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伊藤(渉)
委員 続いて、今最も国会で議論をされております外国人受入れの拡大について、御質問をさせていただきたいと
思います。
まず、法務
委員会、連日大変熱心に御議論をいただいておりまして、この中で、幾つかの論点、整理をされてきていると
思います。
改めて紹介をさせていただきますけれども、今回の制度は、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお労働力が不足をする分野に限り、新しい在留資格を設けることとし、来年四月から制度をスタートさせることを目指す議論が行われている。
また、今回の受入れ制度は、永住を目的として受け入れるものではなく、深刻な人手不足の
状況に
対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものである。
るる論点整理がなされている中で、今、一つ大きくクローズアップをされているのがいわゆる技能実習生の失踪のことですけれども、これも先週の法務
委員会で我が党の浜地議員が質問をしておりまして、その中で、まず一つは、技能実習制度の
連携で行われている建設業界の外国人建設就労者受入事業、これは移行の割合が三割から四割と言われていますけれども、その中で、失踪者が、二千九百八十三名に対して三十五名、一%程度ということも明らかにしていただきました。
また、技能実習制度は、昨年十一月から改正を施した上で再施行されておりまして、本年六月には海外からも評価を受けているということも明らかになりました。
また、失踪者の発生率は、平成二十九年度で約二%、そして本年、まだ途中ですけれども約一%、一・三%という答弁だったと
思いますけれども、割合は着実に低下をしておりまして、もちろん、まだまだなすべきことはありますけれども、制度としての論点は整理をされてきていると、私は法務
委員会でのやりとりを聞いていて認識をいたしました。
その上で、もう一つ、この制度を入れる上で大事な観点は、
日本人側の意識改革だと私は思っています。
実は、愛知県の豊橋市に、大きな、岩田団地という団地がございまして、愛知県中部は物づくりの集積地ですので、もともと海外の方が多い。この団地は、実は十六棟、六百世帯から成る団地なんですね。階段ごとに十世帯から成る組がありまして、組長がその組のまとめ役を担うんですけれども、六十七組ある組の中で、何と四十組が外国人が組長をやっていますという団地があるんですね。
長年、自治会の取組は、これは愛知県からも多文化共生の表彰を受けています。こういう話、自治会の役員の方の話も紹介させてもらうと、例えば、最初は回覧板一つとっても、外国人から
意味がわからないと苦情がありました、でも、それは当然です、
日本語が
理解できない人もいるし、お国には回覧板の文化はありません、ごみの仕分も
日本独自ですからと。こういうことが現場で一つ一つ丁寧に
対応されているというのが実態なんです。
その中で、例えば、これは毎月、組長
会議ということも行われておりまして、それぞれの通訳も加わって率直な意見交換が行われて、加えて、海外の、外国人の方にとって大きな支えとなっているのは、何でも気軽に相談できる集会所の存在。これは午後七時から午後九時まで、団地の真ん中にある集会所で、自治会役員が常駐して、生活上の悩みや相談を受けている。これはぜひ参考にしていただきたい、
政府がつくる仕組みにおいても。
こういったことを踏まえると、例えば、
日本国際交流センターの毛受氏はこうやって言っています。
日本人の心構えとして最も重要なのは対等性である、相手を一人の人間として見るという基本的なマナーが求められると言っています。
今回の法改正は、海外の方を単なる労働力、ひいては他人と見るのか、それとも、
地域をともに担う一人の人間と見るのか、我々
日本人側の意識が問われている。そのことを強く認識をする必要があると思っております。
また一方で、ある造船の現場で
お話をお
伺いすると、造船の現場の方はこうやって言っていました。
日本人には、外国人を働かせてあげているという
思いがあったのだと
思います、この意識を改めることが大切だと感じましたと。
つまり、私が言いたいのは、現場は進んでいるんです。早く制度を整備してあげなかったら現場が困るということを
大臣はよく
理解をして、この議論に
参加をしていただきたいと
思います。
そういう
意味で、技能実習制度を含めて、海外の方に
我が国で活躍をいただくという方向性は着実に
日本社会に定着しつつありまして、外国人の方を安価な労働力などとしか見ない古い意識の経営者は淘汰されていくと私は確信をいたします。
その上で、法務
大臣にお
伺いをいたしますけれども、本制度の細部にわたって点検をし、
我が国の人手不足を補うという経済的な側面はもとより、一人の人間として
日本に来た、
日本を選んだ海外の
方々に
日本を好きになってもらって、外国人受入れを通して国際貢献につなげていく、そうした心のこもった制度の
実現に向けてぜひ引き続き努力をしていただきたいと
思いますが、答弁を求めます。