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2018-11-27 第197回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年十一月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      里見 隆治君     山口那津男君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      佐藤 正久君     山下 雄平君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      山下 雄平君     こやり隆史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡邉 美樹君     理 事                 宇都 隆史君                 中西  哲君                 三宅 伸吾君                 高瀬 弘美君                 大野 元裕君     委 員                 猪口 邦子君                 こやり隆史君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 山下 雄平君                 山田  宏君                 山本 一太君                 山口那津男君                 小西 洋之君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 井上 哲士君                 浅田  均君               アントニオ猪木君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     河野 太郎君        防衛大臣     岩屋  毅君    副大臣        厚生労働大臣  大口 善徳君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       清水 茂夫君        法務大臣官房審        議官       筒井 健夫君        外務大臣官房長  下川眞樹太君        外務大臣官房審        議官       志野 光子君        外務大臣官房審        議官       大鷹 正人君        外務大臣官房審        議官       石川 浩司君        外務大臣官房審        議官       高橋 克彦君        外務大臣官房サ        イバーセキュリ        ティ・情報化参        事官       岡田 健一君        外務大臣官房参        事官       赤堀  毅君        外務大臣官房参        事官       船越 健裕君        外務大臣官房参        事官       宇山 秀樹君        外務大臣官房参        事官       森野 泰成君        外務大臣官房参        事官       齋田 伸一君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   吉田 朋之君        外務省北米局長  鈴木 量博君        外務省国際法局        長        三上 正裕君        厚生労働大臣官        房審議官     八神 敦雄君        経済産業大臣官        房審議官     松尾 剛彦君        国土交通省航空        局航空ネットワ        ーク部長     久保田雅晴君        防衛大臣官房長  武田 博史君        防衛大臣官房審        議官       深澤 雅貴君        防衛省防衛政策        局長       槌道 明宏君        防衛省整備計画        局長       西田 安範君        防衛省人事教育        局長       岡  真臣君        防衛省地方協力        局長       中村 吉利君        防衛省統合幕僚        監部総括官    齋藤 雅一君        防衛装備庁技術        戦略部長     三島 茂徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (旧朝鮮半島出身労働者問題に係る韓国大法院  判決に関する件)  (慰安婦問題に関する件)  (イージス・アショアの配備に関する件)  (北方領土問題に関する件)  (国連総会における核兵器廃絶決議案に関する  件)  (自律型致死兵器システムに関する件)  (シリア情勢に関する件)  (米軍再編に係る訓練移転に関する件) ○社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国  政府との間の協定締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、里見隆治君及び佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として山口那津男君及び山下雄平君が選任されました。     ─────────────
  3. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官清水茂夫君外二十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 皆さん、おはようございます。本日は質問の機会をいただきまして本当にありがとうございます。自由民主党の三宅伸吾でございます。  今日は、日韓関係につきまして、様々なことが起きておりますけれども、まずは本年十月三十日の朝鮮半島出身労働者をめぐる韓国大法院判決についてお話を伺いたいと思います。  まず、外務省にお聞きしますけれども、判決概要をお知らせください。
  7. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答えいたします。  御指摘判決におきまして、韓国大法院は、日本政府韓半島に対する不法な植民支配及び侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為前提とする強制動員被害者日本企業に対する慰謝料請求権であるとしまして、原告四人の損害賠償請求権日韓請求権協定適用対象に含まれない旨判示し、原告一人当たり一億ウォン、約一千万円ずつの損害賠償支払被告日本企業新日鉄住金に対し命じたと承知しております。
  8. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 類似訴訟が十件以上あると聞いております。そして、今月末には三菱重工業を相手取った類似訴訟大法院判決があるとも聞いております。  この判決を出された韓国大法院概要につきまして、いわゆる裁判官任命権者、本判決裁判体人数、多数意見人数うち何人が文在寅政権で登用されたのか等につきまして、外務省より説明を願います。
  9. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  まず、御指摘韓国大法院の大法官任命権者でございますが、これは大統領が任命することとなっております。それから、今般の判決裁判体人数は十三名でありまして、多数意見は七名、うち四名が文在寅政権が任命した裁判官であると承知しております。  なお、多数意見の七名のほか、四名の裁判官日本企業賠償を命じるとの結論は多数意見と同じであるものの、その法理は異なる個別意見を出しており、うち二名が文在寅政権が任命した裁判官であると承知しております。  反対意見を書いた二名の判事はいずれも判事出身で、一名は朴槿恵大統領時代の二〇一四年から大法官を務めており、もう一名は文在寅政権発足後の二〇一七年に大法官に就任したと承知してございます。
  10. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 ありがとうございます。  日本企業責任を求めた多数意見七人のうち、過半の四人が文在寅政権により登用されたということでございます。  外務大臣にお聞きいたします。本判決国際法違反ですか。もしそうなら、その理由は何でしょうか。
  11. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今般の大法院判決は、両締約国及び国民の間の財産請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認した一九六五年の日韓請求権経済協力協定に明らかに違反をしております。よって、国際法に照らしてもこの判決はおかしいと言わざるを得ないと思います。
  12. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 今回の訴訟韓国司法手続にのっとったものでございますけれども、類似訴訟日本国内でも提起をされております。  一審は大阪地方裁判所、二〇〇一年三月二十七日でございますけれども、判決は、国際法請求権を認めたものとは言い難いと、それから賃金未払、強制労働に関する損害賠償責任は認められるけれども、被告日本製鉄には日本製鉄からその責任を承継されていないなどとして請求を退けております。  そして、翌年、大阪高裁の方で控訴審判決が出ております。二〇〇二年十一月十九日でございますけれども、大阪高裁は、今申し上げた大阪地裁の判示に加えまして、仮に請求権があるとしても、請求権協定に基づく日本国内法財産権措置法といいますけれども、この日本国内法により一九六五年に消滅をしたというふうに述べていると私は理解をいたしております。  そして、二〇〇三年十月九日に、最高裁は上告を棄却をいたしております。分かりやすく申しますと、日本司法判断では損害賠償は認めなかったということが最高裁確定をいたしております。  外務省にお聞きしますけれども、この類似訴訟日本裁判訴訟原告の中にさきの韓国大法院原告は何人いるんでしょうか。
  13. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  御質問我が国における訴訟原告うち、今般の韓国大法院判決原告は二名含まれていたものと承知してございます。
  14. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 これは当然皆さん新聞等で御案内だと思いますけれども、ほぼというか同じ事実関係日本裁判が起きて、日本では被告企業には賠償責任はない、片や韓国では四人で合計四千万円の賠償支払が命じられて、それが先進国たる韓国司法手続の最上位裁判体で決定し、司法としてはもう確定をしたということでございます。  じゃ、被告となった日本企業はどうすればいいんだということが大きな問題でございます。他に十件以上の類似訴訟がございまして、これからも日本企業に対する判決が出ることが予想されているわけでございます。  韓国先進国でございます。韓国での訴訟で敗訴した、そしてまたこれからも敗訴する可能性がゼロではない被告日本企業がどうすればいいんだろうということでございますけれども、三つぐらいオプションがあるんだろうと思います。  まず第一は、韓国司法判断を尊重し、命じられた金銭をお支払いする、これが当然一つのオプションにはなると思います。  二つ目でございますけれども、支払を拒否するというオプションがあるかもしれません。しかしながら、韓国というマーケットで事業を継続しようとする特に上場企業にあっては、なかなかこの選択は難しいようにも思います。もう対韓ビジネスを諦めたということであれば、ひょっとしたらそういう選択肢もゼロではないと思いますけれども、大手の上場企業で今後も韓国ビジネスをしようと思っている上場企業であれば、なおさら韓国最高司法判断を無視してということはなかなか難しいんだろうと思います。もし無視しても、もし被告日本企業韓国内に資産を持っていれば、拒否をしても強制執行されて差し押さえられるということになります。もし韓国内に資産が、持っていなければどうなるかということでございますけれども、外国判決承認手続というのがございまして、場合によっては韓国司法で命じられた金銭支払債務ということを日本裁判所を通じて日本国内で差し押さえられるということもあるかもしれません。  それから三つ目オプションでございますけれども、何らかの理由韓国原告被告日本企業に直接、事実上、金銭支払を求めなくなるということも可能性としてはあると思っております。  法務省にまずお聞きしたいんですけれども、外国判決承認とはどのような手続で、承認される場合の要件はどういうものがあるのか、そしてまた、同一内容の事実関係において、我が国司法請求理由がないと判断したものについて請求を認容した外国判決国内承認がなされる可能性は高いんでしょうか。
  15. 筒井健夫

    政府参考人筒井健夫君) お答えいたします。  お尋ねがありました外国判決承認とは、一般に、外国でされた判決効力を自国において認めることであり、我が国では民事訴訟法第百十八条におきまして、外国裁判所確定判決は一定の要件の下で我が国において効力を有するものと規定されております。  この民事訴訟法第百十八条が定める外国判決承認要件は、法令又は条約によりその判決をした外国裁判所裁判権が認められていること、その判決で敗訴した被告訴訟の開始に必要な呼出し等を受け又は自ら応訴したこと、その判決内容及び訴訟手続日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと、そして相互の保証があることの四つでございます。  それから、お尋ねの点につきましては、裁判所が個別具体的な事案に応じて判断すべきことでありますので一概に申し上げることは困難でございますけれども、ある請求についてこれを棄却する我が国確定判決があるにもかかわらず外国裁判所がこの請求同一の事実関係前提とした同一請求を認容する旨の判決をした場合には、その外国裁判所確定判決は、既に存在する我が国裁判所確定判決と矛盾するものとして我が国の公序に反するとされることがあり得るものと考えられます。
  16. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 一般論でございますけれども、同じ事実関係日本最高裁請求権がないと判断したものについて、その後、外国司法機関の最上位裁判体損害賠償支払義務があるという判決を出し、それを日本外国判決承認手続にのせても、日本国においては承認をされない可能性があるというふうに理解をいたしました。  次に、外務省にお聞きいたしますけれども、日韓請求権協定概要協定締結後の両国政府請求権有効性、そして遵守に対する態度はどのようなものだったんでしょうか。
  17. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  御指摘の一九六五年の日韓請求権経済協力協定では、第一条におきまして、無償三億ドル及び有償二億ドルの経済協力を約束しております。  また、第二条一におきまして、両締約国及びその国民、これは法人を含みます、の財産権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認いたしました。  さらに、同条、すなわち二条の三でございますが、一方の締約国及びその国民他方締約国及びその国民に対する全ての請求権であって本協定が署名された一九六五年六月二十二日以前に生じた事由に基づくものに関して、いかなる主張もすることができないと規定してございます。  日韓両国は、一九六五年の国交正常化以来、同協定に基づき現在の日韓関係を築いてきたというふうに考えてございます。
  18. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 もう一度確認ですけれども、日韓請求権協定締結後、両国政府はこの協定有効性を認め、かつ遵守に向けた態度を取り続けてきたということでよろしいんですか。
  19. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  はい、御指摘のとおり、両国政府ともこの協定有効性を認めてまいりました。
  20. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 大ざっぱに言うと今おっしゃったとおりだと思うんでございますけれども、文在寅大統領就任後百日目の昨年八月十七日の記者懇談会で文在寅大統領はこのようにおっしゃっているんですね。両国間の合意が個々人の権利を侵害することはできない、強制徴用者個人相手会社を、相手に持つ民事的な権利はそのまま残っていると、大統領、お述べになりました。  この文在寅大統領主張は、朴槿恵政権などそれ以前の歴代韓国政府立場と同じなんでしょうか。
  21. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) 御指摘の文在寅大統領発言を含め、現在及び過去の韓国政府立場について我が国として有権的に説明立場にはないということはまず申し上げなければならないんですが、その上で申し上げますれば、二〇〇五年に韓国政府が設置した韓日会談文書公開フォローアップ関連官民共同委員会が、請求権協定を通じて日本から受け取った無償三億ドルは、強制動員被害補償問題解決の性格の資金等について、包括的に勘案されているとしまして、政府は、受領した無償資金うち相当金額強制動員被害者救済に使わねばならない道義的責任があるとするとの報告を発出しているものと承知しております。  また、二〇一二年の大法院判決の直後に、韓国外交部のスポークスマンが記者会見におきまして、政府レベルにおける請求権協定問題についての韓国政府立場は一貫して維持している、この問題についての我々の立場に変化がないというふうに述べたと承知しております。  いずれにせよ、個人請求権を含め、日韓間の財産請求権の問題は、日韓請求権経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるという我が国立場は一貫した立場でございます。
  22. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 今回の問題は、企業というか私人から見るとどのように映るかというと、請求権協定というハードローがあり、そしてまた歴代日韓政府首脳公式発言等を信じて、これからは韓国で投資をして工場を造ってビジネスをやっても過去の話が蒸し返されることはないだろうと思って、安心して多くの日本企業を含む外国企業韓国へ出ていったということでございますけれども、今回の判決は、まさに西から太陽が昇ったようなものでございまして、愕然としている方が多いと私は思います。  もし今回の大法院判決によって命じられた金銭支払が何らかの方法でなされれば、もし新日鉄住金株主さんから見ればどういうふうに思うかというふうに私、考えてみました。  新日鉄住金上場会社で、グローバルに株主いらっしゃいますので、韓国株主さんも当然、個人株主、いらっしゃるでしょう、それから他の国の株主さんもいらっしゃるかもしれませんけれども、株主から見た場合には、何でそんなお金を払わなきゃいけないのと思うと思うんですね。  その場合、株主は、株主代表訴訟を提訴する権利を持っております。ですから、もし新日鉄取締役に、今回の債務を避けるための義務ですね、これに任務懈怠があれば、株主としては、取締役、何でそんな不必要なお金支払うようになったのかということで、取締役損害賠償を、求償を求めることができます。  そういう法の立て付けになっておりますので、新日鉄住金の役員としては、任務懈怠とならないようにどういうことをしなければならないかと私、考えてみました。  まず第一は、日本政府に対し外交努力によって支払の事実上の免責を韓国政府に求める、これ当然の義務だと思います。それから二つ目オプションとしては、もし支払う場合には、ひょっとしたら、日本外交努力が不十分だったためにもしいわれなき損害賠償支払うことになるのであれば、我が国政府に対し国家賠償法上の請求を求めるという考えもあるかもしれません。それから三つ目でございます。もし支払う場合に、韓国側不法行為等があれば、日本にある韓国政府資産債権等を差し押さえるということも、新日鉄住金取締役としては、あらゆるオプションを、法的手段を誠実に検討する義務があるのは間違いないと思います。  そこで、外務省にお聞きしたいんですけれども、請求権協定三条には協議という手続がありますけれども、この協定三条に定める協議を既に求めたんですか。もし求めていないとすれば、いつ又はどのような状況になれば第三国の委員を入れた仲裁手続等を求めるおつもりですか。
  23. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  我が国としまして、現時点では日韓請求権協定第三条に基づく協議及び仲裁を要請してございませんが、韓国政府に対し、国際法違反の状態を是正することを含め適切な措置を講ずるよう強く求めているところでございまして、まずは韓国政府がどのような対応を講ずるかを見極めたいと思ってございます。  他方、仮に韓国政府が早急に適切な措置を講じない場合には、国際裁判も含めあらゆる選択肢を視野に入れて毅然とした対応を講ずる考えでございますが、我が国としてどのタイミングで何を行うかといった具体的な内容につきましては、我が方の手のうちを明らかにすることにもなりますため、差し控えさせていただきたいと思います。
  24. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 次に、被告企業法的手段についてでございますけれども、日本国は言うまでもなく法の支配を標榜しております。  法務省にお聞きしますけれども、国家賠償法立法趣旨、またどのような場合に国の責任を認めることになっているのか、そしてまた国の不作為理由賠償を認めた例は過去にございますか。
  25. 筒井健夫

    政府参考人筒井健夫君) お答えいたします。  国家賠償法は、憲法第十七条におきまして、何人も公務員不法行為によって生じた損害賠償を国又は公共団体に対して求めることができると規定されていることを受けまして、その具体的な要件等を明らかにするものであり、国民権利救済を図ることを目的として設けられたものでございます。  この国家賠償法は、国の責任が認められる場合として、国の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人損害を加えた場合のほか、公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人損害を生じた場合を規定しております。  そして、委員からお尋ねがありました国の不作為によって国家賠償法上の責任を認めた裁判例といたしましては、有毒な工場排水によって多数の患者が発生した公害事案におきまして、国がその公害による健康被害拡大防止のために法律上の規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上違法となり、国が損害賠償義務を負うと判示した例などがございます。
  26. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 外務大臣にお聞きをいたします。  我が国政府は、いわゆる外交力をどのように定義をされているんでしょうか。
  27. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 外交力というのを一義的に定義するというのは非常に困難でございますけれども、同盟国や友好国とのネットワーク、経済力科学技術力文化情報価値観の発信、あるいはODAなどの総合的な力の日頃からの積み重ねというのが外交力になるんだろうと思っておりますし、政府だけでなく、企業、NGO、あるいは国民お一人お一人の様々な取組も当然その国の外交力に含まれてくる部分というのはあろうかと思っております。  先般、大阪万博誘致に成功いたしましたが、あれは、政府はもとより、ハローキティちゃんからピカチュウから、日本の持てる文化その他総動員して外交力で勝ち取った結果というふうに考えております。
  28. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 いろんな定義の仕方が外交力にはあるかとは思いますけれども、ざっくり言うと、武力を使わずに他国を動かす力というふうに私は理解をさせていただいております。  次に、法務省にお聞きをしますけれども、日本政府外交努力が不十分なため我が国企業損害を被った場合、国家賠償法上の責任が生じる場合がありますか。
  29. 筒井健夫

    政府参考人筒井健夫君) 国に国家賠償法上の責任が生ずるか否かにつきましては、個別具体的な事案に応じて裁判所が判断すべきことであるので、恐縮ながら一概に申し上げることは困難でございますけれども、一般論としては、国の公務員の行為によって我が国企業損害を被った場合において、その公務員が国の公権力の行使に当たる者であり、その職務を行うについて故意又は過失によって違法に我が国企業損害を加えたという要件を満たすのであれば、国家賠償法上の責任が生ずると考えられます。
  30. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 外務省にちょっと勉強をさせていただきたいと思っております。  今日の質疑でも国際法という言葉がたくさん出てまいりましたけれども、現在のこの問題は国際法、それから両国国内法、様々なことがいろいろ絡んできて、一私人、企業でございますけれども、企業という私人の法的責任が問われているということでございます。  ちょっとそこでお聞きしたいんですけれども、そもそも国際法とは何なのか。そして、国際法違反行為によって被害を受けた私人の権利救済手段にはどのようなものがあるのか。外交保護権というのをちらっと耳にしたことがございますけれども、それを含めて御説明いただきたいのと、あわせて、国際法上も禁反言という原則があると聞いておりますので、併せて易しく御説明いただきたいと思います。
  31. 三上正裕

    政府参考人(三上正裕君) お答え申し上げます。  国際法とは、一般に条約や慣習国際法等として存在し、主に主権国家間の関係を規律する法として発達してきたものを指すと考えられております。  委員質問の二点目でございますけれども、国際法上、自国民が海外において外国国際法違反行為によって損害を被った場合、本国は被害者である自国民について生じた損害に関し救済が与えられるように必要な措置を講ずるよう相手国に要求することができます。このような国家としての国際法上の権利外交的保護権と言っております。  それから、委員お尋ねの禁反言の原則でございますが、過去の国際判例によれば、国家は他国との関係において誠実に行動すべきとの考えの下、ある国が行った行為への信頼に基づいて行動する他国の正当な期待を保護することを目的として、ある国が自ら行った行為に反する主張を行うことを妨げる法理であるということでございます。
  32. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 私は、日本外務省国家賠償法責任を問われるようなことはないと信じておりますので、いわれなき債務韓国で背負った日本企業のため、それから、これから判決が出る日本企業のために、外務省には外交保護権を最大限企業のために使っていただきたいということをお願いしたいと思います。  もう一つ外務省にお聞きをいたしますけれども、日本国政府はこの請求権協定を受けて財産権措置法という国内立法をしております。冒頭、御紹介申し上げました国内におけるこの朝鮮半島出身労働者に係る損害賠償請求訴訟控訴審判決におきまして、大阪高裁は、様々な理由の一つとして、この財産権措置法もあるので、仮に請求権があるとしても、日本国においては権利は消滅をしていると、もう明確に判示をしているわけであります。  そこでお聞きしたいのは、請求権協定後に、韓国においては類似の国内立法をしたんでしょうか。
  33. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  まず、韓国政府措置でございますので、日本政府として有権的に説明する立場にないということはまず申し上げなければならないと思いますが、その上で申し上げますれば、韓国政府は昭和四十一年二月十九日に請求権資金の運用及び管理に関する法律を制定しまして、日本から受け取った無償三億ドル及び有償二億ドルの資金に関して使用基準を規定するとともに、大韓民国国民が有する一九四五年八月十五日以前までの日本国に対する民間請求権請求権資金の中から補償しなければならないと規定しているというふうに承知をしております。  このほか、先ほどもちょっと答弁申し上げましたが、二〇〇五年に韓国政府自ら設置した官民の共同委員会が、日本から受領した無償資金うち相当額を被害者の救済策に使わなければならない道義的責任があると発表したことを踏まえまして、平成十九年、二〇〇七年及び平成二十二年、二〇一〇年に関連の支援法が制定されたというふうに承知をしてございます。この支援法などによりまして、死亡者の遺族だけでなく、行方不明者、負傷者、治療等が必要な生存者、未収金被害者又はその遺族をも対象に含める形で給付が実施されたものと承知してございます。
  34. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 周りの関連法は整備をしたけれども、日本財産権措置法のような国内立法は韓国でなされなかったと理解をいたします。私は、この韓国の不作為が歴史を未来志向ではなく過去志向にさせた大きな要因ではなかろうかと思っております。  韓国の話題はこれぐらいにいたしまして、我が国は自由で開かれたインド太平洋戦略、まあ構想ということもあるそうでございますけれども、これを標榜をいたしております。  外務大臣に是非お聞きしたいんでございます。この構想に言う自由とは何からの自由なんでしょうか。強権政治からの自由なんでしょうか。圧制、監視社会からの自由なんでしょうか。それとも経済保護主義からの自由なんでしょうか。  もう一つ。この開かれたインド太平洋の開かれたというのは、具体的にどのような状態が開かれたというんでしょうか。是非、一番日本外交の大きな主軸の一つでございますので、大臣のお言葉をお聞きしたいということでございます。
  35. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この自由で開かれたインド太平洋構想の中でいいます自由というのは、法の支配に基づく航行の自由、そして自由貿易の普及、定着など、国際秩序の基本原則を広く含んだ言葉でございます。  また、開かれたというのは、この構想の中にはいずれの国も排除することはない、つまり全ての国にとっての国際公共財ということにしようというのがこの開かれたというものの意味でございます。
  36. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 中国は、数年来、一帯一路政策というのを進めております。その文脈の中で、最近報道等を見ますと、債務のわなという言葉が新聞等で躍ることがございます。昨年夏、スリランカの港湾整備プロジェクトで何があったんでしょうか。外務省、教えてください。
  37. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  スリランカにおきますハンバントタ港につきまして、昨年七月、スリランカ政府が中国国有企業との間でコンセッション合意文書に署名しました。この結果、この中国企業がハンバントタ港の管理運営会社の株式の約七〇%を保有しまして、港の運営権が九十二年間譲渡されることになったというふうに承知してございます。
  38. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 ありがとうございます。  太平洋、そしてインド洋を越えるとアフリカがあるわけでございますけれども、外務大臣にお聞きします。我が国の対アフリカ外交の基本理念は何でしょうか。
  39. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) アフリカは非常にポテンシャルに富んだ大陸というふうに認識をしております。長らく列強の植民地支配を受けていたところでございますので、いかにこのアフリカを開発を進めていくかというのが大きな鍵になります。  日本は、一九九三年にTICADプロセスを立ち上げて以来、常に日本はアフリカとともにある、アフリカの開発におけるアフリカ自らのオーナーシップと、それに協力する国際社会のパートナーシップというのを重視していこうというのが日本のアフリカ外交の柱でございます。
  40. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 今、河野大臣がおっしゃった、このパートナーシップという私は言葉が日本外交の貴重な財産というかポジショニングだと思っております。私はODAの関係で様々なところにお邪魔しておりますけれども、本当に日本の開発援助はそれぞれの国の中長期の発展を願って地道にこつこつとやってくれていると、JICA、海外青年協力隊も含めて高い高い評価を受けております。  その一方で、私、今年の秋にケニアとルワンダを訪問いたしました。両国政府高官から、債務のわなといえばあれですけれども、分かりやすく言うと札束外交に対する強い警戒心を耳にいたしました。ケニアの高官からは、スリランカの問題を聞いたときには非常にショックだったと、ケニアはそのような方向に行くべきではないとおっしゃっておられました。それから、ルワンダの政府高官は、スリランカの事例からは真剣に学ぶ必要があると目をじっと見てゆっくりとお話をされておられました。  その関係外務省にお聞きしますけれども、ルワンダを我が国の総理又は外務大臣が公式訪問をされたことはありますか。それから、日本の総理が一度も公式訪問していないアフリカの国は何か国ぐらいありますか。
  41. 齋田伸一

    政府参考人(齋田伸一君) お答え申し上げます。  歴代の総理及び外務大臣は、これまでにルワンダを訪問したことはございません。  また、歴代の総理が一度も訪問していないアフリカの国は四十五か国、歴代外務大臣が一度も訪問していないアフリカの国は三十五か国となっております。
  42. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 今年七月に中国国家主席の習近平主席がルワンダを訪問しております。今年の五月、中国、李克強総理が、今年が日中平和友好条約締結四十周年という関係もございまして、来日されました。その際、安倍総理は、都内のホテルの関連式典でこのようにおっしゃいました。競争の時代は終わり協調の時代に入ったとの趣旨の御挨拶をされました。私は、実はこの発言を聞いて少し残念でございました。それから、先般、日中首脳間で第三国での経済協力を推進するとの合意もなされたところでございます。  先ほどの、競争の時代は終わり協調の時代に入ったという言葉を聞いて私がなぜ少し残念だったかと申しますと、競争の敗北宣言かというふうに受け取れないこともなかったということでございます。それから、競争しなければ良好な協調関係は構築できないと私は確信をいたしております。  それから、第三国経済協力では、先ほど申し上げましたように、我が国相手国の経済発展を真摯に願い、相手国の発展にかなうような手法で地道に教育分野などを含め経済協力をしてきております。この日本の経済外交の良きブランドを他国にうまく利用されないような形で第三国の経済協力を進めていただきたいと願っておりますけれども、河野大臣はどのように思われますか。
  43. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 安倍総理の発言は、第三国における民間協力を念頭に置いている発言で、インフラのプロジェクトはあくまでも国際スタンダードにのっとったものでなければならない、つまり、透明性、開放性、あるいは経済性、あるいは先ほどの債務の問題、債務の健全性、こうしたことが国際スタンダードに合致しているものについては日中、第三国で協力するのはやぶさかじゃないということを申し上げたわけで、むしろ、この中国がやろうとしているプロジェクトに日本が乗っているプロジェクトがあるならば、それはその国からしてみると安心だということになろうかと思います、日本が協力してくれているプロジェクトは国際スタンダードに合致しているんだということを対外的にも伝えることになるわけでございますから。むしろ、そういう意味で、日中が協力できるようなプロジェクトをしっかりと進めるように中国にこれから促してまいりたいというふうに考えております。
  44. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 質疑をおまとめください。
  45. 三宅伸吾

    三宅伸吾君 以上、終わります。
  46. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。  衆議院におきまして日EUのEPAの議論が始まっておりますけれども、ヨーロッパとの貿易に関して、事の次第によっては日本企業、とりわけ中小の日本企業に影響があり得る法律がEU議会において審議をされているというふうに理解をしております。  この法律の具体名、具体名という形ではまだ出ておりませんけれども、欧州委員会が提案をしている法律、法案二〇一七/〇三五三というふうになっておりますけれども、既にEU内に存在する法律に追加をする内容というふうに理解をしております。  その中で、特に気になります部分がチャプターツーのアーティクルフォー、つまり二章の第四条の部分ですが、この箇所を中心に、この法案の概要、また日本企業に影響の出そうな部分を、経産省、御説明いただけますでしょうか。
  47. 松尾剛彦

    政府参考人(松尾剛彦君) お答え申し上げます。  御指摘のいわゆる物品パッケージ提案と呼ばれてございますけれども、こちらの提案におきましては、特にまず目的といたしまして、EU域内で流通いたします物品、これの規制への適合をより確実に担保するという観点から、欧州委員会におきまして市場監視の実効性をより強化するということのために提案をされたものというふうに承知をしております。  内容といたしましては、今お話もございましたけれども、EU域外の製造事業者がEU市場向けに商品を輸出いたします場合、特にEU域内に自らの事務所をお持ちの場合は問題ないのでございますけれども、事務所を持たない場合には、輸入者あるいは書面により委任した第三者のいずれかをコンプライアンス情報責任者というふうにするように義務付けるということが提案をされているところでございます。これによりまして、EU域内に事務所をお持ちになっていない中小の企業の方々がEU市場へ輸出をいたします際に代理人と契約する等の追加コストが掛かる可能性があるというような声を聞いているところでございます。
  48. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  今御指摘ありましたとおり、大企業であれば既にEU内にオフィスもあると思いますし、代理店を持っていることも多いかと思いますけれども、そういうものがない中小の企業にとりましてはこの法律が通過をしますと輸出がしにくくなる、そういう状況が生まれる可能性があると思っております。  この法案、今EU議会の中におきまして審議の段階はどのような段階にありますでしょうか。
  49. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  御指摘の規則案につきましては、欧州議会及び欧州理事会の審議を経まして、今後、欧州委員会、欧州理事会及び欧州議会の三者間で非公式な協議が行われる予定と承知しております。同協議で合意が得られれば、欧州理事会及び欧州議会の公式な承認手続を経て施行に至ると承知しております。
  50. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  もう既に結構段階としては進んでいるのかなというような印象を受けておりますけれども、今審議をされている法律案でございますので、もしかすると年内に通ってしまう可能性もあるのかなというふうに思いますけれども、この法律に関しまして、このように日本企業に対しても影響が出得るものでございますので、これまで日本政府としての働きかけというのは何か行われておりますでしょうか。
  51. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  年内に通るかどうかということにつきましては、日程はまだ公表、決定されていないと承知しております。  日本政府といたしましては、日EU間の貿易やEU進出日系企業ビジネスが円滑に行われることを確保する観点から、EUにおける御指摘の規則案に係る審議プロセスを注視してきております。  欧州委員会担当部局に対しまして我が国企業の懸念を伝達するとともに、我が国企業への影響等につき正確な情報の把握に努めてまいりました。引き続き情報収集に努めるとともに、その結果を踏まえ、必要に応じ、しかるべく更に対応してまいります。
  52. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  今現在審議中の法律でございますので、内政干渉になってもいけないという難しさもあるかと思いますけれども、それでありましても、我が国にも直接の影響があり得るものでありますので、今の御答弁にありましたとおり、しかるべき対応をしていただきたいと思いますし、必要があればレベルを少しずつ上げていって、きちんと我が国の懸念を伝えていただく、そのようなプロセスを取っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  その上で、こうやってEUの域内法が変わりますと、日本企業に影響が出てくるわけでございます。今いろいろ自由貿易進めております中で、こういうことはほかの国でももちろんあり得る話でありますが、これがもし日EUのEPAの発効後にこのようなEUの域内法が変わり得るような事態が起こった場合、どういう点がこれまでとは異なってくるのか、この点、教えていただけますでしょうか。
  53. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  日EU・EPAは、高いスタンダードを定めるものであり、自由で、開かれ、かつ公正な貿易・投資ルールの二十一世紀におけるモデルとなるものと考えております。  一般論として申し上げます。  日EU・EPA発効後、仮にEUが貿易制限的な非関税措置をとるような場合には、本協定に規定される協議、協力のための仕組み等を通じ、問題の解決に向けてEU側と協議していくこととなります。
  54. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  協議の枠組みがEPAの中にしっかりあるということでございますので、EUからも早めにこういう情報もいただけるように、しっかりと交渉を続けていただきたいというふうに思っております。  いずれにしましても、この法律、中小企業の皆様、心配をされておりますので、どうぞ引き続き注視と、またしかるべき対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に質問移ります。  今回、韓国政府が発表しました和解・癒やし財団の解散についてお伺いをいたします。  これまでも、韓国では政権が交代するたびに政策の大幅な変更がされてきておりますことから、今回の財団の解散につきましてもこれまでの延長線上にあるかのように見えますが、この財団を設立するまでには、両国政府は当然のこと、日韓議員連盟、識者の皆様など多くの方が知恵を出し合い、国交正常化五十年という記念すべき年の二〇一五年、まさに年末ぎりぎりの十二月の二十八日に慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認をし、日韓新時代の幕開けとも言える歴史的な合意であったわけであります。  最終合意内容の不可逆的との文言は、韓国側から提起されたものを盛り込んだというふうに私は承知をしております。それにもかかわらず、今回一方的な通告で財団の解散を決定した韓国政府対応には日本政府としても抗議をするとともに、一方で、戦後の経過時間に照らしまして、生存されていらっしゃる元慰安婦の方々も御高齢であることから、救済のために両国政府の合意の下にこれまで財団が設立されてきたその背景を改めてお伺いをしたいと思いますし、これまで財団によって実行されてきた具体的な措置、その中身と、最後に、一方的なこうした韓国側措置に対する河野外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  55. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 日韓両国は、二〇一五年の十二月に、様々な外交努力の末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認する合意に至りました。この後に日本政府は、合意に基づいて、韓国側に設立された和解・癒やし財団に対して十億円を一括で拠出をいたしました。  この財団は、これまで、合意時点で生存されていた四十七名のうち三十四名に対し、また亡くなられている百九十九名のうち五十八名の遺族に対し資金を支給しており、多くの元慰安婦の方々に評価をしていただいているものでございます。  先般、二十一日のこの財団の解散の発表は、日韓合意に照らして問題で、全く受け入れることができないものでございます。この日韓合意は、岸田外務大臣のときに外相間で協議が行われ、直後に首脳間でも確認し、韓国政府としての確約を取り付けたものであって、政権が替わったとしても責任を持って実施されなければならない、そういう性質のものでございます。この合意は国際社会からも高く評価されており、合意の着実な実施は日本だけでなく国際社会に対する韓国の責務と言ってよろしいかと思います。  繰り返しますが、日本はこの日韓合意の下で約束した措置を全て実施してきており、国際社会が韓国側の合意の実施を注視している状況になっているわけで、引き続き韓国側にこの日韓合意の着実な実施を強く求めてまいりたいと考えております。
  56. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。大変詳しく情報が、状況が分かりました。感謝申し上げます。  十一月の二十一日に外務省の秋葉事務次官から韓国の駐日大使に抗議を申入れをしており、大使の方からは、慰安婦の合意については破棄しない、再交渉も求めない立場であることを確認していると報道で伺っております。国同士で合意をした内容を簡単に破棄することは、今大臣からもありましたとおり、国際的な信用に関わる大変重要な事案でありますので、韓国政府のこれからの出方をよく見極めていく必要がございます。  一点確認をさせていただきたいんですが、この二〇一五年の日韓合意は共同記者会見という、共同記者発表という形で公表されておりますけれども、公式な文書というのはこの記者会見のほかに存在しておりますでしょうか。また、もしこの記者会見で残された記録といわゆるこうした公式文書の間に法的な違いというのは何かあり得るのか、その点についても教えていただきたいと思います。
  57. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) お答え申し上げます。  日韓合意につきましては、先ほど河野大臣から御説明したような経緯で、外務大臣の間での協議を行って、韓国政府としての当該合意に対する確約を直接取り付けたものでございます。また、委員指摘のとおり、尹長官は同日の会談後の共同記者発表の場で、この合意を日韓両国民の前で国際社会に対して明言したというものでございます。しかも、これは同日行われた両首脳間の電話会談においても確認された合意でございます。したがって、政府としましては、最終的かつ不可逆的な解決であるとの韓国政府の明確かつ十分な確約を得たものと受け取っております。  この合意は国と国との約束でございまして、たとえ政権が替わったとしても責任を持って実施されなければならない。日本日韓合意の下で約束した措置を全て実施してきておりまして、国際社会が韓国側による合意の実施を注視している状況でございます。引き続き韓国側日韓合意の着実な実施を求めてまいりたいと思ってございます。  その上で、確かに文書という形ではございませんが、先ほど来申し上げているとおり、韓国政府の明確かつ十分な確約を得たものというふうに我々としては受け止めてございます。(発言する者あり)  はい、失礼いたしました。したがいまして、今回の合意は、法的拘束力を有する国際約束としての二国間文書の形式を備えたものではございませんが、韓国政府の明確かつ十分な確約を得たものであって、責任を持って実施されなければならないというのが我々の立場でございます。
  58. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  国際法の原則としまして、合意は拘束をするということで、いかなる形であれ国と国の政府同士できちんと合意が表に出ているもの、それは拘束をされるという大原則があるかというふうに承知をしております。  そういう中で、今回の韓国政府のこうした一方的な対応というのは大変遺憾でございますけれども、このように一度国際約束として決めた二国間合意ですとか、こうしたものをほごにするという行為は、これは韓国から日本に対してだけ行われているのでしょうか。それとも、韓国からほかの国に対しても同様の例がもしあるのであれば、そういう国とともに国際社会の場の中で訴えていくということも検討していかないといけないと考えますけれども、この点も含めて今後の日本対応、いかがでしょうか。
  59. 石川浩司

    政府参考人石川浩司君) 日本政府としまして、韓国が第三国に対して取っている政策あるいは合意の一つ一つについて必ずしも承知しておりませんということで、ちょっと今の委員の御質問確定的にお答えすることはできないということを御理解いただきたいと思いますが、いずれにしましても、我々としては、日韓合意に関する日本立場については引き続き国際社会に適切に説明してまいりたいというふうに思ってございます。
  60. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  大変韓国との関係性、重要でありますので、難しい中でのかじ取りかとは思いますけれども、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  十月の末にインドのモディ首相が来日をしまして、安倍総理御自身も別荘で歓待をしながら両首脳同士の有意義な会談が持たれまして、日印の関係強化がなされたことは大変に喜ばしいことだと思います。  インドが二〇二二年には十三億人である中国の人口を抜いて世界第一の人口になるとも言われておりますし、IT分野での経済成長などを考慮しますと、まさに大国の道を進んでおり、日印関係の深化というのは重要であると考えております。  今回のこの日印の会談の中では、両国の間で今後閣僚級の2プラス2を立ち上げること、またACSAの正式交渉開始、海洋安全保障面での協力体制強化などが取り決められたと伺っております。近年、主要国のパワーバランスの変化が加速化しておりますけれども、第二次安倍政権発足以降、自由で開かれたインド太平洋戦略の中で、インドとの関係強化は地政学的にも重要であると思います。  安全保障の観点から、日本とインドの共通認識というのはどこにあるのか、防衛大臣にお伺いしたいと思います。
  61. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 委員指摘のように、先般の日印首脳会談におきまして、両国は、共通の価値観に基づく日印特別戦略的グローバルパートナーシップの下に、共に自由で開かれたインド太平洋を目指していこう、共に活動していこうということで一致を見たところでございます。  防衛省といたしましては、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が国際社会の安定と繁栄の礎であると、自由で開かれたインド太平洋の礎になるという考え方の下に、この地域の要衝に位置するインドとの防衛協力を一層強化していきたいというふうに考えておりまして、それが、今委員が御指摘していただいたACSAの今後の締結でありますとか、2プラス2の立ち上げでありますとか、そういったことを目指していくということになっているわけでございます。  一層インドとの防衛協力を強化してまいりたいというふうに考えております。
  62. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 防衛大臣、ありがとうございます。  インドとの関係、大変重要でありますけれども、伝統的にインドという国は非同盟の国でございまして、また全方位外交を行っている国でございます。先月もインドとロシアの共同声明というのが出まして、その中でロシアのミサイルを購入するというようなところも出ておりました。  そういう中で、日本はこれまで太平洋地域におきましては日本、アメリカ、オーストラリアのこの三国の関係を非常に重要視してきたわけでございますが、ここにこの新たなインドという形で日本との二国関係が深化をしていく中で、今までこの三か国でやってきたものとしてなかなか難しい部分もインドとの間では出てき得るのではないかと思います。  こうした点につきまして、大臣の御所見、いかがでしょうか。
  63. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) これも委員指摘のとおりだと思います。日米豪に加えて印と、日米豪印という連携が非常に重要だと私どもも考えております。  インド太平洋地域の要衝に位置するインドにつきましては、先ほど申し上げました特別戦略的グローバルパートナーシップの下に、日印でしっかり防衛協力をこれからやっていくわけですが、これまでの日米豪の関係とこれをうまくリンクをさせていくことが大切だというふうに考えておりまして、少し時間は掛かるかもしれませんが、日米豪、日印を連結させて日米豪印の安全保障協力、防衛協力という枠組みを粘り強くつくり上げて目指してまいりたいというふうに考えております。
  64. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 大臣、ありがとうございます。  日本がそのインドとの関係の要となって、この三か国との協力を深めていくということかと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。  質問の順番を少し入れ替えさせていただきます。  先に福岡のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。  私、前国会におきまして国土交通委員会に所属をしておりまして、その委員会の中である質問をさせていただきました。日本の主要な空港、例えば羽田、成田、中部あるいは沖縄等のこうした空港にはあって福岡の空港にはないもの、これは何でしょうかという質問をさせていただきました。その答えというのは、実は保育所が福岡空港にはございませんでして、これだけ保育所がいろんなところで必要となる中で、また、空港というのは女性の方が大変多く働いている場所でもございますので、福岡空港にも保育所がこれから必要になるのではないかという指摘をさせていただきました。  今日はその逆でして、主要な空港にはないのに福岡空港にだけあるものがございます。そのことを少しお話をさせていただきたいと思いますが、福岡空港は別名板付空港というふうに呼ばれております。福岡空港は元々、旧日本軍によって建設された席田飛行場として生まれまして、戦後に米軍に接収され、板付基地と名称が変更されました。その後、民間機発着需要の必要性から共同使用しつつ、また、米軍の度重なる事故も要因となりまして、地元市民による基地返還の声が高まる中、一九七二年に米軍から大部分が返還されてきたというような歴史がございます。  福岡空港、御存じかもしれませんが、近年、大変過密な状態でございまして、羽田、成田に次いで三番目に離発着の回数の多い空港となっております。滑走路は一本しかございませんので、そういう結果になるのもやむを得ないかもしれませんが、処理能力が限界となってきております。  そうした中、先ほど申し上げました、ほかの空港にはなくて福岡空港だけにあるもの、それは実は福岡空港の中に米軍の基地施設がまだ残っております。空港全体の中の一四%が米軍の施設になっております。  その米軍の倉庫と呼ばれている施設ですけれども、国際線のターミナルの横に残っております。地元としましては、福岡市を挙げてこの部分の返還を求める要望を大変長きにわたり外務省と防衛省に対して行っており、米軍への働きかけに努めていただくようにお願いをしておりますけれども、米軍側との返還協議の状況、最近の状況を外務省、防衛省それぞれにお答え願いたいと思います。
  65. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 施設・区域の返還につきましては、日米地位協定第二条に基づき、絶えず検討することとされております。これまでも政府は地方公共団体からの返還や使用の在り方に関する要望を勘案しつつ、随時日米合同委員会等の枠組みを通じ米側と協議をしてまいりました。  お尋ねの板付飛行場につきましては、米軍が今、九州地域における輸送拠点としてほかの米軍基地との間の物資や人員の輸送などのためにこの飛行場を使用していることから、直ちに返還することは困難との立場をアメリカ側は取っているというのが現状でございます。
  66. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 板付の飛行場について地元から返還要望があることは承知をいたしております。  防衛省としては、機会があるごとに返還の可能性について米側に確認をしてきているところですが、米側からは、今外務大臣から御答弁いただいたように、そういう理由で、すぐに返還することは難しいという説明を受けております。  今後とも、地元の御要望を踏まえて防衛省としても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  67. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。最近の状況を御教示いただきました。  そうした中でございますけれども、福岡空港における米軍の着陸回数がどれくらいあったのか、また、私、先ほど申し上げましたが、私の理解では、民間の空港の中に米軍施設があるというのは福岡空港だけだというふうに理解しておりますけれども、日本の国の中にほかにそういう空港があるのかどうか、この点、国交省にお答え願いたいと思います。
  68. 久保田雅晴

    政府参考人久保田雅晴君) お答え申し上げます。  いわゆる空港の範囲は航空法第四十条の規定に基づきまして告示をされておるところでございます。  厳密に申し上げますとその告示の示された範囲内には米軍の施設はございませんが、空港の敷地に隣接する形で米軍の施設が存在する空港につきましては、国土交通大臣が設置管理する空港の中では福岡空港のみでございます。  また、米軍の着陸回数のお問合せでございます。  我が国の空港におけます米軍の着陸回数、平成二十九年一年間の実績では、福岡空港が九十四回、長崎空港が四十八回、奄美空港などが三十七回という実績になっておるところでございます。
  69. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  福岡空港が九十四回ということで、飛び抜けて使用の頻度が多いということ、この数字でお分かりいただけたと思います。  米軍施設が隣接している空港というのは福岡空港だけだということでございましたけれども、住民の皆様、長いことこの返還願っておりますし、また福岡空港、先ほども申し上げたように大変な混雑空港という事情がございます。少しでも空港の敷地が広くなることが混雑緩和にもつながっていく、そういう面もございます。  防衛大臣、今の数字を聞かれまして、福岡空港のこの特殊な状況をお分かりいただけたと思います。というか、米軍側としては九州地区の輸送拠点だからということだとは思いますけれども、ただ、地元住民の方々がこのことについて早く返還いただきたいと思っている、そして混雑空港、日本第三位の混雑空港でございますので、こういう点も含めて、引き続きの交渉、今までどおりの交渉というよりは、そうした強い御要望があるということをきちんとお伝えいただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  70. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) ただいま国交省からも答弁がありましたとおり、また委員指摘のとおり、板付における米軍機の使用回数が他の民間空港と比較して多くなっているということについては私ども重く受け止めたいと思っております。  しかし、日本の守りの最前線はだんだん南方の方に移動してきているというか、極めて南の守りというのが大事になっているという、そういう背景もあるということだろうと思いますが、その地元の皆様の御要望についてはしっかりと受け止めて、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  71. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  福岡空港、御存じのとおり都市部の中にある空港でございまして、周りに住宅地もございますし、そういう観点からも、少しずつでもいいので返還を進めていただきたいというのが地元の御要望でございます。どうかその声は受け止めていただいて、引き続きの御交渉に臨んでいただきたいというふうに思っております。  時間が参りました。質問を用意しておりましたけれども、答弁者の皆様、申し訳ございません。  ありがとうございました。
  72. 白眞勲

    ○白眞勲君 おはようございます。立憲民主党の白眞勲でございます。  先週もお聞きした件の遺骨のDNA鑑定についてまずお聞きしたいというふうに思います。  先日の当外交防衛委員会において、沖縄での鑑定可能、実施の検体数は百八十一検体、鑑定実施件数は三百七十五件、判明件数五件とのことでしたけれども、これは参考人で結構ですが、もう一度お聞きしますが、これ具体的にどういう意味か、ちょっと教えていただきたいんですね。遺族から御提示いただいた検体数は何検体で、それに対する御遺骨の数が何検体で、それで判明件数五件、この辺の関係について具体的にちょっとお話しいただきたいと思います。
  73. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) お答え申し上げます。  五件についてまずお答えをいたしますと、五件は、平成二十二年度に一件、二十五年度に三件、二十九年度に一件ということが判明をしてございます。これにつきましては、御遺骨とともに氏名などが記載をされました遺留品が発見をされまして、これを基に関係遺族と推定される方とのDNAの鑑定を行って身元が特定に結び付いたものでございます。
  74. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いたのはそれだけではなくて、五件だけではなくてですね、鑑定実施件数とか判明件数、そして検体数がありますけれども、御遺族から御提示いただいた検体数とか何かは何件なのかというのを聞いているんですね。それと、それに対する御遺骨の数は何検体なのか、これについて教えていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)
  75. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  76. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
  77. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 沖縄での鑑定についてお答えを申し上げます。  従前は、南方等の戦闘地域はなかなか、記名のある遺留品等があるものにつきまして関係遺族を推定できる場合に行ってきたということでございますが、二十八年度から、沖縄につきまして、遺留品がなくても部隊記録等からある程度戦没者が特定できる場合には鑑定を呼びかけるということで、千七百三十六の御遺族に呼びかけをいたしました。それに応じて、実際に検体を提供いただいた件数が三百二十四件ございます。これ二十八年度でございます。  で、二十九年度、これをまた対象地域を拡大するなどいたしました。沖縄で十地域につきまして鑑定をするということで公募をいたしまして、DNA鑑定の申請を公募をいたしました。で、これまでに三百六十八件の申請がございまして、検体が提出された二百七十一件を今鑑定をしているというところでございます。
  78. 白眞勲

    ○白眞勲君 せんだっておっしゃっていた鑑定可能実施の検体数百八十一検体と、鑑定実施件数三百七十五件というのはどういう意味なんですか。
  79. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) ただいま申し上げたのは、二十八年度から各地域を四地域ないし十地域に拡大をして鑑定の対象を広げていったものの数字を前に申し上げました。それ以外に、その以前、平成十五年からDNA鑑定をやっておりますので、この中で鑑定をしてきたものが含まれた数字が先ほどのものというふうにお考えいただければと思います。
  80. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと、これ以上これ答弁で聞くのなかなか難しいので、ちょっと一回、表にして委員会に提出いただきたいというふうに思いますので、委員長、お計らいをお願いします。
  81. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 後刻理事会にて協議いたします。
  82. 白眞勲

    ○白眞勲君 それで、今年の七月に厚労省が明らかにしたところですと、三百二十六人遺族、それに犠牲者八十四人との照合を年内に終わらせるということですけれども、その後の進捗状況についてはいかがでしょうか。
  83. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 今御指摘いただいたのは、二十九年度にスタートしたもの、鑑定の話だと理解をいたしました。それにつきましては、現在、鑑定をまさに、現在進行形で鑑定をしているところなので、鑑定結果が分かり次第また御報告をするということを考えてございます。
  84. 白眞勲

    ○白眞勲君 年内に終わらせられるんですね。
  85. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 年内に終わらせるように今鋭意努力をしておるところでございます。
  86. 白眞勲

    ○白眞勲君 現在、歯だけではなくて四肢骨でもDNA鑑定を実施しているということでよろしいですね。歯がなくても、いわゆる四肢骨だけで、歯がなくても四肢骨だけでDNA鑑定を実施しているということでよろしゅうございますね。
  87. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) お答え申し上げます。  歯がなくても四肢骨で鑑定をするということを実施をしてございます。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、四肢骨だけで鑑定を実施した例は何件になりますか。
  89. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) お答え申し上げます。  これは、沖縄に限らずということになりますが……(発言する者あり)いや、沖縄に限らずで申し上げます。  二十九年から四肢骨も併せて鑑定の対象とすることにしてございます。平成二十九年度からでございますので、四肢骨のみを検体としてDNA鑑定を実施した例もございます、八件ほどございます。ただ、身元特定に至った例は今のところはないということでございます。
  90. 白眞勲

    ○白眞勲君 八件って少な過ぎませんか。四肢骨、八件しかなかったわけじゃないでしょう。何でそんなに少ないんですか。
  91. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 御説明申し上げます。  二十九年度以降も歯と四肢骨ということで、まず、歯と四肢骨が両方採取できる場合には両方とも検体といたしてございます。歯が採取できないという場合には、四肢骨だけを持って帰ってきております。  今申し上げた八件というのは四肢骨だけのケースでございますので、歯と四肢骨が両方ある場合にはこれで歯なり、歯で駄目なら四肢骨なりということで鑑定をするということになっておりますので、今申し上げた八件は四肢骨だけのケースで申し上げたことでございます。
  92. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の質問に答えていただきたいんですけど、たった八件なんですかということなんです。当然、御遺骨の発掘というのは相当数やっていますよね。その中で、何で八件しかDNA鑑定を実施していないのかを聞いているんです。
  93. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 平成二十九年度以降、検体として鑑定機関に持ち込んだ数がまず二百七件ございます。このうち、歯のみないし歯と四肢骨のケースが百九十九件。ですから、百九十九件のうちに四肢骨が入っているものが一定数入ってございます。四肢骨のみが二百七のうち八件でございますので、その八件について鑑定をしたということでございます。
  94. 白眞勲

    ○白眞勲君 朝鮮半島出身者、台湾の出身者、これ沖縄の件で聞きたいんですけれども、あるいは米軍関係者も含まれる可能性はやはりこの遺骨の発掘作業の中にあるかと思うんですけれども、その辺りの実態についてはどうなっていますか。
  95. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) まず、さきの大戦で亡くなられた旧朝鮮半島出身者の戦没者の方というのは二万二千二百五人ということでございます。また、台湾について申し上げると、戦没者が三万三百六人というふうに聞いてございます。米国人の戦没者につきましては、これDPAAのホームページを見た限りでございますが、これは四十万人ということでございます。  遺骨の収集のときに、仮に他国の方の遺骨と思われるようなものが中に含まれているのではないかということがあれば、それは、その関係国、収集過程で遺留品、失礼しました、他国の戦没者と思われる御遺骨を発見した場合には、現地の政府機関に通報して適切に対応するということになると考えてございます。
  96. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと前の質問に戻るんですけれども、今の八件の件についてもう一回ちょっとお話聞きたいんですけれども、これ沖縄については四肢骨だけの発見検体数は幾つになりますか。
  97. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 沖縄で四肢骨だけというのは、今私どもは聞いてございません。
  98. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、聞いていないというか、数、数です。聞いていないなんという答えしないでください。
  99. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) そういう意味ではゼロでございます。今、私ども承知しているのはゼロでございます。
  100. 白眞勲

    ○白眞勲君 それで、今私が、朝鮮半島、台湾出身者あるいは外国ですね、米軍、米軍も四十万人というすごい数の方々が米軍でもお亡くなりになっているわけですけれども、その辺りの実態で、どのぐらいの数の御遺骨が今認識されているのか、あるのか、その辺はどうなんですか。今、仮にあった場合は連絡してというのは分かりましたけれども、実態としての状況はどうなんでしょうか。これは質問通告していると思いますが、よろしくお願いします。
  101. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 御質問の件につきましては、私どもちょっと分からないということです。
  102. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か埋葬場所の中には朝鮮半島出身者の方が多数埋葬されているという情報があるとかいう話もあるんですけれども、その辺についても分からないということでよろしいんですか。その辺の確認状況はどうなっていますか。
  103. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) その点につきましても分からないということでございます。
  104. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務省にお聞きします。  今までも、こういう遺骨のDNA鑑定あるいは様々な形で外国の方だというふうに判明した場合に、当然これは相手政府との交渉ということになるかと思うんですけれども、その辺りについての御見解をお聞かせください。
  105. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 戦没者の遺骨収集事業の中で、遺留品などから外国出身の戦没者と思われる御遺骨を発見した場合には、当該出身国の意向も踏まえながら適切に対応することになります。  例えば、朝鮮半島出身の軍人軍属の遺骨については、終戦直後から昭和二十三年までの間に韓国政府に七千六百四十三柱を返還をし、その後、昭和四十四年に、日韓両国間で遺族及び縁故者が確認された遺骨についてはその都度返還するとの方針で合意したことを受けて引き続き返還が進められ、これまで九千二百五十九柱を返還をしてきたところでございます。  今後も、政府として適切に対応してまいりたいと思います。
  106. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、外務省としても、そういう情報があったらすぐにやはり外国の方々に御連絡をしていただきたいというふうに思うんですね。  そういう中で、検体の、今DNA鑑定の照合作業というのを、これ始めようじゃないかということになった。その場合に、御遺族の検体の提出の呼びかけ方法はどういった方法をしていらっしゃるんでしょうか。
  107. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) お答え申し上げます。  二十九年度に、DNA鑑定の呼びかけというか公募をするということで始めてございます。公募につきまして、二十九年の七月から九月にかけまして、まず、私ども厚生労働省としましても、都道府県宛ての広報の依頼、また記者会に報道発表をする、それからホームページに掲載をする、また八月には遺族会を通じて呼びかけをしていただく、また九月には沖縄県を通じて沖縄の県の広報紙、また地元紙二紙におきまして広報によるお知らせを行っていただくと、こういったことを重ねてきてございます。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 今年はどうなっていますか。
  109. 八神敦雄

    政府参考人(八神敦雄君) 本年につきましては、今申し上げたような広報の類いは今年はやってございません。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 せんだっての大口副大臣の御答弁の中にも、戦没者をある程度特定できればその遺族にDNA鑑定を呼びかけることとしていますと言っていますが、今年やっていないんですよ。今年やっていないっておかしくないですか。何もやらないでどうやってDNA鑑定を、これ照合作業を進めるのということがさっぱり分からないんですけれども、こういうのを積極的にやる必要があるんじゃないでしょうか。私は、やる気あるのかなという感じが物すごくするんですよね、それは。  大口副大臣、どうですか、この辺。これしっかりやるように、是非副大臣からも御認識をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  111. 大口善徳

    ○副大臣(大口善徳君) 今、白委員からの御指摘もありましたので、そういうことも参考にしながら検討していきたいと思います。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、これ積極的にお願いしたいんですね。  何かインターネットのホームページか何かに載っけたりしてと言うけど、そもそも御遺族の方々の年齢を考えるともっと別な方法をやっぱり考えて、しっかりとやはり政府としてこういう取組をしているんですよということをアピールしていただきたいなというふうに思います。  続きまして、新たな防衛大綱の関係について、防衛省を中心にお聞きしたいというふうに思いますが、防衛大綱をまとめるに当たって、アメリカ軍の最新鋭ステルス戦闘機F35Bを導入するという報道が出ていますけれども、その方針で間違いありませんか。
  113. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 様々な検討を年末の大綱、中期防策定について行っておりますし、航空機の体制をこれからどうするかというのも重要なテーマでございますが、今御指摘の35Bの導入がこの段階で決まったということではありません。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、決まっていなくても検討の材料としては入っているのかについてお聞きしたいと思います。
  115. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 様々な検討を行っていると、様々な航空機の導入の可能性について検討を行っているということで御理解をいただきたいと思います。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは当たり前ですよ。当たり前のことを言わないでください。  大臣、いいですか。F35Bは必要と感じているかどうか、日本においての重要性は認識しているのか、それを、じゃ、お聞きしたいと思います。
  117. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) F35Bについては、現在我が国が導入しております35Aと先生御承知のように同一ベースの機体でありますが、性能が違うと、いわゆるSTOVL機、短距離で離陸し垂直に着陸できるという性能を持っているわけでございます。  我が国国土が狭いということもありまして、これについて関心を持って情報収集を行っておりまして、その機能、性能について研究をしておりますが、これを導入するか否かについてはこの段階で決まっているというわけではありません。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 でも、防衛大綱、もう間もなくですよね。その関心を持って以上のじゃないと、これは書き込みようがないんじゃないかなというふうに思います、まあ今のところの答弁としてはそういうことしか言えないのかもしれませんが。  じゃ、ちょっとここでお聞きしますけれども、海上自衛隊の「いずも」という、「いずも」型護衛艦と言った方がいいのかな、がありますけれども、これは今の段階でF35Bが着陸、離発着できる状況なんでしょうか。
  119. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 一度「いずも」型の護衛艦についてどういうような活用が可能かという調査を行ったことがございますが、御案内のとおり、現段階ではヘリを搭載するための護衛艦として造られておりますので、直ちにそういう航空機が離発着できるようなことにはなっておらないというふうに考えております。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 改装すればできるということですね。
  121. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 可能性はもちろんあると思います。
  122. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、「いずも」がいわゆる空母になる可能性はあるということでよろしゅうございますね。
  123. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) そういうことを今目的として検討を進めているわけではありませんが、大綱、中期防の策定について様々な検討を行っているということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、大臣、今ちょっと重要な発言されましたよ。そういうことを目的としているわけではないというふうに言いましたけれども、私は別に攻撃型空母と言っているわけじゃありません。空母として「いずも」を考えているのかどうかということで聞いたわけですけど、もう一度御答弁いただけますか。
  125. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) どういう活用が可能かということについては検討しておりますけれども、先生がおっしゃるような空母化を目的として検討を進めているということではございません。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 空母化を目的としてはいない、目的とはしていないということですけれども、これ、空母、要は空母の定義になってくるんだろうと思うんですけれども、じゃ、ちょっと一回聞きましょう。空母って一体何ですか。これ、参考人で結構ですよ。答えられるでしょう。(発言する者あり)
  127. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  128. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
  129. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 今、空母という定義が国際的に確立をしているわけではないと承知をしております。しかし、以前は他国に壊滅的な打撃を与える能力を持ったものをして攻撃型空母というふうに言っていたときもあったと承知をしておりますが、現在空母についての国際的なこの定義というのが定まっているというふうには承知をしておりません。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、大臣、今先ほど、空母化を目指している、目的ではないというのと、その空母の定義がはっきりしていないのに、それ以上答えられなくなるんじゃないんでしょうか。私はそういうふうに思いますよ。  ですから、そういった面でいうと、F35Bをこの「いずも」に載せる化というのかな、そういうことは考えているかどうかというのだったら分かるけれども、その空母化を目的としているわけではないの答弁が揺らいでくるんじゃないんでしょうか。
  131. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 一般に空母化と言った場合に、どうしてもかつての攻撃型空母というものを想起することがどうしても多くなるものですから、そういう問いであれば、そういうことを考えているわけではないという答弁をさせていただいたところでございます。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、その今の防衛大臣のお言葉というのは、私は最初から言ったんです、攻撃型空母ではなくてということを私は聞いたはずです。それでいて大臣が空母化ということではないとおっしゃったわけですから、逆に言うと、今の大臣のお言葉というのは、御答弁というのは、攻撃型空母ではないものは、攻撃型空母を目的とすることはないということだけははっきりしているということで、御答弁でよろしいですね。
  133. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) それはそのとおりでございます。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここで、厚労省さん、副大臣とそれから参考人は出ていっていただいて結構でございます。
  135. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 大口厚生労働大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 あと、イージス・アショアについてお聞きしたいと思います。  山口と秋田に配備する計画だと聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。
  137. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 候補地はそうでございまして、はい、今地元と交渉させていただいているところでございます。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 なぜ山口と秋田なんでしょうか。
  139. 深澤雅貴

    政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  山口と秋田を配備候補地の、いたしましたのは、その検討に当たりまして、可及的速やかに配備するとの観点から、次の点を全て満たす必要があるとの考えの下、全国の自衛隊の施設をくまなく対象として検討をしてまいりました。  まず、我が国全域を防護する観点から、北と西に二基をバランスよく日本海側に配置する必要があること、そして、弾道ミサイルの探知に支障がないよう、なるべく山等の遮蔽となるものがない場所に配置する必要があること、また、レーダーと発射台を適切に配置できるよう、約一平方キロメートル程度の広くてなるべく平たんな敷地を確保できる場所に配置する必要があること、さらには、イージス・アショアを運用するために、電力、水道等のインフラ面において安定的な供給が見込める場所に配置する必要があることであります。  こうした点を踏まえまして検討した結果、秋田県の陸上自衛隊新屋演習場と山口県の陸上自衛隊むつみ演習場の二か所を配備候補地として選定したものでございます。
  140. 白眞勲

    ○白眞勲君 これも参考人で結構ですけれども、当然、北朝鮮の発射地点にもよるとは思いますが、ハワイやグアムに弾道ミサイルが発射された場合に、日本のどこの上を通過するんでしょうか。(発言する者あり)
  141. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  142. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
  143. 深澤雅貴

    政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  ハワイやグアムに向かう弾道ミサイルといった場合に、その迎撃可能性は、当該弾道ミサイルの性能、発射地点、着弾地点等の様々な要因によって変化をするものでありますので、なかなか正確に申し上げることは困難なんですけれども、おおよそグアムについて言えば中国地方の上空、ハワイについて申し上げますと北海道、東北地方の上空ということになろうかと思います。
  144. 白眞勲

    ○白眞勲君 中国地方の中に山口県は含まれますか。北海道、東北地方の中に秋田県は含まれるんでしょうか。
  145. 深澤雅貴

    政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  中国地方の中に山口県は含まれますし、東北地方の中に秋田県は含まれます。
  146. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、このミサイルは、ハワイやグアムに向かって発射された場合の対処にも使えるということでよろしゅうございますか。
  147. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) それは、これまでの国会答弁にもありましたように、仮に存立危機事態というようなものが認定をされれば迎撃をすることができるということだと思います。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 まさに私のシナリオどおりにお話をいただいて、防衛大臣、有り難いんですけど、その存立危機事態についてこれから聞こうかと思ったんですよ。  では、お聞きするんですけど、この存立危機事態として認定されてない場合、存立危機事態として認定されてない場合は、ハワイやグアムに向けてミサイルが発射されたとしても撃ち落とすことはできないということでよろしゅうございますか。参考人で結構です。(発言する者あり)
  149. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  150. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
  151. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 存立危機事態の認定がなければ迎撃はできないというふうに考えております。
  152. 白眞勲

    ○白眞勲君 当たり前のことで、何で後ろで防衛省さんが資料を見てなきゃいけないのかちょっと私には分からないわけなんですけれども。  確認ですけれど、存立危機事態を認定するためには閣議決定が必要ということでございますね。
  153. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) そのとおりです。
  154. 白眞勲

    ○白眞勲君 我が国は、今まで存立危機事態を認定したことはないわけですけれども、弾道ミサイル対処のために前もって破壊措置命令を今までも発令はしているはずです。そういう中で、ハワイ、グアムに落ちるであろうミサイルに対してこのような破壊措置命令は出せるんでしょうか。
  155. 齋藤雅一

    政府参考人(齋藤雅一君) お答え申し上げます。  弾道ミサイルの破壊措置に関しましては、自衛隊法第八十二条の三に規定がございまして、これは基本的に、我が国に飛来するおそれがあると認められる場合、あるいはその第三項でございますが、飛来するおそれがあるとまでは認められぬ場合でございますけれども必要な場合に発令ができるという仕組みになっております。
  156. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、ハワイやグアムに落ちるであろうミサイルに対して破壊措置命令は出せるんでしょうか、我が国はということを聞いているんです。
  157. 齋藤雅一

    政府参考人(齋藤雅一君) できないと考えております。
  158. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、もう一つお聞きしますが、存立危機事態を前もって閣議決定をしていくことはできますか。
  159. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 前もってするということはできないんだと思います、はい。
  160. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、今の技術だと、例えば北朝鮮内でミサイル発射の動きがあることはある程度予測ができるとも言われている。その場合は、日本国内の場合は、今までのように前もって破壊措置命令を存立危機事態でなくてもこれは出しておいて、万が一の場合は撃ち落とすことは可能ですが、仮に北朝鮮からのグアムやハワイに向かっているミサイルをある程度予測、もう発射されるのではないかと予測されたとしても、破壊措置命令は出せないということですよね。当然存立危機事態も出せないということになりますと、発射されても撃ち落とすことはできないということでよろしゅうございますか、確認です。
  161. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 存立危機事態というのは、我が国と密接な関係にある国に対して攻撃が行われたということが前提になりますので、そういう事態に至ってなければ事態の認定もできませんし、事態の認定がなければ迎撃もできないということだと思います。つまり、はい、そういうことだと思いますが。
  162. 白眞勲

    ○白眞勲君 私もそこは懸念されている部分だと思っているんですね。つまり、どういうことかといいますと、これは例えば、これ前に私、大分前になんですけれども、要するに、発射された場合に、当然着弾点がどこだというのは分かるわけですよ。そのときに、そこが軍事基地だけじゃないかもしれない、もしかしたら、私がそのときに例で挙げたのは幼稚園だった、幼稚園に落ちる場合に、どこかの国、まあこれはアメリカとか、例えば幼稚園に落ちるということが分かった場合においても、日本の上空を通過する、そしてそのミサイルを撃ち落とすことが物理的に可能であるにもかかわらず撃たないでいることがいいのかというその部分なんです。その部分について政府としてどのような見解を持っていらっしゃるのか、お聞きしたいんです。
  163. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 個々具体の事例に即して判断するということになるんだと思いますが、委員指摘のグアム、ハワイといったような米国領である場合は、当然ミサイル防衛の体制はしっかり取られていると思いますので、我が国の迎撃によらずしても私は十分対応が可能なのではないかというふうに考えております。
  164. 白眞勲

    ○白眞勲君 やはりそうしますと、日本同盟国アメリカの、何というんですかね、当然集団的自衛権という観点からしますけれども、この辺りは私はもう一度しっかりとやはり政府内でも議論をして、いわゆる、今、私はもう集団的自衛権は反対の立場ですが、でも、人道的な観点からやはりこういったものについても少し議論を進めていくべきではないかなということは感じているところなんですが、大臣の御見解をお聞きしたいと思いますし、河野外務大臣、いいですか、もし河野外務大臣も、質問通告はしていませんが、何か見解があるんだったらお話しいただきたいというふうに思います。
  165. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) いずれにしても、ミサイルの脅威に二十四時間三百六十五日しっかりと対応できる体制をつくるというのが防衛当局の責務だというふうに思っておりますので、これまでのイージス艦あるいはPAC3に加えて、地上配備のイージス・アショアというものも是非お地元の御理解もいただく中で配備をさせていただいて、万全の体制を取らせていただきたいというふうに考えております。
  166. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 我が国の防衛は憲法九条の範囲内でしっかり行ってまいりたいと思います。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 イージス・アショアの予算、これについてお聞きしたいんですけど、一基大体八百億円と去年説明していたものの、二基になったら四千五百億円になっちゃった。何でこんなに増えたんだろうかということの理由についてお知らせいただきたいと思います。
  168. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 当初、昨年十一月、建造中の海自イージス艦に搭載するイージスシステムの費用を参考にして八百億円と御説明をしたのでありますけれども、本年七月のレーダー選定時における見積りとして、一基当たり千三百四十億円であると公表し、三十一年度概算要求時点においては一基当たり千二百三十七億円であるというふうに公表しております。  当初の見積りは、まあイージス艦が大体、今、日本が導入しているものは千七百億円ぐらいいたしまして、そこからその船体の予算を引いたときに八百億円になるというざっとした概算だったわけでありますけれども、今般イージス・アショアに搭載するレーダーはLMSSRという最新鋭で高性能のものとなっておりまして、そこで精査をし直して先ほど申し上げたような予算額を発表したところでございます。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 この予算の中にミサイル代は入っていないんじゃないんですか。
  170. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) ミサイルの取得経費につきましては、イージス艦でも活用可能なものでございますので、そのイージス・アショアの導入に専属的なものではないためにイージス・アショアのライフサイクルコストには含まれないものと考えております。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 だけど、イージス艦にもイージス艦なりのミサイルを入れているわけですから、当然、今回アショアを入れればその分弾代は増えるんじゃないんでしょうか、弾の数増えるんだから。つまり、弾買わなきゃ意味ないでしょう、幾ら発射台付けたって。ということになると、その金額が上乗せされるということにはなりませんか。
  172. 西田安範

    政府参考人(西田安範君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、イージス艦あるいはイージス・アショア、これは当然弾を撃つわけでございますけれども、これをどういうふうに取っていくかということ、これは実際に取得をしてまいるわけでございます。ただ、イージス艦におきましてもイージス・アショアにおきましても、このミサイルの取得費につきましては、これはそれぞれライフサイクルコストに含まれるものではないというふうに私ども考えております。  なお、先ほど大臣が申し上げましたそれぞれの数字というのは、これはイージス・アショアの取得費用に限った数字でございます。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、取得費用は取得費用でいいんですけれども、弾がなければ取得したって意味ないじゃないですかということなんです、私が言っているのは。だから、増えるんじゃないんですかと、四千五百億円ですけれども、実際にはもっとお金が掛かるんじゃないんですかということを私は申し上げているわけなんですね。これ以上御答弁されても行ったり来たりの話になっていますが、そういう中で、まあこのくらいに、次またやりましょう、この件については。  ちょっと北朝鮮の件について最後に河野外務大臣にお聞きしますけれども、いわゆる瀬取りというのが横行しています、今。日本政府として国際的にこの問題についてコミットメントはしていますけれども、実際、北朝鮮はありとあらゆる手段で経済制裁を逃れようと何かしているような感じがするんですけど、実際どうなっているんでしょうか、お答えください。
  174. 大鷹正人

    政府参考人(大鷹正人君) お答え申し上げます。  北朝鮮に対する制裁全体の現状ということで申し上げますと、累次の関連安保理決議に従った制裁措置のみならず、日米韓EUなどによる独自措置が講じられて、その効果を一概に申し上げることは困難なんですけれども、北朝鮮の経済に対して一定の効果は現れているというふうに考えております。例えば、二〇一八年一月から八月期を捉えますと、中朝貿易総額は前年同期比で約五八%減少しておりますし、特に、同じ時期の中国による北朝鮮からの輸入額は前年同期比の九〇%減と顕著に減少しているという情報がございます。  いずれにしましても、引き続き北朝鮮における制裁の効果を注意深く見極めていくことは重要でございますけれども、御指摘いただいた瀬取りにつきましても、重要な問題として、この安保理決議の完全履行という観点から、船舶の情報収集ですとかそれから瀬取りの実施が強く疑われる十回の行為を公表するとか、あるいは国連安保理の北朝鮮制裁委員会への通報、あるいは関係国への関心表明、そういったことを行ってきております。  また、米国及び関係国は、在日米軍嘉手納飛行場を拠点としまして、航空機による警戒監視活動とともに、洋上での監視活動、警戒監視活動のために艦艇を派遣しているという状況でございます。  いろいろ取り組まさせていただいているところでございます。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後に、時間がもうそろそろなんですけど、河野外務大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、私、今、一月から八月までというふうにおっしゃったんですけれども、やはりその間、様々な国際的な、これは米朝首脳会談、そして南北首脳会談もあったりしております。大分状況は変わっているような感じがするんですね。  ですから、そういう中で、また最近アメリカのヘイリー国連大使が国連で、ロシアが対北朝鮮銀行規制解除を模索しているというようなことをしゃべったという記事が出ていましたけれども、ちょうど先日、河野外務大臣、ラブロフ外相とお会いしておるわけで、北朝鮮問題についても意見交換をされたんじゃないかなと推察いたしますけれども。  日本としては、こういったいろいろな様々な国際的な動きを含めても、国連制裁というのは極めて重要なものであると私は認識していますが、そういった観点からの制裁遵守というものをラブロフ外相にも働きかけたのかどうか、あるいはそういった意見交換をされたのかどうか、あるいは河野外務大臣としての最近の様々な北朝鮮に対する、めぐる動きに対してどういう御見解を持っているかをお聞かせください。
  176. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 国際社会は、一致団結してこの安保理決議を履行するということでまとまっております。これは、中国、ロシアを含め、安保理決議はしっかり履行していこうということで特段の変わりはございません。  他方、瀬取りを始め様々な手法で制裁を回避しようという動きが北朝鮮に見られるのは厳然たる事実でございますので、日本としてはアメリカを始め志を同じくする国々に今呼びかけて、この瀬取り対策を更に一層しっかりやっていこうというふうに考えているところでございますので、北朝鮮が具体的にCVIDに向けて歩みを始めるまでここはしっかりやっていきたいと思っております。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  178. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  179. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山下雄平君が委員辞任され、その補欠としてこやり隆史君が選任されました。     ─────────────
  180. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  181. 大野元裕

    ○大野元裕君 国民民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  今日は、お時間をいただきまして、両大臣と北方領土に関わる問題について議論をさせていただきたいと思っております。  まず、河野大臣にお伺いいたします。  報道によれば、シンガポールで開催された安倍総理とプーチン大統領とのテタテートの会談の結果、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることが合意されたということです。この日ソ共同宣言とは、平和条約締結後に歯舞、色丹が引き渡される、こういうものだと理解をしております。  その一方で、一九九三年以降、これまでの北方領土の帰属、返還及び主権に関する主たる合意は、全て四島の帰属を問題として認識し、それを解決することに言及、若しくはそれを言及した合意を引用していました。  今回、これまでの慣例が無視されて、こちらの資料を見ていただくとその後の主な合意書いてありますけれども、これまでの慣例が無視されて、九三年東京宣言、二〇〇一年イルクーツク声明、二〇〇三年日ロ行動計画等が平和条約の締結に向けた交渉の基礎とされていないのはなぜか、教えてください。
  182. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 一九五六年の日ソ共同宣言は、両国の立法府が承認両国が批准した唯一の文書であり、現在も効力を有しております。このことも踏まえて、今回の首脳会談で、この宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意をいたしました。
  183. 大野元裕

    ○大野元裕君 私は、五六年の協定が基礎として書いてあることの理由は聞いておりません。ほかの合意等が引かれていないのはなぜですか、伺っております。
  184. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この共同宣言が両国の立法府が承認両国が批准した唯一の文書であるので、これを基礎とするということでございます。
  185. 大野元裕

    ○大野元裕君 書いていないということの理由は申し上げていただけないようですけれども、大臣、五六年から九三年まで北方領土をめぐる日本外交というものを振り返ってみると、いかに四島をそこに書かせるか、そして一括解決につなげるか、これが日本外交の目標だったと私は理解しています。だからこそ伺っているんです。  平成二十八年の外務省作成の資料、これ資料の二枚目に付けさせていただいておりますけれども、その資料によれば、これ外務省のものです、我が国は歯舞、色丹のみの引渡しで決着できるとするのであれば、五六年当時平和条約が締結されていたと言っています。その後、これで締結しないでその後幾つもの宣言に四島書かせてきたのは、やはり私は、理由があったんだろう、そしてそこには外交当局の努力、苦労があったんだろうと思っています。だからこそ、それ以降の共同宣言や合意には四島を明記をし、あるいは四島を明記した一連の合意等を参照、引いてきたというのが事実だと思っています。  安倍政権が仮に二島の引渡しのみで決着するとすれば、それは五六年時点からの外交努力を無にしてしまうのではないかと思います。だからこそ改めて聞いています。これら一連の合意をここに引用しなかった理由を改めてお述べください。
  186. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 両国が、両国の立法府が承認両国が批准した唯一の文書が五六年の日ソ共同宣言でございますので、これを基礎として交渉を加速しようということで首脳同士が合意したわけでございます。
  187. 大野元裕

    ○大野元裕君 そっけない答弁ありがとうございます。  そうだとすると、じゃ大臣の、私、意気込みを聞きたいと思います、言っていただけないのであれば。  仮に、四島の帰属の問題に何ら担保も得られないままに二島が引き渡されたとしても、それは二島先行ではなく二島ぽっきりの解決になります。つまり、五六年当時、あるいはソ連の当時の主張に交渉を引き戻しただけになってしまいます。二島を仮に先に、仮にですよ、合意したとします。そのときには平和条約が締結される。その残りの二島については、この後交渉するレバレッジすらなくなってしまいます。そうすると、仮に二島だけで解決にするという場合には、私は、戦後初めて安倍内閣は我が国の領土を他国に売り渡した、譲り渡した、そういう政権になってしまうと思います。しかも、国を売るというのは通常何かもらうわけですが、共同経済活動というお金まで付けて渡すという大変な逆レガシーになってしまいます。  そこで、大臣、伺いたいんですけれども、二島ぽっきりの解決になるような懸念がある場合には、大臣、職を賭してでも総理を止める覚悟はありますか、教えてください。
  188. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) これから日ロの交渉を加速化させていこうということで交渉が始まりますので、その前に日本政府考え方、方針というものを交渉の場以外で申し上げるのは避けたいと思っております。それは、こちらが何かを言えば向こう側の、向こう側も当然発言をすることになるわけでございまして、場外乱闘というのは我が国の交渉に決して得にはならないというふうに考えているからでございますので、我が国考え方、方針は交渉の場の中できちんと先方に伝えてまいりたいと思っております。
  189. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、そこは違うと思います。先ほど申し上げたとおり、これは当時、二島のみの引渡しで決着できたのであれば、五六年当時、それで合意ができて平和条約が締結されていたはずだ、だからそれ以上の領土問題があるんだというのは、これは外務省が言っていた主張なんです。  今の大臣のお話では、この外務省主張すら言えていない、そこにすら達していない。なぜ今まで言ったことが、それは同じことが言えないのか。これは別に交渉の前に何とかではなくて、何年にもわたって、長年にわたって日本政府が常に言い続けてきたことです。それを変えたということですね、そうすると。教えてください。
  190. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 度々繰り返して申し訳ございませんが、交渉を始める前に日本側の方針、考え方を公の場で申し上げるというのは、これは相手を利することになりますし、こちら側がこちら側の立場を申し上げれば、当然向こう側には向こう側の立場があるわけでございます。その発言が更にメディアで取り上げられて様々な発言を呼ぶことになって、これは交渉前に決して日本にとって得ではないというふうに考えておりますので、対外的に現時点の政府の方針、考え方を申し上げるのは差し控えております。
  191. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、交渉を有利に進めるために我が方の手のうちを明らかにできない、これはよくある話で、私はそこの限りにおいては同意をいたします。しかしながら、その一方で、これが二島ぽっきりであれば、そんなものは、我々は少なくとも国会として今の政府に対して信任状を白紙委任することはできません。だからこそ伺っているんです。  交渉の中身が言えないのであれば、日本政府立場が今言えないというのであれば、大臣の覚悟を示してください。仮に二島ぽっきりになるとしたらば、総理がもしそういったことを合意するおそれがあるならば、大臣は職を賭してそれをお止めになりますか、それを教えてください。
  192. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 繰り返しで恐縮でございますが、交渉以外の場で政府考え方、方針というのを申し上げるのは、これは我が国にとって決して得になることではございませんので、今対外的にこの日ロの交渉事について政府側の考え方を申し上げるのは差し控えさせていただいております。(発言する者あり)
  193. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  194. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
  195. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 外交責任者として、この日ロの交渉に関して、日本にとってできるだけ良い環境で交渉を行いたいと思っておりますので、それを実現するために心を砕いているところでございます。そのために、場外で日本考え方ですとか方針を申し上げるのは差し控えているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  196. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、国会は場外ですかね。我々はここで、国益を懸けて交渉をされておられる大臣の、そこについては敬意を表します、しかしながら、その結果を我々は、当然、大平三原則に従えばここで承認をする必要があり、それは主権者たる国民を代表してのものであります。場外では決してありません。言えないことがあるのはそれは分かります。ただし、そこに対して大臣の御覚悟をしっかりと示していただくことは、国民に対して政府立場を示すという最低限の責任ではないでしょうか。もう一度お願いいたします。
  197. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 交渉の場のほかという意味で場外と申し上げましたが、そこは申し訳ございません。  国会には、交渉がまとまり条約ができた段階で御説明をし、御承認のための審議をしていただくことになると思います。  この条約の審議に当たりましては、日本政府外交責任者として、最も日本にとっていい条件でこの平和条約を締結したいと思っておりまして、そのためにこの交渉が日本にとっていい環境でできるように、まず環境をしっかりとつくってまいりたい、そのために心を砕いていきたいと思います。
  198. 大野元裕

    ○大野元裕君 議論かみ合わないようなので、質問を変えさせていただきます。  歯舞、色丹に米軍の軍事施設を設置しないことを条件とした交渉が進んでいるといった報道が複数あります。そこで、大臣一般論としてまず伺いますけれども、我が国の同意と米軍の意思以外で、第三国に、我が国が主権を行使する領土に対して米軍の軍事施設を設置することの可否に介入をする、拒否をする権利はありますか、教えてください。
  199. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 日米安保条約あるいは地位協定を見れば、第三国にそのような権利、権限はないというふうに承知をしております。
  200. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうすると、これを歯舞、色丹に当てはめると、ロシアはそういったことを言う権利は私はないと思います。  大臣、一九六〇年にフルシチョフ・ソ連の首相が日本側に示した書簡、覚書というのを知っていらっしゃいますでしょうか。それは、日本側が拒否したもので、四島の帰属に結論を出さないまま、つまり一九五六年の二島前提です、その前提で日米安保の適用を拒否した、そこを日本側は拒否をしました。よもや、当時、一九六〇年時代に今の日本とロシアの交渉を引き戻す、そのような屈辱的なことをなさるということはないですね、教えてください。
  201. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、交渉の場以外で日本考え方を申し上げるのは必ずしも適切ではないというふうに考えておりますので、交渉の場以外のところで日本政府の方針、考え方というのは申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  202. 大野元裕

    ○大野元裕君 日米安保の対象を、仮にですよ、そこが問題になるから、係争地域、係争地域というのは合意があったらなくなるんでしょうけれども、主権の問題等も含めて、そこに問題があるから適用されないような議論を仮に受け入れると、我が国にとっては死活的に重要な実は問題が出てきます。私の理解では、そういった問題があるから日米安保が適用されない地域があるとすれば、中国と対立しかねない尖閣諸島、これは安保条約の適用から除外するというふうに言われても、我々はノーと言えないんじゃないでしょうか。  そういったアメリカとの関係に鑑みても、私は、日本が特定の地域を安保条約の対象の範囲から他国に言われて外すというのは決して好ましい話ではないと思いますけれども、大臣の所見をお伺いします。
  203. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 繰り返しで恐縮でございますが、交渉の前に政府考え方、方針を申し上げるのは差し控えたいと思います。
  204. 大野元裕

    ○大野元裕君 いやいやいや、私が申し上げているのは、問題がある地域があるとして、そこが日米安保条約の対象じゃないということを認めたら尖閣諸島にまで問題が及ぶんじゃないんですか、これに対する所見を聞いています。
  205. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 大野委員の御質問は、今度の日ロの交渉に関わる文脈での御質問でございますので、お答えを差し控えさせていただいております。
  206. 大野元裕

    ○大野元裕君 なかなか話がこれ進まないんです。  ちょっとこれ、きちんとした対応を理事会でも求めたいと思いますので、まずは委員長にお願いを申し上げます。
  207. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 後刻理事会において協議いたします。
  208. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、実は私は、岸田大臣の頃からですけれども、何度にもわたって北方領土に展開されたロシア軍の撤退を求めるべきだと主張してまいりました。で、予算委員会でも当委員会でも何度も聞いてまいりました。  二〇一五年までにロシアは、国後と択捉に三百九十二の軍事施設と関連施設を建設をしてきました。そして、一六年には二種類の超音速ミサイル、地対艦のですね、バル、そしてバスチオンを配備をしました。そして、今年にはヤースヌイ空港の軍民併用を決定、さらには択捉島に海軍基地を新設、まだ実施はされていないと了解していますけれども、師団規模の展開、増加、そういった軍事増強を進めています。  仮にですけれども、歯舞、色丹への自衛隊や米軍が展開しないことを二島引渡しの条件として付していることは言語道断ですが、それはそれとしておいておいて、大臣、これ今までの、何度も求めてきた話ですが、我が方としては、我が国固有の領土に対するロシア軍の施設、これは抗議ではありません、抗議は何度も実はやっていらっしゃるのは知っています。しかしながら、例えば一九七九年に我が方は同じような状況で施設の撤去、軍の撤退を求めています。そこから大きく、今、安倍政権は立場を後退させているんですけれども、この一連の動きに対して、我が国固有の領土ですから、ロシア軍の撤退を求めるべきではないでしょうか。
  209. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この平和条約の交渉は北方四島の問題を含めた交渉でございますので、政府考え方あるいは基本方針を交渉の場以外で申し上げるのは差し控えたいと思います。
  210. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、違います。これ、何度も何度もこれ委員会でやって、答弁いただいています。  撤退を求めるべきじゃないかというのは、これは交渉があろうがなかろうが撤退を求めるべきなのは当然だし、一九七九年には先ほど申し上げたように言っていますし、ちなみに、四島の話、二島の話はおいておいても、これは撤退を求めるべき話ではないんでしょうか。
  211. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 交渉に影響の出ることについて、政府考え方、基本方針を交渉の場以外で申し上げるのは差し控えたいと思います。
  212. 大野元裕

    ○大野元裕君 これは、なぜならば、これ、北海道にお住まいになっている方、それからその元島民もそうだし、我々日本全体にとっても大きな影響があるからです。  防衛大臣に伺いますけれども、例えば、北方領土にそういった展開で、特に地対艦ミサイル、マッハ二・五とかってそういうミサイルですね、そういった話やスホーイ35の配備を考えると、仮にこれ、対応しようとすると大変なことになりませんか。  つまり、例えばですけれども、AAWモードのCEC艦を例えば置くとかですね、今までなかったものを我々は持っていかないと対応できないでしょうし、スホーイ35のようなステルスにしても、今度予算の方で出てきているE2Dにしても、二機上げないと対応できないですよね。そういったその状況を見ると、仮に我々が日本の安全をきちんとするとすれば、あの北海道の地域、北の地域が極めて緊張感を強めるような場所にならざるを得ないと思うんです。  そうであれば、交渉があろうがなかろうが、あの地域に緊張をもたらさないためには外交の場で私は対応するべきだと思いますけれども、防衛大臣、これからその安全保障を担われる立場として、あの地域におけるステルス戦闘機、最新鋭のステルス戦闘機やマッハ規模の地対艦ミサイルの配備に対してどう対応されますか。
  213. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 今、ロシアの北方領土における、あるいは極東における軍備拡張の状況について大野先生から詳しくお話をしていただきましたが、この北方領土及び千島列島におけるそのロシアの軍備強化、また活動の活発化の傾向は、私どもとしてはしっかりウオッチをさせていただいております。  特に、御指摘のあった地対艦ミサイルの配備、あるいは最新鋭戦闘機の配備などについてもしっかり見ていかなければいけないというふうに思っておりまして、いかなる事態においても我が国の領域と国民の命を守るというのは防衛当局の責務でございますから、そういうことは今後ともしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  214. 大野元裕

    ○大野元裕君 真剣に政府として考えていただきたいと思います。  先ほど申し上げたとおり、我々は、安倍政権が戦後初めて我が国の領土を譲り渡すような、そんな政権にするということの白紙委任状を与えてはいないと思います。そして、先ほどのソ連の軍事措置の撤回は、実は一九八六年に国会の決議として行われています。軍事措置の撤回を求める決議が行われています。国会の決議は決して軽いものではないはずです。それは与野党関係ないと思います。  是非、大臣におかれては、当時のソ連の軍事措置の撤回に倣い、二島交渉、四島交渉か分かりませんけれども、それがあろうがなかろうが、ロシアの軍備増強措置、部隊の撤去、撤回を求めていただくとともに、二島ぽっきりの交渉は絶対にあり得ないということを最後に申し上げ、そして、もう一度必ずこれ質問させていただきますので、是非今度は真っ正面からお答えいただくことをお願いをして、質問にさせていただきます。  ありがとうございました。
  215. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  核廃絶の問題で質問いたします。  国連軍縮総会の第一委員会で、核廃絶に関する一連の決議案が採択をされました。来月初めの総会での採択になります。第一委員会の最も大きな特徴は、今年も核兵器禁止条約に対して多くの国が支持、歓迎をする発言を行ったことであります。今回、初めて加盟国に核兵器禁止条約の署名、批准を訴える決議が提出、提案をされまして、百二十二か国の賛成で採択をされました。残念ながら日本は反対をいたしました。  既に核兵器国の様々な圧力の中でも、署名の国は六十九、そして批准は十九となりました。NGOの集計では、今回、討論の中で批准のプロセスを進めているという発言をした国は約二十ということでありますから、発効には五十か国が必要でありますけれども、それが実現する勢いになっているということであります。  この背景にあるのは、やはり被爆者の皆さんが命ある間に核兵器のない世の中を見たいということで奮闘されていること、それと、結んだ国際的な世論と運動、ヒバクシャ国際署名も展開をされております。アメリカでも、人口四千万人という最大の州であるカリフォルニアの州議会で禁止条約を支持する決議が上がりました。ヨーロッパでも様々な運動が広がっております。日本の国内でもヒバクシャ署名が広がりまして、署名した首長、地方自治体の首長さんは千百八十八人以上になっております。  それから、核兵器禁止条約の署名、批准を求める自治体の意見書も広がっておりますけれども、まず、外務省としては、この自治体の意見書の数、どれだけと承知をし、どう受け止めていらっしゃるでしょうか。
  216. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 地方議会あるいは地方自治体からの核兵器禁止条約の締結を求める意見書につきましては、これまでに三百八十件を超える数を受け取っております。各議会、各地方自治体のお考えとして、しっかり受け止めたいと思います。
  217. 井上哲士

    ○井上哲士君 岩手、長野、三重の三県議会を含む、今ありました三百八十を超える、こういう大きな流れとなっております。  こうした日本と世界の流れと、一方で、日本が国連に提出した核兵器廃絶の決議案については、今年もこの核兵器禁止条約に全く触れないということで内外から失望の声が上がりました。禁止条約の成立でも中心的な役割を担ったオーストリアなどが棄権をし、昨年は賛成したアメリカ、フランスも棄権ということになりました。共同提案国は、昨年から十二、一昨年からは三十一か国減ったということだと思います。  政府は、この間、橋渡しということを強調してきたわけですね、核兵器国と非核兵器国の。しかし、この状況を見ればそれは成り立っていないという状況ではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  218. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 日本が提出しました核兵器廃絶決議案は、国連の総会第一委員会において百六十か国の支持を得て採択をされました。昨年の百四十四か国と比べて十六か国も増えたことは非常に喜ばしいと思っておりますし、核兵器禁止条約を支持する百二十二か国のうち百一か国が我が国の決議に賛成をし、これも前年から大幅に増えているところでございます。  この決議案が、核兵器国の一つであるイギリスの共同提案を得ている、あるいは核兵器禁止条約を支持する国を含めた多数の非核兵器国の共同提案あるいは支持を得て採択をされたことは、橋渡しを務める我が国の取組や考え方が一定の支持、理解を得られたと思っております。  また、アメリカ、フランスとは幾つかの点で完全な一致は得られなかったわけでございますが、多くのパラグラフや全体の趣旨については共通の理解に達しており、投票理由説明において、アメリカは橋渡しを担おうとする日本の努力に敬意を払う、第一委員会の決議の中でも最も現実的な決議である旨アメリカは述べ、フランスは対話を進めようとする日本の努力を評価する旨述べているところでございます。  日本としては、しっかりとこれからも橋渡しの役割をしてまいりたいと考えているところでございます。
  219. 井上哲士

    ○井上哲士君 大幅に賛成が減った去年よりは賛成は増えました。ただ、採択で賛成した国からも様々な不同意や不満が表明をされたと。最も物議を醸した決議がこれだったということなんですね。  核兵器の非人道性についての表現を弱めたことも昨年のままでありますし、一昨年の決議まであった核兵器の完全な廃絶を達成するという核兵器国の明確な約束という二〇〇〇年の再検討会議で採択をされた文言を、昨年、NPTを完全に実施する明確な約束ということに意図的にゆがめた。これもそのままであることなどにも批判が上がりました。一方、一定の文言を手直しして大幅に減った去年よりは賛成が増えたことも事実であります。  外務大臣は、日本の決議案の採択後の会見で、このことについて、今年は少し核軍縮、核廃絶に向けて一歩踏み出したような文言にしたと、こういうふうに述べられましたけれども、具体的にはどの文言のことを言われているんでしょうか。
  220. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今年の決議案につきましては、昨年の決議に対する各国のコメントも踏まえ、NPT体制の維持強化の重要性を一層強調すると同時に、今年三月の提出をいただきました我が国が行っている核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の提言を踏まえた内容にいたしました。  具体的に申し上げますと、核軍縮交渉義務を規定するNPT第六条に言及しつつ、核兵器の全面的廃絶に向けNPTを完全に実施することが重要である旨を強調し、また、主文において、全てのNPT締約国に対して過去のNPT運用検討会議の合意文書の履行を要請する旨を盛り込みました。  また、厳しい現下の安全保障環境を踏まえ、安全保障の現実に対処するとともに、現実的かつ実践的な核軍縮に取り組んでいくことの重要性を強調し、国際社会における橋渡しや対話の重要性についても強調いたしました。  さらに、核軍縮の進め方をめぐる立場の違いが顕在化している中で、核兵器国と非核兵器国の双方が取り組むことができる核軍縮措置を強調し、具体的には、主文において、CTBT、包括的核実験禁止条約に関して早期発効への幅広い要請に加えて、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、FMCTの即時交渉開始を呼びかける旨を盛り込んだほか、核戦力の透明性の向上、核軍縮検証といった実践的かつ具体的な取組の重要性を強調したところでございます。
  221. 井上哲士

    ○井上哲士君 幾つかのことを挙げられましたけれども、例えばNPT第六条という文言が復活をいたしました。  私、ちょうど一年前にもこの問題を質問したんですね。この六条を使って国際社会は核保有国に核軍縮を迫ってきたわけですね。そして、その世論の広がりの中で、二〇〇〇年に再検討会議の最終文書で核兵器の完全な廃絶を達成するという核兵器国の明確な約束ということを書き込ませたと。  この六条を削ったことに大きな反発がありました。なぜ削ったのかという一年前の質問に、多数の国の理解が得られるように慎重かつ真剣に検討した結果だと大臣答弁をされましたが、一方で、様々な国からいろんな意見をいただいたのは事実で、こういう意見は真摯に受け止めてまいりたいという答弁もありました。そういう様々の声を受け止めて検討した結果がこういうことになったと、六条に関しては、そういうことでよろしいですか。
  222. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) そのとおりでございます。
  223. 井上哲士

    ○井上哲士君 去年の決議のときに、結局、橋渡しだといいながら、核保有国の立場に立って決議案を大幅に後退をさせたと。長崎の市長からは、まるで核兵器国の決議のようだと、こういう声すら出たわけであります。国際的にも厳しい声が上がる中で一定の是正を余儀なくされたものだとありますが、しかし、やっぱり橋渡しという言葉の下で、核兵器国に対してまともに迫らない、こういうことは変わっていないんですね。  一方、先ほどありましたように、日本の決議案には、昨年共同提案をしたアメリカが棄権に回りました。今の六条に関してアメリカは、NPTは不拡散の条約だと、なぜ核軍縮に焦点を当てるのかと、こう反発をしておりますし、過去のNPT再検討会議の合意の履行を加盟国に要請することにしたことについても反発をして、アメリカの大使が演説の中で今日の安全保障環境を挙げながら、時代遅れの言葉に固執してはならないと棄権理由を述べております。  こういう過去のNPTの合意文書について、時代遅れの言葉だと、こういうふうに不同意を表明したアメリカの見解について日本はどのようにお考えでしょうか。
  224. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) まず、核兵器国にきちんと日本が迫っていなければ、百九十三の国連加盟国の中の百六十がこの決議に賛成してくれるということはなかったと思いますので、そこは認識を正していただきたいと思います。  今の御質問でございますが、アメリカは投票理由説明において、橋渡しを担おうとする日本の努力に敬意を払う、日本の決議は第一委員会の決議の中で最も現実的な決議であるとしつつ、NPTの過去の合意文書にこだわるのではなく、変化する安全保障環境の変化を踏まえ、軍縮を進めるための条件づくりを進めていく必要がある、そう述べたわけでございます。  NPT運用検討会議の合意文書に記載された内容を実施していくことは、既に各国のコミットメントになっているわけですから、我が国としては、これら文書は核軍縮・不拡散体制の礎であるNPT体制を支える重要な要素であると考えております。  我が国としては、引き続きアメリカを始めとする核兵器国を含む各国としっかり意見交換を行いながら、核兵器のない世界の実現に向けて国際社会が一致して取り組むことができる共通の基盤の形成に貢献をしていきたいと思っております。
  225. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、過去のNPTの合意文書を時代遅れの言葉としたということは、NPT六条の核軍縮の義務を、そして過去の合意も守る気がないと、こういう姿勢を示したものだと思いますよ。それをまともに正面から指摘をできないということが、迫っていないということを言っているんです。  これは実際のアメリカの行動に示されておりまして、今年春のNPRで新たな核軍拡をトランプ政権はやりました。さらに、アメリカはINF条約の破棄を表明をしております。今月末のG20で米ロ首脳会談で話し合われるようでありますけれども、五月のNPTの再検討会議の準備会議のときに外務大臣は、軍縮と安全保障の両立を可能とするNPTの維持強化が引き続き日本の取組の中心であるということを強調されました。  このINFの破棄は、私はやっぱりNPTの六条に反することだと思うんですね。きちっと日本として厳しく物を言って対応するべきじゃないでしょうか。
  226. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 我が国は、INF全廃条約が軍備管理・軍縮において歴史的に果たしてきた役割を重視してきております。アメリカが主張するところのロシアによる深刻な条約違反を契機としてこの条約が終了せざるを得ないような状況は望ましいものではないと考えております。  また同時に、アメリカ、ロシア以外の国がINF全廃条約で廃止が義務付けられている射程五百キロから五千五百キロまでの地上発射型の弾道及び巡航ミサイルを開発し、これを実戦配備している状況が出てきていることも認識する必要があると思います。INF条約について云々と言っている国があるならば、加盟はしていないけれども、INF全廃条約に入っていないけれども、これに違反するような開発をしている国も当然に非難されるべきだろうと思っております。  我が国は、こうした地域安全保障に与える影響も踏まえつつアメリカに対して様々申し上げてきておりますが、具体的な内容につきましては日米間の信頼関係を損なうおそれがありますので差し控えますが、いずれにしろ、アメリカはこのNPTを国際的な核軍縮・不拡散の取組の礎と位置付け、NPTの規定を遵守し、NPT体制の強化に取り組むことを確認していると承知をしております。
  227. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、核軍縮を義務付けた六条に私は明らかに反していると思いますよ。  アメリカのシンクタンクの軍備管理協会というのが、INFの破棄は自己破滅的で制約のない危険な核の誤った軍備拡大に等しいと、軍備競争に導くと、こういう警告もしております。  結局、今おっしゃったのは、アメリカが主張するところのロシアによるいろんな違反ということを繰り返されただけでありまして、破棄そのものについては正面から物を言わない態度だと思うんですね。  今、全体として核兵器禁止条約の流れが強まる中で、核兵器国が巻き返しをしておりますが、その一つが、アメリカが持ち出した核軍縮のための条件創造と、CCNDというものでありますが、これは要するに情勢の改善が先だと、それを主張することで核兵器の禁止と廃絶を先送りする議論であります。逆流とも言っていいと思うんですね。しかも、アメリカ自らがこうしたNPTの再検討会議の合意すら時代遅れと否定をして、核軍拡の方向にかじを切って、条件を自ら破壊をしているわけですね。  一方、米英仏ロ中の核保有五大国は十月二十二日に禁止条約に反対する共同声明を発表いたしましたけれども、その中で同様の主張を行っております。アメリカの主張に英仏のみならず中ロも足並みをそろえた形になるわけですが、重大なのは、日本の決議案の前文に、国際的な安全保障環境を改善し核兵器のない世界を追求とか、さらには、決議の中に、更なる核兵器の廃絶を進めるために国際安全保障環境を改善するという新たな文言が盛り込まれました。  結局、これ、核軍縮よりも条件づくりを優先するというアメリカのこのCCNDをそんたくをして橋渡しになる、結局核保有国と同じ立場に立つ、こういう決議になっているんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  228. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 先ほどから、井上委員、アメリカのINFについてのお話はされておりますが、アメリカ、ロシア、このINF全廃条約に入っていない国が既にこの条約で廃止が義務付けられている地上発射型の巡航ミサイル、これを開発している状況になっているわけで、そういう国々に対して何もおっしゃらないのは極めて不思議だなと私は思っているところでございまして、御意見があれば是非お伺いをしたいと思いますが。  今の御質問に関して申し上げますと、今年の核兵器廃絶決議案は、国際的に厳しい現下の安全保障環境においても、核兵器のない世界に向け国際社会が一致して取り組むことができる共通の基盤を形成することを目指しております。  我が国が提出した核兵器廃絶決議における御指摘の文言は、こうした考え方に基づいて、核軍縮と同時に安全保障環境の改善に取り組みつつ、具体的な核軍縮措置を求めていくとの趣旨を反映したものであって、核軍縮に条件を付けるものではございません。そこを御理解いただきたいと思います。
  229. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、アメリカが言っているのとは違うという理解でいいんですか。
  230. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) そのとおりです。
  231. 井上哲士

    ○井上哲士君 実際には、例えばオーストリアの国連大使はこう言っているんですね。核軍縮のために前提条件が整うのを待てば永久に待つことになると。日本の決議についても、昨年同様失望している、核軍縮に前提を設けている限りいつまでも核軍縮は進まないと、こういう批判をしているんですね。日本の決議が結局、今核保有国が言っている核軍縮の前の条件整備だということで限りなく先送りをする、こういうことだということでこういう批判が行われているわけであります。  先ほど中ロの問題を言われました。私も先ほど核保有五大国がそろって核禁条約に反対した声明を出したことを申し上げましたけれども、だからこそ、こういう中ロも含めて全ての国の核兵器をなくせという、こういう規範を作ろうということで多くの国々がこの条約を作ったわけですよ。  ですから、今核兵器国が、条件づくりが前提だとしてこれ核軍縮に背を向けて、そればかりか新しい核軍拡を進めていると、こういうときだからこそ、日本が橋渡しといいながら結局核兵器国にそんたくをする役割ではなくて、明確に迫っていくという立場を今こそ取ることが必要だと思います。  唯一の被爆国の政府にふさわしく、核禁条約に参加をして、非人道的兵器を禁止をする国際的な取組の先頭に立つべきだということを繰り返し申し上げまして、質問を終わります。
  232. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  防衛大綱と中期防の見直しが始まり、議論内容が公表されております。盛り込むべき内容を読みましたが、陸海空のほかに今回は優先事項として宇宙領域やサイバー領域が加えられて、何かSFとか「スター・ウォーズ」の世界が現実になってきているような感じがしております。  そこで、今回は、大綱の見直し等について書かれていることに関し質問をさせていただきます。  先般、私は、防衛装備庁の電子装備研究所というところを視察させていただきました。御親切にいろいろ御案内いただきまして、お礼を申し上げたいと思いますが、そのときにサイバー攻撃とかステルスに関してもかなり御説明をいただいております。そのときに得た知見も加えて質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それで、防衛大綱の見直し議論、入れるべき内容とか読ませていただきますと、ゲームチェンジャーとかいう言葉が出てくるんですね。ゲームのルールという言い方はありますし、そのゲームのルールを変えるという言い方もありますが、ルールでなしにそのゲーム自体を変えてしまう、質的な変化が生じていると。  そのゲームチェンジャーとなり得る最先端技術の一つがAI、人工知能だと思います。人工知能、これ自動車はもう自動運転が実証実験の段階を過ぎて、もはや実用化の段階にまで来ております。地域を限ってですが、スクールバスとかもう完全に自動運転に移行するという国、州が存在します。このAIを例えばドローンとか無人機、無人潜水艦に搭載すると、無人の自律型兵器が誕生します。自分で状況判断をして、自分で行動する兵器です。  防衛大臣は、このような自律型兵器をどのように御認識であるのか、また我が国の防衛に取り入れる必要があるとお考えでしょうか。
  233. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) まず、浅田先生には、装備庁御視察、ありがとうございました。  その上で御質問にお答えしたいと思いますが、今AIがあらゆる産業分野で積極的に活用されて、いわゆる業務の効率化に役立っていることは御指摘のとおりでございます。  防衛省・自衛隊としても、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境、あるいは少子高齢化、人口減少といった我が国が置かれた状況を考慮して、我が国の防衛装備品について無人化、省人化の取組を進めていくことは重要だというふうに考えております。  そこで、隊員の安全確保や負担軽減を目的としたAIや無人装備について研究開発を進めていることは御指摘のとおりでございます。  他方、いわゆるLAWS、LAWSと言われる自律型致死兵器システム、まあ分かりやすく言うと殺人ロボットみたいなものでしょうか、そういうものについては研究開発を行う具体的計画はありませんし、今後も研究開発を行うことは考えておりません。  その自律型致死兵器に関しては、今国際社会においても国際人道法上の様々な課題について議論が行われているところでございまして、我々としても日本の安全保障の観点も考慮しながら適切にこの議論に参加をしていきたいというふうに思っております。
  234. 浅田均

    ○浅田均君 致死兵器、自律型で相手を殺傷するというか、そういう能力を持った自律型兵器ではなしに、殺傷能力は持たないけれども自律して、例えばどっか行って撮影して帰ってくるとか、そういう殺傷能力を持たない、致死兵器でない自律型兵器についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  235. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) いわゆる自律型致死兵器でない無人のシステム等については、特に偵察、監視等に使う装備については研究開発も行っていくべきだというふうに考えております。
  236. 浅田均

    ○浅田均君 研究開発以上に、我が国の防衛システムの中にそういうものを進んで取り入れるべきとお考えになっていると理解していいでしょうか。
  237. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 先ほども申し上げましたように、隊員の安全確保でありますとか、それから負担軽減などに資する、そういう無人の装備については取り入れていくべきだというふうに考えております。
  238. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。  それでは次の質問ですが、これ、例えば国籍不明のロボットが我が国に上陸してきたと。(発言する者あり)いや、考えられることですよ、近未来の。これ、兵器を持っているとすると、これ致死兵器を持っているんで、まあどっちでもいいんですけど、水鉄砲を持っておるとか、兵器とおぼしきものを持っていると。  このロボット兵士に対しても我が国は専守防衛ですか。──説明します。相手が何か攻撃を仕掛けてこないことには、警察力での対応にとどまるということですか。
  239. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 今先生、冒頭に国籍不明のというふうにおっしゃいましたけれども、いずれにしても我が国が自衛権を発動するためには三要件を満たさなければいけませんし、その自衛権の発動の態様についても専守防衛の考え方に沿ったものでなければいけないというふうに思っておりますが、その仮定の状況における個別具体の対応について予断を持ってお答えすることは非常に難しいと思っております。
  240. 浅田均

    ○浅田均君 予断を持ってお答えをするのは難しいんですけれども、本当にもう現実の問題としてこういうのが現れてもおかしくない時代になってきていますので、考えておいていただきたいなと思って質問させていただいております。  それでは、もっと現実的な、例えばこれ、中国でそういう実験をしたということが伝えられておりますが、ドローンが群れを成して海上自衛隊の艦船の上空に飛来し、ホバリングしていると。何するか分かりません、ホバリングしていると。このとき艦長はどう対応するんですか。
  241. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 今先生がおっしゃっただけの条件では、なかなか、どう対応するかということを、これまた予断を持ってお答えするのは非常に難しいんですけれども、ただホバリングをしているという状態であれば、護衛艦としては専ら、安全上の理由から、針路を変えるあるいは加速するなどによって取りあえず回避をするということになるのではないかなと思いますが。
  242. 浅田均

    ○浅田均君 何かハエが飛んでいるみたいな感じですか。あっちへ行けですか、ハエが飛んでいる。  例えば、ドローンが何か爆弾らしきものを持っていて、いつでもぱっと放せると、視認できると、そういう場合はどう対応しますか。
  243. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) これもなかなか仮定の問いにお答えするのは非常に難しいんですが、一般論として申し上げれば、何ができるかということだけで申し上げると、護衛艦に向かって例えば飛来してくる小型の無人機については機関砲で対応するというようなことも能力としてはできると思うんですけれども、先ほども申し上げたように、やっぱり個別具体の状況に照らしてその対応を判断しなきゃいけないのではないかなと思います。
  244. 浅田均

    ○浅田均君 そうしたら、具体的に申し上げます。ドローンが百機編成でやってきて、明らかに爆弾を持っていると。艦船にとっては急迫不正の侵害があるわけです。こういうときは落とす前に攻撃できるんですか。
  245. 齋藤雅一

    政府参考人(齋藤雅一君) 委員指摘の状況につきまして、なかなか、仮定の質問でございまして、お答えするのは難しいんでございますけれども、例えば、これはいろんな状況によりますけれども、自衛隊法第九十五条に基づきまして我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊、奪取しようとする行為からこれらを防護するため必要があると認められる場合でございますとか、あるいは対領空侵犯措置ということで、これは外国の航空機ということで、そのときにおきまして、自衛隊法八十四条に基づきまして正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合でございますとか、あるいは治安出動時におきまして、自衛隊法八十九条及び九十条に基づきまして一定の要件を満たす場合のほか、また防衛出動時ということで、自衛隊法第八十八条に基づき我が国を防衛する必要があると認められる場合などにおきましては、先ほど大臣から申し上げましたような機関砲ですとかそういった武器を使用して対処することは考えられるというふうに考えております。
  246. 浅田均

    ○浅田均君 大臣、何でこういう、まあ嫌らしい質問ですわね……(発言する者あり)ですか。なら、もっと嫌らしいのを考えておきます。  なぜこういう質問をしているかというと、私は専守防衛という考え方自体が不可能だと思うんですよ。今までそういう質問河野大臣にもしてきましたけれども、あくまで専守防衛という思想というか考え方に裏付けられた我が国の防衛を考えていると。それはそれでいいんですが、私は、それは不可能だと思っている。だから、何とかそこを突破するための質問をいろいろ考えているんです。  それで、自衛権の範囲の中で、個別的自衛権の範囲の中で敵基地の攻撃まで禁じるべきではないと思っております。これも駄目なんですね、今の防衛省、外務省のお考えによると。  今ロボットとかドローンのことを申し上げましたけれども、それらを操っている人がいるんですね、人工知能だと仮想敵をロボットの中にあるAIの中に取り入れるとか教え込む人がいる、プログラミングするとかあるいはもっと高度なアルゴリズムを作成する人がいてるんですね。今IoTの時代ですから、IoTに対応可能な武器が要ると思いますし、考え方も要ります。  だから、そこからは決して、私、専守防衛という思想は導かれないと思うんです、私は思っている。だから、そういう点に関しても防衛大臣におかれましてもよく考えていただきたいと思いますし、そういう可能性も含めて次期防衛大綱には書き入れてほしいと思っているんです、また実践していただきたいと思っているんですが、まだ駄目ですよね。まあ、これは聞きません。  それでは、次の質問に行きます。  今、領空侵犯の例えが出ましたけれども、領空と言うときの高度はどこまでなのか、外務省、防衛省の見解をお伺いしたいのですが、宇宙条約というのがあって宇宙空間に特別の地位を与えておりますが、一方で、地球における空域においては各国が領空の主権を持っております。その空域と宇宙空間との境界を問題にしたいわけでありますが、これは明確には定められていないということであります。  領空の高度、我が国の領土の上のどこまでが領空なんでしょうか。
  247. 三上正裕

    政府参考人(三上正裕君) お答え申し上げます。  一般に、領空とは、領土及び領水、すなわち領水は内水プラス領海でございますけれども、領土及び領水の上空であります。  他方、領空の上限については決まっておらず、国際的にも明確になっていないのが現状であると承知しております。
  248. 浅田均

    ○浅田均君 これが重要なんですね。上は決まっていないと。だから、ここまでが日本のテリトリーだという空間は定められていないわけですよね。  そこでお伺いしたいんですが、人工衛星があります。今、日本だとHⅡロケットとか使って、中国も長征とかいうロケット使って、ヨーロッパはアリアンというのを使って衛星をいろいろ打ち上げ、人工衛星を飛ばしています。  その人工衛星の、この衛星がどこの国に帰属しているのかというのはどこが管理しているんでしょうか。
  249. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 人工衛星を含む宇宙空間に発射された物体の管轄権及び管理権については宇宙条約という条約がありまして、この宇宙条約は、こうした宇宙物体を登録している条約の当事国が保持するという旨定めております。  また、この人工衛星を含む宇宙物体の登録について、今度は宇宙物体登録条約という条約がありまして、宇宙物体登録条約は打ち上げ国がその保管する登録簿に記入することにより当該宇宙物体を登録するという旨定めており、打ち上げ国はこの条約に基づき、登録した当該宇宙物体に関する情報をできる限り速やかに国連事務総長に提供するということになっております。  我が国もこの宇宙物体登録条約に基づいて登録簿に登録された宇宙物体に関する情報を国連事務総長に提供しており、こうした情報は国連から公表されているところでございます。
  250. 浅田均

    ○浅田均君 それでは、国連が管理していると考えていいんでしょうか。
  251. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 管轄及び管理はこの宇宙物体を登録している当事国が保持をして、国連事務総長にその情報を提供して、国連が情報を公開する役割を担うということでございますので、打ち上げ国が自ら管理をしているということになるんではなかろうかと思います。
  252. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。打ち上げた国が管理しているというお答えであります。  それで質問ですが、我が国の打ち上げた衛星ありますよね。いろいろ重要な衛星があります。この衛星が、ミサイル、ミサイルというのは五百キロ、六百キロ、千キロまで上がることができます。その我が国の衛星がミサイル攻撃の対象になるとき、そのミサイルの発射基地というのは攻撃できるんですか。
  253. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 今御質問のありました衛星に対する攻撃も含めまして、特定の事例が武力攻撃に該当するか否かについて、その時々の国際情勢、あるいは相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等をもって個別具体的に判断する必要がございますので、衛星に対する攻撃という与件のみによって自衛権行使の可否についてあらかじめ一概に論じることは困難であります。
  254. 浅田均

    ○浅田均君 もうちょっと具体的に聞きますね。  飛ばした衛星はその国が管理しているというお答えでした。今、キラー衛星とかいうの、この防衛大綱の中にも出てきますけれども、我が国の衛星が某国のキラー衛星の対象になって攻撃されると。多分レーザー光線なんかが一番武器になりやすいと思いますけれども、このキラー衛星で攻撃してきたときに、その攻撃してきた衛星を管理している国に対して我が国は攻撃することできるんですか。
  255. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 繰り返しになりますけれども、今お尋ねの与件のみをもってそれが自衛権行使の対象になるかどうかということをあらかじめ論じることはできないと思います。
  256. 浅田均

    ○浅田均君 そうしたら、明確にキラー衛星というのがあって、我が国の衛星に対して攻撃を行ってきた、レーザー光線で我が国の衛星が破壊された。そのとき、そのキラー衛星に対して我が国は攻撃できるんですか。
  257. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) いずれにしても、我が国が自衛権を行使する、武力を行使するためには、武力の行使に係る新三要件を満たす必要がございます。新三要件を満たした場合には、その必要最小限度の範囲で必要な措置を講じることができると、こういうことだろうと思います。
  258. 浅田均

    ○浅田均君 衛星って……
  259. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 時間が来ております。質疑をおまとめください。
  260. 浅田均

    ○浅田均君 空飛んでおるんですよね。衛星が急迫不正の侵害って、そんな認識もできませんやん。できへんでしょう。これは誰が認識するんですかということは次回また質問させていただくことにして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  261. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる。元気があれば秋の季節もきれいに見えると。紅葉も足早に去っていこうとしていますが、高みから景色を見れば紅葉もきれい。貴景勝ですかね、優勝おめでとうございます。  今日は、新型護衛艦についてお聞きしたいと思いますが、政府が新たに機雷対処能力を持つ新型護衛艦を導入すると方針を固めたと聞きました。新型護衛艦には無人で海底の機雷を探知して処理できる装備を搭載されるということですが、どういう効果があるのか、尖閣諸島周辺の現状と併せてお聞かせください。
  262. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 尖閣諸島の現況につきましては、中国の公船が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返しているということは先生御承知のとおりでございます。また、海軍艦艇が尖閣諸島周辺海域で活動を恒常化させております。また、本年一月には潜没潜水艦及び水上艦艇が同日に尖閣諸島周辺の接続水域に侵入するなど、言ってみれば、力を背景とした現状変更の試みが継続をしているところでございます。  今御指摘の新型護衛艦は、現大綱に基づきまして、護衛艦を五十四隻に増勢する一環として平成三十年度から建造を開始しているものでございますが、幅広い海域で運用することを想定しており、尖閣周辺といった特定の海域のみで運用をするものではございません。この護衛艦は警戒監視に加えまして、従来は掃海艦艇のみが担ってきた機雷処理能力も有するなど多様な任務に対応することが可能なものでございます。また、船体のコンパクト化によって省人化、コストダウンも実現しております。  増大する警戒監視任務への対応と掃海艦艇を削減していくといった効率化を同時に行えるものでございまして、引き続いてこの新型護衛艦の導入を進めていきたいと考えております。
  263. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 シリアの内戦についてお聞きいたしますが、今ヨルダンの国王が訪日されていますが、先日ペトラ遺跡が水害でというニュースも見ました。そこで、二十四日、シリアのアレッポで砲撃があり、市民が有毒な塩素ガスを吸い込んで病院に運ばれたという報道を目にしました。ロシア軍は、シリアの反政府勢力が砲撃を行ったとして複数の拠点を空爆したと発表しています。アサド政権の後ろ盾がロシア、反政府勢力へのトルコの支援があると聞きますので、今後どうなっていくのか不安が残ります。  現在のシリア情勢について、できるだけ詳しくお聞かせください。
  264. 森野泰成

    政府参考人(森野泰成君) お答えいたします。  アレッポに対して塩素ガスによる攻撃が行われまして、同市近郊の反体制派の拠点に対してロシア軍による空爆が行われたという報道がなされたということは承知しております。  仮に、化学兵器の使用が事実でございましたら、これは使用者が誰であっても我が国といたしましてこれを強く非難するという考えでございます。化学兵器の使用はいかなる場合でも許されるものではないと考えます。  九月十七日、ロシア、トルコ間でイドリブ周辺地域における非武装地帯の設置が合意され、それ以降、ある程度同地域の平穏が維持されてきておりますところ、日本といたしましても状況を注視していく考えでございます。  シリアをめぐり厳しい状況が続いていますけれども、我が国といたしましては、全ての暴力の停止に向け、引き続き国際社会と連携していく考えであります。国連主導の政治プロセスが進展することを期待しています。
  265. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、ウクライナ情勢についてお聞きしたいと思いますが、二十六日の未明、クリミア半島周辺の海域でウクライナの海軍の艦船がロシア国境警備庁の警備船から砲撃を受け、乗務員がけがをしたと聞きます。ロシアはウクライナ側が領海侵犯したとしています。  現在のロシアとウクライナの情勢についてお聞かせください。
  266. 宇山秀樹

    政府参考人(宇山秀樹君) お答え申し上げます。  ウクライナ側の発表等によれば、現地時間十一月二十五日二十二時頃、クリミア半島の東端にありますケルチ海峡を通過しようとしたウクライナ海軍の船舶三隻をロシア国境警備局の船舶が拿捕いたしました。その際に、ロシア国境警備局側からの発砲があり、ウクライナ人数名が負傷したと聞いております。  この事態を受けまして、ウクライナのポロシェンコ大統領は最高会議を二十六日臨時招集いたしまして、最高会議はウクライナの一部地域における戒厳令の導入に関する大統領令を承認したものと承知しております。  政府といたしましては、情勢が悪化することを懸念しておりまして、事態の推移を注視しているところでございます。全ての当事者が自制して、事態が鎮静化に向かうことを期待しております。
  267. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 連日報道されていますが、中米各国からの移民が更に増え、メキシコ国内で一万人に上ると言われています。アメリカのカリフォルニア州サンディエゴは検問所を閉鎖する措置をとったと聞きますが、昔よく巡業でサンディエゴにも行ったことがありますが、本当に国境があってないような感じの、今は知りませんが。それで、今、国境地域に移民が集まっているということですが、アメリカが入国を認めない場合、メキシコも大変な状況になるのではないかと懸念しています。  ホンジュラス、戦争がないのに世界で一番治安が悪いと言われており、二〇一七年以降、殺人事件件数は減少したそうですが、いまだに危険だと聞きます。また、メキシコ周辺のベネズエラ、グアテマラ、エルサルバドルなど、治安が悪いと言われていますが、現在の情勢をお聞かせください。
  268. 高橋克彦

    政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  中米から米国を目指すいわゆる移民キャラバンについて、アメリカ、メキシコ国境地帯で起きている事態については委員指摘のとおりでございます。  今委員からお話のございました今回の移民キャラバンの出発地となったホンジュラス、それからベネズエラ、グアテマラ、エルサルバドルに関しましては、経済的困難などを背景に、近年、犯罪発生率が高水準で推移しており、治安悪化が懸念される状況にあると認識をしております。  我が国としては、現地治安当局とも連携しつつ、治安情勢等について引き続き情報収集しながら事態を注視してまいりたいと考えております。
  269. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 今回の移民の問題は、当該国の治安など、根本の問題を解消しないといつまで続くのか分からないんですが、日本や国際社会はそれに対して何ができるのか、当事国に任せておくのか、その点について日本が今どう考えているかお聞かせください。
  270. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今回の移民の問題は、おっしゃるように、当該国の治安悪化といった情勢が背景にあるものと考えております。  中米諸国における治安の課題について、これまで日本は、例えばエルサルバドルでは地域警察活動に基づく新警察モデルの実施強化プロジェクトというのを、これはやってまいりました。また、これ今でも続いております。それから、ホンジュラスでは地域警察活動を通じた地域の活性化ということで、これも今継続中でございます。また、グアテマラではコミュニティー警察の普及を通じた警察人材育成プロジェクト、これも現在継続中でございますが、こうした国々で治安上の課題の解決のために、日本としても様々な形で支援をしているところでございます。  移民問題の根本の一つが治安の問題ということでございますので、近隣諸国を含めた国際社会ともしっかり連携しながら、日本としても対処してまいりたいと思っております。
  271. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 先日、河野大臣がバチカンを訪問し、ギャラガー外務長官と会談、来年、フランシスコ法王来日に向け準備を進めるという報道を目にしました。フランシスコ法王の来日が実現すれば、昭和五十六年以来となるそうです。  私が初めてバチカンに行ったのは九一年の湾岸戦争が始まる直前でしたが、もう本当に通信網が切れてしまって、たまたまローマへ寄って、それから当時のフセイン大統領に戦争をやめるようにという、直接伝えるためにイラクに向かっていたんですが、空路では入れず、ホスラビというイラク・イラン戦争のところをレンタカーを借りて走って、ローマを経由してイランから陸路でイラクに向かうことになりました。当時、報道陣も一緒でしたが。途中、バチカンでお招きをいただきまして、当時、今ちょっと問題を起こしているようですが、ソダノ枢機卿の案内でバチカンもいろいろ見せていただきました。当時、ちょうど法王は外国に行かれていたということで、お会いすることはできませんが、バチカンからフセイン大統領へのメッセージも少し、口頭でしたが是非伝えてくれというメッセージをいただきました。  今回、フランシスコ法王来日に際して、どういった準備が整えば実現するのか、また法王は被爆地である日本に関心を寄せているそうですが、日本側としては要請したいことはあるのか、どの点について要望するのか、お聞かせください。
  272. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 日本政府としましては、二〇一四年に安倍総理からフランシスコ法王に直接訪日の要請を伝達したことを始め、様々な機会で法王の訪日を招請をしてまいりました。そんな中、今年の九月にローマ法王自ら来年の訪日の意向を表明されたことを歓迎をしております。  先週末、バチカンを訪問いたしまして、バチカンの首相に当たりますパロリン国務長官及び外務大臣に当たりますギャラガー外務長官とこの法王の訪日実現に向けて協議をしてまいりました。私からは、この法王の訪日が実現すれば大変光栄であり、日本政府として協力を惜しまないということをお伝えすると同時に、今後外交ルートで様々連携しながら準備に当たっていくことを確認をいたしました。  日本とバチカンは核兵器のない世界の実現という目標を共有しており、またこの法王の被爆地訪問がもし実現しますれば、国際社会がこの被爆の実相に関する正確な認識を持つ上で非常に重要だと日本政府は思っております。  こうした点を含め、日程を含め、今後、バチカン側と連携しながら訪日の準備をしっかり進めてまいりたいと思います。
  273. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 世界で一番小さな国ということで、人口は八百人、敷地は皇居の半分ぐらいと聞いておりますが、本当に中に入って案内をされたときに、まだもっと小さな国も最近はあるようですが、是非是非これが実現するように頑張っていただきたいと思います。  次に、国連の役割について。日本は国連に対し信頼を寄せていて、国連が言うなら皆納得する部分があります。国連にも何人か友人がおりまして、今、国連の役割はどうなっているのか、今の世界情勢を見ると、自国第一主義の国が増えてきています。国連も絶対ではありません。今この時代の流れを考えると何か足りない気がいたします。  一つの案ですが、第二の国連のような機関があって、そこに絶対平和主義を貫く、そういった機関を世界につくるのはどうかと考えております。いかがでしょうか、見解をお聞かせください。
  274. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 国連が、今の時点で申し上げれば、最も普遍性を有する国際機関という状況はそのとおりだろうと思います。  国連の持つ普遍性と専門家に支えられた専門性、そして、そうしたことに基づく国連の正統性を最大限活用し、国際的なルール作りを含め、日本だけでは実現できないことを国連の場を通じて実現をしてまいりたいと思っております。  例えば、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄ということに関しては、国連の前例のないレベルでの制裁措置を規定した安保理決議を採択するなど、国連が今でも果たしている役割は非常に大きいと思っております。  しかし、国連がこの二十一世紀の現実を反映していないという声も非常に根強いのは現実でございますし、我々もそう考えているところでございます。そうしたことから、国連が適切かつ十分に機能していない、そういう声がある、国連改革が必要だという声がだんだん強くなってきているというのも現実でございます。  そういう意味で、二十一世紀の国際社会の現実を踏まえた形で、世界の平和、安全の維持、それに主要な責任を担っている安保理の改革を含め、国連改革を速やかに実現をしていくというのが今の日本立場でございますので、具体的な改革に向けて現実的な取組をしっかり進めてまいりたいと思っております。
  275. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 是非、日本の独自の、国連に変革を求めていただきたいと思いますが。  ここ最近、お答えできません、控えさせてくださいという答弁が、今日も幾つかありましたが、かなり増えてきたと思います。外交上の理由というのは理解はできますが、国民の知る権利はどうなるのか、いろいろネットも調べてみたんですが、その辺が明確に出てこないので、国民の知る権利についての内容について詳しく教えてください。
  276. 岡田健一

    政府参考人(岡田健一君) お答え申し上げます。  委員指摘国民の知る権利、そして政府説明責任といった観点から、国会におきまして外交政策についてもしっかりと議論し、また政府の活動についてできるだけ正確に御理解いただくよう努めていくことは極めて重要な課題と認識をしております。  一方、現在交渉中の案件などにつきましては、交渉に与える影響などを慎重に考慮していく必要があると考えております。その結果、対外的に公にすることにより国の安全や他国との信頼関係が損なわれたり、交渉上不利益を被るおそれがあるような場合には御説明を差し控えざるを得ない場合があるというふうに考えております。  こうした外交の政策についても是非御理解をいただきたく、その上で引き続き適切な御説明に努めてまいりたいと考えております。
  277. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 そこが知りたいということがお話をいただけないということが、まあ、せっかくのこういう委員会がもっと活性化されて、生き生きとした委員会であればと思います。  時間ですかね、もう。知る権利について私ももうちょっと勉強させてもらいますが、その点について、是非是非、また時代がちょうど変わり目というか、ワイドショーが連日報道している。どこまで信用するかは別にして、いろんなことを、あるいはセクハラも含めて、我々の時代と今の時代が変わってきていること、そこに我々が気付かなきゃいけないなと、昔のままでいてはと、そんな思いでいろんな情報あるいはテレビを見たりしております。是非是非、日本の国が国連も含めいろんな部分での役割を果たしていただくように、頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  278. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  先日に引き続き、普天間飛行場の五年以内運用停止と危険性除去について伺います。  十一月二十二日の委員会で、普天間飛行場へのジェットエンジンのKC135空中給油機や戦闘機などの外来機の飛来が騒音などによる周辺住民の基地被害を悪化させている現状を紹介しました。同じ日、松川宜野湾市長も沖縄防衛局長に外来機飛来禁止を米軍に強く申し入れるよう抗議、要請しています。抗議・要請文では、普天間飛行場へのジェット戦闘機を含む外来機の飛来による騒音被害に厳重に抗議するとともに、貴職から米軍に対し、市民生活に十分配慮するよう強く申し入れることを求めています。  防衛省は、二〇一六年九月一日付けの日米合意に基づき、「沖縄県外での訓練の一層の推進を図り、訓練活動に伴う沖縄の負担を軽減する」目的で、二〇一六年九月から十月までグアムへの訓練移転、一七年三月、八月、十二月、一八年二月から三月の国内の計五回の訓練移転を実施し、平成二十八年度は確定額で三億六千八百万円、二十九年度は十八億七千八百万円、三十年度は二十三億千七百万円の予算が計上され、この予算額は年度当初に米側に仮払いされているとのことであります。お金を渡しているわけです。  沖縄県は、訓練移転期間中の二〇一七年二月一日から三月三十日まで、ビデオカメラで同飛行場に離発着する航空機を撮影し、その機種、離着陸回数を記録し、二〇一七年四月二十一日に普天間飛行場における離着陸回数調査報告を公表しました。この中で、沖縄県としては、「平成二十九年三月六日~十七日の間、米軍再編に係る運用機の県外訓練移転が行われたが、この期間内において、オスプレイについては回数の減が見られるものの、全航空機の離着陸回数については全体平均値より高くなっており、必ずしも訓練移転が離着陸回数の減につながっていない状況にある。」「県としては、普天間飛行場の負担軽減を図るため、同飛行場で運用されるすべての回転翼機の県外訓練移転について早急に取り組んでいただきたい」旨の見解を示しております。  一方、沖縄防衛局は、二〇一七年四月以降、普天間飛行場における航空機離着陸等の状況を調査し、沖縄県と宜野湾市に情報提供してきました。  防衛省から三十年十一月二十一日付けの普天間飛行場における航空機の離着陸等状況の提供をいただきました。今年に入り、外来機の飛来が急増しています。十種類に及ぶ様々な米軍機が普天間飛行場に飛来し、訓練をしています。特にKC135ジェット空中給油機、P8ジェット対潜哨戒機、F22、F35B、F15、F18戦闘機などが何度も飛来し、中にはタッチ・アンド・ゴー訓練も行ったりしております。  岩国へ給油機KC130、これはプロペラ機でございますが、移転をさせた後に、このジェットエンジンの戦闘機やあるいは空中給油機が入ることは納得できません。  さらに、この調査結果から、九六年の日米合意によって禁止される二十二時から午前六時の間、夜間飛行訓練が二〇一七年四月から先月末まで十九か月で一千四十四回、月平均五十回以上確認されるなど、特に常駐機による日米合意違反の夜間訓練飛行が常態化していることが改めて確認されました。  大臣はこれを御覧になっておかしいと思いませんか。日米合意に反する夜間飛行に対してこれまでどのように対処してきたのでしょうか。合意違反が繰り返されていることについてどのように考えますか。
  279. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 普天間飛行場の周辺におきましては、騒音規制措置によりまして、夜間訓練飛行は、在日米軍に与えられた任務を達成し、又は飛行要員の練度を維持するために必要な最小限に制限される旨合意をしております。その上で、米側に対しまして、日米間の合意を遵守し、航空機の運用による影響を最小限にとどめるよう、大臣を含む中央レベル及び現地レベルそれぞれにおいて累次の機会に米側に申し入れているところでございます。  防衛省としては、更なる実態把握に努めてまいりたいと思いますし、引き続き米側に対しまして、安全面に最大限配慮するとともに、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう、様々なレベルで強く求めてまいりたいと思っております。
  280. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 離着陸状況の調査目的は米軍機の飛行実態の把握ということですが、五回の訓練移転期間中の離着陸回数に変化があったとは思えません。一七年二月、十二月など、必ずしも訓練移転の離着陸回数の減につながっていません。むしろ増加しています。  訓練移転期間中に普天間飛行場における離着陸回数が減少したと評価していますか。
  281. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) オスプレイの訓練移転によりまして普天間飛行場に所在するオスプレイが長期間沖縄を離れることになり、その間は沖縄における駐留及び訓練の時間が削減されると考えております。その上で申し上げれば、航空機の離発着回数は、周辺の安全保障情勢あるいは天候等の影響によっても上下するものだというふうに思います。  いずれにいたしましても、政府としては、引き続きこのMV22オスプレイの訓練移転を積み重ねていきたいと思っておりますし、それによって可能な限り地元の負担軽減を図ってまいりたいというふうに考えております。
  282. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 これが防衛省からいただいた普天間飛行場における航空機の離着陸状況ですけれども、例えば今年の二月、三月も移転しているんですけれども、その間この、私がオレンジで囲んだんですが、外来機が十種類も来ているわけですよ。その飛行回数は百五十七回です、離着陸回数はですね。ですから、全体で千七百三十一回と表記されておりますけれども、一割を占めているわけですね。だから、当初はほとんどないんですよ、ほとんどない、外来機は。でも、今年からはもう確実にある。それなりのボリュームを入れてきている。こういったことをやはり重視していかなきゃいけないだろうと思うんですね。  さらに、前委員会でもお話ししましたけれども、十時以降の飛行の苦情が百五十回ありますよと、今年の前半だけで、四月からの前半だけでですね。ですから、日米合意というものをきちんと守らせることはとても大事だと思います。そういうことを是非しっかりと受け止めていただきたい。だから、この離着陸回数減にあるというふうには全然実感がされないわけですね。  騒音についても、沖縄防衛局は嘉手納と普天間の周辺で測定した騒音レベルを毎回測定して公開しています。普天間に常駐する回転翼機特有の低周波騒音については調査結果に反映されていないとはいえ、周辺住民の深刻な騒音被害の一端がうかがえると思います。これを見ても、五回の訓練移転期間中、騒音被害が改善している状況は確認できません。  訓練移転期間中、普天間飛行場周辺の航空機騒音状況が改善されたとお考えですか。
  283. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  委員から御指摘のありました外来機の飛来の回数でございますが、我々、この普天間飛行場の離発着状況につきまして全機種の調査を行いましたのが昨年の四月からということでございます。確かにその間、最近になりまして、外来機の数がこの目視の統計上増えてきているところでございますけれども、更に調査を続けまして実態を把握し、必要な措置をとってまいりたいと考えております。  今、騒音についての御質問がございました。先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、オスプレイの移転訓練が行われている間はこのオスプレイが沖縄を離れることとなりますので、その駐留、訓練の時間が削減されることはこれは間違いないことであろうかと思っております。  他方で、一般論として申し上げれば、騒音につきましても、先ほど大臣から御答弁申し上げました離発着回数と同様に、様々な要因によって影響を受けるものであると考えております。  いずれにいたしましても、普天間飛行場におけます航空機の騒音は周辺住民の皆様にとって深刻な問題であると認識をしておりまして、その軽減を図ることは重要な課題と考えております。  防衛省としては、今後とも米側に対しまして普天間飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう一層の協力を求めるとともに、訓練移転を積み重ねるなど可能な限り地元の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
  284. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 防衛省としては、二年ほど前からしかこの実態、確認をしていないということですよね。  実際は、でも、一九九六年に合意された、夜十時、夜間十時以降の飛行については最小限にするということの合意はもう二十二年以上前に行われているわけです。にもかかわらず、この五年間という、安倍首相が約束した、できることは何でもやると言った中で苦情は倍増している。さらに、その十時以降の飛行はもう十一時が常態化している、そういう実態になっているわけです。  外来機の飛行についても、嘉手納でずっと言われてきたわけです。嘉手納でいろいろ、日本我が国の予算で、県外移転というもので訓練移転を実施して、築城などにも移転をしているけれども、ここに来る外来機についてはこれは関係ないですよという、平気でアメリカ軍が言っている。  つまり、何のための移転なのか。このスペースを空けた分、今さっき申し上げましたように、この中でも、これは三十年三月ですけれども、百五十七回外来機が飛来している、離着陸している。その中にジェット戦闘機やジェット空中給油機が入っているわけですよ。だから、言った負担は、恒例的に飛んでいれば、ああ、どこか、この音だなと分かるけど、違う飛行機が、十種類ですけど、新たに来るたびに違うコースで飛んできて、本当驚かすわけですよ、住民をですね。その苦情の中にもそれが出ております。  そういったことを、やはり現場を見ないでこの負担軽減という話をしたりするのはこれはおかしい話なんで、きちんとやはりこの外来機の飛来の在り方についてもきちんとやはり言ってもらいたいと、このように思います。  先日も委員会指摘しましたが、宜野湾市民から寄せられたこの苦情は具体的なんですね。具体的です。夜の十一時、もう十二時を過ぎているとか、あるいは十二時前とかということも含めて、このジェット機がなぜ飛ぶのかということも含めてですね。  そういう意味では、岩屋大臣には目を通されているというふうにお答えもありましたので、やはりしっかり見たと思いますけれども、いま一度この苦情等を読まれてどのようなお感じでしょうか。是非、大臣の思いをしっかり聞かせてください。
  285. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 宜野湾市に対しまして、ここ数年、年間四百前後の苦情が寄せられていて、過去五回の訓練移転期間中にも苦情が寄せられているということは承知をしております。そして、私もそれを拝見させていただきました。  訓練移転期間中、その苦情の件数は相対的に減少していると思いますけれども、航空機の騒音はあの周辺住民の皆様にとっては深刻な問題であると私も認識をしておりまして、その軽減を図っていくことは重要な課題だというふうに認識をしているところでございます。  防衛省としては、米軍に対しまして、騒音規制措置遵守、休日や地元の重要な行事に対する配慮をしっかりと申し入れていきたいと思いますし、訓練移転も更に進めていきたいというふうに思っております。さらに、住宅の防音工事などもしっかりやらせていただきたいと思っております。今後とも、防衛省として、普天間飛行場周辺の騒音の軽減、これを図るために一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  286. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 委員の皆様にも御理解いただけたと思いますが、普天間飛行場に係る負担軽減措置を政策目的として行われた県外への訓練移転は、客観的な離着陸回数や騒音状況でも、主観的な苦情の件数、内容でも、全く負担軽減の効果が出ていません。  政策効果を有しない事業に平成二十八年度で確定額で三億六千八百万、二十九年度は予算で十八億七千八百万、三十年度は二十三億千七百万円もの予算が計上され、そしてさらに米軍にも渡されております。我が国の財政上、極めて憂慮すべき問題です。目的が実現されていないのに繰り返される、こういう支出ですね。  委員長に是非お願いいたしますが、訓練移転経費を対象に、国会法第百五条に基づく会計検査院への検査要請を行っていただきたいと思います。お取り計らいください。
  287. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 後刻理事会において協議いたします。
  288. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 改めて、負担軽減策としての訓練移転の目的が日本政府と海兵隊を始め米側と共有されているのか疑問です。いかがでしょうか。
  289. 岩屋毅

    国務大臣(岩屋毅君) 米軍の航空機の訓練移転につきましては、これまで日米合同委員会を始めとする累次の機会に、在沖米海兵隊を含む米側との間でその目的等について認識を共有した上で具体的な訓練実施に係る調整を行い、進めてきております。  特にMV22オスプレイにつきましては、沖縄の一層の負担軽減を図るために、平成二十八年九月の日米合同委員会において、普天間飛行場に配備されたMV22オスプレイの訓練を日本側の経費負担によって沖縄県外に移転していくことを合意し、これまで陸上自衛隊及び米海兵隊によるMV22オスプレイ等を使用した共同訓練を実施してきております。来月には、私の地元の大分県日出生台の演習場でも実施をする予定でございます。  私どもとしては、これらの取組によりまして、普天間飛行場に所在するオスプレイが長期間沖縄を離れることとなって沖縄の負担軽減に寄与するというふうに考えておりまして、引き続き移転訓練を積み重ねて沖縄の負担軽減を図ってまいりたいというふうに考えております。
  290. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 負担軽減目的の移転にはなっていないんじゃないでしょうか。私も見ましたけれども、共同訓練なんですね。そもそも沖縄には自衛隊との共同訓練する場所はありません。つまり、共同訓練をやるということで必然的に本土に行くんです。ですから、あえてそれを負担軽減といって行っているところにおかしな問題があるのではないかということも指摘をしておきたいと思います。実際、それがもしそうならば、本当の結果としてここに反映がなければいけないんです。日出生台を含め、そういう演習場がないんですから、沖縄では、自衛隊のですね。ですから、そのことを指摘をしておきたいと思います。  いずれにしても、今の政府の取組の中では、実は日米合同委員会協議しても国民には開示されず、政府は一貫して日米安保条約を擁護しながら、学校の児童、今、普天間第二小学校などの児童の真上を、近くを飛ぶ、あるいは保育園の上を飛ぶ、このようなことについては日米合意を守らせ切れていないんですよね。こういうことであるならば、今の在り方、やはりもっとその地位協定、日米地位協定をしっかり改定する必要があると思います。  資料の中に提示しておりますけれども、沖縄県の他国地位協定、最後のページですが、他国地位協定調査中間報告書によりますと、イタリアの元首相とのヒアリングでは、「米軍基地があるのは日本だけではないが、インターナショナルな見直しを進めていかないと、日米関係だけが奇異な関係になってしまう。米国の言うことを聞いているお友達は日本だけだ。」と、こういうふうに話しているんですね。私たちの国はまさにそうなっているのではないか。だから、本来あるべきような形で議論をしっかりして、国民に被害を与えないような、そういうことをやるべきじゃないでしょうか。  河野外務大臣も岩屋防衛大臣も、かつて自民党の日米地位協定を改定し日米の真のパートナーシップを確立する会の幹事長や副会長として、いわゆる地位協定改定案なども出した方です。そういう中で、やはり日米地位協定の在り方を変えていくことが今求められているのではないかと思いますけれども、どのように受け取っているでしょうか。
  291. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 地位協定に関する一つ一つの具体的な問題に関しまして、政府としては最も効果的かつ適切に、対応、方法で取り組んでまいりたいと考えております。
  292. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 質疑をおまとめください。
  293. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 はい。  今申し上げましたように、日本国民の被害をそのまま放置するような今の流れでは、日米安保条約というのは、もう私たちを、日本を置き去りにしてしまうものになりかねないです。ですから、もっとしっかりと国民の声を聞けるような、そういう取組をしてもらわないといけないんだということを指摘して、終わりたいと思います。
  294. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  295. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣
  296. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) ただいま議題となりました社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十三年十月以来、中華人民共和国政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成三十年五月九日に東京において、この協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、我が国と中華人民共和国との間で年金制度に関する法令の適用について調整を行うことなどを定めております。  この協定締結により、年金制度への二重加入の問題の解決等を通じ、両国間の人的交流が円滑化し、ひいては経済交流を含む両国間の関係が一層緊密化することが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  297. 渡邉美樹

    委員長渡邉美樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十三分散会