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2018-06-15 第196回国会 参議院 本会議 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年六月十五日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十九号   平成三十年六月十五日    午前十時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(足   立信也君外十三名発議)  第二 鉄道軌道整備法の一部を改正する法律案   (衆議院提出)  第三 美しく豊かな自然を保護するための海岸   における良好な景観及び環境保全に係る海   岸漂着物等処理等推進に関する法律の一   部を改正する法律案衆議院提出)  第四 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法   の一部を改正する法律案内閣提出衆議院   送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより会議を開きます。  日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案足立信也君外十三名発議)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。政治倫理確立及び選挙制度に関する特別委員長石井浩郎君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号末尾掲載〕     ─────────────    〔石井浩郎登壇拍手
  3. 石井浩郎

    石井浩郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、参議院選挙選出議員選挙における政見放送について、できる限り多くの国民候補者政見がより効果的に伝わるようにするため、一定要件を満たす推薦団体又は確認団体のそれぞれ推薦候補者又は所属候補者は、自ら政見を録音し又は録画することができることとしようとするものであります。  委員会におきましては、発議者足立信也君から趣旨説明を聴取した後、持込みビデオ方式により手話通訳字幕付与を可能にすることの意義、品位保持担保についての考え方、候補者間の選挙運動の平等と持込みビデオ方式対象候補者を限定することの妥当性スタジオ録画方式における字幕付与の今後の展望等について質疑が行われました。  質疑を終局した後、希望の会(自由・社民)及び沖縄の風を代表して青木愛委員より、自ら政見を録音し又は録画することができる候補者の範囲を限定しないこと等を内容とする修正案提出されました。  なお、国会法第五十七条の三の規定に基づき内閣から意見を聴取いたしましたところ、原案には特に異議がない旨、修正案には反対である旨の発言がありました。  続いて、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して井上哲士委員より原案反対修正案賛成沖縄の風を代表して伊波洋一委員より修正案賛成原案反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終局し、順次採決の結果、修正案賛成少数により否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  5. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  6. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十七     賛成            二百十五     反対             二十二    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  7. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 日程第二 鉄道軌道整備法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。国土交通委員長浜博行君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号末尾掲載〕     ─────────────    〔長浜博行登壇拍手
  8. 長浜博行

    長浜博行君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、民生の安定に寄与するため、鉄道事業者がその資力のみによっては災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときのほか、鉄道災害復旧事業激甚災害等に係るものであること等一定要件に該当するときは、補助金の交付を可能とする措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  9. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  10. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  11. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十七     賛成           二百三十七     反対               〇    よって、本案全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  12. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 日程第三 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境保全に係る海岸漂着物等処理等推進に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。環境委員長斎藤嘉隆君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号末尾掲載〕     ─────────────    〔斎藤嘉隆登壇拍手
  13. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、衆議院環境委員長提出に係るものでありまして、我が国における海岸漂着物対策現状に鑑み、海岸漂着物等に、我が国沿岸海域において漂流し、又はその海底に存する漂流ごみ等を追加するとともに、海域におけるマイクロプラスチック抑制に関し、基本理念を定め、事業者の責務を明らかにする等の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、マイクロプラスチック海域への流出抑制策について、対策現状及び附則に基づく検討の時期等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  14. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  15. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  16. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十六     賛成           二百三十六     反対               〇    よって、本案全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  17. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 日程第四 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長岩井茂樹君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号末尾掲載〕     ─────────────    〔岩井茂樹登壇拍手
  18. 岩井茂樹

    岩井茂樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近における食品等流通多様化に対応するため、卸売市場に関し、許認可制に代えて認定制を設ける等の規制の見直しを行うとともに、食品等流通合理化事業に対する支援、食品等流通調査実施等措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、卸売市場公共性の維持、発揮、卸売市場に対する公的関与必要性食品等流通調査実効性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局した後、希望の会(自由・社民)を代表して森委員より、卸売市場法目的に合理的な価格形成を図ることを明記する旨の修正案提出されました。  討論に入りましたところ、国民民主党新緑風会を代表して田名部理事より原案反対立憲民主党民友会を代表して小川委員より原案及び修正案反対日本共産党を代表して紙理事より原案及び修正案反対希望の会(自由・社民)を代表して森委員より原案反対修正案賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。  採決の結果、修正案賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  19. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。森本真治君。    〔森本真治登壇拍手
  20. 森本真治

    森本真治君 国民民主党新緑風会森本真治です。  冒頭、一言申し上げます。  国民政治への信頼が大きく失墜した今国会も会期末が迫ってまいりました。森友学園の国有地売却問題については、多くの国民がいまだ納得していない状況です。実際に改ざんに関わった財務省職員が不起訴となったことに対し、検察審査会への審査申立てが相次いでいます。  安倍総理も、国民の皆様はうみを出し切ったとお考えになっていないと思うと国会答弁をされています。国会が閉じてしまえばこの問題はおしまいだと思われている方が政府与党の中にいらっしゃるとすれば、大きな間違いです。  我が党は、森友、加計問題に関する調査特別委員会設置議長に申し入れております。早期の特別委員会設置に御賛同いただき、閉会中も引き続き真相究明政治信頼回復に向け、参議院一丸となって取り組むことを強く呼びかけます。  それでは、以下、会派を代表し、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案反対立場から討論を行います。  反対する理由の第一は、現行卸売市場制度を大転換しなければならない立法事実がないことであります。  本改正案の柱は、卸売市場開設に係る許認可制廃止して認定制に移行するとともに、中央卸売市場開設者として民間企業参入できるようにすることであります。  ところが、三年前、規制改革推進会議が受け付ける規制改革ホットラインに、匿名の個人から、中央卸売市場開設主体民間企業がなることを認めるべきとの要望が寄せられました。このとき、農林水産省は、中央卸売市場については、市場民間事業者に対して公平な立場判断を行い、特定の都市及びその周辺の地域における生鮮食料品等安定供給という公共的使命を果たせるよう、地方公共団体がこの役割を担う必要があると、民間企業参入を否定する見解を出していたのです。  そこから、なぜ民間企業参入を認める本改正案に至ったのか。理由を尋ねても、平成二十七年のTPP関連政策大綱の中で、生産者が有利な条件安定取引を行うことができる流通、加工の業界構造確立検討項目になったと説明するばかりで、なるほど、そういう事情があるのかという明確な説明が示されていません。  本改正案は、規制改革推進会議等提言がベースとなっております。関係者抜き政策決定する官邸農政の一つです。過去の改正案策定プロセスでは、農林水産省内に検討会設置され、関係者が公開の場で議論してきましたが、本改正案にはそのプロセスがありません。この点、委員会にお招きした参考人からも、ヒアリングでは不十分であり、検討会設置すべきだったと問題視されております。  しかも、農林水産省がヒアリングした関係者から、許認可制度廃止してほしいとの要望はなかったことが委員会で明らかになりました。それでは、一体、誰のための、何のための改正なのでしょうか。  この点、委員会参考人からは、大規模資本や多国籍企業卸売市場システムの利用を拡大してきた流れの延長上にあり、今回、ついに開設者となって税金投与付き物流センターをつくりたいからではないかとの指摘がありました。同様の疑念を抱かざるを得ません。  反対理由の第二は、公的関与が後退し、卸売市場公共性が損なわれてしまうことであります。  現在、卸売市場は、国が定める卸売市場整備基本方針等に基づき整備されておりますが、本改正案は、この仕組みを削除し、卸売市場適正配置から国は手を引くことになります。  長年、新たに開設する需要はなかったと政府は弁解していますが、問題はそこではありません。人口減少時代を迎え、数の増設は必要ありませんが、取扱量減少により経営の苦しい卸売市場について、当該市場の再編や廃止判断を行いながら、当該市場を必要とする生産者消費者に対するサービスをどのように維持していくのか、国や都道府県責任を持って対応していくことが今後重要となってきます。  卸売市場は、市場外物流センターと異なり、差別的取扱い禁止受託拒否禁止などの公平公正な取引ルールや、卸と目利きの仲卸が向き合う構図取引条件、結果の公表などによって、誰にも開かれ、透明性の高い価格形成が実現しています。このため、小規模な家族経営体も安心して出荷でき、零細な小売店も仕入れが可能となっています。すなわち、日本食文化多様性を支えるという高い公共性を有しているのです。  国が適正配置から手を引けば、財政の苦しい自治体開設者から退く懸念があります。代わりに、大消費地ばかりを向いた民間企業開設する市場だけが残るおそれがあります。政府は、国民に対する食料安定供給農林水産業持続的発展を放棄したとしか思えません。  反対理由の第三は、本改正案認定制において、認定される卸売市場運営が、現在の卸売市場のように公平公正であり続ける法的担保がないことであります。  現行法では、国又は都道府県卸売業者の業務及び財務を直接監督しています。しかし、本改正案では、国又は都道府県開設者のみを監督し、卸売業者については開設者任せになっています。開設者及び卸売業者取引参加者を不当に差別的な取扱いをしないようにするための規定がありますが、現行と同様に運用されるのか曖昧です。  この点、本改正案賛成を表明する参考人からも、各市場実態に応じて取引ルールを定めるなど、自由度が高まることは歓迎しているが、民間開設者によって公平公正な運営がなされるか心配であり、国や自治体によるチェックシステムが必要との課題が示されました。  公平公正な運営を確保するため、特に中央卸売市場について厳格に定めてきた規定のほとんどを削除する本改正案は、事実上の卸売市場法廃止法案であります。  生鮮食品等は、生きる上で一日も欠かせません。百年前の米騒動を受けて、国は、中央卸売市場法を制定しました。今再び、一部の業者が、物と情報を握り、自己に有利な取引価格を操作するようなことを許す制度に戻すような本改正案を通してはいけません。  反対理由の第四は、本改正案が新たに導入する食品等流通調査についても、大臣の調査権限法律上極めて弱く、優越的地位の濫用などの不公正な取引の歯止めになるような実効性がないことであります。  第五は、以上の反対理由が全て重なり、その結果、卸売市場が支える地域経済の崩壊につながるということであります。  全国適正配置された卸売市場は、全国の農山村、漁村を支える家族経営体、中小の小売店を守ってきました。本改正案により、卸売市場適正配置がなくなり、競争原理により流通業者寡占化が進み、一定規模以上のニーズしか対応しない硬直した流通が支配的になり、ついには、生産流通多様性が喪失し、消費者から豊かな食文化を奪うのではないでしょうか。  これは、昨年の種子法廃止法案と同じ構図です。  皆さん、党派を超えて断固反対しようではありませんか。生産者が、多国籍企業、大規模資本の下請にならずに主体的に生産経営していく環境を整備し、地域文化を大切にしていこうではありませんか。国民に対する食料安定供給の体制を維持強化していこうではありませんか。  本改正案廃案にし、改めて、公益的観点から、卸売市場を含む食品流通構造確立に資する政策を考えることの必要性を心より訴え申し上げて、私の反対討論を終わります。  ありがとうございました。(拍手
  21. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 川田龍平君。    〔川田龍平登壇拍手
  22. 川田龍平

    川田龍平君 立憲民主党民友会川田龍平です。  会派を代表して、ただいま議題となりました卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案反対立場から討論を行います。  そもそも、法案は何のために提出をされ、審議されるのでしょうか。それは、社会経済の変化により現行制度では対応し切れない、あるいは新たな課題が生じたことに対応するための制度整備を行うためです。掲げる理念政策は違いますが、今申し上げた目的のために法案審議に臨む点は野党も与党も同じはずです。  ところが、今国会では、行政において、法案根拠となるデータの捏造、公文書の改ざんや隠蔽など、様々な問題が明らかになりました。財務省防衛省厚生労働省だけではありません。農林水産省も、森林経営管理法案について、衆議院での可決後、本院での審議に入る前に、恣意的なデータ解釈があったとして法案説明資料を書き換えるという事態がありました。  内閣提出した法案については、行政が作成した資料を基に改正内容の当否を議論することになりますが、その前提となる行政府と立法府の信頼関係が損なわれてしまっています。こうした状態国民は強い不信感を抱いています。この深刻な事態には与野党関係なく真剣に対処し、正常な状態法案審議が行える環境を取り戻し、国民信頼を回復できるよう取り組まなければなりません。その環境が整っていないことをまず指摘いたします。  本法案についても問題があります。  まず、第一条の目的改正し、卸売市場が公正な取引の場として重要な役割を果たしていると盛り込んでおきながら、卸売市場法適用を受けない法適用外市場、つまり、公正な取引を確保するための規制を受けない卸売市場開設が可能となるような改正を行っています。大きな矛盾と言わざるを得ません。  農林水産省は、この法適用外市場について、衆議院では許認可を受けないで開設する卸売市場はないと答弁しながら、自らのホームページで許認可を受けていない法適用外市場が百十一もあると示しています。私がこの点を本院の委員会で確認すると、許認可規模要件を満たさない法適用外市場の存在を認める答弁をしました。衆参の委員会における答弁の違いは、国会軽視も甚だしいことこの上ありません。  法案作成前提となる現場実態把握についても問題があります。  本法案により、許認可制から民間参入が可能な認定制へ移行します。今後は、認定を受けない民営の卸売市場開設可能となります。それがどういうものになるのか、先ほど申し上げた百十一の法適用外市場について、その開設主体開設場所取扱品目など、運営実態が分かれば大いに参考になるはずです。農林水産省にそうした点に関する情報の提供をお願いしたところ、全く把握していないということでした。  本法律案は、現場実態に詳しい者がいない未来投資会議規制改革推進会議検討され、提言されたものが骨格になって立案されています。これでは、法改正根拠となる実態把握もせず、規制改革推進会議などの提言に従って法案をまとめたものと言われても仕方ありません。  決定プロセスに問題があるのは本法案だけではありません。  安倍内閣において成長産業化の名の下に進められてきた農政改革は、どれもこの問題を抱えています。本当であれば、農政を所管する農林水産省に置かれた審議会において、生産流通現場関係者地方公共団体学識経験者など、現状課題に精通した実務家専門家が参加して検討を行うべきです。  ところが、審議会は軽視され、本法案も、規制改革推進会議などが中心になって、いつもの官邸主導の形で取りまとめが行われました。  以上申し上げましたとおり、本法案は、法律の最も基本となる目的規定矛盾を抱えているだけでなく、現場実態把握も不十分なまま、官邸主導の問題あるプロセス検討が行われ、立案されています。さらには、政府は、審議の過程において、ごまかしの答弁と言われても仕方のないようないいかげんな説明も行っています。ただでさえ行政府信頼が失われている現下の深刻な状況においては、これまで申し上げてきた点を考えると、本法案はとても審議に値するものではなく、賛否以前に、そもそも廃案にして立案からやり直さなければならないものです。  反対以外に選択肢のあり得ない法案ではありますが、まだ多くの問題点があり、指摘しておかなければなりません。  まず、許認可制から認定制へ移行するとともに、整備計画体系廃止してしまう点です。認定制となることで、民間参入が可能となるとともに、整備計画体系がなくなるため、都市部条件の良いところでは、近接して卸売市場開設され、激しく競争することもあれば、逆に地方の営業的に不利な地域では、公正な取引の場である卸売市場が撤退してしまい、食料安定供給の面で支障が生ずるおそれもあります。  衆議院農林水産委員会では、参考人から、尼崎市の市場において、卸売業者を引き受ける事業者が決まらないという実例が紹介されました。この点について農林水産省に確認したところ、尼崎市は地方卸売市場ですので兵庫県が対応しますという答弁でした。要するに、国は知らないということです。目的規定に公正な取引場とうたっておきながら、責任放棄を隠そうともしない態度にはあきれるしかありません。  また、認定外卸売市場に大資本企業参入すれば、大型量販店と結託して地域食品流通を支配し、さらには公設市場食品流通を奪われて撤退するおそれがあります。そういうことになれば、行く行くは卸売市場法そのもの廃止につながるのではないかと懸念されてなりません。未来投資会議の議論にも参加したある大学教授は、専門紙において、卸売市場法そのもの廃止して食品流通法のようなものを作った方がいいと述べており、このことは決して私だけの杞憂とは言えない状況です。  次に、卸売市場における取引規制の緩和です。  法改正後も認定を受けて開設された卸売市場においては、差別的取扱い禁止受託拒否禁止などの取引規制が行われますが、第三者販売禁止や直荷引きの禁止などについてはそれぞれ卸売市場に委ねられることになります。  これらの取引規制は、生産者側に立つ卸売業者小売側に立つ仲卸業者対峙構造を形作り、維持してきました。この対峙構造こそ、公平公正な価格形成を実現する基本的な枠組みであり、需給バランスの中で品質が適切に評価されることを可能としているものです。  規制が緩和された中で開設者利益優先市場運営を行うことにより、現在でも経営の厳しい仲卸業者が撤退や弱体化することになれば、この対峙構造が失われ、卸売市場が公共的な役割を果たせなくなることが懸念されます。これを防止するためには、できるだけ市場関係者意見を聞いて取引ルールを決めることが必要ですが、本法案では、現行法にある中央卸売市場開設運営協議会や市場取引委員会規定が削除されてしまっています。  次に、災害時の問題があります。  卸売市場は、日々の生鮮食料品など流通を担うだけでなく、災害時等の緊急事態の場合には生鮮食品等を安定的に供給するという重要な社会的機能を有しています。公設市場であれば、公的主体がその役割責任を持って果たしていくことが期待できますが、法改正後は、民営市場開設が可能であり、取引ルール開設者が柔軟に設定でき、さらには、認定外の民営市場食品流通市場において存在感を増していることも考えられるため、緊急事態において卸売市場に期待される役割と機能が必ず確保されるとは言えません。  食料・農業・農村基本法には、食料安定供給が国の責務として明記されています。食料へのアクセス権を保障するのも国の大きな責務の一つであり、卸売市場制度が創設された百年前の経緯を考えれば、富山県を発端にした米騒動をきっかけにして三百万人の国民が蜂起し、そういった経緯を考えれば、この生産者と小売業者をつなぐ卸売市場の存廃を民間任せにしてしまってはいけません。  今だけ、金だけ、自分だけ。安倍内閣農政改革に通底する理念です。百年を掛けて形成されてきた我が国卸売市場は、生産者誰もが安心して出荷でき、大規模小売業者から零細小売店まで差別なく利用できる世界に冠たる生鮮食品流通のプラットフォームであり、何としても守っていかなければなりません。  築地市場に代表されるように、豊洲市場に移転に代表されるように、本当にこれまで日本食文化を守ってきた、そして世界に冠たる魚類の、魚の、生鮮食品のこの価格形成システム、本当にそういった市場としての価値、歴史的な建造物としての価値も守らなければなりません。  昨年、我々は、主要農作物種子法廃止法案という、根拠も不明確で政府説明も不十分な法案を成立させてしまいました。それに対して、生産者消費者からも不安の声が上がり続けています。それと同じく、本法案も必ずや将来に禍根を残す悪法です。決して成立させてはならない法案であることを強く申し上げ、私の反対討論といたします。  与党の皆さんも、是非とも、賛成する理由もない法案ですから反対していただき、この法案成立をさせないように、どうか皆さんの反対をよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手
  23. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 紙智子君。    〔紙智子君登壇拍手
  24. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子です。  会派を代表して、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法一部改正案反対する討論を行います。  卸売市場法改正案は、衆議院、参議院とも僅か六時間の質疑採決されました。与党推薦の参考人から、地方自治体や議会が関与しないと市場システムが崩れるとの指摘がありましたが、こうした懸念を払拭することなく短期間で質疑を打ち切ったことに抗議するものです。  現在の卸売市場法基本骨格となったのは、大正時代に成立した中央卸売市場法があります。一九一八年、問屋による米の買占め、価格のつり上げに反対した米騒動が契機となっています。今年はそれから百周年です。改正案について、市場関係者から、改善すべき課題はあるものの、卸売市場の公正公平な価格形成機能は、一世紀を経た今日もなお大きな力を発揮していると言われています。にもかかわらず、記念すべき年になぜ変えるのでしょうか。  安倍政権は、官邸主導規制改革推進会議主導で農政改革を進めています。卸売市場法の改悪も、規制改革推進会議がTPP対策の一環として時代遅れの規制廃止すると提言したことがきっかけでした。卸売市場ができた歴史から学ばず、現場を置き去りにした農政改革はやめるよう強く求めるものです。  以下、反対理由を述べます。  本改正案反対する最大の理由は、卸売市場に対する公的な役割を後退させるものだからです。  卸売市場法目的は、卸売市場取引規制と、国、地方が行う整備計画という二つの柱を据えることで、生鮮食料品の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図ることにあります。ところが、改正案は、二つの柱を目的から削除するとともに、八十三条の条文を十九条に削減するものです。参考人は、改正案を、事実上の卸売市場制度を解体の危機に直面させるものと指摘しています。卸売市場法を骨抜きにすべきではありません。  改正案は、中央卸売市場開設について、国の認可制から認定制に変えるものです。認定制に変えることになればどうなるでしょうか。中央卸売市場などは認定を受ける卸売市場になりますが、認定を受けない卸売市場開設することもできます。事実上、認定を受けた卸売市場認定を受けない卸売市場が共存することになります。  認定外卸売市場は、どこからも指導、監督など、規制を受けることがありません。共存すれば、卸売市場間の競争が激化し、認定卸売市場経営が困難になるかもしれません。認定を受けた卸売市場がどのような影響を受けるのかと聞いたところ、卸売市場は既に競争していると開き直りました。行き過ぎた市場間競争は歯止めを掛けるべきです。  中央卸売市場は、地方公共団体開設者になり、生鮮食品流通に必要な規模と施設を整備したからこそ、卸売会社や仲卸会社は自前の土地や建物を持つ必要がなく、安心して生鮮食料品の取引に専念することができたのです。住民に安定的に安全な生鮮食品の供給に果たしてきた卸売市場の枠組みに風穴を空けることは許されません。  認可制を認定制に変えることで、国の関与は大きく後退することになります。現在、国は、中央卸売市場卸売業者を監督し、問題があれば、業務改善命令、業務停止命令を出して、業者名も公表しています。認定制になれば、卸売業者市場開設者になることができますが、問題が発生しても、自分を自分で監督するということになります。国が業者名を公表することもありません。国の責任放棄と言わざるを得ません。  地方自治体と議会の関与が弱まることも問題です。財政負担に苦しむ自治体卸売市場運営から撤退すれば、大手小売企業に都合の良いバックヤードと化し、住民に食料安定供給する自治体の使命が果たせなくなります。公的に行われていた食品衛生検査員の派遣ができなくなり、食の安全性が後退しかねません。  東京都は、国の動きに合わせて、築地卸売市場の広域拠点化を進めています。築地市場は、築地ブランドとして世界でも注目され、水産物取扱量では世界一を誇っています。豊洲に移転したら、豊洲と築地に市場機能がばらばらにされ、築地の市場機能が困難になると築地の女将さん会を始め関係者は批判の声を上げています。  今は国が関与していますが、認定制になれば国は手を引くのかと聞いたところ、価格形成は大事だから、そうした卸売市場認定するとの答弁がありました。参考人からは、汚染されていることを知りながら豊洲移転を進めている、築地が更地になると元に戻すのが困難になり、築地ブランドが後退すると言われました。価格形成機能が大事だというのであれば、市場機能をばらばらにしてはなりません。市場機能と築地ブランドを守るよう求めるものです。  第二の理由は、需給調整と価格形成を行う卸売市場の機能を損なうものだからです。  第三者販売、商物分離、直荷引きが自由化されたら、卸が仲卸を通さない直接取引価格決定が行われるとともに、大手流通、小売業界の販売力が強まり、公平公正な価格形成が損なわれます。  卸と仲卸の皆さんは、第三者販売などが自由化されると、卸売業者仲卸業者、売買参加者が対峙する関係が崩れる、卸売市場の根幹である公平公正な価格形成が損なわれると言い、参考人は、不公正な価格形成になると、地域経済が資本の原理で動き、窒息しかねないとの指摘があります。これが、日々市場で品物を扱っている皆さんの実感です。  原則は維持しつつ改善で対応すべきで、第三者販売、商物分離、直荷引きの自由化はやめるべきです。  第三の理由は、中小の仲卸業の淘汰が進む懸念があるからです。  卸売市場に荷が集まらなくなれば、今でさえ厳しい経営が一層苦しい状況に追いやられるでしょう。仲卸業者の利益率は低く、脆弱な経営体質を支えているのが公設市場です。業者地方自治体が組むことで、低コスト供給システムをつくることが可能になりました。  衆議院参考人として出席した中澤誠参考人は、競りが減っても仲卸価格形成で重要な役割を果たしている、築地市場で五百の仲卸が商品の値を聞き歩くことで相場観が生まれる、これが価格形成機能の維持に力を発揮していると言われました。  仲卸業者が廃業に追い込まれたら、目利きの力に依存してきた専門小売店、料理店、すし店などの仕入れも困難になります。品質を見極める目利きの力、マンパワーは、卸売市場でなくてはならない力です。日本のブランドを育てた仲卸業への支援を強化こそすれ、リストラを迫ることがあってはなりません。  我が国では、北海道から沖縄まで南北に長い国土で、季節ごとに多種多様な生産が行われています。それを収集、中継、分散し、公正な価格消費者に届ける、これを保障しているのが卸売市場法で言う差別的取扱い禁止の法規制です。こうした役割を果たしている卸売市場役割を後退させてはなりません。  改正案廃案にすることを求め、反対討論といたします。(拍手
  25. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  26. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  27. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  28. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十五     賛成            百六十五     反対              七十    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  29. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十四分散会