○有田芳生君 立憲民主党・民友会の有田芳生です。
成年年齢を十八歳に引き下げる
民法改正案について
質問する前に、まず加計学園問題についてお聞きします。
加計孝太郎理事長と
総理が二〇一五年二月二十五日に面会して獣医学部創設について十五分間話し合ったとする愛媛県文書について、真相はいまだ明らかではありません。
加計学園は、報道機関に宛てて、
総理と理事長との面会はなかったとするファクスを二度流しました。しかし、このファクスが真実であるとの確認は取れておりません。まさに怪文書レベルです。このファクスが真実であるというのなら、
責任者である加計孝太郎理事長が堂々と記者会見をして事実経過を明らかにするのが真っ当な
対応ではないでしょうか。愛媛県知事は、普通はまず
関係者に謝罪し
説明すると、いまだ学園から連絡がないことに強い怒りを表明しています。
面会があったのかなかったのか、
総理の
言葉と加計学園の紙っぺらたった一枚、たった六行、二百字程度の一方的弁明はあっても、それが事実であるかの確定はいまだできておりません。
五月二十六日、七日に毎日新聞が行った
世論調査では、
総理が加計学園の獣医学部新設の構想を初めて知ったのが二〇一七年一月だったとする
説明を信用できないが七〇%、信用できるは僅か一四%でした。加計学園理事長と愛媛県知事の証人喚問を是非とも実現しようではありませんか。
公文書の捏造、改ざん、破棄、隠蔽、
法務大臣はこうした問題をどう認識されているのか、率直にお答えください。
さらに、森友学園問題。
安倍総理は、昨年二月十七日、国有地売却について、私や妻が
関係したということになれば首相も国
会議員も辞めると
答弁いたしました。ところが、今月二十三日に財務省が
国会に提出した森友学園との交渉記録には、昭恵夫人付けの
政府職員が、国有地
取引について優遇が受けられないかと
総理夫人に照会があり、財務省に問い合わせたことを示す文書がありました。
官房長官は、昭恵夫人付きの
政府職員が勝手にやったことと語りましたが、ならば、この
政府職員は、籠池夫人とのやり取りがあった昭恵夫人の携帯電話のメールを勝手に盗み見し、あるいは留守番電話を勝手に聞いたとでも言うのでしょうか。あり得ないことです。夫人は明らかに
関係したのです。
総理が豪語したように、首相も国
会議員も辞めるとした
答弁を有言実行していただこうではありませんか。今更
関係を贈収賄に引き上げるのは余りにも往生際が悪い、そう言わざるを得ません。
二〇一四年四月二十八日、この日は、籠池氏が近畿財務局に昭恵夫人とのスリーショット写真を提示し、いい土地ですから前に進めてという昭恵夫人の
言葉を伝えています。暗礁に乗り上げていた
契約交渉はここから大きく進み出しました。ところが、なぜか約九百五十ページの交渉記録にこの日のものはありません。
麻生大臣は、
衆議院の予算委員会で、探せばまだ出てくるかもしれませんと
答弁しました。更に隠蔽が行われていると疑わざるを得ません。財務大臣、記録を全て出してください。
民法改正案に移ります。
成年年齢を二十歳としたのは一八七六年、明治九年ですから、それを十八歳に引き下げるというのは百四十二年
ぶりの抜本的な改革です。
法務大臣にお聞きします。
成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げることについて、
国民投票法や
選挙権年齢を十八歳に引き下げたからそれに合わせるという
理由ではなく、人間の成熟という視点からどのような検討が行われ、いかなる結論が出されたのですか。その時代認識をお答えください。
現状では、
成年年齢引下げに伴う弊害への
対応が十分だとは言えません。今から御紹介する数字をしっかりと記憶に刻んでください。闇金融事犯に対する
相談件数です。
直近の
平成二十九年の
年齢別内訳は、二十歳
未満三十一件、二十歳代千三百九十九件、三十歳代千七百四十三件、四十歳代が一番多くて二千四百四件です。これは警察庁によるまとめで、サラ金や闇金についての被害統計はありません。数字が問題なのではありません。一人一人の暮らしと人生に深い傷を与える被害を少しでも防止しなければなりません。
闇金の手口は極めて巧妙で深化しております。トイチは十日で一割の返済、ひどいケースでは、トゴといって十日で五割の返済を求められるケースさえあります。悪徳商法の加害者は、常に勧誘方法を最新のものに更新し、特定個人に狙いを定めたなら、集団で検討を加えるなど、まさにアリ地獄に引き込み、その結果、自己破産どころか自ら命を絶つ場合もあります。福井大臣、こうした事実をどれだけ認識していますか。
成年年齢が下げられると何が問題なのでしょうか。
民法第五条第二項では、
未成年者取消し権、つまり、成人に達していない者が
契約をしたとき、
親権者がその
契約を取り消すことができます。しかし、これが十八歳にまで引き下げられれば、サラ金だけではなく、闇金の被害も更に
拡大するでしょう。
国家公安委員長にお聞きします。
サラ金被害や闇金被害の実態をどう把握していますか。また、今の
未成年者及び若い世代の
消費者被害を防ぐためにどんな
対応が取られているのでしょうか。福井大臣、
課題とともに具体的にお答えください。
国民生活センターによると、二十歳を境にして、
消費者被害の
相談件数は急増します。日本弁護士連合会が
国民生活センターのデータに基づいて分析した結果では、
相談件数を二十歳前後で比較すると、マルチ
取引の
相談は約十二・三倍、ローン、サラ金の
相談は約十一・三倍と、二十歳を境に急増です。これは、悪徳業者の側からすれば、
未成年者取消し権の
対象にならない
若者が格好のターゲットになることを示しています。
政府は、それが分かっているから、
内閣府大臣官房
政府広報室のオンラインで、「新成人の皆さん、二十歳になると、
未成年のころより消費者トラブルに巻き込まれることが大きく増えます。」と注意を喚起し、「
未成年者の場合、
親権者の同意なく結んだ
契約は、原則、取り消すことができますが、成人になるとそうした
保護はありません。」と通告しております。これだけでは
消費者被害対策は不十分ではないかと思いますが、福井大臣、いかがでしょうか。
平成二十一年、二〇〇九年の
法制審議会が大臣に答申した
民法の
成年年齢の
引下げについての
意見では、
成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるとあります。しかし、この文言の後に三つの
条件が述べられております。まとめると、
消費者被害の解決に資する
施策の実現が必要であり、その
効果が十分に発揮され、
国民の
意識でも一般化することです。
法制審の答申から九年、サラ金被害や闇金被害はより深刻に推移しております。法制審三
条件は満たされていません。
法務大臣は説得力ある
説明ができるでしょうか。大切なことは、干物のような
言葉ではなく、生ものとしての現実です。
衆議院本
会議で
民法改正案が
審議に入る前のことです。読売新聞の
世論調査では、
賛成四二%、
反対五六%と、
賛成より
反対が多い結果が出ています。
内閣府は、二〇一三年十月を
最後に、
成年年齢に関する
世論調査を行っておりません。その調査では、十八歳、十九歳の者が親などの同意がなくても一人で高額な商品を購入するなどの
契約をできるようにすることに対して、
反対四七・二%、どちらかといえば
反対三二・二%、
反対の合計は七九・四%、約八割です。その一方で、
賛成七・四%、どちらかといえば
賛成一一・二%と、
賛成の合計は一八・六%で、圧倒的に
反対が多いんです。
法案をまとめるには最新の
世論調査が必要だと思いますが、なぜ五年間行わなかったのでしょうか。また、この
世論調査の結果をどう受け止めているのでしょうか。
法務大臣にお伺いし、
質問を終わります。
御清聴どうもありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣上川陽子君
登壇、
拍手〕