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2018-10-30 第197回国会 衆議院 本会議 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
三十年十月三十日(火曜日)
—————————————
議事日程
第三号
平成
三十年十月三十日 午後二時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続) 午後二時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君)
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
を継続いたします。
斉藤鉄夫
君。 〔
斉藤鉄夫
君
登壇
〕
斉藤鉄夫
3
○
斉藤鉄夫
君
公明党
の
斉藤鉄夫
です。 私は、
公明党
を代表して、
安倍総理
の
所信表明演説
に対し、
総理
並びに
関係大臣
に質問いたします。(拍手)
少子高齢化
という
我が国最大
の
ピンチ
もまた、
チャンス
に変えることができる。
安倍総理
の決意あふれる
所信表明演説
をお伺いしました。
総理
は、あらゆる施策を総動員して
少子高齢化
を克服することに強い決意を述べられました。私も同じ思いであります。 子供から
現役世代
、お年寄りまで、全ての世代が安心でき、希望が持てる
社会
を築くため、全
世代型社会保障
への改革を着実に前へ進めていかなければなりません。 そして、もう一つの
ピンチ
とも呼ぶべき
自然災害
が近年相次いでいます。 これまでの常識が全く通用しない
集中豪雨
や
巨大台風
、地震などに襲われた
日本列島
。
被災地
の
復旧復興
への加速は待ったなしであります。 一方、
国際社会
に目を転じると、
保護主義
への懸念が高まっています。
自由貿易
の
ピンチ
と言えば言い過ぎでしょうか。
グローバル化
によって、
国際社会
はさまざまな恩恵を受けてきましたが、半面、格差の拡大や難民問題、
貿易摩擦
といった不満や不安が増大しています。今後も、TPP11協定や日・EU・EPAの
早期発効
など、多国間の
自由貿易体制
の強化のため、日本が先頭に立って走らねばなりません。 これらの
ピンチ
、困難を
チャンス
に変えて日本を前に進めるために必要なのは、幅広い
国民合意
に基づいた
政治
の安定と
政策遂行
です。
公明党
は、そのための
建設的議論
のかなめとなって
合意形成
に努力していく所存です。 今国会から、
NHKテレビ
の本
会議中継
を初めて
字幕つき
で見ることができるようになりました。 これまで長年にわたり、私
ども公明党
は、
聴覚障害者団体
、
高齢者団体等
の皆様から強い要望を受け、
国会中継
の
字幕放送
の実現に努力してきたところであります。このたびの実現は、真の意味での
ユニバーサル社会
の実現に向けての大きな一歩と高く評価するものであります。 残念ながら、
予算委員会
などの
字幕放送
は今のところ実施できないとのことですが、より多くの
国民
の皆様が
国会審議
の情報を共有できることは、
民主主義
の大事な前提であり、その実現に向け、さらなる努力をしてまいりますことをお約束いたします。 以下、諸課題について質問します。
東日本大震災
、
熊本地震
、ことしに入って大阪府
北部地震
、
西日本豪雨
、台風二十一号、
北海道胆振東部地震
など、これまで経験したことのないような大規模な
自然災害
が相次ぎ、
日本列島
に甚大な被害の爪跡を残しました。 お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。
国民
の命を守る、そして一日も早く日常の
暮らし
を取り戻す、それが
政治
の使命です。
我が国
は
地震活動期
に入ったとの指摘や、
地球温暖化
の影響も論じられています。
南海トラフ巨大地震
や
首都直下地震
は、いつ起きてもおかしくない状況にあります。 まさに
自然災害
が人間の
安全保障
の大きな脅威となっていることは紛れもない事実です。
国民
の命を
自然災害
から守る、この人間の
安全保障
が
政治
の大きな役割になってきたと考えます。 私
たち公明党
は、これまでも、災害に強い
国づくり
を目指し、
防災
・
減災ニューディール
を提唱し、
国土強靱化基本法
の成立を始め、あらゆる
防災
・
減災対策
に全力で取り組んでまいりました。 しかし、激甚化する
自然災害
から
国民
お一人お一人の命を守るには、まだ足りません。私
たち政治家
の
根本意識
、そして
国民
お一人お一人の
防災意識
を高めていかなければなりません。
国民
の命と
暮らし
を守るため、今こそ、
防災
、
減災
、復興という最重要の
テーマ
を
政治
の主流に位置づけ、
防災意識
を高める教育を含めて、
社会
の主流へと押し上げなければならないと考えています。
政治
が担うべき人間の
安全保障
としての
防災
・
減災
という考え方について、
総理
のお考えを伺います。 大阪府
北部地震
の発災から四カ月以上が経過した今も、損傷した屋根に
応急処置
の
ブルーシート
が張られたままの家屋が数多く残っています。屋根を修理するにも、専門の職人さんらの
人手不足
が深刻な上、
公的支援
に対する不安の声も数多く寄せられています。
広域支援体制
の構築など、家屋の
早期修繕
を進める取組が必要です。
西日本豪雨
で五十一人ものとうとい命を奪った岡山県倉敷市真備町の水害では、
犠牲者
の多くは
高齢者
でした。
ひとり暮らし
の方も多く、夜間に自力で避難することの難しさが
浮き彫り
になりました。住む家を失い、
避難生活
が長期化する住民からは、これからの
生活設計
が見通せないといった声や、
事業者
の方々からは、将来の展望が立たないといった悲痛の声が寄せられています。 また、
北海道
の
被災地
では、間もなく冬を迎えようとしています。今も
避難所
の
暮らし
を余儀なくされている方々も多く、
なりわい
の再建はまだ緒についたばかりです。寒さ
対策
や新たな住まいの確保が急がれます。 被災された方々の
復旧復興
をどう進めていくのか、
総理
の答弁を求めます。 また、大阪の地震では、小学校の
ブロック塀
が倒壊し、通学途中の児童が死亡する痛ましい事故が発生しました。
文部科学省
が行った
緊急調査
では、
安全性
に問題のある危険な
ブロック塀
を保有する
学校施設
は全国に一万二千校以上もあることが判明しました。
学校施設
の
安全対策
の加速とともに、
ブロック塀
の
所有者
など
地域住民
の
意識改革
を進め、
通学路
を始めとする
一般道路周辺
の
安全対策
についても抜本的に強化すべきです。
通学路
や
一般道路
に面している民間の
ブロック塀
の
安全対策
について、
総理
の答弁を求めます。
海上空港
である
関西国際空港
は、台風二十一号の影響によって
連絡橋
が損傷し、
ターミナルビル
や
滑走路
などが浸水して
電源設備
も破損、約八千人が孤立する事態になりました。多くの
外国人旅行者
に大きな不安を与える結果となりました。
関西国際空港
の
連絡橋
の
早期復旧
とともに、国内にある
中部国際空港
など五つの
海上空港
の
防災対策
、
国際空港
が
機能麻痺
した場合の人の流れ、物流の確保、また港湾の
防潮堤
の強化などに取り組まなければなりません。
海上空港
、
国際空港
の
防災対策
について、
国土交通大臣
の答弁を求めます。
西日本豪雨
では、愛媛県宇和島で起きた土砂崩れによって出荷前の
ミカン畑
があっという間に流されるなど、愛媛県や広島県、岡山県を中心に、三千億円を超える
農林水産業
の被害が発生しました。 台風二十一号でも、
ビニールハウス
の損壊が近畿や四国、
東海地方
、また
北海道
などで相次ぎ、
被害規模
の大きさから、農家の
営農意欲
の低下を心配する声が聞かれています。
北海道
の
基幹産業
である農業、
酪農業
、
水産漁業
なども、
道内全域
が停電するという
ブラックアウト
によって甚大な被害を受けました。
搾乳機
や
冷却装置
が使えなくなった
酪農家
が、多くの
生乳廃棄
を余儀なくされました。改めて、電源の
多様化
と
ベストミックス
の重要さを痛感させられました。 被災された農家や
酪農家
、
漁業者
の皆さんが希望を持って
なりわい
の再生に取り組めるよう、
関連施設
の
早期復旧
とともに、経営安定に向けた施策の
財源確保
など、きめ細かな
支援
が必要です。
自然災害
は、観光にも多大な影響を及ぼしています。
北海道
では、地震の影響で
宿泊客
のキャンセルが相次ぎ、
地震発生
から約一カ月で
観光消費
の損失は三百五十六億円にも上りました。
公明党
は、すぐに、
観光需要
を喚起させる
支援
など迅速な対応を政府に提言し、十月から、
北海道
への旅行を割引する
北海道ふっこう割
がスタートしました。その効果は着実に出始めています。 しかし一方で、
訪日客
の約三割が使用すると言われる
関西国際空港
での
機能麻痺
を始め、各地での
自然災害
による
風評被害
の影響によって、これまで順調に拡大していた
外国人旅行者
の
伸び率
が鈍化しています。
農林水産業
や
観光業
の復興について、
総理
の答弁を求めます。 今、日本の抱える課題は何か。 急速な
人口減少
と
少子高齢化
などを乗り越える大改革を進める上で、幅広い
国民
の声に応えた
合意形成
型の
政治
が果たす役割は一層大きくなっています。 そこで、私
たち公明党
は、本年四月から六月にかけて、一対一の膝詰めで声を聞く百万人訪問・
調査運動
を行いました。運動では、人に焦点、生活に密着という視点に立ち、
子育て
、介護、
中小企業
、
防災
・
減災
の四
テーマ
で
アンケート
を実施しました。 調査を通してわかったことは、さまざまな
制度
が設けられてはいるものの、
利用者
の側に立った
制度
への変革が必要なこと、そして、伴走型とも言える、
国民
に寄り添った
支援
が求められるということでした。 その観点から、具体的に質問します。
子育て
に関する
アンケート調査
では、
教育費
の経済的な負担に関して何らかの不安を抱いている人が全体の七割を超え、
公明党
が取り組んできた
教育負担
の
軽減
に対するニーズの高さが改めて
浮き彫り
になりました。 本年六月に閣議決定された
経済財政運営
と改革の
基本方針
、いわゆる
骨太方針
には、私たちが訴えてきた
幼児教育
の
無償化
や
私立高校授業料
の
実質無償化
、大学の
授業料減免
、
給付型奨学金
の拡充などが着実に実施されることが明記されています。
国民
が求める
教育負担
の
軽減
を確実に実現するとともに、
少子化克服
のためにも
多子世帯
への
支援
を拡充すべきと考えます。特に、
高等教育
への
支援
については、負担が大きい
多子世帯
などに配慮した
制度設計
にすることや、
中間所得世帯
にも必要な
支援
を講ずるよう検討すべきです。
教育費
の
負担軽減
について、
総理
の答弁を求めます。 介護を
テーマ
にした
アンケート調査
では、
認知症
に対する不安の声が数多く寄せられ、
認知症施策
の
重要性
が一層明らかになりました。
認知症
に関する課題は、医療、介護にとどまらず、教育や
地域づくり
、
生活支援
、雇用など多岐にわたり、各府省にまたがって関係するため、政府を挙げた総合的な取組が必要です。 現在、
認知症
への取組は新
オレンジプラン
に基づき進められていますが、
公明党
は、その
根拠法
となるべき
基本法
の制定を目指しており、本年九月にその
骨子案
を取りまとめました。
認知症施策
は、党派を超えて取り組むべき喫緊の課題であります。皆様の幅広い合意を得ながら、一日も早い
国会提出
、成立に全力を挙げて取り組んでまいる所存です。
認知症施策
の取組について、
総理
の答弁を求めます。
中小企業
への調査では、現行の
支援制度
について、利用したことがあるが約六割に達し、
公明党
が推進してきた
相談支援機関
の利用や
税制支援
、
補助金制度
などに高い関心が寄せられました。 一方で、
制度
を利用したことがない
事業者
からは、そもそも
支援制度
を知らないとの声が圧倒的に多く、
制度
の
周知不足
が
浮き彫り
となりました。
公明党
としては、
各種支援策
を取りまとめた
中小企業応援ブック
を作成し、全国の中小・
小規模事業者
の皆様に周知を図っているところではありますが、政府に対し、改めて
支援制度
の
周知徹底
を求めます。 あわせて、
事業者
の方々が
支援策
の
情報入手
から
補助金申請
などを
ワンストップ
で行うことができるプラットホームの構築を進めるとともに、地域の
支援機関
の
相談員
が直接、
事業者
のもとへ足を運び、相談に応じる
伴走型支援
の強化などに取り組むべきです。
中小企業
の
支援策
について、
総理
の答弁を求めます。 来年度の
税制改正
に向けて、三点質問します。 一点目は、
車体課税
の
見直し
です。
自動車
は、取得、保有、利用、走行の各段階で課税がなされ、
自動車ユーザー
の
税負担
の
軽減
はかねてより課題となっております。
移動手段
が少ない地方を始め、
高齢者
や
子育て世帯
など、
自動車
が
日常生活
に欠かせない存在となっている中で、
自動車ユーザー本位
の
見直し
が必要です。 その上で、
先進安全技術
の
搭載車
や
環境性能
にすぐれた
自動車
を普及する観点から、
エコカー減税
や
グリーン化特例
、
バリアフリー車両
や
先進安全技術
を搭載したトラック、バスの
特例措置
は、引き続き延長すべきです。 一方で、
車体課税
は道路や橋などの
インフラ整備
といった
自動車
に必要な
行政サービス
を賄う財源となっていることから、
地方財政
に影響を与えないよう配慮しつつ、総合的に検討しなければなりません。
車体課税
の総合的な
見直し
について、
総理
の答弁を求めます。 二点目は、子供の貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つ一人親に対する税制上の対応についてです。 現在、一人
親世帯
への
支援
としては、
配偶者
との死別や離別した一人
親世帯
に対し、
所得税
、
住民税
の寡婦(夫)控除、フは婦人のフと夫のフと両方の場合があります、寡婦(夫)控除が適用されています。 しかし、未婚の一人
親世帯
についてはこの
税制措置
の
対象外
となっており、同じ一人
親世帯
にもかかわらず、
税負担
に格差が生じています。 各
自治体
においては、今年度より、未婚の一人親に対して寡婦とみなして
保育料
などを
軽減
する等の対応が進んでいますが、
税制面そのもの
の不公平を速やかに是正しなければなりません。 昨年度の
与党税制改正大綱
において、平成三十一年度
税制改正
において検討し、結論を得るとし、我が党は来年度の実現を強く決意しております。 未婚の一人
親世帯
に対する税制上の対応について、
総理
の答弁を求めます。 三点目は、
事業承継税制
についてです。
事業承継
については、今年度の
税制改正
で、
納税猶予
の対象となる株式の
上限撤廃
など、
事業承継税制
の大幅な拡充を実現しました。 一方で、
小規模事業者
の六割が、株式を保有しない
個人事業者
です。こうした
事業者
に対しても、
事業継続
に不可欠な
事業用資産
の承継に伴う
税負担
の
軽減
など、
次期税制改正
においてさらなる
対策
を講じるべきです。
個人事業主版事業承継税制
の創設について、
総理
の答弁を求めます。 さて、明年十月に
消費税率
が一〇%に引き上げられます。 このたびの
引上げ
は、急速な
少子高齢化
に伴って増大する
社会保障費
を確保するとともに、
増収分
を新たに
子育て支援
に活用し、
幼児教育無償化
などの
教育負担
の
軽減策
を実行することで、全ての世代が安心できる全世代型の
社会保障制度
を確立するためであります。 しかしながら、
消費税率
の
引上げ
は、
逆進性
もあり、少なからず家計を圧迫します。前回の
引上げ
時には、
駆け込み需要
に伴う消費の
反動減
が生じ、
経済成長
に大きな影響を及ぼしました。 こうした教訓を踏まえ、
国民生活
を守り、景気、経済への影響を緩和する万全の
対策
を講ずる必要があります。 以下、四点質問します。 第一に、家計の
負担軽減策
です。 家計に対する最大の
負担軽減策
は、
軽減税率制度
の実施であります。 せめて、せめて毎日の生活に必要な
食料品
だけでも
消費税率
を軽くしてほしい、こうした庶民の切実な声に応えるため、酒、外食を除く全ての飲
食料品
や新聞などは、
税率
八%のまま据え置くことに決定しています。これによって、
日常生活
における買物の痛税感は大きく
軽減
され、景気、経済全体への
影響緩和
につながるものと確信しています。 食品の
軽減税率
は、EUでいえば二十八カ国中二十三カ国で導入されています。混乱なく運用されています。 私も、お隣の韓国に調査に行きました。韓国では一部の
食料品
に
軽減税率
が適用されていて、
制度
としては日本よりも複雑ですが、
複数税率
に対応した
レジシステム
を小さな
小売店
でも使っており、何の混乱もありませんでした。韓国のスーパーマーケットの
税務担当者
が私に、確かにちょっと煩雑だけど、それよりも、少しでも安い食品を買いたいというお客様の期待に応えるのが私たちの仕事だとおっしゃっていたのが印象的でした。 また、将来的には、
軽減税率
の導入を契機として、日本も、欧米、韓国のように
インボイス制度
を目指すことになっております。
インボイス制度
は、
事業者
間の取引が明確、透明になります。国に納めるべき
消費税
が
事業者
の手元に残るいわゆる益税を防ぐことにもなり、
消費税
が現在抱えている矛盾も解消されます。 六年前の民主、自民、公明の三
党合意
の中で、
逆進性対策
の三つの方法、選択肢の一つとして
軽減税率制度
が合意されていたことも一言つけ加えさせていただきます。
軽減税率制度
の円滑な実施に当たっては、全ての
事業者
に必要な準備を完了していただかなくてはなりません。 政府では、現在、中小の
小売事業者
に対し、
複数税率対応レジ
の設置や
受発注システム
の改修に対する
支援
として
軽減税率対策補助金
を実施していますが、まだ半分以上の予算が残っている状況と伺っています。 また、
日本商工会議所
の調査によれば、約八割の
事業者
が準備に取りかかっていないとの結果が出ており、
事業者
の準備のおくれが指摘されています。 こうした
補助金
の
活用促進
を含め、
軽減税率制度
の円滑な実施に向け、
事業者
の皆様の準備を後押しする取組が急がれます。
軽減税率制度
の意義とその確実な実施について、
総理
の決意を伺います。 第二に、
駆け込み需要
、
反動減対策
についてです。 前回の
引上げ
時には、価格の大きな住宅や
自動車
といった
耐久消費財
の
駆け込み需要
とその
反動減
によって、その年の四月から六月期の
個人消費
は大きく減少し、もとの水準に回復するのに四年近くかかりました。 こうした反省を踏まえ、
税率引上げ
前後の需要の
平準化策
を講じ、景気の腰折れを防ぐことが極めて重要です。むしろ、
税率引上げ
後に消費がますます拡大していくような大胆な
対策
が望まれます。 例えば、住宅については、
税率引上げ
後に購入やリフォームされた方に対し、商品や
サービス
と交換できる
ポイント
を付与する
住宅エコ
・
耐震ポイント制度
を創設することや、
住宅ローン減税
、すまい
給付金
の拡充などが必要です。
自動車
については、
税率引上げ
後の購入時にかかる
税負担
を大胆に
軽減
するなど、
税率引上げ
後の購入にメリットがあるような環境をつくり出すことが重要と考えます。 特に、住宅については、明年四月以降の
請負契約
から一〇%が適用されるケースが生じることから、早急に
対策
を取りまとめ、
国民
の皆様に早期に告知しなければならないと考えます。 景気、経済全体への影響を限りなく抑制するための
駆け込み需要
、
反動減対策
について、
総理
の答弁を求めます。 第三に、
中小小売業
、
商店街活性化策
についてです。
税率引上げ
前後、大規模な
セール商戦
が予想され、
地域住民
の身近な
購買所
であり、地域のにぎわいの創出を担う中小の
小売店
や
商店街
へのしわ寄せが懸念されます。 政府では、こうした
地域経済
の根幹を担う中小の
小売業
が不利にならないよう、
税率引上げ
後の
一定期間
に限り、
ポイント還元
といった新たな手法による
支援
を行うこととしています。
キャッシュレス決済
の推進は、景気、経済の
活性化
へ寄与するものと期待しています。しかし、
我が国
の
キャッシュレス支払い比率
は現在およそ二割と言われ、明年の十月時点では、その恩恵を受けられる方は限定的であり、
消費喚起策
としては不十分なものになりかねないと懸念しています。 そこで、
制度設計
に当たっては、クレジットカードを持たない方を始め、
商店街
を利用する幅広い方に恩恵が行き届くような仕組みが重要です。
各種カード
の利用や
決済端末
の
導入支援
など、十分な
対策
を講じていただく必要があると考えますが、
総理
の答弁を求めます。 最後、四点目は、
価格表示
の
あり方
についてです。 現在は、
税込み価格
を表示する
総額表示
が義務となっていますが、
転嫁対策
の一環として、二〇二一年三月末までの間は、一定の
誤認防止措置
を講ずれば
税抜き価格表示
が可能となっています。 長年、
税抜き価格表示
を続けてきた
事業者
からは、
総額表示
に切りかわるだけで
消費者
に大きな
値上げ感
を与え、
売上げ
の減少につながるのではないかと危惧されています。現に、
税抜き表示
から
総額表示
に切りかえた業者の中には、
売上げ
が著しく減少し、慌てて
税抜き表示
に戻したとの声もあります。 価格の
表示方式
の
あり方
について、
総理
の答弁を求めます。
行政機関
における
障害者雇用数
の不適切計上問題について伺います。
公明党
は、今月十七日、政府に対して多岐にわたる
緊急提言
を行ったところですが、二十二日に
検証委員会
の
報告書
が公表され、二十三日に、
再発防止策
も含め、今後の対応について
基本方針
が決定されました。 検証結果によると、裸眼による視力での判断や
退職職員
の計上など、ずさんこの上ない不適切な慣行が長年行われていた事実が明らかになりました。民間の範となるべき
中央官庁
において不適切な計上を行っていたことは、断じて許されない事態です。その原因は厳しく追及されなければなりません。 政府として
基本方針
を着実に実施するためには、
障害者手帳
の有無により不利益が生じないかという問題や、障害の特性に応じた
合理的配慮
の実施など、
障害者団体
や当事者の皆様の御意見も踏まえ、多面的な対応が必要です。 各府省における四千人を超える今後の
採用計画
や
別枠選考試験
の実施も示されてはいますが、単なる
数字合わせ
の取組は許されません。真に
障害者
の方々の
職業的自立
につながる総合的な取組が求められています。 また、
制度
を所管する
厚労省
の
チェック機能
の強化など、
再発防止
に向けた
法改正
が必要です。具体的な検討を進めるべきと考えます。
行政機関
における
障害者雇用
の促進について、
総理
の答弁を求めます。 最後に、一言申し上げます。 日本は今、
少子高齢化
が急速に進み、本格的な
人口減少時代
に突入しています。こうした時代の変化を踏まえた上で、一人一人が輝き、将来にわたる安心と希望を持ち続けられる
社会
を構築することは、
政治
の責任であります。
国民
は今、何に不安を感じ、何を望んでおられるのか。
国民
の側に立った
政治
が求められています。 私
たち公明党
が全国で展開した百万人訪問・調査は、
国民
との対話によって民意を酌み取るという、まさに
公明党
の
立党精神
である「大衆とともに」を具現化する取組です。
公明党
は、この立党の原点に立ち、
国民
の声に真正面から向き合い、具体的な政策を立案し、その実現に全力を挙げて取り組むことをお誓い申し上げ、私の
代表質問
を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君登壇〕
安倍晋三
4
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)
斉藤鉄夫議員
にお答えをいたします。
防災
・
減災対策
について
お尋ね
がありました。 近年、
災害
が激甚化する中、
議員
御
指摘
のとおり、
国民
の命を守る
防災
・
減災対策
は、
我が国
の
政治
、
社会
にとって重要かつ
喫緊
の
課題
であり、まさに
人間
の
安全保障
における重要な
テーマ
と言えると思います。そのため、
政府
として、
全国
で
防災
・
減災
、
国土強靱化
のための
対策
を年内に取りまとめ、三年間で集中的に
実施
していくこととしております。 その中で、大切なことは、
政府
による
公助
は
もと
より、
国民
一人一人がみずから取り組む自助、そして、
地域
、
企業
、
学校
、ボランティアなど、互いに助け合う共助を組み合わせ、
地域
全体で
防災意識
を高め、あらゆる
自然災害
に備える
防災意識社会
を
構築
していくことであります。
政府
として、こうしたソフトとハードを組み合わせた
対策
を総動員して、
防災
・
減災
、
国土強靱化
に取り組んでまいります。
被災地
の
復旧復興
について
お尋ね
がありました。
政府
としては、一連の
災害
に対し、
関係自治体
の
復旧復興事業
が進むよう、
予備費
を十分に活用して、
発災
直後直ちに
プッシュ型支援
を
実施
するとともに、
応急仮設住宅
の
確保
を含む、
生活
や
なりわい
の再建に向けた
支援策
の
実施
、激甚
災害
の指定などの
対策
を迅速に講じてきたところであります。 今回、一連の
災害
で生じた
被害
の
状況
や
地域
ごとの
復旧復興
の進捗等に応じて、必要な財政措置を講ずるため、
平成
三十年度補正
予算
案に九千三百五十六億円を
計上
しているところであり、
早期
の
成立
の御理解と御協力をお願いいたします。 被災者
支援
については、御
指摘
のとおり、
被災地
域により異なるニーズ、被災から時間の経過により変化する被災者一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添った
支援
を切れ目なく行うことが重要であります。
政府
として、引き続き、被災者の
方々
の
生活
、
なりわい
の再建に
全力
を尽くしてまいります。
ブロック塀
の
安全対策
について
お尋ね
がありました。 六月十八日に発生した
大阪
北部地震
において、小
学校
の
ブロック塀
が倒壊することによりお亡くなりになられた女子児童とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。
政府
としては、
子供
たち
の命を守るため、
学校
の
ブロック塀
の
安全対策
を推進する経費を
平成
三十年度補正
予算
案に
計上
しているところです。
早期
の
成立
の御理解と御協力をお願いいたします。 また、
通学路
や
一般道路
に面している
民間
の
ブロック塀
等について、まずは、
ブロック塀
等の安全点検のチェック
ポイント
を公表し、
安全性
を
確保
するよう
周知
してきたところです。 加えて、
地方
公共団体が指定する避難路に面するものについて、耐震改修
促進
法に基づき、耐震診断を義務づけるとともに、
ブロック塀
の撤去費用等に対する
支援
を推進することを
政府
として検討を進めているところです。 引き続き、
ブロック塀
等の安全の
確保
について徹底した啓発を行うとともに、規制や
支援制度
を総動員して、
ブロック塀
等の
安全対策
に
全力
で取り組んでまいります。
農林水産業
や
観光業
の
復興
について
お尋ね
がありました。 この夏、
西日本豪雨
や
北海道胆振東部地震
を始め、大きな
自然災害
が相次ぎ、
地域
の
基幹産業
である
農林水産業
や
観光業
にも甚大な
被害
をもたらしました。
政府
としては、
公明党
からいただいた御提案も踏まえ、復旧の
加速
化、
なりわい
の再建、
観光需要
の喚起などの
取組
を進めています。
農林水産業
については、被災された
方々
の心に寄り添いながら、壊れた農地や水路の修復、ため池の補修など
災害
復旧を
加速
化するとともに、ハウスの再建や果樹の植えかえといった営農再開に向けた
支援
など、
なりわい
の再建に向けた歩みを力強く後押しすることにより、被災された
方々
が
農林水産業
を続ける意欲を失わず、一日も早く経営再開できるよう、きめ細やかに
対応
していく考えであります。 また、
観光業
については、多くのキャンセルが発生し、九月の訪日
外国人旅行者
数が五年八カ月ぶりにマイナスとなるなど、大きな
影響
が生じました。
政府
としては、ふっこう割による宿泊
支援
、
災害
情報
の外国語による提供など外国人
観光
客の安全、安心の
確保
、正確な
情報
発信や国内外へのプロモーションなど、二〇二〇年に
外国人旅行者
数を四千万人とする目標達成に向け、総力を挙げて
対策
を講じてまいります。
教育
の
無償化
について
お尋ね
がありました。
子育て
や
教育
に係る費用の
負担
が重いことが少子化の要因の
一つ
となっており、
教育費
負担
の
軽減
を図っていくことは重要な
課題
であると認識しています。 このため、昨年十二月の新しい
経済
政策
パッケージ及び本年六月の骨太の方針二〇一八において、
消費税
の使い道を見直すこととし、
幼児教育無償化
や真に必要な
子供
たち
に限った
高等教育
無償化
など、人への投資を
拡充
することとしたところです。 こうした考え方に基づき、新たな
高等教育
費の
負担軽減策
については、
子供
の数も踏まえて算定される
課税
所得に着目し、
住民税
非
課税
世帯とこれに準ずる世帯を
対象
としております。 また、中間所得層に対しては、これまで無利子奨学金の充実を図ってきたところであり、更に中間所得層における大学等へのアクセスの機会均等について検討を継続することとしております。 人への投資に力を入れてきた御党とともに、こうした人づくり革命を断行し、急速に進む
少子高齢化
という国難に立ち向かい、
子供
たち
の誰もが夢に向かって頑張ることができることが当たり前となる
社会
をつくってまいります。
認知症施策
について
お尋ね
がありました。
認知症
は、誰もがかかわる可能性のある身近な病気です。
認知症
の方ができる限り住みなれた
地域
で暮らすことができる
取組
を進めていく必要があります。 このため、
我が国
の
認知症
国家戦略として策定した新
オレンジプラン
に基づき、
早期
診断、
早期
対応
のための初期集中
支援
チームの設置や
認知症
疾患医療センターの整備などの適時適切な医療、
介護
の提供、
認知症
カフェの設置など
介護
者
支援
、市町村における見守り体制の
構築
など、総合的な
施策
を進めていきます。 また、
基本法
の制定という御提案をいただきました。
政府
としては、
認知症
の人を
社会
全体で支えるため、必要な
施策
を
政府
一丸となって推進してまいりたいと思います。
中小企業
の
支援策
について
お尋ね
がありました。
全国
三百八十万者の
中小
・
小規模事業者
の皆さんは、
雇用
の七割を支える
日本
経済
の屋台骨です。こうした皆さんを
支援
するためのさまざまな
施策
を広く
周知
することで、
一つ
でも多くの
事業者
の方に
最大
限活用していただくことが重要であると考えています。 このため、
政府
としては、各種の
政策
パンフレットの作成、
中小企業
支援
ポータルサイトの運営、メールマガジンによる
情報
発信に加え、商工会、商工
会議
所、金融機関、税理士といった
支援機関
の御協力をいただきながら、きめ細やかな
周知
、広報を進めております。 これに加え、御
指摘
のような、
情報
発信から申請手続までを
ワンストップ
で完結するプラットホームについて、二〇二〇年度の本格運用に向け
準備
を進めてまいります。 さらに、
地域
に根差した商工
会議
所や商工会の経営指導員が直接巡回指導を行う
伴走型支援
も更に拡大してまいります。
地域経済
の核である
中小
・
小規模事業者
の皆さんにしっかりと寄り添いながら、安倍内閣は今後とも
全力
で応援してまいります。
車体課税
の
見直し
について
お尋ね
がありました。
車体課税
については、リーマン・ショック以降、
エコカー減税
や
税率
の引下げ等を行い、ユーザー
負担
の
軽減
を図ってきたところですが、現在、
平成
二十九年度
与党税制改正大綱
に基づき、
車体課税
の
見直し
について、今年末までに結論を出していただけるよう与党に検討をお願いしているところです。
政府
としても、大綱を踏まえてしっかりと
対応
してまいります。
未婚
の一人親に対する
税制
上の
対応
について
お尋ね
がありました。 一人親家庭の自立を
支援
し、
子供
たち
の未来が家庭の
経済
状況
によって左右されることのないよう、これまでも、
未婚
の一人親に対する
寡婦
控除
のみなし適用など、積極的な
支援
を
実施
してきたところです。 その上で、
未婚
の一人親に対する
税制
上の
対応
については、
平成
三十年度の
与党税制改正大綱
において、児童扶養手当の支給に当たって事実婚状態でないことを確認する
制度
等も参考にしつつ、
平成
三十一年度
税制改正
において検討し、結論を得ることとされております。与党における検討も注視しつつ、
子供
の貧困に
対応
する
観点
から、必要な検討を行ってまいります。
個人事業者
の
事業承継
に係る
税制
上の措置について
お尋ね
がありました。
個人事業者
の持つすぐれた技術やノウハウが円滑に
承継
されるように
支援
していくことは重要です。 今年度から、
事業承継税制
を抜本的に
拡充
し、
事業承継
時の贈与税、相続
税負担
をゼロにしました。
個人事業者
が法人化した場合は、この
事業承継税制
を積極的に活用していただくことを期待しております。 また、
個人事業者
の
事業承継
に当たっても、事業用の宅地について、相続
税負担
の大幅な
軽減
を行っているところです。 こうした
取組
も進めながら、引き続き、
個人事業者
の
事業承継
に係る
課題
をしっかり把握し、
予算
や税といった総合的な
支援
を進めてまいります。
消費税
の
軽減税率制度
の
実施
に向けた
決意
について
お尋ね
がありました。
軽減税率制度
は、日々の
生活
において幅広い
消費者
が
消費
、利活用している商品の
消費
税負担
を直接
軽減
することにより、
消費税
の
逆進性
を緩和しつつ、買物の都度、痛
税感
の緩和を実感できるとの利点があることから
実施
することとしたものであります。
政府
としても、
軽減税率制度
の円滑な
実施
に向けて、
事業者
の
準備
を促すため、
周知
、広報等にしっかり取り組むことが重要だと考えています。 このため、これまでも、
事業者
向け説明会の開催、
軽減税率
対応
レジの
導入
等を
支援
する
補助金
の申請期限延長など、さまざまな
取組
を推進してきたところであります。 今後も、引き続き、関係
民間
団体等とも緊密に連携しつつ、
制度
の
周知
、広報等に努めるとともに、来年十月の
実施
に向けて、
事業者
の
準備
状況
等を踏まえつつ、必要な措置を検討し、
軽減税率制度
の円滑な
実施
につなげていきたいと考えております。
消費
税率引上げ
に伴う
反動減対策
等について
お尋ね
がありました。
駆け込み需要
の抑制と
反動減対策
は、
消費
税率引上げ
による
経済
全体への
影響
をできるだけ小さくするために重要であり、思い切った
対策
を講じてまいります。 具体的には、
自動車
や
住宅
といった大型
耐久消費財
について、来年十月一日以降の
購入
等にメリットが出るように
税制
、
予算
措置を講じます。さらに、
引上げ
後の
一定期間
に限り、
中小小売業
に対して、
ポイント還元
といった新たな手法による
支援
を行うなど、
引上げ
前後の
消費
を平準化するための十分な
支援策
を行います。 これらの
施策
については、二〇一九年度、二〇二〇年度の当初
予算
において臨時特別の措置として講ずることとしており、その具体的な内容等については、各年度の
予算
編成過程において検討してまいります。
ポイント還元
といった新たな手法による
支援
について
お尋ね
がありました。 具体的な内容については、現在、詳細を検討中ですが、端末の
導入
の
支援
や手数料の引下げに向けた
取組
などにより、
中小
・
小規模事業者
の皆さんや
消費者
の皆さんが
利用
しやすい
環境
を整えるよう取り組む考えであります。
消費税
の
価格表示
について
お尋ね
がありました。
消費税
に係る
価格表示
については、
消費者
の利便性を
確保
する
観点
から、
消費税
額を含めた支払い総額が一目でわかるようにするため、
総額表示
とすることが原則です。 ただし、
消費
税率引上げ
に伴う
転嫁対策
の一環として、現在、
総額表示
を要しないこととする特例を設けています。 この特例は、
消費税率
一〇%への
引上げ
から一年半後の二〇二一年三月末を期限としておりますが、その取扱いについては、
消費者
利便の
観点
や
事業者
の
価格
転嫁の
状況
等も踏まえつつ、引き続き検討を行ってまいります。 国の
行政機関
における
障害者雇用
について
お尋ね
がありました。 今般、国の
行政機関
の多くで
障害者
の法定
雇用
率を達成していない
状況
が明らかとなり、
検証委員会
からは、
障害者雇用
を
促進
する姿勢に欠けていた等、大変厳しい
指摘
を受けました。 このため、去る十月二十三日に開催された関係閣僚
会議
において、私から、各大臣は、今後の、
事態
を深く反省し、真摯に重く受けとめ、組織全体として、公務部門における
障害者雇用
に関する
基本方針
に基づき、
再発防止
にしっかりと取り組むよう強く指示しました。 今後、この
基本方針
に基づき、
再発防止
に向けた
チェック機能
の
強化
について、法的整備を視野に入れたさらなる検討を行います。 また、法定
雇用
率の達成にとどまらず、
障害者
を
対象
とした新たな採用の枠組み、常勤職員へのステップアップ
制度
や、職場における
障害者
へのサポート体制の整備など、
障害
のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大に向けて、
政府
一体となって取り組んでまいります。 残余の質問につきましては、
関係大臣
から
答弁
させます。(
拍手
) 〔
国務大臣
石井啓一君
登壇
〕
石井啓一
5
○
国務大臣
(石井啓一君)
斉藤鉄夫議員
にお答えをいたします。
海上空港
及び
国際空港
の
防災対策
について
お尋ね
がありました。 九月四日に被災をいたしました
関西国際空港
につきましては、
早期復旧
に取り組んだ結果、九月二十一日には旅客ターミナル全体を再開できました。 関空の
連絡橋
につきましては、約一カ月後に、上り線を活用した対面通行で全ての車両の通行を可能といたしました。現在、来年のゴールデンウイークまでを目標に、
連絡橋
の完全復旧を進めているところであります。
関西国際空港
における
災害
を受けまして、現在、有識者から成る
全国
主要空港における大
規模
自然災害
対策
に関する検討委員会を開催し、既往の
災害
対策
及び
政府
全体で
実施
をしております重要インフラの緊急点検結果を踏まえて、専門的
観点
から
検証
し、護岸のかさ上げ、
電源設備
移設等のハード
対策
及び
事業継続
計画等のソフト
対策
について検討を進めているところであります。 これらの検討結果を踏まえまして、甚大な
自然災害
が発生した場合におきましても
我が国
の航空ネットワークを維持し続けることができるよう、
海上空港
を含む主要空港の機能
確保
等に必要な
対策
を講じてまいります。(
拍手
)
—————————————
大島理森
6
○
議長
(
大島理森
君) 野田佳彦君。 〔野田佳彦君
登壇
〕
野田佳彦
7
○野田佳彦君 無所属の会を代表して質問いたします。(
拍手
) まずは、七月豪雨、
北海道胆振東部地震
、
台風
第二十一号、
大阪
北部地震
などの
災害
によってとうとい命を失われた
皆様
に、心からお悔やみを申し上げます。そして、被災をされた
皆様
に心からお見舞いを申し上げます。 歴代
内閣総理大臣
は、
総理
になった暁には後世のために何か
一つ
は仕事をなし遂げようと懸命に頑張ったと思います。(発言する者あり)難しいんです。 そして、振り返ってみると、佐藤政権は沖縄返還、中曽根政権は国鉄民営化、そして小泉政権は郵政民営化でありました。 来年の十一月には桂太郎政権を超えて憲政史上最長記録を更新するかもしれない安倍政権は、これまで、
地方
創生、女性活躍、一億総活躍など次々とスローガンを打ち立ててきましたが、みんな尻すぼみです。アベノミクスに至っては、永遠に道半ばであります。
政治
は結果であると口癖のようにおっしゃる
総理
でありますが、御自身は特筆すべき結果を何か残しているんでしょうか。 長さこそが、継続こそが力であるとおっしゃいました。本人が言うべきことではありません。長さをもってとうとしとせず。この言葉を肝に銘じるべきではないですか。
総理
の御所見をお伺いいたします。 困難な
課題
に立ち向かわないのが
安倍総理
ですが、その最たるものが財政再建の先送りです。
政府
は、基礎的財政収支の黒字化の達成時期を五年間延期いたしました。政権の在任期間分、財政健全化が遅延したことになります。
消費税
の使途変更がなくても、プライマリーバランスの黒字化の達成はできなかったでしょう。 財政健全化になぜ失敗したのか、明確な
答弁
を求めます。 六月十五日に閣議決定をされた骨太の方針は、骨抜きの方針でした。二〇二五年度までの中間年である二〇二一年度に三つの中間指標を設定し、財政健全化の進捗を管理するということになっていますが、数字のそんたくがあったのでしょうか、この指標が大甘であり、
安倍総理
在職中は痛みを伴う
改革
は先送りをされ続けるでしょう。その後を引き継ぐ後継首相は七転八倒です。 財政健全化がおくれればおくれるほど、大きなツケが将来
世代
に回ります。
安倍総理
は未来への責任をどのように感じておられるのか、お答えください。 異次元の金融緩和による財政ファイナンスが財政規律を緩めています。その金融緩和の出口について、さきの自民党総裁選挙中、何とか私の任期中にやり遂げたいと
総理
は驚くべき発言をされました。 出口とは、金利を引き上げて金融
政策
を正常化することです。長期金利が上昇すれば、
政府
債務の利払い費は急増し、
日本
財政は立ち行かなくなります。 今の財政
状況
で金利を引き上げることが可能だとお考えなのでしょうか。具体的に、出口について、その時期や手法をどのように考えているのか、明確にお答えください。黒田総裁に任せているという
答弁
であるならば、
総理
発言は余りにも軽過ぎます。 終戦時、
政府
債務残高対GDP比は二〇〇%を超えていました。今、
日本
の財政は、七十三年前よりも悪化しています。今年度の債務残高対GDP比は二四〇%を超えるでしょう。戦艦大和のような巨艦をつくるわけでもなく、ゼロ戦や戦車をたくさんつくっているわけでもありませんが、今日の財政赤字の
最大
の要因は、急増する
社会
保障関係費であります。 したがって、
社会
保障の充実、安定化を図り、将来
世代
に借金を押しつけないために、
消費税
の一〇%
引上げ
を含む
社会
保障と税の一体
改革
を推進することの
重要性
、必要性は変わりありません。 ただし、この一体
改革
をめぐる三
党合意
の精神は与野党が責任を持ち合うということでありますが、この精神を全くわかっていない人が
総理
大臣に就任をいたしました。 本年二月二十八日、衆院財務金融委員会において、私は、
消費税
を政争の具にしないという三
党合意
の精神を御理解いただいているでしょうかと
総理
にただしました。すると、
総理
は、私は
消費税
を政争の具にしたことはございませんが、私は選挙の争点にはいたしましたと答えました。この
答弁
を聞いて、議席に座りながら、立ちくらみがしました。ネクストエレクションよりもネクストジェネレーション、次の選挙よりも次の
世代
を、これが三
党合意
の精神ではないんですか。全くわかっていないと思いました。 選挙こそ、政党間の
最大
の政争ではありませんか。
消費税
引上げ
の先送りや使途の変更を突然選挙の争点にするということは、まさに政争の具にしたと同じではありませんか。改めて
答弁
を求めます。
消費税
引上げ
先延ばしは究極のポピュリズムでありますが、
軽減税率
の
導入
もしかりであります。
公明党
の斉藤さんは、御人格は本当にすばらしい、尊敬をしていますが、これについては私は真逆な考え方でございます。
消費税
には確かに
逆進性
が存在をし、その
影響
を除去することは重要な
課題
でありますが、最も効果的な
対策
は給付つき税額
控除
であると確信をしています。
軽減税率
で
恩恵
を受ける八七・五%は低所得者以外であり、
格差
是正効果はありません。
事業者
にはコストばかりがかかり、現場は
混乱
をするでしょう。その上に、
軽減税率
の
導入
による減収分を補うために、あの大事な総合合算
制度
を見送るに至っては、本末転倒と言わざるを得ません。
総理
、
軽減税率
の
導入
は再考すべきではないですか。お考えをお聞かせください。 六年前の党首討論で、あなたと私は、
消費税
を引き上げる前に、
国会
が身を切る覚悟を示すため、
議員
定数削減をする、この約束をしたはずであります。 しかし、衆院における削減数は少な過ぎる上に、参院においては、信じられないことに、六つもふやすことになりました。私は、約束をした一方の当事者でありますが、誠意を持って約束を果たそうとする姿勢を
総理
に感じることはできません。言語道断だと思います。 なぜ、本気で身を切る
改革
を進めないのか、明確な
答弁
を求めます。
消費税
は毎日が納税日となり、
国民生活
には直接
影響
があります。
税率引上げ
の際には、
駆け込み需要
と
反動減
を平準化する
取組
をしなければなりません。
総理
は、あらゆる
施策
を総動員すると語りましたが、
中小
小売店
の
ポイント還元
策やプレミアム商品券など、あの手この手を検討されているようであります。
景気
への目配りは大事でありますが、選挙
対策
を意識した過剰なばらまきは、財政圧迫になり、御法度だと思います。
総理
の御所見をお伺いいたします。 以上の分野を所掌する麻生大臣の留任は、全く理解できません。不祥事続きの組織のトップがけじめをつけなければ、組織の再生などできるはずがありません。 大臣としての在職期間は、戦後最長記録を更新中です。それを上回るのは、あの松方正義と高橋是清だけです。両先達と比肩するような、麻生財政と呼ばれる実績は全く思いつきません。
安倍総理
は、なぜ、放漫財政を改めない放言大臣を続投させるのですか。明確な説明を願います。
日本
外交の基軸は日米同盟です。だから、
安倍総理
は、トランプ大統領との個人的な信頼関係の
構築
に努め、ドナルド、シンゾウと呼び合う蜜月関係を強調してきました。 しかし、首脳同士の距離の近さが国益
実現
に直結するとは限りません。むしろ、米国にひたすら追随をし、
日本
の外交の独自性を失ってしまったような気がしてなりません。アメリカ・ファーストというよりも、アメリカ・アローンという
状況
に陥りかねないだけに、同盟国として、毅然として、言うべきことは言った方がいいのではないかと思います。 以下、具体的に
お尋ね
をいたします。 人類が直面している
地球温暖化
という大きな危機を、この夏の猛暑で誰もが経験しました。この
地球温暖化
防止のパリ協定から温室効果ガス排出量世界第二位のアメリカが脱退しようとしたときに、翻意を促すような努力を
総理
はされましたか。お聞かせください。 トランプ大統領は、中距離核戦力、INF全廃条約を破棄する方針を固めました。極めて遺憾なことです。ロシアに違反があれば、それを追及するのが筋です。中国が枠外にあるならば、INFに取り込む努力をすべきでしょう。条約がなくなれば、中距離核ミサイルの配備競争が始まります。当然のことながら、アメリカは同盟国の
日本
、NATO諸国と協議をする、
相談
をする、こういう段取りがあってしかるべきですが、
日本
には事前に報告や
相談
はあったのか、率直にお答えをいただきたいと思います。 トランプ大統領は、エルサレムをイスラエルの首都として認定をし、米国大使館をエルサレムに移すことにしました。この決定によって利益を得る者は誰もいません。イラン核
合意
からの離脱も賛成できません。これら米国の中東情勢を混迷させるような愚行を、同盟国として戒めるべきではないですか。 アメリカとの二国間交渉には応じない、TPPに引き込むと豪語してきた
安倍総理
ですが、先月、二国間FTA交渉をすることに
合意
をいたしました。協議が行われている間は
日本
の
自動車
に追加関税が課せられることはないと確認をしましたと強調していますが、交渉中に関税
引上げ
しないのは当たり前ではないですか。ぜひお答えください。
自動車
産業は、
我が国
産業の四番バッターです。
自動車
及び
自動車
部品に、鉄、アルミニウムのような高関税が
課税
をされることのない、賦課されることのないように、断固阻止しなければなりません。
総理
の
決意
と覚悟を問います。
総理
は、戦後
日本
外交の総決算と高らかに宣言をしています。念頭にあるのは、北方領土問題と拉致問題でしょう。
国民
の関心の高い外交
課題
を政権浮揚の道具にしたいのでしょうが、いずれも前進しているとは言えません。 九月十二日、ロシアで開かれた東方
経済
フォーラムにおいて、プーチン大統領は、平和条約を結ぼう、年末までに、前提条件なしでと突然提案しました。北方四島の帰属問題の解決を前提とする
日本
の方針と真逆です。引き分け狙いだった柔道家プーチン大統領と二十二回も会談を重ねて、効果はなかったようです。習近平主席らの面前で、意表をつく提案でわざありをとられ、直ちに反論できずに更にわざありをとられ、合わせて一本負けではないですか。反論があればお伺いをいたします。 北朝鮮をめぐる問題においても、アメリカ、
韓国
と北との協議が活発に行われている中、
日本
だけが孤立しているように映ります。蚊帳の外ではないと叫びながら、蚊帳の外で飛び回っている一匹の蚊のようにも見えます。
総理
は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければならないと重大な発言をされましたが、首脳会談開催の確たる見通しがあるのですか。拉致問題には具体的にどう
対応
するのでしょう。お答えください。
最後
に、女性宮家の創設についてお伺いをいたします。 私は、天皇陛下の退位について、衆参正副
議長
の
もと
で立法府の総意がまとめられて皇室典範特例法が
成立
したことは、憲政史上に残る成果だったと思います。この法律によって、約二百年ぶりに天皇陛下の退位がなされます。
政府
には、皇太子殿下の即位も含めて、
準備
に万全を期すよう要請をいたします。 退位特例法の附帯決議には、法施行後速やかに女性宮家の創設を検討するよう
政府
に求めると明記をしています。天皇陛下の退位が半年後に迫る中、女性宮家の検討も急務です。どのような組織で、いつごろから検討を始め、いつごろまでに結論を出すのか、具体的な検討を明らかにしてください。 議場整理係の皆さん、済みません。 終わります。ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
8
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 野田佳彦
議員
にお答えをいたします。 安倍政権の
施策
の結果について
お尋ね
がありました。 私は、後世に名を残したいという動機で
政治
を行ったことはございません。必要な
政策
を決断し、実行し、そして
国民
のためにしっかりと結果を出すことが、
内閣総理大臣
としての私の責任であります。 そして、この五年余りの間に、まず、アベノミクスによって、
経済
は一二・二%成長しました。正規
雇用
は七十八万人増加し、
民主
党政権
時代
に失われた五十万人を取り戻すことができました。 有効求人倍率が一倍を超えているのは、政権交代前はたった六都県だけでしたが、
地方
創生に
全力
で取り組んだ結果、史上初めて、四十七全ての都道府県で一倍を超えることができました。
地方
の法人関係税収も、政権交代前と比べ、ほとんどの都道府県で四割から五割増加し、
地方
税収は過去最高となっています。 長年伸び悩んできた女性の就業者数も、女性活躍の旗の
もと
、一気に二百万人増加し、今や二十五歳以上の全ての
世代
で女性就業率はあのアメリカを上回っています。
政治
は結果であります。当然、在任期間が長いというだけで結果が得られるわけではありません。しかし、大きな方向性、旗を高く掲げながら、長い期間粘り強く
政策
を打ち続けることなくして、大きな結果を得ることなどできません。 そうした意味で、これまで五回の国政選挙を通し、大きな
政策
推進力を与えてくださった
国民
の
皆様
に、改めて感謝申し上げたいと思います。その負託に応えるため、安倍内閣はこれからも、必要な
政策
を果断に実行し、結果を出していく
決意
であります。 財政健全化について
お尋ね
がありました。 安倍内閣では、財政再生なくして財政健全化なしとの
基本方針
の
もと
、財政健全化に大きな道筋をつけてきました。国、
地方
を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。 今般、
少子高齢化
を克服するため、
消費
税率引上げ
の使い道を
見直し
、
子育て
世代
、
子供
たち
に大胆に投資するとともに、
社会
保障の安定化にもバランスよく充当し、お年寄りも若者も安心できる全
世代
型の
社会保障制度
への転換を図ることとしました。これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に
影響
が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難と判断しました。 ただし、
日本
への国際的な信認を
確保
し、
社会
保障を次
世代
に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は決しておろさず、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。 金融緩和の出口について
お尋ね
がありました。 政権交代以降、デフレ脱却に挑み続けた結果、デフレではないという
状況
をつくり出すことができました。再びデフレに後戻りしないために、安倍政権において、この三年でデフレ脱却の道筋をしっかりとつけてまいります。 出口戦略を含め、金融
政策
の具体的な手法は、
日本
銀行にこれは委ねられるべきなんです。これが常識です。委ねられるべきであり、黒田総裁の手腕を信頼しております。
社会
保障と税の一体
改革
について
お尋ね
がありました。
社会
保障と税の一体
改革
は、三
党合意
を経て
成立
した今般の法律の枠組みに沿って、
社会
保障の充実、安定化と同時に、重点化、効率化を進めるなど、着実に
実施
してきています。 その上で、
少子高齢化
という国難に正面から取り組むため、お年寄りも若者も安心できる全
世代型社会保障
制度
へと大きく転換し、同時に、財政健全化も確実に進めていきます。 さきの総選挙では、
消費
税率引上げ
に当たって、その使い道を
見直し
、半分を
国民
に還元することとし、そして、
子供
たち
、
子育て
世代
に大胆に投資することで、来年十月から
幼児教育
を
無償化
することを公約に掲げ、
国民
の理解を得たところであります。
消費税
の使い道を大きく変更する以上、
国民
に信を問うのは当然のことではないでしょうか。むしろ、やらないと言ったことをやり、やると言ったことをやらない方が私は間違っているんだろう、このように思います。 なお、こうした
改革
については、
少子高齢化
が進展する中で、
財源
を
確保
しながら
社会保障制度
を
改革
するという、三
党合意
の際に与野党間で共有された大きな考え方と共通しているものと考えています。
軽減税率制度
について
お尋ね
がありました。
軽減税率制度
は、給付つき税額
控除
といった給付措置とは異なり、日々の
生活
において幅広い
消費者
が
消費
、利活用している商品の
消費
税負担
を直接
軽減
することにより、
消費税
の
逆進性
を緩和しつつ、買物の都度、痛
税感
の緩和を実感できるとの利点があることから、
実施
することとしたものです。
政府
としても、
軽減税率制度
の円滑な
実施
に向けて、
事業者
の
準備
を促し、現場の
混乱
を避けるため、これまで、
軽減税率制度
についてのQアンドAを公表するとともに、商工会などの
事業者
団体等とも連携の上、約二・九万回の説明会等を
実施
し、延べ八十三万人の
事業者
に参加いただいています。 今後も、引き続き、来年十月の
軽減税率制度
の
実施
に向けて、着実に
準備
を進めていきたいと考えています。
議員
定数について
お尋ね
がありました。 これは、もう既にきのうもお答えをさせていただいているところでございますが、野田
議員
との党首討論の後、政権交代後、まず、
平成
二十五年に衆議院の定数の〇増五減が
実現
し、さらに、さまざまな困難を乗り越えて、
調査
会の答申や各党各会派、議論等を踏まえ、
平成
二十九年には衆議院の定数十削減が
実現
したところであります。 つまり、これは、
政治
の場においては、しっかりと与党が与党として責任を果たして、定数を削減していくという苦しい判断をし、実行していくことが大切ではないかと思うわけであります。
民主
党政権
時代
に与党を形成しておられた皆さんは、果たして一議席でも削減を行ったんでしょうか。 党首討論の約束を誠実に守っていないとの御
指摘
は、全く当たらないわけであります。(発言する者あり)
大島理森
9
○
議長
(
大島理森
君) 御静粛に。
安倍晋三
10
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)(続) 一方で、さきの
国会
で
成立
した参議院の選挙
制度
改革
については、参議院特有の事情も踏まえ、投票価値の平等とともに、都道府県の単位がどれぐらい尊重されるべきかという点も含めて、各党各会派……(発言する者あり)
大島理森
11
○
議長
(
大島理森
君) 御静粛にお願いします。
安倍晋三
12
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)(続) 結論を出されたものであると承知しています。 また、附帯決議として、この定員増に伴う参議院全体の経費の増大を生じないよう、しっかりとその節減に取り組んでいくという参議院としての
決意
が示されているものと承知しています。 いずれにせよ、選挙
制度
の
あり方
を含め、
議員
の身分にかかわる問題は、議会
政治
の根幹にかかわる重要な
課題
であり、各党各会派において真摯に議論が行われるべきものであると考えております。
消費
税率引上げ
に関する
対策
について
お尋ね
がありました。 来年十月に予定されている
消費
税率引上げ
に当たっては、
前回
の三%
引上げ
の経験を生かし、あらゆる
施策
を総動員することが必要と考えております。 もちろん、無駄な歳出等を行うつもりは全くありませんが、御
指摘
の
駆け込み需要
や
反動減
といった
経済
変動を可能な限り抑制するためにも、万全を期する必要があります。 二〇一九年度、二〇二〇年度の当初
予算
において臨時特別の措置を講じることにより、
消費
税率引上げ
による
経済
的
影響
を平準化するとともに、引き続き、
経済
再生を図りながら、歳出と歳入、それぞれの面から
改革
を続け、二〇二五年度の国、
地方
を合わせたプライマリーバランスの黒字化を確かなものとしてまいります。 麻生財務大臣の留任について
お尋ね
がありました。 麻生財務大臣・副
総理
においては、安倍政権が発足をして以来、
経済
の立て直しに腕を振るっていただき、大きな成果を上げていただきました。
経済
政策
の中核である麻生大臣には、デフレからの完全脱却に向けて、引き続き
全力
を尽くしていただきたいと考えております。 また、財務省におけるさまざまな問題については、真摯な反省の上に、二度とこうしたことが起こらないように、
再発防止策
を講じ、組織を立て直していかなければなりません。麻生財務大臣には、その先頭に立って、責任を果たしていただきたいと考えています。 対米外交について
お尋ね
がありました。 パリ協定については、G7タオルミーナ・サミットの際に、私から他のG7首脳とともにトランプ大統領に対して協定から脱退しないよう働きかけましたが、結局、米国がパリ協定からの脱退を表明したことは、残念であります。 気候変動問題は
国際社会
が取り組むべきグローバルな
課題
であり、その後も、米国の関与が引き続き重要であることにつき、私自身も含め、さまざまなレベルで米国に対して働きかけを行ってきています。 INF全廃条約については、
我が国
は、この条約が軍備管理・軍縮において歴史的に果たしてきた
役割
を重視しており、米国が主張するところのロシアによる深刻な条約違反を契機としてこの条約が終了せざるを得ないような
状況
は、望ましくないと考えています。 この問題が
地域
の
安全保障
に与える
影響
も踏まえつつ、米国としっかりと意思疎通を行っていきますが、事前の通報や協議の有無を含めて、日米間の具体的なやりとりについては、相手との信頼関係を損なうおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。 米国大使館のエルサレム移転については、
日本
は米国と立場を異にしており、
我が国
の大使館はエルサレムに移転しないことを米国にも明確にしています。 イラン核
合意
については、
日本
は国際不拡散体制の
強化
と中東の安定に資する核
合意
を支持しており、この考えを米国に対してもさまざまなレベルで伝えています。 このように、米国に対しても
我が国
として主張すべきは主張しており、
日本
外交が独自性を失ったとの
指摘
は全く当たりません。 米国による
我が国
の
自動車
への追加関税について
お尋ね
がありました。 今般、日米物品貿易協定の交渉開始で
合意
するに当たり、協議が行われている間は
我が国
の
自動車
に米国通商拡大法二三二条に基づく追加関税が課されることはないことをトランプ大統領と確認いたしました。
我が国
は、かつて、TPPの交渉開始すら長く決断できずにいた時期もあったと承知をしております。そうした意味で、米国との交渉開始を決断すること、その前提として、
農林水産業
を守り、
自動車
産業を守るための条件をしっかりと
確保
したことが、当たり前であるかのごとくの
指摘
は、全くこれは当たりません。 言うはやすし、行うはかたしであります。そして、行動を起こせば必ず批判が伴います。 前政権からの懸案であったTPPの交渉開始を決断したときにも、たくさんの批判をいただきました。それでもなお、国家
国民
のために必要だと判断すれば、批判を恐れず、決断し、実行する。これからも安倍内閣は、国益を
確保
するためにはあらゆる手段を尽くす
決意
であります。 北方領土と北朝鮮問題について
お尋ね
がありました。 御
指摘
のプーチン大統領の発言全体の中には、さまざまな含意が含まれています。フォーラムという公開の場で、交渉の一部となるようなやりとりを行うことは適当ではないと考え、終了後直ちに私からプーチン大統領に対し、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが引き続き
我が国
の基本的な立場であることを伝え、突っ込んだやりとりを行いました。 いずれにせよ、
政府
としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの
基本方針
の
もと
、引き続き粘り強く取り組んでまいります。 北朝鮮問題については、六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければなりません。 最重要
課題
である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆる
チャンス
を逃さないとの
決意
で臨んでまいります。 北朝鮮との間では、北京の大使館ルート等、さまざまな手段を通じてやりとりを行ってきていますが、今後の交渉に
影響
を及ぼすおそれがあるため、詳細について明らかにすることは差し控えます。 北朝鮮には、豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。相互不信の殻を破り、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を解決するとの
決意
で、引き続き
全力
で取り組んでまいります。 女性宮家の問題について
お尋ね
がありました。 皇族数の
減少
等に関する問題については、さまざまな考え方、意見があり、
国民
のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要ですが、
政府
としては、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な
課題
であるとの認識の
もと
、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し、
対応
してまいります。(
拍手
) 〔
議長
退席、副
議長
着席〕
—————————————
赤松広隆
13
○副
議長
(赤松広隆君) 志位和夫君。 〔志位和夫君
登壇
〕
志位和夫
14
○志位和夫君 私は、
日本
共産党を代表して、
安倍総理
に質問します。(
拍手
) まず、沖縄の米軍基地問題についてです。 さきの沖縄県知事選挙では、辺野古新基地建設反対、普天間基地の閉鎖、撤去を求めるオール沖縄の玉城デニー候補が、安倍政権が総力を挙げて応援した候補者に八万票の大差をつけて圧勝しました。続く豊見城市長選挙、那覇市長選挙でも、オール沖縄の候補者が勝利しました。 私は、オール沖縄の三連勝は、沖縄にこれ以上新しい基地は要らないという沖縄県民の民意をこの上なく明確な形で示したと考えます。
総理
は、一連の選挙で示された民意をどのように認識されておられるのか、まず、この点について明確な
答弁
を求めるものです。
総理
は、所信表明で、沖縄の皆さんの心に寄り添うと述べました。しかし、実際にやっていることは何か。玉城デニー知事が
総理
に会い、話合いの場を設けてほしいと要望してからわずか五日後、沖縄防衛局は、県が辺野古の埋立承認を撤回したことへの対抗措置として、
国土交通大臣
に対して行政不服審査法に基づく効力停止の申立てを行い、本日、
国土交通大臣
は不当にも、埋立承認撤回の執行停止を決定しました。私は、この無法な決定に満身の怒りを込めて抗議するものです。
総理
、こんな形で、県知事選挙で示された民意を乱暴に踏みにじっておきながら、何が沖縄の皆さんの心に寄り添うですか。対話による解決すら拒否するというのは、
民主主義
の国では許されない態度だと考えませんか。 大体、行政不服審査法は、
行政機関
によって
国民
の権利が侵害されたときに、その救済を図ることを目的としています。国がこの
制度
を用いることは、
制度
の乱用であることは明らかではありませんか。しかも、防衛省の申立てを国交大臣が審査するというのは、自作自演であり、到底公正な手続と言えないことも明瞭ではありませんか。
総理
、あなたは沖縄には法治主義を適用しないとでも言うつもりですか。お答えいただきたい。 力ずくで民意を押し潰す強権
政治
は、沖縄ではもはや通用しません。
国土交通大臣
による無法な決定は直ちに撤回すべきです。沖縄県との真剣な話合いの場を設けるべきです。沖縄県民に対して新しい基地を押しつけるのではなく、アメリカに対して普天間基地の無条件撤去を求める対米交渉こそ行うべきではありませんか。 在日米軍に、国内法も無視して自由に訓練するなど異常な特権を与えている国は、世界でも
日本
だけです。
全国
知事会は、日米地位協定抜本
見直し
を求める提言を全会一致で採択しています。日米地位協定の抜本改定は急務だと考えませんか。 以上の諸点について、
総理
の明確な
答弁
を求めます。
消費税
増税について質問します。
総理
は、来年十月から
消費税
を一〇%に引き上げると宣言しました。我が党は、所得の少ない人に重くのしかかる
消費税
には
もと
もと
反対ですが、今回の増税計画には、それにとどまらない重大な問題点が幾つもあります。 まず、こんな
経済
情勢の
もと
で増税を強行していいのか。
総理
は、二〇一四年四月に八%への増税を強行した際、増税の
影響
は一時的、ワンショットと繰り返しました。しかし、現実はどうなったか。二人以上世帯の実質
家計
消費
は、増税前の二〇一三年には平均で三百六十四万円だったのが、増税を契機に大きく落ち込み、四年たっても回復せず、最近一年間は平均で三百三十九万円。二十五万円も落ち込んでいます。一時的どころか、深刻な
消費
不況を招いているではありませんか。 こうした
状況
下で、再び五兆円もの大増税を強行すれば、
消費
はますます冷え込み、
日本
経済
に破滅的
影響
を及ぼすことは明らかではありませんか。
答弁
を求めます。
総理
は、所信表明で、
消費
税率引上げ
が
経済
に
影響
を及ぼさないよう、あらゆる
施策
を総動員すると述べました。どんな
施策
をやるというのか。
政府
は、
中小小売業
に対し、
ポイント還元
なるものを
実施
すると言いますが、麻生財務大臣はこう言っています。田舎で、魚屋で買物したことがあるか知らないけど、大体、クレジットカードなんかでやっている人はいないからね、そういうところで、はい、八%、一〇%、還元なんていう話がどれだけうまくいくか。
消費税
増税の担当大臣が
実現
性に疑問符をつけているではありませんか。仮に
実現
するとしても、この
制度
は
中小小売業
者に多大な
負担
と
混乱
を強いることになるでしょう。そして、何より、一時的な
施策
にすぎません。
前回
の増税時に
政府
は臨時福祉
給付金
などの一時的なばらまきを行いましたが、何の効果もありませんでした。焼け石に水だった。失敗した
施策
の繰り返しになることは明らかではありませんか。
景気
対策
というなら、増税を中止することが最良の
景気
対策
ではありませんか。
答弁
を求めます。 安倍政権の
もと
で、大
企業
に対しては四兆円もの減税がばらまかれました。自民党に対する
企業
献金は、十三億円から二十三億円に倍増しました。財界から献金をもらい、空前の利益を上げている大
企業
に減税をばらまき、その穴埋めのために庶民から大増税を搾り上げる。これは、
政治
の姿勢として根本的に間違っていると考えませんか。 来年十月からの
消費税
一〇%への増税は、きっぱり中止すべきです。
社会
保障と
子育て
、
教育
のための
財源
というなら、富裕層と大
企業
への優遇
税制
にメスを入れ、応分の
負担
を求める
税制
改革
に取り組むべきです。
総理
の
答弁
を求めます。 憲法九条改定について質問します。
総理
は、この
国会
に自民党としての憲法九条改定案を提出することを公然と宣言しています。九条に自衛隊を書き込み、海外での武力行使を無制限にすることがその眼目ですが、そうした中身以前に、大問題があります。それは、
総理
の改憲への暴走が、憲法も立憲主義も無視した、常軌を逸した暴走となっているということです。 端的に三つの点をただしたい。 第一に、
総理
は、九月の自衛隊高級幹部会同、十月の自衛隊記念日観閲式で、九条改憲を進めることを事実上宣言しました。
政治
的中立を最も厳格に守らなければならない実力組織である自衛隊に、その最高指揮官が改憲の号令をかける、それがどんなに危険で異常なことかは明らかです。自衛隊の最悪の
政治
利用
であり、閣僚に憲法の尊重、擁護を義務づけた憲法九十九条に違反することは明瞭ではありませんか。 第二に、
総理
は、所信表明で、憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、
国民
の理解を深める努力を重ねていくと述べ、国
会議
員の責任を果たそうと呼びかけました。行
政府
の長が立法府の審議の
あり方
に事実上の号令をかける、これは、立法府である
国会
への重大な介入、干渉であり、憲法の三権分立をじゅうりんする暴論であることは明らかではありませんか。 第三に、自民党改憲案をこの臨時
国会
に提出することに対して、どの世論
調査
を見ても、
国民
の多数が反対しています。毎日、朝日、読売、産経、共同、NHK、どの世論
調査
でも例外なく反対多数です。
国民
が望んでもいないのに、権力を握る政権与党が権力への制約を取り払う改憲論議を強引に推し進めることは、それ自体が立憲主義の乱暴な否定であり、憲法の私物化そのものではありませんか。憲法を守らない
総理
に、憲法を語る資格は断じてありません。
日本
共産党は、院内外の多くの
方々
との共同の輪を広げ、安倍政権による九条改憲に断固反対を貫く
決意
を表明するものです。 この間、多くの
自然災害
が起こりました。
災害
からの
生活
再建にかかわって、緊急、切実な二つの問題について伺います。
一つ
は、
災害
救助法に基づく応急修理
制度
による
支援
を受けると仮設
住宅
への入居ができないという
事態
が起こっていることです。
熊本地震
で大損害を受けた熊本県益城町では、五百に及ぶ被災世帯が、大
規模
半壊した自宅や倉庫、
ビニールハウス
などで暮らすことを強いられています。こうした矛盾は、七月の
西日本豪雨
災害
の
被災地
でも顕在化しています。このような二者択一の押しつけをやめて、安心できる住まいを緊急に
確保
する責任を果たすべきです。 二つ目は、
東日本大震災
から七年半が経過してもなお、
政府
が把握している範囲でも五万七千人もの被災者が、みずからの住まいを
確保
することができないまま
避難生活
を続けていることです。 長期にわたって
応急仮設住宅
などでの厳しい
生活
を強いられている現状を、
総理
はどう思われますか。その原因は何だと考えますか。 私は、その原因の
一つ
が、自力だけでは
住宅
再建ができないことにあることは明瞭だと考えます。被災者
生活
再建
支援
法を改正し、全壊の
支援
額を三百万円から五百万円に引き上げるとともに、
全国
知事会も求めているように、
支援
対象
を半壊、一部損壊にも広げるべきであります。
総理
の見解を求めます。
最後
に、
総理
の
政治
モラルにかかわって、この間の見過ごすことができない二つの問題について質問します。
一つ
は、
総理
が、九月の自民党総裁選における
日本
記者クラブ主催の討論会で、森友、加計問題について、昨年の総選挙での討論会で議論があったことを挙げ、
国民
の審判を仰いだと述べたことです。 しかし、森友疑惑で公文書改ざんが発覚したのはことしの三月。加計疑惑で
総理
と加計氏との面会などが記述された
愛媛
県文書が明らかになったのはことしの五月。いずれも総選挙の後じゃないですか。審判を仰いだなどというのは時空を超えた虚構であることは明らかではないですか。 いま
一つ
は、
総理
が内閣改造で麻生財務大臣を留任させたことです。 公文書の改ざん、セクハラ疑惑など、財務省を舞台にした数々の疑惑は、全て麻生大臣の
もと
で引き起こされました。改ざんを強いられた近畿財務局の職員が自殺するという痛ましい事件も起こりました。行政への信頼をここまで失墜させた人物をなぜ留任させたのか、しかとお答えいただきたい。 安倍
政治
の破綻は、内政、外交、そして
政治
モラルにおいても、今や目を覆うばかりです。市民と野党の共闘の力で、一刻も早く安倍
政治
を終わらせ、
国民
が
希望
の持てる新しい
政治
をつくるために
全力
を挙げる
決意
を表明しまして、私の質問といたします。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
15
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 志位和夫
議員
にお答えをいたします。 沖縄県における選挙結果に対する認識について
お尋ね
がありました。 選挙の結果については、真摯に受けとめます。その上で、
地方
自治体
の首長選挙の結果について、
政府
の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。
住宅
や
学校
で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、
政府
と地元の
皆様
の共通認識であると思います。 今後とも、地元の
皆様
の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を
実現
するため、
全力
で取り組んでまいります。 行政不服審査法に基づく審査請求及び執行停止の申立てについて
お尋ね
がありました。 沖縄県による埋立承認の撤回については、
事業者
である沖縄防衛局が、行政不服審査法に基づき、公有水面埋立法を所管する
国土交通大臣
に対して、十月十七日、審査請求を行うとともに、執行停止の申立てを行ったと報告を受けています。 これは、法治国家として、法律に基づき必要な法的措置を講じたものと認識しています。
民主主義
の国では許されない態度との御
指摘
、
制度
の乱用との御
指摘
、公正な手続とは言えないとの御
指摘
、沖縄には法治主義を適用しないとの御
指摘
は、いずれも当たらないと考えています。 安倍政権としては、基地
負担軽減
のため、できることは全て行う、目に見える形で
実現
するという方針の
もと
で取り組んでいきます。 今後とも、抑止力を維持しながら、沖縄の
皆様
の心に寄り添い、基地
負担
の
軽減
に
一つ
一つ
結果を出してまいります。 審査請求等の取下げ、沖縄県との話合いの場の設定、普天間基地の無条件撤去について
お尋ね
がありました。 沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、本日、公有水面埋立法の所管大臣たる
国土交通大臣
により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知しています。 これは、法治国家として、法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、これを尊重すべきものと考えています。
政府
と沖縄県との間では、普天間飛行場
負担軽減
推進
会議
や
政府
・沖縄県協議会という協議の枠組みがあります。
政府
としては、このような協議の枠組みを活用し、基地
負担軽減
のための
政府
の
取組
について、粘り強く丁寧に説明していきたいと考えています。 普天間飛行場を移設した上で全面返還するとの方針は、米国
政府
との間で累次にわたり確認しているものです。
政府
としては、現行の日米
合意
に基づき、抑止力を維持しながら、基地
負担
の
軽減
に
全力
で取り組んでまいります。 日米地位協定について
お尋ね
がありました。 御
指摘
の提言については、
全国
知事会のお考えとして受けとめたいと思います。 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、
政府
として、事案に応じて、最も適切な
取組
を通じ、具体的な問題に
対応
してきています。 安倍政権の
もと
では、
環境
及び軍属に関する二つの補足協定の策定が
実現
しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものであります。 また、例えば、
日本
側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米国人、軍属の拘禁についても、日米
合意
に基づき、実際に、起訴前に
日本
側へ移転が行われてきています。 今後とも、このような目に見える
取組
を
一つ
一つ
積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
消費
税率引上げ
の
影響
について
お尋ね
がありました。
前回
、二〇一四年四月の
消費
税率引上げ
の際には、耐久財を中心に
駆け込み需要
と
反動減
といった大きな
需要
変動が生じ、
景気
の回復力が弱まることとなりました。だからこそ、この間、我々はしっかりと三本の矢の
政策
を進めてまいりました。 その結果、
消費
は、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。 来年十月に予定されている
消費税率
の
引上げ
に当たっては、
前回
の三%
引上げ
の経験を生かし、あらゆる
施策
を総動員し、
経済
に
影響
を及ぼさないよう
全力
で
対応
してまいります。
消費
税率引上げ
に伴う
対策
について
お尋ね
がありました。
消費税率
の一〇%への
引上げ
は、全
世代型社会保障
の
構築
に向け、少子化
対策
や
社会
保障に対する安定
財源
を
確保
するため、これを
実現
することが必要です。
消費
税率引上げ
に当たっては、
前回
の三%
引上げ
の経験を生かし、あらゆる
施策
を総動員し、
経済
に悪
影響
を及ぼさないよう
全力
で
対応
してまいります。 二〇一九年度、二〇二〇年度の当初
予算
において臨時特別の措置を講ずることとしており、その具体的な内容等については、各年度の
予算
編成過程において検討してまいります。
ポイント還元
といった新たな手法による
支援
については、現在、詳細を検討中ですが、端末の
導入
の
支援
や手数料の引下げに向けた
取組
などにより、
中小
・
小規模事業者
の皆さんが
利用
しやすい
環境
を整えるよう取り組む考えであります。
消費税率
の
引上げ
等について
お尋ね
がありました。 さきの総選挙では、
消費
税率引上げ
に当たって、その使い道を
見直し
、半分を
国民
に還元することとし、
子供
たち
、
子育て
世代
に大胆に投資することで、来年十月から
幼児教育
を
無償化
することを公約に掲げ、
国民
の理解をいただきました。
国民
の
皆様
とお約束したこれらの
政策
の
実現
に万全を期してまいります。 また、
企業
が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す
観点
から、成長志向の法人税
改革
に取り組んでまいりましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による
課税
ベース拡大により、
財源
をしっかり
確保
しております。さらに、金融所得
課税
の
見直し
等を講じてきたところであります。 今後の
税制
の
あり方
については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、
経済
社会
の情勢の変化等も踏まえつつ、検討する必要があるものと考えています。 私の自衛隊に対する訓示について
お尋ね
がありました。 さきの自衛隊高級幹部会同及び自衛隊観艦式においての私の発言は以下のとおりでございますのでお聞きいただきたいと思います。 全ての自衛隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる
環境
を整える、これは、今を生きる
政治
家の責任であります、私はその責任をしっかり果たしていく
決意
ですと申し上げたわけであります。 全ての自衛隊員は、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって
国民
の負託に応えると宣誓し、任務につきます。
国民
の命と平和な
暮らし
を守るため、命を賭して任務を遂行する自衛隊員に対して、私は、
政治
家として、みずからが果たすべきと信ずる当然の責務を申し上げたものであります。つまり、私の責任を申し上げたのであります。 したがって、自衛隊に対して最高指揮官が改憲の号令をかけるもの、これは、誰もこのように理解をしないんだろう、こう思うわけでありますが、あるいは、危険で異常なことといった
指摘
は、この御
指摘
は全く当たりません。また、同様に、自衛隊の
政治
利用
や憲法第九十九条に違反するとの御
指摘
も当たりません。 私は、今後とも、
政治
家としての責任をしっかりと果たしていく
決意
であります。 憲
法改正
の呼びかけについて
お尋ね
がありました。
内閣総理大臣
は、憲法第六十三条の規定に基づき議院に出席し、また、
国会
法第七十条の規定に基づき、議院の
会議
又は委員会において発言しようとするときは
議長
又は委員長に通告した上で行うものとされております。憲法第六十七条の規定に基づき国
会議
員の中から指名された
内閣総理大臣
である私が、議院の
会議
又は委員会において、憲法に関する事柄を含め、
政治
上の見解、行政上の事項等について説明を行い、
国会
に対して議論を呼びかけることは禁じられているものではなく、三権分立の
観点
から問題があるのではないかとの
議員
の御
指摘
は当たりません。 自民党改憲案の本
国会
への提出について
お尋ね
がありました。 自民党改憲案の取扱いについて、私が
内閣総理大臣
としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。 その上で、
お尋ね
ですので、あえて、私が自民党総裁として一石を投じた考え方を改めて申し上げるとすれば、憲法の改正について
国民
的議論を深めるためには、まずは具体的な条文案を示す必要があります。各種報道機関の世論
調査
においても、憲法を改正することや改憲案を本
国会
に提出することに賛成する
方々
が
一定
程度認められる現状において、議論することまでを否定するべきではなく、憲法の私物化そのものという議論の御
指摘
は、これも全く当たりません。 憲
法改正
は、
国会
が発議し、最終的には
国民
投票により決められるものであります。憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、
国民
の
皆様
の理解を深める努力を重ねていくことは、むしろ私
たち
国
会議
員の果たすべき重要な
役割
ではないかと考えております。
災害
救助法による
住宅
の応急修理と
応急仮設住宅
の併給について
お尋ね
がありました。
災害
救助法による
住宅
の応急修理は、応急的な修理により
もと
の住家に引き続き住むことを目的とし、その破損箇所を修理する
制度
です。他方、
応急仮設住宅
の供与は、
住宅
を一時的に失った方に仮の住まいとして提供されるものであります。
住宅
の応急修理の
支援
を受け、
もと
の
住宅
に住める方にはそこに住んでいただき、
応急仮設住宅
には
もと
の住家に住めない方に入居していただくという
制度
になっておりますが、例えば応急修理に時間がかかる場合には、二次
避難所
としてホテルや旅館などを
利用
するなど、被災者個々の事情に応じた
対応
をとることとしております。 いずれにせよ、被災者の
方々
に一日も早く安心して暮らせる
生活
に戻っていただけるよう、
政府
としてきめ細やかに万全を尽くしてまいります。
東日本大震災
における
住宅
再建について
お尋ね
がありました。 未曽有の大
災害
であった
東日本大震災
による避難者数は、当初の四十七万人から五万七千人に
減少
しましたが、いまだ多くの方が仮設
住宅
生活
を送っておられ、その解消に向けた
住宅
の
確保
など、きめ細かな
支援
に
全力
を尽くす必要があります。
災害
公営
住宅
や宅地の整備は、今年度末までにほぼ完了する予定であり、特に岩手県、宮城県においては、
復興
・創生期間中に仮設
生活
の解消を目指してまいります。福島県においても、
住民
の意向を個別に確認し、恒久
住宅
への移行を丁寧に進めてまいります。 被災者
生活
再建
支援制度
は、
自然災害
によりその
生活
基盤に著しい
被害
を受けた方に対し、全都道府県の相互扶助及び国による財政
支援
により、
最大
三百万円の
支援
金を支給するものであります。 このような
制度
の趣旨からすれば、支給
対象
の拡大や支給額の
引上げ
については、国や都道府県の財政
負担
等の
課題
があり、慎重に検討すべきものと考えております。 他方、
住宅
に半壊や一部損壊の
被害
を受けた方に対しても、ケースによって
災害
救助法等による
支援
のスキームが適用されるところであり、引き続き、被災
自治体
と一体となって被災者の
方々
へのきめ細やかな
支援策
を講じてまいります。 昨年の総選挙について
お尋ね
がありました。 森友学園の国有地売却や国家戦略特区における獣医学部新設については、これまで、昨年の総選挙も含め、できる限りの説明を行ってまいりました。その上で、御
指摘
のように総選挙の後に明らかとなった改ざんされた決裁文書等を踏まえてもなお、これまでの説明は覆ることはなく、矛盾はありません。 今後とも、必要があれば引き続き丁寧な説明を尽くす考えに変わりはありませんが、昨年の総選挙でいただいた
国民
の
皆様
の負託に応え、結果を出していくことこそが私の責任であると考えております。 麻生財務大臣の留任について
お尋ね
がありました。 麻生財務大臣・副
総理
においては、安倍政権が発足をして以来、
経済
の立て直しに腕を振るっていただき、大きな成果を上げていただきました。
経済
政策
の中核である麻生大臣には、デフレからの完全脱却に向けて引き続き
全力
を尽くしていただきたいと考えています。 他方、財務省において生じた種々の、さまざまな問題については、まことに遺憾であります。決裁文書改ざんの問題により
国民
の
皆様
の信頼を揺るがす
事態
になったことに対して、私も行
政府
の長としてその責任を痛感しております。
国民
の
皆様
に深くおわびを申し上げます。 真摯な反省の上に、二度とこうしたことが起こらないように、
再発防止策
を講じ、組織を立て直していかなければなりません。麻生財務大臣には、その先頭に立って、責任を果たしていただきたいと考えております。(
拍手
)
—————————————
赤松広隆
16
○副
議長
(赤松広隆君) 馬場伸幸君。 〔馬場伸幸君
登壇
〕
馬場伸幸
17
○馬場伸幸君
日本
維新の会の馬場伸幸です。(
拍手
) 冒頭、通告をしておりませんが、先ほど速報で、
韓国
の大法院において、新日鉄住金に対し、戦時中の徴用工への賠償金支払いを求める判決が出ました。本件について、
総理
の見解をまず
お尋ね
いたします。 さて、今
国会
から、演壇に残り時間がわかるタイマーが設置をされました。これです。この小さい、しかし意味のある
改革
がなぜ今まで
実現
しなかったのか、理解に苦しみます。 昨日、高市議運委員長が
国会
改革
の私案を「
平成
のうちに」衆議院
改革
実現
会議
メンバーに提示をしたという理由で、本
会議
の開始が四十五分おくれました。この時間を金額に換算すると一体幾らになるのでしょうか。
国会
改革
を
実現
するという高市委員長の熱い思いが
国会
の無駄遣いになるという皮肉な結果になったことは非常に残念であります。 納税者の納得度の高い
政治
の
実現
を目指して行動することが
日本
維新の会であるということを申し上げ、本題に入ります。
消費
税率引上げ
について質問いたします。
安倍総理
は、
消費
税率引上げ
を二度延期しましたが、先日、来年十月に
税率
を一〇%に引き上げる閣議決定をいたしました。年々増加する
社会保障費
に充てるためという聞こえのよい説明ですが、増税は増税です。
日本
維新の会は、
消費税率
の
引上げ
には断固として反対いたします。 増税の前にすべきことがあります。それは、言うまでもなく行財政
改革
です。
政治
家が身を切る
改革
を行い、それに始まる行財政
改革
を役所の協力と信頼を得ながら進め
財源
を
確保
するのが、本来最初にやるべきことのはずです。 ところが、今の自民党が行っていることは全く逆ではないでしょうか。野党
時代
の自民党のマニフェストには、
議員
定数の削減など
国民
の求める
改革
を必ず断行するとありました。しかし、実際には、さきの
国会
で参議院定数を六議席もふやしてしまいました。まさに
政治
家のための
政治
であり、
消費税
増税等で
国民
にさらなる
負担
を押しつけるというのであれば、当然、
議員
定数は削減すべきです。 また、九十七兆七千億円もの一般会計
予算
において、本当に全ての事業の必要性が高く、適正に使われていると言えるでしょうか。
国民
の皆さんには震災
復興
特別税として
平成
四十九年までの増税をお願いしておきながら、
議員
の歳費はあっという間に
もと
に戻していませんか。さらに、またまた公務員給与を上げるおつもりですか。見直されるべき歳入や歳出はまだまだ数多くあります。 そこで、
総理
に質問いたします。
国民
の皆さんに増税をお願いする前に、やるべきこととして、行財政
改革
の推進や、
総理
御自身が身を切る行動をとる意思はおありでしょうか。御自身の問題としてお答え願います。
前回
、
消費税率
を引き上げたとき、
景気
は大きく冷え込みました。
安倍総理
は、
消費
税率引上げ
による
消費
の落ち込みを
軽減
させるために、
住宅
や
自動車
の
購入
を
支援
する安易な減税策を検討されていますが、しょせん小手先の措置にすぎません。
軽減税率
の適用ルールは、複雑であるだけでなく、議論も不十分なままです。簡素、公平、中立という租税原則にも反しているような
制度設計
のまま強引に
消費税率
を上げることは、
国民
の
負担
を増すばかりでなく、
税制
そのものへの信頼を損ないかねません。また、場当たり的な増税分の
ポイント還元
や商品券の配付等で、行政コストに見合った効果が本当に得られるのでしょうか。
軽減税率
の
導入
による減収分の代替
財源
の見込みもない中、
政府
の方向性には疑問を感じざるを得ません。
総理
に質問します。 増税をしても
経済
に
影響
を及ぼさないよう特別の措置を講じると指示されましたが、本当に実効性のあるものとお考えでしょうか。また、
軽減税率
の適用による減収と、
ポイント
導入
等に係る
財源
はどう手当てされるのでしょうか。お答え願います。 公務員給与について質問します。 五年続けて引き上げられている国家公務員の給与ですが、人事院の
調査
は、五十人以上の事業所を
対象
として、
中小
零細
企業
が除外されることから、
国民
全体の給与の実情を反映していません。プライマリーバランスの黒字化が幾度となく先送りされている現状を考えれば、人事院勧告があっても
政府
の判断で給与
引上げ
を見送る
取組
があってもよいはずです。まして、
消費税
増税で
国民
に
負担
を求めながら公務員給与は引き上げるとは、到底信じられません。 そこで、
総理
に質問いたします。
政府
が人事院勧告での給与
引上げ
を見送れないのはなぜでしょうか。政権を支える役所の反発が怖いというのであれば、それは
政治
家自身が身を切る模範を示していないからではないでしょうか。お答え願います。 憲
法改正
について伺います。
総理
は、憲
法改正
を臨時
国会
の重要
課題
に挙げながらも、
所信表明演説
では、ごく短く言及しただけでした。我が党は憲法論議に真摯に取り組みますが、
総理
の本気度へ疑問を抱いています。
日本
維新の会は、憲
法改正
項目として、
教育
無償化
、統治機構
改革
、憲法裁判所の設置の三項目について、条文案を確定させて提案をしているところであります。
教育
無償化
について、自民党の憲
法改正
たたき台素案は、
教育
の充実にとどめていますが、
教育
無償化
にまで踏み込んだ上で、
国民
に問うべきです。 第二子以降の
子供
に対し、認可保育所等への直接給付による保育の
無償化
を
実現
した兵庫県明石市は、五年連続で人口がふえています。重要な点は、第二子以降を
支援
対象
にしたことであり、
子供
を二人以上育てたい夫婦が明石市に移り住み、
平成
二十八年度には、合計特殊出生率は一・六四にまで上がっています。 新三本の矢で出生率一・八を目標に掲げておられますが、
全国
平均の合計特殊出生率は一・四三と二年連続で低下しました。 そこで、
総理
に質問いたします。 合計特殊出生率が下がり
人口減少
の歯どめがかけられない現実を直視し、少子化の根本
対策
になり得る
教育
無償化
を憲
法改正
によって国是とすることについて、どうお考えでしょうか。お答え願います。 次に、外国人に対する新たな在留資格について質問いたします。
日本
における外国人労働者数は百二十八万人。この十年で二・六倍に伸び、今も伸び続けています。OECD加盟国中の外国人移住者統計では、
日本
は二〇一五年に第四位と、事実上は移民大国となりつつあります。
政府
が少子化
対策
をおざなりにしてきた結果の労働力不足を補うために、高度人材や技能実習という言葉でごまかし続けてきた現状を直視し、建前ではなく、本気で移民をどうするかということも含めた
国民
的議論を始めるべきであります。 一方で、中南米諸国には日系移民が二百万人以上居住し、その多くが四世です。ことしの七月一日から始まった新しい日系四世の受入れ
制度
は我が
日本
維新の会が主張してきたことであり、
総理
の判断を高く評価しています。所定の要件を満たせば日系四世も通算五年間滞在することが可能になりましたが、既に日系二世、三世の方には定住資格が認められており、それと比べると、まだまだ
制度
としての魅力に乏しいものだとも言われています。 そこで、
総理
に質問いたします。 外国人労働者問題については、日系四世についても滞在期間を限定することなく、定住資格を認めるなど要件の緩和が必要と考えますが、いかがでしょうか。 また、これまでの高度外国人人材と技能実習生としての未熟練労働者
制度
は、
制度
と実態とに乖離があります。そこをどのように認識しておられるのか。また、つけ焼き刃的な外国人受入れ
政策
ではなく、不足分野の労働力
確保
に向けて、抜本的な
見直し
をどのように進めるおつもりでしょうか。それぞれ具体的にお答え願います。 次に、
地方
分権について伺います。 国立
社会
保障・人口問題研究所の予測によると、二〇五三年の
日本
の人口は一億人を割り込むと推計されています。急激な少子化や都市圏への人口流入から、二〇四〇年には
自治体
の半数が消滅するとまで言われています。 こうした中で、
政府
は、現実感に乏しい
地方
創生を掲げていますが、このような人口、
社会
構造の変化を見据えるならば、国家百年の大計として、抜本的な統治機構
改革
を行うべきではないでしょうか。
地方
が衰退し切ってしまう前に、
政府
が進めている
地方
創生を速やかに
見直し
、さらなる市町村合併や道州制等、統治機構
改革
を見据えた大きな議論に移行すべきではないでしょうか。
総理
の所見をお聞かせください。 次に、ふるさと納税についてお聞きをいたします。 ふるさと納税における返礼品競争が過熱している現状から、総務大臣は、返礼品を寄附額の三割以下にすることと、
地方
団体
地域
内で生産された物や
サービス
の提供に限ることという要請を出しました。しかし、
地方
自治法第二百四十五条の四の技術的な助言といいながらも、従わない
自治体
へはふるさと納税
制度
の
控除
対象
から外すという強硬策を打ち出すのはいかがなものでしょうか。名指しされた
大阪
府泉佐野市の千代松市長は、寄附額三割以下の根拠が不明で、
地域
内で生産の定義が不明確という反論をしています。 中央
政府
の意向に従わない
自治体
はふるさと納税の
控除
対象
から外すという姿勢は、まさにお役所的な横並び主義であり、
政府
が進めようとしている
地域
活性化
や
地方
分権に逆行しているのではないでしょうか。 そこで、質問いたします。
地方
創生に十分な貢献と効果のあるふるさと納税に、どうして努力している
自治体
の
取組
へ水を差すような規制をかけるのか。なぜ、もっとふるさと納税を
促進
させないのでしょうか。お考えをお答え願います。
最後
に、NHKの受信料について伺います。 規制
改革
推進
会議
において携帯電話料金の引下げについて議論されていますが、むしろ下げるべきはNHKの受信料ではないでしょうか。 例えば、スポーツ番組や娯楽番組は、有料契約者だけが放送を見ることができるようスクランブル放送とすること、公共放送機関としての
役割
を整理し、見ない人の受信料は下げることで
国民
の
負担
を
軽減
すべきではないでしょうか。 NHKにおける業務
見直し
や料金体系の
見直し
について、
総理
の御所見をお伺いします。
総理
は、
所信表明演説
において、これまでの常識を打ち破らなければならないという
決意
を述べられていました。しかし、それは本当に具現化されるのでしょうか。常識を打ち破る
改革
には既得権と戦う覚悟が必要です。 私
たち
日本
維新の会は、若い
世代
の持つ将来不安を解消し、未来に
希望
を持って暮らすことのできる
社会
の
実現
を目指しています。
世代
間
格差
を解消するとともに、既得権を打破し、新しい提案をする政党として、
国民
の皆さんのための
改革
に全身全霊で取り組んでまいりますことをお約束申し上げ、質問といたします。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
18
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 馬場伸幸
議員
にお答えをいたします。 冒頭、先ほどの、徴用工問題に関する、
韓国
、大韓民国大法院の
日本
企業
に対する判決について御質問がございました。 本件については、一九六五年の日韓請求権協定によって、完全かつ最終的に解決をしています。この判決は、国際法に照らして、あり得ない判断であります。
日本
政府
としては、毅然として
対応
してまいります。 行財政
改革
について
お尋ね
がありました。 安倍内閣においては、例えば薬価
制度
の抜本
改革
など、
改革
努力や歳出削減努力を積み重ねることにより、一般歳出や
社会保障費
の伸びについて、
経済
・財政再生計画の目安を達成してきたところであり、今後とも、徹底的な重点化、効率化など、歳出削減努力に取り組んでまいります。 行政
改革
についても、これまでも行政事業レビューなどの
取組
を不断に進めてきたところであり、引き続き取り組んでいきます。 なお、
政治
に要する費用の問題は、議会
政治
や
議員
活動の
あり方
、すなわち
民主主義
の根幹にかかわる重要な
課題
であり、
国会
において
国民
の代表たる国
会議
員が真摯に議論を行い、
合意
を得る努力を重ねなければならない問題であると考えております。
消費
税率引上げ
に関する
対策
について
お尋ね
がありました。 来年十月に予定されている
消費
税率引上げ
に当たっては、
前回
の三%
引上げ
の経験を生かし、あらゆる
施策
を総動員し、
経済
に
影響
を及ぼさないよう
全力
で
対応
してまいります。 具体的には、
消費
税率引上げ
分の税収のうち半分を
国民
の
皆様
に還元します。
子育て
世代
に大胆に投資し、来年十月一日から
幼児教育
を
無償化
します。
軽減税率
を
導入
し、
家計
消費
の四分の一を占める飲
食料品
については、
消費税
を八%のまま据え置きます。
引上げ
後の
一定期間
に限り、
中小小売業
に対し、
ポイント還元
といった新たな手法による
支援
を行うなど、
引上げ
前後の
消費
を平準化するための十分な
支援策
を講じます。
自動車
や
住宅
といった大型
耐久消費財
について、来年十月一日以降の
購入
にメリットが出るように、
税制
、
予算
措置を講じます。 二〇一九年度、二〇二〇年度の当初
予算
について臨時特別の措置を講ずることとしており、その具体的な内容等については、各年度の
予算
編成過程において検討してまいります。
財源
等については、今後、年末に向けて、
税制改正
及び
予算
編成のプロセスにおいて検討してまいります。 公務員の給与について
お尋ね
がありました。 労働基本権が制約されている国家公務員の給与については、その代償措置としての人事院勧告
制度
を尊重するとの
基本方針
の
もと
、
民間
の水準を踏まえて決定されております。 こうした中にあっても、安倍政権においては、厳しい財政事情を踏まえ、国家公務員の総人件費に関する
基本方針
に沿って、給与
制度
の総合的
見直し
の
実施
や定員合理化等を行うことなどにより、人件費の抑制に努めてきたところであります。 今後も、国家公務員の給与については、人事院勧告
制度
を尊重し、国の財政
状況
、
経済
社会
情勢など国政全般との関連を考慮しつつ、しっかり検討を進めてまいります。 憲
法改正
による
教育
無償化
への
取組
について
お尋ね
がありました。 憲
法改正
の内容については、私は今、
内閣総理大臣
として
答弁
しており、今後、
国会
の憲法審査会において議論されるであろう御党の提案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。 その上で、
お尋ね
ですのであえて申し上げますと、自民党が示した改憲四項目の中にも
教育
の充実が含まれておりますが、私は、
子供
、若者こそ
我が国
の未来であり、
世代
を超えた貧困の連鎖を断ち切り、家庭の
経済
事情にかかわらず、
子供
たち
が夢に向かって頑張ることができる
日本
、政権などのいかんにかかわらず、それが保障される国でありたいと考えています。 いずれにせよ、憲
法改正
は、
国会
が発議し、最終的には
国民
投票により決められるものです。憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、
国民
の
皆様
の理解を深める努力を重ね、与党、野党といった
政治
的立場を超えて、できるだけ幅広い
合意
が得られると確信しています。 日系四世の受入れ
制度
、高度人材と技能実習生、外国人材の受入れ
拡充
について
お尋ね
がありました。 本年七月一日から開始した日系四世の受入れ
制度
は、若年層の日系四世の方を受け入れ、
日本
文化を習得する活動等を通じて
日本
に対する理解や関心を深めてもらい、もって、
日本
と現地日系
社会
との結びつきを強めるかけ橋になる人材を育成することを目的としています。 そのため、
一定
程度の期間、
日本
に在留していただいた後、帰国して御活躍いただくことが期待されることから、最長五年間在留できることとしたものですが、今後、本
制度
の
実施
状況
を踏まえ、本
制度
で受け入れた日系四世の
方々
の将来の在留資格の
あり方
について検討してまいります。 高度人材に関しては、専門的、技術的な労働市場の発展を促し、
我が国
労働市場の効率性を高めることが期待される人材として受入れを
促進
しているものであります。 また、技能実習
制度
は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の
経済
発展を担う人材、人づくりに協力することを目的とする
制度
ですが、一部の監理団体や受入れ
企業
において労働関係法令違反や人権侵害が生じている等の
指摘
があることから、
制度
を
見直し
、昨年十一月に技能実習法が施行され、
制度
の適正化を図っているところです。 新たな受入れ
制度
は、深刻な
人手不足
に
対応
するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ
制度
を
拡充
し、真に必要な業種に限り、
一定
の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を就労の資格で
我が国
に受け入れようとするものです。
政府
として、これまで積極的、継続的に検討を重ねてきたものであり、本
制度
の趣旨や内容について広く御理解いただけるよう取り組んでまいります。
人口減少時代
を見据えた
地方
の
活性化
、統治機構
改革
について
お尋ね
がありました。
地方
の活力なくして
日本
の再生なし。安倍内閣は発足当初から、
人口減少
の克服と
地域
活性化
を一体として
実現
することを目指す
地方
創生を
政策
の柱として取り組んできており、今後ともあらゆる
施策
を総動員してまいります。 その上で、国と
地方
の
あり方
を根底から見直す大きな
改革
である道州制の
導入
については、現在、引き続き与党において検討がされており、
政府
としても連携しつつ取り組んでまいります。 また、市町村合併後の
あり方
については、他の市町村と連携して
行政サービス
を提供する
取組
も含め、市町村みずからが最も適したものを選択できるように進めていくことが重要であると考えています。 いずれにせよ、
地方
分権
改革
、さらには国と
地方
のあるべき姿については、御党の御主張などを含め、引き続き建設的な議論を続けてまいります。 ふるさと納税について
お尋ね
がありました。 ふるさと納税は、ふるさとや
地方
団体の
取組
を応援する納税者の気持ちを橋渡しするとともに、
地方
団体がみずから
財源
を
確保
し、さまざまな
施策
を
実現
するために有効な手段となっています。 一方で、一部の
地方
団体が過度な返礼品を送付し多額の寄附を集めていることが
制度
そのものに対する批判につながっていることから、
制度
の
見直し
の検討を始めたところです。
一定
のルールの中で、
地方
団体が切磋琢磨できる
環境
を整えることにより、ふるさと納税
制度
を健全に発展させていきたいと考えています。 NHK受信料について
お尋ね
がありました。 受信料は、公共放送が
社会
的使命を果たすために必要な
財源
を、広く
国民
・視聴者全体に公平に御
負担
いただいているものであります。 その上で、NHKにおいては、その経営が、
国民
・視聴者が
負担
する受信料により支えられているとの強い認識を持ち、徹底して
国民
・視聴者目線に立った、業務の合理化、効率化、ガバナンス
改革
に
全力
で取り組んでもらわなければなりません。 そうした努力を重ねることで、NHKには、値下げを含む受信料水準の
あり方
について不断に検討を行ってもらいたいと考えています。(
拍手
)
赤松広隆
19
○副
議長
(赤松広隆君) これにて
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
は終了いたしました。 ————◇—————
赤松広隆
20
○副
議長
(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時十七分散会 ————◇————— 出席
国務大臣
内閣総理大臣
安倍 晋三君 財務大臣 麻生 太郎君 総務大臣 石田 真敏君 法務大臣 山下 貴司君 外務大臣 河野 太郎君 文部科学大臣 柴山 昌彦君 厚生労働大臣 根本 匠君 農林水産大臣 吉川 貴盛君
経済
産業大臣 世耕 弘成君
国土交通大臣
石井 啓一君
環境
大臣 原田 義昭君 防衛大臣 岩屋 毅君
国務大臣
片山さつき君
国務大臣
櫻田 義孝君
国務大臣
菅 義偉君
国務大臣
平井 卓也君
国務大臣
宮腰 光寛君
国務大臣
茂木 敏充君
国務大臣
山本 順三君
国務大臣
渡辺 博道君 出席内閣官房副長官及び副大臣 内閣官房副長官 西村 康稔君 財務副大臣 うえの賢一郎君 出席
政府
特別補佐人 内閣法制局長官 横畠 裕介君