こういった要件があって、なかなか現状に沿った対応ができていないと、こんな批判も聞いております。これだけ痛め付けられているのに何で採択できないのかというようなこともありまして、この採択要件の見直し等もしっかりと考えていただきたいと思います。  もう一つ、採択されなくても、先ほどまさに御答弁いただきましたけれども、非常に負荷が大きいという中で、この劣化に対して改めて予算の手当て、対応、そういったものをしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  73. 池田豊人

    政府参考人池田豊人君) お答え申し上げます。  凍上災は災害復旧事業であり、これは、凍上現象により道路舗装に被害が発生した場合に対応するための事業でございます。一方、凍上災に採択されなかった場合の道路の舗装の修繕につきましては、地域からの要望を踏まえまして、防災・安全交付金により支援をしております。また、舗装の表層などに係る修繕につきましては、国土交通省の補助事業や交付金事業と一体的に実施する地方単独事業に対しまして、地方財政措置がございます。  国交省としましては、引き続き、地域からの要望を踏まえ、必要な支援をしてまいりたいと考えております。
  74. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
  75. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) 凍上災につきましてお答え申し上げます。  公共土木施設災害復旧事業費の国庫負担法におきましては、異常な天然現象により生ずる災害によって生じた災害復旧事業につきまして、事業費の一部を国が負担するということとされております。  この凍上災につきましては、異常な天然現象ということで、十年に一度程度を超える異常な低温としておりまして、これは、寒冷地における道路の設計に当たりまして凍上による被害が生じないよう適切な対応を講じる必要があって、地方道におきましては多くの場合十年に一度程度の低温に対する対策が講じられている、このようなことを参考といたしまして、凍上災における異常な天然現象を設定しているところでございます。  要件の緩和等につきましては長期的な課題であると考えておりますけれども、個々の採択に当たりましては、地方公共団体の意見等にも耳を傾けて丁寧に対応してまいりたいと思っております。
  76. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 舟山君、おまとめください。
  77. 舟山康江

    ○舟山康江君 はい。  是非丁寧に対応いただきたいと思いますし、改めて、やはり寒冷地においては道路の傷みが一般よりも激しいということを念頭にこれから対策対応をしっかりと取っていただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  78. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  外国人労働者の受入れ拡大に関わって伺います。  建設業造船業について、オリンピックに向けた人材不足に対応するための特例として、外国人就労者受入事業が二〇一五年度から行われております。建設業では、今年の九月時点で四千十一人を数えています。全員が技能実習の修了者であります。先ほど野田委員からも御紹介のあった中身です。この特例制度について、十一月二十二日、菅官房長官は、入管法改定案に言う特定技能一号、新しい在留資格に移行させる方針だと記者会見で述べました。  大臣伺いますが、来年四月で現在の特例を廃止するということですか。
  79. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 御指摘外国人建設就労者受入事業は、元々、二〇二〇年度末に新規受入れを終了することとなっております。今回の法案の施行後は、恒久措置といたしまして建設分野での外国人技能労働者を受け入れる仕組みが整うことから、これまでの時限的措置を継続する必要はなくなるという趣旨で官房長官は発言されたと理解をしております。  いずれにいたしましても、特定技能一号での受入れの枠組みにつきましては現在詳細を検討中でありますが、既に特定活動の在留資格によって一定期間在留、就労が認められた外国人建設就労者についてどのように受入れを行っていくか、その方法についても検討していく必要があると考えております。
  80. 山添拓

    ○山添拓君 ですから、併存する期間があるということであります。  私が説明を受けた段階では、技能実習から現在の特例に行き、そして特定技能に行くということも否定をされませんでしたので、技能実習で最大五年間、そして特例制度の下で二年ないし三年、そして特定技能一号で五年、最大十三年間にわたって家族の帯同を許さず日本で働かせる、もはや、途上国への技能移転、こういう建前をかなぐり捨てて、技能実習と一体での労働力の確保ということが仕組みとして検討されているということであります。技能実習後の雇用という点で、現在の特例制度は、これから新設しようとしている特定技能一号の先取りとも言えます。ですから、その実態は極めて重要であろうと考えます。  資料をお配りしておりますが、この制度は、国交省が特定監理団体と適正監理計画を認定をして、制度推進事業実施機関に委託して巡回指導を行う仕組みが取られています。ここにありますように、二〇一七年度、受入れ企業五百十八社に行われた巡回指導では、賃金支払状況に関して二百四社、四割で改善指導が行われたとされています。ただ、四割だけなのかというと、そういうわけではないんですね。  資料二ページ目、これは先週開示されました報告書の三十二ページでありますが、賃金支払の状況というところを御覧いただきますと、改善指導百三十七件、注意喚起八十二件、助言九十一件、合計三百十件、これは全体の六割近くに上ります。こうした受入れ企業の不正は、本来は特定監理団体が訪問指導や監査を行うという立て付けになっております。ところが、監査を行うべき、その主体となるべき特定監理団体の方がむしろ指導の対象ともなっているわけです。  資料の三枚目を御覧ください。報告書の続きですが、これ、いろいろありますけれども、中ほどには、例えば、失踪事案が発生している企業への対策を講じるよう指導したとか、あるいは一番下、三か月ごとの監査報告記載内容が全く同じ、あるいは四ページ目、その中ほどですが、特定監理団体の受入れ建設企業に対する監査報告書ではおおむね良好と記載されているにもかかわらず、制度推進事業実施機関の受入れ建設企業に対する巡回指導では賃金の計算ミスによる一部不払等のケースが散見されていると。  受入れ企業における様々な不正を特定監理団体が監査、是正できていない、これはなぜだと大臣はお考えですか。
  81. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 特定監理団体は、受入れ企業に対しての指導監督を始め、外国人建設就労者のあっせん、送り出し機関との調整、外国人からの相談対応等を行う能力を有するものであるかどうか国土交通省において認定をしており、基本的には適切に業務を実施する体制等を備えているものと認識をしております。  他方、特定監理団体が受入れ企業による適正な賃金支払や労働条件の確認、指導等を的確に行うためには、給与、手当、社会保険その他の複雑な労働基準関係法令への十分な理解が必要であります。このため、国といたしましても、専門的知識を備えました制度推進事業実施機関に委託をいたしまして、受入れ企業に加え特定監理団体にも巡回指導を行い、適正さを欠く場合にはそれぞれに対して改善指導等を行っております。  こうした取組を通じまして特定監理団体がその役割を遂行できるよう取り組みますとともに、受入れ企業に対しましても改善指導等を行いながら、外国人建設就労者の適正な受入れを図ってまいりたいと存じます。
  82. 山添拓

    ○山添拓君 特定監理団体は能力があるということを国交省が確認するんだというお話でした。  確かに、特定監理団体というのは、過去五年間建設分野の技能実習を監理した実績があって、不正行為を行ったことがない、これが認定の要件にもなっているわけです。にもかかわらず、適正な監理が行われずに、特定監理団体そのものについても不正が発覚するような事態です。  先ほど、推進機関が行ってきた報告書、一五年度、一六年度の分を開示できる部分は開示する、こうおっしゃっておりましたが、これいつ開示するんですか。
  83. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) お答え申し上げます。  先ほど野田委員の質問にお答え申し上げたとおり、中に個人又は法人の営業に関する情報が含まれておりますので、それを精査した上で、所要の措置を施して、開示できる部分については開示をしたいということで、その作業が整い次第、できるだけ早くに開示したいと思います。
  84. 山添拓

    ○山添拓君 衆議院で採決まで行おうとしている段階なんですよ。これ直ちに出すべきだということを指摘したいと思いますが。  特例制度に関する国交省の告示によれば、特定監理団体は、受入れ企業による暴行、脅迫、人権侵害、賃金の不払など不正行為を知った場合には、直ちに監査を行い、国交省に報告することとされております。不正行為を知ったとして特定監理団体から国交省が報告を受けた件数とその内容を明らかにしてください。
  85. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) ただいま委員指摘外国人建設就労者受入事業に関する告示というものがあって、その第八の四に基づく特定監理団体からの報告は平成二十九年度に一件発生しておりまして、内容は、受入れ企業における外国人建設就労者の人権を著しく侵害する行為が疑われる事実についてとなっております。
  86. 山添拓

    ○山添拓君 その一件というのは、元々はホットラインに通報があった件を、これ国交省の側から特定監理団体に確認を求めたと、こういう件ですね。
  87. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 今委員指摘のとおり、本件については、ホットライン窓口を設置している制度推進事業実施機関に寄せられた相談を契機として始まった手続の一環です。
  88. 山添拓

    ○山添拓君 先ほどの推進機関の巡回指導では、四割の企業で改善指導を要する不正、これ多くは違法です、が発覚するような状況であったにもかかわらず、特定監理団体というのは、自らの監査では三年間通じて一件も不正を見抜けていないということであります。  告示によれば、国土交通大臣は、特定監理団体に不正があった場合、その認定を取り消すことができるとされており、先ほど、認定件数は百七十件ということで御紹介ありました。今年度に入ってからも認定取消しあったと伺っております。今年度までの間で取り消された総合計は幾つですか。
  89. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 本年九月末時点での数字を申し上げれば、平成二十七年度以降の累計認定百八十件のうち十六件の認定を取り消しております。
  90. 山添拓

    ○山添拓君 要するに、一割近く認定を取り消されているわけです。  特定監理団体というのは、本質的には、海外の送り出し機関と調整をして受入れ企業に外国人をあっせんするという機関であります。かつ、受入れ企業から費用を受け取って監理を行う、そのために適正な監理ができない、こういう構造的な問題があるわけです。  国交省は、建設業における特定技能一号の受入れについて、今議論されている入管法改定案の中で行われようとしている新しい受入れについて、これ、どういう仕組みを検討されているんですか。大臣、いかがですか。
  91. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 新たな在留資格であります特定技能一号におきましては、監理団体等を介さず特定技能外国人を受け入れる等、外国人建設就労者受入事業とは制度の仕組みが異なっている部分もございます。  他方、現行制度におきましては、外国人に対して適正な賃金が支払われること等を確保するため、国土交通省におきまして、受入れ企業が作成する外国人の報酬予定額等を明記した計画の審査、認定及び当該計画が適正に履行されることを継続的に確認するための巡回指導等を実施をしておりまして、これにより、全体として適正な事業遂行が図られていると認識をしております。  新しい特定技能制度におきましても、現行の巡回指導等の制度の仕組み等も参考としつつ、外国人の適切な就労環境を確保する方策について検討しているところであります。
  92. 山添拓

    ○山添拓君 参考にしつつとおっしゃったんですけど、今の仕組みと同様の、同程度の監理体制あるいは巡回指導の体制、これで仕組みを構築していくと、こういうことですか。
  93. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 今大臣から御答弁申し上げたとおり、現在行っております巡回制度等の制度の仕組みも参考にしながら、その方策については現在検討しているところでございまして、適切な方法をしっかりと考案してまいりたいと考えております。
  94. 山添拓

    ○山添拓君 現在検討していて、どのようなものにするかは明らかにできないと。  参考にするというお話がありましたけれども、特例制度、現在の制度の下で特定監理団体の機能不全、はっきりしているわけです、一件も自ら見抜いていないわけですから。同じスキームでは同じ問題を繰り返すだけだということを指摘しておきたいと思います。  なお、国交省は、この特例についての受入れ状況実態把握調査を行っています。資料の一枚目の右上にも出典として明示されておりますけれども、これ、調査の中身が開示されていないんですね。これは開示するべきじゃありませんか。
  95. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 今、お尋ねを頂戴をいたしました。内容をしっかり精査をして、その開示の是非等については判断してまいりたいと思いますけれども、今お尋ねいただきましたものですから、そこは、しっかり持ち帰って検討をしたいと思います。
  96. 山添拓

    ○山添拓君 いやいや、国交省が資料の中でデータの根拠として示しているものですから、それ、中身を私たち検証できないと、ここに示されている水準、賃金水準が示されていますけど、正しいのかどうかの議論もできないということですので、これは直ちに開示をいただきたいと思っております。  先ほど来お話もありますけれども、建設業における担い手確保必要性、これはかねてから指摘をされ、対策も検討されてきたとおりであります。国交省の中央建設審議会・社会資本整備審議会基本問題小委員会が今年の六月、中間取りまとめを発表しております。ここでは担い手確保策として何を示しておりますか。
  97. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 今委員指摘の中間取りまとめ、建設産業が十年後においても生産性を高めながら現場力を維持するという観点から具体的な提言がなされていて、その中では、担い手確保取組強化するために当面講ずべき措置として大きく四項目、長時間労働の是正、処遇改善、生産性向上、地域建設業の持続性確保の四つが掲げられているところでございます。
  98. 山添拓

    ○山添拓君 外国人労働者の受入れ拡大ということは書かれていないんですよね。  今、少なくとも現在の建設業に改善すべき課題が山積しているというのはもう皆さん承知のとおりであろうと思いますし、その対策として、事業者を含めた検討の中で、今述べられたような課題解決することで十年後も維持できるようにと方向付けたばかりなんですね。それを進めるのが先決ではないかと指摘をしたいと思います。  例えば賃金単価です。政府は、公共事業の設計労務単価を引き上げてきた、これをもう自慢げに語るわけですけれども、それが下請各層に適切に行き渡っているのかどうか、これ確認できているんですか。
  99. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 今御指摘のとおり、私ども、六年連続で設計労務単価を引き上げてまいりました。ただ、その効果が現場の技能労働者まで十分に行き渡っていないのではないかという声があることは、私どもにおきましても承知をしております。  したがいまして、こうした状況を踏まえて、国土交通省におきましては、本年十月から、労務費等の見直し効果が現場の技能労働者まで適切に行き渡っているか確認するモニタリング調査、これに着手をしておって、年度内を目途に結果を取りまとめる予定でございます。
  100. 山添拓

    ○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、要するに、把握はこれから、対策の本格化もこれからだということです。働きがいのある職場にする努力こそが求められております。  こういう現状や技能実習生特例事業における課題も解消しないままにやみくもに新たな外国人労働者の受入れ拡大へと進めば、更なる価格のダンピング、労働条件の悪化につながるということは、これは誰が見ても明らかだろうと思います。  拙速審議などもってのほかだと、このことを政府に対して指摘をして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  101. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  102. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、吉田博美君が委員辞任され、その補欠として柘植芳文君が選任をされました。     ─────────────
  103. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 日本維新の会の室井でございます。よろしくお願いいたします。  冒頭、質問をさせていただく前に、おかげさまと言うことはちょっと僣越でありますけれども、万国博覧会、万博が大阪誘致が決定をいたしまして、三位一体と申しますか、国、自治体、産業界、経済界が一体となって頑張っていただき、また、先生方の御尽力も与党、野党を問わずいただきまして、大阪、日本で開催することになりました。しっかりと五年後を目指して、今現在は東京一極集中、物、人、金が全て東京に集まるというような傾向にあると、私も実際こういう立場で感じておりますが、東京のオリンピックの準備が徐々に終了に近づいてくる中で、今度は関西で、一極集中で人、物、金が関西、西日本に集中できるように、我々関西出身の国会議員として頑張っていき、先生方のまたお力添えをいただきたく、また大成功に終わるように頑張っていきたいなというふうな率直な思いを述べさせていただきました。  まだ日本の国も見捨てたものじゃないなと、いろいろなことで厳しい外交強いられておりますけれども、三か国を相手に、二か国を、やはり日本に絶大なる信頼を置いてくれているんだなと、このような思いもしております。是非石井大臣筆頭に、また御尽力と皆様方のお力添えをお願い申し上げるところであります。  それでは質問をさせていただきますが、震災の関係でありますけれども、特に宅地、また建築物、そして耐震化について少しお尋ねをしておきたいなという点がございましたのでお聞きをいたしますが、南海トラフ地震、また首都直下型地震、これは、再三それぞれ取り上げられております。甚大な被害想定を踏まえて、建築物の耐震化の加速が喫緊の課題だということも承知をしておりますが、そこで、国交省として、住宅・建築物の耐震化率を二〇二〇年までに九五%、この端数が気になりますけど、一〇〇%ということを期待したいんですけれども、九五%として、二〇二五年までに耐震性の不十分な住宅をおおむね解消すると、このような目標を立てておられておりますが、この住宅・建築物の耐震化の促進についてどう取り組んでおられるのか、九五%というこの目標数値についてもお聞かせをいただければと思います。
  105. 石田優

    政府参考人(石田優君) お答えを申し上げます。  地震時の国民の生命、財産を守る上で、住宅・建築物の耐震化は大変重要というふうに認識しております。  先ほど先生からありましたとおり、住宅・建築物の耐震化につきましては、平成三十二年までに耐震化率九五%というのを目標としておりまして、また、その中でも住宅等、耐震診断が義務付けられた建築物につきましては、平成三十七年までに耐震性が不足するものをおおむね解消するということを目標としているところでございます。  ただ、今現在数字がある平成二十五年段階の数字を見ますと、住宅はまだ八二%であり、住宅以外の建築物につきましては耐震化率八五%となっております。耐震化のための更なる取組が非常に重要な状況でございます。  耐震化の加速化を図るために、平成二十五年に改正いただきました耐震改修促進法に基づきまして、多数の者が利用する一定規模以上の建物や避難路等の沿道の建築物につきましては、耐震診断を義務付けて、重点的な支援をしております。またさらに、今年度予算におきまして、住宅の耐震化に向けて積極的な取組を行っている地方公共団体につきまして、これまでの定率の支援に加えて、原則戸当たり百万円の定額の補助という新たな制度も設けてその促進を図っているところでございます。  引き続きまして、地方公共団体連携しながら、様々な施策を総動員して耐震化の促進に努めてまいりたいと考えております。
  106. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ひとつよろしくお願いを申し上げたいんですけど、なかなかこの目標数値も高いですし、しっかりと結果が出なくてはいけません。  兵庫県のときも、阪神・淡路大震災のときも耐震化というのが大きな問題になり、しっかりと、一〇〇%に近い耐震化を目標として頑張ろうという掛け声は良かったけれども、結局は、今現在、お聞きしますと、兵庫県でも八五%程度というか、八五%という数値は非常に高いわけでありますけれども、そういう大きな震災の我々教訓を得ておるわけでありますけれども、それを生かして頑張ろうということでもこの程度のことだということになりますので、この高い数値を上げるのは、本当に並々な努力ではなかなか結果が出ないと思いますが、ひとつしっかりと結果が出るように、この数値に到達するように御努力是非お願いを申し上げておきます。  また、それに関連した、この耐震化の、大規模地震などに、滑動崩落、そして液状化、こういう既存住宅等の被害を防止する宅地耐震化の推進を進めると、このように取り組んでおられるんですが、これを、液状化とかその地域とか、どの辺に何か所あってどうなのかということも細かくお聞きしたいわけでありますけれども、今日はそこまでお聞きいたしませんけれども、どう取り組んでいるのか、まずはお聞かせいただけますか。
  107. 青木由行

    政府参考人青木由行君) お答えいたします。  宅地の耐震化につきまして御質問を頂戴しました。  国土交通省では、宅地の耐震性を向上させますために、予算事業でございます宅地耐震化推進事業、これによりまして、地方公共団体が大規模な地震等における大規模盛土造成地の滑動崩落対策、それから市街地の液状化防止対策実施する際に財政的支援実施しているところでございます。これまで、東日本大震災あるいは熊本地震などの復旧に際しましては、再度の災害防止のために、この事業を活用して宅地の耐震化が進められているところでございます。  また、事前対策といたしましては、大規模盛土造成地の滑動崩落や市街地の液状化による宅地被害の可能性のある地区を周知いたしまして、必要に応じて対応を図っていただくと。このために、この事業によりまして、地方公共団体による大規模盛土造成地マップ、あるいは液状化マップの作成を推進してきたところでございます。  今般、総理からの御指示を踏まえまして、重要インフラ緊急点検の中で、この大規模盛土造成地マップ、それから液状化マップの作成、公表状況につきまして緊急点検実施したところでございまして、今後、点検結果を踏まえまして必要な対応を取りまとめてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  108. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 この液状化、いろいろとデータが出ておるわけでありますけれども、今後地震が起きたときにこの地域がこういう状況になるという予測地域は、指定というか、考えておられるんですか。
  109. 青木由行

    政府参考人青木由行君) 先ほど申し上げました液状化マップの中で、いろんなデータを組み合わせまして、各地域でここのところが液状化の被害の程度が大きい予測、これをマップにしたものを今公表しているところなんでございますけれども、これが、今、緊急点検を進めたところなんですけれども、やや一部の自治体にとどまっているというような実態もありますので、今後、こういったことについて対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  110. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 過去、新潟中越地震とか東日本大震災、熊本地震、大阪府の北部地震とかいろいろとあったわけでありますけれども、そこで液状化とかこういう現象が出たというところは件数も書いておられますので、それは理解しておるんですけれども、尼崎も半分海よりも低いという地域で、二階の建物が一階になってしまったという状況もたくさんありまして、そういう地域が随分、神戸でも阪神間も大阪でも、埋立てという地域が非常にございます。また、そういうところに関してもしっかりと行き届くまた指導を、自治体とそれぞれ情報交換されてお願いをしていきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。  それでは、インフラメンテナンスのことについて、今後、このインフラのメンテナンスというのは非常に大きな資本というか掛かってきますし、今の現状、そういう状況対応でき得るのかどうか、その点が非常に心配でありまして、そのインフラ産業について、育成について、活性化についてお聞きをいたします。  インフラの今後は、もう一斉に老朽化すると、同時に皆集中して来るわけでありますけれども、国土交通省もその点はしっかりと考えておられているようでありますけれども、このインフラの維持管理・更新、この件について、非常に、メンテナンス産業というんですか、育成、活性化によって確実に効率的にインフラメンテナンスの実現を図っていかなくちゃいけない、このように思っておるわけでありますけれども、国土交通省のインフラメンテナンスに係る新技術の開発、また実装に関してどのように支援をしておられるのか、また、メンテナンス産業の育成、活性化、今後どう取り組んでいこうというふうにまずは考えておられるのか、その点をお聞きをしたいと思います。
  111. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) インフラ老朽化への対応といたしまして、インフラメンテナンスに係ります新技術の開発や実装を進めまして、メンテナンス産業の育成、活性化を図ることが重要であります。  まず、メンテナンス産業の育成、活性化につきましては、ICTやロボット等の多様な産業との連携、協力を図り、新技術の開発、実装に取り組むことが必要であります。  新技術の開発、実装につきましては、インフラメンテナンス国民会議、これを設けておりまして、ここにおきましてオープンイノベーションによります分野横断的な連携や多様な主体との連携等を推進をし、現場ニーズと技術のマッチング等を行い、革新的な技術の発掘と社会実装を加速をしております。具体的な事例を申し上げますと、道路面の下にある空洞を道路上から把握できる地中レーダーと全方位カメラを搭載した調査車両を用いて、路面下の空洞や道路面のひび割れ状態を把握することができる技術等が実装に至っております。  さらに、国土交通省では、現在進めております社会資本メンテナンス戦略小委員会におきまして、メンテナンス体制が十分に確保できていない市町村に対しまして、新技術の活用によるメンテナンスの効率化、研修等の充実による人材育成の推進など市町村自らの実行力を高めていく取組や、国等による直接的支援などが重要という議論を進めております。  国土交通省といたしましては、引き続き、小委員会での議論を深めるとともに、メンテナンス産業の育成、活性化、さらには市町村支援に対しまして積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  112. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 このインフラメンテナンス国民会議の会員は千五百人ですか、その中で民間企業は六百四十九社、このように聞いておりますが、是非、今後というか、もう既にそういう老朽化した橋桁、道路、いろいろとございますけれども、しっかりとこの点を国土交通省に御指導いただきまして、できるだけ財源確保をしながら、費用の掛からないように進めていかなくちゃいけないんじゃないのかなと、この財政難のときに。是非、この点を力入れて御指導していただきたく思う次第であります。  持ち時間がもう十五分来まして、それぞれの、航空局長、そして観光長官、済みません。申し訳ないんですが、これで質問を終わらなくちゃいけません。またよろしく御理解いただきまして、事務所の方でもまた書類を届けていただければと思います。  ありがとうございます。終わります。
  113. 青木愛

    青木愛君 希望の会、自由党の青木です。  今日は、個人タクシー業界が抱えている課題についてお伺いをいたします。  まず、地域における主な公共交通といたしまして、鉄道、バス、タクシーがございます。それぞれ特色のある重要な役割を担っていただいています。中でもタクシーは、ドア・ツー・ドアの輸送、また夜間、早朝を問わない二十四時間の対応が可能など、地域住民の生活の利便性の向上、またビジネス、観光を支える欠かすことのできない交通手段となっております。  この間、二〇〇二年にタクシーの数量規制が廃止をされまして、新規参入が容易になり、タクシー台数が増加をいたしました。そのために、無理な運転を行うなどによりまして事故の件数も増加をする結果となりました。その後、国土交通省は、二〇〇九年、タクシー適正化・活性化法を制定しまして、タクシーの台数を削減する方向に政策方針を転換をしております。いずれにしましても、タクシー業界における規制あるいは規制緩和、利用者の安全、安心と快適の確保、また運転手の適切な処遇の確保が大前提であろうと考えております。  そこで、まずお伺いをいたしますが、新規許可枠という、台数を増やすということだろうと思いますけれども、この新規許可枠の、これまで検討がなされてきたと思いますが、その状況についてお伺いをまずさせていただきます。
  114. 奥田哲也

    政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。  タクシーにつきましては、先生今御指摘いただいたような特性を有しますいわゆる公共交通機関でございますけれども、平成二十五年十一月に改正をされました特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づきまして、特定地域及び準特定地域に指定されている地域につきましては、法人、個人を問わず、同法の規定によりまして新規許可を行わないことが法定されております。  他方、これらの地域におきましても事業の譲渡譲受というものは認められておりまして、これまでも、個人タクシーにおける円滑化のため、譲渡譲受の認可に必要な試験回数の増加でありますとか、認可申請前に試験を受けられるような制度の改善を図ってまいりました。  また、今般、譲渡譲受の更なる円滑化に係る全国個人タクシー協会からの要望を踏まえまして、国交省がオブザーバーとなりまして、法人タクシー業界、個人タクシー業界の連携に係る検討会というものを立ち上げまして議論を始めております。譲渡譲受の更なる円滑化ということにつきましては、この検討会における議論も踏まえながら、現在、具体的な対応策を検討しているということでございます。
  115. 青木愛

    青木愛君 現状においては、その運転免許の譲渡譲受の円滑化というところにまずは主力を置いているという御答弁だと思います。  個人タクシーの場合は、七十五歳を超えて運転ができません。法人タクシーにはそうした規定はないのですが、個人タクシーの場合は、七十五歳までに譲渡ができなければその個人タクシーの資格が消滅をいたしまして事業の継承ができないという仕組みになっています。残念ながら、その譲渡譲受のマッチングが大変難しいという状況があるやに聞いております。それゆえ、これまで個人事業主が政府の方針に従って台数削減に寄与してきたんですけれども、今、自然減少するような傾向にも陥っているという状況があります。  そこで、どうすればというところなんですが、その譲渡譲受の円滑化を図るために、例えば、現場のドライバーさんは七十五歳ぎりぎりまで運転をしたいということで、その申請の期間を柔軟にしてほしいというのは今局長の御答弁にあったことで対応しているということなんでしょうか。  それが一点と、あともう二点目で、マッチングの相手が七十五歳まで見付からない場合その資格が消滅をしてしまうので、マッチングの期間を一年くらい延長してはどうかと、マッチングの猶予期間を設けるという、こうした考え方についてはいかがでしょうか、これが二点目。  三点目としまして、個人タクシー事業者が七十五歳を超えた、七十五歳を超えてしまった個人ドライバーがもう一度法人タクシー、年齢の規制のない法人タクシーに戻って、健康管理あるいは運行管理の下で業務を継続できるような、そうした再雇用の仕組みをつくってみたらどうか。  この三点について、まずお伺いをしてみます。
  116. 奥田哲也

    政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。  タクシーの需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策について取りまとめられました平成十一年の運輸政策審議会の答申におきまして、個人タクシーについては、運行管理、整備管理、事故時の対応等の全てを運転者自らが責任を持って行わなければならず、法人タクシーと異なり、安全で良質なサービスの供給を制度的に担保することが難しいと考えられること、また、個人タクシー運転者の高齢者対策については、高齢化と輸送の安全性との関係を勘案して、適切な措置を講じることを検討することが適当であるなどが指摘をされました。こういった指摘を受けまして、国交省といたしましては、平成十四年の規制緩和以降に行った許可につきまして、七十五歳以上の期限更新は認めないという条件を設けさせていただいております。  御指摘の点につきましては、このような経緯で設けられておりまして、安全確保のために緩和は難しいものと考えておりますが、他方、七十五歳以上でありましても、例えば運行管理体制をしっかり有します法人タクシーの運転者として再雇用されることは禁止をされておりません。  御指摘何点かいただきましたが、具体的なニーズを踏まえまして、必要に応じ、法人タクシー業界、個人タクシー業界の連携に係る検討会などの場を通じまして検討してまいりたいというように考えております。
  117. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  今の御答弁をいただいたことにプラス、そのマッチングの一年延長というものも是非検討課題に加えていただければと思います。  そして、このマッチングをするためには、法人タクシーで十年の経験を積んだ者が個人タクシーで自立をできるという仕組みになっておりますので、これ、法人タクシーにおいて、台数は決まってはいるんですけれども、新規のドライバーを増やしていくということがこの個人タクシーにもその流れを受けることができるという、そういう循環になっているというふうに思うんですけれど、この個人タクシー事業者が、今のところ維持するのでやっとなんですけれども、健全に育てていくということのためには法人タクシーの新規ドライバーを増やすということが重要かと思うんですが、その点は、一点お聞かせいただけますでしょうか。
  118. 奥田哲也

    政府参考人(奥田哲也君) その点、法個の連携を図っていく、先ほどの検討会の中の課題一つになっております。  特に、法人タクシーにおきましても、若いドライバーさん、若者、女性というのがキーワードになっていますけれども、そういった者を採用していかなければならないし、そういった採用をする際に、将来のキャリアパスとして個人タクシーへの道というのが開けているんだということを法人と個人が一緒になってPRをして、例えば、個人タクシーの車の中で、法人タクシーの運転手になって将来個人タクシーを目指しませんかみたいなチラシを置いたりしているところもございますので、そういった連携を両業界で図っておりますので、そういったことをしっかり進めていきたい、特に、働き方改革を進めていくような段階でもそういったことは必要でございますので、しっかり進めていきたいというふうに思っております。
  119. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  もう一点、現場からの課題の声をお伝えをさせていただきたいと思いますが、UDタクシーですとか、あとASVという、先進安全自動車という安全装置の付いた自動車の導入に対しまして、国土交通省が様々な導入支援を行っております。補助金の交付を行っているんですけれども、現場からは、この申請の実施期間が短いという声があります。  レクで伺ってみましたところ、年度初めの四月から約、前半の半年間ですね、今年は十一月が募集期間の期限だったということなんですけれども、その前半の半年に購入した新車であれば安全装置付きの車に対する補助対象にはなるんだけれども、あと後半の半年に購入した場合はその対象にはならなかったりですとか、あと、前半の半年に購入したんだけれども、全ての車が対象にならず受付順であったりとかということをお伺いをしました。それが一点。  そしてもう一つ手続の煩雑さという指摘があり、車体価格から安全装置の価格だけを取り出して算出をするようにという国土交通省の窓口からの指摘があったということも伺いました。なかなかそれでは申請が難しいという声がありますが、この二点についてお聞かせをいただけますでしょうか。
  120. 奥田哲也

    政府参考人(奥田哲也君) 御指摘のありました例えば募集期間でありますとか対象経費の算定の仕方でありますとか、いろいろと予算の配賦上の制約もありますのでそういったことをさせていただいておるところでありますけれども、そういった御指摘補助金交付時期、申請時期又は必要書類につきましては、これまでも法人、個人ひとしく関係者に対する周知を行ってまいりましたけれども、引き続き、補助金交付手続に関しますスケジュールでありますとか必要書類の入手方法など、情報提供を丁寧に行ってまいりますとともに、そういった御指摘については、必要であれば検討をするということかと思います。
  121. 青木愛

    青木愛君 改善も進んでいるかと思いますが、引き続きの改善に向けた御努力をお願いをしたいと思いますし、聞くところによりますと、補助額も上限五万円ということで、そう大きな額ではないので、公共交通でもありますし、乗客の安全、安心にもつながるものでありますので、できるだけ全車両がその対象となるように御検討を進めていただきたいと思います。  そしてもう一つ、やはり需要の喚起が大切だと思いますが、個人、法人のみならず、タクシー業界、様々な今チャレンジをされているというふうに思いますが、この点についてお伺いをさせてください。
  122. 奥田哲也

    政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。  冒頭御指摘いただきましたとおり、タクシーは、利用者のニーズに応じたドア・ツー・ドアの輸送を提供することができる公共交通機関として様々な利用者の足の確保に重要な役割を担っておりまして、御指摘のとおり、需要喚起、多様化するニーズへの対応というものは重要であるというふうに考えております。  こうした状況におきまして、全国ハイヤー・タクシー連合会におきましては、今後新たに取り組む事項というものを定めましてタクシーサービスの更なる高度化に取り組んでいるところでありまして、国交省におきましては、タクシーの利便性、生産性の向上の観点から、ルールの整備に向けた実証実験を行っているところでございます。  昨年度に実証実験を行いました事前確定運賃、相乗りタクシーにつきましては、いずれも利用者アンケートにおいて制度が本格導入されたらまた利用したいとの声が多数でありましたことから、現在、実証実験の結果を検証しながら、制度化に向けた検討を進めさせていただいております。  また、今年度は、十月一日から東京都内において変動迎車料金に関する実証実験を、また、全国七地域におきまして定額タクシーに関する実証実験をそれぞれ開始したところでありまして、今後、その結果を踏まえまして必要な制度を検討していきたいというふうに思っております。  これらの取組を通じまして、潜在的なタクシー利用の需要の喚起とともに、タクシー事業の運行効率化による生産性の向上を図っていきたいというふうに思っております。  あと、高齢者など地域住民の日常生活の足の確保という観点からは、通常のタクシーサービスを提供することに加えまして、地方公共団体連携して乗り合いタクシーの運行を積極的に行っております。平成二十八年度末時点で、全国で四千百七十四コースの乗り合いタクシーが運行されております。国交省といたしましては、地域公共交通確保維持改善事業におきまして、乗り合いタクシーによる地域内の生活交通の運行支援をいたしておるところでございます。  また、タクシー事業者は継続的に地方公共団体を訪問してニーズの掘り起こしにも取り組んでおりますので、運輸局もそれと連携をして取り組んでまいりたいというふうに思っております。  あと、高齢化の進展、人口減少の中で、障害者、高齢者始め様々な方が利用しやすいタクシー車両の普及促進も必要でございます。国交省としては、ユニバーサルデザインタクシーを含む福祉車両を平成三十二年度までに二万八千台という目標を掲げまして、地域公共交通確保維持改善事業及び訪日外国人受入環境整備緊急対策事業におきまして車両購入を支援をしたりしておりますが、この中で、昨秋導入されましたジャパンタクシーについては、車椅子の利用の乗降に時間が掛かるという声があることは伺っておりまして、そういった点についても改善を図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。  様々取組がなされておりますけれども、国交省としては、こういったタクシー事業者による取組支援をしてまいりまして、ラグビーワールドカップでありますとか東京オリパラへの対応を含めまして、タクシーが多様なニーズに応えられるよう後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
  123. 青木愛

    青木愛君 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。  個人タクシー事業者は、やはりふだんから地域のボランティア活動にも今積極的に参加をしていただいておりますし、また、今年の十一月からは高齢者の運転免許の返納に伴う運賃の割引制度などの導入も始めております。また、個人タクシー事業者は、個人宅に車庫があり車を止めてありますので、各市区行政と、災害時における輸送力の提供をするということで、そうした役割も担っていただいております。社会においても欠かせない存在となっておりますので、是非とも、この資金力が乏しい小規模事業主にこそ国の支援が届くようにこれからもお取組をお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  124. 行田邦子

    ○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  私は、今日、障害者雇用の水増し問題について伺わせていただきます。  先般、国の機関におきまして障害者雇用制度の対象となる障害者の不適切計上が発覚をいたしました。そして、こうした事態を受けまして、十月二十二日には、平成二十九年六月一日現在の障害者任免状況の再点検の結果が公表されました。その結果なんですけれども、国の機関における障害者の実雇用率は二・五%とされていたんですけれども、当初、それが実際は一・一七%であったということが明らかになりました。また、同時に、政府内に設置された検証委員会の報告書も公表されましたけれども、ここで、私もこれを読ませていただきまして、国土交通省に関する報告が目を引く内容でありました。お手元に資料をお配りをしております。  まず官房長伺いたいと思うんですけれども、なぜこのような不適切な計上が国土交通省において少なくとも十年以上にわたり続けられてきたのか、その根底にある原因は何なのか、お答えいただきたいと思います。
  125. 藤井直樹

    政府参考人(藤井直樹君) お答えをいたします。  今委員指摘の検証委員会の報告書の中におきましては、国土交通省において六百人を超える障害者の不適切な計上があり、法定雇用率を達成していない状況が明らかとなったところでございます。  この中で、特に国土交通省につきましては、前年からの引継ぎリストに名前の載っていた者を退職の有無を確認することなく漫然と追加記載するなどして計上したことにより、約十年前に退職した者等も含め合計七十四名の退職者が不適切計上されるという、各省様々な問題点ありましたけれども、国土交通省にはこういった特異性が見られると、こういった御指摘をいただいているところでございます。  このような事態を生じた原因でございますけれども、私どもとしましては、検証の結果としまして、組織全体として障害者雇用に対する意識が低く、長年にわたり担当者任せの中で対象障害者の不適切な計上を行うということが実務慣行として行われてきた、これが主因であるというふうに認識をしているところでございます。
  126. 行田邦子

    ○行田邦子君 障害者雇用に対する意識が低くとおっしゃいましたけれども、意識が余りにも低過ぎるというふうに言わざるを得ないと思っております。  続けて伺いたいと思うんですけれども、この検証委員会の報告書を読んでいまして、私にとってはちょっと理解し難かった点があるんですけれども、その点について伺いたいと思います。  国土交通省は、先ほどの御答弁にもありましたけれども、在職者中の障害者の数が法定雇用率を達してさえいればよいという発想で、在職者の中に何人障害者がいるのかを数えて、さらには、確認することもなく漫然と死亡者を含む退職者まで数に入れてしまっていたということでありますけれども、そもそもなんですけれども、国土交通省はこれまで障害者を対象とした特別な採用を行ったことがあるのでしょうか。
  127. 藤井直樹

    政府参考人(藤井直樹君) 今委員の御指摘がありました国土交通省のその計上、少し具体的に、どういったことだったかをまず申し上げたいと思います。  各部局から報告のありました障害者リストを取りまとめる際に、一部の担当において過去の障害者リストに掲載されていた者を追加して計上したケースがあり、その際、追加して計上する者について当該者が調査日時点で在職しているかについての確認を行っていなかったため、省全体で見ると退職者を計上するケースが生じたと、こういったことであると考えております。  今申し上げましたように、国土交通省においては、長年にわたり、既に雇用されている職員から新たに選択的に選定をして対象障害者を計上すると、そういった不適切な計上が行われていたということと認識をしております。こういった実務慣行の中で障害者を有する方を新たに採用すると、こういった意識に欠けていたことは否めないものと認識をしておるところでございます。
  128. 行田邦子

    ○行田邦子君 驚きなんですね。これは昭和三十五年から、その当時は身体障害者雇用促進法でしたけれども、この法律が制定されたときから、この法の趣旨というのは障害者を雇用していくという、例えば、行政機関におきましては身体障害者を採用するために採用計画を立てると、ですから、身体障害者を採用するという発想がそもそもある、それがこの法の根底にあるものだと思うんですけれども、そこを全く理解していないというふうに言わざるを得ないというふうに思っております。愕然といたしました。  そこで大臣伺いたいと思うんですけれども、私の認識では、石井大臣は福祉であるとかあるいは障害者の政策、また雇用促進といったことにとりわけ熱心に取り組んでいらっしゃるというふうに認識しておりますけれども、このような今の報告を受けまして、国土交通省でも障害者雇用の水増しがこのように行われていて、そして、ずっと新規に障害者を雇用したことがなかったというこのような報告を受けて、大臣はどのような感想を持たれたんでしょうか。
  129. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 民間事業者に率先して障害者雇用に積極的に取り組むべきことが当然の責務であるにもかかわらず、このような事態が続いていたことはあってはならないことであり、深くおわびを申し上げます。  この件につきましては、十月の二十三日に開催をされました関係閣僚会議におきまして総理から、今回の事態を深く反省し、真摯に重く受け止め、本日策定された基本方針に基づき再発防止にしっかりと取り組むことという強い御指示がございました。今般の事態を真摯に受け止め、深く反省をし、基本方針に沿って不適切計上の再発防止に取り組む決意であります。事務方に対しましては、二度とこのような事態が生じることのないよう注意をいたしますとともに、障害のある方の雇用の推進に全力で取り組むよう強く指示をしたところであります。  今後は、組織全体といたしまして障害者雇用を推進するという意識を徹底をし、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づき、外局を含めまして平成三十一年十二月までの法定雇用率の速やかな達成と障害者のある方が活躍できる場の拡大に向け、全力で取り組んでまいる所存であります。
  130. 行田邦子

    ○行田邦子君 再発防止に取り組んでいただくのは不適切計上ということだと思いますけれども、それだけではなくて、これまで国土交通省は障害者を対象とした特別な雇用ということを、採用ということを行ってきていなかったわけですので、これについても今から新たに取り組むということになろうかと思いますので、是非大臣のリーダーシップでしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  さらに官房長伺いたいと思いますけれども、平成二十九年六月一日現在で、法定雇用率まで達するには六百五十九・五人の障害者雇用が不足しています。この数は、対象障害者の計上数なので実人数とはちょっと違いますけれども、そういうことであります。現時点ではどのような状況なのか、そしてまた、来年の六月一日、これは六月一日時点での通報がまた来ますけれども、そのときまでにどのように法定雇用率を達成しようとしているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  131. 藤井直樹

    政府参考人(藤井直樹君) お答えをいたします。  国土交通省における障害者である職員の不足数でございますけれども、本年四月以降、法定雇用率が公務部門におきまして二・三%から二・五%に引き上げられているところでございます。これを踏まえまして、本年六月一日時点では、不足数は七百十三・五人ということになっております。  このため、国土交通省におきましては、平成三十一年十二月末までに七百三十二人の採用を予定する障害者採用計画を策定し、厚生労働大臣に提出したところでございます。採用は本省及び全国の地方支分部局等で実施することとしております。  ハローワークを通じた求人申込み、あるいは人事院が新たに実施をされる障害者選考試験等を活用し、法定雇用率の速やかな達成と障害のある方が活躍できる場の拡大に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。
  132. 行田邦子

    ○行田邦子君 相当大変な努力が必要だと思います。  平成二十九年六月一日現在の、再点検後だと二百八十六・五人対象障害者がいるということですけれども、そこから七百三十二人に持っていくという、今現在は七百十三・五人ということですから、相当大変だと思っております。  また、人事院の選考試験での府省庁別採用予定数を見ますと、国土交通省は百六十九人となっていますよね。ですから、それ以外をどうやって採用していくのかということも相当大変だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。  それから、続けて伺いたいんですけれども、国土交通省は、観光庁と海上保安庁を除くと約四万人という職員を擁している組織です。これぐらいの規模の組織で障害者雇用に本気で真剣に取り組むのであれば障害者雇用の専属的な担当者が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  133. 藤井直樹

    政府参考人(藤井直樹君) お答えをいたします。  国土交通省におきましては、今回明らかになりました問題点を踏まえ、障害者雇用の推進について、担当者任せにすることなく組織全体として責任を持って推進していく体制が必要であると考えております。公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づき、法定雇用率の速やかな達成に向けて必要な対策を講じていくこととしております。  具体的には、本省の大臣官房人事課において障害者雇用を担当する職員を定めております。その定めた職員が厚生労働省等と既に密接な連携を図り、対策を講じつつあるところでございます。具体的には、障害者雇用に関する講習会、厚労省が開催をしていただいているもの、こういったものにも積極的な参加を図っているところでございます。  加えて、省内に国土交通省障害者雇用推進連絡会議、各部局全て集まった会議を設置をさせていただきました。こちらにおきまして障害者雇用拡大取組を全省的な徹底を図るとともに、進捗状況のフォローアップを的確に実施していくこととしております。  これらの取組を通じまして、組織全体として障害者雇用の推進を図っていく所存でございます。
  134. 行田邦子

    ○行田邦子君 厚生労働省にも来ていただいていますので伺いたいと思いますけれども、そもそもこれは昭和三十五年の法律の制定からなんですが、行政機関は民間に率先して自ら範を示すというようなことで障害者雇用率を上乗せということをやってきたと思っておりますけれども、ただ、蓋を開けてみれば、高邁な精神論でそういったことをしているんですけれども、実際は民間の方が今ははるかに進んでいるというふうに思っております、それは意識、実績の両面においてということだと思いますけれども。  これから、この自ら、自らといいますか、決めた法定雇用率、行政機関における法定雇用率を達成できるとお考えなのでしょうか。また、どのように達成するつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  135. 北條憲一

    政府参考人(北條憲一君) 今般、多くの府省におきまして対象障害者の不適切な計上により法定雇用率を達成していないということが明らかになり、国民や民間事業主の不信を招く事態となっていることから、できるだけ速やかに法定雇用率の達成に向けて取り組む必要があると考えております。このため、法定雇用率を達成していない府省におきましては、平成三十一年末までの障害者採用計画を策定し、この計画を実現するための各種の取組を行うこととしております。  具体的には、例えば、実務責任者の配置などにより府省内における障害者雇用の推進体制の整備であるとか、障害のある職員本人からの相談を受け付ける窓口を設置することとしております。また、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱を行う等々、こういったことによりまして障害者が活躍できる職場環境の整備を図ることとしております。  厚生労働省といたしましては、これらの各府省の取組支援するために、一つには、民間企業や就労支援機関での豊富な支援経験を有するアドバイザー、こういった方を選任いたしまして、各府省に対して働きやすい職場環境づくりなどに関する専門的な助言を行うことができる体制の整備を図ることとしております。また、障害者雇用に関する各府省の職員の理解を促進するための各種のセミナーですとか講習会の開催を進めているところであります。また、ハローワークにおきましても、積極的な職業紹介、就労支援機関との連携の推進を図ることとしておりまして、既にこれらの取組を開始しているところでございます。  今後、これらの取組につきましては、その成果が上がるよう十分フォローアップを行い、各府省における障害者の雇用が量、質共に推進されるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。
  136. 行田邦子

    ○行田邦子君 企業の経営者の皆さん、もう怒っているというか、あきれている方、多いです。厚生労働省も国の行政機関の障害者の雇用に対して関心が低かったと言わざるを得ないと思っておりますので、これからしっかりと取り組んでいただきますよう要請しまして、質問を終わります。
  137. 平山佐知子

    平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。  前国会で審議がありました海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律の審議の際にも若干触れさせていただきましたけれども、世界の水ビジネス市場、二〇二五年には百兆円規模に成長するということが予測されておりまして、世界トップレベルの上下水道技術を誇る日本にとっては大変魅力的な分野であると言えるかと思います。そこで、今日は、国内の下水道整備の現状について伺ってまいります。  東京などの大都市では当たり前となっています公共下水道も、実は、歴史は浅く、昭和四十年代から整備が進められてきました。確かに、私の周辺の同じ年代の方々に子供時代のトイレ事情について伺ってみたんですけれども、大体ウォシュレットはないというのはもちろんなんですけれども、水洗トイレもなくて、くみ取り式のいわゆるぼっとんだったという方が結構たくさんいて、ああ、そういう時代だなというふうに思っておりましたけれども。  そこで、まず伺いたいのは、現在の全国の下水道整備状況を教えていただきたいと思います。
  138. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。  我が国におきましては、高度経済成長に伴う都市化の進展等による公共用水域の水質の汚濁の顕在化等を背景にいたしまして、その対策として、昭和四十年代以降、鋭意下水道の整備を進めてきたところでございます。これによりまして、昭和四十年度末に約八%であった下水道の処理人口普及率につきまして、昭和六十年度末では約三六%、そして平成十七年度末には約六九%と着実に向上しておりまして、平成二十九年度末現在でございますけれども、約七九%という数字になってございます。
  139. 平山佐知子

    平山佐知子君 およそ八割の普及率ということになりますけれども、この普及率を見てみますと、実は、英国それからドイツなどでは九割を超えていまして、日本は、先進国の中では、その数字を見ますと余り高いとは言えない数値となっています。  この日本における下水道整備、どのような方針で進められているのか、教えてください。
  140. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。  公衆衛生の向上や公共用水域の水質保全のために下水道を含めた汚水処理施設の未普及地域を早期に解消するということは、これが重要なことであるというふうに認識をしております。このため、現在、国土交通省におきましては、関係省庁連携をいたしまして、汚水処理施設整備の概成を目指しまして、未普及対策事業を推進しております。  また、地方公共団体におきまして、こういった未普及地域におけます下水道整備に対しまして、社会資本整備総合交付金によります重点的な支援を行っているところでございます。  また、先ほど委員指摘がございました各国の整備状況と比較でございますけれども、OECDが公表しております統計データによりますと、議員御指摘のとおり、イギリスの下水道普及率は一〇〇%、ドイツにおきましては九七%と、九割を超えております。我が国の下水道普及率は、先進七か国の中で五番目の水準ということでございます。  我が国では、汚水処理の手法といたしまして、汚水を管渠で処理場に集めて処理をする下水道や農業集落排水等の集合処理、各家庭で個別に処理をいたします浄化槽等がございますけれども、それぞれの特性、経済性、地域の実情等を勘案いたしまして、適切な役割分担の下に整備を進めているところでございます。具体的には、人口が密集する都市部では下水道、農村部では農業集落排水、また、人家のまばらな周辺部におきましては浄化槽により整備を進めているところでございます。  浄化槽等を含みます汚水処理人口普及率で見ますと、平成二十九年度末現在で約九一%という数字でございます。
  141. 平山佐知子

    平山佐知子君 特性に応じて下水処理も行っているというお話でございました。  それでは、この下水道整備というのは、当然ながら、地方公共団体が人口減少などの社会情勢を踏まえつつ、まちづくりの一環として総合的に計画をされまして整備をしていくものだというふうに思いますが、国内の現在の下水道整備事業の状況又は助成金など、国としての支援はどうなっているのか、併せて教えていただきたいと思います。
  142. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。  現在、国土交通省におきましては、関係省庁連携をいたしまして、十年概成ということを今うたっておりますけれども、平成三十八年度末までに汚水処理施設整備の概成を目指しております。このため、地方公共団体実施をいたします未普及地域における下水道整備につきまして、重点的な支援を社会資本整備総合交付金によって実施をしているところでございます。  今後も引き続きまして、関係省庁連携を図りながら、効率的な汚水処理施設の整備を推進してまいります。
  143. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。  先日、地元静岡の建設業の方とお話をする機会がありまして、この下水道整備についてお話を聞いていたところ、なかなかこれ大変だなということが分かりました。上水道それから都市ガスなどは、当然ですが、管に圧が、内圧が掛かっているので、例えば上り坂でも同じ深さで埋設をすることができるんですね。一方、この下水管については、一般的には圧が掛かっているわけではないので、勾配を付けていくという必要があります。さらに、管を曲げるということもできないので、曲がる場合には必ずマンホールを設置していく必要があるということです。つまり、下水道管は同じ深さに埋設されていることではないというわけです。ここら辺が技術力を要するところだというふうに思うんですが、この下水管にも耐用年数があります。  これも前国会で指摘させていただいたところではありますが、橋梁や防波堤などと同じく、今後、急激に耐用年数を迎える管渠が増えるというふうに思うんですが、下水管渠の破損などによって道路の陥没、これが実際に起きているところであります。おととしの福岡の事故、皆さんも記憶に新しいというふうに思いますけれども、あのような大規模な陥没ではないにしても十分事故につながるおそれがあって、この維持管理というのは喫緊の課題だというふうに思いますが、国交省として、この下水道管渠の破損による道路陥没、年間どのくらい起こっているというふうに把握されているのか、またその対処、どのようにされているのか、教えてください。
  144. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。  下水道の管渠の老朽化等による道路の陥没につきましては、近年では年間約三千三百件ほど発生をしております。その対策、非常に重要であるというふうに私どもも認識をしております。  このため、平成二十七年に下水道法を改正をいたしておりまして、そこで維持修繕基準を創設をいたしました。下水道管渠の定期的な点検や、その結果に基づきます適切な改築等の措置を義務付けたところでございます。あわせまして、下水道管理者に対しまして、下水道管渠の点検方法と頻度を定めた事業の計画の策定を義務付ける措置を講じたところでございます。さらに、下水道管理者における計画的な点検や、その結果に基づく改築を防災・安全交付金等により支援をしているところでございます。  国土交通省といたしましては、これらの取組を推進いたしまして、下水道管渠に起因する道路陥没の未然防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  145. 平山佐知子

    平山佐知子君 道路陥没、年間三千三百件というふうにお答えいただきましたけれども、下水道管の破損ですが、そのほかの地下埋設物に比べて、これ分かりづらいというふうに思うんですね。上水道なら水がふわっと噴き上がりますし、ガスなら臭いがするというふうに気付きやすい。ただ一方で、下水管の場合、そういったことがないので、破損に気付かないうちに地下に空洞をつくってしまうということになりかねません。  国交省は、腐食のおそれの大きいこの下水道管路について五年に一回以上の点検を義務付けており、現在点検が進められているということですが、是非全国の下水道管の点検早期実施、それから速やかな更新に引き続き努力をお願いしたいと申し上げます。  さて、そうした老朽化も問題なんですけれども、もう一つ心配なことがあります。それは下水道施設の耐震化です。現在の重要な幹線等の耐震化率は二十八年度末で四八%ということで、約半数が耐震化されていないということになります。震災が起きて避難をしたときに、例えば飲み水は給水車で配水できますし、ガスはプロパンがあります。しかし、下水道については、やっぱりほかのライフラインとは異なって、地震のときに同等の機能を代替する手段が乏しく、町じゅうに汚水があふれるなど、市民生活に多大な影響を及ぼすというおそれがあります。特に、震災時のトイレの問題は深刻な問題かと思います。  そうした様々な点を踏まえて、耐震化も喫緊の課題だというふうに考えていますが、下水道管渠の耐震化に対して国交省はどのような支援を行っているのか、お願いいたします。
  146. 塚原浩一

    政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。  大規模地震発生時におきまして、下水道の機能を確保するということは大変重要であるというふうに私どもも認識をしております。そういう認識に立ちまして、下水道の耐震化を推進しているところでございます。  国土交通省といたしましては、避難所に接続する管路あるいは緊急輸送路の下に埋設されている管路など特に重要な管路につきましては、優先順位を付けて耐震化を推進しております。  また、北海道胆振東部地震等を踏まえまして、現在、重要インフラ緊急点検実施いたしまして、緊急輸送路等に布設されている管路のうち、マンホール浮上防止対策が未実施の管路であったり、あるいは耐震性が確保されていない管路が多く存在しているということが判明しております。  また、避難所等のトイレが使用できなくなった際の代替手段といたしまして、避難所等にあらかじめ下水管につながったマンホールを整備しておきまして、災害時等にマンホールの蓋を開けて便器を設置し使用するいわゆるマンホールトイレの整備、これも推進しているところでございます。  国土交通省におきましては、指針の策定、周知などによる技術支援を行うとともに、防災・安全交付金等による財政支援を行っておりまして、緊急点検の結果も踏まえまして、引き続き、技術面、財政面の双方からの支援を行ってまいりたいと思っております。
  147. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。  先ほど伺わせていただきましたその老朽化対策とこの耐震化というのはリンクしていくものだと思いますので、限られた予算の中だとは思いますけれども、なるべく効率的に、かつ速やかに布設替えが行われるように、併せてお願いを申し上げます。  続きまして、国土交通省では、ICTの全面的な活用等の施策建設現場にも導入することによって建設生産システム全体の生産性向上を図り、もっと魅力のある建設現場を目指す取組であるi—Constructionを進められていまして、これは私も大変期待しているところでございます。  今回、下水道分野について調べていたところ、この下水道分野にもi—Constructionを進めていくということが分かりました。今後、具体的にどのような取組を行っていくのか、これは大臣にお伺いをさせていただきます。
  148. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 国土交通省では、調査、測量から設計、施工、維持管理までのあらゆる建設生産プロセスにおきまして、ICT等を活用して建設現場の生産性向上を図るi—Constructionを推進をしております。その一環といたしまして、下水道事業へのICT導入を促進をするi—Gesuidoの取組を推進をしております。  具体的には、様々な設備や配管が錯綜いたします処理場、ポンプ場の新設や改築におきまして、設計、施工、維持管理の効率化に向けた三次元モデルを、導入を促進をいたします。また、下水道管渠を効率的に点検調査をし、得られた維持管理情報を有効活用する技術の開発支援などに取り組んでおります。  今年度は、三次元モデルの本格導入に向けまして、現場での試行を踏まえたガイドラインを作成するほか、膨大な維持管理情報をビッグデータ解析をいたしまして劣化の傾向を予測する技術の実証事業などに取り組んでおります。  今後とも、国土交通省では、ガイドラインの整備やICTの開発支援等を通じまして、下水道事業におけるICTの導入を促進してまいりたいと存じます。
  149. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。  是非、下水管渠の布設替えの工事などでもこうした三次元化というのを進めていただければいいのかなというふうに御提案を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  150. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  151. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 海洋再生可能エネルギー発電設備整備に係る海域の利用の促進に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。宮腰内閣特命担大臣
  152. 宮腰光寛

    国務大臣(宮腰光寛君) ただいま議題となりました海洋再生可能エネルギー発電設備整備に係る海域の利用の促進に関する法律案提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げます。  海に囲まれ、かつ国土の面積も狭隘な我が国にとりまして、海洋再生可能エネルギー発電事業の長期的、安定的かつ効率的な実施が重要であることに鑑み、海洋基本法に規定する海洋に関する施策との調和を図りつつ、海洋再生可能エネルギー発電設備整備に係る海域の利用を促進することは、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上に寄与するものであります。  このため、海洋再生可能エネルギー発電設備整備に関し、関係者との調整の枠組みを定めつつ、海域の長期にわたる占用が可能となるよう所要の措置を講ずることが必要であり、この法律案提案することとした次第です。  次に、この法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、政府は、海洋再生可能エネルギー発電設備整備に係る海域の利用は、海洋に関する施策との調和を図りつつ、海洋の持続可能な開発及び利用を実現することを旨として、海洋再生可能エネルギー発電設備整備に係る海域の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針を定めなければならないこととしております。  第二に、経済産業大臣及び国土交通大臣は、我が国の領海及び内水の海域のうち一定の区域であって自然的条件が適当である等の基準に適合するものを、関係行政機関の長への協議等を行った上で、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域として指定することができることとしております。  第三に、経済産業大臣及び国土交通大臣は、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域内の海域において海洋再生可能エネルギー発電設備整備を行うことにより海洋再生可能エネルギー発電事業を行うべき者を公募により選定し、当該区域内の海域の長期にわたる占用等に係る計画を認定するものとすることとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の概要であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  153. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会